(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(54)【発明の名称】ボロン酸誘導体およびその治療的使用
(51)【国際特許分類】
C07F 5/02 20060101AFI20230424BHJP
A61K 31/69 20060101ALI20230424BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230424BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230424BHJP
A61K 31/407 20060101ALI20230424BHJP
A61K 31/43 20060101ALI20230424BHJP
A61K 31/545 20060101ALI20230424BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230424BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
C07F5/02 C CSP
A61K31/69
A61K45/00
A61K47/02
A61K31/407
A61K31/43
A61K31/545
A61P31/04
A61P31/04 171
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556042
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(85)【翻訳文提出日】2022-11-09
(86)【国際出願番号】 US2021022799
(87)【国際公開番号】W WO2021188700
(87)【国際公開日】2021-09-23
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518438335
【氏名又は名称】キューペックス バイオファーマ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】レディ, ラジャ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】グリフィス, デイビッド シー.
(72)【発明者】
【氏名】リグスビー, エミリー
(72)【発明者】
【氏名】ボイヤー, サージ ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】ヘッカー, スコット ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ, マシュー ジョナサン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4H048
【Fターム(参考)】
4C076BB01
4C076BB11
4C076CC32
4C076DD23
4C076GG50
4C084AA19
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4C084ZC611
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4C084ZC751
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4C086AA01
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4C086CC14
4C086DA43
4C086GA15
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4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB35
4C086ZC61
4C086ZC75
4H048AA01
4H048AA02
4H048AA03
4H048AB20
4H048AB29
4H048AC48
4H048AD15
4H048BB14
4H048BB17
4H048BC19
4H048BC51
4H048VA22
4H048VA77
4H048VB10
(57)【要約】
本明細書では、抗菌化合物、多形形態、組成物、医薬組成物、その使用および調製の方法が開示される。いくつかの実施形態は、ボロン酸誘導体および治療剤、例えば、β-ラクタマーゼ阻害剤(BLI)としてのそれらの使用に関する。本明細書に開示されるボロン酸誘導体は、耐性細菌を処置するために様々な抗生物質と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態では、治療有効量の本明細書に記載の化合物および薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、本組成物は、追加の薬剤をさらに含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、および抗アレルギー剤からなる群から選択され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物II’:
【化7】
またはその溶媒和物の結晶形態。
【請求項2】
前記結晶形態が、少なくとも1つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを示し、前記特徴的なピークが、約4.3度、約7.0度、約7.2度、約8.3度、約11.0度、約12.5度、約15.0度、約16.7度、約17.5度、約18.2度、約19.1度、約20.3度、約22.3度、約22.7度、および約25.6度の2θからなる群から選択される、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項3】
前記結晶形態が、少なくとも3つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを示し、前記特徴的なピークが、4.3度、7.0度、7.2度、8.3度、11.0度、12.5度、15.0度、16.7度、17.5度、18.2度、19.1度、20.3度、22.3度、22.7度、および25.6度の2θからなる群から選択される、請求項2に記載の結晶形態。
【請求項4】
前記結晶形態が、約141℃で吸熱を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項5】
前記結晶形態が、少なくとも1つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを示し、前記特徴的なピークが、約5.1度、約7.0度、約9.9度、約11.0度、約11.1度、約14.1度、約16.4度、約17.1度、約21.1度、約22.3度、約22.6度、約26.9度、および約28.3度の2θからなる群から選択される、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項6】
前記結晶形態が、少なくとも3つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを示し、前記特徴的なピークが、5.1度、7.0度、9.9度、11.0度、11.1度、14.1度、16.4度、17.1度、21.1度、22.3度、22.6度、26.9度、および28.3度の2θからなる群から選択される、請求項6に記載の結晶形態。
【請求項7】
前記結晶形態が、約152℃で吸熱を有する、請求項1、5または6のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項8】
前記結晶形態が、非溶媒和である、請求項1から7のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項9】
【化8】
の構造を有する化合物、または前述のもののうちのいずれかの薬学的に許容され得る塩。
【請求項10】
無水である化合物
【化9】
またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項11】
前記薬学的に許容され得る塩がナトリウム塩である、請求項9または請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
治療有効量の請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容され得る賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項13】
追加の薬剤をさらに含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記追加の薬剤が、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、および抗アレルギー剤からなる群から選択される、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記追加の薬剤が、β-ラクタム抗菌剤である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記β-ラクタム抗菌剤が、アモキシシリン、アンピシリン(ピバンピシリン、ヘタシリン、バカンピシリン、メタンピシリン、タランピシリン)、エピシリン、カルベニシリン(カリンダシリン)、チカルシリン、テモシリン、アズロシリン、ピペラシリン、メズロシリン、メシリナム(ピブメシリナム)、スルベニシリン、ベンジルペニシリン(G)、クロメトシリン、ベンザチンベンジルペニシリン、プロカインベンジルペニシリン、アジドシリン、ペナメシリン、フェノキシメチルペニシリン(V)、プロピシリン、ベンザチンフェノキシメチルペニシリン、フェネチシリン、クロキサシリン(ジクロキサシリン、フルクロキサシリン)、オキサシリン、メチシリン、ナフシリン、ファロペネム、トモペネム、ラズペネム、セファゾリン、セファセトリル、セファドロキシル、セファレキシン、セファログリシン、セファロニウム、セファロリジン、セファロチン、セファピリン、セファトリジン、セファゼドン、セファザフルール、セフラジン、セフロキサジン、セフテゾール、セファクロル、セファマンドール、セフミノックス、セフォニシド、セフォラニド、セフォチアム、セフプロジル、セフブペラゾン、セフロキシム、セフゾナム、セフォキシチン、セフォテタン、セフメタゾール、ロラカルベフ、セフィキシム、セフトリアキソン、セフカペン、セフダロキシム、セフジニル、セフィデリコール、セフジトレン、セフェタメト、セフメノキシム、セフォジジム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフピミゾール、セフピラミド、セフポドキシム、セフポドキシムプロテキシル、セフスロジン、セフテラム、セフチブテン、セフチオレン、セフチゾキシム、フロモキセフ、ラタモキセフ、セフェピム、セフォゾプラン、セフピロム、セフキノム、セフトビプロール、セフタロリン、セフトロザン(CXA-101)、RWJ-54428、MC-04,546、ME1036、セフチオフル、セフキノム、セフォベシン、RWJ-442831、RWJ-333441、およびRWJ-333442からなる群から選択される、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記β-ラクタム抗菌剤が、セフタジジム、ビアペネム、ドリペネム、エルタペネム、イミペネム、メロペネム、テビペネム、テビペネムピボキシル、アパペネム、およびパニペネムからなる群から選択される、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記β-ラクタム抗菌剤が、アズトレオナム、チゲモナム、BAL30072、SYN 2416、およびカルモナムからなる群から選択される、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記β-ラクタム抗菌剤が、テビペネムピボキシルである、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記β-ラクタム抗菌剤が、セフチブテンである、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項21】
請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物を、細菌感染症を処置することを必要とする対象に投与することを含む、細菌感染症を処置する方法。
【請求項22】
追加の薬剤を前記対象に投与することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記追加の薬剤が、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、または抗アレルギー剤である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記追加の薬剤が、β-ラクタム抗菌剤である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記β-ラクタム抗菌剤が、アモキシシリン、アンピシリン(ピバンピシリン、ヘタシリン、バカンピシリン、メタンピシリン、タランピシリン)、エピシリン、カルベニシリン(カリンダシリン)、チカルシリン、テモシリン、アズロシリン、ピペラシリン、メズロシリン、メシリナム(ピブメシリナム)、スルベニシリン、ベンジルペニシリン(G)、クロメトシリン、ベンザチンベンジルペニシリン、プロカインベンジルペニシリン、アジドシリン、ペナメシリン、フェノキシメチルペニシリン(V)、プロピシリン、ベンザチンフェノキシメチルペニシリン、フェネチシリン、クロキサシリン(ジクロキサシリン、フルクロキサシリン)、オキサシリン、メチシリン、ナフシリン、ファロペネム、トモペネム、ラズペネム、セファゾリン、セファセトリル、セファドロキシル、セファレキシン、セファログリシン、セファロニウム、セファロリジン、セファロチン、セファピリン、セファトリジン、セファゼドン、セファザフルール、セフラジン、セフロキサジン、セフテゾール、セファクロル、セファマンドール、セフミノックス、セフォニシド、セフォラニド、セフォチアム、セフプロジル、セフブペラゾン、セフロキシム、セフゾナム、セフォキシチン、セフォテタン、セフメタゾール、ロラカルベフ、セフィキシム、セフトリアキソン、セフカペン、セフダロキシム、セフジニル、セフィデリコール、セフジトレン、セフェタメト、セフメノキシム、セフォジジム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフピミゾール、セフピラミド、セフポドキシム、セフポドキシムプロテキシル、セフスロジン、セフテラム、セフチブテン、セフチオレン、セフチゾキシム、フロモキセフ、ラタモキセフ、セフェピム、セフォゾプラン、セフピロム、セフキノム、セフトビプロール、セフタロリン、セフトロザン(CXA-101)、RWJ-54428、MC-04,546、ME1036、セフチオフル、セフキノム、セフォベシン、RWJ-442831、RWJ-333441、およびRWJ-333442からなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記β-ラクタム抗菌剤が、セフタジジム、ビアペネム、ドリペネム、エルタペネム、イミペネム、メロペネム、テビペネム、テビペネムピボキシル、アパペネム、およびパニペネムからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記β-ラクタム抗菌剤が、アズトレオナム、チゲモナム、BAL30072、SYN 2416、およびカルモナムからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記β-ラクタム抗菌剤が、テビペネムピボキシルである、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記β-ラクタム抗菌剤が、セフチブテンである、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記対象が哺乳動物である、請求項21から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記哺乳動物がヒトである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記感染症が、Pseudomonas