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▶ アキシケム アクシェセルスカープの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】カプサイシン誘導体の合成
(51)【国際特許分類】
   C07C 231/02 20060101AFI20230420BHJP
   C07C 233/22 20060101ALI20230420BHJP
   C07C 233/20 20060101ALI20230420BHJP
   C07C 51/09 20060101ALI20230420BHJP
   C07C 57/18 20060101ALI20230420BHJP
   C07C 57/42 20060101ALI20230420BHJP
   C07C 17/266 20060101ALI20230420BHJP
   C07C 22/04 20060101ALI20230420BHJP
   C07C 231/24 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
C07C231/02
C07C233/22
C07C233/20
C07C51/09
C07C57/18
C07C57/42
C07C17/266
C07C22/04
C07C231/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556671
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(85)【翻訳文提出日】2022-11-15
(86)【国際出願番号】 NO2021050069
(87)【国際公開番号】W WO2021187992
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】20200333
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522370229
【氏名又は名称】アキシケム アクシェセルスカープ
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラーゲル、イエリク
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC23
4H006AC24
4H006AC46
4H006AC53
4H006AD15
4H006BA92
4H006BB14
4H006BB15
4H006BB22
4H006BB25
4H006BB31
4H006BC51
4H006BE10
4H006BE15
4H006BJ50
4H006BN30
4H006BP30
4H006BS10
4H006BV34
(57)【要約】
本発明は、カプサイシン誘導体の合成、具体的には、カプサイシンの6-へプチン誘導体の合成に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式1:
【化1】
(式中、
Rは、C1-C18の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;トリフルオロメチル;C3-C12シクロアルキル;フェノキシ;フェニルチオ;フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;フェニル;および置換されたフェニル(ここで、前記置換されたフェニル環は、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルコキシ、C1-C6のスルホキシ、-S-C1-C6のアルキル、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルキル、C2-C6の直鎖および分岐鎖アルケニル、C2-C6直鎖および分岐鎖アルキニル、C1-C6のフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COO-C1-C6アルキル、CONH(C1-C6アルキル)、およびCON(C1-C6アルキル)2を含む群から選択される1~5個の同じまたは異なる置換基で、1つまたはそれより多くの任意の位置で置換されている)を含む群から選択される置換基であり;そして
R’は、1つまたはそれより多くの任意の位置での、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルコキシ、C1-C6のスルホキシ、-S-C1-C6のアルキル、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルキル、C2-C6の直鎖および分岐鎖アルケニル、C2-C6直鎖および分岐鎖アルキニル、C1-C6のフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COOH、CONH2、-NHCO(C1-C6アルキル)、COO-C1-C6アルキル、CONH(C1-C6アルキル)、およびCON(C1-C6アルキル)2を含む群から選択された0~5個の同じまたは異なる置換基を表す)
のカプサイシンの6-へプチン誘導体を製造する方法であって、
一般式3の化合物を、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)を用い、一般式2のベンジルアミンまたはその適切ないずれかの塩(式中、一般式2および一般式3に対してRおよびR’は、式1についてと同様に定義される)とカップリングさせる工程
【化2】
を含む方法。
【請求項2】
R’が、1つまたはそれより多くの任意の位置での、ヒドロキシ、メトキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを含む群から選択される0~5個の同じまたは異なる置換基を表す、請求項1記載の方法。
【請求項3】
Rが、C1-C18の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;フェニル;および置換されたフェニルを含む群から選択される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
Rが、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨード;C1-C12の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;およびC1-C6の直鎖および分岐鎖アルコキシを含む群から選択された1~5個の同じまたは異なる置換基により、1つまたはそれより多くの任意の位置で置換されている請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記置換されたフェニル環が、モノ、ジ、またはトリ置換されている、請求項4記載の方法。
【請求項6】
請求項1の工程の前に、
一般式4の化合物を一般式5(式中、一般式4に対してRは式3についてと同様に定義される)のマロン酸アルキルと反応させ、一般式3の前記化合物を生産する工程
【化3】
(式中、「Alk」は、直鎖、分岐鎖、または環状のC1-C6アルキル基を示し;そして「LG」は、当業者に周知の任意の離脱基を示す)
をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
LGがクロロを示す、請求項6記載の方法。
【請求項8】
請求項1および6の工程の前または工程1および7の前に、
一般式7のエチニル化合物を一般式6(式中、一般式6および7に対してLGおよびRは式4についてと同様に定義される)の1,3-置換プロパン化合物と反応させ、一般式4の前記化合物を生産する工程
【化4】
(式中、「LG」および「LG’」は、トリフレートなどのパーフルオロアルキルスルホネート;トシレート、メシレートなどのスルホネート;フルオロ;クロロ;ブロモ;およびヨードを含むリストから選択される異なるまたは同じ離脱基である)
をさらに含む、請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
LG及びLG’は共にクロロ;ブロモ;およびヨードを含むリストから選択される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
カプサイシンの前記6-へプチン誘導体は、一般式1V:
【化5】
の化合物である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
カプサイシンの前記6-へプチン誘導体は、一般式1P:
【化6】
(式中、Arが請求項1、4、または5のいずれかにおいて定義されるフェニル環または置換されたフェニル環である)
の化合物である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
カプサイシンの前記6-へプチン誘導体は、フェニルカプサイシン(1a)である請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【化7】
【請求項13】
以下の経路が使用される請求項12記載の方法。
【化8】
【請求項14】
MTBE中の1aの0.05~1g/mL溶液に、溶媒の容量に対する水の容量0.25~1を添加し、-5℃~5℃の範囲の温度で2~24時間撹拌することにより、1aを結晶化する工程をさらに含む、請求項12または13記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプサイシン誘導体の合成、とりわけカプサイシンの6-へプチン誘導体の合成に関する。
【背景技術】
【0002】
カプサイシンの6-へプチン誘導体は、本明細書においてカプサイシン類(capsaicyns)と呼ばれ、様々な潜在的な用途を有する価値のある化合物である。カプサイシンのアルケン部分を置換するそのアルキン部分により天然化合物であるカプサイシンとは区別され、これらの合成カプサイシン誘導体は、食品工業、農業、医薬、および船用防汚塗料など様々の分野におけるそれらの用途が見出されている。おそらく最も広範囲に使用されている誘導体、フェニルカプサイシン N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-7-フェニル-6-へプチンアミドは、低い全身毒性を有すること、および遺伝子突然変異および染色体損傷に関して安全であることが示されており(非特許文献1)、欧州食品安全機関により審査され、安全であるとされている(非特許文献2)。
【0003】
カプサイシン類の生産は、多段階化学合成を必要とする。商業的製品にとって、合成が効率的かつ経済的であるということは非常に重要である。好ましくは、この合成はまた、合成工程や単離される中間体が少なく、持続可能かつ環境への影響が少ないものである。
【0004】
すでに説明されたカプサイシン類の合成は、典型的には、対応する7-置換6-へプチン酸または7-置換6-へプチン酸塩化物のバニリルアミンとのカップリングに依存する。
【0005】
それらの特許文献1において、出願人は、フェニルカプサイシン(1a)についてスキーム1に示される、カプサイシン類の6段階合成を説明している。
【0006】
特許文献1に開示されている合成経路は、5-クロロ-1-ペンタノールから出発して全収率45%を達成する。この合成において、カプサイシンそれ自体のいくつかの報告された合成におけるのと同様に、塩化チオニル、つまり水または他の試薬と接触した際に危険なガスを激しく放出可能な腐食性かつ反応性化合物が、重要な工程において利用される。
【0007】
特許文献2に提供されている合成経路もまた、重要な工程における塩化チオニルの使用に依存している。
【0008】
特許文献3、Cordovaらにおける合成経路は、フェニルカプサイシンの6-ヘプチン酸から78%の収率を達成しているが、最初の工程において、かなり3%の触媒充填でパラジウム触媒に依存している。この経路をスキーム2に示す。少量の貴金属の継続的な必要性は、経済的な懸念を引き起こすのみならず、環境にも有意な影響があるため、合成コミュニティにおいて貴金属触媒の使用から離れることに関心が高まっている(非特許文献3)。Cordovaらにより報告されている高い触媒充填量は、商業的規模で行うためには合成を非常に費用のかかるものとする。さらに、6-へプチン酸の合成は、相対的に冗長である、非特許文献4参照。
【0009】
カプサイシン自体および6-イン部分を有さないカプサイシン誘導体の合成に関し、有名な合成経路は、スキーム1と同様に、酸クロライドを経る塩化チオニル依存経路(例えば特許文献4参照)、対応する酸のパラジウム触媒カップリング(例えば、特許文献5)および対応する酸の酵素カップリング(特許文献6)、ならびに、ウィッティヒ反応やクライゼンエステル転位などの二重結合の導入に焦点を合わせた方法を含む。
【0010】
本発明の目的は、カプサイシン類に対する代替的な合成経路、例えばフェニルカプサイシン類の合成経路、例えばフェニルカプサイシンの合成経路、例えば、先に説明された経路より、さらに経済的で、安全で、より持続可能な、および/または環境にやさしく、かつ貴金属触媒を使用しない合成経路、を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1670310号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第108947863号明細書
【特許文献3】国際公開第2015/144902号
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/0293703号明細書
【特許文献5】中国特許出願公開第107188818号明細書
【特許文献6】国際公開第2016/171538号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Rage Paulsen et al., Toxicology Research and Application 2018, 2, 1
【非特許文献2】EFSA NDA Panel et al., EFSA Journal 2019, 17(6), e05718
【非特許文献3】Ludwig and Schindler, Chem 2017, 2, 313.
【非特許文献4】Russian Chemical Bulletin 2001, 50(5), 833.
