(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】画像の散乱線補正のためのノイズおよびアーティファクト低減
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
A61B6/03 350Y
A61B6/03 320K
A61B6/03 350K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555744
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(85)【翻訳文提出日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 US2021022309
(87)【国際公開番号】W WO2021188411
(87)【国際公開日】2021-09-23
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505172824
【氏名又は名称】アキュレイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】ベイ,チュアンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ユイ,ジーツォン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン,アミット
(72)【発明者】
【氏名】ギャニオン,ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA07
4C093CA13
4C093EA14
4C093EB17
4C093FC26
4C093FD11
4C093FF09
4C093FF34
(57)【要約】
イメージング機器および関連する方法は、一次領域において測定された投影データを受信し、散乱線補正なしデータと散乱線のみのデータといった2つの別々な成分としてイメージングデータを処理することで散乱線を補正するため、提供される。画像処理(例えば、再構成)を別々に実施することで、ソースデータに適合され、フィルタを含む個別化されたデータ処理の使用が可能となり、そうすることで例えばノイズおよびアーティファクト低減、分解能、エッジ維持などを含む、ソースデータの特定の点を重点的に取り扱うことができる。別々に処理したデータを組み合わせることによって、画質が向上するとともに、こうした点のバランスが最適化された状態となる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線イメージング機器であって、
放射線を放出するための放射線源と、
前記放射線源からの放射線を受光し、かつ放射線データを生成するために位置づけられた放射線検出器であって、前記放射線データが一次成分および散乱線成分を含む、放射線検出器と、
データ処理システムであって、
前記放射線データの受信、
前記放射線データに基づき、かつ第1のデータ処理手法を使用した、散乱線補正なしの画像の生成、
前記放射線データの前記散乱線成分の推定、
前記散乱線推定に基づき、かつ前記第1のデータ処理手法とは異なる第2のデータ処理手法を使用した、散乱線のみの画像の生成、ならびに
前記散乱線補正なしの画像および前記散乱線のみの画像に基づく画像の生成、
を行うように構成されたデータ処理システムと、を備える、放射線イメージング機器。
【請求項2】
前記放射線源が放射線ビームを放出する回転X線源を備え、
前記放射線検出器が、前記X線源からの前記放射線を受光するように位置づけられたX線検出器を備え、
前記機器が、
前記X線源によって放出された前記放射線ビームの形状を調節するように構成されたビームフォーマであって、前記X線検出器の一次領域が前記放射線ビームに直接ばく露し、前記X線検出器の少なくとも1つの斜線領域が、前記ビームフォーマにより前記放射線ビームへの直接ばく露から遮断されているビームフォーマをさらに備える、
請求項1に記載のイメージング機器。
【請求項3】
前記放射線データの前記散乱線成分の推定が、前記少なくとも1つの斜線領域の測定された散乱線データに基づいている、請求項1および2のいずれか一項に記載のイメージング機器。
【請求項4】
前記散乱線補正なしの画像の生成が前記放射線データの再構成を含み、
前記散乱線のみの画像の生成が、
前記放射線データおよび前記散乱線推定に基づく散乱線補正画像の再構成、ならびに
前記散乱線補正画像からの前記散乱線補正なしの画像の減算を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載のイメージング機器。
【請求項5】
前記散乱線補正なしの画像の生成が前記放射線データの再構成を含み、前記第1のデータ処理手法が前記第2のデータ処理手法よりも高分解能のカーネルを含み、
前記散乱線のみの画像の生成が、ストリーク状アーティファクト低減アルゴリズムを使用する前記散乱線推定の再構成を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載のイメージング機器。
【請求項6】
前記散乱線補正なしの画像の生成が第1のグリッドを使用する前記放射線データの再構成を含み、
前記散乱線のみの画像の生成が、
前記第1のグリッドよりも速い再構成時間に関連づけられた第2のグリッドを使用する前記散乱線のみの画像の再構成と、
前記第1のグリッドを使用する前記再構成された散乱線のみの画像の再サンプリングと、
前記散乱線補正なしの画像に基づいて決定される第3のデータ処理手法に基づいた前記散乱線のみの画像の処理と、を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載のイメージング機器。
【請求項7】
前記第1のデータ処理手法が高分解能カーネルを含み、前記第2のデータ処理手法が平滑化カーネルを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のイメージング機器。
【請求項8】
前記第2のデータ処理手法が、前記散乱線補正なしの画像に基づいて決定される、請求項1~6のいずれか一項に記載のイメージング機器。
【請求項9】
前記散乱線補正なしの画像に基づいて決定される第3のデータ処理手法に基づいた前記散乱線のみの画像の処理をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のイメージング機器。
【請求項10】
前記第3のデータ処理手法が、前記第3のデータ処理手法のカーネルウェイトを決定するために前記散乱線補正なしの画像のボクセル差を使用するガウシアンフィルタを含む、請求項9に記載のイメージング機器。
【請求項11】
前記散乱線のみの画像の処理が、前記散乱線のみの画像を処理するために、前記散乱線補正なしの画像から取得された異方性微分フィルタパラメータの使用を含む、請求項9および10のいずれか一項に記載のイメージング機器。
【請求項12】
前記第1のデータ処理手法が、前記散乱線補正なしの画像の再構成前に前記放射線データに適用され、前記第2のデータ処理手法が、前記散乱線のみの画像の再構成前に前記散乱線推定に適用される、請求項1~11のいずれか一項に記載のイメージング機器。
【請求項13】
放射線画像を生成する方法であって、
放射線イメージング機器から、一次成分と散乱線成分を含む放射線データを受信することと、
前記放射線データに基づき、第1のデータ処理手法を使用して散乱線補正なしのデータセットを生成することと、
前記放射線データの前記散乱線成分を推定することと、
前記散乱線推定に基づき、前記第1のデータ処理手法と異なる第2のデータ処理手法を使用して散乱線のみのデータセットを生成することと、
前記散乱線補正なしのデータセットおよび前記散乱線のみのデータセットに基づき画像を生成することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記放射線データに基づき、前記第1のデータ処理手法を使用して前記散乱線補正なしのデータセットを生成することが、
散乱線補正なしの線積分を生成することと、
前記第1のデータ処理手法を使用して前記散乱線補正なしの線積分を再構成かつ処理し、散乱線補正なしの画像を生成することと、を含み、
前記散乱線推定に基づき、前記第2のデータ処理手法を使用して前記散乱線のみのデータセットを生成することが、
散乱線のみの線積分を生成することと、
前記第2のデータ処理手法を使用して、前記再構成された散乱線のみの線積分を再構成かつ処理し、散乱線のみの画像を生成することと、を含み、かつ
前記散乱線補正なしのデータセットおよび前記散乱線のみのデータセットに基づき前記画像を生成することが、前記散乱線のみの画像を前記散乱線補正なしの画像に追加することを含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のデータ処理手法が前記散乱線補正なしの画像に基づく、請求項13および14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記放射線データに基づき、前記第1のデータ処理手法を使用して前記散乱線補正なしのデータセットを生成することが、
散乱線補正なしの線積分を生成することと、
前記第1のデータ処理手法を使用して前記再構成された散乱線補正なしの線積分を再構成かつ処理し、散乱線補正なしの画像を生成することと、を含み、
前記散乱線推定に基づき、前記第2のデータ処理手法を使用して前記散乱線のみのデータセットを生成することが、
散乱線補正した線積分を生成することと、
前記散乱線補正した線積分を再構成することと、
前記再構成された散乱線補正なしの線積分と前記再構成された散乱線補正した線積分との差を決定することと、
前記第2のデータ処理手法を使用して前記差を処理し、散乱線のみの画像を生成することと、を含み、かつ
前記散乱線補正なしのデータセットおよび前記散乱線のみのデータセットに基づき前記画像を生成することが、前記散乱線のみの画像を前記散乱線補正なしの画像に追加することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記放射線データに基づき、前記第1のデータ処理手法を使用して前記散乱線補正なしのデータセットを生成することが、
散乱線補正なしの線積分を生成することと、
前記第1のデータ処理手法を使用して前記散乱線補正なしの線積分を再構成かつ処理し、散乱線補正なしの画像を生成することと、を含み、
前記散乱線推定に基づき、前記第2のデータ処理手法を使用して前記散乱線のみのデータセットを生成することが、
散乱線のみの線積分を生成することと、
前記第2のデータ処理手法を使用して前記散乱線のみの線積分を再構成かつ処理し、散乱線のみの画像を生成することと、を含み、かつ
前記散乱線補正なしのデータセットおよび前記散乱線のみのデータセットに基づき前記画像を生成することが、前記散乱線のみの画像を前記散乱線補正なしの画像に追加することを含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記放射線データに基づき、前記第1のデータ処理手法を使用して前記散乱線補正なしのデータセットを生成することが、
散乱線補正なしの線積分を生成することと、
前記第1のデータ処理手法を使用して前記散乱線補正なしの線積分を再構成かつ処理し、散乱線補正なしの画像を生成することと、を含み、
前記散乱線推定に基づき、前記第2のデータ処理手法を使用して前記散乱線のみのデータセットを生成することが、
散乱線補正した線積分を生成することと、
前記散乱線補正した線積分を再構成し、散乱線補正画像を生成することと、
前記再構成された散乱線補正なしの線積分と前記再構成された散乱線補正した線積分との差を決定することと、
前記第2のデータ処理手法を使用して前記差を処理し、散乱線のみの画像を生成することと、を含み、かつ
前記散乱線補正なしのデータセットおよび前記散乱線のみのデータセットに基づき前記画像を生成することが、前記散乱線のみの画像を前記散乱線補正なしの画像に追加することを含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記放射線データに基づき、前記第1のデータ処理手法を使用して前記散乱線補正なしのデータセットを生成することが、
散乱線補正なしの線積分を生成することと、
前記第1のデータ処理手法を使用して前記散乱線補正なしの線積分を処理することと、を含み、
前記散乱線推定に基づき、前記第2のデータ処理手法を使用して前記散乱線のみのデータセットを生成することが、
散乱線のみの線積分を生成することと、
前記第2のデータ処理手法を使用して前記散乱線のみの線積分を処理することと、を含み、
かつ
前記散乱線補正なしのデータセットおよび前記散乱線のみのデータセットに基づき画像を生成することが、
前記処理した散乱線補正なしの線積分と前記処理した散乱線のみの線積分との前記差に基づき一次データの線積分を分離することと、
前記一次データの線積分を再構成し、前記画像を生成することと、を含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項20】
放射線治療装置であって、
患者サポートの周りに少なくとも部分的に位置づけられた回転可能なガントリシステムと、
前記回転可能なガントリシステムに連結され、治療用放射線源として構成されている第1の放射線源と、
前記回転可能なガントリシステムに連結され、前記治療用放射線源よりも低いエネルギーレベルを有するイメージング放射線源として構成されている第2の放射線源と、
前記回転可能なガントリシステムに連結され、前記第2の放射線源から放射線を受光するように位置づけられた放射線検出器と、
データ処理システムであって、
一次成分および散乱線成分を含む放射線データの受信、
前記放射線データに基づき、第1のデータ処理手法を使用した散乱線補正なしのデータセットの生成、
前記放射線データの前記散乱線成分の推定、
前記散乱線推定に基づき、前記第1のデータ処理手法と異なる第2のデータ処理手法を使用した散乱線のみのデータセットの生成、
前記散乱線補正なしのデータセットおよび前記散乱線のみのデータセットに基づいた画像の生成、ならびに
適合するIGRT中の前記画像に基づき、前記第1の放射線源を介した、前記患者へのある線量の治療用放射線の照射、
