(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-28
(54)【発明の名称】3D印刷用建築材料の合成物を生産するための方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/314 20170101AFI20230421BHJP
C04B 26/06 20060101ALI20230421BHJP
B28B 1/30 20060101ALI20230421BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230421BHJP
B33Y 40/10 20200101ALI20230421BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20230421BHJP
C08F 20/00 20060101ALI20230421BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20230421BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20230421BHJP
【FI】
B29C64/314
C04B26/06
B28B1/30
B33Y10/00
B33Y40/10
B33Y70/00
C08F20/00
C08F2/50
B29C64/106
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554960
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(85)【翻訳文提出日】2022-10-31
(86)【国際出願番号】 US2021021252
(87)【国際公開番号】W WO2021183396
(87)【国際公開日】2021-09-16
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521473077
【氏名又は名称】マイティ ビルディングス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】ダボフ,アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】インダイク,デニス
【テーマコード(参考)】
4F213
4G052
4J011
4J100
【Fターム(参考)】
4F213AA43
4F213AB04
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4J011AA01
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4J100FA47
4J100JA32
4J100JA50
4J100JA51
4J100JA52
4J100JA67
(57)【要約】
大規模印刷用の3D印刷可能な複合材料を生産するためのシステム、デバイス、及び方法が提供される。この方法は、メタクリルモノマ又はメタクリルオリゴマ、あるいはこれらの組み合わせを含む第1の成分と、光開始剤を含む第2の成分と、重合増進剤を含む第3の成分と受け入れることを含み得る。この方法は、第1の成分、第2の成分、及び第3の成分を混合反応器で混合して混合物を形成することを含み得る。この方法は、濾過ユニットで混合物を濾過し、混合物から固体残留物を除去し、照射ユニットでこの濾過された混合物をキュアしてゲル成分と液体成分にし、相分離ユニットでゲル成分を分離し、ゲル成分を粉砕することを含み得る。この方法は、ゲル成分、光開始剤、鉱物充填剤、及び必要に応じて再生された以前に印刷された複合材料を混合して複合材料を形成することを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大規模印刷用の3D印刷可能な複合材料を生産するための方法であって、
メタクリルモノマ又はメタクリルオリゴマ、あるいはこれらの組み合わせを含む第1の成分を受け入れ、
光開始剤を含む第2の成分を受け入れ、
重合増進剤を含む第3の成分を受け入れ、
混合反応器で前記第1の成分、前記第2の成分、及び前記第3の成分を混合して混合物を形成し、
濾過ユニットで前記混合物を濾過して前記混合物から固体残留物を除去し、
前記濾過された混合物を照射ユニットでゲル成分及び液体成分にキュアリングし、
相分離ユニットで前記液体成分から前記ゲル成分を分離し、
ミリングユニットで前記ゲル成分をミリングし、
鉱物充填剤を含む第4の成分を受け入れ、
前記ゲル成分、前記光開始剤、及び前記鉱物充填剤を混合して前記複合材料を形成する、
方法。
【請求項2】
