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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】雄ねじクリアランスの楕円形設計
(51)【国際特許分類】
   E21B 17/00 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
E21B17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554216
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(85)【翻訳文提出日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 EP2021056075
(87)【国際公開番号】W WO2021180800
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】20162266.9
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520344785
【氏名又は名称】サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション ツールズ アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヤンソン, トマス
(72)【発明者】
【氏名】ヌールマン, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ノードベリ, アンデシュ
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129BA19
(57)【要約】
ドリルストリングであって、細長い中空の主長セクション(101)と;雄ねじセクション(107)、並びに前記主長セクション(101)及び前記ねじセクション(107)の軸方向中間に配置された非ねじシャンク(109)を有する、前記第2の端部(106)に設けられた雄型スピゴット部分(108)とを備え、前記シャンク(109)は、前記主長セクション(101)又は前記第2の端部(106)、前記移行セクション(206)に半径方向に突出する肩部(110)に隣接して配置された移行セクション(206)を有し、前記長手方向軸(204)の平面における前記移行セクション(206)の前記外面の前記断面形状プロファイルは、半長軸(a)、半短軸(b)を有する楕円のセグメントを含み、前記半長軸対半短軸の比(a:b)は2b<a<8bの範囲内である、ドリルストリング。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリルストリングの一部を形成するためのドリルストリングロッド(100)であって、
第1の端部(105)と第2の端部(106)との間で軸方向に延びる細長い中空の主長セクション(101)と、
雄ねじセクション(107)、並びに前記主長セクション(101)及び前記ねじセクション(107)の軸方向中間に配置された非ねじシャンク(109)を有する、前記第2の端部(106)に設けられた雄型スピゴット部分(108)と
を備え、
前記シャンク(109)は、前記主長セクション(101)又は前記第2の端部(106)の半径方向に突出する肩部(110)に隣接して配置された移行セクション(206)を有し、前記移行セクション(206)は、前記スピゴット部分(108)から前記主長セクション(101)又は前記肩部(110)に向かう方向に増加する外径を有し、
長手方向軸(204)の平面における前記移行セクション(206)の外面の断面形状プロファイルは、式:
に従う、半長軸(a)、半短軸(b)、及び指数因子(n)を有する楕円(214)のセグメントを含み、前記半長軸と前記半短軸との比(a:b)は、2b<a<8bの範囲内であること
を特徴とする、ロッド(100)。
【請求項2】
前記非ねじシャンク(109)は、前記ねじセクション(107)に軸方向に最も近くに配置された直線部(205)と、側面(203)に軸方向に最も近くに配置された湾曲した移行セクション(206)とに軸方向に分割される、請求項1に記載のロッド(100)。
【請求項3】
前記非ねじシャンク(109)は、側面(203)から前記ねじセクション(107)まで通して延びる湾曲した移行セクション(206)のみを有する、請求項1に記載のロッド(100)。
【請求項4】
前記半長軸と半短軸との比(a:b)は、2.5b<a<6bの範囲内である、請求項1から3のいずれか一項に記載のロッド(100)。
【請求項5】
