(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(54)【発明の名称】水ろ過システムにおけるスケール形成を管理するための技術及びこの技術を実装する逆浸透(RO)及びナノろ過(NF)システム
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20230101AFI20230424BHJP
B01D 61/12 20060101ALI20230424BHJP
B01D 65/08 20060101ALI20230424BHJP
B01D 65/02 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
C02F1/44 C
B01D61/12
B01D65/08
B01D65/02 530
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556582
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 US2020034674
(87)【国際公開番号】W WO2021188132
(87)【国際公開日】2021-09-23
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522369234
【氏名又は名称】クロステック メンブレン テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】スミス,スタントン ラッセル
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006JA53Z
4D006KA33
4D006KA51
4D006KA54
4D006KA55
4D006KA57
4D006KA67
4D006KC02
4D006KD30
4D006KE07Q
4D006KE19P
4D006KE22Q
4D006KE28Q
4D006KE30Q
4D006PA01
4D006PB02
4D006PB08
(57)【要約】
本開示は、例えば回収率と電力消費量との目標バランスを達成し、プラントの長期的な運転コストを削減するためにエンドユーザ機能の制約に基づいて、連続及びバッチNF/ROの要素を組み合わせるフィルタリング技術を対象とする。本明細書には、バッチ操作をスケール防止剤の注入を伴う第2の誘導期間に延長する方法であって、第2の誘導期間が更に高い水回収率を可能にする方法も開示される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのフィードストリームに流体結合された少なくとも1つの入口と、前記少なくとも1つのフィードストリームからフィード水を受け取るために前記少なくとも1つの入口に流体結合された少なくとも1つのフィルタ膜と、前記少なくとも1つのフィードストリームからの前記フィード水を前記少なくとも1つのフィルタ膜内に移動させ、出力透過液ストリームを生成する圧力を発生させるための少なくとも1つのポンプと、を有するろ過システムを動作させる方法であって、
発生させた前記圧力に、第1の期間に前記少なくとも1つのフィルタ膜の最大非スケーリング回収率より大きく100%より小さい第1の目標回収率に実質的に等しい回収率で前記出力透過液ストリームを生成させるために、第1の駆動信号を前記少なくとも1つのポンプに提供させることを含む、方法。
【請求項2】
発生させた前記圧力に、第2の期間に第2の目標回収率に実質的に等しい回収率で前記出力透過液ストリームを生成させるために、第2の駆動信号を前記少なくとも1つのポンプに提供させることを更に含む、請求項1の方法。
【請求項3】
前記第2の目標回収率は、前記少なくとも1つのフィルタ膜の最大非スケーリング回収率以下である、請求項2の方法。
【請求項4】
前記第2の目標回収率は、前記少なくとも1つのフィルタ膜の前記最大非スケーリング回収率より大きい、請求項2の方法。
【請求項5】
前記第2の目標回収率は、前記少なくとも1つのフィルタ膜の前記最大非スケーリング回収率及び前記第1の目標回収率より大きい、請求項2の方法。
【請求項6】
前記第2の駆動信号は、前記第2の目標回収率が前記少なくとも1つのフィルタ膜の前記最大非スケーリング回収率より小さくなるように、前記少なくとも1つのフィルタ膜の少なくとも部分フラッシュを生じさせる、請求項2の方法。
【請求項7】
前記第2の目標回収率は、前記少なくとも1つのフィードストリームの受け取った前記フィード水の全てがリジェクトとして出力されるようにゼロに等しい、請求項6の方法。
【請求項8】
前記第2の目標回収率は、前記第2の期間の一部において前記少なくとも1つのフィルタ膜の前記最大非スケーリング回収率以下であり、前記第2の期間の一部において前記最大非スケーリング回収率より高い、請求項2の方法。
【請求項9】
前記第2の目標回収率が、前記少なくとも1つのフィルタ膜の部分フラッシュを生じさせるために、0%より大きく前記最大非スケーリング回収率以下である、請求項2の方法。
【請求項10】
前記第2の目標回収率は、受け取った前記フィード水の出力透過液ストリームに対する容量比が前記第2の期間に0.96から1.0となるように96から100%である、請求項2の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのフィルタ膜に流体結合された少なくとも1つのブリードバルブに、前記少なくとも1つのフィードストリームの前記フィード水の第1の所定の部分をリジェクト水として前記第2の期間に出力させることを更に含む、請求項2の方法。
【請求項12】
前記第2の目標回収率は、100%に等しく、
前記少なくとも1つのブリードバルブに前記少なくとも1つのフィードストリームの前記第1の所定の部分をリジェクト水として前記第2の期間に出力させることは、前記少なくとも1つのフィードストリームの実質的に0%がリジェクト水として出力されるように前記少なくとも1つのブリードバルブを閉鎖することを更に含む、請求項11の方法。
【請求項13】
前記第2の目標回収率は、100%より小さく、
前記少なくとも1つのブリードバルブに前記少なくとも1つのフィードストリームの前記第1の所定の部分をリジェクト水として前記第2の期間に出力させることは、前記フィード水の前記第1の所定の部分をリジェクト水として出力するために前記少なくとも1つのブリードバルブを開放することを更に含む、請求項11の方法。
【請求項14】
前記第2の目標回収率は、前記少なくとも1つのフィードストリームの0%がリジェクト水として前記第2の期間の少なくとも一部において出力されるように100%である、請求項2の方法。
【請求項15】
前記第2の期間は、フィルタ動作の所定のシーケンスに基づいて前記第1の期間の前又は後に発生する、請求項2の方法。
【請求項16】
前記第2の目標回収率は、100%であり、
前記第2の駆動信号を前記少なくとも1つのポンプに提供させることは、1回又は複数回のスケール防止剤投与を前記第2の期間の所定時点に前記少なくとも1つのフィルタ膜に導入させることを更に含み、
前記所定時点は、前記第2の期間を前記所定時点の前に発生する第1の誘導期間と、前記所定時点の後に発生するスケール防止剤が導入される第2の誘導期間と、に分け、
前記第1の誘導期間は、前記少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリング及び/又はファウリングが生じる前に作用する期間であり、
前記第2の誘導期間は、前記スケール防止剤が導入された時から前記少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリング及び/又はファウリングが生じる時まで測定された期間である、請求項2の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのフィルタ膜を少なくとも部分的に洗い流すために、第3の駆動信号を前記少なくとも1つのポンプに提供させることを更に含み、
前記少なくとも1つのフィルタ膜を少なくとも部分的に洗い流すために第3の駆動信号を前記少なくとも1つのポンプに提供させることは、前記第2の期間の後の第3の期間に前記第3の駆動信号を前記少なくとも1つのポンプに提供させることを更に含む、請求項2の方法。
【請求項18】
前記第3の駆動信号は、前記少なくとも1つのポンプに、前記第3の期間に第3の目標回収率に実質的に等しい回収率で前記出力透過液ストリームを生成する圧力を発生させる、請求項17の方法。
【請求項19】
前記第3の目標回収率は、前記少なくとも1つのフィルタ膜の少なくとも部分フラッシュを生じさせるために前記第3の期間に0%から80%である、請求項18の方法。
【請求項20】
前記第3の目標回収率は、前記少なくとも1つのフィルタ膜の完全フラッシュを生じさせるために実質的に0%であり、前記第3の目標回収率が前記第1の目標回収率及び前記第2の目標回収率と異なる、請求項18の方法。
【請求項21】
前記第2の期間は、前記第1の期間の後にあり、
前記第2の駆動信号を前記第2の期間に提供させることは、前記第1及び第2の期間の間に前記少なくとも1つのフィルタ膜の完全フラッシュを介在させることなく行われる、請求項2の方法。
【請求項22】
前記第2の駆動信号は、前記少なくとも1つのポンプが発生させた圧力を、前記第2の期間にわたって圧力が少なくとも10psi毎分だけ増加するように、前記少なくとも1つのフィルタ膜の浸透圧を上回る圧力に増加させ、
前記第2の期間は、少なくとも2分である、請求項2の方法。
【請求項23】
前記第2の駆動信号は、前記第2の期間にわたって実質的に一定の圧力が最大10ポンド毎平方インチ(psi)毎時だけ増加するように、前記少なくとも1つのポンプに前記実質的に一定の圧力を発生させ、
前記第2の期間は、少なくとも6時間である、請求項2の方法。
【請求項24】
前記第1の駆動信号は、前記少なくとも1つのポンプが発生させた圧力を、前記第1の期間にわたって圧力が少なくとも10psi毎分だけ増加するように、前記少なくとも1つのフィルタ膜の浸透圧を上回る圧力に増加させ、
前記第1の期間は、少なくとも2分である、請求項1の方法。
【請求項25】
前記第1の駆動信号は、前記第1の期間にわたって実質的に一定の圧力が最大10ポンド毎平方インチ(psi)毎時だけ増加するように、前記少なくとも1つのポンプに前記実質的に一定の圧力を発生させ、
前記第1の期間は、少なくとも6時間である、請求項1の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つのフィルタ膜に流体結合された少なくとも1つのブリードバルブに、前記第1の期間に前記少なくとも1つのフィードストリームのフィード水の第2の所定の部分をリジェクト水として出力させることを更に含む、請求項1の方法。
【請求項27】
前記第1の目標回収率は、98%以下であり、
前記少なくとも1つのブリードバルブに前記第1の期間に前記少なくとも1つのフィードストリームのフィード水の前記第2の所定の部分をリジェクト水として出力させることは、前記少なくとも1つのフィードストリームの前記フィード水の少なくとも2%を前記第1の期間にリジェクト水として出力させるために前記少なくとも1つのブリードバルブを開放することを更に含む、請求項26の方法。
【請求項28】
前記第1の駆動信号を前記少なくとも1つのポンプに提供させることは、1回又は複数回のスケール防止剤投与を、前記第1の期間の所定時点であって前記第1の期間の最初の開始時における所定時点、又は前記第1の期間の前記最初の開始の後で前記少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリング及び/又はファウリングの前の時点に前記少なくとも1つのフィルタ膜に導入させることを更に含む、請求項1の方法。
【請求項29】
前記所定時点は、前記第1の期間を前記所定時点の前に発生する第1の誘導期間と、前記所定時点の後に発生するスケール防止剤が導入される第2の誘導期間と、に分け、
前記第1の誘導期間は、前記少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリング及び/又はファウリングが生じる前に作用する期間であり、
前記第2の誘導期間は、前記スケール防止剤が導入された時から前記少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリング及び/又はファウリングが生じる時まで測定された期間である、請求項28の方法。
【請求項30】
前記第1の駆動信号を前記少なくとも1つのポンプに提供させることは、前記少なくとも1つのポンプに、前記第2の誘導期間の少なくとも一部において前記第1の目標回収率を維持するために、前記スケール防止剤が導入される前記所定時点から前記少なくとも1つのフィルタ膜の浸透圧を超えて圧力を単調に増加させることを更に含む、請求項29の方法。
【請求項31】
少なくとも1つのフィードストリームに流体結合された少なくとも1つの入口と、
前記少なくとも1つのフィードストリームからフィード水を受け取るために前記少なくとも1つの入口に流体結合された少なくとも1つのフィルタ膜と、
前記少なくとも1つのフィードストリームからの前記フィード水を前記少なくとも1つのフィルタ膜内に移動させ、出力透過液ストリームを生成する圧力を発生させるための少なくとも1つのポンプと、
発生させた前記圧力に、前記少なくとも1つのフィルタ膜の最大非スケーリング回収率より大きく100%より小さい第1の目標回収率に実質的に等しい回収率で第1の期間に前記出力透過液ストリームを生成させるために、第1の駆動信号を前記少なくとも1つのポンプに提供させるコントローラと、
を備えた、フィルタシステム。
【請求項32】
前記コントローラは更に、発生させた前記圧力に、第2の期間に第2の目標回収率に実質的に等しい回収率で前記出力透過液ストリームを生成させるために、第2の駆動信号を前記少なくとも1つのポンプに提供させる、請求項31のフィルタシステム。
【請求項33】
前記第2の目標回収率は、前記少なくとも1つのフィルタの最大非スケーリング回収率以下である、請求項32のフィルタシステム。
【請求項34】
