(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(54)【発明の名称】ガス流チャネルにおける可変設備
(51)【国際特許分類】
B01D 45/08 20060101AFI20230424BHJP
F23J 15/04 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
B01D45/08 Z
F23J15/04
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022547079
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(85)【翻訳文提出日】2022-08-29
(86)【国際出願番号】 DE2021000023
(87)【国際公開番号】W WO2021160198
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】102020000892.5
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522306619
【氏名又は名称】ムンタース ユーロフォルム ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】ワンドレス ピーター
【テーマコード(参考)】
3K070
4D031
【Fターム(参考)】
3K070DA37
3K070DA66
3K070DA72
3K070DA85
4D031AB05
4D031BB01
4D031BB08
4D031EA01
(57)【要約】
ガス流方向に対して横方向の平面内で互いに距離を置いて配置された水平なロッド状要素で構成される、第1の層および第1の層に対してずらされた第2の層を有し、前記要素が、ガス流チャネルを横切って横方向に延びている、ガス流チャネルにおける設備を説明する。本設備は、第1の層に対して第2の層を、または第2の層に対して第1の層を、第1の動作位置から追加の動作位置、および/または非動作位置に移動させるための装置を有するので、可変的に設計される。この構成では、それぞれの層は、ガス流チャネルの軸に平行に、ガス流チャネルの軸に対して垂直方向に移動され、および/または傾けることによって移動される。このように、本設備は、不要なときには非動作状態に置かれるので、特に効率的に動作可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流方向に対して横方向の平面内で互いに距離を置いて配置された水平なロッド状要素で構成される、第1の層および前記第1の層に対してずらされた第2の層を有し、前記要素が、前記ガス流チャネルを横切って横方向に延びている、ガス流チャネルにおける設備であって、
前記設備は、前記層(2、3)を前記ガス流チャネル(1)の軸に平行に、前記ガス流チャネル(1)の前記軸に水平に変位させることによって、および/または傾けることによって、前記第1の層(2)に対して前記第2の層(3)を、または前記第2の層(3)に対して前記第1の層(2)を、第1の動作位置から追加の動作位置、および/または非動作位置に移動させるための装置を備えることを特徴とする、設備。
【請求項2】
コアレッサとして形成されることを特徴とする、請求項1に記載の設備。
【請求項3】
物質移送トレイとして形成されることを特徴とする、請求項1に記載の設備。
【請求項4】
前記ロッド状要素は、チューブとして形成されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の設備。
【請求項5】
煙道ガススクラバの一部であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の設備。
【請求項6】
パラメータを検出するための装置と、前記パラメータ検出装置から受信した信号を処理し、それに応じて前記移動装置を制御して、前記第1または第2の層(2、3)を前記追加の動作位置または非動作位置とする制御ユニットとを備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の設備。
【請求項7】
前記パラメータ検出装置は、前記ガス流のパラメータを検出することを特徴とする、請求項6に記載の設備。
【請求項8】
