(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】組織結紮のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
A61B17/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554538
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 US2021021920
(87)【国際公開番号】W WO2021183770
(87)【国際公開日】2021-09-16
(32)【優先日】2020-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ムーア、カイル ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ウェブ、ウィリアム ディ.
(72)【発明者】
【氏名】フィッツジェラルド、クイン
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー、ジュリアン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD09
(57)【要約】
本開示は、全般的に、組織の一部分の周りに結紮バンドを留置する医療装置、結紮器、及び方法に関する。いくつかの実施形態では、医療装置は、第1チューブ内で付勢可能なプランジャを含み得、第1チューブは、第1チューブ遠位端に沿ってバンドを含む、医療装置は、第1チューブを包囲する第2チューブを更に含み得、第2チューブは、第2チューブ遠位端の反対側の第2チューブ近位端を含み、第2チューブ遠位端は、第1チューブ及び第2チューブの互いに相対的な軸方向移動に応答して第1チューブからバンドを出すように動作可能な係合部材を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置であって、
該医療装置は第1チューブ内で移動可能なプランジャを備え、前記第1チューブは、第1チューブ遠位端上に配置されたバンドを含み、
該医療装置は前記第1チューブを受け入れるための第2チューブを備え、前記第2チューブは、第2チューブ遠位端の反対側の第2チューブ近位端を備え、前記第2チューブ遠位端は、前記第1チューブ及び前記第2チューブの互いに相対的な軸方向移動に応答して前記第1チューブから前記バンドを出すように動作可能な係合部材を含む、
医療装置。
【請求項2】
前記プランジャは、
プランジャ近位端とプランジャ遠位端との間に延びるシャフトと、
前記シャフトの周りに延び、前記第1チューブの内面に係合する封止部材と、
を備える、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記第1チューブは、
前記バンドが外部表面の周りに延びる第1部分と、
前記第1部分に接続され、使用者係合特徴を含み、前記封止部材が内部に配置される第2部分と、
を備える、請求項2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記第1部分の第1直径は、前記第2部分の第2直径よりも小さい、請求項3に記載の医療装置。
【請求項5】
前記第2チューブは、近位部分と接続された遠位部分を含み、前記近位部分は、前記第1チューブの前記第2部分の周りに延び、かつ、前記遠位部分は、前記第1チューブの前記第1部分の周りに延びる、請求項3又は4に記載の医療装置。
【請求項6】
前記係合部材は、
前記第2チューブの前記遠位部分と接続された固定端と、
前記固定端から軸方向に延び、前記第1チューブに向かって半径方向に延びるフランジを備える自由端と、
を備える、請求項5に記載の医療装置。
【請求項7】
前記フランジは、
前記第1チューブ遠位端と前記第2チューブ遠位端が互いに軸方向に離れる方に移動する際に、前記バンドに被さって通過するように動作可能な傾斜面と、
前記第1チューブ遠位端と前記第2チューブ遠位端が互いに軸方向に近づく方に移動する際に、前記バンドに係合するように動作可能な平坦面と、
を備える、請求項6に記載の医療装置。
【請求項8】
前記第2チューブは、前記第2チューブ遠位端と前記係合部材との間に保護領域を備える、請求項6又は7に記載の医療装置。
【請求項9】
前記自由端は、前記第2チューブ遠位端の最遠位点の近位で終端する、請求項6~8のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項10】
前記第2チューブ遠位端の周りに配置された1つ以上の追加的な係合部材を更に備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項11】
前記係合部材と前記1つ以上の追加的な係合部材とは、スロットによって互いに分離されている、請求項8に記載の医療装置。
【請求項12】
前記スロットは、前記第2チューブの前記遠位部分に沿って軸方向に延びる、請求項11に記載の医療装置。
【請求項13】
該医療装置は、バンドローダと係合可能なアプリケータをさらに備え、前記バンドローダは前記第1チューブ及び前記第2チューブを備え、かつ、前記アプリケータは、
前記プランジャを包囲する第3チューブと、
前記第3チューブを包囲する第4チューブと、
を備える、請求項1に記載の医療装置。
【請求項14】
前記第3チューブは、前記第1チューブから前記バンドを受け取るために、前記第1チューブ内に配置可能である、請求項13に記載の医療装置。
【請求項15】
前記第4チューブは、前記第3チューブと前記第4チューブが互いに対して相対的に軸方向に移動すると、前記第3チューブから前記バンドを取り出し、前進させるように動作可能な第4チューブ遠位端を含む、請求項13又は14に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用結紮具に関し、より具体的には、組織バンドディスペンサを用いた組織結紮のための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
痔核は、特に加齢に伴って多くの成人に生じる事象である。痔核を治療及び/又は除去するための1つの方法は、弾性バンドなどの締付要素が痔核の組織を包囲して遮断する結紮である。時間の経過とともに、血流の不足により、結紮された痔核は最終的に枯れて脱落する。
【0003】
外科医などの医療専門家にとって、結紮装置を結紮部位に位置決めすること及び弾性バンドを標的組織上に留置することの両方が困難な場合がある。医師が、バンドを留置するために、案内する自身の手を結紮装置の患者端部から離すことは一般的な手法であり、位置を見失う可能性がある。従って、外科医が片手のみを使用して結紮装置を移動させると同時に弾性バンドの解放を起動することを可能にする装置を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、その様々な実施形態において、全般的に、痔核などの組織の一部分の周りに結紮バンドを留置する医療装置、結紮器、及び方法に関する。1つ以上の実施形態では、医療装置は、第1チューブ内で移動可能なプランジャを含み得る。第1チューブは、第1チューブ遠位端に沿ってバンドを含む。医療装置は、第1チューブを受け入れるための第2チューブを更に含み得る。第2チューブは、第2チューブ遠位端の反対側の第2チューブ近位端を含み、第2チューブ遠位端は、第1チューブ及び第2チューブの互いに相対的な軸方向移動に応答して第1チューブからバンドを出すように動作可能な係合部材を含む。