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特表2023-518466外部クラッド領域を有するマルチコアファイバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(54)【発明の名称】外部クラッド領域を有するマルチコアファイバ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/02 20060101AFI20230424BHJP
   G02B 6/036 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
G02B6/02 461
G02B6/036
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556556
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(85)【翻訳文提出日】2022-11-21
(86)【国際出願番号】 US2021020213
(87)【国際公開番号】W WO2021188290
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】62/991,898
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】リー,ミン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ポン,ガオジュー
【テーマコード(参考)】
2H250
【Fターム(参考)】
2H250AB04
2H250AB05
2H250AB09
2H250AB10
2H250AB15
2H250AB18
2H250AC62
2H250AC67
2H250AC69
2H250AC77
2H250AC78
2H250AC83
2H250AC93
2H250AC94
2H250AC96
2H250AC97
2H250AC98
2H250AD15
2H250AD18
2H250AD25
2H250AD32
2H250AD44
2H250AD45
2H250AE25
2H250AE39
2H250AE47
2H250AH27
(57)【要約】
マルチコア光ファイバは、2つ以上のコア、該2つ以上のコアを取り囲む共通内部クラッド、及び該共通内部クラッドを取り囲む共通外部クラッドを備えている。共通外部クラッドは、共通内部クラッドより低い相対屈折率を有しており、コアからのトンネリング損失を低減する。トンネリング損失を低減することにより、コアをファイバのエッジのより近くに配置することができ、したがって、所与のファイバ直径に対してより多くのコア数を有するマルチコア光ファイバを提供することができる。クロストークを最小限に抑えるために、コア間の分離が制御される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチコア光ファイバであって、
マルチコアガラスファイバを含み、該マルチコアガラスファイバが、
複数のコア領域であって、その各々が、専用内側クラッド領域によって取り囲まれ、それに直接隣接している、複数のコア領域;
前記複数のコア領域の各々の専用内側クラッド領域を取り囲む共通内部クラッド領域であって、相対屈折率Δ及び半径Rを有する、共通内部クラッド領域;並びに
前記共通内部クラッド領域を取り囲む共通外部クラッド領域であって、半径R>R及び相対屈折率Δ<Δを有する、共通外部クラッド領域
を含む、マルチコアガラスファイバ
を含む、マルチコア光ファイバ。
【請求項2】
前記複数のコア領域の各々が、3.0μm~8.0μmの範囲の半径r及び0.20%~0.80%の範囲の相対屈折率Δを有する、請求項1に記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項3】
前記複数のコア領域の各々の専用内側クラッド領域が、9.0μm~18.0μmの範囲の半径r及び-0.80%~-0.10%の範囲の相対屈折率Δを有する、請求項1又は2に記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項4】
前記複数のコア領域の各々の専用内側クラッド領域が、4.0μm~10.0μmの範囲の半径r及び-0.10%~0.10%の範囲の相対屈折率Δを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項5】
前記複数のコア領域の各々が、前記専用内側クラッド領域に直接隣接した、専用の屈折率が低下したクラッド領域によってさらに取り囲まれており、前記専用の屈折率が低下したクラッド領域が、7.0μm~20.0μmの範囲の半径r及び-0.80%~-0.10%の範囲の相対屈折率Δを有する、請求項4に記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項6】
前記相対屈折率Δが-0.30%~0.30%の範囲にあり、前記半径Rが50.0μm~125.0μmの範囲にある、請求項1から5のいずれか一項に記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項7】
前記相対屈折率Δが-0.80%~-0.10%の範囲にある、請求項1から6のいずれか一項に記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項8】
差R-Rが4.0μm~12.0μmの範囲にある、請求項1から7のいずれか一項に記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項9】
前記複数のコア領域が、20.0μm未満のエッジ間隔を有する少なくとも1つのコア領域を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項10】
前記複数のコア領域の隣接したコア領域の各対間のクロストークが、1310nmで-60dB/km未満である、請求項1から9のいずれか一項に記載のマルチコア光ファイバ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、その全体がここに参照することによって本願に援用される、2020年3月19日出願の米国仮特許出願第62/991,898号の優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は光ファイバに関する。より詳細には、本開示はマルチコア光ファイバに関する。より詳細には、本開示は高いコア密度を有するマルチコア光ファイバに関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバはさまざまな通信応用に利用されている。最も広く用いられている光ファイバは、光信号を伝送するための単一のコア領域を含んでいる。コア領域は通常、10μm程度の直径を有しており、125μmの直径を有するクラッドによって取り囲まれている。現在、単心光ファイバの伝送容量は理論上の限界に近づいていることから、伝送ケーブルに含まれる単心光ファイバの本数を増加させることによって、伝送容量の増加に対する需要に対応している。ファイバ数が多いほど伝送容量が大きくなるが、ケーブルが大きくなり、スペースの制限の制約を受ける既存のファイバ設備を大容量ケーブルに改造することが困難になる。結果として、伝送ケーブルのサイズを増加させることなく、より高い伝送容量を提供するソリューションを開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検討中の1つのソリューションは、マルチコア光ファイバである。マルチコア光ファイバは、単一の共通クラッドマトリクスに埋め込まれた複数のコアを含んでいる。マルチコア光ファイバの各コアは、独立した伝送チャネルとして機能する。伝送容量はコアの数が増加するにつれて増加することから、クラッドの所与の断面積におけるコアの密度を最大化することが望ましい。コア密度は、コア間の間隔を狭めることによって増加させることができる。しかしながら、コア間隔が狭くなると、コア間にクロストークが発生し、異なるコアで送信される信号が混在するため、信号品質が低下する。コア密度は、コアとクラッドの外面との間の間隔によっても制限される。クラッドは通常、1つ以上の保護被覆によって取り囲まれており、クラッドの外面に近接したコア内の信号強度は、クラッドを通じて保護被覆にトンネリングすることによって低下する。コア密度が高く、信号の劣化が最小限のマルチコアファイバが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、高いコア密度を有するマルチコア光ファイバを提供する。マルチコア光ファイバは、共通クラッド領域によって取り囲まれた2つ以上のコアと、共通クラッド領域を取り囲む外部クラッド領域とを含む、マルチコアガラスファイバを備えている。外部クラッド領域は、共通クラッド領域より低い屈折率を有しており、マルチコアガラスファイバの外面に近接したコアからの光信号のトンネリングを抑制する。
【0006】
本明細書は、
マルチコア光ファイバであって、
マルチコアガラスファイバを含み、該マルチコアガラスファイバが、
複数のコア領域であって、その各々が、専用内側クラッド領域によって取り囲まれ、それに直接隣接している、複数のコア領域;
前記複数のコア領域の各々の専用内側クラッド領域を取り囲む共通内部クラッド領域であって、相対屈折率Δ及び半径Rを有する、共通内部クラッド領域;並びに
前記共通内部クラッド領域を取り囲む共通外部クラッド領域であって、半径R>R及び相対屈折率Δ<Δを有する、共通外部クラッド領域
を含む、マルチコアガラスファイバ
を含む、マルチコア光ファイバに及ぶ。
【0007】
追加の特徴及び利点は、以下の詳細な説明に記載され、一部には、その説明から当業者に容易に明らかとなるか、あるいは、明細書、及びその特許請求の範囲、並びに添付の図面に記載される実施形態を実施することによって認識されよう。
【0008】
前述の概要及び後述する詳細な説明はいずれも、単なる例示であり、特許請求の範囲の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することが意図されていることが理解されるべきである。
【0009】
添付の図面は、さらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれて、その一部を構成する。図面は、本開示の選択された態様の例示であり、その説明とともに、本開示によって包含される方法、生成物、及び組成物の原理および動作を説明する役割を担う。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】各々が、専用内側クラッド領域、専用の屈折率が低下したクラッド領域、共通内部クラッド領域、及び共通外部クラッド領域を含む、2つのコア領域を有するマルチコアガラスファイバの断面図
図2図1に示されるマルチコアガラスファイバのコアの例示的なステップインデックス型プロファイルを示す図
図3図1に示されるマルチコアガラスファイバのコアの例示的なα-プロファイルを示す図
図4】各々が専用内側クラッド領域、共通内部クラッド領域、及び共通外部クラッド領域を有する、2つのコア領域を有するマルチコアガラスファイバの断面図
図5図4に示されるマルチコアガラスファイバのコアの例示的なステップインデックス型プロファイルを示す図
図6図4に示されるマルチコアガラスファイバのコアの例示的なα-プロファイルを示す図
図7】2つのコア領域、共通内部クラッド領域、及び共通外部クラッド領域を有するマルチコアガラスファイバの断面図
図8図7に示されるマルチコアガラスファイバのコアの例示的なステップインデックス型プロファイルを示す図
図9図7に示されるマルチコアガラスファイバのコアの例示的なステップインデックス型プロファイルを示す図
図10】マルチコアガラスファイバのクロストークを示す図
図11】共通外部クラッドが有る場合及び無い場合のマルチコア光ファイバのコア領域の1550nmの波長におけるトンネリング損失を示すグラフ
図12】共通外部クラッドの有無による、マルチコア光ファイバのコア領域の1550nmの波長におけるトンネリング損失を示すグラフ
図13】マルチコア光ファイバの例示的な設計を示す図
図14】マルチコア光ファイバの例示的な設計を示す図
図15】マルチコア光ファイバの例示的な設計を示す図
図16】マルチコア光ファイバの例示的な設計を示す図
図17】マルチコア光ファイバの例示的な設計を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、実施可能な教示として提供され、以下の説明、図面、実施例、及び特許請求の範囲を参照することにより、より容易に理解することができる。この目的のために、当業者は、有益な結果を依然として得つつ、本明細書に記載される実施形態のさまざまな態様に多くの変更を加えることができることを認識し、理解するであろう。また、他の特徴を利用せずに、特徴の幾つかを選択することによって、本実施形態の所望される利益の幾つかを得ることができることも明らかであろう。したがって、当業者は、多くの修正及び適応が可能であり、ある特定の状況では望ましいことさえあり、本開示の一部であることを認識するであろう。したがって、本開示は、特に明記しない限り、開示された特定の組成物、物品、デバイス、及び方法に限定されないことが理解されるべきである。また、本明細書で用いられる用語は、単に特定の態様のみを説明するためのものであり、限定することは意図されていないことも理解されるべきである。
【0012】
本明細書及び以下の特許請求の範囲では、多くの用語について言及されており、それらは次の意味を有すると定義される:
「含む(Include,includes, including)」、又は同様の用語は、網羅的であるが限定的ではない、すなわち包括的であって排他的ではないことを意味する。
【0013】
本明細書で用いられる場合、「約」という用語は、量、サイズ、配合、パラメータ、及び他の量及び特性が正確ではなく、かつ、正確である必要はなく、許容誤差、変換係数、四捨五入、測定誤差など、並びに当業者に知られている他の要因を反映して、必要に応じて近似及び/又はより大きく又はより小さくてもよいことを意味する。値が、ほぼある特定の数値である、又はある特定の数値にほぼ等しいと言われる場合、その値はその数値の±10%以内である。例えば、約10の値は、両端の値を含む9から11の間の値を指す。範囲の値又は端点を説明する際に「約」という用語が用いられる場合、本開示は、言及される特定の値又は端点を含むと理解されるべきである。明細書の範囲の数値又は端点が「約」を記載しているかどうかにかかわらず、範囲の数値又は端点は、「約」によって修飾されたものと、修飾されていないもの2つの実施形態を含むことが意図されている。さらには、範囲の各々の端点は、他の端点に関連して、及び他の端点とは独立してのいずれにおいても重要であることが理解されよう。
【0014】
用語「約」とは、特に明記しない限り、範囲内のすべての用語を指す。例えば、約1、2、又は3は、約1、約2、又は約3に等しく、約1~3、約1~2、及び約2~3をさらに含む。組成物、構成要素、成分、添加剤及び同様の態様,並びにそれらの範囲について開示されている特定の好ましい値は、例示のみを目的としており、他の定義された値又は定義された範囲内の他の値を除外しない。本開示の組成物及び方法は、本明細書に記載される値、特定の値、さらに具体的な値、及び好ましい値のうちの任意の値又は任意の組合せを有するものを含む。
【0015】
本明細書で用いられる不定冠詞「a」又は「an」及びその対応する定冠詞「the」は、別段の指定がない限り、少なくとも1つ又は1つ以上を意味する。「複数(plurality)」という用語は2つ以上を意味する。
【0016】
本明細書で使用される方向用語(例えば、上、下、右、左、前、後、上部、底部)は、描かれた図及びそれとともに提供される座標軸を参照してのみ作られており、絶対的な方向を意味することは意図していない。
【0017】
本明細書で用いられる場合、接触とは、直接接触又は間接接触を指す。直接接触とは、介在物質が存在しない接触を指し、間接接触とは、1つ以上の介在物質を介した接触を指す。直接接触する要素は、互いに触れ合っている。間接接触する要素は互いに接触しないが、1つの介在材料又は一連の介在材料に接触しており、その介在材料又は一連の介在材料の少なくとも1つが他の要素と接触している。接触している要素は、堅く結合されていても、柔軟に(non-rigidly)結合されていてもよい。接触とは、2つの要素を直接又は間接的に接触させることを指す。直接(間接)接触している要素は、互いに直接(間接)接触していると言える。
【0018】
本明細書で用いられる場合、「直接隣接」とは直接接触することを意味し、「間接的に隣接する」とは間接的に接触することを意味する。「隣接」という用語は、互いに直接的又は間接的に隣接する要素を包含する。
【0019】
「光ファイバ」とは、被覆に取り囲まれたガラス部分を有する導波路を指す。ガラス部分は、コアとクラッドとを含み、本明細書では「ガラスファイバ」と呼ばれる。マルチコア光ファイバは、2つ以上のコアに共通したクラッドによって取り囲まれた2つ以上のコアを含むガラスファイバを備えた光ファイバである。マルチコア光ファイバのガラスファイバの各コアは導波路として機能する。
【0020】
「半径方向位置」、「半径」、又は動径座標「r」とは、マルチコア光ファイバのコアの中心線(r=0)に対する半径方向位置を指す。マルチコア光ファイバの2つ以上のコアの各々は、中心線と、別個の半径座標rとを有する。「半径方向位置」、「半径」、又は動径座標「R」とは、マルチコア光ファイバの中心線(R=0)に対する半径方向位置を指す。マルチコア光ファイバは単一の中心線を有する。動径座標rは、本明細書に記載されるコア領域及びいずれかの専用クラッド領域の半径方向位置を指すために用いられる。動径座標Rは、本明細書に記載される共通クラッド領域及び外部クラッド領域の半径方向位置を指すために用いられる。
【0021】
