(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】自動保管システム及び装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20230420BHJP
B60B 9/04 20060101ALI20230420BHJP
B60B 9/26 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
B65G1/04 551Z
B60B9/04
B60B9/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552843
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(85)【翻訳文提出日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 EP2021055396
(87)【国際公開番号】W WO2021175956
(87)【国際公開日】2021-09-10
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515134368
【氏名又は名称】オカド・イノベーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ウェラン、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハニソン、ビルヘルム
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022EE05
3F022FF00
3F022JJ11
3F022MM01
(57)【要約】
グリッドフレームワーク(14)構造内で積み重ねられた保管コンテナ(10)を持ち上げ及び移動させるための積荷ハンドリング装置が提供され、グリッドフレームワーク(14)構造は、複数のグリッド空間を備えるグリッドパターンを形成するために、第1のセットの平行なレール又は軌道(22b)と、実質的に水平な平面において、前記第1のセットのレール又は軌道(22b)に対して実質的に垂直に延在する第2のセットの平行なレール又は軌道(22a)と、を備え、ここにおいて、グリッドは、直立材(16)のセットによって支持されて、コンテナ(10)が、その間に積み重ねられるように、及び直立材によって複数のグリッド空間を垂直方向に案内されるように、グリッドの下に複数の垂直保管場所を形成しており、積荷ハンドリング装置は、第1のセットの平行な軌道(22b)と係合するように配置されている第1のセットのホイール(116)と、第2のセットの平行な軌道(22a)と係合するように配置されている第2のセットのホイール(118)とに取り付けられた本体を備え、ここにおいて、第1のセットのホイール及び第2のセットのホイール(116、118)は、スポークを有するホイールを備え、スポークは、リムをハブに接続しており、ホイールは、少なくとも部分的に弾性変形可能であり、ホイールリム及びホイールハブは、スポーク材料と比べて剛性の材料から作製されており、ホイールは、2つ以上の層を備え得、第1のタイプの層が、湾曲したスポークを有する少なくとも1つの第2のタイプの層と重ねられる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリッドフレームワーク(14)構造内で積み重ねられた保管コンテナ(10)を持ち上げ及び移動させるための積荷ハンドリング装置であって、前記グリッドフレームワーク(14)構造は、
複数のグリッド空間を備えるグリッドパターンを形成するために、第1のセットの平行なレール又は軌道(22b)と、実質的に水平な平面において、前記第1のセットのレール又は軌道(22b)に対して実質的に垂直に延在する第2のセットの平行なレール又は軌道(22a)と、を備え、ここにおいて、前記グリッドは、直立材(16)のセットによって支持されて、コンテナ(10)が、その間に積み重ねられるように、及び前記直立材によって前記複数のグリッド空間を垂直方向に案内されるように、前記グリッドの下に複数の垂直保管場所を形成しており、
前記積荷ハンドリング装置は、
前記第1のセットの平行な軌道(22b)と係合するように配置されている第1のセットのホイール(116)と、前記第2のセットの平行な軌道(22a)と係合するように配置されている第2のセットのホイール(118)とに取り付けられた本体を備え、
ここにおいて、前記第1のセットのホイール及び前記第2のセットのホイール(116、118)は、スポークを有するホイールを備え、前記スポークは、リムをハブに接続しており、
前記ホイールは、少なくとも部分的に弾性変形可能であり、
前記ホイールリム及び前記ホイールハブは、前記スポーク材料と比べて剛性の材料から作製されており、
前記ホイールは、2つ以上の層を備え得、第1のタイプの層が、湾曲したスポークを有する少なくとも1つの第2のタイプの層と重ねられる、積荷ハンドリング装置。
【請求項2】
前記ホイールスポークは、網状に配置されている、請求項1に記載の積荷ハンドリング装置。
【請求項3】
前記ホイールスポーク網の少なくとも一部分が、圧縮可能である、請求項1又は2に記載の積荷ハンドリング装置。
【請求項4】
前記ホイールスポーク網は、ねじり剛性に対して最適化されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の積荷ハンドリング装置。
【請求項5】
前記ホイールスポーク網は、順方向の駆動方向と逆方向の駆動方向との間のバックラッシュを最小化するように最適化されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の積荷ハンドリング装置。
【請求項6】
前記湾曲したスポークは、時計回り方向に湾曲した第1のセットと、反時計回り方向に湾曲した第2のセットと、を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の積荷ハンドリング装置。
【請求項7】
前記第1のタイプの層は、2つの前記第2のタイプの層の間に挟まれている、請求項1~6のいずれか一項に記載の積荷ハンドリング装置。
【請求項8】
前記第2のタイプの層の前記リムは、Oリングを受容するための溝を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の積荷ハンドリング装置。
【請求項9】
前記第1のタイプの層は、前記第2のタイプの層よりも小さい直径を有し、それによって、駆動ベルトが受容され得るチャネルを作り出している、請求項1~8のいずれか一項に記載の積荷ハンドリング装置。
【請求項10】
前記第1のタイプの層の前記リムは、駆動ベルトと協働するためのギア歯を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の積荷ハンドリング装置。
【請求項11】
前記リムの側面が、前記ホイールの平面に対して角度付けられている、請求項1~10のいずれか一項に記載の積荷ハンドリング装置。
【請求項12】
前記ハブは、積荷ハンドリング装置本体上の車軸に前記ホイールを回転可能に取り付けるための軸受を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の積荷ハンドリング装置。
【請求項13】
前記ホイールの少なくとも一部分が、プラスチック、ポリマープラスチック、熱硬化プラスチック、熱可塑性プラスチック、金属、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、鋼、鋼合金、マグネシウム、マグネシウム合金、チタン、チタン合金、亜鉛、亜鉛合金、繊維強化複合材料、炭素繊維、グラファイト繊維、ガラス繊維、天然繊維、植物繊維、プラスチック繊維、紙、厚紙、ゴム、エポキシ樹脂又はナイロンから作製される、請求項1~12のいずれか一項に記載の積荷ハンドリング装置。
【請求項14】
前記スポーク材料は、ポリウレタン又はナイロンであり、前記ハブ及びリム材料は、ナイロンであり、前記Oリングは、ゴムである、請求項1~13のいずれか一項に記載の積荷ハンドリング装置。
【請求項15】
前記ホイールは、3D印刷されている、及び/又は、前記ホイールは、実質的にトポロジ的に最適化されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の積荷ハンドリング装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の積荷ハンドリング装置のモジュール式アセンブリ用の部品のキットであって、前記キットは、
前記第1のセットのホイール及び前記第2のセットのホイールの一部として使用するための、少なくとも1つのホイールを備える、部品のキット。
【請求項17】
ホイールのタイヤとして使用するための少なくとも1つのOリングを更に備える、請求項16に記載の部品のキット。
【請求項18】
少なくとも1つの部品が、3D印刷されている、請求項16又は17に記載の部品のキット。
【請求項19】
ホイールのセット、方向転換アセンブリ、駆動アセンブリ、把持部アセンブリ、持ち上げアセンブリ、通信システム、及び/又はセンサ手段のうちの少なくとも1つを更に備える、請求項16~18のいずれか一項に記載の部品のキット。
【請求項20】
グリッドベースの保管及び取り出しシステムであって、
複数のグリッド空間を備えるグリッドパターンを形成するために、第1のセットの平行なレール又は軌道(22b)と、実質的に水平な平面において、前記第1のセットのレール又は軌道(22b)に対して実質的に垂直に延在する第2のセットの平行なレール又は軌道(22a)と、を備えるグリッドフレームワーク(14)構造と、ここにおいて、前記グリッドは、直立材(16)のセットによって支持されて、コンテナ(10)が、その間に積み重ねられるように、及び前記直立材によって前記複数のグリッド空間を垂直方向に案内されるように、前記グリッドの下に複数の垂直保管場所を形成しており、
前記グリッドフレームワーク構造上で動作している、請求項1~15及び16~19のうちのいずれか一項に記載の少なくとも1つの積荷ハンドリング装置と、
前記少なくとも1つの積荷ハンドリング装置を制御するための集中制御ユーティリティと、を備えるシステム。
【請求項21】
前記少なくとも1つの積荷ハンドリング装置は、通信手段を更に備え、前記保管システムの前記集中制御ユーティリティは、前記少なくとも1つの積荷ハンドリング装置上の通信手段と通信するための通信手段を備える、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記集中制御ユーティリティは、前記少なくとも1つの積荷ハンドリング装置の状態を遠隔で監視する、請求項20又は21に記載のシステム。
【請求項23】
前記積荷ハンドリング装置の動作不良及び/又は故障が検出された場合、前記積荷ハンドリング装置は、動作不良を起こしていない及び故障していない手段を使用して、メンテナンスエリア又は前記グリッドの縁部に移動するように命令される、請求項20~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記集中制御ユーティリティは、前記積荷ハンドリング装置に前記グリッド上の特定の場所に移動するように命令するために、前記グリッド上で動作している前記少なくとも1つの積荷ハンドリング装置と通信する、請求項20~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記積荷ハンドリング装置に、スタックからコンテナを持ち上げ、前記コンテナを前記グリッド上の別の場所に移動するように更に命令し、及び/又は、前記積荷ハンドリング装置に、コンテナを前記グリッドの下のスタック位置へと下降させるように更に命令する、請求項24に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動保管システム及び装置に関する。限定はしないがより具体的には、本発明は、保管システム上で動作する積荷ハンドリング装置に関し、保管システムは、スタックにおいて保管用集積貯蔵容器(storage bins)を有し、これらスタックは、グリッド構造内に配置されている。
【背景技術】
【0002】
列を成して積み重ねられたコンテナを取り扱う方法は、何十年にもわたり周知である。例えば、Bertelの米国特許第2,701,065号に記載されるような、いくつかのこのようなシステムは、このようなコンテナを保管することに関連付けられた保管容積を低減しながらも、依然として必要に応じて特定のコンテナへのアクセスを提供するために、列を成して配置されたコンテナの自立型スタックを備える。所定のコンテナへのアクセスは、所定のコンテナを積み重ね、スタックから所定のコンテナを取り出すために使用され得る比較的複雑な巻き上げ機構を設けることによって可能にされる。しかしながら、このようなシステムのコストは、多くの状況において現実的ではなく、それらは、主に大型輸送コンテナの保管及びハンドリング用に商用化されてきた。
【0003】
例えば、Cimcorpの欧州特許第0767113B号に記載されるように、コンテナの自立型スタックを使用し、特定のコンテナを取り出し及び保管するための機構を設ける構想は、更に展開されてきた。欧州特許第’113号には、コンテナスタックの周囲に下降され、スタックにおける任意のレベルでコンテナを把持することができるように構成された矩形チューブの形態でのロボット積荷ハンドラを使用して、複数の積み重ねられたコンテナを取り出すための機構が開示されている。このようにして、いくつかのコンテナが、スタックから一度に持ち上げられ得る。可動チューブは、1つのスタックの上から別のスタックの上へといくつかのコンテナを移動させるために、又は、スタックから外部の場所へ、またその逆へとコンテナを移動させるために使用され得る。このようなシステムは、単一のスタック中の全てのコンテナに同じ製品が入っている(単一製品スタックとして知られる)場合に、特に有用であり得る。
【0004】
欧州特許第’113号に記載されるシステムでは、チューブの高さは、最も高いコンテナスタックが単一の動作で抜き取られ得るように、最大のコンテナスタックの高さと少なくとも同じ高さでなければならない。したがって、倉庫等の閉鎖空間で使用される場合、スタックの最大高さは、積荷ハンドラのチューブを収容する必要性によって制限される。
【0005】
欧州特許第1037828B1号(Autostore)には、コンテナスタックがフレーム構造内に配置されているシステムが記載されている。このタイプのシステムが、添付の図面の
図1~
図4に概略的に例示される。ロボット積荷ハンドリング装置は、スタックの最上面上の軌道システム上で、スタックを制御可能に動き回り得る。
【0006】
積荷ハンドリング装置が、Ocado Innovation Limitedの英国特許出願公開第GB2520104A号に記載されており、ここで、各ロボット積荷ハンドラは、1つのグリッド空間のみをカバーし、したがって、積荷ハンドラの高密度化、したがって、所定のサイズのシステムの高スループットを可能にしている。
【0007】
上述の既知のロボットピッキングシステムでは、ロボット積荷ハンドリング装置は、グリッドを形成する軌道システム上で、スタックの上部を制御可能に動き回る。所定の積荷ハンドリング装置が、スタックから集積貯蔵容器を持ち上げ、持ち上げられているコンテナには、顧客注文を履行するために必要な在庫アイテムが入っている。コンテナは、ピックステーションに運ばれ、ここで、必要な在庫アイテムが、集積貯蔵容器から手動で取り出されて、配送コンテナに入れられ得、配送コンテナは、顧客注文の一部を形成し、適時に発送するために手動で詰め込まれる。例えば、Ocado Innovation Limitedの英国特許第GB2524383B号に記載されるように、ピックステーションにおいて、これらアイテムはまた、このような作業に好適な産業用ロボットによってピッキングされ得る。
【0008】
図1及び
図2に示されるように、集積貯蔵容器10として知られる積み重ね可能な保管コンテナが、スタック12を形成するために互いの上に積み重ねられている。スタック12は、倉庫保管環境又は製造環境におけるフレームワーク14内に配置されている。
図1は、フレームワーク14の概略斜視図であり、
図2は、フレームワーク14内に配置された集積貯蔵容器10の単一のスタック12を示す上面図である。各集積貯蔵容器10は、典型的に、複数の製品又は在庫アイテムを保持し、集積貯蔵容器10内の在庫アイテムは、同一であり得るか、又は用途に応じて異なる製品タイプのものであり得る。更に、集積貯蔵容器10は、複数の異なる在庫アイテムを収容するように物理的に小区分され得る。
【0009】
フレームワーク14は、水平部材18、20を支持する複数の直立部材16を備える。第1のセットの平行な水平部材18が、第2のセットの平行な水平部材20に対して垂直に配置され、直立部材16によって支持された複数の水平グリッド構造を形成している。部材16、18、20は、典型的に、金属から製造されている。集積貯蔵容器10は、フレームワーク14の部材16、18、20の間に積み重ねられ、これにより、フレームワーク14は、集積貯蔵容器10のスタック12の水平移動を防止し、集積貯蔵容器10の垂直移動を案内する。
【0010】
フレームワーク14の最上レベルは、スタック12の最上部にわたってグリッドパターン状に配置されたレール22を含む。
図3及び
図4を更に参照すると、レール22は、複数のロボット積荷ハンドリング装置30を支持する。第1のセット22aの平行なレール22が、フレームワーク14の最上部にわたって第1の方向(X)への積荷ハンドリング装置30の移動を案内し、第1のセット22aに対して垂直に配置された第2のセット22bの平行なレール22が、第1の方向に対して垂直な第2の方向(Y)への積荷ハンドリング装置30の移動を案内する。このようにして、レール22は、X-Y平面における2次元での積荷ハンドリング装置30の移動を可能にし、その結果、積荷ハンドリング装置30は、どのスタック12の上方の位置へも移動され得る。
【0011】
各積荷ハンドリング装置30は、スタック12の上方で、フレームワーク14のレール22上をX方向及びY方向に走行するように配置された車両32を備える。車両32の前方にある一対のホイール34と、車両32の後方にある一対のホイール34とからなる、第1のセットのホイール34が、第1のセット22aのレール22のうちの2つの隣接するレールと係合するように配置されている。同様に、車両32の各側方にある一対のホイール36からなる、第2のセットのホイール36が、第2のセット22bのレール22のうちの2つの隣接するレールと係合するように配置されている。各セットのホイール34、36は、第1のセットのホイール34又は第2のセットのホイール36のいずれかが、どの時点においてもそれぞれのレールのセット22a、22bと係合されるように、持ち上げ及び下降され得る。
【0012】
第1のセットのホイール34が第1のレールのセット22aと係合し、第2のセットのホイール36がレール22から離れて持ち上げられたとき、ホイール34は、積荷ハンドリング装置30をX方向に移動させるように、車両32内に収容された駆動機構(図示せず)によって駆動され得る。積荷ハンドリング装置30をY方向に移動させるためには、第1のセットのホイール34は、レール22から離れて持ち上げられ、第2のセットのホイール36は、第2のレールのセット22bと係合するように下降される。次いで、駆動機構は、Y方向への移動を達成するために、第2のセットのホイール36を駆動するために使用され得る。
【0013】
このようにして、1つ以上のロボット積荷ハンドリング装置30が、集中制御ユーティリティ(図示せず)の制御下で、
図4に示されるように、フレームワーク14上でスタック12の上面を動き回り得る。各ロボット積荷ハンドリング装置30には、必要な製品にアクセスするために、スタック12から1つ以上の集積貯蔵容器10を持ち上げるための持ち上げ手段38が設けられている。
【0014】
車両32の本体は、空洞40を備え、空洞40は、集積貯蔵容器10を保持することが可能なサイズである。持ち上げ手段38は、ウィンチ手段と、集積貯蔵容器把持部アセンブリ39と、を備える。持ち上げ手段は、集積貯蔵容器10を、スタック12から車両32の本体内の空洞40内まで持ち上げる。空洞40内にあるとき、集積貯蔵容器10は、下のレールから離れて持ち上げられており、その結果、積荷ハンドリング装置は、グリッド上の異なる場所に横方向に移動し得る。目標の場所、例えば、別のスタック、保管システム内のアクセスポイント又はコンベヤベルトに到達すると、集積貯蔵容器10は、空洞から下降され、把持部アセンブリ39から解放され得る。
