(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】ロボット通行のための待ち行列機能付きエレベータシステム
(51)【国際特許分類】
B66B 1/14 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
B66B1/14 F
B66B1/14 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554817
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(85)【翻訳文提出日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2021056293
(87)【国際公開番号】W WO2021180907
(87)【国際公開日】2021-09-16
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040729
【氏名又は名称】インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルームグレン,ライアン
【テーマコード(参考)】
3F502
【Fターム(参考)】
3F502HB02
3F502HC07
3F502JA05
3F502JA08
3F502JA21
3F502JA73
3F502MA02
(57)【要約】
エレベータ制御システム(40)と、エレベータ制御システム(40)によって制御されるエレベータかご(22)とを有するエレベータ設備(1)において、エレベータ制御システム(40)は、エレベータ制御システム(40)と通信するために、呼び出し端末(12)を介して人(4)から、無線トランシーバ(10)を介してロボット(2)からエレベータ呼び出しを受信するように構成される。エレベータ制御システム(40)によって、エレベータ設備(1)の現在の輸送能力が決定され、輸送能力は、エレベータ設備(1)の現在の使用度を示す。無線トランシーバ(10)を介してロボット(2)から発信されたエレベータ呼び出しがエレベータ制御システム(40)によって認識され、ロボット(2)からのエレベータ呼び出しは、ロボットのディスパッチャによって設定された優先レベル(PL)を含み、優先レベル(PL)は、高優先度範囲、中優先度範囲、および低優先度範囲のうちの1つであって、エレベータ呼び出しは乗場フロアを示す。優先レベルが中優先度範囲に設定され、現在の輸送能力が第1の閾値より低い場合、または、優先レベルが低優先度範囲に設定され、現在の輸送能力が第2の閾値より低い場合、ロボット(2)から発信されたエレベータ呼び出しのエレベータかご(22)への割り振りが遅延される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ制御システム(40)と、エレベータ制御システム(40)によって制御され、人(4)および/またはロボット(2)を建物内の乗場フロアから行先フロアへ輸送するエレベータかご(22)とを有するエレベータ設備(1)を動作させる方法であって、
エレベータ制御システム(40)が、エレベータ制御システム(40)と通信するために、呼び出し端末(12、32)を介して人(4)から、および無線トランシーバ(10)を介してロボット(2)からエレベータ呼び出しを受信するように構成され、
エレベータ制御システム(40)によって、エレベータ設備(1)の現在の輸送能力(Tcap)を決定することであって、輸送能力(Tcap)が、エレベータ設備(1)の現在の使用度を示す、ことと、
エレベータ制御システム(40)によって、無線トランシーバ(10)を介してロボット(2)から発信されるエレベータ呼び出し(2C)を認識することであって、ロボット(2)からのエレベータ呼び出し(2C)が、ロボット(2)のディスパッチャによって設定された優先レベル(PL)を含み、優先レベル(PL)が、高優先度範囲、中優先度範囲および低優先度範囲のうちの1つであり、エレベータ呼び出し(2C)が、乗場フロアを示す、ことと、
優先レベル(PL)が中優先度範囲に設定され、現在の輸送能力(Tcap)が第1の閾値(Tcap1)より低い場合、または、
優先レベル(PL)が低優先度範囲に設定され、現在の輸送能力(Tcap)が第2の閾値(Tcap2)よりも低い場合、
ロボット(2)から発信されたエレベータ呼び出し(2C)のエレベータかご(22)への割り振りを遅延させることと、
を含む、方法。
【請求項2】
ロボット(2)から発信されたエレベータ呼び出しが、所定の待ち時間を指定するサービス条件(ToS)情報を含み、ロボット(2)から発信されたエレベータ呼び出しが、第1の閾値(Tcap1)または第2の閾値(Tcap2)にかかわらず、所定の待ち時間が経過するとエレベータかご(22)に割り振られる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ロボット(2)から発信されたエレベータ呼び出しを、所定の待ち時間が経過するまで待ち行列に入れることをさらに含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
エレベータ呼び出しが、人(4)または高優先度範囲に設定された優先レベル(PL)を有するロボット(2)から発信された場合、エレベータ制御システム(40)によって、エレベータ呼び出しをエレベータかご(22)に直ちに割り振ることをさらに含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
エレベータ制御システム(40)によって、割り振られた呼び出しを実行することをさらに含み、割り振られた呼び出しを実行することが、割り振られた呼び出しに従ってエレベータかご(22)を制御することを含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
割り振られた呼び出しを実行することが、ロボット(2)にエレベータかご(22)について通知すること、ロボット(2)から発信されたエレベータ呼び出しが単独移動要件を含むかどうかに応じてエレベータ扉を制御すること、ロボット(2)にエレベータかご(22)に乗り込むように命令すること、およびロボット(2)の乗車を確認すること、のうちの少なくとも1つを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第1の閾値(Tcap1)および第2の閾値(Tcap2)が、最大輸送能力の0%から100%の間の値であり、第1の閾値(Tcap1)が第2の閾値(Tcap2)より低い、
