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特表2023-517946アトロピン又は関連化合物の使用と併せて、近視の進行を補正し、減速させ、軽減し、及び/又は制御するための眼科用レンズ及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】アトロピン又は関連化合物の使用と併せて、近視の進行を補正し、減速させ、軽減し、及び/又は制御するための眼科用レンズ及び方法
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/02 20060101AFI20230420BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20230420BHJP
   G02C 7/06 20060101ALI20230420BHJP
   A61F 9/007 20060101ALN20230420BHJP
【FI】
G02C7/02
G02C7/04
G02C7/06
A61F9/007 170
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554502
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(85)【翻訳文提出日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 IB2021051998
(87)【国際公開番号】W WO2021181304
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】62/988,225
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/010,235
(32)【優先日】2020-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514232605
【氏名又は名称】ブリエン ホールデン ビジョン インスティチュート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】アーサー バック
(72)【発明者】
【氏名】パドマジャ ラジャゴパル サンカリドゥルグ
(72)【発明者】
【氏名】キャスリーン フェドトケ
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006BC01
2H006BC02
2H006BC03
2H006BD00
2H006BD03
2H006BE00
2H006BE02
(57)【要約】
近視を治療するための眼科用レンズであって、前面、後面、及び眼の距離屈折誤差を補正又は実質的に補正するために選択された第一の度数プロファイルを有するベースレンズ;該レンズの前面及び後面のうちの少なくとも1つの上の1以上の近視制御要素;少なくともある程度は、眼科用レンズとともに使用するための医薬品の濃度に基づいて選択される寸法を有する第一の視領域であって、距離視力の視覚障害を最小化し、軽減し、及び/又は消失させるために構成された第一の視領域;並びに該第一の視領域と比較して相対的により正である度数プロファイルを含む第二の視領域:を含み;ここで、該第二の視領域のサイズ及び該第二の視領域の相対的により正の度数のうちの少なくとも1つが、少なくともある程度は、該医薬品の濃度に基づいて選択される、眼科用レンズ。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近視眼用の医薬品とともに使用するための眼科用レンズであって、
前面及び後面を有するベースレンズ;
第一の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第一の視領域(ここで、該少なくとも1つの第一の視領域のサイズは、少なくともある程度は、該医薬品の濃度に基づいて構成される);並びに
該第一の度数プロファイルと異なる度数プロファイルを有する1以上の近視制御要素
:を含む、前記眼科用レンズ。
【請求項2】
前記第一の度数プロファイルが眼の屈折誤差(例えば、距離屈折誤差)を補正又は実質的に補正するように選択される、請求項1記載の眼科用レンズ。
【請求項3】
前記第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズが、少なくともある程度は、前記医薬品に起因する瞳孔直径の変化によって生じ得る視覚障害を軽減又は最小化するための該医薬品の濃度に基づいて選択される、請求項1又は2記載の眼科用レンズ。
【請求項4】
前記第一の視領域のうちの少なくとも1つの度数プロファイルが、少なくともある程度は、前記医薬品に起因する瞳孔直径の変化によって生じ得る視覚障害を最小化するために、三次収差、四次収差、五次収差、六次収差のうちの1つもしくは複数、他のより高次の収差のうちの1つもしくは複数、又はこれらのうちの1つもしくは複数の組合せを軽減するための該医薬品の濃度に基づいて選択される、請求項1~3のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第一の視領域が眼球の軸のうちの1つ又は複数と実質的に一致している、請求項1~4のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第一の視領域のサイズが、少なくともある程度は、等式:正常な非アトロピン使用者の前記第一の視領域のサイズのうちの1つ+6.924+0.6266*LN(アトロピンの濃度%/100)に基づいて決定される、請求項1~5のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第一の視領域のサイズが、等式:正常な非アトロピン使用者の前記第一の視領域のサイズ+6.924+0.6266*LN(アトロピンの濃度%/100)の95%信頼区間、97%信頼区間、又は99%信頼区間のうちの1つに基づいて構成される、請求項1~6のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第一の視領域のサイズが、前記医薬品の使用を伴わない前記第一の視領域のサイズ及び等式: 6.924+0.6266*LN(アトロピンの濃度%/100)から推定される値のパーセンテージに基づいて構成される、請求項1~7のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第一の視領域のサイズが、前記医薬品の使用を伴わない前記第一の視領域のサイズ及び等式:「6.924+0.6266*LN(アトロピンの濃度%/100)」から推定される値のパーセンテージに基づいて構成され、かつ該パーセンテージが約15%~約85%(例えば、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%)である、請求項1~8のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項10】
前記医薬品とともに使用される前記少なくとも1つの第一の視領域のサイズが、該医薬品の使用を伴わない該第一の視領域のサイズと比較して、約4%~約400%(例えば、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%、310%、320%、330%、340%、350%、360%、370%、380%、390%、又は400%)大きい、請求項1~9のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項11】
前記第一の視領域のうちの少なくとも1つの近視制御要素の色合い、形状、位置、配列、度数プロファイル、及び存在が、少なくともある程度は、前記医薬品の濃度に基づいて構成される、請求項1~10のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項12】
前記第一の度数プロファイルと異なる第二の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第二の視領域をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項13】
前記第二の度数プロファイルが前記第一の度数プロファイルよりも度数が相対的に正であるか又は該第一の度数プロファイルよりも度数が相対的に負であるかの少なくとも1つである、請求項12記載の眼科用レンズ。
【請求項14】
前記第二の度数プロファイルが前記第一の度数プロファイルよりも度数が相対的に正であり、かつ少なくともある程度は、前記医薬品の濃度に基づいて選択される、請求項12又は13のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項15】
前記少なくとも1つの第二の視領域のサイズが、少なくともある程度は、前記医薬品の濃度に基づいて選択される、請求項12~14のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項16】
前記少なくとも1つの第二の視領域のサイズが前記医薬品の様々な濃度とともに変動する、請求項12~15のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項17】
前記少なくとも1つの第二の視領域のサイズが前記医薬品の濃度の増加とともに増加する、請求項12~16のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項18】
前記第二の度数プロファイル及び前記少なくとも1つの第二の視領域のサイズのうちの少なくとも1つが、少なくともある程度は、前記医薬品の濃度に基づいて選択される、請求項12~17のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項19】
前記少なくとも1つの第二の視領域のサイズが、少なくともある程度は、調節の喪失のうちの1つもしくは複数に基づいて、及び/又は視覚障害(例えば、調節の喪失によるぼやけもしくは視覚的不快感)を軽減もしくは最小化するように選択される、請求項12~18のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項20】
前記少なくとも1つの第二の視領域が、前記少なくとも1つの第一の視領域に対して、下側、上側、側頭側、鼻側、斜位、同心同軸、同心非同軸、偏心、非同心、下鼻側、下側頭側、又は任意の他の位置のうちの1つ又は複数の任意の組合せに位置付けられる、請求項12~19のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項21】
前記少なくとも1つの第二の視領域における前記第二の度数プロファイル(例えば、相対的により正の度数プロファイル)が約≧+0.50D~約≦+3.50D又は約≧+0.25D~約≦+4.00D又は約≧+0.25D~約≦+5.00D(例えば、区間内の平均又は有効度数)の範囲である、請求項12~20のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項22】
0.01%以下の医薬品濃度を有する前記少なくとも1つの第二の視領域における前記第二の度数プロファイル(例えば、相対的により正の度数プロファイル)が約≦1.00Dである、請求項12~21のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項23】
0.02%~0.1%の範囲の医薬品濃度を有する前記少なくとも1つの第二の視領域における前記第二の度数プロファイル(例えば、相対的により正の度数プロファイル)が約≧1.0D~≦2.5D又は約≧1.0D~≦3.0Dである、請求項12~22のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項24】
0.1%を超える医薬品濃度を有する前記少なくとも1つの第二の視領域中の前記第二の度数プロファイル(例えば、相対的により正の度数プロファイル)が約≧1.5D以上又は約≧0.75D以上又は約≧1.0D以上である、請求項12~23のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項25】
前記少なくとも1つの第一の視領域及び少なくとも1つの第二の視領域のうちの1つ又は複数の任意の組合せの度数プロファイルが対称性又は非対称性である、請求項1~24のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項26】
前記第一の度数プロファイル及び前記第二の度数プロファイルの任意の組合せが回転対称性又は回転非対称性である、請求項1~25のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項27】
前記眼科用レンズが、該レンズの1以上の領域中に、光吸収フィルター、光吸収要素、フォトクロミックフィルター、フォトマスク、及び位相シフトマスクのうちの1つ又は複数の任意の組合せをさらに含み、かつ少なくともある程度は、前記医薬品の濃度に基づいて構成される、請求項1~26のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項28】
前記1以上の近視制御要素の度数プロファイルが前記第一の度数プロファイルの1つよりも相対的に正であるか又は該第一の度数プロファイルの1つよりも相対的に負であるかの少なくとも1つである、請求項1~27のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項29】
前記1以上の近視制御要素の度数プロファイルが前記第二の度数プロファイルの1つよりも相対的に正であるか又は該第二の度数プロファイルの1つよりも相対的に負であるかの少なくとも1つである、請求項1~28のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項30】
前記1以上の近視制御要素の度数プロファイルが前記第一の度数プロファイルよりも相対的に正である、請求項1~29のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項31】
前記1以上の近視制御要素が、前記ベースレンズの前面、該ベースレンズの後面、又は該ベースレンズの大部分のうちの1つ又は複数の任意の組合せに位置する、請求項1~30のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項32】
前記少なくとも1つの第一の視領域に対する前記1以上の近視制御要素の形状、パターン、位置、及び度数プロファイルのうちの1つ又は複数の組合せが、少なくともある程度は、前記医薬品の濃度に基づいて選択される、請求項1~31のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項33】
前記1以上の近視制御要素がレンズ全体にわたって配置されるか又は該レンズの1以上の領域に配置され得る、請求項1~32のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項34】
前記1以上の近視制御要素が前記眼科用レンズの一方又は両方の表面にわたって存在し、かつ表面全体にわたって存在するか又は該レンズの1以上の領域に限定される、請求項1~33のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項35】
前記1以上の近視制御要素が前記少なくとも1つの第一の視領域及び前記少なくとも1つの第二の視領域のうちの1つ又は複数の任意の組合せ中に存在する、請求項1~34のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項36】
前記少なくとも1つの第一の視領域及び前記少なくとも1つの第二の視領域のうちの少なくとも1つが前記近視制御要素を含まない、請求項1~35のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項37】
前記少なくとも1つの第一の視領域が近視制御要素を実質的に欠いている、請求項1~36のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項38】
それぞれの視領域における前記近視制御要素の配列、タイプ、サイズ、規模、強度、位置、及び/又は充填係数のうちの1つ又は複数の任意の組合せが互いに対して異なり得る、請求項1~37のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項39】
前記1以上の近視制御要素が、離散要素、結合要素、連続要素、不連続要素、及び前記眼科用レンズの度数プロファイルに組み込まれた要素のうちの1つ又は複数の任意の組合せである、請求項1~38のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項40】
前記1以上の近視制御要素が、近視性デフォーカス、遠視性デフォーカス、無デフォーカス、もしくは深度拡張型フォーカス、又はこれらの組合せを提供する度数プロファイルを含む、請求項1~39のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項41】
前記1以上の近視制御要素が、複数の小型レンズ、1以上のリング、不透明要素、非屈折性要素、デフォーカス要素、又は複数の離散要素であり、かつ近視性デフォーカス、遠視性デフォーカス、無デフォーカス、又は深度拡張型フォーカスのうちの1つ又は複数の任意の組合せを提供するレンズの度数プロファイルのバリエーションであり得る、請求項1~40のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項42】
前記1以上の近視制御要素が屈折性であり、かつ前記第一の度数プロファイルと比較して、相対的により正の度数、相対的により負の度数、又は両方の組合せを有する、請求項1~41のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項43】
前記1以上の近視制御要素が屈折性であり、かつ前記第二の度数プロファイルと比較して、相対的により正の度数、相対的により負の度数、又は両方の組合せを有する、請求項1~42のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項44】
前記1以上の近視制御要素が、屈折性、メタ表面、回折性、コントラスト変調型、光散乱性、収差型、ホログラフィック、光拡散性、光偏位性、光振幅変調型、及び/又は位相変調型のうちの1つ又は複数の任意の組合せである、請求項1~43のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項45】
前記1以上の近視制御要素、又は該要素のうちの1つもしくは複数の組合せの配列、タイプ、サイズ、規模、強度、位置、及び/又は充填係数が、少なくともある程度は、個人の眼の近視進行の速度に基づいて、前記眼科用レンズの領域にわたって変化する、請求項1~44のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項46】
前記1以上の近視制御要素の配列、タイプ、サイズ、規模、強度、位置、及び/又は充填係数が、少なくともある程度は、前記医薬品の濃度に基づいて構成される、請求項1~45のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項47】
前記1以上の近視制御要素が、前記ベースレンズの約90%以上、該ベースレンズの約85%、該ベースレンズの約80%、該ベースレンズの約75%、該ベースレンズの約70%、該ベースレンズの約65%、該ベースレンズの約60%、該ベースレンズの約55%、該ベースレンズの約50%、該ベースレンズの約45%、該ベースレンズの約40%、該ベースレンズの約35%、該ベースレンズの約30%、該ベースレンズの約25%、該ベースレンズの約20%、該ベースレンズの約15%、又は該ベースレンズの約10%に存在する、請求項1~46のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項48】
前記1以上の近視制御要素が、前記少なくとも1つの第一の視領域の約90%以上、該少なくとも1つの第一の視領域の約85%、該少なくとも1つの第一の視領域の約80%、該少なくとも1つの第一の視領域の約75%、該少なくとも1つの第一の視領域の約70%、該少なくとも1つの第一の視領域の約65%、該少なくとも1つの第一の視領域の約60%、該少なくとも1つの第一の視領域の約55%、該少なくとも1つの第一の視領域の約50%、該少なくとも1つの第一の視領域の約45%、該少なくとも1つの第一の視領域の約40%、該少なくとも1つの第一の視領域の約35%、該少なくとも1つの第一の視領域の約30%、該少なくとも1つの第一の視領域の約25%、該少なくとも1つの第一の視領域の約20%、該少なくとも1つの第一の視領域の約15%、又は該少なくとも1つの第一の視領域の約10%に存在する、請求項1~47のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項49】
前記1以上の近視制御要素が、前記少なくとも1つの第二の視領域の約90%以上、該少なくとも1つの第二の視領域の約85%、該少なくとも1つの第二の視領域の約80%、該少なくとも1つの第二の視領域の約75%、該少なくとも1つの第二の視領域の約70%、該少なくとも1つの第二の視領域の約65%、該少なくとも1つの第二の視領域の約60%、該少なくとも1つの第二の視領域の約55%、該少なくとも1つの第二の視領域の約50%、該少なくとも1つの第二の視領域の約45%、該少なくとも1つの第二の視領域の約40%、該少なくとも1つの第二の視領域の約35%、該少なくとも1つの第二の視領域の約30%、該少なくとも1つの第二の視領域の約25%、該少なくとも1つの第二の視領域の約20%、該少なくとも1つの第二の視領域の約15%、又は該少なくとも1つの第二の視領域の約10%に存在する、請求項1~48のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項50】
前記1以上の近視制御要素が、屈折性、非屈折性、回折性、コントラスト変調型、位相変調型、メタ表面、光散乱性、収差型、ホログラフィック、拡散性、光偏位性、光振幅変調型、又はこれらの1以上の要素の組合せである、請求項1~49のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項51】
前記少なくとも1つの第一の視領域に対する前記1以上の近視制御要素の形状、位置、及び/又は度数プロファイルが、少なくともある程度は(該第一の視領域及び前記第二の視領域のうちの少なくとも1つにおける)度数プロファイルの回転非対称性が該1以上の近視制御要素(例えば、該1以上の近視制御要素の強度の回転非対称性)によって作り出されることに基づいて選択される、請求項1~50のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項52】
前記1以上の近視制御要素の強度が前記医薬品の濃度の増加とともに減少する、請求項1~51のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項53】
前記眼科用レンズが眼鏡レンズ(例えば、クリップ・オン眼鏡レンズ、又はスティック・オンフィルムを含む)又はコンタクトレンズである、請求項1~52のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項54】
前記眼科用レンズが、球面円柱レンズ、円環レンズ、多焦点レンズ、二焦点レンズ、又は累進多焦点レンズである、請求項1~53のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項55】
前記医薬品がムスカリン性受容体アンタゴニストである、請求項1~54のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項56】
前記医薬品がアトロピン又はアトロピン関連化合物である、請求項1~55のいずれか一項記載の眼科用レンズ。
【請求項57】
近視の進行を減速させるための医薬品とともに使用される眼科用レンズ用のレンズのセット又はレンズ設計のシリーズであって、請求項1~56のいずれか一項記載の複数のレンズを含み、ここで、該複数のレンズの特徴が、少なくともある程度は、使用される該医薬品の濃度に基づいて使用されるように選択される、前記レンズのセット又はレンズ設計のシリーズ。
【請求項58】
近視眼用の医薬品とともに使用するための眼科用レンズシリーズであって、該シリーズ中のレンズが、
前面及び後面並びに1以上の近視制御要素を有するベースレンズ;
該眼の屈折誤差(例えば、距離屈折誤差)を補正するために、並びに該眼の高次収差のうちの1つ又は複数を実質的に制御し、最小化し、及び/又は軽減するために選択された第一の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第一の視領域
:を含む、前記眼科用レンズシリーズ。
【請求項59】
前記シリーズ中のレンズが請求項1~57記載の眼科用レンズの1以上の特徴を含む、請求項58記載の眼科用レンズシリーズ。
【請求項60】
近視眼用の医薬品とともに使用するための眼科用レンズシリーズであって、該シリーズ中のレンズが、
前面及び後面並びに1以上の近視制御要素を有するベースレンズ;