を行うように構成されたデータ処理システムと、を備える、放射線治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「NOISE AND ARTIFACT REDUCTION FOR IMAGE SCATTER CORRECTION」と題する、2020年3月19日に出願された米国特許出願第16/823,560号の優先権を主張するものである。本出願はまた、2019年11月25日に出願された、「MULTIMODAL RADIATION APPARATUS AND METHODS」と題する米国特許出願第16/694,145号、および2019年11月25日に出願された、「APPARATUS AND METHODS FOR SCALABLE FIELD OF VIEW IMAGING USING A MULTI-SOURCE SYSTEM」と題する米国特許出願第16/694,148号に関するものであり、これら双方はそれらの全体を参照するものとして本明細書に援用される。
【0002】
開示された手法の態様は、例えば、散乱線および散乱線補正に関連するノイズおよびアーティファクトの低減を含む放射線画像処理中の品質向上に関し、より詳細には、散乱線補正なしの成分および散乱線のみの成分としての散乱線補正画像の処理に関する。
【背景技術】
【0003】
断層撮影は、組織が重なっていない三次元(3D)オブジェクトの断面画像を生成するために使用されている、非侵襲性の放射線イメージング手法である。断層撮影は、例えば、コンピュータ断層撮影(computed tomography:CT)、ならびに単一光子放射断層撮影(single photon emission computed tomography:SPECT)および陽電子放出断層撮影(positron emission tomography:PET)などの放出断層撮影といった、透過断層撮影に分類され得る。CTは、体の一部分の画像を生成するための、患者を通るX線透過に基づいた手法である。光子放射コンピュータ断層撮影および陽電子放出断層撮影は、器官内の代謝活性および生理活性を示す、患者に注入された放射性核種に関する3D画像情報を提供する。
【0004】
断層撮影スキャンでは、1つ以上の回転検出器(CTの回転放射線源と連動)によって、体の周囲の異なる多くの角度から投影を取得する。続いてこれらのデータを再構成し、体の3D画像を形成する。例えば、断層撮影画像の再構成は、フィルタ補正逆投影法および反復法によって得ることができる。
【0005】
最終的な画質は、いくつかの要因によって制限されている。こうした要因の一部は、γ線光子の減衰および散乱線、検出効率、コリメータ検出器システムの空間分解能などである。これらの要因により、不十分な空間分解能、低コントラスト、および/または高レベルのノイズなどが引き起こされ得る。画像データ処理(例えば、フィルタリング)手法は、画質を向上させるために使用され得る。
【0006】
コーンビームCTを含むCTでは、検出器要素で検出される一次信号は管から出て患者の体を貫通し、検出器に到達または検出器で検出されるX線を表す。一次信号のX線は、管の管焦点を検出用の検出器要素へと接続するX線路に沿って移動する。同じ要素で検出される散乱線信号はまた、要素中に散乱されるX線をも表している。一次信号によってCT画像の再構成が可能となる。ただし、散乱線信号は量的にも質的にもCT画像を劣化させる可能性がある。
【0007】
CTおよびコーンビームCTを含む種々の放射線イメージングモダリティの散乱線は、検出される光子のかなりの部分を占める可能性がある。散乱線は、コントラストおよび量的精度を含む画質に負の影響を与え得る。結果、散乱線測定、散乱線評価および散乱線補正は、画像誘導下放射線治療(image-guided radiation treatment:IGRT)といった場合を含む、データ処理および画像再構成に適用され得る。IGRTは、CTといった医用イメージング手法を利用し、治療前、治療中、および/または治療後の患者の画像を収集することができる。
【0008】
種々の放射線イメージングモダリティにおけるソフトウェアベースの散乱線補正は、散乱線補正なしの場合と比較してノイズを大幅に増大させる可能性がある。例えば、低カウントスキャン(低線量および/または大柄の患者)の場合、ある特定の角度での散乱線補正に関連する著しく大きな散乱線ノイズは増幅され、再構成画像に顕著なストリーク状アーティファクトとして出現し得る。したがって、散乱線補正のためのノイズ低下は画像生成にとって挑戦的な課題である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態では、放射線画像を生成する方法は、放射線イメージング機器から、一次成分と散乱線成分を含む放射線データを受信することと、放射線データに基づき、第1のデータ処理手法を使用して散乱線補正なしのデータセットを生成することと、放射線データの散乱線成分を推定することと、散乱線推定に基づき、第1のデータ処理手法と異なる第2のデータ処理手法を使用して散乱線のみのデータセットを生成することと、散乱線補正なしのデータセットおよび散乱線のみのデータセットに基づき画像を生成することと、を含む。
【0010】
一実施形態に関して説明および/または例示された特徴は、1つ以上の他の実施形態において、同じ方法もしくは同様の方法で、および/または他の実施形態の特徴と組み合わせて、もしくはその代わりに使用され得る。
【0011】
本発明の説明は、いかなる方法であっても請求項または特許請求の範囲もしくは本発明の範囲にて使用される用語を制限していない。特許請求の範囲にて使用される用語は、それらの用語の最大限一般的な意味全てを有する。
【0012】
本明細書内に組み入れられ、かつ本明細書の一部を構成する添付の図面において、本明細書の実施形態が例示される。これらは上で提供される本発明の一般的な説明、および以下で提供される詳細な説明とともに、本発明の実施形態を例証する機能を担っている。図中にて例示されている要素の範囲(例えば、ボックス、一群のボックス、または他の形状)は、範囲の一実施形態を表すことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、一要素は複数の要素として設計されることがある。または複数の要素は、一要素として設計されることがある。いくつかの実施形態では、別の構成要素の内部構成要素として示される要素は、外部構成要素として実装されることがあるが、その逆の可能性もある。さらには、要素は縮尺どおりに描かれていない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】散乱線補正なしの成分および散乱線のみの成分としてイメージングデータを処理することで、放射線画像を生成する例示的な方法を示すフローチャートである。
【0014】
【
図2】散乱線補正なしの成分および散乱線のみの成分としてイメージングデータを処理することで、放射線画像を生成する別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【0015】
【
図3】散乱線補正なしの成分および散乱線のみの成分としてイメージングデータを処理することで、放射線画像を生成する別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【0016】
【
図4】散乱線補正なしの成分および散乱線のみの成分としてイメージングデータを処理することで、放射線画像を生成する別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【0017】
【
図5】散乱線補正なしの成分および散乱線のみの成分としてイメージングデータを処理することで、放射線画像を生成する別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【0018】
【
図6】散乱線補正なしの成分および散乱線のみの成分としてイメージングデータを処理することで、放射線画像を生成する別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【0019】
【
図7A】散乱線補正なしで生成した例示的な画像である。
【0020】
【
図7B】散乱線補正で生成した例示的な画像である。
【0021】
【
図7C】散乱線補正、続いてローパスガウシアンフィルタで生成した例示的な画像である。
【0022】
【0023】
【
図8B】散乱線補正なしの成分および散乱線のみの成分としてイメージングデータを処理して生成した例示的な画像である。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【
図12】例示的な画像と従来型の画像処理に関連するCT値との比較、および散乱線補正なしの成分および散乱線のみの成分としてイメージングデータを処理する例示的な実施形態を示す。
【0028】
【
図13】開示された手法の一態様に従った、例示的なイメージング機器の透視図である。
【0029】
【
図14】開示された手法の一態様に従った、例示的な放射線治療装置に組み込まれたイメージング機器の概略図である。
【0030】
【
図15】検出器上へ平行化された例示的な投影の概略図である。
【0031】
【
図16】散乱線補正の例示的な方法を示すフローチャートである。
【0032】
【
図17】放射線治療装置内のイメージング機器を使用するIGRTの例示的な方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下は、本開示を通して使用され得る例示的な用語の定義を含む。全ての単語の単数形および複数形の両方は、それぞれの意味の範囲内である。
【0034】
本明細書で使用される場合、「成分」は、ハードウェアの一部、ソフトウェアの一部、またはそれらの組合せとして記載され得る。ハードウェアの一部は、少なくともプロセッサ、およびメモリの一部を含み、このメモリは実行するための指示を含む。成分は装置に関連づけられてよい。
【0035】
本明細書で使用される場合、「回路」と同義である「論理」は、1つ以上の機能、または1つ以上の動作を実行するためのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアおよび/またはそれぞれの組合せを含むが、これらに限定されない。例えば、所望の用途または必要性に基づき、論理はソフトウェア制御マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)といった個別論理、または他のプログラム済の論理装置および/もしくはコントローラを含んでよい。論理はまた、ソフトウェアとして完全に組み入れられてもよい。
【0036】
本明細書で使用される場合、「プロセッサ」は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理装置(CPU)、およびデジタル・シグナル・プロセッサ(digital signal processor:DSP)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(field-programmable gate array:FPGA)、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(graphics processing unit:GPU)などいずれかを組み合わせた、事実上いずれかの数のプロセッサシステムまたはスタンドアロンプロセッサのうち1つ以上を含むが、これらに限定されない。プロセッサは、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)、プログラム可能リード・オンリー・メモリ(PROM)、消去可能なプログラム可能リード・オンリー・メモリ(EPROM)、クロック、デコーダ、メモリコントローラ、または割り込みコントローラなど、プロセッサの操作を支持する種々の他の回路に関連づけられてよい。これらのサポート回路は、プロセッサの内部もしくは内部、またはプロセッサに関連する電子部品のパッケージであってもよい。サポート回路はプロセッサとの通信が可能である。サポート回路は、ブロック図または他の図ではプロセッサと必ずしも分離した状態で示されていない。
【0037】
本明細書で使用される場合、「信号」は、アナログまたはデジタル信号、1つ以上のコンピュータ命令、ビットまたはビットストリームなどを含む1つ以上の電気信号を含むが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書で使用される場合、「ソフトウェア」は、コンピュータ、プロセッサ、論理および/または他の電子装置に機能、動作の実施および/または所望の方式での動作を行わせる1つ以上のコンピュータ可読命令および/または実行命令を含むがこれらに限定されない。命令は、個別の用途を含むルーチン、アルゴリズム、モジュールまたはプログラムなどの種々の形式で組み入れられてもよい。動的にリンクされたソースまたはライブラリからコーディングしてもよい。
【0039】
例示的な定義が上記にて提供されているが、これらの用語や他の用語に、本明細書と一致する最も広範で合理的な解釈が使用されることこそが出願人の意図である。
【0040】
CTスキャンでは、患者(および検査寝台)が存在しない場合の信号であるX線参照データ(I0)。生または患者データ(Id)を取得する場合、各検出器要素の信号に対する束の比が計算される。この比の対数は、患者データが一次信号(Pr)のみを有する場合には、対応するX線路に沿った、患者の線減弱の線積分である。続いて、CT画像は、患者周囲の多くの角度にて検出器要素全てで測定された線積分から再構成することができる。
【0041】
検出信号は一次信号(Pr)および散乱線信号(Sc)の両方を含み、この場合Id=Pr+Scであることから、検出器信号に対する参照の比I0/Idの直接の計算結果は、信号中の散乱線成分(Sc)が混入しているためにX線路(I)に沿った患者の線減弱の積分ではなくなっている。明白には、正確な線積分はI=log(I0/Pr)でなければならない。ただしこれは散乱線を含むため、等式1:
Id=log(I0/Id) (1)
で計算された比を示す。
この場合、Id=Pr+Scである。
【0042】
散乱線(Sc)が正の値であり、散乱線補正がない場合、計算された線積分は真の線積分((Sc)なし)よりも小さい。混入した線積分Idを使用した再構成により画像に量的バイアスがもたらされ、質的にはコントラストを低下させ、画像にアーティファクトを導入してしまう。
