(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】通信システム、モニタリングシステム及び関連方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/27 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
G01N21/27 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556502
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(85)【翻訳文提出日】2022-11-18
(86)【国際出願番号】 EP2021056792
(87)【国際公開番号】W WO2021185892
(87)【国際公開日】2021-09-23
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】517267802
【氏名又は名称】トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ルンゲンシュミート,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,フェリクス
(72)【発明者】
【氏名】ロフリンツィク,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ケットナー,ミヒャエル ファレンティン
(72)【発明者】
【氏名】ケルブライン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ブリル,ヨヒェン
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンクランツ,トマス
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059AA05
2G059BB01
2G059BB04
2G059BB08
2G059BB09
2G059BB11
2G059CC04
2G059CC05
2G059CC06
2G059CC14
2G059CC15
2G059EE12
2G059FF04
2G059FF07
2G059HH01
2G059JJ01
2G059KK04
2G059MM01
2G059MM05
2G059MM10
2G059MM14
2G059PP06
(57)【要約】
本発明は、通信システム(140)、少なくとも1つの物質(112)をin-situモニタリングするためのモニタリングシステム(110)に関し、モニタリングシステム(110)は、通信システム(140)、及び関連する方法(310、312)を含む。モニタリングシステム(110)は、通信システム(140)を介して、少なくとも1つの物質(112)をモニタリングし、少なくとも1つの物質(112)を処理するための処理データを提供するために使用されることができる。ここで、通信システム(140)は、クラウドサーバ(144)、第1サーバ(146)、少なくとも1つの第2サーバ(148、148’)、及び少なくとも1つの第3のサーバ(150、150’)を備え;
前記第1サーバ(146)は、少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報及び参照分析データを前記クラウドサーバ(144)に提供するように構成された第1通信インターフェイス(156)をさらに有し;
各第2サーバ(148、148’)は、少なくとも1つの物質(112)に関連するスペクトル情報を前記クラウドサーバ(144)に提供するように構成された第2通信インターフェイス(158、158’)を有し;
前記クラウドサーバ(144)は、
- 前記第1サーバ(146)よって提供される、前記少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報及び参照分析データを使用することによって、少なくとも1つのパラメータを含む較正モデルを生成するように、
- 少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの値が抽出されるように、前記第2サーバ(148、148’)によって提供される前記少なくとも1つの物質(112)に関連するスペクトル情報に較正モデルを適用するように;
- 前記第1通信インターフェイス(156)を介して、前記少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値を前記第1サーバ146に提供するように、
構成され;
前記第1サーバ(146)は、前記クラウドサーバ(144)によって提供される前記少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの値を使用することによって処理データを決定するようにさらに構成され、前記処理データは、前記少なくとも1つの物質(112)の提案された処理に関連する少なくとも1つのデータを含み;
前記第1サーバ(146)は、少なくとも1つの第3の通信インターフェイス(160、160’)をさらに有し、各第3の通信インターフェイス(160、160’)は、前記処理データを前記少なくとも1つの第3のサーバ(150、150’)に提供するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウドサーバ(144)、第1サーバ(146)、少なくとも1つの第2サーバ(148、148’)、及び少なくとも1つの第3のサーバ(150、150’)を備えた通信システム(140)において;
前記第1サーバ(146)は、少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報及び参照分析データを前記クラウドサーバ(144)に提供するように構成された第1通信インターフェイス(156)をさらに有し;
各第2サーバ(148、148’)は、少なくとも1つの物質(112)に関連するスペクトル情報を前記クラウドサーバ(144)に提供するように構成された第2通信インターフェイス(158、158’)を有し;
前記クラウドサーバ(144)は、
- 前記第1サーバ(146)よって提供された前記少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報及び前記参照分析データを使用することによって、少なくとも1つのパラメータを含む較正モデルを生成し、
- 前記較正モデルを、前記第2サーバ(148、148’)によって提供された前記少なくとも1つの物質(112)に関連するスペクトル情報に適用し、それによって、少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの値を抽出し;
- 前記第1通信インターフェイス(156)を介して、前記少なくとも1つのパラメータに対する前記少なくとも1つの値を前記第1サーバ146に提供する、
ように構成され;
前記第1サーバ(146)は、前記クラウドサーバ(144)によって提供された前記少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの値を使用することによって処理データを決定するようにさらに構成され、前記処理データは、前記少なくとも1つの物質(112)の提案された処理に関連する少なくとも1つのデータを含み;
前記第1サーバ(146)は、少なくとも1つの第3の通信インターフェイス(160、160’)をさらに有し、各第3の通信インターフェイス(160、160’)は、前記処理データを前記少なくとも1つの第3のサーバ(150、150’)に提供するように構成されている、通信システム(140)。
【請求項2】
前記第2通信インターフェイス(158、158’)は、前記スペクトル情報を直接的又は間接的に前記クラウドサーバ(144)に提供するように構成され、前記スペクトル情報は、前記スペクトル情報を前記第1サーバ(146)に提供することによって前記クラウドサーバ(144)に間接的に提供され、前記第1サーバ(146)は、前記スペクトル情報を前記第1サーバから前記クラウドサーバ(144)に提供するように構成された第4通信インターフェイス(194)をさらに備えている、請求項1に記載の通信システム(140)。
【請求項3】
前記第3サーバ(150、150’)は、前記処理データに関連する情報の少なくとも1つの項目をユーザに表示するように指定されるユーザインターフェイスを備えるか、又は駆動する、請求項1又は2に記載の通信システム(140)。
【請求項4】
前記第3サーバ(150、150’)は、前記処理データを処理ユニット(180)又はシミュレーションシステムのうちの少なくとも1つに提供するように指定されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の通信システム(140)。
【請求項5】
前記第2サーバ(148、148’)と前記第3サーバ(150、150’)は、単一のユニットに一体化されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の通信システム(140)。
【請求項6】
少なくとも1つの物質(112)のin-situモニタリングのためのモニタリングシステム(110)であって、
- 請求項1~5のいずれか一項に記載の通信システム(140)と;
- 光学分光計(130)であって、
・少なくとも1つの物質(112)に関するスペクトル情報を取得する;
・前記スペクトル情報を少なくとも1つのサーバに提供する、
ように指定された光学分光計(130)と、
を備える、モニタリングシステム(110)。
【請求項7】
前記光学分光計(130)は、前記少なくとも1つの物質(112)に関連する前記スペクトル情報を前記通信システム(140)によって備えられた少なくとも1つの第2サーバ(148、148’)に提供するように指定されている、請求項6に記載のモニタリングシステム(110)。
【請求項8】
- 前記少なくとも1つの物質(112)の少なくとも一部を照らすように指定された少なくとも1つの光源(132)と;
- 前記少なくとも1つの物質(112)に関する光信号を測定するように指定された光プローブ(120)と;
- 前記測定された光信号を前記光学分光計(130)に導くように指定された、前記光プローブ(120)と前記光学分光計(130)の間の第1接続(126、222)と;
- 光を前記光プローブ(120)に導くように指定された、前記光源(132)と前記光プローブ(120)の間の第2接続(126、224)と;
- 前記光学分光計(130)と前記第2サーバ(148、148’)との接続のために指定されたデータ転送ユニット(154)と、
のうちの少なくとも1つをさらに備えている、請求項6又は7に記載のモニタリングシステム(110)。
【請求項9】
前記第2サーバ(148、148’)、前記光学分光計(130)、及び前記データ転送ユニット(154)が単一のユニットに一体化されている、請求項8に記載のモニタリングシステム(110)。
【請求項10】
前記第1接続(126、222)及び前記第2接続(126、224)のうちの少なくとも1つは、光導波路(128)を備えている、請求項8又は9に記載のモニタリングシステム(110)。
【請求項11】
前記光プローブ(120)は、透過型形状、トランスフレクション型形状、又は反射型形状のうちの少なくとも1つのための構成を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載のモニタリングシステム(110)。
【請求項12】
通信システム(140)を操作するためのコンピュータ実装方法(310)であって、前記通信システム(140)は、クラウドサーバ(144)と、第1サーバ(146)と、少なくとも1つの第2サーバ(148、148’)と、少なくとも1つの第3サーバ(150、150’)とを備え、前記方法(310)は以下のステップ:
a)第1通信インターフェイス(156)を介して前記第1サーバ(146)から前記クラウドサーバ(144)に少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報及び参照分析データを提供するステップと;
b)前記少なくとも1つの参照サンプルを参照する前記参照スペクトル情報及び前記参照分析データを使用することによって、前記クラウドサーバ(144)において較正モデルを生成するステップであって、前記較正モデルは少なくとも1つのパラメータを含むステップと;
c)第2通信インターフェイス(158、158’)を介して前記第2サーバ(148、148’)から前記クラウドサーバ(144)に少なくとも1つの物質(112)に関連するスペクトル情報を提供するステップと;
d)前記クラウドサーバ(144)内の前記較正モデルを前記少なくとも1つの物質(112)に関連する前記スペクトル情報に適用し、これにより、前記少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの値が抽出されるステップと;
e)前記第1通信インターフェイス(156)を介して、前記少なくとも1つのパラメータの前記少なくとも1つの値を前記第1サーバ(146)に提供するステップと;
f)前記クラウドサーバ(144)によって前記第1サーバ(146)に提供された前記少なくとも1つのパラメータの前記少なくとも1つの値を使用することによって処理データを決定するステップであって、前記処理データは前記少なくとも1つの物質(112)の提案された処理に関する少なくとも1つのデータを含むステップと;
g)第3通信インターフェイス(160、160’)を介して、前記第1サーバ(146)から前記第3サーバ(150、150’)に処理データを提供するステップと、
を含む、方法(310)。
【請求項13】
前記スペクトル情報は、直接的又は間接的に前記クラウドサーバ(144)に提供され、前記スペクトル情報は、前記スペクトル情報を前記第1サーバ(146)に提供し、及び、前記スペクトル情報を、前記第1サーバ(146)によってさらに備えられた第4通信インターフェイス(194)を介して前記第1サーバ(146)から前記クラウドサーバ(144)に提供することによって、前記クラウドサーバ(144)に間接的に提供される、請求項12に記載の方法(310)。
【請求項14】
少なくとも1つの物質(112)のin-situモニタリングのためのコンピュータ実装方法(312)であって、前記方法(312)は以下のステップ:
(i)少なくとも1つの参照サンプルの少なくとも1つの光学参照スペクトルを取得し、各参照サンプルはモニタリングされる少なくとも1つの物質(112)を含み、前記参照分析データは各参照サンプルに割り当てられ、前記少なくとも1つの光学参照スペクトルから前記少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報を導出するステップと;
(ii)in-situで前記少なくとも1つの物質(112)の少なくとも1つの光学スペクトルを取得し、前記少なくとも1つの光学スペクトルから、in-situで前記少なくとも1つの物質(112)に関連するスペクトル情報を導出するステップと;
(iii)通信システム(140)を操作するためのコンピュータ実装方法(310)を参照する請求項12又は13に記載の方法(310)のステップを実行するステップと;
(iv)処理データに従って前記少なくとも1つの物質(112)を処理するステップと、
を含む、方法(312)。
【請求項15】
前記処理データに関連する少なくとも1つの情報の項目は、ユーザインターフェイスを介してユーザに表示されること、又は処理ユニット(180)もしくはシミュレーションシステムの少なくとも1つに提供されることの少なくとも1つである、請求項14に記載の方法(312)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、通信システムを含み少なくとも1つの物質をin-situモニタリングするためのモニタリングシステム、及び関連する方法に関する。モニタリングシステムは、通信システムを介して、少なくとも1つの物質のモニタリングするため、及び少なくとも1つの物質を処理するための処理データを提供するために使用されることができる。モニタリングシステムは、食品又は飲料の管理又はモニタリング、産業プロセス管理、材料の分類又は特徴付け、製品の偽造防止、生物体の特徴付け、又は健康アプリケーションなどの様々な用途に使用されることができる。
【背景技術】
【0002】
フライは、食品を調理する方法として広く用いられている。外食産業において、フライ油の特徴付けは、最適な油管理のために必要な情報を提供する。高効率のレストラン及びフライ料理専門店では、適切な油管理は顧客満足度だけでなく、収支にも直接影響する。フライ食品の一貫した品質を確保するだけでなく、あらゆる油バッチを最大限に活用することに役立つ。フライ油の管理で最も重要な機能の2つは、所望の食品特性(characteristics)をもたらす油の組成を維持することと、及びいつ油を交換するかを決定することである。
【0003】
これらの考察に基づいて、フライ油の状態を特性評価するために様々なテストが開発されてきた。このようなテストについては、R.F.Stierの「The Measurement of Frying Oil Quality and Authenticity,第8章Fryingから:Improving Quality,Ed.J.B.Rossell,Woodhead Publishing Limited,Cambridge (UK),2001年」に記載され、あるいは「Deutsche Gesellschaft fuer Fettwissenschaften」などの組織により、「脂肪及びその他脂質のドイツ標準分析方法、Wissenschaftliche Verlagsgesell schaft,Stuttgart,Germany,1998年」に定義されている。
【0004】
しかし、これらの確立された標準的な方法の多くは、時間と手間がかかる。その実施には、設備の整った実験室と熟練したスタッフが必要であり、レストランでの日常業務には適していない。それよりは、食品サービス業界は、より使いやすく、より迅速に結果が得られ、かつ作業中安全であるテストを必要としている。
【0005】
R.F.Stierによる「Tests to monitor quality of deep-frying fats and oils,Eur.J.Lipid Sci.Technol.106(2004)766-771」では、利用可能な迅速テストを以下のように分類している。
【0006】
A.物理的な方法:
1.目視検査:
a.泡の形成と泡の高さ;
b.油の色と透明度の判定;
2.熱及び酸素の影響で重合するにつれて油の粘度が増加するという観察に基づく粘度テスト;
3.誘電率の変化をモニタリングする、誘電率測定;
4.人工鼻;及び
5.近赤外分光法。
B.化学的方法:テスト紙又は化学テストキットを用いた迅速なテスト。
【0007】
R.F.Stierによれば、泡の形成も油の色も、油を交換しなければならないかどうかの良い指標にはならず、該指標ではワンドの色に達したかもしれない油は使用に適さないと考えられ、廃棄されるべきと考えられている。しかし、これらのテストは実際の油の品質とは関係がなく、良い油は色が濃く悪い油は色が薄い場合があるので、主観的なものである。
【0008】
さらに、油の重合グレードを示すために使用され得る油の粘度測定は、他の劣化メカニズムを参照しない。しかし、これらのメカニズムは、Q.Zhang等のChemistry and Physics of Lipids 165(2012)662~681頁によると、揮発性化合物、加水分解生成物、酸化トリアシルグリセロールモノマー、環状化合物、トランス配置化合物、ポリマー、ステロール誘導体、窒素及び硫黄含有複素環式化合物及びアクリルアミドを含む様々な分解生成物につながる。
【0009】
油の誘電率の変化を測定するために設計された機器が、Ebro FOM 330及びTesto 270など、知られている。SchwarzのQuick tests used for fats and oils,Eur.J.Lipid Sci.Technol.102(2000)542は、他の迅速テスト法との比較研究において、この方法に基づく装置の価値を肯定しているが、R.F.Stier(上記参照)は、問題を克服するために、製造者が、機器を新鮮な油で「ゼロ設定」し、固体脂肪をフライに使用する場合はセンサカップを50℃に加熱することを提案していることを述べている。測定値に悪影響を与える浮遊固形物及び混入水を取り除くために、ろ過を採用することもできる。実際のところ、誘電率測定は現在、レストランで時々行われる油の検査にのみ使用されている。
【0010】
さらに、R.F.Stier(上記を参照)によると、人工鼻の可能性は高いようだが、技術的に成熟していない。この技術に基づく油管理のための製品は、現在のところ商業的に利用可能ではない。
【0011】
そのため、飲食店では一般的に化学検査が使用されている。しかし、高温のフライ油のサンプリングを含む危険で望ましくない手順が必要である。この目的のために、テスト紙が市販されている。3M社の「油品質テストストリップ」など、油中の遊離脂肪酸に感度を有するものもある。しかし、説明書によると、テスト紙の保管(storage)は、低温で密閉された容器、理想的には冷蔵庫又は冷凍庫内で保管する(store)必要があるため、レストランにとっては問題であることが判明するかもしれない。
【0012】