【0015】
このようにして、複数の製品が、グリッド及びスタックにおける複数の場所からいつでもアクセスされ得る。
【0016】
上記の説明は、例えば食料雑貨類に関連して保管システムを説明している。
図4は、典型的なこのような保管システムを示しており、このシステムは、スタック12の上方のグリッド上でアクティブな複数の積荷ハンドリング装置30を有する。
【0017】
図1及び
図4は、保管システム内のスタック12における集積貯蔵容器10を示す。任意の所定の保管システム内に多数の集積貯蔵容器10が存在し得、多くの異なるアイテムが、スタック12における集積貯蔵容器10内に保管され得ることが理解されよう。各集積貯蔵容器10には、単一のスタック12内で異なるカテゴリの在庫アイテムが入れられ得る。
【0018】
上述の1つのシステム及び更に参照により本明細書に組み込まれるOcado Innovation Limitedの英国特許出願公開第GB2517264A号では、保管システムは、顧客注文品がその中に入っている配送コンテナDTを更に備え得るか、又はピッキングを待つ在庫アイテムがその中に入っている集積貯蔵容器10を更に備え得る、一連の集積貯蔵容器10を備える。これらの異なる集積貯蔵容器10及びそれらの組合せが、保管システム内に含まれ、上述されたようなロボット積荷ハンドリング装置30によってアクセスされ得る。
【0019】
自動又は半自動の保管及び取り出しシステムは、食料雑貨類を対象とするシステムに限定されないことが理解されよう。例えば、本技術は、いくつかの可能な用途を挙げると、出荷、手荷物処理、車両駐車、屋内又は水耕温室及び農業、モジュール式建物、セルフストレージ式施設(self-storage facilities)、貨物ハンドリング、運搬スイッチヤード、製造施設、パレットハンドリング、小包仕分け、空港物流(ULD)並びに一般物流に適用され得る。異なるタイプの保管及び取り出しシステムは、異なる技術的要件を有するであろうことが理解されよう。
【0020】
本発明は、こうした背景に対して考案されたものである。
【発明の概要】
【0021】
本発明の態様は、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0022】
1つの目的は、軽量の積荷ハンドリング装置を提供することである。別の目的は、低コストの積荷ハンドリング装置を提供することである。別の目的は、メンテナンスするのが容易及び/又は安価であるモジュール式積荷ハンドリング装置を提供することである。
【0023】
別の目的は、主にリサイクル可能な材料又は環境に優しい材料から作製される積荷ハンドリング装置を提供することである。
【0024】
グリッドフレームワーク(14)構造内で積み重ねられた保管コンテナ(10)を持ち上げ及び移動させるための積荷ハンドリング装置が提供され、グリッドフレームワーク(14)構造は、複数のグリッド空間を備えるグリッドパターンを形成するために、第1のセットの平行なレール又は軌道(22b)と、実質的に水平な平面において、第1のセットのレール又は軌道(22b)に対して実質的に垂直に延在する第2のセットの平行なレール又は軌道(22a)と、を備え、ここにおいて、グリッドは、直立材(16)のセットによって支持されて、コンテナ(10)が、その間に積み重ねられるように、及び直立材によって複数のグリッド空間を垂直方向に案内されるように、グリッドの下に複数の垂直保管場所を形成しており、積荷ハンドリング装置は、第1のセットの平行な軌道(22b)と係合するように配置されている第1のセットのホイール(116)と、第2のセットの平行な軌道(22a)と係合するように配置されている第2のセットのホイールとに取り付けられた本体と、ホイールを平行な軌道と係合及び係合解除するために、本体に対して、第1のセットのホイールを上昇若しくは下降させる、及び/又は第2のセットのホイールを下降若しくは上昇させるように配置された方向転換アセンブリと、を備え、ここにおいて、方向転換アセンブリは、ホイールを上昇又は下降させるために、加えられた力の下で移動するように配置された少なくとも1つの弾性変形可能な部材を有するコンプライアント機構(compliant mechanism)を備える。
【0025】
グリッドフレームワーク構造内で積み重ねられた保管コンテナを持ち上げ及び移動させるための積荷ハンドリング装置が提供され、グリッドフレームワーク構造は、複数のグリッド空間を備えるグリッドパターンを形成するために、第1のセットの平行なレール又は軌道と、実質的に水平な平面において、第1のセットのレール又は軌道に対して実質的に垂直に延在する第2のセットの平行なレール又は軌道と、を備え、ここにおいて、グリッドは、直立材のセットによって支持されて、コンテナが、その間に積み重ねられるように、及び直立材によって複数のグリッド空間を垂直方向に案内されるように、グリッドの下に複数の垂直保管場所を形成しており、積荷ハンドリング装置は、第1のセットの平行な軌道と係合するように配置されている第1のセットのホイールと、第2のセットの平行な軌道と係合するように配置されている第2のセットのホイールとに取り付けられた本体と、ホイールを平行な軌道と係合及び係合解除するために、本体に対して、第1のセットのホイールを上昇若しくは下降させる、及び/又は第2のセットのホイールを下降若しくは上昇させるように配置された方向転換アセンブリと、を備え、ここにおいて、方向転換アセンブリは、トラベラ(traveller)と固定ブレースとの間に配置された一連の部材を有するリンケージセットを備え、トラベラは、ホイールを上昇又は下降させるために、加えられた力の下で移動するように配置されている。
【0026】
一連の部材の各々は、同じであり得ることが理解されよう。したがって、各部材は、トラベラが固定ブレースに対して移動されるときに、同様の動きを有することになる。リンケージセットは、トラベラと固定ブレースとの間に1つの部材を備え得ることが理解されよう。しかしながら、典型的に、一連の部材は、2つ以上の部材又は脚部を備え得る。1つの脚部は、アレンジメント(arrangement)のねじれを回避するために、固定ブレース及びトラベラの各端部の間に位置することになる。典型的に、一連の部材は、5つの部材を備え得る。任意の数の部材が、方向転換アセンブリの要件、並びにトラベラ及び固定ブレースについての長さ、したがって、その上での空間に従って、使用され得ることが理解されよう。
【0027】
第1のセットのホイール及び第2のセットのホイールは、互いに対して独立して駆動可能であり得る。積荷ハンドリング装置が駆動されているとき、1つのセットのホイールのみがグリッドと係合され、それによって、軌道と係合されたセットのホイールのみを駆動することによって、グリッド上の任意の点への軌道に沿った積荷ハンドリング装置の移動を可能にする。
【0028】
コンプライアント機構又はリンケージセットを備える方向転換アセンブリの利点は、各グリッド空間に到達し、グリッド上で動作している他の装置を避けて移動する(move around)ことができるように、積荷ハンドリング装置を、x方向及びy方向に、順方向及び逆方向においてグリッド上で及びグリッドの至る所へ効果的且つ効率的に操縦(manoeuvre)するために、それが適切なセットのホイールを確実に係合し得ることである。方向転換アセンブリのためのコンプライアント機構又はリンケージセットの更なる利点は、材料特性を利用する結果として、軽量であるように作製され得ることである。
【0029】
方向転換機構は、第1のセットのホイールと第2のセットのホイールの両方に接続され得る。したがって、一方のセットのホイール又は他方のセットのホイールを選択的に動作させることによって、積荷ハンドリング装置は、グリッド上の任意の位置に移動することが可能になる。
【0030】
リンケージセットは、コンプライアント機構を備える一連の弾性変形可能な部材であり得るか、又はリンケージセットは、一連の枢動可能に接続された剛体部材であり得る。一連の部材は、枢動可能に接続された2部品リンケージ(two-part linkages)をそれぞれ備え得る。リンケージセットの部材間の継手は、回転が制限されている。
【0031】
このようにして、一連の部材は、それが停止又は制限されるまで、1つの枢動点、継手、又はヒンジを中心に回転し、次いで、第2の枢動点、継手、又はヒンジを中心に移動し得る。リンケージは、2つより多くの継手を備え得ることが理解されよう。有利には、一連の部材の移動は、2部品リンケージの各部品間の相対的長さを調整することによって、及び回転制限を調整することによって、ホイールセット又は積荷ハンドリング装置の何らかの他の部品の位置に関連して方向転換機能に必要な力を管理するように設計され得る。方向転換機能に必要な力を管理することによって、積荷ハンドリング装置の部品の摩耗を管理することが可能になる。順に、これは、より少ないメンテナンス又はより少ない交換部品を必要とする、より信頼性の高い装置をもたらす。
【0032】
上部ブレースは、下部ブレースに対して水平方向に変位され得、したがって、上部ブレースは、トラベラとも呼ばれ得る。
【0033】
コンプライアント機構は、中立構成において安定し得、コンプライアント機構は、少なくとも1つの他の構成において安定し得る。同様に、リンケージセットは、中立構成及び少なくとも1つの他の構成において安定し得る。
【0034】
このようにして、方向転換アセンブリは、変形力が取り除かれた場合に、リンケージセット又はコンプライアント機構がそこで静止する又はそこへ移動する傾向がある「好ましい」構成又は位置を有する。これは、第1のセットのホイール、第2のセットのホイール、又は第1及び第2のセットのホイールの両方の選択を可能にする。有利には、積荷ハンドリング装置は、デフォルト位置に移動するように配置され得る。有利には、デフォルト位置は、受動的に、即ち、入力なしに、積荷ハンドリング装置を自動的に「安全」状態にし得る。
【0035】
リンケージセット又はコンプライアント機構は、第1のセットのホイールが軌道と係合しているとき、又は第2のセットのホイールが軌道と係合しているとき、安定構成(stable configuration)にあり得る。あるいは、リンケージセット又はコンプライアント機構は、第1のセットのホイールが軌道と係合しているとき、且つ第2のセットのホイールが軌道と係合しているとき、安定構成にあり得る。したがって、リンケージセット又はコンプライアント機構は、3つの安定構成、即ち、ホイールの各セットについての安定構成と、第1及び第2のセットのホイールの両方が軌道と係合された安定「停車(parked)」構成と、を有し得る。
【0036】
方向転換アセンブリは、ホイールの各セットについて少なくとも1つのリンケージセット又はコンプライアント機構を備え得る。これらリンケージセット又はコンプライアント機構は、これら構成間で一斉に動くように機械的に接続され得る。機械的接続は、2つ以上のリンケージセットをリンクするベルトであり得、オプションで、ベルトは、積荷ハンドリング装置の本体を一周する(circumnavigates)。代替として、機械的接続は、チェーンであり得る。したがって、各セットのホイールの調整された配備(coordinated deployment)があることが確実にされ得る。これは、積荷ハンドリング装置本体の傾きを防止し得、その結果、方向転換動作中に、積荷ハンドリング装置エンベロープを単一空間の公差内に保つのに役立つ。したがって、これは、隣接する軌道上で動作する他の積荷ハンドリング装置との衝突のリスクを低下させる。本明細書で説明されるように、方向転換アセンブリが所望の挙動で動作することを可能にするために、任意の数のリンケージセット又はコンプライアント機構が使用され得ることが理解されよう。積荷ハンドリング装置の第1の対向する対の側が一緒に動作すべきであり、垂直な第2の対向する対の側は、第1の対の側と反対に動作すべきであることが理解されよう。したがって、第2の対の側にあるコンプライアント機構のリンケージセットは、第1の対の側にあるコンプライアント機構に対して逆にされ得る。
【0037】
少なくとも1つの弾性変形可能な部材は、ヒンジであり得、コンプライアント機構は、ヒンジを通じて上部ブレース及び下部ブレースに取り付けられた一連のトランク部分(trunk portion)を備え得る。ヒンジは、ブランチ部分又はばね部分を備え得る。コンプライアント機構の所望の挙動を達成するために必要な特性を有するその他任意のタイプのヒンジが使用され得ることが理解されよう。
【0038】
したがって、コンプライアント機構は、形状上の特定の点において優先的に曲がるか又は撓曲する(flex)ように配置されている。順に、これは、コンプライアント機構からの特定の機械的又は動的機械的な挙動を促進する。ヒンジは、トランクよりも薄いセクションで設計され得る。
【0039】
上述されたように、コンプライアントヒンジは、別のタイプのヒンジで置き換えられ得る。例えば、コンプライアント機構の「一体(living)」ヒンジは、同様の挙動を再現するように配置された枢動可能に接続された剛性部材で置き換えられ得る。枢動接続部は、ヒンジであり得る。枢動可能に接続された剛性部材は、リンケージセットであり得る。
【0040】
各リンケージセット又はコンプライアント機構は、第1のタイプのヒンジを有する少なくとも1つのトランク部分と、第2のタイプのヒンジを有する少なくとも1つのトランク部分と、を備え得る。
【0041】
このようにして、リンケージセット又はコンプライアント機構の複雑な挙動が達成され得る。第1のタイプのヒンジは、1つのタイプの挙動を示し得、第2のタイプのヒンジは、第2の異なる挙動を示し得る。異なる挙動特性をそれぞれ有する一連の柱又はトランクを使用したリンケージセット又はコンプライアント機構は、挙動特性の組合せを示し得る。
【0042】
使用中及び例えば、上部ブレース若しくはトラベラが下部ブレースに対して第1の方向に移動されるとき、第1のタイプのヒンジを有するトランク部分は、x方向安定構成で上部ブレース及び下部ブレースと係合し得、並びに/又は、上部ブレース若しくはトラベラが下部ブレースに対して第2の方向に移動されるとき、第2のタイプのヒンジを有するトランク部分は、y方向安定構成で上部ブレース及び下部ブレースと係合し得る。
【0043】
方向転換機構は、単一のモータによって駆動され得る。
【0044】
このようにして、単一のモータが、積荷ハンドリング装置の移動の方向を変更するために使用され得る。モータは、例えば、ソレノイド、油圧手段、空気圧手段、サーボ手段、ソリッドステート作動手段等の、任意のアクティベーションの手段で置き換えられ得ることが理解されよう。有利には、これは、積荷ハンドリング装置の全体的なコスト及び重量を低減し得る。
【0045】
方向転換機構は、1つより多くのモータによって駆動され得る。方向転換機構は、各それぞれのコンプライアント機構についてのモータによって駆動され得る。
【0046】
このようにして、積荷ハンドリング装置は、積荷ハンドリング装置の部分的な故障があったとしても、積荷ハンドリング装置が動作し続け得るように、何らかの冗長性を有し得、したがって、グリッド上の積荷ハンドリング装置の操縦性の完全な故障を回避し得る。有利には、よりロバストな方向転換機構が提供される。有利には、これは、個々の積荷ハンドリング装置、並びに保管及び取り出しシステム全体のダウンタイムを低減する。
【0047】
リンケージセット又はコンプライアント機構(複数可)は、プラスチック、ポリマープラスチック、熱硬化プラスチック、熱可塑性プラスチック、金属、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、鋼、鋼合金、マグネシウム、マグネシウム合金、チタン、チタン合金、亜鉛、亜鉛合金、繊維強化複合材料、炭素繊維、グラファイト繊維、ガラス繊維、天然繊維、植物繊維、プラスチック繊維、紙、厚紙、ゴム、エポキシ樹脂又はナイロンから作製され得る。
【0048】
リンケージセット又はコンプライアント機構(複数可)は、3D印刷され得る。このようにして、より従来的な製造の形態では実現できない形状を実現することが可能になり得る。有利には、リンケージセット又はコンプライアント機構は、オンデマンドで、又は部品が必要とされる場所の近くにある3D印刷設備で印刷され得、それによって、部品をそれらが必要とされる場所に運ぶ際の物流コストを最小限に抑える。本明細書で言及される3D印刷は、より一般的には、積層造形と呼ばれ得、材料を1層ずつ積層して追加すること(layer on layer of addition)を伴うことが理解されよう。
【0049】
リンケージセット又はコンプライアント機構(複数可)は、実質的にトポロジ的に最適化され得る。このようにして、リンケージセット又はコンプライアント機構は、使用される材料の総量を低減するように最適化され得る。代替として、リンケージセット又はコンプライアント機構は、リンケージセット又はコンプライアント機構が動作温度範囲内で疲労限度より下で動作することを確実にするために、ある特定の応力限界内に留まるように最適化され得る。
【0050】
一方のセットのホイールが積荷ハンドリング装置の骨格又は本体に対して固定され得ると共に、他方のセットのホイールが積荷ハンドリング装置の本体に対して上昇及び下降され得ることが理解されよう。代替として、いずれのセットのホイールも積荷ハンドリング装置の本体に対して固定されてなくてもよく、第1及び第2のセットのホイールが、積荷ハンドリング装置の本体に対して相反する(opposed)垂直方向に一斉に移動するように配置されていることが理解されよう。したがって、方向転換機構は、第1のセットのホイールと第2のセットのホイールとの両方に取り付け若しくは接続され得るか、又は方向転換機構は、1つのセットのホイールのみに取り付けられ得ることが理解されよう。
【0051】
本発明の別の実施形態によれば、積荷ハンドリング装置の走行方向を変更する方法が提供され、この方法は、第1の方向の力F1を方向転換アセンブリのトラベラに加え、リンケージセット若しくはコンプライアント機構をx方向安定構成に移動させるステップ、又は第2の方向の力F2を方向転換アセンブリのトラベラに加え、リンケージセット若しくはコンプライアント機構をy方向安定構成に移動させるステップ、又は方向転換アセンブリのトラベラに加えられた力を除去し、リンケージセット若しくはコンプライアント機構を、弾性的に蓄積されたエネルギーを有しない中立構成若しくは静止構成に移動させるステップを備える。
【0052】
したがって、コンプライアント機構は、安定状態の構成間で移動され得る。
【0053】
方法は、集中制御設備から信号を受信するステップと、(a)第1のセットのホイールを軌道と係合する、(b)第2のセットのホイールを軌道と係合する、又は(c)積荷ハンドリング装置を停車するために、第1及び第2のセットのホイールを軌道と係合するために、受信された信号に基づいて、方向転換アセンブリを制御するステップと、オプションで、第1又は第2のセットのホイールが軌道と係合されたとき、集中制御設備によって決定されたようにグリッド上の位置へ積荷ハンドリング装置を操縦するために、そのセットのホイールを順方向又は逆方向に駆動するステップと、を更に備え得る。
【0054】
したがって、方向転換アセンブリは、集中制御設備によって制御され、集中制御設備によって決定されたようにホイールのセットを係合させるために使用され得る。一旦(単一の)セットのホイールが係合されると、集中制御設備は、積荷ハンドリング装置を操縦するためにホイールを駆動し得る。あるいは、積荷ハンドリング装置は、両方のセットのホイールを同時に係合させることによって、「停車」され得る。
【0055】
積荷ハンドリング装置は、グリッド上の位置を感知するための手段を更に備え得る。積荷ハンドリング装置は、保管コンテナを持ち上げるための手段を更に備え得る。積荷ハンドリング装置は、持ち上げられた保管コンテナを、グリッド上の位置に運搬するための手段を更に備え得る。積荷ハンドリング装置は、複数の保管コンテナを識別するための手段を更に備え得る。積荷ハンドリング装置は、1つの保管コンテナを識別するための手段を更に備え得る。積荷ハンドリング装置は、集中制御ユーティリティからの継続的な指示なしに、自律的に移動可能であり得る。積荷ハンドリング装置は、保管システムの制御下で遠隔操縦可能であり得る。積荷ハンドリング装置は、信号を集中制御ユーティリティに通信するための手段を更に備え得、集中制御ユーティリティの制御下で移動可能であり得る。積荷ハンドリング装置は、方向転換アセンブリにパワーを供給するための手段を更に備え得る。積荷ハンドリング装置は、駆動アセンブリを更に備え得る。積荷ハンドリング装置は、ベルトにより駆動されるホイールを有し得る。積荷ハンドリング装置は、識別手段を更に備え得る。
【0056】
