(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】温度調節送風機を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20230420BHJP
G05D 23/00 20060101ALI20230420BHJP
B60H 1/32 20060101ALI20230420BHJP
F04D 27/02 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
B60H1/22 611D
G05D23/00 B
B60H1/32 621F
F04D27/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554709
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(85)【翻訳文提出日】2022-10-05
(86)【国際出願番号】 DE2021000045
(87)【国際公開番号】W WO2021180260
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】102020001527.1
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514185921
【氏名又は名称】ジェンサーム ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラップル, アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】プファッフ, ヨッヘン
【テーマコード(参考)】
3H021
3L211
5H323
【Fターム(参考)】
3H021AA01
3H021BA15
3H021CA03
3H021CA06
3H021DA03
3H021EA05
3H021EA07
3L211BA02
3L211BA03
3L211BA08
3L211DA50
3L211DA62
3L211EA12
3L211EA35
3L211EA87
3L211GA03
3L211GA49
3L211GA62
5H323AA06
5H323AA11
5H323BB06
5H323CA02
5H323CB01
5H323CB25
5H323CB44
5H323DA01
5H323DB11
5H323JJ01
(57)【要約】
本発明は、空気案内システムに組み込まれた温度調節送風機(10)を動作させる方法であって、温度調節送風機(10)の流れ発生器(12)によって発生させた現在体積流量(20)を検出領域(30)内で検知するステップと、検出領域(30)内で検出された体積流量(20)に依存して温度調節送風機(10)の少なくとも1つの動作パラメータを調整するステップと、を包含する、方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気案内システムに組み込まれた温度調節送風機(10)を動作させる方法であって、
-前記温度調節送風機(10)の流れ発生器(12)によって発生させた現在体積流量(20)を検出領域(30)内で検知するステップを包含する、方法において、
前記検出領域(30)内で検出された体積流量(20)に依存して、前記温度調節送風機(10)の少なくとも1つの動作パラメータを調整するステップを特徴とする、方法。
【請求項2】
-前記空気案内システムの現在流れ抵抗に依存した前記流れ発生器(12)の1つまたは複数の動作パラメータを検知するステップであって、
前記現在体積流量(20)の前記検知が前記流れ発生器(12)の前記1つまたは前記複数の検知された動作パラメータにもとづいて行われる、ステップを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記現在体積流量(20)の前記検知が、前記流れ発生器(12)の前記1つまたは前記複数の検知された動作パラメータと1つまたは複数の比較値との比較によって行われることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記流れ発生器(12)が回転駆動され、前記空気案内システムの前記現在流れ抵抗に依存した前記流れ発生器(12)の検知された動作パラメータが前記流れ発生器(12)の現在回転数であることを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記流れ発生器(12)が電気的に駆動され、前記空気案内システムの前記現在流れ抵抗に依存した前記流れ発生器(12)の検知された動作パラメータは、
