(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(54)【発明の名称】光学要素を有するLED照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20230424BHJP
F21S 8/08 20060101ALI20230424BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20230424BHJP
F21V 7/28 20180101ALI20230424BHJP
G02B 5/08 20060101ALI20230424BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230424BHJP
【FI】
F21S2/00 484
F21S8/08 100
F21S2/00 481
F21V7/00 530
F21V7/00 510
F21V7/00 570
F21V7/28 240
G02B5/08 Z
F21Y115:10 700
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564091
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-21
(85)【翻訳文提出日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 EP2021059661
(87)【国際公開番号】W WO2021213858
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッセンベルフ ミシェル コルネリス ヨセフス マリー
(72)【発明者】
【氏名】アンセムス ヨハンネス ペトルス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ヴドヴィン オレクサンドル ヴァレンティノヴィッチ
【テーマコード(参考)】
2H042
3K244
【Fターム(参考)】
2H042DA02
2H042DA04
2H042DA11
2H042DA12
2H042DD04
2H042DE04
3K244AA05
3K244BA08
3K244BA14
3K244BA18
3K244BA20
3K244BA27
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA22
3K244DA27
3K244FA07
3K244FA13
3K244LA07
(57)【要約】
LED照明器具は、LED要素のLEDアレイと、光学要素とを含む。光学要素は、LEDアレイの平面に垂直になるように位置付けられる、1つ以上の部分反射又は部分透過要素を含む。このようにして、部分反射要素は、LED要素によって発せられる光の一部を反射することにより、仮想源、すなわち、仮想LED要素を作り出し、一方、光を部分的に透過することにより、元の、すなわち、「現実の」LED要素が依然として見えることを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の平面に配置され、各々が光を発するように構成される、LED要素のアレイと、
1つ以上の部分反射要素を含む光学要素であって、各部分反射要素は、前記LED要素のアレイのLED要素によって発せられる光を直接受けるように位置付けられ、前記第1の平面に垂直に位置付けられる光入射面を含む、光学要素と、
を含む、LED照明器具であって、
各部分反射要素は、受けた光の第1の部分を少なくとも前記光入射面を用いて反射し、前記受けた光の第2の、異なる部分を透過するように構成され、
少なくとも1つの部分反射要素は、前記光入射面を用いて反射される、前記直接受けた光の第1の部分の仮想源が、該部分反射要素が直接光を受けるLED要素と隣接するLED要素との間にあるように位置付けられる、LED照明器具。
【請求項2】
前記LED要素のアレイの各LED要素は、少なくとも1つの鏡面対称面を有する配光を有する光を発するように構成され、
各部分反射要素の光入射面は、該部分反射要素が直接光を受けるLED要素の1つ以上の配光の鏡面対称面と平行に位置付けられ、
好ましくは、各LED要素によって発せられる光の配光は同一である、請求項1に記載のLED照明器具。
【請求項3】
前記LED要素のアレイの各LED要素によって発せられる光の配光は、有限個の鏡面対称面を有する、請求項2に記載のLED照明器具。
【請求項4】
各部分反射要素と該部分反射要素が直接光を受けるLED要素との距離は、該部分反射要素が直接光を受けるLED要素と隣接するLED要素との距離の0.1倍~0.4倍である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のLED照明器具。
【請求項5】
各部分反射要素の厚さは、1mm以下、好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.5mm以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のLED照明器具。
【請求項6】
少なくとも1つの部分反射要素は、少なくとも1つの他の部分反射要素によって直接受けられた光の反射された第1の部分及び/又は光の透過された第2の部分をさらに受けるように構成され、該受けた第1の及び/又は第2の部分の光を部分的に反射し、部分的に透過するように構成される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のLED照明器具。
【請求項7】
少なくとも1つの部分反射要素は、前記第1の平面に垂直な方向において、該部分反射要素が直接光を受けるLED要素と隣接するLED要素との距離の0.4倍以上、好ましくは、該部分反射要素が直接光を受けるLED要素と隣接するLED要素との距離の1倍以上の長さを有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のLED照明器具。
【請求項8】
前記受けた光の前記第1の部分及び/又は前記第2の部分は、前記受けた光の25%以上、75%以下を含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のLED照明器具。
【請求項9】
前記受けた光の前記第1の部分及び/又は前記第2の部分は、前記受けた光の45%以上、55%以下を含む、請求項8に記載のLED照明器具。
【請求項10】
前記受けた光の前記第1の部分は、第1の波長のセット内にある波長を有する前記受けた光の75%以上を含み、前記受けた光の前記第2の部分は、第2の、異なる波長のセット内にある波長を有する前記受けた光の75%以上を含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のLED照明器具。
【請求項11】
少なくとも1つの部分反射要素は、前記受けた光が複数の光線を含む場合、各光線が該部分反射要素によって部分的に透過され、部分的に反射されるように構成される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のLED照明器具。
【請求項12】
少なくとも1つの部分反射要素は、ダイクロイックコーティング及び/又は1つ以上のフィルム若しくはプレートのスタック等の部分反射コーティングでコーティングされる光透過要素を含む、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のLED照明器具。
【請求項13】
少なくとも1つの部分反射要素は、穴あき反射要素を含む、及び/又は、少なくとも1つの部分反射要素は、部分若しくは完全反射パッチのパターンでコーティングされる光透過要素を含む、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のLED照明器具。
【請求項14】
前記LED要素のアレイは、1つ以上のLED要素のラインを含み、各部分反射要素は、LED要素のラインと平行になるように位置付けられる、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のLED照明器具。