積荷ハンドリング装置のホイールのセットと軌道との係合を変更するための方法が提供され、ここで、積荷ハンドリング装置は、軌道を備えるグリッドフレームワーク(14)構造上で動作する。この方法は、第1の方向の力F1を方向転換アセンブリのトラベラに加え、リンケージセット若しくはコンプライアント機構をx方向安定構成に移動させるステップ、又は第2の方向の力F2を方向転換アセンブリのトラベラに加え、リンケージセット若しくはコンプライアント機構をy方向安定構成に移動させるステップ、又は方向転換アセンブリのトラベラに加えられた力を除去し、リンケージセット若しくはコンプライアント機構を中立構成に移動させるステップを備える。
【0057】
この方法は、集中制御設備から信号を受信するステップと、(a)第1のセットのホイールを第1のセットの平行な軌道と係合する、(b)第2のセットのホイールを第2のセットの平行な軌道と係合する、又は(c)積荷ハンドリング装置を停車するために、第1及び第2のセットのホイールを、第1及び第2のセットの平行な軌道と係合するために、受信された信号に基づいて、方向転換アセンブリを制御するステップと、を更に備え得る。
【0058】
ここで、第1又は第2のセットのホイールが軌道と係合されたとき、方法は、集中制御設備によって決定されたようにグリッド上の位置へ積荷ハンドリング装置を操縦するために、そのセットのホイールを順方向又は逆方向に駆動するステップを更に備え得る。
【0059】
積荷ハンドリング装置のモジュール式アセンブリ用の部品のキットが提供される。キットは、少なくとも1つの方向転換アセンブリリンケージセット又はコンプライアント機構を備える。
【0060】
キットは、伝達ベルト(transfer belt)及び少なくとも2つの方向転換アセンブリリンケージセット若しくはコンプライアント機構;少なくとも1つの方向転換モータ;並びに/又は方向転換アセンブリを第1のセットのホイール及び第2のセットのホイールに接続するためのリンケージを更に備え得る。
【0061】
キットの少なくとも1つの部品が、3D印刷され得る。
【0062】
部品のキットは、ホイールのセット、駆動アセンブリ、把持部アセンブリ、持ち上げアセンブリ、通信システム、及び/又はセンサ手段、のうちの少なくとも1つを更に備え得る。
【0063】
グリッドベースの保管及び取り出しシステムが提供され、このシステムは、複数のグリッド空間を備えるグリッドパターンを形成するために、第1のセットの平行なレール又は軌道(22b)と、実質的に水平な平面において、第1のセットのレール又は軌道(22b)に対して実質的に垂直に延在する第2のセットの平行なレール又は軌道(22a)と、を備えるグリッドフレームワーク(14)構造と、ここにおいて、グリッドは、直立材(16)のセットによって支持されて、コンテナ(10)が、その間に積み重ねられるように、及び直立材によって複数のグリッド空間を垂直方向に案内されるように、グリッドの下に複数の垂直保管場所を形成しており、グリッドフレームワーク構造上で動作している少なくとも1つの積荷ハンドリング装置と、少なくとも1つの積荷ハンドリング装置(複数可)を制御するための集中制御ユーティリティと、を備える。
【0064】
少なくとも1つの積荷ハンドリング装置は、通信手段を更に備え得、保管システムの集中制御ユーティリティは、少なくとも1つの積荷ハンドリング装置上の通信手段と通信するための通信手段を備える。
【0065】
集中制御ユーティリティは、少なくとも1つの積荷ハンドリング装置の状態を遠隔で監視する。
【0066】
積荷ハンドリング装置の動作不良及び/又は故障が検出された場合、積荷ハンドリング装置は、動作不良を起こしていない及び故障していない手段を使用して、メンテナンスエリア又はグリッドの縁部に移動するように命令され得る。
【0067】
集中制御ユーティリティは、積荷ハンドリング装置にグリッド上の特定の場所に移動するように命令するために、グリッド上で動作している少なくとも1つの積荷ハンドリング装置と通信し得る。
【0068】
更に、積荷ハンドリング装置は、スタックからコンテナを持ち上げ、コンテナをグリッド上の別の場所に移動させるように命令され得、及び/又はコンテナをグリッドの下のスタック位置へと下降させるように積荷ハンドリング装置に更に命令し得る。
【0069】
グリッドフレームワーク(14)構造内で積み重ねられた保管コンテナ(10)を持ち上げ及び移動させるための積荷ハンドリング装置が提供され、グリッドフレームワーク(14)構造は、複数のグリッド空間を備えるグリッドパターンを形成するために、第1のセットの平行なレール又は軌道(22b)と、実質的に水平な平面において、第1のセットのレール又は軌道(22b)に対して実質的に垂直に延在する第2のセットの平行なレール又は軌道(22a)と、を備え、ここにおいて、グリッドは、直立材(16)のセットによって支持されて、コンテナ(10)が、その間に積み重ねられるように、及び直立材によって複数のグリッド空間を垂直方向に案内されるように、グリッドの下に複数の垂直保管場所を形成しており、積荷ハンドリング装置は、第1のセットの平行な軌道(22b)と係合するように配置されている第1のセットのホイール(116)と、第2のセットの平行な軌道(22a)と係合するように配置されている第2のセットのホイール(118)とに取り付けられた本体を備え、ここにおいて、第1及び第2のセットのホイール(116、118)は、スポークを有するホイールを備え、スポークは、リムをハブに接続しており、ホイールは、少なくとも部分的に弾性変形可能である。
【0070】
リム及びホイールハブは、スポーク材料と比べて剛性の材料から作製され得る。ホイールスポークは、網状に配置され得る。ホイールスポーク網の一部は、圧縮可能であり得る。
【0071】
ホイールは、2つ以上の層を備え得、ここにおいて、放射状スポークを有する第1のタイプの層は、湾曲したスポークを有する少なくとも1つの第2のタイプの層と重ねられ得る。したがって、ホイールは、ホイールアセンブリを備え得る。湾曲したスポークは、時計回り方向に湾曲した第1のセットと、反時計回り方向に湾曲した第2のセットと、を備え得る。第1のタイプの層は、2つの第2のタイプの層の間に挟まれ得る。
【0072】
有利には、ホイールは、軽量であり、何らかの衝撃吸収を提供し、積荷ハンドリング装置に何らかのサスペンションを提供し、タイヤ摩耗を低減するように設計される。このアレンジメントの更なる利点は、外側層が面外に曲がり得ることである。これにより、ホイールは、例えば、軌道の位置合わせ不良セクション及び移行部において狭くなる軌道の幅を許容することが可能になる。面外曲げは、より変形しにくいホイールであれば、それ自体が軌道から持ち上がって外れようとし脱線する可能性があるシナリオで、ホイールが押しつぶされて、瞬間的により幅が狭くなる(narrower)ことを可能にする。
【0073】
ホイールは、これら層の各々の特性がホイールの全体的な特性に寄与する、特性の組合せを示し得る。各層は、特定の特性を最適化するように設計され得、この場合、層状又は複合のアレンジメント又はホイールは、層によって具現化される全ての特性を示す。
【0074】
このようにして、ホイールは、特定の方向の剛性及び強度を有利に提供し、尚且つそれらが軌道上を移動するにつれていくらかの振動を吸収することができる特性を示す。特に、スポーク網の設計は、ねじり剛性を特定の範囲内に保ち、それによって、積荷ハンドリング装置の移動の不正確さを回避するためのものであり得る。
【0075】
このようにして、ホイールは、軌道との良好なトラクションを生成し、ホイールスリップを最小限に抑えることができる。これは、駆動運動が積荷ハンドリング装置のより一貫した予測可能な移動をもたらすので、積荷ハンドリング装置がグリッド上でより正確に位置的に制御されることを可能にする。
【0076】
第2のタイプの層のリムは、Oリングを受容するための溝を備え得る。
【0077】
Oリングは、ホイールと軌道との間の接触点を提供する。したがって、第2のタイプの層は、軌道-ホイール界面を提供するOリングを有し得る。Oリングは、典型的に、ゴムから作製される。これは、ホイールに一定量のサスペンションを提供し得る。Oリングは、容易に入手可能であり、容易に交換され得る。任意の好適な材料及びアレンジメントが、トラクションを提供するために使用されて、ホイールと軌道との間に接触点を提供し得ることが理解されよう。例えば、ゴムストリップが、リムに取り付けられ得る。
【0078】
ホイールのリムは、追加のOリングを受容するための追加の溝を備え得る。例えば、ホイールは、Oリングを受容するための2つ、3つ又はそれより多くの溝を備え得る。
【0079】
ホイールの幅又は奥行きにわたって追加のOリングをホイールに設けるオプションを有することは、ホイールと軌道との間の接触ゴムを増大させる機会を提供する。ホイールは、追加のOリングが必要とする、ホイールのリム周りの追加の空間のための空間を収容するために、他の点での修正を必然的に必要とし得ることが理解されよう。例えば、異なる又は修正された駆動アレンジメントを提供することが必要であり得る。
【0080】
追加のOリング及びそれらが提供することになる比例する追加の接触面積は、有利には、より重い荷重条件下で十分なグリップ(grip)を提供することが可能であり得るホイールを提供する。このようにして、ホイールは、より大きな荷重を積載する(carrying greater load)積荷ハンドリング装置と共に使用され得る。順に、これは、例えば、保管及び取り出しシステムの効率を高め得る。
【0081】
第1のタイプの層は、プーリであり得、第2のタイプの層よりも小さい直径を有し得、それによって、駆動ベルトを受容し得るチャネルを作り出す。第1のタイプの層のリムは、駆動ベルトと協働するためのはめ歯(cog teeth)を備え得る。
【0082】
このようにして、第1のタイプの層は、軌道と接触又はインターフェースせずに、代わりに駆動列の一部となるように配置され得る。第1のタイプの層は、軌道と接触又はインターフェースせず、したがって、積荷ハンドリング装置を支持しないが、第1のタイプの層は、ホイールのための車軸駆動を提供し、第2のタイプの層を支持し得る。したがって、アセンブリの第1のタイプの層は、軌道-ホイール接触のために第2のタイプの層が取り付けられるハブの一部であり得る。
【0083】
このようにして、第1のタイプの層は、駆動ベルトによって駆動され得る。駆動ベルトは、第1のタイプの層又はプーリと噛み合い、第2のタイプの層又は積荷ハンドリング装置のホイールを駆動して、操縦性を提供するために使用され得る。溝又はチャネル内の駆動ベルトのアレンジメントは、駆動ベルトがはめ歯と噛み合うための正しい位置に留まることを確実にする。駆動ベルトプーリによって駆動されるホイールを有することは、ホイール自体の設計に対してより多くの設計自由度があることを意味し得る。これら層の各々の組み合わされた特性は、第1のタイプの層のプーリ/ハブによって提供される直接駆動と共に、有利には、ホイールが、例えば、軌道における段差に強く(be resilient to step changes)ありながらも、位置精度を有して(with)駆動され得ることを可能にし得る。このようにして、ホイールは、積荷ハンドリング装置が、複数のグリッド空間を有するグリッドフレームワーク上の特定の場所へと駆動されることを可能にし得る。
【0084】
リムの側面が、ホイールの平面に対して角度付けられ得る。
【0085】
ホイールの最も外側の表面が、角度付けられ得る。このようにして、ホイールは、軌道に沿って移動するときに、脱線する可能性が低くなる。リム面又はリムの側面の角度は、ホイールが、例えば、グリッド空間の間の移行部において、軌道におけるバンプ(bump)で飛び上がった場合、ホイールを定位置及び軌道と接触している状態に戻すように導き得る。
【0086】
ハブは、積荷ハンドリング装置本体上の車軸にホイールを回転可能に取り付けるための軸受を備え得る。
【0087】
ホイールは、プラスチック、ポリマープラスチック、熱硬化プラスチック、熱可塑性プラスチック、金属、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、鋼、鋼合金、マグネシウム、マグネシウム合金、チタン、チタン合金、亜鉛、亜鉛合金、繊維強化複合材料、炭素繊維、グラファイト繊維、ガラス繊維、天然繊維、植物繊維、プラスチック繊維、紙、厚紙、ゴム、エポキシ樹脂又はナイロンから作製され得る。
【0088】
特に、スポーク材料は、ポリウレタン又はナイロンであり、ハブ及びリム材料は、ナイロンであり、Oリングは、ゴムである。
【0089】
ホイールは、3D印刷され得る。ホイールは、実質的にトポロジ的に最適化され得る。
【0090】
このようにして、ホイールは、特定の特性のために設計され得る。このようにして、ホイールは、それらが必要とされる場所又はその近くで印刷され、複雑なサプライチェーンを回避し得る。
【0091】
積荷ハンドリング装置のための駆動ベルトアセンブリが提供され、駆動ベルトアセンブリは、駆動ベルトと、駆動ホイールと、1つ以上の被駆動ホイールと、テンショニング手段であって、肘部の上方の固定端と、肘部において枢動可能に取り付けられた回転可能な遠位端と、を有する第1のテンショニングアームと、ここにおいて、第1のテンショニングアームは、駆動ホイール及び被駆動ホイールに対して水平方向に変位可能であり、第2のテンショニングアームと、を備えるテンショニング手段と、を備え、ここにおいて、駆動ベルトは、第1及び第2のテンショニングアームの周りにルーティングされ、第1及び第2のテンショニングアームは、駆動ベルトに張力を付与するために、駆動ベルトに圧力をかけるように配置されている。
【0092】
駆動ベルトアセンブリであって、被駆動ホイールは、駆動ホイールに対して、上昇構成と下降構成との間で垂直方向に移動可能であり得、テンショニング手段は、被駆動ホイールの上昇構成及び下降構成に対応するそれぞれの構成を有し得、テンショニング手段は、それらの間で移動可能である、駆動ベルトアセンブリ。
【0093】
グリッドフレームワーク保管構造上で動作するための積荷ハンドリング装置が提供され、グリッドフレームワーク保管構造は、複数のグリッド空間を備えるグリッドパターンを形成するために、第1のセットの平行なレール又は軌道(22b)と、実質的に水平な平面において、第1のセットのレール又は軌道(22b)に対して実質的に垂直に延在する第2のセットの平行なレール又は軌道(22a)と、を備え、ここにおいて、グリッドは、直立材(16)のセットによって支持されて、コンテナ(10)が、その間に積み重ねられるように、及び直立材によって複数のグリッド空間を垂直方向に案内されるように、グリッドの下に複数の垂直保管場所を形成しており、積荷ハンドリング装置は、第1のセットの平行な軌道(22b)と係合するように配置されている第1のセットのホイール(116)と、第2のセットの平行な軌道(22a)と係合するように配置されている第2のセットのホイールとに取り付けられた本体を備え、ここにおいて、第1のセットホイール(116)及び第2のセットのホイール(118)は、それぞれの駆動ベルトによって駆動され、第1のセットのホイール(116)及び第2のセットのホイール(118)は、被駆動ホイールである。
【0094】
積荷ハンドリング装置は、それぞれの被駆動ホイールを駆動するために、積荷ハンドリング装置の各側に配置された4つの駆動ベルトアセンブリを備え得る。
【0095】
積荷ハンドリング装置は、ホイールを平行な軌道と係合及び係合解除するために、駆動ホイールに対して、第1のセットのホイールを上昇若しくは下降させる、及び/又は第2のセットのホイールを下降若しくは上昇させるように配置された方向転換アセンブリを更に備え得、ここにおいて、駆動ベルトアセンブリのテンショニング手段は、被駆動ホイールが上昇構成と、下降構成と、停車構成との間を移動されているときに、駆動ベルトに予張力を付与するように配置されている。
【0096】
このようにして、駆動ベルトアセンブリは、駆動ベルトと、駆動ホイールと、被駆動ホイールとの間の係合を確実にするために、テンショニング手段によって予張力を付与され得る。ホイールが下降位置と上昇位置との間を移動しているとき、テンショニング手段なしでは、駆動ベルトの経路長が変化し、弛んだ状態になって、スリップする可能性があることが理解されよう。駆動ベルトアセンブリ、より具体的にはテンショニング手段は、駆動ベルトの経路長が実質的に同じままであるように、ベルト経路の長さの変化を補償するように配置されており、駆動に必要であるように、ベルトに駆動ホイール及び被駆動ホイールと接触したままであるために必要な張力が付与されていることを確実にする。被駆動ホイールが上昇位置にあるとき、ベルトが、トラベラ取付部とホイールとの間の垂直距離における低減を補償するために、第1のテンショニングアームの肘部上にルーティングされるので、テンショニング手段の周りの経路長は、駆動ベルトの経路長を増大させる。有利には、テンショニング手段は、駆動ベルトが弛んだ状態になるのを実質的に防止する。有利には、テンショニング手段は、駆動ベルトが駆動される前に、駆動ベルトに張力が付与された状態にあることを確実にし得、したがって、被駆動プーリ上でのベルトの滑り(slippage)が回避される。予張力を付与することなしには、駆動ベルトは、被駆動ホイール及び駆動ホイールと係合せずにスリップし得るか、又は駆動ホイールとの不適切な係合によって摩耗し得る。
【0097】
方向転換アセンブリが動作するときの駆動ベルトの経路長における変化は、線形でなくてもよいことが理解されよう。経路長の変化は、方向転換アセンブリの幾何学形状に依存することになる。
【0098】
予張力は、ベルトがプーリに対してスリップしないことを確実にするために、駆動ベルトが駆動される前に、テンショニング手段によって駆動ベルトにかかる張力の量である。動作中、ベルトが駆動されているとき、駆動ベルトは、駆動プーリから被駆動ホイールへと力を伝達するために、より高い張力状態にある。ベルトが移動する速度は、システム上の負荷及びモータの関数である。
【0099】
駆動手段は、駆動ベルトの代わりに、チェーン駆動であり得ることが理解されよう。いくつかのアレンジメントでは、駆動ベルトは、歯がない場合がある。
【0100】
駆動ベルトアセンブリであって、被駆動ホイール及びテンショニング手段の構成間の移動が機械的に調整され得る、駆動ベルトアセンブリ。
【0101】
駆動ベルトアセンブリは、駆動ホイールに対して被駆動ホイールを上昇又は下降させるように配置された方向転換アセンブリを更に備え得、ここにおいて、駆動ベルトアセンブリのテンショニング手段は、被駆動ホイールが上昇構成と、下降構成と、停車構成との間を移動されているときに、駆動ベルトに予張力を付与するように配置されている。
【0102】
駆動ベルトアセンブリであって、テンショニング手段は、方向転換機構に機械的にリンクされ得る、駆動ベルトアセンブリ。
【0103】
テンショニング手段は、被駆動ホイールと共に移動するように配置され得る。このようにして、駆動ベルトは、システムが機能的であり、ホイール位置に依存していると仮定すると、テンショニング手段によって常に張力が付与されている。
【0104】
駆動ベルトアセンブリであって、垂直方向における被駆動ホイールの移動及びテンショニング手段の移動が、同じアクチュエータによって作動され得る、駆動ベルトアセンブリ。
【0105】
駆動ベルトアセンブリであって、駆動ベルトに加えられ得る張力が、第1のテンショニングアーム及び/又は第2のテンショニングアームの位置に応じて変化する、駆動ベルトアセンブリ。
【0106】
駆動ベルトアセンブリであって、方向転換に必要なピーク力が、張力を付与するために必要なピーク力とは異なる時点(time)になり得る、駆動ベルトアセンブリ。
【0107】
駆動ホイールの垂直移動を可能にするための方向転換モータは、テンショニング手段を移動させるためにも使用され得る。有利には、テンショニング手段のために追加のモータが必要とされない。
【0108】
方向転換機構を作動させるために必要な力及びテンショニング手段を作動させるために必要な力は、動作が行われるにつれて経時的に変化することが理解されよう。テンショニング手段の幾何学形状設計の結果として、テンショニング手段に必要なピーク力は、方向転換アセンブリに必要なピーク力のわずかに前又は後に生じ得る。このようにして、テンショニング手段によって作動モータに加えられる追加の負荷は、方向転換アセンブリによって作動モータに高負荷が加えられる瞬間的な時間外に主に生じるように管理され、したがって、必要なモータサイズは、テンショニング手段によって増大されない。
【0109】
