(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】送風機用のベアリングスリーブ
(51)【国際特許分類】
A61M 16/00 20060101AFI20230420BHJP
A61M 16/10 20060101ALI20230420BHJP
F04D 29/056 20060101ALI20230420BHJP
F16C 35/077 20060101ALI20230420BHJP
F16C 19/06 20060101ALI20230420BHJP
F16C 19/54 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
A61M16/00 305A
A61M16/10 Z
F04D29/056 B
F16C35/077
F16C19/06
F16C19/54
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552956
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(85)【翻訳文提出日】2022-11-01
(86)【国際出願番号】 US2021020656
(87)【国際公開番号】W WO2021178527
(87)【国際公開日】2021-09-10
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509116613
【氏名又は名称】レスメド・モーター・テクノロジーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ブルース・モアー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・スコット・エドワーズ
【テーマコード(参考)】
3H130
3J117
3J701
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
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3J701GA28
(57)【要約】
送風機は、ロータと、ロータを駆動するように適合されたモータと、ロータを回転可能に支持する少なくとも1つのベアリングと、定置型構成要素と、定置型構成要素に設けられたベアリングスリーブとを含む。ベアリングスリーブは、ベアリングを定置型構成要素に相対して支持および保持するような構造および配置にされる。ベアリングスリーブは、エラストマー材料を含み、ベアリングスリーブは、ベアリングの外レースに沿って係合するように構成された1つ以上のバンプまたはリブを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機であって、
ロータ;
前記ロータを駆動するように適合されたモータ;
前記ロータを回転可能に支持する少なくとも1つのベアリング;
定置型構成要素;および
前記定置型構成要素に設けられたベアリングスリーブであって、前記ベアリングスリーブは、前記ベアリングを前記定置型構成要素に相対して支持および保持するような構造および配置にされる、ベアリングスリーブ、を含み、
前記ベアリングスリーブは、エラストマー材料を含み、
前記ベアリングスリーブは、前記ベアリングの外レースに沿って係合するように構成された1つ以上のバンプまたはリブを含む、送風機。
【請求項2】
前記エラストマー材料は、TPEを含む、請求項1に記載の送風機。
【請求項3】
前記ベアリングスリーブは、円筒状側壁と、前記定置型構成要素への機械接続を形成するような構造および配置にされた保持構造とを含み、前記1つ以上のバンプまたはリブは、前記円筒状側壁に設けられる、請求項1または2に記載の送風機。
【請求項4】
前記ベアリングスリーブは、前記定置型構成要素へのオーバーモールド接続を含む、請求項1~3のうちいずれか一項に記載の送風機。
【請求項5】
前記定置型構成要素は、ステータ羽根を含む、請求項1~4のうちいずれか一項に記載の送風機。
【請求項6】
前記ベアリングスリーブは、防振、ノイズ低減および衝撃吸収性の提供のために前記定置型構成要素と前記ベアリングとの間に配置された少なくとも2つのバンプまたはリブを含む、請求項1~5のうちいずれか一項に記載の送風機。
【請求項7】
送風機であって、
ロータ;
前記ロータを駆動するように適合されたモータ;
前記ロータを回転可能に支持する少なくとも1つのベアリング;
定置型構成要素;および
前記定置型構成要素に設けられたベアリングスリーブであって、前記ベアリングスリーブは、前記ベアリングを前記定置型構成要素に相対して支持および保持するような構造および配置にされる、ベアリングスリーブ、を含み、
前記ベアリングスリーブは、エラストマー材料を含み、
前記ベアリングスリーブは、前記定置型構成要素へのオーバーモールド接続を含み、
前記ベアリングスリーブは、前記定置型構成要素への機械接続を形成するような構造および配置にされた保持構造を含む、送風機。
【請求項8】
前記エラストマー材料は、TPEを含む、請求項7に記載の送風機。
【請求項9】
前記保持構造は、前記定置型構成要素に設けられた各溝部内に係合するように適合された1つ以上のねじ山を含む、請求項7または8に記載の送風機。
【請求項10】
前記保持構造は、前記定置型構成要素の支持壁の周囲を取り囲むような構造にされる、請求項7~9のうちいずれか一項に記載の送風機。
【請求項11】
前記保持構造は、前記定置型構成要素に設けられた1つ以上の穴を通じて突出する、請求項7~10のうちいずれか一項に記載の送風機。
【請求項12】
前記定置型構成要素は、ステータ羽根を含む、請求項7~11のうちいずれか一項に記載の送風機。
【請求項13】
送風機であって、
ロータ;
前記ロータを駆動するように適合されたモータ;
前記ロータを回転可能に支持する少なくとも1つのベアリング;
少なくとも1つの前記ベアリングへ予荷重力を提供する付勢要素;
定置型構成要素;および
前記定置型構成要素に設けられたベアリングスリーブであって、前記ベアリングスリーブは、前記ベアリングを前記定置型構成要素に相対して支持および保持するような構造および配置にされる、ベアリングスリーブ、を含み、
前記ベアリングスリーブは、エラストマー材料を含み、
前記ベアリングスリーブは、前記ベアリングを超えて突出し、前記付勢要素の封入および位置決めのための空間を提供するような構造にされる、送風機。
【請求項14】
前記エラストマー材料は、TPEを含む、請求項13に記載の送風機。
【請求項15】
前記付勢要素は、バネを含む、請求項13または14に記載の送風機。
【請求項16】
前記ベアリングスリーブは、前記ベアリングの外レースに沿って係合するように構成された1つ以上のバンプまたはリブを含む、請求項13~15のうちいずれか一項に記載の送風機。
【請求項17】
前記ベアリングスリーブは、前記定置型構成要素への機械接続を形成するような構造および配置にされた保持構造を含む、請求項13~16のうちいずれか一項に記載の送風機。
【請求項18】
前記ベアリングスリーブは、前記定置型構成要素へのオーバーモールド接続を含む、請求項13~17のうちいずれか一項に記載の送風機。
【請求項19】
前記定置型構成要素は、ステータ羽根を含む、請求項13~18のうちいずれか一項に記載の送風機。
【請求項20】
前記付勢要素は、前記予荷重力を前記ベアリングの内レースへ提供するように構成される、請求項13~19のうちいずれか一項に記載の送風機。
【請求項21】
患者に呼吸治療のための陽圧のガスを提供するためのCPAPシステムであって、前記CPAPシステムは、
ガス流れを治療圧力において供給するように構成されたRPTデバイスであって、前記RPTデバイスは、請求項1~20のうちいずれか一項に記載の送風機を含む、RPTデバイス;
患者インターフェース;および
前記ガス流れを前記治療圧力において前記RPTデバイスから前記患者インターフェースへと移動させるように構成された空気送達導管、を含む、CPAPシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
【0002】
1 関連出願の相互参照
本出願は、2020年3月3日に出願された米国仮出願第62/984,515号の恩恵を主張する。本明細書中、同文献それぞれの全体を参考のため援用する。
【背景技術】
【0003】
2 技術の背景
2.1 技術の分野
本技術は、呼吸関連障害のスクリーニング、診断、監視、治療、予防および改善のうち1つ以上に関する。本技術はまた、医療デバイスまたは装置と、その使用とに関する。本技術は、圧力差を生成する送風機にも関連し、かつ/または、(例えば患者への呼吸治療の送達ために用いられる)圧力生成デバイスまたは呼吸圧力治療(RPT)デバイスにも関連する。
【0004】
2.2 関連技術の説明
2.2.1 ヒトの呼吸器系およびその障害
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口は、患者の気道への入口を形成する。
【0005】
これらの気道は、一連の枝管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、吸息された空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、誘導気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の胞状の領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸ゾーンと呼ぶ。以下を参照されたい:「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2012。
【0006】
一定範囲の呼吸障害が存在している。特定の障害は、特定の発症(例えば、無呼吸、呼吸低下および過呼吸)によって特徴付けられ得る。
【0007】
呼吸障害の例には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)および胸壁障害が含まれる。
【0008】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠時呼吸障害(SDB)の1つの形態であり、睡眠時の上通気道の閉鎖または閉塞などの発症によって特徴付けられる。これは異常に小さい上気道と、舌の領域の筋緊張の通常の喪失、睡眠時の軟口蓋および後口咽頭壁の正常損失の組み合わせの結果である。このような疾病に起因して、罹患患者の呼吸停止が典型的には30~120秒にわたり、ときには一晩に200~300回も呼吸が停止する。その結果、日中の眠気が過度になり、心血管疾患および脳損傷の原因になり得る。この症候群は一般的な障害であり、特に中年の過体重の男性に多いが、患者に自覚症状は無い。米国特許第4,944,310号(Sullivan)を参照されたい。
【0009】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠時呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の障害であり、CSRサイクルとして知られる換気の漸増および漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱酸素および再曝気の繰り返しによって特徴付けられる。反復低酸素症のため、CSRは有害であり得る。患者によっては、CSRは、重症不眠、交感神経活動の増加、および後負荷の増加の原因となる、反復性睡眠覚醒を随伴する。米国特許第6,532,959号(Berthon-Jones)を参照されたい。
【0010】
呼吸不全とは、呼吸障害の総称であり、患者の需要を満たすための充分な酸素吸気または充分なCO2呼息を肺が行うことができていないことを指す。呼吸不全は、以下の障害のうちいくつかまたは全てを包含し得る。
【0011】
呼吸不全(一種の呼吸不全)の患者は、運動時に異常な息切れを経験することがある。
【0012】
