(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】紫外可視放射硬化性セキュリティインク
(51)【国際特許分類】
C09D 11/101 20140101AFI20230420BHJP
B32B 27/38 20060101ALI20230420BHJP
C09D 11/037 20140101ALI20230420BHJP
C09C 3/10 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
C09D11/101
B32B27/38
C09D11/037
C09C3/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552561
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(85)【翻訳文提出日】2022-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2021055299
(87)【国際公開番号】W WO2021175907
(87)【国際公開日】2021-09-10
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】311007051
【氏名又は名称】シクパ ホルディング ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】SICPA HOLDING SA
【住所又は居所原語表記】Avenue de Florissant 41,CH-1008 Prilly, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヴェヤ, パトリック
【テーマコード(参考)】
4F100
4J037
4J039
【Fターム(参考)】
4F100AA05A
4F100AA07A
4F100AA17A
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4J039GA10
4J039GA13
(57)【要約】
本発明は、基材、特にセキュリティ文書又は物品上にセキュリティ機能を印刷するのに好適なセキュリティインク、並びに前記セキュリティインクから作製されたセキュリティ機能、及び前記セキュリティインクから作製されたセキュリティ機能を含むセキュリティ文書の分野に関する。特に、本発明は、インクビヒクルと、1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜層とパーフルオロポリエーテル系の1つ又は複数の表面改質剤から作製された少なくとも部分的な表面処理層とを含む薄片状非金属性又は金属性基材を含む顔料とを含む紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインク及び紫外可視放射硬化性ハイブリッドセキュリティインクを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)25℃で約200~約2000mPasの間の粘度を有するインクビヒクル約75重量%~約99重量%であり、
a)a1)1つ又は複数の脂環式エポキシド45重量%~約75重量%と、a2)好ましくはオキソニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、及びそれらの混合物からなる群から選択されるオニウム塩である1つ又は複数のカチオン光開始剤約2重量%~約15重量%、又は
b)b1)1つ又は複数の脂環式エポキシドと、トリ(メタ)アクリラート、テトラ(メタ)アクリラート、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数のラジカル硬化性化合物とを含む混合物45重量%~約75重量%と、b2)好ましくはオキソニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、及びそれらの混合物からなる群から選択されるオニウム塩である1つ又は複数のカチオン光開始剤と、好ましくはヒドロキシケトン、アルコキシケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ケトスルホン、ベンジルケタール、ベンゾインエーテル、ホスフィンオキシド、フェニルグリオキシラート、チオキサントン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、より好ましくはホスフィンオキシド、チオキサントン、アルファ-ヒドロキシケトン、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数のラジカル光開始剤との混合物約2重量%~約15重量%、
c)前記インクビヒクルが、任意選択で、1つ又は複数のビニルエーテル約20重量%未満の量、又は1つ又は複数のオキセタン約30重量%以下の量、又は1つ又は複数のビニルエーテルと1つ又は複数のオキセタンとの組み合わせ約15重量%以下の量を含み、
a)、b)、及びc)の重量パーセントが、インクビヒクルの総重量に基づく、インクビヒクルと、
ii)薄片状非金属性又は金属性基材を含む顔料約1~約25重量%であり、前記非金属性又は金属性基材が、1つ又は複数の金属酸化物、1つ又は複数の金属水和酸化物、1つ又は複数の金属亜酸化物、又はこれらの材料の混合物から独立的に形成される1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜層と、環境に面し、1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜層の上層と直接接触し、パーフルオロポリエーテルから選択される1つ又は複数の表面改質剤から形成される少なくとも部分的な表面処理層とを含み、前記パーフルオロポリエーテルが1つ又は複数のリン(P)含有基又は1つ又は複数のケイ素(Si)含有基により官能基化されている、顔料と
を含み、
i)及びii)の重量パーセントが紫外可視放射硬化性セキュリティインクの総重量に基づく、
紫外可視放射硬化性セキュリティインク。
【請求項2】
紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクである、請求項1に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインク。
【請求項3】
前記インクビヒクルが、c)約20重量%未満の量の1つ又は複数のビニルエーテル、又は約30重量%以下の量の1つ又は複数のオキセタン、又は1つ又は複数のビニルエーテルと1つ又は複数のオキセタンとの組み合わせをさらに含み、前記組み合わせが約15重量%以下の量で存在し、a)、b)、及びc)の重量パーセントがインクビヒクルの総重量に基づく、請求項1又は2に記載の紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインク。
【請求項4】
前記インクビヒクルが、1つ又は複数のポリヒドロキシ化合物、好ましくは3つ以上のヒドロキシ基を含む1つ又は複数のポリヒドロキシ化合物をさらに含み、前記1つ又は複数のポリヒドロキシ化合物が、約25重量%以下の量で存在し、重量パーセントがインクビヒクルの総重量に基づく、請求項1~3のいずれか一項に記載の紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインク。
【請求項5】
前記インクビヒクルが、1つ又は複数の脂環式エポキシドと、トリ(メタ)アクリラート、テトラ(メタ)アクリラート、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数のラジカル硬化性化合物とを含む混合物を45~約75重量%含み、前記1つ又は複数のラジカル硬化性化合物が35重量%以下の量、好ましくは30重量%以下の量で存在し、重量パーセントがインクビヒクルの総重量に基づく、請求項1~4のいずれか一項に記載の紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインク。
【請求項6】
前記顔料が、1つ又は複数の金属性層、好ましくはファブリペロー吸収体/誘電体/反射体/誘電体/吸収体構造を有する薄膜干渉多層を含む多層からなる薄片状金属性基材を含み、前記顔料が、1つ又は複数の金属酸化物から独立的に作製された1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインク。
【請求項7】
前記インクビヒクルが、磁性材料からなる群から選択される1つ又は複数の機械可読材料をさらに含む、請求項6に記載の紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインク。
【請求項8】
前記顔料が、天然雲母、合成雲母、及びガラスからなる群から選択される1つ又は複数の材料から作製された薄片状非金属性基材を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインク。
【請求項9】
前記非金属性基材が、1つ又は複数の金属酸化物から独立的に作製された1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜を含む、請求項8に記載の紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインク。
【請求項10】
前記インクビヒクルが、磁性材料及び赤外線吸収材料からなる群から選択される1つ又は複数の機械可読材料をさらに含む、請求項8又は9に記載の紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインク。
【請求項11】
前記パーフルオロポリエーテルが、1つ又は複数のリン酸含有基又は1つ又は複数のシラン含有基で官能基化されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインク。
【請求項12】
セキュリティ文書又は物品上の1つ又は複数のセキュリティ機能の製造における、請求項1~11のいずれか一項に記載の紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインクの使用。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインクから作製されたセキュリティ機能。
【請求項14】
基材、好ましくは紙又は他の繊維性材料、紙含有材料、ガラス、金属、セラミック、プラスチック及びポリマー、金属化プラスチック又はポリマー、複合材料、並びにそれらの2つ以上の混合物又は組み合わせからなる群から選択される基材と、請求項1~11のいずれか一項に記載の紫外可視放射硬化性スクリーン印刷インクの紫外可視放射硬化により得られる放射線硬化塗膜とを含む物品。
【請求項15】
a.輪転グラビアプロセス、フレキソ印刷プロセス、及びスクリーン印刷プロセスからなる群から選択される印刷プロセス、好ましくはスクリーン印刷プロセスにより、請求項1~11のいずれか一項に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインクを前記基材上に印刷するステップと、
b.1つ又は複数のセキュリティ機能を形成するように、前記紫外可視放射硬化性セキュリティインクを、好ましくは水銀ランプ、紫外LEDランプ、及びそれらの連続的使用からなる群から選択される1つ又は複数の光源を用いて硬化させるステップ
とを含む、請求項14に記載の物品を作製する方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景技術]
[001]本発明は、基材上、特にセキュリティ文書又は物品上へのセキュリティ機能の印刷に適したセキュリティインクの分野に関する。
【0002】
[002]カラーコピー及び印刷の絶えず向上する品質により、また複製可能な効果を有さない紙幣、有価文書又はカード、交通機関の乗車券又はカード、税表示帯、及び製品ラベル等のセキュリティ文書を偽造、変造又は違法複製から保護する試みにおいて、これらの文書に様々なセキュリティ手段機能を組み込むことが従来実践されている。
【0003】
[003]例えばセキュリティ文書のためのセキュリティ機能は、一般に、一方では「隠された」セキュリティ機能、他方では「明白な」セキュリティ機能に分類し得る。隠されたセキュリティ機能により付与される保護はそのような機能の検出が難しく、検出のために典型的には特殊な機器及び知識が必要であるという概念に依拠し、一方「明白な」セキュリティ機能は、補助なしでの人間の感覚で容易に検出可能であり、例えば、そのような機能は、可視及び/又は触覚により検出可能でありながら、依然として作製及び/又は複写が困難であり得るという概念に依拠する。しかしながら、明白なセキュリティ機能の有効性は、大部分の使用者、及び特に保護された文書又は品のセキュリティ機能の予備知識を持たない者は、そのセキュリティ機能の存在及び性質について実際の知識を持つならば、前記セキュリティ機能に基づくセキュリティチェックのみを実際に行うであろうことから、セキュリティ機能であると容易に認識されることに大いに依存している。
【0004】
[004]明白なセキュリティ機能の例としては反射機能及び光学可変機能が挙げられ、前記セキュリティ機能は、観察する角度の変動により、明度及び/又は彩度及び/又は色相の変化によって表現されるカラーシフト又は変色を示す。典型的には、前記セキュリティ機能は、薄片状多層干渉顔料を含むインクから作製される。
【0005】
[005]国際公開第2003/020834号には、光学可変セキュリティ機能を作製するための薄片状多層干渉顔料を含む水性セキュリティインクが開示されている。水性インク中の顔料の腐食を回避又は低減する目的で、前記顔料の表面は、例えばリン酸のフッ化有機エステル等の不動態化剤により処理される。しかしながら、水性セキュリティインクは印刷が難しいことがあり、乾燥プロセスが長くなる。
【0006】
[006]国際公開第2006/117271号には、光学可変セキュリティ機能を作製するための薄片状多層干渉顔料を含む溶剤セキュリティインクが開示されている。しかしながら、環境問題、及び化学工業のREACH及びGHS等の環境規制に対する必要な敏感さに対する世間の感度が高まりつつある結果、著しく低減された量の有機溶媒(揮発有機成分、VOC)を含有するインクが調合され、工業による前記薄片状顔料を含む紫外可視放射硬化性スクリーン印刷インクの開発が促進された。
【0007】
[007]薄片状顔料を含む反射機能及び光学可変機能の知覚される光学特性が、基材上の乾燥したインク中における前記薄片状顔料の配向に依存することは、当該技術分野で公知である。薄片状顔料を含む水性又は溶剤インクを徐々に乾燥させるプロセスは、塗布された前記インクの厚さを減少させ、前記インクが塗布される基材に対して実質的に平行に薄片状顔料を配向させそれにより良好な光学特性を示す反射機能及び光学可変作製できるという利点を有するため、薄片状顔料を含む紫外可視放射硬化性インクを即座に硬化させるプロセス及び硬化したインク層の厚さが実質的に変化しないことは、前記顔料のランダム配向を引き起こすことがあり、またそれにより劣った光学特性を示すおそれのある反射機能及び光学可変が作製されることがある。
【0008】
[008]薄片状顔料に基づく反射機能及び光学可変セキュリティ機能の目立った効果及び光学的性質を改善する目的で、前記顔料は、前記顔料を含むインクが塗布される基材に対して実質的に平行な平面内でより容易に配列するように、疎水性化合物で表面処理されてきた。本文献において、表面処理された顔料はリーフィング顔料と呼ばれる。
【0009】
[009]欧州特許出願公開第1090963号には、フッ素含有リン酸エステルで表面処理された薄片様真珠光沢顔料、及び前記顔料を含むインク、塗料、プラスチック、又は化粧品が開示されている。欧州特許出願公開第1090963号には、溶剤グラビア印刷インクが開示されている。
【0010】
[010]米国特許出願公開第2002/0096087号には、例えばフッ素含有シラン等の少なくとも1つの有機疎水性カップリング剤を含有する小板状顔料に基づく小板状真珠光沢顔料、及び塗料、インク、プラスチック、塗膜、及び化粧品におけるその顔料の使用が開示されている。
【0011】
[011]米国特許出願公開第2004/0069187号には、カップリング剤及びパーフルオロアルキル基を有する有機化合物で被覆された薄片様顔料、及び印刷インクにおけるその顔料の使用が開示されている。
【0012】
[012]米国特許出願公開第2015/0166799号には、フルオロアルキル基及び親水性基を含有し、少なくとも1つのシロキサン及び/又は少なくとも1つのシランから形成された有機塗膜で被覆されたフレーク状効果顔料、及びその顔料の多くの用途、及び塗料、インク、プラスチック、塗膜、及び化粧品における使用が開示された。
【0013】
[013]米国特許出願公開第2016/0207344号には、基材上の少なくとも2つの領域ユニットからなる印刷画像であって、第1の領域ユニットが非金属性無機材料を含む外層を有する第1のフレーク状効果顔料を含み、第2の領域ユニットがフルオロアルキル基及びアミノアルキル基を含有する有機官能性シロキサン等の有機表面改質剤を含む外層を有する第2のフレーク状効果顔料を含む印刷画像が開示されている。米国特許出願公開第2016/0207344号には、溶剤インク又は紫外硬化性インクであってもよい印刷インクが開示されている。
【0014】
[014]国際公開第2013/119387号には、リーフィング金属性顔料薄片、アクリル酸オリゴマー及び/又はアクリル酸モノマー、開始剤又は開始剤の混合物、及び第三級アミンである硬化促進剤を含む紫外放射ラジカル硬化性金属性装飾組成物が開示されている。開示されたリーフィング金属性顔料薄片は、脂肪酸、リン化合物、シラン、又は脂肪族アミンで表面処理される。開示された紫外可視放射硬化性インクには、外観を含む光学的性質に劣り、彩度が低いという欠点がある。
【0015】
[015]特開2004244562号公報には、ステアリン酸で表面処理されたリーフィングアルミニウム顔料、カチオン光開始剤、及び前記インクの消泡性を改善する水酸基含有脂肪酸を含む紫外放射カチオン重合性インクが開示されている。しかしながら、ステアリン酸で表面処理されたアルミニウム顔料を含む組成物中にカチオン光開始剤を使用することにより、ステアリン酸がカチオン光開始剤により生成された酸で置換され、またそれにより得られるリーフィング効果及び光学的性質が失われる。
【0016】
[016]特開2000273399号公報には、アルキル界面活性剤(ステアリン酸)で処理されたアルミニウム粉末を含有する紫外カチオン又はラジカル硬化性塗膜形成組成物が開示されている。このような処理は、工業的な印刷速度ではアルミニウム薄片を基材表面に平行に配向させず、したがって低い劣った光学特性を有する硬化塗膜をもたらす。
【0017】
[017]特開2003261817号公報には、アルミニウム顔料及びアミンを含有する紫外カチオン硬化性組成物が開示されている。この開示された組成物は、高速の工業的な印刷プロセスでは金属性の輝きを十分に速く発現させず、したがって劣った光学的性質を有する硬化塗膜をもたらす。
【0018】
[018]米国特許第9,914,846号には変性効果顔料を含む放射硬化塗膜組成物が開示され、前記効果顔料は、少なくとも1つの金属酸化物層により被覆され、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化鉄、酸化スズ、酸化亜鉛、又はそれらの混合物と、炭素-炭素多重結合を有する1つ又は複数の官能基を有する少なくとも1つの有機化合物とを含む。さらに、有機化合物が金属酸化物層に結合しており、適した変性効果顔料は有機オリゴマー又はポリマーを有さないことも開示されている。米国特許第9,914,846号には、従来の紫外硬化性化合物を含む塗膜組成物が開示されており、ラジカル重合性バインダーとカチオン重合性バインダーの両方が使用可能である。例示された組成物は、SiO2で被覆されたアルミニウム顔料を含み、メタクリル官能性シラン化合物を含むアクリル酸系ラジカル硬化性紫外印刷インクである。塗膜母材の表面張力は最適化されていないため、工業的な印刷速度においては効果顔料の十分に速い配向を得ることができず、したがって比較的劣った光学特性になる。
【0019】
[019]したがって、高い偽造行為からの回復力及び優れた光学的性質を必要とする非常に要求の厳しい用途において特に、カチオン硬化性インク又はハイブリッドインクである、溶媒を含まない又はVOC含有量の少ない紫外可視放射硬化性セキュリティインクの必要性が残っている。特に、薄片状多層干渉顔料に基づく反射機能及び光学可変機能を作製するための紫外可視放射硬化性セキュリティインクであって、前記セキュリティ機能が彩度、明度、及び/又はカラーシフト性に関して改善された光学特性を示すインクの必要性が存在する。
