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特表2023-517869ロイコノストック属株を有効成分として含む癌の予防又は治療用医薬組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】ロイコノストック属株を有効成分として含む癌の予防又は治療用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/744 20150101AFI20230420BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230420BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20230420BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20230420BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20230420BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230420BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20230420BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20230420BHJP
   A23K 10/10 20160101ALI20230420BHJP
【FI】
A61K35/744
A61P35/00 ZNA
A61P1/00
A61P1/18
A61P13/10
A61P17/00
A23L33/135
C12N1/20 E
A23K10/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552893
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(85)【翻訳文提出日】2022-09-02
(86)【国際出願番号】 KR2021001060
(87)【国際公開番号】W WO2021177600
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0027655
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0063684
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522304257
【氏名又は名称】リスキュア・バイオサイエンシーズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LISCURE BIOSCIENCES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】7F (SINSA‐DONG, M.I. TOWER BUILDING), 626, GANGNAM‐DAERO, GANGNAM‐GU, SEOUL 06035, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】チン,ファ・スプ
【テーマコード(参考)】
2B150
4B018
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
2B150AA02
2B150AA03
2B150AA06
2B150AB10
2B150AC01
2B150DD12
2B150DD26
4B018LB01
4B018LB03
4B018LB05
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4B018LB08
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4B065CA43
4B065CA44
4C087AA01
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4C087BC75
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4C087MA52
4C087MA55
4C087MA57
4C087MA59
4C087MA60
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZA66
4C087ZA81
4C087ZA89
4C087ZB26
(57)【要約】
本発明は、キムチから単離したロイコノストック(Leuconostoc)属に属する菌株又はその培養物を有効成分として含む癌の予防又は治療用医薬組成物に関する。
本発明によるロイコノストック株又はその培養物は、優れた抗癌活性を示すので、ヒト又は動物における癌の治療、予防又は改善などの用途のための組成物として有用に用いられることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロイコノストック(Leuconostoc)属株又はその培養物を有効成分として含む癌の予防又は治療用医薬組成物。
【請求項2】
前記ロイコノストック属株は、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ロイコノストック・カーノサム(Leuconostoc carnosum)、ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum)、ロイコノストック・ホルザプフェリイ(Leuconostoc holzapfelli)又はロイコノストック・ラクティス(Leuconostoc lactis)であることを特徴とする請求項1に記載の癌の予防又は治療用医薬組成物。
