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特表2023-517841液体アノードに基づく溶融酸化物電解/溶融酸化物の電解からの酸素の生成
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  • 特表-液体アノードに基づく溶融酸化物電解/溶融酸化物の電解からの酸素の生成 図1
  • 特表-液体アノードに基づく溶融酸化物電解/溶融酸化物の電解からの酸素の生成 図2
  • 特表-液体アノードに基づく溶融酸化物電解/溶融酸化物の電解からの酸素の生成 図3a
  • 特表-液体アノードに基づく溶融酸化物電解/溶融酸化物の電解からの酸素の生成 図3b
  • 特表-液体アノードに基づく溶融酸化物電解/溶融酸化物の電解からの酸素の生成 図4a
  • 特表-液体アノードに基づく溶融酸化物電解/溶融酸化物の電解からの酸素の生成 図4b
  • 特表-液体アノードに基づく溶融酸化物電解/溶融酸化物の電解からの酸素の生成 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】液体アノードに基づく溶融酸化物電解/溶融酸化物の電解からの酸素の生成
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/09 20210101AFI20230420BHJP
   C25B 1/02 20060101ALI20230420BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20230420BHJP
   C25C 7/00 20060101ALI20230420BHJP
   C25C 7/02 20060101ALI20230420BHJP
   C25C 7/06 20060101ALI20230420BHJP
   C25C 3/34 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
C25B9/09
C25B1/02
C25B9/00 Z
C25C7/00 302Z
C25C7/02 308Z
C25C7/06 302
C25C3/34 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022549892
(86)(22)【出願日】2021-04-20
(85)【翻訳文提出日】2022-10-13
(86)【国際出願番号】 IL2021050445
(87)【国際公開番号】W WO2021165974
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】62/978,873
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522329076
【氏名又は名称】ヘリオス プロジェクト リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ガイフマン,ジョナサン
【テーマコード(参考)】
4K021
4K058
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BC04
4K021DA13
4K021DA15
4K021DA17
4K021DC01
4K058BB04
4K058BB05
4K058CB12
4K058CB17
4K058CB22
4K058DD03
4K058EB13
4K058ED04
4K058ED10
4K058FA11
4K058FC01
(57)【要約】
本発明の目的は、(i)カソード、(ii)アノード、および(iii)るつぼを備え、アノードは少なくとも部分的に液体と特徴づけられる、溶融酸化物電解を介して月レゴリスから酸素を抽出するためのセルを提示することである。アノードは、パラジウム、鉛、銀、金、白金、タンタル、または混合物から構成され得る。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
月レゴリスから酸素を抽出するためのセルであって、
a.カソード、
b.アノード、
c.るつぼ
を備え、
前記アノードは部分的に液体である、
セル。
【請求項2】
前記るつぼは、以下:
a.化学耐性が高く、前記溶融月レゴリスと反応しないこと、
b.2200℃までの温度で分解しないこと、
c.2200℃までの温度で蒸発しないこと
の少なくとも1つによって特徴づけられる材料から構成される、請求項1に記載のセル。
【請求項3】
前記るつぼは、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、六ホウ化タンタル、ホウ化ハフニウム、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、および二ホウ化ジルコニウムからなる群から選択される材料から構成される、請求項1に記載のセル。
【請求項4】
前記るつぼは、月レゴリスの固体(未融解)層をさらに備える、請求項1に記載のセル。
【請求項5】
前記アノードは、以下:
