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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(54)【発明の名称】波エネルギー変換システム
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/24 20060101AFI20230424BHJP
【FI】
F03B13/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556249
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(85)【翻訳文提出日】2022-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2021057156
(87)【国際公開番号】W WO2021186070
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】2004016.8
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521412319
【氏名又は名称】ボンボラ ウェイブ パワー ヨーロッパ エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】BOMBORA WAVE POWER EUROPE LTD
【住所又は居所原語表記】The Offices Cleddau Reach Pembroke Dock Pembrokeshire SA72 6UJ United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィガース,ポール
(72)【発明者】
【氏名】リグ,デービッド チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】レイトン,ジェームズ サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】アルジー,キャンベル ロバート
(72)【発明者】
【氏名】レイトン,サム
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA04
3H074BB15
3H074CC24
(57)【要約】
システムの流体流路における流体流に応答して電気を発生させるように構成されたパワーテークオフ(PTO)を有するWECシステムに接続するためのWECモジュールが開示される。モジュールは、モジュールをシステムに解放可能に取り付けるための取付け部分と、モジュールと流体流路との間に封止された流体接続を提供するように構成された変形可能な封止部材と、封止された流体接続を介して流体流路と作動流体を波動に応答して交換するように構成された作動面と、を含む。WECシステムおよびWECモジュールを展開する方法も開示される。作動面のための据付装置および作動面を据え付ける方法も開示される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波エネルギー(WEC)システムに接続するためのWECモジュールであって、前記WECシステムは、前記システムの流体流路における流体流に応答して電気を発生させるように構成されたパワーテークオフ(PTO)を有し、前記WECモジュールが、
前記モジュールを前記システムに解放可能に取り付けるための取付け部分と、
前記モジュールと前記流体流路との間に封止された流体接続を提供するように構成された変形可能な封止部材と、
前記封止された流体接続を介して前記流体流路と作動流体を波動に応答して交換するように構成された作動面と、を含む、WECモジュール。
【請求項2】
前記作動面によって封止される孔を画定する支持フレームを含む、請求項1に記載のWECモジュール。
【請求項3】
前記支持フレームが、セル本体の対応するシステム封止面に対して封止するためのモジュール封止面を含み、変形可能なシールが前記モジュール封止面に配置されている、請求項2に記載のWECモジュール。
【請求項4】
前記変形可能なシールが、前記支持フレームによって画定された前記孔の周囲に沿って延びている、請求項3に記載のWECモジュール。
【請求項5】
前記モジュール封止面が、収縮位置と、変形可能な封止エレメントがシステム封止面に対して封止する封止位置との間で可動な前記支持フレームの可動部分の一部を形成している、請求項3に記載のWECモジュール。
【請求項6】
前記可動部分が、前記モジュール封止面に対して実質的に垂直な調節軸線に沿って可動である、請求項5に記載のWECモジュール。
【請求項7】
前記可動部分を前記封止位置に向かって付勢するための付勢部材を含む、請求項5または6に記載のWECモジュール。
【請求項8】
前記支持フレームが、前記支持フレームをセル本体に選択的にロックするための複数のロックを含む、請求項2から7のいずれか一項に記載のWECモジュール。
【請求項9】
前記支持フレームが、前記モジュールを前記システムのベース構造上に案内するように構成されたガイド部分を含み、前記ガイド部分の1つまたは複数の面が、前記ベース構造への接続中の前記モジュールの移動方向において外方へテーパしている、請求項2から8のいずれか一項に記載のWECモジュール。
【請求項10】
前記支持フレームが、前記セル本体および前記作動面によって作動流体の貯蔵のためのチャンバが画定されるようにセル本体の一部を形成している、請求項2から9のいずれか一項に記載のWECモジュール。
【請求項11】
孔を画定するセル本体を含み、前記作動面が、前記セル本体および前記作動面によって作動流体の貯蔵のためのチャンバが画定されるように前記孔を封止している、請求項1に記載のWECモジュール。
【請求項12】
前記支持フレームが、前記支持フレームが前記セル本体に取り付けられているとき前記セル本体および前記作動面によって作動流体の貯蔵のためのチャンバが画定されるように、前記システムの一部を形成するセル本体に解放可能に取り付けるように構成されている、請求項2から9のいずれか一項に記載のWECモジュール。
【請求項13】
前記モジュールが、前記封止された接続を介して前記チャンバと前記流体流路との間で流体を交換するための流体交換ポートを含む、請求項2から11のいずれか一項に記載のWECモジュール。
【請求項14】
前記流体交換ポートが、前記流体流路の対応するシステム封止面と封止するためのモジュール封止面を含み、前記変形可能な封止エレメントが前記モジュール封止面に配置されている、請求項13に記載のWECモジュール。
【請求項15】
前記流体交換ポートの前記モジュール封止面が、収縮位置と、前記変形可能な封止エレメントが前記システム封止面に対して封止する封止位置との間で可動な前記流体交換ポートの可動部分の一部を形成している、請求項14に記載のWECモジュール。
【請求項16】
前記流体交換ポートの前記可動部分が、前記モジュール封止面に対して実質的に垂直な調節軸線に沿って可動である、請求項15に記載のWECモジュール。
【請求項17】
前記流体交換ポートの前記可動部分を前記封止位置に向かって付勢するための付勢部材を含む、請求項15または16に記載のWECモジュール。
【請求項18】
前記変形可能な封止部材が、膨張可能である、請求項1から17のいずれか一項に記載のWECモジュール。
【請求項19】
前記モジュールが、前記システムに取り付けられたとき、前記作動面が実質的に水平面に沿って延びるように構成されている、請求項1から18のいずれか一項に記載のWECモジュール。
【請求項20】
前記取付け部分が、第1の取付け部分であり、前記モジュールが、前記第1の取付け部分から間隔を置いて配置された第2の取付け部分を含み、前記第1および第2の取付け部分のうちの一方または両方が、前記取付け部分の間の距離を変化させることができるように可動である、請求項1から19のいずれか一項に記載のWECモジュール。
【請求項21】
WECシステムであって、
作動流体の流れから電気を発生させるためのパワーテークオフ(PTO)装置と、
前記PTO装置と流体接続した流体流路と、
複数のWECモジュールであって、各モジュールが、前記流体流路と流体接続されておりかつ前記流体流路と作動流体を波動に応答して交換するように構成されている、複数のWECモジュールと、
複数の流体交換ポートであって、各流体交換ポートが、それぞれのモジュールを前記流体流路に解放可能に接続しておりかつ前記それぞれのモジュールと前記流体流路との間の接続を封止するために配置された変形可能な封止エレメントを備える、複数の流体交換ポートと、を含む、WECシステム。
【請求項22】
前記複数のWECモジュールが、前記流体流路が前記WECモジュールによって画定されるように互いに取り付けられている、請求項21に記載のWECシステム。
【請求項23】
各WECモジュールが請求項11に記載のものであるか、または請求項11に従属する請求項12から20のいずれか一項に記載のものである、請求項22に記載のWECシステム。
【請求項24】
前記WECモジュールが、ベース構造に取り付けられており、前記流体流路が、前記ベース構造の少なくとも1つのダクトによって画定されている、請求項21に記載のWECシステム。
【請求項25】
各WECモジュールが、請求項1から20のいずれか一項に記載のものである、請求項24に記載のWECシステム。
【請求項26】
前記流体流路が、前記PTOの上流にデブリセパレータを含む、請求項24または25に記載のWECシステム。
【請求項27】
前記デブリセパレータが、前記流体流路の水平部分に配置されたグリルおよびデブリトラップを含み、前記グリルが、少なくとも部分的に前記デブリトラップにオーバーハングするように前記流体流路を横切って傾斜されている、請求項26に記載のWECシステム。
【請求項28】
前記デブリセパレータが、実質的に水平に向けられるように前記流体流路の鉛直部分を横切って延びるグリルと、前記グリルの下方に配置されたデブリトラップとを含む、請求項26に記載のWECシステム。
【請求項29】
前記デブリセパレータが、遠心分離機を含む、請求項26に記載のWECシステム。
【請求項30】
各WECモジュールが、前記ベース構造のそれぞれの第1および第2の収容部分と係合するための第1および第2の取付け部分を含む、請求項24に記載のWECシステム。
【請求項31】
前記取付け部分が収縮位置と延伸位置との間で可動であるように、前記取付け部分のうちの少なくとも一方が可動である、請求項30に記載のWECシステム。
【請求項32】
前記少なくとも一方の取付け部分が、アクチュエータによって可動である、請求項31に記載のWECシステム。
【請求項33】
前記ベース構造が、それぞれがそれぞれのWECモジュールを収容するための複数のドッキングステーションを含み、各ドッキングステーションが、WECモジュールの前記第1および第2の取付け部分と係合するための第1および第2の収容部分を含む、請求項31または32に記載のWECシステム。
【請求項34】
前記第1の収容部分が、前記第2の収容部分の上方かつ後方にある、請求項33に記載のWECシステム。
【請求項35】
前記第1の収容部分が、入口領域を有するフック状の凹所と、前記入口領域に対して垂直に延びるロッキング領域とを含む、請求項33または34に記載のWECシステム。
【請求項36】
前記第1の収容部分が、対応する取付け部分を前記収容部分の前記凹所内へ案内するための傾斜した案内面を画定する前方へ突出した部分を含む、請求項35に記載のWECシステム。
【請求項37】
ベース構造上にモジュール式WECモジュールを展開する方法であって、
浮揚ツールからWECモジュールを吊り下げ、
前記浮揚ツールを前記ベース構造の上方に位置決めし、
前記WECモジュールの第1の取付け部分を前記ベース構造の第1の収容部分と係合させるために、前記WECモジュールを第1の下降移動において前記ベース構造へ下降させ、
前記WECモジュールの第2の取付け部分を前記ベース構造の第2の収容部分と係合させるために、前記WECモジュールを、前記第1の下降移動に続く第2の下降移動において下降させることを含む、ベース構造上にモジュール式WECモジュールを展開する方法。
【請求項38】
前記浮揚ツールは、それらの間にWECモジュールを収容するための、間隔を置いて配置された第1および第2の船体と、前記第1および第2の船体から前記WECモジュールを吊り下げるために前記第1および第2の船体を横切って延びるガントリとを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の取付け部分と前記第2の取付け部分との間の係合は、前記第2の下降移動が前記第1の取付け部分を中心とする前記WECモジュールの回転を生じるようになり得る、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
前記WECモジュールの取付け部分を、前記ベース構造への取付けのために、前記取付け部分が第1の距離によって分離された収縮位置から、前記取付け部分が前記第1の距離よりも大きい第2の距離によって分離された延伸位置へ移動させることをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記浮揚ツールを前記ベース構造の上方に位置決めする前に、前記WECモジュールの作動流体チャンバを少なくとも部分的に充填することを含む、請求項37から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
セル本体への作動面の据付のためのポータブル据付装置であって、前記据付装置は、開口を画定する本体と、前記開口を横切って延びるように前記本体に作動面を解放可能に取り付けるための前記開口の周囲における1つまたは複数の取付け部分とを含む、ポータブル据付装置。
【請求項43】
前記本体が、キャビティを画定しており、前記開口が、前記キャビティへの開口であり、前記取付け部分が、前記作動面が前記取付け部分に取り付けられたとき、前記作動面が前記キャビティへの前記開口を封止するように構成されている、請求項42に記載の据付装置。
【請求項44】
