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特表2023-517958少なくとも1つの鉄道車両の少なくとも1つの複数の同種装置のための監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】少なくとも1つの鉄道車両の少なくとも1つの複数の同種装置のための監視システム
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/22 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
B60T17/22 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554535
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(85)【翻訳文提出日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 IB2021052024
(87)【国際公開番号】W WO2021181322
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】102020000005194
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516351289
【氏名又は名称】フェヴレ・トランスポール・イタリア・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】FAIVELEY TRANSPORT ITALIA S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ティオーネ, ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】フレア, マッテオ
【テーマコード(参考)】
3D049
【Fターム(参考)】
3D049AA04
3D049BB02
3D049BB03
3D049CC03
3D049HH03
3D049HH21
3D049HH47
3D049HH48
3D049HH51
3D049RR04
(57)【要約】
少なくとも1つの鉄道車両(100)の複数の同種装置(202、205)のための監視システムが開示される。各装置(202、205)の機能状態は、装置(202、205)に共通する少なくとも1つの動作量(X(t)、Y(t)、...)の各値(x1、x2;y1、y2)によって表される。監視システムは、-一連の取得時点において、動作量(X(t)、Y(t)、...)の値を取得し、各値は、取得時点における各装置の機能状態を表す制御手段(201、204)と、-取得時点において取得される値を受信し、取得時点において取得される少なくとも2つの値の関数として決定される基準値(Mx、My、...)を含む基準値の範囲で受信される値の、各取得時点に対して比較の関数として、少なくとも1つの装置からの動作異常または保守要求を検出する診断手段(210、210’)とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの鉄道車両(101)の、同種である少なくとも1つの複数の装置(202、205)のための監視システムであって、各装置(202、205)の機能状態が、前記複数の装置(202、205)に共通の少なくとも1つの動作量(X(t)、Y(t)、...)のそれぞれの値(x1、x2;y1、y2)によって表され、
前記監視システムは、
-所定の取得期間(T)に基づいて決定される一連の取得時点(t、ti+1、ti+2、...)において、前記少なくとも1つの動作量(X(t)、Y(t)、...)の複数の値(x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...);y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...))を取得するように構成され、前記複数の値(x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...);y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...))の各値は、1つの取得時点(t、ti+1、ti+2、...)における前記少なくとも1つの複数の装置(202、205)の各装置の前記機能状態を表す少なくとも1つの制御手段(201、204)と、
-通信手段(211)を介して、1つの取得時点において取得される複数の値(x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...);y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...))を受信し、少なくとも基準値の範囲で受信される前記複数の値(x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...);y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...))の各取得時点(t、ti+1、ti+2、...)に対する比較の関数として、前記少なくとも1つの複数の装置(202、205)のうちの少なくとも1つの装置によって、動作異常または保守要求を検出するように構成される診断手段(210、210’)とを備え、
前記基準値の範囲は、基準値(Mx、My、...)と、前記基準値(Mx、My、...)に関連する近傍値(ΔMx、ΔMy、...)とを含み、
