IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オキシ ロー カーボン ベンチャーズ エルエルシーの特許一覧

特表2023-518391二酸化炭素からエチレンを製造する方法
<>
  • 特表-二酸化炭素からエチレンを製造する方法 図1
  • 特表-二酸化炭素からエチレンを製造する方法 図2
  • 特表-二酸化炭素からエチレンを製造する方法 図3
  • 特表-二酸化炭素からエチレンを製造する方法 図4
  • 特表-二酸化炭素からエチレンを製造する方法 図5
  • 特表-二酸化炭素からエチレンを製造する方法 図6
  • 特表-二酸化炭素からエチレンを製造する方法 図7
  • 特表-二酸化炭素からエチレンを製造する方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(54)【発明の名称】二酸化炭素からエチレンを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 5/02 20060101AFI20230424BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20230424BHJP
   C12N 9/02 20060101ALN20230424BHJP
   C12N 15/53 20060101ALN20230424BHJP
【FI】
C12P5/02 ZNA
C12M1/00 C
C12N9/02
C12N15/53
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555888
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(85)【翻訳文提出日】2022-11-08
(86)【国際出願番号】 US2021023163
(87)【国際公開番号】W WO2021188897
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】62/992,689
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/052,664
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522118573
【氏名又は名称】オキシ ロー カーボン ベンチャーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パワーズ,ドナルド エイチ
(72)【発明者】
【氏名】カリミ,タヘラ
(72)【発明者】
【氏名】ゼラー,ザ サード,ロバート エル
(72)【発明者】
【氏名】ペース,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ガーモン,マイケル エー
(72)【発明者】
【氏名】ヌーイェン,トロング フー
【テーマコード(参考)】
4B029
4B050
4B064
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029BB02
4B029BB04
4B029CC02
4B029DA05
4B029DF05
4B029DG10
4B050CC04
4B050DD02
4B050KK01
4B050LL05
4B064AB04
4B064CA02
4B064CA08
4B064CA19
4B064DA16
(57)【要約】
方法であって、(i)1体積%を超える二酸化炭素を含むガス流を提供することと、(ii)水を提供することと、(iii)前記二酸化炭素及び前記水を、光の存在下で有機中間体及び酸素ガスに変換することと、(iv)前記有機中間体から前記酸素ガスを分離することと、(v)前記有機中間体から前記酸素ガスを分離する前記工程の後に、前記有機中間体をエチレン及び二酸化炭素に変換することと、を含む方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
(i)1体積%を超える二酸化炭素を含むガス流を提供することと、
(ii)水を提供することと、
(iii)前記二酸化炭素及び前記水を、光の存在下で有機中間体及び酸素ガスに変換することと、
(iv)前記有機中間体から前記酸素ガスを分離することと、
(v)前記有機中間体から前記酸素ガスを分離する前記工程の後に、前記有機中間体をエチレン及び二酸化炭素に変換することと
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記有機中間体をエチレン及び二酸化炭素に変換する前記工程(iii)が、二酸化炭素及び水を有機中間体に変換する前記工程(i)からの余剰水の存在下で行われ、前記有機中間体をエチレン及び二酸化炭素に変換する前記工程(iii)が、二酸化炭素及び水を有機中間体及び酸素ガスに変換する前記工程(i)で形成された前記有機中間体の一部のみを消費し、さらに、前記余剰水及び前記有機中間体を、前記有機中間体をエチレン及び二酸化炭素に変換する前記工程(iii)から前記二酸化炭素及び前記水を有機中間体に変換する前記工程(i)に送り戻す工程を含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、二酸化炭素及び水を有機中間体及び酸素ガスに変換する前記工程(i)が、光エネルギーの存在下で、前記二酸化炭素から有機中間体及び酸素ガスを生成する微生物を含む第1のバイオリアクタ内で行われる、方法。
【請求項4】
前記ガス流が、3体積%を超える二酸化炭素を含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
燃焼工程からの煙道ガス流を圧縮して、二酸化炭素を含有する流れを形成する工程をさらに含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記有機中間体から酸素を分離する前記工程(ii)が、前記有機中間体をエチレン及び二酸化炭素に変換する前記工程(iii)に導入される有機中間体濃厚流を生成する、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記有機中間体濃厚流が30ppm未満の酸素を含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
酸素ガスを分離する前記工程が、前記第1のバイオリアクタから酸素ガスを放出することを含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記有機中間体をエチレン及び二酸化炭素に変換する前記工程(iii)が、前記有機中間体をエチレン及び二酸化炭素に変換するための酵素を生成する微生物を含む第2のバイオリアクタ内で行われる、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記有機中間体をエチレン及び二酸化炭素に変換する前記工程(iii)が、光エネルギーが実質的に存在しない状態で行われる、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記エチレン及び前記二酸化炭素が生成物流を形成する、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記生成物流の中の酸素ガスを二酸化炭素に変換する工程をさらに含む、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記生成物流から水を取り出す工程をさらに含む、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記生成物流から二酸化炭素を分離することをさらに含む、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記エチレンから二酸化炭素を分離する前記工程が、エチレン濃厚流を生成する、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記エチレンから前記二酸化炭素を分離する前記工程が、二酸化炭素流を生成し、前記二酸化炭素流は、二酸化炭素を有機中間体及び水に変換する工程(i)に導入される、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
二酸化炭素及び水を有機中間体及び酸素ガスに変換する前記工程が、第1のバイオリアクタ内で行われる、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記有機中間体からの前記酸素ガスの前記分離が、前記有機中間体が含有される水性媒体から前記酸素ガスを放出することを含む、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記有機中間体から前記酸素ガスを分離する前記工程の後に、前記有機中間体をエチレン及び二酸化炭素に変換する前記工程が、第2のバイオリアクタ内で行われる、請求項1~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
エチレンを生成するためのシステムであって、前記システムは、
(i)二酸化炭素を有機中間体に変換する光合成微生物を含む第1のバイオリアクタであって、二酸化炭素入口及び有機中間体用出口を有する、前記第1のバイオリアクタと、
(ii)前記第1のバイオリアクタと流体連通しており、前記第1のバイオリアクタで生成された有機中間体をエチレンに変換する微生物を含む第2のバイオリアクタであって、エチレンを含むガス状材料のための出口を有し、未反応の有機中間体を含む流体材料のための出口を有する、前記第2のバイオリアクタと
を含む、システム。
【請求項21】
前記第2のバイオリアクタの流体材料のための前記出口が、前記第1のバイオリアクタと流体連通している、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記第2のバイオリアクタのガス状材料のための前記出口が、二酸化炭素分離器と流体連通している、請求項20又は21に記載のシステム。
【請求項23】
前記二酸化炭素分離器が精製二酸化炭素のための出口を含み、精製二酸化炭素のための前記出口が前記第1のバイオリアクタと流体連通している、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年3月20日に出願された米国仮特許出願第62/992,689号、及び2020年7月16日に出願された米国仮特許出願第63/052,664号の利益を主張する。
【0002】
本発明の実施形態は、二酸化炭素をエチレンに変換するための方法及びシステムを提供する。
【背景技術】
【0003】
大気中の二酸化炭素レベルに対する懸念と相まって、化石燃料の長期にわたる利用可能性に対する懸念により、二酸化炭素の固定を介して石油系製品を製造するための生合成法の開発が強化されている。すなわち、二酸化炭素を、より大きな有機分子のための燃料又は有機構成要素として使用することができる有用な有機化合物に変換するために、光合成プロセスが用いられている。
【0004】
例えば、米国特許第7,807,427号明細書では、二酸化炭素をグルコース及び酢酸などの中間生成物に変換するための、遺伝子改変シアノバクテリアなどの光合成生物の使用が教示されている。後の工程で、メタン生成細菌を使用して中間生成物がメタンに変換される。メタンは回収され、燃料として使用するために貯蔵することができる。
【0005】
エチレンは、多くの工業にとって最も重要な化学原料として広く知られており、二酸化炭素の固定によってエチレンを生合成するためのいくつかの方法が提案されている。
【0006】
シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)は、「efe(ethyleneforming enzyme)」と呼ばれるエチレン形成酵素によって触媒される一段階反応で、トリカルボン酸(tricarboxylic acid:TCA)回路中間体のアルファ-ケトグルタル酸を使用してエチレンを合成することが知られている。二酸化炭素からエチレンを直接生成することを目的として、米国特許第9,309,541号明細書には、光栄養的にエチレンを生成することができる株を作り出すために、シネコシスティス(Synechocystis)などの宿主においてefe遺伝子を発現及び過剰発現させる方法が開示されている。言い換えれば、生物工学により光独立栄養生物を改変して、炭素固定の生成物が一段階反応でエチレンに変換される。現在の研究では、光独立栄養生物を改変してエチレンを生成することに焦点が当てられているが、エチレンの回収が課題となり得る。Eckert et al.,Ethylene-forming enzyme and bioethylene production,BIOTECHNOLOGY FOR BIOFUELS 2014,7:33に概説されているように、O2が光合成系においてエチレンと同時生成される場合、O2の存在下でのエチレンの引火性に関する安全上の重要な課題があり、リスクを軽減するための工学的設計が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,807,427号明細書
【特許文献2】米国特許第9,309,541号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Eckert et al.,Ethylene-forming enzyme and bioethylene production,BIOTECHNOLOGY FOR BIOFUELS 2014,7:33
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つ又は複数の実施形態は、(i)1体積%を超える二酸化炭素を含むガス流を提供することと、(ii)水を提供することと、(iii)前記二酸化炭素及び前記水を、光の存在下で有機中間体及び酸素ガスに変換することと、(iv)前記有機中間体から前記酸素ガスを分離することと、(v)前記有機中間体から前記酸素ガスを分離する前記工程の後に、前記有機中間体をエチレン及び二酸化炭素に変換することと、を含む方法を提供する。
【0010】
本発明のさらに他の実施形態は、エチレンを生成するためのシステムを提供し、前記システムは、(i)二酸化炭素を有機中間体に変換する光合成微生物を含む第1のバイオリアクタであって、二酸化炭素入口及び有機中間体用出口を有する、第1のバイオリアクタと、(ii)第1のバイオリアクタと流体連通し、第1のバイオリアクタで生成された有機中間体をエチレンに変換する微生物を含む第2のバイオリアクタであって、エチレンを含むガス状材料のための出口を有し、未反応の有機中間体を含む流体材料のための出口を有する、第2のバイオリアクタと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態を実施するためのシステムの概略図である。
【0012】
図2】本発明の実施形態における、二酸化炭素を送達するためのサブシステムの概略図である。
【0013】
図3】本発明の実施形態を実施するための第2の光合成バイオリアクタを含む代替システムの概略図である。
【0014】
図4】本発明の実施形態を実施するための酸素-燃料燃焼システムを含むシステムの概略図である。
【0015】
図5】本発明の実施形態を実施するための上流の二酸化炭素の精製を含むシステムの概略図である。
【0016】
図6】本発明の1つ又は複数の実施形態に適用可能なエチレン精製及び圧縮のスキームの概略図である。
【0017】
図7】本発明の1つ又は複数の実施形態を実施するための二酸化炭素の膜分離を含む代替システムの概略図である。
【0018】
図8】本発明の実施形態を実施するための単一のバイオリアクタを含む代替システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態は、工業的に有意なレベルで二酸化炭素からエチレンを生合成する方法の開示されたものに、少なくとも部分的に基づいている。本発明の実施形態によれば、二酸化炭素は、最初に、酸素ガスの副生成物の生成と共に、有機中間体に光合成的に変換される。次いで、副生成物の酸素ガスは有機中間体から分離され、次いで、有機中間体は、副生成物の酸素ガスが明らかに存在しない状態で、生物学的にエチレンに変換される。エチレンの生合成に関連する現在の技術では一段階合成に焦点が当てられているが、本発明の2段階法は、工業的に有意なレベルでのエチレン及び酸素ガスの同時生成に関連する安全性の懸念に対処するものである。また、有機中間体のエチレンへの生物変換により副生成物の二酸化炭素が生成され、このことが全体的な炭素効率に影響を与える。さらに、エチレン生成物流中の二酸化炭素の量は、ほとんどの二酸化炭素投入流(例えば煙道ガス)に対してかなり多く、したがって、エチレン生成物流内の二酸化炭素は、適切に管理されれば貴重な資源となり得る。したがって、本発明の実施形態は、副生成物の二酸化炭素のための管理方法を提供し、その方法は、これに限定されるものではないが、二酸化炭素を有機中間体に光合成的に変換することを含み、その有機中間体は、有機中間体を生物学的にエチレンに変換する工程に再循環させることができる。またさらに、有機中間体をエチレンに生物学的に変換する工程は、定常状態又は定常状態付近で運転する連続撹拌槽反応器などの工業用反応器を使用することによって、商業規模で効率的に実現することができ、その定常状態が、有機中間体の不完全な消費、炭素効率の損失、及び貴重な原料の損失に影響を与える。したがって、本発明の実施形態は、有機中間体がエチレンに変換される反応器からの流出流を適切に管理することによって、これらの問題に対する解決策を提供する。
