(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(54)【発明の名称】混合ガスを生成するための調量ユニット
(51)【国際特許分類】
H01M 8/24 20160101AFI20230424BHJP
F23K 5/00 20060101ALI20230424BHJP
G05D 11/13 20060101ALI20230424BHJP
H01M 8/04 20160101ALN20230424BHJP
H01M 8/0606 20160101ALN20230424BHJP
【FI】
H01M8/24
F23K5/00 303
G05D11/13 Z
H01M8/04 Z
H01M8/0606
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558082
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(85)【翻訳文提出日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 AT2021060103
(87)【国際公開番号】W WO2021189093
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500461457
【氏名又は名称】アーファウエル リスト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ブーフナー
【テーマコード(参考)】
3K068
5H126
5H127
5H309
【Fターム(参考)】
3K068AA05
3K068AB04
3K068BB01
3K068BB02
3K068BB12
3K068BB18
3K068BB22
3K068CA04
5H126AA22
5H127BA56
5H309AA01
5H309AA11
5H309BB01
5H309CC04
5H309CC05
5H309DD08
5H309EE03
5H309EE06
5H309FF01
5H309GG03
5H309JJ06
(57)【要約】
混合ガスを生成するための調量ユニットであって、主ガス源(14)と、この主ガス源(14)から主ガスを搬送することができ、第1の質量流量調整器(20;20’;20’’)が配置された主ガス二次管路(18;18’;18’’)と、付加ガス源(28;28’;28’’)と、付加ガスを搬送することができ、第2の質量流量調整器(26,26’,26’’)が配置された付加ガス管路(24;24’;24’’)と、主ガス二次管路(18;18’;18’’)と付加ガス管路(24;24’;24’’)とに接続されていて、主ガスと付加ガスとから成る混合ガスが貯蔵されている貯蔵容器(22;22’;22’’)と、この貯蔵容器(22;22’;22’’)から混合ガスを導出することができるガス抜き管路(30;30’;30’’)と、このガス抜き管路(30;30’;30’’)内に配置されていて、規定された開放圧を有する逆止弁(32;32’;32’’)または過圧弁と、貯蔵容器(22;22’;22’’)から混合ガスを搬送することができ、第3の質量流量調整器(36;36’;36’’)が配置された混合ガス管路(34;34’;34’’)とを備える、混合ガスを生成するための調量ユニットが知られている。大きな濃度差にわたって極めて正確な混合を行うことができるようにするために、本発明によれば、混合ガス管路(34;34’;34’’)と、主ガスを搬送することができる主ガス管路(12)とが、混合ゾーン(38)に流体接続されており、この混合ゾーン(38)には、主ガス管路(12)から主ガスが連続的に流入しかつ混合ガス管路(34;34’;34’’)から混合ガスが連続的に流入し、混合ゾーン(38)からは、測定ガスが、流出管路(40)を介して消費器(10)に案内可能であることが提案される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合ガスを生成するための調量ユニットであって、
主ガス源(14)と、
前記主ガス源(14)から主ガスを搬送することができ、第1の質量流量調整器(20;20’;20’’)が配置された主ガス二次管路(18;18’;18’’)と、
付加ガス源(28;28’;28’’)と、