前記制御ユニットは、前記パラメータ検出装置から受信した信号を閾値と比較し、この比較に応じて前記移動装置を作動させることを特徴とする、請求項6または7に記載の設備。
【請求項9】
前記層(2、3)の前記移動装置は、水圧式油圧シリンダ(6)を備えることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の設備。
【請求項10】
前記水圧式油圧シリンダ(6)は、前記設備用のフラッシング装置(8)に結合されることを特徴とする、請求項9に記載の設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス流方向に対して横方向の平面内で互いに距離を置いて配置された水平なロッド状要素で構成される、第1の層および第1の層に対してずらされた第2の層を有し、前記要素が、ガス流チャネルを横切って横方向に延びているガス流チャネルにおける設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような設備は、主に金網メッシュとしてだけでなく、ロッドまたはチューブコアレッサとしても、長い間デミスタの分野で使用されてきた。最大約3μmの限界液滴を、これらのコアレッサで達成することができる。限界液滴が小さいほど、それらの圧力損失は大きくなる。さらに、そのようなチューブコアレッサは、ダストスクラビングにも使用されてきた。この方法では、コアレッサに水が連続的に供給される。
【0003】
そのようなチューブコアレッサの圧力損失は、デミスタの圧力損失よりも最大10倍大きくなり得る。したがって、連続的に動作するチューブコアレッサを使用するとエネルギー消費が非常に高くなるが、これは多くの場合に必要ではない。対応する設備がガス流チャネル内に固定して配置されるので、2層として形成された設備は自動的に「運ばれる」必要があるが、これは、これらの場合に必要ではない。したがって、そのような設備が必要な場合、例えば、ダスト負荷がガス流(排気)において発生する場合にのみその機能を実行することに意味がある。
【0004】
ドイツ実用新案出願公開第202011004282U1号(特許文献1)から、管状衝撃体を有する煙道ガス脱硫システム用のサービス最適化デミスタが知られており、セパレータ経路ごとに少なくとも1つのローラモジュールが折り畳み式に吊るされている。これらの措置により、ローラセパレータの検査およびメンテナンスが容易になる。言い換えれば、チューブセパレータは、その非動作位置に折り畳むことができる。検査およびメンテナンスのために、人が上方にモジュールを慎重に折り畳むことができる。それによって隙間が開き、この隙間を通って作業員が2つのセパレータ層の間の中間空間の内部に到達することができる。そこで作業員は、検査の実施、または作業の実行が可能である。システムの動作中に対応する設備の移動は、不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ実用新案出願公開第202011004282U1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、特に効率的に動作することができる冒頭に記載したタイプの設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
示されたタイプの設備における本発明によれば、この目的は、層をガス流チャネルの軸に平行に、ガス流チャネルの軸に水平に変位させることによって、および/または傾けることによって、第1の層に対して第2の層を、または第2の層に対して第1の層を、第1の動作位置から追加の動作位置、および/または非動作位置に移動させるための装置を備えることで解決される。
【0008】
本発明による解決策では、動作中、設備の2つの層は、ガス流チャネル内で互いに距離を置いて位置し、第1の層のロッド状要素は、第2の層のロッド状要素に対してずらして配置される。この観点では、これは最適な動作位置であると推定される。次に、層が別の動作位置または非動作位置をとる場合、層は、提供された移動装置によってこの変更された位置に移動される。例えば、2つの層の間の距離、または例えば2つの層のロッド状要素の重なりは、これにより変更することができる。いずれにせよ、対応する層を非動作位置に移動させることもでき、そこでは機能をまったく実行しないか、低下した機能を実行するだけである。これは、例えば、コアレッサ層の機能が、このように対応するエネルギーを節約するためにもはや必要とされない場合であり得る。