【0020】
方法及びシステムの概要
本発明の実施形態は、二酸化炭素をエチレンに変換するためのシステム20を示す図1を参照して説明することができる。当該システムは、第1のバイオリアクタ21と、それに直列で続く第2のバイオリアクタ41とを含む。第1のバイオリアクタ21は、中間生成物導管31を介して第2のバイオリアクタ41と直接的又は間接的に流体連通している。第2のバイオリアクタ41はまた、中間体の再循環導管33を介して第1のバイオリアクタ21と流体連通している。二酸化炭素分離器61が第2のバイオリアクタ41の下流にあり、導管51を介して第2のバイオリアクタ41と直接的又は間接的に流体連通している。二酸化炭素分離器61はまた、二酸化炭素の再循環導管53を介して、直接的又は間接的に第1のバイオリアクタ21と流体連通してもよい。
【0021】
本発明の実施形態によれば、第1のバイオリアクタ21は、バイオリアクタ21に送給される二酸化炭素及び水を有機中間体に変換する光合成生物培養物(すなわち光合成微生物)を含む。この変換は、第1のバイオリアクタ21に供給される光エネルギーの存在下で行われる。有機中間体の合成は、反応媒体として作用する余剰水の存在下で行われ、余剰水は中間生成物流の担体として作用する。1つ又は複数の実施形態において、有機中間体は水に可溶性である。当業者が認識するように、光合成生物培養物は、接種反応器23からバイオリアクタ21に供給することができる。
【0022】
バイオリアクタ21内で有機中間体が形成される間に、副生成物として酸素ガスが生成される。本発明の態様によれば、酸素ガスは、中間生成物流が第2のバイオリアクタ41に導入される前に、有機中間体から分離される。例えば、第1のバイオリアクタ21から、その反応器内の窒素ガスなどの他の揮発性物質と共に酸素ガスを放出することができる。
【0023】
有機中間体は、中間生成物流内で、直接的又は間接的に、第1の反応器21から中間生成物導管31を介して第2のバイオリアクタ41に移される。1つ又は複数の実施形態において、中間生成物流を、その流れがバイオリアクタ21を出る際に濾過することができる。運転中、前記流れがバイオリアクタ21を出る際の中間生成物流の濾過によって、光合成微生物を固定化するために使用されるいかなる媒体の移動も防ぐことができ、それによって第1のバイオリアクタ21から第2のバイオリアクタ41への微生物の移動を防ぐことに役立つ。
【0024】
前記流れがバイオリアクタ21を出る際に中間生成物流を濾過することに加えて、又はその代わりに、バイオリアクタ21とバイオリアクタ41との間に配置された1つ又は複数の中間ユニットで、中間生成物流を濾過及び/又は滅菌することができる。例えば、図2を参照すると、第1のバイオリアクタ21と第2のバイオリアクタ41との間に、任意選択の滅菌ユニット35を配置することができる。ユニット35は濾過ユニットを含んでもよい。濾過ユニットに加えて、又はその代わりに、ユニット35は遠心分離ユニットを含んでもよい。又は、他の実施形態において、ユニット35は、濾過又は遠心分離に加えて、又はその代わりに、浄化ユニット(例えば沈殿槽)を含んでもよい。濾過、遠心分離、及び/又は浄化の代わりに、又はそれに加えて、ユニット35は滅菌ユニットを含んでもよい。例えば、滅菌ユニットにより、UV滅菌、熱、又はガンマ線を利用して中間生成物流が処理されてもよく、これは、第1のバイオリアクタ21から第2のバイオリアクタ41へ、いかなる生きた微生物の導入も防ぐために行われてもよい。
【0025】
1つ又は複数の実施形態において、第2のバイオリアクタ41は、有機中間体をエチレンに変換するエチレン生成生物培養物(すなわちエチレン生成生物)を含む。
【0026】
当業者が認識しているように、微生物培養物をそれぞれのバイオリアクタに導入するために、いくつかのサブシステムを設計することができる。当業者なら、これらの目的を達成するために適切なシステムを容易に設計することができる。例えば、複数の図を参照すると、接種反応器23とも呼ばれ得る接種ユニット23から、バイオリアクタ21及び/又はバイオリアクタ41に適切な微生物群を供給することができる。接種ユニット23は、それぞれの微生物のための別個のチャンバ又は容器を含んでもよく、又はそれぞれの微生物のために別個のユニットが設けられてもよい。さらに、1つ又は複数のバイオリアクタからバイオマスを取り出すことが望ましい場合がある。1つ又は複数の実施形態において、本発明のシステムは、バイオリアクタのいずれか又は両方から得られたバイオマスを任意の固定化支持媒体から取り出し、システムから取り出すことができるバイオマス消化ユニット25を含んでもよい。運転中、バイオマス消化ユニット25を、バイオリアクタ21、41のいずれか又は両方と流体連通させることができ、又は、バイオマスを(任意選択で固定化材料と共に)手動で、それぞれの反応器から取り出すことができる。1つ又は複数の実施形態において、バイオマスをアミノ酸などの栄養素に変換し、微生物の栄養源としてバイオリアクタに戻すことができる。あるいは、バイオマスをシステムから取り出し、肥料などの他の用途に宛てることができる。
【0027】
バイオリアクタ41内ではエチレン合成の副生成物として二酸化炭素が生成され、ガス状生成物流としてエチレン及び二酸化炭素が第2のバイオリアクタ41から取り出される。液体流出流もまた、第2のバイオリアクタ41を出る。この液体流出流は、水及び未反応の有機中間体を含んでもよく、この流れは、有機中間体の再循環導管33を介して第1のバイオリアクタ21に送り戻すことができる。図2に最もよく示されているように、水及び未反応の有機中間体を含む液体流出流は、濾過/滅菌ユニット37で濾過及び/又は滅菌を受けることができる。この濾過及び/又は滅菌は、ユニット35と同じ種類の技術を利用してもよく、したがって、ユニット35に関する上記の解説がここに組み込まれる。当業者が認識しているように、エチレン生成微生物が第1のバイオリアクタ21に決して移動しないようにすることが有用であり得る。
【0028】
第2のバイオリアクタ41を出るガス状生成物流は、第2のバイオリアクタ41の下流で、導管51を介して直接的又は間接的に、二酸化炭素分離ユニット61とも呼ばれ得る二酸化炭素分離器61に送られる。分離器システム61とも呼ばれ得る分離器61内では、二酸化炭素がガス状生成物流から分離されて、導管53によって運ばれる、エチレン濃厚流とも呼ばれ得る濃縮エチレン流を提供する。このエチレン濃厚流を下流の精製加圧ユニット100に送ることができ、これについては本明細書でより詳細に説明する。分離器61はまた、精製二酸化炭素流とも呼ばれ得る濃縮二酸化炭素流を生成し、この濃縮二酸化炭素流を、導管55を介して第1のバイオリアクタ21に送り戻すことができる。
【0029】
図3を参照して説明し得る代替の実施形態において、二酸化炭素分離器61によって生成された精製二酸化炭素流を、導管57を介して、二酸化炭素を有機中間体及び酸素ガスに光合成的に変換する光合成生物培養物を含む中間のバイオリアクタ71(第2の光合成バイオリアクタ71と呼ばれ得る)に送ることができる。有利には、バイオリアクタ71への二酸化炭素送給流は、(二酸化炭素分離器61を介した)精製二酸化炭素流であるため、第2の光合成バイオリアクタ71を出るガス状副生成物流は比較的純粋な酸素ガス流を含み、その酸素ガス流は導管75を介して送ることができる。比較的純粋な酸素流は、窒素ガス及びアルゴンガスを実質的に含まない流れを含んでおり、窒素ガス及びアルゴンガスが含まれればそれらを酸素ガスから分離するために複雑でかつ高価なプロセス(例えば空気分離技術)が必要であることを、本発明の文脈において当業者なら認識するであろう。しかし、本明細書で規定される比較的純粋な酸素ガス流の中の二酸化炭素の存在は有害ではなく、したがって、特に明記しない限り、二酸化炭素は、酸素ガス流からより容易に分離することができるため、比較的純粋な酸素ガス流内に存在してもよい。第1のバイオリアクタ21と矛盾することなく、中間のバイオリアクタ71は流出流を生成し、その流出流は、有機中間体及び水を含んでもよく、導管79を介して第1のバイオリアクタ21及び/又は第2のバイオリアクタ41に送り戻すことができる。一般に示されるように、この流出流は、図2を参照して説明したように、ユニット37で濾過及び/又は滅菌を受けてもよい。
【0030】
図面全体を通して示されるように、第2のバイオリアクタ41を出、導管51を介して送られるガス流は、ユニット61での二酸化炭素分離の前に、任意選択で1つ又は複数の処理又は操作を受けることができる。例えば、圧縮ユニット43でその流れを加圧することができる。加圧に加えて、又はその代わりに、ガス流は、任意選択で、酸素取出しユニット45で酸素を取り出すための処理を受けることができる。酸素取出しユニット45で二酸化炭素が作り出され得るので、ユニット45で生成された二酸化炭素を取り出すことができる二酸化炭素分離ユニット61の上流に酸素取出しユニット45を配置することが有益であり得る。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態は、図8を参照して説明することができる。示されるように、プロセス120は、上記の他のシステムに関して示された2つのバイオリアクタ21、41の代わりに、統合バイオリアクタ121とも呼ばれ得る単一の容器121を含む。運転中、バイオリアクタ121に供給される光エネルギーは、明サイクル及び暗サイクルを生成する形で制御される。運転中、統合バイオリアクタ121内の光合成微生物が、明サイクル中に二酸化炭素を有機中間体に変換し、次いで暗サイクル中に、統合バイオリアクタ121内のエチレン形成微生物が、暗サイクル中に有機中間体をエチレンに変換する。明サイクル中での酸素の生成中に、バイオリアクタ121から酸素を取り出すことができ、暗サイクル中でのエチレンの生成中に、バイオリアクタ121からエチレンを取り出すことができる。他の実施形態と矛盾することなく、エチレンが二酸化炭素と同時生成されてもよく、エチレン及び二酸化炭素は、上記の下流プロセスにおいて(例えば二酸化炭素スクラバ61で)分離することができる。
【0032】
図2に戻り、本発明の方法は、二酸化炭素投入流の調整(すなわち、バイオリアクタ21に前記流れを提供する前の前記流れの調整)を含んでもよい。1つ又は複数の実施形態において、導管11によって運ばれる二酸化炭素投入流は、圧縮機13で加圧されてもよい。1つ又は複数の実施形態において、二酸化炭素投入流内の不活性ガス(例えば窒素)が最終的に反応器のヘッドスペースに入ることができるように、その投入流の(例えば圧縮機13内での)加圧により、第1のバイオリアクタ21内の対抗力に打ち勝つのに十分な圧力が獲得される。1つ又は複数の実施形態において、二酸化炭素投入流は、約2~約20psig、他の実施形態では約3~約18psig、他の実施形態では約5~約15psigの圧力に加圧される。
【0033】
また、図2に最もよく示されているように、二酸化炭素投入流を、導管17を介してバイオリアクタ21に送達する前に、急冷器15で冷却することができる。当業者が認識するように、急冷器15は、冷却水ループ15’を含む水冷ユニットを含んでもよく、冷却水ループ15’は、水を冷却するための1つ又は複数の熱交換器を含んでもよい。1つ又は複数の実施形態において、二酸化炭素投入流は、バイオリアクタ21内の微生物培養物に有害な影響を及ぼす温度より低い温度に冷却される。1つ又は複数の実施形態において、二酸化炭素投入流は、バイオリアクタ21への送達前に、約10~約80℃、他の実施形態では約20~約60℃、他の実施形態では約30~約50℃の温度に冷却される。
【0034】
1つ又は複数の実施形態の二酸化炭素投入流はかなりの量の水を含んでもよく、その水の少なくとも一部が急冷器15で冷却サイクルを介して凝縮されることになるので、かなりの量の水を消費する第1のバイオリアクタ21に、急冷器15からの水を送給することができる。1つ又は複数の実施形態において、急冷器15で用いられる水、及び/又は第1のバイオリアクタ21に送られる水流を苛性物質で処理して、水のpHを調整することができる。1つ又は複数の実施形態において、急冷器15で用いられる水、及び/又は急冷器15から第1のバイオリアクタ21に送られる水は、5.5を超えるpHに、他の実施形態では6.0を超えるpHに、他の実施形態では6.5を超えるpH(例えば、5.5~8.0又は6.0~7.5の範囲)に調整される。水の苛性処理によって、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩が形成されることが予想され、これはpH制御に関して第1のバイオリアクタ21のためになるだけでなく、炭酸ナトリウム及び/又は重炭酸ナトリウムの形態の追加的な二酸化炭素源ももたらされる。当業者なら、炭酸ナトリウムと重炭酸ナトリウムとの間の望ましいバランスを得るために、条件を容易に調整し、かつ/又は追加的な成分(例えば塩酸)を提供することができる。特定の実施形態において、急冷器15内の冷却水に提供される苛性ソーダは、本発明の実施態様に統合することができる他のプロセスに由来する。例えば、エチレン精製で苛性ソーダを使用することができ、かつ/又は、エチレン精製で、急冷器15に取り込ませることができる炭酸ナトリウムを作り出すことができる。
【0035】
さらに他の実施形態において、他の実施形態に関して説明したように、第2のバイオリアクタ41を出る液体流出流は、第1のバイオリアクタ21に送り戻すことができ、任意選択で急冷器15に送ることができる。1つ又は複数の実施形態において、第2のバイオリアクタ41を出る液体流出流は、まず、急冷器15に送る前に滅菌ステーション37で処理される。
【0036】
第1のバイオリアクタへの二酸化炭素供給流
本発明の方法は、有利には、二酸化炭素投入流と呼ばれ得る様々なガス源からの二酸化炭素を、エチレンに変換し得る有用な中間体に変換することができる。1つ又は複数の実施形態において、二酸化炭素は、1%体積を超える、他の実施形態では3%体積を超える、他の実施形態では5%体積を超える、また他の実施形態では10%体積を超える二酸化炭素を含む二酸化炭素投入流によって、システムに提供される。1つ又は複数の実施形態において、二酸化炭素投入流は、燃焼プロセスの排気流(すなわち煙道ガス流)であるか、又はそれに由来する。当業者が認識しているように、排気流の組成は、燃焼プロセスの設計、及び燃焼プロセスで燃やされる燃料を含むいくつかの要因に基づいて変化し得る。例えば、煙道ガス流は、石炭燃焼炉、ガス燃焼炉、タービン発電機、及び酸素燃料燃焼プロセスに由来し得る。
【0037】
1つ又は複数の実施形態において、二酸化炭素投入流は、酸素燃焼(oxycombustion)とも呼ばれ得る酸素燃料燃焼(oxy-fuel combustion)プロセスの排気流に由来し得る。当業者なら、これらの方法が、窒素及びアルゴンが実質的に存在しない状態での燃料(例えば炭化水素)の燃焼を含むことを認識している。例えば、これらのプロセスは、実質的に純粋な酸素(すなわち、窒素及びアルゴンガスを実質的に含まない)、又は純粋な酸素と再循環煙道ガスとの混合物が燃焼プロセスに供給される燃焼プロセスを含んでもよい。結果として、燃焼生成物はほとんどが二酸化炭素及び水であり、窒素副生成物又はアルゴンが実質的に少ない。有利には、酸素燃焼プロセスからの二酸化炭素投入流はかなりのレベルの二酸化炭素を含み、窒素及び酸素を実質的に含まないので、光合成バイオリアクタからのガス状副生成物流は、未反応の二酸化炭素があればそれと共に、実質的に高濃度の酸素ガスを含むことになる。次いで、光合成バイオリアクタからのガス状副生成物流は、酸素燃焼プロセス内の燃料として酸素燃焼ユニットに再循環させることができ、その際、未反応の二酸化炭素があれば酸素燃焼プロセスは冷却される。
【0038】
例えば、図4を参照すると、本発明の一実施形態は、酸素燃焼ユニット18からの二酸化炭素投入流を含む。先の実施形態と同様に、二酸化炭素は、第1のバイオリアクタ21で、副生成物の酸素ガスを伴って有機中間体に光合成的に変換される。酸素ガス及び未反応の二酸化炭素を含む副生成物の酸素ガス流は、導管22を介して酸素燃焼ユニット18に送られる。また、示されていないものの、酸素燃焼ユニット18からの二酸化炭素投入流は、他の実施形態に関して上で記載したように、冷却及び加圧することができる(例えば図2を参照されたい)。第1のバイオリアクタ21で生成された中間生成物は、他の実施形態と矛盾しない形で、第2のバイオリアクタ41に向けて下流に送られる。
【0039】
さらに他の実施形態において、比較的純粋な二酸化炭素流を第1のバイオリアクタ21に供給することができる。比較的純粋な二酸化炭素流は、いくつかの供給源から得ることができ、一般に、90体積%を超える、他の実施形態では95体積%を超える、他の実施形態では99体積%を超える二酸化炭素を含有する流れを含む。上で説明したように、比較的純粋な二酸化炭素流が使用される場合、本発明の方法は、第1のバイオリアクタ21からの副生成物の流出物として、比較的純粋な(すなわち、窒素又はアルゴンガスが実質的にない)酸素ガス流を生成する。これらの比較的純粋な酸素ガス流は、例えば、エチレンのオキシ塩素化などの工業用途に使用することができる。
【0040】