肥満過換気症候群(OHS)は、低換気の原因が他に明確に無い状態における、重症肥満および覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状には、呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0013】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳および痰生成がある。
【0014】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾病および病気を包含する広範な用語である。NMD患者の中には、進行性の筋肉障害によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋力低下に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経筋障害は、以下の急速進行性と緩徐進行性とに区分され得る:(i)急速進行性障害:数ヶ月かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、数年内に死亡に繋がる(例えば、ティーンエージャーにおける筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD));(ii)可変性または緩徐進行性障害:数年かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、平均余命が若干低減するだけである(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型および筋緊張型筋ジストロフィー)。NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる:全身衰弱の増加、嚥下障害、労作および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難。
【0015】
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および/または脊柱後側弯症は、重篤な呼吸不全を発症することがある。呼吸不全の症状を以下に挙げる:労作時の呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振。
【0016】
このような疾病を治療または改善するために、一定範囲の治療が用いられている。さらに、その他の点では健常人も、呼吸障害の予防治療を有利に利用することができる。しかし、これらにおいては、複数の欠陥がある。
【0017】
2.2.2 治療
多様な呼吸治療(例えば、持続的気道陽圧(CPAP)治療、非侵襲的換気(NIV)、侵襲的換気(IV)、および高流量治療(HFT))が上記の呼吸障害の1つ以上の治療のために用いられている。
【0018】
2.2.2.1 呼吸圧力治療
呼吸圧力治療とは、(例えば、タンクベンチレータや陽陰圧体外式人工呼吸器(cuirass)などの陰圧治療とは異なり、)患者の呼吸サイクル全体にかけて雰囲気に対して通常陽圧である制御された目標圧力において気道の入口へ空気を供給することの適用である。
【0019】
持続的気道陽圧(CPAP)治療が、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療において用いられている。その作用メカニズムとしては、例えば軟口蓋および舌を押して後口咽頭壁へ前進または後退させることにより、持続的気道陽圧が空気圧スプリントとして機能し、これにより上気道の閉鎖を防止し得る。CPAP治療によるOSAの治療は自発的なものであり得るため、このような患者が治療の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気づいた場合、患者が治療を遵守しないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、美観的な魅力の無さ。
【0020】
非侵襲的換気(NIV)は、換気補助を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸機能の一部または全体を行うことにより患者の呼吸の補助および/または身体中の適切な酸素レベルの維持を提供する。換気補助が、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、および胸壁障害などの形態のCSRおよび呼吸不全の治療に用いられている。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0021】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0022】
2.2.2.2 流れ治療
全ての呼吸治療において、規定の治療圧力の送達が意図されているわけではない。いくつかの呼吸治療においては、(恐らくは正のベースライン圧力上に重畳された)吸気流量プロファイルの送達を目標継続期間にわたって行うことによる規定呼吸量の送達が、企図されている。他の場合において、患者の気道へのインターフェースが「開放」(シール解除)されており、調整ガスまたは高濃度ガスの流れによる呼吸治療は、患者自身の自発呼吸の補充としてのみ用いられ得る。一例において、高流量治療(HFT)とは、連続的な、加熱された、加湿された空気流れをシールされていないかまたは開口した患者インターフェースを通じて、呼吸サイクル全体にかけてほぼ一定に保持される「治療流量」で提供することである。治療流量は、患者のピーク吸気流量を超えるようにノミナル設定されている。HFTは、OSA、CSR、呼吸不全、COPDおよび他の呼吸障害の治療のために用いられている。1つの作用メカニズムとして、患者の解剖学的死腔から呼気されたCO2のフラッシングまたは押し流しが可能になるため、高流量の空気を気道入口へ提供すると、換気効率が向上する。そのため、HFTは、死腔治療(DST)と呼ばれる場合がある。他の恩恵を挙げると、(恐らくは分泌制御の恩恵による)暖かさおよび加湿の向上や、気道圧力の緩やかな上昇の可能性がある。一定の流量の代替例として、治療流量は、呼吸サイクルにわたって変動するプロファイルに追随し得る。
【0023】
別の形態の流れ治療として、長期酸素治療(LTOT)または酸素補充治療がある。医師は、酸素富化空気の連続流れを指定酸素濃度(周囲空気中の酸素分率が21%~100%)において指定流量(例えば、1リットル/分(LPM)、2LPM、3LPM)において患者の気道へ送達させる旨を処方し得る。
【0024】
2.2.2.3 補充酸素
特定の患者の場合、補充酸素を加圧空気流れへ付加することにより、酸素治療と呼吸圧力治療またはHFTとの組み合わせが得られ得る。呼吸圧力治療へ酸素を付加した場合、これは、補充酸素を用いたRPTと呼ばれる。HFTへ酸素を付加した場合、その結果得られる治療は、補充酸素を用いたHFTと呼ばれる。
【0025】
2.2.3 呼吸治療システム
これら呼吸治療は、呼吸治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、疾病を治療することなくスクリーニング、診断、または監視するためにも、用いられ得る。
【0026】
呼吸治療システムは、呼吸圧力治療デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、酸素源、およびデータ管理を含み得る。
【0027】
別の形態の治療システムとして、下顎再位置決めデバイスがある。
【0028】
2.2.3.1 患者インターフェース
患者インターフェースは、例えば気道入口への空気流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースを装着者へ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および/または口へのマスク、口への管、または患者の気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される治療に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔の領域とのシールを形成し得、これにより、治療実行のための周囲圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、例えば周囲圧力に対して約10cmH2Oの陽圧において)ガス送達を促進する。酸素送達などの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10cmH2Oの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分な密閉を含まない場合がある。鼻HFTなどの流れ治療の場合、患者インターフェースは、鼻孔への送気を行い(かつ完全なシールを明確に回避する)ように、構成される。このような患者インターフェースの一例として、鼻カニューレがある。
【0029】
特定の他のマスクシステムは、本分野において機能的に不適切であり得る。例えば、純然たる装飾目的のマスクの場合、適切な圧力を維持することができない場合がある。水中水泳またはダイビングに用いられるマスクシステムは、外部からのより高い圧力からの水侵入から保護することと、周囲よりも高い圧力において内部の空気を維持しないこととを行うように、構成され得る。
【0030】
特定のマスクは、本技術において臨床的に好ましく無い場合があり得る(例えば、マスクが鼻を介して気流を遮断し、口を介した気流のみを通過させる場合)。
【0031】
特定のマスクにおいて、患者がマスク構造の一部を口に挿入し、唇を介して密閉状態を生成および維持しなければならない場合、本技術において不快であるかまたは非実際的である場合がある。
【0032】
特定のマスクは、睡眠時(例えば、横向きにベッドに寝て枕の上に頭を置いた状態で睡眠する場合)における使用においては非実際的である場合がある。
【0033】
患者インターフェースの設計においては、複数の課題がある。顔は、複雑な三次元形状を有する。鼻および頭のサイズおよび形状は、個人によって大きく異なる。頭部には骨、軟骨および軟組織が含まれるため、顔の異なる領域は、機械的力に対して異なる反応を示す。すなわち、顎部または下顎骨は、頭蓋骨の他の骨に相対して動き得る。頭部全体は、呼吸治療期間を通じて動き得る。
【0034】
これらの課題に起因して、いくつかのマスクの場合、特に装着時間が長い場合または患者がシステムに不慣れである場合、押しつけがましい、美観的に望ましくない、コストが高い、フィット感が悪い、使用が困難、および不快感があるなどの理由のうち1つ以上がある。誤ったサイズのマスクが用いられた場合、コンプライアンスの低下、快適性の低下および患者予後の低下に繋がり得る。飛行士専用のマスク、個人用保護装具(例えば、フィルターマスク)、SCUBAマスクの一部として設計されたマスク、または麻酔投与用マスクは、その元々の用途には耐えられるものの、このようなマスクの場合、長時間(例えば、数時間)にわたって装着するには望ましくないほど不快な場合がある。このような不快感に起因して、治療に対する患者のコンプライアンスが低下する可能性がある。これは、マスクを睡眠時に装着する必要がある場合、特に当てはまる。
【0035】
CPAP治療は、患者が治療を承諾している場合、特定の呼吸障害の治療においては極めて効果的である。マスクが不快である場合または使用が難しい場合、患者は、治療を承諾しない場合がある。患者はマスクを定期的に洗浄するよう推奨されることが多いため、マスクの清浄が難しい(例えば、組立または分解が困難である場合)、患者は、マスクを清浄することができず、患者のコンプライアンスに影響が出る場合がある。
【0036】
他の用途(例えば、飛行士)用のマスクの場合、睡眠時呼吸障害の治療の使用には不適である場合があるため、睡眠時呼吸障害の治療の使用のために設計されたマスクは、他の用途に適している場合がある。
【0037】
これらの理由のめ、睡眠時のCPAP送達のための患者インターフェースは、明瞭な分野を形成する。
【0038】
2.2.3.2 呼吸圧力治療(RPT)デバイス