【0009】
したがって、設備の両方の層を互いに対して移動させることができるので、最適化された動作位置が得られるか、または一方の層が完全に動作しないように載置される。
【0010】
本発明による設備は、例えば、コアレッサとして形成することができる。この観点では、チューブは、好ましくはロッド状要素として使用され、前記チューブは、所望のコアレッサ効果をもたらすために互いに特定の距離で配置される。2つの層のロッドまたはチューブは、互いに対してずらして配置され、すなわち、ガス流の所望の偏向効果が達成されるようにガス流方向に互いに重なり合う。この状況においては、互いからの層の距離または2つの層の要素の距離(重なりの程度)は、本発明に従って変えることができる。
【0011】
本発明の別の実施形態では、設備は、物質移送トレイとして形成される。そのような物質移送トレイは、シーブトレイとして、またはチューブのオフセット列から形成される、いわゆるトレイの集合体である。上から来る流体に対するトレイの抵抗が高いため、ここでガスは下からトレイを通って流れ、トレイの上に気泡層を形成し、そこで非常に集中的な物質移送が起こる。SO2分離効率はそれによって大幅に改善されるが、その代償としてより高いエネルギーを消費する。本発明による設備は、チューブの列から構築されたトレイの機能が必要なときにのみオンに切り替えられる場合、経時的にエネルギー消費を削減するように機能することができる。
【0012】
本発明に従って形成された設備は、好ましくは、煙道ガススクラバの一部である。
【0013】
本発明の別の実施形態では、設備は、パラメータを検出するための装置と、パラメータ検出装置から受信した信号を処理し、それに応じて移動装置を制御して、第1または第2の層を追加の動作位置または非動作位置とする制御ユニットとを有する。
【0014】
最も単純な場合では、移動装置は、例えば、1つの層を動作から外したい場合、手動でオンおよびオフに切り替えることができる。このプロセスは、センサが移動装置を作動させる制御ユニットに転送されるパラメータを検出する場合、自動化することができる。パラメータ検出装置がガス流のパラメータを検出する実施形態は、特に好ましい。例えば、この実施形態では、ガス流のダスト負荷、SO2含有量などは、センサを介して測定され、次に、センサは、その信号を制御ユニットに転送する。
【0015】
制御ユニット自体は、パラメータ検出装置から受信した信号を閾値と比較し、この比較に応じて移動装置を作動させることができる。
【0016】
先に述べたように、移動装置は、設備の層を、ガス流チャネルの軸に平行に、ガス流チャネルの軸に横方向に、および/または傾けることによって移動させることができる。この構成では、第1の場合において、設備の2つの層の間の距離が拡大または縮小される。距離が最適位置から開始して拡大される場合、移動された層は最終的に非動作位置に移動されるため、凝集効果はもはや発生し得ない。一方、層がガス流チャネルの軸に対して垂直方向に移動することにより、層がガス流チャネルの外へ側方に押し出され、他方では、90°だけ変化する方向にずらされ、2つの層のロッド状要素の重なりが変化する。ロッド状要素が垂直方向に面一に配置される場合、ガス流の偏向がもはや起こらないので、非動作位置にも到達する。いずれにせよ、本発明に従って形成された移動装置は、少なくともこれら3つの移動タイプを提供し、加えて、ガス流チャネルからの層の傾斜を提供する。
【0017】
移動装置自体の設計に関しては、水圧式油圧シリンダを備えることが好ましい。これらの水圧式油圧シリンダは、設備用のフラッシング装置と結合することができるため、フラッシング装置の試運転時に層に対する移動装置が同時に作動する。これは、コアレッサまたは物質移送トレイが連続的にフラッシングされる場合に特に当てはまる。デミスタの洗浄(1分/時間)だけである場合、この時間だけコアレッサを変位させることは当然意味をなさない。この場合、油圧シリンダは、デミスタとは独立して制御されなければならないが、それでも同じ媒体で制御されなければならない。動作手段としての水の利点は、設備のフラッシングに関係なく使用されることであり、したがって、フラッシングをオンおよびオフに切り替えると層を同時に変位させることができる。
【0018】
ジョイントを介した層の傾斜可能な取り付けでは、水圧シリンダの使用により折り畳みを行うことができる。
【0019】