「屈折率」とは、1550nmの波長における屈折率を指す。
【0022】
「屈折率プロファイル」とは、屈折率又は相対屈折率と半径との関係である。コア及び/又はクラッド領域の間にステップ境界を有するものとして本明細書に示されている相対屈折率プロファイルでは、処理条件の通常の変動は、隣接領域の界面における鋭いステップ境界の獲得を妨げる可能性がある。屈折率プロファイルの境界は、本明細書では屈折率の段階的な変化として示されうるが、実際には、境界は、丸みを帯びた、又はそうでなければ完全な階段関数特性からに逸脱する可能性があるものと理解されたい。相対屈折率の値は、コア領域及び/又はいずれかのクラッド領域内の半径方向位置r又はRによって変化しうることがさらに理解される。相対屈折率がファイバの特定の領域(例えば、コア領域及び/又は下に説明する専用クラッド領域、共通クラッド領域、又は外部クラッド領域のいずれか)の半径方向位置r又はRによって変化する場合、相対屈折率は、その実際の又はおおよその関数依存性に関して、若しくは領域内の特定の半径方向位置r又はRにおけるその値に関して、若しくは領域全体に適用可能な平均値に関して、表される。特に指定のない限り、領域(例えば、コア領域及び/又はいずれかのクラッド領域)の相対屈折率が単一の値として又領域全体に適用可能なパラメータ(例えば、Δ又はΔ%)として表される場合、それは、その領域内の相対屈折率が一定又はほぼ一定であり、その単一の値に対応しているか、あるいは、その単一の値は、領域内の半径方向位置r又はRに対する非一定の相対屈折率依存性の平均値を表しているものと理解されたい。例えば、iがガラスファイバの領域である場合、パラメータΔは、特に指定のない限り、その領域における相対屈折率の平均値を指す。設計によるものであるか、通常の製造変動の結果によるものであるかにかかわらず、半径方向の位置に対する相対屈折率の依存性は、傾斜しているか、湾曲しているか、そうでなければ一定でない可能性がある。
【0023】
「相対屈折率」は、本明細書で用いられる場合、次の式(1)で定義される:
【0024】
【数1】
【0025】
式中、n(r)は、特に指定のない限り、ガラスファイバの半径方向位置rにおける屈折率であり、nrefは、特に指定のない限り、純粋な石英ガラスの屈折率である。本開示の目的では、nref=1.444であり、これは、1550nmにおける純粋な石英の屈折率である。したがって、本明細書で用いられる場合、相対屈折率パーセントは、純粋な石英ガラスに対するものである。本明細書で用いられる場合、相対屈折率は、特に指定のない限り、Δ(又は「デルタ」)又はΔ%(又は「デルタ%」)で表され、その値は、「%」の単位で与えられる。相対屈折率はΔ(r)又はΔ(r)%と表すこともできる。相対屈折率の同様の定義は、動径座標Rで表すことができる。
【0026】
ファイバのある領域の平均相対屈折率(Δ平均)は、次の式(2)から決定される:
【0027】
【数2】
【0028】
式中、r内側は領域の内径であり、r外側は領域の外径であり、Δ(r)は領域の相対屈折率である。平均屈折率の同様の定義は、動径座標Rで表すことができる。
【0029】
「α-プロファイル」又は「アルファプロファイル」という用語は、次の式(3)で定義された関数形式を有する相対屈折率プロファイルΔ(r)を指す:
【0030】
【数3】
【0031】
式中、rはΔ(r)が最大になる半径方向位置であり、r>rはΔ(r)がその最小値まで減少する半径方向位置であり、rは範囲r≦r≦rであり、ここで、rはα-プロファイルの初期半径方向位置であり、rはα-プロファイルの最終半径方向位置であり、αは実数である。10以上のα値を有するα-プロファイルは、ステップインデックス型プロファイルの一例である。10未満のα値を有するα-プロファイルは、グレーデッドインデックス型プロファイルの一例である。α-プロファイルのΔ(r)は、本明細書ではΔmaxと呼ばれることがあり、あるいは、ファイバの特定の領域iに言及する場合にはΔi,maxと呼ばれることがある。ファイバコア領域の相対屈折率プロファイルが、中心線(r=0)で発生するrと、コア領域の外径rに対応するrを有するα-プロファイルによって記述される場合、式(3)は式(4)に簡略化される:
【0032】
【数4】
【0033】
光ファイバの「モードフィールド径」又は「MFD」は、次の式(5)で定義される:
【0034】
【数5】
【0035】
式中、f(r)は導波光信号の電界分布の横方向成分であり、rはファイバ内の半径方向位置である。「モードフィールド径」又は「MFD」は、光信号の波長に依存し、本明細書では1550nmの波長について報告される。本明細書においてモードフィールド径に言及する場合には、波長の特定の表示がなされる。特に指定のない限り、モードフィールド径とは、指定された波長でのLP01モードを指す。
【0036】
光ファイバ「有効面積」は次のように定義される:
【0037】
【数6】
【0038】
式中、f(r)は導波光信号の電界分布の横方向成分であり、rはファイバ内の半径方向位置である。「有効面積」又は「Aeff」は、光信号の波長に依存し、本明細書では、1550nmの波長を指すと理解される。
【0039】
第1の量と第2の量との差への言及は、第1の量から第2の量を減算することによって得られる結果を意味する。例えば、半径rと半径rの差はr-rを意味する。量の大きさ又は差の大きさへの言及は、量又は差の絶対値を指す。
【0040】
光ファイバのカットオフ波長は、光ファイバが1つの伝播モードのみをサポートする最小波長である。カットオフ波長未満の波長では、マルチモード伝送が発生し、追加の分散源が発生して、ファイバの情報伝送容量が制限される可能性がある。カットオフ波長は、本明細書では、ファイバカットオフ波長又はケーブルカットオフ波長として報告される。ファイバカットオフ波長は、2メートルのファイバ長に基づいており、ケーブルカットオフ波長は、22メートルのケーブルファイバ長に基づいている。22メートルのケーブルカットオフ波長は、ケーブル環境での曲げ及び機械的圧力のレベルが高いことに起因して、通常、2メートルのカットオフ波長より短くなる。TIA-455-80:FOTP-80 IEC-60793-1-44 Optical Fibres-Part 1-44:Measurement Methods and Test Procedures - Cut-off Wavelength (21 May 2003), by Telecommunications Industry Association (TIA)に指定されているように、ファイバカットオフ波長λCFは、2メートルのファイバ長に基づいており、一方、ケーブルカットオフ波長λCCは、22メートルのケーブルファイバ長に基づいている。マルチコア光ファイバの各コアはカットオフ波長を示す。カットオフ波長は、異なるコアについて、同じであっても、異なっていてもよい。
【0041】
光ファイバの「色分散」は、特に明記しない限り、「分散」と呼ばれ、材料分散と導波路分散の合計である。ゼロ分散波長(λ)とは、分散がゼロ値を有する波長である。分散スロープは、波長に対する分散の変化率である。分散及び分散スロープは、本明細書では1550nmの波長で報告され、それぞれ、ps/nm.km及びps/nm.kmの単位で表される。マルチコア光ファイバの各コアは分散を示す。分散は、異なるコアについて、同じであっても、異なっていてもよい。
【0042】
本明細書に開示されるマルチコア光ファイバは、2つ以上のコア領域、該2つ以上のコア領域のうちの少なくとも2つに共通した内部クラッド領域を含むクラッド領域、並びに内部クラッド領域を取り囲み、それに直接隣接している外部クラッド領域を含む。コア領域及びクラッド領域はガラスである。クラッド領域は、相対屈折率が異なる複数の領域を含む。クラッド領域のタイプは、専用クラッド領域と共通クラッド領域とを含む。クラッド領域は、2つ以上のコアのうちの1つのコアのみを取り囲む場合には「専用」と呼ばれ、2つ以上のコアのうちの少なくとも2つのコアを取り囲む場合には「共通」と呼ばれる。本明細書に記載される実施形態では、クラッド領域の少なくとも2つは、マルチコアファイバの2つ以上のコアに共通である。少なくとも2つの共通クラッド領域は、マルチコア光ファイバのすべてのコアに共通であることが好ましい。マルチコア光ファイバの各コアは、少なくとも1つの専用クラッド領域及び少なくとも2つの共通クラッド領域を含む。好ましい実施形態では、各コア領域は、コア領域に直接隣接した少なくとも1つの専用クラッド領域を含み、2つ以上の専用クラッド領域を有する実施形態では、2つ以上の専用クラッド領域の少なくとも1つはコア領域に直接隣接しており、2つ以上の専用クラッド領域の他の各々は、2つ以上の専用クラッド領域の別の方に直接隣接している。別の好ましい実施形態では、少なくとも2つの共通クラッド領域のうちの1つは、コア領域から最も離れた専用クラッド領域に直接隣接している。コア領域に直接隣接した共通クラッド領域又は一連の1つ以上の専用クラッド領域から最も離れた領域は、本明細書では、内部共通クラッド領域と呼ばれる。最も外側の(最も半径方向に離れた)共通クラッド領域は、本明細書では、外部共通クラッド領域と呼ばれる。外部共通クラッド領域は、ガラスファイバの外面を画成する。幾つかの実施形態では、外部共通クラッド領域は、内部共通クラッド領域を取り囲み、それに直接隣接する。他の実施形態では、1つ以上の中間共通クラッド領域が、内部共通クラッド領域と外部共通クラッド領域との間に配置される。マルチコア光ファイバは、好ましくは、外部クラッド領域を取り囲む被覆をさらに含む。
【0043】
幾つかの実施形態では、コア領域のクラッド領域は、コア領域を取り囲み、それに直接隣接している専用内側クラッド領域、該専用内側クラッド領域を取り囲み、それに直接隣接している内部共通クラッド領域、及び該内部共通クラッド領域を取り囲み、それに直接隣接している外部共通クラッド領域を含む。専用内側クラッド領域の相対屈折率は、コア領域の相対屈折率より小さい。外部共通クラッド領域の相対屈折率は、内部共通クラッド領域の相対屈折率より小さい。幾つかの実施形態では、内部共通クラッド領域の相対屈折率は、外部共通クラッド領域の相対屈折率及び専用内側クラッド領域の相対屈折率より大きい。
【0044】
幾つかの実施形態では、コア領域のクラッド領域は、コア領域を取り囲み、それに直接隣接している専用内側クラッド領域、該専用内側クラッド領域を取り囲み、それに直接隣接している専用の屈折率が低下したクラッド領域、該専用の屈折率が低下したクラッド領域を取り囲み、それに直接隣接している内部共通クラッド領域、及び内部共通クラッド領域を取り囲み、それに直接隣接している外部共通クラッド領域を含む。専用内側クラッド領域の相対屈折率は、コア領域の相対屈折率より小さく、専用の屈折率が低下したクラッド領域の相対屈折率は、専用内側クラッド領域の相対屈折率より小さい。外部共通クラッド領域の相対屈折率は、内部共通クラッド領域の相対屈折率より小さい。幾つかの実施形態では、外部共通クラッド領域の相対屈折率は、内部共通クラッド領域の相対屈折率及び専用内側クラッド領域の相対屈折率より小さい。幾つかの実施形態では、内部共通クラッド領域の相対屈折率は、外部共通クラッド領域の相対屈折率及び専用の屈折率が低下したクラッド領域の相対屈折率より大きい。
【0045】
幾つかの実施形態では、コア領域のクラッド領域は、専用内側クラッド領域と内部共通クラッド領域との間に配置された、又は専用の屈折率が低下したクラッド領域と内部共通クラッド領域との間に配置された、専用外側クラッド領域を含む。好ましくは、存在する場合には、専用外側クラッド領域は、内部共通クラッド領域によって取り囲まれ、それに直接隣接しており、専用外側クラッド領域は、専用内側クラッド領域又は専用の屈折率が低下したクラッド領域を取り囲み、それに直接隣接している。
【0046】
コア領域、内側クラッド領域、屈折率が低下したクラッド領域、外側クラッド領域、内部共通クラッド領域、及び外部共通クラッド領域はまた、本明細書では、それぞれ、コア、クラッド、内側クラッド、屈折率が低下したクラッド、外側クラッド、内部クラッド、及び外部クラッドとも呼ばれる。
【0047】
本明細書で用いられる場合は常に、半径方向位置r及び相対屈折率Δ又はΔ(r)はコア領域を指し、半径方向位置r及び相対屈折率Δ又はΔ(r)は専用内側クラッド領域を指し、半径方向位置r及び相対屈折率Δ又はΔ(r)は専用の屈折率が低下したクラッド領域を指し、半径方向位置r及び相対屈折率Δ4doc又はΔ4doc(r)は専用外側クラッド領域を指し、半径方向位置R及び相対屈折率Δ又はΔ(R)は内部共通クラッド領域を指し、半径方向位置R及び相対屈折率Δ又はΔ(R)は外部共通クラッド領域を指し、半径方向位置Rは一次被覆を指し、半径方向位置Rは二次被覆を指す。各半径方向位置r(i=1、2、3、又は4)及びR(i=4、5、6、又は7)は、値iに関連付けられた領域の外径を指す。例えば、rはコア領域の外径を指し、rは専用内側クラッド領域の外径を指す、などである。
【0048】
マルチコアガラスファイバの異なるコア領域、異なる専用内側クラッド領域、異なる専用の屈折率が低下したクラッド領域、及び/又は異なる専用外側クラッド領域の半径方向位置及び相対屈折率を明確にするために役立つ場合、第2の識別用の下付き文字が用いられる。例えば、半径rijは、マルチコアガラスファイバのタイプiのj番目の領域の半径方向位置rを指し、Δi,jは、マルチコアガラスファイバのタイプiのj番目の領域の相対屈折率Δを指す。タイプiの領域は、コア領域(i=1)、専用内側クラッド領域(i=2)、専用の屈折率が低下したクラッド領域(i=3)、及び専用外側クラッド領域(i=4)を含む。説明の目的で、半径方向位置r1,1及びr1,2は、それぞれ、マルチコアガラスファイバの第1のコア領域(j=1)の外径r(i=1)及び第2のコア領域(j=2)の外径r(i=1)を指す。同様に、相対屈折率Δ1,1及びΔ1,2は、それぞれ、マルチコアガラスファイバの第1のコア領域(j=1)の相対屈折率Δ(i=1)及び第2のコア領域(j=2)の相対屈折率Δ(i=1)を指す。半径方向位置又は相対屈折率を指定する記号が単一の下付き文字を含む場合、記号及び下付き文字は、マルチコアガラスファイバのタイプiの領域のいずれかを指すことが理解され、ここで、記号及び下付き文字に関連付けられた数値は、マルチコアガラスファイバのタイプiの異なる領域について同じであっても異なっていてもよいことがさらに理解される。例えば、半径方向位置rは、マルチコアガラスファイバのコア領域のいずれかの外径を指し、ここで、外径rの数値は、マルチコアガラスファイバの異なるコア領域のいずれか2つについて同じであっても異なっていてもよいことが理解される。
【0049】
相対屈折率Δ(r)は、最大値Δ1max及び最小値Δ1minを有する。相対屈折率Δ(r)は、最大値Δ2max及び最小値Δ2minを有する。相対屈折率Δ(r)は、最大値Δ3max及び最小値Δ3minを有する。相対屈折率Δ4doc(r)は、最大値Δ4docmax及び最小値Δ4docminを有する。相対屈折率Δ(R)は、最大値Δ4max及び最小値Δ4minを有する。相対屈折率Δ(R)は、最大値Δ5max及び最小値Δ5minを有する。相対屈折率が領域にわたって一定又はほぼ一定である実施形態(例えば、ステップインデックス型プロファイル)では、相対屈折率の最大値及び最小値は、等しいか、又はほぼ等しい。特に指定のない限り、領域(専用又は共通)の相対屈折率について単一の値が報告されている場合、単一の値はその領域の平均値に対応する。α-プロファイル又はグレーデッドインデックス型相対屈折率プロファイルを有するコア領域では、Δ1maxは、幾つかの実施形態では、コア領域の中心線(r=0)におけるΔの値に対応する。幾つかの実施形態では、Δ1maxは、コアの中心線(r=0)からのオフセットである(例えば、相対屈折率の中心線に凹部が存在しうる)。
【0050】
コア領域は形状が実質的に円筒形であり、専用内側クラッド領域、専用の屈折率が低下したクラッド領域、専用外側クラッド領域、共通外部クラッド領域、一次被覆、及び二次被覆は形状が実質的に環状であることが理解される。共通内部クラッド領域は、2つ以上のコア及び該2つ以上のコアに付随する任意の専用クラッド領域を収容するようにサイズ調整された内部空洞を備えた形状を有する。共通内部クラッド領域の外面は、好ましくは、半径Rを画成する円周を有する。環状領域は、内径及び外径に関して特徴付けられる。半径方向位置r、r、r、及びr4docは、本明細書では、コア領域、専用内側クラッド領域、専用の屈折率が低下したクラッド領域、及び専用外側クラッドのそれぞれの最も外側の半径を指す。マルチコア光ファイバのガラスファイバは、好ましくは、形状が実質的に円筒形であり、Rはガラスファイバの外径を指し、これは、共通外部クラッドの外径に対応する。幾つかの実施形態では、ガラスファイバは、一次被覆及び二次被覆によって取り囲まれており、その各々の形状は実質的に環状である。半径Rは一次被覆の外径を指し、半径Rは二次被覆の外径を指す。
【0051】
2つの専用クラッド領域が互いに直接隣接している場合、その2つの専用クラッド領域の内側の外径は、2つの専用クラッド領域の外側の内径と一致する。一実施形態では、例えば、ガラスファイバは、専用の屈折率が低下したクラッド領域によって取り囲まれ、それに直接隣接した専用内側クラッド領域を有するコアを含む。このような実施形態では、半径rは、専用内側クラッド領域の外径及び専用の屈折率が低下したクラッド領域の内径に対応する。相対屈折率プロファイルが専用内側クラッド領域を含み、該専用内側クラッド領域がコアに直接隣接している実施形態では、半径方向位置rは、コアの外径及び専用内側クラッド領域の内径に対応する。
【0052】
以下の用語は、相対屈折率プロファイルが、コア領域を取り囲み、それに直接隣接した専用内側クラッド領域、該専用内側クラッド領域を取り囲み、それに直接隣接した共通内部クラッド領域、及び該共通内部クラッド領域を取り囲み、それに直接隣接した共通外部クラッド領域を含む実施形態に適用される。半径方向位置rと半径方向位置rとの差r-rは、本明細書では、専用内側クラッド領域の厚さと呼ばれる。半径方向位置Rと半径方向位置Rとの差R-Rは、本明細書では、共通外部クラッド領域の厚さと呼ばれる。
