(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-28
(54)【発明の名称】反応性ハイドロゲル形成製剤及び関連方法
(51)【国際特許分類】
A61L 27/22 20060101AFI20230421BHJP
A61L 27/36 20060101ALI20230421BHJP
A61L 27/52 20060101ALI20230421BHJP
A61L 27/20 20060101ALI20230421BHJP
A61L 27/02 20060101ALI20230421BHJP
A61L 27/50 20060101ALI20230421BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230421BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20230421BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20230421BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230421BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230421BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
A61L27/22
A61L27/36 410
A61L27/52
A61L27/20
A61L27/02
A61L27/36 420
A61L27/50
A61P11/00
A61K9/06
A61K47/42
A61K47/36
A61K47/34
A61K9/19
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556539
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(85)【翻訳文提出日】2022-11-08
(86)【国際出願番号】 US2021023359
(87)【国際公開番号】W WO2021189024
(87)【国際公開日】2021-09-23
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522368765
【氏名又は名称】バード ペリフェラル バスキュラー,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アディソン,ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】ストーム,ヘザー
(72)【発明者】
【氏名】ブランク,イーサン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA30
4C076AA95
4C076BB40
4C076CC15
4C076EE23
4C076EE30
4C076EE41
4C076FF70
4C081AB11
4C081BB02
4C081CA18
4C081CA27
4C081CC05
4C081CD01
4C081CD171
4C081CE11
4C081CF26
4C081DA11
4C081DA12
4C081DA15
(57)【要約】
ハイドロゲル組織シーラントに関連する組成物及び方法が全般的に記載される。特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、乾燥形態で(例えば1種以上の粉末混合物として)提供され、少なくとも求電子ポリマー架橋剤及び架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質などの求核ポリマーを含む。架橋剤及びタンパク質を溶解させることが可能な1種以上の溶媒が提供され、ハイドロゲル形成組成物を溶解させて架橋を促進するために使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのハイドロゲル形成組成物であって、
式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む第1要素;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH
2)
b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、前記基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-、又は-R-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である);並びに
前記架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素;
前記第1要素及び前記第2要素を溶解させることが可能な1種以上の溶媒;
並びに界面活性剤;
を含み、
前記第1要素、前記第2要素、及び前記界面活性剤が全て前記1種以上の溶媒に溶解されると、前記架橋剤と前記タンパク質の架橋が起こり、前記ハイドロゲル組織シーラントを形成するハイドロゲル形成組成物。
【請求項2】
ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのハイドロゲル形成組成物であって、
式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH
2)
b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、前記基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-、又は-R-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である);
前記架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質;
前記第1要素及び前記第2要素を溶解させることが可能な1種以上の溶媒;
並びに界面活性剤;
を含み、
前記架橋剤、前記タンパク質、及び前記界面活性剤が全て前記1種以上の溶媒に溶解されると、前記架橋剤と前記タンパク質の架橋が起こり、前記ハイドロゲル組織シーラントを形成するハイドロゲル形成組成物。
【請求項3】
ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのハイドロゲル形成組成物であって、
式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む第1要素;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH
2)
b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、前記基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-、又は-R-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である);並びに
前記架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素;並びに
前記第1要素及び前記第2要素を溶解させることが可能な1種以上の溶媒;
を含み、
前記第1要素及び前記第2要素が前記1種以上の溶媒に溶解されると、前記1種以上の溶媒に溶解した前記第1要素と前記第2要素の混合と同時に、前記架橋剤と前記タンパク質の架橋が20秒以下のゲル化時間で起こり、前記ハイドロゲル組織シーラントを形成するハイドロゲル形成組成物。
【請求項4】
ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのハイドロゲル形成組成物であって、
式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む第1要素;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH
2)
b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、前記基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-、又は-R-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である);並びに
前記架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素;並びに
前記第1要素を溶解させることが可能な第1溶媒及び前記第2要素を溶解させることが可能な第2溶媒;
を含み、
前記第2要素が前記第2溶媒に溶解されると、前記第2溶媒中の前記第2要素の前記溶液のpHが10.2以上及び10.6以下であり;前記第1要素が前記第1溶媒に溶解され、前記第2溶媒中の前記第2要素の前記溶液と合わされると、前記第1要素と前記第2要素の架橋溶液が形成されるハイドロゲル形成組成物。
【請求項5】
ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのハイドロゲル形成組成物であって、
式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む第1要素;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH
2)
b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、前記基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-、又は-R-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である);並びに
前記架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素;並びに
前記第1要素及び前記第2要素が別々に1種以上の溶媒と混合されると、少なくとも前記第2要素が25℃で30秒以下の溶解時間を有することが可能であるように、前記第1要素及び前記第2要素を溶解させることが可能な前記1種以上の溶媒
を含むハイドロゲル形成組成物。
【請求項6】
界面活性剤をさらに含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤が、安定化させ、前記タンパク質を溶解させる速度を増加させ、及び/又は前記タンパク質の凝集を予防することが可能である、請求項1、2、又は6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
架橋開始剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記架橋開始剤が前記第2要素の一部である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記界面活性剤が前記第2要素の一部である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記第2要素が、前記1種以上の溶媒への溶解の前に、前記タンパク質及び前記界面活性剤の両方を含む凍結乾燥された粉末である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記1種以上の溶媒の少なくとも1種が水又は水溶液である、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記1種以上の溶媒の少なくとも1種が有機溶媒である、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記有機溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
第1酸化防止剤をさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記第1酸化防止剤が前記第1要素の一部である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
各LMが同じであり、式-C(O)-、-(CH
2)
b-C(O)-(式中、bは1~5の整数である)、-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-(式中、cは2~10の整数であり、前記基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-(式中、dは2~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-、又は-R-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-(式中、cは2~10の整数であり、dは2~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基により表される二官能性連結部分であり;並びに
各Gが同じであり、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルの群から選択される脱離基である、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記架橋剤が、式:
【化1】
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記架橋剤が、式:
【化2】
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記タンパク質が、ヒト血清アルブミン、組換え型ヒト血清アルブミン、及び動物由来アルブミンからなる群から選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記タンパク質が組換え型ヒト血清アルブミンである、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記タンパク質が凍結乾燥されている、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記架橋開始剤が、塩基及び/又は塩基性緩衝剤を含む、請求項8~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記塩基及び/又は塩基性緩衝剤が、炭酸塩及び/又は重炭酸塩を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記塩基及び/又は塩基性緩衝剤が炭酸ナトリウムを含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
前記塩基及び/又は塩基性緩衝剤が重炭酸ナトリウムを含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
前記第1酸化防止剤がブチル化ヒドロキシトルエンである、請求項15~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記界面活性剤が非官能化PEGである、請求項1、2、又は7~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記非官能化PEGが、1000g/mol以上及び40000g/mol以下の重量平均分子量を有する、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記非官能化PEGが8000g/molの重量平均分子量を有する、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記界面活性剤が硫酸デキストランである、請求項1、2、又は7~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
前記界面活性剤が、ポロキサマー、ポリソルベート、油、シロキサン、ステアレート、及びグリコールである、請求項1、2、又は7~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記ポロキサマーがPluronic(登録商標)L61である、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記油が、鉱油又は植物油である、請求項32に記載の組成物。
【請求項35】
前記界面活性剤が消泡添加剤である、請求項33に記載の組成物。
【請求項36】
第2酸化防止剤をさらに含む、請求項15~35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記第2酸化防止剤がN-アセチル-DL-トリプトファンである、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記第1要素が、第1粉末又は粉末混合物の形態である、請求項1又は3~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
前記架橋剤が、第1粉末又は粉末混合物の形態である、請求項2に記載の組成物。
【請求項40】
前記第2要素が、第2粉末又は粉末混合物の形態である、請求項1又は3~38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
前記タンパク質が、第2粉末又は粉末混合物の形態である、請求項2又は39に記載の組成物。
【請求項42】
前記第1要素が第1水溶液の形態である、請求項1又は3~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
前記架橋剤が第1水溶液の形態である、請求項2に記載の組成物。
【請求項44】
第2要素が第2水溶液の形態である、請求項1又は3~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
前記タンパク質が第2水溶液の形態である、請求項2又は43に記載の組成物。
【請求項46】
1種以上の粉末又は粉末混合物を含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項47】
1種以上の水溶液を含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項48】
前記第1水溶液が放射線不透過剤を含む、請求項42に記載の組成物。
【請求項49】
放射線不透過剤を含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項50】
前記放射線不透過剤が、金、銀、又はヨウ素を含む、請求項48又は49に記載の組成物。
【請求項51】
前記放射線不透過剤が、KCl、硫酸バリウム、イオヘキソール、又はジアトリゾエートである、請求項48又は49に記載の組成物。
【請求項52】
前記第1要素、前記第2要素、及び前記界面活性剤が全て前記1種以上の溶媒に溶解されると、生じたハイドロゲル形成組成物が、0.1秒以上及び5秒以下の測定されたゲル化時間を有する、請求項1又は3~51のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項53】
前記架橋剤、前記タンパク質、及び前記界面活性剤が全て前記1種以上の溶媒に溶解されると、生じたハイドロゲル形成組成物が、0.1秒以上及び5秒以下の測定されたゲル化時間を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項54】
前記第1要素、前記第2要素、及び前記界面活性剤が全て前記1種以上の溶媒に溶解されると、生じたハイドロゲル形成組成物が、10分以上及び24時間以下の測定されたポットライフを有する、請求項1又は3~52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項55】
前記架橋剤、前記タンパク質、及び前記界面活性剤が全て前記1種以上の溶媒に溶解されると、生じたハイドロゲル形成組成物が、10分以上及び24時間以下の測定されたポットライフを有する、請求項2又は53に記載の組成物。
【請求項56】
ハイドロゲル組織シーラントを形成する方法であって、
第1溶媒に、式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む第1要素を溶解させること;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH
2)
b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、前記基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-、又は-R-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である);
第2溶媒に、前記架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素を溶解させること、並びに
前記溶解した第1要素と前記溶解した第2要素を合わせて、前記架橋剤、前記タンパク質、及び界面活性剤を含むハイドロゲル形成組成物を形成して、前記架橋剤と前記タンパク質の架橋を開始させて、それにより前記ハイドロゲル組織シーラントを形成すること
を含む方法。
【請求項57】
ハイドロゲル組織シーラントを形成する方法であって、
第1溶媒に、式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む第1要素を溶解させること;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH
2)
b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、前記基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-、又は-R-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である);
第2溶媒に、前記架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素を溶解させること、並びに
前記溶解した第1要素と溶解した第2要素を合わせて、前記架橋剤及び前記タンパク質を含むハイドロゲル形成組成物を形成し、それにより、架橋が20秒以下のゲル化時間を特徴とするように、前記架橋剤と前記タンパク質の架橋を開始させて、前記ハイドロゲル組織シーラントを形成すること
を含む方法。
【請求項58】
ハイドロゲル組織シーラントを形成する方法であって、
第1溶媒に、式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む第1要素を溶解させて、前記第1要素の溶液を形成すること;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH
2)
b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、前記基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-、又は-R-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である);
第2溶媒に、前記架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素を溶解させて、10.2以上及び10.6以下のpHを有する前記第2要素の溶液を形成すること、並びに
前記第1要素の前記溶液と前記第2要素の前記溶液を合わせて、前記架橋剤及び前記タンパク質を含むハイドロゲル形成組成物を形成し、それにより、前記架橋剤と前記タンパク質の架橋を開始させて、前記ハイドロゲル組織シーラントを形成すること
を含む方法。
【請求項59】
ハイドロゲル組織シーラントを形成する方法であって、
第1溶媒に、式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む第1要素を溶解させること;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH
2)
b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、前記基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-、又は-R-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である);
第2溶媒に、前記架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素を溶解させることであって、25℃での前記第2要素の前記第2溶媒への溶解時間が30秒以下である、前記第2要素を前記第2溶媒に溶解させること;並びに
前記溶解した第1要素と前記溶解した第2要素を合わせて、前記架橋剤及び前記タンパク質を含むハイドロゲル形成組成物を形成し、それにより、前記架橋剤と前記タンパク質の架橋を開始させて、前記ハイドロゲル組織シーラントを形成すること
