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特表2023-518062歪みセンサを備えるパッシブ型無線周波数識別タグのための回路および回路を製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】歪みセンサを備えるパッシブ型無線周波数識別タグのための回路および回路を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/07 20060101AFI20230420BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20230420BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20230420BHJP
   H04B 1/59 20060101ALI20230420BHJP
   H04B 5/02 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
G06K19/07 170
G08C19/00 G
G08C17/00 Z
G06K19/07 090
G06K19/07 230
H04B1/59
H04B5/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555988
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(85)【翻訳文提出日】2022-11-10
(86)【国際出願番号】 FR2021050437
(87)【国際公開番号】W WO2021186128
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】2002676
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521380627
【氏名又は名称】アシン
【氏名又は名称原語表記】ASYGN
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲイネ、リオネル
(72)【発明者】
【氏名】ドローム、ニコラ
【テーマコード(参考)】
2F073
5K012
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AB01
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CD11
2F073DD01
2F073EE12
2F073EE13
2F073FF01
2F073FF13
2F073FG04
2F073GG01
2F073GG07
5K012AB01
5K012AE13
(57)【要約】
本発明は、読み取り信号を発するリーダと無線通信するように構成されたUHF帯域で動作するパッシブ型無線識別タグのための回路(1)に関する。回路は、歪みを測定するための1つ以上のトランスデューサと、トランスデューサ測定値を取得するように構成された第1のサブ回路(43)と、取得した測定値をリーダに無線で送信するように構成された第2のサブ回路(2、3)とを備える単一のチップとして製造される。さらに、本発明は、システムおよび方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み取り信号を発するリーダと無線通信するように構成されたUHF帯域で動作するパッシブ型無線識別タグのための回路(1)であって、
前記回路は、歪みを測定するための少なくとも1つの機械的歪みセンサを備える少なくとも1つのトランスデューサ(51)と、トランスデューサ測定値を取得するように構成された第1のサブ回路(52、53、54、55、56、43)と、前記取得した測定値を前記リーダに無線で送信するように構成された第2のサブ回路(2、3)とを備える単一のチップとして製造されている、回路。
【請求項2】
前記チップは、単一の集積回路および/または単一のチップを構成し、さらには/あるいは前記トランスデューサ(51)、前記第1のサブ回路(52、53、54、55、56、43)、および前記第2のサブ回路(2、3)は、前記チップへと統合されている、
請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記トランスデューサは、とくにはピエゾ抵抗型の歪みセンサであり、さらには/あるいは前記トランスデューサは、直交歪みに敏感な2つのトランジスタによって具体化された少なくとも1つの歪みセンサを備え、さらには/あるいは
前記トランスデューサは、少なくとも1つの正の電流変動歪みセンサおよび少なくとも1つの負の電流変動歪みセンサを備え、さらには/あるいは
前記トランスデューサは、直列な2つ以上の歪みセンサを備える、
請求項1または2に記載の回路。
【請求項4】
前記第1のサブ回路は、前記トランスデューサに供給電流を供給するように構成された要素(55、56)を備える、