呼吸圧力治療(RPT)デバイスは、例えばデバイスを作動させて気道へのインターフェースへの空気送達流れを生成することにより、上記した複数の治療のうち1つ以上の送達に個別的に、またはシステムの一部として用いられ得る。空気流れは、(呼吸圧力治療のために)圧力制御され得るかまたは(HFTなどの流れ治療のために)流れ制御され得る。そのため、RPTデバイスは、流れ治療デバイスとしても機能し得る。RPTデバイスの例を挙げると、CPAPデバイスおよび人工呼吸器がある。
【0039】
空気圧力生成器は、広範な用途(例えば、工業規模換気システム)において公知である。しかし、医療用途のための空気圧力生成器は、より一般的な空気圧力生成器(例えば、医療デバイスの信頼性要件、サイズ要件および重量要件)では満足できない特定の要件を有する。加えて、医療治療向けに設計されたデバイスであっても、以下のうち1つ以上に関連して欠陥を免れない場合がある:快適性、ノイズ、使いやすさ、有効性、サイズ、重量、製造可能性、コストおよび信頼性。
【0040】
特定のRPTデバイスの特殊な要件の一例として、音響ノイズがある。
【0041】
従来のRPTデバイスのノイズ出力レベルの表(試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードで10cmH2Oにおいて測定)。
【0042】
【0043】
睡眠時呼吸障害の治療に用いられる1つの公知のRPTデバイスとして、S9睡眠治療システム(製造元:ResMed Limited)がある。RPTデバイスの別の例として、人工呼吸器がある。人工呼吸器(例えば、成人および小児用人工呼吸器のResMed Stellar(商標)シリーズ)の場合、複数の疾病(例を非限定的に挙げると、NMD、OHSおよびCOPD)の治療のための一定範囲のための患者のための侵襲的および非侵襲的な非依存的換気のための補助を提供し得る。
【0044】
ResMed Elisアクサンテギュee(登録商標)150人工呼吸器およびResMedVSIII(商標)人工呼吸器は、複数の疾病の治療のための成人患者または小児用患者に適した侵襲的および非侵襲的な依存的換気の補助を提供し得る。これらの人工呼吸器により、単一または二重の肢回路を用いた容積換気モードおよび気圧通気モードが得られる。RPTデバイスは典型的には、圧力生成器(例えば、電動送風機または圧縮ガスリザーバ)を含み、患者の気道へ空気流れを供給するように構成される。場合によっては、空気流れは、患者の気道へ陽圧で供給され得る。RPTデバイスの出口は、空気回路を介して上記したような患者インターフェースへ接続される。
【0045】
デバイスの設計者には、無数の選択肢が提示され得る。設計基準同士が対立することが多くあるため、特定の設計選択肢が慣例からほど遠くなるかあるいは避けられないことがある。さらに、特定の態様の快適性および有効性は、1つ以上のパラメータの些細な変更から大きく影響を受ける可能性もある。
【0046】
2.2.3.3 空気回路
空気回路は、使用時において空気流れが呼吸治療システムの2つの構成要素(例えば、RPTデバイスおよび患者インターフェース)間に移動するように、構築および配置された導管または管である。いくつかの場合において、吸息および呼息のための空気回路の別個の肢があり得る。他の場合において、吸息と呼息との両方のために単一の肢空気回路が用いられる。
【0047】
2.2.3.4 加湿器
空気流れの送達を加湿無しで行った場合、気道の乾燥に繋がり得る。加湿器をRPTデバイスおよび患者インターフェースと共に用いた場合、加湿ガスが生成されるため、鼻粘膜の乾燥が最小化され、患者気道の快適性が増加する。加えて、より冷涼な気候においては、概して患者インターフェースの周囲の顔領域へ温風を付加すると、冷風の場合よりも快適性が高まる。
【0048】
一定範囲の人工的加湿デバイスおよびシステムが公知であるが、医療加湿器の特殊な要件を満たせていない。
【0049】
医療加湿器は、典型的には患者が(例えば病院において)睡眠時または安静時にあるときに、必要な場合に周囲空気に相対して空気流れの湿度および/または温度を増加させるように、用いられる。枕元に置かれる医療加湿器は、小型である場合がある。医療加湿器は、患者へ送達される空気流れの加湿および/または加熱のみを行うように構成され得、患者の周囲の加湿および/または加熱は行わない。例えば、部屋ベースのシステム(例えば、サウナ、エアコン、または蒸発冷却器)は、呼吸により患者体内に取り込まれる空気も加湿し得るものの、これらのシステムの場合、部屋全体も加湿および/または加熱するため、占有者にとって不快感であり得る。さらに、医療加湿器の場合、工業用加湿器よりも安全面での制約がより厳しい場合もある。
【0050】
多数の医療加湿器が公知であるものの、このような医療加湿器の場合、1つ以上の欠陥を被り得る。すなわち、このような医療加湿器の場合、加湿が不適切なものもあれば、患者にとって使用が困難または不便であるものもある。
【0051】
2.2.3.5 酸素源
この分野の専門家は、呼吸不全患者が運動すると、疾患進行を遅らせ、生活の質を高め、患者の寿命を延ばす長期的恩恵が得られると認識してきた。しかし、トレッドミルおよび定置式自転車などの定置型の運動は、これらの患者にとって激し過ぎる。そのため、可動性の必要性が、長く認識されている。最近まで、この移動性は、台車に載せた小型の圧縮酸素タンクまたはボンベを使用して促されてきた。これらのタンクの欠点は、格納できる酸素の量が限られていることと、搭載時の重量が約50ポンドと重いことである。
【0052】
酸素濃縮器は、呼吸治療用の酸素供給のためにおよそ50年間にわたって使用されている。従来の酸素濃縮器の場合、嵩高かつ高重量であるため、酸素濃縮器を装着しながら通常の歩行活動を行うことは、困難かつ非実際的である。最近、大型の定置型酸素濃縮器の製造会社は、ポータブル酸素濃縮器(POC)の開発を開始している。POCの利点として、理論的には酸素をエンドレスに供給できる点がある。これらのデバイスを可動性のために小型にするために、酸素富化ガス生成に必要な多様なシステムが高密度化されている。重量、サイズおよび消費電力を最小限にするためには、POCは、生成された酸素の使用をできるたけ効率化する必要が有る。これは、酸素を一連のパルスまたは「ボーラス」として送達させることによって達成され得、各ボーラスは、吸息開始と一致するようなタイミングに設定される。この治療モードは、パルス型酸素送達(POD)またはデマンドモードとして公知であり、定置型酸素濃縮器により適している従来の連続的な流れ送達と対照的である。
【0053】
2.2.3.6 データ管理
臨床的理由により、呼吸治療が処方された患者が「コンプライアンスを遵守している」(例えば、患者が自身のRPTデバイスを1つ以上の「コンプライアンスルール」に則っているか)を決定するためのデータを入手する場合がある。CPAP治療についてのコンプライアンスルールの一例として、患者がコンプライアンスを遵守しているとみなすためには、患者が連続30日間のうち少なくとも21日間にわたってRPTデバイスを一晩あたり少なくとも4時間にわたって使用する必要がある。患者のコンプライアンスを決定するためには、RPTデバイスのプロバイダ(例えば、ヘルスケアプロバイダ)は、RPTデバイスを用いた患者の治療を記述するデータを手作業で入手し、所定期間にわたる使用率を計算し、これをコンプライアンスルールと比較し得る。ヘルスケアプロバイダが患者が自身のRPTデバイスをコンプライアンスルールに則って使用したと決定すると、当該ヘルスケアプロバイダは、患者がコンプライアンスを遵守している旨を第三者に通知し得る。
【0054】
患者の治療において、治療データの第三者または外部システムへの通信から恩恵を受ける他の態様があり得る。
【0055】
このようなデータを通信および管理するための既存のプロセスの場合、高コスト、時間がかかること、エラーの発生し易さのうち1つ以上が発生し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0056】
3 技術の簡単な説明
本技術は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防において用いられる医療デバイスの提供に関連し、これらの医療デバイスは、向上した快適性、コスト、有効性、使い易さおよび製造可能性のうち1つ以上を有する。
【0057】
本技術の第1の態様は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防に用いられる装置に関連する。
【0058】
本技術の別の態様は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防において用いられる方法に関連する。
【0059】
本技術の特定の形態の一態様は、呼吸治療についての患者のコンプライアンスを向上させる方法および/または装置を提供することである。
【0060】
本技術の態様は、加圧ガス流れを生成する送風機に関連する。
【0061】
本技術の別の態様は、モータおよび遠心ファンを含むモータ送風機に関連する。遠心ファンは、インペラおよびハウジングを含み、ハウジングは、ハウジング入口およびハウジング出口を含み、モータ送風機は、空気流れをハウジング入口において周囲圧力よりも低い圧力で受容することと、使用時において空気流れをハウジング出口へ周囲圧力よりも高い圧力で方向付けることとを行うように構成され、モータは、使用時においてシャフト軸の周囲において回転するように構築および配置されたシャフトを有し、インペラは、使用時においてシャフト軸周囲において回転するように構築および配置され、インペラは、複数のブレードを含み、ハウジング入口は、シャフト軸上に設けられたハウジング入口中心を有し、ハウジング出口は、シャフト軸上に設けられたハウジング出口中心を有する。
【0062】
本技術の別の態様は、吸息部分と呼息部分とを含む呼吸サイクルで呼吸している患者に陽圧呼吸治療を提供する装置に関する。本装置は、1つ以上のインペラをインペラ速度で回転させることにより、空気供給を周囲圧力に相対して陽圧において生成するように構成された制御可能なモータ送風機;モータ送風機を保持するハウジングであって、ハウジングは、入口および患者接続ポートを含み、患者接続ポートは、使用時において空気供給を陽圧においてモータ送風機から空気回路を介して患者インターフェースへ連通させるような構造にされる、ハウジング;陽圧における空気供給の圧力および流量のうち少なくとも1つの監視とセンサ出力の生成とを行うセンサ;モータ送風機の動作パラメータをセンサ出力に従って調節して、治療セッション時における患者インターフェース内の最低陽圧を維持するように構成されたコントローラ、を含み、最低陽圧の維持は、呼吸サイクル吸息部分におけるインペラ速度の増大と、呼吸サイクルの呼息部分におけるインペラ速度の低減とによって行われる、コントローラ。
【0063】
本技術の態様は、使用時においてシャフト軸の周囲において回転するように構築および配置されたシャフトと、シャフトを回転可能に支持する少なくとも1つのベアリングとを含むモータに関連する。
【0064】
本技術の態様は、(例えば、患者への呼吸治療の送達のために用いられる)送風機を含むRPTデバイスに関連する。
【0065】
本技術の態様は、(ベアリングの支持および保持を行うような構造および配置にされた)エラストマーベアリングスリーブを含む送風機に関連する。
【0066】
本技術の態様は、ベアリングの支持および保持を行うような構造および配置にされたエラストマーベアリングスリーブに関連する。
【0067】
本技術の態様は、送風機に関連する。この送風機は、定置型構成要素と、定置型構成要素へのオーバーモールド接続を含むエラストマーベアリングスリーブとを含む。
【0068】
本技術の態様は、ロータと、ロータを駆動するように適合されたモータと、ロータを回転可能に支持する少なくとも1つのベアリングと、定置型構成要素と、定置型構成要素に設けられたベアリングスリーブとを含む送風機に関連する。ベアリングスリーブは、ベアリングを定置型構成要素に相対して支持および保持するような構造および配置にされる。ベアリングスリーブは、エラストマー材料を含み、ベアリングスリーブは、ベアリングの外レースに沿って係合するように構成された1つ以上のバンプまたはリブを含む。
