(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-28
(54)【発明の名称】ヘキソース型単糖およびその類縁体による、ウイルス感染症の処置方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7024 20060101AFI20230421BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20230421BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230421BHJP
A61K 9/72 20060101ALI20230421BHJP
C07H 13/04 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
A61K31/7024
A61P31/12
A61P31/14
A61K9/72
C07H13/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022555959
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(85)【翻訳文提出日】2022-10-11
(86)【国際出願番号】 US2021022622
(87)【国際公開番号】W WO2021188586
(87)【国際公開日】2021-09-23
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(71)【出願人】
【識別番号】521564065
【氏名又は名称】モレキュリン バイオテック インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MOLECULIN BIOTECH, INC.
【住所又は居所原語表記】5300 Memorial Drive, Suite 950, Houston, TX 77007, USA
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】プリーベ ウォルデマー
(72)【発明者】
【氏名】フォクト イザベラ
(72)【発明者】
【氏名】ジエリンスキ ラファウ
(72)【発明者】
【氏名】スコラ スタニスワフ
(72)【発明者】
【氏名】ピッカー ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】クレンプ ワルター
【テーマコード(参考)】
4C057
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C057BB02
4C057BB05
4C057CC02
4C057DD02
4C057DD03
4C057HH02
4C076AA24
4C076AA93
4C076BB27
4C076CC35
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA03
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA55
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB33
(57)【要約】
本発明は、ウイルス疾患および感染症の処置方法および予防方法であって、解糖および/またはグリコシル化を阻害するヘキソースおよびその類縁体およびそれらのプロドラッグの投与を含む方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルス感染症の処置方法であって、その必要がある患者への、構造式Iの化合物:
またはその薬学的に許容される塩の治療的有効量の投与を含み、
式中、
Xが、OおよびSからなる群より選択され;
R
1、R
2、R
3、およびR
6が、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、およびカルバメートからなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく;
R
4およびR
5が、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、カルバメート、アルキル、ハロアルキル、ペルハロアルキル、-N(R
7)OR
8、-ON(R
9)
2、-N(R
10)N(R
11)
2からなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく、またはR
4およびR
5が、一緒になって、=N-OR
12および=N-N(R
13)
2からなる群より選択され;かつ
R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、およびR
13がそれぞれ、水素およびアルキルからなる群より独立して選択され、ここで該アルキルは置換されていてもよい、
方法。
【請求項2】
化合物が、構造式II:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中、
R
14、R
15、R
16、およびR
17が、水素、COCH
3、COCH
2CH
3、およびCOCH
2CH
2CH
3からなる群より独立して選択され;かつ
R
4およびR
5が、水素、Cl、Br、I、
18F、および
19Fからなる群より独立して選択される、
請求項2記載の方法。
【請求項3】
R
4およびR
5が、水素、
18F、および
19Fからなる群より独立して選択される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
R
14、R
15、R
16、およびR
17が、水素およびCOCH
3からなる群より独立して選択される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
化合物が、構造式IIIもしくは構造式IV:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中、
R
14、R
15、R
16、およびR
17が、水素、COCH
3、COCH
2CH
3、およびCOCH
2CH
2CH
3からなる群より独立して選択され;
R
4およびR
5が、アルキル、低級アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アシル、アルケニル、アルキレン、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキリデン、アルキニル、アミド、カルバモイル、アシルアミノ、カルバメート、O-カルバミル、N-カルバミル、カルボニル、カルボキシ、カルボキシレート、エステル、エーテル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドラジニル、ヒドロキシアルキル、イソシアナト、イソチオシアナト、メルカプチル、ニトロ、オキシ、NH
2、NR
18R
19、およびNHCOR
20からなる群より独立して選択され;
R
18およびR
19が、水素、アルキル、低級アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アシル、アルケニル、アルキレン、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキリデン、アルキニル、アミド、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドラジニル、およびヒドロキシアルキルからなる群より選択され;かつ
R
20が、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アルケニル、アルキレン、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキリデン、アルキニル、アミド、カルバモイル、ハロアルキル、およびヘテロアルキルからなる群より選択される、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
R
14、R
15、R
16、およびR
17が、水素である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
化合物が、構造式V:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中、
R
14、R
15、R
16、およびR
17が、水素、COCH
3、COCH
2CH
3、およびCOCH
2CH
2CH
3からなる群より独立して選択される、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
ウイルス感染症の処置方法であって、その必要がある患者への、実施例1~84、およびその薬学的に許容される塩からなる群より選択される化合物の治療的有効量の投与を含む、方法。
【請求項9】
化合物が、以下の構造式:
およびその薬学的に許容される塩を有する、請求項2記載の方法。
【請求項10】
ウイルス感染症が、HIV-1、インフルエンザウイルス、ラッサウイルス、SARs-CoV-2を含むコロナウイルス、ジカウイルス、デングウイルス、およびエボラウイルスからなる群より選択されるウイルスに起因する、請求項1~9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
ウイルス感染症が、感染細胞上のグリコシル化されたエンベロープタンパク質によって特徴づけられるウイルスに起因する、請求項1~9のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
患者が、COVID-19を有する、請求項1~9のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
患者が、COVID-19の検査を受けて陽性である、請求項1~9のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
患者が、無症状である、請求項1~9のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
ウイルス感染症の処置のための薬学的組成物であって、薬学的に許容される担体を、構造式Iの化合物:
またはその薬学的に許容される塩と共に含み、
式中、
Xが、OおよびSからなる群より選択され;
R
1、R
2、R
3、およびR
6が、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、およびカルバメートからなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく;
R
4およびR
5が、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、カルバメート、アルキル、ハロアルキル、ペルハロアルキル、-N(R
7)OR
8、-ON(R
9)
2、-N(R
10)N(R
11)
2からなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく、またはR
4およびR
5が、一緒になって、=N-OR
12および=N-N(R
13)
2からなる群より選択され;かつ
R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、およびR
13がそれぞれ、水素およびアルキルからなる群より独立して選択され、ここで該アルキルは置換されていてもよい、
薬学的組成物。
【請求項16】
化合物が、構造式II:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中、
R
14、R
15、R
16、およびR
17が、水素、COCH
3、COCH
2CH
3、およびCOCH
2CH
2CH
3からなる群より独立して選択され;かつ
R
4およびR
5が、水素、Cl、Br、I、
18F、および
19Fからなる群より独立して選択される、
請求項15記載の薬学的組成物。
【請求項17】
R
4およびR
5が、水素、
18F、および
19Fからなる群より独立して選択される、請求項16記載の薬学的組成物。
【請求項18】
R
14、R
15、R
16、およびR
17が、水素およびCOCH
3からなる群より独立して選択される、請求項17記載の薬学的組成物。
【請求項19】
化合物が、構造式IIIもしくは構造式IV:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中:
R
14、R
15、R
16、およびR
17が、水素、COCH
3、COCH
2CH
3、およびCOCH
2CH
2CH
3からなる群より独立して選択され;
R
4およびR
5が、アルキル、低級アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アシル、アルケニル、アルキレン、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキリデン、アルキニル、アミド、カルバモイル、アシルアミノ、カルバメート、O-カルバミル、N-カルバミル、カルボニル、カルボキシ、カルボキシレート、エステル、エーテル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドラジニル、ヒドロキシアルキル、イソシアナト、イソチオシアナト、メルカプチル、ニトロ、オキシ、NH
2、NR
18R
19、およびNHCOR
20からなる群より独立して選択され;
R
18およびR
19が、水素、アルキル、低級アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アシル、アルケニル、アルキレン、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキリデン、アルキニル、アミド、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドラジニル、およびヒドロキシアルキルからなる群より選択され;かつ
R
20が、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アルケニル、アルキレン、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキリデン、アルキニル、アミド、カルバモイル、ハロアルキル、およびヘテロアルキルからなる群より選択される、
請求項18記載の薬学的組成物。
【請求項20】
R
14、R
15、R
16、およびR
17が、水素である、請求項19記載の薬学的組成物。
【請求項21】
化合物が、構造式V:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中、
R
14、R
15、R
16、およびR
17が、水素、COCH
3、COCH
2CH
3、およびCOCH
2CH
2CH
3からなる群より独立して選択される、
請求項19記載の薬学的組成物。
【請求項22】
ウイルス感染症の処置のための薬学的組成物であって、薬学的に許容される担体を、実施例1~84およびその薬学的に許容される塩からなる群より選択される化合物と共に含む、薬学的組成物。
【請求項23】
化合物が:
またはその薬学的に許容される塩である、請求項15記載の薬学的組成物。
【請求項24】
ウイルス感染症の予防または処置用薬剤の製造において使用するための化合物であって、構造式I:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中、
Xが、OおよびSからなる群より選択され;
R
1、R
2、R
3、およびR
6が、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、およびカルバメートからなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく;
R
4およびR
5が、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、カルバメート、アルキル、ハロアルキル、ペルハロアルキル、-N(R
7)OR
8、-ON(R
9)
2、-N(R
10)N(R
11)
2からなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく、またはR
4およびR
5が、一緒になって、=N-OR
12および=N-N(R
13)
2からなる群より選択され;かつ
R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、およびR
13がそれぞれ、水素およびアルキルからなる群より独立して選択され、ここで該アルキルは置換されていてもよい、
化合物。
【請求項25】
ウイルス感染症が、HIV-1、インフルエンザウイルス、ラッサウイルス、SARs-CoV-2を含むコロナウイルス、ジカウイルス、デングウイルス、およびエボラウイルスからなる群より選択されるウイルスに起因する、請求項24記載の化合物。
【請求項26】
構造式II:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中、
R
14、R
15、R
16、およびR
17が、水素、COCH
3、COCH
2CH
3、およびCOCH
2CH
2CH
3からなる群より独立して選択され;かつ
R
4およびR
5が、水素、Cl、Br、I、
18F、および
19Fからなる群より独立して選択される、
請求項25記載の化合物。
【請求項27】
R
4およびR
5が、水素、
18F、および
19Fからなる群より独立して選択される、請求項26記載の化合物。
【請求項28】
R
14、R
15、R
16、およびR
17が、水素およびCOCH
3からなる群より独立して選択される、請求項27記載の化合物。
【請求項29】
構造式IIIもしくは構造式IV:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中、
R
14、R
15、R
16、およびR
17が、水素、COCH
3、COCH
2CH
3、およびCOCH
2CH
2CH
3からなる群より独立して選択され;
R
4およびR