請求項1~3のいずれか一項に記載の回路。
【請求項5】
前記第1のサブ回路は、前記トランスデューサの出力信号のコモンモード電流キャンセルを実行するように構成された要素(52)を備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載の回路。
【請求項6】
前記トランスデューサが正の電流変動歪みセンサおよび負の電流変動歪みセンサを備える場合に、前記第1のサブ回路は、前記正および負の2つの歪みセンサの出力信号の間の差動信号を、とくにはコモンモード電流をそれぞれキャンセルした後に生成するように構成された要素(53)を備える、
請求項1~5のいずれか一項に記載の回路。
【請求項7】
前記第1のサブ回路は、前記トランスデューサの出力信号を変換または前記差動信号を変換するように構成されたI/V変換器(54)を備える、
請求項6に記載の回路。
【請求項8】
前記I/V変換器は、電流信号を電圧信号に変換するように構成され、さらには/あるいは前記I/V変換器は、受動型変換器であり、差動電圧信号を生成するように構成される、
請求項7に記載の回路。
【請求項9】
前記第1のサブ回路は、前記トランスデューサ測定値、とくには前記I/V変換器の出力信号をデジタル化するように構成されたアナログ-デジタル変換器(ADC)(43)を備える、
請求項7または8に記載の回路。
【請求項10】
前記リーダは、電力回復フェーズと通信フェーズとを含む周期的な読み取り信号を発し、
前記回路、とりわけ第2のサブ回路は、
前記電力回復フェーズにおいて電波から電力のリザーブを蓄積し、前記通信フェーズにおいて前記リーダと通信するように構成された指令デバイス(31)
を備え、
前記電力回復フェーズは、前記回路が前記トランスデューサ(51)に電力を供給し、前記トランスデューサ(51)の測定値を取得し、I/V変換し、デジタル化する取得フェーズを含む、
請求項1~9のいずれか一項に記載の回路。
【請求項11】
前記指令デバイス(31)は、
前記デジタル化されたトランスデューサの測定値を、同一周期の前記通信フェーズにおいて前記リーダに送信する
ようにさらに構成される、
請求項10に記載の回路。
【請求項12】
前記回路は、外部アナログセンサを接続するためのインターフェース(4)をさらに備え、
前記インターフェースは、
前記外部アナログセンサに電気を接続および供給し、前記アナログセンサのアナログ測定値を取得するように構成された電気接続部と、
前記アナログセンサのアナログ測定値の信号を増幅するように構成された増幅器(42)と
を備え、
前記アナログ-デジタル変換器(ADC)(43)は、前記アナログセンサの前記増幅されたアナログ測定値をデジタル化するように構成され、
前記指令デバイス(31)は、
前記取得フェーズにおいて前記アナログセンサの前記増幅およびデジタル化された測定値を取得するために前記インターフェースに供給を行い、
同一周期の前記通信フェーズにおいて前記リーダにデジタル化された測定値を送信する
ようにさらに構成される、
請求項11に記載の回路。
【請求項13】
前記指令デバイスは、
ブートフェーズにおいてブートする
ように構成され、前記ブートフェーズは、前記取得フェーズの前かつ同じ前記電力回復フェーズの最中である、
請求項10~12のいずれか一項に記載の回路。
【請求項14】
前記電力回復フェーズは、前記ブートフェーズの前に、前記回路をオフにし、もっぱら前記電波から電力のリザーブを蓄積する初期電力の回復のフェーズを含む、
請求項13に記載の回路。
【請求項15】
前記電力回復フェーズは、前記ブートフェーズと前記取得フェーズとの間に、前記回路をオフにし、もっぱら前記電波から電力のリザーブを蓄積する第1の中間電力回復フェーズをさらに含む、
請求項11または12に記載の回路。
【請求項16】
前記電力回復フェーズは、前記取得フェーズの後かつ前記通信フェーズの前に、前記回路をオフにし、もっぱら前記電波から電力のリザーブを蓄積する第2の中間電力回復フェーズをさらに含む、
請求項11~13のいずれか一項に記載の回路。
【請求項17】
前記指令デバイスは、もっぱら前記取得フェーズにおいて前記インターフェースに供給を行うように構成される、
請求項10に記載の回路。
【請求項18】
UHF帯域で動作するパッシブ型無線識別システムであって、
周期的な読み取り信号を発し、前記読み取り信号の周期は電力回復フェーズおよび通信フェーズを含むリーダと、
請求項1~17のいずれか一項に記載の回路と
を備えるパッシブ型無線識別システム。
【請求項19】
読み取り信号を発するリーダと無線通信するように構成されたUHF帯域で動作するパッシブ型無線周波数識別タグのための回路(1)を製造するための方法であって、