該眼の屈折誤差(例えば、距離屈折誤差)を補正するために、並びに該眼の高次収差のうちの1つ又は複数を実質的に制御し、最小化し、及び/又は軽減するために選択された第一の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第一の視領域
:を含み、かつここで、該少なくとも1つの第一の視領域のサイズが、少なくともある程度は、該医薬品の濃度に基づいて構成される、前記眼科用レンズシリーズ。
【請求項61】
前記シリーズ中のレンズが請求項1~57記載の眼科用レンズの1以上の特徴を含む、請求項60記載の眼科用レンズシリーズ。
【請求項62】
近視眼用の医薬品とともに使用するための眼科用レンズシリーズであって、該シリーズ中のレンズが、
前面及び後面並びに1以上の近視制御要素を有するベースレンズ;
該眼の屈折誤差(例えば、距離屈折誤差)を実質的に補正するために選択された第一の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第一の視領域
:を含み、ここで、該少なくとも1つの第一の視領域のサイズが、少なくともある程度は、該医薬品の濃度に基づいて構成される、前記眼科用レンズシリーズ。
【請求項63】
前記シリーズ中のレンズの前記少なくとも1つの第一の視領域のサイズが、等式:正常な非アトロピン使用者の該第一の視領域サイズのうちの1つ+6.924+0.6266*LN(アトロピンの濃度%/100)の95%信頼区間、97%信頼区間、又は99%信頼区間のうちの1つに基づいて構成される、請求項62記載の眼科用レンズシリーズ。
【請求項64】
前記シリーズ中のレンズが、前記1以上の第一の視領域よりも相対的に正であり、かつ少なくともある程度は、前記医薬品の濃度に基づいて選択される少なくとも1つの度数プロファイルを有する、少なくとも1つの第二の視領域をさらに含み、該相対的により正の度数が約≧+0.50D~約≦+3.50D又は約≧+0.25D~約≦+4.00D又は約≧+0.25D~約≦+5.00D(例えば、区間内の平均又は有効度数)の範囲である、請求項62及び63のいずれか一項記載の眼科用レンズシリーズ。
【請求項65】
前記シリーズ中のレンズが請求項1~57のいずれか一項記載の眼科用レンズの1以上の特徴を含む、請求項62~64のいずれか一項記載の眼科用レンズシリーズ。
【請求項66】
近視眼用の医薬品とともに使用するための眼科用レンズシリーズであって、該シリーズのレンズが、
前面及び後面並びに該レンズ上及び/又は該レンズ中に散在する1以上の近視制御要素を有するベースレンズ;
該眼の屈折誤差(例えば、距離屈折誤差)を実質的に補正するために選択された第一の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第一の視領域(ここで、該第一の視領域の少なくとも1つのサイズは、少なくともある程度は、該医薬品の濃度に基づいて構成される);並びに
該少なくとも1つの第一の視領域と異なり(例えば、相対的により正又は負であり)、かつ少なくともある程度は、該医薬品の濃度に基づいて選択され、かつ該異なる度数が約≧+0.50D~約≦+3.50Dの範囲である第二の度数プロファイルを有する、少なくとも1つの第二の視領域
:を含む、前記眼科用レンズシリーズ。
【請求項67】
前記シリーズ中のレンズが請求項1~57記載の眼科用レンズの1以上の特徴を有する、請求項66記載の眼科用レンズシリーズ。
【請求項68】
近視眼用の医薬品とともに使用するための眼科用レンズシリーズであって、該シリーズのレンズが、
前面及び後面並びに該レンズ上及び/又は該レンズ中に散在する1以上の近視制御要素を有するベースレンズ;
該眼の屈折誤差(例えば、距離屈折誤差)を実質的に補正するために選択された第一の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第一の視領域(ここで、少なくとも1つの第一の視領域のサイズは、少なくともある程度は、該医薬品の濃度に基づいて構成される);
該少なくとも1つの第一の視領域と異なり(例えば、相対的により正又は負であり)、かつ少なくともある程度は、該医薬品の濃度に基づいて選択され、かつ該異なる度数が約≧+0.50D~約≦+3.50Dの範囲である第二の度数プロファイルを有する、少なくとも1つの第二の視領域;並びに
該レンズの1以上の領域中の、かつ少なくともある程度は、該医薬品の濃度に基づいて構成される、光吸収フィルター又は光吸収要素又はフォトクロミックフィルター又はフォトマスク又は位相シフトマスク
:を含む、前記眼科用レンズシリーズ。
【請求項69】
前記シリーズ中のレンズが請求項1~57記載の眼科用レンズの1以上の特徴を含む、請求項68記載の眼科用レンズシリーズ。
【請求項70】
近視眼用の医薬品とともに使用するための眼鏡レンズシリーズであって、該シリーズ中のレンズが、
前面及び後面並びに該レンズ上及び/又は該レンズ中に散在する1以上の近視制御要素を有するベースレンズ;
該眼の屈折誤差(例えば、距離屈折誤差)を実質的に補正するために選択された第一の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第一の視領域(ここで、少なくとも1つの第一の視領域のサイズは、少なくともある程度は、該医薬品の濃度に基づいて構成される);
約≧+0.50D~約≦+3.50Dの前記少なくとも1つの第一の視領域よりも相対的に正であり、かつ少なくともある程度は、使用されている該医薬品の濃度に基づいて選択され、かつ該少なくとも1つの第一の視領域に対して、中心、周辺、下側、上側、側頭側、鼻側、斜位、同心同軸、同心非同軸、偏心、非同心、下鼻側、下側頭側、又は任意の他の位置のうちの1つ又は複数の任意の組合せに位置付けられる第二の度数プロファイルを有する、少なくとも1つの第二の視領域
:を含む、前記眼鏡レンズシリーズ。
【請求項71】
前記シリーズ中のレンズが、該レンズの1以上の領域中に、光吸収フィルター又は光吸収要素又はフォトクロミックフィルター又はフォトマスク又は位相シフトマスクをさらに含み、かつ少なくともある程度は、前記医薬品の濃度に基づいて構成される、請求項70記載の眼鏡レンズシリーズ。
【請求項72】
前記シリーズ中のレンズが請求項1~57記載の眼科用レンズの1以上の特徴を含む、請求項70記載の眼科用レンズシリーズ。
【請求項73】
近視眼用の医薬品とともに使用するためのコンタクトレンズシリーズであって、該シリーズ中のレンズが、
前面及び後面並びに該レンズ上及び/又は該レンズ中に散在する1以上の近視制御要素を有するベースレンズ;
該眼の屈折誤差(例えば、距離屈折誤差)を実質的に補正するために選択された第一の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第一の視領域(ここで、少なくとも1つの第一の視領域のサイズは、少なくともある程度は、該医薬品の濃度に基づいて構成される);
約≧+0.50D~約≦+3.50Dの前記少なくとも1つの第一の視領域と異なり(例えば、相対的により正であり)、かつ少なくともある程度は、使用されている該医薬品の濃度に基づいて選択され、かつ該少なくとも1つの第一の視領域に対して、下側、上側、側頭側、鼻側、斜位、同心同軸、同心非同軸、偏心、非同心、下鼻側、下側頭側、又は任意の他の位置のうちの1つ又は複数の任意の組合せに位置付けられる第二の度数プロファイルを有する、少なくとも1つの第二の視領域
を含む、前記コンタクトレンズシリーズ。
【請求項74】
前記シリーズ中のレンズが、該レンズの1以上の領域中に、光吸収フィルター又は光吸収要素又はフォトクロミックフィルター又はフォトマスク又は位相シフトマスクをさらに含み、かつ少なくともある程度は、前記医薬品の濃度に基づく、請求項73記載のコンタクトレンズシリーズ。
【請求項75】
前記シリーズ中のレンズが請求項1~57記載の眼科用レンズの1以上の特徴を含む、請求項73記載の眼科用レンズシリーズ。
【請求項76】
眼の近視の進行を管理する方法であって:
眼の近視及び/又は近視の進行を検出する(又は特定する)こと;
近視の進行を減速させるか、遅延させるか、又は制御するための使用のために処方される医薬品の濃度を決定すること;並びに
使用されている該医薬品の濃度に基づいて、眼科用レンズのシリーズ又は眼科用レンズのキット又は複数の眼科用レンズから眼科用レンズを選択すること;
を含み、
ここで、該眼科用レンズが、
前面及び後面並びに1以上の近視制御要素を有するベースレンズ
該眼の屈折誤差(例えば、距離屈折誤差)を実質的に補正するために選択された第一の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第一の視領域;及び
該第一の度数プロファイルと比較して異なる(例えば、相対的に正又は負である)第二の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第二の視領域
:を含み、かつ
ここで、該第一の視領域のうちの少なくとも1つの1以上の特徴、例えば、サイズが、少なくともある程度は、該医薬品の濃度に基づいて選択され、かつ該眼の視覚障害を最小化又は軽減するように設計される、
前記方法。
【請求項77】
前記眼科用レンズが請求項1~57記載の眼科用レンズの1以上の特徴を含む、請求項76記載の方法。
【請求項78】
眼の近視の進行を管理する方法であって:
眼の近視及び/又は近視の進行を検出する(又は特定する)こと;
近視の進行を減速させるか、遅延させるか、又は制御するための使用のために処方される医薬品の濃度を決定すること;並びに
使用されている該医薬品の濃度に基づいて、眼科用レンズのシリーズ又は眼科用レンズのキット又は複数の眼科用レンズから眼科用レンズを選択すること;
を含み、
ここで、該眼科用レンズが請求項1~57のいずれか一項記載の眼科用レンズである、
前記方法。
【請求項79】
眼の近視の進行を管理するための眼科用レンズのシリーズを供給する(又は製造する)方法であって:
一連のデジタルレンズ設計を該眼科用レンズのシリーズを作製する際に使用するための遠くの光学製造所に(例えば、製造機械コードファイルの形態で)提供すること;
近視の進行を減速させるか、遅延させるか、又は制御するための使用のために処方される医薬品の濃度を決定すること;並びに
使用されている該医薬品の濃度に基づいて、眼科用レンズのシリーズ又は眼科用レンズのキット又は複数の眼科用レンズから眼科用レンズを選択すること;
を含み、
ここで、該眼科用レンズが請求項1~57のいずれか一項記載の眼科用レンズである、
前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年3月11日に出願された、アトロピン又は関連化合物と併せて、近視の進行を補正し、減速させ、軽減し、及び/又は制御するための眼科用レンズ及び方法(Ophthalmic Lenses and Methods for Correcting, Slowing, Reducing, and/or Controlling the Progression of Myopia in Conjunction with Atropine or Related Compounds)という表題の米国仮出願第62/988,225号、及び2020年4月15日に出願された、アトロピン又は関連化合物の使用と併せて、近視の進行を補正し、減速させ、軽減し、及び/又は制御するための眼科用レンズ及び方法(Ophthalmic Lenses and Methods for Correcting, Slowing, Reducing, and/or Controlling the Progression of Myopia in Conjunction with Use of Atropine or Related Compounds)という表題の米国仮出願第63/010,235号に対する優先権を主張する。本出願は、2018年11月2日に出願された、近視の進行を制御及び/又は軽減するための医薬組成物(Pharmaceutical Compositions for Controlling and/or Reducing the Progression of Myopia)という表題の国際出願PCT/AU2018/051187号、2017年10月25日に出願された、近視制御のための装置、システム、及び方法(Devices, Systems, and Methods for Myopia Control)という表題の国際出願PCT/AU2017/051173号、2019年9月6日に出願された、近視の進行を補正し、減速させ、軽減し、及び/又は制御するための眼科用レンズ及び方法(Ophthalmic Lenses and Methods for Correcting, Slowing, Reducing, and/or Controlling the Progression of Myopia)という表題の米国仮出願第62/896,920号、及び2019年6月28日に出願された、近視の進行を補正し、減速させ、軽減し、及び/又は制御するための眼科用レンズ及び方法(Ophthalmic Lenses and Methods for Correcting, Slowing, Reducing, and/or Controlling the Progression of Myopia)という表題の米国仮出願第62/868,348号に関連する。これらの優先出願及び関連出願の各々は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、眼科用レンズに関連し、より具体的には、ムスカリン性受容体アンタゴニスト及び/又は関連化合物とともに使用するために構成された、近視の進行を補正し、減速させ、軽減し、及び/又は制御するための、眼科用レンズの設計及び/もしくは構成、眼科用レンズのキット及び/もしくはシリーズ、並びに/又は方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
本開示における背景の議論は、開示されている実施態様の文脈を説明するために含まれている。これは、言及された材料が、公表されていたか、公知であったか、又は本開示において提示された実施態様及びクレームの優先日における共通の一般知識の一部であったという承認とみなされるべきではない。
【0004】
一般に、近眼と呼ばれる近視は、遠くの物体の焦点が網膜の前で合わされることになる眼の障害である。したがって、網膜上の像は、焦点が合わず、結果として、視界がぼやける。近視の視力補正戦略は、眼科用レンズを用いて、像面を網膜に移し、それにより、視界をはっきりさせる。しかしながら、こうした戦略は、眼の成長を減速させることができず、それゆえ、近視が進行し続ける。局所的に使用されると、ムスカリン性受容体アンタゴニストのアトロピンは、近視の進行の減速において、ある程度の効力を示している。他の近視制御戦略としては、累進多焦点レンズ、エグゼクティブ遠近両用眼鏡、二焦点コンタクトレンズ、複数のセグメントを有する眼鏡、散乱特徴を有する眼鏡レンズ、及びオルソケラトロジーが挙げられる。
【0005】
作用機序は依然として不明であるものの、様々な濃度のアトロピン点眼薬(0.01%~1.0%)が使用され、濃度依存的応答が存在し、例えば、濃度が高いほど、効力が大きい。しかしながら、近くのぼやけ、羞明、並びに潜在的な水晶体及び網膜の変化をもたらす紫外線暴露のリスクを含む、高用量のアトロピンと関連する副作用が増大するため、親及び/又は介護者が、若い人たちへの治療により高い濃度を広く採用することを思いとどまることが多く、それゆえ、効力が制限される。さらに、アトロピンは、近視の進行を減速させ得るものの、その効力は、個人間で異なる場合があり、恩恵を受ける個人もいれば、それほど大きい恩恵を受けない個人もいる。
【0006】
さらに、特定の濃度のアトロピンによって誘導される調節振幅の喪失と結果として生じる近くのぼやけが原因で、それは、近方作業のための近方付加(距離度数と比較して相対的によりプラスの度数)を有する視覚補助具の併用を必要とする。アトロピン使用による別の副作用は、羞明である。研究により、0.5%、0.1%、及び0.01%のアトロピンを受けている8~10歳の近視の子供は、調光累進レンズを、それぞれ、その時間の70%、61%、及び6%要求することが分かった。
【0007】
したがって、眼の屈折誤差を補正するだけでなく、近視の進行をさらに減速させ、かつ/又は視覚障害を軽減/最小化するのを助ける医薬品、例えば、アトロピン(又はより一般的には、ムスカリン性受容体アンタゴニストもしくは関連化合物)とともに使用することができる眼科用レンズを提供する必要がある。本明細書に記載される実施態様は、本明細書に開示されるこれらの及び/又はその他の問題のうちの1つもしくは複数を解決するか又はそれらに対処することができる。本開示はまた、本明細書に記載される例示的な眼科用レンズ及び方法を使用する1以上の利点を指摘することに関する。
【発明の概要】
【0008】
(概要)
本開示は、少なくともある程度は、本明細書に記載される問題のうちの1つもしくは複数に対処し、それらを克服し、かつ/又は改善することに関する。
【0009】
本開示は、少なくともある程度は、近視を補正し、減速させ、軽減し、及び/又は停止させるための1以上の医薬品とともに有利に使用され得る、眼科用レンズ、眼科用レンズの設計及び構成、並びに/又は方法もしくはシステムもしくはシリーズもしくはキットに関する。
【0010】
いくつかの実施態様において、医薬品は、近視を減速させ、軽減し、及び/又は停止させることができる薬剤であり得る。いくつかの実施態様において、医薬品は、瞳孔直径、調節性変化、両眼視覚障害、視覚障害、及び/又はこれらの任意の組合せを含む、眼のパラメータのうちの1つ又は複数の変化をもたらす薬剤であり得る。いくつかの実施態様において、医薬品は、瞳孔散大をもたらす薬剤であり得る。いくつかの実施態様において、医薬品は、調節性機能不全をもたらす薬剤であり得る。
【0011】
いくつかの実施態様において、医薬品は、例えば、アトロピン、ピレンゼピン、トロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、硫酸アトロピン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、ジシクロミン、フラボキサート、オキシブチニン、チオトロピウム、ヒヨスチン、スコポラミン(L-ヒヨスチン)、ヒドロキシジン、イプラトロピウム、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、ソリフェナシン、ダリフェナシン、ベンズアトロピン、メベベリン、プロシクリジン、臭化アクリジニウム、トリヘキシフェニジルベンズヘキソール、トルテロジンを含む、ムスカリン性受容体アンタゴニスト、又はその医薬として許容し得る塩であり得る。
【0012】
本開示は、少なくともある程度は、近視を減速させるためのムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン系化合物)とともに提供され得、かつ/又はそれとともに使用され得る眼科用レンズに関する。眼科用レンズは、少なくともある程度は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン系化合物)の濃度に基づいて構成される特徴を含み得る。眼科用レンズは、眼の屈折誤差を補正するための特徴、並びに近視の進行を減速させ、軽減し、及び/又は停止させるための特徴を有し得る。
【0013】
いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、近視の進行を減速させるためのムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン系化合物)とともに提供され、かつ/又それとともに使用され得る。眼科用レンズは、少なくともある程度は、例えば、使用されているアトロピン又はアトロピン系化合物の濃度に基づいて構成される特徴を含み得る。眼科用レンズは、眼の屈折誤差を補正するための1以上の特徴、近視を減速させ、軽減し、及び/又は停止させるための1以上の特徴、並びに/又は全ての(もしくは実質的に全ての)視距離で視覚障害を最小化又は軽減するための1以上の特徴を有し得る。
【0014】
いくつかの実施態様において、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)とともに使用される眼科用レンズは、前面及び後面を有するベースレンズを含み得る。いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、ベースレンズ中及び/もしくはベースレンズ上に組み込まれ得る、及び/又はレンズにわたって散在しもしくは配置され得る近視を減速させるための1以上の近視制御要素をさらに含み得る。いくつかの実施態様において、1以上の近視制御要素は、レンズ全体にわたって配置され得るか、又はレンズの1以上の領域中に配置され得る。いくつかの実施態様において、眼科用レンズの1以上の近視制御要素は、屈折性、メタ表面、コントラスト変調型、位相変調型、メタ表面、光散乱性、光偏位性、振幅変調型、収差型(aberrated)、ホログラフィック、光拡散性要素、又はこれらの1以上の要素の組合せであり得る。いくつかの実施態様において、1以上の近視制御要素は、離散要素であり得るか、又は連続要素であり得る。いくつかの実施態様において、1以上の離散的近視制御要素は、他の近視制御要素から離れて位置付けられ得る。いくつかの実施態様において、1以上の離散的近視制御要素は、他の近視制御要素のうちの1つもしくは複数又はその組合せと接して位置付けられ得るか又はそれと結合され得るか又はそれと融合され得る。いくつかの実施態様において、屈折要素は、環状要素、リング、アーチ、三角形、螺旋、もしくは任意の他の形状、又はこれらの組合せとして成形され得るか、或いは連続的屈折度数プロファイルとして成形され得る。いくつかの実施態様において、屈折要素は、眼の距離屈折誤差を補正するように設計された1以上の第一の視領域における屈折度数プロファイルと比較して、無デフォーカス、遠視性デフォーカス、近視性デフォーカス、深度拡張型フォーカス、又はこれらの組合せを提供するように設計され得る。いくつかの実施態様において、1以上の近視制御要素は、一方もしくは両方の表面にわたって又は表面の間に存在し、或いは眼科用レンズの大部分に組み込まれ得、かつ表面全体にわたって存在し、又はレンズの1以上の領域に限定され得る。
【0015】
いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、近視の進行を減速させるためのムスカリン性受容体アンタゴニスト、例えば、アトロピン又はアトロピン系化合物とともに提供され、かつ/又それとともに使用され得る。眼科用レンズは、近視を減速させ、軽減し、及び/又は停止させるための1以上の近視制御要素を有し得る。いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、眼の距離屈折誤差を実質的に補正する度数プロファイルを組み込んでいる1以上の第一の視領域を有する。いくつかの実施態様において、1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つは、アトロピンとともに使用される場合、少なくともある程度は、使用者の視覚障害を最小化し、軽減し、又は消失させるために選択された特徴を有する。いくつかの実施態様において、1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つは、少なくともある程度は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいてサイズ調整され得る。いくつかの実施態様において、1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つは、少なくともある程度は、瞳孔直径の増加によって誘導された高次収差のうちの1つ又は複数を補正し得る。眼科用レンズは、眼の距離屈折誤差を実質的に補正する度数プロファイルを組み込んでいる1以上の第一の視領域を有し得、第一の視領域のうちの少なくとも1つは、全ての(又は実質的に全ての)視距離で視覚障害を最小化又は軽減するために選択された1以上の特徴を有し、かつ少なくともある程度は、アトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度に基づく。
【0016】
いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、近視の進行を減速させるためのアトロピン又はアトロピン系化合物とともに提供され、かつ/又それとともに使用され得る。眼科用レンズは、近視を減速させ、軽減し、及び/又は停止させるための1以上の近視制御要素を有し得る。眼科用レンズは、眼の距離屈折誤差を補正する1以上の第一の視領域を有し得、かつ第一の視領域のうちの少なくとも1つは、全ての(又は実質的に全ての)視距離で視覚障害を最小化又は軽減するために選択された1以上の特徴を有し、かつ少なくともある程度は、アトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度に基づいて選択される。いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、中間及び/もしくは近方視距離のための許容可能な視力を提供するように設計され、かつ/又は第一の視領域のうちの1つもしくは複数(例えば、視覚障害を最小化もしくは軽減するために選択された第一の視領域のうちの1つもしくは複数)の少なくとも1つに対して眼科用レンズ上のどこか別の場所に位置している1以上の第二の視領域を有し得る。いくつかの実施態様において、許容可能な中及び/又は近視距離視力を提供するために選択された1以上の特徴を有する1以上の第二の視領域は、1以上の第一の視領域の度数プロファイルと比較して相対的により正である度数プロファイルを組み込み得る。第二の視領域のうちの1つの相対的により正の度数(又は追加度数)は、少なくともある程度は、アトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度に基づき、かつ中間及び/又は許容可能な近距離視力を提供するように設計される。いくつかの実施態様において、第二の視領域のサイズ及び/又は相対的により正の度数は、少なくともある程度は、使用されているアトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度に基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、許容可能な中及び/又は近視距離視力を提供するように設計され、かつ視覚障害を最小化又は軽減するために選択された1以上の第二の視領域を有し得る。いくつかの実施態様において、1以上の第二の視領域のうちの少なくとも1つは、少なくともある程度は、瞳孔直径の増加によって誘導された高次収差のうちの1つ又は複数を補正し得る。いくつかの実施態様において、第二の視領域のうちの1つ又は複数における1以上の近視制御要素のタイプ、サイズ、配列、位置、度数プロファイル、充填係数は、少なくともある程度は、視覚障害を最小化又は軽減するために使用されている医薬品の濃度に基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、1以上の第二の視領域は、1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つに対して、下側、上側、側頭側、鼻側、斜位、同心同軸、同心非同軸、偏心、非同心、下鼻側、下側頭側、もしくは任意の他の位置、又はこれらの組合せのうちの1つ又は複数の任意の組合せに位置付けられ得る。
【0017】
いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、第一の距離視領域に対して下側に位置付けられた第二の視領域を有し、かつ少なくともある程度は、使用されているアトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度の濃度に基づき、かつ許容可能な近距離視力を提供する第一の視領域の度数プロファイルよりも相対的に正である度数プロファイルを有する。いくつかの実施態様において、1以上の第二の視領域の相対的により正の度数プロファイルは、視領域にわたって相対的に均一であってもよく、又は相対的に不均一であってもよい。いくつかの実施態様において、1以上の第二の視領域の相対的により正の度数プロファイルは、第一の視領域と第二の視領域の境界に位置付けられた最小量の相対的により正の度数及び第一の視領域と第二の視領域の境界からさらに離れた周辺に向かって位置付けられた最大量の相対的により正の度数を有する視領域にわたって累進的であり得る。
【0018】
いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、眼の視覚障害をさらに軽減し、最小化し、又は消失させるための光吸収フィルター又は光吸収要素又はフォトクロミックフィルター又はフォトマスク又は位相シフトマスクのうちの1つ又は複数をさらに含み得る。いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、1以上の第一の視領域及び/又は第二の視領域中に光吸収フィルター又はフォトマスク又は位相シフトマスクをさらに含み得る。いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、光吸収フィルター及び/又は視領域のうちの1つもしくは複数にわたって密度に幅があり得る要素をさらに含み得る。いくつかの実施態様において、光吸収要素、光吸収フィルター、又はフォトクロミックフィルターの色及び/又は強度は、少なくともある程度は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づき得る。いくつかの実施態様において、光吸収要素又はフォトクロミックフィルターの色/光吸収波長及び/又は強度は、少なくともある程度は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度及び眼の虹彩の色に基づき得る。
【0019】
本開示は、少なくともある程度は、近視の減速の速度を改善するための方法に関する。本方法は、近視眼で使用するためのムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)と併用して眼科用レンズを提供することを含む。いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、近視の進行を減速させるための1以上の近視制御要素を含み得る。いくつかの実施態様において、1以上の近視制御要素は、レンズ全体にわたって配置され得るか、又はレンズの1以上の領域に配置され得る。眼科用レンズは、眼の距離屈折誤差を実質的に補正する1以上の第一の視領域を有し得、該第一の視領域のうちの少なくとも1つは、全ての(又は実質的に全ての)視距離で視覚障害を最小化又は軽減するために選択され、かつ少なくともある程度は、アトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度に基づく1以上の特徴を有する。いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、第一の第二の視領域に対して眼科用レンズ上に位置付けられた1以上の第二の視領域をさらに含み得、かつ1以上の第一の視領域(例えば、視覚障害を最小化又は軽減するために選択された1以上の特徴を有する第一の視領域のうちの少なくとも1つ)の度数プロファイルと比較して相対的により正である度数プロファイルを組み込み得る。第二の視領域のうちの1つの相対的により正の度数(又は追加度数)は、少なくともある程度は、アトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度に基づき、かつ許容可能な中距離及び/又は近距離視力を提供するように設計される。いくつかの実施態様において、1以上の第二の視領域は、下側、上側、側頭側、鼻側、斜位、同心同軸、同心非同軸、偏心、非同心、下鼻側、下側頭側、もしくは任意の他の位置、又はこれらのうちの1つもしくは複数の組合せに位置付けられ得る。いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、眼の視覚障害を軽減し、最小化し、及び/又は消失させるための光吸収フィルター又は光吸収要素又はフォトクロミックフィルター又はフォトマスク又は位相シフトマスクをさらに含み得る。いくつかの実施態様において、光吸収フィルター又は光吸収要素又はフォトクロミックフィルター又はフォトマスク又は位相シフトマスクは、第一及び/又は第二の視領域のうちの1つ又は複数に存在し、かつ少なくともある程度は、アトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度に基づき得る。いくつかの実施態様において、光吸収要素又はフォトクロミックフィルターの色、吸収波長、位置/分布、及び/又は強度は、少なくともある程度は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度)に基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、フォトマスク及び/又は位相シフトマスクのピッチ構造、深さ、タイプ、強度、及び吸収体は、最終的にある程度は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニストに基づいて選択され得る。
【0020】
本開示は、少なくともある程度は、近視の進行を減速させるためのムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)とともに使用される眼科用レンズのキット又はセット又はシリーズに関する。該キットは、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて使用されるために構成又は選択された1以上の特徴を含む複数の眼科用レンズを含む。該キット又はセット又はシリーズ中の1以上の眼科用レンズは、前面及び後面を有するベースレンズを含む。いくつかの実施態様において、該キット又はセット又はシリーズ中の眼科用レンズは、近視を減速させるための1以上の近視制御要素を含み得る。いくつかの実施態様において、眼科用レンズの1以上の近視制御要素は、屈折性、回折性、コントラスト変調型、位相変調型、メタ表面、光散乱性、光偏位性、振幅変調型、収差型、ホログラフィック、光拡散性要素、又はこれらの1以上の要素の組合せであり得る。眼科用レンズは、眼の距離屈折誤差を実質的に補正する1以上の第一の視領域を有し得、該第一の視領域のうちの少なくとも1つは、全ての(又は実質的に全ての)視距離で視覚障害を最小化又は軽減するために選択され、かつ少なくともある程度は、アトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度に基づく1以上の特徴を有する。いくつかの実施態様において、該キット又はシリーズは、視覚障害を最小化するために設計された第一の視領域のうちの1つ又は複数の少なくとも1つのための様々な寸法を有する眼科用レンズを含み、かつ少なくともある程度は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択される。いくつかの実施態様において、視覚障害を最小化するために設計された第一の視領域のうちの1つ又は複数のサイズは、シリーズ又はセット又はキット中の眼科用レンズ間で異なり得、かつ特定の濃度のアトロピンとともに使用されるために選択される。いくつかの実施態様において、1以上の第一の視領域は、視覚障害を最小化するために高次収差のうちの1つ又は複数を制御し、軽減し、及び/又は最小化し得、収差制御は、該シリーズ又はセット又はキット中の眼科用レンズ間で異なり得る。いくつかの実施態様において、第一の視領域のうちの1つ又は複数のサイズ及び/又は収差制御は、視覚障害を最小化するために設計され、かつ該シリーズ又はセット又はキット中の眼科用レンズ間で異なり得、かつ特定の濃度のアトロピンとともに使用されるために選択される。いくつかの実施態様において、眼の視覚障害を最小化するために設計された1以上の第一の視領域のサイズは、より低い濃度のアトロピンとともに使用される場合、より高い濃度のアトロピンとともに使用される第一の視領域のサイズと比較して、相対的にサイズがより小さくてもよい。
【0021】
いくつかの実施態様において、セット又はキット又はシリーズ中の眼科用レンズは、第一の視領域に対して眼科用レンズ上に位置付けられた1以上の第二の視領域をさらに含み得、かつ1以上の第一の視領域の度数プロファイルと比較して相対的により正である度数プロファイルを組み込み得る。第二の視領域のうちの1つの相対的により正の度数(もしくは追加度数)及び/又はサイズは、少なくともある程度は、アトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度に基づき、かつ許容可能な中距離及び/又は近距離視力を提供するために設計される。いくつかの実施態様において、1以上の第二の視領域は、1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つに対して、眼科用レンズ上で、下側、上側、側頭側、鼻側、斜位、同心同軸、同心非同軸、偏心、非同心、下鼻側、下側頭側、もしくは任意の他の位置、又はこれらのうちの1つもしくは複数の組合せに位置付けられ得る。いくつかの実施態様において、該キットは、少なくともある程度は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて使用のために選択される1以上の第二の視領域における様々な程度の相対的により正の度数プロファイルを有する眼科用レンズを含む。いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、眼の視覚障害をさらに軽減し、最小化し、又は消失させるための光吸収フィルター又は光吸収要素又はフォトクロミックフィルター又はフォトマスク又は位相シフトマスク又は任意の他の光学マスクをさらに含み得る。いくつかの実施態様において、光吸収フィルター又は光吸収要素又はフォトクロミックフィルター又はフォトマスク又は位相シフトマスクは、第一及び/又は第二の視領域のうちの1つ又は複数に存在し、かつ少なくともある程度は、アトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度に基づき得る。いくつかの実施態様において、光吸収要素又はフォトクロミックフィルターの色、吸収波長、位置/分布、及び/又は強度は、少なくともある程度は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、フォトマスク及び/又は位相シフトマスクのピッチ構造、深さ、タイプ、強度、及び吸収体は、最終的にある程度は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニストに基づいて選択され得る。
【0022】
本明細書に記載されるいくつかの実施態様は、近視を減速させるためのムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)とともに使用される眼科用レンズのセット又はシリーズを提供し得る。眼科用レンズのためのレンズ設計のセット又はシリーズは、少なくともある程度は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて使用されるために構成又は選択された1以上の特徴を有する1以上のレンズ設計を含み得る。該セット又はシリーズ中の1以上の眼科用レンズは、前面及び後面を有するベースレンズを含む。いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、レンズ全体にわたって配置され得るか又は1以上の領域中に配置され得る1以上の近視制御要素を含み得る。眼科用レンズは、眼の距離屈折誤差を実質的に補正する1以上の第一の視領域を有し得、該第一の視領域のうちの少なくとも1つは、全ての(又は実質的に全ての)視距離で視覚障害を最小化又は軽減するために選択され、かつ少なくともある程度は、アトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度に基づく1以上の特徴を有する。いくつかの実施態様において、眼の視覚障害を最小化又は軽減するために設計された1以上の第一の視領域のサイズは、より低い濃度のアトロピンとともに使用される場合、より高い濃度のアトロピンとともに使用される第一の視領域のサイズと比較して相対的にサイズがより小さくてもよい。いくつかの実施態様において、1以上の第一の視領域は、視覚障害を最小化するために高次収差のうちの1つ又は複数を制御し、最小化し、及び/又は軽減するための度数プロファイルをさらに組み込み得、高次収差のうちの1つ又は複数のタイプ、制御又は最小化の規模は、アトロピンの濃度に応じて、眼科用レンズ間で異なり得る。いくつかの実施態様において、1以上の第一の視領域のうちの1つのサイズは、フォトマスクもしくは位相シフトマスクと組み合わされ得、かつ/又は眼の視覚障害を最小化又は軽減するために収差について制御され得、かつ少なくともある程度は、アトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度に基づき得る。
【0023】
いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、第一の視領域のうちの少なくとも1つに対して、眼科用レンズ上に位置付けられた1以上の第二の視領域をさらに含み得、かつ該第一の視領域のうちの少なくとも1つの度数プロファイルと比較して相対的により正である度数プロファイルを組み込み得る。第二の視領域のうちの1つの相対的により正の度数(もしくは追加度数)及び/又はサイズは、少なくともある程度は、アトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度に基づき、かつ許容可能な中距離及び/又は近距離視力を提供するために設計される。いくつかの実施態様において、第一の視領域のうちの1つもしくは複数にわたる及び/又は第二の視域のうちの1つもしくは複数にわたる近視制御要素の位置(location)/位置(position)、強度(strength)/強度(intensity)、及びサイズは、眼に対する視覚障害を最小化又は軽減するために選ばれ、かつ少なくともある程度は、アトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度に基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、近視制御要素のうちの1つ又は複数によって占められるタイプ、位置、強度、サイズ、及び面積と1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズの間の関係は、眼に対する視覚障害を最小化又は軽減するために設計され、かつ少なくともある程度は、アトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度に基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、>0.01%のアトロピンと比較してより低い濃度の≦0.01%のアトロピンとともに使用される場合、距離屈折誤差を組み込み、かつ使用者の眼の視覚障害を最小化するために設計された1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズは、サイズが相対的により小さくてもよいのに対し、1以上の近視制御要素によって占められる強度及び/又はサイズ及び/又は面積は、相対的により高くてもよい。
【0024】
いくつかの実施態様において、1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つ及び第二の視領域のうちの1つ又は複数のうちの1つは、使用者の視覚障害を軽減し、最小化し、又は消失させるための近視制御要素を完全に含まなくても、実質的に含まなくてもよい。いくつかの実施態様において、1以上の近視制御要素は、1以上の第一の視領域のうちの1つ及び第二の視領域のうちの1つ又は複数の1つに存在し得、該近視制御要素のタイプ、サイズ、配列、及び充填係数は、領域間で異なり得る。いくつかの実施態様において、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)とともに使用される屈折性、回折性、プリズム型、コントラスト変調型、位相変調型、メタ表面、光散乱性、光偏位性、振幅変調型、収差型、ホログラフィック、光拡散性要素、又はこれらの1以上の要素の組合せのうちの1つ又は複数を含む近視制御要素のうちの1つ又は複数の配列、サイズ、規模、及び/又は強度は、眼の近視進行の速度に基づいて眼科用レンズの領域にわたって異なり得る。
【0025】
いくつかの実施態様において、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)とともに使用される眼科用レンズは、眼の視覚障害をさらに軽減し、最小化し、及び/又は消失させるための光吸収フィルター又は光吸収要素又はフォトクロミックフィルター又はフォトマスク又は位相シフトマスクを含み得る。いくつかの実施態様において、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)とともに使用される眼科用レンズは、眼の視覚障害をさらに軽減し、最小化し、及び/又は消失させるための第一の視領域のうちの1つもしくは複数及び/又は第二の視領域のうちの1つにわたるプリズム又はプリズム構成要素を含み得る。
【0026】
いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、少なくともある程度は、近視の進行を減速させるための1以上の医薬品の濃度に基づいて構成され、かつ該医薬品とともに使用するための特徴を含む眼鏡レンズであり得る。いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、コンタクトレンズであり得る。
【0027】
本明細書に記載される主題の他の特徴及び利点は、説明及び図面から、並びに本明細書に提供される特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
(図面の簡単な説明)
本明細書に記載される実施態様の態様は、添付の図面とともに読めば、以下の詳細な説明から理解され得る。
【0029】
図1図1Aは、瞳孔径の変化を0.01%~0.50%の範囲のアトロピン濃度とともに示している。図1Bは、高次収差(3次~6次)の増加を若年成人の正視眼の瞳孔径(3mm~6mm)の増加とともに示している。
【0030】
図2図2Aは、眼科用レンズ(例えば、眼鏡レンズ)の模式図であり、図2Bは、近視進行用医薬品とともに使用するための眼科用レンズ(例えば、コンタクトレンズ)の模式図である。
【0031】
図3図3は、瞳孔直径の推定変化を0.01%~1.0%の範囲のアトロピン濃度とともに示しているグラフである。公表された研究からの0.01%~0.5%アトロピンの使用から得られたデータを用いて、瞳孔直径を推定し;データを1.0%までさらに外挿した。95%、97%、及び99%信頼区間も提供されている。
【0032】
図4図4は、近視を減速させるための様々な濃度のアトロピンとともに使用するための近視制御特徴を有する眼鏡レンズである眼科用レンズを示している。図4A~4Cは、低濃度、中濃度、及び高濃度のアトロピンとともに使用される眼科用レンズの第一の視領域のうちの1つのあり得るサイズ/寸法を示している。図4Dは、アトロピンとともに使用するための近視制御特徴を有する眼科用レンズの非円形の第一の視領域を示している。
【0033】
図5図5は、近視を減速させるための様々な濃度のアトロピンとともに使用するための近視制御特徴を有するコンタクトレンズである眼科用レンズを示している。図5A~5Cは、低濃度、中等度の濃度、及び高濃度のアトロピンとともに使用される眼科用レンズの第一の視領域のうちの1つのあり得るサイズ/寸法を示している。
【0034】
図6図6は、様々な濃度のアトロピンとともに調節振幅の低下を示している公表データに基づくグラフである。
【0035】
図7図7は、アトロピンとともに使用するための近視制御要素を有する眼科用レンズのシリーズを示している。図7A~7Cは、第一の視領域のうちの1つと比べた、かつ使用のために処方されるアトロピンの濃度の強度に基づいて選択された第二の視領域における相対的により正の度数又はよりプラスの視度の増加する規模を示している。
【0036】
図8図8は、アトロピンとともに使用するための近視制御要素を有する眼科用レンズのシリーズの模式図であり、使用のために処方されたアトロピンの濃度に基づいて選択された1以上の第二の視領域の寸法を示している。図8A~8Cは、使用のために処方されたアトロピンの濃度の強度に基づいて選択された1以上の第二の視領域の増加する面積を示している。
【0037】
図9図9Aは、近視制御要素(904a~904e)を伴う、アトロピン又は他の近視用医薬品とともに使用するための近視制御要素を有する眼科用レンズの模式図である。図9Bは、アトロピン濃度に基づいて選択された1以上の第一の視領域のうちの1つ;アトロピン濃度に基づいて選択された1以上の第二の視領域のうちの1つを有する第二の視領域、及び眼科用レンズにわたる複数の離散的近視制御要素を有する眼科用レンズを示している。図9Cは、アトロピン濃度に基づいて選択された1以上の第一の視領域のうちの1つ;アトロピン濃度に基づいて選択された1以上の第二の視領域のうちの1つを有する第二の視領域、及び眼科用レンズの第一の視領域のうちの1つよりも相対的に正である連続的度数プロファイルを有する近視制御要素を有する眼科用レンズを示している。
【0038】
図10図10は、アトロピン又は他の近視用医薬品とともに使用するための1以上の第一の視領域、1以上の第二の視領域、及び1以上の近視制御要素を含む眼科用レンズの模式図である。図10a~10gは、レンズ表面での近視制御要素の配列を示している。
【0039】
図11図11は、アトロピン又は他の近視用医薬品とともに使用するための1以上の第一の視領域、1以上の第二の視領域、及び1以上の近視制御要素を含む眼科用レンズの模式図であり、1以上の第一の視領域及び1以上の第二の視領域内を含むレンズ表面にわたる近視制御要素を示している。
【0040】
図12図12は、アトロピン又は他の近視用医薬品とともに使用するための1以上の第一の視領域、1以上の第二の視領域、及び1以上の近視制御要素を含む眼科用レンズの模式図である。図12A及び12Bは、1以上の第二の視領域及び1以上の第一の視領域にわたる近視制御要素の充填比のばらつきを示している。視領域にわたる充填比のばらつきは、近視制御要素のサイズに基づく。
【0041】
図13図13は、アトロピン又は他の近視用医薬品とともに使用するための1以上の第一の視領域、1以上の第二の視領域、及び1以上の近視制御要素を含む眼科用レンズの模式図である。図13A及び13Bは、第二の視領域及び第一の視領域にわたる近視制御要素の充填比のばらつきを示している。2つの領域にわたる充填比のばらつきは、近視制御要素の分布に基づく。
【0042】