前記本体が、前記作動面が前記開口を封止したとき前記キャビティからの流体流のための出口を含む、請求項43に記載の据付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、波エネルギーコンバータ(WEC)システム、WECセルおよびWECセルを展開する方法に関する。本開示は、作動面を据え付けるための据付装置および作動面を据え付ける方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
波エネルギーから電気エネルギーを発生させるための波エネルギー変換システムはよく知られている。振動水柱装置および差圧コンバータを含む幾つかの異なるシステムが提案されてきた。
【0003】
振動水柱(OWC)装置は、開放端部の典型的には円筒形のチャンバ内での海水の鉛直方向振動からのエネルギーを利用する。チャンバは半分沈められており、チャンバの下端部は水に対して開放しており、上端部には捕捉されたエアポケットを備える。波は、チャンバ内の水柱をピストンのように作用させ、このピストンが、従来のOWCでは、移動して空気をチャンバに出し入れする。この結果、空気の流れが生じ、この空気の流れは、パワーテークオフシステムにおける双方向タービンを通じてまたは一方向タービンを通じて弁システムによって導かれる。
【0004】
これらのOWC装置は、しばしば、水が方向を変化させかつ非流線形エッジの周囲を流れることを必要とする。これは、システム内の摩擦およびエネルギー損失を増大させ、波動との良好な結合を妨げる可能性がある遅延を導入する可能性がある。OWC装置は、また、システムのパワー出力に対してそれらの建設、据付およびアンカリングにおいてかなりの量の材料を必要とする。双方向タービンは、塩分を含む空気に曝され、これは、タービンの耐食性のためのコストおよびメンテナンスコストを増大させる可能性がある。
【0005】
沈められた差圧コンバータ(そのうちの幾つかは、膜動力変換装置/コンバータまたは膜-空圧式動力変換装置/コンバータとしても知られている)は、波の下方の異なる位置における静水圧の差を利用して(コンバータの上方の水の鉛直方向高さに依存する)、閉鎖されたパワーテークオフシステムに接続されたセル内に差圧を生じる。差圧は、閉鎖されたパワーテークオフシステム内に低慣性で、低摩擦エネルギーの伝達流体(例えば、空気)の流れを生じ、これは、タービンおよび発電機(塩分を含む空気に曝されない)にエネルギーを伝達する。
【0006】
セルには、それぞれ、典型的には、海水と、閉鎖されたパワーテークオフシステムとの間の作動面として柔軟な(通常は繊維強化工業用ゴム)膜が設けられており、柔軟な膜は、大きなスイープされるセル体積を提供するために使用することができる作動面のジオメトリの大きな変化を可能にする。膜の繊維強化は、極端な条件における過剰な負荷から膜を保護する。
【0007】
BomboraのmWave(商標)システムは、沈められた差圧コンバータの一例であり、海底に取り付けられた一連の空気が充填されたセルを特徴とする。各セルは、凹面状のセル壁を有するセル本体と、到来する波の方向に角度付けられた、膨張させられたドーム型の柔軟なゴム膜作動面とによって画定されている。波がセル上を通過すると、柔軟な膜ジオメトリは、波の静水圧に応答し、セル内の空気が、ダクト内へ(セル壁に設けられた一方向逆止弁を通じて)およびタービンを通じて押し出される。発電機は、タービンの回転を利用して電気を発生させる。空気はリサイクルされて膜を再び膨張させ、次の波に対して準備する。
【0008】
このようなシステムにおける1つの問題は、システムが水中に沈められているため、これらのシステムの構成要素をメンテナンスまたは修理することが困難である可能性があるということである。幾つかの場合、修理はシステムのシャットダウンを必要とする場合があり、これは、システムのオペレータにとってコストを生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
公知のシステムに関連する問題の少なくとも幾つかを改善するWECセルを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、波エネルギー変換(WEC)システムに接続するためのWECモジュールであって、WECシステムは、システムの流体流路における流体流に応答して電気を発生させるように構成されたパワーテークオフ(PTO)を有し、WECモジュールが、
モジュールをシステムに解放可能に取り付けるための取付け部分と、
モジュールと流体流路との間に封止された流体接続を提供するように構成された変形可能な封止部材と、
封止された流体接続を介して流体流路と作動流体を波動に応答して交換するように構成された作動面と、を含む、WECモジュールが提供される。
WECモジュールの一部としての作動面および封止部材の提供は、例えば、メンテナンス、修理または交換の目的でこれらの構成要素がシステムから分離されることを可能にし得る。変形可能な封止部材の提供は、モジュールが沈められた時でさえ(すなわち、水域の自由表面の下方に)、モジュールと流体流路との間に封止が維持されることを保証し得る。
【0011】
ここで選択的な特徴が示される。これらは、単独でまたはあらゆる態様とのあらゆる組合せにおいて適用可能である。
【0012】
作動面は、膜の形式であってもよい。膜は、弾性的な膜であってもよい。作動流体は、空気などのガスであってもよい。
【0013】
モジュールは、セル本体を含むWECセルの形式であってもよい。セル本体は、孔を画定してもよく、作動面は、孔を封止してもよい。セル本体および作動面は、作動流体の貯蔵のためのチャンバを画定してもよい。セル本体は、チャンバを部分的に画定する凹面を有してもよい。凹面は、制限面であってもよい(作動面は、使用時に膨張するところの面に接触(例えば、当接)してもよい)。
【0014】
幾つかの実施形態において、モジュールは、複数(例えば、2つ)のセル本体と、複数の作動面とを含んでもよく、各作動面は、作動流体のための対応する(例えば、別個の)チャンバを画定する。
【0015】
モジュールは、チャンバとシステムの流体流路との間で流体を交換するための流体交換ポートを含んでもよい。流体交換ポートは、孔の形式であってもよい。流体交換ポートは、セル本体の凹面に設けられていてもよい。流体交換ポートは、対応するシステム封止面との封止(すなわち、流体流路への開口において)のためのモジュール封止面を含んでもよい。変形可能な封止部材が、モジュール封止面に配置されてもよい。モジュール封止面は、(対応する平坦なシステム封止面に対して封止するために)概して平坦であってもよい。モジュール封止面は、流体交換ポートの開口の周囲に(例えば、周方向に)延びていてもよい。変形可能な封止部材は、流体交換ポートの開口の周囲に延びていてもよい。
【0016】
流体交換ポートは、可動部分を含んでもよい。モジュール封止面は、可動部分の一部を形成してもよい。これに関して、変形可能な封止部材は、可動部分に配置されてもよい。可動部分は、収縮位置と、変形可能な封止エレメントがシステム封止面に対して封止する封止位置との間で可動であってもよい。可動部分は、調節軸線に沿って可動であってもよい。調節軸線は、ポートを通る流体流の方向に対して実質的に平行(および/または封止面の平面に対して実質的に垂直)であってもよい。代替的に、可動部分は、例えば、半径方向外方または内方へ可動であってもよい。
【0017】
調節軸線に沿った可動部分の位置は、調節機構によって調節可能であってもよい。調節機構は、可動部分を流体交換ポート(例えば、流体交換ポートの定置部分)に接続するねじ山付きロッドを含んでもよい。
【0018】
調節機構は、可動部分を封止位置に向かって付勢するための付勢装置を含んでもよい。付勢装置は、可動部分を調節軸線に沿って流体交換ポートから離れる方向へ付勢してもよい。言い換えれば、付勢装置は、可動部分をシステム封止面に向かって押し付けるように構成されてもよい。
【0019】
封止面の間の当接時(例えば、封止部材を介して)、可動部分は、システム封止面によって移動させられてもよい(すなわち、付勢装置の付勢に抗して)。このように、付勢装置は、モジュール封止面をシステム封止面に向かって押し付け、それらの間に形成される封止を高めてもよい。
【0020】
その他の実施形態において、モジュールおよびシステムの封止面は、周方向面であってもよい。したがって、例えば、モジュール封止面は、システム封止面を周方向に包囲するようにまたはシステム封止面によって周方向に包囲されるように構成されてもよい。このような実施形態では、封止部材は、モジュール封止面の周囲に周方向に延びていてもよい。封止部材は、モジュール封止面から(すなわち、内方または外方へ)システム封止面に向かって実質的に半径方向に突出していてもよい(すなわち、使用時に封止面の間に形成されるあらゆる間隙を横切って延びる)。封止部材は、モジュール封止面に沿って互いに間隔を置いて配置された、複数の半径方向に延びる突出部を含んでもよい。その突出部または各突出部は、半径方向軸線から傾斜させられていてもよい。
【0021】
封止部材は、膨張可能であってもよい。したがって、封止部材は、封止部材の膨張のために流体が充填されるように構成された内部キャビティを含んでもよい。封止部材は、例えば、チューブ(例えば、環状のチューブ)の形式であってもよい。
【0022】
幾つかの実施形態において、モジュールは、複数の流体交換ポートを含んでもよい。変形可能な封止部材は、複数の流体交換ポートのための封止された接続を提供するように構成されてもよい。したがって、例えば、変形可能な封止部材は、複数の流体交換ポートの周囲に(すなわち、システムに面した面上で)延びていてもよく、これにより、封止部材によって区切られた流体交換ポートは、モジュールがWECシステムに接続されているとき、外部環境から封止される。
【0023】
1つの実施例において、変形可能な封止部材は、セル本体の周囲(例えば、モジュール/セル本体のシステムに面した面の周囲)など、モジュールの周囲に沿って延びていてもよい。言い換えれば、変形可能な封止部材は、孔の周囲に沿って延びていてもよい。
代替的に、各流体交換ポートは、専用の変形可能な封止部材を含んでもよい(すなわち、それぞれ、上記のようなものであってもよい)。
【0024】
モジュールは、モジュールへの流体流のための入口ポートおよびモジュールからの流体流のための出口ポートを含んでもよい。その流体交換ポートまたは各流体交換ポートは、ポートを通る1つの方向に流れを制限するための弁(例えば、一方向弁)を含んでもよい。ポートは、追加的または代替的に、ポートを通る流体流の防止を可能にする遮断弁を含んでもよい。遮断弁は、例えば、モジュールの展開中に使用されてもよい。
【0025】
モジュールは、サンプ(sump)を含んでもよい。サンプは、チャンバにおける液体(例えば、水)の収集のために、チャンバの使用時の低い点に配置されてもよく、またはチャンバの使用時の低い点に流体接続されてもよい。サンプは、サンプから液体を排出するためのポンプを含んでもよく、またはポンプと流体接続していてもよい。
【0026】
その他の実施形態において、流体交換ポートは、チャンバからの液体の排出のために配置されてもよい。したがって、流体交換ポートは、チャンバの使用時の低い点と流体接続していてもよい。流体交換ポートは、チャンバから液体を排出するように構成されるために低い点から傾斜して配置されてもよい。したがって、液体は、流体交換ポートを介してチャンバからシステムの流体流路へ排出されてもよい。
【0027】
幾つかの実施形態において、モジュールは、システムのベース構造(流体流路およびPTOを含んでもよい)に取り付けるように構成されてもよい。
【0028】
取付け部分は、第1の取付け部分であってもよく、モジュールは、第1の取付け部分から間隔を置いて配置された第2の取付け部分を含んでもよい。
【0029】
第1および第2の取付け部分の一方または両方は可動であってもよく、これにより、取付け部分の間の距離が変更されてもよい。これに関して、第1および第2の取付け部分は、それらが第1の距離によって分離されている収縮位置と、それらが第1の距離よりも大きな第2の距離によって分離されている延伸位置との間で可動であってもよい。
【0030】
その取付け部分または各取付け部分は、ピン、バー、突出部、フック、溝、凹所などの形式であってもよい。その取付け部分または各取付け部分は、ラム(例えば、液圧式ラム)などのアクチュエータによってモジュール(例えば、セル本体)に接続されてもよい。このように、その取付け部分または各取付け部分は、アクチュエータによって(例えば、収縮位置と延伸位置との間で)可動であってもよい。
【0031】
1つの実施形態において、第1の取付け部分は、モジュール(またはセル)の使用時の上端部に配置されてもよく、下側取付け部分は、モジュールの使用時の下端部に配置されてもよい。第1の取付け部分は、固定された取付け部分であってもよいのに対し、第2の取付け部分は、アクチュエータによってモジュール(例えば、セル本体)に可動に接続されてもよい。このように、モジュールは、第1の取付け部分を構造の第1の収容部分に係合させ、次いで、構造の第2の収容部分に係合するように第2の取付け部分を(すなわち、延伸位置へ)移動させることによって構造に取り付けられてもよい。収容部分への取付け部分の延伸は、これにより、ベース構造に対してモジュールをロックしてもよい。
【0032】
その取付け部分または各取付け部分は、オーバーセンター機構によってモジュール(例えば、セル本体)に取り付けられてもよい。オーバーセンター機構は、中央回転軸において互いに接続された第1および第2のリンクを含んでもよい。取付け部分は、オーバーセンター機構の遠位端部に配置されてもよい。近位端部(遠位端部とは反対側)は、モジュール(例えば、モジュールのセル本体)に回転可能に接続されてもよい。アクチュエータ(例えば、液圧式ラム)は、中央回転軸とモジュール(例えば、セル本体)との間に接続されてもよい。
【0033】
別の実施形態において、第1および第2の取付け部分は両方とも、固定された取付け部分であってもよい。第1および/または第2の取付け部分は、ピンを収容するための孔を含んでもよい。孔は、実質的に使用時の水平面に向けられていてもよい(すなわち、鉛直方向に延びるピンを収容するために)。第1および/または第2の取付け部分は、ピンを含んでもよい。ピンは、テーパしていてもよい(すなわち、ピンの遠位端部まで内方へ)。ピンは、孔(例えば、ベース構造の)に収容されるように配置されてもよい。ピンは、使用時に実質的に鉛直方向に延びていてもよい(すなわち、ベース構造へのモジュールの取付け中)。ピンは、使用時に下方へ延びていてもよい。