前記回路は、歪みを測定するための少なくとも1つのトランスデューサ(51)と、トランスデューサ測定値を取得するための第1のサブ回路(52、53、54、43)と、前記取得した測定値を前記リーダに無線で送信するための第2のサブ回路(2、3)とを備える単一のチップとして製造される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばRFID形式の非接触デバイスであって、外部電源を必要とせずに長期間にわたってイベントを記録するためのセンサを備える非接触デバイスに関する。本発明は、とくには、周期的な読み取り信号を発するリーダと無線で通信するように構成され、読み取り信号の周期は、電力回復フェーズおよび通信フェーズを含むUHF帯域で動作するパッシブ型無線識別タグのための回路に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術に知られているやり方で、RFID(無線周波数識別)形式の回路は、マーカとしても知られるRFIDタグとして機能することができ、監視対象物に組み合わせられる。回路は、例えば周囲温度、湿度、または加速度など、この対象に関する少なくとも特定の物理的パラメータを測定するためのセンサを備え、あるいは随意により、そのようなセンサとインターフェースによって接続される。
【0003】
回路は、一般に、監視対象物または監視対象物に一体化されたデバイスに接着される接着ラベルの形態をとる。監視対象物は、例えば、少なくとも1つの物理的パラメータを測定することによって監視される必要がある産業機器、商品、製品、または生物である。
【0004】
一般に、そのような非接触デバイスは、測定モジュールによって取得された測定値を記憶することができるメモリ記憶モジュールと、これらの測定値を電磁信号を介して質問器へと送信することができるアンテナと、とくには測定モジュールへの供給のための電力源とを含む。
【0005】
そのようなシステムは、慣例的に、RFIDリーダまたは質問器と、追跡すべき物体に取り付けられ、あるいは固定されるRFID回路(または、タグ)(あるいは、複数の回路)を備える非接触デバイスとを備える。RFIDリーダは、一般に、問い合わせ信号としても知られるUHF信号をRFID回路へと発する。UHF信号の使用は、以下の利点、すなわち高い通信速度および多数のタグと同時に通信する可能性を有する。
【0006】
この目的のために、非接触デバイスは、少なくとも1つの物理的パラメータを測定するための1つ以上のセンサを備える。センサを、例えば機械的な歪みを電気に変換するなど、或る物理信号を別の物理信号に変換するトランスデューサとして構成することができる。
【0007】
多数の種類のセンサが知られており、例えば、歪みセンサが、B.Rue,B.Olbrechts,J.-.Raskin and D.Flandre,’’A SOI CMOS smart strain sensor,’’ IEEE 2011 International SOI Conference,Tempe,AZ,2011,pp.1-2によって説明されている。このような歪センサを、監視対象物の変形または歪みを測定するために使用することができる。
【0008】
これらのシステムにおいて使用されるRFIDタグは、慣習的に、パッシブ型タグであり、すなわち電池または電力貯蔵手段を含まない。これらのタグは、リーダ信号の搬送波に含まれる電力を使用して、リーダ信号の変調版をRFIDリーダへと送り返す。問い合わせ信号の電力の少なくとも一部が、集電デバイスによって回収され、タグの構成要素に供給される。パッシブ型タグは、軽量であり、面倒がなく、寿命が長いという利点を有する。
【0009】
パッシブ型RFIDタグは、例えば、仏国特許出願公開第3015729号明細書に記載され、あるいはC.Felini et.al.’’Fully RF Powered UHF-RFID Sensors Platform’’,Procedia Engineering 87(2014)1346-1349によって説明されている。RFIDタグは、米国特許出願公開第20080136619号明細書、米国特許出願公開第20130099897号明細書、米国特許第6720866号明細書、中国特許出願公開第104361388号明細書、米国特許第9789738号明細書、または米国特許出願公開第20100231407号明細書からも知られている。
【0010】
しかしながら、UHF問い合わせ信号とパッシブ型タグとの併用は、パッシブ型タグが回収する電力に限りがあるため、(とりわけ回路がセンサに接続されている場合に)読み取り距離が短く、例えば20cmに満たないという欠点を有する。この状況において、インターフェースによって回路に接続された外部センサの使用は、とりわけ、このセンサが個別の電子機器(または、デジタルコンポーネント)を備え、インターフェースがデジタルインターフェース(例えば、SPIまたはI2C)であり、かつ/または外部センサの信号を取得するためのチャネルが過度の電力を消費する場合に、電力の大部分を消費する可能性がある。さらに、読み出し時間がきわめて長くなり、例えば500msを超えて続く可能性がある。さらに、インターフェースによって接続された回路および外部センサを備えるシステムは、デジタルインターフェースが使用される場合に、質量およびサイズが大きくなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】仏国特許出願公開第3015729号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第20080136619号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第20130099897号明細書
