IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インバースアゴ・ファーマ・インコーポレイテッドの特許一覧

特表2023-518529非晶質3,4-ジフェニル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール誘導体の固体分散体、それを含む組成物及びカンナビノイドCB1受容体阻害剤としてのその使用
<>
  • 特表-非晶質3,4-ジフェニル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール誘導体の固体分散体、それを含む組成物及びカンナビノイドCB1受容体阻害剤としてのその使用 図1
  • 特表-非晶質3,4-ジフェニル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール誘導体の固体分散体、それを含む組成物及びカンナビノイドCB1受容体阻害剤としてのその使用 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(54)【発明の名称】非晶質3,4-ジフェニル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール誘導体の固体分散体、それを含む組成物及びカンナビノイドCB1受容体阻害剤としてのその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/415 20060101AFI20230424BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230424BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20230424BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230424BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20230424BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20230424BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20230424BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230424BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20230424BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230424BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230424BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230424BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230424BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20230424BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
A61K31/415
A61P1/16
A61P3/04
A61P3/10
A61P3/06
A61P15/00
A61P13/08
A61P25/00
A61P9/10 101
A61P11/00
A61P9/00
A61P25/28
A61K9/20
A61K47/32
A61K47/38
A61K47/20
A61K47/14
A61K47/26
A61K47/02
A61K31/454
A61K31/4439
A61K47/10
A61K47/42
A61K47/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558331
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(85)【翻訳文提出日】2022-10-25
(86)【国際出願番号】 CA2021050385
(87)【国際公開番号】W WO2021189141
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】62/993,775
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522377114
【氏名又は名称】インバースアゴ・ファーマ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ・ラヴェネル
(72)【発明者】
【氏名】ノレリー・バルデス
(72)【発明者】
【氏名】アイメスター・オー・ベタンクール
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ゴセリン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA44
4C076AA53
4C076AA60
4C076BB01
4C076CC01
4C076CC11
4C076CC21
4C076DD25
4C076DD26
4C076DD27
4C076DD28
4C076DD38
4C076DD46
4C076DD55
4C076DD57
4C076DD68
4C076EE11
4C076EE16
4C076EE23
4C076EE24
4C076EE30
4C076EE31
4C076EE33
4C076EE36
4C076EE42
4C076EE49
4C076FF01
4C076FF67
4C076FF68
4C076GG01
4C076GG03
4C076GG05
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC36
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA34
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA06
4C086NA10
4C086ZA01
4C086ZA15
4C086ZA36
4C086ZA42
4C086ZA45
4C086ZA59
4C086ZA70
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZC33
4C086ZC35
4C086ZC42
(57)【要約】
式Iの非晶質化合物、式Iの非晶質化合物の固体分散体、それを含む医薬組成物、並びにカンナビノイドCB1受容体に関連する疾患及び障害の処置及び予防におけるそれらの使用が記述される。固体分散体は、少なくとも50℃のガラス転移温度を有する薬学的に許容されるポリマーを含む固体マトリックス中に分散された式Iの化合物を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも50℃のガラス転移温度を有する薬学的に許容されるポリマーを含む固体マトリックス中に分散された化合物を含む固体分散体であって、前記化合物が、式I(a):
【化1】
[式中、
R2は、ハロゲンであり、
R3は、ハロゲン又はハロゲン化C1~6アルキルであり、
R4は、水素であり、
R5は、C1~6アルキル又はC1~6アルキルC(O)NHであり、
Xは、SO2であり、
aは、0であり、R1は、存在せず、
b及びcは、それぞれ1である]
の化合物、又はその互変異性体若しくは薬学的に許容される塩であり、
ポリマー:化合物質量比が、1:2から10:1の範囲内であり、前記固体分散体中における化合物濃度が、約15質量%から約60質量%の範囲内である、
固体分散体。
【請求項2】
R2が、塩素原子である、請求項1に記載の固体分散体。
【請求項3】
R3が、トリフルオロメチルである、請求項1又は2に記載の固体分散体。
【請求項4】
R5が、メチル又はCH3C(O)NHである、請求項1から3のいずれか一項に記載の固体分散体。
【請求項5】
1:1から6:1、又は1:1から4:1、又は2:1から5:1、又は3:1から5:1、又は1:1から3:1の範囲内のポリマー:化合物質量比を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の固体分散体。
【請求項6】
前記固体分散体中における前記化合物濃度が、約18質量%から約40質量%の範囲内、又は約20質量%から約40質量%の範囲内、又は約30質量%から約50質量%の範囲内である、請求項1から5のいずれか一項に記載の固体分散体。
【請求項7】
少なくとも50℃のガラス転移温度を有する薬学的に許容されるポリマーを含む固体マトリックス中に分散された化合物を含む固体分散体であって、前記化合物が、式I:
【化2】
[式中、
R1、R2及びR3は、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているヘテロシクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、場合により置換されているアルコキシ、アミノ、場合により置換されているスルホニル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているカルボキシル、アシル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているホスホニル、場合により置換されているホスフィニル、場合により置換されているボロネート、場合により置換されているシリル及びイミノからそれぞれ独立して選択され、
R4は、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているヘテロシクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、場合により置換されているアルコキシ、アミノ、場合により置換されているスルホニル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているカルボキシル、アシル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているホスホニル、場合により置換されているホスフィニル、場合により置換されているボロネート、場合により置換されているシリル及びイミノから選択され、
R5は、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているヘテロシクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、場合により置換されているアルコキシ、アミノ、場合により置換されているアルキルC(O)NH、場合により置換されているスルホニル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているカルボキシル、アシル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているホスホニル、場合により置換されているホスフィニル、場合により置換されているボロネート、場合により置換されているシリル及びイミノから選択され、
Xは、SO2及びC=Oから選択され、
a、b及びcは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4又は5である]
の化合物、又はその互変異性体若しくは薬学的に許容される塩であり、前記化合物が、実質的に非晶質の形態である、固体分散体。
【請求項8】
前記化合物が、式I(a):
【化3】
の化合物、又はその互変異性体若しくは薬学的に許容される塩[式中、R1、R2、R3、R4、R5、X、a式b及びcは、請求項7に規定の通りである]である、請求項7に記載の固体分散体。
【請求項9】
R4が、Hである、請求項7又は8に記載の固体分散体。
【請求項10】
R5が、C1~6アルキル又はC1~6アルキルC(O)NHである、請求項7から9のいずれか一項に記載の固体分散体。
【請求項11】
R5が、C1~6アルキル、例えばメチルである、請求項10に記載の固体分散体。
【請求項12】
R5が、C1~6アルキルC(O)NH、例えばCH3C(O)NHである、請求項10に記載の固体分散体。
【請求項13】
Xが、SO2である、請求項7から12のいずれか一項に記載の固体分散体。
【請求項14】
aが、0である、請求項7から13のいずれか一項に記載の固体分散体。
【請求項15】
bが、1であり、R2が、ハロゲンである、請求項7から14のいずれか一項に記載の固体分散体。
【請求項16】
cが、1であり、R3が、ハロゲン又はハロゲン化C1~6アルキル、例えばトリフルオロメチルである、請求項7から15のいずれか一項に記載の固体分散体。
【請求項17】
前記化合物が、
【化4A】
【化4B】
【化4C】
【化4D】
【化4E】
【化4F】
【化4G】
【化4H】
【化4I】
又はその互変異性体若しくは薬学的に許容される塩から選択される、請求項7に記載の固体分散体。
【請求項18】
前記化合物が、化合物1又は化合物7である、請求項17に記載の固体分散体。
【請求項19】
1:2から10:1、又は1:1から6:1、又は1:1から4:1、又は2:1から5:1、又は3:1から5:1、又は1:1から3:1の範囲内のポリマー:化合物質量比を有する、請求項7から18のいずれか一項に記載の固体分散体。
【請求項20】
前記固体分散体中における前記化合物濃度が、約15質量%から約60質量%の範囲内、又は約18質量%から約40質量%の範囲内、又は約20質量%から約40質量%の範囲内、又は約30質量%から約50質量%の範囲内である、請求項7から19のいずれか一項に記載の固体分散体。
【請求項21】
前記ポリマーが、少なくとも80℃、又は少なくとも100℃、又は少なくとも120℃、又は少なくとも140℃、又は50℃から200℃の間、又は80℃から200℃の間、又は100℃から180℃の間のガラス転移温度を有する、請求項1から20のいずれか一項に記載の固体分散体。
【請求項22】
前記ポリマーが、ポリビニルピロリドン又はそのコポリマーである、請求項1から21のいずれか一項に記載の固体分散体。
【請求項23】
前記ポリビニルピロリドン又はそのコポリマーが、5,000から100,000の間の平均分子量を有する、請求項22に記載の固体分散体。
【請求項24】
前記ポリマーが、セルロース又はセルロース誘導体である、請求項1から21のいずれか一項に記載の固体分散体。