【0034】
モジュールは、さらに、バラストウェイトを含んでもよい。バラストウェイトは、波動によるモジュールの移動を防止するために十分な質量を有してもよい。バラストウェイトは、例えば、150~500kgの重量を有してもよい。一般的に、バラストウェイトは、セルモジュールの総重量(すなわち、バラストウェイトを含む)が、最大浮揚力およびモジュールが受ける流体力学的持ち上げ負荷の合計を超過するように選択されてもよい。バラストウェイトの下側は、システムのベース構造の凹所または突出部と係合するための凹所または突出部を含んでもよい。
【0035】
幾つかの実施形態では、モジュールは、作動面によって封止される開口を画定する支持フレームを含んでもよい。
【0036】
支持フレームは、セル本体の一部を形成してもよい(すなわち、支持フレームによって画定された孔は、セル本体の孔であってもよい)。代替的に、支持フレームは、WECシステムの一部を形成する(例えば、WECシステムのベース構造の一部を形成する)セル本体に取り付けるように構成されてもよい。支持フレームがセル本体に取り付けられると、支持フレーム、作動面およびセル本体は、作動流体を貯蔵するためのチャンバを画定し得る(すなわち、モジュールは、WECシステムに接続されると(例えば、セル本体に取り付けられると)チャンバのみを形成するように構成され得る)。このような実施形態において、モジュールは、セル本体を含まなくてもよい(例えば、構造は、支持フレームによって画定された孔を横切って延びていなくてもよい)。(例えば、セル本体に直接作動面を取り付けるのではなく)支持フレームを提供する1つの利点は、支持フレームが、据付前の作動面(弾性である場合)のプレテンショニングを可能にするということである。このようなプレテンショニングは、沈められるセル本体において行うことが困難であり得る。
【0037】
支持フレームは、長円形であってもよい。支持フレームは、孔(例えば、長円形の孔)を画定するためにリング状(例えば、長円形のリング状)に形成されたリング部材(孔チューブの形式であってもよい)を含んでもよい。支持フレームは、リング部材から垂れ下がるスカート(例えば、作動面から離れるように延びている)を含んでもよい。支持フレームは、リング部材から垂れ下がる内側および/または外側スカート(例えば、作動面から離れるように延びている)を含んでもよい。
【0038】
支持フレームは、モジュールが接続されたときWECシステムのベース構造の表面(例えば、システムのセル本体)に着座するように構成されたベース部材(例えば、ベースプレートの形式)を含んでもよい。ベース部材は、支持フレームのスカートから(例えば、外方へ)延びていてもよい。ベース部材は、内側および外側スカートの間に横方向に延びていてもよい。ベース部材は、支持フレームによって画定された孔の周囲に(例えば、全周に)延びていてもよい。すなわち、ベース部材は、孔/支持フレームの周囲に沿って延びていてもよい。
【0039】
ベース部材の表面は、システムのベース構造の封止面に対して封止するためのモジュール封止面を画定している。変形可能な封止部材が、ベース部材のモジュール封止面に配置されていてもよい。変形可能な封止部材は、(例えば、ベース部材のモジュール封止面に沿って)支持フレームによって画定された孔の周囲に(例えば、全周に)延びていてもよい。すなわち、変形可能な封止部材は、支持フレームの周囲に沿って延びて(したがって、封止して)いてもよい。
【0040】
支持フレームは、WECシステムのベース構造(例えば、セル本体)上にモジュールを案内するように構成されたガイド部分(例えば、周囲ガイド部分)を含んでもよい。ガイド部分は、支持フレームによって画定された孔の周囲に延びていてもよい(例えば、孔の実質的に全周に延びていてもよい)。ベース構造は、例えば、モジュールがセル本体を含まない場合、セル本体であってもよい。ガイド部分は、ベース構造上へモジュールを案内するためにモジュールの接続中にベース構造の1つまたは複数の対応する表面に係合するように配置された1つまたは複数の表面を含んでもよい。ガイド部分の1つまたは複数の表面は、ベース構造の接続中にモジュールの移動方向において外方へテーパしていてもよい(すなわち、作動面から離れる方向において外方へテーパしていてもよい)。
【0041】
ガイド部分(例えば、ガイド部分の1つまたは複数の表面)は、キャビティと、ベース構造の一部をキャビティに収容するための開口とを画定してもよい。キャビティは、ベース構造との接続中に、モジュールの移動の方向において外方へテーパして(すなわち、作動面に向かう方向に内方へテーパして)いてもよい。キャビティを画定するガイド部分の1つまたは複数の表面は、ベース構造に取り付けられたとき、(例えば、対応してテーパしている)ベース構造の外面に着座してもよい。
【0042】
ベース構造に着座させられると、ガイド部分は、モジュールの移動を削減することを補助し得る。これは、特に、例えば、ベース構造の一部を孔に収容するためにガイド部分が孔の全周に(または実質的に全周に)延びている場合であり得る。
【0043】
ガイド部分は、リング部材および/または支持フレームのスカートから垂れ下がっていてもよい。ガイド部分は、リング部材および/またはスカートに沿って延びていてもよい(すなわち、孔の周囲に沿って延びるために)。ガイド部分は、リング部材および/またはスカートから垂れ下がりかつ(リング部材によって画定された)孔の周囲に互いに間隔を置いて配置された複数のウェブを含んでもよい。ウェブは、プレートの形式であってもよい。ウェブの内側エッジ/表面は、テーパしたキャビティを画定していてもよい。
【0044】
支持フレームは、可動部分を含んでもよい。モジュール封止面は、可動部分の一部を形成していてもよい。可動部分は、収縮位置と、変形可能な封止エレメントがシステム封止面に対して封止する封止位置との間で可動であってもよい。可動部分は、モジュール封止面に対して実質的に垂直な調節軸線に沿って可動である。
【0045】
モジュール(例えば、支持フレーム)は、可動部分を封止位置に向かって付勢するための付勢部材を含んでもよい。
【0046】
モジュールは、モジュールの周囲に沿って(例えば、均等に)間隔を置いて配置された複数の取付け部分を含んでもよい。取付け部分は、支持フレームの周囲に沿って間隔を置いて配置されていてもよい。すなわち、取付け部分は、支持フレーム(またはセル本体)によって画定された孔の周囲に沿って間隔を置いて配置されていてもよい。
【0047】
1つまたは複数の取付け部分は、支持フレームのリング部材の後方にあってもよい。
【0048】
支持フレームは、支持フレームをシステムのベース構造のセル本体に選択的にロックするための1つまたは複数のロックを含んでもよい(すなわち、モジュールの取付け部分は、1つまたは複数のロックの形式であってもよい)。ロックは、ベース部材(例えば、ベースプレート)から突出していてもよい。各ロックは、ツイストロックなどの解放可能なロックの形式であってもよく、この場合、ロックが、セル本体(またはベース構造)の凹所または孔に収容され、アンロックおよびロック位置の間で回転可能である。幾つかの実施形態において、ロックは、1つのアクチュエータによって可動であるように動作可能に接続されていてもよい。
【0049】
その他の実施形態において、取付け部分は、(ベース構造に引っ掛かるために)支持フレームの周囲に沿って間隔を置いて配置されたフックの形式であってもよい。取付け部分は、支持フレームの周囲に沿って間隔を置いて配置された複数の孔または凹所の形式であってもよい。
【0050】
代替的または追加的に、支持フレームの取付け部分は、1つまたは複数の周囲突出部(例えば、周囲リップ)の形式であってもよい。この場合、ベース構造は、1つまたは複数の周囲突出部(例えば、周囲リップ)に係合するためのクランプまたはロックを含んでもよい。
【0051】
モジュールは、WECシステムに取り付けられたとき、作動面が実質的に水平面に沿って延びるように構成されてもよい。WECモジュールが支持フレームおよびガイド部分を含む実施形態は、特にこの水平構成に適している場合がある。
【0052】
代替的に、幾つかの実施形態において、モジュールは、WECシステムに取り付けられたとき、作動面が、水平に対して傾斜した平面に沿って延びるように構成されてもよい。幾つかの実施形態において、モジュールは、WECシステムに取り付けられたとき、作動面が実質的に鉛直平面に沿って延びるように構成されてもよい。
【0053】
幾つかの実施形態において、モジュールは、作動面の(使用時の)外面上に延びる外部構造を含んでもよい。外部構造は、支持フレームおよび/またはセル本体から延びていてもよい。外部構造は、支持フレームおよび/またはセル本体を構造的に支持するように構成されてもよい。
【0054】
外部フレームは、作動面の拡張/膨張を制限するように構成された作動面制限器の形式である場合がある。このような制限器は、過剰な拡張/膨張による作動面に対する損傷を回避する場合がある。作動面制限器は、ケージの形式であってもよい。ケージは、剛性であってもよい(例えば、複数の剛性部材から形成されてもよい)。代替的に、ケージは、柔軟であってもよい(例えば、ストラップなどの複数の柔軟な部材から形成されてもよい)。
【0055】
制限器(例えば、ケージ)は、例えば、ハンドリングツール(ウィンチなど)による装置の操縦を可能にするために1つまたは複数の係合箇所を含んでもよい。これに関して、制限器は、デュアル機能を提供してもよい。
【0056】
モジュールは、沈められる(すなわち、水域の自由表面の完全に下方に配置される)ように構成されてもよい。
【0057】
モジュールは、バッテリなどの電源を含んでもよい。
【0058】
モジュールは、モジュールの作動特性またはモジュールを包囲する環境の特性を検出するためのセンサなどの機器を含んでもよい。
【0059】
モジュールは、遠隔でかつ/またはそれに接続されたときにベース構造と通信するための通信装置を含んでもよい。通信装置は、無線通信(例えば、Wi-Fiまたはセルラーネットワークを介する)のために構成されてもよい。これに関して、モジュールの様々な部分が、遠隔で制御されてもよい。例えば、その可動な取付け部分または各可動な取付け部分は、遠隔制御のために構成されてもよい(すなわち、遠隔位置から受信される信号を介して作動されてもよい)。
【0060】
モジュールは、ソーナー信号を送信および/または受信するためのソーナー装置を含んでもよい。
【0061】
モジュールは、ベース構造との電機接続のためのコネクタを含んでもよい。コネクタは、ベース構造とモジュールとの間の通信および/または動力伝達のために構成されてもよい。
【0062】
第2の態様において、WECシステムであって、
作動流体の流れから電気を発生させるためのパワーテークオフ(PTO)装置と、
PTO装置と流体接続した流体流路と、
複数のWECモジュールであって、各モジュールが、流体流路と流体接続されておりかつ流体流路と作動流体を波動に応答して交換するように構成されている、複数のWECモジュールと、
複数の流体交換ポートであって、各流体交換ポートが、それぞれのモジュールを流体流路に解放可能に接続している、複数の流体交換ポートと、
モジュールと流体流路との間の接続を封止するために配置された1つまたは複数の変形可能な封止エレメントとを、を含む、WECシステムが提供される。
【0063】
各WECモジュールは、第1の態様に関して上記で説明したようなものであってもよい。各WECモジュールは、第5の態様に関して以下で説明するようなものであってもよい。
【0064】
流体流路は、少なくとも部分的に複数のWECモジュールによって画定されてもよい。幾つかの実施形態において、流体流路は、全体的に複数のWECモジュールによって画定されてもよい。したがって、例えば、WECモジュールは互いに取り付けられてもよく、流体交換ポートは、各モジュールをそれとの流体交換のために隣接するモジュールに接続してもよい。このような実施形態において、WECモジュールは海底に固定されてもよい。その他の実施形態において、WECモジュールは沈められ(例えば、海域の自由表面よりも完全に低くなるように完全に沈められ)てもよく、海底に拘束されてもよい。代替的に、WECモジュールは、浮揚構造を画定してもよく、海底に拘束されてもよい。
【0065】
その他の実施形態において、流体流路は、少なくとも部分的にベース構造によって画定され(例えば、ベース構造の1つまたは複数のダクトによって画定され)てもよい。したがって、WECモジュールは、ベース構造に接続されてもよい。ベース構造は、例えば、海底に固定された永久構造であってもよい。その他の実施形態において、ベース構造は沈められ(例えば、水域の自由表面よりも完全に低くなるように完全に沈められ)てもよく、海底に拘束されてもよい。代替的に、ベース構造は浮揚構造であってもよく、海底に拘束されてもよい。
【0066】
ベース構造は、1つまたは複数の変形可能な封止エレメントを含んでもよい。モジュールがベース構造に接続される幾つかの実施形態において、各WECモジュールは、変形可能な封止部材を含むことを除き、上記で説明したようなものであってもよい。すなわち、WECモジュールは、第1の態様の説明された変形可能な封止部材を含まなくてもよい(なぜならば、変形可能な封止部材は、その代わりに、ベース構造の一部として設けられてもよいからである)。
【0067】
ベース構造は、WECモジュールを支持するためのフレームを含んでもよい。このような実施形態において、流体交換ポートは、ベース構造またはWECモジュールの一部を形成してもよい。流体交換ポートはそれぞれ、第1の態様に関して上記で説明したようなものであってもよい。したがって、各流体交換ポートは、調節軸線に沿って調節可能であってもよくかつ反対側の封止面に向かって付勢されてもよい可動部分を含んでもよい。
【0068】