【特許文献4】米国特許第6720866号明細書
【特許文献5】中国特許出願公開第104361388号明細書
【特許文献6】米国特許第9789738号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第20100231407号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】B.Rue,B.Olbrechts,J.-.Raskin and D.Flandre,’’A SOI CMOS smart strain sensor,’’ IEEE 2011 International SOI Conference,Tempe,AZ,2011,pp.1-2
【非特許文献2】C.Felini et.al.’’Fully RF Powered UHF-RFID Sensors Platform’’,Procedia Engineering 87(2014)1346-1349
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、上述の欠点のすべてまたは一部を軽減し、とくには少ない電力消費で迅速な歪み測定を可能にすることである。さらに、本発明は、例えば最大5メートルの長い読み取り距離ならびに小さな寸法のインターフェースによって接続された回路および外部センサを備える非接触デバイスを可能にするという目的を有する。さらに、本発明は、EPC UHF Gen 2 Air Interfaceプロトコルへの準拠を目的とする。
【0014】
この目的のために、本発明は、読み取り信号を発するリーダと無線通信するように構成されたUHF帯域で動作するパッシブ型無線識別タグのための回路を提供する。回路は、歪みを測定するための1つ以上のトランスデューサと、トランスデューサ測定値を取得するように構成された第1のサブ回路と、取得した測定値をリーダに無線で送信するように構成された第2のサブ回路とを備える単一のチップとして製造される。
【0015】
チップ(または、ダイ)を、単一の集積回路および/または単一のチップと考えることができ、さらには/あるいはトランスデューサ、第1のサブ回路、および第2のサブ回路は、(同じ集積回路内の)チップへと統合されている。
【0016】
結果として、トランスデューサを第1のサブ回路および第2のサブ回路と共にチップに統合することにより、測定値を、少ない電力消費(例えば、1μA以下)でより迅速に(例えば、1500μs以下の間に)取得してリーダに送信することができる。したがって、(とくには消費の削減ゆえに)読み取り距離を例えば最大5メートルまで延ばすこと、および非接触デバイスの寸法(サイズ)を縮小することが可能である。
【0017】
トランスデューサを、例えばピエゾ抵抗型の歪みセンサと考えることができ、さらには/あるいはトランスデューサを、回路に加わる機械的な歪みを測定するように構成することができ、さらには/あるいはトランスデューサは、直交歪みに敏感な2つのトランジスタによってもたらされる少なくとも1つの歪みセンサを備えることができ、さらには/あるいはトランスデューサは、少なくとも1つの正の電流変動歪みセンサおよび少なくとも1つの負の電流変動歪みセンサを備えることができ、さらには/あるいはトランスデューサは、直列な2つ以上の歪みセンサを備えることができる。
【0018】
直交トランジスタを用いることにより、構成要素がXY平面内の2つ方向に沿って被る歪みを測定することが可能になる。
【0019】
とくに、トランスデューサは、少なくとも1つの(そのような)正の電流変動歪みセンサと、少なくとも1つの(そのような)負の電流変動歪みセンサとを備えることができる。
【0020】
例えば、トランスデューサは、直列な2つ(または、さらに多数)の正の電流変動歪みセンサと、直列な2つ(または、さらに多数)の負の電流変動歪みセンサとを備えることができる。
【0021】
直列な歪みセンサを使用することにより、歪みを測定するためのトランスデューサの感度を改善(掛け算)することが可能になる。
【0022】
第1のサブ回路は、トランスデューサに供給電流を供給するように構成された(第1の)要素を備えることができる。この要素は、随意により所定の電流利得でバイアス電流を設定することができる。
【0023】