【0053】
以下の用語は、相対屈折率プロファイルが、コア領域を取り囲み、それに直接隣接した専用内側クラッド領域、該専用内側クラッド領域を取り囲み、それに直接隣接した専用の屈折率が低下したクラッド領域、該専用の屈折率が低下したクラッド領域を取り囲み、それに直接隣接した共通内部クラッド領域、及び該共通内部クラッド領域を取り囲み、それに直接隣接した共通外部クラッド領域を含む実施形態に適用される。半径方向位置rと半径方向位置rとの差r-rは、本明細書では、専用内側クラッド領域の厚さと呼ばれる。半径方向位置rと半径方向位置rとの差r-rは、本明細書では、専用の屈折率が低下したクラッド領域の厚さと呼ばれる。半径方向位置Rと半径方向位置Rとの差R-Rは、本明細書では、共通外部クラッド領域の厚さと呼ばれる。
【0054】
共通外部クラッド領域を取り囲み、それに直接隣接した一次被覆、及び該一次被覆を取り囲み、それに直接隣接した二次被覆を有する実施形態では、半径方向位置Rと半径方向位置Rとの差R-Rは、本明細書では、一次被覆の厚さと呼ばれ、半径方向位置Rと半径方向位置Rとの差R-Rは、本明細書では、二次被覆の厚さと呼ばれる。
【0055】
以下にさらに説明するように、コア領域、専用内側クラッド領域、専用の屈折率が低下したクラッド領域、専用外側クラッド領域、共通内部クラッド領域、及び共通外部クラッド領域の相対屈折率は異なっていてもよい。コア領域の相対屈折率は、専用クラッド領域又は共通クラッド領域のいずれかの相対屈折率より高い。内側クラッド領域の相対屈折率は、共通内部クラッド領域の相対屈折率より大きい、小さい、又は同じでありうる。専用内側クラッド領域、専用の屈折率が低下したクラッド領域、共通内部クラッド領域、及び共通外部クラッド領域を含む実施形態では、専用の屈折率が低下したクラッド領域の相対屈折率は、専用内側クラッド領域の相対屈折率及び共通内部クラッド領域の相対屈折率より小さい。マルチコア光ファイバの異なるコアについてのコア領域、専用内側クラッド領域、専用の屈折率が低下したクラッド領域、及び専用外側クラッド領域の相対屈折率、半径方向位置、及び厚さのうちのいずれか又はすべては、同じであっても異なっていてもよい。異なる実施形態では、マルチコア光ファイバのすべてのコアがステップインデックス型プロファイルを有する、マルチコア光ファイバのすべてのコアがグレーデッドインデックス型プロファイルを有する、又はマルチコア光ファイバの一部のコアがステップインデックス型プロファイルを有し、かつマルチコア光ファイバの他のコアがグレーデッドインデックス型プロファイルを有する。
【0056】
領域の各々は、ドープされた又はドープされていない石英ガラスから形成することができる。ドープされていない石英ガラスに対する屈折率の変化は、当業者に知られている技法を使用して、目標とする屈折率又は屈折率プロファイルを提供するように設計されたレベルでアップドーパント又はダウンドーパントを組み込むことによって達成される。アップドーパントは、ドープされていないガラス組成物と比較してガラスの屈折率を増加させるドーパントである。ダウンドーパントは、ドープされていないガラス組成物と比較してガラスの屈折率を低下させるドーパントである。一実施形態では、ドープされていないガラスは石英ガラスである。ドープされていないガラスが石英ガラスの場合、アップドーパントにはCl、Br、Ge、Al、P、Ti、Zr、Nb、及びTaが含まれ、ダウンドーパントにはF及びBが含まれる。屈折率が一定の領域は、ドーピングしないことによって、又は領域の厚さにわたって均一な濃度でドーピングすることによって形成することができる。可変屈折率の領域は、領域の厚さ全体にわたるドーパントの不均一な空間分布によって、及び/又は異なる領域に異なるドーパントを組み込むことによって形成される。
【0057】
「モード」という用語は、導波モードを指す。シングルモードファイバは、光ファイバの実質的な長さ(例えば、少なくとも数メートル)にわたって基本的なLP01モードのみをサポートするように設計されているが、ある特定の状況下では短距離(例えば、数十センチメートル)で複数のモードをサポートすることができる光ファイバである。ファイバの複屈折が十分に低く、LP01モードの2つの直交偏光成分が縮退し、同じ位相速度で伝播すると仮定する。マルチモード光ファイバは、基本的なLP01モードと少なくとも1つの高次のLPnmモードを光ファイバの実質的な長さにわたってサポートするように設計された光ファイバであり、n≠0又はm≠1のいずれかである。
【0058】
本開示は、マルチコアガラスファイバ及びマルチコア光ファイバ、並びに該マルチコアガラスファイバ及びマルチコア光ファイバを含むリボン及びケーブルを提供する。リボンでは、マルチコアガラスファイバ又はマルチコア光ファイバは、実質的に平面かつ平行な関係で互いに対して位置合わせされる。リボンのマルチコアガラスファイバ又はマルチコア光ファイバは、光ファイバのリボンを作製する従来の方法によって、幾つかの知られている構成のいずれか(例えば、エッジ結合リボン、薄いカプセル化されたリボン、厚いカプセル化されたリボン、又は多層リボン)で、リボンマトリクスによってカプセル化される。リボンは、2つ以上のマルチコアガラスファイバ又はマルチコア光ファイバを含む。幾つかの実施形態では、リボンは、4以上、又は8以上、又は12以上、又は16以上のマルチコアガラスファイバ又はマルチコア光ファイバを含む。リボンマトリクスは、二次被覆の引張特性と同様の引張特性を有しており、二次被覆の調製に用いられる組成物と同じ、同様の、又は異なる組成物から形成される。ケーブルは、ジャケットによって取り囲まれた複数のマルチコアガラスファイバ又はマルチコア光ファイバを含む。ジャケットは通常、円形の断面を有し、用途の要件に応じて柔軟性又は剛性である。マルチコアガラスファイバ又はマルチコア光ファイバは、ジャケットの内面によって囲まれた導管に密に又は疎に充填される。ジャケット内に配置されたファイバの数は、ケーブルの「ファイバ数」と呼ばれる。ジャケットは、押出成形されたポリマー材料から形成され、ポリマー又は他の材料の複数の同心層を含むことができる。ケーブルはまた、ジャケット内に埋め込まれた、又はジャケットの内面によって画成された導管内に配置された1つ以上の強化部材を含んでいてもよい。強化部材には、ジャケットよりも剛性の高い、繊維又はロッドが含まれる。強化部材は、金属、編組鋼、ガラス強化プラスチック、ガラス繊維、又は他の適切な材料から作られる。ケーブルは、ジャケットに取り囲まれた他の層を含んでいてもよい(例えば、外装層、防湿層、リップコードなど)。ケーブルは、撚り型、ルースチューブ型コア、又は他の光ファイバケーブル構造を有することができる。
【0059】
例示の目的で、以下の開示は、2つのコアを有するマルチコアガラスファイバを説明する。しかしながら、2つより多くのコアを有するマルチコアガラスファイバも同様に想定されており、本開示の範囲内であることは明らかであろう。マルチコアファイバ内のコアの数は、2以上、又は3以上、又は4以上、又6以上、又は8以上、又は12以上、又は16以上、又は2から32の間、又は3から28の間、又は4から24の間、又は6から20の間、又は8から16の間である。コア間のクロストーク又はガラスファイバの外側のトンネリングを最小限に抑えるコア配置の特定の特性についても説明する。これらの特性は、2つより多くのコアを有するマルチコアガラスファイバのコアの任意の対又は組合せにも同様に適用される。本開示はマルチコアガラスファイバを強調しているが、1つ以上のポリマー被覆をマルチコアガラスファイバの外面に施してもよいことがさらに理解される。ポリマー被覆には、一次被覆、二次被覆、インク層、及び当技術分野で知られているマトリクス材料が含まれる。
【0060】
相対屈折率プロファイルの一例は、屈折率がコアの中心線からの距離に対して一定又はほぼ一定であるコア領域を有する、ステップインデックス型相対屈折率プロファイルである。ステップインデックス型ファイバの一例は、α値が10以上のα-プロファイルを有する相対屈折率プロファイルを有するコア領域を備えたファイバである。相対屈折率プロファイルの別の例は、屈折率がコアの中心線からの距離に対して変化するコア領域を有する、グレーデッドインデックス型プロファイルである。グレーデッドインデックス型ファイバの一例は、α値が10未満のα-プロファイルを有する相対屈折率プロファイルを有するコア領域を備えたファイバである。
【0061】
図1は、2つのコアを有するマルチコアガラスファイバを示している。各コアにおいて、コア領域は、専用内側クラッド領域によって取り囲まれ、それに直接隣接しており、該専用内側クラッド領域は、専用の屈折率が低下したクラッド領域によって取り囲まれ、それに直接隣接しており、該専用の屈折率が低下したクラッド領域は共通内部クラッド領域によって取り囲まれ、それに直接隣接しており、該共通内部クラッド領域は共通外部クラッド領域によって取り囲まれ、それに直接隣接している。第1のコアは、コア領域20、専用内側クラッド領域28、専用の屈折率が低下したクラッド領域32、共通内部クラッド領域36、及び共通外部クラッド領域37を含む。コア領域20は、24に示される外径rを有する。専用内側クラッド領域28は、24に示される内側半径及び28aに示される外径rを有する。専用の屈折率が低下したクラッド領域32は、28aに示される内径及び32aに示される外径rを有する。第2のコアは、コア領域30、専用内側クラッド領域38、専用の屈折率が低下したクラッド領域42、共通内部クラッド領域36、及び共通外部クラッド領域37を含む。コア領域30は、34に示される外径rを有する。専用内側クラッド領域38は、34に示される内側半径及び38aに示される外径rを有する。専用の屈折率が低下したクラッド領域42は、38aに示される内径及び42aに示される外径rを有する。共通内部クラッド領域36は14に示される半径Rを有し、共通外部クラッド領域37は15に示される半径Rを有する。コア領域20及び30の中心線間のコア間隔は、16に示されている。本明細書で用いられる場合、コアの「コア間隔」とは、コアの中心線と別のコアの中心線との間の最短距離を指す。コア間隔に配置されたコアは、互いに「隣接」していると言われ、本明細書では「隣接したコア」又は隣接したコアの対と呼ばれる。マルチコア光ファイバ内のコアのコア間隔は同じであることが好ましいが、異なっていてもよい。コア領域20の中心線と共通外部クラッド領域37の外面との間のエッジ間隔は17で示されている。コア領域30の中心線と共通外部クラッド領域37の外面との間のエッジ間隔は18で示されている。本明細書で用いられる場合、コアの「エッジ間隔」とは、コアの中心線と共通外部クラッド領域の外面(半径Rによって画成される表面)との間の最短距離を指す。エッジ間隔17及び18は、同じであっても異なっていてもよい。3つ以上のコアを有する実施形態では、コアの任意の対のエッジ間隔は、同じであっても異なっていてもよい。
【0062】
図2は、例えば、図1に示される専用内側クラッド領域、専用の屈折率が低下したクラッド領域、共通内部クラッド領域、及び共通外部クラッド領域を有するマルチコアガラスファイバのコアの相対屈折率プロファイルを示している。相対屈折率プロファイル10は、24、34に示されている半径rを有するコア領域20、30;28a、38aに示されている半径r及び28d、38dに示されている厚さr-rを有する専用内側クラッド領域28、38;32a、42aに示されている半径r及び28w、38wに示されている厚さr-rを有する専用の屈折率が低下したクラッド領域32、42;示されている半径Rを有する共通内部クラッド領域36;並びに、半径R(図示せず)を有する共通外部クラッド領域37を示している。領域のΔ、Δ、Δ、Δ、及びΔも示されている。コア領域20、30はそれぞれ、ステップインデックス型相対屈折率プロファイルを有する。半径r、r及びr及び相対屈折率Δ、Δ、及びΔは、図3のコア領域20、30について同じように示されているが、他の実施形態では、r、r、r、Δ、Δ、及びΔのいずれか又はすべてが、コア領域20、30について異なりうることが理解される。半径R及びR、及び相対屈折率Δ及びΔは、マルチコア光ファイバのすべてのコア領域について同じである。図2の実施形態では、相対屈折率Δ及びΔは同じように示されている。他の実施形態では、Δ>Δ又はΔ<Δであることが理解される。図2の実施形態では、相対屈折率Δ及びΔは同じように示されている。他の実施形態では、Δ>Δ又はΔ<Δであることが理解される。
【0063】
図3は、例えば、図1に示される専用内側クラッド領域、専用の屈折率が低下したクラッド領域、共通内部クラッド領域、及び共通外部クラッド領域を有するマルチコアガラスファイバのコアの相対屈折率プロファイルを示している。相対屈折率プロファイル10は、24、34に示されている半径rを有するコア領域20、30;28a、38aに示されている半径r及び28d、38dに示されている厚さr-rを有する専用内側クラッド領域28、38;32a、42aに示されている半径r及び28w、38wに示されている厚さr-rを有する専用の屈折率が低下したクラッド領域32、42;示されている半径Rを有する共通内部クラッド領域36;並びに、半径R(図示せず)を有する共通外部クラッド領域37を示している。領域のΔ、Δ、Δ、Δ、及びΔも示されている。一実施形態では、コア領域20、30はそれぞれ、グレーデッドインデックス型の相対屈折率プロファイルを有する。半径r、r及びr及び相対屈折率Δ、Δ、及びΔは、図3のコア領域20、30について同じように示されているが、i他の実施形態では、r、r、r、Δ、Δ、及びΔのいずれか又はすべてが、コア領域20、30について異なりうることが理解される。半径R及びR、及び相対屈折率Δ及びΔは、マルチコア光ファイバのすべてのコア領域について同じである。図3の実施形態では、相対屈折率Δ及びΔは同じように示されている。他の実施形態では、Δ>Δ又はΔ<Δであることが理解される。図3の実施形態では、相対屈折率Δ及びΔは同じように示されている。他の実施形態では、Δ>Δ又はΔ<Δであることが理解される。
【0064】
図4は、2つのコアを有するマルチコアガラスファイバを示している。各コアにおいて、コア領域は専用内側クラッド領域によって取り囲まれ、それに直接隣接しており、該専用内側クラッド領域は共通内部クラッド領域によって取り囲まれ、それに直接隣接しており、該共通内部クラッド領域は共通外部クラッド領域によって取り囲まれ、それに直接隣接している。第1のコアは、コア領域20、専用内側クラッド領域28、共通内部クラッド領域36、及び共通外部クラッド領域37を含む。コア領域20は、24に示される外径rを有する。専用内側クラッド領域28は、24に示される内側半径及び28aに示される外径rを有する。第2のコアは、コア領域30、専用内側クラッド領域38、共通内部クラッド領域36、及び共通外部クラッド領域37を含む。コア領域30は、34に示される外径rを有する。専用内側クラッド領域38は、34に示される内側半径及び38aに示される外径rを有する。共通内部クラッド領域36は14に示される半径Rを有し、共通外部クラッド領域37は15に示される半径Rを有する。コア領域20及び30の中心線間のコア間隔は16で示されている。本明細書で用いられる場合、コアの「コア間隔」とは、コアの中心線と別のコアの中心線との間の最短距離を指す。コア領域20の中心線と共通外部クラッド領域37の外面と間のエッジ間隔は17で示されている。コア領域30の中心線と共通外部クラッド領域37の外面と間のエッジ間隔は18で示されている。本明細書で用いられる場合、コアの「エッジ間隔」とは、コアの中心線と共通外部クラッド領域の外面(半径Rによって画成される表面)との間の最短距離を指す。エッジ間隔17及び18は、同じであっても異なっていてもよい。3つ以上のコアを有する実施形態では、コアの任意の対のエッジ間隔は、同じであっても異なっていてもよい。
【0065】
図5は、例えば、図4に示される専用内側クラッド領域、共通内部クラッド領域、及び共通外部クラッド領域を有するマルチコアガラスファイバのコアの相対屈折率プロファイルを示している。相対屈折率プロファイル10は、24、34に示される半径rを有するコア領域20、30;28a、38aに示される半径r及び28d、38dに示される厚さr-rを有する専用内側クラッド領域28、38;示されている半径Rを有する共通内部クラッド領域36;並びに、半径R(図示せず)を有する共通外部クラッド領域37を示している。領域のΔ、Δ、Δ、及びΔも示されている。コア領域20、30はそれぞれ、ステップインデックス型相対屈折率プロファイルを有する。半径r及びr及び相対屈折率Δ、及びΔは、図2のコア領域20、30についてについて同じように示されているが、他の実施形態では、r、r、Δ、及びΔのいずれか又はすべてが、コア領域20、30について異なりうることが理解される。半径R及びR、並びに相対屈折率Δ及びΔは、マルチコア光ファイバのすべてのコア領域について同じである。図5の実施形態では、相対屈折率Δ及びΔは同じように示されている。他の実施形態では、Δ>Δ又はΔ<Δであることが理解される。
【0066】
図6は、例えば、図4に示される専用内側クラッド領域、共通内部クラッド領域、及び共通外部クラッド領域を有するマルチコアガラスファイバのコアの相対屈折率プロファイルを示している。相対屈折率プロファイル10は、24、34に示される半径rを有するコア領域20、30;28a、38aに示される半径r及び28d、38dに示される厚さr-rを有する専用内側クラッド領域28、38;示されている半径Rを有する共通内部クラッド領域36;並びに、半径R(図示せず)を有する共通外部クラッド領域37を示している。領域のΔ、Δ、Δ、及びΔも示されている。一実施形態では、コア領域20、30はそれぞれ、グレーデッドインデックス型の相対屈折率プロファイルを有する。半径r及びr及び相対屈折率Δ及びΔは、図6のコア領域20、30について同じように示されているが、他の実施形態では、r、r、Δ、及びΔのいずれか又はすべてが、コア領域20、30について異なりうることが理解される。半径R及びR、及び相対屈折率Δ及びΔは、マルチコア光ファイバのすべてのコア領域について同じである。図6の実施形態では、相対屈折率Δ及びΔは同じように示されている。他の実施形態では、Δ>Δ又はΔ<Δであることが理解される。