【0043】
上記の散乱線問題を処理するため、医療用CTシステムは、前もっておよびいったんデータが取得されると、データ取得中の散乱線を最小にするためにハードウェアアプローチを使用し、ソフトウェアアプローチを適用して測定データ中の残留散乱線を補正することができる。後者は散乱線補正とも呼ばれ得る。
【0044】
散乱線補正の原理は、散乱線を推定し(Sc_est)かつ患者データから推定した散乱線を除去または減算し、等式2に従って補正線積分を計算する:
【数1】
【0045】
散乱線推定(Sc_est)が測定データ中の散乱線成分と同一であるようにこのアプローチの精度が高い場合、等式2によって正確な線積分がもたらされ、精度の高いCT画像再構成が可能となる。
【0046】
ただし画像ノイズといった観点からは、散乱線補正は計算された線積分中のノイズを増大させ、再構成画像中のノイズを増大させてしまう。散乱線補正なしの線積分の分散(ノイズ)は、等式3:
【数2】
で示され、式中、Var_Idは、測定された患者データIdの分散であり、I
0の分散は0であると仮定している。
【0047】
散乱線補正後の線積分の分散は、等式4:
【数3】
で示され、式中、Var_Sc_estは、推定散乱線(Sc_est)の分散(ノイズ)である(推定散乱線のノイズは、測定データのノイズとは独立している)。
【0048】
式4の散乱線補正した線積分のノイズと式3の散乱線補正なしの線積分のノイズの比較は、散乱線推定(Sc_est)がノイズを含まない場合であっても、計算された線積分のノイズが等式5に示された係数で増幅されることを示している。
【数4】
【0049】
等式5のノイズ増幅は、測定データ中の散乱線のパーセンテージが増大する場合に増大する。例えば、測定データの50%が散乱線である場合、ノイズは4倍に増幅される。散乱線除去グリッドを使用するコーンビームCTシステムでは、残留散乱線はデータの30%であり得る。散乱線補正なしの場合と比較すると、等式5は散乱線補正ありでは約2倍にノイズ増幅すると予測している。散乱線除去グリッドが配置されずフラットパネル検出器を備えたコーンビームCTでは、散乱線は全測定データの50%を超える可能性があり、患者が大柄になればなるほど散乱線が多くなる。
【0050】
散乱線補正を目的とした、従来型のノイズ低下アプローチを使用することで、(a)推定散乱線のノイズの低下(等式4の右辺の第2項のノイズ低下に対応する)、(b)散乱線補正生データまたは線積分中のノイズの低下、(c)推定された一次に対する加法項として反復再構成中の散乱線のモデル化、推定一次および散乱線の合計と測定データとの比較、(d)再構成中のノイズの調整、または(e)散乱線補正画像のフィルタリング/ノイズ除去を行うことができる。
【0051】
ある特定の状況およびある程度は、これらのアプローチ全てが利益を有し得る一方で欠点が多い。アプローチ(a)については、仮にノイズが一切ない完全な散乱線を作製したとしても、ノイズは等式5で示された係数により依然として増幅される。また、大量の散乱線を含むCTスキャン(特に、イメージング視野が大きく、散乱線除去グリッドがないコーンビームCT)では、ノイズは特に顕著なものとなり得る。(b)のアプローチは、生データがノイズ低下を理由としてフィルタリングされるため、(a)の欠点を有するのみならず、信号(分解能およびコントラスト)をも失い得る。(c)のアプローチは、より高度な再構成アルゴリズムおよびさらに長い再構成時間を必要とするのみならず、ノイズ低下も制限される。(d)のアプローチは、調整がどのように設計されているかによって困難なものとなる。散乱線補正なしの成分と散乱線補正した成分の組合せとして散乱線補正画像を考えている場合には、こうした課題は容易に理解することができる。散乱線補正なしの成分は、散乱線補正した成分よりもはるかにノイズが低い。したがって、高いノイズ散乱線成分のノイズ低下を最適化するために全体の画像に調整を適用した場合、低ノイズである画像の散乱線補正なしの成分を過剰に調整する傾向がある。(e)の再構成後画像処理(フィルタリング)/ノイズ除去は、大きく異なるノイズレベルである2つの成分を最適化することができないという点で、(d)と同じ課題を共有している。
【0052】
本明細書に開示された実施形態では、散乱線補正画像は2つの成分の組合せとして処理されることができる。すなわち、成分の1つは散乱線補正なしの成分であり、もう一方は散乱線のみの成分である。等式2の線積分は、等式6に示されている2つの成分の合計として再度書かれている。
【数5】
【0053】
等式6の右辺の第1項は、散乱線補正なしの線積分である。角括弧中の項は、線積分の散乱線補正した成分である。分析的再構成については、補正した線積分の再構成は2つの項を別々に再構成して2つの画像を生成し、続いて2つの画像を合計し、散乱線補正した最終画像を得ることと等価である。第1項から再構成した画像は、従来の散乱線補正なしの画像(noSC画像)と等価である。第2項から再構成した画像は、散乱線のみの画像(Scatter-only image)と呼ぶことができる。明白には、等式7:
CT画像=noSC画像+散乱線のみの画像 (7)
に示されている。
【0054】
この方式で散乱線推定(Sc_est)を患者データから除去することができる。上記分析から、散乱線のみの画像は、散乱線補正に関連するノイズおよびアーティファクトを含むことは明らかである。noSC画像は、散乱線のみの画像よりノイズはさらに低く、CT画像全体はこれら2つの画像の組合せである。
【0055】
生データもしくは再構成後画像中の、または再構成プロセス中のいずれかである、散乱線補正に関連する従来のノイズ低下は、仮にデータ/画像のnoSC成分と散乱線のみの成分が大きく異なるノイズレベルであったとしても、これらを組み合わせた状態で基本的には行われる。散乱線のみの成分でノイズを最適に抑制するアプローチにより、noSC成分は過剰に平滑化(したがって、分解能劣化)することがあり、分解能劣化を最小にするアプローチは、散乱線補正に関連するノイズを抑制する上で有効ではない場合がある。
【0056】
本明細書に説明される実施形態は、例えば、十分なノイズ低下および最小の分解能劣化を含む散乱線補正後の画質を改善する。これらの実施形態では、noSC画像とは別々にかつ異なる方法で散乱線のみの画像を処理することで、散乱線および散乱線補正に関連するノイズおよびアーティファクトを低減することができる。散乱線のみの画像のさらなる高いノイズを理由として、ノイズ低下を最適化するため、より高いノイズの抑制データ処理手法(例えば、フィルタ)を散乱線のみの画像に適用することができる。ただし、より軽度のノイズ抑制データ処理手法(例えば、フィルタ)は、分解能損失を最小にするためにnoSC画像に適用することができる。したがって、等式7の2つの画像成分は独立して最適化され、組み合わせられた最終画像(例えば、CT画像)はノイズ低下と分解能維持とが最適に折衷されたものとなり得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、高ノイズの散乱線のみの画像のノイズ低下を誘導するためにnoSC画像を使用することで、さらなる利益を有することができる。noSC画像は散乱線のみの画像よりもはるかに低いノイズレベルを有するため、散乱線のみの画像のノイズ低下を誘導するために使用することができる。例えば、「誘導」は、フィルタカーネルおよび関連する任意のパラメータを決定することを含むことができる。この誘導された散乱線のみの画像のノイズ低下により、noSC画像に類似またはこれより大幅に低い、散乱線のみの画像が生じ得る。noSC画像のエッジは、散乱線のみの画像のデータ処理(例えば、フィルタリング)の信頼できるエッジ維持ガイダンスを提供することができる。したがって、組み合わせられた最終画像(例えば、CT画像)は、noSC画像中のノイズレベルに類似のレベルを有し得るが、同時にエッジ保存は最適化されている。
【0058】
種々の実施形態では、等式6の右辺の2つの成分をそれぞれ再構成する。例えば、noSC成分を再構成するにはより高い分解能フィルタ(カーネル)、散乱線のみの成分を再構成するにはより高い平滑化フィルタ(より低い分解能カーネル)を使用する。
【0059】
以下のフローチャートおよびブロック図は、散乱線補正および/または画像生成に関連する例示的な構成および方法論を示している。例示的な方法論は論理、ソフトウェア、ハードウェアまたはそれらの組合せで実行されてよい。加えて、処置および方法は順に提示されているが、ブロックは直列および/または並列を含む異なる順で実行されてもよい。したがって、イメージング、画像ベースの照射前ステップ、および照射を含む以下のステップは、連続して示されてはいるが、同時に(リアルタイムを含む)実行されてもよい。さらには、追加のステップまたはそれよりも少ないステップが使用されてもよい。
【0060】
図1は、散乱線補正なしの成分および散乱線のみの成分としてイメージングデータを処理(例えばデータ処理手法、アルゴリズム、フィルタなどによって処理)することで放射線画像を生成する例示的な方法100を示すフローチャートである。この方式では、散乱線補正なしの成分および散乱線のみの成分に適用されているデータ処理手法は、組み合わせられたデータに適用されているデータ処理手法とは対照的に、別個のものでありかつ異なるものである。この実施形態では、患者スキャンはステップ110で実施され、放射線/患者データ(I
d)115を生成する。散乱線推定(Sc_est)117もまた生成される。散乱線推定117は、患者データ115に基づき、散乱線のみの測定、および/または例えば、スキャンモデル、パラメータ、設定などを含むスキャン機器に関連する情報を含む任意の好適な方式で生成することができる。種々の実施形態では、散乱線のみの測定は、例えばビーム生成器またはコリメータによって直射放射線(一次データ)から遮断された放射線検出器の動作部によるものであってもよい。
【0061】
この方式では、この方法は、上に詳細に記載されている(等式7に示される)、1)散乱線補正なしの成分および2)散乱線のみの成分といった2つの成分の組合せとしてイメージングデータを処理するために続行される。
【0062】
ステップ120では、方法は、患者データ115に基づき、例えばフィルタを含み得るデータ処理手法122を使用して、少なくとも1つの散乱線補正なしのデータセット145(例えば、線積分、画像、および/または他のデータ)を生成する。ステップ130では、方法は、散乱線推定117に基づき、例えば別のフィルタを含み得るデータ処理手法132を使用して、少なくとも1つの散乱線のみのデータセット155(例えば、線積分、画像、および/または他のデータ)を生成する。種々の実施形態では、および他の実施形態で以下に述べられているように、1つ以上の種々のタイプのデータ処理手法は、画像データ処理の異なるステップまたはサブステップ中を含むステップ120、130中に使用されてもよい。
【0063】
データ処理手法またはステップは、本明細書に説明されるように、イメージングデータのソフトウェアベースの数学的処理(例えば、画像データのピクセル/ボクセルに関連するデータに適用される演算)を含む。データ処理手法をイメージングデータに適用する主たる目的として、ノイズの抑制、空間分解能およびコントラストの維持、平滑化、アーティファクトの低減、およびエッジ強調を挙げることができる。
【0064】
例えば種々の実施形態では、データ処理手法またはステップは、データに1つ以上のフィルタを適用することを含むことができる。画像処理では、これらのフィルタは例えば、カーネル、コンボリューション行列、マスクなどを含むことができる。これらのフィルタは、ぼかし、鮮鋭化、エンボス、エッジ検出などに使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、これはカーネルと画像との間のコンボリューションを行うことによって達成される。フィルタによるものを含むデータ処理を、再構成前、再構成中、および/または再構成後にイメージングデータに適用することができる。例えば、一実施形態では、放射線/患者データ(Id)115は、CTスキャン中の測定された検出器信号全ての値である生のX線データを含む。較正後、例えば、各X線信号の減衰特性は管出力の変動およびビームハードニングで説明されるが、これは光線位置と相関する。これらのデータからCT画像は再構成されるが、これにはコンボリューションフィルタリングおよび逆投影法などの数学的方法の使用が含まれる。コンボリューションフィルタは、CTイメージングデータの画像再構成中に適用される数学的フィルタ関数(カーネル)である。再構成フィルタとして、sincフィルタ(例えば、ウィンドウイング(例えば、Lanczos、Kaiser)、スプラインなど)、ガウシアン、B-スプライン(例えば、ボックスフィルタ、テントフィルタ)などを挙げることができる。再構成に加え、再サンプリング、内挿、アンチエイリアスなどの他のフィルタを使用することができる。
【0065】
フィルタによるものを含むデータ処理手法の種々のタイプは例えば、エッジの平滑化または強調に使用することができ、ソースデータ(例えば、一次データ、一次および散乱線データ、散乱線のみのデータなど)、用途(CT、CBCT、PET、SPECTなど)、所望の計算速度、組織特性などのタイプに従って選択することができる。データ処理手法の他のタイプとして、例えばウェーブレット変換、特異値分解などによるノイズ低下などを挙げることができる。例えば、特異値分解については、散乱線のみの成分および散乱線なしの成分については異なる固有値を使用することができる。以下の実施形態のフィルタに関する参照は例示的なものであり、データ処理手法の他のタイプは、フィルタの代わりに、またはフィルタに加えて使用されてもよい。
【0066】
