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特表2023-517858超音波療法のための収差補正の微分予測
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】超音波療法のための収差補正の微分予測
(51)【国際特許分類】
   A61N 7/02 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
A61N7/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552555
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(85)【翻訳文提出日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 IB2021000120
(87)【国際公開番号】W WO2021176275
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】62/985,587
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508154863
【氏名又は名称】インサイテック・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アマール, タリア
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ, ヨアフ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ33
4C160JJ35
(57)【要約】
療法または診断手技の間、超音波エネルギーを標的領域に送達するための種々のアプローチは、複数のトランスデューサ要素間のパラメータ値の差および/または比に対応する、入力ベクトルに基づいて、トランスデューサ要素毎に、1つまたはそれを上回るパラメータ値を発生させ、介在組織に関して結果として生じる予期されるビーム収差を補償するように訓練されている、機械学習モデルを有する、調節機構を実装するステップと、療法または診断手技の間、最適化された集束ゾーンを標的領域に発生させるように、対応するパラメータ値に従って、トランスデューサ要素をアクティブ化するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
療法または診断手技の間、超音波エネルギーを標的領域に送達するためのシステムであって、前記システムは、
複数のトランスデューサ要素を備える超音波トランスデューサであって、前記トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかは、前記療法または診断手技の間、アクティブと指定されている、超音波トランスデューサと、
調節機構であって、前記調節機構は、複数の前記トランスデューサ要素間のパラメータ値の差および/または比に対応する入力ベクトル上で訓練されている機械学習モデルを備え、前記調節機構は、(i)アクティブトランスデューサ要素と前記標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量を受信することと、(ii)それに基づいて、前記アクティブトランスデューサ要素毎に、少なくとも1つのパラメータ値を発生させ、予期されるビーム収差を補償することとを行うように構成される、調節機構と、
コントローラであって、前記コントローラは、前記療法または診断手技の間、最適化された集束ゾーンを前記標的領域に発生させるように、対応するパラメータ値に従って、前記アクティブトランスデューサ要素をアクティブ化するように構成される、コントローラと
を備える、システム。
【請求項2】
前記機械学習モデルは、ニューラルネットワークである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ニューラルネットワークは、それぞれが一対の前記トランスデューサ要素と関連付けられるパラメータを備える入力ベクトル上で訓練される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記調節機構は、機械学習アルゴリズムによって発生された調節値のルックアップテーブルを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記機械学習アルゴリズムは、それぞれが2つを上回るトランスデューサ要素と関連付けられるパラメータを備える入力ベクトル上で訓練されるニューラルネットワークである、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記数量は、組織密度および厚さを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記調節機構はさらに、少なくとも部分的に、関連付けられたトランスデューサ要素と関連付けられる少なくとも1つの幾何学的パラメータに基づいて、前記少なくとも1つのパラメータ値を発生させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの幾何学的パラメータは、前記関連付けられたトランスデューサ要素と前記標的領域との間の頭蓋骨の表面に対する角度である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記発生された少なくとも1つのパラメータ値は、振幅、位相、周波数、デューティサイクル、超音波振動パターン、または時間遅延のうちの少なくとも1つに対する補正を規定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記標的領域は、複数の部分を備え、前記発生された最適化された集束ゾーンは、前記標的領域の第1の部分にあり、前記コントローラはさらに、物理的モデルを使用して、(i)前記標的領域の前記第1の部分と異なる第2の部分または非標的領域におけるリアルタイム温度、(ii)前記集束ゾーンにおけるリアルタイム温度、(iii)集束スポット形状、または(iv)治療成功のうちの少なくとも1つを予測するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラはさらに、
前記アクティブトランスデューサ要素に、(i)超音波を前記標的領域に透過させ、(ii)前記標的領域からの前記超音波の反射を測定させることと、
前記測定値に基づいて、前記アクティブトランスデューサ要素のそれぞれを測定トランスデューサ要素または非測定トランスデューサ要素として分類することと、
少なくとも部分的に、前記測定トランスデューサ要素によって提供される前記測定値に基づいて、前記調節機構を更新することと
を行うように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記更新された調節機構は、(i)前記非測定トランスデューサ要素と前記標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量を受信することと、(ii)それに基づいて、前記非測定トランスデューサ要素毎に、少なくとも1つの更新されたパラメータ値を発生させ、予期されるビーム収差を補償することとを行うように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラはさらに、対応する更新されたパラメータ値に従って、前記非測定トランスデューサ要素をアクティブ化するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記コントローラはさらに、
前記アクティブトランスデューサ要素に、(i)超音波を前記標的領域に透過させ、(ii)前記標的領域からの前記超音波の反射を測定させることと、
少なくとも部分的に、前記測定値に基づいて、前記調節機構を更新することと
を行うように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記更新された調節機構は、(i)前記アクティブトランスデューサ要素と、前記標的領域と異なる二次標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量を受信することと、(ii)それに基づいて、前記アクティブトランスデューサ要素毎に、少なくとも1つの更新されたパラメータ値を発生させ、予期されるビーム収差を補償することとを行うように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラはさらに、最適化された集束ゾーンを前記二次標的領域に発生させるように、対応する更新されたパラメータ値に従って、前記アクティブトランスデューサ要素をアクティブ化するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
複数のトランスデューサ要素を備える超音波トランスデューサによる介在組織を通した超音波エネルギーの送達のための補正値を発生させる方法であって、前記補正値は、ビーム収差を補正し、前記方法は、
それぞれが(i)複数の前記トランスデューサ要素間の超音波パラメータの差および/または比と、(ii)前記複数のトランスデューサ要素と標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量とを備える受信された入力ベクトルに基づいて、出力として、前記超音波パラメータの補正値を発生させ、前記介在組織を通して予期されるビーム収差を補償するように機械学習モデルを訓練するステップであって、前記訓練するステップは、前記機械学習モデルに、前記入力ベクトルの値と対応する補正値との間の関係を学習させるステップを含む、ステップと、
前記機械学習モデルに、それぞれがアクティブ化されるべき複数の前記トランスデューサ要素と患者の標的領域との間に介在する前記患者の組織を特性評価する数量を備える複数の入力ベクトルを提供するステップと、
前記提供される入力ベクトルに基づいて、前記超音波パラメータの補正値を前記機械学習モデルの出力として受信するステップと
を含む、方法。
【請求項18】
前記機械学習モデルは、ニューラルネットワークである、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記ニューラルネットワークは、それぞれが一対の前記トランスデューサ要素と関連付けられるパラメータを備える入力ベクトル上で訓練される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記超音波パラメータの差および/または比は、自動集束治療測定値またはエクスビボまたは模型頭蓋骨上での測定値を使用して入手される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記数量は、組織密度および厚さを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記入力ベクトルはさらに、前記トランスデューサ要素のそれぞれと関連付けられる少なくとも1つの幾何学的パラメータを備え、前記機械学習モデルはさらに、少なくとも部分的に、前記幾何学的パラメータに基づいて、前記超音波パラメータの補正値を発生させるように訓練される、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記幾何学的パラメータは、前記トランスデューサ要素のそれぞれと前記標的領域との間の頭蓋骨の表面に対する角度である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記補正値は、振幅、位相、周波数、デューティサイクル、超音波振動パターン、または時間遅延のうちの少なくとも1つに対する補正を規定する、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
最適化された集束ゾーンを前記標的領域に発生させるように、前記パラメータ値の対応する補正値に従って、前記トランスデューサ要素をアクティブ化するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記標的領域は、複数の部分を備え、前記発生された最適化された集束ゾーンは、前記標的領域の第1の部分にあり、前記方法はさらに、物理的モデルを使用して、(i)前記標的領域の前記第1の部分と異なる第2の部分または非標的領域におけるリアルタイム温度、(ii)前記集束ゾーンにおけるリアルタイム温度、(iii)集束スポット形状、または(iv)治療成功のうちの少なくとも1つを予測するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかをアクティブ化し、(i)超音波を前記標的領域に透過させ、(ii)前記標的領域からの前記超音波の反射を測定するステップと、
前記測定値に基づいて、前記トランスデューサ要素のそれぞれを測定トランスデューサ要素または非測定トランスデューサ要素として分類するステップと、
少なくとも部分的に、前記測定トランスデューサ要素によって提供される測定値に基づいて、前記機械学習モデルを更新するステップと
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記更新された機械学習モデルに、前記非測定トランスデューサ要素と前記標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量を提供するステップと、
前記非測定トランスデューサ要素毎に、少なくとも1つの更新されたパラメータ値を受信し、予期されるビーム収差を補償するステップと
をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
対応する更新されたパラメータ値に従って、前記非測定トランスデューサ要素をアクティブ化するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかをアクティブ化し、(i)超音波を前記標的領域に透過させ、(ii)前記標的領域からの前記超音波の反射を測定するステップと、
少なくとも部分的に、前記測定値に基づいて、前記機械学習モデルを更新するステップと
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項31】
前記更新された機械学習モデルに、前記トランスデューサ要素と、前記標的領域と異なる二次標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量を提供するステップと、
前記トランスデューサ要素毎に、少なくとも1つの更新されたパラメータ値を受信し、予期されるビーム収差を補償するステップと
をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
最適化された集束ゾーンを前記二次標的領域に発生させるように、対応する更新されたパラメータ値に従って、前記トランスデューサ要素をアクティブ化するステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
それぞれが(i)複数の前記トランスデューサ要素間の超音波パラメータの差および/または比と、(ii)前記複数のトランスデューサ要素と標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量とを備える入力ベクトルを用いて、出力として、超音波パラメータの補正値を発生させ、前記介在組織を通して予期されるビーム収差を補償するように訓練されている機械学習モデルを使用して、複数のトランスデューサ要素を備える超音波トランスデューサによって、介在組織を通して、超音波エネルギーを送達する方法であって、前記訓練するステップは、前記機械学習モデルに、前記入力ベクトルの値と対応する補正値との間の関係を学習させるステップを含み、前記方法は、