付加ガスを搬送することができ、第2の質量流量調整器(26,26’,26’’)が配置された付加ガス管路(24;24’;24’’)と、
前記主ガス二次管路(18;18’;18’’)と前記付加ガス管路(24;24’;24’’)とに接続されていて、前記主ガスと前記付加ガスとから成る混合ガスが貯蔵されている貯蔵容器(22;22’;22’’)と、
前記貯蔵容器(22;22’;22’’)から前記混合ガスを導出することができるガス抜き管路(30;30’;30’’)と、
前記ガス抜き管路(30;30’;30’’)内に配置されていて、規定された開放圧を有する逆止弁(32;32’;32’’)または過圧弁と、
前記貯蔵容器(22;22’;22’’)から前記混合ガスを搬送することができ、第3の質量流量調整器(36;36’;36’’)が配置された混合ガス管路(34;34’;34’’)と
を備える、混合ガスを生成するための調量ユニットにおいて、
前記混合ガス管路(34;34’;34’’)と、前記主ガスを搬送することができる主ガス管路(12)とが、混合ゾーン(38)に流体接続されており、該混合ゾーン(38)には、前記主ガス管路(12)から前記主ガスが流入しかつ前記混合ガス管路(34;34’;34’’)から前記混合ガスが流入し、前記混合ゾーン(38)からは、測定ガスが、流出管路(40)を介して消費器(10)に案内可能であることを特徴とする、混合ガスを生成するための調量ユニット。
【請求項2】
前記混合ゾーン(38)は、前記測定ガスが貯蔵されているバッファ容器(42)内にまたはバッファ容器(42)の上流側に形成されていることを特徴とする、請求項1記載の、混合ガスを生成するための調量ユニット。
【請求項3】
前記バッファ容器(42)は、再循環管路(60)に接続されており、前記測定ガスは、前記バッファ容器(42)から導出して前記再循環管路(60)を介して再び前記バッファ容器(42)に導入可能であり、前記再循環管路(60)には、前記付加ガス用のガス分析器(66,66’,66’’)が配置されていることを特徴とする、請求項1または2記載の、混合ガスを生成するための調量ユニット。
【請求項4】
前記流出管路(40)に流出圧調整器(43)が配置されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の、混合ガスを生成するための調量ユニット。
【請求項5】
前記主ガス管路(12)において前記主ガス源(14)と前記バッファ容器(42)との間に逆止弁(58)が配置されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の、混合ガスを生成するための調量ユニット。
【請求項6】
前記調量ユニットは、それぞれ1つの第1の質量流量調整器(20,20’,20’’)を備えた複数の主ガス二次管路(18,18’,18’’)と、それぞれ1つの別の付加ガス源(28,28’,28’’)に接続されていて、それぞれ1つの第2の質量流量調整器(26,26’,26’’)が配置された複数の付加ガス管路(24,24’,24’’)とを有し、それぞれ1つの前記主ガス二次管路(18,18’,18’’)と、それぞれ1つの前記付加ガス管路(24,24’,24’’)とは、貯蔵容器(22,22’,22’’)に接続されており、該貯蔵容器(22,22’,22’’)は、該貯蔵容器(22,22’,22’’)から各々の前記混合ガスを導出することができる逆止弁(32,32’,32’’)または過圧弁が配置されたそれぞれ1つのガス抜き管路(30,30’,30’’)と、各々の前記貯蔵容器(22,22’,22’’)から各々の前記混合ガスを搬送することができ、それぞれ1つの第3の質量流量調整器(36,36’,36’’)が配置されたそれぞれ1つの混合ガス管路(34,34’,34’’)とに接続されており、全ての混合ガス管路(34,34’,34’’)は、前記主ガス管路(12)との前記混合ゾーン(38)に延在していることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の、混合ガスを生成するための調量ユニット。
【請求項7】
全ての前記主ガス二次管路(18,18’,18’’)は、1つの前記主ガス源(14)に接続されていることを特徴とする、請求項6記載の、混合ガスを生成するための調量ユニット。
【請求項8】
