(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】風力発電所
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20230420BHJP
F03D 80/00 20160101ALI20230420BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20230420BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
H02J3/38 160
F03D80/00
H02J3/46
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554474
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(85)【翻訳文提出日】2022-11-08
(86)【国際出願番号】 DK2021050067
(87)【国際公開番号】W WO2021180280
(87)【国際公開日】2021-09-16
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514130633
【氏名又は名称】ヴェスタス ウィンド システムズ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン,イェスパー
【テーマコード(参考)】
3H178
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA26
3H178AA43
3H178AA53
3H178BB21
3H178BB90
3H178CC21
3H178DD51X
3H178DD70X
5G064AA05
5G064AC05
5G064AC08
5G064CB06
5G064CB10
5G064CB16
5G064DA02
5G064DA05
5G066AB02
5G066HA15
5G066HB01
(57)【要約】
本発明は、配電線62に接続された複数の風力タービン56a~56dと、該配電線62を介して変電所52に接続された複数の開閉装置36a~36dを有する接続ステーションと、該複数の開閉装置36a~36dと該複数の風力タービン56a~56dとを接続する複数の電力ケーブル68a~68dと、を備えた風力発電所55に関する。複数の電力ケーブル68a~68dは、それぞれ複数の開閉装置36a~36dの内の単一の開閉装置と複数の風力タービン56a~56dの内の単一の風力タービンとを接続するように配置されている
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電線(62)に接続された複数の風力タービン(56a~56d)と、
前記配電線(62)を介して変電所(52)に接続される複数の開閉装置(36a~36d)を含む接続ステーション(64)と、
前記複数の開閉装置(36a~36d)と前記複数の風力タービン(56a~56d)とを接続する複数の電力ケーブル(68a~68d)と、を備え、
前記複数の電力ケーブル(68a~68d)は各々、前記複数の開閉装置(36a~36d)の内の単一の開閉装置と、前記複数の風力タービン(56a~56d)の内の車の単一の風力タービンとを接続するよう配置されている、風力発電所(55)。
【請求項2】
前記接続ステーション(64)は、前記複数の開閉装置(36a~36d)と配電線(62)とを接続する一次開閉装置(74)を更に備える、請求項1に記載の風力発電所(55)。
【請求項3】
前記複数の風力タービン(56a~56d)の内の少なくとも1つの風力タービンは、接続ボックス(82a~82d)を備え、
前記複数の電力ケーブル(68a~68d)の内の少なくとも1つの電力ケーブルは、前記接続ボックス(82a~82d)を介して、前記複数の開閉装置(36a~36d)の内の単一の開閉装置と前記少なくとも1つの風力タービンとを直接接続する、請求項1又は2に記載の風力発電所(55)。
【請求項4】
前記複数の風力タービン(56a~56d)の内の少なくとも1つの風力タービンは、開閉装置を含み、
前記複数の電力ケーブル(68a~68d)の内の少なくとも1つの電力ケーブルは、前記複数の開閉装置(36a~36d)の内の単一の開閉装置と、少なくとも一つの風力タービンとを前記開閉装置を介して直接接続する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の風力発電所(55)。