【請求項15】
各LED要素は、発光ダイオード(LED)及び前記発光ダイオードによって発せられる光を方向付けるように構成されるビーム整形光学要素を含む、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のLED照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、LED照明器具の分野に関し、とりわけ、追加の光学要素を有するLED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
LED照明器具は、商業用照明設備、例えば、道路照明設備、産業用照明設備等でますます使用されるようになってきている。これらの状況において、LED照明器具は、通常、各々可視光LEDから形成される、LED要素のアレイと、対応するレンズとを含む。
【0003】
この光学アーキテクチャは、エネルギ効率が高いため、商業用照明設備においてとりわけ有利である。しかしながら、LEDごとの別個のレンズの使用により、LED照明器具は、例えば、アレイと同じサイズの単一の均一な光源と比較して、グレアが増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それゆえ、エネルギ効率の低下なく、グレアの低減を享受するLED照明器具を提供することが望まれている。
【0005】
1つの可能なアプローチは、LEDアレイのピッチを減少させること、すなわち、LEDアレイの異なるLED要素間の距離を減少させることである。ピッチの減少は、人間の目が別個のLED要素を識別することができなくなることを意味し、その結果、照明器具によって発せられる光は、より均一でぎらつき(glary)が少ないように見える。しかしながら、LEDアレイのピッチの減少は、LED要素の数が2次関数的に増えるため、高コストにつながる。また、レンズの寸法も減少され、レンズの製造をより困難にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、特許請求の範囲によって規定される。
【0007】
本発明の一態様による例によれば、第1の平面に配置され、各々が光を発するように構成される、LED要素のアレイと、1つ以上の部分反射要素(partially reflective element)を含む光学要素であって、各部分反射要素は、LED要素のアレイのLED要素によって発せられる光を直接受けるように位置付けられ、第1の平面に垂直に位置付けられる光入射面を含む、光学要素とを含む、LED照明器具であって、各部分反射要素は、受けた光の第1の部分を少なくとも光入射面を用いて反射し、受けた光の第2の、異なる部分を透過するように構成され、少なくとも1つの部分反射要素は、光入射面を用いて反射される、直接受けた光の第1の部分の仮想源(virtual source)が、部分反射要素が直接光を受けるLED要素と隣接するLED要素との間にあるように位置付けられる、LED照明器具が提供される。
【0008】
本開示は、LED要素によって発せられる光の第1の(反射された)部分が、LED要素の脇(side)の仮想源に由来するように見え、LED要素によって発せられる光の第2の(透過された)部分が、LED要素自体に由来するように見えるように、LED要素によって発せられる光を効果的に分割するために1つ以上の部分反射要素を使用する。
【0009】
この結果、アレイに追加のLED要素を設ける必要なく、(「現実の(real)」)LED要素の間の1つ以上の仮想源(「仮想LED要素(virtual LED element)」)の生成(creation)を介して、LED要素のアレイの有効ピッチが減少されることになる。斯くして、特定のLED要素によって発せられる光は、現実のLED要素と少なくとも1つの仮想LED要素とにわたって少なくとも部分的に再分配されるように見え、これにより、(LED照明器具による光出力の総量(total magnitude)への影響を最小限に抑えながら)任意の単一のLED要素の見かけ上の明るさ(apparent brightnes)が低減され、これにより、LED照明器具の見かけ(appearance)がソフトになり、見かけ上のグレア(apparent glare)が低減される。
【0010】
さらに、既存のLEDボード及びレンズプレートが再利用されることができ、エンドユーザに対するコストを最小限に抑えることができる。
【0011】
部分反射要素は、直接受けた光の少なくとも一部を反射する、すなわち、部分反射要素によって行われる光の反射に寄与する光入射面を含む。これにより、光入射面は、光を反射するための界面として機能する。部分反射要素は、受けた光を反射するための、すなわち、反射された光の第1の部分に寄与するための、1つ以上の他の界面を含んでもよい。
【0012】
光を反射するために用いられる、光入射面を第1の平面に垂直に位置付けることにより、少なくとも光入射面を用いて反射される光は、同じ仮想LED要素から来るように見え、LEDアレイの見かけ上の又は有効ピッチが低減されることになる。また、このアプローチは、ビームの反射された及び透過された部分が第1の平面から離れるように方向付けられ、(無視できるほどの散乱及び吸収を仮定して)LED照明器具による光出力の総量を維持することを意味する。提案されるアプローチは、(LED照明器具によって以前は出力されていたであろう)光が、LEDアレイに反射し戻されるのを回避する。
【0013】
好ましくは、光入射面は、LED照明器具の見かけ上の明るさの均一性(apparent brightness uniformity)を高める及び元の配光(original luminous intensity distribution)からの逸脱を低減するために、実質的に平坦な及び/又は滑らかな表面エリア(すなわち、滑らかな表面)である。平坦な表面エリアは、表面が、垂直な対称面から逸脱することを回避するのに役立つ。(光学的に)滑らかな表面は散乱を低減し、反射及び/又は透過が鏡面的又は近鏡面的(near-specular)になる。
【0014】
少なくとも1つの部分反射要素は、LED要素のアレイの2つの隣接するLED要素の間に、少なくとも光入射面を用いて反射されている、これら2つの要素の一方から直接受けた光の仮想源が、これら2つの隣接するLED要素の間にあるように、配置される。これは、現実のLED要素及び仮想LED要素の見かけ上の位置の均一性(apparent positional uniformity)(例えば、広がり(spread))並びにこれらからの光出力の明るさの均一性を高める。好ましくは、少なくとも1つの部分反射要素は、この仮想源が2つの隣接するLED要素の間の(ほぼ)中間にあるように、2つの隣接するLED要素の間に配置される。
【0015】
一部の実施形態において、LED要素のアレイの各LED要素は、少なくとも1つの鏡面対称面(mirror symmetry plane)を有する配光を有する光を発するように構成され、各部分反射要素の光入射面は、該部分反射要素が直接光を受けるLED要素の1つ以上の配光の鏡面対称面と平行に位置付けられる。各部分反射要素の光入射面を鏡面対称面に平行に整列することにより、仮想源は、該部分反射要素が直接光を受けるLED要素の配光の一部と対称な部分配光(partial luminous intensity distribution)を有するように見えることになる。これは、特定の視線方向に関して観察者によって知覚されるLED照明器具の光度出力の均一性を高め、グレアを低減する。とりわけ、このアプローチにより、すべてのソース(source)(現実及び仮想)は、様々な視線方向からより均一な明るさであるように見えるようになる。
【0016】
好ましくは、光学要素は、各部分反射要素について、該部分反射要素によって最後に反射されたLED照明器具によって出力される第1の光が、別の部分反射要素によって最後に反射された照明器具によって出力される第2の光に対応し、対応する第2の光が、該部分反射要素と平行な対称面に関して第1の光に対して鏡面対称を有するように構成される。