1つ又は複数の実施形態において、本発明の工程として比較的純粋な二酸化炭素流が生成され、投入流として使用される。例えば、二酸化炭素を含有する投入流を第1のバイオリアクタ21に導入する前に、その流れを精製及び/又は濃縮することができる。1つ又は複数の実施形態において、例えばアミンスクラビング及びストリッピングの技術を用いることによって、二酸化炭素投入流を精製することができる。先の実施形態のうちの1つ又は複数と同様に、精製二酸化炭素流を第1のバイオリアクタに提供することによって、第1のバイオリアクタを出る副生成物流として比較的高品位の酸素ガス流を生成することができる。二酸化炭素流を精製及び/又は濃縮するために、アミンスクラビング及びストリッピングの技術に加えて、又はその代わりに、様々な二酸化炭素の取出し及び分離の技術を用いることができると当業者なら認識するであろう。これらの技術としては、以下に限定されるものではないが、膜分離、固体吸着剤、及び炭酸カリウムなどの他の溶媒化学作用(solvent chemistries)の使用が挙げられる。
【0041】
図5を参照して例示的な実施形態を説明することができ、図5は、二酸化炭素精製ユニット16から二酸化炭素投入流を受け取る第1のバイオリアクタ21を含むシステム50を示している。精製ユニット16は、導管11’を介して第1のバイオリアクタ21に導入される精製二酸化炭素流を生成する。示されていないものの、燃焼ユニットからの二酸化炭素投入流は、他の実施形態に関して上で記載したように、冷却及び加圧することができる(例えば図2を参照されたい)。二酸化炭素は、バイオリアクタ21において、副生成物の酸素ガスを伴って有機中間体に光合成的に変換される。副生成物の酸素ガスは、導管24を介して直接的又は間接的に、例えば、比較的高純度の酸素を必要とする工業プロセス26に送られる。1つ又は複数の実施形態において、バイオリアクタ41で生成されたエチレンを工業プロセス26に送ることもできる。図5には示されていないものの、第2のバイオリアクタ41からのエチレン流は、酸素ガス変換、二酸化炭素の取出し(及び光合成バイオリアクタへの再循環)、並びにエチレン精製を含むがこれらに限定されない、他の実施形態に関して説明した下流の処理を受けることが認識されよう。
【0042】
やはり、光合成バイオリアクタによって比較的純粋な二酸化炭素流の使用に由来することができる比較的純粋な酸素の副生成物流が得られる実施形態においては、比較的純粋な酸素流を工業用途に使用することができる。1つ又は複数の実施形態において、光合成バイオリアクタを出るガス流は、酸素ガス流中に未反応の二酸化炭素があれば取り出すために、二酸化炭素取出し処理を受けることができる。次いで、酸素ガス流を所望の工業用途に送ることができる。例えば、これらの実施形態からの酸素ガス流をオキシ塩素化ユニットに送ることができ、そこでエチレンは酸素ガスの存在下で塩酸と反応する。この例では、エチレンはエチレン生成バイオリアクタに由来し得る。エチレン生成バイオリアクタからのエチレン流は、他の実施形態に関して説明したように、二酸化炭素取出し処理及びエチレン精製を受けることが認識されよう。
【0043】
二酸化炭素の分離
1つ又は複数の実施形態において、下流の(例えば二酸化炭素分離ユニット61での)二酸化炭素の分離は、従来のアミンスクラビング/ストリッピングを用いることによって行われてもよい。様々な他の二酸化炭素分離技術を用いることができ、二酸化炭素分離技術としては、以下に限定されるものではないが、炭酸カリウムを使用した溶媒分離、膜分離、及び固体吸着剤分離が挙げられる。
【0044】
当業者が認識しているように、アミンスクラビング及びストリッピングの技術又は方法には、一般に、水担体内の有機アミンによる二酸化炭素の吸収(すなわちスクラビング)、及びそれに続く有機アミンからの二酸化炭素の再生又は放出(すなわちストリッピング)が含まれる。これらのシステム及びそれらを使用するための技術は、米国特許出願公開第2009/0038314号明細書、同第2009/0156696号明細書及び同第2013/0244312号明細書に記載されているように当技術分野で周知であり、それらは参照により本明細書に組み込まれる。また、エンジニアリング・データ・ブック(Engineering Data Book)、第II巻第17-26節、ガス処理業者協会(Gas Processors Suppliers Assoc.)(1994)も参照されたい。
【0045】
アミンスクラビング/ストリッピングの代わりに、又はそれに加えて、膜分離技術を用いてもよい。当業者が認識しているように、これらの膜には、二酸化炭素が透過物を通過することが可能であるポリマー又は無機微多孔膜が含まれてもよい。これらの膜及びそれらを使用するための技術は、米国特許出願公開第2008/0173179号明細書及び同第2013/0312604号明細書に記載されているように周知であり、それらは参照により本明細書に組み込まれる。本発明の実施において、アミンスクラビング/ストリッピングの技術の代わりに膜分離を使用する場合、残留エチレンを取り出すことが望ましい場合がある。残留エチレンは、透過流の中に移る可能性があり、そのため取り出さなければ固定反応器(すなわち第1のバイオリアクタ)に送り戻され、そして最終的に酸素流中に移ることになる。これに関して、図7を参照すると、導管73を介してエチレン処理ユニット75に向けて下流に送られる二酸化炭素の透過流を有する膜分離ユニット61’を含む代替システム20’が示されており、エチレン処理ユニット75は、透過流が導管51’を介してバイオリアクタ21に送り戻される前に、透過流内に残留エチレンがあれば(例えば触媒燃焼により)取り出すために、前記流れを触媒作用的に処理するように適合されてもよい。
【0046】
エチレン精製
上記のように、第2のバイオリアクタ41のエチレン含有生成物流の(例えば分離器61内での)二酸化炭素分離により、導管53によって運ばれるエチレン濃厚流が生成される。このエチレン濃厚流は、後の使用及びサブプロセス100内の任意選択の輸送のために精製及び任意選択の圧縮を受けることができ、これは図6を参照して最もよく説明される。1つ又は複数の実施形態において、サブプロセス100では、導管53を介して提供されるエチレン濃厚流が、1つ又は複数の技術を用いて処理される。例えば、エチレン濃厚流は、任意選択の酸素ガス取出しユニット101で酸素ガス取出し処理を受けてもよい。このユニット内では、エチレン濃厚流内の残留酸素ガスが、例えば、エチレンの一部の触媒燃焼によって消費される。1つ又は複数の実施形態において、サブプロセス100は、残留二酸化炭素があれば取り出す(例えば、二酸化炭素のレベルを10ppm未満、又は5ppm未満、又は3ppm未満に低減する)苛性洗浄ユニット103で、エチレン流のポリッシングを含んでもよい。苛性洗浄ユニット103の下流で、エチレン濃厚流は除水ユニット105で除水処理を受けてもよく、除水ユニット105は、分子ふるいを使用した脱水ユニットを含んでもよい。除水処理後、エチレン濃厚流を凝縮器107で凝縮することができ、凝縮器107は、プロピレン冷蔵ユニット108によって冷却することができる。当業者なら、様々な精製工程の順序が、複数の要因に応じて変更され得ることを認識するであろう。また、当業者なら、精製プロセスの様々な工程が、使用又は(例えばパイプラインを介した)輸送に必要とされ得る所望の圧力を獲得する目的で行われてもよいことを認識するであろう。この目的のために、エチレン濃厚流は、2つ以上の精製工程の前、後、又はその間に加圧されてもよい。例えば、図6に示すように、前記流れは圧縮ユニット99で加圧されてもよい。同様に、エチレン生成物ポンプ109でさらに加圧を行うことができる。
【0047】
光合成微生物
上で述べたように、第1のバイオリアクタは、光エネルギーの存在下で二酸化炭素及び水を有機中間体に変換する1種又は複数種の光合成微生物を含有する光合成生物培養物を含有する。様々な実施形態において、光合成微生物は天然起源であってもよい。他の実施形態において、光合成微生物は、所望の有機中間体の生成を向上させるために遺伝子改変されてもよい。1つ又は複数の実施形態において、第1のバイオリアクタで利用される光合成微生物には、シアノバクテリアなどの光合成細菌が含まれてもよい。当業者が認識しているように、光合成細菌は、光の存在下で二酸化炭素及び水を消費して炭素を固定する。有利には、好気性条件におけるシアノバクテリアの代謝経路の主な生成物は、酸素、及び糖などの有機中間体である。当業者は、所望の有機中間体を生成するために、過度の実験をせずに適切な光合成微生物を選択することができるであろう。
【0048】
1つ又は複数の実施形態において、所望の有機中間体は、スクロース、デキストロース、キシロース、グルコース、フルクトース、アルファ-ケトグルタル酸、又はそれらの混合物を含む。
【0049】
例示的な光合成微生物としては、限定されずに、シアノバクテリア、藻類及び紅色細菌が挙げられる。有用な種類のシアノバクテリアとしては、酸素産生光合成を行う光合成原核生物が挙げられる。本明細書で概説する目的に有用なシアノバクテリアは、当技術分野で一般に周知である。(例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、Kluwer Academic Publishers出版(1994)の、Donald BryantによるThe Molecular Biology of Cyanobacteriaを参照されたい)。代表的な例としては、シネココッカス・リビドゥス(Synechococcus lividus)及びシネココッカス・エロンガトゥス(Synechococcus elongatus)などのシネココッカス属のシアノバクテリア、並びにシネコシスティス・ミネルバエ(Synechocystis minervae)及びシンコシスティス・エスピー(Synchocystis Sp)PCC 6803などのシネコシスティス属のシアノバクテリアが挙げられる。これに関して、米国特許第7,807,427号明細書は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。使用することができる合成微生物の例としては、米国特許第10,196,627号明細書に開示されているものが挙げられ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに他の例としては、米国特許第9,914,947号明細書及び同第9,309,541号明細書に開示されている微生物が挙げられ、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。
【0050】
1つ又は複数の実施形態において、シアノバクテリアは、目的有機中間体の生成を増強する1つ又は複数の酵素をコード化する1つ又は複数の外来遺伝子を発現するように遺伝子改変される。1つ又は複数の実施形態において、目的有機中間体には、スクロース、デキストロース、キシロース、グルコース、フルクトース及びアルファ-ケトグルタル酸が含まれる。当業者に明らかなように、シアノバクテリア(及び生成される酵素)のゲノムに付加される特定の遺伝子は、特定の目的有機中間体によって決まる。
【0051】
1つ又は複数の実施形態において、改変光合成微生物は、二酸化炭素からアルファケトグルタル酸を形成する酵素を生成する改変ヌクレオチド配列を含む。ある実施形態において、この改変光合成微生物は、非天然のアルファ-ケトグルタル酸透過酵素タンパク質(alpha-ketoglutarate permease protein:AKGP)形成ヌクレオチド配列を発現することにより、AKGPを発現する。1つ又は複数の実施形態において、改変微生物は、改変ヌクレオチド配列を欠く対照微生物によって生成されるよりも多い量の酵素を生成する。この量は、改変ヌクレオチド配列を欠く対照微生物によって生成される量の1%を超え、他の実施形態では50%を超え、他の実施形態では75%を超えてもよい。
【0052】
1つ又は複数の実施形態において、イソクエン酸脱水素酵素(isocitrate dehydrogenase:ICD)によるイソクエン酸の酸化的脱炭酸によって、又はグルタミン酸脱水素酵素(glutamate dehydrogenase:GDH)によるグルタミン酸の酸化的脱アミノによって、アルファ-ケトグルタル酸((alpha-ketoglutarate:aKG)を生成することができる。シアノバクテリアにおけるクローニング及びaKG生成のための目的酵素には、ICD酵素:1.1.1.42、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens:P.Fluorescens)ICDのコード配列(配列番号1、配列番号2)、ICD酵素:1.1.1.42、シネココッカス・エロンガトゥスPCC794のコード配列(配列番号3、配列番号4)、及びGDH酵素:1.4.1.2、P.Fluorescensのコード配列(配列番号5、配列番号6)が含まれてもよい。
【0053】
1つ又は複数の実施形態において、アルファ-ケトグルタル酸を形成するための酵素は、イソクエン酸脱水素酵素(ICD)タンパク質、グルタミン酸脱水素酵素(GDH)タンパク質、又はそれらの組合せから選択される。
【0054】
ある実施形態において、改変光合成微生物は、配列番号2と少なくとも98%、又は少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも85%同一のヌクレオチド配列を有する改変ICDタンパク質ヌクレオチド配列を発現することによって、配列番号1と少なくとも98%、又は少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも85%同一のアミノ酸配列を有するICDタンパク質を発現する。ある実施形態において、改変光合成微生物は、配列番号4と少なくとも98%、又は少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも85%同一のヌクレオチド配列を有する改変ICDタンパク質ヌクレオチド配列を発現することによって、配列番号3と少なくとも98%、又は少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも85%同一のアミノ酸配列を有するICDタンパク質を発現する。ある実施形態において、改変微生物は、配列番号6と少なくとも98%、又は少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも85%同一のヌクレオチド配列を有する改変GDHタンパク質ヌクレオチド配列を発現することによって、配列番号5と少なくとも98%、又は少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも85%同一のアミノ酸配列を有するGDHタンパク質を発現する。
【0055】
1つ又は複数の実施形態において、有機中間体はスクロースである。これらの実施形態のいくつかにおいて、例えば、シアノバクテリア(シネココッカス・エロンガトゥス、シネコシスティス)を、エチレン生成微生物の増殖のための基質として働くスクロースを生成するように操作することができる。スクロースを生成するためのシネココッカス・エロンガトゥスPCC7942の様々な操作方法には、1つの遺伝子(cscB)の活性化及び1つの遺伝子(GlgC)の欠失が含まれ得る。
【0056】
これらの実施形態の1つ又は複数において、改変光合成微生物は、スクロース合成酵素タンパク質を発現する。1つ又は複数の実施形態において、スクロース合成酵素タンパク質は、配列番号10と少なくとも98%、又は少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも85%同一のヌクレオチド配列を有する改変スクロース合成酵素タンパク質ヌクレオチド配列を発現することによって、配列番号9と少なくとも98%、又は少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも85%同一のアミノ酸配列を有する。これらの実施形態の1つ又は複数において、改変微生物は、スクロースリン酸合成酵素タンパク質を発現する。1つ又は複数の実施形態において、スクロースリン酸合成酵素タンパク質は、配列番号12と少なくとも98%、又は少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも85%同一のヌクレオチド配列を有する改変スクロースリン酸合成酵素タンパク質ヌクレオチド配列を発現することによって、配列番号11と少なくとも98%、又は少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも85%同一のアミノ酸配列を有する。
【0057】
本明細書で使用される場合、配列の同一性とは、配列を比較することによって決定される、2つ以上のアミノ酸(ポリペプチド又はタンパク質)配列又は2つ以上の核酸(ポリヌクレオチド)配列の間の関係である。配列の同一性又は類似性は、概して、それぞれの配列の全長にわたって比較される。当業者なら、「同一性」が、場合によってはアミノ酸配列又は核酸配列の文字列の間の一致性によって決定される、アミノ酸配列又は核酸配列の間の配列関連性の程度を指すことを認識している。2つのアミノ酸配列間の「類似性」は、1つのポリペプチドのアミノ酸配列及びその保存されたアミノ酸置換を、別のポリペプチドの配列と比較することによって決定される。当業者なら、「同一性」及び「類似性」を様々な既知の方法によって容易に計算することができる。例えば、同一性及び類似性を決定する方法は、BestFit、BLASTP(Protein Basic Local Alignment Search Tool)、BLASTN(Nucleotide Basic Local Alignment Search Tool)、NCBI及び他の情報源(BLAST.RTM.Manual,Altschul,S.et al.,NCBI NLM NIH Bethesda,Md.20894)から公表されているFASTA(Altschul,S.F.et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)、及びEMBOSS(European Molecular Biology Open Software Suite)などの、公表されているコンピュータプログラムに成文化されている。