acidovorans、Pseudomonas alcaligenes、Pseudomonas putida、Burkholderia cepacia、Aeromonas hydrophilia、Francisella tularensis、Morganella morganii、Proteus mirabilis、Proteus vulgaris、Providencia alcalifaciens、Providencia rettgeri、Providencia stuartii、Acinetobacter baumannii、Bordetella pertussis、Bordetella para pertussis、Bordetella bronchiseptica、Haemophilus ducreyi、Pasteurella multocida、Pasteurella haemolytica、Branhamella catarrhalis、Borrelia burgdorferi、Kingella、Gardnerella vaginalis、Bacteroides distasonis、Bacteroides 3452Aホモロジー群、Clostridium difficile、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium avium、Mycobacterium intracellulare、Mycobacterium leprae、Corynebacterium diphtheriae、Corynebacterium ulcerans、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus agalactiae、Streptococcus pyogenes、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus saprophyticus、Staphylococcus intermedius、Staphylococcus hyicus subsp.hyicus、Staphylococcus haemolyticus、Staphylococcus hominis、およびStaphylococcus saccharolyticusからなる群から選択される細菌を含む、請求項21から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記感染症が、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas fluorescens、Stenotrophomonas maltophilia、Escherichia coli、Citrobacter freundii、Salmonella typhimurium、Salmonella typhi、Salmonella paratyphi、Salmonella enteritidis、Shigella dysenteriae、Shigella flexneri、Shigella sonnei、Enterobacter cloacae、Enterobacter aerogenes、Klebsiella pneumoniae、Klebsiella oxytoca、Serratia marcescens、Acinetobacter calcoaceticus、Acinetobacter haemolyticus、Yersinia enterocolitica、Yersinia pestis、Yersinia pseudotuberculosis、Yersinia intermedia、Haemophilus influenzae、Haemophilus parainfluenzae、Haemophilus haemolyticus、Haemophilus parahaemolyticus、Helicobacter pylori、Campylobacter fetus、Campylobacter jejuni、Campylobacter coli、Vibrio cholerae、Vibrio parahaemolyticus、Legionella pneumophila、Listeria monocytogenes、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Moraxella、Bacteroides fragilis、Bacteroides vulgatus、Bacteroides ovalus、Bacteroides thetaiotaomicron、Bacteroides uniformis、Bacteroides eggerthii、およびBacteroides splanchnicusからなる群から選択される細菌を含む、請求項21から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
化合物II’の結晶形態Aを調製する方法であって、前記方法が、
(a)化合物II’を溶媒系に溶解して結晶化溶液を形成する工程であって、前記溶媒系が酢酸イソプロピルからなる、結晶化溶液を形成する工程と、
(b)前記結晶化溶液を加熱する工程と、
(c)ヘプタンを前記結晶化溶液に添加する工程と、
(d)化合物II’の結晶形態Aの種結晶を前記結晶化溶液に添加する工程と
を含む、方法。
【請求項35】
前記結晶化溶液が、30℃から80℃の温度に加熱される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記結晶化溶液が、40℃から70℃の温度に加熱される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記結晶化溶液が、50℃の温度に加熱される、請求項35から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
化合物II’の結晶形態Bを調製する方法であって、前記方法が、
(a)化合物II’を溶媒系に溶解して結晶化溶液を形成する工程であって、前記溶媒系が酢酸イソプロピルおよびイソプロパノールからなる、結晶化溶液を形成する工程と、
(b)ヘプタンを前記結晶化溶液に添加する工程と、
(c)化合物II’の結晶形態Bの種結晶を前記結晶化溶液に添加する工程と
を含む、方法。
【請求項39】
前記溶媒系が、1:1(v/v)の比の酢酸イソプロピルおよびイソプロパノールからなる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
化合物II’の結晶形態Aを調製する方法であって、前記方法が、
(a)化合物II’を溶媒系に溶解して結晶化溶液を形成する工程であって、前記溶媒系がヘキサンおよび酢酸エチルからなる、結晶化溶液を形成する工程と、
(b)前記結晶化溶液を加熱する工程と、
(c)前記結晶化溶液を最初に冷却する工程と、
(d)前記結晶化溶液を撹拌する工程と、
(e)さらに前記結晶化溶液を室温に冷却する工程と、
(f)結晶化混合物を室温で放置する工程と
を含む、方法。
【請求項41】
前記結晶化溶液が、30℃から80℃の温度に加熱される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記結晶化溶液が、50℃から70℃の温度に加熱される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記結晶化溶液が、65℃の温度に加熱される、請求項40から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記結晶化溶液が、最初に30℃から50℃の温度に冷却される、請求項40から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記結晶化溶液が、最初に50℃の温度に冷却される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
工程(d)の前記結晶化溶液が、12時間から36時間撹拌される、請求項40から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
工程(d)の前記結晶化溶液が、24時間撹拌される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
工程(f)の前記結晶化溶液が、室温で72時間放置される、請求項40から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
化合物II’の結晶形態Aを調製する方法であって、前記方法が、
(a)化合物II’をイソプロパノールに溶解して結晶化溶液を形成する工程と、
(b)前記結晶化溶液を加熱する工程と、
(c)前記結晶化溶液を室温に冷却する工程と
を含む、方法。
【請求項50】
化合物II’を調製する方法であって、
化合物Iまたはその塩、ハロメチルイソブチレート、および塩基を極性有機溶媒中で合わせて反応混合物を形成する工程と、
前記反応混合物を約50℃から約80℃の温度に0.5時間から24時間加熱する工程と
を含む、方法。
【請求項51】
前記反応混合物が、ヨウ化物源をさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記ヨウ化物源が、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、またはヨウ化セシウムである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記塩基がNaH
2PO
4である、請求項50から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記塩基がNa
2B
4O
7である、請求項50から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
化合物Iに対する塩基のモル比が、約0.5から約2.0である、請求項50から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
化合物Iに対する塩基のモル比が、1.0である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
化合物Iに対する塩基のモル比が、1.5である、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記溶媒がアセトニトリルである、請求項50から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記アセトニトリルが無水である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記ハロメチルイソブチレートがクロロメチルイソブチレートである、請求項50から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記反応混合物が約50℃から約80℃の温度に加熱される、請求項50から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記反応混合物が60℃の温度に加熱される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記反応混合物が70℃の温度に加熱される、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記反応混合物が80℃の温度に加熱される、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
前記反応混合物が約0.5時間から約24時間加熱される、請求項50から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記反応混合物が約4時間から約18時間加熱される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記反応混合物が6時間加熱される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記反応混合物が8時間加熱される、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記反応混合物が16時間加熱される、請求項66に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けたR&Dに関する声明
本発明は、保健福祉省契約番号HHSO100201600026Cの下で米国政府の支援を受けてなされた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
背景
分野
本出願は、化学および医学の分野に関する。より詳細には、本出願は、ボロン酸抗菌化合物、組成物、それらの調製、および治療薬としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
抗生物質は、過去半世紀の間、感染症の処置に有効なツールであった。抗生物質治療が開発されてから1980年後半まで、先進国では細菌感染がほぼ完全制御されていた。しかしながら、抗生物質の使用の圧力に呼応して、複数の耐性機構が蔓延し、抗菌療法の臨床的有用性を脅かすようになっている。抗生物質耐性株の増加は、主要な病院およびケアセンターで特によく見られる。耐性株の増加の結果には、より高い罹患率および死亡率、より長い患者の入院、ならびに処置費の増加が含まれる。
【0003】
様々な細菌は、様々なβ-ラクタム抗生物質の有効性に対抗するβ-ラクタム不活性化酵素、すなわちβ-ラクタマーゼを進化させている。β-ラクタマーゼは、そのアミノ酸配列に基づいて4つのクラス、すなわちAmblerのクラスA、B、C、およびDに分類することができる。クラスA、CおよびDの酵素には活性部位セリンβ-ラクタマーゼが含まれ、あまり頻繁に目にしないクラスB酵素はZn依存性である。これらの酵素は、β-ラクタム抗生物質の化学分解を触媒し、それらを不活性にする。いくつかのβ-ラクタマーゼは、様々な細菌の株や種の中で、またそれらの間で移動することができる。細菌耐性の急速な広がりおよび多剤耐性株の進化は、利用可能なβ-ラクタム処置の選択肢を著しく制限する。
【0004】
Acinetobacter baumanniiなどのクラスDのβ-ラクタマーゼ発現細菌株の増加は、新たな多剤耐性の脅威となっている。A.baumannii株は、A、CおよびDクラスのβ-ラクタマーゼを発現する。OXAファミリーなどのクラスDのβ-ラクタマーゼは、カルバペネム型β-ラクタム抗生物質、例えば、メルクのPrimaxin(登録商標)の活性カルバペネム成分であるイミペネムを破壊するのに特に有効である(Montefour,K.ら、Crit.Care Nurse 2008,28,15、Perez,F.ら、Expert Rev.Anti Infect.Ther.2008,6,269;Bou,G.、Martinez-Beltran,J.,Antimicrob.Agents Chemother.2000,40,428.2006,50,2280、Bou,G.ら、J.Antimicrob.Agents Chemother.2000,44,1556)。このことは、細菌感染症を処置および予防するためのそのカテゴリの薬物の効果的な使用に対して差し迫った脅威を与えている。実際、分類されたセリン系β-ラクタマーゼの数は、1970年の10未満から300を超える変異体に爆発的に増加している。これらの問題により、セファロスポリンの5つの「世代」の開発が促された。最初に臨床診療にリリースされたとき、広域スペクトルセファロスポリンは、蔓延しているクラスAのβ-ラクタマーゼ、TEM-1およびSHV-1による加水分解に抵抗した。しかしながら、TEM-1およびSHV-1における単一アミノ酸置換の進化による耐性株の発生は、広域スペクトルβ-ラクタマーゼ(ESBL)表現型の出現をもたらした。
【0005】
イミペネム、ビアペネム、ドリペネム、メロペネムおよびエルタペネム、ならびに他のβ-ラクタム抗生物質などのカルバペネムクラスの抗菌剤を加水分解する新しいβ-ラクタマーゼが近年進化している。これらのカルバペネマーゼは、分子クラスA、BおよびDに属する。KPC型のクラスAのカルバペネマーゼは、主にはKlebsiella pneumoniaeにおいてであるが、現在では、他のEnterobacteriaceae、Pseudomonas aeruginosaおよびAcinetobacter baumanniiにおいても報告されている。KPCカルバペネマーゼは1996年にノースカロライナで最初に報告されたが、それ以来米国で広く伝播している。これは、ニューヨーク市地域では特に問題となっており、主要病院内での拡散および患者の罹患率について、いくつかのレポートが報告されている。これらの酵素は、最近、フランス、ギリシャ、スウェーデン、英国でも報告されており、最近、ドイツでのアウトブレイクが報告されている。カルバペネムによる耐性株の処置は、不良な転帰に関連し得る。