種々の実施形態では、データ処理手法132はデータ処理手法122とは異なる。この場合、データ処理手法(例えば、フィルタ)122、132および関連するそれらのパラメータは特に関連データ115、117を対象としている。この方式では、データ処理手法122、132を、ソースデータ115、117にとって別々に最適化することができる。例えば、別のデータ115、117のそれぞれの処理中、異なるデータ処理手法122、132の使用によって十分なノイズ低下と最小限の分解能劣化の両方を得ることができる。これらの実施形態では、患者データ115(noSC)とは別々にかつ異なる方法で散乱線推定117(散乱線のみ)を処理することで、上に述べたように、品質を向上(例えば、散乱線および散乱線補正に関連するノイズおよびアーティファクトを低減)させることができる。とりわけ、例えば散乱線推定117中のノイズが高いことに起因して、より強いノイズ抑制(例えば、平滑化カーネル)を伴うデータ処理手法(例えばフィルタ)132は、ノイズ低下を最適化するために散乱線のみの画像データに適用することができる。対照的に、より軽いノイズ抑制(例えば、高分解能カーネル)を伴うデータ処理手法(例えば、フィルタ)122は、分解能損失を最小にするために散乱線補正なしの画像データに適用することができる。この方式では、2つのイメージングデータ成分(散乱線補正なしおよび散乱線のみの成分、等式7に示されている)を独立して処理(最適化)する。
【0067】
いくつかの実施形態では、データ処理手法(例えば、フィルタ)122での処理前または処理後の散乱線補正なしの画像/データを、比較的高ノイズの散乱線のみの画像/データのデータ処理手法(例えば、フィルタ)132による処理を誘導するため(例えば、ノイズ低下のためのフィルタカーネルを決定するため)に使用することができる。上に述べたように、散乱線補正なしの画像/データは散乱線のみの画像/データよりもはるかにノイズレベルが低いことから、これをステップ130の散乱線のみの画像/データノイズ低下を誘導するために使用することができる。
【0068】
ステップ160では、この方法は、散乱線補正なしのデータセット145および散乱線のみのデータセット155に基づき(例えば、患者データに由来する散乱線を除去することで)、患者画像165を生成する。例えば、データセットが線積分成分である実施形態では、散乱線のみのデータセット155を散乱線補正なしのデータセット145に追加し、患者画像165を取得することができる。例示的な一実施形態では、上記データ処理手法のそれぞれ(例えば、フィルタ)122、132を含むステップ120、130における独立した処理に基づき、組み合わせられた最終画像165(例えば、CT画像)は、ノイズ低下と分解能維持とが最適に折衷されたものとなり得る。
【0069】
この方法100は、以下の実施形態で詳述されるものを含む、再構成前後にイメージングデータ(すなわち、データまたはボリューム/画像ドメイン中)を処理する実施形態に適用することができる。以下の実施形態の任意のフィルタに関する参照は、例示的なデータ処理として使用される。データ処理手法の他のタイプを、言及された例示的なフィルタなしに、これの代わりに、またはこれに加えて使用することができる。
【0070】
図2は、散乱線補正なしの成分および散乱線のみの成分としてイメージングデータを処理することで、放射線画像を生成する別の例示的な方法200を示すフローチャートである。この実施形態では、放射線/患者データ(I
d)115および散乱線推定(Sc_est)117は、患者スキャン110によるものを含む方法100に説明されるように生成されてもよい。
【0071】
ステップ221では、方法は、患者データ115に基づいて少なくとも1つの散乱線補正なしの線積分を生成する。次に、散乱線補正なしの線積分はステップ222で再構成され、ステップ225で処理されて散乱線補正なしの画像245を生成する。これらのステップ222、225は、同時にまたは任意の順で実施されてもよい。例えば、この実施形態および以下に言及される他の実施形態では、再構成およびデータ処理を組み合わせることができ(例えば、データの再構成がデータ処理を含むことができる場合)、1つ以上の各ステップを含むことができ、および/または1つ以上のデータ処理手法を含むことができる。一実施形態では、ステップ222、225が別々に実施される場合(
図2に示されている)には、各ステップは関連フィルタ223、226を使用し得る。別の実施形態では、ステップ222、225が同時に実施される場合、1種類のみのフィルタ223を使用し得る。上述されるように、処理は、種々の実施形態では、再構成前、再構成中、および/または再構成後に実施されてもよい。一実施形態では、ステップ221、222、225は、ステップ120の例示的な実施態様に関連していてもよい。
【0072】
ステップ231では、方法は、散乱線推定117に基づいて少なくとも1つの散乱線のみの線積分を生成する。次に、散乱線のみの線積分はステップ232で再構成され、ステップ235で処理されて散乱線のみの画像255を生成する。これらのステップ232、235は、同時にまたは任意の順で実施されてもよい。一実施形態では、ステップ232、235が別々に実施される場合(
図2に示されている)には、各ステップは関連フィルタ233、236を使用し得る。別の実施形態では、ステップ232、235が同時に実施される場合、1種類のみのフィルタ233を使用し得る。上述されるように、処理は、種々の実施形態では、再構成前、再構成中、および/または再構成後に実施されてもよい。一実施形態では、ステップ231、232、235は、ステップ130の例示的な実施態様に関連していてもよい。
【0073】
上に述べたように、種々の実施形態では、1つ以上のフィルタ233、236は1つ以上のフィルタ223、226とは異なっている。この場合、フィルタおよびそれらの関連するパラメータは、特に関連データ115、117を対象とすることができる。上に詳述されているように、ソースデータ115、117に対し、フィルタを別々に最適化することができ、2つのイメージングデータ成分(等式7に示されるように、散乱線補正なしおよび散乱線のみ)の処理(フィルタリング)を独立して最適化する。
【0074】
いくつかの実施形態では、処理前または処理後の散乱線補正なしの画像245は、例えば比較的高ノイズの散乱線のみの画像/データのフィルタ233および/または236を用いた処理を誘導するため(すなわち、ノイズ低下のためのフィルタカーネルを決定するため)に使用することができる。例えば、一実施形態では、散乱線のみのデータのデータ処理はガウシアンフィルタを適用する。このガウシアンフィルタは、ガウシアンフィルタ用のカーネルウェイトを決定するために散乱線補正なしの画像245におけるボクセル差を使用する。散乱線のみのデータのフィルタを設計する場合、散乱線補正なしの画像245(ノイズがより低い)を使用し、散乱線のみのデータをフィルタリングするために使用されるフィルタ(例えば、フィルタ233またはフィルタ236)のカーネルを決定(誘導)して散乱線のみの画像255を生成することができる。一実施形態では、(散乱線補正なしの画像中の)エッジ上のピクセルのカーネルウェイトを減少させてウェイトを増大させ、または(散乱線補正なしの画像中の)エッジがない領域のカーネルサイズを増大させ、続いてカーネルを使用し散乱線のみのデータをフィルタリングすることで、散乱線のみの画像255を得ることができる。上に述べたように、散乱線補正なしの画像/データは散乱線のみの画像/データよりもはるかにノイズレベルが低いことから、これを散乱線のみの画像/データのノイズ低下を誘導するために使用することができる。
【0075】
ステップ260では、この方法は散乱線補正なしの画像245および散乱線のみの画像255に基づいて患者画像を生成する。例えば、散乱線のみの画像255を散乱線補正なしの画像245に追加し、例えば等式7に従い患者画像を取得することができる。
【0076】
図3は、散乱線補正なしの成分および散乱線のみの成分としてイメージングデータを処理することで、放射線画像を生成する別の例示的な方法300を示すフローチャートである。この実施形態では、放射線/患者データ(I
d)115および散乱線推定(Sc_est)117は、患者スキャン110によるものを含む方法100に説明されるように生成されてもよい。
【0077】
ステップ321では、方法は、患者データ115に基づいて少なくとも1つの散乱線補正なしの線積分を生成する。次に、散乱線補正なしの線積分はステップ322で再構成され、ステップ325で処理されて散乱線補正なしの画像345を生成する。これらのステップ322、325は、同時にまたは任意の順で実施されてもよい。一実施形態では、ステップ322、325が別々に実施される場合(
図3に示されている)には、各ステップは関連フィルタ323、326を使用し得る。別の実施形態では、ステップ322、325が同時に実施される場合、1種類のみのフィルタ323を使用し得る。上述されるように、処理は、種々の実施形態では、再構成前、再構成中、および/または再構成後に実施されてもよい。一実施形態では、ステップ321、322、325は、ステップ120の例示的な実施態様に関連していてもよい。
【0078】
ステップ331では、方法は、患者データ115および散乱線推定117に基づいて少なくとも1つの散乱線補正した線積分を生成する。次に、散乱線補正した線積分はステップ332で再構成される。フィルタ333は、再構成前、再構成中、または再構成後に使用されてもよい。続いて、ステップ334ではこの方法は、ステップ322からの再構成した散乱線補正なしの線積分とステップ332からの再構成した散乱線補正した線積分との差を決定する。例えば、一実施形態では、散乱線補正なしの画像を散乱線補正画像から減算し、散乱線のみの画像データを取得する。続いて、ステップ335では、差はフィルタ336を使用して処理し、散乱線のみの画像355を生成することができる。一実施形態では、ステップ331、332、334、335は、ステップ130の例示的な実施態様に関連していてもよい。
【0079】
上に述べたように、種々の実施形態では、1つ以上のフィルタ333、336は1つ以上のフィルタ323、326とは異なっている。この場合、フィルタおよびそれらの関連するパラメータは、特に関連データ115、117を対象とすることができる。上に詳述されているように、ソースデータ115、117に対し、フィルタを別々に最適化することができ、2つのイメージングデータ成分(等式7に示されるように、散乱線補正なしおよび散乱線のみ)の処理(フィルタリング)を独立して最適化する。
【0080】
いくつかの実施形態では、処理前または処理後の散乱線補正なしの画像345を、例えば、比較的高ノイズの散乱線のみの画像/データのフィルタ336を用いた処理を誘導するため(すなわち、例えばノイズ低下のためのフィルタカーネルを決定するため)に使用することができる。上に述べたように、散乱線補正なしの画像は散乱線のみの画像/データよりもはるかにノイズレベルが低いことから、これをステップ335の散乱線のみの画像のノイズ低下を誘導するために使用することができる。
【0081】
ステップ360では、この方法は散乱線補正なしの画像345および散乱線のみの画像355に基づいて患者画像を生成する。例えば、散乱線のみの画像355を散乱線補正なしの画像345に追加し、患者画像を取得することができる。
【0082】
図4は、散乱線補正なしの成分および散乱線のみの成分としてイメージングデータを処理することで、放射線画像を生成する別の例示的な方法400を示すフローチャートである。この実施形態では、放射線/患者データ(I
d)115および散乱線推定(Sc_est)117は、患者スキャン110によるものを含む方法100に説明されるように生成されてもよい。
【0083】
ステップ421では、方法は、患者データ115に基づいて少なくとも1つの散乱線補正なしの線積分を生成する。次に、散乱線補正なしの線積分はステップ422で処理され、ステップ425で再構成されて散乱線補正なしの画像445を生成する。これらのステップ422、425は、同時にまたは任意の順で実施されてもよい。一実施形態では、ステップ422、425は別々に実施される場合(
図4に示されている)には、各ステップは関連フィルタ423、426を使用し得る。別の実施形態では、ステップ422、425が同時に実施される場合、1種類のみのフィルタ426を使用し得る。上述されるように、処理は、種々の実施形態では、再構成前、再構成中、および/または再構成後に実施されてもよい。一実施形態では、ステップ421、422、425は、ステップ120の例示的な実施態様に関連していてもよい。
【0084】
ステップ431では、方法は、散乱線推定117に基づいて少なくとも1つの散乱線のみの線積分を生成する。次に、散乱線のみの線積分はステップ432で処理され、ステップ435で再構成されて散乱線のみの画像455を生成する。これらのステップ432、435は、同時にまたは任意の順で実施されてもよい。一実施形態では、ステップ432、435は別々に実施される場合(
図4に示されている)には、各ステップは関連フィルタ433、436を使用し得る。別の実施形態では、ステップ432、435が同時に実施される場合、1種類のみのフィルタ436を使用し得る。上述されるように、処理は、種々の実施形態では、再構成前、再構成中、および/または再構成後に実施されてもよい。一実施形態では、ステップ431、432、435は、ステップ130の例示的な実施態様に関連していてもよい。
【0085】
上に述べたように、種々の実施形態では、1つ以上のフィルタ433、436は1つ以上のフィルタ423、426とは異なっている。この場合、フィルタおよびそれらの関連するパラメータは、特に関連データ115、117を対象とすることができる。上に詳述されているように、ソースデータ115、117に対し、フィルタを別々に最適化することができ、2つのイメージングデータ成分(等式7に示されるように、散乱線補正なしおよび散乱線のみ)の処理(フィルタリング)を独立して最適化する。
【0086】
いくつかの実施形態では、ステップ421からの処理前または処理後の散乱線補正なしの線積分421は、例えば比較的高ノイズの散乱線のみのデータのフィルタ433および/または436を用いた処理を誘導するため(例えばノイズ低下のためのフィルタカーネルを決定するため)に使用することができる。上に述べたように、散乱線補正なしのデータは散乱線のみのデータよりもはるかにノイズレベルが低いことから、これを散乱線のみのデータのノイズ低下を誘導するために使用することができる。
【0087】
ステップ460では、この方法は散乱線補正なしの画像445および散乱線のみの画像455に基づいて患者画像を生成する。例えば、散乱線のみの画像455を散乱線補正なしの画像445に追加し、患者画像を取得することができる。
【0088】
図5は、散乱線補正なしの成分および散乱線のみの成分としてイメージングデータを処理することで、放射線画像を生成する別の例示的な方法500を示すフローチャートである。この実施形態では、放射線/患者データ(I