前記機械学習モデルに、それぞれがアクティブ化されるべき複数のトランスデューサ要素と患者の標的領域との間に介在する前記患者の組織を特性評価する数量を備える複数の入力ベクトルを提供するステップと、
最適化された集束ゾーンを前記標的領域に発生させるように、前記提供される入力ベクトルに基づいて、前記機械学習モデルによって発生された補正値に従って、前記トランスデューサ要素をアクティブ化し、超音波エネルギーを送達することによって、前記患者を治療するステップと
を含む、方法。
【請求項34】
前記機械学習モデルは、ニューラルネットワークである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ニューラルネットワークは、それぞれが一対の前記トランスデューサ要素と関連付けられるパラメータを備える入力ベクトル上で訓練される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記超音波パラメータの差および/または比は、自動集束治療測定値またはエクスビボまたは模型頭蓋骨上での測定値を使用して入手される、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記数量は、組織密度および厚さを備える、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記入力ベクトルはさらに、前記トランスデューサ要素のそれぞれと関連付けられる少なくとも1つの幾何学的パラメータを備え、前記機械学習モデルはさらに、少なくとも部分的に、前記幾何学的パラメータに基づいて、前記超音波パラメータの補正値を発生させるように訓練される、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記幾何学的パラメータは、前記トランスデューサ要素のそれぞれと前記標的領域との間の頭蓋骨の表面に対する角度である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記補正値は、振幅、位相、周波数、デューティサイクル、超音波振動パターン、または時間遅延のうちの少なくとも1つに対する補正を規定する、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記標的領域は、複数の部分を備え、前記発生された最適化された集束ゾーンは、前記標的領域の第1の部分にあり、前記方法はさらに、物理的モデルを使用して、(i)前記標的領域の前記第1の部分と異なる第2の部分、または非標的領域におけるリアルタイム温度、(ii)前記集束ゾーンにおけるリアルタイム温度、(iii)集束スポット形状、または(iv)治療成功のうちの少なくとも1つを予測するステップを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかをアクティブ化し、(i)超音波を前記標的領域に透過させ、(ii)前記標的領域からの前記超音波の反射を測定するステップと、
前記測定値に基づいて、前記トランスデューサ要素のそれぞれを測定トランスデューサ要素または非測定トランスデューサ要素として分類するステップと、
少なくとも部分的に、前記測定トランスデューサ要素によって提供される測定値に基づいて、前記機械学習モデルを更新するステップと
をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記更新された機械学習モデルに、前記非測定トランスデューサ要素と前記標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量を提供するステップと、
前記非測定トランスデューサ要素毎に、少なくとも1つの更新されたパラメータ値を受信し、予期されるビーム収差を補償するステップと
をさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
対応する更新されたパラメータ値に従って、前記非測定トランスデューサ要素をアクティブ化するステップをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかをアクティブ化し、(i)超音波を前記標的領域に透過させ、(ii)前記標的領域からの前記超音波の反射を測定するステップと、
少なくとも部分的に、前記測定値に基づいて、前記機械学習モデルを更新するステップと
をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項46】
前記更新された機械学習モデルに、前記トランスデューサ要素と、前記標的領域と異なる二次標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量を提供するステップと、
前記トランスデューサ要素毎に、少なくとも1つの更新されたパラメータ値を受信し、予期されるビーム収差を補償するステップと
をさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
最適化された集束ゾーンを前記二次標的領域に発生させるように、対応する更新されたパラメータ値に従って、前記トランスデューサ要素をアクティブ化するステップをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年3月5日に出願された、米国仮特許出願第62/985,587号の優先権および利益を主張し、参照することによって、その全体として本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、一般に、超音波療法に関し、特に、超音波療法の送達に影響を及ぼす収差を補正するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
良性または悪性腫瘍、器官、または他の身体領域等の組織は、組織を外科的に除去することによって侵襲的に、または、例えば、熱アブレーションを使用することによって最小限の侵襲を伴って、または完全に非侵襲的に治療され得る。両方のアプローチは、ある局所的症状を効果的に治療し得るが、そうでなければ健康な組織を破壊または損傷することを回避するための繊細な手技を伴う。
【0004】
集束超音波を使用して遂行され得るような熱アブレーションは、超音波エネルギーの効果が明確に画定された標的領域に限定され得るため、健康な組織または器官によって囲繞される、またはそれに隣接する罹患組織を治療するために特定の魅力を有する。超音波エネルギーは、比較的に短い波長(例えば、1メガヘルツ(1MHz)において断面が1.5ミリメートル(mm)と同程度に小さい)に起因して、わずか数ミリメートルの断面を有するゾーンに集束され得る。さらに、音響エネルギーが、概して、軟組織を通してよく透過するため、介在生体構造は、多くの場合、所望の集束ゾーンを画定することに障害を課さない。したがって、超音波エネルギーは、周辺の健康な組織への損傷を最小限にしながら、罹患組織をアブレートするために、小さい標的において集束され得る。
【0005】
所望の標的において超音波エネルギーを集束させるために、建設的干渉が集束ゾーンにおいて生じるように、駆動信号が、いくつかのトランスデューサ要素を有する音響トランスデューサに送信され得る。標的において、十分な音響強度が、壊死が生じるまで、すなわち、組織が破壊されるまで、組織を加熱するように送達され得る。好ましくは、それを通して音響エネルギーが集束ゾーンの外側を通過する(「通過ゾーン」)、経路に沿った非標的組織は、低強度音響ビームに暴露され、したがって、全くではないにしても、最小限にのみ加熱され、それによって、集束ゾーンの外側の組織への損傷を最小限にするであろう。
【0006】
超音波外科手術の非侵襲性性質は、特に、脳腫瘍の治療にとって魅力的である。しかしながら、ヒト頭蓋骨の解剖学的構造から生じる治療課題が、超音波療法の臨床実現を限定している。経頭蓋超音波手技に対する障害は、頭蓋骨の形状、密度、および音速における不規則性によって引き起こされる、強減衰および歪曲を含み、これは、超音波集束を破壊し、および/または診断画像情報を空間的に位置合わせする能力を減少させることに寄与する。
【0007】
故に、解決策が、非標的組織によって吸収される超音波エネルギーの効果を調節するために提案されている。米国特許公開第2020/0085409号(その開示全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明される、1つの代表的アプローチでは、患者特有の3D頭蓋骨模型が、生成され、患者を治療するために使用されるものに類似する環境内に据え付けられ、検出器デバイス(例えば、ハイドロフォン)が、標的領域における頭蓋骨模型内で展開され、シミュレートされた治療シーケンスの間、超音波トランスデューサ要素のそれぞれからの音響信号を測定し得る。測定された信号を分析することによって、各トランスデューサ要素と関連付けられる、超音波パラメータ(例えば、振幅および/または位相偏移)に対する補正が、決定され得る。治療の間、超音波トランスデューサ要素は、頭蓋骨によって引き起こされるビーム収差を補償するように、補正された超音波パラメータ従って、アクティブ化され得、これは、それによって、高品質集束を標的領域に発生させ、および/または超音波ビーム成形を改良し得る。集束ゾーンの面積を最小限にすることは、療法用エネルギーへの非標的組織の暴露を回避または最小限にするために、標的領域におけるピーク音響強度を増加させ、また、トランスデューサ要素から透過される超音波ビームが成形されることを可能にする。しかしながら、3D頭蓋骨模型を生成することは、コストおよび時間を伴い、施術者が、患者特有の解剖学的特徴によって引き起こされるビーム収差を補正するための代替技法の追求につながっている。
【0008】
1つのそのような技法は、機械学習を利用する。患者を横断して適用可能な予測器が、多くの具体的患者に関して識別された最適集束構成に基づいて開発され得、これは、訓練セットとして使用される。訓練された予測器は、治療手技のために使用されるトランスデューサ要素の全てに関する振幅、位相、および/または時間遅延に対する最適補正を推定し得る。
【0009】
最適位相および/または振幅設定を予測するための機械学習の使用に対する障害は、共通源を有するが、異なる測定値に関して異なり得る、種々の誤差を説明するために本明細書で使用される、一般的用語である、測定値バイアスである。「誤差」とは、測定値不正確性ではなく、最適参照設定からの偏差を意味する。これらの誤差のうちの1つは、一定バイアス項であり得る。例えば、以下等の方程式を使用して、例えば、回帰を用いて、最適集束構成を予測するための努力が成されると仮定する。
【化1】
式中、
【化2】
は、予測される位相であって、
【化3】
は、特徴のベクトルであって、θ値は、加重であって、予測を取得するために、バイアスθを把握することが不可欠であるが、例えば、上記に説明されるように、頭蓋骨模型を生成することによって達成され得る、水分および組織温度の正確な知識を伴わずに、訓練セット内の特定の測定値に関して、本値を正確に推定することは不可能であり得る。別の可能性として考えられる誤差は、測定値に寄与する異なるトランスデューサ要素もまた、異なる誤差値に寄与するように、標的に対する各トランスデューサ要素の場所から生じ、それに特有である(例えば、空間内の正確なトランスデューサ場所の不正確な知識または非均質水分および頭蓋骨温度または標的場所の不正確な知識に由来する)。他の誤差は、例えば、コンピュータ断層撮影(CT)走査を処理するために使用される画像フィルタに起因して、予測器に提供される入力特徴から生じ得る。入力ベクトルは、典型的には、頭蓋骨特性および/または要素が標的までの途中で通過する媒体の画像である。他の誤差は、異なる超音波周波数で測定されたデータを使用することから生じ得る。
【0010】
任意の機械学習演習におけるように、有効訓練データは、最適集束のための予測器の開発に不可欠である。上記に説明される測定値誤差は、多くの患者、エクスビボ頭蓋骨、および/または頭蓋骨模型からのものであるが、一貫し、かつ学習可能である、多くの異なる測定値から成る、訓練データセットの生成を妨害する。故に、測定値誤差から生じる、予測されるトランスデューサ設定における不正確性を緩和または排除し、機械学習の効果的使用を可能にし、高品質集束を標的領域に提供するための必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、不規則的構造、形状、密度、および/または厚さを有する、組織(ヒト頭蓋骨等)を横断する、超音波ビームを、高品質集束を伴って、標的領域上に集束させるためのシステムおよび方法を提供する。参照の容易性のために、以下の説明は、超音波治療手技のみを参照する。しかしながら、同一アプローチは、概して、超音波撮像手技にも同様に適用されることを理解されたい。加えて、本明細書における説明は、ヒト頭蓋骨を横断する超音波ビームを参照するが、種々の実施形態に関連して説明される、アプローチは、肋骨等の人体の任意の一部から生じるビーム収差を決定するために適用され、それによって、音響ビームを特性評価するパラメータ値(例えば、位相偏移および/または振幅)が収差を補償するように調節されることを可能にしてもよい。
【0012】
本明細書に説明されるアプローチは、有利なこととして、異なる測定値が、測定されたパラメータ、例えば、位相、振幅、および/または時間遅延内に異なる誤差を呈し得るように、共通源を有するが、潜在的に、異なるトランスデューサ要素に異なるように影響を及ぼす、測定値誤差を緩和または排除する。種々の実施形態では、直接、トランスデューサ要素毎に、パラメータを予測する代わりに、予測される値は、要素、例えば、対の要素間の関係である。入力に起因する(例えば、介在組織を特性評価するために使用される、撮像および画像処理のタイプから生じる)、測定値誤差は、予測される値が、同一入力源を有する要素と関連付けられる、値間の関係(例えば、差または比)であるとき、低減され、異なる要素場所から生じる、測定値誤差は、複数(例えば、対)の要素間の距離に関する制約を追加することによって低減される。特に、予測におけるバイアス項は、関係が、選択された要素に関するパラメータ予測間の差または比であるとき、相殺され、例えば、要素対の場合、予測されるものは、(個々の要素毎の実際の値ではなく)各対の両方の要素に関する所望のパラメータの値における関係である。
【0013】
振幅予測の場合、測定値は、乗算係数によってバイアスされ、これは、比が求められるとき、相殺される。位相予測の場合、測定値は、加算係数によってバイアスされる。バイアス項が、主に、異なる均質水分温度と関連付けられると仮定すると、等しい要素-標的距離は、バイアス項が相殺されることを確実にし、それらの距離の差が、平均要素-標的距離よりはるかに小さい場合、項は、無視可能となる。
【化4】
式中、
【化5】
は、要素jによって、温度Tにおいて、頭蓋骨媒体内で測定された位相偏移を示し、
【化6】
は、要素jによって、温度Tにおいて、水媒体内で測定された位相偏移を示し、
【化7】
は、
【化8】
として定義される、要素-標的距離である、Δdから生じる、温度Tにおける、水媒体内の位相偏移を示す。例えば、代表的療法システムでは、トランスデューサ要素とその自然集束距離との間の距離は、150mmであって、典型的脳標的化は、自然集束から数mmにある(したがって、Δdは、最大で、2倍となるであろう)。15°~25°の温度範囲は、水分中の約2.5%超音波速度における変動に匹敵する。したがって、本温度変化によって引き起こされる誤差は、150mmの2.5%(650-kHzトランスデューサに関して約1.6λ)から数mmの2.5%(<0.1λ)まで低減されるであろう。
