(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(54)【発明の名称】パックされた改質タンパク質ユニット及びその使用
(51)【国際特許分類】
A23J 3/00 20060101AFI20230424BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20230424BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
A23J3/00 502
A23L5/00 G
A23L5/00 B
B65D85/50 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556688
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(85)【翻訳文提出日】2022-09-20
(86)【国際出願番号】 IL2021050333
(87)【国際公開番号】W WO2021191906
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522181522
【氏名又は名称】リデファイン ミート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンデリク、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ディコフスキー、ダニエル
【テーマコード(参考)】
3E035
4B035
【Fターム(参考)】
3E035AA20
3E035BA10
4B035LC16
4B035LE11
4B035LG15
4B035LP31
4B035LP45
(57)【要約】
本開示は、肉類似製品の製造に使用するための単一又は一組のパックされたタンパク質ユニットを提供し、パックされたタンパク質ユニットは、保持要素によって、又は保持要素内に、組織化された空間構成で保持された少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップを含み、少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップは、長手方向軸と、長手方向軸に垂直な断面とによって画定され、当該断面の少なくとも1つの寸法は10mm以下であり、当該長手方向軸は少なくとも100mmの寸法を有する。本明細書には、本明細書に開示される1つ又は複数のパックされたタンパク質ユニットを使用して肉類似製品を製造する方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パックされたタンパク質であって、
保持要素によって、又は保持要素内に、組織化された空間構成で保持された少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップを含む、前記パックされたタンパク質、ただし、
前記少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップは、長手方向軸と、前記長手方向軸に垂直な断面とによって画定され、
前記断面の少なくとも1つの寸法が10mm以下であり、前記長手方向軸が少なくとも100mmの寸法を有する。
【請求項2】
肉類似製品の製造に使用するための、請求項1に記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項3】
前記改質されたタンパク質が、本質的に軸方向に整列したタンパク質繊維、又は本質的にストリップの長手方向軸の方向である名目上の方向を有するシートを含む、請求項1又は2に記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項4】
少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップが、細長いタンパク質ストランドの形態である、請求項1~3のいずれかに記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項5】
少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップがシートの形態である、請求項1~4のいずれかに記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項6】
複数の細長い改質されたタンパク質ストリップを含む、請求項1~5のいずれかに記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項7】
複数の細長い改質されたタンパク質ストリップが、長手方向軸及び/又は断面の本質的に同じ形状及び/又は寸法を有する、請求項6に記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項8】
複数の細長い改質されたタンパク質ストリップの各々が、個別の分離可能なストリップである、請求項6又は7に記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項9】
複数の細長い改質されたタンパク質ストリップが、互いに平行に積み重ねられている、請求項5~7のいずれかに記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項10】
複数の改質されたタンパク質ストリップの各々が、平行に整列し、マット状形態に相互連結されている、請求項5~9のいずれかに記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項11】
少なくとも1つの細長いタンパク質ストリップが、タンパク質押出成形物を含む、請求項1~10のいずれかに記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項12】
少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップが、ゲル形態のタンパク質材料を含む、請求項1~10のいずれかに記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項13】
改質されたタンパク質が、改質された植物性タンパク質(TVP)及び/又は高水分押出成形タンパク質(HME)を含む、請求項1~12のいずれかに記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項14】
少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップの少なくとも一部が機能性材料で覆われている、請求項1~13のいずれかに記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項15】
機能性材料が、前記少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップの外面の1つ又は複数の部分と接触する粉末、フィルム又は液体の形態である、請求項14に記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項16】
機能性材料が、隣接するストリップ間の付着を少なくとも防止又は低減するように選択される、請求項14又は15に記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項17】
少なくとも1つの改質されたタンパク質ストリップが、15%以下、好ましくは10%v/vの水を含有する、請求項1~16のいずれかに記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項18】
少なくとも1つの改質されたタンパク質ストリップが滅菌及び/又は保存されている、請求項1~17のいずれかに記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項19】
保持要素がカートリッジの形態である、請求項1~18のいずれかに記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項20】
カートリッジが、その中で互いに平行に積み重ねられた複数の改質されたタンパク質ストリップを含む、請求項19に記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項21】
保持要素が、複数の細長い改質されたタンパク質ストリップの各々を個々のストリップとして放出するように構成されたカートリッジの形態である、請求項1~20のいずれかに記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項22】
保持要素内で畳み込まれた単一の細長い改質されたタンパク質ストリップを、畳み込み構成で含む、請求項1~20のいずれかに記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項23】
保持要素が、前記少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップがその上に巻き付けられるか又は螺旋状に巻かれた中央本体の形態である、請求項1~20のいずれかに記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項24】
保持要素が、細長いマットの形態の相互接続された複数の細長い改質されたタンパク質ストリップをその上に巻き付けられて有する中央本体の形態であり、前記ストリップの長手方向軸が前記中央本体の長手方向軸に平行である、請求項1~20のいずれかに記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項25】
中央本体が、スピンドル、ボビン又はスプールの形状を有する、請求項23又は24に記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項26】
