IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスエムエス グループ ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2023-518339延伸機、延伸方法、及び延伸マンドレル
<>
  • 特表-延伸機、延伸方法、及び延伸マンドレル 図1
  • 特表-延伸機、延伸方法、及び延伸マンドレル 図2
  • 特表-延伸機、延伸方法、及び延伸マンドレル 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(54)【発明の名称】延伸機、延伸方法、及び延伸マンドレル
(51)【国際特許分類】
   B21C 1/24 20060101AFI20230424BHJP
   B21C 51/00 20060101ALI20230424BHJP
   B21C 1/12 20060101ALI20230424BHJP
   B21C 3/16 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
B21C1/24
B21C51/00 E
B21C51/00 C
B21C51/00 D
B21C1/12
B21C3/16 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548674
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(85)【翻訳文提出日】2022-09-29
(86)【国際出願番号】 DE2021100306
(87)【国際公開番号】W WO2021190710
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】102020108425.0
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516199072
【氏名又は名称】エスエムエス グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ユンゲン,ハーディー
(72)【発明者】
【氏名】セロデ,ウルフ
(72)【発明者】
【氏名】テールケ,カール
【テーマコード(参考)】
4E096
【Fターム(参考)】
4E096EA16
4E096FA21
4E096KA03
4E096KA04
4E096KA05
4E096KA07
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、可能な限り詳細に形成プロセスを監視できる、方法、装置、及び延伸マンドレルを提供することである。
【解決手段】この目的は、長手方向の拡張方向に延びた管を、半仕上げ製品から生成または加工するための、延伸機及び延伸方法によって実現される。延伸機は、管及び半仕上げ製品によって長手方向範囲で形成された中空ワークピースを延伸するための延伸デバイスと、延伸リングと、延伸マンドレルとを備え、延伸マンドレル及び延伸リングを介して、ワークピースを形状付けるよう作用し、その一方でワークピースは、延伸デバイスによって、延伸マンドレルの周りで延伸リングを通して延伸される。延伸機は、延伸マンドレルに位置されたセンサを特徴とするか、または物理特性が、延伸マンドレルに設けられたセンサによって、ワークピースの内部、及び/または延伸マンドレル上で計測されることを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半仕上げ製品(40)から成る管(31)を生成または加工するための、延伸機(11)であって、前記管は長手方向の拡張方向(21)に延び、前記延伸機(11)は、前記長手方向の拡張方向(21)に沿って、前記管(31)及び前記半仕上げ製品(40)で形成された中空ワークピース(1)を延伸するための、延伸デバイス(51)と、延伸リング(61)と、延伸マンドレル(71)とを備え、前記延伸マンドレル(71)及び前記延伸リング(61)を用いて前記ワークピース(1)に作用して、前記ワークピース(1)を形成し、その一方で前記ワークピース(1)は、前記延伸デバイスの制御下で、前記延伸マンドレル(71)の周りで前記延伸リング(61)を通して延伸され、
前記延伸機(11)は、前記ワークピース(1)の内部(22)に配置された送信機(91)と、前記ワークピース(1)の外側に配置された受信機(92)とを使用して、前記ワークピース(1)の内部(22)からデータを送信するための装置(90)を備え、ここで前記受信機(92)及び前記送信機(91)は、互いにワイヤレスで通信できること、ならびに/または、三次元空間におけるセンサ(80)の位置、及び/もしくは温度、及び/もしくは圧力、及び/もしくは加速度を、前記延伸マンドレル(71)に配置されたセンサ(80)によって計測できること、を特徴とする、延伸機(11)。
【請求項2】
前記送信機(91)は、データを備えた信号を、前記ワークピース(1)の壁(39)を貫通して送信することができ、前記受信機(91)は、好ましくは前記長手方向の拡張方向(21)に対して前記送信機(91)の軸方向の高さに配置されることを特徴とする、請求項1に記載の延伸機(11)。
【請求項3】
前記送信機(91)は送信コイル(93)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の延伸機(11)。
【請求項4】
前記受信機(92)は、前記ワークピース(1)を囲んだ受信コイル(94)を備えることを特徴とする、請求項1~3のうちいずれか一項に記載の延伸機(11)。
【請求項5】
前記受信機(92)は、受信機(96)及び/またはマイクロ制御器(95)を備えることを特徴とする、請求項1~4のうちいずれか一項に記載の延伸機(11)。
【請求項6】
前記センサ(80)は、送信機(91)及び/またはマイクロ制御器(81)を有し、前記送信機(91)は、詳細には電気送信機、または好ましくは電子送信機であることを特徴とする、請求項1~5のうちいずれか一項に記載の延伸機(11)。
【請求項7】
送信機(91)と受信機(92)との間のワイヤレス通信は、電気的、詳細には容量的に、磁気的、特に誘導的に、または電磁的に、構成されることを特徴とする、請求項1~6のうちいずれか一項に記載の延伸機(11)。
【請求項8】
前記送信機(91)は、前記延伸マンドレル(71)に配置されることを特徴とする、請求項1~7のうちいずれか一項に記載の延伸機(11)。
【請求項9】
半仕上げ製品(40)から成る管(31)を、生成または加工するための延伸方法であって、前記管は長手方向の拡張方向(21)に延び、延伸デバイス(51)を使用して、前記管(31)及び前記半仕上げ製品(40)によって形成された中空ワークピース(1)は、前記長手方向の拡張方向(21)に延伸され、前記ワークピース(1)は、延伸マンドレル(71)及び延伸リング(61)によって作用され、前記ワークピース(1)を形成し、その一方で前記ワークピース(1)は、前記延伸デバイス(51)の影響下で、前記延伸マンドレル(71)の周りで前記延伸リング(61)を通して延伸され、
