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特表2023-518206背部痛を予防および/または治療するためのニコチンアミドモノヌクレオチドまたはその誘導体のいくつかの使用、ならびに対応する組成物
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  • 特表-背部痛を予防および/または治療するためのニコチンアミドモノヌクレオチドまたはその誘導体のいくつかの使用、ならびに対応する組成物 図1
  • 特表-背部痛を予防および/または治療するためのニコチンアミドモノヌクレオチドまたはその誘導体のいくつかの使用、ならびに対応する組成物 図2
  • 特表-背部痛を予防および/または治療するためのニコチンアミドモノヌクレオチドまたはその誘導体のいくつかの使用、ならびに対応する組成物 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-28
(54)【発明の名称】背部痛を予防および/または治療するためのニコチンアミドモノヌクレオチドまたはその誘導体のいくつかの使用、ならびに対応する組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/706 20060101AFI20230421BHJP
   C07F 9/09 20060101ALI20230421BHJP
   A61K 31/7084 20060101ALI20230421BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230421BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20230421BHJP
   A61P 29/02 20060101ALI20230421BHJP
   C07H 21/02 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
A61K31/706
C07F9/09 U CSP
A61K31/7084
A61K45/00
A61P25/04
A61P29/02
C07H21/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555073
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(85)【翻訳文提出日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 EP2021056318
(87)【国際公開番号】W WO2021180915
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】2002475
(32)【優先日】2020-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522361674
【氏名又は名称】ヌバミド エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ベルモンド, ギョーム
(72)【発明者】
【氏名】ギャルソン, ローラン
【テーマコード(参考)】
4C057
4C084
4C086
4H050
【Fターム(参考)】
4C057AA03
4C057BB03
4C057CC03
4C057DD01
4C057MM02
4C084AA19
4C084MA16
4C084MA22
4C084MA28
4C084MA63
4C084NA05
4C084ZA081
4C084ZA082
4C084ZA942
4C084ZB112
4C084ZC082
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA16
4C086MA22
4C086MA28
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA08
4C086ZC75
4H050AA01
4H050AB21
4H050AB22
(57)【要約】
本発明は、背部痛、例えば、腰背部痛、背部痛または頸部痛、好ましくは慢性腰背部痛の予防および/または治療におけるその使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド、その薬学的に許容される誘導体のうちの1つ、またはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、ならびにこれらを含む組成物に関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背部痛(a back pain)の予防および/または治療における、局所投与を介したその使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
NMNの薬学的に許容される誘導体が、背部痛の予防および/または治療における局所投与を介したその使用のための、ジヒドロニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN-H)、アルファ-NMN、式(I)を有する化合物
【化1】
、またはこれらの薬学的に許容される、立体異性体、塩、水和物、溶媒和物、もしくは結晶のうちの1つ(式中、
-Xは、O、CH、S、Se、CHF、CFおよびC=CHの中から選択され;
-Rは、H、アジド、シアノ、(C~C)アルキル、(C~C)チオ-アルキル、(C~C)ヘテロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、Hおよび(C~C)アルキルから選択され;
-R、R、RおよびRは、互いに独立して、H、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、(C~C12)アルキル、(C~C12)チオ-アルキル、(C~C12)ヘテロアルキル、(C~C12)ハロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、H、(C~C12)アルキル、C(O)(C~C12)アルキル、C(O)NH(C~C12)アルキル、C(O)O(C~C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C~C12)アルキルアリール、C(O)NH(C~C12)アルキルアリール、C(O)O(C~C12)アルキルアリール、およびC(O)CHRAANHの中から選択され;ここで、RAAは、タンパク質原生アミノ酸から選択される側鎖であり;
-Rは、H、アジド、シアノ、(C~C)アルキル、(C~C)チオ-アルキル、(C~C)ヘテロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、Hおよび(C~C)アルキルから選択され;
-Rは、H、P(O)R10、およびP(S)R10、および
【化2】
の中から選択され、ここで、nは、1または3から選択される整数であり;ここで、
-RおよびR10は、互いに独立して、OH、OR11、NHR13、NR1314、(C~C)アルキル、(C~C)アルケニル、(C~C)アルキニル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C12)アリール、(C~C)アルキルアリール、(C~C)アリールアルキル、(C~C)ヘテロアルキル、(C~C)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびNHCHRA’C(O)R12の中から選択され;ここで:
-R11は、(C~C10)アルキル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C18)アリール、(C~C10)アルキルアリール、置換(C~C12)アリール、(C~C10)ヘテロアルキル、(C~C10)ヘテロシクロアルキル、(C~C10)ハロアルキル、ヘテロアリール、-(CHC(O)(C~C15)アルキル、-(CHOC(O)(C~C15)アルキル、-(CHOC(O)O(C~C15)アルキル、-(CHSC(O)(C~C15)アルキル、-(CHC(O)O(C~C15)アルキル、および-(CHC(O)O(C~C15)アルキルアリール(ここで、nは、1から8から選択される整数である);P(O)(OH)OP(O)(OH);ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C~C)アルコキシ、(C~C)ハロアルコキシ、-N(R11a、C~Cアシルアミノ、-COR11b、-OCOR11b;NHSO(C~Cアルキル)、-SON(R11aSO(ここで、R11aのそれぞれは、Hおよび(C~C)アルキルから独立して選択され、R11bは、OH、C~Cアルコキシ、NH、NH(C~Cアルキル)、またはN(C~Cアルキル)から独立して選択される)の群の中から選択され;
-R12は、H、(C~C10)アルキル、(C~C)アルケニル、(C~C)アルキニル、(C~C10)ハロアルキル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C10)ヘテロシクロアルキル、(C~C18)アリール、(C~C)アルキルアリール、および(C~C12)ヘテロアリールの中から選択され;ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびシアノの中から選択される1個または2個の基で所望により置換されていてもよく;
-RおよびRA’は、H、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、(C~C10)アルキニル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C10)チオ-アルキル、(C~C10)ヒドロキシアルキル、(C~C10)アルキルアリール、および(C~C12)アリール、(C~C10)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、-(CHNHC(=NH)NH、(1H-インドール-3-イル)メチル、(1H-イミダゾール-4-イル)メチル、ならびにタンパク質原生アミノ酸または非タンパク質原生アミノ酸の中から選択される側鎖の中から独立して選択され;ここで、前記アリール基は、ヒドロキシル、(C~C10)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、およびシアノの中から選択される基で所望により置換されていてもよく;または
-RおよびR10は、それらが結合しているリン原子とともに6員環を形成しており、ここで、-R-R10-は-CH-CH-CHR-を表し;ここで、Rは、H、(C~C)アリール基、および(C~C)ヘテロアリール基の中から選択され、ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびシアノで所望により置換されていてもよく;または
およびR10は、それらが結合しているリン原子とともに6員環を形成しており、ここで、-R-R10-は-O-CH-CH-CHR-O-を表し;ここで、Rは、H、(C~C)アリール基、および(C~C)ヘテロアリール基の中から選択され、ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびシアノで所望により置換されていてもよく;
-Rは、H、OR、NHR13、NR1314、NH-NHR13、SH、CN、N、およびハロゲンの中から選択され;ここで、R13およびR14は、互いに独立して、H、(C~C)アルキル、(C~C)アルキルアリール、および-CR-C(O)-ORの中から選択され、ここで、RおよびRは、独立して、水素原子、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ベンジル、インドリル、またはイミダゾリルであり;ここで、(C~C)アルキルおよび(C~C)アルコキシは、ハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、またはカルボキシル基のうちの1つまたは複数で所望により互いに独立して置換されていてもよく、ベンジル基は、1つまたは複数のハロゲンまたはヒドロキシル基で所望により置換されていてもよく;またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子とともに、1つまたは複数のハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、およびカルボキシルで所望により置換されたC~Cシクロアルキル基を形成しており;Rは、水素、(C~C)アルキル、(C~C)アルケニル、(C~C)アルキニル、または(C~C)シクロアルキルであり;
-Yは、CH、CH、C(CHおよびCCHの中から選択され;

【化3】
は、Yに沿った単結合または二重結合を表し;

【化4】
は、Rの位置に応じてアルファまたはベータアノマーを表す);
または
式(Ia)を有する化合物
【化5】
またはその立体異性体、塩、水和物、溶媒和物、もしくは結晶のうちの1つ(式中、
-X’およびX’は、O、CH、S、Se、CHF、CF、およびC=CHの中から独立して選択され;
-R’およびR’13は、H、アジド、シアノ、C1~C8アルキル、C1~C8チオ-アルキル、C1~C8ヘテロアルキル、およびORの中から独立して選択され、ここで、Rは、HおよびC1~C8アルキルから選択され;
-R’、R’、R’、R’、R’、R’10、R’11、R’12は、H、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、C~C12アルキル、C~C12チオアルキル、C~C12ヘテロ-アルキル、C~C12ハロアルキル、およびORの中から独立して選択され;ここで、Rは、H、C~C12アルキル、C(O)(C~C12)アルキル、C(O)NH(C~C12)アルキル、C(O)O(C~C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C~C12)アリール、C(O)NH(C~C12)アルキルアリール、C(O)O(C~C12)アルキルアリール、またはC(O)CHRAANH2基の中から選択してもよく;ここで、RAAは、タンパク質原生アミノ酸から選択される側鎖であり;
-R’およびR’は、H、アジド、シアノ、C~Cアルキル、およびORの中から独立して選択され、ここで、Rは、HおよびC~Cアルキルから選択され;
-R’およびR’14は、H、OR、NHR、NRR’、NH-NHR、SH、CN、N、およびハロゲンの中から独立して選択され;ここで、RおよびR’は、独立して、Hおよび(C~C)アルキルアリールから選択され;
-Y’1およびY’2は、CH、CH、C(CH、またはCCHの中から独立して選択され;
-M’は、Hまたは好適な対イオンから選択され;

【化6】
は、Y’およびY’に応じて単結合または二重結合を表し;

【化7】
は、R’およびR’13の位置に応じてアルファまたはベータアノマーを表す);
およびこれらの組合せである、請求項1に記載のその使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)の薬学的に許容される誘導体が、表1からの、化合物I-B、化合物I-C、化合物I-D、化合物I-E、化合物I-F、化合物I-G、化合物I-H、化合物I-I、化合物I-J、好ましくは化合物I-B、化合物I-C、化合物I-D、化合物I-F、およびこれらの組合せの中から選択される、請求項2に記載のその使用のための、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
化合物Ia-AからIa-Iの中から、好ましくは、表2の式Ia-Bを有する化合物、式Ia-Cを有する化合物、式Ia-Eを有する化合物、式Ia-Fを有する化合物、式Ia-Hを有する化合物、式Ia-Iを有する化合物、および式Ia-Gを有する化合物から選択される、請求項2または3に記載のその使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
背部痛が、頸部痛(cervicalgia)、背部痛(dorsalgia)、または腰部痛;好ましくは慢性腰部痛である、請求項1から4のいずれか一項に記載のその使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
背部痛が、筋肉に対する損傷、靭帯に対する損傷、腱に対する損傷、椎骨における椎間板の変性、椎骨における椎間板ヘルニア、婦人科系起源の痛み、脊椎すべり症、関節炎、変形性関節症、脊柱の骨粗鬆症、骨粗鬆症関連の骨折、腹部大動脈瘤、腫瘍、感染症、炎症、椎間関節損傷、椎間板損傷、局部的または全体的な脊髄安定性関連障害、脊髄変形、椎骨における筋収縮、またはこれらの組合せの中から選択される病状のうちの1つに起因する、請求項1から5のいずれか一項に記載のその使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
少なくとも1つの他の治療剤と組み合わせた、その使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
少なくとも1つの治療剤が、鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬、コルチゾン、コルチゾン誘導体、筋弛緩薬、またはこれらの組合せであってもよい、その使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
背部痛の予防および/または治療における、局所投与を介したその使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む組成物。
【請求項10】
薬学的に許容される誘導体が、背部痛の予防および/または治療における、局所投与を介したその使用のための、ジヒドロニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN-H)、アルファ-NMN、式(I)を有する化合物
【化8】
、またはこれらの薬学的に許容される、立体異性体、塩、水和物、溶媒和物、もしくは結晶のうちの1つ(式中、
-Xは、O、CH、S、Se、CHF、CFおよびC=CHの中から選択され;
-Rは、H、アジド、シアノ、(C~C)アルキル、(C~C)チオ-アルキル、(C~C)ヘテロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、Hおよび(C~C)アルキルから選択され;
-R、R、RおよびRは、互いに独立して、H、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、(C~C12)アルキル、(C~C12)チオ-アルキル、(C~C12)ヘテロアルキル、(C~C12)ハロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、H、(C~C12)アルキル、C(O)(C~C12)アルキル、C(O)NH(C~C12)アルキル、C(O)O(C~C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C~C12)アルキルアリール、C(O)NH(C~C12)アルキルアリール、C(O)O(C~C12)アルキルアリール、およびC(O)CHRAANHの中から選択され;ここで、RAAは、タンパク質原生アミノ酸から選択される側鎖であり;
-Rは、H、アジド、シアノ、(C~C)アルキル、(C~C)チオ-アルキル、(C~C)ヘテロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、Hおよび(C~C)アルキルから選択され;
-Rは、H、P(O)R10、およびP(S)R10および
【化9】
の中から選択され、ここで、nは、1または3から選択される整数であり;ここで、
-RおよびR10は、互いに独立して、OH、OR11、NHR13、NR1314、(C~C)アルキル、(C-C)アルケニル、(C~C)アルキニル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C12)アリール、(C~C)アルキルアリール、(C~C)アリールアルキル、(C~C)ヘテロアルキル、(C~C)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびNHCHRA’C(O)R12の中から選択され;ここで、:
