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特表2023-518392HIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤を含む製剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(54)【発明の名称】HIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤を含む製剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4704 20060101AFI20230424BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230424BHJP
   A61K 9/30 20060101ALI20230424BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
A61K31/4704
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/04
A61K47/32
A61K47/02
A61K47/26
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/14
A61K9/10
A61K9/08
A61K9/12
A61K47/14
A61K9/30
A61P7/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555891
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(85)【翻訳文提出日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 IB2021052214
(87)【国際公開番号】W WO2021186356
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】202021011431
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】304023824
【氏名又は名称】ザイダス ライフサイエンシズ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100182730
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 浩明
(72)【発明者】
【氏名】エム.イー.カナン
(72)【発明者】
【氏名】リチュー ラダ
(72)【発明者】
【氏名】ムケシュ ウカワーラ
(72)【発明者】
【氏名】ジテンドラ パテル
(72)【発明者】
【氏名】アミット プラジャーパティ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA22
4C076AA24
4C076AA29
4C076AA36
4C076AA44
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC14
4C076DD24
4C076DD25
4C076DD26
4C076DD27B
4C076DD28B
4C076DD29B
4C076DD29C
4C076DD38
4C076DD41C
4C076DD47G
4C076DD67
4C076DD67C
4C076EE09
4C076EE23G
4C076EE31B
4C076EE32B
4C076EE36B
4C076EE37B
4C076EE38B
4C076EE51C
4C076EE53C
4C076FF04
4C076FF06
4C076FF09
4C076FF36
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC29
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA23
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA43
4C086MA52
4C086NA03
4C086NA10
4C086ZA55
(57)【要約】
本発明は、一般に、適切なHIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤の医薬組成物に関する。好ましくは、本発明は、式(Ia)の化合物又は式(Ia)の化合物の医薬上許容される塩の新規製剤を開示する。より具体的には、本発明は、式(Ia)の化合物又はその医薬上許容される塩を含む、式(Ia)の化合物の医薬組成物に関する。
式(Ia)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia)
【化1】
式(Ia)
の化合物又はその医薬上許容される塩及び1つ以上の医薬賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項2】