前記第2の目標回収率は、前記少なくとも1つのフィルタ膜の前記最大非スケーリング回収率より大きい、請求項32のフィルタシステム。
【請求項35】
前記第2の目標回収率は、前記少なくとも1つのフィルタ膜の前記最大非スケーリング回収率及び前記第1の目標回収率より大きい、請求項32のフィルタシステム。
【請求項36】
前記第2の駆動信号は、前記少なくとも1つのフィルタ膜の少なくとも部分フラッシュを生じさせる、請求項32のフィルタシステム。
【請求項37】
前記第2の目標回収率は、前記少なくとも1つのフィードストリームの前記フィード水の全てがリジェクトとして出力されるようにゼロに等しい、請求項36のフィルタシステム。
【請求項38】
前記第2の目標回収率は、前記第2の期間の一部において前記少なくとも1つのフィルタ膜の最大非スケーリング回収率以下であり、前記第2の期間の一部において前記最大非スケーリング回収率より大きい、請求項36のフィルタシステム。
【請求項39】
前記第2の目標回収率は、前記少なくとも1つのフィルタ膜の部分フラッシュを生じさせるために、0%より大きく前記最大非スケーリング回収率より小さい、請求項36のフィルタシステム。
【請求項40】
前記第2の目標回収率は、受け取った前記フィード水の出力透過液ストリームに対する容量比が前記第2の期間に0.96から1.0となるように96から100%である、請求項32のフィルタシステム。
【請求項41】
前記少なくとも1つのフィードストリームの前記フィード水の第1の所定の部分をリジェクト水として前記第2の期間に出力するために、前記少なくとも1つのフィルタ膜に流体結合された少なくとも1つのブリードバルブを更に備える、請求項32のフィルタシステム。
【請求項42】
前記第2の目標回収率は、100%に等しく、
前記コントローラは、前記少なくとも1つのブリードバルブを、リジェクト水として出力されたフィード水の前記第1の所定の部分が前記第2の期間にゼロパーセントとなるように閉鎖させる、請求項41のフィルタシステム。
【請求項43】
前記第2の目標回収率は、前記少なくとも1つのフィードストリームの0%がリジェクト水として前記第2の期間に出力されるように100%である、請求項41のフィルタシステム。
【請求項44】
前記第2の期間は、メモリに記憶されているフィルタ動作の所定のシーケンスに基づいて前記第1の期間の前又は後に発生する、請求項41のフィルタシステム。
【請求項45】
前記第2の駆動信号は更に、1回又は複数回のスケール防止剤投与を前記第2の期間の所定時点に前記少なくとも1つのフィルタ膜に導入させる、請求項32のフィルタシステム。
【請求項46】
前記所定時点は、前記第2の期間を前記所定時点の前に発生する第1の誘導期間と、前記所定時点の後に発生するスケール防止剤が導入される第2の誘導期間と、に分け、
前記第1の誘導期間は、前記少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリング及び/又はファウリングが生じる前に作用する期間であり、
前記第2の誘導期間は、前記スケール防止剤が導入された時から前記少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリング及び/又はファウリングが生じる時まで測定された期間である、請求項45のフィルタシステム。
【請求項47】
前記コントローラは更に、少なくとも部分フラッシュを前記第2の期間の後の第3の期間に生じさせるために、第3の駆動信号を前記少なくとも1つのポンプに提供させる、請求項32のフィルタシステム。
【請求項48】
前記第3の駆動信号は、前記少なくとも1つのポンプに、前記第3の期間に前記第1及び第2の目標回収率と異なる第3の目標回収率に実質的に等しい回収率で前記出力透過液ストリームを生成する圧力を発生させる、請求項47のフィルタシステム。
【請求項49】
前記第3の目標回収率は、前記少なくとも1つのフィルタ膜の少なくとも部分フラッシュを生じさせるために前記第3の期間に0%から80%である、請求項47のフィルタシステム。
【請求項50】
前記第3の回収率は、前記少なくとも1つのフィルタ膜の完全フラッシュを生じさせるために実質的に0%である、請求項48のフィルタシステム。
【請求項51】
前記第2の期間は、前記第1の期間の後にあり、
前記第2の駆動信号を前記第2の期間に提供させることは、前記第1及び第2の期間の間に前記少なくとも1つのフィルタ膜の完全フラッシュを介在させることなく行われる、請求項32のフィルタシステム。
【請求項52】
前記第2の駆動信号は、前記少なくとも1つのポンプが発生させた圧力を、前記第2の期間にわたって圧力が少なくとも10psi毎分だけ増加するように、前記少なくとも1つのフィルタ膜の浸透圧を上回る圧力に増加させ、
前記第2の期間は、少なくとも2分である、請求項32のフィルタシステム。
【請求項53】
前記第2の駆動信号は、前記第2の期間にわたって実質的に一定の圧力が最大10ポンド毎平方インチ(psi)毎時だけ増加するように、前記少なくとも1つのポンプに前記実質的に一定の圧力を発生させ、
前記第2の期間は、少なくとも6時間である、請求項32のフィルタシステム。
【請求項54】
前記第1の駆動信号は、前記少なくとも1つのポンプが発生させた圧力を、前記第1の期間にわたって圧力が少なくとも10psi毎分だけ増加するように、前記少なくとも1つのフィルタ膜の浸透圧を上回る圧力に増加させ、
前記第1の期間は、少なくとも2分である、請求項31のフィルタシステム。
【請求項55】
前記第1の駆動信号は、前記第1の期間にわたって実質的に一定の圧力が最大10ポンド毎平方インチ(psi)毎時だけ増加するように、前記少なくとも1つのポンプに前記実質的に一定の圧力を発生させ、
前記第1の期間は、少なくとも6時間である、請求項31のフィルタシステム。
【請求項56】
前記少なくとも1つのフィードストリームのフィード水の第2の所定の部分をリジェクト水として前記第1の期間に出力するために、前記少なくとも1つのフィルタ膜に流体結合された少なくとも1つのブリードバルブを更に備える、請求項31のフィルタシステム。
【請求項57】
前記第1の目標回収率は、98%以下であり、
フィード水の前記第1の所定の部分は、少なくとも2%であり、
前記コントローラは、前記少なくとも1つのブリードバルブに、リジェクト水として前記第1の期間に出力される前記少なくとも1つのフィードストリームのフィード水の前記第1の所定の部分を出力させる、請求項56のフィルタシステム。
【請求項58】
前記コントローラは更に、1回又は複数回のスケール防止剤投与を、前記第1の期間の所定時点に前記少なくとも1つのフィルタ膜に導入させる、請求項31のフィルタシステム。
【請求項59】
前記所定時点は、前記第1の期間を前記所定時点の前に発生する第1の誘導期間と、前記所定時点の後に発生するスケール防止剤が導入される第2の誘導期間と、に分け、
前記第1の誘導期間は、前記少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリング及び/又はファウリングが生じる前に作用する期間であり、
前記第2の誘導期間は、前記スケール防止剤が導入された時から前記少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリング及び/又はファウリングが生じる時まで測定された期間である、請求項58のフィルタシステム。
【請求項60】
前記第1の駆動信号を前記少なくとも1つのポンプに提供させることは、前記少なくとも1つのポンプに、前記第2の誘導期間の少なくとも一部において前記第1の目標回収率を維持するために、前記スケール防止剤が導入される前記所定時点から前記少なくとも1つのフィルタ膜の浸透圧を超える圧力を単調に増加させることを更に含む、請求項59のフィルタシステム。
【請求項61】
前記少なくとも1つのフィルタ膜は、少なくとも90バールの圧力に耐えられる圧力ケーシングを備えた少なくとも1つの高圧フィルタ膜を含む、請求項31のフィルタシステム。
【請求項62】
前記少なくとも1つのフィルタ膜は、それぞれが第1及び第2のフィルタステージの少なくとも一部をそれぞれ提供する、少なくとも第1及び第2のフィルタ膜を含む、請求項31のフィルタシステム。
【請求項63】
前記第1及び/又は第2のフィルタ膜を前記少なくとも1つのフィードストリームに切り替え可能に流体結合するためのフィルタバルブ装置を更に備える、請求項62のフィルタシステム。
【請求項64】
前記コントローラは更に、前記フィルタバルブ装置に、前記第1及び/又は第2の期間に前記第1及び/又は第2のフィルタ膜を前記少なくとも1つのフィードストリームに切り替え可能に流体結合させる、請求項63のフィルタシステム。
【請求項65】
前記少なくとも1つの入口は、前記少なくとも1つのフィードストリームが前記フィルタシステムからの濃縮液を含むようにフィルタシステムのブリードに流体結合する、請求項31のフィルタシステム。
【請求項66】
前記少なくとも1つの入口は、前記少なくとも1つのフィードストリームが前記フィルタシステムにより出力された透過液を含むようにフィルタシステムの出口に流体結合する、請求項31のフィルタシステム。
【請求項67】
少なくとも1つのフィードストリームに流体結合された入口と、前記少なくとも1つのフィードストリームのフィード水を受け取るために前記入口に流体結合された少なくとも1つのフィルタ膜と、前記少なくとも1つのフィードストリームの前記フィード水を前記少なくとも1つのフィルタ膜内に移動させ、出力透過液ストリームを生成する圧力を発生させるための少なくとも1つのポンプと、を有するろ過システムを動作させる方法であって、
前記少なくとも1つのポンプの発生させた前記圧力を、前記少なくとも1つのフィルタ膜の浸透圧を上回る圧力に増加させ、最大非スケーリング回収率を上回り前記少なくとも1つのフィルタ膜について最大非スケーリング回収状態に達する前に関連する期間を有する目標回収率を第1の期間に維持するための第1の駆動信号を前記少なくとも1つのポンプに提供させることと、
前記第1の期間に前記少なくとも1つのフィルタ膜について前記最大非スケーリング回収状態に達したことを検出することと、
前記最大非スケーリング回収状態に達したことを検出したことに応答して、前記最大非スケーリング回収状態に達した時と前記少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリング及び/又はファウリングが生じる時との間の時間を増やすために、1回又は複数回のスケール防止剤投与を前記少なくとも1つのフィルタ膜に導入させることと、
を含む、方法。
【請求項68】
少なくとも1つのフィードストリームに流体結合された入口と、前記少なくとも1つのフィードストリームのフィード水を受け取るために前記入口に流体結合された少なくとも1つのフィルタ膜と、前記少なくとも1つのフィードの前記フィード水を前記少なくとも1つのフィルタ膜内に移動させ、出力透過液ストリームを生成する圧力を発生させるための少なくとも1つのポンプと、を有するバッチ逆浸透(RO)ろ過システムを動作させる方法であって、
第1の期間に前記少なくとも1つのフィルタ膜の最大非スケーリング回収率より大きい実質的に目標回収率で前記出力透過液ストリームを出力させるために、前記少なくとも1つのポンプの発生させた前記圧力を前記少なくとも1つのフィルタ膜の浸透圧を上回る圧力に増加させて、前記出力透過液ストリームの出力を実質的に前記目標回収率に維持するための第1の駆動信号を前記少なくとも1つのポンプに提供させることと、
前記第1の期間の所定時点に1回又は複数回のスケール防止剤投与を前記少なくとも1つのフィルタ膜に導入させることと、
を含む、方法。
【請求項69】
前記所定時点は、前記第1の期間を前記所定時点の前に発生する第1の誘導期間と、前記所定時点の後に発生する前記1回又は複数回のスケール防止剤投与が導入される第2の誘導期間と、に分け、
前記第1の誘導期間は、スケーリング及び/又はファウリングが生じる前に作用する期間であり、
前記第2の誘導期間は、前記1回又は複数回のスケール防止剤投与が導入された時からスケーリング及び/又はファウリングが生じる時まで測定された期間である、請求項68の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] この出願は、2020年3月18日出願の米国仮特許出願第62/991,393号の利益を主張し、参照により完全に本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] この明細書は、ろ過システム、及びろ過システム内のスケール形成を管理することに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 水ろ過システムは、フィードストリームから透過液を生成するための少なくとも1つのフィルタ膜を備えることが多い。水ろ過への1つのアプローチは、定常状態連続逆浸透(RO)法/サイクル、及びフィードを1つ以上のフィルタ膜を介して実質的に一定の圧力で移動させるポンプを利用する。保持液/リジェクトとして出るフィードの部分に対する透過液として出るフィードの比率はシステムの回収率を定める。かかる連続流システムは通常、スケーリング状態が誘発される率以下の回収率で動作する。その結果、連続流システムは、スケール及びファウリングの形成を回避するために、比較的低い最大回収率、例えば50~75%を有する。
【0004】
[0004] 水ろ過への別のアプローチは、バッチRO法/サイクルを利用する。バッチROでは、ポンプが、1つ以上のフィルタ膜の浸透圧を克服するために時間とともに圧力を変化させる。バッチROシステムは連続流システムに対して比較的高い回収率を可能にするが、かかるシステムは、透過流束を維持するために周期的に洗い流されなければならない。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 以下の詳細な説明を図面と照らし合わせて読むことによって、本開示の様々な態様及び特徴がより良く理解されるであろう。
【0006】
[0006] 本明細書に含まれる図面は、本明細書の教示の物品、方法、及び装置の様々な例を示すためのものであり、教示されている範囲を限定することを決して意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】[0007] それぞれ連続RO法及びバッチRO法を表す対極を有するろ過システム連続体の例示的な図を示す。