-R11は、(C~C10)アルキル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C18)アリール、(C~C10)アルキルアリール、置換(C~C12)アリール、(C~C10)ヘテロアルキル、(C~C10)ヘテロシクロアルキル、(C~C10)ハロアルキル、ヘテロアリール、-(CHC(O)(C~C15)アルキル、-(CHOC(O)(C~C15)アルキル、-(CHOC(O)O(C~C15)アルキル、-(CHSC(O)(C~C15)アルキル、-(CHC(O)O(C~C15)アルキル、および-(CHC(O)O(C~C15)アルキルアリール(ここで、nは、1から8から選択される整数であり);P(O)(OH)OP(O)(OH);ハロゲン、ニトロ、シアノ、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルコキシ、-N(R11a、C~Cアシルアミノ、-COR11b、-OCOR11b;NHSO(C~Cアルキル)、-SON(R11aSO(ここで、それぞれR11aは、Hおよび(C~C)アルキルから独立して選択され、R11bは、OH、C~Cアルコキシ、NH、NH(C~Cアルキル)、またはN(C~Cアルキル)から独立して選択される)の群の中から選択され;
-R12は、H、C~C10アルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~C10ハロアルキル、C~C10シクロアルキル、C~C10ヘテロシクロアルキル、C~C18アリール、C~Cアルキルアリール、およびC~C12ヘテロアリールの中から選択され;ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、およびシアノの中から選択される1個または2個の基で所望により置換されていてもよく;
-RおよびR’は、H、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、(C~C10)アルキニル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C10)チオ-アルキル、(C~C10)ヒドロキシアルキル、(C~C10)アルキルアリール、および(C~C12)アリール、(C~C10)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、-(CHNHC(=NH)NH、(1H-インドール-3-イル)メチル、(1H-イミダゾール-4-イル)メチル、およびタンパク質原生アミノ酸または非タンパク質原生アミノ酸の中から選択される側鎖の中から独立して選択され;ここで、前記アリール基は、ヒドロキシル、(C~C10)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、およびシアノの中から選択される基で所望により置換されていてもよく;または
-RおよびR10は、それらが結合しているリン原子とともに6員環を形成しており、ここで、-R-R10-は-CH-CH-CHR-を表し;ここで、Rは、H、(C~C)アリール基、および(C~C)ヘテロアリール基の中から選択され、ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびシアノで所望により置換されていてもよく;または
およびR10は、それらが結合しているリン原子とともに6員環を形成しており、ここで、-R-R10-は-O-CH-CH-CHR-O-を表し;ここで、Rは、H、(C~C)アリール基、および(C~C)ヘテロアリール基の中から選択され、ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびシアノで所望により置換されていてもよく;
-Rは、H、OR、NHR13、NR1314、NH-NHR13、SH、CN、N、およびハロゲンの中から選択され;ここで、R13およびR14は、互いに独立して、H、(C~C)アルキル、(C~C)アルキルアリール、および-CR-C(O)-ORの中から選択され、ここで、RおよびRは、独立して、水素原子、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ベンジル、インドリル、またはイミダゾリルであり;ここで、(C~C)アルキルおよび(C~C)アルコキシは、ハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、またはカルボキシル基のうちの1つまたは複数で所望により互いに独立して置換されていてもよく、ベンジル基は、1つまたは複数のハロゲンまたはヒドロキシル基で所望により置換されていてもよく;またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子とともに、1つまたは複数のハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、およびカルボキシルで所望により置換されたC~Cシクロアルキル基を形成しており;Rは、水素、(C~C)アルキル、(C~C)アルケニル、(C~C)アルキニル、または(C~C)シクロアルキルであり;
-Yは、CH、CH、C(CHおよびCCHの中から選択され;
-nは、1から3から選択される整数であり;

【化10】
は、Yに沿った単結合または二重結合を表し;

【化11】
は、Rの位置に応じてアルファまたはベータアノマーを表す);
または
式(Ia)を有する化合物
【化12】
またはその立体異性体、塩、水和物、溶媒和物、もしくは結晶のうちの1つ(式中、
-X’およびX’は、O、CH、S、Se、CHF、CF、およびC=CHの中から独立して選択される;
-R’およびR’13は、H、アジド、シアノ、C1~C8アルキル、C1~C8チオ-アルキル、C1~C8ヘテロアルキル、およびORの中から独立して選択され、ここで、Rは、HおよびC1~C8アルキルから選択され;
-R’、R’、R’、R’、R’、R’10、R’11、R’12は、H、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、C~C12アルキル、C~C12チオアルキル、C~C12ヘテロ-アルキル、C~C12ハロアルキル、およびORの中から独立して選択され;ここで、Rは、H、C~C12アルキル、C(O)(C~C12)アルキル、C(O)NH(C~C12)アルキル、C(O)O(C~C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C~C12)アリール、C(O)NH(C~C12)アルキルアリール、C(O)O(C~C12)アルキルアリール、またはC(O)CHRAANH2基の中から選択してもよく;ここで、RAAは、タンパク質原生アミノ酸から選択される側鎖であり;
-R’およびR’は、H、アジド、シアノ、C~Cアルキル、およびORの中から独立して選択され、ここで、Rは、HおよびC~Cアルキルから選択され;
-R’およびR’14は、H、OR、NHR、NRR’、NH-NHR、SH、CN、N、およびハロゲンの中から独立して選択され;ここで、RおよびR’は、独立して、Hおよび(C~C)アルキルアリールから選択され;
-Y’1およびY’2は、CH、CH、C(CH、またはCCHの中から独立して選択され;
-M’は、Hまたは好適な対イオンから選択され;

【化13】
は、Y’およびY’に応じて単結合または二重結合を表し;

【化14】
は、R’およびR’13の位置に応じてアルファまたはベータアノマーを表す);
およびこれらの組合せの中から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
組成物の総重量に対して、0.05重量%から15重量%の間、好ましくは1重量%から10重量%の間、より好ましい方式では3重量%から5重量%の間で含まれる量で、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩を含む、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項12】
ゲル、溶液、油中水エマルション、水中油エマルション、油、クリーム、軟膏、またはリニメントの形態であり;より好ましい方式では、水中油エマルションの形態である、請求項9から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの追加の治療剤を更に含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
NMNの薬学的に許容される誘導体が、化合物I-B、化合物I-C、化合物I-D、化合物I-E、化合物I-F、化合物I-G、化合物I-H、化合物I-I、化合物I-J;好ましくは、表1からの化合物I-B、化合物I-C、化合物I-D、化合物I-F;表2からの化合物Ia-A、式Ia-Bを有する化合物、式Ia-Cを有する化合物、式Ia-Eを有する化合物、式Ia-Fを有する化合物、式Ia-Hを有する化合物、式Ia-Iを有する化合物、式Ia-Gを有する化合物、およびこれらの組合せの中から選択される、請求項10から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも1つの治療剤が、鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬、コルチゾン、コルチゾン誘導体、筋弛緩薬、またはこれらの組合せであってもよい、請求項13に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背部痛、特に腰部痛(または腰背部痛)および慢性腰部痛を予防および/または治療するための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、ならびにこれらを含む組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
脊柱は、「融合」椎骨である仙骨および尾骨に加えて、7個の頸部、12個の背または胸部、および5個の腰部椎骨を含む24個の椎骨から構成される。頸部、背および腰部椎骨は椎間板によって分離されており、「可動性」であると言われる。脊柱は一連の靭帯および筋肉とも結合している。
【0003】
背部痛、より具体的には脊柱(脊椎)における痛みは、ますます一般的な病気となってきており、異なる因子、例えば、姿勢の悪さ、過度の負荷がかかること、または根底にある病状の重大性に起因する場合がある。病状の例としては、関節の摩耗および断裂、神経根の圧迫、骨粗鬆症、椎間板の圧挫またはヘルニア、椎間板の変性、脊髄変形、腫瘍、外傷、例えば意図しない出来事の後の骨折、または骨粗しょう症による骨折、筋肉痛および他の原因となる状態が挙げられ得る。
【0004】
脊柱における最も一般的なタイプの痛みとしては、頸部痛(首の痛み)と称される頸部椎骨(頸部脊椎)に感じられる痛み、および腰部痛と称される腰部椎骨(腰部脊椎)に感じられる痛みがある。胸部椎骨(胸部脊椎)において発生する痛みは、一般的ではなく、背部痛(重度の背部痛)と称される。
【0005】
頸部椎骨は、頭部を支え、動かすために最も脆弱である。頸部の痛みは、変形性関節症、すなわち、その椎骨および軟骨での摩耗および断裂;姿勢の悪さ;椎骨間の神経の圧迫;椎間板ヘルニア;外傷;または脊髄管の狭窄によって引き起こされることが多い。
【0006】
腰部痛または腰背部痛は腰部椎骨において発生する痛みである。腰部痛は大部分は重篤ではないことが多い。座りがちな生活様式、職業的活動の過程における重い荷物の運搬、姿勢の悪さ、または動作の悪さは、腰部痛を誘発する場合がある原因となる因子の例である。実際に、腰部椎骨は常にストレス(ソリシテーション(solicitation))を受け、体重のかなりの部分を支えており、その結果、腰部脊椎は身体の特に脆弱な領域となっている。
【0007】
急性腰部痛(腰背部痛)と慢性腰部痛(腰背部痛)との間には区別が存在する。急性腰部痛は、通常は腰痛、または背部における筋痙攣または背部のゆがみと称され、最大4週間持続する場合がある痛みであり、自然に消失することがある。慢性腰部痛は、3カ月間以上持続する絶えず続く痛みである。
【0008】
腰部痛は、急性か慢性かにかかわらず、原因が非常に多様であり得る症状にすぎない。更にこれらの原因は判定することが困難である。90%の症例において、腰背部痛は良性であり、大きな損傷に起因しない。腰背部痛は、筋肉、腱または靭帯に対するダメージまたは損傷(病変)、例えば、奮闘の行使、異常なひねり、または反復動作によって引き起こされる微細な病変の蓄積に起因するものと関連する場合がある。腰背部痛は椎間板の変性によっても引き起こされる場合がある。加齢とともに、椎間板はその弾性を失う。この変性は必ずしも痛みと関連するとは限らないが、ある特定の腰背部痛に関与する場合がある。
【0009】
腰部痛または腰背部痛は椎間板ヘルニアによっても引き起こされる場合がある。それは椎間板におけるゲル様物質の一部が外部に飛び出し、神経根を圧迫した場合に生じる。
【0010】
腰背部痛は婦人科系の問題によっても引き起こされる場合がある。多くの女性は、生理痛、子宮内膜症などの結果として、周期的なまたは一定なベースで背部痛を経験する。したがって痛みの原因は腰部領域にあるわけではないが、それでも痛みは腰背部に放散される。
【0011】
腰背部痛は、1つの椎骨が別の椎骨の上を滑ることに起因する場合もあり、脊椎すべり症と称される。この状況は、椎骨構造における先天性の弱点に起因してまたは外傷の結果として起こる場合がある。
【0012】
腰背部痛は、関節炎、変形性関節症または骨粗鬆症によっても引き起こされる場合がある。脊柱の骨粗鬆症が顕著である場合、椎骨骨折が生じる場合がある。ある特定の炎症性関節炎、例えば強直性脊椎炎は、腰背部において痛みおよび凝りももたらす場合がある。まれに、腰背部痛は、腹部大動脈瘤、腫瘍、骨粗鬆症関連の骨折、または感染症によって引き起こされる場合がある。
【0013】
慢性腰部痛または腰背部痛に関しては、フランス高等保健機構によって、3つのタイプ:(i)以前に特定の腰部痛または二次的腰部痛と称され、外傷誘発性、腫瘍性、感染性または炎症性の原因と関連する症候と言われている非変性腰部痛;(ii)その起源が、以下のタイプの1つまたは複数の原因の組合せであってもよい変性腰部痛:脊髄の(不)安定性に関与する局部的または全体的な障害と関連する椎間板起因のものまたは椎間関節突起または混合タイプ、靭帯性のもの、筋肉性のもの;および(iii)解剖学的病変と関連しない腰部痛の間で区別されている。「椎間板起因の腰部痛」という用語は、椎間板における痛みまたはそれに対するダメージと関連する腰部痛を指すと理解される。「椎間腰部痛」という用語は、椎間関節、すなわち、椎骨を互いに接続させる脊柱における可動関節での損傷または痛みによって引き起こされる腰部痛を指すと理解される。
【0014】
腰背部痛の元の原因にかかわらず、痛みは、この解剖学的領域を保護するための反射反応である腰部椎骨周囲の筋肉の拘縮と関連することが多い。そしてこれは悪循環を誘発する場合があり、その結果、痛みが慢性化する原因となる。
【0015】
そのような痛みの治療は、局所、経口または注射経路を介した、鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、コルチゾンまたはコルチゾン誘導体の投与を一般的に含む。
【0016】
しかし、これらの薬物の投与は、とりわけ、臓器、例えば胃、肝臓および腎臓に対するダメージにつながる。更に、これらの有効性は経時的に低下し、用量の増加が必要となる。更に、コルチゾン誘導体の慢性使用は、特に、骨脆弱症、神経精神学的影響、筋肉消耗および免疫力の低下を誘発し、したがって、患者は感染症に対して脆弱になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、先行技術の欠点を軽減する役割を果たす、脊柱における背部痛を治療および/または予防するための新規の組成物を開発する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
これらの目的は、以下に記載する発明によって達成される。
【0019】
本発明は、背部痛(a back pain)の予防および/または治療における、局所投与を介したその使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0020】
有利には、NMNの薬学的に許容される誘導体は、ジヒドロニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN-H)であってもよい。
【0021】
有利には、NMNの薬学的に許容される誘導体は、アルファ-NMNであってもよい。
【0022】
有利には、NMNの薬学的に許容される誘導体は、式(I)を有する化合物
【0023】
【化1】
、またはこれらの薬学的に許容される、立体異性体、塩、水和物、溶媒和物、もしくは結晶のうちの1つ(式中、
-Xは、O、CH、S、Se、CHF、CFおよびC=CHの中から選択され;
-Rは、H、アジド、シアノ、(C~C)アルキル、(C~C)チオ-アルキル、(C~C)ヘテロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、Hおよび(C~C)アルキルから選択され;
-R、R、RおよびRは、互いに独立して、H、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、(C~C12)アルキル、(C~C12)チオ-アルキル、(C~C12)ヘテロアルキル、(C~C12)ハロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、H、(C~C12)アルキル、C(O)(C~C12)アルキル、C(O)NH(C~C12)アルキル、C(O)O(C~C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C~C12)アルキルアリール、C(O)NH(C~C12)アルキルアリール、C(O)O(C~C12)アルキルアリール、およびC(O)CHRAANHの中から選択され;ここで、RAAは、タンパク質原生アミノ酸から選択される側鎖であり;
-Rは、H、アジド、シアノ、(C~C)アルキル、(C~C)チオ-アルキル、(C~C)ヘテロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、Hおよび(C~C)アルキルから選択され;
-Rは、H、P(O)R10、P(S)R10および
【0024】
【化2】
の中から選択され、ここで、nは、1または3から選択される整数であり;ここで、
-RおよびR10は、互いに独立して、OH、OR11、NHR13、NR1314、(C~C)アルキル、(C-C)アルケニル、(C~C)アルキニル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C12)アリール、(C~C)アルキルアリール、(C~C)アリールアルキル、(C~C)ヘテロアルキル、(C~C)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびNHCHRA’C(O)R12の中から選択され;ここで:
-R11は、(C~C10)アルキル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C18)アリール、(C~C10)アルキルアリール、置換(C~C12)アリール、(C~C10)ヘテロアルキル、(C~C10)ヘテロシクロアルキル、(C~C10)ハロアルキル、ヘテロアリール、-(CHC(O)(C~C15)アルキル、-(CHOC(O)(C~C15)アルキル、-(CHOC(O)O(C~C15)アルキル、-(CHSC(O)(C~C15)アルキル、-(CHC(O)O(C~C15)アルキル、および-(CHC(O)O(C~C15)アルキルアリール(ここで、nは、1から8から選択される整数である);P(O)(OH)OP(O)(OH);ハロゲン、ニトロ、シアノ、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルコキシ、-N(R11a、C~Cアシルアミノ、-COR11b、-OCOR11b;NHSO(C~Cアルキル)、-SON(R11aSO(ここで、R11aのそれぞれは、Hおよび(C~C)アルキルから独立して選択され、R11bは、OH、C~Cアルコキシ、NH、NH(C~Cアルキル)、またはN(C~Cアルキル)から独立して選択される)の群の中から選択され;
-R12は、H、C~C10アルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~C10ハロアルキル、C~C10シクロアルキル、C~C10ヘテロシクロアルキル、C~C18アリール、C~Cアルキルアリール、およびC~C12ヘテロアリールの中から選択され;ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、およびシアノの中から選択される1個または2個の基で所望により置換されていてもよく;