PTOはタービンを含んでもよい。タービンは、流体流路内に配置されてもよく、これにより、流体流路に沿って流れる流体がタービンの回転を生じる。PTOは、システムから解放可能な(例えば、ベース構造から解放可能な)PTOモジュールの一部を形成してもよい。したがって、例えば、PTOモジュールは、PTOモジュールをベース構造に取り付けるための取付け部分を含んでもよい。PTOモジュールは、PTOと流体流路との間に封止された流体接続を形成するための1つまたは複数の変形可能なシールを含んでもよい。PTOモジュールは、流体流路との封止された流体接続を提供するために1つまたは複数の流体交換ポートを含んでもよい。
【0069】
流体流路は、ダクトまたは複数の相互接続されたダクトによって画定されてもよい。ダクトは、デブリセパレータを含んでもよい。デブリセパレータは、グリルを含んでもよい。グリルは、パワーテークオフ装置(例えば、タービン)の上流にあってもよい。グリルは、ダクトを横切って(すなわち、ダクトを通る流体流に対して概して垂直になるように)延びていてもよい。
【0070】
代替的に、グリルは、ダクトを通る流体流の方向に対して傾斜されていてもよい。グリルは、実質的に水平なダクトの部分に配置されてもよい。グリルの傾斜は、グリルの上端部がグリルの下端部の上流にあるようになっていてもよい。このような実施形態において、デブリセパレータは、グリルの上流においてデブリトラップを含んでもよい。デブリトラップは、グリルの近くのダクトの下側部分に形成された凹所(例えば、サンプ)の形式であってもよい。グリルの傾斜(およびデブリトラップの位置)は、グリルが少なくとも部分的にデブリトラップにオーバーハングするようになっていてもよい。このように、グリルによってブロック(または捕捉)されたデブリが、デブリトラップ内へ(重力により)落下してもよい。
【0071】
幾つかの実施形態において、デブリセパレータは、ダクトの実質的に鉛直の部分に配置されてもよい。このような実施形態において、グリルは、ダクトの実質的に鉛直の部分を横切って(例えば、水平に)延びていてもよい。デブリセパレータは、ダクトの鉛直部分の下端部に配置されたデブリトラップ(例えば、凹所またはサンプ)を含んでもよい。このように、グリルによってブロックされたデブリは、デブリトラップ内へ落下してもよい。
【0072】
幾つかの実施形態において、デブリセパレータは、遠心分離機を含んでもよい。遠心分離機は、ダクトの実質的に鉛直の部分に配置されてもよい。ダクトにおける流体流が遠心分離機を通過してもよく、遠心分離機は、(例えば、ダクトから排出するために)流体流からデブリを分離するように作動してもよい。
【0073】
上記のように、各WECモジュールは、第1の態様に関して上記で説明したようなものであってもよい。したがって、例えば、各WECモジュールは、収縮位置と延伸位置との間で可動であってもよい第1および第2の取付け部分を含んでもよい。
【0074】
ベース構造は、それぞれがそれぞれのWECモジュールを収容するための、複数のドッキングステーションを含んでもよい。各ドッキングステーションは、WECモジュールの第1および第2の取付け部分と係合するための第1および第2の収容部分を含んでもよい。各収容部分は、WECモジュールの取付け部分を収容するための凹所を含んでもよい。WECモジュールの取付け部分は、使用時(ベース構造へのモジュールの取付け時)に実質的に水平になるように向けられたピンの形式であってもよい。したがって、各収容部分凹所は、水平に向けられたピンを収容するために構成されていてもよい。
【0075】
各ドッキングステーションの第1の収容部分は、上側収容部分であってもよく、第2の収容部分は、下側収容部分であってもよい。収容部分のうちの少なくとも一方は、(後方)近位端部から(前方)遠位端部まで傾斜したガイド面を含んでもよい。ガイド面は、遠位端部においてWECセルの取付け部分を収容し、取付け部分を、ガイド部分の傾斜(および重力)によって、収容部分の凹所内へ案内するように構成されてもよい。案内面は、収容部分の突出部(例えば、前方に突出した部分)に形成されてもよい。
【0076】
「前方」という用語は、ベース構造に取り付けられたときに概してWECモジュールに向かう方向を表すために使用されるのに対し、「後方」という用語は、反対方向を表すために使用される。
【0077】
収容部分のうちの少なくとも一方は、フック状の凹所を画定してもよい。フック状の凹所は、概して後方方向へ延びる入口領域と、後方に対して所定の角度で(例えば、後方方向に対して垂直に)延びるロッキング領域とを含んでもよい。したがって、例えば、ロッキング領域は、入口領域から上方または下方へ延びていてもよい。このように、取付け部分は、ガイド面によって入口領域内へ案内されてもよく、延伸した位置へ移動すると、取付け部分は、ロッキング領域内へ移動されてもよい。ロッキング領域は、凹所からの取付け部分の移動が防止または制限されるように構成されてもよい。
【0078】
各WECモジュールが固定された取付け部分を含むその他の実施形態において、各ドッキングステーションは、それぞれがWECモジュール取付け部分のそれぞれのピンのための、1つまたは複数の孔を含んでもよい。孔は、実質的に鉛直方向のピンを収容するように向けられていてもよい。これは、各WECモジュールがドッキングステーションへ下降されることを可能にし得る。代替的または追加的に、各ドッキングステーションは、それぞれがWECモジュール取付け部分の対応する孔への挿入のための、1つまたは複数のテーパしたピンを含んでもよい。各ピンが、実質的に鉛直に向けられていてもよい(同様に、これは、WECモジュールがドッキングステーションへ下降されることを可能にし得る)。
【0079】
幾つかの実施形態において、上記で説明したような収容部分および取付け部分は、各ドッキングステーションが上記で説明した取付け部分を含みかつモジュールが上記で説明した収容部分を含むように、転換されてもよい。したがって、例えば、各ドッキングステーションは、収縮位置と延伸位置との間で可動な(すなわち、モジュールの対応する収容部分と係合するための)第1および第2の取付け部分を含んでもよい。
【0080】
各WECモジュールが作動面(例えば、膜の形式の)および支持フレームを含む実施形態において、各ドッキングステーションは、セル本体を含んでもよい。各セル本体は、WECモジュールがそれに取り付けられたとき(作動面および支持フレームと)チャンバを画定するための凹所を含んでもよい。他方で、WECモジュールがセル本体を含む実施形態において、各ドッキングステーションは、セル本体を収容するための凹所(例えば、凹面によって画定される)を含んでもよい。
【0081】
ドッキングステーション(例えば、セル本体)は、ロッキング穴または孔の形式の収容部分を含んでもよい。各ロッキング穴または孔は、WECモジュールのそれぞれのロックを収容するためのものであってもよい。その他の実施形態において、WECモジュールは、ロッキング穴または孔を含んでもよく、ドッキングステーション(例えば、セル本体)は、そこに収容するための、ツイストロックなどのロックを含んでもよい。
【0082】
幾つかの実施形態において、各ドッキングステーションは、対応するモジュールの1つまたは複数の周囲突出部と係合するように構成された1つまたは複数の収容部分を含んでもよい。収容部分は、(モジュールから)半径方向外方にある延伸構成から、(例えば、モジュールに向かって)半径方向内方にある収縮位置へ移動(例えば、スライドまたは回転)するように構成されてもよい。これらの収容部分はそれぞれ、例えば、突出部に締め付けるためのクランプ(スライディングクランプなど)の形式であってもよい。
【0083】
幾つかの実施形態において、各ドッキングステーションは、モジュールの作動面の取付け部分を収容するように構成された収容部分を含んでもよい。このような実施形態において、モジュールは、作動面によってドッキングステーションに取り付けられ(および保持され)てもよい。この収容部分は、例えば、作動面の取付け部分に係合することができるリム、突出部(例えば、周囲突出部)、ループ、ラグ、フックの形式であってもよい。
【0084】
各ドッキングステーション(例えば、セル本体)は、(凹所を包囲する)周囲リップを含んでもよい。周囲リップは、後方方向において(すなわち、ドッキングステーションとの接続中のWECモジュールの移動方向において)外方にテーパしていてもよい。したがって、リップの外周面は、前方/後方軸線に対して傾斜されていてもよい。WECモジュールがガイド部分(第1の態様に関して上記で説明したような)を含む場合、ガイド部分は、周囲リップの外周面に着座/当接してもよい。
【0085】
変形可能な封止部材が、周囲リップに設けられてもよい(例えば、ドッキングステーション/セル本体の凹所の周囲に延びている場合がある)。変形可能な封止部材は、セル本体/ドッキングステーションの全周に沿って延びていてもよい。
【0086】
周囲リップは、内周面を含んでもよい。内周面は、ドッキングステーションがセル本体の形式である場合、部分的にチャンバを画定してもよい(かつセル本体の凹面/制限面の一部を形成してもよい)。WECモジュールが、スカート(第1の態様において上記で説明したような)を含む場合、スカートは、リップの内周面と実質的に連続面を形成するように成形されてもよい。これは、滑らかな面を提供する場合があり、この面に対して作動面が、収縮位置において当接(lie)する場合がある。
【0087】
各ドッキングステーションは、そこに取り付けられた対応するWECモジュールに電力を供給するためのコネクタを含んでもよい。コネクタは、ウェットメイトコネクタを含んでもよい。コネクタは、作動(延伸位置)と非作動(収縮)位置との間で可動であってもよい。コネクタは、ドッキングステーションにおけるWECモジュールの存在の検出により非作動位置から作動位置へ移動するように構成されてもよい。各WECモジュールは、コネクタとの(例えば、電気的)接続のための対応するコネクタを含んでもよい。各コネクタは、WECモジュールのアクチュエータ(例えば、液圧式ラム)に動作可能に(例えば、電気的)に接続されてもよい。したがって、WECモジュールポートとのドッキングステーションコネクタの接続は、アクチュエータの移動、したがって、収縮位置から拡張位置への取付け部分の移動を開始してもよい。
【0088】
各ドッキングステーション(例えば、セル本体の形式における場合)は、そこから水をポンピングするためのポンプを含んでもよい。これは、作動面とセル本体との間に画定されたチャンバから水を排出するために、支持フレームおよび作動面(セル本体を備えない)を含むモジュールの接続後に使用されてもよい。
【0089】
第3の態様において、WECモジュールを展開するように構成された浮揚ツールが提供され、浮揚ツールは、それらの間にWECモジュールを収容するための、間隔を置いて配置された第1および第2の船体と、そこからWECモジュールを吊り下げるための、第1および第2の船体を横切って延びるガントリとを含む。第1および第2の船体は、平行であってもよい。浮揚ツールは、第1および第2の船体の間に横方向に延びる第3および第4の平行な船体を含んでもよい。
【0090】
浮揚ツールの船体は、実質的に矩形を形成していてもよく、それらの間に実質的に矩形の孔を画定してもよい。
【0091】
浮揚ツールは、複数の係留ウィンチを含んでもよく、各係留ウィンチは、浮揚ツールを対応する係留具に接続するための延伸可能および収縮可能な係留ラインを含む。浮揚ツールは、4つの係留ウィンチを含んでもよい。係留ウィンチは、各船体交差部(すなわち、浮揚ツールの角)に配置されてもよい。
【0092】
ガントリは、浮揚ツールからWECモジュールを吊り下げるためのウィンチを含んでもよい。
【0093】
浮揚ツールは、バージの形式であってもよい。
【0094】
第4の態様において、ベース構造上にモジュール式WECモジュールを展開する方法であって、
浮揚ツールからWECモジュールを吊り下げ、
浮揚ツールをベース構造の上方に位置決めし、
WECモジュールの第1の取付け部分をベース構造の第1の収容部分と係合させるために、WECモジュールを第1の下降移動においてベース構造へ下降させ、
WECモジュールの第2の取付け部分をベース構造の第2の収容部分と係合させるために、WECモジュールを、第1の下降移動に続く第2の下降移動において下降させることを含む、ベース構造上にモジュール式WECモジュールを展開する方法が提供される。
【0095】
浮揚ツールは、第3の態様に関して上記で説明したようなものであってもよい。WECモジュールおよびベース構造は、第1および第2の態様に関して上記で説明したようなものであってもよい。
【0096】
第1の取付け部分と第2の取付け部分との係合は、第2の下降移動が第1の取付け部分を中心とするWECモジュールの回転を生じるようなものであってもよい。
【0097】
方法は、ベース構造に取り付けるためのWECモジュールの取付け部分を、それらが第1の距離によって分離された収縮位置から、それらが第1の距離よりも大きい第2の距離によって分離された拡張位置まで移動させることをさらに含んでもよい。
【0098】
収容部分のうちの一方または両方は、それぞれの取付け部分を収容するための凹所を含んでもよい。凹所は、開口から凹所へ第1の方向に延びる入口領域と、入口領域に対して所定の角度で(例えば、垂直に)入口領域から延びるロッキング領域とを含んでもよい。拡張位置への取付け部分の移動は、対応する収容部分凹所のそれぞれのロッキング領域への移動部分のうちの一方または両方の移動を生じ得る。
【0099】
方法は、ベース構造をWECモジュールに電気的に接続することをさらに含んでもよい。方法は、ベース構造へのWECモジュールの取付けの検出時に、ベース構造をWECモジュールに電気的に接続する(例えば、延伸可能/収縮可能なコネクタを介して)ことを含んでもよい。
【0100】
方法は、ベース構造の上方になるようにWECモジュールを移動させる前に、WECモジュール(例えば、モジュールの作動流体チャンバ)を少なくとも部分的に充填することを含んでもよい。
【0101】
WECモジュールをベース構造の上方に位置決めすることは、浮揚ツールの複数の係留ラインを対応する複数の係留具に接続し、浮揚ツールの位置を調節するために係留ラインを延伸および/または収縮させることを含んでもよい。
【0102】
本発明の第5の態様によれば、波エネルギー変換(WEC)システムに接続するためのWECモジュールであって、WECシステムは、システムの流体流路における流体流に応答して電気を発生させるように構成されたパワーテークオフ(PTO)を有し、WECモジュールが、
