(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-28
(54)【発明の名称】積層造形用機械および関連する積層造形方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/223 20170101AFI20230421BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230421BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230421BHJP
B29C 64/264 20170101ALI20230421BHJP
B29C 64/35 20170101ALI20230421BHJP
B33Y 40/00 20200101ALI20230421BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20230421BHJP
【FI】
B29C64/223
B33Y30/00
B33Y10/00
B29C64/264
B29C64/35
B33Y40/00
B29C64/106
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555662
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(85)【翻訳文提出日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 ES2021070183
(87)【国際公開番号】W WO2021180997
(87)【国際公開日】2021-09-16
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522364262
【氏名又は名称】バルセロナ スリー ディメンショナル プリンターズ,エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ラベントス サンチェス,オリオール
(72)【発明者】
【氏名】パラレス ガルシア,エリック
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213WA25
4F213WB01
4F213WF36
4F213WL03
4F213WL12
4F213WL32
4F213WL74
(57)【要約】
本発明は、高粘度樹脂を使用して部品を積層造形することができる機械に関する。当該機械は、構造体(1);可動支持体(3)および変位機構(5)を有する運搬モジュール(2)であって、印刷面を収容し垂直方向に移動させる運搬モジュール(2);光源(6);材料の少なくとも1つのリザーバ(11);材料の前記リザーバ(11)に接続された、印刷材料の層をコンベヤ基体(9)上に塗布するための材料供給モジュール(8)であって、当該コンベヤ基体(9)は、当該材料供給モジュール(8)から、印刷材料の前記層が硬化される印刷面(4)へと、印刷材料の当該層を運ぶ、材料供給モジュール(8);ならびに、前記コンベヤ基体を固定および移動させるための固定システム(10)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷方向がトップダウン型である積層造形用機械であって、
構造体(1)と、
印刷面(3)上で部品が印刷される当該印刷面(3)を収容するように意図された可動支持体(5)であって、当該印刷面(3)を垂直方向に移動させる可動支持体(5)と、前記構造体(1)に接続された変位機構(6)と、を備える、運搬モジュール(4)と、
前記構造体(1)に固定された、少なくとも1つの光源(10)と、
前記構造体(1)において位置し、かつ印刷材料を含むように意図された、材料の少なくとも1つのリザーバ(11)と、
材料の前記リザーバ(11)に接続された、印刷材料の層をコンベヤ基体(2)上に塗布するように意図された材料供給モジュール(12)であって、前記コンベヤ基体(2)は、当該材料供給モジュール(12)から前記印刷面(3)へ前記印刷材料を運ぶように意図される、材料供給モジュール(12)と、
固定システム(18)と、を備え、
前記固定システム(18)は、U字形状の構成を有し、
複数のリニアガイド(26)上に位置しており、かつ前記コンベヤ基体(2)を前記構造体(1)に対して保持するように意図された2つの固定要素(19、20)であって、前記コンベヤ基体(2)は、U字形状に配置されるように意図され、2つの前記固定要素(19、20)は、前記コンベヤ基体(2)の自己張力付与モータ(29、30)を収容し前記コンベヤ基体(2)と係合する下部ブロック(23)と、前記コンベヤ基体(2)を位置合わせするための傾斜要素(22)を備える上部ブロック(21)と、を備える、2つの固定要素(19、20)と、
前記コンベヤ基体(2)の支持点として機能するように意図された、前記構造体(1)に対する2つの回転要素(27、28)であって、前記コンベヤ基体(2)が移動できるように自転する、2つの回転要素(27、28)と、
前記コンベヤ基体(2)を移動させるように2つの前記固定要素(19、20)を移動させる、1もしくは複数の変位モータ(25)と、
を備える、
または、
前記固定システム(18)は、O字形状の構成を有し、
複数のリニアガイド(37)上に位置しており、前記コンベヤ基体(2)を両端部において、前記印刷面(3)よりも高い高さにおいて当該印刷面(3)と平行になるように、前記構造体(1)に対して保持するように意図され、かつ、複数の前記リニアガイド(37)上を二方向に交互に移動して前記コンベヤ基体(2)における移動を生み出すように意図された固定要素(34)であって、前記コンベヤ基体(2)は、O字形状に配置されるように意図される、固定要素(34)と、
前記コンベヤ基体(2)の支持点として機能するように意図された、前記構造体(1)に対する4つの回転要素(27、28、35、36)であって、前記コンベヤ基体(2)が移動できるように自転する、4つの回転要素(27、28、35、36)と、
前記コンベヤ基体(2)を移動させるように前記固定要素(34)を移動させる、1もしくは複数の変位モータ(25)と、
を備える、積層造形用機械。
【請求項2】
前記光源(10)は、プロジェクタ、スクリーンまたはレーザである、請求項1に記載の積層造形用機械。
【請求項3】
前記光源(10)は、紫外線型または可視光型である、請求項1に記載の積層造形用機械。
【請求項4】
前記運搬モジュール(4)は、前記印刷面(3)の位置決めの調整を可能にする位置決めフレームを有する自動レベリング機構(9)、自動レベリングシステム(9)または自動レベリングルーチン(9)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層造形用機械。
【請求項5】
前記運搬モジュール(4)の前記変位機構(6)は、前記可動支持体(5)に接続された直線案内要素(8)により案内される運動を伝達する1または複数のスピンドル(7)を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層造形用機械。
【請求項6】
前記印刷面(3)および前記可動支持体(5)は、単一の部材を形成している、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層造形用機械。
【請求項7】
前記固定システム(18)は、O字形状の構成を有し、
前記コンベヤ基体(2)は、2つの連結棒(38、39)によって、中央および可動の前記固定要素(2)に接続されており、
2つの前記連結棒(38、39)は、前記コンベヤ基体(2)の両端部に固定されており、かつ、2つのC字形状の固定要素(40、41)によって前記固定要素(34)に接続されている、請求項1に記載の積層造形用機械。
【請求項8】
前記固定システム(18)は、O字形状の構成を有し、張力付与システム(42)をさらに備え、
