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▶ シーダーズ−サイナイ メディカル センターの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-28
(54)【発明の名称】体内紫外線療法
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20230421BHJP
【FI】
A61N5/06 A
A61N5/06 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555968
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(85)【翻訳文提出日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 US2021023354
(87)【国際公開番号】W WO2021189020
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】62/992,861
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/993,595
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/000,788
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/012,727
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/158,350
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】514135801
【氏名又は名称】シーダーズ-サイナイ メディカル センター
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】レザイ アリ
(72)【発明者】
【氏名】ピメンテル マーク
(72)【発明者】
【氏名】メルメド ギル ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】マサー ルチ
(72)【発明者】
【氏名】リート ガブリエラ ギマラエス ソーサ
(72)【発明者】
【氏名】デグチャリョフ コンスタンチン
(72)【発明者】
【氏名】ビショフ ラリー
(72)【発明者】
【氏名】ガンディ クルディープ
(72)【発明者】
【氏名】クイン マイケル ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】クローネンベルク リチャード
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA03
4C082PC08
4C082PE09
4C082PG13
4C082PG16
4C082PJ30
(57)【要約】
体内紫外線療法を実施するためのUV光送達デバイスが提供される。このデバイスは、近位端と遠位端を分離する細長い本体を含む。このデバイスはまた、収容空間で収容されるように構成されたUV光源及び冷却チューブを含む。いくつかの実施例では、UV光源は、320nm~410nmの間の所望の強度を有する波長の光を放出するように構成され、気管内チューブまたは鼻咽頭エアウエイと組み合わせて利用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内紫外線療法を行うためのシステムであって、
気管内チューブ(ETT)と;
光を円周状に外に放出するように位置決めされたLEDのセットを備える、光送達部分、
少なくとも1つの開通口を備える冷却チューブ、及び
該ETTに接続するように構成されたETTコネクタ
を備える光カテーテルと
を備える、システム。
【請求項2】
LEDのセットの各LEDの一部分が冷却チューブと直接接触している、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
冷却チューブ内で、冷媒ガスが、前記少なくとも1つの開通口に向かって第1の方向に流れ、前記少なくとも1つの開通口から出て、かつ光カテーテル内で該第1の方向と反対の第2の方向に流れ戻る、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
LEDのセット内の各LEDに結合されたヒートシンクをさらに備える、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
LEDのセットが340~349nmの領域内のピーク波長を放出する、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
LEDのセットが、343nmから345nmの領域内のピーク波長を伴う320nm~410の間の波長を放出する、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
LEDのセットが340~345nmの領域内のピーク波長を放出する、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
ETTコネクタがフラップ弁を備える、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
1つ以上のプロセッサと;
エアコンプレッサと;
エアコネクタ及び電気コネクタを備える、デュアルコネクタと
を備える、コンプレッサシステム
をさらに備える、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
通気路と;
導電体と;
光カテーテルに接続するように構成された光カテーテルコネクタと;
コンプレッサシステムに接続するように構成されたコンプレッサコネクタと
を備える、アンビリカルチューブ
をさらに備える、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
1つ以上のプロセッサと;
メモリと;
1つ以上のプロセッサを備える、該メモリに結合された制御システムであって、機械実行可能コードを実行して、指定の持続時間及びある強度で光をLEDのセットに放出させるように構成される、制御システムと
を備える、光源コントローラ
をさらに備える、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
前記指定の持続時間が、少なくとも1、2、3、4、または5日間にわたって、毎日少なくとも20分間、40分間、または60分間である、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記強度が、少なくとも1,100マイクロワット/cm、1,500マイクロワット/cm、2,000マイクロワット/cm、2,100マイクロワット/cm、2,200マイクロワット/cm、2,300マイクロワット/cm、2,400マイクロワット/cm、2,500マイクロワット/cm、2,600マイクロワット/cm、2,700マイクロワット/cm、2,800マイクロワット/cm、2,900マイクロワット/cm、3,000マイクロワット/cm、または2ミリワット/cmを含む、請求項11記載のシステム。
【請求項14】
体内紫外線療法を行うための請求項11記載のシステム内に光カテーテルを配置する方法であって、
ETTコネクタをETTに接続する段階;
フラップ弁を通して該光カテーテルを前進させることによって、該光カテーテルを該ETT内に配置する段階;
LEDのセットに通電するためにコントローラに命令を提供する段階;及び
通気路を通って冷却チューブに入りかつ前記少なくとも1つの開通口から出るように空気をポンプ送りするために、エアコンプレッサに通電する段階
を含む、方法。
【請求項15】
光送達部分と熱接触しているサーミスタから受け取った信号に基づいて温度を決定する段階、及び、
決定された該温度に基づいてエアコンプレッサの流量を調整する段階
をさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
光送達部分と熱接触しているサーミスタから受け取った信号に基づいて、温度を決定する段階、及び、
決定された該温度に基づいて、光源コントローラによって送達されるLEDへの電力を調整する段階
をさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項17】
呼吸器感染症患者を治療する方法であって、
ETTで該患者に挿管する段階;
LEDのセットと冷却チャネルとを備える光カテーテルを、該ETTに接続する段階;
該患者の人工呼吸を行いながら該患者の感染症を治療するために、該LEDのセットから該光カテーテルの実質的な長さに沿って、該光カテーテルから外にUV-A光を放射する段階
を含む、方法。
【請求項18】
感染が、肺炎、細菌、ウイルス、RNAウイルス、コロナウイルス、またはSARS-CoV-2のうち少なくとも1つを含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
放射する段階が、2,000マイクロワット/cmの強度で20分間行われる、請求項17記載の方法。
【請求項20】
放射する段階が、少なくとも1,000マイクロワット/cmの強度を用いて行われる、請求項17記載の方法。
【請求項21】
感染がSARS-CoV-2であり、放射する段階が、毎日少なくとも20分間で少なくとも5日間行われる、請求項17記載の方法。
【請求項22】
放射する段階が、少なくとも10分間及び1,000~5,000マイクロワット/cmの間の強度で行われる、請求項17記載の方法。
【請求項23】
ETTから外に光を放射する段階が、ETTの管の内部に導入された、カテーテル内に一体化されたUV光源を用いて行われる、請求項17記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、体内紫外線療法と題された、2020年3月20日に出願された米国仮出願第62/992,861号、体内紫外線療法と題された、2020年3月23日に出願された米国仮出願第62/993,595号、体内紫外線療法と題された、2020年3月27日に出願された米国仮出願第63/000,788号、体内紫外線療法と題された、2020年4月20日に出願された米国仮出願第63/012,727号、及び体内紫外線療法と題された、2021年3月8日に出願された米国仮出願第63/158,350号に対する優先権を主張するものであり、これら全ての米国仮出願の内容を参照により本明細書に援用する。
【0002】
開示の分野
本発明は、体内紫外線療法のためのシステム及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
開示の背景
以下の説明は、本発明を理解するのに有用であり得る情報を含む。本明細書で提供される情報のうちのいずれかが、先行技術であること、もしくは現在請求されている発明に関連していること、または具体的もしくは黙示的に参照されている任意の刊行物が先行技術であることを認めるものではない。
【0004】
感染性疾患、免疫介在性疾患、及び炎症性疾患は、世界的な課題を提起し続けている。過去数十年の間に大きな前進があったにもかかわらず、これらの疾患の治療は依然として最適ではない。例えば、多くの患者は、人工呼吸器を使用しているときに上気道感染及び肺炎にかかり、死に至る可能性がある。例えば、人工呼吸器治療を受けている患者は、気管内チューブ(「ETT」)で挿管されており、人工呼吸システムを介して感染症(例えば、肺炎)にかかる可能性がある。したがって、患者の呼吸器系などの体細胞系におけるウイルス感染、細菌感染などの感染の比率を減らす必要がある。
【発明の概要】
【0005】
開示の概要
体内紫外線療法を行うためのシステムが提供される。本システムは、気管内チューブ(ETT)と、ETT内に位置決めされるように構成された光カテーテルとを含む。光カテーテルは、光を円周状に外に放出するように位置決めされた発光ダイオード(LED)のセットを備える光送達部分を含み得る。さらに、光カテーテルは、少なくとも1つの開通口を備える冷却チューブを含み得る。光カテーテルは、ETTに接続するように構成されたETTコネクタをさらに含み得る。
【0006】
LEDのセットは、LEDのセット内の各LEDの一部分が冷却チューブと直接接触するように、冷却チューブの周りに位置決めされ得る。さらに、冷却チューブ内で、冷媒ガスが、前記少なくとも1つの開通口に向かって第1の方向に流れて前記少なくとも1つの開通口から出てもよく、かつ光カテーテル内で第1の方向と反対の第2の方向に流れ戻ってもよい。
【0007】
いくつかの実施例では、LEDのセット内の各LEDはヒートシンクを含み得る。さらなる実施例では、ヒートシンクは1つ以上の銅板を備え得る。
【0008】
LEDのセットは340~349nmの領域内のピーク波長を放出する。いくつかの実施例では、ピーク波長は343nmから345nmの領域であり得る。
【0009】
いくつかの実施例では、ETTコネクタはフラップ弁を備える。本システムは、1つ以上のプロセッサと、エアコンプレッサと、電気コネクタ及び1つ以上のエアコネクタを備えるデュアル型コネクタとを含むコンプレッサシステムをさらに備え得る。
【0010】
いくつかの実施例では、本システムは、少なくとも1つの通気路と、1つ以上の導電体と、光カテーテルに接続するように構成された光カテーテルコネクタと、コンプレッサシステムに接続するように構成されたコンプレッサコネクタとを備えるアンビリカルチューブをさらに備える。
【0011】
また、体内紫外線療法を行うためのシステム内に光カテーテルを配置する方法が開示される。本方法は、ETTコネクタをETTに接続する段階と;フラップ弁を通して光カテーテルを前進させることによって光カテーテルをETT内に配置する段階とを含む。さらに、本方法は、LEDのセットに通電するためにコントローラに命令を提供する段階と;通気路を通って冷却チューブに入りかつ少なくとも1つの開通口から出るように空気をポンプ送りするために、エアコンプレッサに通電する段階とを含み得る。
【0012】
さらに、サーミスタが光送達部分と熱接触していてもよく、かつ、サーミスタからの温度提示に応じて冷媒流の流量が調整され得、かつ/またはLEDのセットに供給される電力が調整され得る。
【0013】
また、呼吸器感染症患者を治療する方法が本明細書に開示される。本方法は、ETTで患者に挿管する段階を含み得、ETTは人工呼吸器に結合される。さらに、光カテーテルはETTコネクタを介してETTに接続され得る。光カテーテルは、複数のLEDと光カテーテル内の冷却チャネルとを含む。複数のLEDは、患者の人工呼吸を行いながら患者の感染症を治療するために、LEDのセットから光カテーテルの実質的な長さに沿って、光カテーテルから外にUV-A光を放射し得る。
【0014】
一実施例では、望ましい長さの光カテーテルがETT内に位置決めされるように、光カテーテルがETTコネクタを通って前進され得る。光カテーテルがETT内に前進される際に、LEDのセットに電力供給するために制御ユニットが光カテーテルに提示を提供してもよく、かつ/または冷媒チューブを通して冷媒を流すために冷媒流が起動されてもよい。冷媒は、光カテーテルの(ETTに接続された遠位端と反対側の)密封された近位端に向かって、少なくとも1つの開通口を通って出てもよく、かつLEDのセットの長さに沿って逆向きに押し流れ、それによってLEDを冷却してもよい。次に、温まった空気が温気チュービングを介して制御ユニットに戻り得、または雰囲気中に排出され得る。
【0015】
本明細書に開示されるさらなる特徴及び利点は、以下の説明に示され、部分的には、その説明から明らかになり、または本明細書に開示されている原理の実践によって習得することができる。本明細書に開示される特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲に特に指摘された器具及び組み合わせによって実現し、得ることができる。本明細書に開示されるこれら及び他の特徴は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲から完全に明らかになり、または本明細書に示された原理の実践によって習得することができる。
【0016】
上述の開示、ならびにその利点及び特徴を得られ得る方法を記載するために、上述の原則のさらに具体的な説明は、添付の図面に示す具体例を参照することで行われる。これらの図面は、本明細書に開示される例示の態様だけを表し、したがって、その範囲を制限するとみなされるべきではない。これらの原則は、以下の図面を用いて、さらに具体的かつ詳細に記載されて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】本明細書に開示される原理による、患者の結腸に挿入された例示的なUV発光デバイスの断面図を示す。
図1B】本明細書に開示される原理による、患者の膣に挿入された例示的なUV発光デバイスの断面図を示す。
図1C】本明細書に開示される原理による、患者の気管に挿入された例示的なUV発光デバイスの断面図を示す。
図1D】本明細書に開示される原理による、患者の鼻咽頭に挿入された例示的なUV発光デバイスの断面図を示す。
図1E】本明細書に開示される態様による、患者の気管に挿入された例示的なUV発光デバイスの正面図を示す。
図1F図1Eの拡大図を示す。
図2】本明細書に開示される原理による、LEDを組み込んだ例示的なUV発光デバイスの概略図を示す。
図3】本明細書に開示される原理による、冷陰極を組み込んだ例示的なUV発光デバイスの概略図を示す。
図4】本明細書に開示される原理による、UVスペクトルの例示的な概略図を示す。
図5】本明細書に開示される原理による、患者の直腸及びS状結腸に挿入された例示的なUV発光デバイスの断面図を示す。
図6】本明細書に開示される原理による、患者の結腸に挿入された例示的なUV発光デバイスの断面図を示す。
図7】本明細書に開示される原理による、患者の食道及び胃に挿入されたUV発光デバイスの断面図を示す。
図8】本明細書に開示される原理による、患者の消化器系を通過する例示的なUV発光デバイスの断面図を示す。
図9】本明細書に開示される原理による、例示的な光源アタッチメントの側面図を示す。
図10】本明細書に開示される原理による、例示的なUV発光デバイスを示す。
図11】本明細書に開示される原理による、例示的なUV発光デバイスを組み込んだ例示的なフォーリーカテーテルを示す。
図12A】本明細書に開示される例示的なUV発光デバイスを実施した場合の大腸菌(E.coli)の増殖曲線を示す。
図12B】本明細書に開示される例示的なUV発光デバイスを実施した場合の大腸菌の増殖曲線を示す。
図13】本明細書に開示される原理による、マウスの結腸に実装された例示的なUV発光デバイスを示す。
図14図14A及び14Bは、本明細書に開示される原理による、ラットの膣管に挿入された本明細書に開示される例示的なUV発光デバイスを示す。
図15図15Aは、本明細書に開示される例示的なUV発光デバイスを実施した場合の大腸菌を含む液体培養の増殖曲線を示す。図15Bは、大腸菌を含む液体培養に実装された本明細書に開示される例示的なUV発光デバイスを示す。
図16】本明細書に開示される例示的なUV発光デバイスを実施した場合の大腸菌を含む液体培養の増殖曲線を示す。
図17図17A及び17Bは、本明細書に開示される例示的なUV発光デバイスを実施した場合の大腸菌を含む液体培養の増殖曲線を示す。
図18】本明細書に開示される例示的なUV発光デバイスを実施した場合の大腸菌を含む液体培養の増殖曲線を示す。
図19】本明細書に開示される例示的なUV発光デバイスを実施した場合の大腸菌を含む液体培養の増殖曲線を示す。
図20】本明細書に開示される例示的なUV発光デバイスを実施した場合の大腸菌を含む液体培養の増殖曲線を示す。
図21】A及びBは、本明細書に開示される例示的なUV発光デバイスを実施した場合の大腸菌を含む液体培養の増殖曲線を示す。
図22】本明細書に開示される実施形態による、例示的なUV発光デバイスを示す。
図23】本明細書に開示される実施形態による、把持要素200に取り付けられた図22の例示的なUV発光デバイスを示す。
図24】本明細書に開示される実施形態による、例示的なUV発光デバイスを示す。
図25】本明細書に開示される実施形態による、例示的なUV発光デバイスを示す。
図26】本明細書に開示される実施形態による、例示的なUV発光デバイスを示す。
図27】本明細書に開示される実施形態による、例示的なUV発光デバイスを示す。
図28】本明細書に開示される実施形態による、例示的なUV発光デバイスを示す。
図29】本明細書に開示される実施形態による、例示的なUV発光デバイスを示す。
図30】本明細書に開示される実施形態による、体内紫外線療法を行うための例示的なプロセスを示す。
図31】本明細書に開示される実施形態による、ETTに関連して体内紫外線療法を行うための例示的なプロセスを示す。
図32】本明細書に開示される実施形態による、UV LED光源として利用されるチップオンボード(COB)小型バーの概略図を示す。
図33】本明細書に開示される実施形態による、外側チューブ内に含まれる1つ以上のCOB小型バーを備える例示的なUV光カテーテルの概略図を示す。
図34図34Aは、本明細書に開示される実施形態による、UV LED光源に結合された光ファイバシステムの概略図を示す。図34Bは、本明細書に開示される実施形態による、光ファイバシステムを埋め込むための複数のUV LED光源の概略図を示す。図34Cは、本明細書に開示される実施形態による、光ファイバシステムを埋め込むための複数のUV LED光源の概略図を示す。
図35図35Aは、本明細書に開示される実施形態による、1つ以上のUV LED光源と併せて利用される可撓性プリント回路基板(PCB)の平形構成及び管状構成を示す。図35Bは、本明細書に開示される実施形態による、1つ以上の可撓性PCBを備える例示的なUV光カテーテルを示す。図35Cは、本明細書に開示される実施形態による、図35BのUV光カテーテルなどのUV光カテーテルに実装される例示的なヒートシンクを示す。
図36図36Aは、本明細書に開示される実施形態による、複数のLEDと複数の線形リフレクタとを備える例示的なUV光カテーテルを示す。図36Bは、本明細書に開示される実施形態による、複数のLED及び複数の線形リフレクタの構成例を示す。図36Cは、本明細書に開示される実施形態による、図36BのUV光カテーテルなどのUV光カテーテルに実装される例示的なヒートシンクを示す。図36Dは、本明細書に開示される実施形態による、複数のLEDと複数の線形リフレクタとを含む例示的なUV LED光源における例示的な光分布を示す。
図37】本明細書に開示される実施形態による、UV LED光源の例示的なビーム角を示す。
図38】本明細書に開示される実施形態による、ヒト細胞株を用いた例示的な安全性アセスメントのプロセスを示すブロック図を示す。
図39】本開示による例示的なシステムを用いてUVA光に曝露した後のHeLa細胞及び肺胞細胞の細胞増殖をそれぞれ示す棒グラフを示す。
図40】本開示による例示的なシステムを用いてUVA光に曝露した後のHeLa細胞及び肺胞細胞の細胞増殖をそれぞれ示す棒グラフを示す。
図41】本明細書に開示される実施形態により、より高いUVA投与量でHeLa細胞株に対して行った例示的な安全性アセスメントのプロセスを示すブロック図を示す。
図42】本開示による例示的なシステムを用いてより高い投与量のUVA光に曝露した後のHeLa細胞の細胞増殖を示す棒グラフを示す。
図43】本明細書に開示される実施形態による、HeLa細胞株感染前の蛍光標識コクサッキーウイルスのUVA前処理をアセスメントするための、例示的なプロセスを示すブロック図を示す。
図44図44A及び44Bは、蛍光標識コクサッキーウイルスでトランスフェクトしたHeLa細胞の蛍光画像を示しており、本図の蛍光標識コクサッキーウイルスは、本開示による例示的なシステムを用いて、HeLa細胞のトランスフェクション前にUVAで前処理されている。