【請求項25】
前記セルロース誘導体が、エステル化ヒドロキシアルキルメチルセルロース、例えば酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項24に記載の固体分散体。
【請求項26】
前記ポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸又はポリメタクリレートである、請求項1から21のいずれか一項に記載の固体分散体。
【請求項27】
薬学的に許容される界面活性剤を更に含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の固体分散体。
【請求項28】
前記薬学的に許容される界面活性剤が、
- 長鎖アルキル又はアルケニル硫酸塩(例えばC8からC20アルコールの硫酸塩、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、パレス硫酸ナトリウム等)、
- アルキルスルホン酸塩(例えばペルフルオロオクタンスルホン酸塩、ペルフルオロブタンスルホン酸塩、ドクサート塩等)、
- ソルビタン長鎖カルボン酸エステル(例えばC8からC20カルボン酸、例えばオレエート、ステアレート、ラウレート等)、
- ペグ化ソルビタン長鎖カルボン酸エステル(例えばツイーン20、ツイーン40、ツイーン60、ツイーン80)、
- ポリエチレン-ポリプロピレングリコールブロックコポリマー(例えばポロキサマー類)、
- ペグ化又は非ペグ化モノ、ジ及びトリグリセリド長鎖カルボン酸エステル(例えばPEG-4、-6又は-8、C8からC20アルキルカルボン酸トリグリセリド)、
- ポリエチレン及び/又はポリプロピレングリコールアルコキシレート、
- アルキルフェノールアルコキシレート、
- ポリエチレン及び/又はポリプロピレングリコールのアルキルフェノール誘導体(例えばトリトンX-100)、並びに
- スクロース長鎖カルボン酸エステル
から選択される少なくとも1つの界面活性剤を含む、請求項27に記載の固体分散体。
【請求項29】
前記薬学的に許容される界面活性剤が、長鎖アルキル硫酸塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、パレス硫酸ナトリウム等)である、請求項28に記載の固体分散体。
【請求項30】
5:1から20:1の、又は10:1から15:1の範囲内のポリマー:界面活性剤質量比を有する、請求項27から29のいずれか一項に記載の固体分散体。
【請求項31】
前記化合物が、5%未満の結晶性形態、又は2%未満の結晶性形態、又は1%未満の結晶性形態、又は更には0.5%未満の結晶性形態を含む、請求項1から30のいずれか一項に記載の固体分散体。
【請求項32】
粉末形態である、請求項1から31のいずれか一項に記載の固体分散体。
【請求項33】
粒子形態である、請求項1から31のいずれか一項に記載の固体分散体。
【請求項34】
請求項1から33のいずれか一項に記載の固体分散体の調製のための方法であって、前記化合物及び前記ポリマーを混合する工程を含む、方法。
【請求項35】
前記混合する工程が、
(a)前記化合物及びポリマーを溶媒に溶解する工程と、
(b)(a)において取得された混合物を乾燥させる工程と
を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記乾燥させる工程が、スプレー乾燥によって行われる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記混合する工程が、急速音響混合、押出、遊星混合及びボールミル粉砕によって行われる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
請求項1から33のいずれか一項に記載の固体分散体を含む、固体経口医薬組成物。
【請求項39】
薬学的に許容される担体、賦形剤又は添加剤を更に含む、請求項38に記載の固体経口医薬組成物。
【請求項40】
前記担体、賦形剤又は添加剤が、結合剤である、請求項39に記載の固体経口医薬組成物。
【請求項41】
前記結合剤が、セルロースベースの物質、例えば微結晶性セルロース及びカルボキシメチルセルロース、並びにアカシアガム、ゼラチン、コーンスターチ、トラガカントガム、アルギン酸ナトリウム、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、デキストロース、カオリン、セルロース、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、リン酸二カルシウム及びポリエチレングリコール(PEG)のような他の結合剤、又はそれらの組合せから選択される、請求項40に記載の固体経口医薬組成物。
【請求項42】
前記結合剤が、微結晶性セルロースである、請求項41に記載の固体経口医薬組成物。
【請求項43】
前記化合物が、前記組成物中、5wt.%から50wt.%の間、又は10wt.%から40wt.%の間の濃度で存在する、請求項38から42のいずれか一項に記載の固体経口医薬組成物。
【請求項44】
錠剤又はカプセル剤の形態である、請求項38から43のいずれか一項に記載の固体経口医薬組成物。
【請求項45】
コーティングを更に含む、請求項38から44のいずれか一項に記載の固体経口医薬組成物。
【請求項46】
前記化合物を1用量当たり20から200mgの範囲内の量で含む単位剤形である、請求項38から46のいずれか一項に記載の固体経口医薬組成物。
【請求項47】
請求項1から33のいずれか一項に記載の固体分散体又は請求項38から46のいずれか一項に記載の固体経口医薬組成物の、肥満(I又はII型)、非アルコール性及びアルコール性脂肪性肝疾患(インスリン抵抗性のリスク因子)、肥満の併存症、糖尿病の併存症、プラダー・ウィリ症候群(PWS)、プロオピオメラノコルチン(POMC)欠損肥満、LepR欠損肥満、POMCヘテロ接合欠損肥満、POMCエピジェネティック障害、バルデー・ビードル症候群、アルストレーム症候群、動脈硬化性心臓疾患の素因である脂質異常症、糖尿病性腎症、線維症及び線維性疾患、例えば特発性肺線維症(IPF)及びヘルマンスキー・パドラック症候群肺線維症(HPS-PF)、並びに痛風から選択される疾患又は障害の処置のための、使用。
【請求項48】
前記肥満の併存症が、代謝症候群、認知症、心臓疾患、高血圧症、胆嚢疾患、胃腸障害、月経不順、変性性関節炎、静脈うっ血性潰瘍、肺胞低換気症候群、睡眠時無呼吸、いびき、冠動脈疾患、動脈硬化疾患、偽脳腫瘍、変形性関節症、高コレステロール、並びに肝臓、卵巣、子宮頸部、子宮、乳房、前立腺又は胆嚢の悪性腫瘍の発症率上昇から選択される、請求項47に記載の使用。
【請求項49】
前記糖尿病(例えばI型)の併存症が、糖尿病性腎症、慢性腎臓病、糖尿病性網膜症並びに末梢性及び自律性神経障害から選択される、請求項47に記載の使用。
【請求項50】
前記疾患又は障害が、糖尿病(1又は2型)、肥満及び非アルコール性脂肪性肝疾患(例えば非アルコール性脂肪性肝炎)から選択される、請求項47に記載の使用。
【請求項51】
肥満、糖尿病(I又はII型)、非アルコール性及びアルコール性脂肪性肝疾患(インスリン抵抗性のリスク因子)、肥満の併存症、糖尿病の併存症、プラダー・ウィリ症候群(PWS)、プロオピオメラノコルチン(POMC)欠損肥満、LepR欠損肥満、POMCヘテロ接合欠損肥満、POMCエピジェネティック障害、バルデー・ビードル症候群、アルストレーム症候群、動脈硬化性心臓疾患の素因である脂質異常症、糖尿病性腎症、線維症及び線維性疾患、例えば特発性肺線維症(IPF)及びヘルマンスキー・パドラック症候群肺線維症(HPS-PF)、並びに痛風から選択される疾患又は障害の処置のための方法であって、請求項1から33のいずれか一項に記載の固体分散体又は請求項38から46のいずれか一項に記載の固体経口医薬組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項52】
前記肥満の併存症が、代謝症候群、認知症、心臓疾患、高血圧症、胆嚢疾患、胃腸障害、月経不順、変性性関節炎、静脈うっ血性潰瘍、肺胞低換気症候群、睡眠時無呼吸、いびき、冠動脈疾患、動脈硬化疾患、偽脳腫瘍、変形性関節症、高コレステロール、並びに肝臓、卵巣、子宮頸部、子宮、乳房、前立腺又は胆嚢の悪性腫瘍の発症率上昇から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記糖尿病(例えばI型)の併存症が、糖尿病性腎症、慢性腎臓病、糖尿病性網膜症並びに末梢性及び自律性神経障害から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記疾患又は障害が、糖尿病(1又は2型)、肥満及び非アルコール性脂肪性肝疾患(例えば非アルコール性脂肪性肝炎)から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
請求項7から18のいずれか一項に規定の通りの、式Iの固体非晶質化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、適用法の下で、2020年3月24日に出願された米国仮出願第62/993,775号の優先権を主張し、その内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、概して、非晶質化合物、非晶質化合物の固体分散体、それを含む医薬組成物、並びに疾患及び障害の処置及び予防におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
カンナビノイドCB1受容体の活性化は、食欲を増大させ、脂質の生合成及び貯蔵を増大させ、インスリン及びレプチンの作用を阻害し、炎症及び線維症を促進することが、概して公知である。故に、研究は、肥満、及び代謝症候群と称されるそれに関連する代謝障害の潜在的な処置のためのCB1受容体阻害剤を開発することに焦点を当てた。リモナバントは、代謝症候群を処置する際に有効であると示されたが、神経精神医学的(すなわちCNS関連)副作用を引き起こし、このことが、市場からのその撤退をもたらした。
【0004】
末梢組織(例えば脂肪組織、肝臓、筋肉、肺、腎臓、マクロファージ、膵臓ベータ細胞及び消化管)におけるCB1受容体を優先的に標的とし、一方、脳組織におけるCB1受容体とは相互作用せず、それにより、CNS関連副作用を回避する又は低減させる化合物が、George Kunosらにより、米国特許第9,765,031号において開示された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第9,765,031号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】J. Pharmaceutical Sciences、66: 1~19 (1977)
【非特許文献2】International Conference on Harmonization (ICH)、Guide for Industry、Q3C Impurities: Residual Solvents (1997)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、本発明の技術は、少なくとも50℃のガラス転移温度を有する薬学的に許容されるポリマーを含む固体マトリックス中に分散された化合物を含む固体分散体であって、化合物が、式I(a):
【0008】
【化1】
【0009】
[式中、
R2は、ハロゲンであり、
R3は、ハロゲン又はハロゲン化C1~6アルキルであり、
R4は、水素であり、
R5は、C1~6アルキル又はC1~6アルキルC(O)NHであり、
Xは、SO2であり、
aは、0であり、R1は、存在せず、
b及びcは、それぞれ1である]
の化合物、又はその互変異性体若しくは薬学的に許容される塩であり、
ポリマー:化合物質量比が、1:2から10:1の範囲内であり、固体分散体中における化合物濃度が、約15質量%から約60質量%の範囲内である、固体分散体に関する。
【0010】
一実施形態では、R2は、塩素原子である。別の実施形態では、R3は、トリフルオロメチルである。更なる実施形態では、R5は、メチル又はCH3C(O)NHである。好ましい実施形態では、固体分散体は、1:1から6:1、又は1:1から4:1、又は2:1から5:1、又は3:1から5:1、又は1:1から3:1の範囲内のポリマー:化合物質量比を有する。更に別の実施形態では、固体分散体中における化合物濃度は、約18質量%から約40質量%の範囲内、又は約20質量%から約40質量%の範囲内、又は約30質量%から約50質量%の範囲内である。
【0011】
別の態様によれば、本発明の技術は、少なくとも50℃のガラス転移温度を有する薬学的に許容されるポリマーを含む固体マトリックス中に分散された化合物を含む固体分散体であって、化合物が、式I:
【0012】
【化2】
【0013】
[式中、
R1、R2及びR3は、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているヘテロシクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、場合により置換されているアルコキシ、アミノ、場合により置換されているスルホニル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているカルボキシル、アシル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているホスホニル、場合により置換されているホスフィニル、場合により置換されているボロネート、場合により置換されているシリル及びイミノからそれぞれ独立して選択され、
R4は、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているヘテロシクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、場合により置換されているアルコキシ、アミノ、場合により置換されているスルホニル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているカルボキシル、アシル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているホスホニル、場合により置換されているホスフィニル、場合により置換されているボロネート、場合により置換されているシリル及びイミノから選択され、