【0020】
[概要]
[020]したがって、本発明の目的は、上述の従来技術の欠陥を克服することである。
【0021】
[021]第1の態様において、本発明が提供するのは、紫外可視放射硬化性セキュリティインクであって、
i)25℃で約200~約2000mPasの間の粘度を有するインクビヒクル約75重量%~約99重量%であり、
a)a1)1つ又は複数の脂環式エポキシド45重量%~約75重量%と、a2)好ましくはオキソニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、及びそれらの混合物からなる群から選択されるオニウム塩である1つ又は複数のカチオン光開始剤約2重量%~約15重量%、又は
b)b1)1つ又は複数の脂環式エポキシドと、トリ(メタ)アクリラート、テトラ(メタ)アクリラート、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数のラジカル硬化性化合物とを含む混合物約45重量%~約75重量%と、b2)好ましくはオキソニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、及びそれらの混合物からなる群から選択されるオニウム塩である1つ又は複数のカチオン光開始剤と、好ましくはヒドロキシケトン、アルコキシケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ケトスルホン、ベンジルケタール、ベンゾインエーテル、ホスフィンオキシド、フェニルグリオキシラート、チオキサントン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、より好ましくはホスフィンオキシド、チオキサントン、アルファ-ヒドロキシケトン、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数のラジカル光開始剤との混合物約2重量%~約15重量%、
c)任意選択で、1つ又は複数のビニルエーテル約20重量%未満の量、又は1つ又は複数のオキセタン約30重量%以下の量、又は1つ又は複数のビニルエーテルと1つ又は複数のオキセタンとの組み合わせ約15重量%以下の量を含む前記インクビヒクル
を含み、
a)、b)、及びc)の重量パーセントが、インクビヒクルの総重量に基づく、インクビヒクルと、
ii)薄片状非金属性又は金属性基材を含む顔料約1~約25重量%であり、前記非金属性又は金属性基材が、1つ又は複数の金属酸化物、1つ又は複数の金属水和酸化物、1つ又は複数の金属亜酸化物、又はこれらの材料の混合物から独立的に形成される1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜層と、環境に面し、1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜層の上層と直接接触し、パーフルオロポリエーテルから選択される1つ又は複数の表面改質剤から形成される少なくとも部分的な表面処理層とを含み、前記パーフルオロポリエーテルが1つ又は複数のリン(P)含有基又は1つ又は複数のケイ素(Si)含有基により官能基化されている、顔料と
を含む紫外可視放射硬化性セキュリティインクであって、
i)及びii)の重量パーセントが紫外可視放射硬化性セキュリティインクの総重量に基づく、紫外可視放射硬化性セキュリティインクである。
【0022】
[022]また、本明細書において、セキュリティ文書又は物品上の1つ又は複数のセキュリティ機能の製造における、本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインク、好ましくは本明細書に記載の紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクの使用、及びその製造により得られるセキュリティ機能についても記載される。
【0023】
[023]また、本明細書において、本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインク、好ましくは本明細書に記載の紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクから作製されたセキュリティ機能についても記載される。
【0024】
[024]また、本明細書において、基材と、本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインク、好ましくは本明細書に記載の紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクの放射線硬化により得られる放射線硬化塗膜とを含む物品についても記載される。
【0025】
[025]また、本明細書において、本明細書に記載の物品を作製する方法であって、
a)好ましくは輪転グラビアプロセス、フレキソ印刷プロセス、及びスクリーン印刷プロセスからなる群から選択される、より好ましくはスクリーン印刷プロセスからなる群から選択される印刷プロセスにより、本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインク、好ましくは本明細書に記載の紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクを基材に印刷するステップと、
b)紫外可視放射硬化性セキュリティインクを硬化させて1つ又は複数のセキュリティ機能を形成するステップと
を含む方法についても記載される。
【0026】
[詳細な説明]
[026]以下の定義は、説明において議論され、特許請求の範囲において列挙される用語の意味を解釈するために使用される。
【0027】
[027]本明細書において使用される場合、冠詞「a」は、1つ及び2つ以上を示し、必ずしも指示対象の名詞を単数に限定しない。
【0028】
[028]本明細書において使用される場合、「約」という用語は、問題の量又は値が指定された特定の値、又は近傍の他の値であってもよいことを意味する。一般に、ある値を示す「約」という用語は、その値から±5%の範囲示すことを意図する。一例として、「約100」という句は、100±5の範囲、すなわち95~105の範囲を示す。好ましくは、「約」という用語で示される範囲は、その値の±3%以内の範囲、より好ましくは±1%以内の範囲を示す。一般に、「約」という用語が使用される際、示された値の±5%の範囲内で本発明と同様の結果又は効果を得ることができると予期することができる。
【0029】
[029]本明細書において使用される場合、「及び/又は」という用語は、前記群の要素の全て又は1つのみのいずれかが存在し得ることを意味する。例えば、「A及び/又はB」は、「Aのみ、又はBのみ、又はA及びBの両方」を意味する。「Aのみ」の場合、この用語はBが存在しない、すなわち「Aのみ、Bではない」である可能性をも包含する。
【0030】
[030]本明細書において使用される場合、「少なくとも」という用語は、1つ又は2つ以上、例えば1つ又は2つ又は3つを定義することを意図する。
【0031】
[031]本明細書において使用される「含む」という用語は、非排他的かつオープンエンドであることを意図する。したがって、例えば化合物Aを含む溶液は、A以外の化合物を含んでもよい。しかしながら、「含む」という用語は、その特定の実施形態として、「から実質的になる」及び「からなる」というより限定的な意味をも包含するため、例えば「Aと、Bと、任意選択でCとを含む溶液」は、(実質的に)AとBとからなる、又は(実質的に)Aと、Bと、Cとからなる場合もある。
【0032】
[032]本説明が「好適な」実施形態又は特徴と言及する際、それらの「好適な」実施形態又は特徴の組み合わせも、その「好適な」実施形態又は特徴の特定の組み合わせに技術的に意味がある限り、開示されると考えられる。
【0033】
[033]「セキュリティ文書」という用語は、少なくとも1つのセキュリティ機能により、偽造又は不正から通常保護される文書を指す。セキュリティ文書の例は、限定することなく、有価文書及び有価商品を含む。
【0034】
[034]「紫外可視硬化性」及び「紫外可視硬化」という用語は、電磁スペクトルの紫外又は紫外及び可視部分(典型的には100nm~800nm、好ましくは150~600nmの間、より好ましくは200~400nmの間)の波長成分を有する照射の影響下での光重合による放射線硬化を指す。
【0035】
[035]本発明は、好ましくは紫外可視放射硬化性輪転グラビアセキュリティインク、紫外可視放射硬化性フレキソ印刷セキュリティインク、及び紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクからなる群から選択される、より好ましくは紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクである紫外可視放射硬化性セキュリティインクを提供する。
【0036】
[036]当業者に知られているように、輪転グラビアという用語は、例えばHandbook of Print Media、Helmut Kipphan、Springer Edition、48ページに記載されている印刷プロセスを指す。輪転グラビアは、画像要素がシリンダーの表面へ刻み込まれる印刷プロセスである。非画像領域は、一定の元のレベルにある。印刷の前に、印刷版全体(非印刷及び印刷要素)がインクでインク付けされ、浸される。インクは印刷前にワイパー又はブレードにより非画像から除去され、インクはセル内にのみ残留する。画像は、典型的には2~4バールの範囲の圧力により、及び基材とインクとの間の接着力により、セルから基材に転写される。輪転グラビアという用語は、例えば異なる種類のインクに依存する凹版印刷プロセス(当技術分野において彫刻鋼製金型又は銅版印刷プロセスとも呼ばれる)を包含しない。
【0037】
[037]フレキソ印刷法は、好ましくは、チャンバー付きドクターブレード、アニロックスローラー、及び版胴を有するユニットを使用する。アニロックスローラーは、有利には、その容積及び/又は密度がインク又はニスの塗布率を決定する小セルを有する。チャンバー付きドクターブレードは、アニロックスローラー上に載置され、セルを充填すると同時に余分なインク又はニスを掻き落とす。アニロックスローラーは、インクを版胴に転写し、版胴は最終的にインクを基材に転写する。版胴は、ポリマー又はエラストマー材料から作製されることが可能である。ポリマーは、主に版のフォトポリマーとして、時折スリーブ上の継ぎ目のない塗膜として使用される。フォトポリマー版は、紫外(UV)光により硬質化される感光性ポリマーから作製される。フォトポリマー版は、必要なサイズに切断され、紫外光露光ユニット内に設置される。版の片側は、版の基部を硬質化又は硬化させるために紫外光に完全に露光される。次いで版は反転され、未硬化側にジョブのネガが装着され、版が紫外光にさらに露光される。これにより、画像領域の版が硬質化する。次いで、版は、非画像領域から未硬質化フォトポリマーを除去するために処理され、これによってこれらの非画像領域の版表面が低くなる。処理後、版は乾燥され、後露光線量の紫外光が当てられて、版全体が硬化される。フレキソ印刷用の版胴の調製は、Printing Technology、J.M.Adams及びP.A.Dolin、Delmar Thomson Learning、第5版、359~360ページに記載されている。
【0038】
[038]スクリーン印刷(当技術分野においてシルクスクリーン印刷とも呼ばれる)は、典型的にはメッシュ状織物でできたスクリーンを使用してインク止めステンシルを支持する印刷技術である。取り付けられたステンシルは、インクをエッジの鋭い画像として基材上に転写するメッシュの開口領域を形成する。インク止めステンシル付きのスクリーンを横切るようにスキージを動かし、開口領域におけるメッシュ状織物の糸をインクに通過させる。スクリーン印刷の大きな特徴は、他の印刷技術よりもインクをより分厚く基材に塗布できることである。したがって、スクリーン印刷は、他の印刷技術では(容易には)達成できない、約10~50μmの間以上の値の厚さでインクが堆積することが必要とされる場合にも好適である。一般に、スクリーンは、例えばアルミニウム又は木製のフレーム上に張られたメッシュと呼ばれる多孔質で目の細かい織布の一片でできている。現在、ほとんどのメッシュは合成糸又は鋼鉄糸等の人工材料でできている。好適な人工材料は、ナイロン糸又はポリエステル糸である。
【0039】
[039]合成又は金属糸に基づくメッシュ状織物に基づいて作製されたスクリーンに加えて、孔の格子を有する固体状の金属シートからスクリーンが開発されてきた。このようなスクリーンは、第1の電解槽中で分離剤を備えた母材上にスクリーン骨格を形成することにより電気分解により金属スクリーンを形成するステップと、形成されたスクリーン骨格を母材から剥がすステップと、金属を前記骨格上に堆積させるために第2の電解槽中でスクリーン骨格を電気分解するステップとを含むプロセスにより準備される。
【0040】
[040]スクリーン印刷機には、フラットベッド式、シリンダー式、及び回転式スクリーン印刷機の3種類がある。フラットベッド式及びシリンダー式スクリーン印刷機は、どちらもフラットスクリーン及び三段階往復プロセスを使用して印刷動作を行う点で類似している。スクリーンをまず基材上の位置に移動させ、次いでスキージをメッシュに押し付けて画像領域上を引き、次いでスクリーンを基材から持ち上げてプロセスを完了する。フラットベッド機では、印刷に使用される基材は、典型的にはスクリーンに平行な水平プリントベッド上に置かれる。シリンダー機では、基材はシリンダー上に載置される。フラットベッド式及びシリンダー式スクリーン印刷プロセスは不連続プロセスであり、そのため一般に最高で巻取紙では45m/分又は枚葉給紙プロセスでは3000枚/時の速度に制限される。
【0041】
[041]逆に、回転式スクリーン機は、連続高速印刷用に設計されている。回転式スクリーン機に使用されるスクリーンは、例えば、通常上述の電鋳法を使用して得られる又は鋼鉄糸の織物により作製される薄い金属シリンダーである。オープンエンドシリンダーは両端に蓋をされ、装置の側部におけるブロックに嵌め込まれる。印刷の間、新規供給が絶えず維持されるようにインクはシリンダーの一端にポンプで押し出される。スキージは回転するスクリーン内に固定され、スキージ圧は、良好かつ一定の印刷品質を可能にするように維持され調節される。回転式スクリーン機の利点は、巻取紙では150m/分又は枚葉給紙プロセスでは10000枚/時に容易に達する可能性のある速度である。
【0042】
[042]スクリーン印刷、例えばThe Printing Ink Manual、R.H.Leach及びR.J.Pierce、Springer Edition、第5版、58~62ページ、Printing Technology、J.M.Adams及びP.A.Dolin、Delmar Thomson Learning、第5版、293~328ページ、及びHandbook of Print Media、H.Kipphan、Springer、409~422ページ及び498~499ページでさらに説明される。
【0043】
[043]1つの実施形態によれば、本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインク、好ましくは紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクは、紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインクである。別の実施形態によれば、本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインク、好ましくは紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクは、紫外可視放射ハイブリッド硬化性セキュリティインク、すなわち1つ又は複数のカチオン硬化性化合物と1つ又は複数のラジカル硬化性化合物を含むインクである。
【0044】
[044]カチオン硬化性化合物は、紫外可視光による、酸等のカチオン種を遊離させる1つ又は複数の光開始剤の活性化からなるカチオン機構により硬化され、このカチオン種が今度は硬化バインダーを形成するように化合物の重合を開始させる。ラジカル硬化性インク又は組成物は、紫外可視光による、ラジカルを遊離させる1つ又は複数の光開始剤の活性化からなるラジカル機構により硬化され、このラジカルが今度は重合プロセスを開始させる。任意選択で、1つ又は複数の光増感剤も存在してよい。光増感剤は、紫外可視光源が発する波長のうち1つ又は複数により活性化され、励起状態に達する。励起された光増感剤は、1つ又は複数の光開始剤(ラジカル重合において)又は電子(カチオン重合において)のいずれかへエネルギーを伝達する。どちらのプロセスも次に重合プロセスを開始させる。
本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインクを硬化させるために必要とされる光源は、水銀ランプ(好ましくは中圧水銀ランプ)、紫外LEDランプ、及びそれらの連続的使用からなる群から選択される。典型的な連続的使用には、第1のステップにおいて1つ又は複数の紫外LEDランプを使用して紫外可視放射組成物を部分的に硬化させ、第2のステップで1つ又は複数の中圧水銀ランプを使用することが含まれる。水銀ランプは、有利には、UV-A、UV-B、及びUV-C領域の幅広い領域の波長を発する。したがって、水銀ランプの発光帯のうち少なくとも1つに合致する吸収スペクトルを有する光開始剤又は光開始剤と光増感剤の組み合わせが豊富に揃えられている。紫外LEDは、光開始剤又は光開始剤と光増感剤の組み合わせの限定された選択のみが工業的な印刷速度において十分に効率的であるような、より限定された波長範囲を有する。一方、紫外LEDはより低コストで、より少ないエネルギーを必要とし(特に、大幅に要求の厳しさの低い放熱システムを必要とし)、オゾンを形成しにくく、大幅に長い寿命を有する。
【0045】
[045]本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインク、好ましくは紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクは、25℃においてB型粘度計(「DV-I Prime」型、500~2500mPasの間の粘度では100rpmでスピンドルS27、500mPas以下の粘度では100rpmでスピンドルS21)を使用した粘度が約200~約2000mPasの間であるインクビヒクル約75重量%~約99重量%を含む。
【0046】
[046]1つの実施形態によれば、本明細書に記載のインクビヒクルは、カチオン硬化性インクビヒクル(すなわちラジカル硬化性化合物を含まない完全カチオン硬化性インクビヒクル)であり、a1)本明細書に記載の1つ又は複数の脂環式エポキシド約45重量%~約75重量%と、a2)1つ又は複数のカチオン光開始剤約2重量%~約15重量%とを含み、重量パーセントはインクビヒクルの総重量に基づく。
【0047】
[047]別の実施形態によれば、本明細書に記載のインクビヒクルは、ハイブリッドインクビヒクルであり、そのためb1)本明細書に記載の1つ又は複数の脂環式エポキシドと本明細書に記載の1つ又は複数のラジカル硬化性化合物とを含む混合物約45~約75重量%と、b2)1つ又は複数のカチオン光開始剤と1つ又は複数のラジカル光開始剤の混合物約2重量%~約15重量%とを含み、重量パーセントはインクビヒクルの総重量に基づく。
【0048】
[048]本明細書に記載の1つ又は複数の脂環式エポキシドは、二官能性又は多官能性であってもよい。好ましくは、記載の1つ又は複数の脂環式エポキシドは、少なくとも1つのシクロヘキサン基と、少なくとも2つのエポキシド基とを独立的に含む。好適な脂環式エポキシドは、2つ以上のシクロヘキサンエポキシド基を含み、構造式(I)を有する。
【化1】
式中、Xは単結合及び1つ又は複数の原子を含む2価の基から選択される。
【0049】
[049]1つの実施形態によれば、Xは1~18個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキレン基である2価の炭化水素基であり、前記直鎖又は分岐鎖アルキレン基の例としては、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、及びトリメチレン基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
[050]1つの実施形態によれば、Xは1,2-シクロペンチレン基、1,3-シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2-シクロヘキシレン基、1,3-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキシレン基、及びシクロヘキシリデン基等の2価の脂環式炭化水素基又はシクロアルキレン基である。
