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特表2023-517880粘性材料を印刷するための押出印刷ヘッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】粘性材料を印刷するための押出印刷ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/209 20170101AFI20230420BHJP
   B29C 64/295 20170101ALI20230420BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230420BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20230420BHJP
   B29C 64/321 20170101ALI20230420BHJP
【FI】
B29C64/209
B29C64/295
B33Y30/00
B29C64/118
B29C64/321
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552954
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(85)【翻訳文提出日】2022-11-01
(86)【国際出願番号】 NL2021050140
(87)【国際公開番号】W WO2021177820
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】20160597.9
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511095850
【氏名又は名称】ネーデルランドセ・オルガニサティ・フォール・トゥーヘパスト-ナトゥールウェテンスハッペライク・オンデルズーク・テーエヌオー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンドリース・レイフェルス
(72)【発明者】
【氏名】レオナルドゥス・アントニウス・マリア・ブローウェルス
(72)【発明者】
【氏名】ホーデフリドゥス・ヘンドリクス・ヴィレブロルドゥス・フェルフーフェン
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AP05
4F213AR07
4F213AR12
4F213AR13
4F213AR17
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL32
4F213WL74
4F213WL87
4F213WL96
(57)【要約】
粘性材料を印刷するための押出印刷ヘッド。印刷ヘッドは、複数のノズルを備える。各ノズルは、粘性材料をその中に収集するためのノズルチャンバを備える。印刷ヘッドは、粘性材料の流れを複数のノズルに分配するように配置された粘性材料分配器も備える。粘性材料分配器は、各ノズルについて、チャネルの入口からノズルのノズルチャンバまで延びる流路を内部に画定するチャネルを備える。チャネルは、画定された流路のそれぞれでの圧力降下が実質的に等しくなるように構造化されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性材料を印刷するための押出印刷ヘッド(1)であって、印刷ヘッドは、
複数のノズル(5.1,5.2)であって、各ノズルが前記粘性材料を収集するためのノズルチャンバ(7)を備える、複数のノズル(5.1,5.2)と、
粘性材料の流れを前記複数のノズルに分配するよう構成された粘性材料分配器(9)と、
を備え、
前記粘性材料分配器(9)は、各ノズルについて、前記チャネルの入口(13)から前記ノズルの前記ノズルチャンバ(7)へ延在する流路を画定するチャネル(11)を備え、前記チャネルは、画定された各流路での圧力損失が略等しくなるように構造化されていることを特徴とする、印刷ヘッド。
【請求項2】
前記チャネル(11)がは、前記画定された各流路が前記複数のノズルの別個の単一のノズルで終わるように前記入口(13)から前記複数のノズル(5.1,5.2)に向かって分岐する分岐ツリーを形成し、各流路は、前記画定された流路の他のすべての流路と第1の共通分岐ノード(15)を少なくとも共有する、請求項1に記載の印刷ヘッド。