【請求項3】
前記ロイコノストック・メセンテロイデス株は、ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1、寄託番号KCCM12701P)であることを特徴とする請求項2に記載の癌の予防又は治療用医薬組成物。
【請求項4】
前記癌は、大腸癌、膵臓癌、膀胱癌、皮膚癌又はメラノーマであることを特徴とする請求項1に記載の癌の予防又は治療用医薬組成物。
【請求項5】
前記組成物は、経口投与又は非経口投与の方法で投与可能であることを特徴とする請求項1に記載の癌の予防又は治療用医薬組成物。
【請求項6】
前記非経口投与の方法は、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、内皮投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与及び直腸内投与である、請求項5に記載の癌の予防又は治療用医薬組成物。
【請求項7】
ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1、寄託番号KCCM12701P)株又はその培養物を有効成分として含む癌の予防又は改善用食品組成物。
【請求項8】
前記食品は、健康機能食品である、請求項7に記載の癌の予防又は改善用食品組成物。
【請求項9】
前記食品は、パン、餅、キャンディ、チョコレート、ガム、アイスクリーム、ミルク、チーズ、食肉加工品、魚肉加工品、キムチ、醤油、味噌、コチュジャン、中国の味噌、清麹醤、酢、ケチャップ、カレー、ドレッシング、飲料及び発酵乳からなる群から選択されるいずれかの食品であることを特徴とする請求項7に記載の癌の予防又は改善用食品組成物。
【請求項10】
ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1、寄託番号KCCM12701P)株又はその培養物を有効成分として含む癌の予防又は改善用食品添加物組成物。
【請求項11】
ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1、寄託番号KCCM12701P)株又はその培養物を有効成分として含む家畜における癌の予防又は改善用飼料組成物。
【請求項12】
前記家畜は、豚、牛、馬、羊、ウサギ、ヤギ、ラット、ハムスター、モルモット、犬、猫、鶏、七面鳥、アヒル、ガチョウ、キジ、ウズラ、鯉、フナ、及びマスからなる群から選択されるいずれかである請求項11に記載の家畜における癌の予防又は改善用飼料組成物。
【請求項13】
ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1、寄託番号KCCM12701P)又はその培養物を有効成分として含む家畜における癌の予防又は改善用飼料添加剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キムチから単離したロイコノストック(Leuconostoc)属株、具体的にはロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株又はその培養物を有効成分として含む癌の予防又は治療用医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、世界的に高い死亡率を見せており、西洋社会では心血管疾患に次いで最も一般的な死因である。特に、食生活が西洋化して高脂肪食摂取が一般化し、環境汚染物質の急激な増加、飲酒量の増加などにより大腸癌、乳癌、前立腺癌などが持続的に増加する傾向にあり、人口の高齢化とともに喫煙人口の増加及び大気汚染により肺癌が増加している実情である。このような実情から癌の早期予防及び治療を可能にし、ヒトの健康の増進、健康な生活の質の向上及び人類保健の増進に寄与できる抗癌治療療法の開発が切実に求められている。
【0003】
一方、乳酸菌は、ヒトと動物の口腔、腸、膣、糞便、キムチなどの発酵食品等に広く分布しながら、ヒトと動物の健康に密接に関連している。乳酸菌は、整腸作用、有害菌の抑制、免疫調節、血中コレステロール低下、抗癌など、多様な健康増進効果を示している。
【0004】
現在、韓国公開特許第10-2010-0013184号では、ロイコノストック・メセンテロイデス菌株の抗癌活性が開示されているが、大腸癌に対する予防又は治療効果についてのみ具体的な実施例を記載しているだけで、その他の癌種については具体的な実験例や実施例が記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2010-0013184号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ロイコノストック属株を有効成分として含む癌の予防又は治療用医薬組成物を提供することである。
【0007】
また、本発明の別の目的は、ロイコノストック属株を有効成分として含む癌の予防、改善用食品組成物、又は食品添加剤組成物を提供することである。
【0008】
また、本発明の別の目的は、ロイコノストック属株を有効成分として含む癌の予防、改善用飼料組成物、又は飼料添加剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者らは、キムチから癌の予防及び治療効果を示す乳酸菌株を見出すべく努力した結果、複数の癌種に対して抗癌活性を有する新規なロイコノストック(Leuconostoc)属株を単離、同定して本発明を完成するに至った。
【0010】