いくつかの実施形態では、プランジャは、プランジャ近位端とプランジャ遠位端との間に延びるシャフトを含み得る。該シャフトは、第1チャネルがプランジャ遠位端内に延びる。該プランジャは、シャフトの周りに延びる封止部材を含み得る。該封止部材は、第1チューブの内面に係合する。いくつかの実施形態では、第1チューブは、バンドが外部表面の周りに延びる第1部分と、第1部分に接続され、使用者係合特徴を含み、封止部材が内部に配置される第2部分とを含み得る。第1部分の第1直径は、第2部分の第2直径よりも小さい。いくつかの実施形態では、第2チューブは、近位部分と接続された遠位部分を含み得る。近位部分は、第1チューブの第2部分の周りに延び、遠位部分は、第1チューブの第1部分の周りに延びる。いくつかの実施形態では、係合部材は、第2チューブの遠位部分と接続された固定端と、固定端から軸方向に延びる自由端とを含み得る。自由端は、第1チューブに向かって半径方向に延びるフランジを含む。フランジは、第1チューブ遠位端と第2チューブ遠位端が互いに軸方向に離れる方に移動する際に、バンドに被さって通過するように動作可能な傾斜面と、第1チューブ遠位端と第2チューブ遠位端が互いに軸方向に近づく方に移動する際に、バンドに係合するように動作可能な平坦面とを含み得る。いくつかの実施形態では、自由端は、第2チューブ遠位端の最遠位点の近位で終端する。いくつかの実施形態では、医療装置は、第2チューブ遠位端の周りに配置された1つ以上の追加的な係合部材を更に含み得、係合部材と1つ以上の追加的な係合部材とは、スロットによって互いに分離されている。いくつかの実施形態では、スロットは、第2チューブの遠位部分に沿って軸方向に延びる。いくつかの実施形態では、医療装置は、バンドローダと係合可能なアプリケータを更に含み、バンドローダは、第1チューブ及び第2チューブを備え、アプリケータは、プランジャを包囲する第3チューブと、第3チューブを包囲する第4チューブとを含み得、第3チューブは、第1チューブを包囲するバンドを受け取るために、第1チューブの第2チャネル内に延び、第4チューブは、第3チューブと第4チューブが互いに対して相対的に軸方向に移動すると、第3チューブからバンドを取り出し、前進させるように動作可能な第4チューブ遠位端を含む。
【0005】
1つ以上の実施形態では、結紮器は、第1チューブ内に配置されたプランジャを含み得、第1チューブは、第1チューブ遠位端を包囲する複数のバンドを含む。結紮器は、第1チューブを受け入れるための第2チューブを更に含み得る。第2チューブは、第2チューブ遠位端の反対側の第2チューブ近位端を含み、第2チューブ遠位端は、第2チューブに対する第1チューブの軸方向移動に応答して、複数のバンドのそれぞれに係合し、複数のバンドのそれぞれを第1チューブから留置するように動作可能な複数の係合部材を含む。いくつかの実施形態では、プランジャは、プランジャ近位端とプランジャ遠位端との間に延びるシャフトと、シャフトの周りに延びる封止部材とを含み得る。該封止部材は、第1チューブの内面に係合し、第1チューブ内に真空を作成する。いくつかの実施形態では、複数の係合部材は、第2チューブの遠位部分と接続された固定端と、固定端から軸方向に延びる自由端とを含み得る。該自由端は、第1チューブに向かって半径方向に延びるフランジを含む。フランジは、第1チューブ遠位端と第2チューブ遠位端が互いに軸方向に離れる方に移動する際に、複数のバンドに被さって通過するように動作可能な傾斜面と、第1チューブ遠位端と第2チューブ遠位端が互いに軸方向に近づく方に移動する際に、複数のバンドに係合するように動作可能な平坦面とを含み得る。いくつかの実施形態では、自由端は、第2チューブ遠位端の最遠位点の近位で終端する。いくつかの実施形態では、結紮器は、第2チューブ遠位端内に設けられたスロットであって、複数の係合部材の2つの隣接する係合部材を分離するスロットを更に含み得る。
【0006】
1つ以上の実施形態では、方法は、第1チューブに標的組織を引き込むために、第1チューブ内に配置されたプランジャを作動させることであって、第1チューブは、第1チューブ遠位端に沿ってバンドを含む、ことと、第1チューブの周りに第2チューブを提供することと、を含み得る。第2チューブは、第2チューブ遠位端の反対側の第2チューブ近位端を含み得、第2チューブ遠位端は係合部材を含む。方法は、バンドに係合し、第1チューブ遠位端からバンドを留置させるために、第1チューブと第2チューブとを互いに対して付勢することを更に含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、第2チューブのフランジがバンドの上を通過するまで、第1チューブの第1チューブ近位端に向かう第1の軸方向に第2チューブを付勢することと、フランジの平坦面がバンドに係合し、これを留置するまで、第1チューブ近位端から遠ざかる第2の軸方向に第2チューブを付勢することとを更に含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、第2チューブのフランジが第2バンドの上を通過するまで、第1チューブの第1チューブ近位端に向かう第1の軸方向に第2チューブを付勢することと、フランジの平坦面が第2バンドに係合し、これを留置するまで、第1チューブ近位端から遠ざかる第2の軸方向に第2チューブを付勢することとを更に含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、第2チューブ遠位端に保護領域を提供することを更に含み得、保護領域は、第2チューブが患者に挿入される際に係合部材の自由端を保護するために、係合部材と第2チューブ遠位端の最遠位点との間に位置する。いくつかの実施形態では、方法は、アプリケータをバンドローダと係合させることを更に含み得、アプリケータは、第4チューブによって包囲される第3チューブを含み、バンドローダは、第1チューブ及び第2チューブを含む。方法は、バンドを第1チューブから第3チューブに移すために、第2チューブを第1チューブに対して付勢することを更に含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、バンドを第3チューブから標的組織に移すために、第3チューブと第4チューブとを互いに対して付勢することを更に含み得る。
【0007】
上記で概要を示した特徴の各種1つ以上は、上記で概要を示した医療システム及び方法と関連する、並びに以下でより詳細に説明する実施形態及びそうでなければ本開示の範囲内の実施形態に関する使用のために、上記で概要を示した他の特徴と入れ替える、交換する、組み合わせる、又は置換することができる。
【0008】
本開示の非限定な実施形態が、例として、縮尺通りに描かれることを意図していない添付の図を参照して説明される。図中、図示される各同一の又はほぼ同一の構成要素は、典型的には、単一の数字によって表される。明瞭化のために、全ての図において全ての構成要素に符号が付されているわけではなく、また、当業者に本開示を理解させるために説明が不要である場合には、各実施形態の全ての構成要素が示されているわけではない。更に、図のいくつかは、図示の明瞭化のために「真の」断面図で見えるはずの特定の背景線又は特徴を省略した「スライス」の形態の断面図又は「近視眼的な」断面図を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本開示の実施形態による
図1の医療装置の分解斜視図。
【
図3A】本開示の実施形態による
図1の医療装置の動作を示す図。
【
図3B】本開示の実施形態による
図1の医療装置の動作を示す図。