【0103】
モジュールをシステムに解放可能に取り付けるための取付け部分と、
モジュールと流体流路との間に封止された流体接続を提供する封止アセンブリと、を含み、
モジュールが、封止された流体接続を介して流体流路と作動流体を波動に応答して交換するように構成されている、WECモジュールが提供される。
【0104】
第5の態様のモジュールは、第1の態様に関して上記で別に説明されたようなものであってもよい。
【0105】
本発明の第6の態様によれば、セル本体(例えば、沈められたセル本体)への作動面の据付のためのポータブル据付装置であって、据付装置は、開口を画定する本体と、開口を横切って延びるように本体に作動面を解放可能に取り付けるように構成された、開口の周囲における1つまたは複数の取付け部分とを含む、ポータブル据付装置が提供される。
【0106】
「ポータブル」という用語は、セル本体自体の一部を形成するのではなく、その代わりに、作動面をセル本体へ移動させ、次いで、作動面をセル本体に据え付けるために(例えば、ハンドリング装置によって)操縦することができる装置を表すために使用される。すなわち、据付装置は、セル本体へ移動させることができ、作動面を据付装置からセル本体へ移動させることができるように、作動面を一時的に支持/保持するように構成されている。
【0107】
本体は、プレテンショニングされた(例えば、拡張された/引き伸ばされた)構成において作動面を支持するように構成されてもよい。
【0108】
本体は、そこにハンドリング装置を接続するための(すなわち、セル本体の作動面を据え付けるために据付装置を操縦するための)接続部分を含んでもよい。
【0109】
その取付け部分または各取付け部分は、そこから作動面を解放するように構成されてもよい。例えば、取付け部分は、係合位置から非係合位置へ可動な(例えば、作動可能な)ロックまたはクランプを含んでもよい。
【0110】
本体は、キャビティを画定してもよく、開口は、キャビティへの開口であってもよい。取付け部分は、作動面がそこに取り付けられたとき、作動面がキャビティを封止する(すなわち、キャビティへの開口を封止する)ように構成されてもよい。本体は、作動面が開口を封止したときキャビティからの流体流のために配置された出口をさらに含んでもよい。
【0111】
このような配置の提供は、沈められたセル本体への作動面の据付を容易にし得る。作動面がそこに取り付けられたときに流体がキャビティから流出することができることは、据付装置が水域において下降されながら、流体が、増大する外部圧力によりキャビティから流出することを意味する。このこと自体により、作動面(そこに取り付けられた)はキャビティ内へ引き込まれる(すなわち、作動面はキャビティ内へ吸い込まれる)。
【0112】
本体は、複数の出口を含んでもよい。複数の出口の提供は、キャビティからの流体流出のより均一な分布を提供し得る。据付装置は、出口を遠隔位置へ流体接続するための導管を含んでもよい。据付装置は、複数の導管(例えば、出口ごとに1つ)を含んでもよい。その導管または各導管は、例えば、パイプ、チューブ、ライザなどであってもよい。その導管または各導管は、柔軟な導管であってもよい。
【0113】
遠隔位置は、例えば、セル本体の位置よりも低い圧力にある位置であってもよい。例えば、遠隔位置は、水域の自由表面よりも上にあってもよい。すなわち、遠隔位置は、大気圧にあってもよい。したがって、導管は、装置がセル本体の深さにある(またはその近くにある)とき、装置と大気との間の流体連通を可能にするために十分に長くてもよい。導管は、2mよりも大きい、または5mよりも大きい、または10mよりも大きい、または15mよりも大きい長さを有してもよい。
【0114】
据付装置は、その出口または各出口を解放可能に閉鎖するための閉鎖手段を含んでもよい。閉鎖手段は、例えば、その出口または各出口のために設けられたキャップ、栓または弁の形式であってもよい。閉鎖手段は、キャビティのその出口または各出口にまたはそれに隣接して配置されてもよく、またはその導管または各導管の出口にまたはそれに隣接して設けられてもよい。
【0115】
据付装置は、(例えば、出口を通じて)キャビティから流体を移動させるためのポンプを含んでもよい。これは、大気圧の位置まで延びることができる導管の必要性を回避し得る。その代わりに、ポンプは、作動面をキャビティ内へ引き込むためにキャビティから流体を排出するように構成されてもよい。
【0116】
キャビティの開口は、作動面がキャビティ内へ引き込まれたとき、作動面が周囲リップ上かつ周囲リップの周囲に位置決めされ得るように、セル本体の周囲リップ(すなわち、周囲リップ全体)を収容するように成形されてもよい。
【0117】
据付装置は、作動面の解放可能な取付けのために構成された複数の取付け部分を含んでもよい。その取付け部分または各取付け部分は、例えば、フック、アンカ、磁気配列、解放可能ロック、クランプなどであってもよい。
【0118】
据付装置の開口は、実質的に長円形であってもよい。
【0119】
作動面は、第1の態様に関して上記で説明したようなものであってもよい。例えば、作動面は、膜(例えば、弾性の膜)であってもよい。
【0120】
第7の態様において、沈められたセル本体に作動面を据え付ける方法であって、
キャビティと、キャビティへの開口とを画定する本体と、作動面が開口を封止したときにキャビティからの流体流のために配置された出口とを含むポータブル据付装置を提供し、
キャビティへの開口を封止するために作動面を据付装置に取り付け、
据付装置をセル本体へ下降させ、
作動面をキャビティ内へ引き込むために出口を通じてキャビティから流体を排出し、
セル本体の開口を横切って延びるように作動面をセル本体に取り付けることを含む、沈められたセル本体に作動面を据え付ける方法が提供される。
【0121】
方法は、本体の出口を閉鎖することを含んでもよい。方法は、据付装置を下降させながら出口を閉鎖構成に維持することを含んでもよい。作動面をセル本体に取り付けるステップは、出口を開放することを含んでもよい。
【0122】
その他の実施形態において、出口は、据付装置を下降させながら開放構成に維持されてもよい。これに関して、キャビティからの流体の排出は、据付装置を下降させるステップと同時に行われてもよい。すなわち、本体を沈めることにより、出口を通じてキャビティから流体が排出されてもよい。特に、これは、作動面を横切る差圧の結果生じ得る(すなわち、キャビティは、作動面の外側よりも低い圧力を有する)。
【0123】
作動面をセル本体に取り付けることは、作動面をセル本体の少なくとも一部(例えば、セル本体の周囲リップ)の上にかつその周囲に位置決めすることを含んでもよい。作動面をセル本体に取り付けることは、作動面の取付け部分をセル本体の対応する取付け部分と係合させることを含んでもよい。このような係合は、作動面が据付装置に取り付けられる間に行われてもよい。したがって、作動面は、セル本体および据付装置に同時に係合され/取り付けられてもよい。
【0124】
方法は、作動面を据付装置から分離することをさらに含んでもよい。
【0125】
方法は、据付装置を上昇させることをさらに含んでもよい(すなわち、作動面が分離され、セル本体に取り付けられながら)。
【0126】
ポータブル据付装置は、第6の態様において説明したようなものであってもよい。
【0127】
本発明は、説明された態様および好ましい特徴の組合せを含むが、このような組合せが明らかに許容不可能であるかまたは明示的に回避される場合を除く。
【0128】
当業者は、相互に排他的である場合を除き、上記態様のうちのいずれか1つに関連して説明された特徴またはパラメータがあらゆる他の態様に適用される場合があることを認識するであろう。さらに、相互に排他的である場合を除き、本明細書において説明されたあらゆる特徴またはパラメータは、あらゆる態様に適用される場合があるおよび/または本明細書において説明されたあらゆるその他の特徴またはパラメータと組み合わされる場合がある。
【0129】
本発明が理解され得るように、また、本発明の別の態様および特徴が認識され得るように、本発明の原理を例示する実施形態をここで添付の図面を参照してさらに詳細に論じる。
【図面の簡単な説明】
【0130】
図1図1は、WECシステムの第1の実施形態の斜視図である。
図2図2は、WECシステムの第2の実施形態の斜視図である。
図3図3Aおよび図3Bは、WECシステムの第3の実施形態の端面図である。図3Cは、WECシステムの第3の実施形態の斜視図である。
図4図4は、WECモジュールと第1の実施形態によるシステムとの間の接続の概略図である。
図5図5は、WECモジュールと第2の実施形態によるシステムとの間の接続の概略図である。
図6図6Aおよび図6Bは、WECモジュールと第3の実施形態によるシステムとの間の接続の概略図である。
図7図7Aおよび図7Bは、WECモジュールと第4の実施形態によるシステムとの間の接続の概略図である。
図8-10】図8図9および図10は、様々な実施形態によるブランキング配列の概略図である。
図11-12】図11および図12は、第1および第2の実施形態による排出配列の概略図である。
図13-15】図13図14および図15は、3つの実施形態によるデブリ分離の概略図である。
図16図16Aおよび図16Bは、第1の実施形態によるベース構造へのWECモジュールの取付けを示す概略図である。
図17図17Aおよび図17Bは、第2の実施形態によるベース構造へのWECモジュールの取付けを示す概略図である。
図18図18は、第3の実施形態によるベース構造へのWECモジュールの取付けを示す概略図である。
図19図19は、第4の実施形態によるベース構造へのWECモジュールの取付けを示す概略図である。
図20-21】図20および図21は、第4の実施形態によるWECシステムのそれぞれの分解された詳細図である。
図22図22Aおよび図22Bは、第5の実施形態によるWECモジュールのそれぞれの側面および正面図である。
図23図23A図23Hは、ベース構造へWECモジュールを展開するためのプロセスを示す図である。
図24図24Aは、第6の実施形態によるWECシステムの断面図である。図24Bは、第6の実施形態のWECシステムの支持フレームの斜視図である。
図25図25Aおよび図25Bは、据付装置による作動面の据付を示す概略図である。
図26図26A図26Dは、WECモジュールの第7、第8、第9および第10の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0131】
ここで本発明の態様および実施形態を添付の図面を参照して説明する。別の態様および実施形態が当業者に明らかになるであろう。本文書において言及された全ての文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0132】
図1は、水域に沈められるように構成された波エネルギー変換(WEC)システム100を示す。システム100は、ベース構造102に取り付けられた複数のモジュール式WECセル101を有する。特に、各セル101は、ベース構造102に取り付けられるモジュール108の部分を形成している。各モジュール108は、背中合わせの配置において2つのセル101を含む。システム100は、部分的にセル101(またはモジュール108)によって画定されかつ部分的にベース構造102によって画定された流体流路103を有する。すなわち、各モジュール108は、各モジュール108において形成された2つの鉛直方向に間隔を置いて配置された対応するセルダクト部分104を有し、これにより、モジュール108がベース構造102に取り付けられると、セルダクト部分104は整列して2つの連続的な線形のダクトを形成する。
【0133】
ベース構造102は、タービン105の形式のエネルギー変換器を有する。このタービン105は、ベース構造102の一部を形成するU字形ダクト部分106に配置されている。U字形ダクト部分106の開口は、隣接する(末端の)モジュール108のダクト部分104の対応する開口と整列している。このように、ベース構造102のU字形ダクト部分106は、取り付けられたモジュール108によって形成された2つの線形ダクトを接続する。したがって、流体流路103は、セルダクト部分104とU字形ダクト部分106との組合せによって形成されている。
【0134】
各セル101は、セル本体133と、セル本体133に形成された開口を横切って延びる膜107の形式の作動面とを有する。膜107は、鉛直の向きから角度を付けられるようにセル本体133の傾斜部分に取り付けられている。図面から明らかではないが、セル本体133および膜107は、作動流体を含むチャンバを画定している。各セル101のこのチャンバは流体流路103と流体連通しており、これにより、膜107が波動に応答して撓むと、膜107が空気をチャンバから流体流路103内へ駆動する。このように、作動流体が流体流路103に沿ってタービン105へ(膜107の動きによって)移動され、タービン105の回転を生じ、タービン105が電気を発生させる。
【0135】
図2は、図1に示されたシステム100の変化態様を示す。システム100’は同様に、ベース構造102に取り付けられた複数のWECセル101を有する。しかしながら、ここに示されたシステムでは、セル101は取付けブロック109によって互いに分離されている。取付けブロック109は、ベース構造102の一部を形成しており(ベース構造102の平坦なスラブから上方へ突出している)、各モジュール108の間に配置されている。各取付けブロック109は、流体流路103を形成するためにモジュール108のダクト部分104と整列しかつダクト部分104と封止する中間ダクト部分110を有する。
【0136】
図1および図2の実施形態では、1つのモジュール108がシステム100,100’から取り外されると、流体流路103が中断される(すなわち、モジュール108によって画定されている流体流路103の部分が取り外される)。図3A図3Bおよび図3Cに示された変化態様では、そのようなケースではない。
【0137】