さらに、R.F.Stier(上記を参照)は、フライ油の特徴付けにおいて、近赤外(NIR)分光法に高い可能性を与えている。このため、近赤外線及び中赤外線を利用したテストシステムが食品産業で使用されている。これらのユニットはオンライン又はアットラインで使用されることができる。ここで、NIR測定は反射率又は透過率によって得られることができ、すなわち、光は製品から反射されるか、又は製品を通過して検出器によって収集される。NIRは、水分、タンパク質、脂肪及び固形分を定量化するために使用されることができる。Buening-Pfaue and KehrausによるApplication of near infrared spectroscopy (NIRS) to the analysis of frying fats,Eur.J.Lipid Sci.Technol.102(2000)580は、フライ油脂(fat)の分析にNIRを使用した研究について報告しており、NIRと従来の分析方法との間に良好な相関関係が見出され、この機器が食用油の分析に使用できることが示されている。
【0013】
その大きな可能性にもかかわらず、近赤外線分光法は研究室以外ではフライ油の特徴付けに広く採用されていない。普及の妨げとなっているのは、機器の高価格、システムの大型化、高温の油中に沈める光プローブの使用に関連する費用と技術的課題、そして油の管理における意思決定に必要なスペクトルデータからパラメータへの精緻な解釈である。
【0014】
現在利用可能な油管理システムは、油の自動充填と排出と同様に廃棄とを行うクローズドループ油システムを提供している。これらのシステムは、レストランでの油使用に関するデータ管理と記録保持の両方をサポートするソフトウェアソリューションを含む。しかし、いかなる種類の方法による油の特徴付けもこれらのシステムの一部になっていない。
【0015】
WO2017/002079A1は、フライ油の品質に関連する化学種を感知することによってフライ油の品質をリアルタイムで測定する装置及び方法を開示している。この装置は、少なくとも光源と少なくとも光検出器とを含む光センサ;光源がチャンバー内のフライ油を通して光検出器に光学的に結合されるように配置された、測定されるフライ油を受け入れるためのチャンバー;及び、光源によって放出された光のフライ油の吸収、透過、反射、散乱、又はそれらの組み合わせの信号を光検出器から受信するように構成された処理ユニット(processing unit)とを備え、フライ油の化学種と品質に関する予め計算されたモデルを使用して、受信した信号からフライ油の品質を示す出力を計算する。
【0016】
WO2018/044972A1は、液体サンプルの組成を送るために、NIR分光法及びスペクトル処理を用いた液体サンプル分析のための分析システムを開示している。しかし、油管理の文脈では、この情報は油劣化の高度な化学プロセスに関する専門知識を有さない一般ユーザにとってほとんど役に立たず、したがって、化学組成から必要なアクションを導き出すことができない。
【0017】
WO2018/090142A1は、分光光度分析の方法を開示している。低解像度分光光度センサ、モバイル通信の装置(スマートフォン又はタブレットなど)、並びにその装置に部分的に、及びリモートコンピューティングサーバ又はサービスに部分的にインストールされ得るソフトウェア、を含む測定システムが提供されている。本方法は、光学スペクトル又はスペクトル関連量の測定を指向する測定チャンネルの較正;センサからのデータ及び較正結果に基づいた、任意の分析されたサンプルの光学スペクトルの推定;及び推定の結果に基づいたスペクトル関連量の評価を含む。これらの方法ステップは、ローカル及び/又はリモートのコンピューティングリソースを含む場合がある。
【0018】
WO2018/122857A1は、スイミングプール内の水及び設備のモニタリング、分析及び保守のための方法を開示しており、前記方法は、非一過性のコンピュータ可読記憶装置(storage device)に動作可能に結合された1つ以上のプロセッサによって実装され、該コンピュータ可読記憶装置には、実行すると、1つ以上のプロセッサに:プール内及び周辺にあるセンサ、アクチュエータ、及びブレーカの少なくとも1つを含む要素からのデータを蓄積(accumulating)しモニタリングすること;ローカル処理ユニット(processing unit)に複数のソースからの非感覚データを蓄積すること;前記データをオンラインリモートサーバに伝達すること;取得したすべてのデータを組み込んで、推奨事項と制御パラメータを提供することによってプール保守の最適ポリシーを得るように構成された機械学習又はルールベースのアルゴリズムをオンラインリモートサーバで適用すること;及びプール所有者、プールのサービスマン、プール保守会社、プール業者及びプール小売業者の少なくとも1つに対して、前記推奨事項/制御パラメータにアクセスするためのオンラインインターフェイスを提供すること、を実行させる命令コードのモジュールが格納されている。
【0019】
US2019/353587A1は、魚介類のフィールド分光特徴付けのための方法及び器具を開示している。ポータブルNIR分光計が、反射スペクトルの多変量分析を行うように構成された分析器に接続され、魚介類サンプルの本来の性質を定性的に、又は鮮度を定量的に決定する。
【0020】
WO2020/014073A1は、分光計を用いて食用油の特性を評価することを開示している。光反射率データは、食用油を収容するフライ器具内で、in-situで食用油から得られ、該反射率データは、赤外波長の指定範囲に対応している。評価される特性に対応するモデルプロファイルは、そのようなプロファイルの安全なライブラリを収容するリポジトリから取得される。モデルプロファイルは、評価される特性に対応する値を生成するために、反射率データを変換するのに使用される回帰ベクトルを定義する。油の品質を評価するためのユーザに提示する特性の単純化された表現を確立するために、基準が値に適用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】WO2017/002079A1
【特許文献2】WO2018/044972A1
【特許文献3】WO2018/090142A1
【特許文献4】WO2018/122857A1
【特許文献5】US2019/353587A1
【特許文献6】WO2020/014073A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
したがって、本発明が対処する課題は、このタイプの既知のシステム、装置、及び方法の欠点を少なくとも実質的に回避する、通信システム、少なくとも1つの物質のin-situモニタリングのためのモニタリングシステム、及び関連方法を特定することである。
【0023】
特に、本システム及び関連する方法は、少なくとも1つの物質(液体を含んでいてもいなくてもよい)の効率的なモニタリングを提供することが望ましく、前記少なくとも1つの物質は、ユーザの敷地内の任意の場所(離れた場所又はほとんどアクセスできないエリアであっても)に配置されることができ、前記少なくとも1つの物質の場所又はその近くで取得された測定データの処理は、測定データの評価に精通している第1インスタンスと、評価された測定データに基づいてユーザに処理データを提供することに精通している第2インスタンスとの間で分散され、それにより、システム及び関連する方法は、好ましくは完全に自動化された手順を採用することにより、分散されたベストプラクティスと、測定データの処理中の、高いデータ保護基準の下での特定のデータ交換と、を同時に適用することが可能である。
【0024】
特に、フライ工程のモニタリングに関しては、システム及び関連する方法が、フライ作業のためにin-situ条件下でフライ油を特徴付けすることによって、特に、食品の品質に合理的に相関させることができるパラメータをもたらすことができる効率的な油特徴付けによって、フライ食品の高い品質基準を保証できることが望ましいであろう。前出のR.R.F.Stierによると、理想的なクイックテストは以下の基準を満たす:
- 公式及び/又は一般に認められている分析方法と相関がある;
- 使いやすい;
- 生産エリアでの食品調理で使用するのに安全である;
- 食品の品質及び安全性に関連する;
- フィールドで頑丈である;
- 再検査が可能である;及び
- 環境保護又は環境にやさしい。
【0025】
一般に、食品もしくは飲料の管理もしくはモニタリング、産業プロセス制御、材料の分類もしくは特徴付け、製品の偽造防止、生物の特徴付け、又は健康アプリケーションなどの様々なアプリケーションにおいて、液体を含んでいるかどうかにかかわらず、他の種類の物質にも適用できる同様の基準のカタログに合うことができることが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0026】
この問題は、独立特許請求項の特徴を備えた本発明によって解決される。個別に又は組み合わせて実現することができる本発明の有利な展開は、従属請求項及び/又は以下の明細書及び詳細な実施形態に示されている。
【0027】
本明細書で使用される場合、「有する」、「備える」、又は「含む」という用語、並びにそれらの文法上の変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、「AはBを有する」という表現、並びに「AはBを備える」又は「AはBを含む」という表現は、B以外にAは1つ以上の追加のコンポーネント(component)及び/又は構成要素(constituent)を含むという事実と、B以外に他のコンポーネント、構成要素、又は要素がAに存在しない場合の双方を指し得る。
【0028】
本発明の第1の態様では、通信システムが開示される。したがって、通信システムは、クラウドサーバ、第1サーバと、少なくとも1つの第2サーバと、少なくとも1つの第3サーバとを備え;
前記第1サーバは、少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報及び参照分析データを前記クラウドサーバに提供するように構成された第1通信インターフェイスをさらに有し;
各第2サーバは、少なくとも1つの物質に関するスペクトル情報を前記クラウドサーバに提供するように構成された第2通信インターフェイスを有し;
前記クラウドサーバは、
- 前記第1サーバによって提供される前記少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報及び参照分析データを用いることによって、少なくとも1つのパラメータを含む較正モデルを生成するように;
- 前記第2サーバによって提供された前記少なくとも1つの物質に関するスペクトル情報に、前記較正モデルを適用し、それによって前記少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの値が抽出されるように;
- 前記第1通信インターフェイスを介して、前記少なくとも1つのパラメータに対する前記少なくとも1つの値を前記第1サーバに提供するように;
構成され、
前記第1サーバは、前記クラウドサーバによって提供された前記少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの値を使用することによって処理データを決定するようにさらに構成され、前記処理データは、前記少なくとも1つの物質の提案された処理に関連する少なくとも1つのデータを含み;
前記第1サーバは、少なくとも1つの第3通信インターフェイスをさらに有し、各第3通信インターフェイスは、前記処理データを前記少なくとも1つの第3サーバに提供するように構成されている。
【0029】
本明細書で使用される「通信」という用語は、少なくとも1つの通信インターフェイスを介して第1サーバから第2サーバに、又はその逆に、データを伝送(transmission)することを指す。本明細書で「データ」という用語は、数値又は英数字コードなどのデジタル又はデジタル化された形式で提供される情報に関する。一般に使用される「情報」という用語は、ユーザにとって有用な内容を含むあらゆる種類のデータを指す。一例として、情報は、特定の波長、周波数、もしくは光子エネルギーにおける単一の強度、又は波長、周波数、もしくは光子エネルギーの選択された範囲にわたって分布する複数の強度などの電磁スペクトル(本明細書では「スペクトル」とも呼ばれる)に関する少なくとも1つのデータに関する「スペクトル情報」であるか、又はそれらを含み得る。したがって、分光データを含むスペクトル情報は、好ましくは、より詳細に説明するように光学分光計を使用することによって、本発明のさらなる態様に従って生成されることができる。さらに、スペクトル情報は、メタデータを含んでいてよく、本明細書で「メタデータ」という用語は、上述の電磁スペクトルに関連する情報に付随する少なくとも1つの情報項目、特に、日付、時間、場所、又は温度もしくは大気条件などの少なくとも1つの状況、分光計の温度、少なくとも1つの物質の温度、分光計識別データ、少なくとも1つの物質のバッチ、少なくとも1つの物質の製造者、ユーザ、写真、スペクトル情報又はその取得に関する衛星データの少なくとも1つを指す。したがって、「情報を提供する」という用語は、特定の情報が、少なくとも1つの通信インターフェイスを介して、第1サーバから第2サーバに、又はその逆に、データの形態で伝送される(transmitted)プロセスに関する。
【0030】
さらに、「システム」という用語は、少なくとも2つのコンポーネントを含む装置を指し、コンポーネントのうち少なくとも2つは個別のコンポーネントであるが、2つ以上のコンポーネントが1つのコンポーネントに一体化されていてよく、コンポーネントは、一種の通信又は一種のモニタリングを処理するなど、共同タスクを行うように構成されている。特に、「通信システム」という用語は、一般に使用されているように、第1サーバ、第2サーバ、これらのサーバ間でデータを伝送する(transmit)ように構成された通信インターフェイスを少なくとも備えるシステムを指す。以下でより詳細に説明するように、本発明による通信システムは、クラウドサーバ、第1サーバ、少なくとも1つの第2サーバ、少なくとも1つの第3サーバ、及び様々な通信インターフェイスを備える。さらに一般的に使用されるように「通信インターフェイス」という用語は、データの伝送のために指定された伝送チャネルを指す。ここで、通信インターフェイスは、第1サーバから第2サーバへ、又は第2サーバから第1サーバへ、少なくとも1つのデータを単方向に転送するように構成された単方向インターフェイスとして構成されてよい。あるいは、通信インターフェイスは、第1サーバから第2サーバへ、又はその逆の、少なくとも1つのデータを2方向のうちの1方向に転送する(forwarding)ように構成された双方向インターフェイスとして構成されてもよい。したがって、特定の双方向インターフェイスは、代替として、互いに関して反対方向へのデータ伝送のために構成される2つの個別の単方向インターフェイスによって置き換えることができる。データ伝送の目的のために、通信インターフェイスは、有線要素又は無線要素を備えることができる。一例として、有線要素は、銅ワイヤ又は金ワイヤなどの金属ワイヤ;ユニバーサルシリアルバス(USB)などのコンピュータバスシステム;又は光ファイバの少なくとも1つから選択されることができ、一方、無線要素は、ワイヤレス送信機又はBluetooth要素を含むことができる。しかしながら、さらなる種類の通信インターフェイスも可能である。本明細書でさらに使用される「第1通信インターフェイス」、「第2通信インターフェイス」、「第3通信インターフェイス」、及び「第4通信インターフェイス」という用語は、2つの個別に割り当てられたサーバ間の通信に使用される4つの個別の通信インターフェイスを指す。
【0031】
本明細書でさらに使用される「サーバ」という用語は、典型的には「クライアント」と呼ばれるさらなる装置にリソースを提供するように構成される装置に関し、「リソース」は、特に、少なくとも1つのコンピュータプログラムを実行するためなどの計算能力;又は少なくとも1つのデータを格納するためなどのデータ格納容量の少なくとも1つを含む。例として、クライアントは、単一のコンピュータプログラムを実行し、又は複数のサーバに分散されたデータを格納することができ、一方、単一のサーバは、プログラムの実行及び格納要求の少なくとも一方に関して、複数のクライアントにサービスを提供することができる。ローカルネットワーク内に配置された装置を指す「サーバ」という用語とは対照的に、「クラウドサーバ」という用語は、インターネットを介して要求に応じてクライアントによってアクセスできる一種のサーバに関する。その結果、クラウドサーバの場所も、クラウドサーバの直接的なアクティブ管理も、クライアントにアクセスすることができない。本発明に関して、「第1サーバ」、「第2サーバ」、及び「第3サーバ」という用語は、各々がそのローカルネットワーク内に配置された3つの個別サーバを指し、第2サーバ及び第3サーバは、以下でより詳細に説明するように、単一のネットワーク内に配置された単一のユニットに一体化されてもよく、一方「クラウドサーバ」という用語は、インターネットを介して要求に応じてクライアントによってアクセス可能な一種のサーバを指す。
【0032】
既に上で示したように、「スペクトル情報」という用語は、電磁スペクトルに関連する少なくとも1つのデータに関連する情報を指す。本明細書で使用される「スペクトル情報」は、未知の内容及び未知の物理的性質の特定のサンプルを指すスペクトル情報に関し、一方、「参照スペクトル情報」という用語は、少なくとも1つの参照サンプルを参照するスペクトル情報に関連し、ここで「参照サンプル」という用語は、既知の内容及び既知の物理的性質のサンプルを示す。本明細書で使用される「参照分析データ」という用語は、参照サンプルの既知の内容及び既知の物理的性質に関連する少なくとも1つのデータを指す。本発明によれば、少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報及び参照分析データは、第1サーバによってクラウドサーバに提供される。さらに本発明によれば、スペクトル情報は、第2通信インターフェイスを使用して直接的又は間接的にクラウドサーバに提供される。本明細書でさらに使用される「直接的」という用語は、第2通信インターフェイスが、スペクトル情報が迂回せずにクラウドサーバに提供されるように、少なくとも1つの第2サーバをクラウドサーバに接続する構成を指す。これとは対照的に、「間接的」という用語は、第2通信インターフェイスが、少なくとも1つの第2サーバを、スペクトル情報が最初に提供される異なるサーバ、特に、第1サーバに接続する構成を指し、異なるサーバ、特に第1サーバは、第1サーバからクラウドサーバにスペクトル情報をその後提供するように構成された第4の通信インターフェイスを有する。以下でより詳細に説明するように、スペクトル情報は、したがって、異なるサーバ、特に第1サーバによって実行され得る修正を受ける可能性がある。しかしながら、スペクトル情報をクラウドサーバに間接的に提供する異なる態様が考えられる。
【0033】
本発明によれば、少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報及び参照分析データは、較正モデルを生成するために使用される。一般的に使用されるように「較正モデル」という用語は、モデルを用いることによって、未知の内容及び未知の物理的性質の特定の試料に関連するスペクトル情報から分析データを導出することができるように、参照スペクトル情報と参照分析データの相関関係を含むモデルを指す。本明細書では、参照スペクトル情報を参照分析データに相関させる工程は、「較正モデルを生成する」という用語によって記述され、一方、「較正モデルを適用する」という用語は、未知の内容及び未知の物理的性質の特定のサンプルに関連するスペクトル情報から分析データを導出するさらなる工程を表す。本発明によれば、この工程は、クラウドサーバによって実行され、この目的のために、クラウドサーバは、第1サーバによってクラウドサーバに提供された参照スペクトル情報及び参照分析データを使用する。
【0034】
さらに本発明によれば、較正モデルは、分析データの記述のために、少なくとも1つのパラメータ、典型的にはパラメータのセットを用いることによって実装される。少なくとも1つのパラメータに基づいて、較正モデルは、合理的な方法で、特に、少なくとも1つのパラメータを単独で使用することによって、少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報の参照分析データに対する相関の閾値を下回る偏差をもたらすことによって、相関を十分に表すように構成される。本明細書で使用する場合、「パラメータ」という用語は、特定の物質に関する分析データへの影響の表現子を指す。パラメータに関する具体的な例を以下に示す。
【0035】
したがって、本明細書で使用される「少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値を抽出する」という用語は、特定のサンプルの実際の測定で取得されたスペクトル情報の調整のために較正モデルを使用することによって、少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値を決定する工程を指す。その結果、特定のサンプルの分析データは、少なくとも1つのパラメータによって十分に記述される。その結果、少なくとも1つのパラメータは、特定のサンプルの内容及び物理的性質に関する一種の概要として使用されることができる。一般に、少なくとも1つのパラメータに使用されるデータ量は、関連するスペクトルを記述するために必要なデータ量のほんの一部を構成するにすぎない。本発明によれば、この工程は、クラウドサーバによっても実行され、この目的のために、クラウドサーバは、少なくとも1つの第2サーバによって直接的又は間接的にクラウドサーバに提供され得るスペクトル情報と、クラウドサーバ内で利用可能な較正モデルを使用する。
【0036】