前記基準値(Mx、My、...)は、前記診断手段(210、210’)によって、1つの取得時点に取得される前記複数の値(x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...);y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...))のうちの少なくとも2つの値の関数として決定されることを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記診断手段(210、210’)は、前記複数の値(x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...);y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...))のうちの少なくとも1つの値が前記基準値の範囲内にない場合、前記少なくとも1つの複数の装置(202、205)のうちの少なくとも1つの装置による故障または保守要求の存在を決定するように構成されている請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記診断手段は、各取得時点において、前記基準値(Mx、My、...)を決定するように構成されている請求項1または2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記診断手段(210、210’)は、1つの取得時点に取得される前記複数の値(x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...);y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...))のうちの少なくとも2つの値の間の平均を計算することによって、前記基準値(Mx、My、...)を決定するように構成されている先行請求項のいずれかに記載の監視システム。
【請求項5】
前記診断手段(210、210’)は、
-1つの取得時点において取得される前記複数の値(x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...);y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...))の前記値の平均を計算することによって、第1の平均値を決定し、
-前記複数の値(x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...);y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...))のうち、前記第1の平均値に対して少なくとも所定の閾値だけ大きい値または小さい値を特定し、
-前記複数の値(x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...);y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...))のうち、前記第1の平均値に対して少なくとも所定の閾値より大きい値または小さい値であるかが特定されていない値の平均値を計算することによって、第2の平均値の決定を介して、前記基準値(Mx、My、...)を決定するように構成されている請求項1~3のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項6】
前記診断手段は、前記基準値(Mx、My、...)の百分率値の関数として、前記近傍値(ΔMx、ΔMy、...)を決定するように構成されている先行請求項のいずれかに記載の監視システム。
【請求項7】
前記診断手段は、前記少なくとも1つの動作量(X(t)、Y(t)、...)の分散の関数として、前記近傍値(ΔMx、ΔMy、...)を決定するように構成されているる請求項1~5のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項8】
前記動作量は、少なくとも2つ(X(t)、Y(t)、...)、すなわち少なくとも第1の動作量(X(t))および第2の動作量(Y(t))であり、
前記診断手段は、前記少なくとも1つの第2の動作量(Y(t))の関数として、前記第1の動作量(X(t))を正規化するように構成されている先行請求項のいずれかに記載の監視システム。
【請求項9】
前記診断手段(210、210’)は、ニューラルネットワーク(402)によって、前記基準値(Mx、My、...)を決定するように構成されている先行請求項のいずれかに記載の監視システム。
【請求項10】
前記診断手段は、前記ニューラルネットワーク(402)に関連する学習アルゴリズム(403)によって、前記ニューラルネットワーク(402)の第1の学習を実行するように構成され、
前記第1の学習は、前記少なくとも1つの制御手段(201、204)によって予め取得される前記複数の値(x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...);y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...)の所定の量Qを用いて実行される請求項9に記載の監視システム。
【請求項11】
前記第1の学習を実施した後、前記診断手段は、前記学習アルゴリズム(403)によって、所定の学習期間に従って決定される学習時間の時間的連続において、更なる学習を実行するように構成され、
前記学習アルゴニズムは、現在のサンプリング時点と前記以前のサンプリング時点との間に、前記少なくとも1つの制御手段(201、204)によって取得される前記複数の値(x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...);y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...))の所定の量Qを用いる請求項10に記載の監視システム。
【請求項12】
前記学習アルゴリズム(403)は、逆伝播アルゴリズムである請求項9または10に記載の監視システム。
【請求項13】
前記診断手段は、電子診断ユニット(213)に集約されている先行請求項のいずれかに記載の監視システム。