【0014】
位相偏移に関して、予測される差は、建設的干渉を集束点にもたらし得る、要素の位相偏移間の差を表す。全ての差は、同一集束点を参照する。対の要素が、集合体としてではなく、独立して検討される場合、集束は、システム全体に関して取得されないであろう。これは、推測段階における冗長性の強制含有(すなわち、同一要素が複数の対において現れるはずである)に部分的に起因して、各トランスデューサ要素に対する正確な補正を生産する、全ての差の組み合わせとなる。これらの冗長性は、最適化問題として分析され得る、方程式の優決定系を生産する。トランスデューサ内の全ての要素に影響を及ぼす、一定バイアスは、集束品質にも、集束場所にも影響を及ぼさない。したがって、選択された要素は、参照位相を割り当てられ、従来の最適化アルゴリズムが、次いで、要素毎に位相補正を規定する、テーブルに位相差を組み合わせるために使用され得る。測定値場所または非均質温度に起因するバイアスは、小オフセットを集束場所に生産し得、これらは、臨床上有意ではない場合、補正または無視され得る。本明細書で使用されるように、「臨床上有意ではない」は、一時的であるかまたは恒久的であるかにかかわらず、例えば、そこでの損傷の発症または他の臨床上有害な効果に先立って、臨床医によって有意ではないと見なされる、望ましくない影響(時として、所望の影響の欠如)を組織に及ぼすことを意味する。
【0015】
一実施形態は、CT画像(または任意の他の頭蓋骨撮像技法)から得られた2セットの頭蓋骨特性に対応する特徴(例えば、厚さ、密度、角度)を使用し、各セットは、異なるトランスデューサ要素と関連付けられ、結果として、単一要素位相偏移予測のために、k長ベクトルを入力として有する代わりに、2k長ベクトルが、利用される。別のオプションは、例えば、第4の次元において組み合わせられた頭蓋骨媒体/要素の2セットのCTパッチを使用するものである。さらに別のオプションは、Siameseネットワークを使用するものであって、その各構成要素が、単一要素に対応する入力を受信し、その全体的出力は、構成要素出力の比較に基づく。他の実施形態は、要素対毎に、要素のCTパッチの差に対応する、単一パッチを利用する。2つを上回る要素から成る群を利用することが可能であって、その場合、特徴は、各要素に対する頭蓋骨特性の組み合わせとなるであろう。
【0016】
予測器の出力、すなわち、振幅および/または位相等の超音波パラメータに対する要素特有の調節(または補正)が、パラメータ値と最適集束を標的に発生させるための関連付けられるトランスデューサ要素を関連させる、テーブル等のデータ構造内に記憶されてもよい。本明細書で使用されるように、用語「最適」は、概して、従来技術のアプローチを使用して取得されるものを上回る(例えば、10%を上回る、20%を上回る、または30%を上回る)実質的改良を伴うが、必ずしも、最良の理論的に可能性として考えられる集束性質が達成されることを意味するわけではない。
【0017】
故に、本発明の種々の実施形態は、有利なこととして、トランスデューサ要素と関連付けられる、最適設定(例えば、位相および/または振幅)をより正確に予測し、標的組織への音響エネルギー印加に及ぼされる介在組織の影響(例えば、集束ずれ、音響結合の不整合等)を考慮するように、種々の測定値誤差を緩和または排除する。一実施形態では、予測に従って行われるトランスデューサ調節は、超音波手技の間、治療効率性を確実にするように、治療の間、動的に更新される。
【0018】
故に、一側面では、本発明は、療法または診断手技の間、超音波エネルギーを標的領域に送達するためのシステムに関する。種々の実施形態では、本システムは、複数のトランスデューサ要素を有する、超音波トランスデューサであって、そのうちの少なくともいくつかが、療法または診断手技の間、アクティブとして指定される、超音波トランスデューサと、複数のトランスデューサ要素間のパラメータ値の差および/または比に対応する、入力ベクトル上で訓練されている、機械学習モデルを含む、調節機構とを含む。調節機構は、(i)アクティブトランスデューサ要素と標的領域との間に介在する組織を特性評価する、数量(例えば、組織密度および/または厚さ)を受信し、(ii)それに基づいて、アクティブトランスデューサ要素毎に、1つまたはそれを上回るパラメータ値を発生させ、予期されるビーム収差を補償するように構成される。コントローラは、療法または診断手技の間、最適化された集束ゾーンを標的領域に発生させるように、対応するパラメータ値に従って、アクティブトランスデューサ要素をアクティブ化するように構成される。1つの実装では、発生されたパラメータ値は、振幅、位相、周波数、デューティサイクル、超音波振動パターン、および/または時間遅延に対する補正を規定する。
【0019】
機械学習モデルは、ニューラルネットワークであってもよい。加えて、ニューラルネットワークは、それぞれ、一対のトランスデューサ要素と関連付けられる、パラメータを有する、入力ベクトル上で訓練されてもよい。一実施形態では、調節機構は、機械学習アルゴリズムによって発生された調節値のルックアップテーブルを含む。機械学習アルゴリズムはそれぞれ、2つを上回るトランスデューサ要素と関連付けられる、パラメータを有する、入力ベクトル上で訓練される、ニューラルネットワークである。いくつかの実施形態では、調節機構はさらに、少なくとも部分的に、関連付けられるトランスデューサ要素と関連付けられる、1つまたはそれを上回る幾何学的パラメータに基づいて、パラメータ値を発生させるように構成される。幾何学的パラメータは、例えば、関連付けられるトランスデューサ要素と標的領域との間の頭蓋骨の表面に対する角度であってもよい。いくつかの実施形態では、超音波パラメータの差および/または比値は、自動集束治療測定値またはエクスビボまたは模型頭蓋骨上での測定値を使用して入手される。
【0020】
いくつかの実施形態では、標的領域は、複数の部分を含み、発生された最適化された集束ゾーンは、標的領域の第1の部分にあって、コントローラはさらに、物理的モデルを使用して、(i)標的領域の、第1の部分と異なる、第2の部分、または非標的領域におけるリアルタイム温度、(ii)集束ゾーンにおける、リアルタイム温度、(iii)集束スポット形状、および/または(iv)治療成功を予測するように構成される。加えて、コントローラはさらに、アクティブトランスデューサ要素に、(i)超音波を標的領域に透過させ、(ii)標的領域からの超音波の反射を測定させ、測定値に基づいて、アクティブトランスデューサ要素のそれぞれを測定トランスデューサ要素または非測定トランスデューサ要素として分類し、少なくとも部分的に、測定トランスデューサ要素によって提供される測定値に基づいて、調節機構を更新するように構成されてもよい。
【0021】
一実施形態では、更新された調節機構は、(i)非測定トランスデューサ要素と標的領域との間に介在する組織を特性評価する、数量を受信し、(ii)それに基づいて、非測定トランスデューサ要素毎に、1つまたはそれを上回る更新されたパラメータ値を発生させ、予期されるビーム収差を補償するように構成される。コントローラは、次いで、さらに、対応する更新されたパラメータ値に従って、非測定トランスデューサ要素をアクティブ化するように構成される。
【0022】
種々の実施形態では、コントローラはさらに、アクティブトランスデューサ要素に、(i)超音波を標的領域に透過させ、(ii)標的領域からの超音波の反射を測定させ、少なくとも部分的に、測定値に基づいて、調節機構を更新するように構成される。更新された調節機構は、(i)アクティブトランスデューサ要素と、標的領域と異なる、二次標的領域との間に介在する組織を特性評価する、数量を受信し、(ii)それに基づいて、アクティブトランスデューサ要素毎に、1つまたはそれを上回る更新されたパラメータ値を発生させ、予期されるビーム収差を補償するように構成されてもよい。コントローラは、次いで、さらに、最適化された集束ゾーンを二次標的領域に発生させるように、対応する更新されたパラメータ値に従って、アクティブトランスデューサ要素をアクティブ化するように構成される。
【0023】
別の側面では、本発明は、複数のトランスデューサ要素を含む、超音波トランスデューサによる、介在組織を通した超音波エネルギーの送達のための補正値を発生させる方法に関し、補正値は、ビーム収差を補正する。種々の実施形態では、本方法は、それぞれ、(i)複数のトランスデューサ要素間の超音波パラメータの差および/または比と、(ii)複数のトランスデューサ要素と標的領域との間に介在する組織を特性評価する、数量(例えば、組織密度および/または厚さ)とを含む、受信された入力ベクトルに基づいて、出力として、超音波パラメータの補正値を発生させ、介在組織を通して予期されるビーム収差を補償するように機械学習モデルを訓練するステップを含む。訓練するステップは、機械学習モデルに、入力ベクトルの値と対応する補正値との間の関係を学習させるステップを含んでもよい。それぞれ、アクティブ化されるべき複数のトランスデューサ要素と患者の標的領域との間に介在する患者の組織を特性評価する、数量を有する、複数の入力ベクトルが、機械学習モデルに提供される。超音波パラメータの補正値が、提供される入力ベクトルに基づく機械学習モデルの出力として受信される。本方法はさらに、最適化された集束ゾーンを標的領域に発生させるように、パラメータ値の対応する補正値に従って、トランスデューサ要素をアクティブ化するステップを含んでもよい。1つの実装では、補正値は、振幅、位相、周波数、デューティサイクル、超音波振動パターン、および/または時間遅延に対する補正を規定する。
【0024】
機械学習モデルは、ニューラルネットワークであってもよい。加えて、ニューラルネットワークは、それぞれ、一対のトランスデューサ要素と関連付けられる、パラメータを有する、入力ベクトル上で訓練されてもよい。いくつかの実施形態では、超音波パラメータの差および/または比は、自動集束治療測定値またはエクスビボまたは模型頭蓋骨上での測定値を使用して入手される。種々の実施形態では、入力ベクトルはさらに、トランスデューサ要素のそれぞれと関連付けられる、1つまたはそれを上回る幾何学的パラメータを含み、機械学習モデルはさらに、少なくとも部分的に、幾何学的パラメータに基づいて、超音波パラメータの補正値を発生させるように訓練される。幾何学的パラメータは、例えば、トランスデューサ要素のそれぞれと標的領域との間の頭蓋骨の表面に対する角度を含んでもよい。
【0025】
種々の実施形態では、標的領域は、複数の部分を含み、発生された最適化された集束ゾーンは、標的領域の第1の部分にある。本方法はさらに、物理的モデルを使用して、(i)標的領域の、第1の部分と異なる、第2の部分、または非標的領域におけるリアルタイム温度、(ii)集束ゾーンにおける、リアルタイム温度、(iii)集束スポット形状、および/または(iv)治療成功を予測するステップを含む。加えて、本方法はさらに、トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかをアクティブ化し、(i)超音波を標的領域に透過させ、(ii)標的領域からの超音波の反射を測定するステップと、測定値に基づいて、トランスデューサ要素のそれぞれを測定トランスデューサ要素または非測定トランスデューサ要素として分類するステップと、少なくとも部分的に、測定トランスデューサ要素によって提供される測定値に基づいて、機械学習モデルを更新するステップとを含んでもよい。一実施形態では、本方法はさらに、更新された機械学習モデルに、非測定トランスデューサ要素と標的領域との間に介在する組織を特性評価する、数量を提供するステップと、非測定トランスデューサ要素毎に、1つまたはそれを上回る更新されたパラメータ値を受信し、予期されるビーム収差を補償するステップとを含む。加えて、本方法はさらに、対応する更新されたパラメータ値に従って、非測定トランスデューサ要素をアクティブ化するステップを含んでもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかをアクティブ化し、(i)超音波を標的領域に透過させ、(ii)標的領域からの超音波の反射を測定するステップと、少なくとも部分的に、測定値に基づいて、機械学習モデルを更新するステップとを含む。加えて、本方法はさらに、更新された機械学習モデルに、トランスデューサ要素と、標的領域と異なる、二次標的領域との間に介在する組織を特性評価する、数量を提供するステップと、トランスデューサ要素毎に、少なくとも1つの更新されたパラメータ値を受信し、予期されるビーム収差を補償するステップとを含んでもよい。一実施形態では、本方法はさらに、最適化された集束ゾーンを二次標的領域に発生させるように、対応する更新されたパラメータ値に従って、トランスデューサ要素をアクティブ化するステップを含む。
【0027】
本発明の別の側面は、それぞれ、(i)複数のトランスデューサ要素間の超音波パラメータの差および/または比と、(ii)トランスデューサ要素と標的領域との間に介在する組織を特性評価する、数量(例えば、組織密度および/または厚さ)とを有する、入力ベクトルを用いて、出力として、超音波パラメータの補正値を発生させ、介在組織を通して予期されるビーム収差を補償するように訓練されている、機械学習モデルを使用して、複数のトランスデューサ要素を有する、超音波トランスデューサによって、介在組織を通して、超音波エネルギーを送達する方法に関し、訓練するステップは、機械学習モデルに、入力ベクトルの値と対応する補正値との間の関係を学習させるステップを含む。種々の実施形態では、本方法は、機械学習モデルに、それぞれ、アクティブ化されるべき複数のトランスデューサ要素と患者の標的領域との間に介在する患者の組織を特性評価する、数量を有する、複数の入力ベクトルを提供するステップと、最適化された集束ゾーンを標的領域に発生させるように、トランスデューサ要素をアクティブ化し、提供される入力ベクトルに基づいて機械学習モデルによって発生された補正値に従って、超音波エネルギーを送達することによって、患者を治療するステップとを含む。1つの実装では、補正値は、振幅、位相、周波数、デューティサイクル、超音波振動パターン、および/または時間遅延に対する補正を規定する。
【0028】
機械学習モデルは、ニューラルネットワークであってもよい。加えて、ニューラルネットワークは、それぞれ、一対のトランスデューサ要素と関連付けられる、パラメータを有する、入力ベクトル上で訓練されてもよい。いくつかの実施形態では、入力ベクトルはさらに、トランスデューサ要素のそれぞれと関連付けられる、1つまたはそれを上回る幾何学的パラメータを備え、機械学習モデルはさらに、少なくとも部分的に、幾何学的パラメータに基づいて、超音波パラメータの補正値を発生させるように訓練される。幾何学的パラメータは、例えば、トランスデューサ要素のそれぞれと標的領域との間の頭蓋骨の表面に対する角度であってもよい。一実施形態では、超音波パラメータの差および/または比は、自動集束治療測定値またはエクスビボまたは模型頭蓋骨上での測定値を使用して入手される。
【0029】