前記半短軸(b)は、以下の式:
に従って前記ねじセクション(107)の寸法に比例し、式中、Diは、対向するトラフ(208)間の前記ねじセクション(107)の直径であり、Dyは、対向する螺旋状隆起部(207)間の前記ねじセクション(107)の直径である、請求項1から4のいずれか一項に記載のロッド(100)。
【請求項6】
前記指数因子(n)は、1≦n≦3の範囲内である、請求項1から5のいずれか一項に記載のロッド(100)。
【請求項7】
前記楕円(214)の頂点(215)が、前記肩部(110)の環状側面(203)との接線に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載のロッド(100)。
【請求項8】
前記楕円(214)の頂点(215)が、前記肩部(110)の環状側面(203)をアンダーカットしている、請求項1から6のいずれか一項に記載のロッド(100)。
【請求項9】
前記楕円(214)のx軸は、長手方向軸(204)に平行である、請求項1から8のいずれか一項に記載のロッド(100)。
【請求項10】
前記楕円(214)のx軸は、長手方向軸(204)に対して傾斜している、請求項1から8のいずれか一項に記載のロッド(100)。
【請求項11】
前記長手方向軸(204)の前記平面内の前記移行セクション(206)の前記外面の前記断面形状プロファイルは、楕円(214)の四分円セグメントを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のロッド(100)。
【請求項12】
前記長手方向軸(204)の前記平面内の前記移行セクション(206)の前記外面の前記断面形状プロファイルは、楕円(214)の四分円セグメントより大きなセグメントを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のロッド(100)。
【請求項13】
前記長手方向軸(204)の前記平面内の前記移行セクション(206)の前記外面の前記断面形状プロファイルは、楕円(214)の四分円セグメントより小さなセグメントを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のロッド(100)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のドリルストリングロッド(100)を備えるドリルストリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッドの一端に設けられた雄型スピゴット部分を有するドリルストリングの一部を形成するためのドリルストリングロッドに関し、特に、排他的ではないが、応力集中を最小にするように構成されたねじセクション及び非ねじシャンクを有するスピゴット部分に関する。
【背景技術】
【0002】
打撃穿孔は、相互接続された雄ねじ端部及び雌ねじ端部によって互いにエンドツーエンドで結合された複数の細長いドリルストリングロッドを介して、長いボアホールを形成するために使用される。確立された技術では、ドリルストリングの一端に取り付けられた削岩機ビットから伝達された衝撃を、ボアホールの底部の岩石に打ち込むことによって岩石を破壊する。典型的には、岩石を破壊するのに必要なエネルギーは、ドリルストリングの端部に(シャンクアダプタを介して)接触する油圧駆動ピストンによって生成され、ドリルストリングを介して最終的に基礎岩盤レベルまで伝搬する応力(又は衝撃)波を生成する。
【0003】
従来の雄ねじ結合部及び雌ねじ結合部は、米国特許第4,332,502号明細書、米国特許第4,398,756号、米国特許第1,926,925号、米国特許第5,169,183号、欧州特許第1705415号、英国特許第2321073号及び米国特許第4,687,368号明細書に記載されている。
【0004】
隣接するドリルロッドの雄ねじ端部及び雌ねじ端部が結合されてドリルストリングを形成するとき、継手は典型的には、穿孔中に曲げモーメントを受ける。これらの曲げモーメントは、結合部を疲労させ、継手のねじ部分内での破損につながる可能性がある。典型的には、損傷し、結合部の動作寿命を決定するのは、ねじ付き雄型スピゴットである。
【0005】