-前記流れ発生器(12)の現在消費電流、
-前記流れ発生器(12)に印加する電圧、
-前記流れ発生器(12)の現在消費電力、および/または
-前記流れ発生器(12)で送られる空気の現在温度
であることを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記温度調節送風機(10)の前記少なくとも1つの動作パラメータの前記調整が、
-前記温度調節送風機(10)の温度調節装置(22)の温度調節性能を適応させること、および/または
-前記流れ発生器(12)の回転数を適応させること、を包含することを特徴とする先行請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
-前記流れ発生器(12)の前記1つまたは前記複数の検知された動作パラメータにもとづいて、流れ抵抗限界値および/または逆圧限界値の超過を検出するステップを特徴とする先行請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
温度調節送風機(10)であって、
-空気案内システムにおいて体積流量(20)を生成するための流れ発生器(12)と、
-前記流れ発生器(12)によって発生させた現在体積流量(20)を検出領域(30)内で検出するための検出装置(26)と、を備える温度調節送風機において、前記検出領域(30)内で検出された前記体積流量(20)に依存して、前記温度調節送風機(10)の少なくとも1つの動作パラメータを調整するように設定されている制御装置(24)を特徴とする、温度調節送風機。
【請求項9】
前記流れ発生器(12)がラジアルファンまたは軸流ファンであることを特徴とする請求項8に記載の温度調節送風機(10)。
【請求項10】
前記検出装置(26)は、前記空気案内システムの前記現在流れ抵抗に依存した前記流れ発生器(12)の1つまたは複数の動作パラメータを検出するように設定され、前記検出装置(26)は、前記流れ発生器(12)の前記1つまたは前記複数の検知された動作パラメータにもとづいて前記現在体積流量(20)を検知するように設定されている電子データ処理装置(28)を備えることを特徴とする請求項8または9に記載の温度調節送風機(10)。
【請求項11】
前記電子データ処理装置(28)は、前記流れ発生器(12)の前記1つまたは前記複数の検知された動作パラメータと1つまたは複数の比較値との比較によって前記現在体積流量(20)を検知するように設定されていることを特徴とする請求項10に記載の温度調節送風機(10)。
【請求項12】
前記体積流量(20)を温度調節可能な温度調節装置(22)であって、前記制御装置(24)が、前記検出領域(30)内で検出された前記体積流量(20)に依存して前記温度調節装置(22)の温度調節性能を調整するように設定されている、温度調節装置を特徴とする請求項8~11のいずれか1項に記載の温度調節送風機(10)。
【請求項13】
前記温度調節送風機(10)は、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法により動作させるように設定されていることを特徴とする請求項8~12のいずれか1項に記載の温度調節送風機(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度調節送風機の流れ発生器によって発生させた現在体積流量を検出領域内で検知するステップを包含する、空気案内システムに組み込まれた温度調節送風機を動作させる方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、空気案内システムおいて体積流量を生成するための流れ発生器と、流れ発生器によって発生させた現在体積流量を検出領域内で検出するための検出装置と、を備える温度調節送風機に関する。
【背景技術】
【0003】
温度調節送風機は、様々な適用分野において予め温度調節された空気流を生成するために使用される。相応の温度調節送風機の典型的な適用分野は、特に自動車分野に見いだされる。例えば、温度調節送風機はオープンカーの車両座席でネックウォーマとして使用される。属性的に対応する温度調節送風機を車両搭載空調設備と組み合わせて使用することも知られている。
