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特表2023-518280改善された特異性及び感度を有する、卵巣がん評価のための組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-28
(54)【発明の名称】改善された特異性及び感度を有する、卵巣がん評価のための組成物
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/574 20060101AFI20230421BHJP
   C12N 15/115 20100101ALI20230421BHJP
   C12Q 1/6876 20180101ALI20230421BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20230421BHJP
   C12Q 1/6837 20180101ALI20230421BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20230421BHJP
【FI】
G01N33/574 A ZNA
C12N15/115 Z
C12Q1/6876 Z
C07K16/18
C12Q1/6837 Z
C12Q1/6869 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556487
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(85)【翻訳文提出日】2022-11-18
(86)【国際出願番号】 US2021023091
(87)【国際公開番号】W WO2021188863
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】62/992,358
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.UNIX
(71)【出願人】
【識別番号】522331367
【氏名又は名称】アスピラ ウィメンズ ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】フリッチェ ハーバート
(72)【発明者】
【氏名】ノースロップ レスリー
【テーマコード(参考)】
4B063
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ03
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR55
4B063QR72
4B063QR77
4B063QS33
4B063QS34
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA50
4H045EA51
(57)【要約】
本発明は、様々な卵巣がん型(例えば、低い悪性度、中間の悪性度、高い悪性度)を有する様々な対象(例えば、閉経前及び閉経後の女性)における卵巣腫瘍(例えば、症候性及び無症候性の付属器腫瘤)の術前評価のための改善された特異性及び感度を有する組成物及び方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、
マーカーであるトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)、並びに、乳がん1(BRCA1)、乳がん2(BRCA2)、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)、BRCA1関連Ringドメイン1(BARD1)、BRCA1相互作用タンパク質C末端ヘリカーゼ1(BRIP1)、カドヘリン-1(CDH1)、チェックポイントキナーゼ2(CHEK2)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、MutLホモログ1(MLH1)、MutSホモログ2(MSH2)、MutSホモログ6(MSH6)、ニブリン(NBN)、BRCA2のパートナー及びローカライザー(PALB2)、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)、RAD51パラログD(RAD51D)、セリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、BRCA1 A複合体サブユニットabraxas 1(ABRAXAS1若しくはFAM175A)、RAC-アルファセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ(AKT1若しくはタンパク質キナーゼB)、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)、axis阻害タンパク質2(AXIN2)、骨形成タンパク質受容体1A型(BMPR1A)、がん原遺伝子B-Raf(BRAF)、細胞分裂周期25C(CDC25)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、カテニンベータ-1(CTNNB1)、RNaseモチーフを有するヘリカーゼ(DICER1)、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2(ERBB2)、切除修復交差相補性グループ6(ERCC6)、ファンコニ貧血相補性グループM(FANCM)、ファンコニ貧血相補性グループC(FANCC)、減数分裂組換え11(MRE11)、mutY DNAグリコシラーゼ(MUTYH)、ニューロフィブロミン1(NF1)、エンドヌクレアーゼIII様タンパク質1(NTHL1)、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)、減数分裂後分離増加2(PMS2)、タンパク質ホスファターゼ2調節サブユニットAアルファ(PP2R1A)、タンパク質キナーゼDNA活性化触媒サブユニット(PRKDC)、DNAポリメラーゼデルタ1触媒サブユニット(POLD1)、RAD50ホモログ(RAD50)、RAD51パラログC(RAD51C)、Ringフィンガータンパク質43(RNF43)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体鉄硫黄サブユニットB(SDHB)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体サブユニットD(SDHD)、クロマチンサブファミリーAメンバー4のSWI/SNF関連マトリックスに関連付けられたアクチン依存性調節因子(SMARCA4)、チャイニーズハムスター細胞2におけるX線修復相補性欠損修復(XRCC2)、ウェルナー症候群ATP依存性ヘリカーゼ(WRN若しくはRECQL)、細胞分裂周期73(CDC73)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ12(GALNT12)、グレムリン1(GREM1)、ホメオボックスB13(HOXB13)、MutSホモログ3(MSH3)、DNAポリメラーゼエプシロン触媒サブユニット(POLE)、RAD51レコンビナーゼ(RAD51)、RAD50相互作用因子1(RINT1)、40Sリボソームタンパク質S20(RSP20)、SLX4構造特異的エンドヌクレアーゼサブユニット(SLX4)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、二重特異性タンパク質キナーゼTTK(TTK)、Ras関連ドメインファミリー1アイソフォームA(RASSF1A)、Runt関連転写因子3(RUNX3)、組織因子経路阻害因子2(TFPI2)、分泌frizzled関連タンパク質5(SFRP5)、オピオイド結合タンパク質/細胞接着分子(OPCML)、O-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(MGMT)、カドヘリン13(CDH13)、スルファターゼ1(SULF1)、ホメオボックスA9(HOXA9)、ホメオボックスA11(HOXAD11)、クローディン4(CLDN4)、T細胞分化タンパク質(MAL)、インプリント部位の調節因子の兄弟(Brother of Regulator of Imprinted Sites:BORIS)、ATP結合カセットスーパーファミリーGメンバー2(ABCG2)、チューブリンベータ3クラスIII(TUBB3)、メチル化制御DNAJ(MCJ)、シヌクレイン(synucelin)-γ(SNGG)、代替リーディングフレーム腫瘍抑制因子(P14ARF)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A若しくはP16INK4A)、サイクリン依存性キナーゼ4阻害因子B(CDKN2B若しくはP15)、死関連タンパク質キナーゼ1(DAPK)、カルシウムチャンネル電圧依存性T型アルファ1Gサブユニット(CACNA1G若しくはMINT31)、網膜芽腫相互作用ジンクフィンガータンパク質1(RIZ1)、及びメチル化誘導サイレンシングの標的1(TMS1)からなる群から選択される1つ以上のマーカーを含みかつ又はこれらからなる、
前記パネル。
【請求項2】
対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、
マーカーであるトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、並びに、乳がん1(BRCA1)、乳がん2(BRCA2)、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)、BRCA1関連Ringドメイン1(BARD1)、BRCA1相互作用タンパク質C末端ヘリカーゼ1(BRIP1)、カドヘリン-1(CDH1)、チェックポイントキナーゼ2(CHEK2)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、MutLホモログ1(MLH1)、MutSホモログ2(MSH2)、MutSホモログ6(MSH6)、ニブリン(NBN)、BRCA2のパートナー及びローカライザー(PALB2)、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)、RAD51パラログD(RAD51D)、セリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、BRCA1 A複合体サブユニットabraxas 1(ABRAXAS1若しくはFAM175A)、RAC-アルファセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ(AKT1若しくはタンパク質キナーゼB)、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)、axis阻害タンパク質2(AXIN2)、骨形成タンパク質受容体1A型(BMPR1A)、がん原遺伝子B-Raf(BRAF)、細胞分裂周期25C(CDC25)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、カテニンベータ-1(CTNNB1)、RNaseモチーフを有するヘリカーゼ(DICER1)、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2(ERBB2)、切除修復交差相補性グループ6(ERCC6)、ファンコニ貧血相補性グループM(FANCM)、ファンコニ貧血相補性グループC(FANCC)、減数分裂組換え11(MRE11)、mutY DNAグリコシラーゼ(MUTYH)、ニューロフィブロミン1(NF1)、エンドヌクレアーゼIII様タンパク質1(NTHL1)、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)、減数分裂後分離増加2(PMS2)、タンパク質ホスファターゼ2調節サブユニットAアルファ(PP2R1A)、タンパク質キナーゼDNA活性化触媒サブユニット(PRKDC)、DNAポリメラーゼデルタ1触媒サブユニット(POLD1)、RAD50ホモログ(RAD50)、RAD51パラログC(RAD51C)、Ringフィンガータンパク質43(RNF43)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体鉄硫黄サブユニットB(SDHB)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体サブユニットD(SDHD)、クロマチンサブファミリーAメンバー4のSWI/SNF関連マトリックスに関連付けられたアクチン依存性調節因子(SMARCA4)、チャイニーズハムスター細胞2におけるX線修復相補性欠損修復(XRCC2)、ウェルナー症候群ATP依存性ヘリカーゼ(WRN若しくはRECQL)、細胞分裂周期73(CDC73)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ12(GALNT12)、グレムリン1(GREM1)、ホメオボックスB13(HOXB13)、MutSホモログ3(MSH3)、DNAポリメラーゼエプシロン触媒サブユニット(POLE)、RAD51レコンビナーゼ(RAD51)、RAD50相互作用因子1(RINT1)、40Sリボソームタンパク質S20(RSP20)、SLX4構造特異的エンドヌクレアーゼサブユニット(SLX4)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、二重特異性タンパク質キナーゼTTK(TTK)、Ras関連ドメインファミリー1アイソフォームA(RASSF1A)、Runt関連転写因子3(RUNX3)、組織因子経路阻害因子2(TFPI2)、分泌frizzled関連タンパク質5(SFRP5)、オピオイド結合タンパク質/細胞接着分子(OPCML)、O-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(MGMT)、カドヘリン13(CDH13)、スルファターゼ1(SULF1)、ホメオボックスA9(HOXA9)、ホメオボックスA11(HOXAD11)、クローディン4(CLDN4)、T細胞分化タンパク質(MAL)、インプリント部位の調節因子の兄弟(BORIS)、ATP結合カセットスーパーファミリーGメンバー2(ABCG2)、チューブリンベータ3クラスIII(TUBB3)、メチル化制御DNAJ(MCJ)、シヌクレイン-γ(SNGG)、代替リーディングフレーム腫瘍抑制因子(P14ARF)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A若しくはP16INK4A)、サイクリン依存性キナーゼ4阻害因子B(CDKN2B若しくはP15)、死関連タンパク質キナーゼ1(DAPK)、カルシウムチャンネル電圧依存性T型アルファ1Gサブユニット(CACNA1G若しくはMINT31)、網膜芽腫相互作用ジンクフィンガータンパク質1(RIZ1)、及びメチル化誘導サイレンシングの標的1(TMS1)からなる群から選択される1つ以上のマーカーを含む又はこれらからなる、
前記パネル。
【請求項3】
対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、
マーカーであるアポリポタンパク質A1(ApoA1)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、並びに、乳がん1(BRCA1)、乳がん2(BRCA2)、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)、BRCA1関連Ringドメイン1(BARD1)、BRCA1相互作用タンパク質C末端ヘリカーゼ1(BRIP1)、カドヘリン-1(CDH1)、チェックポイントキナーゼ2(CHEK2)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、MutLホモログ1(MLH1)、MutSホモログ2(MSH2)、MutSホモログ6(MSH6)、ニブリン(NBN)、BRCA2のパートナー及びローカライザー(PALB2)、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)、RAD51パラログD(RAD51D)、セリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、BRCA1 A複合体サブユニットabraxas 1(ABRAXAS1若しくはFAM175A)、RAC-アルファセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ(AKT1若しくはタンパク質キナーゼB)、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)、axis阻害タンパク質2(AXIN2)、骨形成タンパク質受容体1A型(BMPR1A)、がん原遺伝子B-Raf(BRAF)、細胞分裂周期25C(CDC25)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、カテニンベータ-1(CTNNB1)、RNaseモチーフを有するヘリカーゼ(DICER1)、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2(ERBB2)、切除修復交差相補性グループ6(ERCC6)、ファンコニ貧血相補性グループM(FANCM)、ファンコニ貧血相補性グループC(FANCC)、減数分裂組換え11(MRE11)、mutY DNAグリコシラーゼ(MUTYH)、ニューロフィブロミン1(NF1)、エンドヌクレアーゼIII様タンパク質1(NTHL1)、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)、減数分裂後分離増加2(PMS2)、タンパク質ホスファターゼ2調節サブユニットAアルファ(PP2R1A)、タンパク質キナーゼDNA活性化触媒サブユニット(PRKDC)、DNAポリメラーゼデルタ1触媒サブユニット(POLD1)、RAD50ホモログ(RAD50)、RAD51パラログC(RAD51C)、Ringフィンガータンパク質43(RNF43)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体鉄硫黄サブユニットB(SDHB)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体サブユニットD(SDHD)、クロマチンサブファミリーAメンバー4のSWI/SNF関連マトリックスに関連付けられたアクチン依存性調節因子(SMARCA4)、チャイニーズハムスター細胞2におけるX線修復相補性欠損修復(XRCC2)、ウェルナー症候群ATP依存性ヘリカーゼ(WRN若しくはRECQL)、細胞分裂周期73(CDC73)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ12(GALNT12)、グレムリン1(GREM1)、ホメオボックスB13(HOXB13)、MutSホモログ3(MSH3)、DNAポリメラーゼエプシロン触媒サブユニット(POLE)、RAD51レコンビナーゼ(RAD51)、RAD50相互作用因子1(RINT1)、40Sリボソームタンパク質S20(RSP20)、SLX4構造特異的エンドヌクレアーゼサブユニット(SLX4)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、二重特異性タンパク質キナーゼTTK(TTK)、Ras関連ドメインファミリー1アイソフォームA(RASSF1A)、Runt関連転写因子3(RUNX3)、組織因子経路阻害因子2(TFPI2)、分泌frizzled関連タンパク質5(SFRP5)、オピオイド結合タンパク質/細胞接着分子(OPCML)、O-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(MGMT)、カドヘリン13(CDH13)、スルファターゼ1(SULF1)、ホメオボックスA9(HOXA9)、ホメオボックスA11(HOXAD11)、クローディン4(CLDN4)、T細胞分化タンパク質(MAL)、インプリント部位の調節因子の兄弟(Brother of Regulator of Imprinted Sites:BORIS)、ATP結合カセットスーパーファミリーGメンバー2(ABCG2)、チューブリンベータ3クラスIII(TUBB3)、メチル化制御DNAJ(MCJ)、シヌクレイン-γ(SNGG)、代替リーディングフレーム腫瘍抑制因子(P14ARF)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A若しくはP16INK4A)、サイクリン依存性キナーゼ4阻害因子B(CDKN2B若しくはP15)、死関連タンパク質キナーゼ1(DAPK)、カルシウムチャンネル電圧依存性T型アルファ1Gサブユニット(CACNA1G若しくはMINT31)、網膜芽腫相互作用ジンクフィンガータンパク質1(RIZ1)、及びメチル化誘導サイレンシングの標的1(TMS1)からなる群から選択される1つ以上のマーカーを含む又はこれらからなる、
前記パネル。
【請求項4】
対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、マーカーであるトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、及び乳がん1(BRCA1)を含む又はこれらからなる、前記パネル。
【請求項5】
対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、マーカーであるトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、及び乳がん2(BRCA2)を含む又はこれらからなる、前記パネル。
【請求項6】
対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、マーカーであるトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、乳がん1(BRCA1)及び乳がん2(BRCA2)を含む又はこれらからなる、前記パネル。
【請求項7】
対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、マーカーであるアポリポタンパク質A1(ApoA1)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、HE4、卵胞刺激ホルモン(FSH)、及び乳がん1(BRCA1)を含む又はこれらからなる、前記パネル。
【請求項8】
対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、マーカーであるアポリポタンパク質A1(ApoA1)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、HE4、卵胞刺激ホルモン(FSH)、及び乳がん2(BRCA2)を含む又はこれらからなる、前記パネル。
【請求項9】
対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、マーカーであるアポリポタンパク質A1(ApoA1)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、乳がん1(BRCA1)及び乳がん2(BRCA2)を含む又はこれらからなる、前記パネル。
【請求項10】
対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、マーカーであるトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、及び乳がん1(BRCA1)を含む又はこれらからなる、前記パネル。
【請求項11】
対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、マーカーであるトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、及び乳がん2(BRCA2)を含む又はこれらからなる、前記パネル。
【請求項12】
対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、マーカーであるトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、乳がん1(BRCA1)、及び乳がん2(BRCA2)を含む又はこれらからなる、前記パネル。
【請求項13】
毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)、BRCA1関連Ringドメイン1(BARD1)、BRCA1相互作用タンパク質C末端ヘリカーゼ1(BRIP1)、カドヘリン-1(CDH1)、チェックポイントキナーゼ2(CHEK2)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、MutLホモログ1(MLH1)、MutSホモログ2(MSH2)、MutSホモログ6(MSH6)、ニブリン(NBN)、BRCA2のパートナー及びローカライザー(PALB2)、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)、RAD51パラログD(RAD51D)、セリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、BRCA1 A複合体サブユニットabraxas 1(ABRAXAS1若しくはFAM175A)、RAC-アルファセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ(AKT1若しくはタンパク質キナーゼB)、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)、axis阻害タンパク質2(AXIN2)、骨形成タンパク質受容体1A型(BMPR1A)、がん原遺伝子B-Raf(BRAF)、細胞分裂周期25C(CDC25)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、カテニンベータ-1(CTNNB1)、RNaseモチーフを有するヘリカーゼ(DICER1)、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2(ERBB2)、切除修復交差相補性グループ6(ERCC6)、ファンコニ貧血相補性グループM(FANCM)、ファンコニ貧血相補性グループC(FANCC)、減数分裂組換え11(MRE11)、mutY DNAグリコシラーゼ(MUTYH)、ニューロフィブロミン1(NF1)、エンドヌクレアーゼIII様タンパク質1(NTHL1)、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)、減数分裂後分離増加2(PMS2)、タンパク質ホスファターゼ2調節サブユニットAアルファ(PP2R1A)、タンパク質キナーゼDNA活性化触媒サブユニット(PRKDC)、DNAポリメラーゼデルタ1触媒サブユニット(POLD1)、RAD50ホモログ(RAD50)、RAD51パラログC(RAD51C)、Ringフィンガータンパク質43(RNF43)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体鉄硫黄サブユニットB(SDHB)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体サブユニットD(SDHD)、クロマチンサブファミリーAメンバー4のSWI/SNF関連マトリックスに関連付けられたアクチン依存性調節因子(SMARCA4)、チャイニーズハムスター細胞2におけるX線修復相補性欠損修復(XRCC2)、ウェルナー症候群ATP依存性ヘリカーゼ(WRN若しくはRECQL)、細胞分裂周期73(CDC73)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ12(GALNT12)、グレムリン1(GREM1)、ホメオボックスB13(HOXB13)、MutSホモログ3(MSH3)、DNAポリメラーゼエプシロン触媒サブユニット(POLE)、RAD51レコンビナーゼ(RAD51)、RAD50相互作用因子1(RINT1)、40Sリボソームタンパク質S20(RSP20)、SLX4構造特異的エンドヌクレアーゼサブユニット(SLX4)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、二重特異性タンパク質キナーゼTTK(TTK)、Ras関連ドメインファミリー1アイソフォームA(RASSF1A)、Runt関連転写因子3(RUNX3)、組織因子経路阻害因子2(TFPI2)、分泌frizzled関連タンパク質5(SFRP5)、オピオイド結合タンパク質/細胞接着分子(OPCML)、O-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(MGMT)、カドヘリン13(CDH13)、スルファターゼ1(SULF1)、ホメオボックスA9(HOXA9)、ホメオボックスA11(HOXAD11)、クローディン4(CLDN4)、T細胞分化タンパク質(MAL)、インプリント部位の調節因子の兄弟(BORIS)、ATP結合カセットスーパーファミリーGメンバー2(ABCG2)、チューブリンベータ3クラスIII(TUBB3)、メチル化制御DNAJ(MCJ)、シヌクレイン-γ(SNGG)、代替リーディングフレーム腫瘍抑制因子(P14ARF)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A若しくはP16INK4A)、サイクリン依存性キナーゼ4阻害因子B(CDKN2B若しくはP15)、死関連タンパク質キナーゼ1(DAPK)、カルシウムチャンネル電圧依存性T型アルファ1Gサブユニット(CACNA1G若しくはMINT31)、網膜芽腫相互作用ジンクフィンガータンパク質1(RIZ1)、及びメチル化誘導サイレンシングの標的1(TMS1)からなる群から選択される1つ以上のマーカー
を更に含む、請求項4~12のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項14】
前記マーカーの各々が、別個の捕捉試薬に結合される、請求項1~13のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項15】
前記捕捉試薬が、固体支持体に取り付けられている、請求項14に記載のパネル。
【請求項16】
前記固体支持体が、プレート、チップ、ビーズ、マイクロ流体プラットフォーム、膜、平面マイクロアレイ、又は懸濁アレイである、請求項15に記載のパネル。
【請求項17】
前記捕捉試薬が、抗体、アプタマー、アフィボディ、ハイブリダイゼーションプローブ、及び/又はそれらの断片である、請求項14~16のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項18】
各捕捉試薬が、前記マーカーのうちの1つに特異的に結合する、請求項14~17のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項19】
対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するための方法において使用するための、請求項1~18のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項20】
対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するための方法であって、請求項1~18のいずれか一項に記載のパネルを使用して、前記対象からの生体試料中のマーカーを特性決定することを含む、前記方法。
【請求項21】
卵巣がんの高いリスク又は低いリスクを有するとして対象を術前に評価するための方法であって、
(a)前記対象に由来する生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1のスコアを決定することであって、前記第1のスコアが、高いがんリスク、中間のがんリスク、又は低いがんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと、
(b)前記第1のスコアによって中間のがんリスクを有するとして特定された前記対象に由来する前記生体試料中のCA125、β2M、Tfr、TT、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第2のスコアを決定することであって、前記第2のスコアが、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと
を含む、前記方法。
【請求項22】
卵巣がんの高いリスク又は低いリスクを有するとして対象を術前に評価するための方法であって、
(a)前記対象に由来する生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1のスコアを決定することであって、前記第1のスコアが、高いがんリスク、中間のがんリスク、又は低いがんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと、
(b)前記第1のスコアによって中間のがんリスクを有するとして特定された前記対象に由来する前記生体試料中のFSH、CA125、HE4、Tfr、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第2のスコアを決定することであって、前記第2のスコアが、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと
を含む、前記方法。
【請求項23】
卵巣がんの高いリスク又は低いリスクを有するとして対象を術前に評価するための方法であって、
(a)前記対象に由来する生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1のスコアを決定することであって、前記第1のスコアが、高いがんリスク、中間のがんリスク、又は低いがんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと、
(b)前記第1のスコアによって中間のがんリスクを有するとして特定された前記対象に由来する前記生体試料中のCA125、β2M、Tfr、TT、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、低いがんリスク、中間のがんリスク、又は高いがんリスクを有するとして前記対象を特定する第2のスコアを決定することと、
(c)前記第2のスコアによって中間のがんリスク又は高いがんリスクを有するとして特定された前記対象に由来する前記生体試料中のFSH、CA125、HE4、Tfr、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第3のスコアを決定することであって、前記第3のスコアが、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと
を含む、前記方法。
【請求項24】
無症候性の対象を術前に評価するための方法であって、
(a)前記対象に由来する生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1のスコアを決定することであって、前記第1のスコアが、高いがんリスク、中間のがんリスク、又は低いがんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと、
(b)前記第1のスコアによって高いがんリスク、中間のがんリスク又は低いがんリスクを有するとして特定された前記対象に由来する前記生体試料中の乳がん1(BRCA1)、乳がん2(BRCA2)、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)、BRCA1関連Ringドメイン1(BARD1)、BRCA1相互作用タンパク質C末端ヘリカーゼ1(BRIP1)、カドヘリン-1(CDH1)、チェックポイントキナーゼ2(CHEK2)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、MutLホモログ1(MLH1)、MutSホモログ2(MSH2)、MutSホモログ6(MSH6)、ニブリン(NBN)、BRCA2のパートナー及びローカライザー(PALB2)、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)、RAD51パラログD(RAD51D)、セリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、BRCA1 A複合体サブユニットabraxas 1(ABRAXAS1若しくはFAM175A)、RAC-アルファセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ(AKT1若しくはタンパク質キナーゼB)、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)、axis阻害タンパク質2(AXIN2)、骨形成タンパク質受容体1A型(BMPR1A)、がん原遺伝子B-Raf(BRAF)、細胞分裂周期25C(CDC25)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、カテニンベータ-1(CTNNB1)、RNaseモチーフを有するヘリカーゼ(DICER1)、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2(ERBB2)、切除修復交差相補性グループ6(ERCC6)、ファンコニ貧血相補性グループM(FANCM)、ファンコニ貧血相補性グループC(FANCC)、減数分裂組換え11(MRE11)、mutY DNAグリコシラーゼ(MUTYH)、ニューロフィブロミン1(NF1)、エンドヌクレアーゼIII様タンパク質1(NTHL1)、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)、減数分裂後分離増加2(PMS2)、タンパク質ホスファターゼ2調節サブユニットAアルファ(PP2R1A)、タンパク質キナーゼDNA活性化触媒サブユニット(PRKDC)、DNAポリメラーゼデルタ1触媒サブユニット(POLD1)、RAD50ホモログ(RAD50)、RAD51パラログC(RAD51C)、Ringフィンガータンパク質43(RNF43)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体鉄硫黄サブユニットB(SDHB)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体サブユニットD(SDHD)、クロマチンサブファミリーAメンバー4のSWI/SNF関連マトリックスに関連付けられたアクチン依存性調節因子(SMARCA4)、チャイニーズハムスター細胞2におけるX線修復相補性欠損修復(XRCC2)、ウェルナー症候群ATP依存性ヘリカーゼ(WRN若しくはRECQL)、細胞分裂周期73(CDC73)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ12(GALNT12)、グレムリン1(GREM1)、ホメオボックスB13(HOXB13)、MutSホモログ3(MSH3)、DNAポリメラーゼエプシロン触媒サブユニット(POLE)、RAD51レコンビナーゼ(RAD51)、RAD50相互作用因子1(RINT1)、40Sリボソームタンパク質S20(RSP20)、SLX4構造特異的エンドヌクレアーゼサブユニット(SLX4)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、二重特異性タンパク質キナーゼTTK(TTK)、Ras関連ドメインファミリー1アイソフォームA(RASSF1A)、Runt関連転写因子3(RUNX3)、組織因子経路阻害因子2(TFPI2)、分泌frizzled関連タンパク質5(SFRP5)、オピオイド結合タンパク質/細胞接着分子(OPCML)、O-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(MGMT)、カドヘリン13(CDH13)、スルファターゼ1(SULF1)、ホメオボックスA9(HOXA9)、ホメオボックスA11(HOXAD11)、クローディン4(CLDN4)、T細胞分化タンパク質(MAL)、インプリント部位の調節因子の兄弟(BORIS)、ATP結合カセットスーパーファミリーGメンバー2(ABCG2)、チューブリンベータ3クラスIII(TUBB3)、メチル化制御DNAJ(MCJ)、シヌクレイン-γ(SNGG)、代替リーディングフレーム腫瘍抑制因子(P14ARF)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A若しくはP16INK4A)、サイクリン依存性キナーゼ4阻害因子B(CDKN2B若しくはP15)、死関連タンパク質キナーゼ1(DAPK)、カルシウムチャンネル電圧依存性T型アルファ1Gサブユニット(CACNA1G若しくはMINT31)、網膜芽腫相互作用ジンクフィンガータンパク質1(RIZ1)、及びメチル化誘導サイレンシングの標的1(TMS1)からなる群から選択される1つ以上のマーカーを特性決定することであって、1つ以上のマーカーにおける1つ以上の変異の存在、又は1つ以上のマーカーにおける異常なメチル化の存在が、前記1つ以上のマーカーにおいて変異又は異常なメチル化を有しない対象と比較して、より高い[増加した]がんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと
を含む、前記方法。
【請求項25】
前記第1のスコアによって高いがんリスク、中間のがんリスク又は低いがんリスクを有するとして特定された前記対象に由来する前記生体試料中の乳がん1(BRCA1)、乳がん2(BRCA2)、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)、BRCA1関連Ringドメイン1(BARD1)、BRCA1相互作用タンパク質C末端ヘリカーゼ1(BRIP1)、カドヘリン-1(CDH1)、チェックポイントキナーゼ2(CHEK2)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、MutLホモログ1(MLH1)、MutSホモログ2(MSH2)、MutSホモログ6(MSH6)、ニブリン(NBN)、BRCA2のパートナー及びローカライザー(PALB2)、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)、RAD51パラログD(RAD51D)、セリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、BRCA1 A複合体サブユニットabraxas 1(ABRAXAS1若しくはFAM175A)、RAC-アルファセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ(AKT1若しくはタンパク質キナーゼB)、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)、axis阻害タンパク質2(AXIN2)、骨形成タンパク質受容体1A型(BMPR1A)、がん原遺伝子B-Raf(BRAF)、細胞分裂周期25C(CDC25)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、カテニンベータ-1(CTNNB1)、RNaseモチーフを有するヘリカーゼ(DICER1)、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2(ERBB2)、切除修復交差相補性グループ6(ERCC6)、ファンコニ貧血相補性グループM(FANCM)、ファンコニ貧血相補性グループC(FANCC)、減数分裂組換え11(MRE11)、mutY DNAグリコシラーゼ(MUTYH)、ニューロフィブロミン1(NF1)、エンドヌクレアーゼIII様タンパク質1(NTHL1)、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)、減数分裂後分離増加2(PMS2)、タンパク質ホスファターゼ2調節サブユニットAアルファ(PP2R1A)、タンパク質キナーゼDNA活性化触媒サブユニット(PRKDC)、DNAポリメラーゼデルタ1触媒サブユニット(POLD1)、RAD50ホモログ(RAD50)、RAD51パラログC(RAD51C)、Ringフィンガータンパク質43(RNF43)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体鉄硫黄サブユニットB(SDHB)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体サブユニットD(SDHD)、クロマチンサブファミリーAメンバー4のSWI/SNF関連マトリックスに関連付けられたアクチン依存性調節因子(SMARCA4)、チャイニーズハムスター細胞2におけるX線修復相補性欠損修復(XRCC2)、ウェルナー症候群ATP依存性ヘリカーゼ(WRN若しくはRECQL)、細胞分裂周期73(CDC73)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ12(GALNT12)、グレムリン1(GREM1)、ホメオボックスB13(HOXB13)、MutSホモログ3(MSH3)、DNAポリメラーゼエプシロン触媒サブユニット(POLE)、RAD51レコンビナーゼ(RAD51)、RAD50相互作用因子1(RINT1)、40Sリボソームタンパク質S20(RSP20)、SLX4構造特異的エンドヌクレアーゼサブユニット(SLX4)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、及び二重特異性タンパク質キナーゼTTK(TTK)、Ras関連ドメインファミリー1アイソフォームA(RASSF1A)、Runt関連転写因子3(RUNX3)、組織因子経路阻害因子2(TFPI2)、分泌frizzled関連タンパク質5(SFRP5)、オピオイド結合タンパク質/細胞接着分子(OPCML)、O-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(MGMT)、カドヘリン13(CDH13)、スルファターゼ1(SULF1)、ホメオボックスA9(HOXA9)、ホメオボックスA11(HOXAD11)、クローディン4(CLDN4)、T細胞分化タンパク質(MAL)、インプリント部位の調節因子の兄弟(BORIS)、ATP結合カセットスーパーファミリーGメンバー2(ABCG2)、チューブリンベータ3クラスIII(TUBB3)、メチル化制御DNAJ(MCJ)、シヌクレイン-γ(SNGG)、代替リーディングフレーム腫瘍抑制因子(P14ARF)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A若しくはP16INK4A)、サイクリン依存性キナーゼ4阻害因子B(CDKN2B若しくはP15)、死関連タンパク質キナーゼ1(DAPK)、カルシウムチャンネル電圧依存性T型アルファ1Gサブユニット(CACNA1G若しくはMINT31)、網膜芽腫相互作用ジンクフィンガータンパク質1(RIZ1)、及びメチル化誘導サイレンシングの標的1(TMS1)からなる群から選択される1つ以上のマーカーを特性決定することであって、1つ以上のマーカーにおける1つ以上の変異の存在、又は1つ以上のマーカーにおける異常なメチル化の存在が、前記1つ以上のマーカーにおいて1つ以上の変異又は異常なメチル化を有しない対象と比較して、より高い[増加した]がんリスクを有するとして前記対象を特定する、こと
を更に含む、請求項19~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
1つ以上の生殖細胞マーカー及び/又は体細胞マーカーにおいて1つ以上の変異又は異常なメチル化を有する対象を術前にモニタリングするための方法であって、
(a)前記対象に由来する第1の生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第1のスコアを決定することであって、前記第1のスコアが、高い卵巣がんリスク、中間の卵巣がんリスク、又は低い卵巣がんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと、
(b)1つ以上の時点で、中間の卵巣がんリスク又は低い卵巣がんリスクを有するとして特定された前記対象からの1つ以上の生体試料においてステップ(a)を繰り返し、それによって、前記対象をモニタリングすることと
を含む、前記方法。
【請求項27】
1つ以上の生殖細胞マーカー及び/又は体細胞マーカーにおいて1つ以上の変異又は異常なメチル化を有する対象を術前にモニタリングするための方法であって、
(a)前記対象に由来する第1の生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第1のスコアを決定することであって、前記第1のスコアが、高い卵巣がんリスク、中間の卵巣がんリスク、又は低い卵巣がんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと、
(b)前記第1のスコアによって低いがんリスク又は中間のがんリスクを有するとして特定された前記対象に由来する前記生体試料中のCA125、β2M、Tfr、TT、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、前記第1の時点で第2のスコアを決定することであって、前記第2のスコアが、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと、
(c)1つ以上の時点で、ステップ(b)において低い卵巣がんリスクを有するとして特定された前記対象からの1つ以上の生体試料においてステップ(a)及び(b)を繰り返し、それによって、前記対象をモニタリングすることと
を含む、前記方法。
【請求項28】
1つ以上の生殖細胞マーカー及び/又は体細胞マーカーにおいて1つ以上の変異又は異常なメチル化を有する対象を術前にモニタリングするための方法であって、
(a)前記対象に由来する第1の生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第1のスコアを決定することであって、前記第1のスコアが、高い卵巣がんリスク、中間の卵巣がんリスク、又は低い卵巣がんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと、
(b)前記第1のスコアによって低いがんリスク又は中間のがんリスクを有するとして特定された前記対象に由来する前記生体試料中のFSH、CA125、HE4、Tfr、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、前記第1の時点で第2のスコアを決定することであって、前記第2のスコアが、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと、
(c)1つ以上の時点で、ステップ(b)において低い卵巣がんリスクを有するとして特定された前記対象からの1つ以上の生体試料においてステップ(a)及び(b)を繰り返し、それによって、前記対象をモニタリングすることと
を含む、前記方法。
【請求項29】
低い卵巣がんリスク又は中間の卵巣がんリスクを有するとして特定された1つ以上の生殖細胞マーカー及び/又は体細胞マーカーにおいて1つ以上の変異又は異常なメチル化を有する対象を術前にモニタリングするための方法であって、
