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特表2023-518519マイクロエマルションに基づくワクチン送達システム、その製造方法及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(54)【発明の名称】マイクロエマルションに基づくワクチン送達システム、その製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/107 20060101AFI20230424BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 39/118 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 39/12 20060101ALI20230424BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
A61K9/107
A61K47/02
A61K39/00 H
A61K39/00 J
A61K39/00 Z
A61K39/118
A61K39/12
A61P37/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557987
(86)(22)【出願日】2021-04-12
(85)【翻訳文提出日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 CN2021086642
(87)【国際公開番号】W WO2021208860
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】202010283350.9
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507389842
【氏名又は名称】四川大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 遜
(72)【発明者】
【氏名】陳 正軍
(72)【発明者】
【氏名】▲ゴン▼ 濤
(72)【発明者】
【氏名】張 志榮
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076AA95
4C076CC07
4C076DD01F
4C076DD02F
4C076DD07F
4C076DD12F
4C076DD16F
4C076DD21
4C076DD26
4C076DD30
4C076FF16
4C076FF36
4C076GG41
4C085AA03
4C085BA45
4C085BA46
4C085BA47
4C085BA48
4C085BA51
4C085CC01
4C085CC07
4C085CC08
4C085CC21
4C085EE01
(57)【要約】
マイクロエマルションに基づくワクチン送達システム、その製造方法及び使用を提供する。マイクロエマルションは、一連の金属イオン化合物を吸着させ、製造の過程で抗原を加えることにより、抗原封入を達成し、安定なワクチン製剤を得ることができる。製造されたワクチンは、抗原提示細胞に効率よく取り込まれ、リンパ節に効率よく送達され、抗原特異的免疫反応を誘導することができ、幅広い使用が有望である。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムであって、
前記マイクロエマルションは、水相、油相、乳化剤、金属イオン化合物、及び抗原を含み、
前記金属イオン化合物は、マイクロエマルションの表面に吸着されていると同時に、抗原を封入し、前記マイクロエマルションのpHは4.0~10.0の間であり、
前記マイクロエマルションの油相及び乳化剤は、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、硫酸基、亜硫酸基、フェノール性水酸基、エノール基、ホウ酸基の1種又は複数種を含有し、これらの一部又は全部がイオン化してアニオンを発生させ、
金属イオン化合物は、金属カチオンを含有し、当該金属カチオンは、マイクロエマルションの表面のアニオンと反応してマイクロエマルションの表面に付着する、ことを特徴とするマイクロエマルションに基づくワクチン送達システム。
【請求項2】
各成分の重量部が、油相0.01%~50%、乳化剤0.001%~10%、前記金属イオン化合物0.0001%~1%、前記抗原0.0001%~1%である、ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロエマルションに基づくワクチン送達システム。
【請求項3】
前記金属イオン化合物中の金属イオンが、アルミニウム、鉄、ジルコニウム、カルシウム、マンガン、カドミウム、マグネシウム、セリウム、カドミウム、コバルト、ガリウム又は亜鉛から選択される1種又は複数種であり、前記金属イオン化合物は無機塩又は有機複合体の形態である、ことを特徴とする請求項1~2のいずれか1項に記載のマイクロエマルションに基づくワクチン送達システム。
【請求項4】
前記金属イオン化合物は、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム又は水酸化亜鉛の1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項1~2のいずれか1項に記載のマイクロエマルションに基づくワクチン送達システム。
【請求項5】
前記油相は、化粧品的又は薬学的に許容されるいずれかの油である、ことを特徴とする請求項1~2のいずれか1項に記載のマイクロエマルションに基づくワクチン送達システム。
【請求項6】
前記乳化剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤から選択される1種又は1種以上の組み合わせである、ことを特徴とする請求項1~2のいずれか1項に記載のマイクロエマルションに基づくワクチン送達システム。
【請求項7】
前記マイクロエマルション粒子径が1000nm未満である、ことを特徴とする請求項1~2のいずれか1項に記載のマイクロエマルションに基づくワクチン送達システム。
【請求項8】
前記マイクロエマルション粒子径が300nm未満である、ことを特徴とする請求項1~2のいずれか1項に記載のマイクロエマルションに基づくワクチン送達システム。
【請求項9】
前記マイクロエマルション粒子径が200nm未満である、ことを特徴とする請求項1~2のいずれか1項に記載のマイクロエマルションに基づくワクチン送達システム。
【請求項10】
前記マイクロエマルションは、防腐剤、pH調整剤、緩衝剤、有機溶媒、キレート剤、酸化防止剤、充填剤、着色剤の1種又は複数種を含む添加剤をさらに含有する、ことを特徴とする請求項1~2のいずれか1項に記載のマイクロエマルションに基づくワクチン送達システム。
【請求項11】
前記抗原は、タンパク質、ポリペプチド、核酸、オリゴ糖、多糖、腫瘍細胞溶解物、腫瘍細胞膜小胞抗原、細菌溶解物、細菌細胞膜、マイコプラズマ細胞膜、クラミジア細胞壁、スピロヘータ、リケッチア微小莢膜、ウイルスエンベロープ、エクソソーム、ウイルス溶解液抗原、細菌外膜小胞抗原から選択される1種又は1種以上の組み合わせである、ことを特徴とする請求項1~2のいずれか1項に記載のマイクロエマルションに基づくワクチン送達システム。
【請求項12】
親油性乳化剤を油相に溶解し、親水性乳化剤を水相に溶解し、両者を十分に混合してマイクロエマルションを形成するステップ(1)と、
前記マイクロエマルションにpH緩衝液及び/又は金属イオン化合物のアニオン部分を加えるステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた混合物に、金属イオン化合物のカチオン部分を加えるステップ(3)と、
ステップ(2)又はステップ(3)で得られた混合物に抗原を加えて、均一に混合すると完成するステップ(4)とを含む、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載のマイクロエマルションに基づくワクチン送達システムの製造方法。
【請求項13】
親油性乳化剤を油相に溶解し、親水性乳化剤を水相に溶解し、両者を十分に混合してマイクロエマルションを形成するステップ(1)と、
前記マイクロエマルションに金属イオン化合物のカチオン部分を加えるステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた混合物に、pH緩衝液及び/又は金属イオン化合物のアニオン部分を加えるステップ(3)と、
ステップ(2)又はステップ(3)で得られた混合物に抗原を加えて、均一に混合すると完成するステップ(4)とを含む、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載のマイクロエマルションに基づくワクチン送達システムの製造方法。
【請求項14】
請求項1~11のいずれか1項に記載のマイクロエマルションに基づくワクチン送達システム、又は請求項12~13のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されるワクチン送達システムの、予防的及び/又は治療的免疫薬の製造での適用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロエマルションに基づくワクチン送達システム及びその製造方法に関し、医薬技術の分野に属する。
【0002】
<関連出願の相互参照>
本開示は、2020年4月13日に中国特許庁に提出された、出願番号が202010283350.9、名称が「マイクロエマルションに基づくワクチン送達システム、その製造方法及び使用」である中国特許出願の優先権を主張しており、その全内容は引用によって本開示に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
ワクチン接種は現代医学の最も偉大な発明の一つであり、多くの疾患を予防、根絶するのに有効な手段でもあり、多くの感染性疾患の抑制に用いられている。ワクチン発展の3つの重要な方向には、新規抗原の発見、新規アジュバント技術及び新規ベクタープラットフォームが含まれる。
【0004】
従来の弱毒化生ワクチン及び不活化ワクチンは、本質的に自然アジュバント成分を含むことがあり、その中には、粒子形態のタンパク質、脂質及びオリゴヌクレオチドが含まれることがある。しかし、これらの弱毒化ワクチン及び不活化ワクチン自体のいくつかの制限性、例えば弱毒化された病原微生物が病原性の強い微生物に突然変異したり、不活化ワクチンは製造中に完全に不活化されていなかったりする場合、これらのワクチンが生体に作用すると、生体の発症を直接引き起こす恐れがある。サブユニットワクチンとは、化学分解、組換え発現などの手段により、病原微生物の免疫活性を持つ断片を抽出して製造されたワクチンを指す。不活化ワクチン及び弱毒化生ワクチンに対し、サブユニットワクチンは安全性がより高く、安定性がより良く、量産が可能であるなどの優位性を持ち、現代のワクチンの開発及び使用の主なトレンドとなっている。しかし、サブユニットワクチンにも免疫原性が弱く、保護作用の時間が短く、効果が遅いなどの欠点があり、サブユニットワクチンのこれらの欠点を補うため、サブユニットワクチンにはアジュバントが広く使用されている。ワクチン送達ベクターを使用することにより、免疫応答レベルを向上させ、ワクチン製剤の安定性を向上させることができる。過去10年間、リポソーム、ISCOMS、ポリマー、及び分解可能なナノスフェア、ナノ粒子などのナノサイズ(1000nm未満)の材料は、ワクチン抗原の送達ベクターとして注目されており、このベクターは、ワクチン抗原を安定化し、抗原の分解を回避することができ、それ自体もアジュバント効果があり、体内での抗原の免疫応答レベルを向上させることができる。