【0051】
[051]1つの実施形態によれば、Xは-CO-、-O-CO-O-、-COO-、及び-O-である1つ又は複数の酸素含有結合基を含む2価の基である。1つの実施形態によれば、2つ以上の酸化シクロヘキサン基を含み、構造式(I)を有し、式中Xは-CO-、-O-CO-O-、-COO-、-O-である1つ又は複数の酸素含有結合基を含む2価の基である好適なエポキシ誘導体は、構造式(II)、(III)、又は(IV)を有する。
【化2】
3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシラートに相当し、式中、R
1~R
9は独立的に、水素、又は1~10個の炭素原子を含有する、好ましくは1~3個の炭素原子を含有する線状又は分岐アルキルラジカル(例えばメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、ヘキシル、オクチル、及びデシル)であり、好ましくは構造式(II)を有する脂環式エポキシドは、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシラート、3,4-エポキシ-6-メチル-シクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサンカルボキシラート、3,4-エポキシ-2-メチル-シクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-2-メチル-シクロヘキサンカルボキシラート、及び3,4-エポキシ-4-メチル-シクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-4-メチルシクロヘキサンカルボキシラートである。
【化3】
ジカルボン酸の脂環式ジエポキシドエステルに相当し、式中、R
1~R
9は独立的に、水素、又は1~10個の炭素原子を含有する、好ましくは1~3個の炭素原子を含有する線状又は分岐アルキルラジカル(例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、及びデシル)であり、Aは原子価結合、又は一般に1~10個の炭素原子を含有する、好ましくは3~8個の炭素原子を含有する、例えばアルキレンラジカル(例えばトリメチレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、及び2-エチルヘキシレン)及び脂環式ラジカル(例えば1,4-シクロヘキサン、1,3-シクロヘキサン、及び1,2-シクロヘキサン)等の線状又は分岐状の2価の炭化水素ラジカルであり、好ましくは構造式(III)を有するジカルボン酸の脂環式ジエポキシドエステルは、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジパート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジパート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)オキサラート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)ピメラート、及びビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)セバカートである。
【化4】
式中、R
1~R
9は独立的に、水素、又は1~3個の炭素原子を含有する線状又は分岐炭化水素ラジカルであり、構造式(IV)を有する脂環式ジエポキシドの好適な例として、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-メタ-ジオキサンが挙げられる。
【0052】
[052]1つの実施形態によれば、本明細書に記載の1つ又は複数の脂環式エポキシドは、構造式(V)又は(VI)を有する。
【化5】
【0053】
[053]本明細書に記載の1つ又は複数の脂環式エポキシドは、水酸基又は(メタ)アクリラートにより修飾されてもよい。例は、株式会社ダイセルからサイクロマーA400(CAS:64630-63-3)及びサイクロマーM100(CAS:82428-30-6)、又はTetraChem/JiangsuからTTA15及びTTA16という名称で市販されている。
【0054】
[054]本明細書に記載のインクビヒクルがカチオン硬化性インクビヒクル(すなわちラジカル硬化性化合物を含まない完全カチオン硬化性インクビヒクル)である実施形態については、本明細書に記載の前記インクビヒクルは、本明細書に記載のオニウム塩である1つ又は複数のカチオン光開始剤(当該技術分野で光酸発生剤とも称する)を約2重量%~約15重量%、好ましくは約3重量%~約12重量%、より好ましくは約4重量%~約10重量%含む。本明細書に記載のオニウム塩は、好ましくはアゾニウム塩、オキソニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくはオキソニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、及びそれらの混合物からなる群から選択され、さらに好ましくはヨードニウム塩、スルホニウム塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0055】
[055]本明細書に記載の1つ又は複数のヨードニウム塩はカチオン部分及びアニオン部分を有し、アニオン部分は、好ましくはBF4
-、B(C6F5)4
-、PF6
-、AsF6
-、SbF6
-、又はCF3SO3
-、より好ましくはSbF6
-又はPF6
-であり、カチオン部分は、好ましくは芳香族ヨードニウムイオン、より好ましくは2つのアリール基を含むヨードニウムイオンであり、2つのアリール基は、独立的に1つ又は複数のアルキル基(例えばメチル、エチル、イソブチル、tert-ブチル等)、1つ又は複数のアルコキシ基、1つ又は複数のニトロ基、1つ又は複数のハロゲン含有基、1つ又は複数の水酸基、又はそれらの組み合わせによって置換されてもよい。本発明のヨードニウム塩の特に適した例は、IGM ResinsからOmnicat250及び440及びLambsonからSpeedcure938という名称で市販されている。
【0056】
[056]本明細書に記載の1つ又は複数のスルホニウム塩はカチオン部分及びアニオン部分を有し、アニオン部分は、好ましくはBF4
-、B(C6F5)4
-、PF6
-、(PF6-m(CnF2n-1)m)-(式中mは1~5の整数であり、nは1~4の整数である)、AsF6
-、SbF6
-、CF3SO3
-、パーフルオロアルキルスルホナート、又はペンタフルオロヒドロキシアンチモナート、より好ましくはSbF6
-又はPF6
-であり、カチオン部分は、好ましくは芳香族スルホニウムイオン、より好ましくは2つ以上のアリール基を含むスルホニウムイオンであり、2つ以上のアリール基は、独立的に1つ又は複数のアルキル基(例えばメチル、エチル、イソブチル、tert-ブチル等)、1つ又は複数のアルコキシ基、1つ又は複数のアリールオキシル基、1つ又は複数のハロゲン含有基、1つ又は複数の水酸基、又はそれらの組み合わせによって置換されてもよい。
【0057】
[057]2つ以上のアリール基を含むスルホニウムイオンの適した例はとしては、トリアリールスルホニウムイオン、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムイオン、ビス[4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルホニウムイオン、トリフェニルスルホニウムイオン、及びトリス[4-(4-アセチルフェニル)スルファニルフェニル]スルホニウムイオンが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0058】
[058]有用な光開始剤の他の例は、1998年にSITA Technology Limitedと共同でJohn Wiley&Sonsにより発行された、「Chemistry&Technology of UV&EB Formulation for Coatings、Inks&Paints」、第3巻、「Photoinitiators for Free Radical Cationic and Anionic Polymerization」、第2版、J.V.Crivello&K.Dietliker著、G.Bradley編等の標準的教本において見出すことができる。
【0059】
[059]本明細書における紫外可視放射硬化性セキュリティインクが紫外可視放射ハイブリッド硬化性セキュリティインクである実施形態では、前記紫外可視放射ハイブリッド硬化性セキュリティインクのビヒクルは、本明細書に記載の1つ又は複数の脂環式エポキシドと、本明細書に記載のトリ(メタ)アクリラート、テトラ(メタ)アクリラート、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数のラジカル硬化性化合物とを含み、本明細書に記載の前記1つ又は複数のラジカル硬化性化合物の量は、好ましくは約30重量%以下であり、重量パーセントはインクビヒクルの総重量に基づく。
【0060】
[060]本明細書に記載の1つ又は複数のラジカル硬化性トリ(メタ)アクリラートは、好ましくはトリメチロールプロパントリアクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート、アルコキシ化(特にエトキシ化又はプロポキシ化)トリメチロールプロパントリアクリラート、アルコキシ化(特にエトキシ化又はプロポキシ化)トリメチロールプロパントリメタクリラート、アルコキシ化(特にエトキシ化又はプロポキシ化)グリセロールトリアクリラート、ペンタエリトリトールトリアクリラート、アルコキシ化(特にエトキシ化又はプロポキシ化)ペンタエリトリトールトリアクリラート、及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはトリメチロールプロパントリアクリラート、アルコキシ化(特にエトキシ化又はプロポキシ化)トリメチロールプロパントリアクリラート、アルコキシ化(特にエトキシ化又はプロポキシ化)グリセロールトリアクリラート、ペンタエリトリトールトリアクリラート、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0061】
[061]本明細書に記載の1つ又は複数のラジカル硬化性テトラ(メタ)アクリラートは、ジトリメチロールプロパンテトラアクリラート、ペンタエリトリトールテトラアクリラート、アルコキシ化(特にエトキシ化又はプロポキシ化)ペンタエリトリトールテトラアクリラート、及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはジトリメチロールプロパンテトラアクリラート、アルコキシ化(特にエトキシ化又はプロポキシ化)ペンタエリトリトールテトラアクリラート、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0062】
[062]1つ又は複数のラジカル光開始剤は、好ましくはヒドロキシケトン(例えばアルファ-ヒドロキシケトン)、アルコキシケトン(例えばアルファ-アルコキシケトン)、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ケトスルホン、ベンジルケタール、ベンゾインエーテル、ホスフィンオキシド、フェニルグリオキシラート、チオキサントン、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくはホスフィンオキシド、ヒドロキシケトン、チオキサントン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0063】
[063]アルファ-ヒドロキシケトンの適した例としては、(1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-tert-ブチル)フェニルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-[4-[[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロパノイル)フェニル]メチル]フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロパノイル)フェノキシ]フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン、及びオリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン]が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0064】
[064]アセトフェノンの適した例としては、2,2-ジエトキシアセトフェノン及び2-メトキシ-2-フェニルアセトフェノンが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0065】
[065]ベンゾフェノンの適した例としては、ベンゾフェノン、高分子ベンゾフェノン誘導体、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、メチル-2-ベンゾイルベンゾアート、4-(4-メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン、4-ヒドロキシベンゾフェノンラウラート、及びベンゾフェノン50%と1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン50%の混合物が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0066】
[066]ケトスルホンの適した例としては、1-[4-(4-ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]-2-メチル-2-(4-メチルフェニルスルホニル)プロパン-1-オンが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0067】
[067]ベンジルケタールの適した例としては、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0068】
[068]ベンゾインエーテルの適した例としては、2-エトキシ-1,2-ジフェニルエタノン、2-イソプロポキシ-1,2-ジフェニルエタノン、2-イソブトキシ-1,2-ジフェニルエタノン、2-ブトキシ-1,2-ジフェニルエタノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタノン、及び2,2-ジエトキシアセトフェノンが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0069】
[069]ホスフィンオキシドの適した例としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナート、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、置換アシル-ホスフィンオキシド、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドと2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンの混合物、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドと2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンの混合物、及びエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナートと2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンの混合物が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0070】
[070]チオキサントンの適した例としては、2-メチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、及び高分子チオキサントン誘導体が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0071】
[071]フェニルグリオキシラートの適した例としては、メチルベンゾイルホルマート、2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]エチル2-オキソ-2-フェニルアセタート、及び2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]エチル2-オキソ-2-フェニルアセタートとオキシ-フェニル-酢酸2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステルの混合物が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0072】
[072]本明細書で言及された1つの実施形態によれば、本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインクは紫外可視放射ハイブリッド硬化性セキュリティインクであり(すなわち前記紫外可視放射硬化性セキュリティインクのインクビヒクルが本明細書に記載の脂環式エポキシドと、本明細書に記載のオニウム塩である1つ又は複数のカチオン光開始剤と、本明細書に記載の1つ又は複数のラジカル硬化性化合物と、本明細書に記載の1つ又は複数のラジカル光開始剤とを含む)、オニウム塩である1つ又は複数のカチオン光開始剤と1つ又は複数のラジカル光開始剤の総量が約2重量%~約15重量%の間、好ましくは約3重量%~約12重量%の間、より好ましくは約4重量%~約10重量%の間であり、重量パーセントはインクビヒクルの総重量に基づく。好ましくは、オニウム塩である1つ又は複数のカチオン光開始剤は約1重量%~約10重量%の間の量で存在し、1つ又は複数のラジカル光開始剤は約1重量%~約5重量%の間の量で存在し、重量パーセントはインクビヒクルの総重量に基づくが、ただしオニウム塩である1つ又は複数のカチオン光開始剤と1つ又は複数のラジカル光開始剤の総量は約2重量%~約15重量%の間、好ましくは約3重量%~約12重量%の間、より好ましくは約4重量%~約10重量%の間であり、重量パーセントはインクビヒクルの総重量に基づく。
【0073】
[073]本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインクのインクビヒクル(紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインクのインクビヒクル及び紫外可視放射ハイブリッド硬化性セキュリティインクのインクビヒクル)は、c1)1つ又は複数のビニルエーテル、又はc2)1つ又は複数のオキセタン又はc3)1つ又は複数のビニルエーテルと1つ又は複数のオキセタンとの組み合わせをさらに含んでもよい。
【0074】
[074]1つの実施形態によれば、本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインク(紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインクのインクビヒクル及び紫外可視放射ハイブリッド硬化性セキュリティインクのインクビヒクル)は、1つ又は複数のビニルエーテルをさらに含んでもよい。本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインクのインクビヒクルが本明細書に記載の1つ又は複数のビニルエーテルを含み、本明細書に記載の1つ又は複数のオキセタンを含まない実施形態では、前記1つ又は複数のビニルエーテルは、約20重量%未満の量、好ましくは約5.0重量%以上約15重量%以下の量で存在し、重量パーセントはインクビヒクルの総重量に基づく。
【0075】
[075]ビニルエーテルは、硬化を促進し、粘着性を減少させ、そのため印刷及び硬化直後に印刷したシートが積み上げられる時のブロッキング及び裏移りのおそれを限定すると当該技術分野で知られている。また、ビニルエーテルは、印刷されたセキュリティ要素の物理的及び化学的耐性を改善し、印刷及び硬化されたインク層の可撓性を向上させるが、これらは本発明のセキュリティインクをプラスチック又はポリマー基材上に印刷する際に有利である場合がある。また、ビニルエーテルは、インクビヒクルと強く共重合しながら、インクの粘度の減少を助ける。
【0076】