前記延伸方法は、送信機(91)が前記ワークピース(1)の内部(22)に配置され、データを備えた信号を前記ワークピース(1)から出して、前記ワークピース(1)の外側(23)に配置された受信機(92)へ送信し、ここで前記受信機(92)及び前記送信機(91)は互いにワイヤレス通信すること、ならびに/または、前記延伸マンドレル(71)に配置されたセンサ(80)は、三次元空間における前記センサ(80)の位置、及び/もしくは温度、及び/もしくは圧力、及び/もしくは加速度、を計測すること、を特徴とする、延伸方法。
【請求項10】
前記送信機(91)は、データを備えた信号を、前記ワークピース(1)の壁(39)を貫通して送信し、前記受信機(92)は、好ましくは前記長手方向の拡張方向(21)に対して前記送信機(91)の軸方向の高さに配置されることを特徴とする、請求項9に記載の延伸方法。
【請求項11】
データは、送信コイル(93)によって送信されることを特徴とする、請求項9または10に記載の延伸方法。
【請求項12】
データは、前記受信機(92)の受信コイル(94)によって受信され、前記コイルは前記管(31)を囲むことを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項に記載の延伸方法。
【請求項13】
前記受信機(92)は、前記送信機(91)によって送信された信号を増幅することを特徴とする、請求項9~12のうちいずれか一項に記載の延伸方法。
【請求項14】
前記受信機(92)によって受信されたデータは、前記受信機(92)の受信機(96)に送信され、及び/またはマイクロ制御器(95)によってさらに処理されることを特徴とする、請求項9~13のいずれか一項に記載の延伸方法。
【請求項15】
前記ワークピース(1)内(22)に配置された送信機(91)は、配線によって、前記ワークピース(1)の外側(23)に配置された受信機(92)に送信することを特徴とする、請求項9~14のうちいずれか一項に記載の延伸方法。
【請求項16】
データは、送信機(91)と受信機(92)との間で、電気的、特に容量的に、磁気的、特に誘導的に、または電磁的に、構成されることを特徴とする、請求項9~15のうちいずれか一項に記載の延伸方法。
【請求項17】
前記延伸マンドレル(71)に配置されたマイクロ制御器(81)は、前記センサ(80)のデータをさらに処理することを特徴とする、請求項9~16のうちいずれか一項に記載の延伸方法。
【請求項18】
前記半仕上げ製品(40)は、前記長手方向の拡張方向(21)に延びた中空体であることを特徴とする、請求項1~8のうちいずれか一項に記載の延伸機(11)、または請求項9~14のうちいずれか一項に記載の延伸方法。
【請求項19】
前記長手方向の拡張方向(21)に延びた、半仕上げ製品(40)から成る管(31)を生成、または加工するために、延伸機(11)及び/もしくは延伸方法に使用される延伸マンドレル(71)であって、
前記延伸マンドレル(71)はフライング延伸マンドレルであること、ならびに、センサ(80)が前記延伸マンドレル(71)に配置されること、ならびに/または、三次元空間におけるセンサ(80)の位置、及び/もしくは温度、及び/もしくは圧力、及び/もしくは加速度を、前記センサ(80)によって計測できること、を特徴とする、延伸マンドレル(71)。
【請求項20】
前記センサ(80)は、9軸位置センサを備えること、及び/または、前記センサ(80)は、オイラー座標における空間の位置を記録すること、を特徴とする、請求項1に記載の延伸機(11)、請求項9に記載の延伸方法、または請求項19に記載の延伸マンドレル。
【請求項21】
前記ワークピース(1)が、前記延伸マンドレル(71)または前記延伸リング(61)を通って移動した後に、その長手方向の拡張方向(21)で少なくとも2mを越えて延びることを特徴とする、請求項1~8のうちいずれか一項に記載の延伸機(11)、及び/または請求項9~18のうちいずれか一項に記載の延伸方法。
【請求項22】
前記ワークピース(1)は、好ましくは銅、アルミニウム、鉄、もしくは鋼鉄で作られた金属であることを特徴とする、請求項1~8のうちいずれか一項に記載の延伸機(11)、及び/または請求項9~17のうちいずれか一項に記載の延伸方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、延伸機、延伸方法、及び延伸マンドレルに関する。
【0002】
詳細には、本発明は、長手方向の拡張方向に延びた、半仕上げ製品から成る管を製造、または加工するための延伸機に関する。延伸機は、各場合において、管及び半仕上げ製品によって形成された中空のワークピースを、長手方向の拡張方向に沿って延伸するための延伸デバイスと、延伸リングと、延伸マンドレルと、を備える。延伸機は、ワークピースに作用して、ワークピースを形成し、その一方でワークピースは、延伸デバイスの制御下で、延伸マンドレルの周りで延伸リングを通して延伸される。さらに本発明は、長手方向の拡張方向に延びた、半仕上げ製品から成る管を製造、または加工するための延伸方法に関する。管及び半仕上げ製品によって形成された中空のワークピースは、延伸デバイスを用いて、長手方向の拡張方向に沿って延伸される。ワークピースは、延伸リング及び延伸マンドレルで作用されて形成し、その一方でワークピースは、延伸デバイスの制御下で、延伸マンドレルの周りで延伸リングを通して延伸される。同様に、本発明は、半仕上げ製品から長手方向の拡張方向に延びた管を、製造または加工するための延伸機、及び/または延伸方法に使用される延伸マンドレル、に関する。
【背景技術】
【0003】
このような延伸機、延伸方法、及び延伸マンドレルは、欧州特許出願公開第0780171号明細書で知られており、そこでは、ワークピースの外側周りに配置された誘導センサによって、及び/または、マンドレルを運ぶ制止ロッドの端部もしくはこのロッドのホルダにおける、少なくとも1つの歪みゲージによって、延伸システムの振動を計測及び監視する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0780171号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、形成プロセスを可能な限り最良の方法で監視できる、明記するタイプの方法及び装置を利用可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、独立請求項の特徴を有する方法、及び装置、ならびに延伸マンドレルによって実現される。別の有利な実施形態は、これらが単独でも適用可能である場合、以下の説明と同様に、従属請求項で確認される。
【0007】
延伸プロセスを可能な限り最良の方法で監視できる、延伸機を利用可能にするために、半仕上げ製品から成り、長手方向の拡張方向に延びた管を製造、または加工するための延伸機は、管及び半仕上げ製品によって形成された中空ワークピースを、長手方向の拡張方向に沿って延伸するための延伸デバイスと、延伸リングと、延伸マンドレルとを備え、延伸デバイスの制御下で、延伸マンドレルの周りで延伸リングを通して延伸させながら、延伸リング及び延伸マンドレルを用いてワークピースに作用してワークピースを形成する。この延伸機は、ワークピースの内側に配置された送信機と、ワークピースの外側に配置された受信機とを使用して、ワークピースの内部からデータを送信する装置を備え、この受信機及び送信機は、互いにワイヤレス通信できることを特徴とすることができる。
【0008】