を含む方法。
【請求項60】
前記ハイドロゲル形成組成物が界面活性剤をさらに含む、請求項57~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記界面活性剤が、前記タンパク質を安定化させ、前記タンパク質を前記第2溶媒に溶解させる速度を増加させ、及び/又は前記タンパク質の凝集を予防することが可能である、請求項56又は60に記載の方法。
【請求項62】
前記第1要素が第1粉末化要素である、請求項56~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記第2要素が第2粉末化要素である、請求項56~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記第1溶媒が、水、有機溶媒、又は第1水溶液を含む、請求項56~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記第2溶媒が、水、有機溶媒、又は第2水溶液を含む、請求項56~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
ハイドロゲル組織シーラントを形成する方法であって、
式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH
2)
b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、前記基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-、又は-R-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である);
前記架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質;及び
界面活性剤
を含むハイドロゲル形成組成物を形成することを含み;
前記ハイドロゲル形成組成物が、形成と同時に、前記架橋剤と前記タンパク質の架橋の開始をもたらし、それにより、前記ハイドロゲル組織シーラントを形成する方法。
【請求項67】
前記界面活性剤が、前記タンパク質を安定化させ、前記タンパク質を前記溶液に溶解させる速度を増加させ、及び/又は前記タンパク質の凝集を予防することが可能である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記ハイドロゲル形成組成物が、水、有機溶媒、又は第1水溶液を含む、請求項66又は67に記載の方法。
【請求項69】
組織を密封する方法であって、
式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む第1要素;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH
2)
b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、前記基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-、又は-R-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である);と
前記架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素
の反応生成物を含むハイドロゲル形成組成物を組織部位に送達することを含み;
前記ハイドロゲル形成組成物が界面活性剤をさらに含む方法。
【請求項70】
組織を密封する方法であって、
式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む第1要素の溶液;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH
2)
b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、前記基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-、又は-R-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である);と
前記架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素の溶液であって、10.2以上及び10.6以下のpHを有する前記溶液
の反応生成物であるハイドロゲル形成組成物を組織部位に送達することを含む方法。
【請求項71】
組織を密封する方法であって、
式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む第1要素;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH
2)
b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、前記基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-、又は-R-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である);と
前記架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素;
の反応生成物を含むハイドロゲル形成組成物を組織部位に送達すること、及び
20秒以下のゲル化時間を特徴とする架橋反応により、ハイドロゲル組織シーラントを前記組織部位で形成することを含む方法。
【請求項72】
前記界面活性剤が、前記溶媒への溶解前に、前記タンパク質を安定化させ、前記タンパク質を溶媒に溶解させる速度を増加させ、及び/又は前記タンパク質の凝集を予防することが可能である、請求項69に記載の方法。
【請求項73】
架橋されたハイドロゲル組織シーラントが、前記組織部位への送達の前及び/又は送達時に形成される、請求項69~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記第1要素が第1水溶液である、請求項69~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記第2要素が第2水溶液である、請求項69~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記ハイドロゲル形成組成物が架橋開始剤をさらに含む、請求項69~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記架橋開始剤が前記第2要素の一部である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記界面活性剤が前記第2要素の一部である、請求項56~65及び69~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記第2要素が、溶解前に、前記タンパク質及び前記界面活性剤の両方を含む凍結乾燥された粉末である、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記ハイドロゲル形成組成物が少なくとも1種の酸化防止剤をさらに含む、請求項56~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記少なくとも1種の酸化防止剤が前記第1要素の一部である、請求項56~65及び69~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
各LMが同じであり、式-C(O)-、-(CH
2)
b-C(O)-(式中、bは1~5の整数である)、-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-(式中、cは2~10の整数であり、前記基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-(式中、dは2~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-、又は-R-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-(式中、cは2~10の整数であり、dは2~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基により表される二官能性連結部分であり;並びに
各Gが同じであり、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルの群から選択される脱離基である、請求項56~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記架橋剤が、式:
【化3】
ポリエチレングリコールジスクシンイミジルスクシネート
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である、請求項56~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記架橋剤が、式:
【化4】
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である、請求項56~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記タンパク質が、ヒト血清アルブミン、組換え型ヒト血清アルブミン、及び動物由来アルブミンからなる群から選択される、請求項56~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記タンパク質が組換え型ヒト血清アルブミンである、請求項56~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記タンパク質が凍結乾燥されている、請求項56~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記架橋開始剤が、塩基及び/又は塩基性緩衝剤を含む、請求項76~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記塩基及び/又は塩基性緩衝剤が、炭酸塩及び/又は重炭酸塩を含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記塩基及び/又は塩基性緩衝剤が炭酸ナトリウムを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記塩基及び/又は塩基性緩衝剤が重炭酸ナトリウムを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項92】
前記少なくとも1種の酸化防止剤がブチル化ヒドロキシトルエンである、請求項80~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記界面活性剤が非官能化PEGである、請求項56~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記非官能化PEGが、1000g/mol以上及び40000g/mol以下の重量平均分子量を有する、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記非官能化PEGが8000g/molの重量平均分子量を有する、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記界面活性剤が硫酸デキストランである、請求項56~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記界面活性剤が、ポロキサマー、ポリソルベート、油、シロキサン、ステアレート、及びグリコールである、請求項56~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記ポロキサマーがPluronic L61である、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記油が、鉱油又は植物油である、請求項97に記載の方法。
【請求項100】
前記界面活性剤が消泡添加剤である、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
前記ハイドロゲル組織シーラントが第2酸化防止剤をさらに含む、請求項56~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記第2酸化防止剤がN-アセチル-DL-トリプトファンである、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記ハイドロゲル形成組成物が放射線不透過剤をさらに含む、請求項56~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記放射線不透過剤が、金、銀、又はヨウ素を含む、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記放射線不透過剤が、KCl、硫酸バリウム、イオヘキソール、又はジアトリゾエートである、請求項103に記載の方法。
【請求項106】
ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのキットであって、
式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む、第1容器内に収容されている第1要素;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH
2)
b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、前記基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-、又は-R-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である);並びに
前記架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質及び界面活性剤を含む、第2容器と収容されている第2要素
を含むキット。
【請求項107】
ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのキットであって、
式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む、第1容器内に収容されている粉末形態の第1要素;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH
2)
b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、前記基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-、又は-R-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である);
前記架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む、第2容器と収容されている粉末形態の第2要素;
前記第1要素を溶解させることが可能である、第3容器内に収容されている第1水和水溶液;及び
前記第2要素を溶解させることが可能である、第4容器と収容されている第2水和水溶液
を含むキット。
【請求項108】
界面活性剤をさらに含む、請求項107に記載のキット。
【請求項109】
前記界面活性剤が、前記タンパク質を安定化させ、前記タンパク質を溶媒に溶解させる速度を増加させ、及び/又は前記タンパク質の凝集を予防することが可能である、請求項106又は108に記載のキット。
【請求項110】
架橋開始剤をさらに含む、請求項106~109のいずれか一項に記載のキット。
【請求項111】
前記架橋開始剤が前記第2要素の一部である、請求項110に記載のキット。
【請求項112】
前記界面活性剤が前記第2要素の一部である、請求項108~111のいずれか一項に記載のキット。
【請求項113】
前記第2要素が、前記タンパク質及び前記界面活性剤の両方を含む凍結乾燥された粉末である、請求項112に記載のキット。
【請求項114】
第1酸化防止剤をさらに含む、請求項106~113のいずれか一項に記載のキット。
【請求項115】
前記第1酸化防止剤が前記第1要素の一部である、請求項114に記載のキット。
【請求項116】
第1溶媒又は溶液を含む、第3容器内に収容されている第3要素をさらに含む、請求項106に記載のキット。
【請求項117】
前記キットが第4容器内に収容されている第4要素をさらに含み、前記第4区画が第2溶媒又は溶液を含む、請求項106又は116に記載のキット。
【請求項118】
前記第1、第2、第3、及び第4容器の1つ以上が、シリンジ又はアプリケーターの区画である、請求項117に記載のキット。
【請求項119】
各LMが同じであり、式-C(O)-、-(CH
2)
b-C(O)-(式中、bは1~5の整数である)、-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-(式中、cは2~10の整数であり、前記基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-(式中、dは2~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-、又は-R-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-(式中、cは2~10の整数であり、dは2~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基により表される二官能性連結部分であり;並びに
各Gが同じであり、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルの群から選択される脱離基である、請求項106~118のいずれか一項に記載のキット。
【請求項120】
前記架橋剤が、式:
【化5】
ポリエチレングリコールジスクシンイミジルスクシネート
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である、請求項106~119のいずれか一項に記載のキット。
【請求項121】
前記架橋剤が、式:
【化6】
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である、請求項106~119のいずれか一項に記載のキット。
【請求項122】
前記タンパク質が、ヒト血清アルブミン、組換え型ヒト血清アルブミン、及び動物由来アルブミンからなる群から選択される、請求項106~121のいずれか一項に記載のキット。
【請求項123】
前記タンパク質が組換え型ヒト血清アルブミンである、請求項106~122のいずれか一項に記載のキット。
【請求項124】
前記タンパク質が凍結乾燥されている、請求項106~123のいずれか一項に記載のキット。
【請求項125】
前記架橋開始剤が、塩基及び/又は塩基性緩衝剤を含む、請求項110~124のいずれか一項に記載のキット。
【請求項126】
前記塩基及び/又は塩基性緩衝剤が、炭酸塩及び/又は重炭酸塩を含む、請求項125に記載のキット。
【請求項127】
前記塩基及び/又は塩基性緩衝剤が炭酸ナトリウムを含む、請求項125に記載のキット。
【請求項128】
前記塩基及び/又は塩基性緩衝剤が重炭酸ナトリウムを含む、請求項125に記載のキット。
【請求項129】
前記第1酸化防止剤がブチル化ヒドロキシトルエンである、請求項114~128のいずれか一項に記載のキット。
【請求項130】
前記界面活性剤が非官能化PEGである、請求項106又は108~129のいずれか一項に記載のキット。
【請求項131】
前記非官能化PEGが、1000g/mol以上及び40000g/mol以下の重量平均分子量を有する、請求項130に記載のキット。
【請求項132】
前記非官能化PEGが8000g/molの重量平均分子量を有する、請求項130に記載のキット。
【請求項133】
前記界面活性剤が硫酸デキストランである、請求項106又は108~129のいずれか一項に記載のキット。
【請求項134】
前記界面活性剤が、ポロキサマー、ポリソルベート、油、シロキサン、ステアレート、及びグリコールである、請求項106又は108~129のいずれか一項に記載のキット。
【請求項135】
前記ポロキサマーがPluronic(登録商標)L61である、請求項134に記載のキット。
【請求項136】
前記油が、鉱油又は植物油である、請求項134に記載のキット。
【請求項137】
前記界面活性剤が消泡添加剤である、請求項135に記載のキット。
【請求項138】
第2酸化防止剤をさらに含む、請求項114~137のいずれか一項に記載のキット。
【請求項139】
前記第2酸化防止剤がN-アセチル-DL-トリプトファンである、請求項138に記載のキット。
【請求項140】
放射線不透過剤をさらに含む、請求項106~139のいずれか一項に記載のキット。
【請求項141】
前記放射線不透過剤が、金、銀、又はヨウ素を含む、請求項140に記載のキット。
【請求項142】
前記放射線不透過剤が、KCl、硫酸バリウム、イオヘキソール、又はジアトリゾエートである、請求項140に記載のキット。
【請求項143】
ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのキットであって、
少なくとも3つの別々な容器を集合的に含む1つ以上のシリンジであって、第1容器が粉末形態の第1要素を含み、第2容器が粉末形態の第2要素を含み、少なくとも第3容器が1種以上の溶媒を含み、前記1つ以上のシリンジが、前記第1容器及び前記第2容器が前記1種以上の溶媒を含む前記少なくとも第3容器と流体連通して配置され、前記第1要素と前記1種以上の溶媒の混合を促進して前記第1要素の溶液を形成し、前記第2要素と前記1種以上の溶媒の混合を促進して前記第2要素の溶液を形成することが可能であるように構成されており、且つ、前記1つ以上のシリンジが、前記第1要素の前記溶液と前記第2要素の前記溶液を混合して、前記ハイドロゲル組織シーラントを形成することが可能な、第1要素及び第2要素の架橋溶液を形成するようにさらに構成されている1つ以上のシリンジを含み;
前記第1要素が求電子生分解性ポリマーを含み、前記第2要素が、前記求電子生分解性ポリマーと架橋することが可能な求核生分解性ポリマーを含むキット。
【請求項144】
2つのシリンジを含むキットであって、
第1シリンジが粉末形態の前記第1要素を含む前記第1容器を含み、粉末形態の前記第2要素を含む前記第2容器をさらに含み、
第2シリンジが、前記第1要素を溶解させることが可能な第1溶媒を含む第3容器、及び前記第2要素を溶解させることが可能な第2溶媒を含む第4容器を含み;
前記第1シリンジと前記第2シリンジが、前記第1容器及び前記第2容器が、前記第3容器及び前記第4容器と流体連通して配置され、それぞれ前記第1要素と前記第1要素を溶解させることが可能な前記第1溶媒の混合を促進して前記第1容器中に前記第1要素の溶液を形成し、前記第2要素と前記第2要素を溶解させることが可能な前記第2溶媒の混合を促進して、前記第2容器中に前記第2要素の溶液を形成することが可能であるように、互いに流体的に接続可能であるように構成されており;並びに
前記第1シリンジが、前記第1要素の前記溶液と前記第2要素の前記溶液を混合して、前記ハイドロゲル組織シーラントを形成することが可能な、前記第1要素及び前記第2要素の架橋混合物を形成するようにさらに構成されている、請求項143に記載のキット。
【請求項145】
前記第1要素が、式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む、請求項144に記載のキット;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH
2)
b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、前記基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-、又は-R-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である)。
【請求項146】
前記架橋剤が、式:
【化7】
ポリエチレングリコールジスクシンイミジルスクシネート
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である、請求項144又は145に記載のキット。
【請求項147】
前記第2要素が前記架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む、請求項144~146のいずれか一項に記載のキット。
【請求項148】
前記タンパク質がアルブミンである、請求項147に記載のキット。
【請求項149】
前記アルブミンが組換え型ヒト血清アルブミンである、請求項148に記載のキット。
【請求項150】
前記第2要素が架橋開始剤を含む、請求項144~149のいずれか一項に記載のキット。
【請求項151】
前記第2要素が界面活性剤を含む、請求項144~150のいずれか一項に記載のキット。