【0067】
図7は、2つのコアを有するマルチコアガラスファイバを示している。各コアにおいて、コア領域は、共通内部クラッド領域によって取り囲まれ、それに直接隣接しており、該共通内部クラッド領域は、共通外部クラッド領域によって取り囲まれ、それに直接隣接している。第1のコアは、コア領域20、共通内部クラッド領域36、及び共通外部クラッド領域37を含む。コア領域20は、24に示される外径rを有する。第2のコアは、コア領域30、共通内部クラッド領域36、及び共通外部クラッド領域37を含む。コア領域30は、34に示される外径rを有する。共通内部クラッド領域36は14で示される半径Rを有し、共通外部クラッド領域37は15で示される半径Rを有する。コア領域20及び30の中心線間のコア間隔は16で示されている。本明細書で用いられる場合、コアの「コア間隔」とは、コアの中心線と別のコアの中心線との間の最短距離を指す。コア領域20の中心線と共通外部クラッド領域37の外面と間のエッジ間隔は17で示されている。コア領域30の中心線と共通外部クラッド領域37の外面と間のエッジ間隔は18で示されている。本明細書で用いられる場合、コアの「エッジ間隔」とは、コアの中心線と共通外部クラッド領域の外面(半径Rによって画成される表面)との間の最短距離を指す。エッジ間隔17及び18は、同じであっても異なっていてもよい。3つ以上のコアを有する実施形態では、コアの任意の対のエッジ間隔は、同じであっても異なっていてもよい。
【0068】
図8は、例えば、図7に示される共通内部クラッド領域と共通外部クラッド領域とを有するマルチコアガラスファイバのコアの相対屈折率プロファイルを示している。相対屈折率プロファイル10は、24、34で示される半径rを有するコア領域20、30;図示されるように半径Rを有する共通内部クラッド領域36;及び、半径R(図示せず)を有する共通外部クラッド領域37を示している。領域のΔ、Δ、及びΔも示されている。コア領域20、30はそれぞれ、ステップインデックス型相対屈折率プロファイルを有する。半径r及び相対屈折率Δ図8のコア領域20、30について同じように示されているが、他の実施形態では、r及びΔのいずれか又はすべてが、コア領域20、30について異なりうることが理解される。半径R及びR、及び相対屈折率Δ及びΔは、マルチコア光ファイバのすべてのコア領域について同じである。
【0069】
図9は、例えば、図7に示される共通内部クラッド領域と共通外部クラッド領域とを有するマルチコアガラスファイバのコアの相対屈折率プロファイルを示している。相対屈折率プロファイル10は、24、34で示される半径rを有するコア領域20、30;図示されるように半径Rを有する共通内部クラッド領域36;及び、半径R(図示せず)を有する共通外部クラッド領域37を示している。領域のΔ、Δ、及びΔも示されている。一実施形態では、コア領域20、30はそれぞれ、グレーデッドインデックス型の相対屈折率プロファイルを有する。半径r及び相対屈折率Δ図9のコア領域20、30について同じように示されているが、他の実施形態では、r及びΔのいずれか又はすべてが、コア領域20、30について異なりうることが理解される。半径R及びR、及び相対屈折率Δ及びΔは、マルチコア光ファイバのすべてのコア領域について同じである。
【0070】
幾つかの実施形態では、マルチコアガラスファイバは、ステップインデックス型相対屈折率プロファイルを有するコアと、グレーデッドインデックス型(例えば、α-プロファイル)の相対屈折率プロファイルを有するコアとを含む。
【0071】
上記のように、半径(r、r、及び/又はr)、コア領域及び専用クラッド領域の相対屈折率(Δ、Δ、及び/又はΔ)、及びコアプロファイル(ステップインデックス型対グレーデッドインデックス型)は、2つ以上のコアの任意の組合せについて、同じであっても異なっていてもよい。α並びにΔ、Δ、及びΔの差は、組成、ドーパント濃度、ドーパントの空間分布、及び/又はドーパントのタイプの違いによって達成可能である。r、r、及びrの差は、コア領域、内側クラッド領域、及び/又は屈折率が低下したクラッド領域に対応するプリフォーム内の領域の厚さを制御することによって達成可能である。
【0072】
コア領域及びクラッド領域の相対屈折率プロファイル、並びにマルチコア光ファイバのコアの中心線間の間隔は、コア間のクロストークを最小限に抑えるように選択される。本明細書で用いられる場合、クロストークとは、あるコアから別のコアへの光信号強度の伝達を指す。クロストークは、1つのコア内の光信号のエバネッセント場が別のコアのクラッド領域又はコア領域と重なることによって促進される。クロストークは、2つのコア間のクラッド領域における、1つのコアの光信号のエバネッセント場と別のコアの光信号のエバネッセント場の重なりによっても促進される。
【0073】
クロストークは、コア62及び64を有するマルチコアガラスファイバ60を示す図10に概略的に示されている。コア62及び64は、本明細書に記載されるコア領域及び専用クラッド領域のいずれかを有する実施形態を含む(図10には詳細は示されていない)。コア62及び64は、共通内部クラッド66及び共通外部クラッド67によって取り囲まれている。パルスレーザ68は、マルチコアガラスファイバ60の入力端71においてコア62に一次信号70を発射する。一次信号70がコア62に沿って伝播するときに、クロストークが発生する可能性があり、一次信号70の一部がコア64に伝達される可能性がある。光信号の伝達は、伝達信号72として示されており、コア64内でのクロストーク信号74の生成につながる。クロストーク信号74はコア64を通って伝播し、マルチコアガラスファイバ60の出力端73で検出器76によって検出される。クロストークは、マルチコアファイバに2つの望ましくない影響をもたらす。第1に、クロストークは、マルチコアガラスファイバ60の出力端73においてコア62に対して検出される一次信号70のパワーの減少をもたらす。第2に、二次信号(図10には示されていない)がマルチコアガラスファイバ60の入力端71でコア64に発射される場合、コア62からのクロストーク信号74は、二次信号がコア64を通って伝播するときに二次信号と干渉又は混合し、マルチコアガラスファイバ60の出力端73でコア64から出るときに二次信号の検出に歪み又はエラーを生じる。伝達信号72がクロストークプロセスにおけるコア62からコア64への光信号の正味の伝達に対応するように、コア64からコア62へのバッククロストークが発生する可能性があることが認識される。結合が弱い場合、バッククロストークは無視することができる。
【0074】
マルチコアガラスファイバの異なるコアに入射する光信号の純度を維持するためには、マルチコア光ファイバを、コア間のクロストーク(結合が弱い)の程度を低くするように構成することが好ましい。クロストークの程度は、それが発生する信号のパワーに対するクロストーク信号のパワーの尺度である(例えば、一次信号70に対するクロストーク信号74のパワー)。本明細書で用いられる場合、クロストークの程度は、クロストーク信号と一次信号が光信号の伝播方向に横断する距離に正規化される(以下の式(7)を参照)。クロストークの程度は、本明細書では、dB/km、又はdB/10km、又はdB/100kmの単位で表される。
【0075】
例として、図10に示される一次信号70及びクロストーク信号74の伝播方向はz方向である。z方向は、コア62及び64の中心線に平行であり、マルチコアガラスファイバの入力(発射端)から出力(検出端)に向かう方向に配向されている。Δzの距離にわたる各z位置において、クロストークは、コア62からコア64への一次信号70の一部の伝達によって発生して、クロストーク信号74をもたらす。クロストークは伝達信号72として示されている。クロストーク信号74のパワーが位置z>zにおいてPであり、位置zにおける一次信号704のパワーがPの場合、線形スケールでの位置zにおけるクロストークの程度は次式のように与えられ:
【0076】
【数7】
【0077】
対数スケールでのクロストークの程度は次のように与えられる:
【0078】
【数8】
【0079】
クロストーク信号74のパワーは、対数スケール(式(8))ではなく、線形スケール(式(7))でのみ、距離zに比例して増加することに留意されたい。便宜上、対数スケールを使用する。式(8)を使用する場合、z及びzをkm(キロメートル)で表し、クロストークの程度はdB/kmで表す。任意の長さL(km単位で表される)のファイバの場合、長さLに正規化されたdB単位のクロストークの程度は、次のように計算される:
【0080】
【数9】
【0081】
式(9)において、「クロストークの程度(dB/km)」という用語は、1kmのファイバ長について式(8)から計算されたクロストークの程度を指す。次に、式(9)の適用について説明する。例えば、クロストーク信号74のパワーPが、クロストーク信号74と一次信号70との間の1kmの分離(z-z)について、一次信号70のパワーPの0.001%である場合、クロストークの程度は-50dB/kmである(式(8))。この程度のクロストークを1m長のファイバセグメントに適用すると、式(9)から計算されたクロストークの程度は-80dB/10-3kmであり、これは-80dB/mに相当する。この程度のクロストークを100km長のファイバセグメントに適用すると、式(9)から計算されたクロストークの程度は-30dB/100kmである。
【0082】
本発明のマルチコア光ファイバでは、マルチコア光ファイバの任意の2つのコア間の1310nmにおけるクロストークの程度は、-40dB/km未満、又は-45dB/km未満、又は-50dB/km未満、又は-55dB/km未満、又は-60dB/km未満、又は-90dB/km~-40dB/kmの範囲、又は-80dB/km~-45dB/kmの範囲、又は-75dB/km~-50dB/kmの範囲にある。
【0083】
本発明のマルチコア光ファイバでは、マルチコア光ファイバの任意の2つのコア間の1550nmにおけるクロストークの程度は、-25dB/km未満、又は-35dB/km未満、又は-45dB/km未満、又は-50dB/km未満、又は-55dB/km未満、又は-75dB/km~-25dB/kmの範囲、又は-65dB/km~-30dB/kmの範囲、又は-55dB/km~-35dB/kmの範囲にある。
【0084】
次に、マルチコアガラスファイバのコアの構成について説明する。コアの構成に関する考慮事項には、相対屈折率(Δ、Δ、Δ、Δ、Δ、並びに各々の最小値及び最大値)、コア及びクラッド領域の半径方向位置(r、r、r、R及びR)、コア間隔、並びにエッジ間隔が含まれる。
【0085】
図2及び3に示される相対屈折率プロファイルの相対屈折率の相対的順序付けは、条件Δ(又はΔ1max)>Δ>Δ(又はΔ3min)、Δ(又はΔ1max)>Δ>Δ(又はΔ3min)、Δ(又はΔ1max)>Δ>Δ(又はΔ5min)、Δ(又はΔ1max)>Δ>Δ(又はΔ5min)を満たす。Δ及びΔの値は等しい場合もあれば、いずれか一方が他方より大きい場合もあるが、Δ及びΔの両方とも、Δ(又はΔ1max)とΔ(又はΔ3min)の間であり、かつΔ(又はΔ1max)とΔ(又はΔ5min)との間である。Δ及びΔの値は等しい場合もあれば、いずれか一方が他方より大きい場合もあるが、Δ及びΔの両方ともΔ及びΔより小さい。
【0086】
図5及び6に示される相対屈折率プロファイルの相対屈折率Δ、Δ、及びΔの相対的順序付けは、条件Δ(又はΔ1max)>Δ>Δ(又はΔ2min)及びΔ(又はΔ1max)>Δ4>Δ(又はΔ5min)を満たす。Δ及びΔの値は等しい場合もあれば、いずれか一方が他方より大きい場合もあるが、Δ及びΔのいずれもΔより小さい。
【0087】
図8及び9に示される相対屈折率プロファイルの相対屈折率Δ、Δ、及びΔの相対的順序付けは、条件Δ(又はΔ1max)>Δ>Δ(又はΔ5min)を満たす。
【0088】
マルチコアガラスファイバの複数のコア領域の各々は、石英ガラスを含む。石英ガラスは、ドープされていない石英ガラス、アップドープされた石英ガラス、及び/又はダウンドープされた石英ガラスである。アップドープされた石英ガラスは、GeO、アルカリ金属酸化物(例えば、NaO、KO、LiO、CsO、又はRbO)、又はハロゲン(例えば、Cl、Br)のうちの1つ以上をドープされた石英ガラスを含む。実施形態では、石英ガラス中のGeOの濃度は、5質量%~22質量%、又は7質量%~15質量%である。ダウンドープされた石英ガラスは、F又はBのうちの1つ以上をドープされた石英ガラスを含む。コア領域のある特定の実施形態におけるKOの濃度は、Kの量に関して表して、20ppm~1000ppm、又は35ppm~500ppm、又は50ppm~300ppmの範囲にあり、ここで、ppmは、重量による百万分率を指す。他の実施形態では、KO以外のアルカリ金属酸化物は、上記Kの量から決定して、KOの等モル量に相当する量で存在する。コア領域の幾つかの実施形態におけるCl又はBrの濃度は、0.5質量%~6.0質量%の範囲、又は1.0質量%~5.5質量%の範囲、又は1.5質量%~5.0質量%の範囲、又は2.0質量%~4.5質量%の範囲、又は2.5質量%~4.0質量%の範囲にある。マルチコアガラスファイバの異なるコア領域におけるドーパントのタイプ及び/又はドーパント濃度は同じであるか、又は異なっている。
【0089】
幾つかの実施形態では、マルチコアガラスファイバの少なくとも1つのコア領域は、アップドーパントとダウンドーパントとを含み、ここで、アップドーパントの濃度は、中心線(r=0)で最も高く、コア半径rで最も低く、ダウンドーパントの濃度は、中心線(r=0)で最も低く、コア半径rで最も高い。このような実施形態では、相対屈折率Δは、中心線(r=0)の近くで正の値を有し、コア半径rで負の値へと低下させることができる。
【0090】
幾つかの実施形態では、マルチコアガラスファイバの複数のコア領域の少なくとも1つのコア領域の相対屈折率は、1.5~10の範囲、又は1.7~8.0の範囲、又は1.8~6.0の範囲、又は1.9~5.0の範囲、又は2.0~4.0の範囲、又は10~50の範囲、又は11~40の範囲、又は12~30の範囲のα値を有するα-プロファイルによって説明される。αの値が増加するにつれて、相対屈折プロファイルはステップインデックス型プロファイルにより近くなる。本開示の目的では、α≧10の値を有する相対屈折率プロファイルはステップインデックス型プロファイルと見なされ、α<10の値を有する相対屈折率プロファイルはグレーデッドインデックス型プロファイルと見なされる。
【0091】
本開示の目的では、マルチコア光ファイバの各コアの外径rは、相対屈折率Δが最大値Δ1maxからΔに低下した動径座標として定義される。マルチコアガラスファイバのコア領域の各々の外径rは、3.0μm~9.0μmの範囲、又は3.0μm~8.0μmの範囲、又は3.0μm~7.0μmの範囲、又は3.5μm~6.5μmの範囲にある。
【0092】
マルチコアガラスファイバのコア領域の各々の相対屈折率Δ又はΔ1maxは、0.10%~2.0%の範囲、又は0.20%~1.5%の範囲、又は0.30%~1.0%の範囲、又は0.40%~0.80%の範囲、又は0.20%~0.80%の範囲、又は0.30%~0.60%の範囲にある。
【0093】
マルチコアガラスファイバのコア領域1とコア領域2との間の差Δ1,1-Δ1,2は、0.25%未満、又は0.20%未満、又は0.15%未満、又は0.10%未満、又は0.05%未満、又は0.00%、又は0.01%~0.25%の範囲、又は0.05%~0.25%の範囲、又は0.05%~0.20%の範囲にある。マルチコアガラスファイバのコア領域1とコア領域2との間の差Δ1,1-Δ1,2の大きさは、0.25%未満、又は0.20%未満、又は0.15%未満、又は0.10%未満、又は0.05%未満、又は0.01%~0.25%の範囲、又は0.05%~0.25%の範囲、又は0.05%~0.20%の範囲にある。
【0094】
マルチコアガラスファイバのコア領域1とコア領域2との間の差Δ1max,1-Δ1max,2は、0.25%未満、又は0.20%未満、又は0.15%未満、又は0.10%未満、又は0.05%未満、又は0.01%~0.25%の範囲、又は0.05%~0.25%の範囲、又は0.05%~0.20%の範囲にある。マルチコアガラスファイバのコア領域1とコア領域2との間の差Δ1max,1-Δ1max,2の大きさは、0.25%未満、又は0.20%未満、又は0.15%未満、又は0.10%未満、又は0.05%未満、又は0.01%~0.25%の範囲、又は0.05%~0.25%の範囲、又は0.05%~0.20%の範囲にある。
【0095】
幾つかの実施形態では、マルチコアガラスファイバの複数のコア領域のうちの少なくとも1つの相対屈折率は、Δ1maxに対応する一定又はほぼ一定の値を有するステップインデックス型プロファイルによって説明される。
【0096】
マルチコアガラスファイバのコア領域が専用内側クラッド領域に直接隣接している実施形態では、専用内側クラッド領域は、ドープされていない石英ガラス、アップドープされた石英ガラス、又はダウンドープされた石英ガラスから構成される。アップドープされた石英ガラスは、GeO、アルカリ金属酸化物(例えば、NaO、KO、LiO、CsO、又はRbO)、又はハロゲン(例えば、Cl、Br)をドープされた石英ガラスを含む。ダウンドープされた石英ガラスは、F又はBをドープされた石英ガラスを含む。アップドーパントがドープされた場合、専用内側クラッド領域のアップドーパントの平均濃度は、コア領域のアップドーパントの平均濃度より小さい。ダウンドーパントがドープされた場合、専用内側クラッド領域のダウンドーパントの平均濃度は、コア領域のダウンドーパントの平均濃度より大きい。
【0097】