図45】本明細書に開示される実施形態によって、コクサッキーウイルスによるトランスフェクション前にUVAで前処理したHeLa細胞株の、例示的なアセスメントを示すブロック図を示す。
図46図46A及び46Bは、蛍光標識コクサッキーウイルスでトランスフェクトしたHeLa細胞の蛍光画像を示しており、本図のHeLaは、本開示による例示的なシステムを用いてコクサッキーウイルスによるトランスフェクション前にUVAで前処理されている。
図47】コクサッキーウイルスでトランスフェクトした肺胞細胞に対するUVA光処理の効果を評価するための例示的なプロセスを示すブロック図を示す。
図48】本明細書に開示される実施形態による、コクサッキーウイルスでトランスフェクトした肺胞細胞の蛍光画像、及びトランスフェクトした肺胞細胞に対するUVA処理の効果を示す。
図49】コクサッキーウイルスでトランスフェクトしたHeLa細胞に対するUVA光処理の効果を評価するための例示的なプロセスを示すブロック図を示す。
図50】本明細書に開示される実施形態による、コクサッキーウイルスでトランスフェクトしたHeLa細胞の生存に対するUVA処理の効果を示す棒グラフを示す。
図51】本明細書に開示される実施形態による、コロナウイルス229EでトランスフェクトしたUVA処理後及び未処理の繊毛性気管上皮細胞(HTeC)の位相差像を示す。
図52】本明細書に開示される実施形態による、コロナウイルス229EによるトランスフェクションとUVA光による処理とに応じた繊毛性気管上皮細胞の生存度を示す棒グラフを示す。
図53】本明細書に開示される実施形態による、コロナウイルス229EによるトランスフェクションとUVA光による処理とに応じた繊毛性気管上皮細胞の生存度を示す棒グラフを示す。
図54】本明細書に開示される実施形態による、コロナウイルス229EによるトランスフェクションとUVA光による処理とに応じた繊毛性気管上皮細胞の生存度を示す棒グラフを示す。
図55】一実施例において細菌培養物に適用されるUVA光の強度及び曝露期間を示す表を示す。
図56】一実施例におけるUV光曝露中の経時的な細菌数を示す表を示す。
図57】本開示による例示的なシステムを用いたUV光曝露中の経時的な細菌数を示す増殖曲線を示す。
図58A】UV光に曝露させた細菌を含むペトリ皿の経時的な画像を対照と比較して示す。
図58B】本開示による例示的なシステムを用いて様々な強度のUV光に曝露させた経時的な大腸菌細菌数を示す増殖曲線を示す。
図58C】本開示による例示的なシステムを用いて様々な強度のUV光に曝露させた経時的な大腸菌細菌数を示す増殖曲線を示す。
図58D】本開示による例示的なシステムを用いて様々な強度のUV光に曝露させた経時的な大腸菌細菌数を示す増殖曲線を示す。
図58E】本開示による例示的なシステムを用いて様々な強度のUV光に曝露させた経時的な大腸菌細菌数を示す増殖曲線を示す。
図58F】(意図的に省略している。)
図58G】本開示による例示的なシステムを用いて様々な強度のUV光に曝露させた経時的な緑膿菌(P.aeruginosa)細菌数を示す増殖曲線を示す。
図58H】本開示による例示的なシステムを用いて様々な強度のUV光に曝露させた経時的な緑膿菌細菌数を示す増殖曲線を示す。
図58I】本開示による例示的なシステムを用いて様々な強度のUV光に曝露させた経時的な緑膿菌細菌数を示す増殖曲線を示す。
図58J】本開示による例示的なシステムを用いて様々な強度のUV光に曝露させた経時的な緑膿菌細菌数を示す増殖曲線を示す。
図58K】本開示による例示的なシステムを用いて、それぞれ20分及び40分における様々な強度での対数的減少を比較する増殖曲線を示す。
図58L】本開示による例示的なシステムを用いて、それぞれ20分及び40分における様々な強度での対数的減少を比較する増殖曲線を示す。
図58M】本開示による例示的なシステムを用いた、様々な強度及び処理時間における大腸菌コロニー径の減少を示す増殖曲線を示す。
図58N】本開示による例示的なシステムを用いた、様々な強度及び処理時間における緑膿菌コロニー径の減少を示す増殖曲線を示す。
図59A】本開示による例示的なシステムを用いたUVA光への曝露中の細胞増殖を示す棒グラフを示す。
図59B】本開示による例示的なシステムを用いたUVA光への曝露中の細胞増殖を示す棒グラフを示す。
図59C】本開示による例示的なシステムを用いたUVA光への曝露中の細胞増殖を示す棒グラフを示す。
図59D】本開示による例示的なシステムを用いたUVA光への曝露中に、細胞に対するDNA損傷がないことを示す棒グラフを示す。
図59E】本開示による例示的なシステムを用いたUVA光への曝露中に、細胞に対するDNA損傷の欠如を示す棒グラフを示す。
図59F】本開示による例示的なシステムを用いたUVA光への曝露中に、細胞に対するDNA損傷の欠如を示す棒グラフを示す。
図60】本開示による例示的なシステムを用いた、UVAで前処理したB群コクサッキーウイルスに対するUVA曝露の効果を示す蛍光画像を示す。
図61】本開示による例示的なシステムを用いた、B群コクサッキーウイルスでトランスフェクトしたHeLa細胞に対する狭帯域(NB)UVA曝露の効果を示す蛍光画像を示す。
図62】本開示による例示的なシステムを用いたUV光への曝露中にウイルスでトランスフェクトした細胞の増殖を示す棒グラフを示す。
図63】本開示による例示的なシステムを用いた、72時間のUV光適用後のトランスフェクト細胞の細胞数を対照と比較して示した棒グラフを示す。
図64】本明細書に開示される実施形態による光処理システムの概略図を示す。
図65】本明細書に開示される実施形態によるUV光カテーテルの概略図を示す。
図66図65のUV光カテーテルの拡大部分の概略図を示す。
図67】本明細書に開示される実施形態による、1つ以上の深度マーキングを含む図65のUV光カテーテルの概略図を示す。
図68】本明細書に開示される実施形態による、ETT内に配置された構成にある図65のUV光カテーテルの概略図を示す。
図69図68のUV光カテーテルの拡大部分の概略図を示す。
図70】本明細書に開示される実施形態によるUV光カテーテルの光放出部分の概略図を示す。
図71】本明細書に開示される実施形態による、UV光カテーテルに使用されるUV-LEDのビーム角の概略図を示す。
図72】本明細書に開示される実施形態によるUV光カテーテルの光放出部分の概略図を示す。
図73】本開示による例示的なシステムを用いて行ったUVA治療のイン・ヒューマン試験(in-human study)における被験者のベースライン特性を示す表を示す。
図74】本開示による例示的なシステムを用いたイン・ヒューマン試験におけるUVA処理の経過にわたる気管内SARS-COV-2量の変化を示すグラフを示す。
図75】UVA処理のベースライン(0日目)、5日目、及び6日目の、図74における対応ウイルス量を示す表を示す。
図76図73~74のイン・ヒューマン試験の被験者に関するタイムライン及びキーイベントの概要を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用する技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。SzycherのDictionary of Medical Devices CRC Press,1995は、本明細書で使用される多くの用語及び語句に有用な案内を提供することができる。当業者であれば、本発明の実施に使用し得る本明細書に記載されたものと同様または同等の多くの方法及び材料を認識するであろう。実際に、本発明は、具体的に記載された方法及び材料に決して限定されるものではない。例えば、図は、主に胃腸管における本発明を示しているが、全体を通して示されるように、開示されたシステム及び方法は、他の用途に使用することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、本発明の特定の実施形態を説明し特許請求するために使用される寸法、形状、相対位置などの特性は、「約」という用語によって修飾されたものとして理解されるべきである。
【0020】
本明細書で使用するとき、「ETT」は、患者の呼吸を補助するため、患者の口から気管へと入れられ、人工呼吸器に接続される可撓性チューブである気管内チューブを指す。
【0021】
本明細書で使用するとき、「NPA」は、気道の確保を補助するため、鼻腔を通して舌根にかけて入れられる可撓性チューブである鼻咽頭エアウエイを指す。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「LED」は、様々な可視光スペクトル及び非可視光スペクトルにわたって光を発する半導体光源である発光ダイオードを指す。LEDは通常、それらの発光スペクトル領域にわたって強度が変化する一連の波長を含む発光スペクトルを持ち、通常、その波長領域にわたってベル形または同様の形状の強度曲線に従う。特定のLEDは通常、そのピーク発光強度の波長、またはLEDがその最高強度の放射線を放出する波長を用いて特徴付けられる。
【0023】
したがって、LEDは通常、ある領域の波長にわたる光を発し、特定のLEDはまた、それが閾値強度(いくつかの実施例では、LEDの最大強度のパーセンテージ)を超えて発する波長の範囲を用いて特徴付けられ得る。例えば、所与のLEDは、335nm~345nmの波長の間でのみ、最大発光強度の少なくとも10%の光を発し得る。335nm未満及び345nm超では、そのLEDの発光強度は、そのLEDのピーク強度発光波長(本明細書では「ピーク波長」)の10%未満であり、場合によっては、低すぎて治療に適切ではない可能性がある。したがって、多くの治療適用では、335nm~345nmの間の波長のみが、その特定のLEDの治療に影響を与えることになる。
【0024】
したがって、本明細書に記載されている波長の領域は、LEDによって治療部位に送達される発光の特定の治療適用、持続時間、及び強度に対して(またはLEDによって発される発光の出力に基づいて)治療的に有効または有意な波長の領域であり得る。いくつかの実施例では、波長の領域は、ピーク発光強度の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20%である強度を有するLEDによって発される波長の領域であり得る。
【0025】
よって、本明細書には、LEDがその最大強度の閾値強度パーセンテージを発光する領域に対応する様々なLED光源の発光スペクトル領域が開示されている。市販されているLEDの様々なLEDスペクトル発光領域及び発光のピーク強度波長の例が、Filippo, et al, 「LEDs: Sources and Intrinsically Bandwidth-Limited Detectors」に記載されており、その内容は参照によりその全体が援用される。
【0026】
次に、本発明の様々な実施例を説明する。以下の説明では、これらの実施例を十分に理解し説明を可能にするための具体的詳細を提供する。しかしながら、当業者であれば、本発明がこれらの詳細の多くを必要とせずに実践し得ることを理解するであろう。同様に、当業者はまた、本発明が本明細書に詳細に記載されていない他の多くの明白な特徴を含み得ることを理解するであろう。さらに、関連する説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、いくつかの周知の構造または機能については、以下には詳細に示さず、または説明しない場合がある。
【0027】
以下で使用されている用語は、本発明の特定の具体的な実施例の詳細な説明と併せて使用されている場合でも、最も広く合理的に解釈されるべきである。実際に、特定の用語が、以下で強調されることさえある。しかし、限定的に解釈されることを意図した用語は、この発明を実施するための形態の節で明確かつ具体的にそのようなものとして定義される。
【0028】
本明細書には多くの具体的な実施態様の詳細が記載されているが、これらは任意の発明の範囲または特許請求される可能性のあるものの範囲への制限として解釈されるべきではなく、特定の発明の特定の実施態様に特有である特徴の説明として解釈されるべきである。本明細書で別々の実施態様との関連で説明されている特定の特徴は、単一の実施態様で組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施態様との関連で説明されている様々な特徴を、複数の実施態様で別々に、または任意の好適なサブコンビネーションで実施することもできる。さらに、特徴は特定の組み合わせで機能するものとして上記で説明され、当初はそのように特許請求されることさえあり得るが、特許請求された組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によっては、その組み合わせから分離することができ、その特許請求された組み合わせは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形を対象としてもよい。
【0029】
同様に、操作が特定の順序で図面に描かれる場合があるが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような操作が、図示された特定の順序で、もしくは順次的な順序で実行されること、または図示される全ての操作が実行されることを要求するものと理解されるべきではない。特定の状況では、マルチタスク処理及び並列処理が有利な場合がある。さらに、上記の実施態様における様々なシステム構成要素の分離は、全ての実施態様においてそのような分離を必要とするものと理解されるべきではなく、説明されるプログラム構成要素及びシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品に一緒に統合され得るか、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることが理解されるべきである。
【0030】
概要
UVA領域及びUVB領域のUV光は、従来より皮膚疾患の治療に用いられてきたが、人体内部のより広範な感染症治療または炎症治療のために開発されたものではない。本開示は、患者体内の内部感染及び炎症状態を管理するために使用することができる、カテーテル、カプセル、内視鏡、チューブ、またはポートを介して治療線量のUV光を発するためのシステムを説明する。本明細書に開示されるUV光源は、抗生物質及び抗炎症薬/免疫抑制剤に代わる安全かつ有効な代替手段を、患者の様々な内管(例えば、結腸、膣、気管)に提供することを目的としている。
【0031】
いくつかの実施例では、特定の適応症及び治療のために、UVA光のみまたはUVB光のみが放出され得る。例えば、UV光源は、本明細書に開示されるように、335nm、340nm、もしくは345nmを中心とする波長、またはその近傍の領域の波長を有し得る。他の実施形態では、UV光源は、320nm~410nmの間の波長を発し得、及び/またはその領域内で発光のピーク強度を有し得る。本システム及び方法を使用して、様々な波長を提供できることを理解されたい。いくつかの実施例では、提供される波長領域は、特定の強度及び適用期間において治療的に有効である可能な最長の波長であり得る。
【0032】
図1Aは、送達チューブ100及びいくつかのUV光源150と、本システムに電力を供給するための電源120とを含むUV光管理システムの実施例を示す。したがって、図示のように、介護者(例えば、医師)が、患者の結腸に送達チューブ100を誘導することができる。患者の意図された治療標的に誘導されると、電源120が通電されて、光源150から治療標的(例えば結腸)にUV光が放出され得る。
【0033】
図1Bは、送達チューブ100と、いくつかのUV光源150と、本システムに電力を供給するための電源120とを含むUV光管理システムの実施例を示す。したがって、介護者(例えば、医師)が、患者の膣に送達チューブ100を誘導することができる。患者の膣に誘導されると、送達チューブ100が電源120によって通電されて、治療光(例えば、UV光)が膣管に放出され得る。本明細書に開示されるUV光源は、抗生物質及び抗炎症薬/免疫抑制剤に代わる安全かつ有効な代替手段を、結腸領域及び/または膣領域に提供することを目的としている。
【0034】
図1Cは、送達チューブ100と、UV光源150と、電源120と、制御システムとを含むUV光管理システムの実施例を示す。制御システムは、電力を供給し、治療の持続時間及び/または強度を制御する。したがって、図示のように、介護者(例えば、医師)が、人工呼吸中に患者の気管に送達チューブ100を誘導することができる。患者の気管に誘導されると、電源120が通電され、それにより電源120は、送達チューブ100(例えばワイヤード接続)を介して光源150に電力を供給して、気管及び/または他の呼吸気管に治療光(例えば、UV光)を放出することが可能である。
【0035】
例えば、本明細書に開示されているように、気管内チューブ(ETT)と組み合わせて体内紫外線療法を提供するためのシステム及び方法が開発されている。したがって、患者の換気中にETT内で送達チューブ100を誘導することができる。他の実施例では、送達チューブ100は、ETTに接続され得もしくは組み込まれ得、またはETTが、ETTに組み込まれた光源150を有し得る。したがって、光源150は、UV光源150が、ETTを取り囲む気管気道内の呼吸組織を照射するように、チューブ150及び/またはETT内に配置され得る。
【0036】
図1Dは、送達チューブ100と、UV光源150と、電源120と、制御システムとを含むUV光管理システムの実施例を示す。制御システムは、電力を供給し、治療の期間及び/または強度を制御する。したがって、図示のように、介護者(例えば、医師)が、患者の鼻咽頭に送達チューブ100を誘導することができる。患者の鼻咽頭に誘導されると、電源120が通電され、それにより電源120は、送達チューブ100(例えばワイヤード接続)を介して光源150に電力を供給して、鼻咽頭及び/または他の呼吸気管に治療光(例えば、UV光)を放出することが可能である。
【0037】
例えば、本明細書に開示されているように、鼻咽頭エアウエイ(NPA)と組み合わせて体内紫外線療法を提供するためのシステム及び方法が開発されている。したがって、患者のNPA内で送達チューブ100を誘導することができる。他の実施例では、送達チューブ100は、NPSに接続され得もしくは組み込まれ得、またはNPAが、NPAに組み込まれた光源150を有し得る。したがって、光源150は、UV光源150が、NPAを取り囲む鼻咽頭内の呼吸組織を照射するように、チューブ150及び/またはNPA内に配置され得る。
【0038】
図1Eは、患者の気管内の複数の光源150を含むUV光投与システムの前面図を示す。図1F図1Eの拡大部分であり、光源150からの距離の増大に伴うUV光強度の変化を描写している。したがって、いくつかの実施例では、照射対象の組織までの距離に応じて各LEDへの電力が個々に制御されてもよい。
【0039】
送達システム
体内の様々な部分に治療用UV光を送達するための送達チューブ/ロッド100が提供される。送達チューブ/ロッドは、少なくとも1つのUV光源150を含むことができる。送達チューブ/ロッド100は、カテーテル、内視鏡、カプセル(嚥下用または坐剤用)、またはUV光源150を収容するように構成された他の任意の医療機器であり得る。
【0040】
いくつかの実施例では、UV送達チューブ100は、カテーテルとして構成され得、患者の呼吸療法中にまたは他の療法中にETTまたはNPAの内部を誘導され得る。いくつかの実施形態では、UV送達チューブ/ロッド100は内視鏡として構成され、これは、直腸にまたは経口で挿入され、適切な領域に誘導されて抗炎症用または他の治療用の線量のUV光を送達する。別の実施形態では、UV送達チューブ/ロッド100は、動脈、尿道、膣及び尿路、外耳道、気道などに挿入されるカテーテルとして構成することができる。さらに別の実施形態では、UV送達チューブ/ロッド100は、患者の膀胱に挿入される尿道留置カテーテルとして構成される。いくつかの実施形態では、膨張式バルーンカテーテルが、例えば、膣、直腸、胃食道接合部、胃、胆道、または他の適切な通路など、通路を有する内臓の内部でUV光を発するために、UV光源150を含むことができる。いくつかの実施形態では、UV光源150は、介護者の手袋として構成することができる。この構成は、より短い持続時間の治療のために、患者の開口部(例えば、口、直腸、膣、または他の開口部)にUV光を放出するのを補助することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、UV光源150は、送達チューブ/ロッド100に恒久的に取り付けられている。他の実施形態では、送達チューブ/ロッド100は、UV光源150が、医師の好みで構成可能であり、取り付け及び取り外しができるように構成される。送達チューブ/ロッド100は、UV光源150への電気的接続を可能にするために中空内部を含むことができる。代替実施形態では、UV光源150はワイヤレスであり、送達チューブ/ロッド100に結合することが可能であってもよい。
【0042】
光源
送達チューブ100または他の送達デバイスに応じて、UV光を放出することができる様々な光源150を利用することができる。例えば、図2は、チューブ100に沿って分布された一連のLED光源150を含む、可撓性送達チューブ100(例えば、カテーテル、内視鏡など)の実施形態を示す。他の実施例では、UV光を放出することができる他の適切な光源150を利用することができる。光源150のそれぞれは、電気的接続と共に取り付けられ、電源120に接続されている。LED光源150は、それらの小さなサイズと低い電力要求とにより、それらを送達チューブ100に沿って配置することが可能になるので、有利であり得る。
【0043】
したがって、光源150が送達チューブ100に沿って配置される場合、光源150は、患者体内の広い送達領域にUV光を送達することができる。それゆえに、治療標的領域が比較的大きくなり、結腸の大部分に影響を及ぼし得る炎症性疾患を治療することができる。
【0044】
図3は、電源120に接続された冷陰極ベース光源150を利用する送達チューブ100の実施例を示す。この実施形態では、冷陰極光源150は、透明で可撓性の送達チューブ100を通して光を送達する。この実施形態は、送達チューブ(または真空管)100を満たす不活性ガスを含み得る。送達チューブ100は、例えば、冷陰極管を含み得る。送達チューブ100は、フィラメントによって電気的に加熱されない任意の陰極発光体を含み得る。例えば、冷陰極蛍光灯は、水銀蒸気の放電を利用して紫外線を放出することができる。
【0045】
ただし、ほとんどの実施形態では、チューブで使用されるガスは安全のために不活性でなければならない。例えば、ネオンガス蒸気は、十分なUV光を生成するために、12ボルトの電源120でエネルギーを与えられ得る。他の実施例では、電圧及び/または電流が様々な他の電源を利用して、現在の波長で十分に強い光を発生させる。
【0046】
いくつかの実施形態では、光源150は、X線を放出することができる。これらの実施形態では、本システムは、真空管またはX線管を含み得る。
【0047】
電源120は、光源150をオン及びオフするためにオン/オフスイッチまたは他の制御を含み得る。いくつかの実施例では、電源は、様々な強度でUV光源をオンにする機能、または治療の適用先に応じて強度を経時的に調節する機能を含むことになる。電源は、UV光源150のタイプによって異なる場合がある。例えば、LED実施態様の電力要件は、冷陰極実施態様の電力要件よりも少ない可能性がある。
【0048】
UV領域
図4は、開示されたデバイス及び方法によって実施され得るUV領域を示す。例えば、光源は、UVA及びUVBの領域のみの光を放出することができ、UV-C領域の光を放出することはできない。他の実施例では、本システム及び方法は、3つのUV領域全ての光を放出することができ、または可視スペクトルの光を放出することもできる。いくつかの実施例では、特定の適応症及び治療のために、UVAのみまたはUVBのみの光が放出され得る。前述のとおり、光源は、335nm、340nm、もしくは345nmを中心とする最大強度の波長、またはその近傍の領域の波長を有し得る。他の実施形態では、光源150は、320nm~410nm、250nm~400nm、または本明細書で論じられる他の適切な領域の波長の光を放出することができる。
