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特表2023-518203天体画像取得方法および方法の実施装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-28
(54)【発明の名称】天体画像取得方法および方法の実施装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 23/00 20060101AFI20230421BHJP
   G02B 23/02 20060101ALN20230421BHJP
【FI】
G02B23/00
G02B23/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022555065
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(85)【翻訳文提出日】2022-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2021056364
(87)【国際公開番号】W WO2021180939
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】2002481
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522361515
【氏名又は名称】ユニステラ
【氏名又は名称原語表記】UNISTELLAR
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】マルヴァッシュ,アルノー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァヌート,エリック
【テーマコード(参考)】
2H039
【Fターム(参考)】
2H039AA01
2H039AA02
2H039AB05
2H039AB22
2H039AB42
2H039AC04
(57)【要約】
【課題】天体の性質に応じて装置を選択する必要がなく、天体が大型で暗いものでも、小型で明るいものでも、単一の装置で、解像度の良好な天体画像を取得することが可能な技術を提供する。
【解決手段】 天体(50)から来る光線(34)が、内部に侵入する中空体(302)を備える装置(30)であり、中空体(302)内に光軸(32)を有する光学系(31)が配置され、光線(34)が画像焦点(330)内に天体の画像を形成するように構成され、画像焦点内に形成された天体の画像を取得する第1および第2の光センサマトリクス(361、362)が配置され、該マトリクスは異なる性質の天体の観測に適合するように構成され、1つのマトリクスを選択し、それを画像焦点内に配置することができ、他のマトリクスは前記画像焦点の外側にあり、マトリクスの選択は天体の性質に応じて実施される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-観測天体(50、51)から来る光線(34)が、使用時に内部に侵入する中空体(302)を備える装置(30)を使用するステップであって、前記観測天体は、少なくとも、第1の性質の第1の天体(50または51)と、第2の性質の第2の天体(50または51)から選択され、第1の天体(50または51)の性質と第2の天体(50または51)の性質は異なり、
-中空体(302)内に光軸(32)を有する光学系(31、382、383)を配置するステップであって、該光学系は、焦点面(33)内に位置する画像焦点(330)内に観測天体(50、51)の画像を光線(34)が形成するように構成されている、
を含む天体画像取得方法であって、方法は、また、
-中空体(302)内に、各々、画像焦点(330)内に形成された第1の天体(50または51)および第2の天体(50または51)の画像を取得するように構成された複数の画素をそれぞれ含む、少なくとも第1および第2の光センサマトリクス(361、362)を配置するステップであって、該マトリクス(361、362)は、各々互いに異なるサイズの画素を有しており、
-1つのマトリクス(361、362)を選択し、画像焦点(330)内に配置するステップであって、もう1つのマトリクスは前記画像焦点の外側にあり、マトリクスの選択は観測天体(50、51)の性質、すなわち、前記の第1の性質の第1の天体(50または51)であるか、前記の第2の性質の第2の天体(50または51)であるかに応じて実施される、
を含むことを特徴とする、天体画像取得方法。
【請求項2】
前記第1および第2のマトリクス(361、362)が、方法のすべてのステップの間、焦点面(33)内に広がる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マトリクス(361、362)の1つを選択するステップが、マトリクスの一方および/または他方の並進移動によって、マトリクス(361、362)の1つを画像焦点(330)内に配置するように行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記マトリクス(361、362)の1つを選択するステップが、マトリクス(361、362)の一方および/または他方の回転によって行われ、マトリクス(361、362)の少なくとも1つは初期には焦点面(33)内にない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
-可動支持体(35)にマトリクス(361、362)を固定するステップ、
-可動支持体(35)を移動させ、選択したマトリクス(361、362)を画像焦点(330)内に配置するステップ、
を含む、請求項1~4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
-モータによって可動支持体(35)を動力化するステップ、
-モータを制御して、可動支持体(35)を移動させるステップ
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
-前記マトリクス(361、362)を固定位置に設置するステップ、
-可動である光学要素(381)を含む光学系を使用して、画像焦点(330)の位置を変更するようにするステップ、
-可動光学要素(381)を移動させ、選択したマトリクス(361、362)のところに画像焦点(330)を持ってくるようにするステップ、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
-モータによって可動光学要素(381)を駆動するステップ、
-モータを制御して、可動光学要素(381)を移動させるステップ、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
-モータを処理ユニット(39)に接続するステップ、
-モータを制御するステップ、
-装置(30)に設置され、また処理ユニット(39)に接続された1つまたは複数のボタンをアクティブにすることによって、または、
-制御命令を処理ユニット(39)に送信することにより、該命令をスマートフォンから発信するステップ、
を含む、請求項6または8に記載の方法。
【請求項10】
-天体の記録をデータベースに保存し、各記録は、マトリクス(361、362)の1つと天体のリアルタイムの位置データに関連付けられるステップ、
-データベースで天体の記録を選択するステップ、
-選択した記録に関連付けられたマトリクス(361、362)に応じてモータを制御するステップ、
-選択した記録に関連付けられた位置データに応じて、天体(50、51)の位置に装置(30)を自動的に向けるステップ、
を含む、請求項6または8に記載の方法。
【請求項11】
-観測シーンで観測された天体(50、51)の画像を取得し、該取得は、前記天体の性質に応じて選択したマトリクス(362)の1つを使用して実行されるステップ、
-観測シーンで別の天体の移動を検出するように構成されたコンピュータプロセスを実行するステップ、
-他のマトリクス(361)を選択するステップ、
-選択した他のマトリクス(361)に応じてモータを制御するステップ、
を含む、請求項6または8に記載の方法。
【請求項12】
-データベースに天体の記録を保存し、各記録が、マトリクス(361、362)の1つと天体の少なくとも1つの特徴的な要素に関連付けられるステップ、
-天体(50、51)の画像を取得し、該取得は、マトリクス(361、362)の1つを使用して実行されるステップ、
-取得された画像において、前記天体の少なくとも1つの特徴的な要素を検出するように構成されたコンピュータ認識プロセスを実行するステップ、
-データベース内で、検出されたものと類似の特徴的な要素に関連する天体記録を特定するステップ、
-特定された記録に関連付けられたマトリクス(361、362)を選択するステップ、
-画像を取得したマトリクス(361、362)が、選択されたマトリクスに対応しない場合、選択された前記マトリクスに応じてモータを制御するステップ、