【請求項5】
前記接続ステーション(64)は、前記複数の開閉装置(36a~36d)と前記配電線(62)とを接続する昇圧変圧器(84)を更に備える、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の風力発電所(55)。
【請求項6】
前記昇圧変圧器(84)の定格が66kV以上である、請求項5に記載の風力発電所(55)。
【請求項7】
前記複数の風力タービン(56a~56d)の電力機器定格が36kV以下である、請求項5又は6に記載の風力発電所(55)。
【請求項8】
前記複数の電力ケーブル(68a~68d)の内の少なくとも1本の電力ケーブルは、前記複数の開閉装置(36a~36d)の内の単一の開閉装置と、前記複数の風力タービン(56a~56d)の発電機(23a~23d)とを直接接続して、前記発電機(23a~23d)からの交流出力が変圧されずに昇圧変圧器(84)に転送されるように構成される、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の風力発電所(55)。
【請求項9】
前記電力ケーブル(68a~68d)は、例えば、0.000095m
2、0.00012m
2又は0.00015m
2の断面積を持つ3つのコアで構成される、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の風力発電所(55)。
【請求項10】
前記接続ステーション(64)は、前記複数の風力タービン(56a~56d)の内の少なくとも1つの風力タービンに電力を供給するように構成された補助電源を更に含む、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の風力発電所(55)。
【請求項11】
前記風力発電所(55)は、洋上風力発電所であり、前記接続ステーション(64)が浮体式プラットフォーム上に位置する、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の風力発電所(55)。
【請求項12】
前記風力発電所(55)は、洋上風力発電所であり、前記接続ステーション(64)は、3つ又は4つのアンカーポイントを含むモノパイル又はジャケット上に位置する、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の風力発電所(55)。
【請求項13】
前記複数の電力ケーブル(68a~68d)は各々、制御信号を各開閉装置(36a~36d)に送るように構成された通信線を含む、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の風力発電所(55)。
【請求項14】
前記通信線は、光ファイバーケーブルである、請求項13に記載の風力発電所(55)。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の風力発電所(55)で使用するための複数の開閉装置(36a~36d)を含む接続局(64)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に風力発電所に関するものであり、特に、風力発電所を形成する風力タービンを接続するための配置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風力発電所は、ひも状に配置されるケーブルアレイで連結された複数の風力タービンを含んでいる。このような構成では、タービンを接続するシリアルアレイ電源ケーブル全体が、シリアルケーブルアレイ内のすべてのタービンの合計電力に対して最も頻繁にサイズ設定される。場合によっては、末端のタービン間、例えば、ひもアレイの又はシリアルアレイのケーブルの最後のタービンとそれより2番目のタービンとの間の断面積を減少させるために選択されたりする。
【発明の概要】
【0003】
改良された風力発電所を提供することが、本発明の目的として見ることができる。特に、風力発電所の寿命を維持又は延長し、風力発電所の発電量を維持又は増加させながら、風力発電所の設計コスト、風力発電所で使用される材料及び設備のコスト、風力発電所の試運転コスト、風力発電所の維持コストの1つ以上又は全てを削減する解決策を提供することを目的と見なすこともできる。
【0004】
好ましくは、本発明は、上記又は他の欠点の1つ以上を単独又は任意の組み合わせで緩和、軽減又は除去する。
【0005】
