(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(54)【発明の名称】車両バッテリを充電するための充電アダプタ
(51)【国際特許分類】
H02J 50/10 20160101AFI20230424BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230424BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20230424BHJP
【FI】
H02J50/10
H02J7/00 P
H02J7/00 U
H02J50/80
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557139
(86)(22)【出願日】2021-02-15
(85)【翻訳文提出日】2022-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2021053660
(87)【国際公開番号】W WO2021190818
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】102020108363.7
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】フレシュル・ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】プファイファー・クリスティアン
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503CC02
5G503FA06
5G503GB08
(57)【要約】
車両バッテリ(100)を充電するための充電アダプタ(110)を述べる。充電アダプタ(110)は、支持体(115)と、この支持体(115)に取り付けられ、充電磁場に反応してAC充電電流を生じさせる充電コイル(120)とを有する。さらに、充電アダプタ(110)は、支持体(115)に取り付けられ、AC充電電流を基にして整流された充電電流を生成する構成とされた整流器(125)を有する。さらに、充電アダプタ(110)は、車両バッテリ(100)のプラス極(101)とマイナス極(102)に嵌め込まれる形態とされた、支持体(115)に取り付けられたプラス接触子(111)および支持体(115)に取り付けられたマイナス接触子(112)を有する。加えて、充電アダプタ(110)は、整流された充電電流をプラス接触子(111)およびマイナス接触子(112)に導く形態とされた配線部(121,122)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両バッテリ(100)を充電するための充電アダプタ(110)であって、
支持体(115)と、
支持体(115)に取り付けられ、充電磁場に反応してAC充電電流を生じさせる形態とされた充電コイル(120)と、
支持体(115)に取り付けられ、AC充電電流を基にして整流された充電電流を生成する構成とされた整流器(125)と、
車両バッテリ(100)のプラス極(101)とマイナス極(102)に嵌め込まれる形態とされた、支持体(115)に取り付けられたプラス接触子(111)および支持体(115)に取り付けられたマイナス接触子(112)と、
整流された充電電流をプラス接触子(111)およびマイナス接触子(112)に導く形態とされた配線部(121,122)と、
を有する充電アダプタ(110)。
【請求項2】
請求項1に記載の充電アダプタ(110)であって、車両バッテリ(100)の蓋部(106)に嵌め込むことができる嵌め込み可能な載積体として形成された充電アダプタ(110)。
【請求項3】
支持体(115)がフィルムとして形成され、特に接着フィルムとして形成されている請求項1または2に記載の充電アダプタ(110)
【請求項4】
支持体(115)がプレートとして、特に硬質プレートとして形成されている請求項1または2に記載の充電アダプタ(110)。
【請求項5】
プラス接触子(111)および/またはマイナス接触子(112)は、スライド可能に支持体(115)に配設され、および/または、
プラス接触子(111)および/またはマイナス接触子(112)は、プラス接触子(111)とマイナス接触子(112)の間の距離が変更可能であるように支持体(115)に配設され、および/または、
プラス接触子(111)および/またはマイナス接触子(112)は、レール(116)上をスライド可能に支持体(115)に配設されている
請求項1から4のいずれか一項に記載の充電アダプタ(110)。
【請求項6】
