(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-28
(54)【発明の名称】伝染病の監視および大流行の検出のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G16H 50/80 20180101AFI20230421BHJP
【FI】
G16H50/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555695
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(85)【翻訳文提出日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 US2021020573
(87)【国際公開番号】W WO2021188294
(87)【国際公開日】2021-09-23
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522364398
【氏名又は名称】キンサ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン,インダー ラジ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA00
(57)【要約】
スマート温度計のネットワークを利用する集団での健康の監視のためのシステムおよび方法が提供される。スマート温度計によって提供された地理的位置の使用者のデータに基づいて、様々な集団ノードについて伝染病を予測することができる。集団ノードは、様々なレベルの粒度で提供することができる。地理的または集団特異的な早期警告信号は、検出された伝染病の大流行に基づいて生成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾病の検出・追跡コンピューティングシステムであって、
複数の温度検知プローブであって、前記温度検知プローブの各々は、関連するモバイルコンピューティングデバイスと無線通信するように構成され、前記複数の温度検知プローブは、複数の異なる集団ノードの間に分散されている、複数の温度検知プローブ、
少なくとも1つのメモリと少なくとも1つのプロセッサとを備える集中型疾病の検出・追跡コンピューティングシステムであって、前記疾病の検出・追跡コンピューティングシステムは、前記関連するモバイルコンピューティングデバイスの各々とネットワーク通信しており、前記少なくとも1つのメモリは、実行されると、前記疾病の検出・追跡コンピューティングシステムに、
一定期間にわたって、ネットワーク通信を介して前記モバイルコンピューティングデバイスの各々から使用者のデータを受信し、前記コンピューティングデバイスの各々から受信した前記使用者のデータは、前記コンピューティングデバイスの地理的位置、前記関連する温度検知プローブによって収集された使用者温度読み取り値、および前記温度読み取り値に関連するタイムスタンプを含む、
前記複数の異なる集団ノードの各々について、前記異なる集団ノードに関連付けられた前記モバイルコンピューティングデバイスから一定期間にわたって受信した前記使用者のデータに基づいて、前記集団ノードに関連付けられた前記モバイルコンピューティングデバイスから受信した前記使用者のデータに基づいて、熱誘発性疾病の変化率を判定し、
前記異なる集団ノードの各々の前記判定された熱誘発性疾病の変化率に基づいて、前記異なる集団ノードの各々の疾患信号を生成し、
前記異なる集団ノードの各々についての前記判定された熱誘発性疾病の変化率を閾値変化率と比較し、
前記判定された熱誘発性疾病の変化率が前記閾値変化率を超える場合、前記関連する集団ノードについての大流行の信号を生成するようにさせる命令を格納する、集中型疾病の検出・追跡コンピューティングシステムを含む、システム。
【請求項2】
前記命令はさらに、前記疾病の検出・追跡コンピューティングシステムに、
前記異なる集団ノードの各々について前記疾病信号をグラフで伝達し、前記疾病信号はリアルタイムの疾病信号であるようにさせる、請求項1に記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【請求項3】
前記命令はさらに、前記疾病の検出・追跡コンピューティングシステムに、
前記異なる集団ノードの各々について前記大流行信号をグラフで伝達するようにさせる、請求項1~2のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【請求項4】
前記命令はさらに、前記疾病の検出・追跡コンピューティングシステムに、
前記異なる集団ノードのそれぞれについての前記判定された熱誘発性疾病の変化率に少なくとも部分的に基づいて、前記異なる集団ノードのそれぞれについての有効再現率(Rt)を判定するようにさせる、請求項1~3のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【請求項5】
前記命令はさらに、前記疾病の検出・追跡コンピューティングシステムに、
ネットワーク通信を介して1つまたは複数の第三者からデータセットを受信するようにさせる、請求項1~4のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【請求項6】
前記データセットは、国立公衆衛生研究所から受信した疾患ベースのウェブデータを含む、請求項5に記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【請求項7】
前記温度検知プローブが体温計である、請求項1~6のいずれかに記載の疾病の検出および追跡ならびにシステム。
【請求項8】
前記モバイルコンピューティングデバイスの各々は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、およびデスクトップコンピュータのうちのいずれかである、請求項1~7のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【請求項9】
前記命令はさらに、前記疾病の検出・追跡コンピューティングシステムに、
前記使用者の各々について、人口統計データを記憶し、前記人口統計データは、性別データ、年齢データ、雇用データ、および教育データのうちの1つまたは複数を含む、請求項1~8のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【請求項10】
前記命令はさらに、前記疾病の検出・追跡コンピューティングシステムに、
前記異なる集団ノードの各々について前記生成された疾病信号を、アプリケーションプログラミングインターフェースを介して第三者の受信者に供給するようにさせる、請求項1~9のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【請求項11】
前記複数の集団ノードのうちの1つまたは複数が地理的領域であり、前記地理的領域に関連付けられた前記モバイルコンピューティングデバイスが前記地理的領域内に物理的に配置されている、請求項1~10のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【請求項12】
前記複数の集団ノードのうちの1つまたは複数は地理的領域であり、前記地理的領域は郵便番号、国勢統計区、または国勢調査細分区であり、前記地理的領域に関連付けられた前記モバイルコンピューティングデバイスは、前記郵便番号内に物理的に配置されている、請求項1から11のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【請求項13】
前記複数の集団ノードのうちの1つまたは複数が地理的領域であり、前記地理的領域が州であり、前記地理的領域に関連付けられた前記モバイルコンピューティングデバイスが前記州内に物理的に配置されている、請求項1~12のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【請求項14】
前記複数の集団ノードのうちの1つまたは複数は地理的領域であり、前記地理的領域は国であり、前記地理的領域に関連付けられた前記モバイルコンピューティングデバイスは前記国の中に物理的に位置する、請求項1~13のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【請求項15】
前記複数の集団ノードのうちの1つまたは複数が、学校、学校のシステム、または高等学習機関のいずれかである、請求項1~14のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【請求項16】
疾病の検出・追跡コンピューティングシステムであって、
複数の温度検知プローブであって、各々は、関連するモバイルコンピューティングデバイスと通信するように構成されている、温度検知プローブ、
前記疾病の検出・追跡コンピューティングシステムであって、前記関連するモバイルコンピューティングデバイスの各々とネットワーク通信しており、
ネットワーク通信を介して前記モバイルコンピューティングデバイスの各々から使用者のデータを受信し、前記コンピューティングデバイスの各々から受信した前記使用者のデータは、前記コンピューティングデバイスの地理的位置、前記関連する温度検知プローブによって収集された使用者温度読み取り値、および前記温度読み取り値に関連付けられたタイムスタンプを含み、前記モバイルコンピューティングデバイスの各々は、集団ノードに関連付けられ、
前記集団ノードに関連付けられた前記モバイルコンピューティングデバイスから経時的に受信した前記使用者のデータに基づいて、前記集団ノード内の熱誘発性疾病の発生を判定し、
前記集団ノードについての前記熱誘発性疾病の発生に基づいて、前記集団ノードについての疾患信号を生成するようにさせる、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【請求項17】
前記疾病の検出・追跡コンピューティングシステムは、前記集団ノードについての熱誘発性疾病の変化率を閾値変化率と比較し、前記熱誘発性疾病の変化率が前記閾値変化率を超える場合、前記集団ノードについての大流行信号を生成する、請求項16に記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【請求項18】
前記疾患の検出および追跡ならびにコンピューティングシステムは、前記集団ノード内の前記判定された熱誘発性疾病の発生に基づいて、前記集団ノードの有効再現率(Rt)を判定する、請求項16~17のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【請求項19】