(a)前記対象に由来する第1の生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第1のスコアを決定することであって、前記第1のスコアが、高い卵巣がんリスク、中間の卵巣がんリスク、又は低い卵巣がんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと、
(b)前記第1のスコアによって低いがんリスク、中間のがんリスクを有するとして特定された前記対象に由来する前記生体試料中のCA125、β2M、Tfr、TT、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、前記第1の時点で第2のスコアを決定することであって、前記第2のスコアが、低いがんリスク、中間のがんリスク、又は高いがんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと、
(c)前記第2のスコアによって中間のがんリスク又は高いがんリスクを有するとして特定された前記対象に由来する前記生体試料中のFSH、CA125、HE4、Tfr、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、前記第1の時点で第3のスコアを決定することであって、前記第3のスコアが、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと、
(d)1つ以上の時点で、ステップ(b)において低いリスク若しくは中間のリスクを有するとして又はステップ(c)において低い卵巣がんリスクを有するとして特定された前記対象からの1つ以上の生体試料においてステップ(a)~(c)を繰り返し、それによって、前記対象をモニタリングすることと
を含む、前記方法。
【請求項30】
前記1つ以上の生殖細胞マーカー及び/又は体細胞マーカーが、乳がん1(BRCA1)、乳がん2(BRCA2)、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)、BRCA1関連Ringドメイン1(BARD1)、BRCA1相互作用タンパク質C末端ヘリカーゼ1(BRIP1)、カドヘリン-1(CDH1)、チェックポイントキナーゼ2(CHEK2)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、MutLホモログ1(MLH1)、MutSホモログ2(MSH2)、MutSホモログ6(MSH6)、ニブリン(NBN)、BRCA2のパートナー及びローカライザー(PALB2)、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)、RAD51パラログD(RAD51D)、セリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、BRCA1 A複合体サブユニットabraxas 1(ABRAXAS1若しくはFAM175A)、RAC-アルファセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ(AKT1若しくはタンパク質キナーゼB)、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)、axis阻害タンパク質2(AXIN2)、骨形成タンパク質受容体1A型(BMPR1A)、がん原遺伝子B-Raf(BRAF)、細胞分裂周期25C(CDC25)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、カテニンベータ-1(CTNNB1)、RNaseモチーフを有するヘリカーゼ(DICER1)、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2(ERBB2)、切除修復交差相補性グループ6(ERCC6)、ファンコニ貧血相補性グループM(FANCM)、ファンコニ貧血相補性グループC(FANCC)、減数分裂組換え11(MRE11)、mutY DNAグリコシラーゼ(MUTYH)、ニューロフィブロミン1(NF1)、エンドヌクレアーゼIII様タンパク質1(NTHL1)、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)、減数分裂後分離増加2(PMS2)、タンパク質ホスファターゼ2調節サブユニットAアルファ(PP2R1A)、タンパク質キナーゼDNA活性化触媒サブユニット(PRKDC)、DNAポリメラーゼデルタ1触媒サブユニット(POLD1)、RAD50ホモログ(RAD50)、RAD51パラログC(RAD51C)、Ringフィンガータンパク質43(RNF43)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体鉄硫黄サブユニットB(SDHB)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体サブユニットD(SDHD)、クロマチンサブファミリーAメンバー4のSWI/SNF関連マトリックスに関連付けられたアクチン依存性調節因子(SMARCA4)、チャイニーズハムスター細胞2におけるX線修復相補性欠損修復(XRCC2)、ウェルナー症候群ATP依存性ヘリカーゼ(WRN若しくはRECQL)、細胞分裂周期73(CDC73)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ12(GALNT12)、グレムリン1(GREM1)、ホメオボックスB13(HOXB13)、MutSホモログ3(MSH3)、DNAポリメラーゼエプシロン触媒サブユニット(POLE)、RAD51レコンビナーゼ(RAD51)、RAD50相互作用因子1(RINT1)、40Sリボソームタンパク質S20(RSP20)、SLX4構造特異的エンドヌクレアーゼサブユニット(SLX4)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、及び二重特異性タンパク質キナーゼTTK(TTK)、Ras関連ドメインファミリー1アイソフォームA(RASSF1A)、Runt関連転写因子3(RUNX3)、組織因子経路阻害因子2(TFPI2)、分泌frizzled関連タンパク質5(SFRP5)、オピオイド結合タンパク質/細胞接着分子(OPCML)、O-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(MGMT)、カドヘリン13(CDH13)、スルファターゼ1(SULF1)、ホメオボックスA9(HOXA9)、ホメオボックスA11(HOXAD11)、クローディン4(CLDN4)、T細胞分化タンパク質(MAL)、インプリント部位の調節因子の兄弟(BORIS)、ATP結合カセットスーパーファミリーGメンバー2(ABCG2)、チューブリンベータ3クラスIII(TUBB3)、メチル化制御DNAJ(MCJ)、シヌクレイン-γ(SNGG)、代替リーディングフレーム腫瘍抑制因子(P14ARF)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A若しくはP16INK4A)、サイクリン依存性キナーゼ4阻害因子B(CDKN2B若しくはP15)、死関連タンパク質キナーゼ1(DAPK)、カルシウムチャンネル電圧依存性T型アルファ1Gサブユニット(CACNA1G若しくはMINT31)、網膜芽腫相互作用ジンクフィンガータンパク質1(RIZ1)、及びメチル化誘導サイレンシングの標的1(TMS1)からなる群から選択される、請求項26~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
付属器腫瘤を有する対象を術前にモニタリングするための方法であって、
(a)前記対象に由来する生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第1のスコアを決定することであって、前記第1のスコアが、高い卵巣がんリスク、中間の卵巣がんリスク、又は低い卵巣がんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと、
(b)前記第1のスコアによって中間のがんリスクを有するとして特定された前記対象に由来する前記生体試料中のCA125、β2M、トランスフェリン、トランスサイレチン、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、前記第1の時点で第2のスコアを決定することであって、前記第2のスコアが、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと、
(c)1つ以上の時点で、ステップ(b)において低いリスクの卵巣がんリスクを有するとして特定された前記対象からの1つ以上の生体試料においてステップ(a)及び(b)を繰り返し、それによって、前記対象をモニタリングすることと
を含む、前記方法。
【請求項32】
付属器腫瘤を有する対象を術前にモニタリングするための方法であって、
(a)前記対象に由来する生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第1のスコアを決定することであって、前記第1のスコアが、高い卵巣がんリスク、中間の卵巣がんリスク、又は低い卵巣がんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと、
(b)前記第1のスコアによって中間のがんリスクを有するとして特定された前記対象に由来する前記生体試料中のFSH、CA125、HE4、Tfr、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、前記第1の時点で第2のスコアを決定することであって、前記第2のスコアが、低い卵巣がんリスク又は高い卵巣がんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと、
(c)1つ以上の時点で、ステップ(b)において低いリスクの卵巣がんリスクを有するとして特定された前記対象からの1つ以上の生体試料においてステップ(a)及び(b)を繰り返し、それによって、前記対象をモニタリングすることと
を含む、前記方法。
【請求項33】
付属器腫瘤を有する対象をモニタリングするための方法であって、
(a)前記対象に由来する第1の生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第1のスコアを決定することであって、前記第1のスコアが、卵巣がんの高いリスク、中間のリスク、又は低いリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと、
(b)前記第1のスコアによって低いがんリスク又は中間のがんリスクを有するとして特定された前記対象に由来する前記生体試料中のCA125、β2M、Tfr、TT、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、前記第1の時点で第2のスコアを決定することであって、前記第2のスコアが、低い卵巣がんリスク、中間の卵巣がんリスク、又は高い卵巣がんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと、
(c)前記第1のスコアによって中間のがんリスク又は高いがんリスクを有するとして特定された前記対象に由来する前記生体試料中のFSH、CA125、HE4、Tfr、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、前記第1の時点で第3のスコアを決定することであって、前記第3のスコアが、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして前記対象を特定する、ことと、
(d)1つ以上の時点で、ステップ(b)において低いリスク若しくは中間のリスクを有するとして又はステップ(c)において低いリスクの卵巣がんリスクを有するとして特定された前記対象からの1つ以上の生体試料においてステップ(a)~(c)を繰り返し、それによって、前記対象をモニタリングすることと
を含む、前記方法。
【請求項34】
前記1つ以上の生殖細胞マーカーが、BRCA1及び/又はBRCA2である、請求項24~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
BRCA1における前記1つ以上の変異が、c.68_69del及び/若しくはc.5266dupを含み、並びに/又はBRCA2における前記1つ以上の変異が、c.5946delを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記1つ以上のマーカーが、無細胞腫瘍DNA(cftDNA)を検出することによって特性決定される、請求項19~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記第1のスコアが、0~20の範囲であり、5以下の第1のスコアが、低いがんリスクを有するとして前記対象を特定し、閉経前の対象における5より大きく10未満の第1のスコア、又は閉経後の対象における5より大きく14未満の第1のスコアが、中間のがんリスクを有するとして前記対象を特定し、かつ閉経前の対象における10以上の第1のスコア又は閉経後の対象における14以上の第1のスコアが、高いがんリスクを有するとして前記対象を特定する、請求項21~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記第2のスコアが、0~20の範囲であり、5未満の第2のスコアが、低いがんリスクを有するとして前記対象を特定し、また5以上の第1のスコアが、高いがんリスクを有するとして前記対象を特定する、請求項21~22、25、27~28、30~32、又は34~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記第2のスコアが、0~20の範囲であり、閉経前の対象における5以下の第2のスコア、又は閉経後の対象における4.4未満の第2のスコアが、低いがんリスクを有するとして前記対象を特定し、閉経前の対象における5より大きくかつ7未満の第2のスコア、又は閉経後の対象における4.4より大きくかつ6未満の第2のスコアが、中間のがんリスクを有するとして前記対象を特定し、閉経前の対象における7以上の第2のスコア、又は閉経後の対象における6以上の第2のスコアが、高いがんリスクを有するとして前記対象を特定し、
前記第3のスコアが、0~20の範囲であり、5以下の第3のスコアが、低いがんリスクを有するとして前記対象を特定し、5より大きい第3のスコアが、高いがんリスクを有するとして前記対象を特定する、請求項23、29、30、又は33~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記マーカーの各々が、別個の捕捉試薬に結合される、請求項19~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記捕捉試薬が、固体支持体に取り付けられている、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記固体支持体が、プレート、チップ、ビーズ、マイクロ流体プラットフォーム、膜、平面マイクロアレイ、又は懸濁アレイである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記捕捉試薬が、抗体、アプタマー、アフィボディ、ハイブリダイゼーションプローブ、及び/又はそれらの断片である、請求項40~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
各捕捉試薬が、前記マーカーのうちの1つに特異的に結合する、請求項40~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記マーカーが、イムノアッセイ、シーケンシング、及び/又は核酸マイクロアレイによって特性決定される、請求項19~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記シーケンシングが、次世代シーケンシング(NGS)又はSangerシーケンシングである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記イムノアッセイが、アフィニティーキャプチャーアッセイ、免疫測定アッセイ、不均一化学発光免疫測定アッセイ、均一化学発光免疫測定アッセイ、ELISA、ウェスタンブロッティング、ラジオイムノアッセイ、磁気イムノアッセイ、リアルタイム免疫定量PCR(iqPCR)、及びSERSラベルフリーアッセイを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記方法が、前記対象における卵巣がんリスクの1つ以上の臨床バイオマーカーを更に特性決定し、前記1つ以上の臨床バイオマーカーが、年齢、閉経前ステータス、閉経後ステータス、民族、病理、付属器腫瘤診断、家族歴、身体検査、画像化結果、及び/又は喫煙歴からなる群から選択され、前記1つ以上の臨床バイオマーカーが、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして前記対象を更に特定する、請求項19~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
対象が卵巣がんを有するリスクを分類するための方法であって、
少なくとも1つのプロセッサによって、マーカーであるトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、HE4、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)、並びに、乳がん1(BRCA1)、乳がん2(BRCA2)、ATM、BARD1、BRIP1、CDH1、CHEK2、EPCAM、MLH1、MSH2、MSH6、NBN、PALB2、PTEN、RAD51D、STK11、TP53、KRAS、ABRAXAS1、AKT1、APC、AXIN2、BMPR1A、BRAF、CDC25、CDKN2A、CDK4、CTNNB1、DICER1、ERBB2、ERCC6、FANCM、FANCC、MRE11、MUTYH、NF1、NTHL1、PIK3CA、PMS2、PP2R1A、PRKDC、POLD1、RAD50、RAD51C、RNF43、SDHB、SDHD、SMARCA4、XRCC2、WRN、CDC73、GALNT12、GREM1、HOXB13、MSH3、POLE、RAD51、RINT1、RSP20、SLX4、SMAD4、TTK、RASSF1A、RUNX3、TFPI2、SFRP5、OPCML、MGMT、CDH13、SULF1、HOXA9、HOXAD11、CLDN4、MAL、BORIS、ABCG2、TUBB3、MCJ、SNGG、P14ARF、P16INK4A、DAPK、P15、MINT31、RIZ1、及びTMS1からなる群から選択される1つ以上のマーカーを含む又はこれらからなるパネルの各マーカーについて検出されたマーカースペクトルピークを表す第1のパネルシグナルを受信することと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、第1のステージのがんリスク分類子を利用して、卵巣がんを発症する予測リスクを表すがんリスク分類スコアを予測することであって、前記がんリスク分類スコアが、学習されたリスク分類パラメータ及び前記第1のパネルシグナルに基づく、ことと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記がんリスク分類スコアと関連付けられたがんリスクレベルを決定することであって、前記がんリスクレベルが、少なくとも、低いリスク、中間のリスク及び高いリスクを含む選択物(selection)のうちの1つから選択される、ことと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、医療提供者と関連付けられたコンピューティングデバイスで、前記対象の前記がんリスクレベルを示すがんリスクレベル予測を生成することと
を含む、前記方法。
【請求項50】
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記がんリスクレベルを中間のリスクとして決定することと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、第2のステージのがんリスク分類子を利用して、第2のステージの学習されたリスク分類パラメータ、及び、前記第1のパネルシグナルのサブセットを含む第2のパネルシグナルに基づいて、増強されたがんリスク分類スコアを予測することと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記増強されたがんリスク分類スコアと関連付けられた増強されたがんリスクレベルを決定することであって、前記増強されたがんリスクレベルが、少なくとも、低いリスク及び高いリスクを含む前記選択物のうちの1つから選択される、ことと
を更に含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第2のパネルシグナルが、CA125、β2M、トランスフェリン、トランスサイレチン及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーのマーカースペクトルピークを表す、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記第2のパネルシグナルが、FSH、CA125、HE4、トランスフェリン、ApoA1を含む又はこれらからなるマーカーのマーカースペクトルピークを表す、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記がんリスクレベルを中間のリスクとして決定することと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、第2のステージのがんリスク分類子を利用して、第2のステージの学習されたリスク分類パラメータ、及び、前記第1のパネルシグナルの異なるサブセットを含む第2のパネルシグナルに基づいて、増強されたがんリスク分類スコアを予測することと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、第3のステージのがんリスク分類子を利用して、第2のステージの学習されたリスク分類パラメータ、及び、前記第1のパネルシグナルの異なるサブセットを含む第3のパネルシグナルに基づいて、増強されたがんリスク分類スコアを予測することと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記増強されたがんリスク分類スコアと関連付けられた増強されたがんリスクレベルを決定することであって、前記増強されたがんリスクレベルが、少なくとも、低いリスク及び高いリスクを含む前記選択物のうちの1つから選択される、ことと
を更に含む、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
前記第2のパネルシグナルが、CA125、β2M、トランスフェリン、トランスサイレチン及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーのマーカースペクトルピークを表し、前記第3のパネルシグナルが、FSH、CA125、HE4、トランスフェリン、ApoA1を含む又はこれらからなるマーカーのマーカースペクトルピークを表す、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記がんリスク分類スコアが0.0~5.0である前記がんリスクレベルの前記低いリスクを決定することと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記がんリスク分類スコアが5.1~9.9である前記がんリスクレベルの前記中間のリスクを決定することと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記がんリスク分類スコアが10.0~20.0である前記がんリスクレベルの前記高いリスクを決定することと
を更に含む、請求項49~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記第1のステージのがんリスク分類子が、
前記学習されたリスク分類パラメータのうちの学習された閉経前リスク分類パラメータを有する、閉経前の第1のステージのがんリスク予測モデルと、
前記学習されたリスク分類パラメータのうちの学習された閉経後リスク分類パラメータを有する、閉経後の第1のステージのがんリスク予測モデルと
を含む、請求項49~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記がんリスク分類スコアが0.0~5.0である前記がんリスクレベルの前記低いリスクを決定することと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、閉経後の対象についての前記がんリスク分類スコアが5.1~13.9である前記がんリスクレベルの前記中間のリスクを決定することと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、閉経後の対象についての前記がんリスク分類スコアが14.0~20.0である前記がんリスクレベルの前記低いリスクを決定することと
を更に含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記がんリスク分類スコアが0.0~5.0である前記がんリスクレベルの前記低いリスクを決定することと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、閉経前の対象についての前記がんリスク分類スコアが5.1~9.9である前記がんリスクレベルの前記中間のリスクを決定することと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、閉経前の対象についての前記がんリスク分類スコアが10.0~20.0である前記がんリスクレベルの前記高いリスクを決定することと
を更に含む、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記がんリスクレベルが前記高いリスクである場合に外科的介入を推奨する推奨を前記コンピューティングデバイスのディスプレイ上に生成することを更に含む、請求項49~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記がんリスクレベルが前記低いリスクである場合に外科的介入を行わないことを推奨する推奨を前記コンピューティングデバイスのディスプレイ上に生成することを更に含む、請求項49~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記コンピューティングデバイスからの前記がんリスクレベル予測に対する修正を受信することと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記修正と前記がんリスクレベルとの間の差に基づいて、前記学習されたリスク分類パラメータを再トレーニングすることと
を更に含む、請求項49~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記第1のパネルシグナルが、前記少なくとも1つのプロセッサと通信する質量分析計若しくはバイオチップ、又は両方から受信される、請求項49~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記第1のステージのがんリスク分類子が、分類ツリー又は人工ニューラルネットワークを含む、請求項49~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記第1のステージのがんリスク分類子が、教師あり分類モデルを含む、請求項49~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記第1のステージのがんリスク分類子が、教師なし分類モデルを含む、請求項49~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記対象が、無症候性の付属器腫瘤を有すると診断される、請求項19~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記対象が、症候性の付属器腫瘤を有すると診断される、請求項19~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記対象が、閉経前である、請求項19~56又は58~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記対象が、閉経後である、請求項19~57又は59~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記生体試料が、血清である、請求項20~48又は67~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記少なくとも1つのプロセッサに請求項49~70のいずれか一項に記載の方法を実施させる命令を実行するように構成された前記少なくとも1つのプロセッサを備える、システム。
【請求項72】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記命令が格納されたメモリと通信する、請求項71に記載のシステム。
【請求項73】
前記少なくとも1つのプロセッサが、がんリスクレベルが高いリスクである場合に外科的介入を推奨する推奨を前記コンピューティングデバイスのディスプレイ上に生成するためのステップを実施するための命令を実行するように更に構成されている、請求項71又は72に記載のシステム。
【請求項74】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記がんリスクレベルが低いリスクである場合に外科的介入を行わないことを推奨する推奨を前記コンピューティングデバイスのディスプレイ上に生成するためのステップを実施するための命令を実行するように更に構成されている、請求項71~73のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項75】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記コンピューティングデバイスからの前記がんリスクレベル予測に対する修正を受信するステップと、
前記修正と前記がんリスクレベルとの間の差に基づいて、学習されたリスク分類パラメータを再トレーニングするステップと
を実施するための命令を実行するように更に構成されている、請求項71~74のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項76】
前記少なくとも1つのプロセッサと通信する質量分析計を更に備える、請求項71~75のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項77】
ソフトウェアを格納する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記ソフトウェアが、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項49~70のいずれか一項に記載の方法を実施させるように構成されたプログラム命令を含む、前記非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項78】
前記方法が、がんリスクレベルが高いリスクである場合に外科的介入を推奨する推奨を前記コンピューティングデバイスのディスプレイ上に生成するステップを更に含む、請求項77に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項79】
前記方法が、前記がんリスクレベルが低いリスクである場合に外科的介入を行わないことを推奨する推奨を前記コンピューティングデバイスのディスプレイ上に生成するステップを更に含む、請求項77又は78に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項80】
前記方法が、
前記コンピューティングデバイスからの前記がんリスクレベル予測に対する修正を受信するステップと、
前記修正と前記がんリスクレベルとの間の差に基づいて、学習されたリスク分類パラメータを再トレーニングするステップと
を含む、請求項77~79のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項81】
前記第1のステージのがんリスク分類子が、分類ツリー又は人工ニューラルネットワークを含む、請求項77~80のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項82】
前記第1のステージのがんリスク分類子が、教師あり分類モデルを含む、請求項77~81のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項83】
前記第1のステージのがんリスク分類子が、教師なし分類モデルを含む、請求項77~81のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項84】
(a)請求項1~18のいずれか一項に記載のマーカーのパネルと、
(b)対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するための前記パネルの使用説明書と
を備える、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年3月20日に出願された米国仮特許出願第62/992,358号に対する優先権及びその利益を主張する国際PCT出願であり、その全容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
卵巣がんは、先進国で最も致死的な婦人科悪性腫瘍の1つである。米国だけで、毎年約23,000人の女性が、この疾患を有すると診断され、約14,000人の女性が、この疾病で死亡している。がん療法が進歩しているにもかかわらず、卵巣がんの死亡率は、過去20年間にわたって、依然としてほとんど変化していない。疾患が診断されるステージに対する急激な生存勾配を考慮すると、卵巣がん患者の長期生存率を改善する上での最も重要な因子は、依然として初期検出である。2番目の重要な因子は、卵巣がんを有する女性が、婦人科腫瘍学を専門とする医師によって治療されるかどうかである。
【0003】
米国国立衛生研究所(NIH)によって発表されたコンセンサスステートメントにおいて、婦人科腫瘍専門医によって治療されるべき女性を特定することの重要性が強調されている。1994年に、NIHは、卵巣がんの重大なリスクを有すると術前に特定された女性が、婦人科腫瘍専門医によって手術が行われるという選択肢を有するべきであったことを示した。卵巣がんを有する女性が見落とされないことを確実にするために、現在の診断方法は、特異性を犠牲にして、感度を最適化する。現在の診断方法は、許容できないほど高い偽陽性率を有する。人間にとっては、このことは、女性の50%が、実際には良性腫瘤を有する場合に、卵巣がんを有すると信じて手術を受けるということを意味する。高度な感度を有するだけではなく、高度な特異性も提供し、これを使用して、対象の治療をより効率的に管理し、かつ適切な患者が迅速かつ適切に専門医に紹介されることを確実にすることができる、改善された診断方法に対する緊急の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、様々な卵巣がん型(例えば、低い悪性度、中間の悪性度、高い悪性度)を有する様々な対象(例えば、閉経前及び閉経後の女性)における卵巣腫瘍(例えば、症候性及び無症候性の付属器腫瘤)の術前評価のための改善された特異性及び感度を有する組成物及び方法を提供する。
【0005】
一態様において、本発明は、対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、マーカーであるトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)、並びに、乳がん1(BRCA1)、乳がん2(BRCA2)、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)、BRCA1関連Ringドメイン1(BARD1)、BRCA1相互作用タンパク質C末端ヘリカーゼ1(BRIP1)、カドヘリン-1(CDH1)、チェックポイントキナーゼ2(CHEK2)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、MutLホモログ1(MLH1)、MutSホモログ2(MSH2)、MutSホモログ6(MSH6)、ニブリン(NBN)、BRCA2のパートナー及びローカライザー(PALB2)、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)、RAD51パラログD(RAD51D)、セリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、BRCA1 A複合体サブユニットabraxas 1(ABRAXAS1若しくはFAM175A)、RAC-アルファセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ(AKT1若しくはタンパク質キナーゼB)、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)、axis阻害タンパク質2(AXIN2)、骨形成タンパク質受容体1A型(BMPR1A)、がん原遺伝子B-Raf(BRAF)、細胞分裂周期25C(CDC25)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、カテニンベータ-1(CTNNB1)、RNaseモチーフを有するヘリカーゼ(DICER1)、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2(ERBB2)、切除修復交差相補性グループ6(ERCC6)、ファンコニ貧血相補性グループM(FANCM)、ファンコニ貧血相補性グループC(FANCC)、減数分裂組換え11(MRE11)、mutY DNAグリコシラーゼ(MUTYH)、ニューロフィブロミン1(NF1)、エンドヌクレアーゼIII様タンパク質1(NTHL1)、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)、減数分裂後分離増加2(PMS2)、タンパク質ホスファターゼ2調節サブユニットAアルファ(PP2R1A)、タンパク質キナーゼDNA活性化触媒サブユニット(PRKDC)、DNAポリメラーゼデルタ1触媒サブユニット(POLD1)、RAD50ホモログ(RAD50)、RAD51パラログC(RAD51C)、Ringフィンガータンパク質43(RNF43)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体鉄硫黄サブユニットB(SDHB)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体サブユニットD(SDHD)、クロマチンサブファミリーAメンバー4のSWI/SNF関連マトリックスに関連付けられたアクチン依存性調節因子(SMARCA4)、チャイニーズハムスター細胞2におけるX線修復相補性欠損修復(XRCC2)、ウェルナー症候群ATP依存性ヘリカーゼ(WRN若しくはRECQL)、細胞分裂周期73(CDC73)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ12(GALNT12)、グレムリン1(GREM1)、ホメオボックスB13(HOXB13)、MutSホモログ3(MSH3)、DNAポリメラーゼエプシロン触媒サブユニット(POLE)、RAD51レコンビナーゼ(RAD51)、RAD50相互作用因子1(RINT1)、40Sリボソームタンパク質S20(RSP20)、SLX4構造特異的エンドヌクレアーゼサブユニット(SLX4)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、二重特異性タンパク質キナーゼTTK(TTK)、Ras関連ドメインファミリー1アイソフォームA(RASSF1A)、Runt関連転写因子3(RUNX3)、組織因子経路阻害因子2(TFPI2)、分泌frizzled関連タンパク質5(SFRP5)、オピオイド結合タンパク質/細胞接着分子(OPCML)、O-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(MGMT)、カドヘリン13(CDH13)、スルファターゼ1(SULF1)、ホメオボックスA9(HOXA9)、ホメオボックスA11(HOXAD11)、クローディン4(CLDN4)、T細胞分化タンパク質(MAL)、インプリント部位の調節因子の兄弟(Brother of Regulator of Imprinted Sites:BORIS)、ATP結合カセットスーパーファミリーGメンバー2(ABCG2)、チューブリンベータ3クラスIII(TUBB3)、メチル化制御DNAJ(MCJ)、シヌクレイン(synucelin)-γ(SNGG)、代替リーディングフレーム腫瘍抑制因子(P14ARF)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A若しくはP16INK4A)、サイクリン依存性キナーゼ4阻害因子B(CDKN2B若しくはP15)、死関連タンパク質キナーゼ1(DAPK)、カルシウムチャンネル電圧依存性T型アルファ1Gサブユニット(CACNA1G若しくはMINT31)、網膜芽腫相互作用ジンクフィンガータンパク質1(RIZ1)、及びメチル化誘導サイレンシングの標的1(TMS1)からなる群から選択される1つ以上のマーカーを含みかつ又はこれらからなる、パネルを提供する。
【0006】
一態様において、本発明は、対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、マーカーであるトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、並びに、乳がん1(BRCA1)、乳がん2(BRCA2)、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)、BRCA1関連Ringドメイン1(BARD1)、BRCA1相互作用タンパク質C末端ヘリカーゼ1(BRIP1)、カドヘリン-1(CDH1)、チェックポイントキナーゼ2(CHEK2)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、MutLホモログ1(MLH1)、MutSホモログ2(MSH2)、MutSホモログ6(MSH6)、ニブリン(NBN)、BRCA2のパートナー及びローカライザー(PALB2)、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)、RAD51パラログD(RAD51D)、セリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、BRCA1 A複合体サブユニットabraxas 1(ABRAXAS1若しくはFAM175A)、RAC-アルファセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ(AKT1若しくはタンパク質キナーゼB)、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)、axis阻害タンパク質2(AXIN2)、骨形成タンパク質受容体1A型(BMPR1A)、がん原遺伝子B-Raf(BRAF)、細胞分裂周期25C(CDC25)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、カテニンベータ-1(CTNNB1)、RNaseモチーフを有するヘリカーゼ(DICER1)、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2(ERBB2)、切除修復交差相補性グループ6(ERCC6)、ファンコニ貧血相補性グループM(FANCM)、ファンコニ貧血相補性グループC(FANCC)、減数分裂組換え11(MRE11)、mutY DNAグリコシラーゼ(MUTYH)、ニューロフィブロミン1(NF1)、エンドヌクレアーゼIII様タンパク質1(NTHL1)、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)、減数分裂後分離増加2(PMS2)、タンパク質ホスファターゼ2調節サブユニットAアルファ(PP2R1A)、タンパク質キナーゼDNA活性化触媒サブユニット(PRKDC)、DNAポリメラーゼデルタ1触媒サブユニット(POLD1)、RAD50ホモログ(RAD50)、RAD51パラログC(RAD51C)、Ringフィンガータンパク質43(RNF43)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体鉄硫黄サブユニットB(SDHB)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体サブユニットD(SDHD)、クロマチンサブファミリーAメンバー4のSWI/SNF関連マトリックスに関連付けられたアクチン依存性調節因子(SMARCA4)、チャイニーズハムスター細胞2におけるX線修復相補性欠損修復(XRCC2)、ウェルナー症候群ATP依存性ヘリカーゼ(WRN若しくはRECQL)、細胞分裂周期73(CDC73)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ12(GALNT12)、グレムリン1(GREM1)、ホメオボックスB13(HOXB13)、MutSホモログ3(MSH3)、DNAポリメラーゼエプシロン触媒サブユニット(POLE)、RAD51レコンビナーゼ(RAD51)、RAD50相互作用因子1(RINT1)、40Sリボソームタンパク質S20(RSP20)、SLX4構造特異的エンドヌクレアーゼサブユニット(SLX4)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、二重特異性タンパク質キナーゼTTK(TTK)、Ras関連ドメインファミリー1アイソフォームA(RASSF1A)、Runt関連転写因子3(RUNX3)、組織因子経路阻害因子2(TFPI2)、分泌frizzled関連タンパク質5(SFRP5)、オピオイド結合タンパク質/細胞接着分子(OPCML)、O-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(MGMT)、カドヘリン13(CDH13)、スルファターゼ1(SULF1)、ホメオボックスA9(HOXA9)、ホメオボックスA11(HOXAD11)、クローディン4(CLDN4)、T細胞分化タンパク質(MAL)、インプリント部位の調節因子の兄弟(BORIS)、ATP結合カセットスーパーファミリーGメンバー2(ABCG2)、チューブリンベータ3クラスIII(TUBB3)、メチル化制御DNAJ(MCJ)、シヌクレイン-γ(SNGG)、代替リーディングフレーム腫瘍抑制因子(P14ARF)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A若しくはP16INK4A)、サイクリン依存性キナーゼ4阻害因子B(CDKN2B若しくはP15)、死関連タンパク質キナーゼ1(DAPK)、カルシウムチャンネル電圧依存性T型アルファ1Gサブユニット(CACNA1G若しくはMINT31)、網膜芽腫相互作用ジンクフィンガータンパク質1(RIZ1)、及びメチル化誘導サイレンシングの標的1(TMS1)からなる群から選択される1つ以上のマーカーを含む又はこれらからなる、パネルを提供する。
【0007】
一態様において、本発明は、対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、マーカーであるアポリポタンパク質A1(ApoA1)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、並びに、乳がん1(BRCA1)、乳がん2(BRCA2)、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)、BRCA1関連Ringドメイン1(BARD1)、BRCA1相互作用タンパク質C末端ヘリカーゼ1(BRIP1)、カドヘリン-1(CDH1)、チェックポイントキナーゼ2(CHEK2)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、MutLホモログ1(MLH1)、MutSホモログ2(MSH2)、MutSホモログ6(MSH6)、ニブリン(NBN)、BRCA2のパートナー及びローカライザー(PALB2)、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)、RAD51パラログD(RAD51D)、セリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、BRCA1 A複合体サブユニットabraxas 1(ABRAXAS1若しくはFAM175A)、RAC-アルファセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ(AKT1若しくはタンパク質キナーゼB)、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)、axis阻害タンパク質2(AXIN2)、骨形成タンパク質受容体1A型(BMPR1A)、がん原遺伝子B-Raf(BRAF)、細胞分裂周期25C(CDC25)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、カテニンベータ-1(CTNNB1)、RNaseモチーフを有するヘリカーゼ(DICER1)、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2(ERBB2)、切除修復交差相補性グループ6(ERCC6)、ファンコニ貧血相補性グループM(FANCM)、ファンコニ貧血相補性グループC(FANCC)、減数分裂組換え11(MRE11)、mutY DNAグリコシラーゼ(MUTYH)、ニューロフィブロミン1(NF1)、エンドヌクレアーゼIII様タンパク質1(NTHL1)、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)、減数分裂後分離増加2(PMS2)、タンパク質ホスファターゼ2調節サブユニットAアルファ(PP2R1A)、タンパク質キナーゼDNA活性化触媒サブユニット(PRKDC)、DNAポリメラーゼデルタ1触媒サブユニット(POLD1)、RAD50ホモログ(RAD50)、RAD51パラログC(RAD51C)、Ringフィンガータンパク質43(RNF43)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体鉄硫黄サブユニットB(SDHB)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体サブユニットD(SDHD)、クロマチンサブファミリーAメンバー4のSWI/SNF関連マトリックスに関連付けられたアクチン依存性調節因子(SMARCA4)、チャイニーズハムスター細胞2におけるX線修復相補性欠損修復(XRCC2)、ウェルナー症候群ATP依存性ヘリカーゼ(WRN若しくはRECQL)、細胞分裂周期73(CDC73)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ12(GALNT12)、グレムリン1(GREM1)、ホメオボックスB13(HOXB13)、MutSホモログ3(MSH3)、DNAポリメラーゼエプシロン触媒サブユニット(POLE)、RAD51レコンビナーゼ(RAD51)、RAD50相互作用因子1(RINT1)、40Sリボソームタンパク質S20(RSP20)、SLX4構造特異的エンドヌクレアーゼサブユニット(SLX4)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、二重特異性タンパク質キナーゼTTK(TTK)、Ras関連ドメインファミリー1アイソフォームA(RASSF1A)、Runt関連転写因子3(RUNX3)、組織因子経路阻害因子2(TFPI2)、分泌frizzled関連タンパク質5(SFRP5)、オピオイド結合タンパク質/細胞接着分子(OPCML)、O-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(MGMT)、カドヘリン13(CDH13)、スルファターゼ1(SULF1)、ホメオボックスA9(HOXA9)、ホメオボックスA11(HOXAD11)、クローディン4(CLDN4)、T細胞分化タンパク質(MAL)、インプリント部位の調節因子の兄弟(Brother of Regulator of Imprinted Sites:BORIS)、ATP結合カセットスーパーファミリーGメンバー2(ABCG2)、チューブリンベータ3クラスIII(TUBB3)、メチル化制御DNAJ(MCJ)、シヌクレイン-γ(SNGG)、代替リーディングフレーム腫瘍抑制因子(P14ARF)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A若しくはP16INK4A)、サイクリン依存性キナーゼ4阻害因子B(CDKN2B若しくはP15)、死関連タンパク質キナーゼ1(DAPK)、カルシウムチャンネル電圧依存性T型アルファ1Gサブユニット(CACNA1G若しくはMINT31)、網膜芽腫相互作用ジンクフィンガータンパク質1(RIZ1)、及びメチル化誘導サイレンシングの標的1(TMS1)からなる群から選択される1つ以上のマーカーを含む又はこれらからなる、パネルを提供する。