【0049】
いくつかの実施例では、適用される波長領域は、特定の適用先に対して(治療適用の強度及び持続時間を所与として)治療的に有効である最長の波長領域であり得る。例えば、波長が短いほど、治療により患者の体細胞または体組織が損傷を受ける可能性が高くなる。したがって、有効である最長の波長を適用することが最も安全である。
【0050】
いくつかの実施例では、より小さい/より短い波長が、UV-C領域に近づくにつれて、より有害になるため、345nmまたは340nm(または周囲の波長)を中心とする光源が最適な場合がある。例えば、波長が短いほど、そのエネルギーが多くなり、患者の組織及びDNAに損傷を与える可能性が高くなる。いくつかの実施例では、依然として十分な抗菌効果を提供し、依然として有効である最も安全な波長とする最長波長には、以下、335、336、337、338、339、340、341、342、342、344、345、346、347、348、349、または350nmの1つ以上が含まれ得る。したがって、本明細書に開示される光源150は、治療上有意な強度で、前出の波長のうちの1つ以上を有する光を放出することができる。いくつかの実施例では、光源は、343nm~345nmの領域内のピーク波長を伴うUVAを放出し得、それは人工呼吸器に結合したETTを挿管した患者の光線療法に利用され得る。例示的な光カテーテルは、343nm~345nmの領域内のピーク波長を有するUVA光を放出する光源のセットを含み得る。さらに、光線療法は、人工呼吸器に結合されたETTチューブ内に位置決めされた光カテーテルを介して1000マイクロワット/cm~5000マイクロワット/cmの強度で送達され得る。
【0051】
いくつかの実施例では、光源は、335nm、336nm、337nm、338nm、339nm、340nm、341nm、342nm、343nm、344nm、345nm、346nm、347nm、348nm、349nm、350nm、351nm、352nm、353nm354nm、355nmのピーク波長を有するLEDであってもよい。いくつかの実施例では、LEDのピーク波長に+/-3nm、2nm、または1nmの誤差がある場合がある。いくつかの実施例では、LEDは、そのピーク強度発光波長を中心にして+/-2、3、4、5、または6nmの範囲で有意な強度の光を放出することができる。したがって、いくつかの実施例では、LEDまたは他の光源の波長領域は、340~350nm(例えば、有意な発光強度を有する波長を含む波長領域)であり得る。
【0052】
いくつかの実施例では、光源は、各々が335nm、336nm、337nm、338nm、339nm、340nm、341nm、342nm、343nm、344nm、345nm、346nm、347nm、348nm、349nm、350nm、351nm、352nm、353nm 354nm、355nmのピーク波長を放出する、複数のLEDであってもよい。いくつかの実施例では、LEDは、そのピーク強度発光波長を中心にして+/-2、3、4、5、または6nmの範囲で有意な強度の光を放出してもよい。
【0053】
いくつかの実施例では、LEDの各々が100~150度の間のビーム角で光を放出し得る。一実施例では、LEDの各々が120~135度の間のビーム角で光を放出し得る。
【0054】
治療レジメン
本明細書の手順は、いくつかの異なる炎症性疾患及び感染性疾患を治療するために利用することができる。したがって、以下に応じて、すなわち、(1)疾患のタイプ、(2)光源のタイプ、(3)光源出力、(4)光源のUV領域、及び(5)感染または炎症の重症度に応じて、異なる量または期間の投与量のUV放射を投与することができる。例えば、いくつかの実施形態では、投与時間はカプセル消化速度によって決定され、他の要因(例えば、光源出力、UV領域など)を操作して、投与量を変えることができる。
【0055】
他の実施例では、この光線療法は、10分、15分、18分、19分、20分、21分、22分、23分、24分、25分、26分、27分、28分、29分、30分、60分、90分、120分、もしくは160分、10分~160分の間の任意の分の範囲、または他の適切な時間、介護者によって提供され得る。さらに、本発明の方法は、少なくとも10分、15分、18分、19分、20分、21分、22分、23分、24分、25分、26分、27分、28分、29分、30分、または60分の閾値持続時間の間、療法を施すことを含むことができる。光源強度は、少なくとも1,000マイクロワット/cm、1,100マイクロワット/cm、2,000マイクロワット/cm、2,100マイクロワット/cm、2,200マイクロワット/cm、2,300マイクロワット/cm、2,400マイクロワット/cm、2,500マイクロワット/cm、2,600マイクロワット/cm、2,700マイクロワット/cm、2,800マイクロワット/cm、2,900マイクロワット/cm、3,100マイクロワット/cm、3100マイクロワット/cm、3,200マイクロワット/cm、1,000~5,000マイクロワット/cm、またはその適用先などの治療効果に関連する要因に応じて、他の適切な強度であり得る。本発明者らは、UVA光を最大で5,000マイクロワット/cmの強度まで安全に適用できることを確認している。ある実施例では、上記の光が継続的に放出されることになり、他の実施例では、その光がパルス療法に組み込まれることになる。
【0056】
光源150は、強度及び標的微生物に基づいて、標的から様々な距離であり得る。例えば、いくつかの実施例では、光源150は、2000マイクロワット/cmの強度を用いて大腸菌を死滅させるために(2.8cmまたは3.5cmではなく)大腸菌から0~2cmの範囲内にあることが必要である場合がある。いくつかの実施例では、強度は1000~5000マイクロワット/cmであってもよく、標的組織までの距離は、0~1cm、0~1.5cm、0~2cm、0~2.5cm、0~3.0cm、0~3.5cm、0~4.0cm、または光の強度と標的病原体とに基づく他の同様の適切な範囲であってもよい。他の実施例では、必要なタイミング、距離、波長、及び強度は、ウイルスなどの標的によって異なる場合がある。
【実施例
【0057】
以下の実施例は、特許請求された発明をより良好に例示するために提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されることを意図していない。特定の材料またはステップが言及される程度まで、それは単なる例示目的のものであり、本発明を限定することが意図されない。当業者は、本発明の能力を行使することなくかつ本発明の範囲から逸脱することなく、同等の手段または反応物質を開発することができる。
【0058】
胃腸管
図5図6は、結腸及び/または直腸の疾患を治療するための適用例を示す。例えば、図5は、光源150を含む送達チューブ100が、介護者により肛門を通して結腸に挿入され得ることを示す。その場合、送達チューブ100は、治療部位、例えば、結腸、腸の一部もしくは大部分(例えば、図6を参照)に誘導され得、または口を通して胃(例えば、図7を参照)に誘導され得る。そして、電源(または光源)120をオンにして、治療部位をUV光で照らすことができる。
【0059】
いくつかの実施例では、これは、本明細書でより完全に記載されるように、潰瘍性大腸炎及びクローン病、IBD、感染性疾患などの疾患を含む様々な炎症性疾患を治療するために利用され得る。図示のように、疾患のサイズ、位置、及びタイプに応じて、送達チューブ100は、送達チューブ100の特定の部分または長さに埋め込まれ得るかまたは含まれ得る様々な量の光源150を含み得る。
【0060】
図7は、内視鏡または他の送達チューブ100が、口腔から食道を通って胃へと挿入される実施形態を示す。この実施例では、胃の感染症または炎症性疾患をUV光源150で治療することができる。
【0061】
結腸内視鏡検査
図13は、UV発光デバイスがマウスの結腸内視鏡検査に使用される実施例を示す。結腸内視鏡検査とUVの適用とは安全に実施された。パラメータには、1,100マイクロワット/cmの強度で10分及び30分のUV照射を行い、その72時間後に通常の結腸内視鏡検査を行うことが含まれている。
【0062】
GI治療は、以下の例示的な適用を含み得る。
1.潰瘍性大腸炎及びクローン病ならびに急性/慢性嚢炎などの慢性炎症性腸疾患(IBD)の治療
2.非IBD関連直腸炎の治療
3.IBD関連または非IBD関連の瘻の治療
4.炎症性狭窄の治療
5.顕微鏡的大腸炎の治療
6.UV光放出カプセルを使用した感染性下痢の治療
7.難治性ヘリコバクターピロリ及びMALTリンパ腫の治療
8.食道扁平苔癬及び尋常性天疱瘡の治療
9.難治性クロストリジウム・ディフィシルの治療
10.結腸無力症、熱帯性スプルー、セリアック病、小腸内細菌異常増殖、骨髄移植後感染の盲腸炎、偽ポリープ(鼻ポリープと同様)及び放射線腸炎の治療
11.異形成を伴うまたは伴わないバレット食道の治療
12.毎日のUV光カプセルによる肝性脳症の治療
13.残胃内PEGを通してILT(体内光線療法)カテーテルを留置することによるRoux-en-Y患者の盲係蹄症候群の治療
14.UV光を放出できる透明な排液線での肛門周囲瘻の治療
15.経皮的な栄養チューブまたは吸引チューブに関連する感染率の低下
16.粘膜及び粘膜下層に限局された胃腸癌の治療
17.粘膜及び粘膜下層に限局された肝胆道の感染症、炎症、及び癌の治療
【0063】
カプセル
いくつかの実施形態では、送達デバイスは、送達チューブ/ロッド100の代わりにカプセルとして形作られる。そのような実施形態では、カプセルは、経口でまたは肛門によって患者に挿入される。カプセルは一定期間発光することができる。例えば、カプセルは、カプセルの通過を可能にするために、滑らかな透明もしくは半透明のポリマーまたは他の生体適合性コーティングを含むことができる。いくつかの実施例では、カプセルは、光源150及び電源120を含み得る。電源120は、例えば、小型電池を含むことができる。いくつかの実施形態では、カプセルを内臓に配置し固定して、長時間の光曝露を提供することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、カプセルは、UV光150がカプセルから全ての方向に光を放出するように配置されるように構成される。したがって、カプセルが消化器系を通過するとき、カプセルが排泄されるまで、カプセルは全ての方向にUV光を放出する。
【0065】
図8は、患者によって飲み込まれ得るカプセル800を送達デバイスに利用したシステムの実施例を示す。カプセル800は、光源150と、光源150に電力を供給するための電源120とを含み得る。いくつかの実施例では、カプセルまたはその一部が透明な材料で作られて、光がカプセルを通して放射されることを可能にする。カプセルは、胃腸管内でのカプセルの位置を評価するために追跡デバイスを含み得る。カプセル送達システムは、連続的または断続的な制御された送達のために、中空器官にクリップで留めることができる。
【0066】
いくつかの実施例では、カプセルは、錠剤のサイズ以下であり得、経口摂取可能であり得る。カプセルは、カプセルが消化管の特定の部分に到達するか、またはそこに到達する可能性が最も高いときに、UV光源をオン及びオフにするためのタイマーを含み得る。例えば、カプセルには、30分、1時間、または2時間の後にカプセルをオンにする単純なタイマーが含まれている場合がある。例えば、カプセルは、IBSまたは他の感染状態または炎症状態を治療するために、カプセルが消化管に到達するまで、光源150をオンにすることができない。
【0067】
光伝導性送達チューブ
ある実施例では、光源150は、送達チューブ100(例えば、LED)の内側に配置され得、他の実施例では、光源150は、送達チューブ100の近位端の外側に配置され得るか、またはこの近位端と連携させて配置され得る。したがって、いくつかの実施例では、送達チューブ100は、光を光源150から送達チューブ100の先へと伝搬して、光が治療部位に放出できるようにするために、光ファイバまたは他の光伝導性材料から作製され得る。
【0068】
例えば、図9及び図10に示すように、UV光管理システムは、送達ロッド940、UV光源950、及び光源アタッチメント900を含み得、光源アタッチメント900は、UV光源950と送達ロッド940との間に取り付けられるように構成される。送達ロッド940は、光スペクトルからUV-Cを除外するホウケイ酸塩セグメント930と、その後に続く、最小の損失でUVA/Bの透過距離を伸ばすために純シリカ(石英)900で作られたセグメントとを含み得る。
【0069】
例えば、純石英セグメントのみを使用すると、著しいUV-C光放出(例えば、4,300マイクロワット/cmUV-C)が生じることが示されているが、UV光源950と送達ロッド940との間にホウケイ酸塩の短いセグメント(例えば、ホウケイ酸塩フィルタ)を入れて純石英ロッドを使用すると、ホウケイ酸塩セグメントなしでUVA及びUVBが同じレベルで検出され、送達ロッド940の先端で放出されるUV-C光はわずか10マイクロワット/cmとなり、したがってUV光が、送達ロッド940全体にわたって送達されるために、UV光が送達ロッド940の本体へ後方反射されることを意味する。UV光源950は、UV光源950に電力を供給する電源(図示せず)に接続されるように構成され得る。
【0070】
送達ロッド940は、光ファイバロッド/カテーテルであり得る。いくつかの例示的な実施形態では、送達ロッド940は、工業用ダイヤモンドを使用して切り目をつけ、それによってガラスカッターオイルが使用され、両側圧力が加えられて(不透明ではなく)明瞭に折られることによって作製される。送達ロッド940の先端は、ドリル(例えば、500RPMドリル)によって丸くすることができ、ドリルは、プレミアムダイヤモンド研磨パッド(例えば、120~200グリットのプレミアムダイヤモンド研磨パッド)及びサンドペーパー(例えば、400番サンドペーパー)を使用する。その後、UV-Cではない光(例えば、UVA及びUVB)が送達ロッド940の本体全体に放出され得るように、送達ロッド940の本体を120~200グリットのプレミアムダイヤモンド研磨パッドで研磨することができる。ロッドのカスタム不透明化には、代替の化学的不透明化を使用することができる。
【0071】
光源アタッチメント900は、本体920と、本体920を筐体(例えば、ロッド、カテーテル、ハンドルなど)に取り付ける締結機構910(例えば、ネジ、止めネジ、ファスナ、釘など)とを含み得る。本体920は、光源(または電源)に接続するように構成された前端開口部970と、ロッド(またはカテーテル)に接続するように構成された後端開口部980とを含み得る。
【0072】
光源アタッチメント900は、熱伝導のためにかつ光強度劣化を低減するためにアルミニウムで作ることができる。前端開口部970及び後端開口部980の両方の直径は、例えば、特定のカテーテル、チューブ、ロッドなどに適合するために変化し得る。光源アタッチメント900はまた、光損失を低減するように構成された凸レンズ930を前端開口部970と後端開口部980との間に含み得る。この凸レンズは、光損失を減らし、光を集束させる半凸耐熱レンズを含み得る。
【0073】
カテーテル
いくつかの実施例では、送達デバイスは、動脈、尿道、または患者の体の他の部分に挿入可能であり得るカテーテルチューブ100であり得る。例えば、カテーテルチューブ100は、ガイドワイヤが通過することを可能にする中空部分を含み得る。したがって、介護者は、ガイドワイヤを治療部位に誘導し、次にカテーテルをガイドワイヤ上に通して、カテーテルを治療部位に、または治療部位を越えて誘導することができる。
【0074】
次に、内視鏡の実施態様と同様に、カテーテルチューブ100は、動脈の内側にUV治療を施すのに適した任意の様々な光源150を含むことができる。いくつかの実施例では、この実施態様は、LEDなどのより小さな光源150を使用することができる。
【0075】
本明細書に開示される別の実施例では、送達デバイスは、(例えば、図11に示すように)尿道留置カテーテルとして膀胱に挿入され、その結果、UV光で尿路感染症を殺菌し得るカテーテルチューブ100であり得る。別の実施例では、送達デバイスは、直腸をUV光で治療するために直腸に挿入されるバルーンの一部であり得る。
【0076】

さらに別の例では、送達デバイスは、患者の膣内の感染症を治療するために膣ロッドに組み込まれ得る。
【0077】
図22は、いくつかの実施例でUV光の膣内送達に利用することができる、本明細書に開示される実施形態による、例示的なUV発光デバイスを示す。本UV発光デバイスは、送達チューブ/ロッド100を含むことができる。いくつかの実施例では、送達チューブ/ロッド100は、4面の細長い本体101を含む。この4面の細長い本体101は、4つの側面のそれぞれにUV光源150を含むことができる。UV光源150は、送達チューブ/ロッド100の各側面に互い違いに配置することができる。送達チューブ/ロッド100は、近位端102及び遠位端103を含むことができる。細長い本体101の4つの側面は、遠位端103に向かって丸い表面105に集結する。送達チューブ/ロッド100の遠位端103は、上記のように、患者への挿入のために構成されている。対照的に、対向する近位端102は、送達チューブ/ロッド100の操作性のために構成されている。
【0078】
図23は、把持要素200を備えた図22のUV発光デバイスの実施例を示す。把持要素200は、ハンドルとして構成することができる。把持要素200は、近位端102で送達チューブ/ロッド100に取り付けることができる。把持要素200は、医師または医療提供者にとって人間工学的に十分であるように設計することができる。把持要素200はまた、ユーザの入力を受け取るように構成された入力構成要素201を含むこともできる。入力構成要素201は、送達チューブ/ロッド100及びUV光源150の機能を変更する内部プロセッサに接続することができる。いくつかの実施形態では、送達チューブ/ロッド100は、2~20個のUV光源を含む。本明細書に示される送達チューブ/ロッド100は、4つの側面の各側面に3つのUV光源150を含み、合計12個のUV光源150を含む。本明細書に開示される特徴を組み込んだ他の構成が実施可能であることを理解されたい。
【0079】
図24は、本明細書に開示される実施形態による、例示的なUV発光デバイス300を示す。UV発光デバイス300は、把持要素350を含むことができる。把持要素350は、医師または医療提供者にとって人間工学的に十分であるように設計することができる。把持要素350はまた、ユーザの入力を受け取るように構成された入力構成要素351を含むこともできる。入力構成要素351は、送達チューブ/ロッド300及びUV光源330の機能を変更する内部プロセッサに接続することができる。本明細書に示される送達チューブ/ロッド300は、4つの側面の各側面に2つのUV光源330を含み、合計8個のUV光源330を含む。本明細書に開示される特徴を組み込んだ他の構成が実施可能であることを理解されたい。
【0080】
いくつかの実施形態では、送達チューブ/ロッド100は、その遠位端103に回転ベースを含むことができる。この回転ベースは、UV光源150から放出される光が均一になるように、送達チューブ/ロッド100の回転を可能にすることができる。回転する送達チューブ/ロッド100を用いて患者を治療する場合、均一なUV放射率は、微生物増殖の治療に役立つ可能性が高い。いくつかの実施例では、送達チューブ/ロッド100はまた、ステッピングモータをも含む。ステッピングモータは、回転ベースの回転を可能にすることができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、UV光源150は、送達チューブ/ロッド100の全長に沿って分布しており、かつ遠位端103に分布して、UV光源150のより広範な適用を達成する。
【0082】
いくつかの実施形態では、送達チューブ/ロッド100は、送達チューブ/ロッド100全体が光り、UV光を均一的に伝送するように構成される。いくつかの実施形態では、送達チューブ/ロッド100は、UVA領域及び/またはUVB領域のみの光波を放出し、UV-C領域の光波を放出しないように構成される。例えば、UV光源150のピーク波長が340nmを含むことができる。他のより広い実施形態では、送達チューブ/ロッド100(及び光源150)は、320nm~410nmの間の波長を送達することができる。開示された送達チューブ/ロッド100を使用して、様々な波長及び様々な波長の組み合わせを提供できることを理解されたい。他の領域の波長には、例えば、250nm~400nmが含まれ得る。いくつかの実施形態では、垂直照射長は、送達チューブ/ロッド100の周りで8~10cmの間に延びる。
【0083】
送達チューブ/ロッド100は、生体適合性であるかまたは生体適合性コーティングを有する様々なポリマーを含む、任意の適切な構造(例えば、剛性構造または可撓性構造)で作製され得る。図25は、本明細書に開示される実施形態による、例示的なUV発光デバイス400を示す。いくつかの実施形態では、送達チューブ/ロッド100は、光源430からのUV光が送達チューブ/ロッド100から外に放射することを可能にするために、透明材料の外層を含むことができる。いくつかの実施形態では、送達チューブ/ロッド100は、例えば、シリコン、シリカ、ポリウレタン、ポリエチレン、テフロン/PTFE、ホウケイ酸塩、または他の適切な材料から作られた外面を含み得る。いくつかの実施形態では、送達チューブ/ロッド100は、ホウケイ酸塩外層を備えた銅を使用して構築されている。最適な冷却、露出領域、及び均一性のために、送達チューブ/ロッド100は、銅棒上に互い違いに配置された複数の発光ダイオード(LED)を含むことができる。いくつかの実施例では、8個のLEDを送達チューブ/ロッドに設けることができる。光源430の間隔は、最適な垂直照射長を可能にする間隔である。いくつかの実施形態では、垂直照射長は、送達チューブ/ロッド100の周りで8~10cmの間に延びる。
【0084】
銅を使用して送達チューブ/ロッド100の本体を製造することにより、送達チューブ/ロッド100は、高温レベルに達することに耐えることができる。銅はヒートシンクとして機能し、送達チューブ/ロッド100が不快な温度に達するのを防ぐ。出願人はまた、送達チューブ/ロッド100の温度を最適化するために、特定の電流で光源150を動作させることを提案する。いくつかの実施例では、光源150は、60~100mAの範囲内で動作される。提案された範囲内で、送達チューブ/ロッド100の温度は40℃を超えて上昇しないので、適切な冷却ソリューションを実施するという目標を達成する。
【0085】
図26図29は、コントローラ450を備えたUV光送達システムの様々な実施例を示す。コントローラ450は、1つ以上のプロセッサ、メモリ、及び電池または他の電源を含むことができる。メモリは、本明細書に開示される様々な強度及び/または持続時間を使用して適用され得る様々な治療レジメンに伴う命令を含み得る。例えば、メモリは、プロセッサによって実行されると、所与の強度またはタイミングで光源150に電力を供給するデータ構造を含み得る。コントローラは、膣、GI、及びETTベースのUV光送達デバイスを含む、本明細書に開示された実施形態のいずれかに利用することができる。
【0086】
図30を参照すると、体内紫外線療法を実施するためのプロセスが提供されている。このプロセスは、ステップ2501において、UV光送達デバイスを提供することを含む。UV光送達デバイスは、近位端及び遠位端を含む細長い本体を含む。細長い本体は、収容空間を含む。UV光送達デバイスはまた、収容空間に接続されるように構成されたUV光源を含むことができる。いくつかの実施例では、本方法はまた、ステップ2503で、2つのUV光源がUV光を外に均一的に放出するように構成されるように、細長い本体を回転させることを含む。
