(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(54)【発明の名称】安定化された対象となるタンパク質
(51)【国際特許分類】
C12N 9/36 20060101AFI20230424BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230424BHJP
A61K 38/43 20060101ALI20230424BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20230424BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20230424BHJP
A61K 38/47 20060101ALI20230424BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230424BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20230424BHJP
C12N 9/48 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
C12N9/36
A61P17/00
A61K38/43
A61K9/06
A61K47/46
A61K38/47
A61P31/04
A61K9/19
C12N9/48 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555848
(86)(22)【出願日】2021-03-18
(85)【翻訳文提出日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 EP2021056910
(87)【国際公開番号】W WO2021185948
(87)【国際公開日】2021-09-23
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513277337
【氏名又は名称】マイクレオス ヒューマン ヘルス ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】Micreos Human Health B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】アイヘンゼーハー, フリッツ
【テーマコード(参考)】
4B050
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4B050CC07
4B050DD01
4B050HH02
4B050KK03
4B050KK20
4B050LL01
4C076AA08
4C076BB31
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4C076CC31
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4C084NA03
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZB351
4C084ZB352
4C084ZC021
4C084ZC022
(57)【要約】
本発明は、医学の分野に関し、詳細には、悪性状態の急増を悪化及び/又は誘発する細菌による感染に伴う悪性状態の治療の分野に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象となるタンパク質を安定化させるための方法であって、前記タンパク質を穀物ミール又はそのバリアントと接触させるステップを含む、方法。
【請求項2】
対象となるタンパク質及び穀物ミール又はそのバリアントを含む、非水性組成物。
【請求項3】
対象となる前記タンパク質が酵素である、請求項1に記載の方法又は請求項2に記載の非水性組成物。
【請求項4】
前記酵素がエンドリシンである、請求項3に記載の方法又は請求項3に記載の非水性組成物。
【請求項5】
前記エンドリシンが、ブドウ球菌、好ましくは黄色ブドウ球菌に特異的である、請求項4に記載の方法又は請求項4に記載の非水性組成物。
【請求項6】
前記穀物ミール又はそのバリアントが、重量で、約50%~約85%(オートムギ66%)の炭水化物、約10~約25%(オートムギ17%)のタンパク質、約0%~約12%(オートムギ7%)の脂質、約0%~約10%(オートムギ5%)のβ-グルカン、及び約0%~約15%(オートムギ11%)の繊維を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法又は請求項1~5のいずれか一項に記載の非水性組成物。
【請求項7】
穀物が、トウモロコシ、コメ、コムギ、オオムギ、ソルガム、キビ、オートムギ、ライムギ、ライコムギ、キノア、スペルト、及びフォニオからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法又は請求項1~6のいずれか一項に記載の非水性組成物。
【請求項8】
前記穀物ミールが、オートミール、好ましくはコロイドオートミール、より好ましくはオートコム(商標)、オートシルク(商標)、又はデルミヴェイル(商標)である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法又は請求項1~7のいずれか一項に記載の非水性組成物。
【請求項9】
対象となる前記タンパク質及び前記穀物ミール又はそのバリアントが、水性液体において混合され、続いて混合物が凍結乾燥される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法又は請求項1~8のいずれか一項に記載の非水性組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法によって得ることが可能であるか、又は得られる、安定化されたタンパク質。
【請求項11】
請求項10に記載の安定化されたタンパク質を含む、非水性組成物。
【請求項12】
前記組成物がクリームである、請求項1~9、11のいずれか一項に記載の非水性組成物。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の非水性組成物を、必要とする対象に投与することを含む、アトピー性皮膚炎を治療する方法。
【請求項14】
対象となるタンパク質を安定化させるための、請求項1~8のいずれか一項に規定される穀物ミール又はそのバリアントの使用。
【請求項15】
穀物ミール、好ましくはオートミール、より好ましくはコロイドオートミール、さらにより好ましくはオートコム(商標)、オートシルク(商標)、又はデルミヴェイル(商標)、及び
酵素活性を有する抗細菌ポリペプチド
を含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、分子生物学の分野、詳細には、酵素の分野に関する。
【発明の背景】
【0002】
湿疹としても知られる皮膚炎は、皮膚の炎症を引き起こす疾患群である(Nedorostら、2012)。これらの疾患は、痒み、皮膚の発赤、及び発疹によって特徴付けられる。短期間の場合、小さな水ぶくれが生じ得るが、長期の場合、皮膚は厚くなり得る。関わる皮膚の領域は、小領域から全身に至るまで変化し得る(Handout on Health:Atopic Dermatitis(A type of eczema).NIAMS.May 2013)。皮膚炎は、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、刺激性接触皮膚炎、及びうっ血性皮膚炎を含む一群の皮膚状態である。皮膚炎の正確な原因は、多くの場合、不明である。刺激、アレルギー、及び静脈還流不良の組合せが含まれる場合がある。皮膚炎の種類は、一般に、その人の病歴及び発疹箇所によって決定される。例えば、刺激性皮膚炎は、多くの場合、手を頻繁に濡らす人の手において生じる。アレルギー性接触皮膚炎は、アレルゲンに曝されると生じ、皮膚に過敏性反応を引き起こす。アトピー性皮膚炎の先行技術の治療には、典型的には、保湿剤及びステロイドクリームが用いられている(McAleerら、2012)。ステロイドクリームは、一般に、中強度から高強度であり、副作用が生じる可能性があるため、2週間未満に1回使用されることが好ましい(Habifら、2015)。皮膚感染の徴候がある場合、典型的には、抗生物質が使用される。接触皮膚炎は、典型的には、アレルゲン又は刺激物を避けることによって治療される(Mowadら、2016;Larutiら、2015)。抗ヒスタミン薬は、睡眠を補助し、夜間の引っかき傷を減少させるのに役立ち得る。皮膚炎の症状は、異なる形態の状態に応じて変わり得る。これらの症状は、皮膚の発疹から、でこぼこした発疹又は水ぶくれにまで及ぶ。皮膚炎の種類ごとに症状は異なり得るものの、皮膚の発赤、腫れ、痒み、並びに滲み出し及び瘢痕を伴うことがある皮膚病変を含む、皮膚炎すべてに共通する特定の兆候がある。また、症状が現れる皮膚の領域は、首、手首、前腕、大腿、又は足首にあろうと、皮膚炎の種類ごとに異なる傾向がある。箇所は変わり得るが、この状態の主な症状は皮膚の痒みである。
【0003】
アトピー性皮膚炎の症状は人によって様々であるものの、最も一般的な症状は、皮膚の乾燥、痒み、及び発赤である。影響を受ける典型的な皮膚領域としては、腕の窪み、膝の裏側、手首、顔、及び手が挙げられる。皮膚炎は、2015年に世界で2億4500万人が患っていると推定された(Lancet.388(10053):1545~1602)。アトピー性皮膚炎は、最もよく見られる種類であり、一般に小児期に発症する。米国では、約10~30%の人がアトピー性皮膚炎を患っている。
【0004】
