(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-28
(54)【発明の名称】停電および電力品質の検出および通知を行う方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20230421BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
H02J13/00 301B
H02J3/14 130
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554941
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(85)【翻訳文提出日】2022-09-30
(86)【国際出願番号】 US2021022176
(87)【国際公開番号】W WO2021183933
(87)【国際公開日】2021-09-16
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520364288
【氏名又は名称】ウィスカー ラブズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WHISKER LABS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】スループ、クリストファー デイル
(72)【発明者】
【氏名】マーシャル、ロバート エス.
(72)【発明者】
【氏名】ビクスラー、ドニー
(72)【発明者】
【氏名】リュー、チョンリン
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC11
5G064CB16
5G064DA03
5G066AA09
5G066HA11
5G066HA13
(57)【要約】
本明細書には、停電および電力品質の検出および通知を行う方法およびシステムが記載されている。回路に結合されたセンサは、キープ・アライブ・パケットをサーバに伝送する。センサは、電気的活動によって生成される入力信号を検出する。センサは、入力信号に基づいて出力信号を生成する。センサは、出力信号を監視する。各クロック・サイクル中に、センサは、立ち上がりエッジが発生したかどうかを判定し、所定のクロック値の前に立ち上がりエッジが発生したとき、または立ち上がりエッジが発生しなかったときには、障害パケットをサーバに伝送する。サーバは、センサから障害パケットを受信し、キープ・アライブ・パケットがないかどうかリッスンする。サーバは、障害パケットを受信した後で、少なくとも既定の期間にわたってキープ・アライブ・パケットを受信しないときに、停電通知を伝送する。サーバは、その後に1つまたは複数のキープ・アライブ・パケットを受信したときに、電力回復通知を伝送する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
停電の検出および通知を行うシステムであって、
回路に結合されたセンサ・デバイスであって、
キープ・アライブ・パケットを周期的にサーバ・コンピューティング・デバイスに伝送し、
前記回路上の電気的活動によって生成される入力信号を検出し、
検出した入力信号に基づいて出力信号を生成し、
既定の持続時間を有する複数のクロック・サイクルのそれぞれの間に生成した出力信号を監視し、
各クロック・サイクル中に、
前記生成した出力信号において立ち上がりエッジが発生したかどうかを判定し、
前記クロック・サイクル中の所定のクロック値の前に立ち上がりエッジが発生したとき、または前記クロック・サイクル中に立ち上がりエッジが発生しなかったときに、障害パケットを前記サーバ・コンピューティング・デバイスに伝送し、
新たなクロック・サイクルを開始する
ように構成された前記センサ・デバイスと、
前記センサ・デバイスに通信可能に結合された前記サーバ・コンピューティング・デバイスであって、
前記センサ・デバイスから前記障害パケットを受信し、
前記センサ・デバイスからの1つまたは複数のキープ・アライブ・パケットがないかどうかリッスンし、
前記障害パケットを受信した後で、少なくとも既定の期間にわたって前記センサ・デバイスからキープ・アライブ・パケットを受信しないときに、停電通知を1つまたは複数の遠隔コンピューティング・デバイスに伝送し、
前記停電通知を伝送した後で、前記センサ・デバイスから1つまたは複数のキープ・アライブ・パケットを受信したときに、電力回復通知を前記1つまたは複数の遠隔コンピューティング・デバイスに伝送する
ように構成された前記サーバ・コンピューティング・デバイスと
を備える、システム。
【請求項2】
前記入力信号が、複数のゼロ交差を有する交流(AC)電圧正弦波を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記出力信号が、前記入力信号の前記ゼロ交差に対応する複数の立ち上がりエッジを有する電圧曲線である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記キープ・アライブ・パケットが、実効値(RMS)電圧、電圧正弦波の周波数、前記電圧正弦波の相対位相角、前記電圧正弦波の高調波の振幅、または高周波雑音振幅の任意数の測定値のうちの1つまたは複数を含む電力品質データを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
各クロック・サイクルが、9ミリ秒の既定の持続時間を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記クロック・サイクル中の前記所定のクロック値が、8.33ミリ秒である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
停電の検出および通知を行うコンピュータ化された方法であって、
回路に結合されたセンサ・デバイスが、キープ・アライブ・パケットを周期的にサーバ・コンピューティング・デバイスに伝送する工程と、
前記センサ・デバイスが、前記回路上の電気的活動によって生成される入力信号を検出する工程と、
前記センサ・デバイスが、検出した入力信号に基づいて出力信号を生成する工程と、
前記センサ・デバイスが、既定の持続時間を有する複数のクロック・サイクルのそれぞれの間に生成した出力信号を監視する工程と、
各クロック・サイクル中に、
前記センサ・デバイスが、前記生成した出力信号において立ち上がりエッジが発生したかどうかを判定し、
前記クロック・サイクル中の所定のクロック値の前に立ち上がりエッジが発生したとき、または前記クロック・サイクル中に立ち上がりエッジが発生しなかったときに、前記センサ・デバイスが、障害パケットを前記サーバ・コンピューティング・デバイスに伝送する工程と、
前記センサ・デバイスが、新たなクロック・サイクルを開始する工程と、
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、前記センサ・デバイスから前記障害パケットを受信する工程と、
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、前記センサ・デバイスからの1つまたは複数のキープ・アライブ・パケットがないかどうかリッスンする工程と、
前記障害パケットを受信した後で、少なくとも既定の期間にわたって前記センサ・デバイスからキープ・アライブ・パケットを受信しないときに、前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、停電通知を1つまたは複数の遠隔コンピューティング・デバイスに伝送する工程と、
前記停電通知を伝送した後で、前記センサ・デバイスから1つまたは複数のキープ・アライブ・パケットを受信したときに、前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、電力回復通知を前記1つまたは複数の遠隔コンピューティング・デバイスに伝送する工程と
を含む方法。
【請求項8】
前記入力信号が、複数のゼロ交差を有する交流(AC)電圧正弦波を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記出力信号が、前記入力信号の前記ゼロ交差に対応する複数の立ち上がりエッジを有する電圧曲線である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記キープ・アライブ・パケットが、実効値(RMS)電圧、電圧正弦波の周波数、前記電圧正弦波の相対位相角、前記電圧正弦波の高調波の振幅、または高周波雑音振幅の任意数の測定値のうちの1つまたは複数を含む電力品質データを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
各クロック・サイクルが、9ミリ秒の既定の持続時間を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記クロック・サイクル中の前記所定のクロック値が、8.33ミリ秒である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
電力品質の検出および通知を行うシステムであって、
回路にそれぞれ結合された1つまたは複数のセンサ・デバイスであって、
前記回路上の電気的活動によって生成される入力信号を検出し、
検出した入力信号に基づいて出力信号を生成し、
電力品質データであって、前記出力信号に基づく電力品質データをサーバ・コンピューティング・デバイスに伝送する
ようにそれぞれ構成された前記1つまたは複数のセンサ・デバイスと、
前記サーバ・コンピューティング・デバイスであって、
前記1つまたは複数のセンサ・デバイスから前記電力品質データを受信し、
前記1つまたは複数のセンサ・デバイスから受信した履歴電力品質データと合わせて前記電力品質データを解析して、1つまたは複数の電力品質事象を検出し、
検出した電力品質事象に基づいて電力品質通知を1つまたは複数の遠隔コンピューティング・デバイスに伝送する
ように構成された前記サーバ・コンピューティング・デバイスと
を備える、システム。
【請求項14】
検出した1つまたは複数の電力品質事象が、サージ事象、サージ・ジャンプ事象、サグ事象、サグ・ジャンプ事象、ブラウンアウト事象、スウェル・ジャンプ事象、高周波(HF)フィルタ・ジャンプ事象、周波数ジャンプ事象、再発性電力品質問題、位相角ジャンプ事象、緩い中性線事象、または発電機起動事象のうちの1つまたは複数を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、(i)前記検出した1つまたは複数の電力品質事象をゼロ個以上の外部事象と相関させ、かつ/あるいは(ii)第1のセンサ・デバイスからの検出した電力品質事象を1つまたは複数の他のセンサ・デバイスからの検出した電力品質事象と相関させるようにさらに構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、
1つのセンサ・デバイスについて、所定の期間内に前記1つのセンサ・デバイスによって記録された、前記1つのセンサ・デバイスの近傍の任意の他のセンサ・デバイスからの一致する電力品質事象と相関がないサージ事象、サージ・ジャンプ事象、およびサグ事象の数および振幅を解析し、
前記サージ事象の平均数が1日当たりの第1の既定数より大きいとき、または公称電圧の既定の百分率より大きい大きさを有する前記サージ・ジャンプ事象の平均数が1日当たりの第2の既定数より大きいとき、または前記サグ事象の平均数が1日当たりの第3の既定数より大きいときに、緩い中性線事象を生成する
ことによって、緩い中性線事象を検出する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記出力信号が、実効値(RMS)電圧、電圧正弦波の周波数、電圧正弦波の相対位相角、電圧正弦波の高調波の振幅、または高周波雑音振幅の任意数の測定値のうちの1つまたは複数を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、
1つまたは複数のセンサ・デバイスからのRMS電圧の複数の連続したデータ・ポイントを解析し、
前記RMS電圧がいくつかの連続したデータ・ポイントにわたって公称電圧の既定のしきい値百分率より大きいときに、サージ事象を生成する
ことによって、サージ事象を検出する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記既定のしきい値百分率が、前記RMS電圧が最小しきい値百分率より大きい連続したデータ・ポイントの数に基づいて変化する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、
1つまたは複数のセンサ・デバイスからのRMS電圧の複数の連続したデータ・ポイントを解析し、
前記RMS電圧がいくつかの連続したデータ・ポイントにわたって公称電圧の既定のしきい値百分率より小さいときに、ブラウンアウト事象を生成する
ことによって、ブラウンアウト事象を検出する、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記既定のしきい値百分率が、前記RMS電圧が最小しきい値百分率より小さい連続したデータ・ポイントの数に基づいて変化する、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、
1つまたは複数のセンサ・デバイスからのRMS電圧の複数の連続したデータ・ポイントを解析し、
前記複数の連続したデータ・ポイントにおいて発生した、公称電圧の既定のしきい値百分率より大きい、RMS電圧の1つまたは複数の降下のそれぞれについてサグ・ジャンプ事象を生成する
ことによって、サグ・ジャンプ事象を検出する、請求項15に記載のシステム。
【請求項23】
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、
1つまたは複数のセンサ・デバイスからのRMS電圧の複数の連続したデータ・ポイントを解析し、
前記複数の連続したデータ・ポイントにおいて発生した、公称電圧の既定のしきい値百分率より大きい、RMS電圧の1つまたは複数の上昇のそれぞれについてスウェル・ジャンプ事象を生成する
ことによって、スウェル・ジャンプ事象を検出する、請求項15に記載のシステム。
【請求項24】
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、
1つまたは複数のセンサ・デバイスからのHF振幅データの複数の連続したデータ・ポイントを解析し、
前記HF振幅データの平均を計算し、
前記平均が1より大きいときには、前記HF振幅データが前記平均のしきい値倍を超える分だけ増大したときにHFフィルタ・ジャンプ事象を生成するか、または
前記平均が1より小さいときには、前記HF振幅データが既定のしきい値を超えて増大したときにHFフィルタ・ジャンプ事象を生成する
ことによって、HFフィルタ・ジャンプ事象を検出する、請求項15に記載のシステム。
【請求項25】
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、
1つまたは複数のセンサ・デバイスからの周波数データの複数の連続したデータ・ポイントを解析し、
前記周波数データの平均を計算し、
前記周波数データの標準偏差を計算し、
周波数が前記平均から既定のしきい値を超える分だけ増大したときに周波数ジャンプ事象を生成するか、あるいは
(i)前記標準偏差が第1の周波数未満から第2の周波数超まで変化したとき、または(ii)前記標準偏差が前記第2の周波数超から前記第1の周波数未満まで変化したときに周波数ジャンプ事象を生成する
ことによって、周波数ジャンプ事象を検出する、請求項15に記載のシステム。
【請求項26】
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、
1つのセンサ・デバイスについて、所定の期間中に前記1つのセンサ・デバイスによって任意の停電事象および周波数事象が検出されたかどうかを解析し、
前記1つのセンサ・デバイスが停電事象を検出しており、その後に、前記停電事象から既定の期間内に既定のしきい値超への周波数の標準偏差の変化が続き、周波数の標準偏差の変化が、相関のある外部事象と関連付けられていないときに、発電機起動事象を生成する
ことによって、発電機起動事象を検出する、請求項15に記載のシステム。
【請求項27】
前記1つまたは複数の外部事象が、雷活動事象、送電網監視事象、およびエネルギー価格決定事象を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項28】
前記第1のセンサ・デバイスからの前記検出した電力品質事象、および1つまたは複数の他のセンサ・デバイスからの前記検出した電力品質事象が、同じ事象タイプである、請求項15に記載のシステム。
【請求項29】
電力品質の検出および通知を行うコンピュータ化された方法であって、