【0069】
本技術の態様は、ロータと、ロータを駆動するように適合されたモータと、ロータを回転可能に支持する少なくとも1つのベアリングと、定置型構成要素と、定置型構成要素に設けられたベアリングスリーブとを含む送風機に関連する。ベアリングスリーブは、ベアリングを定置型構成要素に相対して支持および保持するような構造および配置にされる。ベアリングスリーブは、エラストマー材料を含み、ベアリングスリーブは、定置型構成要素へのオーバーモールド接続を含む。ベアリングスリーブは、定置型構成要素への機械接続を形成するような構造および配置にされた保持構造を含む。
【0070】
本技術の態様は、ロータと、ロータを駆動するように適合されたモータと、ロータを回転可能に支持する少なくとも1つのベアリングと、少なくとも1つのベアリングへ予荷重力を提供する付勢要素と、定置型構成要素と、定置型構成要素に設けられたベアリングスリーブとを含む送風機に関連する。ベアリングスリーブは、ベアリングを定置型構成要素に相対して支持および保持するような構造および配置にされる。ベアリングスリーブは、エラストマー材料を含む。ベアリングスリーブは、ベアリングを超えて突出し、付勢要素の封入および位置決めのための空間を提供するような構造にされる。
【0071】
本技術の一形態の一態様は、装置の製造方法である。
【0072】
本技術の一形態の一態様は、人間が(例えば、自宅周囲において)持ち運び可能な、携帯用RPTデバイスである。
【0073】
記載される方法、システム、デバイスおよび装置により、プロセッサにおける機能(例えば、特定目的用コンピュータのプロセッサ、呼吸モニターおよび/または呼吸治療装置の機能)の向上が可能となるように具現され得る。さらに、記載の方法、システム、デバイスおよび装置により、呼吸器疾病(例えば、睡眠時呼吸障害)の自動管理、監視および/または治療の技術分野における向上が可能になる。
【0074】
もちろん、上記態様の一部は、本技術の下位態様を形成し得る。また、下位態様および/または態様のうち多様な1つを多様に組み合わせることができ、本技術のさらなる態様または下位態様も構成し得る。
【0075】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
4 図面の簡単な説明
本技術を、添付図面中に非限定的に一例として例示する。図面中、類似の参照符号は、以下の類似の要素を含む。
【0077】
【
図1】4.1 呼吸治療システム 患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻枕の形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイス4000からの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。同床者1100も図示される。患者は、仰臥位睡眠位置において睡眠している。 4.2 患者インターフェース
【
図2A】本技術の一形態による鼻マスクの形態の患者インターフェースを示す。
【
図2B】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、
図2Cに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
【
図2C】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、
図2Bに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
【
図2D】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率の値はゼロである。
【
図2E】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、
図2Fに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
【
図2F】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、
図2Eに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
【
図2G】構造の表面を示し、この表面中には一次元穴が開いている。図示の平面曲線は、一次元穴の境界を形成する。
【
図2H】
図2Gの構造を通じた断面図である。図示の表面は、
図2Gの構造中の二次元穴を境界付ける。
【
図2I】二次元穴および一次元穴を含む
図2Gの構造の斜視図である。また、
図2Gの構造中の二次元穴を境界付ける表面が図示される。 4.3 RPTデバイス
【
図3A】本技術の一形態によるRPTデバイスを示す。
【
図3B】本技術の一形態に従ったRPTデバイスの空気圧経路の概略図である。上流および下流の方向が、送風機および患者インターフェースに対して示される。任意の特定の瞬間における実際の流れ方向に関係無く、送風機は患者インターフェースの上流にあるものとして規定され、患者インターフェースは送風機の下流にあるものとして規定される。送風機と患者インターフェースとの間の空気圧経路内に配置されたアイテムは、送風機の下流および患者インターフェースの上流にある。
【
図3C】本技術の一態様に従ったRPTデバイスの電気構成要素の概略図である。
【
図4】本技術の一例によるRPTデバイスのための送風機の斜視図である。
【
図7】本技術の一例による送風機のための定置型構成要素の上端部およびベアリングスリーブを示す断面図である。
【
図8】本技術の一例による送風機のための定置型構成要素の上端部およびベアリングスリーブを示す分解図である。
【
図9】本技術の一例による送風機のための定置型構成要素の上端部の上面斜視図である。
【
図10】本技術の一例による送風機のための定置型構成要素の中間部分およびベアリングスリーブを示す断面図である。
【
図11】本技術の一例による送風機のための定置型構成要素の中間部分およびベアリングスリーブを示す分解図である。
【
図12】本技術の一例による送風機のための定置型構成要素の中間部分の上面斜視図である。
【
図13】本技術の一例による送風機のための定置型構成要素の中間部分の下面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
5 本技術の例の詳細な説明
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0079】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な例に関連して提供される。任意の1つの例の1つ以上の特徴は、別の例または他の例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる例を構成し得る。
【0080】
5.1 治療
一形態において、本技術は、呼吸障害の治療方法を含む。本方法は、患者1000の気道の入口へ陽圧を付加することを含む。
【0081】
本技術の特定の例において、陽圧における空気供給が鼻孔の片方または双方を介して患者の鼻通路へ提供される。
【0082】
本技術の特定の例において、口呼吸が制限されるか、限定されるかまたは妨げられる。
【0083】
5.2 呼吸治療システム
一形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための呼吸治療システムを含む。呼吸治療システムは、空気流れを空気回路4170および患者インターフェース3000を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000を含み得、例えば、
図1を参照する。
【0084】
5.3 患者インターフェース
図2Aは、以下の機能様態を含む、本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000を示す:シール形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、通気部3400、空気回路4170への接続のための一形態の接続ポート3600、および前額支持部3700。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的構成要素によって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的構成要素は、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、シール形成構造3100は、患者1000の気道への入口(単数または複数)において陽圧を維持するように、患者の気道の入口を包囲するように配置される。よって、シールされた患者インターフェース3000は、正の圧力治療の送達に適している。
【0085】
患者インターフェースが最低レベルの陽圧を快適に気道へ送達できない場合、患者インターフェースは呼吸圧力治療に不適切であり得る。
【0086】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも6cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0087】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも10cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0088】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも20cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0089】
5.4 RPTデバイス
図3A~
図3Cは、本技術の一態様によるRPTデバイス4000を示す。RPTデバイス4000は、機械構成要素、空気圧構成要素および/または電気構成要素を含み、1つ以上のアルゴリズムを実行するように構成される。RPTデバイス4000は、例えば本文書中のいずれかに記載の呼吸器疾病のうち1つ以上の治療のために患者の気道へ送達される空気流れを生成するように構成され得る。
【0090】
一形態において、RPTデバイス4000は、少なくとも6cmH2Oまたは少なくとも10cmH2Oまたは少なくとも20cmH2Oの陽圧を維持しつつ、空気流れを-20L/分~+150L/分の範囲で送達できるように構築および配置される。
【0091】
RPTデバイスは、外部ハウジング4010を持ち得る。外部ハウジング4010は、上部4012および下部4014の2つの部分によって形成される。さらに、外部ハウジング4010は、1つ以上のパネル(単数または複数)4015を含み得る。RPTデバイス4000は、RPTデバイス4000の1つ以上の内部構成要素を支持するシャーシ4016を含む。RPTデバイス4000は、ハンドル4018を含み得る。
【0092】
RPTデバイス4000の空気圧経路は、1つ以上の空気経路アイテム、例えば、1つ以上のフィルタ4110(例えば、入口空気フィルタ4112、空気出口フィルタ4114、入口マフラー4122、空気を陽圧で供給することが可能な圧力生成器4140(例えば、送風機4142)、出口マフラー4124)ならびに1つ以上の変換器4270(例えば、圧力センサおよび流量センサ)を含み得る。
【0093】
空気経路アイテムのうち1つ以上は、空気圧ブロック4020と呼ばれる取り外し可能な一体構造内に配置され得る。空気圧ブロック4020は、外部ハウジング4010内に配置され得る。一形態において、空気圧ブロック4020は、シャーシ4016によって支持されるかまたはシャーシ4016の一部として形成される。
【0094】
RPTデバイス4000は、電気電源4210、1つ以上の入力デバイス4220、中央コントローラ4230、治療デバイスコントローラ、圧力生成器4140、1つ以上の保護回路、メモリ、変換器4270、データ通信インターフェース、および1つ以上の出力デバイス4290を有することができる。電気構成要素4200は、シングルプリント回路基板アセンブリ(PCBA)4202上に取り付けられ得る。一代替形態において、RPTデバイス4000は、1つよりも多くのPCBA4202を含み得る。