【請求項152】
前記第1溶媒が、水又は水溶液を含む、請求項144~151のいずれか一項に記載のキット。
【請求項153】
前記第2溶媒が、水又は水溶液を含む、請求項144~152のいずれか一項に記載のキット。
【請求項154】
前記第2溶媒が消泡剤を含む、請求項144~151のいずれか一項に記載のキット。
【請求項155】
ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのハイドロゲル形成組成物であって、
式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む第1要素;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH
2)
b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、前記基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH
2)
d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH
2)
d-C(O)-、又は-R-(CH
2)
c-C(O)-N(H)-(CH
2)
d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である);
前記架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素;及び
1種以上の溶媒
を含み;
前記第1要素及び前記第2要素が前記1種以上の溶媒に溶解されるハイドロゲル形成組成物。
【請求項156】
前記二官能化ポリアルキレンオキシド系要素が、式G-LM-(OCH
2CH
2)
nO-LM-G(式中、nは、10~500、好ましくは50~200の整数である)を有する、請求項155に記載のハイドロゲル形成組成物。
【請求項157】
前記二官能化ポリアルキレンオキシド系要素中の前記脱離基GがN-オキシスクシンイミジルである、請求項155又は156に記載のハイドロゲル形成組成物。
【請求項158】
前記二官能化ポリアルキレンオキシド系要素中の前記二官能性連結部分LMが、-(CH
2)
b-C(O)-及び-C(O)-(CH
2)
c-C(O)-(式中、b及びcは両方とも1~10の整数である)から選択される、請求項155~157のいずれか一項に記載のハイドロゲル形成組成物。
【請求項159】
前記二官能化ポリアルキレンオキシド系要素が
【化8】
(両式中で、nは、10~500、好ましくは50~200の整数である)から選択される、請求項155~158のいずれか一項に記載のハイドロゲル形成組成物。
【請求項160】
前記タンパク質が、ヒト血清アルブミン、組換え型ヒト血清アルブミン、及び動物由来アルブミンからなる群から選択される、請求項1~159のいずれか一項に記載のハイドロゲル形成組成物。
【請求項161】
前記タンパク質が組換え型ヒト血清アルブミンである、請求項1~160のいずれか一項に記載のハイドロゲル形成組成物。
【請求項162】
前記1種以上の溶媒に溶解された界面活性剤をさらに含む、請求項1~161のいずれか一項に記載のハイドロゲル形成組成物。
【請求項163】
前記界面活性剤が、好ましくは1000g/mol~40000g/molの重量平均分子量を有する非官能化PEG、硫酸デキストラン、ポロキサマー、ポリソルベート、油、シロキサン、ステアレート、及び/又はグリコールから選択される、請求項162に記載のハイドロゲル形成組成物。
【請求項164】
前記1種以上の溶媒が、水を、溶媒の総量に対して、50重量%~100重量%、好ましくは90重量%~100重量%の量で含む、請求項155~163のいずれか一項に記載のハイドロゲル形成組成物。
【請求項165】
前記二官能化ポリアルキレンオキシド系要素が、
【化9】
(両式中で、nは、10~500、好ましくは50~200の整数である)から選択され;
前記タンパク質が組換え型ヒト血清アルブミンであり;
前記界面活性剤が非官能化PEGであり;並びに
水が前記1種以上の溶媒の総量の90重量%以上を構成する、請求項155~164のいずれか一項に記載のハイドロゲル形成組成物。
【請求項166】
架橋開始剤、酸化防止剤、及び/又は放射線不透過剤をさらに含む、請求項155~165のいずれか一項に記載のハイドロゲル形成組成物。
【請求項167】
塩基又は塩基性緩衝剤、好ましくは炭酸塩及び/又は重炭酸塩を含む、請求項155~166のいずれか一項に記載のハイドロゲル形成組成物。
【請求項168】
酸化防止剤、好ましくはブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル d-αトコフェリルポリエチレングリコール-1000スクシネート、若しくはピロ亜硫酸ナトリウム、及び/又はこれらの混合物を含む、請求項155~167のいずれか一項に記載のハイドロゲル形成組成物。
【請求項169】
放射線不透過剤、好ましくは金、銀、ヨウ素、塩化カリウム、硫酸バリウム、イオヘキソール、若しくはジアトリゾエート、及び/又はこれらの混合物を含む、請求項155~168のいずれか一項に記載のハイドロゲル形成組成物。
【請求項170】
前記第1要素が第1溶媒に溶解される、請求項155~169のいずれか一項に記載のハイドロゲル形成組成物。
【請求項171】
前記第2要素が第2溶媒に溶解される、請求項155~170のいずれか一項に記載のハイドロゲル形成組成物。
【請求項172】
前記第2溶媒に溶解した前記第2要素が、10.2~10.6のpHを有する、請求項171に記載のハイドロゲル形成組成物。
【請求項173】
ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのキットであって、
請求項1~5のいずれか一項に定義された架橋剤を含む第1要素を収容する第1容器;
タンパク質、好ましくは、ヒト血清アルブミン、組換え型ヒト血清アルブミン、及び動物由来アルブミンからなる群から選択されるタンパク質を含む第2要素を収容する第2容器;並びに
任意選択で、前記第1要素及び前記第2要素を溶解させるための1種以上の溶媒、好ましくは水を収容する1つ以上の追加の容器
を含むキット。
【請求項174】
前記第1要素を収容する第1容器;
前記第2要素を収容する第2容器;並びに
前記第1要素及び前記第2要素を溶解させるための溶媒、好ましくは水を収容する第3容器
を含む、請求項173に記載のキット。
【請求項175】
2つのシリンジを含むキットであって、
第1シリンジが前記第1容器及び前記第2容器を含み;並びに
第2シリンジが前記第3容器を含み;
前記第1要素及び前記第2要素が粉末形態であり;
前記第1シリンジと前記第2シリンジが、前記第1容器及び前記第2容器が、前記第3容器と流体連通して配置されて、前記第1要素及び前記第2要素の前記溶媒との混合を促進し、前記第1容器中に前記第1要素の溶液を形成し、前記第2容器中に前記第2要素の溶液を形成することが可能であるように、互いに流体的に接続可能であるように構成され、且つ
前記第1シリンジが、前記第1要素の前記溶液と前記第2要素の前記溶液を混合して、ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのハイドロゲル形成組成物を形成するようにさらに構成されている、請求項174に記載のキット。
【請求項176】
前記第1要素を収容する第1容器;
前記第2要素を収容する第2容器;
前記第1要素を溶解させるための溶媒、好ましくは水を収容する第3容器;及び
前記第2要素を溶解させるための溶媒、好ましくは水を収容する第4容器
を含む、請求項173に記載のキット。
【請求項177】
2つのシリンジを含むキットであって、
第1シリンジが前記第1容器及び前記第2容器を含み;並びに
第2シリンジが前記第3容器及び前記第4容器を含み;
前記第1要素及び前記第2要素が粉末形態であり;
前記第1シリンジと前記第2シリンジが、前記第1容器及び前記第2容器が、前記第3容器及び前記第4容器と流体連通して配置され、それぞれ前記第1要素と前記第3容器中の前記溶媒の混合が促進されて、前記第1容器中に前記第1要素の溶液を形成し、前記第2要素と前記第4容器中の前記溶媒の混合が促進されて、前記第2容器中に前記第2要素の溶液を形成することが可能であるように、互いに流体的に接続可能であるように構成され、且つ
前記第1シリンジが、前記第1要素の前記溶液と前記第2要素の前記溶液を混合して、ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのハイドロゲル形成組成物を形成するようにさらに構成されている、請求項176に記載のキット。
【請求項178】
前記第1要素が酸化防止剤をさらに含む、請求項173~177のいずれか一項に記載のキット。
【請求項179】
前記第2要素が、界面活性剤及び/又は架橋開始剤をさらに含む、請求項173~178のいずれか一項に記載のキット。
【請求項180】
前記第1要素の前記溶液と前記第2要素の前記溶液の混合が、請求項1~16のいずれか一項に記載のハイドロゲル形成組成物を提供する、請求項173~179のいずれか一項に記載のキット。
【請求項181】
手術による治療の方法に使用するための、請求項155~170のいずれか一項に記載のハイドロゲル形成組成物、又は請求項173~180のいずれか一項に記載のキットを使用して調製された、ハイドロゲル形成組成物。
【請求項182】
前記手術による治療の方法が、前記ハイドロゲル形成組成物を組織部位に送達すること及びハイドロゲル組織シーラントをその組織部位で形成することを含む、請求項181に記載の使用のためのハイドロゲル形成組成物。
【請求項183】
前記手術による治療が肺生検処置であり、前記組成物が、前記肺生検処置の間又はその後の気胸症のリスクを予防又は減少させるために使用される、請求項181又は182に記載の使用のためのハイドロゲル形成組成物。
【請求項184】
前記組成物が、患者の肺生検処置における気胸症のリスクを予防又は減少させるために使用され、前記ハイドロゲル形成組成物が前記患者の胸膜腔に送達されて、それを通って生検試料が採取されるハイドロゲル組織シーラントを形成する、請求項181~183のいずれか一項に記載の使用のためのハイドロゲル形成組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
ハイドロゲル組織シーラントに関連する組成物及び方法が全般的に記載されている。
【背景技術】
【0002】
背景
気胸症は、壁側胸膜及び臓側胸膜の穿刺の結果として胸膜腔(pleural space)に空気が通る肺生検処置の問題の多い合併症である。気胸症は、経皮肺生検を実施する臨床医及び経皮肺生検を受ける患者に著しい心配を引き起こす。経皮肺生検を受ける患者における気胸症の発生率は、患者の約9%~約54%の範囲であり、平均約15%であると報告されている。さらに、平均で全経皮肺生検の約7%は、胸腔チューブが患者内に配置されることを要する気胸症を起こして、それは、その後に平均約3日の入院をもたらす。気胸症のリスクを増加させる因子としては、患者の年齢の増加、閉塞性肺疾患、病変の深さの増加、多数の胸膜の通過、ニードルが胸膜を横切っている時間の増加、及び亀裂の横断がある。気胸症は、肺生検処置の間にもその直後にも起こり得る。さらに、経皮肺生検の他の合併症としては、喀血、血胸、感染、及び空気塞栓症がある。組織(例えば胸膜)に密着し、及び/又は密封して気胸症及び他の外科的用途に対処する能力を有する新規ハイドロゲル組織シーラント並びに関連方法の開発は有益であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
ハイドロゲル組織シーラントを形成するための組成物及び方法が全般的に記載される。本発明の主題は、いくつかの場合において、相互関連する生成物、特定の問題の代替解決法、及び/又は1種以上のシステム及び/又は物品の複数の異なる用途を含む。
【0004】
いくつかの実施形態において、ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのハイドロゲル形成組成物が記載される。特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、架橋剤を含む第1要素を含み、ここで、架橋剤は、式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基(diradical)、式-(CH2)b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH2)c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH2)c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-、又は-R-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である)。特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素を含む。いくつかの実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、第1要素及び第2要素を溶解させることが可能な1種以上の溶媒並びに界面活性剤を含む。特定の実施形態において、第1要素、第2要素、及び界面活性剤が全て1種以上の溶媒に溶解されると、架橋剤とタンパク質の架橋が起こり、ハイドロゲル組織シーラントを形成する。
【0005】
いくつかの実施形態において、ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのハイドロゲル形成組成物は架橋剤を含み、ここで、架橋剤は、式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH2)b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH2)c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH2)c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-、又は-R-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である)。特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質、第1要素及び第2要素を溶解させることが可能な1種以上の溶媒、並びに界面活性剤を含み、架橋剤、タンパク質、及び界面活性剤が全て1種以上の溶媒に溶解されると、架橋剤とタンパク質の架橋が起こり、ハイドロゲル組織シーラントを形成する。
【0006】
特定の実施形態によると、ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのハイドロゲル形成組成物は、架橋剤を含む第1要素を含み、ここで、架橋剤は、式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH2)b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH2)c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH2)c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-、又は-R-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である)。いくつかの実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素並びに第1要素及び第2要素を溶解させることが可能な1種以上の溶媒を含み、第1要素及び第2要素が1種以上の溶媒に溶解されると、1種以上の溶媒に溶解した第1要素と第2要素の混合と同時に、架橋剤とタンパク質の架橋が20秒以下のゲル化時間で起こり、ハイドロゲル組織シーラントが形成する。
【0007】
いくつかの実施形態によると、ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのハイドロゲル形成組成物は、架橋剤を含む第1要素を含み、ここで、架橋剤は、式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH2)b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH2)c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH2)c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-、又は-R-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である)。特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素、第1要素を溶解させることが可能な第1溶媒、及び第2要素を溶解させることが可能な第2溶媒を含み、第2要素が第2溶媒に溶解されると、第2溶媒中の第2要素の溶液のpHは10.2以上及び10.6以下であり、第1要素が第1溶媒に溶解され、第2溶媒中の第2要素の溶液と合わされる場合、第1要素と第2要素の架橋溶液が形成される。
【0008】
特定の実施形態において、ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのハイドロゲル形成組成物は、架橋剤を含む第1要素を含み、ここで、架橋剤は、式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH2)b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH2)c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH2)c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-、又は-R-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である)。特定の実施形態によると、ハイドロゲル形成組成物は、架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素、並びに第1要素及び第2要素が別々に1種以上の溶媒と混合される場合、少なくとも第2要素が25℃で30秒以下の溶解時間を有することが可能であるように第1要素及び第2要素を溶解させることが可能な1種以上の溶媒を含む。
【0009】
特定の実施形態において、ハイドロゲル組織シーラントを形成する方法が記載される。いくつかの実施形態において、方法は、第1溶媒に第1要素を溶解させることを含み、ここで、第1要素は、式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH2)b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH2)c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH2)c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-、又は-R-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である)。特定の実施形態において、方法は、架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素を第2溶媒に溶解させること、及び溶解した第1要素と溶解した第2要素を合わせて、架橋剤、タンパク質、及び界面活性剤を含むハイドロゲル形成組成物を形成して、架橋剤とタンパク質の架橋を開始させて、それによりハイドロゲル組織シーラントを形成することを含む。
【0010】
特定の実施形態によると、ハイドロゲル組織シーラントを形成する方法は、第1溶媒に第1要素を溶解させることを含み、ここで、第1要素は、式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH2)b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH2)c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH2)c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-、又は-R-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である)。いくつかの実施形態において、方法は、架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素を第2溶媒に溶解させること、及び溶解した第1要素と溶解した第2要素を合わせて、架橋剤及びタンパク質を含むハイドロゲル形成組成物を形成し、それにより、架橋が20秒以下のゲル化時間を特徴とするように、架橋剤とタンパク質の架橋を開始させて、ハイドロゲル組織シーラントを形成することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、ハイドロゲル組織シーラントを形成する方法は、第1溶媒に第1要素を溶解させて、第1要素の溶液を形成することを含み、ここで、第1要素は、式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH2)b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH2)c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH2)c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-、又は-R-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である)。特定の実施形態において、方法は、架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素を第2溶媒に溶解させて、10.2以上及び10.6以下のpHを有する第2要素の溶液を形成すること、及び第1要素の溶液と第2要素の溶液を合わせて、架橋剤及びタンパク質を含むハイドロゲル形成組成物を形成し、それにより、架橋剤とタンパク質の架橋を開始させて、ハイドロゲル組織シーラントを形成することを含む。
【0012】
特定の実施形態によると、ハイドロゲル組織シーラントを形成する方法は、第1溶媒に第1要素を溶解させることを含み、ここで、第1要素は、式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH2)b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH2)c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH2)c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-、又は-R-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり、且つ
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である)。いくつかの実施形態において、方法は、架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素を第2溶媒に溶解させることであって、25℃での第2要素の第2溶媒への溶解時間が30秒以下である、第2要素を第2溶媒に溶解させること、及び溶解した第1要素と溶解した第2要素を合わせて、架橋剤及びタンパク質を含むハイドロゲル形成組成物を形成し、それにより、架橋剤とタンパク質の架橋を開始させて、ハイドロゲル組織シーラントを形成することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、ハイドロゲル組織シーラントを形成する方法は、式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含むハイドロゲル形成組成物を形成することを含む;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH2)b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH2)c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH2)c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-、又は-R-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である)。いくつかの実施形態において、溶液は、架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質及び界面活性剤を含み、ここで、ハイドロゲル形成組成物は、形成と同時に、架橋剤とタンパク質の架橋の開始をもたらし、それにより、ハイドロゲル組織シーラントを形成する。