【請求項14】
前記診断手段は、複数の制御手段(201、204)にわたって分散されている先行請求項のいずれかに記載の監視システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの動作量(X(t)、Y(t)、...)は、前記少なくとも1つの制御手段(201、204)によって直接的に取得または生成される値、または外部から手動または遠隔で入力される値を含む先行請求項のいずれかに記載の監視システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの動作量(X(t)、Y(t)、...)は、前記少なくとも1つの制御手段(201、204)によって直接的に取得または生成される前記少なくとも1つの動作量に対して、前記少なくとも1つの制御手段(201、204)によって実行される前処理から得られる値を含む請求項1~14のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項17】
前記診断手段は、少なくとも2つの深刻度に従って分割される診断指標を提供するように構成されている先行請求項のいずれかに記載の監視システム。
【請求項18】
前記診断手段は、前記列車(214)に搭載される更なるユニットまたはモジュールに、前記診断指示を送信するように構成されている先行請求項のいずれかに記載の監視システム。
【請求項19】
前記診断手段は、ワイヤレス接続を介して、前記診断指示を送信するように構成されている先行請求項のいずれかに記載の監視システム。
【請求項20】
前記通信手段(211)は、シリアル通信システムまたはワイヤレス通信システムである先行請求項のいずれかに記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、鉄道車両の分野に関する。特に、本発明は、少なくとも1つの鉄道車両の少なくとも1つの複数の同種装置のための、特に鉄道輸送の分野における安全用途のための監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代的なデザインの鉄道車両100が、図1に示されている。
【0003】
鉄道列車100は、複数の車両101で構成され、各車両は、少なくとも1つのブレーキシステム102と、少なくとも1つのアクセスドアシステム103と、少なくとも1つの空調・暖房ユニット104とを備えている。
【0004】
さらに、鉄道列車100は、複数のパンタグラフ105と、圧縮空気を生成、濾過、乾燥させるための複数のユニット106とを備えている。
【0005】
列車100は、特に限定されないが、例えば、台車支持ユニット、トイレ等のような図示されていない他の複数のシステムまたは構成要素を備える。
【0006】
先に示すシステムは、それぞれ図示しない1つ以上の電子制御ユニットによって制御される。電子制御ユニットは、典型的には連続性(serial nature)の通信手段を介して互いに通信するが、これも図1に示されていない。
【0007】
各電子制御ユニットは、それらが関連するシステムの動作量特性を測定するように構成される変換器から電気信号を取得し、関連するシステムを制御するための電気制御信号を生成する。各制御ユニットは、これらの電気信号の分析に基づいて、制御機能だけでなく、診断機能も実行する。
【0008】
診断機能は、通常、それぞれの電子制御ユニットによって測定または生成された動作量(場合によっては前処理済)と、電子制御ユニットの不揮発性メモリに予めロードされる診断比較パラメータとの間の比較を実行する。診断パラメータは、システムの正しい動作状態、事前アラーム状態、およびアラーム状態を特徴付けるものである。診断パラメータは、システム設計段階で規定される。
【0009】
診断パラメータは、純粋に理論的な計算に基づいて、または実験(laboratory experiments)に基づいて設計される場合、列車の動作条件に基づいて、更なる修正を必要とすることが多い。
【0010】
文献WO2016041756は、鉄道車両に搭載されるシステムおよび/または構成要素に対して診断機能を実行するための方法、特に遠隔サーバから列車に搭載される診断アルゴリズムおよび/または関連パラメータを更新するための方法の様々な態様を特許請求している。
【0011】
日常生活において、鉄道事業者は、業務上のセキュリティおよびサイバセキュリティの理由から、車載システムの操作パラメータまたは診断パラメータへの遠隔アクセスを敵視している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、遠隔更新の必要性から独立した、少なくとも1つの鉄道車両の少なくとも1つの複数の同種装置のための監視システムを提供することにある。
【0013】
上記および他の目的および利点は、本発明の一態様によれば、請求項1に規定された特徴を有する少なくとも1つの鉄道車両の少なくとも1つの複数の同種装置のための監視システムによって達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項において規定されており、その内容は、本明細書の不可欠な部分として理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
次に、本発明に係る緊急およびサービスブレーキ用の電子制御システムのいくつかの好ましい実施形態の機能的特徴および構造的特徴について説明する。添付の図面を参照する。
図1図1は、現代的なデザインの公知の鉄道列車の一例を示す。
図2図2は、少なくとも1つの鉄道車両の少なくとも1つの複数の同種装置のための監視システムの実施形態を示す。
図3a図3aは、動作量の様々な値を時間の関数として表す曲線を示す。
図3b図3bは、動作量の様々な値を時間の関数として表す曲線を示す。
図4図4は、循環バッファの一例を示す。