本発明の一態様によれば、配電線に接続された複数の風力タービンから構成される風力発電所、該配電線を介して変電所に接続される複数の開閉装置からなる接続ステーション、及び複数の開閉装置と複数の風力タービンとを接続する複数の電源ケーブルとを備え、該複数の電源ケーブルが、それぞれ、複数の開閉装置の内の単一の開閉装置と、複数の風力タービンの内の単一の風力タービンとを接続するように配置されている。
【0006】
これにより、改良型風力発電所が提供される。風力発電所で使用される材料や設備のコストが削減は、本発明の利点とすることができる。これは、記載されている風力発電所の接続ステーションと内部グリッドのレイアウトが有益であるという、ここで開示され、主張されている洞察によるものとできる。
【0007】
接続ステーションは更に、複数の開閉装置と配電線を接続する一次ス開閉装置を含むことができる。一次開閉装置は、複数の開閉装置と配電線を間接的に接続し、接続ステーションに接続されている全ての風力タービンを風力発電所と同時に接続又は切断することを可能にする。
【0008】
複数の風力タービンの内の少なくとも1つの風力タービンは、接続ボックスを構成し、複数の電力ケーブルの内の少なくとも1本の電力ケーブルが、接続箱を介して複数の開閉装置の内の単一の開閉装置と少なくとも1つの風力タービンとを直接接続することができる。接続ボックスは、各風力タービン内に風力発電所のグランド又は接地点を提供することができる。更に、接続ボックスの存在は、風力発電所の試運転及び/又はテストのための接続点としても有益であり、その間、風力タービンは存在しないことが多く、試運転及び/又はテストが完了した後にのみ取り付けられる。
【0009】
複数の風力タービンの内の少なくとも1つの風力タービンが開閉装置を含み、複数の電力ケーブルの内の少なくとも1つの電力ケーブルが、複数の開閉装置の内の単一の開閉装置と少なくとも1つの風力タービンとを開閉装置を介して直接接続することができる。この配置によれば、接続ステーションを使用する利点を引き出しながら、既知の風力タービン構成を利用できる。
【0010】
接続ステーションは更に、複数の開閉装置と配電線とを接続する昇圧変圧器を更に含むことができる。これにより、風力タービン内の電力機器の定格を下げることができる。
【0011】
昇圧変圧器の定格は66kV以上とすることができる。
【0012】
複数の風力タービンの電力機器の定格は、36kV以下とすることができる。電力機器の定格が36kV以下であることは、従来の電力機器に比べて小型化且つ低コスト化が可能であることを意味する。電力機器の小型化は、タワー内部へのアクセスを提供するタワードアのサイズを小さくすることができ、その結果、タワーに作用する負荷に対する構造的な応答性が向上するため、特に有利である。又、電力機器の小型化は、タワー内の空きスペースを増やすという、例えば収納スペースとして再利用できるという利点も有する。
【0013】
複数の電力ケーブルの内の少なくとも1本の電力ケーブルが、複数の開閉装置の内の単一の開閉装置と複数の風力タービンの内の1つの風力タービンの発電機とを直接接続し、発電機からの交流(AC)出力がそのまま昇圧変圧器に転送されるようにすることができる。又は、風力タービンはそれぞれ、発電機と接続ステーション上のそれぞれの開閉装置の間にそれぞれの電力変換器を配置して、発電機が可能な限り高い電圧を供給できるようにしてもよい(例えば1kV以上)。
【0014】
各電源ケーブルは、断面積が、例えば0.000095m2、0.00012m2、又は0.00015m2である3つのコアで構成されることができる。既知の電源ケーブルと比較して、電源ケーブルの断面積が比較的小さいことは、使用する材料が少ないことを意味し、コストを削減する。
【0015】
接続ステーションは更に、複数の風力タービンの少なくとも1つの風力タービンに電力を供給するように構成された補助電源を含むことができる。補助電源は、完全に稼働する前及び/又は特定の起動条件の下で、風力タービンに電力を供給するために使用することができる。
【0016】
風力発電所は洋上風力発電所であり、接続ステーションは浮体式プラットフォーム上にある。これにより、必要に応じて接続局の輸送が容易になる。
【0017】
或いは、風力発電所は洋上風力発電所であり、接続ステーションは3つ又は4つのアンカーポイントからなるモノパイル又はジャケット上に位置する。この配置は、既存のインフラを活用することができる。
【0018】
複数の電源ケーブルは、それぞれ制御信号を各開閉装置に送信するように構成された通信回線を構成することができる。