上記目的を達成するために、ロイコノストック属株又はその培養物を有効成分として含む癌の予防又は治療用医薬組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は、ロイコノストック属株又はその培養物を有効成分として含む癌の予防、改善用食品組成物、又は食品添加物組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、ロイコノストック属株又はその培養物を有効成分として含む家畜における癌の予防、改善用飼料組成物、又は飼料添加剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるロイコノストック属株又はその培養物は、様々な癌種に対して優れた抗癌活性を示すので、ヒト又は動物における癌の治療、予防又は改善などの用途のための組成物として有用に用いられることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明による組成物を大腸癌CT26細胞移植マウスに1回静脈注射した後、腫瘍の大きさが経時変化することを観察した腫瘍の写真を示す図である。
図2】本発明による組成物を大腸癌CT26細胞移植マウスに1回静脈注射した後、腫瘍生存率を経時測定したグラフを示す図である。
図3】大腸癌CT26、SW620及びHCT116細胞株に本発明による組成物を施し、細胞生存率(cell viability assay)を測定したグラフを示す図である。
図4】膵臓癌AsPC-1細胞株に本発明による組成物を施し、細胞生存率(cell viability assay)を測定したグラフを示す図である。
図5】膀胱癌T24細胞株に本発明による組成物を施し、細胞生存率(cell viability assay)を測定したグラフを示す図である。
図6】メラノーマB16-F10細胞株に本発明による組成物を施し、細胞生存率(cell viability assay)を測定したグラフを示す図である。
図7】正常CCD986?sk細胞株に本発明による組成物を施し、細胞生存率(cell viability assay)を測定したグラフを示す図である。
図8】大腸癌MC38細胞株に本発明による組成物を施し、細胞遊走(migration assay)が行われた後、画像を撮影した写真を示す図である。
図9】大腸癌MC38細胞株に本発明による組成物を施し、細胞遊走(migration assay)阻害能を測定したグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の要旨により本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されないことは当業界で通常の知識を有する者にとって自明である。
【0016】
本発明のロイコノストック(Leuconostoc)属株又はその培養物を有効成分として含む組成物は、癌の予防又は治療効果を有し、医薬組成物として用いられることができる。
【0017】
本発明におけるロイコノストック(Leuconostoc)属株は、乳酸菌株である。前記ロイコノストック属株は、プロバイオティクスであって、乳酸菌の一般的な整腸効果及び免疫増強効果を有する。ロイコノストック属の乳酸菌が整腸効果及び免疫増強効果を有することは周知の事実である。
【0018】
前記ロイコノストック属株は、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ロイコノストック・カーノサム(Leuconostoc carnosum)、ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum)、ロイコノストック・ホルザプフェリイ(Leuconostoc holzapfelli)又はロイコノストック・ラクティス(Leuconostoc lactis)のいずれであってもよい。
【0019】
本発明の実施例によりキムチから単離したロイコノストック・メセンテロイデス株は、微生物を同定し、分類するための16S rRNA塩基配列解析を行った結果、配列番号1(SEQ ID NO:1)の核酸配列を有することが示された。
【0020】
したがって、配列番号1(SEQ ID NO:1)の16S rRNA塩基配列を有する本発明の微生物をロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)と命名し、韓国微生物保存センターに2020年04月24日付で寄託した(寄託番号KCCM12701P)。
【0021】
前記ロイコノストック株は、MRS液体培地に0.1~10%接種し、25~37℃で4時間~48時間培養して用いることができる。
【0022】
前記培養の方法としては、静置培養方法が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0023】
本発明において、「プロバイオティクス(probiotics)」とは、「ヒトを含む動物の消化管内で宿主の腸内微生物環境を改善し、宿主の健康に有益な影響を与える、生きている微生物」という意味で理解される。プロバイオティクスは、プロバイオティクス活性を有する、生きている微生物であって、単一又は複合菌株の形で、ヒトや動物に乾燥した細胞の形態や発酵産物の形態で供給される場合、宿主の腸内菌叢に有益な影響を及ぼすことができる。
【0024】
前記癌は、膀胱癌、乳癌、黒色腫瘍、甲状腺癌、副甲状腺癌、咽頭癌、喉頭癌、食道癌、膵臓癌、胃癌、舌癌、皮膚癌、脳腫瘍、子宮癌、頭胆嚢癌、口腔癌、腎臓癌、肝癌、肺癌、結腸癌、直腸癌及び大腸癌からなる群から選択されるいずれかの癌であることができ、好ましくは、これらに限定されない。
【0025】
本発明に係る組成物に含まれるロイコノストック属株、生菌体又は死菌体として存在することができ、また、乾燥又は凍結乾燥された形態で存在することもできる。様々な組成物内に含ませるのに適した乳酸菌の形態及び製剤化の方法は、当業者に広く知られている。
【0026】
前記組成物は、経口又は非経口投与することができる。非経口投与の場合には、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、内皮投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与、及び直腸内投与などで投与することができ、好ましくは静脈内注入方法で投与することができるが、これらに限定されない。