図3A図3Cのシステム100’’では、ベース構造102は、タービン105が配置されているU字形部分によって接続された、ベース構造102に沿って中央で延びる2つのレッグを含むダクト106によって画定された完全な流体流路103を有する。ダクト106は、ダクトに沿って間隔を置いて配置された複数の開口111を有し、複数の開口111は、モジュール108がベース構造102に取り付けられるとセルチャンバと流体接続される。特に、各モジュール108は、セルチャンバと流体流路103との間の流体交換のための封止された通路を形成するために、ダクト106の開口111と結合する2つの流体交換ポート112を有する。特に、各モジュール108は、ベース構造102のダクト106の上部の上に位置決めされ、ポート112がダクト106の開口111に係合する。この接続の性質を以下でさらに説明する。
【0138】
流体流路103がベース構造102によって完全に画定されているので、ベース構造からのモジュール108の取り外しは、流体流路103を中断させない。このように、システム100’’は、モジュール108が取り外されているかどうか(例えば、修理またはメンテナンスのために)にかかわらず作動することができる。認められるべきであるように、上述の(かつ示された)実施形態では、各モジュール108は2つのセル101を有する。しかしながら、その他の実施形態では、各モジュール108は1つのセル101を有してもよい(これにより、セル101自体がモジュール108である)。
【0139】
図4図7Bは、どのようにセル101(またはモジュール108)が流体流路103に対して封止される場合があるかの様々な典型的な実施形態を提供しており、流体流路103は、示されていないが、上述のうちの1つのようにベース構造の一部を形成していてもよい。これらの実施形態のそれぞれにおいて、セル101は、流体流路103と作動流体を交換するための流体交換ポート112を有する。この流体交換は、セル101のチャンバからの作動流体の排出、流体流路103からチャンバ内への流体の受取り、または作動流体の排出および受取りの両方(すなわち、膜107の移動に依存する)の形式であってよい。
【0140】
図4の実施形態において、流体交換ポート112は、平坦な表面の形式のモジュール封止面113を有する。モジュール封止面113は、流体交換ポート112の開口の周囲に延びるように、実質的に環状である。例えばベース構造へのセル101の取付けにより、モジュール封止面113は、流体流路103を画定するダクト106への開口111の一部を形成する、対応するダクト封止面114と結合する。両封止面113,114は互いに対して平行であり、流体交換ポート112を通る流体流に対して概して垂直であるそれぞれの平面において延びている。
【0141】
変形可能な封止部材115がモジュール封止面113に取り付けられている。したがって、封止面113,114が合わせられると(すなわち、セルが流体流路103と係合されると)、封止部材115は封止面113,114の間に挟まれる。これは、セル101と流体流路103との間の封止を容易にし、そこでの流体進入を防止する。
【0142】
セル101と流体流路103との間のこの封止をさらに容易にするために、セルは、可動部分116を有する。モジュール封止面113は、この可動部分116の一部を形成しており、可動部分116は、流体交換ポート112を通る流体流に対して概して平行でかつ封止面113,114に対して垂直な調節軸線に沿って可動である。可動部分116は、流体交換ポート112の周囲に周方向に延びる周方向セクション117と、周方向セクション117の遠位端部から半径方向に延びる半径方向セクション118とを有する。モジュール封止面113は、この半径方向セクション118の外面を形成している。周方向セクション117は、ポート112の周囲に嵌合しており、これにより、流体交換ポート112の外面と滑り接触している。ポート112と可動部分116との間の間隙は、それらの間に配置された環状の滑り封止リング119によって封止されている。
【0143】
可動部分116の位置は、複数の周方向に間隔を置いて配置されたねじ山付きロッド120と、それらと係合した対応する締結具121とを含む調節機構によって調節可能である。各ロッド120は、可動部分116の半径方向セクション118から、流体交換ポート112の半径方向に突出したフランジ122に形成された対応する孔を通って後方へ(すなわち、封止面113,114から離れるように)突出している。このように、各ロッド120に対して締結具121の位置を調節することにより、流体交換ポート112に対する可動部分116の軸方向位置が変化する。このように、ポート112に対するモジュール封止面113の軸方向位置を調節することができる。
【0144】
図5は、図4に示されたものと類似の実施形態を示しており、したがって、対応する参照番号が使用されている。この実施形態は、変形可能な封止部材115’が、内部(リング状)キャビティ123を包含するように管状であるという点でのみ異なる。この実施形態では、封止部材115’は、流体をキャビティ123に導入することによって膨張されてよい。封止部材115’の膨張は、封止面113,114の間のあらゆる間隙が封止部材115’によって封止されることを保証する。
【0145】
図6Aおよび図6Bは、同様に上記のものと類似の特徴を有する別の実施形態を示している。しかしながら、この実施形態は、可動部分116が、各ロッド120を包囲しかつポートフランジ122と可動部分116の半径方向セクション118との間に延びる複数の圧縮ばね124によってフランジ122から離れる方向へ付勢されている点で異なる。さらに、締結具121によって所定の位置に保持されるのではなく、ロッド120は、フランジ122に形成された孔を通って自由に移動することが許されている。
【0146】
このように、封止面113,114が合わせられると(図6Bに示されたように)、力は、ばね124の付勢力に抗して(すなわち、ばね124の力が、封止面113,114を合わせる力と釣り合うまで)可動部分116をフランジ122に向かって移動させる。ばね124の力は、封止面113,114の間の封止力を高めることを助ける。認められるべきであるように、図5の膨張可能な封止部材115’をこの配列において使用することができる。
【0147】
図7Aおよび図7Bに示された実施形態は、平坦ではなく周方向の封止面113,114を有する点で上記の配列とは異なる。この実施形態では、流体交換ポート112の遠位端部が、ダクト106の開口111によって包囲されるように、ダクト106の開口111の内部に収容される(図7Bに示されているように)。ピストンシールの形式の変形可能な封止部材115’’’が、封止面113の周囲に周方向に延びるようにセル封止面113に取り付けられている。封止部材115’’は、封止面113,114の間に形成された間隙を横切って延びる、複数の、半径方向に延びる、軸方向に間隔を置いて配置されたリブ125を有する。各リブ125は、僅かに後方へ(ポート112の遠位端部から離れるように)延びるように、半径方向から傾斜されている。これは、ダクト開口111内へのポート112の遠位端部の収容を容易にする。収容は、開口111へのテーパした入口によっても容易にされる。この実施形態の変化態様において、ピストンシールは、膨張可能であってもよい(図5に示したものと同様に)。
【0148】
モジュール108またはセル101がベース構造102から分離されると、ダクト106内への水の進入を防止するために(およびシステム100の継続した作動を可能にするために)ダクト106への開口111を閉鎖またはカバーすることが望ましい場合がある。図8図9は、この機能を実行するためのブランキング装置の典型的な実施形態を提供する。
【0149】
図8において、開口111はキャップ126によって閉鎖されている。この図は、キャップ126およびダクト106の平面図である。図面からすぐに明らかではないが、キャップ126は、キャップ126を開口111の上に下方へ滑らせることによってダクト開口111に嵌合されている。キャップ126は、(開口111上でのキャップの滑りを可能にするために)キャップ126の周囲にわたって部分的に延びる保持リップ127を有する。保持リップ127は、キャップ126を開口111に保持するために開口111のフランジ129に係合する、半径方向内方へ突出したリム128を有する。膨張可能な封止部材115’が、キャップが係合位置にあるときにキャップ封止面113’と平坦なダクト封止面114との間に挟まれるようにキャップの内側封止面113’に配置されている。封止部材115’の膨張により、封止部材115’は、封止面113’,114の間のあらゆる間隙を充填し、保持リップ127のリム128もフランジ129に対して移動させる。
【0150】
図9において、ダクト106への開口111を閉鎖するためにキャップの代わりにプラグ130が使用される別の実施形態が示されている。プラグ130は、円形のベース131と、ベース131から突出した(管の形式の)側壁132とを有するようにカップ型である。側壁132の外周面は、ダクト開口111の内周封止面114に面するプラグ封止面113’’を画定している。封止部材115’’が、ダクト封止面114に対して封止するためにプラグ封止面113’’に取り付けられている。封止部材115’’は、実質的に図7Aおよび図7Bに示されたものと同じである。プラグ130が開口111に挿入されると、プラグ130は、開口111に保持されるために、封止部材115’’とダクト封止面114との間の摩擦およびあらゆる差圧(流体流路103と外部環境との間)に依存する。
【0151】
図10も、この場合、膨張可能な封止部材115’’の形式のプラグを示している。この封止部材115’’は、膨張した構成において、開口をブロックし、流体流路103内への水の進入(または流体流路103からの流体の逃げ出し)を防止するために、開口111全体にわたって延びる。
【0152】
封止、キャップおよびプラグの提供によってさえも、依然としてシステム100の各セル101内への望ましくない流体(水など)の進入の可能性が存在する。図11および図12は、セル101からのこの流体の除去を容易にする場合がある2つの構成を示している。
【0153】
図11において、セル101は、膜107とセル101のセル本体133とによって画定されたチャンバ134の低い点に流体接続されたサンプ132を有する(サンプ132は、代替的に、チャンバ134の低い点に配置されてもよい)。これは、チャンバ134における水がサンプ132へ流れ、サンプ132に収集されることを意味する。サンプ132は、システム100から水を排出するためのポンプを有してもよい。注目すべき点は、示された実施形態において、セル101が、入口112aおよび出口112bの形式の2つの流体交換ポートを有するということである。
【0154】
図12の実施形態は、サンプを有さないという点で異なる。むしろ、セル101の出口112bは、チャンバ134の低い点においてチャンバ134に流体接続されている。したがって、チャンバ134におけるあらゆる水は、チャンバ134から出口112bを介して流体流路103へ流れる。流体流路103を画定するダクト106には、流体流路103から水を排出するためのポンプが設けられていてもよい。このように、(図11の実施形態とは異なり)システム100の全てのセル101から受け取られた水を排出するために1つのポンプしか必要とされない場合がある。
【0155】
WECシステム100によって直面される場合がある別の問題は、流体流路103に進入するデブリであり、デブリは、システム100の効率を低下させる場合がありかつ/またはシステムの様々な構成要素(タービン105など)に損傷を引き起こす場合がある。図13図14は、WECシステムにおいてデブリを管理するための典型的な配列を提供している。
【0156】
図13は、タービン105を有するシステム100のダクト106の部分を示す。ダクト106は、タービン105の上流にあるデブリセパレータを有する。デブリセパレータは、ダクト106の内部を横切って延びるグリル135と、グリル135の上流に位置決めされた凹所の形式のデブリトラップ136とを有する。グリル135、トラップ136およびタービン105は、ダクト106の実質的に水平な部分に配置されている。グリル135は、ダクト106を横切って傾斜して延びており、これにより、グリル135の下端部は、グリル135の上端部よりもさらに下流にある。この配列の結果は、グリル135が部分的にデブリトラップ136にオーバーハングしているということである。したがって、グリル135によってブロックされたデブリは、デブリトラップ136内へ(重力により)落下する場合がある。
【0157】
図14における実施形態もグリル135’およびデブリトラップ136’を含む。同様に、グリル135’およびデブリトラップ136’はタービン105の上流にある。しかしながら、この実施形態では、グリル135’は、ダクト106の鉛直部分に配置されており、ダクト106の内部を横切って実質的に水平に延びている。デブリトラップ136’はグリル135’のすぐ下方に配置されており、これにより、グリル135’によって捕捉されたデブリはデブリトラップ136’内へ落下する。
【0158】
図15において、実施形態は、グリルの代わりに遠心分離機137を有する。遠心分離機137は鉛直方向に向けられており、ダクト106の鉛直部分に配置されている。認められるべきであるように、遠心分離機137は、作動流体が(ダクト106を通って流れ続けるために)その上側出口を通過するのに対し、デブリが遠心分離機137の下側開口を通って(デブリトラップ136’’内へ)排出されるように構成されている。
【0159】
図16Aおよび図16Bは、第1の実施形態によるベース構造102とのセル101の係合を示している。セル101およびベース構造102は概略的に示されており、したがって、例えば、ベース構造102の流体流路またはダクトは示されていない(かつセル101とベース構造102との間の流体接続は示されていない)。
【0160】
セル101は、実質的に水平方向に延びるピンの形式でありかつセル101の上端部に配置された第1の取付け部分138aを有する。セル101は、セル101の下端部に位置決めされかつ液圧式ラム139の形式のアクチュエータによってセル101に接続された第2の取付け部分138bも有する。ラム139の近位(上側)端部はセル101の下側の中央部分に取り付けられており、ラム139の反対側の遠位端部は、同様に水平方向に延びるピンの形式の第2の取付け部分138bを形成している。