前記張力付与システム(42)は、2つの前記上部回転要素(35、36)に接続されており、かつ、中央横スピンドル(43)の運動を通じて、2つの前記上部回転要素(35、36)を互いに近づけ、または互いに遠ざけるように意図される、請求項1または7に記載の積層造形用機械。
【請求項9】
少なくとも1つの前記材料供給モジュール(12)は、カートリッジ(13)と、材料供給ローラ(14)と、を備え、
前記材料供給ローラ(14)は、前記固定システム(18)の2つの前記回転要素(27、28)のうちの少なくとも一方の回転要素に対して正接する位置に位置する、請求項1~8のいずれか一項に記載の積層造形用機械。
【請求項10】
前記材料供給モジュール(12)は、厚さ制御モジュール(15)をさらに備え、
前記厚さ制御モジュールは、前記カートリッジ(13)および前記材料供給ローラ(14)に接続され、かつ直線的に移動するランナ(16)と、前記ランナの移動を駆動する供給モータ(17)と、を備える、請求項9に記載の積層造形用機械。
【請求項11】
余剰材料収集トレイ(32)と、材料フィルタと、再循環導管とに加えて材料収集モジュール(31)をさらに備え、
前記再循環導管は、収集された前記材料を、前記カートリッジ(13)に向かって、または、前記リザーバ(11)に向かって導く、請求項1~10のいずれか一項に記載の積層造形用機械。
【請求項12】
前記材料収集モジュール(31)は、スパチュラ(33)を備え、
当該スパチュラ(33)は、前記コンベヤ基体(2)を押圧して前記余剰材料を回収するように、前記コンベヤ基体(2)の近くに配置されている、請求項11に記載の積層造形用機械。
【請求項13】
前記材料収集モジュール(31)は、前記スパチュラ(33)に接続された作動機構をさらに備え、
前記作動機構は、前記スパチュラ(33)が前記コンベヤ基体(2)に近づくか、または前記コンベヤ基体(2)から取り除かれることを可能にする、請求項12に記載の積層造形用機械。
【請求項14】
使用される前記印刷材料は、25℃において2000cps(mPa*s)以上の粘度を有する感光性樹脂である、請求項1~13のいずれか一項に記載の積層造形用機械。
【請求項15】
使用される前記印刷材料は、補強材料が充填された感光性樹脂である、請求項1~14のいずれか一項に記載の積層造形用機械。
【請求項16】
前記光源(10)は、作業面の上方に位置する、請求項1~15のいずれか一項に記載の積層造形用機械。
【請求項17】
クリーニングモジュールをさらに備え、
前記クリーニングモジュールは、軟質材料が2つのローラ上に配置された2つの当該ローラと、2つの前記ローラを移動させるためのクリーニングモータと、2つの前記ローラの上に環状に延在するクリーニング基体と、を備え、
それが連続的に回転できるようになっている、請求項1~16のいずれか一項に記載の積層造形用機械。
【請求項18】
印刷方向がトップダウン型である積層造形方法であって、請求項1~17のいずれか一項に記載の積層造形用機械を利用するものであり、
a)前記固定システム(18)に配置されたコンベヤ基体を用意する工程と、
b)前記固定システム(18)により、前記コンベヤ基体(2)に張力付与する工程と、
c)前記光源(10)を作動させる工程と、
d)前記コンベヤ基体(2)の所望の層厚に等しい距離に、前記材料供給モジュール(12)を配置する工程と、
e)前記固定システム(18)がU字形状の構成を有する場合にあっては、第1固定要素(19)を下降させて第2固定要素(20)を上昇させることにより、または、前記固定システム(18)がO字形状の構成を有する場合にあっては、前記固定要素(34)を複数の前記リニアガイド(37)上で直線的に移動させることにより、前記固定システム(18)を移動させる工程と、
f)前記固定システム(18)がU字形状の構成を有する場合にあっては、前記第1固定要素(19)の下方に位置する材料供給モジュール(12)から、また、前記固定システム(18)がO字形状の構成を有する場合にあっては、前記第2回転要素(27)および/または前記第3回転要素(28)の下方に位置する材料供給モジュール(12)から、作業長さに沿って前記コンベヤ基体(2)上に印刷材料を供給する工程と、
g)製造済みの層の厚さに新たな層の厚さを加えた厚さに等しい前記コンベヤ基体(2)からの距離まで、前記印刷面(3)を上昇させる工程と、
h)未硬化の前記印刷材料を前記光源(10)により照射する工程であって、所定の形状を作り出し、層を硬化させる工程と、
i)前記運搬モジュール(4)を下降させる工程であって、硬化した前記層を前記コンベヤ基体(2)から剥離する工程と、
j)工程e)~工程i)を繰り返す工程と、
を含む、積層造形方法。
【請求項19】
前記光源(10)を作動させる工程よりも前に、前記自動レベリング機構(9)、前記自動レベリングシステム(9)または前記自動レベリングルーチン(9)によって、前記運搬モジュール(4)が前記コンベヤ基体(2)と同一平面上となることを保証する工程をさらに含む、請求項18に記載の積層造形方法。
【請求項21】
前記コンベヤ基体(2)上に印刷材料を供給する前記工程において、前記コンベヤ基体(2)の作業領域内に前記印刷材料が供給され切ったとき、印刷材料をそれ以上供給することなく前記固定システム(18)の移動が継続される、請求項18または19に記載の積層造形方法。
【請求項22】
前記材料収集モジュール(31)を作動させる工程であって、前記材料供給モジュール(12)に未硬化の前記印刷材料を再導入するために未硬化の当該印刷材料を取り除く工程をさらに含む、請求項18~21のいずれか一項に記載の積層造形方法。
【請求項23】
前記コンベヤ基体(2)の各移動の際に印刷材料が交互に供給されるように、第1カートリッジ(13)は、第1印刷材料を含み、かつ、少なくとも1つの第2カートリッジ(13)は、第2印刷材料を備える、請求項18~22のいずれか一項に記載の積層造形方法。
【請求項24】
前記第2印刷材料の供給において前記運搬モジュール(4)を前記コンベヤ基体(2)に向かって移動させる工程は、前記第2印刷材料が前記第1印刷材料と同じ層に追加されるように、既に印刷済みの厚さのセットに等しい距離まで行われる、請求項23に記載の積層造形方法。
【請求項25】
複数の前記印刷材料の汚染が回避されるように、前記クリーニングモジュールを作動させる工程をさらに含む、請求項23または24に記載の積層造形方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の目的〕
本発明は、積層造形により部品を製造するためのシステムに属する。特に、本発明は、層ごとに部品を製造する3Dプリンタに関する。
【0002】
本発明の一態様は、三次元部品を層ごとに迅速かつ効率的に製造できる機械である。さらに、本発明に係る機械によって、高粘度樹脂および充填された樹脂を使用すること、ならびに、多材料部品を得ることが可能になる。
【0003】
本発明の別の態様は、積層造形技術による三次元部品の積層造形方法である。この方法は、本発明に係る機械を利用するものであり、中型部品および大型部品を得ることを可能にし、感光性印刷材料の大きなバット(vat)の使用を回避する。
【0004】
〔発明の背景〕
1980年代に、ステレオリソグラフィを用いる積層造形技術が発明された。この技術は、上部分に位置する光源により動作し、紫外線ビーム(レーザ)を集束させることで、下部分に位置する樹脂タンク内の樹脂を固化させるものである。しかしながら、この機械は、当該樹脂タンクの体積が大きいため、メンテナンスにかかるコストが高い。
【0005】
その後、EnvisionTec等により行われた改良によって、積層造形は改善された。この改良では、光源としてDLPプロジェクタが用いられ、複数の要素は反対になっており、透明または半透明の基部を有するリザーバ内に樹脂が配置され、光源はその下部に配置される。特定の材料の使用に関して、および、印刷体積の測定に関して、材料のリザーバの使用には制限がある。
【0006】
見出された解決策の多くは、ボトムアップの製造システムに基づくものである。当該ボトムアップの製造システムでは、使用する印刷材料は低粘度樹脂に限定されてしまう。
【0007】