前記疾病の検出・追跡コンピューティングシステムは、各使用者の人口統計データを記憶するものであり、前記人口統計データは、性別データ、年齢データ、雇用データ、および教育データのうちの1つまたは複数を含む、請求項16~18のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【請求項20】
前記疾病の検出・追跡コンピューティングシステムは、アプリケーションプログラミングインターフェースを介して前記集団ノードについての前記生成された疾患信号を第三者受信者に提供することである、請求項16~19のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【請求項21】
前記集団ノードが、郡、郵便番号、国勢統計区、国勢調査細分区、州、国、大都市統計地域(MSA)、学校、学校のシステム、および高等学習機関のいずれかである、請求項16~20のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【請求項22】
前記温度検知プローブが体温計である、請求項16~21のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【請求項23】
疾病の検出・追跡方法であって、
疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって、複数のバイオメトリック収集デバイスの各々から収集された使用者のデータを受信することであって、受信された前記使用者のデータは、地理的位置、前記バイオメトリック収集デバイスによって収集されたバイオメトリック読み取り値、および前記バイオメトリック読み取り値に関連するタイムスタンプを含む、受信すること、
前記疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって、集団ノードについての前記複数のバイオメトリック収集デバイスによって一定期間にわたって収集された前記使用者のデータに基づいて、前記集団ノードについてのバイオメトリック変化率を判定すること、および
前記疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって、前記集団ノードの前記判定されたバイオメトリック変化率に基づいて、前記集団ノードの疾病信号を生成すること、を含む疾病の検出・追跡方法。
【請求項24】
前記疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって、前記集団ノードの前記疾病信号をグラフで伝達することであって、前記疾病信号はリアルタイムの疾病信号である、伝達することをさらに含む、請求項23に記載の疾病の検出・追跡方法。
【請求項25】
前記疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって、前記集団ノードについての前記判定されたバイオメトリック変化率を閾値変化率と比較すること、および
前記判定されたバイオメトリック変化率が前記閾値変化率を超える場合、前記疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって、前記集団ノードについての大流行信号を生成すること、を含む、請求項23~24のいずれかに記載の疾病の検出・追跡方法。
【請求項26】
前記バイオメトリック収集デバイスは温度計であり、前記バイオメトリック読み取り値は温度読み取り値であり、
前記疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって、前記集団ノードの前記判定されたバイオメトリック変化率疾病に基づいて、前記集団ノードの有効再現率(Rt)を判定すること、をさらに含む、請求項23~25のいずれかに記載の疾病の検出・追跡方法。
【請求項27】
前記使用者の各々について、疾病の検出・追跡コンピューティングシステムにより、人口統計データを記憶し、前記人口統計データは、性別データ、年齢データ、雇用データ、および教育データのうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項23~26のいずれかに記載の疾病の検出・追跡方法。
【請求項28】
前記バイオメトリック収集デバイスの各々は、温度計、パルスオキシメータ、心拍数モニタ、および装着型フィットネストラッカのいずれかである、請求項23~27のいずれかに記載の疾病の検出・追跡方法。
【請求項29】
前記バイオメトリック収集デバイスの各々は、装着型フィットネストラッカである、請求項23~28のいずれかに記載の疾病の検出・追跡方法。
【請求項30】
前記集団ノードが、郡、郵便番号、国勢統計区、国勢調査細分区、州、国、学校、学校制度、および高等学習機関のいずれかである、請求項23~29のいずれかに記載の疾病の検出・追跡方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年1月25日に出願された米国特許出願第17/156,810号の優先権を主張し、2020年3月18日に出願された米国特許出願第62/991,074号、2020年3月18日に出願された米国特許出願第62/991,472号明細書、および2020年9月23日に出願された米国特許出願第63/082,288号の優先権を主張する。これらの開示はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
感染症は、世界中で最も大きな公衆衛生上の懸念の1つであり続けている。季節性インフルエンザの経済的負担は、広まる一般の関心、予防措置における何十億ドルもの投資にもかかわらず、米国だけで毎年871億ドルにもなる。しかしながら、米国および他の国は、感染症発症のホットスポットを迅速に特定するための信頼できる信号を欠いている。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、流行の監視のために2つの主要なシステムを使用している。(1)主に検査室での確認を介して診断される約120の疾患についてのCDCデータを現地および州の保健局が送信する、全国通知可能疾患監視システム(NNDSS)、定義上、これは日常的に送られる疾患以外の新規疾患を検出することができず、既存の検査インフラストラクチャに依存するための遅れた指標である、(2)外来患者の追跡に基づくILI-Net(COVID-19様疾患またはCLI追跡に関する)は、遅れを報告することによって遅延され、介護希求行動の変化および差別化されたケアへのアクセスによってバイアスされる。さらに、外来患者の追跡は、医療システムに関与した患者のみを捉え、軽度または無症候性の症例の膨大な数の患者を見逃す可能性がある。遅れていて、不完全であるだけでなく、これらのメトリクスはまた、50州にわたって異なり、何百万人もの人々に影響を及ぼす決定を下すリーダーにとって死角となる。したがって、様々なエンティティがインフルエンザ様疾患(ILI)のモデル化および予測を行っているが、そのようなILI予測は、通常、4週間未満のリードタイムを有し、地理的粒度を含まないことが多く、遅れたデータセットに基づく。さらに、正確なILI予測を考慮しても、COVID-19などの伝染病もしくはパンデミック疾患の予測不可能な脅威、またはジカ病およびエボラ病などの疾患の急速な発生もしくは再発生は、迅速な対応および介入を可能にするために迅速に識別し、標的とすることが困難であることが多い。
【0003】
特定の実施形態は、添付の図面と併せて以下の説明からよりよく理解されると考えられ、図面において、同様の参照符号は同様の要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】1つの非限定的な実施形態によるエンドツーエンドの疾病データ収集および処理システムを概略的に示す。
【
図2】
図1の疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって収集されたリアルタイムのデータに基づく地理的領域について認められたインフルエンザ様疾病を示すプロットを示す。
【
図3】様々な非限定的な実施形態による例示的な疾病の検出・追跡コンピューティングシステムを示す。
【
図4】様々な非限定的な実施形態による例示的な疾病の検出・追跡コンピューティングシステムを示す。
【
図5】1つの非限定的な実施形態による地理的領域についての伝染病の大流行の検出を概略的に示す。
【
図6】疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって複数の温度検知プローブから受信される情報の例示的な処理を示す。
【
図7】1つの非限定的な実施形態による疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって生成された例示的な視覚化を提供する。
【
図8】1つの非限定的な実施形態による疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって生成された例示的な視覚化を提供する。
【
図9】1つの非限定的な実施形態による疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって生成された例示的な視覚化を提供する。
【
図10】非限定的な一実施形態による、疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって実行することができる例示的なプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
次に、開示されたシステム、装置、デバイス、および方法の構造、機能、および使用の原理の全体的な理解をもたらすために、本開示の様々な非限定的な実施形態を説明する。これらの非限定的な実施形態の1つまたは複数の例は、添付図面の
図1~
図10を参照して詳細に開示および説明された選択された例に示されている。当業者は、本明細書に具体的に記載され、添付の図面に示されているシステム、装置、デバイス、および方法が非限定的な実施形態であることを理解するであろう。1つの非限定的な実施形態に関連して図示または説明された特徴は、他の非限定的な実施形態の特徴と組み合わせることができる。そのような修正および変形は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【0006】