【請求項3】
各流路が前記画定された流路の他の流路の一部のみと第2の共通分岐ノード(17.1-17.8)を少なくとも共有するように、前記チャネルは、段階的に分岐し、任意に、各流路は、同じ数のノードを通過する、請求項2に記載の印刷ヘッド。
【請求項4】
前記チャネル(11)は、同じ段階の前記チャネルの分岐が、長さ、粗さ、内径、分岐屈曲、内部障害物、および曲率の少なくとも1つなど、同じ内部形状を有するように形成されている、請求項3に記載の印刷ヘッド。
【請求項5】
前記複数のノズル(5.1,5.2)が、互いに対して交互に印刷するおよび/または充填されるよう構成された少なくとも第1の複数のノズル(5.1)および第2の複数のノズル(5.2)を備え、前記粘性材料分配器は、前記第1および第2の複数のノズルの前記ノズルチャンバを少なくとも交互に充填することによって、粘性材料の連続供給を受け入れ、かつ処理するよう構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の印刷ヘッド。
【請求項6】
前記粘性材料分配器は、前記第1の共通分岐ノード(15)を通る粘性材料の流れを調整するよう構成されたノードバルブ(19)を備え、前記ノードバルブ(19)は、
前記ノズルチャンバを充填するために前記粘性材料が前記第1の複数のノズルのみに供給される第1の位置
前記ノズルチャンバを充填するために前記粘性材料が前記第2の複数のノズルのみに供給される第2の位置
のいずれか一方をとる、請求項2を引用する請求項5に記載の印刷ヘッド。
【請求項7】
前記材料分配器(9)は、前記第1の共通分岐ノード(15)に接続する分流チャネル(21)をさらに備え、前記ノードバルブ(19)は、流れが前記ノズルから離れて廃棄物収集エリアなどに向けられる第3の位置をとるようにさらに構成される、請求項6に記載の印刷ヘッド。
【請求項8】
前記複数のノズル(5.1,5.2)のそれぞれは、ピストン(23)を備え、前記ピストン(23)によって、印刷のために前記ノズルのそれぞれの前記バルブチャンバ(7)から前記粘性材料を排出するために前記ノズルが作動することができ、前記第1複数のノズル(5.1)は、第1の共通アクチュエータ(AC1)によって作動し、前記第2複数のノズル(5.2)は、第2の共通アクチュエータ(AC2)によって作動し、前記第1および第2の共通アクチュエータ(AC1,AC2)は、任意に順番に独立して作動可能である、請求項6または7に記載の印刷ヘッド。
【請求項9】
各ノズル(5.1,5.2)は、出口バルブ(30)を備え、前記出口バルブ(30)は、
印刷を防止しながら前記ノズルチャンバを充填することができる閉位置、
印刷のために前記ノズルから材料を排出することができる開位置、
のいずれかをとるように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の印刷ヘッド。
【請求項10】
前記粘性材料分配器(9)は、共通分岐ノード(17.1-17.8)を通る粘性材料の流れを調整するよう構成された封じ込めバルブ(31)を備え、前記封じ込めバルブは、
前記共通分岐ノードの下流の前記複数のノズルの各ノズルに材料が流れることができる開位置、
前記共通分岐ノードの下流の前記複数のノズルの各ノズルに材料が流れないようにする閉位置、
のいずれかをとることができる、請求項1~9のいずれか一項に記載の印刷ヘッド。
【請求項11】
前記複数のノズル(5.1,5.2)のそれぞれは、ピストン(23)を備え、前記ピストン(23)によって、前記ノズルは、印刷のために前記ノズルの前記それぞれのバルブチャンバ(7)から前記粘性材料を排出するよう作動することができ、各ノズル(5.1,5.2)は、前記チャネル(11)および前記ノズルチャンバ(7)の一部の間に延在する充填経路(6)を備え、前記ノズルチャンバ(7)の前記一部は、印刷中の前記ピストン(23)の最終位置の下に位置する、請求項9を引用する請求項10に記載の印刷ヘッド。
【請求項12】
前記複数のノズル(5.1,5.2)の各ノズルは、前記複数のノズルにわたって略同じ温度を提供するために、温度センサおよび加熱要素などの温度制御手段(33)を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の印刷ヘッド。