【0087】
このプロセスはまた、ステップ2504で、2つのUV光源から、340、341、342、343、344、345、346nmのピーク波長を有する320nm~410nmの間の波長を放出することを含み得る。いくつかの実施例では、このプロセスはまた、2つのUV光源から、細長い本体から外に放射線を放出することを含む。いくつかの実施例では、細長い本体は4つの側面を含む。細長い本体の4つの側面のそれぞれは、対応するUV光源150が、細長い本体に互い違いに配置されるように、収容空間を含む。
【0088】
細長い本体は、近位端において収容空間及び対応するUV光源を含む。細長い本体は、部分的にホウケイ酸ガラスでコーティングされている。いくつかの実施例では、細長い本体は銅で作られている。
【0089】
呼吸器
いくつかの実施例では、本明細書に開示されるシステム及び方法は、患者の呼吸器系の体内通路にUV光を送達するために利用され得る。例えば、いくつかの実施例では、患者が換気されている間に、送達チューブ150を気管内チューブ(ETT)に誘導することができる。あるいは、送達チューブ150は、患者の鼻咽頭エアウエイ(NPA)に誘導することができる。これらの適用は、ウイルス感染症、細菌感染症、肺炎、及びその他の感染症を含む感染症を治療または予防するために利用できる。
【0090】
いくつかの実施例では、送達チューブ100は、ETTの吸引中にETTに挿入され得る。他の実施例では、ここでのシステム及び方法が、体内光線療法を送達するために胸腔チューブに送達チューブを装備することにより、肺気腫の治療を改善するために利用され得る。
【0091】
例えば、本明細書に開示されているように、気管内チューブ(ETT)と組み合わせて体内紫外線療法を提供するためのシステム及び方法が開発されている。したがって、患者の換気中にETT内で送達チューブ100を誘導することができる。他の実施例では、送達チューブ100は、ETTに接続され得もしくは組み込まれ得、またはETTが、ETTに組み込まれた光源150を有し得る。したがって、光源150は、UV光源150が、ETTを取り囲む気管気道内の呼吸組織を照射するように、チューブ150及び/またはETT内に配置され得る。
【0092】
例えば、本明細書に開示されているように、鼻咽頭エアウエイ(NPA)と組み合わせて体内紫外線療法を提供するためのシステム及び方法が開発されている。したがって、患者のNPA内で送達チューブ100を誘導することができる。他の実施例では、送達チューブ100は、NPAに接続され得もしくは組み込まれ得、またはNPAが、NPAに組み込まれた光源150を有し得る。したがって、光源150は、UV光源150が、NPAを取り囲む鼻咽頭気道内の呼吸組織を照射するように、チューブ150及び/またはNPA内に配置され得る。
【0093】
いくつかの実施例では、送達チューブ100内のUV光源150は、一連のLEDであり得る。例えば、送達チューブ100は、ETTまたはNPAに接続する可撓性カテーテルであり得、送達チューブ100から外にUV光を放出して、患者の呼吸気管を治療するために、及び/またはETTまたはNPAの内部を処置するために、カテーテル上またはカテーテル内部に配置されたLEDを有し得る。LEDは、電源へのワイヤード接続で接続され得る。他の実施例では、光源150は、LED以外の他の適切な光源150であり得る。
【0094】
この実施例では、LEDは、335、336、337、338、339、340、341、342、342、344、345、346、347、348、349、350nmの最大発光強度波長、または335~350nmの間の任意の波長の領域を有し得る。他の実施形態では、LEDは、320nm~410nm、250nm~400nm、または本明細書で論じられる他の適切な領域の波長を放出することができる。いくつかの実施形態では、LEDは343nm~345nmの範囲のピーク波長を有し得る。
【0095】
図31は、UV光で患者の呼吸気管及び周囲組織を治療するための治療レジメンの実施例を示すフローチャートを示す。例えば、UV光源を備えた光カテーテルまたは他の送達チューブ150を提供し(3100)、これをETT内に誘導する(3102)場合がある。一実施例では、光カテーテルを含む光カテーテルアセンブリ、または送達チューブ150を含む他の送達チューブアセンブリが、光カテーテルアセンブリのETTコネクタ部分を介してETTに結合される。例示的な光カテーテルアセンブリを図64~70に関して後述する。光カテーテルをETT内に誘導する前に、光カテーテルを光カテーテルアセンブリの保護スリーブ内に封入する。光カテーテルアセンブリをETTに接続した後に、EETコネクタ部分内に位置する弁(例えばフラップ弁)を通して光カテーテルが誘導される。光カテーテルは、光カテーテルの光放出部分がETT内の望ましい深度でETT内になるように、弁を介してETT内に誘導される。別の言い方をすると、光カテーテルをETT内に配置するために、望ましい深度に達するまで光カテーテルを弁に通してETT内まで押す。望ましい深度に達したら、ETTコネクタ部分内に配されて光カテーテルを取り囲んでいる二次シールが、人工呼吸器からの空気が保護スリーブ内に押し込まれることを防いでもよい。一実施例では、二次シールはETTコネクタ部分の壁及び光カテーテルと面共有接触(face-sharing contact)する。
【0096】
次いで様々な治療のためにUV光源が通電され得る(3104)。例えば、光カテーテルのLEDに通信的に結合された制御ユニットのプロセッサが、LEDに通電するためにLEDに電力を供給させる信号を提供してもよい。いくつかの実施例では、光カテーテルの望ましい長さを通って光を放出するために、選択されたLEDが通電され得る。例えば、光カテーテルの第1の長さ(例えば10cm)に沿ってLEDが提供されてもよいが、より小さいエリアを治療するうえで、第1の長さより短い第2の長さ(例えば5cm)内にあるLEDが通電されてもよい。さらに、いくつかの実施例では、第一の数のLEDが、残りの数のLEDより大きな強度で出力するように通電されてもよく、逆もまたしかりである。
【0097】
いくつかの実施例では、339、340、341、342、343、344、345、または346nmを中心とする最大発光強度の波長を有するLEDを備えた送達カテーテルは、1日に1回、2回、または3回、少なくとも15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、60、80、または90分間(またはこれらの範囲の間もしくは範囲外の他の適切な時間枠)通電され得る。適用される強度は、LEDの出力とLED光源から気管組織または他の呼吸気管組織までの距離とに基づいて、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300uW/cm、またはこれらの範囲の間もしくは範囲外の他の適切な強度にすることができる。
【0098】
さらに、いくつかの実施例では、光カテーテルに結合したサーミスタを介して光カテーテルの温度がモニタされ得る。一実施例では、LED温度をモニタするために少なくとも1つのLEDのところにサーミスタが位置決めされ得、それが光カテーテルの温度の提示を提供する。非限定的実施例として、光カテーテルの先端と反対方向に位置決めされた最後のLEDのところにサーミスタが位置決めされてもよい。いくつかの実施例では、それぞれ光カテーテルの光放出部分に沿った異なる位置にある、1つより多いサーミスタが用いられ得る。一実施例では、閾値温度を上回る光カテーテルの温度に応答して、プロセッサを介してLEDの強度出力が低減されるかまたはLEDへの電源が切られ得る。別の実施例では、閾値温度を上回る光カテーテルの温度に応答して、LED出力の調整に加えてもしくはその代替として、光カテーテルの冷却チューブを介した冷気流の量が調整され得る。例えば、閾値温度を上回る光カテーテルの温度に応答して、冷却チューブを通る空気の流量が増大され得る。上記実施例は単一の閾値とともに示しているが、LED出力の調整及び/または光カテーテルを通る冷却空気流の調整のために複数の閾値が用いられ得る。
【0099】
図32図33図34A~34C、図35A~35C、図36A~36D、及び図37は、ETT内で利用され得る光カテーテルに使用され得るいくつかの異なる実施形態を示す。これには、図32及び図33に示されるように、ETT3302に接続され得るかまたはこれとともに挿入され得る1つ以上のチップオンボード(COB)小型バーが含まれ得る。ETT3302は、組織に到達するUV放射の強度を低減し得るバルーン3308を含んでもよく、かつ、ETバルーン3308などによる放射損失に対処するために、個々のCOB小型バーが異なる強度で選択的に動作されてもよい。例えば、ETバルーン3308内のCOB小型バー3306が、ETバルーン3308の外にあるCOB小型バー3305を上回る強度で動作されてもよい。システム全体が可撓性の金属ロッド3304に接続され得、それが電源ユニット(図示せず)に接続され得る。1つ以上のCOB小型バーを伴う本実施例は、10cmの長さを有するUV照射エリアを示す。その長さは用途に応じて10cm未満または10cm超であり得ることが認識されるであろう。いくつかの実施例では、ETT3302のより長い長さを網羅するために、小型バー3305及び3306に加えて1つ以上のさらなるCOB小型バーが含まれ得る。
【0100】
光線療法を広げるためにETT3410と一体化され得る(またはETTに取り付けられ得る)、COB光エンジン3402による例示的な光ファイバソリューションを図34A~34Cに示す。この実施例では、単一のLED(図34Aにおける3404)または複数のLED(図34B及び34C)が、UV放射エリアに光を伝送する光ファイバケーブル3408に(例えば3406の結合を介して)接続され、光ファイバはチューブのその部分において光を放射するように構築または処理される。さらに、いくつかの実施例では、図34Cに示されるように、光を集束させかつ導いて光ファイバケーブル3408に通すためにコリメーティングレンズ3414が利用され得る。上述したように、光ファイバケーブル3408は、ETT3410の望ましい長さにわたって光を放出するように構成され得る。
【0101】
図35A~35Cは、LED351を含む、ヒートシンク(図35C)を伴う可撓性プリント回路基板(PCB)3504の一実施例を示す。一実施例では、LED3510がチューブ3505の周囲に位置決めされるように、可撓性PCBがチューブ3505へと形成され得る。この実施形態は、可撓性PCBの表面積が大きいことにより、熱を放散させるのに役立つ。さらに、可撓性PCBチューブの冷却を向上できるように1つ以上の空気穴3508が提供され得る。図35BはETT内のチューブ3505を示す。
【0102】
図36A~36Dは、一続きの線形リフレクタ及びLEDを含む光カテーテルの別の実施形態の様々な構成要素を示す。上述の実施形態と同様に、光カテーテルはETT3602を通って誘導され得る。図36Cに示されるように、光カテーテルは、近傍のリフレクタに向けられた一連のLEDユニットを含む。各LEDユニットは、LED3608と、リフレクタ3610と、基板3614とを含む。2つのLED3608間の例示的な距離は9mmであり得、LED3608と、LEDからの光を受けるリフレクタ3610の端部との間の距離は2mmであり得る。例えば、リフレクタが光を受けてそれを広げることができるように、LEDとリフレクタ端部との間の距離が充分に小さくてもよい。この方式で、光分布の均等性を向上させながら、より大きな光分布が実現される。図36Cは、図36A及び図36Bの実施形態に実装され得る例示的なヒートシンクを示す。図37は、図36A及び図36Bに示される光カテーテルに利用され得る狭帯域(例えば343~345nm)LEDの例示的なビーム角を示す。
【0103】
UV光治療システム
図64は、例示的なUV光治療システム6400の概略を示す。この実施例では、UV光治療システム6400は、光カテーテルアセンブリ6440を人工呼吸器の気管内チューブ(ETT)に結合するように構成され、かつ、ETTが光アセンブリ6440及び人工呼吸器に結合されている間にUV光カテーテルをETT内に誘導するように構成される。
【0104】
UV光治療システム6400は、制御ユニット6402と、アンビリカルチューブアセンブリ6430と、UV光カテーテルアセンブリ6440とを含む。制御ユニット6402は、UV光アセンブリの温度を調節するためにUV光カテーテルアセンブリ6440内の冷却チューブを通る冷媒流を提供するためのコンプレッサ6408を含む。制御ユニット6402は、冷媒流を開始及び/もしくは停止するための、ならびに/または冷却チューブを通る冷媒流量を調整するための、弁6406と調圧器6412とをさらに含む。
【0105】
制御ユニット6402は、(アンビリカルアセンブリ6430のコントローラ側6432にある)アンビリカルチューブアセンブリ6430の高温冷媒(warm coolant)コネクタ6434、低温冷媒(cold coolant)コネクタ6436、及び電気コネクタ6438のうち1つ以上と結合するための接続インタフェースを提供するコネクタ6410を含む。
【0106】
アンビリカルチューブアセンブリ6430は、制御ユニット6402をUV光カテーテルアセンブリ6440と接続する。アンビリカルチューブアセンブリ6430は、UV光カテーテルアセンブリ6440内のLED用の1つ以上の電気接続ワイヤと、UV光カテーテルアセンブリのサーミスタまでの電気接続ワイヤと、高温及び低温冷媒チュービングとがその中に配される、外側シースを含む。電気接続ワイヤならびに低温及び高温冷媒チュービングは、外側シースの長さに沿って通過する。いくつかの実施例では、低温冷媒チュービングが、環境からの熱伝達を低減させるための追加的な断熱を含み得る。
【0107】
アンビリカルチューブアセンブリ6430のUV光カテーテル側6442では、高温及び低温冷媒チュービング、ならびに(UVカテーテルアセンブリのサーミスタとLEDとにつながる)1つ以上の電気接続ワイヤが、高温冷媒コネクタ6444、低温冷媒コネクタ6446、及び電気コネクタ6448として出て、それらは、カテーテル‐アンビリカル接続インタフェース6447を介して、UV光カテーテルアセンブリ6440の対応する高温冷媒コネクタ、低温冷媒コネクタ、及び電気コネクタに結合される。UV光カテーテルアセンブリ6440の詳細は図65~69について後述する。
【0108】
一実施例では、アンビリカルチューブアセンブリは、1つ以上の通気路(例えば、光カテーテルアセンブリから温気を戻すための高温冷媒チュービング、冷却された冷媒を光カテーテルアセンブリに提供するための低温冷媒チュービング)と、1つ以上の導電体(例えば、光カテーテルアセンブリ及び/または光カテーテルアセンブリのサーミスタに電源を提供するための電源コンダクタ)とを含み得る。さらに、1つ以上の導電体はまた、光カテーテルアセンブリの温度提示をサーミスタから制御ユニットに提供し得る。制御ユニットは、温度に応答して、光カテーテルアセンブリの動作及び光カテーテルアセンブリまでの冷媒流のうち1つ以上を調節してもよい。アンビリカルチューブアセンブリは、光カテーテルアセンブリに接続するように構成された光カテーテルコネクタと、制御ユニット(またはコンプレッサシステム)に接続するように構成された制御ユニットコネクタ(またはコンプレッサコネクタ)とをさらに含み得る。
【0109】
アンビリカルチューブアセンブリ6430は、約4、5、もしくは6フィートの長さであり得、または使い捨て光カテーテルをコントローラに接続するための他の好適な長さであり得る。アンビリカルチューブアセンブリ6430は、制御ユニット6402が入ったベッドサイドカートから患者のETT上のコネクタまで到達できるだけ充分に長くてもよい。上述したように、アンビリカルチューブアセンブリ6430は、LED用の電気ワイヤと、サーミスタ用のワイヤと、光カテーテルアセンブリ6440までの冷却空気用のチュービング及び/または光カテーテルアセンブリ6440からの温気戻り用のチュービングとを含み得る。したがって、一実施例では、アンビリカルチューブアセンブリ6430は、気体冷媒及び電気の両方を伝送するための単一のハイブリッドコネクタとして機能することによって、光カテーテルアセンブリ6440を制御ユニット6402と接続してもよい。例えば、中央の通路が空気を伝送してもよい(例えば、冷却空気を光カテーテルアセンブリ6440まで伝送し、かつ適用可能ならば第2の通路に沿って温気を制御ユニット6402まで戻してもよい)。さらに、1つ以上の電気コネクタ/ワイヤが、外周の周りに間隔を空けて置かれ得、または通気路に対する任意の構成であり得る。
【0110】
一実施例では、冷媒は空気である。したがって、コンプレッサ6408からの冷却された空気は、低温冷媒コネクタ6436と、アンビリカルシース内の低温冷媒チュービングと、低温冷媒コネクタ6446とを通って流れてUV光カテーテルアセンブリ6440に入り得る。一実施例では、コンプレッサからの空気は熱電クーラによって冷却され得、かつ低温冷媒コネクタに流入し得る。さらに、UV光カテーテルからの温まった空気は次に、高温冷媒コネクタ6444と、高温冷媒チュービングと、高温冷媒コネクタ6344とを経由し、そこから、リサイクル、流量のモニタリング、漏れのモニタリング、及び/または雰囲気中への排出のために制御ユニット6402に戻される。いくつかの実施例では、温気は、アンビリカルアセンブリ6430と光カテーテルアセンブリ6430との間の接続インタフェースにおいて、またはアンビリカルアセンブリ内の弁調節式の開通口を介して、排出され得る。UV光カテーテルがETT内に配置された時の冷媒流の詳細は図69についてさらに後述する。いくつかの実施例では、他の気体冷媒も用いられ得、それも本開示の範囲内にある。
【0111】
制御ユニット6402は、少なくとも1つのプロセッサ(CPU)6403と、プロセッサに動作可能に結合され得るコンピュータ可読媒体を備える、読み出し専用メモリROM及び/またはランダムアクセスメモリRAMなど、少なくとも1つのメモリ6405と、を含み得る。よって、少なくとも1つのメモリ6405は、プロセッサによって実行された時に、ETT内でのUV光カテーテルの動作中にUV光カテーテルを冷却することと、UV光カテーテルの温度に従ってUV光の動作を制御することとのうち1つ以上など、本明細書に記載される動作のうち1つ以上を行うシステム命令を含み得る。プロセッサ6403は、様々な感覚構成要素(例えば、UV光カテーテル内に結合されたサーミスタ)からの1つ以上の入力信号を受け取り得、かつ、本明細書に記載される様々な制御構成要素に(例えば、UV光カテーテルの冷却チューブを通る冷媒の流れを調節するために制御ユニット内のコンプレッサ6408に、UV光カテーテルに結合された電源に、など)、1つ以上の制御信号を出力し得る。本実施例は制御ユニット6402の構成例を示すが、制御ユニット6402が他の構成で実施され得ることが認識されるであろう。
【0112】
非限定的な一実施例として、制御ユニット6402は、AlliedによるTimeter PCS-414など医療等級のエアコンプレッサを含有し得、かつ、50psiまたは他の好適な範囲で14LPMの空気を出力し得る。上述したように、制御ユニット6402は、デジタル読み出しと、アンビリカルチューブへのコネクタ(ハイブリッドコネクタであり得る)と、ユーザコントロール及び状態インジケータとを含み得る。加えて、コンプレッサは空気弁及び調圧器を含有し得る。制御ユニット6402はまた、冷却空気用の圧力センサ及びフローコントロールと、フローセンサとを含有し得る。いくつかの実施例では、制御ユニット6402は、光カテーテルに送達されて冷却チューブを通る冷却空気の温度及び/または流量を決定するために、サーミスタからの閉鎖フィードバックループを提供し得る。
【0113】
図65は、UV光治療システム6400のアンビリカル6430など、UV光治療システムのアンビリカルに結合され得るUV光カテーテルアセンブリ6500の実施例を示す。UV光カテーテルアセンブリ6500は、図64に示されるUV光カテーテルアセンブリ6440の一実施例であり得る。特に、図65は配置前構成におけるUV光カテーテルアセンブリ6500を示す。すなわち、ETTに結合されかつETTを通って誘導される前の、第1の構成である。
【0114】
UV光カテーテルアセンブリ6500は、光放出部分6600(図66)を備えるカテーテルチューブ6506(本明細書において光カテーテルともいう)を含む。ETT内に挿入されていない時、カテーテルチューブ6506は保護スリーブ6502内に格納される。光カテーテルアセンブリ6500の遠位端6508は、カテーテルの高温冷媒コネクタ6510、カテーテルの低温冷媒コネクタ6512、及びカテーテルの電気コネクタ6514を介して、それぞれアンビリカルの高温冷媒コネクタ、低温冷媒コネクタ、及び電気コネクタに結合される。この方式で、アンビリカルは、冷却用の冷媒と、(電気コネクタ6514を介して)UV光カテーテルアセンブリの複数のLEDへの電源と、サーミスタへの電源とをもたらす。UV光カテーテルアセンブリ6500は、近位端6520に、図66に拡大して示されかつ以下に説明される光放出部分6600(本明細書において光送達部分ともいう)を含む。
【0115】
図66を見ると、近位端6520は、カテーテルチューブの近位先端6616を格納するETTコネクタ6649を含む。さらに、ETTコネクタ6649は、UV光カテーテルアセンブリ6500を、人工呼吸器に結合されたETTに直接結合する。ETTコネクタ6649は、例えばカテーテルアセンブリ6500がETTに結合されているがカテーテルチューブ6506(光放出部分を含む)がETT内に配置されていない時などに、人工呼吸器から光カテーテルアセンブリ6500内に空気が流入することを防ぐ弁を含む。近位端6520は、カテーテルチューブ6506がETT内に配置された時に人工呼吸器からの空気が保護スリーブ6502に入ることを防ぐ二次シール6602をさらに含む。一実施例では、弁はフラップ弁として構成される。人工呼吸器から保護スリーブ6502内への空気の逆流を防ぐ、逆止弁など他のタイプの弁もまた用いられ得る。
【0116】
光放出部分6600は、カテーテルチューブ6506内部に配された複数のLED6604と、これもカテーテルチューブ6506内部に配された冷却チューブ6610とを含む。一実施例では、図に示されるように、LEDが電力供給された時にカテーテルチューブ6506の長さに沿ってカテーテルチューブ6506から外に360度のパターンでLEDが光を放出するように、LED6504は、互いから90度回転されかつカテーテルチューブ6506に向くように位置決めされる。さらに、この実施例では、隣り合う各LEDが90度回転される。例えば、第1のLEDはゼロ度の基準角度にあり、カテーテルチューブ6506の長さに沿って第1のLEDと隣り合って位置決めされる第2のLEDは(すなわち、第1のLEDのすぐ次にある第2のLEDは)第1のLEDから90度回転される。さらに、カテーテルチューブ6506の長さに沿って第2のLEDと隣り合う第3のLEDは、第2のLEDに対して90度(つまり第1のLEDに対して180度)回転され、以後も同様に、(N-1)番目のLEDと隣り合うN番目のLEDは、N番目のLEDに対して90度回転される;ここでNは、カテーテルチューブ6506に沿った光放出の望ましい長さに応じた任意の数である。さらに、この実施例では、(カテーテルチューブ内で長さ方向に位置決めされた)隣り合う各LEDが90度回転される、互い違いの構成にLEDが配列される。
【0117】