第1のサブ回路は、トランスデューサまたは各々の正/負の電流変動歪みセンサの出力信号のコモンモード電流キャンセルを実行するように構成された(第2の)要素をさらに備えることができる。これにより、コモンモードを除くトランスデューサ信号の変動に起因する電流のみを考慮することが可能になる。したがって、測定信号のレンジを大きくすることができる。
【0024】
トランスデューサが正の電流変動歪みセンサおよび負の電流変動歪みセンサを備える場合に、第1のサブ回路は、これら2つの歪みセンサの出力信号の間の差動信号を、とくにはコモンモード電流をそれぞれキャンセルした後に生成するように構成された(第3の)要素を備えることができる。これは、測定信号のレンジの拡大をさらに可能にする。
【0025】
第1のサブ回路は、トランスデューサの出力信号または作動信号を変換するように構成されたI/V変換器を備えることができる。
【0026】
I/V変換器は、電流信号を電圧信号に変換するように構成されてよい。
【0027】
I/V変換器は、受動型変換器であってよく、差動電圧信号を生成するように構成されてよい。
【0028】
したがって、変換器は、元の電流信号の代わりに、電圧信号に基づくことを可能にする。
【0029】
第1のサブ回路は、トランスデューサ測定値、とくにはI/V変換器の出力信号をデジタル化するように構成されたアナログ-デジタル変換器(ADC)を備えることができる。このデジタル化された信号を、回路(および/または、第2のサブ回路)の指令デバイスによって受信し、(例えば、アンテナによって)リーダに送信することができる。
【0030】
リーダは、電力回復フェーズと通信フェーズとを含む周期的な読み取り信号を発することができる。回路、とりわけ第2のサブ回路は、電力回復フェーズにおいて電波から電力のリザーブを蓄積し、通信フェーズにおいてリーダと通信するように構成された指令デバイスを備えることができ、電力回復フェーズは、回路がトランスデューサに電力を供給し、トランスデューサ測定値を取得し、I/V変換し、デジタル化する取得フェーズを含む。
【0031】
指令デバイスを、デジタル化されたトランスデューサの測定値を、同一周期の通信フェーズにおいてリーダに送信するようにさらに構成することができる。
【0032】
電力回復フェーズの最中であり、したがって通信フェーズの前であり、したがって周期的な読み取り信号の単一の周期中である取得フェーズにおいて測定値を取得、変換、およびデジタル化することができるため、この測定値を、この通信フェーズにおいて、すなわち同一周期の最中に、リーダに直接送信することができる。結果として、回路の応答時間を短縮することができる。したがって、いくつかの外部回路をきわめて迅速に読み取る(問い合わせる)ことが可能である。例えば、本発明による回路を備える物体をクレート内にまとめて配置し、各々をきわめて迅速に読み取ることができる。
【0033】
回路は、(少なくとも)1つの外部アナログセンサを接続するためのインターフェースをさらに備えることができる。インターフェースは、外部アナログセンサに電気を接続および供給し、センサのアナログ測定値を取得するように構成された電気接続部と、センサのアナログ測定値の信号を増幅するように構成された増幅器とを備えることができる。アナログ-デジタル変換器(ADC)を、センサの増幅されたアナログ測定値をデジタル化するように構成することができる。電力回復フェーズは、インターフェースが外部アナログセンサに電力を供給し、センサの測定値を取得、増幅、およびデジタル化する取得フェーズを含むことができる。
【0034】
指令デバイスを、取得フェーズにおいて増幅およびデジタル化された測定値を取得するためにインターフェースに電力を供給し、同一周期の通信フェーズにおいてリーダに増幅およびデジタル化された測定値を送信するようにさらに構成することができる。
【0035】
結果として、そのようなインターフェースにより、追加の電子部品/回路を備えるデジタルセンサと比べて少ない電力しか消費しないアナログセンサを回路に直接接続することができる。さらに、電力回復フェーズの最中であり、したがって通信フェーズの前であり、したがって周期的な読み取り信号の単一の周期中である取得フェーズにおいてセンサの測定値を取得、増幅、およびデジタル化することができるため、この測定値を、この通信フェーズにおいて、すなわち同一周期の最中に、リーダに直接送信することができる。結果として、回路の応答時間を短縮することができる。したがって、いくつかの外部回路をきわめて迅速に読み取る(問い合わせる)ことが可能である。例えば、本発明による回路を備える物体をクレート内にまとめて配置し、各々をきわめて迅速に読み取ることができる。別の例によれば、車両がゲートの前方を通過するときにタイヤの圧力を測定することが可能である。
【0036】
指令デバイスを、ブートフェーズにおいてブートするように構成することができ、ブートフェーズは、取得フェーズの前かつ同じ電力回復フェーズの最中である。
【0037】
電力回復フェーズは、ブートフェーズの前に、回路をオフにし、もっぱら電波から電力のリザーブを蓄積する初期電力の回復のフェーズを含むことができる。