特に、ねじ付き雄型スピゴットの異なる直径とドリルロッドの主長(又は「肩部接触」結合に必要なロッド端部の環状肩部)との間の移行部は、曲げモーメント及び引張荷重に起因する潜在的に高い応力集中の領域を提供する。従来、ねじ付き雄型スピゴットと主長又は肩部との間の軸方向の移行部におけるロッドの外径は、半径方向外側に広がり、2つの領域の間に収容できる程度に大きい単一の曲率半径を有する湾曲形状プロファイルを有する。しかし、張力が200MPaの典型的なねじ結合部の場合、移行領域ではおよそ300MPaの応力レベルに達する。したがって、疲労及び破損の可能性が非常に高く、複数のねじ結合部はドリルストリングの著しく弱い領域を意味する。ドリルロッドは、典型的には、使用中に雄型スピゴットの破断を回避しようとするために、所定の寿命に従って定期的に交換され、それにより穿孔作業に著しい混乱が生じる。欧州特許第2845991号明細書は、この領域の応力を低減する設計を開示しており、ここでは、ねじ付き雄型スピゴットと主長又は肩部との間の軸方向のロッドの外径が、二重半径曲率を有する湾曲形状プロファイルで半径方向外側に広がっているが、移行領域の応力のレベルは依然として所望よりも高い。したがって、これらの問題に対処するドリルロッドが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、ロッドの主長セクションの端部とスピゴットとの間の移行領域における応力集中の可能性を最小にしてロッドの動作寿命を延ばし、使用時の疲労及び破損のリスクを最小にするように最適化された雄ねじ結合部を有するドリルストリングロッドを提供することである。さらなる特定の目的は、大きな曲げモーメント及び引張荷重に耐える能力が向上した、既存の穿孔装置及び方法に適合するドリルロッドを提供することである。
【0007】
本目的は、主長セクションの端部との境界面に軸方向に配置された移行領域、又は主長セクションの端部に環状肩部を特に構成することによって達成される。本発明は、入射曲げモーメント又は引張荷重から生じる、雄型スピゴットと主長セクションとの接合部における応力集中が、既知の設計と比較して低減されたドリルロッド結合部を提供する。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、ドリルストリングの一部を形成するためのドリルストリングロッドが提供され、前記ロッドは、第1の端部と第2の端部との間で軸方向に延びる細長い中空の主長セクションと;雄ねじ(externally threaded)セクション、並びに前記主長セクション及び前記ねじセクションの軸方向中間に配置された非ねじシャンクを有する、前記第2の端部に設けられた雄型スピゴット部分とを備え、前記シャンクは、前記主長セクション又は前記第2の端部の半径方向に突出する肩部に隣接して配置された移行セクションを有し、前記移行セクションは、前記スピゴット部分から前記主長セクション又は前記肩部に向かう方向に増加する外径を有し、長手方向軸の平面における前記移行セクションの外面の断面形状プロファイルは、式:
に従う、半長軸(a)、半短軸(b)、及び指数因子(n)を有する楕円のセグメントを含み、前記半長軸と前記半短軸との比(a:b)は、2b<a<8bの範囲内であることを特徴とする。
【0009】
有利には、これにより、剛性が向上し、曲げモーメント及び引張力に関してより弾性がある雄型結合端部が提供される。移行セクションは、スピゴットが肩部から軸方向に突出するセクションにおける応力集中を排除又は少なくとも最小化するように構成される。半長軸と半短軸との長さの比がこれを上回るか下回ると、応力集中が増大する。その結果、破損の危険性が低減され、したがってロッドの動作寿命が増加する。任意選択的に、移行セクションはまた、形状プロファイルが直線及び/又は異なる湾曲プロファイルであるセグメントを含んでもよい。
【0010】
任意選択的に、非ねじシャンクは、ねじセクションに軸方向に最も近くに配置された直線部と、側面に軸方向に最も近くに配置された湾曲した移行セクションとに軸方向に分割される。肩部とねじ部との間の距離を増加させることが有利である場合がある。この場合、直線セクションを含むことも有益であろう。
【0011】
代替的に、非ねじシャンクは、側面からねじセクションまで通して延びる湾曲した移行セクションのみを有する。非ねじシャンクが短い場合、応力集中を可能な限り低く保つのに役立つので、湾曲した移行セクションのみ、すなわち直線セクションがないことが有利である。
【0012】
好ましくは、半長軸と半短軸との比(a:b)は、2.5b<a<6bの範囲内である。有利には、この狭い比の範囲内では、スピゴットが肩部から軸方向に突出するセクションにおける応力集中がさらに低減され、これは大きな曲げモーメント及び引張応力に耐える能力が向上することを意味する。
【0013】
好ましくは、半短軸(b)は、以下の式:
に従ってねじセクションの寸法に比例し、式中、Diは、対向するトラフ間のねじセクションの直径であり、Dyは、対向する螺旋状リッジ間のねじセクションの直径である。有利には、半長軸(b)の長さは可能な限り大きく、これは、鋭い端部のない楕円形状を提供し、したがって応力集中を最も低くするためである。しかしながら、半長軸(b)の長さが高すぎる場合、肩部が実質的に存在しなくなるため、雄型端部と雌型端部との間でエネルギーを効果的に伝達することができず、ロッドの雌型端部が破損する。