【請求項13】
前記印刷ヘッドは、ポンプ手段を備えるか、またはポンプ手段に接続され、圧力ヘッドのみでは前記粘性材料での印刷動作を可能にするのに不十分であり、かつ前記複数のバルブの各バルブのバルブチャンバを充填するのに十分である圧力ヘッドで前記ポンプによって材料が分配器に供給される、請求項1~12のいずれか一項に記載の印刷ヘッド。
【請求項14】
前記第1の複数のノズル(5.1)および前記第2の複数のノズル(5.2)のそれぞれは、N個のノズルを有し、前記第1の複数のノズルおよび前記第2の複数のノズルのノズル密度は、N/cmである、請求項5に記載の印刷ヘッド。
【請求項15】
プリンタは、2・10~50・10Pa・sの粘度を有する前記粘性材料を処理し印刷するよう構成されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の印刷ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘性材料を印刷するための押出印刷ヘッドに関し、印刷ヘッドは、複数のノズルを備え、各ノズルは、その中に粘性材料を収集するためのノズルチャンバと、粘性材料の流れを複数のノズルに分配するように配置された粘性材料分配器とを備える。
【背景技術】
【0002】
限定されないが熱溶解積層法(FDM)などの押出ベースの付加製造法は、食品や医薬品の分野で自由形状の製品や個別に調整されたレシピを作成するための有望な技術を提供する。従来のプリンタでは、1台のプリンタで複数のノズルを使用して一度に複数の製品を印刷するアップスケーリング技術が試みられている。しかし、このようなプリンタは、印刷ノズル全体で一貫性のない製品を生成する可能性がある。製品の一貫性の違いは、医薬品にとって特に不利になる場合がある。製品の空間的な不一致は、製品間の重なりを防ぐために印刷製品を互いに離して印刷する必要があるプリンタの構築面の使用が最適でなくなる可能性もある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
したがって、本発明の目的は、上述の欠点のいくつかを克服するか、または少なくとも代替案を提供することである。この目的のために、本発明の第1の態様によれば、粘性材料分配器が、各ノズルについて、チャネルの入口からノズルのノズルチャンバまで延びる流路を内部に画定するチャネルを備えることを特徴とする押出印刷ヘッドが提供される。チャネルは、画定された各流路での圧力損失がほぼ等しくなるように構造化されている。これにより、各ノズルに供給される材料の量が各ノズルで一貫して同じになるため、印刷時のノズルごとの材料の可用性の違いを防ぐことができる。これにより、同じ印刷ヘッドで同時に印刷される製品の一貫性が向上する。粘性材料の粘度は、印刷温度で10・10~70・10mPa・sとすることができる。材料は、ポリマー、樹脂、生地、その他の造形素材とすることができる。
【0004】
より具体的には、チャネルは、画定された流路のそれぞれが複数のノズルの別個の単一のノズルで終わるように、入口から複数のノズルに向かって分岐する分岐ツリーを形成することができる。各流路は、画定された流路の他のすべての流路と少なくとも第1の共通分岐ノードを共有する。各流路の長さが等しくなるように流路を設計してもよい。この形式の利点は、材料の流れをより小さな同じサイズの副流に均一に分割できることである。チャネルは、各流路が、画定された流路の他の流路の一部のみと少なくとも第2の共通分岐ノードを共有するように、段階的に分岐するができる。任意選択で、各流路は、同じ数のノードを通過する。上記に加えて、少なくとも第1の共通ノードは、ティー(T分割)として設計することができる。各路の屈曲は、同じ角度になるように構成されている。これにより、システムは、ノード内の材料の流れを分割する際の圧力低下を考慮することができる。任意選択で、チャネルは、同じ段階のチャネルの分岐が、長さ、粗さ、内径、分岐屈曲、内部障害物、および曲率のうちの少なくともいずれかなど、同じ内部形状を有するようにさらに形成される。これにより、材料の平均滞留時間が同じになり、流れが均一になり、製品の一貫性がさらに向上する。