方向転換アセンブリは、被駆動ホイールと駆動ホイールとの間の垂直距離における変化により、駆動ベルトに張力をかけ得ることが理解されよう。場合によっては、ホイール取付部と、「中間ハロー(middle halo)」又は上部ブレース/トラベラ取付部との間の距離は、ホイールが駆動位置にあるときよりも一時的に長くなり得る。ベルトは、この「バンプ」を乗り越えるには、この「バンプ(bump)」上に伸ばされる必要があり、より大きいモータが必要になることが理解されよう。ベルトが切れる可能性がある。テンショニング手段は、「バンプ」の後でのみベルトに張力を加えることによって、これを補償し得ることが理解されよう。したがって、複雑で相互作用する方向転換及びベルトテンショニングアレンジメントを伴うベルト経路に従うことによって、ベルトの摩耗を回避し、モータへの負担を回避することが可能になり得る。
【0110】
駆動ベルトアセンブリは、ベルトの張力を監視するための感知手段を更に備え得、オプションで、ベルトの張力を調整するための手段を更に備え得る。
【0111】
駆動ベルトアセンブリは、駆動ベルトの動作不良又は故障を決定するための感知手段を更に備え得る。
【0112】
このようにして、駆動ベルトの状態及び駆動ベルトの張力が監視され得る。ベルトが少し伸びた場合には、駆動ベルトの経路長は、ベルト調整手段を調整することによって、同様の量だけ増大され得る。これは、ベルトを積荷ハンドリング装置から取り外すことによって交換又は調整することを必要とせずに、「静止」張力及びベルト経路又はルートが調整されることを可能にする。更に、これはベルトの微調整を可能にする。ベルト調整は、駆動動作間で、積荷ハンドリング装置が保管システムグリッド上で動作している間に可能であり得る。当然ながら、ベルトが著しく伸びた場合には、それは、メンテナンスエリアでの積荷ハンドリング装置のメンテナンス中に交換される必要があり得る。更に、感知手段はまた、駆動ベルト又は駆動システムの故障がある場合を検出することが可能であり得る。動作中、積荷ハンドリング装置は、典型的に、駆動ベルトアセンブリ及びテンショニング手段を各側に有する。したがって、たとえ一方の側のベルトが故障した場合であっても、積荷ハンドリング装置は、グリッド上で立ち往生し、回復するために少なくとも部分的なグリッド閉鎖を必要とするのではなく、他方のセットの被駆動ホイールを使用することで、修理のためにグリッドの縁部又はメンテナンスエリアに戻るのに十分に動作可能であり得る。
【0113】
グリッドフレームワーク(14)構造内で積み重ねられた保管コンテナ(10)を持ち上げ及び移動させるための積荷ハンドリング装置が提供される。積荷ハンドリング装置は、複数のグリッド空間を備えるグリッドパターンを形成するために、第1のセットの平行なレール又は軌道(22b)と、実質的に水平な平面において、第1のセットのレール又は軌道(22b)に対して実質的に垂直に延在する第2のセットの平行なレール又は軌道(22a)と、を備え、ここにおいて、グリッドは、直立材(16)のセットによって支持されて、コンテナ(10)が、その間に積み重ねられるように、及び直立材によって複数のグリッド空間を垂直方向に案内されるように、グリッドの下に複数の垂直保管場所を形成しており、積荷ハンドリング装置は、第1のセットの平行な軌道(22b)と係合するように配置されている第1のセットのホイール(116)と、第2のセットの平行な軌道(22a)と係合するように配置されている第2のセットのホイール(118)とに取り付けられた本体と、保管コンテナ(10)に掛止するための把持部アセンブリと、を備え、ここにおいて、把持部アセンブリは、ロック構成と解放構成と間で移動可能な変形可能な撓曲機構(deformable flexure mechanism)を備える。
【0114】
把持部アセンブリは、自己ロック式であり得る。
【0115】
積荷ハンドリング装置は、保管コンテナを把持し、保管コンテナを持ち上げ得る。把持部アセンブリは、少なくとも2つの構成において安定しており、少なくともロック構成において自己ロックする。把持部は、材料の疲労限度より下で動作し、これら位置間で繰り返し移動可能である。このようにして、積荷ハンドリング装置は、保管コンテナを持ち上げて移動させるために、保管コンテナをしっかりと確実に把持することができる。
【0116】
双安定撓曲部は、アクチュエータと、フック端部を有する2つ以上の把持部アームと、把持部アームの数に対応する数のヒンジアレンジメントと、を備え得、ここにおいて、各ヒンジアレンジメントは、変形可能であり、それぞれの把持部アームをアクチュエータに接続している。ヒンジアレンジメントは支点(fulcrum)を備え、第1及び第2の変形可能なセクションが、支点のそれぞれの端部に接続している。支点は、実質的に三角形である。ロック構成では、支点は、把持部アームと係合し、コンプライアント機構は、開いているか又は幅が広くなり、解放構成では、ヒンジの第1及び第2のセクションは、撓曲され、コンプライアント機構は、閉じているか又は幅が狭くなる。
【0117】
把持部アームのフック端部は、把持部が保管コンテナの協働部分に掛止することを可能にし、支点は、撓曲部が把持部の故障なしには安定ロック位置を越えて移動することができないことを意味する。したがって、把持部アセンブリ自体の構成は、保管コンテナを持ち上げ、移動させることを目的として、把持部が保管コンテナに確実に固定可能であることを確実にする。
【0118】
ヒンジアレンジメントは、フック端部から離間した把持部アームに接続され得、支点は、第1のヒンジアレンジメントと第2のヒンジアレンジメントとの間の直線の上方に延在し得るか、又は支点は、第1のヒンジアレンジメントと第2のヒンジアレンジメントとの間の直線の下方に延在し得る。把持部アセンブリは、2つ以上の撓曲機構を備え得る。把持部アセンブリは、4つの撓曲機構を備え得る。
【0119】
特定のアレンジメントは、把持部アセンブリの意図された用途に依存することになり、意図された範囲は、本明細書に開示される特定の例に限定されないことが理解されよう。
【0120】
積荷ハンドリング装置は、保管コンテナを持ち上げるための手段を更に備え得、ここにおいて、保管コンテナを持ち上げるための手段は、把持部プレートを備え、把持部アセンブリは、把持部プレートに取り付けられている。保管コンテナを持ち上げるための手段は、積荷ハンドリング装置の骨格又は本体に解放可能に取り付け可能であり得る。持ち上げテープが、把持部アームに取り付けられ得る。
【0121】
撓曲機構は、3D印刷され得る。
【0122】
積荷ハンドリング装置の把持部アセンブリを使用する方法が提供され、ここにおいて、撓曲部がコンテナの協働凹部に挿入され、持ち上げ力が把持部アセンブリによってコンテナに加えられると、撓曲部は、コンテナと係合し、ロック構成へと移動する。
【0123】
コンプライアント機構がロック構成にあり、作動力が把持部アセンブリに加えられると、コンプライアント機構は、ロック構成から解放構成へと移動し得る。
【0124】
積荷ハンドリング装置のモジュール式アセンブリ用の部品のキットが提供される。キットは、少なくとも1つの把持部アセンブリ撓曲部を備える。
【0125】
他の変形例及び利点が、以下の説明から明らかになるであろう。
【0126】
次に、添付の概略図を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【
図1】
図1は、保管システムにおいて集積貯蔵容器の複数のスタックを収容するためのフレーム構造の概略斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のフレーム構造の一部の概略平面図である。
【
図3a】
図3(a)は、
図1及び
図2のフレーム構造と共に使用するためのロボット積荷ハンドリング装置の一形態の後方からの概略斜視図である。
【
図3b】
図3(b)は、
図1及び
図2のフレーム構造と共に使用するためのロボット積荷ハンドリング装置の一形態の前方からの概略斜視図である。
【
図3c】
図3(c)は、集積貯蔵容器を持ち上げている、使用中の既知の積荷ハンドリング装置の概略斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1及び
図2のフレーム構造上に設置された、
図3(a)、
図3(b)及び
図3(c)に示されたタイプの複数の積荷ハンドリング装置を備える既知の保管システムの概略斜視図である。
【
図5】
図5は、積荷ハンドリング装置の概略図である。
【
図6】
図6a~
図6cは、本発明の一形態による、方向転換アセンブリの一部としての、積荷ハンドリング装置の第1及び第2のセットのホイールを係合する際に使用するためのコンプライアント機構リンケージセットの概略図である。
【
図7】
図7a~
図7cは、
図6に示された位置と同様の位置にあるコンプライアント機構及びホイール位置を示す積荷ハンドリング装置の斜視図である。
【
図8】
図8a~
図8cは、方向転換アセンブリの一部として使用するための、様々な撓曲ヒンジアレンジメントを有する中立又は静止構成にあるコンプライアント機構の例を例示する。
【
図9】
図9a~
図9bは、方向転換アセンブリにおいて使用するための、第1及び第2の安定構成におけるコンプライアント機構を例示する。
【
図10】
図10aは、積荷ハンドリング装置上で使用するための、スポークを有するホイールの平面図であり、
図10bは、その斜視図である。
【
図11】
図11aは、積荷ハンドリング装置上で使用するための第1の層のタイプのホイールの平面図であり、
図11bは、その斜視図である。
【
図12】
図12aは、積荷ハンドリング装置上で使用するための第2の層のタイプのホイールの平面図であり、
図12bは、その斜視図である。
【
図13】
図13a及び
図13bは、積荷ハンドリング装置上で使用するための第2の層のタイプのホイールの一部の概略的な示力図を示す。
【
図15】
図15は、ホイールのセットと共に使用するための駆動アセンブリを示す。
【
図17】
図17は、持ち上げアセンブリの代替のアレンジメントを示す。
【
図18a】
図18aは、(a)ロック構成にある把持部アセンブリの概略図を示す。
【
図18b】
図18bは、(b)ロック構成から解放構成に移動している把持部アセンブリの概略図を示す。
【
図18c】
図18cは、(c)解放構成にある把持部アセンブリの概略図を示す。
【
図19】
図19a~
図19bは、(a)ロック構成にある把持部アセンブリ、及び(b)解放構成にある把持部アセンブリの概略図を示す。
【
図20】
図20a~
図20bは、持ち上げられたコンテナあり及びなしの積荷ハンドリング装置を例示する。
【
図21】
図21は、テンショニング手段を有する駆動アセンブリの平面図を示す。
【
図23】
図23a~
図23cは、駆動アセンブリ及びテンショニング手段の平面図であり、
図23(a)は、ホイールが軌道と係合する位置にある状態を示し、
図23(b)は、ホイールが中立位置又は静止状態にある状態を示し、
図23(c)は、ホイールを上げた、即ち、ホイールが軌道と係合していない状態を示す。
【
図24】
図24a~
図24cは、駆動アセンブリ及びテンショニング手段の平面図であり、テンショニング手段と、表面上に置かれている(resting on)積荷ハンドリング装置上のホイールとの相対位置を例示し、
図24(a)は、y方向ホイールが表面と係合する位置に下降され、x方向ホイールが上昇されて軌道と係合解除された状態を示し、
図24(b)は、ホイールが中立位置又は静止状態にあり、ここで、x方向ホイール及びy方向ホイールの両方が軌道と係合された状態を示し、
図24(c)は、x方向ホイールが下降され、y方向ホイールが上昇された状態を示す。
【
図25】
図25は、駆動モータアレンジメントを示す積荷ハンドリング装置の平面図を例示する。
【
図26a】
図26aは、積荷ハンドリング装置上で使用するための、スポークを有するホイールの上面図である。
【
図26b】
図26bは、積荷ハンドリング装置上で使用するための、スポークを有するホイールの斜視図である。
【
図26c】
図26cは、タイヤとして複数のOリングを備えるホイールの側面図である。
【
図28】
図28aは、
図26に例示されたタイプのホイールを嵌めるのに好適なハブモータの平面図を示し、
図28bは、ハブモータの側面図を示す。
【
図29】
図29aは、
図28に例示されたタイプのハブモータに嵌められた
図26に例示されたタイプのホイールの平面図を示し、
図29bは、その側面図を示す。
【
図30】
図30は、本発明の一形態による、方向転換アセンブリの一部としての剛体リンケージセットの平面図を示す。
【
図31】
図31a~
図31dは、
図30に示されたタイプの剛体リンケージセットの単一の2部品リンケージの分解された部品を示す。
【
図34】
図34は、ホイール取付部及びリンケージの側面図を示す。
【
図35】
図35は、ホイール取付部及びリンケージの等角図を示す。
【
図36】
図36a~
図36bは、方向転換機能についての駆動ベルトの張力対ホイール高さのグラフを示す。
【
図37】
図37は、構成部品の各々を示す、ホイールの分解図を示す。
【
図38】
図38aは、組み立てられたホイールの平面図を示し、
図38bは、線X-Xに沿って切断したホイールの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0128】
本明細書では、「備える(comprise)」という用語及びその派生語は、排他的な意味ではなく、包括的な意味を有することが意図される。例えば、「xは、yを備える」は、xが、1つ及び1つだけのy、複数のy、又は1つ以上のyと1つ以上の他の要素を含む可能性を含むことが意図される。排他的な意味が意図される場合、「xは、yから構成される」という文言が使用され、xがyのみを含み、他には何も含まないことを意味する。
【0129】
本明細書では、nが、x、y及びzのうちの1つである「n方向への移動」という文言(及び関連する言い回し)は、いずれかの方向(即ち、n軸の正の端部に向かう方向又はn軸の負の端部に向かう方向)における、n軸に実質的に沿った又は平行な移動を意味することが意図される。
【0130】
本明細書では、「接続する」という用語及びその派生語は、直接接続及び間接接続の可能性を含むことが意図される。例えば、「xが、yに接続されている」は、xが、介在する構成要素なしで、yに直接接続されている可能性と、xが、1つ以上の介在する構成要素ありで、yに間接的に接続されている可能性とを含むことが意図される。直接接続が意図される場合、「直接接続されている」、「直接接続」又は同様の用語が使用される。同様に、「支持体」、「取付部」及びそれらの派生語等の用語は、直接接触及び間接接触の可能性を含むことが意図される。
【0131】
本明細書では、「積荷ハンドリング装置」、「車両」及び「ボット」等のいくつかの用語は、交換可能に使用される。同様に、積荷ハンドリング装置の「本体」、「フレーム」及び「骨格」、保管フレームの「レール」及び「軌道」、保管システムの「集積貯蔵容器」、「コンテナ」又は「トート(tote)」という用語は、交換可能に使用され得る。「DT」又は「配送トート」は、完成した又は部分的に完成した注文が入っているトートである。「ST」又は「保管トート」は、保管及び取り出しシステムにおいて保管されているアイテム又は配送トートが入っているトートである。
【0132】
一般に理解されているように、コンプライアント機構は、機構本体の弾性変形を通じて、入力の力及び変位を、出力の力及び変位に変換する。コンプライアント機構の変形及び変位、即ち移動、機構の材料特性、形状及び幾何学形状によって決定される。コンプライアント機構が力を加えることによって変形すると、弾性エネルギーがコンプライアント機構に蓄積される。力が取り除かれると、コンプライアント機構は、典型的に、蓄積された弾性エネルギーを解放することによって、その元の形状又は構成に戻ることになる。蓄積された弾性エネルギーは、材料自体に蓄積され得、又は弾性エネルギーは、機構の形状又は幾何学形状の結果として、機構に蓄積され得る。
【0133】
コンプライアント機構の材料の選択は、コンプライアント機構が意図されたように動くことを確実にするために重要である。例えば、ゴム材料は、弾性エネルギーが熱エネルギーとして放散され得るので、機構システムに損失をもたらすことになる一方で、剛性材料は、破損せずに曲げることができないので、不適切であり得る。
【0134】
製造方法がまた、コンプライアント機構の動き及び特性に影響を及ぼし得る。例えば、3D印刷技法が、複雑な形状及び幾何学形状を製造するために使用され得る。
【0135】
典型的に、コンプライアント機構に力が加えられておらず、弾性エネルギーが蓄積されていない場合、コンプライアント機構は、「静止状態にある」又は中立位置にあると説明される。
【0136】
多くの場合、コンプライアント機構は、回転継手、即ち湾曲継手で互いに接続された剛性部材のリンケージを備える。
【0137】
いくつかの形態では、コンプライアント機構は、「分散」され得る。分散型コンプライアント機構は、所与の体積が負荷(load)下でどのように変形するかを決定し得る有限要素法(Finite Element Method)等のモデリング手法と併せて、許容可能な構築体積から材料を選択的に取り除くことによって、設計され得る。材料が許容可能な構築体積から取り除かれるたびに、入力負荷と、出力の撓み及び負荷(output deflection and loads)との間の、結果として得られるマッピングが予測され得、目下のタスクに対する所定の形状の適合性の評価が行われ得る。多くの形状は、トポロジ最適化アルゴリズムによって繰り返しテストされ得る。結果として得られる形状は、典型的に、明示的な撓曲ヒンジを有さず、むしろ形状全体にわたって変形を拡散させるという追加の利点を有し、これは、負荷条件下で材料における表面応力を低減し、その部分での疲労を軽減する。
【0138】
代替として、いくつかの構成要素が、コンプライアント機構を形成するために共に機能し得る。
【0139】
様々なコンプライアント機構が、本明細書で説明される積荷ハンドリング装置の一部として使用される。
【0140】
コンプライアント機構トポロジは、撓曲枢軸を備える剛体リンケージを厳密に模倣し得る。したがって、剛体リンケージは、本明細書で説明されるコンプライアント機構のうちの1つ以上を置き換え得る。
【0141】
有利には、コンプライアント機構は、外部入力なしで機構が戻ることになる「デフォルト」位置を提供するために使用され得る。デフォルト位置は、「安全」位置であるように設計され得る。有利には、これは安全機能として装置内に設計され得る。例えば、システム又はシステムの一部の制御が一時的に失われた場合、システム内で動作している装置は、制御及び動作が回復されるまで、それらのデフォルトの安全位置に戻り得る。これは、例えば、問題が解決されるまで移動できないように、積荷ハンドリング装置を「停車」構成にすることであり得る。
【0142】
コンプライアント機構の他の使用及び利点が、以下の説明から明らかになるであろう。
【0143】
一般に理解されているように、トポロジは、物体の形状の幾何学的寸法及び特性に関係する。
【0144】
物体は、荷重(loading)についての機械的要件を満たし、アセンブリ又は機構の構成要素が必要に応じてそれぞれ自由に動くことを確実にするように設計され得る。
【0145】
人工知能AI(又は場合によっては、機械学習ML)コンピューティング技法が、全体重量を最小限に抑えること、ある応力限界内に留めること、材料の特定の熱特性を考慮すること等のような、特定の2次目標を達成することを目指しながら、特定の材料を使用して構造的及び機械的ポイント及び動的荷重要件を満たすために使用され得る。したがって、特定の機能のために設計した後、部品は、AIを使用して「トポロジ最適化」のプロセスを経て、そうでなければ設計されなかったはずの、しばしば独特な形状を作り出し得る。例えば、AIは、「機能Zを実行している間は、継手1をXを超えて曲げず、Yを超える応力も有さない」等の命令を与えられ得る。
【0146】
積荷ハンドリング装置の様々な部品が、トポロジ最適化プロセスを経るのに好適であり得る。例となる部品は、限定はしないが、コーナーブラケット、方向転換アセンブリの構成要素、ホイール、車体等を含む。
【0147】
トポロジ最適化の他の使用及び利点が、以下の説明から明らかになるであろう。
【0148】
本明細書で開示される積荷ハンドリング装置及び関連する方法は、先行技術に関連して上述されたような保管及び取り出しシステムでの動作を対象とする。保管及び取り出しシステムは、本明細書で説明される積荷ハンドリング装置に適合するように修正され得る。更に、保管及び取り出しシステムのグリッド上で動作する積荷ハンドリング装置は、グリッド上で動作する他の装置と共に又は同時に動作するように意図される。グリッド上で動作する装置は、全て同じタイプであり得るか、又は1つより多くのタイプの装置が、グリッド上で同時に動作され得る。
【0149】