を含む請求項6または8に記載の方法。
【請求項13】
-観測天体(50、51)から来る光線が使用時に内部に侵入する中空体(302)であり、前記の観測天体は、少なくとも、第1の性質の第1の天体(50または51)と、第2の性質の第2の天体(50または51)から選択され、第1の天体(50または51)の性質と第2の天体の性質(50または51)は異なる中空体(302)、
-中空体(302)内に配置され、光軸(32)を有する光学系であり、該光学系は、焦点面(33)内に位置する画像焦点(330)内に観測天体(50、51)の画像を光線(34)が形成するように構成されている光学系、
を含む、天体(50、51)の画像取得装置であって、
装置(30)が、
-各々、画像焦点(330)内に形成された第1の天体(50または51)および第2の天体(50または51)の画像を取得するように設計された複数の画素を含む、少なくとも第1および第2の光センサマトリクス(361、362)であり、該マトリクス(361、362)は、各々互いに異なるサイズの画素を有するセンサマトリクス、
-2つのマトリクス(361、362)のうち1つを画像焦点内(330)に配置するように適合されたマトリクス(361、326)選択装置であり、もう1つのマトリクス(361、362)は、前記画像焦点の外側にあり、したがって、観測天体は、第1の性質の第1の天体(50または51)または第2の性質の第2の天体(50または51)であるマトリクス選択装置、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項14】
前記第1のマトリクス(361)と第2のマトリクス(362)が、異なるサイズである、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記画像焦点(330)が、固定されており、マトリクス(361、362)が、可動である、請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
前記マトリクス(361、362)が、
-第1のマトリクス(361)が、画像焦点(330)内に配置され、第2のマトリクス(362)が、前記画像焦点の外側に配置されている第1の位置と、
-第2のマトリクス(362)が、画像焦点(330)内に配置され、第1のマトリクス(361)が、前記画像焦点の外側に配置されている第2の位置、
との間で可動な支持体(35)に固定される、請求項13または14に記載の装置。
【請求項17】
前記支持体(35)が、回転可動または並進可動である、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記マトリクス(361、362)が、固定されており、画像焦点(330)が、可動である、請求項13または14に記載の装置。
【請求項19】
光学系が、画像焦点(330)の位置を変更させるように可動である光学要素(381)を備える、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記光学要素は(381)が、
-画像焦点(330)を、第1のマトリクス(361)のところに持ってくる第1の位置、
-画像焦点(330)を、第2のマトリクス(362)のところに持ってくる第2の位置、
との間で可動である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記光学系が、
-中空体(302)内に位置決めされ、前記中空体内に侵入した光線(34)を反射させるための主鏡(382)、
-中空体(302)内に位置決めされ、主鏡(382)によって反射された光線を反射するための副鏡(383)を備え、該副鏡は画像焦点(33)を主鏡(382)の後方に持ってくるように適合され、
-マトリクス(361、362)は主鏡(382)の後方に配置されている、
請求項13~20のいずれか一つに記載の装置。
【請求項22】
望遠鏡の形態である、請求項13~21のいずれか一つに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天体画像を取得する方法を目的とする。
本発明は、また、この方法を実施するための交換可能なセンサを備える画像取得装置に関するものである。
【0002】
本発明は、カメラの技術分野および、特に望遠鏡(または天体望遠鏡)の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0003】
望遠鏡は、惑星、彗星、星雲、銀河などの天体、および一般的に近くまたは遠くの天体を観測するためのものである。
望遠鏡は特に天文学者に使用されるが、その使用は近年大衆化され、星の観測は、様々な世代の多数の人々にとって熱中の対象となっている。
ますます多数になる消費者の需要を満たすために、製造業者は、これらの機器を多様化し、より広範な公衆の需要を満たす必要がある。
【0004】
大型天体(例えば、星雲、銀河)と小型天体(例えば、惑星、月)を同時に観測したいユーザは、複数の接眼レンズを所有する必要がある。
接眼レンズを交換することによって、ユーザは観測天体の性質に応じて、倍率を調整することが可能である。
実際、大型天体は一般的に明るくなく、それらの観測には低倍率が必要である。
反対に、より小型の天体は一般的により明るく、それらの観測はより高い倍率で行われなければならない。
実際には、この接眼レンズの交換は、ユーザにとって特に制約となっている。
【0005】
ユーザにとっての別の可能性は、少なくとも2つの別個の望遠鏡を使用することである。
実際、各種の天体に適切な解像度を得るためには、設計の異なるセンサマトリクスを使用することがよい。
使用するセンサマトリクスに応じて、画素サイズは異なる。
大型で明るくない天体の観測には、比較的大きく(大きな視野の取得のため)、比較的感度の高い画素の使用が必要となるが、一方、より小型でより明るい天体の観測は、より小さい(取得される視野がより狭いため)、実際、感度の低い画素で実施することができる。
したがって、良好な解像度の天体画像を得るためには、ユーザは観測しようとする天体の性質に応じて望遠鏡を選択する必要があり、それは、特にコストに関連して制限される可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前記の不都合な点を解決することである。
【0007】
本発明の別の目的は、天体が大型で暗いものでも、小型で明るいものでも、単一の装置で、解像度の良好な天体画像を取得することが可能な技術を提案することである。
【0008】
本発明のさらに別の目的は、設計が単純で、使用が簡単であり、高価ではない、大型または小型天体の画像取得装置を提案することである。
【0009】
必要に応じて、ミサイルのワイドショットとクローズショットを実行することにより、ミサイルの経路をたどろうとする装置を記載している文献、米国特許出願公開第2015/0028212号明細書が従来技術において知られている。
地球の大気中を循環する物体の画像取得を目的とする、その目的を考慮すると、そのような技術文献は、本発明による天体の画像取得方法および装置とは何の共通点もない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によって提案される解決方法は、
-観測天体から来る光線が使用時に内部に侵入する中空体を備える装置を使用するステップであって、前記の観測天体は、少なくとも、第1の性質の第1の天体と第2の性質の第2の天体とから選択され、第1の天体の性質と第2の天体の性質は異なり、
-中空体内に光軸を有する光学系を配置するステップであって、該光学系は、焦点面内に位置する画像焦点内に観測天体の画像を光線が形成するように構成されている、
を含む、天体画像取得方法である。
方法は、また、
-中空体内に、各々、画像焦点内に形成された第1の天体および第2の天体の画像を取得するように構成された複数の画素をそれぞれ含む、少なくとも第1のおよび第2の光センサマトリクスを配置するステップであって、該マトリクスは各々互いに異なるサイズの画素を有しており、
-1つのマトリクスを選択し、それを画像焦点内に配置するステップであって、もう1つのマトリクスは前記画像焦点の外側にあり、マトリクスの選択は観測天体の性質、すなわち、前記の第1の性質の第1の天体であるか、前記の第2の性質の第2の天体であるかに応じて実施される、
を含むことで注目される。
【0011】
本発明の範囲において、第1および第2の天体に関して「異なる性質の天体」という表現は、これら2つの天体が異なるサイズおよび/または光度を有するという事実を意味すると理解される。
したがって、これらの2つの天体のこのような異なる性質は、そのサイズおよび/またはその光度の観点から、各々が独自の性質を持っていることを意味する。
【0012】
したがって、天体の性質とは、ここでは、第1のマトリクスおよび第2のマトリクスによって観測される可能性が高い天体が、天体という表現に関して同一ではないという事実を具体的に指すものではない。
より正確に例を挙げれば、同じ太陽系にも同じ銀河にも属さない実質的に同じサイズの2つの惑星が、同じ天体であることは明らかである。