【0017】
言い換えれば、(部分反射要素のいずれかによる反射を受けている)複数の光線、すなわち、「複数の反射された光線(plurality of reflected light rays)」の各々は、LED照明器具によって出力される(部分反射要素のいずれかによる反射を受けている)2つの反射された光線のセットのうちの一方であってもよい。2つの光線のセットにおける第1の光線は、(照明器具が光線のセットを出力する前に)第1の光線を最後に反射した部分反射要素に平行な対称面に関して2つの光線のセットにおける第2の、他の光線に対して鏡面対称を有する。
【0018】
好ましくは、複数の反射された光線の各々は、それ自身の、固有の対応する鏡像反射光線を有してもよい。
【0019】
複数の光線は、部分反射要素によって反射されているLED照明器具によって出力される全光線の90%以上、例えば、95%以上、例えば、99%以上を含んでもよい。
【0020】
この構成(configuration)により、光学要素を含まないLED照明器具と比較して、LED照明器具の全体的な配光は変化しない(例えば±10%又は±1%等の妥当な誤差の範囲内)が、見かけ上の明るさの均一性が向上し得る。
【0021】
部分反射要素を適切に位置付ける及び構成することにより、この構成は実現されることができる。
【0022】
とりわけ、部分反射要素は、LED要素と(LED要素によって出力される光を反射する)部分反射要素の各組み合わせが、別のLED要素と、別のLED要素によって出力される光を反射する別の部分反射要素の別の組み合わせに対応するように配置されてもよい。(別のLED要素から受ける)別の部分反射要素によって反射される光は、(元のLED要素から受ける)元の部分反射要素によって反射される光の鏡像である。
【0023】
例えば、この構成は、各部分反射要素を、2つの部分反射要素のセットを形成する2つの部分反射要素のうちの一方として形成することによって達成されることができる。2つの部分反射要素のセットは、互いに平行に位置付けられ、好ましくは、(セットの)第1の部分反射要素によって反射される光が(該セットの)第2の部分反射要素によって反射される光の鏡像であるように位置付けられる(及びLEDアレイがこのように適切に構成される)。
【0024】
これは、LED要素の一方の側に第1の部分反射要素を位置付け、(同じLED要素であってもよく、又は同じ光強度分布(light intensity distribution)を有する異なるLED要素であってもよい)LED要素の反対側に第2の部分反射要素を位置付けることによって達成されることができる。第1の部分反射要素とその対応するLED要素との距離は、第2の部分反射要素とその対応するLED要素との距離と同じであってもよい。それらの位置以外では、第1及び第2の部分反射要素は(妥当な製造公差内で)同一であってもよい。
【0025】
各部分反射要素がこのように形成される(すなわち、これらの要件を満たすセットの一部を形成する)場合、光学要素を含まないLED照明器具と比較して、LED照明器具の全体的な配光は変化しない(例えば±10%又は±1%等の妥当な誤差の範囲内)が、見かけ上の明るさの均一性が向上する。
【0026】
好ましくは、部分反射要素のセットの第1及び第2の部分反射要素は、第1の部分反射要素によって反射される光の少なくとも一部が、第2の部分反射要素によって反射される光の一部と同じ仮想源から来るように見えるように位置付けられる。これは、仮想源が「現実の」LED要素と同様の配光を有するように見えるのに役立つ。このアプローチにより、すべてのソース(source)(現実及び仮想)は、様々な視線方向からより均一な明るさであるように見えるようになる。
【0027】
好ましくは、各(個々の)LED要素によって発せられる光の配光は同一である。これは、特定の視線方向に関して観察者によって知覚されるLED照明器具の光度出力の均一性を高め、グレアを低減する。
【0028】
一部の実施形態において、LED要素のアレイの各LED要素によって発せられる光の配光は、有限個の鏡面対称面を有する。
【0029】
好ましくは、各部分反射要素と該部分反射要素が直接光を受けるLED要素との距離は、該部分反射要素が直接光を受けるLED要素と隣接するLED要素との距離の0.1倍~0.4倍である。
【0030】
距離は、第1の平面に沿った距離、すなわち、第1の平面に対するLED要素と部分反射要素(の投影)との距離として定義されてもよい。一例として、第1の平面は水平面を定義してもよく、距離は、部分反射要素と、該部分反射要素が直接光を受けるLED要素との水平距離として定義されてもよい。
【0031】
本発明者らは、このように各部分反射要素を位置付けることにより、明るさの均一性が向上したLED照明器具がもたらされることを認識した。
【0032】
好ましくは、各部分反射要素と該部分反射要素が直接光を受けるLED要素との距離は、該部分反射要素が直接光を受けるLED要素と隣接するLED要素との距離の0.2倍~0.3倍、例えば、0.23倍~0.27倍である。
【0033】
一部の好ましい実施形態において、各部分反射要素と該部分反射要素が直接光を受けるLED要素との距離は、各部分反射要素(及びそのそれぞれのLED要素)について異なる。言い換えれば、それぞれのLED要素に関する、異なる部分反射要素の位置付けにわずかなランダム化(slight randomization)があってもよい。この実施形態は、LED照明器具によって提供される光の見かけ上の明るさの均一性を向上させる。
【0034】
各部分反射要素と該部分反射要素が直接光を受けるLED要素との距離は、隣接するLED要素間の距離の20%以下、例えば、隣接するLED要素間の距離の4%以下だけ異なってもよい。例えば、LED要素が25mm離れるように位置付けられる場合、各部分反射要素と該部分反射要素が直接光を受けるLED要素との距離は、5mm以下、例えば、1mm以下だけ異なってもよい。
【0035】
特定の例において、各部分反射要素の水平位置(すなわち、第1の平面に対する位置)は、部分反射要素が直接光を受けるLED要素と隣接するLED要素とを通る仮想線と交差位置で交差するように位置付けられる。交差位置と部分反射要素が直接光を受けるLED要素との距離は、部分反射要素とLED要素との距離を定義し得る。
【0036】
好ましくは、各部分反射要素の厚さは、1mm以下、好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。例えば、各部分反射要素の厚さは、0.5mmであってもよい。本発明者らは、要素の厚さ及び形状が、例えば、要素のエッジが不所望なビームアーチファクトを引き起こし得るため、光学要素の性能に影響を与え得ることに留意している。より薄い部分反射要素は、製造の容易さを犠牲にして、より大きな光学性能を与える。1mm、0.8mm及び/又は0.5mmの最大厚さは、光学性能と製造性の間の合理的な妥協点を与える。
【0037】
好ましくは、各部分反射要素のエッジラウンディング(edge rounding)は、0.3mm以下、好ましくは0.2mm以下、より好ましくは0.1mm以下である。この特性(エッジラウンディング)は、性能と製造性の間の合理的な妥協点を提供する。エッジラウンディングは、部分反射要素の端部、とりわけ、第1の平面に対向する(すなわち最も遠い)部分反射要素の端部における、部分反射要素の一方の側と部分反射要素の他方の側との間の推移(transition)の径として定義される。
【0038】
好ましくは、少なくとも1つの部分反射要素は、少なくとも1つの他の部分反射要素によって直接受けられた光の反射された第1の部分及び/又は光の透過された第2の部分をさらに受けるように構成され、該受けた第1の及び/又は第2の部分の光を部分的に反射し、部分的に透過するようにさらに構成される。
【0039】
言い換えれば、ある部分反射要素によって透過/反射される光は、別の部分反射要素とインタラクトし(さらに部分的に反射及び透過され)てもよい。これは、光が光学要素と複数のインタラクションを有する光学要素をもたらす。この実施形態はさらに、(例えば、LEDアレイの境界の外側に)追加の仮想源を作り出すことによって、明るさ分布(brightness distribution)の均一性を高める。