回路に結合されたセンサ・デバイスが、前記回路上の電気的活動によって生成される入力信号を検出する工程と、
前記センサ・デバイスが、検出した入力信号に基づいて出力信号を生成する工程と、
前記センサ・デバイスが、電力品質データであって、前記出力信号に基づく電力品質データをサーバ・コンピューティング・デバイスに伝送する工程と、
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、前記センサ・デバイスから前記電力品質データを受信する工程と、
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、前記センサ・デバイスから受信した履歴電力品質データと合わせて前記電力品質データを解析して、1つまたは複数の電力品質事象を検出する工程と、
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、検出した電力品質事象に基づいて電力品質通知を1つまたは複数の遠隔コンピューティング・デバイスに伝送する工程と
を含む、方法。
【請求項30】
検出した1つまたは複数の電力品質事象が、サージ事象、サージ・ジャンプ事象、サグ事象、サグ・ジャンプ事象、ブラウンアウト事象、スウェル・ジャンプ事象、高周波(HF)フィルタ・ジャンプ事象、周波数ジャンプ事象、再発性電力品質問題、位相角ジャンプ事象、緩い中性線事象、または発電機起動事象のうちの1つまたは複数を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、さらに、(i)前記検出した1つまたは複数の電力品質事象をゼロ個以上の外部事象と相関させ、かつ/あるいは(ii)第1のセンサ・デバイスからの検出した電力品質事象を1つまたは複数の他のセンサ・デバイスからの検出した電力品質事象と相関させる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、
1つのセンサ・デバイスについて、所定の期間内に前記1つのセンサ・デバイスによって記録された、前記1つのセンサ・デバイスの近傍の任意の他のセンサ・デバイスからの一致する電力品質事象と相関がないサージ事象、サージ・ジャンプ事象、およびサグ事象の数および振幅を解析し、
前記サージ事象の平均数が1日当たりの第1の既定数より大きいとき、または公称電圧の既定の百分率より大きい大きさを有する前記サージ・ジャンプ事象の平均数が1日当たりの第2の既定数より大きいとき、または前記サグ事象の平均数が1日当たりの第3の既定数より大きいときに、緩い中性線事象を生成する
ことによって、緩い中性線事象を検出する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記出力信号が、実効値(RMS)電圧、電圧正弦波の周波数、電圧正弦波の相対位相角、電圧正弦波の高調波の振幅、または高周波雑音振幅の任意数の測定値のうちの1つまたは複数を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、
1つまたは複数のセンサ・デバイスからのRMS電圧の複数の連続したデータ・ポイントを解析し、
前記RMS電圧がいくつかの連続したデータ・ポイントにわたって公称電圧の既定のしきい値百分率より大きいときに、サージ事象を生成する
ことによって、サージ事象を検出する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記既定のしきい値百分率が、前記RMS電圧が最小しきい値百分率より大きい連続したデータ・ポイントの数に基づいて変化する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、
1つまたは複数のセンサ・デバイスからのRMS電圧の複数の連続したデータ・ポイントを解析し、
前記RMS電圧がいくつかの連続したデータ・ポイントにわたって公称電圧の既定のしきい値百分率より小さいときに、ブラウンアウト事象を生成する
ことによって、ブラウンアウト事象を検出する、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記既定のしきい値百分率が、前記RMS電圧が最小しきい値百分率より小さい連続したデータ・ポイントの数に基づいて変化する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、
1つまたは複数のセンサ・デバイスからのRMS電圧の複数の連続したデータ・ポイントを解析し、
前記複数の連続したデータ・ポイントにおいて発生した、公称電圧の既定のしきい値百分率より大きい、RMS電圧の1つまたは複数の降下のそれぞれについてサグ・ジャンプ事象を生成する
ことによって、サグ・ジャンプ事象を検出する、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、
1つまたは複数のセンサ・デバイスからのRMS電圧の複数の連続したデータ・ポイントを解析し、
前記複数の連続したデータ・ポイントにおいて発生した、公称電圧の既定のしきい値百分率より大きい、RMS電圧の1つまたは複数の上昇のそれぞれについてスウェル・ジャンプ事象を生成する
ことによって、スウェル・ジャンプ事象を検出する、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、
1つまたは複数のセンサ・デバイスからのHF振幅データの複数の連続したデータ・ポイントを解析し、
前記HF振幅データの平均を計算し、
前記平均が1より大きいときには、前記HF振幅データが前記平均のしきい値倍を超える分だけ増大したときにHFフィルタ・ジャンプ事象を生成するか、または
前記平均が1より小さいときには、前記HF振幅データが既定のしきい値を超えて増大したときにHFフィルタ・ジャンプ事象を生成する
ことによって、HFフィルタ・ジャンプ事象を検出する、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、
1つまたは複数のセンサ・デバイスからの周波数データの複数の連続したデータ・ポイントを解析し、
前記周波数データの平均を計算し、
前記周波数データの標準偏差を計算し、
周波数が前記平均から既定のしきい値を超える分だけ増大したときに周波数ジャンプ事象を生成するか、あるいは
(i)前記標準偏差が第1の周波数未満から第2の周波数超まで変化したとき、または(ii)前記標準偏差が前記第2の周波数超から前記第1の周波数未満まで変化したときに周波数ジャンプ事象を生成する
ことによって、周波数ジャンプ事象を検出する、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記サーバ・コンピューティング・デバイスが、
1つのセンサ・デバイスについて、所定の期間中に前記1つのセンサ・デバイスによって任意の停電事象および周波数事象が検出されたかどうかを解析し、
前記1つのセンサ・デバイスが停電事象を検出しており、その後に、前記停電事象から既定の期間内に既定のしきい値超への周波数の標準偏差の変化が続き、周波数の標準偏差の変化が、相関のある外部事象と関連付けられていないときに、発電機起動事象を生成する
ことによって、発電機起動事象を検出する、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記1つまたは複数の外部事象が、雷活動事象、送電網監視事象、およびエネルギー価格決定事象を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
前記第1のセンサ・デバイスからの前記検出した電力品質事象、および1つまたは複数の他のセンサ・デバイスからの前記検出した電力品質事象が、同じ事象タイプである、請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の主題は、一般に、電気系統における停電および電力品質の検出および通知を行う方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信デバイス、コンピューティング・デバイス、医療デバイス、暖房および冷房器具、および冷蔵庫などへの給電など幅広い活動のために、中断なく電気が利用できることに消費者が頼るところはますます大きくなり続けている。しかし、米国エネルギー情報局(EIA)によれば、米国の電気消費者は、2016年には平均で250分間電力を利用できない状態になり、1.3回の停電を経験していた。2017年には、消費者が電力を利用できない時間の長さは、平均で470分(7.8時間)と2倍近くになり、停電は平均で1.4回となった。2016年には、最長の停電は20時間程度であったが、2017年には、これが40時間を少し超える長さにまで延びた。これらの停電は、計画的なものではないことが多く、また場合によっては、例えば住宅を離れている住宅所有者などには気づかれないこともある。これらの停電は、健康面および安全面を含め、日常生活のほぼ全ての面に大きな影響を及ぼす可能性があるので、停電を即時に検出して通知することは、非常に重要である。
【0003】
現在利用できる停電を検出する技術は、通常は、停電検出デバイスおよび支援通信機器に一時的に電気を供給することができる予備バッテリおよび/または発電機の使用に依拠している。しかし、バッテリは寿命が限られており、また停電検出デバイスのコスト増になる。バッテリの交換も、ユーザの継続的な保守負担を生じる。さらに、場合によっては、予備バッテリの起動は、停電が始まってから予備電気供給が起動されて検出装置に電力を供給できるようになるまでの間に、望ましくない遅延をもたらす可能性もある。
【0004】
さらに、発電、送電、および配電系統は、ますます複雑になっている。二酸化炭素(CO2)の排出量の少ないエネルギー源に移行するということは、風、太陽光、原子力、バッテリ、天然ガス、および石炭など、多数の異なる発電方法を組み合わせていくことになることを意味する。住宅および企業は、ますます構内型のエネルギー生成方法を有するようになり、それらの生成システムが全て、様々な経年劣化レベルおよび様々な環境への露出レベルで送電網に相乗りすることになる。様々な生成タイプ間での切替えは、電圧のサージおよびサグ、ならびにその他の電力品質の懸念を引き起こす可能性がある。経年劣化および環境への露出は、変圧器および電気的相互接続の劣化および故障を引き起こす。サージ、サグ、および機器の劣化は、住宅の電子機器および器具の故障を引き起こす可能性があり、また感電死および電気火災が発生する恐れのある非常に危険な状況を生じる可能性もある。住宅環境では、火災は、壁内などの見えない空洞内で始まり、住宅の住人または煙検知器によって検知される前にかなりの炎熱になって広がり、大きな損害につながることが多い。電気的な誤作動は、住宅火災の主要原因の1つである。発火源がその性質上隠れているので、電気火災は、不釣り合いなほどの死因にもなっている。年間の電気火災による死者は420人、負傷者は1370人、住宅の損害は14億ドルと推定されている。
【0005】
現在の技術は、住宅所有者が電力会社から受け取る電力の品質についての必要な情報を、それほど多くは住宅所有者に提供していない。例えば、住宅所有者は、照明の点滅または敏感な電子機器の頻繁な機能停止に気付くことはあっても、自身の住宅への電気接続または自身の住宅の電気網内に非常に深刻な問題があるとは注意喚起されないことがある。さらに、米国の送電網の損傷および劣化が、送電網の所有者および所有者の顧客の危険性および負債を増大させている。例えば、最近のパシフィック・ガス・アンド・エネルギー(Pacific Gas & Energy)(PG&E)社の火災事例データ報告によれば、PG&E社では、2014年から2019年までに2400件を超える送電網を原因とする火災があったという。これらの火災により、130億ドルを超える負債が生じ、PG&E社は一気に破産申し立てという事態になった。別の例では、テキサス州山火事緩和プロジェクト(Texas Wildfire Mitigation Project)の調査により、その調査までの4年未満の期間に、4000件の火災が送電または配電系統の事象が起きることによって引き起こされ、そのほとんどは局地的なもので結果も深刻ではなかったが、大火災になったものもあることが分かった。山火事だけでなく、変圧器の火災および爆発、ならびにその他の災害的な送電網の事象の増加は、公共機器の劣化と関連がある。1つの恐ろしい例では、2019年7月中旬に、消防士たちがウィスコンシン州マジソンの下町に出動すると、高圧変圧器が爆発して火災が発生していた。別の最近の出来事としては、2019年7月下旬にあった、アメリカン・エレクトリック・パワー(American Electric Power)社のテキサス変電所の変圧器の爆発と火災がある。最後に、2021年2月には、テキサス州で、猛烈な冬の嵐による送電網の破壊的な障害が発生し、死者も発生し、数百万人が氷点下の温度で電気のない状態に置かれることになった。
【0006】
上述のように、電力会社の送電網を原因とする火災は、毎年非常に大きな経済的損失をもたらし、かなりの死亡者が出ることも多い。多くの電力系統の構成要素(例えばスイッチ、絶縁体、変圧器)は、何十年にもわたって無故障のサービスを提供するが、送電および配電の構成要素は、最終的には故障する。山火事、および財産および生命に対するその他の損害は、地上に垂れ下がった電線、植物の接触、導線の接触、損傷または劣化した機器のアーク、反復性障害、および装置の故障など、いくつかのメカニズムを介してトリガされる可能性がある。したがって、これらの問題を迅速に検出して緩和することは、破滅的な火災事故を防止するために極めて重要である。
【発明の概要】
【0007】
したがって、電気系統内の停電および電力品質を実時間で、またはほぼ実時間で検出し、停電、および/あるいは電力品質の望ましくない変化または電気系統内の危険な状態を関連するユーザ(送電網事業者および/または政府の役人など)に通知する方法およびシステムが求められている。本明細書に記載する技術は、停電検出デバイスが受け取った交流(AC)電気の検出周波数に基づいて停電の検出、電力品質の評価、および電気系統の危険の特定を実現し、また、いくつかの実施形態では停電が起きた電気系統によって給電される通信機器をその停電によってその通信機器がオフラインになる直前に用いることも含めて、遠隔のデバイスに対する停電の即時通知を実現するので有利である。また、いくつかの実施形態では、本明細書に記載する方法およびシステムは、複雑、高価、または危険な、他の停電検出デバイスおよび/あるいは監視用構成要素(回路遮断器または分電盤に接続するものなど)を設置する代わりに、既存のコンセントに接続する1つまたはいくつかの監視デバイスを活用する。本明細書に記載する技術は、電力品質および危険の可能性に対する洞察力を住宅所有者および企業オーナに与えるという点で有利であるだけでなく、本明細書に記載する方法およびシステムを複数の住宅が利用していれば、電力会社に対して任意の問題についての洞察力を与え、危険の種が本格的に危険になる前に予防的に問題を解消する能力を与える。
【0008】
本発明は、一態様では、停電の検出および通知を行うシステムを特徴とする。このシステムは、回路に結合されたセンサ・デバイスと、サーバ・コンピューティング・デバイスとを備える。センサ・デバイスは、キープ・アライブ・パケットを周期的にサーバ・コンピューティング・デバイスに伝送する。センサ・デバイスは、回路上の電気的活動によって生成される入力信号を検出する。センサ・デバイスは、検出した入力信号に基づいて出力信号を生成する。センサ・デバイスは、既定の持続時間を有する複数のクロック・サイクルのそれぞれの間に、生成した出力信号を監視する。各クロック・サイクル中に、センサ・デバイスは、生成した出力信号において立ち上がりエッジが発生したかどうかを判定し、クロック・サイクル中の所定のクロック値の前に立ち上がりエッジが発生したとき、またはクロック・サイクル中に立ち上がりエッジが発生しなかったときには、障害パケットをサーバ・コンピューティング・デバイスに伝送する。センサ・デバイスは、新たなクロック・サイクルを開始する。サーバ・コンピューティング・デバイスは、センサ・デバイスから障害パケットを受信する。サーバ・コンピューティング・デバイスは、センサ・デバイスからの1つまたは複数のキープ・アライブ・パケットがないかどうかリッスンする。サーバ・コンピューティング・デバイスは、障害パケットを受信した後で、少なくとも既定の期間にわたってセンサ・デバイスからキープ・アライブ・パケットを受信しないときに、停電通知を1つまたは複数の遠隔コンピューティング・デバイスに伝送する。サーバ・コンピューティング・デバイスは、停電通知を伝送した後で、センサ・デバイスから1つまたは複数のキープ・アライブ・パケットを受信したときに、電力回復通知を1つまたは複数の遠隔コンピューティング・デバイスに伝送する。
【0009】