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
第1の閾値(Tcap1)が、最大輸送能力の約25%に設定され、第2の閾値(Tcap2)が、最大輸送能力の約50%に設定される、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
エレベータ設備(1)であって、
駆動器(26)と、
人(4)および/またはロボット(2)を建物内の乗場フロア(L0,L1)から行先フロア(L0,L1)へ輸送するように構成されたエレベータかご(22)と、
駆動器(26)に結合され、呼び出し端末(12)を介して人(4)から、および無線トランシーバ(10)を介してロボット(2)からエレベータ呼び出しを受信するように構成されたエレベータ制御システム(40)と
を含み、
制御システム(40)が、
エレベータ設備(1)の現在の使用度を示す、エレベータ設備(1)の現在の輸送能力(Tcap)を決定し、
無線トランシーバ(10)を介してロボット(2)から発信されるエレベータ呼び出し(2C)を認識し、ロボット(2)からのエレベータ呼び出し(2C)が、ロボット(2)のディスパッチャによって設定された優先レベル(PL)を含み、優先レベル(PL)が、高優先度範囲、中優先度範囲および低優先度範囲のうちの1つであり、エレベータ呼び出し(2C)が、乗場フロアを示し、
優先レベル(PL)が中優先度範囲に設定され、現在の輸送能力(Tcap)が第1の閾値(Tcap1)より低い場合、または、
優先レベル(PL)が低優先度範囲に設定され、現在の輸送能力(Tcap)が第2の閾値(Tcap2)よりも低い場合、
ロボット(2)から発信されたエレベータ呼び出し(2C)のエレベータかご(22)への割り振りを遅延させる、
ように構成される、
エレベータ設備(1)。
【請求項10】
ロボット(2)から受信したエレベータ呼び出しが、所定の待ち時間を指定するサービス条件(ToS)情報を含み、ロボット(2)から受信したエレベータ呼び出しが、第1の閾値(Tcap1)または第2の閾値(Tcap2)にかかわらず、所定の待ち時間が経過するとエレベータかご(22)に割り振られる、
請求項9に記載のエレベータ設備。
【請求項11】
エレベータ制御システム(40)が、エレベータ制御機能(28)と待ち行列制御機能(30)とを含み、待ち行列制御機能(28)が、ロボット(2)から受信したエレベータ呼び出しを所定の待ち時間が経過するまで待ち行列に入れるように構成される、
請求項10に記載のエレベータ設備。
【請求項12】
エレベータ制御システム(40)が、人(4)または高優先度範囲に設定された優先レベル(PL)を有するロボット(2)からエレベータ呼び出しが発信された場合、エレベータ呼び出しをエレベータかご(22)に直ちに割り振るよう構成される、
請求項9から11のいずれか一項に記載のエレベータ設備。
【請求項13】
エレベータ制御システム(40)が、割り振られた呼び出しを実行するように構成され、割り振られた呼び出しを実行することは、割り振られた呼び出しに従ってエレベータかご(22)を制御することを含む、
請求項9から12のいずれか一項に記載のエレベータ設備。
【請求項14】
第1の閾値(Tcap1)および第2の閾値(Tcap2)が、最大輸送能力の0%から100%の間の値であり、第1の閾値(Tcap1)が第2の閾値(Tcap2)より低い、
請求項9から13のいずれか一項に記載のエレベータ設備。
【請求項15】
第1の閾値(Tcap1)が、最大輸送能力の約25%に設定され、第2の閾値(Tcap2)が、最大輸送能力の約50%に設定される、
請求項14に記載のエレベータ設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様々な実施形態は、一般に、エレベータシステムおよびその動作に関する。より詳細には、本明細書に記載される様々な実施形態は、人および1つ以上の自律移動デバイスによって使用され得るエレベータシステム、ならびに人および自律移動デバイスを収容するためのエレベータシステムの動作を制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータシステムは、乗客の希望する移動方向を入力することによってエレベータかごを呼び出すための上下ボタンを有するフロア端末を採用した従来の上下制御システムに従って動作するように装備され得る。乗客は、その呼び出しにサービスするために割り当てられたエレベータかごに乗り込んだ後、かご内のかご動作パネルで行先フロアを入力する。代替のエレベータシステムは、人が所望の行先フロアを入力することができるフロア端末を採用した行先呼び出し制御システムに従って動作するように装備されてもよい。これらのエレベータシステムは、通常、建物内の乗場フロアから行先フロアまで人または物品を輸送するために使用される。
【0003】
近年では、自律型移動ユニットまたは進化したロボットを輸送するさらなるニーズも高まっている。このようなロボットは、建物内で、ロボットがあるフロアから別のフロアへ垂直に輸送されることを必要とする1つ以上のタスクを実行することができる。これらのタスクには、物品の輸送、清掃、人の誘導および/または補助が含まれる場合がある。ロボットを輸送するニーズに対処するために、様々なコンセプトが知られている。例えば、米国特許第8,958,910号は、エレベータかご内の利用可能エリアを検出する検出ユニットと、検出された利用可能エリアのサイズおよび位置に関する情報に基づいてロボットがエレベータかごに乗車できるか否かを決定する決定ユニットとを有するエレベータシステムを開示している。ロボットは、決定ユニットが乗車可能と決定したときにのみ、エレベータかごに乗り込む。
【0004】