充電コイル(120)は、フラットコイルを有し、特にはフラットコイルであり、および/または、
充電コイル(120)は、充電磁場を生じさせる形態とされた誘導型の充電器(150)を車両バッテリ(100)の充電のために支持体(115)上に置くことができるように支持体(115)に配設されている、および/または
充電コイル(120)は、誘導型の充電器(150)を支持体(115)上に置いたときに、誘導型の充電器(150)のコイルと充電コイル(120)との間の結合係数が最大であるように支持体(115)に配設されている
請求項1から5のいずれか一項に記載の充電アダプタ(110)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の充電アダプタ(110)であって、
表示部(128)を有し、
車両バッテリ(100)の温度に関するデータ、充電電流に関するデータおよび/またはバッテリ電圧に関するデータを取得し、
表示部(128)により表示する
構成とされた制御ユニット(130)を有する
充電アダプタ(110)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の充電アダプタ(110)であって、
車両バッテリ(100)の充電プロセス中に、充電電流および/または充電電圧を設定、特に調節する構成とされている充電コントローラ(126)を有している充電アダプタ(110)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の充電アダプタ(110)であって、
通信ユニット(129)を有し、当該通信ユニットは、車両バッテリ(100)に関するデータおよび/または車両バッテリ(100)の充電プロセスに関するデータを通信接続を介して、特に、無線通信接続を介して送信する構成とされている充電アダプタ(110)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の充電アダプタ(110)であって、
制御ユニット(130)を有し、当該制御ユニットは、
プラス接触子(111)とマイナス接触子(112)の間の設定距離に関する距離情報を取得し、
充電アダプタ(110)が取り付けられている車両バッテリ(100)の充電プロセスを距離情報に応じて操作する
構成とされている充電アダプタ(110)。
【請求項11】
配線部(121,122)の少なくとも一つは、安全装置(127)、特にヒューズを備えている請求項1から10のいずれか一項に記載の充電アダプタ(110)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の充電アダプタ(110)であって、
12Vの車両バッテリ(100)を充電する構成とされ、および/または、
鉛蓄電池(100)を充電する構成とされ、および/または、
スタータバッテリ(100)を充電する構成とされた
充電アダプタ(110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両バッテリを効率的で正確に且つ便利な方法で充電できるようにする充電アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
車両は、通常、車両の電気消費部を動かすための電気エネルギーを蓄える構成とされた車両バッテリ、特に鉛蓄電池を有している。ここで、車両バッテリ(特に、鉛スタータバッテリ)は、通常、自己放電が比較的早い。このことは、バッテリの比較的長い放電および/または深放電の場合に劣化が早まるという結果を招く可能性がある。このため、車両バッテリ、特に鉛蓄電池は、バッテリの寿命を延ばすためにできるだけ完全に充電する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本明細書は、(特に、車両の製造中および/または車両バッテリの保管中に)車両バッテリの効率的で正確且つ便利な充電を可能にする技術的課題を問題にする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、独立請求項により解決される。有利な実施形態は、とりわけ、従属請求項に記載されている。独立特許請求項に従属する特許請求項の追加的な特徴部は、独立特許請求項の特徴部が無くても、または、独立特許請求項の特徴部の一部と組み合わされるだけでも、独立特許請求項の全ての特徴部を組み合わせたものから独立した独自の発明を形成することができ、それが独立特許請求項の対象、分割出願の対象または後願の対象になり得ることを指摘しておく。このことは、明細書に記載された技術的教示にも同様に当てはまり、独立特許請求項の特徴部から独立した発明を形成することができる。
【0005】