R5は、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているヘテロシクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、場合により置換されているアルコキシ、アミノ、場合により置換されているアルキルC(O)NH、場合により置換されているスルホニル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているカルボキシル、アシル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているホスホニル、場合により置換されているホスフィニル、場合により置換されているボロネート、場合により置換されているシリル及びイミノから選択され、
Xは、SO2及びC=Oから選択され、
a、b及びcは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4又は5である]
の化合物、又はその互変異性体若しくは薬学的に許容される塩であり、化合物が、実質的に非晶質の形態である、固体分散体に関する。
【0014】
好ましい実施形態では、化合物は、式I(a):
【0015】
【化3】
【0016】
の化合物、又はその互変異性体若しくは薬学的に許容される塩[式中、R1、R2、R3、R4、R5、X、a、b及びcは、上記で定義した通りである]である。
【0017】
式I又はI(a)の一実施形態では、R4は、Hである。式I又はI(a)の別の実施形態では、R5は、C1~6アルキル又はC1~6アルキルC(O)NHである。例えば、R5は、C1~6アルキル(例えばメチル)である。代替として、R5は、C1~6アルキルC(O)NH(例えばCH3C(O)NH)である。上述の実施形態のいずれか1つでは、Xは、SO2であってよい。式I又はI(a)の別の実施形態では、aは、0であり、且つ/又はbは、1であり、R2は、ハロゲンであり、且つ/又はcは、1であり、R3は、ハロゲン若しくはハロゲン化C1~6アルキル、例えばトリフルオロメチルである。
【0018】
別の実施形態では、化合物は、本明細書において定義されている通りの化合物1から26、又はその互変異性体若しくは薬学的に許容される塩から選択される。例えば、化合物は、化合物1である。
【0019】
上記の固体分散体の更なる実施形態では、ポリマーは、少なくとも80℃、又は少なくとも100℃、又は少なくとも120℃、又は少なくとも140℃、又は50℃から200℃の間、又は80℃から200℃の間、又は100℃から180℃の間のガラス転移温度を有する。例えば、そのようなポリマーは、ポリビニルピロリドン又はそのコポリマー、例えば5,000から100,000の間の平均分子量を有するポリビニルピロリドンである。別の例において、ポリマーは、セルロース、又はエステル化ヒドロキシアルキルメチルセルロースのようなセルロース誘導体、例えば酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。更に他の例において、ポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸又はポリメタクリレートである。
【0020】
一部の実施形態では、ポリマー:化合物質量比は、1:2から10:1、又は1:1から6:1、又は1:1から4:1の間、又は2:1から5:1の間、又は3:1から5:1の間、又は1:1から3:1の間の範囲内である。
【0021】
他の実施形態では、固体分散体は、薬学的に許容される界面活性剤を更に含む。例えば、薬学的に許容される界面活性剤は、長鎖アルキル又はアルケニル硫酸塩(例えばC8からC20アルコールの硫酸塩、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、パレス硫酸ナトリウム等)、アルキルスルホン酸塩(例えばペルフルオロオクタンスルホン酸塩、ペルフルオロブタンスルホン酸塩、ドクサート塩等)、ソルビタン長鎖カルボン酸エステル(例えばC8からC20カルボン酸、例えばオレエート、ステアレート、ラウレート等)、ペグ化ソルビタン長鎖カルボン酸エステル(例えばツイーン20、ツイーン40、ツイーン60、ツイーン80)、ポリエチレン-ポリプロピレングリコールブロックコポリマー(例えばポロキサマー類)、ペグ化又は非ペグ化モノ、ジ及びトリグリセリド長鎖カルボン酸エステル(例えばPEG-4、-6又は-8、C8からC20アルキルカルボン酸トリグリセリド)、ポリエチレン及び/又はポリプロピレングリコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコキシレート、ポリエチレン及び/又はポリプロピレングリコールのアルキルフェノール誘導体(例えばトリトンX-100)、並びにスクロース長鎖カルボン酸エステルから選択される少なくとも1つの界面活性剤を含む。一実施形態では、薬学的に許容される界面活性剤は、長鎖アルキル硫酸塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、パレス硫酸ナトリウム等)である。一部の実施形態によれば、ポリマー:界面活性剤質量比は、5:1から20:1の、又は10:1から15:1の範囲内である。
【0022】
好ましい実施形態によれば、化合物は、5%未満の結晶性形態、又は2%未満の結晶性形態、又は1%未満の結晶性形態、又は更には0.5%未満の結晶性形態を含む。一部の例において、本明細書において記述されている及び上述の実施形態のいずれかに従う固体分散体は、粉末形態である。代替として、本明細書において記述されている及び上述の実施形態のいずれかに従う固体分散体は、粒子形態である。
【0023】
別の態様によれば、本発明の技術は、本明細書において定義されている通りの固体分散体の調製のための方法であって、化合物及びポリマーを混合する工程を含む、方法に関する。一実施形態では、混合する工程は、(a)化合物及びポリマーを溶媒に溶解する工程と、(b)(a)において取得された混合物を乾燥させる工程とを含む。例えば、乾燥させる工程は、スプレー乾燥によって行われる。別の実施形態では、混合する工程は、急速音響混合、押出、遊星混合及びボールミル粉砕によって行われる。
【0024】
更なる態様によれば、本発明の技術は、本明細書において定義されている通りの固体分散体を含む、固体経口医薬組成物に関する。一実施形態では、固体経口医薬組成物は、薬学的に許容される担体、賦形剤又は添加剤を更に含む。例えば、前記担体、賦形剤又は添加剤は、結合剤、例えばセルロースベースの物質、例えば微結晶性セルロース及びカルボキシメチルセルロース、並びにアカシアガム、ゼラチン、コーンスターチ、トラガカントガム、アルギン酸ナトリウム、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、デキストロース、カオリン、セルロース、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、リン酸二カルシウム及びポリエチレングリコール(PEG)のような他の結合剤から選択される結合剤、例えば微結晶性セルロースである。
【0025】
一実施形態では、化合物は、組成物中、5wt.%から50wt.%の間、又は10wt.%から40wt.%の間の濃度で存在する。別の実施形態では、固体経口医薬組成物は、錠剤又はカプセル剤の形態である。更なる実施形態では、固体経口医薬組成物は、コーティングを更に含む。更に別の実施形態では、固体経口医薬組成物は、化合物を1用量当たり20から200mgの範囲内の量で含む単位剤形である。
【0026】
更に別の態様によれば、本発明の技術は、本明細書において定義されている通りの固体分散体又は本明細書において定義されている通りの固体経口医薬組成物の、肥満(I又はII型)、非アルコール性及びアルコール性脂肪性肝疾患(インスリン抵抗性のリスク因子)、肥満の併存症、糖尿病の併存症、プラダー・ウィリ症候群(PWS)、プロオピオメラノコルチン(POMC)欠損肥満、LepR欠損肥満、POMCヘテロ接合欠損肥満、POMCエピジェネティック障害、バルデー・ビードル症候群、アルストレーム症候群、動脈硬化性心臓疾患の素因である脂質異常症、糖尿病性腎症、線維症及び線維性疾患、例えば特発性肺線維症(IPF)及びヘルマンスキー・パドラック症候群肺線維症(HPS-PF)、並びに痛風から選択される疾患又は障害の処置のための使用に関する。一実施形態では、肥満の併存症は、代謝症候群、認知症、心臓疾患、高血圧症、胆嚢疾患、胃腸障害、月経不順、変性性関節炎、静脈うっ血性(statis)潰瘍、肺胞低換気症候群、睡眠時無呼吸、いびき、冠動脈疾患、動脈硬化疾患、偽脳腫瘍、変形性関節症、高コレステロール、並びに肝臓、卵巣、子宮頸部、子宮、乳房、前立腺又は胆嚢の悪性腫瘍の発症率上昇から選択される。別の実施形態では、糖尿病(例えばI型)の併存症は、糖尿病性腎症、慢性腎臓病、糖尿病性網膜症並びに末梢性及び自律性神経障害から選択される。更なる実施形態では、疾患又は障害は、糖尿病(1又は2型)、肥満及び非アルコール性脂肪性肝疾患(例えば非アルコール性脂肪性肝炎)から選択される。
【0027】
本発明の技術の他の態様は、肥満、糖尿病(I又はII型)、非アルコール性及びアルコール性脂肪性肝疾患(インスリン抵抗性のリスク因子)、肥満の併存症、糖尿病の併存症、プラダー・ウィリ症候群(PWS)、プロオピオメラノコルチン(POMC)欠損肥満、LepR欠損肥満、POMCヘテロ接合欠損肥満、POMCエピジェネティック障害、バルデー・ビードル症候群、アルストレーム症候群、動脈硬化性心臓疾患の素因である脂質異常症、糖尿病性腎症、線維症及び線維性疾患、例えば特発性肺線維症(IPF)及びヘルマンスキー・パドラック症候群肺線維症(HPS-PF)、並びに痛風から選択される疾患又は障害の処置のための方法であって、本明細書において定義されている通りの固体分散体又は本明細書において定義されている通りの固体経口医薬組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、方法に関する。一実施形態では、肥満の併存症は、代謝症候群、認知症、心臓疾患、高血圧症、胆嚢疾患、胃腸障害、月経不順、変性性関節炎、静脈うっ血性(statis)潰瘍、肺胞低換気症候群、睡眠時無呼吸、いびき、冠動脈疾患、動脈硬化疾患、偽脳腫瘍、変形性関節症、高コレステロール、並びに肝臓、卵巣、子宮頸部、子宮、乳房、前立腺又は胆嚢の悪性腫瘍の発症率上昇から選択される。別の実施形態では、糖尿病(例えばI型)の併存症は、糖尿病性腎症、慢性腎臓病、糖尿病性網膜症並びに末梢性及び自律性神経障害から選択される。更なる実施形態では、疾患又は障害は、糖尿病(1又は2型)、肥満及び非アルコール性脂肪性肝疾患(例えば非アルコール性脂肪性肝炎)から選択される。
【0028】
本発明の化合物、組成物、方法及び使用の追加の目的及び特色は、以下の例示的な実施形態及び実施例の項の非制限的な記述を読むことでより明らかとなるであろうが、これらは本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施例2において記述される通り、F-MP、F-SEDDS及び化合物1と比較した製剤F1のx線粉末回折パターンを示す図である。
図2】実施例2において記述される通り、製剤F2、F3、F4、F5及び化合物1のx線粉末回折パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書において使用されるすべての技術的及び科学的用語並びに表現は、本発明の技術が属する分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ定義を有する。それでもなお一部の使用されている用語及び表現の定義を以下で提供する。参照により本明細書に組み込まれる刊行物、特許及び特許出願における用語の定義が本明細書で明記される定義に反する限りにおいて、本明細書における定義が優先する。本明細書において使用される項の見出しは、組織化のみを目的とし、開示されている主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0031】
本明細書において記述されている化学構造は、従来の標準に従って描画される。また、原子、例えば炭素原子が描画されている通りに不完全な原子価を含むと思われる場合、これらが必ずしも明示的に描画されていなくても、原子価は1個又は複数の水素原子によって満たされると推定される。水素原子は化合物の一部であることが推論されるはずである。
【0032】
本明細書において使用される術語は、特定の実施形態を記述することのみを目的とし、限定であることを意図したものではない。単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上明確に別のことを指示するのでない限り、複数形も含むことに留意すべきである。故に、例えば、「化合物」を含有する組成物への言及は、2つ以上の化合物の混合物も企図している。用語「又は」は、文脈上明確に別のことを指示するのでない限り、「及び/又は」を含むその意味で概して用いられることにも留意すべきである。更に、用語「を含む(including)」、「を含む(includes)」、「を有する(having)」、「を有する(has)」、「を持つ」又はそれらの変形が詳細な記述及び/又は請求項のいずれかにおいて使用される限りにおいて、そのような用語は、用語「を含む(comprising)」と同様の方式で包括的であることが意図されている。
【0033】
用語「約」又は「およそ」は、当業者によって決定された際の特定の値について許容される誤差範囲内であることを意味し、これは、一つには、値がどのようにして測定又は決定されるか、すなわち、測定システムの限界によって決まることになる。例えば、「約」は、当技術分野における実践当たりの1以内又は1を超える標準偏差を意味することができる。代替として、「約」は、所与の値の最大20%、好ましくは最大10%、より好ましくは最大5%、また更に好ましくは最大1%の範囲を意味することができる。代替として、特に生物学的システム又はプロセスに関して、この用語は、値の一桁以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味することができる。特定の値が本出願及び請求項において記述されている場合、別段の記載がない限り、特定の値の許容される誤差範囲内を意味する用語「約」が推定されるべきである。
【0034】
