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特表2023-518289車両用の防雹保護システムおよび付隨する防雹保護シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-28
(54)【発明の名称】車両用の防雹保護システムおよび付隨する防雹保護シート
(51)【国際特許分類】
   B60J 11/04 20060101AFI20230421BHJP
   B60J 11/00 20060101ALI20230421BHJP
   B60J 11/02 20060101ALI20230421BHJP
   B32B 25/08 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
B60J11/04 A
B60J11/00 M
B60J11/02 Z
B60J11/00 N
B32B25/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556538
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(85)【翻訳文提出日】2022-10-03
(86)【国際出願番号】 EP2021056772
(87)【国際公開番号】W WO2021185886
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】2002586
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522368743
【氏名又は名称】ミニョナ,セドリック
【氏名又は名称原語表記】MIGNONAT,Cedric
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ミニョナ,セドリック
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AK48A
4F100AK48B
4F100AL09C
4F100AT00A
4F100AT00B
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100GB32
4F100JA03C
4F100JA11C
4F100JD14C
4F100JK03A
4F100JK10C
4F100JK13B
4F100YY00C
(57)【要約】
本発明は、車両(100)用の防雹保護シート(2)に関する。該シートは、延性であってかつ低い収縮率を有し、粘弾性で結晶質ミクロセル状に配設された振動吸収性を有する少なくとも1つのタイプのエラストマーで構成され、前記防雹保護シート(2)上への雹の打撃により生み出される衝撃を吸収し水平方向に分散させることのできる、少なくとも1つの中間層(22)を含む。本発明は同様に、防雹保護シート(2)の収納機構(4)ならびに防雹保護システムにも関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)用の防雹保護シート(2)において、互いに重畳され多層アセンブリを形成し、かつ
- 雹と接触するようになっている不浸透性かつ非引裂性の外側層(21)と、
- 保護すべき車両(100)と直接接触するようになっている非摩擦性の内側層(23)と、
- 外側層(21)と内側層(23)の間に配置され、延性であってかつ低い収縮率を有し、結晶質ミクロセル状に配設された振動吸収性かつ粘弾性の少なくとも1つのタイプのエラストマーで構成され、かつ前記防雹保護シート(2)上への雹の打撃により生み出される衝撃を吸収し水平方向に分散させることのできる、少なくとも1つの中間層(22)と、
を含む3つの層を画定する多層構造を含んでいること、および
保護すべき車両(100)と一体化した保管手段(3)内で収納機構(4)によって選択された巻回構成にしたがって、その多層アセンブリ内に巻回されるように構成されていること、
を特徴とする防雹保護シート(2)。
【請求項2】
中央位置において車両(100)を長さ方向に覆うことのできる中央エプロン(27)と、折畳み/折畳み解除され得かつ車両(100)のフェンダーを覆うことのできるサイドスカート(24)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の車両(100)用の防雹保護シート(2)。
【請求項3】
前記防雹保護シート(2)の長さの方向に配置され、防雹保護シートの中央エプロン(27)に向かって防雹保護シート(2)のサイドスカート(24)を折畳みかつ中央エプロン(27)から車両(100)のフェンダーに向かって防雹保護シート(2)のサイドスカート(24)を折畳み解除することを可能にできる少なくとも2本の脆弱化ライン(242)を含むことを特徴とする、請求項2に記載の車両(100)用の防雹保護シート(2)。