【0005】
エマルジョンはヒト及び動物用ワクチンのアジュバントとして長い歴史がある。1935年にアメリカ系ハンガリー人細菌学者Freundが研究したフロイントアジュバント(Freund’s adjuvant)は、鉱物油(パラフィン)とマイコバクテリウムとの組み合わせにアジュバント効果があることを初めて証明し、このアジュバントは「完全フロイントアジュバント」と呼ばれている。一方、細菌を含まない油中水型(w/o)エマルジョン(不完全フロイントアジュバント)は、その後、獣医用ワクチンに使用される。不完全フロイントアジュバントのようなエマルジョンは、インフルエンザワクチンなど、ヒトでも使用されていたが、副作用を起こしやすい。鉱物油の代わりに分解可能な油相スクアレンを用いた水中油型エマルションMF59をアジュバント化したインフルエンザワクチンは1997年にEUで承認され、これまでに30カ国以上で承認されている。現在、米国及び欧州で臨床使用が承認されているエマルジョン型アジュバントには、AS03及びAF03も含まれている。
【0006】
金属イオン化合物類アジュバントは極めて広い用途を有しており、アルミニウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、鉄塩、及びジルコニウム塩が抗原吸着剤としてよく用いられている。アルミニウム塩アジュバントはワクチンで広く使用されているアジュバントであり、硫酸カリウムアルミニウム、リン酸アルミニウム及び水酸化アルミニウムなどを含み、このアジュバントは抗原を滞留させて徐放し、そして局部炎症反応を引き起こし、活性リンパ細胞を吸引し、免疫応答を増強し、また補体系を増強することができ、アルミニウムアジュバントは主に細胞免疫応答ではなく体液免疫応答を引き起こし、フランスでは、リン酸カルシウムアジュバントはすでに白百破、小児麻痺、BCG苗、麻疹、黄熱病、B型肝炎、HIVの糖タンパク質などのワクチンの調製に用いられ、そのアジュバントの作用はアルミアジュバントと似ているかもしれないが、カルシウムは人体の天然構成成分であり、生体はそれに対して非常に高い耐性があり、水酸化鉄アジュバントは生体の体液免疫と細胞免疫反応の両方を増強することができ、そのため、将来、ワクチンの免疫アジュバントとして有望であり、水酸化亜鉛コロイド単独又はATPとの併用は狂犬病ウイルス抗原に対する免疫応答をある程度増強でき、また、亜鉛元素の毒性や副作用が極めて低いので、その開発や応用も極めて期待できる。
【0007】
ここでは、金属イオン化合物をマイクロエマルションの表面に吸着させたものは、比表面積を大幅に増加させ、表面反応性が高く、活性中心が多く、吸着能が高いなどの特性を持ち、同じ金属イオン化合物の含有量であれば、より多くの抗原を吸着させることができ、これにより、ワクチン送達用のナノレベルの粒子が製造される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的の1つは、金属イオン化合物、抗原及びマイクロエマルションから形成され、金属イオン化合物がマイクロエマルションに吸着されたワクチン送達システムを提供することである。本発明は、高圧均質化、超音波、高速撹拌などの方法でマイクロエマルションを製造し、エマルジョン表面に金属イオン化合物を吸着させ、さらに異なる抗原成分を加えてワクチンを製造する。本発明により製造されたワクチンは、抗原をリンパ節に輸送し、抗原提示細胞に効率よく取り込まれ、抗原特異的免疫反応を誘導することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、pH値が4.0~10.0である条件下で、エマルジョン中の油相及び乳化剤中に含まれるカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、硫酸基、亜硫酸基、フェノール性水酸基、エノール基などの基の一部又は全部がイオン化してアニオンを発生させ、金属カチオンがマイクロエマルションの表面のアニオンと反応してマイクロエマルションの表面に付着し、金属カチオンがさらに金属イオン化合物のアニオン部分を吸着させることにより、金属イオン化合物が吸着されたマイクロエマルションを製造する。これにより、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、水酸化鉄、リン酸カルシウムなどの異なる種類の金属イオン化合物をマイクロエマルションの表面に吸着させることができる。金属イオン化合物が吸着されたマイクロエマルションは本来のマイクロエマルションの安定性に影響を与えず、分散性が良く、取り扱い易く、臨床での使用が容易である。
【0010】
「マイクロエマルション」という用語は、分散体と、液滴と、水不溶性油相が水相と混合されたときに、疎水性により非極性残基(すなわち、長い炭化水素鎖)が水から離れて、極性頭部基が水に向かうことによって形成される他の脂質構造とを含む。これらの脂質構造は、単層、オリゴ層及び多層脂質小胞、ミセル、及び層状構造を含むが、これらに限定されない。
【0011】
「金属イオン化合物」という用語は、当業者の一般的な理解では、金属のカチオンとアニオンからなる化合物を指す。本発明に記載の金属イオンは、アルミニウム、鉄、ジルコニウム、カルシウム、マンガン、カドミウム、マグネシウム、セリウム、カドミウム、コバルト、ガリウム又は亜鉛から選択される1種又は複数種であり、前記金属イオン化合物は無機塩又は有機複合体の形態であり、好ましくは、前記金属イオン化合物は、金属イオンの水酸化物又はリン酸化物であり、特に好ましくは、前記金属イオン化合物は水酸化アルミニウム、水酸化鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、又は水酸化亜鉛の1種又は複数種である。
【0012】
「界面活性剤」という用語は、極性頭部基(エネルギー的に水溶媒和の傾向がある)と疎水性尾部(水溶媒和の程度が悪い)の両方を持つ分子を指す。「カチオン性界面活性剤」という用語は、カチオン性頭部基を有する界面活性剤を指す。「アニオン性界面活性剤」という用語は、アニオン性頭部基を有する界面活性剤を指す。「ノニオン性界面活性剤」という用語は、帯電していない頭部基を有する界面活性剤を指す。「両性イオン界面活性剤」とは、カチオン基とアニオン基の両方を有する界面活性剤を指す。
【0013】
「薬学的に許容される」という用語は、宿主(例えば、動物又はヒト)に投与した場合に、実質的に好ましくないアレルギー反応又は免疫反応を起こさない成分を指す。このような製剤は、薬学的に許容される任意の剤形を含む。このような薬学的に許容される剤形の例には、浸漬、噴霧、外用、注射、及び凍結乾燥剤形が含まれるが、これらに限定されない。
【0014】
前記マイクロエマルションにおいて、前記水相は、水(例えば、水、蒸留水、精製水、注射用水、脱イオン水、水道水)及び溶液(例えば、HEPES溶液)を含むがこれに限定されない任意のタイプの水相を含んでもよく、水相は、さらに無菌化され、熱原性を有しないようにしてもよい。好ましくは、前記水相は注射用水である。
【0015】
前記マイクロエマルションにおいて、前記油相は、化粧品的又は薬学的に許容される任意の油であってもよく、好ましくは、前記油相は、動物油、植物油、天然油、合成油、炭化水素油、シリコーンオイル、それらの半合成誘導体及びそれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0016】
より好ましくは、前記マイクロエマルションに適用できる油としては、鉱物油、スクアレン油、C6~C30脂肪、その芳香酸及びアルコール類、大豆油、中鎖トリグリセリド、エッセンシャルオイル、シリコーンオイル、精油、水不溶性ビタミン、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸セチル、ベヘン酸トリデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、フタル酸メンチル、カプリル酸セチル、サリチル酸オクチル、ミリスチン酸イソプロピル、ネオペンチルグリコール二酢酸セチルアルコール、Ceraphyls(登録商標)、オレイン酸デシル、アジピン酸ジイソプロピル、乳酸C12~15アルキル、乳酸セチル、乳酸ラウリル、ピバリン酸イソステアリル、ミリスチン酸エステル、ステアリン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、炭化水素油、イソプレン、流動パラフィン、イソドデカン、ワセリン、アルガンオイル、菜種油、チリ(Chile)油、ヤシ油、コーン油、綿実油、亜麻仁油、ブドウ種子油、マスタード油、オリーブオイル、パーム油、パーム仁油、落花生油、松実油、ケシ油、カボチャ種子油、米ぬか油、ベニバナ油、ティーオイル、トリュフオイル、植物油、アーモンドオイル、ホホバオイル(simmondsia chinensis種子油)、グレープオイル、マカダミアナッツオイル、小麦胚芽油、アーモンドオイル、キャノーラ油、ペポカボチャオイル、大豆油、ごま油、ヘーゼルナッツ油、コーンオイル、ひまわりオイル、大麻油、ボア(Bois)油、ビターアーモンド核油、アボカド油、クルミ油、魚油、ベリー油、ピメンタリーフオイル、ジュニパーベリーオイル、シードオイル、アーモンドシードオイル、アニスシード油、セロリ種子油、クミンシード油、ナツメグ種子油、リーフオイル、バジルリーフオイル、ベイ油、桂皮葉油、セージ葉油、ユーカリ葉油、レモングラスオイル、カユプテ葉油、オレガノ葉油、パチョリ葉油、ペパーミント葉オイル、松葉油、ローズマリー葉油、スペアミント葉油、茶葉油、タイムオイル、ヒメコウジ葉油、フラワーオイル、カモミールオイル、セージオイル、クローブ油、ゼラニウム花油、ヒソップ花油、ジャスミン花油、ラベンダー花油、マヌカ花油、マーホラム(Marhoram)花油、オレンジ花油、バラ花油、イランイラン花油、樹皮油、桂皮油、シナモン樹皮油、サッサフラス樹皮油、木油、クスノキ木油、セダーウッド木油、シタン木油、ビャクダン木油、根茎(ショウガ)木油、樹脂油、オリバナム油、ミルラ油、果皮油、ベルガモット果皮油、グレープフルーツ果皮油、レモン果皮油、ライム果皮油、オレンジ果皮油、オレンジ果皮油、根茎油、吉草油、オレイン酸、リノール酸、イソステアリルアルコール、メチルフェニルポリシロキサン、シメチコン、ジメチルシロキサン、フェニルトリメチルシロキサン(又はその有機変性物)、ポリシロキサンのアルキル化誘導体、セチルジメチルシロキサン、ドデシルトリメチルシロキサン、ポリシロキサンのヒドロキシル化誘導体、揮発性シリコーンオイル、環状・線状シリコーンオイル、シクロメチルシリコーンオイル、シクロメチルシリコーンオイル、ヘキサメチルシクロトリシリコーンオイル、オクタメチルシクロテトラシリコーンオイル、デカメチルシクロペンタンシリコーンオイル、揮発性線状ジメチルシリコーンオイル、イソセタン、イソエイコサン、イソ四酢酸、ポリイソブチレン、イソオクタン、イソドデカン、テルペン、モノテルペン、セスキテルペン、カーマイン、アズレン、メントール、カンフル、重楼、チモール、ネロール、リナロール、リモネン、ゲラニオール、ペリリルアルコール、ネロール、ファルネオール、イランゲン、ビサボロール、ファルネセン、アスカリドール、ケノポジ油、シトロネラール、シトラール、シトロネロール、カマズレン、セイヨウノコギリソウ、グアイエン、カモミール、それらの半合成誘導体又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0017】