[076]好適なビニルエーテルの例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、tert-ブチルビニルエーテル、tert-アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、4-(ビニルオキシメチル)シクロヘキシルメチルベンゾアート、フェニルビニルエーテル、メチルフェニルビニルエーテル、メトキシフェニルビニルエーテル、2-クロロエチルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、1,6-ヘキサンジオールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジビニルエーテル、4-(ビニルオキシ)ブチルベンゾアート、ビス[4-(ビニルオキシ)ブチル]アジパート、ビス[4-(ビニルオキシ)ブチル]スクシナート、ビス[4-(ビニルオキシメチル)シクロヘキシルメチル]グルタラート、4-(ビニルオキシ)ブチルステアラート、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、炭酸プロピレンのプロペニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ポリ(テトラヒドロフラン)ジビニルエーテル、ポリエチレングリコール-520メチルビニルエーテル、pluriol-E200ジビニルエーテル、トリス[4-(ビニルオキシ)ブチル]トリメリタート、1,4-ビス(2-ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、2,2-ビス(4-ビニルオキシエトキシフェニル)プロパン、ビス[4-(ビニルオキシ)メチル]シクロヘキシル]メチル]テレフタラート、ビス[4-(ビニルオキシ)メチル]シクロヘキシル]メチル]イソフタラートが挙げられる。適したビニルエーテルは、EVE、IBVE、DDVE、ODVE、BDDVE、DVE-2、DVE-3、CHVE、CHDM-di、HBVEという呼称でBASFから商業的に販売されている。本明細書に記載の1つ又は複数のビニルエーテルは、ヒドロキシ変性又は(メタ)アクリラート変性(例えば株式会社日本触媒のVEEA、2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルアクリラート(CAS:86273-46-3))されていてもよい。
【0077】
[077]別の実施形態によれば、本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインクのインクビヒクル(紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインクのインクビヒクル及び紫外可視放射ハイブリッド硬化性セキュリティインクのインクビヒクル)は、本明細書に記載の1つ又は複数のオキセタンを含む。本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインクのインクビヒクルが本明細書に記載の1つ又は複数のオキセタンを含み、本明細書に記載の1つ又は複数のビニルエーテルを含まない実施形態では、前記1つ又は複数のオキセタンは、約30重量%以下の量、好ましくは約5重量%以上約25重量%以下の量で存在し、重量パーセントはインクビヒクルの総重量に基づく。
【0078】
[078]オキセタン化合物は、硬化を促進し、粘着性を減少させ、そのため印刷及び硬化直後に印刷したシートが積み上げられる時のブロッキング及び裏移りのおそれを限定すると当該技術分野で知られている。また、オキセタン化合物は、インクビヒクルと強く共重合しながら、インク粘度の減少を助ける。
【0079】
[079]オキセタンの好適な例としては、酸化トリメチレン、3,3-ジメチルオキセタン、トリメチロールプロパンオキセタン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-[(2-エチルヘキシルオキシ)メチル]オキセタン、3,3-ジシクロメチルオキセタン、3-エチル-3-フェノキシメチルオキセタン、ビス([1-エチル(3-オキセタニル)]メチル)エーテル、1,4-ビス[3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3,3-ジメチル-2(p-メトキシ-フェニル)-オキセタン、3-エチル-[(トリ-エトキシシリルプロポキシ)メチル]オキセタン、4,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、及び3,3-ジメチル-2(p-メトキシ-フェニル)オキセタンが挙げられる。本明細書に記載の1つ又は複数のオキセタンは、ヒドロキシ変性又は(メタ)アクリラート変性(例えばLambsonのUVi-Cure S170CAS(CAS:37674-57-0))されていてもよい。
【0080】
[080]別の実施形態によれば、本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインクのインクビヒクル(紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインクのインクビヒクル及び紫外可視放射ハイブリッド硬化性セキュリティインクのインクビヒクル)は、本明細書に記載の1つ又は複数のビニルエーテル及び本明細書に記載の1つ又は複数のオキセタンを含む。本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインクのインクビヒクルが記載の1つ又は複数のビニルエーテルと本明細書に記載の1つ又は複数のオキセタンとの組み合わせを含む実施形態では、前記組み合わせは、約15重量%以下の量、好ましくは約10重量%以上約15重量%以下の量で存在し、重量パーセントはインクビヒクルの総重量に基づく。
【0081】
[081]本明細書に記載の1つ又は複数のビニルエーテルと本明細書に記載の1つ又は複数のオキセタンの精選されたバランスは、特定の範囲において、本発明のセキュリティインクで作製されたセキュリティ要素の望ましい性質、特に容易に加工できること(最適な粘度、速硬性、裏移りの無さ、ブロッキングの無さ)及び強い化学的及び物理的耐性を最適化することを助ける。さらに、ビニルエーテル及びオキセタンは通常脂環式エポキシド化合物よりも安価であるため、費用効果の向上も助ける。
【0082】
[082]本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインクのインクビヒクル(紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインクのインクビヒクル及び紫外可視放射ハイブリッド硬化性セキュリティインクのインクビヒクル)は、1つ又は複数のポリヒドロキシ化合物をさらに含んでもよく、前記1つ又は複数のポリヒドロキシ化合物は、好ましくは約25重量%以下の量、より好ましくは約15重量%~約20重量%の間の量で存在し、重量パーセントは、インクビヒクルの総重量に基づく。
【0083】
[083]ポリヒドロキシ化合物は、セキュリティ文書、特に紙幣分野において普及してきているプラスチック又はポリマー基材等の劣った接着性を示すと知られている基材への接着を改善すると当該技術分野で知られている。
【0084】
[084]本明細書に記載の1つ又は複数のポリヒドロキシ化合物は、好ましくは3つ以上のヒドロキシ基を含み、線状、分岐状、又は多分岐状(当該技術分野で樹状とも呼ばれる)であってもよい。好ましくは、本明細書に記載の1つ又は複数のポリヒドロキシ化合物は、三官能性、四官能性化合物、六官能性化合物、又は多官能性化合物である。
【0085】
[085]本明細書に記載の1つ又は複数のポリヒドロキシ化合物は、好ましくは脂肪族又は芳香族ポリエーテルのポリヒドロキシ誘導体、ポリエステルのポリヒドロキシ誘導体、ポリカーボネートのポリヒドロキシ誘導体、グリセロール、トリメチロールプロパン、ジ-トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0086】
[086]本明細書に記載の1つ又は複数のポリヒドロキシ化合物は、少なくとも部分的にアルコキシ化されていてもよい。したがって、本明細書に記載の1つ又は複数のポリヒドロキシ化合物は、アルコキシ化単位、好ましくはエトキシ化及び/又はプロポキシ化単位を有してもよい。
【0087】
[087]1つの実施形態によれば、本明細書に記載の1つ又は複数のポリヒドロキシ化合物は、脂肪族又は芳香族ポリエーテルのポリヒドロキシ誘導体である。脂肪族又は芳香族ポリエーテルのポリヒドロキシ誘導体の例としては、例えばポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等のポリオキシアルキレンポリオール及びポリアルコキシ化ポリオールが挙げられる。
【0088】
[088]好適な実施形態によれば、本明細書に記載の1つ又は複数のポリヒドロキシ化合物は、三官能性化合物、好ましくはグリセロール及びトリメチロールプロパン、四官能性化合物、好ましくはジ-トリメチロールプロパン及びペンタエリトリトール、六官能性化合物、好ましくはジペンタエリトリトール、及びそれらの混合物からなる群から選択され、前記化合物、好ましくは前記トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、及びジペンタエリトリトールは、アルコキシ化(エトキシ化及び/又はプロポキシ化)されていてもよい。
【0089】
[089]アルコキシ化ポリヒドロキシ化合物の適した例としては、Polyol 3165、3380、3610、3611、3940、3990、R3215、R3430、R3530、R3600、4290、4360、4525、4640、4800、R4630、R4631、R4650、及びR6405という呼称でPerstorpから販売され、ここで最初の数字は1分子当たりのヒドロキシ基の数を示し、続く3つの数字はヒドロキシ数を示す。
【0090】
[090]実施形態によれば、本明細書に記載の1つ又は複数のポリヒドロキシ化合物は、ポリカプロラクトンジオール、トリオール、及びテトラオール等のポリエステルのポリヒドロキシ誘導体である。このような化合物は、例えば株式会社ダイセルからPLACCEL 200 Series、PLACCEL 300 Series、及びPLACCEL 400 Seriesとして販売されている。
【0091】
[091]好適な実施形態によれば、本明細書に記載の1つ又は複数のポリヒドロキシ化合物は、ポリエステルの多分岐ポリヒドロキシ誘導体である。本明細書において使用される「多分岐ポリマー」という用語は、樹状ポリマー、高分岐ポリマー、樹状高分子、又は樹枝状ポリマー(樹木状の構造を有し、1つ又は複数の分岐コモノマー単位を含む3次元高分岐分子)としても知られている。分岐コモノマー単位は、分岐層、1つ又は複数の間隔層、及び/又は鎖終端分子の層、及びコアとしても知られる任意選択の核を含む。分岐層の複製を続けることにより、他の分子と比較して、分枝多重度、分岐密度、及び末端官能基の数を増加させる。例えば米国特許第5,418,301号に記載されているように、ポリエステルの多分岐ポリヒドロキシ誘導体は、続く1つ又は複数のステップにおいて、適切な等量数のジメチロールプロピオン酸を用いて、中心成核分子であるポリヒドロキシ化合物(例えばトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール等)の管理されたエステル化により得られる。ポリエステルの樹状ポリヒドロキシ誘導体であるポリヒドロキシ化合物の適した例は、ボルトーン(Boltorn)(商標)H20、ボルトーン(商標)H2004、ボルトーン(商標)H311、ボルトーン(商標)P1000、及びボルトーン(商標)P500という呼称でPerstorpから販売されている。
【0092】
[092]本明細書に記載の1つ又は複数のポリヒドロキシ化合物は、100~1000mgKOH/gの間のヒドロキシ数を有することが好ましい。
【0093】
[093]本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインクのインクビヒクル(紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインクのインクビヒクル及び紫外可視放射ハイブリッド硬化性セキュリティインクのインクビヒクル)は、好ましくは炭素繊維、タルク、雲母(白雲母)、珪灰石、焼成粘土、陶土、カオリン、炭酸塩(例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムアルミニウム)、ケイ酸塩(例えば、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム)、硫酸塩(例えば硫酸マグネシウム、硫酸バリウム)、チタン酸塩(例えばチタン酸カリウム)、水和アルミナ、シリカ、フュームドシリカ、モンモリロナイト、グラファイト、アナターゼ、ルチル、ベントナイト、バーミキュライト、亜鉛白、硫化亜鉛、木粉、石英粉、天然繊維、合成繊維、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、1つ又は複数の充填剤又は増量剤をさらに含んでもよい。存在する場合、1つ又は複数の充填剤又は増量剤は、好ましくは約0.1重量%~約20重量%の量、より好ましくは約0.1重量%~約10重量%の量で存在し、重量パーセントはインクビヒクルの総重量に基づく。
【0094】
[094]本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインクのインクビヒクル(紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインクのインクビヒクル及び紫外可視放射ハイブリッド硬化性セキュリティインクのインクビヒクル)は、効率的な硬化を達成するために、本明細書に記載の1つ又は複数の光開始剤と共に1つ又は複数の光増感剤をさらに含んでもよい。光増感剤の適した例は、当業者に知られている(例えばIndustrial Photoinitiators、W.A.Green、CRC Press、2010年、表8.1、170ページ)。好適な光増感剤は、紫外LED光源による効率的速硬性を達成できるもの、例えばチオキサントン誘導体、アントラセン誘導体(例えばAnthracure UVS-1101として販売されている9,10-ジエトキシアントラセン及びAnthracure UVS-1331として販売されている9,10-ジブチルオキシアントラセン、両者とも川崎化成工業株式会社から販売)、及びチタノセン誘導体(例えばBASFから販売されているIrgacure784)である。イソプロピル-チオキサントン(ITX)、1-クロロ-2-プロポキシ-チオキサントン(CPTX)、2-クロロ-チオキサントン(CTX)、及び2,4-ジエチル-チオキサントン(DETX)、及びそれらの混合物を含むがこれらに限定されないチオキサントン誘導体が特に好適である。或いは、チオキサントン光増感剤は、オリゴマー又は高分子の形(例えばIGM Resinsから販売されているOmnipol TX、Rahnから販売されているGenopol* TX-2、又はLambsonから販売されているSpeedcure7010)で使用されてもよい。存在する場合、1つ又は複数の光増感剤は、好ましくは約0.1重量%~約10重量%、より好ましくは約0.1重量%~約5重量%、さらに好ましくは約0.2重量%~約1重量%の量で存在し、重量パーセントはインクビヒクルの総重量に基づく。
【0095】
[095]本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインクのインクビヒクル(紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインクのインクビヒクル及び紫外可視放射ハイブリッド硬化性セキュリティインクのインクビヒクル)は、本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインクの粘度を微調整するために1つ又は複数の溶媒をさらに含んでもよい。好適な溶媒は、炭酸エステル等の高い沸点を示す極性非プロトン性溶媒である。好適な炭酸エステルは、炭酸アルキレン(例えば炭酸エチレン、炭酸プロピレン、及び炭酸ブチレン)である。高い沸点及び有利な生態毒性プロファイルを有する炭酸プロピレンが特に好適である。好ましくは、インクビヒクル中の1つ又は複数の溶媒の量は、約5重量%未満、より好ましくは約2重量%未満であり、重量パーセントはインクビヒクルの総重量に基づく。
【0096】
[096]本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインクのインクビヒクルがハイブリッド硬化性インクビヒクルである実施形態では、前記インクビヒクルは、モノ(メタ)アクリラート、ジ(メタ)アクリラート、及びそれらの混合物から選択されたラジカル硬化性モノマーである1つ又は複数の反応性希釈剤をさらに含んでもよい。
【0097】
[097]本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインクのインクビヒクル(紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインクのインクビヒクル及び紫外可視放射ハイブリッド硬化性セキュリティインクのインクビヒクル)は、当該技術分野で公知の磁性材料、当該技術分野で公知の発光材料及びエレクトロルミネッセント材料、当該技術分野で公知の導電性材料、当該技術分野で公知の赤外線吸収材料、及び当該技術分野で公知の(表面増強)ラマン活性化合物からなる群から選択される法医学的マーカー及び/又は法医学的タガント及び/又は1つ又は複数の機械可読材料を含む1つ又は複数のマーカー物質及び/又はタガントをさらに含んでもよい。本明細書において使用される「機械可読材料」という用語は、肉眼で知覚できない少なくとも1つの特徴的性質を示し、層に含むことができることにより、認証のための特定の機器の使用により前記層又は前記層を備える物品を認証する手法を与える材料を指す。1つ又は複数の機械可読材料は、本明細書で特許請求し、記載する紫外可視放射硬化性セキュリティインクで作製されたセキュリティ機能における機械可読材料の検出が、前記セキュリティ機能に含有される薄片状非金属性又は金属性基材を含む顔料によって損なわれないように選択される。前記インクに含有される薄片状非金属性又は金属性基材を含む顔料の公知の特性を考慮してセキュリティインクにおいて使用される機械可読材料を選択することは、インク配合分野における当業者の一般常識の範囲内である。顔料が薄片状非金属性基材を含み、インクビヒクルが当該技術分野で公知の磁性材料、当該技術分野で公知の発光材料及びエレクトロルミネッセント材料、当該技術分野で公知の導電性材料、当該技術分野で公知の赤外線吸収材料、及び当該技術分野で公知の(表面増強)ラマン活性化合物からなる群から選択される、好ましくは当該技術分野で公知の磁性材料及び当該技術分野で公知の赤外線吸収材料からなる群から選択される、より好ましくは当該技術分野で公知の磁性材料からなる群から選択される1つ又は複数の機械可読材料を含む、本明細書で特許請求し、記載する記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインク、好ましくは本明細書で特許請求し、記載する紫外可視カチオン放射硬化性セキュリティインクが好適である。顔料が薄片状金属性基材を含み、インクビヒクルが当該技術分野で公知の磁性材料、当該技術分野で公知の発光材料及びエレクトロルミネッセント材料、当該技術分野で公知の導電性材料、及び当該技術分野で公知の(表面増強)ラマン活性化合物からなる群から選択される、好ましくは当該技術分野で公知の磁性材料からなる群から選択される1つ又は複数の機械可読材料を含む、本明細書で特許請求し、記載する紫外可視放射硬化性セキュリティインク、好ましくは本明細書で特許請求し、記載する紫外可視カチオン放射硬化性セキュリティインクもまた好適である。薄片状非金属性基材を有する顔料を含有する、本明細書で特許請求し、記載する紫外可視放射硬化性セキュリティインクに適した赤外線吸収材料の非限定的な例は、国際公開第2007/060133号及び国際公開第2019/219250号に記載されている。本明細書で特許請求し、記載する紫外可視放射硬化性セキュリティインクに適した磁性材料の非限定的な例としては、国際公開第2008/148201号、国際公開第2010/115986号、国際公開第2017/129666号、及び国際公開第2016/005158に記載のコアシェル磁性粒子が挙げられる。
【0098】