図5図5は、循環バッファに含まれるレコードの好適な形式を詳細に示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の複数の実施形態を詳述する前に、本発明は、その適用において、以下の明細書中で述べられ、または図に示される構造の詳細およびコンポーネントの構成に限定されないということが明らかにされるべきである。本発明は、他の実施形態をとることができ、本発明を、種々に異なる方法で、実際に実施または構築し得る。また、表現および専門用語は、説明を目的とするものであって、限定として解釈されるべきではないことも理解されるべきである。「備える(include)」、「含む(comprise)」、またはそれらのバリエーションは、以下に記述される要素やそれらの均等物、並びに、それらの追加要素およびその均等物を包含するものと理解されるべきである。
【0016】
以下、少なくとも1つの鉄道車両101の少なくとも1つの複数の同種装置202、205のための監視システムの実施形態について説明する。
【0017】
図2は、少なくとも1つの鉄道車両101の少なくとも1つの複数の同種装置202、205のための監視システムの実施形態を示す。
【0018】
各装置202、205の機能状態は、複数の装置202、205に共通する少なくとも1つの動作量X(t)、Y(t)、...のそれぞれの値x1、x2;y1、y2によって表される。
【0019】
監視装置は、所定の取得周期Tに従って決定される一連の取得時点T、Ti+1、Ti+2、...において、少なくとも1つの動作量X(t)、Y(t)、...の複数の値x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...);y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...)を取得するように設計される少なくとも1つの制御手段201、204を備える。複数の値(x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...);y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...))の各値は、取得時点T、Ti+1、Ti+2、...における少なくとも1つの複数の装置202、205のそれぞれの装置の機能状態を表す。
【0020】
さらに、監視装置は、通信手段211を介して、取得時点において取得された複数の値x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...);y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...)を受信するように構成される診断手段210、210’を備える。また、診断手段210、210’は、受信される複数の値x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...);y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...)と基準値の少なくとも1つの範囲との関数として、装置のうちの少なくとも1つの動作異常または保守リクエストを検出するように構成される。
【0021】
基準値の範囲は、基準値Mx、My、...と、基準値Mx、My、...に関連する近傍値ΔMx、ΔMy、...とを含む。
【0022】
基準値Mx、My、...は、診断手段210、210’によって、取得時点において取得される複数の値x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...);y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...)の少なくとも2つの値の関数として決定される。
【0023】
診断手段は、各取得時点において、基準値Mx、My、...を決定するように設定され得る。
【0024】
診断手段は、各取得時点において、近傍値ΔMx、ΔMy、...を決定するように構成され得る。
【0025】
以下に、少なくとも1つの鉄道車両101の同種装置202、205の規定を詳細に説明する。「複数の同種装置」とは、少なくとも1つの鉄道車両101または鉄道列車100に搭載される同一の機能を実行する、少なくとも2つの装置202、205のセットを指す。
【0026】
少なくとも1つの制御手段201、204は、同種装置202、205を制御するように構成されている。制御手段は、1つのみであり得、全ての同種装置を制御するか、むしろ制御手段は、2つ以上であり得、それぞれで少なくとも1つのそれぞれの同種装置を制御する。第2のケースでは、制御手段も互いに同種である。
【0027】
「制御手段」は、例えば、制御装置、コントローラ、プロセッサ、制御モジュール、制御ユニット等を指し得る。
【0028】
非限定的な例として、複数の同種装置202は、鉄道車両101または列車100の少なくとも2つのドアシステム103の2つの装置であり得、ドアの動きは、制御手段201によって制御される。更なる非限定的な例では、複数の同種装置205は、鉄道車両101または列車100の電気空気圧ブレーキシステム102および/または関連するブレーキアクチュエータの少なくとも2つの装置であり得る。
【0029】
図2を見ると、制御手段201、204は、複数の信号203、206を、それぞれ関連する同種装置202および/または205と交換し得る。
【0030】
複数の信号203、206は、関連する装置に特徴的な動作量を測定するように構成されるトランスデューサから送られる入力信号を含み得、関連する装置を制御するように構成される出力信号を含み得る。
【0031】
非限定的な例として、複数の同種装置がドアシステム103の装置を含む場合、複数の信号203、206は、ドアの電動モータの回転速度および位置信号、およびドアの移動終了信号を含む入力信号を構成し得、ドアを移動させるための電気モータの電力を制御するための信号を含む出力信号を構成し得る。したがって、ドアシステムの複数の同種装置の例は、例えばドアを移動させるための複数の電動モータ、または走行終端装置であり得る。
【0032】