前記混合ゾーン(38)と前記第1の貯蔵容器(22,22’,22’’)との間に、逆止弁(52,52’,52’’)または過圧弁が配置されたガス抜き管路(50,50’,50’’)を備えた第2の貯蔵容器(48,48’,48’’)が配置されており、該第2の貯蔵容器(48,48’,48’’)には、前記第1の混合ガス管路(34,34’,34’’)と第2の主ガス二次管路(44,44’,44’’)とが開口しており、前記第2の貯蔵容器(48,48’,48’’)は、第2の混合ガス管路(54,54’,54’’)を介して前記混合ゾーン(38)に接続されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の、混合ガスを生成するための調量ユニット。
【請求項9】
前記第2の主ガス二次管路(44,44’,44’’)と、前記第1の混合ガス管路(34,34’,34’’)と、前記第2の混合ガス管路(54,54’,54’’)とに、それぞれ1つの質量流量調整器(36,36’,36’’,46,46’,46’’,56,56’,56’’)が配置されていることを特徴とする、請求項8記載の、混合ガスを生成するための調量ユニット。
【請求項10】
前記測定ガスの前記混合ゾーン(38)から、逆止弁(70)または過圧弁が配置されたガス抜き管路(68)が分岐していることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の、混合ガスを生成するための調量ユニット。
【請求項11】
前記ガス抜き管路(68)に各々の付加ガス用のガス分析器(66,66’,66’’)が配置されていることを特徴とする、請求項10記載の、混合ガスを生成するための調量ユニット。
【請求項12】
前記主ガス管路(12)において前記主ガス源(14)と前記逆止弁(58)との間に流出圧調整器(43)が配置されていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の、混合ガスを生成するための調量ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合ガスを生成するための調量ユニットであって、主ガス源と、この主ガス源から主ガスを搬送することができ、第1の質量流量調整器が配置された主ガス二次管路と、付加ガス源と、付加ガスを搬送することができ、第2の質量流量調整器が配置された付加ガス管路と、主ガス二次管路と付加ガス管路とに接続されていて、主ガスと付加ガスとから成る混合ガスが貯蔵されている貯蔵容器と、この貯蔵容器から混合ガスを導出することができるガス抜き管路と、このガス抜き管路内に配置されていて、規定された開放圧を有する逆止弁または過圧弁と、貯蔵容器から混合ガスを搬送することができ、第3の質量流量調整器が配置された混合ガス管路とを備える、混合ガスを生成するための調量ユニットに関する。
【0002】
このような調量ユニットは、例えば、燃料電池をテストするための混合ガス流を生成すべく、水素に1つ以上の有害ガスを混加し、次いで、この有害ガスが燃料電池スタックにどのような影響を及ぼすのかを求めるために使用される。このことは、酸素含有の空気流の種々異なるガス組成の影響をシミュレートするために、カソード側に利用されてもよい。このために、燃料電池スタックには、正確に調量された規定の質量流量の混合ガスが供給される。
【0003】
このような混合ユニットは、例えば、水素とモノホスフィンとの混合物を製造するための中国実用新案第209406081号明細書に記載されている。同明細書では、モノホスフィンと水素とが、ダイヤフラム弁と、逆止弁と、質量流量センサとを介して調整されて貯蔵容器に案内され、そこに貯蔵される。この貯蔵器からは、過圧弁が配置されたガス抜き管路が外向きに延在している。さらに、貯蔵容器からは、ガス分析器が配置された管路が分岐している。
【0004】
記載されている構造では、かなり不正確な混合比しか達成することができない。この場合には、混合すべき両方の成分の類似の量比が存在している。この混合ユニットでは、主ガスがppmの範囲内またはpptの範囲内ですら有害ガスによってのみ混合される混合を達成することはできない。なぜならば、従来の弁およびコリオリ式のセンサでは、ナノグラムを調量することができず、ひいては、十分に正確な調量が不可能となってしまうからである。最近のマイクロエレクトロニクス型の調量器の使用時でさえ、約0.1ml/分しか正確に調量を行うことができないのに対して、より少ない量の場合には、調量誤差が著しく高まってしまう。逆に、より小さな調量器を使用すると、より大きな量を調量供給することがもはや不可能となってしまう。さらに、既知の構造では、連続的な調量および測定が不可能である。運転中に濃度の変化を伴う連続的な混合も実施することはできない。