【0014】
いくつかの実施形態において、組織を密封する方法が記載される。特定の実施形態において、方法は、ハイドロゲル形成組成物を組織部位に送達することを含み、ここで、ハイドロゲル形成組成物は、
式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む第1要素;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH2)b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH2)c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH2)c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-、又は-R-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である);と
架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素
の反応生成物を含む。特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は界面活性剤をさらに含む。
【0015】
特定の実施形態によると、組織を密封する方法は、ハイドロゲル形成組成物を組織部位に送達することを含み、ここで、ハイドロゲル形成組成物は、
式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む第1要素の溶液;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH2)b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH2)c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH2)c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-、又は-R-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である);と
架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素の溶液であって、10.2以上及び10.6以下のpHを有する溶液
の反応生成物である。
【0016】
いくつかの実施形態によると、組織を密封する方法は、ハイドロゲル形成組成物を組織部位に送達することを含み、ここで、ハイドロゲル組成物は、
式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む第1要素;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH2)b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH2)c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH2)c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-、又は-R-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である);と
架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素
の反応生成物を含む。特定の実施形態において、方法は、20秒以下のゲル化時間を特徴とする架橋反応により、ハイドロゲル組織シーラントを組織部位で形成することを含む。
【0017】
特定の実施形態において、ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのキットが記載され、ここで、キットは、第1容器内に収容されている第1要素を含み、第1要素は、式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH2)b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH2)c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH2)c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-、又は-R-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である)。特定の実施形態において、キットは、第2容器と(with)収容されている第2要素を含み、ここで、第2要素は、架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質及び界面活性剤を含む。
【0018】
いくつかの実施形態によると、ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのキットは、第1容器内に収容されている粉末形態の第1要素を含み、ここで、第1要素は、式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH2)b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH2)c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH2)c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-、又は-R-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である)。いくつかの実施形態において、キットは、第2容器と収容されている、架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む粉末形態の第2要素、第3容器内に収容されている、第1要素を溶解させることが可能である第1水和水溶液、及び第4容器と収容されている、第2要素を溶解させることが可能である第2水和水溶液を含む。
【0019】
特定の実施形態において、ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのキットは、少なくとも3つの別々な容器を集合的に含む1つ以上のシリンジを含み、ここで、第1容器は粉末形態の第1要素を含み、第2容器は粉末形態の第2要素を含み、少なくとも第3容器は1種以上の溶媒を含み、ここで、1つ以上のシリンジは、第1容器及び第2容器が1種以上の溶媒を含む少なくとも第3容器と流体連通して(fluid communication)配置され、第1要素と1種以上の溶媒の混合を促進して第1要素の溶液を形成し、第2要素と1種以上の溶媒の混合を促進して第2要素の溶液を形成することが可能であるように構成され、且つ、1つ以上のシリンジは、第1要素の溶液と第2要素の溶液を混合して、ハイドロゲル組織シーラントを形成することが可能な第1要素及び第2要素の架橋溶液を形成するようにさらに構成され、第1要素は求電子生分解性ポリマーを含み、第2要素は、求電子生分解性ポリマーと架橋することが可能な求核生分解性ポリマーを含む。
【0020】
いくつかの実施形態によると、ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのハイドロゲル形成組成物は、式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシド系要素である架橋剤を含む第1要素を含む;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH2)b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH2)c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH2)c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-、又は-R-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である)。特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む第2要素及び1種以上の溶媒を含み、第1要素及び第2要素は1種以上の溶媒に溶解される。
【0021】
ハイドロゲル形成組成物の特定の実施形態において、二官能化ポリアルキレンオキシド系要素は、式G-LM-(OCH2CH2)nO-LM-Gを有し、式中、nは、10~500、好ましくは50~200の整数である。
【0022】
ハイドロゲル形成組成物の特定の実施形態において、二官能化ポリアルキレンオキシド系要素中の脱離基GはN-オキシスクシンイミジルである。
【0023】
ハイドロゲル形成組成物の特定の実施形態において、二官能化ポリアルキレンオキシド系要素中の二官能性連結部分LMは、-(CH2)b-C(O)-及び-C(O)-(CH2)c-C(O)-から選択され、式中、b及びcは両方とも1~10の整数である。
【0024】
ハイドロゲル形成組成物の特定の実施形態において、二官能化ポリアルキレンオキシド系要素は、
【化1】
から選択され、両式中、nは、10~500、好ましくは50~200の整数である。
【0025】
ハイドロゲル形成組成物の特定の実施形態において、タンパク質は、ヒト血清アルブミン、組換え型ヒト血清アルブミン、及び動物由来アルブミンからなる群から選択される。
【0026】
ハイドロゲル形成組成物の特定の実施形態において、タンパク質は組換え型ヒト血清アルブミンである。
【0027】
ハイドロゲル形成組成物の特定の実施形態において、組成物は、1種以上の溶媒に溶解された界面活性剤をさらに含む。
【0028】
ハイドロゲル形成組成物の特定の実施形態において、界面活性剤は、好ましくは1000g/mol~40000g/molの重量平均分子量を有する非官能化PEG、硫酸デキストラン、ポロキサマー、ポリソルベート、油、シロキサン、ステアレート、及び/又はグリコールから選択される。
【0029】
ハイドロゲル形成組成物の特定の実施形態において、1種以上の溶媒は、溶媒の総量に対して、50重量%~100重量%、好ましくは90重量%~100重量%の量で水を含む。
【0030】
ハイドロゲル形成組成物の特定の実施形態において、二官能化ポリアルキレンオキシド系要素は
【化2】
から選択され(両式中、nは、10~500、好ましくは50~200の整数である);
タンパク質は組換え型ヒト血清アルブミンであり;
界面活性剤は非官能化PEGであり;並びに
水は、1種以上の溶媒の総量の90重量%以上を構成する。
【0031】
ハイドロゲル形成組成物の特定の実施形態において、組成物は、架橋開始剤、酸化防止剤、及び/又は放射線不透過剤をさらに含む。
【0032】
ハイドロゲル形成組成物の特定の実施形態において、組成物は、塩基又は塩基性緩衝剤、好ましくは炭酸塩及び/又は重炭酸塩を含む。
【0033】
ハイドロゲル形成組成物の特定の実施形態において、組成物は、酸化防止剤、好ましくはブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル d-αトコフェリルポリエチレングリコール-1000スクシネート、若しくはピロ亜硫酸ナトリウム、及び/又はこれらの混合物を含む。
【0034】
ハイドロゲル形成組成物の特定の実施形態において、組成物は、放射線不透過剤、好ましくは金、銀、ヨウ素、塩化カリウム、硫酸バリウム、イオヘキソール、若しくはジアトリゾエート、及び/又はこれらの混合物を含む。
【0035】
ハイドロゲル形成組成物の特定の実施形態において、組成物の第1要素は第1溶媒に溶解される。
【0036】
ハイドロゲル形成組成物の特定の実施形態において、組成物の第2要素は第2溶媒に溶解される。
【0037】
ハイドロゲル形成組成物の特定の実施形態において、第2溶媒に溶解した第2要素は10.2~10.6のpHを有する。
【0038】
特定の実施形態において、
本開示に定義されている架橋剤を含む第1要素を収容する第1容器;タンパク質、好ましくは、ヒト血清アルブミン、組換え型ヒト血清アルブミン、及び動物由来アルブミンからなる群から選択されるタンパク質を含む第2要素を収容する第2容器;並びに、任意選択で、第1要素及び第2要素を溶解させるための1種以上の溶媒、好ましくは水を収容する1つ以上の追加の容器
を含む、ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのキット。
【0039】
特定の実施形態において、キットは、第1要素を収容する第1容器;第2要素を収容する第2容器;並びに第1要素及び第2要素を溶解させるための溶媒、好ましくは水を収容する第3容器を含む。
【0040】
特定の実施形態において、キットは2つのシリンジを含み、ここで、第1シリンジは第1容器及び第2容器を含み;第2シリンジは第3容器を含み;シリンジに収容される第1要素及び第2要素は粉末形態であり;第1シリンジと第2シリンジは、第1容器及び第2容器が第3容器と流体連通して配置されて、第1要素及び第2要素と溶媒との混合を促進して、第1容器中に第1要素の溶液及び第2容器中に第2要素の溶液を形成することが可能であるように、互いに流体的に接続可能(fluidically connectable)であるように構成され、且つ、第1シリンジは、第1要素の溶液と第2要素の溶液を混合して、ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのハイドロゲル形成組成物を形成するようにさらに構成されている。特定の実施形態において、そのようなキットは、第1要素を収容する第1容器;第2要素を収容する第2容器;第1要素を溶解させるための溶媒、好ましくは水を収容する第3容器;及び第2要素を溶解させるための溶媒、好ましくは水を収容する第4容器を含み、2つのシリンジをさらに含み得て、第1シリンジは第1容器及び第2容器を含み;第2シリンジは第3容器及び第4容器を含み;第1要素及び第2要素は粉末形態であり;第1シリンジと第2シリンジは、第1容器及び第2容器が、それぞれ第3容器及び第4容器と流体連通して配置されて、第1要素と第3容器中の溶媒の混合を促進して第1容器中に第1要素の溶液を形成し、第2要素と第4容器中の溶媒の混合を促進して第2容器中に第2要素の溶液を形成することが可能であるように、互いに流体的に接続可能であるように構成され、第1シリンジは、第1要素の溶液と第2要素の溶液を混合して、ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのハイドロゲル形成組成物を形成するようにさらに構成されている。
【0041】
特定の実施形態において、本明細書に記載され、及び/又は本明細書に記載される任意のキットを使用して調製されるあらゆるハイドロゲル形成組成物は、手術による治療の方法に使用するのに好適である。特定の実施形態において、手術によるそのような治療の方法は、ハイドロゲル形成組成物を組織部位に送達すること及びハイドロゲル組織シーラントをその組織部位で形成することを含む。特定の実施形態において、手術による治療は肺生検処置であり、組成物は、肺生検処置の間又はその後の気胸症のリスクを予防又は減少させるために使用され、肺生検処置は、本明細書に記載される任意のハイドロゲル形成組成物が患者の胸膜腔に送達されて、それを通って生検試料が採取されるハイドロゲル組織シーラントを形成する処置であり得る。
【0042】
特定の実施形態において、ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのキットは、架橋剤を含む第1要素を収容する第1容器、タンパク質、好ましくは、ヒト血清アルブミン、組換え型ヒト血清アルブミン、及び動物由来アルブミンからなる群から選択されるタンパク質を含む第2要素を収容する第2容器、並びに、任意選択で、第1要素及び第2要素を溶解させるための1種以上の溶媒、好ましくは水を収容する1つ以上の追加の容器を含む。
【0043】
特定の実施形態によると、上述の、又は上述のキットを使用して調製されるハイドロゲル形成組成物は、手術による治療の方法に使用され得る。
【0044】
本発明の他の利点及び新規の特徴は、添付図面と併せて考察されると、本発明の種々の非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるだろう。本明細書と参照により組み込まれた文書が、矛盾し、及び/又は食い違った開示を含む場合、本明細書が優先するものとする。
【0045】
図面の簡単な説明
本発明の非限定的な実施形態が、添付図面を参照して例として説明されるが、添付図面は概略的であり、一定の縮尺で描かれるように意図されていない。図面において、表される各同一又はほぼ同一の要素は、典型的には、単一の数字により表される。明確さのために、当業者が本発明を理解するのに説明が必要でない場合、全ての要素が全ての図にラベル付けされているわけではなく、本発明の各実施形態の全ての要素が示されるわけでもない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】特定の実施形態に従って、ハイドロゲル組織シーラントを形成するための例示的な方法における工程を示す。
【
図2A】特定の実施形態に従って、ハイドロゲル形成組成物の1種以上の要素を貯蔵及び/又は混合するように構成されたシリンジ装置の概略図を示す。
【
図2B】特定の実施形態に従って、ハイドロゲル形成組成物を組織部位に送達するように構成されたシリンジ装置の概略図を示す。
【
図3A】特定の実施形態に従って、
図2Aに示されるシリンジ装置の断面概略図を示す。
【
図3B】特定の実施形態に従って、
図2Bに示されるシリンジ装置の断面概略図を示す。
【
図4】特定の実施形態に従って、ハイドロゲル形成組成物を水和及び送達するための例示的な方法における工程を示す。
【
図5A】特定の実施形態に従って、ブタ肺モデルのX線画像を示す。
【
図5B】特定の実施形態に従って、生検後ブタ肺モデルのX線画像を示す。
【
図6A】特定の実施形態に従って、ハイドロゲル組織シーラントをブタ肺モデルに送達するためのシリンジニードルの同軸挿入のX線画像を示す。
【
図6B】特定の実施形態に従って、ハイドロゲル組織シーラントを有するブタ肺モデルのX線画像を示す。
【
図7A】特定の実施形態に従って、ブタ肺モデルの壁側胸膜に密着したハイドロゲル組織シーラントの画像を示す。
【
図7B】特定の実施形態に従って、ブタ肺モデルの壁側胸膜及び臓側胸膜に密着したハイドロゲル組織シーラントの画像を示す。
【
図8A】特定の実施形態に従って、シリンジ内に収容されているハイドロゲル形成組成物の配置前の、シリンジ装置の同軸カニューレが、治療されている対象の胸膜腔に挿入された、
図2Bに描写されたシリンジ装置の概略図を示す。
【
図8B】特定の実施形態に従って、ハイドロゲル形成組成物を配置して、治療されている対象の胸膜腔にハイドロゲル肺シーラントを送達及び形成するために、プランジャーが押し下げられた
図8Aのシリンジ装置の概略図を示す。
【
図8C】特定の実施形態に従って、
図8Bのシリンジ装置の同軸カニューレを通って挿入された生検ニードルの概略図を示す。
【
図9A】特定の実施形態に従って、ハイドロゲルの配置及びその後の肺生検処置の3日後の被験対象(被験対象5)のCTスキャンを示す。
【
図9B】特定の実施形態に従って、肺生検処置直後の空気塞栓症を示している対照対象(対照対象9)のCTスキャンを示す。
【
図9C】特定の実施形態に従って、肺生検処置直後の気胸症を示している対照対象(対照対象10)のCTスキャンを示す。
【
図9D】特定の実施形態に従って、肺生検処置の2日後の気胸症を示している対照対象(対照対象6)のCTスキャンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
詳細な説明
ハイドロゲル組織シーラントに関連する組成物及び方法が全般的に記載される。特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は乾燥形態で(例えば、1種以上の粉末混合物として)提供され、少なくとも架橋剤及び架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含む。架橋剤及びタンパク質を溶解させることが可能な溶媒(すなわち1種以上の溶媒)が提供されて、ハイドロゲル形成組成物を溶解させて架橋を促進するために使用され得る。ハイドロゲル形成組成物を安定化させ、タンパク質を1種以上の溶媒に溶解させる速度(rate)を増加させ、及び/又はタンパク質の凝集を予防することが可能である界面活性剤も、粉末混合物の1種以上の要素か、又は1種以上の溶媒のいずれかに添加され得る。特定の実施形態において、組成物の成分の全てが単一の乾燥混合物(例えば粉末混合物)の一部であり得るが、さらなる安定性及び改善された貯蔵寿命をもたらし得る他の実施形態において、組成物は、2種以上の反応性要素(例えば、2種以上の乾燥粉末化混合物)に分離され得て、少なくとも第1及び第2要素は、要素のもう1つの1種以上の成分と反応する成分を含んでいる。好ましくは、そのような実施形態において、要素のそれぞれにおける成分は、そのような要素中の他の成分と実質的に反応性でなく、そのため、要素が1種以上の好適な溶媒に溶解され(例えば水和され)、使用前又は使用中に合わされて、それによりそれらが反応してハイドロゲルを形成することが可能になるまで反応は防がれ得る。成分が、そのような要素中の他の成分に対して実質的に反応性でない要素に分離される場合、要素は、乾燥した非水和形態ではなく、水和された流動性形態に処方及び貯蔵され得る。以下の議論及び例の多くにおいて、組成物は、水和及び要素の混合による架橋されたハイドロゲル組織シーラントの形成の前に2つの乾燥粉末要素として提供されるが、上記で示された通り、他の乾燥及び流動性製剤も可能である。
【0048】
一例として、ハイドロゲル組織シーラントを形成する架橋は、架橋剤を含む第1要素とタンパク質を含む第2要素と合わせることにより開始され得る。特定の実施形態において、界面活性剤は第2要素の一部であり得る。第1要素は、例えば、酸化防止剤(例えば第1酸化防止剤)をさらに含み得るが、これは架橋剤の安定性を増加させるために選択できる。第2要素は、第2酸化防止剤をさらに含み得るが、これはタンパク質の安定性を増加させるために選択できる。結果として、ハイドロゲル形成組成物は、他の従来のハイドロゲル形成組成物と比べて増加した貯蔵寿命及び増大した貯蔵能力の両方を有し得る。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるハイドロゲル形成組成物は、冷蔵を要さずに室温で長期間(例えば、3年以上)貯蔵され得る。ハイドロゲル形成組成物の他の利点は、より短く調節可能なゲル化時間及び増加したポットライフを含み得るが、そのどちらも以下でより詳細にさらに説明される。
【0049】
特定の実施形態において、多要素(例えば、2種の要素、3種の要素、4種の要素)組成物製剤が使用され得る。いくつかの実施形態において、第1要素は二官能化ポリアルキレンオキシド架橋剤を含み、第2要素は、二官能化ポリアルキレンオキシドと架橋することが可能であるタンパク質(例えば、凍結乾燥されたアルブミン)を含む。特定の実施形態において、第2要素は、架橋剤とタンパク質の架橋を開始させる架橋開始剤(例えば、炭酸ナトリウムなどの塩基又は塩基性緩衝剤)も含み得る。特定の実施形態において、上記で示された通り、第1要素及び第2要素はどちらも粉末化混合物として提供及び貯蔵され得る。粉末化混合物は、別々に、又は同時に水和されて(例えば、水、生体適合性有機溶媒、又は水溶液などの溶媒により)、次いで合わされ(別々に水和された場合)、ハイドロゲル組織シーラントを形成し得る。特定の実施形態において、第1要素(及び/又は第2要素)を水和させる水和溶液は、ハイドロゲル組織シーラントを、例えば分光学的に可視性にする放射線不透過剤をさらに含み得る。第2要素(及び/又は第1要素)を水和させる水和溶液は、ポロキサマーなどの消泡添加剤を含み得る。特定の実施形態において、消泡添加剤は、水和時にタンパク質のリフォールディングを支援し得る。
【0050】
ハイドロゲル形成組成物は、組織をインビボで結合又は密封するために使用され得る。特定の非限定的な実施形態において、例えば、ハイドロゲル形成組成物を胸膜の肺シーラントとして使用して、空気又は流体が胸膜腔に入らないように封じることが特に有用であり得る。そのようないくつかの実施形態において、ハイドロゲル肺シーラントは、好都合には、肺生検処置の間及び/又はその後に、例えば気胸症などの合併症の発生を減少させ得る。特定の実施形態において、ハイドロゲル組織シーラントとしての使用に加えて、又はその代わりに、本明細書に記載される組成物及び方法は、手術後の癒着バリア又は創傷被覆材などの種々の他の医療用途に有用であり得る。
【0051】
本明細書で使用される通り、用語「架橋する」は、少なくとも1つの共有結合及び/又はイオン結合の形成により、2つ以上の類似若しくは非類似のポリマー、コポリマー、オリゴマー、若しくはマクロマーを連結する、2つ以上の類似若しくは非類似のポリマー、コポリマー、オリゴマー、及び/又はマクロマーの間の化学反応、又は少なくとも1つの共有結合及び/又はイオン結合の形成により、1つ以上のポリマー、コポリマー、オリゴマー、及び/又はマクロマーのより長い鎖を提供する、1つ以上のポリマー、コポリマー、オリゴマー、及び/又はマクロマーの間の鎖延長を指す。