前記第1の成分は、トリエチレングリコールメチルエーテルメタクリラート、トリエチレングリコールジメタクリラート(TEGDMA)、6-アセチルチオヘキシルメタクリラート、又はこれらの組み合わせを含むメタクリル官能基1から6をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光開始剤は、ビス(η5-2,4-シクロベンタジエン-1-イル)ビス[2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル]チタン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-1-ブタノン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記重合増進剤は、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール8000、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸トリオクチル、フタル酸ジ-n-オクチル、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記鉱物充填剤は、炭酸ナトリウム十水和物、Na
2CO
3・10H
2O、ホウ砂、四ホウ酸ナトリウム十水和物、Na
2B
4O
7・10H
2O、石膏CaSO
4・2H
2O、二酸化ケイ素SiO
2、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
さらに、再生光ポリマ複合材料を含む第5の成分を受け入れる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
さらに、前記ゲル成分、前記光開始剤、前記鉱物充填剤、及び前記再生光ポリマ複合材料を混合する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複合材料は、壁パネルのような建築構成要素及び完成した建築モジュールの大面積3D印刷のために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
大規模印刷用の3D印刷可能な材料を生産するための方法であって、
第1の材料を含む第1の成分を受け入れ、
第2の材料を含む第2の成分を受け入れ、
第3の材料を含む第3の成分を受け入れ、
前記第1の成分、前記第2の成分、及び前記第3の成分を混合して混合物を形成し、
前記混合物を濾過して前記混合物から固体残留物を除去し、
前記濾過された混合物をゲル成分及び液体成分にキュアリングし、
前記液体成分から前記ゲル成分を分離し、
前記ゲル成分をミリングし、
第4の材料を含む第4の成分を受け入れ、
前記ゲル成分、前記第2の成分、及び前記第4の成分を混合する、
方法。
【請求項10】
さらに、前記液体成分を再生して前記液体成分を前記混合物に組み合わせる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の材料は、メタクリルモノマ又はメタクリルオリゴマ、又はこれらの組み合わせである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の材料は光開始剤である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第3の材料は重合増進剤である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第4の材料は鉱物充填剤である、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
さらに、再生光ポリマ複合材料である第5の複合材料を含む第5の成分を受け入れる、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
さらに、前記ゲル成分、前記第2の成分、前記第4の成分、及び前記再生光ポリマ複合を混合する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
大規模印刷用の3D印刷可能な材料を生産するためのシステムであって、
それぞれ材料を含む1以上の成分を受け入れ、混合物に混合するように構成される混合反応器と、
前記混合物を濾過して前記混合物から固体残留物を除去するように構成される濾過ユニットと、
照射放出デバイスを備える照射ユニットであって、前記濾過された混合物を受け入れ、該混合物をゲル成分及び液体成分にキュアリングするように構成される照射ユニットと、
前記ゲル成分と前記液体成分とを分離するように構成される相分離ユニットと、
前記ゲル成分をミリングするためのミリングユニットと、
前記ゲル成分を受け入れ、該ゲル成分を前記1以上の成分に混合するように構成される第2の混合反応器と
を備える、システム。
【請求項18】