【0095】
圧力生成器
本技術の一形態において、空気の流れまたは供給を陽圧において生成する圧力生成器4140は、制御可能な送風機4142である。例えば、送風機4142は、1つ以上のインペラを備えたブラシレスDCモータ4144を含み得る。インペラが、ボリュート内へ配置され得る。送風機は、呼吸圧力治療を施しているときに、空気供給の送達を例えば約120リットル/分までの速度で、約4cmH2O~約20cmH2Oの範囲の陽圧で、または他の形態において約30cmH2Oまで行うことができる。送風機については、以下の特許または特許出願のうちいずれか1つに記載があり得る。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する:米国特許第7,866,944号、米国特許第8,638,014号、米国特許第8,636,479号およびPCT特許出願公開WO2013/020167。
【0096】
圧力生成器4140は、中央コントローラ4230および/または治療デバイスコントローラの制御下にあってよい。
【0097】
他の形態において、圧力生成器4140は、ピストン駆動ポンプ、高圧源(例えば、圧縮空気リザーバ)へ接続された圧力調節器、またはベローズであり得る。
【0098】
図4~
図13に示す送風機6000は、本技術の一例によって、流れまたは空気供給を陽圧において生成する。図示の例において、送風機6000により、軸方向に対称な3段階型の送風機設計が得られる。例において、送風機6000は、加圧空気を45~50cmH
2Oまで提供するような構造にされ得る(例えば、2~50cmH
2Oの範囲(例えば、3~45cmH
2O、4~30cmH
2O))。
【0099】
図5および
図6に最良に示すように、送風機6000は、軸方向空気入口6015(送風機入口)を提供する入口カバー6010と、回転可能シャフトまたはロータ6030を駆動するように適合されたモータ6020と、ロータ6030に設けられかつモータ6020の片側に位置決めされた第1のインペラ6041および第2のインペラ6042と、ロータ6030に設けられかつモータ6020の他方側に位置決めされた第3のインペラ6043とを含む。送風機6000は、ステージ1のステータ羽根6055に続いて第1のインペラ6041を含む第1の定置型構成要素6050と、ステージ2のステータ羽根6065および6067に続いて第2のインペラ6042を含みかつモータ6020を封入する第2の定置型構成要素6060と、ステージ3のステータ羽根6085に続いて第3のインペラ6043を含む第3の定置型構成要素6080とを含む。第3の定置型構成要素6080により、軸方向空気出口6088(送風機出口)も得られる。使用時において、送風機6000は、空気供給を送風機入口6015内へ引き込むように動作可能であり、加圧された空気供給を送風機出口6088において提供する。
【0100】
モータ6020は、ロータ6030に設けられた磁石6022と、ステータアセンブリ6024とを含む。ステータアセンブリ6024は、積層スタック6026(例えば、複数の積層(例えば、鉄により構築されたもの))と、積層スタック6026に設けられたステータコイルまたは巻線6028(例えば、銅により構築されたもの)とを含む。
【0101】
第2の定置型構成要素6060は、管部6068を含む。管部6068は、管部6068の外面に沿って設けられたステータアセンブリ6024に近接して整列されたロータ6030上に磁石6022を封入する。管部6068は、十分に「磁気的に透明である」材料によって構築されているため、内部において磁界が通過することが可能になり、これにより、ステータアセンブリ6024が外面に沿って管部6068内に位置決めされた磁石6022に作用することが可能になる。このような配置構成のさらなる詳細および例について、米国特許公開第US-2008-0304986に開示がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0102】
このような送風機配置構成のさらなる詳細および例について、PCT公開WO2013/020167に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0103】
図示の例において、ロータ6030は、第2の定置型構成要素6060によって保持または支持された1対のベアリング6091および6092(例えば、ボールベアリング)によって回転可能に支持される。
【0104】
例えば
図5に示す図示の例において、第2の定置型構成要素6060は、3つの部分として設けられる。これら3つの部分は、相互に別個に形成され(例えば、成形され)た後、相互に組み立てられる(例えば、ヒートステーク、機械的インターロック(例えば、トング/溝部)、摩擦嵌めなど)。図示のように、第2の定置型構成要素6060は、上端部6062(エンドベルとも呼ばれる)と、中間部分6064と、下端部6066とを含む。以下に述べるように、上側ベアリングスリーブ6100(例えば、エラストマー材料(例えば、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU))を含むもの)は、上端部6062に設けられる。この上端部6062は、1対のベアリングのうち上側のもの(すなわち、第2の定置型構成要素6060のうち送風機入口6015により近接する側のベアリング6091)を支持および保持するような構造および配置にされる。下側ベアリングスリーブ6200(例えば、エラストマー材料(例えば、TPE、TPU)を含むもの)は、中間部分6064に設けられる。中間部分6064は、1対のベアリングのうち下側のもの(すなわち、第2の定置型構成要素6060のうち送風機出口6088により近接する側のベアリング6092)を支持および保持するような構造および配置にされる。
【0105】
図6中に最良に示すように、上端部6062および中間部分6064は、協働して、モータ6020を動作位置に支持および維持する。加えて、上端部6062および中間部分6064は、協働してステージ2のステータ羽根6065を形成する。ステージ2のステータ羽根6065は、概して軸方向に下方にモータ6020の周囲へ方向付けるような構造にされる(すなわち、上端部6062は、各ステータ羽根6065の上部を形成する第1組の羽根を含み、中間部分6064は、各ステータ羽根6065の下部を形成する第2組の羽根を含む)。下端部6066は、モータ6020の下側に位置決めされ、ステージ2のステータ羽根6067を含む。ステージ2のステータ羽根6067は、気流をラジアル方向に第3のステージへ方向付けるような構造にされる(例えば、
図5を参照)。このようなステータ配置構成のさらなる例および詳細について、PCT公開WO2013/020167に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0106】
図6~
図9に示すように、上端部6062は、中間部分6064を封入し、送風機6000の外壁を形成する円筒状側壁6310と、円筒状側壁6310の上端に設けられた端壁6320とを含む。端壁6320により、各ステータ羽根6065の上部を形成する第1組の羽根を支持するラジアル方向の外側開口部6330と、上側ベアリングスリーブ6100を支持および保持するラジアル方向の内側支持部6340とが得られる。
【0107】
端壁6320は、中間接続部6350も(ラジアル方向の外側開口部6330とラジアル方向の内側支持部6340との間に)含む。中間接続部6350は、中間部分6064へ接続する。例えば、中間接続部6350の中間部分6064への接続は、熱かしめを介して行われ得る。例えば、中間部分6064は、ステーク6069を含む。ステーク6069は、中間接続部6350中の各開口部6352を通じて延びた後に熱かしめされることで上端部6062を中間部分6064へ固定させるように、構成および配置される。しかし、上端部6062および中間部分6064の相互接続様態は、他の適切な方法によって行われ得ることが理解されるべきである。
【0108】
図示の例において、支持部6340は、ベース壁6342と、ベース壁6342の内側から軸方向に内方に延びる支持壁6344とを含む。加えて、ベース壁6342と、ベース壁6342の外側から軸方向に外方に延びかつ間隔を開けて配置された側壁6345および6346とにより、チャネル6348が形成される。
【0109】
図示のように、上側ベアリングスリーブ6100は、支持部6340によって支持および保持される。上側ベアリングスリーブ6100は、円筒状または管状の側壁6110を含み、これにより、1対のベアリングのうち上側のもの(すなわち、ベアリング6091)を支持および保持する円筒状開口部が提供される。また、図示のように、円筒状側壁6110は、支持壁6344のラジアル方向に内側に沿って配置される。さらに、上側ベアリングスリーブ6100は、保持構造6120を含む。保持構造6120は、支持壁6344の周囲およびチャネル6348の内部を取り囲んで、上側ベアリングスリーブ6100を上端部6062の支持部6340へ保持する。
【0110】
図示の例において、円筒状側壁6110は、ベアリング6091を動作位置に保持する1つ以上の環状バンプまたはリブ6115(例えば、2個、3個、4個またはそれ以上のバンプまたはリブ)を含む。図示のように、バンプまたはリブ6115は、ベアリングの外レース6091に沿って係合するように構成および配置される。ベアリング6091の内レースは、ロータ6030と係合するように構成および配置される。
【0111】
例において、上側ベアリングスリーブ6100は、エラストマー材料(例えば、TPE、TPU)によって構築される。エラストマーベアリングスリーブ6100は、例えば防振、ノイズ低減および衝撃吸収性の提供がラジアル方向において得られるように、支持部6340とベアリング6091との間に配置される。また、上側ベアリングスリーブ6100は、制振またはベアリンググリースの代替として例えば支持部6340とベアリング6091との間に設けられるため、製造が容易になる。
【0112】
上側ベアリングスリーブ6100の上端部6062の支持部6340への接続は、恒久的に行って(例えば、オーバーモールド)もよいし、あるいは取り外し可能に行ってもよい(例えば、締り嵌めアセンブリ)。
【0113】
図示の例において、上側ベアリングスリーブ6100および上端部6062は、オーバーモールド構造を含むため、ワンピースの一体型構成要素を形成する。例えば、上端部6062は、第1の部分またはベースモールドを含み得、上側ベアリングスリーブ6100は、(例えば、オーバーモールドにより)第1の部分に設けられた第2の部分またはオーバーモールドを含み得る。例において、上端部6062は、上側ベアリングスリーブ6100(例えば、TPE、TPU)よりも高剛性の材料(例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン)を含む。
【0114】
例において、上側ベアリングスリーブ6100は、上端部6062へオーバーモールドされ得るため、保持構造6120により、上端部6062との締り嵌めまたは機械的インターロックが提供される。例えば、支持部6340のベース壁6342は、複数の穴6343を含むため、オーバーモールドプロセス時において、上側ベアリングスリーブ6100のエラストマー材料は、チャネル6348内に流入して充填され得、穴を通過し得、支持壁6344の周囲を流動して、上側ベアリングスリーブ6100を上端部6062へ機械的に固定させ得る。また、側壁6110の外側は、支持壁6344に設けられた各溝部内に係合するように適合された1つ以上のねじ山または突起を含み得るため、上側ベアリングスリーブ6100が動作位置へさらに固定される。加えて、例において、上側ベアリングスリーブ6100のエラストマー材料により得られ得るインターフェース面は、上端部6062へ接合または付着することにより、上端部6062との接続を向上させる。
【0115】
図10~