【発明の概要】
【0013】
本発明者らは、カプサイシンへの新規な合成経路を発見した。その経路をスキーム3に示す。
【0014】
新しい経路は、容易に入手可能な原材料から三段階の合成ステップでカプサイシンを提供する。単離される中間体は2つのみであり、この経路はその短さと単純さがアピールポイントである。経路の短縮化により、これは、必要とされる溶媒はほとんどなく、また必要とされる試薬もよりわずかであることから、特許文献1に説明されているより長い経路よりもさらに経済的および環境にやさしいものとなっている。合成ステップの数が少ないということは、時間単位および反応容量あたりの生成物の出力が好ましいものであり、わずかな単離された中間体が操作員への化学物質への暴露を減らすということも意味している。その合成経路は、いかなる金属触媒も用いず、それにより、特許文献3に開示された経路よりさらに持続可能なものとなっている。
【0015】
所与の合成経路について、R、R’、Alk、LG、およびLG’の各々は、その合成経路のすべての化合物において同じ置換基を示す。
【0016】
提示された化合物において、Rは、C1-C18の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;トリフルオロメチル;C3-C12シクロアルキル;フェノキシ;フェニルチオ;フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;フェニル;および置換されたフェニル(ここで、フェニル環は、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルコキシ、C1-C6のスルホキシ、-S-C1-C6のアルキル、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルキル、C2-C6の直鎖および分岐鎖アルケニル、C2-C6直鎖および分岐鎖アルキニル、C1-C6のフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COO-C1-C6アルキル、およびCON(C1-C6アルキル)2を含む群から選択される1~5個の同じまたは異なる置換基で、1つまたはそれより多くの任意の位置で置換されている)を含む群から選択される置換基であり得る。
【0017】
R’は、1つまたはそれより多くの任意の位置での、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルコキシ、C1-C6のスルホキシ、-S-C1-C6のアルキル、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルキル、C2-C6の直鎖および分岐鎖アルケニル、C2-C6直鎖および分岐鎖アルキニル、C1-C6のフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COOH、CONH2、-NHCO(C1-C6アルキル)、COO-C1-C6アルキル、CONH(C1-C6アルキル)、およびCON(C1-C6アルキル)2を含む群から選択された0~5個の同じまたは異なる置換基を表し得る。
【0018】
Alkは、C1-C6の直鎖、分岐鎖または環状アルキルを表す。2つのAlk基は同一であってもよい。
【0019】
LGおよびLG’は、限定されるものではないが、トリフレートなどのパーフルオロアルキルスルホネート;トシレート、メシレートなどのスルホネート;フルオロ;クロロ;ブロモ;およびヨードを含むリストから選択され、互いに異なるまたは同じ離脱基である。
【0020】
本発明は、一般式1(式中、Rは、C1-C18の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;トリフルオロメチル;C3-C12シクロアルキル;フェノキシ;フェニルチオ;フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;フェニル;および置換されたフェニル(ここで、前記置換されたフェニル環は、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルコキシ、C1-C6のスルホキシ、-S-C1-C6のアルキル、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルキル、C2-C6の直鎖および分岐鎖アルケニル、C2-C6直鎖および分岐鎖アルキニル、C1-C6のフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COO-C1-C6アルキル、CONH(C1-C6アルキル)、およびCON(C1-C6アルキル)2を含む群から選択される1~5個の同じまたは異なる置換基で、1つまたはそれより多くの任意の位置で置換されている)を含む群から選択される置換基であり;そしてR’は、1つまたはそれより多くの任意の位置での、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルコキシ、C1-C6のスルホキシ、-S-C1-C6のアルキル、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルキル、C2-C6の直鎖および分岐鎖アルケニル、C2-C6直鎖および分岐鎖アルキニル、C1-C6のフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COOH、CONH2、-NHCO(C1-C6アルキル)、COO-C1-C6アルキル、CONH(C1-C6アルキル)、およびCON(C1-C6アルキル)2を含む群から選択された0~5個の同じまたは異なる置換基を表す)のカプサイシンの6-へプチン誘導体を製造する方法であって、一般式3の化合物を、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)を用い、一般式2のベンジルアミンまたはその適切ないずれかの塩(式中、一般式2および一般式3に対してRおよびR’は、式1についてと同様に定義される)とカップリングさせる工程を含む方法に関する。
【0021】
本発明は、さらに、上記の一般式1のカプサイシンの6-へプチン誘導体を製造する方法であって、さらに先に記載された工程の前に、一般式4の化合物を一般式5(式中、一般式4に対してRは一般式3についてと同様に定義される)のマロン酸アルキルと反応させ、一般式3の上記化合物を生産する工程(式中、「Alk」は、直鎖、分岐鎖、または環状のC1-C6アルキル基を示し;そして「LG」は、当業者に周知の任意の離脱基を示す)をさらに含む方法を提供する。
【0022】
本発明はまた、上記の一般式1のカプサイシンの6-ヘプチン誘導体を製造する方法であって、上記工程の前に、一般式7のアセチレン化合物を一般式6(式中、一般式6および7に対してLGおよびRは一般式4についてと同様に定義される)の1,3-置換プロパン化合物と反応させ、一般式4の上記化合物を生産する工程(式中、「LG」および「LG’」は、トリフレートなどのパーフルオロアルキルスルホネート;トシレート、メシレートなどのスルホネート;フルオロ;クロロ;ブロモ;およびヨードを含むリストから選択される異なるまたは同じ離脱基である)をさらに含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
特に断りのない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語、表記および他の化学的用語または専門用語は、当業者により一般に理解される意味を有することを意図されている。いくつかの場合、一般に理解される意味を有する用語が、明確にするためおよび/または容易に参照できるように本明細書において定義され、本明細書においてそのような定義を含めることは、本技術分野において通常理解されるものとの実質的な相違を表すものと必ずしも解釈する必要はない。
【0024】
本明細書において使用される用語「カプサイシン類(capsaicyns)」は、一般式1のカプサイシンの6-へプチン誘導体をいう。
【化1】
【0025】
当業者は、化学命名において両方よく見られる用語「6-ヘプチン」および「ヘプト-6-イン」は、互換可能に使用することができ、同じ意味を有することを承知している。本明細書において、用語「6-ヘプチン」、そして「6-ヘプチンの(6-heptynoic)」などの関連する命名を使用する選択は、純粋に読みやすさのためである。
【0026】
読み手は、本技術分野におけるカプサイシン誘導体に使用される命名が一貫しておらず、化合物の一般的なグループによる場合は、読みやすさのため、用語カプサイシン類が使用される一方、N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-7-フェニル-6-ヘプチンアミドを指す場合には確立された普通名称「フェニルカプサイシン」が使用される、それらの誘導体を指すために「フェニルカプサイシン類」が使用される。
【0027】
本明細書において使用される用語「誘導体」は、親化合物と化学構造においてことなる分子をいう。誘導体の例は、限定するものではないが、脂肪鎖の長さの違いなど、親分子の化学構造と付加的に異なるホモログ;分子フラグメント;親化合物と1つまたはそれより多くの官能基が異なる構造、例えば親の1つまたはそれより多くの官能基を変えることにより作ることができる;酸をその共役塩基にイオン化するなど親化合物のイオン化状態における変化;位置、幾何および立体アイソマーを含むアイソマー;およびそれらの組み合わせを含む。
【0028】
本明細書において使用する場合、用語「C1-C6アルキル」は、1~6個の炭素原子の直鎖または分岐鎖脂肪族ラジアル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシルなどをいう。用語「C1-C6直鎖および分岐鎖アルコキシ」は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec-ブトキシ、イソブトキシ、およびtert-ブトキシなどをいう。
【0029】
本明細書において使用する用語「溶媒」は、そこに化合物が化合物を溶解するまたは部分的に溶解するのに十分な所与の濃度で溶解または部分的に溶解する液体物質をいう。その用語は、文脈上他の意味を示す場合を除き、溶媒ブレンド(すなわち、複数の成分からなる溶媒)および純粋な化合物(すなわち、単一成分からなる溶媒)の両方を指す。
【0030】
本明細書において使用される用語「無水溶媒」は、0.5重量%よりも少ない水を含む溶媒をいい、好ましくは反応のあいだ窒素またはアルゴンガス下で維持および取り扱われる。
【0031】
本明細書において使用される用語「無水条件」は、0.5重量%未満の水を含む反応混合物など、何らかの実質的な量の水分も反応混合物中に忌避していることをいい、いかなる水分をも完全に除くことを意味することを意図するものではない。
【0032】
本明細書において使用される用語「塩基」は、プロトンを受容することのできる化合物を意味する。
【0033】
本明細書において使用される用語「同時に(simultaneously)」」は、同時に、またはおおよそ同時に起こる任意の2つまたはそれより多くのプロセスをいい、厳密に理解されるものではない。プロセスが一緒に開始されまたは終了する必要があることは意図されていない。
【0034】
本明細書において使用される用語「反応混合物をクエンチする」は、試薬を不活性化するおよび/または反応を停止する、および/または反応混合物のワークアップを開始することを意味する。
【0035】
フェニル環は、置換基の優先度にかかわらず、ipso炭素(1)から1~6まで循環的に番号付けされる。
【0036】
カプサイシンの6-へプチン誘導体を製造する開示された方法を用い、本明細書に開示された化合物のみならず、広範囲の誘導体、類似体、および/または塩も、様々な立体異性体で、本発明にしたがって合成することができるということは当業者に明らかである。
【0037】
本願明細書に開示された任意の反応により得られる生成物は、水和物などの溶媒和物の形態であり得、および/または不純物を含み得る、ということもさらに当業者に明らかである。当業者は、残存する溶媒を除去するための種々の技術の範囲について知識を有する。当業者は種々の精製技術の範囲について知識を有する。
【0038】
いくつかの実施態様において、本発明は一般式1(式中、Rは、水素、C1-C18の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;トリフルオロメチル;C3-C12シクロアルキル;フェノキシ;フェニルチオ;フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;フェニル;および置換されたフェニル;
ここで、上記置換されたフェニルは、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルコキシ、C1-C6のスルホキシ、-S-C1-C6のアルキル、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル、C2-C6の直鎖および分岐鎖アルケニル、C2-C6直鎖および分岐鎖アルキニル、C1-C6のフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COO-C1-C6アルキル、およびCON(C1-C6アルキル)2を含む群から選択される1~5個の同じまたは異なる置換基で、1つまたはそれより多くの任意の位置で置換されており;そして
R’は、1つまたはそれより多くの任意の位置での、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルコキシ、C1-C6のスルホキシ、-S-C1-C6のアルキル、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル、C1-C6のフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COOH、CONH2、-NHCO(C1-C6アルキル)、COO-C1-C6アルキル、CONH(C1-C6アルキル)、およびCON(C1-C6アルキル)2を含む群から選択された0~5個の同じまたは異なる置換基を表す)
のカプサイシン類の合成経路を提供する。
【0039】
いくつかの実施態様において、本発明は、一般式1(式中、Rが、水素、C1-C18の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;トリフルオロメチル;C3-C12のシクロアルキル;フェノキシ;フェニルチオ;フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;フェニル;および置換されたフェニルからなる群より選択される置換基であり;