さらに本発明によれば、処理データが、少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値を用いて決定される。一般的に使用されるように、「値」という用語は、少なくとも1つのパラメータの内容に応じて、論理的コード又は数値的コードを指す。本明細書で使用される場合、「処理データ」という用語は、特に、以下により詳細に説明されるようにモニタリングシステムを使用することによってモニタリングされている少なくとも1つの物質の提案された処理に関連する少なくとも1つのデータを指す。したがって、本明細書でさらに使用される「処理データを決定する」という用語は、少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値を使用することによって、モニタリングされている少なくとも1つの物質の提案された処理に関連する少なくとも1つのデータを生成する工程を指す。本発明によれば、この工程は、第1サーバによって実行され、この目的のために、第1サーバは、第1通信インターフェイスを介してクラウドサーバによって第1サーバに提供された少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値を使用する。
【0037】
さらに本発明によれば、処理データは、第1サーバと各第3サーバとの間の特定の第3通信インターフェイスを使用することによって、少なくとも1つの第3サーバに提供される。ここで、処理データは、第3サーバのデータ記憶装置に格納されてもよく、又は無線インターフェイス及び/又は有線接続などの少なくとも1つのインターフェイスを介して処理データが提供される別の記憶装置に格納されてもよい。上記及び下記に示すように、特定の第3サーバは、対応する第2サーバと共に単一のネットワークに配置された単一のユニットとして提供されてもよい。本明細書で使用される場合、「処理データ提供する」という用語は、少なくとも1つの物質のin-situモニタリングのための方法のステップ(iv)に関連して以下に示されるように、処理データに従って該少なくとも1つの物質の処理を可能にするために、第1サーバよって生成されるモニタリングされている少なくとも1つの物質の提案された処理に関連する少なくとも1つのデータを転送する工程を指す。
【0038】
この目的のために、第3サーバは、処理データに関連する情報の少なくとも1つの項目をユーザに提供するように指定されているユーザインターフェイスを備えるか、又は駆動してよい。本明細書で使用される場合、「ユーザインターフェイス」という用語は、情報、特に処理データを、電子的、視覚的、音響的、又はそれらの任意の組み合わせで、ユーザに、好ましくはユーザ受容的な方法で、最も好ましくはユーザフレンドリーな方法で提供するように指定された装置を指す。一般に使用されるように、「ユーザ受容的な方法」という用語は、人間が所望の態様で受信した情報を理解することができるように、人間に情報を提供する態様に関連する。この目的のために、ユーザインターフェイスは、好ましくは、パーソナルコンピュータ又はモバイル通信装置の少なくとも1つを含むことができる。一般に使用される、「パーソナルコンピュータ」という用語は、通常は固定された場所に置かれるコンピュータ装置を指し、「モバイル通信装置」という用語は、ユーザによって携帯され、したがって、ユーザと共に移動することができるスマートフォン、タブレット、又は
携帯情報端末のうちの少なくとも1つに関する。その結果、したがって、ユーザが何度も戻ることができる固定された場所、及び/又はユーザが現在いる場所で、処理データをユーザに提供することが可能であり得る。特に、ユーザインターフェイスは、処理データに関連する情報の少なくとも1つの項目を、表示することによって(特に少なくとも1つの言語によるプレーンテキスト又はこの対応する情報を表示するグラフィックシンボルの少なくとも1つによって)視覚的な方法でユーザに提供するように指定されたモニタを備えることができる。しかしながら、WO2020/014073A1で提案されているような緑、黄、赤の3つのインジケータを有する信号灯スタイルの表示を使用することは、推奨される手順の明確な指示を含んでいないため、「処理データ」とは考えられていない。代替的に又は追加的に、ユーザインターフェイスは、処理データに関連する少なくとも1つの情報項目を音響方式で、特に少なくとも1つのラウドスピーカを採用することによって提供するように指定されてよく、少なくとも1つのラウドスピーカは、モニタリングされる物質の場所の近くか、又はユーザが通常居住し得る場所の少なくとも1つに配置されてよい。このようにして、情報が、ユーザがモニタを見ず、かつ、モバイル通信機器を携帯していない場合でも、ユーザに届き得ることが保証される。
【0039】
代替的に又は追加的に、第3サーバは、処理データを処理ユニットの少なくとも1つに提供するように指定されてよい。ここで、処理データは、有線又は無線接続を介するような直接的な方法で、又は少なくとも1つのさらなる処理装置を介するような間接的な方法で、処理ユニットの少なくとも1つに提供されることができる。一般に使用されるように、「処理ユニット」という用語は、少なくとも1つの物質の所望の処理が処理データに従って行われるように、少なくとも1つの物質に影響を及ぼすように指定された少なくとも1つの装置を指す。処理ユニットの好ましい実施形態は、以下でより詳細に説明される。しかしながら、さらなる種類の処理ユニットも考えられる。
【0040】
代替的に又は追加的に、第3サーバは、処理データを少なくとも1つのシミュレーションシステムに提供するように指定されてもよく、該シミュレーションシステムは、第3サーバ又はさらなる処理装置のうちの少なくとも1つによって備えられてよい。一般に使用されるように、「シミュレーションシステム」という用語は、技術システムを実際に実装することを必要とせずに技術システムの挙動を観察するために、少なくとも1つのデータ、特に処理データを使用することによって、実際の又は想定される技術システムのモデリングを実行するように構成された少なくとも1つのコンピュータプログラムを指す。特に本発明に関して、シミュレーションシステムは、処理データによって修正された技術システムの現在の状態に応じて、予測メンテナンス、技術システムに関連するパラメータの最適化、又はモデリングの最適化のうちの少なくとも1つのために使用されることができる。さらに、処理データは、複数の技術システムにわたってモデリングを実行するために、さらなる技術システムに関連する他のデータを伴うことができる。
【0041】
特に本発明によれば、各サーバは、通信システム内で決定的な役割を果たすように構成される。こ目的のために、システムは、異なるサーバ間で特に適合された分散方式で、モニタリングされる物質の光学分光計によって取得されたスペクトル情報の処理を可能にするように構成されている。その結果、少なくとも1つの物質をモニタリングするために使用されるスペクトル情報はユーザによって提供され、一方、スペクトル情報の処理は、スペクトル情報の評価に精通している第1インスタンスによって実行され、さらに一方、少なくとも1つの物質を適切に処理できるようにするようにユーザに望まれる処理データは、それに精通している第2インスタンスによって生成される。その結果、通信システムは、したがって、スペクトル情報の評価に関する分散されたベストプラクティスと、同時に、所望の処理データを生成してユーザに提供するように指定された好ましくは完全に自動的な手順におけるスペクトル情報の処理中の、高いデータ保護基準の下での特定のデータ交換と、の両方を提供することが可能である。
【0042】
特に、分光データはユーザのサイトでリアルタイムに生成され、さらなる使用のために第2サーバによって利用可能にされる。分光データを生成するように指定されたハードウェアを変更しない限り、ソフトウェアのアップデートもインフラストラクチャの変更も、ユーザのサイトで必要とされない。分光データのみが、基礎となる較正モデルなしに処理データを生成することができない方式で、ユーザのサイトで転送(transfer)のために生成されて格納される。これに対して、実際の処理データは、較正モデルを使用して、クラウドサーバによって生成された少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの値を使用して第1サーバによって生成され、それによって、特に較正モデル及び処理データの生成に関連する重要な情報は、互いに分離した2つの個別のサイトにおいて安全に管理及び格納されることが可能である。以下の図に示すように、複数のユーザからのデータは、系統性を決定するために使用されることができる。ここで、較正と処理データモデルは、複数のユーザのサイトにおける分光データの生成に歪みを与えることなく、連続的に更新及び再検索されることができる。
【0043】
これらの考察に基づいて、第1サーバは、第1に、少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報及び参照分析データをクラウドサーバに提供し、さらに、少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値をクラウドから受信するように構成された第1通信インターフェイスを備える。したがって、第1通信インターフェイスは、好ましくは、双方向インターフェイスとして配置されてもよく、代替的に、反対方向に配置された2つの個別の単方向インターフェイスを備えていてもよい。さらに、第1サーバは、クラウドサーバから提供された少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値を使用することによって処理データを決定するようにさらに構成され、及び、処理データを少なくとも1つの第3サーバに提供するように構成された少なくとも1つの第3通信インターフェイスをさらに備える。
【0044】
さらに、第1サーバは、第2通信インターフェイスを介して少なくとも1つの第2サーバからスペクトル情報を受信し、第4通信インターフェイスを介してそれをクラウドサーバに提供するように、構成され得る。これにより、第1サーバは、スペクトル情報を修正するように構成され得る。一般的に使用されるように、「修正する」及び「修正」という用語は、少なくとも1つのアルゴリズムをデータに適用することによって、データ、特にスペクトル情報を運ぶデータの変更を指し、該アルゴリズムは、データに対して少なくとも1つの特定の操作を実行するように構成されてよい。本発明によれば、該操作は、好ましくは、分光情報又は関連するメタデータを含むデータの選択、フィルタリング、結合、分類、グループ化、又は分析、のうちの少なくとも1つから選択され得る。しかしながら、さらなる種類の操作もまた可能であり得る。
【0045】
さらにこれらの考察に基づいて、各第2サーバは、スペクトル情報をクラウドサーバに提供するように構成された対応する第2通信インターフェイスを備える。上記に示されるように、スペクトル情報は、対応する第2通信インターフェイスを介してクラウドサーバに直接的に伝送されてよく、又は、好ましくは最初に第2通信インターフェイスを介して第1サーバに伝送され、その後、第1サーバから第4通信インターフェイスを介してクラウドサーバに伝送されてもよい。直接伝送を選択することは、少なくとも1つの第2サーバとクラウドサーバとの間の直接接続を提供する利点をもたらす一方で、間接伝送は、クラウドサーバが第1サーバと通信するのみである一方、第1サーバが他のサーバ、すなわち、1つ以上の第2サーバ及び1つ以上の第3サーバとの通信を担当するため、全体としてより複雑ではない通信システムを要とするという別の利点をもたらす。
【0046】
さらに、これらの考察に基づいて、クラウドサーバは、少なくとも、第1サーバによって提供される、少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報及び参照分析データを使用することによって、較正モデルを生成すること、定量及び定性モデリングを含み得る較正モデルを第2サーバによって提供されるスペクトル情報に適用し、それによって少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値を抽出すること、及び第1通信インターフェイスを介して第1サーバに少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値を提供すること、の上記指摘の操作をクラウドサーバ内で行うように構成されている。クラウドサーバ内でインフラストラクチャを生成及び維持し、該インフラストラクチャがクラウドサーバ内で示された操作を実行するために必要である目的のために、少なくとも1つの追加サーバを使用することができる。
【0047】
特に好ましい実施形態では、較正モデルは、少なくとも1つのデータ前処理方法、選択された特徴のセット、及び少なくとも1つの学習アルゴリズムの組み合わせを適用することによって、生成され得る。一般的に使用されるように、「データ前処理方法」という用語は、特に、散乱補正、ベースライン補正、平滑化、又はスケーリングのうちの少なくとも1つを使用することによって、生データを修正するプロセスを指す。さらに、選択された特徴のセットは、好ましくは:少なくとも1つの特定のピクセル又は少なくとも1つの特定の波長から選択される、少なくとも1つの特定のデータ項目を指し得る。さらに一般的に使用されるように、「学習アルゴリズム」という用語は、少なくとも1つの既知のデータセットにおける少なくとも1つのパターンを抽出するプロセスに関し、少なくとも1つのパターンは、その後、少なくとも1つの未知のデータセットに適用されることが可能である。さらに、さらなる未知のデータセットを使用することにより、少なくとも1つのパターンがさらに改良されることができる。ここで、学習アルゴリズムは、好ましくは、機械学習アルゴリズム又は深層学習アルゴリズムから選択され得る。
【0048】
特に、少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値を使用することによる処理データの決定は、好ましくは、少なくとも1つの学習アルゴリズムを、既知のパラメータに対する既知の値と既知の処理データとの組み合わせに適用することによって実行されてよい。ここで、学習アルゴリズムは、回帰アルゴリズム又は分類アルゴリズムのうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1つのアルゴリズムを含んでよい。例として、以下のアルゴリズム:部分最小二乗回帰;判別分析;ナイーブベイズ、ブルートフォースMAP学習、ベイズビリーフニューワークス、ベイズ最適分類などのベイズアルゴリズム;多重核によるサポートベクターマシン;ランダムフォレスト、CARTなどの決定木アルゴリズム;LASSO、Ridge、エラスティックネットなどのロジスティック回帰及び線形回帰;単変量一般化モデル及び混合モデルなどの統計解析;完全連結NN、畳み込みNN、リカレントNNなどのニューラルネットワーク(NN)アルゴリズム;ガウス過程回帰、ガウスグラフィックネットワークなどのガウスモデル;非負行列分解、主成分分析(PCA)、t-sn、LLEなどの教師なし学習法、の少なくとも1つが使用され得る。しかし、別の種類の学習アルゴリズムも可能である。
【0049】
さらにこれらの考察に基づいて、各第3サーバは、処理データを少なくとも1つの第3サーバに提供するように構成された対応する第3通信インターフェイスを備える。上記及び以下で詳しく説明するように、各第3サーバは、さらに、ユーザインターフェイスを介してユーザにそれを表示すること、又は本明細書の他の箇所に記載されるように処理ユニットもしくはシミュレーションシステムの少なくとも1つにそれを提供すること、の少なくとも1つによって、処理データに関連する少なくとも1つの情報の項目をさらに処理するように構成されてよい。
【0050】
本発明のさらなる態様において、少なくとも1つの物質のin-situモニタリングのためのモニタリングシステムが開示される。本明細書でさらに使用されるように、「モニタリング」という用語は、ユーザの相互作用なしに、好ましくは連続的に取得されたデータから所望の情報を導出するプロセスを指し、「測定」という用語は、ユーザの相互作用なしにデータを取得するプロセスに関連する。この目的のために、複数の測定信号が生成され、評価され、そこから所望の情報が決定される。ここで、複数の測定信号は、固定又は可変の時間間隔で、あるいは代替的又は追加的に、少なくとも1つの所定のイベントの発生時に、記録及び/又は評価されることができる。一般に、「in-situモニタリング」という用語は、少なくとも1つの物質が既に配置されている場所で、特に、少なくとも1つの物質のサンプルを収集しそれを別の場所で分析することを必要とせずに、少なくとも1つの物質に関連するデータを取得することに関する。その結果、モニタリングシステムは、少なくとも1つの物質の少なくとも1つの特性を決定するために、該少なくとも1つの物質の場所に配置されることができるという利点を呈する。
【0051】
既に上で示したように、「システム」という用語は、少なくとも2つのコンポーネントを含む装置を指し、コンポーネントの少なくとも2つは個別のコンポーネントであるが、2つ以上のコンポーネントは1つのコンポーネントに一体化されていてもよく、コンポーネントは、ある種のモニタリングを処理するなど、共同のタスクを実行するように構成されている。したがって、本明細書で使用される「モニタリングシステム」という用語は、少なくとも2つの個別のコンポーネントを含むシステムを指し、各コンポーネントは、測定信号の生成及び評価のうちの少なくとも1つのために指定される。特に、本発明によるモニタリングシステムは、特に、好ましくは連続的に、少なくとも1つの物質に関する少なくとも1つのパラメータを決定し、そこから所望の処理データを導出するように指定され得る。
【0052】
したがって、少なくとも1つの物質のin-situモニタリングのためのモニタリングシステムは:
- 本明細書中の他の箇所に記載されている通信システムと;
- 光学分光計であって、
・少なくとも1つの物質に関するスペクトル情報を取得するように;
・スペクトル情報を少なくとも1つのサーバに提供するように、
指定された光学分光計と、を備える。
【0053】
したがって、本発明によるモニタリングシステムは、本明細書の他の箇所に記載されているような通信システムと、光学分光計とを備える。その結果、したがって、少なくとも1つの物質に関する少なくとも1つのパラメータを決定するために使用される光信号を生成し、そこから所望の処理データを導出するように指定され得る。一般的に使用されるように、「光学的」という用語は、380nm~780nmの波長及び隣接する波長範囲、特に近赤外線(NIR)スペクトル範囲の少なくとも一部を有する電磁波を指す。一般に、NIRスペクトル範囲は、780nm~2500nmの波長をカバーすると考えられている。しかしながら、本明細書では、「光学的」という用語は、2.5μmを超える波長、特に、2.6μmまで、3.1μmまで、3.5μmまで、5μmまで、5.5μmまで、6μmまで、20μmまで、又は40μmまでの波長を有する他の赤外線スペクトル範囲など、NIRスペクトル範囲外のさらなる波長をカバーすると考えられている。好ましくは、250nm~5μm、好ましくは400nm~3μm、より好ましくは1250nm~2.7μmの波長は、本明細書で使用する定義に従って、「光学的」という用語によってカバーされる。したがって、本明細書で使用される「光」という用語は、示された波長範囲内の少なくとも1つの波長を有する放射線に関する。
【0054】
さらに一般的に使用されるように、「スペクトル」という用語は、光学スペクトル範囲、具体的には、上記に示したように近赤外線(NIR)スペクトル範囲の区画を指す。ここで、スペクトルの各部分は、信号波長によって定義される光信号と対応する信号強度によって構成される。さらに一般的に使用されるように、「光学分光計」という用語は、スペクトル情報を取得することができる装置に関し、「スペクトル情報を取得する」という用語は、波長間隔などスペクトル又はその区画の対応する波長に関する信号強度を記録することを指し、信号強度は、好ましくは、さらなる評価のために使用され得る電気信号として提供され得る。特に、本発明によるモニタリング工程を実行するために、少なくとも1つの物質の少なくとも1つの光学スペクトルは、in-situで繰り返し取得されることができる。
【0055】
光学分光計は、好ましくは、分散要素を含んでよい。一般に使用されるように、「分散要素」は、少なくとも1つの物質からの入射光を構成波長信号のスペクトルに分離するように指定された装置を指し、この構成波長信号のそれぞれの強度は、その後、以下により詳細に説明されるように、単一の検出器又は検出器アレイによって生成される検出器信号の形態で決定される。ここで、分散要素は、好ましくは、少なくとも1つの回折要素又は少なくとも1つの干渉要素から選択され得る。ここで、少なくとも1つの回折要素は、プリズム又は光学格子から選択されてよく、少なくとも1つの干渉要素は、干渉フィルタ、特にバンドパスフィルタ、帯域阻止フィルタ、ブラッグフィルタ、線形可変フィルタなどの可変長フィルタ、ファブリペロ干渉計又はマイケルソン干渉計から選択されることができる。一般に使用される、「バンドパスフィルタ」という用語は、2つのカットオフ波長の間の波長帯を透過し、帯域外を減衰させるように設計された光学要素を指す。代替として、「帯域阻止フィルタ」は、帯域外を透過させながら帯域内で減衰させるように設計される。さらに一般的に使用される「ブラッグフィルタ」という用語は、光導波路又はガラス基板のコアの短いセグメントによって含まれる特定のタイプの帯域阻止フィルタに関する。ここで、屈折率の周期的な変化は、帯域内の波長を減衰させ、一方で帯域外の波長を邪魔せずに通過させるように設計された波長固有の誘電体ミラーとして使用され、帯域阻止フィルタとして機能する。さらに一般的に用いられるように、「可変長フィルタ」という用語は、複数の干渉フィルタ、特に、フィルタの連続的な配列で提供され得る、特にバンドパスフィルタを含む光学フィルタを指す。ここで、各フィルタは、可変長フィルタの受光面上の「長さ」という用語によって示される単一の次元に沿って、フィルタ上の各空間位置に対して可変中心波長を有するバンドパスを形成することができる。好ましくは、可変中心波長は、フィルタ上の空間位置の線形関数であり得、この場合、可変長フィルタは、「線形可変フィルタ」と呼ばれる。しかしながら、他の種類の関数が、可変中心波長とフィルタ上の空間位置との間の関係に適用されてよい。特定の実施形態において、可変長フィルタは、透明基板上に少なくとも1つの応答コーティングを担持するように指定されるウェッジフィルタであってよく、応答コーティングは、空間的に可変な特性、特に空間的に可変な厚さを示すことができる。さらに、「ファブリペロ干渉計」は、光共振器と共振している場合に光波のみが光共振器を通過することを可能にする2つの平行反射面を有する光共振器を備える。さらに、入射光を受け取り、それを分散要素に転送するように設計されたさらなる光学要素が使用されることができる。さらなる詳細については、WO2019/115594A1、WO2019/115595A1、又はWO2019/115596A1を参照することができる。