医薬上許容される賦形剤は、崩壊剤、滑剤、潤滑剤、希釈剤又は増量剤、フィルム形成剤、コーティング材料、結合剤、乳白剤、可塑剤及び溶媒から選ばれる、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記崩壊剤は、トウモロコシデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、微結晶性セルロース、加工トウモロコシデンプン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、ポビドン、アルファ化デンプン、寒天、カルボキシメチルセルロースカルシウム又はナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、キトサン、ドキュセートナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マルトース、メチルセルロース、ポラクリリンカリウム及びアルギン酸、又はそれらの適切な組み合わせから選ばれる、請求項2記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記滑剤は、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ヒュームドシリカ、デンプン、デンプン誘導体及びベントナイト、又はそれらの適切な組み合わせから選ばれる、請求項2記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記希釈剤又は増量剤は、デンプン及びその加工及び共加工誘導体、糖類、二糖類、スクロース、ラクトース、多糖類、セルロース、セルロースエーテル、酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、糖アルコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、微結晶性セルロース、炭酸マグネシウム又は炭酸カルシウム又は炭酸ナトリウム、ラクトース、ラクトース一水和物、リン酸二カルシウム、圧縮糖類、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、無水マンニトールラクトース、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マルトース、プルラン、アルギン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、細胞及び三塩基性リン酸カルシウム、又はそれらの適切な組み合わせから選ばれる、請求項2記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリカ、脂肪、亜鉛又はスクロース又はステアリン酸ナトリウムもしくはステアリン酸カルシウム、ヒマシ油、水素化ヒマシ油、ポリエチレングリコール及びその誘導体、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルク、又は、ラウリン酸、オレイン酸、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル及びC-C10脂肪酸を含む脂肪酸、又はそれらの適切な組み合わせから選ばれる、請求項2記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記可塑剤は、ポリエチレングリコールPEG、プロピレングリコール、グリセロール(グリセリン)などのポリオール、フタル酸エステル(ジエチル、ジブチル)、セバシン酸ジブチル、クエン酸エステル(トリエチル、アセチルトリエチル、アセチルトリブチル)、トリアセチンなどの有機エステル、ヒマシ油などの油/グリセリド、アセチル化モノグリセリド、分画ヤシ油、又はそれらの適切な組み合わせから選ばれる、請求項2記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記乳白剤は、二酸化チタン、タルク、サンセットイエロー、タートラジン、エリスロシン、酸化鉄イエロー、レッド及びブラック、カルミン、アントシアニン、アルーラレッドAC、アルーラレッドACアルミニウムレーキ、インディゴチン、インディゴチンアルミニウムレーキ、又はそれらの適切な組み合わせから選ばれる、請求項2記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記フィルム形成剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、ポリデキストロース、ラクトース、マルトデキストリン、アクリルポリマー、又はそれらの適切な組み合わせから選ばれる、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項10】
錠剤もしくはカプレットもしくはカプセルもしくは粉末、又は、液体中の懸濁液、又は、エアロゾル製剤又は溶液の形態であり、好ましくは錠剤又はカプセルの形態である、請求項1~9のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項11】
式(Ia)の化合物又はその医薬上許容される塩は450ミクロン以下のD90値を有する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項12】