【請求項4】
車両(100)のフロント部分に固定し、かつ防雹保護シート(2)を展開位置に維持することを可能にすることのできる前記防雹保護シート(2)の遠位端部(26)上に配置された固定手段(5)を含むことを特徴とする、請求項2または3に記載の車両(100)用の防雹保護シート(2)。
【請求項5】
選択された幅にしたがった折畳み位置での防雹保護シート(2)の維持を可能にし、かつ前記防雹保護シート(2)の収納を可能にする締結手段(241)を含むことを特徴とする、請求項2から4のいずれか一つに記載の車両(100)用の防雹保護シート(2)。
【請求項6】
車両(100)用の防雹保護システム(1)において、
- 請求項1から5のいずれか一つに記載の防雹保護シート(2)と、
- 請求項1から5のいずれか一つに記載の防雹保護シート(2)のための収納機構(4)であって、車両(100)のリアシャーシに対して前記車両(100)のアンダーボディのリア部分のところで、選択された固定手段(31)によって固定され得る保管手段(3)を含むことを特徴とし、かつ、
- 相互にかつ車両(100)の車軸に対して平行で、互いに選択された距離に沿って配置されかつ、防雹保護シートの長さ方向での保管を可能にするために2本の回転ローラー(42、43)に対応する巻回中心を有する巻回構成にしたがって2本の回転ローラー(42、43)間で伸張した状態で防雹保護シート(2)をそれ自体の上に巻回することのできる2本の回転ローラー(42、43)と、
- 前記防雹保護シート(2)の収納手順の際に定着点を提供するために防雹保護シート(2)の近位端部(25)と一体化した、2本の回転ローラー(42、43)を取り囲む駆動ループ(45)と、
- 回転ローラー(42)のうちの少なくとも一方の上に配置され、前記回転ローラー(42)を回転させこうして保管手段(3)内への防雹保護シート(2)の収納を駆動することができ、かつ、防雹保護シート(2)が車両(100)を少なくとも部分的に覆っている展開状態から防雹保護シート(2)が保管手段(3)内に選択された構成にしたがって収容され巻回されている防雹保護シート(2)の格納状態への移行を可能にすることができる駆動手段(44)と、
を含む収納機構(4)と、
を含む防雹保護システムであって、
- 車両(100)のアンダーボディのリア部分と接触している保管手段(3)の上部部分が、車両(100)の排気システムから防雹保護シート(2)を保護することのできる断熱表面を含んでいる、
車両(100)用の防雹保護システム(1)。
【請求項7】
収納機構(4)は、回転ローラー(42、43)が駆動手段(41)から連動解除されて防雹保護シート(2)の手動式展開を可能にする連動解除モードを含んでいることを特徴とする、請求項6に記載の車両(100)用の防雹保護システム(1)。
【請求項8】
外部の無線制御手段に由来する電動式駆動手段(41)のアクティベーション信号を受信し、こうして防雹保護シート(2)の収納を実施することのできる、処理手段ならびに送信/受信装置を含むことを特徴とする、請求項6または7に記載の防雹保護システム(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防雹保護シート、防雹シートの収納機構、ならびに車両用の防雹保護システムおよび付隨する防雹保護シートに関する。本発明は、概して、自動車タイプの車両の車体の、降雹に対する保護において利用される。
【背景技術】
【0002】
降雹は、毎年、車両に対する多くの被害の原因となっており、これらの被害には、車両の車体上の擦り傷および凹みが含まれ、車両の一定の部分への打撃ならびに亀裂およびガラスの破損を創出するまでに至る可能性がある。
【0003】
車両とは、保護すべき車体を含み、本発明に係る防雹保護システムを受入れることのできるアンダーボディを有するあらゆる車両を意味する。
【0004】
すでに、ネオプレンまたはEVA製の保護シートが知られており、これらは軽量であるものの摩耗や引裂を起こし易く、車両に対して雹が加える打撃に関して十分なエネルギー分散特性を有していない。
【0005】
一方では、車両上へのこれらの防雹保護シートの設置は多くの場合複雑であり、容易な展開および収納を可能にしながら最適な保護を付与するためのあらゆるタイプの車両に対する適応性をユーザーに保証することはできない。
他方では、現在の防雹保護システムは、車両に一体化され前記シートの展開および収納手段を有する可能性があるものの、車両のトランク内におけるまたは車両のバンパー内に一体化されたそれらの位置のため、システムの操作は複雑で、前記システムは、車両の衝突時に傷つき易いものとなっている。
【0006】