[098]本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインクのインクビヒクル(紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインクのインクビヒクル及び紫外可視放射ハイブリッド硬化性セキュリティインクのインクビヒクル)は、有機顔料粒子、無機顔料粒子、有機染料、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数の着色成分、及び/又は1つ又は複数の添加剤をさらに含んでもよい。後者は、本明細書に記載の紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインク、好ましくは紫外可視放射カチオン硬化性スクリーン印刷セキュリティインクの、コンシステンシー(例えば沈降防止剤及び可塑剤)、起泡性(例えば消泡剤及び脱気剤)、滑性(ワックス)等の物理的、レオロジー的、及び化学的パラメーターの調節に使用される化合物及び材料を含むが、これらに限定はされない。本明細書に記載の添加剤は、本明細書に記載のインクビヒクル又は紫外可視放射硬化性セキュリティインク中、好ましくは紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク中に、添加剤の寸法の少なくとも1つが1~1000nmの範囲であるいわゆるナノ材料の形態を含む、当該技術分野で公知の量及び形態で存在してもよい。
【0099】
[099]本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインク、好ましくは紫外可視ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクは、約1重量%~約25重量%、好ましくは約5重量%~約20重量%、より好ましくは約10重量%~約20重量%の、本明細書に記載の薄片状非金属性又は金属性基材を含む顔料を含み、前記薄片状非金属性又は金属性基材は、本明細書に記載の1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜層で少なくとも部分的に被覆され、環境に面し、本明細書に記載の1つ又は複数の表面改質剤で作製された少なくとも部分的な表面処理層を含む。「環境に面する」とは、前記表面処理層が顔料の最上層であり、外層として作用することを意味する。少なくとも部分的な表面処理層は、本明細書に記載の1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜層の上層と直接接触している。
【0100】
[0100]本明細書に記載の顔料の薄片状非金属性又は金属性基材は、1つ又は複数の金属酸化物、1つ又は複数の金属水和酸化物、1つ又は複数の金属亜酸化物、又はそれらの材料の混合物から独立的に作製された1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜を含む、換言すれば、本明細書に記載の非金属性又は金属性薄片は、1つ又は複数の金属酸化物、1つ又は複数の金属水和酸化物、1つ又は複数の金属亜酸化物、又はそれらの材料の混合物で作製された1つ又は複数の層で少なくとも部分的に被覆されている。金属酸化物、金属水和酸化物、金属亜酸化物、又はそれらの混合物の厚さは、通常5~1000nm、好ましくは10~800nm、特に20~600nmである。
【0101】
[0101]当業者には知られているように、1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜は、沈殿法、湿式化学法、ゾルゲル法、物理蒸着(PVD)プロセス、又は化学蒸着(CVD)プロセスにより薄片状非金属性又は金属性基材に塗布されてもよく、前記方法は基材材料及び塗膜材料に応じて選ばれる。或いは、金属酸化物及び/又は水和酸化物で作製された1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜は、金属表面の化学酸化(例えば過マンガン酸塩又はその他の強酸化剤による)又は空気中又は制御された雰囲気中(例えば酸素及び/又は水蒸気に富む)での薄片状金属性顔料の加熱を高温で指定の時間行うことにより薄片状金属性基材上に得られてもよく、時間、温度、及び雰囲気組成物は、金属及び少なくとも部分的な塗膜の望ましい厚さに依存する。例えば、薄片状金属性顔料は、金属酸化物及び/又は金属水和物で作製された少なくとも部分的な塗膜を入手するために、オーブンにおいて300℃で乾燥空気中で30分間焼かれてもよい。
【0102】
[0102]d50値で表される本明細書に記載の使用される顔料の大きさは、好ましくは約1μm~約100μm(ミクロン)の範囲内、好ましくは約5μm~約50μm(ミクロン)の範囲内である。顔料の厚さは通常約0.1μm~約5μm(ミクロン)の間、好ましくは約0.2μm~約4μm(ミクロン)の間である。
【0103】
[0103]1つの実施形態によれば、本明細書に記載の顔料の薄片状非金属性基材は、天然雲母、合成雲母、タルク、グラファイト、ホウ珪酸塩(例えばガラス)、及びカオリンからなる群から選択され、より好ましくは天然雲母、合成雲母、及びガラスからなる群から選択され、さらに好ましくは天然雲母及び合成雲母からなる群から選択される1つ又は複数の材料で作製されることが好ましい。
【0104】
[0104]本明細書に記載の薄片状非金属性基材は、1つ又は複数の金属酸化物、1つ又は複数の金属水和酸化物、1つ又は複数の金属亜酸化物、又はこれらの材料の混合物、好ましくは1つ又は複数の金属酸化物及び/又は1つ又は複数の金属水和酸化物から独立的に作製され、より好ましくは1つ又は複数の金属酸化物を含む1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜を含む。金属酸化物の適した例としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化スズ、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化チタン、及びそれらのあらゆる混合物が挙げられるが、これらに限定はされない。好ましくは、本明細書に記載の非金属性基材は、好ましくは天然雲母又は合成雲母から作製され、二酸化チタン、酸化スズ、酸化鉄、酸化クロム、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数の金属酸化物から独立的に作製される1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜を含む非金属性基材からなる。本明細書に記載の顔料用の特に好適な薄片状非金属性基材は、2つ以上の少なくとも部分的な塗膜を含む天然又は合成雲母のみならず、二酸化チタン(すなわち薄片状雲母基材+TiO2)又は二酸化チタンを含む混合物から独立的に作製される1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜を含む天然雲母又は合成雲母からなり、前記1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜のうち1つは二酸化チタンから作製され、前記1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜のうち別の1つは酸化スズ(すなわち薄片状雲母基材+SnO2+TiO2又は薄片状雲母基材+TiO2+SnO2)から作製される。
【0105】
[0105]1つの実施形態によれば、本明細書に記載の顔料の薄片状金属性基材は、好ましくはアルミニウム、銅、亜鉛、スズ、真鍮、鉄、チタン、クロム、ニッケル、銀、金、鋼鉄、それらの合金、及びそれらの混合物からなる群から選択される、好ましくはアルミニウム、鉄、及び真鍮からなる群から選択される1つ又は複数の金属から作製される単層からなる。本明細書に記載の薄片状金属性基材は、1つ又は複数の金属酸化物、1つ又は複数の金属水和酸化物、1つ又は複数の金属亜酸化物、又はこれらの材料の混合物、好ましくは1つ又は複数の金属酸化物及び/又は1つ又は複数の金属水和酸化物から独立的に作製され、より好ましくは1つ又は複数の金属酸化物を含む1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜を含む。金属酸化物の適した例としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化スズ、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化クロム、及び酸化チタンが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0106】
[0106]1つの実施形態によれば、本明細書に記載の顔料の薄片状金属性基材は、本明細書に記載の金属から選択される1つ又は複数の金属性層及び任意選択で1つ又は複数の非金属性層を含む多層からなる。
【0107】
[0107]1つの好適な実施形態によれば、本明細書に記載の顔料の薄片状金属性基材は、1つ又は複数の金属性層及び任意選択で米国特許第4,705,300号、米国特許第4,705,356号、米国特許第4,721,271号、米国特許第5,084,351号、米国特許第5,214,530号、米国特許第5,281,480号、米国特許第5,383,995号、米国特許第5,569,535号、米国特許第5,571624号、及びそれらの関連文書に開示されるようなファブリペロー反射体/誘電体/吸収体多層構造を含む薄膜干渉多層である1つ又は複数の非金属性層を含む多層からなる。好ましくは、本明細書に記載の1つ又は複数の金属性層を含む多層は、ファブリペロー吸収体/誘電体/反射体/誘電体/吸収体多層構造を含む薄膜干渉顔料であり、入射光を吸収体層は部分的に透過させて部分的に反射し、誘電体層は透過させ、反射層は反射する。好ましくは、反射体層は、金属、金属合金、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは反射金属、反射金属合金、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、より好ましくはアルミニウム、クロム、ニッケル、及びそれらの混合物からなる群から選択され、さらに好ましくはアルミニウムである。好ましくは、誘電体層は、フッ化マグネシウム、二酸化ケイ素、及びそれらの混合物からなる群から独立的に選択され、より好ましくはフッ化マグネシウムである。好ましくは、吸収体層は、クロム、ニッケル、金属性合金、及びそれらの混合物からなる群から独立的に選択され、より好ましくはクロムである。特に好適な薄膜干渉多層は、Cr/MgF2/Al/MgF2/Cr多層構造を含むファブリペロー吸収体/誘電体/反射体/誘電体/吸収体多層構造を含む。薄膜干渉多層からなる本明細書に記載の顔料の薄片状金属性基材は、1つ又は複数の金属酸化物、1つ又は複数の金属水和酸化物、1つ又は複数の金属亜酸化物、1つ又は複数の金属フッ化物、又はこれらの材料の混合物、好ましくは1つ又は複数の金属酸化物及び/又は1つ又は複数の金属水和酸化物から作製された、より好ましくは1つ又は複数の金属酸化物を含む少なくとも部分的な塗膜をさらに含む。好適な金属酸化物は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化スズ、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化クロム、及び酸化チタン、好ましくは酸化クロム及びそれらの混合物である。
【0108】
[0108]薄片状非金属性又は金属性基材は本明細書に記載の少なくとも部分的な表面処理層をさらに含み、前記表面処理層は環境に面し、1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜層の上層と直接接触している。換言すれば、本明細書に記載の少なくとも部分的な表面処理層は、1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜の塗膜上層上に存在する。本明細書に記載の少なくとも部分的な表面処理層は、パーフルオロポリエーテルから選択される1つ又は複数の表面改質剤から作製され、前記パーフルオロポリエーテルは、1つ又は複数のリン(P)含有化合物又は1つ又は複数のケイ素(Si)含有化合物で官能基化されている。本明細書に記載の官能基化されたパーフルオロポリエーテルは、好ましくは1つ又は複数のリン酸含有基、1つ又は複数のシラン含有基、又は1つ又は複数のシロキサン含有基によって官能基化されている。
【0109】
[0109]表面改質は、様々な方法で起こる可能性がある。例えば、本明細書に記載の1つ又は複数の表面改質剤は、有機溶媒及び/又は水に溶解されてもよく、その後に本明細書に記載の1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜層を含む薄片状非金属性又は金属性基材に混合によって塗布され、得られた顔料をその後に乾燥させる。或いは、1つ又は複数の表面改質剤による表面処理は、薄片状非金属性又は金属性基材がワンポットプロセスにより本明細書に記載の1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜層で少なくとも部分的に被覆された直後に起こってもよい。任意選択の焼成ステップは、表面処理の前に、本明細書に記載の1つ又は複数の少なくとも部分的な塗膜層を含む薄片状非金属性又は金属性基材に行われてもよい。
【0110】
[0110]本明細書に記載の1つ又は複数の表面改質剤は、好ましくは本明細書に記載の方法による測定で約2000g/mol eq PS未満の重量平均分子量を有する。
【0111】
[0111]1つの実施形態によれば、本明細書に記載の1つ又は複数の表面改質剤は、1つ又は複数のリン(P)含有基又は1つ又は複数のケイ素(Si)含有基で官能基化されたパーフルオロポリエーテル(すなわち-CH2O-(CF2)m-(CF2-CF2-O)n-CF2-構造を含む)、特に1つ又は複数のリン酸基を有するパーフルオロポリエーテル又は1つ又は複数のシランを有するパーフルオロポリエーテル化合物である。
【0112】
[0112]1つの実施形態によれば、本明細書に記載の1つ又は複数の表面改質剤は、1つ又は複数のリン酸基、好ましくはリン酸又はホスホン酸エステル基で単官能基化又は二官能基化された(パーフルオロポリエーテル、より好ましくはリン酸基、好ましくはリン酸又はホスホン酸エステル基を有するアルコキシ化パーフルオロポリエーテル化合物誘導体からなる。好ましくは、本明細書に記載の1つ又は複数の表面改質剤は、以下の式(VII)の(パーフルオロポリエーテルである。
(OH)2(O)P-[(OCH2CH2)p-OCH2-Rf-CH2O-(CH2CH2O)pP(O)OH]qOH
(VII)
式中、p=1~2、q=1~4であり、RfはCH2O-(CF2)m-(CF2-CF2-O)n-CF2である。本発明の表面改質剤の特に適した例は、Solvayからフルオロリンク(Fluorolink)(商標)P54という名称で市販されている。
【0113】
[0113]別の実施形態によれば、本明細書に記載の1つ又は複数の表面改質剤は、1つ又は複数のシラン基、好ましくはアルコキシ化シラン基で官能基化されたパーフルオロポリエーテルである。好ましくは、本明細書に記載の1つ又は複数の表面改質剤は、以下の式(VIII)のパーフルオロポリエーテルからなる。
(OH)3-n-(RIIO)nSi-RI-NH-C(O)-CF2O-(CF2-CF2-O)p-(CF2O)q-CF2-C(O)-NH-RI-Si(ORII)n(OH)3-n
(VIII)
式中、RIは炭素原子1~10個、好ましくは炭素原子1~5個、さらに好ましくは炭素原子2~4個のアルキレンであり、RIIは炭素原子1~4個、好ましくは炭素原子1~3個の線状又は分岐アルキル基であり、nは0~3の整数、好ましくは3であり、p及びqはq/p比が0.2~4の間となるような数であり、pは0とは異なる。好ましくは、本明細書に記載の1つ又は複数の表面改質剤は、シラン基で官能基化された以下の式(IX)のパーフルオロポリエーテルである。
(EtO)3-Si-RI-NH-C(O)-CF2O-(CF2-CF2-O)p-(CF2O)q-CF2-C(O)-NH-RI-Si(OEt)3
(IX)
式中、RIは炭素原子1~10個、好ましくは炭素原子1~5個、さらに好ましくは炭素原子2~4個のアルキレンであり、p及びqはq/p比が0.2~4の間となるような数であり、pは0とは異なる。本発明の表面改質剤の特に適した例は、Solvayから以下の式(X)を有するフルオロリンク(商標)S10という名称で市販されている。
(EtO)3-Si-CH2CH2CH2-NH-C(O)-CF2O-(CF2-CF2-O)p-(CF2O)q-CF2-C(O)-NH-CH2CH2CH2-Si(OEt)3
(X)
式中、p=2~6、q=2~4である。
【0114】
[0114]本発明は、本明細書に記載の紫外可視放射硬化性インク、好ましくは紫外可視放射硬化性スクリーン印刷インクを作製する方法及びその方法により得られるインクをさらに提供する。本明細書に記載の紫外可視放射硬化性インク、好ましくは紫外可視放射硬化性スクリーン印刷インクは、本明細書に記載のインクビヒクルの成分、すなわち1つ又は複数の脂環式エポキシド、存在する場合は1つ又は複数のラジカル硬化性化合物、オニウム塩であるカチオン光開始剤、存在する場合は1つ又は複数のラジカル光開始剤、及び本明細書に記載の任意選択の添加剤と、本明細書に記載の顔料とを分散又は混合することにより調製されてもよく、前記化合物は全て単一のステップで分散又は混合してもよく、又はインクビヒクルをまず調製し、次に本明細書に記載の顔料を加え、得られた混合物を分散又は混合する。本明細書に記載の1つ又は複数の光開始剤は、他の全ての構成成分の分散又は混合ステップのいずれかにおいて加えてもよく、又は後の段階、すなわちインク形成後に加えてもよい。
【0115】
[0115]本明細書に記載の紫外可視放射硬化性インク、好ましくは紫外可視放射硬化性スクリーン印刷インクは、好ましくは輪転グラビアプロセス、フレキソ印刷プロセス、及びスクリーン印刷プロセスからなる群から選択される印刷プロセスにより、より好ましくはスクリーン印刷プロセスにより、セキュリティ機能の作製用の本明細書に記載の基材に塗布する。
【0116】
[0116]本発明は、本明細書に記載のセキュリティ機能を作製する方法、及びそれから得られるセキュリティ機能をさらに提供する。輪転グラビアプロセス、フレキソ印刷プロセス、及びスクリーン印刷プロセスからなる群から選択される、より好ましくはスクリーン印刷プロセスからなる群から選択される印刷プロセスにより、本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインクを本明細書に記載の基材上に印刷するステップa)と、紫外可視放射の存在下で紫外可視放射硬化性セキュリティインクを硬化させるステップb)とを含む方法は、本明細書に記載のような1つ又は複数のセキュリティ機能を形成するように行われる。好ましくは、スクリーン印刷プロセスにより、本明細書に記載の紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクを、本明細書に記載の基材上に印刷するステップa)と、紫外可視放射の存在下で紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクを硬化させるステップb)とを含む本明細書に記載の方法は、本明細書に記載のような1つ又は複数のセキュリティ機能を形成するように行われる。好ましくは、本明細書に記載の硬化ステップb)は、水銀ランプ(好ましくは中圧水銀ランプ)、紫外LEDランプ、及びそれらの連続的使用からなる群から選択される1つ又は複数の光源を用いて行われる。電磁スペクトルのUV-A、UV-B、及びUV-C領域の発光帯を有する中圧水銀ランプとは逆に、紫外LEDランプは、UV-A領域(365~405nm)の放射を発する。本明細書において言及されるように、典型的な連続的使用には、第1のステップにおいて1つ又は複数の紫外LEDランプを使用して紫外可視放射組成物を部分的に硬化させ、第2のステップで1つ又は複数の中圧水銀ランプを使用することが含まれる。水銀ランプは、有利には、UV-A、UV-B、及びUV-C領域の幅広い領域の波長を発する。
【0117】
[0117]本発明は、本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインク、好ましくは紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクにより作製された、本明細書に記載の基材上のセキュリティ機能をさらに提供する。
【0118】