【0014】
好ましくは、指数係数(n)は、1≦n≦3の範囲内である。有利には、これは、応力集中が最も低くなる楕円形プロファイルを有する移行セクションを提供する。
【0015】
任意選択的に、楕円の頂点は、肩部の環状側面との接線に配置される。代替的に、楕円の頂点は、肩部の環状側面をアンダーカットしている。異なる荷重ケースには、異なる形態の楕円が有効な場合がある。
【0016】
任意選択的に、楕円のx軸は、長手方向軸に平行である。代替的に、楕円のx軸は、長手方向軸に対して傾斜している。異なる荷重ケースには、異なる形態の楕円が有効な場合がある。
【0017】
任意選択的に、長手方向軸の平面内の移行セクションの外面のプロファイルは、楕円の四分円セグメントを含む。代替的に、長手方向軸の平面内の移行セクションの外面の断面形状プロファイルは、楕円の四分円セグメントよりも大きなセグメントを含む。代替的に、長手方向軸の平面内の移行セクションの外面の断面形状プロファイルは、楕円の四分円セグメントよりも小さなセグメントを含む。異なる荷重ケースには、異なる形態の楕円が有効な場合がある。
【0018】
本明細書では、「湾曲」への言及は、表面プロファイルの滑らかな又は漸進的な変化、及び集合的に「湾曲」形状プロファイルと見なすことができる直径の複数の連続的な線形増加(又は減少)を包含する。例えば、「湾曲」という用語は、各ステップの縁部又は中央領域が集合的に曲線を画定すると見なすことができるような、比較的小さな線形ステップ変化を包含する。
【0019】
好ましくは、ロッドは、主長セクションから半径方向に突出する肩部を備え、肩部の外径は、シャンクの主長セクション及び移行セクションの外径よりも大きい。そのような構成は、雄型スピゴットと雌型スリーブとの間の従来の「肩部接触」結合を可能にし、これは、雄型部分及び雌型部分の領域におけるロッド端部間のより大きな直径及び表面積の接触のために、代替的な「底部接触」よりも好ましい。
【0020】
好ましくは、移行セクションと接触する肩部の側面は、長手方向軸に対して実質的に垂直に整列した環状の半径方向外側領域を含む。したがって、湾曲した移行セクションは、雌型スリーブの環状端面による接触のための平坦な環状面を提供するために、環状側面の半径方向全長にわたって連続しない。
【0021】
任意選択的に、ねじセクションは、少なくとも1つの軸方向に延びる螺旋状隆起部及び溝を備え、ねじセクションと移行セクションとの間の軸方向のシャンクの外径は、ねじセクションの隆起部に対応する軸方向及び半径方向の位置におけるねじセクションの外径に実質的に等しい。任意選択的に、ねじセクションは、二重又は三重螺旋などとして形成された複数のねじ山を含む。そのような構成は、所望の機械的及び物理的特性を有する所望のねじプロファイルを達成するように選択することができる。
【0022】
任意選択的に、シャンクの断面積は、ねじセクションと主長セクション又は肩部との間のシャンクの軸方向全長にわたって、長手方向軸に垂直な平面内の主長セクションの断面積に少なくとも等しい。任意選択的に、ねじセクションの直径は、主長セクションの直径よりもわずかに小さい。したがって、シャンクは、曲げモーメント及び引張荷重中に堅牢であり、ロッドの長さに沿った直径の変化から生じる応力集中の発生を回避するように構成される。
【0023】
好ましくは、第1の端部は、ドリルストリングの隣接するロッドの雄型スピゴット部分のねじセクションと係合する雌ねじ(internal threaded)セクションを有する雌型中空部分を含む。好ましくは、雌型部分のねじセクションの内径は、主長セクションの外径と実質的に等しい。したがって、本結合部は、細長い中空の主長セクションに対して直径及び断面積(ロッドの長手方向軸に垂直)が拡大された領域を提供する。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、本明細書で特許請求されるドリルストリングロッドを備えるドリルストリングが提供される。
【0025】
ここで、本発明の具体的な実施態様を、単なる例として、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の特定の実施態様による、協働する雄ねじ結合部及び雌ねじ結合部によってエンドツーエンドで接続された複数の細長いドリルロッドから形成されるドリルストリングの外観図である。
図2】本発明の特定の実施態様による雄型結合部の領域における図1のドリルロッド端部の外観側面図であり、非ねじシャンクは、直線部と湾曲した移行セクションとに軸方向に分割されている。