【0006】
亜鉛依存性クラスBの金属-β-ラクタマーゼは、主にVIM、IMP、およびNDM型がその典型となる。IMPおよびVIM産生K. pneumoniaは、日本で1990年代に、また南ヨーロッパで2001年に、それぞれ最初に観察された。IMP陽性株は日本では未だに高頻度を維持しており、中国やオーストラリアでも病院の集団感染を引き起こしている。しかしながら、単語の残りの部分におけるIMP産生Enterobacteriaceaeの伝播は、いくらか限られているようである。VIM産生腸内細菌は、地中海諸国では頻繁に単離され、ギリシャでは大流行するおそれがある。VIM産生株の単離は、ヨーロッパ北部および米国では低い状態を維持している。全く対照的に、NDM産生K. pneumonia単離株の特徴は、その発生地であるインド亜大陸から西ヨーロッパ、北米、オーストラリアおよび中東へと急速に伝播していることである。さらに、NDM遺伝子は、K. pneumonia以外の様々な種に急速に拡散している。
【0007】
プラスミド発現クラスDのカルバペネマーゼはOXA-48型に属する。K. pneumoniaを産生するOXA-48は、2001年に七面鳥で初めて検出された。中東および北アフリカが依然として感染の主要な中心である。しかしながら、最近、インド、セネガル、およびアルゼンチンでOXA-48型産生生物が単離されたことは、世界的な拡大の可能性を示唆している。K. pneumonia以外の細菌におけるOXA-48の単離は、OXA-48が拡散する可能性を明確に示している。
【0008】
これらのカルバペネマーゼのいずれかを産生する株のカルバペネムによる処置は、不良な転帰に関連し得る。
【0009】
カルバペネムに対するβ-ラクタマーゼ媒介耐性の別の機序は、β-ラクタマーゼの過剰産生と組み合わせた透過性または流出機序の組み合わせを含む。1つの例は、ampCベータラクタマーゼの過剰産生と組み合わされたポーリンの喪失が、Pseudomonas aeruginosaのイミペネムに対する耐性をもたらすことである。ampCβ-ラクタマーゼの過剰産生と組み合わせた流出ポンプの過剰発現はまた、メロペネムなどのカルバペネムに対する耐性をもたらし得る。
β-ラクタマーゼ媒介耐性の観点から、新しいβ-ラクタマーゼ阻害剤(BLI)が求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Montefour,K.ら、Crit.Care Nurse 2008,28,15
【非特許文献2】Perez,F.ら、Expert Rev.Anti Infect.Ther.2008,6,269
【非特許文献3】Bou,G.、Martinez-Beltran,J.,Antimicrob.Agents Chemother.2000,40,428.2006,50,2280
【非特許文献4】、Bou,G.ら、J.Antimicrob.Agents Chemother.2000,44,1556
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
いくつかの実施形態では、化合物II’
【化1】
またはその溶媒和物の結晶形態が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、結晶形態は、少なくとも3つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを示し得、当該特徴的なピークは、4.3、7.0、7.2、8.3、11.0、12.5、15.0、16.7、17.5、18.2、19.1、20.3、22.3、22.7、および25.6度の2θからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態は、少なくとも3つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを示し得、当該特徴的なピークは、4.3、7.0、7.2、8.3、11.0、12.5、15.0、16.7、17.5、18.2、19.1、20.3、22.3、22.7、および25.6度の2θからなる群から選択される。
【0012】
いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態は、約141℃で吸熱を有し得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、結晶形態は、少なくとも3つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを示し得、当該特徴的なピークは、4.3、7.0、7.2、8.3、11.0、12.5、15.0、16.7、17.5、18.2、19.1、20.3、22.3、22.7、および25.6度の2θからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態は、少なくとも3つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを示し得、当該特徴的なピークは、4.3、7.0、7.2、8.3、11.0、12.5、15.0、16.7、17.5、18.2、19.1、20.3、22.3、22.7、および25.6度の2θからなる群から選択される。
【0014】
いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態は、約141℃で吸熱を有し得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態は、約152℃で吸熱を有し得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態は非溶媒和であり得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、
【化2】
の構造を有する化合物、または前述のもののうちのいずれかの薬学的に許容され得る塩が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、薬学的に許容され得る塩はナトリウム塩である。
【0018】
いくつかの実施形態では、治療有効量の本明細書に記載の化合物および薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、本組成物は、追加の薬剤をさらに含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、および抗アレルギー剤からなる群から選択され得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、本医薬組成物はβ-ラクタム抗菌剤を含み得る。いくつかの実施形態では、β-ラクタム抗菌剤は、アモキシシリン、アンピシリン(ピバンピシリン、ヘタシリン、バカンピシリン、メタンピシリン、タランピシリン)、エピシリン、カルベニシリン(カリンダシリン)、チカルシリン、テモシリン、アズロシリン、ピペラシリン、メズロシリン、メシリナム(ピブメシリナム)、スルベニシリン、ベンジルペニシリン(G)、クロメトシリン、ベンザチンベンジルペニシリン、プロカインベンジルペニシリン、アジドシリン、ペナメシリン、フェノキシメチルペニシリン(V)、プロピシリン、ベンザチンフェノキシメチルペニシリン、フェネチシリン、クロキサシリン(ジクロキサシリン、フルクロキサシリン)、オキサシリン、メチシリン、ナフシリン、ファロペネム、トモペネム、ラズペネム、セファゾリン、セファセトリル、セファドロキシル、セファレキシン、セファログリシン、セファロニウム、セファロリジン、セファロチン、セファピリン、セファトリジン、セファゼドン、セファザフルール、セフラジン、セフロキサジン、セフテゾール、セファクロル、セファマンドール、セフミノックス、セフォニシド、セフォラニド、セフォチアム、セフプロジル、セフブペラゾン、セフロキシム、セフゾナム、セフォキシチン、セフォテタン、セフメタゾール、ロラカルベフ、セフィキシム、セフトリアキソン、セフカペン、セフダロキシム、セフジニル、セフィデリコール(Cefidericol)、セフジトレン、セフェタメト、セフメノキシム、セフォジジム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフピミゾール、セフピラミド、セフポドキシム、セフポドキシムプロキセチル(Cefpodoxime protexil)、セフスロジン、セフテラム、セフチブテン、セフチオレン、セフチゾキシム、フロモキセフ、ラタモキセフ、セフェピム、セフォゾプラン、セフピロム、セフキノム、セフトビプロール、セフタロリン、セフトロザン(CXA-101)、RWJ-54428、MC-04,546、ME1036、セフチオフル、セフキノム、セフォベシン、RWJ-442831、RWJ-333441、およびRWJ-333442からなる群から選択され得る。他の実施形態では、β-ラクタム抗菌剤は、セフタジジム、ビアペネム、ドリペネム、エルタペネム、イミペネム、メロペネム、テビペネム、テビペネムピボキシル、アパペネム(Apapenem)、およびパニペネムからなる群から選択され得る。さらに他の実施形態では、β-ラクタム抗菌剤は、アズトレオナム、チゲモナム、BAL30072、SYN 2416およびカルモナムからなる群から選択され得る。
【0020】
細菌感染症を処置する方法であって、本明細書に記載の化合物を細菌感染症の処置を必要とする対象に投与することを含む方法もまた本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、追加の薬剤を対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、または抗アレルギー剤であり得る。いくつかの実施形態では、追加の薬剤はβ-ラクタム抗菌剤である。いくつかの実施形態では、β-ラクタム抗菌剤は、アモキシシリン、アンピシリン(ピバンピシリン、ヘタシリン、バカンピシリン、メタンピシリン、タランピシリン)、エピシリン、カルベニシリン(カリンダシリン)、チカルシリン、テモシリン、アズロシリン、ピペラシリン、メズロシリン、メシリナム(ピブメシリナム)、スルベニシリン、ベンジルペニシリン(G)、クロメトシリン、ベンザチンベンジルペニシリン、プロカインベンジルペニシリン、アジドシリン、ペナメシリン、フェノキシメチルペニシリン(V)、プロピシリン、ベンザチンフェノキシメチルペニシリン、フェネチシリン、クロキサシリン(ジクロキサシリン、フルクロキサシリン)、オキサシリン、メチシリン、ナフシリン、ファロペネム、トモペネム、ラズペネム、セファゾリン、セファセトリル、セファドロキシル、セファレキシン、セファログリシン、セファロニウム、セファロリジン、セファロチン、セファピリン、セファトリジン、セファゼドン、セファザフルール、セフラジン、セフロキサジン、セフテゾール、セファクロル、セファマンドール、セフミノックス、セフォニシド、セフォラニド、セフォチアム、セフプロジル、セフブペラゾン、セフロキシム、セフゾナム、セフォキシチン、セフォテタン、セフメタゾール、ロラカルベフ、セフィキシム、セフトリアキソン、セフカペン、セフダロキシム、セフジニル、セフィデリコール、セフジトレン、セフェタメト、セフメノキシム、セフォジジム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフピミゾール、セフピラミド、セフポドキシム、セフポドキシムプロキセチル、セフスロジン、セフテラム、セフチブテン、セフチオレン、セフチゾキシム、フロモキセフ、ラタモキセフ、セフェピム、セフォゾプラン、セフピロム、セフキノム、セフトビプロール、セフタロリン、セフトロザン(CXA-101)、RWJ-54428、MC-04,546、ME1036、セフチオフル、セフキノム、セフォベシン、RWJ-442831、RWJ-333441、およびRWJ-333442からなる群から選択され得る。他の実施形態では、β-ラクタム抗菌剤は、セフタジジム、ビアペネム、ドリペネム、エルタペネム、イミペネム、メロペネム、テビペネム、テビペネムピボキシル、アパペネム、およびパニペネムからなる群から選択され得る。さらに他の実施形態では、β-ラクタム抗菌剤は、アズトレオナム、チゲモナム、BAL30072、SYN 2416およびカルモナムからなる群から選択され得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、対象は哺乳動物である。いくつかの特定の実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0022】
いくつかの実施形態では、感染症は、Pseudomonas acidovorans、Pseudomonas alcaligenes、Pseudomonas putida、Burkholderia cepacia、Aeromonas hydrophilia、Francisella tularensis、Morganella morganii、Proteus mirabilis、Proteus vulgaris、Providencia alcalifaciens、Providencia rettgeri、Providencia stuartii、Acinetobacter baumannii、Bordetella pertussis、Bordetella para pertussis、Bordetella bronchiseptica、Haemophilus ducreyi、Pasteurella multocida、Pasteurella haemolytica、Branhamella catarrhalis、Borrelia burgdorferi、Kingella、Gardnerella vaginalis、Bacteroides distasonis、Bacteroides 3452Aホモロジー群、Clostridium difficile、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium avium、Mycobacterium intracellulare、Mycobacterium leprae、Corynebacterium diphtheriae、Corynebacterium ulcerans、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus agalactiae、Streptococcus pyogenes、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus saprophyticus、Staphylococcus intermedius、Staphylococcus hyicus subsp.hyicus、Staphylococcus haemolyticus、Staphylococcus hominis、およびStaphylococcus saccharolyticusからなる群から選択される細菌を含む。他の実施形態では、感染症は、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas fluorescens、Stenotrophomonas maltophilia、Escherichia coli、Citrobacter freundii、Salmonella typhimurium、Salmonella typhi、Salmonella paratyphi、Salmonella enteritidis、Shigella dysenteriae、Shigella flexneri、Shigella sonnei、Enterobacter cloacae、Enterobacter aerogenes、Klebsiella pneumoniae、Klebsiella oxytoca、Serratia marcescens、Acinetobacter calcoaceticus、Acinetobacter haemolyticus、Yersinia enterocolitica、Yersinia pestis、Yersinia pseudotuberculosis、Yersinia intermedia、Haemophilus influenzae、Haemophilus parainfluenzae、Haemophilus haemolyticus、Haemophilus parahaemolyticus、Helicobacter pylori、Campylobacter fetus、Campylobacter jejuni、Campylobacter coli、Vibrio cholerae、Vibrio parahaemolyticus、Legionella pneumophila、Listeria monocytogenes、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Moraxella、Bacteroides fragilis、Bacteroides vulgatus、Bacteroides ovalus、Bacteroides thetaiotaomicron、Bacteroides uniformis、Bacteroides eggerthii、およびBacteroides splanchnicusからなる群から選択される細菌を含む。