【
図2A】[0008] 連続RO法において使用される例示的なフィルタ構成のブロック図を示す。
【
図2B】[0009]バッチRO法において使用される例示的なフィルタ構成のブロック図を示す。
【
図3】[0010] 本開示の実施形態に係る例示的なフィルタシステムのブロック図を示す。
【
図4】[0011] 本開示の実施形態に係る、
図3のフィルタシステムにより実行される複数の例示的なフィルタ動作シーケンスを示す。
【
図5】[0012] 本開示の実施形態に係る、
図4の1つ以上のフィルタ動作シーケンスを実行する例示的なプロセスを示す。
【
図6】[0013] ある実施形態に係る、非スケーリング率を上回る回収率で動作する場合に
図3のフィルタシステムの動作を延長する第1及び第2の誘導期間を発生させる例示的なプロセスを示す。
【
図7】[0014] 本開示の実施形態に係る、1つ以上のフィルタ動作シーケンスを実行する場合の
図3のフィルタシステムの時間(T)の経過に伴う様々な回収目標率を示すグラフである。
【
図8】[0015] 本開示の実施形態に係る、1つ以上のフィルタ動作シーケンスを実行する場合の
図3のフィルタシステムの時間(T)の経過に伴う様々な回収目標率を示す別のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0016] ROベースのろ過システムの人気及び採用が、特に商業用の大規模ろ過プラントにおいて増大し続けている。ROベースの水ろ過システムは、2つの動作モードのうちの1つ、すなわち連続RO又はバッチROに分類される。ROフィルタシステムの両モードは、NF、海水RO及び汽水RO技術などの類似のフィルタ技術を活用するが、連続RO法を実施するフィルタシステムとバッチRO法を実施するフィルタシステムとは、互いに連続体の両端にある。
【0009】
[0017] この連続体は実例によってより良く理解されることがある。
図1は、両端/対極にある連続RO法及びバッチRO法を有する1つのかかる例示的な連続体を示している。具体的には、連続ROシステムは比較的低い回収率で動作して、週単位から月単位で測定される動作時間で(スケール防止剤の有無にかかわらず)非スケーリング定常状態を達成する。一方、バッチROシステムは、一般にはフィルタ膜が、例えばフィードを介して洗い流される前に連続ROシステムが動作する時間のわずかの動作時間で、非スケーリング定常状態を上回る回収率、すなわち100%回収率で動作する。例えば、一部のバッチRO法は、フラッシュサイクルが行われる前にわずか数分から数時間の間行われる。
【0010】
[0018] 連続ROシステムは、バッチROシステムに対する様々な構造的及び動作的な差異を特徴とする。新規及び既存のフィルタ設計は、高い回収率が望まれる場合にバッチROを実施し、安定的で連続した装置動作が数週間又は数か月望まれる場合、スケール阻害剤の投与量がゼロか少量が好ましい場合、及び/又は低い水回収率が許容可能な場合に連続運転を実施する。
【0011】
[0019] どちらの場合も、NF及びRO技術を用いた水ろ過システムの設計は一般に、選ばれたフィルタ膜に対するスケーリングが開始する回収率を特定することに基づいて最大回収設定点(本明細書では水回収率、回収率又は単に回収とも呼ばれる)を決定することから始まり、特定された回収率は一般に、本明細書ではスケール防止剤とも呼ばれるスケール阻害剤を使用せずに計算される。フィルタシステムの回収率は、フィルタシステムに入るフィード(又はフィード水)の部分対透過液として出るフィードの部分により定義された比率として表される。したがって、100%未満の回収率は、本明細書でリジェクト水又は単にリジェクトと呼ばれることがある生成保持液として1つ又は複数のブリードバルブを介して出力されるフィードの少なくとも一部を含む。
【0012】
[0020] したがって、本明細書では保持液とも呼ばれる生成保持液は、フィルタ膜を透過しないフィードの一部分を指す。一方、透過液は、例えば「きれいな」水として出力されるフィルタ膜を透過するフィードの一部分を指すが、透過液は、フィルタシステムの構成及び透過液の用途によって必ずしも飲料水でない場合がある。
【0013】
[0021] なお、以下の開示は概ね、スケーリングがスケール形成化合物の過飽和点に達する点、及び透過液出力をそれぞれ単にスケーリング及びファウリングとして実質的に減少させるあるいは妨げるときにファウリングが限界流束(又は限界濃度)に達するときに言及する。本明細書で考察される一部の例及びシナリオは、かかるスケーリング及びファウリング状態の一方又は組み合わせの両方に、必ずしも両方に言及することなく言及することがある。例えば、本明細書に開示される様々な態様及び特徴は、最大非スケーリング回収率に言及する。この値はスケーリングのみに限定されず、ファウリング状態が存在する前の最大率を指す可能性もある。
【0014】
[0022]
図2Aに示すような連続RO/NFシステムとの関連で、最大回収率(又は設定点)が、スケーリング状態の発現が起こる特定の回収率を少し下回る率に設定される。代替的に、以下で更に詳しく考察するように、最大回収設定点は、スケール防止剤を利用する際にスケーリング状態が起こる特定の回収率を超えて作用する可能性がある。いずれにせよ、次いで連続RO/NFシステムは、一般に週/月単位で測定された期間に非スケーリング定常状態で動作する。動作中、連続RO/NFシステムは、例えばフィードストリームをフィルタ膜を通して移動させるポンプなどの負荷を介して実質的に一定の電力を消費し、そして結果として生じる生成保持液は、下水管を介して処分されるか、又は追加のろ過段階に提供され、かかるシステムの運用費用を更に増加させる。連続RO/NFシステムは、非スケーリング定常状態を維持するために約50%~70%の一定の回収率で動作することが多い。
【0015】
[0023] 逆に、
図2Bに示すようなバッチRO/NFシステムとの関連で、最大回収率(又は設定点)が、スケーリング状態の発現が起こる特定の回収率より高く設定される。この構成は、フィードの100%が一定の期間透過液に変換される循環バッチ運転を達成することができ、その後ROシステムは、連続運転の最終バッチ濃縮液を排出するためにフィードで洗い流され、そしてバッチサイクルを再開する。
【0016】
[0024] 例えばバッチRO/NFを使用して、100%の最大回収率が設定されることがあり、生成保持液を出力するためのブリードの必要性をなくす。次いでかかる回収率に設定されたRO/NFシステムは、非定常状態で動作し、フィルタ膜の浸透圧を克服するために時間とともに圧力を変化させる。非定常状態でのかかる動作の合計時間は、フィルタシステムの特定の構成に応じて分又は時間単位で測定されることがある。バッチROの1つの利点は、スケール防止剤を使用することなく高い回収率が達成され得ることである。
【0017】
[0025] しかしながら、かかるバッチ運転中のある時点で、フィルタ膜の浸透圧は、システムのポンプが発生させることができる最大圧力を上回ることになる。システム設計者は一般に、フィルタシステムの潜在的な損傷及び/又は危険な状況を回避するために、かかる非定常状態で動作する、つまりスケーリング限界を超えて動作する時間を制限する。かかる制限には、例えばシステム圧力を注意深く監視すること及び/又は一定時間を超えた非定常状態での動作を防ぐことが含まれる可能性がある。したがって、高い回収率、すなわち100%が、フィルタ膜を洗い流すためのダウンタイム(及び回収率の引き下げ)、及び高周波バッチサイクリングによりもたらされるポンプの更なる消耗を犠牲にして達成される。
【0018】
[0026] スケール防止剤はここ20年で大幅に改善され、バッチROシステムと連続ROシステムの両方の回収率を高めることを可能にした。以下の表1は、スケール防止剤を使用しない100%最大に対する過飽和%、又は主要なスケーリング化合物の最大絶対濃度、又はあるNF/ROリジェクトストリームにおける炭酸カルシウムスケールの飽和pHに対するpH単位の最大ランゲリア飽和指数(LSI)を可能にする、様々な市販のスケール防止剤の能力を示している。表1では、1つの例示的な公的情報源から報告された最大過飽和度が第2欄に示されているが、スケール防止剤の研究が進むにつれて時間とともに結果が変わる可能性があることに留意されたい。
【0019】
[0027] 商業用/大規模NF/ROシステムは一般に、一定の供給速度及び一定の回収率(結果として一定の透過及びブリード率をもたらす)で動作し、かかるシステムは、ある過飽和度を達成するためにフィードに投与されたスケール防止剤を使用する。スケール防止剤の投与は一般に、化学薬品費を節約するために5mg/l以下で行われる。しかしながら、より高い回収率に対する市場の需要が、廃水市場における再利用要求と同様に増え続けている。増え続けているスケール防止剤の投与は、依然としてかかる需要を満たすための主な手段である。同時にこれらの同じ市場需要は、結果としてより高い膜ファウリング率及び関連する化学薬品費の増大をもたらす。
【0020】
[0028] スケール防止剤を含むNF/ROブリードストリームの取扱いに関連する複数の課題も存在する。かかる課題には、沈降及び熱容量低減システムにおいてかかるストリームを後処理する必要性、及び/又は環境において受け入れるストリームに対するスケール防止剤の影響が含まれる。追加の課題には、その一方又は両方がフィルタシステム性能を低下させる可能性がある、膜とスケール防止剤との潜在的な不適合性、及びフィードストリーム成分とスケール防止剤との予期せぬ有害な相互作用が含まれる。
【0021】
【0022】
[0029] RO技術を利用した水ろ過システムの継続的な改善は、比較的高い回収率を、システムコンポーネントの消耗、高い電力消費量、及びスケール防止剤使用の必要性などのかかる回収率の既存の欠点なしに達成するように統合される連続ROシステム及びバッチROシステムの特徴及び利点を可能にするフィルタリング技術の発展に少なくとも部分的に依存する。
【0023】
[0030] また、特定のフィルタシステムに固有の様々な他の要件及び目的にも適合する所望の水回収率が達成されるようにシステム設計の因子となっている総電力消費量、廃水発生、及びその他のコストなどの複数の目標パラメータの均衡を可能にするために、一般的に
図1に関して以上で考察した連続体の中間点で動作可能なろ過システムの必要性が存在する。
【0024】
[0031] 以上のことを考慮して、本開示は、連続及びバッチNF/ROの要素を組み合わせた技術(例えばシステム及び方法)を対象とする。かかるシステム及び方法は、例えば回収率と電力消費量との目標バランスを達成し、プラントの長期的な運転コストを削減するためにエンドユーザ機能の制約を考慮することがある。本明細書には、バッチ運転をスケール防止剤の注入を伴う第2の誘導期間に延長する方法であって、第2の誘導期間が更に高い水回収率を可能にする方法も開示される。第1及び/又は第2の誘導期間は、好ましくは、例えば最大90~120バールの可変圧力を発生させることができる高圧フィルタ膜モジュール及びポンプの使用を通じて、フィード水を移動させて高圧フィルタ膜モジュールに通すために延長されることがある。スケールを越えて、本明細書に開示される技術は、ファウラントが同様にNF/ROシステムの圧力及び回収率に悪影響を及ぼすため、ファウリング管理にも同様に用いられる可能性がある。
【0025】
[0032] 規定された品質、特性又は値に関連して使用される場合の「実質的に」という用語は、本開示に別段の定めがある場合を除き、規定された品質、特性又は値の±10%を意味する。
【0026】
[0033] 本明細書で使用される「結合される」という用語は、あらゆる接続、結合、リンクなどを指し、「流体結合される」は、1つの要素からの流体が別の要素に伝達されるように結合することを指す。かかる「結合される」要素は、必ずしも互いに直接的に接続されるわけではなく、中間コンポーネント/要素によって分離されていることがある。同様に、「直接的に結合される」という用語は、中間要素を使用しない要素間の接続を指し、本明細書で使用される「直接的に流体結合される」は、中間コンポーネント/要素を使用することなく流体が1つの要素から別の要素に伝達され得る要素の結合を指す。
【0027】
[0034] 図面を参照すると、
図3は、本開示と整合性のあるフィルタシステム300の一例を示している。図に示すように、フィルタシステム300は、コントローラ302、少なくとも1つのポンプ304、及びフィルタステージ306を備える。
【0028】
[0035] コントローラ302は、例えば、マイクロコントローラ(MCU)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、縮小命令セットコンピュータ(RISC)プロセッサ、x86命令セットプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)などの少なくとも1つの処理デバイス/回路を備える。好ましくは、コントローラ302はプログラマブル論理コントローラ(PLC)内に実装される。コントローラ302は、好ましくは少なくとも1つのポンプ304に通信可能に結合する。コントローラ302は、ポンプ304に目標圧力を発生させるために駆動信号をポンプ304に提供させるように構成される可能性がある。
【0029】
[0036] コントローラ302はまた、好ましくは少なくとも1つのブリードバルブ、例えばブリードバルブ308に通信可能に結合する。コントローラ302は、制御信号をブリードバルブ308に提供させるように構成される可能性がある。好ましくは、制御信号は、ブリードバルブ308に閉鎖位置及び複数の開放位置間を遷移させるように構成されている。複数の開放位置のそれぞれは、フィードストリーム309のフィード水の様々な量が生成保持液310(本明細書では濃縮リジェクト、リジェクト水、又は単にリジェクトとも呼ばれる)として出力されることを可能にする。以下で更に考察されるように、ある実施形態によれば、フィルタバルブ装置312は、少なくとも1つのポンプ304が移動させたフィードを、本明細書においてフィルタアレイと呼ばれることもあるフィルタステージ314の1つ以上に切り替え可能に流体結合する可能性がある。したがって、コントローラ302は、フィルタステージ314の1つ以上を少なくとも1つのポンプ304を介して移動させたフィードに切り替え可能に流体結合させる制御信号をフィルタバルブ装置312に提供させるように構成されることがある。