特に好ましくは、前記油相はスクアレン、大豆油、中鎖トリグリセリド、オレイン酸の1種又は1種以上の組み合わせである。
【0018】
本発明のマイクロエマルションに基づくワクチン送達システムにおける界面活性剤は、薬学的に許容されるイオン界面活性剤、薬学的に許容されるノニオン界面活性剤、薬学的に許容されるカチオン界面活性剤、薬学的に許容されるアニオン界面活性剤、又は薬学的に許容される両性界面活性剤であってもよい。界面活性剤の例示的な使用については、『Applied Surfactants: Principles and Applications』を参照すればよい。(Tharwat F. Tadros, Copyright 8 2005 WILEY-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA, Weinheim ISBN: 3-527-30629-3)は特に引用により組み込まれている。
【0019】
また、界面活性剤は、薬学的に許容されるイオン重合性界面活性剤、薬学的に許容されるノニオン重合性界面活性剤、薬学的に許容されるカチオン重合性界面活性剤、薬学的に許容されるアニオン重合性界面活性剤、又は薬学的に許容される両性イオン重合性界面活性剤であってもよい。重合性界面活性剤の例としては、複数(少なくとも1つ)のポリエチレングリコール(PEO)側鎖を有するポリ(メチルメタクリレート)主鎖のグラフト共重合体、ポリヒドロキシステアリン酸、アルコキシ化アルキルフェノールホルムアルデヒド縮合物、脂肪酸を有するポリアルキレンエチレングリコール変性ポリエステル、ポリエステル、それらの半合成誘導体、又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
界面活性成分又は界面活性剤は、非極性疎水性部分(通常直鎖又は分岐鎖炭化水素化合物又は8~18個の炭素原子を含むフルオロカーボン鎖)からなる両親媒性分子であり、極性又はイオン性の親水性部分に付着した。親水性部分は、ノニオン性、イオン性又は両性イオン性であってもよい。水環境では、炭化水素鎖と水分子との相互作用は弱く、極性又はイオンの頭部基は双極子又はイオン双極子相互作用により水分子との相互作用が強い。界面活性剤は、親水基の性質により、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、重合体界面活性剤に分けられる。
【0021】
好ましくは、前記マイクロエマルション中の好適な界面活性剤としては、エトキシ化ノニルフェノール、エトキシ化ウンデカノール、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル類(スパン類)、エトキシル化硬化ヒマシ油、ラウリル硫酸ナトリウム、エトキシ・プロポキシジブロック共重合体、エチレンオキシド-プロピレンオキシドブロック共重合体、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドに基づく4官能ブロック共重合体、モノグリセリド、カプロン酸グリセリド、カプリル酸グリセリド、コカ酸グリセリル、エルカ酸グリセリド、ヒドロキシエステルグリセリド、イソステアリン酸グリセリド、バニリン酸グリセリド、ラウリン酸グリセリド、リノール酸グリセリド、ミリスチン酸グリセリド、オレイン酸グリセリド、PABAグリセリド、パルミチン酸グリセリド、リシノール酸グリセリド、ステアリン酸グリセリド、チオグリコール酸グリセリド、ジラウリン酸グリセリド、ジオレイン酸グリセリド、ミリスチン酸グリセリド、グリセリンテトラオレイン酸エステル、ステアリン酸グリセリド、グリセリルステアリン酸エステル、ジラウリン酸ジグリセリド、ジオレイン酸ジグリセリド、ジアシルグリセロール、グリセリン酸ジグリセリド、テトラオレイン酸グリセリド、ステアリン酸グリセリド、ポリオキシエチレン脂肪エーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチシン、ステロイド、コレステロール、β-ステロール、ビスフェノールアルコール、アルコール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、脂肪酸イソプロピル、n-酪酸イソプロピル、ヘキサン酸イソプロピル、n-カプリン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクチルドデシルミリスチン酸エステル、アルコキシル化アルコール、アルコキシル化酸、アルコキシ化アミド、アルコキシ化糖誘導体、天然油及びワックスのアルコキシル化誘導体、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ノニルオキシアルコール-14、PEG-8ラウリン酸エステル、PEG-6コカミド、PEG-20メチルグルコースセスキラクトビオン酸エステル、PEG-40ラノリン、PEG-40ヒマシ油、PEG-40硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪エーテル、ジグリセリド、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチシン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ジラウリン酸グリセリド、ジステアリン酸グリセリド、ラウリン酸グリセリド、ミリスチン酸グリセリド、ジラウリン酸グリセリド、それらの半合成誘導体及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0022】
その中で、前記ノニオン性界面活性剤は、ポロキサマー、ポリエチレングリコールコレステロール、ポリエチレングリコールポリ乳酸(PEG-PLA)、ポリエチレングリコールポリヒドロキシ酢酸(PEG-PLG)、ポリエチレングリコールポリ乳酸-ヒドロキシ酢酸共重合体(PEG-PLGA)、ポリエチレングリコールビタミンEコハク酸エステル(TPGS)、ポリエチレングリコール660-12-ヒドロキシステアリン酸エステル(HS-15)、ポリオキシエチレン-8-カプリル酸/カプリン酸グリセリド(Labrasol)、ポリエチレングリコール-ジステアロイルエタノールアミン(DSPE-PEG)、エチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol)、エトキシル化界面活性剤、エトキシル化アルコール、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化モノアルコールアミド、エトキシル化ソルビトールエステル、エトキシル化脂肪族アミン、エチレンオキシド-プロピレンオキシド共重合体、ビス(ポリエチレングリコールビス[イミダゾリルカルボニル])、ノニルオキシアルコール-9、ビス(ポリエチレングリコールビス[イミダゾリルカルボニル])、Brij(登録商標)35、Brij(登録商標)56、Brij(登録商標)72、Brij(登録商標)76、Brij(登録商標)92V、Brij(登録商標)97、Brij(登録商標)58P、Cremophor(登録商標)EL、デカンジオールモノドデシルエーテル、N-デカノイル-N-メチルグルコサミン、N-デカノイル-α-D-ピラノシド、デシルβ-D-マルトピラノシド、N-ドデシル-N-メチルグルコサミド、N-ドデシルα-D-マルトシド、n-ドデシルβ-D-マルトシド、ヘプタエチレングリコールモノデシルエーテル、ヘプタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ヘプタエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、n-セチルβ-D-マルトシド、ヘキサエチレングリコールモノデシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノステアリルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノステアリルエーテルモノテトラデシルエーテル、Igepal CA-630、Igepal CA-630、メチル-6-O-(N-ヘプチルアミノ)-α-D-グルコピラノシド、非エチレングリコールモノドデシルエーテル、N-ノナノイル-N-メチルグルコサミン、N-ノナノイル-N-メチルグルコサミン、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、オクチルエチレングリコールモノオクタデシルエーテル、オクチルエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、オクチルβ-D-ピラノシド、ペンタエチレングリコールモノデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノセチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノオクタデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノオクチルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリコールエーテルW-1、ポリオキシエチレン10トリデシルエーテル、ポリオキシエチレン100ステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン20イソセチルエーテル、ポリオキシエチレン20オレイン酸エーテル、ポリオキシエチレン40ステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン50ステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン8ステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンビス(イミダゾリルカルボニル)、ポリオキシエチレン25-プロパンジオールステアリン酸エステル、キラヤ樹皮からのサポニン、Span(登録商標)20、Span(登録商標)40、Span(登録商標)60、Span(登録商標)65、Span(登録商標)80、Span(登録商標)85、15-S-12型Tergitol、15-S-30型Tergitol、15-S-5型Tergitol、15-S-7型Tergitol、15-S-9型Tergitol、NP-10型Tergitol、NP-4型Tergitol、NP-40型Tergitol、NP-7型Tergitol、NP-9型Tergitol、TMN-10型Tergitol、TMN-6型Tergitol、テトラデシルβ-D-マルトシド、テトラエチレングリコールモノデシルエーテル、テトラエチレングリコールモノドデシルエーテル、テトラエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、トリエチレングリコールモノデシルエーテル、トリエチレングリコールモノドデシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、トリエチレングリコールモノオクチルエーテル、トリエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、Triton