【0008】
一態様において、本発明は、対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、マーカーであるトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、及び乳がん1(BRCA1)を含む又はこれらからなる、パネルを提供する。
【0009】
一態様において、本発明は、対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、マーカーであるトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、及び乳がん2(BRCA2)を含む又はこれらからなる、パネルを提供する。
【0010】
一態様において、本発明は、対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、マーカーであるトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、乳がん1(BRCA1)及び乳がん2(BRCA2)を含む又はこれらからなる、パネルを提供する。
【0011】
一態様において、本発明は、対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、マーカーであるアポリポタンパク質A1(ApoA1)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、HE4、卵胞刺激ホルモン(FSH)、及び乳がん1(BRCA1)を含む又はこれらからなる、パネルを提供する。
【0012】
一態様において、本発明は、対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、マーカーであるアポリポタンパク質A1(ApoA1)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、HE4、卵胞刺激ホルモン(FSH)、及び乳がん2(BRCA2)を含む又はこれらからなる、パネルを提供する。
【0013】
一態様において、本発明は、対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、マーカーであるアポリポタンパク質A1(ApoA1)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、乳がん1(BRCA1)及び乳がん2(BRCA2)を含む又はこれらからなる、パネルを提供する。
【0014】
一態様において、本発明は、対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、マーカーであるトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、及び乳がん1(BRCA1)を含む又はこれらからなる、パネルを提供する。
【0015】
一態様において、本発明は、対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、マーカーであるトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、及び乳がん2(BRCA2)を含む又はこれらからなる、パネルを提供する。
【0016】
一態様において、本発明は、対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルであって、マーカーであるトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、乳がん1(BRCA1)、及び乳がん2(BRCA2)を含む又はこれらからなる、パネルを提供する。
【0017】
いくつかの実施形態において、本発明のパネルは、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)、BRCA1関連Ringドメイン1(BARD1)、BRCA1相互作用タンパク質C末端ヘリカーゼ1(BRIP1)、カドヘリン-1(CDH1)、チェックポイントキナーゼ2(CHEK2)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、MutLホモログ1(MLH1)、MutSホモログ2(MSH2)、MutSホモログ6(MSH6)、ニブリン(NBN)、BRCA2のパートナー及びローカライザー(PALB2)、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)、RAD51パラログD(RAD51D)、セリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、BRCA1 A複合体サブユニットabraxas 1(ABRAXAS1若しくはFAM175A)、RAC-アルファセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ(AKT1若しくはタンパク質キナーゼB)、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)、axis阻害タンパク質2(AXIN2)、骨形成タンパク質受容体1A型(BMPR1A)、がん原遺伝子B-Raf(BRAF)、細胞分裂周期25C(CDC25)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、カテニンベータ-1(CTNNB1)、RNaseモチーフを有するヘリカーゼ(DICER1)、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2(ERBB2)、切除修復交差相補性グループ6(ERCC6)、ファンコニ貧血相補性グループM(FANCM)、ファンコニ貧血相補性グループC(FANCC)、減数分裂組換え11(MRE11)、mutY DNAグリコシラーゼ(MUTYH)、ニューロフィブロミン1(NF1)、エンドヌクレアーゼIII様タンパク質1(NTHL1)、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)、減数分裂後分離増加2(PMS2)、タンパク質ホスファターゼ2調節サブユニットAアルファ(PP2R1A)、タンパク質キナーゼDNA活性化触媒サブユニット(PRKDC)、DNAポリメラーゼデルタ1触媒サブユニット(POLD1)、RAD50ホモログ(RAD50)、RAD51パラログC(RAD51C)、Ringフィンガータンパク質43(RNF43)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体鉄硫黄サブユニットB(SDHB)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体サブユニットD(SDHD)、クロマチンサブファミリーAメンバー4のSWI/SNF関連マトリックスに関連付けられたアクチン依存性調節因子(SMARCA4)、チャイニーズハムスター細胞2におけるX線修復相補性欠損修復(XRCC2)、ウェルナー症候群ATP依存性ヘリカーゼ(WRN若しくはRECQL)、細胞分裂周期73(CDC73)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ12(GALNT12)、グレムリン1(GREM1)、ホメオボックスB13(HOXB13)、MutSホモログ3(MSH3)、DNAポリメラーゼエプシロン触媒サブユニット(POLE)、RAD51レコンビナーゼ(RAD51)、RAD50相互作用因子1(RINT1)、40Sリボソームタンパク質S20(RSP20)、SLX4構造特異的エンドヌクレアーゼサブユニット(SLX4)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、二重特異性タンパク質キナーゼTTK(TTK)、Ras関連ドメインファミリー1アイソフォームA(RASSF1A)、Runt関連転写因子3(RUNX3)、組織因子経路阻害因子2(TFPI2)、分泌frizzled関連タンパク質5(SFRP5)、オピオイド結合タンパク質/細胞接着分子(OPCML)、O-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(MGMT)、カドヘリン13(CDH13)、スルファターゼ1(SULF1)、ホメオボックスA9(HOXA9)、ホメオボックスA11(HOXAD11)、クローディン4(CLDN4)、T細胞分化タンパク質(MAL)、インプリント部位の調節因子の兄弟(BORIS)、ATP結合カセットスーパーファミリーGメンバー2(ABCG2)、チューブリンベータ3クラスIII(TUBB3)、メチル化制御DNAJ(MCJ)、シヌクレイン-γ(SNGG)、代替リーディングフレーム腫瘍抑制因子(P14ARF)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A若しくはP16INK4A)、サイクリン依存性キナーゼ4阻害因子B(CDKN2B若しくはP15)、死関連タンパク質キナーゼ1(DAPK)、カルシウムチャンネル電圧依存性T型アルファ1Gサブユニット(CACNA1G若しくはMINT31)、網膜芽腫相互作用ジンクフィンガータンパク質1(RIZ1)、及びメチル化誘導サイレンシングの標的1(TMS1)からなる群から選択される1つ以上のマーカーを更に含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、マーカーの各々は、別個の捕捉試薬に結合される。一実施形態において、捕捉試薬は、固体支持体に取り付けられている。一実施形態において、固体支持体は、プレート、チップ、ビーズ、マイクロ流体プラットフォーム、膜、平面マイクロアレイ、又は懸濁アレイである。一実施形態において、捕捉試薬は、抗体、アプタマー、アフィボディ、ハイブリダイゼーションプローブ、及び/又はそれらの断片である。一実施形態において、各捕捉試薬は、マーカーのうちの1つに特異的に結合する。
【0019】
いくつかの態様において、本発明のパネルの1つは、対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するための方法において使用され得る。
【0020】
一態様において、本発明は、対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するための方法を提供し、本方法は、本明細書で提供されるパネルのいずれかを使用して、対象からの生体試料中のマーカーを特性決定することを含む。
【0021】
一態様において、本発明は、卵巣がんの高いリスク又は低いリスクを有するとして対象を術前に評価するための方法であって、本方法が、(a)対象に由来する生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1のスコアを決定することであって、第1のスコアが、高いがんリスク、中間のがんリスク、又は低いがんリスクを有するとして対象を特定する、ことと、(b)第1のスコアによって中間のがんリスクを有するとして特定された対象に由来する生体試料中のCA125、β2M、Tfr、TT、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第2のスコアを決定することであって、第2のスコアが、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして対象を特定する、ことと、を含む、方法を提供する。
【0022】
一態様において、本発明は、卵巣がんの高いリスク又は低いリスクを有するとして対象を術前に評価するための方法であって、本方法が、(a)対象に由来する生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1のスコアを決定することであって、第1のスコアが、高いがんリスク、中間のがんリスク、又は低いがんリスクを有するとして対象を特定する、ことと、(b)第1のスコアによって中間のがんリスクを有するとして特定された対象に由来する生体試料中のFSH、CA125、HE4、Tfr、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第2のスコアを決定することであって、第2のスコアが、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして対象を特定する、ことと、を含む、方法を提供する。
【0023】
一態様において、本発明は、卵巣がんの高いリスク又は低いリスクを有するとして対象を術前に評価するための方法であって、本方法が、(a)対象に由来する生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1のスコアを決定することであって、第1のスコアが、高いがんリスク、中間のがんリスク、又は低いがんリスクを有するとして対象を特定する、ことと、(b)第1のスコアによって中間のがんリスクを有するとして特定された対象に由来する生体試料中のCA125、β2M、Tfr、TT、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、低いがんリスク、中間のがんリスク、又は高いがんリスクを有するとして対象を特定する第2のスコアを決定することと、(c)第2のスコアによって中間のがんリスク又は高いがんリスクを有するとして特定された対象に由来する生体試料中のFSH、CA125、HE4、Tfr、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第3のスコアを決定することであって、第3のスコアが、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして対象を特定する、ことと、を含む、方法を提供する。
【0024】
一態様において、本発明は、無症候性の対象を術前に評価するための方法であって、本方法が、(a)対象に由来する生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1のスコアを決定することであって、第1のスコアが、高いがんリスク、中間のがんリスク、又は低いがんリスクを有するとして対象を特定する、ことと、(b)第1のスコアによって高いがんリスク、中間のがんリスク又は低いがんリスクを有するとして特定された対象に由来する生体試料中の乳がん1(BRCA1)、乳がん2(BRCA2)、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)、BRCA1関連Ringドメイン1(BARD1)、BRCA1相互作用タンパク質C末端ヘリカーゼ1(BRIP1)、カドヘリン-1(CDH1)、チェックポイントキナーゼ2(CHEK2)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、MutLホモログ1(MLH1)、MutSホモログ2(MSH2)、MutSホモログ6(MSH6)、ニブリン(NBN)、BRCA2のパートナー及びローカライザー(PALB2)、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)、RAD51パラログD(RAD51D)、セリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、BRCA1 A複合体サブユニットabraxas 1(ABRAXAS1若しくはFAM175A)、RAC-アルファセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ(AKT1若しくはタンパク質キナーゼB)、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)、axis阻害タンパク質2(AXIN2)、骨形成タンパク質受容体1A型(BMPR1A)、がん原遺伝子B-Raf(BRAF)、細胞分裂周期25C(CDC25)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、カテニンベータ-1(CTNNB1)、RNaseモチーフを有するヘリカーゼ(DICER1)、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2(ERBB2)、切除修復交差相補性グループ6(ERCC6)、ファンコニ貧血相補性グループM(FANCM)、ファンコニ貧血相補性グループC(FANCC)、減数分裂組換え11(MRE11)、mutY DNAグリコシラーゼ(MUTYH)、ニューロフィブロミン1(NF1)、エンドヌクレアーゼIII様タンパク質1(NTHL1)、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)、減数分裂後分離増加2(PMS2)、タンパク質ホスファターゼ2調節サブユニットAアルファ(PP2R1A)、タンパク質キナーゼDNA活性化触媒サブユニット(PRKDC)、DNAポリメラーゼデルタ1触媒サブユニット(POLD1)、RAD50ホモログ(RAD50)、RAD51パラログC(RAD51C)、Ringフィンガータンパク質43(RNF43)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体鉄硫黄サブユニットB(SDHB)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体サブユニットD(SDHD)、クロマチンサブファミリーAメンバー4のSWI/SNF関連マトリックスに関連付けられたアクチン依存性調節因子(SMARCA4)、チャイニーズハムスター細胞2におけるX線修復相補性欠損修復(XRCC2)、ウェルナー症候群ATP依存性ヘリカーゼ(WRN若しくはRECQL)、細胞分裂周期73(CDC73)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ12(GALNT12)、グレムリン1(GREM1)、ホメオボックスB13(HOXB13)、MutSホモログ3(MSH3)、DNAポリメラーゼエプシロン触媒サブユニット(POLE)、RAD51レコンビナーゼ(RAD51)、RAD50相互作用因子1(RINT1)、40Sリボソームタンパク質S20(RSP20)、SLX4構造特異的エンドヌクレアーゼサブユニット(SLX4)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、二重特異性タンパク質キナーゼTTK(TTK)、Ras関連ドメインファミリー1アイソフォームA(RASSF1A)、Runt関連転写因子3(RUNX3)、組織因子経路阻害因子2(TFPI2)、分泌frizzled関連タンパク質5(SFRP5)、オピオイド結合タンパク質/細胞接着分子(OPCML)、O-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(MGMT)、カドヘリン13(CDH13)、スルファターゼ1(SULF1)、ホメオボックスA9(HOXA9)、ホメオボックスA11(HOXAD11)、クローディン4(CLDN4)、T細胞分化タンパク質(MAL)、インプリント部位の調節因子の兄弟(BORIS)、ATP結合カセットスーパーファミリーGメンバー2(ABCG2)、チューブリンベータ3クラスIII(TUBB3)、メチル化制御DNAJ(MCJ)、シヌクレイン-γ(SNGG)、代替リーディングフレーム腫瘍抑制因子(P14ARF)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A若しくはP16INK4A)、サイクリン依存性キナーゼ4阻害因子B(CDKN2B若しくはP15)、死関連タンパク質キナーゼ1(DAPK)、カルシウムチャンネル電圧依存性T型アルファ1Gサブユニット(CACNA1G若しくはMINT31)、網膜芽腫相互作用ジンクフィンガータンパク質1(RIZ1)、及びメチル化誘導サイレンシングの標的1(TMS1)からなる群から選択される1つ以上のマーカーを特性決定することであって、1つ以上のマーカーにおける1つ以上の変異の存在、又は1つ以上のマーカーにおける異常なメチル化の存在が、1つ以上のマーカーにおいて変異又は異常なメチル化を有しない対象と比較して、より高い[増加した]がんリスクを有するとして対象を特定する、ことを含む、方法を提供する。一実施形態において、1つ以上のマーカーにおける1つ以上の変異の存在、又は1つ以上のマーカーにおける異常なメチル化の存在は、療法的介入を必要とするものとして対象を特定する。一実施形態において、1つ以上のマーカーにおける1つ以上の変異の存在、又は1つ以上のマーカーにおける異常なメチル化の存在は、高いがんリスクを有するとして特定された対象を、療法的介入を必要とするものとして特定する。一実施形態において、異常なメチル化は、高メチル化である。一実施形態において、異常なメチル化は、低メチル化である。一実施形態において、療法的介入は、手術である。
【0025】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、第1のスコアによって高いがんリスク、中間のがんリスク又は低いがんリスクを有するとして特定された対象に由来する生体試料中の乳がん1(BRCA1)、乳がん2(BRCA2)、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)、BRCA1関連Ringドメイン1(BARD1)、BRCA1相互作用タンパク質C末端ヘリカーゼ1(BRIP1)、カドヘリン-1(CDH1)、チェックポイントキナーゼ2(CHEK2)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、MutLホモログ1(MLH1)、MutSホモログ2(MSH2)、MutSホモログ6(MSH6)、ニブリン(NBN)、BRCA2のパートナー及びローカライザー(PALB2)、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)、RAD51パラログD(RAD51D)、セリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、BRCA1 A複合体サブユニットabraxas 1(ABRAXAS1若しくはFAM175A)、RAC-アルファセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ(AKT1若しくはタンパク質キナーゼB)、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)、axis阻害タンパク質2(AXIN2)、骨形成タンパク質受容体1A型(BMPR1A)、がん原遺伝子B-Raf(BRAF)、細胞分裂周期25C(CDC25)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、カテニンベータ-1(CTNNB1)、RNaseモチーフを有するヘリカーゼ(DICER1)、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2(ERBB2)、切除修復交差相補性グループ6(ERCC6)、ファンコニ貧血相補性グループM(FANCM)、ファンコニ貧血相補性グループC(FANCC)、減数分裂組換え11(MRE11)、mutY DNAグリコシラーゼ(MUTYH)、ニューロフィブロミン1(NF1)、エンドヌクレアーゼIII様タンパク質1(NTHL1)、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)、減数分裂後分離増加2(PMS2)、タンパク質ホスファターゼ2調節サブユニットAアルファ(PP2R1A)、タンパク質キナーゼDNA活性化触媒サブユニット(PRKDC)、DNAポリメラーゼデルタ1触媒サブユニット(POLD1)、RAD50ホモログ(RAD50)、RAD51パラログC(RAD51C)、Ringフィンガータンパク質43(RNF43)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体鉄硫黄サブユニットB(SDHB)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体サブユニットD(SDHD)、クロマチンサブファミリーAメンバー4のSWI/SNF関連マトリックスに関連付けられたアクチン依存性調節因子(SMARCA4)、チャイニーズハムスター細胞2におけるX線修復相補性欠損修復(XRCC2)、ウェルナー症候群ATP依存性ヘリカーゼ(WRN若しくはRECQL)、細胞分裂周期73(CDC73)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ12(GALNT12)、グレムリン1(GREM1)、ホメオボックスB13(HOXB13)、MutSホモログ3(MSH3)、DNAポリメラーゼエプシロン触媒サブユニット(POLE)、RAD51レコンビナーゼ(RAD51)、RAD50相互作用因子1(RINT1)、40Sリボソームタンパク質S20(RSP20)、SLX4構造特異的エンドヌクレアーゼサブユニット(SLX4)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、及び二重特異性タンパク質キナーゼTTK(TTK)、Ras関連ドメインファミリー1アイソフォームA(RASSF1A)、Runt関連転写因子3(RUNX3)、組織因子経路阻害因子2(TFPI2)、分泌frizzled関連タンパク質5(SFRP5)、オピオイド結合タンパク質/細胞接着分子(OPCML)、O-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(MGMT)、カドヘリン13(CDH13)、スルファターゼ1(SULF1)、ホメオボックスA9(HOXA9)、ホメオボックスA11(HOXAD11)、クローディン4(CLDN4)、T細胞分化タンパク質(MAL)、インプリント部位の調節因子の兄弟(BORIS)、ATP結合カセットスーパーファミリーGメンバー2(ABCG2)、チューブリンベータ3クラスIII(TUBB3)、メチル化制御DNAJ(MCJ)、シヌクレイン-γ(SNGG)、代替リーディングフレーム腫瘍抑制因子(P14ARF)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A若しくはP16INK4A)、サイクリン依存性キナーゼ4阻害因子B(CDKN2B若しくはP15)、死関連タンパク質キナーゼ1(DAPK)、カルシウムチャンネル電圧依存性T型アルファ1Gサブユニット(CACNA1G若しくはMINT31)、網膜芽腫相互作用ジンクフィンガータンパク質1(RIZ1)、及びメチル化誘導サイレンシングの標的1(TMS1)からなる群から選択される1つ以上のマーカーを特性決定することであって、1つ以上のマーカーにおける1つ以上の変異の存在、又は1つ以上のマーカーにおける異常なメチル化の存在が、1つ以上のマーカーにおいて1つ以上の変異又は異常なメチル化を有しない対象と比較して、より高い[増加した]がんリスクを有するとして対象を特定する、ことを更に含む。一実施形態において、1つ以上のマーカーにおける1つ以上の変異の存在、又は1つ以上のマーカーにおける異常なメチル化の存在は、療法的介入を必要とするものとして対象を特定する。一実施形態において、1つ以上のマーカーにおける1つ以上の変異の存在、又は1つ以上のマーカーにおける異常なメチル化の存在は、高いがんリスクを有するとして特定された対象を、療法的介入を必要とするものとして特定する。一実施形態において、異常なメチル化は、高メチル化である。一実施形態において、異常なメチル化は、低メチル化である。一実施形態において、療法的介入は、手術である。
【0026】
一態様において、本発明は、1つ以上の生殖細胞マーカー及び/又は体細胞マーカーにおいて1つ以上の変異又は異常なメチル化を有する対象を術前にモニタリングするための方法であって、本方法が、(a)対象に由来する第1の生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第1のスコアを決定することであって、第1のスコアが、高い卵巣がんリスク、中間の卵巣がんリスク、又は低い卵巣がんリスクを有するとして対象を特定する、ことと、(b)1つ以上の時点で、中間の卵巣がんリスク又は低い卵巣がんリスクを有するとして特定された対象からの1つ以上の生体試料においてステップ(a)を繰り返し、それによって、対象をモニタリングすることと、を含む、方法を提供する。
【0027】
一態様において、本発明は、1つ以上の生殖細胞マーカー及び/又は体細胞マーカーにおいて1つ以上の変異又は異常なメチル化を有する対象を術前にモニタリングするための方法であって、本方法が、(a)対象に由来する第1の生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第1のスコアを決定することであって、第1のスコアが、高い卵巣がんリスク、中間の卵巣がんリスク、又は低い卵巣がんリスクを有するとして対象を特定する、ことと、(b)第1のスコアによって低いがんリスク又は中間のがんリスクを有するとして特定された対象に由来する生体試料中のCA125、β2M、Tfr、TT、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第2のスコアを決定することであって、第2のスコアが、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして対象を特定する、ことと、(c)1つ以上の時点で、ステップ(b)において低い卵巣がんリスクを有するとして特定された対象からの1つ以上の生体試料においてステップ(a)及び(b)を繰り返し、それによって、対象をモニタリングすることと、を含む、方法を提供する。
【0028】
一態様において、本発明は、1つ以上の生殖細胞マーカー及び/又は体細胞マーカーにおいて1つ以上の変異又は異常なメチル化を有する対象を術前にモニタリングするための方法であって、本方法が、(a)対象に由来する第1の生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第1のスコアを決定することであって、第1のスコアが、高い卵巣がんリスク、中間の卵巣がんリスク、又は低い卵巣がんリスクを有するとして対象を特定する、ことと、(b)第1のスコアによって低いがんリスク又は中間のがんリスクを有するとして特定された対象に由来する生体試料中のFSH、CA125、HE4、Tfr、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第2のスコアを決定することであって、第2のスコアが、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして対象を特定する、ことと、(c)1つ以上の時点で、ステップ(b)において低い卵巣がんリスクを有するとして特定された対象からの1つ以上の生体試料においてステップ(a)及び(b)を繰り返し、それによって、対象をモニタリングすることと、を含む、方法を提供する。
【0029】
一態様において、本発明は、低い卵巣がんリスク又は中間の卵巣がんリスクを有するとして特定された1つ以上の生殖細胞マーカー及び/又は体細胞マーカーにおいて1つ以上の変異又は異常なメチル化を有する対象を術前にモニタリングするための方法であって、本方法が、(a)対象に由来する第1の生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第1のスコアを決定することであって、第1のスコアが、高い卵巣がんリスク、中間の卵巣がんリスク、又は低い卵巣がんリスクを有するとして対象を特定する、ことと、(b)第1のスコアによって低いがんリスク、中間のがんリスクを有するとして特定された対象に由来する生体試料中のCA125、β2M、Tfr、TT、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第2のスコアを決定することであって、第2のスコアが、低いがんリスク、中間のがんリスク、又は高いがんリスクを有するとして対象を特定する、ことと、(c)第2のスコアによって中間のがんリスク又は高いがんリスクを有するとして特定された対象に由来する生体試料中のFSH、CA125、HE4、Tfr、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第3のスコアを決定することであって、第3のスコアが、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして対象を特定する、ことと、(d)1つ以上の時点で、ステップ(b)において低いリスク若しくは中間のリスクを有するとして又はステップ(c)において低い卵巣がんリスクを有するとして特定された対象からの1つ以上の生体試料においてステップ(a)~(c)を繰り返し、それによって、対象をモニタリングすることと、を含む、方法を提供する。
【0030】
いくつかの実施形態において、1つ以上の生殖細胞マーカー及び/又は体細胞マーカーは、乳がん1(BRCA1)、乳がん2(BRCA2)、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)、BRCA1関連Ringドメイン1(BARD1)、BRCA1相互作用タンパク質C末端ヘリカーゼ1(BRIP1)、カドヘリン-1(CDH1)、チェックポイントキナーゼ2(CHEK2)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、MutLホモログ1(MLH1)、MutSホモログ2(MSH2)、MutSホモログ6(MSH6)、ニブリン(NBN)、BRCA2のパートナー及びローカライザー(PALB2)、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)、RAD51パラログD(RAD51D)、セリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、BRCA1 A複合体サブユニットabraxas 1(ABRAXAS1若しくはFAM175A)、RAC-アルファセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ(AKT1若しくはタンパク質キナーゼB)、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)、axis阻害タンパク質2(AXIN2)、骨形成タンパク質受容体1A型(BMPR1A)、がん原遺伝子B-Raf(BRAF)、細胞分裂周期25C(CDC25)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、カテニンベータ-1(CTNNB1)、RNaseモチーフを有するヘリカーゼ(DICER1)、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2(ERBB2)、切除修復交差相補性グループ6(ERCC6)、ファンコニ貧血相補性グループM(FANCM)、ファンコニ貧血相補性グループC(FANCC)、減数分裂組換え11(MRE11)、mutY DNAグリコシラーゼ(MUTYH)、ニューロフィブロミン1(NF1)、エンドヌクレアーゼIII様タンパク質1(NTHL1)、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)、減数分裂後分離増加2(PMS2)、タンパク質ホスファターゼ2調節サブユニットAアルファ(PP2R1A)、タンパク質キナーゼDNA活性化触媒サブユニット(PRKDC)、DNAポリメラーゼデルタ1触媒サブユニット(POLD1)、RAD50ホモログ(RAD50)、RAD51パラログC(RAD51C)、Ringフィンガータンパク質43(RNF43)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体鉄硫黄サブユニットB(SDHB)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体サブユニットD(SDHD)、クロマチンサブファミリーAメンバー4のSWI/SNF関連マトリックスに関連付けられたアクチン依存性調節因子(SMARCA4)、チャイニーズハムスター細胞2におけるX線修復相補性欠損修復(XRCC2)、ウェルナー症候群ATP依存性ヘリカーゼ(WRN若しくはRECQL)、細胞分裂周期73(CDC73)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ12(GALNT12)、グレムリン1(GREM1)、ホメオボックスB13(HOXB13)、MutSホモログ3(MSH3)、DNAポリメラーゼエプシロン触媒サブユニット(POLE)、RAD51レコンビナーゼ(RAD51)、RAD50相互作用因子1(RINT1)、40Sリボソームタンパク質S20(RSP20)、SLX4構造特異的エンドヌクレアーゼサブユニット(SLX4)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、及び二重特異性タンパク質キナーゼTTK(TTK)、Ras関連ドメインファミリー1アイソフォームA(RASSF1A)、Runt関連転写因子3(RUNX3)、組織因子経路阻害因子2(TFPI2)、分泌frizzled関連タンパク質5(SFRP5)、オピオイド結合タンパク質/細胞接着分子(OPCML)、O-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(MGMT)、カドヘリン13(CDH13)、スルファターゼ1(SULF1)、ホメオボックスA9(HOXA9)、ホメオボックスA11(HOXAD11)、クローディン4(CLDN4)、T細胞分化タンパク質(MAL)、インプリント部位の調節因子の兄弟(BORIS)、ATP結合カセットスーパーファミリーGメンバー2(ABCG2)、チューブリンベータ3クラスIII(TUBB3)、メチル化制御DNAJ(MCJ)、シヌクレイン-γ(SNGG)、代替リーディングフレーム腫瘍抑制因子(P14ARF)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A若しくはP16INK4A)、サイクリン依存性キナーゼ4阻害因子B(CDKN2B若しくはP15)、死関連タンパク質キナーゼ1(DAPK)、カルシウムチャンネル電圧依存性T型アルファ1Gサブユニット(CACNA1G若しくはMINT31)、網膜芽腫相互作用ジンクフィンガータンパク質1(RIZ1)、及びメチル化誘導サイレンシングの標的1(TMS1)からなる群から選択される。
【0031】
一態様において、本発明は、付属器腫瘤を有する対象を術前にモニタリングするための方法であって、本方法が、(a)対象に由来する生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第1のスコアを決定することであって、第1のスコアが、高い卵巣がんリスク、中間の卵巣がんリスク、又は低い卵巣がんリスクを有するとして対象を特定する、ことと、(b)第1のスコアによって中間のがんリスクを有するとして特定された対象に由来する生体試料中のCA125、β2M、トランスフェリン、トランスサイレチン、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第2のスコアを決定することであって、第2のスコアが、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして対象を特定する、ことと、(c)1つ以上の時点で、ステップ(b)において低いリスクの卵巣がんリスクを有するとして特定された対象からの1つ以上の生体試料においてステップ(a)及び(b)を繰り返し、それによって、対象をモニタリングすることと、を含む、方法を提供する。
【0032】
一態様において、本発明は、付属器腫瘤を有する対象を術前にモニタリングするための方法であって、本方法が、(a)対象に由来する生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第1のスコアを決定することであって、第1のスコアが、高い卵巣がんリスク、中間の卵巣がんリスク、又は低い卵巣がんリスクを有するとして対象を特定する、ことと、(b)第1のスコアによって中間のがんリスクを有するとして特定された対象に由来する生体試料中のFSH、CA125、HE4、Tfr、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第2のスコアを決定することであって、第2のスコアが、低い卵巣がんリスク又は高い卵巣がんリスクを有するとして対象を特定する、ことと、(c)1つ以上の時点で、ステップ(b)において低いリスクの卵巣がんリスクを有するとして特定された対象からの1つ以上の生体試料においてステップ(a)及び(b)を繰り返し、それによって、対象をモニタリングすることと、を含む、方法を提供する。
【0033】
一態様において、本発明は、付属器腫瘤を有する対象をモニタリングするための方法であって、本方法が、(a)対象に由来する第1の生体試料中のトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第1のスコアを決定することであって、第1のスコアが、卵巣がんの高いリスク、中間のリスク、又は低いリスクを有するとして対象を特定する、ことと、(b)第1のスコアによって低いがんリスク又は中間のがんリスクを有するとして特定された対象に由来する生体試料中のCA125、β2M、Tfr、TT、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第2のスコアを決定することであって、第2のスコアが、低い卵巣がんリスク、中間の卵巣がんリスク、又は高い卵巣がんリスクを有するとして対象を特定する、ことと、(c)第1のスコアによって中間のがんリスク又は高いがんリスクを有するとして特定された対象に由来する生体試料中のFSH、CA125、HE4、Tfr、及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーを特性決定して、第1の時点で第3のスコアを決定することであって、第3のスコアが、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして対象を特定する、ことと、(d)1つ以上の時点で、ステップ(b)において低いリスク若しくは中間のリスクを有するとして又はステップ(c)において低いリスクの卵巣がんリスクを有するとして特定された対象からの1つ以上の生体試料においてステップ(a)~(c)を繰り返し、それによって、対象をモニタリングすることと、を含む、方法を提供する。
【0034】
いくつかの実施形態において、1つ以上の生殖細胞マーカーは、BRCA1及び/又はBRCA2である。一実施形態において、BRCA1における1つ以上の変異は、c.68_69del及び/若しくはc.5266dupを含み、並びに/又はBRCA2における1つ以上の変異は、c.5946delを含む。一実施形態において、1つ以上のマーカーは、無細胞腫瘍DNA(cftDNA)を検出することによって特性決定される。一実施形態において、マーカーは、イムノアッセイ、シーケンシング、及び/又は核酸マイクロアレイによって特性決定される。一実施形態において、シーケンシングは、次世代シーケンシング(NGS)又はSangerシーケンシングである。一実施形態において、イムノアッセイは、アフィニティーキャプチャーアッセイ、免疫測定アッセイ、不均一化学発光免疫測定アッセイ、均一化学発光免疫測定アッセイ、ELISA、ウェスタンブロッティング、ラジオイムノアッセイ、磁気イムノアッセイ、リアルタイム免疫定量PCR(iqPCR)、及びSERSラベルフリーアッセイを含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、第1のスコアは、0~20の範囲であり、5以下の第1のスコアは、低いがんリスクを有するとして対象を特定し、閉経前の対象における5より大きくかつ10未満の第1のスコア、又は閉経後の対象における5より大きくかつ14未満の第1のスコアは、中間のがんリスクを有するとして対象を特定し、閉経前の対象における10以上の第1のスコア、又は閉経後の対象における14以上の第1のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、第2のスコアは、0~20の範囲であり、5未満の第2のスコアは、低いがんリスクを有するとして対象を特定し、また5以上の第1のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、第2のスコアは、0~20の範囲であり、閉経前の対象における5以下の第2のスコア、又は閉経後の対象における4.4未満の第2のスコアは、低いがんリスクを有するとして対象を特定し、閉経前の対象における5より大きくかつ7未満の第2のスコア、又は閉経後の対象における4.4より大きくかつ6未満の第2のスコアは、中間のがんリスクを有するとして対象を特定し、また閉経前の対象における7以上の第2のスコア、又は閉経後の対象における6以上の第2のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、第3のスコアは、0~20の範囲であり、5以下の第3のスコアは、低いがんリスクを有するとして対象を特定し、5より大きい第3のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。
【0036】
いくつかの実施形態において、マーカーの各々は、別個の捕捉試薬に結合される。一実施形態において、捕捉試薬は、固体支持体に取り付けられている。一実施形態において、固体支持体は、プレート、チップ、ビーズ、マイクロ流体プラットフォーム、膜、平面マイクロアレイ、又は懸濁アレイである。一実施形態において、捕捉試薬は、抗体、アプタマー、アフィボディ、ハイブリダイゼーションプローブ、及び/又はそれらの断片である。一実施形態において、各捕捉試薬は、マーカーのうちの1つに特異的に結合する。
【0037】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、対象における卵巣がんリスクの1つ以上の臨床バイオマーカーを更に特性決定し、1つ以上の臨床バイオマーカーは、年齢、閉経前ステータス、閉経後ステータス、民族、病理、付属器腫瘤診断、家族歴、身体検査、画像化結果、及び/又は喫煙歴からなる群から選択され、1つ以上の臨床バイオマーカーは、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして対象を更に特定する。
【0038】
一態様において、本発明は、対象が卵巣がんを有するリスクを分類するための方法であって、本方法が、少なくとも1つのプロセッサによって、マーカーであるトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、HE4、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)、並びに、乳がん1(BRCA1)、乳がん2(BRCA2)、ATM、BARD1、BRIP1、CDH1、CHEK2、EPCAM、MLH1、MSH2、MSH6、NBN、PALB2、PTEN、RAD51D、STK11、TP53、KRAS、ABRAXAS1、AKT1、APC、AXIN2、BMPR1A、BRAF、CDC25、CDKN2A、CDK4、CTNNB1、DICER1、ERBB2、ERCC6、FANCM、FANCC、MRE11、MUTYH、NF1、NTHL1、PIK3CA、PMS2、PP2R1A、PRKDC、POLD1、RAD50、RAD51C、RNF43、SDHB、SDHD、SMARCA4、XRCC2、WRN、CDC73、GALNT12、GREM1、HOXB13、MSH3、POLE、RAD51、RINT1、RSP20、SLX4、SMAD4、TTK、RASSF1A、RUNX3、TFPI2、SFRP5、OPCML、MGMT、CDH13、SULF1、HOXA9、HOXAD11、CLDN4、MAL、BORIS、ABCG2、TUBB3、MCJ、SNGG、P14ARF、P16INK4A、DAPK、P15、MINT31、RIZ1、及びTMS1からなる群から選択される1つ以上のマーカーを含む又はこれらからなるパネルの各マーカーについて検出されたマーカースペクトルピークを表す第1のパネルシグナルを受信することと、少なくとも1つのプロセッサによって、第1のステージのがんリスク分類子を利用して、卵巣がんを発症する予測リスクを表すがんリスク分類スコアを予測することであって、がんリスク分類スコアが、学習されたリスク分類パラメータ及び第1のパネルシグナルに基づく、ことと、少なくとも1つのプロセッサによって、がんリスク分類スコアと関連付けられたがんリスクレベルを決定することであって、がんリスクレベルが、少なくとも、低いリスク、中間のリスク及び高いリスクを含む選択物(selection)のうちの1つから選択される、ことと、少なくとも1つのプロセッサによって、医療提供者と関連付けられたコンピューティングデバイスで、対象のがんリスクレベルを示すがんリスクレベル予測を生成することと、を含む、方法を提供する。