【
図3C】本開示の実施形態による
図1の医療装置の動作を示す図。
【
図4A】本開示の実施形態による
図1の医療装置の1つ以上のバンドを留置する手法を示す図。
【
図4B】本開示の実施形態による
図1の医療装置の1つ以上のバンドを留置する手法を示す図。
【
図4C】本開示の実施形態による
図1の医療装置の1つ以上のバンドを留置する手法を示す図。
【
図4D】本開示の実施形態による
図1の医療装置の1つ以上のバンドを留置する手法を示す図。
【
図5A】本開示の実施形態による別の医療装置を示す図。
【
図5B】本開示の実施形態による別の医療装置を示す図。
【
図7】本開示の実施形態による
図6の医療装置の分解斜視図。
【
図8A】本開示の実施形態による
図6の医療装置の動作を示す図。
【
図8B】本開示の実施形態による
図6の医療装置の動作を示す図。
【
図8C】本開示の実施形態による
図6の医療装置の動作を示す図。
【
図9A】本開示の実施形態による
図6の医療装置の1つ以上のバンドを留置する手法を示す図。
【
図9B】本開示の実施形態による
図6の医療装置の1つ以上のバンドを留置する手法を示す図。
【
図9C】本開示の実施形態による
図6の医療装置の1つ以上のバンドを留置する手法を示す図。
【
図9D】本開示の実施形態による
図6の医療装置の1つ以上のバンドを留置する手法を示す図。
【
図10A】本開示の実施形態による別の医療装置を示す図。
【
図10B】本開示の実施形態による別の医療装置を示す図。
【
図11】本開示の実施形態による医療装置の斜視図。
【
図12A】本開示の実施形態による
図11の医療装置の1つ以上のバンドを留置する手法を示す図。
【
図12B】本開示の実施形態による
図11の医療装置の1つ以上のバンドを留置する手法を示す図。
【
図12C】本開示の実施形態による
図11の医療装置の1つ以上のバンドを留置する手法を示す図。
【
図12D】本開示の実施形態による
図11の医療装置の1つ以上のバンドを留置する手法を示す図。
【
図12E】本開示の実施形態による
図11の医療装置の1つ以上のバンドを留置する手法を示す図。
【
図13】本開示の実施形態による
図11の医療装置のプランジャの斜視図。
【
図14】本開示の実施形態による方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されない。本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものであり、添付の特許請求の範囲の範囲を超えた限定を意図するものではない。特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0011】
本明細書に開示されるのは、痔核などの標的組織の周りに結紮バンドを留置する医療装置、結紮器、及び方法である。上記のように、医療専門家が、痔核の周りの所定の位置へと医療装置(例えば、結紮器)を操作することと、そこから弾性バンドの解放を起動することとの両方をより簡単に可能にする装置を有することが望ましい。本開示の医療装置、結紮器、及び方法は、有利には、1つ以上の係合部材を使用して前進させ、留置する/出すことができる複数の予め装填されたバンドを含む簡略化された操作者インターフェイスを提供する。
【0012】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医療装置及び結紮器は、1つ以上のバンドをアプリケータ上に移すためにバンドローダと係合可能なアプリケータを含み得る。バンドローダは、第2チューブによって包囲される第1チューブを含み得、バンドは、第1チューブの外側に沿って配置されている。アプリケータとバンドローダとが互いに結合されると、バンドは、痔核の周りにおける後の留置のために、第1チューブからアプリケータに移され得る。
【0013】
ここで
図1~
図2を参照して、本開示の実施形態による医療装置100(例えば結紮器)についてより詳細に説明する。図示されるように、医療装置(以後、「装置」)100は、第1チューブ102と、第2チューブ104と、プランジャ106とを含み得る。第1チューブ102は、その中にプランジャ106を受け入れるための中空長尺状の部材であり得る一方、第2チューブ104は、第1チューブ102を受け入れるための中空長尺状の部材であり得る。プランジャ106は第1チャネル108を画定し得、第1チューブ102は第2チャネル110を画定し得、第2チューブ104は第3チャネル112を画定し得る。限定はしないが、プランジャ106、第1チューブ102、及び第2チューブ104は、装置100を貫通する中心軸線114の周りに同心円状に配置され得る。いくつかの実施形態では、プランジャ106、第1チューブ102、及び第2チューブ104は、スコープの湾曲を可能にするために、シリコーン、ポリアミド及びポリエーテルバックボーンブロック、ポリウレタン等を含む熱可塑性エラストマーなどの可撓性材料から作製され得る。他の実施形態では、装置100の1つ以上の構成要素は、より直接的な位置決め応答を提供するために、例えばポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などの剛性材料から作製され得る。
【0014】
プランジャ106は、プランジャ近位端118とプランジャ遠位端120との間に延びる剛性又は半剛性シャフト116を含み得る。プランジャ近位端118には、第1チューブ102に対してプランジャ106を中心軸線114に沿って軸方向に移動させるために操作者によって把持され得るフランジ又はハンドルなどのプランジャ係合構成要素122があり得る。プランジャ遠位端120にあるのは先端であり、先端は、プランジャ遠位端120の外面と第1チューブ102の内面との間に組織が挟まれることを防ぐために、角度を成し得る。限定はしないが、この角度は、25度より大きい場合がある。ガスケットなどの1つ以上の封止部材124がシャフト116を包囲し得る。封止部材124は、第1チューブ102の内面に係合し、当該内面との間の境界面に気密シールを形成するように動作可能である。
【0015】
第1チューブ102は、第2部分127と接続された第1部分126を含み得る。図示されるように、複数のバンド130が、第1部分126の外部表面131の周りに延び得る。いくつかの実施形態では、バンド130は、対応するくぼみ(図示せず)内に部分的に着座させ得る。以下でより詳細に説明するように、バンド130は弾性バンドであり得、伸張した形状に延びて、第1チューブ102の外部表面131の周りに嵌合し、留置まで位置を維持する。動作中、バンド130の1つ以上は、第1チューブ102の第1チューブ遠位端134から転動され又は押し外され、その後、標的組織(図示せず)の周りで収縮し得る。留置されると、バンド130は、組織が縮小して、死に、最終的に周囲組織から分離するように、標的組織への血流を遮断し得る。複数のバンド130を使用することで、装置100を患者から引き抜く必要なしに、装置100を位置変更して更なる組織を捕捉することを、複数のバンド130の連続的な留置により可能にし得、従って、臨床家が装置100をリロードする必要なく処置をより効率的に完了することを可能にする。
【0016】
更に図示されるように、第1チューブ102は、第2部分127から半径方向に延びる1つ以上のタブ又はフランジなどの使用者係合特徴136を含み得る。使用者係合特徴136は、第1チューブ102の第1チューブ近位端137に配置され得る。いくつかの実施形態では、