種々の実施形態では、標的領域は、複数の部分を含み、発生された最適化された集束ゾーンは、標的領域の第1の部分にある。本方法はさらに、物理的モデルを使用して、(i)標的領域の、第1の部分と異なる、第2の部分、または非標的領域におけるリアルタイム温度、(ii)集束ゾーンにおける、リアルタイム温度、(iii)集束スポット形状、および/または(iv)治療成功を予測するステップを含む。加えて、本方法はさらに、トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかをアクティブ化し、(i)超音波を標的領域に透過させ、(ii)標的領域からの超音波の反射を測定するステップと、測定値に基づいて、トランスデューサ要素のそれぞれを測定トランスデューサ要素または非測定トランスデューサ要素として分類するステップと、少なくとも部分的に、測定トランスデューサ要素によって提供される測定値に基づいて、機械学習モデルを更新するステップとを含んでもよい。一実施形態では、本方法はさらに、更新された機械学習モデルに、非測定トランスデューサ要素と標的領域との間に介在する組織を特性評価する、数量を提供するステップと、非測定トランスデューサ要素毎に、1つまたはそれを上回る更新されたパラメータ値を受信し、予期されるビーム収差を補償するステップとを含む。本方法はさらに、対応する更新されたパラメータ値に従って、非測定トランスデューサ要素をアクティブ化するステップを含んでもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかをアクティブ化し、(i)超音波を標的領域に透過させ、(ii)標的領域からの超音波の反射を測定するステップと、少なくとも部分的に、測定値に基づいて、機械学習モデルを更新するステップとを含む。加えて、本方法はさらに、更新された機械学習モデルに、トランスデューサ要素と、標的領域と異なる、二次標的領域との間に介在する組織を特性評価する、数量を提供するステップと、トランスデューサ要素毎に、1つまたはそれを上回る更新されたパラメータ値を受信し、予期されるビーム収差を補償するステップとを含んでもよい。さらに、本方法は、最適化された集束ゾーンを二次標的領域に発生させるように、対応する更新されたパラメータ値に従って、トランスデューサ要素をアクティブ化するステップを含んでもよい。
【0031】
本明細書で使用されるように、用語「実質的に」は、±10%、いくつかの実施形態では、±5%を意味する。本明細書の全体を通した「一実施例」、「ある実施例」、「一実施形態」、または「ある実施形態」の言及は、実施例に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本技術の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体を通した種々の場所における語句「一実施例では」、「ある実施例では」、「一実施形態」、または「ある実施形態」の発生は、必ずしも全て同一の実施例を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、ルーチン、ステップ、または特性は、本技術の1つまたはそれを上回る実施例において任意の好適な様式で組み合わせられてもよい。本明細書で提供される見出しは、便宜上にすぎず、請求される技術の範囲または意味を限定または解釈することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図面では、同様の参照文字は、概して、異なる図全体を通して同一部品を指す。また、図面は、必ずしも、正確な縮尺でではなく、強調が、代わりに、概して、本発明の原理を図示することに応じて置かれる。以下の説明では、本発明の種々の実施形態が、以下の図面を参照して説明される。
【0033】
図1図1は、本発明の種々の実施形態による、例示的超音波システムを図式的に描写する。
【0034】
図2図2は、ヒト頭蓋骨の組織層を図式的に図示する。
【0035】
図3図3は、本発明の種々の実施形態による、予測モジュールと、予測モジュールが訓練および使用される様式とを図式的に描写する。
【0036】
図4図4は、本発明の種々の実施形態による、頭蓋骨の撮像されるパッチを図式的に描写する。
【0037】
図5図5は、本発明の種々の実施形態による、予測モデルを訓練するためのSiameseネットワークを図式的に描写する。
【0038】
図6A図6Aは、本発明の種々の実施形態による、予測モデルを訓練し、トランスデューサ要素と関連付けられる超音波パラメータ値に対する補正を発生させるための例示的アプローチを図示する、フローチャートである。
【0039】
図6B図6Bは、本発明の種々の実施形態による、療法または診断手技の間、超音波エネルギーを標的領域に送達するための例示的アプローチを図示する、フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
説明
図1は、超音波を頭蓋骨を通して標的領域101上に集束させるための例示的超音波システム100を図示する。しかしながら、当業者は、本明細書に説明される超音波システム100が、人体の任意の一部に適用されてもよいことを理解するであろう。種々の実施形態では、システム100は、トランスデューサ要素104の位相アレイ102と、位相アレイ102を駆動する、ビーム形成器106と、ビーム形成器106と通信する、コントローラ108と、入力電子信号をビーム形成器106に提供する、周波数発生器110とを含む。
【0041】
アレイ102はそれを頭蓋骨または頭蓋骨以外の身体部分の表面上またはその近傍に(例えば、水分充填パッドによって、そこから分離されて)設置するために好適である、湾曲(例えば、球状または放物線)形状を有してもよい、または1つまたはそれを上回る平面または別様に成形された区分を含んでもよい。その寸法は、用途に応じて、ミリメートル~数十センチメートルで変動してもよい。アレイ102のトランスデューサ要素104は、圧電セラミック要素であってもよく、シリコーンゴムまたは要素104間の機械的結合を減衰させるために好適な任意の他の材料内に搭載されてもよい。圧電複合材料、または電気エネルギーを音響エネルギーに変換することが可能な概して任意の材料もまた、使用されてもよい。トランスデューサ要素104への最大電力輸送を保証するために、要素104は、50Ωにおける電気共鳴のために構成され、入力コネクタインピーダンスに合致させてもよい。
【0042】
トランスデューサアレイ102は、ビーム形成器106に結合され、これは、個々のトランスデューサ要素104を、それらが、集合的に、集束超音波ビームまたはフィールドを生産するように駆動する。n個のトランスデューサ要素に関して、ビーム形成器106は、n個のドライバ回路を含有してもよく、各回路は、増幅器118と、位相遅延回路120とを含み、またはそれらから成り、駆動回路は、トランスデューサ要素104のうちの1つを駆動する。ビーム形成器106は、典型的には、0.1MHz~10MHzの範囲内の無線周波数(RF)入力信号を、周波数発生器110から受信し、これは、例えば、Stanford Research Systemから利用可能モデルDS345発生器であってもよい。入力信号は、ビーム形成器106のn個の増幅器118および遅延回路120のために、n個のチャネルに分裂されてもよい。いくつかの実施形態では、周波数発生器110は、ビーム形成器106と統合される。無線周波数発生器110およびビーム形成器106は、トランスデューサ要素104が、集合的に、「位相アレイ」を形成するように、同一周波数であるが、異なる位相および/または異なる振幅において、トランスデューサアレイ102の個々のトランスデューサ要素104を駆動するように構成される。
【0043】
トランスデューサ要素104から透過される音響波/パルスは、音響エネルギービームを形成する。典型的には、トランスデューサ要素は、波/パルスが標的化された組織101内の集束ゾーンに収束するように駆動される。集束ゾーン内では、ビームの波エネルギーは、(少なくとも部分的に)組織によって吸収され、それによって、療法および/または診断目的のために、熱を発生させ、組織の温度を上昇させる。例えば、組織は、細胞が変性および/またはアブレートされる点まで、加熱されてもよい。加えて、または代替として、ビームまたはその中の変化は、キャビテーションを生成し、組織内の泡と相互作用し(機械的効果または音響放出を引き起こす)、および/または神経学的活性を刺激または阻止してもよい。標的組織を効果的に治療するために、音響エネルギービームは、標的領域を囲繞する健康な組織への損傷を回避するために、標的場所101に精密に集束されなければならない。図2を参照すると、典型的ヒト頭蓋骨200は、非均質であって、外部層202、骨髄層204、および内部層または皮質206を含む、複数の組織層を有し、頭蓋骨202の各層は、形状、厚さ、および密度において高度に不規則的であって、患者に一意であり得る。結果として、システム100から放出される超音波/パルスが、頭蓋骨200に遭遇すると、ビーム散乱、吸収、反射、および/または屈折が、組織不均質性に起因して、生じ得、これは、ビーム収差をもたらし得、これは、集束を歪曲させ、強度を低減させ、したがって、治療効率性に影響を及ぼし得る。故に、音響収差を補償し、それによって、標的領域101における集束性質を改良するように、トランスデューサ要素と関連付けられる、駆動信号のパラメータ(例えば、位相偏移a-aおよび/または増幅または減衰係数α-α)を調節することが所望される。
【0044】
概して、増幅係数および位相偏移は、コントローラ108を使用して算出されてもよく、これは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、結線接続、またはそれらの任意の組み合わせを通して、算出機能を提供してもよい。例えば、コントローラ108は、ソフトウェアを用いて、従来の様式において、過度の実験を伴わずにプログラムされ、トランスデューサ要素104のパラメータのベースラインセット(例えば、周波数、位相偏移、および/または増幅係数)を決定する、汎用または特殊目的デジタルデータプロセッサを利用してもよい。コントローラ108は、頭蓋骨の特性(例えば、構造、厚さ、密度等)および音響エネルギーの伝搬に及ぼすその影響についての情報に基づいて、パラメータを決定してもよい。再び図1を参照すると、一実施形態では、そのような情報は、撮像機112から取得され、これは、磁気共鳴(MR)撮像デバイス、コンピュータ断層撮影(CT)デバイス、陽電子放出断層撮影(PET)デバイス、単一光子放射断層撮影(SPECT)デバイス、または超音波検査デバイスであってもよい。画像入手は、3次元(3D)であってもよい、または代替として、撮像機112は、標的領域101および/または他の領域(例えば、標的101を囲繞する、領域、トランスデューサと標的との間に位置する、通過ゾーン内の領域、または別の標的領域)の3次元画像を再構成するために好適な2次元(2D)画像のセットを提供してもよい。画像操作機能性は、撮像機112内、コントローラ108内、または別個のデバイス内に実装されてもよい。増幅係数および位相偏移は、コントローラ108を使用して算出されてもよく、これは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、結線接続、またはそれらの任意の組み合わせを通して、関連算出機能を提供してもよい。例えば、コントローラ108は、ソフトウェアを用いて、従来の様式において、過度の実験を伴わずにプログラムされ、トランスデューサ要素104の周波数、位相偏移、および/または増幅係数を決定する、汎用または特殊目的デジタルデータプロセッサを利用してもよい。ある実施形態では、コントローラ算出は、トランスデューサ102と標的101との間(例えば、通過ゾーン)に位置する介在組織特性(例えば、構造、厚さ、密度等)および音響エネルギーの伝搬に及ぼすその影響についての情報に基づく。
【0045】
いくつかの実施形態では、超音波治療は、音響反射体(例えば、マイクロバブル)を伴う。例えば、マイクロバブルは、自動集束のために、音響エネルギーによって発生され、および/または全身性注入によって導入されてもよい。全て(または少なくともいくつか)のトランスデューサ要素104から透過される超音波は、反射体によって反射され、反射信号は、音響信号センサおよび/またはトランスデューサ要素104によって検出され得る。測定された信号は、次いで、コントローラ108に提供され、反射と関連付けられる、振幅および/または位相等の情報を取得し得、これらは、トランスデューサ要素104から透過される超音波と関連付けられる、振幅および/または位相と比較されてもよい。その間の偏差に基づいて、トランスデューサ要素104の駆動信号は、偏差を補償し、それによって、集束性質を改良するように調節されてもよい。いくつかの実施形態では、本自動集束手順は、最適集束性質が達成されるまで、反復的に実施される。超音波ビームを標的領域に自動集束するためのアプローチは、例えば、PCT公開第WO2018/020315号および第WO2020/128615号に提供され、マイクロバブルを発生させ、および/またはマイクロバブルを標的領域101に導入するためのアプローチは、例えば、PCT公開第WO2018/020315号、第WO2019/116107号、第WO2019/058171号、第WO2019/116097号、第WO2019/002947号、および第WO2019/116095号、および米国特許公開第2019/0083065号および第2019/0178851に提供される。前述の出願の内容全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0046】
種々の実施形態では、図1および2を参照すると、調節機構126は、撮像機112によって生成された画像内で識別された解剖学的特徴を周波数、振幅、および/または位相等の1つまたはそれを上回る超音波パラメータに対する補正に関連させる、自動集束補正データベース160を含んでもよい。特徴は、層202、204、206、および他の介在組織層(CTまたはMR画像の自動化された分析から推定される)の厚さおよび/または密度、および患者の頭蓋骨の表面208に対するトランスデューサ要素のビーム出力の角度(トランスデューサ要素から所望の集束場所まで延在する、ビームを伴う)の測定値を含んでもよい。ビーム-頭蓋骨角度を決定するためのアプローチは、例えば、米国特許第8,617,073号および第10,456,603号(その全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に提供される。
【0047】
これらの特徴は、調節機構126によって、訓練された予測器に基づいて、ベースライン超音波パラメータを改変するために利用される。実践では、調節機構126は、直接、例えば、下記に説明されるように動作可能な回帰モジュールとして、予測器を実装してもよく、特徴値に基づいて、回帰モジュールは、その以前の訓練に基づいて、1つまたはそれを上回るトランスデューサ要素と関連付けられる、1つまたはそれを上回る超音波パラメータに対する適切な調節を算出する。他の実装では、特徴と対応する超音波パラメータとの間の関係が、データベースとして、各トランスデューサ要素に特有のエントリとともに記憶されてもよい。これらのエントリは、訓練された予測器に、ある範囲の入力、特に、患者を横断して遭遇される可能性が高いシナリオを網羅するために十分な範囲と、入力特徴値のうちの1つまたはそれを上回るものが記憶される値間にある、データベースエントリ間の補間を促進するために十分な数とを提供することによって、取得される。適切な補正は、特徴値に基づいて、ルックアップ(および、必要に応じて、補間)によって取得され、そのうちの少なくともいくつかは、トランスデューサ要素104に特有である(標的101および/または頭蓋骨200に対するその個々の幾何学的関係に基づく)。より一般的には、超音波振動信号は、平滑化窓(例えば、Hamming窓)によってラップされ、信号品質を改良し得ることに留意されたい。
【0048】