本発明は、別の態様では、停電の検出および通知を行うコンピュータ化された方法を特徴とする。回路に結合されたセンサ・デバイスは、キープ・アライブ・パケットを周期的にサーバ・コンピューティング・デバイスに伝送する。センサ・デバイスは、回路上の電気的活動によって生成される入力信号を検出する。センサ・デバイスは、検出した入力信号に基づいて出力信号を生成する。センサ・デバイスは、既定の持続時間を有する複数のクロック・サイクルのそれぞれの間に、生成した出力信号を監視する。各クロック・サイクル中に、センサ・デバイスは、生成した出力信号において立ち上がりエッジが発生したかどうかを判定し、クロック・サイクル中の所定のクロック値の前に立ち上がりエッジが発生したとき、またはクロック・サイクル中に立ち上がりエッジが発生しなかったときには、センサ・デバイスは、障害パケットをサーバ・コンピューティング・デバイスに伝送する。センサ・デバイスは、新たなクロック・サイクルを開始する。サーバ・コンピューティング・デバイスは、センサ・デバイスから障害パケットを受信する。サーバ・コンピューティング・デバイスは、センサ・デバイスからの1つまたは複数のキープ・アライブ・パケットがないかどうかリッスンする。障害パケットを受信した後で、少なくとも既定の期間にわたってセンサ・デバイスからキープ・アライブ・パケットを受信しないときには、サーバ・コンピューティング・デバイスは、停電通知を1つまたは複数の遠隔コンピューティング・デバイスに伝送する。停電通知を伝送した後で、センサ・デバイスから1つまたは複数のキープ・アライブ・パケットを受信したときには、サーバ・コンピューティング・デバイスは、電力回復通知を1つまたは複数の遠隔コンピューティング・デバイスに伝送する。
【0010】
上記の態様のいずれかは、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含む可能性がある。いくつかの実施形態では、入力信号は、複数のゼロ交差を有する交流(AC)電圧正弦波を含む。いくつかの実施形態では、出力信号は、入力信号のゼロ交差に対応する複数の立ち上がりエッジを有する電圧曲線である。いくつかの実施形態では、キープ・アライブ・パケットは、実効値(RMS)電圧、電圧正弦波の周波数、電圧正弦波の相対位相角、電圧正弦波の高調波の振幅、または高周波雑音振幅の任意数の測定値(measures)のうちの1つまたは複数を含む電力品質データを含む。いくつかの実施形態では、各クロック・サイクルは、9ミリ秒の既定の持続時間を有する。いくつかの実施形態では、クロック・サイクル中の所定のクロック値は、8.33ミリ秒である。
【0011】
本発明は、別の態様では、電力品質の検出および通知を行うシステムを特徴とする。このシステムは、回路に結合された1つまたは複数のセンサ・デバイスと、サーバ・コンピューティング・デバイスとを備える。1つまたは複数のセンサ・デバイスは、回路上の電気的活動によって生成される入力信号を検出する。1つまたは複数のセンサ・デバイスは、検出した入力信号に基づいて出力信号を生成する。1つまたは複数のセンサ・デバイスは、電力品質データであって、出力信号に基づく電力品質データを、サーバ・コンピューティング・デバイスに伝送する。サーバ・コンピューティング・デバイスは、1つまたは複数のセンサ・デバイスから電力品質データを受信する。サーバ・コンピューティング・デバイスは、1つまたは複数のセンサ・デバイスから受信した履歴電力品質データと合わせて電力品質データを解析して、1つまたは複数の電力品質事象を検出する。サーバ・コンピューティング・デバイスは、検出した電力品質事象に基づいて電力品質通知を1つまたは複数の遠隔コンピューティング・デバイスに伝送する。
【0012】
本発明は、別の態様では、電力品質の検出および通知を行うコンピュータ化された方法を特徴とする。回路に結合されたセンサ・デバイスは、回路上の電気的活動によって生成される入力信号を検出する。センサ・デバイスは、検出した入力信号に基づいて出力信号を生成する。センサ・デバイスは、電力品質データであって、出力信号に基づく電力品質データを、サーバ・コンピューティング・デバイスに伝送する。サーバ・コンピューティング・デバイスは、センサ・デバイスから電力品質データを受信する。サーバ・コンピューティング・デバイスは、センサ・デバイスから受信した履歴電力品質データと合わせて電力品質データを解析して、1つまたは複数の電力品質事象を検出する。サーバ・コンピューティング・デバイスは、検出した電力品質事象に基づいて電力品質通知を1つまたは複数の遠隔コンピューティング・デバイスに伝送する。
【0013】
上記の態様のいずれかは、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含む可能性がある。いくつかの実施形態では、検出した1つまたは複数の電力品質事象は、サージ事象、サージ・ジャンプ(jump)事象、サグ事象、サグ・ジャンプ事象、ブラウンアウト事象、スウェル・ジャンプ事象、高周波(HF)フィルタ・ジャンプ事象、周波数ジャンプ事象、再発性電力品質問題、位相角ジャンプ事象、緩い中性線(loose neutral)事象、または発電機起動事象のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、サーバ・コンピューティング・デバイスは、さらに、(i)検出した1つまたは複数の電力品質事象をゼロ個以上の外部事象と相関させ、かつ/あるいは(ii)第1のセンサ・デバイスからの検出した電力品質事象を1つまたは複数の他のセンサ・デバイスからの検出した電力品質事象と相関させる。
【0014】
いくつかの実施形態では、サーバ・コンピューティング・デバイスは、1つのセンサ・デバイスについて、所定の期間内にその1つのセンサ・デバイスによって記録された、その1つのセンサ・デバイスの近傍の任意の他のセンサ・デバイスからの一致する電力品質事象と相関がないサージ事象、サージ・ジャンプ事象、およびサグ事象の数および振幅を解析し、サージ事象の平均数が1日当たりの第1の既定数より大きいとき、または公称電圧の既定の百分率より大きい大きさを有するサージ・ジャンプ事象の平均数が1日当たりの第2の既定数より大きいとき、またはサグ事象の平均数が1日当たりの第3の既定数より大きいときに、緩い中性線事象を生成することによって、緩い中性線事象を検出する。
【0015】
いくつかの実施形態では、出力信号は、実効値(RMS)電圧、電圧正弦波の周波数、電圧正弦波の相対位相角、電圧正弦波の高調波の振幅、または高周波雑音振幅の任意数の測定値のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、サーバ・コンピューティング・デバイスは、1つまたは複数のセンサ・デバイスからのRMS電圧の複数の連続したデータ・ポイントを解析し、RMS電圧がいくつかの連続したデータ・ポイントにわたって公称電圧の既定のしきい値百分率より大きいときに、サージ事象を生成することによって、サージ事象を検出する。いくつかの実施形態では、既定のしきい値百分率は、RMS電圧が最小しきい値百分率より大きい連続したデータ・ポイントの数に基づいて変化する。
【0016】
いくつかの実施形態では、サーバ・コンピューティング・デバイスは、1つまたは複数のセンサ・デバイスからのRMS電圧の複数の連続したデータ・ポイントを解析し、RMS電圧がいくつかの連続したデータ・ポイントにわたって公称電圧の既定のしきい値百分率より小さいときに、ブラウンアウト事象を生成することによって、ブラウンアウト事象を検出する。いくつかの実施形態では、既定のしきい値百分率は、RMS電圧が最小しきい値百分率より小さい連続したデータ・ポイントの数に基づいて変化する。
【0017】
いくつかの実施形態では、サーバ・コンピューティング・デバイスは、1つまたは複数のセンサ・デバイスからのRMS電圧の複数の連続したデータ・ポイントを解析し、その複数の連続したデータ・ポイントにおいて発生した、公称電圧の既定のしきい値百分率より大きい、RMS電圧の1つまたは複数の降下のそれぞれについてサグ・ジャンプ事象を生成することによって、サグ・ジャンプ事象を検出する。
【0018】
いくつかの実施形態では、サーバ・コンピューティング・デバイスは、1つまたは複数のセンサ・デバイスからのRMS電圧の複数の連続したデータ・ポイントを解析し、その複数の連続したデータ・ポイントにおいて発生した、公称電圧の既定のしきい値百分率より大きい、RMS電圧の1つまたは複数の上昇のそれぞれについてスウェル・ジャンプ事象を生成することによって、スウェル・ジャンプ事象を検出する。
【0019】
いくつかの実施形態では、サーバ・コンピューティング・デバイスは、1つまたは複数のセンサ・デバイスからのHF振幅データの複数の連続したデータ・ポイントを解析し、HF振幅データの平均を計算し、平均が1より大きいときには、HF振幅データが平均のしきい値倍(threshold multiple)を超える分だけ増大したときにHFフィルタ・ジャンプ事象を生成するか、または平均が1より小さいときには、HF振幅データが既定のしきい値を超えて増大したときにHFフィルタ・ジャンプ事象を生成することによって、HFフィルタ・ジャンプ事象を検出する。
【0020】
いくつかの実施形態では、サーバ・コンピューティング・デバイスは、1つまたは複数のセンサ・デバイスからの周波数データの複数の連続したデータ・ポイントを解析し、周波数データの平均を計算し、周波数データの標準偏差を計算し、周波数が平均から既定のしきい値を超える分だけ増大したときに周波数ジャンプ事象を生成するか、あるいは(i)標準偏差が第1の周波数未満から第2の周波数超まで変化したとき、または(ii)標準偏差が第2の周波数超から第1の周波数未満まで変化したときに周波数ジャンプ事象を生成することによって、周波数ジャンプ事象を検出する。
【0021】
いくつかの実施形態では、サーバ・コンピューティング・デバイスは、1つのセンサ・デバイスについて、所定の期間中にその1つのセンサ・デバイスによって任意の停電事象および周波数事象が検出されたかどうかを解析し、その1つのセンサ・デバイスが停電事象を検出しており、その後に、停電事象から既定の期間内に既定のしきい値超への周波数の標準偏差の変化が続き、周波数の標準偏差の変化は、相関のある外部事象と関連付けられていないときに、発電機起動事象を生成することによって、発電機起動事象を検出する。
【0022】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の外部事象は、雷活動事象、送電網監視事象、およびエネルギー価格決定事象を含む。いくつかの実施形態では、第1のセンサ・デバイスからの検出した電力品質事象、および1つまたは複数の他のセンサ・デバイスからの検出した電力品質事象は、同じ事象タイプである。同じ事象タイプ(限定されるわけではないが、同じ、または類似の電力品質の特徴、持続時間、開始時刻、終了時刻、および地理学的位置などを含む)を有する電力品質事象を、本明細書では、「相関事象」または「一致事象」と呼ぶ。
【0023】
本発明の他の態様および利点は、例示のみを目的として本発明の原理を示す添付の図面と関連付けて以下の詳細な説明を読めば、明らかになるであろう。
上述した本発明の利点、および更なる利点は、以下の説明を添付の図面と併せて参照することによってよりよく理解することができる。これらの図面は、必ずしも正確な縮尺で描かれているとは限らず、一般に本発明の原理を説明することに主眼を置いたものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】停電の検出および通知を行うシステムを示すブロック図。
【
図2A】停電の検出および通知を行うコンピュータ化された方法を示す流れ図。
【
図2B】停電の検出および通知を行うコンピュータ化された方法を示す流れ図。
【
図3】停電検出デバイスによって取り込まれる例示的な60Hz電圧信号を示す図。
【
図4】停電検出デバイスが受信する例示的な入力信号と、停電検出デバイスが生成する例示的な出力信号とを示す図。
【
図5A】停電検出デバイスによって生成される出力信号と、停電検出デバイスによって停電が検出されたときの大域停電フラグの対応する値とを示す詳細タイミング図。
【
図5B】停電が発生したときの複数の異なる停電検出デバイスの出力信号を示すグラフ。
【
図6A-6B】
図6Aは、サーバ・コンピューティング・デバイスから受信する停電通知を描画する遠隔コンピューティング・デバイスの例示的なユーザ・インタフェースであり、
図6Bは、サーバ・コンピューティング・デバイスから受信する電力回復通知を描画する遠隔コンピューティング・デバイスの例示的なユーザ・インタフェース。
【
図7】停電検出デバイスの検出効率を試験した結果を示す図。
【
図9】電力品質の検出および通知を行うネットワーク化されたシステムを示すブロック図。
【
図10】電力品質データを解析するコンピュータ化された方法を示す流れ図。
【
図11】送電網サージ事象中に複数の異なる停電検出デバイスによって生成される出力信号を示すグラフ。
【
図12】ブラウンアウト事象中に複数の異なる停電検出デバイスによって生成される出力信号を示すグラフ。
【
図13】サグ・ジャンプ事象中に複数の異なる停電検出デバイスによって生成される出力信号を示すグラフ。
【
図14】スウェル・ジャンプ事象中に複数の異なる停電検出デバイスによって生成される出力信号を示すグラフ。
【
図15】HFフィルタ・ジャンプ事象中に複数の異なる停電検出デバイスによって生成される出力信号を示すグラフ。
【
図16】周波数ジャンプ事象中に複数の異なる停電検出デバイスによって生成される出力信号を示すグラフ。
【
図17A】停電検出デバイスが取り込む公称電圧実効値(RMS)の読みを示すグラフ。
【
図17B】例示的な緩い中性線接続を示す、停電検出デバイスが取り込む電圧RMSの読みを示すグラフ。
【
図17C】緩い中性線接続の解消の前後に停電検出デバイスが取り込む電圧RMSの読みを示すグラフ。
【
図18】図停電検出デバイスによって検出された履歴電圧RMSの読みを示す、遠隔コンピューティング・デバイス上に表示されるユーザ・インタフェースを示す図。
【
図19】停電検出デバイスによって検出された1カ月分の電力品質事象を示す、遠隔コンピューティング・デバイス上に表示されるユーザ・インタフェースを示す図。
【
図20A-20B】
図20Aは、サーバ・コンピューティング・デバイスによって遠隔コンピューティング・デバイスに送信されて表示されるプッシュ通知警報を示すユーザ・インタフェースを示す図であり、
図20Bは、停電検出デバイスに関係する電力品質通知のリストを示すユーザ・インタフェースを示す図。
【
図20C-20D】
図20Cは、サーバ・コンピューティング・デバイスによって遠隔コンピューティング・デバイスに送信されて表示される詳細な電力サージ事象警報通知を示すユーザ・インタフェースを示す図であり、
図20Dは、サーバ・コンピューティング・デバイスによって遠隔コンピューティング・デバイスに送信されて表示される詳細な電力ブラウンアウト事象警報通知を示すユーザ・インタフェースを示す図。
【
図20E】サーバ・コンピューティング・デバイスによって遠隔コンピューティング・デバイスに送信されて表示される再発性電力品質問題警報通知を示すユーザ・インタフェースを示す図。
【
図21A】停電検出デバイスのネットワークによって検出された停電事象の位置を描画する、サーバ・コンピューティング・デバイスが生成する地理的マップを示す図。
【
図21B】停電検出デバイスのネットワークによって検出された停電事象の位置を描画する、サーバ・コンピューティング・デバイスが生成する地理的マップの詳細ビューを示す図。
【
図22A】停電検出デバイスのネットワークによって検出された送電網サージおよびブラウンアウト事象の位置を描画する、サーバ・コンピューティング・デバイスが生成する地理的マップを示す図。
【
図22B】停電検出デバイスのネットワークによって検出された送電網サージおよびブラウンアウト事象の位置を描画する、サーバ・コンピューティング・デバイスが生成する地理的マップの詳細なビューを示す図。
【
図23】停電検出デバイスのネットワークによって検出された送電網サグ・ジャンプ事象の位置を描画する、サーバ・コンピューティング・デバイスが生成する地理的マップの詳細ビューを示す図。
【
図24】停電検出デバイスのネットワークによって検出された送電網スウェル・ジャンプ事象の位置を描画する、サーバ・コンピューティング・デバイスが生成する地理的マップの詳細ビューを示す図。
【
図25A】停電検出デバイスのネットワークによって検出された送電網周波数ジャンプ事象の位置を描画する、サーバ・コンピューティング・デバイスが生成する地理的マップを示す図。
【
図25B】停電検出デバイスのネットワークによって検出された送電網周波数ジャンプ事象の位置を描画する、サーバ・コンピューティング・デバイスが生成する地理的マップの詳細ビューを示す図。
【