式(Ia)の化合物、及び、微結晶性セルロース、デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ラクトース一水和物、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドン、コロイド状二酸化ケイ素、タルク及びステアリン酸マグネシウムから選ばれる1つ以上の医薬上許容される賦形剤を含む、素錠製剤としての、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項13】
素錠は、全組成物の約1%~約90%w/wの式(Ia)の化合物、約2%~約90%w/wの微結晶性セルロース、約0.5%~10%w/wのクロスカルメロースナトリウム、約2%~約90%w/wのラクトース一水和物、約0.5%~約10%w/wのヒプロメロース3cps、約0.5%~約3%w/wのタルク、約0.5%~約5%w/wのステアリン酸マグネシウム、素錠の質量に基づいて、約0.5%~約10%w/wのポリビニルピロリドン、約1%~約20%w/wのデンプンを含む、請求項11記載の医薬組成物。
【請求項14】
錠剤コア及びコーティングを含む、コーティング錠製剤としての、請求項1記載の医薬組成物であって、式(Ia)の化合物、及び、微結晶性セルロース、デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ラクトース一水和物、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドン、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、二酸化チタン又はOpadryから選ばれる適切なコーティングレディ材料から選ばれる1つ以上の医薬上許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項15】
前記コーティングは、前記錠剤コアの質量に基づいて、約0.5%~約5%w/wの量でヒプロメロース3Cps、約0.25%~約1.0%w/wの量でポリエチレングリコール、約0.25%~約2.0%w/wの量で二酸化チタン、約0.5%~約5%の量でオパドライピンクを前記錠剤において存在する、請求項14記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記錠剤コアは、コーティング錠の質量に基づいて、約1%~約90%w/wの式(Ia)の化合物、約2%~約90%w/wの微結晶性セルロース、約0.5%~10%w/wのクロスカルメロースナトリウム、約2%~約90%w/wのラクトース一水和物、約0.5%~約10%w/wのヒプロメロース3cps、約0.5~約5%w/wのタルク、約0.5%~約3%のステアリン酸マグネシウムを含む、請求項14記載の医薬組成物。
【請求項17】
経口カプセル製剤としての、請求項1記載の医薬組成物であって、前記カプセルはカプセルフィル又はカプセルシェルのいずれかであり、式(Ia)の化合物及び微結晶性セルロース、デンプン、マンニトール、ラクトース一水和物、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース3CPS、コロイド状二酸化ケイ素、タルク及びステアリン酸マグネシウムから選ばれる1つ以上の医薬上許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項18】
前記カプセルはカプセルフィル又はカプセルシェルのいずれかであり、カプセルの質量に基づいて、約1%~約90%w/wの式(Ia)の化合物、約2%~約40%のデンプン、約2%~約90%w/wの微結晶性セルロース、約2%~90%w/wのマンニトール、約2%~約90%w/wのラクトース一水和物、約0.5%~約5%w/wのコロイド状二酸化ケイ素、約0.5~約5%w/wのタルク、約0.5%~約5%w/wのステアリン酸マグネシウムを含む、請求項17記載の医薬組成物。
【請求項19】
例1~3に記載のとおりに調製される、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項20】
貧血の治療、前治療又は発症もしくは進行の遅延のための方法であって、それを必要とする患者に、請求項1~19のいずれか1項記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に、適切なHIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤の医薬組成物に関する。好ましくは、本発明は、式(Ia)の化合物又は式(Ia)の化合物の医薬上許容される塩の新規製剤を開示する。より具体的には、本発明は、式(Ia)の化合物又はその医薬上許容される塩を含む、式(Ia)の化合物の医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