最近では、細菌細胞を特異的に標的とする第2の化合物と組み合わせて抗炎症性の第1の化合物を使用する皮膚炎の新規の併用治療であって、該第2の化合物が、好ましくは、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を特異的に標的とする(キメラ)バクテリオファージエンドリシンである、併用治療(参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2015005787号)。
【0005】
オートムギも、少なくとも症状を緩和するために、皮膚炎の治療に使用されている。オートムギ(アベナ・サティバ(Avena sativa))は、青銅器時代から栽培されており、何世紀にもわたって伝統医学で使用されてきた。局所治療として、コロイドオートミールは、皮膚軟化及び抗炎症特性があり、一般に、皮膚の発疹、紅斑、火傷、痒み、及び湿疹に使用されている。
【0006】
湿疹の治療法はない。局所コルチコステロイドの長期使用は、副作用のリスクを高めると考えられており、そのうち最もよく見られるのは、皮膚の薄化及び脆化(萎縮)である。このことから、顔又は他のデリケートな皮膚に使用する場合は、低強度のステロイドを使用するべきであるか、又は頻度を減らして適用するべきである。さらに、広領域にわたって又は閉塞下で使用される高強度のステロイドは、体内に吸収され、視床下部-下垂体-副腎軸抑制(HPA軸抑制)を引き起こし得る。抗生物質治療の有効性は、人によって異なる。従来の抗生物質の周知の欠点は特異性であり、すなわち、非病原性細菌及び/又は有益な細菌も殺傷され、標的細菌のみならずおそらく他の病原性細菌によっても耐性が生じるリスクがある。さらに、従来の全身的な抗生物質治療は、避妊薬を含む他の薬物と相互作用する可能性がある。
【0007】
まとめると、湿疹の改善された治療が必要とされている。
【発明の説明】
【0008】
エンドリシンは、水溶液において経時的にそれらの活性を失う。タンパク質を凍結乾燥形態にする場合、発明者らは、担体としてオートミールを使用すると、エンドリシンの安定性が驚くほど増加したことを見出した。本発明者らは、他のタンパク質も同様に安定化させることができることをさらに確立した。
【0009】
したがって、第1の態様では、対象となるタンパク質を安定化させるための方法であって、タンパク質を穀物ミール又はそのバリアントと接触させることを含む、方法が提供される。この方法は、本明細書では、すべての実施形態について、本明細書で開示されている方法又は本方法と称される。
【0010】
対象となるタンパク質及び穀物ミール又はそのバリアントを含む、非水性組成物がさらに提供される。組成物は、本明細書では、すべての実施形態について、本明細書で開示されている組成物又は本組成物と称される。
【0011】
非水性とは、本明細書では、組成物が水を実質的に含有していないことと解釈され、好ましくは、水の量は、(重量パーセントとして)最大10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、又は最大0.1%である。
【0012】
本方法又は組成物において、対象となるタンパク質は、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、又は成熟タンパク質などの任意のタンパク質でもよい。タンパク質は、バクテリオシン又は抗真菌タンパク質、好ましくは本明細書の「定義」の項に定義されているようなバクテリオシンでもよい。好ましくは、タンパク質は酵素である。酵素は、任意の酵素でもよい。酵素は、バクテリオファージエンドリシン又は組換えバクテリオファージエンドリシンなどのエンドリシンなどの抗細菌酵素でもよい。抗細菌酵素は、リゾチーム、ホスホリパーゼA2、及び胃酵素の群から選択されるものでもよい。
【0013】
本方法又は組成物において、バクテリオファージエンドリシン又は組換えエンドリシンは、当業者に公知の任意のバクテリオファージエンドリシンでもよい。本明細書では、バクテリオファージ溶解素、バクテリオファージエンドリシン、及びエンドリシンという用語が互換的に使用される。エンドリシンは、国際公開第2011/023702号、国際公開第2012/146738号、国際公開第2003/082184号(BIOSYNEX)、国際公開第2010/011960号(Donovan)、国際公開第2010/149795号、国際公開第2010/149792号、国際公開第2012/094004号、国際公開第2011/023702号、国際公開第2011/065854号、国際公開第2011/076432号、国際公開第2011/134998号、国際公開第2012/059545号、国際公開第2012/085259号、国際公開第2012146738号、国際公開第2018/091707号に定義されているエンドリシン、エクセバケース(Exebacase)(商標)(Lysin CF-301;Antimicrobial Agents and Chemotherapy、2019、vol 63:6、1~17)、SAL200(商標)(Antimicrobial Agents and Chemotherapy、2018、vol 62:10、1~10)、アウレシン(Auresine)(商標)(Sigma-Aldrich SAE0083)、及びエクトリシン(Ectolysin)(商標)P128(Antimicrobial Agents and Chemotherapy、2018、vol 62:2、1~10)の群から選択し得るが、これらは、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0014】
本方法又は組成物において、エンドリシンはブドウ球菌特異的エンドリシンでもよく、これは、このエンドリシンが、黄色ブドウ球菌などのブドウ球菌を効率的に溶解するが、ブドウ球菌又は黄色ブドウ球菌以外の細菌を実質的に溶解しないことを意味する。一実施形態では、エンドリシンは、黄色ブドウ球菌を溶解するが、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)は溶解しない。ペプチドグリカンヒドロラーゼ活性を呈するほとんどの天然ブドウ球菌バクテリオファージエンドリシンは、C末端細胞壁結合ドメイン(CBD)と、中央のN-アセチルムラモイル-L-アラニンアミダーゼドメインと、システイン、ヒスチジン依存性アミドヒドロラーゼ/ペプチダーゼ(CHAP)相同性を有するN末端アラニル-グリシルエンドペプチダーゼドメイン、又はPly2638の場合ペプチターゼ_M23相同性を有するN末端グリシル-グリシンエンドペプチダーゼドメインとで構成されており、後者の3つのドメインは、それぞれ異なる標的結合特異性を有するペプチドグリカンヒドロラーゼ活性を呈し、一般に酵素的活性ドメインと呼ばれている。Ply2638エンドリシンは、配列番号1及び配列番号2に記載されており(表1を参照)、いくつかのエンドリシンドメインは、配列番号3~配列番号18に記載されており(表1を参照)、これらのドメインは、好ましいドメインである。エンドリシンは、組換えエンドリシン、例えば、組換えブドウ球菌特異的エンドリシン、特に、1つ又は複数の異種ドメインを含む組換えブドウ球菌特異的キメラエンドリシンでもよい。一般に、エンドリシンは、様々なサブユニット(ドメイン)で構成されており、例えば、細胞壁結合ドメイン(CBD)と、ペプチドグリカン活性を有する1つ又は複数の酵素ドメイン、例えば、アミダーゼドメイン、M23ペプチダーゼドメイン及びCHAP(システイン、ヒスチジン依存性アミドヒドロラーゼ/ペプチダーゼ)ドメインとで構成されている。1つ又は複数の異種ドメインを含むブドウ球菌特異的キメラエンドリシンの例は、バクテリオファージPly2638のアミダーゼドメイン、リゾスタフィン(S.シミュランス(S.simulans))のM23ペプチダーゼドメイン、及びバクテリオファージPly2638の細胞壁結合ドメインを含む、エンドリシンである。そのようなブドウ球菌特異的キメラエンドリシンは、好ましいエンドリシンであり、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2012/150858号に広範に記載されている。他の好ましいエンドリシンは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2013/169104号に広範に記載されている。本発明による他の好ましいエンドリシンは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2016/142445号に広範に記載されている。本発明による他の好ましいエンドリシンは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2017/046021号に広範に記載されている。エンドリシンはさらに、表1に配列番号19~配列番号75として示されているエンドリシンからなる群から選択されるものであってもよい。表1に示されているようなエンドリシンは、タグ(HXa)の有無にかかわらず使用できると留意されたい。
【0015】
本方法又は組成物において、エンドリシンは、国際公開第2012/150858号、国際公開第2013/169104号、国際公開第2016/142445号、国際公開第2017/046021号に示されているドメイン又は配列番号3~配列番号18のうちのいずれかに示されているエンドリシンのドメインと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するドメインを含み得る(表1を参照)。
【0016】
本方法又は組成物において、エンドリシンは、国際公開第2012/150858号、国際公開第2013/169104号、国際公開第2016/142445号、国際公開第2017/046021号に示されているエンドリシン又は配列番号1、2、及び配列番号19~配列番号75のうちのいずれかに示されているエンドリシンと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有し得る(表1を参照)。表1に示されているようなエンドリシンは、タグ(HXa)の有無にかかわらず使用できると留意されたい。