さらに、形成プロセスを可能な限り最良の方法で監視できる、明記するタイプの装置を利用可能にするために、半仕上げ製品から成り、長手方向の拡張方向に延びた管の製造、または加工のための延伸機は、管及び半仕上げ製品によって形成された中空ワークピースを、長手方向の拡張方向に沿って延伸するための延伸デバイスと、延伸リングと、延伸マンドレルとを備え、延伸デバイスの制御下で、延伸マンドレルの周りで延伸リングを通して延伸させながら、延伸リング及び延伸マンドレルを用いてワークピースに作用してワークピースを形成する。延伸機は、三次元空間におけるセンサの位置、及び/または温度、及び/または圧力、及び/または加速を、延伸マンドレルに配置したセンサによって計測できることを特徴とすることができる。
【0009】
形成プロセスを可能な限り最良の方法で監視できる、明記する方法を利用可能にするために、半仕上げ製品から成り、長手方向の拡張方向に延びた管の製造、または加工のための延伸方法は、送信機がワークピースの内部に配置され、管及び半仕上げ製品によって形成された中空ワークピースが、延伸デバイスの制御下で、延伸デバイスを用いて長手方向の拡張方向に沿って延伸され、延伸マンドレルの周りで延伸リングを通して延伸されながら、延伸マンドレル及び延伸リングを用いてワークピースに作用してワークピースを形成する。送信機は、ワークピースから出たデータを備えた信号を、ワークピースの外側に配置された受信機に送信し、受信機及び送信機は、互いにワイヤレス通信することを特徴とすることができる。
【0010】
さらに、形成プロセスを可能な限り最良の方法で監視できる、明記するタイプの方法を利用可能にするために、半仕上げ製品から成り、長手方向の拡張方向に延びた管の製造、または加工のための方法は、管及び半仕上げ製品によって形成された中空ワークピースが、延伸デバイスを用いて長手方向の拡張方向に沿って延伸され、延伸デバイスの制御下で、延伸マンドレルの周りで延伸リングを通して延伸させながら、延伸マンドレル及び延伸リングを用いてワークピースに作用してワークピースを形成する。方法は、延伸マンドレルに配置されたセンサが、三次元空間におけるセンサの位置、及び/または温度、及び/または圧力、及び/または加速を計測することを特徴とすることができる。
【0011】
形成プロセスを可能な限り最良の方法で監視できる、明記するタイプの延伸マンドレルを利用可能にするために、長手方向の拡張方向に延びた半仕上げ製品から成る管の、製造もしくは加工のための、延伸機及び/または延伸方法で使用するための延伸マンドレルは、延伸マンドレルが浮遊式延伸マンドレルであること、及びセンサが延伸マンドレルに配置されること、を特徴とすることができる。
【0012】
さらに、形成プロセスを可能な限り最良の方法で監視できる、明記するタイプの延伸マンドレルを利用可能にするために、長手方向の拡張方向に延びた半仕上げ製品から成る管の、製造もしくは加工のための、延伸機及び/または延伸方法で使用するための延伸マンドレルは、三次元空間におけるセンサの位置、及び/または温度、及び/または圧力、及び/または加速を、センサによって計測できることを特徴とすることができる。
【0013】
延伸マンドレルにセンサが直接配置されない装置によって、延伸マンドレルの位置を純粋に監視または判断すること、換言すると外側から監視または判断することとは対照的に、延伸マンドレルの実際の特性を、対応したセンサによって、延伸マンドレル上のセンサで判断かつ監視することができる。これによって初めて、このように目的の方法で延伸プロセスに作用できるよう、延伸マンドレルを直接監視することを可能にする。
【0014】
センサは、例えば外側に配置された座標送信機など、ワークピースの外側に配置された構成要素と、必要に応じて相互作用もして、その計測を行なうことができることを、理解されたい。
【0015】
詳細には、送信機は、ワークピースの壁を貫通したデータを備えた信号を送信するよう、または送信できるよう、構成することができる。これは、例えばワークピースの壁を十分に貫通するのを可能にする、好適な送信周波数を選択することによって、成すことができる。
【0016】
他方で、対応した信号が、受信機によって受信できるようにワークピース端部に到達するまで、対応した信号を、ワークピースの長手方向の拡張方向に沿って送信できることも、理解されたい。ここでやはり、ワークピースに適合された好適な周波数を選択することは、有利になる場合がある。この周波数は、対応した中空体に沿って、可能な限り大きな振幅を伴って伝搬し、ワークピースの性質によって利用可能にされる。
【0017】
周波数の対応した選択は、この関連で、材料、壁厚、対応したワークピースの延長及び/または径に基づいて、容易に実行できる。なぜなら、この情報に基づいて、対応した信号が材料の中を通って貫入する深さ、及び/または周波数が中空体を進む性能は、公知であるか、または簡単な実験で判断することができるからである。
【0018】
しかし全体的に、送信機が、ワークピースの壁を貫通したデータを備えた信号を送信する場合、または送信できる場合、これが対応したワークピースの壁厚及びその材料のために可能である場合、特に有利であることが判明した。なぜなら、これは全体的に、送信機及び受信機の比較的簡単な構造を可能にするからである。
【0019】
したがって、受信機が、長手方向の拡張方向に対して送信機の軸方向の高さに配置された場合、特に有利である。これは、送信機と受信機との間の短い経路距離を可能にし、したがって信号強度についても有利である。この関連で、十分な信号強度の範囲内で、長手方向の拡張方向に対して垂直の、僅かに大きい送信機と受信機との間の距離を、確実に提供することができることを、理解されたい。さらに、長手方向の拡張方向において、ワークピースの径の3倍を越えない距離の場合において、十分な信号強度は、動作的に信頼できる方法で判別されるであろうこと、及びこのような距離をやはり「軸方向の高さ」として考慮できること、が想定できる。
【0020】
センサは、好ましくは送信機を有することを理解されたい。これは、センサが送信機に接続され、それは送信機がセンサの一部を成すことを意味するものと、理解されたい。詳細には、当然ながら、送信機または送信機の部品、及びセンサの他のモジュールが、構造的に1つのユニットの中に組み合わされたものと考えられ、例えばマイクロチップ上で確認できる。センサと送信機との間の、このような近い接続は、構造を簡略化し、かつ例えばセンサが送信機を直接アドレス指定または制御することを可能にする。
【0021】
好ましくは、送信機は電気送信機、または好ましくは電子送信機である。このように、例えば測定値記録器を使用して、センサによって記録された測定値を、容易に別の処理をするか、または容易に伝えることができる。さらに、このような実施形態は、対応した電気信号または電子信号が、比較的複雑ではない方法、かつ関連動作の信頼性を伴い、迅速に送信されるのを可能にする。
【0022】
センサは、測定値記録器を備えることができ、それは可能な測定値を検出することを、理解されたい。記録した測定値をさらに処理できるよう、これらの測定値を、電気送信機、または好ましくは電子送信機によって伝えることができる。例えば電子送信機によって測定値を伝えることは、考えられる最も大きい精度で、かつ損失の無い方法で、実行することができる。
【0023】