a.少なくとも0.8ボルトの還元電位、
b.2200℃までの温度で酸素に不活性であること、
c.溶融レゴリスで遅い拡散速度を有すること、
d.溶融レゴリスとエマルジョンを形成しないこと、
e.少なくとも2200℃の沸点を有すること、
f.溶融レゴリスのものより高い液体密度を有すること、
g.前記溶融レゴリスのものより低い液体密度を有すること
の少なくとも1つによって特徴づけられる、請求項1に記載のセル。
【請求項6】
前記アノードは、パラジウム、鉛、銀、金、白金、タンタル、または前記材料の合金からなる群から選択される、請求項1に記載のセル。
【請求項7】
前記アノードは、液体、溶液、エマルジョン、または懸濁液と特徴づけられる、請求項1に記載のセル。
【請求項8】
前記カソードは、Mo、Pt、Ir、Rh、およびFeからなる群から選択される、請求項1に記載のセル。
【請求項9】
前記カソードは、以下:
a.高電流密度を有すること、
b.表面積を有すること、
c.良好な電子伝導性を有すること、
d.高温耐性を有すること、
e.溶融レゴリスとの反応性が低いこと
の少なくとも1つによって特徴づけられる、請求項1に記載のセル。
【請求項10】
前記セルを2000℃の温度に加熱するためのシステムをさらに備える、請求項1に記載のセル。
【請求項11】
酸素を収集およびまたは貯蔵するための手段をさらに備える、請求項1に記載のセル。
【請求項12】
使用済みの月レゴリスを除去するシステムをさらに備える、請求項1に記載のセル。
【請求項13】
前記月レゴリスを前記セルに加えるシステムをさらに備える、請求項1に記載のセル。
【請求項14】
前記月レゴリスを加熱するためのシステムをさらに備える、請求項1に記載のセル。
【請求項15】
電流を発生させるためのシステムをさらに備える、請求項1に記載のセル。
【請求項16】
月レゴリスから酸素を得る方法であって、
a.セルであって、
i.カソード、
ii.アノード、
iii.るつぼ
を備えるセルを得るステップ、
b.月レゴリスを前記セルに加えるステップ、
c.前記レゴリスを前記レゴリスの融点に加熱するステップ、
d.2~10ボルトの電流を発生させるステップ、
e.前記アノードから酸素を収集するステップ
を含み、
前記アノードは少なくとも部分的に液体と特徴づけられる、
方法。
【請求項17】
前記月レゴリスは、酸化鉄を含むと特徴づけられる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
使用済みの月レゴリスを除去するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記るつぼは、以下:
a.前記溶融月レゴリスに対する高い化学耐性、
b.2200℃までの温度で分解しないこと、
c.2200℃までの温度で蒸発しないこと
の少なくとも1つによって特徴づけられる材料から構成される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記アノードは、以下:
a.少なくとも0.8ボルトの還元電位、
b.2000℃までの温度で酸素に不活性であること、
c.溶融レゴリスで遅い拡散速度を有すること、
d.溶融レゴリスとエマルジョンを形成しないこと、
e.少なくとも2200℃の沸点を有すること、
f.溶融レゴリスのものより高い液体密度を有すること、
g.前記溶融レゴリスのものより低い液体密度を有すること
の少なくとも1つによって特徴づけられる、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記アノードは、パラジウム、鉛、銀、金、白金、タンタル、またはそれらの合金のいずれかからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記カソードは、遷移金属である、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記カソードは、Mo、Pt、Ir、Rh、およびFeからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記カソードは、以下:
a.高電流密度を有すること、
b.表面積を有すること、
c.良好な電子伝導性を有すること、
d.高温耐性を有すること、
e.溶融レゴリスとの反応性が低いこと
の少なくとも1つによって特徴づけられる、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、溶融酸化物電解による酸素および金属の生成の分野のものである。
【背景技術】
【0002】
溶融酸化物電解(MOE)は、高温溶融酸化物が電気化学プロセスによって酸素から金属を分離するように反応するプロセスである。次いで2つの成分は別々に収集され、さらなる個々の使用のために貯蔵される。電気化学プロセスでは、必須の要素は、電極、電解液、および異なる相(例えば、固体、液体、または気体)に流れることができる電源からなる。電極は、電子伝導性でなければならず、固体、液体、または気体形態で使用され得る。基本的な2つの電極が、電気化学プロセスに必須である:
-電流が収集されるアノード。