【0040】
この実施形態はまた、該実施形態が代わりに、1つの高反射性(例えば、>40%の反射性であるが、<60%の反射性の)部分反射要素を使用するのと同じ均一性効果(uniformity effect)を達成するために(複数の部分反射要素とインタラクトすることからの)複数のフレネル反射に依拠し得るので、部分反射要素が高反射性である必要性を低減し得る。斯くして、比較的低い反射率(例えば、<40%又は<30%)を有する部分反射要素が使用されることができる。
【0041】
好ましくは、少なくとも1つの部分反射要素は、第1の平面に垂直な方向において、該部分反射要素が直接光を受けるLED要素と隣接するLED要素との距離の0.4倍以上、好ましくは、該部分反射要素が直接光を受けるLED要素と隣接するLED要素との距離の1倍以上の長さを有する。
【0042】
この実施形態により、部分反射要素によって反射/透過される光がさらに別の部分反射要素とインタラクトするように、部分反射要素が十分に長くなり、上述したのと同じ利点(向上した明るさの均一性、単一の部分反射要素とのインタラクションへの依存の低下)を実現し得る。
【0043】
このような実施形態において、LEDアレイのエッジに近い部分反射要素は、照明器具の中央/中間にある部分反射要素と比較して、光線とのインタラクションが少ない可能性があることを理解されたい。一部の実施形態において、LEDアレイのエッジに近い部分反射要素は、LEDアレイの中央/中間にある部分反射要素と比較して、より高い反射率を有してもよい。これはさらに、とりわけ、LEDアレイにわたる仮想LED要素の見かけ上の明るさの均一性を高めることによって、LED照明器具の明るさの均一性を高める。
【0044】
同様に、LEDアレイの法線方向(すなわち、第1の平面に垂直な方向)に対してより大きな角度を有する光線は、法線方向近くに発せられる光線よりも多くの部分反射要素とインタラクトすることになる。それゆえ、少なくとも1つの部分反射要素が、第1の平面に近い位置よりも第1の平面からより遠い位置でより大きな反射率を有することが有利であり得る。一例として、部分反射要素は、プレートの遠端に高い反射率があり、PCBに近い方に低い反射率があるように、第1の平面又はLEDアレイからの距離に関する部分反射要素の反射率の勾配(gradient)を有してもよい。この勾配は、漸進的な勾配(gradual gradient)であってもよく、又は段階的な勾配(step gradient)であってもよい。このような実施形態は、LEDアレイにわたる仮想LED要素によって出力される光度の類似性を高めることによって実現される、LED照明器具によって発せられる光の明るさの均一性の向上をもたらすことになる。
【0045】
ある実施形態において、受けた光の第1の部分及び/又は第2の部分は、受けた光の25%以上、75%以下を含む。言い換えれば、光の第1/第2の部分は、受けた光の25%~75%を含んでもよい。
【0046】
好ましくは、受けた光の第1の部分又は第2の部分は、受けた光の40%以上、60%以下を含む。さらに好ましくは、受けた光の第1の部分又は第2の部分は、受けた光の45%以上、55%以下を含む。より好ましくは、受けた光の第1の部分又は第2の部分は、受けた光の48%以上、52%以下を含む。例えば、受けた光の第1の部分は、受けた光の約50%(±1%又は±0.5%)から成ってもよく、及び/又は、受けた光の第2の部分は、受けた光の約50%(±1%又は±0.5%)から成ってもよい。
【0047】
光線の入射角は、部分反射要素によって反射される当該光線の量に影響を与え得ることが認識されている。上記のパーセンテージは、特定のLED要素によって発せられ、部分反射要素によって受けられる透過/反射される光の平均量を指す。
【0048】
反射された光及び透過された光のパーセンテージが同様であるほど、明るさ分布の見かけがより均一になる(すなわち、見かけ上のまぶしさの低減がより大きくなる)。
【0049】
一部の実施形態において、受けた光の第1の部分は、第1の波長のセット内にある波長を有する受けた光の75%以上を含み、受けた光の第2の部分は、第2の、異なる波長のセット内にある波長を有する受けた光の75%以上を含む。言い換えれば、受けた光は、第1の波長のセットが(ほとんど)透過され、異なる波長のセットが(ほとんど)反射されるように、色彩的に(chromatically)分割されてもよい。
【0050】
一部の例において、各部分反射要素は、受けた光が複数の光線を含む場合、各光線が該部分反射要素によって部分的に透過され、部分的に反射されるように構成される。
【0051】
言い換えれば、部分反射要素によって受けられる各光線が、部分的に反射され、部分的に透過されてもよい。任意の他の本明細書で述べられる実施形態の、「受けた光の部分(part of the received light)」への言及は、この実施形態のサブ実施形態を提供するために適切な場合、「各受けた光線の部分(part of each received light ray)」への言及に置き換えられてもよい。
【0052】
一部の例において、各部分反射要素は、部分反射コーティングでコーティングされる光透過要素を含む。光透過要素は、光が通って進むことができる任意の材料であり、例えば、光透過要素に入射する光の80%又は90%以上が(吸収又は反射されるのではなく)透過される材料である。光透過要素の好適な例は、ガラス、ポリカーボネート及び/又は樹脂(例えば、PMMA)から作られることができる。部分反射コーティングは、部分的に反射する任意のコーティング、例えば、アルミニウム又は銀の薄いコーティングであるが、他の実施形態も想定され、例えば、高屈折率(n>1.5又はn>1.7)を有する任意の材料が挙げられる。
【0053】
さらなる例として、部分反射コーティングは、ダイクロイックコーティング及び/又は1つ以上のフィルム若しくはプレートのスタックを含んでもよい。ダイクロイックコーティングの一例は、(分布ブラッグリフレクタ(distributed Bragg reflector)に類似する)異なる屈折率を有する材料の薄層の多層スタックである。スタックの反射率は、波長(及び入射角)に依存して変化する。
【0054】
1つ以上のフィルム又はプレートのスタックは、スタック界面からの(累積)フレネル反射により、入射光が部分的に反射され、部分的に透過されるように構成されてもよい。
【0055】
他の例において、部分反射要素は、穴あき反射要素(perforated reflective element)を含む。穴あき反射要素の好適な例は、穴あき金属リフレクタ(perforated metallic reflector)であるが、他の例も当業者には明らかであろう。一部の実施形態において、各部分反射要素は、部分若しくは完全反射パッチのパターン(pattern of partially or fully reflective patches)でコーティングされる光透過要素を含む。これらの実施形態において、部分反射要素に入射する光は、空間的に分割される。
【0056】
好ましくは、LED要素のアレイの各LED要素は、発光ダイオード(LED)、及び発光ダイオードによって発せられる光を方向付けるように構成されるレンズを含む。
【0057】
一部の例において、光学要素はさらに、各部分反射要素をLED要素のアレイに結合するように構成されるキャリアを含む。
【0058】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に述べられる実施形態を参照して明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0059】
本発明のより良好な理解のために、及び、どのようにして本発明が実施され得るかをより明らかに示すために、例としてのみ、添付の図面が参照される。
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に用いるLED要素を示す。