しかし、本発明の範囲では、これら2つの惑星は、地球からのそれらの光度が同じではないという事実を考慮すると、同じ性質の天体とはみなされない。
【0013】
光度の基準に関しては、考慮される天体の性質に関連して、これは地球の表面から観測されたこの天体の等級を指す。
肉眼で見える天体は等級が6未満であることが知られており、例えば、星ベガは等級が0で、太陽系の太陽は等級が-27であり、どちらも地表から観測される。
反対に、あまり見えない天体は16等級を上回る等級である。
【0014】
これらの測定で考慮される等級は、有利には、当業者には周知の絶対等級または表面等級であり、後者は銀河または星雲などの拡張天体にとってより適切である。
【0015】
したがって、本発明の範囲では、それぞれが特定の等級の領域を観測することを意図した複数のマトリクスを提供することができる。
例として、本発明による画像取得システムは、4つの別個のマトリクスを含む。
-0~6等級(上限を含む)の天体に適合するサイズの画素を有する第1のマトリクス、
-6~10等級(上限を含む)の天体に適合するサイズの画素を有する第2のマトリクス、
-10~14等級(上限を含む)の天体に適合するサイズの画素を有する第3のマトリクス、および、
-14等級を上回る等級の天体に適合するサイズの画素を有する第4のマトリクス。
【0016】
以下の本発明の説明では、簡略にするために、一方では高い光度を有する小型天体と見なされる太陽系の惑星と、もう一方では光度の低い大型天体と見なされる星雲、または銀河団からなる天体の2つの異なる性質を主に考察する。
【0017】
しかしながら、本発明は、例えば非常に明るい小型天体と、光度の低い大型天体とを区別することにより、2つの天体の性質を定義することに限定されるものではない。
したがって、本発明は、光センサマトリクスと同じ数に対応する、2つ以上の天体の性質を定義して、観測天体をそれらのサイズおよび/またはそれらの光度に応じて分類することができる。
例として、図9では、本発明は3つの光センサマトリクスで示されているが、本発明による方法および装置は、もちろん、より多くの数の観測天体の性質/光センサマトリクスを含むことができることになる。
【0018】
異なる設計の2つの光センサマトリクスの使用(この場合、本発明の定義のこの段階では第1のマトリクスと第2のマトリクスでは画素サイズが異なる)により、ユーザは異なる性質の天体を同一装置で視覚化することができる。
光度が低い大型天体の画像を良好な解像度で取得するために、第1のセンサマトリクスが選択される。
もう1つのセンサマトリクスは、天体が大型で暗いか、または、小型で明るいかにかかわらず、より小型の、より明るい天体の画像を取得するために選択されることになる。
したがって、このような装置の製造、購入、保守、および管理のコストが大幅に削減される。
【0019】
交換可能な2種類の光センサマトリクスを使用することによって、大型または小型の天体を観測するために、2つの望遠鏡または、異なる光学機器を使用する必要がなくなることが可能である。
したがって、ユーザは、観測したい天体に応じて、センサマトリクスのいずれかを交互に選択することができる。
【0020】
本発明の目的である方法の他の有利な特徴を、以下に列挙する。
これらの特徴の各々は、単独で、または上記で定義された顕著な特性と組み合わせて考えることができる。
これらの特徴の各々は、必要に応じて、本明細書でより以前に定義され、かつ上記で定義された顕著な特徴が必ずしも関与するわけではない特定の技術的な問題の解決に貢献する。
後者は、必要に応じて、1つまたは複数の分割特許出願の対象となる場合がある。
【0021】
本発明によって提供される1つの可能性によると、第1および第2のマトリクスは、方法のすべてのステップの間、焦点面内に広がる。
【0022】
この範囲において、有利なことに、マトリクスの1つを選択するステップは、マトリクスの一方および/または他方の並進移動によって、マトリクスの1つを画像焦点内に配置するように行われる。
【0023】
本発明によって提供される別の可能性によれば、マトリクスの1つを選択するステップは、マトリクスの一方および/または他方の回転によって行われ、マトリクスの少なくとも1つは初期には焦点面内にない。
【0024】
本発明の一実施態様によると、方法は、
-可動支持体上にマトリクスを固定するステップ、
-可動支持体を移動させ、選択したマトリクスを画像焦点内に配置するステップ、
を含む。
【0025】
有利には、本発明による方法は、
-モータによって可動支持体を動力化するステップ、
-モータを制御して、可動支持体を移動させるステップ、
を含む。
【0026】
有利には、本発明による方法は、
-マトリクスを固定位置に設置するステップ、
-可動である光学要素を含む光学系を使用して、画像焦点の位置を変更するようにするステップ、
-可動光学要素を移動させ、選択したマトリクスのところに画像焦点を持ってくるようにするステップ、
を含む。
【0027】
有利には、本発明による方法は、
-モータによって可動光学要素を動力化するステップ、
-モータを制御して、可動光学要素を移動させるステップ、
を含む。
【0028】
本発明の有利な態様によれば、方法は、
-モータを処理ユニットに接続するステップ、
-モータを制御するステップ、
-装置に設置され、また処理ユニットに接続された1つまたは複数のボタンをアクティブにすることによって、または、
-制御命令を処理ユニットに送信することにより、その命令をスマートフォンから発信するステップ、
を含む。
【0029】
本発明の別の有利な態様によれば、方法は、
-天体の記録をデータベースに保存し、各記録は、マトリクスの1つと天体のリアルタイムの位置データに関連付けられるステップ、
-データベースで天体の記録を選択するステップ、
-選択した記録に関連付けられたマトリクスに応じてモータを制御するステップ、
-選択した記録に関連付けられた位置データに応じて、天体の位置に装置を自動的に向けるステップ、
を含む。
【0030】
本発明の別の有利な態様によれば、方法は、
-観測シーンで観測された天体の画像を取得し、その取得は、前記天体の性質に応じて選択されたマトリクスの1つを使用して実行されるステップ、
-観測シーンで別の天体の移動を検出するように構成されたコンピュータプロセスを実行するステップ、
-他のマトリクスを選択するステップ、
-選択した他のマトリクスに応じてモータを制御するステップ、
を含む。
【0031】
本発明の別の有利な態様によれば、方法は、
-データベースに天体の記録を保存し、各記録は、マトリクスの1つと天体の少なくとも1つの特徴的な要素に関連付けられるステップ、
-天体画像を取得し、その取得は、マトリクスの1つを使用して実行されるステップ、
-取得された画像において、前記天体の少なくとも1つの特徴的な要素を検出するように構成されたコンピュータ認識プロセスを実行するステップ、
-データベース内で、検出されたものと類似の特徴的な要素に関連する天体の記録を特定するステップ、
-特定された記録に関連付けられたマトリクスを選択するステップ、
-画像を取得したマトリクスが、選択されたマトリクスに対応しない場合、選択された前記マトリクスに応じてモータを制御するステップ、
を含む。
【0032】
本発明によって提供される1つの可能性によると、第1および第2のマトリクスは、方法のすべてのステップの間、焦点面内に広がる。
【0033】
この範囲において、有利には、マトリクスの1つを選択するステップは、マトリクスの一方および/または他方の並進移動によって、マトリクスの1つを画像焦点内に配置するように行われる。
【0034】
本発明によって提供される別の可能性によれば、マトリクスの1つを選択するステップは、マトリクスの一方および/または他方の回転によって行われ、マトリクスの少なくとも1つは初期には焦点面内にない。
【0035】
本発明の一実施態様によると、方法は、
-可動支持体上にマトリクスを固定するステップ、
-可動支持体を移動させ、選択したマトリクスを画像焦点内に配置するステップ、
を含む。
【0036】
有利には、本発明による方法は、
-モータによって可動支持体を動力化するステップ、
-モータを制御して、可動支持体を移動させるステップ、
を含む。
【0037】
有利には、本発明による方法は、
-マトリクスを固定位置に設置するステップ、
-可動である光学要素を含む光学系を使用し、画像焦点の位置を変更するようにするステップ、
-可動光学要素を移動させ、選択したマトリクスのところに画像焦点を持ってくるようにするステップ、
を含む。
【0038】
有利には、本発明による方法は、
-モータによって可動光学要素を動力化するステップ、
-モータを制御して、可動光学要素を移動させるステップ、
を含む。
【0039】
本発明の有利な態様によれば、方法は、
-モータを処理ユニットに接続するステップ、
-モータを制御するステップ、
-装置に設置され、また処理ユニットに接続された1つまたは複数のボタンをアクティブにすることによって、または、