-電流が分配されるカソード。
【0003】
米国特許第8764962号は、酸化物原料化合物からの電解抽出方法を開示する。原料化合物は、カソードおよびアノードと接触する、電解槽中の酸化物融液に溶解される。電解中、標的元素は液体カソードに堆積し、それと合体する。酸素は、金属アノード基材上に酸化物融液と接触する固体酸化物層を有する、アノード上で発生する。
【0004】
米国特許第5536378号は、約20~200ミクロンのサイズ範囲であり、80~90%の月のイルメナイト(FeTiO3)および月の二価鉄凝集体を含有する、粒子状の、水素で還元可能な濃縮原料を含む原料を使用した、月の酸素の生産のための反応装置を開示する。反応装置は、下部流動ゾーンを通して水素含有ガスストリームを導入するための、上部から中央流動ゾーンへの下降管および開口を備える、3つの垂直に離隔した流動ゾーン有する。固気RF誘電加熱器は、薄いセラミック壁で隔てられた小さい平行チャネルを含むセラミックハニカム、およびガスストリームを還元反応温度に加熱するための外部RF電源に接続された、ハニカムを取り囲む電極を有する。上部入口は、濃縮原料を、その中で流動化し、ガスストリームの流れに対して向流に中間および下部流動ゾーンに流すための上部流動ゾーンに導入する。固体状態の電解槽は、焼結または鋳込み成形によって穴の開いた円筒形状に作製され、その長手方向の外面および内面上に白金電極を有する、酸化カルシウム-または酸化イットリウム-安定化ジルコニアセラミックで構成される。電解槽シリンダは、2つの円盤状不透過性セラミックバッフルの内側、かつ耐火物で内張りされた金属圧力シェルの内側中央に取り付けられる。中央流動ゾーンからの水の平衡量を含有するガス状排出物は、水の連続電解のために電解槽を通過する。電解槽から酸素を分離し、水素をガスストリームに再循環させるための装置が提供される。
【0005】
米国特許第7935176号は、例えば、惑星、小惑星などの地球外環境において利用可能な材料から、地球外環境で酸素を抽出することができる設備およびプロセスについて記載している。設備は、鉱物含有固体材料から酸素を抽出し、固体材料の自由落下溶融ストリームを形成し、溶融ストリームの少なくとも一部を蒸発させ、気体酸素を含有する蒸気を生成し、蒸気の超音速ストリームを作り出し、超音速ストリームの構成成分を凝縮させて、超音速ストリーム内に微粒子を形成し、微粒子から気体酸素を分離し、次いで気体酸素を収集するように構成される。
【0006】
米国特許第4997533号は、酸素および金属鉄が、イルメナイトなどの酸化鉄含有鉱物から、塩酸で鉱物から鉄を抽出し、結果として得られる溶液から固体残渣を分離し、それを乾燥させ、分離された塩化鉄含有溶液を電気分解して電解鉄および塩素ガスを生成し、塩素ガスを、乾燥ステップおよび/または塩化鉄含有溶液の電解ステップから回収された水と組み合わせて塩酸を再生し、塩酸を抽出ステップに再循環させることによって、生成されることを開示する。代替の実施形態では、塩素ガスを、触媒存在下で、回収された水と反応させて塩酸を生成し、それを抽出ステップに再循環させ、それにより、水の電解および別個の塩酸再生ステップの必要性を排除する。別の代替の実施形態では、塩化鉄含有溶液の電解は、塩素ガスの代わりに酸素をアノードで生成するように動作し、塩酸は、カソードでの鉄のめっきと同時に発生する。
【0007】
特許出願WO2018059902A1は、金属製の単一のチャンバである高温超高真空炉を提供することを含む発明を開示し、そのチャンバ内で好ましくはタンタル製の導電性るつぼは、好ましくはセラミックの絶縁支持体上に設置され、るつぼに巻きつけられた巻線によって誘導加熱される。誘導巻線とるつぼとの間に配置される、好ましくは石英製の絶縁管は、有利には、凝縮性種が凝縮することができる表面として作用する。
【0008】
米国特許第5227032号は、金属酸化物を含む鉱物、例えばイルメナイトから、酸素を生成するための方法を開示し、プロセスは、鉱物と熱硫酸とのスラリーを生成することと、酸と鉱物とが反応して金属の硫酸塩を形成ことと、水をスラリーに加え、鉱物を溶解させて水溶液とすることと、第1の水溶液をスラリー由来の未反応鉱物から分離することと、水溶液を電気分解して金属および酸素を生成することとを含み、一態様では、プロセスは、イルメナイトと熱硫酸との反応による硫酸第一鉄をその中に含むスラリーを生成し、水をスラリーに加え、硫酸第一鉄を溶解させて水溶液とし、水溶液をスラリーから分離し、水溶液を電気分解して鉄および酸素を生成する。
【0009】
金属酸化物から酸素および金属を生成する方法に対する長年にわたる必要性が存在する。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、月レゴリスから酸素を抽出するためのセルであって、
a.カソード、
b.アノード、
c.るつぼ
を備え、
アノードは少なくとも部分的に液体と特徴づけられる、
セルを提示することである。
【0011】
本発明の別の目的は、るつぼが、以下:
a.溶融月レゴリスに対する高い化学耐性、
b.2200℃までの温度で分解しないこと、
c.2200℃までの温度で蒸発しないこと