これらのシステムは、空間的な嵩高さ無く降雹に起因する打撃から車両を効果的に保護するのに十分丈夫な保護シートを収容することのできる構成を有していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これらの欠点を軽減する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車両用の防雹保護シートに関する。本発明の一般的定義によると、防雹保護シートは、延性であってかつ低い収縮率を有し、粘弾性で結晶質ミクロセル状に配設された振動吸収性を有する少なくとも1つのタイプのエラストマーで構成された、前記防雹保護シート上への雹の打撃により生み出される衝撃を吸収し水平方向に分散させることのできる、少なくとも1つの中間層を含む。
【0009】
本発明の一実施形態によると、保護シートは、
- 雹と接触するようになっている不浸透性かつ非引裂性の外側層と、
- 保護すべき車両と直接接触するようになっている非摩擦性の内側層と、
- 外側層と内側層の間に配置されている中間層と
を画定する多層構造を含む。
【0010】
実際には、防雹保護シートの中間層は、DIAFARM LABORATORIOS社によりNOENE(登録商標)なる品名で販売されている材料で構成されている。
【0011】
有利には、本発明に係る防雹保護シートは、本発明に係る保護シート内に雹の打撃によって移送された運動エネルギーを有効に消散させることによって、降雹から車両を効果的に保護することを可能にする。
【0012】
本発明に係る一実施形態によると、防雹保護シートは、中央位置において車両を長さ方向に覆うことのできる中央エプロンと、折畳み解除され得かつ車両のフェンダーを覆うことのできるサイドスカートとを含む。
【0013】
実際には、防雹保護シートは、前記保護シートの長さの方向に配置され、保護シートの中央エプロンに向かって保護シートのサイドスカートを折畳みかつ中央エプロンから車両のフェンダーに向かって防雹保護シートのサイドスカートを折畳み解除することを可能にする少なくとも2本の脆弱化ラインを含む。
【0014】
一例として、防雹保護シートは、車両の前方部分を固定し、かつ防雹保護シートを展開位置に維持することを可能にする、前記防雹保護シートの遠位端部上に配置された固定手段を含む。
【0015】
本発明に係る特定の一実施形態によると、防雹保護シートは、選択された幅に従った折畳み位置でのシートの係止を可能にし、かつ前記防雹保護シートの収納を可能にする締結手段を含む。
【0016】
本発明は同様に、防雹保護シートに適用される収納機構にも関する。
【0017】
本発明の別の態様によると、防雹保護シートに適用される収納機構は、車両のリアシャーシに対して固定され得る保管手段を含み、かつ、
- 車両の一部分に固定され得る前記シートの保管手段と、
- 相互にかつ車両の車軸に対して平行で、互いに選択された距離に沿って配置されかつ、保護シートの長さ方向での保管を可能にする目的で2本の回転ローラーに対応する巻回中心を有する巻回構成にしたがって2本のローラー間で伸張した状態で保護シートをそれ自体の上に巻回することのできる2本の回転ローラーと、
- 前記保護シートの収納手順の際に定着点を提供する目的で防雹保護シートの近位端部と一体化した、2本の回転ローラーを取り囲む駆動ループと、
- 回転ローラーのうちの少なくとも一方の上に配置され、前記回転ローラーを回転させこうして保管手段内への防雹保護シートの収納を駆動することができ、かつ、防雹保護シートが車両を少なくとも部分的に覆っている展開状態から防雹保護シートが保管手段内に選択された構成にしたがって収容され巻回されている防雹保護シートの格納状態への移行を可能にすることができる駆動手段と、
を含む。
【0018】
一例として、駆動手段は、ステッピングモーター、バネタイプの弾性戻り手段からなる群に属する。
【0019】
実際には、本発明に係る防雹保護システムは、回転ローラーが駆動手段から連動解除されて保護シートの手動式展開を可能にする連動解除モードを含んでいる。
【0020】
本発明はさらに、防雹保護システムにも関する。
【0021】
本発明の別の態様によると、防雹保護システムは、本発明に係る保護シート、および本発明に係る収納機構を含む。
【0022】
賢明にも、本発明は、機械的に支援されて操作が容易であり先行技術のものよりも丈夫な防雹保護シートに適応した、展開および収納システムからユーザーが恩恵を受けることを可能にする。
【0023】
本発明の他の利点および特徴は、以下の説明および図面を検討することで明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る防雹保護シートを概略的に表わす。
図2】本発明に係る車両上で展開された状態にある防雹保護シートを概略的に表わす。
図3】本発明に係る防雹保護システムの保管手段を概略的に表わす。
図4】本発明に係る防雹保護システムの第1の実施形態を概略的に表わす。
図5】本発明に係る防雹保護システムの第2の実施形態を概略的に表わす。