CF-21、Triton CF-32、Triton DF-12、Triton DF-16、Triton GR-5M、Triton QS-15、Triton QS-44、Triton X-100、Triton X-102、Triton X-15、Triton X-151、Triton X-200、Triton X-207、Triton(登録商標)X-100、Triton(登録商標)X-114、Triton(登録商標)X-165、Triton(登録商標)X-305、Triton(登録商標)X-405、Triton(登録商標)X-45、Triton(登録商標)X-705-70、TWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)21、TWEEN(登録商標)40、TWEEN(登録商標)60、TWEEN(登録商標)61、TWEEN(登録商標)65、TWEEN(登録商標)80、TWEEN(登録商標)81、TWEEN(登録商標)85、Tyloxapol、n-ウンデシルβ-D-ピラノシド、それらの半合成誘導体又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0023】
前記カチオン界面活性剤は、4級アンモニウム化合物、塩化アルキルトリメチルアンモニウム化合物、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム化合物、カチオン性ハロゲン含有化合物、例えば塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンジルジメチルセチルアンモニウム、塩化ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム、臭化ベンジルドデシルジメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウムテトラクロロヨーデート、臭化ジメチルオクタデシルアンモニウム、臭化ドデシルジメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化セチルジメチルアンモニウム、ギラード試薬T、臭化セチルトリメチルアンモニウム、N,N’,N’-ポリオキシエチレン(10)-N-タロウ-1,3-ジアミノプロパン、臭化トンゾニウム、臭化トリメチル(テトラデシル)アンモニウム、1,3,5-トリアジン-1,3,5(2H,4H,6H)-トリエタノールアミン、1-デカナミニウム、N-デシル-N,N-ジメチル-クロライド、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化2-(2-(p-(ジイソブチル)メトキシ)エトキシ)エチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化2-(2-(p-(ジイソブチル)フェノキシ)エトキシ)エチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化アルキル1又は3ベンジル-1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン、塩化アルキルビス(2-ヒドロキシエチル)ベンジルアンモニウム、塩化アルキルデメチルベンジルアンモニウム、塩化アルキルジメチル3,4-ジクロロベンジルアンモニウム(100%C12)、塩化アルキルジメチル3,4-ジクロロベンジルアンモニウム(50%C14、40%C12、10%C16)、塩化アルキルジメチル3,4-ジクロロベンジルアンモニウム(55%C14、23%C12、20%C16)、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(100%C14)、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(100%C16)、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(41%C14、28%C12)、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(47%C12、18%C14)、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(55%C16、20%C14)、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(58%C14、28%C16)、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(60%C14、25%C12)、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(61%C11、23%C14)、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(61%C12、23%C14)、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(65%C12、25%C14)、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(67%C12、24%C14)、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(67%C12、25%C14)、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(90%C14、5%C12)、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(93%C14、4%C12)、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(95%C16、5%C18)、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化アルキルジデシルジメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(C12~16)、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(C12~18)、塩化ジアルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、臭化アルキルジメチルエチルアンモニウム(90%C14、5%C16、5%C12)、臭化アルキルジメチルエチルアンモニウム(大豆脂肪酸中の混合アルキルとアルケニル油)、塩化アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウム、塩化アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウム(60%C14)、塩化アルキルジメチルイソプロピルベンジルアンモニウム(50%C12、30%C14、17%C16、3%C18)、塩化アルキルトリメチルアンモニウム(58%C18、40%C16、1%C14、1%C12)、塩化アルキルトリメチルアンモニウム(90%C18、10%C16)、塩化アルキルジメチル(エチルベンジル)アンモニウム(C12~18)、塩化ジ-(C8~10)-アルキルジメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ジアルキルメチルベンジルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ジイソデシルジメチルアンモニウム、塩化ジイソオクチルジメチルアンモニウム、塩化水素ドデシルビス(2-ヒドロキシエチル)オクチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ドデシルカルバミルメチルジエチルベンジルアンモニウム、ヘプタアルキルヒドロキシエチルイミダゾリン塩化物、塩化ヘキサヒドロ-1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)-s-トリアジン、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)-s-トリアジン、塩化ミリスチルアンモニウム(及び)第4級アンモニウム塩14、塩化N,N-ジメチル-2-ヒドロキシプロピルアンモニウム重合体、塩化N-テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム一水和物、塩化オクチルデシルジメチルアンモニウム、塩化オクチルドデシルジメチルアンモニウム、塩化オクチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウム、オキシジエチルビス(アルキルジメチルアンモニウムクロライド)第4級アンモニウム化合物、ジクロロアルキルジメチル塩化物、塩化トリメトキシシリルプロピルジメチルオクタデシルアンモニウム、トリメトキシシリル第4級アンモニウム塩、塩化トリメトキシドデシルベンジルアンモニウム、それらの半合成誘導体及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0024】