【0017】
当業者であれば、異なるエンドリシンの混合物が、例えば、本明細書で指定されている2つ、3つ、又は4つのエンドリシンを含む混合物において使用され得ると理解するであろう。
【0018】
穀草は、胚乳、胚芽、及びぬかで構成される、その穀粒(植物学的には、頴果と呼ばれる果実の一種)の食用成分のために栽培(育成)されている任意の草本である。この用語は、得られる穀粒自体(具体的には「穀物粒」)も指し得る。穀物粒作物は、他のどの種類の作物よりも大量に育成され、世界中でより多くの食物エネルギーを供給することから、主要作物となっている。ソバ(タデ科(Polygonaceae))、キノア(ヒユ科(Amaranthaceae))、及びチア(シソ科(Lamiaceae))などの他の植物科の食用穀粒は、疑似穀類と称される。
【0019】
天然の加工されていない全粒形態において、穀物は、ビタミン、ミネラル、炭水化物、脂肪、油、及びタンパク質の豊富な供給源である。ぬか及び胚芽の除去によって処理されると、残りの胚乳は、ほとんどが炭水化物である。一部の発展途上国では、コメ、コムギ、キビ、又はトウモロコシの形態の穀粒が、日々の食物の大部分を占めている。
【0020】
コロイドオートミールは、細かく粉砕された全粒オートムギ穀粒又は脱穀粒であり、米国のFDA OTC Skin Protectantモノグラフに包含されている活性天然成分である(The United States Pharmacopeial Convention、Interim Revision Announcement;Official January 1、2013)。典型的には、全粒子の3%以下が150μmを上回り、20%以下が75μmを上回るまで、オートムギ穀粒を粉砕及び加工する。コロイドオートミールの組成は、デンプン(65~85%)、タンパク質(15~20%)、脂質(3~11%)、繊維(5%)、及びβ-グルカン(5%)で主に構成されている。オートムギ脂質は、極性脂質及び不飽和遊離脂肪酸とともに、主にトリグリセリドで構成されている。オートムギトリグリセリドは、哺乳類の正常な健康に必要且つ皮膚バリア機能に重要なオメガ-3リノール酸及びオメガ-6リノレン酸、並びに必須脂肪酸が豊富である。さらに、オートムギ脂質は、リン脂質、糖脂質、及びステロールなどの重要な哺乳類細胞膜成分を含有している。脂質酸化保護は、混合されたトコフェロール(ビタミンE)及びトコトリエノールによって与えられる。コロイドオートミールは、フェノール系酸化防止剤及びサポニンの豊富な供給源でもある。オートムギに特有の窒素含有フェノール化合物であるアベナンスラミドは、用量依存的にNF-κB及びIL-8の放出を阻害することがこれまでに示されている強力な酸化防止剤及び抗炎症剤である。サポニンは、グリコシル化された代謝物質であり、この代謝物質は、オートムギ植物を病気から保護するのに役立ち、コロイドオートミールが製剤に使用されたときに安定したエマルションを生成するのにも役立ち得る。
【0021】
本方法又は組成物において、穀物ミール又はそのバリアントは、重量で、約50%~約85%の炭水化物、約10~約25%のタンパク質、約0%~12%の脂質、約0%~約10%のβ-グルカン、及び約0%~約15%の繊維を含み得る。そのバリアントの穀物ミールは、重量で、約50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、又は約85%の炭水化物を含み得る。そのバリアントの穀物ミールは、重量で、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は約25%のタンパク質を含み得る。そのバリアントの穀物ミールは、重量で、約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は約12%の脂質を含み得る。そのバリアントの穀物ミールは、重量で、約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は約10%のβ-グルカンを含み得る。そのバリアントの穀物ミールは、重量で、約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は約15%の繊維を含み得る。
【0022】
本方法又は組成物において、そのバリアントの穀物ミールは、重量で、約50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、又は約85%の炭水化物を含み得る。そのバリアントの穀物ミールは、重量で、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25%のタンパク質を含み得る。そのバリアントの穀物ミールは、重量で、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12%の脂質を含み得る。そのバリアントの穀物ミールは、重量で、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10%のβ-グルカンを含み得る。そのバリアントの穀物ミールは、重量で、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15%の繊維を含み得る。穀物ミールは、重量で、約65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、又は約85%の炭水化物、約15、16、17、18、19、又は約20%のタンパク質、約3、4、5、6、7、8、9、10、又は約11%の脂質、約5%のβ-グルカン、及び約11%の繊維を含み得る。穀物ミールは、重量で、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、又は85%の炭水化物、15、16、17、18、19、又は約20%のタンパク質、3、4、5、6、7、8、9、10、又は約11%の脂質、5%のβ-グルカン、及び11%の繊維を含み得る。穀物ミールは、重量で、約66%の炭水化物、約17%のタンパク質、約7%の脂質、約5%のβ-グルカン、及び約11%の繊維を含み得る。穀物ミールは、重量で、66%の炭水化物、17%のタンパク質、7%の脂質、5%のβ-グルカン、及び11%の繊維を含み得る。
【0023】
本方法又は組成物において、穀物ミール又はそのバリアントは、トウモロコシ、コメ、コムギ、オオムギ、ソルガム、キビ、オートムギ、ライムギ、ライコムギ、キノア、スペルト、及びフォニオからなる群から選択される穀物から調製され得る。
【0024】
本方法又は組成物において、穀物ミールは、コロイドオートミールなどのオートミール、好ましくは、オートコム(Oat Com)(商標)、オートシルク(Oat Silk)(商標)、又はデルミヴェイル(DermiVeil)(商標)などの市販のコロイドオートミールであってもよく、さらなる詳細については、表4を参照されたい。コロイドオートミールは、細かく粉砕された全粒オートムギ穀粒又は脱穀粒であり、米国のFDA OTC Skin Protectantモノグラフに包含されている活性天然成分である。典型的には、全粒子の3%以下が150μmを上回り、20%以下が75μmを上回るまで、オートムギ穀粒を粉砕及び加工する。コロイドオートミールの組成は、デンプン(65~85%)、タンパク質(15~20%)、脂質(3~11%)、繊維(5%)、及びβ-グルカン(5%)で主に構成されている。オートムギ脂質は、極性脂質及び不飽和遊離脂肪酸とともに、主にトリグリセリドで構成されている。オートムギトリグリセリドは、哺乳類の正常な健康に必要且つ皮膚バリア機能に重要なオメガ-3リノール酸及びオメガ-6リノレン酸、並びに必須脂肪酸が豊富である。さらに、オートムギ脂質は、リン脂質、糖脂質、及びステロールなどの重要な哺乳類細胞膜成分を含有している。脂質酸化保護は、混合されたトコフェロール(ビタミンE)及びトコトリエノールによって与えられる。コロイドオートミールは、フェノール系酸化防止剤及びサポニンの豊富な供給源でもある。オートムギに特有の窒素含有フェノール化合物であるアベナンスラミドは、用量依存的にNF-κB及びIL-8の放出を阻害することがこれまでに示されている強力な酸化防止剤及び抗炎症剤である。サポニンは、グリコシル化された代謝物質であり、この代謝物質は、オートムギ植物を病気から保護するのに役立ち、コロイドオートミールが製剤に使用されたときに安定したエマルションを生成するのにも役立ち得る。
【0025】
本方法又は組成物において、一実施形態では、対象となるタンパク質及び穀物ミール又はそのバリアントは、水性液体中で混合され、続いて、混合物は凍結乾燥される。当業者は、ある化合物を凍結乾燥する手法を知っており、先行技術の方法を使用して混合物を凍結乾燥する。
【0026】
第2の態様では、第1の態様による方法によって得ることが可能であるか、又は得られた、安定化されたタンパク質が提供される。安定化されたタンパク質は、本明細書では、すべての実施形態についてタンパク質と称される。第2の態様のすべての実施形態の特徴は、好ましくは、第1の態様の実施形態の特徴である。また、非水性組成物に含まれている安定化されたタンパク質も提供される。組成物は、クリーム、オイントメント(ointment)、バーム(balm)、アンギュエント(unguent)、又はサルブ(salve)、典型的にはクリームなどの、当業者に公知の任意の形態でもよい。
【0027】
対象となるタンパク質を穀物ミール又はそのバリアントと接触させることによって、本明細書で定義されているような対象となるタンパク質を安定化させるための、本明細書で定義されているような穀物ミール又はそのバリアントの使用がさらに提供される。
【0028】
以下のもの:
本明細書で定義されているような穀物ミール、好ましくはオートミール、より好ましくはコロイドオートミール、さらにより好ましくはオートコム(商標)、オートシルク(商標)、又はデルミヴェイル(商標)、及び