【0023】
化合物II’の結晶形態Aを調製する方法もまた本明細書で提供され、本方法は、化合物II’を溶媒系に溶解して結晶化溶液を形成する工程であって、溶媒系が酢酸イソプロピルからなる、結晶化溶液を形成する工程と、結晶化溶液を約50℃に加熱する工程と、ヘプタンを結晶化溶液に添加する工程と、化合物II’の結晶形態Aの種結晶を結晶化溶液に添加する工程とを含む。
【0024】
化合物II’の結晶形態Aを調製する方法もまた本明細書で提供され、本方法は、化合物II’を溶媒系に溶解して結晶化溶液を形成する工程であって、溶媒系が酢酸イソプロピルおよびイソプロパノールからなる、結晶化溶液を形成する工程と、ヘプタンを結晶化溶液に添加する工程と、化合物II’の結晶形態Bの種結晶を結晶化溶液に添加する工程とを含む。いくつかの実施形態では、溶媒系は、1:1(v/v)の比の酢酸イソプロピルおよびイソプロパノールからなる。
【0025】
化合物II’の結晶形態Aを調製する方法もまた本明細書で提供され、本方法は、化合物II’を溶媒系に溶解して結晶化溶液を形成する工程であって、溶媒系が酢酸イソプロピルからなる、結晶化溶液を形成する工程と、結晶化溶液を加熱する工程と、ヘプタンを結晶化溶液に添加する工程と、化合物II’の結晶形態Aの種結晶を結晶化溶液に添加する工程とを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、結晶化溶液は、30℃から80℃の温度に加熱されてもよい。他の実施形態では、結晶化溶液は、40℃から70℃の温度に加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、結晶化溶液は、50℃の温度に加熱されてもよい。
【0027】
化合物II’の結晶形態Bを調製する方法もまた本明細書で提供され、本方法は、化合物II’を溶媒系に溶解して結晶化溶液を形成する工程であって、溶媒系が酢酸イソプロピルおよびイソプロパノールからなる、結晶化溶液を形成する工程と、ヘプタンを結晶化溶液に添加する工程と、化合物II’の結晶形態Bの種結晶を結晶化溶液に添加する工程とを含む。いくつかの実施形態では、溶媒系は、1:1(v/v)の比の酢酸イソプロピルおよびイソプロパノールからなってもよい。
【0028】
化合物II’の結晶形態Aを調製する方法もまた本明細書で提供され、本方法は、化合物II’を溶媒系に溶解して結晶化溶液を形成する工程であって、溶媒系がヘキサンおよび酢酸エチルからなる、結晶化溶液を形成する工程と、結晶化溶液を加熱する工程と、結晶化溶液を最初に冷却する工程と、結晶化溶液を撹拌する工程と、さらに結晶化溶液を室温に冷却する工程と、結晶化混合物を室温で放置する工程とを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、結晶化溶液は、30℃から80℃の温度に加熱されてもよい。他の実施形態では、結晶化溶液は、50℃から70℃の温度に加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、結晶化溶液は、65℃の温度に加熱されてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、結晶化溶液は、最初に30℃から50℃の温度に冷却されてもよい。いくつかの実施形態では、結晶化溶液は、最初に50℃の温度に冷却されてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、結晶化溶液は、さらに12時間から36時間撹拌されてもよい。いくつかの特定の実施形態では、結晶化溶液は、さらに24時間撹拌されてもよい。いくつかの実施形態では、結晶化溶液は、室温で72時間さらに放置されてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態Aを調製する方法が提供され、本方法は、化合物II’をイソプロパノールに溶解して結晶化溶液を形成する工程と、結晶化溶液を加熱する工程と、結晶化溶液を室温に冷却する工程とを含む。
【0033】
別の実施形態では、化合物Iまたはその塩、ハロメチルイソブチレート、および塩基を極性有機溶媒中で合わせて反応混合物を形成する工程と、反応混合物を加熱する工程とを含む、化合物II’を調製する方法が本明細書で提供される。
【0034】
いくつかの実施形態では、反応混合物は、ヨウ化物源をさらに含み得る。いくつかの特定の実施形態では、ヨウ化物源は、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、またはヨウ化セシウムであり得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、塩基はNaH2PO4であり得る。他の実施形態では、塩基はNa2B4O7であり得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、化合物Iに対する塩基のモル比は、約0.5から約2.0であり得る。いくつかの実施形態では、化合物Iに対する塩基のモル比は、1.0であり得る。他の実施形態において、化合物Iに対する塩基のモル比は1.5であり得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、溶媒はアセトニトリルであり得る。いくつかの特定の実施形態では、アセトニトリルは無水であり得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、ハロメチルイソブチレートは、クロロメチルイソブチレートであり得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、反応混合物は、約50℃から約80℃の温度に加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、反応混合物は、60℃の温度に加熱されてもよい。他の実施形態では、反応混合物を70℃の温度に加熱されてもよい。さらに他の実施形態では、反応混合物を80℃の温度に加熱されてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、反応混合物は、約0.5時間から約24時間加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、反応混合物は、約4時間から約18時間加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、反応混合物を6時間加熱されてもよい。他の実施形態では、反応混合物を8時間加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、反応混合物を16時間加熱されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1は、化合物II’の結晶形態Aの粉末X線回折パターンである。
【0042】
【
図2】
図2は、化合物II’の結晶形態Aの示差走査熱量測定分析を示す。
【0043】
【
図3】
図3は、化合物II’の結晶形態Aの熱重量分析の結果を示す。
【0044】
【
図4】
図4は、化合物II’の結晶形態Aの動的水蒸気収着の結果を示す。
【0045】
【
図5】
図5は、化合物II’の結晶形態BについてFTIR分光法によって得られた結果を示す。
【0046】
【
図6】
図6は、化合物II’の結晶形態BについてFTラマン分光法によって得られた結果を示す。
【0047】
【
図7】
図7は、化合物II’の結晶形態Bの結晶の光学顕微鏡画像を示す。
【0048】
【
図8】
図8は、化合物II’の結晶形態Bの粉末X線回折パターンである。
【0049】
【
図9】
図9は、化合物II’の結晶形態Bの示差走査熱量測定分析を示す。
【0050】
【
図10】
図10は、化合物II’の結晶形態Bの熱重量分析の結果を示す。
【0051】
【
図11】
図11は、化合物II’の結晶形態Bの動的水蒸気収着の結果を示す。
【0052】
【
図12】
図12は、化合物II’の結晶形態BについてFTIR分光法によって得られた結果を示す。
【0053】
【
図13】
図13は、化合物II’の結晶形態BについてFTラマン分光法によって得られた結果を示す。
【0054】
【
図14】
図14は、化合物II’の結晶形態Bの結晶の光学顕微鏡画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
実施形態の詳細な説明
化合物Iおよびその薬学的に許容され得る塩は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際出願PCT/US2017/039787号に記載されている。化合物Iは、β-ラクタム抗生物質と組み合わせて使用した場合、細菌感染症の処置に有効なβ-ラクタマーゼ阻害剤である。
【化3】
【0056】
化合物Iのプロドラッグである化合物IIが本明細書に開示される。化合物IIは、β-ラクタム抗生物質と組み合わせて使用した場合、細菌感染症の処置に有効なβ-ラクタマーゼ阻害剤である。
【化4】
【0057】
本明細書に開示される化合物が少なくとも1つのキラル中心を有する場合、それらは個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーとして、またはラセミ体を含むかかる異性体の混合物として存在し得る。個々の異性体の分離または個々の異性体の選択的合成は、当業者に周知の種々の方法を適用することによって達成される。別段の指示がない限り、すべてのそのような異性体およびそれらの混合物は、本明細書に開示される化合物の範囲に含まれる。さらに、本明細書に開示される化合物は、1またはそれを超える結晶形態または非晶質形態で存在し得る。別段の指示がない限り、そのような形態はすべて、任意の多形体を含む本明細書に開示される化合物の範囲に含まれる。さらに、本明細書に開示される化合物のいくつかは、水(すなわち、水和物)または一般的な有機溶媒と溶媒和物を形成し得る。別段の指示がない限り、そのような溶媒和物は、本明細書に開示される化合物の範囲に含まれる。
【0058】
当業者は、本明細書に記載のいくつかの構造が、速度論的に見ても、他の化学構造によって適正に表すことができる化合物の共鳴形態または互変異性体であり得ることを理解するであろうし、当業者は、かかる構造がかかる化合物のサンプルのごく一部を表し得るにすぎないことを理解するであろう。そのような化合物は、示された構造の範囲内であると考えられるが、そのような共鳴形態または互変異性体は本明細書には示さない。
【0059】
化合物IIの合成
化合物IIおよびその薬学的に許容され得る塩は、化合物Iまたはその塩から、塩基性条件下でのクロロメチルイソブチレートによる処理によって調製され得る。(イソブチリルオキシ)メチルエステルを調製するための一般的な方法は、国際公開第2018/005662号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。化合物IIの合成は、以下の実施例に示される。いくつかの実施形態では、化合物IIのナトリウム塩(化合物II’)が形成され得る。
【化5】
【0060】
いくつかの実施形態では、化合物II’は、以下のスキームに従って、化合物Iまたはその塩から調製され得る。化合物Iまたはその塩は、化合物II’を形成するために、塩基および必要に応じたヨウ素源の存在下で、ハロメチルイソブチレートで処理され得る。
【化6】
【0061】
いくつかの実施形態では、過剰のハロメチルイソブチレートが反応に使用される。例えば、いくつかの実施形態では、化合物Iに対して1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、またはそれより多くのモル当量のハロメチルイソブチレートがこの反応に使用され得る。いくつかの実施形態では、ハロメチルイソブチレートは、クロロメチルイソブチレートであり得る。他の実施形態では、ハロメチルイソブチレートはブロモメチルイソブチレートであり得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、ヨウ化物源は、アルカリ金属ヨウ化物であり得る。例えば、ヨウ化物源は、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムまたはヨウ化セシウムであり得る。
【0063】
反応に使用される塩基の選択は、最終生成物の全体的な収率および純度に影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、塩基は、重炭酸ナトリウムであり得る。他の実施形態では、塩基は、NaH2PO4であり得る。さらに他の実施形態では、塩基は、Na2B4O7であり得る。いくつかの特定の実施形態では、塩基は、無水Na2B4O7であり得る。いくつかの実施形態では、化合物Iに対して0.1から10モル当量の塩基がこの反応に使用され得る。例えば、化合物Iに対する塩基のモル当量の数は、0.1、0.2、0.3.0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、または10.0であり得、または上述の値によって定義される範囲内であり得る。いくつかの特定の実施形態では、化合物Iに対して0.5から2.0モル当量の塩基が反応に使用され得る。
【0064】
化合物I’またはその塩を化合物II’に変換するための反応は、様々な溶媒中で行われ得る。いくつかの実施形態では、溶媒は極性非プロトン性溶媒であり得る。いくつかの実施形態では、溶媒は、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルtertブチルエーテル、N-メチルピロリジノン、アセトン、メチルエチルケトン、または前述の溶媒の任意の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、溶媒は無水であり得る。いくつかの実施形態では、溶媒はアセトニトリルであり得る。
【0065】
化合物I’またはその塩を化合物II’に変換するための反応は、様々な温度で行われ得る。いくつかの実施形態では、反応温度は、約25℃から約100℃、約30℃から約90℃、約40℃から約80℃、約50℃から約80℃、約55℃から約80℃、約60℃から約80℃、約65℃から約80℃、または約70℃から約80℃である。例えば、いくつかの実施形態では、化合物I’またはその塩を化合物II’に変換するための反応は、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃またはそれより高くで行われ得る。いくつかの実施形態では、反応は、0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、またはそれより長くにわたって、上述の温度のいずれかで加熱され得る。
【0066】
化合物II’の結晶形態
化合物II’の結晶形態が本明細書に開示される。2つの形態、形態Aおよび形態Bが同定されている(以下に記載)。
【0067】
化合物II’の結晶形態A
いくつかの実施形態は、本明細書において結晶形態Aと呼ばれる、化合物II’の結晶形態を含む。化合物II’の結晶形態Aを形成するための正確な条件は経験的に決定することができ、唯一可能なのは、実際に適切であることが分かっているいくつかの方法を示すことである。
【0068】
化合物II’の結晶形態Aは、実験方法のセクションにさらに詳細に記載されている様々な技術を使用して特徴付けられた。