【0038】
結果として、蓄積電力レベルが充分に高いため、信頼性の高いブートを保証することができる。
【0039】
電力回復フェーズは、ブートフェーズと取得フェーズとの間に、回路をオフにし、もっぱら電波から電力のリザーブを蓄積する第1の中間電力回復フェーズをさらに含むことができる。
【0040】
結果として、蓄積された電力レベルが充分に高いため、測定値の信頼できる取得を保証することができる。
【0041】
電力回復フェーズは、取得フェーズの後かつ通信フェーズの前に、回路をオフにし、もっぱら電波から電力のリザーブを蓄積する第2の中間電力回復フェーズをさらに含むことができる。
【0042】
結果として、蓄積された電力のレベルが充分に高いため、リーダへの測定値の信頼できる送信を保証することができる。
【0043】
指令デバイスを、随意により、もっぱら取得フェーズにおいてインターフェースに供給を行うように構成することができる。
【0044】
結果として、インターフェースによってアナログセンサに電力を供給することができる。さらに、インターフェースが取得フェーズにおいてもっぱら作動する場合、電力の消費を減らすことができる。
【0045】
指令デバイスは、随意により、例えばアナログセンサ、増幅器、およびアナログ-デジタル変換器(ADC)に順に電気を供給するなど、インターフェースの要素に順次に電気を供給するように構成される。
【0046】
結果として、各々の要素に、もっぱら測定を実行する必要がある瞬間に電気が供給されるため、瞬間的な電力消費を低減することができる。
【0047】
したがって、指令デバイスを、まずは外部アナログセンサに供給電力を供給してセンサのアナログ測定値を取得するためにもっぱら電気接続部に供給を行い、次いでセンサの増幅されたアナログ測定値をデジタル化するためにもっぱらアナログ-デジタル変換器(ADC)に供給を行うように構成することができる。
【0048】
アナログ-デジタル変換器(ADC)による測定値のデジタル化の後、かつ取得フェーズの最中に、デジタル化された測定値が、指令デバイスによって読み取られ、メモリに格納される。
【0049】
このようにして、測定値は、通信フェーズの開始時にリーダへの転送の準備ができた状態である。
【0050】
回路は、例えばEPC UHF Gen 2 Air Interfaceプロトコルとの互換性を有する(あるいは、このプロトコルに従って通信する)。
【0051】
さらに、本発明は、UHF帯域で動作するパッシブ型無線識別システムであって、周期的な読み取り信号を発し、読み取り信号の周期は電力回復フェーズおよび通信フェーズを含むリーダと、上述のとおりの回路とを備えるパッシブ型無線識別システムを提供する。
【0052】
さらに、本発明は、読み取り信号を発するリーダと無線通信するように構成されたUHF帯域で動作するパッシブ型無線周波数識別タグのための回路を製造するための方法を提供し、回路は、歪みを測定するための少なくとも1つのトランスデューサと、トランスデューサ測定値を取得するための第1のサブ回路と、取得した測定値をリーダに無線で送信するための第2のサブ回路とを備える単一のチップとして製造される。
【0053】
製造された回路も、非接触デバイスの範囲内で上述した特徴を有することができる。
【0054】
本発明の特徴および利点は、あくまでも本発明を限定するものではない例として添付の図面を参照して与えられる以下の説明を検討することで、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1図1は、本発明による回路のアーキテクチャの概略図である。
図2図2は、本発明によるトランスデューサ回路の概略図である。
図3図3は、本発明による電力回復フェーズの概略図である。
図4図4は、本発明による電力取得フェーズACQの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1が、本発明による回路1のアーキテクチャの概略図である。回路1は、UHF帯域で動作するRFID形式の回路であり、RFIDタグとして機能することができる。回路は、例えばEPC UHF Gen 2 Air Interfaceプロトコルとの互換性を有する(あるいは、このプロトコルに従って通信する)。
【0057】
回路は、例えば、監視対象物に接着される接着タグの形態、または監視対象物に一体化されたチップの形態をとる。監視対象物は、例えば、少なくとも1つの物理的パラメータ、とくには対象物、したがって回路に加わる機械的歪み(電圧、変形、または応力)を測定することによって監視される必要がある商品、製品、または生物である。
【0058】
回路は、単一のチップとして、すなわち集積回路または「ダイ」として製作される。
【0059】
回路1は、受動的に動作し、すなわち電池または電力貯蔵手段を含まない。しかしながら、リーダの信号の搬送波に含まれる電力を使用して、リーダ信号の変調版をRFIDリーダへと送り返す。問い合わせ信号の電力の少なくとも一部が、集電デバイスによって回収され、回路の構成要素に供給される。詳細には、