図2により良く示されるように、第1部分126の第1直径「D1」は、第2部分127の第2直径「D2」よりも小さい。第1部分126の直径を第2部分127に対して低減すると、患者の快適性が増す可能性がある。装置100が組み立てられると、プランジャ106は第2チャネル110内に配置され得る。該第2チャネル110は、第1チューブ102の第1部分126及び第2部分127内を貫通する。
【0017】
第2部分127の内径は、封止部材124の外径にほぼ等しいことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、第2部分127と封止部材124との間の気密シールを確実にするために、第2部分127の内径は、封止部材124の外径よりもわずかに小さくてもよい。
【0018】
更に図示されるように、第2部分127は、その外部表面141に沿って、1つ以上のリッジ、インジケータ、又は隆起部138を含み得る。隆起部138は、第2チューブ104の内面に沿った対応するくぼみ、溝、若しくは移動止め(図示せず)、又は近位端リッジに係合し得る。隆起部138は、装置100の操作者に、第1チューブ102に対する第2チューブ104の位置に関する視覚、聴覚、及び/又は触覚フィードバックを提供することができ、これは、例えば、いくつのバンド130が留置されたかを示し得る。いくつかの実施形態では、第2チューブ104の内面は、一連のリッジ又は隆起部を含み得、第2部分127は、くぼみ又は溝を含む。更に、いくつかの実施形態では、第2部分127及び/又は第2チューブ104の内面は、対向面上の係合特徴と係合するための1つ以上の片持式切抜タブを含み得る。あらゆる数又は構成の隆起部138が可能であることが理解されるであろう。
【0019】
第2チューブ104は、近位部分133と接続された遠位部分132を含み得る。近位部分133は、第1チューブ102の第2部分127の周りに概ね延び得、遠位部分132は、第1チューブ102の第1部分126の周りに概ね延び得る。遠位部分132と近位部分133との間は肩領域139である。肩領域139は、患者の快適性を増すために、徐々に傾斜及び/又は湾曲し得る。図示されるように、遠位部分132の直径は、近位部分133の直径より小さくてもよい。いくつかの実施形態では、第2チューブ104は、第2チューブ近位端143から半径方向に延びる付勢タブ140を含み得る。
【0020】
更に図示されるように、第2チューブ104は、第2チューブ遠位端146にて軸方向に延びる1つ以上の係合部材145を含み得る。各係合部材145は、遠位部分132と一体形成された又は接続された固定端147と、固定端147から軸方向に延びる自由端148とを含み得る。本明細書でより詳細に説明されるように、1つ以上の係合部材145の自由端148は、1つ以上のバンドに係合し、当該バンドを留置するために、第1チューブ102に向かって半径方向に延びるフランジを含み得る。隣接する係合部材145は、間隙又はスロット152によって互いに分離され得る。図示されるように、各スロット152は、第2チューブ104の遠位部分132に沿って概ね軸方向に延び得る。スロット152は、係合部材145のそれぞれに可撓性を与えることができ、従って、自由端148が中心軸線114に対して概ね半径方向に移動することを可能にする。
【0021】
ここで
図3A~
図3Cを参照して、本開示の実施形態による装置100の動作について説明する。使用中、装置100の操作者は、例えば、内視鏡カメラを通して見ることによって、痔核組織を標的にすることができる。他の実施形態では、カメラは使用されない。その後、標的痔核組織を第1チューブ102内に入れるために、プランジャ106を付勢することによって吸引が適用され得る。具体的には、
図3Aに示されるように、プランジャ106のプランジャ係合構成要素122は、矢印150によって示されるように、第1チューブ102の第1チューブ近位端137から離れる方に軸方向に(例えば、y方向に沿って)移動され得る。第1チューブ102の内面に接する封止部材124(
図2)は、装置100に標的痔核組織を引き込むための真空チャンバを作成する。
【0022】
次いで、
図3Bに示されるように、第2チューブ104は、第1チューブ102に対して付勢され得る。例えば、第2チューブ104は、矢印151によって示されるように、第1チューブ102の第1チューブ近位端137に向かって軸方向に引かれ得る。その結果、第2チューブ遠位端146は第1チューブ遠位端134から遠ざかり、複数のバンド130の最遠位バンド130Aを露出させる。
【0023】
次いで、
図3Cに示されるように、第2チューブ104は、第1チューブ102に対して再度軸方向に付勢され得る。この場合、第2チューブ104は、第1チューブ102の第1チューブ近位端137から離れることで、第2チューブ104の第2チューブ遠位端146を最遠位バンド130Aに係合させ、最遠位バンド130Aを第1チューブ102から取り外す。その後、最遠位バンド130Aは、標的痔核組織(図示せず)の周りを締め付け得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、その後、吸引は、プランジャ106を第2チューブ遠位端146に向かって移動させることによって解放され得、最遠位バンド130Aの適切な位置決めは、例えば、内視鏡カメラで部位を可視化することにより確認される。他の実施形態では、吸引は維持され得、複数のバンド130の別のバンドが標的痔核組織の周りに留置される。
【0025】
図4A~
図4Dは、本開示の実施形態による装置100からの複数のバンド130の留置を更に示す。図示されるように、第1チューブ102は、第2チューブ104の第3チャネル112内に配置されている。図示しないが、プランジャ106は、第1チューブ102の第2チャネル110内に配置され得る。複数のバンド130A~130Cのそれぞれは、第1チューブ102の1つ以上の対応するくぼみ155内に配置され得る。いくつかの実施形態では、くぼみ155の代わりに、第1チューブ102から外向きに延びる複数の突起が複数のバンド130A~130Cを分離してもよい。各係合部材145は、その自由端148にフランジ158を含み得、フランジ158は、第1チューブ102に向かって内向きに延びる。いくつかの実施形態では、フランジ158は、第2チューブ遠位端146の最遠位点に配置され得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、フランジ158は、ポイント162へと延びる傾斜面161を含み得る。
図4Aに示されるように、ポイント162は、最初に、第1チューブ102の外部表面131と係合し得る。初期位置において、フランジ158は、第1チューブ遠位端134とバンド130Aとの間に配置されている。
図4Bに示されるように、第2チューブ遠位端146が第1チューブ遠位端134から離れ始めると、傾斜面161はバンド130Aの上を/バンド130Aに沿って通過し、各係合部材145の自由端148を第1チューブ102から遠ざかる方に半径方向に曲げる。
【0027】
図4Cに示されるように、第2チューブ104は、フランジ158がバンド130Aを通過するまで第1チューブ102に対して軸方向に移動し続ける。この位置において、フランジ158は、バンド130Aとバンド130Bとの間の領域において第1チューブ102の外部表面131に係合又は当接し得る。いくつかの実施形態では、フランジ158が外部表面131と再係合する際、第1チューブ102に対する第2チューブ104の位置に関する聴覚及び/又は触覚フィードバックが装置100の操作者に提供される。操作者が可聴クリックを聞くと、例えば、操作者は、第2チューブ104を第1チューブ102から離すことを止めることができる。