【0005】
本発明の第1の態様に加えて、複数のノズルは、互いに対して交互に印刷および/または充填するように配置された少なくとも第1および第2の複数のノズルを含む。粘性材料分配器は、第1および第2の複数のノズルのノズルチャンバを少なくとも交互に充填することによって、粘性材料の連続供給を受け取り、処理するように構成される。これにより、一方の支流を充填し、他方の支流で印刷することを交互に行うことにより、印刷ヘッドによる連続印刷が可能になる。
【0006】
粘性材料分配器は、第1の共通分岐ノードを通る粘性材料の流れを調整するために配置されたノードバルブをさらに備えてもよい。このオプションでは、ノードバルブは、粘性材料がノズルチャンバの充填のために第1の複数のノズルにのみ供給される第1の位置、および粘性材料がノズルチャンバの充填のために第2の複数のノズルにのみ供給される第2の位置のいずれかを取ることができる。この利点は、ノズル固有ではなく集中的に交替を行うことができることである。材料供給圧力が、印刷に影響しないという利点もある。このバルブは、プログラム可能な回転方向により、少なくともこれらの位置のいずれか1つ、およびオプションで第3の位置に回転できるという回転式である場合がある。バルブの回転数を製品の印刷時間に合わせることができるというプログラミングの利点がある。材料分配器は、第1の共通分岐ノードに接続する分流チャネル(21)をさらに備える。ノードバルブは、流れがノズルから離れて廃棄物収集エリアなどに向けられる第3の位置を想定できるようにさらに配置されている。これにより、印刷物が一時的に材料供給を処理できなくなった場合でも、印刷ヘッドは連続的に材料を受け取ることができる。
【0007】
上記に加えて、複数のノズルのそれぞれは、ピストンを備え、これによって印刷のためにノズルのそれぞれのノズルチャンバから粘性材料を排出するために前記ノズルが作動可能となる。第1の複数のノズルは、第1の共通アクチュエータによって作動され、第2の複数のノズルは、第2の共通アクチュエータによって作動される。第1の共通アクチュエータと第2の共通アクチュエータは、任意に順番に独立して作動可能である。集合的な作動により、個別作動によるズレが少なくなり、連続印刷が可能になる。
【0008】
任意選択で、各ノズルは、出口バルブを備え、出口バルブは、印刷を防止しながらノズルチャンバの充填を可能にする閉位置、および印刷のために材料をノズルから排出できるようにする開位置のいずれかを取るように配置されている。これにより、充填作業中のノズルからの液漏れなどによる材料の飛散を防ぐことができる。
【0009】
ノズルの目詰まりやその他の異常が発生する場合がある。このような場合、影響を受けたノズルのクラスターを分配器のチャネルから遮断すると効果的である。したがって、粘性材料分配器は、第2の共通分岐ノードを通る粘性材料の流れを調整するように構成された封じ込めバルブを備えることができる。封じ込めバルブは、第2の共通分岐ノードの下流にある複数のノズルの各ノズルに材料が流れることを可能にする開位置、および材料が第2の共通分岐ノードの下流にある複数のノズルの各ノズルに流れないようにする閉位置のいずれかを取ることができる。これにより、クロストークとも呼ばれる背圧によるノズル間の流体相互作用が防止される。これにより、材料は、ノズルのクラスターに対応する複数の経路の中で優先的な経路を有する可能性がある。
【0010】
いくつかの実施形態では、複数のノズルのそれぞれは、ピストンを備え、それによって前記ノズルは、印刷のためにノズルのそれぞれのバルブチャンバから粘性材料を排出するために作動可能であり、各ノズルは、チャネルとノズルチャンバの部分との間に延びる充填経路を備え、ノズルチャンバの前記部分は、印刷中のピストンの最終位置の下に配置される。これらの実施形態では、ノズルチャンバは、ノズル出口を通る空気トラップが防止されるような方法で有利に充填され得る。たとえば、出口バルブが閉じられ、封じ込めバルブを開くことができ、材料が充填経路を介してノズルチャンバに押し込まれ得る。
【0011】
温度は、印刷される材料の粘度に大きな影響を与える。したがって、分配器全体だけでなく、ノズル全体で一貫した温度を生成することが有益な場合がある。したがって、複数のノズルの各ノズルは、複数のノズルにわたって実質的に同じ温度を提供するために、温度センサおよび加熱要素などの温度制御手段を備えてもよい。