-制御命令を処理ユニットに送信することにより、その命令をスマートフォンから発信するステップ、
を含む。
【0040】
本発明の別の有利な態様によれば、方法は、
-天体の記録をデータベースに保存し、各記録は、マトリクスの1つと天体のリアルタイムの位置データに関連付けられるステップ、
-データベースで天体の記録を選択するステップ、
-選択した記録に関連付けられたマトリクスに応じてモータを制御するステップ、
-選択した記録に関連付けられた位置データに応じて、天体の位置に装置を自動的に向けるステップ、
を含む。
【0041】
本発明の別の有利な態様によれば、方法は、
-観測シーンで観測された天体の画像を取得し、その取得は、前記天体の性質に応じて選択されたマトリクスの1つを使用して実行されるステップ、
-観測シーンで別の天体の移動を検出するように構成されたコンピュータプロセスを実行するステップ、
-他のマトリクスを選択するステップ、
-選択した他のマトリクスに応じてモータを制御するステップ、
を含む。
【0042】
本発明の別の有利な態様によれば、方法は、
-データベースに天体の記録を保存し、各記録は、マトリクスの1つと天体の少なくとも1つの特徴的な要素に関連付けられるステップ、
-天体画像を取得し、その取得は、マトリクスの1つを使用して実行されるステップ、
-取得された画像において、前記天体の少なくとも1つの特徴的な要素を検出するように構成されたコンピュータ認識プロセスを実行するステップ、
-データベース内で、検出されたものと類似の特徴的な要素に関連する天体の記録を特定するステップ、
-特定された記録に関連付けられたマトリクスを選択するステップ、
-画像を取得したマトリクスが、選択されたマトリクスに対応しない場合、選択された前記マトリクスに応じてモータを制御するステップ、
を含む。
【0043】
本発明の別の態様は、
-観測天体から来る光線が使用時に内部に侵入する中空体であり、前記観測天体は、少なくとも、第1の性質の第1の天体と、第2の性質の第2の天体から選択され、第1の天体の性質と第2の天体の性質は異なる中空体、
-中空体内に配置され、光軸を有する光学系であり、該光学系は、焦点面内に位置する画像焦点内に観測天体の画像を光線が形成するように構成されている光学系、
を含む、天体画像取得装置に関する。
【0044】
その装置は、
-各々、画像焦点内に形成された第1の天体および第2の天体の画像を取得するよう設計された複数の画素をそれぞれ含む、少なくとも第1および第2の光センサマトリクスであり、該マトリクスは各々互いに異なるサイズの画素を有するセンサマトリクス、
-2つのマトリクスのうち1つを画像焦点内に配置するように適合されたマトリクス選択装置であり、もう1つのマトリクスは前記画像焦点の外側にあり、したがって、観測天体の性質は、前記の第1の性質の第1の天体であるか、前記の第2の性質の第2の天体であるマトリクス選択装置、
を含むことで注目される。
【0045】
本発明の範囲において、光センサの2つのマトリクスが異なるサイズの画素を有するという事実は、同じマトリクス内、例えば第1または第2のアマトリクス内で、画素が同じサイズではないことを排除しない。
【0046】
この場合、マトリクスの画素の平均サイズは、画素のサイズを定義すると見なされ、「平均サイズ」という表現は、考慮されるマトリクスに様々なサイズの画素が存在することを意味するものとして定義され、マトリクスはマトリクス内のそれらの数によって加重される。
例として、マトリクスがサイズZの画素5個と、サイズZの画素5個を含む10個の画素を含むと考える場合、マトリクスの画素の平均サイズは、[Z×(5/10)+Z×(5/10)]に等しい。
【0047】
本発明の目的である装置の他の有利な特徴を以下に列挙する。
これらの特徴の各々は単独で、または上記で定義された顕著な特性と組み合わせて考えることができる。
これらの特徴は、各々、必要に応じて、本明細書でより以前に定義され、上記で定義された顕著な特徴が必ずしも関与するわけではない特定の技術的な問題の解決に貢献する。
後者は、必要に応じて、1つまたは複数の分割特許出願の対象となる場合がある。
【0048】
本発明の特に有利な態様によると、第1マトリクスおよび第2のマトリクスのサイズは異なる。
【0049】
最も広い意味では、本発明は、第2のマトリクスの画素のサイズとは異なるサイズの画素を有する光センサの第1のマトリクスによって限定される。
【0050】
しかし、本発明の範囲で提供される光学観測の仕様を考慮すると、観測天体の性質の数、したがって、対応する光センサマトリクスの数に関係なく、画素サイズの範囲を限定することができる。
同様に、マトリクスごとの画素数の範囲とマトリクスのサイズの範囲を限定できる。
【0051】
したがって、有利には、光センサの(第1および第2の)マトリクスの画素のサイズは、0.1μmから20μmの間、好ましくは0.5μmから10μmの間である。
「サイズ」という用語は、画素に関連して、画素の1つの辺(従来は正方形の形状)が限定されたサイズを持っているという事実を意味すると理解される。
【0052】
有利には、光センサの(第1および第2の)マトリクス内の画素数は、105画素(10万画素)から109画素(10億画素)の間、好ましくは106(100万)から108(1億画素)の間である。
【0053】
有利には、(第1および第2の)マトリクスのサイズは、1平方ミリメートル(mm)から1000mmの間、好ましくは5から150mmの間である。
【0054】
本発明によって提供される可能性によれば、画像焦点は固定され、マトリクスは可動である。
【0055】
有利には、マトリクスは、
-第1のマトリクスが画像焦点内に配置され、第2のマトリクスが前記画像焦点の外側に配置されている第1の位置と、
-第2のマトリクスが画像焦点内に配置され、第1のマトリクスが前記画像焦点の外側に配置されている第2の位置、
との間で可動な支持体上に固定される。
【0056】
有利には、支持体は、回転可動または並進可動である。
【0057】
本発明によって提供される別の可能性によると、マトリクスは固定され、画像焦点は可動である。
【0058】
有利なことに、光学系は、画像焦点の位置を変更させるように可動である光学要素を備える。
【0059】
本発明の一態様によれば、光学要素は、
-画像焦点を第1のマトリクスのところに持ってくる第1の位置と、
-画像焦点を第2のマトリクスのところに持ってくる第2の位置との間で可動である。
【0060】
有利には、光学系は、
-中空体内に位置決めされ、前記中空体内に侵入した光線を反射させるための主鏡、
-中空体内に位置決めされ、主鏡によって反射された光線を反射するための副鏡を備え、該副鏡は、画像焦点を主鏡の後方に持ってくるように適合され、
-マトリクスは、主鏡の後方に配置されている。
一実施態様によると、装置は望遠鏡の形態である。
【0061】
本発明の他の利点および特徴は、添付の図面を参照して、例示的かつ非限定的な例として作成された、以下の好ましい実施態様の説明を読むことにより、よりよく明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1a】第1の実施態様による交換可能なセンサマトリクスを備える、本発明による画像取得装置の、第1の観測位置内での概略的な断面図である。
図1b】第2の観測位置内の、図1aの装置を図示している。
図2】第1の実施態様による交換可能なセンサマトリクスを設置した可動支持体の概略的な正面図である。
図3a】第1の観測位置での、第2の実施態様による交換可能なセンサマトリクスを含む、本発明による画像取得装置の概略的な断面図である。
図3b】第2の観測位置内の、図3aの装置を図示している。
図4a】第1の観測位置での、第3の実施態様による交換可能なセンサマトリクスを含む、本発明による画像取得装置の概略的な断面図である。
図4b】第2の観測位置内の、図4aの装置を図示している。
図5a】第1の観測位置での、第4の実施態様による交換可能なセンサマトリクスを含む、本発明による画像取得装置の概略的な断面図である。
図5b】第2の観測位置内の、図5aの装置を図示している。
図6】観測位置での、第5の実施態様による交換可能なセンサマトリクスを含む、本発明による画像取得装置の概略的な断面図である。
図7】観測位置での、第6の実施態様による交換可能なセンサマトリクスを含む、本発明による画像取得装置の概略的な断面図である。
図8】観測位置での、第7の実施態様による交換可能なセンサマトリクスを含む、本発明による画像取得装置の概略的な断面図である。
図9】観測位置での、第8の実施態様による交換可能なセンサマトリクスを含む、本発明による画像取得装置の概略的な断面図である。
図10】観測位置での、第9の実施態様による交換可能なセンサマトリクスを含む、本発明による画像取得装置の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
明確にするために、本発明は、1つまたは複数の「情報処理プロセス」に言及する。
これらは、さまざまな情報処理アプリケーションの命令の実行によって得られるアクションまたは結果に対応する。