5が、アルキル、低級アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アシル、アルケニル、アルキレン、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキリデン、アルキニル、アミド、カルバモイル、アシルアミノ、カルバメート、O-カルバミル、N-カルバミル、カルボニル、カルボキシ、カルボキシレート、エステル、エーテル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドラジニル、ヒドロキシアルキル、イソシアナト、イソチオシアナト、メルカプチル、ニトロ、オキシ、NH
2、NR
18R
19、およびNHCOR
20からなる群より独立して選択され;
R
18およびR
19が、水素、アルキル、低級アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アシル、アルケニル、アルキレン、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキリデン、アルキニル、アミド、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドラジニル、およびヒドロキシアルキルからなる群より選択され;かつ
R
20が、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アルケニル、アルキレン、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキリデン、アルキニル、アミド、カルバモイル、ハロアルキル、およびヘテロアルキルからなる群より選択される、
請求項25記載の化合物。
【請求項30】
R
14、R
15、R
16、およびR
17が、水素である、請求項29記載の化合物。
【請求項31】
構造式V:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
R
14、R
15、R
16、およびR
17が、水素、COCH
3、COCH
2CH
3、およびCOCH
2CH
2CH
3からなる群より独立して選択される、
請求項25記載の化合物。
【請求項32】
ウイルス感染症の予防または処置用薬剤の製造において使用するための化合物であって、実施例1~84、およびその薬学的に許容される塩からなる群より選択される、化合物。
【請求項33】
以下の構造式:
またはその薬学的に許容される塩を有する、請求項25記載のウイルス感染症の予防または処置用薬剤の製造において使用するための化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年3月16日提出の米国特許仮出願第62/990,337号に対する優先権の恩典を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本明細書において開示するのは、ウイルス感染症の処置および予防のための新規方法および薬学的組成物である。ヘキソース単糖およびその類縁体がグルコースおよびマンノース模倣物として作用し、それにより解糖を阻害し、グリコシル化を変更または阻害し、かつウイルス複製および感染を低減し得ることが明らかにされている。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
D-マンノースおよびD-グルコースなどのヘキソース単糖は、重要な生物学的役割を果たす。特に、単糖は、細胞が複製し得るように細胞のエネルギーを産生するために使用され、また、細胞およびウイルスの重要な構造要素であるグリカンの産生においても使用される。
【0004】
グルコースは、ウイルスに感染した細胞が複製に必要なエネルギーをいかに産生するかにおいて重要な役割を果たす。細胞は、酸素存在下または非存在下でエネルギーを産生することができる。細胞は、ATP(アデノシン5'-三リン酸)を効率的に生成するための解糖の比較的効率的なプロセスに依拠することが多い。
【0005】
最近の試験で、ライノウイルス(RV:風邪の原因)は、宿主細胞を同化状態にさせて、ウイルスの急速な複製を解糖に著しく依存させ、次いでグルコースの十分な供給に大きく依存することが判明した。同様に、デングウイルス(DENV)に感染したヒト包皮線維芽細胞の以前の試験により、ウイルス感染中にグルコース消費が増大し、感染細胞から外因性グルコースを奪うことでウイルス複製が低減することが判明した。解糖系の阻害は、ウイルスRNA合成も低減させた。これらの試験は、解糖の阻害が抗ウイルス活性の重要なメカニズムであることを示唆しており、他のウイルスも感染細胞を解糖に依存させると考えられる。
【0006】
グリコシル化は、それによってマンノースなどの糖が複合オリゴ糖を形成し、タンパク質に結合して細胞膜の重要な構成要素である糖タンパク質を形成するプロセスである。ウイルスは宿主細胞の仕組みを利用して、ウイルスエンベロープタンパク質を含むそれら自体のタンパク質をグリコシル化する。露出した糖はグリカンと呼ばれ、基本的に細胞を包んで「糖コーティング」を作製し、グリカンシールドによる免疫回避および免疫細胞感染の増強を含むウイルスのライフサイクルにおいて重要な役割を果たす。
【0007】
多様なヒト病原性ウイルスは大規模にグリコシル化されたエンベロープタンパク質を有する。そのようなウイルスには、HIV-1、インフルエンザウイルス、ラッサウイルス、コロナウイルス、SARS、ジカウイルス、デングウイルス、およびエボラウイルスが含まれる。グリコシル化およびグリカンシールドの形成を阻害することにより、ウイルス感染細胞を免疫系による攻撃に対してより脆弱にすることができよう。
【0008】
2-デオキシ-D-アラビノ-ヘキソピラノースは、2-デオキシ-D-グルコピラノース、2-デオキシ-D-マンノース、および2-デオキシ-Dグルコース(以下、「2-DG」と呼ぶ)としても公知で、グルコースのように見えるがグルコースの根本的機能を行うことができない、いわゆるグルコースデコイである。グルコースデコイとして、2-DGは解糖およびエネルギー産生を阻害することが示されている。2-DGはまた、グルコースがエネルギーにうまく変換されるのを妨げ、それにより宿主細胞が死滅するため、ロトウイルス(「RV」)およびデングウイルス(「DENV」)を著しく削減し、それとともにRVが複製する機会も削減することが判明している。2-DGはインビトロで抗ウイルス活性を有することが示されているが、不良な薬物動態、急速な代謝、および不満足な組織および器官分布を含む、薬物様特性の欠如のため、インビボでの有効な治療方法としては適切でない。
【0009】
現在、世界的なCOVID-19パンデミックは、ウイルス感染症を処置する新規方法を開発することが引き続き必要とされていることを示している。
【発明の概要】
【0010】
いくつかの局面において、本開示は、ウイルス感染症の処置方法および予防方法であって、WP1122などのピラノース単糖のエステルを含む、式Iの化合物の治療的有効量の投与を含む、方法、を提供し、これらは血漿中の2-DGのレベル上昇、ならびに多くのヒト病原性ウイルスが肺機能を破壊し、脳内に局在化して、衰弱や、しばしば致死的な結果をもたらし得るという事実から重要な、肺および脳などの重大な器官へのすぐれた分布を含む、驚くほどすぐれた特性を有する。驚くほどすぐれた血漿レベルおよび組織分布は、インビボで観察された2-DGの抗ウイルス特性を有効に高めることができる。本発明は、いくつかの態様において、ウイルス感染症の新規処置方法および予防方法であって、その必要がある患者に、ヘキソース型単糖およびその類縁体を投与することによる、方法、を提供する。特定の作用メカニズムに限定されることなく、これらの化合物はD-マンノースおよびD-グルコースの模倣物として作用して、ウイルス複製を低減させる二股攻撃を生じ;すなわち感染細胞のエネルギー産生を阻害し、グリコシル化パターンを変更し、所望のN-グリカン形成を阻害すると考えられる。
【0011】
本発明の別の局面において、ウイルス感染症の処置方法および予防方法であって、式Iの化合物:
またはその薬学的に許容される塩の治療的有効量の投与を含む、方法、を提供し、
式中、
Xは、OおよびSからなる群より選択され;
R
1、R
2、R
3、およびR
6は、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、およびカルバメートからなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく;
R
4およびR
5は、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、カルバメート、アルキル、ハロアルキル、ペルハロアルキル、-N(R
7)OR
8、-ON(R
9)
2、-N(R
10)N(R
11)
2からなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく、またはR
4およびR
5は、一緒になって、=N-OR
12および=N-N(R
13)
2からなる群より選択され;かつ
R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、およびR
13はそれぞれ、水素およびアルキルからなる群より独立して選択され、ここで該アルキルは置換されていてもよい。
【0012】
本発明のさらなる局面において、ウイルス感染症の処置であって、式Iの化合物:
またはその薬学的に許容される塩の治療的有効量の投与を含む、処置、において使用するための薬学的組成物を提供し、
式中、
Xは、OおよびSからなる群より選択され;
R
1、R
2、R
3、およびR
6は、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、およびカルバメートからなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく;
R
4およびR
5は、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、カルバメート、アルキル、ハロアルキル、ペルハロアルキル、-N(R
7)OR
8、-ON(R
9)
2、-N(R
10)N(R
11)
2からなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく、またはR
4およびR
5は、一緒になって、=N-OR
12および=N-N(R
13)
2からなる群より選択され;かつ
R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、およびR
13はそれぞれ、水素およびアルキルからなる群より独立して選択され、ここで該アルキルは置換されていてもよい。
【0013】
本発明のさらなる局面において、患者のウイルス感染症の処置および予防用薬剤の製造において使用するための薬学的組成物であって、式Iの化合物:
またはその薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物、を提供し、
式中、
Xは、OおよびSからなる群より選択され;
R
1、R
2、R
3、およびR
6は、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、およびカルバメートからなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく;
R
4およびR
5は、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、カルバメート、アルキル、ハロアルキル、ペルハロアルキル、-N(R
7)OR
8、-ON(R
9)
2、-N(R
10)N(R
11)
2からなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく、またはR
4およびR
5は、一緒になって、=N-OR
12および=N-N(R
13)
2からなる群より選択され;かつ
R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、およびR
13はそれぞれ、水素およびアルキルからなる群より独立して選択され、ここで該アルキルは置換されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下の図面は本明細書の一部をなし、本開示の一定の局面をさらに示すために含まれる。本発明は、これらの図面の1つを、本明細書において提示する特定の態様の詳細な説明と組み合わせて参照することにより、より良く理解されよう。
【
図1】WP1122および2-DGの経口投与後の、血漿中の2-DGのPK(薬物動態)分析を示す。
【
図2】放射標識薬物の静脈内投与後の異なる時点で、ラットの肺中で見られたWP1122および2-DG両方からの、2-DGおよび代謝物のグラフによる比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
予防発明は、その必要がある患者のウイルス感染症の処置方法および予防方法であって、構造式Iを有する化合物:
またはその薬学的に許容される塩の治療的有効量を投与する段階を含む、方法、を提供し、
式中、
Xは、OおよびSからなる群より選択され;
R
1、R
2、R
3、およびR
6は、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、およびカルバメートからなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく;
R
4およびR
5は、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、カルバメート、アルキル、ハロアルキル、ペルハロアルキル、-N(R
7)OR
8、-ON(R
9)
2、-N(R
10)N(R
11)
2からなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく、またはR
4およびR
5は、一緒になって、=N-OR
12および=N-N(R
13)
2からなる群より選択され;かつ
R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、およびR
13はそれぞれ、水素およびアルキルからなる群より独立して選択され、ここで該アルキルは置換されていてもよい。
【0016】
一定の態様において、化合物は、構造式II:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中、
R
14、R
15、R
16、およびR
17は、水素、COCH
3、COCH
2CH
3、およびCOCH
2CH
2CH
3からなる群より独立して選択され;かつ
R
4およびR
5は、水素、Cl、Br、I、
18F、および
19Fからなる群より独立して選択される。
【0017】
さらなる態様において、R4およびR5は、水素、18F、および19Fからなる群より独立して選択される。
【0018】
さらなる態様において、R14、R15、R16、およびR17は、水素およびCOCH3からなる群より独立して選択される。
【0019】
一定の態様において、化合物は、構造式IIIもしくは構造式IV:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中、
R
14、R
15、R
16、およびR
17は、水素、COCH
3、COCH
2CH
3、およびCOCH
2CH
2CH
3からなる群より独立して選択され;
R
4およびR
5は、アルキル、低級アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アシル、アルケニル、アルキレン、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキリデン、アルキニル、アミド、カルバモイル、アシルアミノ、カルバメート、O-カルバミル、N-カルバミル、カルボニル、カルボキシ、カルボキシレート、エステル、エーテル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドラジニル、ヒドロキシアルキル、イソシアナト、イソチオシアナト、メルカプチル、ニトロ、オキシ、NH
2、NR
18R
19、およびNHCOR
20からなる群より独立して選択され;
R
18およびR
19は、水素、アルキル、低級アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アシル、アルケニル、アルキレン、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキリデン、アルキニル、アミド、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドラジニル、およびヒドロキシアルキルからなる群より選択され;かつ
R
20は、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アルケニル、アルキレン、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキリデン、アルキニル、アミド、カルバモイル、ハロアルキル、およびヘテロアルキルからなる群より選択される。
【0020】
さらなる態様において、R14、R15、R16、およびR17は、水素である。
【0021】
一定の態様において、化合物は、構造式V:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中、
R
14、R
15、R
16、およびR
17は、水素、COCH
3、COCH
2CH
3、およびCOCH
2CH
2CH
3からなる群より独立して選択される。
【0022】
一定の態様において、化合物は、実施例1~84からなる群より選択される。
【0023】
一定の態様において、化合物は、以下の構造式:
またはその薬学的に許容される塩を有する。
【0024】
一定の態様において、ウイルス感染症は、HIV-1、インフルエンザウイルス、ラッサウイルス、SARS-CoV-1、SARs-CoV-2を含むコロナウイルス、ジカウイルス、デングウイルス、およびエボラウイルスからなる群より選択されるウイルスに起因するものからなる群より選択される。一定の態様において、ウイルス感染症は、気道のウイルス感染症である。一定の態様において、前記患者はウイルス性肺炎を有する。一定の態様において、ウイルス感染症はSARs-CoV-2に起因する。
【0025】
一定の態様において、患者はCOVID-19を有する。
【0026】
定義
本明細書において用いられる以下の用語は、表示の意味を有する。
【0027】