この代替または追加として、センサはマイクロ制御器も有することができ、それによって測定値または信号を、延伸マンドレル上で編集または処理することができる。したがって、例えば拡張されたデータ送信など、多くの計測誤差の源を、可能な限り最小に抑えることができる。対応した編集または処理は、必ずしもセンサ上または最終形態の延伸マンドレル上で実行する必要はなく、むしろ別の編集または処理ステップが、さらに続く場合があることを、理解されたい。
【0024】
このようにセンサは、任意の種類の計測値記録器に相当する場合がある。さらに、センサは、例えば計測値記録器、ならびに/または、例えばマイクロ制御器、もしくは信号編集、もしくは信号処理のための同様な機器などによる信号編集、及び/もしくは信号処理から成る、全体的装置を備えることができる。
【0025】
センサに連結された送信機は、ワークピース内に配置され、受信機はワークピースの外側に配置され、ここで受信機及び送信機は、互いにワイヤレス通信することが考えられる。送信機と受信機との間の有線通信は、干渉の影響を比較的受けない。なぜなら、送信機と受信機との間の直接的な継続接続が利用可能となり、それによって送信機と受信機との間の通信を実行できるからである。さらに、送信機と受信機との間の有線通信は、例えば送信機、またはセンサの他の機能でエネルギーが利用できるように、エネルギー供給の目的にも使用することができる。例えば、計測値記録器、マイクロ制御器、または延伸マンドレルに据えられた他のユニットなどに、エネルギーを供給できる。さらに、送信機と受信機との間の有線通信によって、インターフェースラインも可能であり、これによって様々な使用の可能性を保証する。
【0026】
この追加または代替として、受信機及び送信機は、特にワイヤレスで互いに通信することができる。これは、非常に長いワークピースの場合、またはワークピースの壁を貫通して提供された通信の場合において、特に有利である。なぜなら長いワイヤが必要ないからである。詳細には、延伸機が重機構造の一部である場合において、ワークピースは非常に長いので、送信機と受信機との間で、対応した長いワイヤを必要とし、このワイヤは装置によって不利となり得る。
【0027】
本事例において、半仕上げ製品または管であるワークピースは、詳細には中空体であることを理解されたい。この本体は、詳細には管、または半仕上げ製品に相当する場合がある。明記するタイプの延伸機、または明記するタイプの延伸方法は、上記の管を半仕上げ製品から製造または加工するのに役立つことができ、半仕上げ製品から成る管と、中空ワークピースの両方は、長手方向の拡張方向に沿って延びる。
【0028】
長手方向の拡張方向は、好ましくは管が延伸機によって製造されるか、または処理される方向でもある。したがって、長手方向の拡張方向は、同時に管、半仕上げ製品、または中空ワークピースの中心軸の方向とすることもできる。
【0029】
上記の説明のように、ワークピースを中空体とすることができるので、センサに連結された送信機は、好ましくはワークピース内に配置される。ここで、ワークピース内とは、本体もしくはワークピースの中空空間、半仕上げ製品の中空空間、または管の中空空間を意味する。そのため本体内を、ワークピースの中心軸と、対応した本体の内面との間に存在する空間、と定義することができる。
【0030】
ワークピースまたは管の内面は、ワークピースまたは管の中心軸方向に面した面であり、その一方でワークピースまたは管の外面は、内面の反対にある外側に面した面に相当することを、理解されたい。その性質により、管の外面は、同じ管の内面よりも大きい。
【0031】
したがって、ワークピースの外側は、ワークピースの外面において境を接する領域も表わす。
【0032】
送信機と受信機との間のワイヤレス通信が、電気的に、特に容量的に構成された場合、有利である。これは、電気的、特に容量的に励起される導電性ワークピースに特に有利であり、その時信号は、例えば内側のワークピース面から外側のワークピース面まで伝わることが、示されている。対応した電気信号は、次に受信機に、詳細には近接場またはワークピースを直接貫通して、伝えることができる。詳細には、容量性通信は、これに関して有利となる場合がある。センサと受信機との間のワイヤレス送信は、金属製ワークピースの場合はかなり困難であることが判っている。なぜなら、ワークピースの材料及び寸法、特にワークピースの厚さに依拠して、受信機によって信号を全く受信されない場合があるからである。当然ながらこれは、対応したワークピースの物理特性と、常に材料を貫通するとは限らない信号送信方法と、に起因する。
【0033】
追加または代替として、磁気、詳細には誘導性通信も提供することができる。ここでやはり、この通信形態を使用できるか否かは、径、材料、及び壁厚などの、ワークピースの具体的状況に最終的に依拠する。1に近い透磁率を有するワークピースの場合に、送信機と受信機との間の磁気通信、詳細には誘導性通信は有利となる場合がある。磁気信号または誘導性信号は、ワークピースの壁を貫通して、内側から外側に伝えることができる。ここでやはり、特に近接場の特性を、有利な方法で利用することができる。
【0034】
好ましくは、センサと受信機との間のワイヤレス通信を、電磁的に構成することもできる。これは、例えば中空体が信号を伝えるための中空導体として使用された場合、または電磁信号のワークピース材料の中への貫入深さが、必要な範囲までこの材料に貫入するのに十分である場合に、有利である。
【0035】
送信機が延伸マンドレルに配置された場合、有利である。このように、送信機はセンサに対して容易に位置付けることができ、データ接続または電気接続を、容易に実施することができる。
【0036】
明記するタイプの延伸機は、延伸リング及び延伸マンドレルを備えることができ、延伸マンドレル及び延伸リングを使用して、ワークピースを形成するようワークピースに作用することができる。これに関連して、延伸リングは、好ましくはワークピースの外側に配置され、延伸マンドレルは、ワークピース内に配置される。それによって、延伸リングは、主にワークピースの外側に直接接触することによってワークピースを形成するよう、ワークピースの外側に作用する。その一方で、延伸マンドレルは、主にワークピースの内側に直接接触することによって、ワークピースの内面でワークピースを形成するよう、ワークピースに適切に作用する。
【0037】
それによって、延伸マンドレルによってワークピースを形成することが、ワークピースの内部で実行されるため、かつ送信機をワークピースの内部に設置できるために、送信機を延伸マンドレルに配置することは有利であり、そのため送信機は、例えばワークピースの内部で実行される形成のために損傷を受けることがない。なぜなら送信機を、これに関連して延伸マンドレルの好適な位置に位置付けることができるからである。このように、送信機の効果的な位置付けを、データ接続または電気接続のために利用可能にできる。さらにこの方法によって、ワークピースの中に導入する必要がある別のモジュール、または分離したモジュールなしで行なうことが可能である。
【0038】
ワークピースを貫通した、送信機と受信機との間のデータ送信は、一般的に、損失のために困難を示す場合があるので、有利となる場合がある。すなわちこれは、作動能力を向上させることができるように、センサ、または特に送信機への、より大きいエネルギーが利用可能であるときに、反対に作用する場合がある。送信機の信号強度が大きくなるにつれ、ワークピースを貫通する信号は同様に大きくなる。このために、より大きいエネルギーを利用可能にするよう、センサまたは送信機は、特に電気エネルギーのための貯蔵ユニットを備えることができる。