EMBOSSを使用したアミノ酸配列比較のための例示的なパラメータは、gap open 10.0、gap extend 0.5、ブロックアミノ酸置換行列(BLOcks SUbstitution Matrix:Blosum)である。EMBOSSを使用した核酸配列比較のための例示的なパラメータは、gap open 10.0、gap extend 0.5、DNA完全行列(DNA full matrix)(DNA同一性行列(DNA identity matrix))である。当業者が理解しているように、異なる種の間のDNA/タンパク質の配列を比較して、Gene bank、KEG、BLAST及びEnsembleなどのオンラインデータを使用して配列の相同性を決定することができる。当業者はまた、類似の側鎖を有する残基の互換性を指す、いわゆる「保存的」アミノ酸置換を考慮に入れてもよい。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンであり;脂肪族-ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群は、セリン及びトレオニンであり;アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群はアスパラギン及びグルタミンであり;芳香族側鎖を有するアミノ酸の群は、フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファンであり;塩基性側鎖を有するアミノ酸の群は、リジン、アルギニン、及びヒスチジンであり;硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の群はシステイン及びメチオニンである。本明細書に開示されるアミノ酸配列の置換変異体は、開示された配列中の少なくとも1つの残基が除去され、その場所に異なる残基が挿入されたものである。好ましくは、アミノ酸の変化は保存的である。天然起源のアミノ酸のそれぞれについての好ましい保存的置換は以下の通りである。すなわち、Alaからser;ArgからLys;Asnからgln又はhis;Aspからglu;Cysからser又はala;Glnからasn;Gluからasp;Glyからpro;Hisからasn又はgln;Ileからleu又はval;Leuからile又はval;Lysからarg、gln又はglu;Metからleu又はile;Pheからmet、leu又はtyr;Serからthr;Thrからser;Trpからtyr;Tyrからtrp又はphe;及びValからile又はleuへの置換である。
【0058】
特に明記しない限り、「適合された」又は「コドン適合された」という用語は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドの「コドン最適化」を指し、そのポリヌクレオチドの配列は天然若しくは非天然であってもよく、又は他の微生物における発現に適合されてもよい。コドン最適化により、コード化されたポリペプチドに対するコドン使用が、そのポリペプチドが発現される生物のコドンバイアスに適合される。コドン最適化は、一般に、宿主細胞におけるコード化されたポリペプチドの生成レベルを増加させるのに役立つ。
【0059】
ある実施形態において、改変光合成微生物は、グルコース-1-リン酸アデニル酸転移酵素タンパク質の発現を欠くデルタ-glgc(Δglgc)変異微生物を含む。同様に、機能性ADPグルコースピロホスホリラーゼ酵素を欠くシアノバクテリア細胞は、米国特許第9,309,541号明細書及び同第9,309,541号明細書に記載されているように既知であり、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0060】
エチレン生成微生物
上記のように、エチレン生成生物には、光合成バイオリアクタで生成された有機中間体を消費することによってエチレンを天然に生成するか、又はエチレンを生成するように遺伝子改変された生物が含まれる。1つ又は複数の実施形態において、第2のバイオリアクタで利用される微生物には、エチレン形成酵素(efe)遺伝子を発現するか、又は発現するように遺伝子改変された微生物が含まれる。これらの微生物は、本明細書ではefe形成微生物と呼ぶ場合がある。エチレンを生成するか、又はエチレンを生成するように改変された微生物は当技術分野で周知であり、記載された反応条件下で目的有機中間体からエチレンを生成することができる任意の微生物が使用されてもよい。1つ又は複数の実施形態において、所望の微生物は、生成されれば本明細書に記載の方法を妨害する可能性がある他のものは生成しない。
【0061】
例示的なefe形成微生物としては、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)、シュードモナス・シリンガエ pv.グリシニア(Pseudomonas syringae pv.Glycinia)、及びペニシリウム・ジギタタム(Penicillium digitatum)が挙げられ、これらはすべて天然にefeを発現する。他の実施形態において、第2の反応器内の微生物には、シュードモナス・シリンガエ又はペニシリウム・ジギタタムに天然に見られる遺伝子などのefe遺伝子を発現又は過剰発現する改変微生物が含まれる。これらの実施形態において、1つ又は複数のコピーの1つ又は複数のefe遺伝子を遺伝子導入するための当技術分野で既知の多数の方法のいずれか1つを用いて、宿主微生物に遺伝子導入する。有用な宿主微生物には、限定されずに、大腸菌(E.Coli)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)及びトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)が含まれてもよい。
【0062】
1つ又は複数の実施形態において、efeを生成するための改変微生物は、Wang,J.P.et al.,’’Metabolic engineering for ethylene production by inserting the ethylene-forming enzyme gene(efe)at the 16 S rDNA sites of Pseudomonas putida KT 2440’’Biosource Technology,(2010)101:6404-6409に記載されているように生成されてもよく、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。これらの実施形態において、efe遺伝子をP.syringae pv.glycinea ICMP2189からクローニングし、二重交差組換えを用いてシュードモナス・プジタ(Pseudomonas pudita)KT 2440宿主の1つ又は複数の16S rDNA部位に挿入する。
【0063】
上で述べたように、1つ又は複数の実施形態において、efe酵素を生成する微生物は、遺伝子操作された微生物を含む。1つ又は複数の実施形態において、efe形成微生物は、発現された場合にefeを生成する1つ又は複数の外来ヌクレオチド配列を、そのDNA内に含む改変微生物である。1つ又は複数の実施形態において、改変微生物は、改変ヌクレオチド配列を欠く対照微生物によって生成されるよりも多い量のefe酵素を生成する。この量は、改変ヌクレオチド配列を欠く対照微生物によって生成される量の5%を超え、他の実施形態では50%を超え、他の実施形態では75%を超えてもよい。様々な実施形態において、遺伝子改変された微生物は、発現された場合にefeを生成する外来ヌクレオチド配列の2つ以上のコピーを含むように改変され、エチレン生成がさらに向上する。
【0064】
1つ又は複数の実施形態において、シュードモナス・サバスタノイ pv.ファセオリコラ(Pseudomonas savastanoi pv.Phaseolicola)efeタンパク質(GenBank:KPB 44727.1、配列番号8)をコードするポリヌクレオチドは、pET-30a(+)ベクタープラスミドにクローニングすることができる。対応するヌクレオチド配列はまた、大腸菌(配列番号7)での発現に適合させ、かつ終止コドン及びHindIII部位が続く、C末端の任意選択のHisタグを含むように適合させたコドンとすることができる。5プライム末端でのクローニングにNdeI部位も使用することができ、この場合、NdeI部位はATG開始コドンを含む。様々な実施形態において、大腸菌BL21(DE3)コンピテント細胞を組換えプラスミドで形質転換することができる。
【0065】
いくつかの実施形態において、LacI遺伝子の存在下でイソプロピルチオガラクトシド(Isopropyl thiogalactoside:IPTG)誘導性プロモータ(pTrc)によってアンピシリンカセットを活性化することができ、LacI遺伝子は、LacIqプロモータ(配列番号13)によって制御することができる。
【0066】
ある実施形態において、エチレンを形成する組換え微生物は、配列番号8と少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも80%同一のヌクレオチド配列を有する非天然のefeタンパク質ヌクレオチド配列を発現することによって、配列番号7と少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有するefeタンパク質を発現する。
【0067】
当業者なら、収率を高め、プロセス内の微生物の管理を支援する(例えば、微生物を生成物流又は反応媒体から分離するのを支援する)ために、微生物を固定化することが有益であり得ることを認識している。1つ又は複数の実施形態において、微生物は、これに限定されるものではないが、高表面積支持媒体などの支持媒体に固定化される。有用な高表面積支持材料には、スポンジ、繊維状材料、バイオボール、セラミックフィルタなどが含まれてもよい。
【0068】
第1のバイオリアクタ(光合成バイオリアクタ)
再び図を参照すると、第1のバイオリアクタ21は、単一の反応容器を含んでもよく、又は相補的に運転してもよい複数(すなわち2つ以上)の反応容器を含んでもよい。例えば、所望の光合成反応を促すために、2つ以上の反応容器を並列又は直列で運転してもよい。
【0069】
当業者なら、一般に、微生物を持続させ、所望の光合成反応を促進するために、第1のバイオリアクタ21で維持するべき適切な条件について認識している。1つ又は複数の実施形態において、水は反応物であるだけでなく、第1のバイオリアクタ21内の反応媒体としても働く。
【0070】
1つ又は複数の実施形態において、光合成バイオリアクタ内の反応器媒体は、温度が約25~約70℃、他の実施形態では約35~約60℃、他の実施形態では約40~約50℃に維持される。これら又は他の実施形態において、光合成バイオリアクタ内の反応媒体は、pHが約5.0~約8.5、他の実施形態では約5.5~約8.0、他の実施形態では約6.0~約7.0に維持される。
【0071】
1つ又は複数の実施形態において、光合成バイオリアクタは、efe遺伝子を生成する又は生成するように適合された微生物を実質的に含まない。
【0072】
1つ又は複数の実施形態において、第1のバイオリアクタは、少なくとも反応物(例えば二酸化炭素)をバイオリアクタに導入するための少なくとも1つの入口を含む。これら又は他の実施形態において、第1のバイオリアクタは、少なくとも1つの生成物又は少なくとも1つの副生成物をバイオリアクタから取り出すための少なくとも1つの出口を含む。1つ又は複数の実施形態において、第1のバイオリアクタ21は、ガス状生成物/副生成物のための出口、及び液体流出物のための出口を含む。1つ又は複数の実施形態において、バイオリアクタ21は、入口及び出口を除いて閉鎖系である。他の実施形態において、バイオリアクタ21は開放系である。1つ又は複数の実施形態において、第1のバイオリアクタは、連続撹拌槽反応器、ガスリフト反応器、ループ反応器、及び流動床反応器から選択される。1つ又は複数の実施形態において、第1のバイオリアクタは、容量が10,000ガロンを超え、他の実施形態では100,000ガロンを超え、他の実施形態では1,000,000ガロン超える。
【0073】
第2のバイオリアクタ(エチレン生成バイオリアクタ)
再び図を参照すると、第2のバイオリアクタ41は、単一の反応容器を含んでもよく、又は相補的に運転してもよい複数(すなわち2つ以上)の反応容器を含んでもよい。例えば、中間体をエチレンに変換する所望の反応を促すために、2つ以上の反応容器を並列又は直列で運転してもよい。
【0074】
当業者なら、一般に、微生物を持続させ、所望のエチレン形成反応を促進するために、第2のバイオリアクタで維持するべき適切な条件について認識している。1つ又は複数の実施形態において、水は、第2の反応器における反応媒体として働く。
【0075】
1つ又は複数の実施形態において、エチレン形成バイオリアクタ内の反応器媒体は、温度が約25~約70℃、他の実施形態では約35~約60℃、他の実施形態では約40~約50℃に維持される。これら又は他の実施形態において、エチレン形成バイオリアクタ内の反応媒体は、pHが約6.0~約9.5、他の実施形態では約6.5~約9.0、他の実施形態では約7.0~約8.0に維持される。
【0076】
1つ又は複数の実施形態において、エチレン形成バイオリアクタは、酸素を生成するか又は酸素を生成するように適合された微生物を実質的に含まない。例えば、第2のバイオリアクタは、光合成微生物(例えば、カルビン回路によって機能する微生物)を含まないか、又は実質的に含まない。
【0077】
1つ又は複数の実施形態において、エチレン形成バイオリアクタは、嫌気性条件下で維持される。1つ又は複数の実施形態において、エチレン形成バイオリアクタは、光エネルギーが実質的に存在しない状態に維持される。
【0078】
1つ又は複数の実施形態において、第2のバイオリアクタは、有機中間生成物流をバイオリアクタに導入するための少なくとも1つの入口を含む。これら又は他の実施形態において、第2のバイオリアクタは、第2のバイオリアクタから生成物及び少なくとも1つの副生成物(例えば二酸化炭素)を取り出すための少なくとも1つの出口(例えば、エチレンガスのためのガス出口)を含む。1つ又は複数の実施形態において、第2のバイオリアクタはまた、液体流出物(例えば、水及び未反応の有機中間体)を取り出すための流出物出口を含む。1つ又は複数の実施形態において、第2のバイオリアクタは、連続撹拌槽反応器、ループ反応器、及び流動床反応器から選択される。1つ又は複数の実施形態において、第2のバイオリアクタは、容量が10,000ガロンを超え、他の実施形態では100,000ガロンを超え、他の実施形態では1,000,000ガロンを超える。1つ又は複数の実施形態において、第2のバイオリアクタは、反応物の入口、及び生成物又は副生成物の出口を除いて、閉鎖系を提供するように適合される。
【0079】
1つ又は複数の実施形態において、第2の反応器内の微生物の濃度は、反応器の単位体積あたりの乾燥細胞重量に基づいて定量化されてもよい。例えば、1つ又は複数の実施形態において、第2の反応器における微生物の濃度は、1リットルあたり10グラムを超える、他の実施形態では50グラムを超える、他の実施形態では100グラムを超える乾燥細胞重量である。
【0080】
組換え微生物を形成するための技術
ある実施形態において、中間体形成酵素又はefeを発現させるためのヌクレオチド配列が、微生物発現ベクターに挿入される。様々な実施形態において、微生物発現ベクターは、細菌ベクタープラスミド、相同組換えシステムのヌクレオチドガイド、抗生物質耐性システム、タンパク質の精製及び検出のための補助システム、CRISPR CASシステム、ファージ・ディスプレイ・システム、又はそれらの組合せを含んでもよい。
【0081】
上で述べたように、1つ又は複数の実施形態において、複数のコピーのefe発現ヌクレオチド配列が、エチレン形成微生物に挿入されてもよい。同様に、複数のコピーの中間体酵素発現ヌクレオチド配列が、光合成微生物に挿入されてもよい。ベクター及び/又は宿主ゲノムに挿入された遺伝子のコピーの数は、本明細書では「コピー数」と呼ばれる。ある実施形態において、efe発現ヌクレオチド配列は、微生物発現ベクターにおけるコピー数が1を超え、他の実施形態では10を超え、他の実施形態では100を超え、また他の実施形態では250を超える。明らかなように、複数のコピーのefe発現ヌクレオチド配列の発現によってエチレン収率を増加させることができるため、商業規模でのエチレン生成の体積及びコストを低減することができる。
【0082】
ある実施形態において、微生物発現ベクターは、少なくとも1つの微生物発現プロモータを含む。当業者によって理解されるように、微生物発現プロモータは、通常は隣接する後のDNA配列の転写を開始するヌクレオチド配列であり、恒常的又は誘導的であってもよい。ある実施形態において、少なくとも1つの微生物発現プロモータは、限定されずに、光感受性プロモータ、化学感受性プロモータ、温度感受性プロモータ、Lacプロモータ、T7プロモータ、CspAプロモータ、ラムダPLプロモータ、ラムダCLプロモータ、連続生成プロモータ、psbAプロモータ、又はそれらの組合せを含んでもよい。ある実施形態において、少なくとも1つのプロモータ誘導因子をバイオリアクタ又はバイオリアクタ内の反応媒体に加えて、有機中間体の量及び/又は生成されるエチレンの量を制御してもよい。ある実施形態において、プロモータ誘導因子は、ラクトース、キシロース、IPTG、低温ショック、熱ショック、又はそれらの組合せを含む。