【0019】
通信回線は、光ファイバーケーブルであり、風力タービンとそれぞれの遮断器パネル間の高速通信を確保することができる。
【0020】
本発明の別の側面によれば、前述の態様にしたがって風力発電所で使用するための複数の開閉装置を含む接続ステーションが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
ここでは、本発明について前述した及びその他の態様について、添付の図面を参照して例としてのみ説明する。
【
図2】
図1の風力タービンに使用する発電システムの系統図である。
【
図3】
図1の風力タービンのアレイから成る既知の風力発電所の概略図である。
【
図4】ケーブルアレイの破損を示す
図3の既知の風力発電所の概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態による風力発電所の概略図である。
【
図6】
図5の風力発電所で使用される開閉装置の概略図である。
【
図7】本発明の別の実施形態による風力発電所の概略図である。
【
図8】本発明の更に別の実施形態による風力発電所の概略図である。
【
図9】本発明の更に別の実施形態による風力発電所の概略図である。図面では、類似の特徴は、適切な場合には類似の参照記号で示される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、本発明の具体的な実施形態について説明するが、ここでは、添付の請求項に定義された本発明の概念を十分に理解するために、多数の特徴について詳細に説明する。しかしながら、その発明が具体的な詳細を伴わずに実施される場合があり、場合によっては、発明の概念を不必要に曖昧にしないために、よく知られた方法、技術及び構造が詳細に説明されていないことが、熟練した読者には明らかである。
【0023】
図1は、一般に10で示される既知の風力タービンを示す。この特定の例では、風力タービン10は洋上風力タービンであり、熟練した読者は、洋上風力タービンであるか陸上風力タービンであるかにかかわらず、風力タービンの一般的な配置は同じであることを理解するだろう。この場合、風力タービン10は、現在使用されている最も一般的なタイプの、3枚ブレードの風上水平軸風力タービンである。風力タービン10は、ナセル14を支持するタワー12を備え、これにローター16が取り付けられている。ローター16は、中央ハブ20から放射状に延びる複数のローターブレード18を備える。この例では、ローター16は3つのローターブレード18を備えているが、風力タービン10の向きのために2つしか見えない。しかし、他のローター16の構成が可能であることは、熟練した読者には明らかであろう。ローター16は、ナセル14内に収納され、ボックス22によって概略的に表される発電システムに動作的に結合される。発電システム22は、ローター16によって駆動されて電力を生成するように配置された発電機と、発電機から出力された電力を電力網(図示せず)への送電に適した形に変換する電力変換システムとを備える。ナセル14とタワー12には、発電システム22に加えて、風力エネルギーを電気エネルギーに変換するために必要なその他のコンポーネント、及び風力タービン10の動作、制御、及び性能の最適化に必要なその他のさまざまなコンポーネントが収容されている。
【0024】
風力タービン10は、モノパイル24の形で沖合の基礎の上に配置されている。この例では、モノパイル24は、海底に積み上げられた複数の柱28に支持されたプラットフォーム26を含む。プラットフォーム26には、その下に位置し、風力タービン10を運ぶために配置されたトランジションピース30が設けられている。
【0025】
発電システム22を送電網の送電線又は配電線(図示せず)に適切に結合するように機能する結合変圧器32は、トランジションピース30の内部に配置され、タワー12の内部に延びる一組の導線34を介して発電システム22に動作的に接続されている。故障時に風力タービン10内の電気機器を隔離するための回路遮断器パネルを備える開閉装置36もトランジションピース30内に配置され、一組の電源ケーブル又はバスバー38を介して結合変圧器32に接続されている。
【0026】
回路遮断パネルに加えて、開閉装置36は、着信アレイケーブル40と発信アレイケーブル42に関連する高電圧ジョイントを含む。バスバー38、発電システム22、一組の導線34、結合変圧器32、及び開閉装置36は全て、風力エネルギーを電気エネルギーに変換するために必要なその他のコンポーネントと共に、風力タービン10の電力機器の一部を形成している。