より具体的には、予測器は、自動集束手順が始動されるとき、初期集束補正を提供するために使用され、および/または欠測測定値または正しくないことが既知の測定値を伴う要素のために、および/または異なる場所を標的化するために使用されてもよい。後者の2つの場合では、予測器は、治療の間、現在の治療測定値を使用して、調節されることができる。例えば、PCT公開第WO2019/234495号(その開示全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されるように、自動集束手順の間、音響反射体から反射された超音波信号が、最初に、分析され、その品質(例えば、信号対雑音比、SNR)を決定してもよい。決定された品質に基づいて、反射信号は、(i)自動集束のための超音波パラメータ値に対する補正を入手するためにさらに分析され得る、十分な品質の信号、または(ii)自動集束のために利用されないであろう、不十分な品質信号(または正しくない信号または欠測信号)として分類される。十分な品質信号を受信する、トランスデューサ要素は、測定要素として分類される一方、不十分な品質の信号を受信する、トランスデューサ要素は、非測定要素として分類される。測定要素を使用して入手された超音波パラメータ値に対する補正は、予測器を調節するために利用されることができる。標的領域と非測定要素との間に介在する組織と関連付けられる、特性(例えば、厚さ、密度、およびビーム-頭蓋骨角度)に基づいて、調節された予測器は、非測定要素と関連付けられるパラメータ値に対する補正を発生させ、最適集束を標的に生成することができる。測定および非測定要素と関連付けられる、決定された補正値は、その個別のトランスデューサ要素とともに、データベース160内に記憶されることができる。加えて、データベースは、合成データ発生、すなわち、自動集束または他の診断または治療目的のために使用され得る、予測器を訓練するためのデータを発生させるための基礎として使用されることができる。
【0049】
いくつかの状況では、標的領域は、1つの治療セッション(例えば、1つの集束ゾーン)において完全に治療されることができない、大体積に跨架し得、および/または離散場所を有する、複数の標的領域が存在し得る。したがって、第1の部分と異なる、標的領域の第2の部分、および/または第1の標的領域と異なる、第2の標的領域を治療することが必要であり得る。1つの実装では、コントローラは、随意に、自動集束手順において、および/または第1の標的領域(または標的領域の第1の部分)の治療の間に入手された超音波パラメータ値に対する補正を使用して、予測器を調節する。第2の標的領域(または標的領域の第2の部分)とトランスデューサ要素との間に位置する、介在組織と関連付けられる、特性(例えば、厚さ、密度、およびビーム-頭蓋骨角度)に基づいて、調節された予測器は、第2の標的領域(または標的領域の第2の部分)を治療するためのトランスデューサ要素と関連付けられる、パラメータ値に対する補正を発生させてもよい。
【0050】
図3は、予測モジュール300(コントローラ108、別個の外部コントローラ、または他の算出エンティティまたは複数のエンティティ内に実装される)と、それが訓練および使用される様式とを図示する。予測モジュールは、予測タスク、例えば、線形または非線形回帰またはベイズ予測のために好適な任意の学習アルゴリズム(または複数のアルゴリズム)に基づいてもよい、またはニューラルネットワークを備えてもよい。高度に相互接続された脳状方式において編成されることで、ニューラルネットワークは、広範囲の複雑な入力において、パターンを分析および認識することができる。学習アルゴリズムは、教師ありまたは教師なし学習を伴ってもよい。
【0051】
図3は、その中で学習アルゴリズムが標識された訓練データ310を受信する、教師あり学習シナリオを示す。訓練データの各アイテムは、特徴値および関連付けられる標識のベクトル、すなわち、正しい(または容認可能)パラメータ調節値を含む。予測器300は、訓練データ310を取り込み、そのアーキテクチャに基づいて、モデル315、すなわち、単純線形回帰の場合、一連の係数または「加重」、またはニューラルネットワークの場合、加重のより複雑な相互接続されたアーキテクチャを生産する。訓練は、予測器300を通した訓練データ310の複数回の通過を伴ってもよく、いったん完全に訓練されると、モデル315は、標識された試験データ320で試験される。訓練データ310のように、試験データ320の各アイテムも、値および標識のベクトルを含む。試験データのアイテムに基づいて、訓練されたモデル315によって行われる予測は、その試験アイテムと関連付けられる、標識と比較される。総計において、予測正確度が、十分に高い場合、モデル315は、完全に訓練されたと見なされ、該当しない場合、予測器は、付加的訓練データを供給されてもよく、および/またはそのアーキテクチャは、改変され、訓練および試験のプロセスは、満足の行く予測結果が取得されるまで、繰り返されてもよい。
【0052】
本文脈では、2つまたはそれを上回るトランスデューサ要素に関連するデータが、単一データサンプル(すなわち、特徴ベクトル)内で検討される。例えば、サンプルのうちの1つが、対{要素#3、要素#46}であって、要素毎の入力データが、要素のビームを偏移させるために有意な3つの頭蓋骨特性、すなわち、厚さ、頭蓋骨密度、およびビーム-頭蓋骨角度のみに対応し、これらの特性の値が、要素のビームが交差する、頭蓋骨部分と関連付けられる、1,024個の要素のトランスデューサを検討する。次いで、対{要素#3、要素#46}を参照する、データサンプルの特徴は、密度el#3および密度el#46が、同一であるが、異なる場所における、頭蓋骨の密度を指すように、(厚さel#3、密度el#3、角度el#3、厚さel#46、密度el#46、角度el#46)となるであろう。故に、入力は、3つの特性×2つの要素=6のサイズとなる。入力が、200×32画像の形態をとる場合、入力は、200×32×2のサイズとなり、各200×32画像は、異なる要素に対応する。標識は、要素の測定されたパラメータ値(例えば、位相)間の差であって、推測上、出力は、相対的予測であって、相対的値が、差の観点から表される場合、予測は、
【化9】
であって、式中、
【化10】
は、偏移トランスデューサ要素iと関連付けられる、位相を示す。
【0053】
ここで、要素組み合わせが、1つまたはそれを上回る基準に従って、例えば、予測信頼度を最大限にするように、適正な冗長性(各要素が1つを上回る対に現れる)を確実にするように選択される、トランスデューサを説明する、サンプルの総数が、10,000であると仮定する。推測後、次いで、10,000個の方程式を有することになる。
時間遅延に関して、
【化11】
を有する。
式中、P{i,j}は、トランスデューサ要素iおよびjの時間遅延の差のモデルの予測、すなわち、既知の(幾何学的に決定された)数量であって、その目的は、誤差計測値(例えば、最小二乗最小限化)に従って、上記の差分方程式を最も充足する、セット
【化12】
を見出すことであって、各方程式と関連付けられる、誤差は、加重されてもよい(頭蓋骨透過率、モデル信頼度等に基づいて)
【0054】
一定位相バイアスが集束品質に影響を及ぼさない、性質を使用して、方程式は、線形方程式の優決定系セットとして表され得る。
【化13】
式中、第1の行は、参照位相を設定し、方程式の各後続行は、行列が、10,001×1,024であって、例えば、通常の最小二乗を使用して解法かれ得るように、要素対のうちの1つに関するP{i,j}を予測することに対応する。
【0055】
ラップされた位相偏移の場合(振幅、時間遅延、または完全位相偏移とは対照的に)は、位相ラッピングに起因して、付加的困難度を導入する。結果として生じる10,000個の方程式のセットは、以下となるであろう。
【化14】

式中、位相偏移
【化15】
は、
[-π,π]に限られ、P{i,j}は、要素iおよびjのラップされた位相偏移の差のモデル予測である(通常、また、[-π,π]に限られるように再ラップされる)。再び、P{i,j}は、既知の数量であって、その目的は、上記の方程式を最良に充足する、セット
【化16】
を見出すことである。位相ラップされた方程式は、以下のように記述され得る。
【化17】
式中、第1の行は、参照位相を設定することに対応し、数量k{i,j}は、未知である。簡潔にするために、上記の方程式を
【化18】
として示し、それを方程式1として参照する。本方程式のセットを解法くための1つのアプローチは、以下のようなものである。最初に、位相偏移差を、[-π,π]の代わりに、範囲[0,2π]に設定する。
【化19】
【0056】
本変化は、解に影響を及ぼさないであろう。方程式1は、次いで、以下のように書き換えられ得る。
【化20】
【0057】
範囲[0,2π]は、変数pを大素数として定義し、以下のように方程式1を書き換えることによって、離散化され得る。
【化21】
pは、モデル正確度に対して十分に高いと仮定する。
【化22】
における2πサイクルの数が、最適集束を達成することに関連しないという事実、および行列Aにおける全てのエントリが、1または-1のいずれかであるという事実を使用して、方程式1はさらに、以下のように書き換えられ得る。
【化23】
これは、有限体上での線形方程式の優決定系セットをもたらし、これは、整数にわたって、例えば、N個の方程式の複数の組み合わせにおけるガウス消去法(Nは、要素の数である)と、最良解間対応によって、最良解を選択することとによって、解法かれ得る。
【0058】
別の実施形態は、二次方程式の優決定系セットを解法くことによって、ラップされた位相偏移リストを差から生成する。
【化24】
【0059】
最小限にされるべき目的関数は、次いで、以下となる。
【化25】
式中、和は、透過率、信頼度等によって加重されることができ、また、その勾配が、勾配降下法を使用するために計算されることができる。
【化26】
【0060】
振幅に関して、(位相測定におけるような差ではなく)対のトランスデューサ要素によって受信される反射信号の振幅の比は、ビーム収差を補償する最終目的のための最良結果を提供することが見出される。
故に、振幅に関して、
【化27】
を有する。
【0061】
再び、方程式は、線形方程式の優決定系セットとして表され得る。
【化28】
式中、第1の行は、参照振幅を設定し、方程式の各後続行は、要素対のうちの1つに関するP{i,j}を予測することに対応する。比の使用は、再び、トランスデューサの全ての要素に適用される一定バイアスが、集束品質に影響を及ぼさないため、バイアスから生じる誤差を排除する。
【0062】
位相を予測することは、時間遅延を予測することに非常に類似する。通常、用語「時間遅延」は、頭蓋骨媒体が水媒体に対して引き起こす、時間(または位相)差全体、例えば、位相の観点から、10ラジアンを指す。用語「位相偏移」は、概して、時間間隔[-π,π]に限られたラップされた位相を指す。正確な時間遅延測定値を達成することは、ラップされた位相偏移より困難であり得る。
【0063】
要するに、前述のアプローチは、対の要素に関する2k長ベクトル(またはより大きい要素群に関するn×k長ベクトル)を伴う単一要素に基づく予測のために、そうでなければk長入力ベクトルであろうものに取って代わる。しかしながら、データを表すための他のアプローチも、可能性として考えられる。1つの代替では、頭蓋骨媒体の2セットの撮像されるパッチが、例えば、第4の次元において、組み合わせられることができる。例えば、図4を参照すると、要素のビームがそれを通して通過する、頭蓋骨および脳媒体が、ビームと整合される、3D体積、すなわち、要素e1に対応する、体積v1と、要素e2に対応する、体積v2とによって記述され得る。第1の次元が、要素から標的までの経路に沿って延在し、パッチが、400に代表的に示される頭蓋骨CT画像の補間によって抽出される、すなわち、図は、体積v1、v2の第1の層に対応する、深度における、CT画像を示す。頭蓋骨パッチ401、402は、それぞれ、v1およびv2に対応し、図示されるCT画像層400は、頭蓋骨パッチ401、402の第1の層401、402上に現れる。頭蓋骨パッチ401、402の後続層は、第3の次元に沿ったパッチ層に対応する、深度における、CT層からの画像情報を含むであろう。各パッチ層が、200×32ピクセルであって、32個の層が存在する場合、各パッチ体積の寸法は、200×32×32である。次いで、一対の要素に対応する単一データサンプルが、検討されるとき、両方の要素の頭蓋骨媒体(CTによって撮像されるように)が、サンプル入力内に含まれる。第4の次元に沿ってパッチを連結することは、200×32×32×2個の入力アレイを生産する。
【0064】
図5に図示される別のアプローチでは、Siameseネットワーク500が、採用され、成分ニューラルネットワーク501、502はそれぞれ、単一要素の入力を受信する。すなわち、各要素の頭蓋骨パッチ/特性ベクトルは、2つの同じニューラルネットワーク501、502のうちの1つへの入力であって、これは、同一アーキテクチャを有し、加重を共有する。次いで、姉妹ネットワーク501、502の出力は、組み合わせられ、要素の相対的標的値のみに依存する、損失を形成する。本フォーマットは、サンプル要素毎に、姉妹ネットワークを有し、損失評価前に、複数の姉妹ネットワークの組み合わせられた出力を受信する、付加的ニューラルネットワークを含むことにより、Siameseネットワークを拡張することによって、サンプル内の2つを上回る要素に適応するように容易に拡張され得る。
【0065】
2つを上回る要素を使用する、別の実施形態では、特徴は、その頭蓋骨特性の組み合わせである。例えば、全てのサンプルが、等しいサイズであって、各データサンプルが、3つの要素からの値を組み合わせ、入力パラメータが、厚さ、密度、および角度であると仮定する。次いで、サンプルのうちの1つが、要素3、46、および15から成る場合、特徴は、(厚さel#3、密度el#3、角度el#3、厚さel#46、密度el#46、角度el#46、厚さel#15、密度el#15、角度el#15)またはサイズ200×32×32×3の連結された体積となり得る。出力は、相対的値(例えば、第1のものに対する第2および第3のもの)のベクトルであってもよく、損失は、振幅等の要因または予測の困難度によって加重される、予測対真値の圧力状スコアであり得る。
【化29】
【0066】
ここで、サンプルが可変サイズであると仮定する。例えば、トランスデューサ要素は、群化される、またはトランスデューサは、複数の要素を包含する区分に分割されることができる。例証するために、トランスデューサは、それぞれ、64個の近傍要素を包含する、16個のゾーンまたは区分に分割されてもよい。これらの区分はそれぞれ、特定の手技において使用するために適格である、異なる数の要素を有してもよく、これは、したがって、データセット内で有効に検討されることができる。サンプル発生ネットワークが、トランスデューサを適格要素の群にパーティション化するために使用されてもよい。例えば、再帰またはグラフニューラルネットワークが、これらの区分およびその異なる数の有効要素をモデル化するために使用されてもよい。代替として、トランスデューサ全体は、グラフとして表されてもよく、その目的は、サンプル発生および標識学習の両方を最適化することである。例えば、サンプル発生ニューラルネットワークは、それに異なる数のステップおよびステップサイズのランダムウォーク(可能性として、制約を伴う)を実施させることによって、始動されてもよい。本ネットワークの出力は、標識(相対的値として)を学習し、予測および予測信頼度レベルを返す、グラフニューラルネットワークへの入力として使用される、各データサンプル内の要素の選択において使用される。これらの値はまた、発生されたサンプルに真標識を提供することが、完璧な集束をもたらすであろう(例えば、全ての要素を使用して、冗長性を強制することによって)という制約とともに、サンプル発生モデルに関する損失の推定において使用されてもよい。
【0067】
別のアプローチは、頭蓋骨挙動を検出するために、教師なし学習を使用してもよい。例えば、自動集束手順がトランスデューサの一部のために実施される、治療では、学習された挙動は、欠測測定値を伴う要素のための音響パラメータを見出すために使用されてもよく、例えば、クラスタ分析が、クラスタ内の欠測測定値を伴う全ての要素をそのクラスタ内の測定された要素の中央値位相で充填することによって使用されてもよい。