【0030】
[0037] ブリードバルブ308は、以上で考察したように受信した制御信号を介して作動されるように構成された電気機械バルブとして実装されることがある。一方、ブリードバルブ308は、例えば技能者や技術者がユーザが与えた力を介してバルブを作動させる必要がある手動バルブを含む任意の他の適切なデバイスとして実装されることがある。フィルタステージ306は少なくとも1つのフィルタ膜311を備える。好ましくは、少なくとも1つのフィルタ膜311はNF又はROフィルタ膜である。
【0031】
[0038] ある実施形態では、フィルタステージ306は、少なくとも1000~1800psi、好ましくは少なくとも1740±5psiの動作圧力に対応できるケーシング/ハウジングを有する少なくとも1つの高圧NF又はROフィルタ膜を備える。1つの非限定的な例では、少なくとも1つのフィルタ膜311は、最大1750psiの動作圧力に耐えるように構成されたプレート及びフレーム(又はスペーサチューブ)高圧膜モジュールとして実装される。例えば、少なくとも1つのフィルタ膜311は、マサチューセッツ州ホールブルックのCrossTek Membrane Technology LLCが提供する90~120バール(1305~1745psi)に対応できる圧力ケーシングを有するAquaZoom(商標)超高圧フィルタモジュールとして実装されることがある。
【0032】
[0039] 少なくとも1つのフィルタ膜311は、好ましくは少なくとも1つのポンプ304によりフィードストリーム309に流体結合された少なくとも1つの入口311-1(又は入力)を備える。少なくとも1つのポンプ304は、フィードストリーム309のフィード水(本明細書ではフィードとも呼ばれる)を少なくとも1つのフィルタ膜311に受け取らせてその中へと移動させる圧力(好ましくは可変圧力)を発生させることがある。なお、
図3は入口311-1がポンプ304に直結されている例を示しているが、かかる構成は必須ではない。例えば、少なくとも1つの入口311-1は、別のフィルタステージ/フィルタシステムのブリードに流体結合されることがあり、ブリードにより出力されるリジェクトをフィードストリーム309として受け取るように構成されることがある。代替的に、少なくとも1つの入口311-1は、別のフィルタステージ/フィルタシステムの透過液出力に流体結合されることがあり、透過液出力により出力される透過液をフィードストリーム309として受け取るように構成されることがある。
【0033】
[0040] 少なくとも1つのフィルタ膜311は、透過液313を出力するための少なくとも1つの出口311-2、及び保持液310を出力するための少なくとも1つのブリード311-3を更に備える。少なくとも1つのフィルタ膜311の出口311-2は、例えば、所望の構成によって更なる処理のための複数のフィルタステージ314の別のフィルタステージの入口に流体結合されることがある。少なくとも1つのブリード311-3もまた、複数のフィルタステージ314の別のフィルタステージの入口に流体結合されること、又は代替的に、下水管/廃水リターンに流体結合されることがある。
【0034】
[0041] ある実施形態では、フィルタステージ306は、まとめて314で、個別には314-1~314-2で示されたフィルタステージなどの複数の異なるフィルタステージとして任意選択的に実装される。複数のフィルタステージ314のそれぞれは、他のフィルタステージと比べて、実質的に同様のフィルタ膜又は異なるタイプのフィルタ膜及び/又はフィルタ膜の総数を更に備える可能性がある。例えば、第1のフィルタステージ314-1は、第1のタイプのフィルタ膜の1つ以上のフィルタ膜を備えるように構成されることがあり、第2のフィルタステージ314-2は、第1のタイプのフィルタ膜より高い最大動作圧力に耐えることができる圧力ケーシングを有する第2のタイプの1つ以上のフィルタ膜を備えるように構成される可能性がある。このフィルタタイプの違いは、第2のフィルタステージ314-2を介して高圧サイクリングを実行する際に特に有利な場合がある。このシナリオでは、バルブ装置312は、少なくとも1つのポンプ304からのフィードを第2のフィルタステージ314-2に切り替え可能に流体結合し、高圧サイクルの特定の圧力に耐えることができる圧力ケーシングを必ずしも有し得ない第1のフィルタステージ314-1などの、複数のフィルタステージ314の他のフィルタステージからフィードを切り替え可能に流体的に切り離すことができる。
【0035】
[0042] フィルタバルブ装置312は、以上で考察したように受信した制御信号を介して作動されるように構成された電気機械バルブとして実装される可能性がある。一方、フィルタバルブ装置312は、例えば技能者や技術者がユーザが与えた力を介してバルブを作動させる必要がある手動バルブ、又はかかる手動バルブ及び電気機械バルブの組み合わせを含む他の適切なデバイスを介して実装されることがある。
【0036】
[0043] フィルタシステムの回収率を、ある実施形態では、消費されたフィード(又は受け取ったフィード水)量当たりの生成された透過液の量として計算することができる。例えば、バッチプロセスにおいて回収率は式(1)によって計算されることがある。
【0037】
【0038】
[0044] バッチ生産において30分間100ガロン/分(gpm)で運転している間に、フィルタシステムが3分間125gpmで洗い流す以下のシナリオを検討する。この場合、フィルタシステム300の全体的な回収率は、88.9%=(100gpm×30分)/(100gpm×30分+125gpm×3分)である場合がある。バッチROプロセスの1つの利点は、フィルタシステムがスケール防止剤を使用せずに動作し、本明細書において第1の誘導期間と呼ばれる、スケーリング/ファウリング状態の発現からスケーリングが起こるまでにかかる時間より短い期間動作することによって、スケーリングを伴わずに最大回収率を上回る可能性があることである。
【0039】
[0045] 次いで設計者は、フィード、例えばフィード309の特性、好ましくはフィード309の全てのスケーリング化合物及び濃度を定める。また、好ましくはエンドユーザの流出液又は透過液品質要件、例えば透過液導電率、全溶解性蒸発残留物(TDS、導電率から算出可能)、及び有機含有量などが定められる。好ましくは、流出液又は透過液品質要件は導電率に基づくことが好ましい。なぜなら導電率はオンライン高速計測を可能にするものであり、一般的な透過液品質の強力な指標であるためである。設計者は、フィード流量、及びエンドユーザが望む回収目標を決定することもある。本明細書において考察される例では、フィード流量は100gpmであり、フィードの全溶解性蒸発残留物(TDS)は2,000ppmであり、エンドユーザは250mg/l未満の透過液TDSを望む。
【0040】
[0046] 次いで設計者は膜選択を行い、好ましくは選択された膜のスケール及びTDS阻止特性が定められる。例えば汽水RO膜が選択されることがあり、TDS及びスケール阻止の両方について99.5%のTDS阻止率を採用することができる。
【0041】
[0047] 次いで設計者は、スケーリングが始まる、又は対象のスケーリング化合物の過飽和が最初に起こるときの水回収率を決定する。この最大非スケーリング回収率は、例えばフィルタシステムに実装されることが期待される温度条件及び他の前処理投与条件(例えば、スケール防止剤投与量、酸投与量)で決定される。例えば、最大非スケーリング回収率は80%回収率に設定されることがあるが、最大非スケーリング回収率の特定の設定点は以上で考察した要因に基づいて変化することがある。
【0042】
[0048] 次いで設計者は、第1の誘導時間、例えば最大非スケーリング回収率に達して(又は初めてこれを上回って)からスケーリングが実際に起こるまでの時間を、例えばフィルタシステムに実装されることが期待される温度条件及び他の前処理投与条件(例えば、スケール防止剤投与量、酸投与量)に基づいて決定する。例えば第1の誘導時間は25分に等しい場合がある。
【0043】
[0049] 次いで設計者は、任意選択でフィルタシステム内のフィード/リジェクトのホールドアップ量を決定することがある。例えばフィルタシステムは、200ガロンのフィード/リジェクトホールドアップを有するように設計されることがある。
【0044】
[0050] 次いで設計者は、好ましくは、システムに入る運ばれた流体(例えば水及び成分)、及びシステムを出るブリード及び透過液を追跡することを可能にするマスバランスを生成するために、例えば動的な水/キャリア流体特性、スケール、ファウラント、及びTDS(全溶解性蒸発残留物)を含む複数の入力(又は動作パラメータ)を設定する。なお、ブリード率は、好ましくは設計者によって入力として設定される。このマスバランスは、システムにおける上述のパラメータの濃度の経時的な進行を示し、好ましくは経時的な回収率も追跡する。
【0045】
[0051] 次いで設計者は、上記のマスバランス及びフィルタシステム性能の出力を、以上で考察した様々な入力/パラメータを変化させることに基づいて解析することがあり、好ましくはフィルタシステムの所望の電力消費率(及び拡張コスト)及び平均回収率を達成する100%回収率と最大非スケーリング回収率との間の回収率を設定するフィルタシステムの動作パラメータを選択する。好ましくは、選択された動作パラメータはまた、下水管/リジェクト処理コスト及び/又はピーク電力消費量(例えば、フラッシュ、バッチサイクルなどのためにフィルタシステムのポンプを循環させるときのピーク電流)を組み込む。設計者はまた、例えば下水管処理コストの増減、動力費の増減、及び/又は回収対象の増減など、フィルタシステムに対する条件が変化するとき、動作設定点を変更するために選択された動作パラメータを更新あるいは修正することがある。
【0046】
[0052] 次いで選択された動作パラメータは、好ましくは、コントローラ302などのコントローラによって実行されるとき、
図4に示され、以下で更に詳細に考察されるフィルタシーケンスの1つ以上などの一連のフィルタ動作を行わせる機械可読命令として出力されることがある。かかる命令は、好ましくはコントローラ302のメモリ(図示せず)内に記憶されていることがある。
【0047】
RO/NFフィルタシステムのための延長された誘導期間
[0053] この開示は、第1の誘導期間の終了前の所定時点における(例えばスケーリング/ファウリングが起こるときの)スケール防止剤の導入によって、第2の誘導期間が設定され得ることを更に認識した。この開示は、第1及び第2の誘導期間にフィルタシステム300の動作により達成される全体的な回収が、バッチ/連続ROサイクルにおけるスケール防止剤投与のみの使用によってフィルタシステム300が可能にする回収と比べてより高い全体的な回収率を達成することを可能にすることを更に特定した。かかる第1及び第2の誘導期間は、以上で考察した例示的なフィルタシステム設計フローなどのフィルタシステム設計フローに織り込まれていることがある。
【0048】
[0054] なお以上で考察したように、フィルタステージ306へのフィード309は、別のフィルタステージ/システムのリジェクト/保持液ストリームからのものである場合がある。そのような場合、フィード309はスケール防止剤を含む可能性がある。次いでフィード309内に存在するスケール防止剤の濃度/量は、スケール防止剤の既知の効率性とともに、本明細書に開示される第2の誘導期間を生じさせるための投与量を決定する際に利用されることがある。例えば、スケール防止剤は時間に依存した効率性を有する可能性があり、第2の誘導期間、更に重要なことには第2の誘導期間が広がる全体の期間を生じさせるのにより多い及び/又はより少ないスケール防止剤投与量を必要とすることがある。
【0049】
[0055] いずれにせよ、第2の誘導期間の特定の持続時間は、所定時点に導入されるスケール防止剤、及び任意選択で存在することが知られているスケール防止剤の性能に少なくとも部分的に基づいている。したがって、第2の誘導期間は、少なくとも部分的に選択されたスケール防止剤の性能に基づいて(及び/又はフィード309中にスケール防止剤が存在することに基づいて)あらかじめ決定されることがある。好ましくは、選択されたスケール防止剤は、第2の誘導期間が第1の誘導期間の少なくとも半分の持続時間/期間、好ましくは第1の誘導期間の持続時間と等しい又はそれより長い期間に広がることを可能にする。したがって、このように広がる第2の誘導期間は、浸透圧を少なくとも1つのフィルタ膜311の定格浸透圧限界まで単調に増加させることがある。よって、フィルタシステム300は、第2の誘導期間が、例えば90~120バールの関連浸透圧を含む期間まで広がることを可能にするために少なくとも1つのフィルタ膜311を高圧フィルタ膜モジュールとして実装する場合に役立つことがある。
【0050】
[0056] ある実施形態では、フィルタシステム300は、スケール防止剤を使用する、あるいは使用しない、回収率がサイクルの一部について100%回収率と非スケーリング定常状態との間に設定された両バッチROの特徴を実装する。好ましくは、フィルタシステム300は、少なくとも1つのフィルタ動作を最大非スケーリング回収率より高く100%回収率より低く設定された回収率で実施する。この操作は、回収率が最大非スケーリング回収率より高い回収率に設定され、リジェクトとして出力されたフィード水の少なくとも一部を有し得るため、本明細書では実質的連続操作と呼ばれることがある。対照的に、連続操作は最大非スケーリング回収率以下に設定された回収率を含み、バッチ操作は100%(すなわちリジェクトを流出させない)に設定された回収率を含む。したがって、本開示と整合するフィルタシステムは、全体的な電力消費量及び下水管費用などの動作パラメータの均衡を達成するために、同様の連続システムの回収率より高く、同様のバッチROシステムの回収率より低い回収率を可能にする。
【0051】