ここで、上記置換されたフェニルは、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルコキシ、C1-C6のスルホキシ、-S-C1-C6のアルキル、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル、C2-C6の直鎖および分岐鎖アルケニル、C2-C6直鎖および分岐鎖アルキニル、C1-C6のフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COO-C1-C6アルキル、およびCON(C1-C6アルキル)2からなる群より選択される1~5個の同じまたは異なる置換基で、1つまたはそれより多くの任意の位置で置換されており;そして
R’は、1つまたはそれより多くの任意の位置での、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルコキシ、C1-C6のスルホキシ、-S-C1-C6のアルキル、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル、C1-C6のフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル、COOH、CONH2、-NHCO(C1-C6アルキル)、COO-C1-C6アルキル、CONH(C1-C6アルキル)、およびCON(C1-C6アルキル)2からなる群より選択された0~5個の同じまたは異なる置換基を表す)
のカプサイシン類の合成経路を提供する。
【0040】
上記置換されたフェニルは、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;シアノ;ニトロ;トリフルオロメチル;C1-C6の直鎖および分岐鎖アルコキシ;C1-C6のスルホキシ;-S-C1-C6のアルキル;C1-C12の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C1-C6のフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル;COO-C1-C6アルキル;およびCON(C1-C6アルキル)2を含むまたはからなる群より選択される1~5個の同じまたは異なる置換基で、1つまたはそれより多くの任意の位置で置換されていてもよい。そのようなバリアントはa1と記す。
【0041】
上記置換されたフェニルは、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;シアノ;ニトロ;トリフルオロメチル;C1-C6の直鎖および分岐鎖アルコキシ;C1-C6のスルホキシ;-S-C1-C6のアルキル;C1-C12の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;およびC1-C6のフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキルを含むまたはからなる群より選択される1~5個の同じまたは異なる置換基で、1つまたはそれより多くの任意の位置で置換されていてもよい。そのようなバリアントはa2と記す。
【0042】
上記置換されたフェニルは、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;シアノ;ニトロ;およびトリフルオロメチルを含むまたはからなる群より選択される1~5個の同じまたは異なる置換基で、1つまたはそれより多くの任意の位置で置換されていてもよい。そのようなバリアントはa3と記す。
【0043】
上記置換されたフェニルは、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;C1-C12の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;およびC1-C6の直鎖または分岐鎖アルコキシを含むまたはからなる群より選択される1~5個の同じまたは異なる置換基で、1つまたはそれより多くの任意の位置で置換されていてもよい。そのようなバリアントはa4と記す。
【0044】
上記置換されたフェニルは、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;C1-C10の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;およびC1-C6の直鎖または分岐鎖アルコキシを含むまたはからなる群より選択される1~5個の同じまたは異なる置換基で、1つまたはそれより多くの任意の位置で置換されていてもよい。そのようなバリアントはa5と記す。
【0045】
上記置換されたフェニル環は、ニトロ;C1-C6の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;およびC1-C4の直鎖または分岐鎖アルコキシを含むまたはからなる群より選択される1~5個の同じまたは異なる置換基で、1つまたはそれより多くの任意の位置で置換されていてもよい。そのようなバリアントはa6と記す。
【0046】
上記置換されたフェニルは、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;およびC1-C6のフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキルを含むまたはからなる群より選択される1~5個の同じまたは異なる置換基で、1つまたはそれより多くの任意の位置で置換されていてもよい。そのようなバリアントはa7と記す。
【0047】
上記置換されたフェニルは、例えば2位に、例えば3位に、例えば4位に1つの置換基を有してもよい。上記フェニル環は、例えば2および6位に、例えば2および5位に、例えば2および3位に、例えば3および5位に、例えば2および4位に、例えば3および4位に2つの置換基を有していてもよい。上記フェニル環は、例えば2、3および6位に、例えば2、4および6位に、例えば2、3および4位に、例えば2、3および5位に、例えば3、4および5位に3つの置換基を有していてもよい。上記フェニル環は、2、3、4および6位に、例えば2、3、4および5位に、例えば2、3、5および6位に4つの置換基を有していてもよい。上記フェニル環は、5つの置換基を有していてもよい。
【0048】
あるバリアントにおいて、置換されたフェニル上の上記置換基の2つは、互いに同じである。あるバリアントにおいては、置換基の3つは互いに同じである。あるバリアントにおいては、置換基の4つは互いに同じである。あるバリアントにおいては、置換基の5つは互いに同じである。他のバリアントにおいては、上記置換基のすべては、互いに異なる。
【0049】
Rは、上に定義したように、水素、C1-C18の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;トリフルオロメチル;C3-C12シクロアルキル;フェノキシ;フェニルチオ;フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;フェニル;および置換されたフェニルを含むまたはからなる群より選択され得る。そのようなバリアントはb1と記す。
【0050】
Rは、上に定義したように、C1-C18の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;フェニル;および置換されたフェニルを含むまたはからなる群より選択され得る。そのようなバリアントはb2と記す。
【0051】
Rは、上に定義したように、水素、C1-C10の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;トリフルオロメチル;C3-C8シクロアルキル;フェノキシ;フェニルチオ;フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;フェニル;および置換されたフェニルを含むまたはからなる群より選択され得る。そのようなバリアントはb3と記す。
【0052】
Rは、上に定義したように、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;トリフルオロメチル;C3-C6シクロアルキル;フェノキシ;フェニルチオ;フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;フェニル;および置換されたフェニルを含むまたはからなる群より選択され得る。そのようなバリアントはb4と記す。
【0053】
Rは、上に定義したように、C1-C18の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;トリフルオロメチル;C3-C12シクロアルキル;フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;フェニル;および置換されたフェニルを含むまたはからなる群より選択され得る。そのようなバリアントはb5と記す。
【0054】
Rは、上に定義したように、C1-C10の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C3-C8シクロアルキル;およびフェニルを含むまたはからなる群より選択され得る。そのようなバリアントはb6と記す。
【0055】
好ましくは、Rは置換されたフェニル環である。そのようなバリアントはb7と記す。
【0056】
置換されたフェニルを含むと記載されたすべてのバリアントは、置換されたフェニル環のバリアントa1~a7のいずれかを含み得、結果として以下のR基:
a1+b1、a1+b2、a1+b3、a1+b4、a1+b5、a2+b1、a2+b2、a2+b3、a2+b4、a2+b5、a3+b1、a3+b2、a3+b3、a3+b4、a3+b5、a4+b1、a4+b2、a4+b3、a4+b4、a4+b5、a5+b1、a5+b2、a5+b3、a5+b4、a5+b5、a6+b1、a6+b2、a6+b3、a6+b4、a6+b5、a7+b1、a7+b2、a7+b3、a7+b4、a7+b5、b6、b7
となる。この文字と数字の組み合わせは、例えば、a1+b1は、Rが、水素、C1-C18の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;トリフルオロメチル;C3-C12のシクロアルキル;フェノキシ;フェニルチオ;フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;フェニル;および置換されたフェニル(b1)を含むまたはからなる群より選択され得、ここで、置換されたフェニルは、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;シアノ;ニトロ;トリフルオロメチル;C1-C6の直鎖および分岐鎖アルコキシ;C1-C6のスルホキシ;-S-C1-C6のアルキル;C1-C12の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C1-C6のフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル;COO-C1-C6アルキル;およびCON(C1-C6アルキル)2を含むまたはからなる群より選択される1~5個の同じまたは異なる置換基で、1つまたはそれより多くの任意の位置で置換されていてもよい(a1)を意味し、そしてa7+b5は、C1-C18の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;トリフルオロメチル;C3-C12シクロアルキル;フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;フェニル;および置換されたフェニルを含むまたはからなる群より選択され得、ここで、置換されたフェニルは、C1-C6の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;およびC1-C6のフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキルを含むまたはからなる群より選択される1~5個の同じまたは異なる置換基で、1つまたはそれより多くの任意の位置で置換されていてもよい(a7)を意味する、などのように、上に定義したバリアントを指す。
【0057】
R’は、1つまたはそれより多くの任意の位置での、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;ヒドロキシ;シアノ;アミノ;ニトロ;トリフルオロメチル;C1-C6の直鎖および分岐鎖アルコキシ;C1-C6のスルホキシ;-S-C1-C6のアルキル;C1-C12の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C1-C6のフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル;COOH;CONH2;-NHCO(C1-C6アルキル);COO-C1-C6アルキル;CONH(C1-C6アルキル);およびCON(C1-C6アルキル)2を含むまたはからなる群より選択された0~5個の同じまたは異なる置換基を表し得る。そのようなバリアントはc1と記す。
【0058】
R’は、1つまたはそれより多くの任意の位置での、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、COOH;-NHCO(C1-C6アルキル);およびCONH2を含むまたはからなる群より選択された0~5個の同じまたは異なる置換基を表し得る。そのようなバリアントはc2と記す。
【0059】
R’は、1つまたはそれより多くの任意の位置での、ヒドロキシ、メトキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを含むまたはからなる群より選択された0~5個の同じまたは異なる置換基を表し得る。そのようなバリアントはc3と記す。
【0060】
R’は、1つまたはそれより多くの任意の位置での、ヒドロキシ、メトキシ、ヨード、ブロモ、およびクロロを含むまたはからなる群より選択された0~5個の同じまたは異なる置換基を表し得る。そのようなバリアントはc4と記す。
【0061】
好ましくは、R’は、ゼロ置換基を表し得、置換基としてR’が描かれるフェニル環は、実際置換されていないことを意味する。R’は、例えば2位に、例えば3位に、例えば4位における1つの置換基を表し得る。R’は、例えば2および6位に、例えば2および5位に、例えば2および3位に、例えば3および5位に、例えば2および4位に、例えば3および4位に2つの置換基を表し得る。R’は、例えば2、3および6位に、例えば2、4および6位に、例えば2、3および4位に、例えば2、3および5位に、例えば3、4および5位に3つの置換基を表し得る。R’は、2、3、4および6位に、例えば2、3、4および5位に、例えば2、3、5および6位に4つの置換基を表し得る。R’は、5つの置換基を表し得る。
【0062】
好ましくは、R’は、3および4位の2つの置換基を表す。
【0063】
あるバリアントにおいて、置換されたフェニル上の上記置換基の2つは、互いに同じである。あるバリアントにおいては、置換基の3つは互いに同じである。あるバリアントにおいては、置換基の4つは互いに同じである。あるバリアントにおいては、置換基の5つは互いに同じである。他のバリアントにおいては、上記置換基のすべては、互いに異なる。
【0064】
好ましいバリアントにおいて、R’は、2つの置換基3-メトキシおよび4-ヒドロキシを表す。