d)115および散乱線推定(Sc_est)117は、患者スキャン110によるものを含む方法100に説明されるように生成されてもよい。
【0089】
ステップ521では、方法は、患者データ115に基づいて少なくとも1つの散乱線補正なしの線積分を生成する。次に、散乱線補正なしの線積分はステップ522で処理され、ステップ525で再構成されて散乱線補正なしの画像545を生成する。これらのステップ522、525は、同時にまたは任意の順で実施されてもよい。一実施形態では、ステップ522、525は別々に実施される場合(
図5に示されている)には、各ステップは関連フィルタ523、526を使用し得る。別の実施形態では、ステップ522、525が同時に実施される場合、1種類のみのフィルタ526を使用し得る。上述されるように、処理は、種々の実施形態では、再構成前、再構成中、および/または再構成後に実施されてもよい。一実施形態では、ステップ521、522、525は、ステップ120の例示的な実施態様に関連していてもよい。
【0090】
ステップ531では、方法は、患者データ115および散乱線推定117に基づいて少なくとも1つの散乱線補正した線積分を生成する。次に、散乱線補正した線積分はステップ532で再構成される。フィルタ533は、再構成前、再構成中、または再構成後に使用されてもよい。続いて、ステップ534ではこの方法は、ステップ525からの再構成した散乱線補正なしの線積分とステップ532からの再構成した散乱線補正した線積分との差を決定する。例えば、一実施形態では、散乱線補正なしの画像を散乱線補正画像から減算し、散乱線のみの画像データを取得する。続いて、ステップ535では、差はフィルタ536を使用して処理し、散乱線のみの画像555を生成することができる。一実施形態では、ステップ531、532、534、535は、ステップ130の例示的な実施態様に関連していてもよい。
【0091】
上に述べたように、種々の実施形態では、1つ以上のフィルタ533、536は1つ以上のフィルタ523、526とは異なっている。この場合、フィルタおよびそれらの関連するパラメータは、特に関連データ115、117を対象とすることができる。上に詳述されているように、ソースデータ115、117に対し、フィルタを別々に最適化することができ、2つのイメージングデータ成分(等式7に示されるように、散乱線補正なしおよび散乱線のみ)の処理(フィルタリング)を独立して最適化する。
【0092】
いくつかの実施形態では、処理前または処理後の散乱線補正なしの画像545を、例えば、比較的高ノイズの散乱線のみの画像/データのフィルタ536を用いた処理を誘導するため(すなわち、例えばノイズ低下のためのフィルタカーネルを決定するため)に使用することができる。上に述べたように、散乱線補正なしの画像は散乱線のみの画像/データよりもはるかにノイズレベルが低いことから、これをステップ535の散乱線のみの画像のノイズ低下を誘導するために使用することができる。
【0093】
ステップ560では、この方法は散乱線補正なしの画像545および散乱線のみの画像555に基づいて患者画像を生成する。例えば、散乱線のみの画像555を散乱線補正なしの画像545に追加し、患者画像を取得することができる。
【0094】
図6は、散乱線補正なしの成分および散乱線のみの成分としてイメージングデータを処理することで、放射線画像を生成する別の例示的な方法600を示すフローチャートである。この実施形態では、放射線/患者データ(I
d)115および散乱線推定(Sc_est)117は、患者スキャン110によるものを含む方法100に説明されるように生成されてもよい。
【0095】
ステップ621では、方法は、患者データ115に基づいて少なくとも1つの散乱線補正なしの線積分を生成する。次に、フィルタ623を使用し、散乱線補正なしの線積分をステップ622で処理する。ステップ631では、方法は、散乱線推定117に基づいて少なくとも1つの散乱線のみの線積分を生成する。次に、フィルタ633を使用し、散乱線のみの線積分をステップ632で処理する。
【0096】
上に述べたように、種々の実施形態では、1つ以上のフィルタ633は1つ以上のフィルタ623とは異なっている。この場合、フィルタおよびそれらの関連するパラメータは、特に関連データ115、117を対象とすることができる。上に詳述されているように、ソースデータ115、117に対し、フィルタを別々に最適化することができ、2つのイメージングデータ成分(等式7に示されるように、散乱線補正なしおよび散乱線のみ)の処理(フィルタリング)を独立して最適化する。
【0097】
いくつかの実施形態では、ステップ621からの処理前または処理後の散乱線補正なしの線積分を、例えば、比較的高ノイズの散乱線のみのデータのフィルタ633を用いた処理を誘導するため(すなわち、例えばノイズ低下のためのフィルタカーネルを決定するため)に使用することができる。上に述べたように、散乱線補正なしのデータは散乱線のみのデータよりもはるかにノイズレベルが低いことから、これを散乱線のみのデータのノイズ低下を誘導するために使用することができる。
【0098】
続いて、ステップ640では、この方法は、例えばステップ621、622からの散乱線補正なしの線積分とステップ631、632からの散乱線のみの線積分との差を決定することで一次データを分離する。例えば、一実施形態では、散乱線のみの線積分データを散乱線補正なしの線積分データに追加し、一次のみの線積分データを取得する。続いて、ステップ650では、一次線積分データを再構成することができるが、これはフィルタ655の使用を含む。ステップ660では、この方法は患者画像665を生成する。
【0099】
図7~
図11は、骨盤ファントムのコーンビームCTスキャンに関する例示的な実施形態を実施する能力を説明する。再構成後のローパスフィルタを用いた従来のアプローチと比較すると、この例の結果は、骨の境界(画像のエッジ)の維持がはるかに向上し、同等にノイズ低下していることを示している。加えて、ノイズパターンはローパスフィルタ画像よりもはるかに自然なものである。
【0100】
とりわけ、
図7A~
図7Cは、アイソセンタにてコリメータ開口が約10cmであり、125kVp、2.5mAs、360視野/回転、および1秒あたり24視野で取得された骨盤ファントムのコーンビームCT画像700である。
図7A~
図7Cは、上記の2つの成分の画像処理手法(すなわち、上記の方法に示されているように、個別フィルタを用いて散乱線補正なしの成分と散乱線のみの成分とを別々に処理するもの)を使用しない従来の画像処理で取得された画質を説明している。
【0101】
図7Aは、散乱線補正なしの画像710である。
図7Bは、散乱線補正ありの画像720である。
図7Cは、散乱線補正、続いてローパスガウシアンフィルタによる画像730である。これらの画像に示されているように、画像720に用いられている散乱線補正はカッピングアーティファクト712(すなわち、画像710のファントムの周辺と比較すると、ファントムの中央の強度が低下)を最小化したが、画像ノイズは増幅され、ストリーク状アーティファクトが画像720全体に導入されていた。画像730にローパスフィルタを使用する再構成後処理は、ストリーク状アーティファクトのノイズおよび振幅を低下させるが、代わりに画像分解能が低下した(例えば、視覚的にぼやけた骨の境界)。
【0102】
図8A~
図8Bは、上記の2つの成分の画像処理手法(すなわち、個別フィルタを用いて散乱線補正なしの成分と散乱線のみの成分とを別々に処理するもの)を実施する例示的な実施形態に対し、従来の画像処理で取得された画質の比較800を示している。とりわけ、
図8Aは
図7Cの画像730の拡大図であるが、これは従来の散乱線補正後、ローパスガウシアンフィルタを使用した。
図8Bは、上記方法200を使用した同一の骨盤ファントムの画像810であるが、これはガウシアンフィルタ画像730と比較すると、ノイズおよびアーティファクトの低減、ならびにエッジ維持能力の向上を示している。
【0103】
とりわけ、画像810を生成するため、noSC画像(例えば、
図2の245)に基づいて散乱線のみの画像を処理(フィルタリング)した。この場合、noSC画像は、フィルタリングカーネルを決定または計算するための誘導画像として使用されている。方法200にあるように、noSC画像に使用されるフィルタとは異なるフィルタを使用し、散乱線のみの画像を処理(フィルタリング)した。この実施形態では、フィルタリングカーネルは7×7×7のサイズのローカルガウシアンカーネルであり、各ボクセルのウェイトはnoSC画像の中心ボクセルに対するボクセルのHU差を使用して計算される。noSC画像のエッジ情報は、散乱線のみの画像の対応するエッジを維持するために、散乱線のみの画像のフィルタ(カーネル)計算に自然に組み込まれる。得られた画像810は、有効なエッジ維持ならびにノイズおよびアーティファクト低減を説明している。
【0104】
図9は、画像710、720、730、810に関連するノイズ測定の比較900を示す。とりわけ、異なる方法で処理された画像710、720、730、810の異なる関心領域(regions-of-interest:ROI)からの平均レベルおよびノイズ測定が表910に含まれる。表910の平均値は、CT番号+1000であることに留意されたい。noSCノイズデータ、SCノイズデータおよびSC+Gauノイズデータは、
図7A~
図7Cに示されている3つの画像710、720、730のそれぞれに関連づけられている。「例」ノイズデータは、
図8Bに示されている画像810に関連づけられている。関心領域は、ROI_中央912、ROI_周囲914およびラインプロファイル916を含んでいる(
図10に詳述する)。画像810のノイズレベルは、ROI_周囲914のnoSC画像710に類似しており、ROI_中央912のnoSC画像710よりは低い。SC+Gau画像730は、ROI_中央912の画像810と類似するノイズを有するが、ROI_周囲914のノイズは低い。ただし、
図8に示されているように、SC+Gau画像730は非常に強い残留ストリーク状アーティファクトを有しているが、これは画像810では最小である。ラインプロファイル916は
図10に示されているラインプロファイル比較に使用されている。
【0105】
図10は、ラインプロファイル916に沿った画像710、720、730、810に関連する線積分値の比較1000を示している。線積分の値はCT番号+1000であることに留意されたい。「NoSc」線、「Sc」線および「Sc_GaussianPF」線は、
図7A~
図7Cに示されている3つの画像710、720、730をそれぞれ介してラインプロファイル916に関連づけられている。「例」線は、
図8Bに示されている画像810を介したラインプロファイル916に関連づけられている。
図11は、データのセクション1010の分解
図1100を示す。ラインプロファイルは、ノイズおよびストリーク状アーティファクトの抑制とエッジ維持の両方における例示的な実施形態の有効性をさらに説明している。例えば、Sc線は、noSc線と比較した場合に誇張された山と谷を有している。加えて、Sc_GaussianPF線はこれらの領域では非常に平滑な状態である。対照的に、例線は散乱線成分を除去しているが、関連するノイズ、アーティファクト、分解能の損失などは存在していない。
【0106】
図12は、従来の画像処理に関連する画像およびCT値と、環状スキャンを伴うCatphanスキャンでの上記の2つの成分の画像処理手法の例示的な実施形態との比較1200を示している。比較1200は、小さな対象の境界が維持(視覚的評価)されている間の顕著なノイズ低下を説明している。画像1210(Non-SC)は散乱線補正されていない。画像1220(SC)は散乱線補正されている。画像1230(例)は、上記2つの成分の方法に従って散乱線補正されている。画像を生成するため、Catphan+環状スキャンをアイソセンタで4.5cmである開口を用いて実施した。HUウィンドウ[-400、200]を用いて画像1210、1220、1230を表示する。スキャンパラメータは125kV、2.5mAs、480視野/回転、および1秒あたり24フレームであった。表1250は、ROI1212(中心-円として示されている)、ROI1214(中央-破線楕円として示されている)、およびROI1216(周辺-実線楕円として示されている)の平均CT値+/-標準偏差を示す。この場合、平均値はCT番号+1000である。例示的な実施形態に使用されている画像1230(例)は、散乱線補正画像1220(Sc)と比較した場合、ノイズがはるかに大きく抑制されている。小さなコントラスト境界およびコントラストは、視覚的には2つの画像1220、1230と同一である。
【0107】
上で詳述されているように、開示された手法の実施形態は、イメージングスキャンからの患者データ(Id)および散乱線推定(Sc_est)の使用を含む、イメージングデータの散乱線補正に関する。イメージングスキャンは、X線、CT、CBCT、SPECT、PET、MRなどを含むスキャンのタイプに関連する任意の放射線イメージング機器で実施されてもよい。これらの方法を、例えばノイズおよびアーティファクト低減に関して、これらのイメージングスキャンからのイメージングデータでの散乱線補正に使用することができる。いくつかの例示的な実施形態ではCTスキャナおよびコーンビームCTスキャナを強調しているが、この手法は、例えばSPECT、PET、MR、SPECT/CT、PET/CT、PET/MRなどの散乱線補正などの補正された画像を生成するために、元々のカウントに由来する望ましくないカウント/信号の除去に基づいた画像再構成/データ処理にも適用することができる。
【0108】
種々の実施形態では、イメージングスキャンは、専用のイメージング機器または放射線治療機器に組み込まれたイメージング機器を使用して実施されてもよい。例えば、放射線治療装置は、IGRTと併用して、またはIGRTの一部に使用するためのCT用の一体型低エネルギー放射線源を使用することができる。とりわけ、例えば放射線治療装置およびそれに関連する方法は、回転(例えば、ヘリカルまたはステップアンドシュート)画像取得を使用するガントリでのイメージング用に平行化された低エネルギー放射線源と治療処置用の高エネルギー放射線源とをともに組み合わせることができる。これは、2019年11月25日に出願された「MULTIMODAL RADIATION APPARATUS AND METHODS」と題する米国特許出願第16/694,145号、および2019年11月25日に出願された、「APPARATUS AND METHODS FOR SCALABLE FIELD OF VIEW IMAGING USING A MULTI-SOURCE SYSTEM」と題する米国特許出願第16/694,148号に関するものであり、これら双方はそれらの全体を参照するものとして本明細書に援用される。これらの実施形態では、低エネルギー放射線源(例えばキロボルト(kV))は、イメージングのために、高エネルギー放射線源(例えばメガボルト(MV))の使用によるものよりも高画質の画像を生成することができる。