図26】停電検出デバイスのネットワークによって検出された高周波(HF)フィルタ・ジャンプ事象の位置を描画する、サーバ・コンピューティング・デバイスが生成する地理的マップを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、停電の検出および通知を行うシステム100のブロック図である。システム100は、停電検出デバイス102、通信媒体104、および遠隔コンピューティング・デバイス106を含む。停電検出デバイス102は、本明細書に記載する目的のために電流(例えば120VAC、60Hz)を監視するために電力系統の電圧線と中性線とに接続する光アイソレータ102aを備える。光アイソレータ102aは、接地(GND)にも接続される。停電検出デバイスによって取り込まれる例示的な60Hz電圧信号を、
図3に示す。光アイソレータ102aは、停電検出デバイス102のプロセッサ102bに提供される受信電流に基づいて出力信号(Out)を生成する。プロセッサ102bは、光アイソレータ102aからの出力信号を解析し、サーバ・コンピューティング・デバイス106にデータ(例えばパケット式通信)を伝送し、サーバ・コンピューティング・デバイス106は、停電検出デバイス102から受信したデータに基づいて、1つまたは複数の遠隔コンピューティング・デバイス(図示せず)に停電通知を伝送することができる。例示的な停電検出デバイス102としては、ウィスカー・ラブズ・インコーポレイティッド社(Whisker Labs, Inc.)[米国メリーランド州ジャーマンタウン(Germantown)所在]製のTing(商標)センサがある。
【0026】
停電検出デバイス102は、電圧線および中性線から入力信号を読み込むアナログ/デジタル(A/D)変換器102cも含む。いくつかの実施形態では、入力信号は、A/D変換器102cによって読み込まれる前に、フィルタリングまたは変換されることもある。A/D変換器102cは、限定されるわけではないが、RMS電圧、ピーク電圧、周波数、位相、高周波(HF)振幅、および高調波の振幅など、サーバに伝送するための特定の電力品質データを生成する。他の電力品質測定値を計算することもでき、このリストは全てを網羅するものではないことは理解することができる。電力品質データは、一定の時間間隔で定期的にサーバ・コンピューティング・デバイスに伝送され、
図1に示し本明細書で説明する「キープ・アライブ・パケット(keep alive packet)」にその一部として含まれる。
【0027】
通信媒体104は、システム100の他の構成要素が、本明細書に記載する停電の検出および通知を行う処理を実行するために互いに通信することを可能にする。媒体104は、システム100によって監視される電気配線に接続された1つまたは複数の構成要素(例えばルータ、モデムなど)を含むLANなどのローカル・ネットワークであってもよいし、インターネットおよび/またはセルラ・ネットワークなどの広域ネットワークであってもよい。いくつかの実施形態では、ネットワーク104は、システム100の構成要素が互いに通信することを可能にするいくつかの離散したネットワークおよび/またはサブネットワーク(例えばセルラからインターネット)で構成される。通信媒体104は、有線の構成要素および/または無線の構成要素を備えることができる。
【0028】
サーバ・コンピューティング・デバイス106は、システム100の他の構成要素からデータを受信し、システム100の他の構成要素にデータを伝送し、本明細書に記載する停電の検出および通知を行う機能を実行するための、1つまたは複数の専用プロセッサおよび1つまたは複数の物理メモリ・モジュールなどのハードウェアと、サーバ・コンピューティング・デバイス106のプロセッサによって実行される専門ソフトウェア・モジュールとの組合せである。いくつかの実施形態では、サーバ・コンピューティング・デバイス106は、警報モジュール106aを備え、この警報モジュール106aは、サーバ・コンピューティング・デバイス106の専用プロセッサにプログラムされたコンピュータ・ソフトウェア命令の専門セットであり、専門コンピュータ・ソフトウェア命令を実行するための特に指定されたメモリ場所および/またはレジスタを含むことができる。警報モジュール106aが実行する具体的な処理についてのさらなる説明は、以降に提供する。
【0029】
理解され得るように、いくつかの場合には、他の外部事象(例えば送電網/電力系統の外部の事象)を電力品質事象と相関させると有利である。例えば、落雷をサージ電力品質事象と密接に相関させた場合には、システム100は、特にサージ事象の振幅が住宅内の器具に有意な損傷を引き起こす恐れがある振幅である場合には、より緊急の通知警報(例えば複数のエンド・ユーザ・デバイスについての視覚的および聴覚的警報メッセージ)をエンド・ユーザに対して発行することができる。住宅所有者は、落雷の直撃によって非常に強いサージが生じたことを身をもって知っている場合には、特に用心して住宅内の直接の危険を監視することもある。また、電力品質事象を自動回路リクローザ・デバイス(automatic circuit recloser device)などの他の送電網監視デバイスと相関させることが有利であることもある。このようにして、電力会社は、本明細書に記載する技術を利用して、リクローザ・デバイスの事象を住宅または企業の電力品質事象と相関させることもできる。外部事象を電力品質事象と相関させて、配電を制限する、またはエンド・ユーザに対する通知の緊急度を高めることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、停電検出デバイス102は、電力会社の送電網に接続された建物の電気系統の分岐回路のコンセントに、120VACプラグを介して結合される。
図1は1つの停電検出デバイス102を示しているが、システム100は、配電系統の電気的活動を感知するように位置決めされた2つ以上の停電検出デバイスを備えることもできることを理解されたい。複数のセンサがデータをサーバ・コンピューティング・デバイスに送信することで、感度を向上させることができ、またそれらが協働して、電気系統および/または送電網の停電および電力品質についての情報を提供することができる。さらに、1つの位置(例えば住宅)に複数の停電検出デバイスが設置されることもあり、また、システム100は、(
図9を参照して後述するように)それぞれ異なる位置に設置された複数の停電検出デバイスからデータを受信するように構成することもできることを理解されたい。
【0031】
上述のように、停電検出デバイス102は、通信媒体104を介してサーバ・コンピューティング・デバイス106に通信可能に結合される。一実施形態では、停電検出デバイス102は、停電検出デバイス102が無線接続を介して(すなわち通信媒体104のルータおよび/またはモデムなどの無線構成要素を用いて)サーバ・コンピューティング・デバイス106と通信することを可能にする通信構成要素(例えばアンテナ、ネットワーク・インタフェース回路)を備える。
【0032】
図2Aおよび
図2Bは、
図1のシステム100を用いて停電の検出および通知を行うコンピュータ化された方法200の流れ図を含む。配電系統の分岐回路に結合された停電検出デバイス(例えば停電検出デバイス102)は、分岐回路上の電気的活動によって生成される入力信号を検出する(202)。停電検出デバイス102は、検出した入力信号に基づいて出力信号を生成する(204)。
図4は、停電検出デバイス102が受信する例示的な入力信号402と、停電検出デバイス102が生成する例示的な出力信号404との図である。
図4に示すように、入力信号402は、約8.33ミリ秒(ms)の間隔でゼロ交差(例えば402a、402b)が発生する通常の交流(AC)電圧信号(AC正弦波など)を含む。
【0033】
停電検出デバイス102の光アイソレータ102aは、配電系統(配電網を含む)への電圧線接続および中性線接続を介して入力信号402を受信し、入力信号402を出力信号404に変換する。
図4に示すように、出力信号404は、約8.33msの間隔で発生するという点で一般に入力信号402のゼロ交差に対応する複数の立ち上がりエッジ(例えば404a、404b)を有する電圧曲線を構成する。
図4の
図406は、入力信号402と出力信号404とを重畳して示し、両信号の対応関係を示している。停電検出デバイス102が結合される電気系統(電気系統に結合され得る電子デバイスのスペクトルを含む)に応じて、出力信号404の複数の立ち上がりエッジ上の1つまたは複数の異なる点が、入力信号402のゼロ交差に対応する可能性がある、例えば、出力信号404の立ち上がりエッジの始点が入力信号402のゼロ交差に対応する可能性がある、立ち上がりエッジの始点とピークとの間の中間点がゼロ交差に対応する可能性があるか、または立ち上がりエッジのピークがゼロ交差に対応する可能性があることを理解されたい。さらに、各立ち上がりエッジ上の同じ点(例えば始点、中間点、ピーク)が約8.33msの間隔で発生することも理解されたい。出力信号404は、以下に述べるように出力信号404を監視する停電検出デバイス(
図1参照)に組み込まれたプロセッサに伝送される。本明細書に記載するゼロ交差の正確なタイミングは、例示を目的としたものに過ぎず、米国の電力系統の標準的なタイミングに対応していることを理解されたい。本明細書に記載するアルゴリズムおよび技術は、国際的な電力系統の様々なタイミングを自動的に検出してそれらに合わせて調整するように修正することができる。
【0034】
図2Aに戻って、停電検出デバイス102が電源投入され、サーバ・コンピューティング・デバイス106に接続されると、停電検出デバイス102は、サーバ・コンピューティング・デバイス106の警報モジュール106aに周期的にキープ・アライブ・パケットを伝送する(206)。キープ・アライブ・パケットは、停電検出デバイス102が電力を受けている(すなわち対応する位置で停電していない)こと、および停電検出デバイス102がオンラインであることを、サーバ・コンピューティング・デバイス106に通知するために使用される。例えば、停電検出デバイス102のプロセッサ102bは、継続的に動作する主要スレッドを実行し、1/4秒の一定間隔でサーバ・コンピューティング・デバイス106にキープ・アライブ・パケットを送信する。いくつかの実施形態では、キープ・アライブ・パケットは、配電系統の測定した実効値(RMS)電圧、電圧正弦波の周波数、正弦波の相対位相角、正弦波高調波の振幅、および高周波雑音振幅の任意数の測定値など、上述のようにA/D変換器102cによって生成される他の定期的に監視されるデータをさらに含むこともできる。停電検出デバイス102が取り込んで伝送することができる電力品質データの特定の非限定的なタイプの例は、本願明細書に援用する米国特許第10,641,806号「電気配線における火災の前に起きる放電の検出(Detection of Electric Discharges that Precede Fires in Electrical Wiring)」に記載されている。
【0035】
さらに、メイン・スレッドは、大域停電フラグを監視する。停電フラグが(例えば1に)設定されたとき、メイン・スレッドは、サーバ・コンピューティング・デバイス106に障害パケット(例えば停電を示す)を送信し、停電フラグを0にリセットする。停電フラグおよび障害パケットについての更なる詳細は、以下で述べる。
【0036】
停電検出デバイス102は、既定の長さを有する複数のクロック・サイクルのそれぞれにおいて、生成した出力信号を監視する(208)。例えば、停電検出デバイス102のプロセッサ102bは、9ms(~周波数55Hz)から0まで周期的にカウントダウンし、その後にリセットするタイマ(またはタイムアウト・クロック)を作成することができる。タイマがゼロに到達すると、プロセッサ102bは、メイン・スレッドへの割込みを呼び出す(「タイムアウト割込み」)。さらに、プロセッサ102bは、プロセッサが光アイソレータ102aから受信した出力信号(すなわち
図4の信号404)中の立ち上がりエッジを検出したときに、メイン・スレッドへの割込みを呼び出す(「光アイソレータ割込み」)。
【0037】
プロセッサ102bが光アイソレータ割込みを呼び出すと、停電検出デバイス102のプロセッサ102bは、生成した出力信号404中に立ち上がりエッジが発生したかどうかを判定する(210)。例えば、プロセッサ102bは、最後の光アイソレータ割込み以降に何個のクロック・ティック(clock ticks)が発生したかをカウントする。(i)立ち上がりエッジが、クロック・サイクル中の所定のクロック値の前に生成した出力信号404中で発生したとき(例えば最後の光アイソレータ割込みが発生してから7.6ms未満(~周波数65Hz)である場合)、または(ii)立ち上がりエッジが、クロック・サイクル中に生成した出力信号404中で発生しなかった(例えば最後の光アイソレータ割込みが発生してから9ms超経っており、それにより上述のタイムアウト割込みをトリガした)ときには、これは、電力の喪失を示す。その結果として、プロセッサ102bは、大域停電フラグを1に設定する。上述のように、プロセッサ102bによって実行されるメイン・スレッドは、大域停電フラグを監視しており、メイン・スレッドがこのフラグが1に設定されたのを確認すると、停電検出デバイス102のプロセッサは、サーバ・コンピューティング・デバイス106の警報モジュール106aに障害パケットを伝送し(212)、(例えばタイムアウト・クロックをリロードするか、または9msにリセットすることによって)生成した出力信号404を監視する新たなクロック・サイクルを開始する(214)。
【0038】
図5Aは、停電検出デバイス102によって生成される出力信号と、停電検出デバイス102によって停電が検出されたときの大域停電フラグの対応する値とを示す詳細タイミング図である。
図5Aに示すように、トレース510は、停電検出デバイス102によって生成される出力信号404に対応する。黒い実線502は、プロセッサ102bのメイン・スレッドの大域停電フラグの値を示し、黒い点線504は、いつメイン・スレッドがサーバ・コンピューティング・デバイス106への障害パケットの送信を終了するかを示している。例えば、プロセッサ102bは、時点t1に停電を検出し、大域停電フラグを1に設定する。次いで、時点t2で、プロセッサ102bのメイン・スレッドは、大域停電フラグを1として読み取り、サーバ・コンピューティング・デバイス106への障害パケットの伝送を開始する。時点t3で、メイン・スレッドは、サーバ・コンピューティング・デバイス106への障害パケットの送信を終了する。プロセッサ102bは、時点t4で第2の停電を検出し(これは同じ全体的な停電に対応することもある)、時点t5でサーバ・コンピューティング・デバイスへの第2の障害パケットの伝送を開始する。次いで、時点t6で、プロセッサ102bは、第2の障害パケットの送信を終了する。
【0039】
あるいは、クロック・サイクル中の所定のクロック値において(すなわち約8.33msで)生成した出力信号404中に立ち上がりエッジが発生したときに、光アイソレータ割込み処理は、大域停電フラグを1に設定しない(また、タイムアウト割込みがトリガしない)。その結果として、出力検出デバイス102のプロセッサ102bは、(例えばタイムアウト・クロックをリロードするか、または9msにリセットすることによって)単に生成した出力信号404を監視する新たなクロック・サイクルを開始する(214)だけとなる。
【0040】
図5Bは、停電が発生したときの複数の異なる停電検出デバイスの出力信号のグラフである。
図5Bに示すように、各線(例えば線512)は、異なる停電検出デバイスの出力信号の電圧の読みに対応する。05:48の少し前に、停電が発生しており、これは、各デバイスからの読みが突然停止する線t1のグラフに反映されている。その後の数分で、「電力回復」と標識された矢印で示すように、各停電検出デバイスへの電力が、それぞれ異なる時点で回復している。
【0041】
図2Bを参照すると、停電検出デバイス102がサーバ・コンピューティング・デバイス106に障害パケットを伝送する場合には、警報モジュール106aは、障害パケットを受信し(216)、停電検出デバイス102からのキープ・アライブ・パケットがないかリッスンする(218)。前述のように、停電検出デバイス102のプロセッサ102bのメイン・スレッドは、1/4秒ごとにサーバ・コンピューティング・デバイス106にキープ・アライブ・パケットを伝送するように構成される。警報モジュール106aが障害パケットを受信し、障害パケットを受信した後で少なくとも既定の期間(例えば5秒間)キープ・アライブ・パケットを検出しないときには、警報モジュール106aは、1つまたは複数の遠隔コンピューティング・デバイスに停電通知を伝送する(220)。
【0042】