本明細書で定義されているような酵素活性を含む抗細菌ポリペプチド
を含む、組成物がさらに提供される。
【0029】
第3の態様では、本明細書の第1又は第2の態様による非水性組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、アトピー性皮膚炎を治療する方法が提供される。本明細書のすべての実施形態において、対象は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。当業者であれば、非水性組成物による治療を当技術分野で公知の他の化合物と好都合に組み合わせてアトピー性皮膚炎を治療することができると理解するであろう。
【0030】
ここで先に記載されているような医学的治療は、アトピー性皮膚炎の予防、遅延、又は治療を必要とする対象におけるアトピー性皮膚炎の予防、遅延、又は治療のための医薬を製造するための本明細書で定義されているような非水性組成物と、アトピー性皮膚炎の予防、遅延、又は治療を必要とする対象におけるアトピー性皮膚炎の予防、遅延、又は治療のための方法であって、非水性組成物を対象に投与するステップを含む、方法とを含む。投与は、当業者に公知の任意の形態で行うことができ、典型的には、組成物は、皮膚に適用される。
【0031】
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】黄色ブドウ球菌ニューマンの菌叢にスポットされた異なる量のXZ.700でコーティングされたデルミヴェイル(商標)(左側の列)、オートコム(商標)(中央の列)、及びオートシルク(商標)(右側の列)によるプレート溶解アッセイである。粉末1グラムあたり1μg(1列目)、10μg(2列目)、及び100μg(3列目)のXZ.700の濃度を各粉末について試験した。コーティングされていない粉末(4列目)は、対照としての役割を果たしていた。粉末1グラムあたり100μgのXZ.700について、粉末の周囲の明確な溶解域が観察できる。
【
図2】熱処理後に粉末1グラムあたり100μgのXZ.700でコーティングされた3つの粉末デルミヴェイル(商標)(第1の列)、オートコム(商標)(中央の列)、及びオートシルク(商標)(右側の列)を比較したプレート溶解アッセイである。1列目は、室温で保存されたサンプルを示し、2列目は、120℃で1時間インキュベートされたサンプルを示し、3列目は、室温で保存されたコーティングされていない粉末を示し、最終列は、120℃で1時間インキュベートされたコーティングされていない粉末を示す。
【
図3】熱処理後に粉末1グラムあたり100μgのXZ.700でコーティングされたスクロース(左側)とコーティングされていないスクロース(右側)とを比較したプレート溶解アッセイである。1列目は、室温で保存されたサンプルを示し、2列目は、100℃で1時間インキュベートされたサンプルを示し、3列目は、110℃で1時間インキュベートされたサンプルを示し、最終列は、120℃で1時間インキュベートされたサンプルを示す。
【
図4】熱処理後に粉末1グラムあたり100μgのXZ.700でコーティングされたマンニトール(左側)とコーティングされていないスクロース(右側)とを比較したプレート溶解アッセイである。1列目は、室温で保存されたサンプルを示し、2列目は、100℃で1時間インキュベートされたサンプルを示し、3列目は、110℃で1時間インキュベートされたサンプルを示し、最終列は、120℃で1時間インキュベートされたサンプルを示す。
【
図5】熱処理後に粉末1グラムあたり100μgのXZ.700でコーティングされたデンプン(左側)とコーティングされていないスクロース(右側)とを比較したプレート溶解アッセイである。1列目は、室温で保存されたサンプルを示し、2列目は、100℃で1時間インキュベートされたサンプルを示し、3列目は、110℃で1時間インキュベートされたサンプルを示し、最終列は、120℃で1時間インキュベートされたサンプルを示す。
【
図6】オートコム(商標)にコーティングされた50nM~6.25nMの酵素濃度範囲のXZ.700について1時間にわたって測定された正規化されたOD600nmである。XZ.700は、最高130℃で1時間曝された後にその溶解能を保った。135℃で酵素は失活した。
【
図7】オートシルク(商標)にコーティングされた50nM~6.25nMの酵素濃度範囲のXZ.700について1時間にわたって測定された正規化されたOD600nmである。XZ.700は、最高120℃で1時間曝された後にその溶解能を保った。130℃で溶解活性が低下し、135℃で酵素が失活した。
【
図8】デルミヴェイル(商標)にコーティングされた50nM~6.25nMの酵素濃度範囲のXZ.700について1時間にわたって測定された正規化されたOD600nmである。XZ.700の溶解活性は、試験したすべての温度で測定されなかった。室温でも活性が失われるため、アッセイは1回だけ実施した(統計分析なし)。
【
図9】デンプンにコーティングされた50nM~6.25nMの酵素濃度範囲のXZ.700について1時間にわたって測定された正規化されたOD600nmである。溶解は、室温(A)、100℃(B)、及び110℃(C)で、サンプルについて観察された。120℃(D)で溶解活性が失われた。
【
図10】マンニトールにコーティングされた50nMの酵素濃度のXZ.700について1時間にわたって測定された正規化されたOD600nmである。室温(A)で、サンプルについていくらかの溶解能が測定された。100℃(B)、110℃(C)、及び120℃(D)に曝されたサンプルは、それらの溶解活性を失った。
【
図11】スクロースにコーティングされた50nMの酵素濃度のXZ.700について1時間にわたって測定された正規化されたOD600nmである。室温(A)で、サンプルについて溶解活性が観察された。100℃(B)、110℃(C)、及び120℃(D)に曝されたサンプルは、それらの溶解活性を失った。
【
図12】オートコム(商標)にコーティングされた50nM~6.25nMの酵素濃度範囲のHPly511について1時間にわたって測定された正規化されたOD600nmである。HPly511は、最高135℃で1時間曝された後にその溶解能を保った。
【
図13】オートシルク(商標)にコーティングされた50nM~6.25nMの酵素濃度範囲のHPly511について1時間にわたって測定された正規化されたOD600nmである。HPly511は、最高135℃(F)で1時間曝された後にその溶解能を保った。
【
図14】デルミヴェイル(商標)にコーティングされた50nM~6.25nMの酵素濃度範囲のHPly511について1時間にわたって測定された正規化されたOD600nmである。HPly511の溶解活性は、室温の場合と、ある程度までで、1時間100℃に曝されたサンプル(B)の場合とで測定された。110℃(C)及び120℃(D)では1時間後に、HPly511の活性が失われた。
【
図15】デンプンにコーティングされた50nM~6.25nMの酵素濃度範囲のHPly511について1時間にわたって測定された正規化されたOD600nmである。溶解は、室温(A)、100℃(B)、及び110℃(C)で、サンプルについて観察された。120℃(D)では、タンパク質はほとんど失活した。
【
図16】マンニトールにコーティングされた50nMの酵素濃度のHPly511について1時間にわたって測定された正規化されたOD600nmである。室温(A)で、サンプルについていくらかの溶解能が測定された。100℃に曝されたサンプル(B)では、わずかな活性しか検出されなかった。110℃(C)及び120℃(D)に曝されたサンプルは、それらの溶解活性を失った。
【
図17】75℃~135℃の温度に1時間曝された後に異なる担体にコーティングされて発色性大腸菌群寒天にスポットされたβ-ガラクトシダーゼである。コーティングされていない担体を対照として使用した(プレートの右側)。オートコム(商標)(A)及びオートシルク(商標)(B)は、120℃で1時間後も完全に活性のままであったが、135℃に曝された後はわずかな活性しか検出されなかった。デルミヴェイル(商標)(C)は、室温で良好な活性を示し、75℃及び100℃で残留活性を示した。デンプンにコーティングしたβ-ガラクトシダーゼ(D)は、100℃までは完全な活性を示し、120℃では活性が低下した。マンニトール(E)は、室温でのみ少しの残留活性を維持した。
【0033】
定義
本明細書におけるバクテリオシンは、当業者に公知の任意のバクテリオシン、好ましくは、任意のクラスI~IVのバクテリオシンでもよい。
【0034】
本明細書のクラスIのバクテリオシンは、小ペプチド阻害剤であり、ナイシン及び他のランチビオティックを含む。
【0035】
本明細書のクラスIIのバクテリオシンは、小さな(10kDa未満)熱安定性タンパク質である。このクラスは、5つのサブクラスに細分される。クラスIIaのバクテリオシン(ペディオシン様バクテリオシン)は、最大のサブグループであり、このグループ全体で、N末端コンセンサス配列-Tyr-Gly-Asn-Gly-Val-Xaa-Cysを含む。C末端は、種特異的な活性に関与しており、標的細胞壁を透過性にすることによって細胞漏出を引き起こす。クラスIIbのバクテリオシン(2ペプチドバクテリオシン)は、活性のために2つの異なるペプチドを必要とする。1つのそのような例は、ラクトコシンGであり、これは、Na及びKなどの1価のイオンに対して細胞膜を透過性にするが、2価のイオンに対しては透過性にしない。これらのバクテリオシンのほとんどすべてが、GxxxGモチーフを有する。このモチーフは、膜貫通タンパク質にも見られ、ここで、これらの膜貫通タンパク質は、ヘリックス間相互作用に関わる。バクテリオシンのGxxxGモチーフは、細菌細胞の膜のモチーフと相互作用し、そうすることによって細菌を殺傷することができる。クラスIIcは、共有結合したN末端及びC末端領域を有する環状ペプチドを包含する。エンテロシンAS-48は、このグループの原型である。クラスIIdは、翻訳後修飾されておらず、ペディオシン様シグネチャーを示さない、単一ペプチドバクテリオシンを包含する。このグループの最良の例は、非常に安定したオーレオシンA53である。このバクテリオシンは、強酸性環境(HCl 6N)下で安定であり、プロテアーゼの影響を受けず、耐熱性である。ごく最近に提示されたサブクラスは、クラスIIeであり、このクラスIIeは、3つ又は4つの非ペディオシン様ペプチドによって構成されるバクテリオシンを包含する。最良の例は、4ペプチドバクテリオシンのオーレオシンA70であり、L.モノサイトゲネス(L.monocytogenes)に対して活性が高く、バイオテクノロジーへの応用の可能性がある。