同じ配向で互いに積み重ねられた複数の個別の改質されたタンパク質ストリップの組織化された集合体を含み、前記複数のストリップが、それらの長手方向軸に沿って本質的に同一の寸法を有する、請求項1~21のいずれかに記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項27】
少なくとも1つの改質されたタンパク質ストリップの前記断面が、0.1mm~10.0mm、好ましくは0.5mm~3.0mm、好ましくは1mm~2mmの範囲内の少なくとも1つの寸法を有する、請求項1~26のいずれかに記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項28】
少なくとも1つの改質されたタンパク質ストリップの前記断面が、100mm
2未満、好ましくは50mm
2、より好ましくは30mm
2である、請求項1~27のいずれかに記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項29】
少なくとも1つの改質されたタンパク質ストリップが、不活性条件下で前記保持要素内に維持される、請求項1~28のいずれかに記載のパックされたタンパク質ユニット。
【請求項30】
複数のパックされたタンパク質ユニットを含むセットであって、各ユニットは、保持要素によって、又は保持要素内に、組織化された空間構成で保持された少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップを含み、前記少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップは、長手方向軸と、前記長手方向軸に垂直な断面によって画定され、
前記断面の少なくとも1つの寸法が10mm以下であり、前記長手方向軸が少なくとも10mmの寸法を有し、
セットのユニットの少なくとも一部内の前記少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップは、同じセットの他のユニット内の少なくとも1つの他の改質されたタンパク質ストリップとは異なる、セット。
【請求項31】
セット内の前記ユニットの少なくとも一部が、肉類似製品を製造するために組み合わせて使用される、請求項30に記載のセット。
【請求項32】
セットのユニットの少なくとも一部内の前記少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップが、前記セット内の他のユニット内の前記少なくとも1つの改質されたタンパク質ストリップとは異なる、請求項30又は31に記載のセット。
【請求項33】
各パックされたタンパク質ユニットが、請求項1~29のいずれかに記載の通りである、請求項30~32のいずれかに記載のセット。
【請求項34】
セット内のストリップ間の前記差が、少なくとも前記少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップのそれぞれの寸法及び/又は組織構造及び/又は多孔性及び/又は組成である、請求項30~33のいずれかに記載のセット。
【請求項35】
肉類似製品を製造する方法であって、
保持要素によって、又は保持要素内に、組織化された空間構成で保持された少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップを含む少なくとも1つのパックされたタンパク質ユニットを提供することであって、前記少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップは、長手方向軸と、前記長手方向軸に垂直な断面とによって画定される、ことと、
前記少なくとも1つのパックされたタンパク質ユニットから1つ又は複数の改質されたタンパク質ストリップを食品製造ベッド上に放出して、改質されたタンパク質ストリップの1つ又は複数の単層を形成することと、を含み、
前記断面の少なくとも1つの寸法が10mm以下であり、前記長手方向軸が少なくとも100mmの寸法を有し、
前記放出が、単層において、前記複数の改質されたタンパク質ストリップの少なくとも60%の所定の方向に沿った整列を引き起こす様式であり、
細長い改質されたタンパク質ストリップの前記放出が、食品製造ベッド上に、多層の肉類似製品を形成するような様式であり、各単層が本質的に互いに重なって形成される、
方法。
【請求項36】
少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップが、前記パックされたタンパク質ユニットから放出される前、放出されている間、又は放出された後に水和される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
細長い改質されたタンパク質ストリップの少なくとも一部を、パックされたタンパク質ユニットからの放出中にスライスして、ストリップフラグメントを得ることと、前記ストリップフラグメントを前記食品製造ベッド上に本質的に平行に整列させることとを含む、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
スライスすることが、同じ又は類似の寸法のストリップフラグメントを提供する様式である、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
放出された改質されたタンパク質ストリップ又はストリップフラグメントを、前記食品製造ベッド上に配置される前又は配置された直後に処理することを含み、前記処理が、改質されたタンパク質ストリップ又はストリップフラグメントの少なくとも一部に機能性材料を適用することを含む、請求項35~38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
少なくとも1つの改質されたタンパク質ストリップ又はストリップフラグメントを、前記食品製造ベッド上に配置される前又は配置された直後に処理することを含み、前記処理が、前記改質されたタンパク質ストリップ又はストリップフラグメントの少なくとも一部から材料を除去することを含む、請求項35~39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
中央本体上にそれぞれ巻き付けられた、又は螺旋状に巻かれた少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップを展開又は巻き戻すことによって、前記パックされたタンパク質ユニットから改質されたタンパク質ストリップを放出することと、放出された細長い改質されたタンパク質ストリップから少なくとも1つの単層を製造することと、単層が形成されると、前記放出されたストリップを切断することとを含む、請求項35~40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
複数の単層を製造することを含み、単層の一方が他方の上に配置される、請求項35~41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
多層食品が、異なるタンパク質組成及び/又は異なる寸法の複数の改質されたタンパク質ストリップを含む複数の単層を含む、請求項35~42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
放出されたタンパク質ストリップの少なくとも一部に脂肪成分又は添加剤を加えることを含む、請求項35~43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
放出されたタンパク質ストリップの少なくとも一部に添加剤を加えることを含む、請求項35~44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
2つ以上のパックされたタンパク質ユニットの使用を含み、前記2つ以上のユニットは、ストリップの寸法及び/又はストリップの組織構造及び/又はストリップの多孔性及び/又はストリップの組成の少なくとも1つが異なる、請求項35~45のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食品技術に関し、具体的には、食品産業で使用するためのパックされた(packed)タンパク質材料に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示の主題の背景として関連すると考えられる参考文献を以下に列挙する。
-国際特許出願公開第20152689号
-米国特許出願公開第2006210675号
【0003】
本明細書における上記の参考文献の承認は、これらが本開示の主題の特許性に何らかの意味で関連することを意味すると推測されるべきではない。
【0004】
背景
ホールカット肉類似体の製造には、改質された(texturized)タンパク質の組織化された集合体が必要である。
【0005】
国際公開第20152689号は、肉類似体内に別々に分布したタンパク質系成分及び脂肪系成分を含む肉類似体の製造を記載している。肉類似体中のタンパク質材料の整列は、押出成形技術を使用して得られる。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に開示される技術は、粘性タンパク質材料の印刷、分配又は堆積の代替又は補完として機能する機構において、肉類似製品の製造に使用するための予めパックされたタンパク質材料を提供することを目的とする。
【0007】
満足のいくホールカットの代替肉全体を得るためには、その中のタンパク質物質が特定の組織構造を有することが必要であり、これは、とりわけ、挽いた代替肉とは対照的に、規定の材料配向を有するタンパク質物質を使用することによって達成することができる。
【0008】
本明細書に開示される技術は、本質的に固体の既に改質されたタンパク質材料の細長いストリップ(例えば、ストランド)の「オフライン」調製、及び所望のパターンに従ってタンパク質材料の層を形成する方法で印刷ベッド上に配置することを可能にする方法で細長いストリップをパックする原理に基づいている。