いくつかの実施例では、LEDは円周状の構成に配列され得る。例えば、第1のLEDと第3のLEDとが背中合わせに位置決めされ、第2のLEDと第4のLEDとが背中合わせにあり、第2のLEDは第1のLEDと第3のLEDとの間にあり、第4のLEDは第3のLEDと第1のLEDとの間にあり、4つのLEDは互い違いではなく、かつ電力供給された時に4つのLEDがカテーテルチューブ6506の周囲360度に光を放出するように、4つのLEDが互いから90度に配列されてもよい。カテーテルチューブの望ましい長さにわたって連続的で実質的に均一な照明を提供するために、4つのLEDの別のセットが、前記4つのLEDから短距離のところに位置決めされてもよい。照明するための、カテーテルチューブの望ましい長さを網羅するために、この方式でLEDの複数のセットが位置決めされ得る。カテーテルチューブの望ましい長さに沿った360度照明を網羅する、LEDの他の構成も可能であり、それも本開示の範囲内にある。例えば、ビーム角がより広いLEDが用いられる時は、360度照明を提供するために4つより少ないLEDが用いられ得る。非限定的実施例として、互い違いの様式(チューブの長さに沿って隣り合って位置決めされた様式)または円周状の様式(冷却チューブの周囲に隣り合った様式)に配列された、互いからそれぞれ120度回転された3つのLEDが利用され得る。この方式で、3つのLEDのいくつかのセットが360度照明を提供し得る。
【0118】
さらに、冷却チューブ6610がカテーテルチューブ6506内に位置決めされて、カテーテルチューブ6506に冷却空気をもたらす。冷却チューブ6610はカテーテルチューブの近位端6520に向かって開放端6615を有し、冷却空気はそれを通って冷却チューブから出て、LEDを冷却するためにLEDに向かって循環して戻る。冷却チューブ6610はLED6604に対して中心に位置決めされる。具体的には、LED6604は、各LEDの一部分が冷却チューブ6610と接触するように位置決めされる。例えば、LED6604は、後方部分(例えばLED基板の一部分)が冷却チューブ6610と接触するように配列される。いくつかの実施例では、LED6604は、内側チューブ内に1つ以上の冷却チューブを含み得る内側チューブ上に位置決めされてもよい。
【0119】
さらに、冷却チューブ6610は可撓性で、各LEDの後方部分を通って屈曲し、それはLEDをコンパクトな様式で配列することを可能にする。その結果としてカテーテルチューブの直径が低減し、それはETTを通る(挿管患者への)人工呼吸器の空気流に対する抵抗を低減させるので、ETT内に配置された時に有利である。いくつかの実施例では、冷却空気が1つ以上の追加的な出口ポイントから出ることを可能にするために、1つ以上の追加的な開通口が冷却チューブに提供され得る。
【0120】
さらに、光カテーテルチューブ6506は、主に340~350nmの領域でピーク波長を放出するLEDを含み得る。例示的なピーク波長は343nmから345nmまでの領域であり得る。いくつかの実施例では、LEDの各々が、335nm、336nm、337nm、338nm、339nm、340nm、341nm、342nm、343nm、344nm、345nm、346nm、347nm、348nm、349nm、350nm、351nm、352nm、353nm 354nm、355nmのピーク波長を放出してもよい。いくつかの実施例では、LEDは、そのピーク強度発光波長を中心にして+/-1、2、3、4、5、または6nmの範囲で有意な強度の光を放出してもよい。
【0121】
カテーテルチューブ6506はETTの直径より小さい直径を有する。非限定的な一実施例として、カテーテルチューブは直径約5.4mmであり、それは成人用気管支鏡の直径またはそれ以下であり、ETTを通る空気流を妨げることを防ぐだけ充分に小さい。いくつかの実施例では、カテーテルチューブは5.4mm未満であり得る。さらに、カテーテルチューブ6506は可撓性であり、ETTを通って誘導される時に気管内チューブの屈曲に従うことができる。いくつかの実施例では、カテーテルチューブ6506は、気管支鏡の直径またはそれ以下であるように寸法決めされ得る。例えば、成人において、光カテーテルは約3、4、5、5.4、5.5、5.6mmまたは他の好適な直径であり得る。加えて、カテーテルの直径は、ETT内部の空気流を妨げまたは乱すことを防ぐように寸法決めされ得る。LEDが冷却チューブに対して螺旋状に互い違いに配列されていることは、ETTを通る空気流に対する抵抗を低減しながら効率的な冷却を提供するために、カテーテル直径を充分に小さくすることを可能にする。
【0122】
さらに、冷却チューブ及びLEDライトの配列は、治療持続時間を長くすることを可能にする。例えば、光カテーテル内に位置決めされた冷却チューブと、光カテーテル内の冷却空気の流れとによって、LEDの冷却がより効果的になる。
【0123】
さらに、LED6604の温度をモニタするために、カテーテルチューブ6506の遠位部分に向かって最後のLEDにサーミスタ6612が結合され得る。いくつかの実施例では、1つ以上のサーミスタが用いられ得る。さらに、サーミスタ6612はLED6604のいずれにも結合され得る。サーミスタ6612はLED6604の温度提示を制御ユニット(例えば制御ユニット6402)に送り得る。一実施例では、LEDの動作を調整するために閾値温度が用いられ得る。例えば、単一の閾値温度を用いてもよく、かつ少なくとも1つのLEDの温度がその単一の閾値温度またはそれ以上である時に、LEDが動作しないことがあり得る。いくつかの実施例では、温度が単一の閾値温度に達した時に、より低強度の放射を出力するために制御ユニットがLEDの電力を低下させ得る。制御ユニットは温度をモニタしつづけてよく、かつ温度が単一の閾値を下回るまで低下した時に、望ましい強度になるまで電力がLEDに供給されるかまたは増大され得る。いくつかの実施例では、LEDがオフにされている間、LEDの冷却を促進するために、冷却チューブ6610を通る冷媒流が持続しまたは増大され得る。
【0124】
別の実施例では、LEDの動作及び/または冷媒流を調整するために複数の温度閾値が用いられ得る。一実施例として、カテーテルチューブ内の1つ以上のLEDが電力供給されている時、少なくとも1つのLEDの温度が、より低い第1の閾値未満である第1の条件の間は、冷媒空気流が提供されないかまたは低流量で提供されるのであってもよい。温度が第1の閾値またはそれ以上であるが、より高い第2の閾値未満である、第2の条件の間は、冷媒空気流が前記低流量より大きくなるように増大されてもよい。さらに、温度が、より高い第2の閾値またはそれ以上である、第3の条件の間は、LEDに電力が提供されないのであってもよい(すなわちLEDがオフにされてもよい)。加えて、いくつかの実施例では、温度が第2の温度閾値またはそれ以上である時に、LEDをより迅速に冷却できるように冷媒流が持続してもよい。
【0125】
さらに、いくつかの実施例では、UV光アセンブリのカテーテルチューブ6506が使い捨てであり得る。すなわち、カテーテルは、その治療の持続時間にわたって単一の患者に使用され得、それから処分され得る。
【0126】
カテーテルチューブ6506は、カテーテルチューブ6506の光非放出部分に1つ以上の深度提示6614をさらに含む。例示的な提示6614が図67に示される。具体的には、カテーテルチューブ6506は、カテーテルの近位端までの距離を提示する1つ以上の外部深度マーキングを含む。図67に示される実施例では、提示は13cmで始まり30cmまでにわたる。さらに、15~30cmの間は5cmごとに数字でマークされ、中間の距離は丸い点でマークされる。上述の実施例は例示を目的としているにすぎず、異なる提示タイプ(円でない形状、任意の幾何学形状など)ならびに異なる距離(例えば、2cm、3cm、4cm、もしくは6cmごとの距離提示、または任意の有用なインターバル及び/もしくは距離マーカー)が本開示の範囲から逸脱することなくカテーテルチューブの光非放出部分に提示され得ることが認識されるであろう。
【0127】
さらに、本実施例は、10cmの長さを有する光放出部分(光送達部分ともいう)を示す。LEDを備える光放出部分の長さは、より長くてもまたはより短くてもよいことが認識されるであろう。非限定的実施例として、カテーテルチューブが小児用に構成される時は、光放出部分(すなわちLEDを含む部分)の長さがより短くてもよい。よって、一実施例では、光放出部分の長さは患者の年齢及び/または身長に基づき得る。さらに、ETTまたはNPAなどの用途に応じて、光放出部分の長さが様々であり得る。いくつかの実施例では、光送達部分は5、6、7、9、10、11、12、13、14、もしくは15cmであり得、またはカテーテルチューブ6506の他の好適な長さであり得る。
【0128】
いくつかの実施例では、カテーテルチューブは1つより多い光放出部分を伴って構成され得る。例えば、各々が既定の長さを有する1つ以上の光放出部分が、カテーテルチューブの長さに沿って位置決めされ得、かつ、望ましい照射距離に応じて、制御ユニットが望ましい数の光放出部分を(LEDに電力供給することによって)起動させ得る。一実施例として、より長い照射距離が望ましいならば、より多数の光放出部分が制御ユニットによって起動され得、逆もまたしかりである。いくつかの実施例では、LEDは選択的に起動され得る。例えば、より長い照射距離が望ましい時に、起動されるLEDの数がより多くてもよい。さらに、異なる位置(例えば、近位側、遠位側、中間部など)にあるLEDが選択的に起動され得る。
【0129】
図68は、ETT6804内に配置された構成にあるカテーテルチューブ6506を示す。カテーテルチューブ6506をETT6804内に配置するために、カテーテルチューブ6506が、望ましい深度に達するまでフラップ弁を通ってETT6804内に押し入れられる。カテーテルチューブ6506が配置されると、二次シール6602が、レスピレータの空気が保護スリーブ6502内に押し入ることを防ぐ。さらに、カテーテルチューブ6506の近位端6616は、密封され得、かつ、ETT6804内で光カテーテルをセンタリングすることを補助する複数のナブ(nub)(図示せず)を有し得る。このことは、気管内部の光分布をさらに均等にすることを可能にする。
【0130】
図69は、ETT6804内に配置された時の冷媒空気流を示す。カテーテルチューブ6506内の冷却チューブ6610は、カテーテルチューブの密封された端部6616に向かって気体冷媒の定常流を運ぶ。気体冷媒(矢印6902によって示される冷媒流)はLEDを過ぎて後方に押し通り、LEDを冷たく保つ。温まった空気はアンビリカルアセンブリに向かってカテーテルチューブ6506後部から出る。温まった空気は、アンビリカルへの接続部で排出されるかまたは制御ユニットに戻されるかのいずれかであってもよく、制御ユニットでは、システム内の漏れの検出及び/または流量の調整(例えばより強い冷却のために流量を増大するなど)のために流量がモニタされる。
【0131】
図70は、カテーテルチューブ6506など、UV光治療システムのカテーテルチューブ内に実装され得る例示的なLED配列を示す。本明細書において、各LED7004は、ヒートシンクとして機能する銅パッド7006を有する基板を含む。本実施例は2つの銅パッド7006を示すが、それより少ないかまたは多い、2つのLED間のコップ(cop)電気接続が7008に示される。銅パッド7006は、冷却チューブ(例えば上述の冷却チューブ6610)に加えて、またはその代替として、用いられ得る。図71はLED(例えばLED7004)の例示的な放射パターン7102を示す。例えば、放射パターン7102はコーン(corn)形状を有する。他の放射パターンも用いられ得、それも本開示の範囲内にある。
【0132】
いくつかの実施例では、LEDは、互いに直列に接続された小さいPCB上に個々にはんだ付けされて、可撓性のLED鎖を作り出す。LED鎖は、例えば、ETTバルーン下のセクションにおいてより高い光量を放出し、それによってバルーンによる追加的な光の損失または減衰を補償するなどの目的で、別々に制御可能なセクションを作り出すためにセグメント化され得る。さらに、回路基板上のVIASがPCBの前面と背面とを熱的に接続するので、露出した追加的な銅パッド7006があるPCBの後部に熱が伝達できる。これらのパッドは、LED7004を過熱しないように保つために、さらなる熱を冷却空気に排出することができる。
【0133】
LED7004は光カテーテル内で螺旋状パターンに配列され得る。螺旋状パターンの一実施形態では、光カテーテルの周りに均等な360度のUVA光をもたらすために、各LEDは螺旋内の次のLEDに対して120度回転され、かつ光カテーテルの軸に沿って3.5mmの間隔が空けられる。
【0134】
一実施例では、LED7004は、3.5mm四方、高さ1.5mmであり、金属ハウジング上にロウ付けされた平らな石英レンズを伴う。各LEDは、図71に示すように約120度の光パターンをもたらし得る。いくつかの実施例では、LEDは120度~135度のビーム角を有し得る。
【0135】
このように、図65~70について上述した、UV光アセンブリと、アンビリカルと、制御ユニットとを含むUV光治療システムは、患者の呼吸路とそれを取り囲む体内組織とを照射するために気管内チューブに適用される本開示技術の実施例を示す。このことは、SARS-CoV-2感染などのコロナウイルス感染、及びCOVID-19などコロナウイルス感染によって引き起こされる疾患を治療するために有利であり得、かつまた、COVID-19治療以外の理由で挿管されている患者においてSARS-CoV-2または他のウイルスによる一次感染の機会を減らすためにも有利であり得る。加えて、本治療は、口内または人工呼吸器関連性の細菌もしくは真菌による二次感染の率を低下させ得る。
【0136】
上述したように、光カテーテルチューブは、光カテーテルとコントローラとの間を接続する可撓性の電力及びエアコネクタを含むアンビリカルチューブに接続し得る。いくつかの実施例では、アンビリカルチューブは再使用可能である。よってアンビリカルは、光カテーテル内のLEDに電力を供給するための配線及び回路と、冷却空気をコントローラから光カテーテルまで送達するための通路とを含む。
【0137】
UVA療法に用いられ得るUV光治療アセンブリの光カテーテルの別の例示的な光放出部分の一部分が図72に示される。この実施例では、1つ以上の冷却チューブ7206を含み得る内側チューブ7204上に複数のLED7202が位置決めされる。外側チューブ(図示せず)が、複数のLED7202と、内側チューブ7204と、1つ以上の冷却チューブ7206とを封入し得る。
【0138】
鼻咽頭エアウエイ(NPA)
鼻咽頭路内に挿入されるデバイスは「鼻咽頭エアウエイ(nasopharyngeal airway)」(NPA)と呼ばれる(あるいは、鼻トランペットまたはノーズホースとも呼ばれる)。気管内チューブに関して記述される、制御ユニットと、アンビリカルと、UV光カテーテルアセンブリとを含むUV光治療システムと;UVA LED構造と;波長と、強度と、持続時間とを含むUVA治療パラメータとの、上述の実施例は、本開示の範囲から逸脱することなくNPA用途にもまた適用され得る。
【0139】
一実施例では、本明細書に開示されるようなUV光源を伴う、カテーテルもしくは他の細いチューブであり得る鼻カテーテル、またはガイドワイヤが、鼻を通って呼吸路内の様々な位置に誘導され得る。したがって、適用される療法は、例えば肺炎様感染のために患者が換気を必要とする前などに、例えば鼻咽頭路内における抗菌効果などを有してもよい。
【0140】
さらなる呼吸器系用途
本開示のシステム及び方法は以下のさらなる呼吸器系用途にも利用され得る。
1.肺炎を防ぐために、チューブ内の細菌を除去し、喉頭及び他の組織の周りに蓄積する細菌もまた除去するため、ETTの使用中に体内光線療法(ILT)チューブを留置する。
2.断続的な放出を伴うILT能力を伴うETTを構築する。
3.ILTを伴う胸部チューブを装備することによって気腫の治療を向上させる。
【0141】
追加の治療適用及び治療レジメン
本明細書の手順は、いくつかの異なる炎症性疾患及び感染性疾患を治療するために利用することができる。したがって、以下に応じて、すなわち、(1)疾患のタイプ、(2)光源のタイプ、(3)光源出力、(4)光源のUV領域、及び(5)感染または炎症の重症度に応じて、異なる量または期間の投与量のUV放射を投与することができる。例えば、いくつかの実施形態では、投与時間はカプセル消化速度によって決定され、他の要因(例えば、光源出力、UV領域など)を操作して、投与量を変えることができる。他の実施例では、内視鏡が、医師/外科医によって1時間、30分間、2時間、または他の適切な時間、供給され得る。
【0142】
以下は、治療レジメンとその適用との例である。したがって、本明細書に開示されるデバイス及び方法が、これらの異なる状態を治療するように適合され得る。
泌尿器科及び腎臓学:
1.透析中に既知の菌血症、真菌血症、またはウイルス血症の患者の血液を滅菌して、微生物の負荷を根絶または減少させること。別の方法として、光針を瘻孔に配置して、透析ウィンドウの外側でもオンにすることができる。エクスビボ感度分析が、より狭い波長であるがより強いILTに対して行われる。
2.カテーテル依存患者における尿道留置カテーテルの滅菌
3.粘膜及び粘膜下層に限局された膀胱癌及び尿道癌の治療
4.難治性膀胱炎/尿路感染症の治療
5.腹膜炎、さらには長期の腹膜硬化症のリスクを減らすために、腹膜透析カテーテルへのUV光線療法を追加すること。
心臓病学
1.LVADを装着した既知の菌血症、真菌血症、またはウイルス血症の患者の血液を滅菌して、微生物の負荷を根絶または減少させること。別の方法として、光針を瘻孔に配置して、透析ウィンドウの外側でもオンにすることができる。エクスビボ感度分析を、より狭い波長であるがより強力なUV療法に対して行うことができる。
2.難治性の細菌性及び真菌性の心内膜炎が、弁の直接UV光曝露で治療されること。この場合、光増感剤を静脈内投与することがある。
歯科
1.歯肉炎の治療。
2.白板症及び口腔扁平苔癬の治療。
3.粘膜及び粘膜下層に限局されたがんの治療
血液学/腫瘍学
1.腸移植片対宿主病の治療。この場合、X線の波長が放出され、リンパ球を死滅させる。これは、小腸移植または緩和ケアを待つ末期クローン病の患者に使用することができる。
ENT
1.慢性副鼻腔炎の治療。
2.慢性耳炎の治療。
3.鼓膜切開術を必要とする患者における急性中耳炎の治療。
4.鼻ポリープの治療。
5.口臭の治療。
6.再発性扁桃炎/咽頭炎の治療。
7.粘膜及び粘膜下層に限局されたがんの治療
手術
1.ドレーンにUV光技術を装備することにより、膿瘍の治療を改善すること。
2.混合型感染を避けるために、外科用ドレーンとともに使用する。
3.吻合治癒プロセスを早めること。
4.癒着を防ぐのに役立つ。
脳神経外科
1.難治性髄膜炎の治療におけるUV光の髄腔内線維光学的送達。
2.難治性シャント感染症の治療。
3.髄腔内またはくも膜下UV療法によるプリオン病の治療。
4-ウイルス量を減らすことによる進行性多巣性白質脳症に関連するJCウイルスの治療。
婦人科
1.細菌性膣炎または真菌性膣炎の治療。
2.直腸腟瘻/結腸瘻の治療。
3.粘膜及び粘膜下層に限局されたがんの治療
リウマチ学
1.炎症性及び感染性の大関節炎の治療のための関節内ILT。
膣療法
1.図14A図14Bは、マウスの膣治療に使用されているUV発光デバイスの実施例を示す。
【0143】
実験データ
以下の一連の実験データは、本願により特許請求される発明をより良く説明するために提供されており、範囲を限定するものとして解釈されることを意図していない。
【0144】
実施例1:大腸菌
図12A及び図12Bは、本明細書に開示されるUV発光デバイスが、大腸菌の増殖を防止するために使用される実施例を示す実験データを示す。図示するように、UV光が適用されなかった対照群は増殖し続けたが、UV発光デバイスによってUV光が適用された試験群は、経時的に大腸菌数の連続的な減少を示した。UV光は、大腸菌の増殖を防ぎ、時間の経過とともにバクテリアを死滅させることが示されている。
【0145】
図15Bは、本明細書に開示されるUV発光デバイスが、大腸菌を含む液体培養で使用される実施例を示す。この実験と、他の細菌、及び真菌であるカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の同様の実験との結果を、例えば、図15A、及び図16図17A図17B図18図20図21A、及び図21Bに示す。全ての結果は、UVA光及びUVB光が本明細書に開示されるUV発光デバイスによって液体サンプル上に放出された液体サンプル中の、大腸菌及び他の感染性病原体の増殖の有意な減少を示している。
【0146】
実施例2:細菌
別の実施例では、本明細書による2つの例示的なデバイスを、細菌を処理するためのUVA実験で使用した。第1のデバイスは、希硫酸、フッ化水素ナトリウム、硫酸バリウム、及び重フッ化アンモニウムの混合物で繰り返しエッチングしたホウケイ酸塩ロッド(外径3mm)であり、ロッドの端に、UVAが側面から放出される反射コーティングを付加した。この過程で、分光器(Ocean Optics;Extech)で確認したところ、UVA(ピーク波長345nm)の側面発光ロッドが得られた。第2のデバイスには、ピーク波長(345nm)の狭帯域LEDを組み込んだ。
【0147】
UVAロッドを液体培地に挿入した。光源として水銀灯(Asahi Max 303, Asahi Spectra Co., Tokyo, Japan)を使用した。第2のUVA発光デバイスは、ヒートシンク(Seoul Viosys, Gyeonggi-Do, Korea)に取り付けた小型発光ダイオード(LED)アレイ(ピーク波長345nm)であった。このデバイスを、以下に示すメッキ実験に使用した。
【0148】
大腸菌(Escherichia coli)、大腸菌GFP、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、化膿性レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermis)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、クロストリディオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile)、及びカンジダ・アルビカンスの保存培養は、図53に示す表に示されるように、適切な液体培地及び条件で培養した。アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)株と1つの臨床分離株とは、各微生物(Manassas, VA, USA)についてATCCが提案した指示に従って、適切な固体培地及び液体培地で培養した。滅菌技術を使用して、微生物株を含むバイアルを開封し、ペレット全体を約500μLの液体ブロスで再水和させた。
【0149】
無菌的に、再懸濁したペレットを、細胞を再懸濁するために使用したのと同じ液体ブロス56mLを含むチューブに移した。一次ブロスチューブを数滴使用して、固形微生物寒天に接種し、単一コロニー形成単位(CFU)を分離した。液体及び固体の培養物を、図53に記載の特定の温度、雰囲気条件及び時間でインキュベートした。
【0150】
最初に、UVA療法中の菌株の純度を保証するために、各微生物の単一のCFUから液体培養を調製した。実験中は、新しい純粋な液体培養のみを使用した。1つの単一コロニーを5mLの液体培地を含む10mLの滅菌チューブに加え、続いて十分にボルテックスして微生物細胞を均質化させた。図53に示す液体培養を、マクファーランド比濁法で0.5に達するまでインキュベートした。標準濁度を満たした後、微生物培養を1分間十分に混合し、1000μLの液体培養を2本の1.7mLマイクロ遠心滅菌チューブに移して、処理及び対照として使用した。各チューブの100μLのアリコートを連続希釈し、固体微生物培地にプレーティングして、図54に示すようにベースラインでのCFU/mL数を決定した。
【0151】
UVA光線療法より前に、加熱したガラス棒を使用して上部に小さな穴を開けることにより、いくつかの滅菌1.7mLチューブキャップを用意した。その穴には、UVA光を透過させるために使用するロッドの形状及び大きさを持たせた。
【0152】