図14図14は、シリーズ中の各々のレンズがアトロピン又は他の近視用医薬品とともに使用するための非円形の第一の視領域を除くレンズ表面にわたって非円形の第一の視領域のうちの1つ及び1以上の近視制御要素を含む、眼科用レンズのシリーズを示している。近視制御要素は屈折要素であり、図14は、眼科用レンズの上端から眼科用レンズの下端に位置付けられた近視制御要素の屈折度数のばらつきを示している。
【0043】
図15図15は、1以上の近視制御要素、1以上の第一の視領域、及び第二の視領域を含み、かつアトロピン又は他の近視用医薬品とともに使用するために設計された眼科用レンズの模式図である。図15は、図15a図15bの間のレンズ表面にわたる近視制御要素の充填比のばらつきを示している。2つの領域にわたる充填比は、使用のためのアトロピンの濃度及び/又は近視の進行の速度に基づいて選択される。
【0044】
図16図16は、各々の眼科用レンズが、アトロピン又は他の近視用医薬品とともに使用するための1以上の第一の視領域、1以上の第二の視領域、及び1以上の近視制御要素を含む眼科用レンズシリーズの模式図である。図16A~16Cは、低濃度、中濃度、及び高濃度のアトロピンとともに使用するためのシリーズ1601、1611、及び1621における3つの眼科用レンズを示している。1以上の第一の視領域のうちの1つのサイズは、アトロピンの濃度の増加とともに増加し(1602a<1612a<1622a);第二の視領域のうちの1つのサイズ及び/又は相対的により正の度数(追加度数)は、アトロピンの濃度の増加とともにサイズが増加する(1603<1613<1623)。
【0045】
図17図17は、各々の眼科用レンズが、1以上の第一の視領域、少なくとも1つの第二の視領域、及び1以上の近視制御要素を含み、かつアトロピン又は他の近視用医薬品とともに使用するために設計された眼科用レンズシリーズの模式図である。図17A~17Cは、低濃度、中等度の濃度、及び高濃度のアトロピンとともに使用するために設計されたシリーズ1701、1711、及び1721における3つの眼科用レンズを示している。1以上の近視制御要素の規模は、アトロピンの濃度の増加とともに減少する(1704>1714>1724);
【0046】
図18図18は、眼科用レンズが、1以上の第一の視領域、少なくとも1つの第二の視領域、及び1以上の近視制御要素を含み、かつアトロピン又は他の近視用医薬品とともに使用するために設計された眼科用レンズシリーズの模式図である。図18A~18Cは、低濃度、中濃度、及び高濃度のアトロピンとともに使用するために設計されたシリーズ1801、1811、及び1821における3つの眼科用レンズを示している。1以上の近視制御要素によって占められる面積は、アトロピンの濃度の増加とともに減少する(1801>1811>1821)。さらに、第二の視領域のうちの1つにおける相対的により正の度数は、アトロピンの濃度の増加とともに増加する(1823>1813>1803)。
【0047】
図19図19A及び19Bは、少なくともある程度は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択された1以上の特徴を伴って設計された眼鏡レンズ1901及び1911を示す模式図であり、図19Cは、個人の近視歴に基づくレンズ設計の選択の実施態様を示している。
【発明を実施するための形態】
【0048】
(詳細な説明)
以下の開示は、提供される主題の異なる特徴を履行するための多くの異なる実施態様又は実施例を提供する。本開示を単純化するために、構成要素及び配列の具体例を以下に記載する。これらは、当然ながら、単なる例に過ぎず、限定することを意図するものではない。さらに、本開示は、様々な例において参照数値及び/又は参照文字を繰り返す場合がある。この繰り返しは、単純化及び明確性を目的とするものであり、それ自体、論じられた様々な実施態様及び/又は構成間の関係を決定付けるものではない。
【0049】
詳細な説明で使用される主題の見出しは、読み手の参照を容易にするために含められており、本開示又はクレームの全体を通して見られる主題を限定するために使用されるべきではない。主題の見出しは、クレームの範囲の解釈又はクレームの限定において使用されるべきではない。
【0050】
本開示で使用される「約」という用語は、おおよその(approximate)又はおおよそ(approximately)という用語と互換的であることが理解されるべきである。
【0051】
本開示で使用される「含む(comprise)」という用語及びその派生語(例えば、含む(comprises)、含む(comprising))は、それが言及する特徴の包含であると解釈されるべきであり、別途明記又は暗示されない限り、追加の特徴の存在を除外することを意図するものではない。
【0052】
本開示で使用される「近視」又は「近視の」という用語は、既に近視であるか、近視になる前であるか、又は近視に向かって進行している屈折状態を有する眼を指すことが意図される。
【0053】
本開示で使用される「近視を減速させる」又は「近視の進行を減速させる[こと]」という用語は、近視の進行の速度を減速させるか又は低下させるか又は最小化するか又は停止させるかのいずれかである試みを指すことが意図される。
【0054】
本開示で使用される「眼科用レンズ」という用語は、視力に使用される任意のレンズを含むことが意図され、かつ眼鏡レンズ、眼鏡レンズ上のクリップ・オン又はスティック・オン特徴、電気活性眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、眼内レンズなどを含み得る。
【0055】
本開示で使用される「医薬組成物又は医薬品」という用語は、どの形態又は投薬で送達された場合でも、瞳孔直径及び/もしくは調節性変化及び/もしくは両眼視覚障害及び/もしくは視覚障害の変化又はこれらの組合せをもたらす、任意の薬剤、化合物、化学物質、製剤、医薬として許容し得る塩、又はこれらの組合せであり得る。医薬品は、抗コリン作動薬、特に、ムスカリン性受容体アンタゴニスト、例えば、アトロピン、硫酸アトロピン、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、硝酸メチルアトロピン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、ジシクロミン、フラボキサート、オキシブチニン、チオトロピウム、ヒヨスチン、スコポラミン(L-ヒヨスチン)、ヒドロキシジン、イプラトロピウム、トロピカミド、シクロペントレート、ピレンゼピン、ホマトロピン、ソリフェナシン、ダリフェナシン、ベンズアトロピン、オキシフェノニウム、メベベリン、プロシクリジン、臭化アクリジニウム、トリヘキシフェニジル/ベンズヘキソール、トルテロジン、これらの医薬として許容し得る塩、或いはアトロピン、硫酸アトロピン、又は他の化合物もしくは他の医薬組成物もしくは医薬品と組み合わせたアトロピンの産物の組合せを含むアトロピン系化合物を指し得る。
【0056】
本開示で使用される「視覚障害」という語句は、グレア、羞明、複視、ハロー、フレア、ゴースティング、目がチカチカすること、視覚のぼやけ、物がちらついて見えること、霧視、コントラストの低下、眼精疲労、又はこれらの組合せを含む、個人によって報告される視力に関する症状を指すことが意図される。
【0057】
本開示で使用される「調節機能不全」という語句は、調節度数もしくは調節機能もしくは調節振幅の低下もしくは減少もしくは不均衡もしくは不安定、又は視覚障害並びに/もしくは近距離及び中距離での視覚困難のうちの1以上の症状をもたらし得る調節系と輻輳系の間の不均衡を指すことが意図される。
【0058】
本開示で使用される「寸法」又は「サイズ」という語句は、長さ、幅、深さ、形状、高さ、位置に関する眼科用レンズの1以上の特徴、又は1以上の特徴の組合せを指すことが意図される。
【0059】
本開示で使用される「使用されている」という語句は、治療又は薬剤又はレンズ又はシステム又はキットが使用者によって既に使用されている又は使用されている、並びに/又は使用されることが規定されている及び/もしくは意図されている状況を指すことが意図される。
【0060】
図1Aは、広く使用されているムスカリン性受容体アンタゴニストかつ近視治療用の医薬品であるアトロピンの使用によって得られる瞳孔直径の模式的プロットを示している。アトロピン療法の使用の関数としての平均瞳孔直径が提供されており、アトロピンの濃度の増加に伴う明所視瞳孔直径の増加を示している。図1Aを検討すると、現在まで、個人における近視の治療に使用された最低濃度である0.01%アトロピンの使用が明所視瞳孔直径をおよそ1mmを増加させることが観察される。濃度を0.025%~0.1%アトロピンの範囲まで増加させると、明所視瞳孔径が約2mm~約3mm増加する。最大濃度の0.5%アトロピンの場合、明所視瞳孔径の増加は最大となり、約3mmであった。瞳孔径の増加は、眼の収差を増加させる。全てのタイプの収差が瞳孔径の増加とともに顕著に増加したが、球面収差などの特定の高次収差の増加がより顕著である場合がある。図1Bは、およそ-2.00Dの距離屈折誤差を有する個人の近視眼の収差測定によって決定したときの3次~6次の高次収差の増加を示している。より大きい瞳孔の場合に収差の顕著な増加があることが観察される。瞳孔径の増加は、視機能の機能的減衰、並びに視機能の低下、コントラストの低下、視覚のぼやけ、グレアの増大、及び羞明(光に対する過敏症)の増大などの1以上の望ましくない効果をもたらし得る。さらに、近視個人におけるムスカリン性受容体アンタゴニストの使用は、調節振幅の低下による近距離での視力の低下又は視覚のぼやけももたらし得、かつ/又は両眼視状況を変化させ得るか、もしくは調節機能不全をもたらし得る。ムスカリン性アンタゴニスト療法と関連する前述の副作用のリスクを低下又は低減させるために、より低い濃度の医薬品(例えば、アトロピン)を使用することが望ましい場合がある。しかしながら、より低い濃度は、十分な近視制御効力をもたらさない可能性がある。さらに、規則的かつ頻繁な間隔での長期の局所又は全身適用を必要とする医薬品の使用は、投薬レジメンの不履行及び不遵守を伴い、近視制御効力の低下をもたらす可能性が高い。したがって、近視制御のためのムスカリン性アンタゴニストの使用に加えて、他の手段を用いて、効力を提供し、持続させ、維持し、及び/又は改善する必要がある。これに関して、眼科用レンズのみ又は抗ムスカリン治療のみではなく、眼科用レンズとムスカリン性アンタゴニストを伴う組合せ治療を用いると、効力が改善し得るといういくつかの証拠がある。さらに、ムスカリン性受容体アンタゴニストとアデノシン受容体アンタゴニストなどの他の医薬品の両方を、近視を減速させるために処方し得るが、距離があるときに近視によって誘発される視覚のぼやけを補正するために、眼鏡又はコンタクトレンズなどの併用(concurrent)/併用(concomitant)眼科装置を提供する必要が依然としてある。したがって、近視を減速させるための1以上の医薬品(例えば、アトロピン)とともに使用するために構成されている改良型眼科用レンズを提供する必要がある。
【0061】
図2Aは、眼科用レンズ201、例えば、近視用医薬品とともに使用するための眼鏡レンズの実施態様の模式図である。いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、前面及び後面を有するベースレンズを含む眼鏡レンズであり得る。眼科用レンズは、一方及び/又は両方の前面及び後面に、これらの表面の間に存在し得、かつ/又は近視を制御し、停止させ、遅延させ、及び/又は減速させるためのベースレンズ201に組み込まれ得る、1以上の近視制御要素204を有し得る。レンズは、視領域の少なくとも一部が眼の距離屈折誤差を実質的に補正する度数プロファイルを有する1以上の第一の視領域(202a、202b、202c)を有し得る。第一の視領域202aの少なくとも1つは、視覚障害を実質的に又は顕著に最小化し、軽減し、及び/又は消失させるようにさらに設計される。第一の視領域202aは、眼が遠距離のうちの1つ又は複数における標的を見ているとき、眼の瞳孔軸又は視軸と実質的に一致し得る。さらに、第一の視領域202aのうちの1つの少なくとも1つ又は複数の寸法、例えば、サイズ(例えば、長さ/幅)、形状、及び/又は位置(position)/位置(location)は、少なくともある程度は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、第一の視領域202aの少なくとも1つは、度数プロファイル制御を組み込み、瞳孔直径の増加によって生じる高次収差のうちの1つ又は複数を低下させ又は最小化し得、かつ少なくともある程度は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、レンズは、1以上の第二の視領域(203a、203b)を有し得る。第二の視領域203aの少なくとも1つは、第一の視領域202aのほぼ下側に配置され得、かつ実質的に正常な近距離視力を可能にするために、第一の視領域202aの視度と比較して相対的により正である視度プロファイルを有する。第二の視領域203a及び203bの少なくとも1つ又は複数の寸法(例えば、サイズ)及び/又は相対的により正の度数は、少なくともある程度は、眼科用レンズとともに使用されるムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、第二の視領域203a及び203bのうちの少なくとも1つは、瞳孔直径の増加によって生じる高次収差のうちの1つ又は複数を制御し、軽減し、及び/又は最小化するための度数プロファイルを組み込み得、かつ少なくともある程度は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、1以上の第一の視領域202a及び第二の視領域203aの少なくとも1つの寸法は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の使用によって生じる眼の瞳孔直径に基づき得、さらに、第二の視領域203aの少なくとも1つの相対的により正の度数をもたらす視度プロファイルは、少なくともある程度は、特定の濃度のムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の使用によって生じる個人の眼の調節の振幅に基づき得る。いくつかの実施態様において、近視を減速させるための1以上の近視制御要素204の寸法、配列、視度、タイプ、及び/又は充填係数は、少なくともある程度は、使用されているアトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度に基づいて構成され得る。いくつかの実施態様において、近視を減速させるための1以上の近視制御要素204の寸法、視度、配列、タイプ、及び/又は充填係数は、少なくともある程度は、使用されているアトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度及び/又は近視の進行の速度に基づいて構成され得る。いくつかの実施態様において、眼科用レンズ201は、眼の視覚障害をさらに軽減し、最小化し、及び/又は消失させるための光吸収フィルター、光吸収要素、フォトクロミックフィルター、フォトマスク、及び/又は位相シフトマスクのうちの1つ又は複数をさらに含み、かつ少なくともある程度は、使用されているアトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度に基づいて構成され得る。
【0062】
図2Bは、眼科用レンズ211、例えば、近視用医薬品とともに使用するためのコンタクトレンズの実施態様の模式図である。いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、前面、後面、光学帯211a、及び周辺帯211bを有するベースレンズを含むコンタクトレンズであり得る。眼科用レンズは、近視を制御し、停止させ、遅延させ、及び/又は減速させるためにベースレンズ211上に位置付けられ得る1以上の近視制御要素214を有し得る。レンズは、視領域の少なくとも一部が、眼の距離屈折誤差を実質的に補正する度数プロファイルを有する1以上の第一の視領域(212a、212b、212c)を有し得る。第一の視領域212aの少なくとも1つは、1以上の特徴、例えば、視覚障害を最小化し、軽減し、及び/又は消失させるように設計されたサイズを有し得、かつ少なくともある程度は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、第一の視領域212aの少なくとも1つは、瞳孔直径の増加によって生じる高次収差のうちの1つ又は複数を制御し、軽減し、及び/又は最小化するための度数プロファイルを組み込み得、かつ少なくともある程度は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択され得る。第一の視領域212aは、遠距離のうちの1つ又は複数における標的を見ているとき、眼の瞳孔軸又は視軸と実質的に一致し得る。いくつかの実施態様において、レンズは、1以上の第二の視領域(213)を有し得る。1以上の第二の視領域213は、第一の視領域212aに対してほぼ同心同軸に配置され得、かつ実質的に正常な近距離及び/又は中距離視力を可能にするために、第一の視領域212aの視度と比較して相対的により正である視度プロファイルを有し得る。第二の視領域213の少なくとも1つ又は複数の寸法(例えば、サイズ)及び/又は相対的により正の度数は、少なくともある程度は、眼科用レンズとともに使用されるムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、第二の視領域213の少なくとも1つは、瞳孔直径の増加によって生じる高次収差のうちの1つ又は複数を制御し、軽減し、及び/又は最小化するための度数プロファイルを組み込み得、かつ少なくともある程度は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、1以上の第一の視領域212a及び第二の視領域213の位置及び寸法は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の使用によって生じる眼の瞳孔直径に基づき得、第二の視領域213の相対的により正の度数をもたらす視度プロファイルは、少なくともある程度は、特定の濃度のムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の使用によって生じる個人の眼の調節の振幅に基づき得る。いくつかの実施態様において、近視を減速させるための1以上の近視制御要素214の寸法、配列、視度、位置、タイプ、及び/又は充填係数は、少なくともある程度は、使用されているアトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度に基づいて構成され得る。いくつかの実施態様において、近視を減速させるための1以上の近視制御要素214の寸法、視度、配置、位置、タイプ、及び/又は充填係数は、少なくともある程度は、使用されているアトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度及び/又は近視の進行の速度に基づいて構成され得る。いくつかの実施態様において、眼科用レンズ201は、眼の視覚障害をさらに軽減し、最小化し、及び/又は消失させるための光吸収フィルター、光吸収要素、フォトクロミックフィルター、フォトマスク、及び/又は位相シフトマスクのうちの1つ又は複数をさらに含み得、かつ少なくともある程度は、使用されているアトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度に基づいて構成され得る。
【0063】
図3は、(図1に提供されている瞳孔径から導き出された)推定される瞳孔直径の増加を、様々な濃度のアトロピン並びに3つの濃度の各々についての95%、97%、及び99%信頼区間とともに示している。推定される瞳孔直径の増加は、等式「推定される瞳孔直径の増加=6.924+0.6266*LN(アトロピンの濃度%/100)」(式中、LNは、自然対数関数である)によってもたらされる。サイズなどの寸法及び/又は形状の選択、並びに眼科用レンズの1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つの収差制御の組み込みは、特定の濃度のアトロピン又はアトロピン関連化合物による推定される瞳孔直径の変化に基づいて導き出され得る。これは、図4にさらに示されている。いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、眼鏡レンズであり得る。いくつかの実施態様において、図4の眼鏡レンズ411の1以上の第一の視領域(412a、412b)のうちの少なくとも1つ(412a)の寸法は、等式「正常な非アトロピン使用者の距離(第一の)視領域サイズ+6.924+0.6266*LN(アトロピンの濃度%/100)」(式中、LNは、自然対数関数である)の95%区間に基づいて選ばれた範囲であり得る。眼鏡レンズ401の第一の視領域402aのうちの少なくとも1つの直径がアトロピン療法なしの使用者について9.0mmであった場合、0.01%アトロピンとともに使用される眼鏡レンズ411の第一の視領域412aのうちの少なくとも1つの直径(図4A)は、約9.8mm~約10.5mmと様々であり得る。いくつかの実施態様において、第一の視領域のうちの少なくとも1つの寸法は、等式「正常な非アトロピン使用者の距離(第一の)視領域サイズ+6.924+0.6266*LN(アトロピンの濃度%/100)」(式中、LNは、自然対数関数である)の99%信頼区間に基づいて選ばれる範囲であり得る。それゆえ、図4に示されているように、眼鏡レンズ401の第一の視領域402aのうちの少なくとも1つの直径がアトロピン療法なしの使用者について9.0mmであった場合、0.01%アトロピンとともに使用される眼鏡レンズ411の第一の視領域412aのうちの少なくとも1つの直径(図4A)は、約9.7mm~約10.6mmと様々であり得る。同様に、眼鏡レンズ401の第一の視領域402aのうちの少なくとも1つの直径がアトロピン療法なしの使用者について9.0mmであった場合、0.05%アトロピンと併用する第一の(例えば、距離)視領域422a(図4B)は、約11.0~約11.4mm(95%信頼区間)又は約10.9mm~11.9mm(99%信頼区間)と様々であり得る。同様に、眼鏡レンズ401の第一の視領域402aのうちの少なくとも1つの直径がアトロピン療法なしの使用者について9.0mmであった場合、0.5%アトロピンと併用する第一の視領域432aのうちの少なくとも1つの直径(図4C)は、約12.2~約13.0mm(95%信頼区間)又は約12.1mm~13.1mm(99%信頼区間)と様々であり得る。いくつかの実施態様において、図4の眼鏡レンズ411の1以上の第一の視領域(412a、412b)の少なくとも1つ(412a)の寸法は、等式「推定される瞳孔直径の増加=6.924+0.6266*LN(アトロピンの濃度%/100)」)」を用いて決定される推定瞳孔直径のパーセンテージ値と組み合わせた正常な非アトロピン使用者の第一の視領域のサイズに基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、推定される瞳孔直径の増加の約20%と組み合わせた正常な非アトロピン使用者の第一の視領域のサイズは、第一の視領域(レンズ411の412a)のうちの少なくとも1つの寸法を選択するために考慮され得る。他の実施態様において、選択される推定瞳孔直径のパーセンテージ値は、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約85%、約90%、約15%~約50%、約20%~約60%、又は約25%~約75%であり得る。いくつかの実施態様において、眼鏡レンズ401の第一の視領域402aのうちの少なくとも1つの直径がアトロピン療法なしの使用者について9.0mmであった場合、いくつかの実施態様において、0.01%アトロピンとともに使用される眼鏡レンズ411の第一の視領域412aのうちの少なくとも1つの直径(図4A)は、推定瞳孔径の約20%~50%増加に基づき、それは、約9.23mm~約9.58mmと様々であり得る。
【0064】
いくつかの実施態様において、アトロピン療法ありの使用者の眼鏡レンズの1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズは、約4mm~約11mmと様々であり得る。いくつかの実施態様において、アトロピン療法ありの使用者の眼鏡レンズの1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つの形状は、円形であり得る。いくつかの実施態様において、アトロピン療法ありの使用者の眼鏡レンズの1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つは、非円形であり得、かつ使用者の視線の方向に基づき得る。例えば、ある実施態様において、1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つは、水平方向に卵形であり得る(図4Dの442a)。そのような状況において、2つの長さのうちのより短い方は、少なくとも上記のアトロピンの濃度に基づく長さとなるように選ばれ得、2つの長さのうちの残りは、使用者の水平方向の眼球運動に基づいて決定され得、及び/又は水平方向の眼球運動の母集団平均から導き出され得る。例えば、眼球運動が、水平経線で12mmに及ぶが、垂直経線で9mmにしか及ばないならば、眼科用レンズ441の第一の視領域442aのうちの少なくとも1つの直径がアトロピン療法なしの使用者について9mmであった場合、0.5%アトロピンと併用する第一の視領域442aのうちの少なくとも1つの縦の長さ(図4D)は、約12.2mm~約13.1mmと様々であり得る。いくつかの実施態様において、それは、少なくとも12.2mmであり得る。いくつかの実施態様において、それは、少なくとも13.1mmであり得る。いくつかの実施態様において、眼球運動の母集団平均及びムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて、レンズ411~441の1以上の第一の視領域のうちの1つのサイズは、約3mm~約20mm、又は5mm~15mm、又は8mm~12mmの範囲であり得る。いくつかの実施態様において、1以上の第一の視領域のうちの1つのサイズは、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、約13mm、約14mm、約15mm、約16mm、約17mm、約18mm、及び約19mmの範囲に及び得る。いくつかの実施態様において、1以上の第一の視領域のうちの1つの長さの1つは、約4mm~約15mmの範囲に及び得る。いくつかの実施態様において、1以上の第一の視領域のうちの1つの長さの1つは、約8mm~約11mmの範囲に及び得る。いくつかの実施態様において、少なくともある程度は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づく第一の視領域のうちの1つの形状は、円形、非円形、楕円形、卵形、四角形、六角形、又は任意の他の好適な形状、及びこれらの組合せであり得、かつ使用されているとき、1以上の眼球の軸(視軸、瞳孔軸、光軸)の周囲に対称的に位置付けられ得るか、又は1以上の眼球の軸の周囲に非対称的に位置付けられ得る。