の少なくとも1つによって特徴づけられる材料から構成される、上記のいずれかに提示されるようなセルを提示することである。
【0012】
本発明の別の目的は、るつぼが、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、六ホウ化タンタル、ホウ化ハフニウム、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、および二ホウ化ジルコニウムからなる群から選択される材料から構成される、上記のいずれかに提示されるようなセルを提示することである。
【0013】
本発明の別の目的は、るつぼが、月レゴリスの固体(未融解)層をさらに備える、上記のいずれかに提示されるようなセルを提示することである。
【0014】
本発明の別の目的は、アノードが、以下:
a.少なくとも0.8ボルトの還元電位、
b.2200℃までの温度で酸素に不活性であること、
c.溶融レゴリスで遅い拡散速度を有すること、
d.溶融レゴリスとエマルジョンを形成しないこと、
e.少なくとも2200℃の沸点を有すること、
f.溶融レゴリスのものより高い液体密度を有すること、
g.溶融レゴリスのものより低い液体密度を有すること
の少なくとも1つによって特徴づけられる、上記のいずれかに提示されるようなセルを提示することである。
【0015】
本発明の別の目的は、アノードが、パラジウム、鉛、銀、金、白金、タンタル、または材料の合金からなる群から選択される、上記のいずれかに提示されるようなセルを提示することである。
【0016】
本発明の別の目的は、アノードが、液体、溶液、エマルジョン、または懸濁液と特徴づけられる、上記のいずれかに提示されるようなセルを提示することである。
【0017】
本発明の別の目的は、カソードが、Mo、Pt、Ir、Rh、およびFeからなる群から選択される、上記のいずれかに提示されるようなセルを提示することである。
【0018】
本発明の別の目的は、カソードが、以下:
a.高電流密度を有すること、
b.表面積を有すること、
c.良好な電子伝導性を有すること、
d.高温耐性を有すること、
e.溶融レゴリスとの反応性が低いこと
の少なくとも1つによって特徴づけられる、上記のいずれかに提示されるようなセルを提示することである。
【0019】
本発明の別の目的は、セルを2000℃の温度に加熱するためのシステムをさらに備える、上記のいずれかに提示されるようなセルを提示することである。
【0020】
本発明の別の目的は、酸素を収集およびまたは貯蔵するための手段をさらに備える、上記のいずれかに提示されるようなセルを提示することである。
【0021】
本発明の別の目的は、使用済みの月レゴリスを除去するシステムをさらに備える、上記のいずれかに提示されるようなセルを提示することである。
【0022】
本発明の別の目的は、月レゴリスをセルに加えるシステムをさらに備える、上記のいずれかに提示されるようなセルを提示することである。
【0023】
本発明の別の目的は、月レゴリスを加熱するためのシステムをさらに備える、上記のいずれかに提示されるようなセルを提示することである。
【0024】
本発明の別の目的は、電流を発生させるためのシステムをさらに備える、上記のいずれかに提示されるようなセルを提示することである。
【0025】
本発明の目的は、月レゴリスから酸素を得る方法であって、
a.セルであって、
a.カソード、
b.アノード、
c.るつぼ
を備えるセルを得るステップ、
b.月レゴリスをセルに加えるステップ、
c.レゴリスをその融点に加熱するステップ、
d.2~10ボルトの電流を発生させるステップ、
e.アノードから酸素を収集するステップ
を含み、
アノードは少なくとも部分的に液体と特徴づけられる、
方法を提示することである。
【0026】
本発明の別の目的は、月レゴリスが、酸化鉄を含むと特徴づけられる、上記のいずれかに提示されるような方法を提示することである。
【0027】
本発明の別の目的は、使用済みの月レゴリスを除去するステップをさらに含む、上記のいずれかに提示されるような方法を提示することである。
【0028】
本発明の別の目的は、るつぼが、以下:
a.溶融月レゴリスに対する高い化学耐性、
b.2200℃までの温度で分解しないこと、
c.2200℃までの温度で蒸発しないこと
の少なくとも1つによって特徴づけられる材料から構成される、上記のいずれかに提示されるような方法を提示することである。
【0029】
本発明の別の目的は、アノードが、以下:
a.少なくとも0.8ボルトの還元電位、
b.2000℃までの温度で酸素に不活性であること、
c.溶融レゴリスで遅い拡散速度を有すること、
d.溶融レゴリスとエマルジョンを形成しないこと、
e.少なくとも2200℃の沸点を有すること、
f.溶融レゴリスのものより高い液体密度を有すること、
g.溶融レゴリスのものより低い液体密度を有すること
の少なくとも1つによって特徴づけられる、上記のいずれかに提示されるような方法を提示することである。
【0030】
本発明の別の目的は、アノードが、パラジウム、鉛、銀、金、白金、タンタル、またはそれらの合金のいずれかからなる群から選択される、上記のいずれかに提示されるような方法を提示することである。