また、本発明の意味において、「情報処理プロセスが何かを行うように適合されている」とは、「処理ユニットによって実行される情報処理アプリケーションの命令が何かを行う」ことを意味することも理解する必要がある。
【0064】
本明細書で使用するように、別段の指定がない限り、対象を説明するための「第1の」、「第2の」などの序数の形容詞の使用は、類似した対象の異なる場合が言及されていることを単に示しているに過ぎず、このように記載された対象が、時間、空間、分類、またはその他のあらゆる方法であれ、特定の順序である必要があることを意味するものではない。
【0065】
本発明の対象である装置30は、大型天体および小型天体を同時に観測するために使用される。
これらの天体は、惑星、星、星雲、銀河などであり得る。
望遠鏡であることが好ましいが、装置はカメラまたはビデオカメラの形態であってもよい。
明確にするために、また例示のみを目的として、以下の説明では、異なる性質の天体、特に小型の、比較的明るい天体50(例えば、惑星、月)および大型の、より暗い天体51(星雲、銀河など)の観測に適した天体望遠鏡だけを参照する。
【0066】
添付図面において、望遠鏡30は、特に中空体302を含み、使用時に、観測天体50、51から来る光線34がその内部に侵入する。
中空体302は、光線34が侵入する第1の端部300と、前記第1の端部の反対側にある第2の端部301とを有する。
【0067】
中空体302は、円形断面の中空管の形態であることが好ましいが、楕円形、正方形、八角形、または他の断面の管であってもよい。
中空体302は、必ずしも管状である必要はなく、円錐形であってもよいし、例えば管または円錐の部分から形成されてもよいことが明記されている。
中空体302は、プラスチック材料、複合材料などで作製することができる。
例えば、その長さは、200mm~400mmの間、その直径は50mm~500mmの間、その厚さは1mm~10mmの間である。
【0068】
光学系31、382、383は、光軸32を有する中空体302内に配置される。
光学系は、焦点面33内に観測天体50、51の画像を光線34が形成するように構成される。
【0069】
望遠鏡は、光軸32を有する。
本発明の意味において、光軸とは、光学系31、382、383の各光学素子の中心を通過する線を意味する。
光軸32は、(例えば、第1、第2、第5、第7、第8、および第9の実施態様におけるように)望遠鏡30の対称軸と合体した直線軸である。
しかしながら、光軸32が非直線であり、主光軸(対称軸と合体する)と副光軸(可動ミラー381とセンサマトリクス361、362、363との間)に分割される他の構成も可能であり、このタイプの構成は、例えば、第3、第4、および第6の実施態様に示されている。
【0070】
望遠鏡は、光軸32と光線34との間の交点に画像焦点330を有する。
好ましくは、画像焦点330は、焦点面33内にある。
【0071】
中空体302内には、画像焦点330に形成された、観測天体50、51の画像を取得するように構成された少なくとも2つの光センサマトリクス361、362が配置される。
また、3つ(図9に示すように)の、または、それ以上の光センサマトリクスを想定することも可能であり、これにより、より広い範囲の解像度を取得できるようになり、ユーザは、より大きなカテゴリの天体(例えば、中型の天体、またはアンドロメダ銀河のような非常に大型の天体)を観測すること、さらに、観測天体の性質に応じて解像度を調整することも可能になる。
【0072】
第1のマトリクス361および第2のマトリクス362は、異なる性質の天体50、51の観測に適合するように異なる構成を有する。
【0073】
マトリクス361、362は、例えば、CCDセンサ(英語のCharged Coupled Deviceの頭字語)またはCMOS(英語のComplementary Metal Oxide Semiconductorの頭字語)のマトリクスであり、このタイプのマトリクスは縮小された寸法を有しており、それによって、装置30に容易に設置することができる。
それらは光センサの配列で構成され、各センサは画素の形態である。
これらの画素は、それらが設置されているマトリクス361、362に応じて、異なるサイズおよび解像度を示す。
各種類のマトリクスは、観測天体の種類に適応している。
マトリクスは、そのサイズ、画素サイズ、および画素数によって特徴付けられる。
マトリクスのサイズは、視野に影響する。
画素のサイズとその数は、解像度と感度に影響する。
【0074】
視野を決定するのは、マトリクスのサイズである。
実際、マトリクスが大きいほど、観測される空の部分が広くなる。
そのため、星雲や遠方の空の天体など、広がった天体を観測することが可能になる。
逆に、より小さいマトリクスを使用すると、観測される空の部分がさらに減少する。
視野が限られているため、惑星などのより小型の天体しか観測できない。
【0075】
以下の説明では、第1のマトリクス361は最大サイズを有するとされ、大型天体51を観側するのに適している。
その面積は、例えば、50mmから150mmの間である。
第2のマトリクス362は最小サイズを有するとされ、小型天体50を観側するのに適している。
その面積は、例えば、5mmから15mmの間である。
これらの特にコンパクトなマトリクス361、362は、それらを中空体302に容易に組み込むことを可能にする。
【0076】
望遠鏡30の光学解像度は、一般に光学系31のミラーまたはレンズの寸法によって定義される。
センサマトリクスの画素のサイズは、観測画像のデジタル解像度を決定し、間接的にズーム撮影の可能性を決定する。
実際、画素サイズが小さくなるほど、デジタル解像度が向上する。
また、デジタル解像度を上げることで、観測画像の一部の高品質な拡大を実現することができる。
逆に、デジタル解像度が低い場合、拡大の品質は低下する。
デジタル望遠鏡の解像度は、光学系とセンサマトリクスの間の最も解像度の低い要素によって決定する。
したがって、望遠鏡30の光学解像度よりも小さい画素サイズを使用することは興味深いことではない。
【0077】
画素サイズもまた、光に対する感度に影響する。
サイズの小さい画素は、感度が低い。
逆に、サイズの大きい画素は、より高感度である。
ユーザが例えば、非常に明るい惑星などの小型天体50を観測する場合、高い感度は必要ではない。
したがって、小型天体50の観測は、感度の低いサイズの小さい画素で行うことができるため、惑星の表面の詳細(例:嵐、クレーターなど)を観測することを可能にするデジタル解像度に集中できる。
逆に、ユーザが、例えばあまり明るくない星雲などの大型天体51を観測する場合、光に対して高い感度を有することが有利である。
これらの天体は大型であるため、詳細(ガス雲、銀河の腕)を観測するために非常に高い解像度を有する必要はない。
【0078】
一実施態様によれば、サイズの小さい画素は、例えば、0.5μmから2μmの間の長さを有する辺を有する。
サイズの大きい画素は、例えば、2μmから10μmの間の長さを有する辺を有する。
【0079】
各マトリクス361、362は、(好ましくはカラー画像を生成する)画素の配置を含むCCD(英語のCharged Coupled Deviceの頭字語)またはCMOS(英語のComplementary Metal Oxide Semiconductorの頭字語)センサであることが好ましい。
このタイプのマトリクスは、寸法が縮小されているため、設置が簡単である。
【0080】
第1のマトリクス361はサイズの大きい画素を含み、第2のマトリクス362はサイズの小さい画素を含む。
したがって、望遠鏡30は、良好なデジタル解像度が望まれる明るい小型天体50と、光に対する良好な感度が望まれるより暗い大型天体51の両方の最適な観測を単独で可能にする。
【0081】
マトリクス361、362の光センサは、画像焦点330における天体50、51の画像の取得から得られるデータ(または電気信号)を生成することを可能にする感光性構成要素である。
光センサによって生成される電気信号は、画像処理電子ユニット39に転送される。
マトリクス361、362とユニット39との間の接続は、例えば非限定的な例として、Bluetooth(登録商標)、Wifi(登録商標)、Zigbee(登録商標)プロトコルなどの近接通信プロトコルに応じて、有線または無線で行うことができる。
第1のマトリクス361および第2のマトリクス362は、両方とも同じユニット39に接続され、2つの前記マトリクスからのデータは同じスクリーン40上で観測される。
【0082】
ユニット39は、プロセッサ、マイクロプロセッサまたはCPU(中央処理装置)の形態のコンピュータ、メモリ、および一般に、天体のデジタル画像の形成のためのマトリクス361、362から受信した電気信号の処理を確実にすることを可能にする情報処理リソースを備える。
これらの構成要素は、好ましくは、ユニット39のすべての電子構成要素を単一の場所、および単一の支持体上にまとめることを可能にする電子カードに取り付けられる。
この構成により、望遠鏡30に組み込まれる電子カードの数を最小限に抑え、配線の数を減らすことが可能になる。