【0056】
代替として、光学分光計は、少なくとも1つのフーリエ変換赤外分光法(FTIR)分光光度計を備えてよい。ここで、光学分光計は、少なくとも1つの広帯域光源と、マイケルソン干渉計などの少なくとも1つの干渉要素とを備えることができる。FTIR分光光度計は、時間依存スペクトルを有する少なくとも1つの光ビームによる照射を提供するように構成されてよい。この目的のために、FTIR分光光度計は、好ましくは、少なくとも1つの可動ミラー要素を備え、ミラー要素の移動によって、広帯域光源によって生成された光ビームは、干渉要素によって交互に遮断され、透過され得る。光学分光計は、さらに、ミラー要素を制御するように構成され得る少なくとも1つの微小電気機械システム(MEMS)を備えることができる。さらに、FTIR分光光度計は、異なる波長が異なる速度で変調されるように、波長に応じて光ビームを変調するように構成されていてよい。
【0057】
光は、単一の検出器又は検出器アレイに衝突し得る。一般に使用されるように、「検出器アレイ」という用語は、光センサの少なくとも1つに衝突する入射光の強度を測定するように指定された複数の光センサを備える装置に関する。ここで、各センサは、好ましくは、特定の波長における入射光の強度を測定するように指定され得る。したがって、検出器アレイは、好ましくは、1つが他に続く光センサの一連の形態で配置され得る光センサのシーケンスを備え、光センサのシーケンスは、好ましくは、可変長フィルタの長さに沿って、それぞれの光フィルタの連続配置に対して平行に配置され得る。したがって、検出器アレイは、好ましくは、特に、入射光の強度をできるだけ多く受け取るために、好ましくは可変長フィルタの長さに沿って、一次元マトリックスとして一列に、又は二次元マトリックスの形態で複数の列に、特に2、3、又は4本の平行線として配置され得る一連の個々の光センサを備えることができる。したがって、一次元の1×Nマトリックス又は矩形の二次元のM×Nマトリックスが得られるように、1方向のピクセル数Nは、さらなる方向のピクセル数Mと比較して高くすることができ、M<10かつN≧10、好ましくはN≧20、より好ましくはN≧50である。さらに、本明細書で使用されるマトリックスは、千鳥配列に配置されることもできる。ここで、各光センサは、特に一連の光センサの製造を容易にするために、同一の、又は許容範囲内で同様の光感度を有することができる。あるいは、一連の光センサに使用される光センサの各々は、一連の光センサに沿って波長に対する光感度が増加する変動又は減少する変動を提供することなどによって、可変長フィルタの変化する透過特性に応じて変化し得る変化する光感度を示すことができる。しかしながら、他の種類の配置も可能である。
【0058】
特に、複数のピクセル化されたセンサを備え得る検出器アレイが使用されてよく、ピクセル化されたセンサの各々は、分散要素によって提供される構成波長信号のうちの少なくとも1つを受信するように適合されている。上記に示されるように、各構成波長信号は、ここでは、各構成波長の強度又は振幅に関する。一般に使用されるように、「ピクセル化された光センサ」又は「ピクセル化されたセンサ」という用語は、個々のピクセルセンサのアレイを含む光センサを指し、個々のピクセルセンサの各々は、入射光の強度に応じて電気信号を生成するように適合された放射線感応領域を少なくとも有し、電気信号は、特に、さらなる評価のために評価ユニットに提供され得る。ここで、個々のピクセルセンサの各々に含まれる放射線感応領域は、特に、個々のピクセルセンサに衝突する入射光を受けるように構成される単一の均一な放射線感応領域であり得る。しかしながら、ピクセル化されたセンサの他の配置も考えられる。さらに、上記に示したように、単一の放射線感応領域を有する単一の検出器もまた実現され得る。
【0059】
センサは、個々のピクセル化されたセンサに衝突する入射光の強度に関連する検出器信号、好ましくは電子信号を生成するように設計される。検出器信号は、アナログ信号及び/又はデジタル信号であってよい。隣接する光センサの電子信号は、したがって、同時に生成されることができ、あるいは、時間的に連続した方法で生成されることができる。例えば、行(row)スキャン又は列(line)スキャンの間、列に配置される一連の個々の光センサに対応する電子信号のシーケンスが生成されることが可能である。さらに、個々のセンサは、好ましくは、評価ユニットに提供する前に電子信号を増幅するように適合され得るアクティブセンサであってよい。この目的のために、光センサは、電子信号を処理及び/又は前処理するための1つ以上のフィルタ及び/又はアナログ-デジタル変換器などの1つ以上の信号処理装置を備えることができる。
【0060】
光センサは、任意の既知の光センサ、特にピクセル化されたセンサから、好ましくはピクセル化された有機カメラ要素、特にピクセル化された有機カメラチップから、又は、ピクセル化された無機カメラ要素、特にピクセル化された無機カメラチップから、特に、一般に、様々なカメラで使用されているCCDチップ又はCMOSチップから選択されることができる。ここで、シリコン(Si)は、典型的には、1.1μmまでの波長に対して使用されることができる。代替として、特に1.1μmを超える波長の場合、光センサの放射線感応領域は、光検出器、特に1.7μmまでの波長用のアンチモン化ガリウム(GaSb);特に1.85μmまでの波長用のゲルマニウム(Ge);特に2.5μmまでの波長用のインジウムガリウムヒ素(InGaAs);特に3.5μmまでの波長用のインジウムヒ素(InAs);特に3.5μmまでの波長用の硫化鉛(PbS);特に5.5μmまでの波長用のアンチモン化インジウム(InSb);特に6μmまでの波長用のセレン化鉛(PbSe);特に20μmまでの波長用のテルル化水銀カドミウム(MCT、HgCdTe)の少なくとも1つから選択される無機光検出器を備えることができる。しかしながら、他の光検出器又はさらなる種類の材料も可能であり、特に、好ましくは硫酸トリグリシン(TGS)又は重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)から選択される放射線感応材料を含む焦電検出器は、特に40μmまでの波長に使用されることができる。ここで、検出器のスペクトル感度が光源の発光スペクトルに密接に関連し得るスペクトル範囲を示し得る場合、検出器が高い強度を有する検出器信号を提供することができることを特に保証し、これにより、十分な信号対雑音比を有する検出器信号の評価を可能にし、同時に高分解能を可能にすることが特に好ましい。
【0061】
好ましい実施形態において、モニタリングシステムは、少なくとも1つの物質に関連する光信号を測定するように指定された光プローブを備えることができる。この実施形態では、光学分光計は、プローブによって提供される測定された光信号を使用することによって、少なくとも1つの物質に関連するスペクトル情報を取得するように指定され得る。一般的に使用されるように、「光プローブ」という用語は、好ましくはモニタリングされる少なくとも1つの物質の位置又はその近傍で、少なくとも1つの測定信号(ここでは「光信号」とも示される)を取得することによって光信号を測定するように指定される装置を指す。ここで、光プローブの表面の少なくとも一部は、特に、光プローブの寿命、特に過酷な環境内での寿命を延ばすことができる選択された特性を有するカバーを備え得る。特に、光プローブの表面又はその少なくとも一部は、光プローブの表面上の液体、特に高温のフライ油又はその少なくとも1つの分解生成物などの少なくとも1つの物質の付着を妨げるように指定される付着防止表面であるか又はそれを含むことができる。その利点として、光プローブとモニタリングされる少なくとも1つの物質との間の不利な相互作用を回避することができ、その不利な相互作用は、光プローブ又はその少なくとも一部を最終的に損傷又は破壊する可能性がある。
【0062】
さらに、光プローブは、少なくとも1つの物質の位置を照射するための放射を提供するように指定されてよい。しかしながら、少なくとも1つの物質の位置が既に十分に照射されている可能性がある場合には、光プローブのそのような機能は不要であってよい。しかしながら、本発明に関連して使用される好ましい波長範囲が、上述のように、少なくとも1つの物質の場所において十分な強度で必ずしも利用可能ではない波長をカバーすると考えられるスペクトル範囲であるため、光プローブは、少なくとも1つの物質の場所を照射するための所望の放射線を提供するように指定され得るのが好ましい。
【0063】
したがって、光プローブは、好ましくは、放射線を提供することと、少なくとも1つの物質の場所で少なくとも1つの物質の一部との放射線の相互作用から生じる少なくとも1つの光信号を生成すること、の両方に使用され得る。この目的のために、光プローブは、具体的には、少なくとも1つの物質の形状及び/又は少なくとも1つの物質の少なくとも一部を含む容器の形状に適合させ得る構成を含み得る。特に、該構成は、透過型形状、トランスフレクション型形状、又は拡散反射型形状もしくは減衰全反射型形状などの反射型形状の少なくとも1つから選択され得る。以下により詳細に示すように、透過型形状は、特に、モニタリングされる少なくとも1つの物質が、液体、気体、粉末、又は粒状体の少なくとも1つから選択される透明材料を含み得ることが好ましく、その場合、少なくとも1つの物質の層の厚さを透過することが有利であり得る。ここで、透過型形状のための構成は、好ましくは、モニタリングされる少なくとも1つの物質の層の厚さ、特に0.1mmから、好ましくは1mmから、より好ましくは2mmから、20mmまで、好ましくは、8mmまで、より好ましくは、5mmまでの厚さを通して光を導くように指定され得る。しかしながら、モニタリングされる少なくとも1つの物質が、粉末、粒状体又はバルク材料のような、透明でない材料を含む可能性がある場合は、反射型形状がより好ましい可能性がある。「透明」又は「非透明」という用語は、透明度のそれぞれの等級が、少なくとも1つの物質に適用される特定の波長又は波長範囲、特にNIRスペクトル範囲内の透明度の等級を指すことを示す。
【0064】
さらに、評価のために光プローブによって生成された光信号を光学分光計に導くため光プローブと光学分光計との間の接続を提供するために、及び、好ましくは、特にNIRスペクトル範囲内の所望のスペクトル範囲を有する照射を生成するように指定された光源と光プローブとの間のさらなる接続をも提供するために、少なくとも1つの光ファイバなどの少なくとも1つの光導波路が使用され得る。しかしながら、さらなる種類の接続も可能である。
【0065】
特定の実施形態において、光プローブは、少なくとも1つのチューブ、好ましくは2つの個別のチューブを備えることができ、該少なくとも1つのチューブは、少なくとも1つの接続を受け入れるように指定されている。さらに、光プローブは、少なくとも1つのチューブが取り付けられ得るマウントを備えることができる。この目的のために、ネジなどの締結要素が使用され得る。ここで、マウントは、好ましくは、剛性マウントであってよく、したがって、光プローブに所望の安定性を提供することができ、一方、該少なくとも1つのチューブは、好ましくは、可撓性チューブであってよく、したがって、液体中、特に高温又は毒性の液体中、又は粉末、顆粒もしくはバルク材料を含むボリューム中などの過酷な環境において、特に損傷の危険性を減らすために有利であり得る一定レベルの可撓性を提供することができる。
【0066】
さらに、モニタリングシステム、特に光プローブは、少なくとも1つの物質の追加の物質関連情報を測定するように指定され得る少なくとも1つの追加のセンサを含んでよく、ここで、「追加の物質関連情報」という用語は、光学分光計を用いることによって取得される少なくとも1つの物質に関する少なくとも1つの情報に加えて、少なくとも1つの物質にさらに関する少なくとも1つのデータの項目を指す。特に、さらなる物質関連情報は、好ましくは:温度、密度、フラックス、導電率、粘性、電磁場、誘電率、屈折率、蛍光、リン光、磁化値、pH値、緩衝能、酸価、又はゼータ電位のうちの少なくとも1つから選択され得る。しかし、さらなる種類の追加の物質関連情報も可能である。少なくとも1つの追加の物質関連情報を決定する目的で、追加のセンサは、好ましくは、プローブのマウントに取り付けられてもよく、電源又はデータ読み出し用のリードは、好ましくは、少なくとも1つのチューブを介して案内され得る。さらに、光プローブに取り付けることができる他の要素が考えられる。さらなる代替として、プローブは、少なくとも1つの化学的及び/又は生物化学的な量、特に血液、尿、唾液、眼液、又は間質液などの体液の組成を分析するように指定される少なくとも1つのラボオンチップシステム又は少なくとも1つのマイクロ流体システムであってよく、又はそれらを含んでいてよい。
【0067】
さらに、光学分光計は、検出器によって提供される検出器信号を評価することによって、少なくとも1つの物質のスペクトルに関連するスペクトル情報を生成するように指定される評価ユニットを備えている。一般的に使用されるように、「評価ユニット」という用語は、検出器信号に基づいて情報を生成するように設計されている任意の装置を指す。この目的のために、評価ユニットは、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)などの1つ以上の集積回路、及び/又は、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)、及び/又は1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及び/又は、1つ以上コンピュータ、好ましくは1つ以上のマイクロコンピュータ及び/又はマイクロコントローラなどの1つ以上のデータ処理装置であるか、又はそれらを含んでいてよい。追加のコンポーネント、例えば、1つ以上の前処理装置、及び/又は1つ以上のAD変換器及び/又は1つ以上のフィルタなどの、センサ信号の受信及び/又は前処理を行う1つ以上装置などが含まれていてもよい。さらに、評価ユニットは、少なくとも1つのデータ記憶装置を含むことができる。さらに、上記で概説したように、評価ユニットは、少なくとも1つのインターフェイス、例えば無線インターフェイス及び/又は有線インターフェイスを含むことができる。さらに、光学分光計、特に評価ユニットは、本明細書の他の箇所で説明されているように、少なくとも1つの物質に関連するデータを決定するようにさらに指定されることができる。この目的のために、評価ユニットは、スペクトル情報、検出器アレイによって提供される光信号、又は少なくとも1つの追加のセンサによって提供されるセンサ信号の少なくとも1つから、少なくとも1つの物質に関連するデータを決定するように構成されるさらなる評価ルーチンを備えるか、又はそれへのアクセスを有することが可能である。さらに、光学分光計、特に評価ユニットは、本明細書の他の箇所に記載されているように、少なくとも1つの物質の追加の物質関連情報を決定するようにさらに指定されることができる。この目的のために、評価ユニットは、追加のセンサの少なくとも1つによって提供される測定信号から、追加の物質関連情報を決定するように構成されるさらなる評価ルーチンを備えるか、又はそれへのアクセスを有することが可能である。
【0068】
ここで、光学分光計、特に光学分光計によって含まれる評価装置によって生成される物質をモニタリングするために使用され得るスペクトル情報は、好ましくは、データ転送ユニットによって、少なくとも1つのサーバ、特に本明細書の他の箇所に記載されているように通信システムによって含まれる少なくとも1つの第2サーバに提供されることができる。本明細書で使用される「データ転送ユニット」という用語は、有線伝送又は無線伝送で、光学分光計から、通信システムによって含まれる少なくとも1つの第2サーバにスペクトル情報を伝送するように指定される任意の装置を指す。この目的のために、データ転送ユニットは、好ましくは、ユニバーサルシリアルバス(USB)又はBluetooth対応装置の少なくとも1つから選択され得る。しかしながら、光学分光計、特に光学分光計の評価装置と、対応する第2サーバとの間のデータ転送を可能にするように構成されたさらなる方法及び装置も考えられ得る。
【0069】
さらに、光学分光計は、光源などのさらなるコンポーネントを含んでいてよい。本明細書で使用される「光源」という用語は、上記に示されるような波長範囲の少なくとも1つにおいて十分な放射を提供することが知られている種類の照射源を指す。したがって、照射源は、白熱ランプ、薄膜フィラメント、又は黒体スペクトルを放出するMEMSシステム、火炎源;火炎源;熱源;レーザー特にレーザーダイオード(ただしさらなるタイプのレーザーも使用可能);発光ダイオード;有機光源、特に有機発光ダイオード;ネオン光;構造化光源のうちの少なくとも1つから選択され得る。しかしながら、熱赤外エミッタなどの他の種類の照射源を使用することもできる。本明細書で使用される、「熱赤外エミッタ」という用語は、所望の放射線を放出するように指定された放射放出面を備えるマイクロ機械加工された熱放出装置を指す。一例として、熱赤外エミッタは、Axetris AG(Schwarzenbergstrasse 10,CH-6056 Kaegiswil,Switzerland)から「emirs50」という名で、LASER COMPONENTS GmbH(Werner-von-Siemens-Str.15 82140 Olching,Germany)から「熱赤外線エミッタ」として、又はHawkeye Technologies(181 Research Drive #8,Milford CT 06460,United States)から「赤外線エミッタ」として入手することができる。しかしながら、さらなるタイプの熱赤外エミッタも可能である。
【0070】
ここで、光源は、連続光源であってよく、又は代替として、パルス光源であってよく、パルス光源は、少なくとも1Hz、少なくとも5Hz、少なくとも10Hz、少なくとも50Hz、少なくとも100Hz、少なくとも500Hz、少なくとも1kHz、又はそれ以上の変調周波数を有し得る。特定の実施形態では、光学分光計又は光源の少なくとも1つは、照射を変調するように、好ましくは周期的変調するように指定された変調装置を備えることができる。一般的に使用されるように、「変調」という用語は、照射の総出力を、好ましくは周期的に、特に少なくとも1つの変調周波数で変化させるプロセスを指す。特に、周期的な変調は、照射の総出力の最大値と最小値との間で行われることが可能である。最小値は、0であることができるが、>0であることもでき、例として、完全な変調が行われる必要はない。ここで、変調は、好ましくは、所望の変調された照射を生成するように指定された光源内で、好ましくは、変調された強度及び/又は総出力を有する光源自体、例えば周期的に変調された総出力を有する光源自体により、及び/又はパルス照射源として具現化された光源、例えばパルスレーザーにより、行われることが可能である。さらなる例として、欧州特許出願19213277.7(2019年12月3日出願)に開示された放射線を生成するための装置がこの目的のために使用されることができ、この装置は、少なくとも1つの放射線放出素子(該放射線放出素子は、電流によって加熱されると放射線を生成するように指定されている);マウントであって、少なくとも1つの放射線放出素子を担持し、マウント又はその一部が可動である、マウント;ヒートシンクであって、マウントを冷却するように指定されているヒートシンクを含み、該少なくとも1つの放射線放出素子はマウントが接触すると、マウントによって担持される。代替的に又は追加的に、異なるタイプの変調装置、例えば電気光学効果及び/又は音響光学効果に基づく変調装置も使用されることが可能である。しかしながら、ビーム経路内の任意の位置における光ビームの変調も考えられ、ビームチョッパー、又は、例えば、好ましくは一定速度で回転し、したがって、照射を周期的に遮断できる遮断ブレード又は遮断ホイールなどの異なるタイプの周期的ビーム遮断装置も使用されることが可能である。したがって、検出器アレイは、異なる変調が異なる変調周波数を有する場合に、少なくとも2つの検出器信号を検出するように指定されることができる。ここで、評価ユニットは、少なくとも2つの検出器信号からスペクトル情報を生成するように指定されることができる。
【0071】
既に上記で示したように、モニタリングシステムという用語は、単一のコンポーネントに統合され得る少なくとも2つのコンポーネントを含むことができる。その利点として、統合されたコンポーネントの取り扱い、特にユーザによる取り扱いが容易になり得る。したがって、光源及び光学分光計は、好ましくは、単一のユニットに統合され得る。あるいは、光プローブと光学分光計は、好ましくは、単一のユニットに統合され得る。さらなる代替として、光源、光プローブ、及び光学分光計は、好ましくは、単一のユニットに統合され得る。さらに、第2サーバと第3サーバは、単一のユニットに統合されることができる。代替的に又は追加的に、光学分光計、データ転送ユニット、及び第2サーバは、単一のユニットに統合され得る。一例として、光学分光計、光源、データ転送ユニット、第2サーバ、及び第3サーバは、単一のユニットに統合され得る。しかし、さらなる種類の統合されたコンポーネントもまた実現可能である。