【0065】
本明細書において開示される可能性のあるR基、R’基、およびフェニル環上の置換基の各選択は、本明細書に開示される可能性のあるR基、R’基、およびフェニル環上の置換基のありとあらゆる選択の1つまたは複数との任意の組み合わせにおいて使用するために開示されていると解釈されるべきである。
【0066】
したがって、いくつかの実施態様において、本発明は、一般構造1および以下に挙げられるRおよびR’のカプサイシン類への合成経路を提供する:
a1+b1+c1、a1+b2+c1、a1+b3+c1、a1+b4+c1、a1+b5+c1、a2+b1+c1、a2+b2+c1、a2+b3+c1、a2+b4+c1、a2+b5+c1、a3+b1+c1、a3+b2+c1、a3+b3+c1、a3+b4+c1、a3+b5+c1、a4+b1+c1、a4+b2+c1、a4+b3+c1、a4+b4+c1、a4+b5+c1、a5+b1+c1、a5+b2+c1、a5+b3+c1、a5+b4+c1、a5+b5+c1、a6+b1+c1、a6+b2+c1、a6+b3+c1、a6+b4+c1、a6+b5+c1、a7+b1+c1、a7+b2+c1、a7+b3+c1、a7+b4+c1、a7+b5+c1、b6+c1、b7+c1、a1+b1+c2、a1+b2+c2、a1+b3+c2、a1+b4+c2、a1+b5+c2、a2+b1+c2、a2+b2+c2、a2+b3+c2、a2+b4+c2、a2+b5+c2、a3+b1+c2、a3+b2+c2、a3+b3+c2、a3+b4+c2、a3+b5+c2、a4+b1+c2、a4+b2+c2、a4+b3+c2、a4+b4+c2、a4+b5+c2、a5+b1+c2、a5+b2+c2、a5+b3+c2、a5+b4+c2、a5+b5+c2、a6+b1+c2、a6+b2+c2、a6+b3+c2、a6+b4+c2、a6+b5+c2、a7+b1+c2、a7+b2+c2、a7+b3+c2、a7+b4+c2、a7+b5+c2、b6+c2、b7+c2、a1+b1+c3、a1+b2+c3、a1+b3+c3、a1+b4+c3、a1+b5+c3、a2+b1+c3、a2+b2+c3、a2+b3+c3、a2+b4+c3、a2+b5+c3、a3+b1+c3、a3+b2+c3、a3+b3+c3、a3+b4+c3、a3+b5+c3、a4+b1+c3、a4+b2+c3、a4+b3+c3、a4+b4+c3、a4+b5+c3、a5+b1+c3、a5+b2+c3、a5+b3+c3、a5+b4+c3、a5+b5+c3、a6+b1+c3、a6+b2+c3、a6+b3+c3、a6+b4+c3、a6+b5+c3、a7+b1+c3、a7+b2+c3、a7+b3+c3、a7+b4+c3、a7+b5+c3、b6+c3、b7+c3、a1+b1+c4、a1+b2+c4、a1+b3+c4、a1+b4+c4、a1+b5+c4、a2+b1+c4、a2+b2+c4、a2+b3+c4、a2+b4+c4、a2+b5+c4、a3+b1+c4、a3+b2+c4、a3+b3+c4、a3+b4+c4、a3+b5+c4、a4+b1+c4、a4+b2+c4、a4+b3+c4、a4+b4+c4、a4+b5+c4、a5+b1+c4、a5+b2+c4、a5+b3+c4、a5+b4+c4、a5+b5+c4、a6+b1+c4、a6+b2+c4、a6+b3+c4、a6+b4+c4、a6+b5+c4、a7+b1+c4、a7+b2+c4、a7+b3+c4、a7+b4+c4、a7+b5+c4、b6+c4、b7+c4。
この文字と数字の組み合わせは、例えば、a1+b1+c1は、Rが、水素、C1-C18の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;トリフルオロメチル;C3-C12のシクロアルキル;フェノキシ;フェニルチオ;フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;フェニル;および置換されたフェニル(b1)を含むまたはからなる群より選択され得、ここで、置換されたフェニルは、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;シアノ;ニトロ;トリフルオロメチル;C1-C6の直鎖および分岐鎖アルコキシ;C1-C6のスルホキシ;-S-C1-C6のアルキル;C1-C12の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C1-C6のフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル;COO-C1-C6アルキル;およびCON(C1-C6アルキル)2を含むまたはからなる群より選択される1~5個の同じまたは異なる置換基で、1つまたはそれより多くの任意の位置で置換されていてもよく(a1)、そしてR’は、1つまたはそれより多くの任意の位置での、フルオロ;クロロ;ブロモ;ヨード;ヒドロキシ;シアノ;アミノ;ニトロ;トリフルオロメチル;C1-C6の直鎖および分岐鎖アルコキシ;C1-C6のスルホキシ;-S-C1-C6のアルキル;C1-C12の直鎖および分岐鎖アルキル、アルケニル、およびアルキニル;C1-C6のフルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル、およびヨードアルキル;COOH;CONH2;-NHCO(C1-C6アルキル);COO-C1-C6アルキル;CONH(C1-C6アルキル);およびCON(C1-C6アルキル)2を含むまたはからなる群より選択された0~5個の同じまたは異なる置換基を表す(c1)を意味する、などのように、上に定義したバリアントを指す。
【0067】
好ましい実施形態において、本発明は、一般構造1および以下に挙げられるRおよびR’のカプサイシン類への合成経路を提供する:
a1+b1+c1、a1+b2+c1、a1+b3+c1、a1+b4+c1、a1+b5+c1、a2+b1+c1、a2+b2+c1、a2+b3+c1、a2+b4+c1、a2+b5+c1、a3+b1+c1、a3+b2+c1、a3+b3+c1、a3+b4+c1、a3+b5+c1、a4+b1+c1、a4+b2+c1、a4+b3+c1、a4+b4+c1、a4+b5+c1、a5+b1+c1、a5+b2+c1、a5+b3+c1、a5+b4+c1、a5+b5+c1、a6+b1+c1、a6+b2+c1、a6+b3+c1、a6+b4+c1、a6+b5+c1、a7+b1+c1、a7+b2+c1、a7+b3+c1、a7+b4+c1、a7+b5+c1、b6+c1、b7+c1、a1+b1+c2、a1+b2+c2、a1+b3+c2、a1+b4+c2、a1+b5+c2、a2+b1+c2、a2+b2+c2、a2+b3+c2、a2+b4+c2、a2+b5+c2、a3+b1+c2、a3+b2+c2、a3+b3+c2、a3+b4+c2、a3+b5+c2、a4+b1+c2、a4+b2+c2、a4+b3+c2、a4+b4+c2、a4+b5+c2、a5+b1+c2、a5+b2+c2、a5+b3+c2、a5+b4+c2、a5+b5+c2、a6+b1+c2、a6+b2+c2、a6+b3+c2、a6+b4+c2、a6+b5+c2、a7+b1+c2、a7+b2+c2、a7+b3+c2、a7+b4+c2、a7+b5+c2、b6+c2、b7+c2、a1+b1+c3、a1+b2+c3、a1+b3+c3、a1+b4+c3、a1+b5+c3、a2+b1+c3、a2+b2+c3、a2+b3+c3、a2+b4+c3、a2+b5+c3、a3+b1+c3、a3+b2+c3、a3+b3+c3、a3+b4+c3、a3+b5+c3、a4+b1+c3、a4+b2+c3、a4+b3+c3、a4+b4+c3、a4+b5+c3、a5+b1+c3、a5+b2+c3、a5+b3+c3、a5+b4+c3、a5+b5+c3、a6+b1+c3、a6+b2+c3、a6+b3+c3、a6+b4+c3、a6+b5+c3、a7+b1+c3、a7+b2+c3、a7+b3+c3、a7+b4+c3、a7+b5+c3、b6+c3、b7+c3、a1+b1+c4、a1+b2+c4、a1+b3+c4、a1+b4+c4、a1+b5+c4、a2+b1+c4、a2+b2+c4、a2+b3+c4、a2+b4+c4、a2+b5+c4、a3+b1+c4、a3+b2+c4、a3+b3+c4、a3+b4+c4、a3+b5+c4、a4+b1+c4、a4+b2+c4、a4+b3+c4、a4+b4+c4、a4+b5+c4、a5+b1+c4、a5+b2+c4、a5+b3+c4、a5+b4+c4、a5+b5+c4、a6+b1+c4、a6+b2+c4、a6+b3+c4、a6+b4+c4、a6+b5+c4、a7+b1+c4、a7+b2+c4、a7+b3+c4、a7+b4+c4、a7+b5+c4、b6+c4、b7+c4、ここでR’は、3位および4位の2つの置換基を表し、好ましくはR’は、2つの置換基3-メトキシおよび4-ヒドロキシを表す。
【0068】
好ましい実施形態において、本発明は、一般構造1および以下に挙げられるRおよびR’のカプサイシン類への合成経路を提供する:
a1+b1+c1、a1+b2+c1、a1+b3+c1、a1+b4+c1、a1+b5+c1、a2+b1+c1、a2+b2+c1、a2+b3+c1、a2+b4+c1、a2+b5+c1、a3+b1+c1、a3+b2+c1、a3+b3+c1、a3+b4+c1、a3+b5+c1、a4+b1+c1、a4+b2+c1、a4+b3+c1、a4+b4+c1、a4+b5+c1、a5+b1+c1、a5+b2+c1、a5+b3+c1、a5+b4+c1、a5+b5+c1、a6+b1+c1、a6+b2+c1、a6+b3+c1、a6+b4+c1、a6+b5+c1、a7+b1+c1、a7+b2+c1、a7+b3+c1、a7+b4+c1、a7+b5+c1、b6+c1、b7+c1、a1+b1+c2、a1+b2+c2、a1+b3+c2、a1+b4+c2、a1+b5+c2、a2+b1+c2、a2+b2+c2、a2+b3+c2、a2+b4+c2、a2+b5+c2、a3+b1+c2、a3+b2+c2、a3+b3+c2、a3+b4+c2、a3+b5+c2、a4+b1+c2、a4+b2+c2、a4+b3+c2、a4+b4+c2、a4+b5+c2、a5+b1+c2、a5+b2+c2、a5+b3+c2、a5+b4+c2、a5+b5+c2、a6+b1+c2、a6+b2+c2、a6+b3+c2、a6+b4+c2、a6+b5+c2、a7+b1+c2、a7+b2+c2、a7+b3+c2、a7+b4+c2、a7+b5+c2、b6+c2、b7+c2、a1+b1+c3、a1+b2+c3、a1+b3+c3、a1+b4+c3、a1+b5+c3、a2+b1+c3、a2+b2+c3、a2+b3+c3、a2+b4+c3、a2+b5+c3、a3+b1+c3、a3+b2+c3、a3+b3+c3、a3+b4+c3、a3+b5+c3、a4+b1+c3、a4+b2+c3、a4+b3+c3、a4+b4+c3、a4+b5+c3、a5+b1+c3、a5+b2+c3、a5+b3+c3、a5+b4+c3、a5+b5+c3、a6+b1+c3、a6+b2+c3、a6+b3+c3、a6+b4+c3、a6+b5+c3、a7+b1+c3、a7+b2+c3、a7+b3+c3、a7+b4+c3、a7+b5+c3、b6+c3、b7+c3、a1+b1+c4、a1+b2+c4、a1+b3+c4、a1+b4+c4、a1+b5+c4、a2+b1+c4、a2+b2+c4、a2+b3+c4、a2+b4+c4、a2+b5+c4、a3+b1+c4、a3+b2+c4、a3+b3+c4、a3+b4+c4、a3+b5+c4、a4+b1+c4、a4+b2+c4、a4+b3+c4、a4+b4+c4、a4+b5+c4、a5+b1+c4、a5+b2+c4、a5+b3+c4、a5+b4+c4、a5+b5+c4、a6+b1+c4、a6+b2+c4、a6+b3+c4、a6+b4+c4、a6+b5+c4、a7+b1+c4、a7+b2+c4、a7+b3+c4、a7+b4+c4、a7+b5+c4、b6+c4、b7+c4、文字と数字の組み合わせの各々は、上記に挙げた置換基からなるバリアントを指し、ここで、R’は3位および4位の2つの置換基を表し、好ましくはR’は2つの置換基3-メトキシおよび4-ヒドロキシを表す。
【0069】
別の好ましい実施態様において、本発明は、一般構造1で以下に挙げられるRおよびR’:b7+c1、b7+c2、b7+c3、b7+c4、好ましくはR’は3位および4位の2つの置換基を表し、より好ましくはR’は2つの置換基3-メトキシおよび4-ヒドロキシを表すフェニルカプサイシンの合成経路を提供する。
【0070】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、一般構造1で以下に挙げられるRおよびR’:b7+c1、b7+c2、b7+c3、b7+c4であって、文字と数字の組み合わせの各々は、上記に挙げた置換基からなるバリアントを指し、好ましくはR’は3位および4位の2つの置換基を表し、より好ましくはR’は2つの置換基3-メトキシおよび4-ヒドロキシを表すフェニルカプサイシンの合成経路を提供する。
【0071】
本発明に従い合成するこのできるカプサイシン誘導体の非限定的な例には、
N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-7-フェニル-6-ヘプチンアミド(フェニルカプサイシン、1a)
N-ベンジル-7-フェニル-6-ヘプチンアミド
N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-7-シクロヘキシル-6-ヘプチンアミド(1c)
N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-10-エチル-6-ドデシンアミド
N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-8,8,8-トリフルオロ-6-オクチンアミド
N-(3-ヘキシルフェニル)メチル-7-フェニル-6-ヘプチンアミド
N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-7-(3,5-ジエトキシフェニル)-6-ヘプチンアミド
N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-6-オクチンアミド
N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-6-ノニンアミド
N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-8-メチル-6-ノニンアミド
N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-8,8-ジメチル-6-ノニンアミド(1b)
N-(3,4-ジブロモフェニル)メチル-7-フェニル-6-ヘプチンアミド
N-[(3-エチル-2-イソプロピル-6-メチルフェニル)メチル]-7-(2,6-キシリル)-6-ヘプチンアミド
N-(3,5-ジエトキシフェニル)メチル-7-(p-フルオロフェニル)-6-ヘプチンアミド
N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-7-ブロモ-6-ヘプチンアミド