【0027】
図2に示すように、風力タービン10の発電システム22のコンポーネントは従来のものであり、熟練した読者にはなじみのあるものであるため、概要のみを説明する。更に、
図2に示した発電システム22の例は代表的なものにすぎず、熟練した読者は、本発明が多くの異なる構成に適用可能であり、特定の変換器アーキテクチャに限定されないことを理解するであろう。すでに述べたように、発電システム22は、ローター16(
図2において図示せず)によって駆動されて電力を生成する発電機23と、結合変圧器32で終端する一組の導線34によって定義される低電圧リンクから構成される。発電システム22は又、発電機23と結合変圧器32の間に配置されたフィルタ27と共に電力変換システム25を含み、発電機23の出力を適切な周波数と適切な位相角を持つ波形に処理する。
【0028】
電力変換システム25は、発電機側変換器29に続いて、交流を直流に、直流を交流にそれぞれ変換するライン側変換器31に直列に通電することにより、交流から交流への変換を行う。発電機側変換器29は、発電機側変換器29のDC出力の平滑化を行うライン側変換器31とDCリンク33で接続される。発電機側変換器29の平滑化された直流出力は、ライン側変換器31によって直流入力として受信され、これによって三相交流出力が生成されて結合変圧器32に供給される。フィルタ27は、交流波形からスイッチング高調波を除去するローパスフィルタリングを提供する。
【0029】
ここまでは風力タービン10について個別に説明してきたが、一般的には、
図3に示すように、ケーブルアレイを介して電気的に接続された複数の風力タービンで構成される洋上風力発電所44の一部を構成する。
【0030】
図3の風力発電所44は、複数の風力タービン10a~10cと、それぞれのモノパイル24a~24c及びトランジションピース30a~30cとを備えている。この例では、3つの風力タービン10a~10cが示されているが、熟練した読者は、通常、10基から100基の風力タービンまで、一般的な風力発電所ではこれよりも多くの数があることを理解するだろう。それぞれが開閉装置36a~36cを含むトランジションピース30a~30cは、風力タービン10a~10cの設置に先立って設置される。この配置により、ケーブルアレイを形成するアレイケーブル46,48,50をエンドツーエンド又はストリング構成で接続し、風力タービン10a~10cを設置する前にテストすることができる。この例では、アレイケーブル46がトランジションピース30cの発信アレイケーブルとトランジションピース30bの着信アレイケーブルの機能を実行し、アレイケーブル48がトランジションピース30bの発信アレイケーブルとトランジションピース30aの着信アレイケーブルの機能を実行する。第1のトランジションピース30aに関連するアレイケーブル50は、他のアレイケーブル46,48を変電所52に接続し、変電所は配電網又は送電線(図示せず)に電力を供給するように配置されている。
図3には示されていないが、変電所52は通常、遮断器パネルを含む独自の開閉装置を含み、必要に応じて風力発電所44に接続又はから切断することができる。
【0031】
アレイケーブル46,48,50のストリング構成は、複数の風力タービン10a~10cを変電所52に接続する最初のアレイケーブル、この例ではアレイケーブル50が、各風力タービン10a~10cからの電流を運ぶのに十分な定格でなければならないことを意味する。一方、ストリング構成の最後のアレイケーブル、この例ではアレイケーブル46は、単一の風力タービン10cからの電流を運ぶだけでよい。これにより、複数の風力タービン10からの電流を運ぶために必要であって、ストリング構成において変電所52に近いアレイケーブルと比較して、変電所からストリング構成に沿っているほど、アレイケーブルの断面積を減らす機会が得られる。通常、このような配置では、最初と最後の電源ケーブルの断面積はそれぞれ約630mm2(0.00063m2)と240mm2(0.00024m2)であり、中間のアレイケーブルの断面積は、この例では電源ケーブル48で表され、どれだけの電流を運ぶ必要があるかによって、これらの値の間の値とできる。しかし、実際には、アレイケーブルがその目的に対して十分に評価されていることを保証するために、また断面積の異なるアレイケーブルを利用する経済性の理由から、全てのアレイケーブルは、ストリング構成内での位置に関係なく、上記の断面積のうち大きい方を持つ傾向がある。
【0032】