【0027】
前記組成物の適切な投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病態、食事、投与時間、投与経路、排泄速度、及び反応性などの要因に応じて多様に処方することができる。
【0028】
本発明の組成物が薬剤学的組成物に活用される場合、本発明の薬剤学的組成物は、前記の有効成分の外に、薬剤学的に適切で生理学的に許容される補助剤を用いて製造することができ、前記補助剤としては、賦形剤、崩壊剤、甘味料、結合剤、被覆剤、膨張剤、潤滑剤、滑沢剤又は香味剤などが用いられることができる。
【0029】
前記薬剤学的組成物は、投与のために、上記した有効成分に加えて、さらに薬剤学的に許容可能な担体を1種以上含んで薬剤学的組成物として好ましく製剤化することができる。
【0030】
例えば、錠剤又はカプセル剤の形態に製剤化するために、有効成分は、エタノール、グリセロール、水などのような経口、非毒性の薬剤学的に許容可能な不活性担体と組み合わせることができる。また、所望する又は必要な場合、適合する結合剤、潤滑剤、崩壊剤、及び発色剤もまた混合物として含ませることができる。適合する結合剤は、これらに限定されるものではないが、澱粉、ゼラチン、グルコース又はベータ-ラクトースのような天然糖類、トウモロコシ甘味料、アカシア、トラガント又はオレイン酸ナトリウムのような天然及び合成ガム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等を含む。崩壊剤は、これらに限定されるものではないが、澱粉、メチルセルロース、アガー、ベントナイト、キサンタンガムなどが含まれる。液状溶液に製剤化される組成物において、許容可能な薬剤学的担体としては、滅菌及び生体に適したものとして、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール、及びこれらの成分のうち1成分以上を混合して用いることができ、必要に応じて抗酸化剤、緩衝液、静菌剤など他の通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤、及び潤滑剤を付加的に添加し、水溶液、懸濁液、乳濁液などのような注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒又は錠剤に製剤化することができる。
【0031】
さらに、当該分野の適切な方法として、Remington´s Pharmaceutical Science、Mack Publishing Company、Easton PAに開示されている方法を用いて、各疾患に応じて又は成分に応じて好ましく製剤化することができる。
【0032】
本発明のロイコノストック(Leuconostoc)属株又はその培養物を有効成分として含む組成物は、癌の予防又は改善用食品組成物又は食品添加剤組成物として用いられることができる。
【0033】
前記食品組成物は、健康機能食品の形態であることができる。
【0034】
前記「健康機能食品」は、健康機能食品に関する法律に従って人体に有用な機能性を有する原料や成分を用いて製造し、加工した食品を意味(第3条第1号)し、「機能性」とは、人体の構造及び機能に対して栄養素を調整したり、生理学的作用などのような保健用途に有用な効果を得ること(同条第2号)を意味する。
【0035】
前記食品組成物は、食品添加物をさらに含むことができ、「食品添加物」としての適否は、他の規定がない限り、食品薬学品安全処にて承認された食品添加物公典の総則及び一般試験法等に従って当該品目に関する規格及び基準により判定する。
【0036】
前記「食品添加物公典」に収載された品目としては、例えば、ケトン類、グリシン、クエン酸カリウム、ニコチン酸、ケイ皮酸などの化学的合成品、カキ色素、カンゾウエキス、結晶セルロース、グアーガムなどの天然添加物、L-グルタミン酸ナトリウム製剤、麺類添加アルカリ剤、保存料製剤、タール色素製剤などの混合製剤類が挙げられる。
【0037】
本発明の有効成分が含まれた食品としては、パン、餅類、堅果類、キャンディ類、チョコレート類、チューインガム、ジャム類のような菓子類、アイスクリーム類、氷菓類、アイスクリーム粉末類のようなアイスクリーム製品類、牛乳類、低脂肪牛乳類、乳糖分解牛乳、加工乳類、ヤギ乳、発酵乳類、バター乳類、濃縮乳類、乳クリーム類、バター類、天然チーズ、加工チーズ、粉乳類、乳清類のような乳加工品類、食肉加工品、鶏卵加工品、ハンバーガーのような食肉製品類、練り物、ハム、ソーセージ、ベーコンなどの魚肉加工品のような魚肉製品類、ラーメン類、乾麺類、生麺類、揚げ麺類、糊化乾麺類、改良半生類、冷凍麺類、パスタ類のような麺類、果実飲料、野菜類飲料、炭酸飲料、豆乳類、ヨーグルトなどの乳酸菌飲料、混合飲料のような飲料、醤油、味噌、コチュジャン、春醤、納豆、混合醤油、酢、ソース類、トマトケチャップ、カレー、ドレッシングのような調味食品、マーガリン、ショートニング及びピザが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
前記の他に、本発明の組成物は、種々の栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、エフェクト酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護コロイド増粘剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などを含むことができる。その他に本発明の組成物は、天然フルーツジュース、フルーツジュース飲料、及び野菜飲料を製造するための果肉を含むことができる。これらの成分は、独立して又は組み合わせて用いられることができる。