これらのアプローチにより、一般的にロボットがエレベータ設備を使用できるようになったとしても、ロボットがエレベータかご内の利用可能スペースを決定することにより、エレベータ設備の運転が遅くなる。そのため、エレベータ設備の運転に影響を与えない代替技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8,958,910号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、このような改良技術の一態様は、エレベータ制御システムと、エレベータ制御システムによって制御されて、人および/またはロボットを建物内の乗場フロアから行先フロアへ輸送するエレベータかごとを有するエレベータ設備を動作させる方法を含む。エレベータ制御システムは、エレベータ制御システムと通信するために、呼び出し端末を介して人から、および無線トランシーバを介してロボットからエレベータ呼び出しを受信するように構成される。エレベータ制御システムによって、エレベータ設備の現在の輸送能力が決定され、輸送能力は、エレベータ設備の現在の使用度を示す。無線トランシーバを介してロボットから発信されたエレベータ呼び出しは、エレベータ制御システムによって認識され、ロボットからのエレベータ呼び出しは、ロボットのディスパッチャによって設定された優先レベルを含み、優先レベルは、高優先度範囲、中優先度範囲および低優先度範囲のうちの1つであり、エレベータ呼び出しは、乗場フロアを示す。優先レベルが中優先度範囲に設定され、現在の輸送能力が第1の閾値より低い場合、または、優先レベルが低優先度範囲に設定され、現在の輸送能力が第2の閾値より低い場合、ロボットから発信されたエレベータ呼び出しのエレベータかごへの割り振りは遅延される。
【0007】
別の態様は、駆動器と、人および/またはロボットを建物内の乗場フロアから行先フロアへ輸送するように構成されたエレベータかごと、駆動器に結合され、呼び出し端末を介して人から、および無線トランシーバを介してロボットからエレベータ呼び出しを受信するように構成されたエレベータ制御システムとを有するエレベータ設備を含む。制御システムは、エレベータ設備の現在の輸送能力を決定し、輸送能力はエレベータ設備の現在の使用度を示し、無線トランシーバ(10)を介してロボットから発信されるエレベータ呼び出しを認識するように構成される。ロボットからのエレベータ呼び出しは、ロボットのディスパッチャによって設定された優先レベルを含み、優先レベルは、高優先度範囲、中優先度範囲、低優先度範囲のうちの1つであり、エレベータ呼び出しは、乗場フロアを示す。エレベータ制御システムは、優先レベルが中優先度範囲に設定され、現在の輸送能力が第1の閾値より低い場合、または、優先レベルが低優先度範囲に設定され、現在の輸送能力が第2の閾値より低い場合、ロボットから発信されたエレベータ呼び出しのエレベータかごへの割り振りを遅延させるように構成される。
【0008】
本明細書に記載の技術は、ロボットが人の効率的かつ便利な輸送に悪影響を及ぼすことなく、人間(人)とロボットの両方によってエレベータ設備が使用され得ることを提供する。本明細書に記載の技術によれば、1つ以上のロボットによるエレベータ設備の使用は、現在のエレベータ通行、エレベータ設備の利用可能な輸送能力、およびロボットの優先レベルに基づいてスケジュールされる。人による現在の通行を考慮して、人間のエレベータ通行が影響を受けないように、または最小限の影響しか受けないように、必要に応じてロボットの輸送が遅延され、待ち行列に保持されてもよい。
【0009】
一実施形態では、ロボットから発信されたエレベータ呼び出しは、所定の待ち時間を指定するサービス条件情報を含み、ロボットから発信されたエレベータ呼び出しは、第1の閾値または第2の閾値にかかわらず、所定の待ち時間が経過するとエレベータかごに割り振られる、これにより、ロボットのオペレータは、ロボットとその物品および/またはサービスに対する呼び出し要件をカスタマイズすることができる。例えば、ロボットのタスク(例えば、物品の配達または清掃などのタスクの実行)が緊急ではなく、ある程度の時間待つことができる場合、オペレータは、最大待ち時間を指定することができる。一実施形態では、これは、建物内のいくつかのロボットの動きを調整し、高い優先レベルを設定することが魅力的であり得る単一のロボットの通行だけではなく、建物内のすべてのロボット通行を最適化するように努める建物管理によって適用され得る。
【0010】
さらに、一実施形態では、ロボットから発信されるエレベータ呼び出しは、所定の待ち時間が経過するまで待ち行列に保持される。例えば、ロボットのタスクがある程度の時間待つことができる場合、オペレータは、ロボットのエレベータ呼び出しの優先レベルを低く設定し、例えば5時間以内にエレベータ呼び出しが実行されない場合、ロボットのエレベータを高優先度として扱わなければならないとサービス条件で指定することができる。すると、輸送能力に関係なく、ロボットのエレベータ呼び出しが割り振られ、実行される。
【0011】
一実施形態では、エレベータ呼び出しが、人または高優先度範囲に設定された優先レベルを有するロボットから発信された場合、エレベータ制御システムによってエレベータ呼び出しがエレベータかごに直ちに割り振られる。これは、上述したように、ロボットが人の効率的かつ便利な輸送に悪影響を及ぼすことを回避するという技術の目的に寄与する。
【0012】
一実施形態では、本明細書に記載の技術は、ロボットから割り振られた(ロボット)呼び出しのロボット固有の実行を提供する。これは、ロボットにエレベータかごについて通知すること、ロボットから発信されたエレベータ呼び出しが単独移動要件を含むかどうかに応じてエレベータ扉を制御すること、ロボットにエレベータかごへの乗車を命令すること、およびロボットの乗車を確認することのうちのの少なくとも1つを含む。例えば、ロボット呼び出しに単独移動要件が含まれている場合、ロボットが割り当てられたエレベータのところにあり存在を肯定応答するまでエレベータ扉を閉じたままにする。単独移動が要求されない場合は、エレベータ扉は開いたままである。いずれの場合も、エレベータ扉が開くと、エレベータ制御システムはロボットにエレベータかごに乗り込むよう命令する。一実施形態では、ロボットは、エレベータかごに乗り込んだことを肯定応答してもよい。これにより、ロボットがエレベータかごに正常に乗り込んだかどうかを検証することができ、その後、エレベータ設備は、エレベータ呼び出しに従って走行を完了することができる。
【0013】