局所的なトップダウン型システムの場合には、印刷材料の大きなバットの使用が伴う。その結果、使用およびメンテナンスのコストが著しく増大してしまう。
【0008】
透明基体を使用するその他の製造方法も見出されている。しかしながら、一般に、開発されたこれらの積層造形システムは、材料のリザーバまたはバットを使用するせいで、既に論じたシステムと同じ制限を受ける。当該材料のリザーバまたはバットを使用することにより、さまざまな種類の1または複数の材料の供給におけるフレキシビリティ、そして、高粘度材料、または、補強材料が加えられた材料の供給におけるフレキシビリティが、低減してしまうのである。
【0009】
〔発明の説明〕
本発明は、高粘度の印刷材料、特に、25℃において2000cps(mPa*s)以上の粘度を有する樹脂、および、補強材料が加えられた材料を用いることを可能にする、積層造形用機械に関する。さらに、当該積層造形用機械によって、種々の機械的特性を有する材料であろうと、または、種々の色を有する材料であろうと、部品の製造のために種々の材料を使用することが可能になる。
【0010】
良好な機械的特性を有する高粘度の印刷材料または補強材料を有する高粘度の印刷材料を使用することができるという利点を維持しつつ、中型部品および大型部品を製造できるように、この機械は、種々の大きさを有してもよい。
【0011】
さらに、この機械によって、消耗品の支持材料により生み出された領域を含む部品の製造が可能になり、部品の最終的な幾何学的形状を得るために当該部品に修正を加える必要性が低減する。
【0012】
第1に、本発明に係る機械は、当該機械を構成する全ての要素を収容する役割を担うこととなる構造体を備える。
【0013】
さらに、この機械は、運搬モジュールを備える。前記運搬モジュールは、可動支持体と、前記構造体に接続された変位機構と、を備える。
【0014】
前記運搬モジュールは、部品を層ごとに製造することを可能にする役割を担うこととなる。前記運搬モジュールは、前記可動支持体によって、印刷面を収容するように意図される。造形される部品は、前記印刷面上で印刷されることとなる。前記印刷面は、前記運搬モジュールによって、既に製造済みの部品の層の高さに応じて、垂直(縦)方向に移動することができる。好ましくは、前記印刷面および前記可動支持体は、単一の部材を形成してもよい。
【0015】
前記運搬モジュールの前記変位機構は、1または複数のスピンドルを備えてもよい。当該1または複数のスピンドルは、前記可動支持体に接続された直線変位案内要素によって案内される運動を伝達する。その結果、前記変位機構は、当該案内要素によって、前記可動支持体における垂直移動を生み出す。
【0016】
さらに、前記印刷面の位置決めを前記コンベヤ基体に対して調整できるように、前記運搬モジュールは、前記印刷面を収容するように意図され、かつ前記可動支持体に取り付けられた位置決めフレームを有する自動レベリング機構、自動レベリングシステムまたは自動レベリングルーチンをさらに備えてもよい。前記自動レベリング機構、前記自動レベリングシステムまたは前記自動レベリングルーチンは、電子回路、検知素子またはプログラミングルーチンを用いる機構によって、実施されてもよい。
【0017】
この機械は、好ましくは紫外線または可視光の、少なくとも1つの光源をさらに備える。少なくとも1つの前記光源は、前記構造体に固定されており、好ましくは作業面の上方に位置する。少なくとも1つの前記光源は、印刷材料を硬化させる役割を担うこととなる。光は、所定の形状を有する光ビームを生成するように構成されることが好ましく、造形中の部品に塗布(適用)される印刷材料の層の所望の部分を硬化させる。
【0018】
前記光源は、適切な解像度および印刷領域が得られるように正確に較正および配置された、プロジェクタ、スクリーンまたはレーザであってもよい。
【0019】
この機械には、前記光源により生成された光によって硬化する、感光性印刷材料が使用される。好ましくは、使用される印刷材料は、高粘度の感光性樹脂、あるいは、補強材料が充填された感光性樹脂である。
【0020】
さらに、この機械は、材料の少なくとも1つのリザーバを備える。材料の少なくとも1つの当該リザーバは、構造体において位置し、印刷材料を含むように意図される。材料の前記リザーバは、印刷材料を貯蔵するが、好ましくは、印刷材料が容易に交換できるように取り外し可能である。
【0021】
さらに、本発明に係る機械は、材料の前記リザーバに接続された、少なくとも1つの材料供給モジュールを備える。前記材料供給モジュールは、コンベヤ基体上に印刷材料の層を塗布するように意図される。
【0022】
少なくとも1つの前記材料供給モジュールは、カートリッジと、印刷材料の層を前記コンベヤ基体上に塗布するための材料供給ローラと、を備えてもよい。この場合、前記材料供給ローラは、固定システムの少なくとも1つの回転要素に対して、正接する位置に(tangentially)配置されることになるだろう。
【0023】
前記コンベヤ基体上に塗布される印刷材料の層の厚さを制御するために、前記材料供給モジュールは、厚さ制御モジュールをさらに備えてもよい。前記厚さ制御モジュールは、前記カートリッジおよび前記材料供給ローラに接続され、かつ直線的に移動するランナと、前記ランナの移動を駆動する供給モータと、を備える。前記供給モータによって駆動される前記ランナの変位によって、前記固定システムの前記回転要素からの前記材料供給ローラの距離を変化させることができ、その結果、前記コンベヤ基体に供給される材料の層の厚さを変化させることができる。
【0024】
前記コンベヤ基体は、交換可能であり、前記材料供給モジュールから前記印刷面へ、前記印刷材料を運ぶように意図される。さらに、前記光源により生成された光が前記コンベヤ基体を通過し、前記印刷材料に達して、当該印刷材料を造形される部品上で硬化させることができるように、前記コンベヤ基体は透明である。
【0025】
本発明に係る機械は、前記固定システムをさらに備える。当該固定システムは、1または複数の固定要素と、少なくとも2つの回転要素と、1または複数の変位モータと、を備える。好ましくは、前記固定システムは、中央および可動の固定要素と、4つの回転要素、すなわち2つの上部回転要素および2つの下部回転要素と、を備えてもよい。あるいは、前記固定システムは、2つの固定要素と、2つの回転要素と、を備えてもよい。
【0026】
好ましくは、前記固定システムの中央および可動の前記固定要素は、複数のリニアガイド上に位置しており、かつ、前記コンベヤ基体を両端部において、前記作業面よりも高い高さにおいて当該作業面に対して平行に、前記構造体に対して保持するように意図される。前記固定要素は、複数の前記リニアガイド上を二方向に交互に移動し、その結果、前記コンベヤ基体における移動を生み出す。
【0027】
好ましくは、この場合、前記コンベヤ基体は、2つの連結棒によって、中央および可動の前記固定要素に接続されており、2つの当該連結棒は、例えば、ループによって、または、クリップによって、前記コンベヤ基体の両端部に固定されており、かつ、2つのC字形状の固定要素によって、前記固定要素に接続されている。
【0028】
あるいは、前記固定要素が2つの場合には、前記固定システムの2つの前記固定要素は、複数のリニアガイド上に位置しており、また、透明の前記コンベヤ基体を前記構造体に対して保持するように意図される。2つの前記固定要素は、複数の前記リニアガイド上を移動して、前記コンベヤ基体における移動を生み出すことができる。
【0029】
前記固定システムは、前記構造体に対する複数の前記回転要素を利用する。複数の前記回転要素は、前記コンベヤ基体の支持点として機能するように意図される。
【0030】
好ましくは、前記コンベヤ基体は、O字形状に配置されており、中央および可動の前記固定要素によって、複数の前記連結棒によって、両端部において保持されている。前記コンベヤ基体は、第1回転要素に向かって水平方向に延び、前記第1回転要素に当接することにより方向を転じる。そして、前記コンベヤ基体は、第2回転要素に向かって特定の傾きを有した状態で垂直(縦)方向に延び、前記第2回転要素に当接し、もう一度、方向を転じる。そして、前記コンベヤ基体は、第3回転要素に向かって水平方向に延びて前記作業面を横切り、この回転要素に当接して方向を転じる。そして、前記コンベヤ基体は、下向きの傾きとは対称的な特定の傾きを有した状態で垂直方向上向きに延び、第4回転要素に当接する。そして、前記コンベヤ基体は、水平方向に延びて、第2端部により、中央および可動の前記固定要素に対して保持される。