【0009】
したがって、その第1の態様によれば、本開示は、保持要素によって、又は保持要素内に、組織化された空間構成で保持された少なくとも1つの改質されたタンパク質ストリップを含むパックされたタンパク質ユニットを提供し、少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップは、長手方向軸と、長手方向軸に垂直な断面とによって画定され、
当該断面の少なくとも1つの寸法は10mm以下であり、当該長手方向軸は少なくとも100mmの寸法を有する。
【0010】
パックされたタンパク質ユニットは、好ましくは肉類似製品の製造に使用するためのものである。
【0011】
更なる態様によれば、本開示は、一組のパックされたタンパク質ユニットを提供し、各ユニットは、保持要素によって、又は保持要素内に、組織化された空間構成で保持された少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップを含み、少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップは、長手方向軸と、長手方向軸に垂直な断面によって画定され、当該断面の少なくとも1つの寸法は10mm以下であり、当該長手方向軸は少なくとも100mmの寸法を有し、セットのユニットの少なくとも一部内の少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップは、同じセットの他のユニット内の少なくとも1つの他の改質されたタンパク質ストリップとは異なる。
【0012】
本開示はまた、更なる態様によれば、食品、好ましくは肉類似製品を製造する方法を提供し、本方法は、保持要素によって、又は保持要素内に、組織化された空間構成で保持された1つ又は複数の細長い改質されたタンパク質ストリップを含む少なくとも1つのパックされたタンパク質ユニットを提供すること、及び当該パックされたタンパク質ユニットから当該細長い改質されたタンパク質ストリップの1つ又は複数を食品製造ベッド上に放出して、改質されたタンパク質ストランドの1つ又は複数の単層を形成することを含み、少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップが、長手方向軸と、長手方向軸に垂直な断面によって画定され、当該断面の少なくとも1つの寸法が10mm以下であり、当該長手方向軸が少なくとも100mmの寸法を有し、当該放出が、単層において、当該複数の細長い改質されたタンパク質ストリップの少なくとも60%の所定の方向に沿った整列を引き起こす様式であり、1つ又は複数の細長い改質されたタンパク質ストリップの当該放出が、食品製造ベッド上に、多層の食品、好ましくは肉類似製品を形成するような様式であり、各単層が本質的に互いに重なって形成される。
【0013】
本明細書に開示される主題をよりよく理解し、それを実際にどのように実行することができるかを例示するために、添付の図面を参照して、非限定的な例としてのみ実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の一例による、パックされたタンパク質材料の断面等角図の模式図である。
【
図2A】本開示のいくつかの他の例による、パックされたタンパク質材料の断面図の模式図である。
【
図2B】本開示のいくつかの他の例による、パックされたタンパク質材料の断面図の模式図である。
【
図3A】改質されたタンパク質がシート状形態である、パックされたタンパク質材料の模式図である。
【
図3B】各シート状構造が、短いストランドの形態の改質されたタンパク質材料のユニットから構成される、パックされたタンパク質材料の模式図である。
【
図3C】各シート状構造が、細長いストランドの形態の改質されたタンパク質材料のユニットから構成される、パックされたタンパク質材料の模式図である。
【
図3D】シート状構造を互いに積み重ねて改質されたタンパク質ユニットを形成することができる、パックされたタンパク質材料の模式図である。
【
図4】本開示の別の例による、畳み込み構成で配置された細長いストランドの形態であるパックされたタンパク質材料の模式図である。
【
図5】螺旋状に巻かれた構成のパックされたタンパク質材料、及びデジタルプリンタのいくつかの要素の模式図であり、パックされたタンパク質は本開示の更に別の例によるものである。
【
図6A】スプールの形状を有し、ストランドが狭い、中央本体の周りに螺旋状に巻かれた細長いストランドの形態であるパックされたタンパク質材料を示す図である。
【
図6B】スプールの形状を有し、ストランドが広い、中央本体の周りに螺旋状に巻かれた細長いストランドの形態であるパックされたタンパク質材料を示す図である。
【
図7A】本開示の一例による例示的な改質されたタンパク質ストランドの画像を示す。個々の細長いストランド及びその寸法を示す図である。
【
図7B】本開示の一例による例示的な改質されたタンパク質ストランドの画像を示す。個々の細長いストランド及びその寸法を示す図である。
【
図7C】本開示の一例による例示的な改質されたタンパク質ストランドの画像を示す。ストランドの断面及びその内部形態の画像を示す図である。
【
図7D】本開示の一例による例示的な改質されたタンパク質ストランドの画像を示す。巻き付けられた細長いストランドを示す図であり、bは、切断されたストランド断面及びその多孔質形態の画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、食品の形成に使用するための、特に限定されないが、肉類似体の形成に使用するための、予めパックされた改質されたタンパク質材料に関する。
【0016】
本開示は、タンパク質系食品、特に、限定されないがデジタル印刷などの積層造形技術によって調製された肉類似体が、一方では、形成後の肉類似製品の形状を保持する(すなわち、それ自体及びこれから追加される堆積層を支持する)のに十分な粘性を有し、他方では、十分に流動性を有する、すなわち狭い印刷ノズルを通してその流れを可能にする物理状態にあるタンパク質豊富な生地/ペーストを用いる必要があるという理解に基づくものである。しかし、3D印刷技術を使用してそのような粘性タンパク質生地を分配しようとする場合、代替案が想定され、代替案は、予め形成された改質されたタンパク質ストリップに基づく。そのような予め形成された改質されたタンパク質系ストリップは、特定の食品製造業者による後の使用に適した方法でパックすることができる。好ましい一実施形態では、パックされたタンパク質ストリップは、食肉類似体産業での使用に適した方法でパックされる。
【0017】
したがって、その第1の態様によれば、本開示は、保持要素によって、又は保持要素内に、組織化された空間構成で保持された細長い改質されたタンパク質ストリップを含むパックされたタンパク質ユニットを提供し、少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップは、長手方向軸と、長手方向軸に垂直な断面とによって画定され、当該断面の少なくとも1つの寸法は10mm以下であり、当該長手方向軸は少なくとも100mmの寸法を有する。パックされたタンパク質ユニットは、好ましくは肉類似体である、食品の製造に使用することが好ましい。
【0018】
ユニットが2つ以上のストリップを含む場合、複数のストリップは、以下で更に説明するように、好ましくは、1つ又は複数の分離可能な改質されたタンパク質ストリップの組織化された集合の形態で配置される。
【0019】
本開示の文脈において、パックされたタンパク質ユニットに言及する場合、典型的には、保持要素によって、又は保持要素内に、所定の組織化された空間配置で維持される改質されたタンパク質材料を意味すると理解されるべきである。改質されたタンパク質材料は、ハウジング、例えば容器又はカートリッジ内にパックすることができ、及び/又は支持体上に取り付けることができ、ハウジング及び支持体は、本明細書では集合的に「保持要素」と呼ばれる。
【0020】
「保持要素」は、任意の形状及び/又は構造を有することができ、少なくとも1つの改質されたタンパク質ストリップをその所定の構成/形態で保持することを可能にする任意の剛性又は半剛性材料で作成することができる。保持要素は、細長いストリップを囲む密閉容器として、又は以下で更に説明するようにストリップを物理的に保持する支持体として、任意の所望の形態で細長いストリップを保持することができる。
【0021】
更に、本開示の文脈において、「組織化された空間構成」に言及する場合、任意の配置以外の1つ又は複数のストリップの任意の配置、具体的には、リテーナからの1つ又は複数のストリップの放出を容易にすることを可能にするように構成された方法で、所定の、又は予め編成された配置として理解されるべきである。
【0022】
いくつかの例では、ストリップは、細長いストランド(繊維/フィラメント/ストリング)の形態である。ストランドに言及する場合、その断面(長手方向軸に垂直に取られた)に沿った任意の方向において本質的に同じ寸法を有するストリップを指すと理解されるべきである。これは、例えば、ほぼ円形の断面を含むことができる。したがって、この非限定的な例によれば、ストリップは細長いストランド/ストリングである。
【0023】
いくつかの他の例では、ストリップは、例えばシートの形態で平坦化される。
【0024】
シートは、その断面の少なくとも2つの寸法(長手方向軸に垂直)によって画定することができ、一方の寸法は他方の寸法の少なくとも2倍である。
【0025】
いくつかの例では、パックされたタンパク質ユニットは、複数の改質されたタンパク質ストリップを含む。
【0026】
本明細書で定義されるように、長手方向軸は、少なくとも100mmの長さ、時には200mmの長さ、時には250mm、時には300mmの長さ、時には400mmの長さ、又は時には500mmの長さである。いくつかの例では、長手方向軸は、100mm~500mm、150mm~1,000mm、100mm~1,000mm、又は100mm~10mの任意の範囲である。
【0027】