値の範囲が開示され、「n1 … ~n2」または「n1 … とn2との間」なる表記が使用され、n1およびn2は数字である場合、特に記載がないかぎり、この表記は数字自体およびそれらの間の範囲を含むことが意図される。この範囲は、両端の値の間の整数であっても、または連続的であってもよく、かつ両端の値を含む。例として、「2~6つの炭素」なる範囲は、炭素は整数単位になるため、2、3、4、5、および6つの炭素を含むことが意図される。例として、1μM、3μM、およびその間のすべてを含むことが意図される「1~3μM(マイクロモル濃度)」なる範囲を有効数字の任意の数(例えば、1.255μM、2.1μM、2.9999μMなど)と比較されたい。
【0028】
本明細書において用いられる「約」なる用語は、それが限定する数値を修飾して、そのような値を誤差の範囲内の変数とすることが意図される。データのグラフまたは表に示す平均値に対する標準偏差などの、特定の誤差が挙げられない場合、「約」なる用語は、有効数字を考慮して、列挙された値を含む範囲およびその数字への切り上げまたは切り下げによって含まれる範囲も意味することが理解されるべきである。
【0029】
本明細書において用いられる「アシル」なる用語は、単独または組み合わせで、カルボニルに結合された原子が炭素である、アルケニル、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、複素環、または任意の他の部分に結合されたカルボニルを指す。「アセチル」基は、-C(O)CH3基を指す。「アルキルカルボニル」または「アルカノイル」基は、親分子部分にカルボニル基を通じて結合されたアルキル基を指す。そのような基の例には、メチルカルボニルおよびエチルカルボニルが含まれる。アシル基の例には、ホルミル、アルカノイルおよびアロイルが含まれる。好ましくは、「アシル」は低級アシルであり、すなわちカルボニルが低級アルキル基に結合されている。
【0030】
本明細書において用いられる「アルケニル」なる用語は、単独または組み合わせで、1つまたは複数の二重結合を有し、2~20の炭素原子を含む、直鎖または分枝鎖炭化水素ラジカルを指す。一定の態様において、前記アルケニルは、2~6つの炭素原子を含む。「アルケニレン」なる用語は、エテニレン[(-CH=CH-)、(-C::C-)]などの2つ以上の位置で結合された炭素-炭素二重結合系を指す。適切なアルケニルラジカルの例には、エテニル、プロペニル、2-メチルプロペニル、1,4-ブタンジエニルなどが含まれる。特に記載がないかぎり、「アルケニル」なる用語は「アルケニレン」基を含み得る。
【0031】
本明細書において用いられる「アルコキシ」なる用語は、単独または組み合わせで、アルキルエーテルラジカルを指し、ここでアルキルなる用語は以下に定義する通りである。適切なアルキルエーテルラジカルの例には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシなどが含まれる。
【0032】
本明細書において用いられる「アルキル」なる用語は、単独または組み合わせで、1~20の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖アルキルラジカルを指す。一定の態様において、前記アルキルは、1~10の炭素原子を含む。さらなる態様において、前記アルキルは1~6つの炭素原子を含む。さらなる態様において、前記アルキルは1~3つの炭素原子を含む。アルキル基は本明細書の定義のとおり置換されていてもよい。アルキルラジカルの例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソ-アミル、ヘキシル、オクチル、ノニルなどが含まれる。本明細書において用いられる「アルキレン」なる用語は、単独または組み合わせで、メチレン(-CH2-)などの、2つ以上の位置で結合された直鎖または分枝鎖飽和炭化水素由来の飽和脂肪族基を指す。特に記載がないかぎり、「アルキル」なる用語は「アルキレン」基を含み得る。
【0033】
本明細書において用いられる「アルキルアミノ」なる用語は、単独または組み合わせで、親分子部分にアミノ基を通じて結合されたアルキル基を指す。適切なアルキルアミノ基は、モノまたはジアルキル化されて、例えば、N-メチルアミノ、N-エチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-エチルメチルアミノなどの基を形成してもよい。
【0034】
本明細書において用いられる「アルキリデン」なる用語は、単独または組み合わせで、炭素-炭素二重結合の1つの炭素原子がアルケニル基が結合された部分に属する、アルケニル基を指す。
【0035】
本明細書において用いられる「アルキルチオ」なる用語は、単独または組み合わせで、アルキルチオエーテル(R-S-)ラジカルを指し、ここでアルキルなる用語は前述の定義のとおりであり、かつここで硫黄は一重または二重酸化されていてもよい。適切なアルキルチオエーテルラジカルの例には、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソ-ブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、メタンスルホニル、エタンスルフィニルなどが含まれる。
【0036】
本明細書において用いられる「アルキニル」なる用語は、単独または組み合わせで、1つまたは複数の三重結合を有し、2~20の炭素原子を含む、直鎖または分枝鎖炭化水素ラジカルを指す。一定の態様において、前記アルキニルは、2~6つの炭素原子を含む。さらなる態様において、前記アルキニルは、2~4つの炭素原子を含む。「アルキニレン」なる用語は、エチニレン(-C:::C-、-C≡C-)などの2つの位置で結合された炭素-炭素三重結合を指す。アルキニルラジカルの例には、エチニル、プロピニル、ヒドロキシプロピニル、ブチン-1-イル、ブチン-2-イル、ペンチン-1-イル、3-メチルブチン-1-イル、ヘキシン-2-イルなどが含まれる。特に記載がないかぎり、「アルキニル」なる用語は「アルキニレン」基を含み得る。
【0037】
本明細書において用いられる「アミド」および「カルバモイル」なる用語は、単独または組み合わせで、親分子部分にカルボニル基を通じて結合された、以下に記載するアミノ基、またはその逆を指す。本明細書において用いられる「C-アミド」なる用語は、単独または組み合わせで、-C(O)N(RR')基を指し、RおよびR'は本明細書の定義のとおり、または指定の具体的に列挙する「R」によって定義するとおりである。本明細書において用いられる「N-アミド」なる用語は、単独または組み合わせで、RC(O)N(R')-基を指し、RおよびR'は本明細書の定義のとおり、または指定の具体的に列挙する「R」によって定義するとおりである。本明細書において用いられる「アシルアミノ」なる用語は、単独または組み合わせで、親部分にアミノ基を通じて結合されたアシル基を含む。「アシルアミノ」基の例は、アセチルアミノ(CH3C(O)NH-)である。
【0038】
本明細書において用いられる「アミノ」なる用語は、単独または組み合わせで、-NRR'を指し、ここでRおよびR'は水素、アルキル、アシル、ヘテロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルからなる群より独立して選択され、これらはいずれもそれら自体が置換されていてもよい。加えて、RおよびR'は一緒になってヘテロシクロアルキルを形成してもよく、これらはいずれも置換されていてもよい。
【0039】
本明細書において用いられる「アリール」なる用語は、単独または組み合わせで、1、2または3つの環を含む炭素環式芳香族系を意味し、ここでそのような多環式環系は一緒に縮合している。「アリール」なる用語は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、およびフェナントリルなどの、芳香族基を含む。
【0040】
本明細書において用いられる「アリールアルケニル」または「アラルケニル」なる用語は、単独または組み合わせで、親分子部分にアルケニル基を通じて結合されたアリール基を指す。
【0041】
本明細書において用いられる「アリールアルコキシ」または「アラルコキシ」なる用語は、単独または組み合わせで、親分子部分にアルコキシ基を通じて結合されたアリール基を指す。
【0042】
本明細書において用いられる「アリールアルキル」または「アラルキル」なる用語は、単独または組み合わせで、親分子部分にアルキル基を通じて結合されたアリール基を指す。
【0043】
本明細書において用いられる「アリールアルキニル」または「アラルキニル」なる用語は、単独または組み合わせで、親分子部分にアルキニル基を通じて結合されたアリール基を指す。
【0044】
本明細書において用いられる「アリールアルカノイル」または「アラルカノイル」または「アロイル」なる用語は、単独または組み合わせで、ベンゾイル、ナプトイル、フェニルアセチル、3-フェニルプロピオニル(ヒドロシンナモイル)、4-フェニルブチリル、(2-ナフチル)アセチル、4-クロロヒドロシンナモイルなどの、アリール置換アルケニル環カルボン酸由来のアシルラジカルを指す。
【0045】
本明細書において用いられるアリールオキシなる用語は、単独または組み合わせで、親分子部分にオキシを通じて結合されたアリール基を指す。
【0046】
本明細書において用いられる「ベンゾ」および「ベンズ」なる用語は、単独または組み合わせで、ベンゼン由来の二価ラジカルC6H4=を指す。例にはベンゾチオフェンおよびベンズイミダゾールが含まれる。
【0047】
本明細書において用いられる「カルバメート」なる用語は、単独または組み合わせで、親分子部分に窒素または酸末端のいずれかから結合されてもよく、かつ本明細書の定義のとおり置換されていてもよい、カルバミン酸(-NHCOO-)のエステルを指す。
【0048】
本明細書において用いられる「O-カルバミル」なる用語は、単独または組み合わせで、-OC(O)NRR'基を指し、RおよびR'は本明細書の定義のとおりである。
【0049】
本明細書において用いられる「N-カルバミル」なる用語は、単独または組み合わせで、ROC(O)NR'基を指し、RおよびR'は本明細書の定義のとおりである。
【0050】
本明細書において用いられる「カルボニル」なる用語は、単独の場合はホルミル[-C(O)H]を含み、組み合わせでは-C(O)-基である。
【0051】
本明細書において用いられる「カルボキシル」または「カルボキシ」なる用語は、-C(O)OHまたはカルボン酸塩におけるなどの対応する「カルボキシレート」アニオンを指す。「O-カルボキシ」基は、RC(O)O-基を指し、ここでRは本明細書の定義のとおりである。「C-カルボキシ」基は、-C(O)OR基を指し、ここでRは本明細書の定義のとおりである。
【0052】
本明細書において用いられる「シアノ」なる用語は、単独または組み合わせで、-CNを指す。
【0053】
本明細書において用いられる「シクロアルキル」または「炭素環」なる用語は、単独または組み合わせで、各環状部分が3~12の炭素原子環構成員を含み、かつ本明細書の定義のとおり置換されていてもよいベンゾ縮合環系であってもよい、飽和または部分飽和単環式、二環式または三環式アルキル基を指す。一定の態様において、前記シクロアルキルは5~7つの炭素原子を含む。そのようなシクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナプチル、インダニル、オクタヒドロナフチル、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル、アダマンチルなどが含まれる。本明細書において用いられる「二環式」および「三環式」は、デカヒドロナフタレン、オクタヒドロナフタレンなどの縮合環系、ならびに多環式(多中心)飽和または部分不飽和型の両方を含むことが意図される。後者の型の異性体の例は一般に、ビシクロ[1,1,1]ペンタン、カンファー、アダマンタン、およびビシクロ[3,2,1]オクタンである。
【0054】
本明細書において用いられる「エステル」なる用語は、単独または組み合わせで、炭素原子で連結された2つの部分を架橋するカルボキシ基を指す。
【0055】
本明細書において用いられる「エーテル」なる用語は、単独または組み合わせで、炭素原子で連結された2つの部分を架橋するオキシ基を指す。
【0056】
本明細書において用いられる「ハロ」または「ハロゲン」なる用語は、単独または組み合わせで、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を指す。
【0057】
本明細書において用いられる「ハロアルコキシ」なる用語は、単独または組み合わせで、親分子部分に酸素原子を通じて結合されたハロアルキル基を指す。
【0058】
本明細書において用いられる「ハロアルキル」なる用語は、単独または組み合わせで、1つまたは複数の水素がハロゲンで置き換えられている、前述の定義の意味を有するアルキルラジカルを指す。特に含まれるのは、モノハロアルキル、ジハロアルキルおよびポリハロアルキルラジカルである。一例として、モノハロアルキルラジカルはラジカル内にヨード、ブロモ、クロロまたはフルオロ原子を有してもよい。ジハロおよびポリハロアルキルラジカルは2つ以上の同じハロ原子または異なるハロラジカルの組み合わせを有してもよい。ハロアルキルラジカルの例には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチルおよびジクロロプロピルが含まれる。「ハロアルキレン」は、2つ以上の位置で結合されたハロアルキル基を指す。例にはフルオロメチレン(-CFH-)、ジフルオロメチレン(-CF2-)、クロロメチレン(-CHCl-)などが含まれる。
【0059】
本明細書において用いられる「ヘテロアルキル」なる用語は、単独または組み合わせで、表示の数の炭素原子とO、N、およびSからなる群より選択される1~3つのヘテロ原子からなり、ここで窒素および硫黄原子は酸化されていてもよく、かつ窒素ヘテロ原子は四級化されていてもよい、完全飽和または1~3の不飽和度を含む、安定な直鎖もしくは分枝鎖、または環式炭化水素ラジカル、あるいはその組み合わせを指す。ヘテロ原子O、NおよびSは、ヘテロアルキル基のいかなる内部の位置に配置されてもよい。例えば、-CH2-NH-OCH3などの、2つまでのヘテロ原子は連続してもよい。
【0060】
本明細書において用いられる「ヘテロアリール」なる用語は、単独または組み合わせで、O、S、およびNからなる群より選択される少なくとも1つの原子を含み、縮合環の少なくとも1つが芳香族である、3~15員不飽和複素単環式環、または縮合単環式、二環式、もしくは三環式環系を指す。一定の態様において、前記ヘテロアリールは、5~7つの炭素原子を含む。この用語は、複素環がアリール環と縮合している、ヘテロアリール環が他のヘテロアリール環と縮合している、ヘテロアリール環がヘテロシクロアルキル環と縮合している、またはヘテロアリール環がシクロアルキル環と縮合している、縮合多環式基も含む。ヘテロアリール基の例には、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、ピラニル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾピラニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾロピリダジニル、テトラヒドロイソキノリニル、チエノピリジニル、フロピリジニル、ピロロピリジニルなどが含まれる。例示的三環式複素環基には、カルバゾリル、ベンジドリル(benzidolyl)、フェナントロリニル、ジベンゾフラニル、アクリジニル、フェナントリジニル、キサンテニルなどが含まれる。
【0061】
本明細書において用いられる「ヘテロシクロアルキル」および、互換的に、「複素環」なる用語は、単独または組み合わせで、それぞれ、環構成員として少なくとも1つのへテロ原子を含み、該へテロ原子はそれぞれ窒素、酸素、および硫黄からなる群より独立して選択され得る、飽和、部分不飽和、または完全不飽和の単環式、二環式、または三環式複素環式基を指す。一定の態様において、前記ヘテロシクロアルキルは、環構成員として1~4つのヘテロ原子を含む。さらなる態様において、前記ヘテロシクロアルキルは、環構成員として1~2つのヘテロ原子を含む。一定の態様において、前記ヘテロシクロアルキルは、各環に3~8つの環構成員を含む。さらなる態様において、前記ヘテロシクロアルキルは、各環に3~7つの環構成員を含む。さらなる態様において、前記ヘテロシクロアルキルは、各環に5~6つの環構成員を含む。「ヘテロシクロアルキル」および「複素環」は、スルホン、スルホキシド、3級窒素環構成員のN-オキシド、ならびに炭素環式縮合およびベンゾ縮合環系を含むことが意図され;加えて、両方の用語は、複素環式環が、本明細書の定義のアリール基、またはさらなる複素環基に縮合している系も含む。複素環基の例には、アジリジニル、アゼチジニル、1,3-ベンゾジオキソリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロイソキノリニル、ジヒドロシンノリニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[4,5-b]ピリジニル、ベンゾチアゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロピリジニル、1,3-ジオキサニル、1,4-ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、イソインドリニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル、テトラヒドロピリジニル、ピペリジニル、チオモルホリニルなどが含まれる。複素環基は、特に禁止されない限り、置換されていてもよい。
【0062】
本明細書において用いられる「ヒドラジニル」なる用語は、単独または組み合わせで、単結合で連結された2つのアミノ基、すなわち-N-N-を指す。
【0063】
本明細書において用いられる「ヒドロキシ」なる用語は、単独または組み合わせで、-OHを指す。
【0064】
本明細書において用いられる「ヒドロキシアルキル」なる用語は、単独または組み合わせで、親分子部分にアルキル基を通じて結合されたヒドロキシ基を指す。
【0065】
本明細書において用いられる「イミノ」なる用語は、単独または組み合わせで、=N-を指す。
【0066】
本明細書において用いられる「イミノヒドロキシ」なる用語は、単独または組み合わせで、=N(OH)および=N-O-を指す。