図6】本発明に係る防雹保護システムの収納手段の第1の実施形態を概略的に表わす。
図7】本発明に係る防雹保護システムの収納手段の第2の実施形態を概略的に表わす。
図8】本発明に係る車両上に展開された防雹保護シートの正面図を概略的に表わす。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1~8を参照すると、本発明に係る車両100用の防雹保護システム1は、防雹保護シート2ならびに車両100に固定できる前記防雹保護シート2の保管手段3、および前記保管手段3内への保護シート2の機械的に支援された収納を可能にすることのできる収納機構4を含む。
【0026】
防雹保護システム1は、降雹によって引き起こされる被害に対する保護を保証する目的で車両100上に展開させることができ、以下中間層22と呼ぶ選択された特性の少なくとも1つの保護層を有する構造をもつ、以下保護シート2と呼称する防雹保護シート2を含む。
【0027】
中間層22は、振動吸収特性を有する特殊な粘弾性ゴムで構成されている。この特殊なゴムを構成するエラストマーは、打撃時に保護シート2に伝達された運動エネルギーを水平平面上で吸収および分散できるように配置された結晶質ミクロセルで構成されている。
【0028】
実際には、保護シート2の中間層22は、DIAFARM LABORATORIOS社によりNOENE(登録商標)なる品名で販売されている材料、または同じ振動吸収特性の類似の粘弾性材料で構成されている。
【0029】
意外にも、出願人は、医療関係産業において靴底製造用に通常使用されている材料NOENE(登録商標)が、衝撃吸収特性の最適化を可能にし、保護すべき車両のより優れた保護を可能にすることを見出した。
【0030】
その上、結晶質ミクロセル状の構造により、材料は、延性を有し続けひいては破断せずに変形することを可能にしながら優れた打撃耐性をシート2に付与することが可能になっている。
【0031】
最後に、中間層22の前記構造は、低い収縮率を有し、こうして、長期の使用の際に吸収した打撃にも関わらずその形状ならびにその振動弾性特性を維持することを可能にする。
【0032】
本発明に係る特定の一実施形態によると、中間層22は、結晶質ミクロセル状に配置された構造を含む振動吸収特性を有する粘弾性エラストマーで100%構成されている。
【0033】
本発明の特定の一実施形態によると、保護シート2は互いに重畳され、強い打撃耐性を有する多層アセンブリを形成し、かつ雹の打撃エネルギーを吸収しその後それを水平方向に分散させることのできる、3層を画定する多層構造を含み、該多層アセンブリは、前記保護シート2の全ての点に存在し、こうして、保護すべき車両のゾーンを覆うシート2の全ての点において同程度の保護を適用することを可能にしている。
【0034】
このような構造はさらに、雹を含めたさまざまな物体の運動エネルギーの有効な吸収を可能にするだけでなく、平均的サイズの枝および粗朶の落下の際に生じ得る損害を制限することをも可能にする。
【0035】
保護シート2は、下部層を摩耗から保護しながら雹の打撃を受けることのできる、非引裂性の材料で構成された不浸透性の外側層と呼ばれる第1の層21を含む。
【0036】
非限定的な一例として、外側層21は、処理されたナイロンで構成されている。
【0037】
保護シート2は、車両100の基礎をなす要素を、車両100と内側層23の摩擦によって引き起こされる痕跡および擦り傷から保護することのできる、保護すべき車両100の表面と直接接触するように構成され、非摩擦性の選択された材料からなる、内側層と呼ばれる第2の層23を含む。
【0038】
非限定的な一例として、内側層23は、非摩擦性の柔かいナイロンで構成されている。
【0039】
保護シート2は、次に、外側層21と内側層23の間に設置された中間層22を含む。
【0040】
防雹保護シート2は、それが車両100を少なくとも部分的に覆っている展開状態、ならびにシートがシステム1の保管手段3の中で特定の巻回構成にしたがって巻回されている格納状態を有する。
【0041】
保護シート2は、車両100の長さ全体にわたる水平またはほぼ水平な表面ならびに車両100のリアおよびフロントの垂直部分を覆うことのできる中央エプロン27を有する。
【0042】
保護シート2の中央エプロン27は、少なくとも1つの駆動ループ45によって保管手段3内に配置された収納手段4に固定され得る近位部分25、および車両100のフロント垂直部分を少なくとも部分的に覆うように構成されている遠位部分26を含む。
【0043】
本発明の一実施形態によると、保護シート2の遠位部分26は、保護シート2の遠位部分26の稜261上に配置された展開位置固定手段5を含む。
【0044】
保護シート2はさらに、シート2の展開の際に折畳み解除され、こうして以下車両100のフェンダーと呼称されている車両100の垂直またはほぼ垂直な側方表面を覆うことのできる、少なくとも2つのサイドスカート24を含む。