【0039】
本発明の有効成分を含む飲料組成物は、他の成分には特別な制限はなく、通常の飲料のように様々な香味剤又は天然炭水化物などを追加成分として含有することができる。上記した天然炭水化物の例は、単糖類(例えば、ブドウ糖、果糖など); 二糖類(例えば、マルトース、スクロースなど); 及び多糖類(例えば、デキストリン、シクロデキストリンなど)のような通常の糖類、及びキシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールである。上記したもの以外の香味剤として天然香味剤(ソーマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウジオシドA、グリシルヒジンなど))、及び合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を有利に用いることができる。
【0040】
また、本発明のロイコノストック(Leuconostoc)属株 、又はその培養物を有効成分として含む組成物は、家畜の癌の予防、改善用飼料組成物、又は飼料添加剤組成物として用いられることができる。
【0041】
前記組成物が飼料添加剤として製造される場合、前記組成物は20~90%の高濃縮液、粉末、又は顆粒の形態で製造することができる。前記の飼料添加剤は、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、乳酸、リンゴ酸などの有機酸やリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、酸性ピロリン酸、ポリリン酸塩(重合リン酸塩)などのリン酸塩や、ポリフェノール、カテキン、α-トコフェロール、ローズマリーエキス、ビタミンC、緑茶抽出物、甘草エキス、キトサン、タンニン酸、フィチン酸などの天然抗酸化剤のいずれか又は一つ以上をさらに含むことができる。飼料として製造される場合、前記組成物は、通常の飼料の形態で製剤化されることができ、通常の飼料成分を共に含むことができる。
【0042】
前記飼料及び飼料添加剤は、穀物、例えば、粉砕又は破砕された小麦、オーツ麦、大麦、トウモロコシ、及び米;植物性タンパク質飼料、例えば、菜の花、大豆、及びヒマワリを主成分とする飼料;動物性タンパク質飼料、例えば、血粉、肉骨粉、骨粉、及び魚粉;糖分及び乳製品、例えば、各種粉乳及び乳清粉末からなる乾燥成分などをさらに含むことができ、それ以外にも栄養補助食品剤、消化及び吸収向上剤、成長促進剤などをさらに含むことができる。
【0043】
前記飼料添加剤は、動物に単独で投与したり、食用担体中において他の飼料添加物と組み合わせて投与することもできる。また、前記飼料添加剤は、トップドレッシングとして、又はこれらの動物飼料に直接混合するか、又は飼料とは別途の経口剤形として、容易に動物に投与することができる。前記飼料添加剤を動物飼料とは別途に投与する場合、当該技術分野において周知のごとく、薬剤学的に許容可能な食用担体と組み合わせて、すぐに放出又は徐放性製剤で製造することができる。これらの食用担体は、固体又は液体、例えば、トウモロコシのでんぷん、ラクトース、スクロース、大豆フレーク、ピーナッツ油、オリーブ油、ゴマ油及びプロピレングリコールであることができる。固体担体が使用される場合、飼料添加物は錠剤、カプセル剤、散剤、トローチ又は含糖錠剤又は微分散性形態のトップドレッシングであることができる。液体担体が用いられる場合、飼料添加剤はゼラチン軟質カプセル剤、シロップ剤、懸濁液、エマルジョン剤、又は溶液剤の剤形であることができる。
【0044】
また、前記飼料及び飼料添加剤は補助剤、例えば、保存剤、安定化剤、湿潤剤、又は乳化剤、溶液促進剤などを含有することができる。前記の飼料添加剤は、浸漬、噴霧、又は混合し、動物の飼料に添加して用いられることができる。
【0045】
本発明の飼料又は飼料添加剤は、哺乳類、家禽及び魚類を含む多数の動物の食餌に適用することができる。
【0046】
前記哺乳類として、豚、牛、羊、ヤギ、齧歯類、及び、マウス、ハムスター、モルモット等の実験用齧歯類だけでなく、愛玩動物(例:犬、猫)などを用いることができ、前記家禽として、鶏、七面鳥、アヒル、ガチョウ、キジ、及びウズラなどにも用いることができ、前記魚類として、コイ、フナ、マスなどに用いられることができるが、これらに限定されるものではない。
【実施例
【0047】
実施例1.菌株の単離及び同定
様々な種類のキムチ試料を破砕した後、キムチ液をPBS(phosphate buffered saline)で連続希釈(serial dilution,10~10)し、一次乳酸菌選択培地であるMRSに塗抹した後、30℃又は37℃でそれぞれ24時間培養する。形成されたコロニーを単一のコロニーで単離した後、ロイコノストック選択培地であるフェニルエチル アルコール スクロース寒天(Phenylethyl alcohol sucrose agar)培地に画線塗抹し、20℃で24時間培養した。培養後、形成された単一コロニーを回収してMRS液体培地に入れて培養した。24時間培養した培養液から遺伝子DNAを抽出した。16S rDNA塩基配列を確認するために、得られた遺伝子型DNA産物をマクロゲン社に解析を依頼した。同定した塩基配列をNational Center for Biotechnology information(NCBI,www.ncbi.nlm.nih.gov)のBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)を用いて類似度を解析し、この結果を通じて最終的にロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株と命名し、韓国微生物保存センターに2020年4月24日付で寄託した。
【0048】
実施例2.菌株の培養