[0118]本明細書に記載の基材は、好ましくは、紙又は他の繊維性材料(織繊維及び不織繊維性材料を含む)、例えばセルロース、紙含有材料、ガラス、金属、セラミック、プラスチック及びポリマー、金属化プラスチック又はポリマー、複合材料、並びにそれらの2つ以上の混合物又は組み合わせからなる群から選択される。典型的な紙、紙様、又は他の繊維性材料は、限定することなく、マニラ麻、綿、リネン、木材パルプ、及びそれらのブレンドを含む様々な繊維から作製される。当業者には周知のように、綿及び綿/リネンブレンドは、紙幣に好ましく、一方木材パルプは、紙幣以外のセキュリティ文書において一般的に使用される。プラスチック及びポリマーの典型的な例は、ポリオレフィン、例えばポリエチレン(PE)及び二軸配向ポリプロピレン(BOPP)を含むポリプロピレン(PP)、ポリアミド、ポリエステル、例えばポリ(エチレンテレフタラート)(PET)、ポリ(1,4-ブチレンテレフタラート)(PBT)、ポリ(エチレン2,6-ナフトエート)(PEN)、並びにポリ塩化ビニル(PVC)を含む。スパンボンドオレフィン繊維、例えばタイベック(Tyvek)(商標)の商標で販売されているものもまた、基材として使用し得る。金属化プラスチック又はポリマーの典型的な例としては、表面に連続的又は断続的に配置された金属を有する、上で記載されたプラスチック又はポリマー材料が挙げられる。金属の典型的な例としては、限定されないが、アルミニウム、クロム、銅、金、銀、それらの合金、及び上述の金属の2種以上の組み合わせが挙げられる。上で記載されたプラスチック又はポリマー材料の金属化は、電着プロセス、高真空コーティングプロセスにより、又はスパッタリングプロセスにより行われてもよい。複合材料の典型的な例は、限定することなく、紙及び上で記載されたもの等の少なくとも1つのプラスチック又はポリマー材料の多層構造又はラミネート、並びに上で記載されたもの等の紙様又は繊維性材料中に組み込まれたプラスチック及び/又はポリマー繊維を含む。当然ながら、基材は、例えば充填剤、サイズ剤、増白剤、加工助剤、補強又は湿潤強化剤等の当業者に公知のさらなる添加剤を含んでもよい。
【0119】
[0119]本明細書に記載の紫外可視放射硬化セキュリティインクがプラスチック又はポリマーにより作製された基材上に印刷される際、特に前記基材の透明又は半透明窓領域上に印刷される際、該インクは、好ましくは、紫外可視放射硬化セキュリティインクの前記基材への接着を向上させるために本明細書に記載の1つ又は複数のポリヒドロキシ化合物を含有し、印刷及び硬化された層の可撓性を改善するために本明細書に記載の1つ又は複数のビニルエーテル化合物を含む。この場合、1つ又は複数のビニルエーテル化合物が約20重量%未満の量、好ましくは約5.0重量%以上約15重量%以下の量で存在し、1つ又は複数のポリヒドロキシ化合物が25重量%以下の量、より好ましくは約15重量%~約20重量%の間の量で存在し、重量パーセントはインクビヒクルの総重量に基づく。
【0120】
[0120]本発明は、本明細書に記載の基材及び本明細書に記載のセキュリティ機能を備えるセキュリティ文書、又は本明細書に記載のセキュリティ機能の2つ以上を備えるセキュリティ文書をさらに提供する。セキュリティ文書は、限定することなく、有価文書及び有価商品を含む。有価文書の典型的な例は、限定することなく、紙幣、証書、券、小切手、証票、収入印紙及び課税表示、契約書等、パスポート、IDカード、ビザ、運転免許証、銀行カード、クレジットカード、取引カード、アクセス文書又はカード等の身分証明書、入場券、公共交通機関の乗車券、又は権利書等を含む。「有価商品」という用語は、例えば本物の薬物等の包装の内容物を保証するために、偽造及び/又は違法複製から保護され得る、特に医薬品、化粧品、電子機器、又は食品産業のための包装材料を指す。これらの包装材料の例としては、限定することなく、ラベル、例えば認証ブランドラベル、改ざん防止ラベル、及びシールが挙げられる。好ましくは、本明細書に記載のセキュリティ文書は、紙幣、身分証明書、権利を付与する文書、運転免許証、クレジットカード、アクセスカード、交通機関の権利書、証票、及び製品保証ラベルからなる群から選択される。或いは、本明細書に記載のセキュリティ機能は、補助基材、例えばセキュリティスレッド、セキュリティストライプ、箔、デカール、ウィンドウ、又はラベル等の上に作製され、結果的に別個のステップにおいてセキュリティ文書に転写されてもよい。
【0121】
[0121]セキュリティ文書のセキュリティレベル並びに偽造及び違法複製に対する抵抗性をさらに増加させる目的で、本明細書に記載の基材は、印刷、コーティング、又はレーザーマーキング若しくはレーザー穿孔された印、透かし模様、セキュリティスレッド、繊維、プランシェット、発光化合物、ウィンドウ、箔、デカール、プライマー及びそれらの2つ以上の組み合わせを含有してもよい。
【0122】
[0122]汚損に対する耐久性若しくは耐薬品性及び清浄性を、ひいてはセキュリティ文書の流通耐用期間を増加させる目的で、又はその美的外観(例えば光学的光沢)を修正する目的で、本明細書に記載のセキュリティ機能又はセキュリティ文書の上に1つ又は複数の保護層が塗布されてもよい。存在する場合、1つ又は複数の保護層は、典型的には、透明又は若干着色若しくは色付けされてもよく、また多少なりとも光沢を有してもよい保護ニスで作製される。保護ニスは、放射線硬化性組成物、熱乾燥組成物又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。好ましくは、1つ又は複数の保護層は、放射線硬化性のもので作製される。より好ましくは、紫外可視放射硬化性組成物。
【0123】
[0123]本明細書に記載のセキュリティ機能は、セキュリティ機能が永久的に残存すべき基材上に直接付与してもよい(例えば紙幣用途において)。或いは、セキュリティ機能はまた、作製目的の一時的な基材上に付与してもよく、その後にセキュリティ機能がそこから除去される。その後、セキュリティ機能の作製のための本明細書に記載の紫外可視放射硬化性セキュリティインク、好ましくは紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクの硬質化又は硬化後、一時的な基材はセキュリティ機能から除去されてもよい。
【0124】
[0124]或いは、別の実施形態において、接着剤層がセキュリティ機能の上に存在してもよく、又は前記セキュリティ機能を備える基材上に存在してもよく、前記接着剤層は、セキュリティ機能が付与される側とは反対側の基材上、又はセキュリティ機能と同じ側のセキュリティ機能の上にある。したがって、接着剤層は、セキュリティ機能に、又は基材に塗布されてもよく、前記接着剤層は、硬化ステップが完了した後に塗布される。そのような物品は、印刷、又は機械及び幾分高い労力が関与する他のプロセスなしに、全ての種類の文書、又は他の物品若しくは品に付属してもよい。或いは、本明細書に記載のセキュリティ機能を備える本明細書に記載の基材は、別個の転写ステップにおいて文書又は物品に塗布することができる転写箔の形態であってもよい。この目的のために、基板は剥離コーティングを備え、その上に本明細書に記載のようにセキュリティ機能が作製される。そのように作製されたセキュリティ機能の上に、1つ又は複数の接着剤層が塗布されてもよい。
【0125】
[0125]2つ以上、すなわち2つ、3つ、4つ等の本明細書に記載のセキュリティ機能を備える基材、セキュリティ文書、装飾要素、及び物体も本明細書に記載される。本明細書に記載のセキュリティ機能を備える物品、特にセキュリティ文書、装飾要素、又は物体も本明細書に記載される。
【0126】
[0126]上で言及されたように、本明細書に記載のセキュリティ機能は、セキュリティ文書又は装飾要素の保護及び認証に使用され得る。
【0127】
[0127]装飾要素又は物体の典型的な例は、限定することなく、高級品、化粧品包装、自動車部品、電子/電気製品、家具、及び爪用の物品を含む。
【0128】
[0128]セキュリティ文書は、限定することなく、有価文書及び有価商品を含む。有価文書の典型的な例は、限定することなく、紙幣、証書、券、小切手、証票、収入印紙及び課税表示、契約書等、パスポート、IDカード、ビザ、運転免許証、銀行カード、クレジットカード、取引カード、アクセス文書、又はカード等の身分証明書、入場券、公共交通機関の乗車券、卒業証明書、又は権利書等、好ましくは紙幣、身分証明書、権利を付与する文書、運転免許証、及びクレジットカードを含む。「有価商品」という用語は、特に化粧用品、栄養補助食品、医薬用品、アルコール、煙草物品、飲料、若しくは食料品、電気/電子物品、布地、又は宝石類、すなわち、例えば本物の薬物等の包装の内容物を保証するために、偽造及び/又は違法複製から保護されるべき物品のための包装材料を指す。これらの包装材料の例は、限定することなく、ラベル、例えば認証ブランドラベル、改ざん防止ラベル、及びシールを含む。開示される基材、有価文書、及び有価商品は、例示目的のためだけに挙げられ、本発明の範囲を制限しないことが指摘される。
【0129】
[0129]当業者は、本発明の精神から逸脱せずに、上述の特定の実施形態に対するいくつかの変更形態を想定し得る。そのような変更形態は、本発明に包含される。
【0130】
[0130]さらに、本明細書全体にわたり参照される全ての文書は、参照によって完全に本明細書に記載されるようにその全体が組み込まれる。
【実施例】
【0131】
[0131]ここで、非限定的な例を参照しながら本発明をより詳細に記載する。以下の実施例は、紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク及びそれにより得られるセキュリティ機能の調製及び性質をより詳細に示す。
【0132】
[0132]2シリーズのスクリーン印刷セキュリティインクを調製し、基材に塗布した。
異なる薄片を用いてE1~E4を調製し、前記薄片上に表面処理層を設けるように前記薄片の表面を異なる化合物で独立的に処理した。表1は薄片を説明する。表3A-1は、例えば米国特許第8,147,932号等の従来技術に係る比較用溶剤スクリーン印刷セキュリティインク(C1、C7、及びC9)の調製に使用される溶剤インクビヒクルS0を説明する。表3A-2は、本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E1~E4)の調製及び比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C2~C6、C8、及びC10)の調製に使用される紫外可視放射硬化性インクビヒクルを説明する。表3Bは、本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E1~E4)から作製されたセキュリティ機能、比較用溶剤スクリーン印刷セキュリティインクから作製された機能、及び比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C1~C10)から作製された機能の光学的性質を示す。
E5~E30及びC11~C16は、5層薄膜干渉顔料(すなわち光学可変顔料)(クロマフレア(ChromaFlair)(商標))(薄片P1b)である薄片を用いて調製され、前記薄片上に表面処理層を設けるように、前記薄片の表面はフルオロリンク(商標)P54(リン(P)含有化合物、特にリン酸含有基で官能基化されたパーフルオロポリエーテル)で処理される。表4A~11Aは、本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E5~E30)の調製及び比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C11~C16)の調製に使用されるインクビヒクルを説明する。表4B~11Bは、本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E5~E30)から作製されたセキュリティ機能及び比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C11~C16)から作製された機能の光学的性質を示す。
【0133】
[異なる化合物(b~g)による薄片(P1~P4)の表面処理の準備]
【表1】
【0134】
(方法1a(クロマフレア(商標)(Viavi Solutions)薄片の処理用のフルオロリンク(商標)P54))
[0133]フルオロリンク(商標)P54(Solvay、水中20重量%)を、10重量%溶液が得られるように当量のイソプロパノール(Brenntag-Schweizer、99%)に溶解させた。
【0135】
[0134]1リットルポリプロピレンビーカー中で、イソプロパノール(Brenntag-Schweizer、99%)440gに薄片50gを加え、室温でDispermat(LC220-12)を使用して10分間600rpmで分散させた。フルオロリンク(商標)P54の前記10重量%溶液10gを分散液に加え、室温で15分間600rpmでさらに分散させた。ろ紙を備えたブフナー漏斗に得られた分散液を真空状態(水ポンプ)で注ぎ、イソプロパノール(Brenntag-Schweizer、99%)200g、及び最後の1回はアセトン(Brenntag-Schweizer、99%)200gを使用して3回洗った。最後に、表面処理された高アスペクト比顔料を真空状態で5分間乾燥させた。
【0136】
(方法1b(ピリスマ(商標)Yellow T30-20(Merck)及びルミナ(商標)Turquoise 9T30D(BASF)薄片の処理用のフルオロリンク(商標)P54))
[0135]50mLポリプロピレン試験管中で、薄片2gを、イソプロパノール(Brenntag-Schweizer、99%)17.2gに室温で加えた。フルオロリンク(商標)P54の10重量%溶液0.8g(方法1aについて説明した手順)を加え、管を2分間勢いよく振った。薄片の沈降後、溶媒の上層をスポイトで除去し、次に薄片をイソプロパノール(Brenntag-Schweizer、99%)20gで2回、アセトン(Brenntag-Schweizer、99%)20gで1回洗った。このように得られた表面処理された薄片をろ紙上で室温において30分間乾燥させた。
【0137】
(方法2(クロマフレア(商標)(Viavi Solutions)薄片の処理用のフルオロリンク(商標)S10))
[0136]a)酢酸(Sigma-Aldrich、99.8%)0.5g、脱イオン水2g、及びイソプロパノール(Brenntag-Schweizer、99%)97gと、b)0.5gのフルオロリンク(商標)S10との混合物を、前記混合物に室温で混合することにより、フルオロリンク(商標)S10(Solvay)を含む溶液100gを調製した。フルオロリンク(商標)S10の0.5重量%溶液が得られるように、このように得られた溶液を、Dispermat(LC220-12)を用いて30分間、600rpmで分散させた。
【0138】
[0137]50mLポリプロピレン試験管中で、薄片2gを0.5重量%フルオロリンク(商標)S10溶液15gに加え、管を2分間勢いよく振った。表面処理された薄片をブフナー漏斗上で真空状態で(水ポンプ)ろ過し、前記薄片が湿気を含んでいるうちにガラス器具に入れ、使用前にオーブンで100℃において30分間乾燥させた。
【0139】
(方法3(クロマフレア(商標)(Viavi Solutions)薄片の処理用のダイナシラン(商標)F8815))
[0138]ダイナシラン(商標)F8815の2重量%溶液が得られるように、ダイナシラン(商標)F8815(Evonik、>99%)2gと、水とイソプロパノール(Brenntag-Schweizer、99%)の50/50混合物98gとを混合することにより、ダイナシラン(商標)F8815を含む溶液100gを調製した。
【0140】
[0139]50mLポリプロピレン試験管中で、薄片2gを、イソプロパノール(Brenntag-Schweizer、99%)13gに加えた。ダイナシラン(商標)F8815の2重量%溶液5gを分散液に加え、管を2分間勢いよく振った。表面処理された薄片をブフナー漏斗上で真空状態で(水ポンプ)ろ過し、前記薄片が湿気を含んでいるうちにガラス器具に入れ、使用前にオーブンで100℃において30分間乾燥させた。
【0141】
(方法4(クロマフレア(商標)(Viavi Solutions)薄片の処理用のダイナシラン(商標)F8261))
[0140]ダイナシラン(商標)F8261の0.5重量%溶液が得られるように、ダイナシラン(商標)F8261(Evonik、>99%)0.5gと、イソプロパノール(Brenntag-Schweizer、99%)97.5gと、水2.0gとを混合することにより、ダイナシラン(商標)F8261を含む溶液100gを調製した。
【0142】
[0141]50mLポリプロピレン試験管中で、薄片2gをダイナシラン(商標)F8261の0.5重量%溶液20gに加え、管を2分間勢いよく振った。表面処理された薄片をブフナー漏斗上で真空状態で(水ポンプ)ろ過し、前記薄片が湿気を含んでいるうちにガラス器具に入れ、使用前にオーブンで100℃において30分間乾燥させた。
【0143】
(方法5(クロマフレア(商標)(Viavi Solutions)薄片の処理用のポリフォックス(商標)156A))
[0142]ポリフォックス(商標)156Aの6.67重量%溶液が得られるように、ポリフォックス(商標)156A(Omnova Solutions、水中30重量%)22.2gと、水とイソプロパノール(Brenntag-Schweizer、99%)の50/50混合物77.8gとを混合することにより、ポリフォックス(商標)156Aを含む溶液100gを調製した。
【0144】
[0143]50mLポリプロピレン試験管中で、薄片2gを、イソプロパノール(Brenntag-Schweizer、99%)17.4gに室温で加えた。ポリフォックス(商標)156Aの6.67重量%溶液0.6gを分散液に加え、管を2分間勢いよく振った。表面処理された薄片をブフナー漏斗上で真空状態で(水ポンプ)ろ過し、前記薄片が湿気を含んでいるうちにガラス器具に入れ、使用前にオーブンで100℃において30分間乾燥させた。
【0145】
(方法6(クロマフレア(商標)(Viavi Solutions)薄片の処理用のLakeland PAE-185))
[0144]Lakeland PAE-185の2.2重量%溶液が得られるように、Lakeland PAE-185(Lakeland Laboratories Ltd、>90%)2.4gと、水とイソプロパノール(Brenntag-Schweizer、99%)の50/50混合物97.6gとを混合することにより、Lakeland PAE-185を含む溶液100gを調製した。
【0146】
[0145]50mLポリプロピレン試験管中で、薄片2gを、イソプロパノール(Brenntag-Schweizer、99%)16.2gに加えた。Lakeland PAE-185の2.2重量%溶液1.8gを分散液に加え、管を2分間勢いよく振った。表面処理された薄片をブフナー漏斗上で真空状態で(水ポンプ)ろ過し、前記薄片が湿気を含んでいるうちにガラス器具に入れ、使用前にオーブンで100℃において30分間乾燥させた。
【0147】
[紫外可視放射硬化性スクリーン印刷インクビヒクルV0~V32の構成成分の説明]
【表2】
【0148】
[インク(E1~E4及びC1~C10)の調製及びそのインクから得られる印刷されたセキュリティ機能]
(A0.溶剤インクビヒクルS0(表3A-1)及び紫外可視硬化性インクビヒクルV0(表3A-2)の調製)
【表3】
【0149】
[0146]100gのインクビヒクルS0ができるように、表3A-1に示されたインクビヒクルS0の構成成分を混合し、室温でDispermat(CV-3型)を用いて15分間、1000~1500rpmで分散させた。
【0150】
[0147]インクビヒクル約15gについて、表3A-1に示された粘度値を、25℃でB型粘度計(「DV-I Prime」型、100rpmでスピンドルS27)により独立的に測定した。
【0151】
【0152】
[0148]100gのインクビヒクルができるように、表3A-2に示されたインクビヒクルV0の構成成分を混合し、室温でDispermat(CV-3型)を用いて15分間、1000~1500rpmで分散させた。
【0153】
[0149]インクビヒクル約15gについて、表3A-2に示された粘度値を、25℃でB型粘度計(「DV-I Prime」型、100rpmでスピンドルS27)により測定した。
【0154】
(A1-1.比較用溶剤スクリーン印刷セキュリティインク(C1、C7、及びC9)の調製)
[0150]表3A-1に記載された溶剤インクビヒクルS0及び各薄片P1a、P2a、及びP3a(すなわちそれ以上の表面処理なしで市販されているものとして使用される)を用いて、比較用溶剤スクリーン印刷セキュリティインク(C1、C7、及びC9)を調製した。
【0155】
[0151]比較用溶剤スクリーン印刷セキュリティインクが独立的に20g得られるように、83重量%のインクビヒクルS0に薄片P1a、P2a、及びP3aを独立的に17重量%加え、室温でDispermat(CV-3型)を使用して5分間800~1000rpmで分散させた。
【0156】