【0065】
いくつかの実施態様において、第一の視領域のうちの少なくとも1つは、瞳孔直径の増加によって生じる高次収差のうちの1つ又は複数を制御し、軽減し、及び/又は最小化するための度数プロファイルを組み込み得、かつ少なくともある程度は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、第一の視領域(412a、422a、432a、442a)のうちの少なくとも1つは、瞳孔直径の増加によって生じる三次収差、四次収差、五次収差、六次収差、他のより高次の収差、又はこれらのうちの1つもしくは複数の組合せのうちの1つ又は複数を制御し、軽減し、及び/又は最小化するための度数プロファイルを組み込み得、かつ少なくともある程度は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、第一の視領域(412a、422a、432a、442a)のうちの少なくとも1つは、三次収差のうちの1つ又は複数を制御し、軽減し、及び/又は最小化するための度数プロファイルを組み込み得る。いくつかの実施態様において、第一の視領域(412a、422a、432a、442a)のうちの少なくとも1つは、四次収差のうちの1つ又は複数を制御し、軽減し、及び/又は最小化するための度数プロファイルを組み込み得る。いくつかの実施態様において、第一の視領域(412a、422a、432a、442a)のうちの少なくとも1つは、コマ収差、一次球面収差、二次球面収差、及び/又はこれらの組合せのうちの1つ又は複数を制御し、軽減し、及び/又は最小化するための度数プロファイルを組み込み得る。いくつかの実施態様において、高次収差のうちの1つ又は複数の制御、軽減、最小化は、円錐曲線によって生成される表面曲率から、又はゼルニケ多項式、超円錐、もしくはこれらの組合せのうちの1つもしくは複数を組み込んでいる他の複合表面を用いて導かれ得る。図1Aの例の-2.00Dの近視者を検討して、アトロピンの使用による約3mm~約6mmの瞳孔直径の増加による眼鏡レンズと眼のシステムの組合せの球面収差の効果的な増加は、約+0.50Dであると決定された。図1Aの近視者の眼は、図4に示されている眼科用レンズ411、421、431のうちの1つを用いて管理され得る。図4の眼科用レンズ(411、421、431)は、距離屈折誤差を補正するための第一の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第一の視領域(412a、422a、432a)を有し、該第一の度数プロファイルは、少なくともある程度は、使用されている医薬品の濃度に基づいて選択され得る。瞳孔直径の増加による眼と光学系の組合せからの+0.50Dの球面収差の増加を補正するために選択された第一の度数プロファイルは、次のような、円錐曲線によって生成される表面曲率から導き出され得る;
【数1】
(式中、cは曲率(半径の逆数)であり、rはレンズユニットの動径座標であり、kは円錐定数である)
:によって与えられる表面のz-座標。
他の実施態様において、高次収差のうちの1つ又は複数の制御、軽減、最小化は、円錐曲線によって生成される表面曲率から、又はゼルニケ多項式、超円錐、もしくはこれらの組合せのうちの1つもしくは複数を組み込んでいる他の複合表面を用いて導かれ得る。
【0066】
いくつかの実施態様において、眼科用レンズは、コンタクトレンズであり得る。該レンズは、眼の距離屈折誤差を補正する屈折光学焦点度数を有する1以上の第一の視領域(図5に示されているレンズ501の502a、502b)を有し得る。コンタクトレンズの1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つの1以上の寸法、例えば、サイズ、形状、及び/又は収差制御の組み込みの選択は、特定の濃度のアトロピン又はアトロピン関連化合物による推定される瞳孔直径の変化に基づいて導き出され得る。いくつかの実施態様において、中心部にある1以上の第一の視領域502のうちの少なくとも1つの寸法(例えば、サイズ)は、等式「(6.924+0.6266*LN(アトロピンの濃度%/100))」の95%区間に基づいて選ばれた範囲であり得る。コンタクトレンズ501の第一の視領域502aのうちの1つの直径がアトロピン療法なしの使用者について2.0mmであった場合、0.01%アトロピン(図5a)とともに使用され、かつ95%信頼区間に基づくコンタクトレンズ511の第一の視領域512aの直径は、約2.8mm~約3.5mmと様々であり得る。いくつかの実施態様において、第一の視領域512aの直径は、約2.2mm~約4.0mmと様々であり得る(又はアトロピンなしの第一の視領域が6mm~約8mmであるとき、10mm~11mmほどである)。同様に、0.05%アトロピンとともに使用されたとき、コンタクトレンズ521の第一の視領域522aの直径は、約4.0mm~約4.4mmと様々であり得、0.5%アトロピンとともに使用されたとき、約5.2mm~約6.0mmと様々であり得る(コンタクトレンズ531の第一の視域532a)。同様に、コンタクトレンズ501の第一の視領域502aのうちの1つの直径がアトロピン療法なしの使用者について2.0mmであった場合、0.01%アトロピン(図5a)とともに使用され、かつ99%信頼区間に基づくコンタクトレンズ511の第一の視領域512aの直径は、約2.7mm~約3.6mmと様々であり得る。同様に、0.05%アトロピンとともに使用されたとき、コンタクトレンズ521の第一の視領域522aの直径は、約3.9mm~約4.9mmと様々であり得、0.5%アトロピンとともに使用されたとき、約5.1mm~約6.1mmと様々であり得る(コンタクトレンズ531の第一の視域532a)。
【0067】
いくつかの実施態様において、図5のコンタクトレンズ511の1以上の第一の視領域(512a、512b)のうちの少なくとも1つの寸法は、等式「推定される瞳孔直径の増加=6.924+0.6266*LN(アトロピンの濃度%/100)」)」(式中、LNは、自然対数関数である)を用いて決定される推定瞳孔直径のパーセンテージ値と組み合わせた正常な非アトロピン使用者の第一の視領域のサイズに基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、推定される瞳孔直径の増加の約10%~20%は、第一の視領域(レンズ511の512a)のうちの少なくとも1つの寸法を選択するために検討され得る。他の実施態様において、選択される推定瞳孔直径のパーセンテージ値は、約15%、約20%、25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約85%、約90%、約15%~約50%、約20%~約60%、又は約25%~約75%であり得る。いくつかの実施態様において、コンタクトレンズ501の第一の視領域502aのうちの少なくとも1つの直径がアトロピンなしの使用者について2.0mmであった場合、いくつかの実施態様において、0.01%アトロピンとともに使用されるコンタクトレンズ511の第一の視領域512aのうちの少なくとも1つの直径(図5A)は、推定瞳孔径の約20%~50%増加に基づき、それは、約2.23mm~約2.58mmと様々であり得る。
【0068】
いくつかの実施態様において、第一の視領域のうちの少なくとも1つは、瞳孔直径の増加によって生じる高次収差のうちの1つ又は複数を制御し、軽減し、及び/又は最小化するための度数プロファイルを組み込み得、かつ少なくともある程度は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、第一の視領域(512a、522a、532a)のうちの少なくとも1つは、瞳孔直径の増加によって生じる三次収差、四次収差、五次収差、六次収差、他のより高次の収差、又はこれらの組合せのうちの1つ又は複数を制御し、軽減し、又は最小化するための度数プロファイルを組み込み得、かつ少なくともある程度は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、第一の視領域(512a、522a、532a)のうちの少なくとも1つは、三次収差のうちの1つ又は複数を制御し、軽減し、又は最小化するための度数プロファイルを組み込み得る。いくつかの実施態様において、第一の視領域(512a、522a、532a)のうちの少なくとも1つは、四次収差のうちの1つ又は複数を制御し、軽減し、又は最小化するための度数プロファイルを組み込み得る。いくつかの実施態様において、第一の視領域(512a、522a、532a)のうちの少なくとも1つは、コマ収差、一次球面収差、二次球面収差、及び/又はこれらの組合せのうちの1つ又は複数を制御し、軽減し、又は最小化するための度数プロファイルを組み込み得る。
【0069】
いくつかの実施態様において、少なくともある程度は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づく第一の視領域のうちの1つの形状は、円形、非円形、楕円形、卵形、六角形、又は任意の他の好適な形状、及びこれらのうちの1つ又は複数の組合せであり得、かつ使用されているとき、1以上の眼球の軸(視軸、瞳孔軸、光軸)の周囲に対称的に位置付けられ得るか、又は1以上の眼球の軸の周囲に非対称的に位置付けられ得る。
【0070】
いくつかの実施態様において、アトロピン又はアトロピン関連化合物とともに使用される眼鏡レンズの1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズは、アトロピンを使用しない対応する1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズと比較して、約4%~約95%大きい(例えば、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%大きい)ものであり得る。いくつかの実施態様において、<0.05%の濃度のアトロピン又はアトロピン関連化合物とともに使用される眼鏡レンズの1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズは、アトロピンを使用しない対応する1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズと比較して、約4%~約60%大きい(例えば、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、又は60%大きい)ものであり得る。いくつかの実施態様において、濃度=0.05%のアトロピン又はアトロピン関連化合物とともに使用される眼鏡レンズの1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズは、アトロピンを使用しない対応する1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズと比較して、約20%~約70%大きい(例えば、約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、又は70%大きい)ものであり得る。いくつかの実施態様において、濃度>0.05%のアトロピン又はアトロピン関連化合物とともに使用される眼鏡レンズの1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズは、アトロピンを使用しない対応する第一の視領域のうちの対応する1つのサイズと比較して、約20%~約95%大きい(例えば、約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%大きい)ものであり得る。
【0071】
いくつかの実施態様において、アトロピン又はアトロピン関連化合物とともに使用されるコンタクトレンズの1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズは、アトロピンを使用しない対応する1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズと比較して、約25%~約400%大きい(例えば、約25%、50%、75%、100%、125%、150%、175%、200%、225%、250%、275%、300%、325%、350%、375%、又は400%大きい)ものであり得る。いくつかの実施態様において、濃度<0.05%のアトロピン又はアトロピン関連化合物とともに使用されるコンタクトレンズの1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズは、アトロピンを使用しない対応する1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズと比較して、約25%~約80%大きい(例えば、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、80%、もしくは約60%大きい、又は約70%大きい)ものであり得る。いくつかの実施態様において、濃度=0.05%のアトロピン又はアトロピン関連化合物とともに使用されるコンタクトレンズの1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズは、アトロピンを使用しない対応する1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズと比較して、約80%~約150%大きい(例えば、約80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、又は150%大きい)ものであり得る。いくつかの実施態様において、濃度>0.05%のアトロピン又はアトロピン関連化合物とともに使用されるコンタクトレンズの1以上の第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズは、アトロピンを使用しない対応する第一の視領域のうちの対応する1つのサイズと比較して、約100%~約200%大きい(例えば、約100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%大きい)ものであり得る。
【0072】
図6は、6~12歳の子供におけるアトロピンの濃度の増加に伴う調節の振幅の減少を示しており; 0.1%アトロピンを上回る濃度は、調整の振幅を半分以上低下させる。図7A~7Cに示されているように、使用されているアトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度に基づいて、眼科用レンズは、1以上の第一の視領域と比較して、眼科用レンズの第二の視領域のうちの1つ又は複数における相対的により正の度数(「追加度数」とも称される)を提供するように選択され得る。図7Aは、1以上の第一の視領域702a及び702bを有する眼鏡レンズ701を示している。≦0.01%のアトロピン又はアトロピン関連化合物濃度とともに使用される場合、眼鏡レンズは、第一の視領域702aに対して下側に位置付けられた第二の視領域703aを有し、かつ約≦+1.00Dの702aと比べてより正の度数を有する。いくつかの実施態様において、≦0.01%のアトロピン又はアトロピン関連化合物濃度とともに使用され得る眼鏡レンズの第二の視領域のうちの1つ又は複数における相対的により正の度数は、約≦+0.75Dであり得る。いくつかの実施態様において、≦0.01%のアトロピン又はアトロピン関連化合物濃度とともに使用され得る眼鏡レンズの第二の視領域のうちの1つ又は複数における相対的により正の度数は、約≦+0.50Dであり得る。いくつかの実施態様において、>0.01%~0.1%の範囲のアトロピン濃度とともに使用するために、眼科用レンズ711の第二の視領域713aにおける相対的により正の度数(又は追加度数)は、約≧+1.00D~≦+2.00Dであり得る。いくつかの実施態様において、>0.01%~0.1%の範囲のアトロピン濃度とともに使用するために、第二の視領域のうちの1つ又は複数における相対的により正の度数(又は追加度数)は、約≧+1.25D~≦+2.00D又は≧+1.25D~≦+2.50Dであり得る。いくつかの実施態様において、>0.01%~0.1%の範囲のアトロピン濃度とともに使用するために、第二の視領域のうちの1つ又は複数における相対的により正の度数(又は追加度数)は、約≧+1.50D~≦+2.00Dであり得る。いくつかの実施態様において、図7Cに示されているように、0.1%を超えるアトロピン濃度とともに使用するために、眼科用レンズ721の第二の視領域723aのうちの1つ又は複数における相対的により正の度数(又は追加度数)は、約≧+1.50D以上であり得る。いくつかの実施態様において、0.1%を超えるアトロピン濃度とともに使用するために、第二の視領域のうちの1つにおける相対的により正の度数(又は追加度数)は、約≧+2.00D、≧+2.50D、又はそれ以上であり得、約≧+2.00D~約≦+3.50Dであり得、約≧+1.50D~約≦+5.00Dであり得る。
【0073】
いくつかの実施態様において、図8に示されているように、眼科用レンズは、1以上の第一の視領域(レンズ801中の802a及び802b;レンズ811中の812a及び812b、並びにレンズ821中の822a及び822b)、1以上の近視制御要素(レンズ801中の804a及び804b;レンズ811及び824a中の814a及び814b、並びにレンズ821中の824b)、並びに1以上の第二の視領域(レンズ801中の803a;レンズ811中の813a及び813b、並びにレンズ821中の823a)を含み得る。1以上の第二の視領域のうちの少なくとも1つのサイズは、少なくともある程度は、アトロピン又はアトロピン関連化合物の濃度に基づいて構成され得る。いくつかの実施態様において、813a(第二の視領域のうちの1つは下側により大きな部分を占める)又は823a(第二の視領域のうちの1つはレンズの下側の大きな部分を実質的に横断する)によって図8B及び8Cに示されているように、低濃度のアトロピン(0.01%以下)とともに使用される場合、第二の視領域(803a)うちの少なくとも1つ又は複数のサイズは、中~高濃度のアトロピン(>0.01%アトロピン)とともに使用される第二の視領域のうちの少なくとも1つ又は複数のサイズと比較してより小さいものであり得る。いくつかの実施態様において、第二の視領域のうちの少なくとも1つは、中間及び/又は近方作業中の視覚障害を最小化するために使用者の主視線(又は遠方を見るために採用される視線)の方向に対して配置され得る。図8Aに示されているように、第二の視領域(803a)は、近方視中の使用者の右眼の直進位置から鼻側方向への主視線の変化と一致するように反時計回りの方向にオフセットされる(いくつかの実施態様において、第二の視領域(803a)は、近方視中の使用者の右眼の側頭方向への主視線の変化と一致するように時計回りの方向にオフセットされ得る)。いくつかの実施態様において、第二の視領域の少なくとも1つ又は複数における相対的により正の度数は、レンズ821の領域823aに示されているように、均一に分布し得るのに対し、いくつかの実施態様において、1以上の第二の視領域にわたる度数分布は、レンズ801の領域803aに示されているように、度数が803aの下方領域に向かって徐々に増加する勾配度数を有し得る。いくつかの実施態様において、図8A及び8Bに示されているように、第一の視領域のうちの1つ、すなわち、レンズ801の802a及びレンズ811の812aは、該領域の特定の部分において相対的により正である視度プロファイルを含み得る。図8A及び8Bのそのようなレンズは、近距離に限定され得る環境における個人、例えば、コンピュータで作業している子供、又は主に近距離範囲で、例えば、ベンチトップ、実験室、もしくは机ベースで操作している個人にとって有用であり得る。さらに、図8A~8Cに示されているように、いくつかの実施態様において、近視制御要素のうちの1つ又は複数は、第一の視領域のうちの少なくとも1つ又は複数及び1以上の第二の視領域に組み込まれ得る。他の実施態様において、第二の視領域のうちの1つ又は複数は、瞳孔直径の増加によって生じる高次収差のうちの1つ又は複数を制御し、軽減し、及び/又は最小化するための度数プロファイルを組み込み得、かつ少なくともある程度は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択され得る。
【0074】
可能であり得る1以上の近視制御要素のタイプ、サイズ、配置、充填係数、及び規模/強度の多くのバリエーション。下記は、可能であり得る構成のタイプ及び充填係数のほんの数例である。いくつかの実施態様において、近視制御要素は、マイクロレンズであってもよく、メタレンズであってもよく、又は屈折度数変化を誘導するためのレンズ/レンズ表面の幾何及び光学特性の簡単なバリエーションであってもよい。いくつかの実施態様において、近視制御要素は、屈折性、回折性、コントラスト変調型、位相変調型、メタ表面、光散乱性、光偏位性、振幅変調型、収差型、ホログラフィック、光拡散性要素、又はこれらの1以上の要素の組合せのうちの1つ又は複数であり得る。いくつかの実施態様において、近視制御要素は、近視性デフォーカス、遠視性デフォーカスを与え、深度拡張型フォーカスを生み出し、多焦点を生み出すように、又はこれらを組み合わせて設計された屈折要素であり得る。
【0075】
図9は、近視進行を減速させるためのムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)とともに使用される眼鏡レンズ901の模式図である。図9に示されているように、該レンズは、少なくともある程度は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択された902aの少なくとも1つの特徴を有する複数の第一の視領域902a及び902bを含む。該レンズは、第二の視領域903をさらに含み、近視制御要素904は、1以上の第一の視領域及び第二の視領域にわたって位置付けられ得る。近視制御要素904は、屈折性904a、回折性904b、散乱904c、メタレンズ904d、位相ステップ904e、他の近視制御要素であり得、かつ/又はこれらの1以上の近視制御要素の任意の組合せを特徴とし得る(図9B)。いくつかの実施態様において、近視制御要素は、離散要素、連続要素、又は組合せであり得る。いくつかの実施態様において、離散的近視制御要素は、環状リング型要素、部分環状リング、アーチ型要素、小円形要素、プリズム型要素として、又は任意の他の好適な形状、及び/又はこれらのうちの1もしくは複数の任意の組合せとして組み込まれ得る。いくつかの実施態様において、1以上の離散的近視制御要素は、他の近視制御要素から離れて位置付けられ得る。いくつかの実施態様において、1以上の離散的近視制御要素は、他の近視制御要素のうちの1つもしくは複数又はこれらの組合せと接して位置付けられ得るか又はそれと結合され得るか又はそれと融合され得る。いくつかの実施態様において、屈折要素は、環状要素、リング、アーチ、螺旋、三角形、もしくは任意の他の形状、又はこれらの組合せとして、或いは単調であり得るか、非単調であり得るか、周期的であり得るか、非周期的であり得るか、又はこれらの組合せであり得る、部分的に連続的な、実質的に連続的な屈折度数プロファイルとして成形され得る。いくつかの実施態様において、屈折性近視制御要素は、眼の距離屈折誤差を補正するように設計された1以上の第一の視領域における屈折度数プロファイルと比較して、無デフォーカス、遠視性デフォーカス、近視性デフォーカス、深度拡張型フォーカス、収差、又はこれらの組合せを提供するように設計され得る。いくつかの実施態様において、近視制御要素は、単調であり得るか、非単調であり得るか、周期的であり得るか、非周期的であり得るか、又はこれらの組合せであり得る度数プロファイルの部分的に連続的な、実質的に連続的な、又は連続的な変化として組み込まれ得る。図9Cにおいて、眼科用レンズは、第一の視領域902bのうちの1つに近視制御特徴を組み込み;度数プロファイルは、902aの境界から眼科用レンズの周辺に向かって相対的により正の度数が増加する。いくつかの実施態様において、近視制御要素は、ランダムな又は非ランダムな配列/パターンで配列され得る。
【0076】