N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-7-シクロペンチル-6-へプチンアミド
を含む。
【0072】
いくつかの実施態様において、本発明は、Rがフェニルまたは置換されたフェニルでありかつR’が2つの置換基3-メトキシおよび4-ヒドロキシを表すカプサイシンの6-フェニル誘導体(しばしばフェニルカプサイシン類ともいう)の合成経路を提供する。
【0073】
一つの具体的に実施態様において、本発明は、RがフェニルでありかつR’が2つの置換基3-メトキシおよび4-ヒドロキシを表すフェニルカプサイシンの合成経路を提供する。
【0074】
工程3
すべての実施形態において、カプサイシン誘導体1は、前駆体3およびベンジルアミン2から合成される。この工程は、工程3という。1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)での処理は穏やかな条件下で生成物1を与える。反応はラフランスらの[Lafrance et al., Org. Lett. 2011, 13(9), 2322]により最初に示された方法を用いて行われ、カルボニルイミダゾール中間体を経て進行すると考えられる。工程3は、スキーム4に示される。
【0075】
合成経路の開発中、本発明者らは二塩基酸3の脱カルボキシル化と、2とカップリングするためのそれに続く対応する酸クロリドへの変換は、驚くべきことにやりがいのあることであった。この可能性のある脱カルボキシル化/カップリング経路は、以前に報告されたチオニルクロリド依存経路により似通っており、脱カルボキシル化が高温を必要とし、そのまま行うのが最適であり、したがって、反応範囲が限定されるという不利益がある。本発明は、直接的かつ別個の脱カルボキシル化工程を必要としない二塩基酸3を用いる洗練されたCDIカップリングによりこの問題を解決する。
【0076】
工程3に使用される反応物は、例えば天然源から得たり、商業的に入手したり、任意の経路と出発物質を用いて合成したりなど、当業者に公知の任意の方法により得ることができる。
【0077】
ベンジルアミンは、遊離アミンであっても良く、塩酸塩などの任意の適切な塩の形態であってもよい。
【0078】
好ましい実施態様においては、ベンジルアミン(2)はバニリルアミン塩酸塩(2a)である。
【化2】
【0079】
工程3は、CDIへの化合物3の添加により行われ、推定されるカルボニルイミダゾール中間体を形成する。いくつかの実施態様においては、3の添加は滴加など徐々に行われる。反応は、任意の溶媒を用いて行われ、反応に好適であることが当業者に理解される2つまたはそれより多くの溶媒の組み合わせを用いてもよい。いくつかの実施態様において、溶媒は、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン、アセトニトリル、トルエン、酢酸エチル、ジメチルフォルムアミド(DMF)またはそれらの任意の組み合わせを含むリストから選択されるが、それらに限定されるものではない。ある実施態様においては、溶媒はMTBEである。溶媒は無水溶媒であってもよい。
【0080】
いくつかの実施態様においては、スキーム4の反応は、周囲の温度で行われる。他の実施態様においては、反応は、上昇させた温度、例えば25℃と溶媒の沸点との間、例えば25℃と110℃の間、例えば25℃と75℃の間、例えば30℃と50℃の間、例えば40℃で行われる。いくつかの実施態様においては、反応の進行中同じ反応温度が維持される。他の実施態様においては、反応温度は反応の進行中に変化するおよび/または変化可能である。ある実施態様においては、反応混合物は、周囲温度、例えば25℃および110℃の間、例えば25℃と75℃の間、例えば30℃および50℃の間、例えば40℃で一定期間経過後に加熱される。
【0081】
いくつかの実施態様においては、化合物2の添加または化合物2への添加の前の反応時間は、反応混合物の分析が反応が完了まで進行したことを示した時点、または反応混合物の分析が反応が停止したことを示した時点に基づいて決定される。当業者に公知の任意の分析方法、例えばクロマトグラフィー法、例えば薄層クロマトグラフィー法、例えばHPLC等を使用することができる。他の実施態様においては、設定された反応時間が使用される。いくつかの実施態様において、反応時間は15分と3時間の間であり、例えば30分と2時間の間、例えば1時間と1時間45分の間である。
【0082】
化合物2は、化合物3とCDIを含む反応混合物に添加されるか、化合物3とCDIを含む反応混合物が化合物2に添加される。いくつかの実施態様においては、当モル量の2および3が使用される。他の実施態様においては、過剰な2が使用され、3の量に対して、例えば1.01~1.5モル当量、例えば1.05~1.4モル当量、例えば1.1~1.3当量である。なお別の実施態様においては、過剰量な3が使用され、2の量に対して、例えば1.01~1.5モル当量、1.05~1.4モル当量、1.1~1.3当量である。
【0083】
いくつかの実施態様において、3と2のあいだの反応は、周囲温度で行われる。他の実施態様において、反応は、上昇させた温度、例えば25℃と溶媒の沸点との間、例えば25℃と110℃の間、例えば25℃と75℃の間、例えば30℃と50℃の間、例えば40℃で行われる。いくつかの実施態様においては、反応の進行中同じ反応温度が維持される。他の実施態様においては、反応温度は反応の進行中に変化するおよび/または変化可能である。
【0084】
いくつかの実施態様においては、反応混合物は、例えば水の添加により、例えば水の添加後に上昇させた温度で連続的に撹拌しながらクエンチされる。反応混合物のワークアップは、一般的に当業者により用いられている任意の方法により行ってもよい。いくつかの実施態様においては、所望の生成物(1)は有機相にあり、この有機相から当業者により一般的に使用されている方法により沈殿される。
【0085】
いくつかの実施態様においては、反応混合物は、反応混合物の分析が、反応が完了まで進行したことを示したら、または反応混合物の分析が、反応が停止したことを示したらクエンチされる。当業者に公知の任意の分析方法、例えばクロマトグラフィー法、例えば薄層クロマトグラフィー法、例えばHPLC等を使用することができる。他の実施態様においては、反応混合物は、設定された反応時間後、例えば2~50時間、例えば5~40時間、例えば10~25時間、例えば15~20時間、例えば15~30時間後にクエンチされる。
【0086】
工程3の好ましい実施態様においては、工程3は、化合物3のCDIへの滴加により、MTBEを溶媒として用い、25℃および50℃の間の反応温度を用いて実施される。化合物2は、バニリルアミン、好ましくはバニリルアミン塩酸塩(2a)であり得る。
【0087】
工程2
いくつかの実施形態において、化合物3は、スキーム5に示すように、化合物4を塩基性条件下でマロン酸ジアルキル(5)と反応させ、例えば中間体3’を経ることにより合成される。この工程は、工程2という。
【0088】
スキーム5のAlkは、化合物5はマロン酸ジアルキルであるように、直鎖、分岐鎖または環状のC1-C6アルキル基を示す。いくつかの実施態様においては、Alk基は、互いに同じものである。いくつかの実施態様においては、両Alk基はメチルであり、5はマロン酸ジメチルとなる。いくつかの実施態様においては、両Alk基はエチルであり、5はマロン酸ジエチルとなる。
【0089】
工程2に使用される反応物は、例えば天然源から得たり、商業的に入手したり、任意の経路と出発物質を用いて合成したりなど、当業者に公知の任意の方法により得ることができる。
【0090】
スキーム5のLGは、当業者に周知の任意の脱離基を示す。いくつかの実施態様においては、LGは、トリフレートなどのパーフルオロアルキルスルホネート;トシレート、メシレートなどのスルホネート;およびフルオロ;クロロ;ブロモ;およびヨードを含むリストから選択されるが、それらに限定されるものではない。いくつかの実施態様においては、LGは、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフレート、トシレートおよびメシレートから選択される。いくつかの実施態様においては、LGはクロロである。
【0091】
化合物4とマロン酸ジアルキル5との間の工程2の反応は、マロン酸ジアルキルの脱保護に当業者により一般的に使用される任意の塩基を用いて実施することができる。いくつかの実施態様においては、塩基は、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムブトキシドなどのアルコキシド塩基、例えばエタノール中のナトリウムエトキシド、例えばメタノール中のナトリウムメトキシド、および水酸化ナトリウム塩基などの水酸化物塩基を含むリストから選択されるが、それらに限定されるものではない。いくつかの実施態様においては、化合物5は、化合物4の添加前に塩基で前処理されるが、他の実施態様においては、化合物5、塩基および化合物4が同時に加えられる。いくつかの実施態様においては、当モル量の5および4が使用される。他の実施態様においては、過剰な4が使用され、5の量に対して、例えば1.01~1.5モル当量、例えば1.05~1.4モル当量、例えば1.1~1.3モル当量である。なお別の実施態様においては、過剰量の5が使用され、4の量に対して、例えば1.01~1.5モル当量、1.05~1.4モル当量、1.1~1.3モル当量である。
【0092】
反応に好適であることが当業者によって理解されている任意の溶媒、または2つまたはそれより多くの溶媒の組み合わせを用いてもよい。いくつかの実施態様においては、溶媒は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、tert-ブタノール、DMSO、DMF、THF、MTBE、トルエンまたはそれらの任意の組み合わせを含むリストから選択されるが、それらに限定されるものではない。ある実施態様においては、溶媒はエタノールである。溶媒は無水溶媒であってもよい。
【0093】
いくつかの実施態様において、4と5のあいだの反応は、周囲温度で行われる。他の実施態様において、反応は、上昇させた温度、例えば25℃と溶媒の沸点との間、例えば25℃と78℃の間、例えば40℃と75℃の間、例えば60℃と75℃の間、例えば70℃で行われる。いくつかの実施態様においては、反応の進行中同じ反応温度が維持される。他の実施態様においては、反応温度は反応の進行中に変化するおよび/または変化可能である。いくつかの実施態様においては、反応混合物は、反応混合物の分析が、反応が完了まで進行したことを示したら、または反応混合物の分析が、反応が停止したことを示したらクエンチされる。当業者に公知の任意の分析方法、例えばクロマトグラフィー法、例えば薄層クロマトグラフィー法、例えばHPLC等を使用することができる。他の実施態様においては、反応混合物は、設定された反応時間後、例えば10~70時間、例えば20~60時間、例えば30~50時間、例えば40~50時間後にクエンチされる。いくつかの実施態様においては、反応混合物は、例えば水の添加により、例えば周囲温度でクエンチされる。
【0094】
得られたジエステル中間体3’は、ついで対応する二塩基酸化合物3に変換される。
【0095】
いくつかの実施態様においては、中間体3’は、当該変換前に当業者に公知の標準的に技術を用いて単離される。好ましい実施態様においては、中間体3’は単離されない。
【0096】
いくつかの実施態様においては、当該変換は化合物3’に塩基を添加することにより、例えば水性塩基の添加により、達成される。いくつかの実施態様においては、塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムを含むリストから選択されるが、それらに限定されるものではない。ある実施態様においては、塩基は水酸化ナトリウムである。いくつかの実施態様においては、試薬は、反応混合物の分析が、反応が完了まで進行したことを示すまで、または反応混合物の分析が、反応が停止したことを示すまで反応させられる。当業者に公知の任意の分析方法、例えばクロマトグラフィー法、例えば薄層クロマトグラフィー法、例えばHPLC等を使用することができる。他の実施態様においては、反応混合物は、設定された反応時間後にクエンチされる。
【0097】
反応混合物のワークアップは、一般的に当業者により用いられている任意の方法、例えば減圧下での濃縮および再溶解、例えば水への再溶解により行ってもよい。いくつかの実施態様においては、例えば濃縮および水への再溶解後に混合物は抽出される。いくつかの実施態様においては、得られる水相は、生成物が沈殿するまで、HClなどの酸水溶液が添加される。他の実施態様においては、水相が酸性とされ、生成物は有機相へと抽出される。いくつかの実施態様においては、生成物は洗浄される。固体生成物はろ過およびすすがれてもよい。
【0098】
工程2の好ましい実施態様においては、工程2は、マロン酸ジエチルまたはマロン酸ジメチル、およびアルコキシド塩基を用いて行われ、ジエステル中間体3’は、水酸化ナトリウム水溶液との処理前に単離されずに3を得る。LGはクロロとし得る。
【0099】
工程1
いくつかの実施形態において、化合物4は、スキーム6に示すように、化合物7を塩基で処理し、それを一般式LG-CH2-CH2-CH2-LG’(6)の1,3-置換プロパン化合物と反応させることにより合成される。式中、LGおよびLG’は、当業者に周知の任意の脱離基を示す。この工程を工程1という。好ましい実施形態においては、LGおよびLG’は、異なる脱離基能を有する異なる脱離基である。他の実施形態においては、LGおよびLG’は同じものである。
【0100】
工程1に使用される反応物は、例えば天然源から得たり、商業的に入手したり、任意の経路と出発物質を用いて合成したりなど、当業者に公知の任意の方法により得ることができる。
【0101】
いくつかの実施態様においては、LGおよびLG’は、限定されるものではないが、トリフレートなどのパーフルオロアルキルスルホネート;トシレート、メシレートなどのスルホネート;フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを含むリストから選択される異なるまたは同一の脱離基である。いくつかの実施態様においては、LGおよびLG’は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフレート、トシレートおよびメシレートから選択される。いくつかの実施態様においては、LGおよびLG’は両方、クロロ、ブロモ、およびヨードから選択される。好ましい実施態様においては、LGおよびLG’は、それぞれクロロおよびブロモであり、したがって、6は1-ブロモ-3-クロロプロパンである。
【0102】