(A1-2.比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C2~C6、C8、及びC10)及び本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E1~E4)の調製)
[0152]表3A-2に記載されたインクビヒクルV0及び各薄片P1a、P2a、及びP3a(すなわちそれ以上の表面処理なしで市販されているものとして使用される)を用いて、比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C2、C8、及びC10)を調製した。
【0157】
[0153]表3Aに記載されたインクビヒクルV0及び各薄片P1d、P1e、P1f、及びP1g(すなわち1つ又は複数のリン酸含有基又は1つ又は複数のシラン含有基で官能基化されたパーフルオロポリエーテルに基づかない表面処理を含む)を用いて、比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C3~C6)を調製した。
【0158】
[0154]表3A-2に記載されたインクビヒクルV0及び表面処理された各薄片P1b、P1c、P2b、及びP3bを用いて、本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E1~E4)を調製した。
【0159】
[0155]比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C2~C6、C8、及びC10)及び本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E1~E4)が独立的に20g得られるように、83重量%のインクビヒクルV0に薄片17重量%を独立的に加え、室温でDispermat(CV-3型)を用いて5分間800~1000rpmで分散させた。
【0160】
(A2.インク(E1~E4及びC1~C10)を用いたセキュリティ機能の調製)
[0156]比較用溶剤スクリーン印刷セキュリティインク(C1、C7、及びC9)、比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C2~C6、C8、及びC10)、及び本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E1~E4)を、90本/cmスクリーン(230メッシュ)を用いて、信用紙片(Louisenthal製BNP紙、100g/m2、14.5cm×17.5cm)上に独立的に手作業で塗布した。印刷されたパターンは、6cm×10cmの大きさを有していた。
【0161】
[0157]印刷ステップの後、紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクにより作製されたセキュリティ機能は、前記機能を100m/分の速度でIST Metz GmbH製乾燥器下で紫外可視光に2回露光(2つのランプ:鉄ドープ水銀ランプ200W/cm2+水銀ランプ200W/cm2)することにより独立的に硬化した。
【0162】
(A3.インクE1~E4及びC1~C10(表3B)から作製されたセキュリティ機能の光学的性質)
[0158]A3-a.ゴニオメーター(オーストリアのPhyma GmbH製Goniospektrometer Codec WI-10 5&5)により決定した、本明細書に記載のセキュリティ機能の光学的性質を、下記表3Bに示す。
【0163】
[0159]以下のように評価を行った。印刷されたセキュリティ機能のL*a*b*値を、それぞれ22.5°の照明下で法線に対して22.5°(以下、表3C-1において22.5°/22.5°と表示される)及び45°の照明下で法線に対して45°(以下、表3C-1において45°/45°表示される)の2つの角度について決定した。C*(彩度)値は、a*及びb*値からCIELAB(1976)色空間に従って計算し、ここで
【数1】
である。
【0164】
A3-b.彩度及びカラートラベルについても基準で相対目視評価を行った(表3B)。
観察対象試料を拡散光源に対して垂直に保持し、拡散光が観察者の頭で遮られないように見る角度を選択して(つまり約25°~約45°の間に含まれる仰角で)、彩度(色の鮮やかさ又は色の飽和度の尺度に相当)を拡散照明下(例えば直射日光なしで窓から入る光)で観察した。
優、良、十分、不十分の等級を使用した。不十分な彩度とは、非常に要求の厳しい最終用途のセキュリティ機能としての使用に適さない試料を指す。
カラートラベル(見る角度の関数としての色又は色相の変化に相当)は、試料を拡散光源に対して垂直に保持した状態でまず彩度の観察と同じ仰角試料を見ることにより観察した。次に、色の変化を観察しながら、試料と拡散光源の間の角度を前後に変更した。優、良、十分、不十分の等級を使用した。不十分なカラートラベルとは、見る角度を変えた際の色差が肉眼では容易には知覚されない又は全く知覚されず、したがってセキュリティ機能が非常に要求の厳しい最終用途には適さなくなることを意味する。
【0165】
【0166】
[0160]表3Bに示されるように、本発明に係るインクE1~E4から作製されたセキュリティ機能は、比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクC2、C8、及びC10(市販されているまま使用される薄片)から作製されたセキュリティ機能及び紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクC3~C6(1つ又は複数のリン酸含有基又は1つ又は複数のシラン含有基により官能基化されたパーフルオロポリエーテルからなるものではない化合物に基づく異なる表面処理)から作製されたセキュリティ機能と比較して強く改善された光学性能を示した。本発明に係るインクE1~E4から作製されたセキュリティ機能は、溶剤インクに関する問題(VOC、REACH及びGHS等の環境規制に準拠することの困難さ、蒸発した溶媒を回収及び精製する複雑な設備)を回避しつつ、比較用溶剤インクC1、C7、及びC9から作製されたセキュリティ機能と比較して同様又は改善された光学性能を示した。
【0167】
[インク(E5~E6及びC11)の調製及びそのインクから得られる印刷されたセキュリティ機能]
(B0.紫外可視放射硬化性インクビヒクルV1~V3(表4A)の調製)
【表6】
【0168】
[0161]100gのインクビヒクルができるように、表4Aに示された各インクビヒクルV1~V3の構成成分を混合し、室温でDispermat(CV-3型)を用いて15分間、1000~1500rpmで分散させた。
【0169】
[0162]インクビヒクル約15gについて、表4Aに示された粘度値を、25℃でB型粘度計(「DV-I Prime」型、V1~V2については100rpmでスピンドルS27、V3については100rpmでスピンドルS21)により独立的に測定した。
【0170】
(B1.紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E5~E6及びC11)の調製)
[0163]表4Aに記載された各インクビヒクルV1~V3及び薄片P1bを用いて、比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C11)及び本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E5~E6)を調製した。セキュリティインクE5は表3BのインクE1と同一であり、本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E6)及び比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C11)と同時に調製された。
【0171】
[0164]本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E5~E6)及び比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C11)が独立的に20g得られるように、83重量%の各インクビヒクルV1~V3に17重量%の薄片P1bを独立的に加え、室温でDispermat(CV-3型)を用いて5分間800~1000rpmで分散させた。
【0172】
(B2.インクE5~E6及びC11(表4B)から作製されたセキュリティ機能の調製及び光学的性質)
[0165]比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C11)及び本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E5~E6)を、90本/cmスクリーン(230メッシュ)を用いて、信用紙片(Louisenthal製BNP紙、100g/m2、14.5cm×17.5cm)上に独立的に手作業で塗布した。
【0173】
[0166]印刷されたパターンは、6cm×10cmの大きさを有していた。印刷ステップの後、紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクにより作製されたセキュリティ機能は、前記機能を100m/minの速度でIST Metz GmbH製乾燥器下で紫外可視光に2回露光(2つのランプ:鉄ドープ水銀ランプ200W/cm2+水銀ランプ200W/cm2)することにより独立的に硬化した。
【0174】
[0167]目視及び項目A3-a及びA3-bに記載されたものと同じゴニオメーターの使用の両方によって決定した上述のセキュリティ機能の光学的性質を表4Bに示す。
【0175】
【0176】
[0168]表4Bに示されるように、脂環式エポキシドの代わりに脂肪族エポキシドを含む比較用インクC11により作製されたセキュリティ機能は、より劣った外観及びゴニオメーターにより測定された彩度のより低い値を示した。
【0177】
[インク(E7~E10)の調製及びそのインクから得られる印刷されたセキュリティ機能]
(C0.紫外可視放射硬化性インクビヒクルV4~V7(表5A)の調製)
【表8】
【0178】
[0169]100gの各インクビヒクルができるように、表5Aに示された各インクビヒクルV4~V7の構成成分を混合し、室温でDispermat(CV-3型)を用いて15分間、1000~1500rpmで分散させた。
【0179】
[0170]インクビヒクル約15gについて、表5Aに示された粘度値を、25℃でB型粘度計(「DV-I Prime」型、V4及びV6については100rpmでスピンドルS27、V5及びV7については100rpmでスピンドルS21)により独立的に測定した。
【0180】
(C1.紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E7~E10)の調製)
[0171]表5Aに記載された各インクビヒクルV4~V7及び薄片P1bを用いて、本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E7~E10)を調製した。セキュリティインクE9は表3BのインクE1と同一であり、インクE7~E10と同時に調製された。
【0181】
[0172]本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E7~E10)が独立的に20g得られるように、83重量%の各インクビヒクルV4~V7に17重量%の薄片P1bを独立的に加え、室温でDispermat(CV-3型)を用いて5分間800~1000rpmで分散させた。
【0182】
(C2.インクE7~E10(表5B)から作製されたセキュリティ機能の調製及び光学的性質)
[0173]本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E7~E10)を、90本/cmスクリーン(230メッシュ)を用いて、信用紙片(Louisenthal製BNP紙、100g/m2、14.5cm×17.5cm)上に独立的に手作業で塗布した。
【0183】
[0174]印刷されたパターンは、6cm×10cmの大きさを有していた。印刷ステップの後、紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクにより作製されたセキュリティ機能は、前記機能を100m/minの速度でIST Metz GmbH製乾燥器下で紫外可視光に2回露光(2つのランプ:鉄ドープ水銀ランプ200W/cm2+水銀ランプ200W/cm2)することにより独立的に硬化した。
【0184】
[0175]目視及び項目A3-a及びA3-bに記載されたゴニオメーターの使用の両方によって決定した上述のセキュリティ機能の光学的性質を表5Bに示す。
【0185】
【0186】
[0176]表5Bに示されるように、脂環式エポキシドとカチオン光開始剤(E7)(すなわちカチオン硬化性インクビヒクルを含むインク)又は脂環式エポキシドとカチオン光開始剤及びラジカル光開始剤(E8~E10)を備えたテトラアクリラートとの組み合わせ(ハイブリッド硬化性インクビヒクルを含むインク)のいずれかを含む本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクは、十分~優の見た目及びゴニオメーター測定での高い値を示した。
【0187】
[インク(E11~E13及びC12)の調製及びそのインクから得られる印刷されたセキュリティ機能]
(D0.紫外可視放射硬化性インクV8~V11(表6A)の調製)
【表10】
【0188】
[0177]100gの各インクビヒクルができるように、表6Aに示された各インクビヒクルV8~V11の構成成分を混合し、室温でDispermat(CV-3型)を用いて15分間、1000~1500rpmで分散させた。
【0189】
[0178]インクビヒクル約15gについて、表6Aに示された粘度値を、25℃でB型粘度計(「DV-I Prime」型、V8~V11については100rpmでスピンドルS27)により独立的に測定した。
【0190】
(D1.紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E11~E13及びC12)の調製)
[0179]表6Aに記載された各インクビヒクルV8~V11及び薄片P1bを用いて、比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C12)及び本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E11~E13)を調製した。セキュリティインクE12は表3BのインクE1と同一であり、インクE11~E13及びC12と同時に調製された。
【0191】
[0180]本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E11~E13)及び比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C12)が独立的に20g得られるように、83重量%の各インクビヒクルV8~V11に17重量%の薄片P1bを独立的に加え、室温でDispermat(CV-3型)を用いて5分間800~1000rpmで分散させた。
【0192】
(D2.インクE11~E13及びC12(表6B)から作製されたセキュリティ機能の調製及び光学的性質)
[0181]本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E11~E13)及び比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C12)を、90本/cmスクリーン(230メッシュ)を用いて、信用紙片(Louisenthal製BNP紙、100g/m2、14.5cm×17.5cm)上に独立的に手作業で塗布した。
【0193】
[0182]印刷されたパターンは、6cm×10cmの大きさを有していた。印刷ステップの後、紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクにより作製されたセキュリティ機能は、前記機能を100m/分の速度でIST Metz GmbH製乾燥器下で紫外可視光に2回露光(2つのランプ:鉄ドープ水銀ランプ200W/cm2+水銀ランプ200W/cm2)することにより独立的に硬化した。
【0194】
[0183]目視及び項目A3-a及びA3-bに記載されたゴニオメーターの使用の両方によって決定した上述のセキュリティ機能の光学的性質を表6Bに示す。
【0195】
【0196】
[0184]表6Bに示されるように、インクビヒクルの総重量に基づく重量パーセントについて、脂環式エポキシド及びテトラアクリラートの総量が特許請求される範囲内である本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクは、脂環式エポキシド及びテトラアクリラートの総量が77.85重量%である比較用インクC12よりも改善された光学性能を示した。
【0197】
[インク(E14~E17及びC13)の調製及びそのインクから得られる印刷されたセキュリティ機能)
(E0.紫外可視放射硬化性インクビヒクルV12~V16(表7A)の調製)
【表12】
【0198】
[0185]100gの各インクビヒクルができるように、表7Aに示された各インクビヒクルV12~V16の構成成分を混合し、室温でDispermat(CV-3型)を用いて15分間、1000~1500rpmで分散させた。
【0199】
[0186]インクビヒクル約15gについて、表7Aに示された粘度値を、25℃でB型粘度計(「DV-I Prime」型、V12~V14については100rpmでスピンドルS27、V15及びV16については100rpmでスピンドルS21)により独立的に測定した。
【0200】
(E1.紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E14~E17及びC13)の調製)
[0187]表7Aに記載された各インクビヒクルV12~V16及び薄片P1bを用いて、本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E14~E17)及び比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C13)を調製した。本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E14~E17)及び比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C13)が独立的に20g得られるように、83重量%の各インクビヒクルV12~V16に17重量%の薄片P1bを独立的に加え、室温でDispermat(CV-3型)を用いて5分間800~1000rpmで分散させた。
【0201】
(E2.インクE14~E17及びC13(表7B)から作製されたセキュリティ機能の調製及び光学的性質)
[0188]本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E14~E17)及び比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C13)を、90本/cmスクリーン(230メッシュ)を用いて、信用紙片(Louisenthal製BNP紙、100g/m2、14.5cm×17.5cm)上に独立的に手作業で塗布した。
【0202】
[0189]印刷されたパターンは、6cm×10cmの大きさを有していた。印刷ステップの後、紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクにより作製されたセキュリティ機能は、前記機能を100m/分の速度でIST Metz GmbH製乾燥器下で紫外可視光に2回露光(2つのランプ:鉄ドープ水銀ランプ200W/cm2+水銀ランプ200W/cm2)することにより独立的に硬化した。
【0203】
[0190]目視及び項目A3-a及びA3-bに記載されたゴニオメーターの使用の両方によって決定した上述のセキュリティ機能の光学的性質を表7Bに示す。
【0204】
【0205】
[0191]表7Bに示されるように、ビニルエーテルの量が特許請求される範囲内である本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクは、ビニルエーテルを20重量%の量で含み(重量パーセントはインクビヒクルの総重量に基づく)かつ光学的性質が劣っていて不十分であるという欠点がある比較用インクC13と比較して、改善された性能を示した。
【0206】
[インク(E18~E22)の調製及びそのインクから得られる印刷されたセキュリティ機能]
(F0.紫外可視放射硬化性インクV17~V21(表8A)の調製)
【表14】
【0207】
[0192]100gの各インクビヒクルができるように、表8Aに示された各インクビヒクルV17~V21の構成成分を混合し、室温でDispermat(CV-3型)を用いて15分間、1000~1500rpmで分散させた。