図1は、粉末X線回折(XRPD)によって決定された形態Aの化合物II’の結晶構造を示す。本明細書に開示される方法によって得られ得る化合物II’の結晶形態Bは、約4.3、7.0、7.2、8.3、11.0、12.5、15.0、16.7、17.5、18.2、19.1、20.3、22.3、22.7、および25.6度の2θに顕著なピークを示す。したがって、いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態は、約4.3、7.0、7.2、8.3、11.0、12.5、15.0、16.7、17.5、18.2、19.1、20.3、22.3、22.7および25.6度の2θから選択される少なくとも1つの特徴的なピーク(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の特徴的なピーク)を有する。いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態は、約4.3、7.0、7.2、8.3、11.0、12.5、15.0、16.7、17.5、18.2、19.1、20.3、22.3、22.7および25.6度の2θから選択される少なくとも3つの特徴的なピークを有する。
【0069】
図2は、化合物II’の結晶形態Aについて示差走査熱量測定(DSC)によって得られた結果を示す。DSCの結果は、約141℃の温度でピークを示し、これは結晶の融点を示す。したがって、いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態Bは、約138℃から約144℃、約139℃から約143℃、または約141℃の融点を示す。
【0070】
図3は、化合物II’の結晶形態Aについて熱重量分析(TGA)によって得られた結果を示す。TGAの結果は、25℃から125℃まで実行した場合に、化合物II’の結晶形態Aが約1%の重量減少を示したことを示している。一方、
図4は、化合物II’の結晶形態Aの動的水蒸気収着(DVS)の結果を示し、わずかな吸水を示し、化合物II’の結晶形態Aがわずかに吸湿性であることを示している。カールフィッシャー分析は、化合物II’の結晶形態Aが平均して0.12%の水を含有することを示し、化合物II’の結晶形態Aが溶媒和されていないことを示している。化合物II’の結晶形態Aの元素分析は、無水物と一致している。
【0071】
図5は、化合物II’の結晶形態Aについてフーリエ変換赤外(FTIR)分光法によって得られた結果を示す。化合物II’の結晶形態Aは、約1758、1706、1600、1584、1469、1426、1389、1366、および1322cm
-1に顕著なピークを示す。したがって、いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態は、約1758、1706、1600、1584、1469、1426、1389、1366、および1322cm
-1から選択される少なくとも1つの特徴的なFTIRピーク(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、または9個の特徴的なピーク)を有する。いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態は、1758、1706、1600、1584、1469、1426、1389、1366および1322cm
-1から選択される少なくとも3つの特徴的なピークを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるピーク位置は、±1cm
-1以内のばらつきを含む。
【0072】
図6は、化合物II’の結晶形態Bについてフーリエ変換ラマン分光法によって得られた結果を示す。化合物II’の結晶形態Aは、約1754、1709、1600、1584、1465、1428、1366、および1340cm
-1に顕著なピークを示す。したがって、いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態は、約1754、1709、1600、1584、1465、1428、1366および1340cm
-1から選択される少なくとも1つの特徴的なFTラマンピーク(例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8つの特徴的なピーク)を有する。いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態は、1754、1709、1600、1584、1465、1428、1366および1340cm
-1から選択される少なくとも3つの特徴的なピークを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるピーク位置は、±2cm
-1以内のばらつきを含む。
【0073】
したがって、化合物II’の結晶形態Aは、溶媒和されていないわずかに吸湿性の固体として特徴付けられ得る。化合物II’の結晶形態Aはまた、様々なサイズの針状結晶(
図7)および比較的高い融点(約141℃)を有する良好な結晶性を示す。
【0074】
化合物II’の結晶形態B
いくつかの実施形態は、本明細書において結晶形態Bと呼ばれる、化合物II’の結晶形態を含む。化合物II’の結晶形態Bを形成するための正確な条件は経験的に決定することができ、唯一可能なのは、実際に適切であることが分かっているいくつかの方法を示すことである。
【0075】
化合物II’の結晶形態Bは、実験方法のセクションにさらに詳細に記載されている様々な技術を使用して特徴付けられた。
図8は、粉末X線回折(XRPD)によって決定される形態Bの化合物II’の結晶構造を示す。本明細書に開示される方法によって得られ得る化合物II’の結晶形態Bは、約5.1、7.0、9.9、11.0、11.1、14.1、16.4、17.1、21.1、22.3、22.6、26.9、および28.3度の2θに顕著なピークを示す。したがって、いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態は、約5.1、7.0、9.9、11.0、11.1、14.1、16.4、17.1、21.1、22.3、22.6、26.9および28.3度の2θから選択される少なくとも1つの特徴的なピーク(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13個の特徴的なピーク)を有する。いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態は、約5.1、7.0、9.9、11.0、11.1、14.1、16.4、17.1、21.1、22.3、22.6、26.9および28.3度の2θから選択される少なくとも3つの特徴的なピークを有する。
【0076】
図9は、化合物II’の結晶形態Bについて示差走査熱量測定(DSC)によって得られた結果を示す。DSCの結果は、約152℃の温度でピークを示し、これは結晶の融点を示す。したがって、いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態Bは、約149℃から約155℃、約150℃から約154℃、または約152℃の融点を示す。
【0077】
図10は、化合物II’の結晶形態Bについて熱重量分析(TGA)によって得られた結果を示す。TGAの結果は、25℃から125℃まで実行した場合に、化合物II’の結晶形態Bが0.18%の重量減少を示したことを示している。一方、
図11は、化合物II’の結晶形態Bについての動的水蒸気収着(DVS)の結果を示し、中程度の吸水を示し、化合物II’の結晶形態Bが中程度に吸湿性であることを示している。カールフィッシャー分析は、化合物II’の結晶形態Bが平均して7.29%の水を含有することを示している。しかし、この水は、試料の加熱による分解物であると考えられる。元素分析は、化合物II’の結晶形態Bが非溶媒和物質であることを示している。
【0078】
図12は、化合物II’の結晶形態Bについてフーリエ変換赤外(FTIR)分光法によって得られた結果を示す。化合物II’の結晶形態Bは、約1608、1592、1553、1473、1416、1364、1334、および1277cm
-1に顕著なピークを示す。したがって、いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態は、約1608、1592、1553、1473、1416、1364、1334、および1277cm
-1から選択される少なくとも1つの特徴的なFTIRピーク(例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8つの特徴的なピーク)を有する。いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態は、1608、1592、1553、1473、1416、1364、1334および1277cm
-1から選択される少なくとも3つの特徴的なピークを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるピーク位置は、±1cm
-1以内のばらつきを含む。
【0079】
図13は、化合物II’の結晶形態Bについてフーリエ変換ラマン分光法によって得られた結果を示す。化合物II’の結晶形態Bは、約1611、1591、1574、1472、1426、および1366cm
-1に顕著なピークを示す。したがって、いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態は、約1611、1591、1574、1472、1426および1366cm
-1から選択される少なくとも1つの特徴的なFTラマンピーク(例えば、1、2、3、4、5、または6つの特徴的なピーク)を有する。いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態は、1611、1591、1574、1472、1426、および1366cm
-1から選択される少なくとも3つの特徴的なピークを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるピーク位置は、±2cm
-1以内のばらつきを含む。
【0080】
したがって、化合物II’の結晶形態Bは、溶媒和されていない中程度に吸湿性の固体として特徴付けられ得る。化合物II’の結晶形態Bはまた、様々なサイズのブレード形状の結晶(
図14)および比較的高い融点(約152℃)を有する良好な結晶性を示す。
【0081】
化合物II’を結晶化する方法
化合物II’を結晶化する方法が開示される。化合物II’の結晶形態は、一般に、制御された条件下で化合物II’の化合物を結晶化することによって得られ得るか、または生成され得る。いくつかの実施形態では、本方法は、非溶媒和の結晶形態を生成し得る。いくつかの実施形態では、本方法は、化合物II’の結晶形態Aを生成し得る。いくつかの実施形態では、本方法は、化合物II’の結晶形態Bを生成し得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、化合物II’の結晶形態は、溶媒中に化合物II’を取り込んで結晶化溶液を形成し、必要に応じて第1の溶液を加熱し、必要に応じて第2の溶媒を結晶化溶液に添加することによって調製され得る。いくつかの実施形態では、第1の溶媒は酢酸イソプロピルであり得る。他の実施形態では、第1の溶媒はイソプロピルアルコールであり得る。他の実施形態では、第1の溶媒はヘキサンであり得る。さらに他の実施形態では、第1の溶媒はヘプタンであり得る。いくつかの実施形態では、第1の溶媒は酢酸エチルであり得る。いくつかの実施形態では、第1の溶媒は、酢酸イソプロピル、イソプロピルアルコール、ヘキサン、ヘプタン、および/または酢酸エチルのいずれかの組み合わせであり得る。いくつかの特定の実施形態では、第1の溶媒は、酢酸イソプロピルとイソプロピルアルコールとの組み合わせであり得る。他の特定の実施形態では、第1の溶媒は、ヘキサンおよび酢酸エチルの組み合わせであり得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、結晶化溶液は、必要に応じて、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、または90℃に、または前述の温度のいずれかによって定義される範囲内に加熱されてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、第2の溶媒はヘプタンであり得る。他の実施形態では、第2の溶媒はヘキサンであり得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、結晶化を促進するために、必要に応じて所望の化合物II’の結晶形態の種晶が結晶化溶液に添加されてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、結晶化溶液は、55、50、45、40、35、30、35、20、15、10、5、0 -5、または-10℃に、または前述の温度のいずれかによって定義される範囲内に冷却されてもよい。結晶化溶液は、1、2、3、4、6、8、12、16、24、36、48、または72時間の期間にわたって、または前述の時間のいずれかによって定義される範囲内で冷却されてもよい。冷却は、撹拌もしくはかき混ぜを伴って、または撹拌を伴わないで、達成され得る。
【0087】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。すべての特許、出願、公開出願、および他の刊行物は、その全体が参照により組み込まれる。本明細書における用語について複数の定義が存在する場合、別段の記載がない限り、本項の定義が優先する。
【0088】
「薬学的に許容され得る塩」という用語は、化合物の生物学的有効性および特性を保持し、薬学的に使用するのに生物学的にまたは他の点で望ましくないものではない塩を指す。多くの場合、本明細書に開示される化合物は、アミノ基および/またはカルボキシル基またはそれに類似する基の存在によって酸塩および/または塩基塩を形成することができる。薬学的に許容され得る酸付加塩は、無機酸および有機酸を用いて形成することができる。塩を誘導することができる無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。塩を誘導することができる有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。薬学的に許容され得る塩はまた、無機塩基および有機塩基を使用して形成することができる。塩を誘導することができる無機塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどを含む塩基が挙げられ、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩が特に好ましい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物を無機塩基で処理すると、化合物から不安定な水素が失われ、Li+、Na+、K+、Mg2+およびCa2+などの無機カチオンを含む塩形態が得られる。塩を誘導することができる有機塩基としては、例えば、第1級、第2級および第3級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂など、具体的には、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンおよびエタノールアミンが挙げられる。1987年9月11日に公開されたJohnstonらの国際公開第87/05297号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているように、多くのこのような塩が当技術分野で公知である。
【0089】
投与および医薬組成物
本明細書に開示される化合物は、治療有効投与量で投与される。本明細書に記載の化合物について、ヒト投与量レベルはまだ最適化されていないが、通常、1日用量は、約0.25mg/kg体重から約120mg/kg体重またはそれを超える量、約0.5mg/kg体重またはそれ未満の量から約70mg/kg体重、約1.0mg/kg体重から約50mg/kg体重、または約1.5mg/kg体重から約10mg/kg体重であり得る。したがって、70kgの人へ投与する場合、投与量の範囲は、約17mg/日から約8000mg/日、約35mg/日またはそれ未満の量から約7000mg/日またはそれを超える量、約70mg/日から約6000mg/日、約100mg/日から約5000mg/日、または約200mgから約3000mg/日である。投与される活性化合物の量は、当然のことながら、処置される対象および疾患の状態、障害の重症度、投与様式およびスケジュール、ならびに処方医師の判断に依存する。