【0067】
「主鎖中」なる句は、ある基の本明細書において開示する式の任意の1つの化合物への結合点で始まる最長の隣接または近接する炭素原子鎖を指す。
【0068】
「イソシアナト」なる用語は、-NCO基を指す。
【0069】
「イソチオシアナト」なる用語は、-NCS基を指す。
【0070】
「線状原子鎖」なる句は、炭素、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される原子の最長の直鎖を指す。
【0071】
本明細書において用いられる「低級」なる用語は、単独または組み合わせで、特に記載がないかぎり、1~6つ(6つを含む)の炭素原子を含むことを意味する。好ましくは、「低級」なる用語は、アルキル部分を記載する場合、1~3つの炭素原子を指す。
【0072】
本明細書において用いられる「低級アリール」なる用語は、単独または組み合わせで、フェニルまたはナフチルを意味し、これらはいずれも規定のとおり置換されていてもよい。
【0073】
本明細書において用いられる「低級ヘテロアリール」なる用語は、単独または組み合わせで、1)5または6つの環構成員を含む単環式ヘテロアリールであって、その1~4つの間の該構成員はO、S、およびNからなる群より選択されるヘテロ原子であってもよいヘテロアリール、または2)二環式ヘテロアリールであって、縮合環はそれぞれ5または6つの環構成員を含み、それらの間にO、S、およびNからなる群より選択される1~4つのヘテロ原子を含む、ヘテロアリールのいずれかを意味する。
【0074】
本明細書において用いられる「低級シクロアルキル」なる用語は、単独または組み合わせで、3~6つの間の環構成員を有する、単環式シクロアルキルを意味する。低級シクロアルキルは不飽和であってもよい。低級シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが含まれる。
【0075】
本明細書において用いられる「低級ヘテロシクロアルキル」なる用語は、単独または組み合わせで、3~6つの間の環構成員を有し、その1~4つはO、S、およびNからなる群より選択されるヘテロ原子であってもよい、単環式ヘテロシクロアルキルを意味する。低級ヘテロシクロアルキルの例には、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、およびモルホリニルが含まれる。低級ヘテロシクロアルキルは不飽和であってもよい。
【0076】
本明細書において用いられる「低級アミノ」なる用語は、単独または組み合わせで、-NRR'を指し、ここでRおよびR'は水素、低級アルキル、および低級ヘテロアルキルからなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよい。加えて、低級アミノ基のRおよびR'は一緒になって5または6員ヘテロシクロアルキルを形成してもよく、これらはいずれも置換されていてもよい。
【0077】
本明細書において用いられる「メルカプチル」なる用語は、単独または組み合わせで、RS-基を指し、ここでRは本明細書の定義のとおりである。
【0078】
本明細書において用いられる「ニトロ」なる用語は、単独または組み合わせで、-NO2を指す。
【0079】
本明細書において用いられる「オキシ」または「オキサ」なる用語は、単独または組み合わせで、-O-を指す。
【0080】
本明細書において用いられる「オキソ」なる用語は、単独または組み合わせで、=Oを指す。
【0081】
本明細書において用いられる「ペルハロアルコキシ」なる用語は、すべての水素原子がハロゲン原子で置き換えられているアルコキシ基を指す。
【0082】
本明細書において用いられる「ペルハロアルキル」なる用語は、単独または組み合わせで、すべての水素原子がハロゲン原子で置き換えられているアルキル基を指す。
【0083】
本明細書において用いられる「スルホネート」、「スルホン酸」、および「スルホニック」なる用語は、単独または組み合わせで、-SO3H基およびスルホン酸が塩形成で使用される場合そのアニオンを指す。
【0084】
本明細書において用いられる「スルファニル」なる用語は、単独または組み合わせで、-S-を指す。
【0085】
本明細書において用いられる「スルフィニル」なる用語は、単独または組み合わせで、-S(O)-を指す。
【0086】
本明細書において用いられる「スルホニル」なる用語は、単独または組み合わせで、-S(O)2-を指す。
【0087】
「N-スルホンアミド」なる用語は、RS(=O)2NR'-基を指し、RおよびR'は本明細書の定義のとおりである。
【0088】
「S-スルホンアミド」なる用語は、-S(=O)2NRR'基を指し、RおよびR'は本明細書の定義のとおりである。
【0089】
本明細書において用いられる「チア」および「チオ」なる用語は、単独または組み合わせで、-S-基または酸素が硫黄で置き換えられているエーテルを指す。チオ基の酸化誘導体、すなわちスルフィニルおよびスルホニルは、チアおよびチオの定義に含まれる。
【0090】
本明細書において用いられる「チオール」なる用語は、単独または組み合わせで、-SH基を指す。
【0091】
本明細書において用いられる「チオカルボニル」なる用語は、単独ではチオホルミル-C(S)Hを含み、組合せでは-C(S)-基である。
【0092】
「N-チオカルバミル」なる用語は、ROC(S)NR'-基を指し、RおよびR'は本明細書の定義のとおりである。
【0093】
「O-チオカルバミル」なる用語は、-OC(S)NRR'基を指し、RおよびR'は本明細書の定義のとおりである。
【0094】
「チオシアナト」なる用語は、-CNS基を指す。
【0095】
「トリハロメタンスルホンアミド」なる用語は、X3CS(O)2NR-基を指し、Xはハロゲンであり、Rは本明細書の定義のとおりである。
【0096】
「トリハロメタンスルホニル」なる用語は、X3CS(O)2-基を指し、Xはハロゲンである。
【0097】
「トリハロメトキシ」なる用語は、X3CO-基を指し、Xはハロゲンである。
【0098】
本明細書において用いられる「三置換シリル」なる用語は、単独または組み合わせで、その3つの自由原子価の位置で、本明細書において置換アミノの定義下で挙げられる基で置換されたシリコーン基を指す。例には、トリメチシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリルなどが含まれる。
【0099】
本明細書におけるいかなる定義も、任意の他の定義と組み合わせて、複合構造基を記載するために使用してもよい。慣習により、任意のそのような定義の後端の要素は、親部分に結合する要素である。例えば、複合基であるアルキルアミドは、親分子にアミド基を通じて結合されたアルキル基を意味し、アルコキシアルキルなる用語は、親分子にアルキル基を通じて結合されたアルコキシ基を意味する。
【0100】
基が「存在しない」と定義される場合、前記基が不在であることを意味する。
【0101】
「置換されていてもよい」なる用語は、先行基が置換されていても、置換されていなくてもよいことを意味する。置換されている場合、「置換されていてもよい」基の置換基には、限定はされないが、以下の基または特定の指定された基の組から、単独または組み合わせで独立して選択される1つまたは複数の置換基が含まれ得る:低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルカノイル、低級へテロアルキル、低級ヘテロシクロアルキル、低級ハロアルキル、低級ハロアルケニル、低級ハロアルキニル、低級ペルハロアルキル、低級ペルハロアルコキシ、低級シクロアルキル、フェニル、アリール、アリールオキシ、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、オキソ、低級アシルオキシ、カルボニル、カルボキシル、低級アルキルカルボニル、低級カルボキシエステル、低級カルボキサミド、シアノ、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、アリールアミノ、アミド、ニトロ、チオール、低級アルキルチオ、低級ハロアルキルチオ、低級ペルハロアルキルチオ、アリールチオ、スルホネート、スルホン酸、三置換シリル、N3、SH、SCH3、C(O)CH3、CO2CH3、CO2H、ピリジニル、チオフェン、フラニル、低級カルバメート、および低級尿素。2つの置換基を一緒に連結して、縮合5、6、または7員の炭素環式環または、例えば、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシを形成する0~3つのへテロ原子からなる複素環式環を形成してもよい。置換されていてもよい基は、非置換(例えば、-CH2CH3)、完全置換(例えば、-CF2CF3)、一置換(例えば、-CH2CH2F)、または完全置換と一置換との間の任意のレベル(例えば、-CH2CF3)で置換されていてもよい。置換基が置換に関する限定なしに列挙される場合、置換形態および非置換形態の両方が含まれる。置換基が「置換された」と限定される場合、置換形態が特に意図される。加えて、必要に応じて、特定の部分に対して任意の置換基の異なる組を定義してもよく;これらの場合、任意の置換は、しばしば「~で置換されていてもよい」なる句の直後に定義される通りである。
【0102】
それ自体かつ数の指定なしで現れる用語Rまたは用語R'は、特に記載がないかぎり、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルからなる群から選択される部分を指し、それらはいずれも置換されていてもよい。そのようなRおよびR'基は、本明細書の定義のとおり置換されていてもよいと理解されるべきである。R基が数の指定を有するか否かにかかわらず、R、R'およびn=(1、2、3、・・・n)であるRnを含むあらゆるR基、あらゆる置換基、ならびにあらゆる用語は、群からの選択に関して互いに独立であると理解されるべきである。任意の変数、置換基、または用語(例えば、アリール、複素環、Rなど)は、式または一般構造中で複数回出現し、各出現時のその定義はあらゆる他の出現時の定義から独立であるものとする。当業者であれば、一定の基が親分子に結合され得るか、または記載されるとおりのいずれかの末端から元素鎖における位置を占め得ることをさらに理解するであろう。したがって、単なる例として、-C(O)N(R)-などの非対称基は親部分に、炭素または窒素のいずれかで結合されてもよい。
【0103】
本開示の化合物中には不斉中心が存在する。これらの中心は、キラル炭素原子の周りの置換基の立体配置に応じて記号「R」または「S」によって明示される。本発明は、ジアステレオマー、エナンチオマー、およびエピマー型、ならびにd-異性体およびl-異性体、およびその混合物を含む、すべての立体化学的異性型を含むと理解されるべきである。化合物の個々の立体異性体は、キラル中心を含む市販の出発原料から合成的に、あるいはエナンチオマー生成物の混合物の調製と、その後のジアステレオマー混合物への変換と続く分離もしくは再結晶、クロマトグラフィー技術、キラルクロマトグラフィーカラムでのエナンチオマーの直接分離、または当技術分野において公知の任意の他の適切な方法などの分離によって調製することができる。特定の立体化学の出発化合物は、市販されているか、または当技術分野において公知の技術によって作製し、分割することができる。加えて、本明細書において開示する化合物は、幾何異性体として存在してもよい。本発明は、シス、トランス、シン、アンチ、反対側(E)、および同側(Z)異性体、ならびにその適切な混合物のすべてを含む。加えて、化合物は、互変異性体として存在してもよく;すべての互変異性体は本発明によって提供される。加えて、本明細書において開示する化合物は、非溶媒和型ならびに水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒による溶媒和型で存在し得る。一般に、溶媒和型は非溶媒和型と等価であると考えられる。
【0104】
「結合」なる用語は、2つの原子間の、または結合によって連結される原子がより大きい下位構造の一部と考えられる場合は2つの部分間の共有結合を指す。結合は、特に記載がないかぎり、単結合、二重結合、または三重結合であってもよい。分子図形における2つの原子間の破線は、その位置にさらなる結合が存在しても、またはしなくてもよいことを示す。
【0105】
本明細書において用いられる「疾患」なる用語は、一般には「障害」、「症候群」、および「状態」(医学的状態)なる用語と同義であることが意図され、これらはすべて、正常な機能を損ない、典型的には徴候および症状を識別することにより顕在化し、かつヒトまたは動物の寿命の短縮または生活の質の低下を引き起こす、ヒトまたは動物の身体またはその部分の1つの異常な状態を反映するため、これらと交換可能に使用される。
【0106】
「併用療法」なる用語は、本開示に記載の治療的状態または障害を処置するために2つ以上の治療剤を投与することを意味する。そのような投与は、これらの治療剤を実質的に同時様式で、例えば、固定された活性成分比を有する単一カプセルで、または各活性成分用の複数の別個のカプセルで同時投与することを含む。加えて、そのような投与は、それぞれの種類の治療剤を逐次様式で使用することを含む。いずれの場合でも、処置計画は、本明細書に記載の状態または障害を処置する上で薬物併用の有益な効果を提供する。
【0107】
「解糖阻害剤」は、本明細書において、解糖活性を示し、エネルギー産生を阻害する化合物を指すために使用する。
【0108】
「治療的に有効」なる句は、疾患もしくは障害を処置する際に、または臨床エンドポイントをもたらす上で使用する活性成分の量を限定することが意図される。
【0109】
「治療上許容される」なる句は、過度の毒性、刺激、およびアレルギー反応なしに患者の組織と接触させて使用するのに適し、妥当な損益比と釣り合い、かつそれらの所期の使用に対して有効である化合物(または、塩、プロドラッグ、互変異性体、対イオン型など)を指す。
【0110】
本明細書において用いられる場合、患者の「処置」に対する言及は、予防を含むことが意図される。処置は本質的に予防的であってもよく、すなわち、疾患の予防を含んでもよい。疾患の予防は、例えば、ウイルスによる感染の予防の場合のように、疾患からの完全な保護を含んでもよく、または疾患進行の予防を含んでもよい。例えば、疾患の予防は、任意のレベルの疾患に関連する任意の影響の完全な除外を意味しなくてもよく、代わりに疾患の症状を臨床的に有意または検出可能なレベルに予防することを意味してもよい。疾患の予防は、疾患後期への疾患進行の予防も意味し得る。
【0111】
「患者」なる用語は一般には「対象」なる用語と同義で、ヒトを含むすべての哺乳動物を含む。患者の例には、ヒト、家畜、例えばウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、およびウサギ、ならびにコンパニオン動物、例えばイヌ、ネコ、ウサギ、およびウマが含まれる。好ましくは、患者はヒトである。
【0112】
「プロドラッグ」なる用語は、インビボでより活性になる化合物を指す。本明細書において開示する一定の化合物は、Hydrolysis in Drug and Prodrug Metabolism: Chemistry,Biochemistry,and Enzymology (Testa,Bernard and Mayer, Joachim M. Wiley-VHCA, Zurich, Switzerland 2003)に記載のとおり、プロドラッグとして存在してもよい。本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学変化を起こして化合物を提供する、化合物の構造的に修飾された形態である。加えて、プロドラッグは、エクスビボ環境において化学的または生化学的方法で化合物に変換され得る。例えば、プロドラッグは、経皮パッチ貯蔵器中に適切な酵素または化学試薬と共に配置されると、化合物にゆっくり変換され得る。プロドラッグは、いくつかの状況において、化合物または親薬物よりも投与するのが容易であり得るため、有用であることが多い。プロドラッグは、例えば、経口投与によって生体利用可能である一方で、親薬物はそうではないこともある。プロドラッグは、薬学的組成物中で、親薬物よりも改善された溶解性を有することもある。プロドラッグの加水分解または酸化活性化に頼るものなどの、多様なプロドラッグ誘導体が当技術分野において公知である。プロドラッグの一例は、限定されないが、エステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、次いで代謝的に加水分解されてカルボン酸および活性実体となる化合物である。さらなる例には、化合物のペプチジル誘導体が含まれる。
【0113】
本明細書において開示する化合物は、治療上許容される塩として存在し得る。本発明は、酸付加塩を含む塩の形態の上に挙げた化合物を含む。適切な塩には、有機および無機酸の両方と形成される塩も含まれる。そのような酸付加塩は、通常は、薬学的に許容される。しかし、薬学的に許容されない塩も、対象となる化合物を調製および精製する上で有用であり得る。塩基付加塩も形成され、薬学的に許容され得る。塩の調製および選択に関するより完全な考察については、Pharmaceutical Salts: Properties,Selection,and Use (Stahl,P. Heinrich. Wiley-VCHA, Zurich, Switzerland, 2002を参照されたい。
【0114】