【0068】
再び図1を参照すると、種々の実施形態では、上記に説明された予測器を使用して決定された超音波パラメータ補正(振幅、時間遅延、および/または位相偏移を含む)および/または特定の手技および患者解剖学的構造のための要素アクティブ化およびアクティブ化解除の適切なパターンが、その個別のトランスデューサ要素とともに、調節機構126および/またはコントローラ108によってアクセス可能なメモリ162内のデータベース160内に記憶される。1つの実装では、データベースは、トランスデューサ要素および頭蓋骨から生じるその対応するパラメータ補正を、そのエントリが上記に説明される予測器を使用して取り込まれる、テーブル内に記憶する。メモリは、1つまたはそれを上回る揮発性または不揮発性記憶デバイス、例えば、DRAM、SRAM等のランダムアクセスメモリ(RAM)デバイス、読取専用メモリ(ROM)デバイス、磁気ディスク、光学ディスク、フラッシュメモリデバイス、および/または他のソリッドステートメモリデバイスを含んでもよい、またはそれらから本質的に成ってもよい。メモリの全てまたは一部は、例えば、ネットワーク(例えば、イーサネット(登録商標)、WiFi、携帯電話ネットワーク、インターネット、または任意のローカルまたは広域ネットワーク、またはデータ転送および通信をサポートすることが可能なネットワークの組み合わせ)を介して超音波システム100および/または撮像装置112に接続される、1つまたはそれを上回る記憶デバイスとして、超音波システム100および/または撮像装置112から遠隔に位置してもよい。本明細書で利用されるように、用語「記憶装置」は、広義には、任意の形態のデジタル記憶装置、例えば、光学記憶装置、磁気記憶装置、半導体記憶装置等を含意する。
【0069】
他の実施形態では、予測器は、調節機構126の一部である(すなわち、それにアクセス可能なメモリ162内に記憶される)。例えば、治療に先立って、反射信号の位相および/または振幅が、治療手技において使用されるであろう、トランスデューサ要素によって感知され、入力ベクトルが、(i)上記に説明されるように、感知された信号間の差または比、(ii)各トランスデューサ要素に特有の幾何学的パラメータ(例えば、角度)、および(iii)CT、MR、または他の撮像モダリティによって取得される、解剖学的特徴(厚さ、密度)から生成されてもよい。各入力ベクトルは、訓練されたニューラルネットワークによって処理され、これは、関連付けられるトランスデューサ要素に関する補正値を出力する。
【0070】
一実施形態では、コントローラ108は、物理的モデルを実装し、データベース160内に記憶される、その組織特性(例えば、エネルギー吸収係数)および超音波パラメータ値(例えば、位相、振幅等)を使用して、標的領域101および/または非標的領域における治療効果(例えば、リアルタイム温度)を予測する。加えて、物理的モデルは、集束ゾーン(標的領域と一致する場合とそうではない場合がある)におけるリアルタイム温度および/または集束ゾーンの形状を予測し得る。標的/非標的領域における予測される治療効果、集束ゾーンにおけるリアルタイム温度、および/または集束ゾーンの形状に基づいて、コントローラ108は、例えば、物理的モデルを使用して、超音波治療に対する患者好適性(例えば、治療成功率)を決定してもよい。種々の実施形態では、標的の組織特性および通過ゾーン領域が、撮像機112を使用して入手される。例えば、入手された画像に基づいて、標的の材料特性および通過ゾーン領域を特性評価する、組織モデルが、確立されてもよい。組織モデルは、標的組織を表すボクセルに対応する、細胞の3Dテーブルの形態をとってもよく、細胞は、その値が、エネルギー吸収に関連する、吸収係数等の組織の特性を表す、属性を有する。ボクセルは、撮像デバイスによって、断層的に取得され、各ボクセルが表す、組織のタイプは、従来の組織分析ソフトウェアによって、自動的に決定されることができる。決定された組織タイプおよび組織パラメータのルックアップテーブル(例えば、組織のタイプ別の吸収係数)を使用して、組織モデルの細胞が、取り込まれてもよい。自動集束手順の間、測定値は、物理的モデル内の組織特性(具体的患者および採用される撮像機112に依存する)を最適化するために使用されることができ、これは、ひいては、新しい場所を標的化する、または欠測測定値のために使用されてもよい。種々の組織のエネルギー吸収係数、熱感度、および/または熱エネルギー許容度を識別する、組織モデルの生成に関するさらなる詳細は、米国特許公開第2012/0029396号(その開示全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に見出され得る。
【0071】
図6Aは、予測器を訓練し、トランスデューサ要素と関連付けられる超音波パラメータ値に対する補正を発生させるための例示的アプローチ600を図示する。これらのパラメータ値は、本明細書による、標的領域とトランスデューサ要素との間に介在する組織によって引き起こされる予期されるビーム収差の補償を促進する。第1のステップ602では、撮像機112が、アクティブ化され、標的組織および/または介在組織の画像を入手する。それに基づいて、コントローラ108が、介在組織および/または標的組織を特性評価する、数量(例えば、厚さおよび/または密度等の解剖学的特徴、および/またはエネルギー吸収係数等の組織特性)、および/またはトランスデューサ要素のそれぞれと関連付けられる、幾何学的パラメータ(例えば、ビーム-頭蓋骨角度)を識別する(第2のステップ604)。一実施形態では、各要素と関連付けられるビーム-頭蓋骨角度を算出するために、異なる撮像モダリティ(例えば、超音波撮像、MRI撮像、および/またはCT撮像)内の座標系を位置合わせすることが必要である。例示的位置合わせアプローチは、例えば、米国特許第9,934,570号(その開示全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に提供される。加えて、コントローラは、最適集束を標的領域に生成するように、トランスデューサ要素と関連付けられる、超音波パラメータ(例えば、周波数、振幅、および/または位相)のための1つまたはそれを上回る補正値を入手/決定し、識別された解剖学的特徴を有する、介在組織から生じる収差を補償してもよい(第3のステップ606)。補正値は、例えば、以前に実施された超音波手技の遡及的研究に基づいて、入手/決定されてもよい。さらに、コントローラは、複数(例えば、2つ)のトランスデューサ要素間の補正値の差および/または比を算出してもよい(第4のステップ608)。ステップ604において識別された解剖学的特徴およびステップ608において決定された超音波パラメータ値の差および/または比は、次いで、訓練データとして提供され、超音波補正値を解剖学的特徴から推定する、予測器を訓練する(第4のステップ610)。訓練は、任意の好適な学習アルゴリズムに基づいてもよく、教師ありまたは教師なし学習を伴ってもよい。
【0072】
いったん予測器が、訓練されると、コントローラ108は、訓練された予測器を実装し、トランスデューサ要素の最適設定を決定し、それによって、療法または診断手技の間、最適治療効果を患者の標的領域に生成し得る。図6Bを参照すると、第1のステップ652では、コントローラ108が、超音波パラメータ値に対する補正を発生させるように訓練されている、予測器を実装してもよい。第2のステップ654では、コントローラ108は、治療セッションの間、予測器に、それぞれ、患者の標的領域とアクティブ化されるべきトランスデューサ要素との間に介在する組織を特性評価する、数量を含む、複数の入力ベクトルを提供してもよい。数量は、標的および/または介在組織と関連付けられる、解剖学的特徴(例えば、厚さおよび/または密度)および/または組織特性および/またはトランスデューサ要素のそれぞれと関連付けられる、幾何学的パラメータ(例えば、ビーム-頭蓋骨角度)を含んでもよい。再び、数量は、撮像機112を使用して入手された画像から取得されてもよい。入力ベクトルに基づいて、予測器は、最適集束を標的領域に生成するために、出力として、アクティブトランスデューサ要素と関連付けられる補正値を発生させてもよい(ステップ656)。コントローラ108は、次いで、対応する補正値に基づいて、トランスデューサ要素をアクティブ化し、自動集束手順を始動させてもよい(ステップ658)。続いて、コントローラ108は、自動集束手順において決定された超音波パラメータ値を使用して、トランスデューサ要素を動作させることによって、標的領域を治療させてもよい(ステップ660)。アクティブトランスデューサ要素は、トランスデューサアレイの全ての要素を含んでもよい。代替として、アクティブトランスデューサ要素は、トランスデューサアレイ内の要素のうちのいくつかのみを含んでもよい。例えば、自動集束手順の間に受信される反射信号に基づいて、コントローラ108は、自動集束手順において、1つまたはそれを上回るトランスデューサ要素と関連付けられる、欠測および/または正しくない測定値が存在するかどうかを決定してもよい(ステップ662)。該当する場合、アクティブトランスデューサ要素は、欠測および/または正しくない測定値を有していない、要素のみを含む。いくつかの実施形態では、コントローラ108は、随意に、自動集束手順において入手された超音波パラメータ値に対する補正を使用して、予測器を調節する(ステップ664)。加えて、コントローラは、調節された予測器に、それぞれ、標的領域と欠測/正しくない測定値を有するトランスデューサ要素との間に介在する組織を特性評価する、数量を含む、複数の入力ベクトルを提供してもよい(ステップ666)。続いて、調節された予測器は、欠測/正しくない測定値を有する、トランスデューサ要素と関連付けられる、パラメータ値に対する補正を発生させてもよく、コントローラは、新しく発生された補正値を使用して、これらのトランスデューサ要素をアクティブ化してもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ108はさらに、標的領域の第2の部分(例えば、標的領域が、ステップ660において完全に治療されることができない、大体積に跨架するとき)および/または第2の標的領域(例えば、第1および第2の標的領域が、離散場所を有するとき)を治療することが必要であるかどうかを決定する(随意のステップ668)。該当する場合、コントローラ108は、随意に、(ステップ658において実施される)自動集束手順位おいて、および/または(ステップ660において実施される)標的領域(または標的領域の一部)の治療の間に入手された、超音波パラメータ値に対する補正を使用して、予測器を調節してもよい(ステップ670)。加えて、コントローラは、調節された予測器に、それぞれ、新しい標的領域(または標的領域の新しい部分)とトランスデューサ要素との間に介在する組織を特性評価する、数量を含む、複数の入力ベクトルを提供してもよい(ステップ672)。続いて、調節される予測器は、新しい標的領域(または標的領域の新しい部分)を治療するために、トランスデューサ要素と関連付けられる、パラメータ値に対する補正を発生させてもよく、コントローラは、対応する補正値に基づいて、トランスデューサ要素をアクティブ化してもよい。
【0073】
一般に、上記に説明されるような予測器を実装し、入力ベクトルを構成する、またはデータベースルックアップを促進する、数量を測定し、予測器を訓練し、入力を訓練された予測器に提供し、出力を予測器から受信し、自動集束手順を実施し、超音波手技の間、超音波パラメータ値を調節する機能性は、撮像機および/または超音波システムのコントローラ内に統合されるか、または別個の外部コントローラによって提供されるかどうかにかかわらず、ハードウェア、ソフトウェア、または両方の組み合わせ内に実装される、1つまたはそれを上回るモジュールにおいて構造化されてもよい。機能が1つまたはそれを上回るソフトウェアプログラムとして提供される、実施形態に関して、プログラムは、PYTHON、JAVA(登録商標)、C、C++、C#、BASIC、種々のスクリプト言語、および/またはHTML等のいくつかの高レベル言語のうちのいずれかで書かれてもよい。ニューラルネットワークに関して、TENSORFLOW(登録商標)、PYTORCH、THEANO、またはCAFFE等の機械学習ライブラリまたはフレームワークが、簡単に採用され得る。加えて、ソフトウェアは、標的コンピュータ(例えば、コントローラ)上に常駐するマイクロプロセッサに指向されるアセンブリ言語で実装されることができ、例えば、ソフトウェアは、IBMPCまたはPCクローン上で起動するように構成される場合、Intel 80x86アセンブリ言語で実装されてもよい。ソフトウェアは、限定ではないが、フロッピー(登録商標)ディスク、ジャンプドライブ、ハードディスク、光ディスク、磁気テープ、PROM、EPROM、EEPROM、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはCD-ROMを含む、製造品上で具現化されてもよい。ハードウェア回路を使用する実施形態は、例えば、1つまたはそれを上回るFPGA、CPLD、またはASICプロセッサを使用して、実装されてもよい。
【0074】
加えて、本明細書で使用される用語「コントローラ」は、広義には、上記に説明されるような任意の機能性を実施するために利用される、全ての必要なハードウェアコンポーネントおよび/またはソフトウェアモジュールを含み、コントローラは、複数のハードウェアコンポーネントおよび/またはソフトウェアモジュールを含んでもよく、機能性は、異なるコンポーネントおよび/またはモジュールの間に拡散されることができる。さらに、用語「予測モジュール」および「予測器」は、本明細書では、同義的に使用される。
【0075】
本発明のある実施形態が、上記に説明される。しかしながら、本発明は、それらの実施形態に限定されず、むしろ、本明細書に明示的に説明されるものに対する追加および修正もまた、本発明の範囲内に含まれることに明示的に留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
【手続補正書】
【提出日】2022-10-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
療法または診断手技の間、超音波エネルギーを標的領域に送達するためのシステムであって、前記システムは、
複数のトランスデューサ要素を備える超音波トランスデューサであって、前記トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかは、前記療法または診断手技の間、アクティブと指定されている、超音波トランスデューサと、
調節機構であって、前記調節機構は、複数の前記トランスデューサ要素間のパラメータ値の差および/または比に対応する入力ベクトル上で訓練されている機械学習モデルを備え、前記調節機構は、(i)アクティブトランスデューサ要素と前記標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量を受信することと、(ii)それに基づいて、前記アクティブトランスデューサ要素毎に、少なくとも1つのパラメータ値を発生させ、予期されるビーム収差を補償することとを行うように構成される、調節機構と、
コントローラであって、前記コントローラは、前記療法または診断手技の間、最適化された集束ゾーンを前記標的領域に発生させるように、対応するパラメータ値に従って、前記アクティブトランスデューサ要素をアクティブ化するように構成される、コントローラと
を備える、システム。
【請求項2】