本明細書で説明される積荷ハンドリング装置は、軽量であり、製造が比較的安価であることが意図される。加えて、以下の説明から明らかになるように、本明細書で説明される積荷ハンドリング装置は、実質的にモジュール式であり、構成要素が容易に組み立てられ及び交換され得るので、それらをメンテナンスすることを容易及び/又は安価にする。可能であれば、構成要素は、リサイクル可能な材料又は環境に優しい材料から作製される。
【0150】
積荷ハンドリング装置100は、骨格102、本体又はフレームを備え得、これは、積荷ハンドリング装置の他の構成要素、例えば、バッテリ及び関連する電子機器、制御装置及び通信装置、ホイールを駆動するためのモータ、持ち上げアセンブリを駆動するためのモータ、並びに他のセンサ及びシステムを支持、担持又は収容する。骨格102は、コンテナ又は集積貯蔵容器が持ち上げアセンブリによって持ち上げられたときに、コンテナ又は集積貯蔵容器を収容するようにサイズ決定された凹部を備える。積荷ハンドリング装置の骨格構造は、構成要素が容易にアクセス可能であることを確実にするのに役立つ。
【0151】
他の積荷ハンドリング装置を参照して、上述されたように、各積荷ハンドリング装置は、コンテナ又は集積貯蔵容器のスタック12の上方で、フレームワーク14のレール22上をx方向及びy方向に走行するように配置されている。
【0152】
図5~
図7及び
図20を参照すると、各積荷ハンドリング装置には、上述のタイプの保管システムのフレームの上部に設けられたレール上を走行する2つのセットのホイール116、118が取り付けられている。各セットの少なくとも1つのホイール116、118が、それぞれレールに沿ってx方向及びy方向への車両102の移動を可能にするように駆動される。ホイール116、118は、積荷ハンドリング装置の骨格102の外周の周りに配置されている。以下に説明されるように、1セットのホイール116が垂直方向に移動されて、1セットのホイール116をそれぞれのレールから離して持ち上げ、残りの1セットのホイールをレールと接触させたままにし得、それによって、積荷ハンドリング装置が方向転換することを可能にする。場合によっては、両方のセットのホイール116、118が、それぞれのレールと同時に接触状態にあり得る。
【0153】
当該セットのホイール又は各セットのホイールを互いに対して垂直又はz方向に変位させる構成要素、及び積荷ハンドリング装置の骨格102は、積荷ハンドリング装置の本体又は骨格102内に位置する。
【0154】
図5~
図7に示されるように、第1セットのホイール116及び第2のセットのホイール118は、方向転換アセンブリによって、レールから離れて上昇され得るか、又はレール上に下降され得る。方向転換アセンブリは、積荷ハンドリング装置骨格102の対向面に位置するコンプライアント機構(複数可)110又はリンケージセットを備える。
【0155】
方向転換コンプライアント機構110は、第1及び第2の方向において、それぞれ変形可能である。
図6は、3つの位置にあるコンプライアント機構110と、その下に、これら位置の各々での、車両骨格102及びレールに対するホイール116、118の位置とを例示する。
図7は、
図6に示された位置と同様の位置にあるコンプライアント機構110及びホイールの位置を示す、積荷ハンドリング装置の斜視図である。
【0156】
入力の力がない場合、コンプライアント機構110は、静止状態にあるか又は中立位置にあり、即ち、コンプライアント機構110は、弾性変形しておらず、両方のセットのホイール116、118が、水平であり、表面上に置かれている。このアレンジメントでは、積荷ハンドリング装置は、x方向にもy方向にも移動することができず、積荷ハンドリング装置は、停車している(
図6a及び
図7a)。コンプライアント機構110の弾性変形は、ホイールの各々を保持し、ホイールを上昇及び下降させるために垂直(又はz)方向に移動可能であるアームにリンクされる。
【0157】
第1の入力の力F
1が与えられると、コンプライアント機構110本体は、第1の方向に変形する。機構本体の変位は、垂直方向に変換されて、第1のセットのホイール116を下降させ、第2のセットのホイール118を上昇させる。
図6c及び
図7cに示されるように、第1のセットのホイール116のホイールは、レールと係合して車両を支持するように下方に移動し、第2のセットのホイール118のホイールは、レールから離れるように上方に移動する。したがって、車両100は、x方向に駆動され得る。
【0158】
第1の入力の力と反対の方向において、第2の入力の力F
2が与えられると、コンプライアント機構110本体は、第2の方向に変形する。機構本体の変位は、第1のセットのホイール116を上昇させ、第2のセットのホイール118を下降させるように垂直方向に動作するように変換され、その結果、積荷ハンドリング装置は、第2のセットのホイール118によって支持され、y方向に駆動され得る(
図6b及び
図7b)。
【0159】
コンプライアント機構110は、伝達リンケージ(transfer linkage)を介して、これらのセットのホイール116、118に接続されている。したがって、このようにして、コンプライアント機構110は、積荷ハンドリング装置100の走行の動作方向を変更する手段を提供する。
【0160】
図6a~
図6cに例示されるコンプライアント機構110は、レール又はブレースに取り付けられた一連の柱又はトランク部分を備えることが理解されよう。柱又はトランク部分111は、水平力がレール又はブレースに加えられたときに、優先的に曲がる比較的幅の狭いセクションを介して、レール又はブレース112に取り付けられている。したがって、幅の狭いセクションは、ヒンジ113であると考えられ得る。
【0161】
方向転換用のコンプライアント機構110の形状をより詳細に考慮し、例として
図8a~
図8cを参照すると、コンプライアント機構110は、一連の上部ヒンジ及び下部ヒンジを通じて、上部ブレース112a及び下部ブレース112bに取り付けられたいくつかの柱又はトランク部分111を備える。
図8aは、トランクの各々がブランチタイプの撓曲ヒンジ120によって取り付けられているコンプライアント機構110を例示する。
図8bは、トランクの各々がジグザグばねタイプの撓曲ヒンジ121によって取り付けられているコンプライアント機構110を例示する。ジグザグばねヒンジのトランク111は、追加として、トランク111を上部及び下部ブレース112の間の定位置に保つためのテザー(tether)123を有する。
【0162】
図9に示されるように、撓曲ヒンジは、2つのタイプ、即ち、トランク部分111が、各端部において、トランク111の各端部から短い距離にあるトランク111の両側にある点からブレース112まで延在する薄い可撓性ブランチ120によって、ブレース112に取り付けられているブランチタイプと、トランク部分111が、各端部において、トランク111の端部からブレース112まで延在する薄い可撓性ジグザグばね121によって、ブレース112に取り付けられているばねタイプとのものであり得る。コンプライアント機構110の全重量を低減するために、一部の材料がトランクセクション111の各々から取り除かれて、トラス構造を作り出している。
【0163】
本明細書で提供される例は、コンプライアント機構110の必要な特性を達成するための方法のうちのいくつかにすぎないことが理解されよう。他のアレンジメントが予想され、要件を満たすように機械学習又はAI技法を使用して決定され得る。更に、機械学習は、方向転換コンプライアント機構110の重量を低減するために、設計のトポロジを最適化するために使用され得る。
【0164】
コンプライアント機構110が、積荷ハンドリング装置骨格102に取り付けられるか又はそれによって支持されるとき、下部ブレース112bは、一対のホイール116又は118の間の固定位置に留まることが理解されよう。一方、上部ブレース112aに力が加えられると、コンプライアント機構の弾性変形は、上部ブレース112aが下部ブレース112bに対して水平方向に変位することをもたらす。したがって、上部ブレース112aは、トラベラ112aとして説明又は呼ばれ得る。
【0165】
以下の文章では、方向転換アセンブリのx方向及びy方向は、x方向又はy方向への走行を可能にするために、第1のセットのホイール116が軌道と係合されるか、又は第2のセットのホイール118が軌道と係合されるかに関して言及される。積荷ハンドリング装置100に対するx方向、y方向は、どの面が参照されているかに依存することが理解されよう。力F1が加えられるか、又は力F2が加えられるかに関しての方向、即ち、結果として得られる弾性変形が生じる方向は、正に又は負にのいずれかで同じ方向になる。
【0166】
コンプライアント機構110が第1の方向、即ちx方向に変形されると(
図9a)、ばねタイプの撓曲ヒンジ121が圧縮され、トランク111の端部が圧縮されたばね121を通じて上部ブレース及び下部ブレース112と係合する一方で、ブランチタイプの撓曲ヒンジ120は、それらそれぞれのトランク111から離れて比較的伸びた位置にある。このようにして、上部ブレース及び下部ブレース112の間の荷重が、ばねタイプのトランク111によって支持される。上部ブレース及び下部ブレース112とのトランク部分111の係合は、第1の方向、即ちx方向における、固定された下部ブレース112bに対する上部ブレース112a(トラベラ)の最大変位が制限されることを意味する。
【0167】
コンプライアント機構110が第2の方向、即ちy方向に変形されると(
図9b)、ブランチタイプの撓曲ヒンジ120は、曲がり、トランク111と比較的平行になり、ブランチタイプの撓曲ヒンジ120を有するトランク111の端部は、上部ブレース及び下部ブレース112と係合し、一方、ばねタイプのヒンジ121は、比較的伸びており、それらそれぞれのトランク111と一直線にならないように曲がる。このようにして、上部ブレース及び下部ブレース112の間の荷重がブランチタイプのトランク111によって支持される。上部ブレース及び下部ブレース112とのトランク部分111の係合は、第2の方向、即ちy方向における、固定された下部ブレース112bに対する上部ブレース(トラベラ)112aの最大変位が制限されることを意味する。
【0168】
下部ブレース112bに対する上部ブレース又はトラベラ112aの積荷ハンドリング装置100上の位置は、
図7に見られる。
【0169】
図9に示すコンプライアント機構110の幾何学形状の結果として、コンプライアント機構110は、許容可能な変位の極限において、x駆動方向及びy駆動方向の両方において安定しているか又は停止している。また、コンプライアント機構110は、変形力が加えられず、コンプライアント機構110が、静止状態又は中立構成にあり、実質的に弾性エネルギーが蓄積されていないときに安定している。加えて、安定したx駆動方向及びy駆動方向において、垂直荷重は、コンプライアント機構110のトランク又は柱111を通じて担持(carried)され得る。
【0170】
コンプライアント機構は、荷重を支持するためのトランク又は柱部材を有する固定ピン枢動点剛体リンケージ機構に置き換えられ得、上述のコンプライアント機構と同じ挙動を有することが理解されよう。したがって、上述のタイプのコンプライアント機構は、リンケージセットのタイプであると考えられ得る。有利には、垂直荷重は、枢動点においてリンク継手を通じて伝達されるのではなく、荷重は、リンケージ部材によって担持される。
【0171】
方向転換機構は、固定ピン枢動点リンケージ機構、及び/又は、1つ若しくは1つより多くのタイプのコンプライアント機構の組合せを備え得ることが理解されよう。
図30~
図33は、上述のコンプライアント機構110と同様の機能的挙動を有する、方向転換アセンブリの一部として、積荷ハンドリング装置の第1及び第2のセットのホイールと係合する際に使用するための剛体リンケージセット300の一例を示す。
【0172】
リンケージセット300は、一連の枢動可能に接続された2部品リンケージ(
図30及び
図32)を備える。単一の2部品リンケージを考慮すると、一方の端部において、1次リンケージ部材(トランク部分)311が、膝継手316においてトラベラ又は上部ブレース312aに枢動可能に取り付けられており、反対側の端部は、足継手314において、2次リンケージ部材(ブランチ部分)313に蝶着式に取り付けられている。2次リンケージ313の反対側の端部は、足指ヒンジ315において、固定ブレース又は下部ブレース312bに枢動可能に取り付けられている。したがって、各単一の2部品リンケージは、トラベラ312aと固定ブレース212bとの間に延在する。リンケージセット300を作製するために、
図30及び
図32に示されるように、一連の同様の2部品リンケージが、トラベラブレース312aと固定ブレース312bとの間に平行に配置されて、リンケージセット300を作り上げている。
【0173】
膝継手216、足継手314、及び足指継手315の回転又は角運動は、以下で説明されるように制限される。足継手314において、1次リンケージ311は、2次リンケージ313の2つのナックルの間に差し込まれる単一のナックルを有する。
図31a~
図31dは、単一の2部品リンケージの分解図を示し、ここで、
図31a及び
図31bは、1次リンケージ311を示し、
図31c及び
図31dは、2次リンケージ313を示す。
【0174】
図31cに示すように、2次リンケージ313は、足継手314と足指ヒンジ315との間のz-x平面(z-x plane face)において段318、321を有する。段318、321は、第1のセクション318と第2のセクション321との間に変曲点(inflection point)を有する。1次リンケージ311が枢軸314において2次リンケージ313に取り付けられているとき、1次リンケージ311のナックルの面317が、段面318、321に接触し(meets)、段の表面の第1のセクション318と第2のセクション321との間で回転することができる。
【0175】
同様に、2部品リンケージの移動は、1次リンケージ319の下面が、2次リンケージ320の上面に接触したときに制限される。
【0176】
ここで、リンケージセット300として、トラベラ312aと固定ブレース312bとの間に配置されたときの2部品リンケージの移動を、
図33a~
図33cを参照して説明する。
【0177】
図33aは、中立位置又は停車位置にあるリンケージセットを示し、ここで、第1のセットのホイール116及び第2のセットのホイール118は、軌道(サムネイルに示されている)と係合されることになり、積荷ハンドリング装置100は、x方向にもy方向にも走行することができない。この位置では、トラベラ312aに力Fが加えられておらず、1次リンケージ311の下面319は、2次リンケージ313の上面320に載っている。
【0178】
図33bでは、正の力F(即ち、例示されるように左から右へ)が、トラベラ312aに加えられている。正の力Fを加えることは、1次リンケージ311を、膝継手316を中心に時計回りに回転させ、足継手314を中心に反時計回りに回転させる。足継手314を中心とした回転は、面317が表面318と接触することによって制限される。トラベラ312aを更に右に移動させることによって、2次リンケージ313は、足指ヒンジ315を中心に時計回り方向に回転することによって、固定ブレース312bから離れて持ち上がる。したがって、トラベラ312aは、固定ブレース312bに対して正の方向に水平方向に変位される。トラベラ312aの正の変位により、第1のセットのホイール116は上昇され、第2のセットのホイール118は、軌道と係合されるように下降され(サムネイルに例示される)、積荷ハンドリング装置100は、y方向に走行することができるようになる。
【0179】
図33cでは、負の力F(即ち、例示されるように右から左へ)が、トラベラ312aに加えられている。負の力Fを加えることは、1次リンケージ311を、膝継手316を中心に反時計回りに回転させ、足継手314を中心に時計回りに回転させる。足継手314を中心とした回転は、面317が表面321に接触することによって制限され、2部品リンケージの踵部は、固定ブレース312b内に押し込まれる。したがって、トラベラ312aは、固定ブレース312bに対して負の方向に水平方向に変位される。トラベラ312aの負の変位により、第1のセットのホイール116は、軌道と係合されるように下降され、第2のセットのホイール118は上昇され(サムネイルに例示される)、積荷ハンドリング装置100は、x方向に走行することができるようになる。
【0180】
x方向走行位置とy方向走行位置との間で、リンケージセットは、中立位置又は停車位置を通って移動することが理解されよう。
【0181】
コンプライアント機構又はリンケージセット110、300の出力は、
図34及び
図35に関連して以下で更に説明されるシャーシ330を介してホイール116、118に伝達され、これは、コンプライアント機構の水平移動をホイールの垂直移動に変換する。
【0182】
いくつかのアレンジメントでは、上部ブレース又はトラベラ112aは、滑り軸受を介して、積荷ハンドリング装置100の水平縁部の各々の間で積荷ハンドリング装置100の面に沿って延在するロッドアレンジメントに取り付けられ得る。順に、ロッドアレンジメントは、第1及び第2の端部におけるコーナーピースに取り付けられ得、コーナーピースは、それらそれぞれの縁部を中心に枢動する。コーナーピースは、リンケージが積荷ハンドリング装置100全体の周りに延在するように、第1の面に垂直な第2の面まで、コーナーの周りに延在し得る。使用中、コーナーピースの枢動は、ホイール取付部に対する垂直方向又はz方向の移動に変換され得る。時計回り方向への枢動は、面上のホイール取付部を上方に移動させて、面上のホイールを上昇させ、第1の面に垂直な面上のホイールを下降させ得、又はその逆も同様であり得る。
【0183】
コンプライアント機構110、300とコーナーピースとの間のリンケージは、分散型コンプライアント機構であり、AI設計に好適であると考えられ得る。更に、コーナーピースは、トポロジ最適化に好適な装置の部品の一例である。
【0184】
図5及び
図7に見られるように、第1の対のコンプライアント機構110、300は、第1のセットのホイール116の位置を制御するために、積荷ハンドリング装置の骨格102内の対向面に配置されており、第2の対のコンプライアント機構110は、第2のセットのホイール118の位置を制御するために、積荷ハンドリング装置の骨格102内の直交する対向面に配置されている。したがって、積荷ハンドリング装置の各面が、コンプライアント機構110を備える。これら対のコンプライアント機構110、300は、積荷ハンドリング装置骨格102を実質的に一周し且つコンプライアント機構110、300の上部ブレース又はトラベラ112a、312aに機械的に結合された伝達ベルト108を介して結合される。したがって、ホイールセット116、118は、x方向及び/又はy方向のホイールセットを保管システムグリッドのレールと係合させるために、例えば、コーナーピースを介して、一斉に移動され得ることを確実にする。このようにして、方向転換アセンブリは、単一のモータによって動作され得る。積荷ハンドリング装置100のいくつかの例では、方向転換モータは、骨格内の空間を占有しないように、及びアクセス性のために、垂直コーナーピースアレンジメントにおいて又はその近くに配置され得る。方向転換アセンブリのいくつかの例では、伝達ベルト108は、ベルト108の故障の即時検出を提供するために、x方向及びy方向に係合する位置間を移動するときに、回転速度を監視するための1つ以上の遊動プーリ上を通過し得る。ベルト108又は方向転換アセンブリの別の部分が故障した場合には、この情報は、ボットの衝突を防止するために、集中制御設備にフィードバックされ、集中制御設備によって利用され得る。
【0185】
リンケージ部材は、例えば、炭素繊維ロッドから作製され得る。伝達ベルト108は、例えば、ガラス、鋼又は炭素繊維で強化された歯付きポリウレタンテープであり得る。
【0186】
図34及び
図35は、方向転換リンケージセット100、300のアレンジメントがどのようにホイール116、118に取り付けられ、積荷ハンドリング装置100の各側面に配置されているかをより詳細に示す。
図34は、ホイール取付部又はホイールシャーシ及びリンケージ330の側面図を示し、
図35は、積荷ハンドリング装置の各側のホイールシャーシ及びリンケージ330を示す等角図を示す。
図34及び
図35は、
図14と比較してより詳細にホイールシャーシ及びリンケージ又はホイール取付部330を示すことが理解されよう。
【0187】