ストリップの断面に関して、ストリップは、湾曲線が非晶質であったとしても、ほぼ湾曲した円周、例えばほぼ円形、ほぼ楕円形、又はほぼ多角形の円周、例えばほぼ正方形、長方形などを有することができることに留意されたい。次いで、ストリップは、断面の寸法によって画定される。
【0028】
ストリップは、代替的に又は追加的に、二次元比、例えば長さ対平均断面比によって定義することができ、例えば直径2mmの500mmストリップは250の寸法比を有する。
【0029】
いくつかの例では、ストリップは、0.01mm~10mm、時には0.02mm~3mm、時には0.05mm~3mm、時には0.1mm~5mm、時には0.02mm~0.1mm、時には0.05mm~1mm、時には0.75mm~2mmの範囲内の少なくとも1つの断面寸法を特徴とする。
【0030】
いくつかの例では、ストリップは、それらの断面(断面が長手方向軸に対して垂直に取られたとき)によって特徴付けられる。断面は、ストリップが多孔質であるか空隙を含むかに関係なく定義される。したがって、断面のカットは、典型的にはスポンジ状又は多孔質ストリップを示すが、断面は、カットの境界/輪郭内の全面積を考慮に入れる。例示的なストリップの断面のカット及びそれらのスポンジ状形態を
図7Dに示す。
【0031】
いくつかの例では、断面は、100mm2未満、時には90mm2未満、時には80mm2未満、時には70mm2未満、時には60mm2未満、時には50mm2未満、時には40mm2未満、時には30mm2未満、時には20mm2未満、時には10mm2未満、時には8mm2未満、時には6mm2未満、時には4mm2未満である。ストリップは、様々な技術によって調製又は得ることができる。
【0032】
いくつかの例では、ストリップはストランドの形態であり、ストランドは押出成形によって得られる。
【0033】
いくつかの例では、ストリップは、剪断セルを使用することによって得られるストランドの形態である。
【0034】
いくつかの他の例では、ストリップは、ストランド又は細長いシートのいずれかとして、ストリップの機械的スライスによって得られる。
【0035】
いくつかの例では、ストリップは相互に接続されて、一方が他方に対してストリップを定位置に固定する。好ましい一例では、相互接続されたストリップは、それらの長手方向軸に沿って互いに本質的に平行である。ストリップは、例えば食用接着剤、フィルム又は繊維を使用して相互接続することができ、これらはその後、食品の一部として保持され、又は相互接続は、最終的に形成される食品にストリップを積層する前に除去する必要がある食品パック材料で作ることができる。
【0036】
いくつかの例では、パックされたタンパク質ユニットは、ハウジング内に一緒に保持された2つ以上の改質されたタンパク質ストリップを含む。いくつかの例では、パックされたタンパク質のユニット、例えば単一のハウジングは、個々のストリップが長手方向軸に沿って一方が他方に対して平行に配向されるように互いに積み重ねられた複数の細長い改質されたタンパク質ストリップを含む。
【0037】
「平行なストリップ」又は「平行に配向されたストリップ」に言及する場合、それらの長手方向軸がほぼ平行になるように層の一部内で見たときに、ストリップの少なくとも80%、好ましくはストリップの95%、好ましくはストリップの99%の配向が、他方に対して一方向であることを指すと理解されるべきである。「ほぼ平行」という用語は、最大で±10°、時には最大で±3°、最大で±1°である長手方向軸の公称方向を包含すると理解されるべきである。
【0038】
いくつかの例では、ハウジング内の複数のストリップは、各ストリップが個別のストリップとしてカートリッジから放出されるように、個別の分離可能なストリップである。
【0039】
いくつかの他の例では、複数の改質されたタンパク質ストリップは、ハウジング内で平行なストランドの単層の形態で互いに重なって平行に積み重ねられ、したがって、個々の層としてハウジングから放出可能であり、各層は平行なストランドを含む。
【0040】
いくつかの他の例では、複数のストリップは、積み重ねられたシートのセットとしてハウジング内に保持される。
【0041】
パックされたタンパク質ユニット内で、複数のストリップは、原則として、それらの形状及び/又は組成及び/又は寸法が変化してもよい。
【0042】
更に、いくつかの好ましい例では、パックされたタンパク質ユニットは同じタンパク質組成物を含み、いくつかの例では、単一のパックされたタンパク質ユニットのストリップは、それらの長手方向軸に沿って少なくとも本質的に同じ長さを有する。
【0043】
いくつかの例では、パックされたタンパク質ユニットは、本質的に同一の寸法を有する複数の個別の改質されたタンパク質ストリップを含む。
【0044】
いくつかの例では、保持要素は、1つ又は複数の細長い改質されたタンパク質ストリップを密閉/担持するカートリッジの形態である。
【0045】
いくつかの例では、保持要素は、1つ又は複数の細長いストランドを保持するカートリッジであり、それぞれが畳み込み構成で折り畳まれる。「畳み込み構成」に言及する場合、カートリッジからのストランドの円滑な放出を可能にするストランドの任意の空間的配置、例えば結び目のない空間的配置を包含すると理解されるべきである。
【0046】
いくつかの例では、畳み込み構成はジグザグ構成を含む。いくつかの他の例では、畳み込み構成は、螺旋状又はコイル状の構成を含む。
【0047】
いくつかの例では、保持要素は、一方が他方の上に積み重ねられた、複数の個別の分離可能なストランド又は個別の分離可能なシート状ストリップを平行な向きに保持するカートリッジの形態である。カートリッジは、制御された方法で各ストリップの個々の別個の放出/抽出/分配を可能にするように構成される。例えば、カートリッジの開口部は、制御された速度及び/又は制御された方向/向きで個々のストリップを放出するように動作可能な制御可能なシャッタを備えている。
【0048】
いくつかの例では、保持要素は中央本体の形態であり、1つ又は複数の細長い改質されたタンパク質ストリップは、当該中央本体の周りに螺旋状に巻かれるか、又は当該中央本体上に巻き付けられる。
【0049】
いくつかの例では、ストリップは細長いストランドであり、各ユニットは、単一の細長い改質されたタンパク質ストランドをその上に巻き付かれて有する中央本体を含む。
【0050】
いくつかの他の例では、ストリップは細長いシートの形態であり、各パックされたタンパク質ユニットは、単一の細長い改質されたタンパク質シートをその上に巻き付けられて有する中央本体を含む。更にいくつかの他の例では、パックされたタンパク質ユニットは、本質的に平行な向きで互いに相互接続された複数のストランドをその上に巻き付けられて有する中央本体を含む。相互接続されたストランドを参照する場合、竹のマットのように視覚化することができる、すなわち、隣接するストランド間の距離を有する、竹状マットを形成することができる。ストランド間の距離は、本質的に同じであっても異なっていてもよい。場合によっては、ストランド間の距離は本質的に同じである。場合によっては、ストランド間の距離は、それらの長手方向軸に沿って隣接するストランド間に物理的接触が本質的に存在しないようなものである。
【0051】
いくつかの例では、中央本体は、フランジの有無にかかわらず、細長いストリップが巻き付けられるスピンドル又はシリンダから選択される形態を有する。時には、中央本体はボビン又はスプールに似ている。
【0052】
いくつかの例では、中央本体は、湾曲した円周、例えば円形、楕円形、又は好ましくはその周りに巻かれたストランドを損傷/亀裂させる可能性がある角度を欠く任意の他の湾曲を有する。
【0053】
タンパク質ストリップは、改質されたタンパク質材料を含む。
【0054】
本開示の文脈において、「改質されたタンパク質ストリップ」という用語は、ストリップが、ストランド又はシートの形態であっても、改質された繊維の1つ又は複数の束、例えば繊維を含む本質的に軸方向に整列したタンパク質含有ストリップを含むこと、及び以下で更に論じるように、改質された繊維の各束は、タンパク質系材料の構造的に組織化された集合体を含むことを意味すると理解されるべきである。
【0055】
更に又は或いは、改質されたタンパク質ストリップに言及する場合、例えば改質された植物性タンパク質(TVP)又は高水分押出成形(HME)などの他の技術を製造するための、当技術分野で公知の押出成形方法によって製造されるタンパク質として理解されるべきである。
【0056】
整列は、様々な手法によって得ることができる。例えば、連続的に押すこと(例えば押出成形中に行われるように)、連続的に引っ張ること(例えば、紡糸で行われるように)及び剪断すること(例えば、剪断Couetteセルで行われるように)のいずれかによって、流動するタンパク質材料に一定の機械的力を特定の方向に加えることである。
【0057】
整列技術は、得られる繊維の異方性特性を高めるために、熱効果(例えば、加熱又は冷却)、化学剤(例えば酵素)などを利用することができる。
【0058】
いくつかの例では、ストリップ内のタンパク質材料の必須の整列は、熱間押出成形又は冷間押出成形などの押出成形によって得られる。したがって、1つ又は複数の改質されたタンパク質ストリップは、タンパク質押出成形物を含む。
【0059】
いくつかの他の例では、タンパク質の必須の整列は、例えばエレクトロ紡糸装置を使用して行われる紡糸によって得られる。タンパク質を改質するためのタンパク質の紡糸としては、限定されないが、酵素的アプローチ(典型的にはゲル様構造を得るため)、脱水アプローチ(典型的にはタンパク質材料を剛性化するため)、温度アプローチ(タンパク質材料の流動性/溶解性に影響を及ぼすため)、希薄化防止アプローチ(典型的には湿式紡糸と呼ばれる)、pHアプローチ(典型的には、タンパク質材料、例えば弱酸性条件でより可溶性であるキトサンの溶解度にも影響を及ぼすため)が挙げられる。
【0060】