いくつかの実施形態では、警報モジュール106aは、電子メール、テキスト(例えばSMS)、自動発呼など1つまたは複数の通信チャネルおよび/もしくは通信プロトコルを介して、携帯電話、スマート・ウォッチ、スマート・デバイス、タブレット、ラップトップなどの遠隔コンピューティング・デバイスに停電通知を伝送することができる。いくつかの実施形態では、警報モジュール106aは、例えばウェブフック(webhook)APIコールバックを介して、またはアマゾン・ウェブ・サービス(Amazon Web Services(商標))(AWS)のシンプル通知サービス(Simple Notification Service)などのクラウド・コンピューティング・プロバイダのサービスを利用することによって、異なる組織に関連するコンピューティング・デバイスに停電通知を伝送することができる。一例では、遠隔コンピューティング・デバイスは、受信されると停電検出デバイス102の対応する位置において停電が発生していると遠隔コンピューティング・デバイスのユーザに警報する(例えばポップアップ・メッセージ、可聴警報、および/または触覚警報(振動))モバイル・アプリの機能を自動的に活性化するプッシュ通知を警報モジュール106aから受信するように構成されたモバイル・アプリケーション(アプリ)を備えることができる。
図6Aは、警報モジュール106aから受信する停電通知を描画する遠隔コンピューティング・デバイス(例えばスマートフォン)の例示的なユーザ・インタフェースである。
図6Aに示すように、停電通知は、停電事象を示す視覚的シンボル602と、停電の時刻および位置を含む詳細説明604とを含む。
【0043】
停電通知を伝送した後で、警報モジュール106aは、停電検出デバイス102からのキープ・アライブ・パケットのリッスンに戻る。停電通知を伝送した後で、警報モジュール106aが(既定の期間内に、または既定の期間が経過した後で)1つまたは複数のキープ・アライブ・パケットを検出すると、警報モジュール106aは、1つまたは複数の遠隔コンピューティング・デバイスに電力回復通知を伝送する(222)。停電通知に関連して上述したように、遠隔コンピューティング・デバイスは、警報モジュール106aから電力回復通知を受信し、電力が回復したことをデバイスのユーザに警報する遠隔コンピューティング・デバイスの機能を活性化することができる。
図6Bは、警報モジュール106aから受信する電力回復通知を描画する遠隔コンピューティング・デバイスの例示的なユーザ・インタフェースである。
図6Bに示すように、電力回復通知は、電力回復事象を示す視覚的シンボル606と、電力回復の時刻および位置を含む詳細説明608とを含む。
【0044】
本明細書に記載する停電検出方法の信頼度は、停電検出デバイス102とサーバ・コンピューティング・デバイス106との間の接続性、ならびにその接続性をサポートする中間機器の可用性によって決まる可能性があることを理解されたい。例えば、停電検出デバイス102は、ローカルのWiFiルータ(例えば住宅または企業に設置されている)に接続され、このWiFiルータが、インターネット・モデムまたはルータに接続され、このインターネット・モデムまたはルータが、対応するインターネット・プロバイダのネットワーク内の他の構成要素に接続された後に、最終的に接続が停電事象を検出するサーバ・コンピューティング・デバイス106に到達し得る。その結果、障害パケットは、停電検出デバイス102によって送信されて、同じ配電系統および電力線によって給電されることもされないこともある通信媒体104(例えばネットワーク)の各セグメントを、それらのデバイスのうちの1つまたは複数が電力を喪失して障害パケットを接続全体における次のリンクに伝送、再伝送、および/または中継することができなくなる前に横断しなければならない。障害パケットがサーバ・コンピューティング・デバイス106に到達しない場合には、サーバ・コンピューティング・デバイス106は、キープ・アライブ・パケットが通信接続性の喪失(例えばインターネットの停止)のために停止したのか、それとも停電検出デバイス102の位置における停電のために停止したのかを区別することができないことを理解されたい。したがって、停電の速やかな検出および障害パケットの伝送は、本明細書に記載する方法およびシステムが提供する利点にとって重要である。
【0045】
この方法を用いて停電を検出することの有効性を決定するために、2つの異なる位置に設置した2つの停電検出デバイスを用いて試験を実行した。各停電検出デバイスは、7カ月にわたって1日に1回自動的に電力をオフすることができるように、プログラマブル・スイッチ上に配置した。
図7は、この試験の結果を示す図である。
図7に示すように、停電検出デバイス102は、平均でその期間の95%で停電を検出することに成功し、検出効率は最大で100%、最小で71%であった。
【0046】
また、本明細書に記載する技術が提供する別の利点は、互いに近接した停電検出デバイスの設置の規模とともに停電の検出および通知の効率が向上することである。例えば、複数の停電検出デバイスが、例えば複数の住宅に給電する同じ変圧器上で互いに近接しているときには、停電を検出する効率が高くなる。同じ電気ネットワーク上の住宅のうちの少なくとも1つに設置された停電検出デバイス102がサーバ・コンピューティング・デバイス106に障害パケットを通信することができ、キープ・アライブ・パケットが同時に到着しなくなった場合には、そのネットワーク上の各顧客に関連する遠隔デバイスに停電通知を送信することができる。さらに広域の送電網の停電に対しても、同じ手法を用いることができる。すなわち、数十軒の住宅が同じ変電所によって給電されている場合には、その変電所で停電が生じたとき、その数十軒の住宅のそれぞれの顧客に関連する遠隔デバイスに対する停電通知を生成するのに、その変電所のサービスを受ける数十軒の住宅のうちの1つの住宅に設置された1つの停電検出デバイス102のみが、サーバ・コンピューティング・デバイス106への障害パケットの伝送に成功すればよい。逆に、十数軒の住宅が同じ変電所によって給電されており、それらの住宅のそれぞれに設置された停電検出デバイス102がキープ・アライブ・パケットの通信の喪失の前に障害パケットを伝送しない場合には、その停電は、別の電力に関係しない出来事(例えばインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)の停止)の結果であり、電力の喪失の結果ではないと安全に仮定することができる。
【0047】
本明細書に記載する方法およびシステムの別の重要な特徴は、システム100の停電検出デバイス102が受け取る電力の電力品質を監視し、電力監視に関する情報を顧客(例えば停電検出デバイス102が設置されている住宅所有者)および電力会社の両方に提供する能力である。前述のように、停電検出デバイス102は、停電の定期監視中に電力についての追加のデータ(例えば配電系統の測定した実効値(RMS)電圧、電圧の正弦波の周波数、正弦波の相対位相角、正弦波高調波の振幅、高周波雑音の振幅の任意数の測定値など)を取り込むことができ、停電検出デバイス102は、このデータを(例えばサーバ・コンピューティング・デバイスへのキープ・アライブ・パケットの伝送の一部として)サーバ・コンピューティング・デバイス106に伝送することができる。
【0048】
以下でさらに詳細に述べるように、停電検出デバイス102は、1/4秒ごとに電圧の5Vrmsサンプルをサーバ・コンピューティング・デバイス106に送信することができる(または20Vrmsの読みを毎秒送信することができる)。これにより、サーバ・コンピューティング・デバイス106は、やはり配電系統に結合されている器具または敏感な電子デバイスに損傷を与える恐れがある電圧のサージおよびサグがないか監視することができるようになる。
図8は、ITI(CBEMA)曲線と呼ばれるグラフである。このグラフは、ある期間にわたる電圧振幅のエンベロープ内の許容電圧レベルを示す。例えば、大きな電圧振幅(300ボルト)の非常に短い期間(~16ミリ秒)は、一般に、回路上で給電されているデバイスに影響を及ぼさないが、電圧振幅が5秒超の間300ボルトのままである場合は、電気ネットワーク上の任意のデバイスに損傷を与える可能性がある。さらに、1つの位置で何日にもわたって複数回の停電またはサージおよびサグの事象が発生したときには、顧客は自身の電力会社に連絡することが推奨される。繰返し起こる電力品質の問題は、器具および敏感な電子機器に損傷を与える恐れがあり、電気火災を引き起こすような、その住宅に延びる電力線に関するさらに深刻な問題を示していることもあるからである。
【0049】
例えば、警報モジュール106aに流れる電圧データの振幅および持続時間が、CBEMA曲線の境界を超えて公称電圧レベルを上回る場合には、警報モジュール106aは、「電力サージ」通知メッセージをエンド・ユーザのデバイスに送信する。警報モジュール106aに流れる電圧データの振幅および持続時間が、CBEMA曲線の境界を超えて公称電圧レベルを下回る場合には、警報モジュール106aは、「電力ブラウンアウト」通知をエンド・ユーザのデバイスに送信する。
【0050】
いくつかの実施形態では、電圧信号から集められた他の情報が、電力品質の問題を示すこともできる。例えば、非常に大きな変動を有する電圧の正弦波の周波数の測定値は、その住宅がもう商用電力を利用しておらず、発電機の予備に切り替えたことを示している可能性がある。正弦波の周波数の大きな急変は、発電所がオフラインになったなど、送電網上で何らかの変化があったことを示している可能性がある。これは、通常は、周波数の大きな降下をもたらす。あるいは、この事象は、周波数の大きな急上昇をもたらす可能性がある、新たな発電所がオンラインになったことを示していることもある。システム100は、直前の5秒間の周波数の変動を測定するなど、アルゴリズムを利用して住宅内で発電機がオンになったことを検出することができ、変動がしきい値を超える場合には、停電が検出された後で、システム100は、その住宅が現在は発電機電力を利用しているという通知をエンド・ユーザのデバイスおよび/または電力会社の監視デバイスに送信することができる。周波数の変動が公称変動に戻ったときには、システム100は、その住宅が商用電力に復帰したという通知を送信することができる。
【0051】
CBEMA曲線の限界外のRMS電圧の大きな逸脱は、住宅内の機器に対して最も損傷を与えるが、RMS電圧のより小さな変化は、デバイスの障害または危険な状態を住宅所有者に警報することもできる住宅内の活動を示す指標になり得る。このような危険な状態の1つは、緩い中性線と呼ばれる。緩い中性線は、通常なら住宅内の電圧レベルを「接地」に保持する中性線が切り離されたときに起こる。緩い中性線の結果は、1つのレグ上の電圧の安定性が著しく低くなり、正方向のジャンプ(電圧の上昇)がはるかに多く発生するようになることである。これは、各レグ上の独立したデバイスがオン/オフするときに発生する各レグ上のインピーダンスの不均衡によるものである。220Vで動作する大きなデバイスは、電圧ジャンプの顕著な差を生じない。
【0052】
さらに、1つの位置で何日にもわたって複数回の停電またはサージおよびサグの事象が発生したときには、顧客は自身の電力会社に連絡することが推奨される。繰返し起こる電力品質の問題は、器具および敏感な電子機器に損傷を与える恐れがあり、電気火災を引き起こすような、その住宅に延びる電力線に関するさらに深刻な問題を示していることもある。繰返し起こる電力品質の問題は、1つの住宅に限定されることもあり、その場合、それは緩い中性線である可能性が高いが、あるいは同じ変圧器または変電所の複数の住宅で定期的に起こることもある。それらの場合には、繰返し起こる電力品質の問題は、共通の変圧器または変電所の故障を示していることもある。
【0053】
図9は、ネットワーク化された電力品質検出および通知システム900のブロック図である。
図9のシステム900は、
図1に関連して上述したのと同じデバイスの多くを使用するので、それらの説明は、ここでは繰り返さない。
図9に示すように、システム900は、地理学的領域内の異なる位置(例えば住宅、企業)に設置された複数の停電検出デバイス902、910、912を備える。これらの停電検出デバイス902、910、912は、上述のように電力品質データを通信ネットワーク904を介してサーバ・コンピューティング・デバイス906に提供する。サーバ・コンピューティング・デバイス906は、1つまたは複数の電力品質解析アルゴリズム(後述)を利用して複数の停電検出デバイス902、910、912から受信される電力品質データを解析して、電力品質事象を検出し、エンド・ユーザ(例えば住宅所有者、企業オーナ、電力会社など)によって制御される1つまたは複数の遠隔コンピューティング・デバイス908a、908bに配布される事象通知メッセージを生成する。停電検出デバイス(例えばデバイス902)は、遠隔コンピューティング・デバイス(例えばデバイス908a)と同じ位置に位置することもできる、例えば、住宅所有者が自身の住宅に停電検出デバイス902を設置し、自身の住宅に位置するコンピューティング・デバイスまたはユーザが持ち歩くモバイル・デバイスなど、自身と関連付けられたいくつかの異なるコンピューティング・デバイスのうちのいずれかで通知メッセージを見ることもできることを理解されたい。
【0054】
図10は、
図9のシステム900を使用して電力品質データを解析するコンピュータ化された方法の流れ図である。電力品質データを受信すると、サーバ・コンピューティング・デバイス906は、受信した電力品質データに基づいて、発生している1つまたは複数の電力品質事象を検出する(1002)。サーバ・コンピューティング・デバイス906は、本明細書に記載するように、取り込んだ電力品質データを、将来参照するための履歴データとして記憶することができる。いくつかの例では、サーバ・コンピューティング・デバイス906が受信した電力品質データにおいて電力品質事象が発生しておらず、そのためにそれ以上のアクションが行われないことは理解され得る。
【0055】
1つまたは複数の電力品質事象が検出されたときには、サーバ・コンピューティング・デバイス906は、検出された1つまたは複数の電力品質事象を、それらの電力品質事象に寄与したか、または影響を及ぼした可能性がある1つまたは複数の外部事象と相関させる(1004)。例えば、落雷などの気象活動が、停電検出デバイス902、910、912が監視している住宅または企業と同じ地理学的領域内で発生していることもある。別の例では、送電網の機器が、送電網上の回路リクローザが障害状態を感知し、停電検出デバイス902、910、912が設置されている住宅および企業にサービスする送電網の一部分への電力を一時的に遮断する自動再閉路事象を実行していることもある。さらに別の例では、停電検出デバイス902、910、912を利用する住宅および企業への電力品質に影響を及ぼす送電網の特定の部分の電気需要の変化(例えばエネルギー価格決定事象)が発生することもある。
【0056】
相関ステップが完了すると、サーバ・コンピューティング・デバイス906は、本明細書に記載する1つまたは複数の電力品質アルゴリズムを用いて電力品質事象および外部事象を解析する(1006)。これらの電力品質アルゴリズムは例示であり、他のタイプのアルゴリズムを本明細書に記載する方法およびシステムとともに利用することもできることを理解されたい。さらに、いくつかの実施形態では、各位置に設置された停電検出デバイス902、910、912が、本明細書ではサーバ・コンピューティング・デバイス906によって実行されるものとして記載されている電力品質解析のうちの一部または全てを実行する(そして例えば特定の位置についての実時間のカスタマイズされた電力品質解析を提供する)こともできることも理解されたい。
【0057】
電力品質事象および外部事象を解析した後で、サーバ・コンピューティング・デバイス906は、例えば特定の位置、地理学的領域、および/または任意数の停電検出デバイス902、910、912について、履歴電力事象解析を実行する(1008)。以下で述べるように、システムは、数日、数週間、または数カ月など、さらに長期間にわたって電力品質データを解析することによってのみ検出することができる、送電網および/または住宅の配線系統に関する構造的欠陥(緩い中性線など)を示していることがある反復する電力品質問題(例えば、サグ、サージなど)を検出するために、履歴事象データを活用することができる。最後に、サーバ・コンピューティング・デバイス906は、以下で詳細に述べるようにその後に1つまたは複数の遠隔コンピューティング・デバイス908a、908bに配布される、上記の電力事象解析に基づく1つまたは複数の事象通知メッセージ(例えば警報メッセージ)を伝送する(1010)。
【0058】
サーバ・コンピューティング・デバイスによって実行される電力品質アルゴリズムの一般的構造は、以下の通りである。
1.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、複数秒分の入来電力品質データを取り込み、キューに入れる。
【0059】
2.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、入来データに対して1つまたは複数の特定の電力品質アルゴリズムを実行するなど、既定のデータ・タイプおよび既定の規則(例えば履歴データ・キューから決定される)に基づいて入来電力品質データ中の電力品質事象を検出する。サーバ・コンピューティング・デバイス906が、検出した電力品質事象に、事象の時刻、事象の位置、および事象に関する様々な検出または計算した量(例えば配電系統の測定した実効値(RMS)電圧、電圧の正弦波の周波数、正弦波の相対位相角、正弦波高調波の振幅、および高周波雑音の振幅の任意数の測定値)などの特定のデータ・ポイントでラベル付けする。