ストリング又はシリアル構成のケーブルアレイを使用するもう1つの重大な欠点は、ケーブルアレイが万一破損した場合に、ケーブルアレイ内の他の全ての風力タービンが使用できなくなり、風力発電所全体に拡大すると、エネルギー生産が大幅に減少する可能性がある。
【0033】
特に洋上の場所で、例えば、浮体式風力タービンが保守、修理又は同様の理由で他の風力タービンから取り外される必要がある場合、1つの風力タービンに関連するアレイケーブルはケーブルアレイに切れ目を形成する。これにより、ケーブルアレイ内の他の全ての風力タービンが使用できなくなり、風力発電所全体に拡大すると、エネルギー生産が大幅に減少する可能性がある。この状況は
図4に示されており、風力タービン10bが、関連するトランジションピース30b及びモノパイル24bと共に取り外され、ケーブルアレイに切れ目54が残されている。このような運用は10基又は100基の風力タービンで構成される風力発電所全体にスケールアップすると、エネルギー生産の大幅な損失となる可能性がある。切れ目54で電気ジョイントを使用して電力ケーブル46,48を一時的に接続することができ、これは、取り外した風力タービン10bがない状態で残りの風力タービン10a,10cを使用することができることを意味するが、これは特に大規模な洋上風力発電所全体で考えると、骨の折れる作業を伴う。したがって、結論として、開示された解決策の考えられる欠点は、ケーブルのサイズ設定に関して特別な設計上の考慮を行う必要がある場合や、特定の内部グリッドレイアウトが電力機器のコストの面でかなり高価になる可能性があることなどである。このように、既存の内部グリッド設計の様々な欠点がここに開示されており、このような背景から本発明が考案された。
【0034】
図5は、本発明の一実施形態による風力発電所55を示す。前に示した図との整合性の理由から、
図5には洋上風力発電所が示されているが、熟練した読者は、添付の特許請求の範囲に示されている本発明が、洋上風力発電所に限定されるものではなく、陸上風力発電所にも使用できることを理解するであろう。風力発電所55は複数の風力タービンで構成されており、この実施形態では、4つの風力タービン56a~56dとそれぞれのトランジションピース58a~58d及びモノパイル60a~60dによって表される。
図3に示されている既知の風力発電所の例と同様に、熟練した読者は、実際には、本発明の実施形態の風力発電所55は、10基から100基の範囲のより多くの風力タービンを含むことができることを理解するであろう。風力タービン56a~56dは、ナセルが収容された発電システムに作動的に結合されたローターを構成するという点で、ほとんどの点で既知の風力タービン10a~10dと同じである。発電システムは、ローターで駆動される発電機と、発電機から出力された電力を送電網への送電に適した形に変換する電力変換システムとを備える。各トランジションピース58a~58dには、発電システムを配電線62に適切に結合する結合変圧器32a~32dが含まれており、風力エネルギーを電気エネルギーに変換するために必要なさまざまなその他のコンポーネントと、風力タービン56a~56dの動作、制御、及び性能の最適化に必要なその他のコンポーネントももちろん含まれている。ただし、本発明の実施形態の風力タービン56a~56dは、既知の風力タービン10a~10dとは異なり、回路遮断器パネルを含む開閉装置を含まない。代わりに、風力発電所55は、一般的に64によって指定される接続ステーションを備え、該接続ステーション64は、配電線62によって変電所52に接続された複数の開閉装置36a~36dを備える。風力タービン56a~56dに開閉装置を持たないことは、開閉装置がない場合には、比較的小型軽量の単片としてトランジションピース58a~58dを作ることができ、輸送が容易になるという点で、風力発電所55の建設工程をより簡単にすることができるという利点がある。本実施形態は、洋上風力発電所55に関連するものであるため、接続ステーション64は、既存のインフラを利用して、風力タービンによって空けられた3つ又は4つのアンカーポイントからなるモノパイル又はジャケット上に設置されてもよく、或いは、保守又は修理その他の理由で接続ステーション64をまっすぐに輸送する浮体式プラットフォーム上に設置されてもよい。この実施形態では、接続ステーション64は、風力タービン56a~56dごとに1つずつ、計4つの開閉装置36a~36dを含み、風力タービン56a~56dと開閉装置36a~36dとの間に一対一の関係を提供する。風力発電所55は、並列に配置されて、開閉装置36a~36dと結合変圧器32a~32dとを電気的に接続する複数の電力ケーブルを備える。本発明の実施形態では、複数の電源ケーブルは4本の電力ケーブル68a~68dで構成され、それぞれの電源ケーブルは開閉装置36a~36dの1つを結合変圧器32a~32dの1つに接続する。開閉装置36a~36dはそれぞれ、バスバー72で互いに接続されたそれぞれの出力電力ケーブル70a~70dで構成され、バスバー自体が配電線62に接続されている。本発明のこの実施形態、及び以下の他の実施形態では、