動作中にこれらが機能せずに互いに整列し、別の場合には互いに対してずらして配置されるように、互いに対する層の側方オフセットは、水圧シリンダでも同様に行われ得る。
【0020】
本発明による解決策では、パラメータ検出装置(センサ)、制御ユニット、および移動装置の協働によって、2つの層の互いの距離を設定することが可能である。2つの層のロッド状要素の重なりについても、同様である。例えばコアレッサとして作用することができる、設備の最適化された設定は、このようにして達成することができる。
【0021】
本発明に従って形成された設備は、固体粒子または液体粒子を充填することができるガス流に関する。さらに、本発明は、チューブまたはロッドで形成されたトレイに関する。
【0022】
ここに説明される設備は、下流のデミスタ、例えば、ベーンエリミネータと組み合わせてガス流チャネルで使用することができる。設備は、少なくとも第1および第2の層を有し、複数の層を配置することもできることが理解される。
【0023】
本発明は、図面に関連して、例示的な実施形態に基づいて以下で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】設備に装備されたガス流チャネルの概略側面図である。
【
図2】設備の別の例示的な実施形態を有する
図1と同様の図である。
【
図3】設備の別の例示的な実施形態を有する(90°だけずれた)
図1と同様の図である。
【
図4】コアレッサの下層の移動に続く
図3と同様の図である。
【
図6】
図1の実施形態を90°回転させた側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、煙道ガススクラバシステムのガス流チャネル1を概略的に示す。設備10がガス流チャネル1内に位置し、前記設備10は、互いに平行に配置されたロッド状要素の第1の(上)層2と、互いに平行に配置されたロッド状要素の第2の(下)層3とからなるコアレッサである。この構成では、第1の層2および第2の層3のロッド状要素は、それらがガス流方向(下から上へ)で重なり合うように、互いにずらして配置され、湾曲した流路がそれらの間に形成される。
【0026】
この実施形態では、コアレッサの第2の下層3は、移動可能に配置される。矢印で示すように、下層3は、実線で示す位置から点線で示す位置4まで下方に移動させることができる。第2の層が下側位置4に位置するとき、2つの層2、3は、非動作位置に対応する互いからのより大きな距離を有する。したがって、コアレッサの動作を停止する場合、ここでは図示しない移動装置によって下層3を位置4まで下方に移動させる。
【0027】
図2の実施形態では、コアレッサとして形成され、第1の上層2ならびに第2の下層3を有する設備が同様に提供される。両方の層は、この場合チューブであり、距離を置いて互いに隣り合って配置されたロッド状要素の集合体である。この構成では、第2の層3を非動作位置とするために、層は、5の点線によって表されるように、ガス流チャネル1の外へ側方に移動される。
【0028】
図3および
図4に示す実施形態では、第2の下層3のロッド状要素は、2つの層2、3のロッド状要素の重なりがゼロになるように、図面平面内のガス流チャネル1の軸に垂直方向に左から右に移動される。2つの層のロッド状要素が整列すると、流れの偏向がもはや起こり得ないので、設備は、非動作状態に置かれる。
【0029】
図5~
図7は、
図1に示された第1の実施形態をより正確な描写で示す。
図5では、第2の層3の下に配置され、第2の層3を流れチャネルの軸に平行に移動させる4つの油圧シリンダ6を識別することができる。
図6は、油圧シリンダ6が配置される、設備の第2の下層3を支持する、支持ホルダ7上への装置の取り付けを示す。さらに、ノズルチューブ8が示され、これは、ホースを介して設備に連続的に噴霧するのに役立つ。追加のホースが、ノズルチューブ8から油圧シリンダ6につなげられる。
【0030】
図7は、プランジャロッド9およびプランジャ12、ならびに取水口11を有する油圧シリンダ6を詳細に示す。
【0031】
この実施形態は、(ノズル8を介して)フラッシングをオンに切り替え、圧力が油圧シリンダ内に事前に送られると下層3が油圧シリンダ6の上に持ち上げられるように形成される。これは、典型的には2バールである。この状態では、ここに示すチューブコアレッサは、小さな限界液滴およびそれに伴う圧力損失を有する。フラッシングが停止すると、下層3は、その開始位置に戻る。チューブコアレッサは、圧力損失が低く、限界液滴が大きい。開始位置への戻りは、理想的には下層3の自重を介して行われる。これが十分でない場合、当然ながら、油圧シリンダ6における第2の水接続を介して実現することもできる。しかしながら、油圧シリンダへの第2の入口を外側から敷設する必要がある。