【0052】
求電子架橋剤
特定の実施形態によると、ハイドロゲル形成組成物は求電子生分解性ポリマーを含む。特定の実施形態において、求電子生分解性ポリマーは、1つ以上、好ましくは2つ以上の反応性求電子基を含むか、又は含むように官能化されている合成又は天然に存在するポリマーであり得る。多くの好適な求電子生分解性ポリマーが当業者に公知である。いくつかの実施形態において、例えば、ハイドロゲル形成組成物の特に好都合で好ましい架橋剤は二官能化ポリアルキレンオキシドを含む。特定の実施形態において、二官能化ポリアルキレンオキシドは、式:
G-LM-PEG-LM-G
により記載される組成を有する;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート二価基、式-(CH2)b-C(O)-のモノエステル二価基(式中、bは1~10の整数である)、式-C(O)-(CH2)c-C(O)-のジエステル基(式中、cは1~10の整数であり、基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、式-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-のジカーボネート二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-のアミド含有二価基(式中、dは1~10の整数である)、式-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-のアミド含有二価基(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH2)c-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH2)d-C(O)-、又は-R-(CH2)c-C(O)-N(H)-(CH2)d-(式中、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基からなる群から独立に選択される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立に選択される脱離基である)。
【0053】
特定の実施形態によると、架橋剤は、式:
G-LM-PEG-LM-G
の二官能化ポリアルキレンオキシドである;
(式中:
PEGはポリエチレングリコールであり;
各LMは同じであり、式-C(O)-、-(CH2)b-C(O)-(式中、bは1~5の整数である)、-C(O)-(CH2)c-C(O)-(式中、cは2~10の整数であり、基の脂肪族部分は飽和でも不飽和でもあり得る)、-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-(式中、dは2~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH2)c-C(O)-、又は-R-C(O)-O-(CH2)d-O-C(O)-(式中、cは2~10の整数であり、dは2~10の整数であり、Rは、1~10個のモノマー性ラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴマー性二価基により表される二官能性連結部分であり;並びに
各Gは同じであり、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルの群から選択される脱離基である)。
【0054】
いくつかの実施形態によると、ハイドロゲル形成組成物は種々の好適な架橋剤(例えば、二官能化ポリアルキレンオキシド)のいずれかを含む。いくつかの実施形態において、架橋剤は、
形態:
【化3】
の2-アームPEGジスクシンイミジルスクシネート(PEG(SS)
2)であるか、又はそれを含む。
【0055】
特定の実施形態において、架橋剤は、
形態:
【化4】
の2-アームPEGカルボキシメチルエステルであるか、又はそれを含む。
【0056】
特定の実施形態によると、式G-LM-PEG-LM-Gの架橋剤(例えば、二官能化ポリアルキレンオキシド)は、種々の好適な重量平均分子量のいずれも有し得る。例えば、特定の実施形態において、PEG中のエトキシ化度(及び上式中のnの値)は、架橋剤が、1kDa以上、2kDa以上、3kDa以上、4kDa以上、5kDa以上、10kDa以上、又は15kDa以上の重量平均分子量を有し得るようなものである。特定の実施形態において、架橋剤は、20kDa以下、15kDa以下、10kDa以下、5kDa以下、4kDa以下、3kDa以下、又は2kDa以下の重量平均分子量を有し得る。上記に列挙された範囲の組合せも可能である(例えば、架橋剤は、1kDa以上及び20kDa以下の重量平均分子量を有し得て、架橋剤は、3kDa以上及び5kDa以下の重量平均分子量を有し得る)。他の範囲も可能である。特定の実施形態において、上記に示された2-アームPEGジスクシンイミジルスクシネート及び2-アームPEGカルボキシメチルエステルの式に関して、nは、10~500、より好ましくは50~200の範囲である。いくつかの実施形態において、架橋剤の重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー-多角度レーザー光散乱(SEC-MALLS)を使用して測定される。
【0057】
特定の実施形態によると、限定はされないが上記の例などの式G-LM-PEG-LM-Gにより記述可能な二官能化ポリアルキレンオキシド架橋剤は、当業者に公知である種々の好適な合成方法のいずれによっても調製され得る。例えば、それぞれ参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第6,576,263号、米国再特許第RE38,827号、及び米国再特許第RE38,158号を参照されたい。
【0058】
いくつかの実施形態において、式G-LM-PEG-LM-Gにより記述可能な二官能化ポリアルキレンオキシドは、それぞれ参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第4,101,380号若しくは米国特許第4,839,345号に報告された手順、1990年4月19日に出願された国際出願公開第PCT/US90/02133号に報告された手順、又はAbuchowski et al., Cancer Biochem. Biophys., 7:175-186 (1984)により報告された手順などの公知のプロセス、手順、又は合成方法を使用して調製され得る。簡単に言うと、特定の実施形態において、ポリアルキレンオキシド系化合物(例えば、例示的であるとして以下で議論されるポリエチレングリコール)及び好適な酸無水物は、塩基の存在下で好適な極性有機溶媒に溶解され、ポリエチレングリコールジエステル二酸を形成するのに充分な期間還流される。次いで、ジエステル二酸は、好適な極性有機溶媒中で、ジシクロヘキシルカルボジイミド又は別の縮合剤の存在下で、N-ヒドロキシイミド化合物などの脱離基と反応され、室温で撹拌されて、所望の二官能性架橋剤が形成される。
【0059】
式G-LM-PEG-LM-Gにより記述可能な二官能化ポリアルキレンオキシド系化合物の全て又は一部は、NOF America Corporation、Laysan Bio, Inc、Sigma-Aldrich、及び/又はJenKem Technology USAを含むがこれらに限定されない商業的供給源から購入可能である。二官能化ポリアルキレンオキシド系化合物は、例示的な組成物に関して本明細書に記載される教示及び例示的な方法、既刊文献、並びに当業者の通常の技量及び知識のレベルに照らして、化学合成分野の当業者によっても容易に合成され得る。
【0060】
特定の非限定的な実施形態において、PEG(SS)2は、75.7オキシエチレン繰り返し単位に相当する3,350Daの平均重量平均分子量を有する直鎖PEGを得ることにより合成できる。直鎖PEGは、例えばDow Chemical Companyから得ることができる。いくつかの実施形態において、直鎖PEGは、2工程合成によりPEG(SS)2に転化され得る。例えば、いくつかの例において、第1工程は、直鎖PEGを2当量の無水コハク酸と反応させてエステルを形成することを含み得る。第2工程は、エステルを2当量のN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)と反応させて、架橋剤PEG(SS)2を製造することを含み得て、分子あたり2つのスクシンイミジル基を有する2-アーム架橋剤の白色固体をもたらす。
【0061】
特定の実施形態において、式G-LM-PEG-LM-Gの二官能化ポリアルキレンオキシド系化合物は、脱離基G(例えば、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシル、N-オキシイミダゾリル、及びトレシル)を含む。そのような実施形態において、脱離基Gは、求核基、例えばタンパク質のアミン基と反応することが可能である求電子脱離基である。特定の実施形態によると、脱離基Gは、求核剤(例えば、タンパク質)のアミン基と反応して、アミド結合の形成により脱離基Gの放出と同時に架橋された組成物が製造される。そのような反応性は、参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第6,458,147号にさらに記載されている。
【0062】
特定の実施形態によると、二官能化ポリアルキレンオキシド架橋剤の純度は、その二官能性パーセントにより測定され得る。二官能性の高いパーセンテージは、好都合には、より高い程度及び/又は割合の架橋をもたらして、速いゲル化時間、より長いポットライフ、及び/又はより長い貯蔵寿命などの増大した性能特性及び/又は改善された機械的性質若しくは再吸収時間を有するハイドロゲル形成組成物から形成されたハイドロゲルを提供し得て、そのそれぞれは、以下でより詳細に説明される。いくつかの実施形態において、二官能化ポリアルキレンオキシド架橋剤は、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、又は99重量%以上の二官能性パーセントを有する。特定の実施形態において、二官能化ポリアルキレンオキシド架橋剤は、70重量%~99.9重量%、又は90重量%~95重量%の二官能性パーセントを有する。他の範囲も可能である。本明細書で使用される二官能化ポリアルキレンオキシド架橋剤の二官能性パーセントは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定される。
【0063】
粉末化形態において、二官能化ポリアルキレンオキシド架橋剤は、比較的低い重量パーセント含水量を有し得る。粉末化二官能化ポリアルキレンオキシド架橋剤の低い重量パーセント含水量は、好都合には、改善された貯蔵寿命を有するハイドロゲル形成組成物を与え得るが、その理由は、二官能化ポリアルキレンオキシドの加水分解が減少するためであり、したがって、架橋剤の反応性を貯蔵時間にわたって維持する。特定の実施形態において、例えば、粉末化二官能化ポリアルキレンオキシド架橋剤の重量パーセント含水量は、粉末化二官能化ポリアルキレンオキシド架橋剤の総重量に対して、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%、又は2重量%以下であり得る。特定の実施形態において、粉末化架橋剤の重量パーセント含水量は、粉末化二官能化ポリアルキレンオキシド架橋剤の総重量に対して1重量%~10重量%、又は粉末化二官能化ポリアルキレンオキシド架橋剤の総重量に対して4重量%~6重量%であり得る。他の範囲も可能である。本明細書で述べられる重量パーセント含水量は、水分計及び/又はカール・フィッシャー滴定を使用して測定される。
【0064】
特定の実施形態によると、ハイドロゲル形成組成物は、粉末化架橋剤を、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総量に対して質量による重量パーセント(重量%)での種々の好適な量のいずれかで含む。例えば、いくつかの実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、架橋剤を、粉末化基準で、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量の10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、又は55重量%以上の量で含む。特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、架橋剤を、粉末化基準で、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量の60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下、45重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、又は15重量%以下の量で含む。上記に列挙された範囲の組合せも可能である(例えば、ハイドロゲル形成組成物は、架橋剤を、粉末化基準で、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量の10重量%以上及び60重量%以下の量で含み、ハイドロゲル形成組成物は、架橋剤を、粉末化基準で、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量の25重量%以上及び30重量%以下の量で含む)。他の範囲も可能である。
【0065】
タンパク質などの求核生分解性ポリマー
特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、求電子生分解性ポリマーと架橋することが可能である求核生分解性ポリマーを含む。特定の実施形態において、求核生分解性ポリマーは、1つ以上、好ましくは2つ以上の反応性求核基を含むか、又は含むように官能化されている合成又は天然に存在するポリマーであり得る。多くの好適な求核生分解性ポリマーは当業者に公知である。いくつかの実施形態において、例えば、特に好都合で好ましい求核生分解性ポリマーはタンパク質である。いくつかの実施形態によると、例えば、ハイドロゲル形成組成物は、上述の求電子架橋剤(例えば、PEG(SS)2)と架橋することが可能であるタンパク質を含む。特定の実施形態において、タンパク質は血清アルブミン(SA)を含む。血清アルブミンは、いくつかの実施形態において、ドナー血液から誘導されたヒト血清アルブミン(HSA)、酵母及び/又はコメ中に発現された組換え型ヒト血清アルブミン(rHSA)、及び/又は例えばウシ血清アルブミン(BSA)などの動物由来アルブミンであり得る。特定の実施形態によると、タンパク質(例えばrHSA)は凍結乾燥され得る。タンパク質の凍結乾燥は、好都合には、以下に記載される通り、いくつかの実施形態によると、タンパク質の分解を妨げ、貯蔵寿命及び/又は水性溶媒に溶解される場合の溶解時間を改善し得る。
【0066】
特定の非限定的な実施形態において、タンパク質は、Proliant Biologicalsから得られるCohn analog culture grade BSAであり得る。いくつかの実施形態において、組換え型ヒト血清アルブミンは、Cellastim組換え型ヒト血清アルブミン、Healthgen組換え型ヒト血清アルブミン、Optibumin組換え型ヒト血清アルブミン、InVitriaヒト血清アルブミン、又はAlbumedixヒト血清アルブミンであり得る。
【0067】
特定の実施形態において、タンパク質は、コラーゲン又はゼラチンであり得るか、又はそれを含み得る。他のタンパク質も可能である。
【0068】
特定の実施形態によると、タンパク質凝集の純度及び/又は量は、タンパク質源中のタンパク質のモノマーの量のパーセントにより決定され得る。特定の実施形態において、例えば、タンパク質は、60重量%以上のタンパク質モノマー、65重量%以上のタンパク質モノマー、70重量%以上のタンパク質モノマー、75重量%以上のタンパク質モノマー、80重量%以上のタンパク質モノマー、85重量%以上のタンパク質モノマー、90重量%以上のタンパク質モノマー、又は95重量%以上のタンパク質モノマーを含み得る。特定の実施形態において、タンパク質は、99重量%以下のタンパク質モノマー、95重量%以下のタンパク質モノマー、90重量%以下のタンパク質モノマー、85重量%以下のタンパク質モノマー、80重量%以下のタンパク質モノマー、75重量%以下のタンパク質モノマー、70%以下のタンパク質モノマー、70重量%以下のタンパク質モノマー、又は65重量%以下のタンパク質モノマーを含む。上記に列挙された範囲の組合せも可能である(例えば、タンパク質は、60重量%以上のタンパク質モノマーで99重量%以下のタンパク質モノマーを含み、タンパク質は、90重量%以上のタンパク質モノマーで95重量%以下のタンパク質モノマーを含む)。他の範囲も可能である。以下にさらに詳細に説明される通り、ハイドロゲル形成組成物の特定の要素(例えば、界面活性剤及び/又は消泡剤)は、凝集及び/又はタンパク質二量体若しくはより高次の多量体構造の形成を防止するように作用し得る。
【0069】
粉末化タンパク質は、比較的低い重量パーセント含水量を有し得る。特定の実施形態において、例えば、粉末化タンパク質要素の重量パーセント含水量は、粉末化タンパク質要素の総重量に対して、1重量%以上、2重量%以上、3重量%以上、4重量%以上、5重量%以上、6重量%以上、7重量%以上(greater than or)、8重量%以上、又は9重量%以上であり得る。いくつかの実施形態において、粉末化タンパク質の含水量の重量パーセントは、粉末化タンパク質要素の総重量に対して、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、又は2重量%以下であり得る。上記に列挙された範囲の組合せも可能である(例えば、粉末化タンパク質のパーセント含水量は、粉末化タンパク質要素の総重量に対して1重量%以上と10重量%以下との間であり得て、粉末化タンパク質のパーセント含水量は、粉末化タンパク質要素の総重量に対して4重量%以上と6重量%以下との間であり得る)。他の範囲も可能である。本明細書で説明される通り、含水量の重量パーセントは、水分計及び/又はカール・フィッシャー滴定を使用して測定される。
【0070】
特定の実施形態によると、全体的な粉末化ハイドロゲル形成組成物は、タンパク質(例えばアルブミン)を、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量に対して(すなわち、タンパク質含有粉末化要素及び求電子ポリマー含有架橋剤粉末化要素の両方の合わせた重量に対して)、質量による重量パーセント(重量%)での種々の好適な量のいずれかで含む。例えば、特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、タンパク質を、粉末化基準で、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量の40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、又は75重量%以上の量で含む。特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、タンパク質を、粉末化基準で、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量に対して、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下、又は45重量%以下の量で含む。上記に列挙された範囲の組合せも可能である(例えば、ハイドロゲル形成組成物は、タンパク質を、粉末化基準で、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量の40重量%以上及び80重量%以下の量で含み、ハイドロゲル形成組成物は、タンパク質を、粉末化基準で、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量の55重量%以上及び65重量%以下の量で含む)。他の範囲も可能である。
【0071】
式G-LM-PEG-LM-Gの二官能化ポリアルキレンオキシド系化合物中の脱離基G(例えばNHS)と(例えば、タンパク質の)アミン基の数の比は、種々の好適な比のいずれでもよい。特定の実施形態において、例えば、脱離基Gとアミン基の比は、0.5:1以上、1:1以上、1.5:1以上、2:1以上、又は2.5:1以上である。いくつかの実施形態において、脱離基Gとアミン基の比は、3:1以下、2.5:1以下、2:1以下、1.5:1以下、又は1:1以下である。上記に列挙された範囲の組合せも可能である(例えば、脱離基Gとアミン基の比は0.5:1以上及び3:1以下であり、脱離基Gとアミン基の比は2:1以上及び2.5:1以下である)。他の範囲も可能である。
【0072】
特定の非限定的な実施形態において、架橋剤はPEG(SS)2であり、タンパク質はrHSAであり、PEG(SS)2のNHS基とrHSAのアミン基の比は2.21:1である。他の非限定的な実施形態において、架橋剤はPEG(SS)2であり、タンパク質はrHSAであり、PEG(SS)2のNHS基とrHSAのアミン基の比は2.65:1である。
【0073】
架橋開始剤
いくつかの実施形態において、求電子架橋剤と求核剤(例えばタンパク質)の間に起こる架橋反応はpH感受性である。特定のそのような実施形態において、例えば、架橋反応は酸性pHで阻害され、pHを中性又は塩基性値に増加させることにより開始させ、持続させることができる。いくつかの実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、架橋剤と求核剤(例えばタンパク質)の架橋を開始させる架橋開始剤を含む。特定の実施形態において、架橋開始剤は、粉末混合物としてタンパク質と合わされ得る。そのようないくつかの実施形態において、架橋開始剤は、タンパク質と共に凍結乾燥され得る。
【0074】
特定の実施形態において、架橋開始剤は、いくつかの実施形態において、塩基又は塩基性緩衝剤であり得る。特定の実施形態において、例えば、架橋開始剤は、式G-LM-PEG-LM-Gの二官能化ポリアルキレンオキシド系化合物中の脱離基Gとタンパク質のアミン基の間の反応を促進する塩基及び/又は塩基性緩衝剤を含む。種々の好適な塩基又は塩基性緩衝剤のいずれも利用され得る。求核化合物が架橋剤と反応するアミン基を含む特定の実施形態において、塩基性架橋開始剤は、アミン官能性を含まない塩基及び/又は塩基性緩衝剤である。いくつかの実施形態において、塩基は、炭酸塩及び/又は重炭酸塩(例えば、炭酸塩及び/又は重炭酸塩)を含む。例えば、特定の実施形態において、塩基又は塩基性緩衝剤は炭酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態において、塩基又は塩基性緩衝剤は重炭酸ナトリウムを含む。他の塩基又は塩基性緩衝剤が可能である。
【0075】
脱離基Gと求核剤(例えばタンパク質)のアミン基の間の架橋反応は、種々の好適なpH値のいずれでも起こり得る。いくつかの実施形態において、架橋反応は高pH値で有利である。特定の実施形態において、例えば、脱離基Gと求核剤(例えばタンパク質)のアミン基の間の架橋反応は、7以上、8以上、9以上、10以上、又は11以上のpHで開始されて起こる。特定の実施形態において、脱離基Gと求核剤のアミン基の間の架橋反応は、12以下、11以下、10以下、又は9以下のpHで開始されて起こる。上記に列挙された範囲の組合せも可能である(例えば、脱離基Gと求核剤のアミン基の間の架橋反応は、7以上と11以下の間のpHで開始されて起こり、脱離基Gと求核剤のアミン基の間の架橋反応は、8以上と11以下の間のpHで開始されて起こり、脱離基Gと求核剤のアミン基の間の架橋反応は、9以上と11以下の間のpHで開始されて起こり、又は脱離基Gと求核剤のアミン基の間の架橋反応は、10以上と11以下の間のpHで開始されて起こる。他の範囲も可能である。
【0076】
特定の非限定的な実施形態において、脱離基Gと求核剤(例えばタンパク質)のアミン基の間の架橋反応は、架橋剤の溶液を、pHが10.2以上と10.6以下の間である求核剤の溶液と合わせることにより、反応を促進するのに好適なpHで開始されて起こり得る。
【0077】
ハイドロゲル形成組成物は、粉末化架橋開始剤(例えば、塩基又は塩基性緩衝剤)を、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量に対して、質量による重量パーセント(重量%)での種々の好適な量のいずれかで含み得る。塩基又は塩基性緩衝剤の量は、ゲル化時間(以下に記載される)、又は架橋剤が求核剤(例えばタンパク質)と架橋するのにかかる時間の他の尺度など、ハイドロゲル形成組成物の反応性に影響し得る。したがって、特定の実施形態において、架橋の速度及び/又は程度を促進して、効果的に組織を密封するためにハイドロゲル形成組成物の組織部位への送達前又は送達時にハイドロゲルが架橋して形成できるようにするために、塩基又は塩基性緩衝剤の種類及び/又は量を選択することが有利であり得る。
【0078】