【0161】
ベース構造102は、その上端部において、フック状でかつフック状の第1の凹所141aを画定した第1の収容部分140aを有し、フック状の第1の凹所141a内にセル101の第1の取付け部分138aが収容されてよい。ベース構造102も、セル101の第2の取付け部分138bを収容するための第2の凹所を画定する第2の収容部分140bを有する。第1の収容部分140aは、第2の収容部分140bに対して上方かつ後方にある(すなわち、セル101から離れている)ように位置決めされている。
【0162】
特に図16Bに示されているように、セル101をベース構造102に取り付けるために、セル101は、第1の取付け部分138aがフック状の凹所141aに収容されるように移動される。第1の収容部分140aのフック形状は、第1の取付け部分138aを凹所141a内へ案内するのを補助する。すなわち、フック形状の下側突出部142は、傾斜した形式で前方方向へ(セル101に向かって)延びており、第1の取付け部分140aが突出部142の上面に収容されると、突出部142の傾斜は、第1の取付け部分140aが凹所141a内へさらに案内される(例えば、突出部142および重力によって)ことを意味する。
【0163】
第1の取付け部分138aがフック状の凹所141aに収容されると、セル101は、第2の取付け部分138bが(第2の収容部分140bの)第2の凹所141bの近くになるようにさらに移動される(例えば、下降される)。次いで、第2の取付け部分138bを第2の凹所141b内へ移動させるために、液圧式ラム139が延伸される。液圧式ラム139のさらなる延伸により、第2の取付け部分138bは第2の凹所141bの端部と接触し、この点からの継続した延伸により、セル101は、第2の取付け部分138bおよび第2の収容部分140bから離れるように移動する。これが生じると、第1の取付け部分138aは、フック状の凹所141a内へさらに移動する。凹所141aのフック形状により、凹所141aの端部は、凹所141aから出ようとする第1の取付け部分138aの移動を制限するロッキング領域143を画定している。
【0164】
したがって、第1の取付け部分138aがロッキング領域143に収容されると、セル101は、ベース構造102にロックされる(すなわち、完全に取り付けられる)。
【0165】
図17Aおよび図17Bの実施形態は、上記のものと同様であり、したがって、対応する参照番号が使用されている。しかしながら、この実施形態は、第2の取付け部分138bが、第2の取付け部分138bを所定の位置にロックするためにオーバーセンター機構144の遠位端部に配置されているという点で異なる。オーバーセンター機構144は、中央回転軸146において互いに接続された第1のリンク145aおよび第2のリンク145bを有する。第1のリンク145aは、近位端部(セル101に近い)において、セル101の下側から下方へ突出したカップリングプレート147に結合されている。第2の取付け部分138bは、第2のリンク145bの遠位端部(セル101から遠位)に取り付けられている。液圧式ラム139は、一方の端部において、カップリングプレート147に結合されており、端部において、リンク145a,145bの中央回転軸146に結合されている。
【0166】
オーバーセンター機構144の作動は、特に図17Bから明らかである。液圧式ラム139が延伸されると、第2のリンク145bが移動させられ、第2の取付け部分138bが第2の凹所141b内へ移動される。ラム139のさらなる延伸により、リンク145a,145bは平行になり、次いで、その後、(図17Bに示したように)「オーバーセンター」になるように回転する。オーバーセンター機構144は、例えば、ラム139のさらなる延伸(すなわち、オーバーセンター位置を超えて)を制限するためのストッパが設けられていてもよい。したがって、オーバーセンター位置は、セル101をベース構造102との取り付けられた位置に維持するための安定したロックされた位置を表す。
【0167】
図18において、セル101は、同様に第1の取付け部分138aおよび第2の取付け部分138bを有する。しかしながら、これらは、(前に記載した実施形態の場合のように)ピンではなく孔の形式である。ベース構造102は、鉛直方向に延びたテーパしたピンの形式の対応する第1の収容部分140aおよび第2の収容部分140bを有する。ピンのテーパした形状は、取付け部分138a,138bとの収容部分140a,140bの係合を容易にする。この実施形態の変化態様において、ピンがセル101に設けられてもよく、(ピンを収容するための)孔がベース構造102に設けられてもよい。
【0168】
図19において、セル101は、ベース構造102に対してセル101を固定するための十分な質量を有するバラストウェイト148を有する。バラストウェイト148は、その下側に形成された凹所149を有する。凹所149は、ベース構造102に対するセル101の移動の制限をさらに容易にするためにベース構造の対応する突出部150と係合する。
【0169】
上記の実施形態において、モジュール108は、1つまたは複数のセル101を有し、各セル101はセル本体133を有し、セル本体133は、膜107と共に、作動流体を貯蔵するためのチャンバ134を画定している。これに対する代替的な構成が図20および図21に示されている。
【0170】
図20から明らかなように、このシステム200では、モジュール208(すなわち、システム200のモジュール部分)は、膜207および支持フレーム251を有し、支持フレーム251を横切って膜207が伸ばされている。支持フレーム251は、孔チューブ252であって、孔チューブ252は、長円形に延びており、長円形の孔を画定しており、この長円形の孔を横切って膜207が伸ばされている、孔チューブ252と、孔チューブ252の内側(孔に面した側)から垂れ下がった内側スカート253と、孔チューブ252の反対側の外側から垂れ下がった外側スカート254と、から形成されている。ベースプレート255が、内側スカート253と外側スカート254との間に横方向に延びており、以下でさらに説明するように、ベースプレート255の下面は、モジュール208の封止面213を画定している。支持フレーム251は、鋼から形成されてよく、支持フレーム251の構成要素は、支持フレーム251を形成するために互いに溶接されてよい。
【0171】
膜207の外縁は、支持フレーム251の周囲に間隔を置いて配置された複数のクランプ256によって外側スカート254の下縁にクランプされている。
【0172】
モジュール208は、ベース構造(図示せず)の一部を形成してよいセル本体233と係合するように構成されている。セル本体233は、例えば、鋼またはコンクリートから形成されてよく、凹所257を有し、この凹所257は、膜207と共に、(モジュール208がセル本体233に取り付けられたとき)作動流体のためのチャンバを画定する。
【0173】
取付けを容易にするために、モジュール208は、支持フレーム251のベースプレート255に沿って間隔を置いて配置された複数のロック258の形式の取付け部分を有する。各ロック258は、例えば、ロック位置へおよびロック位置から回転させることができるツイストロックの形式であってよい。セル本体233は、モジュール208の対応するロック258を収容するためにそれぞれ配置された、セル本体233に形成された複数のロッキング穴259の形式の収容部を有する。したがって、モジュール208をセル本体233に取り付けるために、モジュール208は、ロック258がロッキング穴259に収容されるように操作することができる。次いで、ロック258は、ロック位置に入るように作動させることができ、ロック位置において、モジュール208はセル本体233に対して保持される。
【0174】
モジュール208は、さらに、それぞれが完全なループを形成するように封止面213に沿って延びる内側封止部材260および外側封止部材261を有する。モジュール208がセル本体233に取り付けられると、封止部材260,261は、ベースプレート255とセル本体233との間に挟まれる。これは、チャンバ(セル本体233と膜207との間に形成される)と、外部環境との間を封止する。
【0175】
図22Aおよび図22Bは、図1図19に関して上述したタイプの別のモジュール108’を示す。モジュール108’は、チャンバ134を形成するように成形されたセル本体133と、膜(図示せず)によって封止されてよい孔とを有する。モジュール108’は、チャンバとWECシステムの流体流路との間に封止された流体接続を提供するために(上側)入口流体交換ポート112aおよび(下側)出口流体交換ポート112bを有する。
【0176】
モジュール108’は、追加的に、この場合はウィンチ163の形式のハンドリングツールのための接続箇所を提供するハンドリングフレーム162を有する。ハンドリングフレーム162は、横方向に延びるクロスビーム165によって接続された、2つの横方向に間隔を置いて配置されたU字形フレームエレメント164を有する。各フレームエレメント164は、セル本体133の上側リップにおける接続部からセル本体133の下側リップにおける反対側の接続部まで延びている。各フレームエレメント164の中央部分は、ウィンチ163の取付けを提供するためにセル本体133の上方に間隔を置いて配置されている。ハンドリングフレーム162は、膜(図示せず)の拡張を制限するように作用するという点で追加的な機能を提供し、これは、膜に対する損傷を回避する場合がある。
【0177】
図22Aおよび図22Bに示されたモジュール108’の展開は、図23A図23Hに示されている。
【0178】
図23Aは、展開バージ166の形式の浮揚ツールから吊るされたモジュール108’を示す。特に、モジュール108’は、バージ166のガントリ169に取り付けられたウィンチ(図示せず)から吊るされている。ウィンチおよびガントリ169の組合せは、3つの軸に沿ったバージ166によるモジュール108’の操縦性を提供する。
【0179】
展開バージ166は、曳航船167によって曳航される。バージ166は、それらの間に矩形の孔を画定するように矩形を形成する4つの細長い船体部分168a,168b,168c,168dから形成されている。バージ166の形状(すなわち、4つの細長い船体部分168a,168b,168c,168dの提供)は、曳航船167と比較して減じられた水線面積を有するようになっている。したがって、バージ166は、船167よりも小さい、波における動的応答を有する。これは、リフティング箇所とモジュール108’との間の移動差を減じ、これは、動的ウィンチケーブル負荷を減じる。
【0180】
図23Bにおいて、バージ166は、モジュール108’が取り付けられるベース構造102の部位に配置されている。ベース構造102は、海面に浮かんでいるバージ166の下方の海底に位置決めされている。バージ166は、係留ライン170を介して4つの間隔を置いて配置された係留箇所(図示せず)に接続されている。各係留ライン170は、バージ166に取り付けられた対応する係留ウィンチ171から延びている。特に各船体交差部は1つの係留ウィンチ171を有し、4つの係留ウィンチ171がバージ166の角に取り付けられるようになっている。次いで、ウィンチ171は、バージ166をベース構造102の上方の所望の位置へ移動させるように制御される。
【0181】
図23Cにおいて、モジュール108’は、ウィンチ(図示せず)によってベース構造102まで下降されている。図23により詳細に示されているように、モジュール108’は、モジュール108’の上側後方位置における第1の取付け部分138a(ピンの形式)がベース構造102の第1の収容部140aの凹所141aに収容されるように(バージ166のガントリ169におけるウィンチの移動によって)操縦されている。この収容は、第1の収容部140aの下側突出部によって容易にされ、下側突出部は、凹所141a内へ第1の取付け部分138aを案内するために傾斜した案内面142を画定している。
【0182】
図23Dにおいて、モジュール108’はウィンチによってさらに下降されている。第1の収容部140aの凹所141aにおける第1の取付け部分138aの配置により、モジュール108’はその第1の取付け部分138aを中心に回転している。この回転の1つの結果として、モジュール108’の前方下側部分における第2の取付け部分138bが、ベース構造102の第2の収容部分140bの近傍にもたらされている。別の結果として、モジュール108’の電気コネクタ(図示せず)がベース構造102のウェットメイトコネクタ(図示せず)と接触し、これにより、電源がモジュール108’に提供される。この接続は、モジュール108’がベース構造102に着座されたことの指示も提供する。このような指示を提供するために追加のセンサが使用されてもよい。
【0183】
追加的に、モジュール108’の流体交換ポート112a,112bが、(すなわち、ベース構造102のタービンへの)流体流路を画定するベース構造102のダクトのダクト開口111a,111bと係合される。
【0184】
図23Fにおいて、電力がモジュール108’へ供給された後、モジュール108’の液圧式ラム139が作動され、収縮位置から延伸位置へ移動させられる。第2の取付け部分138bは液圧式ラム139の遠位端部に取り付けられており、これにより、液圧式ラム139の延伸により、第2の取付け部分138bは、(図23Hに示したように)第2の収容部分140bと係合するように移動される。この係合の後、ラム139のさらなる移動により、第1の収容部分140aの凹所141aにおける第1の取付け部分138aによって案内されながらモジュール108’が後方および上方方向へ移動する。これにより、(図23Gに示したように)第1の取付け部分138aが凹所141aのロッキング領域143に進入する。ロッキング領域143は、凹所141aの入口から上方および後方方向へ延び、これにより、ロッキング領域143における配置により、第1の取付け部分138aは、凹所141aから外れるように横方向に移動することを防止される。このように、モジュール108’がベース構造102に固定され、モジュール108’のチャンバとベース構造102のダクトとの間に、封止された流体接続が提供される。