【0083】
1つ又は複数の実施形態において、ICD遺伝子及びGDH遺伝子は、pSyn6プラスミド構築物(pSyn6_ICD及びpSyn6_GDH)にクローニングされたgBlocks(商標)遺伝子断片を使用して合成されてもよい。pSyn6プラスミドへのクローニングのために、S.elongatus ICDコード配列は、N末端HindIII認識部位及びC末端BamHI認識部位(配列番号4)に隣接している。プラスミド構築物を使用して、ICD遺伝子及びGDH遺伝子を未改変のS.elongatus又はS.elongatusΔglgc変異株にクローニングすることができる(実施例2を参照されたい)。1~3個のコピーの標的遺伝子を形質転換してもよい。ICD遺伝子及びGCH遺伝子のクローニングは、ポリメラーゼ連鎖反応法(polymerase chain reaction:PCR)及び配列決定法によって確認することができる。aKGの合成及び定量化は、ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動(sodium dodecyl sulfate-polyacrylamide gel electrophoresis:SDS-PAGE)、ウエスタンブロット及びエチレン生成アッセイによって評価することができる。
【0084】
1つ又は複数の実施形態において、シアノバクテリアのグリコーゲン変異株を作製することにより、その細菌の経路を変化させて、aKGなどのケト酸をより高い濃度で生成させ、また分泌もさせる。グリコーゲン変異シアノバクテリアは、glgc遺伝子(Δglgc)の変異を介してグリコーゲン欠損株を作製することによって作り出すことができる。例えば、アンピシリン耐性(AmpR)遺伝子を、gBlocks(商標)を使用して合成し、プラスミド構築物に組み込むことができる。そのプラスミド構築物を、野生型シアノバクテリア(例えば、シネコシスティス、シネココッカス・エロンガトゥス2973、シネココッカス・エロンガトゥス2434)に形質転換することができる。次いで、野生型glgc遺伝子の一部をAmpR遺伝子で置き換えて、変異株を作製することができる。Δglgc変異株は、AmpR含有培地中で増殖させた後に、PCR及び配列決定法によって確認することができる。
【0085】
揮発ガスのレベルの維持
1つ又は複数の実施形態において、第2の反応器は、安全なレベルの酸素ガスを含む。特に、第2の反応器のヘッドスペース及び第2の反応器のガス状出口流は、エチレンに対して安全なレベルの酸素ガスを含む。当業者が認識しているように、エチレン流内の酸素ガスの商業的に許容可能なレベルは、存在するエチレンのレベルを考慮に入れた爆発下限(lower explosion limit:LEL)によって規定することができる。1つ又は複数の実施形態において、第2の反応器内(すなわち、反応器のヘッドスペース内又はガス状出口流中)の酸素の量は、許容可能なLEL未満であり、他の実施形態では、許容可能なLELの80%未満であり、他の実施形態では、許容可能なLELの50%未満である。
【0086】
プロセス特性
本明細書に記載されるように、本発明の方法は、生合成プロセスを用いることによって、エチレン及び酸素の同時生成に関連する安全性の懸念に対処しながら、高い炭素効率で二酸化炭素をエチレンに変換するのに有効である。
【0087】
1つ又は複数の実施形態において、本発明の方法により、生成率が100μmol/gCDW/時を超えて、他の実施形態では500μmol/gCDW/時を超えて、他の実施形態では1000μmol/gCDW/時を超えて、他の実施形態では1500μmol/gCDW/時を超えて、他の実施形態では2000μmol/gCDW/時を超えて、また他の実施形態では2500μmol/gCDW/時を超えてエチレンが生成される。ここで、CDWは細胞乾燥重量(cell dry weight)を指す。
【0088】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない様々な修正及び変更が、当業者には明らかになるであろう。本発明は、本明細書で述べた例証的な実施形態に正式に限定されるものではない。
【0089】
配列表
配列番号1-
【数1】
配列番号2-
【数2】
配列番号3-
【数3】
配列番号4-
【数4】
配列番号5-
【数5】
配列番号6-
【数6】
配列番号7-
【数7】
配列番号8-
【数8】
配列番号9-
【数9】
配列番号10-
【数10】
配列番号11-
【数11】
配列番号12-
【数12】
配列番号13-
【数13】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
2023518391000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-11-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年3月20日に出願された米国仮特許出願第62/992,689号、及び2020年7月16日に出願された米国仮特許出願第63/052,664号の利益を主張する。
【0002】
本発明の実施形態は、二酸化炭素をエチレンに変換するための方法及びシステムを提供する。
【背景技術】
【0003】
大気中の二酸化炭素レベルに対する懸念と相まって、化石燃料の長期にわたる利用可能性に対する懸念により、二酸化炭素の固定を介して石油系製品を製造するための生合成法の開発が強化されている。すなわち、二酸化炭素を、より大きな有機分子のための燃料又は有機構成要素として使用することができる有用な有機化合物に変換するために、光合成プロセスが用いられている。
【0004】
例えば、米国特許第7,807,427号明細書では、二酸化炭素をグルコース及び酢酸などの中間生成物に変換するための、遺伝子改変シアノバクテリアなどの光合成生物の使用が教示されている。後の工程で、メタン生成細菌を使用して中間生成物がメタンに変換される。メタンは回収され、燃料として使用するために貯蔵することができる。
【0005】
エチレンは、多くの工業にとって最も重要な化学原料として広く知られており、二酸化炭素の固定によってエチレンを生合成するためのいくつかの方法が提案されている。
【0006】
シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)は、「efe(ethyleneforming enzyme)」と呼ばれるエチレン形成酵素によって触媒される一段階反応で、トリカルボン酸(tricarboxylic acid:TCA)回路中間体のアルファ-ケトグルタル酸を使用してエチレンを合成することが知られている。二酸化炭素からエチレンを直接生成することを目的として、米国特許第9,309,541号明細書には、光栄養的にエチレンを生成することができる株を作り出すために、シネコシスティス(Synechocystis)などの宿主においてefe遺伝子を発現及び過剰発現させる方法が開示されている。言い換えれば、生物工学により光独立栄養生物を改変して、炭素固定の生成物が一段階反応でエチレンに変換される。現在の研究では、光独立栄養生物を改変してエチレンを生成することに焦点が当てられているが、エチレンの回収が課題となり得る。Eckert et al.,Ethylene-forming enzyme and bioethylene production,BIOTECHNOLOGY FOR BIOFUELS 2014,7:33に概説されているように、O2が光合成系においてエチレンと同時生成される場合、O2の存在下でのエチレンの引火性に関する安全上の重要な課題があり、リスクを軽減するための工学的設計が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,807,427号明細書
【特許文献2】米国特許第9,309,541号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Eckert et al.,Ethylene-forming enzyme and bioethylene production,BIOTECHNOLOGY FOR BIOFUELS 2014,7:33
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つ又は複数の実施形態は、(i)1体積%を超える二酸化炭素を含むガス流を提供することと、(ii)水を提供することと、(iii)前記二酸化炭素及び前記水を、光の存在下で有機中間体及び酸素ガスに変換することと、(iv)前記有機中間体から前記酸素ガスを分離することと、(v)前記有機中間体から前記酸素ガスを分離する前記工程の後に、前記有機中間体をエチレン及び二酸化炭素に変換することと、を含む方法を提供する。
【0010】
本発明のさらに他の実施形態は、エチレンを生成するためのシステムを提供し、前記システムは、(i)二酸化炭素を有機中間体に変換する光合成微生物を含む第1のバイオリアクタであって、二酸化炭素入口及び有機中間体用出口を有する、第1のバイオリアクタと、(ii)第1のバイオリアクタと流体連通し、第1のバイオリアクタで生成された有機中間体をエチレンに変換する微生物を含む第2のバイオリアクタであって、エチレンを含むガス状材料のための出口を有し、未反応の有機中間体を含む流体材料のための出口を有する、第2のバイオリアクタと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態を実施するためのシステムの概略図である。
【0012】
図2】本発明の実施形態における、二酸化炭素を送達するためのサブシステムの概略図である。
【0013】
図3】本発明の実施形態を実施するための第2の光合成バイオリアクタを含む代替システムの概略図である。
【0014】
図4】本発明の実施形態を実施するための酸素-燃料燃焼システムを含むシステムの概略図である。
【0015】
図5】本発明の実施形態を実施するための上流の二酸化炭素の精製を含むシステムの概略図である。
【0016】
図6】本発明の1つ又は複数の実施形態に適用可能なエチレン精製及び圧縮のスキームの概略図である。
【0017】
図7】本発明の1つ又は複数の実施形態を実施するための二酸化炭素の膜分離を含む代替システムの概略図である。
【0018】
図8】本発明の実施形態を実施するための単一のバイオリアクタを含む代替システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態は、工業的に有意なレベルで二酸化炭素からエチレンを生合成する方法の開示されたものに、少なくとも部分的に基づいている。本発明の実施形態によれば、二酸化炭素は、最初に、酸素ガスの副生成物の生成と共に、有機中間体に光合成的に変換される。次いで、副生成物の酸素ガスは有機中間体から分離され、次いで、有機中間体は、副生成物の酸素ガスが明らかに存在しない状態で、生物学的にエチレンに変換される。エチレンの生合成に関連する現在の技術では一段階合成に焦点が当てられているが、本発明の2段階法は、工業的に有意なレベルでのエチレン及び酸素ガスの同時生成に関連する安全性の懸念に対処するものである。また、有機中間体のエチレンへの生物変換により副生成物の二酸化炭素が生成され、このことが全体的な炭素効率に影響を与える。さらに、エチレン生成物流中の二酸化炭素の量は、ほとんどの二酸化炭素投入流(例えば煙道ガス)に対してかなり多く、したがって、エチレン生成物流内の二酸化炭素は、適切に管理されれば貴重な資源となり得る。したがって、本発明の実施形態は、副生成物の二酸化炭素のための管理方法を提供し、その方法は、これに限定されるものではないが、二酸化炭素を有機中間体に光合成的に変換することを含み、その有機中間体は、有機中間体を生物学的にエチレンに変換する工程に再循環させることができる。またさらに、有機中間体をエチレンに生物学的に変換する工程は、定常状態又は定常状態付近で運転する連続撹拌槽反応器などの工業用反応器を使用することによって、商業規模で効率的に実現することができ、その定常状態が、有機中間体の不完全な消費、炭素効率の損失、及び貴重な原料の損失に影響を与える。したがって、本発明の実施形態は、有機中間体がエチレンに変換される反応器からの流出流を適切に管理することによって、これらの問題に対する解決策を提供する。
【0020】
方法及びシステムの概要
本発明の実施形態は、二酸化炭素をエチレンに変換するためのシステム20を示す図1を参照して説明することができる。当該システムは、第1のバイオリアクタ21と、それに直列で続く第2のバイオリアクタ41とを含む。第1のバイオリアクタ21は、中間生成物導管31を介して第2のバイオリアクタ41と直接的又は間接的に流体連通している。第2のバイオリアクタ41はまた、中間体の再循環導管33を介して第1のバイオリアクタ21と流体連通している。二酸化炭素分離器61が第2のバイオリアクタ41の下流にあり、導管51を介して第2のバイオリアクタ41と直接的又は間接的に流体連通している。二酸化炭素分離器61はまた、二酸化炭素の再循環導管53を介して、直接的又は間接的に第1のバイオリアクタ21と流体連通してもよい。
【0021】
本発明の実施形態によれば、第1のバイオリアクタ21は、バイオリアクタ21に送給される二酸化炭素及び水を有機中間体に変換する光合成生物培養物(すなわち光合成微生物)を含む。この変換は、第1のバイオリアクタ21に供給される光エネルギーの存在下で行われる。有機中間体の合成は、反応媒体として作用する余剰水の存在下で行われ、余剰水は中間生成物流の担体として作用する。1つ又は複数の実施形態において、有機中間体は水に可溶性である。当業者が認識するように、光合成生物培養物は、接種反応器23からバイオリアクタ21に供給することができる。
【0022】
バイオリアクタ21内で有機中間体が形成される間に、副生成物として酸素ガスが生成される。本発明の態様によれば、酸素ガスは、中間生成物流が第2のバイオリアクタ41に導入される前に、有機中間体から分離される。例えば、第1のバイオリアクタ21から、その反応器内の窒素ガスなどの他の揮発性物質と共に酸素ガスを放出することができる。
【0023】
有機中間体は、中間生成物流内で、直接的又は間接的に、第1の反応器21から中間生成物導管31を介して第2のバイオリアクタ41に移される。1つ又は複数の実施形態において、中間生成物流を、その流れがバイオリアクタ21を出る際に濾過することができる。運転中、前記流れがバイオリアクタ21を出る際の中間生成物流の濾過によって、光合成微生物を固定化するために使用されるいかなる媒体の移動も防ぐことができ、それによって第1のバイオリアクタ21から第2のバイオリアクタ41への微生物の移動を防ぐことに役立つ。
【0024】
前記流れがバイオリアクタ21を出る際に中間生成物流を濾過することに加えて、又はその代わりに、バイオリアクタ21とバイオリアクタ41との間に配置された1つ又は複数の中間ユニットで、中間生成物流を濾過及び/又は滅菌することができる。例えば、図2を参照すると、第1のバイオリアクタ21と第2のバイオリアクタ41との間に、任意選択の滅菌ユニット35を配置することができる。ユニット35は濾過ユニットを含んでもよい。濾過ユニットに加えて、又はその代わりに、ユニット35は遠心分離ユニットを含んでもよい。又は、他の実施形態において、ユニット35は、濾過又は遠心分離に加えて、又はその代わりに、浄化ユニット(例えば沈殿槽)を含んでもよい。濾過、遠心分離、及び/又は浄化の代わりに、又はそれに加えて、ユニット35は滅菌ユニットを含んでもよい。例えば、滅菌ユニットにより、UV滅菌、熱、又はガンマ線を利用して中間生成物流が処理されてもよく、これは、第1のバイオリアクタ21から第2のバイオリアクタ41へ、いかなる生きた微生物の導入も防ぐために行われてもよい。
【0025】
1つ又は複数の実施形態において、第2のバイオリアクタ41は、有機中間体をエチレンに変換するエチレン生成生物培養物(すなわちエチレン生成生物)を含む。
【0026】
当業者が認識しているように、微生物培養物をそれぞれのバイオリアクタに導入するために、いくつかのサブシステムを設計することができる。当業者なら、これらの目的を達成するために適切なシステムを容易に設計することができる。例えば、複数の図を参照すると、接種反応器23とも呼ばれ得る接種ユニット23から、バイオリアクタ21及び/又はバイオリアクタ41に適切な微生物群を供給することができる。接種ユニット23は、それぞれの微生物のための別個のチャンバ又は容器を含んでもよく、又はそれぞれの微生物のために別個のユニットが設けられてもよい。さらに、1つ又は複数のバイオリアクタからバイオマスを取り出すことが望ましい場合がある。1つ又は複数の実施形態において、本発明のシステムは、バイオリアクタのいずれか又は両方から得られたバイオマスを任意の固定化支持媒体から取り出し、システムから取り出すことができるバイオマス消化ユニット25を含んでもよい。運転中、バイオマス消化ユニット25を、バイオリアクタ21、41のいずれか又は両方と流体連通させることができ、又は、バイオマスを(任意選択で固定化材料と共に)手動で、それぞれの反応器から取り出すことができる。1つ又は複数の実施形態において、バイオマスをアミノ酸などの栄養素に変換し、微生物の栄養源としてバイオリアクタに戻すことができる。あるいは、バイオマスをシステムから取り出し、肥料などの他の用途に宛てることができる。