【0072】
本発明のさらなる態様では、通信システムを操作するためのコンピュータ実装方法が開示される。したがって、本発明による方法は、コンピュータ実装方法である。一般に使用されるように、「コンピュータ実装方法」という用語は、プログラム可能な装置、特に、プログラムを担持する可読媒体、コンピュータ、又はコンピュータネットワークを含む方法を指し、それによって、本発明の特徴の1つ以上は、少なくとも1つのプログラムによって実行される。本発明によれば、少なくとも1つのプログラムは、通信システム、特に本明細書の他の箇所に記載されているような通信システムを介して、それぞれの方法を実行するように適合されている装置によってアクセス可能であり、プログラムは、好ましくは、インターネットを介して利用可能であり得る。本発明に特に関して、本方法は、したがって、少なくとも1つの適合されたコンピュータプログラムを提供することなどにより、この目的のために構成されたプログラム可能な装置上で実行されることが可能である。その結果、本発明による方法は、特に、少なくとも1つの物質のin-situモニタリングに影響を与えることができ、この目的のために、本明細書に記載される通信システムを操作するためのコンピュータ実装方法が採用される。本明細書でさらに使用される場合、「操作する」及び「操作」という用語は、所望の方法で通信システムの機能を有効化するように構成される一連の方法ステップを指す。
【0073】
本明細書に開示される通信システムを操作する方法は、以下のステップを含み、これらは、好ましくは、所与の順序で実行され得る。さらに、ここに記載されていない追加の方法ステップを提供することができる。別段の明示的な指示がない限り、方法ステップのいずれか又は全て、特に隣接する方法ステップは、少なくとも部分的に、同時方式で実行されることができる。さらに、方法ステップのいずれか又は全ては、特に、より詳細に後述するように、本発明によるin-situモニタリングプロセスを繰り返し実行できるようにするために、繰り返しの方法でなど、少なくとも2回実行されてよい。
【0074】
したがって、本発明による通信システムの操作方法(通信システムは、クラウドサーバと、第1サーバと、少なくとも1つの第2サーバと、少なくとも1つの第3サーバとを備える)は、以下のステップ:
a)第1通信インターフェイスを介して、第1サーバからクラウドサーバに、少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報及び参照分析データを提供するステップと;
b)前記少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報及び参照分析データを使用することによって、前記クラウドサーバにおいて較正モデルを生成するステップであって、前記較正モデルが少なくとも1つのパラメータを含むステップと;
c)第2通信インターフェイスを介して、第2サーバから前記クラウドサーバに、少なくとも1つの物質に関連するスペクトル情報を提供するステップと;
d)前記クラウドサーバ内の前記較正モデルを前記少なくとも1つの物質に関連するスペクトル情報に適用し、これにより、少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの値が抽出されるステップと;
e)前記第1通信インターフェイスを介して、前記少なくとも1つのパラメータの前記少なくとも1つの値を前記第1サーバに提供するステップと;
f)前記クラウドサーバによって前記第1サーバに提供された前記少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの値を使用することによって、処理データを決定するステップであって、前記処理データは前記少なくとも1つの物質の提案された処理に関する少なくとも1つのデータを含むステップと;
g)第3通信インターフェイスを介して、前記第1サーバから第3サーバに、前記処理データを提供するステップと、
を含む。
【0075】
本発明のさらなる態様において、少なくとも1つの物質のin-situモニタリングのためのコンピュータ実装方法が開示される。「コンピュータ実装方法」という用語に関して、上記で提供された定義を参照することができる。本明細書に開示される方法は、以下のステップを含み、これらは、好ましくは、所与の順序で実行され得る。さらに、ここに記載されていない追加の方法ステップが提供されてよい。別段の明示的な指示がない限り、方法ステップのいずれか又は全て、特に隣接する方法ステップは、少なくとも部分的に、同時方式で実行されることができる。さらに、方法ステップのいずれか又は全ては、特に、少なくとも1つの物質の少なくとも1つの光学スペクトルを繰り返し取得する方式でin-situモニタリングプロセスを実行することを可能にし、評価ユニットを介してそこから処理データを繰り返し導出し、それに従って少なくとも1つの物質の処理を可能にするように、ユーザに処理データを繰り返し提供するために、繰り返し方式などで、少なくとも2回実行され得る。
【0076】
したがって、少なくとも1つの物質のin-situモニタリングのためのコンピュータ実装方法は、以下のステップ:
(i)少なくとも1つの参照サンプルの少なくとも1つの光学参照スペクトルを取得し、各参照サンプルはモニタリングされる少なくとも1つの物質を含み、参照分析データは各参照サンプルに割り当てられ、前記少なくとも1つの光学参照スペクトルから前記少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報を導出するステップと;
(ii)in-situで前記少なくとも1つの物質の前記少なくとも1つの光学スペクトルを取得し、前記少なくとも1つの光学スペクトルからin-situで前記少なくとも1つの物質に関連するスペクトル情報を導出するステップと;
(iii)本明細書の他の箇所に記載されている通信システムを操作するためのコンピュータ実装方法に従って方法のステップを実行するステップと;
(iv)処理データに従って前記少なくとも1つの物質を処理するステップと、
を含む。
【0077】
さらなる態様では、本発明はコンピュータプログラム製品に関する。一般的に使用されるように、「コンピュータプログラム製品」は、本発明による上記に示される方法の少なくとも1つ、好ましくは両方の方法を実行するための実行可能な命令を指す。この目的のために、コンピュータプログラムは、コンピュータ又はデータ処理装置に実装された場合、本発明による方法のステップのいずれか又は全てを実行し、したがって、物体の画像の生成を確立するように構成されたコンピュータプログラムコードによって提供される命令を含むことができる。コンピュータプログラムコードは、データ記憶媒体、又は光記憶媒体などの別個の装置、例えばコンパクトディスク上、コンピュータ又はデータ処理装置上に直接、又は社内ネットワーク又はインターネットなどのネットワークを介して、例えばクラウド上の別個の装置に提供されることができる。
【0078】
コンピュータ実装方法及び関連するコンピュータプログラム製品に関するさらなる詳細については、本明細書の他の箇所に開示される本発明によるシステムを参照することができる。
【0079】
本発明のさらなる態様では、通信システムの使用、少なくとも1つの物質のin-situモニタリングのためのモニタリングシステム(該モニタリングシステムは通信システムを備える)の使用、本発明による関連する方法の使用が開示される。ここで、通信システム、少なくとも1つの物質のin-situモニタリングのためのモニタリングシステム、及び関連する方法は、好ましくは:
- 食品又は飲料の管理又はモニタリング、特に、食品及び/又は飲料の管理、特徴付け、分析、分類又は成分、アレルゲン、汚染物質の証明;フライ油の特徴付けを含むがこれに限定されない;コーヒーの焙煎及び品質のモニタリング;品質、鮮度、熟度、炭水化物、脂肪、タンパク質、カフェイン、砂糖、繊維、水分、酸、又はナッツなどの含有物の濃度の分析:ビーガン食品と非ビーガン食品の分類;ヴァージンオリーブ油とエクストラヴァージンオリーブ油の分類;食品中の細菌又は粉ミルク中のメラミンの証明、
- 工業プロセス制御、特に合成制御、エマルジョン安定性制御、品質制御、ブレンド形成、均一性制御、燃焼モニタリング、油劣化モニタリングから選択される、工業プロセス制御、
- 材料の分類又は特徴付け、特に、入荷管理、出口管理、プラスチックの検出及び仕分け、プラスチックの可塑剤検出、廃棄物の仕分け及びリサイクル、潤滑油又は燃料の特徴付け;充填ノズル又はタンクワゴンでの材料管理;建設材料、例えば電柱、コンクリート、防災材料又はネジアンカーの品質管理;異なる繊維などへの繊維の分類;汚染物質の検出及び特徴付け、から選択される、材料の分類又は特徴付け、
- 製品の偽造防止、特に、紙幣、パスポート、個人識別カードの認証、IRマーカーの検出、光学的タガントの検出、タガントを使用しない製品の認証、から選択される、製品の偽造防止、
- 生物体の特徴付け、特に植物又はその一部(果実、種子、葉を含む)の特徴付け;土壌分析;汚染物質の検出及び特徴付け、から選択される、生物体の特徴付け、
- 健康アプリケーション、特に、皮膚を介した血液中のアルコール検出、血液中のグルコースレベルの決定、排泄物分析(糖、血液、炭水化物、タンパク質、脂肪);皮膚分析(水分、脂質、タンパク質)、例えば化粧品用途;毛髪分析;筋肉酸素化又は酸化エネルギー代謝の決定;空気品質のモニタリング、から選択される健康アプリケーション、
からなる群から選択される使用目的のために使用され得る。しかし、さらなる種類の使用も考えられる。
【0080】
食品制御に特に関して、特にフライ工程のモニタリングに関して、少なくとも1つのパラメータは、好ましくは、熱酸化的油劣化又は加水分解による油劣化に関連する指標、好ましくは、総極性化合物(TPC)、ジアシルグリセロール及び重合トリアシルグリセロール(DPTG)、アニシジン値(AnV)、標準的な(例えば、DGF)方法を使用して決定されるような酸価(AV)、の少なくとも1つから選択される、指標;脂肪酸組成、遊離脂肪酸濃度、トランス脂肪酸濃度、ヨウ素価(IV)、モノマー酸化トリアシルグリセロール(MonoxTG)の含有量;又はフライの味関連指標又は外観関連指標の少なくとも1つなどの感覚パラメータ、から選択されることができる。劣化した油サンプルの典型的なNIRスペクトルは、12,000から4,000cm-1の波数範囲にあり、これは833nmから2500nmに対応するが(例えば、Wang等による,Anal.Methods 6,7628頁,2014年参照)、最も顕著な特徴は9000から4000cm-1の波数範囲に見られる。ここで、4,000cm-1付近の強い吸収は、その領域での情報の抽出を阻害する可能性がある。少なくとも1つの選択されたパラメータの少なくとも1つの値に基づいて、処理データは、特に、例えば現在又は後の瞬間などの特定の時点でフライ油を交換すること、又は少なくとも1つの物質に少なくとも1つの追加物質を添加することなどによる、フライ油の処理に対する推奨される手順を含むことができる。しかしながら、さらなる種類の処理データが考えられる。上記に示され、以下の例で説明するように、処理データは、少なくとも1ユーザ又は少なくとも1つの処理ユニットをそのようなアクションを実行するようにトリガすることができる。
【0081】
特に、空気質のモニタリング、特に屋内空気質のモニタリングに関しては、二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)、オゾン(O3)、又は他の揮発性有機化合物の少なくとも1つの濃度がモニタリングされ得、処理データは特に、屋内施設の換気の運転に関する推奨を含むことができる。さらに、処理データは、特に、二酸化炭素(CO2)、又はエタノール(C2H5OH)の濃度に応じて、自動車のエンジンを始動すべきか否かの推奨を含むことができ、エタノールに関するパラメータを決定するために、光プローブは、好ましくは、ユーザのための呼吸分析器を含むことができる。
【0082】
特に燃焼モニタリングに関しては、硫黄酸化物(S2O、SO、SO2、SO3、その他)、窒素酸化物(NO、NO2、その他)、二酸化炭素(CO、CO2、その他)、又はオゾン(O3)の少なくとも1つの濃度をモニタリングすることができ、処理データは、特にエンジン又は触媒コンバータの少なくとも1つの調整のための推奨を含むことができる。
【0083】
特に潤滑剤の特徴付けに関しては、添加剤濃度又は少なくとも1つの劣化パラメータ、例えば酸化、ニトロ化、すす/粒子濃度、酸価(AN)、総酸価(TAN)、総塩基価(TBN)、硫黄濃度、冷却水含有量、粘度又は水含有量がモニタリングされ得、処理データは特に、潤滑剤を交換するか否か又は添加剤を添加又は再充填するかどうかの推奨を含むことができる。
【0084】
特にプラスチックの仕分けとリサイクルに関しては、ポリマー又は可塑剤などの添加物をモニタリングプロセスで識別することができ、処理データは、特に、ポリマーを含む物体、又はポリマーを含む物体が割り当てられ得るコンテナなどの容器の承認又は拒否の少なくとも1つの推奨を含むことができる。
【0085】
特に土壌分析に関しては、土壌の質を示す少なくとも1つのパラメータをモニタリングすることができ、処理データは、特に、土壌の処理又は特定の作物に調整され得る肥料の適用のための推奨される手順に関する推奨を含むことができる。
【0086】
特に、トマト、もしくはブドウなどの果物、又はフルーツジュースもしくはスムージーなどのその製品の特徴付けに関しては、Brix値などの熟度又は甘さの少なくとも1つから選択されるパラメータをモニタリングすることができ、処理データは特に、品質推定;貯蔵条件の推奨;果物を食べるかどうか;又は果物の収穫を開始するかどうかの少なくとも1つを含むことができる。
【0087】
特にジャガイモの特徴付けに関しては、デンプン含量、水分含量、糖含量の少なくとも1つから選択されるパラメータをモニタリングすることができ、処理データは、特に、貯蔵条件又はモニタリングされたジャガイモの分類に関する推奨を含むことができる。
【0088】
特に大豆、キャノーラ、又は綿の種子から選択されるような油糧種子の特徴付けに関しては、油含有量、脂肪酸プロファイル、遊離脂肪酸含有量、水分含有量、又はタンパク質含有量の少なくとも1つから選択されるパラメータをモニタリングすることができ、処理データは特に、品質表示、差別化商品、又は特性強化農産物のうちの少なくとも1つに関する推奨を含むことができる。
【0089】
小麦、トウモロコシ、大麦、又はオート麦などの作物の特徴付けに関しては、特に、タンパク質含有量、デンプン含有量、又は水分含有量のうちの少なくとも1つから選択されるパラメータをモニタリングすることができ、処理データは、特に、最適収穫時期(収穫が今かどうかなど)、品質表示、商品対形質強化の少なくとも1つのパラメータを含む較正モデルに関する推奨を含むことができる。
【0090】
特に葉の特徴付けに関しては、処理データは、特に、病気、干ばつストレス、又は灌漑への対策に関する推奨を含むことができる。
【0091】
本明細書でさらに使用される、「物質」という用語は、特に本発明によるモニタリング装置を使用することによってスペクトル情報が生成され、第2サーバの第2通信インターフェイスを介して提供される任意の物体又はその一部に含まれる少なくとも1つの化合物を指す。したがって、少なくとも1つの物質は、液体;気体;固体、特に粉末、顆粒、又はバルク材料;又はそれらの混合物のうちの少なくとも1つから選択されてよく、一般に、少なくとも1つの物質は、本発明による通信システム及び関連する方法を含むモニタリングシステムの特定の使用に依存する。ここで、特定の物質は、少なくとも1つの組成を含んでいてよく、物質の組成は、特定の物質のモニタリングの間、一定のままであるか、又は変化することができる。
【0092】
既に上記で定義したように、「パラメータ」という用語は、特定の物質に関する分析データへの影響を表すものを指す。代替的に又は追加的に、少なくとも2つのパラメータを組み合わせて、さらなるパラメータを生成することができる。したがって、較正モデルに割り当てられる少なくとも1つのパラメータは、同様に、本発明による通信システム及び関連する方法を含むモニタリングシステムの特定の使用に依存する。具体的には、少なくとも1つのパラメータは:
- 回帰値、特に、少なくとも1つの物質の、物質の少なくとも1つの組成の、物質の少なくとも1つの変性生成物の、物質の変性によって生成された少なくとも1つの副生成物の、濃度から選択される回帰値;組成の安定性;製造の等級、物質の年代;
- 分類値、特に、少なくとも1つの物質を識別するための分類値;
- クラスター化値、特に、少なくとも1つの物質に関するクラスターを形成するためのクラスター化値;
- 感覚パラメータ、特に、形状、サイズ、位置、向きのうちの少なくとも1つから選択される感覚パラメータ;
- 抽出された特徴、特に、スペクトル情報に関する少なくとも1つの特徴から選択された、抽出された特徴、
のうちの少なくとも1つから選択されることができる。
【0093】
その結果、少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値を使用することによって決定される処理データは、通信システム及び関連する方法を含むモニタリングシステムの特定の使用にも依存する。したがって、処理データは、特に:
- 少なくとも1つの物質の識別に関する記述;
- 少なくとも1つの物質又は少なくとも1つの物質を含む製品の純正性に関する記述;
- 少なくとも1つの物質の起源に関する記述;
- 病気の発生など、少なくとも1つの物質の有無の状態に関する記述;
- 特に、品質、濃度、少なくとも1つの物質の種類から選択される少なくとも1つの物質の特性に関する記述;
- 特に、少なくとも1つの物質の組成の濃度から選択される、少なくとも1つの物質の組成の特性に関する記述;
- 少なくとも1つの物質と、少なくとも1つの他の物質との混合物の安定性に関する記述;
- 少なくとも1つのパラメータの値に基づく推奨される手順に関する記述、
のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0094】
ここで、推奨される手順は:
- 決定された時点又は時間範囲で、少なくとも1つの物質の少なくとも一部を置き換えること;
- 少なくとも1つの物質にさらなる量を添加すること;
- 少なくとも1つの物質に、薬による処理などさらなる物質を添加すること;
- 少なくとも1つの物質へのさらなる物質の添加を延期すること;
- 少なくとも1つの物質を除去すること;
- 少なくとも1つの物質に作用する温度又は圧力の少なくとも1つを変化させること;
- 収穫手順を行うこと;
- 収穫手順を延期すること;
- 少なくとも1つの物体を承認すること又は拒否すること;
- 少なくとも1つの物体を推奨すること又は推奨しないこと;
- 少なくとも1つの物体を消費すること又は消費しないこと;
- 少なくとも1つの物体を入力制御又は出口制御で承認すること又は拒否すること;
- 少なくとも1つの物体、具体的には特定の容器中の少なくとも1つの物体を、好ましくはリサイクルのために仕分けること;
- 少なくとも1つの物体を、特に特定の貯蔵状態又は貯蔵場所に貯蔵すること;
- 少なくとも1つの物体の洗浄すること、
のうちの少なくとも1つから選択されることができる。
【0095】
処理される物質の種類に特に応じて、処理ユニットは、好ましくは:
- 少なくとも1つの物質又は異なる物質の追加の量を保管するように、又はその一部を提供するように指定された貯蔵容器;
- 少なくとも1つの物質を均質化するように、及び/又は少なくとも2つの異なる物質を混合するように指定された処理ユニット(processing unit);
- 少なくとも1つの物質を洗浄するように指定された洗浄ユニット;
- 使用済み物質を受け入れるように指定された廃棄物容器;
- 少なくとも1つのバルブを制御するように指定されたバルブ制御ユニットであって、バルブ制御が、少なくとも1つの物質の供給又は除去を調整することができる、バルブ制御ユニット;
- 少なくとも1つの物質の一部を割り当てるように指定された仕分けユニット;
- 少なくとも1つの物質の照射を交互に変化させることが可能な照射制御ユニット;
- 少なくとも1つの物質の温度を変化させるように指定された温度制御ユニット;
- 少なくとも1つの物質に対する圧力を変化させるよう指定された圧力制御ユニット;
- 少なくとも1つの物質に熱を与えるように指定された加熱ユニットであって、少なくとも1つの物質の加熱が、少なくとも1つの物質の物理的又は化学的反応を誘発することができる、加熱ユニット;
- 少なくとも1つの物質を冷却するように指定された冷却ユニットであって、少なくとも1つの物質の冷却が、少なくとも1つの物質の物理的又は化学的反応を妨げるか又は終了させる結果となり得る、冷却ユニット、
のうちの少なくとも1つから選択されることができる。
【0096】
しかし、さらなる種類の処理ユニットも考えられる。
【0097】
したがって、通信システム、通信システムを含む少なくとも1つの物質のin-situモニタリングのためのモニタリングシステム、及び関連する方法は、少なくとも1つの物質に効率的なモニタリングを提供することができ、これにより、少なくとも1つの物質を、遠隔地又はほとんどアクセスできない地域であっても、ユーザの敷地内の任意の場所に配置することを可能にする。さらに、少なくとも1つの物質の場所又はその近傍で取得された測定データの処理は、クラウドサーバ内の示された操作を実行するためのインフラストラクチャによって代表される第1インスタンス(これは少なくとも1つの追加のサーバによって生成及び維持されることができる、第1インスタンスは測定データの評価に精通している)と、第1サーバによって代表される第2インスタンス(第2インスタンスは最終的に評価された測定データに基づいている処理データを、ユーザに提供することに精通している)との間で分配される。これにより、システム及び関連する方法は、好ましくは完全に自動化された手順で、分散化されたベストプラックティスと、測定データを処理する間、高いデータ保護基準の下でのユーザへの特定のデータ交換と、の両方を同時に適用することが可能である。