本明細書において使用される場合、用語「化合物」、「活性成分」及び同等の表現は、本出願において及び米国特許第9,765,031号において記述されている化合物、例えば、適用可能な実施形態のいずれかを場合により参照して構造式I及びI(a)によって包含されるものを指し、適用可能な場合、例示的な化合物、例えば化合物1から3、並びにそれらの薬学的に許容される塩、互変異性形態、溶媒和物、エステル及びプロドラッグも含む。両性イオン形態が可能な場合、化合物は実践上の目的のためにその中性形態として描画されてよいが、化合物はその両性イオン形態も含むことが理解される。本明細書における実施形態は、化合物の1つ又は複数を除外してもよい。化合物は、それらの化学構造又はそれらの化学名のいずれかによって同定されうる。化学構造及び化学名が相反する場合には、化学構造を優先するものとする。
【0035】
別段の記載がない限り、本明細書において描写される構造は、適用可能な場合、構造のすべての異性(例えば、鏡像異性、ジアステレオマー及び幾何(又は配座))形態、例えば、各不斉中心についてR及びS配置を含むことにもなっている。したがって、本発明の化合物の単一の立体化学異性体並びに鏡像異性、ジアステレオマー及び幾何(又は配座)混合物は、本明細書の範囲内である。治療化合物は、別段の注記がない限り、もしあれば、例証されている化合物のすべての可能な互変異性形態も包含する。この用語は、1個又は複数の原子が自然界で最も豊富に見られる原子質量とは異なる原子質量を有する、同位体標識化合物も含む。本発明の化合物に組み込まれうる同位体の例は、2H(D)、3H(T)、11C、13C、14C、15N、18O、17O、硫黄の同位体のいずれか1つ等を含むがこれらに限定されない。化合物は、非溶媒和形態、及び水和形態を含む溶媒和形態として存在してもよい。化合物は、複数の結晶性又は非晶質形態で存在しうる。しかしながら、本明細書において企図されている製剤には、非晶質又は実質的に非晶質の形態が好ましい。
【0036】
表現「非晶質」は、概して、結晶の長距離秩序特徴を欠く非結晶性状態を指定する。表現「実質的に非晶質」は、本明細書において使用される場合、例えば、5質量%未満の結晶性固体を含有する、主として非晶質状態である固体状態を指す。固体の非晶質性質は、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)又はフーリエ変換(FT)ラマン分光法を含む標準的な方法によって決定されうる。
【0037】
特定の鏡像異性体が好ましい場合、これは、一部の実施形態では、対応する鏡像異性体を実質的に含まずに提供されてよく、鏡像異性的に富化されていてもよい。「鏡像異性的に富化されている」は、化合物が、有意により大きい割合の1つの鏡像異性体で構成されていることを意味する。ある特定の実施形態では、化合物は、少なくとも約90質量%の好ましい鏡像異性体で構成されている。他の実施形態では、化合物は、少なくとも約95質量%、98質量%又は99質量%の好ましい鏡像異性体で構成されている。好ましい鏡像異性体は、キラル支持体上での高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)若しくは超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を含む当業者に公知である任意の方法によって、又はキラル塩の形成及び結晶化によってラセミ混合物から単離されてよく、或いは不斉合成によって調製されてよい。
【0038】
表現「薬学的に許容される塩」は、妥当な医学的判断の範囲内で、必要以上の毒性、刺激、アレルギー応答等なしにヒト及び下等動物の組織と接触して使用するために好適であり、合理的なベネフィット/リスク比に見合った、本明細書の化合物の塩を指す。薬学的に許容される塩は、当技術分野において周知である。例えば、S. M. Bergeらは、J. Pharmaceutical Sciences、66: 1~19 (1977)において薬学的に許容される塩について詳細に記述している。塩は、本明細書の化合物の最終単離及び精製中に、又は化合物の遊離塩基官能基を好適な有機若しくは無機酸と別個に反応させることによって(酸付加塩)、又は化合物の酸性官能基を好適な有機若しくは無機塩基と反応させることによって(塩基付加塩)、インサイチュで調製することができる。
【0039】
用語「溶媒和物」は、本発明の化合物の1つの、水及び非水性溶媒分子を含む1個又は複数の溶媒分子との物理的会合を指す。この物理的会合は、水素結合を含みうる。ある特定の事例では、例えば、1個又は複数の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれている場合、溶媒和物は単離が可能となる。用語「溶媒和物」は、溶液相及び単離可能な溶媒和物の両方を包含する。例示的な溶媒和物は、限定されないが、水和物、半水和物、エタノレート、ヘミエタノレート、n-プロパノレート、イソ-プロパノレート、1-ブタノレート(butanolate)、2-ブタノレート、及び他の生理学的に許容される溶媒の溶媒和物、例えばInternational Conference on Harmonization (ICH)、Guide for Industry、Q3C Impurities: Residual Solvents (1997)において記述されているクラス3溶媒を含む。したがって、本明細書において記述される通りの化合物は、その溶媒和物のそれぞれ及びそれらの混合物も含む。
【0040】
本明細書において使用される場合、表現「薬学的に許容されるエステル」は、インビボで加水分解することができ、ヒトの体内で容易に分解して親化合物又はその塩から離れるものを含みうる、本明細書の方法によって形成される化合物のエステルを指す。好適なエステル基は、例えば、薬学的に許容される脂肪族カルボン酸、特にアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸及びアルカンジオン酸に由来するものを含み、ここで、各アルキル又はアルケニル部分は、有利なことに、6個を超えない炭素原子を有する。特定のエステルの例は、ヒドロキシル基のホルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、アクリレート及びエチルスクシネート、並びに酸性基のアルキルエステルを含むがこれらに限定されない。他のエステル基は、スルホネート又はスルフェートエステルを含む。
【0041】
表現「薬学的に許容されるプロドラッグ」は、本明細書において使用される場合、妥当な医学的判断の範囲内で、必要以上の毒性、刺激、アレルギー応答等なしにヒト及び下等動物の組織と接触して使用するために好適であり、合理的なベネフィット/リスク比に見合った、それらの用途に有効な、本明細書の方法によって形成される化合物のプロドラッグを指す。「プロドラッグ」は、本明細書において使用される場合、本明細書の式によって描出されている任意の化合物を生じさせるために、代謝的手段によって(例えば加水分解によって)インビボで変換可能である化合物を意味する。
【0042】
本出願全体を通して略語を使用してもよく、別段の注記がない限り、そのような略語は、当分野で概して理解されている意味を有することが意図されている。そのような略語の例は、Me(メチル)、Et(エチル)、Pr(プロピル)、i-Pr(イソプロピル)、Bu(ブチル)、t-Bu(tert-ブチル)、i-Bu(イソ-ブチル)、s-Bu(sec-ブチル)、c-Bu(シクロブチル)、Ph(フェニル)、Bn(ベンジル)、Bz(ベンゾイル)、CBz又はCbz又はZ(カルボベンジルオキシ)、Boc又はBOC(tert-ブトキシカルボニル)、及びSu又はSuc(スクシンイミド)を含む。
【0043】
炭化水素置換基中における炭素原子の数は、接頭辞「Cx~Cy」又は「Cx~y」によって指し示すことができ、ここで、xは置換基中における炭素原子の最小数であり、yは最大数である。しかしながら、接頭辞「Cx~Cy」又は「Cx~y」が定義によって1個又は複数のヘテロ原子を組み込んでいる基に関連する場合(例えばヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール等)、x及びyは、炭素原子及びヘテロ原子を含むサイクル中における原子の最小及び最大数をそれぞれ定義する。
【0044】
用語「アルキル」は、本明細書において使用される場合、典型的には1から20個までの炭素原子を含有する、飽和直鎖又は分枝鎖炭化水素基を指す。例えば、「C1~C8アルキル」は、1個から8個までの炭素原子を含有する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、ヘプチル、オクチル基等を含むがこれらに限定されない。
【0045】
用語「アルケニル」は、本明細書において使用される場合、1つ又は複数の二重結合及び典型的には2から20個までの炭素原子を含有する、直鎖又は分枝鎖炭化水素基を表示する。例えば、「C2~8アルケニル」は、2から8個までの炭素原子を含有する。アルケニル基は、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1-メチル-2-ブテン-1-イル、ヘプテニル、オクテニル等を含むがこれらに限定されない。
【0046】
用語「アルキニル」は、本明細書において使用される場合、1つ又は複数の三重結合及び典型的には2から20個までの炭素原子を含有する、直鎖又は分枝鎖炭化水素基を表示する。例えば、「C2~8アルキニル」は、2から8個までの炭素原子を含有する。代表的なアルキニル基は、例えば、エチニル、1-プロピニル、1-ブチニル、ヘプチニル、オクチニル等を含むがこれらに限定されない。
【0047】
用語「シクロアルキル」、「脂環式」、「炭素環式」及び同等の表現は、単環式又は多環式環系中に飽和又は部分不飽和(非芳香族)炭素環式環を含む基を指し、3から15の環員を有するスピロ(1個の原子を共有する)、縮合(少なくとも1つの結合を共有する)又は架橋(2つ以上の結合を共有する)炭素環式環系を含む。シクロアルキル基の例は、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテン-1-イル、シクロペンテン-2-イル、シクロペンテン-3-イル、シクロヘキシル、シクロヘキセン-1-イル、シクロヘキセン-2-イル、シクロヘキセン-3-イル、シクロヘプチル、ビシクロ[4,3,0]ノナニル、ノルボルニル等を含む。シクロアルキルという用語は、非置換シクロアルキル基及び置換シクロアルキル基の両方を含む。用語「C3~Cnシクロアルキル」は、環構造中に3から指示されている「n」までの数の炭素原子を有するシクロアルキル基を指す。炭素の数が別段指定されているのでない限り、「低級シクロアルキル」基は、本明細書において使用される場合、それらの環構造中に少なくとも3個且つ8個以下の炭素原子を有する。
【0048】
本明細書において使用される場合、用語「ヘテロ環」、「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環式基」及び「ヘテロ環式環」は、交換可能に使用され、飽和又は部分不飽和のいずれかであり、上記で定義した通り、炭素原子に加えて、1個又は複数の、好ましくは1から4個のヘテロ原子を有する、化学的に安定な3から7員の単環式又は7~10員の二環式ヘテロ環式部分を指す。ヘテロ環の環原子に言及して使用される場合、用語「窒素」は、置換窒素を含む。例として、酸素、硫黄又は窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を有する飽和又は部分不飽和環において、窒素は、N(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルのように)、ΝΗ(ピロリジニルのように)又はNR(N置換ピロリジニルのように)であってよい。ヘテロ環式環は、任意のヘテロ原子又は炭素原子においてそのペンダント基に結合することができて、化学的に安定な構造をもたらし、環原子のいずれかは場合により置換されていてよい。ヘテロシクロアルキル基の例は、1,3-ジオキソラニル、ピロリジニル、ピロリドニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロジチエニル、テトラヒドロチエニル、チオモルホリノ、チオキサニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、3-アザビシクロ[3,1,0]ヘキサニル、3-アザビシクロ[4,1,0]ヘプタニル、キノリジニル、キヌクリジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル等を含むがこれらに限定されない。ヘテロ環式基は、ヘテロ環式環が、1つ又は複数のアリール、ヘテロアリール又は脂環式環と縮合している基、例えばインドリニル、3H-インドリル、クロマニル、クロメニル、フェナントリジニル、2-アザビシクロ[
2.2.1]ヘプタニル、オクタヒドロインドリル又はテトラヒドロキノリニルも含み、ここで、基又は結合点は、ヘテロシクリル環上である。ヘテロシクリル基は、単環式又は二環式であってよい。用語「ヘテロシクリルアルキル」は、ヘテロシクリルによって置換されているアルキル基を指し、ここで、アルキル及びヘテロシクリル部は、独立して、場合により置換されている。用語「C3~nヘテロシクロアルキル」は、炭素原子及びヘテロ原子を含む、環構造中に3から指示されている「n」までの数の原子を有するヘテロシクロアルキル基を指す。
【0049】
本明細書において使用される場合、用語「部分不飽和」は、環原子の間に少なくとも1つの二重又は三重結合を含むが芳香族ではない環部分を指す。用語「部分不飽和」は、複数の不飽和部位を有する環を包含することが意図されているが、本明細書において定義されている通り、アリール又はヘテロアリール部分を含むことを意図したものではない。
【0050】
単独で、又は「アラルキル」、「アラルコキシ」、「アリールオキシ」若しくは「アリールオキシアルキル」のようにより大きい部分の一部として使用される用語「アリール」は、4n+2共役π(パイ)電子[式中、nは、1から3までの整数である]を単環式部分又は二環式若しくは三環式縮合環系中に有し、この環系が合計6から15の環員を有し、系中の少なくとも1つの環が芳香族であり、系中の各環が3から7つの環員を含有する、芳香族基を指す。用語「アリール」は、用語「アリール環」と交換可能に使用されうる。本明細書のある特定の実施形態では、「アリール」は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アズレニル、アントラシル等を含むがこれらに限定されず、1つ又は複数の置換基を担持しうる、芳香族環系を指す。用語「アラルキル」又は「アリールアルキル」は、アリール環に結合しているアルキル残基を指す。アラルキルの例は、ベンジル、フェネチル等を含むがこれらに限定されない。用語「アリール」の範囲内には、それが本明細書において使用される場合、芳香族環が1つ又は複数の非芳香族環と縮合している基、例えばインダニル、インデニル、フタルイミジル、ナフチミジル(naphthimidyl)、フルオレニル、フェナントリジニル又はテトラヒドロナフチル等も含まれる。用語「C6~nアリール」は、環構造中に6から指示されている「n」までの数の原子を有するアリール基を指す。