【0109】
イメージングデータ取得方法論には、複数回の回転スキャンが含まれるが、それ以外の場合ではこれらを使用することができる。この回転スキャンは例えば、連続スキャン(例えば、ガントリボアを通る患者サポートの長手方向の動きとともに、中心軸周りのヘリカル源軌道を有する)、患者サポートの漸次的な長手方向の動きを伴う非連続的なストップアンドリバース方式の全周スキャン、ステップアンドシュート方式の全周スキャンなどであってよい。
【0110】
種々の実施形態に従い、イメージング機器は放射線源を平行化する。これは、例えばビームフォーマを使用し、例えばコーンビームまたはファンビームにすることを含む。一実施形態では、平行化されたビームは患者が移動する間に連続して回転するガントリと組み合わされ、これによってヘリカル画像を取得することができる。
【0111】
検出器(種々の列/スライスサイズ、構成、ダイナミックレンジなどを有する)、スキャンピッチ、および/または動的コリメーションは、種々の実施形態では追加的な特徴である。これらには以下に詳述されるように、検出器の一部に選択的にばく露すること、および有効な読出し領域を選択的に定義することが含まれる。
【0112】
イメージング機器および方法によって、放射線源により放出された放射線ビームの選択的かつ可変的なコリメーションが提供され得る。これは、放射線ビームの形状を調節して、関連する放射線検出器(例えば、放射線源からの放射線を受光するように位置づけられた放射線検出器)の全体の反応性領域よりも少ない領域にばく露することを含む。検出器の一次領域のみを直射放射線にばく露することによって、検出器の斜線領域の散乱線のみを受光可能となる。検出器の斜線領域における散乱線測定(およびいくつかの実施形態では、周縁部領域の測定)を使用し、投影データを受信する検出器の一次領域の散乱線を推定することができる。
【0113】
図13および
図14を参照すると、例示的なイメージング機器10(例えば、X線イメージング機器を含むことができる)を示す。イメージング機器10は、IGRTを含むがこれに限定されない様々な用途に使用することができる放射線治療装置(
図14に示される)に関連づけられてもよい、および/または組み込まれてもよいことが理解されるであろう。イメージング機器10は、サポートユニットまたはハウジング14で支持される、またはそれ以外の場合にはこれに収容されている、ガントリ12と呼ばれる回転可能なガントリシステムを含む。本明細書のガントリは、ターゲットの周りで回転する際、1つ以上の放射線源および/または関連する検出器を支持可能である1つ以上のガントリ(例えば、リングまたはCアーム)を備えるガントリシステムを指す。回転可能なガントリ12は、イメージングおよび/または治療のため、患者を中へこれを通り移動および位置づけることが可能であるガントリボア16を画定する。一実施形態に従い、回転可能なガントリ12は、スリップリングガントリとして構成され、検出器で受信された高品質のイメージングデータ用に十分な帯域幅を提供しつつ、イメージング放射線源(X線)および関連する放射線検出器の連続回転を提供する。
【0114】
患者サポート18は、回転可能なガントリ12に隣接して位置づけられ、典型的には水平位置にて、回転可能なガントリ12中およびその内部での長手方向の動きのため、患者を支持するように構成されている。患者サポート18は、例えば、ガントリ12の回転面に対して垂直な方向(ガントリ12の回転軸に沿って、またはこれに平行)に患者を移動させることが可能である。患者および患者サポート18の動きを制御するための患者サポートコントローラに、患者サポート18を動作可能に連結することができる。機器10は、ボリュームベースおよび平面ベースのイメージングを取得可能である。例えば、種々の実施形態では、装置10を使用してボリューム画像および/または平面画像を取得し、上記の関連する処理方法を実行してもよい。
【0115】
図14に示されるように、イメージング機器10は、回転可能なガントリ12に連結される、またはそれ以外の場合にはこれに支持されるイメージング放射線源30を含む。イメージング放射線源30は、高画質の画像を生成するための放射線ビーム(32として一般には示される)を放出する。この実施形態では、イメージング放射線源はX線源30である。これはキロ電圧(kV)源(例えば、約20kV~約150kVの範囲のエネルギーレベルを有する医療用X線源)として構成されている。イメージング放射線源は、イメージングに好適である、任意のタイプの透過源であり得る。他のイメージング透過源は、他の種々の実施形態で互換可能に使用され得る。
【0116】
イメージング機器10はまた、回転可能なガントリ12に連結される、またはそれ以外の場合にはこれに支持される別の放射線源20を含むことができる。一実施形態に従い、放射線源20は、関心領域内で患者内部の腫瘍を治療するために使用される高エネルギー放射線源などの治療用放射線源として構成されている。治療用放射線源は高エネルギーX線ビーム(例えば、メガ電圧(MV)のX線ビーム)であり得ることが理解されるであろう。一般には、放射線源20はイメージング放射線源30よりも高いエネルギーレベル(ピークおよび/または平均など)を有する。
図13および
図14はリングガントリ12に取り付けられた放射線源30を備えたX線イメージング機器10を示すが、他の実施形態は、例えばCアームガントリおよびロボットアームベースのシステムを含む、他のタイプの回転可能なイメージング機器を含んでもよい。
【0117】
検出器34(例えば、2次元フラット検出器または湾曲検出器)は、回転可能なガントリ12と連結され得る、またはそれ以外の場合にはこれに支持され得る。検出器34(例えば、X線検出器)は、イメージング放射線源30から放射線を受光するように位置づけられ、源30と連動して回転することができる。検出器34は、減衰されていない放射線量を検出またはこれを測定することができる。したがって、患者または関連する患者のROI(最初に生成されたものと比較して)で実際に減衰されたものを推量することが可能である。検出器34は、放射線源30が患者の周りで回転し患者に対して放射線を放出する際には、異なる角度からの減衰データを検出、またはそれ以外の場合にはこれを収集することができる。
【0118】
コリメータまたはビームフォーマアセンブリ(36として一般には示される)は、イメージング源30に対して位置づけられ、源30により放出された放射線ビーム32の形状を選択的に制御および調節し、検出器34の反応性領域の一部または領域を選択的にばく露する。ビームフォーマはまた、どのように放射線ビーム32を検出器34上に位置づけるかを制御することができる。例えば、一実施形態では、各読出しで、約1~2センチメートルの片側または両側の非ばく露検出器領域に関して、3~4センチメートルの投影画像データをキャプチャしてもよい。これは、散乱線データをキャプチャするために使用されてもよい。
【0119】
検出器24は、回転可能なガントリ12に連結、またはそれ以外の場合にはこれで支持されており、治療用放射線源20からの放射線22を受光するようにこれを位置づけることができる。検出器24は、減衰されていない放射線量を検出またはこれを測定することができる。したがって、患者または関連する患者のROI(最初に生成されたものと比較して)で実際に減衰されたものを推量することが可能である。検出器24は、治療用放射線源20が患者の周りで回転し患者に対して放射線を放出する際には、異なる角度からの減衰データを検出、またはそれ以外の場合にはこれを収集することができる。
【0120】
治療用放射線源20は、イメージング源30と同一平面、またはこれとは異なる面(オフセット)へと取り付けられ、構成され、および/または移動されてもよい。いくつかの実施形態では、放射線源20、30の同時作動により生じた散乱線は、放射面をオフセットすることで低減され得る。
【0121】
放射線治療装置に組み込まれた場合、放射線照射方法(治療)のセットアップ(例えば、連携および/もしくは登録)、設計、ならびに/または誘導するために使用されるイメージング機器10は、画像を提供することができる。典型的なセットアップは、現在(治療中)の画像と治療前画像の情報とを比較することで達成される。治療前画像の情報は、例えば、X線、CT、CBCT、MR、PET、SPECT、および/もしくは3D回転血管造影検査(3DRA)データ、ならびに/またはこれらの機器もしくは他のイメージングモダリティから得られた任意の情報を含んでもよい。いくつかの実施形態では、イメージング機器10は治療中の患者、ターゲットまたはROIの動きを追跡することができる。
【0122】
再構成プロセッサ40は、検出器24、34に動作可能に連結されることができる。一実施形態では、再構成プロセッサ40は、上に述べたように検出器24、34で受光される放射線源20、30からの放射線に基づいて患者画像を生成させるように構成されている。再構成プロセッサ40は、本明細書に説明された方法を実行するように構成され得ることが理解されるであろう。機器10はまた、データ処理アルゴリズムおよび再構成アルゴリズム、フィルタおよびデータ処理/フィルタパラメータ、イメージングパラメータ、事前画像、またはそれ以外の場合には予め取得した画像(例えば、計画画像)、治療計画からの画像データを含むソフトウェアを含むがこれらに限定されない情報を保存する上で好適なメモリ44を含むことができる。
【0123】
イメージング機器10は、操作者/ユーザインタフェース48を含むことができる。この場合、イメージング機器10の操作者は、イメージング機器10と相互作用する、またはそれ以外の場合ではこれを制御し、スキャンまたはイメージングパラメータなどに関連する入力を提供することができる。操作者インタフェース48は、キーボード、マウス、音声起動コントローラなどの好適な任意の入力装置を含むことができる。イメージング機器10はまた、ディスプレイ52または他の対人可読要素を含み、イメージング機器10の操作者に出力を提供することができる。例えば、ディスプレイ52によって、操作者は再構成された患者画像、およびイメージングパラメータまたはスキャンパラメータなどのイメージング機器10の演算に関連する他の情報を観察することができる。
【0124】
図14に示されるように、イメージング機器10は機器10の1つ以上の構成要素と動作可能に連結されたコントローラ(60として一般には示される)を含む。コントローラ60は、電力およびタイミング信号を、イメージング源30および/または治療用放射線源20ならびに回転可能なガントリ12の回転速度および位置を制御するガントリモータコントローラに提供することを含む、機器10の全体の作動能力および操作を制御する。コントローラ60は、患者サポートコントローラ、ガントリコントローラ、治療用放射線源20および/またはイメージング源30に連結されたコントローラ、ビームフォーマ36のコントローラ、検出器24および/または検出器34に連結されたコントローラなどのうち、1つ以上を包含することができることが理解されるであろう。一実施形態では、コントローラ60は、他の構成要素、装置および/またはコントローラを制御可能であるシステムコントローラである。
【0125】
種々の実施形態では、再構成プロセッサ40、操作者インタフェース48、ディスプレイ52、コントローラ60および/または他の構成要素は、1つ以上の構成要素または装置と組み合わせられてもよい。
【0126】
機器10は種々の構成要素、論理およびソフトウェアを含んでもよい。一実施形態では、コントローラ60はプロセッサ、メモリおよびソフトウェアを含む。限定ではなく例として、イメージング機器および/または放射線治療システムは、特定の用途のため、イメージングおよび/またはIGRTに関連する1つ以上のルーチンまたはステップを実施することができる、種々の他の装置および構成要素(例えば、特にガントリ、放射線源、コリメータ、検出器、コントローラ、電源、患者サポート)を含むことができる。ルーチンには、個々の装置の設定、構成および/もしくは位置(例えば、経路/軌道)を含む、イメージング、画像ベースの照射前ステップおよび/または照射が含まれ得るが、これらはメモリ内に保存されてもよい。さらには、1つ以上のコントローラは、メモリ内に保存された1つ以上のルーチンまたはプロセスに従い、1つ以上の装置および/または構成要素を、直接的または間接的に制御することができる。直接制御の一例としては、イメージングまたは治療に関連する種々の放射線源またはコリメータのパラメータ(電力、速度、位置、タイミング、調節など)の設定がある。間接制御の一例としては、患者サポートコントローラまたは他の周辺装置へと位置、経路、速度などを伝えることが挙げられる。イメージング機器に関連する場合がある種々のコントローラのヒエラルキーは、任意の好適な方法によって取り決めることができる。これにより、所望の装置および構成要素に適切なコマンドおよび/または情報を伝達することができる。
【0127】
加えて、当業者はこのシステムおよび方法が他のコンピュータシステム構成で実施され得ることを理解するであろう。本発明の例示された態様は分散コンピュータ環境で実施され得る。この環境では、特定のタスクは通信ネットワークを介して接続されるローカルまたはリモート処理装置によって実行される。例えば一実施形態では、再構成プロセッサ40は異なるシステムに関連づけられてもよい。分散コンピュータ環境では、プログラムモジュールはローカルのメモリ保存装置とリモートのメモリ保存装置の両方に配置されてよい。例えば、リモートデータベース、ローカルデータベース、クラウドコンピュータプラットフォーム、クラウドデータベースまたはこれらの組合せは、イメージング機器10に利用することができる。
【0128】