【
図2】
図2は、一実施形態によるLED照明器具の構成要素を示す側面図である。
【
図3】
図3は、他の実施形態によるLED照明器具の構成要素を示す側面図である。
【
図4】
図4は、さらに他の実施形態によるLED照明器具の構成要素を示す側面図である。
【
図5】
図5は、ある実施形態によるLED照明器具の異なる構成の上面図を示す。
【
図6】
図6は、ある実施形態によるLED照明器具の異なる構成の上面図を示す。
【
図7】
図7は、ある実施形態によるLED照明器具の異なる構成の上面図を示す。
【
図8】
図8は、ある実施形態によるLED照明器具の異なる構成の上面図を示す。
【
図9】
図9は、ある実施形態によるLED照明器具の異なる構成の上面図を示す。
【
図10】
図10は、ある実施形態によるLED照明器具の異なる構成の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明が、図を参照して述べられる。
【0061】
詳細な説明及び特定の例示は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示すものであるが、説明のみを目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことが理解されるべきである。本開示の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様及び有利な点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からよりよく理解されることになるであろう。図面は単に概略的なものであり、縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。同じ参照番号は、図面全体にわたって同じ又は類似の部分を示すために用いられることも理解されたい。
【0062】
本発明は、LED要素のLEDアレイを含む、LED照明器具のための光学要素を提供する。光学要素は、LEDアレイの平面に垂直に位置付けられる光入射面を有する、1つ以上の部分反射又は部分透過要素を含む。部分透過要素(partially transmissive element)は、部分透過要素によって受けられる光を反射するために少なくとも光入射面を用いる。このようにして、部分反射要素は、LED要素によって発せられる光の一部を反射することにより、仮想源、すなわち、仮想LED要素を作り出し、一方、光を部分的に透過することにより、元の、すなわち、「現実の」LED要素が依然として見えることを可能にする。部分反射要素は、仮想LED要素が、部分反射要素が直接光を受けるLED要素と、隣接するLED要素との間に位置するように位置付けられる。
【0063】
実施形態は、街路照明又は工場照明等、産業用照明アプリケーションにおける特定の使用を見出しているが、LED要素のLEDアレイを含む任意の照明設備で使用されることができる。
【0064】
本開示を通じて、吸収又は散乱は無視できるという仮定の下で、反射されない任意の光は、部分反射要素によって透過されると仮定される。それゆえ、本開示における光の%への言及は、吸収されない及び/又は散乱されない光の%を指してもよい。
【0065】
図1は、本発明の一実施形態に用いるLED要素100を示している。LED要素100は、発光ダイオード(LED)110と、LED110によって発せられる光を整形するためのレンズ120とを含む。LED要素100は、平面190にある。平面190は、より大きなLEDアレイのすべての要素がある平面であってもよい。レンズ120は、任意の他の適切なビーム整形光学要素によって置き換えられてもよい。
図1は、LED要素100の断面図である。
【0066】
LED要素100のレンズ120は、LED110によって発せられる光の(強度)形状/パターン150が、LED要素がある平面190に垂直な平面195に対して鏡面対称を有するように構成される。図示のLED要素は、単一の鏡面195を有する。
【0067】
図1において、光の図示の形状又はパターン150は、従来のC面(C-plane)に類似するように、及び文脈上の理解を向上させるためにのみ、図式的に示されている。図示の形状のエッジは、LED110からの光の方向に関する光強度を示し、LED110からの距離の増加は、当該方向に放射される光強度の増加を示す。
【0068】
当業者は、LED要素の異なる断面について、光の形状/パターン150は異なってもよい(例えば、他の平面において非対称であってもよい)ことを理解するであろう。
【0069】
図示のLED要素は、例えば、街路照明において、有用であり得る。例えば、道路上の細長い照明パターンの作成が、LED要素から発せられる光の2つの強度ピーク151、152を、LED要素100から離れる、道路の2つの方向に沿って落ちるように位置付けることによって達成され得る。強度ピークを作るには、図示のようにレンズは膨らみ、ゆえに、2つのピークは、2つの膨らむサイドを有するレンズを意味する。これは、道路に沿った効率的で均一な照明を提供するのに役立つ。
【0070】
LED要素100は、本発明の一実施形態における使用に適した適切なLED要素の一例に過ぎない。他のLED要素は、2つ以上の鏡面及び/又は何の鏡面もない(すなわち、鏡面対称ではない)ことに関連してもよい。
【0071】
好ましくは、本開示で使用されるLED要素は、特定のユースケースシナリオ(道路/街路照明等)に適した光ビーム分布を有する高効率LED要素を提供するために、有限個の鏡面面を有する。このようなLED要素は、本明細書で述べられるLED照明器具で採用又は使用される場合、とりわけ有利である。
【0072】
当業者は、LED要素100は好適なLED要素の一例に過ぎず、LED要素のための(又はその例の)他の実施形態が当業者にとって明らかであることを理解するであろう。
【0073】
図2は、本発明の一実施形態によるLED照明器具200を示している。LED照明器具200は、複数のLED要素215、216で形成される、LEDアレイ210と、光学要素220とを含む。光学要素220は、LED要素215、216からの光を直接受けるように各々位置付けられる、1つ以上の部分反射要素250、251、260から形成される。
【0074】
LEDアレイ210は、プリント回路基板(PCB)295、基板又は任意の他の適切な担持機構(carrying mechanism)に設けられてもよい。PCBは、紙、グラスファイバ(布)、アルミニウム、樹脂等、任意の適切な材料で形成されてもよい。基板は、任意の適切な材料、例えば、シリコン、SiO2、Al2O3、TiO2等を含んでもよい。
【0075】
光学要素220はさらに、例えば、もしあればプリント回路基板295(又は他の担持機構)を介して、各部分反射要素をLED要素のアレイに結合するように構成される、例えば、1つ以上の担持要素(carry element)で形成される、キャリア(carrier)229を含んでもよい。キャリアは、例えば、シリコン、スチール、アルミニウム、又は任意の他の適切な取り付け機構を含んでもよい。キャリアは省略されることもでき、この場合、部分反射要素は、PCB又は他の担持機構に直接取り付けられる。
【0076】
LEDアレイは第1平面290内にあり、ゆえに、LEDアレイの各LED要素215、216は、この第1平面290内にある。各LED要素は、「現実の光源(real light source)」又は「現実のLED要素(real LED element)」とラベリングされてもよい。第1の平面290は、例えば、プリント回路基板295(又は他の適切な担持機構)の平面と平行であってもよい。以下の説明では、第1の平面は、LEDアレイの水平面を定義する(例えば、水平距離は、第1の平面に平行な軸に沿った距離である)。
【0077】
部分反射要素250、251、260は各々、LED要素215、216によって発せられる光280が入射する、光入射面255を含む。この光入射面255は、第1の平面290に垂直となるように整列されている。好ましくは、光入射面は、散乱効果を低減するために、平坦及び/又は滑らかである。平坦な表面は、5度以下、好ましくは1度以下だけ角度が逸脱することを有する表面であってもよい。滑らかな表面は、150nm以下、好ましくは80nm以下、より好ましくは50nm以下の二乗平均平方根(RMS)粗さの高さを有する表面であってもよい。