【0012】
この印刷ヘッドでは、圧力制御印刷ではなく、体積制御印刷に重点が置かれる。この目的のために、印刷ヘッドは、ポンプ手段を備えてもよく、またはポンプ手段に接続されていてもよく、その結果、前記圧力ヘッドのみでは粘性材料での印刷操作を可能にするのに不十分であり、かつ複数のノズルの各ノズルのノズルチャンバを充填するのに十分である前記ポンプによる圧力ヘッドで、材料が分配器に供給される。利点は、印刷中の材料の体積堆積の制御が向上し、連続印刷が可能になることである。
【0013】
製品の空間的一貫性が高いため、ノズルを近くにグループ化して、印刷面の効率をさらに高めることができる。この目的のために、第1の複数のノズル(5.1)および第2の複数のノズル(5.2)はそれぞれN個のノズルを有し、第1の複数のノズルおよび第2の複数のノズルのノズル密度は5.01cmまでとすることができる。希望のノズル密度は、希望の印刷物の最大寸法により決定される。10cm×10cmの製品の場合、ノズル密度は1平方cmあたり(1/cm)0.1ノズルあれば十分である。小さい製品の場合、密度が高くなる。例えば、1cm×1cmの製品の場合、サイズは1.01/cmになる場合がある。本発明を使用すると、達成可能な密度は、最大5.01/cmである。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様による印刷ヘッドを備える熱溶解積層法プリンタが提供される。
【0015】
本発明のさらなる有利な態様は、添付の説明から、および添付の図面を参照して明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による印刷ヘッドの空間図を示す。
図2】印刷ヘッドの一部の空間図を示す。
図3】印刷ヘッドの材料分配器の概略上面図である。
図4】印刷ヘッドのノズルの概略断面図を示す。
図5】材料分配器のチャネルによって画定される流路の概略流れ図を示す。
図6】さまざまな回転設定におけるノード弁の概略断面上面図を示す。
図7】さまざまな回転設定におけるノード弁の概略断面上面図を示す。
図8】さまざまな回転設定におけるノード弁の概略断面上面図を示す。
図9】本発明による印刷ヘッドを備えるプリンタの概略図である。
図10A】一実施形態による、図4の線A-Aに沿った断面を概略的に示す。
図10B】一実施形態による、図4の線A-Aに沿った断面を概略的に示す。
図11A】さらなる実施形態による、図4の線A-Aに沿った断面を概略的に示す。
図11B】さらなる実施形態による、図4の線A-Aに沿った断面を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、粘性材料を印刷するための押出印刷ヘッド1を図1に示す。この粘性材料は、この例では、限定されないがPEG、PVA、PVPなどの医薬品のキャリア、生または部分的に調理された生地などの食品、または粘度が室温で1Pa・s~1kPa・sの既知のFDMポリマーなどである。本発明は、熱溶解積層法(FDM)に限定されず、任意の種類の押出ベースの付加製造技術に適用することができる。印刷ヘッドは、図1図2に示す複数のノズル5.1、5.2を有する。印刷ヘッド1は、粘性材料の流れを複数のノズル5.1、5.2に分配するために配置された粘性材料分配器9をさらに有する。複数のノズル5.1、5.2のうちのノズル5の1つが図4により詳細に示され、ノズル5が粘性材料をその中に収集するためのノズルチャンバ7を有することが示されている。図4に示されるノズル5は、一実施形態によるすべてのノズル5.1、5.2を代表するものである。粘性材料分配器9は、チャネル11を有し、このチャネルは、各ノズルについて、チャネルの入口13からノズルのノズルチャンバ7まで延在する流路、すなわちP1~P32(P1:P32)の1つをその中に画定する。図2では、材料分配器のカバー8の部分を取り外してチャネル11を表示している。図3において、材料分配器9の概略上面図は、チャネル11が構造化された方法を示している。チャネルは、画定された流路P1~P32のそれぞれでの圧力降下が実質的に等しくなるように構造化されている。図3に示すチャネル11が流路P1~P32を画定する方法を図5に示す。図3および図5は、2×16ノズルを有する実施形態を示す。当業者は、本発明がこの数のノズルに限定されないことを理解するであろう。例えば、本発明は、合計64個、128個、256個、512個、または1024個のノズルを提供するために適用されてもよい。