-RおよびRA’は、H、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、(C~C10)アルキニル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C10)チオ-アルキル、(C~C10)ヒドロキシアルキル、(C~C10)アルキルアリール、および(C~C12)アリール、(C~C10)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、-(CHNHC(=NH)NH、(1H-インドール-3-イル)メチル、(1H-イミダゾール-4-イル)メチル、ならびにタンパク質原生アミノ酸または非タンパク質原生アミノ酸の中から選択される側鎖の中から独立して選択され;ここで、前記アリール基は、ヒドロキシル、(C~C10)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、およびシアノの中から選択される基で所望により置換されていてもよく;または
-RおよびR10は、それらが結合しているリン原子とともに6員環を形成しており、ここで、-R-R10-は-CH-CH-CHR-を表し;ここで、Rは、H、(C~C)アリール基、および(C~C)ヘテロアリール基の中から選択され、ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびシアノで所望により置換されていてもよく;または
およびR10は、それらが結合しているリン原子とともに6員環を形成しており、ここで、-R-R10-は、-O-CH-CH-CHR-O-を表し;ここで、Rは、H、(C~C)アリール基、および(C~C)ヘテロアリール基の中から選択され、ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびシアノで所望により置換されていてもよく;
-Rは、H、OR、NHR13、NR1314、NH-NHR13、SH、CN、N、およびハロゲンの中から選択され;ここで、R13およびR14は、互いに独立して、H、(C~C)アルキル、(C~C)アルキルアリール、および-CR-C(O)-ORの中から選択され、ここで、RおよびRは、独立して、水素原子、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ベンジル、インドリル、またはイミダゾリルであり;ここで、(C~C)アルキルおよび(C~C)アルコキシは、ハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、またはカルボキシル基のうちの1つまたは複数で所望により互いに独立して置換されていてもよく、ベンジル基は、1つまたは複数のハロゲンまたはヒドロキシル基で所望により置換されていてもよく;またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子とともに、1つまたは複数のハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、およびカルボキシルで所望により置換されたC~Cシクロアルキル基を形成しており;Rは、水素、(C~C)アルキル、(C~C)アルケニル、(C~C)アルキニル、または(C~C)シクロアルキルであり;
-Yは、CH、CH、C(CHおよびCCHの中から選択され;
【0025】
【化3】
は、Yに沿った単結合または二重結合を表し;
【0026】
【化4】
は、Rの位置に応じてアルファまたはベータアノマーを表す);
または
式(Ia)を有する化合物
【0027】
【化5】
またはその立体異性体、塩、水和物、溶媒和物、もしくは結晶のうちの1つ(式中、
X’およびX’は、O、CH、S、Se、CHF、CF、およびC=CHの中から独立して選択され;
R’およびR’13は、H、アジド、シアノ、C1~C8アルキル、C1~C8チオ-アルキル、C1~C8ヘテロアルキル、およびORの中から独立して選択され、ここで、Rは、HおよびC1~C8アルキルから選択され;
R’、R’、R’、R’、R’、R’10、R’11、R’12は、H、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、C~C12アルキル、C~C12チオアルキル、C~C12ヘテロ-アルキル、C~C12ハロアルキル、およびORの中から独立して選択され;ここで、Rは、H、C~C12アルキル、C(O)(C~C12)アルキル、C(O)NH(C~C12)アルキル、C(O)O(C~C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C~C12)アリール、C(O)NH(C~C12)アルキルアリール、C(O)O(C~C12)アルキルアリール、またはC(O)CHRAANH2基の中から選択してもよく;ここで、RAAは、タンパク質原生アミノ酸から選択される側鎖であり;
R’およびR’は、H、アジド、シアノ、C~Cアルキル、およびORの中から独立して選択され、ここで、Rは、HおよびC~Cアルキルから選択され;
R’およびR’14は、H、OR、NHR、NRR’、NH-NHR、SH、CN、N、およびハロゲンの中から独立して選択され;ここで、RおよびR’は、独立して、Hおよび(C~C)アルキルアリールから選択され;
Y’およびY’は、CH、CH、C(CH、またはCCHの中から独立して選択され;
M’は、Hまたは好適な対イオンから選択され;
【0028】
【化6】
は、Y’およびY’に応じて単結合または二重結合を表し;
【0029】
【化7】
は、R’およびR’13の位置に応じてアルファまたはベータアノマーを表す);
およびこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0030】
第1の好ましい実施形態において、薬学的に許容される誘導体は式(I)を有する化合物である。
【0031】
第1の実施形態の1つの変形において、Xは酸素を表す。
【0032】
第1の実施形態の1つの変形において、RおよびRはそれぞれ、互いに独立して水素を表す。
【0033】
第1の実施形態の1つの変形において、R、R、RおよびRはそれぞれ、互いに独立して、水素またはOHを表す。
【0034】
第1の実施形態の1つの変形において、YはCHを表す。
【0035】
第1の実施形態の1つの変形において、YはCHを表す。
【0036】
第1の実施形態の1つの変形において、Rは水素を表す。
【0037】
第1の実施形態の1つの変形において、RはP(O)(OH)を表す。
【0038】
第1の実施形態の1つの変形において、
Xは酸素を表し;および/または
およびRは、それぞれ独立して、水素を表し;および/または
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素を表すか、またはR、R、RおよびRは独立してOHを表し;および/または
Yは、CHまたはCHを表し;および/または
はP(O)R10を表し、ここで、RおよびR10は、OH、OR11、NHR13、NR1314、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~C10シクロアルキル、C~C12アリール、C~Cアリールアルキル、C~Cアルキルアリール、C~Cヘテロアルキル、C~Cヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびNHCRA’C(O)R12の中から独立して選択される。
【0039】
第1の実施形態の1つの特に好ましい変形において、本発明の化合物は、式IBからIJを有する化合物の中から選択され:
【0040】
【表1】
【0041】
有利には、NMNの薬学的に許容される誘導体は、アルファ-NMN(化合物I-F)であってもよい。
【0042】
有利には、NMNの薬学的に許容される誘導体は、ジヒドロニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN-H)(化合物I-CまたはI-D)であってもよい。
【0043】
好ましい第2の実施形態において、薬学的に許容される誘導体は、式(Ia)を有する化合物である。
【0044】
第2の実施形態の1つの変形において、X’1およびX’2は、それぞれ独立して、酸素を表す。
【0045】
第2の実施形態の1つの変形において、R’7およびR’14は、それぞれ独立して、NHを表す。
【0046】
第2の実施形態の1つの変形において、R’1および/またはR’13は、それぞれ独立して水素を表す。
【0047】
第2の実施形態の1つの変形において、R’6および/またはR’8は、それぞれ独立して水素を表す。
【0048】
第2の実施形態の1つの変形において、R’2、R’3、R’4、R’5R’9、R’10、R’11、およびR’12は、それぞれ独立して水素を表す。
【0049】
第2の実施形態の1つの変形において、R’2、R’3、R’4、R’5R’9、R’10、R’11、およびR’12は、それぞれ独立して、OHを表す。
【0050】
第2の実施形態の1つの変形において、Y’1およびY’2は、それぞれ独立して、CHを表す。
【0051】
第2の実施形態の1つの変形において、Y’1およびY’2は、それぞれ独立して、CH2を表す。
【0052】
第2の実施形態の1つの変形において、本発明による化合物は、式Ia-AからIa-Iを有する化合物の中から選択される。
【0053】
【表2】
【0054】
有利には、背部痛(the back pain)は、頸部痛(cervicalgia)(首の痛み)、背部痛(dorsalgia)(重度の背部痛〔severe back pain〕)、または腰部痛(腰背部痛)であってもよい。好ましくは、背部痛は、頸部痛または腰部痛である。より好ましい方式では(on a more preferred basis)、背部痛は慢性腰部痛である。
【0055】
有利には、背部痛は、筋肉に対する損傷、靭帯に対する損傷、腱に対する損傷、椎間板の変性、椎間板ヘルニア、婦人科系起源の痛み、脊椎すべり症、関節炎、変形性関節症、脊柱(または脊椎)の骨粗鬆症、骨粗鬆症関連の骨折、腹部大動脈瘤、腫瘍、感染症、炎症、椎間関節損傷、椎間板損傷、局部的または全体的な脊髄の(不)安定性関連の[脊髄の静止学的]障害、脊髄変形、椎骨における筋収縮、またはこれらの組合せの中から選択される病状のうちの1つに起因していてもよい。
【0056】
有利には、背部痛は、国際疾病分類ICD-10のカテゴリーのうちの1つの範囲内で、好ましくはカテゴリーM40からM43;M46からM54およびG55の範囲内で分類してもよい。
【0057】
好ましくは、背部痛は、腰部痛または腰背部痛、より好ましくは慢性腰部痛である。
【0058】
より好ましい方式では、背部痛または腰部痛は、炎症、筋肉拘縮、筋肉断裂、靭帯損傷、腱損傷またはこれらの組合せに起因する。
【0059】
有利には、腰部痛または腰背部痛は、国際疾病分類ICD-10のカテゴリーM50からM54およびG55.1のうちの1つに基づいて、好ましくはカテゴリーM51、M54およびG55.1に基づいて分類してもよい。
【0060】
有利には、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩は、1日あたり1から10回の間、好ましくは1日あたり1から5回の間、より好ましくは1日1から3回の間投与されることを意図する。
【0061】
更により好ましい実施形態において、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩は、1日2回投与されることを意図する。
【0062】
有利には、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩は、少なくとも1つの他の治療剤と組み合わせて使用してもよい。
【0063】
有利には、少なくとも1つの治療剤は、鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬、コルチゾン、コルチゾン誘導体、筋弛緩薬、またはこれらの組合せであってもよい。
【0064】
有利には、鎮痛薬は、パラセタモール、ネフォパム、ケタニン、テトラヒドロカンナビノール、カンナビノイド、アスピリン、サリチル酸メチル、ジフルニサル、サリチルアミド、コデイン、アルフェンタニル、カルフェンタニル、ジヒドロコデイン、コデイノン、トラマドール、モルヒネ、モルヒノン、ブプレノルフィン、フェンタニル、アセチルフェンタニル、レミフェンタニル、スフェンタニル、ヘロイン、ヒドロモルフォン、ナルブフィン、オキシコドン、ヒドロキシコドン、オキシモルフォン、ラウダナム、メタドン、ペチジン、デキストロプロポキシフェン、エンドルフィン、タペンタドール、テバイン、ビコジン、およびこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0065】
有利には、非ステロイド性抗炎症薬は、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ケトロラク、アルミノプロフェン、アセクロフェナク、メフェナム酸、ニフルム酸、チアプロフェン酸、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、デクスケトプロフェン、ジクロフェナク、エトドラク、エトリコキシブ、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、メロキシカム、ナブメトン、ピロキシカム、スリンダク、テノキシカム、ニメスリド、およびこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0066】
有利には、コルチゾン誘導体は、ベタメタゾン、シプロフロキサシン、コルチバゾール(cortivazol)、デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、およびこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0067】
有利には、筋弛緩薬は、中枢作用性筋弛緩薬、末梢作用性筋弛緩薬、直接作用性筋弛緩薬、およびこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0068】
カルバミン酸エステルは、メトカルバモールであってもよい。
【0069】
有利には、末梢作用性筋弛緩薬は、神経筋接合部におけるアセチルコリン放出のブロッカー(阻害剤)、例えば、ボツリヌス毒素A型およびボツリヌス毒素B型、電位依存性ナトリウムチャネルブロッカー、例えばコノトキシンおよびフエントキシン、電位依存性カルシウムチャネルブロッカー、例えばジヒドロピリジン、または筋ニコチン性アセチルコリン受容体ブロッカー、例えばクラーレまたはコノトキシンの中から選択してもよい。
【0070】
有利には、直接作用性筋弛緩薬は、リアノジン受容体ブロッカー、例えばダントロレンである。
【0071】
有利には、筋弛緩薬は、バクロフェン、キニーネ、メフェネシン、チザニジン、テトラゼパム、チオコルチコシド、アセチルヘキサペプチド-8、μ-コノトキシンCnIIIc(ミューコノトキシンCnIIIc)、ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミドジアセテート、ならびに局在的に使用されるボツリヌス毒素、ならびにこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0072】
有利には、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩は、脊柱における凝りを減少させることを可能にする。
【0073】
有利には、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩は、脊柱の関節機能を改善することを可能にする。
【0074】
本発明はまた、背部痛の予防および/または治療におけるその使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む組成物に関する。
【0075】
好ましくは、本発明による組成物は、局所経路を介して投与されることを意図する。
【0076】
好ましくは、背部痛は、腰部痛または腰背部痛、より好ましくは慢性腰部痛である。
【0077】
有利には、本発明による組成物は、ゲル、溶液、油中水エマルション、水中油エマルション、油、クリーム、軟膏/膏薬、またはリニメントの形態であってもよい。
【0078】
1つの好ましい実施形態において、本発明による組成物は、油中水エマルションまたは水中油エマルション;より好ましい方式では(on a more preferred basis)、水中油エマルションの形態である。
【0079】
有利には、本発明による組成物は医薬組成物であってもよい。
【0080】
有利には、本発明による組成物は、NMN、その薬学的に許容される塩、またはその薬学的に許容される誘導体を、組成物の総重量に対して、0.05重量%から15重量%の間、好ましくは1重量%から10重量%の間、より好ましい方式では3重量%から5重量%の間で含まれる量で含んでいてもよい。
【0081】
有利には、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩は、1日あたり1から10回の間、好ましくは1日あたり1から5回の間、より好ましい方式では1日あたり1から3回の間投与される。
【0082】
1つの好ましい実施形態において、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩は、1日2回投与される。
【0083】
有利には、本発明による組成物はまた、背部痛、好ましくは腰部痛または腰背部痛、より好ましい方式では慢性腰部痛の予防および/または治療におけるその使用のための、上記で定義された少なくとも1つの追加の治療剤を含んでいてもよい。
【0084】
定義
本発明において、以下の用語は以下の意味を有する。
【0085】
別段指示がない限り、本発明において明確に定義されていない置換基の命名は、結合点に向かって隣接する官能基に続く官能基の末端部分を命名することによって得られる。
【0086】
単独でのまたは別の置換基の一部としての「アルキル」は、式CnH2n+1を有するヒドロカルビル基を指し、ここで、nは1以上の数である。一般的に、本発明のアルキル基は、1から12個の炭素原子、好ましくは1から8個の炭素原子、より好ましくは1から6個の炭素原子、更により好ましくは1から2個の炭素原子を含む。アルキル基は、直鎖状または分岐状であってもよく、本発明において示すように置換されていてもよい。本発明の実施の目的に好適なアルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチルおよびt-ブチル;ペンチルおよびその異性体、例えば、n-ペンチルおよびイソ-ペンチル;およびヘキシルおよびその異性体、例えばn-ヘキシルおよびイソ-ヘキシル;ヘプチルおよびその異性体(例えば、n-ヘプチル、イソ-ヘプチル);オクチルおよびその異性体(例えば、n-オクチル、イソ-オクチル);ノニルおよびその異性体(例えば、n-ノニル、イソ-ノニル);デシルおよびその異性体(例えば、n-デシル、イソ-デシル);ウンデシルおよびその異性体;ドデシルおよびその異性体の中から選択してもよい。好ましくは、アルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、およびn-デシルの中から選択してもよい。飽和および分岐状アルキル基は、限定するものではないが、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、2-メチル-4-エチルペンチル、2-メチル-2-エチルヘキシル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2-メチル-4-エチルヘキシル、2,2-ジエチルペンチル、3,3-ジエチルヘキシル、2,2-ジエチルヘキシル、および3,3-ジエチルヘキシルから選択してもよい。好ましいアルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチルおよびt-ブチルである。Cx~Cy-アルキルは、xからy個の炭素原子を含むアルキル基を指す。
【0087】
「エン」という接尾辞がアルキル基とともに使用された場合(「アルキレン」)、それは本明細書において定義されるアルキル基が、他の基への結合点として2つの単結合を有することを示す。「アルキレン」という用語は、メチレン、エチレン、メチルメチレン、プロピレン、エチルエチレン、および1,2-ジメチルエチレンを含む。
【0088】