【0005】
したがって、課題は、混加すべき付加ガスの割合に左右されることなく、ppm、ppbまたはpptの範囲内までの所望の濃度を常に極めて正確に混合することができるようにすることである。さらに、測定を連続的に実施することができ、相応して、正確な混合物を連続的に生成することができることが求められる。また、測定中の混合比の変化も望まれる。
【0006】
この課題は、独立請求項1の特徴を有する、混合ガスを生成するための調量ユニットによって解決される。
【0007】
調量ユニットは、主ガス源と、混加すべきガスが供給される少なくとも1つの付加ガス源とを有している。主ガスは、主ガス管路と、第1の質量流量調整器が配置された主ガス二次管路とに搬送可能である。付加ガスは、第2の質量流量調整器が配置された付加ガス管路に搬送可能である。主ガス二次管路と付加ガス管路とは、個々に貯蔵容器に開口しているか、または貯蔵容器の上流側で合流させられ、これによって、混合ガスが貯蔵容器に流入する。この貯蔵容器は、相応して、主ガス二次管路と付加ガス管路とに直接的または間接的に接続されており、貯蔵容器内には、主ガスと付加ガスとから成る混合ガスが貯蔵される。貯蔵容器は、付加的にガス抜き管路に流体接続されており、このガス抜き管路を介して、混合ガスが貯蔵容器から導出可能であり、ガス抜き管路内には、規定された開放圧を有する逆止弁または過圧弁が配置されている。さらに、貯蔵容器からは、この貯蔵容器から混合ガスを搬送することができ、第3の質量流量調整器が配置された混合ガス管路が、混合ゾーンに延在している。この混合ゾーンには、主ガス管路も開口しており、これによって、混合ゾーンには少なくとも、主ガス管路から主ガスが流入し、混合ガス管路から混合ガスが流入し、主ガスと混合ガスとが、流出管路を介して、例えば燃料電池として形成された消費器に流入する測定ガスの少なくとも一部を形成している。このことは、第1の段階で第1の混合比が形成され、第2の段階で主ガスの添加による付加的な希釈が行われる、調量ユニットの2段階の構造が提供されていることを意味している。この2つの段階によって、主ガス内の付加ガスのppt濃度範囲内までの極めて正確な混合比を達成することができる。したがって、付加ガスとして、相応に窒素で希釈されていない純ガスを使用することもできる。なぜならば、調量ユニット自体で低い濃度を達成することができるからである。逆止弁または過圧弁の使用によって、混合ガスが常時幾分かガス抜き管路を介して導出されることにより、貯蔵容器内の圧力を常に一定に保つことができる。これによって、混合ガスの一定の質量流量が維持され、ひいては、1つには、混合ゾーンにおいて一定の混合比を維持することができ、もう1つには、運転中に連続的に所望の混合比を形成することができ、また、変化させることができる。付加的には、逆止弁と、この逆止弁により生じる連続的な流れとによって、ガスの分離が阻止される。主ガスとして、用途に応じて、水素および窒素または酸素が使用されてよく、これらに付加ガスとして二酸化炭素、一酸化炭素、希ガスまたはこれに類するものが混加される。
【0008】
好ましくは、混合ゾーンは、測定ガスが貯蔵されているバッファ容器の上流側にまたはバッファ容器内に形成されている。これによって、急激な消費量変化時でも、それにもかかわらず、規定された濃度を有する所望の混合ガス流を流出管路に連続的に供給することができる。バッファ容器は消費量変化を緩衝する。このために、バッファ容器は、通流量変化中に生じた誤調量を後続の調整に基づき無視し続けることができるようなサイズに設計されなければならない。
【0009】
さらに、バッファ容器が、再循環管路に接続されており、測定ガスが、バッファ容器から導出して再循環管路を介して再びバッファ容器に導入可能であり、再循環管路には、付加ガス用のガス分析器が配置されていると有利である。これによって、混合精度を付加的に向上させることができる。なぜならば、完全な混合ガス内の付加ガスの割合を決定することができ、相応に後調整することができるからである。付加的には、流れによって、バッファ容器内のガスの分離が阻止される。
【0010】
さらに、好適な実施形態では、流出管路に流出圧調整器が配置されており、これによって、燃料電池に、一定の圧力を有する混合ガス流が供給され、望ましくない圧力変動またはこれに基づき結果的に生じる質量流量変動が回避される。
【0011】
さらに、主ガス管路において主ガス源とバッファ容器との間に逆止弁が配置されていると好適であり、これによって、主ガス源への混合ガスの逆流が阻止される。相応して、バッファ容器に純粋な主ガスが供給され、質量流量調整器に所要の圧力差が提供される。
【0012】
本発明の特に有利な構成では、調量ユニットは、それぞれ1つの第1の質量流量調整器を備えた複数の主ガス二次管路と、それぞれ1つの別の付加ガス源に接続されていて、それぞれ1つの第2の質量流量調整器が配置された複数の付加ガス管路とを有し、それぞれ1つの主ガス二次管路と、それぞれ1つの付加ガス管路とは、貯蔵容器に接続されており、この貯蔵容器は、この貯蔵容器から各々の混合ガスを導出することができる逆止弁または過圧弁が配置されたそれぞれ1つのガス抜き管路と、各々の貯蔵容器から各々の混合ガスを搬送することができ、それぞれ1つの第3の質量流量調整器が配置されたそれぞれ1つの混合ガス管路とに接続されており、これら全ての混合ガス管路は、主ガス管路との混合ゾーンに開口している。したがって、複数の種々異なる付加ガスを、予め混合されたガスとして並行して生成することができ、主ガス管路内の主ガス流に供給することができる。相応して、任意の数の付加ガスが混加されてよく、例えば、それぞれ異なる空気組成が具体的に混合されてもよい。その際、全ての混合ガスは連続的に生成される。
【0013】
構造を簡略化するために、全ての主ガス二次管路は、1つの主ガス源に接続されており、これによって、複数の主ガス源が不要となり、複数の分岐点が設けられさえすればよい。
【0014】
一改良実施形態では、混合ゾーンと第1の貯蔵容器との間に、逆止弁または過圧弁が配置されたガス抜き管路を備えた第2の貯蔵容器が配置されており、この第2の貯蔵容器には、第1の混合ガス管路と第2の主ガス二次管路とが開口しており、第2の貯蔵容器は、第2の混合ガス管路を介して混合ゾーンに接続されている。この構造によって、第3の混合段が提供され、これによって、混合ガス内に極端に低い濃度の付加ガスを形成することができる。なお、このために、極微調整式の質量流量調整器が使用される必要はない。なぜならば、主ガス内の付加ガスの割合が、各々の段階において、より少なくなるからである。この構造の下流側に任意の数の後続の段が接続されてよい。この形態では、すでにこの第3の段によってppt範囲内の濃度が形成可能であり、これによって、検出可能な限界への到達がすでに可能となっている。
【0015】
3つ全ての段を介した、連続的に変化させられてもよい確実に調整可能な混合比のために、第2の主ガス二次管路と、第1の混合ガス管路と、第2の混合ガス管路とに、それぞれ1つの質量流量調整器が配置されている。
【0016】
さらに、測定ガスの混合ゾーンから、逆止弁または過圧弁が配置されたガス抜き管路が分岐していると有利であり得る。このような逆止弁によって、調量ユニットの連続的な運転が可能となる。このことは、付加ガスが、廉価な主ガス流に混加される、つまり、例えば、燃料電池ユニットの酸素側で混加される場合に特に有利である。なぜならば、そこでは、主ガスの損失が許容可能であるからである。この場合には、バッファ容器を不要にすることができ、それにもかかわらず、少ない所要スペースで、極めて迅速に反応する最大限正確な運転が得られる。
【0017】
一改良実施形態では、ガス抜き管路に逆止弁の上流側で各々の付加ガス用のガス分析器が配置されており、これによって、ここでも、ガス流の組成の正確な分析が可能となる。
【0018】
このために、主ガス管路において、主ガス源とバッファ容器または逆止弁との間に、主ガス源の圧力を、例えば約1bar近辺に減圧調整する出口圧調整器が配置されていると有利であり、これによって、急激な消費量変動時に、バッファ容器を補うための予備圧(Druckreserve)が存在している。出口圧調整器は、主ガス源における圧力変動が調量ユニットに作用することを阻止する。
【0019】