【0039】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、がんリスクレベルを中間のリスクとして決定することと、少なくとも1つのプロセッサによって、第2のステージのがんリスク分類子を利用して、第2のステージの学習されたリスク分類パラメータ、及び、第1のパネルシグナルのサブセットを含む第2のパネルシグナルに基づいて、増強されたがんリスク分類スコアを予測することと、少なくとも1つのプロセッサによって、増強されたがんリスク分類スコアと関連付けられた増強されたがんリスクレベルを決定することであって、増強されたがんリスクレベルが、少なくとも、低いリスク及び高いリスクを含む選択物のうちの1つから選択される、ことと、を更に含む。一実施形態において、第2のパネルシグナルは、CA125、β2M、トランスフェリン、トランスサイレチン及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーのマーカースペクトルピークを表す。一実施形態において、第2のパネルシグナルは、FSH、CA125、HE4、トランスフェリン、ApoA1を含む又はこれらからなるマーカーのマーカースペクトルピークを表す。
【0040】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、がんリスクレベルを中間のリスクとして決定することと、少なくとも1つのプロセッサによって、第2のステージのがんリスク分類子を利用して、第2のステージの学習されたリスク分類パラメータ、及び、第1のパネルシグナルの異なるサブセットを含む第2のパネルシグナルに基づいて、増強されたがんリスク分類スコアを予測することと、少なくとも1つのプロセッサによって、第3のステージのがんリスク分類子を利用して、第2のステージの学習されたリスク分類パラメータ、及び、第1のパネルシグナルの異なるサブセットを含む第3のパネルシグナルに基づいて、増強されたがんリスク分類スコアを予測することと、少なくとも1つのプロセッサによって、増強されたがんリスク分類スコアと関連付けられた増強されたがんリスクレベルを決定することであって、増強されたがんリスクレベルが、少なくとも、低いリスク及び高いリスクを含む選択物のうちの1つから選択される、ことと、を更に含む。一実施形態において、第2のパネルシグナルは、CA125、β2M、トランスフェリン、トランスサイレチン及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーのマーカースペクトルピークを表し、また第3のパネルシグナルは、FSH、CA125、HE4、トランスフェリン、ApoA1を含む又はこれらからなるマーカーのマーカースペクトルピークを表す。
【0041】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、がんリスク分類スコアが0.0~5.0であるがんリスクレベルの低いリスクを決定することと、少なくとも1つのプロセッサによって、がんリスク分類スコアが5.1~9.9であるがんリスクレベルの中間のリスクを決定することと、少なくとも1つのプロセッサによって、がんリスク分類スコアが10.0~20.0であるがんリスクレベルの高いリスクを決定することと、を更に含む。いくつかの実施形態において、第1のステージのがんリスク分類子は、学習されたリスク分類パラメータのうちの学習された閉経前リスク分類パラメータを有する、閉経前の第1のステージのがんリスク予測モデルと、学習されたリスク分類パラメータのうちの学習された閉経後リスク分類パラメータを有する、閉経後の第1のステージのがんリスク予測モデルと、を含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、がんリスク分類スコアが0.0~5.0であるがんリスクレベルの低いリスクを決定することと、少なくとも1つのプロセッサによって、閉経後の対象についてのがんリスク分類スコアが5.1~13.9であるがんリスクレベルの中間のリスクを決定することと、少なくとも1つのプロセッサによって、閉経後の対象についてのがんリスク分類スコアが14.0~20.0であるがんリスクレベルの低いリスクを決定することと、を更に含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、がんリスク分類スコアが0.0~5.0であるがんリスクレベルの低いリスクを決定することと、少なくとも1つのプロセッサによって、閉経前の対象についてのがんリスク分類スコアが5.1~9.9であるがんリスクレベルの中間のリスクを決定することと、少なくとも1つのプロセッサによって、閉経前の対象についてのがんリスク分類スコアが10.0~20.0であるがんリスクレベルの高いリスクを決定することと、を更に含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、がんリスクレベルが高いリスクである場合に外科的介入を推奨する推奨をコンピューティングデバイスのディスプレイ上に生成することを更に含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、がんリスクレベルが低いリスクである場合に外科的介入を行わないことを推奨する推奨をコンピューティングデバイスのディスプレイ上に生成することを更に含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、コンピューティングデバイスからのがんリスクレベル予測に対する修正を受信することと、少なくとも1つのプロセッサによって、修正とがんリスクレベルとの間の差に基づいて、学習されたリスク分類パラメータを再トレーニングすることと、を更に含む。いくつかの実施形態において、第1のパネルシグナルは、少なくとも1つのプロセッサと通信する質量分析計若しくはバイオチップ、又は両方から受信される。いくつかの実施形態において、第1のステージのがんリスク分類子は、分類ツリー又は人工ニューラルネットワークを含む。いくつかの実施形態において、第1のステージのがんリスク分類子は、教師あり分類モデルを含む。いくつかの実施形態において、第1のステージのがんリスク分類子は、教師なし分類モデルを含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、対象は、無症候性の付属器腫瘤を有すると診断される。いくつかの実施形態において、対象は、症候性の付属器腫瘤を有すると診断される。いくつかの実施形態において、対象は、閉経前である。いくつかの実施形態において、対象は、閉経後である。いくつかの実施形態において、対象からの生体試料は、血清である。
【0047】
一態様において、本発明は、少なくとも1つのプロセッサに本明細書で提供されるような方法のうちのいずれかを実施させる命令を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサを備えるシステムを提供する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプロセッサは、命令が格納されたメモリと通信している。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプロセッサは、がんリスクレベルが高いリスクである場合に外科的介入を推奨する推奨をコンピューティングデバイスのディスプレイ上に生成するためのステップを実施するための命令を実行するように更に構成されている。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプロセッサは、がんリスクレベルが低いリスクである場合に外科的介入を行わないことを推奨する推奨をコンピューティングデバイスのディスプレイ上に生成するためのステップを実施するための命令を実行するように更に構成されている。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプロセッサは、コンピューティングデバイスからのがんリスクレベル予測に対する修正を受信するステップと、修正とがんリスクレベルとの間の差に基づいて、学習されたリスク分類パラメータを再トレーニングするステップと、を実施するための命令を実行するように更に構成されている。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される本発明のシステムは、少なくとも1つのプロセッサと通信する質量分析計を備える。
【0048】
一態様において、本発明は、ソフトウェアを格納する非一時的コンピュータ可読媒体であって、ソフトウェアが、少なくとも1つのプロセッサに本明細書で提供される方法のうちのいずれかを実施させるように構成されたプログラム命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される本発明の方法は、がんリスクレベルが高いリスクである場合に外科的介入を推奨する推奨をコンピューティングデバイスのディスプレイ上に生成するステップを更に含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される本発明の方法は、がんリスクレベルが低いリスクである場合に外科的介入を行わないことを推奨する推奨をコンピューティングデバイスのディスプレイ上に生成するステップを更に含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される本発明の方法は、コンピューティングデバイスからのがんリスクレベル予測に対する修正を受信することと、修正とがんリスクレベルとの間の差に基づいて、学習されたリスク分類パラメータを再トレーニングすることと、を更に含む。いくつかの実施形態において、第1のステージのがんリスク分類子は、分類ツリー又は人工ニューラルネットワークを含む。いくつかの実施形態において、第1のステージのがんリスク分類子は、教師あり分類モデルを含む。いくつかの実施形態において、第1のステージのがんリスク分類子は、教師なし分類モデルを含む。
【0049】
一態様において、本発明は、(a)本明細書で提供される本発明のマーカーのパネルのうちのいずれかと、(b)対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのパネルの使用説明書と、を含む、キットを提供する。特定の実施形態において、これらのパネルの使用は、予想外に、特異性を増加させ、感度を増加させ、かつ/又はバイオマーカーの従来のパネルによって特定される偽陽性又は偽陰性の率を減少させた。
【0050】
本明細書に詳細に記載されるように、当該技術分野で知られている任意の方法を使用して、バイオマーカーのパネルを測定することができる。本発明の態様において、バイオマーカーのパネルは、当該技術分野で周知の任意のイムノアッセイを使用して測定される。複数の実施形態において、イムノアッセイは、ELISA、ウェスタンブロッティング、及びラジオイムノアッセイとすることができるが、これらに限定されない。
【0051】
以下に提供する実施例に関連して、本発明によって定義される組成物及び物品を単離したか、又は別の方法で製造した。本発明の他の特徴及び利点は、詳細な説明、並びに特許請求の範囲から明らかであろう。
【0052】
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が関わるか、又は関連する当業者に一般に理解される意味を有する。以下の参考文献は、当業者に、本発明で使用される用語の多くの一般的な定義を提供する。Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology(2nd ed.1994)、The Cambridge Dictionary of Science and Technology(Walker ed.,1988)、The Glossary of Genetics,5th Ed.,R.Rieger et al.(eds.),Springer Verlag(1991)、Benjamin Lewin,Genes V,Published by Oxford University Press,1994(ISBN 0-19-854287-9);Kendrew et al.(eds.)、The Encyclopedia of Molecular Biology,Published by Blackwell Science Ltd.,1994(ISBN 0-632-02182-9)、Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference,Robert A.Meyers(ed.),Published by VCH Publishers,Inc.,1995(ISBN 1-56081-569-8)、及びHale & Marham,The Harper Collins Dictionary of Biology(1991)。本明細書で使用される場合、以下の用語は、別段の指定がない限り、以下でそれらに帰属する意味を有する。
【0053】
「付属器腫瘤」とは、子宮付近で発症する異常な増殖を意味し、最も一般的には、卵巣、卵管、又は結合組織から生じる。塊状の腫瘤は、嚢胞(液体で満たされている)又は固形である可能性がある。付属器腫瘤は、良性(非がん性)又は悪性(がん性)であり得る。付属器腫瘤は、症候性又は無症候性であり得る。「症候性の付属器腫瘤」とは、患者において症状が存在する付属器腫瘤を意味する。症状としては、限定されないが、腹部満腹感、腹部膨満感、骨盤痛、排便困難、及び排尿頻度の増加、異常な膣出血、又は骨盤圧迫感が挙げられ得る。「無症候性の付属器腫瘤」とは、患者において症状を生じないか、又は示さない付属器腫瘤を意味する。
【0054】
「剤」とは、任意の小分子の化学化合物、抗体、核酸分子、若しくはポリペプチド、又はそれらの断片を意味する。
【0055】
「改変」とは、本明細書に記載されるもの等の標準的な技術分野の既知の方法によって検出される、遺伝子又はポリペプチドの発現レベル又は活性の変化(増加又は減少)を意味する。改変は、1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%ほど小さくてもよく、又は40%、50%、60%であってもよく、又は70%、75%、80%、90%、又は100%ほど大きくてさえもよい。
【0056】
「生体試料」とは、生物に由来する任意の組織、細胞、流体、又は他の物質を意味する。
【0057】
本明細書で使用される「バイオマーカー」又は「マーカー」は、一般的に、ある疾患と関連付けられたタンパク質、核酸分子、臨床指標、又は他の分析物を指す。一実施形態において、卵巣がんのマーカーは、参照と比較して、卵巣がんを有するか、又は卵巣がんを発症するリスクがある対象から得られた生体試料中に差次的に存在する。試料中に存在するバイオマーカーのレベルの平均又は中央値が、参照中に存在するレベルとは統計的に異なる場合に、マーカーは、差次的に存在する。参照レベルは、例えば、健康な対照対象から得られた試料中に存在するレベル、又はより早い時点(すなわち、治療前)に対象から得られたレベルであってもよい。統計的有意性のための一般的な試験としては、特に、t検定、ANOVA、Kruskal-Wallis、Wilcoxon、Mann-Whitney、及びオッズ比が挙げられる。バイオマーカーは、単独で、又は組み合わせて、対象が目的の表現型ステータスに属する相対的な尤度の尺度を提供する。対象試料中の本発明のマーカーの差次的な存在は、対象の予後を決定するために、療法の有効性を評価するために、又は治療レジメンを選択する(例えば、その対象が婦人科腫瘍学を専門とする医師によって評価及び/又は治療されることを選択する)ために、卵巣がんを有するか、又は卵巣がんを発症するリスクがあるとして対象を特性決定する際に有用である可能性がある。
【0058】
本発明のパネルに有用なマーカーとしては、例えば、FSH、HE4、CA125、トランスサイレチン、トランスフェリン、ApoA1、及びβ2ミクログロブリンタンパク質、並びにこのようなタンパク質をコードする核酸分子が挙げられる。本発明の方法で有用な断片は、断片の由来となるタンパク質を特異的に認識する抗体に結合するのに十分なものである。本発明は、以下の配列と実質的に同一であるマーカーを含む。好ましくは、このような配列は、比較のために使用される配列に対して、アミノ酸レベル又は核酸で少なくとも85%、90%、95%、又は更に99%同一である。
【0059】
本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含有する(containing)」、「有する(having)」等の用語は、米国特許法においてそれらの語句に帰属する意味を有することができ、「含む(includes)」、「含む(including)」等を意味することができ、「~から本質的になる(consisting essentially of)」又は「本質的に~を構成する(consists essentially)」も同様に、米国特許法に帰属する意味を有しており、この用語は、オープンエンドであり、列挙されるものの基本的又は新規な特徴が、列挙されるものよりも多くの存在によって変化しない限り、列挙されるものよりも多くの存在を可能にするが、先行技術の実施形態を除外する。
【0060】
「卵胞刺激ホルモン(FSH)ポリペプチド」とは、NCBIアクセッション番号NP_000501に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0061】
「ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)ポリペプチド」とは、NCBIアクセッション番号NP_006094に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0062】
「がん抗原125(CA125)ポリペプチド」とは、Swiss-Protアクセッション番号Q8WXI7に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0063】
「トランスサイレチン(プレアルブミン)ポリペプチド」とは、Swiss Protアクセッション番号P02766に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0064】
「トランスフェリンポリペプチド」とは、UniProtKB/TrEMBLアクセッション番号Q06AH7に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0065】
「アポリポタンパク質A1(ApoA1)ポリペプチド」とは、Swiss Protアクセッション番号P02647に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0066】
「β2-ミクログロブリンポリペプチド」とは、SwissProtアクセッション番号P61769に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0067】
「乳がん1(BRCA1)遺伝子」とは、通常は細胞成長を抑制するのに役立ち、NCBIアクセッション番号NG_005905.2に対して少なくとも約85%のヌクレオチド同一性を有する、染色体17上の遺伝子を意味する。BRCA1遺伝子中の変異は、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、及び他の種類のがんのより高いリスクと関連付けられている。
【0068】
「乳がん1(BRCA1)ポリペプチド」とは、GenBankアクセッション番号AAC37594.1に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0069】
「乳がん2(BRCA2)遺伝子」とは、通常は細胞成長を抑制するのに役立ち、NCBIアクセッション番号NG_012772.3に対して少なくとも約85%のヌクレオチド同一性を有する、染色体13上の遺伝子を意味する。BRCA2遺伝子中の変異は、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、及び他の種類のがんのより高いリスクと関連付けられている。
【0070】
「乳がん2(BRCA2)ポリペプチド」とは、NCBIアクセッション番号NP_000050.2に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0071】
「毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)遺伝子」とは、DNA二本鎖切断によって動員され、活性化されるセリン/スレオニンタンパク質キナーゼをコードする染色体11上の遺伝子であって、DNA損傷チェックポイントの活性化を開始するタンパク質をリン酸化し、細胞周期の停止、DNA修復、又はアポトーシスを引き起こし、またNCBI参照配列:NG_009830.1に対して少なくとも約85%のヌクレオチド同一性を有する遺伝子を意味する。ATM遺伝子中の変異は、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がん、及び他の種類のがんのより高いリスクと関連付けられている。
【0072】
「毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)ポリペプチド」とは、NCBI参照配列:NP_000042.3に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0073】
「BRCA1関連Ringドメイン1(BARD1)遺伝子」とは、N末端RingフィンガードメインによってBRCA1とヘテロ二量体化してBRCA1を安定化するタンパク質をコードし、またNCBI参照配列:NG_012047.3に対して少なくとも約85%のヌクレオチド同一性を有する、染色体2上の遺伝子を意味する。乳がん、卵巣がん、及び子宮がんと関連するとしてタンパク質構造に影響を与えるBARD1中の変異は、その変異がBARD1の腫瘍抑制機能を無効化することを示唆している。
【0074】
「BRCA1関連Ringドメイン1(BARD1)ポリペプチド」とは、NCBI参照配列:NP_000456.2に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0075】
「BRCA1相互作用タンパク質C末端ヘリカーゼ1(BRIP1)遺伝子」とは、RecQ DEAHヘリカーゼファミリーのメンバーであるファンコニ貧血グループJタンパク質をコードし、BRCA1と相互作用し、またNCBI参照配列:NG_007409.2に対して少なくとも約85%のヌクレオチド同一性を有する遺伝子を意味する。BRIP1中の変異は、卵巣がんと関連付けられている。
【0076】
「BRCA1相互作用タンパク質C末端ヘリカーゼ1(BRIP1)ポリペプチド」とは、NCBI参照配列:NP_114432.2に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0077】
「カドヘリン-1(CDH1)遺伝子」とは、カルシウム依存性細胞-細胞接着糖タンパク質をコードし、またNCBI参照配列:NG_008021.1に対して少なくとも約85%のヌクレオチド同一性を有する、染色体16上の遺伝子を意味する。CDH1遺伝子中の変異は、胃がん、乳がん、結腸直腸がん、甲状腺がん、及び卵巣がんと関連付けられている。
【0078】
「カドヘリン-1(CDH1)ポリペプチド」とは、NCBI参照配列:NP_004351.1に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0079】
「チェックポイントキナーゼ2(CHEK2)遺伝子」とは、DNA損傷に応答して、DNA修復、細胞周期の停止、又はアポトーシスに関与するセリン-スレオニンキナーゼをコードし、またNCBI参照配列:NG_008150.2に対して少なくとも約85%のヌクレオチド同一性を有する、遺伝子pm染色体22を意味する。CHEK2遺伝子中の変異は、乳がん、前立腺がん、ランチ(lunch)がん、結腸がん、腎臓がん、及び甲状腺がんと関連している。
【0080】
「チェックポイントキナーゼ2(CHEK2)ポリペプチド」とは、NCBI参照配列:NP_009125.1に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0081】
「上皮細胞接着分子(EPCAM)遺伝子」とは、上皮におけるCa2+非依存性ホモタイプ細胞-細胞接着、細胞シグナル伝達、遊走、増殖、及び分化を媒介し、またNCBI参照配列:NG_012352.2に対して少なくとも約85%のヌクレオチド同一性を有する、膜貫通糖タンパク質をコードする染色体2上の遺伝子を意味する。EPCAM遺伝子中の変異は、乳がん及び卵巣がんを含む、いくつかのがんと関連付けられている。
【0082】
「上皮細胞接着分子(EPCAM)ポリペプチド」とは、NCBI参照配列:NP_002345.2に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0083】
「MutLホモログ1(MLH1)遺伝子」とは、DNAミスマッチ修復タンパク質をコードし、NCBI参照配列:NG_007109.2に対して少なくとも約85%のヌクレオチド同一性を有する、染色体3上の遺伝子を意味する。MLH1遺伝子中の変異は、結腸がん、子宮内膜がん、及び卵巣がんと関連付けられている。
【0084】
「MutLホモログ1(MLH1)ポリペプチド」とは、NCBI参照配列:NP_000240.1に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0085】
「MutSホモログ2(MSH2)遺伝子」とは、DNAミスマッチ修復タンパク質をコードし、NCBI参照配列:NG_007110.2に対して少なくとも約85%のヌクレオチド同一性を有する、染色体2上の遺伝子を意味する。MSH2遺伝子中の変異は、結腸がん、乳がん、及び卵巣がんと関連付けられている。
【0086】
「MutSホモログ2(MSH2)ポリペプチド」とは、NCBI参照配列:NP_000242.1に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0087】
「MutSホモログ6(MSH6)遺伝子」とは、DNA修復に関与するタンパク質をコードし、NCBI参照配列:NG_007111.1に対して少なくとも約85%のヌクレオチド同一性を有する、染色体2上の遺伝子を意味する。MSH6遺伝子中の変異は、結腸がん、子宮内膜がん、乳がん、及び卵巣がんと関連付けられている。
【0088】
「MutSホモログ6(MSH6)ポリペプチド」とは、NCBI参照配列:NP_000170.1に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0089】
「ニブリン(NBN)遺伝子」とは、DNAミスマッチ修復タンパク質をコードし、NCBI参照配列:NG_008860.1に対して少なくとも約85%のヌクレオチド同一性を有する、染色体6上の遺伝子を意味する。NBN遺伝子中の変異は、乳がん、前立腺がん、及び卵巣がんと関連付けられている。
【0090】
「ニブリン(NBN)ポリペプチド」とは、NCBI参照配列:NP_002476.2に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0091】
「BRCA2のパートナー及びローカライザー(PALB2)遺伝子」とは、二本鎖切断修復に関与するタンパク質をコードし、またBRCA2に結合し、かつBRCA2と共局在化し、そしてNCBI参照配列:NG_007406.1に対して少なくとも約85%のヌクレオチド同一性を有する、染色体16上の遺伝子を意味する。PALB2遺伝子中の変異は、卵巣がん、乳がん、及び膵臓がんと関連付けられている。
【0092】
「BRCA2のパートナー及びローカライザー(PALB2)ポリペプチド」とは、NCBI参照配列:NP_078951.2に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0093】
「ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)遺伝子」とは、細胞周期調節に関与するホスファターゼタンパク質をコードし、またNCBI参照配列:NG_007466.2に対して少なくとも約85%のヌクレオチド同一性を有する、染色体10上の遺伝子を意味する。PTEN遺伝子中の変異は、前立腺がん、乳がん、及び卵巣がんと関連付けられている。
【0094】
「ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)ポリペプチド」とは、NCBI参照配列:NP_000305.3に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0095】
「RAD51パラログD(RAD51D)遺伝子」とは、DNAの相同組換え及び修復に関与するタンパク質をコードし、またNCBI参照配列:NG_031858.1に対して少なくとも約85%のヌクレオチド同一性を有する、染色体17上の遺伝子を意味する。RAD51D遺伝子中の変異は、乳がん、及び卵巣がんと関連付けられている。
【0096】
「RAD51パラログD(RAD51D)ポリペプチド」とは、NCBI参照配列:NP_002869.3に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0097】
「セリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)遺伝子」とは、セリン/スレオニンタンパク質キナーゼをコードし、またNCBI参照配列:NG_007460.2に対して少なくとも約85%のヌクレオチド同一性を有する、染色体19上の遺伝子を意味する。STK11遺伝子中の変異は、卵巣がん、子宮頸部がん、乳がん、腸がん、精巣がん、膵臓がん、及び皮膚がんと関連付けられている。
【0098】
「セリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)ポリペプチド」とは、NCBI参照配列:NP_000446.1に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0099】
「腫瘍タンパク質p53(TP53)遺伝子」とは、腫瘍抑制タンパク質をコードし、またNCBI参照配列:NG_017013.2に対して少なくとも約85%のヌクレオチド同一性を有する、染色体17上の遺伝子を意味する。TP53遺伝子中の変異は、乳がん及び卵巣がんを含む、様々ながんと関連付けられている。
【0100】
「腫瘍タンパク質p53(TP53)ポリペプチド」とは、NCBI参照配列:NP_000537.3に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0101】
「Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)遺伝子」とは、細胞シグナル伝達に関与するGTPアーゼをコードし、またNCBI参照配列:NG_007524.2に対して少なくとも約85%のヌクレオチド同一性を有する、染色体12上の遺伝子を意味する。KRAS遺伝子中の変異は、結腸がん、肺がん、卵巣がん、及び乳がんを含む、様々ながんと関連付けられている。
【0102】
「Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)ポリペプチド」とは、NCBI参照配列:NP_203524.1に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
【0103】
本明細書で示される選択された例示的な配列を図1に示す。
【0104】
「捕捉試薬」とは、核酸分子又はポリペプチドに特異的に結合して、核酸分子又はポリペプチドを選択又は単離する試薬を意味する。
【0105】
「臨床的攻撃性」とは、新生物の重症度を意味する。攻撃性新生物は、攻撃性の低い新生物よりも転移する可能性が高い。治療の保存的方法は、攻撃性の低い新生物に適しているが、より攻撃性の高い新生物は、より攻撃的な治療レジメンを必要とする。
【0106】
本明細書で使用される場合、「決定する」、「評価する」、「アッセイする」、「測定する」、及び「検出する」という用語は、分析物の定量的及び定性的な決定の両方を指し、したがって、「決定する」という用語は、「アッセイする」、「測定する」等と本明細書で相互に置き換え可能に使用される。定量的な決定が意図される場合、分析物の「量を決定する」等の語句が使用される。定性的及び/又は定量的な決定が意図される場合、分析物の「レベルを決定する」又は分析物を「検出する」という語句が使用される。
【0107】
「検出可能な標識」とは、目的の分子に連結したときに、分光器的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、又は化学的手段を介して、目的の分子を検出可能にする組成物を意味する。例えば、有用な標識としては、放射性同位体、磁性ビーズ、金属ビーズ、コロイド粒子、蛍光色素、電子密度の高い試薬、酵素(例えば、ELISAにおいて一般的に使用されるようなもの)、ビオチン、ジゴキシゲニン、又はハプテンが挙げられる。
【0108】
「疾患」とは、細胞、組織、又は臓器の正常な機能を損傷又は妨害する任意の状態又は障害を意味する。疾患の例としては、乳がん及び卵巣がんが挙げられる。
【0109】
「有効量」とは、治療していない患者と比較して、疾患の症状を改善するために必要な量を意味する。疾患の療法的治療のために本発明を実施するために使用される活性化合物の有効量は、投与の態様、対象の年齢、体重、及び一般的な健康に応じて変化する。最終的に、主治医又は獣医は、適切な量及び投薬レジメンを決定するであろう。このような量は、「有効」量と称される。
【0110】
本発明は、治療するための高度に特異的な薬物の開発、又は本明細書に示される方法によって特徴付けられる障害に有用であるいくつかの標的を提供する。更に、本発明の方法は、対象に使用するのに安全である療法を特定するための容易な手段を提供する。加えて、本発明の方法は、高容量スループット、高い感度、及び低い複雑性で、本明細書に記載される疾患に対する影響について事実上いかなる数の化合物でも実質的に分析するための経路を提供する。
【0111】
「断片」とは、ポリペプチド又は核酸分子の一部分を意味する。この部分は、好ましくは、参照核酸分子又はポリペプチドの全長の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%を含有する。断片は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100、200、300、400、500、600、700、800、900、又は1000ヌクレオチド又はアミノ酸を含有し得る。
【0112】
「生殖細胞マーカー」とは、子孫に受け継がれ得る疾患又は障害と関連する発現レベル又は活性における改変を有する、生殖細胞内の任意のタンパク質又はポリヌクレオチドを意味する。
【0113】
「生殖細胞変異」とは、生殖細胞内の遺伝性の遺伝子改変を意味する。
【0114】
「ハイブリダイゼーション」は、相補的核酸塩基間のワトソン-クリック、フーグスティーン又は逆フーグスティーン水素結合であり得る、水素結合を意味する。例えば、アデニン及びチミンは、水素結合の形成によって対形成する相補的核酸塩基である。
【0115】
「単離された」、「精製された」、又は「生物学的に純粋な」という用語は、その天然状態で見出されるように、通常それに伴う成分を様々な程度まで含まない物質を指す。「単離物」は、元々の供給源又は周囲からのある程度の分離を示す。「精製する」は、単離よりも高い分離度を示す。「精製された」、又は「生物学的に純粋な」タンパク質は、いかなる不純物も、タンパク質の生物学的特性に実質的に影響を及ぼさないか、又は他の有害な結果を引き起こさないように、他の物質を十分な程度に含まない。すなわち、本発明の核酸又はペプチドは、組換えDNA技術によって産生される場合には細胞物質、ウイルス物質、若しくは培養培地を実質的に含まない、又は化学的に合成される場合には化学前駆体若しくは他の化学物質を実質的に含まない場合には、精製される。純度及び均質性は、典型的には、分析化学技術、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又は高速液体クロマトグラフィーを使用して決定される。「精製された」という用語は、核酸又はタンパク質が電気泳動ゲル中で本質的に1つのバンドを生じさせることを示すことができる。例えば、リン酸化又はグリコシル化等の修飾を受ける可能性があるタンパク質について、異なる修飾は、別々に精製されることができる異なる単離されたタンパク質を生じ得る。
【0116】
「単離されたバイオマーカー」又は「精製されたバイオマーカー」とは、少なくとも60重量%が、マーカーが天然に会合しているタンパク質及び天然に存在する有機分子を含まないことを意味する。好ましくは、調製物は、少なくとも75重量%、より好ましくは80、85、90、又は95%純粋であるか、又は少なくとも99重量%精製され、単離されたバイオマーカーである。
【0117】
「単離されたポリヌクレオチド」とは、本発明の核酸分子の由来となる生物の天然に存在するゲノムにおいて、遺伝子に隣接する遺伝子を含まない核酸(例えば、DNA)を意味する。したがって、この用語は、例えば、ベクター内に、自律的に複製するプラスミド若しくはウイルス内に、又は原核生物若しくは真核生物のゲノムDNA内に組み込まれたか、又は他の配列とは独立した別個の分子(例えば、cDNA、又はPCR若しくは制限エンドヌクレアーゼ分解によって産生されるゲノム若しくはcDNA断片)として存在する、組換えDNAを含む。加えて、この用語は、DNA分子から転写されるRNA分子、及び追加のポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAを含む。
【0118】
「単離されたポリペプチド」とは、天然で付随する成分から分離された本発明のポリペプチドを意味する。典型的には、ポリペプチドは、少なくとも60重量%が、天然に会合しているタンパク質及び天然に存在する有機分子を含まない場合に、単離されている。好ましくは、調製物は、少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%が本発明のポリペプチドである。本発明の単離されたポリペプチドは、例えば、天然源からの抽出、かかるポリペプチドをコードする組換え核酸の発現、又はタンパク質を化学合成することによって得られてもよい。純度は、任意の適切な方法、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、又はHPLC分析によって測定することができる。
【0119】
「マーカー」とは、疾患又は障害と関連する発現レベル又は活性における改変を有する、任意のタンパク質又はポリヌクレオチドを意味する。
【0120】
「マーカープロファイル」とは、2つ以上のポリペプチド又はポリヌクレオチドの発現又は発現レベルの特性決定を意味する。
【0121】
「新生物」とは、不適切に高レベルの細胞分裂、不適切に低レベルのアポトーシス、若しくはその両方によって引き起こされるか、又は不適切に高レベルの細胞分裂、不適切に低レベルのアポトーシス、若しくはその両方を生じる任意の疾患を意味する。がんの例としては、限定されないが、前立腺がん、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病)、真性多血症、リンパ腫(ホジキン病、非ホジキン病)、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、重鎖病、並びに固形腫瘍、例えば、肉腫及びがん腫(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮性肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮性肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸がん腫、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、扁平上皮がん腫、基底細胞がん腫、腺がん、汗腺がん腫、皮脂腺がん腫、乳頭がん腫、乳頭腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん腫、気管支原性がん腫、腎臓細胞がん腫、肝がん、胆管がん腫、絨毛がん、セミノーマ、胎児性がん腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、子宮がん、精巣がん、肺がん腫、小細胞肺がん腫、膀胱がん腫、上皮性がん腫、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、神経鞘腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、及び網膜芽細胞腫)が挙げられる。リンパ増殖性障害も、増殖性疾患とみなされる。
【0122】
本明細書で使用される場合、「薬物を得ること」等の「得ること」は、薬物を合成すること、購入すること、又は他の方法で取得することを含む。
【0123】
「卵巣がん」という用語は、原発性卵巣腫瘍、及び体内の任意の場所に定着し得る原発性卵巣腫瘍の転移の両方を指す。
【0124】
「卵巣がんステータス」という用語は、患者における疾患のステータスを指す。卵巣がんステータスの種類の例としては、限定されないが、対象のがんのリスク、疾患の存在若しくは不在、患者における疾患のステージ、及び疾患の治療の有効性が挙げられる。複数の実施形態において、骨盤腫瘤を有すると特定された対象は、その卵巣がんステータスが良性であるか、又は悪性であるかを特定するために評価される。
【0125】
本発明の方法において有用な核酸分子としては、本発明のポリペプチド又はその断片をコードする任意の核酸分子が挙げられる。そのような核酸分子は、内因性核酸配列と100%同一である必要はないが、典型的には実質的な同一性を示すであろう。内因性配列に対して「実質的な同一性」を有するポリヌクレオチドは、典型的には、二本鎖核酸分子の少なくとも1つの鎖とハイブリダイズすることができる。「ハイブリダイズする」とは、様々なストリンジェンシーの条件下で、相補的ポリヌクレオチド配列(例えば、本明細書に記載の遺伝子)又はその部分との間に二本鎖分子を形成する対を意味する。(例えば、Wahl,G.M.and S.L.Berger(1987)Methods Enzymol.152:399、Kimmel,A.R.(1987)Methods Enzymol.152:507を参照されたい)。
【0126】
例えば、ストリンジェントな塩濃度は、通常、約750mMのNaCl及び75mMのクエン酸三ナトリウムより少なく、好ましくは、約500mMのNaCl及び50mMのクエン酸三ナトリウムより少なく、より好ましくは、約250mMのNaCl及び25mMのクエン酸三ナトリウムより少ない。ストリンジェンシーの低いハイブリダイゼーションは、有機溶媒、例えば、ホルムアミドの不在下で得ることができ、一方、ストリンジェンシーの高いハイブリダイゼーションは、少なくとも約35%のホルムアミド、より好ましくは少なくとも約50%のホルムアミドの存在下で得ることができる。ストリンジェントな温度条件は、通常、少なくとも約30℃、より好ましくは少なくとも約37℃、最も好ましくは少なくとも約42℃の温度を含むであろう。ハイブリダイゼーション時間、洗剤、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の濃度、及び担体DNAの包含又は除外等の様々な追加のパラメータは、当業者に周知である。必要に応じてこれらの様々な条件を組み合わせることにより、様々なレベルのストリンジェンシーが実現される。好ましい実施形態において、ハイブリダイゼーションは、750mMのNaCl、75mMのクエン酸三ナトリウム、及び1%のSDS中、30℃で行われる。より好ましい実施形態において、ハイブリダイゼーションは、500mMのNaCl、50mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、35%のホルムアルデヒド、及び100μg/mlの変性サケ精子DNA(ssDNA)中、37℃で行われる。最も好ましい実施形態において、ハイブリダイゼーションは、250mMのNaCl、25mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、50%のホルムアルデヒド、及び200μg/mlのssDNA中、42℃で行われる。これらの条件の有用な変形形態は、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0127】
ほとんどの用途について、ハイブリダイゼーションに続く、洗浄するステップも、様々なストリンジェンシーになるであろう。洗浄のストリンジェンシー条件は、塩濃度及び温度によって定義することができる。上述のように、洗浄のストリンジェンシーは、塩濃度を下げることによって、又は温度を上げることによって、増加させることができる。例えば、洗浄ステップのストリンジェントな塩濃度は、好ましくは、約30mMのNaCl及び3mMのクエン酸三ナトリウムより少なく、また最も好ましくは、約15mMのNaCl及び1.5mMのクエン酸三ナトリウムより少ない。洗浄ステップのストリンジェントな温度条件は、通常、少なくとも約25℃、より好ましくは少なくとも約42℃、又は更により好ましくは少なくとも約68℃の温度を含む。好ましい実施形態において、洗浄ステップは、30mMのNaCl、3mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1%のSDS中、25℃で行われることになる。より好ましい実施形態において、洗浄ステップは、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1%のSDS中、42℃で行われることになる。より好ましい実施形態において、洗浄ステップは、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1%のSDS中、68℃で行われることになる。これらの条件の追加の変形形態は、当業者には容易に明らかになるであろう。ハイブリダイゼーション技術は当業者に周知であり、例えば、Benton and Davis(Science 196:180,1977)、Grunstein and Hogness(Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 72:3961,1975)、Ausubel et al.(Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience,New York,2001)、Berger and Kimmel(Guide to Molecular Cloning Techniques,1987,Academic Press,New York)、及びSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New Yorkに記載されている。
【0128】
「減少させる」とは、負の改変を意味する。いくつかの実施形態において、改変は、少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、又は100%減少させる。
【0129】
「参照」とは、比較の標準又は対照条件を意味する。例えば、患者試料中に存在するマーカーレベルを、対応する健康な細胞若しくは組織中のマーカーのレベル、又は罹患した細胞若しくは組織(例えば、卵巣がんを有する対象に由来する細胞若しくは組織)中のマーカーのレベルと比較してもよい。特定の実施形態において、患者試料中に存在するIGFBP2、IL6、FSH、HE4、CA125;トランスサイレチン、トランスフェリン、TAG-72/CA 72-4ポリペプチドレベルを、より早い時点(すなわち、治療前)で得られた対応する試料中に存在する上述のポリペプチドのレベル、健康な細胞若しくは組織、又は転移する傾向がない新生物性細胞若しくは組織と比較してもよい。
【0130】
「試料」は、生物に由来する任意の組織、細胞、流体、又は他の物質等の生体試料を意味する。
【0131】
「配列同一性」は、配列間の類似性の観点で、発現されるアミノ酸又は核酸配列間の類似性を指す。配列同一性は、多くの場合、同一性割合(又は類似性若しくは相同性)に関して測定され、その割合が高いほど、配列は、より類似している。所与の遺伝子又はタンパク質のホモログ又はバリアントは、標準的な方法を使用してアラインメントすると、比較的高い程度の配列同一性を有する。配列同一性は、典型的には、配列分析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group、University of Wisconsin Biotechnology Center,1710 University Avenue,Madison,Wis.53705、BLAST、BESTFIT、GAP、又はPILEUP/PRETTYBOXプログラム)を使用して測定される。このようなソフトウェアは、様々な置換、欠失、及び/又は他の修飾に対して相同性の程度を割り当てることによって、同一又は類似の配列とマッチさせる。保存的置換は、典型的には、以下の群:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リシン、アルギニン、及びフェニルアラニン、チロシン内の置換を含む。同一性の程度を決定するための例示的なアプローチにおいて、BLASTプログラムを使用してもよく、e-3~e-100の確率スコアは、密接に関連する配列を示している。加えて、他のプログラム及び整列アルゴリズムは、例えば、Smith and Waterman,1981,Adv.Appl.Math.2:482、Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443、Pearson and Lipman,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2444、Higgins and Sharp,1988,Gene 73:237-244、Higgins and Sharp,1989,CABIOS 5:151-153、Corpet et al.,1988,Nucleic Acids Research 16:10881-10890、Pearson and Lipman,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2444、及びAltschul et al.,1994,Nature Genet.6:119-129に記載される。NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST(商標))(Altschul et al.1990,J.Mol.Biol.215:403-410)は、配列分析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastn及びtblastxと組み合わせて使用するために、National Center for Biotechnology Information(NCBI、Bethesda,Md.)を含むいくつかの供給源から、また、インターネット上で容易に入手可能である。
【0132】
「体細胞マーカー」とは、生殖細胞を除く任意の細胞内で生じる可能性がある、遺伝性ではない疾患又は障害と関連する発現レベル又は活性における改変を有する任意のタンパク質又はポリヌクレオチドを意味する。
【0133】
「体細胞変異」とは、生殖細胞を除く任意の細胞内の遺伝子改変を意味し、遺伝性ではない。
【0134】
「特異的に結合する」とは、分子(例えば、ポリペプチド)を認識し、結合するが、試料、例えば、生体試料中の他の分子を実質的に認識し、かつ結合しない化合物(例えば、抗体)を意味する。
【0135】
