(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-28
(54)【発明の名称】ナノ粒子の効率的な分散のための材料および方法
(51)【国際特許分類】
C09K 23/56 20220101AFI20230421BHJP
C05G 1/00 20060101ALI20230421BHJP
C09K 8/02 20060101ALI20230421BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20230421BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20230421BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230421BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20230421BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20230421BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230421BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20230421BHJP
A23L 33/14 20160101ALI20230421BHJP
A23L 33/15 20160101ALI20230421BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20230421BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20230421BHJP
A61K 47/46 20060101ALN20230421BHJP
A61K 33/242 20190101ALN20230421BHJP
A61P 35/00 20060101ALN20230421BHJP
A61P 9/10 20060101ALN20230421BHJP
【FI】
C09K23/56
C05G1/00
C09K8/02
C09D5/00 D
C09D201/00
A61K47/26
A61K9/14
A61P3/02 101
A61P3/02
A61K45/00
A23L33/10
A23L33/14
A23L33/15
C09D7/63
A61K9/10
A61K47/46
A61K33/242
A61P35/00
A61P9/10 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555948
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(85)【翻訳文提出日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 US2021023491
(87)【国際公開番号】W WO2021189049
(87)【国際公開日】2021-09-23
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519080908
【氏名又は名称】ローカス アイピー カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ファーマー ショーン
(72)【発明者】
【氏名】アリベック ケン
(72)【発明者】
【氏名】ロジャース ジョナサン
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C084
4C086
4D077
4H061
4J038
【Fターム(参考)】
4B018MD01
4B018MD23
4B018MD81
4B018ME14
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4C076AA95
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4C086ZB26
4D077AA03
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4J038NA12
4J038PA07
(57)【要約】
本発明は、ナノ粒子の分散性を高める組成物および方法に関する。ある特定の態様では、組成物および方法は、生化学物質を産生する微生物および/または微生物によって合成された副産物を用いてプライマーの性能および/または寿命を向上させるために使用することができる。ある特定の態様では、バイオサーファクタントの添加は、色素および/または他のナノ粒子の分散性、ならびに汚れまたは色がプライマーを通ってにじむことの阻害、を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子を分散させるための方法であって、該ナノ粒子を含む組成物にバイオサーファクタントを添加する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記バイオサーファクタントがソホロ脂質(SLP)である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が、結合剤、溶媒、顔料または染料、緩衝剤、樹脂、安定化剤、およびpH調節剤より選択される1種または複数種の成分を含む塗装用プライマーである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記塗装用プライマーの性能が、
a)表面および/または物体への接着性を高めること;
b)表面および/または物体のトポグラフィーのばらつきの隠蔽性を高めること;
c)多孔性の表面および/または物体の密閉性を改善すること;
d)色がプライマーを通ってにじむのを防止すること;
e)匂いの広がりを防止すること;
f)タイコート層を確立すること;ならびに
g)汚れがプライマーを通ってにじむのを防止すること
のうちの1つまたは組み合わせによって向上する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記組成物が、炭化水素含有地層からの石油およびガスの回収を増進するための圧入流体である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記組成物が、農業用ナノ肥料である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、医薬、または処方箋不要の化合物である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記組成物中のナノ粒子の分散の程度を測定する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
表面および/または物体の性能、外観、および/または寿命を改善するための方法であって、SLPを含む塗装用プライマーおよび/またはSLPを産生する酵母培養物を該表面および/または物体に塗布する工程を含む、方法。
【請求項10】
前記酵母培養物が、スターメレラ属(Starmerella)の種および/またはカンジダ属(Candida)の種の酵母である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記塗装用プライマーが、結合剤、溶媒、顔料または染料、緩衝剤、樹脂、およびpH調節剤より選択される1種または複数種の成分を含む、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記表面および/または物体の性能、外観、および/または寿命が、
a)該表面および/または物体への接着性を高めること;
b)該表面および/または物体のトポグラフィーのばらつきの隠蔽性を高めること;
c)該表面および/または物体が多孔性である場合、密閉性を改善すること;
d)色が前記プライマーを通ってにじむのを防止すること;
e)匂いの広がりを防止すること;
f)タイコート層を確立すること;
g)汚れが前記プライマーを通ってにじむのを防止すること;ならびに
h)生物および非生物汚染物質による汚損を防止すること
のうちの1つまたは組み合わせによって改善される、請求項9記載の方法。
【請求項13】
バイオサーファクタントおよび1種または複数種のナノ粒子成分を含む、組成物。
【請求項14】
酵母培養物が、スターメレラ属の種および/またはカンジダ属の種の酵母である、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
前記バイオサーファクタントがソホロ脂質である、請求項13記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が、プライマーであり、かつ
a)溶媒;
b)顔料/染料;
c)樹脂;
d)緩衝剤;および
e)pH調節剤
のうちの1つまたは組み合わせを含む、請求項13記載の組成物。
【請求項17】
ナノ粒子形態の栄養素、ミネラル、および/または肥料を含む農業用組成物である、請求項13記載の組成物。
【請求項18】
前記栄養素、ミネラル、および/または肥料が、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)、硫黄(S)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、塩素(Cl)、銅(Cu)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、および亜鉛(Zn)のうちの1種または複数種を含む、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
ナノ粒子形態で存在する健康促進成分を含むヘルスケア組成物である、請求項13記載の組成物。
【請求項20】
医薬、処方箋不要の化合物、ビタミン、ミネラル、サプリメント、栄養補助食品、および機能性ナノ粒子より選択される健康促進成分を含む、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
前記健康促進成分が血液脳関門を通過する、請求項19記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2020年3月20日に出願された米国特許仮出願第62/992,420号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
ナノ粒子は、典型的には1~100ナノメートルのサイズであるとして特徴づけられる、小さな粒子である。ナノ粒子は、一般に、有機物質と無機物質の両方からなる大きなファミリーである。各材料は独自に調整可能な特性を有し、したがって、特定の用途のために選択的に設計され得る。ナノ粒子はヒトの眼によって検出することができず、その小さなサイズが理由で、バルク材料、例えば、粉末、プレート、およびシートと比較した場合に表面積対体積比が大きい。陽イオン交換能力、拡散の促進、イオン吸着、および複合体形成などの特性は、ナノスケールで向上する。
【0003】
ナノ材料の使用は、ヘルスケアおよび化粧品から環境保全および材料科学まで多種多様な産業に及ぶ。例えば、酸化チタンなどのミネラルナノ粒子は、安定性が向上したUV保護剤として日焼け止めで使用することができる。ナノ粒子は、リポソームまたはナノカプセル薬物送達システムを作出するために使用することもできる。
【0004】
ナノ粒子から恩恵を受ける1つの産業は、塗料およびプライマー産業である。塗装用プライマーは、色素、結合剤、および溶媒、または担体の混合物から構成される。理想的には、色素は、表面を十分に覆うために薄いプライマー層のみが必要とされるように、配合物全体にわたって一様に分散する。
【0005】
一般的な建築用プライマーコーティングは2つの主な役割を果たす。第1は、上塗り(topcoat)が基材を美しくする能力を向上させることである。第2の主な機能は、耐久性を向上させ、上塗りの寿命を延ばすことである。これらの機能は、主として、接着性を改善することによって達成され、これによって、ひび割れおよび気泡に対するより良好な耐性をもたらすことができる。さらに、重要な性能ニーズとしては、トポグラフィーのばらつきを隠すこと、多孔性基材を密閉すること、古い色が上塗りから現れるのを防止すること、匂いの遮断、表面と上塗りの間にタイコート層を提供すること、および汚れが上塗りに移るのを低減させることが挙げられる。
【0006】
塗料およびコーティングで使用されるナノ粒子の例は、二酸化チタン(TiO2)、銀(Ag)、および二酸化ケイ素(SiO2)である。二酸化チタンナノ粒子の光触媒性および疎水性の特性は、自己洗浄性、空気浄化、および抗UV特性を有するコーティングを提供する。ナノ銀は抗微生物特性を有することができ、一方で、二酸化ケイ素ナノ粒子は塗料およびコーティングの擦傷耐性および耐火性を高めることができる。
【0007】
自動車、船舶、化学プラント、石油およびガス、産業機械、ならびに建設産業において腐食から鋼表面を保護するための下塗り(undercoat)として、亜鉛ナノ粒子もプライマーで利用される。金属と大気中の水分の間に不透過性バリアを形成することによって腐食に耐性を示す通常の塗料またはエポキシと異なり、亜鉛に富んだプライマーは、電気的手段によってさらなる腐食保護を提供する。その作動寿命の間に塗料に擦傷がつけられる場合、鋼の代わりに亜鉛が犠牲的に腐食すると考えられる。
【0008】
ナノ粒子から恩恵を受ける別の産業は石油およびガス産業である。ある特定のナノ粒子、例えば、TiO2、CuO、シリカベース、アルミナ(alumin)ベースおよび/または炭素ベースのナノ粒子の圧入液への添加は、湿潤性の変化、流体特性の変化、閉じ込められた石油の移動性の改善、砂の固化の増強、および貯留層(reservoir)における界面張力(IFT)の低下などの利点をともなって、大いに増進回収法(EOR)のためになり得る。パラフィンおよびアスファルテン沈着物、ポリマー、バイオフィルム、ならびにスケールのレメディエーションのために、ならびにビチューメンおよび重油の粘性を低減させるために、ナノ粒子流体システムを設計することもできる。
【0009】
ナノ粒子には無数の恩恵および使い道があるが、ナノ粒子が均一に分散した溶液の形成は課題のままである。ナノ粒子は、例えば、その静電特性により、凝集物および集塊物と呼ばれるクラスターを形成することが多い。結合の強度は一様でない可能性があり、共有結合から弱い静電力または磁力に及ぶ。ナノ粒子組成物の最適な有効性のために、クラスター化が低減したナノ粒子の一様な分布が理想的である。化学試薬を使用して粒子を無理に分離させることができるが、より環境に優しい方法が望ましい。
【0010】