【0027】
バイオリアクタ41内ではエチレン合成の副生成物として二酸化炭素が生成され、ガス状生成物流としてエチレン及び二酸化炭素が第2のバイオリアクタ41から取り出される。液体流出流もまた、第2のバイオリアクタ41を出る。この液体流出流は、水及び未反応の有機中間体を含んでもよく、この流れは、有機中間体の再循環導管33を介して第1のバイオリアクタ21に送り戻すことができる。図2に最もよく示されているように、水及び未反応の有機中間体を含む液体流出流は、濾過/滅菌ユニット37で濾過及び/又は滅菌を受けることができる。この濾過及び/又は滅菌は、ユニット35と同じ種類の技術を利用してもよく、したがって、ユニット35に関する上記の解説がここに組み込まれる。当業者が認識しているように、エチレン生成微生物が第1のバイオリアクタ21に決して移動しないようにすることが有用であり得る。
【0028】
第2のバイオリアクタ41を出るガス状生成物流は、第2のバイオリアクタ41の下流で、導管51を介して直接的又は間接的に、二酸化炭素分離ユニット61とも呼ばれ得る二酸化炭素分離器61に送られる。分離器システム61とも呼ばれ得る分離器61内では、二酸化炭素がガス状生成物流から分離されて、導管53によって運ばれる、エチレン濃厚流とも呼ばれ得る濃縮エチレン流を提供する。このエチレン濃厚流を下流の精製加圧ユニット100に送ることができ、これについては本明細書でより詳細に説明する。分離器61はまた、精製二酸化炭素流とも呼ばれ得る濃縮二酸化炭素流を生成し、この濃縮二酸化炭素流を、導管55を介して第1のバイオリアクタ21に送り戻すことができる。
【0029】
図3を参照して説明し得る代替の実施形態において、二酸化炭素分離器61によって生成された精製二酸化炭素流を、導管57を介して、二酸化炭素を有機中間体及び酸素ガスに光合成的に変換する光合成生物培養物を含む中間のバイオリアクタ71(第2の光合成バイオリアクタ71と呼ばれ得る)に送ることができる。有利には、バイオリアクタ71への二酸化炭素送給流は、(二酸化炭素分離器61を介した)精製二酸化炭素流であるため、第2の光合成バイオリアクタ71を出るガス状副生成物流は比較的純粋な酸素ガス流を含み、その酸素ガス流は導管75を介して送ることができる。比較的純粋な酸素流は、窒素ガス及びアルゴンガスを実質的に含まない流れを含んでおり、窒素ガス及びアルゴンガスが含まれればそれらを酸素ガスから分離するために複雑でかつ高価なプロセス(例えば空気分離技術)が必要であることを、本発明の文脈において当業者なら認識するであろう。しかし、本明細書で規定される比較的純粋な酸素ガス流の中の二酸化炭素の存在は有害ではなく、したがって、特に明記しない限り、二酸化炭素は、酸素ガス流からより容易に分離することができるため、比較的純粋な酸素ガス流内に存在してもよい。第1のバイオリアクタ21と矛盾することなく、中間のバイオリアクタ71は流出流を生成し、その流出流は、有機中間体及び水を含んでもよく、導管79を介して第1のバイオリアクタ21及び/又は第2のバイオリアクタ41に送り戻すことができる。一般に示されるように、この流出流は、図2を参照して説明したように、ユニット37で濾過及び/又は滅菌を受けてもよい。
【0030】
図面全体を通して示されるように、第2のバイオリアクタ41を出、導管51を介して送られるガス流は、ユニット61での二酸化炭素分離の前に、任意選択で1つ又は複数の処理又は操作を受けることができる。例えば、圧縮ユニット43でその流れを加圧することができる。加圧に加えて、又はその代わりに、ガス流は、任意選択で、酸素取出しユニット45で酸素を取り出すための処理を受けることができる。酸素取出しユニット45で二酸化炭素が作り出され得るので、ユニット45で生成された二酸化炭素を取り出すことができる二酸化炭素分離ユニット61の上流に酸素取出しユニット45を配置することが有益であり得る。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態は、図8を参照して説明することができる。示されるように、プロセス120は、上記の他のシステムに関して示された2つのバイオリアクタ21、41の代わりに、統合バイオリアクタ121とも呼ばれ得る単一の容器121を含む。運転中、バイオリアクタ121に供給される光エネルギーは、明サイクル及び暗サイクルを生成する形で制御される。運転中、統合バイオリアクタ121内の光合成微生物が、明サイクル中に二酸化炭素を有機中間体に変換し、次いで暗サイクル中に、統合バイオリアクタ121内のエチレン形成微生物が、暗サイクル中に有機中間体をエチレンに変換する。明サイクル中での酸素の生成中に、バイオリアクタ121から酸素を取り出すことができ、暗サイクル中でのエチレンの生成中に、バイオリアクタ121からエチレンを取り出すことができる。他の実施形態と矛盾することなく、エチレンが二酸化炭素と同時生成されてもよく、エチレン及び二酸化炭素は、上記の下流プロセスにおいて(例えば二酸化炭素スクラバ61で)分離することができる。
【0032】
図2に戻り、本発明の方法は、二酸化炭素投入流の調整(すなわち、バイオリアクタ21に前記流れを提供する前の前記流れの調整)を含んでもよい。1つ又は複数の実施形態において、導管11によって運ばれる二酸化炭素投入流は、圧縮機13で加圧されてもよい。1つ又は複数の実施形態において、二酸化炭素投入流内の不活性ガス(例えば窒素)が最終的に反応器のヘッドスペースに入ることができるように、その投入流の(例えば圧縮機13内での)加圧により、第1のバイオリアクタ21内の対抗力に打ち勝つのに十分な圧力が獲得される。1つ又は複数の実施形態において、二酸化炭素投入流は、約2~約20psig、他の実施形態では約3~約18psig、他の実施形態では約5~約15psigの圧力に加圧される。
【0033】
また、図2に最もよく示されているように、二酸化炭素投入流を、導管17を介してバイオリアクタ21に送達する前に、急冷器15で冷却することができる。当業者が認識するように、急冷器15は、冷却水ループ15’を含む水冷ユニットを含んでもよく、冷却水ループ15’は、水を冷却するための1つ又は複数の熱交換器を含んでもよい。1つ又は複数の実施形態において、二酸化炭素投入流は、バイオリアクタ21内の微生物培養物に有害な影響を及ぼす温度より低い温度に冷却される。1つ又は複数の実施形態において、二酸化炭素投入流は、バイオリアクタ21への送達前に、約10~約80℃、他の実施形態では約20~約60℃、他の実施形態では約30~約50℃の温度に冷却される。
【0034】
1つ又は複数の実施形態の二酸化炭素投入流はかなりの量の水を含んでもよく、その水の少なくとも一部が急冷器15で冷却サイクルを介して凝縮されることになるので、かなりの量の水を消費する第1のバイオリアクタ21に、急冷器15からの水を送給することができる。1つ又は複数の実施形態において、急冷器15で用いられる水、及び/又は第1のバイオリアクタ21に送られる水流を苛性物質で処理して、水のpHを調整することができる。1つ又は複数の実施形態において、急冷器15で用いられる水、及び/又は急冷器15から第1のバイオリアクタ21に送られる水は、5.5を超えるpHに、他の実施形態では6.0を超えるpHに、他の実施形態では6.5を超えるpH(例えば、5.5~8.0又は6.0~7.5の範囲)に調整される。水の苛性処理によって、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩が形成されることが予想され、これはpH制御に関して第1のバイオリアクタ21のためになるだけでなく、炭酸ナトリウム及び/又は重炭酸ナトリウムの形態の追加的な二酸化炭素源ももたらされる。当業者なら、炭酸ナトリウムと重炭酸ナトリウムとの間の望ましいバランスを得るために、条件を容易に調整し、かつ/又は追加的な成分(例えば塩酸)を提供することができる。特定の実施形態において、急冷器15内の冷却水に提供される苛性ソーダは、本発明の実施態様に統合することができる他のプロセスに由来する。例えば、エチレン精製で苛性ソーダを使用することができ、かつ/又は、エチレン精製で、急冷器15に取り込ませることができる炭酸ナトリウムを作り出すことができる。
【0035】
さらに他の実施形態において、他の実施形態に関して説明したように、第2のバイオリアクタ41を出る液体流出流は、第1のバイオリアクタ21に送り戻すことができ、任意選択で急冷器15に送ることができる。1つ又は複数の実施形態において、第2のバイオリアクタ41を出る液体流出流は、まず、急冷器15に送る前に滅菌ステーション37で処理される。
【0036】
第1のバイオリアクタへの二酸化炭素供給流
本発明の方法は、有利には、二酸化炭素投入流と呼ばれ得る様々なガス源からの二酸化炭素を、エチレンに変換し得る有用な中間体に変換することができる。1つ又は複数の実施形態において、二酸化炭素は、1%体積を超える、他の実施形態では3%体積を超える、他の実施形態では5%体積を超える、また他の実施形態では10%体積を超える二酸化炭素を含む二酸化炭素投入流によって、システムに提供される。1つ又は複数の実施形態において、二酸化炭素投入流は、燃焼プロセスの排気流(すなわち煙道ガス流)であるか、又はそれに由来する。当業者が認識しているように、排気流の組成は、燃焼プロセスの設計、及び燃焼プロセスで燃やされる燃料を含むいくつかの要因に基づいて変化し得る。例えば、煙道ガス流は、石炭燃焼炉、ガス燃焼炉、タービン発電機、及び酸素燃料燃焼プロセスに由来し得る。
【0037】
1つ又は複数の実施形態において、二酸化炭素投入流は、酸素燃焼(oxycombustion)とも呼ばれ得る酸素燃料燃焼(oxy-fuel combustion)プロセスの排気流に由来し得る。当業者なら、これらの方法が、窒素及びアルゴンが実質的に存在しない状態での燃料(例えば炭化水素)の燃焼を含むことを認識している。例えば、これらのプロセスは、実質的に純粋な酸素(すなわち、窒素及びアルゴンガスを実質的に含まない)、又は純粋な酸素と再循環煙道ガスとの混合物が燃焼プロセスに供給される燃焼プロセスを含んでもよい。結果として、燃焼生成物はほとんどが二酸化炭素及び水であり、窒素副生成物又はアルゴンが実質的に少ない。有利には、酸素燃焼プロセスからの二酸化炭素投入流はかなりのレベルの二酸化炭素を含み、窒素及び酸素を実質的に含まないので、光合成バイオリアクタからのガス状副生成物流は、未反応の二酸化炭素があればそれと共に、実質的に高濃度の酸素ガスを含むことになる。次いで、光合成バイオリアクタからのガス状副生成物流は、酸素燃焼プロセス内の燃料として酸素燃焼ユニットに再循環させることができ、その際、未反応の二酸化炭素があれば酸素燃焼プロセスは冷却される。
【0038】
例えば、図4を参照すると、本発明の一実施形態は、酸素燃焼ユニット18からの二酸化炭素投入流を含む。先の実施形態と同様に、二酸化炭素は、第1のバイオリアクタ21で、副生成物の酸素ガスを伴って有機中間体に光合成的に変換される。酸素ガス及び未反応の二酸化炭素を含む副生成物の酸素ガス流は、導管22を介して酸素燃焼ユニット18に送られる。また、示されていないものの、酸素燃焼ユニット18からの二酸化炭素投入流は、他の実施形態に関して上で記載したように、冷却及び加圧することができる(例えば図2を参照されたい)。第1のバイオリアクタ21で生成された中間生成物は、他の実施形態と矛盾しない形で、第2のバイオリアクタ41に向けて下流に送られる。
【0039】
さらに他の実施形態において、比較的純粋な二酸化炭素流を第1のバイオリアクタ21に供給することができる。比較的純粋な二酸化炭素流は、いくつかの供給源から得ることができ、一般に、90体積%を超える、他の実施形態では95体積%を超える、他の実施形態では99体積%を超える二酸化炭素を含有する流れを含む。上で説明したように、比較的純粋な二酸化炭素流が使用される場合、本発明の方法は、第1のバイオリアクタ21からの副生成物の流出物として、比較的純粋な(すなわち、窒素又はアルゴンガスが実質的にない)酸素ガス流を生成する。これらの比較的純粋な酸素ガス流は、例えば、エチレンのオキシ塩素化などの工業用途に使用することができる。
【0040】
1つ又は複数の実施形態において、本発明の工程として比較的純粋な二酸化炭素流が生成され、投入流として使用される。例えば、二酸化炭素を含有する投入流を第1のバイオリアクタ21に導入する前に、その流れを精製及び/又は濃縮することができる。1つ又は複数の実施形態において、例えばアミンスクラビング及びストリッピングの技術を用いることによって、二酸化炭素投入流を精製することができる。先の実施形態のうちの1つ又は複数と同様に、精製二酸化炭素流を第1のバイオリアクタに提供することによって、第1のバイオリアクタを出る副生成物流として比較的高品位の酸素ガス流を生成することができる。二酸化炭素流を精製及び/又は濃縮するために、アミンスクラビング及びストリッピングの技術に加えて、又はその代わりに、様々な二酸化炭素の取出し及び分離の技術を用いることができると当業者なら認識するであろう。これらの技術としては、以下に限定されるものではないが、膜分離、固体吸着剤、及び炭酸カリウムなどの他の溶媒化学作用(solvent chemistries)の使用が挙げられる。
【0041】
図5を参照して例示的な実施形態を説明することができ、図5は、二酸化炭素精製ユニット16から二酸化炭素投入流を受け取る第1のバイオリアクタ21を含むシステム50を示している。精製ユニット16は、導管11’を介して第1のバイオリアクタ21に導入される精製二酸化炭素流を生成する。示されていないものの、燃焼ユニットからの二酸化炭素投入流は、他の実施形態に関して上で記載したように、冷却及び加圧することができる(例えば図2を参照されたい)。二酸化炭素は、バイオリアクタ21において、副生成物の酸素ガスを伴って有機中間体に光合成的に変換される。副生成物の酸素ガスは、導管24を介して直接的又は間接的に、例えば、比較的高純度の酸素を必要とする工業プロセス26に送られる。1つ又は複数の実施形態において、バイオリアクタ41で生成されたエチレンを工業プロセス26に送ることもできる。図5には示されていないものの、第2のバイオリアクタ41からのエチレン流は、酸素ガス変換、二酸化炭素の取出し(及び光合成バイオリアクタへの再循環)、並びにエチレン精製を含むがこれらに限定されない、他の実施形態に関して説明した下流の処理を受けることが認識されよう。
【0042】
やはり、光合成バイオリアクタによって比較的純粋な二酸化炭素流の使用に由来することができる比較的純粋な酸素の副生成物流が得られる実施形態においては、比較的純粋な酸素流を工業用途に使用することができる。1つ又は複数の実施形態において、光合成バイオリアクタを出るガス流は、酸素ガス流中に未反応の二酸化炭素があれば取り出すために、二酸化炭素取出し処理を受けることができる。次いで、酸素ガス流を所望の工業用途に送ることができる。例えば、これらの実施形態からの酸素ガス流をオキシ塩素化ユニットに送ることができ、そこでエチレンは酸素ガスの存在下で塩酸と反応する。この例では、エチレンはエチレン生成バイオリアクタに由来し得る。エチレン生成バイオリアクタからのエチレン流は、他の実施形態に関して説明したように、二酸化炭素取出し処理及びエチレン精製を受けることが認識されよう。
【0043】
二酸化炭素の分離
1つ又は複数の実施形態において、下流の(例えば二酸化炭素分離ユニット61での)二酸化炭素の分離は、従来のアミンスクラビング/ストリッピングを用いることによって行われてもよい。様々な他の二酸化炭素分離技術を用いることができ、二酸化炭素分離技術としては、以下に限定されるものではないが、炭酸カリウムを使用した溶媒分離、膜分離、及び固体吸着剤分離が挙げられる。
【0044】
当業者が認識しているように、アミンスクラビング及びストリッピングの技術又は方法には、一般に、水担体内の有機アミンによる二酸化炭素の吸収(すなわちスクラビング)、及びそれに続く有機アミンからの二酸化炭素の再生又は放出(すなわちストリッピング)が含まれる。これらのシステム及びそれらを使用するための技術は、米国特許出願公開第2009/0038314号明細書、同第2009/0156696号明細書及び同第2013/0244312号明細書に記載されているように当技術分野で周知であり、それらは参照により本明細書に組み込まれる。また、エンジニアリング・データ・ブック(Engineering Data Book)、第II巻第17-26節、ガス処理業者協会(Gas Processors Suppliers Assoc.)(1994)も参照されたい。
【0045】
アミンスクラビング/ストリッピングの代わりに、又はそれに加えて、膜分離技術を用いてもよい。当業者が認識しているように、これらの膜には、二酸化炭素が透過物を通過することが可能であるポリマー又は無機微多孔膜が含まれてもよい。これらの膜及びそれらを使用するための技術は、米国特許出願公開第2008/0173179号明細書及び同第2013/0312604号明細書に記載されているように周知であり、それらは参照により本明細書に組み込まれる。本発明の実施において、アミンスクラビング/ストリッピングの技術の代わりに膜分離を使用する場合、残留エチレンを取り出すことが望ましい場合がある。残留エチレンは、透過流の中に移る可能性があり、そのため取り出さなければ固定反応器(すなわち第1のバイオリアクタ)に送り戻され、そして最終的に酸素流中に移ることになる。これに関して、図7を参照すると、導管73を介してエチレン処理ユニット75に向けて下流に送られる二酸化炭素の透過流を有する膜分離ユニット61’を含む代替システム20’が示されており、エチレン処理ユニット75は、透過流が導管51’を介してバイオリアクタ21に送り戻される前に、透過流内に残留エチレンがあれば(例えば触媒燃焼により)取り出すために、前記流れを触媒作用的に処理するように適合されてもよい。