【0018】
図3は、チャネル11が入口13から複数のノズル5.1、5.2に向かって木のように分岐し、画定された流路P1~P32のそれぞれが複数のノズルの別個の単一のノズルで終わることを示している。この例では、チャネル11によって32の流路、つまりP1~P32が画定されている。しかし、流路が多かれ少なかれ、別の分岐構造が使用されてもよいように、チャネルが他の構造であってもよいことは当然のことである。この例に加えて、基本的にチャネル11の最上流点である第1の共通分岐ノード15を識別することができ、チャネルはその下流で複数の方向に分岐する。図3では、この第1の共通ノード15を通るチャネル11の分割が、複数のノズルを第1の複数のノズル5.1と第2の複数のノズル5.2との間で分割し、これら2つの複数のノズルの各々が第1の共通ノード15から見た、相互に異なる分岐におけるチャネルの下流端に配置されることが示されている。この例では、完全に選択的に、第1のノードは、第1の共通分岐ノード15を通る粘性材料の流れを調整するために配置されたノードバルブ19を有するように構成されている。ノードバルブ19は、粘性材料が第1の複数のノズル5.1のみに供給されてそのノズルチャンバを充填する第1の位置、および粘性材料が第2の複数のノズル5.2にのみ供給されてそのノズルチャンバを充填する第2の位置のいずれか1つをとることができるバルブである。これにより、印刷ヘッドが連続的に印刷できるように、第1および第2の複数のノズルの連続使用が可能になる。複数のノズルのうちの一方が充填されると、他方の複数のノズルは、印刷自体の作業中など、材料の供給から遮断される。ノードバルブ19は、図6および図7では三方バルブとして示されている。但し、他の形状のバルブも可能である。図6ではノードバルブ19が第1の位置にあり、図7ではノードバルブ19が第2の位置にある。この例では、図2からわかるように、ノードバルブは、プリンタによって制御される電子モーターMに接続された作動ロッドRを介していずれかの位置に回転できることが示されている。材料分配器9は、図3から分かるように、分流チャネル21をさらに備えることができる。すべてのオプション要素は、破線---で図3に示されていることに留意されたい。したがって、分流チャネル21もまた、材料分配器9にとって単にオプションであることを理解されたい。この例では、分流チャネル21は、第1の共通分岐ノードから、廃棄物容器(図示されていないが慣習的な)などの分流容積まで延びている。このような分流チャネルが存在する場合、ノードバルブ19は、前述したのと同じ端部への第1の位置、前述の同じ端部への第2の位置、および流れが分流チャネル21を介してノズル5.1、5.2から分流される追加の第3の位置をとることができるように構成される。この目的のために、ノードバルブ19が第3の位置にあるときだけ、分流チャネル21をチャネル11に接続するためだけに、バルブにキャビティ20を設けることができる。この事項は、図8でより明確に示されている。ノードバルブ19のA-A断面にキャビティ20が見える。第1の複数のノズルおよび第2の複数のノズルはそれぞれ、N個のノズルで構成され、図1図2および図3に示すように、Nを4×4として16個のN個のノズルからなる。但し、Nは他の数であってもよい。第1の複数のノズルおよび第2の複数のノズルのノズル密度は、例えば、複数の印刷製品のxy寸法と効率的に対応させることができ、例えば最大で5.01/cmである。
【0019】