リンケージセット300は、積荷ハンドリング装置100の各側面に配置されており、シャーシ330を介して積荷ハンドリング装置100のホイール116、118に接続されている。上述されたように、方向転換リンケージセットの上部ブレース又はトラベラ312aは、垂直方向(z方向)に固定され、一方、下部ブレース312bは、上部ブレース312aの水平移動に応答して、垂直方向に移動することができる。下部ブレース312bは、ホイールシャーシ300に固定され、したがって、方向転換リンケージセット300は、それぞれのホイール116、118を上昇及び下降させることができる。シャーシ330の垂直移動は、積荷ハンドリング装置のコーナーに位置する骨格部材331によって案内される。
【0188】
リンケージセット300は、
図30~
図33の例示と比較して逆にされ得るか、又は鏡像で配置され得ることが理解されよう。
図35に見られるように、x方向ホイール116のためのリンケージセット300は、y方向ホイール118のためのリンケージセット300と比較すると鏡像になる。
【0189】
このようにして、ホイール116、118が駆動されているとき、リンケージセット300は、1次リンケージ311が実質的に垂直な状態で、
図33cに示される位置にある。有利には、この位置では、リンケージセット300及びリンケージセット300を通じて担持される積荷ハンドリング装置の重量は、枢軸314、315、316を通じてではなく、リンケージ部材311、313を通じて誘導される。
【0190】
明らかであるように、リンケージセット300がホイールアップ位置、停車位置、及びホイールダウン位置の間を移動するにつれて、ホイール116、118と積荷ハンドリング装置の本体102との間の距離は変化する。ホイールの高さの変化は、駆動ベルト271に付加張力をかけ得、又は高さの変化は、駆動ベルト271を弛んだ状態にさせ得る(駆動ベルトアレンジメントは、以下でより詳細に説明される)。2部品リンケージの幾何学形状は、駆動ベルト271にかかる付加張力を有利に制限又は回避するように選択され得る。
【0191】
図36a及び
図36bは、単一部材リンケージ(
図36a)の方向転換動作によって引き起こされる駆動ベルトの張力を、上述されたものと同様の幾何学形状を有する2部品リンケージ(
図36b)と比較する。グラフにおいて、駆動ベルトにかかる力は、x軸上に示され、一方、ホイールの高さは、y軸上に示される。両方のグラフについて、x方向についてのプロット、及びy方向についてのプロットは、単一部材リンケージを使用して描かれている。+/-1において、一方のセットのホイール116、118は上昇され、一方、他方のセットのホイール118、116はそれぞれ軌道と係合される。
【0192】
図36aにおいて、プロットがゼロ線上で交差するところでは、両方のセットのホイールが軌道と係合され、即ち、停車位置にある。見て分かるように、プロットは、正弦波経路をたどり、ゼロ線より下に下がっている。ゼロ線と最小値との間の差は、方向転換動作中に駆動ベルトに加えられた最大付加力を表す。最大付加力の値は、単一部材リンケージ又はコンプライアント機構の長さに依存する。
図36bに例示されるように、2部品リンケージを採用することによって、プロットは複雑な複合経路をたどる。経路は、第1のリンケージ部材311と第2のリンケージ部材313との間の相対的長さに依存し、枢動点314、315上の回転限界に依存する。経路は、第1の枢動点が回転している間は、第1の経路1をたどり、回転限界に達すると、経路は変曲され(inflect)、第2の枢動点を中心とした回転に従って、第2の経路2をたどる。停車位置では、ホイールは、わずかに上昇される。次いで、経路は、正弦波経路に合流するように継続し、単一部材の動きをたどる。この複合経路は、方向転換機能中にゼロ線より下に下がることを回避し、したがって、駆動ベルトに付加張力をかけることを回避するように配置され得る。
【0193】
追加のモータが、各方向転換コンプライアント機構110、300に対して、又は方向転換コンプライアント機構のグループに対して使用され得ることが理解されよう。このようなアレンジメントは、方向転換アセンブリのための冗長性、方向転換アセンブリを動作させるための追加のトルク、又は積荷ハンドリング装置骨格102を完全に一周する伝達ベルト108の必要性を回避すること、を提供し得る。
【0194】
1つより多くのモータが使用される場合、それらは独立して動作され得ることが理解されよう。しかしながら、効率的に方向転換するために、これらモータは、各セットのホイールを同時に上昇及び下降させるように、同期して動作するように調整される。
【0195】
方向転換アセンブリのアレンジメントにおける変形例が、同様の特性をもたらし得、本発明の意図された範囲内であることが理解されよう。
【0196】
コンプライアント機構(複数可)110、300は、入力の力F1及びF2をそれぞれ第1及び第2の方向に与えるために、モータ又はソレノイド又はウォームギア又は親ねじ機構又は装置骨格102内に収容された任意の好適な手段によって動作され得る。
【0197】
上述されたように、各積荷ハンドリング装置には、上述のタイプの保管システムのフレームの上部において設けられたレール上を走行する2つのセットのホイール116、118が取り付けられている。第1のホイールセット116又は第2のホイールセット118は、レールに沿ったそれぞれx方向及びy方向への車両102の移動を可能にするように駆動される。ホイール116、118は、積荷ハンドリング装置の骨格102の外周の周りに配置されている。
【0198】
図10~
図13は、本明細書で説明されるような積荷ハンドリング装置上の第1のホイールセット116及び第2のホイールセット118で使用するためのホイール150を例示する。
【0199】
ホイール150は、各層が、異なる最適化された特性をホイールに付与している状態で、サンドウィッチ状層構造を有する。ハブとリムとの間で、スポークは、網155状に配置されている。
【0200】
中心層、内側層又は第1のタイプの層151(
図11)は、ハブをリムに接続するいくつかの放射状スポーク156を有する。中心層スポークの設計は、圧縮強度を最適化するためのものである。リムは、駆動ベルトと協働するための複数のギアの歯157を有する。第1のタイプの層151は、エポキシ等の剛性で耐荷重性の材料から作製され得る。したがって、第1のタイプの層151は、駆動列の一部である。
【0201】
外側層又は第2のタイプの層152(
図12)は、中心層151の各面に嵌められ(fitted to)、それらの間にチャネル153を作り出すために、中心層151よりもわずかに大きい直径を有し、中心層151のギアの歯157は、チャネル153の底部にある。したがって、駆動ベルトがチャネル153内に受容されると、それは中心層151のギアの歯と係合する位置に留まる傾向がある。
【0202】
外側層152のスポーク159は、湾曲しており、メッシュ158を形成するように配置されている。第1のセットのスポーク159aは、時計回り方向に湾曲しており、第2のセットのスポーク159bは、第1のセットのスポークと重なり合って反時計回り方向に湾曲している。2つのセットのスポークは、それらが交差する箇所で接合又は融合されている。内側層スポークアレンジメントは、ねじり剛性を最適化するためのものである。外側層スポークアレンジメントは、半径方向の撓み(deflection)も可能にしながら、ねじり剛性を最大にするためのものである。いくつかの例では、内側層及び外側層のスポークアレンジメントは、同じ形状であり得る。一般に、内側層は、外側層よりも硬い材料から、及び半径方向の撓みを低減するために厚いシェル又はリムを有して作製されることになる。
【0203】
図13は、
図12に示すタイプのホイール外側層152のスポーク159の一部を示す。更に、
図13は、使用中のホイールの力の方向を示す。
図13aでは、簡略化のために、単一の時計回りに湾曲したスポーク159a及び単一の反時計回りに湾曲したスポーク159bが、ハブ160からリム161まで延在して示されている。ホイールの円周の周りの矢印によって示されるように、回転力がホイールに加えられると、力は、スポーク159に沿って示される方向に伝達される。
図13bでは、簡略化のために、いくつかの時計回りに湾曲したスポーク159aと、対応する数の反時計回りに湾曲したスポーク159bとの節点間にセグメント162を備えるスポークメッシュ158の半径方向部分が示されている。ホイールの底部における下向き矢印によって示されるように、圧縮力が第2のタイプの層152に加えられると、反対の回転力がメッシュセクションの各節点において伝達される。
【0204】
外側層152のリム161は、中心層又は内側層151のリムに対してより奥行きがある。リムの外面は、ホイールの平面に対して角度付けられており、各側が、「V字」の半分を形成しており、比較的滑らかな表面を提供している。これは、ホイールが保管システムグリッドの軌道又はレール内に留まり、グリッド空間の間を滑らかに走行することを確実にするのに役立つ。外側層152は、外側層152が撓曲することを可能にするために、及び比較的低い摩擦係数のため、ナイロン材料から作製され得、これにより、リムは、軌道又はレールに沿って滑らかに摺動又はロールする。外側層152の可撓性は、ホイール150にある程度の衝撃吸収及びサスペンションを提供する。スポークメッシュ158は、コンプライアント機構とみなされ得る。したがって、外側層は、ばねセクションとして知られ得る。
【0205】
外側層の周縁部には、Oリング164を受容するための溝163が設けられている。Oリング164は、ホイール150と軌道との間にトラクション又は把持力を提供するため、及びグリッド空間の間の軌道におけるバンプを吸収するために、ゴム等の比較的コンプライアントな材料で作製され得る。Oリング164は、ホイール150用のタイヤと考えられ得る。外側層152の可撓性は、Oリングの摩耗を低減し得る。
【0206】
それらの異なる幾何学形状に加えて、中心層及び外側層は、異なる材料の使用を通じて異なる特性を付与し得る。例えば、湾曲したスポークは、Oリングによって付与される任意のサスペンションに加えて、ホイールに何らかのサスペンションを付与するために、放射状スポークと比較して相対的に可撓性の高い材料から作製され得る。更に、リム及びハブは、ホイール形状の維持をサポートするために、比較的剛性の材料で作製され得る。
【0207】
ハブ160は、ホイールの層の各々を貫通して嵌められ、中央において、積荷ハンドリング装置骨格102上の車軸にホイール150を回転可能に取り付けるための軸受を有する。これにより、ホイール150は、使用中に摩耗又は損傷したとしても、容易に交換されることが可能になる。
【0208】
ホイール150の対は、
図14に例示されるように、ホイールシャーシ165によって、骨格102に結合され得る。シャーシ165は、第1及び第2のホイール150の間に延在し、第1及び第2の車軸取付部166を備え、第1及び第2のホイール150間の相対位置を維持するのに役立つ。このようにして、シャーシアレンジメント165全体が、方向転換アセンブリが動作されるにつれて、垂直z方向に移動し得る。代替として、第1及び第2のホイール150は、例えば、シャーシにおけるスロットに沿って、シャーシアレンジメント165に対して移動し得、これにより、シャーシは、積荷ハンドリング装置の骨格本体102に対して固定されている。
【0209】
これらセットのホイール116、118は、積荷ハンドリング装置がグリッド上で移動することを可能にするために、積荷ハンドリング装置のための駆動アセンブリの一部を更に備える。駆動ベルトアセンブリ170は、ホイール116、118の各セットについて設けられている。
【0210】
駆動ベルトアセンブリ170は、
図15に例示されるように、積荷ハンドリング装置100の一方の側にある一対のホイール116、118の歯付き縁部と係合するための駆動ベルト171プーリギアアレンジメントを備える。歯付き駆動ベルト171は、ホイール150の両方と係合する。駆動ベルト171は、積荷ハンドリング装置骨格102に取り付けられた従動ホイール172と、2つのテンショニングホイールアレンジメント173とによって案内される。テンショニングホイールアレンジメント173は、ばね(図示せず)で積荷ハンドリング装置骨格102に移動可能に取り付けられており、駆動ベルト171をピンと張った状態に保ち、駆動ベルト171とホイール150との係合を維持するように意図されている。駆動ホイール174が設けられ、積荷ハンドリング装置骨格102に取り付けられている。
【0211】
駆動ホイールは、モータ(
図15に図示せず)の軸にリンクされたプーリ及びギアアレンジメント175によって駆動される。
【0212】
積荷ハンドリング装置100には、ホイール150の各対について駆動アセンブリ170が設けられている。両側のホイールの対は、1セットのホイール116、118を備える。積荷ハンドリング装置の両側の駆動ホイール174は、各対のホイール150が同時に及び同じ速度で駆動されるように、共通のモータ軸を共有し得る。その結果、積荷ハンドリング装置100を第1のx方向に順方向及び逆方向に駆動するために単一のモータのみが必要とされ、また、積荷ハンドリング装置100を第2のy方向に順方向及び逆方向に駆動するために単一のモータのみが必要とされる。このアレンジメントは、有利には、積荷ハンドリング装置内の空間及び必要とされる部品の数に関するコストを低減し得る。第1のセットのホイール116及び第2のセットのホイール118は、積荷ハンドリング装置の制御下で選択的に駆動され得る。
【0213】
図15のアレンジメントでは、ホイール116、118のセットが、グリッド軌道との係合のための位置から抜け出すとき、駆動ベルトアセンブリ170の上部とホイールとの間の距離が、ホイールが下降及び上昇されるにつれて変化するので、駆動ベルトが弛んだ状態になり得ることが理解されよう。したがって、選択された方向転換アセンブリに依存して、追加のテンショニング機構が必要とされ得る。例えば、方向転換アセンブリに接続された機械的リンケージ上の遊動プーリが、方向転換アセンブリの全可動域にわたって概念上の駆動ベルト長さ(the notional drive belt length)を一定に保つために用いられ得る。
【0214】
代替の駆動ベルトアセンブリ270が、
図21~
図24に例示される。駆動ベルトアセンブリ170と同様に、駆動ベルトアセンブリ270は、積荷ハンドリング装置100の面又はホイール116、118の各セットについて設けられている。駆動ベルトアセンブリ270の上部は、積荷ハンドリング装置骨格102の上部に取り付けられている。駆動ベルトアセンブリ270の下部は、シャーシ165又は積荷ハンドリング装置骨格102の下部に取り付けられたホイール116又は118の周りに延在する。
【0215】
図15に例示されたアレンジメントと同様に、駆動ベルトアセンブリ270は、積荷ハンドリング装置100の一方の側にある一対のホイール116又は118の歯付き縁部と係合するための駆動ベルト271プーリギアアレンジメントを備える。歯付き駆動ベルト271は、ホイール116又は118の両方と係合し、これらは、典型的に、上述のホイールタイプ150のものである。駆動ベルト271は、積荷ハンドリング装置骨格102の上部に取り付けられた従動ホイール272によって案内される。駆動ベルトアセンブリ270は、テンショニング手段を更に備える。テンショニング手段は、プレテンショニング手段とも呼ばれ得る。
【0216】
方向転換機構110がホイール116又は118を上昇させると、方向転換機構110が取り付けられている装置骨格の上部とホイール116又は118との間の垂直距離が、ホイールダウン位置とホイールアップ位置との間でのホイール116又は118の垂直の動きにより低減されるので、ベルト経路の長さが短くなることが理解されよう。さもなければ駆動ベルトが張力を付与されていないか、又は予張力を付与されていない場合、それは弛んだ状態になり、駆動ホイール175、275及び被駆動ホイール116又は118との接触を失うリスクがある。このような接触状態の喪失は、積荷ハンドリング装置の駆動ベルトアセンブリ170、270を使用不能にする可能性がある。更に、緩んだ駆動ベルト171、271は、隣接軌道上で動作している装置に引っ掛かる可能性がある。
【0217】
テンショニング手段の上部は、方向転換機構110も取り付けられている、装置骨格102の上部に取り付けられており、方向転換機構110と結合される。
【0218】
テンショニング手段の第1のアーム273は、方向転換機構110の一端から延在し、中間点に肘部を有し、遠位端において案内ホイールを有する。第1のアーム273は、位置間の中間点の肘部における枢動点を中心に回転することができる。第2のアーム274は、第1のアーム273とは反対側の端部において方向転換機構110のそばに位置する枢動点で装置骨格102に回転可能に取り付けられている。第2のアーム274は、遠位端において案内ホイールを有する。
【0219】
テンショニング手段の更なる部品が、シャーシ165又は骨格102の下部に取り付けられている。固定的に取り付けられた従動ホイール276は、駆動ベルト271をホイール116から及びプーリ277の周りに導く。プーリ277は、駆動ベルト271の経路長を調整及び/又は測定するために、矢印によって示される方向に移動され得る。追加の従動ホイール276が使用され得ることが理解されよう。
【0220】
典型的に、固定ベルト長が使用され、ベルトの経路長は、固定ベルト長に実質的に一致させるように経路長を微調整するために、追加のプーリを用いて調整される。ベルトは張力下で伸び得、これは、駆動ベルトアセンブリの幾何学的設計に織り込まれることが理解されよう。
【0221】
テンショニング手段の斜視図を示す
図22に見られるように、駆動ベルトは、第1のテンショニングアーム273及び第2のテンショニングアーム274に通される。第1のアーム273及び第2のアーム274の回転部分は、
図23cに示されるように、ホイールアップ位置に付勢される。アーム273、274は、単純なばねアレンジメント等の任意の好適な付勢手段によって付勢され得る。中立位置又は停車位置では、方向転換機構110は、その可動範囲の実質的に中心に配置される。中立位置では、アーム273の遠位端は、方向転換機構に固定された端部の軸からわずかに角度付けられている。第2のアーム274は、静止状態にあり、骨格本体102の上部からわずかに下方に角度付けられている。駆動ベルト271は、案内ホイールからの方向性のある力が低減されている状態で、第1のアーム273の遠位端にある案内ホイール上を移動するように配置されており、また、駆動ベルト271は、案内ホイールからの方向性のある力が低減されている状態で、第2のアーム274の遠位端にある案内ホイール上を移動するように配置されている。中立位置では、駆動ベルト271は、駆動ホイール275及び被駆動ホイール116と係合されるが、比較的ピンと張った状態でも、比較的弛んでもなく、即ち、駆動ベルト271は、予張力を付与されていない。
【0222】
y方向ホイール118については
図23c、
図24aに示され、x方向ホイール116については
図24cに示されるように、ホイール116、118が、方向転換機構110によって制御されて、表面又は軌道と係合するために下降位置又はダウン位置にあるとき、方向転換機構110は、第2のアーム274のより近くに配置されるように反対側へ移動される。この位置では、第1のアーム273の遠位端は、中立位置と比較して、枢動点を中心として反対方向に肘部において回転される。駆動ベルト271は、第1のアーム273の遠位端にある案内ホイール上を移動するように配置されており、案内ホイールは、駆動ベルト271に接触して引き寄せられ(pulled against)、駆動ベルト271に力を及ぼしている。駆動ベルト271は、第2のアーム274の遠位端ある案内ホイール上を、この案内ホイールからの方向性のある力が低減されている状態で、移動するように配置されている。その結果、係合位置又はホイールダウン位置では、テンショニング手段は、駆動ベルト271を比較的ピンと張った状態又は予め張力が付与された状態にするために、第1のアーム273を介して駆動ベルト271にいくらかの張力をかける。有利には、テンショニング手段は、ホイール116又は118が表面又は軌道と係合するためにダウン位置にあるときに、駆動ベルト271が駆動ホイール275及び被駆動ホイール116又は118と係合したままであることを確実にするのに役立つ。
【0223】
ホイール116、118が、y方向ホイール118については
図23a、
図24cに示され、x方向ホイール116については