低酸素誘導因子(HIF)は、α及びβサブユニットを含むヘテロ二本鎖である。通常、ベータサブユニットは過剰に存在し、一方、アルファサブユニットは官能性二量体の生成を制限する要因である。HIF-αサブユニットは、核内でβサブユニットと結合し、補因子の協力により低酸素応答要素と呼ばれるDNA配列に結合し、標的遺伝子の発現を誘導する。αサブユニットには、HIF-1α、HIF-2α及びHIF-3αの3つのアイソフォームがある。HIFの活性は、PHD1、PHD2及びPHD3として知られるプロリルヒドロキシラーゼ酵素(PHD)の酸素感受性ファミリーによる2つのプロリン残基でのヒドロキシル化を介して調節される。これらのプロリン残基の1つ又は両方でのヒドロキシル化は、最初にフォンヒッペル-リンダウ腫瘍抑制タンパク質(pVHL)によって、次にユビキチンリガーゼによってHIF-αの結合を可能にし、急速なユビキチン化及びプロテオソーム分解をもたらす。HIF-αサブユニットは、酸素依存性ヒドロキシラーゼ酵素であるHIF阻害因子(FIH)によるC末端アスパラギン残基でのヒドロキシル化によっても調節される。HIF阻害因子は、転写コアクチベータの動員を防ぎ、それによってHIFの活性を阻害する。
【0003】
WO2014102818明細書は、次の一般式の化合物を開示している。
【0004】
【化1】
式(I)
【0005】
これらの化合物は、貧血の治療に有用であると報告されている。驚くべきことに、式(Ia)の化合物が低酸素誘導因子(HIF)プロリルヒドロキシラーゼの強力な阻害剤であることが判明した。HIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤は、HIFの安定性及び/又は活性を増大させるのに有用であり、とりわけ、貧血ならびに虚血及び低酸素関連障害を含むHIFに関連する障害を治療及び予防するのに有用である。
【0006】
式(Ia)の化合物の構造式を以下に示す。
【0007】
【化2】
式(Ia)
【0008】
式(Ia)の化合物は、0.1NのHClに不溶であり、水に部分的に溶解し、アルカリ性水性条件に溶解し、そしてN,N-ジメチルホルムアミドに自由に溶解する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の概要
本発明は、式(Ia)の化合物又はその医薬上許容される塩の医薬組成物を記載する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの実施形態において、本発明は、式(Ia)の化合物又はその医薬上許容される塩の医薬組成物を提供する。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、式(Ia)の化合物の、場合により他の適切な医薬賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、式(Ia)の化合物又はその医薬上許容される塩及び医薬上許容される賦形剤を含む、素錠を提供する。
【0013】
さらなる実施形態において、本発明は、式(Ia)の化合物又はその医薬上許容される塩及び医薬上許容される賦形剤を含む、コーティング錠を提供する。1つの実施形態において、この錠剤は、錠剤コア及びコーティングを含む。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、式(Ia)の化合物又はその医薬上許容される塩及び医薬上許容される賦形剤を含む、カプセルを提供する。1つの実施形態において、カプセルは、カプセルフィル及びカプセルシェルを含む。
【0015】
1つの実施形態において、前記カプセルフィルは、式(Ia)の化合物及び医薬上許容される賦形剤を含む。
【0016】
さらなる実施形態において、本発明は、式(Ia)の化合物又はその医薬上許容される塩の医薬製剤の調製のための方法を提供する。
【0017】
さらに別の実施形態において、低酸素誘導因子(H1F)によって少なくとも部分的に媒介される状態の治療、前治療、又は発症もしくは進行の遅延のための方法が提供される。この方法は、それを必要とする患者に、本明細書に記載の医薬製剤、錠剤又はカプセルを投与することを含む。
【0018】
なおもさらに別の実施形態において、貧血の治療、前治療又は発症もしくは進行の遅延のための方法が提供される。この方法は、それを必要とする患者に、本明細書に記載の医薬製剤、錠剤又はカプセルを投与することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
本発明は、式(Ia)の化合物又はその医薬上許容される塩の医薬組成物を記載する。
【0020】
【化3】
式(Ia)
【0021】
本発明はさらに、1つ以上の医薬賦形剤を含む、式(Ia)の化合物又はその医薬上許容される塩の医薬組成物を記載する。
【0022】
1つの実施形態において、本発明の医薬組成物は、ある粒子サイズ分布を有する式(Ia)の化合物又はその医薬上許容される塩を含み、ここで、式(Ia)の化合物又はその医薬上許容される塩は、450ミクロン以下のD90値を有する。
【0023】
1つの実施形態において、本発明による医薬賦形剤は、当該技術分野で知られているように、可溶化剤、希釈剤又は増量剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、滑剤、フィルム形成剤、可塑剤、乳白剤、溶媒などから選ばれることができる。
【0024】
1つの実施形態において、本発明は、式(Ia)の化合物又はその医薬上許容される塩及び医薬上許容される賦形剤を含む、素錠を提供する。
【0025】