【0045】
別の実施形態によると、保護シート2の2つのサイドフラップ24は、それらの端部241上に配置された展開位置固定手段5を含む。
【0046】
代替的には、本発明に係る防雹保護システム1の保護シート2は、2つのサイドフラップ24上とシート2の遠位部分26上に展開位置固定手段5を含み、ここでシート2は、車両100のフロントのシャーシのところに引っ掛けられ、こうして車両100の車体上へのあらゆる締結を回避することが可能になっている。
【0047】
展開位置維持手段5は、非限定的に、バラスト、磁化表面、フック、ゴムひもからなる群に属する。
【0048】
本発明に係る一実施形態によると、保護シート2は、前記シート2の長さの方向に配置された少なくとも2本の脆弱化ライン242を含み、これらにより保護シート2のサイドスカート24を保管手段3に適合する選択された最終的幅に沿って中央エプロン27に向かって折畳むことが可能になっている。
【0049】
脆弱化ライン242は、付隨的に、保護シート2の展開時の車両100のサイドウォール上への前記サイドスカート24の折畳み解除を可能にする。
【0050】
車両100の異なる形状にシート2を適応させる目的で、他の補足的な脆弱化ライン242を追加することができる。これらの補足的脆弱化ライン242は、シート2上で車両100の車軸に平行にまたは直交して配置され得る。
【0051】
サイドスカート24がひとたび中央エプロン27上に折返された時点で、保護シート2を、収納機構4により保管手段3内に格納することができる。
【0052】
実際には、保護シート2はさらに、収納手順の際に保護シート2を折畳み構成に維持することのできる、サイドスカート24の折返し位置維持手段(図示せず)を含む。
【0053】
非限定的な一例として、サイドスカート24の折返し位置維持手段は、面ファスナー状表面、磁気ストラップからなる群に属する。
【0054】
図3~7を参照すると、防雹保護システム1はさらに、選択された固定手段31により車両100のアンダーボディのリア部分に固定され得る、収納用区画を形成する保管手段3を含む。
【0055】
保護シート2の保管手段3は、ほぼ平行六面体のボックス、ならびに、保護シートの展開を開始させるためにユーザーによる保護シート2の遠位部分26へのアクセスを可能にすること、そして保護シートがひとたび保管手段3内に格納された時点で保護シート2へのアクセスをロックすることを目的とし、手動で開放できる上げぶたタイプの開口部6、を含む。
【0056】
このようなシステムは、リアシャーシ上のその位置付けから、車両100の設計の修正を全く必要としない。
【0057】
実際には、車両100のアンダーボディのリア部分と接触している保管手段3の上部部分は、車両100の排気システムから保護シート2を保護することのできる断熱表面を含む。
【0058】
有利には、車両100のアンダーボディのリア部分において、シャーシの下に恒久的に固定された状態で車両下に保管手段3を配置することによってさらに、車両へのアクセスがより困難になることから、あらゆる窃盗の試みを予防することが可能になる。
【0059】
さらに、車両100のアンダーボディのリア部分のところでの、シャーシ下の保管手段3の配置は、駐車操作の際の衝撃に対して車両を保護することになる。
【0060】
賢明にも、シャーシ下での保管手段3の配置は、防雹保護シートが前記車両100のトランク内を混雑させることなく防雹保護シート2を保管することを可能にし、前記トランク内への粒子および汚れの侵入を予防する。
【0061】
保管手段3は、保護シート2を、展開と折畳み状態から保管手段3内での格納状態へと収納させることのできる、保護シート2の収納機構4を内蔵する。
【0062】
本発明に係る防雹保護システム1の収納機構4は、相互にかつ車両100の車軸に対して平行でかつ互いから選択された距離に沿って配置された2本の回転ローラー42、43を含む。
【0063】
収納機構4は、さらに、シートの自己巻回の形での保護シート2の収納を可能にする定着点を提供する目的で保護シート2の近位部分25と一体化している、回転ローラー42、43の間で引っ張られ前記回転ローラー42、43を取り囲む駆動ループ45を含む。
【0064】
駆動ループ45は、保護シート2の自己巻回のためのベルトおよびガイドとして作用する。
【0065】
こうして、2本の回転ローラー42、43ならびに駆動ループ45は、2本の回転ローラー42、43に対応する巻回の中心を有する自己巻回構成にしたがったシートの長さ方向での保管を可能にする目的で、前記シート2を2本のローラー42、43の間で伸張状態に維持しながら、保護シート2を巻回することができる。
【0066】
本発明の一実施形態によると、少なくとも1本の回転ローラー42が駆動手段41に連結されて、選択された巻回構成にしたがった保護シート2の収納を可能にする。
【0067】