【0028】
第1チューブ102からのバンド130Aの取り外しを開始するために、
図4Dに示されるように、第2チューブ遠位端146は、方向を反転し、第1チューブ遠位端134に向かって移動し得る。ポイント162は、フランジ158の平坦面164とともに、バンド130Aに係合し、これをくぼみ155から取り除き得る。ポイント162は、くぼみ155からバンド130Aを取り外すためのくさびとして機能し得る。平坦面164は、第2チューブ104が下方に移動する際、第1チューブ遠位端134に向かってバンド130Aを押し続け得る。最終的に、バンド130Aは、第1チューブ遠位端134を越え、第1チューブ102の第2チャネル110内に吸引された標的痔核組織168の周りに摺動する。
【0029】
いくつかの実施形態では、バンド130Aが留置されると、第2チューブ104は、フランジ158がバンド130Bを通過し、バンド130Bとバンド130Cとの間に配置されるまで、再度、上方向に軸方向に移動し得る。その後、バンド130Bがバンド130Aと同様の手法で留置され得、これにバンド130Cが続く。他の実施形態においては、より多数又は少数のバンドが留置され得ることが理解されるであろう。
【0030】
図5A及び
図5Bは、本開示の実施形態による、第1チューブ102及び第2チューブ104の様々な非限定的代替を示す。図示されるように、使用者係合特徴136は、第1チューブ102の第1チューブ近位端137から又はその周りに延びる1つ以上のループ169であり得る。各ループ169は、装置100の動作を向上させるために、操作者の指を受け入れ得る。
図5Aに更に示されるように、第2チューブ104は、第2チューブ近位端143に外部表面171に沿って一連のグリップ要素173を含み得る。一連のグリップ要素173は、
図5Bの装置100に示される付勢タブ140に取って代わること又はこれを補完することができる。
【0031】
ここで
図6及び
図7を参照して、本開示の実施形態による医療装置(例えば、結紮器)200についてより詳細に説明する。医療装置(以後、「装置」)200は、多くの点で本明細書に記載される装置100に類似し得る。従って、以後、簡略化のために、装置200の特定の態様のみを説明する場合がある。図示されるように、装置200は、第1チューブ202と、第2チューブ204と、プランジャ206とを含み得る。第1チューブ202は、その中にプランジャ206を収容する中空長尺状の部材であり得、第2チューブ204は、第1チューブ202を包囲する中空長尺状の部材であり得る。プランジャ206は第1チャネル208を画定し得、第1チューブ202は第2チャネル210を画定し得、第2チューブ204は第3チャネル212を画定し得る。限定はしないが、プランジャ206、第1チューブ202、及び第2チューブ204は、装置200を長さ方向に貫通する中心軸線214の周りに同心円状に配置され得る。
【0032】
プランジャ206は、プランジャ近位端218とプランジャ遠位端220との間に延びる剛性又は半剛性シャフト216を含み得る。プランジャ206を第1チューブ202に対して軸方向に、例えばy方向に沿って移動させるために操作者によって把持され得るフランジ又はハンドルなどのプランジャ係合構成要素222がプランジャ近位端218にあり得る。ガスケットなどの封止部材224がシャフト216を包囲し得る。封止部材224は、第1チューブ202の内面に係合し、それらの間の境界面に気密シールを作成するように動作可能である。
【0033】
第1チューブ202は、第2部分227と接続された第1部分226を含み得、複数のバンド230が第1部分226の外部表面231の周りに延びる。いくつかの実施形態では、バンド230は、第1チューブ202の対応するくぼみ内に部分的に着座させ得る。以下でより詳細に説明するように、バンド230は、伸張した形状に伸びて、外部表面231の周りにフィットし、留置まで位置を維持する弾性バンドであり得る。動作中、バンド230の1つ以上は、第1チューブ202の第1チューブ遠位端234から転がされ又は押し外され、その後、標的組織(図示せず)の周りで収縮し得る。1つより多いバンド230を使用することで、装置200を患者から引き抜く必要なしに、複数のバンド230の連続的な留置により、装置200を位置変更して更なる組織を捕捉することを可能にし得る。
【0034】
限定はしないが、第1チューブ202は、第2部分227から半径方向に延びる1つ以上のタブ又はフランジなどの使用者係合特徴236を含み得る。使用者係合特徴236は、第1チューブ202の第1チューブ近位端237に配置され得る。装置200が組み立てられると、プランジャ206は、第1チューブ202の第1部分226及び第2部分227の内部表面によって画定される第2チャネル210内に配置され得る。
【0035】
更に図示されるように、第2部分227は、その外部表面241に沿って1つ以上のインジケータ238を含み得る。インジケータ238は、装置200の操作者に、第1チューブ202に対する第2チューブ204の位置に関する視覚、聴覚、及び/又は触覚フィードバックを提供することができ、これは、例えば、いくつのバンド230が留置されたかを更に示し得る。多様なインジケータ238が使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0036】
第2チューブ204は、近位部分233と接続された遠位部分232を含み得る。近位部分233は、第1チューブ202の第2部分227の周りに概ね延び得、第2部分227は、第2チューブ近位端243から半径方向に延びる付勢タブ240を含み得る。遠位部分232と近位部分233との間は肩領域239である。肩領域239は、患者の快適性を増すために、徐々に傾斜及び/又は湾曲し得る。同様の理由から、遠位部分232の直径は、近位部分233の直径より小さい。
【0037】
更に図示されるように、第2チューブ204は、遠位部分232に沿って配置された1つ以上の係合部材245を含み得る。この実施形態において、係合部材245は、第2チューブ204の第2チューブ遠位端246の近位に配置されている。係合部材245は、遠位部分232と一体形成された又は接続された固定端247と、固定端247から軸方向に延びる自由端248とを含み得る。本明細書でより詳細に説明されるように、1つ以上の係合部材245の自由端248は、第1チューブ202に向かって半径方向に延びる、複数のバンド230に係合し、これを留置するためのフランジを含み得る。いくつかの実施形態では、係合部材245は、自由端248に可撓性を与えるために、1つ以上のスロット252によって包囲され得る。
【0038】
更に図示されるように、第2チューブ204は、第2チューブ遠位端246に保護領域244を含み得る。保護領域244は、係合部材245の自由端248と第2チューブ遠位端246の最遠位点249との間に設けられた概ね全周が繋がったリング又はシリンダを含み得る。すなわち、第2チューブ遠位端246の剛性を高めるために、保護領域244には、いかなるスロット又は間隙もなく得る。従って、保護領域244は、第2チューブ遠位端246が患者に挿入される際に、自由端248の偏向を防止又は低減することができる。
【0039】
ここで
図8A~
図8Cを参照して、本開示の実施形態による装置200の動作について説明する。使用中、装置200の操作者は、例えば、内視鏡カメラを通して見ることによって、痔核組織を標的にすることができる。その後、真空を作成し、標的痔核組織を第1チューブ202に入れるために、プランジャ206を付勢することによって吸引が適用され得る。具体的には、