【0208】
[0193]インクビヒクル約15gについて、表8Aに示された粘度値を、25℃でB型粘度計(「DV-I Prime」型、V17及びV18については100rpmでスピンドルS27、V19~V21については100rpmでスピンドルS21)により独立的に測定した。
【0209】
(F1.紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E18~E22)の調製)
[0194]表8Aに記載された各インクビヒクルV17~V21及び薄片P1bを用いて、本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E18~E22)を調製した。
【0210】
[0195]本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E18~E22)が独立的に20g得られるように、83重量%の各インクビヒクルV17~V21に17重量%の薄片P1bを独立的に加え、室温でDispermat(CV-3型)を用いて5分間800~1000rpmで分散させた。
【0211】
(F2.インクE18~E22(表8B)から作製されたセキュリティ機能の調製及び光学的性質)
[0196]本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E18~E22)を、90本/cmスクリーン(230メッシュ)を用いて、信用紙片(Louisenthal製BNP紙、100g/m2、14.5cm×17.5cm)上に独立的に手作業で塗布した。
【0212】
[0197]印刷されたパターンは、6cm×10cmの大きさを有していた。印刷ステップの後、紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクにより作製されたセキュリティ機能は、前記機能を100m/minの速度でIST Metz GmbH製乾燥器下で紫外可視光に2回露光(2つのランプ:鉄ドープ水銀ランプ200W/cm2+水銀ランプ200W/cm2)することにより独立的に硬化した。
【0213】
[0198]目視及び項目A3-a及びA3-bに記載されたゴニオメーターの使用の両方によって決定した上述のセキュリティ機能の光学的性質を表8Bに示す。
【0214】
【0215】
[0199]表8Bに示されるように、1つ又は複数のオキセタンを含む本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクは、良~優の見た目及びゴニオメーター測定での高い値を示した。
【0216】
[インク(E23~E24及びC14~C16)の調製及びそのインクから得られる印刷されたセキュリティ機能]
(G0.紫外可視放射硬化性インクビヒクルV22~V26(表9A)の調製)
【表16】
【0217】
[0200]100gの各インクビヒクルができるように、表9Aに示された各インクビヒクルV22~V26の構成成分を混合し、室温でDispermat(CV-3型)を用いて15分間、1000~1500rpmで分散させた。
【0218】
[0201]インクビヒクル約15gについて、表9Aに示された粘度値を、25℃でB型粘度計(「DV-I Prime」型、V22については100rpmでスピンドルS27、V23~V26については100rpmでスピンドルS21)により独立的に測定した。
【0219】
(G1.紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E23~E24及びC14~C16)の調製)
[0202]表9Aに記載された各インクビヒクルV22~V26及び薄片P1bを用いて、比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C14~C16)及び本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E23~E24)を調製した。セキュリティインクE23は表3BのインクE1と同一であり、インクE23~E24及びC14~C16と同時に調製された。
【0220】
[0203]表9Bに示される本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E23~E24)及び比較用紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C14~C16)が独立的に20g得られるように、83重量%の各インクビヒクルV23~V27に17重量%の薄片P1bを独立的に加え、室温でDispermat(CV-3型)を用いて5分間800~1000rpmで分散させた。
【0221】
(G2.インクE21~E22及びC14~C16(表9B)から作製されたセキュリティ機能の調製及び光学的性質)
[0204]本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E23~E24)及び比較紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C14~C16)を、90本/cmスクリーン(230メッシュ)を用いて、信用紙片(Louisenthal製BNP紙、100g/m2、14.5cm×17.5cm)上に独立的に手作業で塗布した。
【0222】
[0205]印刷されたパターンは、6cm×10cmの大きさを有していた。印刷ステップの後、紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクにより作製されたセキュリティ機能は、前記機能を100m/minの速度でIST Metz GmbH製乾燥器下で紫外可視光に2回露光(2つのランプ:鉄ドープ水銀ランプ200W/cm2+水銀ランプ200W/cm2)することにより独立的に硬化した。
【0223】
[0206]目視及び項目A3-a及びA3-bに記載されたゴニオメーターの使用の両方によって決定した上述のセキュリティ機能の光学的性質を表9Bに示す。
【0224】
【0225】
[0207]表9Bに示されるように、1つ又は複数のビニルエーテル及び1つ又は複数のオキセタンを15重量%以下の量(重量パーセントはインクビヒクルの総重量に基づく)で含む本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクは、十分~優の見た目及びゴニオメーター測定での高い値を示した。
【0226】
[インク(E25~E28)の調製及びそのインクから得られる印刷されたセキュリティ機能]
(H0.紫外可視放射硬化性インクビヒクルV27~V30(表10A)の調製)
【表18】
【0227】
[0208]100gの各インクビヒクルができるように、表10Aに示された各インクビヒクル27~V30の構成成分を混合し、室温でDispermat(CV-3型)を用いて15分間、1000~1500rpmで分散させた。
【0228】
[0209]インクビヒクル約15gについて、表10Aに示された粘度値を、25℃でB型粘度計(「DV-I Prime」型、100rpmでスピンドルS21)により独立的に測定した。
【0229】
(H1.紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E25~E28)の調製)
[0210]表10Aに記載された各インクビヒクルV27~V30及び薄片P1bを用いて、本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E25~E28)を調製した。セキュリティインクE26は表3BのインクE1と同一であり、インクE25~E28と同時に調製された。
【0230】
[0211]表10Bに示される本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E25~E28)が独立的に20g得られるように、83重量%の各インクビヒクルV23~V27に17重量%の薄片P1bを独立的に加え、室温でDispermat(CV-3型)を用いて5分間800~1000rpmで分散させた。
【0231】
(H2.インクE25~E28(表10B)から作製されたセキュリティ機能の調製及び光学的性質)
[0212]本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E25~E28)を、90本/cmスクリーン(230メッシュ)を用いて、信用紙片(Louisenthal製BNP紙、100g/m2、14.5cm×17.5cm)上に独立的に手作業で塗布した。
【0232】
[0213]印刷されたパターンは、6cm×10cmの大きさを有していた。印刷ステップの後、紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクにより作製されたセキュリティ機能は、前記機能を100m/分の速度でIST Metz GmbH製乾燥器下で紫外可視光に2回露光(2つのランプ:鉄ドープ水銀ランプ200W/cm2+水銀ランプ200W/cm2)することにより独立的に硬化した。
【0233】
[0214]目視及び項目A3-a及びA3-bに記載されたゴニオメーターの使用の両方によって決定した上述のセキュリティ機能の光学的性質を表10Bに示す。
【0234】
【0235】
[0215]表10Bに示されるように、3つ以上のヒドロキシ基を有する1つ又は複数のポリヒドロキシ化合物を25重量%以下の量(重量パーセントはインクビヒクルの総重量に基づく)で含む本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクは、十分~優の見た目及びゴニオメーター測定での高い値を示した。
【0236】
[インク(E29~E30)の調製及びそのインクから得られる印刷されたセキュリティ機能]
(I0.紫外可視放射硬化性インクビヒクルV31~V32(表11A)の調製)
【表20】
【0237】
[0216]100gの各インクビヒクルができるように、表11Aに示された各インクビヒクルV31~V32の構成成分を混合し、室温でDispermat(CV-3型)を用いて15分間、1000~1500rpmで分散させた。
【0238】
[0217]インクビヒクル約15gについて、表11Aに示された粘度値を、25℃でB型粘度計(「DV-I Prime」型、100rpmでスピンドルS27)により独立的に測定した。
【0239】
(I1.紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E29~E30)の調製)
[0218]表11Aに記載された各インクビヒクルV31~V32及び薄片P1bを用いて、本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E29~E30)を調製した。セキュリティインクE29は表3BのインクE1と同一であり、インクE30と同時に調製された。
【0240】
[0219]本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E29~E30)が独立的に20g得られるように、83重量%の各インクビヒクルV31~V32に17重量%の薄片P1bを独立的に加え、室温でDispermat(CV-3型)を用いて5分間800~1000rpmで分散させた。
【0241】
(I2.インクE29~E30(表11B)から作製されたセキュリティ機能の調製及び光学的性質)
[0220]本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E29~E30)を、90本/cmスクリーン(230メッシュ)を用いて、信用紙片(Louisenthal製BNP紙、100g/m2、14.5cm×17.5cm)上に独立的に手作業で塗布した。
【0242】
[0221]印刷されたパターンは、6cm×10cmの大きさを有していた。印刷ステップの後、紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクにより作製されたセキュリティ機能は、前記機能を100m/分の速度でIST Metz GmbH製乾燥器下で紫外可視光に2回露光(2つのランプ:鉄ドープ水銀ランプ200W/cm2+水銀ランプ200W/cm2)することにより独立的に硬化した。
【0243】
[0222]目視及び項目A3-a及びA3-bに記載されたゴニオメーターの使用の両方によって決定した上述のセキュリティ機能の光学的性質を表11Bに示す。
【0244】
【0245】
[0223]表11Bに示されるように、四官能性ポリヒドロキシ化合物(Perstorp POLYOL R4631/E29)又はポリエステルの樹状ポリヒドロキシ誘導体(Perstorpボルトーン(商標)P1000/E30)のいずれかを25重量%以下の量(重量パーセントはインクビヒクルの総重量に基づく)で含む本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクは、良~優の見た目及びゴニオメーター測定での高い値を示した。
【0246】
[インク(E31~E40)の調製及びそのインクから得られる印刷されたセキュリティ機能]
(J1.紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E31~E40)の調製)
[0224]本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクE31、E33、E35、E37、及びE39は、表5Aに記載されたインクビヒクルV4を用いて調製された(紫外可視放射カチオン硬化性セキュリティインク)。
【0247】
[0225]本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクE32、E34、E36、E38、及びE40は、表3A-2に記載されたインクビヒクルV0を用いて調製された(紫外可視放射ハイブリッド硬化性セキュリティインク)。
【0248】
[0226]セキュリティインクE31~E32及びE35~E38は、顔料P2b(処理されたピリスマ(商標)Yellow、表1)を含有していた。セキュリティインクE33~E34及びE39~E40は、顔料P1b(処理されたクロマフレア(商標)Blue-to-Red、表1)を含有していた。
【0249】
[0227]セキュリティインクE35及びE36は赤外吸収化合物を追加で含有し、赤外検出可能セキュリティ機能の調製を可能とした。
【0250】
[0228]セキュリティインクE37~E40は軟磁性で明るい色合いの材料を追加で含有し、磁気的に検出可能なセキュリティ機能の調製を可能とした。
【0251】
[0229]セキュリティインクE31~E34を調製するため、紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E31~E34)が独立的に20g得られるように、83重量%の各インクビヒクルV0及びV4に17重量%の処理された各薄片(P1b又はP2b)を独立的に加え、室温でDispermat(CV-3型)を用いて5分間800~1000rpmで分散させた。
【0252】
[0230]セキュリティインクE35~E36を調製するため、赤外吸収化合物を含む紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E35~E36)が独立的に20g得られるように、74重量%の各インクビヒクルV0及びV4に17重量%の処理された薄片P2b及び9重量%の赤外吸収化合物を独立的に加え、室温でDispermat(CV-3型)を用いて5分間800~1000rpmで分散させた。
【0253】
[0231]セキュリティインクE37~E40を調製するため、軟磁性で明るい色合いの材料を含む紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E37~E40)が独立的に20g得られるように、77重量%の各インクビヒクルV0及びV4に17重量%の処理された各薄片(P1b又はP2b)及び6重量%の軟磁性で明るい色合いの材料を独立的に加え、室温でDispermat(CV-3型)を用いて5分間800~1000rpmで分散させた。
【0254】
[0232]インクの組成は以下の表12Aに要約されている。
【表22】
【0255】
(J2.インクE31~E40(表12B)から作製されたセキュリティ機能の調製及び性質)
[0233]本発明に係る紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E31~E40)を、90本/cmスクリーン(230メッシュ)を用いて、信用紙片(Louisenthal製BNP紙、100g/m2、14.5cm×17.5cm)上に独立的に手作業で塗布した。
【0256】
[0234]印刷されたパターンは、6cm×10cmの大きさを有していた。印刷ステップの後、紫外可視放射硬化性スクリーン印刷セキュリティインクにより作製されたセキュリティ機能は、前記機能を100m/分の速度でIST Metz GmbH製乾燥器下で紫外可視光に2回露光(2つのランプ:鉄ドープ水銀ランプ200W/cm2+水銀ランプ200W/cm2)することにより独立的に硬化した。
【0257】
[0235]インクE31、E32、E35、及びE36により作製されたセキュリティ機能の可視赤外反射スペクトルをDatacolor製DC45により400nm~1100nmの間で独立的に測定した。デバイスの内部標準を使用して100%反射率を測定した。選択された波長での反射率値[%]を表12Bに示す。表12Bに示されるように、処理されたピリスマ(商標)Yellow顔料及びIR-A吸収化合物を含有するインクE35及びE36から得られるセキュリティ機能が400~600nmの波長領域において示す反射率値は、インクE31及びE32から得られ赤外吸収化合物を欠くセキュリティ機能が示す反射率値と同等である。700~1100nmの波長領域において、処理されたピリスマ(商標)Yellow顔料及びIR-A吸収化合物を含有するインクE35及びE36から得られセキュリティ機能が示す反射率は、前記赤外吸収化合物を欠くインクE31及びE32から得られるセキュリティ機能が示す反射率よりも著しく低く、それによりインクE35及びE36に含有される赤外吸収化合物に特徴的な赤外線を吸収する性質に基づいてインクE35及びE36により得られるセキュリティ機能の認証を可能とする。
【0258】
【0259】
[0236]インクE31~E34(軟磁性で明るい色合いの顔料を欠く)及びE37~E40(軟磁性で明るい色合いの顔料を含む)から得られるセキュリティ機能のそれぞれが示す、印加された磁界(単位:Oe)の関数としての磁気モーメント(単位:emu)を、振動試料型磁力計(Lake Shore Cryotronics Inc.、575 McCorkle Blvd、Westerville、OH 43082、USA、7400 Series)を使用して測定した。測定はセキュリティ機能から打ち抜かれたΦ5mm表面試料に、0~10,000Oeの間で変化する磁界を印加し、10,000Oeにおける飽和磁化値を読み取ることにより行った。予想された通り、軟磁性で明るい色合いの材料を欠くインクE31~E34から得られたセキュリティ機能は、磁気信号を示さなかった。軟磁性で明るい色合いの材料を含有するインクE37~E40から得られたセキュリティ機能は、軟磁性で明るい色合いの材料に特徴的な磁気信号を示し、それによりインクE37~E40に含有された軟磁性で明るい色合いの材料に特徴的な磁気的性質に基づく前記セキュリティ機能の認証を可能とした。インクE37~E40は、紙幣受領機により認証可能なセキュリティ機能の作製に使用されるインクと類似の磁気的性質を示す。
【0260】
[0237]上述のセキュリティ機能の光学的性質は、目視及び項目A3-a及びA3-bに記載されたゴニオメーターの使用の両方によって決定した。赤外吸収化合物及び軟磁性で明るい色合いの材料はいずれもインク層中に完全に隠され、肉眼では検知できない。処理されたピリスマ(商標)Yellow顔料を含有するインクE31~E32から得られたセキュリティ機能が示す光学的性質は、処理されたピリスマ(商標)Yellow顔料及びIR-A吸収化合物を含有するインクE35~E36から得られたセキュリティ機能が示す光学的性質よりも良い。しかしながら、赤外吸収化合物による光学的性質の変化にもかかわらず、インクE35~E36から得られたセキュリティ機能の光学性能は、反射セキュリティ機能としての使用に耐えるものである。処理されたピリスマYellow(商標)顔料及び軟磁性で明るい色合いの材料、又は処理されたクロマフレア(商標)Blue-to-Red顔料及び軟磁性で明るい色合いの材料のいずれかを含有するインクE37~E40から得られたセキュリティ機能の光学的性質は、軟磁性で明るい色合いの材料を欠くインクE31~E34から得られた対応するセキュリティ機能が示す光学的性質と同等である。
【国際調査報告】