【0031】
あるいは、前記コンベヤ基体は、U字形状に配置されており、第1端部において、第1固定要素により保持されている。前記コンベヤ基体は、垂直方向下向きに延び、第1回転要素に当接することにより方向を転じる。そして、前記コンベヤ基体は、第2回転要素に向かって水平方向に延び、前記第2回転要素に当接することにより、もう一度、方向を転じる。そして、前記コンベヤ基体は、垂直方向上向きに延び、第2端部において、第2固定要素により保持される。
【0032】
前記固定要素の移動において、前記コンベヤ基体が移動して、その結果、複数のローラが回転する。前記固定要素の前記移動は、前記コンベヤ基体を移動させるように、前記固定要素に接続された1または複数の変位モータによって制御される。前記コンベヤ基体の移動において、前記固定要素は、前記固定要素が1つの場合にあっては水平方向に、または、前記固定要素が複数個ある場合にあっては、垂直方向かつ互いに逆の向きに移動して、前記コンベヤ基体を移動させることが好ましい。
【0033】
好ましくは、前記回転要素が4つの場合には、前記コンベヤ基体の張力付与は、2つの前記上部回転要素に接続された張力付与システムによって行われる。前記張力付与システムによって、中央横スピンドルの運動を通じて、2つの前記上部回転要素は、互いに近づき、または遠ざかることできる。前記コンベヤ基体を配置するとき、前記張力付与システムは圧縮される、すなわち、複数の前記回転要素が互いにより接近する。そして、前記コンベヤ基体がいったん配置されれば、所望の張力に達するまで、好ましくはモータステップロスが検出されるまで、複数の前記回転要素が遠ざかる。
【0034】
あるいは、前記固定要素が2つある場合、2つの前記固定要素は、クランプ状要素であり、下部ブロックと、上部ブロックと、を備える。前記下部ブロックは、前記コンベヤ基体と係合するための調整ねじと、前記コンベヤ基体に自動的に張力付与することを可能にする自己張力付与モータと、を備える。前記上部ブロックは、前記コンベヤ基体の位置合わせを可能にする傾斜要素を備える。
【0035】
本発明に係る機械は、材料収集モジュールをさらに備えてもよい。前記材料収集モジュールは、余剰材料収集トレイと、材料フィルタと、再循環導管と、を備える。当該再循環導管は、収集された前記材料を、前記カートリッジに向かって、または、前記リザーバに向かって導く。未硬化の前記材料は、前記余剰材料収集トレイに向かって導かれる。前記余剰材料収集トレイからの前記材料は、前記再循環導管によって収集され、前記カートリッジまたは前記リザーバへと送られるが、前記材料は前もってフィルタリングされた状態である。
【0036】
未硬化の前記材料を前記材料収集トレイに向かって導くために、前記材料収集モジュールは、スパチュラ(へら)をさらに備える。前記スパチュラは、前記コンベヤ基体の近くに配置されており、当該コンベヤ基体を押圧することにより、余剰の前記材料を回収する。好ましくは、前記スパチュラは、前記コンベヤ基体に近づき、または、前記コンベヤ基体から取り除かれてもよい。そのため、前記材料収集モジュールは、前記スパチュラに垂直方向の変位を引き起こす作動機構をさらに備えてもよい。
【0037】
さらに、本発明に係る機械は、クリーニングモジュールをさらに備えてもよい。当該クリーニングモジュールは、造形中の部品の製造された最後の層の上面をクリーニングするように意図される。
【0038】
好ましくは、前記クリーニングモジュールは、軟質材料が2つのローラ上に配置された2つの当該ローラと、2つの前記ローラを移動させるためのクリーニングモータと、2つの前記ローラの上に環状に延在するクリーニング基体と、を備えてもよい。前記クリーニング基体は、2つの前記ローラに当接しており、前記クリーニングモータによって駆動され、それが連続的に回転できるようになっている。
【0039】
クリーニング基体を部品のより近くに移動させ、その機能が実行され切ったときクリーニング基体を取り除けるように、基部、ランナおよびリニアガイドが、前記クリーニングモジュールに配置されてもよい。前記ランナは、前記基部に接続し、前記リニアガイドに沿って移動する。さらに、前記基部は、複数の前記ローラと接続しており、それらが垂直方向に移動できるようにする。
【0040】
さらに、前記クリーニングモジュールは、前記印刷面をクリーニングするために、廃棄物収集要素と、溶剤材料塗布要素と、をさらに備えてもよい。
【0041】
さらに、前記クリーニングモジュールは、前記構造体に設置された1または複数の放射源をさらに備えてもよい。1または複数の前記放射源により、前記印刷面の乾燥が可能になる。
【0042】
本発明はさらに、積層造形(付加製造)によって部品を積層造形する方法に関する。本発明に係る方法は、記載された機械を利用して、高効率かつ高精度で積層造形部品を製造することを可能にする。
【0043】
本発明に係る方法は、前記固定システムに配置されたコンベヤ基体を用意する、第1工程を含む。この工程は、手動または自動で行ってもよい。好ましくは、それは手動で行われ、既に使用済みの前記コンベヤ基体が緩められ、(1つ以上の)固定手段を係合解除することにより前記構造体からそれが取り外され、新たなコンベヤ基体が前記固定システムに配置される。
【0044】
次に、前記コンベヤ基体は、前記固定システムまたは前記張力付与システムによって、自動的に張力付与される。特に、前記コンベヤ基体がO字形状に配置されているときにあっては、前記張力付与システムは、複数の前記上部回転要素を移動させ、前記コンベヤ基体に張力付与する。前記コンベヤ基体がU字形状に配置されている場合にあっては、前記機械は、前記コンベヤ基体に正確な張力付与を提供する役割を担う、自己張力付与モータを備えてもよい。
【0045】
好ましくは、このとき、前記運搬モジュールの前記自動レベリング機構、前記自動レベリングシステムまたは前記自動レベリングルーチンが、前記印刷面が前記コンベヤ基体に対して同一平面上となることを保証するために作動され、残りの印刷プロセスについて較正された状態となる。
【0046】
次に、前記光源が作動される。この光源は、前記印刷材料を硬化させるために使用されることとなる。
【0047】
次いで、前記材料供給モジュールが、前記コンベヤ基体の所望の層厚に等しい距離に配置される。前記材料供給ローラが組み込まれている場合には、このローラが、前記コンベヤ基体の所望の層厚に等しい距離に配置される。
【0048】
前記材料供給モジュールが配置されてしまえば、前記固定システムが、前記コンベヤ基体の移動を開始するために移動する。これは、前記コンベヤ基体がO字形状に配置されている場合にあっては、水平軸上の前記固定要素を前記作業面に対して平行に(左右)二方向に交互に移動させることによって達成される。前記コンベヤ基体がU字形状に配置されている場合にあっては、その移動は、前記第1固定要素を下降させるのと同時に前記第2固定要素を上昇させることによって達成される。
【0049】
前記コンベヤ基体の移動中、印刷材料が、あらかじめ定められた作業長さに沿って、前記コンベヤ基体の下面に供給される。材料が前記作業長さに沿って供給されてしまい、かつ、(1つ以上の)前記固定要素の移動が終了していない場合には、この材料供給が、前記材料供給モジュールによって停止され、前記固定システムの移動が、(1つ以上の)前記固定要素が下端位置に達するまで、すなわち、(1つ以上の)前記固定要素が複数の前記回転要素のうちの1つの回転要素と衝突せずにはそれ以上移動することができない位置に達するまで、継続されることが好ましい。この材料供給は、前記第1固定要素の下方に位置する前記材料供給モジュールによって行われる。
【0050】
前記コンベヤ基体の移動が完了すると、前記コンベヤ基体上に配置された新たな層の厚さを、以前に製造済みの層の厚さに加えた厚さに等しい、前記コンベヤ基体からの距離まで、前記作業面を上昇させるために、前記運搬モジュールが移動する。