【0060】
3.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、検出した電力品質事象を事象相関キューに追加して、(すなわち複数の停電検出デバイスまたは外部事象から)相関事象を検出する。例えば、外部事象データは、1つまたは複数の遠隔コンピューティング・デバイスから取得することができ、落雷の場合なら、サーバ・コンピューティング・デバイス906は、例えば雷検出ネットワーク内のサーバと通信して雷事象を特定することができる。理解されるであろうが、相関事象は、通常は、停電検出デバイス902、910、912の位置の位置デルタ内で、上記の検出した電力品質事象の時間デルタ内で発生し、一般に同じ事象タイプ(限定されるわけではないが、同じ、または類似の電力品質特性、持続時間、開始時刻、停止時刻、および地理学的位置など)である。いくつかの実施形態では、誤検出を最小限に抑えるために、相関事象が検出される前に最低限の数の停電検出デバイスが一致することが必要とされることもある。
【0061】
4.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、検出した電力品質事象および相関事象を、例えばNoSQLデータベースまたはその他のタイプのアーカイバル記憶装置などの長期記憶装置に記憶する。
【0062】
5.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、検出した電力品質事象、相関事象、およびいくつかの実施形態では履歴事象(例えばある期間にわたって特定の停電検出デバイス902、910、912および/または地理学的領域について電力品質データを追跡することによって生成される)に基づいて、電力品質通知メッセージを1つまたは複数の遠隔コンピューティング・デバイス908a、908bに伝送する。
【0063】
以下は、特定の電力品質状態および事象を検出するためにサーバ・コンピューティング・デバイス906が使用することができるアルゴリズムの例である。
サージ事象
一般に、サージ事象は、送電網上の状態によって過剰な電圧が住宅に送達されるときに発生する。サージ事象を検出するためには、サーバ・コンピューティング・デバイス906は、以下のように入来電力品質データを解析することができる。
【0064】
1.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、既定量(例えば6秒分)の入来RMS電圧データを取り込み、キューに入れる。
2.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、RMS電圧がいくつかの連続したデータ・ポイントについて公称電圧の既定のしきい値百分率(例えば120%)を超える(またはその他のかたちでCBEMA曲線の上部の外側にある)と決定した場合には、サーバ・コンピューティング・デバイス906が、「サージ」事象を、例えば事象のUTC時間、入来データを取り込んだ停電検出デバイスの設置点と関連付けられた位置(例えばGPS、緯度/経度、セルラに基づくデータなどの位置データ)、およびRMS電圧の最大値とともに事象キューに追加する。いくつかの実施形態では、既定のしきい値百分率は、RMS電圧が最小しきい値百分率より大きい連続したデータ・ポイントの数に基づいて変化する可能性があることを理解されたい。
【0065】
3.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、他のサージ事象とともに評価する検出したサージ事象を相関事象キューに追加する。相関事象キューを評価して、相関事象を生成する。相関事象は、例えば既定の期間(例えば400ミリ秒)内および検出したサージ事象から既定の近接度(例えば10キロメートル)内にある「送電網サージ事象」などを含み、いくつかの実施形態では最低限の数の事象が一致することを必要とすることもある。
【0066】
4.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、検出したサージ事象および相関のある送電網サージ事象を、例えば長期記憶装置に記憶する。
5.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、検出したサージ事象および相関事象に関係する警報通知メッセージを、サージ事象が検出された個々の住宅所有者に関連する遠隔コンピューティング・デバイス908a(携帯電話、スマート・デバイス、ウェアラブル・デバイスなど)に伝送し、かつ/または検出したサージ事象および相関事象(検出された場合には外部事象を含む)に関係する通知メッセージを、関係する電力会社またはその他の送電網事業者の遠隔コンピューティング・デバイス908bに伝送する。
【0067】
図11は、送電網サージ事象中に複数の異なる停電検出デバイスによって生成される出力信号を示すグラフである。
図11に示すように、グラフの各線(例えば線1102)は、異なる停電検出デバイスからの出力信号を表す。14:17:10(時刻t1)頃に、サージ事象が発生し、停電が生じている。各停電検出デバイスからサーバ・コンピューティング・デバイス906が受信するRMS電圧信号は、それらの以前のレベルから有意に増大しており、停電検出デバイスが電圧サージを受けたことを示している。
【0068】
ブラウンアウト事象
一般に、ブラウンアウト事象は、送電網上の状態によって電圧の長時間にわたる降下が住宅に送達されるときに発生する。ブラウンアウト事象を検出するためには、サーバ・コンピューティング・デバイス906は、以下のように入来電力品質データを解析することができる。
【0069】
1.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、既定量(例えば6秒分)のRMS電圧データを取り込み、キューに入れる。
2.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、RMS電圧がいくつかの連続したデータ・ポイントについて公称電圧の既定のしきい値百分率(例えば70%)未満である(またはその他のかたちでCBEMA曲線未満である)と決定した場合には、サーバ・コンピューティング・デバイス906が、「ブラウンアウト」事象を、例えば事象のUTC時間、位置、およびRMS電圧の最小値とともに事象キューに追加する。いくつかの実施形態では、既定のしきい値百分率が、RMS電圧が最小しきい値百分率未満である連続したデータ・ポイントの数によって変化してもよいことを理解されたい。
【0070】
3.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、他のブラウンアウト事象とともに評価する検出したブラウンアウト事象を相関事象キューに追加する。相関事象キューを評価して、相関事象を生成する。相関事象は、例えば既定の期間(例えば400ミリ秒)内および検出したブラウンアウト事象から既定の近接度(例えば10キロメートル)内にある「送電網ブラウンアウト事象」などを含み、いくつかの実施形態では最低限の数の事象が一致することを必要とすることもある。
【0071】
4.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、検出したブラウンアウト事象および相関のある送電網ブラウンアウト事象を、例えば長期記憶装置に記憶する。
5.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、検出したブラウンアウト事象および相関事象に関係する警報通知メッセージを、ブラウンアウト事象が検出された個々の住宅所有者に関連する遠隔コンピューティング・デバイス908aに伝送し、かつ/または検出したブラウンアウト事象および相関事象に関係する通知メッセージを、関係する電力会社またはその他の送電網事業者の遠隔コンピューティング・デバイス908bに伝送する。
【0072】
図12は、ブラウンアウト事象中に複数の異なる停電検出デバイスによって生成される出力信号を示すグラフである。
図12に示すように、グラフの各線(例えば線1202)は、異なる停電検出デバイスからの出力信号を表す。21:02:34(時刻t1)頃に、ブラウンアウト事象が発生している。各停電検出デバイスからサーバ・コンピューティング・デバイス906が受信するRMS電圧信号は、数サイクルにわたって有意に降下した後、ほぼ同じ電圧レベルに戻っており、ブラウンアウト事象が停電検出デバイスで取り込まれたことを示している。
【0073】
サグ・ジャンプ事象
一般に、サグ・ジャンプ事象は、送電網上の状態によって電圧の短時間の降下が住宅に送達されるときに発生する。サグ・ジャンプ事象を検出するためには、サーバ・コンピューティング・デバイス906は、以下のように入来電力品質データを解析することができる。
【0074】
1.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、既定量(例えば6秒分)のRMS電圧データを取り込み、キューに入れる。
2.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、公称電圧の既定のしきい値百分率(例えば2.5%)より大きい1回または複数回のRMS電圧降下が発生したかどうかを判定し、サーバ・コンピューティング・デバイス906が、検出した各電圧降下について「サグ・ジャンプ」事象を生成する。
【0075】
3.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、検出したサグ・ジャンプ事象(例えば事象のUTC時間、位置、およびRMS電圧降下の最小値を含む)を、相関事象キューに追加する。
【0076】
4.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、相関事象キュー内の全てのサグ・ジャンプ事象を評価して、既定の期間(例えば400ミリ秒)内および既定の相互の近接度(例えば10キロメートル)内で発生したサグ・ジャンプ事象を特定する。いくつかの実施形態では、相関事象を特定するために、最低限の数の事象が必要とされることもある。
【0077】
5.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、特定したサグ・ジャンプ事象および相関事象を、例えば長期記憶装置に記憶する。
5.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、検出したサグ・ジャンプ事象および相関事象に関係する警報通知メッセージを、サグ・ジャンプ事象が検出された個々の住宅所有者に関連する遠隔コンピューティング・デバイス908aに伝送し、かつ/またはサグ・ジャンプ事象および相関事象に関係する通知メッセージを、関係する電力会社またはその他の送電網事業者の遠隔コンピューティング・デバイス908bに伝送する。
【0078】
図13は、サグ・ジャンプ事象中に複数の異なる停電検出デバイスによって生成される出力信号を示すグラフである。
図13に示すように、グラフの各線(例えば線1302)は、異なる停電検出デバイスからの出力信号を表す。21:02:35(時刻t1)頃に、サグ・ジャンプ事象が発生している。各停電検出デバイスからサーバ・コンピューティング・デバイス906が受信するRMS電圧信号は、有意に降下し、そのほとんど直後に、ほぼ同じ電圧レベルに戻っており、サグ・ジャンプ事象が停電検出デバイスで取り込まれたことを示している。
【0079】
スウェル・ジャンプ事象
一般に、スウェル・ジャンプ事象は、送電網上の状態によって電圧の上昇が住宅に送達されるときに発生する。いくつかの場合には、スウェル・ジャンプ事象は、電気系統内で大きな負荷がオフになったときに発生する可能性がある。スウェル・ジャンプ事象を検出するためには、サーバ・コンピューティング・デバイス906は、以下のように入来電力品質データを解析することができる。
【0080】
1.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、既定量(例えば6秒分)のRMS電圧データを取り込み、キューに入れる。
2.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、公称電圧の既定のしきい値百分率(例えば2.5%)より大きい1回または複数回のRMS電圧上昇が発生したかどうかを判定し、サーバ・コンピューティング・デバイス906が、検出した各電圧上昇について「スウェル・ジャンプ」事象を生成する。
【0081】
3.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、検出したスウェル・ジャンプ事象(例えば事象のUTC時間、位置、およびRMS電圧上昇の最大値を含む)を、相関事象キューに追加する。
【0082】
4.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、相関事象キュー内の全てのスウェル・ジャンプ事象を評価して、既定の期間(例えば400ミリ秒)内および既定の相互の近接度(例えば10キロメートル)内で発生したスウェル・ジャンプ事象を特定する。いくつかの実施形態では、相関事象を特定するために、最低限の数の事象が必要とされることもある。
【0083】
5.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、特定したスウェル・ジャンプ事象および相関事象を、例えば長期記憶装置に記憶する。
6.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、検出したスウェル・ジャンプ事象および相関事象に関係する警報通知メッセージを、スウェル・ジャンプ事象が検出された個々の住宅所有者に関連する遠隔コンピューティング・デバイス908aに伝送し、かつ/またはスウェル・ジャンプ事象および相関事象に関係する通知メッセージを、関係する電力会社またはその他の送電網事業者の遠隔コンピューティング・デバイス908bに伝送する。
【0084】
図14は、スウェル・ジャンプ事象中に複数の異なる停電検出デバイスによって生成される出力信号を示すグラフである。
図14に示すように、グラフの各線(例えば線1402)は、異なる停電検出デバイスからの出力信号を表す。01:33:50(時刻t1)頃に、スウェル・ジャンプ事象が発生している。各停電検出デバイスからサーバ・コンピューティング・デバイス906が受信するRMS電圧信号は、ほとんど直ちにより高い電圧レベルに上昇しており、スウェル・ジャンプ事象が停電検出デバイスで取り込まれたことを示している。
【0085】
高周波(HF)フィルタ事象
上述のように、停電検出デバイス902、910、912は、住宅の配線および器具に損傷を与える恐れがある住宅に流れる電力の高周波振幅を含む特定の電力品質データを監視することができる。高周波フィルタ事象を検出するためには、サーバ・コンピューティング・デバイス906は、以下のように入来電力品質データを解析することができる。
【0086】
1.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、既定量(例えば6秒分)の高周波(HF)振幅データを取り込み、キューに入れる。
2.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、高周波(HF)振幅データのスライディング平均(sliding mean)を計算する。この平均が1より大きい場合には、サーバ・コンピューティング・デバイス906は、HF振幅データが平均の既定の倍数(例えば5倍)を超える分だけジャンプしたときに、HFフィルタ事象を生成する。平均が1未満である場合には、サーバ・コンピューティング・デバイス906は、HF振幅データが既定のしきい値(例えば5)を超えてジャンプしたときに事象を生成する。いくつかの実施形態では、HFフィルタ事象を特定するための選択されたジャンプしきい値が、HFデータの様々な信号対雑音比のしきい値またはその他の特徴に基づいて変化することもあることは理解され得る。
【0087】
3.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、HFフィルタ事象(例えば事象のUTC時間、位置、およびHF振幅ジャンプの大きさを含む)を相関事象キューに追加する。
【0088】
4.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、相関事象キュー内の全てのFHフィルタ・ジャンプ事象を評価して、既定の期間(例えば400ミリ秒)内および既定の相互の近接度(例えば10キロメートル)内で発生したHFフィルタ事象を特定する。いくつかの実施形態では、相関事象を特定するために、最低限の数の事象が必要とされることもある。