いくつかの実施態様においては、塩基は、水素化ナトリウム(NaH)、n-ブチルリチウム(n-BuLi)、tert-ブチルリチウム(t-BuLi)、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、ナトリウムアミド(NaNH2)、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(((CH33Si)2NLi)を含むリストから選択されるが、それらに限定されるものではない。いくつかの実施態様においては、塩基は、水素化ナトリウム、例えば鉱油中の水素化ナトリウムである。いくつかの実施態様においては、化合物7は、化合物6の添加前に塩基で前処理されるが、他の実施態様においては、化合物7、塩基および化合物6が同時に加えられる。いくつかの実施態様においては、当モル量の7、塩基、および6が使用される。他の実施態様においては、過剰な塩基が使用され、7の量に対して、例えば1.01~1.5モル当量、例えば1.1~1.4モル当量、例えば1.2~1.35モル当量である。ある実施態様においては、過剰量の6が使用され、7の量に対して、例えば1.01~1.8モル当量、1.2~1.7モル当量、1.4~1.6モル当量である。
【0103】
いくつかの実施態様、特に当業者が必要性または利点を認識する実施態様においては、無水条件が使用される。
【0104】
反応に好適であることが当業者によって理解されている任意の溶媒、または2つまたはそれより多くの溶媒の組み合わせを用いてもよい。いくつかの実施態様においては、溶媒は、THF、ジクロロメタン、N-メチルピロリドン、MTBE、ジオキサン、2-MeTHF、シクロペンチルメチルエーテル、DMSO、DMFまたはそれらの任意の組み合わせを含むリストから選択されるが、それらに限定されるものではない。好ましい実施態様においては、溶媒はDMSOを含む。ある実施態様においては、溶媒はTHFおよびDMSOの任意の混合物である。溶媒は無水溶媒であってもよい。
【0105】
いくつかの実施態様において、反応は周囲温度で行われる。他の実施態様において、反応は、周囲温度より低い温度、例えば-78℃と-20℃との間で行われる。他の実施態様においては、反応は、上昇させた温度、例えば25℃と溶媒の沸点との間、例えば25℃と65℃の間、例えば30℃と60℃の間、例えば40℃と55℃の間、例えば50℃で行われる。いくつかの実施態様においては、反応の進行中同じ反応温度が維持される。他の実施態様においては、反応温度は反応の進行中に変化するおよび/または変化可能である。いくつかの実施態様においては、反応混合物は、反応混合物の分析が、反応が完了まで進行したことを示したら、または反応混合物の分析が、反応が停止したことを示したらクエンチされる。当業者に公知の任意の分析方法、例えばクロマトグラフィー法、例えば薄層クロマトグラフィー、例えばHPLC、例えばGC等を使用することができる。他の実施態様においては、反応混合物は、設定された反応時間後、例えば2~50時間、例えば5~40時間、例えば10~25時間、例えば15~20時間、例えば15~30時間後にクエンチされる。
【0106】
いくつかの実施態様においては、反応混合物は、例えば酸の添加により、例えば水の添加により、例えば共産水溶液の添加により、例えば弱酸水溶液の添加により、例えば周囲温度でクエンチされる。いくつかの実施態様においては、反応は、塩酸、硝酸、硫酸、臭化水素酸、溶化水素酸、過塩化酸、および塩素酸を含むリストから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0107】
反応混合物のワークアップは、一般的に当業者により用いられている任意の方法、例えば酸水溶液でのクエンチ後の2層の分離により、および/または有機相の抽出により行ってもよい。いくつかの実施態様においては、有機相から溶媒を蒸発させ、粗生成物を得る。いくつかの実施態様においては、有機相または粗生成物が、例えば当業者に一般に使用される任意の方法により精製される。いくつかの実施態様においては、精製方法は蒸留である。ある実施態様においては、生成方法は減圧下、例えば0.1~50mmHg、例えば30~50mmHg、例えば30~40mmHg、例えば10~40mmHg、例えば0.1~20mmHg、例えば1~10mmHg、例えば2~3mmHgでの蒸留である。
【0108】
工程1の好ましい実施形態においては、LGおよびLG’は両方ハロゲンであり、塩基は水素化ナトリウムであり、溶媒はDMSOを含む。LGおよびLG’は、それぞれクロロおよびブロモであってもよい。
【0109】
いくつかの実施態様においては、化合物1は、工程3を用いて、例えば天然源から得たり、商業的に入手したり、任意の経路と出発物質を用いて合成したりなど、当業者に公知の任意の方法で得られる反応物(3および2)を用いて合成される。好ましくは、工程3は、化合物3のCDIへの滴加により、MTBEを溶媒として用い、25℃および50℃の間の反応温度を用い、その後、ベンジルアミン2の添加により実施される。
【0110】
他の実施態様においては、化合物1は、スキーム7に説明するように、工程2および3を用いて、例えば天然源から得たり、商業的に入手したり、任意の経路と出発物質を用いて合成したりなど、当業者に公知の任意の方法で得られる反応物(4および5)を用いて合成される。好ましくは、工程2は、マロン酸ジエチルまたはマロン酸ジメチルおよびアルコキシド塩基を用いて行われ、ジエステル中間体3’は、水酸化ナトリウム水溶液との処理前に単離されずに3を得、そして工程3は、化合物3のCDIへの滴加により、MTBEを溶媒として用い、25℃および50℃の間の反応温度を用い、その後、ベンジルアミン2の添加により実施される。
【0111】
また他の実施態様においては、化合物1は、スキーム8に説明するように、工程1、2および3を用いて合成される。好ましくは、工程1においては、LGおよびLG’は両方ハロゲンであり、塩基は水素化ナトリウムであり、溶媒はDMSOおよびTHFを含み;工程2は、マロン酸ジエチルまたはマロン酸ジメチルおよびアルコキシド塩基を用いて行われ、ジエステル中間体3’は、水酸化ナトリウム水溶液との処理前に単離されずに3を得;そして工程3は、化合物3のCDIへの滴加により、MTBEを溶媒として用い、25℃および50℃の間の反応温度を用い、その後、ベンジルアミン2の添加により実施される。
【0112】
いくつかの実施態様においては、本発明は、スキーム9に示すように、一般式1Vの完全なバニリル環を有するカプサイシン類への合成経路を提供する。いくつかの実施態様においては、化合物2はバニリルアミン、例えばバニリルアミン塩酸塩(2a)である。ある実施態様においては、工程3のみが行われる。他の実施態様においては、工程2および3が行われる。また他の実施態様においては、工程1~3のすべてが行われる。
【0113】
好ましくは、工程1においては(行う場合)、LGおよびLG’は両方ハロゲンであり、塩基は水素化ナトリウムであり、溶媒はDMSOおよびTHFを含み;工程2は(行う場合)、マロン酸ジエチルまたはマロン酸ジメチルおよびアルコキシド塩基を用いて行われ、ジエステル中間体3’は、水酸化ナトリウム水溶液との処理前に単離されずに3を得;そして工程3は、化合物3のCDIへの滴加により、MTBEを溶媒として用い、25℃および50℃の間の反応温度を用い、その後、ベンジルアミン2の添加により実施される。
【0114】
いくつかの実施態様においては、本発明は、スキーム10に示すように、一般式1Pのフェニルカプサイシン類への合成経路を提供する。このような実施態様においては、化合物2はバニリルアミン、例えばバニリルアミン塩酸塩(2a)であり、置換基Arはフェニル環または上述の置換されたフェニル環である。ある実施態様においては、工程3のみが行われる。他の実施態様においては、工程2および3が行われる。また他の実施態様においては、工程1~3のすべてが行われる。好ましくは、工程1においては(行う場合)、LGおよびLG’は両方ハロゲンであり、塩基は水素化ナトリウムであり、溶媒はDMSOおよびTHFを含み;工程2は(行う場合)、マロン酸ジエチルまたはマロン酸ジメ
チルおよびアルコキシド塩基を用いて行われ、ジエステル中間体3’は、水酸化ナトリウム水溶液との処理前に単離されずに3を得;そして工程3は、化合物3のCDIへの滴加により、MTBEを溶媒として用い、25℃および50℃の間の反応温度を用い、その後、ベンジルアミン2の添加により実施される。
【0115】
具体的な実施態様においては、本発明は、スキーム11に示すように、フェニルカプサイシン(1a)への合成経路を提供する。このような実施形態においては、化合物2はバニリルアミン塩酸塩2aであり、置換基Phは置換されていないフェニル環である。ある実施態様においては、工程3のみが行われる。他の実施態様においては、工程2および3が行われる。また他の実施態様においては、工程1~3のすべてが行われる。
【0116】
好ましくは、工程1においては(行う場合)、LGおよびLG’は両方ハロゲンであり、塩基は水素化ナトリウムであり、溶媒はDMSOおよびTHFを含み;工程2は(行う場合)、マロン酸ジエチルまたはマロン酸ジメチルおよびアルコキシド塩基を用いて行われ、ジエステル中間体3’は、水酸化ナトリウム水溶液との処理前に単離されずに3を得;そして工程3は、化合物3のCDIへの滴加により、MTBEを溶媒として用い、25℃および50℃の間の反応温度を用い、その後、ベンジルアミン2の添加により実施される。
【0117】
結晶化
本発明にしたがい合成されたすべてのカプサイシン誘導体は、それらの合成後に精製することが出来る。いくつかの実施態様においては、カプサイシン誘導体は固体化合物である。このような実施態様においては、カプサイシン誘導体は結晶化されてもよい。いくつかの実施態様においては、フェニルカプサイシン(1a)は、任意には有機相の水での洗浄後に工程3から直接得られる1aの溶液など、1aのMTBE溶液への水の添加により結晶化される。溶液の濃度は、0.05~1g/mL、例えば0.05~0.5g/mL、例えば1~0.4g/mL、例えば0.5~1g/mL、例えば0.7~0.9g/mLであり得る。結晶化は、溶媒の容量に対して0.25~1容量の水、例えば溶媒の容量に対して0.3~0.8、例えば0.4~0.7容量の水を添加し、-5~5℃の範囲に温度を冷却しながら2~24時間、例えば一晩、例えば3~6時間、例えば5時間撹拌することにより行われ、1aの結晶を得た。結晶は、例えばろ過により単離されてよく、任意にはMTBEですすぎ、乾燥、例えば風乾されてもよい。
【0118】
具体的な実施態様においては、1aは、有機相の水での洗浄後に工程3から直接得られる1aの溶液への水の添加により、水の添加により、および-5℃~5℃の範囲に温度を冷却させながら5時間撹拌することにより結晶化される。1aについて説明される結晶化方法または同様の方法は、他のカプサイシン誘導体についても使用されることは当業者に明らかである。
【0119】
本発明は、示された実施態様および実施例に限定されるものではない。本開示の種々の実施態様は本明細書に記載されているが、このような実施態様が例の方法によってのみ提供されていることは当業者に自明である。本明細書において記載されている実施態様への多数の修飾や変更、ならびに実施態様のバリエーションおよび置換が、本発明の範囲を逸脱することなく、当業者に明らかである。本明細書に記載されている実施態様への種々の代替手段が、開示を実施する際に採用され得ることが理解される。さらに、添付の特許請求の範囲は、本発明の真実の範囲内にあるこのような改変やバリエーションを包含する。
【0120】
本開示のすべての実施態様は、本明細書に記載された他の実施態様のいずれか1つまたは複数と任意に組み合わせることができる。
【0121】
本明細書に開示されている各構成要素、化合物、またはパラメータは、単独での、または本明細書に開示されているありとあらゆる構成要素、化合物、またはパラメータの1つまたは複数との組み合わせでの使用のために開示されていると解釈されるべきであることが理解されるべきである。さらに、本明細書に記載された各構成要素、化合物、またはパラメータについての各量/値、または量/値の範囲は、本明細書に開示された任意の他の構成要素(複数)、化合物(複数)、またはパラメータ(複数)について開示された各量/値または量/値の範囲との組み合わせで開示されているとも解釈されるべきであること、および本明細書に開示された2つまたはそれより多くの構成要素(複数)、化合物(複数)、またはパラメータ(複数)についての量/値または量/値の範囲の任意の組み合わせは、したがって本明細書の目的のため、互いに組み合わせて開示されているということを理解されるべきである。本明細書に記載されたいずれかの特徴またはすべての特徴は、この特徴が互いに矛盾するものではない。
【0122】
本明細書に開示されている各範囲の各下限は、同じ構成要素、化合物、またはパラメータについて本明細書に開示された各々の範囲の各上限と組み合わせて開示されていると解釈されるべきであると理解されるべきである。したがって、2つの範囲の開示は、各範囲の各下限と、各範囲の各上限とを組み合わせることにより導き出される4つの範囲の開示として解釈されるべきである。3つの範囲の開示は、各範囲の各下限と各範囲の各上限とを組み合わせて導き出される9つの範囲の開示として解釈されるべきである、など。さらに、明細書にまたは実施例に開示された構成要素、化合物、またはパラメータの具体的な量/値は、範囲の下限または上限のいずれかの開示として解釈され、したがって、本件出願の他の場所に開示された同じ構成要素、化合物、またはパラメータについての任意の他の下限または上限または範囲または具体的な量/値と組み合わせて、その構成要素、化合物、またはパラメータについての範囲を形成することができる。
【実施例
【0123】
フェニルカプサイシン(1a)は、スキーム12に示される経路にしたがい合成された。反応は、逆相(Phenomenex phenyl-C6)カラムで移動相としてpH2(0.1%TFA)80%メタノールを用い、1.5ml/min、240nmで分析するHPLCによりモニターされた。生成物はMSおよび/またはNMR分析により同定された。
【0124】
実施例1.(5-クロロペント-1-イン-1-イル)ベンゼン(4a)の製造(工程1)
水素化ナトリウム(鉱油中60%)(50g、1.25mol)をTHF(960mL)およびフェニルアセチレン(7a)(98g、0.96mol)に懸濁し、DMSO(150g、1.92mol)を加え、その後1-ブロモ-3-クロロプロパン(6a)(227g、1.44mmol)を加え、得られた混合物を50℃で20時間加熱した。反応後、混合物を冷却し、500mLの0.5M HCl(aq)でクエンチし、その後すぐに撹拌を停止し、2層を分離した。260mLのヘプタンを有機相に加え、得られた混合物を350mLの水で抽出した。得られた有機相から溶媒を蒸発させ、粗生成物266gを得た。粗生成物を減圧下(2~3mmHg)で蒸留して精製し、過剰な開始物質を含む30~40℃で沸騰する最初のフラクションを分離した。90~100℃で沸騰する主要なフラクションは、生成物と、3よりもわずかに低い沸点を有する少量の化合物4a-1とを含有した。したがって、除去することは難しく、後の工程において反応せず、加水分解後に完全に除去されるため、その存在は許容される。4aの収量は、蒸留後1.5%の4a-1(HPLC面積により)を含む146g(85%)であった。
1H NMR(DMSO-d6) δ 7.43-7.38 (m, 2H), 7.35-7.32 (m, 3H), 3.76 (t, 2H, J=6.4 Hz), 2.58 (t, 2H, J=7.0 Hz), 1.98 (p, 2H, J=6.7 Hz); 13C NMR(CDCl3) δ 131.2, 128.4, 127.9, 123.0, 88.7, 81.1, 44.1, 31.0, 16,2.