バイオサーファクタントは、合成化学物質に取って代わるように微生物源の化学物質を使用するという傾向の高まりの一部である化学物質である。バイオサーファクタントは、微生物によって産生される界面活性物質の構造的に多様な群である。すべてのバイオサーファクタントは両親媒性物質である。これらは、2つの部分:極性(親水性)成分および非極性(疎水性)基からなる。その両親媒性構造により、バイオサーファクタントは、例えば、疎水性水不溶性物質の表面積を増大させること、そのような物質の水のバイオアベイラビリティを増大させること、および境界面の界面張力を低減させることができる。したがって、その環境に優しい性質および広範囲にわたる使い道が理由で、バイオサーファクタントは、様々な用途および産業において化学物質に取って代わる可能性がある。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、例えば、様々な工業、農業、およびヘルスケア用途で利用される組成物における、ナノ粒子の分散性を改善するための、材料および方法を提供する。いくつかの態様では、これらの用途として、例えば、塗料およびコーティング、石油およびガス圧入流体、農産物、ならびに医薬が挙げられる。
【0012】
好ましい態様では、1種または複数種のSLP分子(例えば、酸性SLP(ASL)、ラクトン型SLP(LSL)、および/またはSLPのジアセチル化、モノアセチル化、もしくはエステル化形態)ならびに/あるいはSLP分子を含む酵母培養物を含むナノ粒子組成物が提供される。
【0013】
ある特定の態様では、ナノ粒子組成物は、1種または複数種のナノ粒子、例えば、顔料/染料、金属ナノ粒子、ポリマーナノ粒子、リポソームナノ粒子、または当技術分野において公知である別のタイプのナノ粒子などを含む。
【0014】
ある特定の態様では、本発明は、酵母系統および/またはその増殖の副産物を利用する。本発明は、例えば、培養されたスターメレラ・ボンビコラ(Starmerella bombicola)ATCC 22214および/またはその微生物の増殖の産物を含む微生物ベースの生成物を提供する。
【0015】
ある特定の態様では、組成物中の酵母は、不活性でもよく、および/または様々な成長状態、例えば、栄養形態または胞子形態などでもよい。
【0016】
一態様では、本発明は、1種または複数種の微生物増殖副産物および/または微生物培養物を含む改善されたプライマー組成物の生成のための材料および方法を提供する。本発明は、1種または複数種の微生物増殖副産物および/または微生物培養物を含むプライマー組成物にも関する。ある特定の態様では、プライマー組成物は、SLP分子および/またはSLP分子を含む酵母培養物を含む。ある特定の態様では、組成物は、例えば、溶媒、顔料/染料、緩衝剤、樹脂、および/またはpH調節剤を含めて、従来のプライマー成分を含む。
【0017】
好ましい態様では、塗装用プライマーを改善する方法が提供され、該方法は、SLPおよび/またはSLPを含む酵母培養物を塗装用プライマーに添加する工程を含む。ある特定の態様では、SLPおよび/または酵母培養物の添加は、表面および/または物体への塗布の際の塗装用プライマーの性能および/または寿命を向上させる。
【0018】
ある特定の態様では、例えば、プライマーの接着特性を高めること、表面および/または物体のトポグラフィーのばらつきを隠すこと、多孔性の表面および/もしくは物体を密閉すること、色および/もしくは汚れがプライマーを通ってにじむのを防止すること、ならびに/または匂いの広がりを防止することによって、塗装用プライマーの性能を向上させることができる。
【0019】
ある特定の態様では、例えばプライマーの柔軟性を高めることによって、塗装用プライマーの寿命を向上させることができる。
【0020】
ある特定の態様では、プライマー組成物中に存在する色素および/またはナノ粒子の分散性が向上する。
【0021】
さらに、好ましい態様では、改善された塗装用プライマーは、塗装用プライマーが塗布される物体または表面の性能、外観、および/または寿命を向上させるために使用することができる。例えば、いくつかの態様では、本発明によるプライマー組成物の塗布は、生物または非生物物質による汚損を防止することによって、表面および/または物体の寿命を向上させることができる。
【0022】
本発明は、さらに、ナノ粒子がバイオサーファクタント(例えばソホロ脂質)と組み合わされている、石油およびガス産業のための圧入流体を提供する。圧入流体は、例えば、形成細孔から石油を無理に押し出し、その回収を増進する、沈着物を除去する、および水圧破砕のためのプロパント材料としての役割を果たすように、炭化水素含有貯留層に導入することができる。
【0023】
別の態様では、本発明は、ナノ粒子がバイオサーファクタントと組み合わされている薬学的組成物を提供する。薬学的組成物は、例えば、治療剤またはワクチンであり得る。ある特定の態様では、これらの組成物は、血液脳関門(BBB)を通過する能力が高まっている。
【0024】
さらに別の態様では、本発明は、バイオサーファクタントがナノ粒子と組み合わされている改善された農業用組成物を提供する。好ましい態様では、ナノ粒子は、栄養素、微量栄養素、および/または他の肥料を含む。
【0025】
ある特定の態様では、本発明は、環境に優しいプライマー組成物および使用のための方法を提供し、該組成物は、1つまたは複数の特定の機能的特性を有するように適合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、プライマーまたは塗料およびプライマーをどのようにしてLenetaドローダウンチャートに塗布したかの概略図を示す。Kilz社のプライマーをチャートの左の列に塗布した。0.05g/l、0.1g/l、0.5g/l、1g/l、または5g/lの酸性SLPまたはラクトン型SLPのいずれかを有するGripperプライマーを中央の列または右の列に塗布した。赤色括弧で囲まれた領域に単層の白色塗料を塗布し、
図2のLenetaドローダウンチャートを作出した。第1層の塗料が乾いた後、Lenetaチャートの下の青色括弧で囲まれた領域において、第2のより狭い列の塗料をチャートに塗布し、
図3のLenetaチャートを作出した。
【
図2】
図2は、Lenetaドローダウンチャートの6つの試験パネルを示す。左の列では、対照試験パネル(#0)に単層のKilzプライマーを塗装し、単層のGripperプライマーを中央および右の列に塗布した。パネルA、B、C、D、およびEの左の列では、1層のKilzプライマーを塗布した。パネルA、B、C、D、およびEの中央および右の列では、0.05g/l、0.1g/l、0.5g/l、1g/l、または5g/lの酸性SLPまたはラクトン型SLPのいずれかと混合した1層のGripperプライマーを塗布した。パネルAは0.05g/lの酸性SLPおよび0.1g/lの酸性SLPを示し、パネルBは0.5g/lの酸性SLPおよび1g/lの酸性SLPを示し、パネルCは5g/lの酸性SLPおよび0.05g/lのラクトン型SLPを示し、パネルDは0.1g/lのラクトン型SLPおよび0.5g/lのラクトン型SLPを示し、パネルEは1g/lのラクトン型SLPおよび5g/lのラクトン型SLPを示す。次いで、一晩乾燥させた後、3列のそれぞれにおいてプライマー層上に単層のプレミアム塗料のより狭いドローダウン塗布を適用し、
図2のドローダウンチャートを得た。
【
図3】
図3は、最初のプライマー層および先に塗布された単層の塗料の上のプレミアム塗料のさらなる層(合計2層)の塗布(
図2に示される)に対応する、Lenetaドローダウンチャートの6つの試験パネルを示す。
【
図4】
図4は、塗料の色のにじみを調べるために使用した赤色塗装乾式壁プレートを示す。SLPを有さないGripperプライマー、5つの異なる濃度の酸性SLPを有するGripperプライマー、および5つの異なる濃度のラクトン型SLPを有するGripperプライマーを乾式壁に塗布した。さらに、半光沢内装用塗料を様々なプライマー組成物の上部に塗布することができる。
【
図5A】
図5A~5Eは、塗布された様々なプライマー組成物を有する、
図4の説明に記載されているプレートを示す:
図5Aは0.05g/lのラクトン型SLPまたは0.1g/lのラクトン型SLPを有するプライマーを示し;
図5Bは0.5g/lのラクトン型SLPおよび1g/lのラクトン型SLPを有するプライマーを示し;
図5Cは5g/lのラクトン型SLPまたは0.05g/lの酸性SLPを有するプライマーを示し;
図5Dは0.1g/lの酸性SLPまたは0.5g/lの酸性SLPを有するプライマーを示し;
図5Eは1g/lの酸性SLPまたは5g/lの酸性SLPを有するプライマーを示す。
【
図6A】
図6A~6Eは、
図5A~5Eでプライマーが塗布された後の次の工程を示し、ここでは、プレミアム内装用白色塗料の層が乾燥したプライマー層に塗布された。
図6Aは0.05g/lのラクトン型SLPまたは0.1g/lのラクトン型SLPを有するプライマーの層上の白色塗料の層を示し;
図6Bは0.5g/lのラクトン型SLPまたは1g/lのラクトン型SLPを有するプライマーの層上の白色塗料の層を示し;
図6Cは5g/lのラクトン型SLPまたは0.05g/lの酸性SLPを有するプライマーの層上の白色塗料の層を示し;
図6Dは0.1g/lの酸性SLPまたは0.5g/lの酸性SLPを有するプライマーの層上の白色塗料の層を示し;
図6Eは1g/lの酸性SLPまたは5g/lの酸性SLPを有するプライマーの層上の白色塗料の層を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
本発明は、ナノ粒子組成物を改善するための材料および方法を提供する。特に、本発明は、1種または複数種の微生物増殖副産物および/または微生物培養物を含むナノ粒子組成物の生成のための材料および方法を提供する。本発明は、1種または複数種の微生物増殖副産物および/または微生物培養物を含むナノ粒子組成物にも関する。ある特定の態様では、組成物はSLP分子および/またはSLP分子を含む酵母培養物を含むことができる。
【0028】
ナノ粒子組成物は、ナノ粒子が使用される以下の例示的な領域のいずれかを改善するのに有用であり得る:
- 3Dプリンティング - 分子タギング
- 織物 - MRI造影剤
- 生物医学的配合物および研究 - IR造影剤
- ヘルスケア - 抗酸化剤
- 食品生産 - ガスバリアコーティング
- 農業 - 自己洗浄性建物表面
- 工業的配合物 - ディスプレイ用ナノ蛍光体
- 電子工学 - 超塑性セラミックス
- 環境 - 化学機械平坦化
- 再生可能エネルギー - 高感度センサー
- 薬物送達 - 量子レーザー
- 癌治療薬の送達 - 汚染モニタリングセンサー
- 抗菌薬 - 自動車触媒
- 殺真菌薬 - 燃料添加剤触媒
- UV保護 - 色素増感太陽電池
- UV遮断織物 - ペイントオン太陽電池
- 日焼け止め - 自己洗浄性織物
- 食品包装 - 栄養補助食品
- 工業用触媒 - 機能性食品
- 量子コンピューター - 強化プラスチック
- 排水処理 - 電子回路のナノスケールパターニング
- 水素生成光触媒 - 高密度データ記憶
- リチウムイオン蓄電池電極 - 燃料電池触媒作用
- 医療用織物 - 石油およびガス回収
- 骨成長
【0029】
特定の態様では、本発明は、例えば、物体および/または表面の性能、外観、および/または寿命を増進させるプライマー組成物を提供し、プライマー組成物は、1種または複数種の従来のプライマー成分に加えて、SLP分子(例えば、酸性SLP(ASL)、ラクトン型SLP(LSL)、および/またはSLPのジアセチル化、モノアセチル化、もしくはエステル化形態)ならびに/あるいは酵母培養物を含む。
【0030】
選択された定義
本明細書において使用する場合、ナノ粒子の「分散性」を高めるとは、流体全体にわたって懸濁しているナノ粒子の実質的に一様または均一な分布を促進することを意味する。実質的に一様な分布を促進することは、ナノ粒子が集塊物および/もしくは凝集物に一緒にクラスター化する程度を低減させること、ならびに/またはそのようなクラスターのサイズおよび/もしくは数を低減させることを意味する。集塊物は、例えばファンデルワールス力によって弱く結合している粒子の可逆的な集まりであるが、凝集物は、より強い共有結合によって結合している粒子から構成される。
【0031】
いくつかの態様では、本発明に従って生成された組成物中のナノ粒子の分散の程度は、例えばゼータ電位によって測定することができ、ゼータ電位の高い絶対値を有する懸濁液は、「十分に分散している」と考えられる。参照により本明細書に組み入れられるFairhurst 2013を参照されたい。
【0032】
本明細書において使用する場合、用語「ソホロ脂質」、「ソホロ脂質分子」、「SLP」、または「SLP分子」は、SLP分子のすべての形態およびそれらの異性体を含み、例えば、酸性(直鎖)SLP(ASL)およびラクトン型SLP(LSL)が含まれる。例えば、モノアセチル化SLP、ジアセチル化SLP、エステル化SLP、様々な疎水性鎖長を有するSLP、脂肪酸-アミノ酸複合体が結合したSLP、および本開示において記載されている他のものを含めて、SLP分子のすべての可能な誘導体がさらに含まれる。
【0033】
本明細書において使用する場合、「微生物ベースの組成物」に対する言及は、微生物または他の細胞培養物の増殖の結果として産生された成分を含む組成物を意味する。したがって、微生物ベースの組成物は、微生物それ自体および/または微生物の増殖の副産物を含むことができる。微生物は、栄養型状態、胞子形態、菌糸形態、繁殖体の任意の他の形態、またはこれらの混合物であり得る。微生物は、プランクトン様形態もしくはバイオフィルム形態または両方の混合物であり得る。増殖の副産物は、例えば、代謝物、細胞膜成分、発現タンパク質、および/または他の細胞成分であり得る。微生物は、インタクトでもよいし、溶解されていてもよい。微生物は、組成物中に存在していてもよいし、組成物から除去されていてもよい。微生物は、微生物ベースの組成物中に、それが増殖したブロスとともに存在することができる。細胞は、例えば、組成物1ミリリットルあたり少なくとも1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、またはそれより高いCFU濃度で存在することができる。
【0034】
本発明は、所望の結果を達成するために実際に適用される生成物である「微生物ベースの生成物」をさらに提供する。微生物ベースの生成物は、単に、微生物培養プロセスから回収された微生物ベースの組成物であり得る。あるいは、微生物ベースの生成物は、添加されたさらなる成分を含むことができる。これらのさらなる成分としては、例えば、安定化剤、緩衝剤、適切な担体、例えば、水、塩類溶液、もしくは任意の他の適切な担体、さらなる微生物の増殖を支持するために添加された栄養素、非栄養素増殖賦活薬、例えば植物ホルモン、ならびに/またはそれが適用された環境中の微生物および/もしくは組成物の追跡を容易にする剤を挙げることができる。微生物ベースの生成物は、微生物ベースの組成物の混合物を含むこともできる。微生物ベースの生成物は、限定されないが、濾過、遠心分離、溶解、乾燥、精製などのような何らかの方法で処理された微生物ベースの組成物の1種または複数種の成分を含むこともできる。
【0035】
本明細書において使用する場合、「バイオフィルム」は、細胞が細胞外多糖マトリックスを使用して互いにおよび/または表面に接着する、菌などの微生物の複合凝集体である。バイオフィルム中の細胞は、液体培地中で浮遊するかまたは浮かぶことができる単一細胞である、同じ生物のプランクトン様細胞と生理的に異なる。