本明細書で開示されるシステム、装置、デバイス、および方法は、例として、図面を参照して詳細に説明される。本明細書で説明される例は、単なる例であり、本明細書に記載される装置、デバイス、システム、および方法の説明を助けるために提示される。図面に示されている、または以下で説明される特徴または構成要素のいずれも、必須であると特に指定されない限り、これらの装置、デバイス、システムまたは方法のいずれかの何らかの特定の実装に対して必須であると解釈されるべきではない。読みやすく明確にするために、特定の構成要素、モジュール、または方法は、特定の図に関連してのみ説明され得る。本開示では、特定の技術、構成などの何らかの識別は、提示された特定の例に関連するか、またはそのような技術、構成などの一般的な説明にすぎない。特定の詳細または例の識別は、そのように特に指定されない限り、必須または限定するものとして解釈されることを意図せず、解釈されるべきではない。構成要素の組み合わせまたは部分的な組み合わせを具体的に記載することのいずれかの不履行は、任意の組み合わせまたは部分的な組み合わせが不可能であることの現れとして理解されるべきではない。開示および説明された例、構成、構成要素、要素、装置、デバイス、システム、方法などに対する修正を行うことができ、特定の用途に望ましい場合があることが理解されよう。また、記載されているいずれの方法についても、その方法がフロー図と併せて記載されているかどうかにかかわらず、文脈によって別様に指定または要求されない限り、方法の実行において実行されるステップの任意の明示的または暗黙的な順序付けは、それらのステップが提示された順序で実行されなければならないことを意味するのではなく、代わりに異なる順序または並列で実行されてもよいことを理解されたい。
【0007】
本明細書全体を通した「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、「いくつかの例示的な実施形態」、「例示的な一実施形態」、または「実施形態」への言及は、任意の実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の所々で「様々な実施形態において」、「いくつかの実施形態では」「一実施形態では」、「いくつかの例示的な実施形態」、「例示的な一実施形態」、または「実施形態」という語句が現れても、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、動作、または特性は、1つ以上の実施形態において、任意の好適な方法で組み合わされてもよい。
【0008】
本開示の様々な実施形態によれば、温度検知プローブのネットワーク(「スマート温度計」と呼ばれることもある)から得られた使用者のデータを活用して、伝染の増加および病んでいる人の数の増加を識別することができる。場合によっては、温度検知プローブのネットワークは、それぞれが様々な地理的領域または他の種類の集団ノードから使用者のデータを収集している数十万、さらには数百万の温度検知プローブを含む。有益なことに、データの収集と処理との間の遅れの最小化、ならびに温度検知プローブのネットワークから受信される大量の使用者のデータに起因して、確立されたヘルスケアシステムが潜在的に同様のメトリックを検出することさえできるようになるよりもかなり前に、増加した伝染および/または増大のそのような識別が行われ得る。
【0009】
説明として、ヘルスケアシステムは、医師、病院、または検査室に行くことがない軽度の症状の人々からのデータを取得しないが、その理由は、症状が自宅で治療可能であるか、または医学的注意を必要とせずに軽減するためである。さらに、医療サービスが十分ではない集団は、ケアの費用およびケアにアクセスする際の障壁のために、軽度またはさらに重度の疾病のために、医師、病院、または研究所を訪問する見込みが少ない可能性がある。医療サービスが十分ではない集団は、より混雑に見舞われる生活状況、より密に接触する仕事、および医療元へのアクセスがより制限されているなどの要因により、感染性の疾患を経るリスクが高いことが多い。現在開示されているシステムおよび方法は、現在のヘルスケアデータによって十分に表されてはいないこれらの医療サービスが十分ではないコミュニティからデータを取り込むことができる。さらに、従来のヘルスケアデータは、本明細書に記載のシステムおよび方法によって提供されるものと同様の洞察を提供するのには過度に遅い。ヘルスケアシステムが特にCOVID-19などの最初は未知の起源の感染性疾患症例の異常を識別する時には、関連する大流行が既に大規模に発生しており、大流行の影響を最小限に抑えるために措置を講じる必要があったはずの期間が過ぎているためである。
【0010】
さらに、本明細書に記載のシステムおよび方法によれば、温度検知プローブのネットワークが病の拡散を確認および識別するために、すべての使用者が特定の症状を有している必要はない。例として、使用者のごく一部が症状(例えば、発熱など)を有していても、温度検知プローブのネットワークは依然として、その人数の増加に追いついて、伝染の速度を正確に評価することができる。したがって、例えば、COVID-19を有する人の50%のみが発熱しているが、温度検知プローブのネットワークから受信した使用者のデータが、特定の地理的地域の人数が倍増していることを示している場合には、COVID-19が拡散していると判定することができる。伝染率は、温度検知プローブのネットワークから受信した使用者のデータに基づいて、評価および報告することもできる。
【0011】
以下でより詳細に説明するように、本開示の様々な実施形態はまた、一般に、温度検知プローブのネットワークから収集されたリアルタイムデータに基づく、長期リードILI予測に関する。いくつかの実施形態では、例えば、以下でより詳細に説明するように、ネットワーク内のスマート温度計から収集されたジオコードデータに基づいて、特定の地理的領域について12週間のILI予測を生成することができる。本開示による長期リードILI予測は、地理的に固有のデータを活用して、都市または他のタイプの地理的領域または集団ノード(例えば、学校、職場、または使用者の他の適切なグループ化)ごとのインフルエンザの季節的な伝染率を推定することができ、過去のインフルエンザの大流行に基づいて、各地理的領域についてインフルエンザ伝染フィンガープリントを開発することを可能にする。地理的領域は、気候および人口構造によって形成される固有の流行強度曲線を有することができ、これらのパターンを使用して、地理的に固有の領域に対する高精度の長期リードILI予測を構築することができる。本明細書に記載の予測は、式(1)を使用して各地理的領域に固有の1日の再生数(R)の推定値を計算するために、複数年の郡固有の発生データを活用することができる。
(式1)
式中、wは、発生分布時間であり、Iは(後述する
図1の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム100によって検出されるように)郡レベルの発生率であり、Rは、再生数であり、
(式2)
は有効発生率である。さらに、wは、例えば平均2.5日間および0.6日間のスケールで、1~5日間の宿主からの拡散についてのガンマ分布を使用して、インフルエンザの拡散速度に関する文献からの知見に基づいて推定することができる。
【0012】
式(1)を使用して、領域ごとに以前のすべての1日の時間ステップについてRを推定することができ、次いで、年間の1日当たりの中央値Rを推定することができる。このアプローチは、上記の同じ式を使用してIを前方に伝播することによって将来のインフルエンザの発生を予測するために使用することができる、場所ごとのインフルエンザ伝染フィンガープリントをもたらすことができる。前方予測の場合、Rの毎日の推定値をすべての将来の日付(t)に代入して、It+1を予測することができる。最後に、インフルエンザ予測時点でランダムなガウスノイズがIの開始の値に加えられる予測のアンサンブルを実行することによって、発生率およびインフルエンザの予測における測定の不確実性を、考慮することができる。ガウスノイズのスケールは、発生時系列を14日中心のローリング平均でトレンド除去することによって各地理的領域の測定ノイズの標準偏差を推定することによって、各地理的領域について決定することができる。発生率の信号で認められるノイズは、通常に分布しており、地理的領域ごとの温度検知プローブの数とともに減少する。
【0013】
図1は、1つの非限定的な実施形態によるエンドツーエンドの疾病データ収集および処理システムを概略的に示す。そのような疾病データは、本開示に従って、長期リードILI予測、大流行の検出を生成し、他の疾病関連シグナリングをもたらすために利用することができる。より具体的には、システムは、スマート温度計、一貫して使用されている症状追跡モバイルアプリケーション、ウェアラブルデバイス、および/または他のデータ取得アプローチなどを介して、症状の発症直後に個人からのデータ収集を可能にすることができる。これにより、システムは、GPSレベル座標とともに、限定はしないが、温度、心拍数、および/または呼吸数などの主要な疾病の生体バイオメトリック/バイタルサインデータを取得することができる。症状またはバイオメトリックの疾病のデータを介して、システムは、症状が悪化している個人がケアを求めることを決定するのが遅れること、そのケアおよび診断検査にアクセスすることができること、ならびに検査結果を実行および報告するのが遅いこととは対照的に、システムは、症状の発症の前後の疾病を検出することができるので、従来の監視機構よりも疾患の経過の早い段階で、疾病を検出することができる。まったく異なる集団によるシステムの広範な使用、特に、学校、職場または家庭での曝露(例えば、子供、医療サービスが十分ではないコミュニティ、大規模な多世代家庭、第一線の労働者および初期応答者)による感染症の拡散によって最初に影響を受けることが多い重要なセンチネル集団によるシステムの広範な使用は、システムの出力の精度および堅牢性を有益に高めることができる。
【0014】
例として、症候的またはバイオメトリックの疾病のデータを提供しているセンチネルグループの中で非定型の疾病が検出され、システムの性質のために従来の監視機構よりも早く検出された場合、さらなるコミュニティの拡散が起こる前に、潜在的な大流行を初期段階で検出することができる。対照的に、ケアの希求および診断検査の遅れの性質のために、既存の従来の疾患監視システムが使用される場合、ケアを求めた個人から実験室検査によって非典型的なレベルの疾患が検出されると、より広範な疾患の伝染が起こるのに十分な時間が経過した。感染性疾患の伝染の指数関数的な性質のために、日数の規模での検出および応答時間の差は、疾患の罹患率、死亡率および社会的費用の低減に重大な影響を及ぼし得る。様々な実施形態によれば、システムは、複数のバイオメトリックデータ入力(温度、心拍数、呼吸数など)ならびに症状の入力などの複数のタイプのデータ入力を活用することができる。これらのデータ入力は、どの家族のメンバーが(家庭の伝染の計算のため)データおよびノード(例えば、学校)における増加をもたらしたかを知ることと相まって、大流行の検出、通常/季節的な流行の予測および区別のための最適なシステムをもたらす。
【0015】