図3】本発明の代替的な実施態様による雄型結合部の領域における図1のドリルロッド端部の外観側面図であり、非ねじシャンクは湾曲した移行セクションのみを有する。
図4】本発明の一実施形態による雄型結合部のシャンク部の拡大図であり、移行セクションの楕円形プロファイルの頂点は肩部の接線にある。
図5】本発明の代替実施形態による雄型結合部のシャンク部の拡大図であり、移行セクションの楕円形のプロファイルは肩部の環状側面をアンダーカットしている。
図6】本発明の代替実施形態による雄型結合部のシャンク部の拡大図であり、移行セクションの楕円形プロファイルは傾斜している。
図7a-7g】先行技術(図7a)を本発明の異なる実施形態(図7b~g)と比較した安全率の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1を参照すると、ドリルストリングは、複数の相互接続されたドリルストリングロッド100を備える。各ロッド100は、第1の端部105及び第2の端部106を有する主長セクション101を備える。主長セクション101の外径は、各端部105、106で増加し、半径方向にフレア状の端部結合領域103、104をそれぞれ形成する。各結合領域103、104の一部は、領域103、104が互いに係合し、複数のロッド100を相互接続してドリルストリングを形成するための固定ねじ結合部102を形成することを可能にするねじ部分を備える。特に、雄型端部103は、そこから雄型スピゴット108を軸方向に突出させる環状肩部110を備える。スピゴット108は、最端ねじセクション107と、ねじセクション107及び肩部110の軸方向中間に配置された非ねじシャンク109とに軸方向に分割される。内部ボア113が、主長セクション101及び均一な内径のスピゴット108を通って軸方向に延びる。雌型端部104は、雄ねじセクション107のねじターンと協働するようにスリーブ111の内面に形成された協働するねじ山112を有する中空スリーブ111を備える。雄型端部103及び雌型端部104が結合されると、雌スリーブ111の軸方向最端環状面115が肩部110に当接し、雄型スピゴット108の環状端面114がスリーブ111内に完全に収容される。
【0028】
図2を参照すると、管状主長セクション101は、肩部110に位置する円筒状表面202で終端する環状凹状領域201を提供するために、肩部110で半径方向外側に広がった円筒状外面200を備える。したがって、軸204に垂直な平面内の表面202の直径及び断面積は、主長面200の(平行な平面内の)対応する直径又は断面積よりも大きい。肩部110、特に円筒状表面202は、軸204に垂直に整列した環状側面203によってスピゴット側で終端している。スピゴット108は、表面203の半径方向内側領域から軸方向に突出し、主長セクション101及び環状肩部110と同軸に整列する。図1に示すように、スピゴット108は、スピゴット108内のボアの内径が主長セクション101を通って延びるボア113の内径に等しくなるように、ほぼ管状の構成を備える。
【0029】
ねじセクション107は、特定の実施態様によれば、シャンク109からスピゴット端部114まで軸方向に延びる1対の螺旋状巻線209を備える。特に、1対の螺旋状隆起部207及びトラフ208が、セクション107の上に軸方向に延びる。
【0030】
図2は、非ねじシャンク109が、ねじセクション107に軸方向に最も近くに配置された直線セクション205と、側面203に軸方向に最も近くに配置された湾曲した移行セクション206とに軸方向に分割されてもよいことを示す。直線セクション205の外面は軸204に実質的に平行であり、一方、移行セクション206の外面は、ねじセクション107からの方向において半径方向外側に先細になり、環状側面203に接触する。直線部205と移行セクション206とを合わせた軸方向長さは、肩面202の軸方向長さに等しいか、それより大きいか、又はそれより小さいが、ねじセクション107の軸方向長さより小さい可能性がある。したがって、直線セクション205の直径又は断面積は、移行セクション206の直径又は断面積よりも小さい。さらに、直線部205の直径又は断面積は、ピーク207の半径方向最外部に対応する軸方向及び半径方向位置におけるねじセクション107の直径又は断面積にほぼ等しい。
【0031】
図3は、代替的に、非ねじシャンク109が、側面203からねじセクション107まで通して延びる湾曲した移行セクション206のみを有してもよいことを示している。言い換えれば、直線状の長さ部205は存在し得ない。
【0032】