【0036】
本明細書において使用する場合、「回収」は、増殖容器から微生物ベースの組成物のいくつかまたはすべてを取り出すことを指す。
【0037】
本明細書において使用する場合、「単離された」または「精製された」核酸分子、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、タンパク質、または有機化合物、例えば小分子(例えば、以下に記載のもの)は、それが自然界において関連している他の化合物、例えば細胞材料を実質的に含んでいない。精製されたまたは単離されたポリヌクレオチド(リボ核酸(RNA)またはデオキシリボ核酸(DNA))は、その天然の状態においてそれに隣接する遺伝子または配列を含んでいない。精製されたまたは単離されたポリペプチドは、その天然の状態においてそれに隣接するアミノ酸または配列を含んでいない。単離された微生物株は、当該株が自然界に存在する環境から取り出されることを意味する。したがって、単離された株は、例えば、生物学的に純粋な培養物として、または担体に結合した胞子(もしくは当該株の他の形態)として存在し得る。
【0038】
ある特定の態様では、精製された化合物は、少なくとも60重量%の関心対象の化合物である。好ましくは、調製物は、少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも98重量%の関心対象の化合物である。例えば、精製された化合物は、所望の化合物に関して、重量基準で少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、98%、99%、または100%(w/w)のものである。純度は、任意の適切な標準的な方法によって、例えば、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析によって、測定される。
【0039】
「代謝物」は、代謝によって産生された任意の物質、または特定の代謝プロセスに加わるのに必要な物質を指す。代謝物は、代謝の出発材料、代謝の中間体、または最終生成物である有機化合物であり得る。代謝物の例としては、限定されないが、酵素、酸、溶媒、アルコール、タンパク質、ビタミン、ミネラル、微量元素、アミノ酸、生体高分子、およびバイオサーファクタントが挙げられる。
【0040】
本明細書において提供される範囲は、範囲内の値のすべての簡略表記であると理解される。例えば、1~20の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および20、ならびに前述の整数の間のすべての介在する10進値、例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、および1.9などからなる群からの任意の数、数の組み合わせ、または部分範囲を含むと理解される。部分範囲に関して、範囲のいずれかの端点から延びる「入れ子状(nested)部分範囲」が特に企図される。例えば、1~50の例示的な範囲の入れ子状部分範囲は、一つの方向に1~10、1~20、1~30、および1~40を含むか、またはもう一つの方向に50~40、50~30、50~20、および50~10を含むことができる。
【0041】
本明細書において使用する場合、「低減」は負の変化を意味し、「向上」は正の変化を意味し、負または正の変化は、少なくとも0.001%、0.01%、0.1%、0.5%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%である。
【0042】
本明細書において使用する場合、「界面活性剤(surfactant)」は、2つの液体の間、または液体と固体の間の表面張力(または界面張力)を低下させる化合物を意味する。界面活性剤は、例えば、洗剤(detergent)、湿潤剤、乳化剤、発泡剤、および/または分散剤として作用する。「バイオサーファクタント」は生細胞によって産生される界面活性物質である。
【0043】
「含む(including)」または「含有する(containing)」と同義である移行用語「含む(comprising)」は、包括的であるかまたはオープンエンドであり、列挙されていないさらなる要素または方法工程を排除しない。対照的に、移行句「からなる」は、特許請求の範囲に明記されていない任意の要素、工程、または成分を排除する。移行句「から本質的になる」は、特許請求の範囲を、明記された材料または工程、ならびに特許請求される発明の「基本的および新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないもの」に限定する。用語「含む(comprising)」の使用は、列挙される成分「からなる」または「から本質的になる」他の態様を企図する。
【0044】
特に記載のない限り、または文脈から明らかでない限り、本明細書において使用する場合、用語「または」は包括的であると理解される。特に記載のない限り、または文脈から明らかでない限り、本明細書において使用する場合、用語「1つ(a)」、「および(and)」、および「その(the)」は、単数または複数と理解される。
【0045】
特に記載のない限り、または文脈から明らかでない限り、本明細書において使用する場合、用語「約」は、当技術分野における通常の許容誤差の範囲内、例えば、平均の標準偏差の2倍の範囲内と理解される。約は、記載される値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内と理解され得る。文脈から特に明らかでない限り、本明細書において提供されるすべての数値は、約という用語によって修飾される。
【0046】
本明細書において使用する場合、「プライマー」、「下塗り(undercoat)」、「塗装用プライマー」、または「建築用プライマー」は、「仕上げ塗り(finishing coat)」の塗布に備えて物体または表面に最初に塗布されるコーティングである。仕上げ塗りは、例えば、塗料、染色剤、ワニス、またはラッカーなどの材料でもよく、これらは、保護層または色もしくはテクスチャーを加えるための手段として使用するために設計される。プライマーは伝統的に、表面への仕上げ塗りの接着性を高める、仕上げ塗りの寿命を延ばす、またはさらなる保護特性を加えるように設計される。
【0047】
本明細書において使用する場合、「タイコート層」は、下塗りと仕上げ塗り層の間のブリッジの役を務める材料の層である。タイコート層は、層同士を接着させるかもしくはそれが塗布される表面へ層を接着させる、またはそれらの接着性を改善する。
【0048】
本明細書において使用する場合、「樹脂」は、塗布の際にプライマーを凝固させるためにプライマー組成物で使用することができる、好ましくは合成起源の非常に粘性であるかまたは固体の化合物を意味する。
【0049】
本明細書において使用する場合、プライマー組成物の文脈において、用語「柔軟性」は、それが塗布される物体の拡大または収縮によるものを含めて、ひび割れまたは気泡形成なしで、プライマーが動くまたは曲がる能力を指す。
【0050】
本発明によれば、生物または非生物物質を含めて、物質の有害な蓄積は、「汚損」のプロセスをもたらす。「汚損」は、目詰り、スケール発生、または他の望ましくない蓄積をもたらす可能性がある。「汚損」は、物体の有効性、信頼性、または機能性に影響を及ぼす可能性がある。
【0051】
本明細書における可変物の任意の定義における化学基のリストの記述は、列挙される基の任意の単一基または組み合わせとしての、その可変物の定義を含む。本明細書における可変物または局面についての態様の記述は、任意の単一の態様としての、または任意の他の態様またはそれらの一部と組み合わせた、その態様を含む。
【0052】
本明細書において引用されるすべての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0053】
ナノ粒子組成物
好ましい態様では、本発明は、1種または複数種のナノ粒子成分に加えて、1種または複数種の微生物増殖副産物および/または微生物培養物を含む改善されたナノ粒子組成物を提供する。
【0054】
ある特定の態様では、本発明による組成物および方法は、1種または複数種の従来のプライマー成分に加えて、ソホロ脂質バイオサーファクタントおよび/またはソホロ脂質を含む酵母培養物を利用する。
【0055】
組成物のSLPは、例えば、ラクトン、直鎖、モノアセチル化ラクトンもしくは直鎖、および/またはジアセチル化ラクトンもしくは直鎖ソホロ脂質であり得る。ある特定の態様では、組成物は、1種を超えるSLP分子を含む。
【0056】
ソホロ脂質は、例えば、スターメレラクレードの様々な酵母によって産生される糖脂質バイオサーファクタントである。SLPは、長鎖ヒドロキシ脂肪酸に連結した二糖ソホロースからなる。これは、17-L-ヒドロキシオクタデカン酸または17-L-ヒドロキシ-Δ9-オクタデセン酸にβ-グリコシド結合した部分的にアセチル化された2-O-β-D-グルコピラノシル-D-グルコピラノースユニットを含むことができる。ヒドロキシ脂肪酸は、一般に16または18個の炭素原子であり、1つまたは複数の不飽和結合を含むことができる。さらに、ソホロース残基は、6および/または6’位でアセチル化され得る。脂肪酸カルボキシル基は、遊離(酸性もしくは直線形態(一般式1))でもよいし、4”位において内部でエステル化されていてもよい(ラクトン形態(一般式2))。S.ボンビコラは、S.ボンビコララクトンエステラーゼと呼ばれる特異的な酵素を産生し、これは直鎖SLPのエステル化を触媒してラクトン型SLPを産生する。
式中、R
1およびR
1'は独立に、飽和炭化水素鎖または8~20個、特に12~18個の炭素原子、より好ましくは14~18個の炭素原子を有する、単一もしくは複数の、特に単一の不飽和炭化水素鎖を表し、これらは、直鎖状でも分枝状でもよく、1つまたは複数のヒドロキシ基を含むことができ、R
2およびR
2'は独立に、水素原子、または飽和アルキル官能基、または1~9個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子を有する単一もしくは複数の、特に単一の不飽和アルキル官能基を表し、これらは、直鎖状でも分枝状でもよく、1つまたは複数のヒドロキシ基を含むことができ、R
3、R
3'、R
4およびR
4'は独立に、水素原子またはアセチル基を表す。
【0057】
SLPの構造および組成が理由で、これらのバイオサーファクタントは優れた表面張力および界面張力低減特性、ならびに他の有益な生化学的特性を有し、これらは、大規模な工業的および農業的使用、化粧品、家庭用品、健康、医学、および薬学分野、ならびに石油およびガス回収などの用途において、化学系界面活性剤の代替品として有用であり得る。
【0058】
ソホロ脂質は精製された形でもよいし、発酵産物の混合物でもよい。ソホロ脂質は、0.01~90重量%(wt%)、好ましくは0.1~50wt%、より好ましくは0.1~20wt%の濃度で加えることができる。別の態様では、0.001~50%(v/v)、好ましくは0.01~20%(v/v)、より好ましくは0.02~5%(v/v)の濃度でSLPを提供することができるので、精製されたSLPを許容される担体と組み合わせることができる。
【0059】
ある特定の態様では、本発明のバイオサーファクタント含量は、約0.0001%~99.9%wt%、0.001%~90%、0.01%~85%、0.015%~80%、0.1%~75%、0.15%~70%、0.2%~65%、0.25%~60%、0.3%~55%、0.35%~50%、0.4%~45%、0.45%~40%、0.5%~35%、0.55%~30%、0.6%~25%、または0.65%~20%wt%の範囲である。
【0060】
ある特定の態様では、本発明によるバイオサーファクタント分子および/またはミセルのサイズは、10nm未満、好ましくは8nm未満、より好ましくは5nm未満である。特定の態様では、当該サイズは、0.8nm~1.5nmまたは約1.0~1.2nmである。有利なことに、そのような小さなサイズによって、ナノメートルサイズの空間および細孔(例えば、地下の石油を含む地層中のもの、植物および動物の細胞間のもの、細胞膜中のもの、およびバイオフィルムマトリックス中のもの)へのバイオサーファクタントの浸透を向上させることが可能になる。
【0061】
本発明は、微生物の培養ならびに微生物代謝物および/または微生物増殖の他の副産物の産生のための方法を利用する。微生物培養システムは、典型的には液中培養発酵を使用すると考えられるが、表面培養およびハイブリッドシステムも使用することができる。本明細書において使用する場合、「発酵」は制御条件下での細胞の増殖を指す。増殖は好気性でもよいし、嫌気性でもよい。
【0062】
本発明に従って利用される微生物は、天然の微生物でもよいし、遺伝子改変微生物でもよい。例えば、特定の特徴を示すように、特定の遺伝子で微生物を形質転換することができる。微生物はまた、所望の系統の変異体でもよい。本明細書において使用する場合、「変異体」は、参照微生物の系統、遺伝的バリアント、またはサブタイプを意味し、変異体は、参照微生物と比較して、1つまたは複数の遺伝的変異(例えば、点変異、ミスセンス変異、ナンセンス変異、欠失、重複、フレームシフト変異、または反復増殖)を有する。変異体を作製するための手順は微生物学分野で周知である。例えば、UV変異誘発およびニトロソグアニジンはこの目的で広く使用されている。
【0063】
ある特定の態様では、微生物は任意の酵母または真菌である。本発明による使用に適した酵母および真菌種の例としては、限定されないが、アカウロスポラ属(Acaulospora)、アスペルギルス属(Aspergillus)、オーレオバシジウム属(Aureobasidium)(例えば、A.プルランス(A. pullulans))、ブラケスレア属(Blakeslea)、カンジダ属(Candida)(例えば、C.アルビカンス(C. albicans)、C.アピコラ(C. apicola))、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、デバリオミセス属(Debaryomyces)(例えば、D.ハンセニイ(D. hansenii))、エントモルフトラ属(Entomophthora)、フサリウム属(Fusarium)、ハンセニアスポラ属(Hanseniaspora)(例えば、H.ウバルム(H. uvarum))、ハンゼヌラ属(Hansenula)、イッサチェンキア属(Issatchenkia)、クリベロミセス属(Kluyveromyces)、モルチエレラ属(Mortierella)、ムコール属(Mucor)(例えば、M.ピリフォルミス(M. piriformis))、メイエロザイマ属(Meyerozyma)(例えば、M.ギリエルモンディ(M. guilliermondii))、アオカビ属(Penicillium)、フハイカビ属(Phythium)、ヒゲカビ属(Phycomyces)、ピキア属(Pichia)(例えば、P.アノマラ(P. anomala)、P.ギリエルモンディ(P. guilliermondii)、P.オクシデンタリス(P. occidentalis)、P.クドリアブゼビイ(P. kudriavzevii))、シュードザイマ属(Pseudozyma)(例えば、P.アフィディス(P. aphidis))、クモノスカビ属(Rhizopus)、サッカロミセス属(Saccharomyces)(S.セレビシエ(S. cerevisiae)、S.ブラウディ・セクエラ(S. boulardii sequela)、S.トルラ(S. torula))、スターメレラ属(Starmerella)(例えば、S.ボンビコラ(S. bombicola))、トルロプシス属(Torulopsis)、スラウストキトリウム属(Thraustochytrium)、トリコデルマ属(Trichoderma)(例えば、T.リーゼイ(T. reesei)、T.ハルジアナム(T. harzianum)、T.ビレンス(T. virens))、ウスチラゴ属(Ustilago)(例えば、トウモロコシ黒穂病菌(U. maydis))、ウィッカーハモマイセス属(Wickerhamomyces)(例えば、W.アノマルス(W. anomalus))、ウィリオプシス属(Williopsis)、およびザイゴサッカロミセス属(Zygosaccharomyces)(例えば、Z.バイリー(Z. bailii))が挙げられる。