診断試験の精度は、受信者操作特性曲線(「ROC曲線」)を含むが、これらに限定されない、当該技術分野で周知の任意の方法を使用して特性決定することができる。ROC曲線は、感度と特異性との関係を示す。感度は、ある試験によって陽性であると予測される真の陽性の割合であり、一方で、特異性は、ある試験によって陰性であると予測される真の陰性の割合である。ROCは、診断試験の異なる可能なカットポイントについての偽陽性率に対する真の陽性率のプロットである。したがって、感度の増加は、特異性の低下を伴うことになる。曲線がROC空間の左軸を、そしてその後上端を辿るのに近づくほど、試験の精度はより高くなる。逆に、曲線がROCグラフの45度の対角線に近づくほど、試験の精度はより低くなる。ROCの下の面積は、試験精度の尺度である。試験の精度は、試験が、試験される群を、問題としている疾患を有する群及び有しない群にどの程度良好に分離するかに依存する。曲線下の面積(「AUC」と称される)が1であることは、完璧な試験を表す。複数の実施形態において、本発明のバイオマーカー及び診断方法は、0.50を超える、0.60を超える、0.70を超える、0.80を超える、又は0.90を超えるAUCを有する。
【0136】
試験の有用性の他の有用な尺度は、陽性予測値(「PPV」)及び陰性予測値(「NPV」)である。PPVは、陽性として試験した、実際の陽性の割合である。NPVは、陰性として試験した、実際の陰性の割合である。
【0137】
「対象」又は「患者」という用語は、治療、観察、又は実験の対象である動物を指す。単なる例として、対象としては、ヒトを含むがこれらに限定されない哺乳動物、又は非ヒト霊長類、ネズミ、ウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、若しくはネコを含む非ヒト哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0138】
「実質的に同一」とは、参照アミノ酸配列(例えば、本明細書に記載のアミノ酸配列のうちのいずれか1つ)又は核酸配列(例えば、本明細書に記載の核酸配列のうちのいずれか1つ)に対して少なくとも50%の同一性を示すポリペプチド又は核酸分子を意味する。好ましくは、このような配列は、比較のために使用される配列に対して、アミノ酸レベル又は核酸で少なくとも60%、より好ましくは80%又は85%、より好ましくは90%、95%、又は更に99%同一である。
【0139】
配列同一性は、典型的には、配列分析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group、University of Wisconsin Biotechnology Center,1710 University Avenue,Madison,Wis.53705、BLAST、BESTFIT、GAP、又はPILEUP/PRETTYBOXプログラム)を使用して測定される。このようなソフトウェアは、様々な置換、欠失、及び/又は他の修飾に対して相同性の程度を割り当てることによって、同一又は類似の配列をマッチさせる。保存的置換は、典型的には、以下の群:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リシン、アルギニン、及びフェニルアラニン、チロシン内の置換を含む。同一性の程度を決定するための例示的なアプローチにおいて、BLASTプログラムを使用してもよく、e-3~e-100の確率スコアは、密接に関連する配列を示している。
【0140】
具体的に記載されていないか、または文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、「約」という用語は、当該技術分野における正常な許容範囲内、例えば、平均値の2標準偏差内であると理解される。約は、述べられている値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%以内であると理解することができる。文脈から別途明確でない限り、本明細書において提供される全ての数値は、約という用語によって修正される。
【0141】
本明細書で使用される場合、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、「治療」等の用語は、障害及び/又はそれと関連付けられた症状を減少させること、又は改善することを指す。排除されないが、ある障害又は状態を治療することは、その障害、状態、又はそれらと関連付けられた症状が完全に除外されることを必要としないことは理解されたい。
【0142】
本明細書で提供される範囲は、その範囲内の全ての値の縮めた表現であると理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50からなる群からの任意の数、数値の組み合わせ、又は部分範囲を含むと理解される。
【0143】
本明細書に提供される任意の化合物、組成物又は方法を、本明細書に提供される任意の他の組成物及び方法のうちの1つ以上と組み合わせることができる。
【0144】
本明細書で使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈により明らかにそうではないと指示されない限り、複数の形態を含む。したがって、例えば、「バイオマーカー(a biomarker)」の言及は、1つより多いバイオマーカーの言及を含む。
【0145】
具体的に記載されていないか、文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、包含的であると理解される。
【0146】
「含む(including)」という用語は、「~を含むが、これらに限定されない」という語句を意味するために本明細書で使用され、かつこれと相互に置き換え可能に使用される。
【0147】
本明細書に提供される任意の組成物又は方法は、本明細書に提供される任意の他の組成物及び方法のうちの1つ以上と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0148】
図1-1】卵胞刺激ホルモン(FSH)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、がん抗原125(CA125)、トランスサイレチン(プレアルブミン)、トランスフェリン、アポリポタンパク質A-1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、BRCA1、及びBRCA2ポリペプチドの例示的な配列を提供する。
図1-2】図1-1の続きを示す図である。
図1-3】図1-2の続きを示す図である。
図1-4】図1-3の続きを示す図である。
図1-5】図1-4の続きを示す図である。
図1-6】図1-5の続きを示す図である。
図1-7】図1-6の続きを示す図である。
図1-8】図1-7の続きを示す図である。
図1-9】図1-8の続きを示す図である。
図1-10】図1-9の続きを示す図である。
図1-11】図1-10の続きを示す図である。
図1-12】図1-11の続きを示す図である。
図1-13】図1-12の続きを示す図である。
図1-14】図1-13の続きを示す図である。
図1-15】図1-14の続きを示す図である。
図1-16】図1-15の続きを示す図である。
図1-17】図1-16の続きを示す図である。
図1-18】図1-17の続きを示す図である。
図1-19】図1-18の続きを示す図である。
図1-20】図1-19の続きを示す図である。
図1-21】図1-20の続きを示す図である。
図1-22】図1-21の続きを示す図である。
図1-23】図1-22の続きを示す図である。
図1-24】図1-23の続きを示す図である。
図1-25】図1-24の続きを示す図である。
図1-26】図1-25の続きを示す図である。
図1-27】図1-26の続きを示す図である。
図1-28】図1-27の続きを示す図である。
図1-29】図1-28の続きを示す図である。
図1-30】図1-29の続きを示す図である。
図1-31】図1-30の続きを示す図である。
図2-1】閉経ステージに応じた研究の人口統計情報及び臨床病理学的情報を提供する。
図2-2】図2-1の続きを示す図である。
図3-1】図3A~3Cは、トレーニングセット(OVA1)、及び3つの検証セット(OVA500、FHCRC #7788及びOVA1-PS1-CO4)における、閉経前(図3A、左)、閉経後(図3B、中央)、及び閉経前のステージI/II浸潤性がん(図3C、右)患者、並びに良性付属器腫瘤のみに対する、CA125と比較した場合のAMRAの受信者操作特性(ROC)曲線を示すグラフである(AUC:曲線下の面積、ROC:受信者操作特性)。
図3-2】図3-1の続きを示す図である。
図4A図4A~4Bは、付属器腫瘤リスク評価(AMRA)リスク群における良性、低悪性度の潜在的な腫瘍ステージI/II及びステージIII/IV患者の分布を示す(HR:高リスク、IR:中間のリスク、LR:より低リスク)。図3Aは、5%の想定された試験前有病率について調整された閉経前患者におけるAMRAと比較した、悪性度のリスクを示す棒グラフである。図3Bは、10%の想定された試験前有病率について調整された閉経後患者におけるAMRAと比較した、悪性度のリスクを示す棒グラフである。
図4B図4Aの説明を参照されたい。
図5-1】閉経前の付属器腫瘤リスク評価のリスク群(実際のもの、及び想定された有病率に基づいて予測されたもの)における良性、低悪性度の潜在的な腫瘍/早期、後期のがんの分布を提供する。
図5-2】図5-1の続きを示す図である。
図6-1】閉経後の付属器腫瘤リスク評価のリスク群(実際のもの、及び想定された有病率に基づいて予測されたもの)における良性、低悪性度の潜在的な腫瘍/早期、後期のがんの分布を提供する。
図6-2】図6-1の続きを示す図である。
図7A図7A~7Bは、トレーニングセット(OVA1)、及び組み合わされた検証データセット(OVA500、FHCRC#7788及びOVA1-PS1-CO4)に基づいて予測された、付属器腫瘤リスク評価のリスク群の有病率によって調整された試験後がん確率を示す(HR:高リスク、IR:中間のリスク、LR:より低リスク)。推定されたがん確率の棒グラフを、ロジスティック回帰によって補間曲線と重ね合わせた。図7Aは、閉経前の患者における確率を示す棒グラフを提供する。図7Bは、閉経後の患者における確率を示す棒グラフを提供する。
図7B図7Aの説明を参照されたい。
図8-1】付属器腫瘤リスク評価群の推定される性能指標を示す表を提供する。
図8-2】図8-1の続きを示す図である。
図9】付属器腫瘤リスク評価群の検証に使用される試料セットのカテゴリー化を示すフローチャートを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0149】
発明の詳細な説明
本発明は、対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのバイオマーカーのパネル、及びこのようなパネルの使用を含む。本発明は、少なくとも部分的に、本発明のパネルが、有利なことに、特異性を(例えば、平均/中央値約70%、75%、80%、85%、90%まで)増強し、かつ感度を(例えば、少なくとも75%まで)増強し、また付属器腫瘤(例えば症候性又は無症候性)を有すると診断された閉経前及び閉経後の対象についてのバイオマーカーの従来のパネルによって特定される偽陽性及び偽陰性を減少させるという発見に基づく。
【0150】
特に、本発明は、以下のマーカーのセットを含む又はこれらからなるパネルを提供する。
アポリポタンパク質A1(ApoA1)、がん抗原125(CA125)、β2ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、及びトランスサイレチン/プレアルブミン(TT);
卵胞刺激ホルモン(FSH)、CA125、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、ApoA1、及びトランスフェリン;
ApoA1、CA125、β2M、トランスフェリン、TT、FSH、及びHE4;
ApoA1、CA125、β2M、トランスフェリン、TT、及び乳がん1(BRCA1);
FSH、CA125、HE4、ApoA1、トランスフェリン、及びBRCA1;
ApoA1、CA125、β2M、トランスフェリン、TT、及び乳がん2(BRCA2);
FSH、CA125、HE4、ApoA1、トランスフェリン、及びBRCA2;
ApoA1、CA125、β2M、トランスフェリン、TT、BRCA1、及びBRCA2;
FSH、CA125、HE4、ApoA1、トランスフェリン、BRCA1、及びBRCA2;
ApoA1、CA125、β2M、トランスフェリン、TT、FSH、HE4、及びBRCA1;
ApoA1、CA125、β2M、トランスフェリン、TT、FSH、HE4、及びBRCA2、並びに
ApoA1、CA125、β2M、トランスフェリン、TT、FSH、HE4、BRCA1、及びBRCA2。
【0151】
更に、本発明は、少なくとも部分的に、多変量インデックスアッセイ(例えば、AMRA、OVA1、及び/又はOVERA)に対する追加の生殖細胞変異及び/又は体細胞変異の特性決定が、特異性及び感度を増強し、かつ付属器腫瘤を有すると診断された閉経前及び閉経後の対象についてのバイオマーカーの従来のパネルによって特定される偽陽性及び偽陰性を減少させるという発見に基づく。同様に、バイオマーカーの異常なメチル化(例えば、高メチル化又は低メチル化)の存在は、特異性及び感度を増強し、また付属器腫瘤を有すると診断された閉経前及び閉経後の対象についてのバイオマーカーの従来のパネルによって特定される偽陽性及び偽陰性を減少させる。
【0152】
いくつかの実施形態において、上述のマーカーのセットを、乳がん及び/又は卵巣がんと関連付けられる以下のマーカーのうちの1つ以上と組み合わせてもよい。毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)、BRCA1関連Ringドメイン1(BARD1)、BRCA1相互作用タンパク質C末端ヘリカーゼ1(BRIP1)、カドヘリン-1(CDH1)、チェックポイントキナーゼ2(CHEK2)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、MutLホモログ1(MLH1)、MutSホモログ2(MSH2)、MutSホモログ6(MSH6)、ニブリン(NBN)、BRCA2のパートナー及びローカライザー(PALB2)、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)、RAD51パラログD(RAD51D)、セリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、BRCA1 A複合体サブユニットabraxas 1(ABRAXAS1若しくはFAM175A)、RAC-アルファセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ(AKT1若しくはタンパク質キナーゼB)、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)、axis阻害タンパク質2(AXIN2)、骨形成タンパク質受容体1A型(BMPR1A)、がん原遺伝子B-Raf(BRAF)、細胞分裂周期25C(CDC25)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、カテニンベータ-1(CTNNB1)、RNaseモチーフを有するヘリカーゼ(DICER1)、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2(ERBB2)、切除修復交差相補性グループ6(ERCC6)、ファンコニ貧血相補性グループM(FANCM)、ファンコニ貧血相補性グループC(FANCC)、減数分裂組換え11(MRE11)、mutY DNAグリコシラーゼ(MUTYH)、ニューロフィブロミン1(NF1)、エンドヌクレアーゼIII様タンパク質1(NTHL1)、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)、減数分裂後分離増加2(PMS2)、タンパク質ホスファターゼ2調節サブユニットAアルファ(PP2R1A)、タンパク質キナーゼDNA活性化触媒サブユニット(PRKDC)、DNAポリメラーゼデルタ1触媒サブユニット(POLD1)、RAD50ホモログ(RAD50)、RAD51パラログC(RAD51C)、Ringフィンガータンパク質43(RNF43)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体鉄硫黄サブユニットB(SDHB)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体サブユニットD(SDHD)、クロマチンサブファミリーAメンバー4のSWI/SNF関連マトリックスに関連付けられたアクチン依存性調節因子(SMARCA4)、チャイニーズハムスター細胞2におけるX線修復相補性欠損修復(XRCC2)、ウェルナー症候群ATP依存性ヘリカーゼ(WRN若しくはRECQL)、細胞分裂周期73(CDC73)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ12(GALNT12)、グレムリン1(GREM1)、ホメオボックスB13(HOXB13)、MutSホモログ3(MSH3)、DNAポリメラーゼエプシロン触媒サブユニット(POLE)、RAD51レコンビナーゼ(RAD51)、RAD50相互作用因子1(RINT1)、40Sリボソームタンパク質S20(RSP20)、SLX4構造特異的エンドヌクレアーゼサブユニット(SLX4)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、二重特異性タンパク質キナーゼTTK(TTK)、Ras関連ドメインファミリー1アイソフォームA(RASSF1A)、Runt関連転写因子3(RUNX3)、組織因子経路阻害因子2(TFPI2)、分泌frizzled関連タンパク質5(SFRP5)、オピオイド結合タンパク質/細胞接着分子(OPCML)、O-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(MGMT)、カドヘリン13(CDH13)、スルファターゼ1(SULF1)、ホメオボックスA9(HOXA9)、ホメオボックスA11(HOXAD11)、クローディン4(CLDN4)、T細胞分化タンパク質(MAL)、インプリント部位の調節因子の兄弟(BORIS)、ATP結合カセットスーパーファミリーGメンバー2(ABCG2)、チューブリンベータ3クラスIII(TUBB3)、メチル化制御DNAJ(MCJ)、シヌクレイン-γ(SNGG)、代替リーディングフレーム腫瘍抑制因子(P14ARF)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A若しくはP16INK4A)、サイクリン依存性キナーゼ4阻害因子B(CDKN2B若しくはP15)、死関連タンパク質キナーゼ1(DAPK)、カルシウムチャンネル電圧依存性T型アルファ1Gサブユニット(CACNA1G若しくはMINT31)、網膜芽腫相互作用ジンクフィンガータンパク質1(RIZ1)、及びメチル化誘導サイレンシングの標的1(TMS1)。
【0153】
本発明の方法はまた、閉経前又は閉経後の対象における術前卵巣がん評価の擬陽性の率を減少させること、又は偽陰性の率を減少させることも含む。本発明は、対象が卵巣がんを有するリスクを術前に評価するためのこのようなパネルの使用を更に特徴付ける。特に、このようなパネルの使用は、付属器腫瘤(例えば症候性又は無症候性)を有すると診断された対象(例えば、閉経前又は閉経後)を、がんの高いリスク又は低いリスクを有するとして術前に特性決定するための方法を提供する。
【0154】
卵巣がん
卵巣腫瘍は、全ての年齢の女性において、高い頻度で検出されているが、手術前に悪性であることを決定するための標準化された方法又は信頼性の高い方法は存在しない。1994年に、米国国立衛生研究所(NIH)は、卵巣がんの重大なリスクを有すると術前に特定されている、卵巣腫瘤を有する女性が、婦人科腫瘍専門医によって手術が行われるという選択肢を与えられるべきであることを示すコンセンサスステートメントを発表した。現在、National Comprehensive Cancer Network(NCCN)、the Society of Gynecologic Oncologists(SGO)、SOGC clinical practice guidelines、Standing Subcommittee on Cancer of the Medical Advisory Committee、及びいくつかの他の公表されたステートメントは全て、卵巣がんを有する女性が、婦人科腫瘍専門医(GO)の治療を受けることを推奨している。
【0155】
乳がん、膀胱がん、胃腸がん、及び卵巣がんに関する最近の刊行物では、がん管理に外科専門医が関与した場合の転帰の改善が報告されている。加えて、18件の卵巣がん研究の最近のメタアナリシスは、一般外科医又は一般婦人科医ではなく、婦人科腫瘍専門医の早期の関与によって、患者の転帰が改善することを見出した。著者らは、以下のように結論付けた。1)早期の疾患を有する対象は、適切なアジュバント化学療法を容易にする、包括的な外科的ステージ分類を有する可能性が高い、2)進行した疾患を有する対象は、最適な細胞減少手術を受ける可能性が高い、3)進行した疾患を有する患者は、改善された中央値及び全体的な5年生存率を有する。この重要な情報が入手可能であるにもかかわらず、悪性卵巣腫瘍を有する女性のごく一部(推定33%)しか、一次的手術のために婦人科腫瘍専門医に紹介されない。卵巣がん管理のための治療の報告されたパターンに基づくと、米国において、女性の大部分が、この疾患のための最適な治療を受けない場合がある。
【0156】
卵巣腫瘍の手術による除去、及び一般医又は専門医が手術を行うべきかどうかの決定は、身体検査、画像診断検査、臨床検査、及び臨床判断の解釈に基づいている。骨盤検査だけでは、特に卵巣がん治療が最も成功している早期において、卵巣腫瘍を信頼性高く検出又は識別するのに不十分である。検査はまた、前立腺、肺、結腸直腸及び卵巣がんのスクリーニング試験アルゴリズムから除外されている。骨盤超音波は、臨床的に有用であり、最も安価な画像診断モダリティであるが、悪性腫瘍を一貫して特定することには限界がある。一般的に、ほぼ全ての単房性嚢胞は、良性であるが、一方で、固体成分又は内部乳頭突起を有する複雑性嚢胞腫瘍は、悪性である可能性が高い。CA125は、悪性腫瘍のリスクを確立しようとする企てにおいて、単独で、又は他の試験と組み合わせて使用されている。残念ながら、CA125は、早期の卵巣がんにおいて感度が低く(50%)、閉経前及び閉経後の女性の両方において多くの偽陽性から生じる低い特異性を有する。
【0157】
American College of Obstetrics and Gynecology(ACOG)及びSGOは、骨盤腫瘤を有する患者のための紹介ガイドラインを公表している。これらのガイドラインには、患者の年齢、血清CA125レベル、身体検査、画像化結果、及び家族歴が含まれる。この紹介戦略は、レトロスペクティブに、およびプロスペクティブにの両方で評価されている。単一機関のレビューにおいて、Dearkingらは、ガイドラインが、進行期の卵巣がんを予測するのに有用であるが、「特に閉経前の女性において、主に卵巣がんの早期マーカー及び徴候の欠如に起因して、早期の疾患を特定するのには不十分であった」と結論付けた。
【0158】
バイオマーカー
特定の実施形態において、バイオマーカーは、1つの表現型ステータスの(例えば、疾患を有する)対象から採取された試料中に、その他の表現型ステータス(例えば、疾患を有していない)と比較して差次的に存在する有機生体分子である。異なる群におけるバイオマーカーの発現レベルの平均又は中央値が統計的に有意であると計算される場合、バイオマーカーは、異なる表現型ステータス間に差次的に存在する。統計的有意性のための一般的な試験としては、特に、t検定、ANOVA、Kruskal-Wallis、Wilcoxon、Mann-Whitney、及びオッズ比が挙げられる。バイオマーカーは、単独で、又は組み合わせて、対象が、ある表現型ステータス又は別の表現型ステータスに属する、相対的なリスクの尺度を提供する。したがって、それらのバイオマーカーは、疾患を特性決定するためのマーカーとして有用である。
【0159】
卵巣がんについてのバイオマーカー
本発明は、卵巣がん(特に、良性対悪性の骨盤内腫瘤)を有する対象において差次的に存在するポリペプチド又はポリヌクレオチドバイオマーカーのパネルを提供する。本発明のバイオマーカーは、卵巣がんステータス(卵巣がんを有しない対象に対する、卵巣がんを有する対象を含む)、又は閉経ステータス(閉経前若しくは閉経後の対象を含む)に応じて、差次的に存在する。
【0160】
本発明のバイオマーカーパネルは、以下の表1に提示されるバイオマーカーのうちの1つ以上を含む。
【0161】
(表1)
【0162】
理解されるように、表1のバイオマーカー、バイオマーカーのパネル、又は他の類似の語句に対する本明細書での参照は、表1に示されるか、又は本明細書の他の箇所に記載されるバイオマーカーのうちの1つ以上を示す。表1のバイオマーカーのうちの1つ以上のパネルを、表1のバイオマーカーのうちの1つ以上のうちの1つ以上のパネルと組み合わせて使用してもよい。例えば、一実施形態において、バイオマーカーであるApoA1、CA125、β2M、トランスフェリン、TT、FSH、及びHE4を含むパネルを、ApoA1、CA125、β2M、トランスフェリン、及びTTを含むパネルと組み合わせて使用してもよい。一実施形態において、バイオマーカーであるApoA1、CA125、β2M、トランスフェリン、TT、FSH、及びHE4を含むパネルを、卵胞刺激ホルモンFSH、CA125、HE4、ApoA1、及びトランスフェリンを含むパネルと組み合わせて使用してもよい。一実施形態において、バイオマーカーであるApoA1、CA125、β2M、トランスフェリン、TT、FSH、及びHE4を含むパネルを、ApoA1、CA125、β2M、トランスフェリン、及びTTを含むパネル、並びに卵胞刺激ホルモンFSH、CA125、HE4、ApoA1、及びトランスフェリンを含むパネルと組み合わせて使用してもよい。本発明のバイオマーカーは、乳がん1(BRCA1)、乳がん2(BRCA2)、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)、BRCA1関連Ringドメイン1(BARD1)、BRCA1相互作用タンパク質C末端ヘリカーゼ1(BRIP1)、カドヘリン-1(CDH1)、チェックポイントキナーゼ2(CHEK2)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、MutLホモログ1(MLH1)、MutSホモログ2(MSH2)、MutSホモログ6(MSH6)、ニブリン(NBN)、BRCA2のパートナー及びローカライザー(PALB2)、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)、RAD51パラログD(RAD51D)、セリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、BRCA1 A複合体サブユニットabraxas 1(ABRAXAS1若しくはFAM175A)、RAC-アルファセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ(AKT1若しくはタンパク質キナーゼB)、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)、axis阻害タンパク質2(AXIN2)、骨形成タンパク質受容体1A型(BMPR1A)、がん原遺伝子B-Raf(BRAF)、細胞分裂周期25C(CDC25)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、カテニンベータ-1(CTNNB1)、RNaseモチーフを有するヘリカーゼ(DICER1)、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2(ERBB2)、切除修復交差相補性グループ6(ERCC6)、ファンコニ貧血相補性グループM(FANCM)、ファンコニ貧血相補性グループC(FANCC)、減数分裂組換え11(MRE11)、mutY DNAグリコシラーゼ(MUTYH)、ニューロフィブロミン1(NF1)、エンドヌクレアーゼIII様タンパク質1(NTHL1)、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)、減数分裂後分離増加2(PMS2)、タンパク質ホスファターゼ2調節サブユニットAアルファ(PP2R1A)、タンパク質キナーゼDNA活性化触媒サブユニット(PRKDC)、DNAポリメラーゼデルタ1触媒サブユニット(POLD1)、RAD50ホモログ(RAD50)、RAD51パラログC(RAD51C)、Ringフィンガータンパク質43(RNF43)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体鉄硫黄サブユニットB(SDHB)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体サブユニットD(SDHD)、クロマチンサブファミリーAメンバー4のSWI/SNF関連マトリックスに関連付けられたアクチン依存性調節因子(SMARCA4)、チャイニーズハムスター細胞2におけるX線修復相補性欠損修復(XRCC2)、ウェルナー症候群ATP依存性ヘリカーゼ(WRN若しくはRECQL)、細胞分裂周期73(CDC73)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ12(GALNT12)、グレムリン1(GREM1)、ホメオボックスB13(HOXB13)、MutSホモログ3(MSH3)、DNAポリメラーゼエプシロン触媒サブユニット(POLE)、RAD51レコンビナーゼ(RAD51)、RAD50相互作用因子1(RINT1)、40Sリボソームタンパク質S20(RSP20)、SLX4構造特異的エンドヌクレアーゼサブユニット(SLX4)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、二重特異性タンパク質キナーゼTTK(TTK)、Ras関連ドメインファミリー1アイソフォームA(RASSF1A)、Runt関連転写因子3(RUNX3)、組織因子経路阻害因子2(TFPI2)、分泌frizzled関連タンパク質5(SFRP5)、オピオイド結合タンパク質/細胞接着分子(OPCML)、O-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(MGMT)、カドヘリン13(CDH13)、スルファターゼ1(SULF1)、ホメオボックスA9(HOXA9)、ホメオボックスA11(HOXAD11)、クローディン4(CLDN4)、T細胞分化タンパク質(MAL)、インプリント部位の調節因子の兄弟(BORIS)、ATP結合カセットスーパーファミリーGメンバー2(ABCG2)、チューブリンベータ3クラスIII(TUBB3)、メチル化制御DNAJ(MCJ)、シヌクレイン-γ(SNGG)、代替リーディングフレーム腫瘍抑制因子(P14ARF)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A若しくはP16INK4A)、サイクリン依存性キナーゼ4阻害因子B(CDKN2B若しくはP15)、死関連タンパク質キナーゼ1(DAPK)、カルシウムチャンネル電圧依存性T型アルファ1Gサブユニット(CACNA1G若しくはMINT31)、網膜芽腫相互作用ジンクフィンガータンパク質1(RIZ1)、及びメチル化誘導サイレンシングの標的1(TMS1)を含むが、これらに限定されない、乳がん及び/又は卵巣がんと関連付けられる遺伝性生殖細胞マーカー(例えば、BRCA1/2)及び/又は体細胞マーカーも含み得る。本発明のバイオマーカーを、血液、血清、血漿、唾液、尿、腹水、嚢胞液、均質化された組織試料(例えば、生検若しくは液体生検によって得られる組織試料)、患者試料から単離される細胞等を含むが、これらに限定されない、対象の生体試料(例えば、組織、流体)において検出してもよい。
【0163】
本発明は、単離されたバイオマーカーを含むパネルを提供する。バイオマーカーは、尿又は血清等の生物学的流体から単離され得る。それらは、当該技術分野で知られている任意の方法によって単離することができる。特定の実施形態において、この単離は、マーカーの質量及び/又は結合特徴を使用して達成される。例えば、生体分子を含む試料をクロマトグラフィー分画に供し、例えば、アクリルアミドゲル電気泳動による更なる分離に供することができる。バイオマーカーの同一性の知識はまた、イムノアフィニティークロマトグラフィーによるそれらの単離も可能にする。「単離されたバイオマーカー」とは、少なくとも60重量%、マーカーが天然に会合しているタンパク質及び天然に存在する有機分子を含まないことを意味する。好ましくは、調製物は、少なくとも75重量%、より好ましくは80、85、90、又は95%純粋であるか、又は少なくとも99重量%精製され、単離されたバイオマーカーである。
【0164】
卵胞刺激ホルモン(FSH)
本発明のパネル中に存在する1つの例示的なバイオマーカーは、FSHである。FSHは、128アミノ酸タンパク質である(NCBIアクセッション番号NP_000501)。例示的なFSHポリペプチドのアミノ酸配列を図1に示す。FSHに対する抗体は、当該技術分野で周知の任意の方法を使用して作製することができる、又は、例えば、Santa Cruz Biotechnology,Inc.から購入することができる(例えば、カタログ番号sc-57149)(www.scbt.com、Santa Cruz,CA)。本発明の態様において、FSHは、卵巣がんを有しない対象と比較して、卵巣がんを有する対象において上方調節される。
【0165】
ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)
本発明のパネル中に存在する1つの例示的なバイオマーカーは、HE4である。HE4は、124アミノ酸タンパク質である(NCBIアクセッション番号NP_006094)。例示的なHE4ポリペプチドのアミノ酸配列を図1に示す。HE4に対する抗体は、当該技術分野で周知の任意の方法を使用して作製することができ、又は、例えば、Santa Cruz Biotechnology,Inc.から購入することができる(カタログ番号sc-27570)(www.scbt.com、Santa Cruz,CA)。本発明の態様において、HE4は、卵巣がんを有しない対象と比較して、卵巣がんを有する対象において上方調節される。
【0166】
がん抗原125(CA125)
本発明のパネル中に存在する1つの例示的なバイオマーカーは、CA125である。CA125は、22152アミノ酸タンパク質である(Swiss-Protアクセッション番号Q8WXI7)。例示的なCA125ポリペプチドのアミノ酸配列を図1に示す。CA125に対する抗体は、当該技術分野で周知の任意の方法を使用して作製することができ、又は、例えば、Santa Cruz Biotechnology,Inc.から購入することができる(カタログ番号sc-52095)(www.scbt.com、Santa Cruz,CA)。本発明の態様において、CA125は、卵巣がんを有しない対象と比較して、卵巣がんを有する対象において上方調節される。
【0167】
トランスサイレチン(プレアルブミン)
本発明のパネル中に存在する別の例示的なバイオマーカーは、プレアルブミンの一形態であり、本明細書においてトランスサイレチンとも称される。トランスサイレチンは、147アミノ酸タンパク質である(Swiss-Protアクセッション番号P02766)。例示的なトランスサイレチンポリペプチドのアミノ酸配列を図1に示す。トランスサイレチンに対する抗体は、当該技術分野で周知の任意の方法を使用して作製することができ、又は、例えば、Santa Cruz Biotechnology,Inc.から購入することができる(カタログ番号sc-13098)(www.scbt.com、Santa Cruz,CA)。本発明の態様において、トランスサイレチンは、卵巣がんを有しない対象と比較して、卵巣がんを有する対象において下方調節される。
【0168】
トランスフェリン
トランスフェリンは、本発明のバイオマーカーのパネルの別の例示的なバイオマーカーである。トランスフェリンは、698アミノ酸タンパク質である(UniProtKB/TrEMBLアクセッション番号Q06AH7)。例示的な移行ポリペプチドのアミノ酸配列を図1に示す。トランスフェリンに対する抗体は、当該技術分野で周知の任意の方法を使用して作製することができ、又は、例えば、Santa Cruz Biotechnology,Inc.から購入することができる(カタログ番号sc-52256)(www.scbt.com、Santa Cruz,CA)。本発明の態様において、トランスフェリンは、卵巣がんを有しない対象と比較して、卵巣がんを有する対象において下方調節される。
【0169】
アポリポタンパク質A1
アポリポタンパク質A1は、本明細書では「ApoA1」とも称され、本発明のバイオマーカーのパネルにおける別の例示的なバイオマーカーである。ApoA1は、267アミノ酸タンパク質である(Swiss Protアクセッション番号P02647)。例示的なApoA1のアミノ酸配列を図1に示す。アポリポタンパク質A1に対する抗体は、当該技術分野で周知の任意の方法を使用して作製することができ、又は、例えば、Santa Cruz Biotechnology,Inc.から購入することができる(カタログ番号sc-130503)(www.scbt.com、Santa Cruz,CA)。本発明の態様において、ApoA1は、卵巣がんを有しない対象と比較して、卵巣がんを有する対象において下方調節される。
【0170】
β2ミクログロブリン
本発明の方法において有用である例示的なバイオマーカーの1つは、β2-ミクログロブリンである。β2-ミクログロブリンは、2005年6月24日に出願された米国仮特許出願公開第60/693,679号(Fung et al.)において、卵巣がんについてのバイオマーカーとして記載されている。β2-ミクログロブリンの成熟形態は、119アミノ酸前駆体に由来する99アミノ酸タンパク質である(GI:179318、SwissProtアクセッション番号P61769)。例示的なβ-2-ミクログロブリンポリペプチドのアミノ酸配列を図1に示す。β-2-ミクログロブリンの成熟形態は、図1に示されるβ-2-ミクログロブリンの残基21~119からなる。β2-ミクログロブリンは、抗体によって認識される。このような抗体は、当該技術分野で周知の任意の方法を使用して作製することができ、例えば、Abcamから商業的に購入することもできる(カタログAB759)(www.abcam.com、Cambridge,MA)。本発明の態様において、β2-ミクログロブリンは、卵巣がんを有しない対象と比較して、卵巣がんを有する対象において上方調節される。
【0171】
BRCA1
BRCA1は、本発明のバイオマーカーのパネルで使用するための別の例示的なマーカーである。BRCA1遺伝子は、染色体17の上にあり、193,689bpである(NCBIアクセッション番号NG_005905.2)。BRCA1タンパク質は、1863アミノ酸であり(GenBankアクセッション番号AAC37594.1)、DNAにおける二本鎖切断を修復し、通常は細胞成長を抑制するのに役立つ複合体の一部である。例示的なBRCA1タンパク質のアミノ酸配列を図1に示す。BRCA1に対する抗体は、当該技術分野で周知の任意の方法を使用して作製することができるか、又は例えば、Santa Cruz Biotechnology,Inc.から購入することができる(カタログ番号sc-6954)(www.scbt.com、Santa Cruz,CA)。
【0172】
BRCA1遺伝子中の生殖細胞変異は、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、及び他の種類のがんのより高いリスクと関連付けられている。本発明のいくつかの態様において、BRCA1遺伝子は、卵巣がんを有しない対象と比較して、卵巣がんを有する対象において変異する。いくつかの実施形態において、BRCA1遺伝子中の変異は、Ashkenazi Jewish(AJ)変異(例えば、c.68_69del及び/又はc.5266dup)である。
【0173】
BRCA2
BRCA2は、本発明のバイオマーカーのパネルで使用するための別の例示的なマーカーである。BRCA2遺伝子は、染色体13の上にあり、91,193bpである(NCBIアクセッション番号NG_012772.3)。BRCA2タンパク質は、3418アミノ酸であり(NCBIアクセッション番号NP_000050.2)、DNAにおける二本鎖切断の修復に関与し、通常は細胞成長を抑制するのに役立つ。例示的なBRCA2タンパク質のアミノ酸配列を図1に示す。BRCA2に対する抗体は、当該技術分野で周知の任意の方法を使用して作製することができ、又は、例えば、Santa Cruz Biotechnology,Inc.から購入することができる(カタログ番号sc-293185)(www.scbt.com、Santa Cruz,CA)。
【0174】
BRCA2遺伝子中の生殖細胞変異は、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、及び他の種類のがんのより高いリスクと関連付けられている。本発明のいくつかの態様において、BRCA2遺伝子は、卵巣がんを有しない対象と比較して、卵巣がんを有する対象において変異する。いくつかの実施形態において、BRCA2遺伝子中の変異は、Ashkenazi Jewish(AJ)変異(例えば、c.5946del)である。
【0175】
バイオマーカー、及びタンパク質の異なる形態
タンパク質は、複数の異なる形態で、試料中に頻繁に存在する。これらの形態は、翻訳前修飾及び/又は翻訳後修飾から生じることができる。翻訳前修飾形態としては、対立遺伝子バリアント、スプライスバリアント、及びRNA編集形態が挙げられる。翻訳後修飾形態としては、タンパク質分解切断(例えば、シグナル配列若しくは親タンパク質の断片の切断)、グリコシル化、リン酸化、脂質付加、酸化、メチル化、システイン化、スルホン化、及びアセチル化から生じる形態が挙げられる。試料中のタンパク質を検出又は測定する場合、形態のいずれか又は全てを測定して、バイオマーカーのレベルを決定してもよく、又は目的の形態が測定される。タンパク質の異なる形態を識別する能力は、差異の性質、及びタンパク質を検出又は測定するために使用される方法に依存する。例えば、モノクローナル抗体を使用するイムノアッセイは、エピトープを含有するタンパク質の全ての形態を検出し、かつそれらを区別しない。しかしながら、タンパク質上の異なるエピトープに対して指向する2つの抗体を使用するサンドイッチイムノアッセイは、両方のエピトープを含有するタンパク質の全ての形態を検出し、エピトープのうちの1つのみを含有するこれらの形態を検出しない。分析物の異なる形態を区別するか、又は分析物の特定の形態を特異的に検出することは、分析物を「分割する」と称される。
【0176】
質量分析計は、異なる形態が、典型的には、質量分析法によって分割することができる異なる質量を有するため、タンパク質の異なる形態を分割するための特に強力な方法論である。したがって、ある形態のタンパク質が、別の形態のバイオマーカーよりも、ある疾患について優れたバイオマーカーである場合、質量分析法は、従来のイムノアッセイがその形態を区別することができず、また有用なバイオマーカーに対して特異的に検出することができない有用な形態を、特異的に検出し、かつ測定することができる場合がある。
【0177】
1つの有用な方法論は、質量分析法とイムノアッセイとを組み合わせる。例えば、生物特異的捕捉試薬(例えば、バイオマーカー及びその他の形態を認識する抗体、アプタマー、アフィボディ等)を使用して、目的のバイオマーカーを捕捉する。複数の実施形態において、生物特異的捕捉試薬は、固相、例えば、ビーズ、プレート、膜又はアレイに結合する。結合していない物質を洗い流した後、捕捉された分析物を、質量分析法によって検出及び/又は測定する。この方法はまた、タンパク質に結合しているか、又は抗体によってそれ以外の方法で認識され、かつそれ自体をバイオマーカーとすることができるタンパク質相互作用因子の捕捉をもたらす。レーザ脱離アプローチ(従来のMALDI又はSELDIなど)、エレクトロスプレーイオン化等を含む、様々な形態の質量分析法は、タンパク質形態を検出するのに有用である。
【0178】
したがって、本明細書で特定のタンパク質を検出する、又は特定のタンパク質の量を測定するとの言及がなされる場合、様々な形態のタンパク質を分割して、又は分割することなく、タンパク質を検出し、かつ測定することを意味する。例えば、「β-2ミクログロブリンを検出する」ステップは、タンパク質の様々な形態の間で識別しない手段(例えば、特定のイムノアッセイ)によって、及びいくつかの形態を他の形態から識別する、若しくは特定の形態のタンパク質を測定する手段によって、β-2ミクログロブリンを検出することを含む。
【0179】
卵巣がんについてのバイオマーカーの検出
本発明のバイオマーカーは、任意の好適な方法によって検出することができる。本明細書に記載の方法は、個々に使用することができる、又はバイオマーカーのより正確な検出のために組み合わせて使用することができる(例えば、質量分析法と組み合わせたバイオチップ、質量分析法と組み合わせたイムノアッセイ等)。
【0180】
本発明で用いることができる検出パラダイムとしては、光学的方法、電気化学的方法(ボルタメトリー及びアンペロメトリー技術)、原子力顕微鏡法、並びに高周波法、例えば、多極共鳴分光法が挙げられるが、これらに限定されない。光学的方法の例示としては、共焦点法及び非焦点法の両方の顕微鏡法に加え、蛍光、発光、化学発光、吸光度、反射率、透過率、及び複屈折率又は屈折率の検出(例えば、表面プラズモン共鳴、偏光解析法、共振鏡法、格子連結器波導法又は干渉法)がある。
【0181】
これらの方法及び追加の方法について、以下で説明する。
【0182】
イムノアッセイによる検出
特定の実施形態において、本発明のバイオマーカーは、イムノアッセイによって測定される。イムノアッセイは、典型的には、抗体(又はマーカーに特異的に結合する他の剤)を利用して、試料中のバイオマーカーの存在又はレベルを検出する。抗体は、当該技術分野で周知の方法によって、例えば、バイオマーカーで動物を免疫化することによって産生することができる。バイオマーカーは、それらの結合特徴に基づいて試料から単離することができる。あるいは、ポリペプチドバイオマーカーのアミノ酸配列が既知である場合、ポリペプチドを合成し、そしてこれを使用して、当該技術分野で周知の方法によって抗体を生成することができる。
【0183】
本発明は、例えば、ウェスタンブロット、ELISA及び他の酵素イムノアッセイを含むサンドイッチイムノアッセイ、蛍光ベースのイムノアッセイ、化学発光等を含む従来のイムノアッセイを企図する。ネフェロメトリーは、液相中で行われるアッセイであり、抗体は溶液中にある。抗体への抗原の結合は、測定される吸光度の変化をもたらす。イムノアッセイの他の形態としては、磁気イムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、及びリアルタイム免疫定量PCR(iqPCR)が挙げられる。
【0184】
イムノアッセイは、固体基質(例えば、チップ、ビーズ、マイクロ流体プラットフォーム、膜)、又はマーカーへの抗体の結合及びその後の検出を補助する任意の他の形態で行うことができる。一度に単一のマーカーを検出してもよく、又は多重フォーマットを使用してもよい。多重免疫分析は、平面マイクロアレイ(タンパク質チップ)及びビーズベースのマイクロアレイ(懸濁液アレイ)を伴っていてもよい。
【0185】
SELDIベースのイムノアッセイにおいて、バイオマーカーのための生物特異的捕捉試薬は、MSプローブの表面、例えば、予め活性化されたProteinChipアレイに取り付けられている。次いで、バイオマーカーは、この試薬によってバイオチップ上に特異的に捕捉され、捕捉されたバイオマーカーは、質量分析法によって検出される。
【0186】
バイオチップによる検出
本発明の態様において、試料は、バイオチップ(マイクロアレイとしても知られる)によって分析される。本発明のポリペプチド及び核酸分子は、バイオチップにおけるハイブリダイゼーション可能なアレイ要素として有用である。バイオチップは、一般的に、固体基質を含み、捕捉試薬(吸着剤又は親和性試薬とも呼ばれる)が取り付けられた、ほぼ平坦な表面を有する。多くの場合、バイオチップの表面は、複数のアドレス可能な位置を含み、その各々がそこに結合された捕捉試薬を有する。
【0187】
アレイ要素は、各要素が基質上の指定された位置に存在するように、規則正しい様式で整理される。有用な基質材料としては、紙、ナイロン又は他の材料で構成される膜、フィルター、チップ、ガラススライド、及び他の固体支持体が挙げられる。アレイ要素の規則正しい配置により、ハイブリダイゼーションパターン及び強度を、特定の遺伝子又はタンパク質の発現レベルとして解釈することができる。核酸マイクロアレイを作製する方法は、当業者に知られており、例えば、米国特許第5,837,832号、Lockhart,et al.(Nat.Biotech.14:1675-1680,1996)、及びSchena, et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.93:10614-10619,1996)に記載されており、本明細書に参照により組み込まれる。ポリペプチドマイクロアレイを作製する方法は、例えば、Ge(Nucleic Acids Res.28:e3.i-e3.vii,2000)、MacBeath et al.,(Science 289:1760-1763,2000)、Zhu et al.(Nature Genet.26:283-289)、及び米国特許第6,436,665号に記載されており、本明細書に参照により組み込まれる。
【0188】
タンパク質バイオチップによる検出
本発明の態様において、試料は、タンパク質バイオチップ(タンパク質マイクロアレイとしても知られる)によって分析される。このようなバイオチップは、本発明のポリペプチド、又はその断片の発現又は翻訳後修飾における改変を特定するために、高スループット低コストスクリーニングに有用である。複数の実施形態において、本発明のタンパク質バイオチップは、対象試料中に存在するバイオマーカーに結合し、そしてバイオマーカーのレベルの改変を検出する。典型的には、タンパク質バイオチップは、固体支持体に結合したタンパク質、又はその断片を特徴とする。好適な固体支持体としては、膜(例えば、ニトロセルロース、紙、若しくは他の物質で構成される膜)、ポリマー系フィルム(例えば、ポリスチレン)、ビーズ、又はガラススライドが挙げられる。いくつかの用途のために、タンパク質(例えば、本発明のマーカーに結合する抗体)は、当業者に既知の任意の便利な方法を使用して(例えば、手によって、又はインクジェットプリンタによって)基材上にスポッティングされる。
【0189】
いくつかの実施形態において、タンパク質バイオチップは、検出可能なプローブを用いてハイブリダイゼーションされる。そのようなプローブは、ポリペプチド、核酸分子、抗体、又は小分子とすることができる。いくつかの用途について、ポリペプチド及び核酸分子プローブは、体液(例えば、血液、血清、血漿、唾液、尿、腹水、嚢胞液等)、均質化された組織試料(例えば、生検若しくは液体生検によって得られた組織試料)、又は患者試料から単離された細胞等の患者から採取された生体試料に由来する。プローブはまた、抗体、候補ペプチド、核酸、又はペプチド、核酸、若しくは化学ライブラリに由来する小分子化合物を含むことができる。ハイブリダイゼーション条件(例えば、温度、pH、タンパク質濃度、及びイオン強度)は、特定の相互作用を促進するように最適化される。このような条件は、当業者に知られており、また、例えば、Harlow,E.and Lane,D.,Using Antibodies:A Laboratory Manual.1998,New York:Cold Spring Harbor Laboratoriesに記載されている。非特異的プローブの除去後、特異的に結合したプローブは、例えば、蛍光、酵素活性(例えば、酵素結合熱量測定アッセイ)、直接イムノアッセイ、放射線測定アッセイ、又は当業者に知られている任意の他の好適な検出可能な方法によって検出される。