さらなる実施形態において、素錠中の医薬上許容される賦形剤は、微結晶性セルロース、デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ラクトース一水和物、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドン、コロイド状二酸化ケイ素、タルク及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0026】
別の実施形態において、素錠は、全組成物の約1%~約90%w/wの式(Ia)の化合物、約2%~約90%w/wの微結晶性セルロース、約0.5%~10%w/wのクロスカルメロースナトリウム、約2%~約90%w/wのラクトース一水和物、約0.5%~約10%w/wのヒプロメロース3cps、約0.5%~約3%w/wのタルク、約0.5%~約5%w/wのステアリン酸マグネシウム、素錠の質量に基づいて、約0.5%~約10%w/wのポリビニルピロリドン、約1%~約20%w/wのデンプンを含む。
【0027】
1つの実施形態において、本発明は、式(Ia)の化合物又はその医薬上許容される塩及び医薬上許容される賦形剤を含む、コーティング錠を提供する。
【0028】
さらなる実施形態において、コーティング錠中の医薬上許容される賦形剤は、微結晶性セルロース、デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ラクトース一水和物、ヒプロメロースポリビニルピロリドン、コロイド状二酸化ケイ素、タルク及びステアリン酸マグネシウムを含む。さらなる実施形態において、コーティングのための医薬上許容される賦形剤は、ヒプロメロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール及び二酸化チタン、又はOpadryから選ばれる適切なコーティングレディ材料を含む。
【0029】
別の実施形態において、コーティングは、ヒプロメロース3cpsを約0.5%~約5%w/w、ポリエチレングリコールを約0.25%~約1.0%w/w、二酸化チタンを約0.25%~約2.0%w/wの量で錠剤中に存在し、又は、錠剤は、Opadryのような容易に入手可能なコーティング材料を使用してコーティングすることもでき、その量は、錠剤コアの質量に基づいて約0.5%~約5.0%w/wである。
【0030】
別の実施形態において、錠剤コアは、コーティング錠の質量に基づいて、約1%~約90%w/wの式(Ia)の化合物、約2%~約90%w/wの微結晶性セルロース、約0.5%~10%w/wのクロスカルメロースナトリウム、約2%~約90%w/wのラクトース一水和物、約0.5%~約10%w/wのヒプロメロース3cps、約0.5~約5%w/wのタルク、約0.5%~約3%w/wのステアリン酸マグネシウムを含む。
【0031】
1つの実施形態において、本発明は、式(Ia)の化合物又はその医薬上許容される塩及び医薬上許容される賦形剤を含む、カプセルを提供する。
【0032】
さらなる実施形態において、カプセル中の医薬上許容される賦形剤は、微結晶性セルロース、デンプン、マンニトール、ラクトース一水和物、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース3CPS、コロイド状二酸化ケイ素、タルク及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0033】
別の実施形態において、カプセルは、カプセルの質量に基づいて、約1%~約90%w/wの式(Ia)の化合物、約2%~約40%のデンプン、約2%~約90%w/wの微結晶性セルロース、約2%~90%w/wのマンニトール、約2%~約90%w/wのラクトース一水和物、約0.5%~約5%w/wのコロイド状二酸化ケイ素、約0.5~約5%w/wのタルク、約0.5%~約5%w/wのステアリン酸マグネシウムを含む。
【0034】
「医薬上許容される」という用語は、治療される疾患又は状態、及びそれぞれの投与経路を考慮して、当業者が患者への材料の投与を回避させる原因となる特性を材料が有していないことを示す。さらに、この材料は、ヒト又は動物への投与に対して安全であると考えられている。
【0035】
「賦形剤」又は「医薬上許容される賦形剤」という用語は、活性医薬成分に加えて医薬調製物に添加される薬理学的に不活性な物質を指す。賦形剤は、とりわけ、ビヒクル、希釈剤、離型剤、崩壊又は溶解調整剤、吸収促進剤、安定剤又は製造助剤の機能を果たしうる。賦形剤としては、増量剤(希釈剤)、結合剤、崩壊剤、潤滑剤及び滑剤を挙げることができる。頻繁に使用される賦形剤クラスの例を以下に示す。
【0036】