タンパク質材料が細長い繊維に形成する能力は、典型的には、その基本形状に関連している(棒状/細長い構造体は、球状のものよりもはるかに容易に繊維を形成することができる)。更に、タンパク質は、繊維材料を形成するようにプライミングするために、加熱及び/又は高い剪断力を必要とする可能性がある。したがって、いくつかの例では、タンパク質材料は、紡糸プロセスのために非タンパク質材料と組み合わされる。
【0061】
いくつかの例では、(必ずしも紡糸プロセスではない)本質的に整列した繊維の形成を促進するために、タンパク質材料を1つ又は複数の多糖類と組み合わせることができる。これに限定されるものではないが、そのような多糖類は水溶性であるか、又は特定のpHで可溶性であるポリマーである。そのようなポリマーとしては、限定されないが、ガムガム、キサンタンガム、k-カラギーナン、キトサン、セルロース、デンプン及びリグニンが挙げられる。
【0062】
本開示の文脈において、「本質的に」という用語は、定義されたパラメータからのある程度のレベルの逸脱(例えば、1%、2%、3%、10%又は更には20%まで)も含むと理解されるべきである。
【0063】
本明細書で使用される「本質的に軸方向に整列した繊維」という用語は、繊維又はシート状の改質されたタンパク質を指し、その中のタンパク質繊維は、ストリップの長手方向軸の方向と本質的に同じである公称方向を有する。
【0064】
本明細書で使用される「公称方向」という用語は、ストリップをストリップ方向に垂直な任意の方向から見た場合に、ストランド内の繊維の50%超がその公称方向から±45度までの方向を有する方向を指す。「公称方向」という用語はまた、本明細書に記載の高倍率撮像を使用して見出される繊維の方向の平均を指すことができる。
【0065】
いくつかの例では、ストリップのセグメント内の改質されたタンパク質繊維又はシートの公称方向は、ストリップの少なくとも80%、好ましくは95%、好ましくは99%についてストリップの長さ寸法にほぼ平行である。
【0066】
ストリップ内の繊維は、単一又は複数の別個の束として配置することができる。いくつかの例によれば、ストリップ内のタンパク質繊維は細長い繊維である。
【0067】
いくつかの例では、繊維はストリップ内で整列され、繊維の構造的整列は、以下で更に論じるように、タンパク質含有材料の押出成形、混練(例えば、小麦-グルテン含有生地を延ばす)、タンパク質含有材料の紡糸(例えば、タンパク質材料の湿式紡糸又はエレクトロ紡糸)、剪断(Couette)セルなどの他の方法で剪断力及び熱を加えることを含む、当技術分野で公知の方法によって得ることができる。
【0068】
ストリップ中のタンパク質材料は、任意の構造的に組織化された(すなわち、改質された)形態で示すことができる。
【0069】
いくつかの他の例では、ストリップ中のタンパク質材料は小胞の形態で存在することができる。
【0070】
更にいくつかの他の例では、ストリップ内のタンパク質材料は、タンパク質材料を保持するポリマーマトリックスの形態で存在する。
【0071】
更に、いくつかの例では、ストリップ中のタンパク質材料は、エマルジョン及び/又は分散液の形態で存在する。
【0072】
更に、いくつかの例では、ストリップ中のタンパク質材料は、タンパク質系ゲルの形態で存在する。
【0073】
いくつかの例では、タンパク質材料は変性タンパク質を含む。変性タンパク質は、タンパク質の変性及び/又はタンパク質フィラメントの整列並びに繊維又は「シート状」構造の生成をもたらす、当技術分野で公知の方法によって得られる種類のものであってもよい。限定されないが、変性タンパク質は、機械的力(例えば、紡糸、撹拌、振盪、剪断、圧力、乱流の適用、衝突、合流、叩打、摩擦、波などのプロセスにおいて)、放射線(例えば、マイクロ波、電磁)、熱エネルギー(加熱-蒸気又はその他による)、架橋、酵素反応(例えば、トランスグルタミナーゼ活性)及び化学試薬(例えば、pH調整剤、コスモトロピック塩、カオトロピック塩、石膏、界面活性剤、乳化剤、脂肪酸、アミノ酸)を加えることによって得られる種類のものであってもよい。
【0074】
タンパク質は、ヒトの使用又は消費にとって許容可能かつ安全な様々な供給源であってもよい。
【0075】
いくつかの例では、タンパク質は、植物由来(例えば、単離物又は濃縮物)であるか、若しくは植物由来の食用タンパク質及び/又はペプチド及び/又はアミノ酸を含む。
【0076】
タンパク質材料は、他の非タンパク質材料、例えば脂肪と組み合わせて1つ又は複数のタンパク質を含むことができる。しかし、脂肪が含まれる場合であっても、以下で更に論じられるように、タンパク質はタンパク質材料の大部分を構成する。
【0077】
限定されないが、タンパク質の植物源は、ダイズ、コムギ、マメ科植物(豆類(pulses)、豆(beans)、エンドウ豆、レンズ豆、ナッツ)、植物種子及び穀粒(例えば、ヒマワリ、キャノーラ、イネ)、茎又は塊茎タンパク質(例えば、ジャガイモタンパク質)、ナタネ及びトウモロコシのいずれか1つ又は組み合わせであってもよい。
【0078】
いくつかの例では、タンパク質はマメ科植物に由来する。マメ科植物/豆タンパク質の具体的であるが非限定的な例としては、ダイズタンパク質、エンドウ豆タンパク質、ヒヨコ豆タンパク質、ハウチワ豆タンパク質、リョクトウタンパク質、インゲン豆タンパク質、黒豆タンパク質、アルファルファタンパク質が挙げられる。
【0079】
肉類似体に適したいくつかの特異的であるが非限定的なタンパク質は、ベータゴングリシン、グリシニン、ビシリン、レグミン、アルブミン、グロブリン、グルテリン、グルテン、グリアジン、グルテニン、マイコタンパク質である。
【0080】
いくつかの例では、タンパク質は、一般に藻類、真菌(例えば酵母)、細菌及び微生物などの植物以外の供給源に由来することができる。
【0081】
いくつかの例では、タンパク質材料は非哺乳動物供給源のものである。
【0082】
更に別の例では、タンパク質材料の一部は、細胞の供給源が動物由来であっても、動物由来成分、例えば、牛肉の筋、鶏の筋繊維、昆虫由来タンパク質粉末などを含有することができ、又は細胞培養によって達成することができる。
【0083】
しかし、好ましい例は、哺乳動物又は動物由来の成分(細胞培養から得られた成分を除く)を含まないものである。
【0084】
タンパク質は、純粋なタンパク質、タンパク質単離物、タンパク質濃縮物、タンパク質粉、改質された植物性タンパク質(TVP)などの改質されたタンパク質の形態であってもよい。
【0085】
いくつかの例では、パックされたタンパク質ユニットは、改質された植物性タンパク質(TVP)を含む。TVPは、肉増量剤又はベジタリアン用の肉として使用されることが当技術分野で知られており、通常、小麦、エンドウ豆などの植物源から高剪断、高圧及び高熱を使用してタンパク質単離物又は濃縮物を押し出すことによって作成される。TVPは、大きな塊から小さなフレークまで様々なサイズで市販されている。
【0086】
本開示の文脈において、TVPは、改質された植物性タンパク質の乾燥形態(膨張したTVPと見なされることもある)、並びに高水分押出成形(HME)又は高水分押出成形調理(HMEC)又は同様の成果として当技術分野で知られている高水分形態の両方を示すために使用される。TVPはまた、改質された植物性タンパク質の任意の「中間」形態を示すことができ、TVP中の水分レベル及び/又はTVPの膨張の程度は、乾燥(膨張)形態及びHME(C)形態で典型的に見られるものの中間体である。
【0087】
いくつかの例では、パックされたタンパク質ユニットは、単純な水和によってその天然形態で繊維構造を形成することが知られているグルテンを含む。理論に束縛されるものではないが、そのようなグルテン系繊維は、印刷ノズルを引っ張るか又は押し込むことによって特定の方向に整列させることができる。
【0088】
パックされたタンパク質ユニット内のタンパク質ストリップは、単一のタンパク質又はタンパク質の組み合わせを含むことができる。
【0089】
パックされたタンパク質ユニットは、タンパク質材料以外の物質を含むことができる。
【0090】
本開示の文脈において、パックされたタンパク質ユニットのタンパク質ストリップは、少なくとも30%のタンパク質を含むが、いくつかの好ましい例では、タンパク質ストランドは、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は更には少なくとも80%のタンパク質材料を含む。
【0091】
いくつかの例では、パックされたタンパク質ユニット内のストリップは脂肪を含まない。
【0092】
いくつかの他の例では、パックされたタンパク質中のストリップは、例えば流動学的特性、例えばパックされたタンパク質ストリップの柔軟性を調節するために脂肪を含有する。
【0093】
パックされたタンパク質ユニット内のストリップは、他の食用添加剤、例えば、限定されないが、デンプン及び食物栄養繊維(及びセルロース系繊維の他の形態)を含むがこれらに限定されないタンパク質及び/又は炭水化物起源のいずれかに由来する繊維、着色剤(例えば、アナト抽出物、カラメル、エルダーベリー抽出物、リコペン、パプリカ、ウコン、スピルリナ抽出物、カロテノイド、クロロフィリン、アントシアニン、及びベタニン)、乳化剤、酸味料(例えば、酢、乳酸、クエン酸、酒石酸リンゴ酸及びフマル酸)、香味剤又は香味増強剤(例えば、グルタミン酸一ナトリウム)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、ローズマリー抽出物、アスパラチン、ケルセチン、及び様々なトコフェロール)、栄養強化剤(例えば、アミノ酸、ビタミン及びミネラル)、保存剤、安定剤、甘味料、ゲル化剤、増粘剤及び食物繊維(例えば柑橘類源由来の繊維)を挙げることができる。
【0094】
パックされたタンパク質ユニットは、食品の異なる部分、例えば異なる食感又は体験を有する肉類似体を提供するように、異なるタンパク質ストリップを含むことができる。
【0095】
タンパク質ストリップは、機能性材料で部分的にコーティング又はパック又は被覆又は包囲又は封入されてもよい。コーティングは、ストリップの外面の一部が機能性材料によって覆われるような部分コーティングであってもよく、又はコーティングは、ストリップの外面全体が機能性材料によって覆われる完全なコーティングであってもよい。
【0096】