【0051】
次いで、未硬化の前記印刷材料が、前記光源によって照射される。これにより、所定の形状が生成され、前記形状にしたがって、前記コンベヤ基体の層が硬化する。各場合における露光時間は、前記光源、前記印刷材料の種類および層厚によって決定される。
【0052】
前記コンベヤ基体の層がいったん硬化すると、前記運搬モジュールは下降され、硬化した層が前記コンベヤ基体から剥離され、何らかの未硬化の余剰印刷材料が残される。次に、部品の一連の層を製造するために、前記固定システムを移動させる工程と、印刷材料を供給する工程と、前記作業面を上昇させる工程と、前記印刷材料を照射する工程と、前記運搬モジュールを下降させる工程と、が繰り返される。
【0053】
本発明に係る方法は、未硬化の材料を取り除くために、前記材料収集モジュールを作動させる追加の工程をさらに含んでもよい。前記材料は、前記材料供給モジュールに当該材料を戻して再導入することにより、リサイクルされる。
【0054】
本発明に係る方法の好ましい一実施形態では、第1印刷材料を含む第1カートリッジを有する第1材料供給モジュールと、第2印刷材料を備える第2カートリッジを有する少なくとも1つの第2材料供給モジュールと、を備える機械が使用される。この構成によって、前記コンベヤ基体の各移動の際に、印刷材料を交互に供給することができる。この構成において、前記構造体の複数の側のうちの1つの側に位置する第1印刷モジュールは、そのカートリッジ内に第1印刷材料を含む。前記第1印刷材料は、(1つ以上の)前記固定要素がある方向に移動するとき、前記コンベヤ基体に供給される。一方、(1つ以上の)前記固定要素が反対方向に移動するときには、前記第2材料供給モジュールが、前記第2印刷材料を前記コンベヤ基体に供給する材料供給モジュールである。その結果、前記コンベヤ基体の各移動の際に、ある印刷材料と別の印刷材料とが交互に供給される。この構成には、2つ以上の異なる材料を同時に使用できるようにする、より多くの材料供給モジュールが含まれてもよい。
【0055】
一実施形態では、前記第1印刷材料および前記第2印刷材料は、前記第1印刷材料の層に続いて、第2印刷材料の層が当該第1印刷材料上に配置されるように、一連の層において供給されてもよい。
【0056】
あるいは、前記第1印刷材料の層がいったん配置されてしまえば、前記第2印刷材料の層が前記第1印刷材料の層の高さと同じ高さにおいて配置されるように、前記運搬モジュールが移動されてもよい。このため、前記第2印刷材料の層を配置するとき、前記第2印刷材料が前記第1印刷材料と同じ層に追加されるように、前記運搬モジュールは、前記コンベヤ基体に向かって、既に印刷済みの厚さのセット(集合)に等しい距離まで移動される。
【0057】
本発明に係るプリンタは、好ましくは、前記固定システムに接続された変位機構を備えてもよい。第1材料および第2材料を配置した後に前記コンベヤ基体の下方移動が完了したとき、当該変位機構は、二次供給モジュールと位置合わせされた新たな基準位置に向かって、前記運搬モジュールを水平方向に移動させる。当該二次供給モジュールは、前述の供給モジュールと同様であるが、2つの新たな材料が装填されている。前記固定システムがいったん再配置されると、記載された動作サイクルが繰り返されて、各材料に対応する部分が硬化される。
【0058】
あるいは、本発明に係るプリンタは、2つの新たな材料が装填された二次供給モジュールと、複数の供給モジュールに接続された変位機構とを、備えてもよい。第1材料および第2材料を配置した後に前記コンベヤ基体の移動が完了したとき、当該複数の供給モジュールが水平方向に移動して、当該二次供給モジュールが前記コンベヤ基体の移動と位置合わせされた基準位置に配置される。両方の供給モジュールに対して同じコンベヤ基体を使用しており、クリーニングシステムは、前記クリーニング基体を完全にクリーニングするはずである。その結果、前記二次供給モジュールの当該材料が前記クリーニング基体と接触することができ、清浄である。
【0059】
本発明に係るプリンタは、前記二次供給モジュールに接続された第2コンベヤ基体をさらに備えてもよい。その結果、前記二次供給モジュールに含まれる新たな材料の供給は、単一のコンベヤ基体を使用する必要なく実行することができる。
【0060】
前記第1印刷材料の層がいったん配置されれば、前記クリーニングモジュールが作動し、造形される部品の新たに製造された表面がクリーニングされることが好ましい。その結果、前記第2印刷材料の層に対する汚染が回避される。
【0061】
好ましくは、印刷方向は、トップダウン型であり、部品は、その下部領域から上部領域に向かって印刷され、印刷体積の上側部分における印刷面から出発し、複数の層が互いに続きながら、下側部分に向かって移動する。
【0062】
さらに、本発明に係る機械は、発生する廃棄物を低減し、使用されるコンベヤ基体の量を低減することができる。造形される部品上で印刷材料の各層を固化した後に、同じものが再使用されるからである。さらに、印刷材料リサイクルシステムによって、樹脂の使用が低減される。
【0063】
〔図面の説明〕
本明細書において提供される説明を補足するものとして、本発明の特徴をより容易に理解できるようにするために、前記説明には、本発明の好ましい実用的な例示的実施形態に従って、限定ではなく例示として同説明の不可欠な部分を構成する、一式の図面が添付されている。当該一式の図面は、以下の事柄を表す。
【0064】
図1は、本発明に係る機械の好ましい一実施形態の模式図を示す。
【0065】
図2は、運搬モジュールの好ましい一実施形態の模式図を示す。
【0066】
図3は、運搬モジュールの好ましい一実施形態の正面図を示す。
【0067】
図4は、材料供給モジュールの好ましい一実施形態の模式図を示す。
【0068】
図5は、固定システムの好ましい一実施形態の模式図を示す。
【0069】
図6は、固定システムの好ましい一実施形態の正面図を示す。
【0070】
図7は、材料収集モジュールの好ましい一実施形態の模式図を示す。
【0071】
図8は、本発明に係る積層造形方法の好ましい一実施形態の模式図を示す。
【0072】
図9は、本発明に係る機械の好ましい第2実施形態の模式図を示す。
【0073】
図10は、本発明に係る固定システムの好ましい第2実施形態の模式図を示す。
【0074】
〔本発明の好ましい実施形態〕
本発明は、部品を層ごとに積層造形することを可能にする機械に関する。本発明に係るプリンタは、その構成のため、コンベヤ基体(2)および印刷材料の消費を低減することができる。このことを、
図1~
図10に示す好ましい例示的実施形態により、以下に説明する。
【0075】
図1は、機械全体の模式図を示す。プリンタは、構造体(1)を有する。この構造体上には、積層造形による部品の製造を可能にする、種々のモジュールが取り付けられている。
【0076】
具体的には、この機械は、運搬モジュール(4)と、紫外線光源(10)と、材料の2つのリザーバ(11)と、2つの材料供給モジュール(12)と、固定システム(18)と、材料収集モジュール(31)と、を備える。
【0077】
その働きは、コンベヤ基体(2)の使用に基づいている。当該コンベヤ基体(2)は、印刷材料を層ごとに部品へ移す役割を担う。
【0078】
図2は、本発明に係る機械の運搬モジュール(4)の模式図を示す。
【0079】
運搬モジュール(4)は、可動支持体(5)と、印刷面(3)と、変位機構(6)と、を有する。造形される部品は、印刷面(3)上で層ごとに製造されることとなり、当該印刷面(3)は、変位機構(6)によって移動される。
【0080】
変位機構(6)は、可動支持体(5)に接続されており、当該可動支持体(5)における上下移動を生み出す。さらに、可動支持体(5)は、印刷面(3)を収容するように意図される。このため、可動支持体(5)が変位機構(6)によって移動するとき、印刷面(3)もまた移動し、前記印刷面(3)上において生成中の部品上において印刷材料の新たな層を受け入れるように、所定の位置にそれが配置される。
【0081】