【0064】
ある特定の態様では、微生物はスターメレラ属の酵母種および/またはカンジダ属の酵母種、例えば、スターメレラ(カンジダ)・ボンビコラ、カンジダ・アピコラ(Candida apicola)、カンジダ・バティスタエ(Candida batistae)、カンジダ・フロリコラ(Candida floricola)、カンジダ・リドセンシス(Candida riodocensis)、カンジダ・ステラテ(Candida stellate)、および/またはカンジダ・クオイ(Candida kuoi)である。特定の態様では、微生物はスターメレラ・ボンビコラ、例えば、ATCC 22214株である。
【0065】
一態様では、本発明は、バイオマス(例えば、生存可能な細胞材料)、細胞外代謝物(例えば、小分子および排出タンパク質)、残留栄養素、ならびに/または細胞内成分(例えば、酵素および他のタンパク質)の生成のための材料および方法を提供する。
【0066】
本発明に従って使用される微生物増殖容器は、工業的使用のためのいかなる発酵槽または培養リアクターでもよい。一態様では、容器は、培養プロセスの重要な因子、例えば、pH、酸素、圧力、温度、撹拌器の軸動力、湿度、粘性、および/または微生物の密度、および/または代謝物の濃度を測定するために、機能的制御装置/センサーを有することができ、または機能的制御装置/センサーに接続することができる。
【0067】
さらなる態様では、容器は、容器内部の微生物の増殖をモニターすること(例えば、細胞数および増殖相の測定)もできる。あるいは、毎日の試料を容器から採取し、希釈プレーティング技法などの当技術分野において公知である技法によって計数に供することができる。希釈プレーティングは、試料中の細菌数を推定するために使用される簡単な技法である。該技法は、異なる環境または処理を比較することができる指標を提供することもできる。
【0068】
一態様では、方法は、培養に窒素源を補充することを含む。窒素源は、例えば、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、アンモニア、尿素、および/または塩化アンモニウムであり得る。これらの窒素源は、独立に、または2つ以上の組み合わせで使用することができる。
【0069】
培養方法は、増殖中の培養物に酸素添加することができる。一態様は、空気のゆっくりした動きを利用して、低酸素含有空気を除去し、酸素添加された空気を導入する。酸素添加された空気は、液体の機械的撹拌のための羽根車、および液体への酸素の溶解のためにガスの泡を液体に供給するエアスパージャーを含むメカニズムを通じて毎日補充される周囲空気でもよい。
【0070】
方法は、培養に炭素源を補充することをさらに含むことができる。炭素源は、典型的には、炭水化物、例えば、グルコース、ショ糖、ラクトース、フルクトース、トレハロース、マンノース、マンニトール、および/またはマルトース;有機酸、例えば、酢酸、フマル酸、クエン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、マロン酸、および/またはピルビン酸;アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソブタノール、および/またはグリセロール;脂肪および油、例えば、ダイズ油、米糠油、オリーブ油、トウモロコシ油、ゴマ油、および/または亜麻仁油である。これらの炭素源は、独立に、または2つ以上の組み合わせで使用することができる。
【0071】
一態様では、微生物のための増殖因子および微量栄養素が培地中に含まれる。一態様では、無機塩を含むこともできる。ある特定の態様では、培養のための方法は、培養プロセスの前および/または間に、液体培地中にさらなる酸および/または抗微生物物質を添加する工程をさらに含むことができる。抗微生物剤または抗生物質は、培養物をコンタミネーションから保護するために使用される。さらに、培養の間に気体が生成される場合に泡の形成および/または蓄積を防止するために、泡止め剤を添加することもできる。
【0072】
混合物のpHは関心対象の微生物に適するべきである。好ましい値の近くにpHを安定化させるために、緩衝剤およびpH調節剤、例えば、炭酸塩およびリン酸塩を使用することができる。金属イオンが高濃度で存在する場合、液体培地中でキレート剤を使用することが必要である可能性がある。
【0073】
微生物は、プランクトン様形態で、またはバイオフィルムとして増殖することができる。バイオフィルムの場合には、容器は、微生物がバイオフィルム状態で増殖することができる基材をその中に有することができる。本システムは、例えば、バイオフィルムの増殖特性を助長および/または改善する刺激(例えば、ずり応力)を与えるための能力を有することもできる。
【0074】
一態様では、微生物の培養のための方法は、約5℃~約100℃、好ましくは15~60℃、より好ましくは25~50℃で行われる。さらなる態様では、培養は、一定温度で連続的に行うことができる。別の態様では、培養は、温度変化に供することができる。
【0075】
一態様では、この方法および培養プロセスで使用される設備は無菌である。リアクター/容器などの培養設備は、無菌化ユニット、例えばオートクレーブと分離することができるが、これに接続することができる。培養設備は、接種を開始する前にインサイチューで無菌化する無菌化ユニットを有することができる。空気は、当技術分野において公知の方法によって無菌化することができる。例えば、周囲空気は、容器に導入される前に少なくとも1つのフィルターを通過することができる。他の態様では、培地は、細菌の増殖を制御するために低水活性および低pHの使用が活用され得る場合、低温殺菌されてもよいし、任意で全く加熱されなくてもよい。
【0076】
発酵ブロスのバイオマス量は、例えば、5g/l~180g/lまたはそれ以上であり得る。一態様では、ブロスの固形分は10g/l~150g/lである。
【0077】
一態様では、プライマー組成物は、本方法に従って生成された酵母培養物を含む。
【0078】
一態様では、本発明は、さらに、微生物代謝物、例えば、エタノール、乳酸、ベータ-グルカン、タンパク質、ペプチド、代謝中間体、多価不飽和脂肪酸、バイオサーファクタント、および脂質を産生するための方法を提供する。本方法によって産生される代謝物含量は、例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%であり得る。
【0079】
関心対象の微生物によって産生される微生物増殖副産物は、微生物中に保持されてもよいし、または液体培地中に分泌されてもよい。別の態様では、微生物増殖副産物を産生するための方法は、関心対象の微生物増殖副産物を濃縮および精製する工程をさらに含むことができる。さらなる態様では、液体培地は、微生物増殖副産物の活性を安定化する化合物を含むことができる。
【0080】
好ましい態様では、微生物増殖副産物はバイオサーファクタントである。本発明による特定のバイオサーファクタントとしては、例えば、低分子量糖脂質(GL)、リポペプチド(LP)、フラボ脂質(FL)、リン脂質、ならびに高分子量ポリマー、例えば、リポタンパク質、リポ多糖-タンパク質複合体、および多糖-タンパク質-脂肪酸複合体が挙げられる。
【0081】
一態様では、微生物のバイオサーファクタントは、糖脂質、例えば、ラムノリピド(RLP)、ソホロ脂質(SLP)、トレハロース脂質、またはマンノシルエリスリトール脂質(MEL)である。一態様では、微生物のバイオサーファクタントは、リポペプチド、例えば、イツリン、フェンギシン、またはサーファクチンである。
【0082】
一態様では、培養の完了の際に(例えば、所望の細胞密度またはブロス中の特定の代謝物の密度の達成などの際に)微生物培養組成物のすべてが取り出される。このバッチ手順では、第1のバッチの回収の際に、全く新しいバッチが開始される。
【0083】
別の態様では、任意の1時点で発酵産物の一部のみが取り出される。本態様では、生細胞を有するバイオマスは、新しい培養バッチのための接種材料として容器中に残る。取り出される組成物は無細胞ブロスでもよいし、または細胞を含んでもよい。この方法で、準連続的システムが作出される。
【0084】
有利なことに、本方法は複雑な設備または高いエネルギー消費を必要としない。関心対象の微生物は、現場で小規模または大規模で培養することができ、培地とまだ混合されていても利用することができる。同様に、微生物代謝物も必要な場所で大量に産生させることができる。
【0085】
有利なことに、微生物ベースの生成物は遠隔地で生成することができる。微生物増殖施設は、例えば、太陽光、風力、および/または水力発電を利用することによって、操送電網から外れて作動することができる。
【0086】
いくつかの態様では、本組成物のナノ粒子成分は約0.5~約1,000ナノメートル、約1~約750ナノメートル、約1.5~約500ナノメートル、約2~約250ナノメートル、または約2.5~約150ナノメートルのサイズを有する。
【0087】
いくつかの態様では、ナノ粒子のサイズは、ナノ粒子の直径またはおおよその直径を指す。ナノ粒子の集団について、これはZ平均粒径と称することができ、Z平均粒径は当業者に公知の慣例的なプロトコールに従って測定することができる。
【0088】
いくつかの態様では、サイズは動的光散乱法(DLS)(Z平均)によって測定される。いくつかの態様では、サイズはTEM(透過型電子顕微鏡)によって測定される。
【0089】
いくつかの態様では、組成物中のナノ粒子成分の総量は、全組成の約0.001wt%~約50wt%、約0.01wt%~約25wt%、約0.05wt%~約20wt%、約0.1wt%~約15wt%、約0.5wt%~約10wt%、または約1wt%~約5wt%である。
【0090】
本発明によるナノ粒子成分の例示的なタイプとしては、例えば、リポソームベースのナノ粒子、金属ナノ粒子、ポリマーナノ粒子、無機ナノ粒子、ウイルス性ナノ粒子、脂質ベースのナノ粒子、ナノ粒子アルブミン結合技術、量子ドット、ナノチューブ、無機半導体ナノ結晶、金属ナノスフェア、および当技術分野において公知である他のものを挙げることができる。
【0091】
一態様では、ナノ粒子組成物は、正に荷電対負に荷電が1:10~10:1の比で、正および負に荷電したナノ粒子を含むことができる。
【0092】
ある特定の態様では、ナノ粒子成分は、例えば、以下を含むことができる:正および/または負に荷電したイオン;セリウムアルミニウム酸化物ナノ粒子;水酸化アルミニウムナノ粒子;水酸化酸化アルミニウムナノ粒子;アルミニウム;アルミニウムナノ粒子;窒化アルミニウムナノ粒子;酸化アルミニウムナノ粒子;酸化アルミニウムナノ粒子、シランコーティング;チタン酸アルミニウムナノ粒子;アルミニウムドープ酸化亜鉛ナノ粒子;アンチモンナノ粒子;酸化アンチモンナノ粒子;酸化スズアンチモン(ATO)ナノ粒子;酸化ヒ素;アナノ粒子;バリウム鉄酸化物ナノ粒子;酸化バリウムナノ粒子;チタン酸バリウムストロンチウムナノ粒子;硫酸バリウムナノ粒子;チタン酸バリウムナノ粉末;ジルコン酸バリウムナノ粒子;ベリリウムナノ粒子;酸化ベリリウムナノ粒子;ビスマスコバルト亜鉛酸化物ナノ粒子;ビスマスナノ粒子;酸化ビスマスナノ粒子;炭化ホウ素ナノ粒子;ホウ素ナノ粒子;窒化ホウ素ナノ粒子;酸化ホウ素ナノ粒子;酸化カドミウムナノ粒子;炭酸カルシウムナノ粒子;塩化カルシウムナノ粒子;リン酸水素カルシウムナノ粉末;酸化カルシウムナノ粒子;リン酸カルシウムナノ粒子;チタン酸カルシウムナノ粒子;ジルコン酸カルシウムナノ粒子;カーボンブラックナノ粒子;カーボンナノ粒子;カーボンナノチューブ;セリウムナノ粒子;酸化セリウム、カルシウムドープナノ粉末;酸化セリウム、ガドリニウムドープナノ粉末;酸化セリウム、サマリウムドープナノ粉末;酸化セリウム、イットリアドープナノ粉末;酸化セリウムジルコニウムナノ粒子;酸化セシウムナノ粒子;炭化クロムナノ粒子;クロムコバルト鉄ナノ粒子;クロムナノ粒子;硝酸クロムナノ粉末;酸化クロムナノ粒子;CISナノ粒子;C-MITE酸化セリウムナノ粒子;アルミニウムコバルト酸化物ナノ粒子;コバルト鉄ナノ粒子;コバルト鉄酸化物ナノ粒子;コバルト鉄酸化物ナノ粒子;コバルト鉄亜鉛酸化物ナノ粒子;コバルトナノ粒子;酸化コバルト(II)ナノ粒子;酸化コバルト(II,III)ナノ粒子;酸化コバルト(III)ナノ粒子;銅アルミニウム酸化物ナノ粒子;セレン化銅インジウムガリウムナノ粒子;銅鉄酸化物ナノ粒子;銅ナノ粒子;銅ニッケルナノ粒子;酸化銅ナノ粒子;銅スズ合金ナノ粒子;銅亜鉛鉄酸化物ナノ粒子;銅亜鉛ナノ粒子;銅-亜鉛合金ナノ粉末;ダイヤモンドナノ粒子;ジスプロシウムナノ粒子;酸化ジスプロシウムナノ粒子;エルビウムナノ粒子;ユーロピウムナノ粒子;酸化ユーロピウムナノ粒子;強磁性流体;フラーレン粉末;ガドリニウムナノ粒子;酸化ガドリニウムナノ粒子;アンチモン化ガリウムナノ粒子;ヒ化ガリウムナノ粒子;硝酸ガリウムナノ粒子;酸化ガリウムナノ粒子;ガリウムドープ酸化亜鉛ナノ粒子;ゲルマニウムナノ粒子;酸化ゲルマニウムナノ粒子;金ナノ粒子;カーボンブラック上の金ナノ粒子;チタニア上の金ナノ粒子;酸化金ナノ粒子;グラファイトナノ粒子;ハフニウムナノ粒子;酸化ハフニウムナノ粒子;ホルミウムナノ粒子;酸化ホルミウムナノ粉末;ヒドロキシアパタイトナノ粒子;水酸化インジウムナノ粒子;インジウムナノ粒子;酸化インジウムナノ粒子;リン化インジウムナノ粒子;インジウムスズ酸化物ナノ粒子;イリジウムナノ粒子;酸化イリジウムナノ粒子;鉄コバルトナノ粉末;酸化水酸化鉄ナノ粒子;鉄ナノ粒子;鉄ニッケル銅ナノ粒子;鉄ニッケルナノ粒子;鉄ニッケル酸化物ナノ粒子;酸化鉄(II,III)ナノ粒子;酸化鉄(III)ナノ粒子;六ホウ化ランタンナノ粒子;ランタンナノ粒子;ニッケル酸ランタンナノ粒子;ニッケル酸ランタン、ストロンチウムドープナノ粉末;酸化ランタンナノ粒子;ランタンストロンチウムマンガン酸化物ナノ粒子;ランタンストロンチウムマンガナイトナノ粉末;三フッ化ランタンナノ粒子;鉛ナノ粒子;酸化鉛ナノ粒子;炭酸リチウムナノ粒子;コバルト酸リチウムナノ粒子;リン酸鉄リチウムナノ粒子;リチウムマンガン酸化物ナノ粒子;リチウムナノ粒子;酸化リチウムナノ粒子;チタン酸リチウムナノ粒子;チタン酸リチウムスピネル、ナノ粉末;バナジン酸リチウムナノ粒子;ルテチウムナノ粒子;酸化ルテチウムナノ粒子;アルミン酸マグネシウム、スピネルナノ粒子;マグネシウムアルミニウム酸化物ナノ粒子;水酸化マグネシウムナノ粒子;マグネシウム鉄酸化物ナノ粒子;マグネシウムナノ粒子;酸化マグネシウムナノ粒子;マグネシウム亜鉛鉄酸化物ナノ粒子;マンガン鉄酸化物ナノ粒子;マンガンナノ粒子;酸化マンガンナノ粒子;マンガンチタン酸化物ナノ粒子;マンガン亜鉛鉄酸化物ナノ粒子;炭化モリブデンナノ粉末;モリブデンナノ粒子;酸化モリブデンナノ粒子;硫化モリブデンナノ粒子;ネオジムナノ粒子;酸化ネオジムナノ粒子;ニッケルクロム酸化物ナノ粒子;ニッケルコバルトクロムナノ粒子;ニッケルコバルト鉄酸化物ナノ粒子;ニッケルコバルト酸化物ナノ粒子;水酸化ニッケルナノ粒子;ニッケルナノ粒子;オキシ水酸化ニッケルナノ粉末;ニッケルチタンナノ粉末;ニッケル亜鉛鉄酸化物ナノ粒子;酸化ニッケル(II)ナノ粒子;酸化ニッケル(III)ナノ粒子;ホウ化ニオブナノ粒子;炭化ニオブナノ粒子;ニオブナノ粒子;窒化ニオブナノ粒子;酸化ニオブナノ粒子;オスミウムナノ粒子;酸化オスミウム物ナノ粒子;パラジウムナノ粒子;水酸化アルミニウムマトリックス中に封入されたパラジウムナノ粒子;酸化パラジウムナノ粒子;白金ナノ粒子;カーボンブラック上の白金ナノ粒子;チタニア上の白金ナノ粒子;酸化白金ナノ粒子;酸化カリウムナノ粒子;プラセオジムナノ粒子;酸化プラセオジムナノ粒子;レニウムナノ粒子;酸化レニウムナノ粒子;水酸化アルミニウムマトリックス中に封入されたロジウムナノ粒子;酸化ロジウムナノ粒子;酸化ルビジウムナノ粒子;ルテニウムナノ粒子;酸化ルテニウムナノ粒子;サマリウムナノ粒子;酸化サマリウムナノ粒子;サマリウムストロンチウムコバルト酸化物ナノ粒子;スカンジウムナノ粒子;酸化スカンジウムナノ粒子;セレンナノ粒子;酸化セレンナノ粒子;シリカ;ケイ素アルミニウムナノ粒子;炭化ケイ素ナノ粒子;炭化窒化ケイ素ナノ粉末;酸化ルテニウムナノ粒子;ケイ素ナノ粒子;窒化ケイ素ナノ粒子;酸化シリコンナノ粒子;銀銅ナノ粉末;銀ナノ粒子;酸化銀ナノ粒子;銀白金ナノ粒子;銀スズ合金ナノ粒子;酸化ナトリウムナノ粒子;ステンレス鋼ナノ粒子;ストロンチウムアルミニウム酸化物ナノ粒子;炭酸ストロンチウムナノ粒子;ストロンチウムフェライトナノ粒子;ストロンチウム鉄酸化物ナノ粒子;ストロンチウムナノ粒子;酸化ストロンチウムナノ粒子;チタン酸ストロンチウムナノ粒子;硫黄ナノ粒子;炭化タンタルナノ粒子;タンタルナノ粒子;酸化タンタルナノ粒子;テルルナノ粒子;酸化テルルナノ粒子;テルビウムナノ粒子;酸化テルビウムナノ粒子;タリウムナノ粒子;酸化タリウムナノ粒子;酸化トリウムナノ粉末;ツリウムナノ粒子;酸化ツリウムナノ粒子;スズナノ粒子;酸化スズナノ粉末;スズ銀銅ナノ粒子;ホウ化チタンナノ粒子;ホウ化チタン-炭化ホウ素ナノ粒子;ホウ化チタン-炭化ホウ素-ホウ化タングステンナノ粒子;チタンホウ素酸化物ナノ粒子;ホウ化チタンナノ粒子;炭化チタンナノ粒子;チタンカーボンナノ粒子;チタン炭素ナイトレートナノ粒子;炭窒化チタンナノ粒子;チタンナノ粒子;窒化チタンナノ粒子;酸化チタンナノ粒子;アナターゼナノ粉末;二酸化チタン、ルチルナノ粉末;ケイ酸チタンナノ粒子;酸化チタン(IV)、ルチルおよびアナターゼナノ粒子の混合物;炭化タングステン-コバルトナノ粒子;炭化タングステンナノ粒子;二硫化タングステンナノ粒子;タングステンナノ粒子;酸化タングステンナノ粉末;硫化タングステン;炭化バナジウムナノ粒子;バナジウムナノ粒子;窒化バナジウムナノ粒子;酸化バナジウムナノ粒子;フッ化イッテルビウムナノ粒子;イッテルビウムナノ粒子;酸化イッテルビウムナノ粒子;イットリア安定化ジルコニアナノ粒子;イットリア安定化ジルコニアナノ粒子;アルミン酸イットリウムナノ粒子;イットリウムアルミニウム酸化物ナノ粒子;イットリウムユーロピウム酸化物ナノ粒子;イットリウム鉄酸化物ナノ粒子;イットリウムナノ粒子;酸化イットリウムナノ粒子;亜鉛鉄酸物ナノ粒子;亜鉛ナノ粒子;酸化亜鉛物ナノ粒子;チタン酸亜鉛ナノ粒子;炭化ジルコニウムナノ粉末;水酸化ジルコニウムナノ粒子;ジルコニウムナノ粒子;硝酸ジルコニウムナノ粒子;酸化ジルコニウムナノ粒子;ならびにケイ酸ジルコニウム(IV);
カーボンブラックナノ粉末;炭素電極;カーボンファブリック;炭素繊維;炭素発泡体;炭素粒;カーボンナノ粒子;カーボンナノロッド;カーボンナノチューブインク;カーボンナノチューブ;炭素片;炭素粉末;炭素スラグ(Carbon Slugs);銅カーボンナノチューブ;二層カーボンナノチューブ;グラフェン;3Dグラフェンフォーム;グラフェン単層;グラフェン多層;グラフェンナノ血小板;酸化グラフェン単層;酸化グラフェン紙;酸化グラフェン薄膜; グラファイトナノファイバー;グラファイトナノ粉末;グラファイトペースト;グラファイト粉末;グラファイト沈殿物(Graphite Precipitate);グラファイト棒;グラファイトシェービング(Graphite Shavings);グラファイト、膨張性;グラファイト、フッ素化、ポリマー;グラファイト、微粒子化;グラファイト、天然非結晶;グラファイト、天然薄片;グラファイト、球状;チタン酸リチウム;セレン化マンガン;メソ多孔性炭素;多層カーボンナノチューブ;カリウムグラファイト;熱分解グラファイト;および調整可能なナノ多孔性炭素;ならびに
色素、Ag NPs/Agイオン、TiO2ナノ粒子、金属ドープTiO2、チタン酸ナノチューブ、2成分混合酸化物、鉄ベース、およびバイメタルナノ粒子。
【0093】
酵母ベースの生成物の調製
本発明の1つの酵母ベースの生成物は、単に、酵母および/もしくは酵母によって産生される微生物代謝物ならびに/または任意の残留栄養素を含む発酵ブロスである。発酵の産物は、抽出または精製なしで直接使用することができる。所望の場合、抽出および精製は、文献に記載されている標準的な抽出および/または精製方法または技法を使用して容易に達成することができる。
【0094】
酵母ベースの生成物中の酵母は、活性型もしくは不活性型またはそれらの混合であり得る。酵母ベースの生成物は、さらなる安定化、保存、および貯蔵なしで使用することができる。有利なことに、これらの酵母ベースの生成物の直接の使用は、微生物の高い生存率を保持し、外来性の作用物質および望ましくない微生物のコンタミネーションの可能性を低減し、かつ微生物増殖の副産物の活性を維持する。
【0095】
一態様では、酵母発酵産物は、バイオサーファクタント産生酵母、スターメレラ・ボンビコラの培養を介して得ることができる。この種は、糖脂質バイオサーファクタント、例えばSLPの有効な産生種である。25℃での5日間の培養後の発酵ブロスは、酵母細胞懸濁液および例えば150g/l以上の糖脂質バイオサーファクタントを含むことができる。
【0096】
特定の態様では、本組成物のバイオサーファクタントは、1種または複数種の糖脂質バイオサーファクタントを含む。特定の好ましい態様では、糖脂質はソホロ脂質である。
【0097】
酵母、および/または酵母の増殖から生じるブロスは、即時使用のために、例えば配管を介して増殖容器から取り出し、移動させることができる。
【0098】
酵母発酵産物は酵母細胞および発酵ブロスを含むことができ、またはこれは酵母細胞から分離された発酵ブロスを含むことができる。一態様では、ブロス中のバイオサーファクタントまたは他の増殖副産物は、さらにブロスから分離され、精製される。
【0099】
他の態様では、組成物(酵母、ブロス、または酵母およびブロス)は、例えば、所期の使用、適用の企図される方法、発酵タンクのサイズ、および微生物増殖施設から使用場所への輸送の任意の様式を考慮して、適切なサイズの容器に入れることができる。したがって、酵母ベースの組成物が入れられる容器は、例えば、1ガロン~1,000ガロンまたはそれ以上であり得る。他の態様では、容器は、2ガロン、5ガロン、25ガロン、またはそれ以上である。
【0100】
ある特定の態様では、本発明の組成物は、例えばバイオサーファクタント単独と比べて、以下のうちの1つまたは複数を含む利点を有する:酵母細胞壁の外表面の一部としての高濃度のマンノプロテイン(マンノプロテインは非常に有効な生物乳化剤である);酵母細胞壁における生体高分子ベータ-グルカン(乳化剤)の存在;ならびに培養物におけるバイオサーファクタント、代謝物、および溶媒(例えば、乳酸、エタノール、酢酸エチルなど)の存在。
【0101】
本発明によって有用な他のバイオサーファクタントおよび溶媒としては、マンノプロテイン、ベータ-グルカン、エタノール、乳酸、ならびに例えば生物乳化特性および表面/界面張力低減特性を有する他の代謝物が挙げられる。
【0102】
増殖容器からの酵母ベースの組成物の回収の際に、回収された生成物が容器に入れられる、および/またはパイプで送られる(もしくはそうでなければ使用のために輸送される)場合に、さらなる成分を添加することができる。添加剤は、例えば、染料、顔料、pH調整剤、緩衝剤、塩、接着促進化合物、溶媒(例えば、イソプロピルアルコール、エタノール)、殺生物剤、他の微生物、および所期の使用に特有の他の成分であり得る。
【0103】
ある特定の態様では、本発明の組成物は、主として物体へのプライマーの接着性に関与する結合剤(バインダー)を含む。結合剤化合物は、例えば、アクリル、アルキド、アクリル酸、アクリルアミド、フェノール、フェノール-アルキド、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、シリコーン-アルキド、ポリエステル、エポキシ、ビニル、酢酸ビニル-エチレン、ビニル-アルキド、無機結合剤(ナトリウム、カリウムエチルシリケート、リチウムなど)、有機結合剤(炭素ベース)、Tectyl(登録商標)(Daubert Chemical Company, Inc., Chicago, IL)、脂肪族ウレタン、および油変性ウレタンより選択することができる。
【0104】
ある特定の態様では、本発明のプライマー組成物は、プライマーに色を着けることができる顔料または染料を含む。顔料または染料は、天然、合成、無機、または有機であり得る。顔料または染料は、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛黄、黄色染料、ベンジジンイエロー、酸化クロムグリーン、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、ウルトラマリンブルー、バーミリオン、ピグメントブラウン6、レッド170、ジオキサジンバイオレット、カーボンブラック、酸化鉄(II)、石英砂(SiO2)、タルク、重晶石(BaSO4)、カオリン粘土、および石灰岩(CaCO3)より選択することができる。
【0105】
ある特定の態様では、組成物は、例えば、エタノール、ブタノール、プロパノール、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、キシレン、トルエン、d-リモネン、ケトン、および/またはイソプロピルアルコールを含めた無機または有機溶媒より選択される溶媒を含む。好ましい態様では、組成物に関して1~100ml/L、より好ましくは2~50ml/Lの量のイソプロピルアルコールが添加される。
【0106】
ある特定の態様では、組成物は溶媒として水をさらに含む。水は、粒状活性炭によって濾過する、脱イオン化する、蒸留する、または逆浸透法によって処理することができる。さらに、好ましくは、プライマー組成物の様々な成分の溶解を容易にする目的で、pHを上げるかまたは下げるためにpH調節剤を使用することができる。水性プライマー組成物はアクリルベースまたはラテックスベースでもよい。ラテックスは、例えば、顕花植物(被子植物)などの天然起源由来でもよく、または好ましくは、ラテックスは、例えばスチレンの重合化から合成的に生じる。プライマーのためのアクリル基剤は、合成熱可塑性プラスチックであるアクリル樹脂から作出することができる。
【0107】
ある特定の態様では、プライマーは油性でもよい。合成または天然の樹脂は、油性樹脂を作出するために、前述の溶媒のいずれか組み合わせて使用することができる。例えば、アルキド樹脂を本組成物で使用することができる。アルキド樹脂は、天然油、例えば、亜麻仁油、ベニバナ油、ダイズ油、ヒマワリ油、キリ油、またはヒマシ油などを使用して作出することができる。
【0108】
一態様では、酵母ベースの生成物は、有機酸およびアミノ酸またはこれらの塩を含めた緩衝剤をさらに含むことができる。適切な緩衝剤としては、例えば、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、酢酸、乳酸、シュウ酸、アスパラギン酸、マロン酸、グルコヘプトン酸、ピルビン酸、ガラクタル酸、グルカル酸、タルトロン酸、グルタミン酸、グリシン、リジン、グルタミン、メチオニン、システイン、アルギニン、およびこれらの混合物が挙げられる。リン酸および亜リン酸またはこれらの塩を使用することもできる。合成緩衝剤は使用するのに適しているが、天然の緩衝剤、例えば、上に列挙した有機酸およびアミノ酸またはこれらの塩を使用することが好ましい。
【0109】
さらなる態様では、pH変更剤としては、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウムもしくは重炭酸カリウム、塩酸、硝酸、硫酸、または混合物が挙げられる。
【0110】
酵母ベースの生成物は、処理される表面への酵母ベースの生成物の接着性を促進する組成物とともに塗布することができる。接着促進物質は酵母ベースの生成物の成分でもよく、または酵母ベースの生成物とともに同時にもしくは連続して塗布することができる。有用な接着促進剤の例としては、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリアクリレート、およびポリウレタンが挙げられる。
【0111】
本組成物で使用することができる他の添加剤としては、水軟化剤、金属イオン封鎖剤、腐食抑制剤、非生物界面活性剤、洗剤、結晶調節剤、安定化剤、および抗酸化剤が挙げられ、これらは、それらの意図された機能を果たすのに有効な量で加えられる。これらの添加剤の特定および使用ならびにこれらの量は、当技術分野の十分範囲内である。
【0112】
適切な水軟化剤としては、直鎖状リン酸塩、スチレン-マレイン酸コポリマー、およびポリアクリレートが挙げられる。適切な金属イオン封鎖剤としては、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(immidazolidinone);1-フェニル-3-イソヘプチル-1,3-プロパンジオン;および2ヒドロキシ-5-ノニルアセトフェノンオキシムが挙げられる。
【0113】
腐食抑制剤の例としては、酸化亜鉛、2-アミノメチルプロパノール、ジエチルエタノールアベンゾトリアゾール(diethylethanolamine benzotraizole)、およびメチルベンゾトリアゾールが挙げられる。
【0114】
非生物界面活性剤の例としては、ポリマーおよび界面活性剤、例えば、四級アンモニウム界面活性剤、ドデシルベンゼンスルホネート、セチルトリメチルアンモニウム臭化物(CTAB)、ポリビニルピロリドン、脂肪酸塩、スルフェート、スルホネート、リン系界面活性剤、アルキル-アンモニウム、アルキル-アミン、脂肪族アミン界面活性剤、アルキルエーテルスルフェート、ドデシルベンゼンスルホネート、アルファオレフィンスルホネート、および/または両性界面活性剤が挙げられる。