システムは、例えば、モバイルコンピューティングデバイス112(例えば、スマートフォン、タブレット、コンピュータなど)などのそれぞれの補助コンピューティングデバイスとそれぞれ通信可能に結合された複数の温度検知プローブ114(医療用温度計など)を備えることができる。モバイルコンピューティングデバイス112は、通信ネットワーク134を介して疾病の検出・追跡コンピューティングシステム100と結合することができる。
図1および本明細書の他の図は、温度検知プローブの使用を示しているが、本開示はそのように限定されない。代わりに、本明細書に記載のシステムおよび方法は、様々なバイオメトリック収集デバイスのいずれかによって収集されたデータを使用して動作可能である。したがって、多くの動作の実施形態は、温度計によって収集された温度ベースのデータという状況で説明されているが、他の実施形態は、これらに限定されないが、パルスオキシメータ、心拍数モニタ、装着型フィットネストラッカ、または他の種類のウェアラブルなどの他の種類のバイオメトリック収集デバイスからのデータを利用することができる。多くのそのようなバイオメトリック収集デバイスは、ヘルスケアシステムに入る前に(すなわち、医師の予約または病院訪問の前に)使用者が利用することができ、それによって、他の方法では利用できない、または必然的にデータが遅れている疾病の検出・追跡コンピューティングシステム100に、タイムリーなバイオメトリックデータを与える。
【0016】
いくつかの実施形態では、使用者は、使用者の健康に関する様々なデータ、例えば、症状、服用した薬、ワクチン接種、または診断をモバイルコンピューティングデバイス112に与えることができる。例として、使用者は、使用者の年齢、性別、学校、雇用者、ならびに特定の疾病にかかるリスクまたは治療の推奨を使用者に知らせる他の社会的および人口統計データなど、各プロファイルに関連付けられた追加のコンテキストデータのプロファイルを設定することができる。プロファイルは、例えば、使用者を1つまたは複数の異なる集団ノードに関連付けるために使用することができる。各モバイルコンピューティングデバイス112に複数のプロファイルを作成することができる。いくつかの実施形態では、使用者は、特定のプロファイルが同じ家庭または他の社会集団に属することを示すことができる。
【0017】
追加的または代替的に、モバイルコンピューティングデバイス112を利用して、その使用者から様々なバイオメトリックデータを収集することができる。例として、心拍数の検出は、モバイルコンピューティングデバイス112によって提供することができる。いくつかの実施形態では、モバイルコンピューティングデバイス112は、呼吸数、または他の呼吸関連情報を、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム100に与えることができる。さまざまな適切な手法のいずれかを使用して、車載カメラ、マイクロフォン、または1つもしくは複数の特殊なバイオメトリックセンサを使用するなど、モバイルコンピューティングデバイス112を使用して、心拍数、呼吸数、または他のバイオメトリックデータを追跡することができる。
【0018】
温度読み取り値および/または他のバイオメトリックデータなどの使用者のデータ、および場合によっては使用者が入力した健康情報は、モバイルコンピューティングデバイス112によって疾病の検出・追跡コンピューティングシステム100に送信することができる。場合によっては、温度検知プローブ114は、モバイルコンピューティングデバイス112の助けを借りずに、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム100に直接データを送信するように構成することができる。さらに他の実施形態では、使用者は、温度データをモバイルコンピューティングデバイス112に直接手動で入力することができ(すなわち、タッチスクリーンインターフェースを介して)、これは次に、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム100に送信される。いずれにせよ、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム100は、モバイルコンピューティングデバイス112または温度検知プローブ114から送信された様々なタイプのデータを、1つまたは複数のデータベース106に記憶するように構成することができる。モバイルコンピューティングデバイス112は、さらに、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム100に、1つまたは複数の地理的位置(例えば、緯度、経度の座標)、IPアドレス、および1つまたは複数の時間測定値を送信するように構成することができる。地理的位置は、温度を取得するときまたは症状を記録するときに個人の位置を識別することができ、それによって地理的な粒度が得られる。時間測定値は、個人が体温を取得していた時間または症状を記録していた時間を含むことができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム100は、温度検知プローブ114によって生成されない、第三者データ130として示される他のデータセットを検索することができる。例えば、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム100は、インフルエンザを他の熱病誘発性の疾病と区別する疾病の特徴を識別する機械学習モデルを訓練する目的で、Centers for Disease Control’s(CDC’s)Weekly U.S.Influenza Surveillance Reportからウェブデータを検索することができる。
【0020】
本開示によれば、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム100によって収集された生データは、分析エンジン107によって疾病信号に変換することができる。一実施形態では、これらの疾病信号は、使用者アプリケーション142によってアクセスされるアプリケーションプログラミングインターフェース(API)109を介して外部のアプリケーションまたは組織(例えば、公衆衛生システム)による消費に利用可能にされる。一実施形態では、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム100は、例えば、特定の地理的領域について集約されたコミュニティのインフルエンザレベルを示す信号を生成することができる。そのような信号は、本明細書に記載されるように、長期リードILI予測モデルを生成するために使用することができ、ならびに大流行の検出および追跡を生成するために使用することができる。
【0021】
インフルエンザ予測モデルは有用であり得るが、新興の流行の迅速な特定が依然として大きな課題である。しかしながら、本開示によれば、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム100(
図1)によって収集されたリアルタイムの発生データに基づいて、集団ノード、国勢統計区、国勢調査細分区、または他の地理的領域について、局所的な疾患の異常を検出するためのシステムおよび方法が提供される。追加的または代替的に、ILI予測モデルを使用して、COVID-19、H1N1、SARS、MERSなどの疾病の予想される大流行の前に予測を行うことによって、予想される疾病の傾向を推定することができる。本開示のいくつかの実施形態によれば、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム100によって生成されたリアルタイムの信号は、特定の地理的領域または他のタイプの集団ノードに対するILIモデルの予測と比較することができる。異常なデータのさらなる調査を開始できるように、通常の季節性インフルエンザのパターンに起因する可能性が低い疾病の傾向を識別することができる。したがって、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム100によって検出される特定の集団ノード(すなわち、地理的領域、都市、郡、州、学校、学校制度、職場など)におけるリアルタイムの疾病レベルを、予想されるインフルエンザのアンサンブル予測と比較することができる。そのような比較を使用して、現在検出されている発生率が季節性インフルエンザの動態に起因する可能性を推定することができる。いくつかの実施形態では、季節性インフルエンザの上側95%信頼区間を超える任意のリアルタイムの値に、異常としてフラグを立てることができる。追加的または代替的に、リアルタイムの疾病レベルの他の特性は、潜在的な感染症ホットスポットを識別するために、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム100によって評価することができる。例えば、発熱している使用者の割合が閾値の割合を超えて増加すると、それらの使用者に関連付けられた集団ノードに異常としてフラグを立てることができる。いくつかの実施形態では、閾値は、集団にわたって等しく分散している場合、予想される疾病のレベルを計算することによって決定され得る。特定の亜集団ノードがそのレベルを超える場合、異常としてフラグを立てることができる。本開示の範囲から逸脱することなく、適切な閾値を決定するための他の手法を展開することができる。
【0022】
ここで
図2を参照すると、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム100(
図1)によって収集されたリアルタイムのデータに基づいて、特定の集団ノードについて認められたインフルエンザ様疾患152を示すプロット150が提示される。集団ノードは、例えば地理的領域とすることができる。プロット150のインフルエンザ予測154は、予想されるインフルエンザの予測の中央値であり、バンド158は、95%信頼区間の上下を表す。理解されるように、任意の適切な信頼区間を使用することができる。インフルエンザ予測154は、本開示に従って生成された長期リードILI予測とすることもでき、第三者によって生成されたILI予測とすることもできる。プロット150は、温度検知プローブのネットワークから収集された使用者のデータに基づく多数の大流行の異常156を示しており、その各々は95%信頼区間上側を超える。大流行の異常156が検出されると、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム100は、任意の適切な通知または警告アプローチを使用して、さらなる調査のために発生にフラグを立てることができる。一実施形態では、大流行の異常156に基づく疾病の信号を、外部のアプリケーションまたは組織により消費するために利用可能にすることができる。生成されるシグナルの例としては、限定されないが、とりわけ、疾病の発生率、集団に対する疾病伝染率、有効な伝染率を挙げることができる。
【0023】