本開示の文脈において、「機能性材料」という用語は、ストリップに物理的又は化学的特性を付与する任意の物質を包含する。機能性材料は、当該1つ又は複数のストリップの外面の1つ又は複数の部分と会合する粉末、フィルム又は液体の形態であってもよい。
【0097】
いくつかの例では、機能性材料は、隣接するストリップ間の付着を少なくとも防止又は低減するように選択され、例えば、隣接するストランドが保持要素内又は保持要素によってパックされている間に互いに粘着するのを防止する非粘着表面である。限定されないが、このような物質としては、メチルセルロース(例えば粉末の形態で)、結晶性メチルセルロース(CMC)などのセルロース系、アルギナート、ペクチン、固化防止剤、ゼイン粉末、食用ミネラル粉末、親水コロイド、グルテン粉末などを挙げることができ、そのような物質もストリップを強化するために使用することができる。
【0098】
いくつかの他の例では、機能性材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン又は他のタイプのフィルム膜/食品パック材料などの非食用であるが食品に安全なプラスチック材料である。非食用コーティングの場合、これらは通常、印刷前に除去される。除去することは、機械的剥離、化学的(例えば、溶解)及び/又は溶融によるものであってもよい。
【0099】
いくつかの他の例では、機能性材料は、ストリップの組織構造を改善するように選択された1つ又は複数の物質であってもよい。一例では、機能性材料は、ストリップの可撓性を改善するように選択される。限定されるものではないが、そのような物質としては、水、ゲル化剤、接着材料を挙げることができ、更に非限定的な例としては、油、又は時には非限定的な例としては、デンプン、アルギナート、ワックス、セルロースを挙げることができる。
【0100】
更にいくつかの他の例では、機能性材料は、例えば、改質されたタンパク質が水和又は更には部分的に水和され、したがって酸化的損傷を受けやすい場合に、タンパク質材料を酸化から保護するものである。限定されないが、そのような酸化防止コーティング材料は、食品安全性ポリマーを含むことができる。
【0101】
更にいくつかの他の例では、機能性材料は細菌保護剤であり、すなわち、例えば、改質されたタンパク質が水和又は更には部分的に水和され、したがって細菌汚染をより受けやすい場合、ストリップ上の細菌増殖を防止/遮断する。
【0102】
いくつかの例では、機能性材料は、少なくともストリップの表面で水分を与えるか、又は含水量を増加させるために使用される水和/保湿材料である。限定されないが、そのような保湿材料は水であるか、又は水を含む。
【0103】
いくつかの例では、機能性材料は、タンパク質材料と結合したままであり、最終的な平均類似体生成物の一部を形成する食用材料である。
【0104】
いくつかの例では、機能性材料は、接着性前駆体、すなわちタンパク質がパック状態にあるときに不活性であり、例えば水和/水と接触したときに活性化されて接着剤として作用することができる材料である。例えば、機能性材料は、湿潤すると粘着性になり、接着剤として作用するデンプン及び/又はグルテンを含むことができる。
【0105】
いくつかの例では、ストリップ上に塗布される機能性材料は結合剤である。
【0106】
本発明の文脈において、結合剤は、製造された肉類似製品の完全性に寄与する、すなわち製品の凝集性及び/又は構造安定性を確保及び/又は維持するための任意の物質である。
【0107】
粘着性は、食物が1回目と2回目の咀嚼の間でその形態をどれだけ良好に保持するかを表す。この粘着性値は、肉類似製品の引張及び圧縮強度に直接関係する。例えば、肉は凝集性が高いが、例えば、桃は凝集性が低い。
【0108】
いくつかの例では、結合剤は、グルテン、例えば小麦グルテン、卵白、ガム及び親水コロイド、酵素、架橋ゲル化剤及びデンプンのいずれか1つ又は組み合わせである。
【0109】
いくつかの例では、酵素は、ジスルフィド結合及び/又はイソペプチド結合の形成を触媒するタイプのものである。いくつかの例では、酵素はトランスグルタミナーゼである。
【0110】
いくつかの例では、結合剤は親水コロイドを含む。親水コロイドは、機能特性を改善し、時には脂肪減少、塩減少及び凍結/解凍プロセスの望ましくない効果を打ち消すために肉製品に既に使用されている。
【0111】
本開示の文脈で使用される親水コロイドとしては、限定されないが、カラギーナン、アルギナート(例えばアルギン酸カルシウム)、コンニャクガム、フラキシードガム、又はイナゴマメガムなどの単一の種類の親水コロイドを挙げることができる。
【0112】
いくつかの例では、親水コロイドは、上に列挙したものなどの相乗効果を生み出す物質の組み合わせから形成される。
【0113】
タンパク質ストリップは、異なる段階で機能性材料で処理することができる。場合によっては、タンパク質ストリップは、パック前に処理され、他の場合では、タンパク質ストリップは、積層造形ベッド上に配置される前に処理される。更にいくつかの他の場合では、タンパク質ストリップは、ベッド上に配置された後に機能性材料で処理される。ベッド上に既に配置されたタンパク質ストリップの処理は、単層の形成中、層が形成された後、及び/又はいくつかの層が形成された後であってもよい。機能性材料は、ストリップと接している場合、例えば架橋を誘導することによって活性化することができる。場合によっては、例えば機能性コーティングが小麦タンパク質を含む場合、粘着性コーティングへの活性化は、ストリップに水を噴霧することによって達成することができ、「粘着性」グルテンコーティングの形成を引き起こす。
【0114】
いくつかの例では、タンパク質ストリップの周囲の少なくとも一部は、以下で更に説明するように、食品が加工されるとストリップ間の結合を改善するために機械的に処理される。
【0115】
パックされたタンパク質ユニット内のストリップの長期保存安定性を可能にするために、タンパク質ストリップは本質的に乾燥していることが好ましい。本質的に乾燥したタンパク質ストリップに言及する場合、最大15%(v/v)の水、時には最大10%の水、時には最大5%の水、時には1%未満の水を含有するタンパク質材料を包含すると理解されるべきである。[
【0116】
いくつかの例では、パックされたタンパク質ユニットのストリップは半乾燥であり、すなわち、最大25%v/vの水を含み、時には15%~25%v/vの水を含む。
【0117】
乾燥タンパク質ストリップは、当技術分野で公知の様々な乾燥方法によって得ることができる。いくつかの例では、乾燥タンパク質ストリップは、ストリップの凍結乾燥によって得られる。いくつかの他の例では、乾燥タンパク質ストリップは、不活性ガス乾燥[K.Sanjeev&M.N.Ramesh(2006)Low Oxygen and Inert Gas Processing of Foods,Critical Reviews in Food Science and Nutrition,46:5,423-451,DOI:10.1080/10408390500215670]によって得られる。
【0118】
パックの方法は、時には、乾燥のレベルを決定することができる。例えば、パックされたタンパク質ユニットが、互いに重なって平行に積み重ねられた複数の本質的に直線状のストリップの形態である場合(マッチ箱のマッチに幾分似ている)、複数のストリップは剛性及び/又は本質的に完全に乾燥していてもよい。更に、例えば、パックされたタンパク質ユニットが畳み込み構成でストリップを含む場合、ストリップのある程度の柔軟性を維持することが必要な場合があり、これは少量の水分を必要とする場合がある。或いは、ある程度の量の油又は他の添加剤、例えば軟化剤、例えばガムを添加することによって可撓性を達成することができる。
【0119】
パックされたタンパク質ユニットの1つ又は複数の改質されたタンパク質ストリップの長期安定性を更に確実なものにするために、酸素のない雰囲気と呼ばれる不活性雰囲気下で維持することができる。限定されないが、不活性雰囲気/条件は、真空環境、不活性ガス雰囲気(典型的には、酸素をほとんど又は全く含まず、非反応性ガス、又は窒素、アルゴン、ヘリウム、及び二酸化炭素などの反応前に高い閾値を有するガスから主になるガス状混合物を指す)の任意の手段によって得ることができる。
【0120】
更に長期安定性を確実なものにするために、いくつかの例では、1つ又は複数の改質されたタンパク質ストリップを滅菌し、及び/又は食品グレードの保存剤と組み合わせる。保存剤の例としては、限定されないが、pH調整剤(食品のpHを6未満に低下させるように選択される)、塩等が挙げられる。更に、又は代替的に、滅菌は、熱及び/又はUV又は他の放射線手段によるものであってもよい。
【0121】
いくつかの例では、単層又は多層食品を得るために、タンパク質のストリップは、単一の畳み込みされた鎖又は複数の個々のストランドが、一本のストランドの折畳みの間又は複数のストランドの間のセグメントがそれらの長手方向軸に沿って優先的に本質的に平行であるように、印刷ベッド上に載置又は配置されるように、印刷ベッド上に適用される。
【0122】
このようにして、デジタル印刷の原理に従って、ストランドの多数の単層が3D食品に形成される。
【0123】
いくつかの他の例では、単層又は多層食品を得るために、タンパク質のストリップは、必ずしも3D印刷に基づくのではなく、積層造形技術の他の原理に従って適用される。これは、例えば、予め定義された計画に従ってストリップを互いに重なって配置するためのロボットの使用を含むことができる。
【0124】
加工食品、例えば肉類似製品は、パックされたタンパク質ユニットから放出されるタンパク質ストリップだけではない、材料の組み合わせを含むことができる。材料の組み合わせは、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれるPCT/IL2020/050099に記載されているように、所定の印刷パターン/印刷アセンブリ計画に従って動作する印刷ヘッドの組み合わせを使用することによって達成することができる。
【0125】