【0115】
洗剤の例としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホネート、t-オクチルフェノキシ-ポリエトキシエタノール、Triton X-100またはTween 20が挙げられる。結晶調節剤の例としては、エチレン-酢酸ビニル(EVA)、ポリエチレン-ブテン(PEB)、またはポリエチレン-プロピレン(PEP)が挙げられる。安定化剤の例としては、グリコールエステル、プロピレングリコール、およびエチレングリコールが挙げられる。
【0116】
本発明に適した抗酸化剤の例としては、(BHT)2,6-ジ-tert-ブチル-パラ-クレゾール、(BHA)2,6-ジ-tert-ブチル-パラ-アニソール、Eastman阻害剤O A B M-オキサリルビス(ベンジリデンヒドラジド)、およびEastman DTBMA 2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノンが挙げられる。
【0117】
ある特定の態様では、組成物は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム二水和物、塩化カリウム、塩化マグネシウム六水和物、亜リン酸、マグネシウム、カリウム、グルコース、およびアンモニウムより選択される塩および/または無機塩をさらに含む。
【0118】
本発明による配合物に含むことができる他の適切な添加剤としては、そのような調製物のために慣習的に使用される物質が挙げられる。添加剤は、例えば、担体、同じもしくは異なる施設で生成される他の微生物ベースの組成物、粘性調節剤、防腐剤、追跡剤、ポリ(ビニルピロリドン)、メタノール、ブタノール、殺生物剤、乾燥剤、流動制御剤、消泡剤、UV安定剤、皮張り防止剤、品質改良剤(texturizers)、乳化剤、潤滑剤、溶解度制御剤、および/またはキレート剤でもよい。
【0119】
ある特定の態様では、微生物培養物および/またはその増殖副産物は、プライマーおよび他の調製物で見出される従来の化学物質に取って代わることができる。微生物培養物および/またはその増殖副産物に取って代わられ得る化学物質の一例は酸化亜鉛である。酸化亜鉛は、プライマーを通じた表面の汚れの浸出を最小限にするために、および金属表面の腐食を低減させるためにプライマーに添加されることが多い。亜鉛陽イオンは陰イオン性の汚れと反応して、浸出を防止する。
【0120】
有利なことに、本発明に従って、酵母ベースの生成物は、微生物が増殖したブロスを含むことができる。生成物は、例えば、少なくとも、重量基準で、1%、5%、10%、25%、50%、75%、または100%のブロスであり得る。生成物中のバイオマスの量は、重量基準で、例えば、その間のすべてのパーセンテージを含めて、0%~100%のどこでもよい。
【0121】
任意で、生成物は、使用前に保存することができる。保存時間は好ましくは短い。したがって、保存時間は、60日間、45日間、30日間、20日間、15日間、10日間、7日間、5日間、3日間、2日間、1日、または12時間未満であり得る。好ましい態様では、生細胞が生成物中に存在する場合、生成物は、例えば、20℃、15℃、10℃、または5℃未満などの冷温で保存される。これに反して、バイオサーファクタント組成物は、典型的には、周囲温度で保存することができる。
【0122】
プライマーにおける微生物およびその増殖副産物の使用
好ましい態様では、塗装用プライマーを改善するための方法であって、SLPおよび/またはSLPを含む酵母培養物がプライマーに添加される方法が提供される。ある特定の態様では、塗装用プライマーは、1種または複数種のナノ粒子成分、例えば、色素、UV抵抗剤、抗微生物剤、および/または抗腐食剤を含む。
【0123】
本発明によるプライマー組成物の使用は、表面および/または物体への塗布の際に様々な改善を提供することができる。本発明の記載される要素は、すべての用途の網羅的な検査ではない。
【0124】
ある特定の態様では、プライマーへの微生物含有および/またはバイオサーファクタント含有組成物の適用は、プライマーの性能を向上させることができる。
【0125】
ある特定の態様では、微生物含有および/またはバイオサーファクタント含有プライマーは、例えば塗料などの上塗りとプライマーとの間の、および/またはプライマーとプライマーが塗布される表面との間の接着性を改善することができる。この改善された接着性は、プライマーから上塗りへの移行層であるタイコート層を作出することによって、確立することができる。
【0126】
ある特定の態様では、微生物含有および/またはバイオサーファクタント含有プライマーは、それを塗布する表面および/または物体のトポグラフィーのばらつき(variations)を隠すことができる。このばらつきは、プライマーの塗布によって物理的に変えることができ、プライマーは、くぼみを埋めて表面を均すことができる。あるいは、プライマーは、物理的なばらつきが残った状態で、所望のトポグラフィーの視覚的錯覚をもたらすことができる。
【0127】
ある特定の態様では、微生物含有および/またはバイオサーファクタント含有プライマーは、多孔性の物体または表面を密閉することができる。気体、液体、固体物質の侵入から物体または表面を密閉することができる。密閉することによって、物体または表面を防水にすることができ、水はプライマーを貫通して表面または物体まで達することができない。あるいは、密閉することによって、プライマーを耐水性にすることができ、プライマーは、プライマーが塗布されない場合にさもなければ表面に達するであろう水の量を制限することができる。
【0128】
ある特定の態様では、微生物含有および/またはバイオサーファクタント含有プライマーは、色または汚れのにじみを止めることができる。汚れの起因は、例えば、タバコの煙、グリース、またはある特定のタイプの木材由来のタンニンであり得る。色は、例えば、既存の濃い塗料色、こすり傷、鉛筆、マーカー、またはクレヨンであり得る。本発明のプライマー組成物は、色または汚れがプライマーを貫通するのを排除するかまたは低減させることができる。その結果、より少ない上塗りしか必要でない可能性がある。さらに、プライマーおよび/または上塗りの必要とされる乾燥時間が短くなる可能性がある。
【0129】
ある特定の態様では、微生物含有および/またはバイオサーファクタント含有プライマーは、例えば、タバコの煙、火煙、尿、および食品などの出所からの匂いの広がりを止めることができる。本発明のある特定の態様は、プライマーでコーティングされた表面と周辺環境の間に気密バリアを確立することができる。
【0130】
ある特定の態様では、微生物含有および/またはバイオサーファクタント含有プライマーは、柔軟性およびひび割れまたは気泡形成に対する耐性の増大のために、従来のプライマーと比較して寿命が延びている。ひび割れまたは気泡形成は、伝統的に、プライマーに対する物理的力、例えば、プライマーが塗布される表面の拡大または収縮などによって引き起こされる。さらに、プライマーの従来の化学組成は、それ自体で、ひび割れを促進し得る。油性プライマーは、プライマー中の油(例えば、脂肪酸)が、プライマーが酸素に曝露される限り架橋結合し続けるので、ひびが入る可能性が高い傾向がある。したがって、本発明は、油性プライマーのひび割れまたは気泡形成に耐性を示すことができるプライマー組成物を提供する。
【0131】
ある特定の態様では、微生物含有および/またはバイオサーファクタント含有プライマーは、生物または非生物物質による表面および/または物体の汚損を防止することによって、それを塗布する表面および/または物体の寿命を延ばす。本発明は、生物または沈殿物の沈着を防止するために使用することができる。したがって、本発明は、沈殿物および沈着物の除去に関する予防メンテナンスの必要性を、ならびに設備部品の交換または修理の必要性を遅らせるかまたは完全に除去することを可能にする。
【0132】
ある特定の態様では、プライマー中のバイオサーファクタントは、組成物中に存在し得るナノ粒子の分散性を改善する。これらは、色素、ならびに例えば、抗微生物、UV反映、弾性、弾力性増強、または腐食防止特性を有するナノ粒子、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、銀、亜鉛などを含むことができる。
【0133】
いくつかの態様では、プライマーは、例えば酸化亜鉛ナノ粒子を含む亜鉛に富んだプライマーであり、バイオサーファクタントはプライマー内の亜鉛ナノ粒子の分散性を高める。有利なことに、亜鉛に富んだプライマーが表面に塗布される場合、亜鉛ナノ粒子は表面上により均一に拡散され、腐食から表面をより大きく全体的に保護することができる。
【0134】
本発明のプライマー組成物は、様々な無機または有機物体、例えば、鋼、アルミニウム、木材、プラスチック、石膏、紙、絹、ガラス、綿、コンクリート、プラスター、粘土、化粧しっくい、プラスチック、ゴム、毛髪、皮膚、毛皮、または植物などに塗布することができる。組成物は、ある範囲の温度、水性環境、または他のストレス誘導条件に存在する物体に塗布することもできる。
【0135】
組成物は、例えば、噴霧ボトルまたは加圧噴霧デバイスを使用して噴霧することによって、表面に塗布することができる。組成物は、布またはブラシを使用して塗布することもでき、組成物は表面上にこすられる、広げられる、またはブラシで塗られる。さらに、組成物は、その中に組成物を有する容器に表面をさっと浸ける、浸す、または沈めることによって、表面に塗布することができる。
【0136】
石油およびガス用途
ある特定の態様では、本発明の組成物は、石油およびガス産業で用途があり得る。例えば、いくつかの態様では、バイオサーファクタントおよび/または微生物を含有する組成物をナノ粒子成分に適用することによって、炭化水素含有地層からの石油およびガスの回収を増進するための圧入流体を生成することができる。
【0137】
ある特定の態様では、圧入流体が地下の地層に注入され、続いて炭化水素が回収される、炭化水素含有地層からの石油の回収を増進する方法も提供される。
【0138】
いくつかの態様では、バイオサーファクタントおよび金属ナノ粒子組成物(例えば、アルミニウム)は地層からの石油の回収を増進するのに有用であり得、ナノ粒子のイオン特性によって岩の細孔から油滴が引き出され、バイオサーファクタントが地層内の表面張力および界面張力を低減させ、それによって、相乗的な石油回収メカニズムがもたらされる。
【0139】
いくつかの態様では、ナノ粒子は、アルミニウム、炭素、クロム、コバルト、銅、金、鉄、マグネシウム、ニッケル、白金、ケイ素、銀、スズ、チタン、および亜鉛ナノ粒子からなる群より選択される。いくつかの態様では、本明細書において記載されるナノ粒子のいずれかは金属酸化物ナノ粒子である。いくつかの態様では、本明細書において記載されるナノ粒子のいずれかは、鉱物酸化物ナノ粒子である。いくつかの態様では、ナノ粒子は、酸化アルミニウム、二酸化アンチモン、酸化銅、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、または二酸化ジルコニウムナノ粒子である。
【0140】
いくつかの態様では、ナノ粒子は、例えば、A12O3、Al(OH)3、Bi2O3、CeO2、CoO、Co2O3、Co304、Cr2O3、CuO、Cu2O、Cu(OH)2、Fe2O3、Fe3O4、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、MnO2、Mn3O4、Ni(OH)2、NiO、SiO2、SnO2、TiO2、ZnO、ZnCO3、ZrO2、Zr(OH)4、BaCO3、BaTiO3、BaSO4、CoFe2O4、CaCO3、MnFe2O4、MgCO3、ZnCO3、SrCO3、SrTiO3、Cr3C2、CrN、CdS、CuS、Mg3N2、Mo2C、MoS2、MoSi2、NbC、SiC、Si3N4、および/またはTiCである。
【0141】
いくつかの態様では、組成物は、地下の地層に存在する沈着物を除去するために使用することができる。いくつかの態様では、組成物は、地下の地層の湿潤性を水湿潤(water wet)に変える。いくつかの態様では、組成物は、炭化水素に対する地下の地層の相対的透過性を増大させる。ある特定の態様では、地層からの炭化水素の流動は上記のいずれかから生じる。
【0142】
いくつかの態様では、本明細書において記載される組成物は、アスファルテンなどの地下地層沈着物、ワックス、スケール、バイオフィルムポリマー、およびパラフィンのレメディエーションを行うために使用することができる。
【0143】
いくつかの態様では、組成物は、破壊された地層の絶対透過性を改善するために使用することができる。いくつかの態様では、組成物は、炭化水素の相対的透過性を改善するために使用することができる。
【0144】
本明細書において記載される組成物は、水圧破砕またはマトリックス刺激などの先の貯留層刺激に既に供されている地下の地層から炭化水素の生成を増加させるためにも使用することができる。
【0145】
いくつかの態様では、ナノ粒子成分は、例えば、ポリエチレンイミン-デキストラン硫酸または他のポリマーにカプセル化された酵素を含み、これは、例えば、地層中に蓄積するグアーガムまたは他の架橋結合したフラッキングポリマーを消化することができる。
【0146】
いくつかの態様では、ナノ粒子はナノプロパントであり、これは、水圧破砕によって生成されるナノスケールの破砕部を支持するために、地層中に注入することができる。好ましくは、ナノプロパントは、一般に微粒子として公知である小片への粒子の脆性破壊を回避するのに十分な靭性と組み合わせて、機械的特性、例えば、剛性(形状変形に対する耐性)および圧縮荷重下での強度(圧壊に対する耐性)を含む。さらに、粒子は、通常は、より深く掘るにしたがってますます激しくなる高圧縮荷重と高温の組み合わせに耐えることができる、優れた耐熱性を有さなければならない。プロパントの良好な輸送および低い沈降能力は、支持剤を選択する場合に考慮されなければならない別の特色である。いくつかの態様では、ナノプロパントは、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブおよびナノファイバー、ヒュームドシリカおよびアルミナならびに/またはセルロース系ナノファイバー、ナノクレイおよび微粉砕グレードの飛散灰を含む。
【0147】
いくつかの態様では、本明細書において記載される組成物は、注入された水性相と所定の位置の重油の間の界面特性を改善することができる、熱水/蒸気への添加剤として、熱石油回収(thermal oil recovery)で使用することができ、これは、性能の向上および/またはより高い回収につながり得る。いくつかの態様では、本明細書において記載される組成物は、ビチューメン抽出を潜在的に向上させるために使用することができる。特に、本明細書において記載される組成物は、ビチューメン滴と水の間の界面張力を潜在的に低減させることによって砂粒子からのビチューメン分離を改善する可能性がある添加剤として、熱水に添加することができる。
【0148】