マルチコアガラスファイバの少なくとも1つのコア領域が専用内側クラッド領域に直接隣接しており、該専用内側クラッド領域が共通内部クラッド領域に直接隣接している実施形態では、専用内側クラッド領域の相対屈折率Δ又はΔ2max又はΔ2minは、-0.30%未満、又は-0.40%未満、又は-0.50%未満、又は-0.60%未満、又は-0.70%未満、又は-0.80%未満、又は-1.1%~-0.10%の範囲、又は-0.80%~-0.10%の範囲、又は-0.80%~-0.30%の範囲、又は-0.80%~-0.40%の範囲、又は-0.70%~-0.20%の範囲、又は~の範囲-0.65%~-0.30%、又は-0.60%~-0.30%の範囲、又は-0.20%~0.20%の範囲、又は-0.10%~0.10%の範囲、又は-0.05%~0.05%の範囲にある。相対屈折率Δは、好ましくは一定又はほぼ一定である。差Δ1max-Δ(又は差Δ1max-Δ2max、又は差Δ1max-Δ2min)は、0.10%超、又は0.20%超、又は0.30%超、又は0.50%超、又は0.70%超、又は1.0%超、又は0.10%~1.5%の範囲、又は0.20%~1.2%の範囲、又は0.30%~1.0%の範囲にある。
【0098】
マルチコアガラスファイバの少なくとも1つのコア領域が専用内側クラッド領域に直接隣接している実施形態では、専用内側クラッド領域の半径rは、4.0μm~18.0μmの範囲、又は4.5μm~16.0μmの範囲、又は5.0μm~14.0μmの範囲、又は4.0μm~10.0μmの範囲、又は5.0μm~9.0μmの範囲、又は9.0μm~18.0μmの範囲、又は10.0μm~17.0μmの範囲、又は11.0μm~16.0μmの範囲にある。内側クラッド領域の厚さr-rは、1.0μm~14.0μmの範囲、又は2.0μm~12.0μmの範囲、又は3.0μm~10.0μmの範囲、又は1.0μm~5.0μmの範囲、又は1.5μm~4.5μmの範囲、又は2.0μm~4.0μmの範囲、又は8.0μm~14.0μmの範囲、又は8.5μm~13.5μmの範囲、又は9.0μm~13.0μmの範囲にある。
【0099】
マルチコアガラスファイバの少なくとも1つのコア領域が専用内側クラッド領域に直接隣接している実施形態では、異なるコア領域の専用内側クラッド領域のΔ(又はΔ2max)の値は、同じであるか、又は異なっている。
【0100】
マルチコアガラスファイバの少なくとも1つのコア領域が専用内側クラッド領域に直接隣接している実施形態では、異なるコア領域の専用内側クラッド領域のrの値は、同じであるか、又は異なっている。
【0101】
マルチコアガラスファイバの少なくとも1つのコア領域が専用内側クラッド領域に直接隣接しており、該専用内側クラッド領域が共通内部クラッド領域に直接隣接している専用の屈折率が低下したクラッド領域に隣接している実施形態では、専用の屈折率が低下したクラッド領域は、ダウンドープされた石英ガラスを含む。好ましいダウンドーパントはFである。Fの濃度は、0.1質量%~2.5質量%の範囲、又は0.25質量%~2.25質量%の範囲、又は0.3質量%~2.0質量%の範囲である。
【0102】
マルチコアガラスファイバの少なくとも1つのコア領域が専用内側クラッド領域に直接隣接しており、該専用内側クラッド領域が共通内部クラッド領域に直接隣接している実施形態では、専用内側クラッド領域はダウンドープされた石英ガラスを含む。好ましいダウンドーパントはFである。Fの濃度は、0.1質量%~2.5質量%の範囲、又は0.25質量%~2.25質量%の範囲、又は0.3質量%~2.0質量%の範囲である。
【0103】
少なくとも1つのコア領域が専用内側クラッド領域に直接隣接しており、該専用内側クラッド領域が専用の屈折率が低下したクラッド領域に直接隣接している実施形態では、相対屈折率Δ又はΔ3minは、-0.30%未満、又は-0.40%未満、又は-0.50%未満、又は-0.60%未満、又は-0.70%未満、又は-0.80%未満、又は-1.1%~-0.10%の範囲、又は-0.80%~-0.10%の範囲、又は-0.80%~-0.30%の範囲、又は-0.80%~-0.40%の範囲、又は-0.20%~-0.70%の範囲、又は-0.30%~-0.60%の範囲である。相対屈折率Δは、好ましくは一定又はほぼ一定である。差Δ1max-Δ(又は差Δ1max-Δ3min、又は差Δ-Δ、又は差Δ-Δ3min)は、0.30%超、又は0.50%超、又は0.80%超、又は1.0%超、又は0.30%~2.0%の範囲、又は0.40%~1.7%の範囲、又は0.50%~1.4%の範囲にある。差Δ-Δ(又は差Δ-Δ3min、又は差Δ2max-Δ、又は差Δ2max-Δ3min)は、0.20%超、又は0.35%超、又は0.50%超、又は0.20%~0.90%の範囲、又は0.30%~0.80%の範囲にある。
【0104】
少なくとも1つのコア領域が専用内側クラッド領域に直接隣接しており、該専用内側クラッド領域が専用の屈折率が低下したクラッド領域に直接隣接している実施形態では、専用の屈折率が低下したクラッド領域の内径はrであり、上記の値を有する。専用の屈折率が低下したクラッド領域の外径rは、7.0μm~20.0μmの範囲、又は8.5μm~18.0μmの範囲、又は10.0μm~16.0μmの範囲にある。専用の屈折率が低下したクラッド領域の厚さr-rは、1.0μm~10.0μmの範囲、又は1.5μm~9.0μmの範囲、又は2.0μm~8.0μmの範囲、又は3.0μm~7.0μmの範囲にある。
【0105】
マルチコアガラスファイバの少なくとも1つのコア領域が専用内側クラッド領域に直接隣接しており、該専用内側クラッド領域が専用の屈折率が低下したクラッド領域に直接隣接している実施形態では、異なるコア領域の専用の屈折率が低下したクラッド領域のrの値は、同じであるか、又は異なっている。
【0106】
マルチコアガラスファイバの少なくとも1つのコア領域が専用内側クラッド領域に直接隣接しており、該専用内側クラッド領域が専用の屈折率が低下したクラッド領域に直接隣接している実施形態では、異なるコア領域の専用の屈折率が低下したクラッド領域のΔ(又はΔ3min)の値は、同じであるか、又は異なっている。
【0107】
少なくとも1つのコア領域が専用の屈折率が低下したクラッド領域に直接隣接している実施形態では、相対屈折率Δ又はΔ3minは、-0.10%~-0.80%の範囲、又は-0.20%~-0.70%の範囲、又は-0.30%~-0.60%の範囲にある。
【0108】
少なくとも1つのコア領域が専用の屈折率が低下したクラッド領域に直接隣接している実施形態では、専用の屈折率が低下したクラッド領域の内径はrであり、上記の値を有する。専用の屈折率が低下したクラッド領域の外径rは、7.0μm~20.0μmの範囲、又は8.5μm~18.0μmの範囲、又は10.0μm~16.0μmの範囲にある。専用の屈折率が低下したクラッド領域の厚さr-rは、1.0μm~10.0μmの範囲、又は1.5μm~9.0μmの範囲、又は2.0μm~8.0μmの範囲、又は3.0μm~7.0μmの範囲にある。
【0109】
マルチコアガラスファイバの少なくとも1つのコア領域が専用の屈折率が低下したクラッド領域に直接隣接している実施形態では、異なるコア領域の専用の屈折率が低下したクラッド領域のrの値は、同じであるか、又は異なっている。
【0110】
マルチコアガラスファイバの少なくとも1つのコア領域が専用の屈折率が低下したクラッド領域に直接隣接している実施形態では、異なるコア領域の専用の屈折率が低下したクラッド領域のΔ(又はΔ3min)の値は、同じであるか、又は異なっている。
【0111】
共通内部クラッド領域の相対屈折率Δ又はΔ4maxは、-0.30%~0.30%の範囲、又は-0.20%~0.20%の範囲、又は-0.10%~0.10%の範囲、又は-0.05%~0.05%の範囲にある。相対屈折率Δは、好ましくは一定又はほぼ一定である。
【0112】
共通内部クラッド領域が専用の屈折率が低下したクラッド領域を取り囲み、かつそれに隣接しており、該専用の屈折率が低下したクラッド領域が専用内側クラッド領域を取り囲み、かつそれに隣接しており、該専用内側クラッド領域がコア領域を取り囲み、かつそれに隣接している実施形態では、差Δ-Δ(又は差Δ-Δ3min、又は差Δ4max-Δ、又は差Δ4max-Δ3min)が、0.10%超、又は0.20%超、又は0.30%超、又は0.50%超、又は0.10%~0.80%の範囲、又は0.20%~0.70%の範囲にある。
【0113】
共通内部クラッド領域が専用の屈折率が低下したクラッド領域を取り囲み、かつそれに隣接しており、該専用の屈折率が低下したクラッド領域が専用内側クラッド領域を取り囲み、かつそれに隣接しており、該専用内側クラッド領域がコア領域を取り囲み、かつそれに隣接している実施形態では、差Δ-Δ(又は差Δ-Δ5min、又は差Δ4max-Δ、又は差Δ4max-Δ5min)が、0.10%超、又は0.20%超、又は0.30%超、又は0.50%超、又は0.10%~0.80%の範囲、又は0.20%~0.70%の範囲にある。
【0114】
共通内部クラッド領域が専用内側クラッド領域を取り囲み、かつそれに隣接しており、該専用内側クラッド領域がコア領域を取り囲み、かつそれに隣接している実施形態では、差Δ-Δ(又は差Δ-Δ2min、又は差Δ4max-Δ、又は差Δ4max-Δ2min)は、0.10%超、又は0.20%超、又は0.30%超、又は0.50%超、又は0.10%~0.80%の範囲、又は0.20%~0.70%の範囲にある。
【0115】
共通内部クラッド領域が専用内側クラッド領域を取り囲み、かつそれに隣接しており、該専用内側クラッド領域がコア領域を取り囲み、かつそれに隣接している実施形態では、差Δ-Δ(又は差Δ-Δ5min、又は差Δ4max-Δ、又は差Δ4max-Δ5min)は、0.10%超、又は0.20%超、又は0.30%超、又は0.50%超、又は0.10%~0.80%の範囲、又は0.20%~0.70%の範囲にある。
【0116】
共通内部クラッド領域の外径Rは、125.0μm未満、又は100.0μm未満、又は80.0μm未満、又は65.0μm未満、又は62.5μm未満、又は60.0μm未満、又は57.5μm未満又は55.0μm未満、又は52.5μm未満、又は50.0μm~125.0μmの範囲、又は55.0μm~100.0μmの範囲、又は57.5μm~80.0μmの範囲、又は60.0μm~70.0μmの範囲、又は50.0μm~60.0μmの範囲、又は52.5μm~60.0μmの範囲、又は55.0μm~60.0μmの範囲にある。共通内部クラッド領域(共通内部クラッド領域が内側クラッド領域に直接隣接しており、該内側クラッド領域がコア領域に直接隣接している実施形態における)の厚さR-r、又は共通内部クラッド領域(共通内部クラッド領域が専用の屈折率が低下したクラッド領域に直接隣接しており、該専用の屈折率が低下したクラッド領域が専用内側クラッド領域に直接隣接しており、該専用内側クラッド領域がコア領域に直接隣接している実施形態における)の厚さR-rは、20.0μm~80.0μmの範囲、又は25.0μm~70.0μmの範囲、又は30.0μm~60.0μmの範囲にある。
【0117】
マルチコアガラスファイバの少なくとも1つのコア領域が専用内側クラッド領域に直接隣接しており、該専用内側クラッド領域が共通内部クラッド領域に直接隣接している実施形態では、相対屈折率Δ又はΔ5minは、-0.30%未満、又は-0.40%未満、又は-0.50%未満、又は-0.60%未満、又は-0.70%未満、又は-0.80%未満、又は-1.1%~-0.10%の範囲、又は-0.80%~-0.10%の範囲、又は-0.80%~-0.30%の範囲、又は-0.80%~-0.40%の範囲、又は-0.20%~-0.70%の範囲、又は-0.30%~-0.60%の範囲にある。相対屈折率Δは、好ましくは一定又はほぼ一定である。差Δ1max-Δ(又は差Δ1max-Δ5min、又は差Δ-Δ、又は差Δ-Δ5min)は、0.30%超、又は0.50%超、又は0.80%超、又は1.0%超、又は0.30%~2.0%の範囲、又は0.40%~1.7%の範囲、又は0.50%~1.4%の範囲にある。
【0118】
少なくとも1つのコア領域が専用内側クラッド領域に直接隣接しており、該専用内側クラッド領域が専用の屈折率が低下したクラッド領域に直接隣接しており、該専用の屈折率が低下したクラッド領域が共通内部クラッド領域に直接隣接している実施形態では、相対屈折率Δ又はΔ5minは、-0.30%未満、又は-0.40%未満、又は-0.50%未満、又は-0.60%未満、又は-0.70%未満、又は-0.80%未満、又は-1.1%~-0.10%の範囲、又は-0.80%~-0.10%の範囲、又は-0.80%~-0.30%の範囲、又は-0.80%~-0.40%の範囲、又は-0.20%~-0.70%の範囲、又は-0.30%~-0.60%の範囲にある。相対屈折率Δは、好ましくは一定又はほぼ一定である。差Δ1max-Δ(又は差Δ1max-Δ5min、又は差Δ-Δ、又は差Δ-Δ5min)は、0.30%超、又は0.50%超、又は0.80%超、又は1.0%超、又は0.30%~2.0%の範囲、又は0.40%~1.7%の範囲、又は0.50%~1.4%の範囲にある。差Δ-Δ(又は差Δ-Δ5min、又は差Δ2max-Δ、又は差Δ2max-Δ5min)は、0.20%超、又は0.35%超、又は0.50%超、又は0.20%~0.90%の範囲、又は0.30%~0.80%の範囲にある。
【0119】
共通外部クラッド領域の外径Rは、130.0μm未満、又は100.0μm未満、又は80.0μm未満、又は65.0μm未満、又は62.5μm未満、又は60.0μm未満、又は55.0μm未満、又は50.0μm~130.0μmの範囲、又は55.0μm~100.0μmの範囲、又は57.5μm~80.0μmの範囲、又は60.0μm~70.0μmの範囲、又は55.0μm~65.0μmの範囲、又は58.0μm~63.0μmの範囲、又は61.0μm~63.0μmの範囲にある。共通外部クラッド領域の厚さR-Rは、1.0μm~30.0μmの範囲、又は2.0μm~20.0μmの範囲、又は3.0μm~15.0μmの範囲、又は4.0μm~12.0μmの範囲、又は5.0μm~10.0μmの範囲にある。
【0120】
マルチコアガラスファイバの少なくとも1つのコア領域(そのクラッド領域と組み合わせた)のモードフィールド径MFDは、1310nmの波長において、7.0μm超、又は7.5μm超、又は8.0μm超、又は8.5μm超、又は7.0μm~11.0μmの範囲、又は7.5μm~10.0μmの範囲、又は8.0μm~9.5μmの範囲にある。
【0121】
マルチコアガラスファイバの少なくとも1つのコア領域(そのクラッド領域と組み合わせた)のモードフィールド径MFDは、1550nmの波長において、7.5μm超、又は8.0μm超、又は8.5μm超、又は9.0μm超、又は9.5μm超、又は7.5μm~12.0μmの範囲、又は7.5μm~11.0μmの範囲、又は8.0μm~10.0μmの範囲にある。
【0122】
マルチコアガラスファイバの少なくとも1つのコア領域(そのクラッド領域と組み合わせた)の有効面積Aeffは、1310nmの波長において、35μm超、又は40μm超、又は45μm超、又は50μm超、又は55μm超、又は35μm~90μmの範囲、又は40μm~80μmの範囲、又は45μm~75μmの範囲、又は50μm~70μmの範囲にある。
【0123】
マルチコアガラスファイバの少なくとも1つのコア領域(そのクラッド領域と組み合わせた)の有効面積Aeffは、1550nmの波長において、40μm超、又は60μm超、又は70μm超、又は80μm超、又は45μm~100μmの範囲、又は55μm~95μmの範囲、又は60μm~90μmの範囲、又は65μm~85μmの範囲にある。
【0124】
マルチコアガラスファイバの隣接したコアの少なくとも1つの対の中心線間のコア間隔は、25μm超、又は30μm超、又は35μm超、又は40μm超、又は50μm未満、又は45μm未満、又は25μm~50μmの範囲、又は25μm~40μmの範囲、又は30μm~45μmの範囲、又は30μm~40μmの範囲、又は12μm~28μmの範囲、又は15μm~25μmの範囲にある。幾つかの実施形態では、マルチコアガラスファイバの隣接したコアの少なくとも2つの対の中心線間のコア間隔は、25μm超、又は30μm超、又は35μm超、又は40μm超、又は50μm未満、又は45μm未満、又は25μm~50μmの範囲、又は25μm~40μmの範囲、又は30μm~45μmの範囲、又は30μm~40μmの範囲、又は12μm~28μmの範囲、又は15μm~25μmの範囲にある。幾つかの実施形態では、マルチコアガラスファイバの隣接したコアの少なくとも3つの対の中心線間のコア間隔は、25μm超、又は30μm超、又は35μm超、又は40μm超、又は50μm未満、又は45μm未満、又は25μm~50μmの範囲、又は25μm~40μmの範囲、又は30μm~45μmの範囲、又は30μm~40μmの範囲、又は12μm~28μmの範囲、又は15μm~25μmの範囲にある。幾つかの実施形態では、マルチコアガラスファイバの隣接したコアの少なくとも4つの対の中心線間のコア間隔は、25μm超、又は30μm超、又は35μm超、又は40μm超、又は50μm未満、又は45μm未満、又は25μm~50μmの範囲、又は25μm~40μmの範囲、又は30μm~45μmの範囲、又は30μm~40μmの範囲、又は12μm~28μmの範囲、又は15μm~25μmの範囲にある。さらなる実施形態では、隣接したコアのすべての対のコア間隔又は平均コア間隔は、この段落に記載されている範囲内にある。
【0125】