無菌的に、1.7mLチューブ内の液体培養からの元のキャップを、穴のある滅菌キャップに交換した。各キャップの上部に作製した穴に、UV光伝送ロッド(70%エタノールで滅菌)を入れた。同一のロッドを、対照チューブにも入れた。光は、MAX-303キセノン光源(Asahi Spectra USA, Inc., Torrance, CA)を使用して、チューブに挿入したガラス棒を透過させた。UVバンド幅と放射照度ピークとを評価した(Flame UV-VIS光ファイバ分光計、Ocean Optics)。UV強度は、SDL470及びUV510UV光メーター(Extech、NH、USA)Extechで測定した。UVCが存在しないことは、SDL470UV光メーター(Extech、NH、USA)を使用して確認した。図53は、細菌培養物に適用したUVA光の強度及び曝露期間を記載する。
【0153】
処理時間の終了後、ロッドを処理チューブ及び対照チューブから取り出し、穴のない新しい滅菌キャップを使用して液体培養を閉じた。処理群及び対照群の両方をボルテックスにより均質化した。次に、各チューブの100μLのアリコートを連続希釈し、固体微生物培地にプレーティングして、図54に示した表に示すように、UVA処理後のCFU/mL数を測定した。このプロセスは、図54に記載されている全ての時点を達成するまで繰り返した。
【0154】
各時点(ベースライン及びUVA処理後)の後、100μLの液体微生物培養(処理及び対照)を滅菌1xPBS(EMD Millipore, Billerica, MA)で連続希釈した。最終的な連続希釈倍率は、1:10(微生物培養100μLと滅菌1xPBS 900μL)、1:100、1:1000、1:10,000、1:100,000とした。各希釈液の100μLを固体寒天プレートに重複してプレーティングし、図53に記載の時間、温度、及び雰囲気条件でインキュベートした。インキュベーション後、Scan 300自動コロニー計数器(Interscience, Woburn, MA, USA)を用いてコロニーを数え、体積と希釈倍率とを補正してCFU/mL数を定義した。
【0155】
これらの実験で使用された第2のデバイスは、アルミニウムヒートシンク(Seoul Viosys, Gyeonggi-Do, Korea)に取り付けた小型発光ダイオード(LED)アレイ(ピーク波長345nm、バンド幅10nm)を組み込んだものである。最初の実験では、このシステムを、大腸菌の厚い菌叢を伴う培養プレートの表面から1cmに設置し、約2000μW/cmで20分間置いた。続いて、この光源を別々の実験で、10CFU/mLの大腸菌及び緑膿菌の液体培養に適用した。
【0156】
両方の条件で、UVAを、500、1000、2000、及び3000μW/cmの強度で、1cmで20分及び40分間、別々の一連の実験でテストし、線量反応曲線を作成した。インキュベーション後、Scan 300自動コロニー計数器(Interscience)を用いてコロニーを数え、コロニーサイズを測定し、体積と希釈倍率とを補正してCFU/mL数を定義した。
【0157】
結果
UVAへの曝露は、図54に示す表に示すように、カンジダ・アルビカンス(P=0.007)及びクロストリジウム・ディフィシル(P=0.01)を含む様々な病原微生物の有意な減少と関連していた。UVA光の曝露時間20分(強度1300~3500μW/cm)は、肺炎桿菌(P=0.17)、エンテロコッカス・フェカーリス(P=0.1)、及び化膿性レンサ球菌(P=0.64)を除くほとんどの微生物で、対照群と比較して減少が認められた(P<0.05)。未処理の対照と比較した場合、40分及び60分のUVA光曝露時間は、試験した全ての微生物に対して有効であった(P<0.05、図33)。特に、殺菌効果及び殺真菌効果は、UVA光に対して線量依存的な応答を示し、図54に示すように、より長い曝露時間に関連してより大きな微生物の減少が見られた。
【0158】
UVA光線治療をまた、ヒトの尿路から得られた臨床的に分離された大腸菌株にも適用した。UVA光を、5回の連続実験セットでテストし、この細菌培養物を20、40、60、及び80分間、1100~1300μW/cmのUVAに曝露させた。ベースラインと比較して、UVA光に曝露された細菌培養物において観察されたCFU/mL数は、図57に示すように、20分(P=0.03)、40分(P=0.0002)、60分(P<0.0001)及び80分(P<0.0001)を含む評価された全ての時点で減少した。
【0159】
最後に、LED狭帯域UVA(345nmのピーク波長)が大腸菌及び緑膿菌に及ぼす影響をテストする実験を行った。これらの実験では、この特定の波長のUVAにより、図58A図58Nに示すように、細菌細胞の有意な減少が見られた。例えば、図58Aは、ペトリ皿中の細菌コロニーの写真と、20分及び40分でのLED光の適用部位の周りのコロニーの消失パターンとを示す。
【0160】
図58B図58Fは、ピーク波長345nmのUVA光を様々な強度で照射した場合の、大腸菌のコロニー形成単位(CFU)の経時変化を示すグラフを示す。図示のように、2000uWの強度で40分までにほとんどの細菌が除去され(図58D)、3000uWの強度で20分までにほとんどの細菌が除去された(図58E及び図58F)。同じ光を500uW及び1000uWの強度で照射した場合、40分後までにCFUの有意な減少が見られたが、約半分にすぎなかった(図58C及び図58B)。
【0161】
図58G図58Jは、ピーク波長345nmのUVA光を様々な強度で照射した場合の、緑膿菌のコロニー形成単位(CFU)の経時変化を示すグラフを示す。図示するように、1000uW、2000uW、及び3000uWの強度で処理すると、対照と比較してCFUの有意に大きな減少を示し(図58H図58I及び図58J)、2000uW及び3000uWの強度で20分までに、ほとんどの細菌が除去された(図58I及び図58J)。
【0162】
図58K図58Lは、それぞれ20分と40分における様々な強度での緑膿菌の対数減少を比較した増殖曲線を示す。図58Mは、様々な強度及び処理時間での大腸菌コロニー直径の減少を示す増殖曲線を示す。図58Nは、様々な強度及び処理時間での緑膿菌コロニー直径の減少を示す増殖曲線を示す。
【0163】
大腸菌及び緑膿菌の減少に対する光強度の効果を調べると、細菌量とコロニーサイズとの両方に線量応答効果が見られた(図58B図58N)。細菌に影響を与える理想的なUVA強度は、ピーク波長345nmの狭帯域LEDを使用した場合、2000~3000μW/cm2であるように見え、いくつかの実施例では、細菌または病原体のタイプ及び種、ならびに本明細書に開示される他の要因に依存する可能性がある。
【0164】
実施例3:安全性データ
哺乳類細胞に対するUVAの安全性を評価するために、3つの実験を行った。第1の実験では、培養中のHeLa細胞をUVAに曝露した。HeLa細胞は、60x15mm細胞培養ディッシュ(ファルコン)内のDMEM細胞培養液(Gibco,Waltham,MA)プラス10%ウシ血清(Omega Scientific,Tarzana,CA)及び1x抗生物質-抗真菌剤(100xGibco)に添加し、37℃(5%CO)で24時間培養して1プレート当たり1,000,000~1,800,000個とした。この時点で、細胞を、UVA LED光(1800μW/cm)に、0分(対照)、10分、または20分曝露した。24時間後、0.05%トリプシンEDTA(1x)(Gibco)で細胞を除去し、トリパンブルー(トリパンブルー0.4%使用準備済(1:1)(Gibco))で染色し、自動細胞計数器(Biorad T20,Hercules,CA)で定量化した。同様の実験で、LED UVA光をより高い強度(5000μW/cm)で20分間使用した。再び、UVA曝露後24時間でHeLa細胞を定量化した。
【0165】
さらに、UVAの安全性をまた、2種類のヒト呼吸器系細胞でも検討した。これらは、肺胞(ATCC A549)及び一次繊毛化気管上皮細胞(HTEpC)(PromoCell,Heidelberg,Germany)を含んでいた。各細胞株について、250,000個の細胞をプレーティングし、DMEM中で48時間、プレートあたりの細胞数が約750,000個になるまで増殖させた。この時点で、細胞をUVA(2000μW/cm)に0(対照)分または20分(処理)曝露し、24時間後に細胞数を取得した。
【0166】
UVAで処理した細胞のDNA中の8-ヒドロキシ-2’-デオキシグアノシン(8-OHdG)のレベルもまた、分析した。8-OHdGは、酸化的DNA損傷及び酸化的ストレスの高感度マーカーとして広く受け入れられている。DNAは、AllPrep DNA/RNA/Protein Miniキット(Qiagen)を使用して、製造元の指示に従って抽出した。8-OHdGのレベルは、EpiQuik(商標)8-OHdGDNA損傷定量化ダイレクトキットを製造元の指示(Epigentek,Farmingdale,NY)に従って使用して検出した。最適な定量化のために、基本的な8-OHdGが一般に全DNAの0.01%未満であるため(Epigentek,Farmingdale,NY)、入力DNA量は300ngとした。
【0167】
UVA光安全性試験には、野生型129S6/SvEvマウス(n=20、メス=10)及びBALB/cJマウス(n=10、メス=5)を使用した。処置前に全ての動物に麻酔をかけた。UVA光線治療の前に、動物をイソフルラン麻酔ガス(1~5%)を含む誘導室に入れた。イソフルランのキャリアガスは圧縮酸素(100%酸素)であった。呼吸数が遅くなったところで(1秒間に約1回呼吸)、動物を誘導室から取り出し、ノーズコーン麻酔(1~2%イソフルラン)を使用して鎮静下に維持した。麻酔の深さは、つま先をつまんで反応しないことにより確認した。
【0168】
麻酔下で、カスタマイズされたロッド(D=4mm、L=40mm)を肛門から脾湾曲部まで導入した。対照群には、同じだが点灯されていないロッドを用いて同じ手順を適用した。光源及び測定装置は、液体培養実験で説明したものと同じものを使用した。
【0169】
第1の実験では、5匹のBALB/cJマウスに、30分間の結腸UVA曝露(2,000μW/cm)を施し、同じ手法で無点灯の光学ロッドで治療した5匹のマウスと比較した。
【0170】
第2の実験では、129S6/SvEvマウス10匹に、1日20分の結腸UVA曝露(3,000~3,500μW/cm)を2日連続で行い、無点灯のロッドで処置したマウス10匹(オス=5)と比較した。
【0171】
UVA光線療法前後の結腸内視鏡検査
硬性小児用膀胱鏡(Olympus A37027A)を使用して、7日間のUVA曝露の前後の腸粘膜を評価した。内視鏡検査は麻酔をかけた動物で行った。鎮静の方法は前述の通りである。
【0172】
肛門をまず水性ゲル(Astroglide(登録商標),BioFilm,Inc.、Vista,CA,USA)で潤滑した。次に、内視鏡を脾湾曲部まで挿入し、内視鏡ポートから注入した室内気を使用して結腸に送気した。全ての内視鏡検査は、動物モデル内視鏡検査に精通した2人の胃腸科医により記録され、盲検下で解釈された。内視鏡像は、肛門周囲の検査、腸壁の透明度、粘膜出血、及び局所性病変などをもとに解析した。
【0173】
14日目に、対照及び処置したマウスを安楽死させ、結腸全体のスイスロール標本を作製した。簡単に説明すると、結腸全体を取り出し、修正されたブアンの固定液(dH2O中50%エタノール/5%酢酸)ですすいだ。はさみを使用して、結腸を腸間膜線に沿って縦方向に開き、1xPBSを含むペトリ皿で簡単にすすいだ。管腔側を特定し、開いた組織のスイスローリングを実行した。結腸の全長を丸めたところで、結腸を慎重に組織処理/包埋カセットに移した。カセットを室温で一晩10%緩衝ホルマリンに入れておき、その後結腸のパラフィン切片を切り出し、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色し、盲検病理医(SS)が評価した。
【0174】
グループ間の細菌数のデータは正規分布ではないため、ノンパラメトリック検定(Mann Whitney U検定)を使用して比較した。他の定量データは、GraphPad Prism 7(GraphPad,San Diego,CA)を使用したt検定によって比較した。
【0175】
結果
全体として、経時的な細胞増殖に基づいて、LED UVAは、試験した哺乳類細胞(HeLa、肺胞A549、及び初代気管細胞)においては安全であるように思われた。全てのプレートで、UVA曝露にかかわらず、細胞増殖が継続し、プレートあたりの細胞数は対照の1.5~2倍となり、強固な複製が継続することが示された。HeLa細胞の場合、図59Aに示すように、UVAは、曝露されしていない対照と比較して、24時間後の生細胞数に影響を与えなかった(約2000μW/cmのUVAを10分間及び20分間、それぞれP=0.99及びP=0.55)。より高強度のUVA(5000μW/cm)は、図59Bに描かれた棒グラフに示すように、HeLa細胞の増殖に影響を与えなかった。同様の所見は、図36Cに示すように、2000μW/cm、20分の肺胞細胞でも見られた(P=0.99)。最後に、繊毛上皮細胞の成長も、UVAを約1000μW/cm及び約2000μW/cmに20分間照射した後で、影響を受けなかった。
【0176】
さらに、UVAへの曝露は、分析したいずれの細胞株においてもDNA損傷を引き起こさず、図59D(HeLa細胞)、図59E(肺胞細胞)、及び図59F(気管細胞)に示すように、狭帯域LED UVAで処理した細胞における8-オキソ-2’-デオキシグアノシン(8-OHdG)のレベルはUVAに曝露しない対照と類似した(P<0.05)。LED UVAの強度が高いほど(5000μW/cm)、8-OHdGのレベルが上昇するように見えたが(P=0.07)、8-OHdGの割合はDNA全体の0.01%という一般に認められている閾値をはるかに下回ったままであった。
【0177】
UVA光曝露は内視鏡的損傷または組織学的損傷と関連しない
体内の内臓細胞及び組織に対するUVA療法の安全性を評価するために、2種類の異なる野生型マウス系統を、広域スペクトルUVAを均一に側方放射するように設計された光学ロッドを使用して、結腸内広域スペクトルUVA光に曝露させた。脾湾曲部までの結腸の左側のみをUVA光に曝露させたので、曝露していない右側は自己対照として機能した。第1の実験では、麻酔下で5匹のマウスに30分間の結腸UVA曝露(2,000μW/cm2)を施し、同じ手法で無点灯の光学ロッドで治療した5匹のマウスと比較した。
【0178】
第2の実験では、10匹のマウス(129S6/SvEv、オス=5)に、1日20分の結腸広域スペクトルUVA曝露(3,000~3,500μW/cm)を2日連続で行い、無点灯のロッドで処置したマウス10匹(オス=5)と比較した。いずれの実験でも、穿孔、出血、または死亡は見られなかった。マウスの結腸内視鏡検査画像では、UVA曝露前後で変化が見られない。
【0179】
いずれの実験でも、UVA投与前後のマウスを内視鏡で評価したところ、粘膜の紅斑、破砕、潰瘍または出血は巨視的に認められなかった。盲検病理医(SS)による評価では、広域スペクトルUVAに曝露させた全厚さの結腸検体では、対照及び未処理の結腸セグメントと比較して、慢性/急性炎症、膀胱炎、クリプト膿瘍、肉芽腫、潰瘍、または異形成が見られなかった。
【0180】
さらなる安全性データ及び結果
図38を見ると、HeLa細胞を24時間増殖させ、UVA光(1800~2100μW/cm、最長で20分間)で処理し、細胞数で定量化した。また図38に示されるように、肺胞細胞を72時間増殖させ、UVA光(1800~2100μW/cmで最長20分間まで)で処理し、細胞数によって定量化した。HeLa細胞数及び肺胞細胞の細胞数が図39及び図40に示される。UVA光で処理した場合、HeLa細胞及び肺胞細胞は、UVA光で処理していない対照細胞に匹敵する生存度99~100%及び生存度92~100%をそれぞれ有した。同様に、より高強度のUVA光(5000μW/cm)をHeLa細胞で試験した場合(図41)、UVA光処理したHeLa細胞は、対照(UVAで処理していないHeLa細胞)の生存度98%~100%と比較して生存度97~100%を示した。このことは、UVA処理の安全性、特に、抗ウイルス処理に有効な強度と、波長と、持続時間とにおける安全性をさらに強調する。
【0181】
RNAウイルス実験データ
さらに、開示されたシステム及び方法を利用して、様々なRNAウイルスをUVA光で処理する実験データを取得した。結果的に、データは、ピーク波長340nmのLEDから放出されるUVA光が、コクサッキーウイルスなどのRNAウイルスを死滅させることができることを示すデータである。例えば、コクサッキーウイルスに感染したHela細胞は、このUVA治療を適用した場合は生存したが、感染後にUVA光線治療を適用しなかった場合は生存しなかった。さらに、実験データは、ETTを通過した後のUVA光の損失がわずか15%であることを示した。
【0182】
2019年12月下旬に、中国武漢市で新型コロナウイルス感染症(SARS-CoV-2またはCOVID-19、以前は2019-nCoVとして知られていた)の集団発生が報告された。COVID-19は、上気道で効率的に複製されるウイルス感染症である。その作用機序の一部として、ウイルスは繊毛のある気管上皮細胞に感染し、その後その細胞が剥がれ落ちて肺胞の機能を低下させる。二次的な細菌感染も指摘されており、これらのプロセスはいずれも、さらなる炎症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を引き起こし、最終的には死に至る可能性がある。感染者の10~15%が重度の臨床経過をたどり、約5%が呼吸器系などの臓器不全のために人工呼吸器が必要になる重篤な状態になると推定されている。COVID-19の症例致死率は0.5%から9.5%の範囲であると推定されているが、この推定値は症状のある患者を優先的に検査することと、症状発現までに最大で14日間のタイムラグがあることとで混乱している。死亡は、ARDSの設定における呼吸不全、及び/または人工呼吸器関連肺炎(VAP)を含む二次感染が原因であると考えられている。
【0183】
人工呼吸器関連肺炎(VAP)は、少なくとも48時間、機械的人工呼吸を受けている集中治療室(ICU)患者で発症する可能性があり、COVID-19患者ではよく見られる。VAPの発生率は、使用する診断基準及び調査対象の患者集団に応じて、5%から67%の幅広い範囲に及ぶ。原因菌には、腸内細菌(25%)、黄色ブドウ球菌(20%)、緑膿菌(20%)、インフルエンザ菌(10%)、及びレンサ球菌(13)などがある。多剤耐性菌は、遅発性の症例に多く見られる。早期発症のVAPによる死亡率は約6%、後期発症のVAPによる死亡率は10%と言われている。
【0184】
現在、COVID-19の治療薬はなく、機械的人工呼吸器装着患者の二次感染を減らすための従来の手段では、これまで不十分であることが証明されている。これらの患者に対して安全で効果的な幅広い抗ウイルス及び抗菌アプローチは、ウイルス量、二次感染及びVAP、機械的換気の時間、呼吸不全による死亡を潜在的に減らすはずである。
【0185】
本明細書で開示するように、紫外線(UV)光は抗菌性を有する。UVC(110~280nm)は工業用殺菌に広く使用されているが(16)、ヒトのDNAに有害な影響を及ぼすとされている。外部UVA(320-400nm)及びUVB(280-320nm)デバイスは、乾癬、湿疹、皮膚リンパ腫などのヒト疾患に対する適応がFDAにより承認されている。これらの波長は、粘膜組織及び粘膜下組織を透過する。3つのスペクトルのうち、UVAは哺乳類細胞へのダメージが最も少ないようである。現在のところ、UVA光の体内適用による細菌またはウイルス感染への効果を示す研究はない。
【0186】
したがって、VAPに関連することが知られている一般的な細菌性病原体の治療のための広帯域及び/または狭帯域UVAの効果を示す実験データが開示されている。さらに、B群コクサッキーウイルス及びコロナウイルス229Eに対する特定の波長のUVAの効果を示すデータが開示されている。最後に、さらなるデータは、哺乳類細胞及びインビボ上皮細胞に対するUVA曝露の安全性を示している。
【0187】
実施例4:コクサッキーウイルス
コクサッキーウイルスサンプルの取得と細胞への感染
高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP-CVB)プラスミドを発現する組換えコクサッキーウイルスB(pMKS1)を、ClaI制限酵素(ER0142、Thermo Fisher)を使用して線形化し、線形化したプラスミドを標準的なフェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿とを使用して精製した。次に、mMessage mMachine T7転写キット(AM1344、Thermo Fisher)を使用してウイルスRNAを生成した。次に、Lipofectamine 2000(11668027、Thermo Fisher)を使用して、ウイルスRNAをHeLa細胞(約80%のコンフルエンシー)にトランスフェクトした。細胞が約50%の細胞変性効果を示した時点で、細胞をこそげ取り、細胞/培地懸濁液を回収した。次に、この混合物を3ラウンドの急速凍結融解サイクルにかけ、1000xgで10分間遠心分離して、細胞破片の培地を清澄化した。上清を継代1ウイルスストックとして使用した。次に、継代1のウイルスストックを別々のHeLa細胞(約80%のコンフルエンシー)に重ねて、ストックを継代2のウイルスストックに拡張し、その後の実験に使用した。
【0188】
B群コクサッキーウイルスに感染したHeLa細胞のUVA処理
HeLa細胞は、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)発現B群コクサッキーウイルス(EGFP-CVB)を使用した4つの異なる実験に使用した。第1の実験では、HeLa細胞(プレートあたり253,000)(n=12プレート)を24時間培養した。EGFP-CVBアリコートの半分をLED UVA(2000μW/cm、ピーク波長340nm)に20分間曝露し、もう一方は曝露しなかった。次に、HeLa細胞をUVAに曝露させたウイルスまたはUVAに曝露させていないウイルスのいずれかに感染させた(MOI=0.1)。6時間後、上清を除去し、細胞を1x滅菌PBS(pH=7.0)で2回洗浄した。新しいDMEM培地を追加した。UVAに曝露したウイルスに感染したプレートは、さらに20分間UVA(2000μW/cm)に曝露した。上清中の死細胞を、24時間後に収集して定量した。6枚のプレート(UVA処理済み及びUVA未処理の各3枚)の生細胞を評価した。残りの6枚のプレートのうち、最初にピーク波長340nmのUVAに曝露した3枚のプレートは、さらに20分間UVA(2000μW/cm)に曝露した。さらに24時間後、残りのプレートから死細胞と生細胞の数を取得した。
【0189】
B群コクサッキーウイルス感染に対するUVAによるHeLa細胞の前処理
第2の実験では、HeLa細胞(235,000細胞)をプレーティングし、その後、DMEMで24時間インキュベートした。次に、プレートを、未曝露の対照(n=3)と、LED UVA(2000μW/cm、ピーク波長340nm)に20分間曝露(n=3)したものとに分けた。さらに24時間後、全てのプレートをEGFP-CVB(MOI=0.1)に感染させた。さらに24時間後、前述のように細胞をカウントした。
【0190】
HeLa細胞感染に対するUVAによるB群コクサッキーウイルスの前処理
第3の実験では、HeLa細胞を24時間培養した後、EGFP-CVB(MOI=0.1)に感染させた。感染直前に、EGFP-CVBアリコートの半分をLED UVA(2000μW/cm、ピーク波長340nm)に曝露し、残りの半分は曝露しないままであった。24時間後、生細胞数を取得した。
【0191】
B群コクサッキーウイルス感染進行中のHeLa細胞の長期的UVA処理