【0185】
ウィンチは、その後、モジュール108’の展開を完了するためにモジュール108’から取り外され、収縮されてよい。膜が次いでモジュール108’に固定されてよく(まだモジュール108’に固定されていない場合)、モジュールのチャンバ134から、チャンバ134内に配置されたあらゆる水をパージすることができる。認められるべきであるように、このプロセスは、モジュール108’をベース構造102から取り外すために逆転されてよい。
【0186】
図24Aおよび図24Bは、システムの膜307が通常使用時に実質的に水平面に位置するように構成されたWECシステム300の別の実施形態を示す(しかしながら、膜は修正によって斜面に位置することができることが認められるべきである)。このシステム300は、モジュール308が、支持フレーム351および膜307の形式の作動面を有するという点で図20に示されたものと同様であるが、セル本体333を有さない。その代わり、セル本体333は、固定された構造の一部を形成しており、この構造は、この実施形態では、海底に固定されてよい。
【0187】
セル本体333のプロフィルは、図24Aからほとんど明らかである。セル本体333は、凹所357を画定する凸面を有する。この凹所357は、膜307と共にチャンバを形成しており、チャンバには作動流体が通常使用において貯蔵されてよい。セル本体333の周囲リップ363が、凹所357(を包囲するように)の周囲に延びている。周囲リップ363の内周面364は部分的にチャンバを画定しており、凹所357を画定する凸面の一部を形成している。周囲リップ363の外周面367は、リップ363の頂点から下方および外方へ傾斜している。したがって、周囲リップ363は、下方(または後方)方向へ(すなわち、使用時のモジュール308の収容方向において)外方へテーパしている。
【0188】
図24Bに単独で示された支持フレーム351は、孔チューブ352の形式のリング部材を有し、孔チューブ352は、支持フレーム351の孔を画定しており、この孔を横切って膜307が延びている(かつ使用時に封止する)。孔チューブ352は管状であるが、必ずしも管状ではないその他の形式を取ってもよいことが認められるべきである。
【0189】
スカート353(内側スカートであると考えられてよい)が孔チューブ352から垂れ下がっている(すなわち、孔チューブの全周に延びている)。特に、スカート353は、内方および下方/後方方向へ傾斜している(すなわち、通常使用時において)。このように、スカート353によって画定された内部空間は、反転された円錐台形を有する。スカート353の形状は、セル本体333の内周面364と概して連続的な面を形成するようになっている(支持フレーム351が取り付けられている場合)。このように、スカート353は、作動流体を保持するためのチャンバを部分的に画定している。
【0190】
ベースプレート355の形式のベース部材は、スカート353の下端部から外方へ突出している(すなわち、スカートの全周にわたって)。ベースプレート355の下面は、モジュール308の封止面313を画定している。ベースプレート355は、ベースプレート355と周囲リップ363との間に収容された変形可能な封止部材360を介して、セル本体333の周囲リップ363に当接する。これは、モジュール308とセル本体333との間に封止された接続を提供する(すなわち、封止部材360はチャンバからの(またはチャンバ内への)流体の漏れを防止する)。したがって、セル本体333と、周囲の変形可能な封止部材360内に配置された支持フレーム351との間の境界面の部分は、水から封止され、同様に、境界面を介した作動流体の漏れが防止される。
【0191】
支持フレーム351は、本実施形態では孔チューブ352およびスカート353の両方から垂れ下がった複数のウェブ365(またはプレート)の形式の、ガイド部分も有する。ウェブ365は、支持フレーム351の周囲に沿って間隔を置いて配置されている。各ウェブ365は、外方および下方/後方へ傾斜された内縁366を有する。内縁366の傾斜は、周囲リップ363の外周面367を補完するようになっている。このように、モジュール308がセル本体333内へ下降されると、ウェブ365の内縁366が外周面367に係合し、モジュール308をセル本体333上に案内する。
【0192】
この案内機能を提供することに加えて、各ウェブ365は、切欠き368の形式の作動面保持部分も有する。この切欠き368は、膜307の対応する取り付け部分369のための取付け箇所を提供する。すなわち、膜取付け部分369は各切欠き368内に引っ掛かり、膜を支持フレーム351上に保持する。特に、示したように、膜307は、孔チューブ352の湾曲した周囲外面にわたって延びており、下方/後方方向へ延びている(そこで、次いで取付け部分369によって支持フレーム351に接続される)。
【0193】
支持フレーム351は、モジュール308をセル本体333に固定するための手段も提供する。本実施形態では、この手段は、ウェブ365の下端部において支持フレーム351の周囲に沿って延びる下側周囲部材370の形式である。この下側周囲部材370は、フック部材371を収容するための複数の周方向に間隔を置いて配置された孔を有する。示されていないが、これらのフック部材は、モジュール308をセル本体333に保持するためにセル本体333の対応する周方向部分と係合する。認められるべきであるように、選択的ロッキング手段などのその他の固定手段が、モジュール308をセル本体333に固定するために使用されてもよい。その他の実施形態では、例えば、支持フレーム351がセル本体333に収容されると、膜307の取付け部分369がセル本体333に固定されてよい(例えば、取付け部分369が、支持フレーム351から分離され、次いで、セル本体333に再接続されてよい)。このように、膜307自体が支持フレーム351をセル本体333に保持する。
【0194】
図25Aおよび図25Bは、膜407を沈められたセル本体433に据え付けるためのポータブル据付装置472を示す。据付装置472は、開口を有するキャビティ474を画定する本体473と、キャビティ474の開口の周囲における複数の取付け部分475とを有する。装置取付け部分475は、膜407の対応する取り付け部分469と解放可能に係合するように構成されている。このように、図25Aに示したように、膜407は、キャビティ474の開口を封止するために開口の周囲に沿って固定することができる。本体473は、さらに、出口477の下流のそれぞれのライザ478にそれぞれ流体接続された2つの出口477を有する。
【0195】
据付装置472は、セル本体433への膜407の取付けを容易にするために膜407をキャビティ474内へ引っ張るように構成されている。この構成は、図25Bに示されている。この図において、据付装置472は、沈められたセル本体433まで下降されており、これにより、据付装置472も沈められている(すなわち、水域の自由表面479の下方へ)。その結果、据付装置472の外部の圧力が増大している(すなわち、大気圧よりも高い)。しかしながら、キャビティ474における圧力は、この下降の間、同じままである。なぜならば、ライザ478がキャビティ474と大気との間の流体連通を維持するからである。この結果、キャビティ474における流体の圧力は、キャビティ474の外部の圧力よりも小さく、これにより、膜407がキャビティ474内へ引き込まれる。
【0196】
本実施形態では、ライザ478が開放したままであるので、据付装置472が下降されると、膜407が次第にキャビティ474内へ引き込まれる(差圧が次第に増大することにより)。その他の実施形態では、ライザ478はクロージャ(例えば、キャップ、栓、弁など)を有してもよく、クロージャは、据付装置472がセル本体433まで下降されると開放されてよい(すなわち、膜407のより迅速な引き込みを提供する)。
【0197】
したがって、膜407は、膜407をセル本体433に取り付けることがより容易となる位置へ移動される。特に、この位置において、膜407は、セル本体433の周囲リップ463上にかつその周囲に収容することができる。次いで、膜407は、据付装置472から分離させることができ、その後、セル本体433の対応する膜保持部分468との膜取付け部分469の係合によってセル本体433に接続することができる。
【0198】
図26A図26Dは、別のWECモジュール実施形態を概略的に示す。これらの実施形態はそれぞれ類似の特徴を有し、その理由から同じ参照番号は同じ特徴を示すために使用されている。各モジュールは、セル本体533の一部を形成する、支持フレーム551によって画定された孔を横切って延びる膜507を有する。セル本体533および膜507は一緒に、作動流体(空気など)のためのチャンバ534を画定している。各モジュールは、支持フレーム551に設けられた取付け部分558を介してベース構造に取り付けることができる。
【0199】
図26Aは、モジュール508が、セル本体に形成された孔の形式の1つの流体交換ポート512を有する実施形態を示す。流体交換ポート512は、チャンバ534内へのおよびチャンバ534からの流体流のために構成されている。
【0200】
モジュールは、支持フレーム551に配置された、内側周囲変形可能封止部材560および外側周囲変形可能封止部材561を有する。封止部材560,561は、ベース構造に取り付けられたときにモジュール508をベース構造に対して封止するために支持フレーム551の全周にわたって延びている。特に、封止部材560,561は、チャンバ534からの作動流体の漏れを防止する。
【0201】
図26Bにおいて、モジュール508’は、2つの流体交換ポート512を有する。各流体交換ポート512は、これを通る流体の一方向の流れのために構成されてよい(例えば、一方向弁を有してよい)。代替的に、両流体交換ポート512は、両方向での流体流を可能にしてもよい。
【0202】
この実施形態では、モジュール508’は、それぞれの流体交換ポート512の周囲にそれぞれ伸びる2つの封止部材560,561を有する。そうすることによって、封止部材560,561は流体交換ポート512を封止し、チャンバ534からの作動流体の漏れを防止する。
【0203】
図26Cにおいて、モジュール508’’は、同様に、2つの流体交換ポート512を有するが、2つの変形可能な封止部材を有する代わりに、1つの封止部材560が両流体交換ポート512の周囲に延びている。
【0204】
図26Dにおいて、モジュール508’’’セル本体533は、複数の狭い間隔を置いた流体交換ポート512を有するためのメッシュから形成されている。1つの周囲封止部材560が支持フレーム551に設けられている。この実施形態では、セル本体533に保持されたあらゆる水を排出するためにベース構造の一部としてポンプが必要とされる場合がある。
【0205】
前述の説明、または以下の請求項、または添付の図面に開示された特徴は、それらの特定の形態で、または開示された機能を実行するための手段、または開示された結果を得るための方法またはプロセスの観点から表され、必要に応じて、別個に、またはこのような特徴のあらゆる組合せにおいて、その多様な形態で本発明を実現するために利用される場合がある。
【0206】
本発明は、上記の典型的な実施形態に関連して説明されているが、この開示が与えられたとき多くの同様の修正および変化態様が当業者に明らかになるであろう。したがって、上記で示された本発明の典型的な実施形態は、例示的であり、限定するものではない。記載された実施形態に対する様々な変更は、本発明の思想および範囲から逸脱することなく行われ得る。
【0207】
あらゆる疑義を回避するために、本明細書に提供されたあらゆる理論的説明は、読者の理解を促進するために提供されている。発明者らは、これらの理論的説明のいずれかによって拘束されることを望まない。
【0208】
本明細書において使用されたあらゆるセクション見出しは、組織的目的のためだけであり、記載された対象を限定するものと解釈されるべきではない。
【0209】
以下に続く請求項を含む本明細書を通じて、文脈がそうでないことを要求しない限り、「有する(have)」、「備える(comprise)」および「含む(include)」という単語、ならびに「有している(having)」、「備えた(comprises)」、「備えている(comprising)」および「含んでいる(including)」などの変化形は、述べられた整数またはステップまたは整数またはステップのグループを含むが、あらゆるその他の整数またはステップまたは整数またはステップのグループを排除しないことを示唆すると理解される。
【0210】
本明細書および添付の請求項において使用されているように、「a」、「an」および「the」という単数形は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り複数の指示対象物を含むことに留意しなければならない。範囲は、本明細書において、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして表される場合がある。このような範囲が表される場合、別の実施形態は、1つの特定の値からおよび/または他方の特定の値までを含む。同様に、値が、「約」という先行詞の使用によって近似値として表されている場合、特定の値は別の実施形態を形成することが理解されるであろう。数値に関連した「約」という用途は、選択的であり、例えば±10%を意味する。
【0211】
「好ましい」および「好ましくは」という単語は、本明細書において、幾つかの状況下である利点を提供する場合がある本発明の実施形態を意味する。しかしながら、その他の実施形態も、同じまたは異なる状況下で好ましい場合があることが認められるべきである。したがって、1つまたは複数の好ましい実施形態の記述は、他の実施形態が有用でないことを意味または示唆せず、他の実施形態を開示の範囲または請求項の範囲から排除することを意図していない。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図23A
図23B
図23C
図23D
図23E
図23F
図23G
図23H
図24A
図24B
図25A
図25B
図26A
図26B
図26C
図26D
【国際調査報告】