図5に示すように、バスバー72と配電線62の間の接続は直接接続であってもよく、或いは接続ステーション64は主開閉装置74を備えていてもよい。主開閉装置74は、開閉装置36a~36dと配電線62との間接接続を提供し、接続ステーション64に接続された全ての風力タービン56a~56dを風力発電所55と同時に接続又は切断することを可能にする。
【0035】
図6は、
図5に示す開閉装置36a~36dの1つの概略図である。この例では、開閉装置36aのみが示されているが、本発明のこの実施形態では、残りの開閉装置36b~36dと主開閉装置74は同じ構成で有することが理解されるべきである。開閉装置36aは、一般に76で指定される高電圧ジョイントを含み、これは、出力電力ケーブル70aに関連するスイッチアセンブリ78と、スイッチギア開閉装置36aが接続されている1つ以上の結合変圧器32aを保護するための回路遮断器パネル80とを備えている。この配置により、風力タービン56aを設置する前の出力電力ケーブル70aの試験が容易になるだけでなく、例えば風力タービン56aのサービス運転を行う際には、風力タービン56aを風力発電所55から切り離して通電解除することができる。風力発電所55から風力タービン56aを完全に取り外したり、電気的に切り離したりする必要がある状況において、例えば、故障が発生した場合、複数の電力ケーブル68a~68dが並列に配置され、単一の開閉装置36a~36dを単一の風力タービン56a~56dに接続することは、他の風力タービン56aが他の風力タービン56b~56dから電気的に隔離されていることを意味し、他の風風力タービン56b~56dをシャットダウンすることなく接続ステーション64から切断することができる。したがって、風力発電所55は、風力タービン56a~56dが切り離されている数と比較して、エネルギー生産において不均衡な損失を被ることはない。
【0036】
開閉装置36a~36dとそれぞれの風力タービン56a~56dとを一対一の関係で接続する電力ケーブル68a~68dの並列構成は、各電力ケーブル68a~68dが単一の風力タービン56a~56dからの電流を運ぶだけで済むことも意味する。これは、例えば、アレイケーブル50が直列に接続された複数の風力タービン10a~10cから電流を運ぶために必要であり、それに応じて定格されなければならず、一般的に約630mm
2の断面積を必要とする
図3に示された状況とは対照的である。しかし、本発明の実施形態及び他の実施形態における各電力ケーブル68a~68dは、単一の風力タービン56a~56dから電流を流す必要があるため、それぞれの断面積は240mm
2程度と比較的小さくできる。或いは、各電力ケーブル68a~68dは、約95mm
2(0.00095m
2)、120mm
2(0.00012m
2)、又は150mm
2(0.00015m
2)の断面積を持つ3つのコアで構成され、そのいずれかを使用して単一の風力タービン56a~56dから電流を運ぶことができる。これは、より少ない材料を使用することによって、風力発電所55の全体的なコストを削減するだけでなく、電力ケーブル68a~68dのネットワークの複雑さを軽減し、風力発電所55の試運転と保守のプロセスを比較的簡単にする機会を提供する。
【0037】
図7は、本発明の別の実施形態による風力発電所55を示す。この実施形態は、風力タービン56a~56dが更にそのトランジションピース58a~58d内に収容された接続ボックス82a~82dを含むことを除いて、
図5に示された前述した実施形態とほぼ同じである。接続ボックス82a~82dは、それぞれの結合変圧器32a~32dと電力ケーブル68a~68dとの間の高電圧接続部を構成することができ、風力タービン56a~56d内の風力発電所55のグランド又は接地点を提供することができる。更に、接続ボックス82a~82dを含めることは、風力発電所55の試運転及び/又はテストを行う際の接続点としても有益であり、その間、風力タービン56a~56dは存在しないことが多く、試運転及び/又はテストが完了した後にのみ取り付けられる。