本明細書において用いられる「治療上許容される塩」なる用語は、水溶性もしくは油溶性または分散性であり、かつ本明細書の定義のとおり治療上許容される、本明細書において開示する化合物の塩または双性イオン形態を表す。塩は、化合物の最終の単離および精製中に、または別に、遊離塩基の形態の適切な化合物を適切な酸と反応させることによって調製することができる。代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、L-アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、硫酸水素塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、ジグルコン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、ゲンチシン酸塩、グルタル酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イセチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、DL-マンデル酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ホスホン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ピログルタミン酸塩、コハク酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、L-酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、炭酸水素塩、p-トルエンスルホン酸塩(p-トシル酸塩)、およびウンデカン酸塩が含まれる。また、本明細書において開示する化合物中の塩基性基は、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピルおよびブチル;硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチル、およびジアミル;塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチル、およびステリル;ならびに臭化ベンジルおよびフェネチルで4級化することもできる。治療上許容される付加塩を形成するのに用い得る酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、およびリン酸などの無機酸、ならびにシュウ酸、マレイン酸、コハク酸、およびクエン酸などの有機酸が含まれる。塩は、化合物にアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオンを配位させることによって形成することもできる。したがって、本発明は、本明細書において開示する化合物のナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウム塩などを企図する。
【0115】
塩基付加塩は、化合物の最終の単離および精製中に、カルボキシ基を、金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、もしくは炭酸水素塩などの適切な塩基と、あるいはアンモニアまたは有機1級、2級、もしくは3級アミンと反応させることによって調製することができる。治療上許容される塩のカチオンには、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム、ならびにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムなどの非毒性4級アミンカチオン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N-ジベンジルフェネチルアミン、1-エフェナミン、およびN,N'-ジベンジルエチレンジアミンが含まれる。塩基付加塩を形成するのに有用な他の代表的有機アミンには、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、およびピペラジンが含まれる。
【0116】
化合物の塩は、遊離塩基の形態の適切な化合物を適切な酸と反応させることによって調製することができる。
【0117】
本発明の化合物をそのままの化学物質として投与することも可能であるが、それらを薬学的製剤として提供することもできる。したがって、本明細書において、1つもしくは複数の本明細書において開示する一定の化合物、または1つもしくは複数のその薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、アミド、もしくは溶媒和物を、1つまたは複数のその薬学的に許容される担体および任意に1つまたは複数の他の治療用成分と共に含む薬学的製剤を提供する。担体は、製剤の他の成分と適合性であり、かつその受容者に対して有害でないという意味において、「許容され」なければならない。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。当技術分野、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciencesにおいて適切とされ、かつ理解されている、任意の周知の技術、担体、および賦形剤を使用してもよい。本明細書において開示する薬学的組成物は、当技術分野において公知の任意の様式で、例えば、通常の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、湿式篩、乳化、カプセル化、封入、または圧縮処理の手段によって製造してもよい。
【0118】
製剤には、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内、関節内、および髄内を含む)、腹腔内、経粘膜、経皮、直腸および局所(皮膚、頬側、舌下、および眼内を含む)投与に適したものが含まれるが、最も適切な経路は、例えば、受容者の状態および障害に依存し得る。製剤は、好都合には単位剤形で提供され、製薬の技術分野において周知の任意の方法で調製してもよい。典型的には、これらの方法は、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステル、アミド、プロドラッグもしくは溶媒和物(「活性成分」)を1つまたは複数の補助成分を構成する担体と合わせる段階を含む。一般に、製剤は、活性成分を液体担体もしくは微粉固体担体、またはその両方と均一かつ緊密に合わせ、次いで必要な場合は、生成物を所望の製剤に成形することによって調製する。
【0119】
経口投与に適した、本明細書において開示する化合物の製剤は、それぞれ所定量の活性成分を、粉末もしくは顆粒として;水性液もしくは非水性液中の溶液もしくは懸濁液として;または水中油型乳液もしくは油中水型乳液として含有する、カプセル剤、カシェ剤または錠剤などの別々の単位として提供してもよい。活性成分は、ボーラス剤、舐剤またはペーストとして提供してもよい。
【0120】
経口で使用し得る薬学的調製物には、錠剤、ゼラチン製の押嵌式カプセル剤、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤から作られる密閉軟カプセル剤が含まれる。錠剤は、任意に1つまたは複数の補助成分と共に、圧縮または成形によって作製してもよい。圧縮錠剤は、適切な機械中で、粉末または顆粒などの流動製形態の活性成分を、任意に結合剤、不活性希釈剤、または滑沢剤、界面活性もしくは分散剤と混合して、圧縮することにより調製してもよい。成形錠剤は、適切な機械中で、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を成形することにより作製してもよい。錠剤は、任意に、コーティングするか、または割線を入れてもよく、かつその中の活性成分の徐放または制御放出を提供するように製剤してもよい。経口投与のためのすべての製剤は、そのような投与に適した用量であるべきである。押嵌式カプセル剤は、活性成分を、乳糖などの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ならびに任意に安定剤との混合物で含有することができる。軟カプセル剤では、活性化合物を、脂肪油、流動パラフィン、または液状ポリエチレングリコールなどの適切な液体中に溶解または懸濁してもよい。加えて、安定剤を添加してもよい。糖衣錠の核は、適切にコーティングして提供される。この目的のために、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を任意に含んでいてもよい、濃縮糖溶液を使用してもよい。活性化合物の用量の異なる組合せを識別する、または特徴付けるために、錠剤または糖衣錠コーティングに染料または顔料を添加してもよい。
【0121】
化合物は、注射、例えば、ボーラス注射または連続点滴による非経口投与のために製剤してもよい。注射用製剤は、例えば、アンプル中の単位剤形で、または保存剤を添加した多用量容器で提供してもよい。組成物は、油性または水性媒体中の懸濁液、溶液または乳液などの形態を取ってもよく、懸濁化剤、安定剤および/または分散剤などの製剤用作用物質を含有してもよい。製剤は、単位用量または多用量容器、例えば、密封されたアンプルおよびバイアルで提供してもよく、使用直前に無菌の液体担体、例えば、食塩水または無菌パイロジェンフリー水の添加だけを必要とする、粉末形態またはフリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵してもよい。即時注射液剤および懸濁剤は、前述の類の無菌散剤、顆粒剤および錠剤から調製してもよい。
【0122】
非経口投与用の製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および製剤を所期の受容者の血液と等張にする溶質を含有してもよい、活性化合物の水性および非水性(油性)無菌注射液剤;ならびに懸濁化剤および増粘剤を含有してもよい、水性および非水性無菌懸濁剤が含まれる。適切な親油性溶媒または媒体には、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、あるいはリポソームが含まれる。水性注射用懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの、懸濁液の粘性を高める物質を含有してもよい。任意に、懸濁剤は、適切な安定剤、または化合物の溶解性を高めて高濃度溶液の調製を可能にする作用物質を含有してもよい。
【0123】
前述の製剤に加えて、化合物はデポー製剤として製剤してもよい。そのような長期作用製剤は、埋込み(例えば、皮下または筋肉内)で、または筋肉内注射で投与してもよい。したがって、例えば、化合物は、適切なポリマーもしくは疎水性材料(例えば、許容される油中の乳液として)またはイオン交換樹脂を用いて、あるいは難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤してもよい。
【0124】
頬側または舌下投与のために、組成物は、通常の様式で製剤した錠剤、ロゼンジ、香錠、またはゲルの形態を取ってもよい。そのような組成物は、活性成分を、ショ糖およびアラビアゴムまたはトラガカントゴムなどの風味基剤中に含んでもよい。
【0125】
化合物は、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール、または他のグリセリドなどの通常の坐剤基剤を含む、坐剤または停留浣腸剤などの直腸用組成物で製剤してもよい。
【0126】
本明細書において開示する一定の化合物は、局所で、即ち非全身投与で投与してもよい。これには、本明細書において開示する化合物の表皮または口腔への外部適用、およびそのような化合物の耳、眼および鼻への滴下注入が含まれ、その結果、化合物は血流にあまり入らない。対照的に、全身投与は、経口、静脈内、腹腔内および筋肉内投与を指す。
【0127】
局所投与に適した製剤には、ゲル、リニメント、ローション、クリーム、軟膏またはペーストなどの、皮膚を通って炎症または増殖部位に浸透するのに適した、液体または半液体製剤、および眼、耳または鼻への投与に適した滴剤が含まれる。局所投与用の活性成分は、例えば、製剤の0.001%~10重量%を構成してもよい。一定の態様において、活性成分は10重量%を構成してもよい。他の態様において、5重量%未満を構成してもよい。一定の態様において、活性成分は2重量%~5重量%を構成してもよい。他の態様において、0.1%~1重量%を構成してもよい。
【0128】
局所または経皮投与用のゲルは、一般には、揮発性溶媒、不揮発性溶媒、および水の混合物を含んでもよい。一定の態様において、緩衝化溶媒系の揮発性溶媒要素には、低級(C1-C6)アルキルアルコール、低級アルキルグリコールおよび低級グリコールポリマーが含まれ得る。さらなる態様において、揮発性溶媒はエタノールである。揮発性溶媒要素は、浸透増強剤として作用すると考えられるが、蒸発する際に皮膚における冷却効果も生じる。緩衝化溶媒系の不揮発性溶媒部分は、低級アルキレングリコールおよび低級グリコールポリマーから選択される。一定の態様において、プロピレングリコールを使用する。不揮発性溶媒は揮発性溶媒の蒸発を遅らせ、緩衝化溶媒系の蒸気圧を低下させる。この不揮発性溶媒要素の量は、揮発性溶媒と同様に、使用している薬学的化合物または薬物によって決定される。系に含まれる不揮発性溶媒が少なすぎる場合、薬学的化合物は揮発性溶媒の蒸発によって結晶化することがあるが、過剰に含まれると、溶媒混合物からの薬物の放出不良によってバイオアベイラビリティの欠如が起こり得る。緩衝化溶媒系の緩衝液要素は、当技術分野において一般に使用される任意の緩衝液から選択してもよく;一定の態様において、水を使用する。成分の一般的な比率は、約20%の不揮発性溶媒、約40%の揮発性溶媒、および約40%の水である。局所用組成物に添加し得る、いくつかの任意の成分がある。これらには、限定されないが、キレート剤およびゲル化剤が含まれる。適切なゲル化剤には、限定されないが、半合成セルロース誘導体(ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの)および合成ポリマー、ならびに化粧用作用物質が含まれ得る。
【0129】
ローションには、皮膚または眼への適用に適したものが含まれる。眼用ローションは、殺菌剤を任意に含む無菌水性溶液を含んでもよく、滴剤の調製と類似の方法によって調製してもよい。皮膚への適用のためのローションまたはリニメントは、アルコールもしくはアセトンなどの、乾燥を促進し、皮膚を冷却するための作用物質、および/あるいはグリセロールなどの保湿剤またはヒマシ油もしくは落花生油などの油を含有してもよい。
【0130】
クリーム、軟膏またはペーストは、外用のための活性成分の半固体製剤である。これらは、微粉化または粉末形態の活性成分を、単独で、または水性もしくは非水性液中の溶液もしくは懸濁液中で、適切な機械を用いて、脂性または非脂性基剤と共に混合することによって作製してもよい。基剤は、固形、軟性または流動パラフィン、グリセロール、蜜ろう、金属セッケンなどの炭化水素;ゴムのり;アーモンド、トウモロコシ、落花生、ヒマシまたはオリーブ油などの天然由来の油;羊毛脂もしくはその誘導体またはステリン酸(steric acid)もしくはオレイン酸などの脂肪酸を、プロピレングリコールまたはマクロゴールなどのアルコールと共に含有してもよい。製剤は、アニオン性、カチオン性または非イオン性界面活性剤などの任意の適切な界面活性剤、例えば、ソルビタンエステルまたはそのポリオキシエチレン誘導体を組み込んでもよい。懸濁化剤、例えば、天然ゴム、セルロース誘導体または石英質シリカなどの無機材料、およびラノリンなどの他の成分を含んでもよい。
【0131】
滴剤は、無菌水性または油性溶液または懸濁液を含んでもよく、活性成分を殺菌剤および/もしくは殺真菌剤ならびに/または任意の他の適切な保存剤の適切な水性溶液に溶解し、かつ、一定の態様において、界面活性剤を含めることによって調製してもよい。得られた溶液を、次いで、ろ過により透明化し、適切な容器に移し、これを次いで密封し、オートクレーブにかけるか、または98~100℃で半時間維持することにより滅菌してもよい。または、溶液を、ろ過により滅菌し、無菌的技術によって容器に移してもよい。滴剤に含めるのに適した殺菌剤および殺真菌剤の例は、硝酸または酢酸フェニル水銀(0.002%)、塩化ベンザルコニウム(0.01%)および酢酸クロルヘキシジン(0.01%)である。油性溶液の調製に適した溶媒には、グリセロール、希釈アルコールおよびプロピレングリコールが含まれる。
【0132】
口内の局所投与用、例えば、頬側または舌下用の製剤には、ショ糖およびアラビアゴムまたはトラガカントゴムなどの着香基剤中に活性成分を含むロゼンジ、ゼラチンおよびグリセリンまたはショ糖およびアラビアゴムなどの基剤中に活性成分を含む香錠が含まれる。
【0133】
吸入による投与のために、化合物を、好都合には、送気装置、加圧ネブライザーパック、またはエアロゾル噴霧を送達するのに好都合な他の手段から送達してもよい。加圧パックは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切な気体などの適切な噴射剤を含有してもよい。加圧エアロゾルの場合、投与単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定してもよい。または、吸入または送気による投与のために、本発明の化合物は、乾燥粉末組成物の形態、例えば、化合物および乳糖またはデンプンなどの適切な粉末基剤の粉末混合物の形態を取ってもよい。粉末組成物は、単位剤形で、例えば、カプセル、カートリッジ、ゼラチンまたはブリスターパックの形態で提供してもよく、それらの形態から、吸入器または送気装置を用いて粉末を投与してもよい。
【0134】
好ましい単位用量製剤は、活性成分の本明細書において以下に挙げるとおりの有効用量、またはその適切な部分を含有する製剤である。
【0135】
特に上で言及した成分に加え、前述の製剤は、対象となる製剤の型に関連する当技術分野において通常の他の作用物質を含んでもよく、例えば、経口投与に適した製剤は、着香剤を含んでもよいことが理解されるべきである。
【0136】
化合物は、経口または注射により、1日当たり0.1~500mg/kgの用量で投与してもよい。ヒト成人に対する用量範囲は一般には5mg~2g/日である。個別単位で提供される錠剤または他の提示形態は、好都合には、そのような用量で、またはその複数で有効な量の1つまたは複数の化合物を含有してもよく、例えば、単位は5mg~500mg、通常は約10mg~200mgを含有する。
【0137】
単一剤形を製造するために担体材料と合わせ得る活性成分の量は、処置する宿主および特定の投与様式に応じて異なる。
【0138】
化合物は、様々な様式、例えば、経口、局所、または注射によって投与することができる。患者に投与する化合物の正確な量は、担当医師の責任である。任意の特定の患者に対する具体的な用量レベルは、用いる具体的化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時刻、投与経路、排出速度、併用薬物、処置中の正確な障害、および処置中の徴候または状態の重症度を含む、様々な因子に依存する。また、投与経路は、状態およびその重症度に応じて変動してもよい。
【0139】