【符号の説明】
【0032】
1 ガス流チャネル
2 上層
3 下層
4 下側位置
5 点線
6 油圧シリンダ
7 支持ホルダ
8 ノズルチューブ
9 プランジャロッド
10 設備
11 取水口
12 プランジャ
【手続補正書】
【提出日】2022-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス流方向に対して横方向の平面内で互いに距離を置いて配置された水平なロッド状要素で構成される、第1の層および第1の層に対してずらされた第2の層を有し、前記要素が、ガス流チャネルを横切って横方向に延びているガス流チャネルにおける設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような設備は、主に金網メッシュとしてだけでなく、ロッドまたはチューブコアレッサとしても、長い間デミスタの分野で使用されてきた。最大約3μmの限界液滴を、これらのコアレッサで達成することができる。限界液滴が小さいほど、それらの圧力損失は大きくなる。さらに、そのようなチューブコアレッサは、ダストスクラビングにも使用されてきた。この方法では、コアレッサに水が連続的に供給される。
【0003】
そのようなチューブコアレッサの圧力損失は、デミスタの圧力損失よりも最大10倍大きくなり得る。したがって、連続的に動作するチューブコアレッサを使用するとエネルギー消費が非常に高くなるが、これは多くの場合に必要ではない。対応する設備がガス流チャネル内に固定して配置されるので、2層として形成された設備は自動的に「運ばれる」必要があるが、これは、これらの場合に必要ではない。したがって、そのような設備が必要な場合、例えば、ダスト負荷がガス流(排気)において発生する場合にのみその機能を実行することに意味がある。
【0004】
独国実用新案出願公開第202011004282U1号(特許文献1)から、管状衝撃体を有する煙道ガス脱硫システム用のサービス最適化デミスタが知られており、セパレータ経路ごとに少なくとも1つのローラモジュールが折り畳み式に吊るされている。これらの措置により、ローラセパレータの検査およびメンテナンスが容易になる。言い換えれば、チューブセパレータは、その非動作位置に折り畳むことができる。検査およびメンテナンスのために、人が上方にモジュールを慎重に折り畳むことができる。それによって隙間が開き、この隙間を通って作業員が2つのセパレータ層の間の中間空間の内部に到達することができる。そこで作業員は、検査の実施、または作業の実行が可能である。システムの動作中に対応する設備の移動は、不可能である。
米国特許第5230725A号(特許文献2)からガス流から液滴を除去するためのデミスタが知られている。デミスタは、互いに距離をおいて平行に配置され、分離壁の間にそれぞれの流れチャネルを画定する複数の湾曲した分離壁で構成された第1の層を含む。互いに距離をおいて配置され、それらの間に対応する流れチャネルを画定する複数の分離壁で構成される第2の層が、空気流の方向において第1の層の下流に配置される。第2の層の分離壁は、第1の層の出口開口部と整列して配置される入口エッジを有し、前記開口部は、第1の層の分離壁の自由エッジセグメントによってオフセットされている。
米国特許第4698078A号(特許文献3)は、空気チャネルを通って流れる空気中に同伴した粒子を除去するための空気チャネル用の分離配置を記載している。分離器は、空気が分離器を通過する第1の位置と、空気が分離器を迂回する第2の位置との間で移動可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国実用新案出願公開第202011004282U1号
【特許文献2】米国特許第5230725A号
【特許文献3】米国特許第4698078A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、特に効率的に動作することができる冒頭に記載したタイプの設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