一態様により、車両バッテリを充電するための充電アダプタを述べる。充電アダプタは、(自動車)車両用の12Vの車両バッテリ、鉛蓄電池および/またはスタータバッテリを充電する形態にされていてもよい。車両バッテリは、例えば、50Ah以上の蓄電容量を有していてもよい。充電アダプタは、車両バッテリの上面および/または蓋部に嵌め込む(差し込む)ことができる嵌め込み(差し込み)可能な載積体(キャップ)として形成することができる。このとき、例えば、充電アダプタの接触子は、車両バッテリの上面および/または蓋部に充電アダプタを保持するために、その接触子を車両バッテリの上面および/または蓋部における対応する電極の上に嵌め込むことができるように形成することができる。
【0006】
充電アダプタは、支持体を有する。支持体は、プレートとして、特に硬質プレートとして形成することができる(プレートは、例えば、車両バッテリの上面および/または蓋部の少なくとも一部または全てを覆う。)。代替的に、支持体は、フィルムとして、特に接着フィルムとして形成することができる(フィルムは、例えば、車両バッテリの上面または蓋部の上に置く若しくは接着することができる。)。支持体を介して充電アダプタの様々な構成要素を一体にまとめることができる。
【0007】
さらに、充電アダプタは、支持体に取り付けられ、充電磁場に反応してAC充電電流を生じさせる形態とされた充電コイルを有している。充電磁場は、例えば、誘導型の充電器により生じさせることができ、その誘導型の充電器は、通常、充電アダプタの充電コイルと相補的なコイルを備えている。充電磁場は、例えば、充電する場の周波数が30kHzから120kHzの範囲の交替場とすることができる。
【0008】
充電コイルは、フラットコイルを有し、特にはフラットコイルである。充電コイルの一つ又は複数の巻線はここで、充電アダプタの支持体に平行(および/または車両バッテリの上面および/または蓋部に平行)に配設することができる。特に、充電コイルは、充電磁場を生じさせる形態とされた誘導型の充電器を車両バッテリの充電のために支持体上に置くことができる(その結果、充電コイルにAC充電電流が誘起される)ように支持体に配設することができる。代替的または付加的に、充電コイルは、誘導型の充電器を支持体上に置いたときに、誘導型の充電器のコイルと充電コイルとの間の結合係数が最大であるように支持体に配設することができる。こうして、便利でエネルギー効率の高い車両バッテリの充電プロセスを可能にすることができる。
【0009】
充電アダプタは、支持体に取り付けられ、AC充電電流を基にして整流された充電電流を生成する構成とされた整流器(例えば、スイッチ式の整流器および/またはダイオード式の整流器)を有している。さらに、充電アダプタは、充電バッテリの充電プロセス中に(車両バッテリの上に充電アダプタが嵌め込まれているとき)、充電電流および/または(車両バッテリにおける)充電電圧を設定、特に(それぞれの目標値に)調節するように構成されている充電コントローラを有している。こうして、特に信頼できる充電バッテリの充電プロセスを可能にすることができる。
【0010】
その上、充電アダプタは、(電気を通すように充電アダプタを車両バッテリにつなげるために)車両バッテリのプラス極とマイナス極に嵌め込むことができる形態とされた、支持体に取り付けられたプラス接触子および支持体に取り付けられたマイナス接触子を有している。接触子と電極は、互いに相補的に形成することができる。
【0011】
充電アダプタは、整流された充電電流をプラス接触子およびマイナス接触子に導く形態とされた配線部も有している。整流器において作られた整流済みの充電電流は、次に、配線部および接触子を介して、充電される車両バッテリの電極に導くことができる。ここで、配線部の少なくとも一つは、安全装置、特にヒューズを備えることができる。こうして、特に安全な充電プロセスを可能にすることができる。
【0012】
このように、車両バッテリを充電するために車両バッテリの上に置くことができる充電アダプタを述べることで、信頼性が高く便利な充電プロセスを可能にすることができる。
【0013】
充電装置のプラス接触子および/またはマイナス接触子は、スライド可能に支持体に配設することができる。換言すれば、プラス接触子および/またはマイナス接触子は、プラス接触子とマイナス接触子の間の距離が変更可能であるように支持体に配設することができる。特に、プラス接触子および/またはマイナス接触子は、レール上をスライド可能に支持体に配設することができる。従って、充電アダプタは、接触子同士の距離および/または接触子の位置同士の距離を変更することができるように形成することができる。こうして、充電アダプタは、様々なタイプの車両バッテリに便利に適合させることができる。
【0014】