図8Aに示されるように、プランジャ206のプランジャ係合構成要素222は、矢印250によって示されるように、第1チューブ202の第1チューブ近位端237から離れる方に軸方向に(例えば、y方向に沿って)移動され得る。第1チューブ202の内面に接する封止部材224(
図7)は、装置200に標的痔核組織を引き込むための真空チャンバを作成する。
【0040】
次いで、
図8Bに示されるように、第2チューブ204は、第1チューブ202に対して付勢され得る。例えば、第2チューブ204は、矢印251によって示されるように、第1チューブ202の第1チューブ近位端237に向かって軸方向に引かれ得る。第1チューブ202に対する第2チューブ204の第2チューブ遠位端246の移動により、第1チューブ遠位端234及び複数のバンド230の最遠位バンド230Aを露出させる。
【0041】
次いで、
図8Cに示されるように、第2チューブ204は、第1チューブ202に対して再度付勢され得る。この場合、第2チューブ204は、矢印253によって示されるように、第1チューブ202の第1チューブ近位端237から離れる方に軸方向に移動されることで、第2チューブ204の係合部材245を最遠位バンド230Aに係合させ、最遠位バンド230Aを第1チューブ202の第1チューブ遠位端234から取り外すことができる。その後、最遠位バンド230Aは、標的痔核組織(図示せず)の周りを締め付けてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、その後、吸引は、プランジャ206を第2チューブ遠位端246に向かって移動させることによって解放され得、最遠位バンド230Aの適切な位置決めは、例えば、内視鏡カメラで部位を可視化することにより確認される。他の実施形態では、吸引は維持され得、複数のバンド230の別のバンドが標的痔核組織の周りに留置される。
【0043】
図9A~
図9Dは、本開示の実施形態による装置200からの複数のバンド230の留置を更に示す。図示されるように、第1チューブ202は、第2チューブ204の第3チャネル212内に配置されている。図示しないが、プランジャ206は、第2チャネル210内に配置され得る。複数のバンド230A~230Cのそれぞれは、第1チューブ202の1つ以上の対応するくぼみ255内に配置され得る。各係合部材245は、その自由端248にフランジ258を含み得、フランジ258は、第1チューブ202に向かって内向きに延びる。図示されるように、自由端248のフランジ258は、第2チューブ遠位端246の最遠位点249の近位で終端する。
【0044】
いくつかの実施形態では、フランジ258は、ポイント262へと延びる傾斜面261を含み得る。
図9Aに示されるように、ポイント262は、最初に、第1チューブ202の外部表面231と係合し得る。装置200のこの位置において、フランジ258は、第1チューブ遠位端234とバンド230Aとの間に配置されている。
図9Bに示されるように、第2チューブ遠位端246が第1チューブ遠位端234から離れ始めると、傾斜面261はバンド230Aに係合し、各係合部材245の自由端248を第1チューブ202から半径方向外側に曲げ得る。
【0045】
図9Cに示されるように、第2チューブ204は、フランジ258がバンド230Aを通過するまで第1チューブ202に対して軸方向に相対的に移動し続ける。この位置において、フランジ258は、バンド230Aとバンド230Bとの間の領域において第1チューブ202の外部表面231に係合又は当接し得る。第1チューブ202からバンド230Aを取り外すために、第2チューブ204は、その後、方向を反転し、第1チューブ遠位端234に向かって移動し得る。
図9Dに示されるように、ポイント262は、フランジ258の平坦面264とともに、バンド230Aに係合し、これをくぼみ255から取り除き得る。ポイント262は、くぼみ255からバンド230Aを取り外すためのくさびとして機能し得る。平坦面264は、バンド230Aが標的痔核組織268の周りに留置されるまで第2チューブ204が下方に移動する際に、第1チューブ遠位端234に向かってバンド230Aを押すために使用され得る。図示されるように、バンド230Aは、留置されると、標的痔核組織268の周りを締め付ける。
【0046】
いくつかの実施形態では、バンド230Aが留置されると、第2チューブ204は、フランジ258がバンド230Bを通過し、バンド230Bとバンド230Cとの間に配置されるまで、再度、上方向に軸方向に移動し得る。その後、バンド230Bがバンド230Aと同様の手法で留置され得、これにバンド230Cが続く。他の実施形態においては、より多数又は少数のバンドが留置され得ることが理解されるであろう。
【0047】
図10A~
図10Bは、本開示の実施形態による、第1チューブ202及び第2チューブ204の様々な非限定的代替を示す。
図10Aに示されるように、使用者係合特徴236は、第1チューブ202の第1チューブ近位端237から又はその周りに延びる1つ以上のループ269を含み得る。第2チューブ204は、第2チューブ近位端243に外部表面271に沿って一連のグリップ要素273を更に含み得る。一連のグリップ要素273は、
図10Bに示される付勢タブ240などの付勢タブに取って代わること又はこれを補完することができる。
図10Bの装置200は、第1チューブ202の第2部分227から半径方向に延びる一対のタブ269を更に含み得る。限定はしないが、一対のタブ269は、第1チューブ近位端237の遠位に配置され得る。一対のタブ269は、操作者のエルゴノミクスを改善するための傾斜した上面272と平坦な下面274とを含み得る。
【0048】
図11を参照して、本開示の実施形態による医療装置(例えば、結紮器)300について説明する。図示されるように、医療装置(以後、「装置」)300は、バンドローダ303と係合可能なアプリケータ301を含み得る。該アプリケータ301は、当該アプリケータ301上に1つ以上のバンド330を移すためのものである。バンドローダ303は、第2チューブ304によって包囲された第1チューブ302を含み得る。第1チューブ302及び第2チューブ304は、バンドローダ軸線307の周りに同心円状に配置された中空長尺状の部材であり得る。第1チューブ302は、その外部表面331に沿ってバンドを収容する第1チューブ遠位端334を含み得る。
【0049】
更に図示されるように、第2チューブ304は付勢面340を含み得、付勢面340は、操作者が第2チューブ304を第1チューブ302に対して軸方向に、例えば、バンドローダ軸線307に沿って移動させ、バンド330を留置することを可能にする。いくつかの実施形態では、付勢面340は、粗面加工されている、及び/又は操作者の親指との係合を強化するための1つ以上のグリッピング要素(例えば、リッジ)を含む。第2チューブ304は、自由端348の反対側の固定端347を含む1つ以上の係合部材345を更に含み得る。本明細書でより詳細に説明されるように、1つ以上の係合部材345の自由端348は、バンド330に係合し、これを取り外すために、第1チューブ302に向かって半径方向に延びるフランジ358を含み得る。いくつかの実施形態では、各係合部材345は、それに半径方向の可撓性を与えるために、間隙によって互いに分離され得る。
【0050】