マルチコア光ファイバの少なくとも1つのコア領域のエッジ間隔は、30.0μm未満、又は27.5μm未満、又は25.0μm未満、又は22.5μm未満、又は20.0μm未満、又は15.0μm~30.0μmの範囲、又は17.5μm~27.5μmの範囲、又は20.0μm~25.0μmの範囲にある。幾つかの実施形態では、マルチコア光ファイバの少なくとも2つのコア領域の各々のエッジ間隔は、30.0μm未満、又は27.5μm未満、又は25.0μm未満、又は22.5μm未満、又は20.0μm未満、又は15.0μm~30.0μmの範囲、又は17.5μm~27.5μmの範囲、又は20.0μm~25.0μmの範囲にある。他の実施形態では、マルチコア光ファイバの少なくとも3つのコア領域の各々のエッジ間隔は、30.0μm未満、又は27.5μm未満、又は25.0μm未満、又は22.5μm未満、又は20.0μm未満、又は15.0μm~30.0μmの範囲、又は17.5μm~27.5μmの範囲、又は20.0μm~25.0μmの範囲にある。さらに他の実施形態では、マルチコア光ファイバの少なくとも4つのコア領域の各々のエッジ間隔は、30.0μm未満、又は27.5μm未満、又は25.0μm未満、又は22.5μm未満、又は20.0μm未満、又は15.0μm~30.0μmの範囲、又は17.5μm~27.5μmの範囲、又は20.0μm~25.0μmの範囲にある。さらに他の実施形態では、マルチコア光ファイバの少なくとも5つのコア領域の各々のエッジ間隔は、30.0μm未満、又は27.5μm未満、又は25.0μm未満、又は22.5μm未満、又は20.0μm未満、又は15.0μm~30.0μmの範囲、又は17.5μm~27.5μmの範囲、又は20.0μm~25.0μmの範囲にある。さらなる実施形態では、すべてのコア領域のエッジ間隔又は平均エッジ間隔は、この段落に記載されている範囲内にある。
【0126】
マルチコア光ファイバの隣接したコアの少なくとも1つの対間の1310nmにおけるクロストークの程度は、-40dB/km未満、又は-50dB/km未満、又は-60dB/km未満、又は-90dB/km~-40dB/kmの範囲、又は-80dB/km~-45dB/kmの範囲、又は-70dB/km~-50dB/kmの範囲にある。幾つかの実施形態では、マルチコア光ファイバの隣接したコアの少なくとも2つの対間の1310nmにおけるクロストークの程度は、-40dB/km未満、又は-50dB/km未満、又は-60dB/km未満、又は-90dB/km~-40dB/kmの範囲、又は-80dB/km~-45dB/kmの範囲、又は-70dB/km~-50dB/kmの範囲にある。他の実施形態では、マルチコア光ファイバの隣接したコアの少なくとも3つの対間の1310nmにおけるクロストークの程度は、-40dB/km未満、又は-50dB/km未満、又は-60dB/km未満、又は-90dB/km~-40dB/kmの範囲、又は-80dB/km~-45dB/kmの範囲、又は-70dB/km~-50dB/kmの範囲にある。さらに他の実施形態では、マルチコア光ファイバの隣接したコアの少なくとも4つの対間の1310nmにおけるクロストークの程度は、-40dB/km未満、又は-50dB/km未満、又は-60dB/km未満、又は-90dB/km~-40dB/kmの範囲、又は-80dB/km~-45dB/kmの範囲、又は-70dB/km~-50dB/kmの範囲にある。さらなる実施形態では、隣接したコアのすべての対間の1310nmにおけるクロストークの程度又はクロストークの平均程度は、この段落に記載されている範囲内にある。
【0127】
マルチコア光ファイバの隣接したコアの少なくとも1つの対間の1550nmにおけるクロストークの程度は、-30dB/km未満、又は-40dB/km未満、又は-50dB/km未満、又は-80dB/km~-30dB/kmの範囲、又は-70dB/km~-35dB/kmの範囲、又は-60dB/km~-40dB/kmの範囲にある。幾つかの実施形態では、マルチコア光ファイバの隣接したコアの少なくとも2つの対間の1550nmにおけるクロストークの程度は、-30dB/km未満、又は-40dB/km未満、又は-50dB/km未満、又は-80dB/km~-30dB/kmの範囲、又は-70dB/km~-35dB/kmの範囲、又は-60dB/km~-40dB/kmの範囲にある。他の実施形態では、マルチコア光ファイバの隣接したコアの少なくとも3つの対間の1550nmにおけるクロストークの程度は、-30dB/km未満、又は-40dB/km未満、又は-50dB/km未満、又は-80dB/km~-30dB/kmの範囲、又は-70dB/km~-35dB/kmの範囲、又は-60dB/km~-40dB/kmの範囲にある。さらに他の実施形態では、マルチコア光ファイバの隣接したコアの少なくとも4つの対間の1550nmにおけるクロストークの程度は、-30dB/km未満、又は-40dB/km未満、又は-50dB/km未満、又は-80dB/km~-30dB/kmの範囲、又は-70dB/km~-35dB/kmの範囲、又は-60dB/km~-40dB/kmの範囲にある。さらなる実施形態では、隣接したコアのすべての対間の1550nmにおけるクロストークの程度又はクロストークの平均程度は、この段落に記載されている範囲内にある。
【0128】
一実施形態では、被覆は、共通の外側クラッド領域の外面に施される。被覆は、硬化性被覆組成物から形成される。硬化性コーティング組成物は1つ以上の硬化性成分を含む。本明細書で用いられる場合、「硬化性」という用語は、成分が、適切な硬化エネルギー源にさらされたときに、成分をそれ自体又は被覆組成物の他の成分に結合することに関与する共有結合を形成することができる1つ以上の硬化性官能基を含むことを意味することが意図されている。硬化性被覆組成物を硬化させることにより得られる生成物は、本明細書では組成物の硬化生成物、又は被覆と呼ばれる。硬化生成物は、好ましくはポリマーである。硬化プロセスはエネルギーによって誘発される。エネルギーの形態には、電磁放射又は熱エネルギーが含まれる。
【0129】
硬化性成分は、1つ以上の硬化性官能基を含む。硬化性官能基を1つだけ有する硬化性成分は、本明細書では単官能性硬化性成分と称される。2つ以上の硬化性官能基を有する硬化性成分は、本明細書では多官能性硬化性成分と称される。多官能性硬化性成分は、硬化プロセス中に形成されるポリマーネットワークに架橋を導入することができる。多官能性硬化性成分は、「架橋剤」又は「硬化性架橋剤」と呼ぶこともできる。硬化性成分は、硬化性モノマー及び硬化性オリゴマーを含む。硬化プロセス中の共有結合形成に関与する官能基の例は、アクリレート基及びメタクリレート基である。
【0130】
被覆は、好ましくは、共通の外側クラッド領域を取り囲み、それに直接隣接した一次被覆と、該一次被覆を取り囲み、それに直接隣接した二次被覆とを含む。二次被覆は、一次被覆よりも固い(ヤング率がより高い)材料であり、マルチコア光ファイバの加工、取り扱い、及び設置中に発生する摩耗又は外力によって引き起こされる損傷からマルチコアガラスファイバを保護するように設計されている。一次被覆は、二次被覆よりも柔らかい(ヤング率がより低い)材料であり、二次被覆の外面に印加された力から生じる応力を緩衝又は消散するように設計されている。一次被覆内の応力を消散することにより、応力が減衰し、マルチコアガラスファイバに到達する応力が最小限に抑えられる。一次被覆は、とりわけ、マルチコア光ファイバが曲げられたときに生じる応力を消散する上で重要である。マルチコア光ファイバはまた、二次被覆を取り囲み、それに直接隣接した三次被覆も含みうる。三次被覆は、識別目的で光ファイバに印を付けるために、顔料、インク、又は他の着色剤を含むことができ、通常、二次被覆のヤング率と同様のヤング率を有している。
【0131】
一次及び二次被覆は、通常、硬化性被覆組成物を粘性液体としてマルチコアガラスファイバに施し、硬化させることによって、線引き上で形成される。連続した光ファイバ製造プロセスでは、ガラスファイバは、加熱されたプリフォームから線引きされ、目標直径にサイズ調整される。次いで、ガラスファイバは、冷却され、液体一次コーティング組成物をガラスファイバに施すコーティングシステムへと導かれる。液体一次被覆組成物をガラスファイバに施した後、2つのプロセスオプションが実行可能になる。1つのプロセスオプション(ウェット・オン・ドライプロセス)では、液体の一次被覆組成物を硬化させて、固化した一次被覆を形成し、液体二次被覆組成物を一次被覆に施し、液体二次被覆組成物を硬化させて、固化した二次被覆を形成する。2番目のプロセスオプション(ウェット・オン・ウェットプロセス)では、液体二次被覆組成物を液体一次被覆組成物に施し、両方の液体被覆組成物を同時に硬化させて、固化した一次及び二次被覆をもたらす。ファイバが被覆システムを出た後、ファイバは収集され、室温で保管される。ファイバの収集は、通常、ファイバをスプールに巻き付け、スプールを保管することを伴う。
【0132】
一次被覆は、オリゴマー、モノマー、光開始剤、及び任意選択的に添加剤を含む放射線硬化性一次被覆組成物の硬化生成物である。
【0133】
オリゴマーは、ポリエーテルウレタンジアクリレート化合物と二付加化合物とを含むことが好ましい。一実施形態では、ポリエーテルウレタンジアクリレート化合物は線形の分子構造を有する。一実施形態では、オリゴマーは、ジイソシアネート化合物、ポリオール化合物、及びヒドロキシアクリレート化合物の間の反応から形成され、該反応により、主生成物(多数生成物)としてのポリエーテルウレタンジアクリレート化合物及び副生成物(少数生成物)としての二付加化合物を生成する。この反応は、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基とポリオールのアルコール基との反応の際に、ウレタン結合を形成する。ヒドロキシアクリレート化合物は、ジイソシアネート化合物とポリオール化合物との反応から形成される組成物中に存在する残留イソシアネート基をクエンチするように反応する。本明細書で用いられる場合、用語「クエンチ」とは、ヒドロキシアクリレート化合物のヒドロキシル基との化学反応による、イソシアネート基の変換を指す。ヒドロキシアクリレート化合物を用いた残留イソシアネート基のクエンチは、末端イソシアネート基を末端アクリレート基へと変換する。二付加化合物は、ジイソシアネート化合物の両方のイソシアネート基とヒドロキシアクリレート化合物との反応によって形成されるジアクリレート化合物である。
【0134】
1つ以上のモノマーは、オリゴマーと適合するように選択されて、一次被覆組成物の粘度を制御して加工を容易にし、及び/又は一次被覆組成物の硬化生成物として形成される被覆の物理的又は化学的特性に影響を与える。モノマーは、エチレン性不飽和化合物、エトキシル化アクリレート、エトキシル化アルキルフェノールモノアクリレート、プロピレンオキシドアクリレート、n-プロピレンオキシドアクリレート、イソプロピレンオキシドアクリレート、単官能性アクリレート、単官能性脂肪族エポキシアクリレート、多官能性アクリレート、多官能性脂肪族エポキシアクリレート、及びそれらの組合せなどの放射線硬化性モノマーを含む。
【0135】
代表的な放射線硬化性エチレン性不飽和モノマーは、1つ以上のアクリレート又はメタクリレート基を有するアルコキシル化モノマーを含む。アルコキシル化モノマーは、1つ以上のアルコキシレン基を含むものであり、ここで、アルコキシレン基は-O-R-の形態を有しており、Rは直鎖又は分岐鎖アルキレン基である。アルコキシレン基の例には、エトキシレン(-O-CH-CH-)、n-プロポキシレン(-O-CH-CH-CH-)、イソプロポキシレン(-O-CH-CH(CH)-、又は-O-CH(CH)-CH-)などが含まれる。幾つかの実施形態では、一次被覆組成物は、R-R-O-(CH(CH)CH-O)-C(O)CH=CHの形態のアルコキシル化モノマーを含み、ここで、R及びRは、脂肪族、芳香族、又は両方の混合物であり、q=1~10であるか、又はR-O-(CH(CH)CH-O)-C(O)CH=CHであり、ここで、C(O)はカルボニル基であり、Rは脂肪族又は芳香族であり、q=1~10である。
【0136】
単官能性モノマーの代表的な例としては、ラウリルアクリレート、エトキシル化ノニルフェノールアクリレート、カプロラクトンアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソデシルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、エポキシアクリレート、ラウリルオキシグリシジルアクリレート、及びフェノキシグリシジルアクリレート、並びにそれらの組合せなどのエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。多官能性モノマーの例としては、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びジトリメチロールプロパンテトラアクリレートなどのアルコキシル化を伴う及び伴わないメチロールプロパンポリアクリレート、プロポキシル化が3以上であるプロポキシル化グリセリルトリアクリレートなどのアルコキシル化グリセリルトリアクリレート、並びにペンタエリスリトールテトラアクリレートなどのアルコキシル化を伴う及び伴わないエリスリトールポリアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、プロポキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ペンタプロピレングリコールジアクリレート、前述のメタクリレート類似体、並びにそれらの組合せが挙げられる。他のモノマーには、N-ビニルラクタム、又はN-ビニルピロリジノン、又はN-ビニルカプロラクタムなどのN-ビニルアミドモノマーが含まれる。
【0137】
光開始剤は、被覆を形成するための一次被覆組成物の硬化に関連した重合プロセスの開始を容易にする。光開始剤としては、ケトン系光開始剤、及び/又はホスフィンオキシド光開始剤が挙げられる。被覆組成物の硬化に用いられる場合、光開始剤は、迅速な放射線硬化を可能にするのに十分な量で存在する。代表的な光開始剤には、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド;2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド;(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド;エトキシ(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド;並びにそれらの組合せが含まれる。
【0138】
硬化性一次被覆組成物は、任意選択的に1つ以上の添加剤を含む。添加剤としては、接着促進剤、強度添加剤、酸化防止剤、触媒、安定剤、蛍光増白剤、特性向上添加剤、アミン相乗剤、ワックス、滑剤、および/またはスリップ剤が挙げられる。幾つかの添加剤は、重合プロセスを制御するように作用し、それによって被覆組成物から形成される重合生成物の物理的性質(例えば、弾性率、ガラス転移温度)に影響を与える。他の添加剤は、一次被覆組成物の硬化生成物の一体性に影響を与える(例えば、解重合又は酸化分解から保護する)。
【0139】
二次被覆は、モノマー、光開始剤、任意選択的なオリゴマー、及び任意選択的な添加剤を含む硬化性二次被覆組成物の硬化生成物である。
【0140】
モノマーは、好ましくはエチレン性不飽和化合物を含む。1つ以上のモノマーは、50質量%以上の量、又は約60質量%~約99質量%の量、又は約75質量%~約99質量%の量、又は約80質量%~約99質量%の量、又は約85質量%~約99質量%の量で存在しうる。一実施形態では、二次被覆は、ウレタンアクリレートモノマーを含む二次コーティング組成物の放射線硬化生成物である。
【0141】
硬化性二次被覆組成物のための例示的な単官能性エチレン性不飽和モノマーとしては、限定はしないが、2-ヒドロキシエチル-アクリレート、2-ヒドロキシプロピル-アクリレート、及び2-ヒドロキシブチル-アクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ウンデシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクタデシルアクリレート、及びステアリルアクリレートなどの長鎖及び短鎖アルキルアクリレート;ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、及び7-アミノ-3,7-ジメチルオクチルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート;ブトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、及びエトキシエトキシエチルアクリレートなどのアルコキシアルキルアクリレート;シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジシクロペンタジエンアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、ボミルアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、及びアクリロイルモルホリンなどの単環式及び多環式の環状芳香族又は非芳香族アクリレート;ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、並びに、エトキシ化(4)ノニルフェノールアクリレートなどのさまざまなアルコキシル化アルキルフェノールアクリレートなどのアルコール系アクリレート;ジアセトンアクリルアミド、イソブトキシメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、及びt-オクチルアクリルアミドなどのアクリルアミド;N-ビニルピロリドン及びN-ビニルカプロラクタムなどのビニル化合物;並びに、マレイン酸エステル及びフマル酸エステルなどの酸エステルが挙げられる。上記列挙された長鎖及び短鎖アルキルアクリレートに関して、短鎖アルキルアクリレートは6個以下の炭素を有するアルキル基であり、長鎖アルキルアクリレートは7個以上の炭素を有するアルキル基である。
【0142】
硬化性二次組成物のための代表的な放射線硬化性エチレン性不飽和モノマーは、1つ以上のアクリレート又はメタクリレート基を有するアルコキシル化モノマーを含む。アルコキシル化モノマーは、1つ以上のアルコキシレン基を含むものであり、ここで、アルコキシレン基は-O-R-の形態を有しており、Rは直鎖又は分岐鎖炭化水素である。アルコキシレン基の例としては、エトキシレン(-O-CH-CH-)、n-プロポキシレン(-O-CH-CH-CH-)、イソプロポキシレン(-O-CH-CH(CH)-)などが挙げられる。
【0143】