現在開示されているシステムおよび方法によれば、他の種類の表示の中でも、様々な視覚化、ダッシュボード、アニメーションを生成して、ILI予測、大流行の異常などに関する情報を伝達することができる。いくつかの実施形態では、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム100は、そのような表示を生成するように構成されるが、本開示はそのように限定されない。そのような情報は、リアルタイムのデータ、または疾病の検出・追跡コンピューティングシステム100によって生成された信号などに基づく実質的にリアルタイムのデータ(すなわち、毎日)に基づいて、表示することができる。
【0024】
ここで
図3を参照すると、別の例示的な疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200が示されている。疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200は、様々な集団ノードのメンバーである複数のモバイルコンピューティングデバイス212A~Nと通信するように示されている。図示の例では、集団ノードは地理的領域218A~Nとして示されている。追加的または代替的に、他の例では、複数のモバイルコンピューティングデバイス212A~Nはそれぞれ、特定の学校、学校のシステム、キャンパス、職場、または他の環境、グループ化、または集合に関連付けることができる。
【0025】
図3に示すように、各モバイルコンピューティングデバイス212A~Nは、通信216A~Nを介して、関連する温度検知プローブ214A~Nに通信可能に結合することができる。例えば、いくつかの実施形態では、通信216A~Nは、Bluetooth(登録商標)通信プロトコルを利用するが、本開示はそのように限定されず、様々な有線または無線通信216A~Nのいずれかを利用することができる。各温度検知プローブ214A~Nは、それぞれ使用者222A~Nに関連付けることができる。
図3は、温度検知プローブ214A~Nによって収集されたデータの使用を示しているが、本開示はそのように限定されない。上記のように、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の適切な種類のバイオメトリック収集デバイスを使用することができる。
【0026】
図3の例示的な地理的領域218A~Nは、任意の他の適切な境界の中でも、郡、郵便番号、州、国、大都市統計地域(MSA)などの任意の適切な地域とすることができる。さらに、様々な地理的領域218A~Nの各々は、異なるタイプの境界から形成することができる。例えば、地理的領域218Aは都市とすることができ、一方で地理的領域218Bは郡とすることができる。いずれにせよ、複数の温度検知プローブ214A~Nは、様々な地理的領域218A~N内の使用者222A~Nの温度を能動的に収集することができる。いくつかの使用事例では、各地理的領域218A~Nは、無数の温度検知プローブ214A~Nを含むことができる。より大きなサイズの地理的領域218A~Nは、数十万、さらには数百万の温度検知プローブ214A~Nを含むことができる。さらに、上記のように、
図3は地理的領域のコンテキストにおける集団ノードを示しているが、本開示のシステムおよび方法は、使用者222A~Nをいくつかの異なる集団ノードのいずれかにグループ化する機能を設けることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、
図1のシステムと同様に、モバイル通信デバイス212A~Nは、任意の適切な通信ネットワーク234を介して疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200と通信することができる。通信ネットワーク234は、有線および/または無線通信リンクを備えることができるインターネット、LAN、WAN、GPRSネットワークなどを含む任意の適切なコンピュータまたはデータネットワークを含むことができる。
【0028】
モバイル通信デバイス212A~Nは、例えば、ウェアラブルコンピューティングデバイス、携帯電話、タブレットコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータと携帯電話(「スマートフォン」と呼ばれることもある)との組み合わせであるデバイス、パーソナルコンピュータ(例えば、ラップトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、デスクトップコンピュータなど)、または携帯情報端末(PDA)、タブレットデバイス、ゲームデバイス、もしくはメディアプレーヤなどの任意の他の適切なモバイル通信デバイスなど、通信ネットワーク234を介した疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200との通信に適した任意の種類のコンピュータデバイスとすることができる。いくつかの実施形態では、モバイル通信デバイス212A~Nは、モバイル通信デバイス212A~Nと疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200との間に通信チャネルを設ける専用アプリケーションを実行することができる。追加的または代替的に、モバイル通信デバイス212A~Nは、それぞれの使用者222A~Nがウェブベースの通信を介して疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200とインターフェースすることを可能にするウェブブラウザアプリケーションを実行することができる。いずれの場合でも、使用者のデータ220A~Nは、モバイル通信デバイス212A~Nから疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200に送信することができる。使用者のデータ220A~Nの内容は実装に基づいて変化し得るが、いくつかの実施形態では、使用者のデータは、地理的位置224(モバイル通信デバイス212A~Nによって提示される)、使用者温度読み取り値226(温度検知プローブ214A~Nによって測定される)、およびタイムスタンプ228を含む。
【0029】
モバイル通信デバイス212A~Nから受信した使用者のデータ220A~Nに基づいて、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200は、様々な受信者コンピューティングシステム242に与えることができる疾病信号240を生成することができる。理解されるように、そのような疾病信号240は、ダッシュボード、アニメーション、または様々な他の種類の表示を介して、任意の適切な形式で提供または伝達することができる。例えば、疾病信号240は、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)を介して外部アプリケーションまたは組織(例えば、公衆衛生システム)により消費するのに利用可能にすることができる。一実施形態では、例えば、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200は、地理的領域218A~Nのそれぞれについて集約された地域のインフルエンザレベルを示す疾病信号240を生成することができる。追加的または代替的に、そのような疾病信号240は、地理的領域218A~Nのうちの1つまたは複数における潜在的な伝染病の大流行の存在を示すことができる。地理的領域以外の他の集団ノードを利用する実施形態では、そのような信号240は、監視されている特定の集団ノードに基づいて生成することができる。したがって、信号は、特定の学校、学校のシステム、高等学習機関、または使用者の様々な他のグループ化もしくは集合内の大流行の活性を示すことができる。
【0030】
疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200は、例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、サーバ、メインフレーム、または複数のコンピュータの集合(例えば、ネットワーク)などの任意の適切なプロセッサベースのデバイスまたはシステムを使用して設けることができる。疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200は、1つまたは複数のプロセッサ202および1つまたは複数のコンピュータメモリユニット204を含むことができる。便宜上、
図1には、1つのみのプロセッサ202および1つのみのメモリユニット204が示されている。プロセッサ202は、メモリユニット204に記憶されたソフトウェア命令を実行することができる。プロセッサ202は、1つまたは複数のコアを有する集積回路(IC)として実現できる。メモリユニット204は、揮発性および/または不揮発性メモリユニットを含むことができる。揮発性メモリユニットは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含むことができる。不揮発性メモリユニットは、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ならびに例えば、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブなどのような機械的不揮発性メモリシステムを含むことができる。RAMおよび/またはROMメモリユニットは、例えば、個別メモリICとして実装することができる。
【0031】
メモリユニット204は、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200のための実行可能ソフトウェアおよびデータを記憶することができる。疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200のプロセッサ202がソフトウェアを実行すると、プロセッサ202に疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200の様々な動作を実行させることができる。疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200によって使用されるデータは、例えば、電子コンピュータデータベースとすることができるデータベース206などの様々なソースからのものとすることができる。データベース206に格納されたデータは、ハードディスクドライブ、読み出し専用メモリ(例えば、ROM IC)、または他の種類の不揮発性メモリなどの不揮発性コンピュータメモリに格納することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のデータベース206は、例えば、遠隔電子コンピュータシステムに格納することができる。理解されるように、様々な他のデータベースまたは他の種類のメモリ記憶構造を利用することができ、あるいは疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200に関連付けることができる。さらに、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200は、様々な第三者によって与えられ得るように、第三者データセット230を使用することができる。いくつかの実施形態では、第三者データセット230は、例えば、全国の公衆衛生研究所から受信した、疾患ベースのウェブデータを含む。