図3はまた、各流路が第2の共通の分岐ノード17.1~17.8を、画定された流路の他の流路の一部のみと少なくとも共有するように、チャネルが段階的に分岐することも示す。より具体的には、たとえば流路P1は、流路P2~P4のみと第2の共通分岐ノード17.1を共有することが分かる。さらなる共通の分岐ノードは、参照番号によって強調されていないが、チャネル11がさらなる段階に分岐するポイントとして見ることができる。図3図5では、分岐の段階をローマ数字のi、ii、iii、ivで示している。分岐の段階は、入口13からその特定の段階に到達するためにチャネル内の流路を通過しなければならないノードの数を示す。図5は、各流路が同じ数のノード(この例では4つ)を通過することを示している。チャネル11は、同じ段階のチャネルの分岐が同じ内部形状、特に同じ長さ、粗さ、および内径を有するように形成される。この例では、チャネルは同じ段階上で同じ容積を有し、内側の障害物はない。さらに、この例とは別に、本発明の任意の実施形態によれば、特定のノードを通過する流路のそれぞれで同じ圧力損失が生じるように、チャネルは材料の流れを分割して曲げる。このような分割は、第1および第2のノード15、17.1~17.8などで発生する。さらに、第1および第2のノードのそれぞれがチャネルの分岐点を画定するように、第1および第2のノードなどの各ノードは、そこを通過する流れが複数の流れに分割されるように設計されていることをさらに理解することができるだろう。複数の分割された流れのそれぞれは、それが分割された流れから同じ角度で、同じ鋭さで同じ距離にわたって曲げられ、ノードを通過するすべての流路について圧力降下が同じままであるようにする。
【0020】
分配器9の第2の共通分岐ノード17.1~17.8のそれぞれには、それぞれの第2の共通分岐ノードを通る粘性材料の流れを調ノードするように配置された封じ込めバルブ31が設けられる。これは図3でも見ることができる。封じ込めバルブ31は、材料がそれぞれの第2の共通分岐ノードの下流にある複数のノズルの各ノズルに流れることを可能にする開位置、それぞれの第2の共通分岐ノードの下流にある複数のノズルの各ノズルに材料が流れないようにする閉位置のいずれかを取ることができる。これにより、ノズルの特定のサブセットがチャネル11を介して他のノズルと流体連通するのを防ぐことができる。ノズルの目詰まりによる背圧によるノズル同士の相互作用、いわゆるノズル間のクロストークを防止するためである。封じ込めバルブ31は、印刷中、特に各ノズルのピストン23の作動中に使用することもできる。詳しくは後述する。
【0021】
印刷は、具体的には、ピストン23をノズルチャンバ内に動かすことによって、ノズル5.1、5.2のノズルチャンバ7を空にすることによって行われる。ピストンは、基本的にプランジャーロッドであり、チャンバ内に押し下げられた場合に、チャンバ7とチャネル11との流体接続を切断するために使用される。図4にピストンの下降Mを示す。図4に示されている点線のアウトライン---は、ピストンがノズルチャンバ7内に完全に移動し、チャンバ7からすべての材料を排出した位置にあるピストンのアウトラインを表している。このような場合、印刷動作は既に行われている。チャンバ内の材料は、それを可能にする位置(バルブ30の点線位置によって示されるように)にある出口バルブ30などを介して、ノズル出口32を通して排出される。第1の複数のノズル5.1のそれぞれのピストンは、第1の共通アクチュエータAC1によってさらに作動可能である。これは、図1および図2に見ることができる。同様に、第2の複数のノズル5.2のピストンは、第2の共通のアクチュエータAC2によって作動され、第1および第2の共通のアクチュエータAC1、AC2は、例えば順番に独立して動作可能である。これはさらにシーケンシャル印刷であり、第1のノードバルブ19が第1の複数のノズルへの流路を遮断する位置をとることにより、第1の複数のノズルで印刷する際に第1の複数のノズルへの材料の供給を防止することができ、材料が第2の複数のノズル5.2に流れ、それぞれのバルブチャンバを充填する。上記に加えて、第2の複数のノズルへの流路を遮断する位置をとる第1のノードバルブ19により、第2の複数のノズルで印刷する際に、第2の複数のノズルへの材料の供給を防止することができ、材料は分配器を通って第1の複数のノズル5.2に流れ、それぞれのバルブチャンバを充填する。0~250℃の範囲の温度で、粘度2・10~50・10Pa・sの粘性材料を処理および印刷するよう材料分配器が構成されている。
【0022】
この例では、印刷ヘッドは、粘性材料を分配器9に供給する材料供給源に接続されている。材料の供給は、従来のポンプまたは押出機に限定されず、印刷ヘッドに含めることができるが、表示されていない。しかし、材料供給は、その圧力だけでは粘性材料を用いた印刷動作を可能にするのに十分でない圧力で材料を分配器に供給するように構成されている。材料供給は、粘性材料を分配器に供給する圧力が、分配器9のチャネル11によって引き起こされる圧力低下を克服し、複数のノズル5.1、5.2の各ノズルのノズルチャンバ7を満たすのに十分であるように構成される。