図13に示すように、中間部分6064は、管部6068と、各ステータ羽根6065の下部を形成する第2組の羽根を支持するラジアル方向の外側開口部6430を提供する円筒状側壁6410と、管部6068の下端に設けられた端壁6420とを含む。端壁6420により、下側ベアリングスリーブ6200を支持および保持する支持部6440が得られる。図示の例において、中間部分6064は、ステータアセンブリ6024へオーバーモールドされ得、その後ステータオーバーモールドと総称され得る。
【0116】
図示の例において、支持部6440は、ベース壁6442と、ベース壁6442の内側から軸方向に内方に延びる支持壁6444とを含む。
【0117】
図示のように、下側ベアリングスリーブ6200は、支持部6440によって支持および保持される。下側ベアリングスリーブ6200は、円筒状または管状の側壁6210を含むため、1対のベアリングのうち下側のもの(すなわち、ベアリング6092)を支持および保持する円筒状開口部が得られる。また、図示のように、円筒状側壁6210は、支持壁6444のラジアル方向に内側に沿って配置される。さらに、下側ベアリングスリーブ6200は、支持壁6444の周囲を取り囲む保持構造6220を含むため、下側ベアリングスリーブ6200を中間部分6064の支持部6440へ保持する。
【0118】
図示の例において、円筒状側壁6210は、細長構成を含み、側壁6210の上側は、ベアリング6092を動作位置に保持するために1つ以上の環状バンプまたはリブ6215(例えば、2個、3個、4個またはそれ以上のバンプまたはリブ)を含む。図示のように、バンプまたはリブ6215は、ベアリング6092の外レースに沿って係合するように構成および配置される。ベアリング6092の内レースは、ロータ6030と係合するように構成および配置される。
【0119】
図示の例において、(ベース壁6442に隣接する)側壁6210の下側は、バンプまたはリブを全く含まず、この下側は、ベアリング6092を超えて突出し、バネまたは付勢要素6095の封入および位置決めのための空間を提供する。図示のように、バネまたは付勢要素6095は、ベース壁6442とベアリング6092との間に配置されて、ベアリング6092への予荷重力の付加(例えば、ボールベアリング6092の内レースへの予荷重力の付加)および/または磁石6022とステータアセンブリ6024との整列維持を行う。
【0120】
例において、上側ベアリングスリーブ6100と同様に、下側ベアリングスリーブ6200は、エラストマー材料(例えば、TPE、TPU)により構築される。エラストマーベアリングスリーブ6200は、例えば防振、ノイズ低減および衝撃吸収性の提供がラジアル方向において得られるように、支持部6440とベアリング6092との間に配置される。また、下側ベアリングスリーブ6200は、制振またはベアリンググリースの代替として例えば支持部6440とベアリング6092との間に設けられるため、製造が容易になる。
【0121】
下側ベアリングスリーブ6200の中間部分6064の支持部6440への接続は、恒久的に行って(例えば、オーバーモールド)もよいし、あるいは取り外し可能に行ってもよい(例えば、締り嵌めアセンブリ)。
【0122】
図示の例において、下側ベアリングスリーブ6200および中間部分6064は、オーバーモールド構造を含むため、ワンピースの一体型構成要素を形成する。例えば、中間部分6064は、(例えば、オーバーモールドされたステータアセンブリ6024と共に)第1の部分またはベースモールドを含み得、下側ベアリングスリーブ6200は、(例えば、オーバーモールドによって)第1の部分へ設けられた第2の部分またはオーバーモールドを含み得る。例において、中間部分6064は、下側ベアリングスリーブ6200(例えば、TPE、TPU)よりも高剛性の材料(例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン)を含む。
【0123】
例において、下側ベアリングスリーブ6200は、中間部分6064へオーバーモールドされ得るため、保持構造6220により、中間部分6064との締り嵌めまたは機械的インターロックが提供される。例えば、図示の例において、保持構造6220は、支持壁6444の自由端の周囲を取り囲むような構造にされるため、下側ベアリングスリーブ6200は、中間部分6064へ機械的に固定される。加えて、側壁6210の外側は、支持壁6444に設けられた各溝部内に係合するように適合された1つ以上のねじ山または突起6217を含むため、下側ベアリングスリーブ6200を動作位置に固定させる。さらに、支持部6440のベース壁6442は、複数の穴6443を含むため、オーバーモールドプロセス時において、下側ベアリングスリーブ6200のエラストマー材料が穴を通じて流動し得、ステークまたはリベット6219を支持壁6444上に形成して、下側ベアリングスリーブ6200を中間部分6064へ機械的に固定させ得る。また、例において、下側ベアリングスリーブ6200のエラストマー材料により得られ得るインターフェース面は、中間部分6064へ接合または付着することにより、中間部分6064との接続を向上させ得る。
【0124】
図示の例において、上端部6062、中間部分6064ならびに各エラストマーベアリングスリーブ6100および6200は、ベアリング6091および6092を支持しかつ整列させるような構造および配置にされ、これにより、ロータ6030を送風機6000の軸と整列させる。図示の例において、ベアリング6091および6092は、同一サイズである。しかし、上端部6062、中間部分6064ならびに各エラストマーベアリングスリーブ6100および6200は、異なるサイズのベアリングを相互に支持しかつ整列させるような構造にされ得る。
【0125】
例において、例えば磁石6022とステータアセンブリ6024との整列を維持するために、スペーサが各ベアリング6091および6092と磁石6022との間に設けられ得る。
【0126】
送風機の例において、3段階設計を含むものとして記載しているが、本技術の例は、他の段階の設計(例えば、1段階、2段階、4段階またはそれ以上の段階)にも適用され得ることが理解されるべきである。
【0127】
また、本明細書中、本技術の態様において、の用途について、非侵襲的換気(NIV)治療装置(例えば、RPTデバイス)(例えば、CPAP)への適用について述べているが、本技術の態様は、送風機が用いられる他の適用分野も有し得る(例えば、陽圧適用および負圧適用の双方)ことが理解されるべきである。
【0128】
5.5 空気回路
本技術の一態様による空気回路4170は、使用時において空気流れが2つの構成要素(例えば、RPTデバイス4000および患者インターフェース3000)間に移動するように、構築および配置された導管または管である。
【0129】
詳細には、空気回路4170は、空気圧ブロック4020の出口および患者インターフェースと流体接続し得る。空気回路は、空気送達管と呼ばれ得る。いくつかの場合において、吸息および呼息のための回路の別個の肢があり得る。他の場合において、単一の肢が用いられる。
【0130】
いくつかの形態において、空気回路4170は、(例えば空気温度の維持または上昇のために)空気回路中の空気を加熱するように構成された1つ以上の加熱要素を含み得る。加熱要素は、加熱ワイヤ回路の形態をとり得、1つ以上の変換器(例えば、温度センサ)を含み得る。一形態において、加熱ワイヤ回路は、空気回路4170の軸周囲にらせん状に巻かれ得る。加熱要素は、コントローラ(例えば、中央コントローラ4230)と連通し得る。加熱ワイヤ回路を含む空気回路4170の一例について、米国特許出願第8,733,349号に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0131】
5.5.1 補充用ガス送達
本技術の一形態において、補充用ガス、例えば、酸素4180が、空気圧経路における1つ以上のポイント(例えば、空気圧ブロック4020の上流)、空気回路4170および/または患者インターフェース3000へ送達され得る。
【0132】
5.6 加湿器
5.6.1 加湿器の概要
本技術の一形態において、患者へ送達されるべき空気またはガスの絶対湿度を周囲空気に相対して変化させるための加湿器5000が提供される(例えば、
図1に示すようなもの)。典型的には、加湿器5000は、患者の気道へ送達される前に空気流れの(周囲空気に相対する)絶対湿度を増加させかつ温度を増加させるために、用いられる。
【0133】
5.7 用語集
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
【0134】
5.7.1 一般
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態において、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素富化空気)を意味し得る。
【0135】
周囲:本技術の特定の形態において、「周囲」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
【0136】
例えば、加湿器に対する周囲湿度とは、加湿器を直接包囲する空気の湿度であり得る(例えば、患者が睡眠をとっている部屋の内部の湿度)。このような周囲湿度は、患者が睡眠をとっている部屋の外部の湿度と異なる場合がある。
【0137】
別の例において、周囲圧力は、身体の直接周囲または外部の圧力であり得る。
【0138】
特定の形態において、周囲(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスから発生するかまたはマスクまたは患者インターフェースから発生するノイズ以外の、患者の居る部屋の中の背景ノイズレベルとみなすことができる。周囲ノイズは、部屋の外の発生源から発生し得る。
【0139】
自動的な気道陽圧(APAP)治療:SDB発症の兆候の存在または不在に応じて、例えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なCPAP治療。
【0140】
持続的気道陽圧(CPAP)治療:治療圧力が患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である呼吸圧力治療。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼息時において若干上昇し、吸息時において若干低下する。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部分的な上気道閉塞の兆候の検出に応答して増加され、部分的な上気道閉塞の通知の不在時において低減される)。
【0141】
流量:単位時間あたりに送出される空気の瞬時の量(または質量)。流量とは、瞬間の量を指し得る。場合によっては、流量について言及した場合、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)を指す。他の場合において、流量について言及した場合、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向両方を持つ量)を指す。流量には、符号Qが付与され得る。「流量」を簡略的に「流れ」もしくは「気流」と呼ぶ場合もある。
【0142】
患者の呼吸の例において、流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分に対してノミナルに陽圧であり得るため、患者の呼吸サイクルの呼気部分に対して負であり得る。デバイス流量Qdは、RPTデバイスから退出する空気の流量である。合計流量Qtは、空気回路を介して患者インターフェースへと到達する空気および任意の補充用ガスの流量である。通気流量Qvは、呼息されたガスの流出を可能にするために通気部から退出する空気の流量である。漏洩流量Qlは、患者インターフェースシステムまたは他の場所からの漏洩の流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸器系中に受容される空気の流量である。
【0143】