【0032】
図3に示すように、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200は、いくつかのコンピュータサーバおよびデータベースを含むことができる。例えば、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200は、1つまたは複数のアプリケーションサーバ208、ウェブサーバ210、および/または任意の他の種類のサーバを含むことができる。便宜上、
図3には1つのみのアプリケーションサーバ208および1つのみのウェブサーバ210が示されているが、本開示はそのように限定されないことを認識されたい。サーバは、テキストベースのメッセージ、マルチメディアメッセージ、電子メールメッセージ、スマートフォン通知、ウェブページなどの任意の数のフォーマットで、コンテンツをモバイルコンピューティングデバイス212A~Nおよび/または他の受信者コンピューティングシステム242に送信させることができる。サーバ208および210は、プロセッサ(例えば、CPU)、メモリユニット(例えば、RAM、ROM)、不揮発性記憶システム(例えば、ハードディスクドライブシステム)などを備えることができる。サーバ208および210は、例えば、Solaris、Linux、またはWindows Serverオペレーティングシステムなどのオペレーティングシステムを利用することができる。
【0033】
ウェブサーバ210は、システムの様々な使用者が疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200と対話することができるグラフィカルウェブユーザインターフェースを設けることができる。ウェブサーバ210は、クライアント(例えば、モバイルコンピューティングデバイス212A~Nのウェブブラウザを介して、受信者コンピューティングシステム242など)からのHTTP要求などの要求を受け入れ、ウェブページ(例えば、HTML文書)およびリンクされたオブジェクト(画像、ビデオなど)などの任意選択のデータコンテンツと共に、HTTP応答などのクライアントの応答に機能することができる。
【0034】
アプリケーションサーバ208は、ウェブブラウザを使用して疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200と通信しない使用者のためのユーザインターフェースを設けることができる。そのような使用者は、それらのモバイルコンピューティングデバイス212A~N、および/または通信ネットワーク234を介してアプリケーションサーバ208と通信することを可能にする受信者コンピューティングシステム242にインストールされた特別なソフトウェアを有することができる。そのようなソフトウェアは、例えば、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200、または他のソフトウェアアプリケーションプロバイダから、通信ネットワーク234を介してそのようなコンピューティングデバイスにダウンロードすることができる。
【0035】
疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200の実施形態はまた、クラウドコンピューティング環境において実装することができる。「クラウドコンピューティング」は、仮想化を介して迅速にプロビジョニングされ、最小限の管理労力またはサービスプロバイダの相互作用でリリースされ、その後それに応じてスケーリングされ得る構成可能なコンピューティングリソース(例えば、ネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーション、およびサービス)の共有プールへのユビキタスで便利なオンデマンドネットワークアクセスを可能にするためのモデルとして定義され得る。クラウドモデルは、様々な特性(例えば、オンデマンドのセルフサービス、広範なネットワークアクセス、リソースプーリング、迅速な弾力性、測定されたサービスなど)、サービスモデル(例えば、サービスとしてのソフトウェア(「SaaS」、サービスとしてのプラットフォーム(「PaaS」、サービスとしてのインフラストラクチャ(「IaaS」)、および展開モデル(例えば、プライベートクラウド、コミュニティクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウドなど)から構成することができる。
【0036】
ここで
図4を参照すると、別の例示的な疾病の検出・追跡コンピューティングシステム300が示されている。疾病の検出・追跡コンピューティングシステム300は、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム200と同様とすることができる。図示のように、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム300は、例えば、プロセッサ302、メモリユニット304、データベース306、アプリケーションサーバ308、およびウェブサーバ310を含むことができる。疾病の検出・追跡コンピューティングシステム300は、疾病信号340を様々な受信者コンピューティングシステム342に与えるように構成することができる。図示のように、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム300は、例えば、複数の地理的領域318A~Nの各々について非定型の疾病報告を生成することができる。例示の目的で、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム300によって決定された各非定型疾病地理的領域318A~Nの非定型疾病率は、プロット344A~Nとして示されている。本明細書で使用される場合、非定型疾患は、リアルタイム温度計ILI信号と、インフルエンザ予測アンサンブルから引き出された97.5%パーセンタイルとの間の差を指すことができる。しかしながら、理解されるように、本開示の範囲から逸脱することなく、非定型疾患を定量化するための他のパーセンタイルおよび/または他のアプローチを使用することができる。
【0037】
地理的領域318A~Nは、郡、郵便番号、州、国、大都市統計地域(MSA)などの任意の適切な地域とすることができる。地理的領域318A~Nは、説明の目的で
図4に示されているが、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム300は、様々な異なるタイプの集団ノードのためのシグナリングを生成することができることを理解されたい。
【0038】
ここで
図5を参照すると、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム300による地理的領域318Aに対する伝染病の大流行の検出が概略的に示されている。地理的領域318Aについての熱誘発性疾病の判定された変化率348、350、352が概略的に示されている。理解されるように、判定された変化率が増加しているとき、一定期間にわたる非定型発生の数が増加している。このように、判定された熱誘発性疾病の変化率が閾値変化率を超えると、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム300によって大流行信号354を生成することができる。さらに、判定された変化率348、350、352に基づいて、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム300を使用して、有効再現率(Rt)を判定することができる。本明細書で使用される場合、再生率(Rt)は、それらの感染期間にわたって単一の発熱者によって引き起こされる発熱性疾患の二次症例の平均数として定義される。したがって、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム300によって生成されたシグナリングは、可能性のある将来の症例の急増を警告すること、または特定の集団ノードもしくは集団ノードのグループ化についてのピーク症例の大きさおよびタイミングを予測することなど、疾患の大流行への洞察を連続的に提供するために使用することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、認められた疾病、非定型の疾病、および非定型の伝染信号は、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム300によって、特定の集団ノードに対する高い連続的な伝染病症例増加の期間を予測するために使用することができる分類モデルに組み込まれる。これらの高い症例増加期間は、正規化された症例数における日中の高増加期間によって定め、第1の差から判定され、指数関数的に増加している間の高い症例蓄積期間に対応することができ。様々な実施形態によれば、訓練された分類モデルは、少なくとも2週間前に目標を予測することができる。これにより、大流行事象の予測が可能になり、様々な地理的領域またはノードで早期警告を発する。
【0040】
ここで