回路1は、アンテナ21に接続されたアナログモジュール2を備え、外部のリーダが発する電波によってアンテナで受信した電力を回収し、通信信号を受信および送信する。
【0060】
アナログモジュール2は、この目的のために、(例えば、通信信号を送信するための)変調ユニット22を備える。さらに、(例えば、通信信号を受信するための)復調ユニット25を備える。さらに、電力回復フェーズにおいて電波から電力リザーブを継続および/または蓄積するための整流ユニット23および供給制御ユニット24を備える。整流ユニット23は、無線電力をDC電力に変換し、回路に供給することができる。さらに、供給制御ユニット24は、トランスデューサにバイアス電流(随意により、所与の電流利得を有する)を供給するためにDC電流を生成することができ、随意により、インターフェース4に供給するための「クリーンな」DC電圧も生成することができる。例えば、蓄積された電力を、キャパシタンス(例えば、コンデンサ)に貯蔵することができる。
【0061】
アナログモジュール2に、デジタルモジュール3(または、指令デバイス3)が接続される。このデジタルモジュール3は、データおよび/または外部アナログセンサを処理することができるプロセッサおよび/またはメモリ記憶ユニット31を備える。さらに、デジタルモジュールは、随意により、例えばSPIまたはI2Cなどのデジタルインターフェース32、34、および/または割り込みインターフェース33を備える。デジタルモジュール3は、例えば蓄積された電力を供給し、アンテナ21を介してリーダと通信するために、アナログモジュール2を制御する。したがって、電力の蓄積、消費、および貯蔵は、デジタルモジュール3によって制御される(後述の図2に関する説明を参照)。
【0062】
アナログモジュール2およびデジタルモジュール3は、トランスデューサ測定値をリーダに無線で送信するための本発明による第2のサブ回路を協働して形成することができる。
【0063】
回路1、例えばアナログモジュール2は、歪みを測定するための回路(または、トランスデューサ回路)5をさらに備える。したがって、トランスデューサは、回路のチップに一体化される。トランスデューサは、例えばピエゾ抵抗型の直交歪みに敏感な2つのトランジスタによって具体化される歪みセンサであってよい。トランスデューサおよびトランスデューサ測定値を取得するための(第1の)サブ回路は、図2に関連して詳細に説明される。
【0064】
回路は、増幅されたアナログトランスデューサ測定値、とくには(第1の)サブ回路をデジタル化するように構成されたアナログ-デジタル変換器(ADC)43をさらに備える。変換器43を出た信号は、デジタルモジュール3へと送られ、記憶およびリーダに送信される。変換器を、クロック信号「CLK」を受信するために、発振器28に接続することができる。
【0065】
回路は、例えば変換器43に接続された他の内部アナログセンサ(例えば、温度測定用)をさらに備えてもよい。
【0066】
さらに、デジタルモジュール3は、随意により、インターフェース(または、インターフェースモジュール)4に接続される。インターフェース4は、外部アナログセンサに電気を接続して供給し、センサのアナログ測定値を取得するように構成された電気接続部41を備える。さらに、センサのアナログ測定値の信号を増幅するように構成された増幅器42を備える。アナログ-デジタル変換器(ADC)43は、センサの増幅されたアナログ測定値をデジタル化するようにも構成される。
【0067】
図2が、本発明によるトランスデューサ回路の概略図である。
【0068】
図2に示されるように、トランスデューサ51は、直交する歪みに敏感な2つのトランジスタによって具体化される少なくとも1つの歪みセンサを備えることができる。とくには、図2の例において、トランスデューサは、直列な2つ(または、さらに多数)の正の電流変動歪みセンサ51c、51dと、直列な2つ(または、さらに多数)の負の電流変動歪みセンサ51a、51bとを備える。
【0069】
回路1、例えばアナログモジュール2は、バイアス電流を設定するための要素55と、バイアス電流に利得を印加するための要素56とを備える。これらの要素55、56は、この供給電流をトランスデューサに供給する。これらの要素55、56は、本発明の第1の要素を協働して形成することができる。
【0070】
回路1、例えばアナログモジュール2は、トランスデューサ51の出力信号のコモンモード電流キャンセルを実行するように構成された第2の要素52(コモンモード電流キャンセル)をさらに備える。この目的のために、この要素は、2つのサブ要素52a、52bを備える。これにより、コモンモードを除くトランスデューサの信号の変動に起因する電流のみに基づくことが可能になる。したがって、測定信号のレンジを大きくすることができる。
【0071】