流れ治療:患者の呼吸サイクル全体にかけて通常陽圧である治療流量と称される制御された流量において気道への入口に空気流れを送達することを含む、呼吸治療。
【0144】
加湿器:「加湿器」という単語は、患者の呼吸器疾病を改善するために治療上有益な量の水(H2O)蒸気を空気流れへ提供することが可能な物理的構造を備えて構築、配置または構成された加湿装置を意味するものとして解釈される。
【0145】
漏洩:「漏洩」という用語は、意図しない空気流れとしてとられる。一例において、漏洩は、マスクと患者の顔との間のシールが不完全であることに起因して発生し得る。別の例において、漏洩は、周囲に対するスイベルエルボーにおいて発生し得る。
【0146】
ノイズ伝導(音響):本文書において、伝導ノイズとは、空気圧経路(例えば、空気回路および患者インターフェースおよびその内部の空気)によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、伝導ノイズは、空気回路の端部における音圧レベルを測定することにより、定量化され得る。
【0147】
ノイズ放射(音響):本文書において、放射ノイズとは、周囲空気によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、放射ノイズは、当該対象の音響パワー/圧力レベルをISO3744に従って測定することにより、定量化され得る。
【0148】
ノイズ、通気(音響):本文書において、通気ノイズとは、任意の通気(例えば、患者インターフェース中の通気穴)を通じた空気流れにより生成されるノイズを指す。
【0149】
酸素富化空気:大気の酸素濃度(21%)よりも高い酸素濃度(例えば、少なくとも約50%の酸素、少なくとも約60%の酸素、少なくとも約70%の酸素、少なくとも約80%の酸素、少なくとも約90%の酸素、少なくとも約95%の酸素、少なくとも約98%の酸素、または少なくとも約99%)を有する酸素。「酸素富化空気」を簡略的に「酸素」と呼ぶ場合もある。
【0150】
医療酸素:医療酸素は、酸素濃度が80%以上である酸素富化空気として規定される。
【0151】
患者:呼吸器疾病に罹患しているかまたはしていない人。
【0152】
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、多様な単位で表現され得る(例えば、cmH2O、g-f/cm2、及びヘクトパスカル)。1cmH2Oは、1g-f/cm2に等しく、およそ0.98ヘクトパスカル(1ヘクトパスカル=100Pa=100N/m2=1millibar~0.001atm)である。本明細書において、他に明記無き限り、圧力はcmH2Oの単位で付与される。
【0153】
患者インターフェース中の圧力には記号Pmが付与され、現時点においてインターフェース圧力Pmが達成すべき目標値を表す治療圧力には記号Ptが付与される。
【0154】
呼吸圧力治療:雰囲気に対して典型的には陽圧である治療圧力における空気供給の気道入口への付加。
【0155】
人工呼吸器:患者が呼吸動作の一部または全てを行い際に圧力補助を提供する機械的デバイス。
【0156】
5.7.1.1 材料
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンについて言及される場合、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの一形態として、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この商標下において販売される製品群に含まれる)がある。別のLSR製造業者として、Wackerがある。他に逆の明記無き限り、例示的形態のLSRのASTMD2240によって測定した場合のショアA(またはタイプA)押込み硬さは、約35~約45である。
【0157】
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの熱可塑性ポリマーである。
【0158】
5.7.1.2 機械的特性
弾性:弾性変形時にエネルギーを吸収することおよび除荷時にエネルギーを解放することが可能な材料の能力。
【0159】
弾性のある:除荷時に実質的に全てのエネルギーを解放する。例えば特定のシリコーンおよび熱可塑性エラストマーを含む。
【0160】
硬度:材料自体の変形に抵抗する能力(例えば、ヤング係数または規格化されたサンプルサイズ上において測定された押込硬さスケールによって記述されたもの)。
● 「軟性」材料は、シリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)を含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得る。
● 「硬質」材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、鋼またはアルミニウムを含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得ない。
【0161】
構造または構成要素の剛度(または剛性):構造または構成要素が負荷を受けたときに変形に抵抗する能力。負荷は、力またはモーメントであり得る(例えば、圧縮、伸張、屈曲またはねじれ)。構造または構成要素は、異なる方向において異なる抵抗を提供し得る。剛性の反義語は、可撓性である。
【0162】
フロッピー構造または構成要素:自重を支持させられた際に比較的短期間(例えば、1秒)以内に形状を変化させる(例えば、屈曲する)構造または構成要素。
【0163】
剛性の構造または構成要素:使用時において典型的に遭遇する負荷を受けた際に実質的に形状変化の無い構造または構成要素。このような用途の例として、患者インターフェースを例えばおよそ20~30cmH2Oの圧力の負荷において患者の気道入口に対して密閉した様態でセットアップおよび維持することがあり得る。
【0164】
一例として、I形ばりは、第2の直交方向と比較した第1の方向において、異なる曲げ剛性(曲げ負荷に対する抵抗)を含み得る。別の例において、構造または構成要素は、第1の方向においてはフロッピーであり得、第2の方向においては剛性であり得る。
【0165】
5.7.2 患者インターフェース
窒息防止弁(AAV):マスクシステムの構成要素またはサブアセンブリであり、フェールセーフ様態での雰囲気中への開口により、患者による過度のCO2の再呼吸の危険性を低減させる。
【0166】
エルボー:エルボーは、内部を移動する空気流れの軸を方向付けて、角度を通じて方向を変化させる構造の例である。一形態において、角度はおよそ90度であり得る。別の形態において、角度は、90度超過または未満であり得る。エルボーは、ほぼ円形の断面を持ち得る。別の形態において、エルボーは、楕円または矩形の断面を持ち得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素に対して例えば約360度で回転可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素から例えばスナップ接続を介して取り外すことが可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、製造時にワンタイムスナップを介して噛み合い構成要素へ組み付けることが可能である一方、患者が取り外すことはできない。
【0167】
フレーム:フレームは、ヘッドギアを接続する2つ以上の点間の引張荷重を支持するマスク構造を意味するものとしてとられる。マスクフレームは、マスク中の非気密負荷支持構造であり得る。しかし、いくつかの形態のマスクフレームは、気密であってもよい。
【0168】
ヘッドギア:ヘッドギアは、頭部上において使用されるように設計された、一形態の位置決めおよび安定化構造を意味するものとしてとられる。例えば、ヘッドギアは、患者インターフェースを呼吸治療の送達のために患者の顔上の所定位置に配置および保持するように構成された1つ以上の支柱、タイおよび補剛材の集合を含み得る。いくつかのタイは、柔らかい可撓性の弾性材料(例えば、発泡体および布地の層状複合材)によって形成される。
【0169】
膜:膜は、典型的には肉薄の要素を意味するものとしてとられ、好適には屈曲に対して実質的に抵抗せずかつ伸縮に対しては抵抗する。
【0170】
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、空間の容積を少なくとも部分的に封入する壁を有する患者インターフェースの一部を意味するものとしてとられ、容積中の空気は、加圧されて使用時において雰囲気圧力を超える。シェルは、マスクプレナムチャンバの壁の一部を形成し得る。
【0171】
シール:名詞(「シール」)として用いられる場合は構造を指し得、動詞(「密閉(する)」)として用いられる場合はその効果を指し得る。2つの要素は、別個の「シール」要素自体を必要とすることなく両者間において「シール」するかまたは「密閉」効果を得るように、構築および/または配置され得る。
【0172】
シェル:シェルは、屈曲、引っ張りおよび圧縮剛性を有する曲線状の比較的肉薄構造を意味するものとしてとられる。例えば、マスクの曲線状構造壁は、シェルであり得る。いくつかの形態において、シェルはファセットされ得る。いくつかの形態において、シェルは気密であり得る。いくつかの形態において、シェルは気密でない場合もある。
【0173】
補剛材:補剛材は、別の構成要素の剛軟度を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0174】
支柱:支柱は、別の構成要素の圧縮抵抗を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0175】
スイベル(名詞):構成要素のサブアセンブリであり、共通軸の周囲において好適には独立して好適には低トルク下において回転するように構成される。一形態において、スイベルは、少なくとも360度の角度で回転するように構成され得る。別の形態において、スイベルは、360度未満の角度で回転するように構成され得る。空気送達導管の文脈において用いられる場合、構成要素のサブアセンブリは好適には、一対組み合わせの円筒状導管を含む。使用時において、スイベルからの空気流れの漏れはほとんど無い。
【0176】
タイ(名詞):張力に抵抗するように設計された構造。
【0177】
通気部:(名詞):マスクまたは導管の内部の周囲空気への空気流れを可能にする構造であり、呼息されたガスの臨床的に有効な洗い流しを可能にする。例えば、臨床的に有効な洗い流しにおいては、約10リットル/分~約100リットル/分の流量がマスク設計および治療圧力に応じて用いられ得る。
【0178】
5.7.3 構造の形状
本技術による製品は、1つ以上の三次元機械構造(例えば、マスククッションまたはインペラ)を含み得る。三次元構造は、二次元表面によって境界付けられ得る。これらの表面は、関連付けられた表面の方向、位置、機能または他の何らかの特性を記述するためのラベルを用いて区別され得る。例えば、構造は、前表面、後表面、内面および外面のうち1つ以上を含み得る。別の例において、シール形成構造は、顔接触(例えば、外側の)表面と、別個の非顔接触(例えば、下側または内側の)表面を含み得る。別の例において、構造は、第1の表面および第2の表面を含み得る。
【0179】
三次元構造の形状および表面の説明を容易にするために、構造の表面を通じた点pにおける断面について先ず検討する。
図2B~
図2Fを参照されたい。
図2B~
図2Fは、表面上における点pにおける断面例と、その結果得られる平面曲線の例とを示す。
図2B~
図2Fは、pにおける外向き法線ベクトルも示す。pにおける外向き法線ベクトルは、表面から離隔方向に延びる。いくつかの例において、架空の小さな人が表面上に直立している観点から、この表面について説明する。
【0180】
5.7.3.1 一次元における曲率
pにおける平面曲線の曲率は、符号(例えば、正、負)および大きさ(例えば、pにおいて曲線に接する円形の1/半径)を持つものとして記述され得る。
【0181】
正の曲率:pにおける曲線が外向き法線に向かって曲がる場合、その点における曲率は、正の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上り坂を歩行する必要がある)。