図6を参照すると、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム400によって複数の温度検知プローブ414から受信された情報の例示的な処理が示されている。示されるように、温度検知プローブ414は、例示の目的で地理的領域418A~Nとして示される複数の異なる集団ノードの間に分散させることができる。温度検知プローブ414の各々から受信した使用者のデータに基づいて、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム400は様々な処理を実行することができる。402において、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム400は、各地理的領域418A~Nごとに、異なる使用者ごとの発熱数を追跡することができる。さらに、いくつかの実施形態では、使用者の他の追加の症状は、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム400によって受信することができる。例えば、使用者は、温度検知プローブ414に関連付けられたモバイル通信デバイスに症状を手動で入力することができ、モバイル通信デバイスは、症状のリストを疾病の検出・追跡コンピューティングシステム400に送信することができる。404において、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム400は、毎日の発熱発生レベルを判定することができる(ILI判定など)。次に、406において、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム400は、各地理的領域418A~NのILI予測を判定することができる。そのようなILI予測は、例えば、各地理的領域の予想Rtに基づくことができる。ILI予測が判定されると、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム400は、次いで予測からの逸脱を監視することができる。408において、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム400は、特定の地理的領域418A~Nにおける非定型ILIを識別することができる。410において、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム400は、特定の地理的領域418A~Nにおける非定型Rtを識別することができる。非定型ILIおよび/または非定型Rtの識別に基づいて、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム400によって適切なシグナリングを生成し、例えば、連邦、州、地方自治体、学校職員、および/またはヘルスケアエンティティなどの適切な受信者に提供することができる。
【0041】
図7は、受信者コンピューティングシステム542に提示することができる疾病の検出・追跡コンピューティングシステム500によって生成された例示的な視覚化543を提示する。理解されるように、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム500は、それぞれがスマート温度計(例えば、
図3に示すように)と通信する複数のモバイルコンピューティングデバイスと通信することができる。視覚化543は、経時的に非定型の発生率(破線)および同じ期間にわたって毎日確認されたCOVID-19の症例(実線)を伝達する。この図示の例では、集団ノードは地理的領域である。視覚化543によって示されるように、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム500は、急増の発生前の2週間にわたって、ニュージャージー州で毎日確認された症例における急増を首尾よく検出した。したがって、検査室の収容能力および検査の利用可能性に応じて、検査室で確認された症例急増の約2~4週間前に、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム500を活用して、伝染病のコミュニティ拡散を正確に検出することができる。有益なことに、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム500は、高い温度計浸透性を有する領域において、郡およびさらには準郡レベルに解決策を提供することができる。疾病の検出・追跡コンピューティングシステム500によって発せられる貴重な情報および警告に基づいて、差し迫った急増の影響を低減するために、学校の閉鎖、社会的距離を置く義務などの行動をとることができる。さらに、検査キット、医薬品などは、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム500によって識別された急増を考慮して効率的に管理することができる。
【0042】
図8は、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム500によって生成され、受信者コンピューティングシステム542に提示される別の例示的な視覚化543を提示する。この例示的な視覚化543では、一定期間にわたる集団に対する移動制限の影響は、一定期間にわたる非定型Rtの判定された変化に基づいて評価することができる。図示されているニューヨークの例では、マッピングウェブサイトへのルーティング要求の数が経時的にプロットされており(実線)、2020年3月7日に緊急事態が宣言されている。緊急状態の宣言に続いて、ルーティング要求の数は、ドライバの数が減少するにつれて減少する。緊急状態の宣言と相関して、非典型的なRt(破線)も同様に減少することが示されており、それによって移動制限がニューヨークのRtに有益に影響を及ぼしたことが確認される。
【0043】
図9は、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム500によって生成され、受信者コンピューティングシステム542に提示される別の例示的な視覚化543を提示する。この例示的な視覚化543では、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム500によって判定された、時間に対する正規化された症例速度(破線)が上部のプロットに示されている。さらに、カットオフ閾値速度(実線)がプロットされている。カットオフ閾値速度を超える正規化された事例速度の交差は、事例における急速な増加を示す。この閾値の交差に基づいて、適切な大流行のシグナリングを生成することができる。下部のプロットは、同じ期間にわたる毎日確認された症例の数を含み、大流行が識別される。示されるように、同定された大流行は、正規化された症例速度がカットオフ閾値を超えた時点と相関している。
【0044】
図10は、本開示による疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって実行することができる例示的なプロセスのフローチャートである。602において、複数のモバイルコンピューティングデバイスの各々からの使用者のデータが、ある期間にわたってネットワーク通信を介して疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって受信される。コンピューティングデバイスの各々から受信した使用者のデータは、コンピューティングデバイスの地理的位置、関連する温度検知プローブによって収集された使用者温度読み取り値、および温度読み取り値に関連するタイムスタンプを含むことができる。604において、複数の異なる地理的領域のそれぞれについて、異なる地理的領域のそれぞれの中に物理的に配置されたモバイルコンピューティングデバイスから受信した使用者のデータに基づいて、熱誘発性疾病の変化率を使用者のデータに基づいて判定することができる。606において、異なる地理的領域のそれぞれについての熱誘発性疾病の判定された変化率に基づいて、異なる地理的領域のそれぞれについて疾患信号が生成される。608において、異なる地理的領域のそれぞれについての疾病信号がグラフで伝達される。疾病信号は、リアルタイムの疾病信号とすることができる。610において、異なる地理的領域のそれぞれについての熱誘発性疾病の変化率が閾値変化率を上回っているかどうかが判定される。そうである場合、612において、関連する地理的領域または他の適切な集団ノードについて大流行の信号を生成することができる。そうでなければ、プロセスは614に進むことができ、これにおいて、異なる地理的領域のそれぞれについての熱誘発性疾病の判定された変化率に少なくとも部分的に基づいて、異なる地理的領域のそれぞれについて有効再現率(Rt)を判定することができる。
【0045】
例示的な組み合わせ
【0046】
実施例1疾病の検出・追跡コンピューティングシステムであって、
複数の温度検知プローブであって、温度検知プローブの各々は、関連するモバイルコンピューティングデバイスと無線通信するように構成され、複数の温度検知プローブは、複数の異なる集団ノードの間に分散されている、複数の温度検知プローブ、
少なくとも1つのメモリと少なくとも1つのプロセッサとを備える集中型疾病の検出・追跡コンピューティングシステムであって、疾病の検出・追跡コンピューティングシステムは、関連するモバイルコンピューティングデバイスの各々とネットワーク通信しており、少なくとも1つのメモリは、実行されると、疾病の検出・追跡コンピューティングシステムに、
一定期間にわたって、ネットワーク通信を介してモバイルコンピューティングデバイスの各々から使用者のデータを受信し、コンピューティングデバイスの各々から受信した使用者のデータは、コンピューティングデバイスの地理的位置、関連する温度検知プローブによって収集された使用者温度読み取り値、および温度読み取り値に関連するタイムスタンプを含む、
複数の異なる集団ノードの各々について、異なる集団ノードに関連付けられたモバイルコンピューティングデバイスから一定期間にわたって受信した使用者のデータに基づいて、集団ノードに関連付けられたモバイルコンピューティングデバイスから受信した使用者のデータに基づいて、熱誘発性疾病の変化率を判定し、
異なる集団ノードの各々の判定された熱誘発性疾病の変化率に基づいて、異なる集団ノードの各々の疾患信号を生成し、
異なる集団ノードの各々についての判定された熱誘発性疾病の変化率を閾値変化率と比較し、
判定された熱誘発性疾病の変化率が閾値変化率を超える場合、関連する集団ノードについての大流行の信号を生成するようにさせる命令を格納する、集中型疾病の検出・追跡コンピューティングシステムを含む、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【0047】
実施例2 命令はさらに、疾病の検出・追跡コンピューティングシステムに、
異なる集団ノードの各々について疾病信号をグラフで伝達し、疾病信号はリアルタイムの疾病信号であるようにさせる、実施例1に記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【0048】
実施例3 命令はさらに、疾病の検出・追跡コンピューティングシステムに、
異なる集団ノードの各々について大流行信号をグラフで伝達するようにさせる、実施例1~2のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【0049】
実施例4 命令はさらに、疾病の検出・追跡コンピューティングシステムに、
異なる集団ノードのそれぞれについての判定された熱誘発性疾病の変化率に少なくとも部分的に基づいて、異なる集団ノードのそれぞれについての有効再現率(Rt)を判定するようにさせる、実施例1~3のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【0050】