【0039】
好ましくは、貯蔵ユニットは、バッテリまたは再充電可能バッテリとして構成される。なぜなら貯蔵ユニットは、必要に応じて全ての形成処理後に再充電することができ、そのため可能であれば、センサまたは送信機の最大信号強度が常に利用可能にでき、それによって、全体の計測品質を向上させることができるからである。
【0040】
形成プロセスを可能な最良の方法で監視できる、明記する方法及び装置、ならびに延伸マンドレルを利用可能にするために、長手方向の拡張方向に延びた中空ワークピースの内部からデータを送信するため、特に延伸機でも使用するための装置は、ワークピースの壁を貫通したデータを備えた信号を送信できる送信機が、ワークピースの内部に設けられること、及び受信機が、好ましくは長手方向の拡張方向に対して送信機の軸方向の高さにおいて、ワークピースの外側に設けられること、ならびに受信機と送信機とは、互いに対してワイヤレス通信できること、を特徴とすることができる。上述の有利な実施形態によって、有利な通信が、特に非常に長いワークピースの場合、及びワークピースの壁を貫通した通信の場合に、利用可能にすることができる。なぜなら、長いワイヤまたは長い信号経路が必要ないからである。ワイヤは、送信機から、既に形成されたワークピースの全長を通して導く必要があるので、非常に長いワークピースの場合、ワークピースの外側に据えられた受信機までの全てで、このワイヤは不都合なほど長く構成する必要がある。
【0041】
延伸機は、延伸するための延伸デバイスを備え、それを介してワークピースも、延伸マンドレルの周りで延伸リングを通して延伸される。延伸マンドレル及び延伸リングは、ワークピースに作用してワークピースを形成する。延伸機の延伸デバイスが、管及び半仕上げ製品で形成された中空ワークピースを延伸する延伸方向は、好ましくは、長手方向の拡張方向と同じであり、好ましくはワークピースの中心軸の方向と同じとすることができる。
【0042】
受信機を、長手方向の拡張方向で、送信機の軸方向の高さに設置することができる。なぜなら、送信機による物理的送信方法に基づき、一般的に最も強い信号をこのように受信機で受信することができるからである。計測値の最も可能な送信を、この方法で利用可能にすることができる。既に上記で説明したように、ワークピースの径の3倍を越えない距離の場合において、十分な信号強度が、動作的に信頼できる方法で判別されるであろうこと、及びこのような距離を、やはり「軸方向の高さ」に据えられるものと考慮できること、が想定できる。
【0043】
送信機が、例えば誘導送信を可能にするように、送信コイルを備えた場合、有利である。誘導送信は、電磁信号を、送信コイルによってワークピースの内部から外側へ発することができるよう、特に1に近い透磁率を有する金属材料から成るワークピースの場合、非常に有利であることが判っている。
【0044】
磁気的または誘導的に作動する送信/受信の対を伴う対応した通信を可能にするために、受信機は、ワークピースを囲んだ受信コイルを備えることができる。したがって受信コイルを、誘導信号の送信の場合に、送信機と受信機との間の最適な配置を可能にするよう、長手方向の拡張方向で送信コイルの軸方向の高さに配置することができる。例として言及した上記の配置の場合、送信機と受信機との間の距離は、可能な限り小さい。すなわち送信機によって生成されたビーム方向を、考えられる最良の方法で、受信コイルによって受信できる。
【0045】
受信機が、信号増幅またはノイズ発生防止の簡単な実施を可能にできる受信機を備えた場合、有利である。大きい損失が、中空体の壁のため、かつ詳細には延伸中の干渉のために自然に発生する場合があるので、さらなる処理のために信号を増幅すること、ならびにノイズ及び/または干渉を、抑制もしくはフィルタで除去すること、が必要となる場合がある。ワークピースの特性及びワークピースの寸法に依拠して、信号の数パーセント、またはさらには数パーミリだけ、中空体の壁を貫通して中空体の外側に到達でできるので、受信した信号の可能な最大の増幅は、有利となる場合がある。
【0046】
この代替または追加として、受信機は、対応した信号を編集または処理できるように、マイクロ制御器を備えることができる。好ましくは、データの評価を、マイクロ制御器によって直接実行することもできる。
【0047】
ワークピースの内部及び延伸マンドレルの両方における、様々な物理特性を、延伸プロセスの対象とすることができる。なぜならこれらは、延伸の挙動、またはワークピースの挙動、もしくは延伸マンドレルの挙動に直接影響を及ぼす場合があるからである。このため、様々な物理特性も重要となる場合がある。例えば、ワークピースの内部、したがって延伸マンドレルにおける直接的な物理特性は、それに応じて計測できるように、延伸の挙動のために重要となる場合がある。
【0048】
実施形態における、送信機と受信機との間の、比較的ノイズ耐性のあるデータ送信を利用可能にするために、送信機をワークピース内に配置することができ、それによってデータを、ワークピースの外側に配置された受信機に有線で送信する。追加として、送信機または受信機に、有線接続によってエネルギーを供給することもできる。例えば、連続したインターフェースラインも可能である。
【0049】
この代替または追加として、既に上記で説明したように、ワークピース内に配置された送信機は、ワークピースの外側に配置された受信機に、データをワイヤレス送信できる。これは、非常に長いワークピースの場合に利点を有する。データの送信は、ワークピースの壁を貫通して実行できるので、既に形成したワークピースの全長を通した、送信機と受信機との間の長いワイヤは、必要ない。
【0050】
好ましくは、データは、送信機と受信機とに間で電気的に、詳細には容量的に送信される。例えば対応した実験で示されたように、容量性送信は、容量的に励起され、次に信号を内部のワークピース面から外部のワークピース面に伝える導電性ワークピースに、特に有利であると思われる。
【0051】
データは、送信機と受信機との間で、磁気的、詳細には誘導的に送信されることも考えられる。これは、1に近い透磁率を有するワークピースには特に有利であり、それによって磁気信号または誘導性信号を、ワークピースの壁を内側から外側へ貫通させることができる。
【0052】
さらに、例えば中空ワークピースが、信号を伝えるための中空導体として利用される場合に、データを、送信機と受信機との間で電磁的に送信することができ、それは電磁的に効果的なデータ送信を可能にする。
【0053】
計測値または信号の編集もしくは処理を、延伸マンドレルにおいて直ぐに利用可能にするために、延伸マンドレルに配置されたマイクロ制御器は、センサのデータをさらに処理することができる。さらなる直接的な処理によって、考えられる信号損失または計測の不正確性を、最小に抑えることができる。なぜなら、直接計測され、かつほとんど損失の無い信号は、センサにおいてさらに直接処理されるからである。
【0054】
形成プロセスを可能な最良の方法で監視できる、明記するタイプの方法及び装置、ならびに延伸マンドレルを利用可能にするために、長手方向の拡張方向に延びた中空ワークピースの内部からデータを送信するための方法は、送信機がワークピースの内部に配置され、データを備えた信号を、ワークピースの壁を貫通して送信し、好ましくは受信機は、長手方向の拡張方向に対して送信機の軸方向の高さで、ワークピースの外側に配置され、受信機及び送信機は、互いにワイヤレス通信することを、特徴とすることができる。送信機と受信機との間の、このワイヤレス通信は、ワークピースの壁を貫通する送信において、特に非常に長いワークピースの場合、有利である。なぜなら送信機は、データを、長いワイヤを介して受信機まで遠くへ送信する必要がないからである。