したがって、運搬モジュール(4)は、印刷面(3)に垂直方向の移動を生み出し、その結果、部品を層ごとに製造できるようにし、また、材料供給プロセスの間、それを安全に行うために、前記印刷面(3)が取り除けられるようにする。
【0082】
変位機構(6)は、4つのスピンドル(7)を有する。当該4つのスピンドル(7)を通じて、運搬モジュール(4)の可動支持体(5)を保持する4つの案内要素(8)が移動する。変位機構(6)の案内要素(8)によって、可動支持体(5)および印刷面(3)の移動が可能となる。
【0083】
図3は、自動レベリング機構(9)をさらに備える運搬モジュール(4)の正面図を示す。自動レベリング機構(9)は、コンベヤ基体(2)に対する印刷面(3)の位置決めにおける微調整を可能にするように意図される。
【0084】
紫外線光源(10)は、この場合、DLPプロジェクタであり、造形される部品上で印刷材料を硬化させるために、所定の形状を有する光ビームを生成するように意図される。この場合、印刷材料は、25℃において2000cps(mPa*s)よりも大きな粘度を有し、紫外線により硬化可能な高粘度の感光性樹脂である。
【0085】
このプロジェクタは、支持体によって構造体(1)に取り付けられている。当該支持体により、生成される光ビームの焦点を正確に較正するために、空間の3方向においてそれを移動させることが可能となる。このようにして、造形される部品の各層の製造において、高い精度が達成される。
【0086】
図1に示す機械は、材料の2つのリザーバ(11)をさらに備える。当該材料の2つのリザーバ(11)は各々、印刷材料を含むように意図されており、これらは、同じであってもよく、または、好ましくは異なっていてもよい。材料の2つのリザーバ(11)は、構造体(1)に固定されており、かつ再充填可能である。
【0087】
図4は、材料供給モジュール(12)の正面図を示す。機械の各材料供給モジュール(12)は、コンベヤ基体(2)に向かって印刷材料、すなわち感光性樹脂を供給する役割を担う。材料供給モジュール(12)は、この場合、カートリッジ(13)と、供給ローラ(14)と、を備える。
【0088】
各材料供給モジュール(12)は、2つのリザーバ(11)のうちの一方のリザーバに接続されている。その結果、リザーバ(11)内に含まれる印刷材料が、材料供給モジュール(12)のカートリッジ(13)に供給される。
【0089】
印刷材料がカートリッジ内に入れられると、当該印刷材料は、材料供給モジュール(12)の供給ローラ(14)を用いて、コンベヤ基体(2)上に投入される。供給ローラ(14)が回転するとき、当該供給ローラ(14)は、連続的かつ制御された方法で、印刷材料の層をコンベヤ基体(2)に供給する。
【0090】
図5は、好ましい一実施形態における本発明に係る機械の固定システム(18)を示す。固定システム(18)は、コンベヤ基体(2)を所定の位置に保持するように意図される。
【0091】
このために、固定システム(18)は、2つの固定要素(19、20)と、2つの回転要素、この場合は固定ローラ(27、28)と、2つの変位モータ(25)と、を備える。この場合、固定要素(19、20)は、上部ブロック(21)と、下部ブロック(23)と、を備える。
【0092】
図6は、固定システム(18)の正面図、特に、固定要素(19、20)の上部ブロック(21)および下部ブロック(23)の正面図を示す。各固定要素(19、20)の上部ブロック(21)は、クランプ型であり、これにより、調整可能なねじ(24)によってコンベヤ基体(2)を保持することが可能である。
【0093】
各固定要素(19、20)は、下部ブロック(23)において、固定システム(18)の自己張力付与モータ(29、30)のうちの一方のモータを収容している。当該自己張力付与モータ(29、30)は、固定要素(19、20)の移動を可能にし、したがって、コンベヤ基体(2)の移動を可能にする。加えて、下部ブロック(23)はまた、自己張力付与モータ(29、30)を収容している。当該自己張力付与モータ(29、30)は、必要な張力を自動的にコンベヤ基体(2)に与えることを可能にする。そのうえ、下部ブロック(23)には、傾斜要素(22)が、コンベヤ基体(2)を位置合わせするためにさらに配置されている。
【0094】
固定要素(19、20)は、コンベヤ基体(2)の両端部の各々を移動させ、その結果、当該コンベヤ基体(2)における移動を生み出すように意図される。前記固定要素(19、20)の移動において、2つの固定要素(19、20)のうちの一方の固定要素が上昇した場合、他方の固定要素は同じ距離だけ下降する。その逆もまたしかりである。固定要素(19、20)の移動は、2つのリニアガイド(26)に沿って行われる。
【0095】
さらに、固定システム(18)の固定ローラ(27、28)は、コンベヤ基体(2)の経路における支持点として機能する。このために、それらは構造体(1)に固定されており、その結果、それらの運動の自由度は自転のみである。また、コンベヤ基体(2)は、両方の固定ローラ(27、28)に当接しており、左側に位置する固定要素(19)が下降し、したがって右側に位置する固定要素(20)が上昇したとき、固定ローラ(27、28)は、コンベヤ基体(2)が円滑に移動できるように、反時計回りに自転する。これにより、構造体(1)に対するコンベヤ基体(2)の配置におけるU字形状が維持される。
【0096】
また、
図1には、固定システム(18)の固定ローラ(27、28)に対する、材料供給モジュール(12)の相対的な配置が示されている。材料供給モジュール(12)の供給ローラ(14)は、固定システム(18)の固定ローラ(27、28)に対して正接する位置に配置されており、当該供給ローラ(14)は、材料供給モジュール(12)によってコンベヤ基体(2)上に配置したい所望の層厚に等しい距離に、当該固定ローラ(27、28)に対して移動される。このようにして、供給ローラ(14)が回転するとき、当該供給ローラ(14)は、厚さが制御された材料の層をコンベヤ基体(2)上に供給する。
【0097】
コンベヤ基体(2)に供給される材料の層の厚さを変化させるために、材料供給モジュール(12)は、厚さ制御モジュール(15)をさらに備える。当該厚さ制御モジュール(15)は、ランナ(16)と、供給モータ(17)と、を備える。ランナ(16)は、供給ローラ(14)に接続されており、供給モータ(17)によって、水平方向に直線的に移動する。これにより、供給される物質の層の厚さが変更される。
【0098】
図7は、材料供給モジュール(12)に結合された材料収集モジュール(31)の正面図を示す。材料収集モジュール(31)は、材料収集トレイ(32)と、スパチュラ(33)と、再循環導管と、フィルタと、を備える。材料収集モジュール(31)のスパチュラ(33)は、造形される部品の1つの層の硬化が完了すると、コンベヤ基体(2)の表面に近づく。そして、コンベヤ基体(2)の移動によって、未硬化の印刷材料は強制的に、スパチュラ(33)と接触する。当該スパチュラ(33)により、当該未硬化の印刷材料が、コンベヤ基体(2)から取り除かれて、材料収集トレイ(32)上へ落下できるようにされる。余剰材料が材料収集トレイ(32)内に入ると、当該余剰材料は、再循環導管に向かって導かれ、フィルタによってフィルタリングされる。再循環導管は、余剰材料を後で再使用するために、当該余剰材料を、カートリッジ(13)またはリザーバ(11)へ運ぶ。
【0099】
図8は、本発明に係る積層造形方法の好ましい一実施形態の図を示す。
【0100】
図8には、固定システム(18)の固定ローラ(27、28)上に配置され、かつ固定要素(19、20)の移動に伴って移動するように張力付与された(ぴんと張られた)コンベヤ基体(2)が示されている。
【0101】
紫外線光源(10)が、印刷材料の硬化を可能にするために作動される。
【0102】
次に、供給される層の厚さを設定するために、材料供給モジュール(12)の配置が較正され、材料供給モジュール(12)の供給ローラ(14)の外面が、対応する固定システム(18)の固定ローラ(27、28)に近づけられ、または、対応する固定システム(18)の当該固定ローラ(27、28)から遠ざけられる。