【0190】
多くのタンパク質バイオチップが、当該技術分野において記載されている。これらのバイオチップとしては、例えば、Ciphergen Biosystems,Inc.(Fremont,CA)、Zyomyx(Hayward,CA)、Packard BioScience Company(Meriden,CT)、Phylos(Lexington,MA)、Invitrogen(Carlsbad,CA)、Biacore(Uppsala,Sweden)、及びProcognia(Berkshire,UK)によって製造されるタンパク質バイオチップが挙げられる。このようなタンパク質バイオチップの例は、以下の特許又は公開されている特許出願に記載されている。米国特許第6,225,047号、同第6,537,749号、同第6,329,209号、及び同第5,242,828号、PCT国際公開第WO00/56934号、同第WO03/048768号、及び同第WO99/51773号。
【0191】
核酸バイオチップによる検出
本発明の態様において、試料は、核酸バイオチップ(核酸マイクロアレイとしても知られる)によって分析される。核酸バイオチップを産生するために、オリゴヌクレオチドは、PCT出願第W095/251116号(Baldeschweiler et al.)に記載されるように、化学カップリング手順及びインクジェット適用装置を使用して、合成又は基質の表面に結合されてもよい。あるいは、格子状アレイを使用して、真空システム、熱、UV、機械的又は化学的結合手順を使用して、cDNA断片又はオリゴヌクレオチドを基質の表面に配置し、かつ連結してもよい。
【0192】
生体試料に由来する核酸分子(例えば、RNA又はDNA)を使用して、本明細書に記載されるハイブリダイゼーションプローブを産生してもよい。生体試料は、一般的に、例えば、体液(血液、血清、血漿、唾液、尿、腹水、嚢胞液等など)、均質化された組織試料(例えば、生検若しくは液体生検によって得られた組織試料)、又は患者試料から単離された細胞等として、患者に由来する。いくつかの用途のためには、培養された細胞又は他の組織調製物を使用してもよい。mRNAは、標準的な方法に従って単離され、そしてcDNAが産生され、かつこれをテンプレートとして使用して、ハイブリダイゼーションのために好適な相補的RNAを作製する。このような方法は、当該技術分野で周知である。RNAを、蛍光ヌクレオチドの存在下で増幅させ、次いで、標識されたプローブを、マイクロアレイを用いてインキュベートし、プローブ配列を、バイオチップに結合した相補的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることを可能にする。
【0193】
インキュベーション条件は、ハイブリダイゼーションが、用いられるストリンジェンシーの程度に応じて、正確な相補的マッチ又は様々な程度の相補性のより低い状態で生じるように調整される。例えば、ストリンジェントな塩濃度は、通常、約750mMのNaCl及び75mMのクエン酸三ナトリウムより少なく、約500mMのNaCl及び50mMのクエン酸三ナトリウムより少なく、又は約250mMのNaCl及び25mMのクエン酸三ナトリウムより少ない。ストリンジェンシーの低いハイブリダイゼーションは、有機溶媒、例えば、ホルムアミドの不在下で得ることができ、一方、ストリンジェンシーの高いハイブリダイゼーションは、少なくとも約35%のホルムアミド、そして最も好ましくは少なくとも約50%のホルムアミドの存在下で得ることができる。ストリンジェントな温度条件は、通常、少なくとも約30℃、少なくとも約37℃、少なくとも約42℃の温度を含むであろう。ハイブリダイゼーション時間、洗剤、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の濃度、及び担体DNAの包含又は除外等の様々な追加のパラメータは、当業者に周知である。必要に応じてこれらの様々な条件を組み合わせることにより、様々なレベルのストリンジェンシーが実現される。好ましい実施形態において、ハイブリダイゼーションは、750mMのNaCl、75mMのクエン酸三ナトリウム、及び1%のSDS中、30℃で行われる。複数の実施形態において、ハイブリダイゼーションは、500mMのNaCl、50mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、35%のホルムアルデヒド、及び100μg/mlの変性サケ精子DNA(ssDNA)中、37℃で行われる。他の実施形態において、ハイブリダイゼーションは、250mMのNaCl、25mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、50%のホルムアルデヒド、及び200μg/mlのssDNA中、42℃で行われる。これらの条件の有用な変形形態は、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0194】
ハイブリダイゼーションされていないプローブの除去は、例えば、洗浄することによって達成され得る。ハイブリダイゼーションに続く、洗浄するステップも、ストリンジェンシーの点で変化させることができる。洗浄のストリンジェンシー条件は、塩濃度及び温度によって定義することができる。上述のように、洗浄のストリンジェンシーは、塩濃度を下げることによって、又は温度を上げることによって、増加させることができる。例えば、洗浄ステップのストリンジェントな塩濃度は、好ましくは、約30mMのNaCl及び3mMのクエン酸三ナトリウムより少なく、最も好ましくは、約15mMのNaCl及び1.5mMのクエン酸三ナトリウムより少ない。洗浄ステップのストリンジェントな温度条件は、通常、少なくとも約25℃、少なくとも約42℃、又は少なくとも約68℃の温度を含む。複数の実施形態において、洗浄ステップは、30mMのNaCl、3mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1%のSDS中、25℃で行われる。より好ましい実施形態において、洗浄ステップは、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1%のSDS中、42℃で行われる。他の実施形態において、洗浄ステップは、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1%のSDS中、68℃で行われる。これらの条件の追加の変形形態は、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0195】
異なる核酸配列の全てについてのハイブリダイゼーションの不在、存在、及び量を測定するための検出システムは、当該技術分野で周知である。例えば、同時検出は、Heller et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.94:2150-2155,1997に記載されている。複数の実施形態において、スキャナを使用して、蛍光のレベル及びパターンを決定する。
【0196】
質量分析法による検出
本発明の態様において、本発明のバイオマーカーは、質量分析法(MS)によって検出される。質量分析法は、気相イオンを検出するために質量分析計を用いる化学化合物を分析するための周知のツールである。質量分析計は、当該技術分野において周知であり、飛行時間型、磁気セクタ、四重極フィルター、イオントラップ、イオンサイクロトロン共鳴、静電セクタ分析機、及びこれらのハイブリッドが挙げられるが、これらに限定されない。方法は、自動化された形態で実施されてもよく(Villanueva,et al.,Nature Protocols(2006)1(2):880-891)、又は半自動化された形態で実施されてもよい。これは、例えば、液体クロマトグラフィーデバイス(LC-MS/MS若しくはLC-MS)又はガスクロマトグラフィーデバイス(GC-MS若しくはGC-MS/MS)に作動可能に連結された質量分析計を用いて達成することができる。質量分析法を実施するための方法は周知であり、また、例えば、米国特許出願公開第2005/0023454号、同第2005/0035286号、米国特許第5,800,979号、及びそれらに開示されている参照文献に開示されている。
【0197】
レーザ脱離/イオン化
複数の実施形態において、質量分析計は、レーザ脱離/イオン化質量分析計である。レーザ脱離/イオン化質量分析計において、分析物は、質量分析プローブの表面上に配置され、質量分析プローブは、質量分析計のプローブ界面に係合し、そしてイオン化及び質量分析計への導入のための電離エネルギーに分析物を提示するように適合されたデバイスである。レーザ脱離質量分析計は、レーザエネルギー(典型的には紫外線レーザによるが、赤外線レーザからのものも)を用い、表面から分析物を脱離され、それらを揮発させ、イオン化し、そして質量分析計のイオン光学系に利用可能なものにする。LDIによるタンパク質の分析は、MALDI又はSELDIの形態をとることができる。LDIによるタンパク質の分析は、MALDI又はSELDIの形態をとることができる。
【0198】
単一の飛行時間型機器におけるレーザ脱離/イオン化は、典型的には、線形抽出モードで実施される。タンデム質量分析計は、直交抽出モードを用いることができる。
【0199】
マトリックス支援レーザ脱離/イオン化(MALDI)及びエレクトロスプレーイオン化(ESI)
複数の実施形態において、本発明で使用するための質量分析技術は、マトリックス支援レーザ脱離/イオン化(MALDI)又はエレクトロスプレーイオン化(ESI)である。関連する実施形態において、手順は、時間飛行型(TOF)分析を伴うMALDIであり、MALDI-TOF MSとして知られる。これは、用いられる特定の波長で入射光を強く吸収する剤を用いて、膜上にマトリックスを形成することを伴う。試料は、UV又はIRレーザ光によって、MALDI質量分析計の蒸気相へと励起される。イオンは、蒸気化によって生成され、イオンプルームを形成する。イオンを、電場中で加速させ、そして所与の距離に沿って移動する時間に応じて分離し、非常に正確かつ感度が高い質量/電荷(m/z)の読み取り値を与える。MALDI分光計は、当該技術分野において周知であり、例えば、PerSeptive Biosystems,Inc.(Framingham,Mass.,USA)から商業的に入手可能である。
【0200】
磁性ベースの血清処理を、従来のMALDI-TOFと組み合わせることができる。このアプローチによって、マトリックスの混合及びMALDI標的プレート上への試料の堆積の前に、改善されたペプチド捕捉が達成される。したがって、複数の実施形態において、ペプチド捕捉方法は、誘導体化された磁気ビーズベースの試料処理の使用によって増強される。
【0201】
MALDI-TOF MSは、多くのタンパク質の断片を一度にスキャンすることを可能にする。したがって、多くのタンパク質をポリアクリルアミドゲル上で同時に試行することができ、採取膜上にスポットのアレイを産生するための本発明の方法を行い、アレイを分析してもよい。続いて、自動化された結果の出力は、サーバ(例えば、ExPASy)を使用して、コンピュータに好適な形態でデータを生成することによって提供される。
【0202】
MALDI-TOF MSの質量の精度及び感度を改善するための他の技術を使用して、採取膜上で得られたタンパク質の断片を分析することができる。これらの技術としては、遅延イオン抽出、エネルギー反射器、イオントラップモジュール等の使用が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、ポストソース分解及びMS-MS分析は、更なる構造分析を提供するのに有用である。ESIでは、試料は、液相中にあり、イオントラップ、TOF、単一四重極、多重四重極質量分析計等によって分析することができる。(単一四重極以外の)そのようなデバイスの使用は、MS-MS又はMS分析を実行することを可能にする。タンデム質量分析法により、複数の反応を同時にモニタリングすることができる。
【0203】
真空を破壊することなく、少量の試料を質量分析計に効率的に導入することができるため、例えば、キャピラリー注入を用いて、マーカーを所望の質量分析計の実装に導入してもよい。キャピラリーカラムは、質量分析計のイオン化源を、ガスクロマトグラフィー(GC)及び液体クロマトグラフィー(LC)を含むがこれらに限定されない他の分離技術とインターフェース接続するために、常套的に使用される。GC及びLCは、質量分析の前に溶液をその異なる成分に分離する役割を果たすことができる。このような技術は、質量分析法と容易に組み合わされる。この技術の変形形態のうちの1つは、統合された試料分離/及び質量分析計による分析のために、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を質量分析計に連結することである。
【0204】
本発明を実施するために必要に応じて、四重極質量分析機も用いられてもよい。フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTMS)もまた、いくつかの発明の実施形態のために使用することができる。これは、高解像度と、タンデム質量分析実験の能力を与える。FTMSは、磁場の存在下で帯電した粒子が軌道を周回するという原理に基づいている。ESI及びMALDIに連結して、FTMSは、0.001%の低い誤差で、高精度を与える。
【0205】
表面増強レーザ脱離/イオン化(SELDI)
複数の実施形態において、本発明で使用するための質量分析技術は、例えば、両方ともHutchens及びYipに対する米国特許5,719,060号及び同第6,225,047号に記載されるような「表面増強レーザ脱離/イオン化」又は「SELDI」である。これは、分析物(ここでは、バイオマーカーのうちの1つ以上)がSELDI質量分析プローブの表面上に捕捉される、脱離/イオン化気相イオン分光法(質量分析法)の方法を指す。
【0206】
SELDIはまた、「親和性捕捉質量分析法」とも呼ばれている。これは、「表面増強親和性捕捉」又は「SEAC」とも呼ばれる。このバージョンは、物質と分析物との間の非共有結合性親和性相互作用(吸着)を介して分析物を捕捉するプローブ表面上に物質を有するプローブの使用を伴う。この物質は、様々に、「吸着剤」、「捕捉試薬」、「親和性試薬」、又は「結合部分」と呼ばれる。そのようなプローブは、「親和性捕捉プローブ」と称することができ、また「吸着性表面」を有するものとして称することができる。捕捉試薬は、分析物に結合することができる任意の物質とすることができる。捕捉試薬は、物理吸着又は化学吸着によってプローブ表面に取り付けられている。特定の実施形態において、プローブは、表面に既に取り付けられた捕捉試薬を有する。他の実施形態において、プローブは、予め活性化されており、かつ、例えば、共有結合性又は配位共有結合を形成する反応によって、捕捉試薬に結合することができる反応性部分を含む。エポキシド及びアシル-イミジゾールは、抗体又は細胞受容体等のポリペプチド捕捉試薬に共有結合するのに有用な反応性部分である。ニトリロ三酢酸及びイミノ二酢酸は、ヒスチジン含有ペプチドと非共有結合的に相互作用する金属イオンに結合するキレート剤として機能する有用な反応性部分である。吸着剤は、一般的に、クロマトグラフィー吸着剤及び生物特異性吸着剤として分類される。
【0207】
「クロマトグラフィー吸着剤」は、典型的にクロマトグラフィーで使用される吸着物質を指す。クロマトグラフィー吸着剤としては、例えば、イオン交換物質、金属キレート剤(例えば、ニトリロ三酢酸若しくはイミノ二酢酸)、固定化金属キレート剤、疎水性相互作用吸着剤、親水性相互作用吸着剤、染料、単純な生体分子(例えば、ヌクレオチド、アミノ酸、単純糖及び脂肪酸)、並びに混合モードの吸着剤(例えば、疎水性誘引/静電反発吸着剤)が挙げられる。
【0208】
「生物特異性吸着剤」は、生体分子、例えば、核酸分子(例えば、アプタマー)、ポリペプチド、多糖類、脂質、ステロイド又はこれらのコンジュゲート(例えば、糖タンパク質、リポタンパク質、糖脂質、核酸(例えば、DNA)-タンパク質コンジュゲート)を含む吸着剤を指す。特定の場合において、生物特異性吸着剤は、多タンパク質複合体、生体膜、又はウイルス等の巨大分子構造とすることができる。生物特異性吸着剤の例は、抗体、受容体タンパク質及び核酸である。生物特異性吸着剤は、典型的には、クロマトグラフィー吸着剤よりも標的分析物に対してより高い特異性を有する。SELDIで使用するための吸着剤の更なる例は、米国特許第6,225,047号に見出すことができる。「生物選択性吸着剤」は、少なくとも10-8Mの親和性で分析物に結合する吸着剤を指す。
【0209】
Ciphergenによって製造されるタンパク質バイオチップは、アドレス指定可能な位置でそれらに取り付けられるクロマトグラフィー吸着剤又は生物特異性吸着剤を有する表面を含む。CiphergenのProteinChip(登録商標)アレイとしては、NP20(親水性)、H4及びH50(疎水性)、SAX-2、Q-10及び(アニオン交換)、WCX-2及びCM-10(カチオン交換)、IMAC-3、IMAC-30及びIMAC-50(金属キレート剤)、並びにPS-10、PS-20(アシル-イミダゾール、エポキシドを有する反応性表面)及びPG-20(アシル-イミダゾールを介して連結したタンパク質G)が挙げられる。疎水性ProteinChipアレイは、イソプロピル又はノニルフェノキシ-ポリ(エチレングリコール)メタクリレート官能基を有する。アニオン交換ProteinChipアレイは、四級アンモニウム官能基を有する。カチオン交換ProteinChipアレイは、カルボキシレート官能基を有する。固定化金属キレート剤ProteinChipアレイは、キレート化によって銅、ニッケル、亜鉛、及びガリウム等の遷移金属イオンを吸着する、ニトリロ三酢酸官能基(IMAC 3及びIMAC 30)を有するか、又はO-メタクリロイル-N,N-ビス-カルボキシメチルチロシン官能基(IMAC 50)を有する。予め活性化されたProteinChipアレイは、共有結合のために基又はタンパク質と反応することができるアシル-イミダゾール又はエポキシド官能基を有する。
【0210】
そのようなバイオチップは、米国特許第6,579,719号(Hutchens and Yip,“Retentate Chromatography”,2003年6月17日)、米国特許第6,897,072号(Rich et al.,“Probes for a Gas Phase Ion Spectrometer”,2005年5月24日)、米国特許第6,555,813号(Beecher et al.,“Sample Holder with Hydrophobic Coating for Gas Phase Mass Spectrometer”,2003年4月29日)、米国特許公開第2003-0032043A1号(Pohl and Papanu,“Latex Based Adsorbent Chip”,2002年7月16日)、及びPCT国際公開第WO03/040700号(Um et al.,“Hydrophobic Surface Chip”,2003年5月15日)、米国特許出願公開第2003/-0218130A1号(Boschetti et al.,“Biochips With Surfaces Coated With Polysaccharide-Based Hydrogels”,2003年4月14日)、及び米国特許第7,045,366号(Huang et al.,“Photocrosslinked Hydrogel Blend Surface Coatings”,2006年5月16日)に更に記載される。
【0211】
一般的に、吸着剤表面を有するプローブを、試料中に存在し得るバイオマーカー(複数可)を吸着剤に結合させることを可能にするのに十分な期間、試料と接触させる。インキュベーション期間の後、基質を洗浄し、結合していない物質を除去する。任意の好適な洗浄溶液を使用することができ、好ましくは水溶液を用いる。分子が結合したまま維持される程度は、洗浄のストリンジェンシーを調整することによって操作することができる。洗浄溶液の溶出特徴は、例えば、pH、イオン強度、疎水性、カオトロピズムの程度、洗剤の強度、及び温度に依存する可能性がある。プローブが(本明細書に記載されるように)SEACとSENDの両方の特性を有する場合を除き、次いで、エネルギー吸収分子が、結合したバイオマーカーと共に基質に適用される。
【0212】
更に別の方法において、バイオマーカーに結合する抗体を有する固相結合免疫吸着剤を用い、バイオマーカーを捕捉することができる。吸着剤を洗浄して、結合していない物質を除去した後、バイオマーカーを固相から溶出させ、バイオマーカーに結合するSELDIバイオチップに適用することによって検出し、そしてSELDIによって分析する。
【0213】
基質に結合したバイオマーカーを、飛行時間型質量分析計等の気相イオン分光計で検出する。バイオマーカーは、レーザ等のイオン化源によってイオン化され、生成したイオンを、イオン光学アセンブリによって集め、次いで、質量分析機が、通過するイオンを分散させ、分析する。次いで、検出器は、検出されたイオンの情報を、電荷に対する質量の比率に翻訳する。バイオマーカーの検出は、典型的には、シグナル強度の検出を伴う。したがって、バイオマーカーの量及び質量の両方を決定することができる。
【0214】
変異を特定するためにシーケンシングする
いくつかの実施形態において、生体試料(例えば、核酸バイオチップによって検出される)に由来する核酸分子(例えば、RNA又はDNA)をシーケンシングして、生殖細胞変異(例えば、BRCA1/2)又は体細胞変異などの卵巣がんと関連付けられた特定の変異を特定し得る。いくつかの実施形態において、次世代シーケンシング(NGS)又はSangerシーケンシングを使用してもよい。シーケンシング方法は、当業者に周知であり、当業者は、特定の変異を分析するために、適切なシーケンシング方法を容易に選択し、使用することができる。
【0215】
本発明の方法
本発明のバイオマーカーを含むパネルを使用して、対象において骨盤内腫瘤を特性決定し、対象が、一般外科医によって見られるべきか、又は婦人科腫瘍専門医に評価され、かつ/又は治療されるべきかを決定する。他の実施形態において、本発明のパネルを使用して、がんの分子プロファイルを決定することによって、卵巣がんを診断するか、又はステージ分類する。特定の実施形態において、本発明のパネルを使用して、対象についての治療経過を選択する。「卵巣がんステータス」という語句は、疾患なしを含む、疾患の任意の区別可能な徴候を含む。例えば、卵巣がんステータスとしては、疾患の存在若しくは不在(例えば、卵巣がん対非卵巣がん)、疾患を発症するリスク、疾患のステージ、疾患の進行(例えば、経時的な疾患の進行若しくは疾患の寛解)、予後、疾患の治療に対する有効性若しくは応答、並びに骨盤内腫瘤が、悪性又は良性、症候性又は無症候性であるかどうかの決定が挙げられるが、これらに限定されない。このステータスに基づいて、追加の診断試験又は療法手順若しくはレジメンを含む、更なる手順が示され得る。本発明の態様において、本発明のバイオマーカーを、対象において早期の卵巣がんを特定するために診断試験において使用することができる。
【0216】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、高い卵巣がんリスク、中間の卵巣がんリスク、又は低い卵巣がんリスクを有するとして対象を術前に評価する。この方法は、対象においてバイオマーカーのパネルを測定すること、又は特性決定することを伴う。疾患の治療(例えば、手術)は、この特性決定に基づいて決定される。
【0217】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーのパネルとしては、トランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、バイオマーカーの複数のパネルが、対象において測定され、又は特性決定される。一実施形態において、TT、ApoA1、β2M、Tfr、CA125 HE4及びFSHを含むがこれらに限定されないマーカーの第1のパネルが特性決定され、またCA125、β2M、Tfr、TT及びApoA1を含むがこれらに限定されないマーカーの第2のパネルが特性決定される。一実施形態において、TT、ApoA1、β2M、Tfr、CA125 HE4及びFSHを含むがこれらに限定されないマーカーの第1のパネルが特性決定され、またFSH、CA125、HE4、Tfr、及びApoA1を含むがこれらに限定されないマーカーの第2のパネルが特性決定される。別の実施形態において、TT、ApoA1、β2M、Tfr、CA125 HE4及びFSHを含むがこれらに限定されないマーカーの第1のパネルが特性決定され、FSH、CA125、HE4、Tfr、及びApoA1を含むがこれらに限定されないマーカーの第2のパネルが特性決定され、またCA125、β2M、Tfr、TT及びApoA1を含むがこれらに限定されないマーカーの第3のパネルが特性決定される。
【0218】
いくつかの実施形態において、対象からの生体試料におけるバイオマーカーのパネルの特性決定は、卵巣がんを発症するか、又は卵巣がんを有する低いリスク、中間のリスク、又は高いリスクを有するとしてその対象を特定するスコアを決定する。いくつかの実施形態において、マーカーの第1のパネルの特性決定は、第1のスコアを決定する。いくつかの実施形態において、第1のスコアによって卵巣がんを発症するか、又は卵巣がんを有する中間のリスクを有すると特定された対象は、バイオマーカーの1つ以上のパネルを用いた更なる特性決定のために選択される。いくつかの実施形態において、マーカーの第2のパネルの特性決定は、第2のスコアを決定する。いくつかの実施形態において、マーカーの第3のパネルの特性決定は、第3のスコアを決定する。いくつかの実施形態において、第1のスコアは、卵巣がんを発症する高いリスク、中間のリスク、又は低いリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、第2のスコアは、卵巣がんを発症する高いリスク又は低いリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、第2のスコアは、卵巣がんを発症する高いリスク、中間のリスク、又は低いリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、第3のスコアは、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして対象を特定する。
【0219】
いくつかの実施形態において、第1のスコアは、0~20の範囲である。いくつかの実施形態において、5以下の第1のスコアは、低いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経前ステータスを有する場合、5より大きく、かつ10未満の第1のスコアは、中間のがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経後ステータスを有する場合、5より大きく、かつ14未満の第1のスコアは、中間のがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、5より大きい第1のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経前ステータスを有する場合、10以上の第1のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、5より大きい第1のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経後ステータスを有する場合、14以上の第1のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。
【0220】
いくつかの実施形態において、第2のスコアは、0~20の範囲である。いくつかの実施形態において、5以下の第2のスコアは、低いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経前ステータスを有する場合、5以下の第2のスコアは、低いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経前ステータスを有する場合、5より大きく、かつ10未満の第2のスコアは、中間のがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経後ステータスを有する場合、5より大きく、かつ14未満の第2のスコアは、中間のがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経前ステータスを有する場合、10以上の第2のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経後ステータスを有する場合、14以上の第2のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経後ステータスを有する場合、4.4未満の第2のスコアは、低いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経前ステータスを有する場合、5より大きく、かつ7未満の第2のスコアは、中間のがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経後ステータスを有する場合、4.4より大きく、かつ6未満の第2のスコアは、中間のがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、5より大きい第2のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経前ステータスを有する場合、7以上の第2のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経後ステータスを有する場合、6以上の第2のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。
【0221】
いくつかの実施形態において、第3のスコアは、0~20の範囲である。いくつかの実施形態において、5以下の第3のスコアは、低いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、5より大きい第3のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。
【0222】
いくつかの実施形態において、対象からの生体試料は、その対象が、1つ以上の生殖細胞マーカー及び/又は体細胞マーカーにおいて1つ以上の変異を有するかどうかを検出することによって、更に特性決定される。いくつかの実施形態において、生殖細胞マーカー及び/又は体細胞マーカーは、乳がん及び/又は卵巣がんと関連付けられる。いくつかの実施形態において、1つ以上の乳がん及び/又は卵巣がんマーカーにおける1つ以上の変異の存在は、これらのマーカーのうちの1つを有しない対象と比較して、より高い[増加した]がんリスクを有する療法的介入を必要とするものとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、1つ以上の乳がん及び/又は卵巣がんマーカーにおける異常なメチル化は、これらのマーカーのうちの1つの異常なメチル化を有しない対象と比較して、より高い[増加した]がんリスクを有する療法的介入を必要とするものとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、1つ以上の乳がん及び/又は卵巣がんマーカーにおける異常なメチル化は、高メチル化である。いくつかの実施形態において、上記の乳がん及び/又は卵巣がんマーカーのうちの1つ以上の異常なメチル化は、低メチル化である。いくつかの実施形態において、卵巣がんの低いリスク、中間のリスク、又は高いリスクを有するとして、また、1つ以上の生殖細胞マーカー及び/又は体細胞マーカーにおいて1つ以上の変異を有するとして特定された対象は、療法的介入(例えば、手術)を必要とするものとして更に特定される。
【0223】
いくつかの実施形態において、乳がん及び/又は卵巣がんと関連付けられる1つ以上の生殖細胞マーカー及び/又は体細胞マーカーとしては、乳がん1(BRCA1)、乳がん2(BRCA2)、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)、BRCA1関連Ringドメイン1(BARD1)、BRCA1相互作用タンパク質C末端ヘリカーゼ1(BRIP1)、カドヘリン-1(CDH1)、チェックポイントキナーゼ2(CHEK2)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、MutLホモログ1(MLH1)、MutSホモログ2(MSH2)、MutSホモログ6(MSH6)、ニブリン(NBN)、BRCA2のパートナー及びローカライザー(PALB2)、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)、RAD51パラログD(RAD51D)、セリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、BRCA1 A複合体サブユニットabraxas 1(ABRAXAS1若しくはFAM175A)、RAC-アルファセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ(AKT1若しくはタンパク質キナーゼB)、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)、axis阻害タンパク質2(AXIN2)、骨形成タンパク質受容体1A型(BMPR1A)、がん原遺伝子B-Raf(BRAF)、細胞分裂周期25C(CDC25)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、カテニンベータ-1(CTNNB1)、RNaseモチーフを有するヘリカーゼ(DICER1)、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2(ERBB2)、切除修復交差相補性グループ6(ERCC6)、ファンコニ貧血相補性グループM(FANCM)、ファンコニ貧血相補性グループC(FANCC)、減数分裂組換え11(MRE11)、mutY DNAグリコシラーゼ(MUTYH)、ニューロフィブロミン1(NF1)、エンドヌクレアーゼIII様タンパク質1(NTHL1)、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)、減数分裂後分離増加2(PMS2)、タンパク質ホスファターゼ2調節サブユニットAアルファ(PP2R1A)、タンパク質キナーゼDNA活性化触媒サブユニット(PRKDC)、DNAポリメラーゼデルタ1触媒サブユニット(POLD1)、RAD50ホモログ(RAD50)、RAD51パラログC(RAD51C)、Ringフィンガータンパク質43(RNF43)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体鉄硫黄サブユニットB(SDHB)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体サブユニットD(SDHD)、クロマチンサブファミリーAメンバー4のSWI/SNF関連マトリックスに関連付けられたアクチン依存性調節因子(SMARCA4)、チャイニーズハムスター細胞2におけるX線修復相補性欠損修復(XRCC2)、ウェルナー症候群ATP依存性ヘリカーゼ(WRN若しくはRECQL)、細胞分裂周期73(CDC73)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ12(GALNT12)、グレムリン1(GREM1)、ホメオボックスB13(HOXB13)、MutSホモログ3(MSH3)、DNAポリメラーゼエプシロン触媒サブユニット(POLE)、RAD51レコンビナーゼ(RAD51)、RAD50相互作用因子1(RINT1)、40Sリボソームタンパク質S20(RSP20)、SLX4構造特異的エンドヌクレアーゼサブユニット(SLX4)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、及び二重特異性タンパク質キナーゼTTK(TTK)、Ras関連ドメインファミリー1アイソフォームA(RASSF1A)、Runt関連転写因子3(RUNX3)、組織因子経路阻害因子2(TFPI2)、分泌frizzled関連タンパク質5(SFRP5)、オピオイド結合タンパク質/細胞接着分子(OPCML)、O-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(MGMT)、カドヘリン13(CDH13)、スルファターゼ1(SULF1)、ホメオボックスA9(HOXA9)、ホメオボックスA11(HOXAD11)、クローディン4(CLDN4)、T細胞分化タンパク質(MAL)、インプリント部位の調節因子の兄弟(BORIS)、ATP結合カセットスーパーファミリーGメンバー2(ABCG2)、チューブリンベータ3クラスIII(TUBB3)、メチル化制御DNAJ(MCJ)、シヌクレイン-γ(SNGG)、代替リーディングフレーム腫瘍抑制因子(P14ARF)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A若しくはP16INK4A)、サイクリン依存性キナーゼ4阻害因子B(CDKN2B若しくはP15)、死関連タンパク質キナーゼ1(DAPK)、カルシウムチャンネル電圧依存性T型アルファ1Gサブユニット(CACNA1G若しくはMINT31)、網膜芽腫相互作用ジンクフィンガータンパク質1(RIZ1)、及びメチル化誘導サイレンシングの標的1(TMS1)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0224】
いくつかの実施形態において、生殖細胞マーカーは、BRCA1及び/又はBRCA2である。いくつかの実施形態において、BRCA1変異は、68_69del及び/又はc.5266dupである。いくつかの実施形態において、BRCA2変異は、c.5946delである。
【0225】
いくつかの実施形態において、卵巣がんの高いリスク、中間のリスク、又は低いリスクを有するとして対象を術前に評価するための方法は、対象における卵巣がんリスクの1つ以上の臨床バイオマーカーを特性決定することを更に含み、1つ以上の臨床バイオマーカーは、年齢、閉経前ステータス、閉経後ステータス、民族、病理、付属器腫瘤診断、家族歴、身体検査、画像化結果、及び/又は喫煙歴からなる群から選択され、1つ以上の臨床バイオマーカーは、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして対象を更に特定する。いくつかの実施形態において、対象は、付属器腫瘤を有すると診断される。いくつかの実施形態において、対象は、無症候性の付属器腫瘤を有すると診断される。いくつかの実施形態において、対象は、症候性の付属器腫瘤を有すると診断される。いくつかの実施形態において、対象は、閉経前である。いくつかの実施形態において、対象は、閉経後である。
【0226】
本方法は、卵巣がんを患っているか、又は卵巣がんに対する感受性が高い対象から得られた生体試料における診断測定(例えば、スクリーニングアッセイ又は検出アッセイ)を含む。いくつかの実施形態において、診断測定は、生体試料中のマーカーを特性決定する。いくつかの実施形態において、生体試料は、血清である。いくつかの実施形態において、1つ以上のマーカーは、無細胞腫瘍DNA(cftDNA)を検出することによって特性決定される。いくつかの実施形態において、マーカーのパネルは、別個の捕捉試薬に結合される。いくつかの実施形態において、捕捉試薬は、固体支持体に取り付けられている。いくつかの実施形態において、固体支持体は、プレート、チップ、ビーズ、マイクロ流体プラットフォーム、膜、平面マイクロアレイ、又は懸濁アレイである。いくつかの実施形態において、捕捉試薬は、抗体、アプタマー、アフィボディ、ハイブリダイゼーションプローブ、及び/又はそれらの断片である。各捕捉試薬は、マーカーのうちの1つに特異的に結合する。いくつかの実施形態において、マーカーは、イムノアッセイ、シーケンシング、及び/又は核酸マイクロアレイによって特性決定される。いくつかの実施形態において、シーケンシングは、次世代シーケンシング(NGS)又はSangerシーケンシングである。いくつかの実施形態において、イムノアッセイは、アフィニティーキャプチャーアッセイ、免疫測定アッセイ、不均一化学発光免疫測定アッセイ、均一化学発光免疫測定アッセイ、ELISA、ウェスタンブロッティング、ラジオイムノアッセイ、磁気イムノアッセイ、リアルタイム免疫定量PCR(iqPCR)、及びSERSラベルフリーアッセイを含む。
【0227】
試験結果と卵巣がんとの相関関係は、結果に対してある種の分類アルゴリズムを適用し、ステータスを生成することを伴う。分類アルゴリズムは、表1に列挙されるマーカー又はマーカーの組み合わせの量が、特定のカットオフ数を上回るか、又は下回るかを決定する程度に単純なものであってもよい。複数のバイオマーカーを使用する場合、分類アルゴリズムは、線形回帰式であってもよい。あるいは、分類アルゴリズムは、本明細書に記載されるいくつかの学習アルゴリズムのうちのいずれかの積であってもよい。
【0228】
複雑な分類アルゴリズムの場合、コンピュータ、例えば、プログラム可能なデジタルコンピュータを使用して、データに対してアルゴリズムを実施し、それによって分類を決定することが必要である場合がある。いずれの場合も、次いで、有形媒体、例えば、コンピュータ可読フォーマット、例えば、メモリデバイス又はディスクにステータスを記録するか、又は単純に紙に印刷することができる。その結果は、コンピュータスクリーン上に報告することもできる。
【0229】
本発明のバイオマーカー
個々のバイオマーカーは、有用な診断バイオマーカーである。加えて、実施例に記載されるように、バイオマーカーのある特定の組み合わせが、任意の単一のバイオマーカー単独、又は以前に特定されたバイオマーカーの任意の他の組み合わせよりも大きな特定のステータスの予測値を提供することが見出されている。具体的には、試料中の複数のバイオマーカーの検出は、試験の感度、精度、及び特異性を増加させることができる。
【0230】
本明細書に記載される各バイオマーカーは、卵巣がんにおいて差次的に存在することができ、したがって、各々が、卵巣がんステータスの決定を補助するのに個々に有用である。本方法は、第1に、本明細書に記載の方法、例えば、SELDIバイオチップ上で捕捉し、その後の質量分析法による検出を含むが、これに限定されない、当該技術分野で周知の任意の方法を使用して、対象の試料において選択されたバイオマーカーを測定することと、第2に、測定値と、陽性卵巣がんステータスを陰性卵巣がんステータスから区別する診断量又はカットオフとを比較することと、を伴う。診断量は、その量を上回るか、又はその量を下回るかが、対象を特定の卵巣がんステータスを有するとして分類する、バイオマーカーの測定された量を表す。例えば、バイオマーカーが、卵巣がんの間に正常と比較して上方調節される場合、診断カットオフを超える測定量は、卵巣がんの診断を提供する。あるいは、バイオマーカーが、卵巣がんの間に下方調節される場合、診断カットオフを下回る測定された量は、卵巣がんの診断を提供する。当該技術分野において十分に理解されているように、アッセイで使用される特定の診断カットオフを調整することによって、診断者の好みに応じて、診断アッセイの感度又は特異性を増加させることができる。特定の診断カットオフは、例えば、本明細書でそうされたように、異なる卵巣がんステータスを有する対象からの統計的に有意な数の試料におけるバイオマーカーの量を測定し、そして診断者の所望のレベルの特異性又は感度に適するようにカットオフを示すことによって決定することができる。
【0231】
本発明のバイオマーカー(単独で、又は組み合わせて使用される)は、少なくともp≦0.05、p≦10-2、p≦10-3、p≦10-4、又はp≦10-5の異なる卵巣がんステータスにおける統計的差異を示す。これらのバイオマーカーを単独で、又は組み合わせて使用する診断試験は、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は約100%の感度及び特異性を示す。
【0232】
疾患の経過(進行/寛解)を決定する
一実施形態において、本発明は、対象における疾患の経過をモニタリング又は決定するための方法を提供する。疾患経過とは、疾患の進行(悪化)及び疾患の退縮(改善)を含む、経時的な疾患ステータスの変化を指す。経時的に、バイオマーカーの量又は相対量(例えば、パターン)が変化する。したがって、この方法は、少なくとも2つの異なる時点(例えば、第1の時点及び第2の時点)の間に対象からの生体試料中のバイオマーカーのパネルを測定又は特性決定することと、存在する場合、量の変化を比較することと、を伴う。(例えば、治療の間の)疾患の経過は、これらの比較に基づいて決定される。
【0233】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーのパネルとしては、トランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、バイオマーカーの複数のパネルは、少なくとも2つの異なる時点の間、対象からの生体試料において測定されるか、又は特性決定される。一実施形態において、TT、ApoA1、β2M、Tfr、CA125 HE4及びFSHを含むがこれらに限定されないマーカーの第1のパネルが特性決定され、またCA125、β2M、Tfr、TT及びApoA1を含むマーカーの第2のパネルが特性決定される。一実施形態において、TT、ApoA1、β2M、Tfr、CA125 HE4及びFSHを含むがこれらに限定されないマーカーの第1のパネルが特性決定され、またFSH、CA125、HE4、Tfr、及びApoA1を含むマーカーの第2のパネルが特性決定される。別の実施形態において、TT、ApoA1、β2M、Tfr、CA125 HE4及びFSHを含むがこれらに限定されないマーカーの第1のパネルが特性決定され、FSH、CA125、HE4、Tfr、及びApoA1を含むがこれらに限定されないマーカーの第2のパネルが特性決定され、またCA125、β2M、Tfr、TT及びApoA1を含むがこれらに限定されないマーカーの第3のパネルが特性決定される。
【0234】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーのパネルの特性決定は、卵巣がんを発症する低いリスク、中間のリスク、又は高いリスクを有するとして対象を特定するスコアを決定し、これを異なる時点で比較して、疾患の経過をモニタリングすることができる。いくつかの実施形態において、マーカーの第1のパネルの特性決定は、第1のスコアを決定する。いくつかの実施形態において、第1のスコアから低い卵巣がんリスク又は中間の卵巣がんリスクを有すると特定された対象は、バイオマーカーの1つ以上の追加のパネルを使用して更なる特性決定のために選択される。いくつかの実施形態において、マーカーの第2のパネルの特性決定は、第2のスコアを決定する。いくつかの実施形態において、マーカーの第3のパネルの特性決定は、第3のスコアを決定する。いくつかの実施形態において、第1のスコアは、卵巣がんを発症する高いリスク、中間のリスク、又は低いリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、第2のスコアは、卵巣がんを発症する高いリスク又は低いリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、第2のスコアは、卵巣がんを発症する高いリスク、中間のリスク、又は低いリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、第3のスコアは、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして対象を特定する。
【0235】
いくつかの実施形態において、第1のスコアは、0~20の範囲である。いくつかの実施形態において、5以下の第1のスコアは、低いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経前ステータスを有する場合、5より大きく、かつ10未満の第1のスコアは、中間のがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経後ステータスを有する場合、5より大きく、かつ14未満の第1のスコアは、中間のがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、5より大きい第1のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経前ステータスを有する場合、10以上の第1のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、5より大きい第1のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経後ステータスを有する場合、14以上の第1のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。
【0236】
いくつかの実施形態において、第2のスコアは、0~20の範囲である。いくつかの実施形態において、5以下の第2のスコアは、低いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経前ステータスを有する場合、5以下の第2のスコアは、低いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経前ステータスを有する場合、5より大きく、かつ10未満の第2のスコアは、中間のがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経後ステータスを有する場合、5より大きく、かつ14未満の第2のスコアは、中間のがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経前ステータスを有する場合、10以上の第2のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経後ステータスを有する場合、14以上の第2のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経後ステータスを有する場合、4.4未満の第2のスコアは、低いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経前ステータスを有する場合、5より大きく、かつ7未満の第2のスコアは、中間のがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経後ステータスを有する場合、4.4より大きく、かつ6未満の第2のスコアは、中間のがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、5より大きい第2のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経前ステータスを有する場合、7以上の第2のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、対象が閉経後ステータスを有する場合、6以上の第2のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。