この実験では、250,000個のHeLa細胞をプレーティングした。24時間後、細胞を3つのグループに分けた。第1のグループでは、細胞にEGFP-CVB(MOI=0.1)を感染させた。これらの細胞は、陽性の感染対照として機能した。グループ2では、UVA処理(2000μW/cm2、20分、ピーク波長340nm)したEGFP-CVB(MOI=0.1)をHeLa細胞に感染させ、6時間後、その感染細胞をUVA(2000μW/cm、ピーク波長340nm)で20分間処理した後、2日目に20分間を8時間間隔で2回、3日目に20分間を8時間間隔で2回と、計4回の追加処理を実施した。グループ3はEGFP-CVBに感染させていないが、グループ2で使用したのと同じタイムポイントで5回、UVAで処理した。これは、UVAの安全性を実証するための非感染陽性対照であった。全ての条件において、イメージングと細胞数を取得した。
【0192】
B群コクサッキーウイルス感染肺胞(A549)細胞へのUVA処理
肺胞細胞を用いた予備実験では、感染による細胞死の理想的なタイムポイントは感染後48時間であると判断した。本試験では、200,000個の肺胞細胞をプレーティングし、48時間後にカウントした(細胞数754,000個)。その後、肺胞細胞をEGFP-CVBに感染させた(MOI=0.1)。感染24時間後に肺胞細胞プレートを、LED UVA(2000μW/cm、ピーク波長340nm)に、0分(対照)または20分(処理)曝露し、これを24時間ごとに3日間繰り返し、感染後96時間でイメージングと細胞数とを計測した。
【0193】
結果
B群コクサッキーウイルスをHeLa細胞に感染させる前にのみUVAで前処理しても、感染は軽減しない
この実験では、HeLa細胞を含むプレートの半分にEGFP-CVBを感染させて、残りの半分を、ピーク波長340nm、約2000μW/cmのLED UVA光に20分間曝露したEGFP-CVBで処理した。24時間での感染率への影響はグループ間で異ならなかった(図60)。
【0194】
B群コクサッキーウイルス感染前のHeLa細胞のUVA前処理は、ウイルスの影響を軽減しない
この実験では、HeLa細胞のあるプレートの半分を未処理のまま、残りの半分を、ピーク波長340nm、約2000μW/cmのLED UVAで20分間前処理し、それ以上のUVA処理を行わなかった。両グループにEGFP-CVBを添加した。両方のグループが等しく感染しており、感染前にHeLa細胞を処理しても感染率に影響がなかったことを示唆している。
【0195】
B群コクサッキーウイルス感染後のUVA処理はHeLa細胞へのウイルス作用を軽減した
本研究では、HeLa細胞がEGFP-CVBに感染した後にUVAを適用した。処理した細胞は、感染後6時間でピーク波長340nm、約2000μW/cmのLED UVAに曝露し、その後、感染後72時間で細胞数を測定し、さらに2日間、1日2回曝露した。これを、感染しているが未処理の対照と比較した。処理グループでは、UVA光によりEGFP-CVBからの細胞死が防止され、図62図61にも同様に示される)に描かれた棒グラフに示すように、72時間で細胞数が339,333±60,781に増加したのに対し、未処理対照では48時間及び72時間でプレート上に生細胞が残存していないことがわかった。重要なことは、感染していないが同じ時間間隔でUVA曝露を行った第3のHeLa細胞群では、72時間後の細胞数が2,413,333±403,773となり、正常な細胞増殖が見られたことである。
【0196】
図61は、B群コクサッキーウイルスでトランスフェクトしたHeLa細胞に対するNB-UVA曝露の効果を示す。画像6102及び6104はトランスフェクションから24時間後の細胞を示す:UVA未曝露プレート(左側パネル6102、上清中の死細胞のパーセント=67.5±11.0%)では、UVA曝露プレート(右側パネル6104、上清中の死細胞のパーセント=16.1±5.8%)と比較して、付着細胞の数が少なかった(P=0.002)(倍率=4x,緑色光と明視野との重ね合わせ)。画像6112及び6114はトランスフェクションから48時間後の細胞を示す(左側パネル6112には残存生細胞が示されていない(UVA未曝露))。右側パネル6114はUVA曝露した細胞の生存を示している(倍率=4x,緑色光と明視野との重ね合わせ)。
【0197】
B群コクサッキーウイルスに感染した肺胞(A549)細胞に対するUVA処理の効果
EGFP-CVBを感染させた肺胞細胞では、細胞死はHeLa細胞で見られたものより、はるかに少なかった。感染後96時間では、対照群の細胞に明確かつ広範囲な感染が見られた。ピーク波長340nmのLED UVAで処理した肺胞細胞も感染を示したが、目視評価では感染率は低く、ウイルス性EGFPシグナルを発する細胞ははるかに少ないことが示唆された。また、生細胞数は、未処理グループと比べた場合、UVA処理グループでより高い値を示したようであった。
【0198】
GFP標識したコクサッキーウイルスB(EGFP-CVB)によるさらなる実験データ
図43を参照すると、EGFP-CVBでトランスフェクトしたHeLa細胞に対する蛍光顕微鏡分析を行った;EGFP-CVBはトランスフェクション前にUVA(20分間、ピーク波長345nm)で処理した。対照群は、未処理のEGFP-CVBでトランスフェクトしたHeLa細胞を含んでいた。蛍光顕微鏡分析の結果が図44A及び図44B(対照)に示される。エビデンスが示されたように、UVAは細胞外コクサッキーウイルスに対して有意な効果を有さなかった。すなわち、GFP蛍光撮像によってエビデンスが示されたように、前処理したGFP-CVBも未処理のGFP-CVBも、同様のHeLa細胞感染率を示した。
【0199】
さらに、図45に示される別の実験では、GFP-CVBによるトランスフェクション前にHeLa細胞をUVAで前処理した。対照群は未処理のHeLa細胞を含んでいた。トランスフェクションから48時間後に蛍光顕微鏡分析を行った。明視野像と蛍光像とをマージした図46A及び図46Bの画像によってエビデンスが示されたように、HeLa細胞に対するUVAの前処理は、対照(未処理のHeLa細胞)と比較して、感染率に対する有意な影響を有さなかった。
【0200】
GFP-CVBで感染させた肺胞細胞の蛍光顕微鏡分析によるUVA処理のアセスメント(図47及び図48
24時間培養した肺胞細胞をGFP-CVBでトランスフェクトし、48時間後に蛍光顕微鏡観察を行ってベースラインを確立した(画像4802)。次に、トランスフェクト細胞をUVAで処理し、トランスフェクションから24時間後(画像4806)及び48時間後(画像4810)に撮像した。対照群は、GFP-CVBトランスフェクト細胞であるがUVA処理を伴わない細胞を含んでいた。UVA処理を伴わない対照群もまた、トランスフェクションから24時間後(画像4804)及び48時間後(画像4808)に撮像した。図48の画像に見られるように、UVA処理は、24時間後にGFP-CVB感染の約70の低減、48時間後にGFP-CVBの約90の低減をもたらした。UVA処理は、345nmにピーク波長を有するUV LEDで20分間行った。
【0201】
GFP-CVBで感染させたHeLa細胞の定量分析によるUVA処理のアセスメント(図49及び図50
24時間培養したHeLa細胞を、GFP-CVBによるトランスフェクション前に計数した(図50におけるゼロ時点)。トランスフェクション後、HeLa細胞をGFP-CVBとともに24時間培養した。24時間時点で1つの群にUVA処理を行った。対照群は、UVA処理を伴わない、GFP-CVBトランスフェクトHeLa細胞を含んでいた。UVA処理後及び未処理のGFP-CVBトランスフェクトHeLa細胞に対して最終的な細胞計数を行った。図50に示されるように、HeLa細胞の生存はUVA処理によって有意に増大した。上述の実験と同様に、UVA処理は、345nmにピーク波長を有するUV LEDで20分間の持続時間にわたって行った。
【0202】
実施例5:コロナウイルス
別の実施例では、コロナウイルスに感染した繊毛性気管上皮細胞(HTeC)を、以下に開示するようにUV光で処理した。
【0203】
繊毛性気管上皮細胞(Promocell,Heidelberg,Germany)を3つのグループに分けてプレーティングした(プレートあたり135,000個)。1グループはコロナウイルス229E(Cov-229E)に感染させた(プレートあたり50uL)。もう1つのグループでは、感染直前にコロナウイルス229Eをピーク波長340nm(2000μW/cm)のLED UVAで20分間処理した。第3のグループは、感染もUVAも受けなかった。感染後、細胞を毎日20分間、UVA(距離4cm、プレート表面で2000μW/cm、ピーク波長340nm)で処理した。プレートは16時間、72時間、及び96時間で画像化し、感染後72時間と96時間とで細胞数を取得した。
【0204】
すでに感染している(コロナウイルス229Eに感染している)繊毛性気管上皮細胞を救済するためのUVA
この実験では、繊毛性気管上皮細胞(HTeC)のプレートを上記のようにCov-229Eに感染させた。24時間後、プレートを2つのグループに分けた。グループ1は、そのまま感染を継続させた。グループ2では、プレートをピーク波長340nmのUVA(距離4cm、プレート表面で2000μW/cm)で20分間処理した。48時間後、プレートを画像化し、生細胞数を求めた。
【0205】
コロナウイルスに感染した繊毛性気管上皮細胞を近距離で治療するためのUVA
UVA技術を用いた気管内デバイスを想定して、別の実験を、1日20分間、より低い強度の光(わずか1cmの距離からプレートの表面で1300μW/cm)を用いた上記の実験と同一に実施した。これは、気管内チューブの内側から換気されている患者の気管細胞と光カテーテルとの間の予想される距離である。
【0206】
UVA処理した細胞またはUVA処理していない細胞におけるコロナウイルス量
AllPrep DNA/RNA/Protein Miniキット(Qiagen)を用いて、細胞サンプルからの総タンパク質の抽出を行った。タンパク質をBolt 4~12% Bis-Trisゲル(NW04122 Thermo Fisher)にロードし、Biotrace NTニトロセルロース膜(27376-991,VWR)上に移した。全タンパク質をポンソーS溶液(P7170、Sigma-Aldrich)で染色した。その後、ブロッキング液(3%ウシ血清アルブミン(A7030,Sigma-Aldrich)と0.1%Tween20(P1379,Sigma-Aldrich)を含む、トリス緩衝生理食塩水)で、膜をブロッキングした。次に、膜を、ブロッキング溶液で希釈したウサギ抗コロナウイルススパイクタンパク質抗体(1:1000;PA5-81777,Thermo Fisher)またはマウス抗MAVS(mitochondrial antiviral signaling)抗体(1:200;SC-166583,Santa Cruz Biotechnology)とともに、4℃で一晩インキュベートした。トリス緩衝生理食塩水+0.1%Tween 20(TBS-T)で洗浄後、膜をホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートヤギ抗ラビットIgG抗体(1:300;95058-734、VWR)またはHRPコンジュゲートヤギ抗マウスIgG抗体(1:300;5220-0286、SeraCare)のいずれかと重ね合わせた。次に、膜をTBS-Tで洗浄し、続いて強化化学発光溶液(RPN2235、GE Healthcare)にさらした。免疫反応性タンパク質バンドを、ChemiDocイメージングシステム(Bio-Rad Laboratories、Hercules、CA USA)を使用して画像化した。
【0207】
LED UVA光が、コロナウイルス229Eに感染した繊毛性気管上皮細胞を保存する
繊毛性気管上皮細胞をコロナウイルス229Eで前処理し、毎日LED UVA(2000μW/cm;ピーク波長340nm)に20分間曝露した場合を、対照細胞(UVAなし、感染なし)及びコロナウイルスに感染したがUVA曝露なしの細胞と比較した。直接可視化したところ、感染に伴う細胞形態(UVAなし)の明確な変化が示された。また一方、対照細胞と毎日UVAで処理した感染細胞とは、同様の形態を示した。96時間後に上清を除去し、(プレートに付着している)生細胞を数えた。対照とUVAで処理した感染細胞との間で、気管細胞数に差はなかった。しかし、図63に示す棒グラフに示すように、UVA処理細胞(P=0.005)と比較して、感染細胞の間で生細胞の著しい減少が見られた。
【0208】
興味深いことに、LED UVAで処理した感染細胞は、処理していない感染細胞と比較した場合、Cov-229Eスパイク(S)タンパク質(約130kDa)の減少を示した。さらに、Cov-229Eに感染しUVAで処理したレベルは、Cov-229Eに感染したがUVAで処理していない細胞と比較した場合、MAVSのレベルが上昇していた。
【0209】
したがって、本実験データは、UVA光が肺上皮組織に感染した後のコロナウイルス229Eを死滅させることを確認し、コロナウイルス感染患者の治療として、ETT及び他のデバイスと併用して肺組織に照射することを検証するものである。
【0210】
コロナウイルス229Eでトランスフェクトした気管細胞の細胞形態の顕微鏡分析
HTEpC(細胞数135,000個)を3群に分けてプレーティングした。グループ1はCoV-229Eでトランスフェクトした(n=3、プレートあたり50uL)。グループ2では、トランスフェクション前にCoV-229EをNB-UVAに20分間曝露した(n=3、2000μW/cm2)。グループ3はNB-UVAへの曝露もトランスフェクションも行わなかった(n=3)。トランスフェクション後、細胞を毎日20分間、NB-UVA(距離4cm、プレート表面において2000μW/cm2)に曝露した。トランスフェクションから16時間後、36時間後、72時間後、及び96時間後にプレートを撮像し、48時間後及び72時間後に細胞生存度(生細胞/死細胞)のカウントを取得した。トリパンブルー0.4%(1:1)(Gibco)を用いて生細胞/死細胞を決定し、自動細胞計数器(Biorad T20、Hercules,CA)を用いて細胞数を取得した。細胞は37℃(5% CO2)に保った。
【0211】
図51は、トランスフェクションからA)16時間後、B)36時間後、C)72時間後、及びD)96時間後における、HTeC細胞のコロナウイルス229E感染に対するUVA処理の効果を示す位相差像を示す。左側パネルの画像5120、5126、5132、及び5138は、未感染かつ未処理の対照細胞を示す;中央パネルの画像5122、5128、5134、及び5140は、コロナウイルス229Eでトランスフェクトした細胞を示す;右側パネルの画像5124、5130、5136、及び5142は、UVA処理したコロナウイルス229Eでトランスフェクトし、次にUVAで処理した細胞を示す。図に示されるように、コロナウイルス229Eでトランスフェクトした細胞は、経時的に増大する空胞化と細胞死とを呈し、細胞密度の低下がもたらされた。対照的に、トランスフェクトしかつUVA処理した細胞は生存可能に保たれ、対照と同様の形態を呈する。
【0212】
図52~54は、UVA処理から48時間後及び72時間後における、コロナウイルス229EトランスフェクトHTeC細胞に対するUVA処理の効果を、未処理の対照群と比較して示す棒グラフである。図52~54においてエビデンスが示されたように、UVA処理はコロナウイルス229EトランスフェクトHTeC細胞の細胞生存度を増大させる。
【0213】
例示的なイン・ヒューマン試験: 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)患者に対する気管内UVA光療法の効果(図73~76)
SARS-CoV-2感染があり、7.5mmまたはそれ以上の気管内チューブサイズで新たに挿管して機械的換気を行った成人に対して、気管内チューブ内に導入したカテーテルを介して、毎日20分間で5日間、紫外線A光を投与した。妊婦は除外した。併用療法は可能とした。
【0214】
主要評価項目及び尺度:アプリオリな主要評価尺度は、各回の治療直前及び6日目に気管内吸引物から取得した呼吸器SARS-CoV-2ウイルス量とした。世界保健機関(WHO)のCOVID-19臨床重症度10ポイント順序尺度を含めて、臨床アウトカムを30日目までアセスメントした。
【0215】
結果の概要:5名の被験者が登録された(平均年齢56.6歳、男性3名)。ベースライン時、全被験者がWHO臨床重症度スケールでスコア9/10であり(10=死亡)、予測死亡率は21~95%の範囲であった。ベースラインから5日目及び6日目までの気管内ウイルス量の平均対数変化は、それぞれ-2.41(範囲-1.16から-4.54;Friedman p=0.002)及び-3.2(範囲-1.2から-6.77;Friedman p<0.001)であった。気管内の絶対細菌量は0日目から6日目まで変化しないままであった。治療下で発現した有害事象はなく、20分間の治療中に酸素化または血行動態の変化はなかった。1名の被験者は、体外膜型酸素供給の施行中に抗凝固処置の頭蓋内出血合併症によって、登録から17日後に死亡した。他の被験者は生存し、30日目にWHOスケールでスコア2、4、5、及び7であった。
【0216】
このファースト・イン・ヒューマン試験(first-in-human study)において、気管内UVA療法は安全であり、治療期間にわたって呼吸器SARS-CoV-2ウイルス負荷量を有意に低減させた。本方法及び結果の詳細を以下に提供する。
【0217】
試験デザイン
このファースト・イン・ヒューマン試験では、5名の被験者をリクルートし治療した。取込み基準には、年齢18歳超、鼻腔スワブでSARS-CoV-2のPCR検査結果陽性、及び、内径≧7.5mmの気管内チューブ(ETT)による機械的換気、が含まれた。妊婦は除外した。被験者はすべての標準的な支持的ケアを受け、他の任意のCOVID-19治療の併用を可能とした。
【0218】
UVAデバイス
UVA療法デバイスは、直径5.4mmであり無菌密封された、保護シース内のマルチLED式UVA光カテーテルと、気管内アダプタと、アンビリカルと、制御ユニットとからなっていた。例示的なUVA療法デバイスは、図64~69に関して説明したUV光治療アセンブリである。閉ループ系を維持し、かつETT内へのカテーテル導入の際に大気が呼気に曝露されることを防ぐために、二重スイベル式マルチアクセスポートを用いてUVAカテーテルアダプタをETTに接続した。
【0219】
手順
登録から24時間以内に被験者に20分間のUVA療法を行い、それを毎日1回、計5日間連続で繰り返した。全被験者について、処置前の30分間は100% FiOとした。UVAカテーテルをETTの遠位端に挿入するとともに、最適な酸素化を維持するために人工呼吸器の流量と一回換気量とを調整した。20分間の治療セッション全体を通してカテーテル挿入の安定性と深さの一貫性とが確実になるよう、プラスチッククランプでカテーテル基部をアクセスポートに固定した。手順を指示する動画がアクセス可能である。線量は、インビトロ実験において観察された、コロナウイルス229Eに感染させたヒト初代気管細胞のUVA曝露に対する最適な反応に基づいて選択した。最大2ミリワット/cmの制御されたUVA放出(ピーク波長340~345nm)を気管粘膜のレベルで送達した。治療の中止及びUVAカテーテルの抜去についてあらかじめ決定した基準には、O飽和度が88%未満まで低下することと、血行動態の不安定性とを含めた。
【0220】
SARS-CoV-2量及び細菌の総存在量をアセスメントするため、各回のUVA治療前、及び最後のUVA治療から24時間後に、気管内(ET)吸引物を得た。細菌量の絶対定量は、培養可能及び培養不能、生存可能及び生存不能、病原性及び非病原性の細菌を表す。
【0221】
COVID-19パンデミックに関連する世界的課題は、抵抗性及び/または新規の病原体を処理するために安全かつ有効な療法がぜひとも必要であることを悲痛に知らしめている。体外に適用されるUV療法は皮膚科疾患に広く用いられているが、体内UV療法はこれまで行われたことがない。このファースト・イン・ヒューマン試験において、気管内UVA光はCOVID-19の重篤患者において安全であると思われた。さらに、5日間のUVA療法後に気管内SARS-CoV-2レベルの有意な低下が観察された。
【0222】
呼吸器SARS-CoV-2量と死亡率との間には有意な独立した関連性がある。COVID-19の重症例では、軽症例と比較して、呼吸器サンプル中のウイルスの持続時間がより長く、ピークがより遅い。5名の被験者のうち4名はベースライン時のET吸引物中のウイルス量が多く、それは発症時期と相関していなかった。
【0223】
25回のUVA治療セッション中に治療下で発現した有害事象はなく、重篤/重度の有害事象は本発明者らの介入と関連しないものであった。すべての治療中、酸素化及び血行動態は安定したままであった。2名の被験者における気管支鏡検査では正常な所見の気管が見られ、それは本発明者らの前臨床インビボ及びインビトロの安全性の実験と矛盾しなかった。被験者番号2の患者は、発作時の酸素化は安定していたものの、ECMOに関連する抗凝固処置の合併症(頭蓋内出血)により死亡した。出血はECMOを受ける患者の約50%に生じ、頭蓋内出血の死亡リスクは85%である。非常に危機的な状態にあったにも関わらず、5名中4名の被験者が生存し、意味のある臨床的改善を示した(図73)。
【0224】
被験者は、年齢(範囲38~65歳)、性別(女性2名、男性3名)、人種(非ヒスパニック系白人1名、ヒスパニック系白人3名、アフリカ系アメリカ人1名)、及びBMI(範囲25~36)を含む、いくつかの既知のCOVID-19重症化リスク要因について、分布が多様であった。患者5名のうち3名は、許容可能な最小のETTサイズ(7.5mm)を有していたが、TEAEはなかった;ただし、ETT<7.5の患者は試験に含めなかった。本試験における5日間のUVA療法後の対数減少3.2は、呼吸器ウイルス量の自然な減少のペースを上回ると思われる。
【0225】
関連する臨床データ、検査室データ、及び放射線科データを含む、ベースライン時、入院時、及びICU入室時の関連情報を、全患者について登録から30日後まで記録した。世界保健機関(WHO)のCOVID-19重症度10ポイント順序尺度を、登録時ならびに登録後15日目及び30日目に計算した。SOFA及びSAPSIIIスコアをICU入室24時間以内の最悪値から計算した。
【0226】
アウトカム及び統計解析
主要エンドポイントは、0日目から治療最終日までのET吸引物SARS-CoV-2ウイルス量の変化とした。副次的アウトカムには気管内の絶対細菌量を含めた;臨床アウトカムには、機械的換気、ICU滞在、及び入院の時間の長さ、炎症マーカーを含む検査室パラメータ、ならびに、ベースラインから15日目及び30日目までのWHO COVID-19改善10ポイント順序尺度の変化を含めた。
【0227】
Freidman検定を用いて日ごとのウイルス量及び細菌量の差を検出した。1サンプルのt検定を用いて0日目から1日目までの炎症マーカー及び微生物量の変化を解析した。Spearman順位相関検定を用いて相関をアセスメントした。α=0.05の有意水準を用いた。
【0228】
結果:
5名の被験者を登録した(平均年齢56.6歳、男性3名)。登録した被験者のベースライン特性の概要を図73及び図76に示す。挿管時、5名の患者全員がWHO COVID-19順序尺度でスコア9の重篤であり、SOFAスコアの予測では死亡率20~95%であった。全患者に、挿管後36時間以内に始まる毎日20分間の治療を5日間行った。6日目に抜管された被験者#1を除いて、全患者において治療前及び6日目のET吸引物を得た。よって、合計29件のET吸引物を分析した。
【0229】
主要アウトカム及び副次的アウトカム
被験者はベースライン時にウイルス量が上昇していた(範囲3.4x10~1.64x10コピー/ml)が、例外として被験者2は全時点でウイルス量が検出不能であり、最後の鼻腔スワブ以降はウイルスがクリアされたことを示していた。ウイルス量は、発症日とベースライン時(Spearman R=-0.70,p=0.23)との間、または発症日と6日目(Spearman R=-0.21,p=0.83)との間のいずれにも有意な相関はなかった。
【0230】