さらに、ユニット39の製造、望遠鏡30への装置の設置、および必要に応じてのメンテナンスは、それによって非常に容易になる。
【0083】
ユニット39によって生成されたデジタル画像は、スクリーン40上に表示される。
スクリーン40は、ユニット39と前記スクリーンとが容易に操作される単一成型アセンブリを形成するように、電子カードに固定されることができる。
この場合、フラットスクリーン、例えば多色の、LCD(液晶ディスプレイ用)またはOLED(有機発光ダイオード用)液晶スクリーンが有利に使用される。
【0084】
別の実施態様によれば、スクリーン40は、ユニット39および電子カードから分離されている。
それは、中空体302から物理的に離れている。
この実施態様では、スクリーン40は、例えば、スマートフォンまたはタッチパッドのスクリーンなど、ユーザのモバイル端末のスクリーンとすることができる。
ユニット39とスクリーン40との間の接続は、有線リンク(例えば、USBケーブルによる)を介して、または無線リンクを介して、例えば非限定的な例として、Bluetooth(登録商標)、Wifi(登録商標)、Zigbee(登録商標)プロトコルなどの近接通信プロトコルに応じて、行うことができる。
この実施態様は、スクリーン40のサイズが考慮されていないので、望遠鏡30のコンパクト性を高めることを可能にする。
【0085】
[第1の実施態様(図1aおよび図1b)]
この実施態様では、画像焦点330は固定されており、マトリクス361、362は回転可能である。
画像焦点330は、ここでは中空体302の対称軸に垂直であり、その軸は光軸32と一致する。
【0086】
図1aおよび1bにおいて、光学系は、中空体302の内部に配置され光軸32を中心とするレンズ31を含む。
光線34はレンズ31によって屈折され、画像焦点330内に観測天体50、51の画像を形成する。
前記レンズの形状および寸法は、中空体302の形状および寸法に適合される。
望遠鏡30の動作は、第1の実施態様を参照して説明したものと同一である。
【0087】
第1のマトリクス361および第2のマトリクス362は、中空体302内に設置された可動支持体35上に、第2の端部301の近傍で固定される。
【0088】
可動支持体35は、例えば鋼、炭素、またはプラスチック材料で作製されており、したがって、その設計は単純で、安価であり、長期間にわたって耐久性がある。
可動支持体35は、形状が円形であることが好ましいが、正方形、八角形、楕円形などであってもよい。
一般に、可動支持体35の形状および寸法は、マトリクス361、362の寸法に適合される。
例として、その面積は、2cmから8cmの間である。
これらの縮小された寸法により、装置30内で最小限のスペースを使用することが可能になる。
【0089】
図2に示される可動支持体35は、回転軸351を中心に回転可動のホイールの形状をしている。
回転軸は、焦点面33内にあり、光軸32に垂直である。
ホイールは、円形、楕円形、正方形、長方形などであり得る。
可動支持体35は、マトリクス361、362を収容するための少なくとも2つの設備を有する。
【0090】
小型天体50を観測するための支持体35の位置を図1aに示し、大型天体51を観測するための支持体35の位置を図1bに示す。
【0091】
ユーザが小型天体50を観測するとき、可動支持体35は、第2のマトリクス362が画像焦点330に位置するように配置される(本発明の意味において、その感光面が焦点画像にあることが理解される)。
第1のマトリクス361は、焦点面33内に置かれたままであるが、画像焦点330の外にある。
第2のマトリクス362は「アクティブ」であり、第1のマトリクス361は「非アクティブ」であると言われる。
【0092】
ユーザが大型天体51を観測するとき、可動支持体35は、第1のマトリクス361が画像焦点330内に位置するように配置される(第1のマトリクスはアクティブである)。
第2のマトリクス362は、焦点面33内に配置されたままであるが、画像焦点330の外側にある(第2のマトリクスは非アクティブである)。
したがって、可動支持体35によって選択されたマトリクス361、362のアクティブ化は、観測天体50、51の性質に応じて実行される。
【0093】
選択されたマトリクス361または362のアクティブ化は、支持体35をその回転軸351の周りに回転させることによって実行される。
したがって、支持体35は、少なくとも2つの位置、すなわち、第1のマトリクス361がアクティブである第1の位置と第2のマトリクス362がアクティブである第2の位置との間で可動である。
可動支持体35は、また、使用されるマトリクスの数に応じて、第3および/または第4の位置を有することもできる。
【0094】
一実施態様によれば、選択されたマトリクス361または362のアクティブ化は、ユーザが可動支持体35を所望の位置に回転させることによって手動で行われる。
図2では、可動支持体35は、装置30に挿入されるが、中空体302から突出するアクセス可能な部分を有する。
このアクセス可能な部分を操作することにより、ユーザは支持体35を時計回りまたは反時計回りに手動で回転させ、マトリクス361、362の一方または他方をアクティブ化することができる。
この回転を容易にするために、可動支持体35は有利には、ローレットの形状を有する。
ユーザがどのマトリクス361、362が使用されているかを知ることができるように、可動支持体35は、有利には、図2に示したように、その周囲に目印350のシステムを有する。
目印は、例えば、様々なサイズまたは刻印(色、数字など)のノッチの形態であり得る。
【0095】
別の実施態様によれば、可動支持体35は、モータによって動力化され、この場合、装置30に完全に統合することができる。
可動支持体35のモータは、例えば、処理ユニット39に接続される。
これにより、モータが駆動されて、可動支持体35が、アクティブ化されるマトリクスに応じて、第1の位置または第2の位置に移動する。
次いで、例えば、装置30上に配置され、処理ユニット39に接続される1つまたは複数のボタンのアクティブ化に続いて、可動支持体35の位置の変更が半自動的に実行される。
【0096】
可動支持体35のモータは、また、ユーザのスマートフォンから発信された制御命令を処理ユニット39に送信することによって制御することもできる。
これらの命令は、例えば、スマートフォンのグラフィックインターフェイスに表示される1つまたは複数の専用ボタンのアクティブ化に続いて発信される。
この場合、スマートフォンは、例えばWifi(登録商標)またはBluetooth(登録商標)接続を介して、処理ユニット39と通信し、それに制御命令を送信するのに適している。
これらの制御命令を受信すると、処理ユニット39は、可動支持体35のモータを制御して、選択されたマトリクス361または362をアクティブ化させる。
【0097】
さらに別の実施態様によれば、可動支持体35のモータの制御は自動的に行われる。
次に、選択されたマトリクス361または362が、ユーザが介入する必要なしにアクティブ化される。
自動アクティブ化のさまざまな場合を示すことが可能である。
以下に示す事例は本発明を限定するものではなく、他の用途も考えられる。
【0098】
第1の場合では、ユーザは自分の望遠鏡30を天球の観測範囲に向ける。
処理ユニット39は、当業者に知られている主要な天体が記録されているデータベースに接続されている。
このデータベースは、望遠鏡30に統合することができる。
一変形実施態様では、データベースは望遠鏡30から離れており、例えば処理ユニット39が接続されているリモートサーバにホスティングされている。
この場合、ユニット39のデータベースへの接続は、内部型通信ネットワーク、3G、4G、5Gなどを介して行うことができる。
【0099】
各天体記録は、データベース内で、例えばそのサイズ、その光度および/または最適なデジタル解像度に応じて、前記天体の観測に最も適したマトリクス361、362と関連付けられる。
さらに、各記録は、
-対応する天体の1つまたは複数の特徴的な要素、例えば、そのサイズ、その模様、その光度など、および/または、
-リアルタイムでの、前記天体の位置データ(または天体座標)に好適には関連付けられる。
【0100】
ユーザがデータベース内の天体の記録を選択すると、望遠鏡30自体が前記天体を指し示す。
処理ユニット39は、取得期間、すなわち、ユーザがデータベース内の記録を選択した瞬間に対応する時間データtを記録する。
次に、処理ユニット39は、時刻tにおける天体の天体座標を求めてデータベースを検索する。
例えば、GPS(「全地球測位システム」またはフランス語でナビゲーションアシスタント)による望遠鏡30の地上位置データと、例えば加速度計による前記望遠鏡の方向データとの相関によって、処理ユニット39は、搭載電動装置を作動させ、選択された天体50、51の位置に前記望遠鏡を自動的に向けることができる。
さらに、処理ユニット39は、モータを制御して選択された記録に関連し、この天体の観測に最も適したマトリクスをアクティブ化することができる位置に、支持体35を移動させる。