前記1以上の成分の前記材料はメタクリルモノマである、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記1以上の成分の前記材料は光開始剤である、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記1以上の成分の前記材料は重合増進剤である、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記1以上の成分の前記材料は鉱物充填剤である、請求項17に記載のシステム。
【請求項22】
前記1以上の成分の前記材料は再生複合材料である、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
アディティブ製造法としても知られる3次元(3D)印刷は、的確な位置に材料を堆積させる手法であり、これにより、典型的には大きな材料から材料を削減又は除去することにより部品を形成する、これまでの製造手法よりも材料の消耗が著しく少ない。プロトタイピング及び製造、建築、芸術、歯科、医療デバイス、及び宝飾品が従来から3D印刷が適用される工業分野である。ここ5年の間に、建築用3D構成要素が建築業界において重要な利用例となってきている。
【0002】
壁パネルのような様々な建築構成要素の大面積3D印刷プロセスの改善された方法は、建築業界及び環境にとって利益のあるものとなり得る。
【簡単な概略】
【0003】
本開示は、概して、大規模3D印刷プロセスにおいて利用される3D印刷可能な合成物を生産するためのシステム、デバイス、及び方法に関するものである。ある態様においては、この方法は、メタクリルモノマ又はメタクリルオリゴマ、あるいはこれらの組み合わせを含む第1の成分を受け入れることを含み得る。この方法は、光開始剤を含む第2の成分を受け入れることを含み得る。この方法は、重合増進剤を含む第3の成分を受け入れることを含み得る。この方法は、混合反応器で前記第1の成分、前記第2の成分、及び前記第3の成分を混合して混合物を形成することを含み得る。この方法は、濾過ユニットで前記混合物を濾過して前記混合物から固体残留物を除去することを含み得る。この方法は、前記濾過された混合物を照射ユニットでゲル成分及び液体成分にキュアリングすることを含み得る。この方法は、相分離ユニットで前記液体成分から前記ゲル成分を分離することを含み得る。この方法は、ミリングユニットで前記ゲル成分をミリングすることを含み得る。この方法は、鉱物充填剤を含む第4の成分を受け入れることを含み得る。この方法は、粉体へのミリングの後に、第1の成分、第2の成分、第3の成分及び第4の成分を含み、以前3D印刷された材料を含む第5の成分を受け入れることを含み得る。一態様においては、この方法は、前記ゲル成分、前記光開始剤、前記鉱物充填剤、及び前記第5の成分を混合して上記複合材料を形成することを含み得る。
【0004】
一態様においては、上記第1の成分は、トリエチレングリコールメチルエーテルメタクリラート、トリエチレングリコールジメタクリラート(TEGDMA)、6-アセチルチオヘキシルメタクリラート、又はこれらの組み合わせを含む1から6の量のメタクリル官能基をさらに含み得る。
【0005】
一態様においては、上記光開始剤は、ビス(η5-2,4-シクロベンタジエン-1-イル)ビス[2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル]チタン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-1-ブタノン、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0006】
一態様においては、上記重合増進剤は、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール8000、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸トリオクチル、フタル酸ジ-n-オクチル、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0007】
一態様においては、前記鉱物充填剤は、炭酸ナトリウム十水和物、Na2CO3・10H2O、ホウ砂、四ホウ酸ナトリウム十水和物、Na2B4O7・10H2O、石膏CaSO4・2H2O、二酸化ケイ素SiO2、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0008】
一態様においては、この方法は、再生光ポリマ複合材料を含む第5の成分を受け入れることをさらに含み得る。
【0009】
一態様においては、この方法は、前記ゲル成分、前記光開始剤、前記鉱物充填剤、及び前記再生光ポリマ複合材料を混合することをさらに含み得る。
【0010】
一態様においては、上記複合材料は、壁パネルのような建築構成要素を大規模3D印刷するために使用され得る。この建築構成要素は、壁、床、屋根、又はこれらの一体形の組み合わせを含む商業用又は居住用建物のような建物の少なくとも一部を形成する。