【0023】
図4はまた、印刷ヘッドの任意のノズルが出口バルブ30を備えていることを示しており、出口バルブ30は、印刷を防止しながらノズルチャンバの充填を可能にする閉位置、および印刷のためにノズルから材料の流出を可能にする開位置のいずれかを取るように配置されている。図4では、出口バルブが閉位置にあることが示されている。バルブは、破線---で示した開位置になるためにR方向に回転可能である。但し、他のバルブタイプも可能である。
【0024】
各ノズルのノズルチャンバ7の充填中、充填される各ノズルの出口バルブ30は閉鎖され、封じ込めバルブ31は開位置にある。材料は、チャネル11から供給される。理解されるように、各ノズルのチャンバ7の充填は、印刷に続いて開始される。これは、ピストン23が図4の破線---で示されているように下方位置にある場合である。充填を可能にするために、いくつかの実施形態では、ピストン23とチャンバ7の壁との間に充填チャネルまたは充填経路6が存在し得る。代替的または追加的に、他の実施形態では、ピストン23は、そのような充填チャネル6を含んでもよい。さらに他の実施形態では、ピストン23とノズルチャンバ7の壁との間の遊びは、例えば、圧力下での造形材料の供給を可能にするための充填経路を形成するのに十分であり得る。充填チャネル6を含む実施形態をさらに説明するために、図10A図10B図11Aおよび図11Bは、図4の線A-Aに沿った断面における2つの異なる実施形態を示す。例えば、図10Aは、充填チャネル6がノズルチャンバ7の壁に含まれている実施形態を示す。図10Bは、図10Aの実施形態の状況であるが、ピストン23が下方位置にある。図11Aは、充填チャネル6がピストン23に含まれている実施形態を示す。この図では、上方位置にあるピストン23の輪郭が破線---で示されている。図11Bは、図11Aの実施形態の状況であるが、ピストン23が下方位置にある。充填チャネル6は、ピストン23に含まれている。
【0025】
上述のように、チャンバ7を満たすために、出口バルブ30が閉じられ、封じ込めバルブ31が開かれる。加圧された材料は、チャネル11を介し、充填チャネル6から供給される。その結果、ピストン23の下に圧力が蓄積され、ピストン23が押し上げられ、ノズルチャンバ7が満たされる。代替的に、ピストン23は、アクチュエータ(例えば、アクチュエータAC1またはAC2のいずれか)により引っ張り上げられ、ノズルチャンバ7内に低圧領域を生成して、吸引によって材料をチャンバ7内に引き込む。その利点は、チャンバの充填が、ノズル出口32からの空気の吸引など、不注意による空気のトラップなしで達成できることである。
【0026】
図4では、複数のノズルの各ノズルが任意に温度制御手段33を有することがわかり、これは、この例では温度センサおよび加熱要素であり、印刷ヘッド5.1、5.2のすべてのノズルにわたって実質的に同じ温度を提供することができる。
【0027】
図9は、本明細書で上述した印刷ヘッド1を有する熱溶解積層法プリンタ100の概略図を示す。この例では、プリンタは、印刷ヘッド1に対して水平方向H(xy)および垂直方向V(z)に移動可能な印刷面101を有する。任意選択で、印刷面は、連続ベルトなどのコンベア面であり、その動きは印刷と連動する。
【符号の説明】
【0028】
1 印刷ヘッド
5 ノズル
5.1 第1の複数のノズル
5.2 第2の複数のノズル
6 充填チャネル
7 ノズルチャンバ
9 粘性材料分配器
11 チャネル
13 チャネルの入口
15 第1の共通ノード
17.1~17.8 第2の共通の分岐ノード
19 ノードバルブ
20 キャビティ
21 分流チャネル
23 ピストン
30 出口バルブ
31 封じ込めバルブ
32 ノズル出口
33 温度制御手段
100 熱溶解積層法プリンタ
101 印刷面
AC1 第1の共通アクチュエータ
AC2 第2の共通のアクチュエータ
M 電子モーター
P1~P32 流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
【国際調査報告】