【0004】
特に車両特有の用途では、送風機の制御へのユーザの期待が高まり続けている。温度調節送風機の動作は、例えば、変化する動作条件に可能な限り迅速に適応すべきである。実際には、これまで使用されてきた温度調節送風機は、空気案内システムの部分的な閉塞(Teilverblockung)によって引き起こされる逆圧の変動(Gegendruckschwankungen)に対して十分に反応しないことがわかった。相応の逆圧の変動は、閉塞にもとづいて空気流量が変化することにより、空気流の誤った温度調節をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明を基礎付ける課題は、空気流の温度調節への逆圧の変動の影響を温度調節送風機によって低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、冒頭で述べた種類の方法によって解決され、本発明による方法の範囲内で、温度調節送風機の少なくとも1つの動作パラメータが検出領域内で検出された体積流量に依存して調整される。
【0007】
本発明は、検出領域内の体積流量の変化を考慮することにより、空気温度調節時の逆圧の変動による影響を補償できるという知見を利用する。相応の逆圧の変動は、例えば、空気案内システムの空気案内管路が部分的に閉塞されることにより、または空気案内システムの空気出口が部分的に閉塞されることにより引き起こされ得る。温度調節送風機の少なくとも1つの動作パラメータを調整する場合に体積流量の変化を考慮することによって、流れ発生器によって発生させた体積流量の過熱を効果的に回避することができ、それにより温度調節送風機の動作中に逆圧が変動した場合でも高い熱的快適性を保証することができる。さらに、危険な温度が生成されず、それにより動作安全性が高められる。本発明による方法は、ユーザのエネルギー効率のよい熱快適性を保証する。
【0008】
流れ発生器は、例えばファン、特に軸流ファンまたはラジアルファンであり得る。逆圧の変動が検出される検出領域は、温度調節送風機内にあってもよいし、温度調節送風機外にあってもよい。逆圧の変動が検出される検出領域は、例えば温度調節送風機が組み込まれた空気案内システム内にある。
【0009】
本発明による方法の好ましい一実施形態では、空気案内システムの現在流れ抵抗に依存した流れ発生器の1つまたは複数の動作パラメータが検知される。空気案内システムの流れ抵抗は、例えば、空気案内システムの空気案内管路または空気出口が部分的に閉塞されることによって変化する可能性がある。殊に、現在体積流量の検知は、流れ発生器の1つまたは複数の検知された動作パラメータにもとづいて行われる。空気案内システムの現在流れ抵抗に依存した流れ発生器の1つまたは複数の動作パラメータにより逆圧の変動が検出され、それにより温度調節送風機の動作パラメータの逆圧に限定した適応を行うことができる。したがって、逆圧に依存した現在体積流量の検知が行われる。流れ発生器の1つまたは複数の動作パラメータの検知は、殊に、流れ発生器の一定制御において行われる。例えば一定の電力供給によって流れ発生器が一定制御される場合、検出領域における体積流量の変化が空気案内システムにおける逆圧の変動にもとづいて生じることを確保することができる。
【0010】
本発明による方法の別の好ましい実施形態では、流れ発生器の1つまたは複数の検知された動作パラメータと1つまたは複数の比較値との比較によって現在体積流量の検知が行われる。1つまたは複数の比較値は、殊に、空気案内システムおよび/または温度調節送風機の特定の状態、例えば送風自在の(freiblasend)、もしくは閉塞されていない(unverblockt)使用開始状態での流れ発生器の動作パラメータに該当する。流れ発生器の1つまたは複数の検知された動作パラメータが、空気案内システムおよび/または温度調節送風機の送風自在の、もしくは閉塞されていない使用開始状態で生じるパラメータ値から逸脱する場合、部分的な閉塞にもとづいて流れ抵抗が上昇したと考えることができる。空気案内システムの部分的な閉塞にもとづいて空気案内システム内に体積流量の変化が生じ、それにより温度調節送風機の他の動作パラメータを体積流量の変化に適応させる必要がある。
【0011】