【0090】
本明細書に開示される化合物またはその薬学的に許容され得る塩の投与は、限定するものではないが、経口、皮下、静脈内、鼻腔内、局所、経皮、腹腔内、筋肉内、肺内、膣内、直腸内または眼内を含む、同様の効用を示す薬剤のための許容された投与様式のいずれかによるものであり得る。経口投与および非経口投与は、好ましい実施形態の主題である適応症の処置において慣習となっている。
【0091】
上記のように有用な化合物は、これらの症状の処置に使用するために医薬組成物に製剤化され得る。参照によりその全体が本明細書に組み込まれるRemington’s The Science and Practice of Pharmacy,21st Ed.,Lippincott Williams&Wilkins(2005)に開示されているものなどの標準的な医薬製剤技術が使用される。したがって、いくつかの実施形態は、(a)安全で治療有効量の本明細書に記載の化合物(エナンチオマー、ジアステレオ異性体、互変異性体、多形およびそれらの溶媒和物を含む)またはその薬学的に許容され得る塩と、(b)薬学的に許容され得る担体、希釈剤、賦形剤またはそれらの組み合わせとを含む医薬組成物を含む。
【0092】
上記のように選択された有用な化合物に加えて、いくつかの実施形態は、薬学的に許容され得る担体を含有する組成物を含む。「薬学的に許容され得る担体」または「薬学的に許容され得る賦形剤」という用語には、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが含まれる。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性成分と不適合である場合を除いて、治療用組成物におけるその使用が企図される。さらに、当技術分野で一般的に使用されているような様々な補助剤が含まれていてもよい。医薬組成物に様々な成分を含めることについての留意事項は、例えば、Gilmanら、(Eds.)(1990);Goodman and Gilman’s:The Pharmacological Basis of Therapeutics,8th Ed.,Pergamon Pressに記載されており、それは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0093】
薬学的に許容され得る担体またはその成分として機能し得る物質のいくつかの例は、糖(例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース)、デンプン(例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン)、セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、およびメチルセルロース)、トラガント粉末、麦芽、ゼラチン、タルク、固体滑沢剤(例えば、ステアリン酸、およびステアリン酸マグネシウム)、硫酸カルシウム、植物油(例えば、落花生油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびテオブロマの油)、ポリオール(例えば、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール)、アルギン酸、乳化剤(例えば、TWEENS)、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、着色剤、香味剤、錠剤化剤、安定剤、酸化防止剤、防腐剤、発熱物質を含まない水、等張食塩水、およびリン酸緩衝液である。
【0094】
主題化合物と共に使用される薬学的に許容され得る担体の選択は、基本的に化合物が投与される方法によって決まる。
【0095】
本明細書に記載の組成物は、好ましくは単位剤形で提供される。本明細書で使用される場合、「単位剤形」は、適正な医療慣行に従って、動物、好ましくは哺乳動物の対象に単回用量で投与するのに適した量の化合物を含有する組成物である。しかしながら、単回または単位剤形の調製は、剤形が1日に1回または治療過程ごとに1回投与されることを意味しない。そのような剤形は、1日当たり1回、2回、3回またはそれを超える回数投与されることが企図され、一定期間(例えば、約30分から約2~6時間)にわたって注入の形で投与されてもよく、または連続注入の形で投与されてもよく、治療の過程において1回より多く投与されてもよいが、単回投与を特に排除するものではない。当業者は、製剤が治療の全過程を具体的に想定しておらず、そのような決定は、製剤ではなく処置の当業者に残されていることを理解するであろう。
【0096】
上記のように有用な組成物は、様々な投与経路、例えば、経口、経鼻、直腸、局所(経皮を含む)、眼、脳内、頭蓋内、髄腔内、動脈内、静脈内、筋肉内、または他の親投与経路のための様々な適切な形態のいずれかであり得る。当業者は、経口および経鼻組成物が、吸入によって投与され、利用可能な方法を用いて作製される組成物を含むことを理解するであろう。所望の特定の投与経路に応じて、当技術分野で周知の様々な薬学的に許容され得る担体が使用され得る。薬学的に許容され得る担体としては、例えば、固体または液体充填剤、希釈剤、ヒドロトロープ、界面活性剤およびカプセル化物質が挙げられる。本化合物の阻害活性を実質的に妨害しない必要に応じた薬学的に活性な材料が含まれていてもよい。本化合物と共に使用される担体の量は、本化合物の単位用量あたりの投与のための実用的な量の物質を提供するのに十分な量である。本明細書に記載の方法において有用な剤形を作製するための技術および組成物は、以下の参考文献、すなわち、Modern Pharmaceutics, 4th Ed.,Chapters 9 and 10(Banker&Rhodes,editors,2002)、Liebermanら、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets(1989)、およびAnsel,Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 8th Edition(2004)に記載されており、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0097】
錠剤、カプセル、顆粒およびバルク粉末などの固体形態を含む様々な経口剤形が使用され得る。錠剤は、圧縮され得、粉薬錠剤であり得、腸溶コーティングされ得、糖衣錠コーティングされ得、フィルムコーティングされ得、または多重圧縮され得、適切な結合剤、滑沢剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、流動誘発剤、および溶融剤を含むことができる。液体経口剤形は、非発泡性顆粒から再構成された水溶液、エマルジョン、懸濁液、溶液および/または懸濁液、ならびに発泡性顆粒から再構成された発泡性調製物を含み、適切な溶媒、保存剤、乳化剤、懸濁化剤、希釈剤、甘味料、溶融剤、着色剤および香味剤を含有する。
【0098】
経口投与のための単位剤形の調製に適した薬学的に許容され得る担体は、当技術分野で周知である。錠剤は、典型的には、不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトースおよびセルロース)、結合剤(例えば、デンプン、ゼラチンおよびスクロース)、崩壊剤(例えば、デンプン、アルギン酸、およびクロスカルメロース)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、およびタルク)として、従来の薬学的に適合性のアジュバントを含む。二酸化ケイ素などの滑剤が使用されて、粉末混合物の流動特性を改善し得る。着色剤(例えば、FD&C染料)が外観のために添加され得る。甘味料および香味剤(例えば、アスパルテーム、サッカリン、メントール、ペパーミントおよびフルーツフレーバー)は、チュアブル錠のための有用な補助剤である。カプセルは、典型的には、上に開示した1またはそれを超える固体希釈剤を含む。担体成分の選択は、味、コスト、および保存安定性などの副次的な懸案事項に依存するが、これらは重要ではなく、当業者によって容易に行うことができる。
【0099】
経口組成物はまた、液体溶液、エマルジョン、懸濁液などを含む。そのような組成物の調製に適した薬学的に許容され得る担体は、当技術分野で周知である。シロップ、エリキシル、エマルジョンおよび懸濁液のための担体の典型的な成分としては、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液体スクロース、ソルビトールおよび水が挙げられる。懸濁液の場合、典型的な懸濁化剤としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、AVICEL RC-591、トラガカントおよびアルギン酸ナトリウムが挙げられ、典型的な湿潤剤としては、レシチンおよびポリソルベート80が挙げられ、典型的な防腐剤としては、メチルパラベンおよび安息香酸ナトリウムが挙げられる。経口液体組成物はまた、上に開示される甘味料、香味剤および着色剤などの1またはそれを超える成分を含有していてもよい。
【0100】
そのような組成物はまた、従来の方法によって、典型的には、pHまたは時間依存性コーティングでコーティングされてもよく、その結果、主題化合物は、所望の局所適用の近傍で、または所望の作用を延長するために様々な時点で消化管に放出される。そのような剤形には、典型的には、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、Eudragitコーティング、ワックスおよびシェラックのうちの1またはそれを超えるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0101】
本明細書に記載の組成物は、必要に応じて他の薬物活性物質を含んでいてもよい。
【0102】
主題化合物の全身送達を達成するのに有用な他の組成物は、舌下、頬側および経鼻剤形を含む。そのような組成物は、典型的には、スクロース、ソルビトールおよびマンニトールなどの可溶性充填剤物質、ならびにアカシア、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの結合剤のうちの1またはそれを超えるものを含む。上記で開示された沢剤、滑沢剤、甘味料、着色剤、酸化防止剤および香味剤が含まれていてもよい。
【0103】
局所眼科使用のために製剤化される液体組成物は、眼に局所投与され得るように製剤化される。快適性は、可能な限り最大化されるべきであるが、製剤の考慮事項(例えば、薬物安定性)が、最適ではない快適性を余儀なくさせる場合がある。快適性を最大化することができない場合、液体は、局所眼科使用について患者が耐えられるように製剤化する必要がある。さらに、眼科的に許容され得る液体は、単回使用のために包装されるべきか、または複数回の使用にわたる汚染を防止するために保存剤を含むべきである。
【0104】
眼科用途では、主なビヒクルとして生理食塩水を使用して溶液または薬剤が調製されることが多い。眼科用溶液は、好ましくは、適切な緩衝系を用いて快適なpHに維持されるべきである。製剤はまた、従来の薬学的に許容され得る保存剤、安定剤および界面活性剤を含有し得る。
【0105】
本明細書に開示される医薬組成物において使用され得る保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、PHMB、クロロブタノール、チメロサール、フェニル水銀、アセテートおよび硝酸フェニル水銀が挙げられるが、これらに限定されない。有用な界面活性剤は、例えば、Tween(登録商標) 80である。同様に、様々な有用なビヒクルが本明細書に開示される眼科用調製物に使用され得る。これらのビヒクルとしては、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよび精製水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
必要または都合に応じて、等張性調整剤が加えられ得る。等張性調整剤としては、塩、特に塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトールおよびグリセリン、または任意の他の適切な眼科的に許容され得る等張性調整剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
得られた調製物が眼科的に許容され得る限り、種々の緩衝剤およびpH調整手段が使用され得る。多くの組成物について、pHは4~9である。したがって、緩衝液としては、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液およびホウ酸緩衝液が挙げられる。必要に応じて、酸または塩基が使用されて、これらの製剤のpHを調整することができる。
【0108】
同様の趣旨で、眼科的に許容され得る酸化防止剤としては、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびブチル化ヒドロキシトルエンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
眼科用調製物に含まれ得る他の賦形剤成分は、キレート剤である。有用なキレート剤はエデト酸二ナトリウムであるが、他のキレート剤をその代わりに、またはそれと組み合わせて使用され得る。
【0110】
局所使用のために、本明細書に開示される化合物を含有するクリーム、軟膏、ゲル、溶液または懸濁液などが使用される。局所製剤は、通常、医薬担体、共溶媒、乳化剤、浸透促進剤、保存系および皮膚軟化剤から構成され得る。
【0111】
静脈内投与の場合、本明細書に記載の化合物および組成物は、食塩水またはデキストロース溶液などの薬学的に許容され得る希釈剤に溶解または分散され得る。所望のpHを達成するために、限定するものではないが、NaOH、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、HCl、およびクエン酸などの適切な賦形剤が含まれ得る。様々な実施形態では、最終組成物のpHは、2から8、または好ましくは4から7の範囲である。酸化防止賦形剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、アセトン亜硫酸水素ナトリウム、ホルムアルデヒドナトリウム、スルホキシレート、チオ尿素およびEDTAが挙げられ得る。最終的な静脈内組成物に見られる適切な賦形剤の他の非限定的な例としては、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウム、クエン酸、酒石酸、ゼラチン、ならびにデキストロース、マンニトール、およびデキストランなどの炭水化物が挙げられ得る。さらなる許容され得る賦形剤は、Powellら、Compendium of Excipients for Parenteral Formulations,PDA J Pharm Sci and Tech 1998,52 238-311、および、Nemaら、Excipients and Their Role in Approved Injectable Products:Current Usage and Future Directions,PDA J Pharm Sci and Tech 2011,65 287-332に記載されており、これらはいずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。抗菌剤はまた、限定するものではないが、硝酸フェニル水銀、チメロサール、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、フェノール、クレゾールおよびクロロブタノールを含む静菌性または静真菌性溶液を得るために含まれてもよい。
【0112】
静脈内投与のための組成物は、投与直前に滅菌水、食塩水またはデキストロース水溶液などの適切な希釈剤で再構成される1またはそれを超える固体の形態で介護者に提供され得る。他の実施形態では、組成物は、すぐに非経口的に投与できる溶液で提供される。さらに他の実施形態では、組成物は、投与前にさらに希釈される溶液の形で提供される。本明細書に記載の化合物と別の薬剤との組み合わせ物を投与することを含む実施形態では、その組み合わせ物を混合物として介護者に提供してもよく、または介護者が投与前に2つの薬剤を混合してもよく、または2つの薬剤が別々に投与されてもよい。