【0098】
要約すると、本発明の文脈では、以下の実施形態が特に好ましいと考えられる。
【0099】
実施形態1:クラウドサーバ、第1サーバ、少なくとも1つの第2サーバ、少なくとも1つの第3サーバを備えた通信システムにおいて;
前記第1サーバは、参照スペクトル情報及び参照分析データを前記クラウドサーバに提供するように構成された第1通信インターフェイスをさらに有し;
各第2サーバは、スペクトル情報を前記クラウドサーバに提供するように構成された第2通信インターフェイスを有し;
前記クラウドサーバは、
- 前記第1サーバによって提供された前記参照スペクトル情報及び参照分析データを用いることによって、少なくとも1つのパラメータを含む較正モデルを生成し;
- 前記較正モデルを、前記第2サーバによって提供された前記スペクトル情報に適用し、それによって、少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値を抽出し;
- 前記第1通信インターフェイスを介して、前記少なくとも1つのパラメータに対する前記少なくとも1つの値を前記第1サーバに提供する;
ように構成され、
前記第1サーバは、前記クラウドサーバによって提供された前記少なくとも1つのパラメータに対する前記少なくとも1つの値を使用することによって処理データを決定するようにさらに構成され;
前記第1サーバは、少なくとも1つの第3通信インターフェイスをさらに有し、各第3通信インターフェイスは、前記処理データを前記少なくとも1つの第3サーバに提供するように構成されている、通信システム。
【0100】
実施形態2:前記第2通信インターフェイスは、前記スペクトル情報を直接的又は間接的に前記クラウドサーバに提供するように構成されている、先行する実施形態による通信システム。
【0101】
実施形態3:前記スペクトル情報は、前記スペクトル情報を前記第1サーバに提供することによって、前記クラウドサーバに間接的に提供され、前記第1サーバは、前記スペクトル情報を前記クラウドサーバに提供するように構成された第4通信インターフェイスをさらに備えている、先行する実施形態による通信システム。
【0102】
実施形態4:前記パラメータは、回帰値、分類値、クラスター化値、感覚パラメータ、抽出された特徴の少なくとも1つから選択される、先行する実施形態のいずれか1つによる通信システム。
【0103】
実施形態5:前記第3サーバは、前記処理データに関連する情報の少なくとも1つの項目をユーザに表示するように指定されたユーザインターフェイスを備えるか、又は駆動する、先行する実施形態のいずれか1つによる通信システム。
【0104】
実施形態6:前記ユーザインターフェイスは、パーソナルコンピュータ又はモバイル通信装置を含む、先行する実施形態による通信システム。
【0105】
実施形態7:前記モバイル通信装置は、スマートフォン、タブレット、又は携帯情報端末のうちの少なくとも1つである、先行する実施形態による通信システム。
【0106】
実施形態8:前記処理データは、少なくとも1つの物質の提案された処理に関連する少なくとも1つのデータを含む、先行する実施形態のいずれか1つによる通信システム。
【0107】
実施形態9:前記処理データは:
- 前記少なくとも1つの物質の識別に関する記述;
- 前記少なくとも1つの物質又は前記少なくとも1つの物質を含む製品の信頼性に関する記述;
- 前記少なくとも1つの物質の起源に関する記述;
- 前記少なくとも1つの物質の有無の状態に関する記述;
- 前記少なくとも1つの物質の特性に関する記述;
- 前記少なくとも1つの物質の組成の特性に関する記述;
- 前記少なくとも1つの物質と、少なくとも1つの他の物質との混合物の安定性に関する記述;
- 前記少なくとも1つのパラメータの値に基づく推奨される手順に関する記述、
のうちの少なくとも1つを含む、先行する実施形態のいずれか1つによる通信システム。
【0108】
実施形態10:前記推奨される手順は:
- 決定された時点又は時間範囲において、前記少なくとも1つの物質の少なくとも一部を置き換えること;
- 前記少なくとも1つの物質にさらなる量を添加すること;
- 前記少なくとも1つの物質にさらなる物質を添加すること;
- 前記少なくとも1つの物質へのさらなる物質の添加を延期すること;
- 前記少なくとも1つの物質を除去すること;
- 前記少なくとも1つの物質に作用する温度又は圧力の少なくとも1つを変化させること;
- 収穫手順を行うこと;
- 収穫手順を延期すること;
- 少なくとも1つの物体を承認すること又は拒否すること;
- 少なくとも1つの物体を推奨すること又は推奨しないこと;
- 少なくとも1つの物体を消費すること又は消費しないこと;
- 少なくとも1つの物体を入力制御又は出口制御で承認すること又は拒否すること;
- 物質を特定の容器に仕分けること;
- 少なくとも1つの物体を貯蔵すること;
- 少なくとも1つの物体の洗浄すること、
のうちの少なくとも1つから選択される、先行する実施形態による通信システム。
【0109】
実施形態11:前記第3サーバは、前記処理データを処理ユニット又はシミュレーションシステムのうちの少なくとも1つに提供するように指定されている、先行する実施形態のいずれか1つによる通信システム。
【0110】
実施形態12:前記処理ユニットは、貯蔵容器、処理ユニット(processing unit)、洗浄ユニット、廃棄物容器、バルブ制御ユニット、仕分けユニット、照射制御ユニット、温度制御ユニット、圧力制御ユニット、加熱ユニット、冷却ユニットのうちの少なくとも1つから選択される、先行する実施形態による通信システム。
【0111】
実施形態13:前記参照スペクトル情報は、少なくとも1つの参照サンプルを参照する、先行する実施形態のいずれか1つによる通信システム。
【0112】
実施形態14:前記第2サーバと前記第3サーバは、単一のユニットに一体化されている、先行する実施形態のいずれか1つによる通信システム。
【0113】
実施形態15:少なくとも1つの物質のin-situモニタリングのためのモニタリングシステムであって、
- 先行する実施形態のいずれか1つによる通信システムと;
- 光学分光計であって、
・少なくとも1つの物質に関するスペクトル情報を取得する;
・前記スペクトル情報を少なくとも1つのサーバに提供する
ように指定された光学分光計と、
を備える、モニタリングシステム。
【0114】
実施形態16:前記光学分光計は、前記スペクトル情報を前記通信システムによって備えられる少なくとも1つの第2サーバに提供するように指定されている、先行する実施形態によるモニタリングシステム。
【0115】
実施形態17:
- 前記少なくとも1つの物質の少なくとも一部を照射するように指定された少なくとも1つの光源と;
- 前記少なくとも1つの物質に関する光信号を測定するように指定された光プローブと;
- 前記測定された光信号を前記光学分光計に導くように指定された、前記光プローブと前記光学分光計の間の第1接続と;
- 光を前記少なくとも1つの物質に導くように指定された、前記光源と前記光プローブの間の第2接続と;
- 前記光学分光計と第2サーバとの接続のために指定されたデータ転送ユニットと、
のうちの少なくとも1つをさらに備える、先行する実施形態のいずれか1つによるモニタリングシステム。
【0116】
実施形態18:前記データ転送ユニットは、有線伝送又は無線伝送を提供するように指定されている、先行する実施形態によるモニタリングシステム。
【0117】
実施形態19:前記データ転送ユニットは、ユニバーサルシリアルバス(USB)又はBluetooth対応装置のうちの少なくとも1つである、先行する実施形態によるモニタリングシステム。
【0118】
実施形態20:
- 前記光源と前記光学分光計、又は
- 前記光プローブと前記光学分光計、又は
- 前記光源、前記光プローブ、及び前記光学分光計、
が単一のユニットに一体化されている、先行する3つの実施形態のいずれか1つによるモニタリングシステム。
【0119】
実施形態21:前記第2サーバ、前記光学分光計、及び前記データ転送ユニットが単一のユニットに一体化されている、先行する4つの実施形態のいずれか1つによるモニタリングシステム。
【0120】
実施形態22:前記第1接続及び前記第2接続の少なくとも1つは、光導波路を備えている、先行する5つの実施形態のいずれか1つによるモニタリングシステム。
【0121】
実施形態23:前記光源は、白熱ランプ又は熱赤外エミッタのうちの少なくとも1つから選択される、先行する6つの実施形態のいずれか1つによるモニタリングシステム。
【0122】
実施形態24:前記光プローブは、第1チューブ及び第2チューブのうちの少なくとも1つを含み、前記第1チューブは、前記第1接続を受けるように指定され、前記第2チューブは、前記第2接続を受けるように指定される、先行する7つの実施形態のいずれか1つによるモニタリングシステム。
【0123】
実施形態25:前記第1チューブ及び前記第2チューブのうちの少なくとも1つは、可撓性チューブである、先行する実施形態によるモニタリングシステム。
【0124】
実施形態26:前記少なくとも1つのチューブは、少なくとも1つのマウントに取り付けられている、先行する2つの実施形態のいずれか1つによるモニタリングシステム。
【0125】
実施形態27:前記少なくとも1つのマウントは、剛性マウントである、先行する実施形態によるモニタリングシステム。
【0126】
実施形態28:前記光プローブは、透過型形状、トランスフレクション型形状、反射型形状、特に拡散反射型形状もしくは減衰全反射型形状の少なくとも1つのための構成を含む、モニタリングシステムを参照する先行する実施形態のいずれか1つによるモニタリングシステム。
【0127】
実施形態29:前記透過型形状の構成は、0.1mmから、好ましくは1mmから、より好ましくは2mmから、20mmまで、好ましくは8mmまで、より好ましくは5mmまでの物質の層の厚さを通して光を導くように指定されている、先行する実施形態によるモニタリングシステム。
【0128】
実施形態30:前記光学分光計が、分散要素及び少なくとも1つの検出器、特に、単一の検出器又は検出器アレイをさらに備える、モニタリングシステムを参照する先行する実施形態のいずれか1つによるモニタリングシステム。
【0129】
実施形態31:前記分散要素は、前記少なくとも1つの物質からの光を受け、それを構成波長信号のスペクトルに分離するように指定されている、先行する実施形態によるモニタリングシステム。
【0130】
実施形態32:前記単一の検出器が単一の放射線感応領域を備え、又は前記検出器アレイが複数のピクセル化されたセンサを備え、各ピクセル化されたセンサが、前記構成波長信号のうちの1つの少なくとも一部を受信するように適合され、各構成波長信号がそれぞれの構成波長の強度に関連しており、少なくとも1つの検出器信号を生成する、先行する2つの実施形態のいずれか1つによるモニタリングシステム。
【0131】
実施形態33:各ピクセル化されたセンサがセンサ領域を含み、各センサ領域が放射線感応材料を含む、先行する実施形態によるモニタリングシステム。
【0132】
実施形態34:前記放射線感応材料は、シリコン(Si)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、ゲルマニウム(Ge)、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)、インジウムヒ素(InAs)、硫化鉛(PbS)、アンチモン化インジウム(InSb)、セレン化鉛(PbSe)、テルル化水銀カドミウム(MCT、HgCdTe)、硫酸トリグリシン(TGS)、及び重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)、から選択される、先行する実施形態によるモニタリングシステム。
【0133】
実施形態35:前記センサ領域は、均一なセンサ領域である、装置に関する先行する2つの実施形態のいずれか1つによるモニタリングシステム。
【0134】
実施形態36:前記ピクセル化されたセンサは、前記センサ領域の少なくとも一部の電気抵抗又は導電率の測定を通してセンサ信号を生成することにより、入射光を測定するように指定されている、先行する3つの実施形態のいずれか1つによるモニタリングシステム。
【0135】
実施形態37:放射線感応要素が、少なくとも1つの電流-電圧測定及び/又は少なくとも1つの電圧-電流測定を行うことによってセンサ信号を生成するように指定されている、先行する実施形態による装置。
【0136】
実施形態38:前記光プローブの表面の少なくとも一部は、前記少なくとも1つの物質の付着を妨げるように指定された付着防止表面である、モニタリングシステムを参照する先行する実施形態のいずれか1つによるモニタリングシステム。
【0137】
実施形態39:前記光プローブは、前記少なくとも1つの物質に対する物理的影響を決定するように指定されたセンサを含む、モニタリングシステムを参照する先行する実施形態のいずれか1つによるモニタリングシステム。
【0138】
実施形態40:前記少なくとも1つの物質への前記物理的影響は、前記少なくとも1つの物質の温度又は前記少なくとも1つの物質への圧力から選択される、モニタリングシステムを参照する先行する実施形態のいずれか1つによるモニタリングシステム。
【0139】
実施形態41:前記光プローブは、前記少なくとも1つの物質に関連する追加の物質関連情報を測定するように指定された追加のセンサを含む、モニタリングシステムを参照する先行する実施形態のいずれか1つによるモニタリングシステム。
【0140】
実施形態42:前記追加の物質関連情報は、温度、密度、フラックス、導電率、粘性、電磁場、誘電率、屈折率、蛍光、リン光、磁化値、pH値、緩衝能、酸価、又は前記少なくとも1つの物質に関連するゼータ電位のうちの少なくとも1つから選択される、先行する実施形態によるモニタリングシステム。
【0141】
実施形態43:前記物質は、液体、気体、固体、粉末、顆粒、バルク材料、又はそれらの混合物のうちの少なくとも1つから選択される、モニタリングシステムを参照する先行する実施形態のいずれか1つによるモニタリングシステム。
【0142】
実施形態44:前記固体は、粉末、顆粒、バルク材料、又はそれらの混合物から選択される、先行する実施形態によるモニタリングシステム。
【0143】
実施形態45:パラメータは、回帰値、分類値、クラスター化値、感覚パラメータ、抽出された特徴の少なくとも1つから選択される、モニタリングシステムを参照する先行する実施形態のいずれか1つによるモニタリングシステム。
【0144】
実施形態46:通信システムを操作するためのコンピュータ実装方法であって、前記通信システムは、クラウドサーバと、第1サーバと、少なくとも1つの第2サーバと、少なくとも1つの第3サーバとを備え、前記方法は以下のステップ:
a)第1通信インターフェイスを介して、前記第1サーバから前記クラウドサーバに、参照スペクトル情報と参照分析データを提供するステップと;
b)前記参照スペクトル情報と参照分析データを使用することによって、前記クラウドサーバにおいて較正モデルを生成するステップであって、前記較正モデルが少なくとも1つのパラメータを含むステップと;
c)第2通信インターフェイスを介して、前記第2サーバから前記クラウドサーバに、スペクトル情報を提供するステップと;
d)前記クラウドサーバ内の前記較正モデルを前記スペクトル情報に適用し、これにより、前記少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの値が抽出されるステップと;
e)前記第1通信インターフェイスを介して、前記少なくとも1つのパラメータの前記少なくとも1つの値を前記第1サーバに提供するステップと;
f)前記クラウドサーバによって前記第1サーバに提供された前記少なくとも1つのパラメータの前記少なくとも1つの値を使用することによって処理データを決定するステップと;
g)第3通信インターフェイスを介して、前記第1サーバから前記第3サーバに、前記処理データを提供するステップと、
を含む、方法。
【0145】
実施形態47:前記スペクトル情報は、直接的又は間接的に前記クラウドサーバに提供される、先行する実施形態による方法。
【0146】
実施形態48:前記スペクトル情報は、前記スペクトル情報を前記第1サーバに提供し、及び、前記第1サーバによってさらに備えられた第4通信インターフェイスを介して、前記第1サーバから前記クラウドサーバに前記スペクトル情報を提供することによって、前記前記クラウドサーバに間接的に提供される、先行する実施形態による方法。
【0147】
実施形態49:前記スペクトル情報は、最初に前記スペクトル情報を前記第1サーバに提供し、続いて前記スペクトル情報を前記第1サーバによってさらに備えられた第4通信インターフェイスを介して、前記第1サーバから前記クラウドサーバに前記スペクトル情報を提供することによって、前記クラウドサーバに間接的に提供される、先行する実施形態による方法。
【0148】
実施形態50:前記較正モデルは、好ましくは機械学習アルゴリズム又は深層学習アルゴリズムから選択される、学習アルゴリズムを適用することによって生成される、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる方法。
【0149】
実施形態51:前記少なくとも1つのパラメータの前記少なくとも1つの値を使用することによる前記処理データの決定は、前記学習アルゴリズムを、既知のパラメータの既知の値と既知の処理データの組み合わせに適用することによって実行される、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる方法。
【0150】
実施形態52:少なくとも1つの物質のin-situモニタリングのためのコンピュータ実装方法であって、前記方法は以下のステップ:
(i)少なくとも1つの参照サンプルの少なくとも1つの光学参照スペクトルを取得し、各参照サンプルはモニタリングされる少なくとも1つの物質を含み、参照分析データは各参照サンプルに割り当てられ、前記少なくとも1つの光学参照スペクトルから参照スペクトル情報を導出するステップと;
(ii)in-situで前記少なくとも1つの物質の少なくとも1つの光学スペクトルを取得し、前記少なくとも1つの光学スペクトルからスペクトル情報を導出するステップと;
(iii)通信システムを操作するためのコンピュータ実装方法を参照する先行する実施形態に従って方法のステップを実行するステップと;
(iv)処理データに従って前記少なくとも1つの物質を処理するステップと、
を含む、方法。
【0151】
実施形態53:前記少なくとも1つの光学参照スペクトルが、同じ温度の少なくとも1つで、前記少なくとも1つの物質のin-situモニタリングのための同じタイプのシステムを用いて前記少なくとも1つの光学参照サンプルを測定することによって、又は、光学分光計の既知の温度効果又は既知の偏差の少なくとも1つに対して前記少なくとも1つの光学参照スペクトルを調整することによって取得される、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる方法。
【0152】
実施形態54:前記光学参照スペクトル及び前記少なくとも1つの物質の前記光学スペクトルの少なくとも1つは、250nmから6μmの波長をカバーする、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる方法。
【0153】
実施形態55:前記少なくとも1つの物質の前記少なくとも1つの光学スペクトルは、前記少なくとも1つの物質を含むプロセスが動作している間、in-situで繰り返し取得される、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる方法。
【0154】
実施形態56:前記処理データは、前記少なくとも1つの物質の提案された処理に関連する少なくとも1つのデータを含む、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる方法。
【0155】
実施形態57:前記処理データが:
- 前記少なくとも1つの物質の識別に関する記述;
- 前記少なくとも1つの物質又は前記少なくとも1つの物質を含む製品の信頼性に関する記述;
- 前記少なくとも1つの物質の起源に関する記述;
- 前記少なくとも1つの物質の有無の状態に関する記述;
- 前記少なくとも1つの物質の特性に関する記述;
- 前記少なくとも1つの物質の組成の特性に関する記述;
- 前記少なくとも1つの物質と、少なくとも1つの別の物質との混合物の安定性に関する記述;
- 前記少なくとも1つのパラメータの値に基づく推奨される手順に関する記述、
のうちの少なくとも1つを含む、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる方法。
【0156】
実施形態58:前記推奨される手順は:
- 決定された時点又は時間範囲において、前記少なくとも1つの物質の少なくとも一部を置き換えること;
- 前記少なくとも1つの物質にさらなる量を添加すること;
- 前記少なくとも1つの物質にさらなる物質を添加すること;
- 前記少なくとも1つの物質へのさらなる物質の添加を延期すること;
- 前記少なくとも1つの物質を除去すること;
- 前記少なくとも1つの物質に作用する温度又は圧力の少なくとも1つを変化させること;
- 収穫手順を行うこと;
- 収穫手順を延期すること;
- 少なくとも1つの物体を承認すること又は拒否すること;
- 少なくとも1つの物体を推奨すること又は推奨しないこと;
- 少なくとも1つの物体を消費すること又は消費しないこと;