特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、架橋開始剤を、粉末化基準で、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量の0.1重量%以上、0.2重量%以上、0.5重量%以上、1重量%以上、1.5重量%以上、2重量%以上、2.5重量%以上、3重量%以上、4重量%以上、又は5重量%以上、6重量%以上、7重量%以上、8重量%以上、又は9重量%以上の量で含む。特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、架橋開始剤を、粉末化基準で、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量の10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1.5重量%以下、1重量%以下、0.5重量%以下、又は0.2重量%以下、又は5重量%以下の量で含む。上記に列挙された範囲の組合せも可能である(例えば、ハイドロゲル形成組成物は、架橋開始剤を、粉末化基準で、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量の0.1重量%以上及び10重量%以下又は粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量の0.1重量%以上及び5重量%以下の量で含み、ハイドロゲル形成組成物は、架橋開始剤を、粉末化基準で、組成物の総重量の4重量%以上及び8重量%以下の量で含む)。他の範囲も可能である。
【0079】
特定の実施形態によると、架橋開始剤は、第2要素の一部であるように区分けされ得る。例えば、いくつかの実施形態において、架橋開始剤は、タンパク質(例えばアルブミン)と粉末混合物として合わされ得る。そのようないくつかの実施形態において、架橋開始剤及びタンパク質は凍結乾燥され得る。いくつかの代替実施形態において、架橋開始剤は溶媒(例えば水)に溶解されて、第2要素(例えばタンパク質)を水和させる水和溶液として使用され得る。
【0080】
界面活性剤
特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、ハイドロゲル形成組成物の1種以上の要素(例えば、第1要素、第2要素)を安定化させることが可能である。特定の実施形態において、界面活性剤は、タンパク質(例えばアルブミン)の、タンパク質を溶解させるために使用される1種以上の溶媒への溶解の速度を増加させることが可能である。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、タンパク質(例えばアルブミン)の凝集(例えば集塊)を防ぐために選択され得る。
【0081】
種々の好適な界面活性剤のいずれも利用され得る。いくつかの実施形態において、例えば、界面活性剤は非官能化ポリエチレングリコール(PEG)を含む。種々の非官能化PEGのいずれも利用され得る。特定の実施形態において、非官能化PEGは室温で固体だろう。特定の実施形態において、非官能化PEGは、例えば、100g/mol以上及び40,000g/mol以下の重量平均分子量を有するだろう。特定の実施形態において、非官能化PEGはPEG 8000(例えば、8000g/molの分子量を有するPEG)である。特定の実施形態において、界面活性剤は硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、ポロキサマー、ポリソルベート(例えば、TWEEN(登録商標))を含み得るか、又は油(例えば、鉱油、植物油)、シロキサン、ステアレート、グリコール、及び/又はこれらの混合物などの純粋に親油性の材料を包含し得る。特定の実施形態において、例えば、ポロキサマーはPluronic(登録商標)L61である。他のPluronic(登録商標)ポロキサマーも利用され得る。
【0082】
いくつかの実施形態において、界面活性剤は、消泡添加剤としてさらに機能し得る(全ての消泡添加剤が界面活性剤である必要はないが)。消泡添加剤は、好都合には、ハイドロゲル形成組成物が水和される時に泡立ち及び/又は気泡が形成するのを防いで、架橋を促進し得る。いくつかの実施形態において、例えば、消泡添加剤は、消泡添加剤が存在しない場合に水和されたハイドロゲル形成組成物中に存在するだろう気泡の形成を防ぐ。そのような気泡は、架橋の邪魔になり、組織シーラントの生じたハイドロゲルネットワークを弱め得る。特定の非限定的な実施形態において、ポロキサマー(例えば、Pluronic(登録商標)L61)は消泡添加剤である。
【0083】
特定の実施形態によると、ハイドロゲル形成組成物は、粉末化ハイドロゲル形成組成物の粉末化又は水溶液の総重量に対して、質量による重量パーセント(重量%)での種々の量のいずれかで粉末化又は液体界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、例えば、ハイドロゲル形成組成物は、界面活性剤を、粉末化又は液体基準で、粉末化又は水性ハイドロゲル形成組成物の総重量の0.01重量%以上、0.1重量%以上、0.5重量%以上、1重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、又は15重量%以上の量で含む。特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、界面活性剤を、粉末化又は液体基準で、粉末化又は水性ハイドロゲル形成組成物の総重量の20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、1重量%以下、0.5重量%以下、0.1重量%以下、0.01重量%以下の量で含む。上記に列挙された範囲の組合せも可能である(例えば、ハイドロゲル形成組成物は、界面活性剤を、粉末化又は液体基準で、粉末化又は水性ハイドロゲル形成組成物の総重量の1重量%以上及び30重量%以下の量で含み、ハイドロゲル形成組成物は、界面活性剤を、粉末化又は液体基準で、粉末化ハイドロゲル形成組成物の粉末化又は水溶液の総重量の10重量%以上及び20重量%以下の量で含む)。他の範囲も可能である。
【0084】
いくつかの実施形態において、界面活性剤は第2要素の一部であり得る。例えば、特定の実施形態において、界面活性剤は、粉末混合物としてタンパク質(及び架橋開始剤、いくつかの実施形態において)と合わされ得る。そのようないくつかの実施形態において、タンパク質、架橋開始剤、及び界面活性剤は凍結乾燥され得る(例えば、溶媒への溶解の前に)。理論により拘束されることは望まないが、液体界面活性剤が利用される(例えば、Pluronic(登録商標)L61)いくつかの実施形態において、液体界面活性剤は、第2要素の1種以上の粉末要素(例えばタンパク質)と水素結合し得る。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、水和溶液として使用される溶媒(例えば水)に溶解及び/又は混合されて、第2要素を水和させ、第1要素の溶液と混合されると、第1要素と架橋することが可能である水和された溶液を形成し得る。特定の実施形態において、例えば、界面活性剤は、第2要素を水和させるのに使用される溶媒に分散及び/又は懸濁され得る。
【0085】
特定の実施形態によると、ハイドロゲル形成組成物は、2種以上の界面活性剤(例えば、2種の界面活性剤、3種の界面活性剤など)を、各個別の界面活性剤、又は全ての界面活性剤を合わせた累積量が、上記に列記された重量パーセント範囲のいずれかに該当した状態で含み得る。
【0086】
酸化防止剤
特定の実施形態によると、ハイドロゲル形成組成物は少なくとも1種の酸化防止剤を含み得る。酸化防止剤は、好都合には、ハイドロゲル形成組成物の1種以上の要素の貯蔵安定性を増加させ得る。例えば、1種以上の酸化防止剤の使用は、ハイドロゲル形成組成物の貯蔵寿命及び/又は貯蔵能力を増加させ得る。1種以上の酸化防止剤は、ハイドロゲルを形成するための架橋試薬より酸化しやすいため(例えば、より低い酸化電位のため)、酸化防止剤は、架橋試薬よりも先に貯蔵の間に酸化され、他の点では同等だが1種以上の酸化防止剤を有さないハイドロゲル形成組成物より長い貯蔵寿命を有するハイドロゲル形成組成物をもたらす。
【0087】
種々の好適な酸化防止剤のいずれも利用され得る。特定の実施形態において、例えば、組成物はブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含む。そのようないくつかの実施形態において、BHTは、フリーラジカル介在性の酸化を防ぐ。特定の実施形態において、BHTは、二官能化ポリアルキレンオキシド系架橋剤の酸化を防ぐために利用され得る。いくつかの実施形態において、組成物はN-アセチル-DL-トリプトファンを含む。そのようないくつかの実施形態において、N-アセチル-DL-トリプトファンは、タンパク質の1種以上のアミノ酸及び/又は他の残基の酸化を防ぐ。特定の実施形態において、酸化防止剤は、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル d-αトコフェリルポリエチレングリコール-1000スクシネート、ピロ亜硫酸ナトリウム、及び/又はこれらの混合物であるか、又はこれらを含む。
【0088】
いくつかの実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は少なくとも2種の酸化防止剤を含む。例えば、特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、二官能化ポリアルキレンオキシド系架橋剤の酸化を防ぐ第1酸化防止剤(例えばBHT)及びタンパク質の酸化を防ぐ第2酸化防止剤(例えばN-アセチル-DL-トリプトファン)を含み得る。
【0089】
ハイドロゲル形成組成物の1種以上の成分の酸化を防ぐことに加え、1種以上の酸化防止剤は、いくつかの場合において、ハイドロゲル形成組成物の1種以上の成分(例えば、架橋剤、タンパク質など)を安定化させて、致死線量の放射線(例えば、電子線又はガンマ線)による滅菌を可能にし得る。特定の実施形態において、例えば、ハイドロゲル形成組成物の1種以上の要素(例えば、第1要素及び/又は第2要素)は、電子線照射を使用して滅菌され得る。そのようないくつかの実施形態において、ハイドロゲルの1種以上の要素は、累積線量を25kGy以上と30kGy以下の間として、1つ以上の線量の電子線照射に曝露され得る。
【0090】
特定の実施形態によると、ハイドロゲル形成組成物は、各酸化防止剤(例えば、第1酸化防止剤、第2酸化防止剤)を、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量に対して、質量による重量パーセント(重量%)での種々の好適な量のいずれかで含む。いくつかの実施形態において、例えば、ハイドロゲル形成組成物は、各酸化防止剤を、粉末化基準で、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量の0.1重量%以上、1重量%以上、2重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、又は15重量%以上の量で含む。特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、各酸化防止剤を、粉末化基準で、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量の20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、又は0.1重量%以下の量で含む。上記に列挙された範囲の組合せも可能である(例えば、ハイドロゲル形成組成物は、各酸化防止剤を、粉末化基準で、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量の0.1重量%以上及び20重量%以下の量で含み、ハイドロゲル形成組成物は、各酸化防止剤を、粉末化基準で、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量の1重量%以上及び5重量%以下の量で含む)。他の範囲も可能である。
【0091】
特定の実施形態によると、酸化防止剤は第1及び/又は第2要素の一部であり得る。いくつかの実施形態において、例えば、少なくとも1種の酸化防止剤は、粉末混合物として架橋剤及び/又はタンパク質と合わされ得る。そのようないくつかの実施形態において、酸化防止剤は、タンパク質(及び/又は架橋剤、いくつかの場合において)と共に凍結乾燥され得る。特定の代替実施形態において、酸化防止剤は、第1及び/又は第2要素を水和させる水和溶液として使用される(例えば水などの溶媒に)溶解され得る。
【0092】
放射線不透過剤(radiopaque agent)
いくつかの実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は放射線不透過剤を含む。放射線不透過剤の使用は、生じたハイドロゲルに、例えば、X線又はコンピュータ断層撮影(CT)画像化により分光学的に画像化される能力を与えることができる。種々の好適な放射線不透過剤のいずれも添加され得る。いくつかの実施形態において、放射線不透過剤は、金(例えば、金ナノ粒子)、銀(例えば、銀ナノ粒子)、又はヨウ素を含む。特定の実施形態において、放射線不透過剤は、塩化カリウム(KCl)、硫酸バリウム、イオヘキソール、又はジアトリゾエートである。
【0093】
特定の実施形態によると、ハイドロゲル形成組成物は、放射線不透過剤を、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量に対して、質量による重量パーセント(重量%)での種々の量のいずれかで含む。いくつかの実施形態において、例えば、ハイドロゲル形成組成物は、放射線不透過剤を、粉末化基準で、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量の0.1重量%以上、0.5重量%以上、1重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、又は15重量%以上の量で含む。特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、放射線不透過剤を、粉末化基準で、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量の20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、1重量%以下、又は0.5重量%以下の量で含む。上記に列挙された範囲の組合せも可能である(例えば、ハイドロゲル形成組成物は、放射線不透過剤を、粉末化基準で、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量の0.1重量%以上及び20重量%以下の量で含み、ハイドロゲル形成組成物は、放射線不透過剤を、粉末化基準で、粉末化ハイドロゲル形成組成物の総重量の1重量%以上及び10重量%以下の量で含む)。他の範囲も可能である。
【0094】
他の作用物質
上述の実施形態のいずれにおいても、ハイドロゲル形成組成物は、種々の目的のための他の活性薬剤又は成分、例えば、抗微生物剤、抗炎症剤、止血剤など種々の好適な活性薬剤のいずれも含み得る。
【0095】
いくつかの実施形態によると、ハイドロゲル形成組成物は、1種以上の粉末の形態である(例えば、ハイドロゲル形成組成物の貯蔵の間)。特定の実施形態において、架橋剤、タンパク質、任意選択の界面活性剤、任意選択の酸化防止剤、及び/又は任意選択の架橋開始剤を含むハイドロゲル形成組成物の水溶液を形成するために、ハイドロゲル形成組成物の1種以上の粉末は、水又は1種以上の水溶液により水和され得る。特定の実施形態において、架橋剤及びタンパク質を含む水溶液形態のハイドロゲル形成組成物を形成することは、架橋剤とタンパク質の架橋を開始させ、それによりハイドロゲル組織シーラントを形成する。
【0096】
上述の通り、特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、成分の一部が、異なる粉末化又は水和された要素中の他のものから分離されている多要素製剤として貯蔵及び/又は提供され得る。いくつかの実施形態において、例えば、ハイドロゲル形成組成物は、少なくとも第1要素、第2要素、第1要素及び第2要素を溶解させることが可能な溶媒、並びに、任意選択で界面活性剤を含む。そのようないくつかの実施形態において、第1要素は架橋剤及び任意選択の酸化防止剤を含み、第2要素はタンパク質を含む。界面活性剤は、特定の実施形態において、第2要素の一部であり得るか(例えば、タンパク質との粉末混合物)、又は第1及び/又は第2要素を水和させるのに使用される溶媒に溶解されるか、及び/又はその他の方法で混合され得る。いくつかの実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は架橋開始剤を含むが、それは、第2要素の一部であり得るか(例えば、タンパク質との粉末混合物)、又は1種以上の要素(one or the components)(例えば第2要素)を水和させるのに使用される溶媒に溶解され得る。特定の実施形態において、例えば、第2要素は、タンパク質、架橋開始剤、及び界面活性剤を含む混合物(例えば凍結乾燥された粉末混合物)である。ハイドロゲル形成組成物は、少なくとも1種の酸化防止剤も含み得るが、いくつかの実施形態において、それは第1及び/又は第2要素の一部であり得るか、又は第1及び/又は第2要素を水和させるのに使用される溶媒に溶解され得る。特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、放射線不透過剤も含み得るが、いくつかの実施形態において、それは第1及び/又は第2要素の一部であり得るか、又は第1及び/又は第2要素を水和させるのに使用される溶媒に溶解され得る。
【0097】
特定の実施形態において、貯蔵の間の架橋剤とタンパク質の架橋を回避し、及び/又はハイドロゲル形成組成物が組織部位に送達されるまで架橋を遅延させるために、第1要素(例えば、架橋剤(及び任意選択の酸化防止剤)を含む)と第2要素(例えば、タンパク質(及び任意選択で架橋開始剤及び/又は界面活性剤)を含む)を別々に貯蔵することが有利になり得る。特定の実施形態において、タンパク質、架橋開始剤、及び界面活性剤を含む少なくとも第2要素は凍結乾燥され得るか、又はそのような要素の少なくともタンパク質は凍結乾燥される。
【0098】
いくつかの実施形態によると、第1要素は第1粉末混合物の形態であり得て、第2要素は第2粉末混合物の形態であり得る(例えば、第1要素及び/又は第2要素の貯蔵の間)。特定の実施形態において、粉末混合物である第1要素及び/又は第2要素は、別々に、水又は1種以上の溶媒(例えば、水、DMSOなどの生体適合性有機溶媒)又は水溶液により溶媒和又は水和されて(以下の記載において、「水和された」が簡潔さのために使用されるが、非水性溶媒が使用される実施形態では、「溶媒和された」が「水和された」の代わりになるべきであることが理解されるべきである)、それにより、第1溶液(例えば第1水溶液)の形態である第1要素及び第2溶液(例えば第2水溶液)の形態である第2要素を提供し得る。特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物のポットライフを延ばすために、第1要素(例えば架橋剤)をDMSOなどの生体適合性有機溶媒に溶解させることが有利であり得る。いくつかの実施形態において、水和された第1要素及び水和された第2要素は、架橋剤とタンパク質の架橋を開始させるために合わされて、それによりハイドロゲル組織シーラントを形成し得る。
【0099】
特定の実施形態において、(例えば、架橋剤を含む第1要素を水和させる)第1溶液は、放射線不透過剤及び/又は第1酸化防止剤を含み得る。いくつかの実施形態において、(例えば、タンパク質を含む第2要素を水和させる)第2溶液は、界面活性剤、架橋開始剤、及び/又は第2酸化防止剤を含み得る。
【0100】
タンパク質が求核ポリマーとして含められている場合、第2要素は、生じた水和された溶液中のタンパク質の濃度が種々の好適な量のいずれかであるように水和され得る。いくつかの実施形態において、例えば、水和された第2要素中のタンパク質の濃度は、10質量対体積%以上、15質量対体積%以上、20質量対体積%以上、25質量対体積%以上、又は30質量対体積%以上である。特定の実施形態において、水和された第2要素中のタンパク質の濃度は、35質量対体積%以下、30質量対体積%以下、25質量対体積%以下、20質量対体積%以下、又は15質量対体積%以下である。上記に列挙された範囲の組合せも可能である(例えば、水和された第2要素中のタンパク質の濃度は、10質量対体積%以上及び35質量対体積%以下であり、水和された第2要素中のタンパク質の濃度は、20質量対体積%以上及び25質量対体積%以下である)。他の範囲も可能である。
【0101】
特定の実施形態によると、タンパク質を含む凍結乾燥された第2要素は、比較的速い溶解時間を有し得る。本明細書で使用される通り、用語「溶解時間」は、当技術分野における通常の意味が与えられ、一般的に、混合又は撹拌により水和される(又は溶媒和される)場合、タンパク質を含む第2要素が完全に溶解するのにかかる時間を指す。比較的速い溶解時間は、好都合には、ハイドロゲル組織シーラントを形成するのにかかる時間を減少させ得る。溶解時間は、タイマーを開始させ、第2要素と水和溶液を混合することにより第2要素を水和させ、第2要素が完全に溶解するときにタイマーを止めることにより計算される。いくつかの実施形態において、25℃での第2要素の溶解時間は、10秒以上、15秒以上、20秒以上、25秒以上、30秒以上、又は35秒以上であり得る。特定の実施形態において、25℃での第2要素の溶解時間は、40秒以下、35秒以下、30秒以下、25秒以下、20秒以下、又は15秒以下である。列挙された範囲の組合せも可能である(例えば、25℃での第2要素の溶解時間は10秒以上と40秒以下の間であり、25℃での第2要素の溶解時間は20秒以上と30秒以下の間である)。他の範囲も可能である。
【0102】
特定の実施形態において、第2要素の溶解時間は、水和時の第2要素中のタンパク質の量、すなわち溶液の体積に対するその質量に依存し得る。例えば、いくつかの実施形態において、第2要素の溶解時間は、第2要素中のタンパク質の量に正比例する。いくつかの非限定的な実施形態において、より少量のタンパク質を含む第2要素とより多量のタンパク質を含む第2要素の間で最終体積が同じであると仮定すると、例えば、比較的少量のタンパク質(例えば、生じた水和溶液中10質量対体積%)を含む第2要素は、他の点で同等だが比較的多量のタンパク質(例えば、生じた水和溶液中30質量対体積%)を有する第2要素と比べて、より短い溶解時間を有するだろう。
【0103】
凍結乾燥された第2要素(例えば、タンパク質及び架橋開始剤を含む)の溶液は、溶解時に比較的高いpHを有し得る。特定の実施形態において、例えば、凍結乾燥された第2要素の溶液は、溶解時に、9以上、9.5以上、10以上、又は10.5以上のpHを有する。いくつかの実施形態において、凍結乾燥された第2要素の溶液は、溶解時に、11以下、10.5以下、10以下、又は9.5以下のpHを有する。上記に列挙された範囲の組合せも可能である(例えば、凍結乾燥された第2要素の溶液は、溶解時に、9以上及び11以下のpHを有し、凍結乾燥された第2要素の溶液は、溶解時に、10以上及び10.5以下のpHを有する)。他の範囲も可能である。
【0104】
第2要素を明示することが、本明細書で説明される通り水和される場合、生じた溶液の上記範囲内のpHを生み出す場合、水和されてそのようなpHを生み出し得る量のタンパク質がある限り、加えられるタンパク質の量は明示される必要はないことが理解されるべきである。とは言え、いくつかの実施形態において、比較的少量の第2要素(例えば、10質量対体積%)の溶解すら、上記範囲内のpHを有する溶液を生み出し得る。例えば、いくつかの実施形態において、第2要素は、水和されて、タンパク質の生じる溶液を形成する場合、9以上、9.5以上、10以上、又は10.5以上のpHを有する溶液をもたらす。
【0105】
特定の実施形態において、本明細書で説明される通り、第1要素及び第2要素は1種以上の溶媒に溶解されて、次いで合わされ/共に混合されて、第1要素及び第2要素の溶液を含む架橋ハイドロゲル形成組成物を形成し得る。いくつかの実施形態において、例えば、第1要素は第1溶媒に溶解され、第2要素は第2溶媒に溶解され、次いでそれらは合わされてハイドロゲル形成組成物溶液を形成する。第1要素及び第2要素のハイドロゲル形成組成物溶液は、凍結乾燥された第2要素の溶液のpH未満又は実質的に類似したpHを有し得る。特定の実施形態において、例えば、第1要素及び第2要素の架橋溶液は、7以上、8以上、9以上、9.5以上、10以上、又は10.5以上のpHを有する。いくつかの実施形態において、第1要素及び第2要素の架橋溶液は、11以下、10.5以下、10以下、又は9.5以下のpHを有する。上記に列挙された範囲の組合せも可能である(例えば、第1要素及び第2要素の架橋溶液は、9以上及び11以下のpHを有し、第1要素及び第2要素の架橋溶液は、10以上及び10.5以下のpHを有する)。他の範囲も可能である。
【0106】
特定の非限定的だが好都合な実施形態において、第1要素及び第2要素のハイドロゲル形成組成物溶液は、第1要素の非緩衝溶液を、10.2以上及び10.6以下のpHを有する第2要素の溶液と合わせることにより形成される。