【0089】
5.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、特定したHFフィルタ事象および相関事象を、例えば長期記憶装置に記憶する。
6.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、検出したHFフィルタ事象および相関事象に関係する警報通知メッセージを、HFフィルタ事象が検出された個々の住宅所有者に関連する遠隔コンピューティング・デバイス908aに伝送し、かつ/またはHFフィルタ事象および相関事象に関係する通知メッセージを、関係する電力会社またはその他の送電網事業者の遠隔コンピューティング・デバイス908bに伝送する。
【0090】
図15は、HFフィルタ・ジャンプ事象中に複数の異なる停電検出デバイスによって生成される出力信号を示すグラフである。
図15に示すように、グラフの各線(例えば線1502)は、異なる停電検出デバイスからの出力信号を表す。14:15:20(時刻t1)頃に、HFフィルタ・ジャンプ事象が発生している。各停電検出デバイスからサーバ・コンピューティング・デバイス906が受信する周波数信号は、ほとんど直ちにより高いレベルに上昇し、各信号で周波数が大きく変動して雑音がはるかに多くなっており、HFフィルタ・ジャンプ事象が停電検出デバイスで取り込まれたことを示している。
【0091】
このシステムは、送電網上の初期アーク事象を検出するようにさらに構成することができることを理解されたい。例えば、このシステムが、時間経過とともに位相角の電圧または周波数に変化がない状態で複数のHFフィルタ事象を検出したときには、このシステムは、HFフィルタ事象が初期アーク事象に対応すると決定することができ、それにより危険な状態を非常に初期の段階で検出することができる。システムは、次いで、アーク状態が存在すること、およびその状態が起こり得る地理学的領域または位置を送電網事業者および/または電力会社に対して警報することができるので、事業者は、問題を迅速に評価して対応することができる。
【0092】
周波数事象
上述のように、停電検出デバイス902、910、912は、急増または急減など特定の条件下で住宅の配線および器具に損傷を与える恐れがある住宅に流れる電力の周波数を含む特定の電力品質データを監視することができる。周波数事象を検出するためには、サーバ・コンピューティング・デバイス906は、以下のように入来電力品質データを解析することができる。
【0093】
1.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、既定量(例えば6秒分)の周波数データを取り込み、キューに入れる。
2.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、周波数データのスライディング平均(sliding average)を計算する。周波数がこの平均から既定のしきい値(例えば0.05Hz)を超えてジャンプした場合に、サーバ・コンピューティング・デバイス906は、周波数事象を生成する。また、サーバ・コンピューティング・デバイス906は、周波数の標準偏差を計算し、(i)標準偏差が下側しきい値(例えば0.025Hz)未満から上側しきい値(例えば0.05Hz)超に変化した場合、または標準偏差が上側しきい値(例えば0.05Hz)超から下側しきい値(例えば0.025Hz)未満に変化した場合でさえも、周波数事象を生成する。
【0094】
3.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、周波数事象(例えば事象のUTC時間、位置、周波数ジャンプの最大値、および周波数の標準偏差を含む)を相関事象キューに追加する。
【0095】
4.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、相関事象キュー内の全ての周波数事象を評価して、既定の期間(例えば400ミリ秒)内および既定の相互の近接度(例えば10キロメートル)内で発生した周波数事象を特定する。いくつかの実施形態では、相関事象を特定するために、最低限の数の事象が必要とされることもある。
【0096】
5.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、特定した周波数事象および相関事象を、例えば長期記憶装置に記憶する。
6.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、検出した周波数事象および相関事象に関係する警報通知メッセージを、周波数事象が検出された個々の住宅所有者に関連する遠隔コンピューティング・デバイス908aに伝送し、かつ/または周波数事象および相関事象に関係する通知メッセージを、関係する電力会社またはその他の送電網事業者の遠隔コンピューティング・デバイス908に伝送する。
【0097】
図16は、周波数ジャンプ事象中に複数の異なる停電検出デバイスによって生成される出力信号を示すグラフである。
図16に示すように、グラフの各線は、異なる停電検出デバイスからの出力信号を表す。このグラフでは、各停電検出デバイスの出力信号が非常に接近しており、グラフが一本の線のように見えていることに留意されたい。19:53:00(時刻t1)頃に、周波数事象が発生している。各停電検出デバイスからサーバ・コンピューティング・デバイス906が受信する周波数信号は、より低い周波数に降下し、その後に上昇し始めており、周波数事象が停電検出デバイスで取り込まれたことを示している。
【0098】
緩い中性線事象
上述のように、緩い中性線は、住宅の配線に存在する可能性がある非常に危険な状態である。通常は、緩い中性線は、その接点から切り離され、それにより住宅内のコンセントにおいて異常に高いまたは低い電圧状態が生じる恐れがある。いくつかの場合には、電流が、例えばテレビ受像機を通ってケーブルTV接続に流れるなど、住宅内の他のデバイスを通って接地に流れることになる。大電流を扱うようには設計されていないケーブルTVのケーブルまたはその他の導体に大電流が流れる可能性があるので、これは、アーク、または導体が非常に高温になる状況をもたらす可能性があり、その絶縁体を焼き去ってその周辺にも損傷を与え、場合によっては電気火災につながる可能性もある。いくつかの例では、中性線は、抵抗性を有することもできる。中性線の抵抗は、ある程度の電気を流すには十分に低いが、本来想定されている電流を流すには高すぎる。これらの場合には、中性線は、抵抗が通常より高い位置で非常に高温になる可能性があり、これも火災の原因になり得る。緩い中性線事象を検出するためには、サーバ・コンピューティング・デバイス906は、以下のように入来電力品質データを解析することができる。
【0099】
1.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、例えば長期記憶装置から、特定の停電検出デバイス902、910、912についての履歴電力品質事象データおよび履歴相関事象データを取り出す。例えば、上述のように、このシステムは、特定の住宅に関連付けられた電力品質事象の履歴記録を確立するために、時間経過とともにその住宅内の停電検出デバイスから電力品質データを取り込んで記録し、そのデータを長期記憶装置に記憶することができる。
【0100】
2.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、1つの停電検出デバイス902について、他の事象との相関がない、所定の期間内(最近7日間以内など)にその停電検出デバイス902について記録されたサージ事象、サージ・ジャンプ事象、サグ事象の数および振幅を評価する。
【0101】
3.サージ事象の平均数が1日当たりの既定のしきい値(例えば1)より大きい場合、または公称電圧の既定のしきい値百分率(例えば10%)を超える大きさを有するサージ・ジャンプ事象の平均値が1日当たりの既定のしきい値(例えば10)より大きい場合、またはサグ事象の平均数が、1日当たりの既定のしきい値(例えば10)より大きい場合(これらは例示的な条件)に、サーバ・コンピューティング・デバイス906が、緩い中性線事象を生成し、緩い中性線事象データを例えば長期記憶装置に記憶することができる。
【0102】
4.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、緩い中性線事象に関係する通知メッセージを、例えばユーザに関連する遠隔コンピューティング・デバイス908aに伝送する。いくつかの実施形態では、この通知メッセージは、その住宅にサービスしている電力会社に関連する遠隔コンピューティング・デバイス908bにも送信して、電力会社が緩い中性線状態を改善するための修理の可能性を決定できるようにすることもできる。
【0103】
一例として、
図17A~
図17Cは、緩い中性線事象に関係する、停電検出デバイス902が取り込む電力品質データから生成されるグラフである。
図17Aは、停電検出デバイスが取り込む公称電圧RMSの読みのグラフを示し、
図17Aに示すように、電圧RMS値は、時間が経過しても比較的一定である。しかし、緩い中性線が存在するときには、
図17Bのグラフに示すように、停電検出デバイス902は、電圧RMS値の大きな正のジャンプ(例えば、>公称値の+10%)を取り込む。同様に、
図17Cは、緩い中性線の解消の前後に停電検出デバイス902が取り込む電圧RMSの読みを示すグラフである。
図17Cに示すように、電圧RMSの読みは、解消点1702の前には多数の大きなジャンプを含み、その後、電圧RMSの読みは、大きなジャンプのない公称値の範囲に戻っている。
【0104】
以下は、本明細書に記載するシステムを現実世界で導入した際に停電検出デバイスによって検出された緩い中性線の接続の数を詳細に示す表である。
【0105】
【表1】
上に示すように、それぞれの場合に、システムは、特定の停電検出デバイスに関連する1つまたは複数の緩い中性線事象を検出し、関連するエンド・ユーザのデバイスに対する警報通知を生成して、緩い中性線の存在を住宅所有者に気づかせるようにした。それぞれの場合において、緩い中性線は、その後に電力会社が検証して修理した。現在ではさらに49のケースが公開されており、解消手続き中である。上記のデータは、財産を失う可能性または生命を失う可能性が発生する前に住宅内の電力品質の問題を迅速かつ正確に検出するという観点から、本明細書に記載するシステムおよび方法が提供する大きな利点を示している。
【0106】
再発性電力品質問題事象
他のタイプの繰返し起こる電力品質の問題(例えば頻繁なサージ、サグなど)は、電気を住宅に送達するときに発生する可能性がある。これらの問題を検出するためには、サーバ・コンピューティング・デバイス906は、以下のように入来電力品質データを解析することができる。
【0107】
1.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、例えば長期記憶装置から、特定の停電検出デバイス902、910、912についての履歴電力事象データおよび履歴相関事象データを取り出す。
【0108】
2.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、1つの停電検出デバイス902について、所定の期間内(最近30日間以内など)にその停電検出デバイス902について記録されたサージ事象およびサグ事象の数および振幅を評価する。
【0109】
3.既定数(例えば4回)を超えるサージ事象、または既定数(例えば10回)を超えるサグ事象が発生している場合(これらは例示的な条件)に、サーバ・コンピューティング・デバイス906が、再発性電力品質問題事象を生成し、再発性電力品質問題事象データを例えば長期記憶装置に記憶することができる。
【0110】
4.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、再発性電力品質問題事象に関係する通知メッセージを、例えばユーザに関連する遠隔コンピューティング・デバイス908aに伝送する。いくつかの実施形態では、この通知メッセージは、例えばその住宅にサービスしている電力会社の遠隔コンピューティング・デバイス908bにも送信して、電力会社が繰返し起こる電力品質の問題を改善するための修理の可能性を決定できるようにすることもできる。
【0111】
発電機オン/オフ事象
本明細書に記載する方法およびシステムは、停電に応答して代替の発電システム(住宅に設置される発電機など)が起動されるシナリオを検出するために使用することもできる。これらの状況を検出するためには、サーバ・コンピューティング・デバイス906は、以下のように入来電力品質データを解析することができる。
【0112】
1.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、例えば長期記憶装置から、特定の停電検出デバイス902、910、912についての履歴電力事象データおよび履歴相関事象データを取り出す。
【0113】
2.サーバ・コンピューティング・デバイス906が、1つの停電検出デバイス902について、停電事象および周波数事象が発生したかどうかを評価する。
3.上記の1つの停電検出デバイス902が停電事象を記録し、その後、停電事象から既定の期間(例えば60秒)以内に周波数の標準偏差の既定のしきい値(例えば0.05Hz)超への変化が続き、その周波数の標準偏差の変化が相関のある外部事象と関連付けられていない場合に、サーバ・コンピューティング・デバイス906が、「発電機オン」事象を生成し、対応する通知メッセージを、例えば停電検出デバイス902のユーザに関連する遠隔コンピューティング・デバイス908aに伝送することができる。
【0114】
4.「発電機オン」事象の条件を以前に満たした1つの停電検出デバイス902が、0.025Hz未満への周波数変化の標準偏差についての後続の周波数事象を記録する場合に、サーバ・コンピューティング・デバイス906が、「発電機オフ」事象を生成し、対応する通知メッセージを、例えば停電検出デバイス902のユーザに関連する遠隔コンピューティング・デバイス908aに伝送することができる。
【0115】
上述のように、サーバ・コンピューティング・デバイス106および/または停電検出デバイス102は、関係する遠隔コンピューティング・デバイス上でユーザに対して表示する警報通知、報告、マップ、およびチャートなどを生成するように構成することができる。
図18は、停電検出デバイス102によって取り込まれた履歴RMS電圧(Vrms)の読みを示す、遠隔コンピューティング・デバイス(例えば携帯電話)上に表示されるユーザ・インタフェースの図である。
図18に示すように、グラフ1802は、1日のうちに停電検出デバイス102によって取り込まれたVrmsの読みを示し、メータ1804は、低いVrmsの読み、高いVrmsの読み、および平均のVrmsの読みを示す。このユーザ・インタフェースは、特定の位置の電力品質の理解し易い描画を提供する。このユーザ・インタフェースは、また、ブラウンアウトまたは電力サージなど、関係する電力品質事象のリスト1806も含むことができる。例えば、このユーザ・インタフェースは、グラフ1802上に黄色い三角形で標示される、10:40pmに発生した電力ブラウンアウトを示している。サーバ・コンピューティング・デバイス106は、停電検出デバイス102について発生した電力品質事象の履歴カレンダー画面を生成することもでき、
図19に示すように、ユーザは、1カ月分の電力品質事象(例えばブラウンアウト、サージ、停電)を見て、自身の住宅にサービスする電気ネットワークの全体的な電力品質の全容を把握することができる。
【0116】
上述の電力品質報告およびグラフと関連して、サーバ・コンピューティング・デバイス106は、電力品質通知を生成し、1つまたは複数の遠隔コンピューティング・デバイスに伝送することもできる。
図20Aは、サーバ・コンピューティング・デバイス106によって遠隔デバイスに送信されて表示されるプッシュ通知警報を示すユーザ・インタフェースの図である。
図20Aに示すように、プッシュ警報は、関連する電力品質事象の説明をその事象が発生した時刻とともに含む。同様に、
図20Bは、停電検出デバイスに関係する電力品質通知のリストを示すユーザ・インタフェースの図である。
図20C、
図20D、および
図20Eは、遠隔コンピューティング・デバイスのユーザに対して表示される詳細な電力品質事象警報通知である。
図20Cは、サージ事象のタイミング、位置(例えば停電検出デバイスが事象に関連するデータを取り込んだ位置)、および電圧の読みに関する詳細情報をユーザに提供する電力サージ通知である。
図20Dは、ブラウンアウト事象のタイミング、位置、および電圧の読みに関する詳細情報をユーザに提供する電力ブラウンアウト通知である。