更なる非限定的な例として、複数の同種装置がブレーキシステム102の装置である場合、信号203、206は、車軸速度信号、関連するブレーキシステムの様々な点における空気圧を監視するように構成された様々なリニアまたはバイナリ圧力センサからの信号を含む入力信号を構成し得、圧力を制御するために使用される空気圧ソレノイドバルブの制御信号を含む出力信号を構成し得る。したがって、ブレーキシステム102の複数の同種装置の例は、例えば複数の速度センサ、複数のリニアまたはバイナリ圧力センサ、または複数の空気圧ソレノイドバルブであり得る。
【0033】
一実施形態では、少なくとも1つの動作量X(t)、Y(t)、・・・は、少なくとも1つの制御手段201、204によって直接的に取得または生成される値、または例えば保守ソフトウエアツールを介して、手動または遠隔で外部から入力される値/測定値を構成する。更なる実施形態では、診断分析用のデータを準備するために、少なくとも1つの動作量X(t)、Y(t)、・・・は、少なくとも1つの制御手段201、204によって直接的に取得または生成される少なくとも1つの動作量に対して行われる前処理から取得される値を構成し得る。
【0034】
換言すれば、制御手段201、204は、信号203、206によって表される量に対して前処理機能(preprocessing functions)208、207を実行するように構成され得る。
【0035】
複数の同種装置がブレーキシステム102に属する場合、前処理機能207、208は、特定の期間にわたるブレーキシリンダにおけるブレーキ圧印加カウンタと、車軸からの速度信号を時間積分して得られる所定期間における走行距離と、所定期間における各空気圧ソレノイドバルブの作動回数とを含み得る。
【0036】
複数の同種装置がドアシステム103に属する場合、前処理機能207、208は、ドア作動モータへの電流の最大ピーク値の識別子、または所定期間における各ドアの開放回数のカウンタ、または所定期間においてドアを動かすために各電気モータによって消費される総電気エネルギーを含み得る。
【0037】
制御手段201、204は、前処理機能208、207によって、場合によっては前処理される信号203、206によってそれぞれ表される量を、通信手段211を介して共有し得る。通信手段211は、有線タイプまたは無線タイプであり得る。
【0038】
以下に、複数の装置202、205に共通する動作量X(t)、Y(t)、...の規定について詳細に説明する。
【0039】
「共通の動作量X(t)、Y(t)、...」は、同一の意味および同一の次元を有し、複数の同種装置202、205の一部を形成する少なくとも2つの装置に関連する量を指す。
【0040】
動作量X(t)の第1の非限定的な例は、同一の鉄道車両101または列車100の各ドアシステム103の各電動モータによって吸収される電流によって表され、x1(t)は、第1の同種装置、すなわち第1のドア103に関連する第1の電気モータによって吸収される電流であり、x2(t)は、第2の同種装置、すなわち第2のドア103に関連する第2の電気モータによって吸収される電流であり、xn(t)は、第nの同種装置、すなわち第nのドア103に関連する第nの電気モータによって吸収される電流である。
【0041】
X(y)と異なる動作量Y(t)の第2の非限定的な例は、同一の車両101または列車100の各ブレーキシステム102に属するブレーキソレノイドバルブを作動させるためのパルスカウンタのセットによって表され、y1(t)は、第1の同種装置、すなわち第1のブレーキシステム102に属するブレーキソレノイドバルブの作動パルスカウンタの値であり、y2(t)は、第2の同種装置、すなわち第2のブレーキシステム102に属するブレーキソレノイドバルブの作動パルスカウンタの値であり、yn(t)は、第nの同種装置、すなわち第nのブレーキシステム102に属するブレーキソレノイドバルブの作動パルスカウンタの値である。
【0042】
X(y)と異なる動作量Z(t)の第3の非限定的な例は、同一の車両101または列車100の各ブレーキユニット102に属するブレーキパッド(またはブレーキシュー)の厚さ値のセットによって表され、ブレーキパッド(または、ブレーキシュー)の厚さ値は、摩擦材料の摩耗レベルの指標である。この例では、z1(t)は、第1のブレーキユニット102に属するブレーキパッドの厚さであり、z2(t)は、第2の同種装置、すなわち第2のブレーキユニット102に属するブレーキパッド(または、ブレーキシュー)の厚さであり、zn(t)は、第nの同種装置、すなわち第nのブレーキユニット102に属するブレーキパッド(または、ブレーキシュー)の厚さである。
【0043】
1つ以上の診断手段210は、通信手段211を介して、1つ以上の制御手段201によって取得または生成され、場合によっては、前処理機能208、207によって前処理される動作量X(t)、Y(t)、...を受信し得る。
【0044】
1つ以上の診断手段210は、集中診断ユニット213に集中され得、または1つ以上の診断手段210は、図2中210’で示される形態を仮定して、複数の制御手段201、204に分散され得る。
換言すれば、診断手段210は、集中診断ユニット213の内部で実行されるアルゴリズムであり得、または診断手段210’は、複数の制御手段201、204に分散された1つ以上の実行アルゴリズムであり得る。
【0045】
以下に、診断手段の機能の詳細が提供される。
【0046】
診断手段210、210’は、監視対象システムおよび/またはその関連部品の経年劣化による故障、動作異常または保守要求の発生を示す、複数の値x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...)のうちの1つ以上の値の挙動における偏差を特定するために、動作量X(t)に属する複数の値x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...)に対して解析演算を実行するように構成される。
【0047】