【0046】
エチレン精製
上記のように、第2のバイオリアクタ41のエチレン含有生成物流の(例えば分離器61内での)二酸化炭素分離により、導管53によって運ばれるエチレン濃厚流が生成される。このエチレン濃厚流は、後の使用及びサブプロセス100内の任意選択の輸送のために精製及び任意選択の圧縮を受けることができ、これは図6を参照して最もよく説明される。1つ又は複数の実施形態において、サブプロセス100では、導管53を介して提供されるエチレン濃厚流が、1つ又は複数の技術を用いて処理される。例えば、エチレン濃厚流は、任意選択の酸素ガス取出しユニット101で酸素ガス取出し処理を受けてもよい。このユニット内では、エチレン濃厚流内の残留酸素ガスが、例えば、エチレンの一部の触媒燃焼によって消費される。1つ又は複数の実施形態において、サブプロセス100は、残留二酸化炭素があれば取り出す(例えば、二酸化炭素のレベルを10ppm未満、又は5ppm未満、又は3ppm未満に低減する)苛性洗浄ユニット103で、エチレン流のポリッシングを含んでもよい。苛性洗浄ユニット103の下流で、エチレン濃厚流は除水ユニット105で除水処理を受けてもよく、除水ユニット105は、分子ふるいを使用した脱水ユニットを含んでもよい。除水処理後、エチレン濃厚流を凝縮器107で凝縮することができ、凝縮器107は、プロピレン冷蔵ユニット108によって冷却することができる。当業者なら、様々な精製工程の順序が、複数の要因に応じて変更され得ることを認識するであろう。また、当業者なら、精製プロセスの様々な工程が、使用又は(例えばパイプラインを介した)輸送に必要とされ得る所望の圧力を獲得する目的で行われてもよいことを認識するであろう。この目的のために、エチレン濃厚流は、2つ以上の精製工程の前、後、又はその間に加圧されてもよい。例えば、図6に示すように、前記流れは圧縮ユニット99で加圧されてもよい。同様に、エチレン生成物ポンプ109でさらに加圧を行うことができる。
【0047】
光合成微生物
上で述べたように、第1のバイオリアクタは、光エネルギーの存在下で二酸化炭素及び水を有機中間体に変換する1種又は複数種の光合成微生物を含有する光合成生物培養物を含有する。様々な実施形態において、光合成微生物は天然起源であってもよい。他の実施形態において、光合成微生物は、所望の有機中間体の生成を向上させるために遺伝子改変されてもよい。1つ又は複数の実施形態において、第1のバイオリアクタで利用される光合成微生物には、シアノバクテリアなどの光合成細菌が含まれてもよい。当業者が認識しているように、光合成細菌は、光の存在下で二酸化炭素及び水を消費して炭素を固定する。有利には、好気性条件におけるシアノバクテリアの代謝経路の主な生成物は、酸素、及び糖などの有機中間体である。当業者は、所望の有機中間体を生成するために、過度の実験をせずに適切な光合成微生物を選択することができるであろう。
【0048】
1つ又は複数の実施形態において、所望の有機中間体は、スクロース、デキストロース、キシロース、グルコース、フルクトース、アルファ-ケトグルタル酸、又はそれらの混合物を含む。
【0049】
例示的な光合成微生物としては、限定されずに、シアノバクテリア、藻類及び紅色細菌が挙げられる。有用な種類のシアノバクテリアとしては、酸素産生光合成を行う光合成原核生物が挙げられる。本明細書で概説する目的に有用なシアノバクテリアは、当技術分野で一般に周知である。(例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、Kluwer Academic Publishers出版(1994)の、Donald BryantによるThe Molecular Biology of Cyanobacteriaを参照されたい)。代表的な例としては、シネココッカス・リビドゥス(Synechococcus lividus)及びシネココッカス・エロンガトゥス(Synechococcus elongatus)などのシネココッカス属のシアノバクテリア、並びにシネコシスティス・ミネルバエ(Synechocystis minervae)及びシンコシスティス・エスピー(Synchocystis Sp)PCC 6803などのシネコシスティス属のシアノバクテリアが挙げられる。これに関して、米国特許第7,807,427号明細書は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。使用することができる合成微生物の例としては、米国特許第10,196,627号明細書に開示されているものが挙げられ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに他の例としては、米国特許第9,914,947号明細書及び同第9,309,541号明細書に開示されている微生物が挙げられ、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。
【0050】
1つ又は複数の実施形態において、シアノバクテリアは、目的有機中間体の生成を増強する1つ又は複数の酵素をコード化する1つ又は複数の外来遺伝子を発現するように遺伝子改変される。1つ又は複数の実施形態において、目的有機中間体には、スクロース、デキストロース、キシロース、グルコース、フルクトース及びアルファ-ケトグルタル酸が含まれる。当業者に明らかなように、シアノバクテリア(及び生成される酵素)のゲノムに付加される特定の遺伝子は、特定の目的有機中間体によって決まる。
【0051】
1つ又は複数の実施形態において、改変光合成微生物は、二酸化炭素からアルファケトグルタル酸を形成する酵素を生成する改変ヌクレオチド配列を含む。ある実施形態において、この改変光合成微生物は、非天然のアルファ-ケトグルタル酸透過酵素タンパク質(alpha-ketoglutarate permease protein:AKGP)形成ヌクレオチド配列を発現することにより、AKGPを発現する。1つ又は複数の実施形態において、改変微生物は、改変ヌクレオチド配列を欠く対照微生物によって生成されるよりも多い量の酵素を生成する。この量は、改変ヌクレオチド配列を欠く対照微生物によって生成される量の1%を超え、他の実施形態では50%を超え、他の実施形態では75%を超えてもよい。
【0052】
1つ又は複数の実施形態において、イソクエン酸脱水素酵素(isocitrate dehydrogenase:ICD)によるイソクエン酸の酸化的脱炭酸によって、又はグルタミン酸脱水素酵素(glutamate dehydrogenase:GDH)によるグルタミン酸の酸化的脱アミノによって、アルファ-ケトグルタル酸((alpha-ketoglutarate:aKG)を生成することができる。シアノバクテリアにおけるクローニング及びaKG生成のための目的酵素には、ICD酵素:1.1.1.42、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens:P.Fluorescens)ICDのコード配列(配列番号1、配列番号2)、ICD酵素:1.1.1.42、シネココッカス・エロンガトゥスPCC794のコード配列(配列番号3、配列番号4)、及びGDH酵素:1.4.1.2、P.Fluorescensのコード配列(配列番号5、配列番号6)が含まれてもよい。
【0053】
1つ又は複数の実施形態において、アルファ-ケトグルタル酸を形成するための酵素は、イソクエン酸脱水素酵素(ICD)タンパク質、グルタミン酸脱水素酵素(GDH)タンパク質、又はそれらの組合せから選択される。
【0054】
ある実施形態において、改変光合成微生物は、配列番号2と少なくとも98%、又は少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも85%同一のヌクレオチド配列を有する改変ICDタンパク質ヌクレオチド配列を発現することによって、配列番号1と少なくとも98%、又は少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも85%同一のアミノ酸配列を有するICDタンパク質を発現する。ある実施形態において、改変光合成微生物は、配列番号4と少なくとも98%、又は少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも85%同一のヌクレオチド配列を有する改変ICDタンパク質ヌクレオチド配列を発現することによって、配列番号3と少なくとも98%、又は少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも85%同一のアミノ酸配列を有するICDタンパク質を発現する。ある実施形態において、改変微生物は、配列番号6と少なくとも98%、又は少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも85%同一のヌクレオチド配列を有する改変GDHタンパク質ヌクレオチド配列を発現することによって、配列番号5と少なくとも98%、又は少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも85%同一のアミノ酸配列を有するGDHタンパク質を発現する。
【0055】
1つ又は複数の実施形態において、有機中間体はスクロースである。これらの実施形態のいくつかにおいて、例えば、シアノバクテリア(シネココッカス・エロンガトゥス、シネコシスティス)を、エチレン生成微生物の増殖のための基質として働くスクロースを生成するように操作することができる。スクロースを生成するためのシネココッカス・エロンガトゥスPCC7942の様々な操作方法には、1つの遺伝子(cscB)の活性化及び1つの遺伝子(GlgC)の欠失が含まれ得る。
【0056】
これらの実施形態の1つ又は複数において、改変光合成微生物は、スクロース合成酵素タンパク質を発現する。1つ又は複数の実施形態において、スクロース合成酵素タンパク質は、配列番号10と少なくとも98%、又は少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも85%同一のヌクレオチド配列を有する改変スクロース合成酵素タンパク質ヌクレオチド配列を発現することによって、配列番号9と少なくとも98%、又は少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも85%同一のアミノ酸配列を有する。これらの実施形態の1つ又は複数において、改変微生物は、スクロースリン酸合成酵素タンパク質を発現する。1つ又は複数の実施形態において、スクロースリン酸合成酵素タンパク質は、配列番号12と少なくとも98%、又は少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも85%同一のヌクレオチド配列を有する改変スクロースリン酸合成酵素タンパク質ヌクレオチド配列を発現することによって、配列番号11と少なくとも98%、又は少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも85%同一のアミノ酸配列を有する。
【0057】
本明細書で使用される場合、配列の同一性とは、配列を比較することによって決定される、2つ以上のアミノ酸(ポリペプチド又はタンパク質)配列又は2つ以上の核酸(ポリヌクレオチド)配列の間の関係である。配列の同一性又は類似性は、概して、それぞれの配列の全長にわたって比較される。当業者なら、「同一性」が、場合によってはアミノ酸配列又は核酸配列の文字列の間の一致性によって決定される、アミノ酸配列又は核酸配列の間の配列関連性の程度を指すことを認識している。2つのアミノ酸配列間の「類似性」は、1つのポリペプチドのアミノ酸配列及びその保存されたアミノ酸置換を、別のポリペプチドの配列と比較することによって決定される。当業者なら、「同一性」及び「類似性」を様々な既知の方法によって容易に計算することができる。例えば、同一性及び類似性を決定する方法は、BestFit、BLASTP(Protein Basic Local Alignment Search Tool)、BLASTN(Nucleotide Basic Local Alignment Search Tool)、NCBI及び他の情報源(BLAST.RTM.Manual,Altschul,S.et al.,NCBI NLM NIH Bethesda,Md.20894)から公表されているFASTA(Altschul,S.F.et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)、及びEMBOSS(European Molecular Biology Open Software Suite)などの、公表されているコンピュータプログラムに成文化されている。
EMBOSSを使用したアミノ酸配列比較のための例示的なパラメータは、gap open 10.0、gap extend 0.5、ブロックアミノ酸置換行列(BLOcks SUbstitution Matrix:Blosum)である。EMBOSSを使用した核酸配列比較のための例示的なパラメータは、gap open 10.0、gap extend 0.5、DNA完全行列(DNA full matrix)(DNA同一性行列(DNA identity matrix))である。当業者が理解しているように、異なる種の間のDNA/タンパク質の配列を比較して、Gene bank、KEG、BLAST及びEnsembleなどのオンラインデータを使用して配列の相同性を決定することができる。当業者はまた、類似の側鎖を有する残基の互換性を指す、いわゆる「保存的」アミノ酸置換を考慮に入れてもよい。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンであり;脂肪族-ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群は、セリン及びトレオニンであり;アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群はアスパラギン及びグルタミンであり;芳香族側鎖を有するアミノ酸の群は、フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファンであり;塩基性側鎖を有するアミノ酸の群は、リジン、アルギニン、及びヒスチジンであり;硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の群はシステイン及びメチオニンである。本明細書に開示されるアミノ酸配列の置換変異体は、開示された配列中の少なくとも1つの残基が除去され、その場所に異なる残基が挿入されたものである。好ましくは、アミノ酸の変化は保存的である。天然起源のアミノ酸のそれぞれについての好ましい保存的置換は以下の通りである。すなわち、Alaからser;ArgからLys;Asnからgln又はhis;Aspからglu;Cysからser又はala;Glnからasn;Gluからasp;Glyからpro;Hisからasn又はgln;Ileからleu又はval;Leuからile又はval;Lysからarg、gln又はglu;Metからleu又はile;Pheからmet、leu又はtyr;Serからthr;Thrからser;Trpからtyr;Tyrからtrp又はphe;及びValからile又はleuへの置換である。
【0058】
特に明記しない限り、「適合された」又は「コドン適合された」という用語は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドの「コドン最適化」を指し、そのポリヌクレオチドの配列は天然若しくは非天然であってもよく、又は他の微生物における発現に適合されてもよい。コドン最適化により、コード化されたポリペプチドに対するコドン使用が、そのポリペプチドが発現される生物のコドンバイアスに適合される。コドン最適化は、一般に、宿主細胞におけるコード化されたポリペプチドの生成レベルを増加させるのに役立つ。
【0059】
ある実施形態において、改変光合成微生物は、グルコース-1-リン酸アデニル酸転移酵素タンパク質の発現を欠くデルタ-glgc(Δglgc)変異微生物を含む。同様に、機能性ADPグルコースピロホスホリラーゼ酵素を欠くシアノバクテリア細胞は、米国特許第9,309,541号明細書及び同第9,309,541号明細書に記載されているように既知であり、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0060】
エチレン生成微生物
上記のように、エチレン生成生物には、光合成バイオリアクタで生成された有機中間体を消費することによってエチレンを天然に生成するか、又はエチレンを生成するように遺伝子改変された生物が含まれる。1つ又は複数の実施形態において、第2のバイオリアクタで利用される微生物には、エチレン形成酵素(efe)遺伝子を発現するか、又は発現するように遺伝子改変された微生物が含まれる。これらの微生物は、本明細書ではefe形成微生物と呼ぶ場合がある。エチレンを生成するか、又はエチレンを生成するように改変された微生物は当技術分野で周知であり、記載された反応条件下で目的有機中間体からエチレンを生成することができる任意の微生物が使用されてもよい。1つ又は複数の実施形態において、所望の微生物は、生成されれば本明細書に記載の方法を妨害する可能性がある他のものは生成しない。
【0061】