【0036】
クラスIIIのバクテリオシンは、大きな熱不安定性(10kDa超)タンパク質バクテリオシンである。このクラスは、サブクラスIIIa又はバクテリオリシン及びサブクラスIIIbの2つのサブクラスに細分される。サブクラスIIIaは、細胞壁の分解によって細菌細胞を殺傷することで細胞溶解を引き起こすペプチドを含む。最もよく研究されているバクテリオリシンは、いくつかのブドウ球菌属菌種の細胞壁、主に黄色ブドウ球菌を加水分解する、27kDaペプチドのリゾスタフィンである。対照的に、サブクラスIIIbは、細胞溶解を引き起こさず、膜電位を乱すことによって標的細胞を殺傷し、それによってATP流出を引き起こす、ペプチドを含む。
【0037】
クラスIVのバクテリオシンは、脂質又は炭水化物部分を含有する複雑なバクテリオシンとして定義される。確証となる実験データは、2つの独立したグループによるサブランシン及びグリコシンF(GccF)の特徴付けによって最近確立されたばかりであった。
【0038】
好ましいバクテリオシンは、アシドシン、アクタガルジン、アグロシン、アルベイシン、オーレオシン、オーレオシンA53、オーレオシンA70、カルノシン、カルノサイクリンサーキュラリンA、コリシン、クルバチシン、ジベルシン、デュラマイシン、エンテロシン、エンテロリシン、エピデルミン/ガリデルミン、エルウィニオシン、ガセリシンA、グリシネシン、ハロシン、ハロデュラシン、ラクトシンS、ラクトコシン、ラクチシン、レウコッシン、リゾスタフィン、マセドシン、メルサシジン、メセンテリシン、ミクロビスポリシン、ミクロシンS、ミュータシン、ナイシン、パエニバシリン、プラノスポリシン、ペディオシン、ペントシン、プランタリシン、ピオシン、ロイテリシン6、サカシン、サリバリシン、スブチリン、スルホロビシン、ツリシン17、トリホリトキシン、バリアシン、ビブリオシン、ワルネリシン、及びワルネリンからなる群から選択される。
【0039】
バクテリオシンは、限定されることはないが、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来のピオシン、好ましくはピオシンSA189(25)などの細菌自体(24)に由来していてもよい。
【0040】
抗菌ペプチドは、当業者に公知の任意の抗菌ペプチドでもよい。当技術分野において、抗菌ペプチドは、ここで先に列挙したようなバクテリオシンであると考慮されることがある。好ましい抗菌ペプチドは、カチオン性又はポリカチオン性ペプチド、両親媒性ペプチド、スシペプチド、デフェンシン、及び疎水性ペプチドからなる群から選択される。
【0041】
細菌自己溶解素は、当業者に公知の任意の細菌自己溶解素でもよい。好ましい細菌自己溶解素はLytMである。抗細菌タンパク質は、ラクトフェリン又はトランスフェリンでもよい。バクテリオファージエンドリシンは、バクテリオファージに含まれていても、又は含まれていなくてもよい。
【0042】
本明細書において、「配列同一性」とは、配列を比較することによって決定されるような、2つ以上のアミノ酸(ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質)配列又は2つ以上の核酸(ヌクレオチド、ポリヌクレオチド)配列間の関係として定義される。当技術分野において、「同一性」とは、場合によっては、そのような配列のストリング間の一致によって決定され得るような、アミノ酸又はヌクレオチド配列間の配列関連性の程度も意味する。2つのアミノ酸配列間の「類似性」は、1つのペプチド又はポリペプチドのアミノ酸配列及びその保存されたアミノ酸置換を、第2のペプチド又はポリペプチドの配列と比較することによって決定される。好ましい実施形態では、同一性又は類似性は、本明細書で識別されている全配列番号にわたって計算される。「同一性」及び「類似性」は、限定されることはないが、Computational Molecular Biology、Lesk,A.M.,ed.、Oxford University Press、New York、1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects、Smith,D.W.,ed.、Academic Press、New York、1993;Computer Analysis of Sequence Data, Part I、Griffin,A.M.及びGriffin,H.G.,eds.、Humana Press、New Jersey、1994;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heine,G.、Academic Press、1987;並びにSequence Analysis Primer、Gribskov,M.及びDevereux,J.,eds.、M Stockton Press、New York、1991;並びにCarillo,H.及びLipman,D.、SIAM J.Applied Math.、48:1073(1988)に記載されている方法を含む公知の方法によって容易に計算することができる。
【0043】
同一性を決定するための好ましい方法は、試験した配列間で最大の一致を与えるように設計されている。同一性及び類似性を決定する方法は、公表されているコンピュータープログラムに体系化されている。2つの配列間の同一性及び類似性を決定するための好ましいコンピュータープログラム方法としては、例えば、GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.ら、Nucleic Acids Research 12(1):387(1984))、BestFit,BLASTP,BLASTNand FASTA(Altschul,S.F.ら、J.Mol.Biol.215:403~410(1990)が挙げられる。BLAST Xプログラムは、NCBI及び他の供給源(BLAST Manual、Altschul,S.ら、NCBI NLM NIH Bethesda、MD20894;Altschul,S.ら、J.Mol.Biol.215:403~410(1990)から公表されている。周知のSmith Watermanアルゴリズムも同一性を決定するために使用され得る。
【0044】
ポリペプチド配列比較のための好ましいパラメータとしては、以下のものが挙げられる:アルゴリズム:Needleman及びWunsch、J.Mol.Biol.48:443~453(1970);比較マトリクス:Hentikoff及びHentikoff、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.89:10915~10919(1992)からのBLOSSUM62;ギャップペナルティ:12;並びにギャップ長さペナルティ:4。これらのパラメータで有用なプログラムは、マディソン、WIにあるGenetics Computer Groupから「Ogap」プログラムとして公表されている。前述のパラメータは、(エンドギャップのためのペナルティなしでの)アミノ酸比較についてのデフォルトパラメータである。
【0045】
核酸比較についての好ましいパラメータは、以下のものを含む:アルゴリズム:Needleman及びWunsch、J.Mol.Biol.48:443~453(1970);比較マトリクス:一致=+10、不一致=0;ギャップペナルティ:50;ギャップ長さペナルティ:3。マディソン、WisにあるGenetics Computer GroupからGapプログラムとして利用可能。先に与えられているのは、核酸比較についてのデフォルトパラメータである。
【0046】
任意選択で、アミノ酸類似性の程度を決定する際に、当業者はまた、当業者に明らかであるように、いわゆる「保存的」アミノ酸置換を考慮に入れることができる。保存的アミノ酸置換とは、類似の側鎖を有する残基の互換性を指す。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンであり、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群は、セリン及びスレオニンであり、アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群は、アスパラギン及びグルタミンであり、芳香族側鎖を有するアミノ酸の群は、フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファンであり、塩基性側鎖を有するアミノ酸の群は、リシン、アルギニン、及びヒスチジンであり、硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の群は、システイン及びメチオニンである。好ましい保存的アミノ酸置換基は、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リシン-アルギニン、アラニン-バリン、及びアスパラギン-グルタミンである。本明細書に開示されているアミノ酸配列の置換バリアントは、開示されている配列における少なくとも1つの残基が除去されており、異なる残基がその位置に挿入されている、置換バリアントである。好ましくは、アミノ酸の変化は保存的である。天然に存在するアミノ酸のそれぞれについての好ましい保存的置換は、以下の通りである:Alaからser;Argからlys;Asnからgln又はhis;Aspからglu;Cysからser又はala;Glnからasn;Gluからasp;Glyからpro;Hisからasn又はgln;Ileからleu又はval;Leuからile又はval;Lysからarg;gln又はglu;Metからleu又はile;Pheからmet、leu又はtyr;Serからthr;Thrからser;Trpからtyr;Tyrからtrp又はphe;及びValからile又はleu。