硬化性二次被覆組成物のための代表的な多官能性エチレン性不飽和モノマーとしては、限定はしないが、アルコキシル化度が2以上のエトキシル化ビスフェノールAジアクリレートなどのアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートが挙げられる。二次被覆組成物のモノマー成分は、エトキシル化度が2~約30の範囲のエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、又はプロポキシル化度が2以上、例えば2~約30の範囲のプロポキシル化ビスフェノールAジアクリレート;エトキシル化度が3以上、例えば3~約30の範囲のエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートなどのアルコキシル化を伴った及び伴っていないメチロールプロパンポリアクリレート;プロポキシル化度が3以上、例えば3~30の範囲のプロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート;ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート;プロポキシル化度が3以上のプロポキシル化グリセリルトリアクリレートなどのアルコキシル化グリセリルトリアクリレート;ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートなどのアルコキシル化を伴った及び伴っていないエリスリトールポリアクリレート;トリス-(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート及びトリス-(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレートなど、適切な官能性イソシアヌレートをアクリル酸又は塩化アクリロイルと反応させることによって形成されるイソシアヌレートポリアクリレート;トリシクロデカンジメタノールジアクリレートなどのアルコキシル化を伴った及び伴っていないアルコールポリアクリレート、及びエトキシ化度が2以上、例えば約2~30の範囲のエトキシ化ポリエチレングリコールジアクリレート;ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどにアクリレートを添加することによって形成されるエポキシアクリレート;並びに、ジシクロペンタジエンジアクリレート及びジシクロペンタンジアクリレートなどの単環式及び多環式の環状芳香族又は非芳香族ポリアクリレートを含みうる。
【0144】
放射線硬化性二次被覆組成物中に存在する任意選択的なオリゴマーは、好ましくは、ウレタン結合を有する化合物である。一態様では、任意選択的なオリゴマーは、ポリオール化合物、ジイソシアネート化合物、及びヒドロキシ官能性アクリレート化合物の反応生成物である。ポリオール化合物とジイソシアネート化合物との反応によってウレタン結合がもたらされ、ヒドロキシ官能性アクリレート化合物がイソシアネート基と反応して、末端アクリレート基がもたらされる。
【0145】
硬化性二次被覆組成物はまた、光開始剤も含み、任意選択的に、硬化性一次被覆組成物に関連して上述した酸化防止剤、蛍光増白剤、アミン相乗剤、粘着付与剤、触媒、担体又は界面活性剤、及び安定剤などの添加剤を含む。
【0146】
ファイバ線引きプロセス
連続した光ファイバ製造プロセスでは、ガラスファイバは、加熱されたプリフォームから線引きされ、目標直径(典型的には125μm)にサイズ調整される。次に、ガラスファイバは、制御された速度で冷却され、液体一次被覆組成物をガラスファイバに施す被覆システムへと導かれる。液体一次被覆組成物をガラスファイバに施した後、2つのプロセスオプションが実行可能になる。1つのプロセスオプション(ウェット・オン・ドライプロセス)では、液体の一次被覆組成物を硬化させて、固化した一次被覆を形成し、液体二次被覆組成物を一次被覆に施し、液体二次被覆組成物を硬化させて、固化した二次被覆を形成する。2番目のプロセスオプション(ウェット・オン・ウェットプロセス)では、液体二次被覆組成物を液体一次被覆組成物に施し、両方の液体被覆組成物を同時に硬化させて、固化した一次及び二次被覆をもたらす。ファイバが被覆システムを出た後、ファイバは収集され、室温で保管される。ファイバの収集は、通常、ファイバをスプールに巻き付け、スプールを保管することを伴う。流体軸受装置を使用して、線引きプロセス中に光ファイバを回転させ、方向を変えることができる。
【0147】
幾つかのプロセスでは、被覆システムは、三次被覆組成物を二次被覆にさらに施し、三次被覆組成物を硬化させて固化した三次被覆を形成する。通常、三次被覆は、識別目的でファイバに印を付けるために用いられるインク層であり、顔料を含む組成を有しており、それ以外は二次被覆と同様である。三次被覆は二次被覆に施され、硬化される。二次被覆は、典型的には、三次被覆の施用の時点で、硬化されている。一次、二次、及び三次被覆組成物は、共通の連続製造プロセスで施し、硬化することができる。あるいは、一次及び二次被覆組成物を共通の連続製造プロセスで施し、硬化し、被覆されたファイバを収集し、三次被覆組成物を別のオフラインプロセスで施し、硬化して、三次被覆を形成する。
【0148】
硬化放射線の波長は、赤外線、可視光線、又は紫外線(UV)である。代表的な波長には、250nm~1000nmの範囲、又は250nm~700nmの範囲、又は250nm~450nmの範囲、又は275nm~425nmの範囲、又は300nm~400nmの範囲、又は320nm~390nmの範囲、又は330nm~380nmの範囲、又は340nm~370nmの範囲の波長が含まれる。硬化は、ランプ源(例えば、Hgランプ)、LED源(例えば、UVLED、可視LED、又は赤外線LED)、又はレーザ源を含む光源を用いて達成することができる。
【0149】
プロセス効率を改善するために、プリフォームから収集地点まで延びるプロセス経路に沿ってファイバの線引き速度を増加させることが望ましい。しかしながら、線引き速度が増加するにつれて、被覆組成物の硬化速度も増加しなければならない。本明細書に開示される被覆組成物は、35m/秒超、又は40m/秒超、又は45m/秒超、又は50m/秒超、又は55m/秒超、又は60m/秒超、又は65m/秒超、又は70m/秒超の線引き速度で動作するファイバ線引きプロセスに適合する。
【実施例
【0150】
以下の実施例は、本明細書に記載される共通外部クラッド領域に関連するトンネリング損失の低減を示す計算結果、並びにマルチコア光ファイバ内のコアのさまざまな数及び幾何学的配置を含むマルチコア光ファイバのモデル設計を提示する。
【0151】
トンネリング損失
共通内部クラッド領域を取り囲み、それに直接隣接した共通外部クラッド領域を含めることの利点を説明するために、プロファイル1及びプロファイル2の2つの異なる相対屈折率プロファイルを有するコアについて、エッジ間隔の関数としてトンネリング損失を計算した。各プロファイルに関連付けられているパラメータ値が表1に示されている。プロファイルは両方とも、ステップインデックス型のプロファイルである。プロファイル1は図5に示されるタイプのプロファイルを有し、プロファイル2は図2に示されるタイプのプロファイルを有する。各プロファイルは、半径R=62.5μm及び相対屈折率Δ=0.0%である共通外部クラッド領域を含んでいた。
【0152】
【表1】
【0153】
1550nmの波長におけるトンネリング損失の計算は、表1にリストされているプロファイル1及びプロファイル2を有するコアについてのエッジ間隔の関数として行った。計算は、各プロファイルを有する単一のコアに基づいている。各プロファイルについて、3つの構成について計算を行った:共通内部クラッド領域(半径R=62.5μmを有する)を有し、共通外部クラッド領域を有しない第1の構成、厚さR-R=5μm及び相対屈折率Δ=-0.40%を有する、共通内部クラッド領域及び共通外部クラッド領域を有する第2の構成、並びに厚さR-R=10μm及び相対屈折率Δ=-0.40%を有する共通内部クラッド領域及び共通外部クラッド領域を有する第3の構成。
【0154】
図11及び12は、それぞれ、プロファイル1及びプロファイル2について計算したトンネリング損失を示している。図11のトレース82、84、及び86は、プロファイル1について前述した第1、第2、及び第3の構成のトンネリング損失を示している。図12のトレース92、94、及び96は、プロファイル2について前述した第1、第2、及び第3の構成のトンネリング損失を示している。トレース82及び92は、所与のエッジ間隔でのトンネリング損失が、共通外部クラッドが存在しない場合に最大であることを示している。厚さ5μmの共通外部クラッドを含めることにより、トンネリング損失の大幅な減少をもたらした(トレース84及び94)。共通外部クラッドの厚さが10μmに増加すると、トンネリング損失のさらなる大幅な減少が観察される(トレース86及び96)。
【0155】
図11及び12に示される結果を解釈する別の方法は、トンネリング損失を特定のレベルまで低減するために必要とされるエッジ間隔に関するものである。図11では、例えば、0.1dB/kmのトンネリング損失には、共通外部クラッドが存在しない場合には約34μmのエッジ間隔が必要であり(トレース82)、厚さ5μmの共通外部クラッドが存在する場合には約27μmのエッジ間隔が必要であり(トレース84)、厚さ10μmの共通外部クラッドが存在する場合には20μmよりわずかに大きいエッジ間隔が必要である(トレース86)。図12では、0.04dB/kmのトンネリング損失には、共通外部クラッドが存在しない場合には約27.5μmのエッジ間隔が必要であり(トレース92)、厚さ5μmの共通外部クラッドが存在する場合には約23.5μmのエッジ間隔が必要であり(トレース94)、厚さ10μmの共通外部クラッドが存在する場合には20μmよりわずかに大きいエッジ間隔が必要である(トレース96)。この結果は、本明細書に記載される共通外部クラッドを含んでいる場合、コアをマルチコア光ファイバのエッジの近くに位置づけることができることを示している。結果として、本明細書に記載される共通外部クラッドを含む場合には、トンネリングによる損失を増加させることなく、所与の直径のマルチコアファイバにより多くのコアを含めることができる。
【0156】
モデル設計
図13~17は、本開示に一致するマルチコア光ファイバの例示的な設計を示している。各設計は、断面図で示されており、共通外部クラッド(大きい半径を有する円として描かれている)によって取り囲まれた、共通内部クラッド中間半径を有する円として描かれている)によって取り囲まれた、複数のコア(小さい半径を有する円として描かれている)を含む。表2は、各設計についての幾何学的パラメータと図形番号を示している。表3は、各設計の異なる領域の相対屈折率と半径を示している。表4は、各設計についての選択された光学特性を示している。各設計における各コアは、図2に示されるタイプのステップインデックス型プロファイルを有する。設計内では、各コアは、同じ値のα、r、r、r、Δ、Δ、及びΔを有していた。表4に示される光学特性は、各設計の各個別のコアの光学特性に対応している。リストの「na」は該当しないことを意味している。
【0157】
【表2】
【0158】
【表3】
【0159】
【表4】
【0160】
モデリングの結果は、トンネリングが、共通外部クラッド領域のプロファイル面積の増加に伴い、ほぼ指数関数的に減少することを示している。プロファイル面積Aは、次の式(9)で定義される:
【0161】
【数10】
【0162】
式中、Δは共通外部クラッド領域の相対屈折率であり、差R-Rは共通外部クラッド領域の厚さである。プロファイル面積は、%μmの単位で表され、この例で検討された例示的な設計の各々について表5に示されている。
【0163】
【表5】
【0164】
低いトンネリング損失では、プロファイル面積Aは、2.0%μm以上、又は3.0%μm以上、又は4.0%μm以上、又は5.0%μm以上、又は6.0%μm以上、又は2.0%μm~10.0%μmの範囲、又は3.0%μm~9.0%μmの範囲、又は4.0%μm~8.0%μmの範囲である。
【0165】
本明細書の態様1は、
マルチコア光ファイバであって、
マルチコアガラスファイバを含み、該マルチコアガラスファイバが、
複数のコア領域であって、その各々が、専用内側クラッド領域によって取り囲まれ、それに直接隣接している、複数のコア領域;
該複数のコア領域の各々の専用内側クラッド領域を取り囲む共通内部クラッド領域であって、相対屈折率Δ及び半径Rを有する、共通内部クラッド領域;並びに
該共通内部クラッド領域を取り囲む共通外部クラッド領域であって、半径R>R及び相対屈折率Δ<Δを有する、共通外部クラッド領域
を含む、マルチコアガラスファイバ
を含む、マルチコア光ファイバである。
【0166】
本明細書の態様2は、
複数のコア領域が4つ以上のコア領域を含む、態様1に記載のマルチコア光ファイバである。
【0167】
本明細書の態様3は、
複数のコア領域が8つ以上のコア領域を含む、態様1に記載のマルチコア光ファイバである。
【0168】
本明細書の態様4は、
複数のコア領域の各々が、3.0μm~8.0μmの範囲の半径r及び0.20%~0.80%の範囲の相対屈折率Δを有する、態様1から3のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0169】
本明細書の態様5は、
複数のコア領域の各々の専用内側クラッド領域が、9.0μm~18.0μmの範囲の半径r及び-0.80%~-0.10%の範囲の相対屈折率Δを有する、態様1から4のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0170】
本明細書の態様6は、
共通内部クラッド領域が、複数のコア領域の各々の専用内側クラッド領域に直接隣接している、態様5のマルチコア光ファイバである。
【0171】
本明細書の態様7は、
複数のコア領域の各々の専用内側クラッド領域が、4.0μm~10.0μmの範囲の半径r及び-0.10%~0.10%の範囲の相対屈折率Δを有する、態様1から4のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0172】
本明細書の態様8は、
複数のコア領域の各々が、専用内側クラッド領域に直接隣接した、専用の屈折率が低下したクラッド領域によってさらに取り囲まれており、該専用の屈折率が低下したクラッド領域が、7.0μm~20.0μmの範囲の半径r及び-0.80%~-0.10%の範囲の相対屈折率Δを有する、態様7に記載のマルチコア光ファイバである。
【0173】
本明細書の態様9は、
共通内部クラッド領域が、複数のコア領域の各々の専用の屈折率が低下したクラッド領域に直接隣接している、態様8に記載のマルチコア光ファイバである。
【0174】
本明細書の態様10は、
相対屈折率Δが-0.30%~0.30%の範囲にあり、半径Rが50.0μm~125.0μmの範囲にある、態様1から9のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0175】
本明細書の態様11は、
相対屈折率Δが-0.20%~0.20%の範囲にあり、半径Rが50.0μm~60.0μmの範囲にある、態様1から9のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0176】
本明細書の態様12は、
相対屈折率Δが-0.80%~-0.10%の範囲にある、態様1から11のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0177】
本明細書の態様13は、
相対屈折率Δが-0.30%未満である、態様1から11のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0178】
本明細書の態様14は、
差Δ-Δが0.10%より大きい、態様1から13のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0179】
本明細書の態様15は、
差Δ-Δが0.30%より大きい、態様1から13のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0180】
本明細書の態様16は、
半径Rが50.0μm~130.0μmの範囲にある、態様1から15のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0181】
本明細書の態様17は、
半径Rが58.0μm~63.0μmの範囲にある、態様1から15のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0182】
本明細書の態様18は、
差R-Rが1.0μm~30.0μmの範囲にある、態様1から17のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0183】
本明細書の態様19は、
差R-Rが4.0μm~12.0μmの範囲にある、態様1から17のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0184】
本明細書の態様20は、
共通外部クラッド領域が2.0%μm以上のプロファイル面積Aを有する、態様1から19のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0185】
本明細書の態様21は、
共通外部クラッド領域が共通内部クラッド領域に直接隣接している、態様1から20のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0186】
本明細書の態様22は、
複数のコア領域の各々が、1310nmにおいて、7.0μmより大きいモードフィールド径(MFD)を有する、態様1から21のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0187】
本明細書の態様23は、