本明細書に記載された技術は、閾値に関する柔軟性を提供する。一実施形態において、第1の閾値および第2の閾値は、最大輸送能力の0%から100%の間の値であり、第1の閾値は、第2の閾値より低い値である。一実施形態では、第1の閾値は、最大輸送能力の約25%に設定され、第2の閾値は、最大輸送能力の約50%に設定される。
【0014】
本技術の新規な特徴および特性は、以下の特許請求の範囲に記載されている。しかしながら、本技術の様々な実施形態、ならびにその他の特徴および利点は、添付の図面と併せて読み、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】人およびロボットが使用するためのエレベータ設備を有する建物における例示的な状況を示す概略図である。
【
図2】
図1に示される状況において行われ得る例示的なエレベータ呼び出しを示す概略図である。
【
図3】エレベータ設備を動作させる方法の一実施形態のフロー図である。
【
図4】
図3に示された方法のロボット呼び出し実行ステップの一実施形態のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、人4および自律移動ユニット2(以下、ロボット2と呼ぶ)が使用するためのエレベータ設備1を有する建物における例示的な状況を示す概略図である。建物は、マンション、オフィスビル、商業/ショッピングセンター、ホテル、スポーツ競技場、空港ターミナル、または、人が居住または長期滞在するのに適した任意の他の構造物であってもよい。
図1に示す例示的な建物は、本明細書において、技術の様々な実施形態を説明するために使用され;いくつかのフロアL0、L1を有し、各フロアは、エレベータ制御システム40の制御下でモータ26によってエレベータシャフト20内で移動可能なエレベータかご22にアクセスを提供する。フロアL0は、建物のロビーまたは地下室であってもよい。
図1に示す建物は、2つのフロアL0、L1を有するものとして示されているが、一般に、建物は複数のフロアを有し得ることが企図される。
【0017】
図1は、フロアL0上の2台のロボット2と3人の人4、フロアL1上の1台のロボット2と2人の人4を示す。人4とロボット2は、エレベータ設備1を使用して、あるフロアL0、L1から別のフロアL0、L1へ移動することができる。本明細書に記載の技術によれば、人4およびロボット2の輸送のスケジューリングは、エレベータ呼び出しの発信元(すなわち、人4からかロボット2からか)、エレベータ設備1の決定された現在の輸送能力Tcap、ロボット2からのエレベータ呼び出しに対して設定された優先レベルPL、および任意の追加情報に依存し;これらの要因は、以下でより詳細に説明される。簡単に説明すると、
図1に示される例示的な状況において、エレベータ制御システム40は、エレベータ設備1の現在の輸送能力Tcapを決定する。ロボット2がエレベータサービスを必要とする場合、ロボット2は、エレベータ設備1に送信されるエレベータ呼び出しを開始し、このようなロボット呼び出しは、ロボット2のディスパッチャによって設定された優先レベルPLを含む。優先レベルPLは、高優先度範囲、中優先度範囲、または低優先度範囲のいずれであってもよい。エレベータ制御システム40は:優先レベルPLが中優先度範囲に設定され、現在の輸送能力Tcapが第1の閾値(例えば、25%)より高い場合、または優先レベルPLが低優先度範囲に設定され、現在の輸送能力Tcapが第2の閾値(例えば、50%)より高い場合という特定の状況下で、エレベータかご22へのロボット呼び出しの割り振りを遅延させる。これにより、1つ以上のロボットのエレベータ設備1の使用をインテリジェントにスケジューリングすることができる。人4による現在の通行を考慮して、ロボット2の輸送は、人間のエレベータ通行が影響を受けないように、または最小限の影響しか受けないように、遅延される。エレベータ設備1を動作させるこのような方法の一実施形態は、
図3を参照して以下に説明される。
【0018】
エレベータ設備1のより構造的な側面を参照すると、エレベータ設備1の特定の実施形態は、例えば1つ以上のエレベータ群に編成されてもよいいくつかのエレベータかご22を含んでもよいことが企図される。エレベータ設備1は、(図示のような)トラクションエレベータ、油圧エレベータ、または任意の他のタイプのエレベータ設備(例えば、ロープを有するまたは有しない、自走式エレベータかご)として構成されてもよい。さらに、エレベータ設備1は、上述したように、特定の呼び出し制御技術、すなわち、従来の上下制御システムまたは行先呼び出し制御システムに従って動作するように装備され得ることが企図される。したがって、フロアL0、L1の呼び出し端末12には、例えば、上下方向の押しボタンが装備され、移動方向の入力を可能とすることができ;その場合、エレベータかご22には、人4がエレベータかご22に乗り込んだ後に行先フロアの入力を可能とする呼び出し端末32が設けられる。また、行先呼び出し制御システムに関連して、フロアL0、L1の呼び出し端末12には、例えば、いくつかの押しボタンまたはタッチスクリーンのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)が装備され、行先フロアの入力を可能とし;その場合、エレベータかご22の呼び出し端末32は、例えば、乗車後の人4がエレベータ扉の閉止を促進または遅延することはできるが、行先フロアの入力はできないように構成される。
【0019】
各ロボット2は、例えば、米国ST Engineering Aethon社製の市販のロボット技術に基づいていてもよい。このようなロボット2は、典型的には、電源(例えば、充電式電池)、特定の駆動技術(例えば、駆動輪のセット)、センサ(IR、レーダ、光学)、ナビゲーション機器、および、その使用目的に応じて、アームまたはツール用の1つ以上のアクチュエータ、および/または指定されたペイロードに従って物品を受けて輸送する1つ以上のレセプタクルを有する。ロボット2の一般的な動作、例えばナビゲーションに関する動作は、ロボット工学の当業者に知られている。
【0020】