【0051】
単独で、又はより大きい部分、例えば「ヘテロアラルキル」若しくは「ヘテロアラルコキシ」の一部として使用される用語「ヘテロアリール」は、4n+2共役π(パイ)電子[式中、nは、1から3までの整数である]を有し(例えば、5から18個の環原子、好ましくは5、6又は9個の環原子を有し、環状アレイで共有される6、10又は14個のπ電子を有する)、炭素原子に加えて、1から5個までのヘテロ原子を有する、芳香族基を指す。用語「ヘテロ原子」は、窒素、酸素又は硫黄を含むがこれらに限定されず、窒素又は硫黄の任意の酸化形態及び塩基性窒素の任意の四級化形態を含む。ヘテロアリールは、単環、又は2つ以上の縮合環であってよい。用語「ヘテロアリール」は、本明細書において使用される場合、ヘテロ芳香族環が、1つ又は複数のアリール、脂環式又はヘテロ環式環と縮合している基も含み、ここで、基又は結合点は、ヘテロ芳香族環上である。ヘテロアリール基の非限定的な例は、チエニル、フラニル(フリル)、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、3H-インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ピロロピリジニル(例えばピロロ[3,2-b]ピリジニル又はピロロ[3,2-c]ピリジニル)、ピラゾロピリジニル(例えばピラゾロ[1,5-a]ピリジニル)、フロピリジニル、プリニル、イミダゾピラジニル(例えばイミダゾ[4,5-b]ピラジニル)、キノリル(キノリニル)、イソキノリル(イソキノリニル)、キノロニル、イソキノロニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H-キノリジニル、ナフチリジニル及びプテリジニルカルバゾリル、アクリジニル、フェナントリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル並びにピリド[2,3-b]-1,4-オキサジン-3(4H)-オンを含む。ヘテロアリール基は、単環式又は二環式で
あってよい。ヘテロアリール基は、場合により置換されている環を含む。用語「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリールによって置換されているアルキル基を指し、ここで、アルキル及びヘテロアリール部は、独立して、場合により置換されている。例は、ピリジニルメチル、ピリミジニルエチル等を含むがこれらに限定されない。例えば、用語「C5~nヘテロアリール」は、炭素原子及びヘテロ原子を含む、環構造中に5から指示されている「n」までの数の原子を有するヘテロアリール基を指す。
【0052】
用語「ハロゲン」は、ハロゲン原子、すなわち、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子、好ましくはフッ素又は塩素を指定する。
【0053】
本明細書において記述される通り、本明細書の化合物は、「場合により置換されている」部分を含有してよい。概して、用語「置換されている」は、用語「場合により」が先行するか否かにかかわらず、指定部分の1個又は複数の水素が好適な置換基で置きかえられていることを意味する。別段の指示がない限り、「場合により置換されている」基は、基の各置換可能な位置に好適な置換基を有してよく、任意の所与の構造における1つを超える位置が、定められた基から選択される1つを超える置換基で置換されうる場合、置換基は、各位置で同じであっても異なっていてもよい。本明細書で想定される置換基の組合せは、好ましくは、化学的に安定な又は化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものである。用語「化学的に安定な」は、本明細書において使用される場合、それらの生成、検出を可能にする条件、並びに、ある特定の実施形態では、本明細書において開示される目的の1つ又は複数のためのそれらの回収、精製及び使用に供された場合に、実質的に改変されない化合物を指す。
【0054】
故に、用語「場合により置換されている」は、その上の水素原子の1、2若しくは3個又はそれ以上の、置換基による独立した置きかえによって置換されている又は非置換である基を指し、置換基は、F、CI、Br、I、OH、CO2H、アルコキシ、オキソ、チオオキソ、NO2、CN、CF3、NH2、NHアルキル、NHアルケニル、NHアルキニル、NHシクロアルキル、NHアリール、NHヘテロアリール、NHヘテロ環式、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、O-アルキル、O-アルケニル、O-アルキニル、O-シクロアルキル、O-アリール、O-ヘテロアリール、O-ハロアルキル、O-ヘテロ環式、C(O)アルキル、C(O)アルケニル、C(O)アルキニル、C(O)シクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)ヘテロシクロアルキル、CO2アルキル、CO2アルケニル、CO2アルキニル、CO2シクロアルキル、CO2アリール、CO2ヘテロアリール、CO2ヘテロシクロアルキル、OC(O)アルキル、OC(O)アルケニル、OC(O)アルキニル、OC(O)シクロアルキル、OC(O)アリール、OC(O)ヘテロアリール、OC(O)ヘテロシクロアルキル、C(O)NH2、C(O)NHアルキル、C(O)NHアルケニル、C(O)NHアルキニル、C(O)NHシクロアルキル、C(O)NHアリール、C(O)NHヘテロアリール、C(O)NHヘテロシクロアルキル、OCO2アルキル、OCO2アルケニル、OCO2アルキニル、OCO2シクロアルキル、OCO2アリール、OCO2ヘテロアリール、OCO2ヘテロシクロアルキル、OC(O)NH2、OC(O)NHアルキル、OC(O)NHアルケニル、OC(O)NHアルキニル、OC(O)NHシクロアルキル、OC(O)NHアリール、OC(O)NHヘテロアリール、OC(O)NHヘテロシクロアルキル、NHC(O)アルキル、NHC(O)アルケニル、NHC(O)アルキニル、NHC(O)シクロアルキル、NHC(O)アリール、NHC(O)ヘテロアリール、NHC(O)ヘテロシクロアルキル、NHCO2アルキル、NHCO2アルケニル、NHCO2アルキニル、NHCO2シクロアルキル、NHCO2アリール、NHCO2ヘテロアリール、NHCO2ヘテロシクロアルキル、NHC(O)NH2、NHC(O)NHアルキル、NHC(O)NHアルケニル、NHC(O)NHアルケニル、NHC(O)NHシクロアルキル、NHC(O)NHアリール、NHC(O)NHヘテロアリール、NHC(O)NHヘテロシクロアルキル、NHC(S)NH2、NHC(S)NHアルキル、NHC(S)NHアルケニル、NHC(S)NHアルキニル、NHC(S)NHシクロアルキル、NHC(S)NHアリール、NHC(S)NHヘテロアリール、NHC(S)NHヘテロシクロアルキル、NHC(NH)NH2、NHC(NH)NHアルキル、NHC(NH)NHアルケニル、NHC(NH)NHアルケニル、NHC(NH)NHシクロアルキル、NHC(NH)NHアリール、NHC(NH)NHヘテロアリール、NHC(NH)NHヘテロシクロアルキル、NHC(NH)アルキル、NHC(NH)アルケニル、NHC(NH)アルケニル、NHC(NH)シクロアルキル、NHC(NH)アリール、NHC(NH)ヘテロアリール、NHC(NH)ヘテロシクロアルキル、C(NH)NHアルキル、C(NH)NHアルケニル、C(NH)NHアルキニル、C(NH)NHシクロアルキル、C(NH)NHアリール、C(NH)NHヘテロアリール、C(NH)NHヘテロシクロアルキル、S(O)アルキル、S(O)アルケニル、S(O)アルキニル、S(O)シクロアルキル、S(O)アリール、S(O)2アルキル、S(O)2アルケニル、S(O)2アルキニル、S(O)2シクロアルキル、S(O)2アリール、S(O)ヘテロアリール、S(O)ヘテロシクロアルキル、SO2NH2、SO2NHアルキル、SO2NHアルケニル、SO2NHアルキニル、SO2NHシクロアルキル、SO2NHアリール、SO2NHヘテロアリール、SO2NHヘテロシクロアルキル、NHSO2アルキル、NHSO2アルケニル、NHSO2アルキニル、NHSO2シクロアルキル、NHSO2アリール、NHSO2ヘテロアリール、NHSO2ヘテロシクロアルキル、CH2NH2、CH2SO2CH3、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、炭素環式、ヘテロ環式、ポリアルコキシアルキル、ポリアルコキシ、メトキシメトキシ、メトキシエトキシ、SH、S-アルキル、S-アルケニル、S-アルキニル、S-シクロアルキル、S-アリール、S-ヘテロアリール、S-ヘテロシクロアルキル又はメチルチオメチルを含むがこれらに限定されない。
【0055】
開発努力中に、本明細書における化合物、とりわけ以下の化合物1は、結晶性形態である場合に本質的に不溶性であり、非常に乏しい経口バイオアベイラビリティをもたらすことが発見された。故に、努力は、実質的に強化された経口バイオアベイラビリティを実現するための好適なプロセス及び製剤の同定に向けられてきた。
【0056】
したがって、本発明の技術は、化合物がその結晶性形態に戻ることを防止する、固体マトリックス中における非晶質化合物の固体分散体の調製、これらの固体分散体、それを含む組成物及び固体剤形、並びにそれらの医学的使用に関する。固体分散体は、例えば、粒子、粉末等の形態となる。
【0057】
本発明の固体分散体のために企図されている化合物は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,765,031号において定義されている通りであり、本明細書において以下の段落で定義されているものを含む。化学部分に言及する場合、変数の任意の定義における化学基の一覧の列記は、収載されている基の任意の単一の基又は組合せとしてのその変数の定義を含む。同様に、本明細書における実施形態の列記は、任意の単一の実施形態としての又は任意の他の実施形態若しくはその一部と組み合わせた実施形態を含む。そのため、以下の実施形態は、単独で又は適用可能ならば組み合わせて存在する。
【0058】
本明細書において定義されている通りの例示的な化合物は、一般式I:
【0059】
【化4】
【0060】
[式中、
R1、R2及びR3は、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているヘテロシクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、場合により置換されているアルコキシ、アミノ、場合により置換されているスルホニル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているカルボキシル、アシル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているホスホニル、場合により置換されているホスフィニル、場合により置換されているボロネート、場合により置換されているシリル及びイミノからそれぞれ独立して選択され、
R4は、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているヘテロシクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、場合により置換されているアルコキシ、アミノ、場合により置換されているスルホニル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているカルボキシル、アシル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているホスホニル、場合により置換されているホスフィニル、場合により置換されているボロネート、場合により置換されているシリル及びイミノから選択され、
R5は、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているヘテロシクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、場合により置換されているアルコキシ、アミノ、場合により置換されているアルキルC(O)NH、場合により置換されているスルホニル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているカルボキシル、アシル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているホスホニル、場合により置換されているホスフィニル、場合により置換されているボロネート、場合により置換されているシリル及びイミノから選択され、
Xは、SO2及びC=Oから選択され、
a、b及びcは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4又は5である]
によって例証されるか、又はその互変異性体若しくは薬学的に許容される塩であり、化合物は、実質的に非晶質の形態である。
【0061】
上記の製剤において、好ましい例は、S配置のもの、例えば、式I(a):
【0062】
【化5】
【0063】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、X、a、b及びcは、上記で定義した通りである]
のものを含む。
【0064】
式I及びI(a)の化合物の一部の例において、R4は、Hである。他の例において、R5は、C1~6アルキル(例えばメチル)又はC1~6アルキルC(O)NH(例えばCH3C(O)NH)である。好ましい例において、Xは、SO2である。一部の事例では、aは、0であり、R1は、存在しない、すなわち、アリール基の5個すべての遊離炭素原子は、水素原子と連結している。好ましくは、bは、1であり、R2は、ハロゲンであり、且つ/又はcは、1であり、R3は、ハロゲン(例えば塩素)又はハロゲン化C1~6アルキル、例えばトリフルオロメチルである。
【0065】
式I(a)の化合物の例は、米国特許第9,765,031号において記述されている。例えば、化合物は、化合物1から26、又はその互変異性体若しくは塩から選択される。
【0066】
【化6A】
【0067】
【化6B】
【0068】
【化6C】
【0069】
【化6D】
【0070】
【化6E】
【0071】
【化6F】
【0072】
【化6G】
【0073】
【化6H】
【0074】
【化6I】