例示的なefe形成微生物としては、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)、シュードモナス・シリンガエ pv.グリシニア(Pseudomonas syringae pv.Glycinia)、及びペニシリウム・ジギタタム(Penicillium digitatum)が挙げられ、これらはすべて天然にefeを発現する。他の実施形態において、第2の反応器内の微生物には、シュードモナス・シリンガエ又はペニシリウム・ジギタタムに天然に見られる遺伝子などのefe遺伝子を発現又は過剰発現する改変微生物が含まれる。これらの実施形態において、1つ又は複数のコピーの1つ又は複数のefe遺伝子を遺伝子導入するための当技術分野で既知の多数の方法のいずれか1つを用いて、宿主微生物に遺伝子導入する。有用な宿主微生物には、限定されずに、大腸菌(E.Coli)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)及びトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)が含まれてもよい。
【0062】
1つ又は複数の実施形態において、efeを生成するための改変微生物は、Wang,J.P.et al.,’’Metabolic engineering for ethylene production by inserting the ethylene-forming enzyme gene(efe)at the 16 S rDNA sites of Pseudomonas putida KT 2440’’Biosource Technology,(2010)101:6404-6409に記載されているように生成されてもよく、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。これらの実施形態において、efe遺伝子をP.syringae pv.glycinea ICMP2189からクローニングし、二重交差組換えを用いてシュードモナス・プジタ(Pseudomonas pudita)KT 2440宿主の1つ又は複数の16S rDNA部位に挿入する。
【0063】
上で述べたように、1つ又は複数の実施形態において、efe酵素を生成する微生物は、遺伝子操作された微生物を含む。1つ又は複数の実施形態において、efe形成微生物は、発現された場合にefeを生成する1つ又は複数の外来ヌクレオチド配列を、そのDNA内に含む改変微生物である。1つ又は複数の実施形態において、改変微生物は、改変ヌクレオチド配列を欠く対照微生物によって生成されるよりも多い量のefe酵素を生成する。この量は、改変ヌクレオチド配列を欠く対照微生物によって生成される量の5%を超え、他の実施形態では50%を超え、他の実施形態では75%を超えてもよい。様々な実施形態において、遺伝子改変された微生物は、発現された場合にefeを生成する外来ヌクレオチド配列の2つ以上のコピーを含むように改変され、エチレン生成がさらに向上する。
【0064】
1つ又は複数の実施形態において、シュードモナス・サバスタノイ pv.ファセオリコラ(Pseudomonas savastanoi pv.Phaseolicola)efeタンパク質(GenBank:KPB 44727.1、配列番号8)をコードするポリヌクレオチドは、pET-30a(+)ベクタープラスミドにクローニングすることができる。対応するヌクレオチド配列はまた、大腸菌(配列番号7)での発現に適合させ、かつ終止コドン及びHindIII部位が続く、C末端の任意選択のHisタグを含むように適合させたコドンとすることができる。5プライム末端でのクローニングにNdeI部位も使用することができ、この場合、NdeI部位はATG開始コドンを含む。様々な実施形態において、大腸菌BL21(DE3)コンピテント細胞を組換えプラスミドで形質転換することができる。
【0065】
いくつかの実施形態において、LacI遺伝子の存在下でイソプロピルチオガラクトシド(Isopropyl thiogalactoside:IPTG)誘導性プロモータ(pTrc)によってアンピシリンカセットを活性化することができ、LacI遺伝子は、LacIqプロモータ(配列番号13)によって制御することができる。
【0066】
ある実施形態において、エチレンを形成する組換え微生物は、配列番号8と少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも80%同一のヌクレオチド配列を有する非天然のefeタンパク質ヌクレオチド配列を発現することによって、配列番号7と少なくとも95%、又は少なくとも90%、又は少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有するefeタンパク質を発現する。
【0067】
当業者なら、収率を高め、プロセス内の微生物の管理を支援する(例えば、微生物を生成物流又は反応媒体から分離するのを支援する)ために、微生物を固定化することが有益であり得ることを認識している。1つ又は複数の実施形態において、微生物は、これに限定されるものではないが、高表面積支持媒体などの支持媒体に固定化される。有用な高表面積支持材料には、スポンジ、繊維状材料、バイオボール、セラミックフィルタなどが含まれてもよい。
【0068】
第1のバイオリアクタ(光合成バイオリアクタ)
再び図を参照すると、第1のバイオリアクタ21は、単一の反応容器を含んでもよく、又は相補的に運転してもよい複数(すなわち2つ以上)の反応容器を含んでもよい。例えば、所望の光合成反応を促すために、2つ以上の反応容器を並列又は直列で運転してもよい。
【0069】
当業者なら、一般に、微生物を持続させ、所望の光合成反応を促進するために、第1のバイオリアクタ21で維持するべき適切な条件について認識している。1つ又は複数の実施形態において、水は反応物であるだけでなく、第1のバイオリアクタ21内の反応媒体としても働く。
【0070】
1つ又は複数の実施形態において、光合成バイオリアクタ内の反応器媒体は、温度が約25~約70℃、他の実施形態では約35~約60℃、他の実施形態では約40~約50℃に維持される。これら又は他の実施形態において、光合成バイオリアクタ内の反応媒体は、pHが約5.0~約8.5、他の実施形態では約5.5~約8.0、他の実施形態では約6.0~約7.0に維持される。
【0071】
1つ又は複数の実施形態において、光合成バイオリアクタは、efe遺伝子を生成する又は生成するように適合された微生物を実質的に含まない。
【0072】
1つ又は複数の実施形態において、第1のバイオリアクタは、少なくとも反応物(例えば二酸化炭素)をバイオリアクタに導入するための少なくとも1つの入口を含む。これら又は他の実施形態において、第1のバイオリアクタは、少なくとも1つの生成物又は少なくとも1つの副生成物をバイオリアクタから取り出すための少なくとも1つの出口を含む。1つ又は複数の実施形態において、第1のバイオリアクタ21は、ガス状生成物/副生成物のための出口、及び液体流出物のための出口を含む。1つ又は複数の実施形態において、バイオリアクタ21は、入口及び出口を除いて閉鎖系である。他の実施形態において、バイオリアクタ21は開放系である。1つ又は複数の実施形態において、第1のバイオリアクタは、連続撹拌槽反応器、ガスリフト反応器、ループ反応器、及び流動床反応器から選択される。1つ又は複数の実施形態において、第1のバイオリアクタは、容量が10,000ガロンを超え、他の実施形態では100,000ガロンを超え、他の実施形態では1,000,000ガロン超える。
【0073】
第2のバイオリアクタ(エチレン生成バイオリアクタ)
再び図を参照すると、第2のバイオリアクタ41は、単一の反応容器を含んでもよく、又は相補的に運転してもよい複数(すなわち2つ以上)の反応容器を含んでもよい。例えば、中間体をエチレンに変換する所望の反応を促すために、2つ以上の反応容器を並列又は直列で運転してもよい。
【0074】
当業者なら、一般に、微生物を持続させ、所望のエチレン形成反応を促進するために、第2のバイオリアクタで維持するべき適切な条件について認識している。1つ又は複数の実施形態において、水は、第2の反応器における反応媒体として働く。
【0075】
1つ又は複数の実施形態において、エチレン形成バイオリアクタ内の反応器媒体は、温度が約25~約70℃、他の実施形態では約35~約60℃、他の実施形態では約40~約50℃に維持される。これら又は他の実施形態において、エチレン形成バイオリアクタ内の反応媒体は、pHが約6.0~約9.5、他の実施形態では約6.5~約9.0、他の実施形態では約7.0~約8.0に維持される。
【0076】
1つ又は複数の実施形態において、エチレン形成バイオリアクタは、酸素を生成するか又は酸素を生成するように適合された微生物を実質的に含まない。例えば、第2のバイオリアクタは、光合成微生物(例えば、カルビン回路によって機能する微生物)を含まないか、又は実質的に含まない。
【0077】
1つ又は複数の実施形態において、エチレン形成バイオリアクタは、嫌気性条件下で維持される。1つ又は複数の実施形態において、エチレン形成バイオリアクタは、光エネルギーが実質的に存在しない状態に維持される。
【0078】
1つ又は複数の実施形態において、第2のバイオリアクタは、有機中間生成物流をバイオリアクタに導入するための少なくとも1つの入口を含む。これら又は他の実施形態において、第2のバイオリアクタは、第2のバイオリアクタから生成物及び少なくとも1つの副生成物(例えば二酸化炭素)を取り出すための少なくとも1つの出口(例えば、エチレンガスのためのガス出口)を含む。1つ又は複数の実施形態において、第2のバイオリアクタはまた、液体流出物(例えば、水及び未反応の有機中間体)を取り出すための流出物出口を含む。1つ又は複数の実施形態において、第2のバイオリアクタは、連続撹拌槽反応器、ループ反応器、及び流動床反応器から選択される。1つ又は複数の実施形態において、第2のバイオリアクタは、容量が10,000ガロンを超え、他の実施形態では100,000ガロンを超え、他の実施形態では1,000,000ガロンを超える。1つ又は複数の実施形態において、第2のバイオリアクタは、反応物の入口、及び生成物又は副生成物の出口を除いて、閉鎖系を提供するように適合される。
【0079】
1つ又は複数の実施形態において、第2の反応器内の微生物の濃度は、反応器の単位体積あたりの乾燥細胞重量に基づいて定量化されてもよい。例えば、1つ又は複数の実施形態において、第2の反応器における微生物の濃度は、1リットルあたり10グラムを超える、他の実施形態では50グラムを超える、他の実施形態では100グラムを超える乾燥細胞重量である。
【0080】
組換え微生物を形成するための技術
ある実施形態において、中間体形成酵素又はefeを発現させるためのヌクレオチド配列が、微生物発現ベクターに挿入される。様々な実施形態において、微生物発現ベクターは、細菌ベクタープラスミド、相同組換えシステムのヌクレオチドガイド、抗生物質耐性システム、タンパク質の精製及び検出のための補助システム、CRISPR CASシステム、ファージ・ディスプレイ・システム、又はそれらの組合せを含んでもよい。
【0081】
上で述べたように、1つ又は複数の実施形態において、複数のコピーのefe発現ヌクレオチド配列が、エチレン形成微生物に挿入されてもよい。同様に、複数のコピーの中間体酵素発現ヌクレオチド配列が、光合成微生物に挿入されてもよい。ベクター及び/又は宿主ゲノムに挿入された遺伝子のコピーの数は、本明細書では「コピー数」と呼ばれる。ある実施形態において、efe発現ヌクレオチド配列は、微生物発現ベクターにおけるコピー数が1を超え、他の実施形態では10を超え、他の実施形態では100を超え、また他の実施形態では250を超える。明らかなように、複数のコピーのefe発現ヌクレオチド配列の発現によってエチレン収率を増加させることができるため、商業規模でのエチレン生成の体積及びコストを低減することができる。
【0082】
ある実施形態において、微生物発現ベクターは、少なくとも1つの微生物発現プロモータを含む。当業者によって理解されるように、微生物発現プロモータは、通常は隣接する後のDNA配列の転写を開始するヌクレオチド配列であり、恒常的又は誘導的であってもよい。ある実施形態において、少なくとも1つの微生物発現プロモータは、限定されずに、光感受性プロモータ、化学感受性プロモータ、温度感受性プロモータ、Lacプロモータ、T7プロモータ、CspAプロモータ、ラムダPLプロモータ、ラムダCLプロモータ、連続生成プロモータ、psbAプロモータ、又はそれらの組合せを含んでもよい。ある実施形態において、少なくとも1つのプロモータ誘導因子をバイオリアクタ又はバイオリアクタ内の反応媒体に加えて、有機中間体の量及び/又は生成されるエチレンの量を制御してもよい。ある実施形態において、プロモータ誘導因子は、ラクトース、キシロース、IPTG、低温ショック、熱ショック、又はそれらの組合せを含む。
【0083】
1つ又は複数の実施形態において、ICD遺伝子及びGDH遺伝子は、pSyn6プラスミド構築物(pSyn6_ICD及びpSyn6_GDH)にクローニングされたgBlocks(商標)遺伝子断片を使用して合成されてもよい。pSyn6プラスミドへのクローニングのために、S.elongatus ICDコード配列は、N末端HindIII認識部位及びC末端BamHI認識部位(配列番号4)に隣接している。プラスミド構築物を使用して、ICD遺伝子及びGDH遺伝子を未改変のS.elongatus又はS.elongatusΔglgc変異株にクローニングすることができる(実施例2を参照されたい)。1~3個のコピーの標的遺伝子を形質転換してもよい。ICD遺伝子及びGCH遺伝子のクローニングは、ポリメラーゼ連鎖反応法(polymerase chain reaction:PCR)及び配列決定法によって確認することができる。aKGの合成及び定量化は、ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動(sodium dodecyl sulfate-polyacrylamide gel electrophoresis:SDS-PAGE)、ウエスタンブロット及びエチレン生成アッセイによって評価することができる。
【0084】
1つ又は複数の実施形態において、シアノバクテリアのグリコーゲン変異株を作製することにより、その細菌の経路を変化させて、aKGなどのケト酸をより高い濃度で生成させ、また分泌もさせる。グリコーゲン変異シアノバクテリアは、glgc遺伝子(Δglgc)の変異を介してグリコーゲン欠損株を作製することによって作り出すことができる。例えば、アンピシリン耐性(AmpR)遺伝子を、gBlocks(商標)を使用して合成し、プラスミド構築物に組み込むことができる。そのプラスミド構築物を、野生型シアノバクテリア(例えば、シネコシスティス、シネココッカス・エロンガトゥス2973、シネココッカス・エロンガトゥス2434)に形質転換することができる。次いで、野生型glgc遺伝子の一部をAmpR遺伝子で置き換えて、変異株を作製することができる。Δglgc変異株は、AmpR含有培地中で増殖させた後に、PCR及び配列決定法によって確認することができる。
【0085】
揮発ガスのレベルの維持
1つ又は複数の実施形態において、第2の反応器は、安全なレベルの酸素ガスを含む。特に、第2の反応器のヘッドスペース及び第2の反応器のガス状出口流は、エチレンに対して安全なレベルの酸素ガスを含む。当業者が認識しているように、エチレン流内の酸素ガスの商業的に許容可能なレベルは、存在するエチレンのレベルを考慮に入れた爆発下限(lower explosion limit:LEL)によって規定することができる。1つ又は複数の実施形態において、第2の反応器内(すなわち、反応器のヘッドスペース内又はガス状出口流中)の酸素の量は、許容可能なLEL未満であり、他の実施形態では、許容可能なLELの80%未満であり、他の実施形態では、許容可能なLELの50%未満である。
【0086】
プロセス特性
本明細書に記載されるように、本発明の方法は、生合成プロセスを用いることによって、エチレン及び酸素の同時生成に関連する安全性の懸念に対処しながら、高い炭素効率で二酸化炭素をエチレンに変換するのに有効である。
【0087】
1つ又は複数の実施形態において、本発明の方法により、生成率が100μmol/gCDW/時を超えて、他の実施形態では500μmol/gCDW/時を超えて、他の実施形態では1000μmol/gCDW/時を超えて、他の実施形態では1500μmol/gCDW/時を超えて、他の実施形態では2000μmol/gCDW/時を超えて、また他の実施形態では2500μmol/gCDW/時を超えてエチレンが生成される。ここで、CDWは細胞乾燥重量(cell dry weight)を指す。
【0088】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない様々な修正及び変更が、当業者には明らかになるであろう。本発明は、本明細書で述べた例証的な実施形態に正式に限定されるものではない。
【0089】
配列表
配列番号1-
【数1】
配列番号2-
【数2】
配列番号3-
【数3】
配列番号4-
【数4】
配列番号5-
【数5】
配列番号6-
【数6】
配列番号7-
【数7】
配列番号8-
【数8】
配列番号9-
【数9】
配列番号10-
【数10】
配列番号11-
【数11】
配列番号12-
【数12】
配列番号13-
【数13】
【配列表フリーテキスト】
【0090】
以下の情報は数字識別子<223>の下でのフリーテキストを含んでいる配列のために提供される。
【表1】
【国際調査報告】