さらに、流れ発生器が回転駆動され、空気案内システムの現在流れ抵抗に依存した流れ発生器の検知された動作パラメータが流れ発生器の現在回転数である本発明による方法が好ましい。現在体積流量を検知するために流れ発生器の現在回転数と比較される比較値は、殊に、空気案内システムおよび/または温度調節送風機の特定の状態、例えば送風自在の、もしくは閉塞されていない使用開始状態での流れ発生器の比較回転数である。流れ発生器がラジアルファンである場合、流れ抵抗の上昇とともにラジアルファンの回転数が増加する。流れ発生器が軸流ファンである場合、流れ抵抗の上昇とともに軸流ファンの回転数が減少する。したがって、軸流ファンの回転数をもとにして、空気案内システムの流れ抵抗を検知することができ、それによって逆圧の変動を特定することができる。
【0012】
さらに、流れ発生器が電気的に駆動される本発明による方法が好ましい。空気案内システムの現在流れ抵抗に依存した流れ発生器の検知された動作パラメータは、流れ発生器の現在消費電流および/または流れ発生器に印加する現在電圧であり得る。さらに、空気案内システムの現在流れ抵抗に依存した流れ発生器の検知された動作パラメータは、流れ発生器の現在消費電力および/または流れ発生器で送られる空気の現在温度であり得る。現在体積流量を検知するための流れ発生器の現在消費電流と比較される比較値は、殊に、空気案内システムおよび/または温度調節送風機の特定の状態、例えば送風自在の、もしくは閉塞されていない使用開始状態での流れ発生器の消費電流比較値である。現在体積流量を検知するために流れ発生器に印加する電圧と比較される比較値は、殊に、空気案内システムおよび/または温度調節送風機の特定の状態、例えば送風自在の、もしくは閉塞されていない使用開始状態での流れ発生器の電圧比較値である。現在体積流量を検知するために流れ発生器の現在消費電力と比較されるに比較値は、殊に、空気案内システムおよび/または温度調節送風機の特定の状態、例えば送風自在の、もしくは閉塞されていない使用開始状態での流れ発生器の消費電力比較値である。流れ発生器がラジアルファンである場合、流れ抵抗の上昇とともに、ラジアルファンの消費電力が減少する。流れ発生器が軸流ファンである場合、流れ抵抗の上昇とともに軸流ファンの消費電力が増加する。減少する。
【0013】
本発明による方法の別の好ましい実施形態では、温度調節送風機の少なくとも1つの動作パラメータの調整が、温度調節送風機の温度調節装置の温度調節性能を適応させることおよび/または流れ発生器の回転数を適応させることを包含する。温度調節装置は、電動温度調節装置、特に電動冷却装置および/または加熱装置であり得る。温度調節性能は、加熱性能または冷却性能であり得る。温度調節装置は、1つまたは複数の熱電装置を備えることができる。温度調節性能を適応させることによって、逆圧の変動にもとづいて体積流量の変化が生じた場合でも空気案内システムから流出する体積流量の意図した温度を維持することができる。すなわち、温度調節性能は、必要に即して、したがって逆圧の変動を考慮して支配的な体積流量に適応される。
【0014】
本発明による方法は、さらに、流れ発生器の1つまたは複数の検知された動作パラメータにもとづいて流れ抵抗限界値および/または逆圧限界値の超過が検出されることによって有利に発展させられる。流れ抵抗限界値および/または逆圧限界値の超過を検出することによって、許容範囲外にある空気案内システムの閉塞を検出することができる。この場合、例えば、車両の制御機器に警告メッセージを出力することができる。これに代えて、またはこれに加えて、車両運転者に対して光学的および/または音響的表示を出力することができ、これによって許容範囲外にある空気案内システムの閉塞が車両運転者に伝えられる。
【0015】
本発明を基礎付ける課題は、さらに、冒頭で述べた種類の温度調節送風機によって解決され、本発明による温度調節送風機の制御装置は、検出領域内で検出された体積流量に依存して温度調節送風機の少なくとも1つの動作パラメータを調整するように設定されている。
【0016】
さらに、流れ発生器がラジアルファンまたは軸流ファンである本発明による温度調節送風機が好ましい。流れ発生器は、殊に電動流れ発生器であり、流れ発生器によって発生させた体積流量を、電力供給を適応させることにより調整可能である。特に、流れ発生器は、動作中に回転軸を中心に回転運動を実行するファンホイールを有する。
【0017】