「アルケニル」という用語は、本明細書において使用される場合、直鎖状または分岐状であってもよく、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を含む不飽和ヒドロカルビル基を指す。好適なアルケニル基は、2から12個の間の炭素原子、好ましくは2から8個の間の炭素原子、および更により好ましくは2から6個の間の炭素原子を含む。アルケニル基の例は、エテニル、2-プロペニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-ペンテニルおよびその異性体、2-ヘキセニルおよびその異性体、2,4-ペンタジエニルおよび他の類似の基である。
【0089】
「アルキニル」という用語は、本明細書において使用される場合、不飽和が1つまたは複数の炭素-炭素三重結合の存在に起因するある種の一価不飽和ヒドロカルビル基を指す。アルキニル基は、一般的に好ましくは、アルケニル基に関して本明細書において上述したものと同じ数の炭素原子を有する。限定するものではないが、アルキニル基のいくつかの例としては、エチニル、2-プロピニル、2-ブチニル、3-ブチニル、2-ペンチニルおよびその異性体、2-ヘキシニルおよびその異性体等がある。
【0090】
「アルコキシ」は、酸素原子によって別の部分に結合している、本明細書において上記で定義するようなアルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、メトキシ、イソプロポキシ、エトキシ、tert-ブトキシなどの基がある。アルコキシ基は、1つまたは複数の置換基で所望により置換されていてもよい。本発明の化合物に含まれるアルコキシ基は、可溶化基で所望により置換されていてもよい。
【0091】
「アリール」は、本明細書において使用される場合、単環(例えば、フェニル)または互いに縮合(例えば、ナフチル)もしくは共有結合した複数の芳香環を有し、一般的に、5から18個、好ましくは5から12個、より好ましい方式では6から10個の原子を含み、前記環の少なくとも1つが芳香族である多価不飽和芳香族ヒドロカルビル基を指す。芳香環は、それに縮合した1つまたは2つの追加の環(シクロアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール)を所望により含んでいてもよい。アリールはまた、本明細書において挙げる炭素環式系の部分的に水素化された誘導体を含むことを意図する。アリールの例としては、フェニル、ビフェニリル、ビフェニレンイル、5-または6-テトラリニル;ナフタレン-1-または-2-イル;4-、5-、6または7-インデニル;1-、2-、3-、4-、または5-アセナフチレニル;3-、4-、または5-アセナフテニル;1-、または2-ペンタレニル;4-、または5-インダニル;5-、6-、7-、または8-テトラヒドロナフチル;1,2,3,4-テトラヒドロナフチル;1,4-ジヒドロナフチル;1-、2-、3-、4-、または5-ピレニルがある。
【0092】
アリール基における少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられた場合、得られた環は本明細書において「ヘテロアリール」環と称する。
【0093】
「アルキルアリール」は、アルキル基で置換されたアリール基を指す。
【0094】
「アミノ酸」は、アルファ-アミノカルボン酸、すなわち、カルボン酸基のアルファ位においてカルボン酸官能基およびアミノ官能基を含む分子、例えば、タンパク質原生アミノ酸または非タンパク質原生アミノ酸を指す。
【0095】
「タンパク質原生アミノ酸」は、生体内でリボソームによってメッセンジャーRNAが翻訳される間にタンパク質中に組み込まれるアミノ酸、すなわち、アラニン(ALA)、アルギニン(ARG)、アスパラギン(ASN)、アスパルテート(ASP)、システイン(CYS)、グルタメート(グルタミン酸)(GLU)、グルタミン(GLN)、グリシン(GLY)、ヒスチジン(HIS)、イソロイシン(ILE)、ロイシン(LEU)、リシン(LYS)、メチオニン(MET)、フェニルアラニン(PHE)、プロリン(PRO)、ピロリシン(PYL)、セレノシステイン(SEL)、セリン(SER)、トレオニン(THR)、トリプトファン(TRP)、チロシン(TYR)、またはバリン(VAL)を指す。
【0096】
「非タンパク質原生アミノ酸」は、本明細書において使用される場合、生存生物の遺伝子コードにおいて自然にコードされないかまたは認められないアミノ酸を指す。限定するものではないが、非タンパク質原生アミノ酸のいくつかの例は、オルニチン、シトルリン、アルギニノスクシネート、ホモセリン、ホモシステイン、システイン-スルフィン酸、2-アミノムコン酸、δ-アミノレブリン酸、β-アラニン、シスタチオニン、γ-アミノブチレート、ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)、5-ヒドロキシトリプトファン、D-セリン、イボテン酸、α-アミノブチレート、2-アミノイソブチレート、D-ロイシン、D-バリン、D-アラニン、およびD-グルタミン酸である。
【0097】
「シクロアルキル」という用語は、本明細書において使用される場合、環式アルキル基、すなわち、1または2つの環構造を有する一価の飽和または不飽和ヒドロカルビル基を指す。「シクロアルキル」という用語は、単環式または二環式ヒドロカルビル基を含む。シクロアルキル基は、環において3個以上の炭素原子を含んでいてもよく、全般的に、本発明によれば、3から10個、より好ましくは3から8個の炭素原子、更により好ましくは3から6個の炭素原子を含む。シクロアルキル基の例としては、これらに限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルがあり、シクロプロピルが特に好ましい。
【0098】
「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、活性成分が製剤化および/または投与されるものの中に溶媒または希釈剤として使用され、動物に、好ましくはヒトに投与した場合に有害反応、アレルギー反応または他の反応をもたらすことがない不活性担体または支持物質を指す。これは、全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張化剤、吸収遅延物質、ならびに他の類似の成分を含む。ヒトへの投与に関しては、調製物は、規制当局、例えば、米国食品医薬品局(FDA)または欧州医薬品庁(EMA)に要求されるような、無菌性、一般的安全性および純度の特定の基準を満たしていなければならない。本発明の意味の範囲内において、「薬学的に許容される賦形剤」は、全ての薬学的に許容される賦形剤ならびに全ての薬学的に許容される担体、希釈剤および/またはアジュバントを含む。
【0099】
「ハロゲン」または「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを指す。好ましいハロ基は、フルオロおよびクロロである。
【0100】
「ハロアルキル」は、単独でも組合せでも、本明細書において上記で定義するような1つまたは複数の水素原子がハロゲンで置き換えられた、本明細書において上記で定義するような意味を有するアルキルラジカルを指す。そのようなハロアルキルラジカルの例として、クロロメチル、1-ブロモエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1,1,1-トリフルオロエチル、および類似のラジカルが挙げられてもよい。「Cx~Cy-ハロアルキル」および「Cx~Cy-アルキル」は、xからy個の炭素原子を含むアルキル基を指す。好ましいハロアルキル基は、ジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルである。
【0101】
「ヘテロアルキル」は、1つまたは複数の炭素原子が、酸素、窒素および硫黄原子の中から選択されるヘテロ原子で置き換えられた、本明細書において上記で定義するようなアルキル基を指す。ヘテロアルキル基において、ヘテロ原子は、アルキル鎖に沿って炭素原子のみに結合しており、すなわち、各ヘテロ原子は、少なくとも1つの炭素原子によって他の全てのヘテロ原子から分離されている。しかし、窒素および硫黄ヘテロ原子は所望により酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は所望により四級化されていてもよい。ヘテロアルキルは、炭素原子のみを用いて別の基または分子に結合しており、すなわち、結合原子は、ヘテロアルキル基に含まれるヘテロ原子から選択されない。
【0102】
「ヘテロアリール」という用語は、本明細書において使用される場合、単独でも別の基の一部としても、これらに限定されるものではないが、5から12個の炭素原子の芳香環または縮合もしくは共有結合した1個または2個の環を含む環系を指し、一般的に5個または6個の原子を含み、前記環の少なくとも1つは芳香族であり;ここで、これらの環のうちの1つまたは複数における1つまたは複数の炭素原子は、酸素、窒素、および/または硫黄原子で置き換えられており、窒素および硫黄ヘテロ原子は所望により酸化され、窒素ヘテロ原子は所望により四級化されることが可能である。これらの環は、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環に縮合していてもよい。限定するものではないが、そのようなヘテロアリールのいくつかの例としては、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、オキサトリアゾリル、チアトリアゾリル、ピリジニル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、ジオキシニル、チアジニル、トリアジニル、イミダゾ[2,1-b][1,3]チアゾリル、チエノ[3,2-b]フラニル、チエノ[3,2-b]チオフェニル、チエノ[2,3-d][1,3]チアゾリル、チエノ[2,3-d]イミダゾリル、テトラゾロ[1,5-a]ピリジニル、インドリル、インドリジニル、イソインドリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、1,3-ベンゾオキサゾリル、1,2-ベンゾイソオキサゾリル、2,1-ベンゾイソオキサゾリル、1,3-ベンゾチアゾリル、1,2-ベンゾイソチアゾリル、2,1-ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、1,2,3-ベンゾオキサジアゾリル、2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル、1、2,3-ベンゾチアジアゾリル、2,1,3-ベンゾチアジアゾリル、チエノピリジニル、プリニル、イミダゾ[l,2-a]ピリジニル、6-オキソ-ピリダジン-1(6H)-イル、2-オキソピリジン-1(2H)-イル、6-オキソ-ピリダジン-1(6H)-イル、2-オキソピリジン-1(2H)-イル、1,3-ベンゾジオキソリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニルがある。
【0103】
シクロアルキル基における少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられた場合、得られた環は、本明細書において「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロシクリル」と称する。
【0104】
「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロアルキル」、または「ヘテロシクロ」という用語は、それ自体でまたは別の基の一部として本明細書において使用される場合、完全に飽和のまたは部分的に不飽和の(例えば、3から7員単環式、7から11員二環式基、または合計で3から10個の環原子を含む)、炭素原子を含む少なくとも1つの環において少なくとも1つのヘテロ原子を有する非芳香族環式基を指す。ヘテロ原子を含む複素環式基の各環は、窒素、酸素および/または硫黄原子の中から選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子を有していてもよく、ここで、窒素および硫黄ヘテロ原子は所望により酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は所望により四級化されていてもよい。複素環式基のいずれの炭素原子も、オキソ(例えば、ピペリドン、ピロリジノン)で置換されていてもよい。複素環式基は、原子価が許す場合、環または環系においていずれのヘテロ原子または炭素原子にも結合していてもよい。多環複素環の環は、1つまたは複数のスピロ原子によって縮合、橋掛け、および/または結合していてもよい。例示的な複素環式基としては、これらに限定されるものではないが、オキセタニル、ピペリジニル、アゼチジニル、2-イミダゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、イソオキサゾリニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピペリジニル、3H-インドリル、インドリニル、イソインドリニル、2-オキソピペラジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、2-ピラゾリニル、3-ピラゾリニル、テトラヒドロ-2H-ピラニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、3,4-ジヒドロ-2H-ピラニル、3-ジオキソラニル、1,4-ジオキサニル、2,5-ジオキソイミダゾリジニル(dioximidazolidinyl)、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロロジニル、インドリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリン-1-イル、テトラヒドロイソキノリン-2-イル、テトラヒドロイソキノリン-3-イル、テトラヒドロイソキノリン-4-イル、チオモルホリン-4-イル、チオモルホリン-4-イルスルホキシド、チオモルホリン-4-イルスルホン、1,3-ジオキソラニル、1,4-オキサチアニル、1H-ピロリジニル、テトラヒドロ-1,1-ジオキソチオフェニル、N-ホルミルピペラジニル、およびモルホリン-4-イルの基がある。
【0105】
「前駆体」という用語はまた、本明細書において使用される場合、そのin vivo生体内変換産物が活性薬物である式(I)または(Ia)を有する化合物の薬理学的に許容される誘導体、例えばエステルを指す。前駆体はバイオアベイラビリティの増加によって特徴付けられ、in vivoで活性化合物に容易に代謝される。本発明の目的に適切な前駆体としては、特に、カルボン酸エステル、特にジオキソレンのアルキルエステル、アリールエステル、アシルオキシアルキルエステル、およびカルボン酸エステル;アスコルビン酸エステルがある。
【0106】
「薬学的に許容される」という用語は、規制機関によって承認されているかもしくは承認される可能性があるか、または動物、より好ましくはヒトにおいて使用するために薬局方で挙げられている状況のものを指す。それは、生物学的ではないかあるいは望ましくないものではない物質に関連していてもよく;すなわち、物質は、有害な生物学的影響、またはそれが含まれる組成物の構成要素のうちの1つとの有害な相互作用をもたらすことなく個体に投与することができる。好ましくは、「薬学的に許容される」塩または賦形剤は、欧州薬局方(「Ph.Eur.」と表示される)および米国薬局方(一般的に「United States Pharmacopeia(USP)」と称される)によって認可された任意の塩または任意の賦形剤を指す。
【0107】
「活性成分」または「治療剤」という用語は、被験者に投与した場合に、疾患または状態の1つまたは複数の症状の進行、悪化または増悪を減速または停止させ;疾患または状態の症状を軽減し;疾患または状態を治癒させる分子または物質を指す。これらの実施形態のうちの1つによれば、治療成分は、天然または合成の小分子である。別の実施形態によれば、治療成分は、生物学的分子、例えば、オリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、DNA断片、アプタマー、抗体などである。「薬学的に許容される塩」としては、これらの前記塩の酸付加物塩および塩基付加塩がある。好適な酸付加物塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。挙げることができる例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ素酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、チクロ、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプ酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、硫酸メチル、ナフチル酸塩、2-ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ピログルタミン酸塩、サッカリン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、およびキシナホ酸塩(xinofoate)がある。好適な塩基性塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。例として、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、2-(ジエチルアミノ)エタノール、エタノールアミン、モルホリン、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン、および亜鉛の塩を挙げることができる。酸および塩基のヘミ塩、例えば、ヘミ硫酸塩および化学カルシウム塩も形成してもよい。好ましい薬学的に許容される塩は、塩酸塩/塩化物、臭化物/臭化水素酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、硝酸塩、クエン酸塩および酢酸塩である。
【0108】
薬学的に許容される塩は、以下のうちの1つまたは複数によって調製してもよい:
- 化合物と所望の酸とを反応させることによる方法;
- 化合物と所望の塩基とを反応させることによる方法;
- 化合物の好適な前駆体から塩基性もしくは酸性条件下で酸もしくは塩基不安定性保護基を除去することによるか、または所望の酸を使用して好適な環式前駆体、例えば、ラクトンもしくはラクタムを開環することによる方法;または
- 最初の塩と適切な酸とを反応させることによるか、または適切なイオン交換カラムを用いて、化合物の1つの塩を別のものに変換することによる方法。
【0109】
これらの反応の全ては、溶液中で一般的に行われる。塩は、溶液から析出してもよく、ろ過収集しても溶媒を蒸発させることによって回収してもよい。塩のイオン化の程度は、完全にイオン化されているものからほぼイオン化されていないものまで様々であってもよい。
【0110】
「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物および1つまたは複数の薬学的に許容される溶媒分子、例えばエタノールを含む分子複合体を記載するために本明細書において使用される。
【0111】