- 少なくとも1つの物体を入力制御又は出口制御で承認すること又は拒否すること;
- 物質を特定の容器に仕分けること;
- 少なくとも1つの物体を貯蔵すること;
- 少なくとも1つの物体の洗浄すること、
のうちの少なくとも1つから選択される、先行する実施形態による方法。
【0157】
実施形態59:前記処理データに関連する少なくとも1つの情報の項目が、ユーザインターフェイスを介してユーザに表示される、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる方法。
【0158】
実施形態60:前記処理データは、処理ユニット又はシミュレーションシステムのうちの少なくとも1つに提供される、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる方法。
【0159】
実施形態61:前記処理ユニットは、貯蔵容器、処理ユニット(processing unit)、洗浄ユニット、廃棄物容器、バルブ制御ユニット、仕分けユニット、照射制御ユニット、温度制御ユニット、圧力制御ユニット、加熱ユニット、冷却ユニットのうちの少なくとも1つから選択される、先行する実施形態による方法。
【0160】
実施形態62:前記参照スペクトル情報は少なくとも1つの参照サンプルを参照する、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる方法。
【0161】
実施形態63:方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる方法ステップを実行するための実行可能な命令を含むコンピュータプログラム製品。
【0162】
実施形態64:少なくとも1つの物質のin-situモニタリングのためのモニタリングシステムを参照する先行する実施形態のいずれか1つによるモニタリングシステムの使用であって、目的が、食品又は飲料の管理又はモニタリング、産業プロセス管理、材料の分類又は特徴付け、製品の偽造防止、生物体の特徴付け(characterization)、健康アプリケーションからなる群から選択される、使用。
【図面の簡単な説明】
【0163】
本発明のさらなる任意選択の詳細及び特徴は、従属請求項と関連して続く好ましい例示的な実施形態の説明から明らかである。この文脈において、特定の特徴は、単独で、又は特徴を組み合わせて実施され得る。本発明は、例示的な実施形態に限定されるものではない。例示的な実施形態は、図に概略的に示されている。個々の図における同一の参照数字は、同一の要素又は同一の機能を有する要素、あるいは、機能に関して互いに対応する要素を指す。
【0164】
具体的に、図面では:
【
図1】少なくとも1つの物質のin-situモニタリングのためのモニタリングシステムの好ましい例示的な実施形態を示す図であり、モニタリングシステムは、本発明による、通信システム及び光学分光計を備えている。
【
図2】少なくとも1つの物質のin-situモニタリングのためのモニタリングシステムのさらに好ましい例示的な実施形態を示す図であり、モニタリングシステムは、本発明による、通信システム及び光学分光計を備えている。
【
図3】少なくとも1つの物質に関連する光信号を測定するように指定された、光学分光計によって任意に含まれる光プローブの好ましい例示的な実施形態を示す図である。
【
図4】少なくとも1つの物質のin-situモニタリングのためのコンピュータ実装方法の好ましい例示的な実施形態を示す図であり、本方法は、通信システムを操作するための方法を含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0165】
例示的な実施形態
図1は、本発明による少なくとも1つの物質112のin-situモニタリングのためのモニタリングシステム110の例示的な実施形態を非常に概略的に示している。一般に、物質112は、物質112の責任者である、又は物質112に関連する処理データを受け取ることに関心があることの少なくとも一方であるユーザに割り当てられることができる。そこに示されているように、物質は、容器116に貯蔵されることができる液体114の量であることができ、それによって容器116内の液体レベル118を得ることができる。本発明の範囲を限定することなく、この特定の例で使用されるような液体114は、フライ油とすることができ、これは、食品を調製する手順でフライをするために使用されることが可能である。しかしながら、上記でより詳細に示したように、様々な他の種類の物質、特にさらなる液体、気体又は固体、例えば粉末、顆粒、バルク材料又はそれらの混合物も、本発明との関係で使用されることが可能である。
【0166】
本発明によれば、モニタリングシステム110は、物質112に関連する光信号を測定するように指定される光プローブ120をさらに含むことができる。
図1に概略的に示されるように、光プローブ120は液体114に浸されることができ、好ましくは、容器116内で液体レベル118より完全に下に浸される。特定の実施形態において、光プローブ120は、容器116の内壁122に、好ましくは容器116の底部124の近くに取り付けることができ、これによって、液体114の操作の乱れを可能な限り回避する。光プローブ120に関するさらなる詳細については、上記の説明、
図3及びそれらを参照する件を参照することができる。光プローブ120によって測定され得る光信号は、好ましくは、本発明のモニタリングシステム110によってさらに含まれる光学分光計130に、光導波路128などの有線接続、又は無線接続であってよい接続126を介して導かれ得る。代替的に又は追加的に、光学分光計130は、具体的には、好ましくは、反射型形状、特に拡散反射型形状又は減衰反射型形状(ここでは図示せず)に設計された構成を使用することによって、光学信号を直接取得するように指定されてよい。
【0167】
したがって、光学分光計130は、物質112に関連するスペクトル情報を取得するように指定され、この目的のために、光プローブ120によって測定されるか、又は光学分光計130によって直接取得される光信号が使用され得る。この目的のために、光学分光計130は、
図1にさらに示されるように、物質112の少なくとも一部を照射するように指定された少なくとも1つの光源132を備えていてよい。特に、光源132は、近赤外(NIR)スペクトル範囲の少なくとも一部をカバーする電磁放射を放出してよい。一般に、NIRスペクトル範囲は、780nm~2500nmの波長をカバーすると考えられている。しかしながら、光源132は、NIRスペクトル範囲外のさらなる波長、例えば、380nm~780nmの波長をカバーする可視スペクトル範囲、又は2.5μmを超える波長を有する他の赤外線スペクトル範囲、特に2.6μmまで、3.1μmまで、3.5μmまで、5μmまで、5.5μmまで、6μm、20μmまで、又は40μmまでの波長についても放射可能であり得る。
【0168】
所望の放射線を発生させる目的で、光源132は、好ましくは、フィラメント又はフィルムの形態で提供される、特にタングステン又はNiCrの少なくとも1つから選択される低導電率の金属、又はグラファイトを有する白熱灯を含むことができる。ここで、フィラメント又はフィルムは、そのフィラメントの加熱が特にNIRスペクトル範囲を含むかなり広いスペクトル範囲にわたる光子の放出をもたらすような態様で、電流によって衝突されることができる。代替として、他の種類の熱放射源、具体的には、上記でより詳細に説明したような熱赤外エミッタを使用することも可能である。しかしながら、異なる光源132もまた可能である。
【0169】
既に上で示したように、光源132は、連続光源であってもよく、又は代替としてパルス光源であってもよく、パルス光源は、少なくとも1Hz、少なくとも5Hz、少なくとも10Hz、少なくとも50Hz、少なくとも100Hz、少なくとも500Hz、少なくとも1kHz、又はそれ以上の変調周波数を有していてよい。その結果、変調周波数は、特に1/fノイズの強い影響により、500Hz以上で特に感度が高くなる赤外線センサの検出範囲にうまく適合する。この目的のために、発光ダイオードなどの半導体、又はレーザー、特に量子カスケードレーザーをベースとした包括的で高価な放射線発生装置を使用することができる。安価な代替は、機械式チョッパーホイールによって、又はタングステンもしくはNiCrの低熱質量フィラメントを含むパルス可能な赤外線源を使用することによって提供され得る。例として、そのような種類のパルス可能な赤外線源は、HelioworksのEP-シリーズ又はEF-シリーズ(www.helioworks.comを参照)、又はICx PhotonicsからのFLIR(www.amstechnologies.com/fileadmin/amsmedia/downloads/2533_IR_Broadband_Sources.pdfを参照)として入手可能である。さらなる代替として、上記でより詳細に説明したように、2019年12月3日に出願された欧州特許出願19213277.7に開示されているような放射線を生成するための装置も使用されることができる。
【0170】
図1にさらに示されているように、光源132によって放出された光は、好ましくは同じ光導波路128を含む同じ接続126、又は光源132と光プローブ120との間に配置されることができる異なる接続(ここでは図示せず)を使用することによって光プローブ120に向かって導かれ得る。
図3においてより詳細に以下に示されるように、接続126は、分岐した形態で提供されることができ、第1分岐は、光源132によって生成された光を光プローブ120に提供するために使用されることができ、一方、第2分岐は、一般に、モニタリング下の物質112によって修正された光プローブ120から受け取った光を光学分光計130に導くために使用されることができる。
【0171】
この目的のために、光学分光計130は、物質112からの光を受け取り、それを構成波長信号のスペクトルに分離するように指定される分散要素134と、複数のピクセル化されたセンサを含み得る検出器アレイ136とをさらに含み得、各ピクセル化されたセンサが構成波長信号のうちの少なくとも1つを受信するように適合され、ここで各構成波長信号は、それぞれの構成波長の強度と関連し、少なくとも1つの検出器信号を生成する。代替として、単一の放射線感応領域を有する単一の検出器も可能である。
【0172】
ここで、分散要素134は、物質112から受け取った光を構成波長信号のスペクトルに分離するために、単一の波長又は狭い波長範囲のみが検出器アレイ136によって含まれる、少なくとも1つの、好ましくは正確に1つのピクセル化されたセンサに衝突することができるように、光学分光計130で使線形可変フィルタ用され、それぞれの強度又は振幅が決定される。より詳細に上述したように、分散要素134は回折要素又は干渉要素であってよく、回折要素はプリズム又は光格子であってよく、干渉要素は、干渉フィルタ、特にバンドパスフィルタ、帯域阻止フィルタ、ブラッグフィルタ、線形可変フィルタなどの可変長フィルタ、ファブリペロ干渉計又はマイケルソン干渉計であってよい。代替として、光学分光計130は、少なくとも1つのフーリエ変換赤外分光法(FTIR)分光光度計を備えてよく、光学分光計130は、少なくとも1つの広帯域光源と、マイケルソン干渉計などの少なくとも1つの干渉要素とを備えることができる。FTIR分光光度計は、時間依存スペクトルを有する少なくとも1つの光ビームで物体を照射するように構成されてよい。好ましくは、FTIR分光光度計は、少なくとも1つの可動ミラー要素を備え、ミラー要素の移動によって、広帯域光源132によって生成された光ビームは、干渉要素によって交互に遮断され、透過され得る。光学分光計は、さらに、ミラー要素を制御するように構成される少なくとも1つの微小電気機械システム(MEMS)を備えることができる。さらに、FTIR分光光度計は、異なる波長が異なる速度で変調されるように、波長に応じて光ビームを変調するように構成されていてよい。
【0173】
さらに、検出器アレイ136に含まれる各ピクセル化されたセンサは、物質112からの光を受け取るように指定された均一なセンサ領域を含むことができ、少なくとも1つの検出器信号の生成がトリガされ得る方法で分散要素134によって構成波長信号のスペクトルに分割される。優先的に、少なくとも1つの検出器信号の生成は、検出器信号とセンサ領域の照射の態様との間の定義された関係によって支配されてよい。ここで、センサ領域は、10mm×1mm以下、好ましくは2mm×0.2mm以下、より好ましくは1mm×0.1mm以下、最も好ましくは0.5mm×0.05mm以下のサイズである。照射時に少なくとも1つの検出信号を生成する目的で、センサ領域は、特に1.1μmまでの波長に対してシリコン(Si)から選択することが好ましい放射線感応材料を含むことができる。1.1μmを超える波長の場合、放射線感応材料は、特に、1.7μmまでの波長用のアンチモン化ガリウム(GaSb);特に1.85μmまでの波長用のゲルマニウム(Ge);特に2.5μmまでの波長用のインジウムガリウムヒ素(InGaAs);特に3.5μmまでの波長用のインジウムヒ素(InAs);特に3.5μmまでの波長用の硫化鉛(PbS);特に5.5μmまでの波長用のアンチモン化インジウム(InSb);特に6μmまでの波長用のセレン化鉛(PbSe);特に20μmまでの波長用のテルル化水銀カドミウム(MCT、HgCdTe)、40μmまでの波長用の硫酸トリグリシン(TGS)、40μmまでの波長用の重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)の少なくとも1つから選択されることができる。しかしながら、検出器アレイ136において使用されるために他の材料も可能であり得る。
【0174】
図1にさらに示されているように、光学分光計130は、検出器アレイ136によって提供される検出器信号を評価することによって所望のスペクトル情報を決定するために指定される、内部評価ユニット138を備える。しかしながら、評価ユニット138はまた、光学分光計130から分離されたさらなるユニットとして提供されることも可能である。上記で定義したように、「評価ユニット」という用語は、スペクトルが記録された物質112に関連する所望のスペクトル情報を決定するように構成された装置を指し、スペクトル情報は、検出器アレイ136によって提供される検出器信号を評価することによって得られ得る。
【0175】
さらに、光学分光計130は、ここには示されていないさらなる要素を含んでいてよい。特に、少なくとも1つの転送要素(ここでは図示せず)が使用されてよく、転送要素は、例えば、接続126を介して光プローブ120を使用することによって、物質112から好ましくは光導波路128からの光を受け取り、分散要素134に転送し、それによって、好ましくは、光を分散要素134に集中させるように設計されている。好ましい転送要素の例は、WO2019/115594A1、WO2019/115595A1、又はWO2019/115596A1に見出すことができる。
【0176】
本発明によれば、モニタリングシステム110は、長破線142によって構成される内容によって
図1において概略的に示されるように、通信システム140をさらに備える。そこに示されているように、通信システム140は、クラウドサーバ144、第1サーバ146、第2サーバ148及び第3サーバ150を備える。そこにさらに図示されているように、通信システム140は、さらに、1つ以上のさらなる第2サーバ148’と、1つ以上のさらなる第3サーバ150’とを含んでいてよく、第2サーバ148、148’の数は、一般に、第3サーバ150、150’の数と等しい。短破線によって示されるように、第2サーバ148、148’と対応する第3サーバ150、150’の両方のタスクを実行し得る共通のサーバ152、152’は、単一のユニットとして提供され得る。
【0177】
既に上で示されたように、各サーバ144、146、148、150は、特に本発明により、決定的な役割を果たすように構成されており、したがって、光学分光計130によって取得されたスペクトル情報の処理が、本明細書に記載されているように特定の方法で異なるサーバ144、146、148、150の間で分散することが可能である。その結果、物質112のモニタリングに使用されるスペクトル情報がユーザによって提供されるのに対し、スペクトル情報の処理は、スペクトル情報の評価に精通している第1インスタンスによって行われ、ユーザによって所望される処理データは、それに精通している第2インスタンスによって生成される。その結果、通信システム140は、したがって、スペクトル情報の評価に関する分散されたベストプラクティスと、同時に、所望の処理データを生成するため、及びそれらをユーザに提供するように指定された、好ましくは完全に自動化された手順内のスペクトル情報の処理中の高いデータ保護基準の下での特定のデータ交換の両方を提供することができる。
【0178】
物質112のモニタリングに使用されることができるスペクトル情報は、好ましくは、データ転送ユニット154によって第2サーバ148に提供され得る。ここで、データ転送ユニット154は、光学分光計130から第2サーバ148にスペクトル情報を有線伝送又は無線伝送で伝送するように指定され得る。この目的のために、データ転送ユニット154は、好ましくは、USB(Universal Serial Bus)又はBluetooth対応装置の少なくとも1つから選択され得る。
図1にさらに示されるように、光学分光計130、データ転送ユニット154及び第2サーバ148は、点線によって概略的に示すように、単一のユニットに統合されることもできる。しかしながら、他の実施形態も可能である。
【0179】
図1に概略的に示されているように、第1サーバ146は、第1通信インターフェイス156をさらに備え、インターフェイスは、少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報及び参照分析データをクラウドサーバ144に提供するように構成されている。上記及び以下で詳しく説明するように、参照スペクトル情報及び参照分析データは、較正モデルを生成するためにクラウドサーバ144によって使用され、較正モデルは、少なくとも1つのパラメータを含むように配置される。さらに、各第2サーバ148、148’は、少なくとも1つの第2通信インターフェイス158、158’を備え、各第2通信インターフェイス158、158’は、
図1に概略的に示されるように、スペクトル情報をクラウドサーバ144に直接提供するよう構成されてよい。第2通信インターフェイス158、158’に関する通信経路の代替構成が、
図2に示されている。上記及び以下で詳しく説明するように、クラウドサーバ144において維持される較正モデルは、スペクトル情報に適用され、それによって、少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値が抽出される。さらに、少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値は、第1通信インターフェイス156を使用することによって、第1サーバ146に提供される。上記及び以下で詳しく説明するように、第1サーバ146は、第1通信インターフェイス156を介してクラウドサーバ144によって提供される少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値を使用することによって処理データを決定するようにさらに構成されている。さらに、第1サーバ146は、少なくとも1つの第3通信インターフェイス160、160’をさらに有し、各第3通信インターフェイス160、160’は、処理データを少なくとも1つの第3サーバ150、150’に提供するように構成される。ここで、通信インターフェイス156、158、158’、160、160’のいずれか1つは、好ましくは、無線方式で提供され得るが、しかしながら、有線通信も可能である。
【0180】
本発明の目的のために、第1サーバ146は、第1データ記憶装置162を備えてもよく、第1データ記憶装置162は、第1通信インターフェイス156を介してクラウドサーバ144に、並びに独立して、第1サーバ146によってさらに含まれる第1処理ユニット(processing unit)164に提供されるための、少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報及び参照分析データを格納するよう構成されてよい。さらに、第1サーバ146は、第2データ記憶装置166を含んでよく、第2データ記憶装置166は、少なくとも1つの第3サーバ150、150’に提供されるための処理データを格納するように構成されてよい。さらに、第1サーバ146によって構成されるような第1処理ユニット(processing unit)164は、第1データ記憶装置162によって提供されるような参照スペクトル情報及び参照分析データ、並びに第1通信インターフェイス156を介してクラウドサーバ144によって提供されるような少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値を使用することによって、処理データを生成するように構成されてよい。ここで、第1データ記憶装置162及び第2データ記憶装置166は、
図1において破線で示されるように、単一のデータ記憶装置によって構成されてよい。しかしながら、第1サーバ146のさらなる構成も考えられる。
【0181】
さらに、クラウドサーバ144、及び、任意に少なくとも1つのクラウドデータ記憶装置168は、
図1に概略的に示されるように、クラウド170においてオンデマンドで利用可能であってよい。さらに、1つ以上のさらなる装置も、クラウド170のインフラストラクチャに貢献してもよい。一般的に、クラウドサーバ144及び任意のクラウドデータ記憶装置168は、したがって、第1サーバ146又は第2サーバ148、148’のユーザ又はオペレータによる直接的な能動的管理を必要とせず、演算能力及びデータ記憶容量をそれぞれ提供し得る。