したがって、画像を最適に取得することが可能である。
【0101】
第2の場合では、ユーザは天体を観測し、この天体の観測に最適なマトリクス361、362をアクティブ化してその画像を取得する。
別の天体が、視野(または観測シーン)内で移動する。
ユーザは、例えば、アクティブな第2のマトリクス362で、小型天体50(惑星)を観測する。
そのとき、小惑星が視野を通過する。
処理ユニット39は、観測シーンにおける他の天体の通過を検出するように構成されたコンピュータ処理を実行する。
このプロセスは、例えば、動き検出に基づく。
そのとき、ズームアウトして観測シーンを広げ、小惑星をより長く観測することが有利で有り得る。
次に、第1のマトリクス361が選択される。
次に、処理ユニット39は、モータを制御して、第1のマトリクス361をアクティブ化し、第2のマトリクス362を非アクティブ化することができる位置に、支持体35を移動させる。
このマトリクスの自動変更は、ユーザが最初に大型天体51を(アクティブな第1のマトリクス361で)観測し、ズームして、観測シーンを狭めることが有利なときにも実行できる。
【0102】
第3の場合では、ユーザが自分の望遠鏡30を特定の天体50、51に向けると、マトリクス361、362の1つが前記天体の画像を取得する。
次いで、取得された画像は、処理ユニット39によって分析される。
この分析は、少なくとも1つの特徴的要素を検出するように構成されたコンピュータ認識処理を実行することによって、例えば閾値による分析を実施することによって実行される。
必要に応じて、当業者は、そのようなコンピュータ認識処理についての詳細を、仏国特許第3054897号明細書および/または米国特許出願公開第2019/196173号明細書を特に参照することができる。
特定の特徴的要素が検出されると、処理ユニット39は、検出されたものと類似の特徴的要素に関連する天体の記録をデータベース内で識別する。
類似の特徴的要素が検出されるとすぐに、この記録に関連付けられたマトリクス361、362と同様に、対応する天体の記録が識別される。
【0103】
処理ユニット39は、記録に関連するマトリクスを選択し、制御命令を可動支持体35のモータに送信して、前記対応するマトリクスをアクティブ化する。
画像を取得したマトリクス361、362が正しいものである場合、それはアクティブのままであり、支持体35は動かない。
逆に、画像を取得したマトリクス361、362が正しいものでない場合、処理ユニット39はモータを制御して、支持体35を他のマトリクスをアクティブ化することができる位置に移動させる。
したがって、画像を最適に取得することができる。
【0104】
[第2の実施態様(図3aおよび3b)]
この実施態様では、画像焦点330は固定されており、マトリクス361、362は並進可動である。
【0105】
可動支持体35は、例えば、マトリクス361、362が固定されるプレートまたは形鋼の形態である。
これらのマトリクス361、362は、焦点面33内に配置される。
可動支持体35は、有利には、その並進移動を案内するためにスライド上に取り付けられる。
【0106】
選択されたマトリクス361または362のアクティブ化は、少なくとも下記の2つの位置の間で支持体35を移動させることによって実行される。
第1のマトリクス361がアクティブであり(画像焦点330内に配置され)、第2のマトリクス362が非アクティブである(焦点面33内および、画像焦点330の外側に配置される)、第1の位置。
第2のマトリクス362がアクティブであり(焦点面33内および、画像焦点330内に配置される)、および第1のマトリクス361が非アクティブである(焦点面33内および、画像焦点330の外側に配置される)、第2の位置。
可動支持体35は、また、使用されるマトリクスの数に応じて、1つまたは複数の他の位置を有することができる。
【0107】
第1の実施態様を参照して前述したように、選択されたマトリクス361または362のアクティブ化は、可動支持体35を手動で移動させることによって、または、前記支持体を動力化して、半自動または自動的に移動させることによって行うことができる。
モータ制御モードは、第1の実施態様を参照して前述したものと同じである。
【0108】
装置30の機能は、第1の実施態様を参照して前述したものと類似である。
【0109】
[第3の実施態様(図4aおよび4b)]
この実施態様では、画像焦点330は可動であり、マトリクス361、362は固定されている。
【0110】
ここでは、光学系は、画像焦点330の位置を変更させるように適合された可動光学要素381を有する。
図4aおよび4bでは、マトリクス361、362は、中空体302内の固定位置に、前記中空体の左右対称の軸に対して対称に設置される。
すなわち、マトリクス361、362は、各々、中空体302の片側に配置される。
【0111】
可動光学要素381は、有利には、平面ミラーの形状であり、前記ミラーの光学中心を通る水平軸の周りを回転するように可動に取り付けられる。
ミラー381の傾きを変更させることによって、レンズ31によって屈折された光線34が偏向され、その結果、画像焦点330を、第1のマトリクス361または第2のマトリクス362のところに持ってくる。
【0112】
ミラー381の第1の傾斜位置(図4b)では、第1のマトリクス361はアクティブ(画像焦点330内に位置する)であり、第2のマトリクス362は非アクティブ(画像焦点330の外に位置する)である。
ミラー381の第2の傾斜位置(図4a)では、第2のマトリクス362はアクティブ(画像焦点330内に位置する)であり、第1のマトリクス361は非アクティブ(画像焦点330の外に位置する)である。
ミラー381は、使用されるマトリクスの数に応じて、1つまたは複数の他の傾斜位置を有することができる。
したがって、選択されたマトリクス361または362をアクティブ化することを可能にするのは、可動光学要素381の変位である。
【0113】
より一般的には、選択されたマトリクスをアクティブ化するために、可動光学要素381を移動させ、画像焦点330を前記マトリクスのところに戻す。
【0114】
他の実施態様を参照して前述したように、選択されたマトリクス361または362のアクティブ化は、ミラー381を手動で移動させることによって、または、前記ミラーを動力化して、半自動または自動的に移動させることによって行うことができる。
モータ制御モードは、他の実施態様を参照して前述したものと同じである。
【0115】
装置30の機能は、他の実施態様を参照して前述したものと類似である。
【0116】
[第4の実施態様(図5aおよび5b)]
この実施態様は、第3の実施態様に類似している。
画像焦点330は可動であり、マトリクス361、362は固定されている。
可動光学要素381は、画像焦点330の位置を変更させるように適合される。
【0117】
しかしながら、マトリクス361、362は、ここでは中空体302の同じ側に配置され、例えば、固定された共通の支持体35に並んで設置される。
第3の実施態様では、ミラー381は、2つの傾斜位置の間で90°回転しなければならない。
【0118】
第4の実施態様の構成では、ミラー381の角偏向は、マトリクス361、362のどちらか一方をアクティブ化するためにより小さい(例えば数度)。
したがって、マトリクスのアクティブ化はより高速である。
【0119】
選択されたマトリクス361または362のアクティブ化および装置30の動作は、第3の実施態様を参照して記載したものと同一である。
【0120】
[第5の実施態様(図6)]
この実施態様は、第2の実施態様に類似している。
画像焦点330は固定され、マトリクス361、362は可動である。
【0121】
しかしながら、光学系は、第2の端部301の側で、中空体302内に配置された主鏡382を備える。
この主鏡382は、光線34を反射し、画像焦点330に配置された可動支持体35に向かって収束させる。
【0122】
マトリクス361、362が固定される可動支持体35は、好ましくは、主鏡382によって反射される接線光線と干渉しないように、第1の端部300の側で、中空体302の3分の1内に配置される。
【0123】
支持体35は、回転可動または並進可動であり得る。
選択されたマトリクス361または362のアクティブ化および装置30の動作は、前述した、マトリクスが可動である前記のものと同一である。
【0124】
[第6の実施態様(図7)]
この実施態様は、第5の実施態様と類似である。
しかしながら、可動支持体35は、中空本体302の外側で、前記本体の壁に作製されたレイアウト303内に設置される。
【0125】
固定された平面ミラー381は、主鏡382によって反射された光線34を偏向させ、画像焦点330がレイアウトのところに位置するようにする。
このように、可動支持体35およびマトリクス361、362を中空体302の外にずらすことによって、第1の端部300の開口部が覆い隠されないようにして、最大限の光線34を侵入させることが保証される。
可動支持体35およびマトリクス361、362は、光線34と干渉しないので、したがって、光度の損失はない。