【0031】
本発明の別の目的は、カソードが遷移金属である、上記のいずれかに提示されるような方法を提示することである。
【0032】
本発明の別の目的は、カソードが、Mo、Pt、Ir、Rh、およびFeからなる群から選択される、上記のいずれかに提示されるような方法を提示することである。
【0033】
本発明の別の目的は、カソードが、以下:
a.高電流密度を有すること、
b.表面積を有すること、
c.良好な電子伝導性を有すること、
d.高温耐性を有すること、
e.溶融レゴリスとの反応性が低いこと
の少なくとも1つによって特徴づけられる、上記のいずれかに提示されるような方法を提示することである。
【0034】
本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を示し、記載と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】アルミナからの純アルミニウムの抽出のための電気化学セルの概略図を示す。
図2】レゴリスからの酸素および鉄の抽出のための電解槽の概略図を示す。
図3図3(a、b)レゴリスからの酸素および鉄の抽出のための電解槽の概略図を示す。
図4図4(a、b)実施例1のシステムを示す。
図5】実施例1の月レゴリス模擬物質の還元を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の記載は、本発明の全ての章と共に、当業者が本発明を利用することができるように提供され、発明者によって企図される、本発明を実行する最良のモードを述べる。しかしながら、本発明の一般原則は、組成物および方法を提供するように具体的に定義されているため、様々な修正が適用され、当業者になお明らかである。
【0037】
本出願では、「溶融還元電解」(MRE)という用語は、融解した酸化物を還元するプロセスを指す。
【0038】
本出願では、「溶融酸化物電解」(MOE)という用語は、金属(液体として)および酸素(気体として)を生成する金属酸化物(単数または複数)の電気分解を指す。
【0039】
本出願では、「月レゴリス模擬物質」という用語は、月などの岩盤を覆う未固結の、ゆるい、不均質表層堆積物の堆積を指す。レゴリスは、しばしば、塵、破砕岩石、および他の関連物質を含み、表面に存在する。月レゴリスは、一般に、海領域では厚さ4~5mであり、より古い高地領域では10~15mである。「月面土壌」という用語は、しばしば月レゴリスのより微細な部分を指すのに使用されるが、しばしば同じ意味で使用され得る。月塵という用語は、一般に、月面土壌よりさらに微細な物質を指すのに使用される。
【0040】
以下の略語が、本明細書で使用される。
【0041】
特に明記しない限り、全ての濃度は、重量百分率で表される。
【0042】
特に明記しない限り、数量に関して、「約」という用語は、記載された公称値の±25%の公差を指す。
【0043】
特に明記しない限り、全ての数値範囲は、記載された範囲の両端を含む。
【0044】
本発明の好ましい実施形態の説明
溶融酸化物電解(MOE)プロセスは、電気化学プロセスによって溶融酸化物から金属および酸素を分離するために高温で行われる。2つの生成物は、分離され、収集され、さらなる個々の使用のために貯蔵される。電気化学プロセスでは、必須の要素は、電極、電解液、および異なる相(例えば、固体、液体、または気体)に流れることができる電源からなる。電極は、電子伝導性でなければならず、固体、液体、または気体形態で使用され得る。基本的な2つの電極:アノード(それを通って定義上の電流がプロセスを出る)およびカソード(それを通って定義上の電流がプロセスに入る)が、電気化学プロセスに必須である。
【0045】
最も一般的な液体電極プロセスは、「Hall-Haroult」と呼ばれ、アルミニウムの生産に使用される一般的な液体電極プロセスである。プロセスは、アルミナ(Al)の電解の基づき、カソード上でアルミニウムおよびアノード上で酸素を生成する。この系では、アルミナは、アルミナの融点を下げ、その溶媒として作用する氷晶石(NaAlF)と混合される。セルは980℃で動作し、そこでアルミナは液体氷晶石14に溶解する。図1を参照すると、電解プロセスでカソードとして作用するグラファイト12でコーティングされた底部を有する鋼から構成されたるつぼ11を備える、セル10が示される。アノードは、いくつかのグラファイトロッドで構成され、セルの上部13に配置される。カソード上で生成された純アルミニウムは、溶融氷晶石より高い密度を有し、したがって、セルの底部15に沈み、そこから流れ出し、収集され、さらなる使用のために冷却される。アノードでは、酸のアニオンの酸化が起こり、分子酸素が生成する。アノードは炭素の層でコーティングされているため、この場合、生成された酸素の大部分は、さらに反応して二酸化炭素を生成する。電解に適用される最適な電流密度は、およそ1A・cm-2、全セル電流は150~300kA、セル電圧は4.0~-4.5Vである。
【0046】
3層液体セルにおける酸素および鉄の生成