図20Eは、再発性電力品質問題通知である。住宅の電気系統に生じる電力品質問題のリズムおよび量に関する詳細情報をユーザに提供する電力サージ通知である。その結果として、システム100は、これらの警報を自動的に生成して関連のあるユーザに迅速に伝送して、それらのユーザが自身の住宅または企業に影響を及ぼす電力品質事象について常に最新の状態でいることができるようにするように構成される。
【0117】
事象通知メッセージに加えて、本明細書に記載するシステムおよび方法は、互いに関係する特定の電力品質事象の位置を表示して、特定の地理学的領域で解消する必要があるタイプの電力品質事象が生じているかどうかをユーザ(例えば消費者、送電網事業者、電力会社)が迅速かつ容易に判定することを可能にするマップを生成することができる。
【0118】
図21Aは、停電検出デバイスのネットワークによって検出された停電事象の位置を描画する、サーバ・コンピューティング・デバイス106が生成する地理的マップの図である。
図21Aに示すように、マップ上の各円は、1つまたは複数の停電事象を表しており、円が大きくなるほど広範囲の停電を示している。ユーザは、(例えば円のうちの1つをクリックすることによって)
図21Aのマップと対話して、
図21Bに示すように、特定の地理学的領域のさらに詳細なビューを見ることができる。
図21Bでは、ユーザは、より大きなテキサス州ヒューストンの領域において停電事象2102を選択しており、サーバ・コンピューティング・デバイス106は、その特定の停電検出デバイスの位置のプロット2106を含むマップのズームイン・ビュー2104と、影響を受けた顧客の数、停電検出デバイスによって取り込まれた読みの概要、相関事象2110、およびその他の電力品質データ情報など、その停電事象についての詳細を含む情報領域2108とを生成している。
【0119】
図22Aは、停電検出デバイスのネットワークによって検出された送電網サージおよびブラウンアウト事象の位置を描画する、サーバ・コンピューティング・デバイス106が生成する地理的マップの図である。
図22Aに示すように、マップ上の各四角形は、1つまたは複数の送電網サージおよび/またはブラウンアウト事象を表しており、四角形が大きくなるほど広範囲の事象を示している。ユーザは、(例えば四角形のうちの1つをクリックすることによって)
図22Aのマップと対話して、
図22Bに示すように、特定の地理学的領域のさらに詳細なビューを見ることができる。
図22Bでは、ユーザは、より大きなロサンゼルスの領域においてブラウンアウト事象2202を選択しており、サーバ・コンピューティング・デバイス106は、その特定の停電検出デバイスの位置のプロット2206を含むマップのズームイン・ビュー2204と、影響を受けた顧客の数、停電検出デバイスによって取り込まれた読みの概要、相関事象2210、およびその他の電力品質データ情報など、そのブラウンアウト事象についての詳細を含む情報領域2208とを生成している。
【0120】
同様に、
図23は、特定の地理学的領域(すなわちロサンゼルス)で検出された送電網サグ・ジャンプ事象を描画するマップの詳細ビューの図である。
図23に示すように、ユーザは、ロサンゼルス付近のサグ・ジャンプ事象2302を選択しており、サーバ・コンピューティング・デバイス106は、その特定の停電検出デバイスの位置のプロット2306を含むマップのズームイン・ビュー2304と、影響を受けた顧客の数、停電検出デバイスによって取り込まれた読みの概要、相関事象2310、およびその他の電力品質データ情報など、その送電網サグ・ジャンプ事象についての詳細を含む情報領域2308とを生成している。
【0121】
図24は、特定の地理学的領域(すなわちテキサス州サンアントニオ付近)で検出された送電網スウェル・ジャンプ事象を描画するマップの詳細ビューの図である。
図24に示すように、ユーザは、サンアントニオ付近のスウェル・ジャンプ事象2402を選択しており、サーバ・コンピューティング・デバイス106は、その特定の停電検出デバイスの位置のプロット2406を含むマップのズームイン・ビュー2404と、影響を受けた顧客の数、停電検出デバイスによって取り込まれた読みの概要、相関事象2410、およびその他の電力品質データ情報など、そのスウェル・ジャンプ事象についての詳細を含む情報領域2408とを生成している。
【0122】
図25Aは、停電検出デバイスのネットワークによって検出された送電網周波数事象の位置を描画する、サーバ・コンピューティング・デバイス106が生成する地理的マップの図である。
図25Aに示すように、マップ上の各八角形は、1つまたは複数の送電網周波数事象を表しており、八角形が大きくなるほど広範囲の事象を示している。上記のマップと同様に、ユーザは、
図25Aのマップと対話して、
図25Bに示すように、特定の地理学的領域のさらに詳細なビューを見ることができる。
図25Bでは、ユーザは、より大きなロサンゼルスの領域において周波数事象2502を選択しており、サーバ・コンピューティング・デバイス106は、その特定の停電検出デバイスの位置のプロット2506を含むマップのズームイン・ビュー2504と、影響を受けた顧客の数、停電検出デバイスによって取り込まれた読みの概要、相関事象2510、およびその他の電力品質データ情報など、その停電事象についての詳細を含む情報領域2508とを生成している。
【0123】
図26は、停電検出デバイスのネットワークによって検出されたHFフィルタ・ジャンプ事象の位置を描画する、サーバ・コンピューティング・デバイス106が生成する地理的マップの図である。
図26に示すように、マップ上の各五角形は、1つまたは複数の送電網周波数事象を表しており、五角形が大きくなるほど広範囲の事象を示している。上記のマップと同様に、ユーザは、
図26のマップと対話して、特定の地理学的領域のさらに詳細なビューを見ることができる。
【0124】
サーバ・コンピューティング・デバイス106は、同じ地理学的領域上に複数の異なる停電およびまたは電力品質事象を含むマップを生成することができることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、ユーザは、複数の異なる事象を(例えばチェックボックス・メニューで)選択することができ、サーバ・コンピューティング・デバイス106は、各タイプの事象を、異なる形状や色など、異なるインジケータを用いて表示することができる。
【0125】
上述の技術は、デジタルおよび/またはアナログの電子回路、あるいはコンピュータ・ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組合せで実装することができる。その実装は、例えばプログラマブル・プロセッサ、コンピュータ、および/または複数のコンピュータなどのデータ処理装置によって実行される、あるいはそのようなデータ処理装置の動作を制御する、コンピュータ・プログラム製品、すなわち機械可読記憶デバイスに有形に実施されるコンピュータ・プログラムとしての実装でもよい。コンピュータ・プログラムは、ソース・コード、コンパイル済みコード、解釈済みコード、および/または機械コードなど、任意の形態のコンピュータまたはプログラミング言語で書くことができ、コンピュータ・プログラムは、独立プログラムとして、あるいはサブルーチン、要素、またはコンピューティング環境での使用に適したその他のユニットとしてなど、任意の形態で導入することができる。コンピュータ・プログラムは、1つのコンピュータに導入して実行することもできるし、1つまたは複数の場所の複数のコンピュータに導入して実行することもできる。
【0126】
方法のステップは、1つまたは複数のプロセッサがコンピュータ・プログラムを実行して、入力データを操作し、かつ/または出力データを生成することによって本技術の機能を実行することによって実行することができる。方法のステップは、例えばFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)、FPAA(フィールド・プログラマブル・アナログ・アレイ)、CPLD(複合プログラマブル論理デバイス)、PSoC(プログラマブル・システム・オン・チップ)、ASIP(特定用途向け命令セットプロセッサ)、またはASIC(特定用途向け集積回路)などの特殊目的論理回路によって実行することもでき、または、このような特殊目的論理回路によって装置を実装することもできる。サブルーチンは、記憶されたコンピュータ・プログラムおよび/またはプロセッサ、ならびに/あるいは1つまたは複数の機能を実施する特殊回路の一部を指すこともある。
【0127】
コンピュータ・プログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用マイクロプロセッサおよび特殊目的マイクロプロセッサの両方と、任意の種類のデジタルまたはアナログ・コンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読取り専用メモリまたはランダム・アクセス・メモリ、あるいはその両方から命令およびデータを受け取る。コンピュータの不可欠な要素は、命令を実行するプロセッサ、ならびに命令および/またはデータを記憶する1つまたは複数のメモリ・デバイスである。キャッシュなどのメモリ・デバイスは、データを一時的に記憶するために使用することができる。メモリ・デバイスは、長期間のデータ記憶に使用することもできる。一般に、コンピュータは、例えば磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスクなど、データを記憶するための1つまたは複数の大容量記憶デバイスを含む、あるいはそのような大容量記憶デバイスに動作可能に結合されて、それらからデータを受け取る、もしくはそれらにデータを転送する、またはその両方を行う。コンピュータは、ネットワークから命令および/またはデータを受け取り、かつ/あるいはネットワークに命令および/またはデータを転送するために、通信ネットワークに動作可能に結合することもできる。コンピュータ・プログラム命令およびデータを実施するのに適したコンピュータ可読記憶媒体は、例として、例えばDRAM、SRAM、EPROM、EEPROM、およびフラッシュ・メモリ・デバイスなどの半導体メモリ・デバイス、例えば内蔵ハード・ディスクまたはリムーバブル・ディスクなどの磁気ディスク、例えばCD、DVD、HD-DVD、Blu-Ray(登録商標)ディスクなどの光ディスクなど、あらゆる形態の揮発性および不揮発性メモリを含む。プロセッサおよびメモリは、特殊目的論理回路によって補う、かつ/または特殊目的論理回路に組み込むこともできる。
【0128】
ユーザとの対話を実現するために、上述の技術は、ユーザに対して情報を表示するための例えばCRT(陰極線管)、プラズマ、またはLCD(液晶表示)モニタなどのディスプレイ・デバイス、ならびにユーザがコンピュータに入力を与える(例えばユーザ・インタフェース要素と対話する)ことができるようにするためのキーボード、および例えばマウス、トラックボール、タッチパッド、またはモーション・センサなどのポインティング・デバイスと通信しているコンピュータ上で実装することができる。その他の種類のデバイスを使用して、ユーザとの対話を実現することもでき、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、例えば視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、または触覚的フィードバックなど任意の形態の感覚フィードバックであってよく、音響入力、音声入力、およびまたは触覚入力など、任意の形態でユーザからの入力を受け取ることができる。
【0129】
上述の技術は、バック・エンド構成要素を含む分散型コンピューティング・システムで実装することができる。バック・エンド構成要素は、例えばデータ・サーバ、ミドルウェア構成要素、および/またはアプリケーション・サーバである可能性がある。上述の技術は、フロント・エンド構成要素を含む分散型コンピューティング・システムで実装することもできる。フロント・エンド構成要素は、例えば、グラフィカル・ユーザ・インタフェース、ユーザが例示的な実装と対話することができるようにするウェブ・ブラウザ、および/または伝送デバイスのためのその他のグラフィカル・ユーザ・インタフェースを有するクライアント・コンピュータである可能性がある。上述の技術は、このようなバック・エンド、ミドルウェア、またはフロント・エンド構成要素の任意の組合せを含む分散型コンピューティング・システムで実装することができる。
【0130】
コンピューティング・システムの構成要素は、デジタルまたはアナログ・データ通信の任意の形態の媒体(例えば通信ネットワーク)を含むことができる伝送媒体によって相互接続することができる。伝送媒体は、任意の構成の1つまたは複数のパケット型ネットワークおよび/あるいは1つまたは複数の回路型ネットワークを含む可能性がある。パケット型ネットワークは、例えば、インターネット、キャリア・インターネット・プロトコル(IP)ネットワーク(例えばローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、キャンパス・エリア・ネットワーク(CAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ホーム・エリア・ネットワーク(HAN))、プライベートIPネットワーク、IP構内交換機(IPBX)、ワイヤレス・ネットワーク(例えば無線アクセスネットワーク(RAN)、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、WiMAX、汎用パケット無線サービス(GPRS)ネットワーク、HiperLAN)、および/またはその他のパケット型ネットワークを含む可能性がある。回路型ネットワークは、例えば、公衆交換電話網(PSTN)、従来の構内交換機(PBX)、ワイヤレス・ネットワーク(例えばRAN、符号分割多重アクセス(CDMA)ネットワーク、時分割多重アクセス(TDMA)ネットワーク、グローバル移動体通信システム(GSM(登録商標))ネットワーク)、および/またはその他の回路型ネットワークを含む可能性がある。
【0131】
伝送媒体を介した情報の転送は、1つまたは複数の通信プロトコルに基づく可能性がある。通信プロトコルは、例えば、イーサネット(登録商標)・プロトコル、インターネット・プロトコル(IP)、ボイス・オーバIP(VOIP)、ピア・ツー・ピア(P2P)プロトコル、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、セッション開始プロトコル(SIP)、H.323、メディア・ゲートウェイ・コントロール・プロトコル(MGCP)、共通線信号#7(SS7)、グローバル移動体通信システム(GSM)プロトコル、プッシュ・ツー・トーク(PTT)プロトコル、PTTオーバ・セルラ(POC)プロトコル、および/またはその他の通信プロトコルを含む可能性がある。
【0132】
コンピューティング・システムのデバイスは、例えば、コンピュータ、ブラウザ・デバイスを備えたコンピュータ、電話機、IP電話機、モバイル・デバイス(例えば携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)デバイス、ラップトップ・コンピュータ、電子メール・デバイス)、および/またはその他の通信デバイスを含む可能性がある。ブラウザ・デバイスは、例えば、ワールド・ワイド・ウェブ・ブラウザ(例えばマイクロソフトコーポレーション(Microsoft Corporation)社製のMicrosoft(登録商標)Internet Explorer(登録商標)、モジラコーポレーション(Mozilla Corporation)社製のMozilla(登録商標)Firefox)を備えたコンピュータ(例えばデスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ)、を含む。モバイル・コンピューティング・デバイスは、例えば、アップルインコーポレイティッド(Apple, Inc.)社製のiPhone(登録商標)およびiPad(登録商標)などのiOS(登録商標)搭載デバイス、ならびにサムスンコーポレーション(Samsung Corp.)社製のGalaxy(商標)、グーグル(Google(登録商標), Inc.)社製のPixel(登録商標)、およびアマゾン(Amazon(登録商標), inc.)社製のKindle Fire(登録商標)などのAndroid(登録商標)搭載デバイスを含む。
【0133】
「備える」、「含む」、および/またはそれぞれの複数形は、オープンエンドな表現であり、列挙した部分を含み、かつ列挙されていない追加の部分を含む可能性もある。「および/または」は、オープンエンドな表現であり、列挙された部分のうちの1つまたは複数、および列挙された部分の組合せを含む。
【0134】
本発明は、本発明の趣旨または基本的特徴を逸脱することなく、他の特定の形態で実施することもできることを、当業者なら理解するであろう。したがって、上記の実施形態は、あらゆる点において、本明細書に記載する本発明を限定するものではなく、その例示としてみなされるものとする。
【国際調査報告】