【0125】
実施例2.2-(5-フェニルペント-4-イン-1-イル)マロン酸(3a)の製造(工程2)
化合物3aは中間体3’aを経て合成され(エチル基のみを含むスキーム13に示されているが、トランスエステル化によりエチル基およびメチル基の組み合わせを含む)、これは単離されなかった。
【0126】
マロン酸ジエチル(5a)(184g、1.15mol)および4a(137g、0.767mol)をエタノール(430mL)に溶解し、その後すぐにメトキシナトリウム(203g25%メタノール溶液、0.939mol)を加えた。混合物を70℃で48時間加熱した。冷却後、混合物を290mLの水でクエンチし、そして333gの28%(水溶液)水酸化ナトリウム溶液を加え、反応混合物を、HPLC分析がマロン酸誘導体3aへのエステルの完全な変換を示すまで、30℃で撹拌した。
【0127】
反応混合物を真空下で半結晶状塊まで濃縮し、550mLの水に溶解した。混合物をメチル-tert-ブチルエーテル300mLずつで2回抽出した。得られた水相に365gの30%HClをゆっくりと加え、その後すぐに生成物が沈殿した。25℃で2時間撹拌した後、生成物をろ過し、70mLのヘプタンですすぎ、その後70mLの水ですすいだ。得られた生成物、3aを風乾し、164gの淡褐色の結晶を得た(87%収率)。
1H NMR(DMSO-d6) δ 7.38-7.34 (m, 2H), 7.33-7.28 (m, 3H), 3.31 (t, 1H, J=7.6 Hz), 2.43 (t, 2H, J=6.9 Hz), 1.90-1.84 (m, 2H), 1.59-1.51 (m, 2H); 13C NMR(DMSO-d6) δ 171.1, 131.4, 128.7, 128.1, 123.4, 90.3, 81.0, 51.4, 28.0, 26.3, 18.7. HRMS(ESI) C14H15O4+に対する理論値[M+H]+247.0970、実測値247.0968.
【0128】
実施例3.フェニルカプサイシン(1a)の製造(工程3)
マロン酸3a(130g、0.528mol)を375mLのMTBEに溶解し、カルボニルジイミダゾール(103g、0.635mol)の375mLのMTBE懸濁液にガス発生下で滴加し、得られた混合物を25℃で30分間撹拌し、最終的に反応を完了させるために1時間40℃に加熱した。混合物にバニリルアミン塩酸塩(2a)(120g、0.633mol)を添加し、45℃で20時間撹拌を続け、その後すぐに500mLの水を加え、2つのきれいな相が形成されるまで混合物を40℃で撹拌した。下の水層を分離し、有機相を40℃で500mLの水で再び抽出した。分離後、300mLの水を加え、その後15mLのHCl(30%水溶液)を加え、層を分離した。
【0129】
実施例4.フェニルカプサイシン(1a)の結晶化
実施例3から得られた有機相に、再び300mLの水を加え、混合物を3℃で冷却しながら5時間撹拌し、沈殿した生成物を得た。結晶をろ過により単離し、130mLの冷MTBEを用いてフィルター上ですすぎ、風乾して1aを白色結晶状物質として与えた。得られた固体を375mLのMTBEに溶解し、その後すぐに溶媒を蒸発させて145g(81%収率)の1aを薄茶色のシロップとして得た。1H NMR(DMSO-d6) δ 8.87 (s, 1H), 8.26 (t, 1H, J=5.7 Hz), 7.40-7.36 (m, 2H), 7.35-7.31 (m, 3H), 6.83 (d, 1H, J=1.7 Hz), 6.73 (d, 1H, J=7.9 Hz), 6.67 (dd, 1H, J=7.9, 1.7 Hz), 4.19 (d, 2H, J=5.7 Hz), 3.73 (s, 3H), 2.43 (t, 2H, J=7.0 Hz), 2.20 (t, 2H, J=7.2 Hz), 1.74-1.66 (m, 2H), 1.59-1.51 (m, 2H); 13C NMR(DMSO-d6) δ 172.0, 147.5, 145.5, 131.3, 130.6, 128.6, 128.0, 123.4, 119.8, 115.3, 111.6, 90.5, 80.8, 55.5, 42.0, 35.0, 27.9, 24.8, 18.5. HRMS(ESI)C1224NO3 +[M+H]+についての理論値338.1756、実測値338.1759。
【0130】
カプサイシン類1bおよび1cは、スキーム13に示す経路にしたがい合成した。生成物はMSおよび/またはNMR分析により同定した。
【0131】
実施例5.7-クロロ-2,2-ジメチル-3-ヘプチン(4b)の製造(工程1)
3,3-ジメチル-1-ブチン(7b)(3g、36.5mmol)を27mLの無水THFに溶解し、得られた混合物を-15℃に冷却した。ヘキサン中1.6Mのブチルリチウム(22.83mL、36.5mmol)を40分かけて滴加し、その後すぐに混合物を2時間で20℃にした。1-クロロ-3-ヨードプロパン(6b)(6.35g、31.0mmol)を加え、混合物を20℃で3日間撹拌し、その後すぐに21mLの水を加えた。下の水相を除き、10mLの水と1mLの25%HClの混合物を有機相に加えた。下の水相を除き、有機相から溶媒を減圧下で蒸発させて黄色のオイル(4b)(4.68g、29.5mmol)を95%の収率で得た。1H NMR(CDCl3) δ 3.63 (t, 2H, J=6.5 Hz), 2.31 (t, 2H, J=6.8 Hz), 1.91 (p, 2H, J=6.6 Hz), 1.18 (s, 9H); 13C NMR(CDCl3) δ 90.1, 76.3, 43.8, 31.9, 31.3, 27.3, 16.2.
【0132】
実施例6.(3b)(6,6-ジメチル-4-ヘプチニル)マロン酸の製造(工程2)
7-クロロ-2,2-ジメチル-3-ヘプチン(4b)(4.12g、26.0mmol)、マロン酸ジエチル(5a)(6.24g、38.9mmol)、エタノール(12.6ml)および25%ナトリウムメタノラート(7.01g、32.5mmol)を混合した。混合物を3日間70℃で加熱した。冷却後、混合物を5.7mLの水でクエンチし、11.95gの28%(水溶液)水酸化ナトリウム溶液を加え、反応混合物を30℃で24時間撹拌した。反応混合物を真空下で半結晶状塊まで濃縮し、16mLの水に再溶解した。混合物をトルエン10mLずつで2回抽出した。得られた水相に16gの25%HClを加え、得られた混合物をMTBE25mLずつで2回抽出した。各MTBEを合わせ、溶媒を減圧下で蒸発させオフホワイトの固体(3b)(5.26g、23.3mmol)を90%の収率で得た。
1H NMR(DMSO-d6) δ 3.21 (t, 1H, J=7.3 Hz), 2.09 (t, 2H, J=7.2 Hz), 1.78-1.72 (m, 2H), 1.41-1.34 (m, 2H), 1.12 (s, 9H); 13C NMR(DMSO-d6) δ 171.2, 89.6, 78.4, 51.6, 31.6, 28.1, 27.4, 26.8, 18.2. HRMS(ESI) C12174 -[M-H]-についての理論値225.1127、理論値225.1126。
【0133】
実施例7.(1b)N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-8,8-ジメチル-6-ノニンアミンの製造(工程3)
(6,6-ジメチル-4-ヘプチニル)マロン酸(3b)(1.0g、4.4mmol)を5mLのMTBEに溶解し、カルボニルジイミダゾール(0.86g、5.3mmol)の5mLのMTBE懸濁液にガス発生下で滴加し、得られた混合物を1時間40℃で加熱した。得られた溶液をバニリルアミン塩酸塩(2a)(1.01g、5.3mmol)の懸濁液に加え、50℃で22時間撹拌を続け、その後すぐに10mLの水を加え、2つのきれいな相が形成されるまで混合物を40℃で撹拌した。下の水層を分離し、有機相を、10mLの水と1mLの25%HClの混合物で洗浄した。有機相を0.26gの水酸化ナトリウムと10mLの水の溶液で抽出し、その後、さらに5mLの水で洗浄した。2つの水相を合わせ、0.6mLの37%HCl(水溶液)および10mLのMTBEを加えた。得られた水相を除去し、有機相を5mLの水で洗浄した。有機相から溶媒を減圧下で除去し、黄色のオイル(1b)(0.70g、2.2mmol)を50%の収率で得た。1H NMR(CDCl3) δ 6.86 (d, 1H, J=8.0 Hz), 6.79 (d, 1H, J=2.0 Hz), 6.74 (dd, 1H, J=8.0, 2.0 Hz), 4.34 (d, 2H, J=5.6 Hz), 3.86 (s, 3H), 2.22 (t, 2H, J=7.5 Hz), 2.15 (t, 2H, J=7.1 Hz), 1.77-1.70 (m, 2H), 1.54-1.46 (m, 2H), 1.16 (s, 9H); 13C NMR(CDCl3) δ 172.7, 146.7, 145.1, 130.2, 120.8, 114.4, 110.7, 89.4, 77.8, 55.9, 43.6, 36.2, 31.4, 28.6, 27.3, 24.9, 18.4. HRMS(ESI) C1928NO3 +[M+H]+についての理論値318.2069、実測値318.2068。
【0134】
実施例8.5-クロロ-1-シクロヘキシル-1-ペンチン(4c)の製造(工程1)
シクロヘキシルアセチレン(7c)(2.46g、22.7mmol)を22mLの無水THFに溶解し、得られた混合物を-15℃に冷却した。ヘキサン中1.6Mのブチルリチウム(14.19mL、22.7mmol)を30分かけて滴加し、その後すぐに混合物を2時間で20℃にした。1-クロロ-3-ヨードプロパン(6b)(3.95g、19.3mmol)を加え、混合物を20℃で3日間撹拌し、その後すぐに17mLの水を加えた。下の水相を除き、10mLの水と1mLの25%HClの混合物を有機相に加えた。下の水相を除き、有機相から溶媒を減圧下で蒸発させて黄色のオイル(4c)(3.35g、18.2mmol)を94%の収率で得た。1H NMR(CDCl3) δ 3.63 (t, 2H, J=6.5 Hz), 2.35-2.27 (m, 3H), 1.91 (p, 2H, J=6.6 Hz), 1.78-1.72 (m, 2H), 1.70-1.62 (m, 2H), 1.51-1.47 (m, 1H), 1.41-1.33 (m, 2H), 1.32-1.23 (m, 3H); 13C NMR(CDCl3) δ 85.7, 77.8, 43.8, 33.1, 31.9, 29.1, 25.9, 24.9, 16.2.