いくつかの実施態様において、配列が非ランダムである場合、それらは、図10a~10gに示されているように、六角形、同心個別、四角形、又は環状パターンで配置され得るか、或いは任意の他の好適な配列又はそのうちの1つもしくは複数の組合せであり得る。いくつかの実施態様において、配列がランダムである場合、それらは、非対称的なパターン(図10g)又は対称的な様式(図10f)で配置され得る。いくつかの実施態様において、近視制御要素は、第一の視領域のうちの1つもしくは複数にわたって、第二の視領域のうちの1つもしくは複数にわたって、又は両方の領域にわたって組み込まれ得る。いくつかの実施態様において、1以上の近視制御要素は、前面、後面、又は両方の表面にわたって位置付けられ得る。ある実施態様において、1以上の近視制御要素は、一方もしくは両方の表面の全体にわたって又は一方もしくは両方の表面の一部にわたって又はこれらの表面の間に存在し得る。いくつかの実施態様において、1以上の近視制御要素は、レンズ表面の約90%以上、レンズ表面の約85%、レンズ表面の約80%、レンズ表面の約75%、レンズ表面の約70%、レンズ表面の約65%、レンズ表面の約60%、レンズ表面の約55%、レンズ表面の約50%、レンズ表面の約45%、レンズ表面の約40%、レンズ表面の約35%、レンズ表面の約30%、レンズ表面の約25%、レンズ表面の約20%、レンズ表面の約15%、及びレンズ表面の約10%に存在し得る。いくつかの実施態様において、1以上の近視制御要素は、約20%~約60%まで様々である範囲(例えば、約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、又は60%)で存在し得る。いくつかの実施態様において、近視制御要素は、少なくともある程度は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択され得る第一の視領域のうちの1つ又は複数以外の領域にのみ組み込まれ得る。いくつかの実施態様において、近視制御要素は、少なくともある程度は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択され得る第一の視領域のうちの1つ又は複数及び第二の視領域のうちの1つ又は複数以外の領域にのみ組み込まれ得る。
【0077】
図11は、近視進行を減速させると同時に、視覚障害を最小化し、軽減し、及び/又は消失させるためのムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)とともに使用される眼鏡レンズの説明である。図11において、第一の視領域1102aのうちの少なくとも1つ及び第二の視領域1103aのうちの少なくとも1つの寸法は、少なくともある程度は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいてサイズ調整される。いくつかの実施態様において、第一の視領域1102aのうちの少なくとも1つ及び/又は第二の視領域1103aのうちの少なくとも1つは、瞳孔直径の増加によって生じる高次収差のうちの1つ又は複数を制御し、軽減し、及び/又は最小化するための度数プロファイルを組み込み得る。さらに、視度、すなわち、第一の視領域1102aと比較した第二の視領域1103aの相対的により正の度数は、少なくともある程度は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づく。さらに、近視制御要素1104は、1以上の第一の視領域(1104a、1104b)及び第二の視領域(1104c)を含むレンズ表面全体にわたって存在する。特定の例において、図11に示されているように、1以上の第一の視領域1104aのうちの1つにおける近視制御要素のサイズは、個人が遠方距離を見るときに、視覚障害を軽減及び/又は最小化するためのレンズの他の視領域(1104b及び1104c)のうちの1つ又は複数にわたる近視制御要素と比較して、より小さくサイズ調整される。いくつかの実施態様において、1以上の第一の視領域1104aのうちの1つにおける近視制御要素は、レンズ(1104b及び1104c)の他の視領域のうちの1つ又は複数にわたる近視制御要素と比較して、より小さくサイズ調整され、かつ瞳孔直径の増加によって生じる高次収差のうちの1つ又は複数を制御し、軽減し、及び/又は最小化するための1102aの1以上の領域のみに存在し得る。さらに、この例において、過度の近方作業は近視を悪化させると考えられるので、十分な近視制御が近方作業中に提供されることを保証するために、第二の視領域1104cにわたって存在する近視制御要素は、1以上の第一の視領域1102aのうちの1つにおける近視制御要素1104aと比較して、より大きくサイズ調整される。いくつかの実施態様において、近視制御要素は、離散的近視制御要素、連続的近視制御要素、又はこれらの組合せのうちの1つ又は複数であり得る。いくつかの実施態様において、第二の視領域1103aにわたる近視制御要素の強度は、距離視領域1102a又は1102bのうちの1つ又は複数にわたる近視制御要素の強度と比較して、より高いものであり得る。
【0078】
いくつかの実施態様において、近視制御要素の充填係数は、使用されている様々な濃度のムスカリン性受容体アンタゴニストで視覚障害を最小化し、かつ/又は使用されているムスカリン性受容体アンタゴニストと併用して近視制御効力を最大化するために、様々な領域間で様々であり得る。図12Aと12Bの両方において、第一の視領域1202a及び1212aのうちの1つは、近視制御要素を欠いている(又は実質的に欠いている)。図12Aの第一の視領域1202bの別のものを考慮して、この第一の視領域1202bにわたる近視制御要素(1204a)の充填比率は、第二の近方視領域1203のうちの1つにわたる近視制御要素1204bの充填比率よりも小さいものであり得、かつ区域1205cに示されている。図12Bにおいて、第二の視領域1213のうちの1つにわたる近視制御要素(1214b)の充填比率は、区域1215cに示されているように、第一の視領域1212bのうちの1つにわたる近視制御要素1214aの充填比率よりも小さい。より小さい又はより大きい充填比率は、図12に示されている近視制御要素のサイズ又は図13に示されている要素の数、例えば、per sq.mmに基づいて達成され得る。第一の視領域のうちの1つもしくは複数及び/又は第二の視領域のうちの1つもしくは複数における近視制御要素のより小さい充填比率は、例えば、より高い濃度のムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)を用いて視覚障害を最小化するのに望ましい場合があり、その一方で、第一の視領域のうちの1つもしくは複数及び/又は第二の視領域のうちの1つもしくは複数における近視制御要素のより高い充填比率は、より低い濃度のムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)を用いて近視制御を助けるのに望ましい場合がある。
【0079】
図14は、近視進行を減速させると同時に、視覚障害を最小化し、軽減し、及び/又は消失させるためのムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)とともに使用される眼鏡レンズである、眼科用レンズのシリーズの模式図である。図14において、眼科用レンズ1401、1411、及び1421は、低、中、及び高濃度のアトロピンとともに使用されるように設計されている。眼科用レンズ1401、1411、及び1421の第一の視領域1402a、1412a、及び1422aのうちの1つの寸法は、少なくともある程度は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいてサイズ調整される。いくつかの実施態様において、第一の視領域1402a、1412a、及び1422aのうちの少なくとも1つは、瞳孔直径の増加によって生じる高次収差のうちの1つ又は複数を制御し、軽減し、及び/又は最小化するための度数プロファイルを組み込み得る。第一の視領域のうちの1つの形状は、使用者の要求を考慮して、非円形であり得る。図14Aの眼科用レンズにおいて、近視制御要素1404は、第一の視領域1402aを除く、第一の視領域1402bのうちの1つにわたるレンズ表面全体にわたって存在する。近視制御要素は、近視性デフォーカスを与える相対的により正の度数(第一の視領域1402a又は1402bののうちの1つ又は複数における度数と比較して相対的によりプラス)を有する。近距離の場合、調節の遅れがあるので、遠距離と比較して、近距離を見ている間に近視性デフォーカスを増大させることが好ましい。したがって、近視制御効力を増大させ、かつ/又は最大化するために、近視制御要素の屈折度数又は相対的により正の度数は、該要素が、1402bと比較して相対的に正の度数を、図14Aに示されているように眼科用レンズの上部から眼科用レンズの下部へと徐々に増大させるように(1404c>1404b>1404aの相対的に正の度数)配列され得る。近視制御要素の相対的により正の度数が遠方視位置に関してより小さいので、そのような配列は、遠方視に関する視覚障害のリスクを軽減し得る。より高い濃度のアトロピンとともに使用される図14B及び14Cの眼科用レンズにおいて、図14Bの第一の視領域1412a及び図14Cの1422aのうちの1つのサイズは、図14Aに描かれているレンズ1401の1402aよりも大きい。さらに、眼科用レンズ1411及び1421の近視制御要素の強度又は相対的により正の度数は、眼科用レンズ1401の対応する近視制御要素よりも高いものであり得る。
【0080】
図15は、近視進行を減速させると同時に、視覚障害を最小化し、軽減し、及び/又は消失させるムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)とともに使用される2つの眼科用レンズ(1501及び1511)の模式図である。図15Aにおいて、レンズ1501の第一の視領域1502aのうちの1つの寸法は、少なくともある程度は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいてサイズ調整される。いくつかの実施態様において、第一の視領域1502a、1512aのうちの少なくとも1つは、瞳孔直径の増加によって生じる高次収差のうちの1つ又は複数を制御し、軽減し、及び/又は最小化するための度数プロファイルを組み込み得る。さらに、第二の視領域(1503)における相対的により正の度数は、少なくともある程度は、使用されているアトロピンの濃度に基づく。例示されているように、近視制御要素(1504)は、第一の視領域1502aのうちの1つを除いて、レンズ表面全体にわたって存在する。第一の視領域のうちの1つ又は複数及び第二の視領域のうちの1つ又は複数にわたる近視制御要素の配列は、レンズ1511にわたって同様であり得る。眼科用レンズとともに使用されるムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に加えて、レンズにわたる近視制御要素の充填比率は、近視の進行に基づいて決定され得る。より高い充填比率は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)とともに近視を減速させる助けとなり得るのに対し、より低い充填比率は、より小さい視覚障害をもたらし得る。例えば、図15Aにおいて、予想よりも早い軸方向伸長速度を有する眼において、眼科用レンズ1501にわたる近視制御要素の充填比率は、>40%である(区域1508aに示されている)。近視進行が予想よりも遅い眼において、図15Bの1501のレンズにおける近視制御要素の充填比率は、<40%にまで低下し得る(区域1518aに示されている)。ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度とともに使用される眼科用レンズを選択するための進行の速度の決定はまた、年齢、眼の軸長、眼の軸長/角膜曲率、親の近視、過去の進行歴、並びに屋外及び屋内活動に費やす時間を含む個人の経歴に基づいて行われ得る。
【0081】
本明細書に記載される眼科用レンズは、多くの方法によって形成されることができる。本明細書に記載される眼科用レンズ又は眼科用レンズ設計は、眼鏡及びコンタクトレンズの既知の作製方法を用いて製造され得る。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される眼科用レンズは、成形、旋盤加工、レンズ表面処理、例えば、フリーフォーム製造、プリンティング、スタンピング、コーティング、カプセル化、付加手順、除去手順、レーザー加工、エッチング、フォトリソグラフィー、物理的改変、又は1以上のプロセスもしくは技法の組合せを伴う1以上の技法及び/又はプロセスを用いて製造され得る。いくつかの実施態様において、眼科用レンズの前面は、1以上の近視制御要素、1以上の第一の視領域、及び/又は1以上の第二の視領域を組み込み、半成品ブランク又はレンズを結果として生じさせる、成形又はキャスティング技法よって製造され得る、つまり、半成品ブランク又はレンズは、個人によって着用される最終的なレンズ設計を完成させるための1以上の追加の加工工程を必要とし得る。例えば、1つの追加の加工工程は、眼の距離屈折誤差を組み込むために、後面を表面処理及び/又は研磨することを含み得、かつフリーフォーム製造プロセス、旋盤加工もしくは成形、又は他の技法を用いて製造され得る。いくつかの実施態様において、1以上の近視制御要素又は第二の視領域は、例えば、付加プロセス(例えば、3Dプリンティング、インクジェットプリンティング、もしくはレンズコーティングもしくはフィルムカプセル化もしくはポリマーレイヤー工程)又は除去プロセス(レーザー)によるか、或いはレンズ材料の物理的性質、例えば、表面仕上げ、屈折率、表面形状、又は全体的なもしくは部分的な曲率を改変すること(レーザー又はスタンピング又は圧縮)により、レンズの製造と別々の工程として産生され得る。
【0082】
いくつかの実施態様において、アトロピン又はアトロピン関連化合物とともに使用するための眼科用レンズのセットもしくはシリーズもしくはキット又は眼科用レンズ設計が提供され得る。該シリーズ又はセット又はキット中の眼科用レンズは、レンズ表面処理マシン、例えば、表面ジェネレータ、又はCNCマシンのための完全仕上がり又は半仕上がりブランク又はレンズ表面製造ファイルを含み得る。該セット又はシリーズ又はキットは、複数の眼科用レンズ及び/又はレンズ設計からなり得、該眼科用レンズ又はレンズ設計は、少なくともある程度は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて構成された特徴を含む。図16は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて使用されるように構成された眼科用レンズ又は眼科用レンズ設計のシリーズを示している。例示されているように、該シリーズ中のレンズは、少なくともある程度は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択され得る少なくとも1つの寸法(例えば、サイズ)を有する少なくとも1つの第一の視領域(1602a、1612a、1622a)を含む。例示されているように、第一の視領域のサイズは、低濃度のアトロピンとともに使用されたときに、より小さく(1602a)、中及び高濃度のムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)とともに使用されたときに、より大きい(1612a及び1622a)。いくつかの実施態様において、第一の視領域1602a、1612a、及び1622aのうちの少なくとも1つは、瞳孔直径の増加によって生じる高次収差のうちの1つ又は複数を制御し、軽減し、及び/又は最小化するための度数プロファイルを組み込み得る。さらに、該レンズは、それぞれ、第一の視領域1602a、1612a、及び1622aほぼ下側に配置され、かつ実質的に正常な近距離視力を可能にするために、第一の視領域における視度と比べてより正である視度プロファイルを有する少なくとも1つの第二の視領域(1603、1613、1623)を有し得る。第二の視領域の寸法、すなわち、サイズ及び/又は第二の視領域の相対的により正の度数は、少なくともある程度は、眼科用レンズとともに使用されるムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、該レンズのシリーズ又はキットにおけるレンズ又は設計の各々は、第一の視領域と比べて第二の視領域に相対的により正の度数を有し得、かつ低い、中等度の、及び/又は高い追加度数を有する1以上の第二の視領域のうちの1つを有するものに分類され得る。レンズ1601は、第二の視領域1603における低い追加度数を有し得、かつ第一の視領域1602aのサイズのより小さい増加と関連付けられ得、かつ低濃度のアトロピン(≦0.01%アトロピン)とともに使用され得る。いくつかの実施態様において、第二の視領域1602aにおける低い追加度数は、≦+1.00Dであり得る。レンズ16011は、第二の視領域1613における中等度の追加度数を有し得、かつ第一の視領域1612aのサイズの中等度の増加と関連付けられ得、かつ中濃度のムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)(例えば、>0.01~0.1%アトロピン)とともに使用され得る。いくつかの実施態様において、第二の視領域における中等度の追加度数は、≧+1.00D~≦+2.00D又は≧+1.00D~≦+2.50Dの範囲であり得る。レンズ1621は、第二の視領域1623における高い追加度数を有し得、かつ第一の視領域1622aのサイズの大きい増加と関連付けられ得、かつ高濃度のムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)(例えば、>0.10%アトロピン)とともに使用され得る。いくつかの実施態様において、第二の視領域における高い追加度数は、≧+1.50D~≦+3.50Dであり得る。さらに、レンズ又はレンズ設計のシリーズ又はキット又はセット中のレンズ1601、1611、及び1621の各々は、レンズの1以上の視領域にわたって又はレンズの各々の領域全体にわたって1以上の近視制御要素(1604a、1614a、及び1624a)を有し得、かつアトロピン又はアトロピン系化合物の濃度に基づいて構成され得る。いくつかの実施態様において、図16Cに示されているように、レンズ1621は、より高い濃度のアトロピン向けに設計され得、異なる(例えば、より小さい)ものであり得、かつ第一の視領域1622b中の近視制御要素よりも低い充填係数を有する第二の視領域1623中の近視制御要素1624aを有し得る。
【0083】
図17は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて使用されるように構成された眼科用レンズ又は眼科用レンズ設計別のセットを示している。図17A~17Cに示されているように、該シリーズ中のレンズは、その少なくとも1つの寸法(例えば、サイズ)が、少なくともある程度は、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択され得る、少なくとも1つ又は複数の第一の視領域(それぞれ、1702a~1751a)を含む。例示されているように、第一の視領域1702aのうちの1つのサイズは、低濃度のアトロピンとともに使用されるときに、より小さく、中及び高濃度のムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)とともに使用されるときに、より大きい(1711a及び1721a)。いくつかの実施態様において、第一の視領域1702a、1711a、及び1721aのうちの少なくとも1つは、瞳孔直径の増加によって生じる高次収差のうちの1つ又は複数を制御し、軽減し、及び/又は最小化するための度数プロファイルを組み込み得る。さらに、該レンズは、第一の視領域1702aのほぼ下側に配置され得、かつ実質的に正常な近距離視力を可能にするために、第一の視領域の視度と比べて相対的により正である視度プロファイルを有する少なくとも1つの第二の視領域(レンズ1701中の1703)を有し得る。第二の視領域の寸法、すなわち、サイズ及び/又は相対的により正の度数は、少なくともある程度は、眼科用レンズとともに使用されるムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、該シリーズ中のレンズ又はレンズのキットは、第一の視領域と比べて第二の視領域に相対的により正の度数を有し得、かつ低い又は中等度の又は高い追加度数を有するものに分類され得る。第二の視領域1703における低い追加度数は、第一の視領域のサイズのより小さい増加と関連付けられ得、かつ低濃度のアトロピン(≦0.01%アトロピン)とともに使用され得る。第二の視領域1713における中等度の追加度数は、第一の視領域のサイズの中等度の増加と関連付けられ得、かつ中濃度のムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)(例えば、>0.01~0.1%アトロピン)とともに使用され得る。第二の視領域1723における高い追加度数は、第一の視領域のサイズの大きい増加と関連付けられ得、かつ高濃度のムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)(例えば、>0.1%アトロピン)とともに使用され得る。さらに、いくつかの実施態様において、1以上の近視制御要素(1704~1754)の強度又は規模は、アトロピン又はアトロピン系化合物の濃度に基づいて構成され得る。いくつかの実施態様において、近視制御要素(1704)のうちの1つ又は複数の強度又は規模は、近視の減速を増強するための低濃度のアトロピンとともに使用される場合、高いものであり得る。いくつかの実施態様において、近視制御要素(1714及び1724)は、より高い濃度のアトロピンとともに使用される場合の1704と比較して相対的により低い強度又は規模のものであり得る。
【0084】
いくつかの実施態様において、ムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて使用されるように構成された眼科用レンズのセット又は眼科用レンズ設計について、図18A~18Cに示されているように、近視制御要素のうちの1つ又は複数によって占められる面積は、眼への刺激を増強して、近視の進行を減速又は軽減するための低濃度のアトロピンとともに使用される場合、高いものであり得る(1834)。いくつかの実施態様において、近視制御要素のうちの1つ又は複数によって占められる面積は、使用者の眼に対する視覚障害を軽減するための中~高濃度のアトロピンとともに使用される場合、低いものであり得る(1844及び1854)。
【0085】
いくつかの実施態様において、眼科用レンズ又はレンズシリーズは、視覚障害を最小化又は軽減するためのフォトクロミックフィルター又は光吸収フィルター又は光吸収要素又はフォトマスク又は位相シフトマスクを含むようにさらに調整され得る。いくつかの実施態様において、フォトクロミックフィルター又は光吸収フィルターのレンズにわたる密度又はグラデーション又は位置は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択され得る。いくつかの実施態様において、光フィルタリング要素の密度又はグラデーションは、より低い濃度のムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)については、より低い又はレンズのより少ない面積を被覆し得、かつより高い濃度のムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)については、より高い又はより大きいものであり得る。いくつかの実施態様において、密度又は光フィルタリング要素又は面積被覆率は、第一の視領域のサイズ及び/又は第二の視領域の相対的により正の度数に基づいて選択され得る。例えば、いくつかの実施態様において、光フィルタリング又はフォトクロミックフィルターの密度は、第一の視領域のサイズのわずかな増加及び/又は≦+1.00Dの相対的な正の度数の場合、約25%以下であり得る。いくつかの実施態様において、光フィルタリング又はフォトクロミックフィルターの密度は、第一の視領域のサイズの中等度の増加及び/又は+1.00~+2.00Dの相対的な正の度数の場合、約25%~50%であり得、かつ第一の視領域のサイズのより大きい増加及び/又は>+2.00Dの相対的な正の度数の場合、約>50%であり得る。
【0086】
本明細書に記載される実施態様の一態様は、眼の近視の進行を管理する方法を提供し、かつa)近視及び/又は近視の進行の検出又は特定; b)近視の進行を減速させ、遅延させ、又は制御するための使用のために処方される医薬品の濃度を決定すること、並びにc)使用されている医薬品の濃度に基づいて、眼科用レンズのシリーズ又はキット又は複数の眼科用レンズから眼科用レンズのうちの1つを選択すること;を含み、ここで、該眼科用レンズは、前面及び後面並びに1以上の近視制御要素を有するベースレンズ、眼の距離屈折誤差を実質的に補正するために選択される第一の度数プロファイルを有する1以上の第一の視領域を含み、ここで、第一の視領域のうちの少なくとも1つの1以上の特徴、例えば、サイズは、少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて選択され、かつ眼の視覚障害を最小化又は軽減するように設計される。
【0087】