【0078】
少なくとも1つの部分反射要素250、251は、2つの隣接するLED要素の間に位置付けられ、(単一の)LED要素からの光(すなわち、別の部分反射要素を通過していない、又は別の部分反射要素とインタラクトしていない光)を直接受けるように配置される。このように位置付けられる部分反射要素は、中央部分反射要素(central partially reflective element)又は非エッジ部分反射要素(non-edge partially reflective element)とラベリングされてもよい。
【0079】
光入射面255は、部分反射要素の最外層であってもよく、又は(例えば、光入射面が保護媒体、好ましくは透明媒体でコーティングされている場合)内層であってもよい。後述されるように、光入射面は、光とインタラクトして光を少なくとも部分的に反射する表面又は界面である。
【0080】
各部分反射要素250、251、260は、部分反射要素に入射する光280の第1の部分281を反射し、部分反射要素に入射する光の第2の部分282を透過するように構成される。部分反射要素250、251は、光を反射するために光入射面255(及び任意選択的に、1つ以上の他の界面)を使用し、ゆえに、反射された光の第1の部分281は、少なくとも光入射面を用いて反射された少なくとも一部の光を含む。言い換えれば、光入射面255は、部分反射要素によって行われる反射に寄与する。
【0081】
受けた光を部分的に反射することにより、第1の部分281は、LED要素の側方の仮想源218、219(又は「仮想LED要素」)に由来するように見え、これにより、LEDアレイにおけるLED要素の見かけ上の密度(apparent density)が増加される。
【0082】
それゆえ、光入射面255は、部分反射要素250、251、260が光を反射するために使用する面として定義され、部分反射要素250、251によって行われる反射のすべて又は一部に寄与してもよい。
【0083】
単一つのLED要素の発光から光入射面を用いて反射される光は、例えば、異なる仮想源ではなく、同一の仮想源218、219に由来するように見え、LEDアレイの見かけ上の密度の位置的な均一性を高める。また、この構成は、光が(LED照明器具200によって出力されるのではなく)LED要素に反射し戻される可能性を低減させる。
【0084】
部分反射要素は、すべての直接受けた光の反射が、同じ仮想源に由来するように見えるように構成されてもよい。これは、(光の反射に寄与する)すべての界面を互いに平行に及び第1の平面290に垂直に整列することによって達成されてもよい。
【0085】
一部の例において、LED要素は、LED要素(又はLEDアレイ)がある平面に典型的には垂直である、1つ以上の平面(「鏡面(mirror plane)」)に関して鏡面対称性を有する強度分布を有する。単一平面鏡面対称性を有する、このようなLED要素の一例が
図1に示されている。このような例では、各部分反射要素は、鏡面に平行になるように位置付けられてもよい。
【0086】
好ましくは、各LED要素によって発せられる光の配光は同一である。
【0087】
一部の実施形態において、LED要素は、有限個の平面(「鏡面」)、例えば、(
図1に示されるように)1平面、2平面又は4平面に関して鏡面対称性を有する強度分布を有する。このような実施形態では、各部分反射要素が、鏡面に平行になるように位置付けられることが好ましい。無論、LED要素は、完全な回転対称性を有する強度分布、すなわち、無限個の鏡面を有してもよいことが想定される。
【0088】
好ましくは、部分反射要素250、251は、該部分反射要素に(例えば光入射面に)入射する光の透過及び/又は反射が鏡面的又は近鏡面的になるように構成される。これは、全(角度)光分布(total (angular) light distribution)が全体としてLED照明器具において効果的に変化しないことを保証するのに役立つ。
【0089】
そうは言うものの、(複数の)部分反射要素によって反射又は透過される光に対する(わずかな)拡散成分の導入は、LED照明器具からの配光を滑らかにし得、これにより、別個の光ディフューザの必要性を排除することができる。とりわけ、鏡面反射又は透過された光の主方向が維持されること、いわゆる前方散乱であることが好ましい。鏡面方向からの逸脱は、(「わずかな」拡散成分を実現するために)0.5~5度の標準偏差を有するガウス分布によって述べられるように逸脱してもよい。
【0090】
各部分反射要素の光入射面は、(異なる部分反射要素について変わってもよい)2つの隣接するLED要素を通る仮想線に平行又は垂直であるように位置付けられてもよい。
【0091】
各中央部分反射要素250、251は、部分反射要素によって反射される光の仮想源218(又は「仮想LED要素」)が、(該部分反射要素が直接光を受けるLED要素を含む)2つの隣接するLED要素の間の中間にあるよう位置付けられるように位置付けられてもよい。
【0092】
とりわけ、仮想LED要素は、隣接するLED要素216が遠いので、部分反射要素250が直接光を受けるLED要素215からの距離の0.2倍~0.6倍に位置付けられてもよい。
【0093】
例えば、仮想LED要素218は、隣接するLED要素216がLED要素215から遠いので、中央部分反射要素250が直接光を受けるLED要素215からの距離の約半分(±5%又は±1%)、又はその奇数整数倍に位置付けられてもよい。
【0094】
図示されるように、これは、各中央部分反射要素の水平位置が、第1のLED要素215(中央部分反射要素が直接光を受けるLED要素)及び第2のLED要素216(隣接するLED要素)を通る仮想線と交差位置で交差するように各中央部分反射要素を位置付けることによって実現されてもよく、交差位置と第1のLED要素215との距離d2は、第1のLED要素215と第2のLED要素216との距離d1の0.1倍~0.4倍であってもよい。
【0095】
言い換えれば、各中央部分反射要素と該部分反射要素が直接光を受けるLED要素との距離d2は、該部分反射要素が直接光を受けるLED要素と隣接するLED要素との距離d1の0.1倍~0.4倍である。
【0096】
好ましくは、各中央部分反射要素と該中央部分反射要素が直接光を受けるLED要素との距離は、該中央部分反射要素が直接光を受けるLED要素と隣接するLED要素との距離の0.2倍~0.3倍、より好ましくは、該中央部分反射要素が直接光を受けるLED要素と隣接するLED要素との距離の0.23倍~0.27倍である。これにより、仮想LED要素は、2つのLED要素の間のより中央に見えるようになり、LEDアレイ全体における現実のLED要素及び仮想LED要素の見かけ上の/効果的な位置の均一性が高められる。
【0097】
LEDアレイのLED要素が一定のピッチ間隔で位置付けられる場合、中央部分反射要素は、LED要素からピッチ間隔の0.1~0.4にあるように位置付けられてもよい。好ましくは、中央部分反射要素は、LED要素からピッチ間隔の0.2~0.3にあるように位置付けられる。
【0098】
先に述べたように、区別のために、(2つの隣接するLED要素の間に位置付けられる)先に述べた部分反射要素は、「中央部分反射要素(central partially reflective element)」とラベリングされてもよい。光学要素220はまた、1つ以上の「サイド部分反射要素(side partially reflective element)」260を含んでもよい。各サイド部分反射要素は、先に述べた(中央)部分反射要素250と類似しているが、2つの隣接するLED要素の間に位置付けられていない。むしろ、サイド部分反射要素260は、LEDアレイのサイドエッジに位置付けられる。サイド部分反射要素260の他の要素は、先に述べた部分反射要素について具現化される通りであってもよい。
【0099】