好適なアニオン界面活性剤は、カルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスファチジン酸、ケノデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸ナトリウム塩、コール酸、ウシ又はヒツジの胆汁、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、デオキシコール酸メチル、ジゴキシン、N,N-ジメチルドデシルアミンN-オキシド、ラウリン酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、グリココール酸水和物、グリココール酸一水和物、硫酸3-グリココール酸二ナトリウム塩、グリココール酸エチル、N-ラウロイルサルコシンナトリウム、N-ラウロイルサルコシン溶液、N-ラウロイルサルコシン溶液、ドデシル硫酸リチウム、Lμgol溶液、4型Niaproof、1-オクタンスルホン酸ナトリウム、1-ブタンスルホン酸ナトリウム、1-デカンスルホン酸ナトリウム、1-デカンスルホン酸ナトリウム、1-ドデカンスルホン酸ナトリウム、1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム無水物、1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム無水物、1-ノナンスルホン酸ナトリウム、1-プロパンスルホン酸ナトリウム、2-ブロモエタンスルホン酸ナトリウム、コール酸ナトリウム水和物、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ヘキサンスルホン酸ナトリウム無水物、オクチル硫酸ナトリウム、ペンタンスルホン酸ナトリウム無水物、タウロコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム水和物、タウロコール酸3-硫酸塩二ナトリウム塩、Trizma(登録商標)ラウリル硫酸塩、ウルソデオキシコール酸、C6-C30脂肪及びそれらの芳香酸の塩、それらの半合成誘導体及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0025】
前記両性界面活性剤は、N-アルキルベタイン、ドデシルアミノプロピルジメチルベタイン、アルキルジメチルグリシン塩、N-アルキルアミノプロピオン酸塩、CHAPS、CHAPSO、3-(デシルジメチルアミノ)プロパンスルホン酸塩分子内塩、3-(ドデシルジメチルアミノ)プロパンスルホン酸塩分子内塩、3-(N,N-ジメチルミリスチルアミン)プロパンスルホン酸塩、3-(N,N-ジメチルオクタデシルアミノ)プロパンスルホン酸塩、3-(N,N-ジメチルオクチルアミノ)プロパンスルホン酸塩分子内塩、3-(N,N-ジメチルパルミチルアミノ)プロパンスルホン酸塩、大豆レシチン、卵黄レシチン、ホスファチジルグリセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、それらの半合成誘導体及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。より好ましくは、前記乳化剤はトウェイン80、ポリエチレングリコール-ジステアロイルエタノールアミン(DSPE-PEG)、卵黄レシチン、スパン85の1種又は1種以上の組み合わせである。
【0026】
本発明の目的の1つは、マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムを提供することであり、前記マイクロエマルションの油相及び乳化剤中にカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、硫酸基、亜硫酸基、フェノール性水酸基、エノール基、ホウ酸基の1種又は1種以上の組み合わせが含まれ、上記油相及び乳化剤は、C6~C30脂肪及びそれらの芳香酸、オレイン酸、リノール酸、イソ四酢酸、チモール、ビスフェノールアルコール、ポリエチレングリコール-ジステアロイルエタノールアミン(DSPE-PEG)、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤を含むが、これらに限定されないことを特徴とする。
【0027】
本発明の目的の1つは、マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムを提供することであり、前記マイクロエマルション粒子径が1000nm未満、好ましくは300nm未満、特に好ましくは200nm未満である、ことを特徴とする。
【0028】
本発明の目的の1つは、マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムを提供することであり、前記マイクロエマルションのpH値が4.0~10.0の間、好ましくはpH値が5.0~9.0の間、特に好ましくはpH値が6.0~8.0の間である、ことを特徴とする。
【0029】
本発明のマイクロエマルションワクチンに使用するのに適した添加剤は、1種又は複数種の溶媒、例えば薬学的に許容される防腐剤、pH調整剤、緩衝剤、有機溶媒、キレート剤、酸化防止剤、充填剤、着色剤、賦形剤などを含むが、これらに限定されるものではなく、前記添加剤は、予め乳化されたマイクロエマルションにブレンドされるか、又は前記追加化合物は、前記元の混合物に添加されて乳化されてもよい。
【0030】
本発明の目的の1つは、マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムを提供することであり、前記防腐剤は、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロロヘキシジン、イミダゾリル尿素、フェノール、ソルビン酸カリウム、安息香酸、クレゾール、クロロクレゾール、p-安息香酸エステル、フェノキシエタノール、ソルビン酸、α-トコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビン酸エステル、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、アスコルビン酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、クエン酸、エデト酸、それらの半合成誘導体、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されないことを特徴とする。前記防腐剤は、ベンジルアルコール、クロロヘキシジン(ビス(p-クロロフェニルジグアニジル)ヘキサン)、クロルフェニラミン(3-(-4-クロロオキシ)-プロパン-1,2-ジオール)、ケーソンCG(メチル及びメチルクロロイソチアゾロン)、パラベン(安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル)、フェノキシエタノール(2-フェノキシエタノール)、Phenonip(フェノキシエタノール、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、p-ヒドロキシ安息香酸ブチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル)、Phenoroc、 Liquipar Oil、 Liquipar PE、 Nipaguard MPA、パラベンポリスルホン酸メチル(プロピレングリコール、ヒドロキシ安息香酸メチル及びヒドロキシ安息香酸プロピル)、パラベンペプチド(ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸エチル及びヒドロキシ安息香酸プロピル)、パラベンエステル(ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸ブチル、ヒドロキシ安息香酸エチル及びヒドロキシ安息香酸プロピル)、Elestab 388及びKillitolの1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。
【0031】
本発明の目的の1つは、マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムを提供することであり、前記pH調整剤は、HEPES、ジエタノールアミン、乳酸、モノエタノールアミン、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、それらの半合成誘導体、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、ことを特徴とする。さらに、前記マイクロエマルションは、キレート剤を含んでいてもよく、前記キレート剤の例としては、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、フィチン酸、ポリリン酸、クエン酸、グルコン酸、酢酸、乳酸、及びジメルカプトプロパノールの1種又は複数種が含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
本発明の目的の1つは、マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムを提供することであり、前記緩衝剤は、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、L-(+)-酒石酸、ACES、ADA、酢酸、酢酸アンモニウム溶液、炭酸水素アンモニウム溶液、クエン酸二アンモニウム溶液、ギ酸アンモニウム溶液、シュウ酸アンモニウム一水和物、リン酸二アンモニウム溶液、リン酸一アンモニウム溶液、リン酸二ナトリウム四水和物溶液、硫酸アンモニウム溶液、酒石酸アンモニウム二塩基酸塩溶液、BES緩衝塩水溶液、BICINE緩衝液、BIS-TRIS、重炭酸ナトリウム緩衝液、ホウ酸、CAPS、CHES、酢酸カルシウム水和物、クエン酸塩の濃溶液、クエン酸、ジエタノールアミン、EPPS、ギ酸水溶液、グリシン-グリシン-グリシン、グリシン-グリシン、グリシン、HEPES緩衝塩水、イミダゾール緩衝液、リポタンパク質リフォールディング緩衝液、酢酸リチウム二水和物、クエン酸リチウム三塩基四水和物、MES溶液、MOPS、酢酸マグネシウム溶液、クエン酸マグネシウム三塩基非水和物、ギ酸マグネシウム溶液、リン酸マグネシウム二塩基三水和物、シュウ酸二水和物、PIPES、リン酸塩緩衝塩、ペルオキシダーゼ結合体洗浄緩衝液、ピペラジン、D-酒石酸カリウム、酢酸カリウム溶液、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム一塩基酸塩、クエン酸カリウム三塩基酸塩溶液、ギ酸カリウム溶液、シュウ酸カリウム一水和物、リン酸二水素カリウム、フタル酸カリウム、酒石酸カリウムナトリウム溶液、酒石酸カリウムナトリウム四水和物、四ホウ酸カリウム四水和物、四シュウ酸カリウム二水和物、プロピオン酸溶液、STE緩衝液、5,5-ジエチルバルビタールナトリウム、酢酸ナトリウム溶液、重炭酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム一水和物、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム溶液、ギ酸ナトリウム溶液、シュウ酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム溶液、リン酸二水素ナトリウム溶液、リン酸ナトリウム溶液、ピロリン酸ナトリウム二元溶液、ピロリン酸ナトリウム四元十水合物溶液、酒石酸ナトリウム二元溶液、四ホウ酸ナトリウム十水和物、TAPS、TES、TM緩衝液、TNT緩衝液、トリグリシン緩衝液、三酢酸ジエチルEDTA緩衝液、トリグリシンドデシル硫酸ナトリウム緩衝液、三リン酸エチレンジアミン四酢酸緩衝液、トリアジン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、酢酸トリエチルアミン緩衝液、リン酸トリエチルアンモニウム溶液、酢酸トリメチルアンモニウム溶液、リン酸トリメチルアンモニウム溶液、Tris-EDTA緩衝液、Trizma(登録商標)酢酸塩、Trizma(登録商標)塩基が含まれるが、これらに限定されない、ことを特徴とする。