したがって、ppt(1兆分の1)の割合未満までの極めて低い濃度の混加すべきガスを主ガス流内で混合することができるだけでなく、混合物を等しいオーダの量で製造することもできる、混合ガスを生成するための調量ユニットが提供される。これらの混合物は、任意に多種の異なるガスから成っていてよく、好適な構成では、連続的に混合されてもよい。この場合、成分の割合は連続的に変化させられてよい。総量に対して極めて少ない量を混加することができるので、あり得る連続的な運転にもかかわらず、例えばガスボンベから成る純粋なガス源を使用することができる。付加的には、ガスのより大きな急激な消費量変動時でも、一定の組成の混合ガスを後続の測定のために連続的に生成することができる。
【0020】
以下に、混合ガスを製造するための本発明に係る調量ユニットの実施例を図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る調量ユニットのフロー図である。
【
図2】第2の代替的な本発明に係る調量ユニットのフロー図である。
【
図3】第3の本発明に係る調量ユニットのフロー図である。
【
図4】第4の本発明に係る調量ユニットのフロー図である。
【0022】
図1に示した本発明に係る調量ユニットは、主ガスとしての水素を付加ガスとしての一酸化炭素と混合するために用いられる。この一酸化炭素は少ない量で水素に混加され、これによって、テストすべき消費器10としての燃料電池スタックへの一酸化炭素の作用を判断することができる。
【0023】
このために、消費器10は、主ガス管路12を介して主ガス源14に流体接続されている。この主ガス源14には、水素が含まれている。主ガス管路12には、質量流量測定および圧力調整ユニット16が配置されている。この質量流量測定および圧力調整ユニット16では、主ガス源14の圧力が、燃料電池ユニットとして形成された消費器10のために必要となる一定の圧力に減圧調整され、相応の質量流量が、消費器10のアノード側に提供される。
【0024】
主ガス源14は、付加的に、主ガス管路12から分岐しかつ第1の質量流量調整器20が配置された主ガス二次管路18を介して貯蔵容器22に接続されている。この貯蔵容器22は、図示の実施例ではガス分配器管として形成されていて、例えば、単にガス分配器の配管に相応しているだけでよい相応に小さな容積を有している。この極めて小さな容積によって、組成変化が即座に提供されるのに対して、過度に大きな貯蔵容器は濃度変化を鈍らせ、場合によっては、分離作用を招いてしまう。
【0025】
貯蔵容器22は、付加的に、第2の質量流量調整器26が配置された付加ガス管路24を介して付加ガス源28に接続されている。この付加ガス源28には、混加すべきガス、例えば一酸化炭素が貯蔵されている。質量流量調整器20,26によって、貯蔵容器22に、調整された2つの質量流量が供給され、これによって、貯蔵容器22に、規定された混合比を有する混合ガスが供給される。
【0026】
貯蔵容器22から、ガス抜き管路30が外向きに延在している。このガス抜き管路30には、逆止弁32が配置されており、これによって、貯蔵容器22に連続的にかつ混合ガスの消費量に左右されずに、常に等しい質量流量と一定の圧力とを有する混合ガスを供給することができる。この混合ガスは、第1の混合ガス管路34に搬送され、第3の質量流量調整器36を介して混合ゾーン38に搬送される。この混合ゾーン38では、混合ガス管路34が主ガス管路12に開口しており、そこで、主ガス流が混合ガス流と混合される。運転中、逆止弁32は常時開放されており、これによって、必要とされない生成された混合ガス流が常時導出される。相応して、混合ガスによる付加ガスの2段階の希釈が行われ、これによって、測定ガスが生成される。この測定ガスは、流出管路40を介して消費器10、つまり、図示の実施例では燃料電池ユニットに供給され、主ガス二次管路18および付加ガス管路24内の質量流量の変化によって連続的に変化させることができる。この場合、この変化は、貯蔵容器22の小さな貯蔵容積の利用によって極めて短い期間で生じさせることができる。逆止弁32は、この場合には常時開放されており、これによって、僅かな混合ガス流がガス抜き管路を介して失われていくものの、一定の圧力を有する第1の混合ガスは常に提供される。
【0027】
ここで、例えば、第1の質量流量調整器20が、10l/分の体積流量に調整され、第2の質量流量調整器26が、1ml/分の体積流量に調整されると、貯蔵容器22内には、100ppmの付加ガス濃度を有する混合ガスが生じる。ここで、改めて1ml/分のこの混合ガスの体積流量が、同じく10l/分の主流量に混加されると、約10ppbの範囲内の付加ガスの濃度が生じる。
【0028】