[0057] ある実施形態では、バッチRO及び連続操作/サイクリングは、例えば、以上で考察したような全体的な回収率(例えば所定の時間の平均)、電力消費量、及びリジェクト水を廃棄処理するための下水管/廃棄処理費用などの関連費用に関する様々なエンドユーザ要求を達成する所定の一連のフィルタ動作で実行されることがある。
【0052】
[0058] 以上で考察した第1及び第2の誘導期間が、好ましくはバッチ操作が非スケーリング定常状態を越えて行われる総時間を延長するように最大化されることに留意されたい。一方、フィードの濃縮係数、フィード品質、例えば全溶解性蒸発残留物(TDS)の導電率、透過液品質(例えば透過液導電率)、及び/又はフィード側圧力などの他のバッチ終了パラメータはまた、フィルタプロセスの終了をトリガし得る、あるいは第1/第2の誘導期間の全体的な持続時間に影響を及ぼし得るパラメータである。
【0053】
[0059] また、フィルタシステム300が本明細書に開示される様々なフィルタリングプロセスと組み合わせて、ターボチャージャや圧力交換器などの1つ以上のエネルギー回収装置を使用して更に電力効率を高め、全体の電力消費量を削減し得ることに留意すべきである。
【0054】
[0060] したがって、上記に鑑み本開示の一態様は、バッチ及び/又は連続RO操作を順序付けることによってスケーリング水のRO及びNF処理回収のための最適な回収率及び電力消費量を決定することである。本開示の様々な特徴及び態様が、例えば電力消費量及び全体的な回収率のより良い制御及び調整を可能にするために、既存のフィルタシステムを増強/修正できることが好ましい。ただし、本開示は新しいフィルタシステム設計にも等しく適用可能であり、必ずしもこの点について限定されるわけではない。
【0055】
[0061]
図4は、複数の例示的なシーケンス(A~C)を示しており、ここで
図3のフィルタシステム300の動作が、例えば所望の全体的な回収率、電力消費量、及び保持液/リジェクト出力に依存してシーケンスA、B、C、又はこれらの任意の組み合わせに従って動作することを含む可能性がある。例えば動作は、シーケンスCのないシーケンスA及びB、又はシーケンスBのないシーケンスA及びCを含む可能性がある。
【0056】
[0062] 動作中、選ばれたシーケンスのそれぞれは、時間I、II及びIIIに示した段階のそれぞれ、又はそれらの段階の一部のみを実行することを含むことがある。例えば、シーケンスA及びCは、任意選択で時間IIIのフラッシュ段階を必ずしも実行せずに行われることがある。同様に、シーケンスは順不同で行われることがあり、例えば、シーケンスAは必ずしもBの前に行われないことがあり、同様に、Cは必ずしもBの後に行われないことがあり、その代わりにAの後に行われることがある。シーケンスは、所与のシーケンスが間に他のシーケンスが行われることなく所定の回数繰り返すようにN回繰り返されることがある。したがって、シーケンスの特定の組み合わせは、所望の順序で、好ましくは全体的な回収率及び電力消費量などの1つ以上の性能目標を達成できる順序で実行される1つ又は複数の選択されたシーケンスを含む可能性がある。特定のシーケンスは、好ましくは
図3のフィルタシステム300のメモリ(図示せず)に機械可読コード(例えば設定ファイル)として記憶されることがある。
【0057】
[0063] シーケンスCが、連続段階が時間(I)におけるバッチ段階の後にフィルタシステム300の不完全なフラッシュ(本明細書では部分フラッシュとも呼ばれる)として動作することを可能にするため、フィルタシステム300の動作サイクルの総数を各バッチROサイクルの後にフラッシュを行うシステムと比べて減らすことができることに留意すべきである。この部分フラッシュの一例は、以下に示され
図8を参照して考察される。かかる部分フラッシュは、有利にはポンプとその関連装置の消耗を減らし、フィルタシステムが透過液を出力していない(例えば0%の回収率)期間を短縮することによってフィルタシステムの動作寿命を延ばす可能性がある。このことは、更に有利にはエンドユーザにより安定した動作状態を提供するだけではなく、例えば少なくとも1つのポンプ304を循環させることにより生じる電流スパイク/過電流などの、様々なフィルタシステムコンポーネントにより引き起こされるエネルギー損失を減らすことによって更に優れた電力効率をフィルタシステムに提供する。かかるエネルギー損失は、かかる損失がシステムの寿命にわたって蓄積するためフィルタシステムの電力効率を大幅に低下させる可能性があり、最終的に、特に商業用/大規模ろ過システムにおける大電流モータに対して大きな電力源損失を示す可能性がある。
【0058】
[0064]
図5は、本開示の様々な態様及び特徴を例示する例示的なプロセス500を示している。プロセス500は特に、本開示と整合するフィルタシステムに、例えば
図4の例示的なシーケンスAに示されているように、連続操作/サイクルの後にバッチ操作/サイクルを実行させる行為を含む。ただし、プロセス500は必ずしもこの点について限定されるわけではなく、その他のシーケンス及びシーケンスの組み合わせがこの開示の範囲内にある。
【0059】
[0065] なお、プロセス500の行為は、必ずしも図示された順番で実行されないことがあり、また行為は、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される様々な態様及び特徴に従って修正、省略及び/又は追加されることがある。好ましくは、プロセス500は、自動操作、例えば少なくとも1つのブリードバルブ308を開放/閉鎖し、少なくとも1つのポンプ304に目標圧力を発生させるための技能者による手動制御及び/又は介入を必ずしも必要としないフィルタシステム300の操作を達成するために、フィルタシステム300の1つ以上のコンポーネントと組み合わせてコントローラ302によって少なくとも部分的に実行される。
【0060】
[0066] 一方、プロセス500は、手動操作、例えば制御信号が送信されるようにユーザがスイッチを手動で作動させることによる少なくとも1つのブリードバルブ308及び/又はフィルタバルブ装置312の作動によって、又は自動ステップと手動ステップとの組み合わせによって実行されることもある。例えば、コントローラ302は、ブリードバルブ308が所望の回収率を達成するために技能者によって手動で作動され得る一方、少なくとも1つのポンプに自動化されたシーケンスを介して目標圧力を発生させるように構成されることがある。とりわけ、コントローラ302は、技能者に少なくとも1つのブリードバルブ308を作動させることなどの1つ以上の手動ステップ/手順を実行させるタイマ/スケジュールに基づいて、例えばコンピュータシステムのユーザインタフェース、LEDライトなどを介して視覚的インジケータを提供するように構成されることがある。
【0061】
[0067] プロセス500は行為502から始まる。行為502において、コントローラ302は第1の目標回収率を決定する。第1の目標回収率の一部の非限定的な例示的な回収率は、25~50%、50~70%、50~80%並びにそれらの間の全ての値及び範囲の回収率を含む。好ましくは第1の目標回収率は、フィルタシステムの最大非スケーリング回収率より高く、例えば少なくとも80%回収率、かつ100%未満である。第1の目標回収率の追加の非限定的な例には、少なくとも1つのフィルタ膜の最大非スケーリング回収率より大きく98%以下のものが含まれる。このようなケースにおいて、フィード水の残りの部分はリジェクトとして出力されることがある。例えば、最大非スケーリング回収率より大きく98以下の第1の目標回収率に関連して、フィード水の少なくとも2%が第1の期間にリジェクトとして出力される。しかしながら、第1の目標回収率は、少なくとも1つのサイクルの定常状態連続操作が望まれるシナリオにおいてフィルタシステムの最大非スケーリング回収率以下に選択されることもある。
【0062】
[0068] 行為504において、コントローラ302は、少なくとも1つのブリード308にフィードストリーム、例えばフィードストリーム309の所定の部分を第1の目標回収率に基づいて第1の期間に保持液/リジェクトとして出力させる。例えば、ある実施形態では、80%回収率が第1の目標回収率として設定されるため、少なくとも1つのブリード308は、フィードストリームの20%を保持液として出力するように構成されることがある。
【0063】
[0069] 行為506において、コントローラ302は、駆動信号(又は第1の駆動信号)を少なくとも1つのポンプ、例えばポンプ304に提供させて、ポンプに決定された第1の目標回収率に基づいて第1の期間に出力透過液ストリームを生成させる。ある実施形態では、第1の駆動信号は、第1の期間にわたって圧力が目標回収率を達成する初期圧力から最大10psi毎時だけ増加するように、少なくとも1つのポンプに実質的に一定の圧力を発生させるように構成されている。ある実施形態では、第1の期間は1~2時間、好ましくは少なくとも6時間である。なお、実質的連続操作における圧力変化率は、例えばフィード水特性及び/又は回収設定点を含む複数の要因によって変化する。例えば、実質的連続操作における99%の回収率は、90%の回収率での操作と比べて比較的高い1分当たりの圧力増加をもたらすことになる。したがって、実質的連続操作に関連して本明細書で提供される例示的な圧力値及び変化率は、限定目的で提供されているのではない。
【0064】
[0070] 行為508において、コントローラ302は第2の目標回収率を決定する。ある実施形態では、第2の目標回収率は第1の目標回収率より高い。第2の目標回収率の一部の非限定的な例は、70~80%、80~100%、90~100%並びにそれらの間の全ての値及び範囲の回収率を含む。ある実施形態では、第2の目標回収率は、95~100%、好ましくは100%である。別の実施形態では、第2の目標回収率は第1の目標回収率より低く、少なくとも1つのフィルタ膜の少なくとも部分フラッシュを生じさせる。例えば第2の目標回収率は、少なくとも1つのフィルタ膜311の最大非スケーリング回収率以下、例えば0~80%、好ましくは0%超に設定されて、部分フラッシュの間透過液生成が継続することを可能にすることがある。
【0065】
[0071] 代替的又は付加的に、第2の目標回収率は、第2の期間の一部分において少なくとも1つのフィルタ膜の最大非スケーリング回収率以下であり、第2の期間の一部分において最大非スケーリング回収率より大きい。
【0066】
[0072] 行為510において、コントローラ302は、少なくとも1つのブリード308に、第2の目標回収率に基づいて第2の期間にフィードストリーム、例えばフィードストリーム309の所定の部分をリジェクトとして出力させる。1つの例示的なシナリオでは、第2の回収率は100%であるため、リジェクトとして出力されるフィードストリーム309の所定の部分は、フィードストリーム309の2%以下がリジェクトとして出力されるようにゼロ(0%)又は実質的にゼロ(0%)である。したがって、この実施形態ではコントローラ302は、少なくとも1つのブリード308を閉鎖させ、フィードストリーム309の部分を第2の期間にリジェクトとして実質的に出力させることはない。
【0067】
[0073] 代替的に、第2の目標回収率は100%より小さいため、フィードストリーム309の所定の部分は特定の目標回収率に比例している。例えば第2の目標回収率は、受け取ったフィード水の出力透過液ストリームに対する容量比が第2の期間に0.96~1.0となるように96~100%に設定されることがある。別の例では、第2の目標回収率は、少なくとも部分フラッシュを生じさせるために、以上で考察したように0~80%に設定されることがある。
【0068】
[0074] 行為512において、コントローラ302は、決定された第2の目標回収率に基づいて第2の期間に出力透過液ストリームを生成させるために、駆動信号(又は第2の駆動信号)を少なくとも1つのポンプに提供させる。例えば駆動信号は、少なくとも1つのフィルタ膜、例えば
図3の少なくとも1つのフィルタ膜311の浸透圧を上回るように、少なくとも1つのポンプに第2の期間圧力を単調に増加させるように構成されることがある。代替的に、駆動信号は、以上で考察したようにフラッシュ又は部分フラッシュを生じさせるように構成されることがある。また、第2の駆動信号は、以上で考察した第1の駆動信号と実質的に同様に構成されることがあり、簡単にするためにその説明及び特徴を繰り返さない。
【0069】
[0075] 好ましくは第2の駆動信号は、第2の期間にわたって圧力が少なくとも10psi毎分、好ましくは少なくとも50psi毎分だけ増加するように、少なくとも1つのポンプに実質的に一定の圧力を発生させるように構成されている。ある実施形態では、第2の期間は少なくとも2分である。
【0070】
[0076] 以下で更に詳細に考察するように、行為512は、コントローラ302が、第2の誘導期間を導入し、第2の期間の全体的な持続時間を延長し、ひいては延長によって全体的な回収率(例えば時間平均される)を上昇させるために所定時点にスケール防止剤投与を導入することを更に含む可能性がある。
【0071】
[0077]
図6は、本開示の様々な態様及び特徴を例示する例示的なプロセス600を示している。プロセス600は特に、本開示と整合するフィルタシステムに、第2の誘導期間を導入することによってバッチROサイクリング(例えば、最大非スケーリング回収率より大きくかつ100%より小さく、又は好ましくは100%回収率に等しく設定された関連回収率を有する)を延長させる行為を含む。なおプロセス600は、バッチRO処理できる任意のフィルタシステムによって実行されることがあり、例えば、
図3のフィルタシステム300及び/又は上述の高圧フィルタ膜モジュールを備えたフィルタシステムによる実行に必ずしも限定されない。ただし、プロセス600を実施するフィルタシステムは、第2の誘導期間が関連フィルタ膜の浸透圧が90~120バール以上に達する瞬間にまで及ぶことを可能にする高圧フィルタ膜モジュールを備えることが好ましい。
【0072】
[0078] プロセス600は、例えば、以上で考察した