図24aに示されるように、それらが表面又は軌道と係合解除されるように上昇位置にあるとき、方向転換機構110は、第2のアーム274から離れて配置されるように反対側へ移動される。この位置では、第1のアーム273の遠位端は、中立位置と比較して、同じ方向により大きな角度で回転される。駆動ベルト271は、第1のアーム273の中間点肘部における更なる案内ホイールと、第1のアーム273の遠位端にある案内ホイールとに接触して配置されている。ホイール上昇位置における第1のアーム273上のベルトのアレンジメントは、テンショニング手段の第1の側で駆動ベルト271がたどる経路の長さを増大させる。駆動ベルト271は、テンショニング手段の位置にかかわらず実質的に同じ長さのままであるので、また、第1の側のベルト経路を長くした結果として、駆動ベルト271は、テンショニング手段の第2の側で等しい量だけベルト経路を短くするために、第2のアーム274の遠位端に接触して引き寄せ(pulls against)、その結果、第2のアームが回転して、より垂直に位置合わせされるようになる。有利には、テンショニング手段は、骨格102の上部とホイールシャーシ165との間の垂直距離における低減を補償して、駆動ホイール275と係合解除されたり、被駆動ホイール116又は118と係合解除されたりするほどに弛んだ状態にならないように、ベルトを十分にピンと張った状態に保つ。
【0224】
有利には、テンショニング手段は、方向転換機構110に直接リンクされているので、テンショニング手段は、方向転換機構110と一斉に動作する。したがって、方向転換機構100がホイール116及び118のセットをそれぞれ上昇及び下降させるとき、駆動ベルト271に張力を付与するための追加の制御又は別個の作動機能は必要とされない。
【0225】
ホイール118アップ状態からホイール118ダウン状態への(即ち、
図24cから
図24bを経て
図24aに至る)移行中に使用されるテンショニング手段を考慮すると、最初に、肘継手が下方に曲げられ、ベルト271は、付勢手段によって、第1の側及び第2の側で内側に引き寄せられる。付勢手段は、ベルト271が弛むのを阻止し、ベルトの歯が様々なプーリと噛み合うことを確実にするのにちょうど十分な比較的小さい力を及ぼす(
図24c)。
【0226】
移行中、荷重は、第1のセットのホイール116から第2のセットのホイール118へ移される。移行の中程まで進んだところで、方向転換モータは、方向転換動作に必要なホイール交換を実行するために、最も激しく働いているか、又はそのピーク負荷にある。この時間の間、ベルト271は、相対的に弛んでいる。テンショニング手段は、第1のアーム273の肘継手を付勢手段に抗して回転させるために、方向転換モータに追加の負荷を加える。第2のセットのホイール118が装置の荷重を担持し始めると、肘部が真っ直ぐに引っ張られ、これにより、アーム273の軸遠位端と、第1のアーム273の固定端とが実質的に位置合わせされ、遠位端にある案内プーリが、ベルト271を直接引き寄せ、ベルトが比較的大きい予張力を発揮する(
図24b)。
【0227】
最後に、荷重が第2のセットのホイール118に移ったとき、肘部は、ベルト271が弛んだ状態にならないようにするために、付勢手段によって、回転した位置へと引き寄せられる(
図24a)。
【0228】
第1のアーム273上の肘部の配置は、ベルト271プレテンショニング手段についての最大の力が必要とされる点を制御するように、テンショニング手段が調整されることを可能にすることが理解されよう。
【0229】
方向転換機構110の力要件と、テンショニング手段の力要件とを分離することによって、有利には、必要とされるモータのサイズを最小化することが可能になる。
【0230】
テンショニング手段は、代替として、ホイールアップ位置ではなく、ホイールダウン位置又は停車位置に調整及び付勢され得ることが明らかであろう。代替のテンショニング手段が用いられ得ることが理解されよう。
【0231】
テンショニング手段は、ホイールが表面と係合又は係合解除されるように配置されているとき、及びホイールが中立位置にあるか、又は係合位置と係合解除位置との間で移行しているとき、駆動ベルト271をピンと張った状態に保ち、駆動ベルト271とホイール150、116との係合を維持するように意図されている。
【0232】
知られているように、理想的に、ベルト駆動アセンブリが有効であるためには、駆動ベルトと駆動ホイールとの間の6つの歯が接触しているべきである。これは、メガ駆動アセンブリ(mega-drive assembly)を提供するために、追加のホイールを含むことによって確実にされ得る。
【0233】
駆動アレンジメント270の動作中、駆動ベルト271は、駆動ホイール275によって駆動される。駆動ホイール275上への駆動ベルト271の経路は、メガ駆動ホイール278によって補助される。メガ駆動ホイール278は、駆動ホイール275に隣接して配置されており、メガ駆動ホイールが存在しないときと比較して、増加した数の歯が駆動ホイール275と駆動ベルト271との間で係合されるように、駆動ベルト271を導く。典型的に、メガ駆動ホイール278が使用される場合、駆動ベルト271の約6個以上の歯が駆動ホイール275と係合される。
【0234】
知られているように、ギア歯駆動アレンジメントでは、バックラッシュは、駆動方向が順方向から逆方向に、又はその逆に変化するときに生じる動きにおけるエラーである。これが存在するのは、駆動歯のトレーリング面と、被駆動ベルト上のその後ろの歯のリーディング面との間には、常に小さな間隙が存在し、その間隙は、力が新しい方向に伝達され得る前に閉じられなければならないからである。バックラッシュの量は、間隙のサイズに依存する。理想的な駆動ベルト/ホイールギアアレンジメントでは、駆動ベルトの歯と、ホイールの歯との間に間隙は存在しない。しかしながら、これは、完璧な製造、及びシステム全体にわたる均一な寸法特性を必要とすることになる。駆動ベルトが使用される場合、追加のバックラッシュがベルトの伸張によって導入され得る。順方向及び逆方向の方向転換中に生じるバックラッシュの少なくとも一部は、ホイールスポーク設計によって補償され得る。したがって、好適な材料が選択されるべきであることが理解されよう。例えば、駆動ベルト171は、ポリウレタン、鋼より線(steel strands)で補強されたゴム、繊維で補強されたゴム等から作製され得る。
【0235】
図25は、駆動アセンブリ170又は270を駆動するのに好適な駆動モータアレンジメントを示す積荷ハンドリング装置の上面図を例示する。第1の駆動モータ290は、第1のギアアレンジメント291を介して第1の駆動シャフト292に結合される。この駆動シャフトは、x方向にホイール116を駆動するためのアセンブリ170又は270を駆動するために、y方向における積荷ハンドリング装置の幅にわたって延在する。モータ290は、駆動シャフト292の一端の方に配置されている。その結果、第1の側までの駆動シャフト292の長さは、対向する側までの駆動シャフト292の長さよりも短い。知られているように、ねじり剛性は長さと共に低減する。したがって、駆動シャフト292の両側が同じ材料から作製されていると仮定すると、各側間のねじり剛性が整合されることを確実にするために、短い長さの方の駆動シャフトは、長い長さの方の駆動シャフトと比較して、比例してより細い直径を有する。代替のアレンジメントでは、駆動シャフトの2つの側は、ねじり剛性を整合させるために、異なる材料から作製され得る。例えば、短い長さの方は、アルミニウムロッドから作製され得、一方、長い長さの方は、同様の直径を有する炭素繊維ロッドから作製され得る。このようにして、積荷ハンドリング装置の対向する両側は、同じモータ290によって駆動され、同じねじれを受ける。
【0236】
同様に、垂直に配置された第2の駆動モータ290’は、第2のギアアレンジメント291’を介して第2の駆動シャフト292’に結合される。この駆動シャフトは、y方向にホイール116を駆動するためのアセンブリ170又は270を駆動するために、x方向における積荷ハンドリング装置の幅にわたって延在する。
【0237】
有利には、駆動モータアレンジメントは、積荷ハンドリング装置を順方向及び逆方向のx方向及びy方向に駆動するために、2つのモータのみを必要とする。
【0238】
代替のアレンジメントでは、駆動アセンブリは、駆動アセンブリ170又は270の各々を駆動するために1つずつ、4つの駆動モータを備え得る。
【0239】
有利には、積荷ハンドリング装置を操縦するために必要な限られた数の動作及びアセンブリが存在し、したがって、動作間の調整の量が低減されるので、積荷ハンドリング装置の制御が簡略化される。このアレンジメントでは、積荷ハンドリング装置の8つのホイール150の各々は、被駆動ホイール150である。
【0240】
より大型の軽量装置では、積荷ハンドリング装置のコーナーは多機能であり得、積荷ハンドリング装置アセンブリの多くの部品を取り付け及び一体化するための余地がある。駆動モータは、ボート(boats)の上部及び/又はコーナーに取り付けられ得る。有利には、この取付け位置は、より少ない固定具を必要とする。有利には、このアレンジメントは、アクチュエータへの電力及びデータ伝達用のより短いケーブルを可能にし得る。有利には、このアレンジメントでは、積荷ハンドリング装置の複雑な部品の多くが、容易にアクセス可能な場所に配置され、したがって、メンテナンス時間及び労働コストが低減され得る。
【0241】
図26~
図29は、本明細書で説明されるような積荷ハンドリング装置上の第1のホイールセット116及び第2のホイールセット118として使用するための代替のホイール設計250を例示する。ホイール250は、ハブモータとの使用に好適であるように意図される。例示されるように、ハブ260は、ハブモータを受容するために、比較的大きい直径を有する。その結果、ハブ260とリムとの間の距離が低減され、スポーク259は、ハブ260とリムとの間の比較的細い帯域に限定される。
【0242】
ハブ260のリムは、比較的幅が広く、ホイール250をハブモータに固定するためのいくつかの取付点251を備える。
【0243】
スポーク259は、トラスアレンジメントを形成するように配置されている。スポーク259は、直線状であり得るか、又は時計回り及び反時計回りに交互に湾曲し得る。いくつかのアレンジメントでは、スポーク259は、2つの重なり合う及び反対向きの部分スパイラル(oppositely oriented part-spirals)として配置され得る。スポークアレンジメントは、半径方向の撓みも許容しながら、ねじり剛性を最大にするためのものである。
【0244】
図27は、
図26に示されるタイプのホイール外側層152のスポーク259アレンジメントの一部を示す。更に、
図27は、使用中のホイールの力の方向を示す。簡略化のために、
図13と同様に、スポーク259のごく一部のみが示されている。
図27aを参照すると、ホイールの円周の周りの矢印によって示されるように、回転力がホイールに加えられると、力は、スポーク259に沿って示される方向に伝達される。
図27bを参照すると、ホイールの底部において下向きの矢印によって示されるように圧縮力が加えられると、対向回転力(opposed rotational forces)が、スポーク259がハブリムに接合する各節点を通じて伝達される。
【0245】
ホイール250の周縁部には、対応する数のOリング264を受容するための一連の溝263が設けられている。Oリング164は、ホイール250と軌道との間にトラクション又は把持力を提供するため、及びグリッド空間の間の軌道におけるバンプを吸収するために、ゴム等の比較的コンプライアントな材料で作製され得る。Oリング264は、ホイール250のためのタイヤと考えられ得る。ホイール250の可撓性は、使用中のOリング264の摩耗を低減し得る。
【0246】
ホイール250は、単一層から作製され得、又はホイール250は、ホイール150と同様に、サンドイッチ状層構造を有し得る。
【0247】
図26cに見られるように、半径方向においてホイール250を考慮すると、Oリング263タイヤとホイールの外側平面との間には、タイヤ又はホイール250の本体と、外縁面との間に間隙を提供する細いサンドウィッチ状の層265がある。この間隙は、ホイール250がより幅が狭い軌道内へと変形又は「押しつぶされる(squashed)」ことを可能にする。
【0248】
図26及び
図27に関連して説明されたタイプのホイール250は、ハブモータによって駆動されるのに好適である。したがって、このタイプのホイールは、本開示の他の箇所で説明されているベルト駆動アレンジメントではなく、直接駆動アレンジメントが用いられる。
【0249】
図28は、ホイール250との使用に好適なハブモータ280を例示し、
図29は、ホイール250が取り付けられたハブモータ280を例示する。ハブモータ280は、モータ281と、ホイール取付部282と、ハブモータ280を車両に取り付けるための取付プレート283と、を備える。
【0250】
図37~
図41は、本明細書で説明されるような積荷ハンドリング装置上で第1のホイールセット116及び第2のホイールセット118として使用するための代替のホイール設計350を例示する。
【0251】
図37は、構成部品の各々を示す、ホイール350の分解図を示す。実質的に中心から順に、ホイール350は、プーリ351を備える。ばねセクション又は層352が、プーリ351の各面に取り付けられ、Oリング364が、ばねセクション352のリムに嵌められる。次いで、第1及び第2のトルク制限又は接触プレート354が、プーリ351の中心ハブ及びばねセクション352を通って互いに嵌め合わされる。第1及び第2の軸受355が、当接プレート354に嵌め込まれる。最後に、前部キャッププレート356が、軸受355上に嵌められ、後部キャッププレート(図示せず)にねじ又はボルト357で固定される。
図38aは、組み立てられたホイール350の平面図を示し、
図38bは、
図38aの線X-Xに沿って切断したホイール350の断面図を示す。断面図に見られるように、チャネル353は、Oリング364の間に位置する。本明細書で説明されるように、チャネル353は、ホイール350を駆動するためにプーリ351の歯と係合する駆動ベルトを受容し得る。上述されたように、Oリング364は、軌道又は表面と係合して、それらが取り付けられている積荷ハンドリング装置を支持する。
【0252】
図39は、
図39aの平面図及び
図39bの斜視図として、ホイール350のばね層352をより詳細に示す。上述のホイール150、250と同様に、スポーク359は、ハブとリムとの間で力を伝達するための網又はメッシュを形成するように、時計回り方向及び反時計回り方向に湾曲している。ばね層352は、弾性材料から作製されることになり、したがって、ばね層352が曲がり及び変形することを可能にする。ばね層352の内周は、接触プレート354の溝358内に位置付けられるノッチ360を備える。更に、スポークセクションの外側縁部に向かって、ばね層352は、
図37及び
図40に見られるように、プーリ351の前面及び背面上の同様に離間された突起362と嵌合するための、いくつかの規則的に離間された溝361を備える。溝とノッチ又は突出部との対は、ホイールが組み立てられたときに適切に位置合わせされ、例えば、技術者によって、手で迅速に組み立てられ得ることを確実にすることが理解されよう。
【0253】
図40は、プーリ層351を平面図でより詳細に示しており、ここで、はめ歯が円周の周りにあり、突起362が円周のわずかに内側にあり、面の周りに規則的に離間して配置されており、ノッチ363が、(ノッチ360と同様に)接触プレート354の溝358内に位置するためのものである。
【0254】
最後に、
図41は、
図41aの平面図及び
図41bの斜視図として、接触プレート354を示す。接触プレート354は、ばねセクション352が外側に曲がるのを制限することが理解されよう。更に、接触プレート354は、スポーク359が近くの物体に引っ掛かるのを防止するのに役立つ。
【0255】
図38aに戻って参照すると、接触プレート354の直径は、スポークセクションの直径よりもわずかに小さいことが理解されよう。このようにして、ホイール350のリムは、例えば、軌道の狭まり又は位置合わせ不良を補償するために、内側に撓むことが可能であり得る。
【0256】
ノッチ360、363と溝358、及び、溝361と突起362は、ホイール350の層を適切に位置合わせするのに役立ち、プーリ352の円周のはめ歯に加えられた駆動力が、積荷ハンドリング装置を駆動するためにばね層352に伝達されることを確実にすることが理解されよう。
【0257】
ホイールのある特定の特徴が、
図10~
図15、
図21~
図25に関連して説明されており、他の特徴が、
図26~
図29に関連して説明されており、更なる特徴が、
図37~
図41に関連して説明されているが、これら図の任意のもの及び関連する説明からの特徴の組合せが、本発明者らによって予想されることが理解されよう。例えば、ベルトにより駆動されるホイールが、複数のOリングタイヤを備え得、又は、ハブモータにより駆動されるホイールが、層状構造を有し得る。
【0258】
例示及び説明されたホイール150、250、350の変形例では、ホイールは、軸に沿って非対称であり得、即ち、ホイールは、例えば、支持層又はプーリ層の片側のみにばね層を備え得ることが理解されよう。
【0259】
上述されたように、積荷ハンドリング装置は、典型的に、コンテナを受容するための空間又は骨格空隙(skeletal void)を備える。空洞は、コンテナの下側がグリッド又は保管フレームワークの別の部分に引っ掛かることなく、積荷ハンドリング装置が保管フレームワークの上のグリッドにわたって移動することを可能にするために、コンテナが十分に空隙の中に収まり得るようにサイズ決定される。積荷ハンドリング装置がその意図された目的地に到達すると、コンテナ持ち上げ機構は、持ち上げテープを制御して、把持部アセンブリ及び対応するコンテナを積荷ハンドリング装置から出して、意図された位置へと下降させる。
【0260】
意図された位置は、コンテナのスタック若しくは保管フレームワークの出口点であり得るか、又は積荷ハンドリング装置が保管フレームワーク内に保管するためのコンテナを収集するために移動した場合は、保管フレームワークの入口点であり得る。
【0261】
様々な持ち上げアセンブリが、OcadoのGB2001012.0に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0262】
図16及び
図17は、コンテナ10を上昇及び下降させるための、積荷ハンドリング装置100の持ち上げアセンブリ180、190を表したものを示す。持ち上げアセンブリ180、190は、ギア182、192と、モータ181、191と、を備える。
【0263】
ギア182、192を通って延在する共通軸183、193は、第1及び第2の巻き上げドラム184、194まで延在し、その周りに持ち上げテープ185が巻き付けられる。持ち上げテープの第1の端部は、巻き上げドラム184、194に取り付けられており、持ち上げテープの第2の端部は、把持部プレートに取り付けられている。従動ホイール186は、持ち上げテープ185の端部に取り付けられた把持部プレートへ持ち上げテープ185を案内するために、及び/又は持ち上げテープ185の張力を調整するために使用される。把持部プレートは、積荷に掛止するために使用され、次いで、これは、持ち上げアセンブリ180、190によって持ち上げ及び下降され得る。
【0264】
図16に示されるアセンブリ180の場合、第1及び第2の持ち上げテープ185は、ドラム184の周りに交互に巻かれる。したがって、第1及び第2のドラム184が、把持部プレートを下降させるために、モータ181によって回転されると、両方のテープ185が同時に且つ同じ速度で巻き戻される。逆においては、持ち上げテープ185は、同時に且つ同じ速度で巻き上げドラム184の周りに巻き付くか又はコイル状に巻かれ、それによって、把持部プレートによって支持された重量又はペイロードを持ち上げる。
【0265】
図17に示されるアセンブリ190の場合、第1及び第2の持ち上げテープ185は、軸193の各端部にあるそれぞれのドラム194の周りに巻き取られる。
【0266】
両方のアセンブリ180、190について、軸183、193の各端部において、テープ185は、アセンブリに加えられる力を均衡させるために、それぞれドラム184、194の上部及び下部から巻き戻される。
【0267】
ドラム184の直径は、所定の長さの持ち上げテープ185に対して、それぞれのドラム194よりも必然的に大きいことが理解されよう。これに対応して、ギア182は、ギア192よりも大きく、モータ181によって生成される必要なトルクは、モータ191によって生成される必要なトルクよりも大きい。
【0268】
持ち上げアセンブリ180は、より少ない部品が必要とされるという利点を有する。持ち上げアセンブリ190は、ドラム194、ギア192、及びモータ191がより小型であるという利点を有する。いずれの場合も、持ち上げアセンブリによって積荷ハンドリング装置100の本体内に必要とされる空間を最小限に抑え得る。
【0269】