実施例5 命令はさらに、疾病の検出・追跡コンピューティングシステムに、
ネットワーク通信を介して1つまたは複数の第三者からデータセットを受信するようにさせる、請求項1~4のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【0051】
実施例6 データセットは、国立公衆衛生研究所から受信した疾患ベースのウェブデータを含む、実施例5に記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【0052】
実施例7 温度検知プローブが体温計である、実施例1~6のいずれかに記載の疾病の検出および追跡ならびにシステム。
【0053】
実施例8 モバイルコンピューティングデバイスの各々は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、およびデスクトップコンピュータのうちのいずれかである、実施例1~7のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【0054】
実施例9 命令はさらに、疾病の検出・追跡コンピューティングシステムに、
使用者の各々について、人口統計データを記憶し、人口統計データは、性別データ、年齢データ、雇用データ、および教育データのうちの1つまたは複数を含む、実施例1~8のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【0055】
実施例10 命令はさらに、疾病の検出・追跡コンピューティングシステムに、
異なる集団ノードの各々について生成された疾病信号を、アプリケーションプログラミングインターフェースを介して第三者の受信者に供給するようにさせる、実施例1~9のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【0056】
実施例11 複数の集団ノードのうちの1つまたは複数が地理的領域であり、地理的領域に関連付けられたモバイルコンピューティングデバイスが地理的領域内に物理的に配置されている、実施例1~10のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【0057】
実施例12 複数の集団ノードのうちの1つまたは複数は地理的領域であり、地理的領域は郵便番号、国勢統計区、または国勢調査細分区であり、地理的領域に関連付けられたモバイルコンピューティングデバイスは、郵便番号内に物理的に配置されている、実施例1から11のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【0058】
実施例13 複数の集団ノードのうちの1つまたは複数が地理的領域であり、地理的領域が州であり、地理的領域に関連付けられたモバイルコンピューティングデバイスが州内に物理的に配置されている、実施例1~12のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【0059】
実施例14 複数の集団ノードのうちの1つまたは複数は地理的領域であり、地理的領域は国であり、地理的領域に関連付けられたモバイルコンピューティングデバイスは国の中に物理的に位置する、実施例1~13のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【0060】
実施例15 複数の集団ノードのうちの1つまたは複数が、学校、学校のシステム、または高等学習機関のいずれかである、実施例1~14のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【0061】
実施例16 疾病の検出・追跡コンピューティングシステムであって、
複数の温度検知プローブであって、各々は、関連するモバイルコンピューティングデバイスと通信するように構成されている、温度検知プローブ、
疾病の検出・追跡コンピューティングシステムであって、関連するモバイルコンピューティングデバイスの各々とネットワーク通信しており、
ネットワーク通信を介してモバイルコンピューティングデバイスの各々から使用者のデータを受信し、コンピューティングデバイスの各々から受信した使用者のデータは、コンピューティングデバイスの地理的位置、関連する温度検知プローブによって収集された使用者温度読み取り値、および温度読み取り値に関連付けられたタイムスタンプを含み、モバイルコンピューティングデバイスの各々は、集団ノードに関連付けられ、
集団ノードに関連付けられたモバイルコンピューティングデバイスから経時的に受信した使用者のデータに基づいて、集団ノード内の熱誘発性疾病の発生を判定し、
集団ノードについての熱誘発性疾病の発生に基づいて、集団ノードについての疾患信号を生成するようにさせる、疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【0062】
実施例17 疾病の検出・追跡コンピューティングシステムは、集団ノードについての熱誘発性疾病の変化率を閾値変化率と比較し、熱誘発性疾病の変化率が閾値変化率を超える場合、集団ノードについての大流行信号を生成する、実施例16に記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【0063】
実施例18 疾患の検出および追跡ならびにコンピューティングシステムは、集団ノード内の判定された熱誘発性疾病の発生に基づいて、集団ノードの有効再現率(Rt)を判定する、実施例16~17のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【0064】
実施例19 疾病の検出・追跡コンピューティングシステムは、各使用者の人口統計データを記憶するものであり、人口統計データは、性別データ、年齢データ、雇用データ、および教育データのうちの1つまたは複数を含む、実施例16~18のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【0065】
実施例20 疾病の検出・追跡コンピューティングシステムは、アプリケーションプログラミングインターフェースを介して集団ノードについての生成された疾患信号を第三者受信者に提供することである、実施例16~19のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【0066】
実施例21 集団ノードが、郡、郵便番号、国勢統計区、国勢調査細分区、州、国、大都市統計地域(MSA)、学校、学校のシステム、および高等学習機関のいずれかである、実施例16~20のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【0067】
実施例22 温度検知プローブが体温計である、実施例16~21のいずれかに記載の疾病の検出・追跡コンピューティングシステム。
【0068】
実施例23 疾病の検出・追跡方法であって、
疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって、複数のバイオメトリック収集デバイスの各々から収集された使用者のデータを受信することであって、受信された使用者のデータは、地理的位置、バイオメトリック収集デバイスによって収集されたバイオメトリック読み取り値、およびバイオメトリック読み取り値に関連するタイムスタンプを含む、受信すること、
疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって、集団ノードについての複数のバイオメトリック収集デバイスによって一定期間にわたって収集された使用者のデータに基づいて、集団ノードについてのバイオメトリック変化率を判定すること、および
疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって、集団ノードの判定されたバイオメトリック変化率に基づいて、集団ノードの疾病信号を生成すること、を含む疾病の検出・追跡方法。
【0069】
実施例24
疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって、集団ノードの疾病信号をグラフで伝達することであって、疾病信号はリアルタイムの疾病信号である、伝達することをさらに含む、実施例23に記載の疾病の検出・追跡方法。
【0070】
実施例25
疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって、集団ノードについての判定されたバイオメトリック変化率を閾値変化率と比較すること、および
判定されたバイオメトリック変化率が閾値変化率を超える場合、疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって、集団ノードについての大流行信号を生成すること、を含む、実施例23~24のいずれかに記載の疾病の検出・追跡方法。
【0071】
実施例26 バイオメトリック収集デバイスは温度計であり、バイオメトリック読み取り値は温度読み取り値であり、
疾病の検出・追跡コンピューティングシステムによって、集団ノードの判定されたバイオメトリック変化率疾病に基づいて、集団ノードの有効再現率(Rt)を判定すること、をさらに含む、実施例23~25のいずれかに記載の疾病の検出・追跡方法。
【0072】
実施例27
使用者の各々について、疾病の検出・追跡コンピューティングシステムにより、人口統計データを記憶し、人口統計データは、性別データ、年齢データ、雇用データ、および教育データのうちの1つまたは複数をさらに含む、実施例23~26のいずれかに記載の疾病の検出・追跡方法。
【0073】
実施例28 バイオメトリック収集デバイスの各々は、温度計、パルスオキシメータ、心拍数モニタ、および装着型フィットネストラッカのいずれかである、実施例23~27のいずれかに記載の疾病の検出・追跡方法。
【0074】
実施例29 バイオメトリック収集デバイスの各々は、装着型フィットネストラッカである、実施例23~28のいずれかに記載の疾病の検出・追跡方法。
【0075】
実施例30 集団ノードが、郡、郵便番号、国勢統計区、国勢調査細分区、州、国、学校、学校制度、および高等学習機関のいずれかである、実施例23~29のいずれかに記載の疾病の検出・追跡方法。
【0076】
実施形態および実施例の前述の説明は、説明の目的で提示されている。網羅的であること、または記載された形態に限定することを意図するものではない。上記の教示を考慮して、多くの修正および変形が可能である。これらの変更のいくつかは議論されており、他の変更は当業者によって理解されるであろう。様々な実施形態を例示するために実施形態を選択し、説明した。当然のことながら、範囲は、本明細書に記載の実施例または実施形態に限定されず、当業者によって任意の数の用途および同等の物品に使用することができる。
【図】
【国際調査報告】