「置換基」または「置換された」という用語は、化合物または基における水素ラジカルが非保護形態で、またはそれが保護基によって保護されている場合は、反応条件下で実質的に安定な任意の所望の基によって置き換えられることを示す。好ましい置換基の例としては、これらに限定されるものではないが、ハロゲン(クロロ、ヨード、ブロモ、またはフルオロ);アルキル;アルケニル;本明細書において上述したようなアルキニル;ヒドロキシ;アルコキシ;ニトロ;チオール;チオエーテル;イミン;シアノ;アミド;ホスホナト;ホスフィン;カルボキシル;チオカルボニル;スルホニル;スルホンアミド;ケトン;アルデヒド;エステル;酸素(-O);ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル);縮合環または非縮合環単環式または多環式であってもよいシクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル);または縮合環または非縮合環単環式または多環式であってもよいヘテロシクロアルキル(例えば、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、またはチアジニル);縮合または非縮合の単環式または多環式アリールまたはヘテロアリール(例えば、アリール、ヘテロアリール、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、またはチアジニル);縮合または非縮合の単環式または多環式(例えば、アリール、ヘテロアリール、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、またはチアジニル)、フェニル、ナフチル、ピロリル、インドリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、アクリジニル、ピラジジニル、ピリダジミニル、ピリダジミニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチオフェニル、またはベンゾフラニル);アミノ(第一級、第二級または第三級);COCH;CONH2;OCHCONH;NH2;SONH;OCHF;FC;OCFがあり;更にこれらの基も、縮合環ブリッジまたは構造、例えば、-OCHO-で所望により置換されていてもよい。これらの置換基は、これらの基の中から選択される置換基によって所望により更に置換されていてもよい。ある特定の表現において、「置換基」または形容詞の「置換された」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ハロアルキル、-C(O)NR1112、-NR13C(O)R14、ハロ、-OR13、シアノ、ニトロ、ハロアルコキシ、-C(O)R13、-NR1112、-SR13、-C(O)OR’13、-OC(O)R13、-NR13C(O)NR1112、-OC(O)NR1112、-NR13C(O)OR14、-S(O)rR13、-NR13S(O)rR14、-OS(O)rR14、S(O)rNR1112、-O、-S、および-NR13より構成される基から選択される置換基を指し、ここで、rは、1または2であり;R11およびR12は、出現ごとに独立して、H、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたシクロアルキル、所望により置換されたシクロアルケニル、所望により置換されたヘテロシクロアルキル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換されたアリールアルキル、または所望により置換されたヘテロアリールアルキルであるか;またはR11およびR12は、それらが結合している窒素と一緒になって、所望により置換されたヘテロシクロアルキル、または所望により置換されたヘテロアリールであり;R13およびR14は、出現ごとに独立して、H、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたシクロアルキル、所望により置換されたシクロアルケニル、所望により置換されたヘテロシクロアルキル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換されたアリールアルキル、または所望により置換されたヘテロアリールアルキルである。ある特定の変形において、「置換基」または形容詞の「置換された」という用語は可溶化基を指す。
【0112】
「投与」という用語またはこの変形(例えば、「投与する」)は、単独か薬学的に許容される組成物の一部かどうかにかかわらず、状態、症状、または疾患の治療または予防の文脈においてそれを受けることになる患者に活性成分を提供することを指す。
【0113】
「治療すること」、「治癒すること」、および「治療」という用語は、本明細書において使用される場合、状態もしくは疾患および/またはこれらと関連する症状の軽減、緩和、または除去を含むことを意味する。
【0114】
「予防する」、「妨げる」および「予防」という用語は、本発明において使用される場合、状態もしくは疾患および/またはこれらと関連する症状の発症を遅延させるかまたは妨げるかまたは予防するか;患者が状態または疾患に罹患するのを予防するか;または患者の所定の疾患または状態に罹患するリスクを低下させる目的を果たす方法を指す。
【0115】
不斉炭素の結合は、実線の三角形
【0116】
【化8】
、点線の三角形
【0117】
【化9】
、またはジグザグ線
【0118】
【化10】
を使用して本明細書において表されることがある。
【発明を実施するための形態】
【0119】
本発明の目的は、背部痛の予防および/または治療における、局所投与を介したその使用のための、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、ならびにこれらを含む組成物に関する。
【0120】
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)は、全ての生存細胞に存在する補酵素である。NADは、その酸化形態であるNAD+、またはその還元形態であるNADHのいずれかとして細胞内に存在する。NADの役割は、代謝の酸化-還元反応に関与する電子担体の役割である。NADはまた、タンパク質の翻訳後修飾の文脈において多数の細胞プロセス、例えばアデノシン二リン酸(ADP)リボシル化に更に関与する。
【0121】
NADは、アミノ酸、例えば、トリプトファンまたはアスパルテートから細胞によってデノボ合成される場合がある。しかし、NAD合成のための主要経路は、細胞、主に細胞核が、化合物をリサイクルして前駆体からNADを再形成することによるサルベージ経路であるため、このようなデノボ合成はわずかである。NADの前駆体としては、ナイアシン、ニコチンアミドリボシド、ニコチンアミドモノヌクレオチド、およびニコチンアミドがある。
【0122】
NMNは、サルベージ経路によってNADの合成を可能にする化合物のうちの1つであり、式
【0123】
【化11】
を有する。
【0124】
本発明は、腰部痛(腰背部痛)、すなわち、腰部椎骨領域において経験される背部痛を予防および/または治療するためのNMN、その薬学的に許容される誘導体、またはこれらの薬学的に許容される塩、ならびにこれらを含む組成物の使用を提案する。本発明者らは、特に、局所経路を介したNMNの投与は、腰部痛(腰背部痛)、特に慢性腰部痛を減少させることを可能にすることを発見した。
【0125】
更に、身体内に自然に存在する分子であるNMNの使用は多くの利点を有する。特に、NMNは、患者においていずれの耐性問題ももたらすことはない。実際、NMNおよび本発明による組成物の使用は、いずれのアレルギーも誘発しない。更に、NMNおよび本発明による組成物の使用は、従来の治療に伴って頻繁に遭遇する有害な副作用を誘発しない。
【0126】
特に、NMNは、モルヒネまたはアヘン誘導体を含む鎮痛薬とは異なり、身体的または心理的依存の現象をいずれも誘発しない。更に、NMNは、コルチゾンまたはその誘導体の慢性投与に伴って観察されるような骨脆弱症または感染に対する脆弱性のいずれも誘発しない。したがって、背部痛、好ましくは腰部痛、より好ましくは慢性腰部痛を予防および/または治療するための本発明によるNMNおよび組成物の使用は安全である。
【0127】
NMNおよび本発明による組成物はまた、大人だけではなく子供のために使用してもよい。NMNは実際、子供による耐容性も示す。本発明の文脈において、患者は、年齢が18歳未満の場合は子供、18歳以上の年齢から成人でとみなされる。結果として、本発明は、子供における背部痛を治療することにおいても興味深いものである。
【0128】
1つの特に好ましい実施形態において、NMNは双生イオンの形態である。「双生イオン」という用語は、反対の符号の電荷を有し、一般的に分子の非隣接原子上に位置する分子化学種を指すと理解される。
【0129】
NMNの薬学的に許容される誘導体は、ジヒドロニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN-Hと表記される)、アルファ-NMNから選択してもよく;NMNの薬学的に許容される誘導体は、式(I)を有する化合物
【0130】
【化12】
、またはこれらの薬学的に許容される、立体異性体、塩、水和物、溶媒和物、もしくは結晶のうちの1つ(式中、
-Xは、O、CH、S、Se、CHF、CFおよびC=CHの中から選択され;
-Rは、H、アジド、シアノ、(C~C)アルキル、(C~C)チオ-アルキル、(C~C)ヘテロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、Hおよび(C~C)アルキルから選択され;
-R、R、RおよびRは、互いに独立して、H、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、(C~C12)アルキル、(C~C12)チオ-アルキル、(C~C12)ヘテロアルキル、(C~C12)ハロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、H、(C~C12)アルキル、C(O)(C~C12)アルキル、C(O)NH(C~C12)アルキル、C(O)O(C~C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C~C12)アルキルアリール、C(O)NH(C~C12)アルキルアリール、C(O)O(C~C12)アルキルアリール、およびC(O)CHRAANHの中から選択され;ここで、RAAは、タンパク質原生アミノ酸から選択される側鎖であり;
-Rは、H、アジド、シアノ、(C~C)アルキル、(C~C)チオ-アルキル、(C~C)ヘテロアルキル、およびORの中から選択され;ここで、Rは、Hおよび(C~C)アルキルから選択され;
-Rは、H、P(O)R10、P(S)R10および
【0131】
【化13】
の中から選択され、ここで、nは、1または3から選択される整数であり;ここで、
-RおよびR10は、互いに独立して、OH、OR11、NHR13、NR1314、(C~C)アルキル、(C~C)アルケニル、(C~C)アルキニル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C12)アリール、(C~C)アルキルアリール、(C~C)アリールアルキル、(C~C)ヘテロアルキル、(C~C)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびNHCHRA’C(O)R12の中から選択され;ここで:
-R11は、(C~C10)アルキル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C18)アリール、(C~C10)アルキルアリール、置換(C~C12)アリール、(C~C10)ヘテロアルキル、(C~C10)ヘテロシクロアルキル、(C~C10)ハロアルキル、ヘテロアリール、-(CHC(O)(C~C15)アルキル、-(CHOC(O)(C~C15)アルキル、-(CHOC(O)O(C~C15)アルキル、-(CHSC(O)(C~C15)アルキル、-(CHC(O)O(C~C15)アルキル、および-(CHC(O)O(C~C15)アルキルアリール(ここで、nは、1から8から選択される整数である);P(O)(OH)OP(O)(OH);ハロゲン、ニトロ、シアノ、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルコキシ、-N(R11a、C~Cアシルアミノ、-COR11b、-OCOR11b;NHSO(C~Cアルキル)、-SON(R11aSO(ここで、R11aのそれぞれは、Hおよび(C~C)アルキルから独立して選択され、R11bは、OH、C~Cアルコキシ、NH、NH(C~Cアルキル)、またはN(C~Cアルキル)から独立して選択される)の群の中から選択され;
-R12は、H、C~C10アルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~C10ハロアルキル、C~C10シクロアルキル、C~C10ヘテロシクロアルキル、C~C18アリール、C~Cアルキルアリール、およびC~C12ヘテロアリールの中から選択され;ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、およびシアノの中から選択される1個または2個の基で所望により置換されていてもよく;
-RおよびRA’は、H、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、(C~C10)アルキニル、(C~C10)シクロアルキル、(C~C10)チオ-アルキル、(C~C10)ヒドロキシアルキル、(C~C10)アルキルアリール、および(C~C12)アリール、(C~C10)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、-(CHNHC(=NH)NH、(1H-インドール-3-イル)メチル、(1H-イミダゾール-4-イル)メチル、ならびにタンパク質原生アミノ酸または非タンパク質原生アミノ酸の中から選択される側鎖の中から独立して選択され;ここで、前記アリール基は、ヒドロキシル、(C~C10)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、およびシアノの中から選択される基で所望により置換されていてもよく;または
-RおよびR10は、それらが結合しているリン原子とともに6員環を形成しており、ここで、-R-R10-は-CH-CH-CHR-を表し;ここで、Rは、H、(C~C)アリール基、および(C~C)ヘテロアリール基の中から選択され、ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびシアノで所望により置換されていてもよく;または
およびR10は、それらが結合しているリン原子とともに6員環を形成しており、ここで、-R-R10-は-O-CH-CH-CHR-O-を表し;ここで、Rは、H、(C~C)アリール基、および(C~C)ヘテロアリール基の中から選択され、ここで、前記アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、トリフルオロメチル、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびシアノで所望により置換されていてもよく;
- Rは、H、OR、NHR13、NR1314、NH-NHR13、SH、CN、N、およびハロゲンの中から選択され;ここで、R13およびR14は、互いに独立して、H、(C~C)アルキル、(C~C)アルキルアリール、および-CR-C(O)-ORの中から選択され、ここで、RおよびRは、独立して、水素原子、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ベンジル、インドリル、またはイミダゾリルであり;ここで、(C~C)アルキルおよび(C~C)アルコキシは、ハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、またはカルボキシル基のうちの1つまたは複数で所望により互いに独立して置換されていてもよく、ベンジル基は、1つまたは複数のハロゲンまたはヒドロキシル基で所望により置換されていてもよく;またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子とともに、1つまたは複数のハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、およびカルボキシルで所望により置換されたC~Cシクロアルキル基を形成しており;Rは、水素、(C~C)アルキル、(C~C)アルケニル、(C~C)アルキニル、または(C~C)シクロアルキルであり;
-Yは、CH、CH、C(CHおよびCCHの中から選択され;
【0132】
【化14】
は、Yに沿った単結合または二重結合を表し;
【0133】
【化15】
は、Rの位置に応じてアルファまたはベータアノマーを表す);
または
式(Ia)を有する化合物
【0134】
【化16】
またはその立体異性体、塩、水和物、溶媒和物、もしくは結晶のうちの1つ(式中、
X’およびX’は、O、CH、S、Se、CHF、CF、およびC=CHの中から独立して選択され;
R’およびR’13は、H、アジド、シアノ、C1~C8アルキル、C1~C8チオ-アルキル、C1~C8ヘテロアルキル、およびORの中から独立して選択され、ここで、Rは、HおよびC1~C8アルキルから選択され;
R’、R’、R’、R’、R’、R’10、R’11、R’12は、H、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、C~C12アルキル、C~C12チオアルキル、C~C12ヘテロ-アルキル、C~C12ハロアルキル、およびORの中から独立して選択され;ここで、Rは、H、C~C12アルキル、C(O)(C~C12)アルキル、C(O)NH(C~C12)アルキル、C(O)O(C~C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C~C12)アリール、C(O)NH(C~C12)アルキルアリール、C(O)O(C~C12)アルキルアリール、またはC(O)CHRAANH2基の中から選択してもよく;ここで、RAAは、タンパク質原生アミノ酸から選択される側鎖であり;
R’およびR’は、H、アジド、シアノ、C~Cアルキル、およびORの中から独立して選択され、ここで、Rは、HおよびC~Cアルキルから選択され;
R’およびR’14は、H、OR、NHR、NRR’、NH-NHR、SH、CN、N、およびハロゲンの中から独立して選択され;ここで、RおよびR’は、独立して、Hおよび(C~C)アルキルアリールから選択され;
Y’およびY’は、CH、CH、C(CH、またはCCHの中から独立して選択され;
M’は、Hまたは好適な対イオンから選択され;
【0135】
【化17】
は、Y’およびY’に応じて単結合または二重結合を表し;
【0136】
【化18】
は、R’およびR’13の位置に応じてアルファまたはベータアノマーを表す);
およびこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0137】
本発明の意味の範囲内において、M’は、内部対イオンであっても外部対イオンであってもよい。
【0138】
第1の好ましい実施形態において、薬学的に許容される誘導体は式(I)を有する化合物である。
【0139】
第1の実施形態の1つの変形において、Xは酸素を表す。
【0140】
第1の実施形態の1つの変形において、RおよびRはそれぞれ、互いに独立して水素を表す。
【0141】
第1の実施形態の1つの変形において、R、R、RおよびRはそれぞれ、互いに独立して、水素またはOHを表す。
【0142】
第1の実施形態の1つの変形において、YはCHを表す。
【0143】
第1の実施形態の1つの変形において、YはCHを表す。
【0144】
第1の実施形態の1つの変形において、Rは水素を表す。
【0145】
第1の実施形態の1つの変形において、RはP(O)(OH)を表す。
【0146】
第1の実施形態の1つの変形において、
Xは酸素を表し;および/または
およびRは、それぞれ独立して、水素を表し;および/または
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素を表すか、またはR、R、RおよびRは独立してOHを表し;および/または
Yは、CHまたはCHを表し;および/または
はP(O)R10を表し、ここで、RおよびR10は、OH、OR11、NHR13、NR1314、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~C10シクロアルキル、C~C12アリール、C~Cアリールアルキル、C~Cアルキルアリール、C~Cヘテロアルキル、C~Cヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびNHCRA’C(O)R12の中から独立して選択される。
【0147】
第1の実施形態の1つの特に好ましい変形において、本発明の化合物は、式I-BからI-Jを有する化合物の中から選択される。
【0148】
【表3】
【0149】
NMNの薬学的に許容される誘導体は、アルファ-NMN(化合物I-BまたはI-F)またはジヒドロニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN-H)(化合物I-DまたはI-C)、およびこれらの組合せであってもよい。
【0150】
第2の好ましい実施形態において、薬学的に許容される誘導体は、式(Ia)を有する化合物である。
【0151】
第2の実施形態の1つの変形において、X’1およびX’2は、それぞれ独立して、酸素を表す。
【0152】
第2の実施形態の1つの変形において、R’7およびR’14は、それぞれ独立して、NHを表す。
【0153】
第2の実施形態の1つの変形において、R’1および/またはR’13は、それぞれ独立して、水素を表す。
【0154】
第2の実施形態の1つの変形において、R’6および/またはR’8は、それぞれ独立して、水素を表す。
【0155】
第2の実施形態の1つの変形において、R’2、R’3、R’4、R’5、R’9、R’10、R’11、およびR’12は、それぞれ独立して、水素を表す。