【0011】
一態様においては、3D印刷用材料を生産するための方法は、第1の材料を含む第1の成分を受け入れ、第2の材料を含む第2の成分を受け入れ、第3の材料を含む第3の成分を受け入れ、前記第1の成分、前記第2の成分、及び前記第3の成分を混合して混合物を形成し、前記混合物を濾過して前記混合物から固体残留物を除去し、前記濾過された混合物をゲル成分及び液体成分にキュアリングし、前記液体成分から前記ゲル成分を分離し、前記ゲル成分をミリングし、第4の材料を含む第4の成分を受け入れ、前記ゲル成分、前記第2の成分、及び前記第4の成分を混合することを含み得る。
【0012】
一態様においては、この方法は、前記液体成分を再生して前記液体成分を上記第1の成分、上記第2の成分、及び上記第3の成分の前記混合物に組み合わせることをさらに含み得る。一態様においては、前記第1の材料は、メタクリルモノマ又はメタクリルオリゴマ、又はこれらの組み合わせであり得る。前記第2の材料は光開始剤であり得る。前記第3の材料は重合増進剤であり得る。前記第4の材料は鉱物充填剤であり得る。
【0013】
一態様においては、この方法は、第5の複合材料を含む第5の成分を受け入れることをさらに含み得る。上記第5の複合材料は再生光ポリマ複合材料であり得る。
【0014】
一態様においては、この方法は、前記ゲル成分、前記第2の成分、前記第4の成分、及び前記再生光ポリマ複合物を混合することをさらに含み得る。
【0015】
一態様においては、3D印刷用の材料を生産するためのシステムは、それぞれ材料を含み得る1以上の成分を受け入れ、混合物に混合するように構成される混合反応器と、前記混合物を濾過して前記混合物から固体残留物を除去するように構成される濾過ユニットと、照射放出デバイスを含む照射ユニットであって、前記濾過された混合物を受け入れ、該混合物をゲル成分及び液体成分にキュアリングするように構成される照射ユニットと、前記ゲル成分と前記液体成分とを分離するように構成される相分離ユニットと、前記ゲル成分をミリングするためのミリングユニットと、前記ゲル成分を受け入れ、該ゲル成分を前記1以上の成分に混合するように構成される第2の混合反応器とを含み得る。
【0016】
一態様においては、前記1以上の成分の前記材料はメタクリルモノマであり得る。前記1以上の成分の前記材料は光開始剤であり得る。前記1以上の成分の前記材料は重合増進剤であり得る。前記1以上の成分の前記材料は鉱物充填剤であり得る。前記1以上の成分の前記材料は上記第1の成分から上記第4の成分の再生複合材料であり得る。
【0017】
他の例は、本明細書で述べられている方法に関連するシステム、デバイス、及びコンピュータ読取可能媒体に向けられている。
【0018】
以下の詳細な説明と添付した図面を参照することにより、本発明の実施形態の性質及び利点をより良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本技術の様々な態様による複合物生産装置の系統図を示している。
【0020】
【
図2】
図2は、本技術の様々な態様による複合材料を生産するフロープロセス例を示している。
【0021】
【
図3】
図3は、本技術の様々な態様による複合材料を生産する他のフロープロセス例を示している。
【0022】
【
図4】
図4は、本技術の様々な態様による複合材料を生産する他のフロープロセス例を示している。
【詳細な説明】
【0023】
本明細書においては、本開示の具体的が詳細に参照される。例又はそれらの態様の一部が図面に示されている。
【0024】
説明を分かりやすくするために、本開示は具体例を参照して説明されているが、本開示は述べられている例に限定されないことは理解すべきである。反対に、本開示は、特許請求の範囲に規定された範囲内に含まれる可能性のある代替物、修正物、及び均等物をカバーするものである。本開示の以下の例は、請求されている開示に対する普遍性を失うことなく、またこれに対する制限を課すことなく述べられている。以下の説明では、本開示を十分に理解できるようにするために具体的な詳細が述べられている。本開示は、これらの具体的な詳細の一部又は全部がなくても実施することが可能である。加えて、本開示が不必要に不明瞭になることを避けるために、公知の特徴は詳細には述べられていない。
【0025】
加えて、この代表的な特許において述べられている代表的な方法のステップは本明細書に示されている順序とは異なる順序で行うことができることは理解すべきである。さらに、代表的な方法の一部のステップは順次行われるのではなく、並行して行われてもよい。
【0026】
以下、複合材料を生産するためのシステム及び方法について述べる。本説明は、概して、商業用又は居住用建物を含む建物及び建物構成要素のための大規模3D印刷法において利用される複合物の生産のシステム及び方法に関するものである。一例では、システムは、