図5のプロセス500の行為506及び/又は512において駆動信号を提供する際に実行されることがある。ただし、プロセス600は必ずしもこの点について限定されず、プロセス600は、必ずしもプロセス500の行為を実行せずにフィルタシステムによって実行されることがある。なお、プロセス600の行為は必ずしも図示された順番で実行されないことがあり、また行為は、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される様々な態様及び特徴に従って修正、省略及び/又は追加されることがある。
【0073】
[0079] 行為602において、コントローラ302は、少なくとも1つのフィルタ膜、例えば少なくとも1つのフィルタ膜311の最大非スケーリング率より高い回収率を設定する。ある実施形態では、回収率は90~99.99%、より好ましくは100%である。
【0074】
[0080] 行為604において、コントローラ302は、少なくとも1つのポンプに、第1の期間に少なくとも1つのフィルタ膜の浸透圧より高く圧力を単調に増加させる。行為606において、コントローラ302は、第1の期間におけるスケーリング状態の発生と少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリングが発生する時との間の第1の所定時点を決定する。ある実施形態では、所定時点は、第1の期間の最初の開始時、又は第1の期間の最初の開始の後で少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリング及び/又はファウリングの前の時点である。
【0075】
[0081] 608において、コントローラ302は、1回又は複数回のスケール防止剤投与を所定時点に少なくとも1つのフィルタ膜に導入させる。行為610において、コントローラ302は、少なくとも1つのポンプに、第2の所定時点まで少なくとも1つの膜の浸透圧より高く圧力を単調に増加させ続ける。第2の所定時点は、例えば一定の時間に基づいている、及び/又はフィルタシステムの安定を維持するための他の条件及び要因に基づいている場合がある。
【0076】
[0082]
図7は、それぞれ
図5及び
図6のプロセス500及び600を実行する際のフィルタシステム300の動作を示す例示的なグラフ700を示している。グラフ700は、Y軸に0%から100%の目標回収率の範囲を、X軸に時間を含む。この例示的なシーケンスにおいて、フィルタシステム300は、
図5のプロセス500の行為502~506に従って、第1の期間(T0~T0+1)に第1の目標回収率、例えば80%で動作する。図に示すように、この第1の目標回収率は、好ましくはフィルタシステム300の少なくとも1つのフィルタ膜311の所定の最大非スケーリング/ファウリング回収率より大きい率として選択されることがある。
【0077】
[0083] 第1の期間の終わり(例えばT0+1)の後に、フィルタシステム300は、第2の期間(例えば、T0+1~T0+2、又はT0+1~T0+3)に第2の目標回収率、例えば98%で動作する。第2の期間は、フィルタシステム300の回収率が非スケーリング/ファウリング回収率(例えばスケーリング/ファウリング状態の発現が起こる回収率)を上回る時とスケーリング/ファウリングが発生する時との間の時間である少なくとも第1の誘導期間を定める。つまり、第2の期間において、目標回収率はフィルタシステム300の最大非スケーリング回収率を上回り、1つ以上のフィルタ膜についてスケール防止剤が意図的に注入されずに最大非スケーリング回収状態に達する(スケール防止剤注入前最大非スケーリング回収状態と呼ばれることもある)前に関連する期間がある。図に示すように、フィルタシステム300は、第1の誘導期間におけるT0+2の直後にスケール防止剤注入前最大非スケーリング回収状態に達する。なお、以上で考察したように、スケール防止剤はフィードに存在する場合があり、スケール防止剤注入前という時間に関する用語はかかる既存のスケール防止剤の存在を排除するものではない。
【0078】
[0084] 更に図に示すように、フィルタシステム300、より具体的にコントローラ302は、スケール防止剤注入前最大非スケーリング回収状態に達する直前であるT0+2に示す所定時点、例えばスケーリング/ファウリングが、例えば
図6のプロセス600の行為606に基づいて第1の誘導期間に発生する時を決定することがある。
【0079】
[0085] 所定時点において、コントローラ302は、例えば以上で考察した
図6のプロセス600の行為608に基づいて、スケール防止剤投与を少なくとも1つのフィルタ膜311に導入/注入させる可能性がある。そして、これに対して第2の目標回収率でのフィルタシステム300の動作が、第2の誘導期間において、例えば少なくとも1つのフィルタ膜311の浸透圧が少なくとも1つのポンプ304の最高圧力を上回るまで、又は第2の誘導期間におけるフィルタシステム300の動作の所定の最長時間が、フィルタシステム300を不安定な状態で動作させることを回避するために経過するまで継続することがある。
【0080】
[0086] したがって、例えば所定時点にスケール防止剤を導入することは、フィルタシステム300の最大非スケーリング回収状態をT0+3まで延長し、このシフト/延長された回収状態はスケール防止剤注入後最大非スケーリング回収状態とも呼ばれる。この延長された期間には、少なくとも1つのフィルタ膜の浸透圧が、例えば第2の誘導期間の終わり(例えばT0+3)に達する前に、少なくとも1つのポンプ304による発生が可能な最高圧力、及び/又はフィルタ膜の最大圧力定格を上回ることがある。したがって、フィルタシステム300は、好ましくは第2の誘導期間における所定の最長時間第2の目標回収率でバッチ操作を継続するように構成されることがあり、所定の最長時間は、所定時点におけるスケール防止剤投与の導入により提供される第2の誘導期間の全体的な持続時間より短い。所定の最長時間は、一定の持続時間、例えば1分、3分、1~30分として選択されることがあるか、又は例えばスケール防止剤の投与量、及び/又は既知のスケール防止剤の性能等級、及び/又は既知のフィード条件、圧力もしくは他の機器の制約、及び/又は、例えばモノのインターネット(IoT)デバイスを介したオンラインで測定され得る透過液又はリジェクトの品質要件に基づいて動的に設定されることがある。
【0081】
[0087] したがって、このようなケースにおいて、所定時点は
図7に示すように第1の誘導期間を第2の誘導期間から区別する。なお、第1及び第2の誘導期間は、持続時間が実質的に等しい場合があるか、又は異なる場合がある。好ましくは第2の誘導期間は、第1の誘導期間の持続時間の少なくとも半分である。
【0082】
[0088]
図8は、ある実施形態に係る、
図5のプロセス500を実行する際のフィルタシステム300の動作を示す例示的なグラフ800を示している。グラフ800は、Y軸に0%から100%の目標回収率を、X軸に時間を含む。この例示的なシナリオでは、フィルタシステム300は、第1の回収目標(最大非スケーリング回収率より高く100%回収率より低い)での実質的連続操作、及び第2の回収目標(100%回収率)でのバッチ操作を含むシーケンスで動作する。シーケンスは、以下で考察される任意選択のフラッシュサイクルを更に含む。
【0083】
[0089] 図に示すように、各実質的連続操作の全体的な持続時間はD1であり、各バッチ操作の全体的な持続時間はD2である。D1は少なくとも6時間である可能性があり、好ましくは、D1は少なくとも1日である。一方D2は、少なくとも1分から数時間、好ましくは少なくとも5分である可能性がある。したがって、D1は、D2と比べて持続時間が大幅に長い場合がある。
【0084】
[0090] 各実質的連続操作の持続時間D1は、均一である場合があるか、又は各操作が他の実質的連続操作より長くなる、短くなる、又はこれと実質的に等しくなるように異なることがある。同様に、各バッチ操作の持続時間D2は、均一である場合があるか、又は各操作が他のバッチ操作より長くなる、短くなる、又はこれと実質的に等しくなるように異なることがある。以上で考察したように、スケール防止剤は、第2の誘導期間を導入/誘発するために所定時点に導入されることがある。したがって、1つ又は複数のバッチ操作が、第2の誘導期間を得るためのスケール防止剤の使用を含まない他のバッチ操作より長い持続時間D2を含むことがある。
【0085】
[0091] 更に図に示すように、フィルタシステム300は、受け取ったフィード水の全てがリジェクトとして出力されるように少なくとも1つのフィルタ膜311の任意選択の(完全な)フラッシュを生じさせるために0%の回収率で動作することがある。任意選択のフラッシュは、例えば
図5のプロセス500について以上で考察した第2の駆動信号によって生じることがある。一方、任意選択のフラッシュは第3の駆動信号によって生じることもある。好ましくは、第3の駆動信号は、例えば完全フラッシュの場合に0%、又は部分フラッシュにおいてゼロ(0%)より大きく最大非スケーリング回収率(例えば80%)以下の第3の目標回収率を生じさせるように構成されている。ある実施形態では、第3の目標回収率は、
図5のプロセス500について以上で考察した第1及び第2の目標回収率の両方と異なる場合がある。
【0086】
[0092] 例えば図に示すように、フィルタシステム300は、第3の期間(又は持続時間)D3において第3の駆動信号に基づいて、最大非スケーリング/ファウリング回収率、例えば1~80%、好ましくは80%未満の回収率で動作することがある。持続時間D3は、完全フラッシュ(例えばある期間の0%回収率)を必要とすることなく、少なくとも1つのフィルタ膜311の少なくとも部分フラッシュを生じさせるように設計されている。したがって、フィルタシステム300は、完全フラッシュを介在させることなく、つまり、例えばバッチRO操作の後に洗い流すために必ずしも0%回収率まで低下することなく、透過液ストリームを生成し続けることがある。
【0087】
[0093] したがって、この開示の態様は、NF/RO設計者が、エンドユーザ機能の制約に基づいて連続及びバッチNF/ROの選択要素を組み合わせる最適な動作アプローチを選択すること、及びプラントの長期的な運転コストを削減することを可能にする。本明細書には、バッチ操作をスケール防止剤注入によって更に高い水回収率を可能にする第2の誘導期間に延長する方法も開示されている。また、スケールを越えて、本明細書に開示される技術及び特徴は、ファウラントが同様にNF/ROシステムの圧力及び回収に悪影響を及ぼすため、ファウリング管理にも同様に用いられる可能性がある。
【0088】
追加の例示的な態様及びアーキテクチャ
[0094] 本開示の一態様は、NF/ROシステムが、一般に連続システムにより提供される(スケール防止剤を用いる又は用いない)非スケーリング定常状態操作とROシステムにより提供される100%回収バッチ操作の2つの極間の連続体上にある設定点で動作することを可能にする回収及び電力条件/パラメータ(本明細書では動作パラメータとも呼ばれる)を決定する方法を含む。したがって、以下の開示は以下の非限定的な例を示す。
【0089】
[0095] 例1は、少なくとも1つのフィードストリーム、1つのブリードストリーム及び1つの透過液ストリームを備えたNF/ROシステムを、動作サイクルの少なくとも一部について100%回収率及び最大非スケーリング又は非ファウリング回収率の極間に設定された回収率で動作させることを含む。
【0090】
[0096] 例2は、少なくとも1つのフィードストリーム、1つのブリードストリーム及び1つの透過液ストリームを備えたNF/ROシステムを、動作サイクルの少なくとも一部について100%回収率及び最大非スケーリング又は非ファウリング回収率の極間に設定された回収率で動作させることを含み、動作サイクルを繰り返す前の、動作サイクルの最終ステップであるフィードフラッシュシーケンスを含む(例えば
図4のシーケンスB参照)。
【0091】
[0097] 例3は、少なくとも1つのフィードストリーム、1つのブリードストリーム及び1つの透過液ストリームを備えたNF/ROシステムを、動作サイクルの一部について100%回収率及び最大非スケーリング又は非ファウリング回収率の極間に設定された回収率で、動作サイクルの別の一部について100%回収率で動作させる方法を含む(例えば、必ずしもフラッシュサイクルを必要としない、
図4のシーケンスA及びC参照)。
【0092】
[0098] 例4は、少なくとも1つのフィードストリーム、1つのブリードストリーム及び1つの透過液ストリームを備えたNF/ROシステムを、動作サイクルの一部について100%回収率及び最大非スケーリング又は非ファウリング回収率の極間に設定された回収率で、動作サイクルの別の一部について100%回収率で動作させ、動作サイクルを繰り返す前の、動作サイクルの最終ステップであるフィードフラッシュシーケンスを含む方法である(例えば
図4のシーケンスA及びC参照)。
【0093】
[0099] 例5は、少なくとも1つのフィードストリーム、1つのブリードストリーム及び1つの透過液ストリームを備えたNF/ROシステムを、動作サイクルの少なくとも一部について100%回収率及び最大非スケーリング又は非ファウリング回収率の極間に設定された回収率で動作させる方法であって、初めに、スケーリング/ファウリングが発生する直前である所定時点まで第1の誘導期間においてスケール防止剤なしで動作させ、次にフィードへのスケール防止剤の投与を追加して、動作サイクルを1回以上繰り返す前の、動作サイクルの最終ステップであるフィードフラッシュシーケンスで完了する直前の延長された動作(例えば第2の誘導期間)を可能にする方法である。
【0094】
[00100] 例6は、少なくとも1つのフィードストリーム、1つのブリードストリーム及び1つの透過液ストリームを備えたNF/ROシステムを、動作サイクルの一部について100%回収率及び最大非スケーリング又は非ファウリング回収率の極間に設定された回収率で、動作サイクルの別の一部について100%回収率で動作させる方法であって、初めに、スケール防止剤を使用しない誘導期間(すなわち第2の誘導期間)に達する直前まで第1の誘導期間においてスケール防止剤なしで動作させ、次にフィードへのスケール防止剤の投与を追加して、動作サイクルを繰り返す前の、動作サイクルの最終ステップであるフィードフラッシュシーケンスで完了する直前のスケール防止剤誘導期間まで延長された動作(例えば第2の誘導期間)を可能にする方法である。