本明細書に記載の技術によれば、ロボット2は、ロボット2のオペレータが、ロボット2が移動することになっている行先(例えば、フロアL0、L1またはフロアの特定のエリア(例えば、部屋))を入力することができるインターフェース8を有しており;そのインターフェース8は以下、行先インターフェース8と呼ばれる。行先は、種々の方法のうちの1つ、例えば、フロアまたは部屋に割り当てられた識別子(例えば、名前および/または番号)を選択および/または入力することによって、行先の建物固有またはGPS座標を入力することによって、表示された建物のフロアプランまたはプルダウンメニューから行先を選択することによって、入力されてもよい。図示の実施形態では、ロボット2は、オペレータが優先レベルを設定することができるインターフェース6を有し;そのインターフェース8は、以下、優先インターフェース6と呼ばれる。優先レベルは、数値(例えば、最低の優先度はPL=1、最高の優先度はPL=6、または別の範囲)または1つ以上の単語(例えば、「低」、「中」、「高」)によって入力することができる。
【0021】
行先インターフェース8および優先インターフェース6はそれぞれ、タッチスクリーンと、タッチスクリーンを動作させるための関連する電子回路とを有してもよく、各タッチスクリーンは、オペレータがアクセス可能なグラフィカルユーザインターフェースを表示するように構成されてもよい。例えば、オペレータがロボット2のところにいる間、オペレータは、例えば、タッチスクリーンに触れることによって、行先および優先レベルを手動で入力してもよい。別の実施形態において、行先インターフェース8および優先インターフェース6は、行先および優先レベルを入力するためのキーボードを装備してもよいことが企図される。
【0022】
別の実施形態では、行先インターフェース8および優先インターフェース6のうちの少なくとも1つは、遠隔制御を介して入力できるように構成されてもよい。一実施形態によれば、オペレータは、ロボット2と通信するための無線遠隔制御デバイス(例えば、専用の特定目的デバイスまたは専用のソフトウェアアプリケーション(アプリ)を有するスマートフォン)を携帯していてもよい。さらに、遠隔入力は、通信ネットワーク36を介してロボット2と通信する建物管理システム34を介して実施することもできる。その実施形態では、例えば、オペレータは、建物内または遠隔の建物管理システムの中央局または制御室に配置されてもよい。
【0023】
図1の実施形態に示すように、通信ネットワーク36は、呼び出し端末12、エレベータコントローラ28、および建物管理システム34を相互接続する。通信ネットワーク36は、有線ベースの通信および/または無線通信のための通信技術を使用することができる。図示された実施形態では、フロアL0、L1は、通信ネットワーク36に結合される無線周波数(RF)トランシーバ10(TX/RX)を備えている。各トランシーバ10は、アンテナ13を有し、呼び出し端末12と共に筐体に設置されてもよい。トランシーバ10は、人4とエレベータ設備1との間のインターフェースとみなされ、人4がエレベータ呼び出しを無線で入力することを可能にしてもよい。そのために、人4は、例えば、エレベータ設備1と通信するための専用アプリを実行するスマートフォンを携帯してもよい。また、人4は、呼び出し端末12を用いてエレベータ設備1と通信してもよいことが企図される。
【0024】
エレベータ設備1において、呼び出し端末12およびトランシーバ10の位置は「知られて」おり、例えば、建物のフロアプランに関連して位置が文書化されて記憶されていてもよい。通信ネットワーク36は、一実施形態では、有線ベースの通信バスを含んでもよい。このような通信バスを介した通信は、LON、BACnetまたは他のシリアルバスプロトコルに従ってもよい。有線ネットワークを介した通信のための任意の他の知られている技術が使用されてもよい。呼び出し端末12、トランシーバ10、およびエレベータ制御システム40などの接続されたエンティティ間の通信は、バスアドレスを用いてもよい。一実施形態では、一意の識別子(例えば、デバイスコード、MACアドレス、IPアドレス)が、これらのエンティティの各1つに割り当てられる。これらの実施形態は、エレベータ制御システム40が、通信に関与する1つ以上のエンティティを識別し、ひいては、関与するエンティティの位置を特定することを可能にする。
【0025】
トランシーバ10は、ロボット2とエレベータ設備1との間のインターフェースとみなすことができ、ロボット2がエレベータ設備1と無線で通信することを可能にする。ロボット2は、RFトランシーバベースの通信モジュールを有し、
図1では、そのうちのアンテナ14のみが示されている。一実施形態では、ロボット2には、一意の識別子(例えば、デバイスコード、MACアドレス、または電話番号)が割り当てられる。ロボットのRF通信モジュールは、エレベータ設備1および/または建物管理システム34と通信する際に識別子を送信し、これらのエンティティが受信した信号またはメッセージ(エレベータ呼び出し)をロボット2に割り当てることができるようにする。一実施形態において、このような通信は、上述したように、トランシーバ10を介して行われることが企図される。エレベータ制御システム40は、例えば、当該トランシーバ10およびロボット2(例えば、どのフロアL0、L1にロボット2が位置しているか)を識別することができる。同様に、エレベータ設備1および/または建物管理システム34は、トランシーバ10およびロボット2の識別子を用いて、ロボット2に対する信号またはメッセージのアドレス指定を行うことができる。
【0026】
エレベータ制御システム40は、エレベータ制御機能28と、待ち行列制御機能30とを含む。エレベータ制御機能28の構成は、エレベータ設備1において適用される呼び出し制御技術(上下制御または行先呼び出し制御)に依存し、例えば、当業者に知られているとおり、受信したエレベータ呼び出しをエレベータかご22に割り振り、割り振られたエレベータかご22の移動を適宜制御することを含む。エレベータ制御システム40は、エレベータ設備1がエレベータのグループ(またはバンク)を含み、各グループが、例えば、それぞれ4、6、または8台のエレベータかご22に対応する4、6、または8台のエレベータを含む場合、グループ制御機能を含んでもよいことが企図される。待ち行列制御機能30は、ロボット2から発信されるエレベータ呼び出しまたは実行の時間を調整するように構成される。例えば、人4による通行が多い時には、追加のエレベータ呼び出しを提供するために利用可能な現在の輸送能力が低下する場合がある。このような場合、人4からのエレベータ呼び出しは、ロボット2からのエレベータ呼び出しよりも優先され;、ロボット2からのエレベータ呼び出しは、待ち行列制御機能の制御により待ち行列に保持される。