【0103】
次に、コンベヤ基体(2)の移動が開始される。この場合、左側の固定要素(19)が下降し、右側の固定要素(20)が上昇する。同時に、供給ローラ(14)が作動し、自転を開始する。これにより、コンベヤ基体(2)上に、厚さが制御された印刷材料の層が供給される。
【0104】
事前に決定された作業長さに沿って、印刷材料の層がコンベヤ基体(2)上に供給されると、印刷面(3)は、運搬モジュール(4)によって上方に移動し、コンベヤ基体(2)からは、部品における既に製造済みの厚さのセットに、コンベヤ基体(2)上に供給された新たな層の厚さを加えた厚さに等しい距離となる。
【0105】
印刷面(3)がその位置にあるとき、コンベヤ基体(2)からの印刷材料が、特定の方法で硬化させるために照射される。そして、印刷面(3)が、運搬モジュール(4)によって、当該印刷面(3)を下方に移動させることにより分離される。
【0106】
コンベヤ基体(2)の移動が、材料供給の場合の方向と同じ方向に再開され、同時に、材料収集モジュール(31)が作動する。当該材料収集モジュール(31)によって、スパチュラ(33)により、未硬化の材料を、コンベヤ基体(2)から取り除くことができる。当該未硬化の材料は、材料収集トレイ(32)に向かって導かれ、最終的に、リザーバ(11)へと送り返される。
【0107】
図9は、コンベヤ基体(2)がO字形状に配置された、本発明に係る機械の好ましい第2実施形態の模式図を示す。固定システム(18)は、中央および可動の固定要素(34)と、4つの回転要素(27、28、35、36)、すなわち2つの上部回転要素(35、36)および2つの下部回転要素(27、28)と、を備える。
【0108】
固定システム(18)の中央および可動の固定要素(34)は、複数のリニアガイド(37)上に位置する。また、中央および可動の当該固定要素(34)は、コンベヤ基体(2)を両端部において、作業面(3)よりも高い高さにおいて当該作業面(3)に対して平行に、構造体(1)に対して保持する。固定要素(34)は、複数のリニアガイド(37)上を左右二方向に交互に移動し、その結果、コンベヤ基体(2)における移動を生み出す。
【0109】
この場合、基体(2)は、2つの連結棒(38、39)によって、中央および可動の固定要素(34)に接続されている。2つの当該連結棒(38、39)は、クリップによって、基体(2)の両端部に固定されている。それらは、2つのC字形状の固定要素(40、41)によって、固定要素(34)に接続されている。
【0110】
コンベヤ基体(2)は、中央および可動の固定要素(34)から、第1回転要素(35)に向かって水平方向に延び、前記第1回転要素(35)に当接することにより方向を転じる。そして、当該コンベヤ基体(2)は、第2回転要素(27)に向かって特定の傾きを有した状態で垂直(縦)方向下向きに延び、前記第2回転要素(27)に当接し、もう一度、方向を転じる。そして、当該コンベヤ基体(2)は、第3回転要素(28)に向かって水平方向に延びて作業面(3)を横切り、この回転要素(28)に当接して方向を転じる。そして、当該コンベヤ基体(2)は、下向きの傾きとは対称的な特定の傾きを有した状態で垂直方向上向きに延び、第4回転要素(36)に当接する。そして、当該コンベヤ基体(2)は、水平方向に延びて、第2端部により、中央および可動の固定要素(34)に対して保持される。
【0111】
図10は、本発明に係る固定システム(18)の好ましい第2実施形態の模式図を示す。この図には、2つの上部回転要素(35、36)に接続された、機械が備える張力付与システム(42)が示されている。当該張力付与システム(42)は、この場合、シザー型機構(44)である。当該シザー型機構(44)により、上部回転要素(35、36)は、中央横スピンドル(43)の運動を通じて、互いに近づき、または互いに遠ざかることができる。コンベヤ基体(2)を配置するとき、張力付与システム(18)は圧縮される、すなわち、回転要素(35、36)が互いにより接近する。そして、基体(2)がいったん配置されれば、所望の張力に達するまで、好ましくはモータステップロスが検出されるまで、回転要素(35、36)が遠ざかる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【
図1】本発明に係る機械の好ましい一実施形態の模式図を示す。
【
図2】運搬モジュールの好ましい一実施形態の模式図を示す。
【
図3】運搬モジュールの好ましい一実施形態の正面図を示す。
【
図4】材料供給モジュールの好ましい一実施形態の模式図を示す。
【
図5】固定システムの好ましい一実施形態の模式図を示す。
【
図6】固定システムの好ましい一実施形態の正面図を示す。
【
図7】材料収集モジュールの好ましい一実施形態の模式図を示す。
【
図8】本発明に係る積層造形方法の好ましい一実施形態の模式図を示す。
【
図9】本発明に係る機械の好ましい第2実施形態の模式図を示す。
【
図10】本発明に係る固定システムの好ましい第2実施形態の模式図を示す。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷方向がトップダウン型である積層造形用機械であって、
構造体(1)と、
印刷面(3)上で部品が印刷される当該印刷面(3)を収容するように意図された可動支持体(5)であって、当該印刷面(3)を垂直方向に移動させる可動支持体(5)と、前記構造体(1)に接続された変位機構(6)と、を備える、運搬モジュール(4)と、
前記構造体(1)に固定された、少なくとも1つの光源(10)と、
前記構造体(1)において位置し、かつ印刷材料を含むように意図された、材料の少なくとも1つのリザーバ(11)と、
材料の前記リザーバ(11)に接続された、印刷材料の層をコンベヤ基体(2)上に塗布するように意図された材料供給モジュール(12)であって、前記コンベヤ基体(2)は、当該材料供給モジュール(12)から前記印刷面(3)へ前記印刷材料を運ぶように意図される、材料供給モジュール(12)と、
固定システム(18)と、を備え、
前記固定システム(18)は、U字形状の構成を有し、
複数のリニアガイド(26)上に位置しており、かつ前記コンベヤ基体(2)を前記構造体(1)に対して保持するように意図された2つの固定要素(19、20)であって、前記コンベヤ基体(2)は、U字形状に配置されるように意図され、2つの前記固定要素(19、20)は、前記コンベヤ基体(2)の自己張力付与モータ(29、30)を収容し前記コンベヤ基体(2)と係合する下部ブロック(23)と、前記コンベヤ基体(2)を位置合わせするための傾斜要素(22)を備える上部ブロック(21)と、を備える、2つの固定要素(19、20)と、
前記コンベヤ基体(2)の支持点として機能するように意図された、前記構造体(1)に対する2つの回転要素(27、28)であって、前記コンベヤ基体(2)が移動できるように自転する、2つの回転要素(27、28)と、
前記コンベヤ基体(2)を移動させるように2つの前記固定要素(19、20)を移動させる、1もしくは複数の変位モータ(25)と、
を備える、
または、
前記固定システム(18)は、O字形状の構成を有し、
複数のリニアガイド(37)上に位置しており、前記コンベヤ基体(2)を両端部において、前記印刷面(3)よりも高い高さにおいて当該印刷面(3)と平行になるように、前記構造体(1)に対して保持するように意図され、かつ、複数の前記リニアガイド(37)上を二方向に交互に移動して前記コンベヤ基体(2)における移動を生み出すように意図された固定要素(34)であって、前記コンベヤ基体(2)は、O字形状に配置されるように意図される、固定要素(34)と、
前記コンベヤ基体(2)の支持点として機能するように意図された、前記構造体(1)に対する4つの回転要素(27、28、35、36)であって、前記コンベヤ基体(2)が移動できるように自転する、4つの回転要素(27、28、35、36)と、
前記コンベヤ基体(2)を移動させるように前記固定要素(34)を移動させる、1もしくは複数の変位モータ(25)と、
を備える、積層造形用機械。
【請求項2】