【0055】
データが、送信コイルのよって送信される場合、有利である。それは当然ながら、その性質から誘導送信を可能にできる。データの誘導送信は、磁気信号を外部へ発するよう、特に金属材料から成り、かつ1に近い透磁率を有するワークピースを用いると有利である。
【0056】
データが、管を囲んだ受信機の受信コイルによって受信される場合、有利である。なぜなら、特にこれは磁気的または誘導的に作動する送信機/受信機の対を用いた、対応した通信を可能にするためである。受信コイルを、送信コイルの磁力線が、可能な最良のデータ送信を利用できるように、可能な最良の方法で、受信コイルによって受信することができるように、送信コイルの反対側に配置することができる。
【0057】
中空体の壁を貫通する信号損失は、自然に発生するので、受信機は、信号損失を補えるように、送信機によって送信された信号を増幅することができる。このように、元々の強度の数パーセントまたは数パーミリまで弱められた信号でさえ、信号をさらに処理して評価できるよう、十分に増幅することができる。
【0058】
受信機によって受信されたデータも、信号増幅またはノイズ抑制の容易な実施を可能にするよう、受信機の受信機として送信することができる。なぜなら妥当な場合、大きい損失は、中空体の壁によって発生する場合があるからである。
【0059】
この代替または追加として、受信機によって受信されたデータを、マイクロ制御器によってさらに処理することができ、それによって対応した信号の処理またはデータの評価を、直接実行できる。
【0060】
妥当な場合、例えばセンサを、その感度の点で特定の状況に適合するよう、または、他の信号を延伸マンドレル、送信機、もしくはセンサに送信できるよう、信号を外側からワークピースの内部の中に送信することもできることを、理解されたい。したがって、追加の送信機または受信機を、外側または内部に設けることもできる。または、上述の送信機もしくは受信機を、受信機もしくは送信機として構成することもできる。
【0061】
内部に導かれた信号を、内部に設けられた送信機または内部に設けられたセンサにエネルギーを供給するよう、エネルギー担体としても使用することができる。
【0062】
半仕上げ製品は、好ましくは長手方向の拡張方向に延びた中空体である。
【0063】
詳細には、半仕上げ製品もしくは管、またはワークピースを、金属製とすることができる。
【0064】
センサは、送信機、マイクロ制御器、及び/またはメモリを備えることができ、そのため好ましくは独立して作動する。
【0065】
センサによって計測できる物理特性は、かなり変化する場合がある。
【0066】
好ましくは、三次元空間におけるセンサの位置を、センサによって計測することができる。すなわち、センサによって、三次元空間におけるセンサの位置を計測することが可能である。次に、延伸マンドレルの位置を、これによって追尾する。具体的な実施に依拠して、静止位置、相対位置、または外側から画定された座標系における位置を、例えば電界、磁界、または電磁場によって、計測することができる。しかしここでは、位置を計測するための、全ての公知の計測が、基本的に考えられる
【0067】
詳細には、センサは、9軸位置センサを備えることができ、それは当然ながら、非常に正確な位置情報を与える。
【0068】
この追加または代替として、センサは、オイラー座標で空間位置を記録することができる。それは、特に好適な較正後、十分に正確な計測が可能であるという利点を有する。なぜなら、このような延伸マンドレルは当初、形成プロセス中に、任意の過度に大きい位置変化を経験しないためである。
【0069】
温度、圧力、及び/もしくは加速度を、センサによって計測できること、またはセンサが温度、圧力、及び/もしくは加速度を計測することも、考えられる。同様にこれらのデータから、形成プロセスに関する重要なデータを、中空体の内部から、または延伸マンドレル自体から得ることができる。これらのデータは、現在までアクセス可能ではなかった。
【0070】
全ての物理特性は、延伸プロセスのための重要な情報をもたらす。なぜなら、材料の挙動も、例えば温度、圧力、及び/または加速度などの物理特性が変化する際に変化し、そのため必要に応じて、延伸プロセスを規制するよう、延伸プロセスに適切に介入することができる。詳細には、延伸マンドレルの所与の位置に関して、延伸の挙動に関して結果を引き出すことが可能である。
【0071】
全ての計測された物理特性を、延伸の挙動についての重要なデータを得るよう、互いに関連させることも可能であることを、理解されたい。例えば、温度上昇を、圧力の変化のために変化する加速度に関連させること、などができるように、変化する加速度に関連させることができる。計測データから得られる、物理特性の関係性は、当業者の一般的な適用分野内に存在する。しかし、現在まで、明記するタイプの延伸機の場合、簡単にこれらのデータを得ることは、可能ではなかった、
【0072】
好ましくは、ワークピースは、延伸マンドレルまたは延伸リングを、長手方向の拡張方向に少なくとも2メートルより長く通り過ぎた後、延びる。本発明は、位置の情報、または内部から、詳細には延伸マンドレルの近傍からの、他の物理データに関する情報を得て、それらを外側に伝えることが非常に困難である長い中空体に、特に好適である。
【0073】
ワークピースは、好ましくは金属製、好ましくは銅、アルミニウム、鉄、または鋼鉄で作られる。本発明は、位置の情報、または内部から、詳細には延伸マンドレルの近傍における他の物理データに関する情報、を得ることが非常に困難である、特に非常に長い金属の中空体に、特に好適である。
【0074】
延伸マンドレルが延伸プロセス中に意図された位置を有するか否か、または延伸マンドレルが、例えば変化する物理特性に基づいて逸脱が大きくなるか否か、を確認するよう、延伸マンドレルの位置を計測することは、非常に有利であり、それによって、プロセスを規制するための、プロセスにおける可能な介入を、可能な最も早い時点において成すことができる。
【0075】
この場合において、管は、好ましくは細長い中空体であり、その長さは一般的に径よりも大幅に大きい。管が比較的非可撓性の材料から生成された場合、有利である。一般的に、管は円形断面を有し、それは最も一般的な適用事例のための最適な構造を表わす。向上した剛性を有する静的要素として使用するために、管を、矩形、長円形、及び他の断面で生成することもできることも考えられる。好ましくは、管を、例えば液体、ガス、または流れることが可能な固形物のための、パイプラインの搬送経路として使用することができる。管を、例えば軸またはシャフトなどの、機械工学における設計要素として使用することもできる。例えば格子フレームの形態、例えば衝撃吸収材など様々な半仕上げ製品、または空圧管送達システムの搬送経路など、静的要素としての使用も考えられる。管の最適な使用範囲を、断面、材料、表面性状、径、及び圧力レベルなど、その特性に基づいて判断することができる。
【0076】