【0113】
本明細書に記載される活性化合物の実際の用量は、具体的な化合物および処置されるべき症状に依存し、適切な用量の選択は十分に当業者の知識の範囲内である。
【0114】
処置方法
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に記載される化合物および化合物を含む組成物で細菌感染症を処置する方法を含む。いくつかの方法は、本明細書に記載の化合物、組成物、医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象は、動物、例えば、哺乳動物(ヒトを含む)であり得る。いくつかの実施形態では、細菌感染症は、本明細書に記載の細菌を含む。前述の内容から理解されるように、細菌感染症を処置する方法は、そのリスクがある対象における細菌感染症を予防する方法を含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0116】
さらなる実施形態は、化合物の組み合わせ物を、それを必要とする対象に投与することを含む。組み合わせ物は、本明細書に記載の化合物、組成物、医薬組成物と追加の薬剤とを含むことができる。
【0117】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載される化合物、組成物および/または医薬組成物を追加の薬剤と共投与することを含む。「共投与」とは、実際にいつまたはどのように投与されるかにかかわらず、2またはそれを超える薬剤が同時に患者の血流中に見出され得ることを意味する。一実施形態では、薬剤は同時に投与される。そのような一実施形態では、組み合わせた投与は、単一剤形の薬剤を組み合わせることによって達成される。別の実施形態では、薬剤は逐次投与される。一実施形態では、薬剤は、経口などの同じ経路を介して投与される。別の実施形態では、薬剤は、一方が経口投与され、他方が静脈内(i.v.)投与されるなど、異なる経路を介して投与される。
【0118】
追加の薬剤の例としては、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤および抗アレルギー剤が挙げられる。
【0119】
好ましい実施形態は、本明細書に記載の化合物、組成物または医薬組成物と、β-ラクタムなどの抗菌剤との組み合わせを含む。そのようなβ-ラクタムの例としては、アモキシシリン、アンピシリン(例えば、ピバンピシリン、ヘタシリン、バカンピシリン、メタンピシリン、タランピシリン)、エピシリン、カルベニシリン(カリンダシリン)、チカルシリン、テモシリン、アズロシリン、ピペラシリン、メズロシリン、メシリナム(ピブメシリナム)、スルベニシリン、ベンジルペニシリン(G)、クロメトシリン、ベンザチンベンジルペニシリン、プロカインベンジルペニシリン、アジドシリン、ペナメシリン、フェノキシメチルペニシリン(V)、プロピシリン、ベンザチンフェノキシメチルペニシリン、フェネチシリン、クロキサシリン(例えば、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン)、オキサシリン、メチシリン、ナフシリン、ファロペネム、ビアペネム、ドリペネム、エルタペネム、イミペネム、メロペネム、パニペネム、セファゾリン、セファセトリル、セファドロキシル、セファレキシン、セファログリシン、セファロニウム、セファロリジン、セファロチン、セファピリン、セファトリジン、セファゼドン、セファザフルール、セフラジン、セフロキサジン、セフテゾール、セファクロル、セファマンドール、セフミノックス、セフォニシド、セフォラニド、セフォチアム、セフプロジル、セフブペラゾン、セフロキシム、セフゾナム、セフォキシチン、セフォテタン、セフメタゾール、ロラカルベフ、セフィキシム、セフタジジム、セフトリアキソン、セフカペン、セフダロキシム、セフジニル、セフィデリコール、セフジトレン、セフェタメト、セフメノキシム、セフォジジム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフピミゾール、セフピラミド、セフポドキシム、セフポドキシムプロキセチル、セフスロジン、セフテラム、セフチブテン、セフチオレン、セフチゾキシム、フロモキセフ、ラタモキセフ、セフェピム、セフォゾプラン、セフピロム、セフキノム、セフトビプロール、セフタロリン、セフチオフル、セフキノム、セフォベシン、アズトレオナム、チゲモナムおよびカルモナムが挙げられる。
【0120】
好ましい実施形態は、セフタジジム、ビアペネム、ドリペネム、エルタペネム、イミペネム、メロペネム、テビペネム、テビペネムピボキシル、アパペネム、およびパニペネムなどのβ-ラクタムを含む。
【0121】
さらなる好ましい実施形態は、アズトレオナム、チゲモナムおよびカルモナムなどのβ-ラクタムを含む。
【0122】
さらに好ましい実施形態は、テビペネムピボキシルなどのβ-ラクタム抗菌剤を含む。
【0123】
さらに好ましい実施形態は、セフチブテンなどのβ-ラクタム抗菌剤を含む。
【0124】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の化合物、組成物および/または医薬組成物と追加の薬剤との組み合わせを含み、追加の薬剤はモノバクタムを含む。モノバクタムの例としては、アズトレオナム、チゲモナム、ノカルジシンA、カルモナム、およびタブトキシンが挙げられる。いくつかのこのような実施形態では、化合物、組成物および/または医薬組成物は、クラスA、CまたはDのベータラクタマーゼ阻害剤を含む。いくつかの実施形態は、本明細書に記載される化合物、組成物または医薬組成物を1またはそれを超えるさらなる薬剤と共投与することを含む。
【0125】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の化合物、組成物および/または医薬組成物と追加の薬剤との組み合わせを含み、追加の薬剤はクラスBのベータラクタマーゼ阻害剤を含む。クラスBのベータラクタマーゼ阻害剤の例としては、ME1071(Yoshikazu Ishiiら、‘‘In Vitro Potentiation of Carbapenems with ME1071,a Novel Metallo-β-Lactamase Inhibitor,against Metallo-β-lactamase Producing Pseudomonas aeruginosa Clinical Isolates.’’Antimicrob.Agents Chemother.doi:10.1128/AAC.01397-09(July 2010))が含まれる。いくつかの実施形態は、本明細書に記載される化合物、組成物または医薬組成物を1またはそれを超えるさらなる薬剤と共投与することを含む。
【0126】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の化合物、組成物および/または医薬組成物と追加の薬剤との組み合わせを含み、追加の薬剤は、クラスA、B、C、またはDのベータラクタマーゼ阻害剤を含む1またはそれを超える薬剤を含む。いくつかの実施形態は、本明細書に記載される化合物、組成物または医薬組成物を1またはそれを超えるさらなる薬剤と共投与することを含む。
【0127】
適応症
本明細書に記載される化合物および化合物を含む組成物は、細菌感染症を処置するために使用され得る。本明細書に記載の化合物、組成物および方法で処置され得る細菌感染症は、広域スペクトルの細菌を含むことができる。生物の例としては、グラム陽性菌、グラム陰性菌、好気性および嫌気性細菌、例えば、Staphylococcus、Lactobacillus、Streptococcus、Sarcina、Escherichia、Enterobacter、Klebsiella、Pseudomonas、Acinetobacter、Mycobacterium、Proteus、Campylobacter、Citrobacter、Nisseria、Baccillus、Bacteroides、Peptococcus、Clostridium、Salmonella、Shigella、Serratia、Haemophilus、Brucella、および他の生物が挙げられる。
【0128】
細菌感染症のさらなる例としては、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas fluorescens、Pseudomonas acidovorans、Pseudomonas alcaligenes、Pseudomonas putida、Stenotrophomonas maltophilia、Burkholderia cepacia、Aeromonas hydrophilia、Escherichia coli、Citrobacter freundii、Salmonella typhimurium、Salmonella typhi、Salmonella paratyphi、Salmonella enteritidis、Shigella dysenteriae、Shigella flexneri、Shigella sonnei、Enterobacter cloacae、Enterobacter aerogenes、Klebsiella pneumoniae、Klebsiella oxytoca、Serratia marcescens、Francisella tularensis、Morganella morganii、Proteus mirabilis、Proteus vulgaris、Providencia alcalifaciens、Providencia rettgeri、Providencia stuartii、Acinetobacter baumannii、Acinetobacter calcoaceticus、Acinetobacter haemolyticus、Yersinia enterocolitica、Yersinia pestis、Yersinia pseudotuberculosis、Yersinia intermedia、Bordetella pertussis、Bordetella parapertussis、Bordetella bronchiseptica、Haemophilus influenzae、Haemophilus parainfluenzae、Haemophilus haemolyticus、Haemophilus parahaemolyticus、Haemophilus ducreyi、Pasteurella multocida、Pasteurella haemolytica、Branhamella catarrhalis、Helicobacter pylori、Campylobacter fetus、Campylobacter jejuni、Campylobacter coli、Borrelia burgdorferi、Vibrio cholerae、Vibrio parahaemolyticus、Legionella pneumophila、Listeria monocytogenes、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Kingella、Moraxella、Gardnerella vaginalis、Bacteroides fragilis、Bacteroides distasonis、Bacteroides 3452Aホモロジー群、Bacteroides vulgatus、Bacteroides ovalus、Bacteroides thetaiotaomicron、Bacteroides uniformis、Bacteroides eggerthii、Bacteroides splanchnicus、Clostridium difficile、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium avium、Mycobacterium intracellulare、Mycobacterium leprae、Corynebacterium diphtheriae、Corynebacterium ulcerans、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus agalactiae、Streptococcus pyogenes、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus saprophyticus、Staphylococcus intermedius、Staphylococcus hyicus subsp.hyicus、Staphylococcus haemolyticus、Staphylococcus hominis、またはStaphylococcus saccharolyticusが挙げられる。
【0129】
本発明をさらに説明するために、以下の実施例が含まれる。もちろん、これらの実施例は、本発明を具体的に限定するものと解釈されるべきではない。特許請求の範囲内のこれらの例の変形は、当業者の範囲内にあり、本明細書に記載され、特許請求される本発明の範囲内にあると考えられる。読者は、本開示および当技術分野の技術を得た当業者が、網羅的な例なしに本発明を調製および使用することができることを理解するであろう。以下の実施例は、本発明をさらに説明するものであり、例示のみを目的として使用され、限定として見なされるべきではない。
【実施例】
【0130】
実施例
X線粉末回折(XRPD)
Rigaku Smart-Lab X線回折システムは、線源X線ビームを使用して反射ブラッグブレンターノ幾何学的形状用に構成された。X線源は、40kVおよび44maで動作するCuロングファインフォーカス管であった。その光源は、高角度の狭い線から低角度の広い長方形に変化する入射ビームプロファイルを試料に提供する。ビーム調整スリットをラインX線源に使用して、最大ビームサイズがラインに沿って、およびラインに垂直に10mm未満であることを確実にした。ブラッグブレンターノ幾何学的形状は、受動発散および受容スリットによって制御されるパラ集束幾何学的形状であり、試料自体が光学系の集束構成要素として作用する。ブラッグブレンターノ幾何学的形状の固有の分解能は、一つには、使用される回折計の半径および受け入れスリットの幅によって支配される。典型的には、ピーク幅が0.1° 2θまたはそれ未満となるようにRigaku Smart-Labを動作させる。X線ビームの軸方向発散は、入射ビーム経路および回折ビーム経路のいずれにおいても5.0度のソーラースリットによって制御された。分析の同日にASTMケイ素標準を使用して機器を認定した。
【0131】
粉末試料を、試料表面を試料ホルダの基準面に対して平坦および水平に保つように軽く指で圧力をかけて低バックグラウンドSiホルダ内に準備した。有効ステップサイズ0.02° 2θで6° 2θ/分の連続スキャンを使用して、各試料を2から40° 2θまで分析した。
【0132】
示差走査熱量測定(DSC)
DSC分析は、TA Instruments Q2500 Discovery Series装置を用いて行った。インジウムを用いて装置温度較正を行った。それぞれの分析において、DSCセルを毎分約50mLの窒素パージ下に維持した。試料を標準的な圧着アルミニウムパンに入れ、約25℃から350℃まで10℃/分の速度で加熱した。
【0133】
融点(MP)分析
融点分析は、Stuart SMP3融点装置を使用して行った。試料をガラスキャピラリに入れ、10℃/分で加熱した。
【0134】
熱重量(TG)分析
TG分析は、TA Instruments Q5500 Discovery Series装置を用いて行った。機器の天秤はクラスMの重量を使用して較正し、温度較正はアルメルを使用して行った。窒素パージは、天秤では約40mL/分、炉では約60mL/分であった。各試料を風袋計量済み白金皿に入れ、約25℃から350℃まで10℃/分の速度で加熱した。
【0135】
動的水蒸気収着(DVS)分析
DVS分析は、TA Instruments Q5000 Dynamic Vapor Sorptionアナライザーを用いて行った。機器を標準重量で、湿度については臭化ナトリウム標準で較正した。分析のために、約20mgの試料を金属被覆石英パンに入れた。試料を25℃で、1時間の最大平衡時間で、10%の相対湿度(RH)ステップで、5から95%RHまで(吸着サイクル)分析し、95から5%RHまで(脱着サイクル)分析した。あるステップから次のステップへの移動は、0.01%の重量変化の平衡基準を満たした後に、または平衡基準が満たされなかった場合には1時間後に、のいずれかに行った。重量変化率の値は、Microsoft Excel(登録商標)を使用して計算した。DVS分析の温度は、結果の成り行きに影響を及ぼす可能性がある。