鉄の生産は、しばしば、石炭アノードおよび液体鉄カソードを有する半液体セル内で行われる。プロセスは、炭素アノード上での酸素形成からの副生成物としてアノードから放出される大量の二酸化炭素のため、汚染度が高い。石炭アノードを、アノード上で形成される酸素と反応しない不活性物質(イリジウム、トリウム入りタングステン、ロジウム、銀、パラジウム、金、白金、ルテニウム、ニオブなど)で置き換えることは、鉄の(より)クリーンな生産を可能とし得る。
【0047】
溶融酸化物電解を使用する鉄の抽出は、典型的には、1600~1700℃の温度範囲で行われる。液化が完了した後に、電解が行われる。その間、液体鉄はカソードの周りに蓄積し、酸素はアノードの周りに蓄積する。
【0048】
液体酸化鉄電解は、溶融酸化鉄がその基となる元素-鉄(カソード上に蓄積する)および酸素(アノード上に蓄積する)に分解されるプロセスである。反応の例(FeおよびFeOの場合)は、以下のように記載され得る:
【化1】
【0049】
MREプロセスでは、融解温度は、原料である月レゴリスの組成に依存する。これは、溶融レゴリスを加熱し、続いて電気分解するのに必要なエネルギーに影響を及ぼし得る。月レゴリスは、7つの化合物:酸素O(41~45質量%)、ケイ素Si(20~25質量%)、アルミニウムAl(~15質量%)、カルシウムCa(~10質量%)、鉄Fe(~0.5質量%)、マグネシウムMgおよびチタンTiから主に(99質量%)構成される。
【0050】
レゴリスの正確な組成は変化し得、一般に、試料の場所および深さの影響を受ける。高地レゴリスは、著しく高い融解温度(~1600℃)を有し、MREを介してより容易に還元される鉄およびチタンなどの元素が欠けている。海の地域のレゴリスは、実質的により低い融点(~1200℃)を有し、20重量%までの鉄含有量を有する。
【0051】
月レゴリスは、部分的には陽子および太陽放射線の月面への絶え間ない衝突のため、化学的に還元される。月の鉄は、しばしば、元素状(0)およびカチオン性(+2)の酸化状態で見出される。月の大気条件では、低エネルギー条件により磁鉄鉱は存在せず、FeOが、酸化鉄の最もよく見られる形態である。
【0052】
システム設計
高温(約1700℃)に耐えるために、セル材料は、特定の反応環境に適合した、安定かつ化学耐性がある材料から構成されなければならない。加えて、溶融レゴリスは、化学的に攻撃性である。反応器の壁を腐食から保護するために、電解は、コアのみが電解のジュール熱で溶融し、外殻は固体のままでありかつ反応器の壁に対して隔離されているレゴリスにおいて行われるべきである。
【0053】
るつぼは、その形状を留めながら反応の高温に耐えることができる材料(酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、六ホウ化タンタル、ホウ化ハフニウム、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ホウ化ジルコニウムなど)から構成されなければならない。いくつかの実施形態では、るつぼは、融解および/または反応せず、るつぼを溶融レゴリスから保護する、原料(レゴリス)の固体(未融解)層をさらに含み、これは「低温壁」溶解と称され得る。
【0054】
るつぼは、超高耐火物セラミックを構築する任意の標準的な方法によって構築され得る。方法としては、粉末調製-固体状態反応、共沈、ゾル-ゲル、噴霧熱分解、エマルジョン合成が挙げられる。成形プロセスとしては、プレス、キャスト、塑性加工、コロイドプロセスが挙げられる。焼結プロセスとしては、無加圧、ホットプレス、熱間静水圧プレスが挙げられる。仕上げプロセスとしては、機械、レーザー、水ジェット、超音波が挙げられる。可能な材料は、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、六ホウ化タンタル、ホウ化ハフニウム、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、二ホウ化ジルコニウムに由来し得る。
【0055】
カソードは、初期電流ドナーであり、高電流密度および高温を支持する必要があり、その周りの液体鉄または電解液と反応しない必要がある。いくつかの実施形態では、カソードは、MOEプロセス中に生成され、カソード上に堆積した、液体鉄コーティングを含む。
【0056】
アノードは、しばしば耐火金属から構成され、反応時の熱、圧力、および化学物質による分解に耐性があり、反応中にその強度および形状を保持する。イリジウムおよびロジウムが、一般に使用される。炭素(カーボングラファイトなど)は、その優れた熱安定性および耐スラグ性のため、しばしば高還元環境で使用される。
【0057】
アノードおよびカソードは、高温(>1600℃)、化学的に攻撃性の溶融レゴリス、高電位、およびアノード表面上での原子酸素の形成に耐えなければならず、しばしば、イリジウム、モリブデン、Pt-Rh合金もしくは白金などの貴金属、または導電性セラミック材料からなる。
【0058】
図2を参照すると、るつぼ21、カソード22、およびアノード23を含むセル20の概略図が示される。レゴリス24が、るつぼに加えられ、その融点に加熱される。鉄(Fe)25は、カソード22上に蓄積し、酸素(O2(g))26は、アノード23から放出される。