回路1、例えばアナログモジュール2は、とくには要素52によってコモンモード電流をそれぞれキャンセルした後に、2つの直交する歪みセンサの出力信号の間の差動信号を生成するように構成された第3の要素53をさらに備える。これは、測定信号のレンジの拡大をさらに可能にする。
【0072】
回路1、例えばアナログモジュール2は、要素53の差動出力信号を変換して、電流信号を電圧信号に変換するように構成された電流/電圧(I/V)変換器54をさらに備える。I/V変換器54は、受動型変換器であってよく、差動電圧信号を生成するように構成されてよい。したがって、変換器は、元の電流信号の代わりに、電圧信号に基づくことを可能にする。I/V変換器54の出力信号は、アナログ-デジタル変換器(ADC)43に送られる。
【0073】
要素55、56、52、53、I/V変換器54、およびアナログ-デジタル変換器(ADC)43は、本発明によるトランスデューサ測定値を取得するように構成された第1のサブ回路を協働して形成することができる。
【0074】
図3が、本発明による電力回復フェーズの概略図である。図は、4つのアクティビティ(または、4つのサブ図)を示しており、そのX軸は時間を表している。
【0075】
外部のリーダが、周期的な読み取り信号を発する。読み出し信号の1周期Pは、電力回復フェーズRECと通信フェーズCOMとを含む。電力回復フェーズRECにおいて、電力のリザーブが、外部のリーダの電波から蓄積される。電力回復フェーズRECは、以下で説明されるフェーズを含む。
【0076】
「RFハーベスティング」のサブ図に示されるように、貯蔵電力は、初期電力の回復のフェーズにおいて、回路のいかなる要素またはユニットもアクティブではなく、したがってすべての電力が貯蔵されるため、(例えば、500マイクロ秒について5マイクロワットで)増加する。
【0077】
その後、すなわち信頼できる動作を可能にする充分な電力が貯蔵されると、デジタルモジュール3はブートフェーズにおいてブートされる(例えば、250マイクロ秒にわたる6マイクロワットの消費を伴う)。同時に、デジタルモジュール3のこの動作により、貯蔵電力が減少する。
【0078】
この理由で、ブートフェーズの後に、電力回復フェーズは、回路のいかなる要素またはユニットもアクティブではなく、したがってすべての電力が貯蔵されるため、貯蔵電力が再び(例えば、100マイクロ秒にわたり5マイクロワットへと)増加する中間電力を回復する第1のフェーズを含む。
【0079】
その後、すなわち信頼できる動作を可能にする充分な電力が貯蔵されると、取得フェーズ(「取得」)において、トランスデューサ測定値51が取得され、デジタル化される(随意により、インターフェース4が外部のアナログセンサに電力を供給し、センサの測定値を取得、増幅、およびデジタル化する)(例えば、250マイクロ秒にわたる6マイクロワットの消費を伴う)。同時に、デジタルモジュール3のこの動作により、貯蔵電力が減少する。
【0080】
この理由で、取得フェーズの後に、電力回復フェーズは、回路のいかなる要素またはユニットもアクティブではなく、したがってすべての電力が貯蔵されるため、貯蔵電力が再び(例えば、100マイクロ秒にわたり5マイクロワットへと)増加する中間電力を回復する第2のフェーズを含む。
【0081】
その後に(または、別の所定の期間の後に)、電力回復フェーズを終了することができ、通信フェーズCOMを開始することができる。通信フェーズにおいて、すなわち同一周期の間に、測定値が外部のリーダに転送される。
【0082】
図4が、本発明による電力取得フェーズACQの概略図である。図は、8つのアクティビティ(または、8つのサブ図)を示しており、そのX軸は時間を表している。電力取得フェーズACQにおいて、インターフェース4の要素に順次に電力が供給される。「SENSOR_EN」のサブ図に示されるように、最初にトランスデューサ51(および、随意により電気接続部、したがって外部のアナログセンサ)のみに電力が(例えば、1マイクロ秒にわたって)供給され、トランスデューサ(および、随意によりセンサ)によって生成される信号が読み取られ、サンプリングされる。その後に、随意によるフェーズとして、センサのアナログ測定値の信号を増幅するために増幅器42のみに電力が供給される(「AMP_EN」のサブ図を参照)。次に、アナログ測定値をデジタル化するためにアナログ-デジタル変換器(ADC)43のみに電力が供給される(「ADC_EN」のサブ図を参照)。アナログ-デジタル変換器(ADC)による測定値のデジタル化の後で、さらに好ましくは取得フェーズの最中に、デジタル化された測定値は、プロセッサ31によって読み取られて記憶され、したがってデジタルモジュール3による利用が可能になる(「DATA_RDY」のサブ図を参照)。
【0083】
この順次的な動作ゆえに、増幅およびデジタル化された測定値を得るための総消費量を、例えば1マイクロワットに削減することができる。この理由で、測定値の取得および送信を、リーダの信号の単一の期間の最中に行うことが可能である。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】