とりわけ、サイド部分反射要素は、(該サイド部分反射要素が直接光を受ける)LED要素及び隣接するLED要素と交差する仮想線上にあるが、(該サイド部分反射要素が直接光を受ける)LED要素と隣接するLED要素との間になくてもよい。
【0100】
サイド部分反射要素の効果は、LEDアレイ210の境界の外側に仮想LED要素219を提供することである。これは、LEDアレイの見かけ上のサイズ(apparent size)、これによりLED照明器具全体の平均輝度を増加し、グレアを低減することによって観察者の快適性を向上させる。
【0101】
サイド部分反射要素260と(LEDアレイのエッジにおける)LED要素215との(水平)距離d2は、サイド部分反射要素260が直接光を受けるLED要素215とそれに隣接するLED要素216との距離の0.2倍~0.6倍であってもよい。
【0102】
一部の実施形態において、各部分反射要素250、251、260は、2つの部分反射要素のセットを形成する2つの部分反射要素250、251、260のうちの一方である。
【0103】
2つの部分反射要素のセットは、互いに平行に位置付けられ、(セットの)第1の部分反射要素250によって反射される光が(該セットの)第2の部分反射要素251によって反射される光の鏡像であるように位置付けられる。
【0104】
これは、図示の実施形態では、第1の部分反射要素250を第1のLED要素215の第1の側に位置付け、第2の部分反射要素251を第2のLED要素216の第2の側に位置付けることによって実現され、第1及び第2の部分反射要素は互いに平行であり、第1及び第2のLED要素によって出力される配光は実質的に同一(妥当な製造公差内)である。
【0105】
第1の部分反射要素と第1のLED要素215との距離は、第2の部分反射要素と第2のLED要素216との距離と同じであってもよい。
【0106】
特定の例では、部分反射要素のセットの各部分反射要素250、260は、同じLED要素215の両側に位置付けられる。しかしながら、これは必須ではない。
【0107】
前述の説明から、(LED要素215から発せられ)(中央又はサイド)部分反射要素250、251、260に入射する光280は、反射された光281及び透過された光282に概念的に分割可能であることが明らかであろう。第1の平面290に垂直な、光入射面255は、反射プロセスの少なくとも一部に寄与する。言い換えれば、光入射面は、反射の少なくとも一部を行うために使用される。
【0108】
これにより、光入射面は、該光入射面に入射する光の一部を反射する界面として機能する。部分反射要素は、反射を行うために1つ以上の界面(例えば、異なる材料又は物質間の遷移、例えば、ガラス-空気界面又は空気-金属界面)を用いてもよい。
【0109】
入射光の分割は色彩的に行われてもよく、例えば、異なる波長の光が反射又は透過されてもよく、強度的に、例えば各波長の光のある量が反射又は透過されてもよく、及び/又は空間的に、例えば部分反射要素のあるエリアが光を透過し、他のエリアが光を反射してもよい。
【0110】
無論、これらの分割は、例えば、第1の波長のセットのあるパーセンテージが透過され(当該セットの残りは反射される)、第2の波長のセットの異なるパーセンテージが透過される(当該セットの残りは反射される)ように、強度及び波長の両方によって分割するように、組み合わされてもよい。他の適切な組み合わせは、当業者にとって明らかになるであろう。
【0111】
一実施形態において、部分反射要素は、穴あき反射要素、すなわち、1つ以上の穿孔又はホールを含む反射要素を含む。穴あき反射要素の表面は、光入射面として機能してもよい。反射要素の好適な例は、金属リフレクタを含んでもよい。ホールに到達する光は、部分反射要素によって透過され、穴あき反射要素の他の部分(すなわち、光入射面)に入射する光は、反射される。このようにして、部分反射要素に入射する光は、(穿孔を介して)部分的に透過され、(穴あき反射要素の他の部分から)部分的に反射される。斯くして、部分反射要素に入射する光は、透過された光及び反射された光に空間的に分割される。
【0112】
穴あき反射要素は、反射を行うために1つの界面のみを使用する部分反射要素の例であるが、穴あき反射要素の両方の側が(各側から受ける光に対して)反射性であってもよい。
【0113】
別の実施形態において、部分反射要素は、部分反射要素の側面全体(例えば、光が入射する側面)を形成してもよい、部分反射コーティングを有する透過(例えば、クリア(clear))要素を含む。この実施形態において、部分反射コーティングは、光入射面として機能する。透過要素は、部分反射コーティングの支持体(support)を提供する。部分反射コーティングに入射する光は、部分的に反射され、部分的に透過される。
【0114】
部分反射要素によって透過される光が当該要素から出るときに反射されるのを避けるために、部分反射コーティングは、透過要素の片側、例えば、LED要素又は「光エントリ面(light entry surface)」(光入射面255等)に最も近い側にのみ形成されてもよい。代替的に、部分反射要素は、光が透過要素を透過されてから透過要素を通して部分的に反射し戻されるように、透過要素の光出口面上に位置付けられてもよい。透過要素の単一の側に部分反射コーティングを設けることは、LEDアレイにわたる各仮想LED要素によって出力される光強度の均一性を高める。
【0115】
あるサブ実施形態において、部分反射コーティングは、該部分反射コーティングに入射する光を、強度的にのみ、例えば、該部分反射コーティングに入射するすべての光のある量を透過し、該部分反射コーティングに入射するすべての光のある量を反射することにより分割するように構成される。これは、アルミニウム又は銀等、金属リフレクタ体の薄いコーティングを使用して実現されることができるが、他の方法が当業者には明らかであろう。別の例として、薄いフィルム/プレートのスタックが、スタック界面のフレネル反射の合計がある量になるように、使用されてもよい。さらに別の例として、SNO2、Sb2O5、ZrO2、TiO2、CeO2、ZrO2等、高屈折率(例えばn>1.5、n>1.65、n>1.7又はn>1.9)を有する物質の単一コーティング又はポリカーボネートコーティングが使用されてもよい。
【0116】
別のサブ実施形態において、部分反射コーティングは、例えば、(ブラッグリフレクタに類似する)異なる屈折率を有する材料の薄層の多層スタック等のダイクロイックコーティングを使用して、該部分反射コーティングに入射する光を色彩的に分割するように構成される。斯くして、部分反射コーティングに入射する光の第1の波長のセット(のあるパーセンテージ)は透過されてもよく、一方、第2の波長のセット(のあるパーセンテージ)は反射されてもよい。入射光の角度は、透過/反射される光の波長に影響を与え得るが、透過/反射される全体的な光の割合を大きく変えることはない(入射光が白色であると仮定する)ことが認識されている。
【0117】
部分透過要素が鏡面に平行になるように位置付けられ、光線の各々がそれ自身の、固有の対応する鏡像反射光線を有する場合、LED照明器具のスペクトルは、光学要素のない照明器具要素のスペクトルと同じになる。
【0118】
他の実施形態において、部分反射要素は、透過要素を省略し、例えば、部分反射コーティングは、スタンドアロンの部分反射要素として設けられる。これは、例えば、部分反射要素が薄いフィルム/プレートのスタック等を含む場合、部分反射コーティングが、それ自体で、自己支持することが可能であろう場合に可能である。
【0119】
あるシンプルな例では、部分反射要素は透過要素のスラブを含み、このような透過要素のスラブに入射する光は、材料/入射角度に依存して典型的には8~20%のフレネル反射を生じるであろう。透過要素のスラブの1つ以上の表面が、光入射面として機能してもよい。
【0120】
部分反射要素は、受けた光の25%~75%、例えば受けた光の40%~60%、例えば45%~55%、例えば48%~52%を反射するように構成されてもよい。特定の例では、部分反射要素は、受けた光の約50%(±1%又は±0.5%)を反射するように構成されてもよい。
【0121】