アプリケータ301は、プランジャ306を包囲する第3チューブ380と、第3チューブ380を包囲する第4チューブ381とを含み得る。図示されるように、プランジャ306、第3チューブ380、及び第4チューブ381は、アプリケータ軸線383の周りに同心円状に配置された中空長尺状の部材であり得る。プランジャ306は、プランジャ近位端318から半径方向に延びる1つ以上のタブ又はフランジなどの使用者係合特徴336を含み得る。使用者係合特徴336は、プランジャ306が第3チューブ380に対しアプリケータ軸線383に沿って付勢されることを可能にする。図示されるように、プランジャ306の使用者係合特徴336は、第3チューブ380の第3チューブ近位端385にある開口部又はスロット384内を摺動し得る。いくつかの実施形態では、第4チューブ381は、第4チューブ近位端343から半径方向に延びる付勢タブ341を含み得、付勢タブ341は、第3チューブ380に対する第4チューブ381の作動を可能にする。
【0051】
図12A~
図12Eは、本開示の実施形態による、バンドローダ303からアプリケータ301への複数のバンド330の移送を示す。図示されるように、バンドローダ303は、第2チューブ304の第2チャネル310内に配置された第1チューブ302を含む。複数のバンド330A~330Cのそれぞれは、第1チューブ302の1つ以上の対応するくぼみ内に配置され得る。各係合部材345は、その自由端348にフランジ358を含み得、フランジ358は、第1チューブ302に向かって内向きに延びる。図示されるように、フランジ358は、バンド330Aと第1チューブ302の最遠位点329との間に配置され得る。いくつかの実施形態では、フランジ358は、ポイント362へと延びる傾斜面361を含み得、ポイント362は、第1チューブ302の外部表面331と係合する。
図12Aに示されるように、アプリケータ301とバンドローダ303は、最初は互いに分離され得る。
【0052】
図12Bに示されるように、アプリケータ301とバンドローダ303を係合させると、第1チューブ302は、第3チューブ380に被さって配置され得る。例えば、第1チューブ302の内部表面387は、第3チューブ380の外部表面388に近接させてもよく、及び/又は、これと物理接触させ得る。図示されるように、留置時に第3チューブ380の周りにおける複数のバンド330A~330Cの受け入れを可能にするために、第1チューブ302の最遠位点329と第4チューブ381の最遠位点390との間に間隙389が設けられてもよい。
【0053】
次いで、
図12Cに示されるように、フランジ358をバンド330Aとバンド330Bとの間に導くために、第2チューブ304は、第1チューブ302に対して引き込まれ得る。傾斜面361は、フランジ358がバンド330Aに被さって、より簡単に通過することを可能にする。その後、第2チューブ304は、フランジ358の平坦面364がバンド330Aに係合するまで、第1チューブ302の最遠位点329に向かって移動させ得る。
図12Dに示されるように、ポイント362及び平坦面364は、くぼみ355からバンド330Aを取り外し、バンド330Aが第1チューブ302の最遠位点329を越えて第3チューブ380上に渡されるまで、バンド330Aをアプリケータ301に向かって押し得る。
【0054】
図12Eに示されるように、バンド330Aが第3チューブ380の周りに留置されると、バンドローダ303は、アプリケータ301から係脱され得る。図示しないが、その後、アプリケータ301の第3チューブ380は、標的痔核組織の周りの位置に移動され得る。バンド330Aは、バンド330Aが第3チューブ380の第4チューブ遠位端396を越え、標的痔核組織上に摺動される又は押されるまで、第4チューブ381の最遠位点390をバンド330Aに対して付勢することによって留置され得る。図示しないが、第4チューブ381は、バンド330Aに係合し、これを留置するように構成された上記のフランジ158、258などの1つ以上のフランジを含み得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、バンドローダ303とアプリケータ301は、全てのバンド330A~330Cが第3チューブ380上に留置されるまで係合されたままであり得る。バンド330B及びバンド330Cは、バンド330Aと同様の手法で留置されてもよいことが理解されるであろう。更に、他の実施形態において、より多数又は少数のバンドが留置されてもよいことが理解されるであろう。
【0056】
ここで
図13を参照して、本開示の実施形態による装置300のプランジャ306についてより詳細に説明する。図示されるように、プランジャ306は、第3チューブ380内に延びる剛性又は半剛性シャフト316を含み得る。プランジャ近位端318には、そこから半径方向に延びる1つ以上のタブ又はフランジ393などの使用者係合特徴336がある。フランジ393は、第3チューブ380の第3チューブ近位端385にある開口部384内に延び得る。図示しないが、ガスケットなどの封止部材がシャフト316を包囲し、第3チューブ380の内面に係合し、それらの間の境界面に気密シールを作成し得る。
【0057】
使用中、第3チューブ380の第3チューブ近位端385は、操作者の手のひら内に配置され得、使用者係合特徴336を第3チューブ近位端385に向かって自身の指で引くと、第3チューブ380内の真空圧が増加する。このようにして、装置300は片手動作を可能にする。それぞれ、プランジャ係合構成要素122及びプランジャ係合構成要素222の代わりに、類似の係合特徴が本明細書に記載される装置100及び装置200に組み込まれてもよいことが理解されるであろう。
【0058】
標的痔核組織が第3チューブ380内に引き込まれ、バンドが第3チューブ380から留置されると、プランジャ306及び第3チューブ380によって作成された吸引は解放され得る。いくつかの実施形態では、プランジャ306は、操作者によって作動可能なリリーフ構成要素398を含み得る。限定はしないが、リリーフ構成要素398は、プランジャ306内の弁(図示せず)を制御するためのボタンであり得る。ボタンが作動されると、弁は開かれ、プランジャ306及び第3チューブ380によって作成された真空シールを破壊する。いくつかの実施形態では、リリーフ構成要素398は、操作者によるアクセスのために第3チューブ380のリリーフ開口部399内に延び得る。
【0059】
図14は、本開示の実施形態による方法400のフローチャートである。ブロック401において、方法400は、第1チューブに標的組織を引き込むために、第1チューブ内に配置されたプランジャを作動させることであって、第1チューブは、第1チューブ遠位端に沿ってバンドを含む、ことを含み得る。いくつかの実施形態では、標的組織を引き込むために、第1チューブの内面と係合したプランジャの封止部材を使用して第1チューブ内に真空が作成される。いくつかの実施形態では、封止部材は環状のガスケットである。いくつかの実施形態では、プランジャは、プランジャ近位端とプランジャ遠位端との間に延びる剛性又は半剛性シャフトを含む。プランジャ近位端には、プランジャを第1チューブに対して例えば軸方向に移動させるために操作者によって把持され得るフランジ又はハンドルなどのプランジャ係合構成要素があり得る。
【0060】
ブロック402において、方法400は、第1チューブの周りに第2チューブを提供することを含み得、第2チューブは、第2チューブ遠位端の反対側の第2チューブ近位端を含み、第2チューブ遠位端は係合部材を含む。いくつかの実施形態では、プランジャ、第1チューブ、及び第2チューブは、装置を貫通している中心軸線の周りに同心円状に配置され得る。
【0061】