一定の場合に、本明細書に記載の化合物(またはその薬学的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグ)の少なくとも1つを別の治療剤と組み合わせて投与することが適切であり得る。単なる例として、本明細書の化合物の1つを投与された後に患者が経験する副作用の1つが高血圧である場合、当初の治療剤と組み合わせて高血圧治療剤を投与することが適切であり得る。または、単なる例として、本明細書に記載の化合物の1つの治療有効性を、補助剤の投与によって増強してもよい(すなわち、補助剤はそれ自体では微小な治療的利益を有するだけかもしれないが、別の治療剤と組み合わせると、患者に対する全体の治療的利益が増強される)。または、単なる例として、患者が経験する利益を、本明細書に記載の化合物の1つを、同様に治療的利益を有する別の治療剤(治療計画も含む)と共に投与することによって高めてもよい。単なる例として、本明細書に記載の化合物の1つを投与することを含むCOVID-19の処置において、高められた治療的利益を、患者にウイルスまたは細菌感染症に対する別の治療剤を提供することによってもたらしてもよい。いずれの場合も、処置中の疾患、障害または状態にかかわらず、患者が経験する全体の利益は、単純に、2つの治療剤の相加的利益であるかもしれず、または患者は相乗的利益を経験する場合もある。
【0140】
一定の態様において、局所用ステロイドには、限定されないが、プロピオン酸クロベタゾール、ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、プロピオン酸ハロベタゾール、フルオシノニド、二酢酸ジフロラゾン、フランカルボン酸モメタゾン、ハルシノニド、デスオキシメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、フルランドレノリド、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、プレドニカルベート、デソニド、およびジプロピオン酸アルクロメタゾンが含まれる。
【0141】
一定の態様において、非ステロイド性抗炎症剤には、限定されないが、アセクロフェナク、アセメタシン、アモキシプリン(amoxiprin)、アスピリン、アザプロパゾン、ベノリラート、ブロムフェナク、カルプロフェン、セレコキシブ、コリンマグネシウムサリチル酸、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、エトラコキシブ(etoracoxib)、ファイスラミン、フェンブテン(fenbuten)、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、ルミラコキシブ、メロキシカム、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、メタミゾール、サリチル酸メチル、サリチル酸マグネシウム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、オキシフェンブタゾン、パレコキシブ、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サリチル酸サリチル、スリンダク、スルフィンプラゾン(sulfinprazone)、スプロフェン、テノキシカム、チアプロフェン酸、およびトルメチンが含まれる。
【0142】
一定の態様において、抗菌剤には、限定されないが、アミカシン、アモキシシリン、アンピシリン、アルスフェナミン、アジスロマイシン、アズトレオナム、アズロシリン、バシトラシン、カルベニシリン、セファクロル、セファドロキシル、セファマンドール、セファゾリン、セファレキシン、セフジニル、セフジトリン(cefditorin)、セフェピム、セフィキシム、セホペラゾン、セホタキシム、セホキシチン、セフポドキシム、セフプロジル、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム、クロラムフェニコール、シラスチン(cilastin)、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クリンダマイシン、クロキサシリン、コリスチン、ダルフォプリスタン(dalfopristan)、デメクロサイクリン、ジクロキサシリン、ジリスロマイシン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、エナフロキサシン(enafloxacin)、エルテペネム(ertepenem)、エタンブトール、フルクロキサシリン、ホスホマイシン、フラゾリドン、ガチフロキサシン、ゲルダナマイシン、ゲンタマイシン、ハービマイシン、イミペネム、イソニアジド、カナマイシン、レボフロキサシン、リネゾリド、ロメフロキサシン、ロラカルベフ、マフェニド、モキシフロキサシン、メロペネム、メトロニダゾール、メズロシリン、ミノサイクリン、ムピロジン(mupirozin)、ナフシリン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ニトロフラントイン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オキシテトラサイクリン、ペニシリン、ピペラシリン、プラテンシマイシン、ポリミキシンB、プロントジル、ピラジナミド、キヌプリスチン、リファンピン、レタパムリン、ロキシスロマイシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、テイコプラニン、テリスロマイシン、テトラサイクリン、チカルシリン、トブラマイシン、トリメトプリム、トロレアンドマイシン、トロバフロキサシン、およびバンコマイシンが含まれる。
【0143】
いずれの場合も、複数の治療剤(その少なくとも1つは本明細書において開示する化合物である)は、任意の順序で、または同時に投与してもよい。同時の場合、複数の治療剤は、単一の統合された形態で、または複数の形態(単なる例として、単一の丸薬として、または2つの別個の丸薬として)で提供してもよい。治療剤の一方を複数回投与で与えてもよく、または両方を複数回投与として与えてもよい。同時でない場合、複数の投与間のタイミングは、数分から4週間までの範囲の任意の持続時間であってもよい。
【0144】
したがって、別の局面において、一定の態様は、そのような処置を必要としているヒトまたは動物対象のウイルス感染症の処置方法であって、該対象に、対象の該感染症を低減または予防するのに有効な量の本明細書において開示する化合物を、該疾患の処置用の当技術分野において公知の少なくとも1つの追加の薬剤と組み合わせて投与する段階を含む、方法、を提供する。関連する局面において、一定の態様は、ウイルス感染症およびそのような感染症が原因の状態、例えば、肺炎の処置のための、本明細書において開示する少なくとも1つの化合物を、1つまたは複数の追加の薬剤と組み合わせて含む、治療用組成物を提供する。
【0145】
本明細書において開示する化合物、組成物、および方法によって処置する具体的なウイルス疾患には、限定されないが、HIV、インフルエンザウイルス、ラッサウイルス、SARSウイルスを含むコロナウイルス、ジカウイルス、デングウイルス、およびエボラウイルスの感染症が含まれる。いくつかの態様において、ウイルス疾患は、ウイルス肺炎を含むウイルス性呼吸器感染症である。いくつかの態様において、ウイルス感染症は、SARs-CoV-2に起因するCOVID 19である。
【0146】
本明細書において開示する一定の化合物および製剤は、ヒトの処置に有用であることに加えて、哺乳動物、げっ歯動物などを含む、コンパニオン動物、エキゾチック動物および家畜の獣医学的処置にも有用であり得る。より好ましい動物には、ウマ、イヌ、およびネコが含まれる。
【0147】
化合物を調製するための一般合成法
本明細書において開示する化合物は、US 8,927,506 B2(コラム14~26);WO 2010005799(段落[0086]~[0145]);WO 2009108926(段落[0173]~[0185]);WO 2008131024(段落[0067]~[0072]);US 20100152121(段落[0067]~[0083]);US 7,160,865(コラム11~13);およびUS 6,979,675(コラム28~29)に記載の手順に従って合成することができ、それらの開示は、その全体が本明細書に記載されているがごとく、参照により本明細書に組み入れられる。
【0148】
本発明を以下の実施例によってさらに例示する。
【実施例】
【0149】
実施例1
(4R,5S,6R)-4,5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルアセテート
実施例2
(4R,5S,6R)-5-ヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4-ジイルジアセテート
実施例3
((2R,3S,4R)-6-アセトキシ-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチルアセテート
実施例4
((2R,3S,4R)-3-アセトキシ-4,6-ジヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチルアセテート
実施例5
((2R,3S,4R)-4-アセトキシ-3,6-ジヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチルアセテート(WP1122)
実施例6
((2R,3S,4R)-3,4,6-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチルアセテート
実施例7
(2R,3S,4R)-4,6-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イルアセテート
実施例8
(4R,5S,6R)-4-ヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,5-ジイルアセテート
実施例9
(2R,3S,4R)-6-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート
実施例10
(4R,5S,6R)-6-(アセトキシメチル)-5-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2,4-ジイルジアセテート
実施例11
(4R,5S,6R)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリイルトリアセテート
実施例12
(4R,5S,6R)-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリイルトリアセテート
実施例13
(4S,5S,6R)-3,3-ジフルオロ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
(2-デオキシ-2,2-ジフルオロ-D-アラビノ-ヘキソピラノース(DFG))
実施例14
(3R,4S,5S,6R)-6-(ヒドロキシメチル)-3-ヨードテトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
(2-デオキシ-2-ヨード-D-グルコース)
実施例15
(3S,4S,5S,6R)-6-(ヒドロキシメチル)-3-ヨードテトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
(2-デオキシ-2-ヨード-D-マンノース)
実施例16
(3R,4S,5R,6R)-6-(ヒドロキシメチル)-3-ヨードテトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
(2-デオキシ-2-ヨード-D-ガラクトース)
実施例17
(3S,4S,5R,6R)-6-(ヒドロキシメチル)-3-ヨードテトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
(2-デオキシ-2-ヨード-D-タロース)
実施例18
(4R,5S,6R)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
(2-デオキシ-D-グルコース)
実施例19
(3S,4S,5S,6R)-3-フルオロ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
(2-デオキシ-2-フルオロ-D-マンノース)
実施例20
(3R,4S,5S,6R)-3-フルオロ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
(2-デオキシ-2-フルオロ-D-グルコース)
実施例21
(3R,4S,5S,6R)-3-クロロ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
(2-デオキシ-2-クロロ-D-グルコース)
実施例22
(3S,4S,5S,6R)-3-クロロ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
(2-デオキシ-2-クロロ-D-マンノース)
実施例23
(3R,4S,5S,6R)-3-ブロモ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
(2-デオキシ-2-ブロモ-D-グルコース)
実施例24
(3S,4S,5S,6R)-3-ブロモ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
(2-デオキシ-2-ブロモ-D-マンノース)
実施例25
(3R,4S,5S,6R)-6-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,4,5-テトラオール
(6-デオキシ-D-グルコース)
実施例26
(3R,4S,5S,6S)-6-(フルオロメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,4,5-テトラオール
(6-デオキシ-6-フルオロ-D-グルコース)
実施例27
(3R,4S,5S,6R)-6-(メトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,4,5-テトラオール
(6-O-メチル-D-グルコース)
実施例28
(3R,4S,5S,6R)-2-フルオロ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール
(D-グルコシルフルオリド)
実施例29
(2R,3S,4R,5S)-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール
(1-デオキシ-D-グルコース)
実施例30
(3R,4R,5S,6R)-5-フルオロ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,4-トリオール
(4-フルオロ-D-グルコース)
実施例31
(3R,4S,6S)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,4-トリオール
(4-デオキシ-D-グルコース)
実施例32
(3S,4S,5R,6R)-4-フルオロ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,5-トリオール
(3-フルオロ-D-グルコース)
実施例33
(3R,5S,6R)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,5-トリオール
(3-デオキシ-D-グルコース)
実施例34
(3R,4S,5S,6S)-6-(メルカプトメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,4,5-テトラオール
(6-チオ-D-グルコース)
実施例35
(3R,4S,5S,6R)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン-2,3,4,5-テトラオール
(5-チオ-D-グルコース)
実施例36
((2R,3S,4S,5R)-3,4,5,6-テトラヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチルペンタノエート
実施例37
((2R,3S,4S,5R)-3,4,5,6-テトラヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチルテトラデカノエート
実施例38
((2R,3S,4S,5R)-3,4,5,6-テトラヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチルパルミテート
実施例39
(2R,3S,4R,5R)-4,5,6-トリヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イルペンタノエート
実施例40
(2S,3S,4S,5R)-トリデシル4,5,6-トリヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-カルボキシレート
実施例41
(2R,3S,4R,5R)-4,5,6-トリヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イルパルミテート
実施例42
(3R,4S,5R,6R)-2,3,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルペンタノエート
実施例43
(3R,4S,5R,6R)-2,3,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルテトラデカノエート
実施例44
(3R,4S,5R,6R)-2,3,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルパルミテート
実施例45
(3R,4S,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルペンタノエート
実施例46
(3R,4S,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルテトラデカノエート
実施例47
(3R,4S,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルパルミテート
実施例48
(3R,4R,5S,6R)-3-アミノ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