【0156】
第2の実施形態の1つの変形において、R’2、R’3、R’4、R’5、R’9、R’10、R’11、およびR’12は、それぞれ独立して、OHを表す。
【0157】
第2の実施形態の1つの変形において、Y’1およびY’2は、それぞれ独立して、CHを表す。
【0158】
第2の実施形態の1つの変形において、Y’1およびY’2は、それぞれ独立して、CH2を表す。
【0159】
第2の実施形態の1つの変形において、本発明による化合物は、式Ia-AからIa-Iを有する化合物の中から選択される。
【0160】
【表4】
【0161】
好ましくは、式Iaを有する化合物は、化合物Ia-B、Ia-C、Ia-E、Ia-F、Ia-HおよびIa-I、ならびにこれらの組合せの中から選択される。
【0162】
NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、ならびに本発明によるこれらを含む組成物は、背部痛、好ましくは腰部痛(腰背部痛)、より好ましい方式では慢性腰部痛を治療するために使用してもよい。
【0163】
したがって、腰部痛、好ましくは慢性腰部痛を治療または予防するための、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、ならびに本発明によるこれらを含む組成物の使用は、腰部痛のための従来の治療の使用を回避するかまたは最低限でも減少させ、その結果、これらの治療法と関連する有害な副作用の出現を回避するかまたは最低限でも減少させることを可能にする。
【0164】
実際に、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、ならびにこれらを含む組成物の投与は、腰部痛の発症のリスクを回避するかまたは最低限でも減少させることを可能にする。最低限でも、急性腰部痛が持続し、慢性化するのを予防するために、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、ならびにこれらを含む組成物を使用することが可能である。
【0165】
したがって、本発明は、背部痛のための、特に腰部痛および慢性腰部痛のための従来の治療に対する代替を提供し、従来の治療法の有害な副作用を減少させることを可能にする。
【0166】
本発明の意味の範囲内において、腰部痛は、国際疾病分類ICD-10のM50からM54およびG55.1カテゴリーのうちの1つの範囲内で、好ましくはカテゴリーM51、M54およびG55.1の範囲内で分類してもよい。
【0167】
痛みを測定するための様々な異なるスケールが存在する。そのような測定スケールは、例えば、フランス高等保健機構(https://www.has-sante.fr/upload/docs/application/pdf/2019-02/liste_echelles_douleur_2019.pdf)によって提供される文献において挙げられる。これらの中で、以下の注目すべきスケール:疼痛のVisual Analogue Scale(VAS)、数値スケール、簡単な言語スケール、WOMAC指標(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritisインデックス)およびLequesne質問票を挙げることができる。いくつかのスケールが集団の特定のカテゴリーに関して開発されてきた。例えば、DoloplusおよびAlgoplusスケールは高齢者用に特に開発されている。
【0168】
より正確には、WOMAC スコアは、以下の質問に対する応答に基づいて計算される:
疼痛(0~100でそれぞれ評価される5個の項目):次の場合のあなたの疼痛を格付けてください
項目1.平らな/均一な表面でウォーキングした
項目2.階段を上ったり降りたりした
項目3.夜、寝床に就いた
項目4.座った状態から立ち上がったかまたは座った
項目5.まっすぐに立った
凝り(0~100でそれぞれ評価される2個の項目):次の場合のあなたの背中の凝りを格付けしてください
項目#1.朝、寝床から立ち上がった
項目2.日中、座ったり、横になったり、休んだりした後に立ち上がった/動いた
身体的機能(0~100でそれぞれ評価される17個の項目):以下の場合の困難さを格付けしてください
項目1.階段を下りた
項目2.階段を上った
項目3.座った状態から立ち上がった
項目4.まっすぐに立った
項目5.床に向かって上体を曲げた
項目6.均一な床でウォーキングした
項目7.車の乗り降りをした
項目8.買い物に行った
項目9.タイツまたは靴下を履いた
項目10.寝床から起き上がった
項目11.タイツまたは靴下を脱いだ
項目12.寝床に横たわった
項目13.浴槽を出入りした
項目14.座った
項目15.トイレで座ったリ立ったりした
項目16.軽い家事/仕事(例えば調理、ほこり取り)を行った
項目17.大変な家事/仕事(例えば家具の移動)を行った。
【0169】
合計スコアは、24個の項目の平均に対応する。評価の各分野に関するスコアについても同様である。
【0170】
Lequesneスコアに関しては、0から22まで変化しており:スコアが高いほど、より厳しいかまたは更に耐え難い機能障害である。8から10までは、機能障害は顕著であると認定され、指標スコアが10以上に関しては、機能障害は非常に顕著であると認定される。
【0171】
特に、NMN、その薬学的に許容される誘導体、もしくはその薬学的に許容される塩、またはこれらを含む組成物は、WOMAC指標の機能、凝り、および疼痛パラメータを改善するために使用してもよい。
【0172】
NMN、その誘導体またはその薬学的に許容される塩、またはこれらを含む組成物は、背部痛、脊髄の関節の凝りを減少させおよび/または脊髄の関節機能を改善するために使用してもよい。
【0173】
「関節機能」という用語は、椎骨、特に腰部椎骨によって可能になる脊柱の湾曲、伸長、側部湾曲および回転の動作を指すと理解される。
【0174】
使用
本発明によれば、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはこれらの薬学的に許容される塩、ならびにこれらを含む組成物は、背部痛を予防するおよび/または治療するために使用される。
【0175】
本発明の意味の範囲内において、背部痛は、筋肉に対する損傷、靭帯に対する損傷、腱に対する損傷、椎間板の変性、椎間板ヘルニア、婦人科系起源の痛み、脊椎すべり症、関節炎、変形性関節症、脊柱(または脊椎)の骨粗鬆症、骨粗鬆症関連の骨折、腹部大動脈瘤、腫瘍、感染症、炎症、椎間関節損傷、椎間板損傷、局部的または全体的な脊髄の(不)安定性関連の[脊髄の静止学的]障害、椎骨における筋収縮、筋断裂、脊髄変形、またはこれらの組合せの中から選択される病状のうちの1つに起因していてもよい。
【0176】
脊椎すべり症は、1つの椎骨が、その下に位置する椎骨の前方に滑り、その上に接していること(前方脊椎すべり症(antepondylolisthesis))、またはその下に位置する椎骨の後方に滑り、その上に接していること(後方脊椎すべり症(retrolisthesis))によって特徴付けられるヒト骨格の状態を指す。
【0177】
脊髄変形は、脊柱側弯症、脊柱後弯症、脊柱前弯症または二分脊椎症であってもよい。
【0178】
「損傷」(病変)という用語は、病理学的または外傷性の状態に起因するかどうかにかかわらず、臓器、組織または細胞の解剖学的または組織学的特性の任意の変化を指すと理解される。
【0179】
本発明によれば、背部痛は、国際疾病分類ICD-10のカテゴリーのうちの1つの範囲内で、好ましくはカテゴリーM40からM43;M46からM54およびG55の範囲内で分類してもよい。
【0180】
本発明によれば、背部痛は強直性脊椎炎ではない。
【0181】
好ましくは背部痛は、頸部痛(首の痛み)または腰部痛(腰背部痛)、より好ましい方式では、慢性腰部痛である。腰部痛は、腰部椎骨に感じられる痛みとして定義してもよい。ヒトは、L1からL5番の5個の腰部椎骨を有する。腰部椎骨は、脊柱の尾側部、より正確には、仙骨と胸部椎骨との間に位置する。腰部椎骨の役割は、脊柱の湾曲および伸長動作、ならびに、少ない程度ではあるが、側部湾曲および回転動作を可能にすることである。それはまた、体重の大部分を支えている。その解剖学的役割およびそれが受ける持続的なストレスを考慮すると、腰部痛は最も一般的な背部痛病状のうちの1つである。
【0182】
より好ましい方式では、背部痛、好ましくは頸部痛(首の痛み)または腰部痛(腰背部痛)、より好ましくは慢性腰部痛は、炎症、筋肉けいれん(筋肉収縮)、筋肉断裂、靭帯損傷、腱損傷、またはこれらの組合せに起因する。
【0183】
炎症、筋肉のけいれん/拘縮、筋肉断裂、靭帯または腱の損傷は、不随意の動作、ひずみもしくは奮闘、または反復動作に起因する場合がある。
【0184】
本発明によるNMN、その誘導体、またはこれらの塩、ならびにこれらを含む組成物は、実際、従来の治療の使用に頼ることなく、腰部痛(腰背部痛)、特に慢性腰部痛を軽減するために使用してもよい。
【0185】
特に、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、ならびにこれらを含む組成物は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける腰部痛の治療および/または予防において使用してもよい。
【0186】
したがって、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、ならびにこれらを含む組成物の使用は、従来の治療法の使用に頼ることを回避すること、または最低限でも、これらの投薬量および/または投与頻度を減少させ、その結果、これらの有害な副作用を減少させることを可能にする。
【0187】
投与様式およびガレノス形態
本発明によれば、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、およびそれを含む組成物は、局所経路を介して投与されることを意図する。「局所経路」という用語は、身体、例えば皮膚または粘膜の部位におけるまたは外部表面上への組成物または物質の投与形態を指すと理解される。
【0188】
本発明を実施するのに好適なガレノスまたは医薬投薬形態は、ゲル、溶液、油中水エマルション、水中油エマルション、油、クリーム、軟膏/膏薬、またはリニメントである。
【0189】
「溶液」という用語は、液体相中に様々な成分を溶解し、その結果、唯一の均質相を形成することによって得られる、少なくとも1つの活性成分を投与するために使用される液体ガレノス形態を指すと理解される。
【0190】
「エマルション剤」という用語は、一方が他方中に小液滴の形態で分散している、2つの非混和性液体物質の不均質な混合物を指すと理解される。これらは、水および油のように自然に混合されることはない(非混和性である)が、特定の操作(いくつかの活性成分の撹拌、混合、添加)を行うと、巨視的には均質であるが、微視的には不均質である外観をとるようになる2つの液体である。したがって、物質のうちの1つは、液滴の形態で第2の物質中に分散することになる。混合物は、乳化剤と称される第3の成分のおかげで安定なままであることが可能である(混合物の漸進的変化のスピードまたは動力学はほぼゼロである)。「油中水エマルション」は「水/油」と表記され、油性相中に分散した水性相からなる。「水中油エマルション」は「油/水」と表記され、水性相中に分散した油性相からなる。
【0191】
「クリーム」という用語は、局所使用のために投与されることを意図する半固形調製物を指すと理解される。
【0192】
「軟膏/膏薬」という用語は、皮膚に適用することを意図する半固形調製物を指すと理解される。
【0193】
「リニメント」という用語は、擦る(摩擦する)行為によって使用されることを意図する脂肪物質、例えば油を慣例的に含む液体医薬形態を指すと理解される。
【0194】
「ゲル」という用語は、場合により延性を有し、液体によって囲まれた巨大分子の3次元ネットワークからなる固体材料を指すと理解される。ゲルの形態の組成物は、皮膚中に十分に急速に浸透し、また新鮮な麻酔感覚を提供する役割を果たす。1つの実施形態において、ゲルは、疎水性ゲルまたは親水性ゲルであってもよい。有利には、ゲルは親水性ゲルである。
【0195】
1つの好ましい実施形態において、本発明による組成物は、油中水エマルションまたは水中油エマルション、より好ましい方式では、水中油エマルションの形態である。
【0196】
実際に、NMNおよびその誘導体は、非常に親水性であり、その結果、水性相中によく溶解する。
【0197】
有利には、本発明による組成物は、組成物の総重量に対して、0.05重量%から15重量%の間、好ましくは1重量%から10重量%の間、より好ましい方式では3重量%から5重量%の間で含まれる量でNMN、その薬学的に許容される塩、またはその薬学的に許容される誘導体を含んでいてもよい。
【0198】
有利には、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩は、1日あたり1から10回の間、好ましくは1日あたり1から5回の間、より好ましい方式では1日あたり1から3回の間投与される。
【0199】
1つの特に好ましい実施形態において、NMN、その薬学的に許容される誘導体、もしくはその薬学的に許容される塩、またはこれらを含む組成物は、1日2回投与される。
【0200】
治療上の組合せ
NMN、その薬学的に許容される誘導体、その薬学的に許容される塩、ならびにこれらを含む組成物はまた、少なくとも1つの他の治療剤、特に、背部痛、好ましくは腰部痛(腰背部痛)、より好ましい方式では慢性腰部痛を軽減するために慣例的に使用される治療剤と組み合わせて使用してもよい。
【0201】
本発明と併用してもよい治療剤の中でも、鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬、コルチゾン、コルチゾン誘導体、筋弛緩薬、およびこれらの組合せを挙げることができる。
【0202】
有利には、鎮痛薬は、パラセタモール、ネフォパム、ケタニン、テトラヒドロカンナビノール、カンナビノイド、アスピリン、サリチル酸メチル、ジフルニサル、サリチルアミド、コデイン、アルフェンタニル、カルフェンタニル、ジヒドロコデイン、コデイノン、トラマドール、モルヒネ、モルヒノン、ブプレノルフィン、フェンタニル、アセチルフェンタニル、レミフェンタニル、スフェンタニル、ヘロイン、ヒドロモルフォン、ナルブフィン、オキシコドン、ヒドロキシコドン、オキシモルフォン、ラウダナム、メタドン、ペチジン、デキストロプロポキシフェン、エンドルフィン、タペンタドール、テバイン、ビコジン、およびこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0203】
有利には、非ステロイド性抗炎症薬は、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ケトロラク、アルミノプロフェン、アセクロフェナク、メフェナム酸、ニフルム酸、チアプロフェン酸、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、デクスケトプロフェン、ジクロフェナク、エトドラク、エトリコキシブ、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、メロキシカム、ナブメトン、ピロキシカム、スリンダク、テノキシカム、ニメスリド、およびこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0204】
コルチゾン誘導体は、ベタメタゾン、シプロフロキサシン、コルチバゾール、デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロンおよびトリアムシノロン、およびこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0205】
有利には、筋弛緩薬は、中枢作用性筋弛緩薬、末梢作用性筋弛緩薬、直接作用性筋弛緩薬、およびこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0206】
有利には、中枢作用性筋弛緩薬は、バクロフェン、メフェネシン、テトラゼパム、チオコルコシド(thiocolchoside)、チザニジン、カルバミン酸エステル、およびこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0207】
カルバミン酸エステルはメトカルバモールであってもよい。
【0208】
有利には、末梢作用性筋弛緩薬は、神経筋接合部におけるアセチルコリン放出のブロッカー(阻害剤)、例えば、ボツリヌス毒素A型およびボツリヌス毒素B型、電位依存性ナトリウムチャネルブロッカー、例えばコノトキシンおよびフエントキシン、電位依存性カルシウムチャネルブロッカー、例えばジヒドロピリジン、または筋ニコチン性アセチルコリン受容体ブロッカー、例えばクラーレまたはコノトキシンの中から選択してもよい。
【0209】
有利には、直接作用性筋弛緩薬は、リアノジン受容体ブロッカー、例えばダントロレンである。
【0210】
本発明と組み合わせて使用してもよい筋弛緩薬の非限定的な例の目的で、バクロフェン、キニーネ、メフェネシン、チザニジン、テトラゼパム、チオコルチコシド、アセチルヘキサペプチド-8、μ-コノトキシンCnIIIc(ミューコノトキシンCnIIIc)、ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミドジアセテート、ならびに局在的に使用されるボツリヌス毒素、ならびにこれらの組合せを特に挙げることができる。
【0211】
アセチルヘキサペプチド-8はアルジレリンとも称され、CAS番号:616204-22-9で登録されている。その作用はボツリヌス毒素の作用と類似している。μ-コノトキシンCnIIIc(またはミューコノトキシンCnIIIc)はNav1.4ナトリウムチャネルをブロックすることを可能にする。μ-コノトキシンCnIIIc(またはミューコノトキシンCnIIIc)は、CAS番号:936616-33-0およびUNIPROT番号I1SB07で登録されている。ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミドジアセテートはCAS番号:823202-99-9で登録されている。それは筋収縮を減少させるために使用される。アルジレリン、μ-コノトキシンCnIIIc、およびジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミドジアセテートは、好ましくは、局所経路を介して投与されることを意図する。
【0212】
少なくとも1つの他の追加の治療剤は局所または経口経路を介して、または注射によって投与してもよい。より正確には、少なくとも1つの他の治療剤は、慣例的に投与される経路によって投与してもよい。
【0213】
少なくとも1つの他の治療剤はまた、NMN、その薬学的に許容される塩、もしくはその薬学的に許容される誘導体、または本発明による組成物と同時にまたは異なる時間に投与してもよい。
【0214】
追加の治療剤は、NMN、その薬学的に許容される塩、その薬学的に許容される誘導体、または前記組成物の作用を強化するために投与してもよい。
【0215】
本発明による組成物および化合物は、少なくとも1つの追加の治療剤と同時に、個別にまたは連続的に投与してもよい。「同時に」という用語は、2つの薬剤が同じ時間に投与されることを示すと理解される。「個別に」という用語は、第1の薬剤の投与と第2のものとの間の時間間隔が著しいこと、少なくとも1時間であることを示すと理解される。「連続的に」という用語は、2つの薬剤が、これら両方が同じ時期にわたって治療的に作用することが可能であるような時間枠内で交互に投与されることを示すと理解される。2つの薬剤を投与する間の最適な時間間隔は、本発明の化合物または組成物の投与法の正確な性質によって変わることになる。
【0216】
組成物
本発明による組成物は、背部痛、好ましくは腰部痛(腰背部痛)、より好ましい方式では慢性腰部痛の予防および/または治療において使用するための、ニコチンアミドモノヌクレオチド、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、およびこれらの局所投与のための少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含んでいてもよい。
【0217】
そのような組成物は、特に腰部痛、好ましくは慢性腰部痛の軽減において使用価値がある。
【0218】
本発明の文脈において、「賦形剤」は、組成物中に存在し、治療効果を有さないNMN以外の任意の物質を指す。賦形剤は、NMNまたはその他の追加の治療剤と化学的に相互作用しない。
【0219】