さらに、検出装置が空気案内システムの現在流れ抵抗に依存した流れ発生器の1つまたは複数の動作パラメータを検出するように設定されている本発明による温度調節送風機が有利である。殊に、検出装置は、流れ発生器の1つまたは複数の検知された動作パラメータにもとづいて現在体積流量を検知するように設定されている電子データ処理装置を備える。殊に、検出装置は、流れ発生器の1つまたは複数の検知された動作パラメータにもとづいて現在体積流量を算出するように設定されている。
【0018】
本発明による温度調節送風機の一発展形態では、電子データ処理装置は、流れ発生器の1つまたは複数の検知された動作パラメータと1つまたは複数の比較値との比較によって現在体積流量を検知するように設定されている。流れ発生器は、殊に回転駆動される流れ発生器である。電子データ処理装置は、殊に、流れ発生器の現在回転数と流れ発生器の比較回転数との比較によって現在体積流量を検知するように設定されている。電子データ処理装置は、殊に、流れ発生器の現在消費電流と流れ発生器の消費電流比較値との比較によって現在体積流量を検知するように設定されている。データ処理装置は、殊に、流れ発生器に印加する電圧と流れ発生器の電圧比較値との比較によって現在体積流量を検知するように設定されている。電子データ処理装置は、殊に、流れ発生器の現在消費電力と流れ発生器の消費電力比較値との比較によって現在体積流量を検知するように設定されている。
【0019】
さらに、体積流量を温度調節可能である温度調節装置を有する本発明による温度調節送風機が有利である。制御装置は、殊に、検出領域内で検出された体積流量に依存して温度調節装置の温度調節性能を調整するように設定されている。温度調節装置は、殊に電気的温度調節装置である。温度調節装置は、加熱および/または冷却装置であり得る。温度調節装置は、1つまたは複数の熱電装置を備えることができる。
【0020】
本発明による温度調節送風機のさらに別の好ましい実施形態では、この温度調節送風機は、前記実施形態の一形態にしたがった方法によって駆動されるように設定されている。その限りで、本発明による温度調節送風機の利点および変形形態に関しては本発明による方法の利点および変形形態を参照されたい。
【0021】
温度調節送風機は、例えば車両座席または車両に搭載された空調設備のネックウォーマにおいて使用することができる。温度調節送風機を使用することができる車両搭載空調設備は集中型または分散型空調設備であり得る。例えば、空調設備によりヘッドルームシャワー(Kopfraumdusche)が実現される。空調設備は、マルチゾーン空調設備であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明による温度調節送風機の一実施例の模式図である。
【
図2】本発明による温度調節送風機のファンおよび送風機特性曲線の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付の図面を参照しながら詳しく説明および記載する。
【0024】
図1は、例えば車両座席のネックウォーマとして使用することができる温度調節送風機10を示す。この温度調節送風機10は、空気案内システムにおいて体積流量20を生成するための流れ発生器12を有する。流れ発生器12は、ここでは軸流ファンとして形成されている。代替実施形態では、流れ発生器12をラジアルファンとして形成することもできる。温度調節送風機10が組み込まれた空気案内システムは複数の空気案内管路14a~14cを有する。流れ発生器12によって発生させた体積流量20にもとづいて、周囲空気が入口開口16を介して吸引され、出口開口18を介して再び吹き出される。
【0025】
温度調節送風機10は、体積流量20を温度調節可能である温度調節装置22をさらに備える。温度調節装置22は、ここでは電動温度調節装置であり、冷却装置としてのみならず加熱装置としても動作させることができる。したがって、温度調節装置22の温度調節領域を通って流れる空気は、温度調節装置により加熱および冷却され得る。温度調節装置22は、例えば1つまたは複数の熱電装置を備えることができる。
【0026】
流れ発生器12および温度調節装置22は、温度調節送風機10の制御装置24と信号伝送的に接続されている。制御装置を介して、流れ発生器12に回転数を、温度調節装置22に温度調節性能を予め与えることができる。
【0027】
さらに、温度調節送風機10は、流れ発生器12によって発生させた検出領域30内の現在体積流量20を検出するための検出装置26を有する。検出装置26は、空気案内システムの現在流れ抵抗に依存した流れ発生器12の複数の動作パラメータを検出するように設定されている。