ベースラインから5日目及び6日目までの気管内ウイルス量の平均対数変化は、それぞれ-2.41(範囲-1.16~-4.54;Friedman p=0.002)及び-3.2(範囲-1.2~-6.77;Friedman p<0.001)であった(図74及び図75)。
【0231】
ベースライン時の気管内絶対細菌量の同定結果は1x10~1.7x10 CFU/mlの範囲であり、UVA治療セッション中、統計的に変化しないままであった(図示せず)。
【0232】
各被験者についての疾患の経過が図76に示される。WHO臨床重症度スケールは、15日目及び30日目にそれぞれ平均で1.6ポイント及び3.6ポイント改善した。ベースライン時にウイルス量が検出不能であった被験者2を除外すると、WHO重症度スケールは30日目に4.75ポイント改善した(図示せず)。被験者2を除く全被験者が生存した;被験者2はECMOに関連する抗凝固処置による頭蓋内出血の後に安楽ケアが行われ、17日目に死亡した。
【0233】
安全性アウトカム
本試験において、治療下で発現した有害事象(TEAE)または治療の早期中断は見られなかった。全治療セッション中、酸素飽和度及び血行動態は安定したままであった。気胸、皮下気腫、またはETTの位置ずれをきたした被験者はなかった。有害事象はUVA療法には関係しないと考えられた。2名の被験者について、挿管が長期化したため気管切開チューブを留置するために気管支鏡法が行われ、その際に、紅斑または脆弱性を伴わない正常な所見の気管が観察された。その後の計画中の臨床試験について、DSMBが推奨する治療プロトコルの変更点はなかった。
【0234】
本開示のUV光治療システム及び方法は多数の技術的利点を提供する。1つの技術的利点には、体内UV光療法の分野における著明な向上が含まれる。さらに、LEDのセットと開放端を伴う冷却チューブとを光カテーテル内に含む、本明細書に開示される光カテーテル構成は、光カテーテルの充分な冷却を提供しながらETTまたはNPA内にUV光カテーテルを配置できるように、UV光カテーテルを小さな直径で実施することを可能にする。さらに、本明細書に開示されるUVA波長、強度、及び持続時間は、有効かつ安全な抗ウイルスUV療法を提供する。さらに、本UV光治療システム構成は、機械的人工呼吸器によって患者が換気を受けている間に、ウイルスに対する有効な体内治療を提供する。
【0235】
一実施態様では、体内紫外線療法を行うためのUV光送達デバイスが提供される;本デバイスは、近位端と遠位端とによって分離され、少なくとも1つの収容空間を備える細長い本体と;少なくとも1つの収容空間で収容されるように構成され、340nmのピーク波長を伴う320nm~410の間の波長を放出するように構成された少なくとも1つのUV光源とを備える。本デバイスの一実施例において、デバイスは、少なくとも1つのUV光源が、細長い本体から外に放射線を放出するように位置決めされることを任意で含み得る。本デバイスの第2の実施例は、第1の実施例を任意で含み得、さらに、細長い本体の長さに沿って分散された複数のUV光源を含み得る。本デバイスの第3の実施例は、第1及び第2の実施例のうち1つ以上を任意で含み得、さらに、少なくとも1つのUV光源に電気的に接続された電源を含み得る。本デバイスの第4の実施例は、第1から第3の実施例のうち1つ以上を任意で含み得、さらに、細長い本体が4つの側面を備えることを含み得る。本デバイスの第5の実施例は、第1から第4の実施例のうち1つ以上を任意で含み得、さらに、対応する複数のUV光源が細長い本体上で互い違いになるように、細長い本体の4つの側面の各々が少なくとも1つの収容空間を備えることを含み得る。本デバイスの第6の実施例は、第1から第5の実施例のうち1つ以上を任意で含み得、さらに、近位端において収容空間及び対応するUV光源を含み得る。本デバイスの第7の実施例は、第1から第6の実施例のうち1つ以上を任意で含み得、さらに、細長い本体が少なくとも部分的に透明であることを含み得る。本デバイスの第8の実施例は、第1から第7の実施例のうち1つ以上を任意で含み得、さらに、細長い本体がホウケイ酸ガラスを少なくとも部分的に備えることを含み得る。本デバイスの第9の実施例は、第1から第8の実施例のうち1つ以上を任意で含み得、さらに、細長い本体が銅を少なくとも部分的に備えることを含み得る。本デバイスの第10の実施例は、第1から第9の実施例のうち1つ以上を任意で含み得、さらに、細長い本体が、ホウケイ酸ガラスコーティングを伴う銅製本体を備えることを含み得る。本デバイスの第11の実施例は、第1から第10の実施例のうち1つ以上を任意で含み得、さらに、細長い本体を回転させ続いて少なくとも1つのUV光源を回転させるように構成された回転モータを含み得る。本デバイスの第12の実施例は、第1から第11の実施例のうち1つ以上を任意で含み得、さらに、細長い本体が回転ベースの周りで回転するように構成されるよう、細長い本体の遠位端に接続された回転ベースを含み得る。
【0236】
いくつかの実施形態では、体内紫外線療法を行うための方法は、近位端と遠位端とを分離している細長い本体であって少なくとも2つの収容空間を備える細長い本体と、少なくとも2つの収容空間に収容されるように構成された少なくとも2つのUV光源と、を備えるUV光送達デバイスを提供する段階;及び、少なくとも2つのUV光源が、UV光を均一な様式で外に放出するように構成されるように、細長い本体を回転させる段階;を含んでもよい。本方法の第1の実施例は、少なくとも2つのUV光源から、340nmのピーク波長を伴う320nm~410の間の波長を放出する段階をさらに含み得る。本方法の第2の実施例は、第1の実施例を任意で含み、さらに、少なくとも2つのUV光源から、細長い本体から外に放射線を放出する段階を含む。本方法の第3の実施例は、第1及び第2の実施例のうち1つ以上を任意で含み、さらに、細長い本体が4つの側面を備えることを含む。本方法の第4の実施例は、第1から第3の実施例のうち1つ以上を任意で含み得、さらに、対応する複数のUV光源が細長い本体上で互い違いになるように、細長い本体の4つの側面の各々が少なくとも1つの収容空間を備えることを含み得る。本方法の第5の実施例は、第1から第4の実施例のうち1つ以上を任意で含み得、さらに、細長い本体が近位端において収容空間及び対応するUV光源をさらに備えることを含み得る。本方法の第6の実施例は、第1から第5の実施例のうち1つ以上を任意で含み得、さらに、細長い本体が少なくとも部分的に透明であることを含み得る。本方法の第7の実施例は、第1から第6の実施例のうち1つ以上を任意で含み得、さらに、細長い本体がホウケイ酸ガラスを少なくとも部分的に備えることを含み得る。本方法の第8の実施例は、第1から第7の実施例のうち1つ以上を任意で含み得、さらに、細長い本体が銅を少なくとも部分的に備えることを含み得る。
【0237】
別の実施形態では、体内紫外線療法を行うためのUV光送達デバイスは、近位端と遠位端とを分離している細長い本体であって、細長い本体が少なくとも1つの収容空間を備え、細長い本体と少なくとも1つの収容空間とが銅製本体を備え、細長い本体がホウケイ酸ガラスコーティングを備えるような、細長い本体と;少なくとも1つの収容空間に収容されるように構成された少なくとも1つのUV光源と;を備え得る。第1の実施例では、デバイスは、少なくとも1つのUV光源が343nm~345nmの領域内のピーク波長を伴う320nm~410の間の波長を放出するように構成されていることを含み得る。第1の実施例を任意で含み得る第2の実施例では、デバイスは、少なくとも1つのUV光源が、細長い本体から外に放射線を放出するように位置決めされることを含み得る。第1及び第2の実施例のうち1つ以上を任意で含む第3の実施例では、デバイスは、細長い本体の長さに沿って分散された複数のUV光源をさらに含み得る。第1から第3の実施例のうち1つ以上を任意で含む、本デバイスの第4の実施例では、デバイスは、少なくとも1つのUV光源に電気的に接続された電源をさらに含む。第1から第4の実施例のうち1つ以上を任意で含む、本デバイスの第5の実施例では、デバイスは、細長い本体が4つの側面を備えることをさらに含む。第1から第5の実施例のうち1つ以上を任意で含む、本デバイスの第6の実施例では、デバイスは、少なくとも1つのUV光源が発光ダイオードを備えることをさらに含む。第1から第6の実施例のうち1つ以上を任意で含む、本デバイスの第7の実施例では、デバイスは、対応する複数のUV光源が細長い本体上で互い違いになるように、細長い本体の4つの側面の各々が少なくとも1つの収容空間を備えることをさらに含む。第1から第7の実施例のうち1つ以上を任意で含む、本デバイスの第8の実施例では、デバイスは、近位端において、対応するUV光源をさらに含む。第1から第9の実施例のうち1つ以上を任意で含む、本デバイスの第10の実施例では、デバイスは、細長い本体を回転させ続いて少なくとも1つのUV光源を回転させるように構成された回転モータをさらに含む。第1から第10の実施例のうち1つ以上を任意で含む、本デバイスの第11の実施例では、デバイスは、細長い本体が回転ベースの周りで回転するように構成されるよう、細長い本体の遠位端に接続された回転ベースをさらに含む。
【0238】
別の実施形態では、患者に抗菌療法を行う方法は、UV-A及び/またはUV-B領域内の波長セットを放出する光源で少なくとも10分間、患者の体内組織に放射する段階を含む。本方法の第1の実施例は、UV-A及び/またはUV-B領域が少なくとも320~345nmを含むことをさらに含み得る。本方法の第2の実施例は、第1の実施例を任意で含み得、さらに、少なくとも10分間が18~22分間を含むことを含み得る。本方法の第3の実施例は、第1及び第2の実施例のうち1つ以上を任意で含み得、さらに、適用の強度が2,000マイクロワット/cmであることと、患者の体内組織までの距離が0~1cmを含むこととを含み得る。
【0239】
選択実施形態
上述の説明及び添付の特許請求の範囲は、本発明の多数の実施形態を開示しているが、本発明の他の代替的局面が以下のさらなる実施形態において開示される。
実施形態1.
体内紫外線療法を行うためのシステムであって、
気管内チューブ(ETT)と;
光を円周状に外に放出するように位置決めされたLEDのセットを備える、光送達部分、
少なくとも1つの開通口を備える冷却チューブ、及び
該ETTに接続するように構成されたETTコネクタ
を備える光カテーテルと
を備える、システム。
実施形態2.
LEDのセットの各LEDの一部分が冷却チューブと直接接触している、実施形態1のシステム。
実施形態3.
冷却チューブ内で、冷却ガスが、前記少なくとも1つの開通口に向かって第1の方向に流れ、前記少なくとも1つの開通口から出て、かつ光カテーテル内で該第1の方向と反対の第2の方向に流れ戻る、実施形態1のシステム。
実施形態4.
LEDのセット内の各LEDに結合されたヒートシンクをさらに備える、実施形態1のシステム。
実施形態5.
LEDのセットが340~349nmの領域内のピーク波長を放出する、実施形態1のシステム。
実施形態6.
LEDのセットが、343nmから345nmの領域内のピーク波長を伴う320nm~410の間の波長を放出する、実施形態1のシステム。
実施形態7.
LEDのセットが340~345nmの領域内のピーク波長を放出する、実施形態1のシステム。
実施形態8.
ETTコネクタがフラップ弁を備える、実施形態1のシステム。
実施形態9.
1つ以上のプロセッサと;
エアコンプレッサと;
エアコネクタ及び電気コネクタを備える、デュアルコネクタと
を備える、コンプレッサシステム
をさらに備える、実施形態1のシステム。
実施形態10.
通気路と;
導電体と;
光カテーテルに接続するように構成された光カテーテルコネクタと;
コンプレッサシステムに接続するように構成されたコンプレッサコネクタと
を備える、アンビリカルチューブ
をさらに備える、実施形態9のシステム。
実施形態11.
1つ以上のプロセッサと;
メモリと;
1つ以上のプロセッサを備える、該メモリに結合された制御システムであって、機械実行可能コードを実行して、指定の持続時間及びある強度で光をLEDのセットに放出させるように構成される、制御システムと
を備える、光源コントローラ
をさらに備える、実施形態10のシステム。
実施形態12.
前記指定の持続時間が、少なくとも1、2、3、4、または5日間にわたって、毎日少なくとも20分間、40分間、または60分間である、実施形態11のシステム。
実施形態13.
前記強度が、少なくとも1,100マイクロワット/cm、1,500マイクロワット/cm、2,000マイクロワット/cm、2,100マイクロワット/cm、2,200マイクロワット/cm、2,300マイクロワット/cm、2,400マイクロワット/cm、2,500マイクロワット/cm、2,600マイクロワット/cm、2,700マイクロワット/cm、2,800マイクロワット/cm、2,900マイクロワット/cm、3,000マイクロワット/cm、または2ミリワット/cmを含む、実施形態11のシステム。
実施形態14.
体内紫外線療法を行うための実施形態11のシステム内に光カテーテルを配置する方法であって、
ETTコネクタをETTに接続する段階;
フラップ弁を通して該光カテーテルを前進させることによって、該光カテーテルを該ETT内に配置する段階;
LEDのセットに通電するためにコントローラに命令を提供する段階;及び
通気路を通って冷却チューブに入りかつ前記少なくとも1つの開通口から出るように空気をポンプ送りするために、エアコンプレッサに通電する段階
を含む、方法。
実施形態15.
光送達部分と熱接触しているサーミスタから受け取った信号に基づいて温度を決定する段階、及び、
決定された該温度に基づいてエアコンプレッサの流量を調整する段階
をさらに含む、実施形態14の方法。
実施形態16.
光送達部分と熱接触しているサーミスタから受け取った信号に基づいて、温度を決定する段階、及び、
決定された該温度に基づいて、光源コントローラによって送達されるLEDへの電力を調整する段階
をさらに含む、実施形態14の方法。
実施形態17.
呼吸器感染症患者を治療する方法であって、
ETTで該患者に挿管する段階;
LEDのセットと冷却チャネルとを備える光カテーテルを、該ETTに接続する段階;
該患者の人工呼吸を行いながら該患者の感染症を治療するために、該LEDのセットから該光カテーテルの実質的な長さに沿って、該光カテーテルから外にUV-A光を放射する段階
を含む、方法。
実施形態18.
感染が、肺炎、細菌、ウイルス、RNAウイルス、コロナウイルス、またはSARS-CoV-2のうち少なくとも1つを含む、実施形態17の方法。
実施形態19.
放射する段階が、2,000マイクロワット/cmの強度で20分間行われる、実施形態17の方法。
実施形態20.
放射する段階が、少なくとも1,000マイクロワット/cmの強度を用いて行われる、実施形態17の方法。
実施形態21.
感染がSARS-CoV-2であり、放射する段階が、毎日少なくとも20分間で少なくとも5日間行われる、実施形態17の方法。
実施形態22.
放射する段階が、少なくとも10分間及び1,000~5,000マイクロワット/cmの間の強度で行われる、実施形態17の方法。
実施形態23.
ETTから外に光を放射する段階が、該ETTの管の内部に導入された、カテーテル内に一体化されたUV光源を用いて行われる、実施形態17の方法。
実施形態24.
呼吸器感染症患者を治療する方法であって、
ETTで患者に挿管する段階;及び
感染を治療するためにETTから外にUV-A光を放射する段階
を含む、方法。
実施形態25.
感染が、肺炎、細菌、ウイルス、RNAウイルス、またはコロナウイルスのうち少なくとも1つを含む、実施形態24の方法。
実施形態26.
放射する段階が、1,000~5,000マイクロワット/cmの間の強度で10~30分間行われる、実施形態24の方法。
実施形態27.
放射する段階が、少なくとも1,000マイクロワット/cmの強度を用いて行われる、実施形態24の方法。
実施形態28.
放射する段階が、1,000~5,000マイクロワット/cmの間の強度で少なくとも10分間行われる、実施形態24の方法。
実施形態29.
放射する段階が、少なくとも2,000マイクロワット/cmの強度を用いて行われる、実施形態24の方法。
実施形態30.
放射する段階が18~22分間行われる、実施形態24の方法。
実施形態31.
ETTから外に光を放射する段階が、ETTとは別個のUV光源を用いて行われる、実施形態24の方法。
実施形態32.
ETTから外に光を放射する段階が、ETTと一体化されたUV光源を用いて行われる、実施形態24の方法。
実施形態33.
体内紫外線療法を行うためのシステムであって、デバイスが、気管内チューブ(ETT)と;ETTの一部分を通って光を放出するように構成されたUV光送達デバイスとを備える、システム。
実施形態34.
UV光送達デバイスがETTとは別個である、実施形態33のシステム。
実施形態35.
UV光送達デバイスがETTに接続するように構成されている、実施形態33のシステム。
実施形態36.
UV光送達デバイスがETT内部にフィットするように構成されている、実施形態33のシステム。
実施形態37.
体内紫外線療法を行うための方法であって、
UV光源を備えるUV光送達デバイスを提供する段階;及び
感染を治療するために患者の鼻腔を通してUV光送達デバイスを挿入する段階
を含む、方法。
実施形態38.
UV光源が、340~349nmの領域内のピーク波長を放出するように構成された少なくとも1つのLEDを備える、実施形態37の方法。
実施形態39.
感染がコロナウイルス感染または他のRNAウイルス感染である、実施形態37の方法。
実施形態40.
UV光源が呼吸気管に誘導される、実施形態37の方法。
実施形態41.
UV光源がUV-A光源である、実施形態37の方法。
実施形態42.
UV光源が10~30分間起動される、実施形態37の方法。
【0240】
結論
上記の種々の方法及び手法は、本発明を実施する多数の手段を提供する。当然ながら、本明細書に記載されるいずれかの特定の実施形態に従って、記載される全ての目的または利点を必ずしも達成することができるとは限らないことを理解されたい。よって、例えば、当業者は、本明細書で教示または示唆される他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示される1つの利点または利点群を達成または最適化するように、方法を行うことができることを認識するであろう。様々な代替が本明細書において言及される。いくつかの実施形態は、1つの、別の、またはいくつかの特徴を具体的に含むが、他のものは、1つの、別の、またはいくつかの特徴を具体的に除外し、さらに他のものは、1つの、別の、またはいくつかの有利な特徴を含めることによって特定の特徴を軽減することを理解されたい。
【0241】
さらに、当業者は、異なる実施形態からの様々な特徴の適用可能性を認識するであろう。同様に、上記で議論される様々な要素、特徴、及びステップ、ならびにそのような各要素、特徴、またはステップの他の既知の同等物は、当業者によって様々な組み合わせで使用して、本明細書に記載される原理に従った方法を行うことができる。様々な要素、特徴、及びステップの中で、いくつかは具体的に含まれ、他は様々な実施形態で具体的に除外される。
【0242】
本出願は、特定の実施形態及び例の文脈で開示されたが、当業者によって、本出願の実施形態が、具体的に開示される実施形態を超えて他の代替的な実施形態及び/または使用ならびにその修正及び同等物に及ぶことが理解されるであろう。
【0243】
いくつかの実施形態では、本出願の特定の実施形態を説明する文脈で(特に、以下の特許請求の範囲の特定の文脈で)使用される「a」及び「an」及び「the」という用語ならびに類似の指示対象は、単数形及び複数形の両方を網羅すると解釈することができる。本明細書の値の範囲の列挙は単に、範囲内に入るそれぞれの別々の値を個々に指す簡単な方法として役立つことが意図される。本明細書で別段の指示がない限り、各個々の値は、本明細書で個別に列挙されるかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書で別途指示されない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で行うことができる。本明細書の特定の実施形態に関して提供される任意の及び全ての例、または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、本出願をより良く示すことのみを意図しており、他の方法で特許請求される本出願の範囲に制限をもたらすものではない。本明細書のいかなる言語も、本出願の実施に不可欠な任意の非請求の要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0244】
本出願の特定の実施形態が本明細書に記載されている。それらの実施形態に対する変形は、前述の説明を読むことにより当業者には明らかになるであろう。当業者は、そのような変形を適切に使用することができ、本明細書に具体的に記載される以外の方法で本出願を実施することができることが企図される。したがって、本出願の多くの実施形態は、適用法によって許容されるように本明細書に添付される特許請求の範囲に列挙される主題の全ての修正及び同等物を含む。さらに、本明細書中に別途指示されない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、それらの全ての可能な変形における上述の要素の任意の組み合わせが本出願によって包含される。
【0245】
主題の特定の実施態様を説明してきた。他の実施態様は、以下の特許請求の範囲内にある。場合によっては、特許請求の範囲に記載されている動作は、異なる順序で実行することができ、それでも望ましい結果を達成することができる。さらに、添付の図に示されているプロセスは、望ましい結果を達成するために、必ずしも示されている特定の順序または連続した順序を必要としない。
【0246】
本明細書で参照される全ての特許、特許出願、特許出願の公報、ならびに記事、書籍、明細書、刊行物、文書、物品、及び/またはそのようなものなどの他の資料は、参照によってその全体が、全ての目的のために本明細書に組み込まれるが、それらと関連付けられるいずれかの審査ファイル経過、本文書と不一致であるかもしくは矛盾するもののいずれか、または現在もしくは将来に本出願文書と関連付けられる特許請求の範囲の最も広い範囲に関して限定的な影響を有し得るもののいずれかは除外される。例として、組み込まれる資料のいずれかに関連する用語の説明、定義、及び/または使用と、本文書に関連するものとの間に不一致または矛盾がある場合、本文書における用語の説明、定義、及び/または使用が優先するものとする。
【0247】
最後に、本明細書に開示される本出願の実施形態は、本出願の実施形態の原理の例示であることを理解されたい。使用することができる他の修正は、本出願の範囲内であり得る。よって、限定ではなく例として、本出願の実施形態の代替的な構成を本明細書の教示に従って利用することができる。したがって、本出願の実施形態は、示され、記載される正確なものに限定されない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
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図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
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図30
図31
図32
図33
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図37
図38
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図40
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図58L
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図71
図72
図73
図74
図75
図76
【国際調査報告】