【0075】
これらの化合物は、従来の化学合成、例えば米国特許第9,765,031号において記述されているものによって調製されうる。当業者には分かる通り、本明細書における式の化合物を合成する更なる方法が、当業者に明白であろう。加えて、所望の化合物を得るために、種々の合成工程が代替シーケンス又は順序で実施されてよい。
【0076】
上記で指し示されている通り、化合物は、本発明の固体分散体に含まれる場合、実質的に非晶質の状態となる。例えば、固体分散体中における化合物は、5%未満の結晶性形態、又は2%未満の結晶性形態、又は1%未満の結晶性形態、又は更には0.5%未満の結晶性形態を含む。
【0077】
化合物は、その結晶性状態への再変換を防止するマトリックス中に分散される。好ましくは、マトリックスは、少なくとも50℃、又は少なくとも80℃、又は少なくとも100℃、又は少なくとも120℃、又は少なくとも140℃、又は50℃から200℃の間、又は80℃から200℃の間、又は100℃から180℃の間のガラス転移温度を有する薬学的に許容されるポリマーを含む。
【0078】
ポリマーの例は、少なくとも50℃のガラス転移温度を有する、ポリビニルピロリドン及びそのコポリマー、セルロース及びセルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸及びポリメタクリレートを含む。これらのポリマーは、有機溶媒に可溶性且つ経時的に化学的に安定でもあるべきである。例えば、ポリマーは、5,000から100,000の間の平均分子量を有する、ポリビニルピロリドン又はそのコポリマー(例えばN-ビニル-2-ピロリドン及び酢酸ビニルコポリマー)である。代替として、ポリマーは、セルロース誘導体、例えばエステル化ヒドロキシアルキルメチルセルロースであり、その中で酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースが一例である。
【0079】
固体分散体中におけるポリマー及び化合物の質量比は、化合物の安定な非晶質状態を実現するために調整されてよく、化合物に応じて変動することになる。ポリマー:化合物質量比の例は、1:2から10:1の間、又は1:1から6:1の間、又は1:1から4:1の間、又は2:1から5:1の間、又は3:1から5:1の間、又は1:1から3:1の間である。
【0080】
一部の好ましい代替において、固体分散体は、薬学的に許容される界面活性剤を更に含む。界面活性剤の例は、長鎖アルキル又はアルケニル硫酸塩(例えばC8からC20アルコールの硫酸塩、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、パレス硫酸ナトリウム等)、アルキルスルホン酸塩(例えばペルフルオロオクタンスルホン酸塩、ペルフルオロブタンスルホン酸塩、ドクサート塩等)、ソルビタン長鎖カルボン酸エステル(例えばC8からC20カルボン酸、例えばオレエート、ステアレート、ラウレート等)、ペグ化ソルビタン長鎖カルボン酸エステル(例えばツイーン20、ツイーン40、ツイーン60、ツイーン80)、ポリエチレン-ポリプロピレングリコールブロックコポリマー(例えばポロキサマー類)、ペグ化又は非ペグ化モノ、ジ及びトリグリセリド長鎖カルボン酸エステル(例えばPEG-4、-6又は-8、C8からC20アルキルカルボン酸トリグリセリド)、ポリエチレン及び/又はポリプロピレングリコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコキシレート、ポリエチレン及び/又はポリプロピレングリコールのアルキルフェノール誘導体(例えばトリトンX-100)、並びにスクロース長鎖カルボン酸エステル、又はそれらの組合せを含む。例えば、界面活性剤は、長鎖アルキル硫酸塩、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、パレス硫酸ナトリウム等である。
【0081】
界面活性剤が存在する場合、固体分散体中におけるポリマーの界面活性剤に対する質量比は、均一分散体を取得するために調整されることになり、使用される化合物、ポリマー及び界面活性剤によって決まることになる。ポリマー:界面活性剤質量比の例は、5:1から20:1までの、又は10:1から15:1までの範囲に及ぶ。
【0082】
本発明の固体分散体は、乾式又は湿式混合方法によって調製されうる。例えば、方法は、例えば急速音響混合、押出、遊星混合、ボールミル粉砕及び他の同様の混合方法を含むか、又はポリマー及び任意選択の界面活性剤と一緒に溶解され、固体分散体を形成するための方法、例えばスプレー乾燥によって乾燥されてよい。
【0083】
本明細書において定義されている通りの固体分散体は、対象への投与のために固体経口医薬組成物で製剤化されてよく、固体分散体は、薬学的に許容される担体、賦形剤又は添加剤と場合により混和される。一部の例において、活性化合物は、経口製剤中、5wt.%から50wt.%の間、又は10wt.%から40wt.%の間の濃度で存在する。
【0084】
表現「薬学的に許容される担体、賦形剤又は添加剤」及び同等の表現は、それを用いて製剤化される化合物の薬理活性も固体分散体の完全性も破壊しない、非毒性の担体、賦形剤又は添加剤を指す。本開示の組成物において使用されうる薬学的に許容される担体、賦形剤又は添加剤は、結合剤、甘味料、崩壊剤、賦形剤、香味料、コーティング剤、保存剤、滑沢剤及び/又はポリマーを含むがこれらに限定されない。
【0085】
結合剤の例は、セルロースベースの物質、例えば微結晶性セルロース及びカルボキシメチルセルロース、並びにアカシアガム、ゼラチン、コーンスターチ、トラガカントガム、アルギン酸ナトリウム又はポリエチレングリコール(PEG)のような他の結合剤を含む。甘味料の例は、スクロース、ラクトース、グルコース、アスパルテーム又はサッカリンを含む。崩壊剤は、コーンスターチ、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、ベントナイト、アルギン酸又は寒天を含む。賦形剤の例は、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、デキストロース、カオリン、セルロース、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム又はリン酸二カルシウムを含む。香味剤は、ペパーミント油、冬緑油、サクランボ、オレンジ又はラズベリー香味料を含む。コーティング剤は、アクリル酸及び/若しくはメタクリル酸及び/若しくはそれらのエステルのポリマー若しくはコポリマー、ワックス、脂肪アルコール、ゼイン、シェラック又はグルテンを含む。好適な保存剤は、安息香酸ナトリウム、ビタミンE、アルファ-トコフェロール、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベン又は重亜硫酸ナトリウムを含む。好適な滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウム又はタルクを含む。添加剤の例は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(PVP-VA)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒプロメロースアセテートスクシネート(HPMCAS)及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを更に含みうる。
【0086】
例えば、経口投与のための固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤及び顆粒剤を含む。好ましい代替において、組成物は、本明細書において記述される通りの固体分散体及び先行する段落において定義されている通りの少なくとも1つの結合剤を含み、結合剤が好ましくは微結晶性セルロースを含む、固体剤形である。
【0087】
固体分散体及び組成物は、軟質又は硬質充填カプセル剤における充填剤としても使用されうる。錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤、丸剤及び顆粒剤の固体剤形は、コーティング及び外殻、例えば腸溶コーティング及び医薬製剤分野において周知である他のコーティングを用いて調製されうる。それらは、乳白剤を場合により含有してよく、活性成分のみを、又は優先的に、腸管のある特定の部分において、場合により遅延方式で放出する、組成物のものであってもよい。使用されうる包埋組成物の例は、ポリマー性物質及びワックスを含む。組成物は、上記で注記した通りの1つ又は複数の添加剤を加えたマイクロカプセル化形態であってもよい。
【0088】
本明細書において使用される場合、用語「有効量」は、例えば研究者又は臨床医が求めている、組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘発するであろう、薬物又は医薬作用物質の量を意味する。更に、用語「治療有効量」は、そのような量を受けていない対応する対象と比較して、疾患、障害若しくはその症状の処置、治癒、予防若しくは回復、又は疾患若しくは障害の進行速度における減少をもたらす、任意の量を意味する。この用語は、その範囲内に、正常な生理学的機能を強化するために有効な量も含む。
【0089】
本明細書において使用される場合、用語「処置」「処置する」及び「処置すること」は、本明細書において記述される通りの疾患若しくは障害、又はその1つ若しくは複数の症状を、逆転させること、緩和すること、その発症を遅延させること、又はその進行を阻害することを指す。一部の実施形態では、処置は、1つ又は複数の症状が発生した後に投与されてよい。他の実施形態では、処置は、症状の非存在下で投与されてよい。例えば、処置は、感受性個体に、症状の発症前に投与されてよい(例えば、症状歴に照らして且つ/又は遺伝的若しくは他の感受性要因に照らして)。処置は、症状が解消された後、例えばそれらの再発を予防する又は遅延させるために継続されてもよい。
【0090】
用語「患者」又は「対象」は、本明細書において使用される場合、動物、例えば哺乳動物を指す。したがって、対象は、例えば、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモット、ヒトを含む霊長類等を指してよい。好ましくは、対象はヒトである。
【0091】
本発明の固体分散体に含まれる化合物は、カンナビノイド受容体CB1の阻害が指示されている疾患及び障害、例えば、米国特許第9,765,031号において記述されているもの等の処置に有用である。そのような疾患及び障害は、概して、糖尿病及び代謝障害(例えば代謝症候群)に関する。好ましくは、活性成分は、末梢組織(例えば脂肪組織、肝臓、筋肉、肺、腎臓、マクロファージ、膵臓ベータ細胞及び消化管)におけるCB1受容体を選択的に標的とし、一方、脳組織におけるCB1受容体とは相互作用せず、それにより、CNS関連副作用を回避する又は低減させる。
【0092】
本発明の化合物の効果は、食物摂取の低減、体重の低減、インスリン及びレプチン抵抗性の逆転、肝臓脂肪症(脂肪肝)の逆転並びに脂質異常症の改善を含みうる。処置される疾患及び障害の例は、肥満、糖尿病(I又はII型)、非アルコール性及びアルコール性脂肪性肝疾患(インスリン抵抗性のリスク因子)、肥満の併存症、糖尿病の併存症、プラダー・ウィリ症候群(PWS)、プロオピオメラノコルチン(POMC)欠損肥満、LepR欠損肥満、POMCヘテロ接合欠損肥満、POMCエピジェネティック障害、バルデー・ビードル症候群、アルストレーム症候群、動脈硬化性心臓疾患の素因である脂質異常症、糖尿病性腎症、線維症及び線維性疾患、例えば特発性肺線維症(IPF)及びヘルマンスキー・パドラック症候群肺線維症(HPS-PF)並びに痛風を含む。例えば、肥満の併存症は、代謝症候群、認知症、心臓疾患、高血圧症、胆嚢疾患、胃腸障害、月経不順、変性性関節炎、静脈うっ血性潰瘍、肺胞低換気症候群、睡眠時無呼吸、いびき、冠動脈疾患、動脈硬化疾患、偽脳腫瘍、変形性関節症、高コレステロール、並びに肝臓、卵巣、子宮頸部、子宮、乳房、前立腺又は胆嚢の悪性腫瘍の発症率上昇から選択される。好ましい例において、疾患又は障害は、糖尿病(1又は2型)、肥満及び非アルコール性脂肪性肝疾患(例えば非アルコール性脂肪性肝炎)を含む。糖尿病(例えばI型)の併存症の例は、糖尿病性腎症、慢性腎臓病、糖尿病性網膜症並びに末梢性及び自律性神経障害を含む。
【0093】
本発明の固体分散体及び組成物は、対象において脂肪組織の沈着を予防する又は逆転させるための方法において使用されてもよく、肥満の発症率又は重症度の低減に寄与することが期待され、これが今度は、関連する併存症の発症率又は重症度を低減させるであろう。
【0094】
本明細書は、対象において障害(本明細書において記述される通り)を処置する方法であって、それを必要とするとして同定された対象に、本明細書の固体分散体又は組成物を投与する工程を含む、方法を提供する。上述した障害のための処置を必要とする患者の同定は、十分に当業者の能力及び知識の範囲内である。主題の方法によって処置されうる上記の障害を発病するリスクがある患者の同定のための方法のある特定のものは、医療技術分野において分かっており、例えば家族歴、対象患者におけるその疾患状態の発生に関連するリスク因子の存在である。当業者の臨床医は、そのような候補患者を、例えば、臨床試験、身体検査、病歴/家族歴、及び遺伝的決定の使用によって容易に同定することができる。
【0095】
対象において処置の効能を評価する方法は、当技術分野において周知の方法によって障害の処置前の症状を決定する工程、及び次いで、治療有効量の本明細書の化合物を、対象に投与する工程を含む。化合物の投与後の適切な期間(例えば、1週間、2週間、1か月、6か月)後、障害の症状を再度決定する。障害の症状及び/又はバイオマーカーの変調(例えば減少)は、処置の効能を指し示す。障害の症状及び/又はバイオマーカーは、処置全体を通して周期的に決定されうる。例えば、障害の症状及び/又はバイオマーカーは、処置の更なる効能を評価するために、数日、数週間又は数か月ごとに確認されうる。障害の症状及び/又はバイオマーカーにおける減少は、処置が効果的であることを指し示す。
【0096】
本明細書において提供される医薬組成物は、経口投与に適応している。そのような製剤は、食物とともに又はなしで投与されうる。固体分散体又は組成物は、投与の容易さ及び投薬量の均一性のために単位剤形で製剤化される。表現「単位剤形」は、本明細書において使用される場合、処置される患者に適切な作用物質の物理的に不連続な単位を指す。しかしながら、本開示の固体分散体及び組成物の1日の総使用量は、妥当な医学的判断の範囲内で、担当医によって決められることが理解されよう。