【0136】
カールフィッシャー(KF)分析
カールフィッシャー分析は、オーブンアタッチメントを175℃に加熱したMettler-Toledo C20電量KF滴定装置を使用して行った。1%の水を含有するヒドラナール水標準を使用して機器を較正した。滴定液は、ヒドラナールメタノール溶液であった。試料を三連で分析した。
【0137】
光学顕微鏡法
光学顕微鏡実験は、倍率10倍のアイピースおよび倍率10倍の対物レンズを備えたLeica DM 2500P化合物顕微鏡で、合計倍率100倍で行った。画像は、QImaging MicroPublisher 3.3 RTVカメラを使用して撮影した。
【0138】
赤外(IR)分光法
IRスペクトルは、重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器、臭化カリウム(KBr)ビームスプリッターおよび電子温度制御(ETC)Ever-Glo(登録商標)IR源を備えたThermo Nicoletモデル6700フーリエ変換(FT)IR分光光度計を用いて得た。この機器は、SMART iTRダイヤモンド減衰全反射(ATR)サンプリングアクセサリを用いて構成した。バックグラウンド(空気)および試料の単一ビーム走査を、スペクトル範囲4000~400cm-1にわたって2cm-1の分解能で128回の信号平均走査で収集した。最終的な試料スペクトルを自動的に計算し、Log1/R単位で示した。認証されたポリスチレン標準を使用して波長較正を検証した。データの収集および処理は、Omnic 9.7.46ソフトウェアを使用して行った。
【0139】
ラマン分光法
フーリエ変換(FT)ラマンスペクトルを、Nexusラマン付属品モジュールにインターフェース接続されたNicoletモデル6700分光計で取得した。この機器は、1024nmで動作するNd:YAGレーザー、CaF2ビームスプリッター、およびインジウムガリウムヒ素検出器で構成される。OMNIC 8.1ソフトウェアを、データ取得の制御およびスペクトルの処理に使用した。試料を分析のために3インチガラスNMR管に充填した。
【0140】
低周波ラマン分光法
ラマン分光法は、赤外(IR)分光法に対する相補的な技術であり、両方の技術によって、研究している実体の完全な振動分析が得られる。市販のラマン装置は、典型的には、レイリー散乱を遮断し、約100cm-1まで良好な品質のラマンスペクトルのみを得ることを可能にするノッチフィルターを利用する。フィルターの種類に応じて、約500cm-1から50cm-1またはそれより低いスペクトル領域は、低周波数ラマンスペクトル領域と呼ばれる。この領域では、振動モードは、有機化合物の結晶格子、または有機金属分子もしくは無機分子に組み込まれたものなどの重原子に由来する。結晶格子の固有振動数はフォノンモードと呼ばれる。フォノンモードは、基本構造、すなわち研究している特定の化合物の特定の結晶格子から生じる。異なる結晶形態は、典型的には、固有の結晶格子を表示し、したがって、固有のフォノンモードは、それぞれの異なる結晶形態に対して表示される。
【0141】
新しいフィルター設計により、低周波(LF)ラマンスペクトルが利用可能になり、この領域が異なる結晶形態の同定/区別を可能にすることが実証されている(Roy,S.,Chamberlin,B.,and Matzger,A.J.,‘‘Polymorph Discrimination Using Low Wavenumber Raman Spectroscopy,’’Org.Process Res.Dev.2013,17,976-980を参照されたい)。LFラマン分光法は、2200cm-1から0cm-1のストークス領域および0cm-1から-900cm-1のアンチストークス領域を含むラマンスペクトル領域のスペクトル取得を可能にする。LFラマン分光法によりフォノンモード(結晶格子の固有振動数)を観測することができ、これを用いて結晶形態を区別することができる。フォノンモードに対応する同じ「鏡像」信号は、ストークス領域およびアンチストークス領域の両方で見えるが、ストークス信号は、アンチストークス信号よりも強度が強いため、通常、結晶形態を区別するために使用される。
【0142】
LFラマンスペクトルは、ONDAX THzラマン系(励起レーザー853nm、ノッチフィルター)を備えたRenishawラマンを用いて取得した。固体試料を10秒の曝露時間および32回の蓄積によって分析した。固体試料を金スライド上に広げ、固体試料と接触させたONDAX TR-プローブ(Marqme TriX)を用いて分析した。試料分析の前に硫黄参照標準を使用してLF-ラマンを較正した。
【0143】
13C核磁気共鳴(NMR)分光法
固体
13C交差分極マジック角回転(CPMAS)実験を、Bruker Avance II 400分光計で行った。各試料(約200mg)を、後続のデータ取得のためにKel-Fエンドキャップで閉じた4mmジルコニアロータに充填した。アダマンタンは29.5ppmに設定し、外部標準として使用した。使用された取得パラメータおよび処理パラメータを以下の表に示す。
【表1A】
【0144】
実施例1
(イソブチリルオキシ)メチル(1aR,7bS)-5-フルオロ-2-ヒドロキシ-1,1a,2,7b-テトラヒドロベンゾ[e]シクロプロパ[c][1,2]オキサボリニン-4-カルボキシレート(II’)の合成
アセトニトリル(ACN)(25mL)中の化合物(I)(5.0g、17.6mmol)、重炭酸ナトリウム(5.92g、70.4mmol)およびヨウ化ナトリウム(1.62g、8.8mmol)の不均一混合物に対して、イソ酪酸クロロメチル(8.9mL、70.4mmol)を室温で添加した。この不均一混合物を55℃で加熱した。55℃で16時間撹拌した後、HPLCは93.6%の変換を示す。反応混合物を0℃に冷却した。氷水(50mL)を添加し、0℃で1分間撹拌した後、MTBE(50mL)を添加した。層を分離した。有機層を20mMのNaHCO3で数回洗浄し(50mLで3回)、0.7μmのGMFシリンジフィルターを通して濾過した。濾液を数mLに濃縮した。ACN(25mL)を添加し、溶液を25℃でほぼ濃縮乾固した。残留油をACN(25mL)に取り込み、-5℃に冷却した。水(25mL)を添加し、濁った溶液を-6℃に冷却した。温度を-5℃未満に維持しながら、2N NaOH(7.1mL)をpH9になるまでゆっくり添加して、二相混合物を得た。層を分離した(水層を維持)。水層をヘプタン(25mL、水層を保持)で抽出した。無色の水層を室温で固体NaClで飽和させて二相混合物を得た。層を分離した。水層をACN(25mL)で逆抽出した。合わせた有機層を数mLに濃縮した。ACN(25mL)を添加し、不均一混合物を数mLに濃縮した。酢酸イソプロピル(25mL)を添加し、不均一溶液を0.45μmのPTFEシリンジフィルターで濾過して残留塩を除去した。透明な濾液を濃縮乾固させて無色油状ゲルを得、これを本明細書に記載のように結晶化させて化合物(II)のナトリウム塩(すなわち、化合物(II’))を得た。
【0145】
実施例2
(イソブチルオキシ)メチル(1aR,7bS)-5-フルオロ-2-ヒドロキシ-1,1a,2,7b-テトラヒドロベンゾ[e]シクロプロパ[c][1,2]オキサボリニン-4-カルボキシレート(II’)の代替合成
無水アセトニトリル(25mL)中の化合物(I)(5g、17.6mmol)、NaI(1.32g、8.8mol、0.5当量)および粉砕した無水Na2B4O7(5.31g、26.4mmol、1.5当量)の不均一混合物に対して、イソ酪酸クロロメチル(5.6mL、44mmol、2.5当量)を室温で添加した。反応混合物を60℃で加熱した。60℃で16時間撹拌し、室温で2日間撹拌した後、HPLCによる変換は97.5%であった。反応混合物を室温に冷却し、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)(25mL)で希釈し、0℃に冷却した。氷水(25mL)を0℃で添加した。0℃で5分間撹拌した後、二相不均一混合物をセライトで濾過し、塩およびパッドをMTBEですすいだ。透明な二相性濾液を分配し、有機層を、20%ブラインを含有する水(25mLで2回)で、次いでブライン(25mL)で洗浄した。有機層を濃縮乾固した。残留油をACN(25mL)に溶解し、0℃に冷却した。冷水(15mL)を添加し、混合物を0℃に冷却した。温度を5℃未満(pH=7.6)に維持しながら2MのNa2CO3を添加した。次いで、2N NaOHをpH10.5(7.6mL)になるまで添加した。わずかに不均一な混合物をヘプタン(25mLで2回)で抽出した。水層を固体NaClで飽和させ、層を分離した。水層をACN(25mL)で逆抽出した。合わせた有機抽出物を濃縮乾固した。残留油をACN(25mL)に溶解し、濃縮してほぼ乾燥させた。残留油を酢酸イソプロピル(iPAc)(25mL)に溶解し、0.45umのシリンジフィルターで仕上げ濾過した。濾液を濃縮乾固した。残留油をiPAc(3mL)、IPA(1mL)およびヘプタン(25mL)に溶解して、透明な溶液を得た。種を添加した後、ヘプタン(25mL)をさらに添加した。室温で30分間撹拌した後、白色スラリーを得た。室温で一晩撹拌した後、固体を濾過によって回収し、17/3 ヘプタン/IPAc(20mL)ですすぎ、風乾し、次いで、高真空下で乾燥させて、化合物(II’)を白色粉末として得た(4.601g、収率72.2%、純度99.67%、mp=145.4℃、形態B)。
【0146】
実施例3
化合物(II’)の形成に対する塩基の影響
実施例1および2の方法に従って化合物(II’)を調製する場合の塩基の効果を研究した。塩基をNaHCO
3からNaH
2PO
4に変更すると、化合物(I)の変換が改善された。さらに、Na
2B
4O
7の使用は、わずか0.5当量の塩基を使用した場合でさえ96%の変換をもたらした。塩基をNaH
2PO
4またはNa
2B
4O
7のいずれかに変更すると、不純物であるイソブチリルオキシメチルイソブチレート(IBOIB)の形成が有意に減少した。データを以下の表に示す。
【表1B】
【0147】
実施例4
血清活性化:化合物1、2またはIIを水に可溶化し、50μg/mLの濃度でラット、イヌ、サルおよびヒトの血清に添加した。試料を室温で1時間インキュベートし、次いで、LC/MS/MSアッセイを使用して「活性」薬物含有量についてアッセイした。ミクロソーム活性化:化合物1、2、またはIIを水に可溶化し、ラット、イヌ、サル、およびヒトの肝臓ミクロソームに1μMの濃度で添加した。試料を室温で1時間インキュベートし、次いで、LC/MS/MSアッセイを使用して「活性」薬物含有量についてアッセイした。
【表1】
【0148】
実施例5
動物(ラット、イヌ、またはサル)に、強制経口投与によって水中に製剤化された化合物1、2またはIIを投与した。様々な時点でEDTA含有チューブに血液試料を採取した。遠心分離後、血漿試料を、化合物1、2またはIIならびに「活性」薬物含有量についてLC/MS/MSによって分析した。バイオアベイラビリティは、「活性」薬物の静脈内投与後のクリアランスと、化合物1、2、またはIIの経口投与後の「活性」薬物のクリアランスとを比較することによって決定した。
【表2】
【0149】
100mg/kgの化合物2の経口バイオアベイラビリティは46%であったが、化合物1および化合物IIの経口バイオアベイラビリティは両方とも100%であった。さらに、化合物2は結晶性ではなく、その安定性に影響を及ぼし得る。化合物1は、化合物2または化合物IIのいずれよりも有意に遅いヒトミクロソーム活性化を有する。化合物IIは、ミクロソーム活性化プロドラッグの最良の全体的プロファイルを有する。
【0150】
実施例6
化合物(II’)の結晶形態Aの調製
室温で、化合物(II’)を酢酸イソプロピルとイソプロパノールの混合物に溶解する(体積比1:0.2、または化合物(II’)1g当たり2mLの酢酸イソプロピルおよび化合物(II’)1g当たり0.4mLのイソプロパノール)。完全に溶解した後、n-ヘプタン(化合物(II’)1g当たり10mL)を1時間以内の期間にわたって迅速に添加する。n-ヘプタンの添加が完了した後、得られたスラリーをさらに8から12時間撹拌する。スラリーを濾過し、濾過ケークをn-ヘプタンと酢酸イソプロピルの混合物(体積比9:1、化合物(II’)1g当たり2mL)で洗浄し、乾燥させる。
【0151】
実施例7
化合物(II’)の結晶形態Aの代替調製
化合物II’を酢酸イソプロピル(5mL)に溶解し、溶液を50℃で加熱した。ヘプタン(10mL)を添加した後、種(約10mg)を添加し、混合物を50℃で撹拌した。30分かけて、混合物は、透明な溶液から、種が掻き回されて、不透明になり、わずかに不均一になり、濃厚なスラリーになった。より良好に撹拌するためにヘプタン(10mL)を添加した。50℃で2時間撹拌した後、よりよく撹拌するためにヘプタン(10mL)を添加し、スラリーを室温に冷却した。室温で2時間撹拌した後、より良好に撹拌するためにヘプタン(10mL)を添加した。週末にわたって室温で撹拌した後、固体を濾過によって回収し、6/1 ヘプタン/酢酸イソプロピルですすぎ(10mLで2回)、風乾し、次いで高真空下で乾燥させて、白色粉末(4.24g、収率66.6%)を得た。
【0152】
実施例8
化合物(II’)の結晶形態Aの代替調製
化合物II’をヘキサンに溶解し、60~65℃に加熱した。ヘキサン:酢酸エチルの比が85/15(v/v)となるように酢酸エチルを加えた。混合物を50℃に冷却し、50℃で1日間撹拌した。混合物を室温にゆっくり冷却し、室温で3日間精置させて、化合物II’の結晶形態Aを得た。
【0153】
実施例9
化合物(II’)の結晶形態Bの調製
室温で、化合物(II’)を酢酸イソプロピルとイソプロパノールの混合物(体積比1:0.2、または化合物(II’)1g当たり2mLの酢酸イソプロピルおよび化合物(II’)1g当たり0.4mLのイソプロパノール)に溶解する。完全に溶解した後、n-ヘプタン(化合物(II’)1g当たり10mL)を、少なくとも8時間から12時間までの期間にわたってゆっくり添加する。n-ヘプタンの添加が完了した後、得られたスラリーをさらに8から12時間撹拌する。スラリーを濾過し、濾過ケークをn-ヘプタンと酢酸イソプロピルの混合物(体積比9:1、化合物(II’)1g当たり2mL)で洗浄し、乾燥させる。
【0154】
実施例10
化合物(II’)の結晶形態Bの代替調製
室温で、化合物(II’)を酢酸イソプロピルとイソプロパノールの混合物(体積比1:0.2、または化合物(II’)1g当たり2mLの酢酸イソプロピルおよび化合物(II’)1g当たり0.4mLのイソプロパノール)に溶解する。完全に溶解した後、n-ヘプタン(化合物(II’)1g当たり4mL)を添加する。溶液は透明を維持する。形態Bの化合物(II’)の種結晶を添加する(化合物(II’)1g当たり10mg)。その後、n-ヘプタン(化合物(II’)1g当たり5mL)を少なくとも7時間にわたってゆっくり添加する。n-ヘプタンの添加が完了した後、得られたスラリーをさらに8から12時間撹拌する。スラリーを濾過し、濾過ケークをn-ヘプタンと酢酸イソプロピルの混合物(体積比9:1、化合物(II’)1g当たり2mL)で洗浄し、乾燥させる。
【0155】
実施例11
化合物(II’)の結晶形態Bの代替調製
化合物II’(5gスケール)を酢酸イソプロピル(2.5mL)およびイソプロパノール(2.5mL)に溶解した。ヘプタン(15mL)を添加した後、種(約10mg)を添加し、混合物を室温で撹拌した。30分かけて、混合物は、透明な溶液から、種が掻き回されて、不透明になり、わずかに不均一になり、濃厚なスラリーになった。より良好に撹拌するために、ヘプタン(5mLを3回)を1時間にわたって添加した。室温で16時間撹拌した後、固体を濾過によって回収し、10/1/1 ヘプタン/酢酸イソプロピル/イソプロパノール(10mLで2回)ですすぎ、風乾し、次いで高真空下で乾燥させて、白色粉末(4.24g、収率56.6%)を得た。
【0156】
実施例12
化合物(II’)の結晶形態Bの代替調製
化合物II’(200mgスケール)をイソプロパノール(0.3mL)に溶解し、50℃に加熱して、ほとんど透明な溶液を形成した。50℃でさらに5~10分間加熱した後、固体が沈殿し始めた。溶液を室温まで徐冷し、スラリーを室温で1日放置させた。固体を回収し、ヘキサンに懸濁し、真空濾過によって単離して、化合物II’の結晶形態Bを得た。
【国際調査報告】