いくつかの例では、追加の成分は脂肪系材料である。本開示の文脈において、脂肪系材料に言及する場合、食品産業において脂肪代替物として使用される任意の種類の食品として許容される脂肪又は脂肪様成分を含む組成物として理解されるべきである。
【0126】
脂肪系材料は、例えば、(脂肪系ストランドとして)専用の別個の印刷ヘッドを介して製造されるか、若しくは放出されたタンパク質材料を保持するベッドに脂肪系材料を噴霧又は浸漬することによって導入される場合、食品に組み込むことができる。
【0127】
肉類似体はまた、タンパク質材料及び場合により脂肪系材料を水性(water-based)又は水性(aqueous-based)又は水分供給材料と組み合わせることによって形成することができる。水性材料は、着色剤、塩、増粘剤、パック剤、安定剤、乳化剤などの様々な溶質及び/又は懸濁/分散材料を担持する水溶液又は水性ゲルを含む。
【0128】
いくつかの例では、水性材料は、15℃~80℃の範囲、時には20℃~65℃の範囲の温度でゲルの形態である。
【0129】
いくつかの例では、水性成分は、全て当業者に公知の着色剤、乳化剤、安定剤、酸味料、香味剤、増粘剤、酸化防止剤、食物強化剤、保存剤、ビタミン、甘味料などの食用添加剤のいずれか1つ又は組み合わせを含む。
【0130】
いくつかの例では、タンパク質ストリップは、それぞれ水性材料として作用する修飾デンプン、マルトデキストリン、寒天、修飾デンプンのいずれか1つ又は組み合わせと組み合わされる。
【0131】
水含有材料は、例えば
図4のアプリケータ414などの材料アプリケータを介した噴霧を含む任意の技術によって、又は更には浸漬によって、製造された層上に塗布することができる。
【0132】
肉類似製品は、例えば3Dプリンタの異なる印刷ヘッド又は印刷チップから、積層造形ベッド上に別々に塗布される異なるタンパク質材料から構築することができる。異なるタンパク質ストリップの組み合わせを容易にするために、本開示はまた、パックされたタンパク質ユニットのセットを提供し、各ユニットは、保持要素によって又は保持要素内に保持された細長い改質されたタンパク質ストリップを含み、少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップは、長手方向軸と、長手方向軸に垂直な断面とによって画定され、当該断面の少なくとも1つの寸法は10mm以下であり、当該長手方向軸は少なくとも100mmの寸法を有し、セットのユニットの少なくとも一部内の細長い改質されたタンパク質ストリップは、セット内の他のユニット内の細長い改質されたタンパク質ストリップとは異なる。
【0133】
セットの2つのユニット間の差は、任意の化学的及び/又は物理的パラメータによるものであってもよい。場合によっては、差は、改質されたタンパク質ストリップの寸法及び/又は組織構造及び/又は組成の少なくとも1つである。
【0134】
より具体的には、限定されないが、セット内のパックされたタンパク質ユニット間のタンパク質ストリップの差は、以下のいずれかによって示すことができる。
-成分の組成の差、例えば、異なるパックされたタンパク質ユニット内に含まれるタンパク質の種類及び/又は純度の程度、及び/又は異なるパックされたタンパク質ユニット内に含まれるタンパク質の量の差(同じタンパク質が、ユニットの単一のセット内の異なるユニットの間で使用される場合であっても)。
-例えば、セット内のいくつかのパックされたタンパク質ユニットが高度に改質され(好ましくは繊維状、好ましくは実質的に整列した繊維状)、一部は改質が少ないため、異なる組織構造挙動を示すように、異なるパックされたタンパク質単位におけるタンパク質の組織構造の差。
-タンパク質の保水能力に寄与又は影響を及ぼす可能性がある、異なるパックされたタンパク質ユニットにおけるタンパク質株の多孔度の差。
-ユニット内の一部のタンパク質がゲルの形態であってもよく、他の一部のタンパク質がユニットの同じセットのユニット内で生地及び/又はエマルジョンの形態であってもよいように、パックされたタンパク質ユニット中のタンパク質の形態の差。
【0135】
本開示はまた、肉類似製品を製造する方法を提供し、本方法は、
-保持要素によって、又は保持要素内に、組織化された構成で保持された少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップを含む少なくとも1つのパックされたタンパク質ユニットを提供することであって、少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップが、長手方向軸と、長手方向軸に垂直な断面とによって画定されること、及び
-当該少なくとも1つのパックされたタンパク質ユニットから1つ又は複数の改質されたタンパク質ストリップを食品製造ベッド上に放出して、改質されたタンパク質ストランドの1つ又は複数の単層を形成することを含み、
当該断面の少なくとも1つの寸法が10mm以下であり、当該長手方向軸が少なくとも100mmの寸法を有し、
当該放出が、単層において、複数の改質されたタンパク質ストリップの少なくとも60%の所定の方向に沿った整列を引き起こす様式であり、
少なくとも1つの改質されたタンパク質ストリップの当該放出が、食品製造ベッド上に、多層の肉類似製品を形成するような様式であり、各層が本質的に互いに重なって形成される。
【0136】
本開示の文脈において、例えば3D多層構造などの積層造形法で行われるように、例えば互いに重なって形成された層のセット内の層を指す場合、層は、完全な層、すなわち、(層が配置される)以前に形成された層の表面全体に延在する層、若しくは部分的な層、例えば以前に形成された層の一部又は一部のみを占める層、若しくは以前に形成された層の上に配置された一本のストランドであってもよいことを理解されたい。
【0137】
タンパク質ストリップは、パック構成に応じて、様々な方法で、時には保持要素から放出することができる。
【0138】
いくつかの例では、改質されたタンパク質ストリップは、中央本体上にそれぞれ巻き付けられているか、又は螺旋状に巻かれた少なくとも1つの細長い改質されたタンパク質ストリップを解くか、又はほどくことによって、保持ユニットから放出される。
【0139】
いくつかの他の例では、改質されたタンパク質ストリップは、保持要素から個々のストリップを分配することによって放出される。
【0140】
更にいくつかの他の例では、改質されたタンパク質ストリップは、空気又は専用のロボットアームによって放出され、ストリップをユニットから持ち上げるか又は引っ張る。
【0141】
いくつかの例では、1つ又は複数の細長い改質されたタンパク質ストリップは、当該パックされたタンパク質ユニットから放出される前、放出されている間、又は放出された後に水和される。水和は、非限定的な例に記載の処理アプリケータなどの専用アプリケータの使用によって達成することができる。いくつかの例では、1つ又は複数の細長い改質されたタンパク質ストリップは、食品製造ベッド上に配置する直前に水和される。
【0142】
いくつかの例では、本明細書に開示される方法は、パックされたタンパク質ユニットからのストリップの放出中又は放出後にストリップを切断することを含む。切断/スライスは、典型的には、切断が形成されてストリップ縁部が形成されると、縁部が(制御された方法で)ベッドに落下するように、食品製造ベッドから離れている。
【0143】
いくつかの例では、方法は、ストリップフラグメントを得るために保持要素からの放出中にストリップの少なくとも一部を切断及び/又はスライス及び/又はつまむ(ストリップの連続性を乱すことなく表面湾曲を引き起こすようにストリップのセクションをつまむ)ことと、ストリップフラグメントを食品製造ベッド上に本質的に平行に整列させることとを含む。
【0144】
場合によっては、切断/スライスは、同じ又は類似の寸法のストリップフラグメントを提供する方法で行われる。
【0145】
更に、本明細書に開示される方法は、放出された改質されたタンパク質ストリップ又はストリップフラグメントを、食品製造ベッド上に配置される前又は直後に(タンパク質材料がどのようにパックされるかに応じて)処理することを含み、処理は、1つ又は複数の改質されたタンパク質ストリップ又はストリップフラグメントの少なくとも一部に機能性材料を適用することを含む。
【0146】
いくつかの例では、方法は、1つ又は複数の改質されたタンパク質ストリップの少なくとも一部から材料を除去することによって、1つ又は複数の改質されたタンパク質ストリップ又はストリップフラグメントを、当該食品製造ベッド上に配置される前又は直後に処理することを含む。
【0147】
本方法は、タンパク質ストリップの1つ又は複数の層を有する肉類似製品を提供する。好ましい場合によっては、本方法は、ベッド上に複数の層を作成することを含み、これらの層は本質的に互いに重なって配置される。層は、上記のように、同じ又は異なるタンパク質組成物を含むことができる。したがって、場合によっては、多層製品は、異なるタンパク質組成及び/又は異なるストリップ形状及び/又は寸法のストリップから形成された複数の層を含むことができる。
【0148】
本方法はまた、層内又は層上に、1つ又は複数の他の材料の適用を含むことができる。例えば、本方法は、放出されたタンパク質ストリップの少なくとも一部に脂肪材料を適用することを含むことができる。更に、例えば、本方法は、放出されたタンパク質ストリップの少なくとも一部に添加剤を適用することを含むことができる。添加剤の例としては、限定されないが、親水コロイド、水系製剤(例えば、血液代替物として使用されるものなど)、香料、着色剤などを挙げることができる。
【0149】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」の形は、文脈で明確に指示されていない限り、単数及び複数の参照が含まれる。
【0150】