【0028】
空気案内システムの流れ抵抗は、温度調節送風機10の動作中、例えば出口開口18の前にある物体100によって変化する可能性がある。例えば、温度調節送風機10がオープンカーのネックウォーマとして使用される場合、出口開口18の前に人の首筋、背中の一部、または頭部が位置し得る。すなわち人の動きによって、温度調節送風機10の動作中、閉塞状態の変化も生じ、この変化に送風機動作の動作を適応させる必要がある。
【0029】
物体100、または出口開口18の前に位置する人は、空気案内システムの部分閉塞を引き起こし、それにより空気案内システム内に逆圧の変動、したがって空気案内システム内に体積流量変化が生じる。空気案内システムが部分的に閉塞した場合の体積流量20の過度な過熱を回避するためには、温度調節装置22の加熱性能を空気案内システム内で生じる体積流量変化に適応させる必要がある。
【0030】
検出装置26が現在体積流量20を算出する対象である検出領域30は、温度調節装置22内にあり、それにより温度調節装置22の温度調節性能を、温度調節装置22を通って流れる体積流量20に正確に適応させることができる。
【0031】
検出装置26は、流れ発生器12の現在回転数および現在消費電流にもとづいて現在体積流量20が算出される電子データ処理装置28を備える。このために、電子データ処理28は、流れ発生器12の現在回転数と流れ発生器12の比較回転数とを、および流れ発生器12の現在消費電流と流れ発生器12の消費電流比較値とを比較する。この場合、比較値は、空気案内システムおよび温度調節送風機10の送風自在の、もしくは閉塞されていない使用開始状態での流れ発生器12の動作パラメータに該当する。
【0032】
空気案内システムが部分的に閉塞した場合、吹き出される体積流量20の過度な過熱を回避するために、温度調節装置の加熱性能を低下させる必要がある。このために、温度調節装置24は、検出領域30内で検出された体積流量20に依存して、温度調節装置22の温度調節性能を調整するように設定されている。
【0033】
図2は、ファン特性曲線32a、32bと送風機特性曲線34a、34bを示し、これらから圧力変化Δpと体積流量20の相互作用が明らかになる。図示は、空気案内システムが部分的に閉塞した場合に温度調節装置22の温度調節性能を適応させることに替えて、あるいは加えて、空気流量を増すために回転数を上昇させることができることを示す。ファン特性曲線32aは、流れ発生器12の最大回転数の50%の場合の、流れ発生器12によって発生させた正圧と流れ発生器12によって発生させた体積流量20の比率を示す。送風機特性曲線34aは、空気案内システムが閉塞されていない状態で体積流量20が増加した場合の空気案内システム内の逆圧上昇を示す。すなわちファン特性曲線32aと送風機特性曲線34aの交点は閉塞されていない状態の場合の作動点を示し、流れ発生器12に設定される回転数は最大回転数の50%である。
【0034】
次に、空気案内システムが部分的に閉塞される場合、流れ抵抗が上昇し、それにより新たな送風機特性曲線34bが生じる。その場合、流れ発生器12を引き続き最大回転数の50%で動作させると、温度調節装置22を通して送られる体積流量20が減少し、それにより温度調節装置22によって体積流量20の過度の加熱が行われる。温度調節装置22の温度調節性能が維持されるべき場合、これに代えて、流れ発生器12の回転数を増加させることができ、それにより新たなファン特性曲線32bが生じる。ファン特性曲線32bと送風機特性曲線34bの交点は新作動点であり、それによって再び当初の体積流量20が温度調節装置22を通して送られる。
【0035】
すなわち、空気出口18の部分的閉塞にもとづいた逆圧変動を補償するために、検出領域30内で検出された体積流量20に依存した温度調節性能の適応を、検出領域30内で検出された体積流量20に依存した流れ発生器12の回転数の適応と組み合わせることもできる。
【符号の説明】
【0036】
10 温度調節送風機
12 流れ発生器
14a~14c 空気案内管路
16 入口開口
18 出口開口
20 体積流量
22 温度調節装置
24 制御装置
26 検出装置
28 データ処理装置
30 検出領域
32a、32b ファン特性曲線
34a、34b 送風機特性曲線
100 物体
Δp 圧力変化
【国際調査報告】