モノマ又はオリゴマ、重合又は重縮合反応を開始させる成分、鉱物充填剤を含む複合配合物を得るための複合物装置を含み得る。これらのうち1つは、大面積3Dプリンタを用いて以前に印刷され、粉体にミリングされ、再使用されるものであり得る。加えて、このシステムは、大面積3D印刷用の複合材料を生成するために、材料の成分に対して抽出、混合、処置、処理、ミリング、分離などを行い、あるいはこれらを組み合わせて行うことができる。
【0027】
図1は、大面積3D印刷において用いられる複合材料を生産するための複合物生産装置の例示システムアーキテクチャ100を示している。一例においては、この装置によって生産される複合材料は、3D印刷建築構成要素又は完成した建物用に使用される。建築構成要素は、壁、床、屋根、又はこれらの一体形の組み合わせを含む商業用又は居住用建物のような建物の少なくとも一部を形成し得る。一例においては、システムアーキテクチャ100は、光ポリマ複合物装置又は複合物装置101を含み得る。この複合物装置101は、混合ユニット105、濾過ユニット107、照射ユニット109、相分離ユニット111、及びミリングユニット115を含み得る。一例では、複合物装置101は、第2の混合ユニット115を含み得る。この例示システムアーキテクチャ100においては、複合物装置は、複合物を生成するために使用される1以上の成分を受け入れることができる。これらの1以上の成分は、第1の成分121、第2の成分、第3の成分、第Nの成分123などを含み得る。第1の成分121、第2の成分、及び第Nの成分123を含むこれらの成分のそれぞれは、抽出、混合、処理、分離などされ、あるいはこれらが組み合わせて行われ、受け入れた成分の複合物を生成する。成分が受け入れられ、複合物装置101を介して処理されると、複合物装置101の出力が複合材料130となり得る。この複合材料130は、建築用途における大面積3D印刷用に使用される。
【0028】
一例においては、以下の表は、光重合システム及び方法を用いて複合材料を生産するために使用される複数の成分を示している。以下の表1に示される。
【0029】
【0030】
複合材料は、5つの成分まで含み得る。この例では、成分#1、すなわち第1の成分121は、メタクリルモノマ又はメタクリルオリゴマ、あるいはこれらの組み合わせを含み得る。成分121は、トリエチレングリコールメチルエーテルメタクリラート、トリエチレングリコールジメタクリラート(TEGDMA)、6-アセチルチオヘキシルメタクリラート、又はこれらの組み合わせを含む1から6の量のメタクリル官能基をさらに含み得る。一例においては、第1の成分121は、フッ素、塩素、塩化アクリロイル、エポキシ、ウレタン、チオール-エン、マレイン酸塩、及びアクリル酸2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルをはじめとするフマル酸塩、又はこれらの組み合わせの官能基のような他の官能基も含み得る。
【0031】
一例においては、第1の成分121は液状である。第1の成分121、あるいは第1の成分121を含む光開始剤との混合物が以下に述べるキュアリング工程においてキュアリングされた後に、第1の成分121が固化し得る。
【0032】
一例においては、第1の成分121と混合される第2の成分は、光重合用の光開始剤を含み得る。この光開始剤は、0~3重量%の含有量で固体状態で複合物装置101により受け入れられる。この例では、光開始剤は、ビス(η5-2,4-シクロベンタジエン-1-イル)、ビス[2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル]チタン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-1-ブタノン、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0033】
光開始剤は、3D印刷プロセスにおいて、照射ユニット109におけるキュアリングプロセス中に光開始剤を含む複合材料130が使用される際に生成される複合材料130の重合又は重縮合反応を開始させるように構成される。一例においては、重合反応は、1ナノメートル(nm)から1ミリメートル(mm)の間の範囲の波長で出射される放射により得られる。
【0034】
一例においては、第1の成分121及び第2の成分と混合される第3の成分は、最初の混合段階又は工程においては、増進剤又は重合増進剤を含み得る。重合増進剤は、0~3重量%の含有量で固体状態で複合物装置101により受け入れられ得る。重合増進剤は、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール8000、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸トリオクチル、フタル酸ジ-n-オクチル、又はこれらの組み合わせからなるような異なる分子質量を有する重合化化合物である。
【0035】