【0237】
いくつかの実施形態において、第3のスコアは、0~20の範囲である。いくつかの実施形態において、5以下の第3のスコアは、低いがんリスクを有するとして対象を特定する。いくつかの実施形態において、5より大きい第3のスコアは、高いがんリスクを有するとして対象を特定する。
【0238】
いくつかの実施形態において、卵巣がんを発症する低いリスク又は中間のリスクを有する対象は、疾患進行(すなわち、高リスクステータスの発症)についてモニタリングされる。いくつかの実施形態において、卵巣がんを発症する低いリスク又は中間のリスクを有する、1つ以上の生殖細胞マーカー及び/又は体細胞マーカーにおいて1つ以上の変異を有する対象は、疾患進行(すなわち、高リスクステータスの発症)についてモニタリングされる。いくつかの実施形態において、卵巣がんを発症する低いリスク又は中間のリスクを有する、1つ以上の生殖細胞マーカー及び/又は体細胞マーカーにおいて異常なメチル化を有する対象は、疾患進行(すなわち、高リスクステータスの発症)についてモニタリングされる。いくつかの実施形態において、異常なメチル化は、高メチル化である。いくつかの実施形態において、異常なメチル化は、低メチル化である。
【0239】
いくつかの実施形態において、1つ以上の生殖細胞マーカー及び/又は体細胞マーカーとしては、乳がん1(BRCA1)、乳がん2(BRCA2)、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)、BRCA1関連Ringドメイン1(BARD1)、BRCA1相互作用タンパク質C末端ヘリカーゼ1(BRIP1)、カドヘリン-1(CDH1)、チェックポイントキナーゼ2(CHEK2)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、MutLホモログ1(MLH1)、MutSホモログ2(MSH2)、MutSホモログ6(MSH6)、ニブリン(NBN)、BRCA2のパートナー及びローカライザー(PALB2)、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)、RAD51パラログD(RAD51D)、セリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、BRCA1 A複合体サブユニットabraxas 1(ABRAXAS1若しくはFAM175A)、RAC-アルファセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ(AKT1若しくはタンパク質キナーゼB)、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)、axis阻害タンパク質2(AXIN2)、骨形成タンパク質受容体1A型(BMPR1A)、がん原遺伝子B-Raf(BRAF)、細胞分裂周期25C(CDC25)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、カテニンベータ-1(CTNNB1)、RNaseモチーフを有するヘリカーゼ(DICER1)、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2(ERBB2)、切除修復交差相補性グループ6(ERCC6)、ファンコニ貧血相補性グループM(FANCM)、ファンコニ貧血相補性グループC(FANCC)、減数分裂組換え11(MRE11)、mutY DNAグリコシラーゼ(MUTYH)、ニューロフィブロミン1(NF1)、エンドヌクレアーゼIII様タンパク質1(NTHL1)、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)、減数分裂後分離増加2(PMS2)、タンパク質ホスファターゼ2調節サブユニットAアルファ(PP2R1A)、タンパク質キナーゼDNA活性化触媒サブユニット(PRKDC)、DNAポリメラーゼデルタ1触媒サブユニット(POLD1)、RAD50ホモログ(RAD50)、RAD51パラログC(RAD51C)、Ringフィンガータンパク質43(RNF43)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体鉄硫黄サブユニットB(SDHB)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体サブユニットD(SDHD)、クロマチンサブファミリーAメンバー4のSWI/SNF関連マトリックスに関連付けられたアクチン依存性調節因子(SMARCA4)、チャイニーズハムスター細胞2におけるX線修復相補性欠損修復(XRCC2)、ウェルナー症候群ATP依存性ヘリカーゼ(WRN若しくはRECQL)、細胞分裂周期73(CDC73)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ12(GALNT12)、グレムリン1(GREM1)、ホメオボックスB13(HOXB13)、MutSホモログ3(MSH3)、DNAポリメラーゼエプシロン触媒サブユニット(POLE)、RAD51レコンビナーゼ(RAD51)、RAD50相互作用因子1(RINT1)、40Sリボソームタンパク質S20(RSP20)、SLX4構造特異的エンドヌクレアーゼサブユニット(SLX4)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、及び二重特異性タンパク質キナーゼTTK(TTK)、Ras関連ドメインファミリー1アイソフォームA(RASSF1A)、Runt関連転写因子3(RUNX3)、組織因子経路阻害因子2(TFPI2)、分泌frizzled関連タンパク質5(SFRP5)、オピオイド結合タンパク質/細胞接着分子(OPCML)、O-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(MGMT)、カドヘリン13(CDH13)、スルファターゼ1(SULF1)、ホメオボックスA9(HOXA9)、ホメオボックスA11(HOXAD11)、クローディン4(CLDN4)、T細胞分化タンパク質(MAL)、インプリント部位の調節因子の兄弟(BORIS)、ATP結合カセットスーパーファミリーGメンバー2(ABCG2)、チューブリンベータ3クラスIII(TUBB3)、メチル化制御DNAJ(MCJ)、シヌクレイン-γ(SNGG)、代替リーディングフレーム腫瘍抑制因子(P14ARF)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A若しくはP16INK4A)、サイクリン依存性キナーゼ4阻害因子B(CDKN2B若しくはP15)、死関連タンパク質キナーゼ1(DAPK)、カルシウムチャンネル電圧依存性T型アルファ1Gサブユニット(CACNA1G若しくはMINT31)、網膜芽腫相互作用ジンクフィンガータンパク質1(RIZ1)、及びメチル化誘導サイレンシングの標的1(TMS1)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0240】
いくつかの実施形態において、生殖細胞マーカーは、BRCA1及び/又はBRCA2である。いくつかの実施形態において、BRCA1変異は、68_69del及び/又はc.5266dupである。いくつかの実施形態において、BRCA2変異は、c.5946delである。
【0241】
いくつかの実施形態において、対象における疾患の経過をモニタリング又は決定するための方法は、対象における卵巣がんリスクの1つ以上の臨床バイオマーカーを更に特性決定し、1つ以上の臨床バイオマーカーは、年齢、閉経前ステータス、閉経後ステータス、民族、病理、付属器腫瘤診断、家族歴、身体検査、画像化結果、及び/又は喫煙歴からなる群から選択され、1つ以上の臨床バイオマーカーは、低いがんリスク又は高いがんリスクを有するとして対象を更に特定する。いくつかの実施形態において、卵巣がんを発症する低いリスク又は中間のリスクを有する、付属器腫瘤を有すると診断された対象は、疾患進行(すなわち、高リスクステータス)についてモニタリングされる。いくつかの実施形態において、対象は、無症候性の付属器腫瘤を有すると診断される。いくつかの実施形態において、対象は、症候性の付属器腫瘤を有すると診断される。いくつかの実施形態において、対象は、閉経前である。いくつかの実施形態において、対象は、閉経後である。
【0242】
本方法は、卵巣がんを患っているか、又は卵巣がんに対する感受性が高い対象から得られた生体試料における診断測定(例えば、スクリーニングアッセイ又は検出アッセイ)を含む。いくつかの実施形態において、診断測定は、生体試料中のマーカーを特性決定する。いくつかの実施形態において、生体試料は、血清である。いくつかの実施形態において、1つ以上のマーカーは、無細胞腫瘍DNA(cftDNA)を検出することによって特性決定される。いくつかの実施形態において、マーカーのパネルは、別個の捕捉試薬に結合される。いくつかの実施形態において、捕捉試薬は、固体支持体に取り付けられている。いくつかの実施形態において、固体支持体は、プレート、チップ、ビーズ、マイクロ流体プラットフォーム、膜、平面マイクロアレイ、又は懸濁アレイである。いくつかの実施形態において、捕捉試薬は、抗体、アプタマー、アフィボディ、ハイブリダイゼーションプローブ、及び/又はそれらの断片である。各捕捉試薬は、マーカーのうちの1つに特異的に結合する。いくつかの実施形態において、マーカーは、イムノアッセイ、シーケンシング、及び/又は核酸マイクロアレイによって特性決定される。いくつかの実施形態において、シーケンシングは、次世代シーケンシング(NGS)又はSangerシーケンシングである。いくつかの実施形態において、イムノアッセイは、アフィニティーキャプチャーアッセイ、免疫測定アッセイ、不均一化学発光免疫測定アッセイ、均一化学発光免疫測定アッセイ、ELISA、ウェスタンブロッティング、ラジオイムノアッセイ、磁気イムノアッセイ、リアルタイム免疫定量PCR(iqPCR)、及びSERSラベルフリーアッセイを含む。
【0243】
本方法における診断測定は、治療された対象の疾患ステータスを確立するために、健康な正常な対照からの試料を、対象の疾患前の試料において、又は他の罹患した/疾患を有する患者において比較することができる。モニタリングのために、第2の診断測定値は、第1の診断測定値の決定よりも後の時点で、対象から得られてもよく、そしてこの2つの測定値を比較して、疾患の経過、又は療法/治療の有効性をモニタリングすることができる。特定の実施形態において、対象における(例えば、対象から得られた試料若しくは生検、又はCTスキャンにおける)治療前測定値は、記載されるように、治療を開始する前に決定される。次いで、この測定値を、治療を開始した後及び/又は治療の経過中の対象における測定値と比較して、疾患治療の有効性を決定する(有効性をモニタリングする)ことができる。いくつかの実施形態において、疾患治療の有効性は、抗体マーカー分析及び/又はインターフェロン-ガンマ(IFN-γ)ELISPOTアッセイを用いて実施することができる。
【0244】
ステータスを報告する
本発明の追加の実施形態は、例えば、技師、医師、又は患者に対する、アッセイ結果若しくは診断、又は両方の連絡に関する。特定の実施形態において、コンピュータを使用して、アッセイ結果若しくは診断、又は両方を、興味のある者、例えば、医師及びその患者に連絡する。いくつかの実施形態において、結果若しくは診断が連絡される国若しくは管轄区域とは異なる国若しくは管轄区域においてアッセイが行われるか、又はアッセイ結果が分析される。
【0245】
本発明の好ましい実施形態において、表1のバイオマーカー又はバイオマーカーの組み合わせの試験対象における差次的な存在又は不在に基づく診断を、診断が得られてから可能な限り速やかに対象に連絡する。診断は、対象の治療医師によって対象に連絡されてもよい。あるいは、診断を、電子メールによって試験対象に送ってもよく、又は電話によって対象に連絡してもよい。コンピュータを使用して、電子メール又は電話によって診断を連絡してもよい。特定の実施形態において、診断試験の結果を含むメッセージを生成し、電気通信の当業者によく知られているであろうコンピュータハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを使用して、対象に自動的に送ってもよい。ヘルスケアに焦点を合わせた通信システムの一例は、米国特許第6,283,761号に記載されている。しかしながら、本発明は、この特定の通信システムを利用する方法に限定されない。本発明の方法の特定の実施形態において、試料のアッセイ、疾患の診断、及びアッセイ結果若しくは診断の通信を含む方法ステップの全て又は一部は、多様な(例えば、外国の)管轄区域において行われてもよい。
【0246】
対象管理
特定の実施形態において、本発明の方法は、ステータスに基づいて対象の治療を管理することを伴う。そのような管理としては、例えば、婦人科腫瘍専門医への紹介、又は卵巣がんステータスを決定した後の医師若しくは臨床医の他の行動が挙げられる。例えば、医師が、卵巣がんの診断を行う場合、その後に、治療の特定の体制、例えば、治療薬の処方又は投与等が続いてもよい。あるいは、非卵巣がん又は非卵巣がんの診断に続いて、更なる試験を行い、患者が患っている場合がある特定の疾患を決定してもよい。また、診断試験が、卵巣がんステータスに関して決定的な結果を与えない場合、更なる試験が要求される場合がある。
【0247】
一実施形態において、診断は、骨盤内腫瘤が良性であるか、又は悪性であるかを決定する場合がある。診断が悪性である場合、婦人科腫瘍専門医は、手術を実施することを選択する場合がある。対照的に、診断が良性である場合、一般外科医又は婦人科医は、手術を実施することを選択する場合がある。
【0248】
本発明の追加の実施形態は、例えば、技師、医師、又は患者に対する、アッセイ結果若しくは診断、又は両方の連絡に関する。特定の実施形態において、コンピュータを使用して、アッセイ結果若しくは診断、又は両方を、興味のある者、例えば、医師及びその患者に連絡する。いくつかの実施形態において、結果若しくは診断が連絡される国若しくは管轄区域とは異なる国若しくは管轄区域においてアッセイが行われるか、又はアッセイ結果が分析される。
【0249】
ハードウェア及びソフトウェア
本明細書に記載の方法のいずれか、バイオマーカーの測定と卵巣がんとを相関させるステップは、汎用又は特別にプログラミングされたハードウェア又はソフトウェアで実施することができる。
【0250】
複数の態様において、分析は、ソフトウェア分類アルゴリズムによって実施される。本明細書に記載の方法を含むがこれに限定されない、当該技術分野で周知の任意の検出方法による分析物の分析は、データ処理の対象となる結果を生成する。データ処理は、ソフトウェア分類アルゴリズムによって実施することができる。このようなソフトウェア分類アルゴリズムは、当該技術分野で周知であり、そして当業者は、特定の検出方法から得られた結果を分析するために、適切なソフトウェアを容易に選択し、使用することができる。
【0251】
複数の態様において、分析は、コンピュータ可読媒体によって実施される。コンピュータ可読媒体は、非一時的かつ/又は有形とすることができる。例えば、コンピュータ可読媒体は、揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ等)又は不揮発性メモリ(例えば、リードオンリーメモリ、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープ、光ディスク、紙テーブル、パンチカード等)とすることができる。
【0252】
例えば、飛行時間型質量分析法による分析物の分析は、飛行時間型スペクトルを生成する。最終的に分析される飛行時間型スペクトルは、典型的には、試料に対する電離エネルギーの単一パルスからのシグナルを表すのではなく、いくつかのパルスからのシグナルの合計を表す。これにより、ノイズを低減し、ダイナミックレンジを増加させる。次いで、この飛行時間型データを、データ処理の対象とする。例示的なソフトウェアとしては、Ciphergen’s ProteinChip(登録商標)ソフトウェアが挙げられるが、これに限定されず、ここで、データ処理は、典型的には、質量スペクトルを生成するためのTOFからM/Zへの変換、装置オフセットを除外するためのベースライン減算、及び高周波ノイズを減少させるための高周波ノイズフィルタリングを含む。
【0253】
バイオマーカーの脱離及び検出によって生成されたデータは、プログラム可能なデジタルコンピュータを用いて分析することができる。コンピュータプログラムは、データを分析して、検出されたバイオマーカーの数、並びに任意選択的に、検出された各バイオマーカーのシグナルの強度及び決定された分子量を示す。データ分析は、バイオマーカーのシグナル強度を決定するステップと、所定の統計分布から逸脱したデータを除去するステップと、を含むことができる。例えば、観察されたピークは、いくつかの参照に対する各ピークの高さを計算することによって正規化することができる。参照は、装置及び化学物質(例えば、エネルギー吸収分子など)によって生成されるバックグラウンドノイズである可能性があり、これはスケールでゼロに設定される。
【0254】
コンピュータは、得られたデータを、表示のための様々なフォーマットに変換することができる。標準スペクトルを表示することができるが、1つの有用なフォーマットでは、ピーク高さ及び質量情報のみがスペクトルビューから保持され、より鮮明な画像を生成し、ほぼ同じ分子量を有するバイオマーカーをより容易に見ることができる。別の有用なフォーマットにおいて、2つ以上のスペクトルを比較し、試料間で上方調節又は下方調節される独自のバイオマーカー及びバイオマーカーを好都合なことに強調する。これらのフォーマットのうちのいずれかを使用して、特定のバイオマーカーが試料中に存在するかどうかを容易に決定することができる。
【0255】
分析は、一般的に、分析物からのシグナルを表すスペクトル中のピークの特定を伴う。ピークの選択は視覚的に行うことができるが、例えば、ピークの検出を自動化することができるCiphergenのProteinChip(登録商標)ソフトウェアパッケージの一部として、ソフトウェアが入手可能である。このソフトウェアは、選択された閾値を上回るシグナル対ノイズ比を有するシグナルを特定し、そしてピークシグナルの重心におけるピークの質量を標識することによって機能する。複数の実施形態において、多くのスペクトルを比較して、質量スペクトルのいくつかの選択された割合で存在する同一のピークを特定する。このソフトウェアの1つのバージョンは、定義された質量範囲内の様々なスペクトルに現れる全てのピークをクラスター化し、そして質量(M/Z)クラスターの中間点に近い全てのピークに、質量(N/Z)を割り当てる。
【0256】
複数の態様において、データを分析するために使用されるソフトウェアは、結果の分析にアルゴリズムを適用するコード(例えば、シグナルが本発明に係るバイオマーカーに対応するシグナルのピークを表すかどうかを決定するためのシグナル)を含むことができる。ソフトウェアはまた、観察されたバイオマーカーピークに関するデータを分類ツリー又はANN分析に供することができ、検査中の特定の臨床パラメータのステータスを示すバイオマーカーピーク又はバイオマーカーピークの組み合わせが存在するかどうかを決定する。データの分析は、試料の質量分析法による分析から直接的又は間接的に得られる様々なパラメータに対して「キー付け」され得る。これらのパラメータとしては、1つ以上のピークの有無、ピーク又はピーク群の形状、1つ以上のピークの高さ、1つ以上のピークの高さの対数、及びピーク高さデータの他の算術操作が挙げられるが、これらに限定されない。
【0257】
卵巣がんステータスを定性化するための分類アルゴリズム
いくつかの実施形態において、次いで、「既知の試料」等の試料を使用して生成されるアッセイ(例えば、ELISAアッセイ)に由来するデータを使用して、分類モデルを「トレーニング」することができる。「既知の試料」は、予め分類された試料である。スペクトルに由来し、かつこれを使用して分類モデルを形成するデータは、「トレーニングデータセット」と称することができる。トレーニングされると、分類モデルは、未知の試料を使用して生成されたスペクトルに由来するデータ中のパターンを認識することができる。次いで、分類モデルを使用して、未知の試料をクラスに分類することができる。このことは、例えば、特定の生体試料が、特定の生物学的条件(例えば、疾患を有しているか、又は疾患を有していない)と関連するか否かを予測する際に有用とすることができる。
【0258】
分類モデルを形成するために使用されるトレーニングデータセットは、生データ又は前処理されたデータを含む場合がある。いくつかの実施形態において、生データは、飛行時間型スペクトル又は質量スペクトルから直接的に得ることができ、次いで、任意選択的に、上述のように「前処理」されてもよい。
【0259】
分類モデルは、データの本体を、データ中に存在する客観的なパラメータに基づいてクラスに分けようとする任意の好適な統計的分類(又は「学習」)方法を使用して形成することができる。分類方法は、教師あり、又は教師なしのいずれかとすることができる。教師あり分類及び教師なし分類のプロセスの例は、Jain,“Statistical Pattern Recognition:A Review”,IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence,Vol.22,No.1,January 2000に記載されており、その教示は、参照により組み込まれる。
【0260】
教師あり分類において、既知のカテゴリーの例を含有するトレーニングデータは、既知のクラスの各々を定義する関係の1つ以上のセットを学習する、学習機構に提示される。次いで、新しいデータを、学習機構に適用し、次いで学習された関係を使用して、新しいデータを分類する。教師あり分類プロセスの例としては、線形回帰プロセス(例えば、多重線形回帰(MLR)、部分的最小二乗(PLS)回帰、及び主成分回帰(PCR))、二分決定ツリー(例えば、再帰分割プロセス(CART-分類回帰ツリーなど))、人工ニューラルネットワーク(バックプロパゲーションネットワークなど)、判別分析(例えば、ベイズ分類子又はフィッシャー分析)、ロジスティック分類子、及びサポートベクター分類子(サポートベクターマシン)が挙げられる。
【0261】
複数の実施形態において、教師あり分類方法は、再帰分割プロセスである。再帰分割プロセスは、再帰分割ツリーを使用し、未知の試料に由来するスペクトルを分類する。再帰分割プロセスについての更なる詳細は、Paulse et al.に対する米国特許出願第2002/0138208A1号、「Method for analyzing mass spectra」に提供されている。
【0262】
他の実施形態において、作成される分類モデルは、教師なし学習方法を使用して形成することができる。教師なし分類は、トレーニングデータが導出されたスペクトルを予め分類することなく、トレーニングデータセットにおける類似性に基づいて分類を学習しようとするものである。教師なし学習方法には、クラスター分析が含まれる。クラスター分析は、データを、「クラスター」に、又は理想的には互いに非常に類似し、他のクラスターのメンバーと非常に異なったメンバーを有するべきである群に分けようとするものである。次いで、データ項目間の距離を測定するいくつかの距離基準を使用して類似性を測定し、そして互いに近いデータ項目を一緒にクラスター化する。クラスタリング技術としては、MacQueen’s K-meansアルゴリズム及びKohonen’s Self-Organizing Mapアルゴリズムがある。
【0263】
生物学的情報を分類する際に使用するためにアサートされる学習アルゴリズムは、例えば、PCT国際公開第WO01/31580号(Barnhill et al.,“Methods and devices for identifying patterns in biological systems and methods of use thereof”)、米国特許出願第2002/0193950A1号(Gavin et al.,“Method or analyzing mass spectra”)、米国特許出願第2003/0004402A1号(Hitt et al.,“Process for discriminating between biological states based on hidden patterns from biological data”)、及び米国特許出願第2003/0055615A1号(Zhang and Zhang,“Systems and methods for processing biological expression data”)に記載されている。
【0264】
分類モデルは、任意の好適なデジタルコンピュータ上で形成され、かつ使用することができる。好適なデジタルコンピュータとしては、Unix、Windows(商標)又はLinux(商標)ベースのオペレーティングシステム等の任意の標準的又は専用のオペレーティングシステムを使用したマイクロコンピュータ、ミニコンピュータ、又は大型のコンピュータが挙げられる。使用されるデジタルコンピュータは、目的のスペクトルを作成するために使用される質量分析計と物理的に分離されてもよく、又は質量分析計に連結していてもよい。
【0265】
本発明の実施形態に係るトレーニングデータセット及び分類モデルは、デジタルコンピュータによって実行又は使用されるコンピュータコードによって具現化することができる。コンピュータコードは、光学ディスク又は磁気ディスク、スティック、テープ等を含む任意の好適なコンピュータ可読媒体に格納することができ、またC、C++、ビジュアルベーシック等を含む任意の好適なコンピュータプログラミング言語で記述することができる。
【0266】
上述の学習アルゴリズムは、既に発見されているバイオマーカーについての分類アルゴリズムを開発するため、又は卵巣がんについての新しいバイオマーカーを発見するための両方に有用である。分類アルゴリズムは、次に、単独で、又は組み合わせて使用されるバイオマーカーについての診断値(例えば、カットオフ点)を提供することによって、診断試験のための基礎を形成する。
【0267】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、対象が卵巣がんを有するリスクを分類することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、パネルの各マーカーについて検出されたマーカースペクトルのピークを表すシグナルを受信することを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のパネルが使用される。いくつかの実施形態において、パネルとしては、マーカーであるトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、HE4、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、パネルとしては、乳がん1(BRCA1)、乳がん2(BRCA2)、ATM、BARD1、BRIP1、CDH1、CHEK2、EPCAM、MLH1、MSH2、MSH6、NBN、PALB2、PTEN、RAD51D、STK11、TP53、KRAS、ABRAXAS1、AKT1、APC、AXIN2、BMPR1A、BRAF、CDC25、CDKN2A、CDK4、CTNNB1、DICER1、ERBB2、ERCC6、FANCM、FANCC、MRE11、MUTYH、NF1、NTHL1、PIK3CA、PMS2、PP2R1A、PRKDC、POLD1、RAD50、RAD51C、RNF43、SDHB、SDHD、SMARCA4、XRCC2、WRN、CDC73、GALNT12、GREM1、HOXB13、MSH3、POLE、RAD51、RINT1、RSP20、SLX4、SMAD4、TTK、RASSF1A、RUNX3、TFPI2、SFRP5、OPCML、MGMT、CDH13、SULF1、HOXA9、HOXAD11、CLDN4、MAL、BORIS、ABCG2、TUBB3、MCJ、SNGG、P14ARF、P16INK4A、DAPK、P15、MINT31、RIZ1、及びTMS1から選択される1つ以上のマーカーが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、パネルとしては、CA125、β2M、Tfr、TT、及びApoA1が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、パネルとしては、限定されないが、FSH、CA125、HE4、トランスフェリン、及びApoA1が挙げられる。
【0268】
いくつかの実施形態において、本方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、マーカーであるトランスサイレチン/プレアルブミン(TT)、アポリポタンパク質A1(ApoA1)、β2-ミクログロブリン(β2M)、トランスフェリン(Tfr)、がん抗原125(CA125)、HE4、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)、並びに、乳がん1(BRCA1)、乳がん2(BRCA2)、ATM、BARD1、BRIP1、CDH1、CHEK2、EPCAM、MLH1、MSH2、MSH6、NBN、PALB2、PTEN、RAD51D、STK11、TP53、KRAS、ABRAXAS1、AKT1、APC、AXIN2、BMPR1A、BRAF、CDC25、CDKN2A、CDK4、CTNNB1、DICER1、ERBB2、ERCC6、FANCM、FANCC、MRE11、MUTYH、NF1、NTHL1、PIK3CA、PMS2、PP2R1A、PRKDC、POLD1、RAD50、RAD51C、RNF43、SDHB、SDHD、SMARCA4、XRCC2、WRN、CDC73、GALNT12、GREM1、HOXB13、MSH3、POLE、RAD51、RINT1、RSP20、SLX4、SMAD4、TTK、RASSF1A、RUNX3、TFPI2、SFRP5、OPCML、MGMT、CDH13、SULF1、HOXA9、HOXAD11、CLDN4、MAL、BORIS、ABCG2、TUBB3、MCJ、SNGG、P14ARF、P16INK4A、DAPK、P15、MINT31、RIZ1、及びTMS1からなる群から選択される1つ以上のマーカーを含むパネルの各マーカーについて検出されたマーカースペクトルピークを表す第1のパネルシグナルを受信することを含む。
【0269】
いくつかの実施形態において、本方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、第1のステージのがんリスク分類子を利用して、卵巣がんを発症する予測リスクを表すがんリスク分類スコアを予測し、がんリスク分類スコアは、学習されたリスク分類パラメータ及び第1のパネルシグナルに基づく。いくつかの実施形態において、本方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、がんリスク分類スコアと関連付けられたがんリスクレベルを決定し、がんリスクレベルは、少なくとも、低いリスク、中間のリスク及び高いリスクを含む選択物のうちの1つから選択される。いくつかの実施形態において、本方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、医療提供者と関連付けられたコンピューティングデバイスで、対象のがんリスクレベルを示すがんリスクレベル予測を生成する。
【0270】
いくつかの実施形態において、本方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、がんリスクレベルを中間のリスクとして決定することと、少なくとも1つのプロセッサによって、第2のステージのがんリスク分類子を利用して、第2のステージの学習されたリスク分類パラメータ、及び、第1のパネルシグナルのサブセットを含む第2のパネルシグナルに基づいて、増強されたがんリスク分類スコアを予測することと、少なくとも1つのプロセッサによって、増強されたがんリスク分類スコアと関連付けられた増強されたがんリスクレベルを決定することであって、増強されたがんリスクレベルが、少なくとも、低いリスク及び高いリスクを含む選択物のうちの1つから選択される、ことと、を更に含む。いくつかの実施形態において、第2のパネルシグナルは、CA125、β2M、トランスフェリン、トランスサイレチン及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーのマーカースペクトルのピークを表す。いくつかの実施形態において、第2のパネルシグナルは、FSH、CA125、HE4、トランスフェリン、ApoA1を含む又はこれらからなるマーカーのマーカースペクトルピークを表す。
【0271】
いくつかの実施形態において、本方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、がんリスクレベルを中間のリスクとして決定することと、少なくとも1つのプロセッサによって、第2のステージのがんリスク分類子及び第3のステージのがんリスク分類子を利用して、第2のステージ及び第3のステージの学習されたリスク分類パラメータ、及び、第1のパネルシグナルの異なるサブセットを各々含む第2及び第3のパネルシグナルに基づいて、増強されたがんリスク分類スコアを予測することと、少なくとも1つのプロセッサによって、増強されたがんリスク分類スコアと関連付けられた増強されたがんリスクレベルを決定することであって、増強されたがんリスクレベルが、少なくとも、低いリスク及び高いリスクを含む選択物の1つから選択される、ことと、を更に含む。いくつかの実施形態において、第2のパネルシグナルは、CA125、β2M、トランスフェリン、トランスサイレチン及びApoA1を含む又はこれらからなるマーカーのマーカースペクトルピークを表し、第3のパネルシグナルが、FSH、CA125、HE4、トランスフェリン、ApoA1を含む又はこれらからなるマーカーのマーカースペクトルピークを表す。
【0272】
いくつかの実施形態において、本方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、がんリスク分類スコアが0.0~4.9であるがんリスクレベルの低いリスクを決定することと、少なくとも1つのプロセッサによって、がんリスク分類スコアが5.0~10.0であるがんリスクレベルの中間のリスクを決定することと、少なくとも1つのプロセッサによって、がんリスク分類スコアが10.1~20.0であるがんリスクレベルの高いリスクを決定することと、を更に含む。
【0273】
いくつかの実施形態において、第1のステージのがんリスク分類子は、学習されたリスク分類パラメータのうちの学習された閉経前リスク分類パラメータを有する、閉経前の第1のステージのがんリスク予測モデルと、学習されたリスク分類パラメータのうちの学習された閉経後リスク分類パラメータを有する、閉経後の第1のステージのがんリスク予測モデルと、を含む。
【0274】
いくつかの実施形態において、本方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、がんリスク分類スコアが0.0~4.9であるがんリスクレベルの低いリスクを決定することと、少なくとも1つのプロセッサによって、閉経後の対象についてのがんリスク分類スコアが5.0~10.0であるがんリスクレベルの中間のリスクを決定することと、少なくとも1つのプロセッサによって、閉経後の対象についてのがんリスク分類スコアが10.1~20.0であるがんリスクレベルの低いリスクを決定することと、を更に含む。
【0275】
いくつかの実施形態において、本方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、がんリスク分類スコアが0.0~4.9であるがんリスクレベルの低いリスクを決定することと、少なくとも1つのプロセッサによって、閉経前の対象についてのがんリスク分類スコアが5.0~14.0であるがんリスクレベルの中間のリスクを決定することと、少なくとも1つのプロセッサによって、閉経前の対象についてのがんリスク分類スコアが14.1~20.0であるがんリスクレベルの高いリスクを決定することと、を更に含む。いくつかの実施形態において、対象は、症候性又は無症候性の付属器腫瘤を有すると診断される。
【0276】
卵巣がんについてのバイオマーカーの検出のためのキット
別の態様において、本発明は、卵巣がんの診断を補助する(例えば、卵巣がんステータスを特定する、卵巣がんを検出する、早期の卵巣がんを特定する、卵巣がんを有するリスクのある対象のための治療方法を選択する等)ためのキットを提供し、このキットは、本発明によるバイオマーカーを検出するために使用される。一実施形態において、キットは、表1に特定されるバイオマーカー又はバイオマーカーの組み合わせを特異的に認識する剤を含む。いくつかの実施形態において、キットは、表1に特定されるバイオマーカー又はバイオマーカーの組み合わせを特異的に認識する剤と、卵巣がんに関連して特定される生殖細胞又は他のDNA変異と関連付けられたマーカーと、を含む。キットは、各々がバイオマーカーのうちの1つを特異的に認識する1、2、3、4、5、又はそれより多くの異なる剤を含有してもよい。関連する実施形態において、剤は、抗体、アプタマー、アフィボディ、ハイブリダイゼーションプローブ、及び/又はそれらの断片である。
【0277】
別の実施形態において、キットは、その上に捕捉試薬が取り付けられた固体支持体(チップ、マイクロタイタープレート、又はビーズなど)又は樹脂を含み、捕捉試薬は、本発明のバイオマーカーに結合する。したがって、例えば、本発明のキットは、ProteinChip(登録商標)アレイ等のSELDIのための質量分析プローブを含むことができる。生物特異的捕捉試薬の場合には、キットは、反応性表面を有する固体支持体と、生物特異的捕捉試薬を含む容器と、を含むことができる。
【0278】
このキットはまた、洗浄溶液、又は洗浄溶液を作製するための使用説明書と、を含んでいてもよく、捕捉試薬と洗浄溶液との組み合わせによって、その後の検出(例えば、質量分析法による)のための固体支持体上のバイオマーカー(複数可)のバイオマーカーの捕捉を可能にする。キットは、各々が異なる固体支持体上に存在する、より多くの種類の吸着剤を含んでもよい。
【0279】
更なる実施形態において、このようなキットは、本明細書に記載の方法のいずれかにおいて使用するための命令を含むことができる。複数の実施形態において、命令は、標識又は別個の挿入物の形態にある好適な操作パラメータを提供する。例えば、命令は、どのように試料を採取するか、どのようにプローブを洗浄するか、又は特定のバイオマーカーを検出するかについて消費者に情報提供してもよい。
【0280】
更に別の実施形態において、キットは、較正のための標準として使用される対照(例えば、バイオマーカー試料)を含む1つ以上の容器を含むことができる。
【0281】
本発明の実施は、別段の指示がない限り、分子生物学(組み換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、及び免疫学の従来の技術を用いるが、これらは十分に当業者の裁量の範囲内である。このような技術は、文献、例えば、“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”,second edition(Sambrook,1989)、“Oligonucleotide Synthesis”(Gait,1984)、“Animal Cell Culture”(Freshney,1987)、“Methods in Enzymology”“Handbook of Experimental Immunology”(Weir,1996)、“Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells”(Miller and Calos,1987)、“Current Protocols in Molecular Biology”(Ausubel,1987)、“PCR:The Polymerase Chain Reaction”,(Mullis,1994)、“Current Protocols in Immunology”(Coligan,1991)に完全に説明されている。これらの技術は、本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドの製造に適用可能であり、したがって、本発明を作製し、実施する際に考慮されてもよい。特定の実施形態のための有用な技術は、以下のセクションで考察される。
【0282】
以下の実施例は、当業者に本発明のアッセイ、スクリーニング、及び治療方法をどのように作製し、使用するかについての完全な開示及び説明を提供するために示されるものであり、本願発明者らが自身の発明とみなすものの範囲を限定することを意図したものではない。
【実施例
【0283】
実施例1:付属器腫瘤リスク評価:悪性腫瘍リスクの階層化のための多変量インデックスアッセイ
付属器腫瘤は、青年期以降の年齢の女性において一般的な臨床診断であり、その生涯にわたって女性の5~10%で発生する。大部分の症例において、腫瘤は良性である(例えば、Demir R,Marchand G.Adnexal masses suspected to be benign treated with laparoscopy.J.Soc.Laparoendosc.Surg.16(1),71-84(2012)を参照されたい)。しかしながら、悪性腫瘍の潜在的リスクを考慮しなければならない。
【0284】
良性腫瘤は、サイズ、臓器に対する近接性、及び疼痛又は不快感に起因して、問題を引き起こす場合がある。腫瘤の外科的除去が推奨され得る。しかしながら、一部の良性腫瘤は、大部分が無症候性な場合があり、またモニタリングすることができる。このことの利点は明らかであり、財政的及び回復時間の観点の両方で、侵襲性の手術及び関連するコストの回避である(例えば、Farghaly S.,Current diagnosis and management of ovarian cysts.Clin.Exp.Obstet.Gynecol.41(6),609-612(2014)を参照されたい)。
【0285】
疑いのある付属器腫瘤に対する現在の標準治療は、画像診断であり、典型的には、経膣超音波検査によって行われる。画像診断は、その身体的特徴に基づいて、その腫瘤が良性又は悪性であることを明確に明らかにし得るが、腫瘤が不確定である多くの症例が存在する(例えば、Sadowski E,et al.Indeterminate adnexal cysts at US:prevalence and characteristics of ovarian cancer.Radiology 287(3),1041-1049(2018)を参照されたい)。これらの症例において、無症候性の患者では、腫瘤が永続的であるか、安定しているか、又は消散したかを決定するために、一定期間後のフォローアップ画像診断が推奨される。このアプローチと関連付けられたリスクは、悪性病変の検出及び管理の遅れである(例えば、Modesitt S,et al.Risk of malignancy in unilocular ovarian cystic tumors less than 10 centimeters in diameter.Obstet.Gynecol.102(3),594-599(2003)を参照されたい)。
【0286】
付属器腫瘤リスク評価(AMRA)は、疑いのある付属器腫瘤を有する患者を、悪性カテゴリーの3つのリスクに分け、即時手術が推奨されるかどうかについての決定を補助するために開発された血清バイオマーカーの多変量インデックスアッセイである。その目的は、1つのカットオフを使用して、高リスクの患者の小さな群内の全がん症例の高い割合を捕捉し、臨床的に行動可能な陽性予測値を得ること、及び第2のカットオフを使用して、残った試験集団のかなりの部分を、非常に高い陰性予測値を有する低リスク(LR)群に割り当てることである。
【0287】
血清検査を開発し、評価する能力は、しばしば標的化された試験集団を代表する組み入れ/除外基準を有する適切に登録された臨床試料が欠如していること、並びに手術を受けていない者についての確定的な臨床分類が欠落しているという実用的な困難性によって妨げられる。AMRAの開発及び独立した検証のために、バイオマーカーデータは、付属器腫瘤を有すると診断され、かつ全てが手術からの確定的な病理学的分類を有していた患者のプロスペクティブに採取されたコホートからレトロスペクティブに分析された。手術の決定の前に付属器腫瘤を有する患者の意図した集団に対してAMRAの性能を予測するために、がん有病率の明らかな違いを除き、本研究及びAMRAの意図した集団で使用される患者コホートにおけるがん症例は、組織学的サブタイプ、グレード、及びステージに関して類似しており、AMRAの意図した集団における非がん性良性患者が、対照であった。AMRAの意図した集団において典型的に観察される、想定される悪性有病率について調整することによって、AMRAの高いリスク群及び低いリスク群の陽性予測値及び陰性予測値等の試験性能基準を推定した(例えば、Molinaro A.,Diagnostic tests:how to estimate the positive predictive value.Neuro Oncol.Practice 2(4),162-166(2015)を参照されたい)。
【0288】
付属器腫瘤を有する女性が、手術に伴う経済的コスト及び回復時間を含め、そうすることが安全である場合には、即時手術を避けたいと思い得る理由は多く存在する。しかしながら、この「経過観察(watch and wait)」集団を特定的に対象とした試験は現時点で市場において存在しない。AMRAの目的は、将来的には、付属器腫瘤を有する女性が手術を遅らせることを検討してもよいように、この必要性に対処することである。
【0289】
実施例1.1:方法
複数分析物パネル
以下の7種類の血清タンパク質分析物が、AMRA開発のための入力として含まれていた。ApoA1、B2M、CA125、FSH、HE4、TRF、及びTT。これらの分析物のサブセットは、多変量インデックスアッセイ(MIA)及び多変量インデックスアッセイ第2世代(MIA2G)のために使用されている。全てのデータセットについて、分析物を、製造業者の製品パッケージ挿入物ごとにRoche cobas 6000(Roche Diagnostics Corp.,IN,USA)で測定した。
【0290】
試料セット
この研究において、4つの別個の集合の試料からのデータを使用した。AMRAアルゴリズムの導出のために、トレーニングデータは、元々のMIA及びMIAG2 IVDMIA(Ueland F,et al.Effectiveness of a multivariate index assay in the preoperative assessment of ovarian tumors.Obstet.Gynecol.117,1289-1297(2011)、Bristow R,et al.Ovarian malignancy risk stratification of the adnexal mass using a multivariate index assay.Gynecol.Oncol.128,252-259(2013)、Coleman R,et al.Validation of a second-generation multivariate index assay for malignancy risk of adnexal masses.Am.J.Obstet.Gynecol.215(1),82.e1-82.e11(2016))試験(「OVA1研究」)についての導出及び検証のために以前に使用された試料からのものであった。これらの試料は、元々は、米国全体で27箇所のInstitutional Review Boardが承認した場所からプロスペクティブに採取された。組み入れ基準は、18歳超の年齢で、インフォームドコンセントに署名し、瀉血に同意可能であり、画像診断から3ヶ月以内の外科的介入が計画された骨盤腫瘤が文書化されている女性であった。骨盤腫瘤は、登録前に画像診断(コンピュータ断層撮影、超音波検査、又はMRI)によって確認された。除外基準としては、過去5年間以内の悪性腫瘍の診断が含まれていた(非黒色腫皮膚がんを除く)。婦人科腫瘍専門医によって手術される高いリスク(HR)患者を照会する際のMIA及びMIAG2の有用性を評価するための試料採取の元々の使用により、この採取は、婦人科腫瘍専門医によって最初に登録された患者を除外した。閉経は、12ヶ月を超えて月経がないこと、又は閉経データが欠落している少数の対象について50歳を超えているものとして定義された。症例報告書で、人口統計及び臨床病理学的データを収集した。
【0291】
元々のプロスペクティブに集められた試料セットは、付属器腫瘤の術前リスク評価の実際の試験集団を表していた。AMRAアルゴリズム開発のために、7つ全ての分析物の結果である全試料のサブセット(88.36%)が利用可能であった。585個の試料のうち、54件の卵巣がん症例及び230件の良性対照を含む284名の閉経前患者、並びに124件の症例及び177件の対照を含む301名の閉経後患者が存在した。図2は、試料セットの関連する人口統計及び臨床病理学的記述を列挙する。次いで、トレーニングされたAMRAアルゴリズムを、残りの3つの独立したInstitutional Review Boardが承認した標本コホートからのデータセット:FHCRC#7788、OVA500研究、及びOVA1-PS1-CO4について検証した。
【0292】
FHCRC#7788について、患者は、2012~2015年にかけて、Seattle Cancer Care Alliance及びUniversity of Washington Medical Centerで、婦人科腫瘍専門医及び良性婦人科クリニックに、プロスペクティブに登録された。組み入れ基準には、18歳超の年齢で、インフォームドコンセントに署名し、手術が計画された付属器腫瘤が文書化されている女性が含まれた。付属器腫瘤は、登録前に画像診断(コンピュータ断層撮影、超音波検査、又はMRI)によって確認された。除外基準には、提示前6週間以内の骨盤手術が含まれた。人口統計、臨床及び病理学的情報はプロスペクティブに集められた。全ての登録された患者によって、インフォームドコンセントが提供された。AMRAの検証のために、FHCRC#7788コホートからの症例-対照セットを、7つ全てのバイオマーカーを有する試料に基づいて使用した。
【0293】
OVA500研究及びOVA1-PS1-CO4は、OVA1-PS1-CO4には、外科的介入が計画されているにもかかわらず、まだ婦人科腫瘍専門医に照会されていない対象のみが含まれていることを除いて、OVA1研究と同じ登録及び除外基準を有していた。結果として、OVA1-PS1-CO4における卵巣がんの有病率は、OVA500における卵巣がんの有病率より低い。
【0294】
7つ全ての分析物について既知のバイオマーカー値を有する各研究における全ての試料を、この分析に使用した。がん症例のうち、卵巣が関与しない悪性腫瘍を有する15試料(全試料の0.074%)は、分析から除去された。
【0295】
モデル導出
AMRAは、2つのカットオフを使用して、がん症例の大部分を捕捉するHR患者の小さな群と、高い陰性予測値を有するLR患者の比較的大きな群を特定する、意図された有用性のために開発された。モデル導出中に、所望の性能特徴は、特に、非常に高い特異性で改善された感度を有するために、数値的及び計算的に翻訳され、かつ実装されて、最終的なモデルの導出及び選択に影響を与えた。結果の統計的安定性を確保するために、トレーニング試料セット内のデータ点のブートストラップサンプリング、及び入力分析物のサブセットのランダム選択等の統計的再サンプリングアプローチを使用した。