【0047】
「核酸分子」又は「ポリヌクレオチド」(これらの用語は、本明細書では互換的に使用される)は、ヌクレオチド配列によって表される。「ポリペプチド」は、アミノ酸配列によって表される。「核酸構築物」は、天然に存在する遺伝子から単離された、又はそうでなければ天然には存在しない形式で結合又は並置された核酸のセグメントを含有するように修飾された、核酸分子として定義される。核酸分子は、ヌクレオチド配列によって表される。任意選択で、核酸構築物に存在するヌクレオチド配列は、細胞又は対象における該ペプチド又はポリペプチドの産生又は発現を指示する1つ又は複数の制御配列に作動可能に連結されている。
【0048】
本明細書において、「作動可能に連結された」とは、制御配列が、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に対して適切な位置に配置されており、それによって、制御配列が、細胞及び/又は対象において本発明のペプチド又はポリペプチドの産生/発現を命令するようになる、構成として定義される。「作動可能に連結された」は、配列が、機能ドメインをコードする別の配列に対して適切な位置に配置されており、それによって、キメラポリペプチドが、細胞及び/又は対象においてコードされるようになる、構成を定義するためにも使用され得る。
【0049】
「発現」は、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾、及び分泌を含むがこれらに限定されることはない、ペプチド又はポリペプチドの産生に関与する任意のステップを含むと解釈される。
【0050】
本明細書において、「制御配列」は、ポリペプチドの発現に必要又は有利なすべての成分を含むと定義される。最小でも、制御配列は、プロモーター、並びに転写及び翻訳停止シグナルを含む。任意選択で、核酸構築物に存在するヌクレオチド配列によって表されるプロモーターは、本明細書で同定されるペプチド又はポリペプチドをコードする別のヌクレオチド配列に作動可能に連結されている。
【0051】
「形質転換」という用語は、新しいDNA(すなわち、細胞にとって外因性のDNA)の導入に続いて細胞において誘導された永続的又は一過性の遺伝的変化を指す。本発明で意図されているように、細胞が細菌細胞である場合、この用語は、通常、選択可能な抗生物質耐性を有する染色体外の自己複製ベクターを指す。
【0052】
「発現ベクター」とは、組換えDNA手順に好都合に供することができ、細胞及び/又は対象において本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現をもたらすことができる、任意のベクターでもよい。本明細書で使用される場合、「プロモーター」という用語は、遺伝子の転写開始部位の転写方向に関して上流に位置する、1つ又は複数の遺伝子又は核酸の転写を制御するように機能する核酸断片を指す。このプロモーターは、DNA依存性RNAポリメラーゼの結合部位と、転写開始部位と、転写因子結合部位、リプレッサー及びアクチベータータンパク質結合部位を含むがこれらに限定されることはない任意の他のDNA配列と、プロモーターからの転写量を調節するために直接的又は間接的に作用すると当業者に知られている任意の他のヌクレオチド配列との存在によって同定される結合部位に関連している。本発明の文脈で、プロモーターは、好ましくは、転写開始部位(TSS)のヌクレオチド-1で終わる。
【0053】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」とは、任意のペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、遺伝子産物、発現産物、又はタンパク質を指す。ポリペプチドは、連続したアミノ酸で構成されている。「ポリペプチド」という用語は、天然に存在する分子又は合成分子を包含する。
【0054】
本明細書で提供される配列情報は、誤って同定された塩基を含める必要があると狭く解釈されるべきではない。当業者は、そのような誤って同定された塩基を同定することができ、そのような誤りを正す方法を知っている。
【0055】
この文書及びその特許請求の範囲において、「含む」という動詞及びその活用形は、この単語に続く項目が含まれるが、特に言及されていない項目が除外されないことを意味する、その非限定的な意味合いで使用される。さらに、「からなる」という動詞は、「から本質的になる」で置き換えることができ、これは、本明細書で定義されているような、生成物、又は組成物、又は核酸分子、又は核酸構築物のペプチド若しくはポリペプチド、又はベクター、又は細胞が、具体的に同定されているもの以外の追加成分(複数可)を含んでもよいが、該追加成分(複数可)が本発明の独自の特徴を変更しないことを意味する。さらに、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」による要素への言及は、文脈から要素が1つだけであることが明確に要求されない限り、1つより多くの要素が存在する可能性を排除することはない。したがって、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、通常、「少なくとも1つ」を意味する。「約」又は「およそ」という言葉は、数値(例えば、約10)に関連して使用される場合、好ましくは、その値が、(10の)所与の値の10%前後の値であってもよいことを意味する。
【0056】
本明細書で引用されているすべての特許及び参考文献は、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0057】
以下の実施例は、単に例示を目的として提示されるのであって、決して本発明の範囲を限定することを意図してはいない。
【実施例】
【0058】
導入
エンドリシンは、子孫ビリオンを放出するために溶解サイクルの最後に産生されるファージ由来のペプチドグリカンヒドロラーゼである(Schmelcher、Donovanら 2012)。エンドリシンは、それらの宿主特異性と薬剤耐性株に対する活性のために、有望な抗菌剤である。しかしながら、水溶液におけるタンパク質の分解及び活性の喪失は、タンパク質治療の足かせとなる(Manning、Patelら 1989)。キメラエンドリシンXZ.700は、黄色ブドウ球菌に対して強力な溶解活性を示すが、経時的な活性の喪失が水溶液において観察される。したがって、対象となるタンパク質を凍結乾燥によって固体状態にすることによって、タンパク質の安定性を増加させることができるであろう。治療用量を制御し、皮膚へのXZ.700の適用を可能にするために、凍結乾燥されたタンパク質のための担体が必要とされている。
【0059】
コロイドオートミールは、1989年に食品医薬品局(FDA)によって、皮膚への適用に安全な成分であると宣言された(Fowler 2014)。コロイドオートミールは、その抗炎症特性のために、アトピー性皮膚炎を含む様々な皮膚状態の治療に使用されている(Fowler 2014)。これらの有益な特徴によって、コロイドオートミールは有望な担体となる。Oat Cosmetics(The University of Southampton Science Park、2 Venture Road、Chilworth、Southampton、Hampshire、SO16 7NP、United Kingdom)の2つのオートミール由来粉末(アベナ・サティバ)であるオートコム(商標)及びオートシルク(商標)を担体として選択した。さらに、オオムギデンプン粉末であるデルミヴェイル(商標)(ホルデウム・ブルガレ(Hordeum vulgare))、マンニトール、スクロース、及びデンプンが潜在的な担体として含まれていた。
【0060】
担体コーティング及び凍結乾燥も他のタンパク質の安定性を増加させるかどうかを試験するために、様々な酵素活性タンパク質を研究に含めた。一般的なエンドリシンの概念を証明するために、精製用のHisタグを含有するリステリアファージエンドリシンHPly511(Eugster及びLoessner 2012)を含めた。2つのエンドリシンの活性を異なる溶解アッセイで評価した。ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、及びホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)を、発光測定又は比色アッセイによるそれらの単純な活性検出のために選択した。フォティヌス・ピラリス(Photinus pyralis)からのホタルルシフェラーゼ及びβ-ガラクトシダーゼを凍結乾燥粉末として購入した。ルシフェラーゼ活性は、酵素によって触媒される2段階の反応中に生成される光として検出することができた。β-ガラクトシダーゼ活性は、比色アッセイで測定した。化合物であるSalmon-β-D-ガラクトシダーゼの加水分解は、酵素の活性が維持されていることを示す赤い染色をもたらす。この研究で使用したホースラディッシュ・ペルオキシダーゼは、サルモネラS16バクテリオファージロングテールファイバー(LTF)に融合され、Matthew Dunne(Foodmicrobiology Lab、ETH Zurich)によって提供された。LTF-HRPコンジュゲーション産物が、迅速なサルモネラ検出のために開発された(Denyes、Dunneら 2017)。3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンの酸化によって、青色ジアミンが形成され、この青色ジアミンは、測定可能であり、HRPの残存活性を反映している。