前記機械学習モデルは、ニューラルネットワークである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ニューラルネットワークは、それぞれが一対の前記トランスデューサ要素と関連付けられるパラメータを備える入力ベクトル上で訓練される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記調節機構は、機械学習アルゴリズムによって発生された調節値のルックアップテーブルを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記機械学習アルゴリズムは、それぞれが2つを上回るトランスデューサ要素と関連付けられるパラメータを備える入力ベクトル上で訓練されるニューラルネットワークである、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記数量は、組織密度および厚さを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記調節機構はさらに、少なくとも部分的に、関連付けられたトランスデューサ要素と関連付けられる少なくとも1つの幾何学的パラメータに基づいて、前記少なくとも1つのパラメータ値を発生させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの幾何学的パラメータは、前記関連付けられたトランスデューサ要素と前記標的領域との間の頭蓋骨の表面に対する角度である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記発生された少なくとも1つのパラメータ値は、振幅、位相、周波数、デューティサイクル、超音波振動パターン、または時間遅延のうちの少なくとも1つに対する補正を規定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記標的領域は、複数の部分を備え、前記発生された最適化された集束ゾーンは、前記標的領域の第1の部分にあり、前記コントローラはさらに、物理的モデルを使用して、(i)前記標的領域の前記第1の部分と異なる第2の部分または非標的領域におけるリアルタイム温度、(ii)前記集束ゾーンにおけるリアルタイム温度、(iii)集束スポット形状、または(iv)治療成功のうちの少なくとも1つを予測するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラはさらに、
前記アクティブトランスデューサ要素に、(i)超音波を前記標的領域に透過させ、(ii)前記標的領域からの前記超音波の反射を測定させることと、
前記測定値に基づいて、前記アクティブトランスデューサ要素のそれぞれを測定トランスデューサ要素または非測定トランスデューサ要素として分類することと、
少なくとも部分的に、前記測定トランスデューサ要素によって提供される前記測定値に基づいて、前記調節機構を更新することと
を行うように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記更新された調節機構は、(i)前記非測定トランスデューサ要素と前記標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量を受信することと、(ii)それに基づいて、前記非測定トランスデューサ要素毎に、少なくとも1つの更新されたパラメータ値を発生させ、予期されるビーム収差を補償することとを行うように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラはさらに、対応する更新されたパラメータ値に従って、前記非測定トランスデューサ要素をアクティブ化するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記コントローラはさらに、
前記アクティブトランスデューサ要素に、(i)超音波を前記標的領域に透過させ、(ii)前記標的領域からの前記超音波の反射を測定させることと、
少なくとも部分的に、前記測定値に基づいて、前記調節機構を更新することと
を行うように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記更新された調節機構は、(i)前記アクティブトランスデューサ要素と、前記標的領域と異なる二次標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量を受信することと、(ii)それに基づいて、前記アクティブトランスデューサ要素毎に、少なくとも1つの更新されたパラメータ値を発生させ、予期されるビーム収差を補償することとを行うように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラはさらに、最適化された集束ゾーンを前記二次標的領域に発生させるように、対応する更新されたパラメータ値に従って、前記アクティブトランスデューサ要素をアクティブ化するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
複数のトランスデューサ要素を備える超音波トランスデューサによる介在組織を通した超音波エネルギーの送達のための補正値を発生させる方法であって、前記補正値は、ビーム収差を補正し、前記方法は、
それぞれが(i)複数の前記トランスデューサ要素間の超音波パラメータの差および/または比と、(ii)前記複数のトランスデューサ要素と標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量とを備える受信された入力ベクトルに基づいて、出力として、前記超音波パラメータの補正値を発生させ、前記介在組織を通して予期されるビーム収差を補償するように機械学習モデルを訓練するステップであって、前記訓練するステップは、前記機械学習モデルに、前記入力ベクトルの値と対応する補正値との間の関係を学習させるステップを含む、ステップと、
前記機械学習モデルに、それぞれがアクティブ化されるべき複数の前記トランスデューサ要素と患者の標的領域との間に介在する前記患者の組織を特性評価する数量を備える複数の入力ベクトルを提供するステップと、
前記提供される入力ベクトルに基づいて、前記超音波パラメータの補正値を前記機械学習モデルの出力として受信するステップと
を含む、方法。
【請求項18】
前記機械学習モデルは、ニューラルネットワークである、請求項17に記載の方法
【請求項19】
前記ニューラルネットワークは、それぞれが一対の前記トランスデューサ要素と関連付けられるパラメータを備える入力ベクトル上で訓練される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記超音波パラメータの差および/または比は、自動集束治療測定値またはエクスビボまたは模型頭蓋骨上での測定値を使用して入手される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記数量は、組織密度および厚さを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記入力ベクトルはさらに、前記トランスデューサ要素のそれぞれと関連付けられる少なくとも1つの幾何学的パラメータを備え、前記機械学習モデルはさらに、少なくとも部分的に、前記幾何学的パラメータに基づいて、前記超音波パラメータの補正値を発生させるように訓練される、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記幾何学的パラメータは、前記トランスデューサ要素のそれぞれと前記標的領域との間の頭蓋骨の表面に対する角度である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記補正値は、振幅、位相、周波数、デューティサイクル、超音波振動パターン、または時間遅延のうちの少なくとも1つに対する補正を規定する、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記標的領域は、複数の部分を備え、前記発生された最適化された集束ゾーンは、前記標的領域の第1の部分にあり、前記方法はさらに、物理的モデルを使用して、(i)前記標的領域の前記第1の部分と異なる第2の部分または非標的領域におけるリアルタイム温度、(ii)前記集束ゾーンにおけるリアルタイム温度、(iii)集束スポット形状、または(iv)治療成功のうちの少なくとも1つを予測するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
介在組織を通して、超音波エネルギーを送達するシステムであって、前記システムは、それぞれが(i)複数トランスデューサ要素間の超音波パラメータの差および/または比と、(ii)前記複数のトランスデューサ要素と標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量とを備える入力ベクトルを用いて、出力として、超音波パラメータの補正値を発生させ、前記介在組織を通して予期されるビーム収差を補償するように訓練されている機械学習モデルを使用して、複数のトランスデューサ要素を備える超音波トランスデューサを備え、前記訓練することは、前記機械学習モデルに、前記入力ベクトルの値と対応する補正値との間の関係を学習させることを含み
れぞれがアクティブ化されるべき複数のトランスデューサ要素と患者の標的領域との間に介在する前記患者の組織を特性評価する数量を備える複数の入力ベクトルが、前記機械学習モデルに提供され、
前記患者は、最適化された集束ゾーンを前記標的領域に発生させるように、前記提供される入力ベクトルに基づいて、前記機械学習モデルによって発生された補正値に従って、前記トランスデューサ要素をアクティブ化し、超音波エネルギーを送達することによって、治療される、システム
【請求項27】
前記機械学習モデルは、ニューラルネットワークである、請求項26に記載のシステム
【請求項28】
前記ニューラルネットワークは、それぞれが一対の前記トランスデューサ要素と関連付けられるパラメータを備える入力ベクトル上で訓練される、請求項27に記載のシステム
【請求項29】
前記超音波パラメータの差および/または比は、自動集束治療測定値またはエクスビボまたは模型頭蓋骨上での測定値を使用して入手される、請求項26に記載のシステム
【請求項30】
前記数量は、組織密度および厚さを備える、請求項26に記載のシステム
【請求項31】
前記入力ベクトルはさらに、前記トランスデューサ要素のそれぞれと関連付けられる少なくとも1つの幾何学的パラメータを備え、前記機械学習モデルはさらに、少なくとも部分的に、前記幾何学的パラメータに基づいて、前記超音波パラメータの補正値を発生させるように訓練される、請求項26に記載のシステム
【請求項32】
前記幾何学的パラメータは、前記トランスデューサ要素のそれぞれと前記標的領域との間の頭蓋骨の表面に対する角度である、請求項31に記載のシステム
【請求項33】
前記補正値は、振幅、位相、周波数、デューティサイクル、超音波振動パターン、または時間遅延のうちの少なくとも1つに対する補正を規定する、請求項26に記載のシステム
【請求項34】
前記標的領域は、複数の部分を備え、前記発生された最適化された集束ゾーンは、前記標的領域の第1の部分にあり物理的モデルを使用して、(i)前記標的領域の前記第1の部分と異なる第2の部分、または非標的領域におけるリアルタイム温度、(ii)前記集束ゾーンにおけるリアルタイム温度、(iii)集束スポット形状、または(iv)治療成功のうちの少なくとも1つが、予測される、請求項26に記載のシステム
【請求項35】
前記トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかが、(i)超音波を前記標的領域に透過させ、(ii)前記標的領域からの前記超音波の反射を測定するために、アクティブ化され、
前記測定値に基づいて、前記トランスデューサ要素のそれぞれが、測定トランスデューサ要素または非測定トランスデューサ要素として分類され、
少なくとも部分的に、前記測定トランスデューサ要素によって提供される測定値に基づいて、前記機械学習モデル更新される、
請求項26に記載のシステム
【請求項36】
記非測定トランスデューサ要素と前記標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量が、前記更新された機械学習モデルに提供され、
期されるビーム収差を補償するために、少なくとも1つの更新されたパラメータ値が、前記非測定トランスデューサ要素毎に受信される、
請求項35に記載のシステム
【請求項37】
対応する更新されたパラメータ値に従って、前記非測定トランスデューサ要素アクティブ化される、請求項36に記載のシステム
【請求項38】
前記トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかが、(i)超音波を前記標的領域に透過させ、(ii)前記標的領域からの前記超音波の反射を測定するために、アクティブ化され、
少なくとも部分的に、前記測定値に基づいて、前記機械学習モデル更新される、請求項26に記載のシステム
【請求項39】
記トランスデューサ要素と、前記標的領域と異なる二次標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量が、前記更新された機械学習モデルに提供され、
期されるビーム収差を補償するために、少なくとも1つの更新されたパラメータ値が、前記トランスデューサ要素毎に受信される、請求項38に記載のシステム
【請求項40】
最適化された集束ゾーンを前記二次標的領域に発生させるように、対応する更新されたパラメータ値に従って、前記トランスデューサ要素アクティブ化される、請求項39に記載のシステム


【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
本明細書で使用されるように、用語「実質的に」は、±10%、いくつかの実施形態では、±5%を意味する。本明細書の全体を通した「一実施例」、「ある実施例」、「一実施形態」、または「ある実施形態」の言及は、実施例に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本技術の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体を通した種々の場所における語句「一実施例では」、「ある実施例では」、「一実施形態」、または「ある実施形態」の発生は、必ずしも全て同一の実施例を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、ルーチン、ステップ、または特性は、本技術の1つまたはそれを上回る実施例において任意の好適な様式で組み合わせられてもよい。本明細書で提供される見出しは、便宜上にすぎず、請求される技術の範囲または意味を限定または解釈することを意図していない。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
療法または診断手技の間、超音波エネルギーを標的領域に送達するためのシステムであって、上記システムは、
複数のトランスデューサ要素を備える超音波トランスデューサであって、上記トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかは、上記療法または診断手技の間、アクティブと指定されている、超音波トランスデューサと、
調節機構であって、上記調節機構は、複数の上記トランスデューサ要素間のパラメータ値の差および/または比に対応する入力ベクトル上で訓練されている機械学習モデルを備え、上記調節機構は、(i)アクティブトランスデューサ要素と上記標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量を受信することと、(ii)それに基づいて、上記アクティブトランスデューサ要素毎に、少なくとも1つのパラメータ値を発生させ、予期されるビーム収差を補償することとを行うように構成される、調節機構と、