【0097】
単一剤形に含まれうる固体分散体の量は、処置される患者(例えば小児対成人等)及び分散体に含まれる特定の化合物に応じて変動することになる。提供組成物は、例えば、0.01から20mgの間/体重1kg/日の1日の総投薬量の化合物が、これらの組成物を受けている患者に投与されうるように、製剤化されてよい。単回用量組成物は、そのような量を含有しうるか、又は1日の総用量が、例えば1日に1、2又若しくは3回摂取される複数の剤形に分割されうる。例えば、単回用量は、5から500mgの間、又は20から200mgの間の活性成分を含みうる。処置レジメンは、患者への、単回用量で又は複数回用量に分割して1日当たり約10mgから約1000mgまでの総量の本明細書の化合物の投与を含みうる。
【0098】
化合物の1日の総用量は、妥当な医学的判断の範囲内で、担当医によって決められることが理解されよう。例えば、任意の特定の患者のための具体的な投薬量又は処置レジメンは、年齢、体重、全般的健康、性別、食習慣、投与時間、排泄率、薬物組合せ、治療医師の判断、及び疾患又は障害に関連する症状の重症度を含む、様々な要因によって決まることになる。
【0099】
処置される疾患又は障害に応じて、本開示の組成物中に追加の治療剤が存在してもよいし、別個に共投与されてもよい。本発明の固体分散体及び製剤と組み合わせて使用されうる追加の治療剤の非限定的な例は、抗糖尿病剤、コレステロール低下剤、抗炎症剤、抗菌剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、サイトカインアンタゴニスト、免疫抑制薬、抗がん剤、抗ウイルス剤、サイトカイン、成長因子、免疫調節薬、プロスタグランジン、又は抗血管過剰増殖化合物を含む。処置は、他の処置又は介入、例えば手術、放射線療法(例えば、ガンマ線照射、中性子ビーム放射線療法、電子ビーム放射線療法、プロトン療法、近接照射療法及び全身性放射性同位体)、生体(biologic)応答修飾物質(例えば、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子(TNF))、及び本発明の化合物の又は共投与される成分の有害作用を減衰させるために使用される作用物質で補完されてもよい。
【0100】
本明細書における変数のための実施形態の列記は、任意の単一の実施形態としての又は任意の他の実施形態若しくはその一部と組み合わせた実施形態を含む。本明細書における実施形態の列記は、任意の単一の実施形態としての又は任意の他の実施形態若しくはその一部と組み合わせた実施形態を含む。
【実施例
【0101】
以下の非限定的な例は、例証的な実施形態であり、本発明の範囲を更に限定するものとして解釈されるべきではない。これらの例は、添付の図を参照して、より良好に理解されるであろう。
【0102】
別段の指示がない限り、明細書及び請求項において使用される成分、反応条件、濃度、特性、安定性等の分量を表現するすべての数字は、すべての事例において、用語「約」によって修飾されているとして理解されたい。最低限でも、各数値パラメーターは、少なくとも、報告された有効桁数に照らして及び通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。したがって、反する指示がない限り、本明細書及び添付の請求項に明記されている数値パラメーターは、取得することが求められる特性に応じて変動しうる近似である。広範囲の実施形態を明記している数値範囲及びパラメーターは近似であるにもかかわらず、具体例で明記される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、実験、試験測定、統計分析等における変動から生じるある特定の誤差を本質的に含有する。
【0103】
(実施例1)
固体分散体及び組成物
(a)溶融ポリマー中における固体分散体(比較用のF-MP)
ポリソルベート80(Protameen Chemicals社)を、溶融PEG-8000(Spectrum社)に添加し、2分間にわたって混合した。化合物1を添加し、インペラーを使用して、ホットプレート中、60℃で30分間にわたって激しく混合した。次いで、溶融材料をアルミニウム箔の全体に広げた。厚さ約2mmの固化フィルムを、格子型円形1575μm開口スクリーン、続いて、正方形スクリーン1143μm及び円形インペラー、スペーサー0.25インチを備えたクアドロコーミル(コニカルミル)で、1200rpmにおいてミル粉砕した。F-MP製剤組成をTable 1(表1)に詳述する。
【0104】
【表1】
【0105】
(b)固体自己乳化型薬物送達システム(F-SEDDS)(比較用)
Kolliphor(商標)HS 15(BASF社)を約5グラムの水に溶解し、Labrasol(商標)(Gattefosse社)と混合した。高せん断造粒機GMX 0.1を使用して、化合物1をこの溶液と60rpmで5分間にわたって混合した。メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(Neusilin(商標)UFL 2、富士化学工業株式会社製)をクリーム状混合物に添加し、325rpm/1800rpmインペラー/チョッパー速度で2分間にわたって混合した。低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC、Nisso America, Inc.社)を残りの水に溶解し、溶液を10g/分で添加し、粉末混合物と325rpm/1800rpmインペラー/チョッパー速度で混合した。小さいバッチサイズにより、顆粒を60℃の従来のオーブン内で2.5時間にわたって乾燥させた。18メッシュ篩を使用し、乾燥した材料を手によって顆粒化した。滑沢剤(フマル酸ステアリルナトリウム、JRS Pharma社)を40メッシュ篩に通して篩い分けし、Vブレンダーを使用して25rpmで2分間にわたって顆粒と混合した。F-SEDDS製剤組成をTable 2(表2)に詳述する。
【0106】
【表2】
【0107】
(c)PVP中における固体分散体(F1)
非晶質共沈物は、化合物1(1%)、ポリビニルピロリドン(4%)(Plasdone(商標)K29/32、Ashland社)及びジクロロメタン/メタノールの20:80w/w混合物(95%)で構成される溶液から取得した。ノズル内径711μm、入口温度65℃、噴霧空気0.1MPa、乾燥気流0.5m3/分及びスプレー速度20g/分を用いるヤマトラボテック株式会社スプレー乾燥機モデルGB22を使用して、溶液をスプレー乾燥させた。次いで、非晶質共沈物を微結晶性セルロース(タブロース102、Blanver社)と、Vブレンダー内、25rpmで5分間にわたって混合することによって、製剤を調製した。製剤F1の組成をTable 3(表3)にまとめる。
【0108】
【表3】
【0109】
(d)界面活性剤を加えたPVP中における固体分散体(F2(a)からF2(e))
製剤F2(a)からF2(e)は、最初に15gのポビドン(プラスドンK29/32)及び1gのラウリル硫酸ナトリウム(Stepan社製)を400gのジクロロメタン/メタノール(20:80v/v)に溶解することによって取得された。化合物1(4g)を溶液に添加し、溶解した。ノズル内径711μm、入口温度65℃、噴霧空気0.15MPa、乾燥気流0.4m3/分及びスプレー速度22g/分を用いるヤマトラボテック株式会社スプレー乾燥機モデルGB210を使用して、溶液をスプレー乾燥させた。
【0110】
次いで、スプレー乾燥分散体(SDD)をトレイに広げ、二次乾燥工程のために、60℃のFisher Scientific社アイソテンプ(Istotemp)モデル655Fオーブンに60分間にわたって入れた。最終ブレンドは、25rpmで5分間にわたって、Vブレンダー内、1.7グラムの微結晶性セルロース(タブロース102)を加えた8.3グラムのSDDと混合することによって調製した。PVPの強力な結合特性によるカプセル内容物の適正な崩壊を確実にするために、セルロースを添加した。最終ブレンドF2をHPMC「0」型又はゼラチンAAA型カプセルに充填して、種々の化合物1用量を実現した。最終F2(a)からF2(e)カプセル組成をTable 4(表4)に示す。
【0111】
【表4】
【0112】
(e)HPMC-AS中における固体分散体(F3)
ヒプロメロースアセテートスクシネート(16g、HPMC-AS-MF、Ashland社)を、最初に400gのジクロロメタン/メタノール(50:50v/v)に溶解した。化合物1(4g)を溶液に添加し、溶解した。ノズル内径711μm、入口温度65℃、噴霧空気0.15MPa、乾燥気流0.4m3/分及びスプレー速度22g/分を用いるヤマトラボテック株式会社スプレー乾燥機モデルGB210を使用して、溶液をスプレー乾燥させた。二次乾燥は必要とされなかった。SDDをHPMCカプセルサイズ0に充填した。最終F3カプセル組成をTable 5(表5)に示す。
【0113】
【表5】
【0114】
(f)界面活性剤を加えたPVP中における固体分散体(F4)
この例において使用されるSDDは、(d)において調製したものと同じ成分で構成されるが、40%のより高い薬物負荷である。ポビドン及びラウリル硫酸ナトリウムを、ジクロロメタン/メタノール(20:80v/v)に直ちに溶解した。完了するために、より多くのジクロロメタン(200mL)を33:67(v/v)の最終溶媒系組成まで添加することによって、化合物1の溶解を取得した。その後、溶解した固体含有量は3.3%(w/w)であった。ノズル内径711μm、入口温度65℃、噴霧空気0.15MPa、乾燥気流0.4m3/分及びスプレー速度22g/分を用いるヤマトラボテック株式会社スプレー乾燥機モデルGB210を使用して、溶液をスプレー乾燥させた。スプレー乾燥後、SDDをトレイに広げ、二次乾燥工程のために、60℃のFisher Scientific社アイソテンプモデル655Fオーブンに60分間にわたって入れた。最終ブレンドは、25rpmで5分間にわたって、Vブレンダー内、1.7グラムの微結晶性セルロース102を加えた8.3グラムのSDDと混合することによって調製した。最終ブレンドをHPMCカプセルサイズ0に充填した(Table 6(表6))。
【0115】
【表6】
【0116】
(g)界面活性剤を加えたNeusilin中における固体分散体(F5)
化合物1(4g)を、最初に400グラムのジクロロメタン/メタノール(50:50v/v)に溶解した。Labrasol(商標)(8g)を溶液に添加し、溶解した。Neusilin(商標)(8g)を溶液中に分散させ、15分間混合した。ノズル内径711μm、入口温度75℃、噴霧空気0.15MPa、乾燥気流0.4m3/分及びスプレー速度22g/分を用いるヤマトラボテック株式会社スプレー乾燥機モデルGB210を使用して、分散体をスプレー乾燥させた。懸濁液をプロセスの全体を通して撹拌した。スプレー乾燥後、SDD(Table 2(表2))をトレイに広げ、二次乾燥工程のために、60℃のFisher Scientific社アイソテンプモデル655Fオーブンに60分間にわたって入れた。SDDをHPMCカプセルサイズ0に充填した。最終F5カプセル組成をTable 7(表7)に示す。
【0117】
【表7】
【0118】
(h)界面活性剤を加えたPVP中における固体分散体-錠剤製剤(F6(a)からF6(d))
固体分散体は、最初に、実施例1(d)に詳述した手順に準拠し、Table 8(表8)の第1の項において指示されている質量割合(すなわち約40wt.%の薬物負荷)及び溶媒として33:67のジクロロメタン/メタノール割合を使用して調製した。錠剤は、固体分散体からの乾式造粒(ローラー圧密)によって製造した。Table 8(表8)中の粒内成分を、30番篩(600μmの公称開口部)に通して篩い分けし、Vブレンダーを使用して25rpmで2分間にわたって混合した(プレミックス)。粒内滑沢剤を40番篩(425μmの公称開口部)に通して篩い分けし、プレミックスに25rpmで2分間にわたって添加した。TFC-Labo(商標)ローラー圧密機(Vector Corporation社)を使用して、滑沢混合物をローラー圧密した。750psiの圧延力及び3.5±0.5/40±5rpmの圧延/スクリューフィーダー速度をそれぞれ使用して、厚さ約0.8mmを有するリボンが取得された。20番メッシュ篩(850μmの公称開口部)を使用してリボンを顆粒化した。得られた顆粒をVブレンダーに移し、25rpmで2分間にわたって混合し、余分な粒状滑沢剤を事前に40番篩に通して篩い分けした。錠剤(F6(a)からF6(c))を、20mg及び35mgの錠剤については重力フィーダー及び7mm、8mm、円形ツーリング、並びに100mgの錠剤については6.05×17.75mmのカプセル形状ツーリングをそれぞれ備えたKORSCH XP1(商標)ワンステーション打錠機で、圧縮した。標的錠剤質量は、20mg、35mg及び100mgの強さについてそれぞれ114mg、200mg及び571mgであった。30分未満での崩壊を標的とするために、硬度を調整した。
【0119】
【表8】
【0120】
F6(d)製剤は、製剤F6(b)をカプセルに導入することによっても調製された。
【0121】
(i)界面活性剤を加えたPVP中における固体分散体(F7)
固体分散体は、最初に、実施例1(d)に詳述した手順に準拠し、ラウリル硫酸ナトリウムをPoloxamer(商標)で置きかえ、Table 9(表9)において指示されている質量割合を使用することによって調製した。
【0122】
【表9】
【0123】
(j)界面活性剤を加えたHPMC-AS中における固体分散体(F8)
ヒプロメロースアセテートスクシネート及びラウリル硫酸ナトリウムを、最初にジクロロメタン/メタノール(50:50v/v)に溶解した。化合物1を溶液に添加し、溶解した。ノズル内径711μm、入口温度65℃、噴霧空気0.15MPa、乾燥気流0.4m3/分及びスプレー速度22g/分を用いるヤマトラボテック株式会社スプレー乾燥機モデルGB210を使用して、溶液をスプレー乾燥させた。二次乾燥は必要とされなかった。SDDをHPMCカプセルサイズ0に充填した。最終F8カプセル組成をTable 10(表10)に示す。
【0124】
【表10】
【0125】
(k)界面活性剤を加えたPVP中における固体分散体(F9からF13)
固体分散体は、ジクロロメタン及びメタノールの1:1混合物中の、化合物1、ポビドン及びラウリル硫酸ナトリウム(4.8質量%の溶解した固体、割合についてはTable 11(表11)の第1の項を参照)を含有する溶液を、ノズル内径711μmを用いるヤマトラボテック株式会社スプレー乾燥機モデルGB22を入口温度65℃、噴霧空気0.15MPa、0.4m3/分の乾燥気流及びスプレー速度25±2g/分で使用して、スプレー乾燥させることによって取得した。潜在的な残留溶媒を除去するために、スプレー乾燥させた材料をトレイに広げ、Fisher Scientific社アイソテンプモデル655Fの従来のオーブン内、60℃で2時間にわたって二次乾燥に供して、SDDを提供した。