部品の故障、動作異常または寿命評価が発生すると、診断手段210、210’は、アラーム表示を起動するように構成され、場合によっては、そのソースおよび性質を示すようにコード化され、場合によっては、アラームの性質に特徴的な診断情報の1つ以上の項目に関連づけられ得る。
【0048】
アラームの生成後、アラームおよび任意の関連する値は、アラームを生成した診断手段によって、データ収集およびアラーム管理のために、診断手段に関連するワイヤレス送信手段を介して、または受信するアラームを処理し、それらを運転者および/または地上収集センターにアラームおよび関連データを送信し得るTCMS(列車制御・監視システム)に送信することができる列車に搭載されるユニット214によって地上センターに送信される。
【0049】
ユニット214は、独立したユニットであり得、または1つ以上の制御手段201、204のうちのと一致し得、またはTCMSシステムと一致し得る。
【0050】
いくつかの診断手段210、210’は、同一の鉄道車両101または列車100上で動作可能であり得、その各々が1つ以上の共通する動作量X(t)、Y(t)、...を分析するように構成され得る。
【0051】
一実施形態では、診断手段210、210’は、取得時点において取得される複数の値x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...);y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...)の少なくとも2つの値の平均をとることによって、基準値Mx、My、...を決定するように構成され得る。
【0052】
このようにして、動作量Y(t)の解析は、動作量Y(t)に関連付けられる複数の値y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...)の各値と動作量Y(t)の平均値Myとの比較に基づき得る。
【0053】
図3aは、動作量Y(t)の様々な値を時間の関数として表す曲線y(t)、y(t)、...y(t)を示す。
【0054】
図3bは、動作量X(t)の様々な値を時間の関数として表すx(t)、x(t)、...x(t)を示す。
【0055】
前述したように、診断手段は、各取得時点、すなわち取得周期Tに応じて、基準値Mx、My、...を決定するように設定され得る。
【0056】
診断手段210、210’は、値y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...)、...yn(t、ti+1、ti+2、...)の平均値Myを取ること、場合によっては、統計的ノイズを除去するのに適切な時間窓Δtでフィルタリングすることによって、基準値を計算し得る。
【0057】
続いて、診断手段210、210’は、各値y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...)、...yn(t、ti+1、ti+2、...)と基準値My、すなわち平均値と比較するように構成され得る。
【0058】
複数の値y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...)、...yn(t、ti+1、ti+2、...)の各値の個別値と、基準値My、すなわち平均値との間の差分Δyが、誤動作の状態を示す所定の近傍値ΔMを超える場合、診断手段は、アラーム信号を発するように構成される。
【0059】
限定的ではないが、近傍値ΔMは、平均値Myを中心とする許容範囲であり得る。
【0060】
限定的ではないが、近傍値ΔMは、一定の近隣であり得る。
【0061】
限定的ではないが、近傍値ΔMは、比較用の基準値、むしろ平均値M、場合によっては、正負の二重符号を有する百分率値によって表され得る。この解決策は、フルスケールの時間的な変動に自動的に適応するという利点を提供する。
【0062】
限定的ではないが、近傍値ΔMは、少なくとも1つの動作量y1(t)、y2(t)、...yn(t)の分散の関数として表し得る。この解決策は、データのバラツキに自動的に適応するという利点を提供する。
【0063】
限定的ではないが、近傍値ΔMは、上述した1つ以上の解のセット、および時間のセットとして表され得る。この解決策は、データの性質だけでなく、経年変化による予測される変動のような時間依存性にも自動的に適応するという利点を提供する。
【0064】
一例は、全ての同種ブレーキシステム102、例えばモータ台車に関連するブレーキシステムに存在する特定のソレノイドバルブの作動回数のカウンタである。
【0065】
特定のソレノイドバルブの作動回数は、同一タイプの台車に属する全てのブレーキシステム102について平均的に同一であることが予想される。潜在的な短期変動は、時間窓Δtを用いた数値フィルタリングによってマスクされる。空気圧ソレノイドバルブの累積パルスの平均値からの有意な偏差は、例えば空気圧ソレノイドバルブに関連するブレーキシステムの空気圧の漏れを示し得る。
【0066】
分析されるべき所定の第1の動作量X(t)が列車の局所的な不均一な状況によって異なる方法で影響を受ける場合、列車の局所的な不均一な状況に関連する少なくとも1つの第2の動作量Y(t)を特定し、第2の動作量Y(t)に従って分析されるべき第1の動作量X(t)を正規化することが好都合である。
【0067】
診断手段は、各取得時点において、第1の動作量X(t)を正規化するように構成され得る。
【0068】
非限定的な例として、負荷台車に関連するブレーキシステム102は、モータ台車に関連するブレーキシステム102が主にブレーキに牽引モータを使用するので、モータ台車に関連するブレーキシステム102よりも、その空気圧ソレノイドバルブにストレスを与え得る。
【0069】
このような場合、負荷台車に関連するソレノイドバルブに係る曲線は、モータ台車に関連するソレノイドバルブに係る曲線から短時間で乖離するので、全てのブレーキシステム102における特定の空気圧ソレノイドバルブの作動パルスカウンタを比較することは、それらが負荷台車またはモータ台車に関連するかどうかに関わらず、意味を持たない。