賦形剤は、増量剤、滑沢剤、香味剤、着色剤、乳化剤、圧縮剤、希釈剤、保存剤、ゲル化剤、可塑剤、界面活性剤、またはこれらの組合せの中から選択してもよい。当業者であれば、選択することになるガレノス形態に基づいて選択されることになる賦形剤をどのように決定するかを知っているであろう。
【0220】
本発明による組成物は医薬組成物であってもよい。この場合、賦形剤は薬学的に許容される賦形剤である。
【0221】
本発明の文脈において、「薬学的に許容される」塩または賦形剤は、欧州薬局方(「Ph.Eur.」と表記される)および米国薬局方(典型的には、「United States Pharmacopeia(USP)」と表記される)によって認可された任意の塩または賦形剤を指す。
【0222】
1つの好ましい実施形態において、本発明による組成物は、背部痛の予防および/または治療、好ましくは腰部痛(腰背部痛)、より好ましくは慢性腰部痛におけるその使用のための上記で定義された少なくとも1つの他の追加の治療剤を更に含んでいてもよい。より好ましい方式では、少なくとも1つの治療剤は、鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬または筋弛緩薬であってもよい。
【0223】
式(I)を有する化合物および式(Ia)を有する化合物を調製するための方法
式(I)または式(Ia)を有する化合物は、当業者に周知の任意の方法に従って調製してもよい。
【0224】
式(I)を有する化合物を調製するための化合物の調製法
式(I)を有する化合物は、国際特許出願WO2017/024255A1、および米国特許10,611,790B2に記載されている方法に従って、ならびに以下に記載される方法に従って特に調製してもよい。
【0225】
特に、本明細書において開示される式(I)を有する化合物は、基質A~Eから以下で本明細書で記載するように調製してもよい。これらの反応スキームは決して限定を意図するものではなく、それらに対する変形は、趣旨および範囲を本発明から逸脱することなく行ってもよいことを当業者であれば理解するはずである。
【0226】
1つの実施形態によれば、本発明は、本明細書において上述したような式(I)を有する化合物を調製するための化合物の調製法に関する。
【0227】
方法は、第1のステップにおいて、塩化ホスホリルおよびトリアルキルホスフェートの存在下で式(A)を有する化合物をモノリン酸化し、その結果、式(B)を有するホスホロジクロリデートを得ることを伴う
【0228】
【化19】
(式中、X、R、R、R、R、R、R、R、Y、
【0229】
【化20】
は、式(I)を有する化合物に関して本明細書において上記で定義したとおりである)。
【0230】
第2のステップにおいて、式(B)を有するホスホロジクロリデートを加水分解し、その結果、式(C)を有するホスフェートを得る
【0231】
【化21】
(式中、X、R、R、R、R、R、R、R、Y、
【0232】
【化22】
は、式(I)を有する化合物に関して本明細書において上記で定義したとおりである)。
【0233】
1つの実施形態によれば、式(A)を有する化合物は、当業者に既知の様々な方法を用いて合成される。
【0234】
1つの実施形態によれば、式(A)を有する化合物は、式(D)を有するペントースと式(E)を有する窒素含有誘導体との反応によって合成し(式中、R、R、R、R、R、R、R、Yは、式Iを有する化合物に関して本明細書において上述したとおりである)、その結果、式(A-1)を有する化合物を得、次いでこれを選択的に脱保護して、式(A)を有する化合物が得られる
【0235】
【化23】
(式中、X、R、R、R、R、R、R、R、Y、
【0236】
【化24】
は、式(I)を有する化合物に関して本明細書において上記で定義したとおりである)。
【0237】
1つの実施形態によれば、Rは、当業者に既知の好適な保護基である。1つの実施形態において、保護基は、トリアリールメチルおよび/またはシリルの中から選択される。限定するものではないが、トリアリールメチルのいくつかの例としては、トリチル、モノメトキシトリチル、4,4’-ジメトキシトリチル、および4,4’,4’’-トリメトキシトリチル基がある。限定するものではないが、シリル基のいくつかの例としては、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル、および[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチルがある。
【0238】
1つの実施形態によれば、ペントースに結合したいずれのヒドロキシル基も、当業者に既知の適切な保護基によって保護される。
【0239】
保護基の選択および交換は当業者の知識および専門的技術の十分な範囲内である。保護基はまた、例えば、酸(例えば、無機または有機酸)、塩基またはフッ化物原料を用いて当業者に周知の方法によって除去してもよい。
【0240】
1つの好ましい実施形態において、式(E)を有する窒素含有誘導体は、ルイス酸の存在下での反応によって式(D)を有するペントースと結合され、その結果、式(A-1)を有する化合物が得られる。限定するものではないが、ルイス酸のいくつかの例としては、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TMSOTf)、BF.OEt、TiClおよびFeClがある。
【0241】
1つの実施形態において、本発明の方法はまた、当業者に周知の様々な方法によって式(A)を有する化合物を還元し、その結果、式(A’)を有する化合物が得られる還元ステップを更に含む(式中、CH、およびR、R、R、R、R、R、R、Y、
【0242】
【化25】
は、式(I)を有する化合物に関して本明細書において上記で定義したとおりである)。
【0243】
1つの特定の実施形態において、本発明は、式I-A、I-C、I-E、I-Gを有する化合物を調製するための化合物の調製法に関する。
【0244】
第1のステップにおいて、式Eを有するニコチンアミドは、ルイス酸の存在下でカップリング反応させることによって式Dを有するリボーステトラアセテートと結合され、その結果、式A-1を有する化合物が得られる。
【0245】
【化26】
【0246】
第2のステップにおいて、式A-1を有する化合物のアンモニア処置が行われ、その結果、式I-Aを有する化合物が得られる。
【0247】
【化27】
【0248】
第3のステップにおいて、塩化ホスホリルおよびトリアルキルホスフェートの存在下で式I-Aを有する化合物がモノリン酸化され、その結果、式I-A’を有するホスホロジクロリデートが得られる。
【0249】
【化28】
【0250】
第4のステップにおいて、式Bを有するホスホロジクロリデートが加水分解され、その結果、式I-Cを有する化合物が得られる。
【0251】
【化29】
【0252】
1つの実施形態において、式I-Aを有する化合物を還元する還元ステップが行われ、その結果、式I-Eを有する化合物が得られる。
【0253】
次いで、式I-Eを有する化合物は、第4のステップにおいて記載されているようにモノリン酸化され、加水分解され、その結果、式I-Gを有する化合物が得られる。
【0254】
1つの実施形態によれば、式(I)を有する化合物は、以下の表における化合物I-AからI-Hから選択される。
【0255】
【表5】
【0256】
好ましくは、式(I)を有する化合物は、化合物I-A、化合物I-B、化合物I-C、化合物I-D、化合物I-E、化合物I-F、化合物I-G、化合物I-H、化合物I-I、化合物I-J;好ましくは化合物I-C、化合物I-Dまたは化合物I-F、およびこれらの組合せの中から選択される。より好ましい方式では、式(I)を有する化合物は、化合物I-B、化合物I-C、化合物I-D、化合物I-F、およびこれらの組合せの中から選択される。
【0257】
式(Ia)を有する誘導体を調製するための誘導体調製方法
特に、本明細書において示される式Iaを有する化合物は、基質X~XIIIから本明細書において以下に記載するように調製してもよい。これらの図は、決して限定を意図するものではなく、細部に関して、それらに対する変形は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく行ってもよいことを通常の当業者であれば理解するはずである。
【0258】
1つの実施形態によれば、本発明は、本明細書において上述した式Iを有する化合物を調製するための化合物の調製法に関する。
【0259】
方法は、まず第1に、トリアルキルホスフェート中の塩化ホスホリルの存在下で、式Xを有する化合物をモノリン酸化して、化合物ホスホロジクロリデートXIを得ることからなる
【0260】
【化30】
(式中、X’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、Y’
【0261】
【化31】
は、本明細書において上記で定義したとおりである)。
【0262】
第2のステップにおいて、第1のステップにおいて得られたホスホロジクロリデートXIの加水分解によって、式XIIを有するホスフェート化合物が得られる
【0263】
【化32】
(式中、X’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、Y’、M’、
【0264】
【化33】
は、本明細書において上記で定義したとおりである)。
【0265】
次いで、第2のステップにおいて得られた式XIIを有するホスフェート化合物は、第1のステップにおいて記載したように得られた式XIIIを有するホスホロジクロリデート化合物と反応させて
【0266】
【化34】
(式中、X’、R’、R’、R’10、R’11、R’12、R’13、R’14、Y’
【0267】
【化35】
は、式Iaに関して本明細書において記載したとおりである)、本明細書において記載される式Iaを有する化合物を得る。
【0268】
1つの実施形態によれば、方法は、専門家に既知の様々な方法を使用して式Iaを有する化合物を還元して、式Iaを有する化合物を得る還元ステップを更に含む(式中、Y’およびY’は同一であり、それぞれCHを表し、X’、X’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’10、R’11、R’12、R’13、R’14、Y’、Y’、および
【0269】
【化36】
は、式Iaに関して本明細書において記載したとおりである)。
【0270】
1つの変形において、Rは、当業者に既知の好適な保護基である。トリアリールメチルおよび/またはシリル基は好適な保護基の例である。限定するものではないが、トリアリールメチルのいくつかの例としては、トリチル、モノメトキシトリチル、4,4’-ジメトキシトリチル、および4,4’,4’’-トリメトキシトリチルがある。限定するものではないが、シリル基のいくつかの例としては、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル、および[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチルがある。
【0271】
1つの表現によれば、ペントース環に結合した任意のヒドロキシ基は、当業者に既知の好適な保護基によって保護される。
【0272】
保護基の選択および交換は、当業者の知識および専門的技術の十分な範囲内である。任意の保護基はまた、当技術分野において既知の方法によって、例えば、酸(例えば、無機または有機酸)、塩基またはフッ化物原料を用いて除去してもよい。
【0273】
1つの好ましい実施形態によれば、式XVを有する窒素化合物は、ルイス酸の存在下でカップリング反応させることによってペントースXIVに付加されて、式X-1を有する化合物が得られる。限定するものではないが、好適なルイス酸のいくつかの例としては、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TMSOTf)、BF.OEt、TiClおよびFeClがある。
【0274】
1つの特定の実施形態によれば、本発明は、式VIIIを有する化合物
【0275】
【化37】
またはその薬学的に許容される塩および/もしくは溶媒和物を調製するための化合物調製法に関する。
【0276】
第1のステップにおいて、式XVを有するニコチンアミドは、ルイス酸の存在下でカップリング反応させることによってリボーステトラアセテートXIVに添加されて、式X-1を有する化合物が得られる。
【0277】
【化38】
【0278】
第2のステップにおいて、式X-1を有する化合物のアンモニア処置によって、式Xを有する化合物が得られる。
【0279】
【化39】
【0280】
第3のステップにおいて、トリアルキルホスフェート中の塩化ホスホリルの存在下で式Xを有する化合物をモノリン酸化することによって、化合物ホスホロジクロリデートXIが得られる。
【0281】
【化40】
【0282】
第4のステップにおいて、第3のステップにおいて得られたホスホロジクロリデート化合物XIは部分的に加水分解されて、式XIIを有するホスフェート化合物が得られる。
【0283】
【化41】
【0284】
次いで、第5のステップにおいて、第4のステップにおいて得られた式XIIを有するホスフェート化合物は、第3のステップにおいて記載したように得られた式XIを有するホスホロジクロリデート化合物と反応させて、式VIIIを有する化合物を得る。
【0285】
別の特定の実施形態によれば、本発明は、式IXを有する化合物
【0286】
【化42】
またはその薬学的に許容される塩および/もしくは溶媒和物を調製するための化合物の調製法に関する。
【0287】
1つの変形によれば、式IXを有する化合物は、本明細書において上述したようにあらかじめ合成された式VIIIを有する化合物から得られる。
【0288】
この実施形態において、式IXを有する化合物は、当業者に既知の好適な還元剤を使用して式VIIIを有する化合物を還元することによって得て、式IXを有する化合物が得られる。
【0289】
1つの実施形態によれば、好ましい本発明の化合物は、表2の化合物Ia-AからIa-Iである。
【0290】
【表6】
【0291】
好ましくは、式(Ia)を有する化合物は、式Ia-Bを有する化合物、式Ia-Cを有する化合物、式Ia-Eを有する化合物、式Ia-Fを有する化合物、式Ia-Hを有する化合物、式Ia-Iを有する化合物、および式Ia-Gを有する化合物、ならびにこれらの組合せの中から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0292】
図1】Visual Analogue Scale(VAS)によって測定された10日にわたる腰部痛(腰背部痛)と関連する疼痛の強度の漸進的変化を示すグラフである。
図2】10日にわたる評価のWOMACスコアおよびその異なる領域の漸進的変化を示すグラフである。
図3】10日にわたるLequesneスコアおよびその異なるカテゴリーの漸進的変化を示すグラフである。
【実施例
【0293】
この説明の残りにおいて、提供される例は本発明の実例を意図し、決してその範囲を限定することを意図するものではない。
【0294】
実施例1
本発明による化合物の合成
材料および方法
全ての試薬は民間の供給会社から得、更に精製することなく使用した。薄層クロマトグラフィーは、TLCシリカゲル60 F254プラスチックシート(層厚0.2mm)、Merck製で行った。カラムクロマトグラフィーによる精製は、シリカゲル60(70~230メッシュASTM、Merck)で行った。融点は、デジタルデバイス(Electrothermal IA 8103)で補正せずに、またはWMEタイプのKofler加熱ベンチ(Wagner & Munz)で判定した。H、19F、および13C核磁気共鳴(NMR)および赤外線(IR)スペクトルによって、全ての化合物の構造を確認した。IRスペクトルは、Perkin Elmerスペクトル100 FT-IR分光器で記録し;NMRスペクトルは、Hスペクトルに関しては300または400MHz、13Cスペクトルに関しては75または100MHzスペクトル、19Fスペクトルに関しては282または377MHzで、BRUKER AC 300または400分光器で、溶媒としてCDCl、CDCN、DOまたはDMSO-dを使用して記録した。化学シフト(δ)は、(i)Hに関してはCHCl(δ7.27)を用いて間接的に;(ii)13Cに関してはCDCl(δ77.2)を用いて;(iii)19Fに関してはCFCl(内部標準)(δ0)を用いて直接的に、シグナルに対して百万分の1で示した。化学シフトはppmで提供され、ピークの多重度は以下のとおり表記される:s、シングレット;br s、広範なシングレット;d、ダブレット;dd、ダブレットのダブレット;ddd、ダブレットのダブレットのダブレット;t、トリプレット;q、カルテット;quint、クインテット;m、マルチプレット。高分解能マススペクトル(HRMS)は、「Service central d’analyse de Solaize」(フランス国立科学研究センター-ソレーズ)から得、エレクトロスプレーイオン化飛行時間型(ESI-TOF)質量分析法を使用してWaters分光器で記録した。式Si(CHを有するテトラメチルシラン(TMS)は、NMRスペクトルのための参照化合物として使用される。
【0295】
プロトコール
ステップ1-式X-1を有する化合物の合成:式XIVを有する化合物(1.0当量)をジクロロメタン中に溶解する。式XVを有するニコチンアミド(1.50当量)およびTMSOTf(1.55当量)を室温で添加する。反応混合物を還流下で加熱し、反応が完了するまで撹拌する。混合物を室温に冷却し、ろ過する。ろ液を濃縮乾固し、その結果、粗製式X-1を有するNR(ニコチンアミドリボシド)テトラアセテートを得る。
【0296】
ステップ2-式Xを有する化合物の合成:式X-1を有する粗製NRテトラアセテートをメタノール中に溶解し、-10℃に冷却する。これに続いて、メタノール中の4.6Mアンモニア(3.0当量)を-10℃で添加し、混合物を、反応が完了するまでこの温度で撹拌する。Dowex HCR(H)をpHが6~7に達するまで添加する。反応混合物を0℃に加熱し、ろ過する。樹脂を、メタノールおよびアセトニトリルの混合物で洗浄する。ろ液を乾燥するまで濃縮する。残渣をアセトニトリル中に溶解し、濃縮して内容物を乾固させる。残渣をアセトニトリル中に溶解し、その結果、式Xを有する粗製ニコチンアミドリボシドトリフレートの溶液を得る。
【0297】
ステップ3-式XIを有する化合物の合成:アセトニトリル中の粗製NRニコチンアミドリボシドトリフレートの溶液をトリメチルホスフェート(10.0当量)で希釈する。アセトニトリルを真空下で蒸留し、混合物を-10℃に冷却する。オキシ塩化リン(4.0当量)を-10℃で添加し、混合物を、反応が完了するまで-10℃で撹拌する。
【0298】
ステップ4およびステップ5:式Ia-Aを有する化合物の合成:混合物を、アセトニトリルおよび水50/50の混合物を添加することによって加水分解し、続いてメチルtert-ブチルエーテル(またはtert-ブチルメチルエーテル)を添加する。混合物をろ過し、固体を水中に溶解する。水溶液を、重炭酸ナトリウムを添加することによって中和し、ジクロロメタンで抽出する。水性層を濃縮乾固し、その結果、NMN(化合物I-A)および式Ia-Aを有する化合物の粗製混合物を得る。
【0299】
式Ia-Aを有する化合物(β,βジNMN)の単離:NMNおよび式Ia-Aを有する化合物を、水で溶出しながらDowex 50wx8で精製することによって分離する。式Ia-Aを有する化合物を含む画分を濃縮して内容物を乾固させる。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(イソプロパノール/水勾配)によって精製する。純粋な画分を合わせ、濃縮する。残渣を凍結乾燥し、その結果、ベージュ色固形物の形態で化合物I-a-Aを得る。
31P NMR:δ(ppm,85%HPO基準:DO中0ppm)=-11.72;H NMR:δ(ppm,TMS基準:DO中0ppm)=4.20(ddd,JH-H=11.9,3.5,2.4Hz,2H),4.35(ddd,JH-H=11.9,3.9,2.2Hz,2H),4.43(dd,JH-H=5.0,2.6Hz,2H),4.53(t,JH-H=5.0Hz,2H),4.59(m,2H),6.16(d,JH-H=5.4Hz,2H),8.26(dd,JH-H=8.1,6.3Hz,2H),8.93(d,JH-H=8.1Hz,2H),9.25(d,JH-H=6.2Hz,2H),9.41(s,2H);13C NMR:δ(ppm,TMS基準:DO中0ppm)=64.84(CH),70.73(CH),77.52(CH),87.11(CH),99.88(CH),128.65(CH),133.89(Cq),139.84(CH),142.54(CH),146.04(CH),165.64(Cq);MS(ES+):m/z=122.8[Mニコチンアミド+H]+,650.8[M+H]+.