【0033】
本発明の目的の1つは、マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムを提供することであり、前記有機溶媒は、C1~C12アルコール、ジオール、トリオール、リン酸ジアルキル、リン酸トリアルキル(例えば、リン酸トリn-ブチル)、エタノール、メタノール、イソプロパノール、グリセリン、中鎖トリグリセリド、エチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸、n-ブタノール、ブタンジオール、香料アルコール、イソプロパノール、n-プロパノール、ギ酸、プロピレングリコール、ソルビトール、工業用メチル化酒類、トリアセチン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ギ酸、それらの半合成誘導体、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、ことを特徴とする。
【0034】
本発明の目的の1つは、マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムを提供することであり、マイクロエマルションは添加剤をさらに含み、前記添加剤は、酸化防止剤(例えば、ビタミンC、ビタミンEなど)、矯味剤(例えば、グルコース、キシリトールなど)、浸透圧調整剤(例えば、グリセリンなど)、増粘剤(例えば、カラギーナン、ペクチンなど)、充填剤(例えば、澱粉など)、着色剤(レモンイエロー、サンセットイエローなど)、賦形剤(アラビアガム、シロップなど)などを含むがこれらに限定されない、ことを特徴とする。
本発明の目的の1つは、マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムを提供することであり、マイクロエマルションが金属イオン化合物を吸着させ、さらに表面吸着又は疎水性相互作用などにより抗原とワクチンを直接形成する、ことを特徴とする。
【0035】
本発明の目的の1つは、マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムを提供することであり、前記抗原は、タンパク質、ポリペプチド、核酸、オリゴ糖、多糖類、腫瘍細胞分解物、細菌分解物、細菌細胞膜、マイコプラズマ細胞膜、クラミジア細胞壁、スピロヘータ、リケッチア微莢膜、ウイルスエンベロープ、エクソソーム、ウイルス又は細菌分解液抗原、ウイルス又は細菌外膜小胞抗原、腫瘍細胞膜小胞抗原、腫瘍細胞エクソソーム抗原、モデル抗原であるオボアルブミン(OVA)などの1種又は1種以上の組み合わせを含むが、これらに限定されない、ことを特徴とする。
【0036】
好ましくは、前記抗原は、モデル抗原であるオボアルブミン(OVA)、メラノーマ抗原ペプチドGP100(ITDQVPFSV)の1種又は1種以上の組み合わせである。
【0037】
本発明の目的の1つは、マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムを提供することであり、金属イオン化合物が吸着されたマイクロエマルション自体がアジュバント作用を有し、さらに異なるアジュバントを加えて併用することにより、免疫反応をさらに向上させることができ、前記追加のアジュバントには、抗原関連分子パターン類アジュバントと、例えばペプチドグリカン、リポテイコ酸、MPLA、イミキモド、レシキモド、CpG-ODN、細菌鞭毛タンパク質、Poly I:CのようなToll様受容体アゴニストと、と、例えば3pRNA、短二本鎖RNAのようなRIG-I様受容体アゴニストと、例えばムラミルジペプチド(MDP)、N-アセチル-D-(+)-グルコサミンのようなNOD様受容体アゴニスト、例えばβ-グルカン、トレハロース二ホウ酸塩のようなC-型レクチン受容体と、例えばcGAMPのようなSTINGアゴニストと、例えばコレラ毒素(CT)、大腸菌非耐熱性エンテロトキシン(LT)、コレラ毒素Bサブユニットのような細菌毒素及びその誘導体と、例えばQS21、トマチン、Quil-Aのようなサポニン類と、例えばGM-CSF、IL-2、IL-12、IL-6、IFN-γ、Flt-3、リンパ球ケモカインのようなサイトカインと、例えば熱ショックタンパク質、A151、GTP-GDP、フッ化ナトリウム、アルキルポリアクリレート多量体、ジメチルビスオクタデシル第4級アンモニウムブロマイド(DDA)のようなその他のアジュバントとの1種又は1種以上の組み合わせを含むが、これらに限定されない、ことを特徴とする。好ましくは、前記追加のアジュバントは、CpG 1826、A151の1種又は1種以上の組み合わせである。
【0038】
本発明の1つの目的は、マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムを提供することであり、前記マイクロエマルションは、重量部で、適量の水相、油相0.01%~50%、乳化剤0.001%~10%、金属イオン化合物0.0001%~1%、抗原1%~0.0001%を成分として含む、ことを特徴とする。
【0039】
好ましくは、前記マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムにおいては、前記マイクロエマルションは、重量部で、適量の水相、油相0.1%~5%、乳化剤0.01%~2%、金属イオン化合物0.001%~1%、重量部で抗原0.1%~0.0001%を成分として含むことを特徴とする。
【0040】
好ましくは、前記マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムは、前記マイクロエマルションは、重量部で、適量の注射用水、スクアレン0.1%~5%、トウェイン80 0.01%~2%、スパン85 0.01%~2%、DSPE-PEG 0.01%~2%、水酸化アルミニウム0.01%~1%、モデル抗原であるオボアルブミンOVA 0.1%~0.001%を成分として含むことを特徴とする。
【0041】
好ましくは、前記マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムは、前記マイクロエマルションは、重量部で、適量の注射用水、大豆油0.1%~5%、中鎖トリグリセリド0.1%~5%、卵黄レシチン0.01%~2%、DSPE-PEG 0.01%~2%、水酸化鉄0.1%~0.001%、メラノーマ抗原ペプチドGP100 0.01%~0.0001%を成分として含むことを特徴とする。
【0042】
より好ましくは、前記マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムは、前記マイクロエマルションは、重量部で、適量の注射用水、スクアレン0.1%~2%、トウェイン80 0.1%~2%、サイクリン85 0.1%~2%、DSPE-PEG 0.1%~2%、水酸化アルミニウム0.01%~0.1%、モデル抗原であるオボアルブミンOVA 0.1%~0.01%を成分として含むことを特徴とする。
【0043】
より好ましくは、前記マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムは、前記マイクロエマルションは、重量部で、適量の注射用水、大豆油0.1%~2%、中鎖トリグリセリド0.1%~2%、卵黄レシチン0.1%~2%、DSPE-PEG 0.1%~2%、水酸化鉄0.01%~0.001%、メラノーマ抗原ペプチドGP100 0.01%~0.001%を成分として含むことを特徴とする。
【0044】
好ましくは、前記マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムは、追加のアジュバントとしてCpG 1826、A151の1種又は複数種をさらに含み、その含有量が0.1%~0.001%であることを特徴とする。
【0045】
本発明の目的の1つは、マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムを提供することであり、前記マイクロエマルションの製造方法は、
親油相乳化剤を油相に溶解し、親水性乳化剤を水相に溶解し、両者を十分に混合してマイクロエマルションを形成するステップ(1)と、
前記マイクロエマルションにpH緩衝液及び/又は金属イオン化合物のアニオン部分を加えるステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた混合物に、金属イオン化合物のカチオン部分を加えるステップ(3)と、
ステップ(2)又はステップ(3)で得られた混合物に抗原を加えて、均一に混合すると完成するステップ(4)とを含むことを特徴とする。
【0046】
好ましくは、前記マイクロエマルションの製造方法は、
親油相乳化剤を油相に溶解し、親水性乳化剤を水相に溶解し、両者を混合して一次エマルジョンを形成し、一次エマルジョンをさらに十分に混合して、例えば高圧均質化、超音波又は高速撹拌などの混合方法でマイクロエマルションを形成するステップ(1)と、
前記マイクロエマルションにpH緩衝液及び/又は金属イオン化合物のアニオン部分を加えるステップ(2)と、
ボルテックス、撹拌、超音波の条件下で、又は微量シリンジポンプにより、金属イオン化合物のカチオン部分をステップ(2)で得られた混合物に加えるステップ(3)と、
ステップ(2)又はステップ(3)で得られた混合物に抗原を加えると完成するステップ(4)とを含むことを特徴とする。
【0047】
本発明の目的の1つは、マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムを提供することであり、前記マイクロエマルションの製造方法は、
親油相乳化剤を油相に溶解し、親水性乳化剤を水相に溶解し、両者を十分に混合してマイクロエマルションを形成するステップ(1)と、
前記マイクロエマルションに金属イオン化合物のカチオン部分を加えるステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた混合物に、pH緩衝液及び/又は金属イオン化合物のアニオン部分を加えるステップ(3)と、
ステップ(2)又はステップ(3)で得られた混合物に抗原を加えて、均一に混合すると完成するステップ(4)とを含むことを特徴とする。