【0107】
水和されたハイドロゲル形成組成物が架橋してゲルを形成するのにかかる時間は、ハイドロゲル/ハイドロゲル形成組成物が組織部位に送達される場合に、組成物がいかに速く組織シーラントとして作用できるかを決定し得る。ハイドロゲル形成組成物が組織部位に加えられる場合に、ハイドロゲル形成組成物が充分に短い時間枠内で架橋して、加えられた組成物が組織穿刺部位又は他の創傷表面を素早く密封できるようにすることが有益であり得る。本明細書で使用される「測定されたゲル化時間」は、水和された第1要素及び水和された第2要素を、300RPMに調整された撹拌プレート上の撹拌子を収容しているバイアルに分注し、組成物の要素を分注した初期時間(T0)を記録し、それに続いてゲル化により撹拌子が回転を停止する終了時間(TF)を記録することにより決定される。測定された架橋時間は、タイマーを止めた時間から初期時間を引いたものである。特定の実施形態において、測定されたゲル化時間を決定するためにレオメトリーが利用され得る。
【0108】
ハイドロゲル形成組成物は、特定の用途及び塗布方法のための種々の好適な測定されたゲル化時間のいずれも有し得る。いくつかの実施形態において、例えば、ハイドロゲル形成組成物は、0.1秒以上、0.5秒以上、1秒以上、2秒以上、3秒以上、4秒以上、5秒以上、10秒以上、又は15秒以上の測定されたゲル化時間を有し得る。特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、20秒以下、15秒以下、10秒以下、5秒以下、4秒以下、3秒以下、2秒以下、1秒以下、又は0.5秒以下の測定されたゲル化時間を有する。上記に列挙された範囲の組合せも可能である(例えば、ハイドロゲル形成組成物は、0.1秒以上及び20秒以下の測定されたゲル化時間を有し得て、ハイドロゲル形成組成物は、1秒以上及び3秒以下の測定された架橋時間を有し得る)。他の範囲も可能である。
【0109】
特定の実施形態によると、測定されたゲル化時間は、好都合には、架橋開始剤の量を調整することにより短くされ得る。いくつかの実施形態において、例えば、充分な架橋開始剤が加えられて、本明細書で説明される通り、好適なpH値が提供され、所与の外科的環境において架橋剤とタンパク質の間の架橋反応が開始する。特定の実施形態において、架橋開始剤は、10以上(例えば、10.2~10.6、10.3~10.4)のpH値を与えるが、反応は一般的により高いpH値で有利になるため、それはより速い架橋反応を容易にする。特定の実施形態において、ゲル化時間は、ハイドロゲル形成組成物中の塩基又は塩基性緩衝剤の量に応じて調節可能である。
【0110】
場合によっては、ハイドロゲル形成組成物が充分に長い測定されたポットライフを有することが有利になり得る。本明細書で使用される通り、用語「測定されたポットライフ」は、粉末化反応性要素(例えば、第1要素及び/又は第2要素)の1種以上の水和後であるが第1及び第2要素の溶液を合わせて架橋ハイドロゲル形成組成物溶液を形成する前に、ハイドロゲル形成組成物の水和された第1及び第2要素が使用可能なままである継続期間を指す。充分に長いポットライフは、いくつかの実施形態において、好都合には、使用者(例えば医師)が第1及び第2要素を水和させた後で、使用者が、ハイドロゲル組織シーラントを形成するために1種以上の要素を投与の部位に送達する用意ができるまで、ハイドロゲル形成組成物の水和された第1及び第2要素が使用可能なままであることを可能にし得る。本明細書で使用される「測定されたポットライフ」は、例えば、架橋されたハイドロゲル形成組成物又は形成されたハイドロゲルのゲル化時間及び/又は破裂強度(そのどちらも本明細書でより詳細に説明される)などの特定の性能指標を測定し、貯蔵又は水和後の遅延した使用をされなかった、ハイドロゲル形成組成物の新たに水和された第1及び第2要素から形成された同等なハイドロゲル形成組成物又は形成されたハイドロゲルと比較することにより決定される。測定されたポットライフは、特定の期間貯蔵された1種以上の水和された要素から生じた架橋されたハイドロゲル組成物の性能指標が、1種以上の新たに水和された要素から生じた架橋されたハイドロゲル組成物の性能指標から、ハイドロゲル組織シーラントが安全にその機能(例えば、組織を密封すること)を果たせることを各性能指標が確実にする臨床に基づいた最低値に基づいて、定義されたパーセンテージ(例えば、±10%)異なるようになるのにかかる時間である。
【0111】
組成物のハイドロゲル形成要素は、種々の好適なポットライフ時間(性能指標が±10%以下異なると定義される)のいずれも有し得る。いくつかの実施形態において、例えば、ハイドロゲル形成組成物は、10分以上、20分以上、30分以上、1時間以上、2時間以上、5時間以上、又は10時間以上のポットライフを有する。特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、24時間以下、10時間以下、5時間以下、2時間以下、1時間以下、30分以下、又は20分以下のポットライフを有する。上記に列挙された範囲の組合せも可能である(例えば、ハイドロゲル形成組成物は、10分以上及び24時間以下のポットライフを有し、ハイドロゲル形成組成物は、1時間以上及び2時間以下のポットライフを有する)。他の範囲も可能である。
【0112】
特定の非限定的な実施形態によると、ハイドロゲル形成組成物の試薬要素のいずれか又は両方のポットライフは、特に、要素が、そのような要素をDMSOなどの生体適合性非極性有機溶媒に溶解させることにより溶媒和された形態に提供されて、ハイドロゲル形成組成物の溶媒和された要素を形成する実施形態では、増加し得る。そのような溶媒の使用は、特定の場合に、ポットライフを、例えば、1週間以上、1か月以上、6か月以上、1年以上、又は2年以上であるように大幅に増加させ得る。
【0113】
いくつかの実施形態によると、ハイドロゲル形成組成物が、充分に長い測定された貯蔵寿命を有することが有利になり得る。本明細書で使用される通り、用語「測定された貯蔵寿命」は、ハイドロゲル形成組成物の粉末化要素の1種以上が、1種以上の粉末化要素の貯蔵後に好適に使用可能なままである継続期間を指す。充分に長い貯蔵寿命は、いくつかの実施形態において、好都合には、ハイドロゲル形成組成物が、ハイドロゲル形成組成物の長期貯蔵後に使用可能なままであることを可能にし得る。本明細書で使用される「測定された貯蔵寿命」は、例えば、貯蔵期間に付された架橋ハイドロゲル形成組成物溶液及び/又はそれから形成された調製された架橋されたハイドロゲル組成物のゲル化時間、溶解時間、及び/又は破裂強度(本明細書でより詳細に説明される)などの特定の性能指標を、水和前に貯蔵に付されなかったハイドロゲル形成組成物のそのような1種以上の粉末化要素(例えば、第1要素及び/又は第2要素)から生じた対応する測定された指標に対して測定することにより決定される。測定された貯蔵寿命は、水和前にある期間貯蔵に付された1種以上の粉末化要素から生じた架橋されたハイドロゲル組成物の性能指標が、新鮮な成分に関して測定された同じ指標と、ハイドロゲル組織シーラントが安全にその機能(例えば、組織を密封すること)を果たせることを各性能指標が確実にする臨床に基づいた最低値に基づいて、明示されるパーセンテージ(例えば、±10%)異なるようになるのにかかる時間である。
【0114】
ハイドロゲル形成組成物の第1及び第2要素は、種々の好適な貯蔵寿命時間のいずれも有し得る。いくつかの実施形態において、例えば、ハイドロゲル形成組成物は、1週間以上、1か月以上、6か月以上、1年以上、2年以上、3年以上、又は4年以上の貯蔵寿命(新鮮な成分と比べて±10%の差であると定義される)を有する。特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、5年以下、4年以下、3年以下、2年以下、1年以下、6か月以下、又は1か月以下の貯蔵寿命を有する。上記に列挙された範囲の組合せも可能である(例えば、ハイドロゲル形成組成物は、1週間以上及び5年以下の貯蔵寿命を有し、ハイドロゲル形成組成物は、1年以上及び2年以下の貯蔵寿命を有する)。他の範囲も可能である。
【0115】
ハイドロゲル組織シーラントを形成する方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、少なくとも架橋剤及び求核生分解性ポリマー(例えばタンパク質)を含む架橋溶液を形成することであって、架橋溶液の形成が架橋剤と求核生分解性ポリマー(例えばタンパク質)の架橋を開始させ、それによりハイドロゲル組織シーラントを形成することを含む。特定の実施形態において、本明細書で説明される通り、架橋溶液は、架橋開始剤、界面活性剤、及び/又は酸化防止剤を含む。
【0116】
特定の実施形態によると、ハイドロゲル組織シーラントを形成する方法は、架橋剤(例えば求電子生分解性ポリマー)を含む第1粉末化要素及び求核生分解性ポリマー(例えばタンパク質)を含む第2粉末化要素を1種以上の溶媒に溶解させることを含む。いくつかの実施形態において、例えば、第1要素は第1溶媒(例えば、水又は水溶液)に溶解され、第2要素は第2溶媒(例えば、水又は水溶液)に溶解される。そのようないくつかの実施形態において、溶解した拳(fist)要素及び溶解した第2要素は合わされて、架橋剤及びタンパク質を含む溶液の形態の架橋ハイドロゲル形成組成物を形成し、それにより、架橋剤と求核生分解性ポリマー(例えばタンパク質)の架橋が開始されて、ハイドロゲル組織シーラントが形成する。
【0117】
特定の実施形態において、ハイドロゲル組織シーラントを形成する方法は、架橋剤及び少なくとも1種の酸化防止剤を含む第1粉末化要素を水和させること、タンパク質、架橋開始剤、及び界面活性剤を含む第2粉末化要素を水和させること、並びに水和された第1要素と水和された第2要素を合わせて、架橋剤とタンパク質の架橋を開始することを含む。
図1は、ハイドロゲル組織シーラントを形成するそのような例示的な方法における工程を示す。方法150は、工程152において、例えば架橋剤を含む第1粉末化要素を水和させることを含む。いくつかの実施形態において、第1粉末化要素は、任意選択で酸化防止剤を含む。特定の実施形態において、第1粉末化要素は、水又は第1水溶液を含む第1溶媒により水和される。第1溶媒は、いくつかの実施形態において、放射線不透過剤を含み得る。工程154は、例えばタンパク質を含む第2粉末化要素を水和させることを含む。特定の実施形態において、第2粉末化要素は、架橋開始剤及び/又は界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、第2粉末化要素は、水又は第2水溶液を含む第2溶媒により水和される。特定の実施形態において、第2溶媒は消泡剤を含む。特定の実施形態によると、工程152及び工程154は、同時に(しかし別な容器内で)起こり得る。工程156は、水和された第1要素と水和された第2要素を合わせて、架橋剤とタンパク質の架橋を開始させて、ハイドロゲル組織シーラントを形成することを含む。
【0118】
形成されたハイドロゲル組成物により組織を密封することに関連する方法も本明細書に開示される。いくつかの実施形態において、例えば、そのような方法は、第1要素及び第2要素を含むハイドロゲル形成組成物を組織部位に送達すること、又は部分的若しくは完全に架橋されたハイドロゲル組成物を組織部位に送達することを含み、ここで、ハイドロゲル組成物は、上述の第1要素試薬と第2要素試薬の反応生成物を含む。
【0119】
ハイドロゲル組成物は、種々の好適な方法のいずれでも組織部位に送達され得る。いくつかの実施形態において、ハイドロゲル形成組成物の第1要素及びハイドロゲル形成組成物の第2要素は、少なくとも部分的に合わされて、ハイドロゲル組成物の組織部位への送達前に架橋が開始され得る。特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物の第1要素及びハイドロゲル形成組成物の第2要素は、ハイドロゲル組成物の組織部位への送達前に完全に合わされる。特定の実施形態によると、ハイドロゲル形成組成物の水和された第1要素とハイドロゲル形成組成物の水和された第2要素は、ハイドロゲル組成物が組織部位に送達されるのと同時に架橋し得る。いくつかの実施形態において、例えば、ハイドロゲル組織シーラントは、組織部位への送達の前又は送達時に、少なくとも部分的に形成される。特定の実施形態において、組織部位は、壁側胸膜及び/又は臓側胸膜などの胸膜部位である。
【0120】
特定の実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、1つ以上のシリンジ、スプレー、又は他のアプリケーターを使用して組織部位に送達され得る。特定の実施形態において、例えば、ハイドロゲル形成組成物を送達するために使用できるアプリケーターは、どちらも参照により全体として本明細書に組み込まれている、“LUNG BIOPSY FLOWABLE SEALANT DELIVERY SYSTEM”という名称の米国特許出願第62/822,490号又は“SEALANT DELIVERY APPARATUS, AND SYSTEM AND METHOD FOR PREPARING SAME, FOR USE IN A LUNG PROCEDURE)”という名称のPCT/US2020/023772号に記載されている。本願と同じ日に出願された以下の出願も、参照により全体として組み込まれる:“MULTI-COMPONENT SEALANT DELIVERY SYSTEMS INCORPORATING QUARTER TURN CONNECTORS”という名称の2021年3月19日に出願された国際出願公開第PCT/US21/23171号。ハイドロゲル形成組成物送達装置に関するさらなる詳細は以下に記載される。
【0121】
いくつかの実施形態によると、ハイドロゲル組織シーラントは、組織部位に密着するように製剤され得る。特定の実施形態において、ハイドロゲル組織シーラントの組織部位での密着性は、ASTM F2392-04(the Standard Test Method for Burst Strength of Surgical Sealants)に基づいた液体破裂圧力強度モデルにより決定され得る。いくつかの実施形態によると、試験は、模擬液体漏れ(simulated liquid leak)を覆うシーラントパッチを破裂させるのに必要な圧力を測定し、シーラントの模擬組織への密着性を間接的に測定するように設計されている。特定の実施形態において、ハイドロゲル組織シーラントは、種々の好適な破裂圧力強度(例えば、液体破裂圧力強度)のいずれも有し得る。例えば、いくつかの実施形態において、そのような試験により測定されたハイドロゲル組織シーラントの破裂圧力強度は、10mmHg以上、50mmHg以上、100mmHg以上、150mmHg以上、200mmHg以上、又は250mmHg以上である。特定の実施形態において、そのような試験により測定されたハイドロゲル組織シーラントの破裂圧力強度は、300mmHg以下、250mmHg以下、200mmHg以下、150mmHg以下、100mmHg以下、50mmHg以下である。これらの範囲の組合せも可能である(例えば、ハイドロゲル組織シーラントの破裂圧力強度は、10mmHg以上及び300mmHg以下であり、ハイドロゲル組織シーラントの破裂圧力強度は、100mmHg以上及び150mmHg以下である)。他の範囲も可能である。
【0122】
いくつかの実施形態において、架橋されたハイドロゲル組織シーラントは、組織部位への送達後に(例えば水により)膨潤し得る。いくつかの実施形態において、好都合には、ハイドロゲル組織シーラントは、比較的高い膨潤率及び/又は程度(定義された膨潤期間の後の質量増加により特性化される)を有し得る。比較的高い膨潤率を有するハイドロゲル組織シーラントは、ハイドロゲル組織シーラントが膨潤して組織送達部位に一致して密封性を改善するので有利であり得る。特定の実施形態において、且つ以下でより詳細に説明される通り、ハイドロゲル組成物は組織部位に同軸カニューレにより送達され得る。特定の実施形態において、同軸カニューレは、生検処置(例えば肺生検)を実施するために、ハイドロゲル組成物の送達の間及び/又はその後に、ハイドロゲル組成物に囲まれるようになる。同軸カニューレは、いくつかの実施形態において、生検処置の後にハイドロゲルのバルクを通って取り除かれて、ハイドロゲル組織シーラントに穿刺、空所、又は穴をもたらし得る。そのようないくつかの実施形態において、ハイドロゲル組織シーラントは、同軸カニューレの除去後に(例えば水により)膨潤して、したがって、同軸カニューレによりもたらされた穿刺、空所、及び/又は穴を実質的に閉鎖及び/又は充填し得る。ハイドロゲル組織シーラントの膨潤率は、本明細書で説明される通り架橋されたハイドロゲルシーラントを形成し、ハイドロゲル組成物の重量を記録し、ハイドロゲル組成物を37℃のリン酸緩衝食塩水(PBS)溶液中でインキュベートし、2時間後にハイドロゲル組成物をPBS溶液から除き、ハイドロゲル組成物の重量を記録することにより測定され得るが、ここで、パーセントは重量増加パーセントにより計算される。
【0123】
特定の実施形態によると、ハイドロゲル組織シーラントは、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、又は65%以上の膨潤質量増加を有する。いくつかの実施形態において、ハイドロゲル組織シーラントは、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、又は35%以下の膨潤質量増加を有する。上記に列挙された範囲の組合せも可能である(例えば、ハイドロゲル組織シーラントは、30%以上及び70%以下の膨潤質量増加を有し、ハイドロゲル組織シーラントは、40%以上及び50%以下の膨潤率を有する)。他の範囲も可能である。
【0124】
特定の実施形態によると、ハイドロゲル組織シーラントは、空気及び/又は流体が胸膜腔に入らないように封じる胸膜の肺シーラントとして利用され得る。いくつかの実施形態において、ハイドロゲル組織シーラントは、胸膜を全体として密封するために利用され得る。
【0125】
ハイドロゲル組織シーラントは対象内で経時的に分解し得る。特定の実施形態において、ハイドロゲルの分解時間は、ASTM F1635(the Standard Test Method for in Vitro Degradation)に基づく分解モデルにより測定され得る。いくつかの実施形態において、試験は、外科用インプラントに使用されている材料の分解速度(すなわち、質量損失速度)及び材料若しくは構造の特性の変化、又は両方を測定するように設計されている。ハイドロゲル組織シーラントは、種々の好適な分解時間のいずれも有し得る。いくつかの実施形態において、例えば、ハイドロゲル組織シーラントは、1日以上、5日以上、7日以上、10日以上、又は15日以上の分解時間を有する。特定の実施形態において、ハイドロゲル組織シーラントは、20日以下、15日以下、10日以下、7日以下、又は5日以下の分解時間を有する。上記に列挙された範囲の組合せも可能である(例えば、ハイドロゲル組織シーラントは、1日以上及び20日以下の分解時間を有し、ハイドロゲル組織シーラントは、10日以上及び15日以下の分解時間を有する)。他の範囲も可能である。
【0126】
特定の実施形態によると、キットが提供される。キットは、ハイドロゲル形成組成物の1種以上の要素を貯蔵し、ハイドロゲル形成組成物の1種以上の要素を混合し、及び/又はハイドロゲル形成組成物(又はその1種以上の要素)を組織部位に送達することが可能である、容器又は容器を含むシリンジ(例えば、シリンジのバレル)などの1つ以上の装置を含み得る。例えば、
図2Aは、特定の実施形態によると、ハイドロゲル形成組成物の1種以上の要素を貯蔵及び/又は1種以上の溶媒と混合することが可能であるデュアルシリンジ、4区画/容器装置200の概略図を示し、
図3Aはその断面を示す。
図2Bは、いくつかの実施形態によると、ハイドロゲル形成組成物の水和/溶解した第1及び第2要素を収容する第2シリンジ要素が同軸カニューレと結合されてハイドロゲル形成組成物を組織部位に送達することが可能である
図2Aの装置の概略図を示し、
図3Bはその断面を示す。
【0127】
キットは、
図2A~3Bに示されている通り、簡便にはシリンジ装置のバレルであり得る第1容器内に収容される上述の第1要素のいずれも含み得る。
図3Aを参照すると、例えば、シリンジ装置200(例えば、貯蔵された要素を1種以上の溶媒と混合するように構成された装置の2つの相互結合したシリンジ要素を有する)は、例えば貯蔵の間に、第1バレル/容器102内に収容される架橋剤を含む第1要素を含み得る。特定の実施形態において、第1要素は、酸化防止剤(例えばBHT)、界面活性剤、及び/又は放射線不透過剤をさらに含み得る。第1要素は、第1乾燥粉末の形態であり得る。
【0128】
キットは、上述の第2要素のいずれかを収容する第2容器をさらに含み得る。
図3Aを参照すると、例えば、シリンジ装置200は、例えば貯蔵の間に、第2バレル/容器104内に第2要素を収容し得る。いくつかの実施形態において、第2要素は、架橋剤と架橋することが可能であるタンパク質を含み得る。第2要素は、架橋剤とタンパク質の架橋を開始させる架橋開始剤及び/又は界面活性剤(例えばPEG 8000)をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、第2要素は放射線不透過剤をさらに含み得る。第2要素は第2乾燥粉末の形態であり得る。
【0129】
いくつかの実施形態において、キットは、第3容器内に収容される、第3の要素、例えば溶媒、をさらに含む。例えば、
図3Aを参照すると、装置200は、そのような第3要素を第3バレル/容器106内に収容し得る。特定の実施形態によると、第3要素は、第1粉末化要素を溶解及び/又は水和させるための第1溶媒(例えば、水、DMSO)又は溶液(例えば水溶液)を含む。いくつかの実施形態において、第1溶媒又は溶液は、酸化防止剤(例えばBHT)、放射線不透過剤(例えばKCl)、及び/又は界面活性剤を含む。
【0130】
特定の実施形態において、キットは、第4容器内に収容される、第4の要素、例えば溶媒、をさらに含む。例えば、
図3Aを参照すると、装置200は、そのような第4要素を第4バレル容器108内に収容し得る。いくつかの実施形態によると、第4区画は、第2粉末要素を溶解及び/又は水和させるための第2溶媒(例えば、水、DMSO)又は溶液(例えば水溶液)を含む。特定の実施形態において、第2溶媒又は溶液は、架橋開始剤(例えば、炭酸ナトリウムなどの塩基又は塩基性緩衝剤)を含む。いくつかの実施形態において、第2溶媒又は溶液は、酸化防止剤(例えば、N-アセトリ(acetly)-DL-トリプトファン)、放射線不透過剤、又は界面活性剤(例えば、Pluronic(登録商標)L61)を含む。
【0131】
いくつかの実施形態によると、且つ示されている通り、第1、第2、第3、及び第4容器の1つ以上は、シリンジ又はアプリケーターの区画(バレル)である。例えば、
図2A及び3Aを参照すると、第1バレル/容器102及び第2バレル/容器104は、第1シリンジ100のダブルバレルであり得て(例えば、開示される実施形態において、アプリケーターシリンジとしても使用される-
図2B参照)、第3バレル/容器106及び第4バレル/容器108は、第2シリンジ120のダブルバレルである(例えば、混合又は水和溶媒を収容する)。
【0132】
特定の実施形態によると、ハイドロゲル組織シーラントを形成するためのキットは、集合的に少なくとも3つの別々な容器を提供する1つ以上のシリンジを含む。いくつかの実施形態において、例えば、キットは、粉末形態の第1要素(例えば、求電子生分解性ポリマー)を収容する第1容器(例えば、第1シリンジ100中の第1容器102)、粉末形態の第2要素(例えば、求核生分解性ポリマー)を収容する第2容器(例えば、第1シリンジ100中の第2容器104)、及び1種以上の溶媒を収容する少なくとも第3容器(例えば、第2シリンジ120中の第3容器106及び第4容器108)を含む。
【0133】
キットは、1つ以上のシリンジ(例えば、1つのシリンジ、2つのシリンジ、3つのシリンジ、4つのシリンジ)を含み得る。1つ以上のシリンジは、種々の好適な構成のいずれも有し得る。特定の実施形態において、例えば、キットは、2つのシリンジ(例えば、第1シリンジ100及び第2シリンジ120)を含む。1つ以上のシリンジの各シリンジは、特定の実施形態において、ダブルバレルシリンジであり得る。第1シリンジ100(例えば、アプリケーターシリンジ)は、いくつかの実施形態において、粉末形態の第1要素を含む第1容器102及び粉末形態の第2要素を含む第2容器104を含み得る。特定の実施形態によると、第2シリンジ120(例えば、混合又は水和シリンジ)は、第1要素を溶解させることが可能な第1溶媒を含む第3容器106及び第2要素を溶解させることが可能な第2溶媒を含む第4容器108を含む。
【0134】
いくつかの実施形態において、1つ以上のシリンジ(例えば、第1シリンジ100及び第2シリンジ120)は、第1容器102及び第2容器104が、1種以上の溶媒を含む少なくとも第3容器106と流体連通して配置されることが可能であるように構成されている。キットをこのように構成することは、第1要素と1種以上の溶媒の混合を促進して第1要素の溶液を形成し、第2要素と1種以上の溶媒の混合を促進して第2要素の溶液を形成する。例えば、特定の実施形態において、第1シリンジ100(例えば、アプリケーターシリンジ)と第2シリンジ120(例えば、混合又は水和シリンジ)は、第1容器102及び第2容器104が、それぞれ、第3容器106及び第4容器108と別々に流体連通して配置され、第1要素と第1溶媒の混合を促進して第1容器102中の第1要素の溶液を形成し、第2容器104中の第2要素の溶液を形成することが可能な第2要素と第2溶媒の混合を促進することが可能であるように、互いに流体的に接続可能であるように構成される。