【0126】
支持体35は、回転可動または並進可動であり得る。
選択されたマトリクス361または362のアクティブ化および装置30の動作は、マトリクスが可動である前記のものと同一である。
【0127】
[第7の実施態様(図8)]
この実施態様では、光学系は、
中空体302内に位置決めされ、前記中空体内に侵入する光線34を反射する主鏡382、
中空体302内に位置決めされ、主鏡382によって反射された光線を反射する副鏡383を含む。
そのような光学系は、主鏡382のみを備える望遠鏡と同一の焦点距離を維持しながら(例えば、図6および7に示されるように)、中空体302の長さを減少させることを可能にする。
【0128】
主鏡382および副鏡383は、前記中空体302の対称軸と一致する光軸32上にある。
これらのミラーは、純粋な反射を有する。
【0129】
主鏡382は、好ましくは、焦点比が低い(好ましくは5未満)凹面放物面鏡である。
このタイプのミラーは、球面収差を除去することができる。
主鏡382の直径は、中空体302の内径に実質的に対応する。
この主鏡382は、その中心に、光軸32と同軸の開口部3820を有する。
【0130】
主鏡382は、中空体302の第2の端部301の近傍に配置される。
副鏡383は、中空体302内に、第1の端部300のところに位置決めされる。
中空体302の内部に副鏡383を設置して、望遠鏡30の取り扱いおよび操作中にその物理的完全性を維持することを可能にする。
【0131】
副鏡383は、焦点面33を主鏡382の後方に持ってくるように適合され、反射された光線は、開口部3820を介して通過する。
この構成により、焦点距離および中空体302の長さを減少させ、実際、比較的大きな直径を有する主鏡382を維持しながら、焦点比を減少させることが可能である。
したがって、望遠鏡30は特に軽量でコンパクトである。
【0132】
副鏡383は、凹面または凸面であることができる。
しかしながら、好ましくは平面ミラーが使用される。
平面ミラーの使用には、いくつかの利点がある。
これにより、焦点面33を主鏡382の後方に対称に戻すことができ、その結果、光学系の焦点距離を戻すことができる。
それは、また、設計もシンプルで安価なミラーである。
したがって、望遠鏡30の全体的なコストが削減される。
さらに、平面ミラー383と主鏡382との心合わせを達成するのがより容易であり、これは組立時間および人件費を削減する。
平面ミラーを使用すると、また、直径が主鏡382の直径よりも明らかに小さい副鏡を使用することも可能になり、その結果、前記主鏡は、中空体32に侵入する光線34をほとんど覆い隠さない。
【0133】
光度の損失を減らし、解像度を向上させるために、より小さな直径の平面副鏡383が使用される。
有利な実施態様によれば、副鏡383は、主鏡382の直径の半分に等しい直径を有する。
したがって、主鏡382の表面および第1の端部300のわずかな部分だけが遮られる。
次に、十分な量の光が望遠鏡30に侵入し、主鏡382によって反射され、ユーザは光のかすかな大型天体を正確に観測できるようになる。
一例として、副鏡383の直径は、50mmから500mmの間の直径を有する主鏡382に対して25mmから250mmの間にある。
【0134】
マトリクス361、362は、主鏡382によって反射された光線34とも、副鏡383によって反射された光線とも干渉しないように、画像焦点330内に配置される。
これにより、アクティブマトリクス361または362によって収集される光が最適化され、副鏡383の存在による解像度の損失は最小限に抑えられる。
さらに、光学系382、383を操作および/または乱す必要なしに、マトリクス361、362へのアクセスがより容易になり、したがって、それらの設置および/または交換がより迅速かつより容易になる。
【0135】
図8では、焦点面33および画像焦点330は固定されており、マトリクス361、362は可動である。
【0136】
マトリクス361、362が固定されている支持体35は、回転可動または並進可動であり得る。
選択されたマトリクス361または362のアクティブ化および装置30の動作は、マトリクスが可動である前記のものと同一である。
【0137】
別の変形実施態様によれば、画像焦点330は可動であり、マトリクス361、362は固定である。
特に、第3または第4の実施態様を参照して前述したような解決法を想定することができる。
平面ミラータイプの可動光学要素は、この場合、主鏡382の後方に設置され、画像焦点330の位置を変更させる。
この可動光学要素の傾きを変更することによって、副鏡383によって反射された光線が偏向され、その結果、画像焦点330は、第1のマトリクス361または第2のマトリクス362のところに位置する。
後者は、第3の実施態様のように、反対の方法で配置することができる。
選択されたマトリクス361または362のアクティブ化および装置30の動作は、第3の実施態様を参照して前述したものと同一である。
また、第4の実施態様と同様に、マトリクス361と362を同じ側に設置することもできる。
選択されたマトリクス361または362のアクティブ化および装置30の動作は、したがって、第4の実施態様を参照して前述したものと同一である。
【0138】
[第8の実施態様(図9)]
この実施態様は、第2の実施態様と類似であり、画像焦点330は固定されており、マトリクスは可動である。
【0139】
しかしながら、可動支持体35は、3つの別個のマトリクスを含む。
第3のマトリクス363は、第1のマトリクス361および第2のマトリクス362とは異なる設計を有する。
第3のマトリクス363は、中間のサイズを有し、大型(例えば、星雲)ではあるが、そのサイズは銀河などのより大きな他の天体(このタイプの天体の観測には第1のマトリクス361がより適している)よりも小型の天体を観測するのに適している。
その面積は、例えば、1.5mmから0.5cmの間である。
その画素は、例えば、2μmから5μmの間の長さを有する辺を有する。
【0140】
支持体35は、回転可動または並進可動であり得る。
選択されたマトリクス361、362、または363のアクティブ化および装置30の動作は、マトリクスが可動である前述のものと同一である。
【0141】
一変形実施態様によると、画像焦点330は可動であり、マトリクス361、362、363は固定されている。
この場合、光学系の可動光学要素が画像焦点330の位置を変更させるために設けられる。
選択されたマトリクス361、362、または363のアクティブ化および装置30の動作は、マトリクスが固定されている前述のものと同一である。
【0142】
[第9の実施態様(図10)]
この実施態様は、第1の実施態様と類似であり、画像焦点330は固定されており、マトリクス361、362は回転可動である。
【0143】
ここで、可動支持体35は、焦点面33に平行で、光軸32に垂直な回転軸351の周りを回転するように可動である。
可動支持体35は、例えば、円筒形、ドラム形、または別の形状とすることができる。
アクティブマトリクスは、画像焦点330内、焦点面33内および光軸32上に位置し、一方、非アクティブマトリクスは焦点面の外側および前記光軸上に位置する。
【0144】
選択されたマトリクス361、362または363のアクティブ化および装置30の動作は、マトリクスが回転可動である前述のものと同一である。
【0145】
一実施態様でのみ開示される一つまたは複数の特徴は、別の実施態様でのみ開示される一つまたは複数の他の特徴と組み合わせることができる。
【0146】
前述の実施態様における本発明の様々な要素および/または手段および/またはステップの構成は、すべての実装においてそのような構成を必要とするものとして理解されるべきではない。
別の実施態様が提供される場合があり、特に、
可動光学要素381は、必ずしも平面ミラーである必要はなく、凸面ミラー、または反射要素、例えば反射ブレードであってもよい。
第7の実施態様では、副鏡383は、主鏡382と前記副鏡との間に焦点面33を持ってくるように構成されることができる。
そのとき、マトリクス361、362は、この焦点面内に位置できるように配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0147】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0028212号明細書
【符号の説明】
【0148】
30 装置
31 光学系
32 光軸
33 焦点面
34 光線
35 可動支持体
39 画像処理電子ユニット
40 スクリーン
50 観測天体
51 観測天体
300 第1の端部
301 第2の端部
302 中空体
303 レイアウト
330 画像焦点
350 目印
351 回転軸
361 光センサマトリクス
362 光センサマトリクス
363 光センサマトリクス
381 可動光学要素
382 主鏡
383 副鏡
3820 開口部
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】