【0059】
液体レゴリスからの酸素抽出は、0.8Vの電位、イリジウムアノードを使用して行われ、レゴリスの融解温度で行われた先の試みで実証されている。酸素は、イリジウムアノードの表面上で放出された。イリジウムの使用は、必要とされる高電流密度のための高表面積を考慮すると、高コストおよび高重量のため、月では実行可能ではない。
【0060】
レゴリス酸化のための液体アノードの設計および調製
本発明は、3つの液体層アレイの使用を実証する。アレイの使用は、レゴリスから酸素を抽出する、経済的および化学的に効率の良いプロセスを実証する。
【0061】
液体アノードの要件/特性:
1.材料(単数または複数)は、反応の酸化電位より高く、0.8Vより高い還元電位を有する。いくつかの実施形態では、材料は、少なくとも0.9Vの電位を有する。
2.動作温度(2000℃まで)で酸素に対して化学的に不活性である。
3.アノード材料と融解したレゴリスとの混合を妨げて、材料の損失を阻止し、効率を改善するための、レゴリスでの遅い拡散速度。
4.アノード抵抗、したがって作用電位に影響を及ぼし得る、アノードの表面上での(Miltonレゴリスとの)エマルジョンを形成しない。
5.レゴリスの成分と化学結合を形成してはならない。
6.プロセスのものより高い、少なくとも500℃の沸点。いくつかの実施形態では、材料は、少なくとも2200℃の沸点を有する。
7.融解したレゴリスのものと異なる(高いかまたは低い)液体密度。セルは、より重いもの(原料の下に配置される)、またはより軽いもの(溶融レゴリスの上に配置される)の両方を収容するように構築され得る。固体レゴリスの密度は、2.7gr*cmである。
【0062】
銀、金、白金、ロジウム、タンタルなどの、要件の一部を満たすいくつかの候補が特定されており、他の貴金属は、それらとの合金として使用可能であろう。
【0063】
アノードは、液体、または少なくとも部分的に液体であり得る。いくつかの実施形態では、アノードは、固相と液相との間の平衡状態で存在する。いくつかの実施形態では、固体は、結晶と特徴づけられる。アノードが白金と金との合金を含む実施形態では、アノードは、白金と金との溶液中の金/白金粒子の懸濁液として存在し得る。
【0064】
好ましい実施形態では、アノード材料は、移動コストを下げるために、低コストおよび低重量を有するべきである。
【0065】
提唱されるセル構造
図3aを参照すると、溶融レゴリスより軽い材料から構成されたアノードを有する、電池と同様に機能するセル30の実施形態が示される。るつぼ31は抵抗性材料から構成される一方で、カソード32は固体であり、アノード33は液体でありかつレゴリスより低い密度を有する。レゴリス34が、るつぼに加えられ、その融点に加熱される。鉄(Fe)35は、カソード32上に蓄積し、勾配の下端からセルを出る。酸素(O2(g))36は、アノード33から放出される。使用済みの溶融レゴリスは、セル37を出て、新しい原料のために場所をあける。
【0066】
図3bを参照すると、セル30の第2の実施形態が示される。るつぼ31は抵抗性材料から構成される一方で、カソード32は固体であり、アノード33は液体でありかつレゴリスより高い密度を有する。レゴリス34が、るつぼに加えられ、その融点に加熱される。酸素(O2(g))36は、アノード33から放出される。鉄(Fe)35は、カソード32上に蓄積し、セルの下端からセルを出る。使用済みの溶融レゴリスは、セル37の下端からセルを出て、新しい原料のために場所をあける。
【0067】
実験
実施例1.
図4(a、b)を参照すると、窒化ホウ素(BN)シリンダ(直径5cm、高さ10cm)で構成されたるつぼ、直径1mmのモリブデン(Mo)ワイヤから構成されたカソード、および直径1mmのイリジウム(Ir)ワイヤから構成されたアノードを含むセルが示される。カソードおよびアノードは、10mm間隔をあけて設置される。使用された月レゴリスは、セントラルフロリダ大学により作製されたexolith(商標)LMS-1である。電極は、熱から保護するために、保護アルミナ管(直径2mm)内に挿入される。ワイヤの先端は、るつぼ表面の1mm上に挿入され、月レゴリス模擬物質は、先端を覆い、るつぼの開口の3mm下まで加えられる。オーブンを、まず、真空条件下で3時間、300℃に加熱して、レゴリスおよびるつぼから水分を逃がす。前処理を終えた後、オーブンを、1600℃に達するまで約15℃/分で加熱する。動作温度を達成したら、「solarton」ポテンショスタットを使用して電気化学プロセスを活性化させる。-2ボルト~2ボルトのサイクリックボルタンメトリーを活性化させる。オーブン(1800超)を、Ar雰囲気下で動作させ、気体の出力を、質量流量計(AALBORG)およびジルコニア酸素センサによって監視する。
【0068】
酸素の発生および生成を、電気化学スペクトログラムによって間接的に検出することができる。図5は、サイクリックボルタンメトリー掃引の結果を示し、溶融酸化物の導電率の変化を実証する。ピークが、負に帯電した酸素イオンの酸化として~0.25Vに観察される。
【0069】
実施例2.