【0095】
[00101] 例7は、少なくとも1つのフィードストリーム及び1つの透過液ストリームを備えたNF/ROシステムを100%回収率で動作させる方法であって、初めに、スケール防止剤を使用しない誘導期間(第2の誘導期間)に達する直前まで第1の誘導期間においてスケール防止剤なしで動作させ、次にフィードへのスケール防止剤の投与を追加して、動作サイクルを繰り返す前の、動作サイクルの最終ステップであるフィードフラッシュシーケンスで完了する直前の延長された動作(第2の誘導期間)を可能にする方法である。
【0096】
[00102] 例8は、少なくとも1つのフィードストリーム及び1つの透過液ストリームを備えたNF/ROシステムを100%回収率で動作させる方法であって、動作サイクルを繰り返す前の、動作サイクルの最終ステップであるフィードフラッシュシーケンスで完了する前に、スケール防止剤誘導期間の直前まで、スケール防止剤を使用しない誘導期間を超えて濃縮することを可能にするためにスケール防止剤を使用して動作させる方法である。
【0097】
[00103] 例9は、板枠式又はスペーサチューブ高圧膜モジュールを備え、少なくとも1つのフィードストリーム及び1つの透過液ストリームを備えたNF/ROシステムを100%回収率で動作させる方法であって、初めに、スケール防止剤を使用しない誘導期間に達する直前までスケール防止剤なしで動作させ、次にフィードへのスケール防止剤の投与を追加して、動作サイクルを繰り返す前の、動作サイクルの最終ステップであるフィードフラッシュシーケンスで完了する直前のスケール防止剤誘導期間まで延長された動作(第2の誘導期間)を可能にする方法である。
【0098】
[00104] 例10は、板枠式又はスペーサチューブ高圧膜モジュールを備え、少なくとも1つのフィードストリーム及び1つの透過液ストリームを備えたNF/ROシステムを100%回収率で動作させる方法であって、動作サイクルを繰り返す前の、動作サイクルの最終ステップであるフィードフラッシュシーケンスで完了する前に、スケール防止剤誘導期間の直前まで、スケール防止剤を使用しない誘導期間を超えて濃縮することを可能にするためにスケール防止剤を使用して動作させる方法である。
【0099】
[00105] 例11は、少なくとも1つのフィードストリームに流体結合された少なくとも1つの入口と、少なくとも1つのフィードストリームからフィード水を受け取るために少なくとも1つの入口に流体結合された少なくとも1つのフィルタ膜と、少なくとも1つのフィードストリームからのフィード水を少なくとも1つのフィルタ膜内に移動させ、出力透過液ストリームを生成する圧力を発生させるための少なくとも1つのポンプとを有するろ過システムを動作させる方法であって、発生させた圧力に、少なくとも1つのフィルタ膜の最大非スケーリング回収率より大きく100%より小さい第1の目標回収率に実質的に等しい回収率で第1の期間に出力透過液ストリームを生成させるために、第1の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させることを含む方法である。
【0100】
[00106] 例12は、例11の特徴を含み、発生させた圧力に第2の目標回収率に実質的に等しい回収率で第2の期間に出力透過液ストリームを生成させるために、第2の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させることを更に含む。
【0101】
[00107] 例13は、例12の特徴を含み、第2の目標回収率が少なくとも1つのフィルタ膜の最大非スケーリング回収率以下である。
【0102】
[00108] 例14は、例12の特徴を含み、第2の目標回収率が少なくとも1つのフィルタ膜の最大非スケーリング回収率より大きい。
【0103】
[00109] 例15は、例12の特徴を含み、第2の目標回収率が、少なくとも1つのフィルタ膜の最大非スケーリング回収率及び第1の目標回収率より大きい。
【0104】
[00110] 例16は、例12の特徴を含み、第2の駆動信号が、第2の目標回収率が少なくとも1つのフィルタ膜の最大非スケーリング回収率より小さくなるように、少なくとも1つのフィルタ膜の少なくとも部分フラッシュを生じさせるように構成されている。
【0105】
[00111] 例17は、例16の特徴を含み、第2の目標回収率が、少なくとも1つのフィードストリームの受け取ったフィード水の全てがリジェクトとして出力されるようにゼロに等しい。
【0106】
[00112] 例18は、例12の特徴を含み、第2の目標回収率が、第2の期間の一部において少なくとも1つのフィルタ膜の最大非スケーリング回収率以下であり、第2の期間の一部において最大非スケーリング回収率より大きい。
【0107】
[00113] 例19は、例12の特徴を含み、第2の目標回収率が、少なくとも1つのフィルタ膜の部分フラッシュを生じさせるために、0%より大きく最大非スケーリング回収率以下である。
【0108】
[00114] 例20は、例12の特徴を含み、第2の目標回収率が、受け取ったフィード水の出力透過液ストリームに対する容量比が第2の期間に0.96から1.0となるように96から100%である。
【0109】
[00115] 例21は、例12の特徴を含み、少なくとも1つのフィルタ膜に流体結合された少なくとも1つのブリードバルブに、少なくとも1つのフィードストリームのフィード水の第1の所定の部分をリジェクト水として第2の期間に出力させることを更に含む。
【0110】
[00116] 例22は例21の特徴を含み、第2の目標回収率が100%に等しく、少なくとも1つのブリードバルブに少なくとも1つのフィードストリームの第1の所定の部分をリジェクト水として第2の期間に出力させることが、少なくとも1つのフィードストリームの実質的に0%がリジェクト水として出力されるように少なくとも1つのブリードバルブを閉鎖することを更に含む。
【0111】
[00117] 例23は例21の特徴を含み、第2の目標回収率が100%より小さく、少なくとも1つのブリードバルブに少なくとも1つのフィードストリームの第1の所定の部分をリジェクト水として第2の期間に出力させることが、フィード水の第1の所定の部分をリジェクト水として出力するために少なくとも1つのブリードバルブを開放することを更に含む。
【0112】
[00118] 例24は例12の特徴を含み、第2の目標回収率が、少なくとも1つのフィードストリームの0%がリジェクト水として第2の期間の少なくとも一部において出力されるように100%である。
【0113】
[00119] 例25は例12の特徴を含み、第2の期間が、フィルタ動作の所定のシーケンスに基づいて第1の期間の前又は後に発生する。
【0114】
[00120] 例26は例12の特徴を含み、第2の目標回収率が100%であり、第2の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させることが、1回又は複数回のスケール防止剤投与を第2の期間の所定時点に少なくとも1つのフィルタ膜に導入させることを更に含み、所定時点が、第2の期間を所定時点の前に発生する第1の誘導期間と、所定時点の後に発生するスケール防止剤が導入される第2の誘導期間とに分け、第1の誘導期間が、少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリング及び/又はファウリングが生じる前に作用する期間であり、第2の誘導期間が、スケール防止剤が導入された時から少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリング及び/又はファウリングが生じる時まで測定された期間である。
【0115】
[00121] 例27は、例11から例26のいずれか1つの特徴を含み、少なくとも1つのフィルタ膜を少なくとも部分的に洗い流すために、第3の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させることを更に含み、少なくとも1つのフィルタ膜を少なくとも部分的に洗い流すために第3の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させることが、第2の期間の後の第3の期間に第3の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させることを更に含む。
【0116】
[00122] 例28は例27の特徴を含み、第3の駆動信号が、少なくとも1つのポンプに、第3の期間に第3の目標回収率に実質的に等しい回収率で出力透過液ストリームを生成する圧力を発生させるように構成されている。
【0117】
[00123] 例29は例28の特徴を含み、第3の目標回収率が、少なくとも1つのフィルタ膜の少なくとも部分フラッシュを生じさせるために第3の期間に0%~80%である。
【0118】
[00124] 例30は例28の特徴を含み、第3の目標回収率が、少なくとも1つのフィルタ膜の完全フラッシュを生じさせるために実質的に0%であり、第3の目標回収率が第1の目標回収率及び第2の目標回収率と異なる。
【0119】
[00125] 例31は、例11から例30のいずれか1つの特徴を含み、第2の期間が第1の期間の後にあり、第2の駆動信号を第2の期間に提供させることが、第1及び第2の期間の間に少なくとも1つのフィルタ膜の完全フラッシュを介在させることなく行われる。
【0120】
[00126] 例32は例12の特徴を含み、第2の駆動信号が、少なくとも1つのポンプが発生させた圧力を、第2の期間にわたって圧力が少なくとも10psi毎分だけ増加するように、少なくとも1つのフィルタ膜の浸透圧を上回る圧力に増加させるように構成されており、第2の期間が少なくとも2分である。
【0121】
[00127] 例33は例12の特徴を含み、第2の駆動信号が、第2の期間にわたって実質的に一定の圧力が最大10ポンド毎平方インチ(psi)毎時だけ増加するように、少なくとも1つのポンプに実質的に一定の圧力を発生させるように構成されており、第2の期間が少なくとも6時間である。
【0122】
[00128] 例34は、例11から例33のいずれか1つの特徴を含み、第1の駆動信号が、少なくとも1つのポンプが発生させた圧力を、第1の期間にわたって圧力が少なくとも10psi毎分だけ増加するように、少なくとも1つのフィルタ膜の浸透圧を上回る圧力に増加させるように構成されており、第1の期間が少なくとも2分である。
【0123】
[00129] 例35は、例11から例33のいずれか1つの特徴を含み、第1の駆動信号が、第1の期間にわたって実質的に一定の圧力が最大10ポンド毎平方インチ(psi)毎時だけ増加するように、少なくとも1つのポンプに実質的に一定の圧力を発生させるように構成されており、第1の期間が少なくとも6時間である。
【0124】
[00130] 例36は、例11から例35のいずれか1つの特徴を含み、少なくとも1つのフィルタ膜に流体結合された少なくとも1つのブリードバルブに、第1の期間に少なくとも1つのフィードストリームのフィード水の第2の所定の部分をリジェクト水として出力させることを更に含む。
【0125】
[00131] 例37は例36の特徴を含み、第1の目標回収率が98%以下であり、少なくとも1つのブリードバルブに、第1の期間に少なくとも1つのフィードストリームのフィード水の第2の所定の部分をリジェクト水として出力させることが、少なくとも1つのフィードストリームのフィード水の少なくとも2%を第1の期間にリジェクト水として出力させるために少なくとも1つのブリードバルブを開放することを更に含む。
【0126】
[00132] 例38は、例11から例37のいずれか1つの特徴を含み、第1の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させることが、1回又は複数回のスケール防止剤投与を、第1の期間の所定時点であって、第1の期間の最初の開始時における所定時点、又は第1の期間の最初の開始の後で少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリング及び/又はファウリングの前の時点に少なくとも1つのフィルタ膜に導入させることを更に含む。
【0127】
[00133] 例39は例38の特徴を含み、所定時点が、第1の期間を所定時点の前に発生する第1の誘導期間と、所定時点の後に発生するスケール防止剤が導入される第2の誘導期間とに分け、第1の誘導期間が、少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリング及び/又はファウリングが生じる前に作用する期間であり、第2の誘導期間が、スケール防止剤が導入された時から少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリング及び/又はファウリングが生じる時まで測定された期間である。
【0128】
[00134] 例40は例39の特徴を含み、第1の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させることが、少なくとも1つのポンプに、第2の誘導期間の少なくとも一部において第1の目標回収率を維持するために、スケール防止剤が導入される所定時点から少なくとも1つのフィルタ膜の浸透圧を超えて圧力を単調に増加させることを更に含む。
【0129】
[00135] 例41は、少なくとも1つのフィードストリームに流体結合された少なくとも1つの入口と、少なくとも1つのフィードストリームからフィード水を受け取るために少なくとも1つの入口に流体結合された少なくとも1つのフィルタ膜と、少なくとも1つのフィードストリームからのフィード水を少なくとも1つのフィルタ膜内に移動させ、出力透過液ストリームを生成する圧力を発生させるための少なくとも1つのポンプと、発生させた圧力に、少なくとも1つのフィルタ膜の最大非スケーリング回収率より大きく100%より小さい第1の目標回収率に実質的に等しい回収率で第1の期間に出力透過液ストリームを生成させるために、第1の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させるように構成されているコントローラと、を備えたフィルタシステムである。