【0061】
材料及び方法
材料:培地、緩衝液、及び担体
成長培地(表2)及びすべての緩衝液(表3)を、透析に使用する場合を除いて、121℃で20分間オートクレーブ処理した。担体(表4)は、乾燥粉末として用い、直接的に使用した。
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
方法
粉末におけるタンパク質コーティング
2つのオートミール由来粉末であるオートコム(商標)及びオートシルク(商標)、オオムギ粉末であるデルミヴェイル(商標)、マンニトール、スクロース、並びにデンプンを担体として使用し(表4)、異なるタンパク質でコーティングした(表5)。第1の試験は、粉末1グラムあたり1μg、10μg、又は100μgのXZ.700でコーティングされたオートコム(商標)、オートシルク(商標)、及びデルミヴェイル(商標)を用いて実施した。他の担体は、粉末1グラムあたり100μgのXZ.700でコーティングした。簡単に述べると、各種類を1g秤量し、超純水(18.2MΩcm、Labtech)を使用して懸濁液を作製した。体積を異なる粉末種類に合わせて調整した(表5)。XZ.700及びHPly511を、Spectra/Por(登録商標)透析チューブ(分子量カットオフ6~8kD、Sprectrum Laboratories)において20mMのTris緩衝液(表3)に対して一晩かけて透析した。フォティヌス・ピラリスからの凍結乾燥されたルシフェラーゼ(SigmaAldrich;カタログ番号:SRE0045-2MG)を、1MのTris緩衝液(表3)に再懸濁し、次いで、Spectra/Por(登録商標)透析チューブ(分子量カットオフ6~8kD、Spectrum Laboratories)において50mMのTris緩衝液(表3)に対して一晩かけて透析した。凍結乾燥されたβ-ガラクトシダーゼ(Sigma Aldrich;カタログ番号:48275-1MG-F)を20mMのTris緩衝液(表3)に直接的に再懸濁した。ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼがコンジュゲートしたS16ロングテールファイバーを先行技術の技術に従って合成した。タンパク質濃度は、280nmでの吸収測定(A280、Nanodrop)によって決定し、値は、CLCBioソフトウェアで計算されたタンパク質の理論上の吸収係数によって補正した。次いで、タンパク質を懸濁液に添加した。混合物を凍結乾燥(-46℃、真空211μB、コンデンサー-45.6)前に-80℃で凍結した。凍結乾燥された生成物を室温で乾燥保存した。
【0066】
【0067】
プレート溶解アッセイ
コーティングプロセス後のXZ.700の活性を試験するために、黄色ブドウ球菌ニューマン(黄色ブドウ球菌亜種アウレウスローゼンハッハ、ATCC(登録商標)25904(商標))を含有する正方形のTSAプレートにサンプルをスポットした(表2)。黄色ブドウ球菌ニューマンをTSBにおいて0.4~0.6のOD600nmになるまで育成し(表2)、培養液5mLをプレートに広げた。過剰な液体を捨て、プレートをラミナーフローフードにおいて15分間乾燥させた。スパチュラを使用して5mgの粉末をプレートにスポットした。次いで、プレートを30℃で一晩かけてインキュベートした。
【0068】
固体支持体(粉末)にコーティングされたXZ.700の熱安定性を評価するために、サンプルを、PCRグラジエントサーモサイクラーにおいて、50℃~100℃の温度で1時間インキュベートした。さらに、サンプルを、ヒートブロックにおいて、1時間100℃、110℃、及び120℃に、24時間100℃に曝した。さらに、オートコム(商標)サンプルを1時間130℃に曝した。上記のように、すべてのサンプルをTSAプレートにスポットした。
【0069】
濁度低減アッセイ
XZ.700及びHPly511の活性を、PBSで再構成した後に、経時的な光学密度の低下として試験した。XZ.700については黄色ブドウ球菌ニューマンを、HPly511についてはL.モノサイトゲン(L.monocytogene)1001を、1/2BHI培地(表2)で0.4のOD600nmになるまで培養した。次いで、細胞を7000g(4℃で10分間;Beckman Coulter、JA-10ローター)で回収し、PBS(表3)で洗浄した。ペレットを1%の元の培養液体積のPBS(表3)に再懸濁し、200μLのアリコートを使用まで-80℃で保存した。
【0070】
100nMの理論上のタンパク質濃度を得るために、XZ.700を有する52mgの粉末及びHPly511を有する37.8mgの粉末(粉末1gあたり100μgのエンドリシンでコーティング)に1mLのPBS(表3)を添加した。懸濁液を10rpmのオーバーヘッドローテーターにおいて2時間4℃でインキュベートし、次いで、4℃にて30分間30000gで遠心分離して、透明な溶液を得た(Sigma 3K 30、19777ローター)。上清を使用して、96ウェルプレートにおいてPBS(表3)で2倍希釈系列を調製し、50nM~6.25nMの濃度にした。対応する基質細胞をPBS(表3)で2.0のOD600nmになるまで希釈し、時点ゼロで96ウェルプレートにおいてOD600nmを1.0にした。オメガフォトスペクトロメーター(OmegaPhotospectrometer)(フルオスター(FLUOstar)(登録商標)オメガ、BMG LABTECH)を使用して、OD600nmを1時間にわたって30秒ごとに測定した。値を正規化及び使用して、溶解曲線をプロットした。同じ手順を、熱処理したサンプル(100℃、110℃、120℃、130℃、及び135℃に1時間曝す)を用いて行い、異なる担体におけるタンパク質の熱安定性を試験した。
【0071】
LTF-HRP比色アッセイ
LTF-HRPの活性は、PBS(表3)で再構成した後に試験した。ルシフェラーゼでコーティングされた10mgの粉末及びそのコーティングされていない対照を秤量し、熱処理した(室温、75℃、100℃、125℃、135℃で1時間)。1μg/mLの理論上のタンパク質濃度を得るために、1mLのPBS(表3)をサンプルに添加した。懸濁液を10rpmのオーバーヘッドローテーターにおいて2時間4℃でインキュベートし、次いで、4℃にて30分間30000gで遠心分離して、透明な溶液を得た(Sigma 3K 30、19777ローター)。99μLのTMB溶液(Merck;カタログ番号613544-100ML)を96ウェルプレートのウェルごとにピペッティングし、次いで、1μLの上清を添加した。LTF-HRPストックは、陽性対照としての役割を果たしていた(PBSにおいて2μg/mL)。3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンの酸化によって、青色ジアミンが形成され、この青色ジアミンは、HRPの残存活性を反映する370nmでの吸光度として測定可能である。オメガフォトスペクトロメーター(フルオスター(登録商標)オメガ、BMG LABTECH)において15分後に吸光度を測定した。残存活性を分類するために閾値を定義した(x<0.1活性なし、0.1≦x<1.0いくらかの残留活性、及びx≧1.0活性維持)。
【0072】
ルシフェラーゼグローアッセイ
ホタルルシフェラーゼの活性は、1MのTris緩衝液(表3)で再構成した後に試験した。ルシフェラーゼでコーティングされた24.8mgの粉末及びそのコーティングされていない対照を秤量し、熱処理した(室温、75℃、100℃、125℃、135℃で1時間)。100nMの理論上のタンパク質濃度を得るために、400μLの1MのTris緩衝液(表3)をサンプルに添加した。懸濁液を10rpmのオーバーヘッドローテーターにおいて2時間4℃でインキュベートし、次いで、4℃にて30分間30000gで遠心分離して、透明な溶液を得た(Sigma 3K 30、19777ローター)。25μLのサンプルを白色の96ウェルプレートに分注した。ピアース(Pierce)(商標)ホタルルシフェラーゼグローアッセイキット(ThermoFisher Scientific;カタログ番号:16176)からの100×d-ルシフェリンをグローアッセイ緩衝液で希釈した。1:1の比を得るために、この反応混合物をサンプルに添加した。400nMのルシフェラーゼストック溶液を陽性対照として使用し、コーティングされていない粉末懸濁液を陰性対照としての役割を果たし、1MのTris緩衝液(表3)をブランクとして使用した。プレートを機械内で暗所に10分間保った後に、発光をGloMax(登録商標)ナビゲーター(Promega)において測定した。すべての測定値は、ブランクを差し引くことによって補正した。担体のバックグラウンド発光を排除するために、対応するコーティングされていない対照の値をサンプル値から差し引いた。残存活性を分類するために閾値を定義した(x<102活性なし、102≦x<104いくらかの残留活性、及びx≧104活性維持)。
【0073】
β-ガラクトシダーゼ比色アッセイ
コーティングプロセス後のβ-ガラクトシダーゼの活性を試験するために、サンプルを発色性大腸菌群寒天にスポットした(表2)。β-ガラクトシダーゼでコーティングされた5mgの粉末及びそのコーティングされていない対照をエッペンドルフチューブに分注し、異なる温度(室温、75℃、100℃、125℃、135℃)で1時間熱処理した。同じ担体からのすべてのサンプルを同じ発色寒天プレートにスポットし、室温で一晩かけて保った。スポット部位でのプレートの色の変化を活性指標として使用した。
【0074】
結果
プレート溶解アッセイ