【0126】
最終ブレンドは、乾式造粒(ローラー圧密)によって40グラムバッチサイズで製造した。粒内成分(すなわち、Table 11(表11)の第2の項からの成分と混合されたSDD)を、30番篩(600μmの公称開口部)に通して篩い分けし、Vブレンダーを使用して25rpmで2分間にわたって混合した(プレミックス)。粒内滑沢剤を40番篩(425μmの公称開口部)に通して篩い分けし、プレミックスと25rpmで2分間にわたって混合した。
【0127】
次いで、TFC-Labo(商標)ローラー圧密機(Vector Corporation社)を使用して、滑沢混合物をローラー圧密した。700psiの圧延力並びに3及び38rpmの圧延/スクリューフィーダー速度をそれぞれ使用して、厚さ約1mmを有するリボンが取得され、20番メッシュ篩(850μmの公称開口部)を使用してそれを顆粒化した。
【0128】
得られた顆粒をVブレンダーに移し、25rpmで2分間にわたって混合し、粒外添加剤(Table 11(表11)の最後の項を参照)を事前に40番篩に通して篩い分けし、事前に40番篩に通して篩い分けしたステアリン酸マグネシウムと25rpmで2分間にわたって混合することによって、滑沢した。
【0129】
錠剤
17.5%の薬物負荷を持つ20mgの錠剤(SDD40%DL)を、7mm円形標準ツーリングを備えたKORSCH XP1(商標)ワンステーション打錠機で、錠剤質量114±3mg及び錠剤硬度4±1kpにて圧縮した。
【0130】
26.3%の薬物負荷を持つ20mgの錠剤(SDD60%DL)を、6mm円形標準ツーリングを備えたKORSCH XP1(商標)ワンステーション打錠機で、錠剤質量76±2mg及び錠剤硬度3±1kpにて圧縮した。
【0131】
35.0%の薬物負荷を持つ20mgの錠剤(SDD80%DL)を、5mm円形標準ツーリングを備えたKORSCH XP1(商標)ワンステーション打錠機で、錠剤質量57±1mg及び錠剤硬度3±1kpにて圧縮した。
【0132】
薬物製品組成の概要を以下のTable 11(表11)に収載する。
【0133】
【表11】
【0134】
(l)HPMC-AS中における固体分散体(F14)
HPMC-AS中における化合物7の固体分散体は、711μmノズル内径を持つヤマトラボテック株式会社スプレー乾燥機モデルGB22を使用するスプレー乾燥によって取得した。アセトン中の溶液(5%固体)を、60~65℃の入口温度、0.15MPaの噴霧空気、0.4m3/分の乾燥気流及び20g/分のスプレー速度でスプレー乾燥させた。潜在的な残留溶媒を除去するために、スプレー乾燥させた材料に、Fisher Scientific社アイソテンプモデル280A真空オーブン内、60℃及び-18Hgで15分から1時間の間、二次乾燥も受けさせた。
【0135】
製剤を、20mgの化合物7カプセル用に適切なサイズの硬質ゼラチンカプセルに手動で充填した。他の成分は添加しなかった。最終薬物製品製剤をTable 12(表12)に提示する。総質量は、カプセルの質量を除外する。
【0136】
【表12】
【0137】
(m)HPMC-AS中における固体分散体(F15(a)及びF15(b))
HPMC-AS中における化合物7の固体分散体は、711μmノズル内径を持つヤマトラボテック株式会社スプレー乾燥機モデルGB22を使用するスプレー乾燥によって取得した。ジクロロメタン及びメタノールの1:1混合物中の溶液(5%固体)を、60~65℃の入口温度、0.15MPaの噴霧空気、0.4m3/分の乾燥気流及び20g/分のスプレー速度でスプレー乾燥させた。潜在的な残留溶媒を除去するために、スプレー乾燥させた材料に、Fisher Scientific社アイソテンプモデル280A真空オーブン内、60℃及び-18in Hgで15分から1時間の間、二次乾燥も受けさせた。
【0138】
製剤を、乾式造粒を使用して加工した。固体分散体及び滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)以外の粉末並びに第二リン酸カルシウムを30メッシュ(600μm)篩でスクリーニングし、Vブレンダーを使用して25rpmで2分間にわたって混合した。粒内ステアリン酸マグネシウムを40メッシュ(425μm)篩に通してスクリーニングし、Vブレンダーを使用して25rpmで2分間にわたって混合した。TFC-Labo(商標)ローラー圧密機(Vector Corporation社)を使用して、ブレンドをローラー圧密した。700psiの圧延力、2.5±0.5rpmの圧延速度及びスクリューフィーダー速度25±5rpmを使用して、厚さ約1mmを有するリボンが取得された。20メッシュ(850μm)篩を使用してリボンを顆粒化した。顆粒及び外相崩壊剤(クロスカルメロース)及び滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)を、Vブレンダーを使用して25rpmで2分間ずつ混合した。
【0139】
5及び50mgの錠剤を、重力フィーダー並びに5及び12mm円形標準凹型ツーリングをそれぞれ備えたKorsch(商標)XP1を使用して圧縮した。錠剤の組成をTable 13(表13)にまとめる。
【0140】
【表13】
【0141】
(n)界面活性剤を加えたPVP中における固体分散体(F16(a)及びF16(b))
PVP及びラウリル硫酸ナトリウム中における化合物7の固体分散体は、711μmノズル内径を持つヤマトラボテック株式会社スプレー乾燥機モデルGB22を使用するスプレー乾燥によって取得した。ジクロロメタン及びメタノールの1:1混合物中の溶液(5%固体)を、60~65℃の入口温度、0.15MPaの噴霧空気、0.4m3/分の乾燥気流及び20g/分のスプレー速度でスプレー乾燥させた。潜在的な残留溶媒を除去するために、スプレー乾燥させた材料に、Fisher Scientific社アイソテンプモデル280A真空オーブン内、60℃及び-18Hgで15分から1時間の間、二次乾燥も受けさせた。
【0142】
20mgの錠剤:
20mgの剤形を、乾式造粒を使用して加工した。滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)以外の粉末を、30メッシュ(600μm)篩でスクリーニングし、Vブレンダーを使用して25rpmで2分間にわたって混合した。粒内ステアリン酸マグネシウムを40メッシュ(425μm)篩に通してスクリーニングし、Vブレンダーを使用して非滑択プレミックスと25rpmで2分間にわたって混合した。TFC-Labo(商標)ローラー圧密機(Vector Corporation社)を使用して、ブレンドをローラー圧密した。700psiの圧延力、圧延速度3.5±0.5rpm及びスクリューフィーダー速度45±5rpmを使用して、厚さ約1mmを有するリボンが取得された。20メッシュ(850μm)篩を使用してリボンを顆粒化した。顆粒及び外相滑沢剤を、Vブレンダーを使用して25rpmで2分間にわたって混合した。20mgの化合物7錠剤を、重力フィーダー及び7mm円形標準凹型ツーリングを備えたKorsch(商標)XP1を使用して圧縮した。
【0143】
100mgの錠剤:
100mgの錠剤は、20mgの錠剤と同じSDDを使用して作製したが、乾式ローラー圧密の代わりにスラッグ法を使用した。滑沢剤を除く成分を30メッシュ篩でスクリーニングし、乳鉢/乳棒を使用して2分間にわたって混合した。質量352±2mg、厚さ5±1mm及び硬度1.8±0.2kpを有するスラッグを、Carver社手動油圧ベンチトップ作業台を500lbfで使用して圧縮した。スラッグを破砕し、850μm篩に通して(thought)顆粒化した。顆粒を、外部滑沢剤と、乳鉢/乳棒を使用して1分間にわたって混合することによって滑沢した。100mgの化合物7錠剤を、重力フィーダーを備えたKorsch(商標)XP1を使用して圧縮した。
【0144】
Table 14(表14)は、20mg及び100mgのF16(a)及びF16(b)錠剤について組成をまとめたものである。
【0145】
【表14】
【0146】
(o)界面活性剤を加えたPVP中における固体分散体(F17(a)及びF17(b))
PVP及びラウリル硫酸ナトリウム中における化合物7の固体分散体は、以下のTable 15(表15)において記述される質量割合を使用して、1(n)のように取得した。
【0147】
次いで、最終ブレンドを、乾式造粒プロセスを使用して調製した。滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)以外の粉末を、30メッシュ(600μm)篩でスクリーニングし、Vブレンダーを使用して25rpmで2分間にわたって混合した。粒内ステアリン酸マグネシウムを40メッシュ(425μm)篩に通してスクリーニングし、Vブレンダーを使用して非滑択プレミックスと25rpmで2分間にわたって混合した。TFC-Labo(商標)ローラー圧密機(Vector Corporation社)を使用して、ブレンドをローラー圧密した。700psiの圧延力、圧延速度2.5±0.5rpm及びスクリューフィーダー速度25±5rpmを使用して、厚さ約1mmを有するリボンが取得された。20メッシュ(850μm)篩を使用してリボンを顆粒化した。顆粒及び外相滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)を、Vブレンダーを使用して25rpmで2分間ずつ混合した。
【0148】
次いで、5及び50mgの錠剤を、重力フィーダー並びに5及び12mm円形標準凹型ツーリングをそれぞれ備えたKorsch(商標)XP1を使用して圧縮した。
【0149】
最終F17(a)及びF17(b)製剤を以下のTable 15(表15)に提示する。
【0150】
【表15】
【0151】
(p)界面活性剤を加えたPVP中における固体分散体(F18(a)及びF18(b))
F18(a)及びF18(b)製剤は、1(o)のように調製されたものであり、ここで、ラクトースは、粒内成分中の無水第二リン酸カルシウム及びメグルミンで置きかえられ、クロスカルメロースも外相中に存在する。造粒プロセスは、1(o)において提示されるものと同じである。最終製剤をTable 16(表16)に提供する。
【0152】
【表16】
【0153】
(q)界面活性剤を加えたPVP中における固体分散体(F19(a)及びF19(b))
F19(a)及びF19(b)製剤は、1(p)のように調製されたものであり、ここで、重炭酸ナトリウムが粒内成分に添加される。造粒プロセスは、1(o)において提示されるものと同じである。最終製剤をTable 17(表17)に提供する。
【0154】
【表17】
【0155】
(実施例2)
物理化学的特性
結晶状態をX線粉末回折(XRPD)によって検証した。15rpmの一定回転下に保った低容量試料ホルダー(φ20mm×0.5mmの試料腔付きのSi低バックグラウンド試料ホルダー(φ51.5mm))を使用して、リンクスアイ検出器付きのBruker社D2フェイザーX線回折計、Cu Kα放射線(λ=1.5406Å)を使用する分析中にこの粉末を分析した。獲得は、3~56°2θの範囲にわたり、0.2秒のステップ時間を用いて0.01°2θの増分で、2.5mm検出窓付きの0.6mm開口スリットを使用して行った。
【0156】
XRPDパターンは、最初に、スプレー乾燥させた製剤F1(界面活性剤なし)について測定し、他の方法によって調製された固体分散体(F-MP及びF-SEDDS)のXRPDパターンと、及び基準物質として化合物1と比較した。XRPDパターンを図1に示す。結果は、化合物1の完全な非晶質変換は高ガラス転移温度ポリマー(F1において)でのみ実現され、一方、融解したポリマー及びS-SEDDS製剤は化合物1からの残留ピークを示したことを示す。
【0157】
XRPDパターンを製剤F2からF5についても測定し、図2に示す通り、化合物1と比較した。非晶質形態は4つすべての製剤について確認された。
【0158】
(実施例3)
生物学的特性
薬物動態特性をビーグル犬において測定した。投与を経口的に行い、静脈内投与(2mg/kg、DMSO/テトラグリコール/PEG400/水中、10:20:25:45)と比較した。F6(b)を除く各製剤を三匹(3)の動物に対する単回用量として試験し、F6(b)は五匹(5)の動物に対して試験した。イヌを、時間0、1時間、4時間、8時間、12時間、24時間、36時間、48時間及び72時間で試料採取して、全時間の濃度プロファイルを得た。F-SEDDSを使用する正常イヌに対する試験を除き、すべての試験は絶食したイヌで行い、正常イヌに対する試験は給餌したイヌで行った。試験条件及び経口バイオアベイラビリティ結果をTables 18及び19(表18及び19)にまとめる。結果を試験動物間の平均として提示する。
【0159】
【表18】
【0160】
【表19】
【0161】
試験した他の製剤は、湿式造粒、融解造粒及び乾式造粒を腸溶コーティングあり又はなしで含んでいた。これらの製剤について観察された経口バイオアベイラビリティは、2%から5%までの範囲に及んだ。Tables 18(表18)から分かるように、界面活性剤なしの高Tgポリマーマトリックス、例えばF1及びF3におけるものは、融解したポリマー(F-MP)及び固体自己乳化型薬物送達システム(F-SEDDS)と比較して、バイオアベイラビリティにおける有意な改善をもたらした。更に、データは、ポリマーマトリックスを含有する界面活性剤が、無機Neusilinマトリックスを含有する対応物(F5)と比較して改善したバイオアベイラビリティをもたらすことも示唆する。バイオアベイラビリティ結果における最高の改善は、概して、固体スプレー乾燥分散体における約20%から約60%(w/w)の薬物負荷で、界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムの5質量%前後の濃度とともに取得された。
【0162】
安定性試験も本発明の製剤に対して実施した。一部の分解(1%前後)が観察され、例えば、製剤は、加速分解1か月試験においてポリマーとしてHPMC-ASを含有していた。PVP及びSLSを含有する製剤は、試験条件下で概してより安定であることが分かった。
【0163】
本発明の範囲から逸脱することなく、上述した実施形態のいずれかに、多数の修正が為されうる。本文書において言及される任意の参考文献、特許又は科学文献文書は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
図1
図2
【国際調査報告】