示されたタイプの設備における本発明によれば、この目的は、層をガス流チャネルの軸に平行に、ガス流チャネルの軸に水平に変位させることによって、および/または傾けることによって、第1の層に対して第2の層を、または第2の層に対して第1の層を、第1の動作位置から追加の動作位置、および/または非動作位置に移動させるための装置を備えることで解決される。
【0008】
本発明による解決策では、動作中、設備の2つの層は、ガス流チャネル内で互いに距離を置いて位置し、第1の層のロッド状要素は、第2の層のロッド状要素に対してずらして配置される。この観点では、これは最適な動作位置であると推定される。次に、層が別の動作位置または非動作位置をとる場合、層は、提供された移動装置によってこの変更された位置に移動される。例えば、2つの層の間の距離、または例えば2つの層のロッド状要素の重なりは、これにより変更することができる。いずれにせよ、対応する層を非動作位置に移動させることもでき、そこでは機能をまったく実行しないか、低下した機能を実行するだけである。これは、例えば、コアレッサ層の機能が、このように対応するエネルギーを節約するためにもはや必要とされない場合であり得る。
【0009】
したがって、設備の両方の層を互いに対して移動させることができるので、最適化された動作位置が得られるか、または一方の層が完全に動作しないように載置される。
【0010】
本発明による設備は、例えば、コアレッサとして形成することができる。この観点では、チューブは、好ましくはロッド状要素として使用され、前記チューブは、所望のコアレッサ効果をもたらすために互いに特定の距離で配置される。2つの層のロッドまたはチューブは、互いに対してずらして配置され、すなわち、ガス流の所望の偏向効果が達成されるようにガス流方向に互いに重なり合う。この状況においては、互いからの層の距離または2つの層の要素の距離(重なりの程度)は、本発明に従って変えることができる。
【0011】
本発明の別の実施形態では、設備は、物質移送トレイとして形成される。そのような物質移送トレイは、シーブトレイとして、またはチューブのオフセット列から形成される、いわゆるトレイの集合体である。上から来る流体に対するトレイの抵抗が高いため、ここでガスは下からトレイを通って流れ、トレイの上に気泡層を形成し、そこで非常に集中的な物質移送が起こる。SO2分離効率はそれによって大幅に改善されるが、その代償としてより高いエネルギーを消費する。本発明による設備は、チューブの列から構築されたトレイの機能が必要なときにのみオンに切り替えられる場合、経時的にエネルギー消費を削減するように機能することができる。
【0012】
本発明に従って形成された設備は、好ましくは、煙道ガススクラバの一部である。
【0013】
本発明の別の実施形態では、設備は、パラメータを検出するための装置と、パラメータ検出装置から受信した信号を処理し、それに応じて移動装置を制御して、第1または第2の層を追加の動作位置または非動作位置とする制御ユニットとを有する。
【0014】
最も単純な場合では、移動装置は、例えば、1つの層を動作から外したい場合、手動でオンおよびオフに切り替えることができる。このプロセスは、センサが移動装置を作動させる制御ユニットに転送されるパラメータを検出する場合、自動化することができる。パラメータ検出装置がガス流のパラメータを検出する実施形態は、特に好ましい。例えば、この実施形態では、ガス流のダスト負荷、SO2含有量などは、センサを介して測定され、次に、センサは、その信号を制御ユニットに転送する。
【0015】
制御ユニット自体は、パラメータ検出装置から受信した信号を閾値と比較し、この比較に応じて移動装置を作動させることができる。
【0016】
先に述べたように、移動装置は、設備の層を、ガス流チャネルの軸に平行に、ガス流チャネルの軸に横方向に、および/または傾けることによって移動させることができる。この構成では、第1の場合において、設備の2つの層の間の距離が拡大または縮小される。距離が最適位置から開始して拡大される場合、移動された層は最終的に非動作位置に移動されるため、凝集効果はもはや発生し得ない。一方、層がガス流チャネルの軸に対して垂直方向に移動することにより、層がガス流チャネルの外へ側方に押し出され、他方では、90°だけ変化する方向にずれ、2つの層のロッド状要素の重なりが変化する。ロッド状要素が垂直方向に面一に配置される場合、ガス流の偏向がもはや起こらないので、非動作位置にも到達する。いずれにせよ、本発明に従って形成された移動装置は、少なくともこれら3つの移動タイプを提供し、加えて、ガス流チャネルからの層の傾斜を提供する。