いくつかの態様では、本明細書において記載される組成物は水処理に使用することができる。特に、本明細書において記載される組成物は水に添加することができ、これは、ナノ粒子によってそのような不純物の凝集およびそれらの分離を向上させることを通じて、ある特定の不純物(有機および無機の残留物)の分離を引き起こし得る。いくつかの態様では、組成物は塩水処分井戸への注入に使用することもできる。特に、本明細書において記載される組成物は、有機物質の蓄積を除去するおよび/または緩和するのを支援するために、塩水処分井戸に注入することができる。井戸中の蓄積の増大により、より高い注入圧の使用が必要になり、これは、処理でかなり低減させることができる。
【0149】
農業用途
ある特定の態様では、本発明の組成物は農業用途に使用することができる。イオン交換および植物遺伝子発現などの多くの生物機能は小規模で作動するので、ナノ材料、例えば、ナノ肥料およびナノ農薬は、生細胞への効率的な標的送達を提供するために正しいスケールで働くツールセットを提供する。環境に配慮したナノ肥料は、植物細胞への効率的なイオンおよび栄養素送達を提供することができる。参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、Miranda-Villagomez et al. 2019を参照されたい。
【0150】
ある特定の態様では、バイオサーファクタント組成物をナノ粒子成分に適用する工程を含む、改善された肥料組成物を生成するための方法であって、ナノ粒子成分がナノ肥料成分である方法が提供される。ナノ肥料は、例えば、ナノスケール肥料(栄養素を含むナノ粒子)、ナノスケール添加剤(ナノスケール添加剤を含む従来の肥料)、およびナノスケールコーティング(ナノ粒子でコーティングまたはナノ粒子が搭載された従来の肥料)を含むことができる。いくつかの態様では、ナノ粒子成分は、1種または複数種の栄養素、例えば、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)、硫黄(S)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、塩素(Cl)、銅(Cu)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、および亜鉛(Zn)などを含むナノ粒子である。ある特定の態様では、キトサン、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、またはゼオライトナノ粒子など、1種または複数種の栄養素が搭載されたナノ粒子、例えば、キトサン、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、またはゼオライトナノ粒子が利用される。
【0151】
有利なことに、ナノ粒子成分と組み合わせた本発明によるバイオサーファクタントおよび/または微生物ベースの組成物の適用を通じて、本発明は、バイオサーファクタントおよび/または微生物ベースの組成物がないナノ粒子成分(例えば、ナノ肥料)の適用と比較して、土壌内の栄養素の分散性を向上させることができ、栄養素の利用能および植物の根による吸収を向上させることができる。
【0152】
ヘルスケア用途
ある特定の態様では、本発明の組成物は、ヒトの健康用途のために、例えば、送達補助剤として、および血液脳関門(BBB)を通過して材料を輸送するために、使用することができる。
【0153】
ある特定の態様では、本発明は、バイオサーファクタントをナノ粒子成分に適用する工程を含む、改善されたヘルスケア組成物を生成するための方法であって、ナノ粒子成分が、例えば、リポソームベースのナノ粒子、金属ナノ粒子(例えば、金ナノ粒子)、ポリマーナノ粒子、無機(ionorganic)ナノ粒子、ウイルス性ナノ粒子、脂質ベースのナノ粒子、または健康促進化合物を含むおよび/もしくはカプセル化するナノ粒子アルブミン結合技術である方法を提供する。健康促進化合物は、例えば、医薬、処方箋不要の薬物、栄養補助食品、サプリメント、ビタミン、および/またはミネラルであり得る。
【実施例】
【0154】
例示として与えられる以下の実施例から、本発明およびその多くの利点をより深く理解することができる。以下の実施例は、本発明の方法、適用、態様、および変形のいくつかの例示である。これらは、本発明を制限するとして見なされるべきではない。本発明に関して多数の変更および改変を行うことができる。
【0155】
実施例1 - ナノ粒子の使用
ナノ粒子組成物を生成および/または増強するために本発明が使用することができるナノ粒子(NP)の用途の例を提供する。
【0156】
電子/磁石
- 癌の広がりを追跡するために、放射性テクネチウムに取って代わるように使用される磁性ナノ粒子
- 電池および超コンデンサでの使用に有用である。
- 青色LED
- リンパ節に沿った癌の広がりを追跡するために、放射性テクネチウムに取って代わる
【0157】
イメージング
- 蛍光イメージングを向上させる
- PET/超音波に対する画像を向上させる
- SEMに使用される金NP
- 光触媒、写真光学、および電子デバイス
【0158】
生体材料
- 組織/骨修復のためのスキャフォールド構造
- 細胞に進入することができるか、または特定の細胞に結合するように設計され得る
- 療法を送達する新しい方法の開発の促進 - 疾患組織への脈管系の遮断
- ナノカプセル(リポソーム)または多孔性ナノスポンジ構造体を介して運ばれる薬物
- 吸入を介した脳への薬物の送達
- 癌における薬物担体および送達およびRNA放出などの様々な用途のための脂質NPの合成
- ナノダイヤモンドに結合した化学療法薬物が脳腫瘍治療について試験中である
- 金ナノ粒子は、タンパク質間の相互作用を検出するために免疫組織化学で広く使用されている。
- 白金ナノ粒子の血液誘発生成は抗癌剤として機能する
【0159】
セラミック/ART
- ナノクレイ - その強度および耐衝撃性を改善するためにポリマーに組み入れられる
【0160】
環境
- ナノ粒子は彫刻および絵画で広く使用されている
- 有機塩素化合物のレメディエーションを行うフィールド展開可能な手段としてのゼロ価鉄(NZVI)粒子 - PCB
- 油を生分解性化合物に分解するための銅タングステン酸化物ナノ粒子
- 岩石層に透過する-帯水層中の有機塩素の反応性を中和する
【0161】
製造
- 食品包装中への組み入れの増加
- 抗微生物効果 - ナノ銅またはナノ銀包装
- 健康関連製品
- 抗ウイルス剤
- 抗真菌剤
【0162】
化学
- プラスチックおよび織物中の可燃性有機ハロゲンおよびリンに基づく添加剤に取って代わる
- 触媒作用
- 染料の光分解
【0163】
薬物送達での使用
- ナノ懸濁液およびナノ結晶 - 薬物の効力が界面活性剤溶液中に分散される
- 固体脂質ナノ粒子 - 界面活性剤中に分散している融解脂質-ポリマーの代替材料としての、毒性が低くかつより安定なコロイド状担体システム
- ポリマーナノ粒子 - 生分解性ポリマー - 制御され標的化された薬物送達
- ポリマーミセル
- 磁性ナノ粒子
- カーボンナノチューブ
- リポソーム - リン脂質小胞
- ナノシェル
- セラミック - シリカ、アルミナ、チタニア(薬物生体分子)
- ナノポア
- ナノワイヤー
- 量子ドット
- ナノフィルム
- 強磁性流体
【0164】
実施例2 - ナノ粒子のさらなる例示的な使用
ナノ粒子組成物を生成および/または増強するために本発明が使用することができるナノ粒子(NP)の用途のさらなる例を提供する。
・ファブリックの表面処理のためのナノスケール添加剤は、個人の防弾チョッキに軽量弾道エネルギー偏向(lightweight ballistic energy deflection)を提供することができ、またはそれがしわ、汚れ、および細菌の増殖に耐性を示すのに役立つ。
・眼鏡、コンピューターおよびカメラディスプレイ、窓、ならびに他の表面上の透明なナノスケールフィルムは、それらを水および残留物をはじく性質、反射防止、自己洗浄性、紫外線もしくは赤外線耐性、防曇、抗微生物、擦傷耐性、または導電性にすることができる。
・ナノスケール材料は、柔軟なナノスケールセンサーならびに健康モニタリング、太陽エネルギーの捕獲、および運動による環境発電の能力を有する電子装置を備えた、洗える耐久性のある「スマートファブリック」を可能にし始めている。
・乗用車、トラック、飛行機、船舶、および宇宙船の軽量化は、かなりの燃料節減につながり得る。ポリマー複合材料におけるナノスケール添加剤は、野球のバット、テニスラケット、自転車、オートバイのヘルメット、自動車部品、旅行手荷物、および動力工具ハウジングで使用中であり、これらを軽量で、硬く、耐久性のある、弾力的なものする。カーボンナノチューブシートは、次世代航空機で使用するために現在生成中である。例えば、軽量性と伝導性の組み合わせは、これらを電磁遮蔽および熱管理などの用途にとって理想的なものにする。
・酵素のナノバイオエンジニアリングは、木材チップ、トウモロコシの茎、施肥していない多年生牧草などからのセルロースを燃料のためのエタノールへ変換することを可能にすることを目的としている。セルロース系ナノ材料は、電子工学、建設、包装、食品、エネルギー、ヘルスケア、自動車、および防衛を含めた幅広い産業部門において潜在用途が示されている。セルロース系ナノ材料は多くの他のナノ材料よりも安価であると予測され、他の特徴の中でも、すばらしい強度対重量比を売りにしている。
・自動車製品におけるナノ加工材料は、高出力再充電性電池システム;温度制御のための熱電材料;転がり抵抗が低いタイヤ;高効率/低コストのセンサーおよび電子装置;薄膜スマートソーラーパネル;ならびによりきれいな排気および走行距離(range)の延長のための燃料添加剤を含む。
・ナノ構造セラミックコーティングは、機械部品のための従来の耐摩耗性コーティングよりもはるかに大きな靭性を示す。ナノテクノロジー対応の潤滑剤およびエンジンオイルも摩滅をかなり低減させ、これは、動力工具から産業機械に至るすべてのものにおいて可動部品の寿命をかなり延ばすことができる。
・ナノ粒子は、化学反応をブーストするために、触媒作用でますます使用されている。これは、所望の結果を得るのに必要な触媒材料の量を低減させ、節約になり、かつ汚染物質を低減させる。2つの大きな用途が石油精製および自動車触媒コンバーターにある。
・ナノ加工材料は、優れた家庭用品、例えば、油とりおよび汚れ落とし剤;環境センサー、空気浄化機、および濾過器;抗菌クレンザー;ならびに特殊な塗料および密閉製品、例えば、不潔物およびかき傷に耐性を示す自己洗浄性住宅用塗料を作成する。
・ナノスケール材料は、性能を改善するために、様々なパーソナルケア製品にも組み入れられている。ナノスケールの二酸化チタンおよび酸化亜鉛は、皮膚で目立たないようにしながら太陽から保護するために、日焼け止めで何年も使用されている。
【0165】
電子工学およびIT用途
ナノテクノロジーは、コンピューティングおよび電子工学の主な進歩に大いに寄与しており、ますます多くなる量の情報を管理および格納することができる、より速く、より小さく、より形態可能なシステムにつながった。これらの連続的に進化する用途としては、以下が挙げられる:
・すべての現代のコンピューティングを可能にする基本的スイッチであるトランジスタは、ナノテクノロジーを通じてますます小型になった。世紀の変わり目に、典型的なトランジスタは130~250ナノメートルのサイズであった。2014年に、Intelが14ナノメートルのトランジスタを作出し、次いで、2015年にIBMが最初の7ナノメートルのトランジスタを作出し、次いで、2016年にLawrence Berkeley National Labが1ナノメートルのトランジスタを示した!より小さく、より速く、より良好なトランジスタは、まもなくあなたのコンピューターの全記憶が単一の極めて小さなチップに格納され得ることを意味し得る。
・磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)を使用して、コンピューターは、ほとんど即時に「起動する」ことができるであろう。MRAMは、ナノメートルスケールの磁気トンネル接合によって可能になり、システムシャットダウンの間にすばやくかつおよび効果的にデータを保存することができ、またはレジューム再生機能を可能にすることができる。
・量子ドットを使用して、より鮮やかな色を生成すると同時によりエネルギー効率の良い、超高解像度のディスプレイおよびテレビが現在販売されている。
・柔軟で、曲げることができ、折り畳みすることができ、巻くことができ、かつ伸縮自在の電子装置は様々な部門に行き渡っており、衣服、医療用途、航空宇宙用途、およびモノのインターネットを含めて、様々な製品に組み込まれている。例えば、スマートフォンおよび電子リーダーのディスプレイにおける用途のために、半導体ナノメンブレンを使用して、フレキシブルエレクトロニクスが開発された。グラフェンおよびセルロース系ナノ材料のような他のナノ材料は、着用型センサーおよび「タトゥー」センサー、衣類上に縫い付けることができる光起電力装置、ならびに丸めることができる電子ペーパーを可能にするために、様々なタイプのフレキシブルエレクトロニクスに使用されている。平らで、柔軟で、軽量で、非脆性の非常に効率的な電子装置を作製することによって、数えきれないほどのスマート製品への扉が開かれる。
・他のコンピューティングおよび電子製品としては、スマートフォン用のフラッシュメモリチップおよびサムドライブ;超応答性補聴器;キーボードおよび携帯電話ケース上の抗微生物/抗菌コーティング;RFID/スマートカード/スマートパッケージング用の印刷された電子装置のための導電性インク;ならびに電子書籍リーダーのためのフレキシブルディスプレイが挙げられる。
・ナノ粒子銅懸濁液は、構築プロセスにおいて電子装置を融合させるために一般に使用される鉛ベースのはんだおよび他の危険な材料の、より安全で、より安く、より信頼できる代替品として開発された。
【0166】
医療およびヘルスケア用途
ナノテクノロジーは、臨床医にとって現在利用可能な医療ツール、知識、および療法を既に拡大している。医療におけるナノテクノロジーの用途であるナノ医療は、天然スケールの生物現象を利用して、疾患予防、診断、および治療のための的確な解法をもたらす。以下は、この領域の最近の進歩のいくつかの例である:
・商業的用途では、核酸の標的配列の検出のためのプローブとして金ナノ粒子を適合させ、金ナノ粒子はまた、癌および他の疾患の潜在的な治療として臨床的に調べられている。
・ナノテクノロジーによって可能にされるより良好なイメージングおよび診断ツールは、より早期の診断、より個別化された治療選択、およびより良好な治療的成功率のための道を開いている。
・ナノテクノロジーは、アテローム性動脈硬化症または動脈におけるプラークの蓄積の診断と治療の両方について研究されている。1つの技法では、研究者らは、プラークを縮小させるのに役立つ、HDL(高密度リポタンパク質)として公知である体の「善玉」コレステロールを模倣するナノ粒子を作出した。
・先進的な固体状態のナノポア材料の設計およびエンジニアリングにより、最小の試料調製および器具類で、低コストかつ高スピードで一分子検出を可能にする新規な遺伝子シークエンシング技術の開発が可能になり得る。