ブロック403において、方法400は、係合部材をバンドに係合させ、第1チューブからバンドを留置させるために、第1チューブと第2チューブとを互いに対して付勢することを含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、第2チューブのフランジがバンドの上を通過するまで、第1チューブの第1チューブ近位端に向かう第1の軸方向に第2チューブを付勢することと、その後、フランジの平坦面がバンドに係合するまで、第1チューブ近位端から遠ざかる第2の軸方向に第2チューブを付勢することとを含み得る。第2チューブは、バンドが第1チューブの第1チューブ近位端を越えて留置されるまで付勢され続けてもよい。いくつかの実施形態では、バンドは、標的組織の周りに留置され得る。いくつかの実施形態では、バンドは、アプリケータのシャフトの周りに留置され得、その後、患者内に挿入され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、第1チューブ及び第2チューブは、アプリケータの第3チューブ上に1つ以上のバンドを装填するために、アプリケータとともに動作可能なバンドローダの一部である。使用中、アプリケータとバンドローダは、第1チューブの内部表面が第3チューブの外部表面と物理接触するように、組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、第1チューブ302の最遠位点と第3チューブを包囲する第4チューブの最遠位点との間に間隙が設けられてもよい。間隙は、留置時に第3チューブの周りにおけるバンドの受け入れを可能にするために設けられてもよい。その後、バンドローダの第2チューブは、第1チューブからアプリケータの第3チューブにバンドを留置するために、第1チューブに対して付勢され得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、方法は、バンドが第3チューブの周りに留置されると、アプリケータからバンドローダを係脱することを含み得る。その後、アプリケータの第3チューブは、標的組織の周りの位置に移動され得、バンドは、バンドが第3チューブの第4チューブ遠位端を越えて標的組織上に摺動される又は押されるまで、第4チューブの最遠位点をバンドに対して付勢することによって留置され得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、医師は、本明細書に記載される医療装置を、患者の直腸に医療装置を挿入することによって動作させ得る。次いで、医師は、患者内の標的組織に医療装置で係合し、外側チューブを内側チューブに対して付勢することによって1つ以上のバンドを留置し得る。その結果、1つ以上のバンドが標的組織上に留置される。
【0065】
全ての方向の参照(例えば、近位(proximal)、遠位(distal)、上(upper)、下(lower)、上方(upward)、下方(downward)、左(left)、右(right)、側方(lateral)、長手方向(longitudinal)、前(front)、後(back)、上部(top)、底部(bottom)、上方(above)、下方(below)、垂直(vertical)、水平(horizontal)、半径方向(radial)、軸方向(axial)、時計回り方向(clockwise)、及び反時計回り(counterclockwise))は、本開示の読者の理解を助けるための識別目的でのみ使用され、特に、本開示の位置、向き、又は使用に関して限定するものではない。限定はしないが、装置100及び装置200に関して本明細書で使用される場合、「近位」という用語は、使用中に操作者に最も近い装置の部分を指す場合があり、「遠位」という用語は、患者内に最初に挿入される装置の部分を指す場合がある。
【0066】
いくつかの実施形態は、「結合される(coupled)」及び「接続される(connected)」という表現を用いて、それらの派生物とともに説明される場合がある。これらの用語は、互いの同義語と意図されるものではない。例えば、いくつかの実施形態は、2つ以上の要素が互いに直接物理的に又は電気的に接触していることを示すために、「接続される」及び/又は「結合される」という用語を用いて説明される場合がある。しかしながら、「結合される」という用語は、2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、それでもなお互いに協働する又は相互作用することを意味する場合もある。
【0067】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈で別段の明示のない限り、複数形も含むことが意図される。更に、「備える/からなる(comprises)」及び/若しくは「備えている/からなる(comprising)」又は「含む(includes)」及び/若しくは「含んでいる(including)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、領域、工程要素、及び/又は構成要素の存在を明示するが、その1つ以上の他の特徴、領域、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/若しくは群の存在又は追加を排除するものではないと理解される。
【0068】
更に、用語「実質的な(substantial)」又は「実質的に(substantially)」並びに用語「ほぼ(approximate)」又は「ほぼ(approximately)」は、いくつかの実施形態では互換的に使用することができ、当業者が許容できる任意の相対尺度を用いて記述され得る。例えば、これらの用語は、意図した機能をなお提供する偏差を示すために、基準パラメータとの比較としての役割を果たすことができる。限定はしないが、基準パラメータからの偏差は、例えば、1%未満、3%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満などの量であり得る。
【0069】
本明細書では特定の実施形態を図示し、説明してきたが、同じ目的を達成すると推測される任意の構成が、示される特定の実施形態の代わりに用いられてもよいことは理解されるべきである。本開示は、様々な実施形態の一切の適合形態又は変形形態を包含することを意図する。上記の説明は例示的な手法でなされたものであり、限定的なものではないことを理解されたい。上記実施形態と本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態との組み合わせは、上記説明を検討すると、当業者には明らかであろう。従って、様々な実施形態の範囲は、上記組成物、構造、及び方法が使用される任意の他の用途を含む。
【0070】
また更に、例示的な方法400は、一連の行為又はイベントとして上記したが、本開示は、特に明示されない限り、示されるそのような行為又はイベントの順序によって限定されない。例えば、いくつかの行為は、本開示に従い、本明細書に図示及び/若しくは記載されているもの以外の他の行為若しくはイベントと異なる順序で並びに/又は同時に発生し得る。加えて、本開示による方法論を実施するために、示される全ての行為又はイベントが必要となり得るわけではない。
【0071】
構造的特徴及び/又は方法論的行為に固有の言語で対象を説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義される対象は、上記の特定の特徴又は行為に必ずしも限定されないことは理解されたい。むしろ、上記の特定の特徴及び行為は、クレームを実施する例示的な形態として開示される。
【国際調査報告】