イメージング機器10は、コンピュータを含む本発明の種々の態様を実施するための例示的な環境を利用することができる。このコンピュータは、コントローラ60(例えば、プロセッサおよびメモリを含むが、この場合、メモリはメモリ44であってもよい)ならびにシステムバスを含む。システムバスは、プロセッサに対するメモリを含むがこれに限定されないシステム構成要素に連結することができ、かつ他のシステム、コントローラ、構成要素、装置およびプロセッサと通信することができる。メモリには、リード・オンリー・メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、ハードドライブ、フラッシュドライブおよびいずれか他の形態のコンピュータ可読媒体を含むことができる。メモリは、ルーチンおよびパラメータを含む種々のソフトウェアおよびデータを保存することができる。例えば治療計画を含んでもよい。
【0129】
画質には多くの決定要素(例えば、イメージング源の焦点サイズ、検出器のダイナミックレンジなど)が存在する。イメージング手法および画質の多くを制限しているのは散乱線である。種々のアプローチを使用して散乱線を低減させることができる。アプローチの1つとしては、(散乱線を平行化する)散乱線除去グリッドを使用することが挙げられる。ただし、動体追跡および補正目的のものを含む、kVイメージングシステムへの散乱線グリッドの実装には問題がある可能性がある。上に述べたように、投影データにおける高精度の散乱線推定は、画像データの質を向上させるためには必須である。種々の実施形態では、検出器34の一次領域で取得された投影データにおける散乱線は、検出器34の斜線領域(および周縁部領域)で測定されたデータに基づいて推定することができる。
【0130】
図15は、検出器1502上へと平行化された例示的な投影1500の概略図である。放射線源1506(例えば、X線)の回転によって、y軸の周りを源1506が回転する際、源1506(例えば、ターゲットを通過して)からの直射放射線に検出器1502の一次領域または中心(C)領域1510をばく露している放射線ビーム1508を放出している様子を示している。患者サポート(図示せず)の動きは、y軸に沿った軸(長手)方向のものであり、これは上記スキャンの一部として含まれている。検出器1502はまた、ビームフォーマ/コリメータ1520による放射線ビーム1508への直接ばく露から遮断されている後方(B)斜線領域1512および前方(F)斜線領域1514を有する。ビームフォーマ/コリメータ1520は、検出器1502上へと源1506により放出された放射線ビーム1508の形状および/または位置を調節するように構成されている。斜線領域1512、1514は、散乱した放射線のみを受光する。
【0131】
コリメータ1520開口は、軸方向または長手方向(検査寝台方向またはy軸に沿って)の検出器1502の後方(B)端1512および前方(F)端1514が直射放射線1508で照らされないよう、構成されている。こうした後方(B)斜線領域1512(回転y軸に沿った負の長手方向)および前方(F)1514(回転y軸に沿った正の長手方向)斜線領域は、これらが直射放射線を受光しないことから散乱線測定に使用されることができる。例えば、検出器1502読出し範囲は、1つ以上の斜線領域1512、1514のデータの全てまたはその一部を読み出し、かつ一次領域1510で散乱線推定用のデータを使用するように構成されることができる。一次領域1510または中心(C)領域は、直射投影および散乱の両方を受ける。
【0132】
種々の実施形態では、データ処理システム(例えば、プロセッサ40を含む)は、一次領域1510における測定された投影データおよび少なくとも1つの斜線領域1512、1514における測定された散乱線データを受信するように構成されることができる。続いてこれは、少なくとも1つの斜線領域1512、1514における測定された散乱線データに基づいて一次領域1510における推定散乱線を決定する。いくつかの実施形態では、現在の回転中の一次領域1510における推定散乱線の決定は、直近の(事前および/またはその後の)回転中の少なくとも1つの斜線領域1512、1514における測定された散乱線データに基づいたものであり得る。他の実施形態では、1つ以上の周縁部領域(一次領域および斜線領域に接している)からの測定データもまた、散乱線推定に使用されてもよい。
【0133】
種々の手法および方法は、スキャンの異なる幾何学的形状、検出器の位置づけ、および/またはビームフォーマのウィンドウ形状を使用することができる。いくつかの実施形態では、検出器は横方向にもオフセットされてもよい。
【0134】
図16は、上記のものなどの散乱線推定および補正の例示的な方法1600を示すフローチャートである。入力は、任意の事前データおよび/またはスキャン設計を含むことができる。この実施形態では、ステップ1610はデータ取得を含む。例えば、ターゲットおよび放射線検出器に向けて平行化された放射線ビームを投影している放射線源が回転している中、この方法は、放射線検出器の中心(一次)領域における投影データ(一次+散乱線)を測定し、検出器の前方および/または後方斜線周辺領域を使用し、散乱線を測定する。ステップ1610におけるデータ取得はまた、スキャン前および/もしくはスキャン中にビームフォーマを用いた放射線ビームの形状/位置の調節、ならびに/または読出し領域の調節(反応性領域の決定を含む)をも含むことができる。
【0135】
次に、ステップ1620は散乱線推定を含む。例えば、この方法は、1つ以上の斜線領域の散乱線測定を使用し、中心(一次)領域の投影データにおける散乱線を推定する。続いて、ステップ1630は、上記2つの成分の手法のいずれかを含み得る散乱線補正を含む。出力は、イメージングに好適である散乱線補正した投影データを含む。種々の実施形態は、スキャンの異なる幾何学的形状、検出器の位置づけ/反応性領域、ビームフォーマの位置づけ/ウィンドウ形状などを使用することができる。
【0136】
図17は、放射線治療装置(例えば、イメージング機器10を含む)を使用したIGRTの例示的な方法1700を表すフローチャートである。事前CT画像を含み、予め取得した計画画像であってもよい患者の事前画像データ1705を利用してもよい。事前データ1705は、治療計画、ファントムの情報、モデル、先験的情報などをも含むことができる。いくつかの実施形態では、事前画像データ1705は同じ放射線治療装置で生成されるが、より早い時間に生成される。ステップ1710では、患者のイメージングは低エネルギー放射線源(例えば、X線源30からのkV放射線)を使用して実行される。一実施形態では、イメージングはファンまたはコーンビーム幾何学的形状を有するヘリカルスキャンを含む。ステップ1710は、上記の散乱線推定手法および散乱線補正手法を使用し、高品質(HQ)の1つ以上の画像またはイメージングデータ1715を生成することができる。いくつかの実施形態では、画質を調節し、画質/分解能と線量とのバランスを最適化してもよい。言い換えると、全ての画像が最高品質である必要がない。または画質を調節し、画質/分解能と画像取得時間とのバランスを最適化またはトレードオフしてもよい。イメージングステップ1710はまた、イメージングデータに基づき患者画像を生成するための画像/データ処理を含むことができる(例えば、上記方法に従う)。画像処理ステップ1720は、イメージングステップ1710の一部として示されている。いくつかの実施形態では、画像処理ステップ1720は、画像処理が異なる装置で実行される場合を含む、異なるステップである。
【0137】
次に、ステップ1730では、1つ以上の画像ベースの照射前ステップは、以下に述べられているが、ステップ1710のイメージングデータ1715に少なくとも部分的に基づき実行される。以下にさらに詳述されるように、ステップ1730は、治療処置および(その後の)イメージング計画に関連する種々のパラメータを決定することを含むことができる。いくつかの実施形態では、画像ベースの照射前ステップ(1730)は、照射(1740)前にさらに多くのイメージング(1710)を必要とすることがある。ステップ1730は、適応可能な放射線治療ルーチンの一部として、イメージングデータ1715に基づく治療計画の適合を含むことができる。いくつかの実施形態では、画像ベースの照射前ステップ1730は、リアルタイム治療計画を含んでもよい。実施形態はまた、イメージング放射線源および治療用放射線源の同時作動、重複作動および/または交互作動を含んでよい。リアルタイム治療計画は、こうしたタイプのイメージングおよび治療用放射線作動手法(同時、重複および/または交互)のいずれかまたは全てを含んでいてもよい。
【0138】
次に、ステップ1740では、治療処置の実施は、高エネルギー放射線(例えば、治療用放射線源20からのMV放射線)の源を使用して実行される。ステップ1740は、治療計画に従って患者に治療線量1745を照射する。いくつかの実施形態では、IGRT方法1700は、様々なインターバルで追加のイメージングのためのステップ1710に戻り、続いて、必要に応じて画像ベースの照射前ステップ(1730)および/または照射(1740)を含んでよい。この方式では、高品質のイメージングデータ1715は、適合可能である療法を行うことが可能である機器10を使用してIGRT中に生成および利用されてもよい。上述されるように、ステップ1710、1720、1730および/または1740は、同時に、重複して、および/または交互に実行されてもよい。
【0139】
種々の実施形態では、イメージングデータは専用のイメージング機器または放射線治療機器に組み込まれたイメージング機器を使用して生成され、上記の種々の方法は散乱線補正のために使用することができる。
【0140】
一実施形態では、CT機器は、CT画像生成用の生データ(例えば、Id)のセットを取得する回転X線源およびX線検出器、生データ中の散乱線混入を相殺/補正するため、散乱線データ(例えば、Sc_est)のセットを測定および/または生成するためのハードウェアおよび/またはソフトウェアを含む。散乱線補正なしの画像は生データから再構成され、散乱線のみの画像は散乱線データから再構成される。この実施形態では、散乱線補正なしのCT画像を再構成するため、散乱線補正なしの線積分を計算するために生データを使用することができる。散乱線データは、散乱線のみの画像を再構成するため、等式6に基づいて散乱線のみの線積分を計算するために散乱線データを使用することができる。散乱線補正なしの画像および散乱線のみの画像は独立して処理されるが、後者はより高いノイズを理由としてさらに大量にフィルタリングされる。処理された散乱線補正なしの画像および処理された散乱線のみの画像を組み合わせ、散乱線補正した最終CT画像を作成することができる。
【0141】
別の実施形態では、ボリューム画像の減算を使用し、散乱線のみの画像を生成してもよい。ここでは、散乱線データは生データとともに使用され、散乱線補正画像を再構成するために散乱線補正した線積分を生成する。生データを使用し、散乱線補正なしの画像を再構成するために散乱線補正なしの線積分を計算することができる。散乱線補正なしの画像を散乱線補正画像から減算し、散乱線のみの画像を取得することができる。散乱線補正なしの画像および散乱線のみの画像は独立して処理されるが、後者はより高いノイズを理由としてさらに大量にフィルタリングされる。処理された散乱線補正なしの画像および処理された散乱線のみの画像をともに組み合わせ、散乱線補正した最終CT画像を作成することができる。
【0142】
種々の実施形態では、画像中のエッジを維持しつつ、散乱線補正なしの画像を使用して散乱線のみの画像の処理を誘導し、散乱線のみの画像の有効なノイズおよびアーティファクト低減を得ることができる。例えば、フィルタは、散乱線のみの画像フィルタのカーネルウェイトを決定するために散乱線補正なしの画像中のボクセル差を使用するガウシアンフィルタであることができる。この方式では、散乱線のみの画像中の対応するエッジを維持するため、散乱線補正なしの画像中のエッジ情報が使用される。散乱線補正なしの画像はまた、より高度なエッジ維持処理スキームで使用され、散乱線のみの画像の処理を向上することができる。例えば、散乱線のみの画像の処理は、散乱線補正なしの画像で取得された異方性微分フィルタパラメータに基づくものであり得る。
【0143】
別の実施形態では、異なる再構成スキームを使用して散乱線補正なしの画像および散乱線のみの画像を再構成することができる。例えば、散乱線補正なしの画像は散乱線のみの画像以外に高分解能カーネルを使用して再構成することができ、散乱線のみの画像はカスタマイズされたストリーク状アーティファクト低減アルゴリズムを使用して再構成することができる。散乱線のみの画像は、再構成時間を高速化するために異なるグリッドを使用して再構成することができる。例えば、散乱線補正なしの画像再構成は512×512の行列を使用する場合、散乱線のみの画像再構成は、再構成時間を高速化するために再構成用の256×256の行列を使用することができる。再構成された散乱線のみの画像は、散乱線補正なしの画像と同一のグリッドに再度サンプリングすることができる。続いて散乱線補正なしの画像を使用し、散乱線のみの画像の処理を誘導することができる。得られた散乱線のみの画像を散乱線補正なしの画像と組み合わせ、散乱線補正した最終的な画像を作成することができる。
【0144】
例示的な実施形態のうちいくつかで強調されたCT環境に加え、他の種々の実施形態では、散乱線を含む生データ(例えば、Id)および散乱線データ(例えば、Sc_est)を取得または生成する様々なイメージング機器は、SPECT、PETなどの生データを補正するために散乱線データを使用することができる。線積分を等式6と同様に、散乱線補正なしの成分と散乱線補正による成分とを線形結合に分解可能な場合、散乱線データを使用して線積分を修正/補正することができる。散乱線補正なしの画像は、散乱線のみの画像よりもノイズが低い。2つの画像は、両方の質を最適化するために異なる方法で再構成可能であり、再構成後にこれらを組み合わせて最終的な画像を取得することができる。再構成された散乱線補正なしの画像および散乱線のみの画像は、両方の質を最適化するために独立して処理され、その後これらを組み合わせて最終的な画像を取得することができる。散乱線補正なしの画像もまた誘導画像として使用し、散乱線のみの画像を処理する場合、フィルタリングカーネルのウェイトを決定することができる。
【0145】