更に、本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、例えば構成要素、例えばタンパク質ストリップが列挙されたタンパク質を含むが、タンパク質を含む他の物質を除外しないことを意味することを意図している。「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、例えば、タンパク質を含むが、得られる食品の特性に本質的な意味を持つ可能性のある他の物質を除外するタンパク質ストリップを定義するために使用される。したがって、「からなる(Consisting of)」は、他の元素を微量以上含まないことを意味する。これらの転換語のそれぞれによって定義される実施形態は、本開示の範囲内である。
【0151】
更に、例えば、本明細書に開示される構成要素を構成する要素の量又は範囲を指す場合、全ての数値は、記載された値から最大20%、時には最大10%変化する(+)又は(-)近似値である。常に明示的に述べられているとは限らないが、全ての数値指定の前に「約」という用語があることを理解されたい。
【0152】
更に、本明細書で使用される場合、「パーセント」又は「%」という用語は、特に明記しない限り、重量パーセントを指す。
【0153】
ここで、本発明を、本発明に従って実施された実験の以下の説明において例示する。これらの例は、限定ではなく例示の性質であることを意図していることを理解されたい。明らかに、上記の教示に照らして、これらの例の多くの修正及び変形が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は、本明細書で以下に具体的に説明される以外に、無数の可能な方法で実施され得ることを理解されたい。
【0154】
非限定的な例
ここで、本開示のいくつかの例によるパックされたタンパク質ユニット100を示す
図1を参照する。パックされたタンパク質ユニット100は、本明細書ではカートリッジ104として示される保持要素内の複数の個別の分離可能なストランド102を含む。カートリッジ104は、本質的に整列したストランド102の長手方向軸に平行な細長い開口部の形態の出口106を有する。出口106の構成は、個々のストランドとして、カートリッジ104からの各ストランド102の放出を可能にする。
【0155】
タンパク質ストランドをパックするための代替的な構成を
図2A~
図2Bに示す。
【0156】
簡単にするために、
図2A~
図2Bでは、同様の機能を有する構成要素を識別するために、
図1で使用したものと同様の参照番号を100だけずらして使用している。例えば、
図2A~
図2Bの構成要素202は、
図1のストランド102と同じ機能を有する短いストランドである。
【0157】
図2A~
図2Bは、カートリッジ204内で互いに重なって円柱状に配置された個別の分離可能なタンパク質ストランド202を含むパックされたタンパク質ユニット200を示す。カートリッジ204の寸法は、各ストランドが、ストランド202iなどの単一の上流ストランドと、ストランド202iiなどの単一の下流ストランドとを有するような寸法である。カートリッジ204は、円柱状ストランド202の長手方向軸に平行な細長い開口部の形態の出口206を有する。出口206の構成は、個々のストランドとして、カートリッジ204からの各ストランド202の放出を可能にする。
【0158】
図3A~
図3Dは、積み重ねられたシート状構造320のセットとしてのパックされたタンパク質ユニット300の模式図を提供し、形成された各シートは、ストランド302の組織化された集合体を形成する。
【0159】
各シート状構造320は、
図3Bに示すように、一次元の改質されたタンパク質のストランド302sから、又は
図3Cに示すように、改質されたタンパク質の格別細長い鎖302eから構成することができる。これに関連して、302s又は302eは同じ寸法、例えば同じ長さのストランドとして示されており、単一のシートではストランドの寸法が同一である必要はないことに留意されたい。
【0160】
ストランド又はシート状構造は、(一本のストランド又はシートが放出されるたびに)個々として放出されるが、場合によっては、ストランド又はシートの群が、後者の場合には、パフペーストの正方形にある程度類似して放出されることが望ましい場合がある。
【0161】
いくつかの例では、
図3Dにも模式的に示されているように、シート状構造(320)は多層ユニット322に優先的に固定されており、この多層ユニット322はその後、開口部306から単一の層として放出される。
【0162】
図4は、畳み込み構成のカートリッジ404内で折り畳まれた細長いタンパク質ストランド402を含むパックされたタンパク質ユニット400を示す。カートリッジ404は、細長いタンパク質ストランド402の周囲に適合する形状を有する出口406を有し、出口406を通るストランド402の連続的な流れを可能にする。
【0163】
図5は、本開示のいくつかの例によるパックされたタンパク質ユニットを利用する、本開示による肉類似体などの食品を製造するための食品製造システム550の要素を示す。
【0164】
簡単にするために、
図5では、同様の機能を有する構成要素を識別するために、
図4で使用したものと同様の参照番号を100だけずらして使用している。例えば、
図5の構成要素502は、
図3の細長いストランド302と同じ機能を有する細長いストランドである。
【0165】
具体的には、食品製造システム550は、螺旋構成で中央本体510の周りに巻き付けられたカートリッジ504内の細長いタンパク質ストランド502を含むパックされたタンパク質ユニット500を示す。いくつかの例では、タンパク質ストランド502は、
図6A~
図6Bに示すように、スプール530上に巻き付けられるか、又は螺旋状に巻かれてもよい。
【0166】
カートリッジ504は、カートリッジ504からのストランド502の連続的な流出を可能にする出口506を有する。
【0167】
更に、食品製造システム550は、カートリッジ504から一旦放出され印刷ベッド516上に配置される前に、機能性材料をストランド502上に塗布するための処理アプリケータ514を含む印刷ヘッド512を示す。処理アプリケータ514は、例えば、水分を添加し、それによって印刷ベッド516上で操作される前にストランドを軟化させるようにストランド502上に噴霧される水であってもよい機能性材料を含むことができる。更に、例えば、機能材料は、溶媒、固着防止剤などであってもよい。
【0168】
いくつかの例では、処理アプリケータ514は、それぞれ、既存のタンパク質ストランドを加熱又は冷却するためのヒータ/冷却ユニットであってもよい。
【0169】
更に、いくつかの例では、処理アプリケータ514は、例えば、既存のタンパク質ストランド内で架橋を誘導するための、及び/又は放出されたストランドのスライスに関与するためのレーザユニットであってもよい。
【0170】
いくつかの例では、追加のアプリケータ(図示せず)を使用して、機能性材料以外の材料を塗布することができ、例えば、上記のように水性材料及び/又は脂肪系材料を印刷層上に塗布することができる。
【0171】
プリンタヘッド512はまた、カートリッジ500から放出するためのブレードの形態であってもよいカッター518、ベッド512上に印刷されたストランド502’を含む。
【0172】
食品製造システム550はまた、典型的には、とりわけ、カートリッジ504からのストランド502の放出速度、印刷ベッド516上へのストランド502の配置方向、印刷ベッド516の移動、処理アプリケータ514の動作、及びカッター518の作動を制御するための制御ユニット(図示せず)を含む。いくつかの例では、制御ユニットは、中央本体510の回転を制御し、それにより、中央本体の回転速度に従ってカートリッジ504からのタンパク質ストランド502が放出される。或いは、制御ユニットは、タンパク質ストランドをカートリッジから引き出すアームの動作を制御することができる(図示せず)。
【0173】
動作中、食品及び好ましくは肉類似体の製造は、食品製造ベッド516上への1つ又は複数のタンパク質ストランド502’の制御された配置によって得られる。製造は、食品製造ベッドに対する分配ヘッドの移動、分配ヘッドに対する分配ベッドの移動、又はその両方(同時又は順次の両方の移動)を含むことができる。
【0174】
肉類似製品は、食品製造ベッド516上のストランド502’などの1つ又は複数のタンパク質ストランドの整列によって得られ、所定のパターンで単層が製造されると、多層食品が得られるまで、単層形成プロセスを層ごとに繰り返す。
【0175】
いくつかの例では、放出されたタンパク質ストランドの配置は、専用のロボットアーム(図示せず)を使用することによって達成することができる。
【0176】
ここで
図6A~
図6Bを参照すると、2つの形態のパックされたタンパク質ユニット600が示されており、いずれの場合も、改質されたタンパク質材料はスプール630上に巻き付けられ、
図6Aでは、改質されたタンパク質材料は、細長い螺旋状に巻かれた糸602の形態であり、一方、
図6Bでは、改質されたタンパク質材料は、
図6Aのストランドのより広い断面(ストランドの長手方向軸に垂直な断面A)を有し、したがって、細長い螺旋状に巻かれたリボン又はフィルムに似ていてもよい。
【0177】
例-TVPタンパク質ストランド
本開示による改質されたパックされたタンパク質ユニットを説明するために、市販の乾燥TVPシートを着色剤及び香料を含む水に浸漬し、次いで過剰の水を絞り出した。次いで、湿潤TVPを3mm以下の薄いシートにスライスした。次いで、各薄化シートをスライス機で所望の寸法のストランドにスライスした。
【0178】
図7A~
図7Bは、スライスされたストランド及びその寸法の画像を示し、長さは100mm~130mm(
図7A)であり、断面は4mm×4mm(
図7B)である。
【0179】
細長いストランドは、更に1mの寸法を有することができ、次いで、
図7Cに示すように支持構造体上に巻き付けられることができる。
【0180】
図7Dは、ストランドの内部組織構造/形態をより詳細に示しており、水系成分、脂肪系成分などの流体添加剤を収容することができる空隙を有する多孔質/スポンジ状であることを明確に示している。断面に言及する場合、TVPが多孔質であるかどうかにかかわらず、
図7Dに記された四角い境界のようなストランドの境界を示す想像線内の面積を含むことに留意されたい。
【国際調査報告】