単離したロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株をMRS液体培地30mlに1%接種し、37℃で6時間静置培養した。培養後、3500rpmで10分間遠心分離し、培養液を除去し、菌体はPBS(phosphate buffered saline)溶液で3回洗浄し、残っている培地成分を除去した。
【0049】
実施例3.実験動物(マウス)の条件
実験に使用した実験動物は、雄5週齢のBALB/cマウス(オリエント・バイオ社、韓国)の供給を受け、室内温度20±2℃、湿度55±15%が維持されるSPF環境の動物飼育室で1週間の安定化期間を経て実験期間中、飼育した。飼料は抗生物質が添加されていない一般的なぺレット飼料を供給し、水は随時摂取できるようにした。腫瘍サイズにおける変化の観察は、3.14×(長さ×高さ×幅)/6の式を用いて腫瘍の体積(mm)を測定して行った。
【0050】
実施例4.大腸癌CT26細胞移植マウスモデルにおける抗腫瘍効果の解析
【0051】
4-1.細胞培養
CT26大腸癌細胞は、韓国細胞株銀行から購入し、DMEM培地に10%FBS(ウシ胎児血清:fetal bovine serum)と1%抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン:penicillin/streptomycin)を添加し、5%のCO、37℃条件で培養した。
【0052】
4-2.CT26細胞移植癌動物モデルの作製
CT26細胞移植動物モデルを作製するために、6週齢のBALB/cマウス(18-21g)を実験に用いた。培養した大腸癌細胞CT26は、1×10細胞を採取(harvest)した後、50μlのPBSに再浮遊し、マウスの右大腿部皮下に注入した。
【0053】
4-3.抗腫瘍効果の解析
腫瘍が約80~100mmの体積で形成されたCT26細胞移植マウスの尾にロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)を静脈内注射した。PBSに用意したロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1 0.1ml(1×10CFU)を静脈注射し、対照群にはPBSを投与した。経時的にCT26細胞移植マウスの腫瘍サイズの変化を目視で確認した結果を図1に示した。
【0054】
図1に示すように、対照群(PBS)と比較してロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1を投与した群が14日後に腫瘍の大きさが著しく減少したことが観察された。
【0055】
また、CT26細胞移植マウスにおいて腫瘍の体積の変化を経時測定した結果を図2に示した。
【0056】
図2に示すように、CT26細胞移植マウスの腫瘍サイズが対照群と比較したとき、ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1を投与した群から約80%程減少したことが確認された。
【0057】
実施例5.In vitro抗癌活性効果の解析
【0058】
5-1.細胞株の調製
単離したロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株の抗癌活性効果を観察するために、Cell counting Kit-8を用いて細胞生存率(cell viability assay)を測定した。抗癌活性効果実験に使用される細胞は、大腸癌CT26、SW620、HCT116細胞株、膵臓癌AsPC-1細胞株、膀胱癌T24細胞株、メラノーマB16-F10細胞株、及び正常皮膚細胞株であるCCD-986skである。
【0059】
SW620、H1650、AsPC-1、T24細胞株は、RPMI培地に、CT26、HCT116、B16-F10細胞株は、DMEM培地に、CCD-986sk細胞株は、IMDM培地に、10%FBS(ウシ胎児血清:fetal bovine serum)と1%抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン:penicillin/streptomycin)を添加し、5%のCO、37℃条件で継代培養し、成長期の細胞を用いて実験した。培養した細胞は、0.25% トリプシン(trypsin)-EDTAを37℃の培養器で3分間処理して細胞を脱着した後、DPBSで2回洗浄し、各細胞が96ウェルプレートの1ウェル当たり80%コンフルエンス(confluency)になるように調製した。
【0060】
5-2.細胞生存率(cell viability assay)の測定結果
本発明は、大腸癌(3種)、膵臓癌(1種)、膀胱癌(1種)、メラノーマ(1種)細胞及び正常皮膚細胞(1種)を培養した後、ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株を処理し、細胞生存率(cell viability)を測定した。
【0061】
細胞生存率(cell viability assay)は、ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株を各細胞にMOI 1で処理した後、72時間培養し、培養後Cell counting Kit-8試薬を処理し、吸光度(OD 450nm)を測定した。ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株を処理していない細胞の吸光度を100%を基準として、ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株を処理した細胞生存率を算出し、実験結果を以下に記載した。
【0062】
大腸癌CT26、SW620及びHCT116細胞株におけるロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株を処理し、細胞生存率を測定した結果を図3に示す。
【0063】