【0135】
キットは、ハイドロゲル形成組成物(又はその1種以上の要素)を組織部位に送達することが可能である1つ以上の装置を含み得る。例えば、
図2Bは、いくつかの実施形態によると、ハイドロゲル形成組成物を組織部位に送達することが可能である装置の概略図を示し、
図3Bはその断面を示す。
図2Bに示されるように、装置250(例えば、送達装置)は、第1シリンジ100及びニードルアセンブリーを含む。ニードルアセンブリーは、いくつかの実施形態において、同軸カニューレ130及びニードル132を含む。いくつかの実施形態において、第1シリンジ100は、溶解した第1要素(例えば、第1要素の溶液)と溶解した第2要素(例えば、第2要素の溶液)を混合及び収容して、ニードルアセンブリーによる組織部位への送達時にハイドロゲル組織シーラントを形成することが可能な第1要素及び第2要素の架橋溶液を形成するように構成されている。
【0136】
図4は、特定の実施形態に従って、
図2A~3Bに描写された装置を使用してハイドロゲル形成組成物を水和及び送達する例示的な方法の工程の概要を示す。ハイドロゲル形成組成物を水和及び送達する方法400は、いくつかの実施形態において、アプリケーターシリンジ(例えば、
図2A及び3A中の第1シリンジ100)と混合シリンジ(例えば、
図2A及び3A中の第2シリンジ120)を機械的且つ流体的に相互結合することを含む工程402を含む。そのようないくつかの実施形態において、アプリケーターシリンジ(例えば、
図2A及び3A中の第1シリンジ100)は、第1容器(例えば、
図2A及び3A中の第1容器102)と収容されている第1要素及び第2容器(例えば、
図2A及び3A中の第2容器104)内に収容されている第2要素を含み、混合シリンジ(例えば、
図2A及び3A中の第2シリンジ120)は、第3容器(例えば、
図2A及び3A中の第3容器106)と収容されている第3要素及び第4容器(例えば、
図2A及び3A中の第4容器108)内に収容されている第4要素を含む。
【0137】
特定の実施形態において、方法400は、アプリケーターシリンジ(例えば、
図2A及び3A中の第1シリンジ100)及び混合シリンジ(例えば、
図2A及び3A中の第2シリンジ120)のプランジャーを連続的に押し下げて、第1容器(例えば、
図2A及び3A中の第1容器102)内に収容されている第1要素及び第2容器(例えば、
図2A及び3A中の第2容器104)内に収容されている第2要素を水和させることを含む工程404を含む。方法400の工程406は、第1要素及び/又は第2要素が完全に水和された(例えば、完全に溶解した)かどうかを評価することを含む。第1要素及び/又は第2要素が完全に水和されていない場合、工程404が繰り返される。第1要素及び第2要素が完全に水和されている場合、使用者は工程408に進むことができる。
【0138】
いくつかの実施形態によると、方法400の工程408は、水和された第1要素及び水和された第2要素がアプリケーターシリンジ中に収容されている場合、混合シリンジ(例えば、
図2A及び3A中の第2シリンジ120)をアプリケーターシリンジ(例えば、
図2A及び3A中の第1シリンジ100)から離すことを含む。工程410は、ニードルアセンブリー(例えば、
図2B中の同軸カニューレ130及びニードル132)をアプリケーターシリンジ(例えば、
図2B及び3B中の第1シリンジ100)に連結することを含む。
【0139】
いくつかの実施形態によると、方法400は、材料(例えば、第1要素の溶液及び第2要素の溶液)を、アプリケーターシリンジ(例えば、
図2B及び3B中の第1シリンジ100)から組織部位に配置することを含む工程420を含む。特定の実施形態において、材料を配置することは、第1要素の溶液と第2要素の溶液を混合して、材料が組織部位に送達されるのと同時に、第1要素及び第2要素の架橋溶液を形成することを含む(例えば、ニードルアセンブリー内、ニードルアセンブリーの近位、及び/又はニードルアセンブリーの遠位端の1つ以上の混合点で)。
【0140】
特定の実施形態によると、同軸カニューレを含むニードルアセンブリーが、ハイドロゲル組成物を送達し、生検処置(例えば肺生検)を実施するために使用される。いくつかの実施形態において、例えば、ハイドロゲル形成組成物を組織部位に配置できるように同軸カニューレを対象の胸膜腔に挿入するために使用される装置250(例えば送達装置)。例えば、特定の実施形態に従って、同軸カニューレが対象の胸膜腔に挿入されているハイドロゲル送達装置の概略図を示す
図8Aを参照されたい。水和されたハイドロゲル形成組成物は組織部位に配置される。例えば、特定の実施形態に従って、ハイドロゲル形成組成物を同軸カニューレにより配置してハイドロゲル組織シーラントを組織部位に提供しているハイドロゲル送達装置の概略図を示す
図8Bを参照されたい。いくつかの実施形態において、ハイドロゲル形成組成物は、使用者がカニューレを組織部位に通して進めている間に、又はその後に配置される。
【0141】
ハイドロゲル組成物の送達の後に、いくつかの実施形態において生検が実施される。例えば、特定の実施形態によると、装置250のシリンジ要素100は、同軸カニューレを含むニードルアセンブリーから除かれ、標準的な生検ニードルを含む生検装置が同軸カニューレを通して挿入される。次いで、生検(例えば肺生検)処置が実施される。例えば、特定の実施形態に従って、同軸カニューレを通って挿入されて生検処置を実施する生検ニードルの概略図を示す
図8Cを参照されたい。
【0142】
特定の実施形態において、ハイドロゲル組成物を組織部位に配置してハイドロゲル組織シーラントを提供し、生検処置を実施した後、生検装置及び同軸カニューレを含むニードルアセンブリーは投与部位から取り除かれる。いくつかの実施形態によると、ハイドロゲル組織シーラントは、本明細書に記載される通り(例えば水により)膨潤して、ニードルアセンブリーの除去によりもたらされた、ハイドロゲル組織シーラント中の穿刺、空所、及び/又は穴を密封し得る。
【0143】
貯蔵の間、粉末化成分による水分又は酸素取込みの増加を防ぐために、粉末化要素の1種以上(特に粉末化第1要素(例えば架橋剤を含む))を収容する容器/シリンジの1つ以上は、密封されたパウチ(例えば、密封されたフォイルパウチ)内に、任意選択で窒素などの不活性ガスを流しその雰囲気下で、さらに任意選択で乾燥剤材料(例えば、PharmaKeep(登録商標)(Mitsubishi Gas Chemical America, Inc.)又は4Aモレキュラーシーブ(Multisorb Filtration Group)のいずれかを含む乾燥剤パケットなどの乾燥剤又はモレキュラーシーブ材料)をパウチ内に含んで配置され得る。
【実施例】
【0144】
実施例1
以下の実施例は、ブタ肺モデルにおけるハイドロゲル組織シーラントの使用を説明する。ブタ肺モデルのX線画像が、
図5Aに示されるように得られた。生検をブタ肺モデルで実施した。
図5Bは、ブタ肺モデルの生検後画像の正常な気道圧力を示す。PEG(SS)
2とアルブミンの反応生成物を放射線不透過性材料としてのイオヘキソールと共に含むハイドロゲル形成組成物を調製した。
図6Aに示されるように、ハイドロゲル形成組成物を、肺の最初の穿刺時に、ニードル(丸で囲まれている)により、ブタ肺モデルに生検前に送達した。ハイドロゲル組織シーラントは、軟部組織及び胸膜腔を通して見える。アプリケーターの同軸要素を所定位置に残し、シーラントアプリケーションニードルを除いた。生検ニードルを、同軸要素に通して標的組織に挿入し、生検試料を得て、同軸要素並びに生検ニードルを除いた。
図6Bに示されるように、ハイドロゲル組織シーラント(丸で囲まれている)は所定位置にとどまり、処置後に容易に可視化されて、そこで、穿刺部位を閉じている。ハイドロゲル組織シーラントは正常な換気を可能にした。
図5Bは、生検後のブタ肺モデルのX線画像を示す。
図7Aに示されるように、ハイドロゲル組織シーラント(丸で囲まれている)はブタ肺モデルの壁側胸膜に密着している。さらに、
図7Bに示されるように、ハイドロゲル組織シーラント(丸で囲まれている)は、肺内部から突き出て、ブタ肺モデルの壁側胸膜及び臓側胸膜に密着し、したがって、生検路(biopsy tract)を密封する。
【0145】
実施例2
以下の実施例は、加速劣化試験におけるハイドロゲル形成組成物の安定性の評価を説明する。
【0146】
PEG(SS)2含有要素及び組換え型ヒト血清アルブミン(rHSA)含有要素を含むハイドロゲル形成組成物の試料を、表1に従って生成させた。PEG(SS)2は、Sigma(試料1、3、及び4)又はLaysan Bio(試料2)から得て、窒素環境下で取り扱った。PEG(SS)2含有要素は、PEG(SS)2かBHTを加えたPEG(SS)2のいずれかを含んでいた。特定の場合に、乾燥剤又はモレキュラーシーブ材料もパウチに同封した-PharmaKeep(登録商標)(Mitsubishi Gas Chemical America, Inc.)又は4Aモレキュラーシーブ(Multisorb Filtration Group)のいずれかを含む乾燥剤パケット。PEG(SS)2含有要素を小分けして第1シリンジに入れ、窒素ガスの雰囲気下で、密封フォイルパウチ内で貯蔵した。ハイドロゲルを形成するのに使用したrHSA含有要素を凍結乾燥により調製するために使用したrHSA含有要素溶液は、InVitria(Junction City, KS)から得たrHSAを、炭酸ナトリウム、及びPEG 8000を加えられて、rHSAの濃度が30質量対体積%であるように逆浸透(RO)水と合わせて含んでいた。RO水中のrHSA含有要素溶液を凍結乾燥させ、粉砕して粉末にして、小分けして第2シリンジに入れ、窒素環境下でフォイルパウチ内に密封した。
【0147】
水和キットを、第3シリンジ中の脱イオン(DI)水(PEG(SS)2含有要素を水和させるため)及び第4シリンジ中のPluronic(登録商標)L61を含むDI水(凍結乾燥されたrHSA含有要素を水和させるため)を使用して作製した。水和キットを、粉末混合物を使用時に水和できるように、各シリンジに連結するための2つのLeur-Lock(登録商標)コネクターを有するフォイルパウチ内に密封した。試料には、2回電子線滅菌を行った。全ての試料を40℃で貯蔵及び調節して、室温貯蔵と比べて進行した劣化を模倣した。
【0148】
【0149】
試料を、表2に従って時効処理し、示された時点で抜き取り、以下にさらに詳細に説明される通り評価した。
【0150】
【0151】
表1に示す4種のハイドロゲル形成組成物試料のゲル化時間を、各安定性時点で、(i)PEG(SS)2含有要素及びrHSA含有要素を水和させること、(ii)水和後に2分、30分、又は60分の期間待つこと、(iii)水和された要素を、300RPMに調整した撹拌プレート上の撹拌子を収容しているバイアルに分注すること、(iv)要素の分注と同時に初期時間を記録すること、並びに(v)ゲル化により撹拌子が回転を停止する終了時間を記録することにより評価した。結果を表3に示す。
【0152】
【0153】
表1に示した4種のrHSA含有要素試料の溶解時間を、各安定性時点で、(i)rHSA含有要素を収容するシリンジを、DI水及びPluronic(登録商標)L61を収容するシリンジと連結すること、(ii)タイマーを開始すること、(iii)流体を粉末シリンジへと押して往復させること、並びに(iv)rHSA含有要素が完全に溶解したときにタイマーを止めることにより評価した。結果を表4に示す。
【0154】
【0155】
表1に示した4種のrHSA含有要素試料のpHを、各安定性時点で、(i)粉末混合物を、溶解時間測定に関して上述されたDI水及びPluronic(登録商標)L61を収容するシリンジにより溶解させること、並びに(ii)較正されたMettler Toledo FiveEasy pH Meterを使用して溶液のpHを測定することにより評価した。結果を表5に示す。
【0156】
【0157】
表1に示した4種の試料から形成されたハイドロゲル組成物の膨潤率を、各安定性時点で、(i)PEG(SS)2含有要素及びrHSA含有要素を水和させることによりハイドロゲル組成物を形成し、ミキシングチップにより要素を分注し、それらをゲル化させること;(ii)時間ゼロでのハイドロゲル組成物の重量を記録すること、(iii)ハイドロゲル組成物を、37℃で、リン酸緩衝食塩水(PBS)溶液中でインキュベートすること、(iv)2時間後にハイドロゲル組成物をPBS溶液から除くこと;並びに(v)ハイドロゲル組成物の重量を記録することにより評価した。膨潤パーセントを、重量増加パーセンテージにより計算した。結果を表6に示す。
【0158】
【0159】
実施例3
以下の実施例は、特定の実施形態によるハイドロゲル組成物の液体破裂圧力強度を説明する。
【0160】
PEG(SS)2及びrHSAを含むハイドロゲル組成物を表7に従って生成させた。rHSA含有要素は、Pluronic(登録商標)L61及び酸化防止剤と共に凍結乾燥されたrHSAを含んでいた。3種の異なるハイドロゲル形成組成物の45個の試料を調査した。rHSAの質量対体積パーセントは組成物の間で10~30%に変わり、PEG(SS)2の量も、NHSエステル:アミン比が3種の組成物全てで2.21で一定に保たれるように変わっていた。
【0161】
【0162】
粉末化PEG(SS)2及びrHSA含有要素を、それら自体のシリンジに小分けし、それぞれを、1mLの水を収容する別のシリンジにより水和させた。次いで、要素をミキシングチップにより分注し、ゲル化させた。ハイドロゲル組成物の密着性を、ASTM F2392-04(the Standard Test Method for Surgical Sealants)に基づいた液体破裂圧力モデルにより測定した。結果を表8に示す。
【0163】
【0164】
実施例4
以下の実施例は、気胸症合併症を予防するためにブタモデルにおける肺生検処置の間に使用するためのシーラントとしての本発明によるハイドロゲル組成物の評価を説明する。
【0165】
5種のハイドロゲル組成物を生成させた。PEG(SS)2を窒素環境下で取り扱った。PEG(SS)2を第1シリンジ中に小分けし、窒素ガス雰囲気下で、密封されたパウチ内で貯蔵した。ハイドロゲルを形成するために使用したrHSA含有要素を凍結乾燥により調製するために使用したrHSA含有要素溶液は、rHSAを、炭酸ナトリウム、PEG 8000、及びPluronic(登録商標)L61を加えられて、RO水と合わせて含んでいた。RO水中のrHSA含有要素溶液を凍結乾燥させ、粉砕して粉末にして、第2シリンジ中に小分けし、窒素環境下でフォイルパウチ内に密封した。
【0166】
水和キット(例えばダブルバレルシリンジ)を、ダブルバレルシリンジの第1区画中のDI水(PEG(SS)2含有要素を水和させるため)及びダブルバレルシリンジの第2区画中のDI水(凍結乾燥されたrHSA含有要素を水和させるため)を使用して作製した。粉末混合物を使用時にそれらのそれぞれの溶液により水和できるように、水和キットを、PEG(SS)2及びrHSA含有要素を収容する各シリンジとの連結を有するフォイルパウチ内に密封した。
【0167】
合計で10匹のブタ対象を評価した。10匹のブタのうち5匹を被験対象として設計し、ハイドロゲル組成物を左肺下葉に埋め込んだ。ハイドロゲル組成物を送達するために、同軸技法をコンピュータ断層撮影(CT)ガイダンスと共に利用した。送達装置を軟部組織に通して、肺及び胸膜腔に近接するまで挿入した(
図8A参照)。ハイドロゲル組成物を水和させ、送達装置のポート付ニードルシステムに通して、皮下組織、胸膜腔、及び肺実質の直接隣接した部分に配置した(
図8B参照)。CT画像化を利用してハイドロゲルの配置を確認した。
【0168】
ハイドロゲル組成物の埋込みに成功した後、肺生検材料を、同軸カニューレの使用によりハイドロゲル組成物の埋込みの5分以内に採取した。簡単に言うと、ニードルを必要に応じて調整し、生検の部位に進め、ポート付ニードル送達システムを除去した。標準的な生検ニードルを同軸システムに通して挿入し、CTガイダンスの使用を続けながら、16G Bard Mission Biopsy Needleを使用して標準的な肺生検処置を実施した(
図8C参照)。
【0169】
5匹の被験対象のうちの2匹の経過観察評価をハイドロゲルの埋込み後72(±8)時間で実施し、他の3匹のブタの評価を埋込み後144(±8)時間で実施した。経過観察評価の間、CTスキャンを、ハイドロゲル組成物の存在及び気胸症の存在(又は非存在)に関する評価のために完了した。CTスキャンを完了した後、動物を安楽死させ、総合的な剖検を実施し、標的臓器(すなわち肺)を肉眼病理観察のために除いた。胸壁内側(例えば壁側胸膜)も調査した。
【0170】
5匹の対照ブタには、上述の通りだがハイドロゲル組成物の埋込みなしに肺生検処置を行った。経過観察評価(気胸症の存在(又は非存在)を評価するためのCTスキャンを含む)を、肺生検後48(±8)時間で実施した。次いで、動物をそれらのCTスキャンの後で安楽死させ(特に記載がない限り)、総合的剖検を実施して、標的臓器を肉眼病理観察のために除いた。
【0171】
試験設計の概要を表9に示す。
【0172】
【0173】
5匹の被験対象のそれぞれには、肺生検処置前にハイドロゲル組成物を首尾よく埋め込んだ。ハイドロゲル組成物の配置は成功し、処置を実施した医師に当面の問題も懸念も起こさなかった。気胸症合併症は、生検処置の間にも、処置後の20~30分のモニタリング期間の間にも発生しなかった。5匹の被験対象は全て、3日目又は6日目のそれらの予定された経過観察日まで生存した。さらに、5匹の被験対象は全て、それらの術後CTスキャンで、手術後又は遅延した気胸症の徴候を示さなかった(矢印がハイドロゲルの部位を示す、代表的である
図9Aの対象5を参照されたい)。剖検により、3日目又は6日目に予測された通り、保持されたハイドロゲル材料が明らかになった。6日目被験対象におけるハイドロゲル組成物(すなわち試料1、3、及び4)は、ハイドロゲルの締まりの減少を表し、再吸収を示している。5匹の被験対象は全て、ニードル挿入部位の周囲の壁側胸膜にわずかな刺激を示したが、大きな懸念になるものは何もなかった。
【0174】
5匹の対照対象には、ハイドロゲル組成物を加えることなく肺生検を実施した。5匹の対照対象のうちの2匹(すなわち対象9及び10)は、CTにより明らかになった通り、処置中の気胸症及びその後の空気塞栓症を起こした。
図9Bは、対象9の空気塞栓症の例(丸で囲まれている)を示し、
図9Cは、対象10の気胸症の例(丸で囲まれている)を示す。これらの合併症の重症性のために、2匹の被験対象を、生検を完了した後で殺した。残りの3匹の対照対象は肺生検に耐え、経過観察の時点でのCTスキャンは、1匹のブタに大きな気胸症が存在している(すなわち対象6、
図9D参照、丸が気胸症を示している)ことを示した。他の2匹のブタ(すなわち対象7及び8)は、合併症が全くなかった。剖検により、対照対象のいずれにも特記すべきことがないことが明らかになった。
【0175】
試験結果の概要を表10に示す。結果は、対照対象(気胸症率60%)と比べて、被験対象の肺生検処置の結果の改善(気胸症率0%)を示した。
【0176】
【0177】
本発明のいくつかの実施形態が本明細書に記載及び説明されてきたが、当業者は、機能を実施し、及び/又は本明細書に記載される結果及び/又は利点の1つ以上を得るための種々の他の手段及び/又は構造を容易に想起するだろうが、そのような変形体及び/又は改変体のそれぞれは、本発明の範囲内にあるとみなされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載される全てのパラメーター、寸法、材料、及び構成が例示的であるものとすること並びに実際のパラメーター、寸法、材料、及び/又は構成が、本発明の教示が利用される具体的な用途又は複数の用途に依存するだろうことを容易に認識するだろう。当業者は、定型的な実験を利用するだけで、本明細書に記載される本発明の具体的な実施形態の多くの等価物を認識し、又は確認できるだろう。したがって、上記実施形態が例としてのみ提示されること並びに添付される特許請求の範囲及びその等価物の範囲内で、本発明が、具体的に説明され特許請求の範囲に記載される以外の方法で実施され得ることが理解されるものとする。本発明は、本明細書に記載される各個別の特徴、系、物品、材料、及び/又は方法を対象とする。さらに、2つ以上のそのような特徴、系、物品、材料、及び/又は方法の任意の組合せは、そのような特徴、系、物品、材料、及び/又は方法が互いに矛盾しない場合、本発明の範囲内に含まれる。
【0178】
明細書中及び特許請求の範囲中に本明細書で使用される不定冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、明らかに反対に示されていない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0179】
明細書中及び特許請求の範囲中に本明細書で使用される句「及び/又は」は、そのように結合された要素の「いずれか又は両方」、すなわち、いくつかの場合に結合して存在し他の場合に結合せずに存在する要素を意味すると理解されるべきである。反対であると明らかに示されていない限り、「及び/又は」節により具体的に特定された要素の他に、具体的に特定された要素と関係していようと無関係であろうと、他の要素が任意選択で存在し得る。そのため、非限定的な例として、「A及び/又はB」への言及は、「含む(comprising)」などの非限定的言葉と併せて使用される場合、一実施形態において、BのないA(任意選択でB以外の要素を含む);別の実施形態において、AのないB(任意選択でA以外の要素を含む);さらに別の実施形態において、AとBの両方(任意選択で他の要素を含む)を指し得る;などである。
【0180】
明細書中及び特許請求の範囲中に本明細書で使用される通り、「又は」は、上記で定義された「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト中の項目を分ける場合、「又は」又は「及び/又は」は、包括的、すなわち、いくつか又はリストの要素のうち、2つ以上も含む少なくとも1つの包含であって、任意選択で、リストに載っていない追加の項目の包含であると解釈されるものとする。「の1つのみ(only one of)」又は「のまさに1つ(exactly one of)」、又は特許請求の範囲で使用される場合「からなる(consisting of)」など、反対であると明確に示されている用語のみが、いくつかの又はリストの要素のまさに1つの要素の包含を指すだろう。一般に、本明細書で使用される用語「又は」は、「いずれか(either)」、「の1つ(one of)」、「の1つのみ」、又は「のまさに1つ」などの排他性の用語が前に置かれる場合のみ、排他的な二者択一(すなわち「いずれか一方であるが両方ではない」)を示すと解釈されるものとする。特許請求の範囲で使用される場合の「から基本的になる(consisting essentially of)」は、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有するものとする。
【0181】
明細書中及び特許請求の範囲中に本明細書で使用される通り、1つ以上の要素のリストに関連した句「少なくとも1つ」は、要素のリストの中の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素であって、要素のリスト内に具体的に列記されるありとあらゆる要素の少なくとも1つを必ずしも含まず、要素のリスト中の要素のあらゆる組合せを除外しない、少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきである。この定義は、句「少なくとも1つ」が指す要素のリスト内に具体的に特定された要素の他に、具体的に特定された要素と関係していようと無関係であろうと、要素が任意選択で存在し得ることを可能にする。そのため、非限定的な例として、「A及びBの少なくとも1つ」(又は、同様に、「A又はBの少なくとも1つ」、又は、同様に「A及び/又はBの少なくとも1つ」)は、一実施形態において、Bが存在しない、任意選択で2つ以上を含む少なくとも1つのA(且つ任意選択でB以外の要素を含む);別の実施形態において、Aが存在しない、任意選択で2つ以上を含む少なくとも1つのB(且つ任意選択でA以外の要素を含む);さらに別の実施形態において、任意選択で2つ以上を含む少なくとも1つのA、及び任意選択で2つ以上を含む少なくとも1つのB(且つ任意選択で他の要素を含む)を指し得る;などである。
【0182】
特許請求の範囲において、並びに上記明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」、「保持する(holding)」などの全ての移行句は、非限定的であり、すなわち含むがこれらに限定されないことを意味すると理解されるものとする。移行句「からなる」及び「から基本的になる」のみが、the United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures, Section 2111.03に述べられている通り、それぞれ閉鎖的又は半閉鎖的移行句であるものとする。
【国際調査報告】