実際には、駆動手段41は、バネタイプの弾性戻り手段412、ステッピングモーター413からなる群に属する。
【0068】
収納機構4はさらに、回転ローラー42を駆動して保管手段3内への保護シート2の収納を可能にすることのできる電動式駆動手段413に対し、少なくとも1本の回転ローラー42、43を連結する伝達手段411を含む。
【0069】
実際には、電動式駆動手段41は、ステッピングモーター413に給電することのできる電源を含む。
【0070】
本発明に係る特定の実施形態によると、収納機構4の駆動手段41は、連動解除可能であり、こうして、防雹保護システム1に、格納状態から展開状態への保護シート2の展開を可能にする連動解除モードを提供することができる。
【0071】
本発明の特定の実施形態によると、防雹保護システム1は、電動式駆動手段411を起動させ、こうして折畳まれた保護シート2の展開折り畳み状態から保管手段3内での格納状態までの収納を実施することのできる押しボタンタイプの手動式起動手段(図示せず)を含む。
【0072】
本発明の一変形実施形態によると、防雹保護システム1は、外部の無線制御手段に由来する電動式駆動手段41のアクティベーション信号を受信しこうして保護シート2の収納を実施することのできる、処理手段(図示せず)ならびに送信/受信装置(図示せず)を含む。
【0073】
実際には、第1の回転ローラー42は、駆動手段41が停止した場合に前記駆動手段41から連動解除される。
【0074】
本発明の一変形実施形態によると、バネタイプの駆動手段412は、このバネタイプの駆動手段412を遮断しこうして前記シート2の戻りを妨げることのできる、展開状態にある保護シート2の係止手段を内蔵する。
【0075】
防雹保護シート2の展開手順は、上げぶた6の手動開放によって行われ、ユーザーは、保護シート2の遠位部分26を引張り、前記シート2を車両100の長さ方向に展開させ、こうして展開状態にある折畳まれた保護シート2を得ることを可能にする。
【0076】
ユーザーは、その後、サイドスカート24を折畳み解除して、車両100のサイドウォールを保護シートが覆って、こうして折畳み解除された展開状態を得ることができるようにする。
【0077】
実際には、このように展開された保護シート2は、概してリアバンパーの一部分を保護されていない状態で残す既存の展開システムとは異なり、車両100全体を覆う。
【0078】
本発明に係るシステムは、巻回構成でシートがいつでも利用できる状態にあることから、シートを簡単に所定の場所に設置することを可能にする。
【0079】
本発明の特定の実施形態によると、巻回および展開は、10秒以内で実施される。
【0080】
保管手段3の位置付けがさらに、車両100の空力特性の変更を制限するように構成されているという点に留意すべきである。
【0081】
防雹保護シート2の収納手順は、駆動手段41を使用することによって実施され、駆動手段は、シート2の近位部分25の締結点に連結されており、伝達手段411による第1の回転ローラー42および第2の回転ローラー43の回転は、2つの回転ローラー42、43を中心とした保護シート2の潰れたO字形状の自己巻回構成にしたがった保護シート2の誘導式収納を駆動する。
【0082】
意外にも、本発明に係るシステムは、ユーザーにとっての簡便性を可能にしながら、簡略化された設置および固定を可能にする。
【0083】
有利にも、保護シート2の粘弾性特性および低収縮率特性は、収納機構4による特定の巻回構成の実装を可能にし、こうして保護シート2の変形を制限しながらかつ降雹に対する車両100の高い保護率を保証しながら、保管手段3内へのその収納を容易にする。
【0084】
車両100のシャーシ下に保管手段3を配置することの別の利点は、より大きな保管長さが得られ、こうして、保護シートは車両のシャーシの長さ方向に沿って縦方向に巻回されることになるため保護シートの長さ方向での特定の巻回構成にしたがった保管が可能となり、2本の回転ローラー42、43を中心とする回転数は制限され、前記保護シートの保管に関連する変形を最小限に抑えることが可能になる。車両のシャーシは同様にトランクよりも大きいことから、したがって、このように固定された保管手段3およびシート2を従来の保護システムよりも大きくすることが可能となる。
【0085】
システムは、巻回および展開段階を反復的に実施し、このような収納構成はさらに、保護シート3の物理的無欠性の維持を可能にする。
【符号の説明】
【0086】
1 防雹保護システム
2 防雹保護シート
3 保管手段
4 収納機構
5 展開位置固定手段
21 外側層
22 中間層
23 内側層
24 サイドスカート
25 近位部分
26 遠位部分
27 中央エプロン
41 駆動手段
42、43 回転ローラー
45 駆動ループ
100 車両

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】