セル(図4a、bのとおり)は、窒化ホウ素(BN)の立方体(高さ10cm、直径5cm、)から構成されたるつぼ、モリブデン(Mo)カソード(直径1mm)、および溶融銀(Ag)アノード(Mo集電体にさらに接続される)を含む。
使用された月レゴリスは、セントラルフロリダ大学により作製されたexolith(商標)LMS-1である。ワイヤの先端は、るつぼ表面の1mm上に挿入され、月レゴリス模擬物質は、先端を覆い、るつぼの開口の3mm下まで加えられる。オーブンを、まず、真空条件下で3時間、300℃に加熱して、レゴリスおよびるつぼから水分を逃がす。前処理を終えた後、オーブンを、1600℃に達するまで約15℃/分で加熱する。動作温度を達成したら、「solarton」ポテンショスタットを使用して電気化学プロセスを活性化させる。-2ボルト~+2ボルトのサイクリックボルタンメトリーを活性化させる。オーブンを、Ar雰囲気下で動作させ、気体の出力を、質量流量計(AALBORG)およびジルコニア酸素センサによって監視する。
【0070】
20グラムのレゴリスをるつぼに入れ、-2~+2ボルトの電圧の掃引を行う。
電気化学プロセスを、Ar不活性ガス雰囲気下で行う。Arは、アノード上で生成されている酸素のキャリアガスとして働き、酸素を素早く抽出して、酸素が異なる成分と化学的に反応するのを防ぐのに役立つ。
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
月レゴリスから酸素を抽出するためのセルであって、
a.カソード、
b.アノード、
c.るつぼ
を備え、
前記アノードは、少なくとも部分的に液体であり、以下:
i.少なくとも0.8ボルトの還元電位、
ii.1600℃までの温度で酸素に不活性であること、
iii.溶融レゴリスとエマルジョンを形成しないこと、
iv.少なくとも1600℃の沸点を有すること、
v.溶融レゴリスのものより高い液体密度を有すること、
vi.前記溶融レゴリスのものより低い液体密度を有すること
の少なくとも1つによって特徴づけられる、
セル。
【請求項2】
前記るつぼは、以下:
a.前記月レゴリスに対して化学耐性があること、
b.前記溶融月レゴリスと反応しないこと、
c.1600℃までの温度で分解しないこと、
d.1600℃までの温度で蒸発しないこと
の少なくとも1つによって特徴づけられる材料から構成される、請求項1に記載のセル。
【請求項3】
前記るつぼは、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、六ホウ化タンタル、ホウ化ハフニウム、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、および二ホウ化ジルコニウムからなる群から選択される材料から構成される、請求項1に記載のセル。
【請求項4】
前記アノードは、パラジウム、鉛、銀、金、白金、タンタル、または前記材料の合金からなる群から選択される、請求項1に記載のセル。
【請求項5】
前記アノードは、液体、溶液、エマルジョン、または懸濁液と特徴づけられる、請求項1に記載のセル。
【請求項6】
前記カソードは、Mo、Pt、Ir、Rh、およびFeからなる群から選択される、請求項1に記載のセル。
【請求項7】
前記セルを1600℃の温度に加熱するためのシステムをさらに備える、請求項1に記載のセル。
【請求項8】
酸素を収集およびまたは貯蔵するための手段をさらに備える、請求項1に記載のセル。
【請求項9】
使用済みの月レゴリスを除去するシステムをさらに備える、請求項1に記載のセル。
【請求項10】
前記月レゴリスを前記セルに加えるシステムをさらに備える、請求項1に記載のセル。
【請求項11】
前記月レゴリスを加熱するためのシステムをさらに備える、請求項1に記載のセル。
【請求項12】
電流を発生させるためのシステムをさらに備える、請求項1に記載のセル。
【請求項13】
月レゴリスから酸素を得る方法であって、
a.セルであって、
i.カソード、
ii.アノード、
iii.るつぼ
を備えるセルを得るステップ、
b.月レゴリスを前記セルに加えるステップ、
c.前記レゴリスを前記レゴリスの融点に加熱するステップ、
d.2~10ボルトの電流を発生させるステップ、
e.前記アノードから酸素を収集するステップ
を含み、
前記アノードは、少なくとも部分的に液体と特徴づけられ、以下:
i.少なくとも0.8ボルトの還元電位、
ii.1600℃までの温度で酸素に不活性であること、
iii.溶融レゴリスとエマルジョンを形成しないこと、
iv.少なくとも1600℃の沸点を有すること、
v.溶融レゴリスのものより高い液体密度を有すること、
vi.前記溶融レゴリスのものより低い液体密度を有すること
の少なくとも1つによって特徴づけられる、
方法。
【請求項14】
前記月レゴリスは、酸化鉄を含むと特徴づけられる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
使用済みの月レゴリスを除去するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記るつぼは、以下:
a.1600℃までの温度で分解しないこと、
b.1600℃までの温度で蒸発しないこと
の少なくとも1つによって特徴づけられる材料から構成される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記アノードは、パラジウム、鉛、銀、金、白金、タンタル、またはそれらの合金のいずれかからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記カソードは、遷移金属である、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記カソードは、Mo、Pt、Ir、Rh、およびFeからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【国際調査報告】