(2-グルコサミン)
実施例49
(3R,4R,5R,6R)-3-アミノ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
(2-ガラクトサミン)
実施例50
(3S,4R,5S,6R)-3-アミノ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
(2-マンノサミン)
実施例51
(3S,4S,5S,6R)-3-フルオロ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
(2-デオキシ-2-フルオロ-D-マンノース)
実施例52
(4R,5R,6R)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
(2-デオキシ-D-ガラクトース)
実施例53
(3R,4S,5R,6R)-3-フルオロ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
(2-デオキシ-2-フルオロ-D-ガラクトース)
実施例54
N-((3R,4R,5S,6R)-2,4,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メタンスルホンアミド
実施例55
N-((3S,4R,5S,6R)-2,4,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メタンスルホンアミド
実施例56
(3R,4R,5S,6R)-6-(ヒドロキシメチル)-3-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
実施例57
(3R,4R,5S,6R)-3-(フルオロメチル)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
実施例58
(3R,4R,5S,6R)-3-(ジフルオロメチル)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
実施例59
(3R,4R,5S,6R)-6-(ヒドロキシメチル)-3-(トリフルオロメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
実施例60
(3S,4R,5S,6R)-6-(ヒドロキシメチル)-3-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
実施例61
(3S,4R,5S,6R)-3-(フルオロメチル)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
実施例62
(3S,4R,5S,6R)-3-(ジフルオロメチル)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
実施例63
(3S,4R,5S,6R)-6-(ヒドロキシメチル)-3-(トリフルオロメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
実施例64
(3S,4S,5S,6R)-6-(ヒドロキシメチル)-3-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,4,5-テトラオール
実施例65
(3S,4S,5S,6R)-3-(フルオロメチル)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,4,5-テトラオール
実施例66
(3S,4S,5S,6R)-3-(ジフルオロメチル)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,4,5-テトラオール
実施例67
(3S,4S,5S,6R)-6-(ヒドロキシメチル)-3-(トリフルオロメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,4,5-テトラオール
実施例68
(3R,4S,5S,6R)-6-(ヒドロキシメチル)-3-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,4,5-テトラオール
実施例69
(3R,4S,5S,6R)-3-(フルオロメチル)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,4,5-テトラオール
実施例70
(3R,4S,5S,6R)-3-(ジフルオロメチル)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,4,5-テトラオール
実施例71
(3R,4S,5S,6R)-6-(ヒドロキシメチル)-3-(トリフルオロメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,4,5-テトラオール
実施例72
N-((3R,4R,5S,6R)-2,4,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)アセトアミド
実施例73
(3R,4S,5S,6R)-3-(アミノオキシ)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
実施例74
(3S,4S,5S,6R)-3-(アミノオキシ)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
実施例75
(3R,4R,5S,6R)-3-(ヒドロキシアミノ)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
実施例76
(3S,4R,5S,6R)-3-(ヒドロキシアミノ)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
実施例77
(3R,4R,5S,6R)-3-ヒドラジニル-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
実施例78
(3S,4R,5S,6R)-3-ヒドラジニル-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
実施例79
(3R,4S,5S,6R)-6-(ヒドロキシメチル)-3-メルカプトテトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
実施例80
(3S,4S,5S,6R)-6-(ヒドロキシメチル)-3-メルカプトテトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
実施例81
(4R,5S,6R)-3-ヒドラゾノ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリオール
実施例82
(4R,5S,6R)-2,4,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)ジヒドロ-2H-ピラン-3(4H)-オンオキシム
実施例83
(2R,3S,4R)-2-(アセトキシメチル)-6-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート
実施例84
【0150】
生物学的実施例
実施例A
WP1122の薬物動態試験およびインビボでの2DGへの変換
本発明の化合物の濃度および/または血漿中の2-DGの遊離を定量し得る分析法(LC/MS)が開発されている。
【0151】
実験手順
WP1122および2-DGの吸収および薬物動態試験を、雌CD-1マウスで調査した。マウスに等モル用量のWP1122および2-DG、すなわちそれぞれ0.5g/kgおよび0.33g/kgを経口投与した。個々の群の動物(n=5/時点)を、投与後の指定の時点で屠殺した。各動物から、血漿、皮膚、および他の組織を回収し、2-DGの濃度をLC/MSで測定した。
【0152】
結果
2-DGのピーク血漿レベルは、WP1122または2-DGの投与後15分で達成され、WP1122および2-DGそれぞれの場合の最高濃度は、230および89.5μg/mLであった。血漿中の2-DGの半減期は、WP1122および2-DGの場合に、252および137.7であった。同様に、WP1122について記録されたAUC値は、2-DGについて測定された対応するレベルよりも2倍近く高かった。
図1は、WP1122および2-DGの経口投与後の、血漿中の2-DGのPK分析を示す。両方の化合物についてのPKパラメーターの概要を表1に示す。
【0153】
(表1)WP1122および2-DGの経口投与後に生じた血漿中の2-DGのPKパラメーター
【0154】
実施例B
静脈内投与後の肺内のWP1122および2-DGレベルの比較
実験手順
トリチウムで標識したWP1122および2-DGの薬物動態および組織臓器分布を、雄スプラーグドーリーラットで分析した。動物(n=3/時点)に2-DGまたはWP1122を等モル用量、すなわちWP1122および2-DGそれぞれ0.2および0.13g/kgで静脈内投与した。投与後15、30、60分と、6および24時間の時点で、動物を安楽死させた。臓器を取り出し、PBSで洗浄し、液体シンチレーション計数(LCS)を用いて放射活性を測定した。
【0155】
結果
WP1122および2-DG両方からの2-DGおよび代謝産物は、試験したすべての時点で肺内に検出された。放射性標識化合物の最高濃度は、WP1122については注射後15分以内に観察され、2-DG投与から得られた放射活性よりも3倍近く高かった。代謝産物の増加が、WP1122では投与後24時間を含むすべての時点で観察された(
図2および表2を参照されたい)。
【0156】
この実験は、WP1122などのピラノース単糖のエステルの、肺における驚くほど優れた分布を示し、COVID 19などの肺を標的とするウイルス感染症の処置において使用するために優れている。
【0157】
特許、特許出願、および特許公報を含む、本明細書において引用するすべての参照文献は、以前に具体的に組み入れられたか否かにかかわらず、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0158】
上の個々の項で言及した、本発明の様々な特徴および態様は、適宜、必要な変更を加えて、他の項に適用される。したがって、1つの項で明記される特徴は、適宜、他の項で明記される特徴と組み合わせてもよい。
【0159】
いくつかの具体的態様の前述の記載は、他者が、現在の知識を適用することによって、一般的概念から逸脱することなく、そのような具体的態様を容易に改変または様々な適用に適合させ得るのに十分な情報を提供し、したがって、そのような適合および改変は開示する態様の等価物の意味および範囲内に含まれるべきであり、そのように意図される。本明細書において用いられる術語および用語は、説明のためであり、限定するものではないことが理解されるべきである。図面および説明において、例示的態様を開示してきており、具体的な用語を使用したかもしれないが、特に記載がないかぎり、それらは一般的かつ記述的な意味で使用したにすぎず、限定のためではなく、したがって特許請求の範囲はそのように限定されるものではない。さらに、当業者であれば、本明細書において論じる方法の一定の段階を別の順序に配列してもよく、または段階を組み合わせてもよいことを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は本明細書において開示する特定の態様に限定されないことが意図される。当業者であれば、通常の実験だけを用いて、本明細書に記載の本発明の態様に対する多くの等価物を理解するか、または確認し得るであろう。そのような等価物は添付の特許請求の範囲に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラッサウイルス、SARs-CoV-2を含むコロナウイルス、ジカウイルス、デングウイルス、またはエボラウイルスに起因する、患者のウイルス感染症を処置するための薬学的組成物であって、式II:
の化合物、またはその薬学的に許容される塩
の治療的有効量を
含み、
式中、
R
14、R
15、R
16、およびR
17が、水素、COCH
3、COCH
2CH
3、およびCOCH
2CH
2CH
3からなる群より独立して選択され;かつ
R
4およびR
5が、水素、Cl、Br、I、
18F、および
19Fからなる群より独立して選択され、
但し、R
4
およびR
5
が両方ともHである場合、R
14
~R
17
の少なくとも1つはHではない、
薬学的組成物。
【請求項2】
R
4およびR
5が、水素、および
Iからなる群より独立して選択される、請求項
1記載の
薬学的組成物。
【請求項3】
R
14、R
15、R
16、およびR
17が、水素およびCOCH
3からなる群より独立して選択される、請求項
1記載の
薬学的組成物。
【請求項4】
患者のウイルス感染症
を処置
するための薬学的組成物であって、
(2R,3S,4R)-4-アセトキシ-3,6-ジヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチルアセテート、2-デオキシ-2-ヨード-D-グルコース、2-デオキシ-2-ヨード-D-マンノース、およびその薬学的に許容される塩からなる群より選択される化合物の治療的有効量を含む、
薬学的組成物。
【請求項5】
前記化合物が、
またはその薬学的に許容される塩
である、請求項
1記載の
薬学的組成物。
【請求項6】
前記ウイルス感染症が、
SARs-CoV-2を含むコロナウイルス
に起因する、請求項1~
5のいずれか一項記載の
薬学的組成物。
【請求項7】
前記ウイルス感染症が、感染細胞上のグリコシル化されたエンベロープタンパク質によって特徴づけられるウイルスに起因する、請求項1~
5のいずれか一項記載の
薬学的組成物。
【請求項8】
患者が、COVID-19を有する、請求項1~
5のいずれか一項記載の
薬学的組成物。
【請求項9】
患者が、COVID-19の検査を受けて陽性である、請求項1~
5のいずれか一項記載の
薬学的組成物。
【請求項10】
患者が、無症状である、請求項1~
5のいずれか一項記載の
薬学的組成物。
【請求項11】
ウイルス感染症の処置のための薬学的組成物であって、薬学的に許容される担体を、式II:
の化合物、またはその薬学的に許容される塩
と共に含み、
式中、
R
14、R
15、R
16、およびR
17が、水素、COCH
3、COCH
2CH
3、およびCOCH
2CH
2CH
3からなる群より独立して選択され;かつ
R
4およびR
5が、水素、Cl、Br、I、
18F、および
19Fからなる群より独立して選択され、
但し、R
4
およびR
5
が両方ともHである場合、R
14
~R
17
の少なくとも1つはHではない、
薬学的組成物。
【請求項12】
R
4およびR
5が、水素、およびIからなる群より独立して選択される、請求項
11記載の薬学的組成物。
【請求項13】
R
14、R
15、R
16、およびR
17が、水素およびCOCH
3からなる群より独立して選択される、請求項
12記載の薬学的組成物。
【請求項14】
ウイルス感染症の処置のための薬学的組成物であって、薬学的に許容される担体を、
(2R,3S,4R)-4-アセトキシ-3,6-ジヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチルアセテート、2-デオキシ-2-ヨード-D-グルコース、2-デオキシ-2-ヨード-D-マンノース、およびその薬学的に許容される塩からなる群より選択される化合物と共に含む、薬学的組成物。
【請求項15】
化合物が、
またはその薬学的に許容される塩である、請求項
11記載の薬学的組成物。
【請求項16】
ラッサウイルス、SARs-CoV-2を含むコロナウイルス、ジカウイルス、デングウイルス、またはエボラウイルスに起因する、ウイルス感染症の予防または処置用薬剤の製造における、式II:
の化合物、またはその薬学的に許容される塩
の使用であって、
式中、
R
14、R
15、R
16、およびR
17が、水素、COCH
3、COCH
2CH
3、およびCOCH
2CH
2CH
3からなる群より独立して選択され;かつ
R
4およびR
5が、水素、Cl、Br、I、
18F、および
19Fからなる群より独立して選択され、
但し、R
4
およびR
5
が両方ともHである場合、R
14
~R
17
の少なくとも1つはHではない、
使用。
【請求項17】
R
4およびR
5が、水素、および
Iからなる群より独立して選択される、請求項
16記載の
使用。
【請求項18】
R
14、R
15、R
16、およびR
17が、水素およびCOCH
3からなる群より独立して選択される、請求項
17記載の
使用。
【請求項19】
ラッサウイルス、SARs-CoV-2を含むコロナウイルス、ジカウイルス、デングウイルス、またはエボラウイルスに起因する、ウイルス感染症の予防または処置用薬剤の製造にお
ける、
(2R,3S,4R)-4-アセトキシ-3,6-ジヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチルアセテート、2-デオキシ-2-ヨード-D-グルコース、2-デオキシ-2-ヨード-D-マンノース、およびその薬学的に許容される塩からなる群より選択される、化合物
の使用。
【請求項20】
化合物が、
またはその薬学的に許容される塩
である、請求項
16記載の
使用。
【請求項21】
吸入または送気により投与される、請求項1~5のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明のさらなる局面において、患者のウイルス感染症の処置および予防用薬剤の製造において使用するための薬学的組成物であって、式Iの化合物:
またはその薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物、を提供し、
式中、
Xは、OおよびSからなる群より選択され;
R
1、R
2、R
3、およびR
6は、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、およびカルバメートからなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく;
R
4およびR
5は、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、カルバメート、アルキル、ハロアルキル、ペルハロアルキル、-N(R
7)OR
8、-ON(R