散乱線のみの画像の処理を誘導する(すなわち、画像ドメインで操作する)ために散乱線補正なしの画像を使用する実施形態に加えて、他の実施形態はデータドメインで操作することができる。これらの実施形態では、生成された散乱線のみの成分の線積分の処理は、散乱線のみの成分におけるエッジを維持するための誘導データとしての散乱線補正なしの成分の線積分データに基づいたものであり得る。得られた散乱線のみの成分の線積分は、散乱線補正なしの成分の線積分とは別々に、またはこれとともに再構成されることができる。
【0146】
種々の実施形態では、生データ(例えば、Id)および測定された散乱線データ(例えば、Sc_est)をともに使用して散乱線補正画像を再構成し、生データを使用し、画像を取得するために種々の再構成アルゴリズムを使用して散乱線補正なしの画像を再構成する。いくつかの実施形態では、再構成は分析的再構成であり得る。いくつかの実施形態では、再構成は反復再構成であり得る。種々の実施形態では、散乱線のみの画像は、散乱線補正なしの画像と別に処理(フィルタリング、アーティファクト低減などを含む)され、続いて最終的な画像を取得するために散乱線補正なしの画像と組み合わせられる。いくつかの実施形態では、散乱線のみの画像は散乱線補正画像から散乱線補正なしの画像を減算することで生成される。さらには、散乱線補正なしの画像を使用し、最適なノイズおよびアーティファクト低減、ならびにエッジ維持のために散乱線のみの画像の処理を誘導することができる。
【0147】
一般に、種々の実施形態では、上記手法は任意のイメージング機器に適用することができる。また、画像再構成用の線積分を変更する任意の補正アプローチは、画像再構成用の線積分を変更する補正項を生成する(例えば、これは画像ノイズおよびアーティファクトの増大につながる)。例えば、補正項は、フラットパネル検出器を使用したコーンビームCTにおいて時間差補正項であり得る。例えばコーンビームCTにおける時間差補正項および散乱線補正などの複数の補正項は、再構成のために線積分を共同して変更させるが、一方で等式6と同様に、補正のあるなしに関わらず線積分を2つの成分に分解することができる。上記方法を使用し、質および性能が向上した最終的な画像を取得することができる。
【0148】
開示された手法は、ある特定の態様、1つ以上の実施形態に関して示され説明されてきたが、本明細書および添付の図面を読んで理解した際に、同じような変更および修正が当業者に思い浮かぶことは明らかである。とりわけ上記要素(構成要素、アセンブリ、装置、部材、組成物など)で遂行される種々の機能に関して、かかる要素を説明するために使用される用語(「手段」に対する参照を含む)は、特段指示しない限り、本明細書に示されている例示的な態様、開示された手法の1つ以上の実施形態の機能を遂行する、開示された構造と構造的に同等ではなかったとしても、説明された要素のうち、特定の機能を遂行する任意の要素に対応することを意図している。加えて、開示された手法の特定の特徴は、いくつかの例示された態様または実施形態のうちの1つ以上のみに関して上で記載されている場合があるが、かかる特徴は、任意の所与または特定の用途にとって望ましく有利であり得るように、他の実施形態の1つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。
【0149】
本明細書で説明されている実施形態が上述のシステムおよび方法に関連しているが、これらの実施形態は例示的であることを意図しており、これらの実施形態の適用可能性を本明細書に記載した説明のみに限定することを意図するものではない。本発明はその実施形態の説明によって例示され、かつ実施形態をある程度詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲をかかる詳細部分に限定または何らかの方法で限定することは、本出願人の意図するところではない。さらなる利点および修正は、当業者には容易に明らかであるだろう。したがって、より広い角度における発明は、示され説明された特定の詳細部分、代表的な機器および方法、ならびに例示的な例に限定されない。したがって、出願人の一般的な発明概念の精神または範囲から逸脱することなく、かかる詳細部分から展開させることができる。
【0150】
実施形態
以下は、本開示の態様に従った例示的な実施形態の非網羅的な一覧である。
1.放射線イメージング機器であって、
放射線を放出するための放射線源と、
放射線源からの放射線を受光し、かつ放射線データを生成するために位置づけられた放射線検出器であって、放射線データが一次成分および散乱線成分を含む、放射線検出器と、
データ処理システムであって、
放射線データの受信、
放射線データに基づき、かつ第1のデータ処理手法を使用した、散乱線補正なしの画像の生成、
放射線データの散乱線成分の推定、
散乱線推定に基づき、かつ第1のデータ処理手法とは異なる第2のデータ処理手法を使用した、散乱線のみの画像の生成、ならびに
散乱線補正なしの画像および散乱線のみの画像に基づく画像の生成、
を行うように構成されたデータ処理システムと、を備える、放射線イメージング機器。
2.放射線源が放射線ビームを放出する回転X線源を備え、
放射線検出器が、X線源からの放射線を受光するように位置づけられたX線検出器を備え、
機器が、
X線源によって放出された放射線ビームの形状を調節するように構成されたビームフォーマであって、X線検出器の一次領域が放射線ビームに直接ばく露し、X線検出器の少なくとも1つの斜線領域が、ビームフォーマにより放射線ビームへの直接ばく露から遮断されているビームフォーマをさらに備える、
実施形態1に記載のイメージング機器。
3.放射線データの散乱線成分の推定が、少なくとも1つの斜線領域の測定された散乱線データに基づいている、実施形態1および実施形態2のいずれか1つに記載のイメージング機器。
4.散乱線補正なしの画像の生成が放射線データの再構成を含み、
散乱線のみの画像の生成が、
放射線データおよび散乱線推定に基づく散乱線補正画像の再構成、ならびに
散乱線補正画像からの散乱線補正なしの画像の減算を含む、
実施形態1~3のいずれか1つに記載のイメージング機器。
5.散乱線補正なしの画像の生成が放射線データの再構成を含み、第1のデータ処理手法が第2のデータ処理手法よりも高分解能のカーネルを含み、
散乱線のみの画像の生成が、ストリーク状アーティファクト低減アルゴリズムを使用する散乱線推定の再構成を含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載のイメージング機器。
6.散乱線補正なしの画像の生成が第1のグリッドを使用する放射線データの再構成を含み、
散乱線のみの画像の生成が、
第1のグリッドよりも速い再構成時間に関連づけられた第2のグリッドを使用する散乱線のみの画像の再構成と、
第1のグリッドを使用する再構成された散乱線のみの画像の再サンプリングと、
散乱線補正なしの画像に基づいて決定される第3のデータ処理手法に基づいた散乱線のみの画像の処理と、を含む、
実施形態1~3のいずれか1つに記載のイメージング機器。
7.第1のデータ処理手法が高分解能カーネルを含み、第2のデータ処理手法が平滑化カーネルを含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載のイメージング機器。
8.第2のデータ処理手法が、散乱線補正なしの画像に基づいて決定される、実施形態1~6のいずれか1つに記載のイメージング機器。
9.散乱線補正なしの画像に基づいて決定される第3のデータ処理手法に基づいた散乱線のみの画像の処理をさらに含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載のイメージング機器。
10.第3のデータ処理手法が、第3のデータ処理手法のカーネルウェイトを決定するために散乱線補正なしの画像のボクセル差を使用するガウシアンフィルタを含む、実施形態9に記載のイメージング機器。
11.散乱線のみの画像の処理が、散乱線のみの画像を処理するために、散乱線補正なしの画像から取得された異方性微分フィルタパラメータの使用を含む、実施形態9および10のいずれか1つに記載のイメージング機器。
12.第1のデータ処理手法が、散乱線補正なしの画像の再構成前に放射線データに適用され、第2のデータ処理手法が、散乱線のみの画像の再構成前に散乱線推定に適用される、実施形態1~11のいずれか1つに記載のイメージング機器。
13.放射線画像を生成する方法であって、
放射線イメージング機器から、一次成分と散乱線成分を含む放射線データを受信することと、
放射線データに基づき、第1のデータ処理手法を使用して散乱線補正なしのデータセットを生成することと、
放射線データの散乱線成分を推定することと、
散乱線推定に基づき、第1のデータ処理手法と異なる第2のデータ処理手法を使用して散乱線のみのデータセットを生成することと、
散乱線補正なしのデータセットおよび散乱線のみのデータセットに基づき画像を生成することと、を含む、方法。
14.放射線データに基づき、第1のデータ処理手法を使用して散乱線補正なしのデータセットを生成することが、
散乱線補正なしの線積分を生成することと、
第1のデータ処理手法を使用して散乱線補正なしの線積分を再構成かつ処理し、散乱線補正なしの画像を生成することと、を含み、
散乱線推定に基づき、第2のデータ処理手法を使用して散乱線のみのデータセットを生成することが、
散乱線のみの線積分を生成することと、
第2のデータ処理手法を使用して再構成された散乱線のみの線積分を再構成かつ処理し、散乱線のみの画像を生成することと、を含み、かつ
散乱線補正なしのデータセットおよび散乱線のみのデータセットに基づき画像を生成することが、散乱線のみの画像を散乱線補正なしの画像に追加することを含む、
実施形態13に記載の方法。
15.第2のデータ処理手法が散乱線補正なしの画像に基づく、実施形態13および14のいずれか1つに記載の方法。
16.放射線データに基づき、第1のデータ処理手法を使用して散乱線補正なしのデータセットを生成することが、
散乱線補正なしの線積分を生成することと、
第1のデータ処理手法を使用して再構成された散乱線補正なしの線積分を再構成かつ処理し、散乱線補正なしの画像を生成することと、を含み、
散乱線推定に基づき、第2のデータ処理手法を使用して散乱線のみのデータセットを生成することが、
散乱線補正した線積分を生成することと、
散乱線補正した線積分を再構成することと、
再構成された散乱線補正なしの線積分と再構成された散乱線補正した線積分との差を決定することと、
第2のデータ処理手法を使用して差を処理し、散乱線のみの画像を生成することと、を含み、かつ
散乱線補正なしのデータセットおよび散乱線のみのデータセットに基づき画像を生成することが、散乱線のみの画像を散乱線補正なしの画像に追加することを含む、
実施形態13に記載の方法。
17.放射線データに基づき、第1のデータ処理手法を使用して散乱線補正なしのデータセットを生成することが、
散乱線補正なしの線積分を生成することと、
第1のデータ処理手法を使用して散乱線補正なしの線積分を再構成かつ処理し、散乱線補正なしの画像を生成することと、を含み、
散乱線推定に基づき、第2のデータ処理手法を使用して散乱線のみのデータセットを生成することが、
散乱線のみの線積分を生成することと、
第2のデータ処理手法を使用して散乱線のみの線積分を再構成かつ処理し、散乱線のみの画像を生成することと、を含み、かつ
散乱線補正なしのデータセットおよび散乱線のみのデータセットに基づき画像を生成することが、散乱線のみの画像を散乱線補正なしの画像に追加することを含む、
実施形態13に記載の方法。
18.放射線データに基づき、第1のデータ処理手法を使用して散乱線補正なしのデータセットを生成することが、
散乱線補正なしの線積分を生成することと、
第1のデータ処理手法を使用して散乱線補正なしの線積分を再構成かつ処理し、散乱線補正なしの画像を生成することと、を含み、
散乱線推定に基づき、第2のデータ処理手法を使用して散乱線のみのデータセットを生成することが、
散乱線補正した線積分を生成することと、
散乱線補正した線積分を再構成し、散乱線補正画像を生成することと、
再構成された散乱線補正なしの線積分と再構成された散乱線補正した線積分との差を決定することと、
第2のデータ処理手法を使用して差を処理し、散乱線のみの画像を生成することと、を含み、かつ
散乱線補正なしのデータセットおよび散乱線のみのデータセットに基づき画像を生成することが、散乱線のみの画像を散乱線補正なしの画像に追加することを含む、
実施形態13に記載の方法。
19.放射線データに基づき、第1のデータ処理手法を使用して散乱線補正なしのデータセットを生成することが、
散乱線補正なしの線積分を生成することと、
第1のデータ処理手法を使用して散乱線補正なしの線積分を処理することと、を含み、
散乱線推定に基づき、第2のデータ処理手法を使用して散乱線のみのデータセットを生成することが、
散乱線のみの線積分を生成することと、
第2のデータ処理手法を使用して散乱線のみの線積分を処理することと、を含み、かつ、
散乱線補正なしのデータセットおよび散乱線のみのデータセットに基づき画像を生成することが、
処理した散乱線補正なしの線積分と処理した散乱線のみの線積分との差に基づき一次データの線積分を分離することと、
一次データの線積分を再構成し、画像を生成することと、を含む、
実施形態13に記載の方法。
20.放射線治療装置であって、
患者サポートの周りに少なくとも部分的に位置づけられた回転可能なガントリシステムと、
回転可能なガントリシステムに連結され、治療用放射線源として構成されている第1の放射線源と、
回転可能なガントリシステムに連結され、治療用放射線源よりも低いエネルギーレベルを有するイメージング放射線源として構成されている第2の放射線源と、
回転可能なガントリシステムに連結され、第2の放射線源から放射線を受光するように位置づけられた放射線検出器と、
データ処理システムであって、
一次成分および散乱線成分を含む放射線データの受信、
放射線データに基づき、第1のデータ処理手法を使用した散乱線補正なしのデータセットの生成、
放射線データの散乱線成分の推定、
散乱線推定に基づき、第1のデータ処理手法と異なる第2のデータ処理手法を使用した散乱線のみのデータセットの生成、
散乱線補正なしのデータセットおよび散乱線のみのデータセットに基づいた画像の生成、ならびに
適合するIGRT中の画像に基づき、第1の放射線源を介した、患者へのある線量の治療用放射線の照射、
を行うように構成されたデータ処理システムと、を備える、放射線治療装置。
【国際調査報告】