3つの異なるタンパク質濃度及び3つの異なる粉末(オートコム(商標)、オートシルク(商標)、及びデルミヴェイル(商標))を試験したプレート溶解アッセイでは、3つの粉末すべてについて粉末1グラムあたり100μgのXZ.700の明確な溶解が示された(
図1)。粉末1グラムあたり1μg又は10μgのXZ.700の濃度は、溶解が生じるには低過ぎた。
【0075】
サンプルをサーモサイクラーにおいて50℃~100℃の温度に1時間曝した場合、すべてのサンプルがそれらの溶解能を保持した(結果は示していない)。ヒートブロックにおいて100℃で1時間加熱されたサンプルは、依然として活性があったが、デルミヴェイル(商標)にコーティングされたXZ.700は、110℃でその活性を失った。120℃で1時間後に、オートコム(商標)について活性を依然として観察することができた。オートシルク(商標)の場合、120℃で1時間加熱した後に、非常に小さな溶解域によって示される残留活性は非常にわずかしかないように思われる(
図2)。100℃で24時間の熱処理によって、すべてのサンプルのタンパク質が失活した(データは示していない)。
【0076】
他の担体材料であるスクロース、マンニトール、デンプンは、黄色ブドウ球菌ニューマンで覆われたTSAプレートにスポットする前に、100℃、110℃、及び120℃に1時間曝した。室温に保たれたすべてのコーティングされた担体は、溶解活性を示した。スクロースにコーティングされたXZ.700は、100℃に1時間曝された場合、その活性をすでに失った(
図3)。マンニトールのサンプルは、1時間で100℃においてほとんど失活しているように思われ、わずかな残留活性しか検出できない(
図4)。室温及び100℃では、デンプンサンプルの明確な溶解域を見ることができたが、110℃では、かすかな検出可能な溶解のみを伴う主要な不活化が起こった(
図5)。
【0077】
オートコム(商標)にコーティングされたXZ.700は、すべての複製において高温で最も高い活性を示した(表6)。デルミヴェイル(商標)にコーティングされたXZ.700の活性は、活性が最初の複製でしか観察されなかったため、経時的に非常に不安定であるように思われた。
【0078】
【0079】
濁度低減アッセイ:XZ.700
再構成後の52mgの粉末を使用して、細胞溶解に反映される残存活性を測定した。1時間における黄色ブドウ球菌ニューマン細胞懸濁液の光学密度の低下の測定によって、オートコム(商標)及びオートシルク(商標)についての活性は示されたが、デルミヴェイル(商標)についての活性は示されなかった(
図6A、7A、8A)。残留粉末粒子によって残留濁度が生じることから、OD600nm測定における変動が観察された。
【0080】
異なる担体におけるXZ.700の熱安定性を試験するために、100℃、110℃、及び120℃で1時間事前に加熱したサンプルに同じ手順を適用した。すべてのコーティングされた担体(デルミヴェイル(商標)を除く)が、室温で少なくともいくらかの活性を示した。オートコム(商標)及びオートシルク(商標)にコーティングされたXZ.700は、120℃に曝された後でもその溶解能を保った(
図6D、7D)。135℃では、オートコム(商標)及びオートシルク(商標)にコーティングされたXZ.700の活性は1時間後に失われたが(
図6F、7F)、130℃では、XZ.700を完全に失活させるには不十分であった(
図6E、7E)。
【0081】
室温で保存されたサンプルの場合、再構成後に、スクロース、マンニトール、及びデンプンにコーティングされたXZ.700は活性を示した。しかしながら、マンニトールは、XZ.700の活性を完全には補助していないため、担体として劣っているように思われる(
図10A)。デンプンにコーティングした場合、XZ.700は、100℃で1時間インキュベートした後に依然として活性があった(
図9)。110℃に曝した後は、実質的に活性は検出されず、120℃では、デンプンにコーティングされたXZ.700の活性は完全に失われた。対照的に、マンニトール(
図10)又はスクロース(
図11)にコーティングされたXZ.700は、100℃に曝された場合、その溶解活性をすでに失った。
【0082】
異なる担体にコーティングされて高温に曝されたXZ.700の溶解活性は、表7において各生物学的複製についてまとめられている。複製4を実施して、完全な熱失活を決定した。
【0083】
【0084】
濁度低減アッセイ:HPly511
XZ.700の場合と同じ手順を適用して、異なる担体にコーティングされたHPly511の活性を試験した。1時間にわたるリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)1001基質細胞の光学密度の低下から、室温ですべての担体について溶解活性が示された(
図12A、13A、14A、15A、16A)。100℃で1時間後に残存活性を非常にわずかしか示さなかったマンニトールを除いて(
図16B)、他のすべての担体は、溶解活性を保持した。デルミヴェイル(商標)にコーティングされたHPly511については、110℃に曝された後に活性が失われた(
図14C)。デンプンにコーティングされたHPly511については、わずかな活性しか残存しなかった(
図15)。オートコム(商標)及びオートシルク(商標)にコーティングされたHPly511は、135℃に1時間曝された後でも完全に活性なままであった(
図12F、
図13F)。
【0085】
異なる担体にコーティングされて高温に曝されたHPly511の溶解活性は、表8において各生物学的複製についてまとめられている。
【0086】
【0087】
LTF-HRP比色アッセイ
LTF-HRPコーティングされた粉末10mgを再構成し、比色アッセイにおいて残存活性を試験した。表9には、3回の複製すべてにおける各条件についての色の変化がまとめられている(付録の未加工データ、表11)。先のアッセイと同様に、オートコム(商標)及びオートシルク(商標)は、他の担体よりも高い温度で、コーティングされたタンパク質の活性を保持した。デルミヴェイル(商標)にコーティングされたHRPは、室温では活性をわずかしか示さず、経時的に不安定であるように思われた。このセットアップでは、デンプンは、他のタンパク質でコーティングされた先のアッセイよりも、乾熱曝露中の活性維持においてはるかに効果が低かった。
【0088】
【0089】
ルシフェラーゼグローアッセイ
24.8mgのホタルルシフェラーゼでコーティングされた粉末をTris緩衝液に再懸濁し、タンパク質の再構成のために、10rpm及び4℃でオーバーヘッドローテーターにおいて2時間インキュベートした。固体粒子をペレット化し、上清をグローアッセイに使用した。酵素によるd-ルシフェリンの酸化を発光として測定することができる。オートコム(商標)及びオートシルク(商標)にコーティングされたルシフェラーゼは、135℃に1時間曝された後でも活性のままであった(表10)。デルミヴェイル(商標)、デンプン、又はマンニトールにコーティングされたタンパク質の活性は、100℃~120℃で低下するか、又は失われた。
【0090】
【0091】
β-ガラクトシダーゼ
異なる担体にコーティングされて異なる温度に曝されたβ-ガラクトシダーゼの残存活性は、これを発色性大腸菌群寒天に直接スポットすることによって試験した。β-ガラクトシダーゼによって触媒された培地に存在する化合物Salmon-β-d-ガラクトシダーゼの加水分解によって、活性部位に赤い染色がもたらされる。オートコム(商標)及びオートシルク(商標)にコーティングされたβ-ガラクトシダーゼは、120℃で1時間後に完全な活性を示し、135℃でいくらかの残留活性を示した(
図17A、17B)。デンプンを担体として使用した場合、室温、75℃、及び100℃で完全な活性が保持された。120℃でβ-ガラクトシダーゼ活性は減少し、135℃で完全に失われた(
図17D)。デルミヴェイル(商標)上のβ-ガラクトシダーゼは、室温で活性を示し、75℃及び100℃でいくらかの残留活性を示した(
図17C)。マンニトールは、β-ガラクトシダーゼのための担体として使用された場合、熱安定性を付与しなかった(
図17E)。したがって、活性は、室温でのサンプルについてのみ観察された。
【0092】
異なる担体にコーティングされて高温に曝されたβ-ガラクトシダーゼの活性は、表11において各生物学的複製についてまとめられている。
【0093】
【0094】
考察及び結論
この研究では、異なる酵素を凍結乾燥プロセスによって担体にコーティングした。特に、2つのオートミール由来粉末であるオートコム(商標)及びオートシルク(商標)は、高温に曝された場合でも、タンパク質の活性維持の改善を示した。残留粉末粒子が濁度低減アッセイのOD600nm測定の変動をもたらしたとしても、XZ.700及びHPL511それぞれで、最高130℃及び135℃で明確な溶解活性が観察された。デンプンは、特定のタンパク質にとって良好な担体であるように思われた。活性が維持について非常に低く、吸湿性の傾向があることから、スクロースは、XZ.700でのみ試験し、さらなる実験から除外した。一般に、ホタルルシフェラーゼは、試験された他のタンパク質と比較して、熱処理の影響を受けにくいように思われた。対照的に、凍結乾燥手順は、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼに最も害を及ぼすように思われた。全体として、この技術は、驚くほど良好に機能して、幅広いタンパク質の酵素活性を維持した。タンパク質が水溶液において活性を失う傾向は、使用まで固体形態でこれらを保存することによって克服することができた(Manning、Patelら 1989)。この技術は、治療部位がタンパク質の再構成に必要な水分をもたらすため、皮膚に特に良好に作用する。さらに、オートミールを担体として使用すると、その抗炎症性及び痒み止め特性を理由に、多くの皮膚状態に有益であろう(Fowler 2014)。
【0095】
参考文献
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