【0296】
閉経前及び閉経後の患者集団について、それぞれ2つの別個の予測モデル(アルゴリズム)を導出した。各アルゴリズムについて、トレーニングデータセットも使用して、HR群を特定するための「ルールイン」カットオフ、及び比較的LR群を特定するための「ルールアウト」カットオフを決定した。2つのカットオフ間の試料を、中間のリスク(IR)として分類した。カットオフの選択は、臨床医のコンセンサスに基づく所望の性能特徴によって駆動された。例えば、感度と、HR群(及び対応する陽性予測値(PPV))の患者の割合が少なくなることとのトレードオフは、ルールインカットオフを決定し、また同様に、必要とされる高い陰性予測値(NPV)と、十分に大きなLR群を有することとのバランスを使用して、ルールアウトカットオフを選択した。
【0297】
性能評価
導出されたAMRAアルゴリズム及び固定されたカットオフを、トレーニングセット、及び3つの独立した検証セットについて、個々に、及び組み合わせて評価した。受信者操作特性曲線分析からの曲線下の面積を使用して、全体的な性能を評価し、かつCA125と比較した。ルールインカットオフについての感度(HR群によって捕捉された全症例の割合)、及びルールアウトカットオフについての特異性(LR群における全良性の割合)を推定した。加えて、試験前確率からのがんの試験後確率の変化に関する近似的評価を提供するために、有病率に依存しない、陽性尤度比(LR+)及び陰性尤度比(LR-)もそれぞれ、HR群及びLR群について推定され、かつ使用された。
【0298】
現在の研究に使用される試料は、全て、元々のプロスペクティブに集められたコホートからのものであった。その意図した集団におけるAMRAアルゴリズムの性能を予測するために、5%及び10%の試験前有病率を、それぞれ、閉経前及び閉経後の試験集団に使用した。3つのAMRAリスク分類群の中の良性、低い悪性度の潜在的な腫瘍(LMP)、ステージI/II症例及びステージIII/IV症例の予測される分布を、想定された有病率を調整した後に推定した。このような調整に基づいて、それぞれ、全試験集団の割合、試験後がん有病率を、HR及びLR群についてのPPV及びNPVを含め、AMRAリスク群について推定した。
【0299】
実施例1.2:結果
図3は、トレーニングセット及び3つの検証セットにおける閉経前(図3A)及び閉経後(図3B)患者について、CA125と比較したAMRAの受信者操作特性(ROC)曲線を示す。CA125と比較したAMRAの性能特徴は、非常に高い特異性での感度を表すROC曲線によって示され(プロットの一番左)、ルールイン(HR)群の性能特徴を決定する(図3)。特に、図3は、それぞれ、トレーニングセット(OVA1)、並びに3つの検証セット(OVA500、FHCRC#7788及びOVA1-PS1-CO4)について、卵巣がんについて(p値=0.01、0.06、0.05及び<0.01)、及びステージI/II浸潤性卵巣がんについて(p値=0.01、0.07、<0.01及び<0.01、図3C)の閉経前患者におけるAMRAの結果を示す。
【0300】
閉経前モデルについてそれぞれ、14.0IU及び5.0IUのAMRAルールイン及びルールアウトカットオフ値、並びに閉経後モデルについての10.0IU及び5.0IUは、トレーニング試料セットを使用して確立され、次いで、検証で固定された。ルールイン及びルールアウトカットオフを使用して、3つの検証セット中の試料を組み合わせて、3つのAMRAリスク群の中の有病率によって調整されたがん/良性分布を推定し、かつプロットした(図4)。各リスク群内のがん及び良性患者の生の割合及び有病率によって調整された割合を図5及び図6に列挙する。図8において、有病率とは無関係の性能基準(感度、特異性、及びLR+及びLR-など)、並びに有病率によって調整された推定値(試験集団の割合、PPV及びNPVなど)の両方が、リスク群の個々の有意義な組み合わせについて提供される。図7は、ロジスティック回帰によって補間曲線と重ね合わせられた、AMRAリスク群の有病率によって調整された予測される試験後がん確率をプロットしている。
【0301】
5%の有病率で、合計で7.9%の高リスク群は、35.8%の陽性予測値で浸潤性悪性腫瘍の75.9%を捕捉した。高いリスク/中間のリスクを合わせると、閉経前及び閉経後のがんについて、それぞれ、89.7%及び95.6%の感度を有していた。合計で67.8%の低リスク群は、99.0%の陰性予測値を有していた。閉経前及び閉経後の両方の集団について、HR群(それぞれ、試験集団の7.9%及び10.6%)は、それぞれ、42.3%及び66.1%でPPVを有する全がん症例の3分の2より多くを捕捉した。LMPを除外した場合、HRの感度は、両方とも75%以上に増加した。LR群は、試験集団のかなりの部分を特定し(それぞれ、閉経前及び閉経後について67.8%及び52.7%)、NPVは99%に近かった。残りのIR群の患者における試験後のがん有病率は、想定された試験前有病率よりも低かった(それぞれ、閉経前及び閉経後について、全てのがんについて4.0%及び6.3%、又はLMPを除外すると2.1%及び4.8%)。図8もまた、閉経前患者について、それぞれ、HR及びIRの組み合わせた群の感度及びPPVが85.9%及び13.3%、閉経後の患者についてそれぞれ、93.1%及び19.7%になることを列挙する。浸潤性がんに対する感度のみがより高かった。
【0302】
実施例1.3:考察
AMRAは、患者を、試験後のがんの確率を高度に識別して3つの群に分けるために開発された。卵巣がん症例が、計画された手術の有無にかかわらず、付属器腫瘤を有すると診断された患者における組織学的サブタイプ、グレード及びステージの観点で類似しているであろうという仮定の下で、PPV及びNPVは、検証データセットを使用して個々に推定された(図4)(Molinaro A.Diagnostic tests:how to estimate the positive predictive value.Neuro Oncol.Practice 2(4),162-166(2015))。想定された試験前がん有病率を調整し、個々の検証セットについて即時手術が推奨されるかどうかの決定において、AMRAの潜在的な性能を、その意図した使用について評価した。推定された結果の統計的安定性を改善するために、全体的な検証結果は、組み合わせた検証データを使用して更に推定され、想定される試験前有病率に対して調整された(図5~8)。
【0303】
AMRAリスク群の中で、予測される試験後がん確率(HR群に対するPPV、及びLR群に対するNPVなど)は、想定される試験前がん有病率に依存する。しかしながら、AMRAが患者を、高度に差次的かつ臨床的に有意義なリスク群に分ける能力は、陽性又は陰性の試験結果が疾患の確率をどのように改変し得るかという有病率とは無関係な尺度である、推定される陽性尤度比及び陰性尤度比(LR+及びLR-)によって更に裏付けられる。例えば、Steven McGeeによって示唆されるLRの単純化された解釈(McGee S.Simplifying likelihood ratios.J.Gen.Intern.Med.17(8),646-649(2002))を使用して、組み合わせられた検証試料における閉経後AMRA HR群について推定されたLR+が10.0を超えることは、がん確率におけるおよそ45パーセント点の潜在的な増加を示す。同様に、閉経後AMRA LR群について推定されたLR-が0.5であることは、およそ15パーセント点のがん確率における試験後減少を示唆している。
【0304】
多変量インデックスアッセイとして、AMRAの性能を、複数の組織学的サブタイプにわたって、かつLMP及びステージI/II浸潤性卵巣がんを検出するために評価した。ROC曲線分析をCA125、かつステージI/II卵巣がんにおいて、手術の決定を注意深く検討する必要があることが多い閉経前患者についてAMRAと比較した。
【0305】
不確定である腫瘤の管理において臨床医を補助するために、AMRA設計並びに実際の導出及び実装の主要な特徴には、AMRAによってLRとして示された試験集団の大部分について非常に高いNPVが得られるルールアウトカットオフを伴う高い感度が含まれた。ルールインカットオフは、臨床的に行動可能なPPVを与える患者の群を特定し、全がん症例の大部分を捕捉した。独立した検証結果に基づいて、その2つのカットオフを有するAMRAアルゴリズムは、HR患者についての手術の推奨、LR患者についての超音波検査を用いた連続的モニタリング、及びIR患者についての臨床的印象による評価を含む、疑わしい付属器腫瘤を有すると診断された患者の臨床管理における有効性を示した。
【0306】
実施例2:多変量インデックスアッセイは、卵巣がんについてのリスク評価を改善し、付属器腫瘤を有すると診断された女性の臨床管理を導くことについての有用性を有する
実施例2.1:背景
外科的治療の前に付属器腫瘤を有する女性においてがんリスクを正確に評価する必要性は、しっかりと確立されている(Sanchez-Salcedo MA.Pre-operative assessment of adnexal mass.Obstet Gynecol Int J 2019;10(1):65-69)。思春期前の女性の5~35%から、卵巣腫瘤を有する閉経前の女性の10%及び閉経後の女性の30%が、がんを保有する(Givens V,et al.Diagnosis and Management of Adnexal Mass.Am Fam Physician 2009;80(8):815-820、Radhamani S,Akhila MV.Evaluation of Adnexal Masses-Correlation of Clinical,Sonological and Histopathological Findings in Adnexal Mass.Int J Sci Studies 2017;4(11):88-92)。良性腫瘤は、産婦人科が除去することができるが、がん手術は、外科専門医が行うべきである(3.Radhamani S,Akhila MV.Evaluation of Adnexal Masses-Correlation of Clinical,Sonological and Histopathological Findings in Adnexal Mass.Int J Sci Studies 2017;4(11):88-92、Vernooij F,et al.The outcomes of ovarian cancer treatment are better when provided by gynecologic oncologists and in specialized hospitals.Gynecol Oncol 2007;105(3)801-812)。術前の外科的リスク評価は、患者にとって最良の予後を確保する(Glanc P,et al.First international consensus report on adnexal masses-Management Recommendations.J Ultrasound Med 2017;36:849-863)。
【0307】
症候性の付属器腫瘤を有すると診断された一部の女性について、即時手術が望ましくないか、又は正当ではない場合がある(Suh-Bergmann E,et al.Outcomes from ultrasound follow-up of small complex masses in women over 50.Am J Obstet Gynecol 2014;211:623.e1-7、Froyman W,et al.Risk of Complications in patients with conservatively managed ovarian tumors(IOTA5):a 2-year interim analysis of a multicenter,prospective,cohort study.Lancet Oncol 2019;20(3):448-458、May T,Oza A.Conservative management of adnexal mass.Lancet Oncol 2019;20(3):p326-327)。定期的な骨盤検査又は画像診断によって偶発的に無症候性の付属器腫瘤が見つかった場合には、手術は、管理のための第1の選択肢ではない可能性がある。「待機して様子を見る(wait and watch)」管理アプローチのための低いがんリスクの対象を特定することができるがんリスク評価試験は、臨床検査及び手術を受ける女性の数を減らす。
【0308】
付属器腫瘤を有する患者の診断評価としては、骨盤検査、及びCA125血液検査と共に、画像診断(通常は超音波検査)が挙げられる。しかし、これらのモダリティの診断精度は、単独で、又はパネルとしてのいずれかで使用され、早期の卵巣がんの検出にとって十分なものではない(Lennox G,et al.Effectiveness of the risk of malignancy index and the risk of ovarian malignancy algorithm in a cohort of women with ovarian cancer.Int J Gynecol Cancer 25;2015;25:809-814)。過去10年間に、卵巣がんの高いリスクがある女性を特定する際に使用するために、多変量インデックス(MIA)アッセイが導入された。MIAは、各バイオマーカーの試験結果を単一のスコアへと組み合わせたバイオマーカーのパネルからなる。MIA、例えば、OVA1(CA125、β2M、トランスフェリン、トランスサイレチン、及びApoA1)、並びにOVERA(FSH、CA125、HE4、トランスフェリン、Apo A1)血液検査は、全ての組織学的細胞型の卵巣がんを検出する際に、また、早期の疾患で、非常に効果的であることが示されている(Ueland F,et al.Obstet Gynecol 2011;117(6):1289-1297、Goodrich S,et al.The effect of ovarian imaging on the clinical interpretation of a multivariate index assay.Am J Obstet Gynecol 2014;211:65e1-65e11)。卵巣悪性腫瘍アルゴリズムのリスク(ROMA)、すなわちCA125及びHE4試験からなるパネルは、上皮性卵巣がんの検出に限定されており、また早期がんの高い割合を見逃してしまうことが報告されている(Lennox G,et al.Effectiveness of the risk of malignancy index and the risk of ovarian malignancy algorithm in a cohort of women with ovarian cancer.Int J Gynecol Cancer 25;2015;25:809-814)。更に、CA125及びROMAは、非白色人種の女性における悪性腫瘍の特定が上手く行われないことが示されている(Dunton C,et al.Ethnic disparity in clinical performance between multivariate index assay and CA125 in detection of ovarian malignancy.Future Oncol.2019)、Dunton C,et al.Multivariate index assay is superior to CA125 and HE4 testing in detection of ovarian malignancy in African American women.Biomarkers In Cancer 2019;11:1-4)。
【0309】
実施例1に記載されるように、AMRAアルゴリズムは、7つのバイオマーカーの入力を使用して、がんリスク評価を提供する(Zhang Z,Bullock R,Fritsche H.Adnexal mass risk assessment:a multivariate index assay for malignancy risk stratification.Future Oncol 2019)。AMRAスコアは、個々のバイオマーカー濃度の単一のスコアへの数学的な組み合わせである。AMRAスコアの範囲は、0~20.0である。AMRAスコアは、症候性の付属器腫瘤を有する女性を3つのがんリスクカテゴリーに階層化することができた。高いがんリスク群は、高い陽性予測値によって定義され、低いがんリスク群は、高い陰性予測値によって定義された。残りの対象は、中間のリスク群として分類された。高いリスクの女性は、典型的には、手術のための即時の照会が考慮され、低いリスクの女性は、「待機して様子を見る(wait and watch)」戦略が考慮される。しかしながら、あまりにも多くの女性が中間のリスクカテゴリーに分類され、この女性のサブグループをどのように最良に管理するかという問題が提起されている。
【0310】
AMRA試験は、追加のアルゴリズムであるOVA1(CA125、β2M、トランスフェリン、トランスサイレチン、及びApoA1)、並びに/又はOVERA(FSH、CA125、HE4、トランスフェリン、Apo A1)を含むように修正され、これは中間のリスク群に含まれる対象の増強された分析を提供する。AMRA2多段階アルゴリズムを用いると、低いリスク及び高いリスクの患者は、まず、低いリスクについては5.0未満、高いリスクについては、閉経後の女性及び閉経前の女性について、それぞれ10.0又は14.0より大きいAMRAスコアによって特定される。次いで、中間のリスクの試料は、中間のスコアを低いリスク又は高いリスクのいずれかとして再定義する追加のアルゴリズムに供される。したがって、AMRA2は、全ての対象を低いリスク又は高いリスクとしてカテゴリー化することによって中間のリスク群を除外することによって、卵巣がんの検出について高い感度及び高い特異性の両方を維持しつつ、AMRAのリスク評価を改善することができる。
【0311】
実施例2.2:方法
バイオマーカーアッセイ:AMRA2 MIAで使用され、がんリスクを定義するための7つのバイオマーカーとしては、がん抗原125(CA125)、ヒト精巣上体タンパク質(HE4)、ベータ-2ミクログロブリン(B2M)、アポリポタンパク質A-1(ApoA1)、トランスフェリン、トランスサイレチン、及び卵胞刺激ホルモン(FSH)が挙げられる。バイオマーカーアッセイは、製造業者の使用説明書に従って、Roche cobas 6000分析機を使用して実施された。
【0312】
アルゴリズム:AMRA2試験は、AMRAアルゴリズムを使用して、陽性予測値及び陰性予測値の設定基準に基づいて、低いリスク及び高いリスクの群のためのカットオフスコアを定義する(実施例1を参照されたい)。中間のリスク群に入る試料を、元々の7つのバイオマーカーの固有のサブセットから導出された追加のアルゴリズムであるOVA1(CA125、β2M、トランスフェリン、トランスサイレチン、及びApoA1)、並びにOVERA(FSH、CA125、HE4、トランスフェリン、Apo A1)を用いて再評価して、中間の試料を低いリスク又は高いリスクのいずれかとして再スコアリングした。
【0313】
試料を、マーカーであるCA125、β2M、トランスフェリン、トランスサイレチン、及びApoA1、FSH、及びHE4を含むAMRAアルゴリズムを用いて試験して、低いリスク及び高いリスクの群についてのスコアを定義した。次いで、中間の群の試料を、マーカーであるCA125、β2M、トランスフェリン、トランスサイレチン、及びApoA1を含むOVA1を用いて試験して、低いリスク又は高いリスクのいずれかとして再スコアリングした。いくつかの試料において、中間の群を、AMRA及びOVA1を用いて試験した後に、試料を、マーカーであるFSH、CA125、HE4、トランスフェリン、及びApo A1を含むOVERAを用いて更に試験して、低いリスク又は高いリスクのいずれかとして再スコアリングした。いくつかの試験において、試料を、AMRAを用いて試験した後、中間の群の試料を、OVERAを用いて試験した。いくつかの試験において、試料を、AMRA及びOVERAの両方を用いて試験した後、中間の群の試料を、OVA1を用いて更に試験した。
【0314】
トレーニング及び試験試料セット:AMRAアルゴリズムによって中間のリスクとして分類された血清試料を、AMRA2試験のトレーニング及び試験に使用した。中間のリスクとして分類された血清のバイオマーカーデータを、追加のアルゴリズムによって再分析して、5.0のカットオフ値を使用して、中間のリスクの試料を、低いリスク又は高いリスクのいずれかとして再割り当てした。
【0315】
検証試料セット:AMRA2 MIAの検証に使用される試料セットを、IRBが承認したプロトコルの下で収集した(実施例1を参照されたい)。独立した試料セットを、同じIRBが承認した要件の下で、良性疾患を有する128名の女性から集め、そしてこれを使用して、AMRA2の高い特異性を確認した。血清試料は、-70℃で最大2年間保存されていた。社内の試験により、保存期間中の7つのバイオマーカーの安定性が確認された。
【0316】
手順:以前にアッセイした試料からのバイオマーカーデータを使用して、AMRA2アルゴリズムをトレーニングし、試験した(Zhang Z,et al.Adnexal mass risk assessment:a multivariate index assay for malignancy risk stratification.Future Oncol 2019)。AMRA2 MIAの検証に使用される血清試料を分析し(ASPiRA Labs)、そして試験結果を、AMRA2スコアの計算に使用した。5.0未満のAMRA2スコアは、閉経前及び閉経後の女性の両方について低いリスクとして分類された。5.0より大きなスコアは、高いリスクとして定義された。
【0317】
実施例2.3:結果
図9は、AMRA2リスク評価の検証に使用される試料セットのカテゴリー化を示す。合計で、付属器腫瘤を有する女性からの596個の試料のうち、23個を、卵巣がんを有すると特性決定した。第1のステップにおいて、AMRA2アルゴリズムは、カットオフスコアを使用して、低いリスク(≦5)、中間のリスク(5~10(閉経前)、5~14(閉経後))、及び高いリスク(≧10(閉経前)、≧14(閉経後))の患者を特定した。このステップ中に、AMRA2は、45名の高いリスクの症例を特定し、卵巣がんを有すると特定された23名の患者のうち18名を特定した。391症例が、低いリスクとして特定され、388症例が良性であり、3症例が卵巣がんを有していた。160症例が、中間のリスクとして特定された。
【0318】
第2のステップにおいて、中間のリスクとして特定された160症例を、閉経前ステータス及び閉経後ステータスによって分けた。次いで、中間の群をOVA1試験に供し、患者を、低いリスク(閉経後<4.4、閉経前<5)、中間/境界のリスク(閉経後4.4~6、閉経前5~7)、及び高いリスク(閉経後≧6、閉経前≧7)の群に分離した。第2のステップで中間/境界のリスクを有するとして特定された女性は、第3のステップにおいて、OVERA試験を用いて更に試験されて、患者を低いリスク(≦5)及び高いリスク(>5)の群に分離し、これは閉経ステータスによって影響を受けない。その結果、卵巣がんの2つの追加の症例が特定された。
【0319】
全体として、付属器腫瘤を有する596名の女性のうち、83名が、高いリスクの患者として特定され、合計23名の患者のうち20名の患者が、卵巣がんを有すると特定された。63症例が、擬陽性であるとして特定された。513名の女性が、低いリスクとして特定され、510名の女性が、良性腫瘤を有していた。
【0320】
表2は、トレーニングセットにおける全てのがん及び良性の症例についてのAMRA2リスク評価を更に示す。全ての対象を、低いリスク又は高いリスクのいずれかとして分類する。元々のAMRAアルゴリズムは、閉経前の女性の31%及び閉経後の女性の51%を中間のリスク群にカテゴリー化した。
【0321】
(表2)AMRAトレーニングセットにおけるAMRA2の臨床性能
【0322】
表3は、AMRA試験セットにおけるAMRA2アルゴリズムのための性能パラメータを示す。閉経後試験セットにおけるAMRA2の特異性は、トレーニングセットの場合よりもはるかに良好であった(80.1%対57.0%)。この不一致を明らかにするために、がんを有していなかった、付属器腫瘤を有する128名の女性で構成される新しい試料セットを試験した。これらの128名の非がん女性のうち、18名のみがAMRA2によって高いリスクとして誤って分類され、したがって、この集団におけるAMRA2の感度は、86%であった。
【0323】
(表3)AMRA試験セットにおけるAMRA2の臨床性能
【0324】
表4は、検証セットにおけるAMRA2の性能を示す。高い感度及び特異性は、検証コホートにおいて確認されたが、PPVは、試験セットによって与えられた値の約半分である。PPVのこの減少は、検証セットのがん有病率の減少に起因する。閉経前の群(N=296)におけるがん有病率は、2.0%であり、閉経後の群(N=300)については、試験セットの閉経前及び閉経後の群についてそれぞれ、5.0%及び10.0%の有病率であったのと比較して、5.6%であった。表5は、AMRA2検証のために使用されたデータセットにおける596名の研究対象についての人口統計を与える。
【0325】
(表4)検証セットにおけるAMRA2の臨床性能
【0326】
(表5)検証セットの人口統計情報及び臨床病理学的情報
【0327】
表6は、研究対象の低リスク群及び高リスク群への分類をまとめたものである。閉経前の群における6つのがんについて、6つのうち5つは、AMRA2によって高いリスクとして分類され、がんの1つは、低いリスクとして分類された。閉経前の群における17のがんについて、17のうち15は、高いリスクとして分類され、2つは、低いリスクとして分類された。したがって、AMRA2の感度は、閉経前及び閉経後の女性について、それぞれ、83%及び88%であった。全ての対象を合わせると、感度は、23のうち18(87%)であった。比較のために、この患者群におけるCA125の感度は、閉経前及び閉経後の女性について、それぞれ67%及び71%であった。CA125の性能を評価するために使用されたカットオフ値は、閉経後の女性について35.0U/mlであり、閉経前の女性について62.0U/mlであった。
【0328】
(表6)検証セットにおけるAMRA2リスクスコアの分布
【0329】
閉経前の低いリスク群についてのAMRA2試験特異性は、90%であった。閉経後の低いリスク群についての試験特異性は、87%であった。比較のために、閉経前及び閉経後の女性についてのCA125の特異性は、それぞれ90%及び89%であった。AMRA2 HR群についての陽性予測値は、それぞれ、閉経前及び閉経後の女性について15.62%(5/27)及び29.41%(15/36)であった。
【0330】
実施例2.4:考察
実施例1で考察されたように、がんの有病率が5%であった、付属器腫瘤を有する956名の閉経前の女性の群では、AMRA MIAは、以下のような女性の3階層のリスク階層化を示した。低いリスク群(集団の67.8%、卵巣がん有病率は0.6%)、高いリスク群(集団の7.9%、がん有病率は35.8%)、及び中間のリスク群(集団の24.3%、がん有病率は2.1%)。がん有病率が10%である562名の閉経後の女性の群において、低いリスク群には、女性の52.7%が含まれ、がん有病率は0.7%であった。高いリスク群の女性の10.6%について、がん有病率は、86.6%であった。中間の群は、女性の36.7%を有しており、がん有病率は4.8%であった(実施例1を参照されたい。また、Zhang et al.Adnexal mass risk assessment:a multivariate index assay for malignancy risk stratification.Future Oncol 2019も参照されたい(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる))。
【0331】
閉経前及び閉経後の女性のこれらの同じ2つの群において、AMRA2の二段階アルゴリズムは、中間のリスク群を除外した。そうすることで、AMRA2の感度及び特異性は、それぞれ86.60%及び85.25%まで改善した。
【0332】
がんの有病率が3.8%であった、付属器腫瘤を有する596名の女性のこの現在の研究において、AMRA2により、86.96%の感度及び89.01%の特異性が得られた。AMRA2の感度は、CA125よりも有意に良好である一方、この2つの試験の特異性は類似していた。
【0333】
実施例3:高リスクの女性における卵巣がんリスク評価のための多変量インデックスアッセイ
卵巣がんの早期検出のために、様々なバイオマーカーが提案されている。付属器腫瘤を有する女性は、悪性腫瘍を発症する生涯にわたるリスクを10%有しているが、一方で、生殖細胞遺伝子変異を有する女性における卵巣がんのリスクは、はるかに高いリスクを有する。OVA1及びOVERA多変量インデックスアッセイ(MIA)(Aspira Lab)は、付属器腫瘤が存在する女性におけるがんリスクを評価するために、以前に開発された。これらの腫瘤は、生検の対象ではないため、腫瘤の超音波検査及びOVA1バイオマーカー試験は、悪性腫瘍のリスク評価を提供し、また患者の臨床管理を導く。残念ながら、無症候性の高いリスクの患者において卵巣がんを効果的に検出することができる画像診断又はバイオマーカー試験は存在しない。したがって、改善された診断試験の必要性が存在する。
【0334】
実施例2で考察されたように、AMRA2 MIAは、7つのバイオマーカー(ApoA1、CA125、β2M、トランスフェリン、トランスサイレチン、FSH、及びHE4)及び複数のアルゴリズムを使用して、0~20の範囲のリスクスコアを生成する。5.0未満のAMRA2リスクスコアを有する女性は、低いリスクとして定義され、連続した超音波検査及びバイオマーカー検査を使用して「経過観察(watch and wait)」戦略の対象となる。高いリスクのAMRA2スコア(5.0以上)は、即時手術を考慮する必要がある女性を定義する。がんの確率は、スコアが増加するにつれて増加し、適切な外科的決定を行う際に、医師を導くことができる。
【0335】
AMRA2血液検査は、高いリスクの女性における早期がん検出の必要性を満たすために開発され、高いリスクの女性は、無症候性の付属器腫瘤を有する女性、生殖系変異(例えば、BRCA1/2)を有する者、又は卵巣がんと関連付けられた他のDNA変異を有する者として定義される。AMRA2血液検査を使用して、手術を遅らせることができるか、又はおそらく手術を回避することができる女性から、即時手術を必要とする無症候性の付属器腫瘤を有する高いリスクの女性を特定した。3つの主要な分野が評価された。1)症候性の付属器腫瘤を有する女性において、がんの早期検出のためのAMRA2の使用、2)症候性の付属器腫瘤を有する女性において、卵巣がんの早期検出である、新しい臨床的使用を開始すること、3)乳がん及び/又は卵巣がんと関連付けられた遺伝子の生殖細胞遺伝子変異及び/若しくは体細胞遺伝子変異、並びに/又は異常なメチル化(例えば、高メチル化又は低メチル化)を有する女性の予防的手術を導くためのモニタリング試験としてAMRA2を確立すること。乳がん及び/又は卵巣がん(BOC)と関連するいくつかの遺伝子としては、乳がん1(BRCA1)、乳がん2(BRCA2)、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)、BRCA1関連Ringドメイン1(BARD1)、BRCA1相互作用タンパク質C末端ヘリカーゼ1(BRIP1)、カドヘリン-1(CDH1)、チェックポイントキナーゼ2(CHEK2)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、MutLホモログ1(MLH1)、MutSホモログ2(MSH2)、MutSホモログ6(MSH6)、ニブリン(NBN)、BRCA2のパートナー及びローカライザー(PALB2)、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)、RAD51パラログD(RAD51D)、セリン/スレオニンキナーゼ11(STK11)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、BRCA1 A複合体サブユニットabraxas 1(ABRAXAS1若しくはFAM175A)、RAC-アルファセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ(AKT1若しくはタンパク質キナーゼB)、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)、axis阻害タンパク質2(AXIN2)、骨形成タンパク質受容体1A型(BMPR1A)、がん原遺伝子B-Raf(BRAF)、細胞分裂周期25C(CDC25)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、カテニンベータ-1(CTNNB1)、RNaseモチーフを有するヘリカーゼ(DICER1)、Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2(ERBB2)、切除修復交差相補性グループ6(ERCC6)、ファンコニ貧血相補性グループM(FANCM)、ファンコニ貧血相補性グループC(FANCC)、減数分裂組換え11(MRE11)、mutY DNAグリコシラーゼ(MUTYH)、ニューロフィブロミン1(NF1)、エンドヌクレアーゼIII様タンパク質1(NTHL1)、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットアルファ(PIK3CA)、減数分裂後分離増加2(PMS2)、タンパク質ホスファターゼ2調節サブユニットAアルファ(PP2R1A)、タンパク質キナーゼDNA活性化触媒サブユニット(PRKDC)、DNAポリメラーゼデルタ1触媒サブユニット(POLD1)、RAD50ホモログ(RAD50)、RAD51パラログC(RAD51C)、Ringフィンガータンパク質43(RNF43)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体鉄硫黄サブユニットB(SDHB)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体サブユニットD(SDHD)、クロマチンサブファミリーAメンバー4のSWI/SNF関連マトリックスに関連付けられたアクチン依存性調節因子(SMARCA4)、チャイニーズハムスター細胞2におけるX線修復相補性欠損修復(XRCC2)、ウェルナー症候群ATP依存性ヘリカーゼ(WRN若しくはRECQL)、細胞分裂周期73(CDC73)、ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ12(GALNT12)、グレムリン1(GREM1)、ホメオボックスB13(HOXB13)、MutSホモログ3(MSH3)、DNAポリメラーゼエプシロン触媒サブユニット(POLE)、RAD51レコンビナーゼ(RAD51)、RAD50相互作用因子1(RINT1)、40Sリボソームタンパク質S20(RSP20)、SLX4構造特異的エンドヌクレアーゼサブユニット(SLX4)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、二重特異性タンパク質キナーゼTTK(TTK)、Ras関連ドメインファミリー1アイソフォームA(RASSF1A)、Runt関連転写因子3(RUNX3)、組織因子経路阻害因子2(TFPI2)、分泌frizzled関連タンパク質5(SFRP5)、オピオイド結合タンパク質/細胞接着分子(OPCML)、O-アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(MGMT)、カドヘリン13(CDH13)、スルファターゼ1(SULF1)、ホメオボックスA9(HOXA9)、ホメオボックスA11(HOXAD11)、クローディン4(CLDN4)、T細胞分化タンパク質(MAL)、インプリント部位の調節因子の兄弟(BORIS)、ATP結合カセットスーパーファミリーGメンバー2(ABCG2)、チューブリンベータ3クラスIII(TUBB3)、メチル化制御DNAJ(MCJ)、シヌクレイン-γ(SNGG)、代替リーディングフレーム腫瘍抑制因子(P14ARF)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A(CDKN2A若しくはP16INK4A)、サイクリン依存性キナーゼ4阻害因子B(CDKN2B若しくはP15)、死関連タンパク質キナーゼ1(DAPK)、カルシウムチャンネル電圧依存性T型アルファ1Gサブユニット(CACNA1G若しくはMINT31)、網膜芽腫相互作用ジンクフィンガータンパク質1(RIZ1)、及びメチル化誘導サイレンシングの標的1(TMS1)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0336】
プロスペクティブ研究を実施して、症候性の付属器腫瘤を有すると診断されたが、悪性腫瘍について超音波検査が確定的ではない女性のがんリスク階層化について、AMRA2血液検査の感度、特異性、陽性予測値及び陰性予測値を検証した。骨盤症状を有する女性は、多くは、超音波検査によって付属器腫瘤を有することが示される。症例の約10%において、腫瘤は、悪性であることが判明し、婦人科専門医によって行われる即時手術が推奨される。しかしながら、これらの症例の多くにおいて、超音波検査は確定的ではなく、腫瘤が良性である場合には、手術を遅らせることができる。いくつかの場合において、良性腫瘤は、治療を行わずに消散し、手術を避けることができる。AMRA2は、患者を高いリスクの群及び低いリスクの群に分けるように設計され、その目的は、どの女性を、待機して様子を見る(wait and watch)群における待機的管理に誘導することができるかを特定することであり、一方で、高いリスクの患者は、即時手術に誘導することができる。
【0337】
無症候性の付属器腫瘤を有すると診断された女性において、がんの早期検出のためのAMRA2を用いた連続試験の役割を定義するために、モニタリング研究を実施した。時折、骨盤症状を有しない女性において、付属器腫瘤が診断される。この研究において、女性に、連続的な超音波検査及びCA125及びAMRA2を用いたバイオマーカー検査を行った。卵巣がんは、症状の存在にかかわらず、付属器腫瘤を有する女性において生じる可能性があるため、これらの女性は、現在、注意深い待機シナリオで管理され、かつ超音波検査及び血清CA125を用いた連続的な様式でモニタリングされた。
【0338】
第2のモニタリング研究を実施して、乳がん及び/又は卵巣がんの発症と関連付けられた生殖細胞変異(例えば、BRCA1/2)若しくは体細胞変異、並びに/又は乳がん遺伝子及び/又は卵巣がん遺伝子の異常なメチル化(例えば、高メチル化又は低メチル化)を有する女性におけるがんの早期検出のためのAMRA2を用いた連続試験の役割を定義した。主要な生殖細胞若しくは体細胞遺伝子変異、又は異常なメチル化(例えば、高メチル化若しくは低メチル化)を有する女性は、乳がん及び卵巣がんの非常に高いリスクを有する。卵巣がんについて、CA125は、現在、卵巣がんの発症について女性をモニタリングするために使用される唯一の血液検査である。乳がん及び/又は卵巣がんと関連付けられた遺伝子を、非侵襲性診断ツールとして無細胞循環腫瘍DNA(cftDNA)を使用してスクリーニングした。cfTDNAを、対象から得られた血清から単離し、標的化された次世代シーケンシング(NGS)を使用して単一ヌクレオチド変異(SNV)又はコピー数改変をチェックし、同じ遺伝子改変についてNGS又はPCRを使用して、それぞれのホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織をチェックすることによって結果を更に検証した。
【0339】
上の研究について、症候性の付属器腫瘤を有するおよそ100名の女性、及び無症候性の付属器腫瘤を有する100名の女性を評価した。50名の女性が外科的転帰評価を受けるまで、BRCA変異を有する女性をモニタリングした。
【0340】
AMRA2検証研究及び2つのモニタリング研究に使用される血清試料を、18歳以上であり、かつ卵巣付属器腫瘤を有すると診断された女性からプロスペクティブに集めるか、又はBRCA1/2及び他のDNA変異及び/若しくは異常なメチル化(例えば、高メチル化若しくは低メチル化)の存在に起因するフォローアップにおいて集めた。IRBが承認した患者モニタリング研究で得られ、かつ血清リポジトリで維持された、レトロスペクティブに集めた血清試料を、この研究で使用した。
【0341】
患者試料をコード化し、そして試験まで-70℃で保存した。試験時に、試料を解凍し、分析機中にコード化されたアリコートで入れた。血清試料をアッセイして、AMRA2スコアを決定した。患者を即時手術又は待機的管理に導くために、AMRA2スコアを医師に報告した。経過観察(watch and wait)群に向けられた女性は、1年の間、超音波、CA125、及びAMRA2を用いて、連続的な様式で試験された。外科的転帰(例えば、がん検出について陽性又は陰性)を有していた全ての女性を使用して、真の陽性率、偽陽性率、真の陰性率、及び偽陰性率を定義した。この研究からの性能データを使用して、付属器腫瘤を有する女性の臨床管理を導くためにAMRA2の臨床有用性を検証した。
【0342】
無症候性の骨盤腫瘤を有していた女性、及び主要な生殖細胞及び/若しくは体細胞遺伝子変異並びに/又は異常なメチル化(例えば、高メチル化若しくは低メチル化)を有する女性を、超音波、AMRA2及びCA125を用いて、連続的な様式で試験した。医師及び患者によって定義されるモニタリング期間の終了時に、手術を行って付属器腫瘤を除去するか、又は生殖細胞及び/若しくは体細胞変異並びに/又は異常なメチル化(例えば、高メチル化若しくは低メチル化)を有する女性について、予防的手術を行って、卵巣及び卵管を除去した。
【0343】
実施例4:乳がん及び卵巣がんリスク検出のための多因子リスク評価
実施例4.1:背景
米国において、遺伝子検査の資格を有する、乳がん又は卵巣がんを有する推定120万人~130万人の女性が、それを受けることができなかった。また、乳がんを有する患者の85%超、及び卵巣がんを有する患者の80%が、自身の医師と遺伝子検査について話合うことすらなかった(Christopher P.Childers,et al.,National Estimates of Genetic Testing in Women With a History of Breast or Ovarian Cancer,J.Clin Oncol.,August 18,2017)。乳がん及び/又は卵巣がんを有すると診断された女性の約10%が、遺伝的原因に起因する。
【0344】
2017年に、NCI研究は、乳がんを有する女性の25%及び卵巣がんを有する女性の33%が、乳がん及び卵巣がんの感受性遺伝子における既知の有害なバリアントについての遺伝子検査を受けたことを報告した。遺伝子検査を受けた患者(乳がん患者の8%及び卵巣がん患者の15%)は、「行動可能な」遺伝子バリアント(すなわち、治療、スクリーニング、及びリスク減少戦略における変更が正当である場合があるバリアント)を有していた(Allison W.Kurian,et al.,Genetic Testing and Results in a Population-Based Cohort of Breast Cancer Patients and Ovarian Cancer Patients,J.Clin Oncol.,April 9,2019)。これらの遺伝子のうち、「治療」とみなされる、リスクを減少させる外科的方法を占めるのは、12個のみである(卵巣がんに関するNCCNガイドライン1.2019)。これにより、乳がん及び卵巣がん(BOC)と関連付けられた既知の有害なバリアントを有する残りの24+遺伝子を改良し、かつより良い治療計画を作成するための継続的な努力の必要性が特定される。これらの12個の遺伝子のうち、BRCAは、最も一般的に関連付けられた遺伝子であり、また遺伝性がんの約15~20%を占めるに過ぎない。一方で、残りのより低い有病率の遺伝子は、約18%を占め、大雑把な推定で60%の機会が残されている(Thomas Paul Slavin,et al.,Clinical application of multigene panels:challenges of next-generation counseling and cancer risk management,Front.Oncol.,29 September 2015)。後期BOCを有すると診断されたこれらの女性について、遺伝子検査は、通常、遺伝子パネルが小さいことに起因して陰性所見を有する二次的なものであるか、又は全く提供されない。
【0345】
卵巣がんは、静かな疾患と考えられるため、診断することは困難である。腫瘍の侵襲的除去及び病理学的評価を行うことなく体細胞検出を測定することができる既知の非侵襲性診断試験は存在しない。診断に使用されている現在の方法は、症状がそれを正当化する場合の診断試験としてのみ、症状が卵巣腫瘤を除外するために画像を必要とする場合に使用される最も一般的な種類のU/Sである、経膣超音波(TVUS)である。
【0346】
多変量インデックスアッセイ(例えば、OVA1及びOVERA)は、付属器腫瘤が存在する女性において、がんリスクを評価するために開発された。これらの腫瘤は、生検の対象ではないため、腫瘤の超音波検査及びバイオマーカー試験が、悪性腫瘍のリスク評価を提供し、患者の臨床管理を導く。残念ながら、無症候性の高リスクの患者において卵巣がんを効果的に検出することができる画像診断又はバイオマーカー試験は存在しない。
【0347】
課題の1つは、悪性腫瘍の発生源における不均一性である。卵巣の悪性腫瘍は、複数の発生源(すなわち、生殖細胞、間質細胞、上皮細胞、又は間葉系組織)から生じ得る。いくつかの症例は、孤発性であり、卵巣がんのいくつかの症例は、HBOC又は稀な遺伝子変異を伴う家族において遺伝性である可能性がある(例えば、リンチ症候群)。卵巣がんに対する管理及び治療アプローチは、腫瘍の病理に依存する。卵巣がんの診断には、1つも試験方法が存在せず、疾患を管理するための最良の方法も存在しない。現在、症候性の女性は、広範囲にわたる検査を経て、婦人科腫瘍専門医から外科的評価を受ける前に様々な専門医に会い、それは、生存可能性がほとんどないか、全くない後期までがんが進行することを可能にする。したがって、女性の卵巣がんを早期に検出し、進行中の腫瘍から生殖細胞性及び孤発性のリスクの両方を特定する、侵襲性の低い診断試験に対する必要性が存在する。
【0348】
卵巣がんについて高リスクである患者を診断するための試験を開発し、また遺伝子の感受性パネルを開発し、かつ血液中で試験されるような細胞腫瘍DNA(ctDNA)からの早期スクリーニング測定を開発するために、1)症候性の付属器腫瘤、2)骨盤検査で偶発的に見つかった非症候性の腫瘤、3)HBOCについての遺伝子検査を有し、かつ付属器腫瘤の徴候がない非症候性、及び/又は4)卵巣がんと関連付けられた家族歴若しくは遺伝子異常(生殖細胞系及び体細胞DNA変異)のいずれかを有する女性から腫瘍プロファイルを得た。
【0349】
実施例4.2:方法及び手順
試料採取
細胞の生物学的性質に起因して、卵巣がん患者の血液試料を、高い完全性の採取を確実にするために、異なる媒体を含む3つの別個の採取管内に集めた。(1)標準EDTA(ラベンダートップ)、(1)PAX(cffDNA)、及び(1)タイガートップ(血清)管。
【0350】
EDTA管は、DNAを含有する細胞を保有する細胞要素であるリンパ球の形態を保存するための抗凝固採取装置である。これは、遺伝子検査に使用される標準的な管である。
【0351】
PAX Blood ccfDNA管は、全血を採取するために特別に設計されており、血漿中の循環無細胞DNAの濃度を安定化させる。この種類の管は、高い完全性のccfDNAを採取するために重要である。
【0352】
タイガートップ管は、抗凝固剤を含有するが、血栓活性剤及び血清分離ゲルを含有する。これにより、OVA1及び/又はOVERAアッセイを用いて試験されたタンパク質等の大きな細胞サブユニットを保持する血清を分離するために、全血の加速された凝固を可能にする。
【0353】
次いで、採取された血液試料を、HBOC、OVERA、及び/又はOVA1アッセイを使用して試験した。
【0354】
全血の採取
全血は、1本のEDTA管、及び1本のPAX管に、管当たり約5mLの血液で採取される。
【0355】
血清の採取
血清分離管チューブ(タイガートップ)を使用する、標準的な静脈穿刺手順による、患者の血液の8.5mL静脈からの抜き取りから、血清を採取する。
【0356】
FFPE組織の採取
付属器腫瘤の外科的除去の間に採取した組織を、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)スライドとして、少なくとも20%の腫瘍含有量で、受け取る。1つのH&Eスライドも採取して、腫瘍含有量を評価する。
【0357】
臨床試料
全ての試料を適切に処理し、標準操作手順(SOP)に従って、目的の生物学的物質を得る。OVA試験の提供のために採取された血清試料からの余分な物質は、商業的に試験され、また更なる試験まで-20℃で保存される。
【0358】
HBOCの生殖細胞試験及び/又は体細胞試験のためのEDTA血液採取管を十分に混合し、1mLのアリコートを取り出し、管内に入れ、更なる試験まで4℃で保存する。残りの血液は、実験室のSOPに従って処理される。
【0359】
血漿のために処理され、また無細胞DNA採取を達成するために、追加のEDTA血液管が提供される。これらの試料は、実験室のSOPの直後に処理され、そして更なる処理が行われるまで-20℃で保存される。
【0360】
他の実施形態
上の説明から、本明細書に記載された本発明に対して、様々な使用法及び条件にそれを採用するための変形及び修正がなされ得ることが明らかになるであろう。そのような実施形態もまた、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
【0361】
本明細書における変数の任意の定義における要素のリストの列挙は、任意の単一の要素又は列挙された要素の組み合わせ(又は部分的な組み合わせ)として、その変数の定義を含む。本明細書の実施形態の列挙は、その実施形態を、任意の単一の実施形態として、又は任意の他の実施形態若しくはその部分と組み合わせて含む。
【0362】
Zhang Z,et al.Adnexal mass risk assessment:a multivariate index assay for malignancy risk stratification,Future Oncol 2019を含むが、これに限定されない、本明細書で述べられる全ての特許、刊行物、及びアクセッション番号は、各独立した特許、刊行物、及びアクセッション番号が、参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されたのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図1-5】
図1-6】
図1-7】
図1-8】
図1-9】
図1-10】
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図1-29】
図1-30】
図1-31】
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4A
図4B
図5-1】
図5-2】
図6-1】
図6-2】
図7A
図7B
図8-1】
図8-2】
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2023518280000001.app
【国際調査報告】