【0017】
移動装置自体の設計に関しては、水圧式油圧シリンダを備えることが好ましい。これらの水圧式油圧シリンダは、設備用のフラッシング装置と結合することができるため、フラッシング装置の試運転時に層に対する移動装置が同時に作動する。これは、コアレッサまたは物質移送トレイが連続的にフラッシングされる場合に特に当てはまる。デミスタの洗浄(1分/時間)だけである場合、この時間だけコアレッサを変位させることは当然意味をなさない。この場合、油圧シリンダは、デミスタとは独立して制御されなければならないが、それでも同じ媒体で制御されなければならない。動作手段としての水の利点は、設備のフラッシングに関係なく使用されることであり、したがって、フラッシングをオンおよびオフに切り替えると層を同時に変位させることができる。
【0018】
ジョイントを介した層の傾斜可能な取り付けでは、水圧シリンダの使用により折り畳みを行うことができる。
【0019】
動作中にこれらが機能せずに互いに整列し、別の場合には互いに対してずらして配置されるように、互いに対する層の側方オフセットは、水圧シリンダでも同様に行われ得る。
【0020】
本発明による解決策では、パラメータ検出装置(センサ)、制御ユニット、および移動装置の協働によって、2つの層の互いの距離を設定することが可能である。2つの層のロッド状要素の重なりについても、同様である。例えばコアレッサとして作用することができる、設備の最適化された設定は、このようにして達成することができる。
【0021】
本発明に従って形成された設備は、固体粒子または液体粒子を充填することができるガス流に関する。さらに、本発明は、チューブまたはロッドで形成されたトレイに関する。
【0022】
ここに説明される設備は、下流のデミスタ、例えば、ベーンエリミネータと組み合わせてガス流チャネルで使用することができる。設備は、少なくとも第1および第2の層を有し、複数の層を配置することもできることが理解される。
【0023】
本発明は、図面に関連して、例示的な実施形態に基づいて以下で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】設備に装備されたガス流チャネルの概略側面図である。
【
図2】設備の別の例示的な実施形態を有する
図1と同様の図である。
【
図3】設備の別の例示的な実施形態を有する(90°だけずれた)
図1と同様の図である。
【
図4】コアレッサの下層の移動に続く
図3と同様の図である。
【
図6】
図1の実施形態を90°回転させた側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、煙道ガススクラバシステムのガス流チャネル1を概略的に示す。設備10がガス流チャネル1内に位置し、前記設備10は、互いに平行に配置されたロッド状要素の第1の(上)層2と、互いに平行に配置されたロッド状要素の第2の(下)層3とからなるコアレッサである。この構成では、第1の層2および第2の層3のロッド状要素は、それらがガス流方向(下から上へ)で重なり合うように、互いにずらして配置され、湾曲した流路がそれらの間に形成される。
【0026】
この実施形態では、コアレッサの第2の下層3は、移動可能に配置される。矢印で示すように、下層3は、実線で示す位置から点線で示す位置4まで下方に移動させることができる。第2の層が下側位置4に位置するとき、2つの層2、3は、非動作位置に対応する互いからのより大きな距離を有する。したがって、コアレッサの動作を停止する場合、ここでは図示しない移動装置によって下層3を位置4まで下方に移動させる。
【0027】
図2の実施形態では、コアレッサとして形成され、第1の上層2ならびに第2の下層3を有する設備が同様に提供される。両方の層は、この場合チューブであり、距離を置いて互いに隣り合って配置されたロッド状要素の集合体である。この構成では、第2の層3を非動作位置とするために、層は、5の点線によって表されるように、ガス流チャネル1の外へ側方に移動される。
【0028】
図3および
図4に示す実施形態では、第2の下層3のロッド状要素は、2つの層2、3のロッド状要素の重なりがゼロになるように、図面平面内のガス流チャネル1の軸に垂直方向に左から右に移動される。2つの層のロッド状要素が整列すると、流れの偏向がもはや起こり得ないので、設備は、非動作状態に置かれる。