図2B(
図2Cと比較して比較的大きな正の曲率)および
図2C(
図2Cと比較して比較的小さな正の曲率)を参照されたい。このような曲線を、凹状と呼ぶことが多い。
【0182】
ゼロ曲率:pにおける曲線が直線である場合、曲率はゼロとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上向きでも下向きでもない水平面を歩行することができる)。
図2Dを参照されたい。
【0183】
負の曲率:pにおける曲線が外向き法線から離隔方向に曲がる場合、その点およびその方向における曲率は、負の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、下り坂を歩行する必要がある)。
図2E(
図2Fと比較して比較的小さな負の曲率)および
図2F(
図2Eと比較して比較的大きな負の曲率)を参照されたい。このような曲線は、凸状と呼ばれることが多い。
【0184】
5.7.3.2 二次元表面の曲率
本技術による二次元表面上の所与の点における形状の記述は、複数の垂直断面を含み得る。複数の断面は、外向き法線(「法平面」)を含む面において表面を切断し得、各断面は、異なる方向においてとられ得る。各断面の結果、対応する曲率を有する平面曲線が得られる。その点における異なる曲率は、同一符号または異なる符号を持ち得る。その点における曲率はそれぞれ、(例えば、比較的小さな)大きさを有する。
図2B~
図2F中の平面曲線は、特定の点におけるこのような複数の断面の例であり得る。
【0185】
主要な曲率および方向:曲線の曲率が最大値および最小値をとる法平面の方向を主要な方向と呼ぶ。
図2B~
図2Fの例において、最大曲率は
図2Bにおいて発生し、最小は
図2Fにおいて発生するため、
図2Bおよび
図2Fは、主要な方向における断面である。pにおける主要な曲率は、主要な方向における曲率である。
【0186】
表面の領域:表面上の接続された点の集合。領域内のこの1組の点は、類似の特性(例えば、曲率または符号)を持ち得る。
【0187】
サドル領域:(上り坂または下り坂を歩行し得る架空の人が向く方向に応じて)各点において主要な曲率が反対の符号(すなわち、片方が正の符号および他方が負の符号)を有する領域。
【0188】
ドーム領域:各点において主要な曲率が同一符号(双方とも正(「凹状ドーム」)または双方とも負(「凸状ドーム」))を持つ領域。
【0189】
円筒状領域:1つの主要な曲率がゼロ(または例えば製造交差内のゼロ)をとり、他方の主要な曲率が非ゼロである領域。
【0190】
平面領域:主要な曲率双方がゼロであるか(または例えば製造交差内のゼロである)表面の領域。
【0191】
表面の縁部:表面または領域の境界または限界。
【0192】
経路:本技術の特定の形態において、「経路」は、数学的-トポロジー的意味合いにおける経路(例えば、表面上におけるf(0)からf(1)への連続空間曲線)を意味するものとしてとられる。本技術の特定の形態において、「経路」は、例えば表面上の1組の点を含むルートまたはコースとして記述され得る。(架空の人の経路は、表面上において歩行する場所であり、庭の経路に類似する)。
【0193】
経路長さ:本技術の特定の形態において、「経路長さ」とは、表面に沿ったf(0)からf(1)への距離(すなわち、表面上の経路に沿った距離)を指すものとしてとられる。表面上の2つの点間において1つよりも多くの経路があり得、このような経路は、異なる経路長さを持ち得る。(架空の人の経路長さは、表面上を経路に沿って歩行する距離である)。
【0194】
直線距離:直線距離は、表面上の2つの点間の距離であるが、表面は考慮しない。平面領域上において、表面上の2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する表縁上の距離がある。非平面表面上において、2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する経路は存在し得ない。(架空の人にとって、直線距離は、「カラスが飛ぶ」距離に対応する)。
【0195】
5.7.3.3 空間曲線
空間曲線:平面曲線と異なり、空間曲線は、任意の特定の平面内に必ずしも存在しない。空間曲線は閉鎖され得る。すなわち、終点を有さない。空間曲線は、三次元空間の一次元ピースとみなされ得る。DNA螺旋の鎖上を歩行している架空の人物は、空間曲線に沿って歩行する。典型的なヒトの左耳は、左手螺旋を含む。典型的なヒトの右耳は、右手螺旋を含む。構造の縁部(例えば、膜またはインペラの縁部)は、空間曲線をたどり得る。一般的に、空間曲線は、空間曲線上の各点における曲率およびねじれによって記述され得る。ねじれとは、平面から発生する曲線の様態の尺度である。ねじれは、符号および大きさを有する。空間曲線上の点におけるねじれは、当該点における接線ベクトル、法線ベクトルおよび従法線ベクトルに対して特徴付けられ得る。
【0196】
接線単位ベクトル(または単位接線ベクトル):曲線上の各点について、当該点におけるベクトルは、当該点からの方向および大きさを指定する。接線単位ベクトルとは、当該点における曲線と同じ方向を向く単位ベクトルである。架空の人物が曲線に沿って飛行しており、特定の点において自身の車両から落ちた場合、接線ベクトルの方向は、その人物が移動しているはずの方向である。
【0197】
単位法線ベクトル:架空の人物が曲線に沿って移動している場合、この接線ベクトルそのものが変化する。接線ベクトルが変化している方向と同じ方向を向く単位ベクトルは、単位主法線ベクトルと呼ばれる。これは、接線ベクトルに対して垂直である。
【0198】
従法線単位ベクトル:従法線単位ベクトルは、接線ベクトルおよび主法線ベクトル双方に対して垂直である。その方向は、右手の法則または表すあるいは左手の法則によって決定され得る。
【0199】
接触平面:単位接線ベクトルおよび単位主法線ベクトルを含む平面。
【0200】
空間曲線のねじれ:空間曲線の点におけるねじれとは、当該点における従法線単位ベクトルの変化速度の大きさである。これは、曲線の接触平面からの逸脱の程度を測定する。平面内にある空間曲線のねじれはゼロである。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的少量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的小さい(例えば、緩やかに傾斜する螺旋状経路)。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的大量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的大きい(例えば、急勾配に傾斜する螺旋状経路)。
【0201】
5.7.3.4 穴
表面は、一次元穴を持ち得る(例えば、平面曲線または空間曲線によって境界付けられた穴)。穴を含む肉薄構造(例えば、膜)の場合、この構造は、一次元穴を有するものとして記述され得る。例えば、
図2Gに示す構造の表面中の一次元穴が平面曲線によって境界付けられる様子を参照されたい。
【0202】
構造は、二次元穴(例えば、表面によって境界付けられた穴)を持ち得る。例えば、可膨張性タイヤは、タイヤ内面によって境界付けられた二次元穴を有する。別の例において、空気またはゲルのためのキャビティを備えたブラダーは、二次元穴を持ち得る。さらに別の例において、導管は、(例えばその入口またはその出口において)一次元穴を含み得、導管の内面によって境界付けられた二次元穴を含み得る。
図2Iに示す構造を通じておりかつ図示のように表面によって境界付けられた二次元穴も参照されたい。
【0203】
5.8 他の注意事項
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0204】
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的実行が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0205】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的な方法および材料が本明細書中に記載される。
【0206】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0207】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0208】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していないと認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0209】
「含む(comprises)」および「含む(comprising)」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在するか、利用されるか、組み合わせられ得ることを示す。
【0210】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0211】
本明細書中の技術について、特定の例を参照して述べてきたが、これらの例は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「第1の」および「第2の」という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその態様を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0212】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0213】
1000 患者
1100 同床者
3000 患者インターフェース
3100 シール形成構造
3200 プレナムチャンバ
3300 位置決めおよび安定化構造
3400 通気部
3600 接続ポート
3700 前額支持部
4000 RPTデバイス
4010 外部ハウジング
4012 上部
4014 下部
4015 パネル
4016 シャーシ
4018 ハンドル
4020 空気圧ブロック
4110 フィルタ
4112 入口空気フィルタ
4114 空気出口フィルタ
4122 入口マフラー
4124 出口マフラー
4140 圧力生成器
4142 送風機
4144 モータ
4170 空気回路
4180 補充用ガス
4200 電気構成要素
4202 PCBA
4210 電気電源
4220 入力デバイス
4220 入力デバイス
4230 中央コントローラ
4270 変換器
4290 出力デバイス
5000 加湿器
6000 送風機
6010 入口カバー
6015 送風機入口
6020 モータ
6022 磁石
6024 ステータアセンブリ
6026 積層スタック
6028 巻線
6030 ロータ
6041 第1のインペラ
6041 第2のインペラ
6043 第3のインペラ
6050 第1の定置型構成要素
6055 ステータ羽根
6060 第2の定置型構成要素
6062 上端部
6064 中間部分
6065 ステータ羽根
6066 下端部
6067 ステータ羽根
6068 管部
6069 杭
6080 第3の定置型構成要素
6085 ステータ羽根
6088 送風機出口
6091 上側ベアリング
6092 下側ベアリング
6095 バネ
6100 上側ベアリングスリーブ
6110 円筒状側壁
6115 リブ
6120 保持構造
6200 下側ベアリングスリーブ
6210 円筒状側壁
6215 リブ
6217 ねじ山
6219 リベット
6220 保持構造
6310 円筒状側壁
6320 端壁
6330 開口部
6340 支持部
6342 ベース壁
6343 穴
6344 支持壁
6345 側壁
6346 側壁
6348 チャネル
6350 中間接続部
6352 開口部
6410 円筒状側壁
6420 端壁
6430 開口部
6440 支持部
6442 ベース壁
6443 穴
6444 支持壁
【国際調査報告】