【0027】
図2は、
図1に示す状況において、呼び出し制御技術に応じて行われる可能性のある例示的なエレベータ呼び出しを示している。ロボット2から発信される呼び出しは、ロボット呼び出し2Cと呼ばれ、各ロボット呼び出し2Cは、より詳細に後述するように、例えば、高、中、または低の優先度に関する情報を含む。この情報は、以下、「優先レベルPL」と呼ばれ、したがって、「優先レベルPLを含むロボット呼び出し2C」にも言及され得る。特定の実施形態において、ロボット呼び出し2Cは、より詳細に後述するように、追加の情報、例えば、ロボット呼び出し2Cを実行するための設定された期間を含んでもよい。追加情報は、以下、「サービス条件ToS」と呼ばれ;したがって、「1つ以上のサービス条件ToSを含むロボット呼び出し2C」にも言及され得る。図示の実施形態では、人4から発信される呼び出しは、例えば、呼び出し端末12(またはトランシーバ10と通信するスマートフォン)を介したホール呼び出し12C、および/またはエレベータかご22内の呼び出し端末32を介したかご呼び出し32Cであってもよい。エレベータ設備1が行先呼び出し制御システムを含む場合、通常、かご呼び出し32は存在しない。
【0028】
エレベータ制御システム40は、通信ネットワーク36を介してこれらのエレベータ呼び出しの1つ以上を受信し、本明細書に記載の技術に従ってそれらを処理する。そのために、エレベータ制御システム40は、様々な処理機能を実行するように構成されたエレベータコントローラ28を含み、処理機能は、そのために用いられるアルゴリズムを含み、エレベータ設備1において実現される呼び出し制御技術に依存することが企図される。この処理は、例えば、一定時間内のエレベータ呼び出しの数に基づいて通行量を決定すること、エレベータ呼び出しが発信されるフロアL0、L1を決定すること(これらのフロアL0、L1はそれで乗場フロアとみなすことができる)、行先フロアを決定すること、エレベータ呼び出しにサービスするために1つ以上のエレベータかご22を割り振ること、呼び出し割り振りに従ってモータ26を動作させてエレベータ呼び出しを実行すること、などを含む。これらの処理機能およびアルゴリズムは、当業者にとって知られている。
【0029】
エレベータ設備1について、エレベータ設備1をどの程度利用できるかを表すパラメータとして、輸送能力Tcapが定義される。ここで、輸送能力Tcapは、0%から100%の間の値である。例えば、夜間モードまたはスタンバイモードの間、利用可能な輸送能力は約100%であり、すなわち、サービスする必要がある他の呼び出しがないか、またはわずかであるため、および/またはエレベータかご22は空であるか、または全重量分まで積載されていないため、エレベータ呼び出しに遅延なくサービスすることができる。輸送能力Tcapが減少すると、エレベータ設備1の利用率が増加し、すなわち、通行量が増加し、すべてのエレベータ呼び出しがほぼ同時にサービスされるとは限らず、結果として、エレベータ呼び出しがサービスされるまでに時間がかかり、待ち時間が長くなる可能性がある。例えば、輸送能力Tcapが0%の場合、最大人数の人4がエレベータかご22に乗り込んだ(すなわち、エレベータかご22が満員である)、エレベータかご22が全重量分積載されている、および/または最大人数の人4および/または全重量分になるエレベータ呼び出しが既にエレベータかご22に割り振られている。
【0030】
輸送能力Tcapを決定することは、エレベータ設備1内の継続的なプロセスであり、例えば、規則的間隔で、および/またはエレベータ呼び出しを受信もしくはエレベータ呼び出しにサービスした後に実行される。エレベータ制御システム40は、輸送能力Tcapを決定するために、通行量を用いてもよい。エレベータ制御システム40は、エレベータかご22に設置された荷重測定システムから得られた情報をさらに用いてもよい。荷重測定システムは、エレベータかご22に重量が加重されているか否か、および、重量がどの程度かを決定する。例えば、これにより、エレベータかご22が空であるか、重量限界であるか、または、その中間であるかを決定することができる。
【0031】
図1-2を参照して説明したエレベータ設備1の一般的な構造およびその機能の特定の特徴を理解した上で、
図3を参照して、様々なエレベータ呼び出しのその処理について説明する。
図3の説明に関連して、本明細書で説明する技術の特定の目的および利点が開示され、例えば、人4およびロボット2からのエレベータ呼び出しを処理するためにエレベータ設備1の信頼できる効率的な動作を提供し、人4およびロボット2の両方に対して改善したサービス品質を提供する。
【0032】
図3は、これらの目的の少なくともいくつかを達成するためにエレベータ設備1を動作させる方法の一実施形態の複数ステップのフロー図を示す。フロー図の別の図において、示されたステップのいくつかが単一のステップに統合されてもよいし、いくつかの別々のステップに分割されてもよいことが企図される。さらに、人4およびロボット2は、建物内を移動し、フロアL0、L1にアクセスすることが許可されていることが企図される。アクセスを制御する必要性が存在する場合、建物および/またはエレベータ設備1が、建物、フロアL0、L1および/またはエレベータかご22へのアクセスを制御するように構成され得ることが企図される。さらに、人4がフロアL0、L1にある呼び出し端末12を用いてエレベータ呼び出しを入力し、ロボット2がトランシーバ10の無線範囲内にいて、エレベータ設備1と無線通信を行うことが企図される。また、エレベータ設備1が、ロボットの行為や人の行為に反応し、対応するタスクを実行することも意図される。したがって、動作方法は、エレベータ設備1によって実行される。例示的なフロー図は、ステップS1から始まり、ステップS17で終了する。
【0033】
ステップS2に進むと、エレベータ設備1において現在行き渡っている輸送能力Tcapが決定される。一実施形態では、これは、エレベータ制御システム40によって実行される。上述したように、エレベータ制御システム40は、例えば、荷重測定値および所定の期間内に受信したエレベータ呼び出しの数を使用して、エレベータ設備1の利用可能なまたは残りの輸送能力Tcapのインディケーションである通行量を決定する。
【0034】