充電アダプタは、表示部(特にディスプレイ)を有することができる。さらに、充電アダプタは、車両バッテリの温度に関するデータ、充電電流に関するデータおよび/またはバッテリ電圧に関するデータを取得する構成とされた制御ユニットを有することができる。データは、充電アダプタの一つまたは複数のセンサ(例えば、電流センサ、電圧センサおよび/または温度センサ)を介して提供することができる。さらに、制御ユニットは、取得したデータを表示部により表示する構成とすることができる。こうして、ユーザは、特に信頼できる便利な方法で充電プロセスを監視することができる。
【0015】
充電アダプタは、通信ユニットを有することができ、この通信ユニットは、(充電対象の)車両バッテリに関するデータおよび/または車両バッテリの充電プロセスに関するデータを通信接続を介して、特に、無線通信接続を介して送信する構成とされている。特に、車両バッテリの温度に関するデータ、充電電流に関するデータおよび/またはバッテリ電圧に関するデータを通信接続を介して送信することができる。こうして、充電プロセスの利便性を高めることができる。特に、充電プロセスを遠隔監視することを可能にすることができる。
【0016】
充電アダプタの制御ユニットは、プラス接触子とマイナス接触子の間の設定距離に関する距離情報を取得する構成とすることができる。さらに、制御ユニットは、充電アダプタが取り付けられているか嵌め込まれているかの少なくともいずれかとされた車両バッテリの充電プロセスを距離情報に応じて操作する構成とすることができる。こうして、様々なタイプの車両バッテリのための充電プロセスを、信頼性が高く便利な方法で可能にすることができる。
【0017】
さらに他の態様により、本明細書において述べた充電アダプタを有する(道路)自動車(特に、乗用車または商用車またはバス)を述べる。
【0018】
さらに他の態様により、充電される多数の車両バッテリおよび対応する数の充電アダプタのための載置面を有する充電ラック(Laderegal)を述べる。さらに、充電ラックには、一つ又は複数の誘導型の充電器を配設することができる。
【0019】
本明細書で述べる装置およびシステムは、単独で用いることができるだけでなく、本明細書で述べる他の装置およびシステムとの組み合わせによっても用いることができることに留意されたい。さらに、本書面で述べる装置およびシステムの任意の態様は、多様な仕方で互いに組み合わせることができる。特に、請求項の特徴部は、多様な仕方で互いに組み合わせることができる。
【0020】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1a】充電アダプタを付けた例示的な車両バッテリを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
冒頭で説明したように、本明細書は、車両バッテリの効率的で便利な充電を可能にすることを問題とする。これに関連して、
図1aは、例示的な車両バッテリ100、特に鉛蓄電池および/またはスタータバッテリおよび/または12Vバッテリを示す。バッテリ100は、プラス極101とマイナス極102を有し、それらは通常、バッテリ100のケーシング105の上面に配設されている。電極101,102は、通常、車両の電気系統の導電線に接続される。
【0023】
さらに、
図1aは、支持体115を備えた例示的な充電アダプタ110を示す。支持体115には、バッテリ100のプラス極101に(導電的に)接続される形態とされたプラス接触子111が配設され(特に取り付けられ)ている。さらに、支持体には、バッテリのマイナス極102に(導電的に)接続される形態とされたマイナス接触子112が配設され(特に取り付けられ)ている。特に、充電アダプタ110は、接触子111,112を対応する電極101,102の上に嵌め込むことができ、それにより、充電アダプタ110がバッテリ100上に保持されるように形成されていてもよい。
【0024】
接触子111,112の少なくとも一つは、スライド可能、例えば、レール116に沿ってスライド可能に支持体110に取り付けられていてもよい。こうして、様々な寸法のバッテリ110および/または様々なタイプのバッテリ110に充電アダプタ110を適合させることを可能にすることができる。
【0025】
図1bに示すように、充電アダプタ110は、誘導型のエネルギー伝送用に形成されている充電コイル120を有している。充電コイル120は、充電アダプタ110の支持体115に平たく配設することができる。充電コイル120は、充電磁場に反応して(交流)電流を生じさせる形態とすることができる。誘導電流は、整流器125を通じて車両バッテリ110を充電するための(整流された)充電電流に変換することができる。整流された充電電流は、配線部121,122を介して接触子111,112へと、そして、車両バッテリ110へと導くことができる。