一例においては、第1の成分121、第2の成分、及び第3の成分の混合物と後に混合される第4の成分は、最終的に生成された複合材料130の難燃性をはじめとする耐炎性、化学的特性、及び機械的特性を向上するように構成される鉱物充填剤を含み得る。
【0036】
一例においては、鉱物充填剤は、0~65重量%の含有量で固体状態で複合物装置101により受け入れられ得る。鉱物充填剤は、Na2CO3・10H2O、ホウ砂、四ホウ酸ナトリウム十水和物、Na2B4O7・10H2O、石膏CaSO4・2H2O、二酸化ケイ素SiO2、又はこれらの組み合わせをはじめとする、無機水和物又は有機金属水和物、塩、酸化物、又はこれらの組み合わせであり得る。
【0037】
また、一例においては、第5の成分が、第1の成分121、第2の成分、及び第3の成分の混合物と、また第4の成分と後に混合され得る。第5の成分は再生成分125であり得る。再生成分125は、以前に3D印刷された複合材料から取得され、複合材料130と同一の化学特性を有す何れかの粉体及びすべての粉体を0~65重量%の含有量で固体状態で含み得る。
【0038】
この例では、再生成分125は再生光ポリマ複合材料であり得る。再生材料は、成分の混合物が磨り潰されて粉体に調整された後、以前に生成された複合材料から得ることができる。例えば、複合物装置101により受け入れられる再生成分125は、0.01~3.00ミリメートル(mm)の粒子径を有し得る。
【0039】
一例においては、混合ユニット105は、1以上の成分を受け入れるように構成される混合反応器である。1以上の成分のそれぞれは、材料を含み得るもので、混合物に混合されるか、混合物に形成され得る。この例では、混合反応器は、第1の材料を含む第1の成分121を受け入れ、第2の材料を含む第2の成分を受け入れ、第3の材料を含む第3の成分を受け入れることができる。第1の材料は、メタクリルモノマ又はメタクリルオリゴマ、あるいはこれらの組み合わせであり得る。第2の材料は光開始剤であり得る。第3の材料は重合増進剤であり得る。混合ユニット105が第1の成分121、第2の成分、及び第3の成分のような1以上の成分を受け入れると、混合ユニット105は、成分を混合してある成分を混合物に形成し、あるいはある成分を混合物に混合する。
【0040】
一例においては、混合反応器は、機械式混合反応器、循環混合反応器、空気圧混合反応器、超音波混合反応器であり得るか、あるいはこれらの組み合わせからなる混合反応器の構成要素を含み得る。この工程においては、混合ユニット105は、複数の成分からなる等しく均質な又は不均質な混合物を得て、複合物装置101がさらに処理をすることができる。
【0041】
一例においては、濾過ユニット107は、例えば、第1の成分125、第2の成分、及び第3の成分を含む混合物を固体残留物又は液体残留物のような望ましくない物質又は不適切な物質から濾過するように構成される。複合物装置101の濾過ユニット107は、固体残留物を除去し、濾過された混合物の保持するなどのように、混合物から固体残留物を分離することができる。
【0042】
この例では、濾過ユニットは、能動濾過デバイス又は受動濾過デバイスを含む複数の異なる濾過デバイスを含み得る。例えば、濾過ユニット107は、遠心濾過器、重力濾過器、真空濾過器、多層濾過器を含み得るか、あるいは、これらの組み合わせからなる濾過デバイスの構成要素を含み得る。
【0043】
一例においては、照射ユニット109は、濾過ユニット107から濾過された混合物を受け入れるように構成され得る。照射ユニット109は、第1の成分125、第2の成分、及び第3の成分からなる濾過された混合物をキュアリングし、処理し、第1の成分、第2の成分、及び第3の成分からなる混合物を含むゲル成分及び液体成分を生成することができる。
【0044】
この例では、照射ユニット109は、1以上の発光ダイオード(LED)、1以上のレーザ発光ダイオード、UVランプ又は熱ランプのような1以上のランプ、又はこれらの組み合わせをはじめとする照射放出デバイスを含み得る。一例においては、放出された照射は1nmと1mmの範囲の波長を有し得る。この例では、複合物装置101は、コンポーネント搭載ステーションと分離器との間に架け渡されたフレキシブルベルトの形態の閉ループコンベアを含み得る。この複合物装置101の構成においては、コンベアは、閉ループコンベアの1以上のプーリの周りを周回することが可能な1以上のフレキシブルトレイを搬送可能である。プーリの1つは、駆動モータを備えた駆動プーリであり得る。トレイは、上方が開放された浅いトラフを含み得るもので、第1の成分、第2の成分、及び第3の成分からなる液体及び固体の混合物の一部を搬送することができる。その後、混合物は、照射ユニット109のもののような放射キュアリング機器の下を順次通過する途中で放射によりキュアされ得る。
【0045】