一般的に、準備材料、詳細には半仕上げ管材料及びワークピース、または最も単純な形態を有する半仕上げ製品は、半仕上げ製品と呼ぶことができる。半仕上げ製品は、好ましくは、及び一般的には、基本的な外形にされただけの単一材料から構成することができる。例えば、金属、プラスチック、または木材で作られた、単純な異形材、ロッド、管、及びプレートを、半仕上げ製品と呼ぶことができる。
【0077】
ワークピースも、準備的な生成ステップにおける個々の形状が既に与えられている場合があり、さらなる生成ステップが、さらに提供される。この場合、ワークピースも半加工品と呼ぶことができる。
【0078】
延伸機も含んだ生成技術において、金属材料は、一般的に半仕上げ製品として供給される。
【0079】
特に金属の半仕上げ製品は、好ましくは鋳造または同様の成形方法によって直接作り出されず、むしろ第2のステップにおいて、切りくず除去加工などの、再形成または切断方法によって作り出される。その後、半仕上げ製品を、最終製品に生成するか、または別の半製造製品を初めに生成するか、のいずれかで、さらに加工することができる。
【0080】
バルク生材料などの生材料、粒、粉末、液体、またはガスは、半仕上げ製品に含まれない。なぜなら、それらは半仕上げ製品とは対照的に、外形的に決められた固形物ではないので、製品の「半仕上げ」は未だ実行されていないからである。直ぐに使用できる構成要素、直ぐに使用できる構造要素、直ぐに使用できるブロック、及びモジュールも、半仕上げ製品に含まれない。なぜなら、これらは元々の形状で多くの範囲に使用されるからである。
【0081】
半仕上げ製品を、効率的かつ有利なコストの製造における重要な要素として生成することができ、それらを「半仕上げ材料」と呼ぶことができる。それらは、生成される製品に、形状及び寸法の点で可能な限り最適に対応するよう、一般的に設計される。好ましくは、材質及び表面性状は、特定の使用目的、及び例えば延伸方法などの生成方法に最適化される。
【0082】
延伸機の延伸デバイスは、ワークピースを長手方向の拡張方向に沿って、延伸マンドレルの周りで延伸リングを通して延伸させるために必要である。延伸デバイスは、その性質により、ワークピースを延伸させるが、前方へ駆動しない。この場合延伸デバイスは、好ましくは延伸マンドレルまたは延伸リングの背後に位置される。延伸デバイスは、ワークピースに係合する。換言すると、既に形成されたワークピースに係合する。延伸デバイスを、例えば無限軌道、延伸シリンダ、または延伸キャリッジ機として、構成することができる。
【0083】
延伸マンドレルは、好ましくは耐摩耗で硬い材料から形成され、それはさらに、例えば円形断面を有する。延伸マンドレルの断面は、好ましくは半仕上げ製品または形成された管の断面に対応することができる。したがって例えば、長円形断面を有する延伸マンドレルを、長円形の管に利用することもできる。
【0084】
したがって延伸リングも、円形の管を生成するために、円形の半仕上げ製品を形成できるよう、好ましくは円形内面を有することができる。延伸マンドレルの断面を形成することは、長円形、矩形、またはいくつかの他の方法でも構成されることが、考えられる。延伸マンドレルの断面形状は、必ずしも延伸リングの内面の断面形状と一致させる必要はないことを、理解されたい。しかし一般的に、半仕上げ製品の動作的に信頼できる形成を実現するよう、類似の断面形状の延伸マンドレル及び延伸リングが使用される。
【0085】
延伸機は、半仕上げ製品から、長手方向の拡張方向に延びた管の生成または加工に役立つことができ、延伸機によって使用される延伸方法も、貫通延伸と呼ぶことができる。これは生成方法であり、DIN8584に従った引張圧縮形成の一部である。
【0086】
例えば、延伸機を、ワイヤを延伸させるために使用することができる。押出し工法及びその後の圧延によって生成された、初めのワイヤは、延伸リングを通して延伸される。さらに、特に銅管の生成は、延伸機によって可能であり、初めの管は、例えば押出しによって生成される。
【0087】
管を延伸させる間、本発明の目的でもあるが、例えば延伸マンドレルまたはマンドレルと呼ばれる、管に据えられたツールは、画定された壁厚を実現するよう、延伸リング、またはダイとも呼ばれるものと共に使用される。長い管の場合、特にこれらが直線で延伸されない場合、延伸マンドレルを「フライング」式で誘導することも考えられる。
【0088】
具体的な実施形態に依拠して、延伸マンドレルの外径を、延伸リングの径よりも僅かに大きくすることができる。
【0089】
延伸マンドレルを、延伸プロセス中、詳細には延伸リングの前で、所定の位置に固定することができる。断面が減少される管は、延伸リングと延伸マンドレルとの間を通って「流れる」。
【0090】
鋼管、ならびに鉄鋼及び銅から成る異形材の場合、延伸は、高いレベルの寸法的安定性または円滑な表面を実現するために、主に最終処置として役立つことができる。
【0091】
基本的に、延伸機の様々な構造形態を区別することができる。ドラム延伸機は、好ましくは、例えば小さい径を有するワイヤ、管などの、大きい長さを有する小さい材料寸法を加工するのに役立つ。ここで力の導入は、ドラムによって実行でき、その周りで材料撚り線はダイの後で巻かれる。さらに、延伸機を、引通し延伸ベンチとしても構成でき、それは比較的短い管、詳細には約30メートルまで、または大きい径を有する異形材及び管などの大きい断面を、生成及び加工するために、有利に使用される。これに関して、1つまたは複数の同じタイプのワークピースも、ダイを通して延伸させることができ、ここで力の導入は、始まりのワークピースで実行される。
【0092】
基本的にワークピースの大きい長さ範囲に好適である、連続延伸機としての延伸機の設計も考えられる。好ましくは、これらは、中間または小さい径、ならびに中間の長さを有する管に使用される。これらの所謂連続機械を機能させる方法は、複数の締付デバイスが、少なくとも1つの締付デバイスが常にワークピースに係合するような方法に従って、材料を延伸させるよう動かすことに基づく。有利な実施形態は、例えば延伸キャリッジの形態の、特別な連動ロールによって制御された、2つの締付デバイスを提供する。他の有利な実施形態は、互いに対して取り付けられ、かつ同期して進む2本のチェーンに取り付けられた、締付顎部を有する。
【0093】
延伸中の断面減少、及びそれによる延伸プレートの径が、材料の引張強度または降伏強度が延伸力によって超過されないように寸法が決められる場合、有利である。特にこの理由のために、延伸プロセスを複数のステップで実行することもできる。鋼材及び黄鋼材の冷間圧延中に、軟化アニールまたはパテンティングが、ステップ間に必要であることが考えられる。これは銅材では必要としない場合がある。
【0094】
この方法で利用可能にされるデータ及び情報を、特に規制もしくは装置、または対応したプロセス管理のためにも、役立つ場合がある。
【0095】
上記の説明及び特許請求の範囲における解決策の特徴を、追加的な利点を実施できるよう、適用できる場合は組み合わせることもできることを、理解されたい。
【0096】
本発明の別の利点、目標、及び特性を、添付の図面にも詳細に示された例示的実施形態の、以下の記載によって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0097】
図1】延伸機の概略図である。
図2図1による延伸機の概略上面図である。
図3図1及び図2による配置の延伸リング及び延伸マンドレルを拡大して示す、概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0098】