本明細書に記載される実施態様の別の態様は、眼の近視の進行を管理する方法を提供し、かつa)近視及び/又は近視の進行の検出又は特定; b)近視の進行を減速させ、遅延させ、又は制御するための使用のために処方される医薬品の濃度を決定すること、並びにc)使用されている医薬品の濃度に基づいて、眼科用レンズのシリーズ又はキット又は複数の眼科用レンズから眼科用レンズのうちの1つを選択すること;を含み、ここで、該眼科用レンズは、前面及び後面並びに1以上の近視制御要素を有するベースレンズ、眼の距離屈折誤差を実質的に補正するために選択される第一の度数プロファイルを有する1以上の第一の視領域、並びに1以上の第一の視領域と比較して相対的により正である度数プロファイルを有する1以上の第二の視領域を含み、かつここで、該第一の視領域のうちの少なくとも1つの1以上の特徴、例えば、サイズは、少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて選択され、かつ眼の視覚障害を最小化又は軽減するように設計され、かつここで、該第二の視領域の少なくとも1つ又は複数の特徴、例えば、第二の視領域のサイズ及び相対的により正の度数は、少なくともある程度は、医薬品に起因する眼の調節性変化を相殺するための医薬品の濃度に基づいて選択される。
【0088】
図19Aは、近視進行を減速させると同時に、視覚障害を最小化し、軽減し、及び/又は消失させるムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)とともに使用される眼鏡レンズ1901の説明である。第一の視領域1902a及び1902bの度数プロファイルは、距離屈折誤差を補正するように構成されている。図19Aにおいて、第一の視領域1902aのうちの少なくとも1つ及び/又は第二の視領域1903のうちの少なくとも1つの寸法は、少なくともある程度は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいてサイズ調整される。さらに、第二の視領域1903の視度は、個人が近距離を見ているときに視覚障害を軽減及び/又は最小化するために、第一の視領域1902a及び1902bと比較して相対的により正であり、かつ少なくともある程度は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づく。さらに、近視制御要素1904及び1905は、サイズが均一であり、かつ第一の視領域1902b及び第二の視領域1903のうちの1つを含むレンズ表面にわたって分布している複数の屈折性小型レンズである。しかし、中央に位置する第一の視領域1902aにある近視制御要素はない。
【0089】
図19Bは、近視進行を減速させると同時に、視覚障害を最小化し、軽減し、及び/又は消失させるためのムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)とともに使用される眼鏡レンズ1911の説明である。レンズ1911は、距離屈折誤差を補正するための度数プロファイルで構成された3つの第一の視領域1912a、1912b、及び1912cを有し、該第一の視領域のうちの少なくとも1つの寸法は、少なくともある程度は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいてサイズ調整される。図19Aと異なり、レンズ1911は、第一の視領域のうちの少なくとも1つと異なる度数プロファイルを有する第二の視領域を含まない。近視制御要素1914及び1915は、サイズが均一であり、かつ第一の視領域1912b及び1912cを含むレンズ表面にわたって分布している。しかし、第一の(中央にある)視領域1912aに位置付けられた近視制御要素はない。近視制御要素1914及び1915の度数プロファイルも、少なくともある程度は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づいて選択される。影付き領域1912c中の近視制御要素1915は、個人が近距離を見ているときに生じるより強い近視進行刺激を軽減及び/又は最小化するための領域1912b中の近視制御要素1914と比較して相対的により正の度数プロファイルを有し、かつ少なくともある程度は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づく。
【0090】
図19Cは、その近視を制御するために0.05%アトロピンが処方された5人の進行性近視者について選択され、かつ少なくともある程度は、視覚障害及び/又は調節性変化を軽減及び/又は最小化するために使用されている医薬品の濃度に基づいて選択された眼科用レンズの例及びそのレンズ度数プロファイルパラメータのリストを提供している。図19Cに示されている眼科用レンズの例を使用している5人の近視者の各々は、各々の眼における同一の度数プロファイル要件及び各々の眼における同様の近視進行歴を有し、それゆえ、各々の眼に同一のパラメータの眼科用レンズを装着している。しかしながら、いくつかの他の例において、少なくともある程度は、例えば、視覚障害又は調節性変化を軽減及び/又は最小化するために使用されている医薬品の濃度に基づいて選択される眼科用レンズの少なくとも1つ又は複数のパラメータは、各々の眼において等しくない場合があるか、又は眼ごとに倍率が異なり、かつ/又は異なるように位置付けられる場合がある。図19Cのレンズ例1~4は、図19Aに示されている眼科用レンズ構成1901に関し、かつ個人が近距離を見るときに視覚障害を軽減及び/又は最小化するための第一の視領域1902a及び1902bのうちの少なくとも1つと比較して度数プロファイルが相対的により正の少なくとも1つの第二の視領域を含み、かつ少なくともある程度は、使用されているムスカリン性受容体アンタゴニスト(例えば、アトロピン又はアトロピン関連化合物)の濃度に基づく。レンズ例5は、図19Bに示されている眼科用レンズ構成1911に関し、かつ第二の視領域を含有していなくてもよい。全てのレンズ例は、球面円柱屈折誤差補正を提供する例4のレンズを除いて、近視者の球面屈折誤差を補正するための第一の視領域のうちの少なくとも1つにおける度数プロファイルを提供する。レンズ例1、2、4、及び5は、少なくとも1つの第一の視領域の第一の度数プロファイルよりも相対的に正の度数を提供し、したがって、近視性デフォーカス、すなわち、網膜平面前方の焦点を提供する度数プロファイルを有する近視制御要素を組み込んでいる。例3のレンズは、第一の視領域のうちの少なくとも1つの少なくとも1つの第一の度数プロファイルよりも相対的に負の度数(-3.00D)であり、したがって、遠視性デフォーカス、すなわち、網膜平面後方の焦点を提供する度数プロファイルを有する近視制御要素を組み込んでいる。結果として得られる第一の視領域1912bの第一の度数プロファイルよりも相対的に負(-3.00D)の近視制御要素1914の正味の度数プロファイルは、-8.00D(距離屈折誤差を補正するための-5.00Dベースの度数プロファイルプラス遠視性デフォーカス小型レンズ1914の-3.00Dの度数プロファイル)である。しかしながら、第二の視領域1903において、結果として得られる第一の度数プロファイルよりも相対的に負(-3.00D)の近視制御要素1905の正味の度数プロファイルは、-6.00D(距離屈折誤差を補正するための-5.00Dベースの度数プロファイルプラス第二の視領域1903に含まれる+2.00Dの追加度数プラス遠視性デフォーカス小型レンズ1815の-3.00Dの度数プロファイル)。図19Bに示されているレンズ1911の構成に基づく例5のこのレンズ及び図19Cに示されている例5のレンズパラメータにおいて、進行性近視者の距離屈折誤差を補正するために提供される第一の視領域1912a~cの度数プロファイルは、-2.00Dである。過度の近方作業は近視を悪化させると考えられるので、十分な近視制御が近方作業中に提供され得ることを保証するために、第一の視領域1912bにわたって分布している近視制御要素1914は、第一の視(影付き)領域1912cのうちの1つにわたって分布する近視制御要素1915(+3.50D)と比較してより小さい強度、例えば、度数プロファイル(+1.50D)を有し得る。
【実施例
【0091】
(実施例)
A1.近視を有する個人の眼のための医薬品とともに使用するための眼科用レンズであって、前面及び後面並びに眼の距離屈折誤差を補正するための第一の度数プロファイルを有するベースレンズ; 1以上の表面上の1以上の近視制御要素; 1以上の第一の視領域(ここで、第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズは、少なくともある程度は、医薬品に起因する瞳孔直径の変化を相殺するための医薬品の濃度に基づいて選択される):を含む、眼科用レンズ。
【0092】
A2.近視を有する個人の眼のための医薬品とともに使用するための眼科用レンズであって、前面及び後面並びに眼の距離屈折誤差を補正するための第一の度数プロファイルを有するベースレンズ; 1以上の表面上の1以上の近視制御要素; 1以上の第一の視領域(ここで、第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズは、少なくともある程度は、医薬品に起因する瞳孔直径の変化を相殺するための医薬品の濃度に基づいて選択される)及び第二の視領域のうちの少なくとも1つが第一の視領域と比較して相対的により正である度数プロファイルを含む、1以上の第二の視領域(ここで、第二の視領域のサイズ及び相対的により正の度数のうちの少なくとも1つは、少なくともある程度は、医薬品に起因する調節性変化を相殺するための医薬品の濃度に基づいて選択される):を含む、眼科用レンズ。
【0093】
A3.近視を治療するための眼科用レンズであって、前面、後面、及び眼の距離屈折誤差を補正又は実質的に補正するために選択される第一の度数プロファイルを有するベースレンズ;レンズの前面及び後面のうちの少なくとも1つの上の1以上の近視制御要素;少なくともある程度は、眼科用レンズとともに使用するための医薬品の濃度に基づいてサイズ選択される第一の視領域であって、距離視力の視覚障害を最小化し、軽減し、及び/又は消失させるために構成されている、第一の視領域;並びに第一の視領域と比較して相対的により正である度数プロファイルを含む第二の視領域;(ここで、第二の視領域のサイズ及び第二の視領域の相対的により正の度数のうちの少なくとも1つは、少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて選択される):を含む、眼科用レンズ。
【0094】
A4.第一の視領域のサイズが、少なくともある程度は、医薬品に起因する瞳孔直径の変化を相殺するための医薬品の濃度に基づいて選択される、実施例A2の眼科用レンズ。
【0095】
A5.第二の視領域のサイズ及び第二の視領域の相対的により正の度数のうちの少なくとも1つが、少なくともある程度は、医薬品に起因する調節性変化を相殺するための医薬品の濃度に基づいて選択される、実施例A2、A3、又はA4の眼科用レンズ。
【0096】
A6.医薬品がムスカリン性受容体アンタゴニストである、A実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0097】
A7.医薬品がアトロピン又はアトロピン系化合物である、A実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0098】
A8. 1以上の近視制御要素がレンズ全体にわたって配置され得るか、又はレンズの1以上の領域に配置され得る、A実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0099】
A9.第二の視領域が、少なくとも1つの第一の視領域に対して、下側、上側、側頭側、鼻側、斜位、同心同軸、同心非同軸、偏心、非同心、下鼻側、下側頭側、又は任意の他の位置のうちの1つ又は複数の任意の組合せに位置付けられる、A実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0100】
A10.眼科用レンズが、眼の視覚障害をさらに軽減し、最小化し、又は消失させるための光吸収フィルター又は光吸収要素又はフォトクロミックフィルターをさらに含み、かつ光吸収要素又はフォトクロミックフィルターの色及び/又は強度が、少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づく、A実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0101】
A11. 1以上の近視制御要素が、屈折性、回折性、コントラスト変調型、位相変調型、メタ表面、光散乱性、収差型、ホログラフィック、拡散性、又はこれらの1以上の要素の組合せである、A実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0102】
A12. 1以上の近視制御要素が眼科用レンズの一方又は両方の表面にわたって存在し、かつ表面全体にわたって存在するか又はレンズの1以上の領域に限定される、A実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0103】
A13.それぞれの視領域における近視制御要素のサイズ、配列、及び充填係数のうちの1つ又は複数の任意の組合せを含む因子が互いに対して異なり得る、A実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0104】
A14. 1以上の近視制御要素が、離散要素、眼科用レンズの度数プロファイルに組み込まれた要素、又は両方の組合せである、A実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0105】
A15. 1以上の近視制御要素が屈折要素であり、かつ小型レンズであるか、又は近視性デフォーカス、遠視性デフォーカス、もしくは深度拡張型フォーカスを提供するレンズの度数プロファイルのバリエーションであり得る、A実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0106】
A16. 1以上の近視制御要素が屈折性であり、かつレンズの残りの部分の度数プロファイルと比較して相対的により正の度数、相対的により負の度数、又は両方の組合せを有する、A実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0107】
A17. 1以上の屈折性、メタ表面、回折性、コントラスト変調型、光散乱性、収差型、ホログラフィック、光拡散性、及び/もしくは位相変調型の近視制御要素、又は該要素のうちの1つもしくは複数の組合せの配列、サイズ、規模及び/又は強度が、少なくともある程度は、個人の眼の近視進行の速度に基づいて、眼科用レンズの領域にわたって異なる、A実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0108】
A18. 1以上の近視制御要素の寸法、配列、位置、タイプ、及び/又は充填係数が、少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて構成される、A実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0109】
A19.第一の視領域のサイズ(又は寸法)が、少なくともある程度は、等式:正常な非アトロピン使用者の距離視領域サイズ+6.924+0.6266*LN(アトロピンの濃度%/100)に基づいて決定される、A実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0110】
A20.医薬品とともに使用される第一の視領域のサイズが、医薬品を使用しない第一の視領域のサイズと比較して、約4%~約95%(例えば、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%)大きい、A実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0111】
A21. 0.01%以下の医薬品濃度を有する第二の視領域における相対的な正の度数が約≦+1.00Dである、A実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0112】
A22. 0.02%~0.1%の範囲の医薬品濃度を有する第二の視領域における相対的な正の度数が約≧+1.00D~≦+2.00Dである、A実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0113】
A23. 0.1%を超える医薬品濃度を有する第二の視領域における相対的な正の度数が約≧+1.50D以上である、A実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0114】
A24.第二の視領域(704a)のサイズが、医薬品の濃度が増加するにつれて増加する、A実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0115】
A25. 1以上の近視制御要素が、レンズ表面の約90%以上、レンズ表面の約85%、レンズ表面の約80%、レンズ表面の約75%、レンズ表面の約70%、レンズ表面の約65%、レンズ表面の約60%、レンズ表面の約55%、レンズ表面の約50%、レンズ表面の約45%、レンズ表面の約40%、レンズ表面の約35%、レンズ表面の約30%、及びレンズ表面の約25%に存在する、A実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0116】
A26.眼科用レンズが眼鏡レンズ(例えば、クリップ・オン眼鏡レンズ、又はスティック・オンフィルムを含む)又はコンタクトレンズである、A実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0117】
A27.近視の進行を減速させるための医薬品とともに使用される眼科用レンズ用のレンズのセット又はレンズ設計のシリーズであって、A実施例のいずれかに定義された複数のレンズを含み、ここで、該複数のレンズの特徴が、少なくともある程度は、使用される医薬品の濃度に基づいて使用するために選択される、該レンズのセット又はレンズ設計のシリーズ。
【0118】
B1.近視眼用の医薬品とともに使用するための眼科用レンズであって、前面及び後面を有するベースレンズ;第一の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第一の視領域(ここで、少なくとも1つの第一の視領域のサイズは、少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて構成される);並びに第一の度数プロファイルと異なる度数プロファイルを有する1以上の近視制御要素:を含む、眼科用レンズ。
【0119】
B2.第一の度数プロファイルが眼の屈折誤差(例えば、距離屈折誤差)を補正又は実質的に補正するように選択される、実施例B1の眼科用レンズ。
【0120】
B3.第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズが、少なくともある程度は、医薬品に起因する瞳孔直径の変化によって生じ得る視覚障害を軽減又は最小化するための医薬品の濃度に基づいて選択される、実施例B1又はB2のいずれかの眼科用レンズ。
【0121】
B4.第一の視領域のうちの少なくとも1つの度数プロファイルが、少なくともある程度は、医薬品に起因する瞳孔直径の変化によって生じ得る視覚障害を最小化するために、三次収差、四次収差、五次収差、六次収差、他のより高次の収差のうちの1つもしくは複数、又はこれらの1つもしくは複数の組合せのうちの1つ又は複数を軽減するための医薬品の濃度に基づいて選択される、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0122】
B5.少なくとも1つの第一の視領域が眼球の軸のうちの1つ又は複数と実質的に一致している、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0123】
B6.少なくとも1つの第一の視領域のサイズが、少なくともある程度は、等式:正常な非アトロピン使用者の第一の視領域サイズのうちの1つ+6.924+0.6266*LN(アトロピンの濃度%/100)に基づいて決定される、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0124】
B7.少なくとも1つの第一の視領域のサイズが、等式:正常な非アトロピン使用者の第一の視領域サイズのうちの1つ+6.924+0.6266*LN(アトロピンの濃度%/100)の95%信頼区間、97%信頼区間、又は99%信頼区間のうちの1つに基づいて構成される、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0125】
B8.少なくとも1つの第一の視領域のサイズが、医薬品を使用しない第一の視領域のサイズ及び等式:「6.924+0.6266*LN(アトロピンの濃度%/100)」から推定される値のパーセンテージに基づいて構成される、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0126】
B9.少なくとも1つの第一の視領域のサイズが、医薬品を使用しない第一の視領域のサイズ及び等式:「6.924+0.6266*LN(アトロピンの濃度%/100)」から推定される値のパーセンテージに基づいて構成され、該パーセンテージが約15%~約85%(例えば、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%)である、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0127】
B10.医薬品とともに使用される少なくとも1つの第一の視領域のサイズが、医薬品を使用しない第一の視領域のサイズと比較して、約4%~約400%(例えば、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%、310%、320%、330%、340%、350%、360%、370%、380%、390%、又は400%)大きい、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0128】
B11.第一の視領域のうちの少なくとも1つの近視制御要素の位置、配列、色合い、度数プロファイル、及び存在が、少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて構成される、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0129】
B12.第一の度数プロファイルと異なる第二の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第二の視領域をさらに含む、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0130】
B13.第二の度数プロファイルが第一の度数プロファイルよりも度数が相対的に正であるか又は第一の度数プロファイルよりも度数が相対的に負であるかのうちの少なくとも1つである、実施例B12の眼科用レンズ。
【0131】
B14.第二の度数プロファイルが第一の度数プロファイルよりも度数が相対的に正であり、かつ少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて選択される、実施例B12又はB13のいずれかの眼科用レンズ。
【0132】
B15.少なくとも1つの第二の視領域のサイズが、少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて選択される、実施例B12~B14のいずれかの眼科用レンズ。
【0133】
B16.少なくとも1つの第二の視領域のサイズが医薬品の様々な濃度とともに変動する、実施例B12~B15のいずれかの眼科用レンズ。
【0134】
B17.少なくとも1つの第二の視領域のサイズが医薬品の濃度の増加とともに増加する、実施例B12~B16のいずれかの眼科用レンズ。
【0135】
B18.少なくとも1つの第二の視領域の第二の度数プロファイル及びサイズのうちの少なくとも1つが、少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて選択される、実施例B13~B17のいずれかの眼科用レンズ。
【0136】
B19.少なくとも1つの第二の視領域のサイズが、少なくともある程度は、調節の喪失のうちの1つもしくは複数に基づいて、及び/又は視覚障害(例えば、調節の喪失によるぼやけもしくは視覚的不快感)を軽減もしくは最小化するように選択される、実施例B12~B18のいずれかの眼科用レンズ。
【0137】
B20.少なくとも1つの第二の視領域が、少なくとも1つの第一の視領域に対して、下側、上側、側頭側、鼻側、斜位、同心同軸、同心非同軸、偏心、非同心、下鼻側、下側頭側、又は任意の他の位置のうちの1つ又は複数の任意の組合せに位置付けられる、実施例B12~B19のいずれかの眼科用レンズ。
【0138】
B21.少なくとも1つの第二の視領域における第二の度数プロファイル(例えば、相対的により正の度数プロファイル)が約≧+0.50D~約≦+3.50D又は約≧+0.25D~約≦+4.00D又は約≧+0.25D~約≦+5.00D(例えば、区間内の平均又は有効度数)の範囲である、実施例B12~B20のいずれかの眼科用レンズ。
【0139】
B22. 0.01%以下の医薬品濃度を有する少なくとも1つの第二の視領域における第二の度数プロファイル(例えば、相対的により正の度数プロファイル)が約≦1.00Dである、実施例B12~B21のいずれかの眼科用レンズ。
【0140】
B23. 0.02%~0.1%の範囲の医薬品濃度を有する少なくとも1つの第二の視領域における第二の度数プロファイル(例えば、相対的により正の度数プロファイル)が約≧1.0D~≦2.5D又は約≧1.0D~≦3.0Dである、実施例B12~B22のいずれかの眼科用レンズ。