【0070】
この欠点を解決するために、非限定的な例示として、ブレーキシステム102に関連する各制御部手段201、204が、各ブレーキ時にそれによって生成されるブレーキシリンダへの最大圧力値を取得し、その平均値P(注:原文では、「オーバーバー付きP」)を連続的かつ局所的に計算し、平均値Pに従って同種ソレノイドバルブの作動パルスの局所カウンタによって生成される値を正規化し、すなわち局所的にパルスカウンタによって蓄積された値を、平均値Pによって除して、結果として生成される[bar]当たりの作動回数を取得することが好都合である。
【0071】
このようにして、空気圧ソレノイドバルブの作動パルスカウンタの正規化された値は、それらが再度使用かつ比較され得るように、適合する値を生成する。
【0072】
更なる実施形態は、常に、実質的に統計的アプローチに基づく。例えば、診断手段210、210’は、次のように構成され得る。
-取得時点において取得される複数の値x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...);y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...)の平均値を計算することによって、第1の平均値を算出する。
-複数の値x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...);y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...)のうち、第1の平均値よりも少なくとも所定の閾値だけ大きい値または小さい値を特定する。
-複数の値x1(t、ti+1、ti+2、...)、x2(t、ti+1、ti+2、...);y1(t、ti+1、ti+2、...)、y2(t、ti+1、ti+2、...)のうち、第1の平均値よりも少なくとも1つの所定の閾値より大きい値または小さい値であるかが特定されていない値の平均値を計算することによって、基準値Mx、My、...を決定する。
【0073】
換言すれば、平均値Myから±Sだけ離れた値を特定し、特定した値を差し引いた平均値Mを再計算することができる。よって、平均値Mから距離±Sを超えて存在する乖離値ym(t)は、変動量Δyの近傍を計算するための基準値の規定に影響を与えず、乖離推定値Δyをより信頼性のあるものにする。
【0074】
観測された動作量Y(t)が複数の動作量H(t)、K(t)、...J(t)に依存する場合、正規化プロセスが複雑になる。
【0075】
観測された動作量Y(t)が複数の動作量H(t)、K(t)、...J(t)に依存する場合、列車に搭載される自己学習および自己較正アルゴリズムとして、ニューラルネットワークを使用することができる。ニューラルネットワークは、複数の値の比較のための基準値を連続的に計算するように設定され、有利には遠隔更新の要求を回避し得る。
【0076】
図4において、例えば、循環バッファ401は、R個のレコードのサイズを有し、各R番目のレコードは、例えば、監視されるべき1つ以上の動作量X(t)、Y(t)、...Z(t)をホストするように構成され、その1つ以上の動作量H(t)、K(t)、...J(t)の挙動は、監視されるべき1つ以上の動作量X(t)、Y(t)、...Z(t)の挙動に依存する。
【0077】
図5は、循環バッファ401に含まれるレコードの好適な形式をより詳細に示す。
【0078】
図5の非限定的な例では、第1番目のレコードは、電子制御ユニット1によって時点aTにおいて生成され、診断手段210、210’に送信される。第1番目のレコードは、制御手段1に関連するx1(aT)、y1(aT)、z1(aT)、h1(aT)、k1(aT)、j1(aT)を含む。
【0079】
第2番目のレコードは、制御手段3によって時点aTにおいて生成され、診断手段210、210’に送信される。第2番目のレコードは、制御手段3に関連するx3(aT)、y3(aT)、z3(aT)、h3(aT)、k3(aT)、j3(aT)を含む。
【0080】
第3番目のレコードは、制御手段nによって時点aTにおいて生成され、診断手段210、210’に送信される。第3番目のレコードは、制御部手段nに関連するxn(aT)、yn(aT)、zn(aT)、hn(aT)、kn(aT)、jn(aT)を含む。
【0081】
第r1番目のレコードは、制御手段2によって時点bT>aTにおいて生成され、診断手段210、210’に送信される。第r1番目のレコードは、制御手段2に関連するx2(bT)、y2(bT)、z2(bT)、h2(bT)、k2(bT)、j2(bT)を含む。
【0082】
第r番目のレコードは、制御手段1によって時点bT>aTにおいて生成され、診断手段210、210’に送信される。第r番目のレコードは、制御手段1に関連する値x1(bT)、y1(bT)、z1(bT)、h1(bT)、k1(bT)、j1(bT)を含む。
【0083】
Rは、少なくともニューラルネットワークの効果的な学習を実行するために必要と考えられるレコードの数を格納可能なサイズでなければならない。
【0084】
その構成が従来技術であるニューラルネットワーク402は、入力において、1つ以上の動作量H(t)、K(t)、...J(t)を受信し、出力において、監視されるべきそれぞれの同種量X(t)、Y(t)、...Z(t)に関連する1つ以上の画像量X’(t)、Y’(t)、...Z’(t)を生成するように設定され得る。
【0085】
監視されるべき動作量X(t)、Y(t)、...Z(t)および画像量X’(t)、Y’(t)、...Z’(t)を受信し、監視されるべき各動作量X(t)、Y(t)、...Z(t)と関連する画像動作量X’(t)、Y’(t)、...Z’(t)との間に存在する誤差を最小化することによって、ニューラルネットワーク402の内部係数に作用する学習アルゴリズム403が存在し得る。
【0086】
学習アルゴリズムは、限定されないが、逆伝播アルゴリズムであり得る。
【0087】