図1図3に示されるように、第1の実施形態において、延伸機11は、延伸デバイス51、延伸リング61、延伸マンドレル71、ならびにデータを送信するための装置90、を備える。
【0099】
ワークピース1は、延伸デバイス51に係合しており、作動方向24で見た延伸デバイス51は、延伸リング61及び延伸マンドレル71の背後に据えられるか、または配置される。ワークピース1は、作動方向24と同じように方向付けられた、長手方向の拡張方向21に沿って延びる。
【0100】
ワークピース1は、管41として構成された半仕上げ製品40として自らを提示する。
【0101】
ワークピース1は、壁39を伴って構成される。
【0102】
さらにワークピース1は、内部22ならびに外部23を有する。
【0103】
追加として、作動方向24で見たワークピース1は、中空体30または管31として、延伸リング61または延伸マンドレル71の背後にある。このように延伸デバイス51は、管31に、すなわちその上に係合する。
【0104】
延伸マンドレル71は、ワークピース1の内部22に配置され、その一方で延伸リング61は、ワークピースの外部23に配置される。延伸マンドレル71及び延伸リング61は各々ワークピース1の壁39に接触する。
【0105】
説明する実施形態において、センサ80は、延伸マンドレル71に配置され、センサは、作動方向24で見ると、この例示的実施形態では延伸マンドレル71の前に配置され、そのためセンサは、作動方向24で見るとワークピース1の非形成領域で延伸リング61の前に据えられる。
【0106】
図1図3による、この例示的実施形態のセンサ80は、マイクロ制御器81及びメモリ82と共に作動し、それによって比較的自主的に作動することができる。
【0107】
詳細には、マイクロ制御器81及び/またはメモリ82を、センサ80または送信機91に設けることもできる。同様に、送信機91及びセンサ80が、構造ユニットを形成することが考えられる。
【0108】
データを送信するための装置90は、送信機91ならびに受信機92を備える。この例示的実施形態において、送信機91は、送信コイル93として構成される。受信機92は、受信コイル94として構成される。別の実施形態において、ここでは他の構成も可能であることを、理解されたい。
【0109】
受信コイル94は、電線97によって、受信機96及びマイクロ制御器95と接続される。マイクロ制御器95は、受信機96の後で切り替えられる。この例示的実施形態において、受信機96は信号増幅に役立ち、その一方でマイクロ制御器95による評価を実行する。別の実施形態において、ここでは他の構成も可能であることを、理解されたい。
【0110】
受信コイルは、長手方向の拡張方向21において、送信コイル93の軸方向の高さに配置される。
【0111】
送信コイル93は、電線97によってセンサ80と接続される。
【0112】
延伸マンドレル71は、円形断面を有する。
【0113】
延伸デバイス51は、長手方向の拡張方向21にワークピース1を延伸し、それによって作動方向24にワークピースを前進させる。延伸デバイス51は、無限軌道として構成され、ワークピース1に係合し、ワークピース1を、延伸リング61を通して延伸マンドレル71の上で延伸する。その結果、延伸リング61または延伸マンドレル71は、半仕上げ製品40に作用して、半仕上げ製品40を形成する。別の実施形態において、例えばキャリッジ延伸機またはドラム延伸機など、他の延伸デバイス51も、これに関して使用することができることを、理解されたい。
【0114】
延伸リング61は、半仕上げ製品40に作用して、半仕上げ製品40を形成し、形成された中空体30の外形を定めることで、管31の内径を定める。
【0115】
延伸マンドレル71は、その外径によって、半仕上げ製品40から形成された管31の内径を定める。ワークピースの壁39は、延伸リング61の内径と、延伸マンドレル71の外径との間の差異によって定められる。
【0116】
延伸マンドレル71に配置されたセンサ80は、特に延伸プロセス中に中断することなく、物理特性を検出する。このような特性は、例えば温度、圧力、加速度、及び/またはセンサ80の正確な位置、とすることができる。センサ80が延伸マンドレル71に配置されること、換言すると延伸マンドレル71に直接接続されるか、または取り付けられて、延伸マンドレル71の正確な寸法が公知であることのため、延伸マンドレル71全体の正確な位置を、十分に判断することができる。
【0117】
センサ80がワークピース1の内部22に配置されるので、センサ80は、ワークピースの内部22における物理特性も計測する。
【0118】
センサ80が記録する計測データは、マイクロ制御器81に伝えられ、マイクロ制御器81によってさらに直接処理される。さらに、メモリ82はセンサ80にエネルギーを供給し、それによってセンサ80には、計測プロセスのためのエネルギーが供給される。その後計測データは、センサ80から送信コイル93に送信される。送信コイル93は、電線97によって、やはりワークピース1の内部22において直近に据えられる。メモリ82のエネルギーも、送信コイル93の中に入り、それによって送信コイル93は信号を送信することができる。
【0119】
送信コイル93は、長手方向の拡張方向21の周りを径方向に、すなわちワークピース1または半仕上げ製品40と同軸に配置される。
【0120】
この例示的実施形態において、計測データは送信コイル93によって受信コイル94に誘導的に送信され、磁界が自然に発生する。
【0121】
他の例示的実施形態において、容量または電磁の組み合わせなど、他の送信機/受信機の組み合わせが、代替または追加として提供され得ることを、理解されたい。
【0122】
受信コイル94は、送信コイル93から計測データを受信し、それらを、受信した信号を増幅する役割を有する受信機96に伝える。なぜなら、信号損失が、ワークピース1の壁39を貫通した送信のために発生するからである。受信機96によって再び増幅された信号は、計測データをさらに処理するマイクロ制御器95に伝えられる。
【0123】
データを送信するための装置90を、配線で接続して構成することができることも考えられ、その時は、送信機91と受信機92との間の配線接続を利用可能にしなければならない。
【0124】
送信機91から受信機92への送信を、電気的に実行することも考えられ、これは容量装置によって実施されなければならない。
【0125】
別の可能な実施形態において、送信機91と受信機92との間の送信を電磁的に実行でき、例えば中空ワークピースが、信号を伝えるための中空導体として使用される。
【0126】
次に計測データを、例えば品質制御、または延伸プロセスの制御もしくは規制にも使用することができる。
【符号の説明】
【0127】
1 ワークピース
11 延伸機
21 長手方向の拡張方向
22 ワークピース1の内部
23 ワークピース1の外部
24 作動方向
30 中空体
31 管
39 ワークピース1の壁
40 半仕上げ製品
41 管
51 延伸デバイス
61 延伸リング
71 延伸マンドレル
80 センサ
81 マイクロ制御器
82 メモリ
90 データを送信するための装置
91 送信機
92 受信機
93 送信コイル
94 受信コイル
95 マイクロ制御器
96 受信機
97 電線
図1
図2
図3
【国際調査報告】