・ナノテクノロジーの研究者らは、いくつかの異なる治療法を研究しており、ナノ粒子は、カプセル化することができるか、またはそうでなければ医薬品を癌細胞に直接送達するのに役立つことができ、かつ健康な組織への損傷の危険性を最小限にする。これは、医師が癌を治療する方法を変え、化学療法の毒性作用を劇的に低減させる可能性がある。
・再生医療のためのナノテクノロジーの使用の研究は、骨および神経組織工学を含めたいくつかの適用領域に及ぶ。例えば、新規な材料を、ヒトの骨の結晶ミネラル構造を模倣するように操作することができ、または歯科用途のための修復用樹脂として使用することができる。研究者らは、移植のためにいつかヒトの器官を成長させことを目的に、複雑な組織を成長させるための方法を探している。研究者らはまた、脊髄損傷を修復するのを支援するためにグラフェンナノリボンを使用するための方法を研究しており;予備的な研究は、ニューロンが伝導性グラフェン表面でよく成長することを示す。
・ナノ医療の研究者らは、ナノテクノロジーが、ニードルを使用しないワクチン送達を含めて、ワクチンを改善することができる方法に注目している。研究者らはまた、より多くの系統をカバーし、毎年開発するためにより少ない資源しか必要としないであろう、毎年のインフルエンザワクチンのための万能のワクチンスキャフォールドを作出するために研究している。
【0167】
エネルギー用途
ナノテクノロジーは従来のエネルギー源に用途を見出しており、世界の増大するエネルギー需要を満たすのに役立つ代替エネルギーアプローチを大いに向上させている。多くの科学者は、エネルギー消費を低減させ、環境に対する毒性負荷を少なくする手段とともに、きれいで手頃な価格の再生可能なエネルギー源を開発する方法を調査している:
・ナノテクノロジーは、より良好な触媒作用を通じて、原油物質(raw petroleum materials)からの燃料生産の効率を改善している。これは、より高い効率の燃焼および摩擦の低下を通じて、乗り物および発電所における燃料消費量の低減も可能にしている。
・ナノテクノロジーは、例えば、沖合作業におけるナノテクノロジー対応のガスリフトバルブの使用または検出する極微の油井下(down-well)石油パイプライン破砕に対するナノ粒子の使用を通じて、石油およびガス抽出にも適用されている。
・研究者らは、発電所の排気から二酸化炭素を分離するために、カーボンナノチューブ「スクラバー」およびメンブレンを調べている。
・研究者らは、電気格子で現在使用されている高圧線よりもはるかに低い抵抗を有し、したがって、送信電力の損失を低減させると考えられる、カーボンナノチューブを含む電線を開発している。
・ナノテクノロジーをソーラーパネルに組み入れることで、太陽光線をより効率的に電気に変換することができ、これは、将来的に安価な太陽光発電の見込みがある。ナノ構造太陽電池は、印刷様製造プロセスを使用することができ、別々のパネルではなく柔軟なロールで作製することができるので、製造がより安価であり、取り付けるのがより容易である可能性がある。より新しい研究によって、将来のソーラーコンバーターは「塗装可能」でさえあり得ることが示唆される。
・ナノテクノロジーは、より急速充電であり、より効率的であり、より軽量であり、出力密度がより高く、電荷をより長く保持する多くの新しい種類の電池を開発するために、既に使用されている。
・カーボンナノチューブ含有エポキシは、風車が発生させることができる電気の量を増加させる目的で、他のブレードよりも長く、強く、軽量である風車ブレードを作製するために使用されている。
・環境発電の領域では、研究者らは、移動中に、光、摩擦、および/または体熱から使用可能なエネルギーを発生させて携帯電子デバイスに電力を供給するために、コンピューターケースに取り付けることができる薄膜ソーラー電気パネルおよび衣類に織り込まれる柔軟な圧電ナノワイヤーを開発している。同様に、コンピューター、自動車、家、発電所などにおける廃熱を使用可能な電力に変換するために、様々なナノ科学ベースの選択肢が探究されている。
・エネルギー効率および省エネルギー製品は、用途の数およびタイプが増加している。上記のものに加えて、ナノテクノロジーは、より効率的な照明システム;輸送部門のためのより軽く、より強い乗り物用シャシー材料;先進的な電子装置におけるより低いエネルギー消費;およびガラス用の光応答性スマートコーティングを可能にしている。
【0168】
環境レメディエーション
ナノテクノロジーがエネルギー効率の改善に役立ち得る方法(上記のセクションを参照されたい)に加えて、環境汚染物質の検出および浄化に役立ち得る多くの方法もある:
・ナノテクノロジーは、水の中の不純物の急速で低コストの検出および処理を通じて、手頃な価格のきれいな飲料水の必要性を満たすのに役立ち得る。
・技術者は、エネルギー効率の良い脱塩のために、ナノポアを有する薄膜メンブレンを開発した。この二硫化モリブデン(MoS2)メンブレンは、現在の従来型フィルターよりも2~5倍多くの水を濾過した。
・ナノ粒子は、汚染物質を無害にする化学反応を通じて地下水中の工業用水汚染物質を浄化するために、開発されている。このプロセスは、処理のために地面から水をポンプで汲み出すことを必要とする方法よりもコストがかからないと考えられる。
・研究者らは、浄化用途のために、その重量の20倍の油を吸収することができる、カリウムマンガン酸化物の小さなワイヤーで織ったナノファブリック「ペーパータオル」を開発した。研究者らはまた、磁気撥水性ナノ粒子を流出油(oil spills)に入れ、磁石を使用して水から油を機械的に除去した。
・多くの飛行機の機室および他のタイプのエアフィルターは、繊維素材が、細孔のサイズより大きな粒子を捕捉するナノスケール細孔を作出する「機械的濾過」を可能にする、ナノテクノロジーベースのフィルターである。フィルターは、匂いを除去する木炭層を含むこともできる。
・ナノテクノロジー対応のセンサーおよび溶液は、現在、かつてないほどはるかに高い感度で、空気および土壌中の化学的または生物学的作用物質を検出および特定することができる。研究者らは、メソ多孔性支持体上の自己組織化単層(self-assembled monolayers on mesoporous supports)(SAMMS(商標))、デンドリマー、およびカーボンナノチューブなどの粒子を、それらの独特な化学的および物理的特性を様々な種類の毒性部位のレメディエーションに適用する方法を決定するために調べている。別のセンサーは、火災の周囲の空気の質をモニターするために消防士が使用することができるスマートフォンの拡張としてNASAによって開発された。
【0169】
将来の輸送の恩恵
ナノテクノロジーは、より軽く、より安全で、よりスマートで、より効率的な乗り物、航空機、宇宙船、ならびに船の組み立ておよび維持に寄与するであろう多機能性材料の開発の見込みを与える。さらに、ナノテクノロジーは、輸送インフラストラクチャー(infrastructure)を改善するための様々な手段を提供する:
・上述したように、自動車製品におけるナノ加工材料は、ポリマーナノ複合体構造部品;高出力再充電性電池システム;温度制御のための熱電材料;転がり抵抗が低いタイヤ;高効率/低コストのセンサーおよび電子装置;薄膜スマートソーラーパネル;ならびによりきれいな排気および走行距離の延長のための燃料添加剤および改善された触媒コンバーターを含む。アルミニウム、鋼、アスファルト、コンクリート、および他のセメント質材料、ならびにそれらの再利用形態のナノエンジニアリングは、それらのライフサイクルコストを低減させると同時に、幹線道路および輸送インフラストラクチャー成分の性能、復元性、および寿命を改善する観点から大きな見込みを与える。新しいシステムは、自己修復構造またはエネルギーを発生するかもしくは伝導する能力などの革新的な能力を従来のインフラストラクチャー材料に組み込むことができる。
・ナノスケールのセンサーおよびデバイスは、橋、トンネル、レール、駐車場構造物、および舗装道路の構造的完全性および性能の費用対効果が大きい継続的なモニタリングを経時的に提供することができる。ナノスケールセンサー、通信デバイス、およびナノエレクトロニクスによって可能になる他の技術革新は、乗り物ベースのシステムと通信して、運転者が車線の位置を維持する、衝突を回避する、渋滞を回避するために走行経路を調整する、および搭載された電子装置への運転者のインターフェイスを改善するのを支援することができる、向上した輸送インフラストラクチャーを支持することもできる。
・ナノテクノロジー対応の軽量で高強度の材料の使用からの「革新的な」恩恵は、ほとんどすべての輸送用の乗り物に適用されるであろう。例えば、商用ジェット機の重量を20パーセント低減させることによって、その燃料消費量を15パーセント程度低減させることができることが推定されている。NASAのために行われた予備的な解析によって、従来の複合体の2倍の強度を有する先進的なナノ材料の開発および使用が、打ち上げ用ロケットの総重量を63パーセント程度低減させるであろうことが示された。これは、宇宙船を軌道に打ち上げるのに必要とされるエネルギーのかなりの量を節約することができるだけでなく、打ち上げ用ロケットを軌道に乗せるための一段式の開発も可能にし、打ち上げコストをさらに低減させ、特務飛行(mission)の信頼性を高め、代替の推進コンセプトへの扉を開くであろう。
【0170】
実施例3 - 酸性SLPまたはラクトン型SLPを有するプライマーは汚れのにじみを遮断する
Lenetaドローダウン板紙チャートを使用して、SLPが添加された塗装用プライマーが汚れを遮断する能力を評価した。最初に、ドローダウンアプリケーターを使用して、ドローダウンチャートにプレミアムつやなし塗料を塗装した。プライマーが汚れを遮断する能力を試験するために、1週間たった乾燥したプレミアムつやなし塗料に様々な疎水性および親水性筆記用具を適用した。マーカーは以下を含む:黒色のSharpie(登録商標)、赤色のSharpie(登録商標)、青色のPaper Mate(登録商標)、オレンジ色のPaper Mate(登録商標)、黒色のペン、赤色のペン、青色のペン、ピンク色の洗えるマーカー、および青色の洗えるマーカー(
図1)。チャート上のマーカー線全体にわたってドローダウンバーによってプライマーを塗布した。パネルA、B、C、D、およびEの左の列では、1層のKilzプライマーを塗布した。パネルA、B、C、D、およびEの中央および右の列では、0.05g/l、0.1g/l、0.5g/l、1g/l、または5g/lの酸性SLPまたはラクトン型SLPのいずれかと混合した1層のGripperプライマーを塗布した。パネルAは0.05g/lの酸性SLPおよび0.1g/lの酸性SLPを示し、パネルBは0.5g/lの酸性SLPおよび1g/lの酸性SLPを示し、パネルCは5g/lの酸性SLPおよび0.05g/lのラクトン型SLPを示し、パネルDは0.1g/lのラクトン型SLPおよび0.5g/lのラクトン型SLPを示し、パネルEは1g/lのラクトン型SLPおよび5g/lのラクトン型SLPを示す。左の列では、対照試験パネル(#0)に単層のKilzプライマーを塗装し、単層のGripperプライマーを中央および右の列に塗布した。一晩乾燥させた後、プレミアム、つやなし、白色塗料のより狭いドローダウンをプライマー上に塗布した(
図2)。
【0171】
最後に、ドローダウンアプリケーターを使用して、各列全体にわたって、プレミアム、つやなし、白色塗料の一様なより狭い幅の第2のコーティングを塗布した(
図3)。
【0172】
SLPを有する塗料およびプライマーは、SLPを有さない塗料およびプライマーよりもよく筆記用具の汚れを覆う。汚れのより良好な被覆は、低い(0.05g/lおよび0.1g/l)濃度の酸性SLPを含むプライマーで観察された。0.05g/lまたは0.1g/lの濃度の酸性SLPまたはラクトン型SLPをプライマーに添加することによって、すべての疎水性マーカーおよびほとんどすべての親水性マーカーの完全な被覆が可能になった。さらに、SLPが添加されたプライマーはSLPを有さないプライマーよりも柔軟であった。水性プライマーにSLPを添加することによって、環境に優しく、安全で、使いやすい生成物が作出される。
【0173】
実施例4 - 酸性SLPまたはラクトン型SLPを有するプライマーは色のにじみを遮断する
2フィート×1フィートの寸法の赤色塗装乾式壁パネルを使用して、SLPを有する塗装用プライマーが色のにじみを低減させる能力を評価した。乾燥したプレミアム赤色つやなし塗装乾式壁パネルにドローダウンバーによってプライマーを塗布する(
図4)。0.05g/l、0.1g/l、0.5g/l、1g/l、または5g/lの濃度の酸性SLPまたはラクトン型SLPのいずれかを水性(Gripper)プライマーに添加し、赤色塗装乾式壁パネルに塗布する(
図5)。左の列は対照(SLPが添加されていないGripperプライマー)である。中央および右の列は、様々な濃度の酸性SLPまたはラクトン型SLPを有するGripperプライマーを図示する。
図5Aは0.05g/lのラクトン型SLPまたは0.1g/lのラクトン型SLPを有するプライマーを示し;
図5Bは0.5g/lのラクトン型SLPおよび1g/lのラクトン型SLPを有するプライマーを示し;
図5Cは5g/lのラクトン型SLPまたは0.05g/lの酸性SLPを有するプライマーを示し;
図5Dは0.1g/lの酸性SLPまたは0.5g/lの酸性SLPを有するプライマーを示し;
図5Eは1g/lの酸性SLPまたは5g/lの酸性SLPを有するプライマーを示す。
【0174】
試験の第2段階では、プライマー層を一晩乾燥させた後、半光沢内装用白色塗料のより狭いドローダウンを乾燥したプライマー層上に塗布した。
図6A~6Eは、白色塗装乾式壁パネルを図示する。
図6Aは0.05g/lのラクトン型SLPまたは0.1g/lのラクトン型SLPを有するプライマーの層上の白色塗料の層を示し;
図6Bは0.5g/lのラクトン型SLPまたは1g/lのラクトン型SLPを有するプライマーの層上の白色塗料の層を示し;
図6Cは5g/lのラクトン型SLPまたは0.05g/lの酸性SLPを有するプライマーの層上の白色塗料の層を示し;
図6Dは0.1g/lの酸性SLPまたは0.5g/lの酸性SLPを有するプライマーの層上の白色塗料の層を示し;
図6Eは1g/lの酸性SLPまたは5g/lの酸性SLPを有するプライマーの層上の白色塗料の層を示す。
【0175】
試料乾式壁パネルを視覚的に評価して、下塗りされた乾式壁または下塗りされかつ塗装された乾式壁を通してどれだけ赤色の塗料が目に見えるかを決定する。添加されたSLPを含むプライマーの単層を有する大抵の試料は、SLPを有さない試料プライマー層よりも、赤色の塗料のにじみの遮断においてより良好に働いた。プライマー層の上部に白色塗料の層を塗布した場合、SLPが添加されたプライマーを有する試料は、プライマー中にSLPを有さない試料よりも、赤色の塗料の浸出の遮断においてより良好に働いた。さらに、最低濃度(0.05g/l)のラクトン型SLPまたは酸性SLPのいずれかを有する試料は、色のにじみの制限において最もよく働いた。SLPが添加されていない対照試料の働きは最も悪く;プライマーおよび塗料の層を通して依然として赤色が目に見えた。酸性SLPまたはラクトン型SLPのいずれかを従来の水性プライマーに添加することによって、塗料の色のにじみを低減させることができる。
【0176】
【国際調査報告】