前記光源(10)は、プロジェクタ、スクリーンまたはレーザである、請求項1に記載の積層造形用機械。
【請求項3】
前記光源(10)は、紫外線型または可視光型である、請求項1に記載の積層造形用機械。
【請求項4】
前記運搬モジュール(4)は、前記印刷面(3)の位置決めの調整を可能にする位置決めフレームを有する自動レベリング機構(9)、自動レベリングシステム(9)または自動レベリングルーチン(9)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層造形用機械。
【請求項5】
前記運搬モジュール(4)の前記変位機構(6)は、前記可動支持体(5)に接続された直線案内要素(8)により案内される運動を伝達する1または複数のスピンドル(7)を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層造形用機械。
【請求項6】
前記印刷面(3)および前記可動支持体(5)は、単一の部材を形成している、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層造形用機械。
【請求項7】
前記固定システム(18)は、O字形状の構成を有し、
前記コンベヤ基体(2)は、2つの連結棒(38、39)によって、中央および可動の前記固定要素(2)に接続されており、
2つの前記連結棒(38、39)は、前記コンベヤ基体(2)の両端部に固定されており、かつ、2つのC字形状の固定要素(40、41)によって前記固定要素(34)に接続されている、請求項1に記載の積層造形用機械。
【請求項8】
前記固定システム(18)は、O字形状の構成を有し、張力付与システム(42)をさらに備え、
前記張力付与システム(42)は、2つの前記上部回転要素(35、36)に接続されており、かつ、中央横スピンドル(43)の運動を通じて、2つの前記上部回転要素(35、36)を互いに近づけ、または互いに遠ざけるように意図される、請求項1または7に記載の積層造形用機械。
【請求項9】
少なくとも1つの前記材料供給モジュール(12)は、カートリッジ(13)と、材料供給ローラ(14)と、を備え、
前記材料供給ローラ(14)は、前記固定システム(18)の2つの前記回転要素(27、28)のうちの少なくとも一方の回転要素に対して正接する位置に位置する、請求項1~8のいずれか一項に記載の積層造形用機械。
【請求項10】
前記材料供給モジュール(12)は、厚さ制御モジュール(15)をさらに備え、
前記厚さ制御モジュールは、前記カートリッジ(13)および前記材料供給ローラ(14)に接続され、かつ直線的に移動するランナ(16)と、前記ランナの移動を駆動する供給モータ(17)と、を備える、請求項9に記載の積層造形用機械。
【請求項11】
余剰材料収集トレイ(32)と、材料フィルタと、再循環導管とに加えて材料収集モジュール(31)をさらに備え、
前記再循環導管は、収集された前記材料を、前記カートリッジ(13)に向かって、または、前記リザーバ(11)に向かって導く、請求項1~10のいずれか一項に記載の積層造形用機械。
【請求項12】
前記材料収集モジュール(31)は、スパチュラ(33)を備え、
当該スパチュラ(33)は、前記コンベヤ基体(2)を押圧して前記余剰材料を回収するように、前記コンベヤ基体(2)の近くに配置されている、請求項11に記載の積層造形用機械。
【請求項13】
前記材料収集モジュール(31)は、前記スパチュラ(33)に接続された作動機構をさらに備え、
前記作動機構は、前記スパチュラ(33)が前記コンベヤ基体(2)に近づくか、または前記コンベヤ基体(2)から取り除かれることを可能にする、請求項12に記載の積層造形用機械。
【請求項14】
使用される前記印刷材料は、25℃において2000cps(mPa*s)以上の粘度を有する感光性樹脂である、請求項1~13のいずれか一項に記載の積層造形用機械。
【請求項15】
使用される前記印刷材料は、補強材料が充填された感光性樹脂である、請求項1~14のいずれか一項に記載の積層造形用機械。
【請求項16】
前記光源(10)は、作業面の上方に位置する、請求項1~15のいずれか一項に記載の積層造形用機械。
【請求項17】
クリーニングモジュールをさらに備え、
前記クリーニングモジュールは、軟質材料が2つのローラ上に配置された2つの当該ローラと、2つの前記ローラを移動させるためのクリーニングモータと、2つの前記ローラの上に環状に延在するクリーニング基体と、を備え、
それが連続的に回転できるようになっている、請求項1~16のいずれか一項に記載の積層造形用機械。
【請求項18】
印刷方向がトップダウン型である積層造形方法であって、請求項1~17のいずれか一項に記載の積層造形用機械を利用するものであり、
a)前記固定システム(18)に配置されたコンベヤ基体を用意する工程と、
b)前記固定システム(18)により、前記コンベヤ基体(2)に張力付与する工程と、
c)前記光源(10)を作動させる工程と、
d)前記コンベヤ基体(2)の所望の層厚に等しい距離に、前記材料供給モジュール(12)を配置する工程と、
e)前記固定システム(18)がU字形状の構成を有する場合にあっては、第1固定要素(19)を下降させて第2固定要素(20)を上昇させることにより、または、前記固定システム(18)がO字形状の構成を有する場合にあっては、前記固定要素(34)を複数の前記リニアガイド(37)上で直線的に移動させることにより、前記固定システム(18)を移動させる工程と、
f)前記固定システム(18)がU字形状の構成を有する場合にあっては、前記第1固定要素(19)の下方に位置する材料供給モジュール(12)から、また、前記固定システム(18)がO字形状の構成を有する場合にあっては、前記第2回転要素(27)および/または前記第3回転要素(28)の下方に位置する材料供給モジュール(12)から、作業長さに沿って前記コンベヤ基体(2)上に印刷材料を供給する工程と、
g)製造済みの層の厚さに新たな層の厚さを加えた厚さに等しい前記コンベヤ基体(2)からの距離まで、前記印刷面(3)を上昇させる工程と、
h)未硬化の前記印刷材料を前記光源(10)により照射する工程であって、所定の形状を作り出し、層を硬化させる工程と、
i)前記運搬モジュール(4)を下降させる工程であって、硬化した前記層を前記コンベヤ基体(2)から剥離する工程と、
j)工程e)~工程i)を繰り返す工程と、
を含む、積層造形方法。
【請求項19】
前記光源(10)を作動させる工程よりも前に、前記自動レベリング機構(9)、前記自動レベリングシステム(9)または前記自動レベリングルーチン(9)によって、前記運搬モジュール(4)が前記コンベヤ基体(2)と同一平面上となることを保証する工程をさらに含む、請求項18に記載の積層造形方法。
【請求項20】
前記コンベヤ基体(2)上に印刷材料を供給する前記工程において、前記コンベヤ基体(2)の作業領域内に前記印刷材料が供給され切ったとき、印刷材料をそれ以上供給することなく前記固定システム(18)の移動が継続される、請求項18または19に記載の積層造形方法。
【請求項21】
前記材料収集モジュール(31)を作動させる工程であって、前記材料供給モジュール(12)に未硬化の前記印刷材料を再導入するために未硬化の当該印刷材料を取り除く工程をさらに含む、請求項18~
20のいずれか一項に記載の積層造形方法。
【請求項22】
前記コンベヤ基体(2)の各移動の際に印刷材料が交互に供給されるように、第1カートリッジ(13)は、第1印刷材料を含み、かつ、少なくとも1つの第2カートリッジ(13)は、第2印刷材料を備える、請求項18~
21のいずれか一項に記載の積層造形方法。
【請求項23】
前記第2印刷材料の供給において前記運搬モジュール(4)を前記コンベヤ基体(2)に向かって移動させる工程は、前記第2印刷材料が前記第1印刷材料と同じ層に追加されるように、既に印刷済みの厚さのセットに等しい距離まで行われる、請求項
22に記載の積層造形方法。
【請求項24】
複数の前記印刷材料の汚染が回避されるように、前記クリーニングモジュールを作動させる工程をさらに含む、請求項
22または
23に記載の積層造形方法。
【国際調査報告】