【0135】
実施例9.(5-シクロヘキシル-4-ペンチニル)マロン酸(3c)の製造(工程2)
5-クロロ-1-シクロヘキシル-1-ペンチン(4c)(1.97g、10.7mmol)、マロン酸ジエチル(5a)(2.56g、16.0mmol)、エタノール(6.0ml)および25%ナトリウムメタノラート(2.88g、13.3mmol)を混合した。混合物を2日間70℃で加熱した。冷却後、混合物を2.7mLの水でクエンチし、4.77gの28%(水溶液)水酸化ナトリウム溶液を加え、反応混合物を30℃で24時間撹拌した。反応混合物を真空下で半結晶状塊まで濃縮し、40mLの水に再溶解した。混合物をトルエン25mLずつで2回抽出した。得られた水相に6.5gの25%HClを加え、得られた混合物をMTBE25mLずつで2回抽出した。各MTBEを合わせ、溶媒を減圧下で蒸発させオフホワイトの固体(3c)(2.01g、8.0mmol)を75%の収率で得た。
1H NMR(CDCl3) δ 3.48 (t, 1H, J=7.4 Hz), 2.33-2.28 (1H, m), 2.23 (dt, 2H, J=6.9, 2.2 Hz), 2.09-2.03 (m; 2H), 1.79-1.73 (m, 2H), 1.70-1.64 (m, 2H), 1.62-1.55 (m, 2H), 1.52-1.46 (m, 1H), 1.42-1.34 (m, 2H), 1.30-1.24 (m, 3H). 13C NMR(CDCl3) δ 174.6, 85.7, 78.5, 51.1, 33.0, 29.1, 27.8, 26.6, 25.9, 24.9, 18.4. HRMS(ESI) C14194 -[M-H]-についての理論値251.1283、実測値251.1286。
【0136】
実施例10.N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-7-シクロヘキシル-6-ヘプチンアミド(1c)の製造(工程3)
(5-シクロヘキシル-4-ペンチニル)マロン酸(3c)(1.0g、4.0mmol)を5mLのMTBEに溶解し、カルボニルジイミダゾール(0.77g、4.8mmol)の5mLのMTBE懸濁液にガス発生下で滴加し、得られた混合物を1時間40℃で加熱した。得られた溶液をバニリルアミン塩酸塩(2a)(0.90g、4.8mmol)の懸濁液に加え、50℃で22時間撹拌を続け、その後すぐに10mLの水を加え、2つのきれいな相が形成されるまで混合物を40℃で撹拌した。下の水層を分離し、有機相を、10mLの水と0.5mLの25%HClの混合物で洗浄した。有機相を0.19gの水酸化ナトリウムと10mLの水の溶液で抽出し、その後、さらに5mLの水で洗浄した。2つの水相を合わせ、0.43mLの37%HCl(水溶液)および10mLのMTBEを加えた。得られた水相を除去し、有機相を5mLの水で洗浄した。有機相から溶媒を減圧下で除去し、黄色のオイル(1c)(0.68g、2.0mmol)を50%の収率で得た。1H NMR(CDCl3) δ 6.84 (d, 1H, J=8.0 Hz), 6.79 (d, 1H, J=2.0 Hz), 6.74 (dd, 1H, J=8.0, 2.0 Hz), 4.34 (d, 2H, J=5.5 Hz), 3.86 (s, 3H), 2.26-2.15 (m, 5H), 1.78-1.62 (m, 6H), 1.55-1.47 (m, 3H), 1.36-1.21 (m, 5H); 13C NMR(CDCl3) δ 172.7, 146.7, 145.1, 130.2, 120.8, 114.4, 110.7, 85.2, 79.3, 55.9, 43.5, 36.2, 33.1, 29.1, 28.6, 25.9, 25.0, 24.9, 18.5. HRMS(ESI) C2130NO3 +[M+H]+についての理論値344.2226、実測値344.2226.
【0137】
説明例
説明例I.N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ)-ノンデク-6-インアミドの製造
水素化ナトリウム(鉱油中60%)をTHFおよびドデシルアセチレン中に懸濁させ、DMSOを加え、その後、1-ブロモ-3-クロロプロパン(6a)を加え、得られる混合物を50℃で20時間の間加熱する。反応後、混合物を冷却し、0.5M HCl(水溶液)でクエンチし、その後すぐに撹拌を停止し、2層を分離する。ヘプタンを有機相に加え、得られる混合物を水で抽出する。得られる有機相からの溶媒を蒸発させ、粗生成物を得る。粗生成物を減圧下での短経路蒸留により精製する。
【0138】
単離される中間体およびマロン酸ジエチル(5a)をエタノールに溶解し、その後すぐにナトリウムメトキシド(メタノール中25%溶液)を加える。混合物を70℃で48時間加熱する。冷却後、混合物を水でクエンチし、28%(水溶液)水酸化ナトリウム溶液を加え、HPLC分析がマロン酸誘導体3へのエステルの完全な変換を示すまで反応混合物を30℃で撹拌する。反応混合物を真空下で半結晶状塊まで濃縮し、水に再溶解する。混合物をトルエンで2回抽出する。得られる水相に30%HClをゆっくり加え、その後すぐに、生成物を沈殿させる。25℃で2時間撹拌後、生成物をろ過し、ヘプタンおよび水ですすぐ。得られるマロン酸中間体を風乾する。
【0139】
マロン酸中間体をMTBEに溶解し、MTBE中カルボニルジイミダゾールの懸濁液に滴加し、25℃で30分間撹拌し、最終的に40℃で1時間加熱して反応を完了させる。混合物にバニリルアミン塩酸塩を加え、45℃で20時間撹拌を続け、その後すぐに水を加え、混合物を2相が形成されるまで40℃で撹拌する。下の水層を分離し、有機相を40℃で水により再度抽出する。分離後、水300mLを加え、その後15mLのHCl(30%水溶液)を加え、層を分離する。得られる有機相に300mLの水を加え、層を分離する。得られる有機相に20gの硫酸マグネシウムを加える。混合物を撹拌し、濾過し、溶媒を得られるろ液から蒸発させ、N-(4-ドデシルベンジル)-7-フェニルヘプト-6-インアミンを得る。
【0140】
説明例II.N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)-8-メチルノン-6-インアミンの製造
水素化ナトリウム(鉱油中60%)をTHFおよび3-メチル-1-ブチン中に懸濁させ、DMSOを加え、その後、1-ブロモ-3-クロロプロパン(6a)を加え、得られる混合物を50℃で20時間の間加熱する。反応後、混合物を冷却し、0.5M HCl(水溶液)でクエンチし、その後すぐに撹拌を停止し、2層を分離する。ヘプタンを有機相に加え、得られる混合物を水で抽出する。得られる有機相からの溶媒を蒸発させ、粗生成物を得る。粗生成物を減圧下での蒸留により精製する。
【0141】
単離される中間体およびマロン酸ジエチル(5a)をエタノールに溶解し、その後すぐにナトリウムメトキシド(メタノール中25%溶液)を加える。混合物を70℃で48時間加熱する。冷却後、混合物を水でクエンチし、28%(水溶液)水酸化ナトリウム溶液を加え、HPLC分析がマロン酸誘導体3へのエステルの完全な変換を示すまで反応混合物を30℃で撹拌する。反応混合物を真空下で半結晶状塊まで濃縮し、水に再溶解する。混合物をトルエンで2回抽出する。得られる水相に30%HClをゆっくり加え、その後すぐに、生成物を沈殿させる。25℃で2時間撹拌後、生成物をろ過し、ヘプタンおよび水ですすぐ。得られるマロン酸中間体を風乾する。
【0142】
マロン酸中間体をMTBEに溶解し、MTBE中カルボニルジイミダゾールの懸濁液に滴加し、25℃で30分間撹拌し、最終的に40℃で1時間加熱して反応を完了させる。混合物にバニリルアミン塩酸塩を加え、45℃で20時間撹拌を続け、その後すぐに水を加え、混合物を2相が形成されるまで40℃で撹拌する。下の水層を分離し、有機相を40℃で水により再度抽出する。分離後、水300mLを加え、その後15mLのHCl(30%水溶液)を加え、層を分離する。得られる有機相に300mLの水を加え、層を分離する。得られる有機相に20gの硫酸マグネシウムを加える。混合物を撹拌し、濾過し、溶媒を得られるろ液から蒸発させ、N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)-8-メチルノン-6-インアミンを得る。
【0143】
説明例III.N-(3-フルオロ-4-メトキシベンジル)-7-フェニルヘプト-6-インアミンの製造
水素化ナトリウム(鉱油中60%)をTHFおよびフェニルアセチレン中に懸濁させ、DMSOを加え、その後、1-ブロモ-3-クロロプロパン(6a)を加え、得られる混合物を50℃で20時間の間加熱する。反応後、混合物を冷却し、0.5M HCl(水溶液)でクエンチし、その後すぐに撹拌を停止し、2層を分離する。ヘプタンを有機相に加え、得られる混合物を水で抽出する。得られる有機相からの溶媒を蒸発させ、粗生成物を得る。粗生成物を減圧下での蒸留により精製する。
【0144】
単離される中間体およびマロン酸ジエチル(5a)をエタノールに溶解し、その後すぐにナトリウムメトキシド(メタノール中25%溶液)を加える。混合物を70℃で48時間加熱する。冷却後、混合物を水でクエンチし、28%(水溶液)水酸化ナトリウム溶液を加え、HPLC分析がマロン酸誘導体3へのエステルの完全な変換を示すまで反応混合物を30℃で撹拌する。反応混合物を真空下で半結晶状塊まで濃縮し、水に再溶解する。混合物をトルエンで2回抽出する。得られる水相に30%HClをゆっくり加え、その後すぐに、生成物を沈殿させる。25℃で2時間撹拌後、生成物をろ過し、ヘプタンおよび水ですすぐ。得られるマロン酸中間体を風乾する。
【0145】
マロン酸中間体をMTBEに溶解し、MTBE中カルボニルジイミダゾールの懸濁液に滴加し、25℃で30分間撹拌し、最終的に40℃で1時間加熱して反応を完了させる。混合物に3-フルオロ-4-メトキシベンジルアミンを加え、45℃で20時間撹拌を続け、その後すぐに水を加え、混合物を2相が形成されるまで40℃で撹拌する。下の水層を分離し、有機相を40℃で水により再度抽出する。分離後、水300mLを加え、その後15mLのHCl(30%水溶液)を加え、層を分離する。得られる有機相に300mLの水を加え、層を分離する。得られる有機相に20gの硫酸マグネシウムを加える。混合物を撹拌し、濾過し、溶媒を得られるろ液から蒸発させ、N-(3-フルオロ-4-メトキシベンジル)-7-フェニルヘプト-6-インアミンを得る。
【国際調査報告】