複数のコア領域の各々が、1550nmにおいて、8.0μmより大きいモードフィールド径(MFD)を有する、態様1から21のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0188】
本明細書の態様24は、
複数のコア領域が、25μmより大きいコア間隔を有する隣接したコアの少なくとも1つの対を含む、態様1から23のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0189】
本明細書の態様25は、
複数のコア領域が、30μmより大きいコア間隔を有する隣接したコアの少なくとも1つの対を含む、態様1から23のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0190】
本明細書の態様26は、
複数のコア領域の隣接したコア領域のすべての対の平均コア間隔が25μmより大きい、態様1から25のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0191】
本明細書の態様27は、
複数のコア領域の隣接したコア領域のすべての対の平均コア間隔が30μmより大きい、態様1から25のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0192】
本明細書の態様28は、
複数のコア領域が、30.0μm未満のエッジ間隔を有する少なくとも1つのコア領域を含む、態様1から27のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0193】
本明細書の態様29は、
複数のコア領域が、25.0μm未満のエッジ間隔を有する少なくとも1つのコア領域を含む、態様1から27のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0194】
本明細書の態様30は、
複数のコア領域が、20.0μm未満のエッジ間隔を有する少なくとも1つのコア領域を含む、態様1から27のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0195】
本明細書の態様31は、
複数のコア領域が、30.0μm未満のエッジ間隔を有する少なくとも2つのコア領域を含む、態様1から30のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0196】
本明細書の態様32は、
複数のコア領域が、25.0μm未満のエッジ間隔を有する少なくとも2つのコア領域を含む、態様1から30のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0197】
本明細書の態様33は、
複数のコア領域が、20.0μm未満のエッジ間隔を有する少なくとも2つのコア領域を含む、態様1から30のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0198】
本明細書の態様34は、
複数のコア領域が、30.0μm未満のエッジ間隔を有する少なくとも3つのコア領域を含む、態様1から33のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0199】
本明細書の態様35は、
複数のコア領域が、25.0μm未満のエッジ間隔を有する少なくとも3つのコア領域を含む、態様1から33のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0200】
本明細書の態様36は、
複数のコア領域が、20.0μm未満のエッジ間隔を有する少なくとも3つのコア領域を含む、態様1から33のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0201】
本明細書の態様37は、
複数のコア領域の隣接したコア領域の各対間のクロストークが、1310nmにおいて、-60dB/km未満である、態様1から36のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0202】
本明細書の態様38は、
複数のコア領域の隣接したコア領域の各対間のクロストークが、1310nmにおいて、-80dB/km未満である、態様1から36のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0203】
本明細書の態様39は、
複数のコア領域の隣接したコア領域の各対間のクロストークが、1550nmにおいて、-50dB/km未満である、態様1から36のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0204】
本明細書の態様40は、
複数のコア領域の隣接したコア領域の各対間のクロストークが、1550nmにおいて、-70dB/km未満である、態様1から36のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0205】
本明細書の態様41は、
共通外部クラッド領域を取り囲み、それに直接隣接した被覆をさらに含み、該被覆がポリマーを含む、態様1から40のいずれかに記載のマルチコア光ファイバである。
【0206】
特に明記しない限り、本明細書に記載の任意の方法は、その工程が特定の順序で実行されることを必要とすると解釈されることは、決して意図していない。したがって、方法クレームがその工程が従うべき順序を実際に列挙していないか、又は工程が特定の順序に限定されるべきであることが特許請求の範囲又は明細書に具体的に述べられていない場合には、いかなる特定の順序も、推測されることは、決して意図していない。
【0207】
本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、さまざまな修正及び変更を加えることができることは、当業者にとって明らかであろう。本発明の精神及び本質を組み込んだ開示された実施形態の修正の組合せ、部分組合せ、及び変形は、当業者に想起されうることから、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内のあらゆるものを含むと解釈されるべきである。
【0208】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0209】
実施形態1
マルチコア光ファイバであって、
マルチコアガラスファイバを含み、該マルチコアガラスファイバが、
複数のコア領域であって、その各々が、専用内側クラッド領域によって取り囲まれ、それに直接隣接している、複数のコア領域;
前記複数のコア領域の各々の専用内側クラッド領域を取り囲む共通内部クラッド領域であって、相対屈折率Δ及び半径Rを有する、共通内部クラッド領域;並びに
前記共通内部クラッド領域を取り囲む共通外部クラッド領域であって、半径R>R及び相対屈折率Δ<Δを有する、共通外部クラッド領域
を含む、マルチコアガラスファイバ
を含む、マルチコア光ファイバ。
【0210】
実施形態2
前記複数のコア領域が4つ以上のコア領域を含む、実施形態1に記載のマルチコア光ファイバ。
【0211】
実施形態3
前記複数のコア領域が8つ以上のコア領域を含む、実施形態1に記載のマルチコア光ファイバ。
【0212】
実施形態4
前記複数のコア領域の各々が、3.0μm~8.0μmの範囲の半径r及び0.20%~0.80%の範囲の相対屈折率Δを有する、実施形態1から3のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0213】
実施形態5
前記複数のコア領域の各々の専用内側クラッド領域が、9.0μm~18.0μmの範囲の半径r及び-0.80%~-0.10%の範囲の相対屈折率Δを有する、実施形態1から4のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0214】
実施形態6
前記共通内部クラッド領域が、前記複数のコア領域の各々の専用内側クラッド領域に直接隣接している、実施形態5に記載のマルチコア光ファイバ。
【0215】
実施形態7
前記複数のコア領域の各々の専用内側クラッド領域が、4.0μm~10.0μmの範囲の半径r及び-0.10%~0.10%の範囲の相対屈折率Δを有する、実施形態1から4のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0216】
実施形態8
前記複数のコア領域の各々が、前記専用内側クラッド領域に直接隣接した、専用の屈折率が低下したクラッド領域によってさらに取り囲まれており、前記専用の屈折率が低下したクラッド領域が、7.0μm~20.0μmの範囲の半径r及び-0.80%~-0.10%の範囲の相対屈折率Δを有する、実施形態7に記載のマルチコア光ファイバ。
【0217】
実施形態9
前記共通内部クラッド領域が、前記複数のコア領域の各々の前記専用の屈折率が低下したクラッド領域に直接隣接している、実施形態8に記載のマルチコア光ファイバ。
【0218】
実施形態10
前記相対屈折率Δが-0.30%~0.30%の範囲にあり、前記半径Rが50.0μm~125.0μmの範囲にある、実施形態1から9のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0219】
実施形態11
前記相対屈折率Δが-0.20%~0.20%の範囲にあり、前記半径Rが50.0μm~60.0μmの範囲にある、実施形態1から9のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0220】
実施形態12
前記相対屈折率Δが-0.80%~-0.10%の範囲にある、実施形態1から11のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0221】
実施形態13
前記相対屈折率Δが-0.30%未満である、実施形態1から11のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0222】
実施形態14
差Δ-Δが0.10%より大きい、実施形態1から13のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0223】
実施形態15
差Δ-Δが0.30%より大きい、実施形態1から13のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0224】
実施形態16
前記半径Rが50.0μm~130.0μmの範囲にある、実施形態1から15のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0225】
実施形態17
前記半径Rが58.0μm~63.0μmの範囲にある、実施形態1から15のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0226】
実施形態18
差R-Rが1.0μm~30.0μmの範囲にある、実施形態1から17のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0227】
実施形態19
差R-Rが4.0μm~12.0μmの範囲にある、実施形態1から17のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0228】
実施形態20
前記共通外部クラッド領域が2.0%μm以上のプロファイル面積Aを有する、実施形態1から19のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0229】
実施形態21
前記共通外部クラッド領域が前記共通内部クラッド領域に直接隣接している、実施形態1から20のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0230】
実施形態22
前記複数のコア領域の各々が、1310nmにおいて、7.0μmより大きいモードフィールド径(MFD)を有する、実施形態1から21のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0231】
実施形態23
前記複数のコア領域の各々が、1550nmにおいて、8.0μmより大きいモードフィールド径(MFD)を有する、実施形態1から21のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0232】
実施形態24
前記複数のコア領域が、25μmより大きいコア間隔を有する隣接したコアの少なくとも1つの対を含む、実施形態1から23のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0233】
実施形態25
前記複数のコア領域が、30μmより大きいコア間隔を有する隣接したコアの少なくとも1つの対を含む、実施形態1から23のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0234】
実施形態26
前記複数のコア領域の隣接したコア領域のすべての対の平均コア間隔が25μmより大きい、実施形態1から25のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0235】
実施形態27
前記複数のコア領域の隣接したコア領域のすべての対の平均コア間隔が30μmより大きい、実施形態1から25のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0236】
実施形態28
前記複数のコア領域が、30.0μm未満のエッジ間隔を有する少なくとも1つのコア領域を含む、実施形態1から27のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0237】
実施形態29
前記複数のコア領域が、25.0μm未満のエッジ間隔を有する少なくとも1つのコア領域を含む、実施形態1から27のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0238】
実施形態30
前記複数のコア領域が、20.0μm未満のエッジ間隔を有する少なくとも1つのコア領域を含む、実施形態1から27のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0239】
実施形態31
前記複数のコア領域が、30.0μm未満のエッジ間隔を有する少なくとも2つのコア領域を含む、実施形態1から30のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0240】
実施形態32
前記複数のコア領域が、25.0μm未満のエッジ間隔を有する少なくとも2つのコア領域を含む、実施形態1から30のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0241】
実施形態33
前記複数のコア領域が、20.0μm未満のエッジ間隔を有する少なくとも2つのコア領域を含む、実施形態1から30のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0242】
実施形態34
前記複数のコア領域が、30.0μm未満のエッジ間隔を有する少なくとも3つのコア領域を含む、実施形態1から33のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0243】
実施形態35
前記複数のコア領域が、25.0μm未満のエッジ間隔を有する少なくとも3つのコア領域を含む、実施形態1から33のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0244】
実施形態36
前記複数のコア領域が、20.0μm未満のエッジ間隔を有する少なくとも3つのコア領域を含む、実施形態1から33のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0245】
実施形態37
前記複数のコア領域の隣接したコア領域の各対間のクロストークが、1310nmで-60dB/km未満である、実施形態1から36のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0246】
実施形態38
前記複数のコア領域の隣接したコア領域の各対間のクロストークが、1310nmで-80dB/km未満である、実施形態1から36のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0247】
実施形態39
前記複数のコア領域の隣接したコア領域の各対間のクロストークが、1550nmで-50dB/km未満である、実施形態1から36のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0248】
実施形態40
前記複数のコア領域の隣接したコア領域の各対間のクロストークが、1550nmで-70dB/km未満である、実施形態1から36のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0249】
実施形態41
前記共通外部クラッド領域を取り囲み、それに直接隣接した被覆をさらに含み、該被覆がポリマーを含む、実施形態1から40のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【符号の説明】
【0250】
16 コア間隔
17,18 エッジ間隔
20,30 コア領域
28,38 専用内側クラッド領域
32,42 専用の屈折率が低下したクラッド領域
36 共通内部クラッド領域
37 共通外部クラッド領域
60 マルチコアガラスファイバ
62,64 コア
66 共通内部クラッド
67 共通外部クラッド
68 パルスレーザ
70 一次信号
71 入力端
72 伝達信号
73 出力端
74 クロストーク信号
76 検出器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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【国際調査報告】