【0130】
[00136] 例42は例41の特徴を含み、コントローラが、発生させた圧力に、第2の期間に第2の目標回収率に実質的に等しい回収率で出力透過液ストリームを生成させるために、第2の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させるように更に構成されている。
【0131】
[00137] 例43は例42の特徴を含み、第2の目標回収率が少なくとも1つのフィルタの最大非スケーリング回収率以下である。
【0132】
[00138] 例44は例42の特徴を含み、第2の目標回収率が少なくとも1つのフィルタ膜の最大非スケーリング回収率より大きい。
【0133】
[00139] 例45は例42の特徴を含み、第2の目標回収率が、少なくとも1つのフィルタ膜の最大非スケーリング回収率及び第1の目標回収率より大きい。
【0134】
[00140] 例46は例42の特徴を含み、第2の駆動信号が少なくとも1つのフィルタ膜の少なくとも部分フラッシュを生じさせるように構成されている。
【0135】
[00141] 例47は例46の特徴を含み、第2の目標回収率が、少なくとも1つのフィードストリームのフィード水の全てがリジェクトとして出力されるようにゼロに等しい。
【0136】
[00142] 例48は例46の特徴を含み、第2の目標回収率が、第2の期間の一部において少なくとも1つのフィルタ膜の最大非スケーリング回収率以下であり、第2の期間の一部において最大非スケーリング回収率より大きい。
【0137】
[00143] 例49は例46の特徴を含み、第2の目標回収率が、少なくとも1つのフィルタ膜の部分フラッシュを生じさせるために、0%より大きく最大非スケーリング回収率より小さい。
【0138】
[00144] 例50は例42の特徴を含み、第2の目標回収率が、受け取ったフィード水の出力透過液ストリームに対する容量比が第2の期間に0.96から1.0となるように96から100%である。
【0139】
[00145] 例51は例42の特徴を含み、少なくとも1つのフィードストリームのフィード水の第1の所定の部分をリジェクト水として第2の期間に出力するために、少なくとも1つのフィルタ膜に流体結合された少なくとも1つのブリードバルブを更に備える。
【0140】
[00146] 例52は例51の特徴を含み、第2の目標回収率が100%に等しく、コントローラが、少なくとも1つのブリードバルブを、リジェクト水として出力されたフィード水の第1の所定の部分が第2の期間にゼロパーセントとなるように閉鎖させるように構成されている。
【0141】
[00147] 例53は例51の特徴を含み、第2の目標回収率が、少なくとも1つのフィードストリームの0%がリジェクト水として第2の期間に出力されるように100%である。
【0142】
[00148] 例54は例51の特徴を含み、第2の期間が、メモリに記憶されているフィルタ動作の所定のシーケンスに基づいて第1の期間の前又は後に発生する。
【0143】
[00149] 例55は、例42から例54のいずれか1つの特徴を含み、第2の駆動信号が、1回又は複数回のスケール防止剤投与を第2の期間の所定時点に少なくとも1つのフィルタ膜に導入させるように更に構成されている。
【0144】
[00150] 例56は例55の特徴を含み、所定時点が、第2の期間を所定時点の前に発生する第1の誘導期間と、所定時点の後に発生するスケール防止剤が導入される第2の誘導期間とに分け、第1の誘導期間が、少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリング及び/又はファウリングが生じる前に作用する期間であり、第2の誘導期間が、スケール防止剤が導入された時から少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリング及び/又はファウリングが生じる時まで測定された期間である。
【0145】
[00151] 例57は、例42から例56のいずれか1つの特徴を含み、コントローラが、少なくとも部分フラッシュを第2の期間の後の第3の期間に生じさせるために、第3の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させるように更に構成されている。
【0146】
[00152] 例58は例57の特徴を含み、第3の駆動信号が、少なくとも1つのポンプに、第3の期間に第1及び第2の目標回収率と異なる第3の目標回収率に実質的に等しい回収率で出力透過液ストリームを生成する圧力を発生させるように構成されている。
【0147】
[00153] 例59は例57又は58の特徴を含み、第3の目標回収率が、少なくとも1つのフィルタ膜の少なくとも部分フラッシュを生じさせるために第3の期間に0%~80%である。
【0148】
[00154] 例60は例57又は58の特徴を含み、第3の回収率が、少なくとも1つのフィルタ膜の完全フラッシュを生じさせるために実質的に0%である。
【0149】
[00155] 例61は、例42から例60のいずれか1つの特徴を含み、第2の期間が第1の期間の後にあり、第2の期間に第2の駆動信号を提供させることが、第1及び第2の期間の間に少なくとも1つのフィルタ膜の完全フラッシュを介在させることなく行われる。
【0150】
[00156] 例62は例42の特徴を含み、第2の駆動信号が、少なくとも1つのポンプが発生させた圧力を、第2の期間にわたって圧力が少なくとも10psi毎分だけ増加するように、少なくとも1つのフィルタ膜の浸透圧を上回る圧力に増加させるように構成されており、第2の期間が少なくとも2分である。
【0151】
[00157] 例63は例42の特徴を含み、第2の駆動信号が、第2の期間にわたって実質的に一定の圧力が最大10ポンド毎平方インチ(psi)毎時だけ増加するように、少なくとも1つのポンプに実質的に一定の圧力を発生させるように構成されており、第2の期間が少なくとも6時間である。
【0152】
[00158] 例64は、例41から例63のいずれか1つの特徴を含み、第1の駆動信号が、少なくとも1つのポンプが発生させた圧力を、第1の期間にわたって圧力が少なくとも10psi毎分だけ増加するように、少なくとも1つのフィルタ膜の浸透圧を上回る圧力に増加させるように構成されており、第1の期間が少なくとも2分である。
【0153】
[00159] 例65は、例41から例63のいずれか1つの特徴を含み、第1の駆動信号が、第1の期間にわたって実質的に一定の圧力が最大10ポンド毎平方インチ(psi)毎時だけ増加するように、少なくとも1つのポンプに実質的に一定の圧力を発生させるように構成されており、第1の期間が少なくとも6時間である。
【0154】
[00160] 例66は、例41から例65のいずれか1つの特徴を含み、少なくとも1つのフィードストリームのフィード水の第2の所定の部分をリジェクト水として第1の期間に出力するために、少なくとも1つのフィルタ膜に流体結合された少なくとも1つのブリードバルブを更に備える。
【0155】
[00161] 例67は例66の特徴を含み、第1の目標回収率が98%以下であり、フィード水の第1の所定の部分が少なくとも2%であり、コントローラが、少なくとも1つのブリードバルブに、リジェクト水として第1の期間に出力される少なくとも1つのフィードストリームのフィード水の第1の所定の部分を出力させるように構成されている。
【0156】
[00162] 例68は、例41から例67のいずれか1つの特徴を含み、コントローラが、1回又は複数回のスケール防止剤投与を第1の期間の所定時点に少なくとも1つのフィルタ膜に導入させるように更に構成されている。
【0157】
[00163] 例69は例68の特徴を含み、所定時点が、第1の期間を所定時点の前に発生する第1の誘導期間と、所定時点の後に発生するスケール防止剤が導入される第2の誘導期間とに分け、第1の誘導期間が、少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリング及び/又はファウリングが生じる前に作用する期間であり、第2の誘導期間が、スケール防止剤が導入された時から少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリング及び/又はファウリングが生じる時まで測定された期間である。
【0158】
[00164] 例70は例69の特徴を含み、第1の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させることが、少なくとも1つのポンプに、第2の誘導期間の少なくとも一部において第1の目標回収率を維持するために、スケール防止剤が導入される所定時点から少なくとも1つのフィルタ膜の浸透圧を超えて圧力を単調に増加させることを更に含む。
【0159】
[00165] 例71は、例41から例70のいずれか1つの特徴を含み、少なくとも1つのフィルタ膜が、少なくとも90バールの圧力に耐えられる圧力ケーシングを備えた少なくとも1つの高圧フィルタ膜を含む。
【0160】
[00166] 例72は、例41から例71のいずれか1つの特徴を含み、少なくとも1つのフィルタ膜が、それぞれが第1及び第2のフィルタステージの少なくとも一部をそれぞれ提供する、少なくとも第1及び第2のフィルタ膜を含む。
【0161】
[00167] 例73は例72の特徴を含み、第1及び/又は第2のフィルタ膜を少なくとも1つのフィードストリームに切り替え可能に流体結合するためのフィルタバルブ装置を更に備える。
【0162】
[00168] 例74は例73の特徴を含み、コントローラが、フィルタバルブ装置に、第1及び/又は第2の期間に第1及び/又は第2のフィルタ膜を少なくとも1つのフィードストリームに切り替え可能に流体結合させるように更に構成されている。
【0163】
[00169] 例75は、例41から例74のいずれか1つの特徴を含み、少なくとも1つの入口が、少なくとも1つのフィードストリームがフィルタシステムからの濃縮液を含むようにフィルタシステムのブリードに流体結合する。
【0164】
[00170] 例76は、例41から例74のいずれか1つの特徴を含み、少なくとも1つの入口が、少なくとも1つのフィードストリームがフィルタシステムにより出力された透過液を含むようにフィルタシステムの出口に流体結合する。
【0165】
[00171] 例77は、少なくとも1つのフィードストリームに流体結合された入口と、少なくとも1つのフィードストリームのフィード水を受け取るために入口に流体結合された少なくとも1つのフィルタ膜と、少なくとも1つのフィードストリームのフィード水を少なくとも1つのフィルタ膜内に移動させ、出力透過液ストリームを生成する圧力を発生させるための少なくとも1つのポンプとを有するろ過システムを動作させる方法であって、少なくとも1つのポンプの発生させた圧力を少なくとも1つのフィルタ膜の浸透圧を上回る圧力に増加させ、最大非スケーリング回収率を上回り少なくとも1つのフィルタ膜について最大非スケーリング回収状態に達する前に関連する期間を有する目標回収率を第1の期間に維持するための第1の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させること、第1の期間に少なくとも1つのフィルタ膜について最大非スケーリング回収状態に達したことを検出すること、及び最大非スケーリング回収状態に達したことを検出したことに応答して、最大非スケーリ
ング回収状態に達した時と少なくとも1つのフィルタ膜のスケーリング及び/又はファウリングが生じる時との間の時間を増やすために、1回又は複数回のスケール防止剤投与を少なくとも1つのフィルタ膜に導入させることを含む方法である。
【0166】
[00172] 例78は、少なくとも1つのフィードストリームに流体結合された入口と、少なくとも1つのフィードストリームのフィード水を受け取るために入口に流体結合された少なくとも1つのフィルタ膜と、少なくとも1つのフィードのフィード水を少なくとも1つのフィルタ膜内に移動させ、出力透過液ストリームを生成する圧力を発生させるための少なくとも1つのポンプとを有するバッチ逆浸透(RO)ろ過システムを動作させる方法であって、第1の期間に少なくとも1つのフィルタ膜の最大非スケーリング回収率より大きい実質的に目標回収率で出力透過液ストリームを出力させるために、少なくとも1つのポンプの発生させた圧力を少なくとも1つのフィルタ膜の浸透圧を上回る圧力に増加させて、出力透過液ストリームの出力を実質的に目標回収率に維持するための第1の駆動信号を少なくとも1つのポンプに提供させること、及び第1の期間の所定時点に1回又は複数回のスケール防止剤投与を少なくとも1つのフィルタ膜に導入させることを含む方法である。
【0167】
[00173] 例79は例78の特徴を含み、所定時点が、第1の期間を所定時点の前に発生する第1の誘導期間と、所定時点の後に発生する1回又は複数回のスケール防止剤投与が導入される第2の誘導期間とに分け、第1の誘導期間が、スケーリング及び/又はファウリングが生じる前に作用する期間であり、第2の誘導期間が、1回又は複数回のスケール防止剤投与が導入された時からスケーリング及び/又はファウリングが生じる時まで測定された期間である。
【0168】
[00174] 例80は、例77に係る方法を実行させる複数の命令を記憶させた非一時的コンピュータ可読媒体である。
例81は、例78又は79に係る方法を実行させる複数の命令を記憶させた非一時的コンピュータ可読媒体である。
【0169】
[00175] 例82は、例1から例40のいずれか1つに係る方法を実行させる複数の命令を記憶させた非一時的コンピュータ可読媒体である。
【0170】
[00176] 本開示の原理が本明細書に説明されてきたが、当業者には分かるように、この説明はあくまでも例示としてなされたものであり、本開示の範囲を限定するものではない。本明細書に示され説明された例示的実施形態に加えて他の実施形態も本開示の範囲において考えられる。当業者には認識されるように、表面洗浄装置が本明細書に含まれる特徴の任意の1つ以上を具現化することがあり、特徴が任意の特定の組み合わせ又はサブの組み合わせで使用されることがある。当業者による変更及び置換は本開示の範囲内のものとみなされ、特許請求の範囲以外のものによって限定されるものではない。
【国際調査報告】