【0048】
好ましくは、前記マイクロエマルションの製造方法は、
親油相乳化剤を油相に溶解し、親水性乳化剤を水相に溶解し、両者を混合して一次エマルジョンを形成し、一次エマルジョンをさらに十分に混合して、例えば高圧均質化、超音波又は高速撹拌などの混合方法でマイクロエマルションを形成するステップ(1)と、
前記マイクロエマルションに金属イオン化合物カチオン部分を加えるステップ(2)と、
ボルテックス、撹拌、超音波の条件下で、又は微量シリンジポンプにより、pH緩衝液及び/又は金属イオン化合物のアニオン部分をステップ(2)で得られた混合物に加えるステップ(3)と、
ステップ(2)又はステップ(3)で得られた混合物に抗原を加えると完成するステップ(4)とを含む。
【0049】
本発明では、OVAをモデル抗原として、インビボ及びインビボ実験を行った結果、該ワクチンベクターは抗原特異的体液免疫及び細胞免疫を誘導することができることが明らかになる。本発明では、モデル抗原としてOVA又はメラノーマ抗原ペプチドGP100(ITDQVPFSV)、モデルアジュバントとしてCpG 1826又はA151を用いて、インビトロ実験を行った結果、該ワクチンベクターは抗原と核酸アジュバントとの共担持が可能であることが明らかになる。本発明の好ましい実施形態の1つとして、製造されたワクチンベクターは、DC2.4抗原提示細胞に効率よく取り込まれ得る。本発明のワクチン送達システムは、マイクロエマルションで金属イオン化合物を吸着させることにより、より安定性が高く、凝集しにくく、良好な分散性を有し、臨床使用により適している。本発明のワクチン送達システムは、200nm未満の粒子径を有し、リンパ節への送達の要件を満たし、リンパ節を効率よく標的化し、ワクチンの標的化送達を達成することができる。本発明のワクチンベクターは、抗原提示細胞に効率よく取り込まれ、次の免疫応答の発生に有利である。従来のアルミニウムゲルアジュバントは注射部位の肉芽腫を引き起こしやすく、腎臓機能不全などの特殊な場合に体内に蓄積しやすく、生体内の高量のアルミニウムはまず脳や骨組織に影響し、深刻な神経症候群や透析性認知症を引き起こす。アルミニウム毒性は、また筋萎縮性脊髄側索硬化症やアルツハイマー病とも関連している。本発明では、アルミニウムを含むマイクロエマルションワクチンを製造する際に、本発明のワクチンのアルミニウム含有量は、市販されているアルミニウムゲル(Alhydrogel(登録商標)2%、米国InvivoGene社)よりもはるかに低く、これにより、金属イオン蓄積の危険性及び局所的な副作用を低減することができ、毒性が低く、患者の適応性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0050】
従来技術と比較して、本発明は以下の利点を有する。
【0051】
1、本発明では、金属イオン化合物をエマルジョンの表面に吸着させることにより、エマルジョンに金属イオン化合物を吸着させるための一般的な製造方法が提供される。
【0052】
2、本発明では、金属イオン化合物をワクチンベクターとしてエマルジョンの表面に吸着させることにより、エマルジョンの分散性が良く、安定性が高く、粒子径制御範囲が広く、高分子抗原を封入することでリンパへの送達を可能とする。
【0053】
3、本発明では、親水性抗原及び疎水性抗原を同一ベクターに封入することができ、これにより、性質の異なる複数の抗原の共送達を実現し、病原体に対する生体の包括的かつ有効な免疫応答の発生を誘導することができる。
【0054】
4、本発明では、安全性が高く、安価で入手が容易であり、工業的生産に適しているFDAによって承認された補助材料を用いて製造することができ、また、製造方法が簡単で迅速であり、条件が温和であり、有機試薬の添加がなく、このため、抗原タンパク質の変性を引き起こすことがなく、抗原タンパク質の立体配座と活性を効果的に維持することができる。
【0055】
5、本発明の方法は、簡単で、高圧均質化、超音波又は高速撹拌などの混合方法でマイクロエマルションを製造し、ボルテックス、撹拌、超音波の条件下で、又は微量シリンジポンプにより、金属イオン化合物のカチオン又はアニオン部分及び抗原を加えることができ、これにより、量産が可能であり、工業化に有利であり、応用の将来性や市場の将来性が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1】遊離CpG 1826(CpG 1826)、水酸化アルミニウムマイクロエマルション20μlにCpG 1826 2μgを封入したもの(NE-80μg/ml)、水酸化アルミニウムマイクロエマルション20μlにCpG 1826 4.8μgを封入したもの(NE-160μg/ml)のグルカンゲル電気泳動図を示す。
図2】遊離A151(A151)、水酸化鉄マイクロエマルション20μlにA151 3.0μgを封入した水酸化鉄マイクロエマルション(NE-A151)のグルカンゲル電気泳動図を示す。
図3】実施例1で製造された水酸化アルミニウムマイクロエマルションの電子顕微鏡像である。
図4】実施例9で製造されたメラノーマ抗原ペプチドGP100を担持した水酸化鉄マイクロエマルションの電子顕微鏡像である。
図5】遊離FITC標識OVA(Free OVA)とFITC標識OVAを担持した水酸化アルミニウムマイクロエマルション(NE-OVA)のDC2.4細胞での取り込み結果を示す。
図6】遊離FITC標識GP100(Free-GP100)とFITC標識GP100を担持した水酸化鉄マイクロエマルション(NE@Fe-GP100)のDC2.4細胞での取り込み結果を示す。
図7】遊離OVA(OVA)、OVAを担持した水酸化アルミニウムマイクロエマルション(NE-OVA)、遊離OVAとCpG(OVA+CpG)で動物を免疫した後のCTL結果を示す。
図8a-8c】遊離OVAとCpG(OVA+CpG)、OVAとCpGを担持した水酸化アルミニウムマイクロエマルション(NE-OVA-CpG)で免疫した動物の血清抗体IgG(図8a)、IgG1(図8b)、及びIgG2a(図8c)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下の実施例は、本発明のさらなる説明であるが、本発明の範囲を限定するものではない。以下、実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明するが、当業者は、本発明がこれらの実施例及び使用される製造方法に限定されるものではないことを理解すべきである。さらに、当業者は、本発明の説明に基づいて、本発明に対して同等置換、組み合わせ、改良、又は修飾を行うことができるが、これらは全て本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0058】
(実施例1)
水酸化アルミニウムマイクロエマルションの製造方法
スパン85 0.2gをスクアレン0.5gに溶解し、トウェイン80 0.2gを注射用水に溶解し、混合して一次エマルジョンを形成し、一次エマルジョンを高圧均質化してマイクロエマルション40mlとし、マイクロエマルション1mlにDSPE-PEG粉末5mgを加えて、撹拌して溶解し、37.5mM硫酸アルミニウム水溶液312.5μlを加えて、ボルテックスしながら100mM pH8のHEPES緩衝液1.75mlを加えて中性に調整すると、水酸化アルミニウムマイクロエマルションを得た。
【0059】
(実施例2)
水酸化アルミニウムマイクロエマルションの製造方法
卵黄レシチン0.35gとトウェン80 0.01gを注射用水に溶解し、スクアレン0.5gと混合して一次エマルジョンを形成し、一次エマルジョンを高圧均質化してマイクロエマルション40mlとした。以上のエマルション1mlに37.5mM硫酸アルミニウム水溶液123μlを加えて、ボルテックスしながら100mM pH8のHEPES緩衝液615μlを加えて中性に調整すると、水酸化アルミニウムマイクロエマルションを得た。
【0060】
(実施例3)
水酸化アルミニウムマイクロエマルションの製造方法
オレイン酸0.1gとスパン85 0.2gをスクアレン0.5gに溶解し、トウェン80 0.2gを注射用水に溶解し、混合して一次エマルジョンを形成し、一次エマルジョンを高圧均質化してマイクロエマルション40mlとした。以上のエマルション1mlに37.5mM硫酸アルミニウム水溶液100μlを加えて、ボルテックスしながら100mM pH8のHEPES緩衝液550μlを加えて中性に調整すると、水酸化アルミニウムマイクロエマルションを得た。
【0061】
(実施例4)
リン酸アルミニウムマイクロエマルションの製造方法
スパン85 0.2gをスクアレン0.5gに溶解し、トウェイン80 0.2gを注射用水に溶解し、混合して一次エマルジョンを形成し、一次エマルジョンを高圧均質化してマイクロエマルション40mlとし、マイクロエマルション1mlにDSPE-PEG粉末5mgを加えて、撹拌して溶解し、5mM硫酸アルミニウム水溶液1mlを加えて、ボルテックスしながら10mMリン酸ナトリウム水溶液1mlを加えると、リン酸アルミニウムマイクロエマルションを得た。
【0062】
(実施例5)
リン酸カルシウムマイクロエマルションの製造方法
スパン85 0.2gをスクアレン0.5gに溶解し、トウェイン80 0.2gを注射用水に溶解し、混合して一次エマルジョンを形成し、一次エマルジョンを高圧均質化してマイクロエマルション40mlとし、マイクロエマルション1mlにDSPE-PEG粉末5mgを加えて、撹拌して溶解し、10mM塩化カルシウム水溶液1mlを加えて、ボルテックスしながら6.6mMリン酸ナトリウム水溶液1mlを加えると、リン酸カルシウムマイクロエマルションを得た。
【0063】
(実施例6)
OVAを担持した水酸化アルミニウムマイクロエマルションの製造方法
実施例1で製造された水酸化アルミニウム含有マイクロエマルション180μlに2mg/mlのOVA水溶液20μlを加えて、37℃で30分インキュベートすると、OVAを担持した水酸化アルミニウムマイクロエマルションを得た。
【0064】
(実施例7)
OVAとCpG 1826を担持した水酸化アルミニウムマイクロエマルションの製造方法
実施例1で製造された水酸化アルミニウム含有マイクロエマルション160μlに2mg/ml OVA水溶液20μlと200μg/ml CpG 1826水溶液20μlを加えて、37℃で30分インキュベートすると、OVAとCpG 1826を担持した水酸化アルミニウムマイクロエマルションを得た。
【0065】
(実施例8)
卵白リゾチームを担持した水酸化アルミニウムマイクロエマルションの製造方法
スパン85 0.2gをスクアレン0.5gに溶解し、トウェイン80 0.2gを注射用水に溶解し、混合して一次エマルジョンを形成し、一次エマルジョンを高圧均質化してマイクロエマルション40mlとし、マイクロエマルション1mlにDSPE-PEG粉末5mgを加えて、撹拌して溶解し、100mM pH8のHEPES緩衝液1.75mlを加えて、4mg/ml卵白リゾチーム水溶液100μlを加えて、ボルテックスしながら37.5mM硫酸アルミニウム水溶液312.5μlを加えると、卵白リゾチームを担持した水酸化アルミニウムマイクロエマルションを得た。