【0029】
図5~
図7は、
図1に示された第1の実施形態をより正確な描写で示す。
図5では、第2の層3の下に配置され、第2の層3を流れチャネルの軸に平行に移動させる4つの油圧シリンダ6を識別することができる。
図6は、油圧シリンダ6が配置される、設備の第2の下層3を支持する、支持ホルダ7上への装置の取り付けを示す。さらに、ノズルチューブ8が示され、これは、ホースを介して設備に連続的に噴霧するのに役立つ。追加のホースが、ノズルチューブ8から油圧シリンダ6につなげられる。
【0030】
図7は、プランジャロッド9およびプランジャ12、ならびに取水口11を有する油圧シリンダ6を詳細に示す。
【0031】
この実施形態は、(ノズル8を介して)フラッシングをオンに切り替え、圧力が油圧シリンダ内に事前に送られると下層3が油圧シリンダ6の上に持ち上げられるように形成される。これは、典型的には2バールである。この状態では、ここに示すチューブコアレッサは、小さな限界液滴およびそれに伴う圧力損失を有する。フラッシングが停止すると、下層3は、その開始位置に戻る。チューブコアレッサは、圧力損失が低く、限界液滴が大きい。開始位置への戻りは、理想的には下層3の自重を介して行われる。これが十分でない場合、当然ながら、油圧シリンダ6における第2の水接続を介して実現することもできる。しかしながら、油圧シリンダへの第2の入口を外側から敷設する必要がある。
【符号の説明】
【0032】
1 ガス流チャネル
2 上層
3 下層
4 下側位置
5 点線
6 油圧シリンダ
7 支持ホルダ
8 ノズルチューブ
9 プランジャロッド
10 設備
11 取水口
12 プランジャ
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流方向に対して横方向の平面内で互いに距離を置いて配置された水平なロッド状要素で構成される、第1の層および前記第1の層に対してずらされた第2の層を有し、前記要素が、前記ガス流チャネルを横切って延び、前記第1の層の前記ロッド状要素は、前記第2の層の前記ロッド状要素に対してずらして配置されるガス流チャネルにおける設備であって、
前記設備は、前記第1の層(2)に対して前記第2の層(3)を、または前記第2の層(3)に対して前記第1の層(2)を、第1の動作位置から追加の動作位置、および/または非動作位置に移動させるための装置を備え、
前記層(2、3)を前記ガス流チャネル(1)の軸に平行に変位させることによって、前記層(2、3)の間の距離が、コアレッサ効果がもはや発生し得なくなるまで拡大され、そして、前記非動作位置に達する、または、前記ガス流チャネル(1)の軸に対して垂直方向に変位させることによって、前記層(2、3)は、前記前記ガス流方向に面一になり、したがって、前記非動作位置になることを特徴とする、設備。
【請求項2】
コアレッサとして形成されることを特徴とする、請求項1に記載の設備。
【請求項3】
物質移送トレイとして形成されることを特徴とする、請求項1に記載の設備。
【請求項4】
前記ロッド状要素は、チューブとして形成されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の設備。
【請求項5】
パラメータを検出するための装置と、前記パラメータ検出装置から受信した信号を処理し、それに応じて前記移動装置を制御して、前記第1または第2の層(2、3)を前記追加の動作位置または非動作位置とする制御ユニットとを備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の設備。
【請求項6】
前記パラメータ検出装置は、前記ガス流のパラメータを検出することを特徴とする、請求項5に記載の設備。
【請求項7】
前記制御ユニットは、前記パラメータ検出装置から受信した信号を閾値と比較し、この比較に応じて前記移動装置を作動させることを特徴とする、請求項5または6に記載の設備。
【請求項8】
前記層(2、3)の前記移動装置は、水圧式油圧シリンダ(6)を備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の設備。
【請求項9】
前記水圧式油圧シリンダ(6)は、前記設備用のフラッシング装置(8)に結合されることを特徴とする、請求項8に記載の設備。
【請求項10】
煙道ガススクラバのガス流チャネルに請求項1~9のいずれか一項に記載の設備を備えることを特徴とする、煙道ガススクラバ。
【国際調査報告】