付加的に、消費器10の消費量変化に極めて動的に反応することができるようにするために、
図2に示したように、主ガス管路12において質量流量測定および圧力調整ユニット16の上流側にバッファ容器42が配置される。このバッファ容器42には、測定ガスが貯蔵され、バッファ容器42は混合ゾーン38を形成している。このために、図示の実施例では、混合ガス管路がバッファ容器42に直接接続されている。さらに、主ガス管路12においてバッファ容器42と主ガス源14との間に出口圧調整器43が配置されている。この出口圧調整器43を介して、主ガス流が一定の圧力に減圧調整され、これによって、質量流量調整器に圧力変動が生じないようになっている。
【0029】
消費器10の急激な消費量変動が生じた場合には、3つの質量流量調整器20,26,36は遅れて反応することしかできず、これによって、バッファ容器42がないと、測定ガスの組成が短時間で著しく変化してしまう。バッファ容器42の十分に大きな設計によって、過度に少ない付加ガスまたは過度に多くの付加ガスが短時間調量供給されるとしても、バッファ容器42には、ある程度の期間にわたってほぼ一定の濃度が含まれている。なぜならば、バッファ容器内で濃度が測定され得るように変化する前に、質量流量調整器20,26,36が再び反応して、バッファ容器42内に所望の濃度が提供されるようになっているからである。このためには、やや多くの付加ガス量もしくはやや少ない付加ガス量が短時間調量供給され、次いで、バッファ容器42内に所望の濃度が再び提供されなければならない。相応して、バッファ容器42のサイズは、濃度の最大限許容可能な偏差に応じて設計されてよい。
【0030】
図3には、本発明の拡張された変化構成が示してある。この構成では、複数のユニットが並列接続されることにより、複数の異なる付加ガスを主ガスに調量供給することができる。調量ユニットは、相応して、まず、主ガス源14に接続された3つの並列の第1の主ガス二次管路18,18’,18’’を有している。これらの第1の主ガス二次管路18,18’,18’’の各々には、それぞれ1つの第1の質量流量調整器20,20’,20’’が配置されている。さらに、調量ユニットは、3つの異なる付加ガス管路24,24’,24’’を有している。これらの付加ガス管路24,24’,24’’は、それぞれ異なる付加ガス源28,28’,28’’に接続されており、付加ガス管路24,24’,24’’には、それぞれ1つの第2の質量流量調整器26,26’,26’’が配置されている。それぞれ1つの主ガス二次管路18,18’,18’’および付加ガス管路24,24’,24’’は、逆止弁32,32’,32’’が配置されたそれぞれ1つのガス抜き管路30,30’,30’’を備えた第1の貯蔵容器22,22’,22’’に開口している。これらの貯蔵容器22,22’,22’’の各々から、混合ガスは、それぞれ1つの第1の混合ガス管路34,34’,34’’に流入する。この第1の混合ガス管路34,34’,34’’には、それぞれ1つの第3の質量流量調整器36,36’,36’’が配置されている。
【0031】
調量ユニットは、付加的に別の混合段も有している。このために、主ガス源14には、3つの第2の主ガス二次管路44,44’,44’’が接続されている。これらの第2の主ガス二次管路44,44’,44’’には、それぞれ1つの第4の質量流量調整器46,46’,46’’が配置されている。これらの第4の質量流量調整器46,46’,46’’は、それぞれ付加的な第2の貯蔵容器48,48’,48’’に開口している。この第2の貯蔵容器48,48’,48’’には、それぞれ1つの第1の混合ガス管路34,34’,34’’も開口している。これらの第1の混合ガス管路34,34’,34’’には、それぞれ第3の質量流量調整器36,36’,36’’が配置されている。そして、第2の貯蔵容器48,48’,48’’は、それぞれ新たに第2のガス抜き管路50,50’,50’’に接続されている。これらの第2のガス抜き管路50,50’,50’’には、それぞれ1つの第2の逆止弁52,52’,52’’が配置されている。
【0032】
各々の第2の貯蔵容器48,48’,48’’からバッファ容器42に向かって、それぞれ1つの第5の質量流量調整器56,56’,56’’が配置されたそれぞれ1つの第2の混合ガス管路54,54’,54’’が配置されている。したがって、付加的な混合段が提供される。この混合段によって、付加ガスをいっそう低い濃度で主ガスに供給し、こうして、有害ガスの濃度が極端に低い測定ガス流を生成することが可能となる。