図2及び図3を参照すると、移行セクション206は、スピゴット108と環状肩部110との間の移行領域と見なすことができる。図2及び図3に示すように、移行セクション206は、軸204に沿った平面内の移行セクション206の外面プロファイルが、楕円214の周囲の四分円セグメントに対応するプロファイル、又は楕円214の四分円セグメントよりもわずかに大きな若しくはわずかに小さなプロファイルを有する漸進的な曲率に従って湾曲するように、ねじセクション107から肩部110まで直径及び断面積が増加する。楕円214は、半長軸(x)及び半短軸(y)を有する。好ましくは、第1の半径から第2の半径への移行セクション206の長さに沿った変化は急激ではなく、代わりに、移行セクション206の長さに沿った半径の連続的で漸進的な変化がある。任意選択的に、移行セクション206はまた、形状プロファイルが直線状である、及び/又は形状プロファイルが楕円形プロファイルのいずれかの端部に、若しくは楕円形プロファイルに沿った中断部として配置され得る異なる湾曲プロファイルを有するセグメントを含んでもよい。
【0033】
楕円の方程式は、n=2の場合、ラメ曲線:
によって定義され、式中、
xは、x軸上の座標であり、
yは、y軸上の座標であり、
aは、半長軸(x)であり、
bは、半短軸(y)であり、
nは曲線の形状を決定する。n=2は、通常の楕円を定義する。n<2は準楕円(hypoellipse)を定義し、n>2は超楕円(hyperellipse)を定義する。
【0034】
楕円形プロファイル214は、図4の移行セクション206の拡大図に示されている。
【0035】
本発明において、長軸と短軸との比(a:b)は、2b<a<8b、好ましくは2b<a<6b、より好ましくは2.5b<a<6b、さらにより好ましくは2.5b<a<5.75bの範囲内である。
【0036】
好ましくは、半短軸(b)は可能な限り大きい。より好ましくは、半短軸(b)は、以下の式:
に従って、雄型スピゴット部分108のねじセクション107の直径に比例する。
【0037】
式中(図4に示すように):
Di=対向するトラフ208間のねじセクション107の直径、
Dy=対向する螺旋状隆起部207間のねじセクション107の直径
である。
【0038】
好ましくは、指数係数nは、1≦n≦3、好ましくは1.8≦n≦2.2の範囲内、最も好ましくは2である。
【0039】
移行セクション206の楕円形プロファイルの式は、輪郭測定機を用いて測定することができる。輪郭測定機は、移行セクション206の表面上で針を引きずり、次いで機器は、異なる幾何学的形状を適合させようとし、次いで測定された形状プロファイルの式を出力する。
【0040】
半長軸(x)の各端点には楕円214の頂点215があり、短軸(y)の各端点には楕円214の短軸上の頂点(co-vertex)216がある。任意選択的に、楕円の頂点215は、図4に示すように、肩部110の環状側面203との接線に配置される。
【0041】
図5は、楕円214の頂点215が肩部110の環状側面203をアンダーカットしている代替設計を示す。
【0042】
任意選択的に、楕円214のx軸は、図4に示すように、長手方向軸204に平行である。
【0043】
図6は、楕円214のx軸が204の長手方向軸に対して傾斜している代替形態を示す。
【0044】
頂点215の位置の任意の組み合わせは、上述したように、長手方向軸204に対するx軸の任意の向きと組み合わせることができることを理解されたい。
【0045】
移行セクション206のプロファイルは、強化された剛性を示し、従来の結合に対して曲げモーメント及び引張力に関してより弾性がある雄型結合端部を提供する。さらに、移行セクション206は、スピゴット108が肩部110から軸方向に突出するセクションにおける応力集中を排除又は少なくとも最小化するように構成される。
【0046】
図7a~図7gは、表1に示すような異なる移行セクション206のプロファイルについて、荷重ケースとして回転曲げを使用してDang van基準を使用して撮影された安全率の画像を示す。
【0047】
故障のリスクは、Dang van基準の値が減少するにつれて増加する。したがって、より暗い色は、故障のリスクがより高いことを意味する。図7a(従来技術)を図7b~図7g(本発明の実施形態)と比較することにより、本発明のプロファイルでは故障が発生するリスクが低下していることが分かる。応力画像は、LS-Dynaにおいて陰解法解析を使用して撮影され、Dang van基準は、nCodeソフトウェアを使用して抽出される。表1はまた、この機器から測定された安全率を示し、より高い安全率はより良好であり、より低い応力を示す。表1の結果から、全ての本発明のサンプルが従来技術のバージョンと比較してより高い安全率を有することが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a-7g】
【国際調査報告】