9)
2、-N(R
10)N(R
11)
2からなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく、またはR
4およびR
5は、一緒になって、=N-OR
12および=N-N(R
13)
2からなる群より選択され;かつ
R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、およびR
13はそれぞれ、水素およびアルキルからなる群より独立して選択され、ここで該アルキルは置換されていてもよい。
[本発明1001]
ウイルス感染症の処置方法であって、その必要がある患者への、構造式Iの化合物:
またはその薬学的に許容される塩の治療的有効量の投与を含み、
式中、
Xが、OおよびSからなる群より選択され;
R
1
、R
2
、R
3
、およびR
6
が、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2
アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、およびカルバメートからなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく;
R
4
およびR
5
が、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2
アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、カルバメート、アルキル、ハロアルキル、ペルハロアルキル、-N(R
7
)OR
8
、-ON(R
9
)
2
、-N(R
10
)N(R
11
)
2
からなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく、またはR
4
およびR
5
が、一緒になって、=N-OR
12
および=N-N(R
13
)
2
からなる群より選択され;かつ
R
7
、R
8
、R
9
、R
10
、R
11
、R
12
、およびR
13
がそれぞれ、水素およびアルキルからなる群より独立して選択され、ここで該アルキルは置換されていてもよい、
方法。
[本発明1002]
化合物が、構造式II:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中、
R
14
、R
15
、R
16
、およびR
17
が、水素、COCH
3
、COCH
2
CH
3
、およびCOCH
2
CH
2
CH
3
からなる群より独立して選択され;かつ
R
4
およびR
5
が、水素、Cl、Br、I、
18
F、および
19
Fからなる群より独立して選択される、
本発明1002の方法。
[本発明1003]
R
4
およびR
5
が、水素、
18
F、および
19
Fからなる群より独立して選択される、本発明1002の方法。
[本発明1004]
R
14
、R
15
、R
16
、およびR
17
が、水素およびCOCH
3
からなる群より独立して選択される、本発明1003の方法。
[本発明1005]
化合物が、構造式IIIもしくは構造式IV:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中、
R
14
、R
15
、R
16
、およびR
17
が、水素、COCH
3
、COCH
2
CH
3
、およびCOCH
2
CH
2
CH
3
からなる群より独立して選択され;
R
4
およびR
5
が、アルキル、低級アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アシル、アルケニル、アルキレン、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキリデン、アルキニル、アミド、カルバモイル、アシルアミノ、カルバメート、O-カルバミル、N-カルバミル、カルボニル、カルボキシ、カルボキシレート、エステル、エーテル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドラジニル、ヒドロキシアルキル、イソシアナト、イソチオシアナト、メルカプチル、ニトロ、オキシ、NH
2
、NR
18
R
19
、およびNHCOR
20
からなる群より独立して選択され;
R
18
およびR
19
が、水素、アルキル、低級アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アシル、アルケニル、アルキレン、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキリデン、アルキニル、アミド、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドラジニル、およびヒドロキシアルキルからなる群より選択され;かつ
R
20
が、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アルケニル、アルキレン、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキリデン、アルキニル、アミド、カルバモイル、ハロアルキル、およびヘテロアルキルからなる群より選択される、
本発明1001の方法。
[本発明1006]
R
14
、R
15
、R
16
、およびR
17
が、水素である、本発明1005の方法。
[本発明1007]
化合物が、構造式V:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中、
R
14
、R
15
、R
16
、およびR
17
が、水素、COCH
3
、COCH
2
CH
3
、およびCOCH
2
CH
2
CH
3
からなる群より独立して選択される、
本発明1001の方法。
[本発明1008]
ウイルス感染症の処置方法であって、その必要がある患者への、実施例1~84、およびその薬学的に許容される塩からなる群より選択される化合物の治療的有効量の投与を含む、方法。
[本発明1009]
化合物が、以下の構造式:
およびその薬学的に許容される塩を有する、本発明1002の方法。
[本発明1010]
ウイルス感染症が、HIV-1、インフルエンザウイルス、ラッサウイルス、SARs-CoV-2を含むコロナウイルス、ジカウイルス、デングウイルス、およびエボラウイルスからなる群より選択されるウイルスに起因する、本発明1001~1009のいずれかの方法。
[本発明1011]
ウイルス感染症が、感染細胞上のグリコシル化されたエンベロープタンパク質によって特徴づけられるウイルスに起因する、本発明1001~1009のいずれかの方法。
[本発明1012]
患者が、COVID-19を有する、本発明1001~1009のいずれかの方法。
[本発明1013]
患者が、COVID-19の検査を受けて陽性である、本発明1001~1009のいずれかの方法。
[本発明1014]
患者が、無症状である、本発明1001~1009のいずれかの方法。
[本発明1015]
ウイルス感染症の処置のための薬学的組成物であって、薬学的に許容される担体を、構造式Iの化合物:
またはその薬学的に許容される塩と共に含み、
式中、
Xが、OおよびSからなる群より選択され;
R
1
、R
2
、R
3
、およびR
6
が、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2
アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、およびカルバメートからなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく;
R
4
およびR
5
が、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2
アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、カルバメート、アルキル、ハロアルキル、ペルハロアルキル、-N(R
7
)OR
8
、-ON(R
9
)
2
、-N(R
10
)N(R
11
)
2
からなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく、またはR
4
およびR
5
が、一緒になって、=N-OR
12
および=N-N(R
13
)
2
からなる群より選択され;かつ
R
7
、R
8
、R
9
、R
10
、R
11
、R
12
、およびR
13
がそれぞれ、水素およびアルキルからなる群より独立して選択され、ここで該アルキルは置換されていてもよい、
薬学的組成物。
[本発明1016]
化合物が、構造式II:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中、
R
14
、R
15
、R
16
、およびR
17
が、水素、COCH
3
、COCH
2
CH
3
、およびCOCH
2
CH
2
CH
3
からなる群より独立して選択され;かつ
R
4
およびR
5
が、水素、Cl、Br、I、
18
F、および
19
Fからなる群より独立して選択される、
本発明1015の薬学的組成物。
[本発明1017]
R
4
およびR
5
が、水素、
18
F、および
19
Fからなる群より独立して選択される、本発明1016の薬学的組成物。
[本発明1018]
R
14
、R
15
、R
16
、およびR
17
が、水素およびCOCH
3
からなる群より独立して選択される、本発明1017の薬学的組成物。
[本発明1019]
化合物が、構造式IIIもしくは構造式IV:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中:
R
14
、R
15
、R
16
、およびR
17
が、水素、COCH
3
、COCH
2
CH
3
、およびCOCH
2
CH
2
CH
3
からなる群より独立して選択され;
R
4
およびR
5
が、アルキル、低級アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アシル、アルケニル、アルキレン、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキリデン、アルキニル、アミド、カルバモイル、アシルアミノ、カルバメート、O-カルバミル、N-カルバミル、カルボニル、カルボキシ、カルボキシレート、エステル、エーテル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドラジニル、ヒドロキシアルキル、イソシアナト、イソチオシアナト、メルカプチル、ニトロ、オキシ、NH
2
、NR
18
R
19
、およびNHCOR
20
からなる群より独立して選択され;
R
18
およびR
19
が、水素、アルキル、低級アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アシル、アルケニル、アルキレン、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキリデン、アルキニル、アミド、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドラジニル、およびヒドロキシアルキルからなる群より選択され;かつ
R
20
が、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アルケニル、アルキレン、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキリデン、アルキニル、アミド、カルバモイル、ハロアルキル、およびヘテロアルキルからなる群より選択される、
本発明1018の薬学的組成物。
[本発明1020]
R
14
、R
15
、R
16
、およびR
17
が、水素である、本発明1019の薬学的組成物。
[本発明1021]
化合物が、構造式V:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中、
R
14
、R
15
、R
16
、およびR
17
が、水素、COCH
3
、COCH
2
CH
3
、およびCOCH
2
CH
2
CH
3
からなる群より独立して選択される、
本発明1019の薬学的組成物。
[本発明1022]
ウイルス感染症の処置のための薬学的組成物であって、薬学的に許容される担体を、実施例1~84およびその薬学的に許容される塩からなる群より選択される化合物と共に含む、薬学的組成物。
[本発明1023]
化合物が:
またはその薬学的に許容される塩である、本発明1015の薬学的組成物。
[本発明1024]
ウイルス感染症の予防または処置用薬剤の製造において使用するための化合物であって、構造式I:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中、
Xが、OおよびSからなる群より選択され;
R
1
、R
2
、R
3
、およびR
6
が、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2
アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、およびカルバメートからなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく;
R
4
およびR
5
が、水素、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、ペルハロアルコキシ、アルコキシアルキルオキシ、-OC(O)アルキル、OCO
2
アルキル、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、N-スルホンアミド、N-アミド、カルバメート、アルキル、ハロアルキル、ペルハロアルキル、-N(R
7
)OR
8
、-ON(R
9
)
2
、-N(R
10
)N(R
11
)
2
からなる群より独立して選択され、これらはいずれも置換されていてもよく、またはR
4
およびR
5
が、一緒になって、=N-OR
12
および=N-N(R
13
)
2
からなる群より選択され;かつ
R
7
、R
8
、R
9
、R
10
、R
11
、R
12
、およびR
13
がそれぞれ、水素およびアルキルからなる群より独立して選択され、ここで該アルキルは置換されていてもよい、
化合物。
[本発明1025]
ウイルス感染症が、HIV-1、インフルエンザウイルス、ラッサウイルス、SARs-CoV-2を含むコロナウイルス、ジカウイルス、デングウイルス、およびエボラウイルスからなる群より選択されるウイルスに起因する、本発明1024の化合物。
[本発明1026]
構造式II:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中、
R
14
、R
15
、R
16
、およびR
17
が、水素、COCH
3
、COCH
2
CH
3
、およびCOCH
2
CH
2
CH
3
からなる群より独立して選択され;かつ
R
4
およびR
5
が、水素、Cl、Br、I、
18
F、および
19
Fからなる群より独立して選択される、
本発明1025の化合物。
[本発明1027]
R
4
およびR
5
が、水素、
18
F、および
19
Fからなる群より独立して選択される、本発明1026の化合物。
[本発明1028]
R
14
、R
15
、R
16
、およびR
17
が、水素およびCOCH
3
からなる群より独立して選択される、本発明1027の化合物。
[本発明1029]
構造式IIIもしくは構造式IV:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
式中、
R
14
、R
15
、R
16
、およびR
17
が、水素、COCH
3
、COCH
2
CH
3
、およびCOCH
2
CH
2
CH
3
からなる群より独立して選択され;
R
4
およびR
5
が、アルキル、低級アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アシル、アルケニル、アルキレン、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキリデン、アルキニル、アミド、カルバモイル、アシルアミノ、カルバメート、O-カルバミル、N-カルバミル、カルボニル、カルボキシ、カルボキシレート、エステル、エーテル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドラジニル、ヒドロキシアルキル、イソシアナト、イソチオシアナト、メルカプチル、ニトロ、オキシ、NH
2
、NR
18
R
19
、およびNHCOR
20
からなる群より独立して選択され;
R
18
およびR
19
が、水素、アルキル、低級アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アシル、アルケニル、アルキレン、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキリデン、アルキニル、アミド、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヒドラジニル、およびヒドロキシアルキルからなる群より選択され;かつ
R
20
が、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アルケニル、アルキレン、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキリデン、アルキニル、アミド、カルバモイル、ハロアルキル、およびヘテロアルキルからなる群より選択される、
本発明1025の化合物。
[本発明1030]
R
14
、R
15
、R
16
、およびR
17
が、水素である、本発明1029の化合物。
[本発明1031]
構造式V:
またはその薬学的に許容される塩を有し、
R
14
、R
15
、R
16
、およびR
17
が、水素、COCH
3
、COCH
2
CH
3
、およびCOCH
2
CH
2
CH
3
からなる群より独立して選択される、
本発明1025の化合物。
[本発明1032]
ウイルス感染症の予防または処置用薬剤の製造において使用するための化合物であって、実施例1~84、およびその薬学的に許容される塩からなる群より選択される、化合物。
[本発明1033]
以下の構造式:
またはその薬学的に許容される塩を有する、本発明1025のウイルス感染症の予防または処置用薬剤の製造において使用するための化合物。
【国際調査報告】