その後、混合物は、光重合プロセスを介してゲルになり得る。一例においては、第1の成分、第2の成分、及び第3の成分からなる液体混合物は周期的にトレイに移送され得る。トレイは、材料を所望の粘度にキュアするために所定の量の光エネルギーで移動され得る。一例においては、粘度、照射量などの決定のようなプロセスのパラメータは、ユーザ又はコンピュータアプリケーションにより制御される中央演算処理ユニットを介してセンサにより手動又は自動で制御され得る。
【0046】
一例においては、複合物装置101の相分離ユニット111は、照射ユニット109を有する複合物装置101により生成されたゲル成分と液体成分とを分離するように構成され得る。一例においては、相分離ユニット111は、遠心分離器、ドラム分離器、トレイ分離器などをはじめとする1以上の分離器を含み得るか、あるいはこれらの組み合わせからなる分離器の構成要素を含み得る。
【0047】
上記の例では、ゲル化した物質は、キュアリングプロセス中にキュアされなかった液体物質を含み得る。分離段階では、分離ユニット111は、第1の成分、第2の成分、及び第3の成分の混合物をキュアリングすることにより形成されるゲル物質を、ゲル成分にキュアされずに液体成分として残っている混合物から分離することができる。
【0048】
一例においては、液体成分は、複合物装置101から放出又は除去され得る。他の例においては、液体成分は、複合材料130を生産するために複合物装置により受け入れられる第1の成分121、第2の成分、及び第3の成分のいずれの新しい混合物と実質的に同一であるので、液体成分は、再利用され、混合ユニット105の混合反応器に再生され得る。特に混合ユニット105が第1の成分121、第2の成分、及び第3の成分を含む追加の材料を受け入れるときに、この液体成分を混合ユニット105により混合された新しい混合物と組み合わせることができる。
【0049】
一例においては、ミリングユニット113は、ゲル成分を粉砕するように構成される。ミリングユニット113は、シュレッダ、コロイドミル、グラインダなどの複数の異なる粉砕器を含み得るか、あるいはこれらの組み合わせからなる粉砕器の構成要素を含み得る。この例では、ゲルミリングユニットにより、複合材料130を生成するためにゲル成分を付加構成要素にさらに混合することができる。
【0050】
一例においては、鉱物充填剤のような第4の成分が複合物装置101により受け入れられる。この段階では、複合物装置101は、第1の成分121、第2の成分、及び第3の成分を受け入れたのと同一のステップで鉱物充填剤を含む第4の成分を受け入れてしまっているか、あるいは、複合材料130を生成するためにゲル成分に混合される鉱物充填剤を含む第4の成分をこのときに受け入れることができる。
【0051】
一例においては、混合ユニット115は、混合反応器であり、粉砕されたゲル成分、第4の成分、及び第2の成分を含む付加的な材料、例えば光開始剤からなる付加的な材料を受け入れるように構成されている。混合ユニット115は、残っている1以上の成分をゲル成分に混合することができる。例えば、混合ユニット115は、ゲル成分、光開始剤、及び鉱物充填剤を混合して複合材料130を形成することができる。混合ユニット115は、機械式混合反応器、循環混合反応器、空気圧混合反応器、超音波混合反応器であり得るか、あるいはこれらの組み合わせからなる混合反応器の構成要素を含み得る。この工程においては、混合ユニット115は、複数の成分からなる等しく均質な又は不均質な混合物を得て複合材料130を生成することができる。
【0052】
この段階では、複合材料130が生成され、この複合材料130は、生成されたゲル状の複合物であり得る。一例においては、複合物装置101により生成された複合材料130の粘度は、100,000~600,000センチポアズ(cPs)の範囲である。
【0053】
一例においては、さらに、混合ユニット115は、大面積3D印刷用に使用され、粉砕されたゲル成分、第2の成分、第3の成分及び第4の成分と混合された、以前に生成された複合材料を含む再生粉体成分を受け入れることができる。
【0054】
図2は、複合材料を生産するプロセス例のフローチャートを示している。一例においては、建築構成要素又は建物の大面積3D印刷に使用される材料を生産するためにこのプロセスを行うことができる。
【0055】
図2のフロー図の例20においては、ブロック200で、複合物装置は第1の成分を受け入れることができる。ブロック201では、複合物装置は第2の成分を受け入れることができる。ブロック202では、複合物装置は第3の成分を受け入れることができる。
【0056】
ブロック205では、複合物装置は、混合反応器内で第1の成分、第2の成分、及び第3の成分を混合して混合物を形成することができる。
【0057】
ブロック210では、複合物装置は、1以上の濾過ユニットから混合物を濾過することができる。ブロック212では、複合物装置は、固体残留物を含む混合物の濾過物から残留物を放出することができる。
【0058】