【0066】
(実施例9)
メラノーマ抗原ペプチドGP100を担持した水酸化鉄マイクロエマルションの製造方法
大豆油0.5g、中鎖トリグリセリド0.5g、卵黄レシチン0.5gを均一に混合し、注射用水を加えて、混合して一次エマルジョンを形成し、一次エマルジョンを高圧均質化してマイクロエマルション40mlとし、マイクロエマルション1mlにDSPE-PEG粉末5mgを加えて、撹拌して溶解し、(200mM)三塩化鉄水溶液3μlを加えて、(0.1M)水酸化ナトリウム溶液約20μlを加えてpHを中性まで調整し、7mg/mlメラノーマ抗原ペプチドGP100(ITDQVPFSV)水溶液10μlを加えて、均一に混合すると、メラノーマ抗原ペプチドGP100を担持した水酸化鉄マイクロエマルションを得た。
【0067】
(実施例10)
OVAとヌクレオチドCpG 1826を担持した水酸化アルミニウムマイクロエマルションの製造方法
実施例6で製造された水酸化アルミニウム含有マイクロエマルション20μlに、配列が5’-TCCATGAC GTTCCTGACGTT-3’であるCpG 1826 2.4μg又は4.8μgを含有する水溶液10μlを加え、30分振とうしてOVAとヌクレオチドCpG 1826を担持した水酸化アルミニウムマイクロエマルションを製造し、次に、デキストランゲル電気泳動実験を行い、マイクロエマルションの核酸に対する封入能力を検出した。その結果、図1に示すように、マイクロエマルション20μlはCpG 1826 2.4μgを封入することができた。図においては、CpG 1826は遊離CpG 1826を示し、NE-80μg/mlはマイクロエマルション20μlにCpG 1826 2.4μgを封入し、最終濃度を80μg/mlとしたものを示し、NE-160μg/mlはマイクロエマルション20μlにCpG 1826 4.8μgを封入し、最終濃度を160μg/mlとしたものことを示す。
【0068】
(実施例11)
ヌクレオチドA151とメラノーマ抗原ペプチドGP100を担持した水酸化鉄マイクロエマルションの製造方法
実施例9で製造された水酸化鉄マイクロエマルション20μlに、配列がTTAGGGTTAGGGTTAGGGTTAGGGであるヌクレオチドA151 3μgを加え、30分振とうしてヌクレオチドA151とメラノーマ抗原ペプチドGP100を担持した水酸化鉄マイクロエマルションを製造し、次に、デキストランゲル電気泳動実験を行い、マイクロエマルションの核酸に対する封入能力を検出した。その結果、図2に示すように、マイクロエマルション20μlはA151 3μgを封入することができた。図においては、A151は遊離A151を示し、NE-A151はマイクロエマルション20μlにA151 3μgを封入したものを示す。
【0069】
(実施例12)
マイクロエマルションに基づくワクチン送達システムのマイクロエマルションの粒子径測定
Zetasizer Nano ZS90レーザー粒度分析計を使用して実施例1~9の金属イオン化合物を含むマイクロエマルション又は抗原を封入したワクチン送達システムの粒度分布を測定し、実施例1~9のマイクロエマルション溶液をそれぞれ0.1ml取り、純水溶液0.9mlを加えて希釈し、サンプルをサンプルセルに入れ、測定温度を25℃と設定した。表1に示す結果のように、ナノ粒子の粒子径は100~150nmであり、PDIは要件を満たし、分布が均一であった。
【0070】
【表1】
【0071】
(実施例13)
水酸化アルミニウムマイクロエマルションの透過型電子顕微鏡による観察
実施例1で製造された水酸化アルミニウムマイクロエマルションサンプルを銅網上に置き、5min静置した後、リンタングステン酸で1min染色し、その後、銅網上の余分な染色液をろ紙で吸引し、室温でサンプルを乾燥し、200kvの条件下で、透過型電子顕微鏡でサンプルを観察した。その結果、図3に示すように、実験結果から、マイクロエマルションは丸みを帯びた粒子であり、粒子径は100nm以下であることが分かった。
【0072】
(実施例14)
メラノーマ抗原ペプチドGP100を担持した水酸化鉄マイクロエマルションの透過型電子顕微鏡による観察
実施例9で製造されたメラノーマ抗原ペプチドを担持した水酸化鉄マイクロエマルションサンプルを銅網上に置き、5min静置した後、リンタングステン酸で1min染色し、その後、銅網上の余分な染色液をろ紙で吸引し、室温でサンプルを乾燥し、200kvの条件で、透過型電子顕微鏡でサンプルを観察した。その結果、図4に示すように、実験結果から、マイクロエマルションは丸みを帯びた粒子であり、粒子径は100nm以下であることが分かった。
【0073】
(実施例15)
水酸化アルミニウムマイクロエマルションワクチンシステムのDC2.4細胞での取り込み
12ウェルプレートに1ウェルあたり1×10個のDC2.4細胞を播種し、インキュベータに入れて4~6時間インキュベーションし、細胞が壁に接着されると、1ウェルあたりFITC標識OVA 5μg、又は実施例6により製造された同量のFITC標識OVAを担持した水酸化アルミニウムマイクロエマルションを加えた。37℃の条件下で1.5時間摂取した後、上清を捨て、PBSで細胞表面を軽く2回洗浄し、さらにPBSで直接ピペッティングし、2000rpmで細胞を3min、2回遠心洗浄し、最後にPBS 400μlで細胞を再懸濁させ、フローサイトメーターで検出した。その結果、図5に示すように、遊離OVAはDC2.4細胞にはほとんど取り込まれないが、本発明のワクチン送達システムのDC2.4細胞での取り込み率は約70%であり、遊離OVAよりもはるかに高く、有意差があり(****、P<0.0001)、この送達システムにより抗原を包み込むことで免疫細胞の抗原取り込み効率が著しく向上することがわかった。図においては、Free OVAは遊離FITC標識OVAを示し、NE-OVAはFITC標識OVAを担持した水酸化アルミニウムマイクロエマルションを示す。
【0074】
(実施例16)
水酸化鉄マイクロエマルションワクチンシステムのDC2.4細胞での取り込み
12ウェルプレートに1孔当たり1×10個のDC2.4細胞を播種し、インキュベータに入れて4~6時間インキュベーションし、細胞が壁に接着されると、1ウェルあたりFITC標識メラノーマ抗原ペプチドGP100(ITDQVPFSV)2μg、又は実施例9によって製造された同量のFITC標識メラノーマ抗原ペプチドGP100(ITDQVPFSV)を担持した水酸化鉄マイクロエマルションを加えた。37℃の条件下で、1.5時間摂取した後、上清を捨て、PBSで細胞表面を軽く2回洗浄し、さらにPBSで直接ピペッティングし、2000rpmで細胞を3min、2回遠心洗浄し、最後にPBS400μlで細胞を再懸濁させ、フローサイトメーターで検出した。その結果、図6に示すように、遊離メラノーマ抗原ペプチドはDC2.4細胞にはほとんど取り込まれないが、本発明のワクチン送達システムのDC2.4細胞での取り込み率は約60%であり、遊離ポリペプチドよりもはるかに高く、有意差があり(***、P<0.001)、このマイクロエマルションにより抗原を包み込むことで免疫細胞の抗原取り込み効率が著しく向上することがわかった。図においては、Free-GP100は遊離FITC標識GP100を示し、NE@Fe-GP100はFITC標識GP100を担持した水酸化鉄マイクロエマルションを表す。
【0075】
(実施例17)
水酸化アルミニウムマイクロエマルションワクチンシステムの細胞毒性Tリンパ球(CTL)実験と免疫抗体の検出
0日目、7日目、14日目に免疫し、実施例6で製造されたOVAを担持した水酸化アルミニウムマイクロエマルション、実施例7で製造されたOVAとCpGを担持した水酸化アルミニウムマイクロエマルション、遊離OVA又はOVA5μgとCpG0.5μgを含む遊離OVA+CpG 25μlをマウスの足裏に注射し、21日目にCFSE染色法によりインビボのCTL反応を検出した。その結果、図7に示すように、遊離OVAとOVAの水酸化アルミニウムマイクロエマルションは抗原特異的細胞免疫反応を誘導できないが、OVAとCpGを担持した水酸化アルミニウムマイクロエマルションは強い抗原特異的細胞免疫反応を発生させ、そのCTLは遊離OVA+CpG群より顕著に高く、有意差があった(*、P<0.05)。その結果、本発明のワクチンシステムは、CD8+T細胞の免疫応答を顕著に向上させることができ、腫瘍、ウイルス感染などの分野での幅広い使用が有望であることが明らかになった。図においては、OVAは遊離OVAを示し、NE-OVAはOVAを担持した水酸化アルミニウムマイクロエマルションを示し、OVA+CpGは遊離OVA+CpGを示し、NE-OVA-CpGはOVAとCpGを担持した水酸化アルミニウムマイクロエマルションを示す。
【0076】
(実施例18)
水酸化アルミニウムマイクロエマルションワクチンシステムの免疫抗体の検出
0日目、7日目、14日目に免疫し、実施例7で製造されたOVAとCpGを担持した水酸化アルミニウムマイクロエマルション、OVA 5μgとCpG0.5μgを含む遊離OVA+CpG 25μlをマウスの足裏に注射し、21日目に眼窩から採血し、血清中のOVA特異性抗体を検出した。その結果、図8a~図8cに示すように、図8a、図8b及び図8cは、IgG、IgG1及びIgG2aの抗体検出結果であり、実験結果から、水酸化アルミニウムマイクロエマルションワクチンシステムは、強い抗原特異的免疫反応を生じさせることができ、IgGレベルは遊離OVA+CpG群よりも遥かに高く、有意差があり(****、P<0.0001)、Th2型免疫応答を表すIgG1も遊離OVA+CpG群よりもはるかに高く、有意差があり(****、すなわちP<0.0001)、Th1型免疫応答を表すIgG2aレベルは遊離OVA+CpG群よりも遥かに高く、有意差があり(***、すなわちP<0.001)、このことから、本発明のワクチンシステムは抗原免疫原性を有意に向上させるという利点を有することが明らかになった。図においては、OVA+CpGは遊離OVA+CpGを示し、NE-OVA-CpGはOVAとCpGを担持した水酸化アルミニウムマイクロエマルションを示す。
【0077】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明をいかなる形で限定するものではなく、本発明は、好ましい実施例をもって上記のように開示されているが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の技術的解決手段を逸脱しない範囲で、上述の開示された技術的内容を利用していくつかの変更又は修飾を加えて同等変化の等価実施例とすることができるが、本発明の技術的解決手段の内容から逸脱していない場合、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に対して行われたいかなる簡単な修正、同等の変化及び修飾は、全て本発明の技術的解決手段の範囲内に属するものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
【国際調査報告】