コントローラであって、上記コントローラは、上記療法または診断手技の間、最適化された集束ゾーンを上記標的領域に発生させるように、対応するパラメータ値に従って、上記アクティブトランスデューサ要素をアクティブ化するように構成される、コントローラと
を備える、システム。
(項目2)
上記機械学習モデルは、ニューラルネットワークである、項目1に記載のシステム。
(項目3)
上記ニューラルネットワークは、それぞれが一対の上記トランスデューサ要素と関連付けられるパラメータを備える入力ベクトル上で訓練される、項目2に記載のシステム。
(項目4)
上記調節機構は、機械学習アルゴリズムによって発生された調節値のルックアップテーブルを備える、項目1に記載のシステム。
(項目5)
上記機械学習アルゴリズムは、それぞれが2つを上回るトランスデューサ要素と関連付けられるパラメータを備える入力ベクトル上で訓練されるニューラルネットワークである、項目4に記載のシステム。
(項目6)
上記数量は、組織密度および厚さを備える、項目1に記載のシステム。
(項目7)
上記調節機構はさらに、少なくとも部分的に、関連付けられたトランスデューサ要素と関連付けられる少なくとも1つの幾何学的パラメータに基づいて、上記少なくとも1つのパラメータ値を発生させるように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目8)
上記少なくとも1つの幾何学的パラメータは、上記関連付けられたトランスデューサ要素と上記標的領域との間の頭蓋骨の表面に対する角度である、項目7に記載のシステム。
(項目9)
上記発生された少なくとも1つのパラメータ値は、振幅、位相、周波数、デューティサイクル、超音波振動パターン、または時間遅延のうちの少なくとも1つに対する補正を規定する、項目1に記載のシステム。
(項目10)
上記標的領域は、複数の部分を備え、上記発生された最適化された集束ゾーンは、上記標的領域の第1の部分にあり、上記コントローラはさらに、物理的モデルを使用して、(i)上記標的領域の上記第1の部分と異なる第2の部分または非標的領域におけるリアルタイム温度、(ii)上記集束ゾーンにおけるリアルタイム温度、(iii)集束スポット形状、または(iv)治療成功のうちの少なくとも1つを予測するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目11)
上記コントローラはさらに、
上記アクティブトランスデューサ要素に、(i)超音波を上記標的領域に透過させ、(ii)上記標的領域からの上記超音波の反射を測定させることと、
上記測定値に基づいて、上記アクティブトランスデューサ要素のそれぞれを測定トランスデューサ要素または非測定トランスデューサ要素として分類することと、
少なくとも部分的に、上記測定トランスデューサ要素によって提供される上記測定値に基づいて、上記調節機構を更新することと
を行うように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目12)
上記更新された調節機構は、(i)上記非測定トランスデューサ要素と上記標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量を受信することと、(ii)それに基づいて、上記非測定トランスデューサ要素毎に、少なくとも1つの更新されたパラメータ値を発生させ、予期されるビーム収差を補償することとを行うように構成される、項目11に記載のシステム。
(項目13)
上記コントローラはさらに、対応する更新されたパラメータ値に従って、上記非測定トランスデューサ要素をアクティブ化するように構成される、項目12に記載のシステム。
(項目14)
上記コントローラはさらに、
上記アクティブトランスデューサ要素に、(i)超音波を上記標的領域に透過させ、(ii)上記標的領域からの上記超音波の反射を測定させることと、
少なくとも部分的に、上記測定値に基づいて、上記調節機構を更新することと
を行うように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目15)
上記更新された調節機構は、(i)上記アクティブトランスデューサ要素と、上記標的領域と異なる二次標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量を受信することと、(ii)それに基づいて、上記アクティブトランスデューサ要素毎に、少なくとも1つの更新されたパラメータ値を発生させ、予期されるビーム収差を補償することとを行うように構成される、項目14に記載のシステム。
(項目16)
上記コントローラはさらに、最適化された集束ゾーンを上記二次標的領域に発生させるように、対応する更新されたパラメータ値に従って、上記アクティブトランスデューサ要素をアクティブ化するように構成される、項目15に記載のシステム。
(項目17)
複数のトランスデューサ要素を備える超音波トランスデューサによる介在組織を通した超音波エネルギーの送達のための補正値を発生させる方法であって、上記補正値は、ビーム収差を補正し、上記方法は、
それぞれが(i)複数の上記トランスデューサ要素間の超音波パラメータの差および/または比と、(ii)上記複数のトランスデューサ要素と標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量とを備える受信された入力ベクトルに基づいて、出力として、上記超音波パラメータの補正値を発生させ、上記介在組織を通して予期されるビーム収差を補償するように機械学習モデルを訓練するステップであって、上記訓練するステップは、上記機械学習モデルに、上記入力ベクトルの値と対応する補正値との間の関係を学習させるステップを含む、ステップと、
上記機械学習モデルに、それぞれがアクティブ化されるべき複数の上記トランスデューサ要素と患者の標的領域との間に介在する上記患者の組織を特性評価する数量を備える複数の入力ベクトルを提供するステップと、
上記提供される入力ベクトルに基づいて、上記超音波パラメータの補正値を上記機械学習モデルの出力として受信するステップと
を含む、方法。
(項目18)
上記機械学習モデルは、ニューラルネットワークである、項目17に記載のシステム。
(項目19)
上記ニューラルネットワークは、それぞれが一対の上記トランスデューサ要素と関連付けられるパラメータを備える入力ベクトル上で訓練される、項目18に記載の方法。
(項目20)
上記超音波パラメータの差および/または比は、自動集束治療測定値またはエクスビボまたは模型頭蓋骨上での測定値を使用して入手される、項目17に記載の方法。
(項目21)
上記数量は、組織密度および厚さを備える、項目17に記載の方法。
(項目22)
上記入力ベクトルはさらに、上記トランスデューサ要素のそれぞれと関連付けられる少なくとも1つの幾何学的パラメータを備え、上記機械学習モデルはさらに、少なくとも部分的に、上記幾何学的パラメータに基づいて、上記超音波パラメータの補正値を発生させるように訓練される、項目17に記載の方法。
(項目23)
上記幾何学的パラメータは、上記トランスデューサ要素のそれぞれと上記標的領域との間の頭蓋骨の表面に対する角度である、項目22に記載の方法。
(項目24)
上記補正値は、振幅、位相、周波数、デューティサイクル、超音波振動パターン、または時間遅延のうちの少なくとも1つに対する補正を規定する、項目17に記載の方法。
(項目25)
最適化された集束ゾーンを上記標的領域に発生させるように、上記パラメータ値の対応する補正値に従って、上記トランスデューサ要素をアクティブ化するステップをさらに含む、項目17に記載の方法。
(項目26)
上記標的領域は、複数の部分を備え、上記発生された最適化された集束ゾーンは、上記標的領域の第1の部分にあり、上記方法はさらに、物理的モデルを使用して、(i)上記標的領域の上記第1の部分と異なる第2の部分または非標的領域におけるリアルタイム温度、(ii)上記集束ゾーンにおけるリアルタイム温度、(iii)集束スポット形状、または(iv)治療成功のうちの少なくとも1つを予測するステップを含む、項目17に記載の方法。
(項目27)
上記トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかをアクティブ化し、(i)超音波を上記標的領域に透過させ、(ii)上記標的領域からの上記超音波の反射を測定するステップと、
上記測定値に基づいて、上記トランスデューサ要素のそれぞれを測定トランスデューサ要素または非測定トランスデューサ要素として分類するステップと、
少なくとも部分的に、上記測定トランスデューサ要素によって提供される測定値に基づいて、上記機械学習モデルを更新するステップと
をさらに含む、項目17に記載の方法。
(項目28)
上記更新された機械学習モデルに、上記非測定トランスデューサ要素と上記標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量を提供するステップと、
上記非測定トランスデューサ要素毎に、少なくとも1つの更新されたパラメータ値を受信し、予期されるビーム収差を補償するステップと
をさらに含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
対応する更新されたパラメータ値に従って、上記非測定トランスデューサ要素をアクティブ化するステップをさらに含む、項目28に記載の方法。
(項目30)
上記トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかをアクティブ化し、(i)超音波を上記標的領域に透過させ、(ii)上記標的領域からの上記超音波の反射を測定するステップと、
少なくとも部分的に、上記測定値に基づいて、上記機械学習モデルを更新するステップと
をさらに含む、項目17に記載の方法。
(項目31)
上記更新された機械学習モデルに、上記トランスデューサ要素と、上記標的領域と異なる二次標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量を提供するステップと、
上記トランスデューサ要素毎に、少なくとも1つの更新されたパラメータ値を受信し、予期されるビーム収差を補償するステップと
をさらに含む、項目30に記載の方法。
(項目32)
最適化された集束ゾーンを上記二次標的領域に発生させるように、対応する更新されたパラメータ値に従って、上記トランスデューサ要素をアクティブ化するステップをさらに含む、項目31に記載の方法。
(項目33)
それぞれが(i)複数の上記トランスデューサ要素間の超音波パラメータの差および/または比と、(ii)上記複数のトランスデューサ要素と標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量とを備える入力ベクトルを用いて、出力として、超音波パラメータの補正値を発生させ、上記介在組織を通して予期されるビーム収差を補償するように訓練されている機械学習モデルを使用して、複数のトランスデューサ要素を備える超音波トランスデューサによって、介在組織を通して、超音波エネルギーを送達する方法であって、上記訓練するステップは、上記機械学習モデルに、上記入力ベクトルの値と対応する補正値との間の関係を学習させるステップを含み、上記方法は、
上記機械学習モデルに、それぞれがアクティブ化されるべき複数のトランスデューサ要素と患者の標的領域との間に介在する上記患者の組織を特性評価する数量を備える複数の入力ベクトルを提供するステップと、
最適化された集束ゾーンを上記標的領域に発生させるように、上記提供される入力ベクトルに基づいて、上記機械学習モデルによって発生された補正値に従って、上記トランスデューサ要素をアクティブ化し、超音波エネルギーを送達することによって、上記患者を治療するステップと
を含む、方法。
(項目34)
上記機械学習モデルは、ニューラルネットワークである、項目33に記載の方法。
(項目35)
上記ニューラルネットワークは、それぞれが一対の上記トランスデューサ要素と関連付けられるパラメータを備える入力ベクトル上で訓練される、項目34に記載の方法。
(項目36)
上記超音波パラメータの差および/または比は、自動集束治療測定値またはエクスビボまたは模型頭蓋骨上での測定値を使用して入手される、項目33に記載の方法。
(項目37)
上記数量は、組織密度および厚さを備える、項目33に記載の方法。
(項目38)
上記入力ベクトルはさらに、上記トランスデューサ要素のそれぞれと関連付けられる少なくとも1つの幾何学的パラメータを備え、上記機械学習モデルはさらに、少なくとも部分的に、上記幾何学的パラメータに基づいて、上記超音波パラメータの補正値を発生させるように訓練される、項目33に記載の方法。
(項目39)
上記幾何学的パラメータは、上記トランスデューサ要素のそれぞれと上記標的領域との間の頭蓋骨の表面に対する角度である、項目38に記載の方法。
(項目40)
上記補正値は、振幅、位相、周波数、デューティサイクル、超音波振動パターン、または時間遅延のうちの少なくとも1つに対する補正を規定する、項目33に記載の方法。
(項目41)
上記標的領域は、複数の部分を備え、上記発生された最適化された集束ゾーンは、上記標的領域の第1の部分にあり、上記方法はさらに、物理的モデルを使用して、(i)上記標的領域の上記第1の部分と異なる第2の部分、または非標的領域におけるリアルタイム温度、(ii)上記集束ゾーンにおけるリアルタイム温度、(iii)集束スポット形状、または(iv)治療成功のうちの少なくとも1つを予測するステップを含む、項目33に記載の方法。
(項目42)
上記トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかをアクティブ化し、(i)超音波を上記標的領域に透過させ、(ii)上記標的領域からの上記超音波の反射を測定するステップと、
上記測定値に基づいて、上記トランスデューサ要素のそれぞれを測定トランスデューサ要素または非測定トランスデューサ要素として分類するステップと、
少なくとも部分的に、上記測定トランスデューサ要素によって提供される測定値に基づいて、上記機械学習モデルを更新するステップと
をさらに含む、項目33に記載の方法。
(項目43)
上記更新された機械学習モデルに、上記非測定トランスデューサ要素と上記標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量を提供するステップと、
上記非測定トランスデューサ要素毎に、少なくとも1つの更新されたパラメータ値を受信し、予期されるビーム収差を補償するステップと
をさらに含む、項目42に記載の方法。
(項目44)
対応する更新されたパラメータ値に従って、上記非測定トランスデューサ要素をアクティブ化するステップをさらに含む、項目43に記載の方法。
(項目45)
上記トランスデューサ要素のうちの少なくともいくつかをアクティブ化し、(i)超音波を上記標的領域に透過させ、(ii)上記標的領域からの上記超音波の反射を測定するステップと、
少なくとも部分的に、上記測定値に基づいて、上記機械学習モデルを更新するステップと
をさらに含む、項目33に記載の方法。
(項目46)
上記更新された機械学習モデルに、上記トランスデューサ要素と、上記標的領域と異なる二次標的領域との間に介在する組織を特性評価する数量を提供するステップと、
上記トランスデューサ要素毎に、少なくとも1つの更新されたパラメータ値を受信し、予期されるビーム収差を補償するステップと
をさらに含む、項目45に記載の方法。
(項目47)
最適化された集束ゾーンを上記二次標的領域に発生させるように、対応する更新されたパラメータ値に従って、上記トランスデューサ要素をアクティブ化するステップをさらに含む、項目46に記載の方法。
【国際調査報告】