【0038】
図8は、本発明の別の実施形態による風力発電所55を示す。この実施形態では、接続ステーション64が配電線62を介して変電所52に接続された昇圧変圧器84を更に備える点を除いて、
図5に示した実施形態とほぼ同じである。一例では、昇圧変圧器84の定格は66kV以上である。例えば、昇圧変圧器84は定格が132kV以上である場合があり、これは、風力タービン56a~56d内の電力機器自体は同等の定格である必要がなく、代わりに、電力機器のコスト、サイズ、及び/又は複雑さを低減する、例えば36kV以下のような低い定格を持つことができることを意味する。たとえば、風力タービン56a~56d内の電力機器の定格は、1kV,3、3kV,7、4kV,10kV,15kV,16kV,24kV、又は33kVである。電力機器の小型化は、タワー内部へのアクセスを提供するタワードアのサイズを小さくすることができ、その結果、タワーに作用する負荷に対する構造的な応答性が向上するため、特に有利である。又、電力機器の小型化は、タワー内の空きスペースを増やすという、例えば収納スペースとして再利用できるという利点もある。特に、低定格の電力機器は、高定格の電力機器よりもはるかに安価である。更に、高定格電力機器の集中化は、このような高定格電力機器の数を減らすことを意味する。
【0039】
図9は、本発明の別の実施形態による風力発電所55を示す。この実施形態では、発電機からの交流出力がそのまま昇圧変圧器84に転送されるように、風力タービン56a~56dの発電機23a~23dと接続ステーション64上の各開閉装置36a~36dを電力ケーブル68a~68dで接続する点を除けば、
図8に示した前述した実施形態と同様である。この配置により、各風力タービン56a~56d内で個別の変換器及び/又は電力変換器25を必要とせず、これらの機能的コンポーネントの集中型バージョンに置き換えることができる。あるいは、風力タービン56a~56dはそれぞれ、発電機23a~23dと接続ステーション64上のそれぞれの開閉装置36a~36dとの間に配置されたそれぞれの電力変換器25を有してもよい。
【0040】
熟練した読者は、添付の請求項に定義された本発明の概念から逸脱することなく、上記の風力発電所55の特定の実施形態に変更を加えることができ、本発明の概念に従った風力発電所55の他の実施形態も想定されていることを理解するであろう。例えば、
図1に示した風力タービンと同様に、風力タービン自体にもそれぞれの開閉装置が含まれていることを除けば、
図5に示した以前の実施形態とほぼ同じ実施形態が想定される。この実施形態では、各電源ケーブルは、接続ステーション上の単一の開閉装置を、風力タービン内に収容された開閉装置を介してそれぞれの風力タービンに直接接続する。
【0041】
又、接続ステーション64は、少なくとも一つの風力タービン56a~56dに電力を供給するための補助電源を含むことができる。補助電源は、完全に稼働する前及び/又は特定の起動条件の下で、風力タービン56a~56dに電力を供給するために使用することができる。
【0042】
更に、各電力ケーブル68a~68dは、風力タービン56a~56d上のそれぞれの制御器によって発行された制御信号を接続ステーション64上に保持されたそれぞれの開閉装置36a~36dに送信するように構成された通信回線を構成して、故障時などの必要な場合に回路遮断器パネル80を作動させることができる。いくつかの実施形態では、通信線は光ファイバーケーブルであり、風力タービン56a~56dとそれぞれの回路遮断器パネル80との間の高速通信を確保する。
【0043】
本発明は、動作原理を説明するために、その特定の実施形態を参照して説明されている。したがって、上記の説明は、図解と手引きとしての参照とによるものであり、暗黙の方向性を持つ他の用語は、付属の図面に示されているように、特徴の概要のみを指す。特に、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されていない限り、発明の位置、方向、又は用途に関する要件又は制限と解釈すべきではない。接続参照(例えば、取り付けられている、連結されている、連結されている、結合されている、固定されているなど)は広義に解釈され、要素の接続と要素間の相対的な移動の間の中間メンバーを含むことがある。したがって、接続参照は、添付の請求項に特に記載されていない限り、2つの要素が直接接続され、相互に固定された関係にあることを必ずしも推論するものではない。
【国際調査報告】