ステップS3に進むと、エレベータ呼び出しが受信される。図示の実施形態では、エレベータ制御システム40は、通信ネットワーク36を介してエレベータ呼び出しを受信する。エレベータ制御システム40は、上述したように、エレベータ呼び出しの発信元を特定する。例えば、エレベータ制御システム40は、受信したエレベータ呼び出しに関連付けられたIPアドレスを処理して、関係する呼び出し端末12または関係するトランシーバ10の位置;すなわち、どのフロアL0、L1でエレベータ呼び出しが入力されたかを決定する。また、エレベータ制御システム40は、さらに、ロボット2の識別子がエレベータ呼び出しと関連付けられている場合、その識別子を処理して、ロボット2およびその位置を特定する。
【0035】
ステップS4に進むと、エレベータ呼び出しがロボット呼び出し2Cであるか否かが決定される。エレベータ制御システム40は、この決定を、ステップS3で行った処理に基づいて行う。エレベータ呼び出しがロボット呼び出し2Cでない場合、すなわち、人4がエレベータ呼び出しを入力した場合、方法は「いいえ」分岐に沿ってステップS15に進む。
【0036】
ステップS15において、エレベータ制御システム40は、エレベータ呼び出しをエレベータかご22に割り振って、ステップS16においてエレベータ呼び出しを実行する。例えば、エレベータ制御システム40がエレベータ呼び出しにサービスするためにエレベータかご22を割り振ると、エレベータコントローラ28は、モータ26を制御してエレベータかご22を乗場フロアに移動させる(ただし、エレベータかご22が既にこのフロアにある場合、例えば、スタンバイモードである場合を除く)。乗場フロアに到着すると、エレベータ扉(シャフト扉およびかご扉)を開くように制御して、乗車を許可する。設定された扉滞留時間が経過すると、エレベータ扉が閉じるように制御され、行先フロアを入力した状態で、エレベータコントローラ28はモータ26を制御してエレベータかご22を行先フロアまで移動させる。なお、かご割り振りおよびエレベータ呼び出しの実行のための実施形態は、当業者に知られている。
【0037】
ステップS4に戻り、エレベータ呼び出しがロボット呼び出し2Cである場合、方法は「はい」分岐に沿ってステップS5へ進む。上述したように、ロボット呼び出し2Cは、優先レベルPLを含み;特定の実施形態では、それは、サービス条件ToSに関する情報をさらに含んでもよい。そのようなサービス条件は、ロボットの呼び出し要件のカスタマイズを可能にする。例えば、サービス条件ToSは、所定の待ち時間を指定してもよく、例えば、一定時間までに、または設定された期間内、例えば、次の1、2、または5時間以内にロボット呼び出し2Cがサービスされなければならないことを指定することができる。ステップS5では、受信したエレベータ呼びの優先レベルPLと、設定された任意のサービス条件ToSとが決定される。
【0038】
ステップS6に進み、優先レベルPLが高に設定されている場合、方法は「はい」分岐に沿ってステップS15に進んでロボット呼び出し2Cが割り振られ、ステップS16で実行される。例えば、病院またはホテルで患者のファイルまたは薬などの物品を緊急に輸送するためにロボット2が派遣される場合、ロボット呼び出し2Cは高い優先レベルPLを有する可能性がある。このような場合、エレベータ制御システム40は、高優先度のロボット呼び出し2Cを、人4からのエレベータ呼び出しと基本的に同様に扱う(ステップS4の「いいえ」分岐と比較)。優先レベルPLが高に設定されていない場合、方法は、「いいえ」分岐に沿ってステップS7に進む。
【0039】
ステップS7において、優先レベルPLが中に設定されている場合、方法は「はい」分岐に沿ってステップS8に進み、そうでない場合、「いいえ」分岐に沿ってステップS11に進む。例えば、ロボット呼び出し2Cは、ロボット2が病院またはホテルの患者に食事、読み物、または花などの物品を輸送するために派遣される場合、優先レベルPLが中であってもよい。
【0040】
ステップS8では、輸送能力Tcapが約25%以上かを決定する。すなわち、輸送能力Tcapの少なくとも4分の1が、ロボット呼び出し2Cのサービスに利用可能である。この場合、方法は「はい」分岐に沿ってステップS15に進んでロボット呼び出し2Cが割り振られ、ステップS16で実行される。しかし、輸送能力Tcapが約25%より低い場合、輸送能力Tcapのみを考慮してロボット呼び出し2Cは割り振られず、方法は「いいえ」分岐に沿ってステップS9に進む。
【0041】
ステップS9では、ステップS5に関連して上述したように、ロボット呼び出し2Cに対して設定されたサービス条件ToSのいずれかが満たされているかどうかが決定される。サービス条件ToSが満たされていない場合、またはロボット呼び出し2Cがいかなるサービス条件ToSも含んでいない場合、方法は「いいえ」分岐に沿って、待ち行列ステップ(ステップS10)を介してステップS8へ戻る。すなわち、ロボット呼び出し2Cの割り振り(ステップS15)および実行(ステップS16)は、ステップS8の輸送能力Tcapに関する要件が満たされるまで遅延され、待ち行列(ステップS10)に保持される。しかしながら、サービス条件ToSが満たされる場合、方法は、「はい」分岐に沿ってステップS15に進む。すなわち、一実施形態では、サービス条件ToSは、輸送能力Tcapが約25%より低い場合であっても、ロボット呼び出し2Cを割り振り(ステップS15)、実行(ステップS16)させることができる。
【0042】
ステップS7およびその「いいえ」分岐のステップS11を参照すると、優先レベルPLは、高でも中でもない。したがって、ステップS11では、決定された優先レベルPLは、低である。ロボット呼び出し2Cは、ロボット2が、例えば、清掃タスクまたはゴミ回収タスクを行うために派遣されている場合、優先レベルPLが低であってもよい。
【0043】
ステップS12に進むと、輸送能力Tcapが50%程度以上であるか否かが決定される。すなわち、輸送能力Tcapの少なくとも半分が、ロボット呼び出し2Cのサービスに利用可能である。この場合、方法は「はい」分岐に沿ってステップS15に進んでロボット呼び出し2Cが割り振られ、ステップS16で実行される。しかし、輸送能力Tcapが約50%より低い場合、輸送能力Tcapのみを考慮してロボット呼び出し2Cは割り振られず、方法は「いいえ」分岐に沿ってステップS13に進む。
【0044】