【0026】
従って、充電アダプタ110は、充電コイル120を介して充電器150から電気エネルギーを受け取り、車両バッテリ110を充電するために接触子111,112に引き渡す形態とすることができる。
【0027】
そこで、バッテリ100(鉛蓄電池、リチウムイオン電池等)を充電するための充電アダプタ110を述べるが、この充電アダプタは、例えば、バッテリ100上に載置するための嵌め込み可能な載積体(キャップ)として形成されている。この充電アダプタ110により、充電器150から車両バッテリ100への誘導型のエネルギー伝送が可能になる。
【0028】
充電アダプタ110は、バッテリ製造の終わりにおよび/またはバッテリ100の保管中に(充電器150を電気的に接触させることなく)バッテリ100を充電するために用いることができる。代替的または付加的に、充電アダプタ110は、(例えば、車両販売店における)倉庫でバッテリ100を充電するために用いることができる。このとき、充電アダプタ110は、様々なバッテリ100を充電するために用いることができる。充電アダプタ110は、必要に応じて輸送プロセス中にバッテリ100を充電するためにも使用することができる。
【0029】
充電アダプタ110は、ダイオード結合および/または整流器125を備えた平坦なコイル載積体として形成されていてもよい。この場合、載積体は、バッテリ100の蓋部106の大きさを有することができる。充電アダプタ110は、充電プロセス、特に充電電流を調節するために、充電コントローラ126を有することができる。充電アダプタ110の支持体115は、必要に応じてバッテリ100の蓋部106上に接着することができる可撓性のフィルムとして(例えば、バッテリの種類の識別札として)形成されていてもよい。
【0030】
図1bに示すように、整流器115と接触子111,112の間の導体トラック121,122は、安全装置(ヒューズ)127として形成されていてもよい。こうして、充電プロセス時の短絡を高い信頼性で防止することができる。
【0031】
接触子111,112の距離は、可変または変更可能に形成されていてもよい。こうして、充電アダプタ110は、様々なバッテリの大きさに合わせることができる。接触子111,112の距離はここで、バッテリの大きさの目安を与える。例えば、充電アダプタ110の制御ユニット130は、接触子111,112の設定距離を取得する形態とされていてよい。そうすると、バッテリ100の充電プロセスは、接触子111,112の設定距離に応じて実行することができる。
【0032】
充電アダプタ110は、バッテリ100の蓋部106の全体を覆うのではなく、バッテリ100の電極101,102の周りの領域だけを覆うのに用いるバッテリ電極カバーとして形成されていてもよい。こうして、特にコンパクトな充電アダプタ110を提供することができる。
【0033】
充電アダプタ110は、表示部128を有し、この表示部が、例えば、バッテリ100の温度、充電電流および/またはバッテリ電圧を表示する形態とされている。さらに、充電プロセス(例えば、充電電流、バッテリ電圧および/または温度)に関するデータは、記憶ユニット(不図示)に保存しおよび/または無線データ通信ユニット129を介して伝送することができる。こうして、例えば、充電プロセスの品質を監視しおよび/または検証することができる。
【0034】
複数の車両バッテリ100を充電するために、(電力仕様に応じた一つ又は複数の充電アダプタ110に対してそれぞれ一つの送信コイルを備えた)複数の誘導型エネルギー受け渡し装置150を備えた充電ラックが提供されてもよい。その場合、車両バッテリ100は、充電アダプタ110とともに充電ラックに設置され、必要に応じて充電することができる。
【0035】
本明細書で述べた充電アダプタ110により、車両バッテリ100の効率的で正確な充電を可能にすることができる。こうして、低い充電状態および/または深い放電を避けることができるので、車両バッテリ100の寿命を延ばすことができる。製造、輸送および/または保管時のバッテリ100の取り扱いを簡素化することができる。必要があれば、輸送中の一つ又は複数のバッテリ100の充電(例えば、商用車または列車での環境発電(エネルギーハーベスティング)など)を可能にすることができる。さらに、信頼性が高く効率的なバッテリ100の(特に保管状態における)監視を可能にすることができる。
【0036】
本発明は、示された実施例に限定されない。特に、明細書および図面は、提案した方法、装置およびシステムの原理を例示的に分かり易く示すことだけを意図していることに留意すべきである。
【国際調査報告】