【0141】
B24. 0.1%を超える医薬品濃度を有する少なくとも1つの第二の視領域における第二の度数プロファイル(例えば、相対的により正の度数プロファイル)が約≧1.5D以上又は約≧0.75D以上又は約≧1.0D以上である、実施例B12~B23のいずれかの眼科用レンズ。
【0142】
B25.少なくとも1つの第一の視領域及び少なくとも1つの第二の視領域のうちの1つ又は複数の任意の組合せの度数プロファイルが対称性又は非対称性である、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0143】
B26.第一の度数プロファイル及び第二の度数プロファイルの任意の組合せが回転対称性又は回転非対称性である、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0144】
B27.眼科用レンズが、レンズの1以上の領域中に、光吸収フィルター、光吸収要素、フォトクロミックフィルター、フォトマスク、及び位相シフトマスクのうちの1つ又は複数の任意の組合せをさらに含み、かつ少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて構成される、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0145】
B28. 1以上の近視制御要素の度数プロファイルが第一の度数プロファイルのうちの1つよりも相対的に正であるか又は第一の度数プロファイルのうちの1つよりも相対的に負であるかのうちの少なくとも1つである、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0146】
B29. 1以上の近視制御要素の度数プロファイルが第二の度数プロファイルのうちの1つよりも相対的に正であるか又は第二の度数プロファイルのうちの1つよりも相対的に負であるかのうちの少なくとも1つである、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0147】
B30. 1以上の近視制御要素の度数プロファイルが第一の度数プロファイルよりも相対的に正である、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0148】
B31. 1以上の近視制御要素が、ベースレンズの前面、ベースレンズの後面、又はベースレンズの大部分のうちの1つ又は複数の任意の組合せに位置する、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0149】
B32.少なくとも1つの第一の視領域に対する1以上の近視制御要素の形状、パターン、位置、及び度数プロファイルのうちの1つ又は複数の組合せが、少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて選択される、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0150】
B33. 1以上の近視制御要素がレンズ全体にわたって配置されるか又はレンズの1以上の領域に配置され得る、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0151】
B34. 1以上の近視制御要素が眼科用レンズの一方又は両方の表面にわたって存在し、かつ表面全体にわたって存在するか又はレンズの1以上の領域に限定される、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0152】
B35. 1以上の近視制御要素が少なくとも1つの第一の視領域及び少なくとも1つの第二の視領域のうちの1つ又は複数の任意の組合せ中に存在する、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0153】
B36.少なくとも1つの第一の視領域及び少なくとも1つの第二の視領域のうちの少なくとも1つが近視制御要素を含まない、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0154】
B37.少なくとも1つの第一の視領域が近視制御要素を実質的に欠いている、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0155】
B38.それぞれの視領域における近視制御要素の配列、タイプ、サイズ、規模、強度、位置、及び/又は充填係数のうちの1つ又は複数の任意の組合せが互いに対して異なり得る、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0156】
B39. 1以上の近視制御要素が、離散要素、結合要素、連続要素、不連続要素、及び眼科用レンズの度数プロファイルに組み込まれた要素のうちの1つ又は複数の任意の組合せである、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0157】
B40. 1以上の近視制御要素が、近視性デフォーカス、遠視性デフォーカス、無デフォーカス、もしくは深度拡張型フォーカス、又はこれらの組合せを提供する度数プロファイルを含む、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0158】
B41. 1以上の近視制御要素が、複数の小型レンズ、1以上のリング、不透明要素、非屈折性要素、デフォーカス要素、又は複数の離散要素であり、かつ近視性デフォーカス、遠視性デフォーカス、無デフォーカス、又は深度拡張型フォーカスのうちの1つ又は複数の任意の組合せを提供するレンズの度数プロファイルのバリエーションであり得る、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0159】
B42. 1以上の近視制御要素が屈折性であり、かつ第一の度数プロファイルと比較して、相対的により正の度数、相対的により負の度数、又は両方の組合せを有する、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0160】
B43. 1以上の近視制御要素が屈折性であり、かつ第二の度数プロファイルと比較して、相対的により正の度数、相対的により負の度数、又は両方の組合せを有する、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0161】
B44. 1以上の近視制御要素が、屈折性、メタ表面、回折性、コントラスト変調型、光散乱性、収差型、ホログラフィック、光拡散性、光偏位性、光振幅変調型、及び/又は位相変調型のうちの1つ又は複数の任意の組合せである、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0162】
B45. 1以上の近視制御要素、又は該要素のうちの1つもしくは複数の組合せの配列、タイプ、サイズ、規模、強度、位置、及び/又は充填係数が、少なくともある程度は、個人の眼の近視進行の速度に基づいて、眼科用レンズの領域にわたって変化する、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0163】
B46. 1以上の近視制御要素の配列、タイプ、サイズ、規模、強度、位置、及び/又は充填係数が、少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて構成される、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0164】
B47. 1以上の近視制御要素が、ベースレンズの約90%以上、ベースレンズの約85%、ベースレンズの約80%、ベースレンズの約75%、ベースレンズの約70%、ベースレンズの約65%、ベースレンズの約60%、ベースレンズの約55%、ベースレンズの約50%、ベースレンズの約45%、ベースレンズの約40%、ベースレンズの約35%、ベースレンズの約30%、ベースレンズの約25%、ベースレンズの約20%、ベースレンズの約15%、又はベースレンズの約10%に存在する、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0165】
B48. 1以上の近視制御要素が、少なくとも1つの第一の視領域の約90%以上、少なくとも1つの第一の視領域の約85%、少なくとも1つの第一の視領域の約80%、少なくとも1つの第一の視領域の約75%、少なくとも1つの第一の視領域の約70%、少なくとも1つの第一の視領域の約65%、少なくとも1つの第一の視領域の約60%、少なくとも1つの第一の視領域の約55%、少なくとも1つの第一の視領域の約50%、少なくとも1つの第一の視領域の約45%、少なくとも1つの第一の視領域の約40%、少なくとも1つの第一の視領域の約35%、少なくとも1つの第一の視領域の約30%、少なくとも1つの第一の視領域の約25%、少なくとも1つの第一の視領域の約20%、少なくとも1つの第一の視領域の約15%、又は少なくとも1つの第一の視領域の約10%に存在する、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0166】
B49. 1以上の近視制御要素が、少なくとも1つの第二の視領域の約90%以上、少なくとも1つの第二の視領域の約85%、少なくとも1つの第二の視領域の約80%、少なくとも1つの第二の視領域の約75%、少なくとも1つの第二の視領域の約70%、少なくとも1つの第二の視領域の約65%、少なくとも1つの第二の視領域の約60%、少なくとも1つの第二の視領域の約55%、少なくとも1つの第二の視領域の約50%、少なくとも1つの第二の視領域の約45%、少なくとも1つの第二の視領域の約40%、少なくとも1つの第二の視領域の約35%、少なくとも1つの第二の視領域の約30%、少なくとも1つの第二の視領域の約25%、少なくとも1つの第二の視領域の約20%、少なくとも1つの第二の視領域の約15%、又は少なくとも1つの第二の視領域の約10%に存在する、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0167】
B50. 1以上の近視制御要素が、屈折性、非屈折性、回折性、コントラスト変調型、位相変調型、メタ表面、光散乱性、収差型、ホログラフィック、拡散性、光偏位性、光振幅変調型、又はこれらの1以上の要素の組合せである、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0168】
B51.少なくとも1つの第一の視領域に対する1以上の近視制御要素の形状、位置、及び/又は度数プロファイルが、少なくともある程度は(第一の視領域及び第二の視領域のうちの少なくとも1つにおける)度数プロファイルの回転非対称性が1以上の近視制御要素(例えば、1以上の近視制御要素の強度の回転非対称性)によって作り出されることに基づいて選択される、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0169】
B52. 1以上の近視制御要素の強度が医薬品の濃度の増加とともに減少する、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0170】
B53.眼科用レンズが眼鏡レンズ(例えば、クリップ・オン眼鏡レンズ、又はスティック・オンフィルムを含む)又はコンタクトレンズである、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0171】
B54.眼科用レンズが、球面円柱レンズ、円環レンズ、多焦点レンズ、二焦点レンズ、又は累進多焦点レンズである、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0172】
B55.医薬品がムスカリン性受容体アンタゴニストである、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0173】
B56.医薬品がアトロピン又はアトロピン関連化合物である、B実施例のいずれかの眼科用レンズ。
【0174】
B57.近視の進行を減速させるための医薬品とともに使用される眼科用レンズのレンズのセット又はレンズ設計のシリーズであって、B実施例のいずれかに定義された複数のレンズを含み、ここで、複数のレンズの特徴が、少なくともある程度は、使用される医薬品の濃度に基づいて使用されるように選択される、レンズのセット又はレンズ設計のシリーズ。
【0175】
C1.近視眼用の医薬品とともに使用するための眼科用レンズシリーズであって、該シリーズ中のレンズが、前面及び後面並びに1以上の近視制御要素を有するベースレンズ;眼の屈折誤差(例えば、距離屈折誤差)を補正するために、並びに眼の高次収差のうちの1つ又は複数を実質的に制御し、最小化し、及び/又は軽減するために選択された第一の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第一の視領域:を含む、眼科用レンズシリーズ。
【0176】
C2.シリーズ中のレンズが実施例B1~B57の眼科用レンズの1以上の特徴を含む、実施例C1の眼科用レンズシリーズ。
【0177】
D1.近視眼用の医薬品とともに使用するための眼科用レンズシリーズであって、該シリーズ中のレンズが、前面及び後面並びに1以上の近視制御要素を有するベースレンズ;眼の屈折誤差(例えば、距離屈折誤差)を補正するために、並びに該眼の高次収差のうちの1つ又は複数を実質的に制御し、最小化し、及び/又は軽減するために選択された第一の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第一の視領域:を含み、かつここで、少なくとも1つの第一の視領域のサイズが、少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて構成される、眼科用レンズシリーズ。
【0178】
D2.シリーズ中のレンズが実施例B1~B57の眼科用レンズの1以上の特徴を含む、実施例D1の眼科用レンズシリーズ。
【0179】
E1.近視眼用の医薬品とともに使用するための眼科用レンズシリーズであって、該シリーズ中のレンズが、前面及び後面並びに1以上の近視制御要素を有するベースレンズ;眼の屈折誤差(例えば、距離屈折誤差)を補正するために選択された第一の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第一の視領域:を含み、ここで、少なくとも1つの第一の視領域のサイズが、少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて構成される、眼科用レンズシリーズ。
【0180】
E2.シリーズ中のレンズの少なくとも1つの第一の視領域のサイズが、等式:正常な非アトロピン使用者の第一の視領域サイズのうちの1つ+6.924+0.6266*LN(アトロピンの濃度%/100)の95%信頼区間、97%信頼区間、又は99%信頼区間のうちの1つに基づいて構成される、実施例E1の眼科用レンズシリーズ。
【0181】
E3.シリーズ中のレンズが、1以上の第一の視領域よりも相対的に正であり、かつ少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて選択される少なくとも1つの度数プロファイルを有する、少なくとも1つの第二の視領域をさらに含み、該相対的により正の度数が約≧+0.50D~約≦+3.50D又は約≧+0.25D~約≦+4.00D又は約≧+0.25D~約≦+5.00D(例えば、区間内の平均又は有効度数)の範囲である、実施例E1及びE2のいずれかの眼科用レンズシリーズ。
【0182】
E4.シリーズ中のレンズが実施例B1~B57の眼科用レンズの1以上の特徴を含む、実施例E1~E3のいずれかの眼科用レンズシリーズ。
【0183】
F1.近視眼用の医薬品とともに使用するための眼科用レンズシリーズであって、該シリーズ中のレンズが、前面及び後面並びに該レンズ上及び/又は該レンズ中に散在する1以上の近視制御要素を有するベースレンズ;眼の屈折誤差(例えば、距離屈折誤差)を実質的に補正するために選択された第一の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第一の視領域(ここで、該第一の視領域のうちの少なくとも1つのサイズは、少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて構成される);並びに少なくとも1つの第一の視領域と異なり(例えば、相対的により正又は負であり)、かつ少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて選択され、異なる度数が約≧+0.50D~約≦+3.50Dの範囲である第二の度数プロファイルを有する、少なくとも1つの第二の視領域:を含む、眼科用レンズシリーズ。
【0184】
F2.シリーズ中のレンズが実施例B1~B57の眼科用レンズの1以上の特徴を含む、実施例F1の眼科用レンズシリーズ。
【0185】
G1.近視眼用の医薬品とともに使用するための眼科用レンズシリーズであって、該シリーズ中のレンズが、前面及び後面並びに該レンズ上及び/又は該レンズ中に散在する1以上の近視制御要素を有するベースレンズ;眼の屈折誤差(例えば、距離屈折誤差)を実質的に補正するために選択された第一の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第一の視領域(ここで、少なくとも1つの第一の視領域のサイズは、少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて構成される);少なくとも1つの第一の視領域と異なり(例えば、相対的により正又は負であり)、かつ少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて選択され、異なる度数が約≧+0.50D~約≦+3.50Dの範囲である第二の度数プロファイルを有する、少なくとも1つの第二の視領域;並びにレンズの1以上の領域中の、かつ少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて構成される、光吸収フィルター又は光吸収要素又はフォトクロミックフィルター又はフォトマスク又は位相シフトマスク:を含む、眼科用レンズシリーズ。
【0186】
G2.シリーズ中のレンズが実施例B1~B57の眼科用レンズの1以上の特徴を含む、実施例G1の眼科用レンズシリーズ。
【0187】
H1.近視眼用の医薬品とともに使用するための眼鏡レンズシリーズであって、該シリーズ中のレンズが:前面及び後面並びに該レンズ上及び/又は該レンズ中に散在する1以上の近視制御要素を有するベースレンズ;眼の屈折誤差(例えば、距離屈折誤差)を実質的に補正するために選択された第一の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第一の視領域(ここで、少なくとも1つの第一の視領域のサイズは、少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて構成される);約≧+0.50D~約≦+3.50Dの少なくとも1つの第一の視領域よりも相対的に正であり、かつ少なくともある程度は、使用されている医薬品の濃度に基づいて選択され、かつ少なくとも1つの第一の視領域に対して、中心、周辺、下側、上側、側頭側、鼻側、斜位、同心同軸、同心非同軸、偏心、非同心、下鼻側、下側頭側、又は任意の他の位置のうちの1つ又は複数の任意の組合せに位置付けられる第二の度数プロファイルを有する、少なくとも1つの第二の視領域:を含む、眼鏡レンズシリーズ。
【0188】
H2.シリーズ中のレンズが、該レンズの1以上の領域中に、光吸収フィルター又は光吸収要素又はフォトクロミックフィルター又はフォトマスク又は位相シフトマスクをさらに含み、かつ少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて構成される、実施例H1の眼鏡レンズシリーズ。
【0189】
H3.シリーズ中のレンズが実施例B1~B57の眼科用レンズの1以上の特徴を含む、実施例H1の眼科用レンズシリーズ。
【0190】
I1.近視眼用の医薬品とともに使用するためのコンタクトレンズシリーズであって、該シリーズ中のレンズが、前面及び後面並びに該レンズ上及び/又は該レンズ中に散在する1以上の近視制御要素を有するベースレンズ;眼の屈折誤差(例えば、距離屈折誤差)を実質的に補正するために選択された第一の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第一の視領域(ここで、少なくとも1つの第一の視領域のサイズは、少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて構成される);約≧+0.50D~約≦+3.50Dの少なくとも1つの第一の視領域と異なり(例えば、相対的により正又は負であり)、かつ少なくともある程度は、使用されている医薬品の濃度に基づいて選択され、かつ少なくとも1つの第一の視領域に対して、中心、周辺、下側、上側、側頭側、鼻側、斜位、同心同軸、同心非同軸、偏心、非同心、下鼻側、下側頭側、又は任意の他の位置のうちの1つ又は複数の任意の組合せに位置付けられる第二の度数プロファイルを有する、少なくとも1つの第二の視領域:を含む、コンタクトレンズシリーズ。
【0191】
I2.シリーズ中のレンズが、該レンズの1以上の領域中に、光吸収フィルター又は光吸収要素又はフォトクロミックフィルター又はフォトマスク又は位相シフトマスクをさらに含み、かつ少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて構成される、実施例I1のコンタクトレンズシリーズ。
【0192】
I3.シリーズ中のレンズが実施例B1~B57の眼科用レンズの1以上の特徴を含む、実施例I1の眼科用レンズシリーズ。
【0193】
J1.眼の近視の進行を管理する方法であって:眼の近視及び/又は近視の進行を検出する(又は特定する)こと;近視の進行を減速させるか、遅延させるか、又は制御するための使用のために処方される医薬品の濃度を決定すること;並びに使用されている医薬品の濃度に基づいて、眼科用レンズのシリーズ又はキット又は複数の眼科用レンズから眼科用レンズを選択すること;を含み;ここで、該眼科用レンズが:前面及び後面並びに1以上の近視制御要素を有するベースレンズ、眼の屈折誤差(例えば、距離屈折誤差)を実質的に補正するために選択された第一の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第一の視領域;及び第一の度数プロファイルと比較して異なる(例えば、相対的に正又は負である)第二の度数プロファイルを有する少なくとも1つの第二の視領域:を含み、ここで、第一の視領域のうちの少なくとも1つの1以上の特徴、例えば、サイズが、少なくともある程度は、医薬品の濃度に基づいて選択され、かつ眼の視覚障害を最小化又は軽減するように設計される、方法。
【0194】
J2.眼科用レンズが実施例B1~B57の眼科用レンズの1以上の特徴を含む、実施例J1の眼科用レンズシリーズ。
【0195】
K1.眼の近視の進行を管理する方法であって:眼の近視及び/又は近視の進行を検出する(又は特定する)こと;近視の進行を減速させるか、遅延させるか、又は制御するための使用のために処方される医薬品の濃度を決定すること;並びに使用されている該医薬品の濃度に基づいて、眼科用レンズのシリーズ又はキット又は複数の眼科用レンズから眼科用レンズを選択すること;
を含み、ここで、眼科用レンズが実施例B1~B57のいずれかの眼科用レンズである、方法。
【0196】
L1.眼の近視の進行を管理するための眼科用レンズのシリーズを供給する(又は製造する)方法であって:デジタルレンズ設計のシリーズを眼科用レンズのシリーズを作製する際に使用するための遠くの光学製造所に(例えば、製造機械コードファイルの形態で)提供すること;近視の進行を減速させるか、遅延させるか、又は制御するための使用のために処方される医薬品の濃度を決定すること;並びに使用されている医薬品の濃度に基づいて、眼科用レンズのシリーズ又はキット又は複数の眼科用レンズから眼科用レンズを選択すること;を含み、ここで、該眼科用レンズが実施例B1~B57のいずれかの眼科用レンズである、方法。
【0197】
本明細書で開示及び定義される実施態様は、言及された又はテキストもしくは図面から明らかな個々の特徴のうちの2つ以上の全ての代わりの組合せに及ぶことが理解されるであろう。これらの異なる組合せは全て、本開示の様々な代わりの態様を構成する。
【0198】
上記は、当業者が本開示の態様をより良く理解し得るように、いくつかの実施態様の特徴を概説している。当業者は、当業者が本明細書に導入される実施態様の同じ目的を実行する及び/又は同じ利点を達成するための他のプロセス及び構造を設計又は修飾するための基礎として本開示を容易に使用し得ることを理解すべきである。当業者は、そのような等価な構成が本開示の趣旨及び範囲から逸脱しないこと、及び当業者が、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明における様々な変更、代用、及び改変を行い得ることも認識すべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10(a)】
図10(b)】
図10(c)】
図10(d)】
図10(e)】
図10(f)】
図10(g)】
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16A
図16B
図16C
図17
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図19B
図19C
【国際調査報告】