診断手段210、210’は、通信手段211を介して、制御手段201、204からレコードを受信し、これらを循環バッファに格納するように提供し得る。
【0088】
必要に応じて、制御手段201、204による診断手段210、210’へのレコードの送信は、送信されるレコードの時間的整合性を保証するために同期するように行われ得る。
【0089】
制御手段201、204による単一レコードの伝送時点の時間値は、動作量H(t)、K(t)、...J(t)のうちの1つとなり得る。
【0090】
バッファがレコードの量Q≦Rを蓄積した場合、診断手段210、210’は、学習動作を実行するために、レコードのセットQを使用する学習アルゴリズム403を起動することによって、ニューラルネットワーク402の学習プロセスを開始し得る。
【0091】
パラメータQは、診断手段210、210’の設計段階に限らず、ニューラルネットワーク402の信頼性学習に有用な相当数のレコードを蓄積するのに、どれほどの時間を要するかに関連する体験に基づいて規定され得る。
【0092】
非限定的な例として、診断使用のための重要な情報は、1時間の周期で格納され得、したがって、サービスの最初の6ヶ月間の場合、Q=2,880U(ここで、Uは、動作量X(t)、Y(t)、...Z(t)、H(t)、K(t)、...J(t)に関連する制御手段の数である。)ので、6ヶ月のサービス、16時間の毎日のサービスの履歴に基づく学習は、動作量X(t)、Y(t)、...Z(t)、H(t)、K(t)、...J(t)に関連する各制御部手段201、204によって送信される2,880個のレコードを必要とする。
【0093】
車両がテストされ、稼働されたときに生じるレコードの量Qの蓄積期間中に、監視されるべき動作量y1、y2、...ynに関連する装置は、したがって、それらの機能を正しく実行しなければならず、すなわち動作異常または故障しない。
【0094】
Qレコードの収集中に、値yn(t)に関連する動作異常状態が発生すると、不正確なデータセットが生成され、その結果、動作量Y(t)に関するニューラルネットワークの学習が不正確になる。
【0095】
一例として、この欠点は、Qレコードの蓄積段階中に監視されるべき量のサンプルを、上述した統計的方法を用いて評価し、学習プロセスから逸脱値を排除し、アラームレポートを生成することによって克服され得る。
【0096】
学習後、画像量X’(t)、Y’(t)、...Z’(t)は、監視されるべき関連動作量X(t)、Y(t)、...Z(t)の実際の挙動を確実に表すと考えられる。
【0097】
学習がなされると、新たなn番目の着信レコードごとに、診断手段210、210’は、動作量H(t)、K(t)、...J(t)の複数の着信値を、ニューラルネットワーク402に直接渡すように設定され得、監視されるべき各動作量X(t)、Y(t)、...Z(t)を、関連する動作画像量X’(t)、Y’(t)、...Z’(t)の各値と比較し、関連する状態報告W1、W2、...Wnを生成するように構成される比較アルゴリズム404を起動し得る。
【0098】
比較アルゴリズム404は、例えば、監視されるべき操作量X(t)、Y(t)、...Z(t)の各値と、関連する画像量X’(t)、Y’(t)、...Z’(t)の各値との差分が、監視されるべきX(t)、Y(t)、...Z(t)にそれぞれ関連する所定値ΔM1、ΔM2、...ΔMnを越えないことを確認することによって動作する。所定値ΔM1、ΔM2、...ΔMnは、診断手段210、210’に関連する不揮発性メモリ部に格納される。
【0099】
また、比較アルゴリズム404は、例えば、監視されるべき動作量X(t)、Y(t)、...Z(t)の各値と、関連する画像量X’(t)、Y’(t)、...Z’(t)の各値との差分の微分値が、監視されるべきX(t)、Y(t)、...Z(t)にそれぞれ関連する所定値ΔD1、ΔD2、...ΔDnを超えないことを確認することによって動作し得る。所定値ΔD1、ΔD2、...ΔDnは、診断手段210、210’に関連する不揮発性メモリ部に格納される。
【0100】
診断情報W1,W2、...Wnは、例えば、関連する観測動作量の状態の深刻度を少なくとも2段階で示す少なくとも2つの値の範囲、これに限定されなが、例えば、PASS、FAILを想定することができる。
【0101】
診断手段210、210’は、列車の寿命に伴う列車の環境および/または運転上の変動を考慮するように構成され得る。
【0102】
この場合、診断手段210、210’は、受信レコードを循環バッファ401に格納し続け、新しい動作条件に従ってニューラルネットワーク402の内部係数を更新するために学習アルゴリズム403を定期的に起動し、外部補正または再校正を要求することなく、有利には画像量X’(t)、Y’(t)、...Z’(t)を時間的に連続して正確に保持し得る。
【0103】
図4に記載される解決策を使用する更なる利点は、適切なサイズのニューラルネットワークが循環バッファ401に格納される最後のデータ以前の履歴を顕著に代表するようになるという事実によって表される。関連装置202、205の保持段階中に、ニューラルネットワーク402の係数をダウンロードできることによって、関連装置の履歴を良好な近似性で得ることができる。
【0104】
上記で開示された実施形態の限定は、現在好ましい実施形態を構成するが、それによって、主請求項に規定されるより広い範囲から逸脱することなく変更され得る。
【0105】
したがって、達成される利点は、複雑さおよびコストが低減された解決策を介して、既知の監視システムの非生産的なケースを解決する解決策を得ることにある。
【0106】
本発明に係る監視システムを設定するための手順の様々な態様および実施形態について記載した。各実施形態は、任意の他の実施形態と組み合わせ得ることが理解される。さらに、本発明は、記載された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって規定される範囲内で変更され得る。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
【国際調査報告】