本明細書で使用されるときに、「希釈剤又は増量剤」という用語は、デリバリー前に活性医薬成分を希釈するために使用される物質を指す。希釈剤は安定剤としても機能する。希釈剤の非限定的な例としては、デンプン及びその加工及び共加工誘導体、糖類、二糖類、スクロース、ラクトース、多糖類、セルロース、セルロースエーテル、酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、糖アルコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、微結晶性セルロース、炭酸マグネシウム又は炭酸カルシウム又は炭酸ナトリウム、ラクトース、ラクトース一水和物、リン酸二カルシウム、圧縮糖類、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、無水マンニトールラクトース、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マルトース、プルラン、アルギン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、細胞及び三塩基性リン酸カルシウム又はそれらの適切な組み合わせが挙げられる。
【0037】
本明細書で使用されるときに、「結合剤」という用語は、活性成分及び不活性成分を一緒に結合させて凝集部分及び分離部分を維持するために使用できる任意の医薬上許容される物質を指す。結合剤の非限定的な例は、キトサン、水素化ヒマシ油、アルギン酸ナトリウム、カルボマー、酢酸フタル酸セルロース、ポビドン、糖、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルギン酸、アルファ化デンプン、アカシア、トラガカント、エチルセルロース、アクリル酸及びメタクリル酸コポリマー又はそれらの適切な組み合わせである。
【0038】
本明細書で使用されるときに、「崩壊剤(disintegrant)又は崩壊剤(disintegrating agent)」という用語は、固形製剤に添加すると、投与後にその分解又は崩壊を促進し、活性成分を可能な限り効率的に放出して迅速な溶解を可能にする物質を指す。崩壊剤の非限定的な例としては、トウモロコシデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、微結晶性セルロース、加工トウモロコシデンプン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、ポビドン、アルファ化デンプン、寒天、カルボキシメチルセルロースカルシウム又はナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、キトサン、ドキュセートナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マルトース、メチルセルロース、ポラクリリンカリウム及びアルギン酸又はそれらの適切な組み合わせが挙げられる。
【0039】
本明細書で使用されるときに、「潤滑剤」という用語は、錠剤化又はカプセル化プロセス中に圧縮粉末塊が装置に付着するのを防ぐために粉末ブレンドに添加される賦形剤を指す。潤滑剤はダイからの錠剤の排出を助け、粉末の流れを改善することができる。潤滑剤の非限定的な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリカ、脂肪、亜鉛又はスクロース又はステアリン酸ナトリウムもしくはステアリン酸カルシウム、ヒマシ油、水素化ヒマシ油、ポリエチレングリコール及びその誘導体、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルク、又は、ラウリン酸、オレイン酸、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル及びC-C10脂肪酸を含む脂肪酸、又は、それらの適切な組み合わせが挙げられる。
【0040】
本明細書で使用されるときに、「滑剤」という用語は、錠剤圧縮中の流動特性を改善し、固結防止効果を生み出すために錠剤及びカプセル製剤に使用される薬剤を意味することが意図される。滑剤の非限定的な例としては、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ヒュームドシリカ、デンプン、デンプン誘導体及びベントナイト又はそれらの適切な組み合わせが挙げられる。
【0041】
本明細書で使用されるときに、「可塑剤」という用語は、限定するわけではないが、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール(グリセリン)などのポリオール、フタル酸エステル(ジエチル、ジブチル)、セバシン酸ジブチル、クエン酸エステル(トリエチル、アセチルトリエチル、アセチルトリブチル)、トリアセチンなどの有機エステル、ヒマシ油などの油/グリセリド、アセチル化モノグリセリド、分画ヤシ油又はそれらの適切な組み合わせを指す。
【0042】
本明細書で使用されるときに、「乳白剤」という用語は、限定するわけではないが、二酸化チタン、タルク、サンセットイエロー、タートラジン、エリスロシン、酸化鉄イエロー、レッド及びブラック、カルミン、アントシアニン、アルーラレッドAC、アルーラ レッドACアルミニウムレーキ、インジゴチン、インジゴチン アルミニウムレーキ又はそれらの適切な組み合わせを指す。
【0043】
本明細書で使用されるときに、「フィルム形成剤」という用語は、限定するわけではないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、ポリデキストロース、ラクトース、マルトデキストリン、アクリルポリマー又はそれらの適切な組み合わせを指す。
【0044】