【0182】
図1に示されるようなインフラに基づいて、本発明によって使用されるクラウドサーバ144は、
- 第1サーバ146によって提供されるような少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報及び参照分析データを用いることによって、少なくとも1つのパラメータを含む較正モデルを生成するように;
- 少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの値が抽出されるように、前記第1サーバ146によって提供されるようなスペクトル情報に前記較正モデルを適用するように;
- 第1通信インターフェイスを介して、前記少なくとも1つのパラメータに対する前記少なくとも1つの値を前記第1サーバ146に提供するように、
構成される。
【0183】
この目的のために、異なる個人及び/又は事業体であり得るサービス提供者は、較正モデルの構造を提供することができる。上で示されたように、較正モデルは、較較正モデルの基礎となる1つ以上のパラメータを含む構造を有する。より詳細に上述したように、少なくとも1つのパラメータは、回帰値、分類値、クラスタリング値、感覚的パラメータ、抽出された特徴から選択されてよい。
【0184】
図1にさらに概略的に示されているように、第3サーバ150はモニタ172を駆動することができ、該モニタは、処理データに関連する少なくとも1つの情報の項目174をユーザに表示するために指定されたユーザインターフェイスとして機能することができる。ここで、情報の項目174は、「油を取り除く」、「油を補充する」などの平文、又はこの種の情報を表す図形記号であってもよい。そこでさらに図示されるように、モニタ172は第3サーバ150によって直接駆動され得るが、モニタ172はパーソナルコンピュータによって構成されてよく、該パーソナルコンピュータはサーバ150によって情報の項目174を受信することができる。代替的に又は追加的に、モバイル通信装置176(好ましくはスマートフォン、タブレット、又は携帯情報端末のうちの少なくとも1つから選択される)が使用されてよく、モバイル通信装置は、この目的のために構成された特定のアプリケーション(「アプリ」)を適用するなどによって、少なくとも1つの情報の項目174をユーザに提供するように構成されることができるディスプレイを備える。代替的に又は追加的に、少なくとも1つのラウドスピーカ178などの音声出力装置が、少なくとも1つの情報の項目174をユーザに提供するために使用されてよい。
【0185】
代替的に又は追加的に、第3サーバ150は、処理データを、有線接続又は無線接続182を介するなど直接的に、又はさらなる処理装置(ここでは図示せず)を介するなど間接的に、処理ユニット180に提供するように指定されてよい。
図1に概略的に示されるように、処理ユニット180は、
- 点線の矢印によって示されるように、液体114のさらなる量を保管し、その一部を容器116に提供することができるように指定され得る、貯蔵容器184と;
- 例えば、バルブ190に開放信号を提供することによって、さらなる点線矢印によって示されるような、容器から使用済み液体188を受け取るように指定され得る、廃棄物容器186と;
- 液体114の特性、例えば液体114の粘度を変えるために、特に液体114を冷却又は加熱することによって、容器116の壁122及び/又は底部124などを通して、容器116によって含まれる液体114の温度を変えることができるように指定されることができる、温度制御ユニット192と、
のちの少なくとも1つを備えることができる。
【0186】
しかし、上記の説明で示したものなど、さらなる種類の処理ユニット180も考えられる。
【0187】
代替的に又は追加的に、第3サーバ150は、処理データを少なくとも1つのシミュレーションシステム(ここでは図示せず)に提供するために指定され得、シミュレーションシステムは、第3サーバ150又はさらなる処理装置(ここでは図示せず)の少なくとも1つによって構成され得る。シミュレーションシステムに関するさらなる詳細については、上記の説明を参照することができる。
【0188】
図1にさらに示されているように、追加のサーバ198は、追加のインターフェイス199と共に、第1サーバ146によって提供される、少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報及び参照分析データを使用することによって較正モデルを生成し、第2サーバ148、148’によって提供されるようなスペクトル情報に較正モデルを適用する、クラウドサーバ144内の動作を実行するために指定された、
図1に示されるように、クラウドサーバ144内のインフラストラクチャを生成及び維持するために使用されることができ、これにより、少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの値を抽出し、第1通信インターフェイス156を介して第1サーバ146に少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値を提供する。
【0189】
上記に示されるように、
図2は、第2通信インターフェイス158、158’に関する通信経路のための代替構成を示す。通信システム140の代替構成を含む本発明によるモニタリングシステム110のこのさらに好ましい実施形態では、
図2に概略的に示されるように、各第2サーバ148、148’によって構成される各第2通信インターフェイス158、158’は、スペクトル情報をクラウドサーバ144に間接的に提供するよう構成されてよい。この目的のために、各第2通信インターフェイス158、158’は、第1サーバ146に向けられ、この好ましい実施形態では、第1サーバ146は各第2通信インターフェイス158、158’からスペクトル情報を受信し、その後スペクトル情報をクラウドサーバ144に提供するように構成され得る、第4通信インターフェイス194を使用することによって、それをクラウドサーバ144に提供するように構成されてもよい。
【0190】
ここで、スペクトル情報は、スペクトル情報に対していかなる適用も及ぼすことなく、単にそれを第4通信インターフェイス194にリダイレクトされることができる。しかしながら、
図2にさらに示されているように、第1サーバ146は、より詳細に上述したような様式でスペクトル情報を変更するように構成され得る第2処理ユニット(processing unit)196をさらに含んでいてよい。
【0191】
モニタリングシステム110、特に
図2に概略的に示されているような通信システム140のさらなる実施形態に関するさらなる詳細については、
図1に示され、上述したような実施形態の説明を参照することができる。
【0192】
図3は、物質112に関連する光信号を測定するために指定された光プローブ120の好ましい例示的な実施形態を示している。そこに概略的に示されているように、光プローブ120は、第1チューブ212及び第2チューブ214が取り付けられるマウント210を備えることができる。この目的のために、ネジ216、218が使用されてもよい。しかしながら、他の種類の取り付けも可能である。ここで、マウント210は、好ましくは、剛性マウントであってよく、したがって、光プローブ120に所望の安定性を提供することができ、一方、チューブ212、214の少なくとも1つは、好ましくは、柔軟性チューブであってよく、したがって、厳しい環境で使用され得るチューブ212、214に一定レベルの柔軟性を提供して、過酷な環境、例えば液体中114、特に高温のフライ油中、又は粉体、顆粒、又はバルク材料を含むボリューム中で、破損の危険性を低減するために使用されることができる。一例として、重合した油の蓄積、フライもしくはその他のソースから生じる粒子、又はフライもしくはその他のソースから生じる蒸気の泡による光の妨害を可能な限り避けられるような方法で光プローブ120を設計することが有利であり得る。
【0193】
代替的に又は追加的に、光プローブ120は、過酷な環境内での光プローブ120の寿命を延ばすことができる選択された特性を有するカバーを備え得る。特に、光プローブ120又はその少なくとも一部、特にチューブ212、214の表面は、抗接着面であってよく、これは、好ましくは、液体114、特に熱いフライ油又はその1つ以上の分解生成物などの物質112の光プローブ120の表面への付着を妨げるために指定され得る。この目的のために、NIR領域におけるその好ましい透過性のために好ましいポリテトラフルオロエチレン(Teflon(登録商標))、又はフッ素化(ポリ)-シランなどのフッ素樹脂コーティング;Kevlar(登録商標)などのポリアミドコーティング;セラミックコーティング;又はJohn T.Simpson等による、Rep.Prog.Phys.78,086501,2015に記載されているような、(超)疎水性コーティング、が好ましくは使用されてよい。しかしながら、異なる種類のカバーも考えられる。
【0194】
好ましい実施形態では、光プローブ120は、透過型形状、トランスフレクション型形状、又は反射型形状の少なくとも1つにおける光学的測定に使用することができる構成を含むことができる。
図3に示されるように、透過型形状は、モニタリングされる物質112が、液体114、具体的にはフライ油、気体、粉体、又は顆粒の少なくとも1つを含む場合、特に好ましい。ここで、透過型形状の構成は、好ましくは、モニタリングされる物質112の層の厚さd、特に0.5mm、好ましくは1mm、より好ましくは2mm、~20mm、好ましくは~8mm、より好ましくは~5mmを通して光を導くように指定されることができる。
図3の例示的な実施形態では、光学的測定の場所は、マウント210のギャップ220によって提供され、このギャップは、モニタリングされるべき物質112の層の厚さを規定する。しかしながら、モニタリングされる物質112がバルク材料を含む場合、減衰全反射型形状のような反射型形状がより好ましい場合がある。
【0195】
図3に示されるような好ましい実施形態では、透過型形状における光学的測定のために指定される光プローブ120の構成は、第1チューブ212が第1接続222を受けるように指定され、一方、第2チューブ214が第2接続224を受けるように指定される。ここで、第1接続222は、光学的測定の場所で光プローブ120によって測定される光信号を導くために、光学的測定の場所と光学分光計130との間に設けられ、一方、第2接続224は、光を光学的測定の場所へと導くために、光源132と光学的測定の場所との間に設けられる。ここで、接続222、224は、好ましくは、有線接続、特に光導波路であってよいが、代替的に又は追加的に、無線接続も使用することも可能である。接続222、224は、
図3に例示的に示されるように、適合されたシーリング226及び対応するカップリング228を使用することによって、
図1及び
図2に関連して上述したように接続126の分岐に取り付けられてよい。しかしながら、さらなる種類の取り付けも考えられる。
【0196】
さらに、光プローブ120は、光学分光計130を使用することによって取得される少なくとも1つの物質112に関する少なくとも1つの情報に加えて、それにさらに関連する少なくとも1つの物質112の追加の物質関連情報を測定するために指定され得る、追加のセンサ(ここでは図示せず)を備えることができる。ここで、さらなる物質関連情報は、好ましくは:温度、密度、フラックス、導電率、粘性、電磁場、誘電率、屈折率、蛍光、リン光、磁化値、pH値、緩衝能、酸価、又はゼータ電位のうちの少なくとも1つから選択され得る。しかし、さらなる種類の追加の物質関連情報も可能である。ここで、追加のセンサは、好ましくは、マウント210に取り付けられてよく、電源又はデータ読み出し用のリードは、好ましくは、第1チューブ212及び第2チューブ214の少なくとも1つのチューブを介して案内され得る。さらに、光プローブ120に取り付けることができる他の要素が考えられる。
【0197】
ここで、
図1又は
図2に示されるような本発明によるモニタリングシステム110の好ましい例示的な実施形態とは別に、モニタリングシステム110のさらなる実施形態も考えられることが示される。
【0198】
図4は、物質112のin-situモニタリングのためのコンピュータ実装方法310を高度に概略的に示しており、物質112のin-situモニタリングのための方法310は、通信システム140を操作するためのコンピュータ実装方法312のステップを含む。
【0199】
ステップ(i)による参照取得ステップ314では、少なくとも1つの参照サンプルの少なくとも1つの光学参照スペクトルが取得される。より詳細に上述したように、各参照サンプルは、モニタリングされる物質112を含み、参照分析データは、各参照サンプルに割り当てられる。この目的のために、少なくとも1つの光学参照スペクトルは、特に、物質112のin-situモニタリングのためのシステム110の同じタイプで、好ましくは同じ温度で、少なくとも1つの光学参照サンプルを測定することによって取得され得る。代替として、少なくとも1つの光学参照スペクトルは、光学分光計130又は光学プローブ120の少なくとも1つの既知の温度効果又は既知の偏差の少なくとも1つに対して調整され得る。さらに、参照スペクトル情報は、参照取得ステップ314において、少なくとも1つの参照サンプルの少なくとも1つの光学参照スペクトルから導出され、好ましくは、第1通信インターフェイス156を介してクラウドサーバ144に提供されるために、参照分析データと共に第1サーバ146の第1データ記憶装置162に格納される。
【0200】
ステップ(ii)による取得ステップ316において、物質112の少なくとも1つの光学スペクトルは、より詳細に上述したように、光学分光計130によって、好ましくは光学プローブ120を使用することによって、in-situで取得される。ここで、所望のスペクトル情報は、物質112の少なくとも1つの光学スペクトルから導出される。
【0201】
ステップ(iii)による操作ステップ318では、通信システム140を操作するための方法312のステップ、好ましくは、より詳細に上述したように通信システム140を操作するための方法が実行される。
【0202】
ここで、ステップa)による参照ステップ320において、第1サーバ146によって提供されるような少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報及び参照分析データは、より詳細に上述したように、第1通信インターフェイス156を介してクラウドサーバ144に導かれる。上述のように、クラウドサーバ144又は少なくとも1つのクラウドデータ記憶装置168の少なくとも1つは、特に次のステップb)で使用するために、参照スペクトル情報及び参照分析データを格納するためのデータ記憶容量として使用され得る。
【0203】
ステップb)による較正ステップ322では、参照ステップ320においてクラウドサーバ144に提供されるような少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報及び参照分析データを使用することによって、クラウドサーバ144において較正モデルが生成される。より詳細に上述したように、較正モデルは、好ましくは、クラウドサーバ144によって提供されるような計算能力を使用することによって決定され、必要に応じて、特に次のステップc)で使用するために、クラウドサーバ144又は少なくとも1つのクラウドデータ記憶装置168の少なくとも1つに記憶され得る少なくとも1つのパラメータの両方を含む。
【0204】
ステップc)による提供ステップ324において、スペクトル情報は、少なくとも1つの第2サーバ158、158’からクラウドサーバ144に提供される。より詳細に上述したように、スペクトル情報は、各第2サーバ148、148’によって提供され、そこから、
図1に概略的に示されているように少なくとも1つの第2通信インターフェイス158、158’を介した直接ルートで、又は
図2に概略的に示されているように少なくとも1つの第2通信インターフェイス158、158’、第1サーバ146及び第4通信インターフェイス194を含む間接ルートでクラウドサーバ144導かれてよい。間接ルートでは、スペクトル情報は、スペクトル情報に対して何らかの適用を及ぼす又は及ぼさずに、第1サーバ146を通過してよい。既に上述したように、スペクトル情報は、好ましくは、特に次のステップd)における即時使用のために、クラウドサーバ144に格納され得る。しかしながら、スペクトル情報は、少なくとも1つのクラウドデータ記憶装置168に格納されることもできる。
【0205】
ステップd)によるパラメータ化ステップ326において、較正モデルは、クラウドサーバ144においてスペクトル情報に適用される。このように、少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値が、好ましくはクラウドサーバ144によって提供されるような計算能力を使用することによって、特定のスペクトル情報から抽出され、この目的のために、クラウドサーバ144の少なくとも1つ又は好ましくは少なくとも1つのクラウドデータ記憶装置168に記憶されている少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報及び参照分析データが使用される。好ましくは、特定のスペクトル情報から抽出された少なくとも1つのパラメータは、特に次のステップe)における即時使用のために、クラウドサーバ144に格納され得る。
【0206】
ステップe)による供給ステップ328では、少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値は、好ましくは、第1通信インターフェイス156を使用することにより、クラウドサーバ144から第1サーバ146に直接供給される。既に上で示されたように、第1サーバ146は、好ましくは、第1処理ユニット164を含むことができ、ここで、少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値は、好ましくは、特に次のステップf)における即時使用のために、記憶され得る。
【0207】
ステップf)による決定ステップ330では、処理データは、好ましくは、第1サーバ146において、第1通信インターフェイス156を介してクラウドサーバ144から第1サーバ146に提供されるような少なくとも1つのパラメータに対する少なくとも1つの値と、好ましくは、第1データ記憶装置162によって提供されるような少なくとも1つの参照サンプルを参照する参照スペクトル情報及び参照分析データとを使用することによって決定される。この目的のために、第1処理ユニット164は、好ましくは、より詳細に上記で既に示されたように使用され得る。
【0208】
ステップg)による情報ステップ332では、処理データは、少なくとも1つの第3通信インターフェイス160、160’を介して第1サーバ146から少なくとも1つの第3サーバ150、150’に提供される。この目的のために、少なくとも1つの第3サーバ150、150’は、処理データに関連する少なくとも1つの情報の項目174をユーザに表示するために指定されたユーザインターフェイスとして機能することができるモニタ172を駆動することができる。代替的に又は追加的に、モバイル通信装置176は、ユーザインターフェイスとして機能することができる。代替的に又は追加的に、ラウドスピーカ178は、少なくとも1つの情報の項目174を音響的な方法でユーザに提供することができる。代替的に又は追加的に、少なくとも1つの第3サーバ150、150’は、
図1及び
図2に概略的に示されるように、より詳細に上述したように、処理データを処理ユニット180に提供するために指定されてよい。代替的に又は追加的に、少なくとも1つの第3サーバ150、150’は、さらに上述したように、少なくとも1つのシミュレーションシステムに処理データを提供するために指定されてよい。
【0209】
ステップ(iv)による処理ステップ334では、物質112は、したがって、ユーザ又は処理ユニット180の少なくとも1つによって、処理データに従って処理される。
【符号の説明】
【0210】
110 モニタリングシステム
112 物質
114 液体
116 容器
118 液体レベル
120 光プローブ
122 壁
124 底部
126 接続
128 光導波路
130 光学分光計
132 光源
134 分散要素
136 検出器アレイ
138 評価ユニット
140 通信システム
142 長短線
144 クラウドサーバ
146 第1サーバ
148 第2サーバ
150 第3サーバ
152 ペア
154 データ転送ユニット
156 第1通信インターフェイス
158 第2通信インターフェイス
160 第3通信インターフェイス
162 第1データ記憶装置
164 第1処理ユニット
166 第2データ記憶装置
168 クラウドデータ記憶装置
170 クラウド
172 モニタ
174 情報の項目
176 モバイル通信装置
178 ラウドスピーカ
180 処理ユニット
182 接続
184 貯蔵容器
186 廃棄物容器
188 使用済み液体
190 バルブ
192 温度制御ユニット
194 第4通信インターフェイス
196 第2処理ユニット(processing unit)
198 追加のサーバ
199 追加のインターフェイス
210 マウント
212 第1チューブ
214 第2チューブ
216 ネジ
218 ネジ
220 ギャップ
222 第1接続
224 第2接続
226 シーリング
228 カップリング
310 物質のin-situモニタリングのためのコンピュータ実装方法
312 通信システムを操作するためのコンピュータ実装方法
314 参照取得ステップ
316 取得ステップ
318 操作ステップ
320 参照ステップ
322 較正ステップ
324 提供ステップ
326 パラメータ化ステップ
328 供給ステップ
330 決定ステップ
332 情報ステップ
334 処理ステップ
【国際調査報告】