【0300】
式Ia-Bを有する化合物(α,βジ-NMN)の合成
オキシ塩化リン(3.0eq.)を、-5℃でトリメチルホスフェート(20.0eq.)に添加する。β-NR塩化物(1.0eq.)を-5℃で分けて添加し、反応混合物を-5℃で一晩撹拌する。モルホリン(3.0eq.)を-10/0℃で滴下し、混合物を2~3時間撹拌する。次いで、α-NMN(1.0eq.)を-5℃で分けて添加し、反応混合物を-5℃で一晩撹拌する。加水分解を、-10/0℃で水(5vol.)を滴下することによって行い、混合物を、10~15℃で完全に均質化するまで撹拌する。次いで、反応混合物をジクロロメタンで抽出し(6*10vol.)、水性相を、ホルメート樹脂Purolite A600E(POCl起源のHClを中和するための理論量)に通して溶出することによって中和する。次いで溶出液を真空中、45/50℃で濃縮して、式Ia-Bを有する化合物を含む粗製物を得る。H+樹脂Dowex 50wx8 100~200メッシュを用いた水での溶出によって、ある特定の不純物を除去することが可能になる。化合物I-Bを含む画分を合わせ、真空中、45~50℃で濃縮する。次いで、粗製物を、10mM NaH2PO4水溶液を用いて溶出しながらLuna Polar RP 10μm固定相の分取クロマトグラフィーによって精製する。純粋な画分を合わせ、樹脂Purolite C100EH H+(Na+をH+で完全に交換するのに必要な量)で水を用いて溶出し、次いで、樹脂Purolite A600Eアセテート(HPO-をアセテートで完全に交換するのに必要な量)で溶出する。溶出液を真空中で濃縮し、残渣を凍結乾燥して、化合物Ia-Bを白色固形物の形態で得る。
31P NMR:δ(ppm,85%HPO基準:DO中0ppm)=-11.87,-11.69,-11.46,-11.29;H NMR:δ(ppm,TMS基準:DO中0ppm)=4.10(ddd,J=11.1,6.1,3.1Hz,1H),4.15-4.25(m,2H),4.36(ddd,J=12.2,4.4,2.4Hz,1H),4.40(dd,J=4.9,2.4Hz,1H),4.44(dd,J=5.0,2.7Hz,1H),4.53(t,J=5.0Hz,1H),4.5(m,1H),4.85(m,1H),4.92(t,J=5.3Hz,1H),6.15(d,J=5.5Hz,1H),6.51(d,J=5.7Hz,1H),8.14(dd,J=8.0,6.3Hz,1H),8.26(dd,J=8.1,6.3Hz,1H),8.88(d,J=8.1Hz,1H),8.92(d,J=8.1Hz,1H),9.02(d,J=6.3Hz,1H),9.24(s,1H),9.26(d,J=6.4Hz,1H),9.40(s,1H);13C NMR:δ(ppm,TMS基準:DO中0ppm)=64.83,64.87(CH2),65.30,65.35(CH2),70.65(CH),70.74(CH),71.92(CH),77.51(CH),87.03,87.10(CH),87.19,87.26(CH),96.57(CH),99.83(CH),126.89(CH),128.54(CH),132.44(Cq),133.81(Cq),139.85(CH),140.92(CH),142.50(CH),143.49(CH),145.06(CH),145.97(CH),165.64(Cq),165.88(Cq);MS(ES+):m/z=122.8[Mニコチンアミド+H]+,650.9[M+H]+.
【0301】
式Ia-Cを有する化合物(α、αジ-NMN)の合成
オキシ塩化リン(3.0eq.)を、-5℃でトリメチルホスフェート(20.0eq.)に添加する。α-NR塩化物(1.0eq.)を-5℃で少しずつ添加し、反応混合物を-5℃で一晩撹拌する。モルホリン(3.0eq.)を-10/0℃で滴下し、混合物を2~3時間撹拌する。次いで、α-NMN(1.0eq.)を-5℃で分けて添加し、反応混合物を-5℃で一晩撹拌する。加水分解を、-10/0℃で水(5vol.)を滴下することによって行い、混合物を、10~15℃で完全に均質化するまで撹拌する。次いで、反応混合物をジクロロメタンで抽出し(6*10vol.)、水性相を、ホルメート樹脂Purolite A600E(POCl起源のHClを中和するための理論量)に通して溶出することによって中和する。次いで、溶出液を真空中、45/50℃で濃縮して、式Ia-Cを有する化合物を含む粗製物を得る。H+樹脂Dowex 50wx8 100~200メッシュを用いた水での溶出によって、ある特定の不純物を除去することが可能になる。化合物I-Cを含む画分を合わせ、真空中、45~50℃で濃縮する。次いで、粗製物を、10mM NaHPO水溶液を用いて溶出しながらLuna Polar RP 10μm固定相の分取クロマトグラフィーによって精製する。純粋な画分を合わせ、樹脂Purolite C100EH H+(完全にNa+をH+で交換するのに必要な量)で水を用いて溶出し、次いで、樹脂Purolite A600Eアセテート(HPO-をアセテートで完全に交換するのに必要な量)で溶出する。溶出液を真空中で濃縮し、残渣を凍結乾燥して、化合物Ia-Cを白色固形物の形態で得る。
31P NMR:δ(ppm,85%HPO基準:DO中0ppm)=-11.40;H NMR:δ(ppm,TMS基準:DO中0ppm)=4.14(ddd,J=11.4,3.4,2.8Hz,2H),4.23(ddd,J=11.6,3.3,2.8Hz,2H),4.44(dd,J=4.8,2.3Hz,2H),4.88(m,2H),4.96(t,J=5.3Hz,2H),6.54(d,J=5.7Hz,2H),8.15(dd,J=8.1,6.2Hz,2H),8.89(d,J=8.1Hz,2H),9.05(d,J=6.3Hz,2H),9.26(s,2H);13C NMR:δ(ppm,TMS基準:DO中0ppm)=65.37(CH2),70.70(CH),71.95(CH),87.30(CH),96.62(CH),126.91(CH),132.45(Cq),140.94(CH),143.52(CH),145.07(CH),165.90(Cq);MS(ES+):m/z=122.7[Mニコチンアミド+H]+,650.8[M+H]+.
【0302】
実施例2
化合物I-A(NMNベータ)の有効性の研究
年齢42±8歳の7名の女性および5名の男性被験者からなる12名のボランティア群に対して満足度研究を行った。この研究の主な目的は、5重量%のNMNを含む本発明による組成物を朝および/または夕方に適用した間に自身の腰部痛(腰背部痛)の漸進的変化に関して被験者の満足度レベルを評価することであった。
【0303】
参加者の平均BMIは25.3±4.4であり、参加者の半分が体重過多(50%)であり、41.7%が標準体重であり、残りの被験者は肥満(8.3%)であった。より具体的には、5名の参加者は標準体重であり、6名の参加者は体重過多であり、1名の参加者は肥満であった。これらの患者は、自身の軟骨、筋肉、腱、靭帯または骨を変化させるかまたは外科手術を必要とする慢性病状、例えば、炎症性病状は呈していなかった。
【0304】
腰部脊椎領域における疼痛の存在期間は平均で4±3年(すなわち45カ月)であり、同時に被験者の当時の疼痛は、プレベースライン(包括前)2±3年前にさかのぼった。これらの疼痛は、大部分は自然に生じている(58.3%)。より正確には、7名の参加者は、自然起源の腰部痛を呈しており、1名の参加者は、身体的またはスポーツ活動に起因する腰部痛を呈しており、2名の参加者は、自身の腰部痛がガーデニングの実施に起因すると考え、2名の他の参加者は、自身の腰部痛がこれらの原因とは別のものに起因すると考えていた。したがって、参加者は全員、慢性腰部痛を有していた。
【0305】
5%NMNを含む水中油エマルションの形態の組成物は、そのINCI(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)名で指定されている成分:水(Aqua)、液体パラフィン(Paraffinum liquidum)、セチルアルコール(Cetyl alcohol)、ステアリン酸グリセリル(Glyceryl stearate)、ベンジルPCA(Benzyl PCA)、セテアレス-20(Ceteareth-20)、セテアレス-12(Ceteareth-12)、パルミチン酸セチル(Cetyl Palmitate)、ココグリセリド(Cocoglycerides)、セテアリルアルコール(Cetearyl alcohol)、水酸化ナトリウム(Sodium Hydroxide)、NMNのように製剤化されていた。組成物を当業者に周知の任意の方法に従って調製した。
【0306】
質量パーセントは、成分の質量を組成物の相質量に関連付け、次いで100をかけることによって計算される。
【0307】
研究は10日にわたって行った。ベースライン時、すなわち、(D0)を含めた際、選択された被験者は、自身の人口統計特性(年齢、体重、身長)を提供し、Visual Analogueスケールで痛みの持続期間および強度を示し、WOMACおよびLequesne質問表の全ての項目に記入する。これらの異なるスケールは、腰部痛に対するNMNの効果を異なる手段によって評価するために使用した。
【0308】
ベースライン時の腰部痛は、0(疼痛なし)から100(耐え難い疼痛)の範囲のVisual Analogue Scale(VAS)で平均で73.4±7.6と評価した。
【0309】
ベースライン時、WOMAC質問票の評価基準「凝り」が最も有意であり、64.2±21.0に達し、「疼痛」評価基準は59.9±13.1に達し、「機能」評価基準は57.1±15.5に達した。合計WOMACスコアはベースライン時は58.3±14.8であった。WOMACスコアが高くなるにつれ、機能性疼痛の干渉が大きくなる。
【0310】
Lequesne痛み機能指標は、本研究において腰部痛の臨床的フォローアップのために使用した。包含に対するLequesneスコアは平均で8.3±2.5であり、被験者のうちの3名のスコアが10(16.7%)以上であり、非常に顕著にまたは実際に実に耐え難い機能障害であることを実証する。
【0311】
その後の9日間にわたって、被験者は、疼痛のVisual Analogue Scaleに毎晩記入し、発生した任意の不快感または問題を確実にするかまたは鎮痛薬の摂取をそこに報告する。
【0312】
10日目に、ボランティアは、WOMAC質問票、Lequesne質問票、疼痛のVisual Analogue Scale(VAS)の全ての項目に記入し、これらは、PGI-I指標(「Patient Global Improvement Impression」に関する略語)によって測定した場合の腰部痛軽減において認識された改善、Likertスケールでの腰部痛の漸進的変化に関する満足度、ならびに組成物の適用および浸透の容易性、組成物のテクスチャおよび匂いの評価、類似の痛みが再発した場合に再びこれらを使用し、類似の性質の痛みを呈する第三者に使用を推奨する可能性を示す。PGI-I指標は、治療に対する応答を評価するための手段としての役割を果たす指標である。Likertスケールは、個人の態度を測定するために使用される心理測定ツールであり、応答する個人が自身の同意または不同意の程度を示す1つまたは複数の記載からなる。
【0313】
研究中に、製品遵守は最適であり、遵守率は97.7%であった。実際、9日のフォローアップの間、表1で示すように、ほぼ全ての被験者が組成物を1日2回適用した。
【0314】
【表7】
【0315】
VASによって測定された腰部痛は、製品を適用した10日にわたって着実に減少し、ベースライン時の73.4±7.6から30.8±22.6に低下し、すなわち、58.7±29.2%の有意な減少であった(p<0.0001、スチューデントのt検定で算出)。疼痛におけるベースラインに対して最初の50%の減少を得るための平均時間は5.0±2.9日であった。日ごとのおよび全てのボランティアに関する平均および標準偏差として示された結果を以下の表2に要約する。
【0316】
【表8】
【0317】
これらの結果は、図1のグラフによって更に表される。図1で認めることができるように、および表2における結果を考慮して、患者によって感じられる疼痛は平均で58.7%減少した。
【0318】
本発明による組成物を適用してから10日後、WOMACの「疼痛」基準は、ベースライン時の59.9±13.1から31.0±21.2に低下し、図2で認めることができるように、研究の最後には50.1±31.3%(p<0.001)の有意な減少であった。他の評価基準に関する低下も有意であり、WOMACの「凝り」基準に関しては64.2±21.0から31.6±25.0(52.5±32.9%の減少、p<0.001)に、WOMACの「機能」基準に関しては57.1±15.5%から30.8±21.8(47.5±35.6%の減少、p<0.01)に低下した。合計WOMACスコアも58.3±14.8から30.9±21.7に有意に減少し、これは48.6±33.7%(p<0.001)の減少であった。
【0319】
図3で認められるように、Lequesne痛み機能スコアはベースラインから研究エンドポイントまで有意に減少し、8.3±2.5から5.3±3.8(p<0.001)に減少し、これはスコアで38.8%の減少であった。研究の最後に、4分の3を超える被験者(83.4%)は、もはやいずれの機能障害もないかまたは軽度のもしくはわずかな機能障害のみを有していた。
【0320】
研究の最後に、被験者の91.7%が改善を経験し、「顕著」-3名の被験者(25.0%);「かなり」-4名の被験者(33.3%);および「わずか」-4名の被験者(33.3%)として特徴付けられた。1名の被験者のみが改善を示さなかった。参加者のほぼ全員(91.7%)は、非常に満足していた33.3%を含め、自身の慢性腰部痛の漸進的変化に満足していた。
【0321】
感覚刺激性の観点から、全ての患者応答によって、組成物は:適用することが容易であり(66.7%-非常に容易である);皮膚中に容易に浸透し(58.3%-非常に容易である);心地よいテクスチャであり(33.3%-非常に心地よい);心地よい香りであった(58.3%-心地よい、および8.3%-非常に心地よい)ことが確認された。
【0322】
全ての患者が、自身が、類似の腰部痛が再発した場合に再び組成物を利用し(75.0%-非常に確実);および腰部領域において類似の痛みを経験している第三者に推奨する(50.0%-非常に確実)可能性があることをはっきりと認めた。
【0323】
1名の患者は腰部痛のためにD5でパラセタモールを摂取した。
【0324】
ボランティア参加者は、本発明による組成物を使用した後にいずれの有害な副作用を経験することも、いずれのアレルギーを発症することもなかった。
【0325】
したがって、NMN、その薬学的に許容される誘導体、またはその薬学的に許容される塩、ならびにこれらを含む組成物は、背部痛、特に慢性腰部痛を減少させるのに効果的である。更に、本発明によるNMNおよびNMNを含む組成物の使用は、参加者が自身の腰部痛を軽減するための自身の通常の治療の使用を用いらなければならなくなることを回避すること、または最低限でも従来の治療法を使用する必要性を減少させることを可能にする。腰部痛の治療に関する実証を行ったが、結果は、背部痛の治療に置き換えることもできる。したがって、本発明は、背部痛のための、特に腰部痛のための従来の治療法に対する安全で効果的な代替法を提供する。

図1
図2
図3
【国際調査報告】