製剤に使用される1つ以上の溶媒は、水、アセトン、クロロホルム、ジクロロメタン、エチルアルコール、酢酸エチル、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、N,N-ジメチルホルムアミド及びそれらの組み合わせ、ならびに当業者に知られている他のそのような材料から選ばれる。
【0045】
本発明による医薬組成物は、錠剤又はカプセル又は粉末又は液体中の懸濁液又はエアロゾル製剤又は溶液の形態であることができ、好ましくは錠剤又はカプセルの形態であることができる。
【0046】
本発明の医薬組成物は、従来の混合、溶解、造粒、湿式粉砕、乳化、カプセル化、捕捉又は凍結乾燥プロセスなど、当該技術分野で周知の方法のいずれかによって製造することができる。上述のように、組成物は、活性分子を医薬用途のための調製物に加工するのを容易にする1つ以上の医薬上許容される賦形剤を含むことができる。
【0047】
本組成物は、所望ならば、活性成分を含む1つ以上の単位剤形を含むパック又はディスペンサデバイスで提供されうる。そのようなパック又はデバイスは、例えば、ブリスタパックなどの金属又はプラスチック箔を含むことができる。好ましくは、本組成物は、Alu/Aluブリスタ又はPVC-PVDCパックに詰めることができる。ラベルに示されている適切な状態としては、貧血が主な適応症である状態、障害又は疾患の治療が挙げられる。
【0048】
本発明の別の実施形態において、例1~3に記載の式(Ia)の化合物又はその医薬上許容される塩の医薬製剤の調製方法が記載される。
【実施例
【0049】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに例示され、これらは、本発明を実施する好ましい態様を表す例示である。発明の範囲はこれらの特定の実施形態のみに限定されず、当業者の一般的な理解の範囲内にある情報及び知識とともに、明細書の他のどこかに開示されているものと併せて読まれるべきである。
【0050】
【表1】
【0051】
製造方法:
1.すべての材料を適切なサイズのふるいでふるいにかけた。
2.粒内材料部分(組成に基づく要件による)をRMGボウルに移し、5分間混合した。
3.混合材料の湿式造粒は、インペラをオンにしたまま精製水で行い、続いて、チョッパとインペラの両方を高速で回転させて生地塊を混練して行った。
4.流動層乾燥機を使用して、適切な温度で湿った塊を、所望の%LOD限界が達成されるまで乾燥させた。
5.乾燥が完了した後、適切なサイズのふるいを使用して、乾燥した顆粒の粉砕を行った。
6.必要量のコロイド状二酸化ケイ素を、18RPMで3分間、ブレンダで乾燥顆粒とブレンドした。
7.計算量のタルク及びステアリン酸マグネシウムをブレンダに加え、18RPMで3分間ブレンドした。
調製された潤滑化ブレンドを錠剤圧縮機を使用して圧縮した。
【0052】
【表2】
【0053】
製造方法:
1.すべての材料を適切なサイズのふるいでふるいにかけた。
2.粒内材料部分(組成に基づく要件による)をRMGボウルに移し、5分間混合した。
3.混合材料の湿式造粒は、インペラをオンにしたまま精製水で行い、続いて、チョッパとインペラの両方を高速で回転させて生地塊を混練して行った。
4.流動層乾燥機を使用して、適切な温度で湿った塊を、所望の%LOD限界が達成されるまで乾燥させた。
5.乾燥が完了した後、適切なサイズのふるいを使用して、乾燥した顆粒の粉砕を行った。
6.必要量のコロイド状二酸化ケイ素を、18RPMで3分間、ブレンダで乾燥顆粒とブレンドした。
7.計算量のタルク及びステアリン酸マグネシウムをブレンダに加え、18RPMで3分間ブレンドした。
8.調製した潤滑化されたブレンドを、錠剤圧縮機を使用して圧縮した。
9.調製した潤滑化されたブレンドを、錠剤圧縮機を使用して圧縮した。
10.コア錠剤のコーティングは、コーティング分散液を錠剤コーティング機で噴霧して、所望の錠剤重量を得ることによって行った。
【0054】
【表3】
【0055】
製造方法:
1.すべての材料を適切なサイズのふるいでふるいにかけた。
2.粒内材料部分(組成に基づく要件による)をRMGボウルに移し、5分間混合した。
3.混合材料の湿式造粒は、インペラをオンにしたまま精製水で行い、続いて、チョッパとインペラの両方を高速で回転させて生地塊を混練して行った。
4.流動層乾燥機を使用して、適切な温度で湿った塊を、所望の%LOD限界が達成されるまで乾燥させた。
5.乾燥が完了した後、適切なサイズのふるいを使用して、乾燥した顆粒の粉砕を行った。
6.必要量のコロイド状二酸化ケイ素を、18RPMで3分間、ブレンダで乾燥顆粒とブレンドした。
7.計算量のタルク及びステアリン酸マグネシウムをブレンダに加え、18RPMで3分間ブレンドした。
8.潤滑化されたブレンドを適切なサイズの硬質ゼラチンカプセルシェルに充填した。
【0056】
安定性試験を、30℃/65%RH、30℃/75%RH及び40℃/75%RHで実施する。安定性データは次のとおりである。
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】
【表8】
【0062】
【表9】
【0063】
【表10】
【0064】
【表11】
【0065】
上記の安定性データは、製剤が安定であり、式(Ia)の化合物が効果的に安定化されているため、臨床試験に使用でき、続いて市販品として使用できることを示している。
【国際調査報告】