【0033】
バッファ容器42ひいては混合ゾーン38は、この実施例では、主ガス管路12に設けられた出口圧調整器43と別の逆止弁58とを介して主ガス源14に接続されている。このために、逆止弁58は、測定ガスがバッファ容器42から主ガス源の方向および主ガス二次管路18,18’,18’’,44,44’,44’’内に逆流することを阻止するために働く。付加的に、バッファ貯蔵器42から再循環管路60がポンプ62とガス混合器64とを介して3つのガス分析器66,66’,66’’に延在している。これらのガス分析器66,66’,66’’は、それぞれ1つの付加ガスに割り当てられていて、測定ガス内の各々の付加ガスの量を相応に高感度で化学的もしくは物理的に特定することができる。相応して、バッファ容器内での測定ガスの混合を常時検査することができ、必要な場合には、質量流量調整器20,20’,20’’,26,26’,26’’,36,36’,36’’,46,46’,46’’,56,56’,56’’を介して後調整することができる。
【0034】
バッファ容器42の下流側には、質量流量測定および圧力調整ユニット16が配置されており、この質量流量測定および圧力調整ユニット16を介して、測定ガスが消費器10に供給される。
【0035】
代替的には、
図4に示したように、バッファ容器42を省略し、混合ゾーンに常に存在する測定ガスを導出する付加的なガス抜き管路68によって、混合ゾーン38を逆止弁70に接続することが可能である。この場合、主管路12において逆止弁58よりは上流側で主ガス副流管路18の分岐点よりは下流側に、調整可能な絞り57が配置されている。この絞り57は、主管路12内の質量流量を調整することができるようにするために、ニードル弁として形成されていてよく、これによって、過度に大きな質量流量がガス抜き管路68を介して失われていかないようになっている。代替的には、質量流量調整器が使用されてもよい。ガス分析器66,66’,66’’は、この実施例では、ガス抜き管路68において逆止弁70の上流側に配置されている。
【0036】
この変化形態は、特に主ガス流に適している。この主ガス流のガスは廉価に得ることができ、十分な量で存在している。このことが該当する場合には、調量ユニットを極めて僅かな遅れで調整することができ、これによって、測定運転の実施中に短期間で濃度を変えることができる。圧力低下が十分に大きく、ひいては、逆止弁70とガス抜き管路68とを介して導出されるガス量が大きい場合には、急激な消費量変動を補償することもでき、これによって、最大限正確に調量が行われる高過渡的な運転が達成される。このことは、例えばカソード側、つまり、消費器10としての燃料電池の空気側において重要である。なぜならば、主ガス流として空気を廉価に調量することができるからである。これによって、ガス抜き管路68を介した損失が妨害されないようになっている。さらに、このような調量ユニットは極めて小さく形成可能である。なぜならば、バッファ容器も省略することができ、ひいては、調量ユニットにおいて、分離を生じさせてしまうより大きな容器がもはや不要となるからである。また、再循環管路も省略される。
【0037】
記載した実施形態は、多段構成によって、主ガス流内への1つ以上の付加ガスの極めて正確な調量を相応に可能にする。この場合、純ガスが混加されてよい。高い精度は、類似の割合が互いに混合される混合物に対してだけでなく、ppm、ppbまたはpptの範囲内での1つ以上の付加ガスの混加の場合にも達成可能となる。実施形態に応じて、このような調量ユニットは連続的に運転されてよい。この場合、濃度が運転中に変えられてよい。また、濃度は、消費量が迅速に変化する場合には、ほぼ一定に維持することもできる。また、測定ガスの分離も回避される。
【0038】
念のために明らかにしておくと、本発明は、記載した実施例に限定されるものではなく、種々異なる変更が可能である。したがって、逆止弁が、規定された圧力以降に開放する過圧弁によって置き換えられてもよい。重要なのは、こういった弁をガス抜き管路内に使用することによって、質量流量が最初に遅れを伴って調整される必要なしに、混合ガスもしくは測定ガスが、常に十分な圧力ひいては所望の量で存在していることである。直列に接続された回路および並列な回路の個数は、用途に応じて適合可能である。
【国際調査報告】