ステップS13では、ステップS5に関連して上述した、ロボット呼び出し2Cに対する設定されたサービス条件ToSのいずれかが満たされているか否かが決定される。サービス条件ToSが満たされていない場合、またはロボット呼び出し2Cがいかなるサービス条件ToSも含んでいない場合、方法は「いいえ」分岐に沿って、待ち行列ステップ(ステップS14)を介してステップS12に戻る。すなわち、ロボット呼び出し2Cの割り振り(ステップS15)および実行(ステップS16)は、ステップS13の輸送能力Tcapに関する要件が満たされるまで遅延され、待ち行列(ステップS14)に保持される。しかしながら、サービス条件ToSが満たされる場合、方法は、「はい」分岐に沿ってステップS15に進む。すなわち、一実施形態では、サービス条件ToSは、輸送能力Tcapが約50%より低い場合であっても、ロボット呼び出し2Cを割り振り(ステップS15)、実行(ステップS16)させることができる。
【0045】
図3を参照して説明した実施形態では、ロボット呼び出し2Cは、優先レベル高、中、低を有していてもよい。しかしながら、他の実施形態において、他のおよび/または異なる優先レベルが定義されてもよいことが企図される。例えば、優先レベルは、ロボット2が単独で移動できるように(「単独移動」)、または中間停止なしで輸送できるように、空のエレベータかご22を要求するなど、ロボット2の特定の輸送要求を考慮してもよい。一実施形態によれば、優先レベルは、1-6として定義されてもよい。
- 優先レベル1および2は、優先レベル2が「単独移動」の要件を有する低優先度として定義される。
- 優先レベル3および4は、優先レベル4が「単独移動」の要件を有する中優先度として定義される。
- 優先レベル5および6は、優先レベル6が「単独移動」の要件を有する低優先度として定義される。
【0046】
上述したように、優先レベルは、優先インターフェース6においてオペレータによって入力され得る。
【0047】
図4は、
図3に示す方法のロボット呼び出し実行ステップS16の一実施形態のフロー図である。
図3のステップS15で呼び出しが割り振られると、ロボット2には、ステップS16.1において、この割り振りが通知される。この通知は、通信インターフェースを介して行われる。いくつかのエレベータ、すなわちいくつかのエレベータかご22が存在する場合、通知によってエレベータが識別され、ロボット2は識別されたエレベータに向かって移動することができる。一実施形態では、通知は、エレベータかご22が向かっていることを指定し、到着時刻を指定してもよい。
【0048】
ステップS16.2に進み、エレベータかご22は、乗場フロアに到着する。
【0049】
ステップS16.3に進むと、ロボット呼び出しに単独移動の要件が含まれているか否かが決定される。単独移動要件は、上述したように、ロボット呼び出しに含まれる優先レベルによって指定することができる。単独移動要件は、基本的にロボットの走行に割り当てられたエレベータを確保するものである。単独移動が要求される場合、方法は「はい」分岐に沿ってステップS16.4へ進み、そうでない場合、方法は「いいえ」分岐に沿ってステップS16.6へ進む。
【0050】
ステップS16.4では、ロボット2が、割り当てられたエレベータまたはエレベータかご22に到着するまで、エレベータ扉は閉じたままである。これにより、ロボットが到着する前に、例えば人4や他のロボットが(確保された)エレベータかご22が乗り込むことを防止する。一実施形態では、エレベータ制御システム40は、エレベータ扉の近傍にいる人4に対して、割り当てられたエレベータかご22への乗車を可能にする可聴および/または可視のアナウンスをアクティブ化させてもよい。例えば、アナウンスは、エレベータかご22がロボット2のために確保されていることを人4に知らせ、ロボット2がエレベータかご22に乗り込むことができるように場所を開けるよう求めてもよい。これにより、ロボットの単独移動の効率的な実行に寄与する。
【0051】
ステップS16.4では、エレベータ扉が開く。このとき、このエレベータかご22にエレベータ呼び出しが割り振られている人4は、誰でも乗り込むことができる。
【0052】
ステップS16.4からステップS16.5に進むと、ロボットが、割り当てられたエレベータに到着したかまたは存在しているかを肯定応答(ack)したかどうかが決定される。ロボット2は、エレベータ制御システム40に、エレベータへの到着またはエレベータでの存在を伝達し、エレベータ扉を開かせることができる。ロボット2がその到着または存在を肯定応答した場合、方法は「はい」分岐に沿ってステップS16.7に進み、そうでなければ、方法は「いいえ」分岐に沿ってステップS16.4に戻り、到着または存在が肯定応答されるまでエレベータ扉が閉められた状態で待機する。
【0053】
ステップS16.5またはステップS16.6に続くステップ16.7では、方法はロボット2に対してエレベータかご22に乗り込むように命令する。その命令に応答して、ロボット2は、エレベータかご22に乗り込む。
【0054】
ステップS16.8に進むと、ロボットがエレベータかご22に乗り込んだことを肯定応答(ack)したかどうかが決定される。ロボット2は、その乗車をエレベータ制御システムに伝達してもよい。ロボット2がその乗車を肯定応答した場合、方法は「はい」分岐に沿ってステップS16.9に進み、エレベータ制御システム40がロボット呼び出しに従ってエレベータ走行の完了を引き起こす。その後、方法は、
図3に示されるステップS17に進む。
【0055】
ロボット2がその乗車を肯定応答しない場合、方法は「いいえ」分岐に沿って進む。図示された実施形態では、方法は、ステップS16.7に戻り、ロボット2にエレベータかご22に乗り込むように再び命令する。別の実施形態では、方法は、ロボット2に繰り返し命令せず、ロボットの乗車肯定応答が得られるまで待機してもよく;方法は、ステップS16.8の入力に戻る。ステップS16.8の「いいえ」分岐に沿ったループは、一実施形態では、ステップS16.7における所定の期間および/または所定の数の繰り返しコマンドの後に中断されることが企図される。これにより、例えば、エレベータかご22が、エレベータ設備1にとって許容されると定義される時間よりも長い間、別のエレベータ呼び出しにサービスすることからブロックされないことが保証される。
【国際調査報告】