図3に示すように、ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株を処理したCT26、SW620、HCT116大腸癌細胞株の細胞生存率がそれぞれ31.2%、30.9%、22.7%減少したことが確認されるところ、ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1株が大腸癌に対して優れた抗癌活性効果を有することを確認することができる。
【0064】
また、膵臓癌AsPC-1細胞株におけるロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株を処理し、細胞生存率を測定した結果を図4に示した。
【0065】
図4に示すように、ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株を処理したAsPC-1膵臓癌細胞株の細胞生存率が58.1%減少したことが確認されたところ、ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1株が膵臓癌に対して優れた抗癌活性効果を有することが確認された。
【0066】
また、膀胱癌T24細胞株におけるロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株を処理し、細胞生存率を測定した結果を図5に示した。
【0067】
図5に示すように、ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株を処理したT24膀胱癌細胞株の細胞生存率が29.8%減少したことが確認されたところ、ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1株が膀胱癌に対して優れた抗癌活性効果を有することが確認された。
【0068】
また、メラノーマB16-F10細胞株におけるロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株を処理し、細胞生存率を測定した結果を図6に示した。
【0069】
図6に示すように、ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株を処理したB16-F10メラノーマ細胞株の細胞生存率が23.9%減少したことが確認されたところ、ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1株がメラノーマに対して優れた抗癌活性効果を有することを確認することができる。
【0070】
上記実験と比較して、正常な皮膚CCD-986sk細胞株におけるロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株を処理し、細胞生存率を測定した結果を図7に示す。
【0071】
図7に示すように、ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株は、CCD-986sk正常皮膚細胞株に対して毒性を示さないことが確認された。
【0072】
実施例6.インビトロ遊走アッセイ(migration assay)阻害能力の確認
【0073】
6-1.細胞株の調製
単離したロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株の遊走抑制能力を確認するために、大腸癌細胞株MC38を使用した。100mm培養皿にMC38細胞が2×10細胞(cell)になるように調製した後、ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株をMOI 1で処理し、5%のCO、37℃条件で24時間培養した。培養後、PBSで2回洗浄し、0.25%トリプシン-EDTAを処理して細胞を脱着した。Trans-well chamber membraneの外側を10μg/mlのフィブロネクチン(fibronectin)で予めコーティングし、脱着した細胞はチャンバー(chamber)の内側に入れて、5%のCO、37℃の条件で24時間インキュベートした。培養後、PBSで2回洗浄し、Diff Quik溶液で染色した。十分に乾燥した後、顕微鏡で画像を撮影して細胞数を測定して遊走率の結果を算出した。
【0074】
ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株を処理した後、大腸癌MC38細胞遊走が行われた後の画像を撮影した写真を図8に示す。
【0075】
図8に示すように、ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株を処理したMC38大腸癌細胞株が対照群に比べてチャンバー(chamber)を通過し、移動した細胞の数が減少していることを確認した。
【0076】
また、大腸癌MC38細胞株におけるロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株を処理して計算した遊走率を図9に示す。
【0077】
図9に示すように、ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1(Leuconostoc mesenteroides LB-LM1)株を処理したMC38大腸癌細胞株の遊走率が27.5%減少することを確認されたところ、ロイコノストック・メセンテロイデスLB-LM1株が大腸癌の遊走を抑制する効果に優れていることを確認した。
【0078】
[受託番号]
寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM12701P
受託日:2020.04.24
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【配列表】
2023517869000001.app
【国際調査報告】