ブロック215では、複合物装置は、1以上の照射放出ユニットから混合物をキュアしてゲル成分を形成することができる。
【0059】
ブロック220では、複合物装置は、相によって混合物をゲル成分にキュアされなかった混合物の液体成分とキュアリング工程により形成された混合物のゲル成分とに分離することができる。ブロック222では、複合物装置は、混合物の分離された液体成分を放出することができる。ブロック224では、複合物装置は、この混合物の分離された液体成分を、第1の成分、第2の成分、及び第3の成分の混合物から混合物の残留物を濾過する濾過工程に再生することができる。
【0060】
ブロック225では、複合物装置は、混合物のゲル成分を受け入れることができる。
【0061】
ブロック230では、複合物装置は、混合物のゲル成分を粉砕することができる。
【0062】
ブロック231では、複合物装置は、第2の成分を受け入れることができる。ブロック232では、複合物装置は、第4の成分を受け入れることができる。ブロック233では、複合物装置は、第5の成分を受け入れることができる。
【0063】
ブロック235では、複合物装置は、第2の混合反応器内でゲル成分を第2の成分、第4の成分、及び第5の成分からなる追加の材料に混合することができる。
【0064】
そして、ブロック240では、複合物装置は、複合物を生成することができる。
【0065】
図3は、大面積3D印刷用の複合材料を生産するプロセス例の他のフローチャートを示している。
【0066】
図3のフロー図の例30においては、ブロック300で、複合物装置は、メタクリルモノマ、光開始剤、及び鉱物充填剤を受け入れることができる。一例においては、複合物装置は、重合増進剤も受け入れることができる。
【0067】
ブロック305では、複合物装置は、メタクリルポリマを光開始剤に混合して混合物とすることができる。
【0068】
ブロック310では、複合物装置は、1以上の濾過ユニットから混合物を濾過することができる。
【0069】
ブロック315では、複合物装置は、1以上の照射放出ユニットから混合物をキュアすることができる。
【0070】
ブロック320では、複合物装置は、相により混合物を分離し、混合物の液体成分及びゲル成分を受け入れることができる。
【0071】
ブロック325では、複合物装置は、混合物のゲル成分を粉砕することができる。
【0072】
ブロック330では、複合物装置は、ゲル成分を鉱物充填剤と混合することができる。
【0073】
図4は、大面積3D印刷用の複合材料を生産するプロセス例の他のフローチャートを示している。
【0074】
図4のフロー図の例40においては、ブロック400で、複合物装置は、メタクリルモノマ、光開始剤、増進剤、鉱物充填剤、及び再生光ポリマ複合物を受け入れることができる。
【0075】
ブロック405では、複合物装置は、メタクリルポリマを光開始剤に混合して混合物とすることができる。
【0076】
ブロック410では、複合物装置は、1以上の濾過ユニットから混合物を濾過することができる。
【0077】
ブロック415では、複合物装置は、1以上の照射放出ユニットから混合物をキュアすることができる。
【0078】
ブロック420では、複合物装置は、相により混合物を分離し、混合物の液体成分及びゲル成分を受け入れることができる。
【0079】
ブロック425では、複合物装置は、混合物のゲル成分を粉砕することができる。
【0080】
そして、ブロック430では、複合物装置は、ゲル成分を第2の光開始剤、鉱物充填剤、及び再生光ポリマ複合物に混合することができる。
【0081】
本明細書で使用されている用語は、特定の態様を説明するためだけのものであり、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合には、単数形は、そうでないことが明確に示している場合を除いて複数形も含むことを意図されている。「備える」、「備えている」、又はこれらを組み合わせた用語は、本明細書で使用される場合には、述べられている特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するものであるが、1以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそのグループの存在又は追加を排除するものではないことはさらに理解できるであろう。
【0082】
本開示は、その具体例を参照して特に図示され述べられてきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、開示されている例の形態及び詳細を変更することができることを理解すべきである。本明細書においては、様々な例を参照しつつ本開示の様々な利点、側面、及び目的が述べられてきたが、本開示の範囲は、そのような利点、側面、及び目的により限定されるべきではないことは理解できよう。むしろ、本開示の範囲は、特許請求の範囲を参照することによって決定されるべきである。
【国際調査報告】