例示された持ち上げアレンジメントは、積荷ハンドリング装置の本体内の空間及びコストが、より多くのモータを組み込んだアレンジメントと比べて節約され得る;スプール又は巻き上げドラム184、194の巻き取り及び巻き戻し速度は、それらが全て同じモータ181、191によって駆動されるので、同期する必要がなく、それらが、追加のギア装置、制御、又は他の介在なしに、同じ速度で巻き取られ及び巻き戻されることを可能にする;単一の制御ユニットのみが、巻き上げドラム184、194の上昇及び下降を制御するために必要とされる、ということを含む様々な利点を有する。
【0270】
以下でより詳細に説明されるように、持ち上げテープ185の遠位端に取り付けられた把持部プレートは、保管コンテナに掛止するためにその上に取り付けられた1つ以上の把持部アセンブリを有する。
【0271】
持ち上げアセンブリの構成要素は、積荷ハンドリング装置に解放可能に取り付け可能なフレームに直接的又は間接的に取り付けられ得る。例えば、持ち上げアセンブリは、積荷ハンドリング装置の骨格に取り付けられたブラケットに着座するクロスビーム又はロッドに取り付けられ得る。ブラケットは、3D印刷され、重量に対して最適化され得る。したがって、持ち上げアセンブリは、積荷ハンドリング装置の骨格空隙内へとコンテナを持ち上げるために使用される。逆において使用される持ち上げアセンブリは、コンテナを積荷ハンドリング装置からグリッドの下のスタック内の位置へ下降させるために使用されることが理解されよう。
【0272】
積荷ハンドリング装置への解放可能な取付性(releasable mountability)のために持ち上げアセンブリを構成することは、有利には、持ち上げアセンブリが、(例えば、第1のアセンブリが点検又は修理される必要がある場合に)容易に取り外され、別の持ち上げアセンブリと交換され得ることを意味し、対応する積荷ハンドリング装置が比較的迅速にサービスに戻ることを可能にする。
【0273】
通信ケーブルリールがまた、制御ユニットから把持部アセンブリに制御命令を送信するために、持ち上げアセンブリに取り付けられ得る。通信ケーブルは、例えば、把持部プレートがコンテナに掛止されることを確実にするために、センサデータを制御ユニットに送信し得る。通信ケーブルも、把持部プレートと共に上昇及び下降される。
【0274】
代替のアレンジメントでは、持ち上げアセンブリと制御設備との間の通信は無線であり得る。持ち上げアセンブリ又はTGA(トート把持アセンブリ)の動作は、半自律的であり得る。
【0275】
持ち上げアセンブリが把持部アセンブリ及び任意の係合されたコンテナを上昇又は下降させる前に、方向転換機構は、好ましくは、積荷ハンドリング装置の第1のセットのホイール116及び第2のセットのホイール118の両方がそれぞれの軌道と係合されていることを確実にする。これは、持ち上げアセンブリが上昇及び下降されるときに追加の安定性を提供し得、追加として、積荷ハンドリング装置を軌道に沿って移動させることになるホイールのうちの1つ以上における任意の動作不良が、軌道と接触している他のセットのホイールによって打ち消されることを確実にするのに役立ち得る。これは、把持部アセンブリが下降構成にある間に積荷ハンドリング装置が移動しようと試みた場合に、保管フレームワークへの損傷を回避し得る。
【0276】
把持部プレートは、把持部アセンブリが保管コンテナに掛止し得るように、保管コンテナの上面の凹部又は穴と位置合わせされるように配置された少なくとも1つの把持部アセンブリを備える。より一般的には、把持部プレートは、2つ以上の把持部アセンブリを備えることになる。典型的に、把持部プレートは、コンテナの協働する凹部に対応する位置に配置された4つの把持部アセンブリを備えることになる。
【0277】
図18~
図19は、本明細書で説明される積荷ハンドリング装置に使用するための自己ロック式把持部アセンブリを例示する。把持部アセンブリは、双安定ロック構成と解放構成との間で移動可能な撓曲機構210を備える。撓曲機構210は、アクチュエータ211と、フック端部213を有する2つの把持部アーム212と、把持部アーム212をアクチュエータ211に接続する2つの撓曲ヒンジアレンジメントと、を備える。撓曲ヒンジアレンジメントは、三角形のキーストーン形(keystone-form)214と、アクチュエータとキーストーン形との間の第1の変形可能なセクション215と、キーストーン形と把持部アーム212との間の第2の変形可能なセクション216と、をそれぞれ備える。変形可能なセクション215、216は、撓曲機構210の他のセクションと比較して相対的に薄いセクションである。このようにして、変形可能なセクションは、適切な力が撓曲機構210に加えられたとき、優先的に曲がるか又は撓曲する。
【0278】
図18を参照すると、ロック構成(
図18a)では、キーストーン形214は、それぞれの把持部アーム212に係合又は当接する。ロック構成では、撓曲機構210は、開いているか又は幅が広く、把持部アームは、広がっている。撓曲機構210は、
図18aの実線矢印によって示されるように、アクチュエータ211に下向きの力を加えることによって、ロック構成に移動され得る。アクチュエータ211は、把持部アーム212に対して下方位置にある。
【0279】
撓曲機構210は、
図18bに示されるように、アクチュエータ211に上向きの力又は引っ張り力を加えることによって、ロック解除又は解放構成に移動され得る。そのような力が加えられると、第1のヒンジ215及び第2のヒンジ216は、曲がるか又は撓曲し、キーストーン形214を把持部アームとの係合から解放する。第1のヒンジ215は、キーストーン形がアクチュエータに対して下方に枢動するように曲がる。第2のヒンジ216は、キーストーン形214が把持部アーム212に対して上方に枢動するように曲がる。したがって、アクチュエータ211は、把持部アーム212に対して上方位置に移動し、
図18cの実線矢印によって示されるように、把持部アームのフック状端部213を共に引き寄せて、幅が狭い又は閉じたアレンジメントにする。
【0280】
撓曲機構220を有する把持部の代替のアレンジメントが、
図19a及び
図19bに例示されており、同様の特徴は、同じ参照番号で示されている。
図18では、キーストーン形214は、アームのフック端部213から離間して把持部アーム212に接続されている。キーストーン形214は、第1のヒンジ215と第2のヒンジ216との間の直線の下方に延在する。
図19a及び
図19bに示す代替のアレンジメントでは、キーストーン形217は、実質的にフック端部213において、把持部アーム212に接続されている。キーストーン形217は、第1のヒンジ218と第2のヒンジ219との間の線の上方に延在する。
【0281】
図19aは、キーストーン形217がそれぞれの把持部アーム212と係合した状態でロック構成にある撓曲機構220を示す。
図19bでは、撓曲機構220は、解放構成にある。この場合、アクチュエータ211は、把持部アーム212に対して下方位置にあり、第1のヒンジ218及び第2のヒンジ219は、
図18の第1のヒンジ215及び第2のヒンジ216と比較して反対方向に撓曲する。したがって、撓曲機構220は、アクチュエータ211に上向きの力を加えることによって、ロック構成へと移動され得、撓曲機構220は、アクチュエータ211に下向きの力又は押す力を加えることによって、ロック解除又は解放構成へと移動され得る。
【0282】
上述されたように、把持部アセンブリは、保管コンテナが持ち上げられ得るように、保管コンテナ10に掛止するためのものである。把持部アセンブリは、保管コンテナ10に適合するように配置されている。典型的に、保管コンテナ10は、上面にコンテナの縁部の周りに凹部を有する。
【0283】
使用時に、狭い又は撓曲した構成において、撓曲機構210は、凹部に挿入される。いったん挿入されると、
図18aの実線矢印によって示されるように、下向きの力がアクチュエータ211に加えられ得る。これは、撓曲機構210をロック構成にし、撓曲機構210は、幅が広くなっている。この場合、コンテナの凹部から撓曲機構210を取り外すことは不可能である。把持部アームのフック状端部213は、コンテナ10の上面の下側と係合する。したがって、持ち上げ力が、コンテナを持ち上げるために把持部アーム212に加えられ得る。
【0284】
撓曲機構220は、アクチュエータ211に反対の力を加えることによって、コンテナ10と共に使用され得ることが理解されよう。
【0285】
使用時、積荷ハンドリング装置の一部として、把持部アセンブリ(複数可)210、220が、把持部プレート上に取り付けられる。持ち上げテープ(複数可)185が、把持部アーム212に取り付けられている。アクチュエータ211は、例えば、ソレノイドモータ又は電磁石によって動作され得る。
【0286】
積荷ハンドリング装置と共に使用する際、把持部210、220は、持ち上げアセンブリ200をコンテナ10に掛止するために、コンテナ10の各コーナーにおいて使用される。次いで、持ち上げアセンブリ200は、コンテナ10が積荷ハンドリング装置によって運搬され得るように、コンテナ10を積荷ハンドリング装置100の骨格空隙内へと持ち上げるように動作される。
図20aは、コンテナなしの積荷ハンドリング装置を例示し、
図20b(及び
図5)は、空隙内へと持ち上げられたコンテナを有する積荷ハンドリング装置を例示する。
【0287】
把持部アセンブリ210、220は、2つより多くの把持部アームと、アクチュエータの周りに配置された対応する数の撓曲ヒンジアレンジメントと、を有し得ることが理解されよう。いくつかのアレンジメントでは、追加の把持部アームが、保管コンテナへのより確実な取付けを提供し得る。
【0288】
このアレンジメントは、単一のモータが把持部プレートを持ち上げ及び下降させることを可能にするが、システムに何らかの冗長性を提供し、したがって、耐故障の積荷ハンドリング装置を提供するためには、2つのモータが好ましくあり得ることが前述から明らかであろう。
【0289】
上述されたように、積荷ハンドリング装置のいくつかの部品は、簡単に交換又は置き換えられ得る。したがって、積荷ハンドリング装置は、モジュール式アセンブリを有すると考えられ得る。
【0290】
積荷ハンドリング装置の本体は、骨格本体、骨格、フレームであると考えられ得る。有利には、これは、各モジュールへの直接的又は間接的なアクセスがあるので、モジュールの各々がより容易に交換されることを可能にする。モジュールは、自己完結型、即ち、いくつかの接続された部品を有する単一ユニットであり得るか、又はモジュールは、複数の部品を備え得る。
【0291】
モジュールは、方向転換アセンブリ、ホイール若しくはホイールのセット、駆動アセンブリ、持ち上げアセンブリ、把持部アセンブリ、動力手段、通信手段、制御手段、感知手段、又はセンサパックを備え得る。
【0292】
これは、特に有利には、積荷ハンドリング装置の骨格内の、又は骨格によって支持された構成要素をより頻繁に交換することを可能にし得、例えば、それは、積荷ハンドリング装置の充電式バッテリが、容易に骨格から取り外され、別の充電式バッテリと交換されることを可能にし得る。
【0293】
自律的に動作するために、積荷ハンドリング装置は、それ自体の電力供給手段を有する。電力供給手段は、再充電可能又は交換可能なバッテリの形態であり得る。
【0294】
バッテリは、積荷ハンドリング装置の骨格内に位置し得る。例えば、骨格が中空ロッド構造を備える場合、バッテリは、ロッドに挿入され得る。
【0295】
様々な制御及びセンサアレンジメントが、WO2019170805(Ocado)に記載されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0296】
積荷ハンドリング装置は、搭載制御設備によって制御される。
【0297】
この制御設備は、システムの集中制御設備から命令を送受信するためのトランシーバユニット、又は送信機ユニット及び受信機ユニット等の通信手段を備え得る。積荷ハンドリング装置は、集中制御設備からの命令又はタスクに基づいて、実質的に自律的に機能することができる。
【0298】
搭載制御設備は、集中制御設備から受信された命令に従って、方向転換機構、駆動アセンブリ、及び持ち上げアセンブリを制御及び動作させることができる。搭載制御設備は、積荷ハンドリング装置の状態及び積荷ハンドリング装置の周囲の環境に関するフィードバックを制御設備に提供するために、様々なセンサ及びカメラからの入力を更に備える。
【0299】
積荷ハンドリング装置の周囲の状態及び環境に基づいて、搭載制御設備は、方向転換アセンブリ、駆動アセンブリ、及び持ち上げアセンブリを動作させてタスクを実行する。
【0300】
積荷ハンドリング装置の状態の正確な知識が、積荷ハンドリング装置が動作し得る速度、タスクが完了したとき、及び積荷ハンドリング装置が後続のタスクを完了するために利用可能であるときを決定するために必要とされる。
【0301】
各積荷ハンドリング装置の正確な位置決めが、最小の位置誤差で積荷ハンドリング装置がより速い速度及び/又は加速度で駆動されることを可能にするために必要とされ、グリッドシステム上の積荷ハンドリング装置間の間隔の低減を可能にして、システムの効率を高める。
【0302】
受信した情報が正しいことを検証するために、1つより多くのタイプのセンサが、積荷ハンドリング装置の状態及び環境を決定するために使用され得る。同じタイプの1つより多くのセンサが、異なる位置において積荷ハンドリング装置に取り付けられ得る。
【0303】
このようにして、センサの各々が、積荷ハンドリング装置が動作している環境の異なる部分を検出する。複数のセンサは、1つのセンサが環境から適切な情報をキャプチャするのに失敗した場合に、他のセンサのうちの1つがより成功率が高い可能性があるという点で、それらが装置に冗長性を提供するので有利である。
【0304】
更に、1つのセンサが環境をキャプチャすることができない位置(例えば、レール交差点上等)では、別のセンサが環境をより成功裏にキャプチャすることができ得る。加えて、複数のセンサを用いることで、センサ間の角度を決定するために、1つのセンサからの位置測定値を、運搬装置の対向面上に取り付けられたセンサ上での同じ位置測定値と比較することによって、運搬装置の回転配向を決定する等、他の測定が行われ得る。
【0305】
したがって、本明細書で開示される積荷ハンドリング装置の1つの利点が冗長性を除去することである一方で、より大きなシステムで動作するためには、積荷ハンドリング装置上の何らかの冗長性が、例えば、グリッド上の位置を感知するため等の他の理由から、望ましい場合があることが理解されよう。
【0306】
積荷ハンドリング装置は、多くの異なるタイプのセンサ、例えば、カメラ、超音波検出器、X線カメラ、脚輪(trundle)、又は推測航法(dead reckoning)ホイールアレンジメント、グリッド上に設けられたマーキングを読み取るためのジャイロスキャナ、バーコードスキャナ又はQRスキャナ、システム内に保管されたアイテムを識別するためのRFIDリーダを備え得る。
【0307】
本明細書で説明される積荷ハンドリング装置と共に使用され得る1つのタイプのセンサが、骨格内に位置する低コストの下向きカメラである。このようなカメラは、軌道クロッシング(track crossings)を検出し、グリッド位置を決定するために使用され得る。
【0308】
センサは、積荷ハンドリング装置内の通信機能を評価すること、ホイールとグリッド軌道との間のトラクションを測定すること、走行した距離を測定すること、走行速度を測定すること、グリッド上の積荷ハンドリング装置のグリッド位置を決定すること、単一のグリッド空間における積荷ハンドリング装置の正確な位置決めのために提供され得る。
【0309】
積荷ハンドリング装置は、上述の特徴の全て、1つ、又は任意の組合せを備え得、サービス装置が説明された全てのセンサ及び特徴を含むことは本発明にとって必須ではないことが理解されよう。
【0310】
前述の段落で説明された変形例のうちの任意の1つ以上が、積荷ハンドリング装置の同じ実施形態において実装され得ることが想定される。
【0311】
本明細書で説明された本発明は、例として、食料雑貨品取り出しシステムのための積荷ハンドリング装置に関連している。本明細書で説明された保管システム及び装置は、その中で保管及び管理される物品のタイプに限定されないことが理解されよう。
【0312】
更に、本発明のいくつかの実施形態は、積荷ハンドリング装置以外の手動ハンドリング機器に関連して使用され得ることが理解されよう。
【0313】
添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、上記で明示的に説明されていない多くの変形例及び修正例も可能である。
【0314】
以下、箇条書にして例示的な実装形態の態様の概要を述べる:
【0315】
積荷ハンドリング装置であって、少なくとも1つの弾性変形可能な部材は、撓曲ヒンジであり、コンプライアント機構は、撓曲ヒンジを通じて上部ブレース及び下部ブレースに取り付けられた一連のトランク部分を備える、積荷ハンドリング装置。
【0316】
積荷ハンドリング装置であって、撓曲ヒンジは、ブランチ部分を備え、又は、撓曲ヒンジは、ばね部分を備える、積荷ハンドリング装置。
【0317】
積荷ハンドリング装置であって、各コンプライアント機構は、第1のタイプの撓曲ヒンジを有する少なくとも1つのトランク部分と、第2のタイプの撓曲ヒンジを有する少なくとも1つのトランク部分と、を備える、積荷ハンドリング装置。
【0318】
グリッドベースの保管及び取り出しシステムであって、複数のグリッド空間を備えるグリッドパターンを形成するために、第1のセットの平行なレール又は軌道(22b)と、実質的に水平な平面において、第1のセットのレール又は軌道(22b)に対して実質的に垂直に延在する第2のセットの平行なレール又は軌道(22a)と、を備えるグリッドフレームワーク(14)構造と、ここにおいて、グリッドは、直立材(16)のセットによって支持されて、コンテナ(10)が、その間に積み重ねられるように、及び直立材によって複数のグリッド空間を垂直方向に案内されるように、グリッドの下に複数の垂直保管場所を形成しており、グリッドフレームワーク構造上で動作している少なくとも1つの積荷ハンドリング装置と、少なくとも1つの積荷ハンドリング装置(複数可)を制御するための集中制御ユーティリティと、を備えるグリッドベースの保管及び取り出しシステム。
【0319】
システムであって、少なくとも1つの積荷ハンドリング装置は、通信手段を更に備え、保管システムの集中制御ユーティリティは、少なくとも1つの積荷ハンドリング装置上の通信手段と通信するための通信手段を備える、システム。
【0320】
システムであって、集中制御ユーティリティは、少なくとも1つの積荷ハンドリング装置の状態を遠隔で監視する、システム。
【0321】
システムであって、積荷ハンドリング装置の動作不良及び/又は故障が検出された場合、積荷ハンドリング装置は、動作不良を起こしていない及び故障していない手段を使用して、メンテナンスエリア又はグリッドの縁部に移動するように命令される、システム。
【0322】
システムであって、集中制御ユーティリティは、積荷ハンドリング装置にグリッド上の特定の場所に移動するように命令するために、グリッド上で動作している少なくとも1つの積荷ハンドリング装置と通信する、システム。
【0323】
システムであって、積荷ハンドリング装置に、スタックからコンテナを持ち上げ、コンテナをグリッド上の別の場所に移動させるように更に命令し、及び/又は、積荷ハンドリング装置に、コンテナをグリッドの下のスタック位置へと下降させるように更に命令する、システム。
【0324】
ホイールであって、ホイールのリムは、Oリングを受容するための1つ以上の溝を備える、ホイール。
【0325】
ホイールであって、リムは、3つのOリングを受容するための3つの溝を備える、ホイール。
【0326】
ホイールであって、ホイールの本体の奥行きと外側平面との間に間隙を設ける追加の層を更に備える、ホイール。このようにして、ホイールは、軌道のより幅が狭いセクション又は位置合わせ不良のセクションを通って行くために、より幅が狭い形態に「押しつぶされ」得る。
【0327】
ホイールであって、ホイールは、被駆動ホイールである、ホイール。
【0328】
ホイールであって、ホイールは、ハブモータを受容するのに適している、ホイール。
【0329】
以下のステップを備える、積荷ハンドリング装置のための駆動ベルトアセンブリの駆動ベルトに予張力を付与する方法。
【0330】
テンショニング手段であって、第2のアームは、回転可能に取り付けられている、テンショニング手段。
【0331】
テンショニング手段であって、駆動ベルトは、第1のテンショニングアーム及び第2のテンショニングアームに通される、テンショニング手段。
【国際調査報告】