部分透過要素は、受けた光の25%~75%、例えば受けた光の40%~60%、例えば45%~55%、例えば48%~52%を透過するように構成されてもよい。特定の例では、部分透過要素は、受けた光の約50%(±1%又は±0.5%)を透過するように構成されてもよい。
【0122】
さらに好ましい実施形態では、部分透過要素は、受けた光の45%以上を透過し、受けた光の45%以上を反射する、例えば受けた光の48%以上を透過し、受けた光の48%以上を反射する、例えば受けた光の49%以上を透過し、受けた光の49%以上を反射するように構成されてもよい。
【0123】
透過された及び反射された光のより均等な配分(例えば、50-50傾向)により、現実の光源及び仮想光源の見かけ上の明るさのバランスが取れ、追加の「現実の」LED要素を設ける必要なくグレアをさらに低減する。
【0124】
斯くして、各部分反射要素反射要素によって透過される光の量及び反射される光の量は、好ましくは、実質的に同一(例えば±10%、より好ましくは±5%、さらに好ましくは±1%)である。
【0125】
図2に示される実施形態の場合、各(中央又はサイド)部分反射要素250、251の高さは、好ましくは、2mm以上、例えば4mm以上である。このような例では、高さは、好ましくは、10mm以下であり、例えば、高さは、2mm~10mm及び/又は4mm~10mmであってもよい。
【0126】
好ましくは、部分反射要素の高さは、(例えば保護要素を有する場合、照明器具の全体的なハウジング内に収まるようにする一方)可能な限り大きくすべきである。
【0127】
各部分反射要素250、251の高さは、例えば、2つの隣接するLED要素間の距離の10%以上、例えば、2つの隣接するLED要素間の距離の50%以上であってもよい。部分反射要素の高さが大きいほど、LED照明器具にわたる輝度分布の均一性を高めることによってグレアの低減が大きくなる。
【0128】
図2において、部分反射要素250、251、260は、それらが直接光を受けるLED要素から同じ距離に位置付けられるように図示されている。言い換えれば、第1の部分反射要素250と(第1の部分反射要素250が直接光を受ける)第1のLED要素215との距離は、第2の部分反射要素251と(第2の部分反射要素251が直接光を受ける)第2のLED要素216との距離と実質的に同じであるように示されている。
【0129】
しかしながら、一部の実施形態において、少なくとも2つの(例えば、各々の)部分反射要素は、それぞれのLED要素から異なる距離、例えば、疑似ランダムな距離に位置付けられる。部分反射要素の(LED要素に対する)相対的な位置におけるわずかなランダム化又は差は、部分反射要素を設けることの影響を低減する(例えば、部分反射要素によってその長さに沿って生じ得る暗い線の見かけを低減する)ことによって、LED照明器具によって提供される明るさ分布の均一性を高める。
【0130】
好ましくは、距離は、互いに±10%以下の差である。
【0131】
LED照明器具の効力に影響を及ぼし得る別の特性は、部分反射要素の形状(例えば、厚さ又は丸み)である。好ましくは、図示されるように、各部分反射要素は、該部分反射要素に入射する光を部分的に反射し、部分的に透過する1つ以上の界面(例えば、光入射面255)を有する、大きく立方体の形状を有する。
【0132】
各部分反射要素の厚さは、好ましくは、1mm以下、例えば0.8mm以下、例えば0.5mm以下である。部分反射要素の厚さは、部分反射要素が間に配置される2つのLED要素間の方向に沿った最大寸法として定義されてもよい。厚さが小さいほど、(部分反射要素の両側とのインタラクションによって生じる)LED要素の光度におけるアーチファクトが少なくなり、(低減された吸収に起因して)照明器具全体の相対光度が良好になる。
【0133】
好ましくは、各部分反射要素のトップエッジ(すなわち、第1の平面から最も離れたエッジ)は、0.2mm以上(径)、好ましくは0.1mm以上(径)の丸み(rounding)を有する。丸み径(rounding radius)が小さいほど、(散乱を減らすことに起因して)照明器具の光出力が良好になる。
【0134】
図3は、本発明の他の実施形態によるLED照明器具300を示している。
【0135】
図3のLED照明器具300は、光学アレイ320の部分反射要素350、351が、少なくとも1つの他の部分反射要素によって受けられた光の反射された第1の部分394及び/又は光の透過された第2の部分395をさらに受けるように構成され、該受けた第1の及び/又は第2の部分の光を部分的に反射し、部分的に透過するようにさらに構成される点で
図2のLED照明器具200と異なっている。
【0136】
すなわち、ある部分反射要素350によって透過される光は、別の部分反射要素351による部分透過、部分反射作用に供される。これは、元のソース(original source)からより長い距離のところに複数の仮想源を作り出す。さらに、これらの仮想源は、現実の光源のエリアの外側にあってもよい。
【0137】
図3は、理解のために、LEDアレイ310のLED要素315によって発せられた光線390が受けるいくつかの透過及び反射を示している。複数の異なる部分反射要素350、351とインタラクトする単一の光線が、複数の異なる仮想LED要素又は光源の生成をどのようにしてもたらすことができるかが分かる。
【0138】
LED照明器具300は、(光の)ソースエリア(source area)の有効サイズが大きくなり、LED照明器具全体のグレアをさらに低減する。
【0139】
さらに、このようにLED要素によって発せられた光を反射/透過するために複数の部分反射要素を使用することは、低減された反射率を有する部分反射要素の使用を可能にし、例えば、より安価で、より豊富な(abundant)、又はより経済的/エコロジカルな材料を利用することを可能にする。これは、複数の部分反射要素の使用が、(例えば、LEDアレイの物理的な境界を越えて)追加の仮想要素を作り出すためである。このようにして、照明器具によって出力される光の総量は維持される一方、グレアをさらに減少させる。
【0140】
特定の例において、第1の平面290に垂直な方向の、部分反射要素の長さ又は高さ(とりわけ、部分反射要素の光入射面の長さ/高さ)は、LEDアレイの2つの隣接するLED要素間の距離の0.4倍以上、好ましくは、この距離の1倍以上、さらに好ましくはこの距離の2倍以上であってもよい。(複数の)部分反射要素が長い/高いほど、照明器具の見かけ上のサイズの拡張(extension)が大きくなる。
【0141】
純粋に例として、LEDアレイの2つの隣接するLED要素間の距離が約25mmである場合、各部分反射要素の長さ高さは、好ましくは、10mm以上、例えば15mm以上、例えば45mm/50mm以上である。例えば、3~50mm、例えば3~10mm(屋内アプリケーション)又は屋外照明アプリケーションについて15~30mm等、2つの隣接するLED要素間の他の適切な距離が当業者には明らかであろう。場合によっては、例えば、天井を覆う大面積照明器具の場合、より大きな距離、例えば、10~30cmの距離が実現可能である。
【0142】
LEDアレイのエッジに近い部分反射要素は、LEDアレイの中間にある部分反射要素と比較して、光線とのインタラクションが少ない。それゆえ、中央/中間に向かうのと比較して、LEDアレイのサイドに向かってより高い反射性の部分反射性照明器具を有することが有利であり得る。これにより、照明器具にわたる仮想源によって出力される光の見かけ上の明るさの均一性が高められることになる。
【0143】
同様に、第1の平面に対してより大きな角度を有する光線は、第1の平面に近い(より低い角度で)発せられる光線と比較して、部分反射要素とのインタラクションが少ない。それゆえ、少なくとも1つの部分反射要素が、第1の平面に近い位置よりも第1の平面からより遠い位置でより大きな反射率を有することが有利であり得る。一例として、部分反射要素は、プレートの遠端に高い反射率があり、PCBに近い方に低い反射率があるように、第1の平面又はLEDアレイからの距離に関する部分反射要素の反射率の勾配(gradient)を有してもよい。この勾配は、漸進的な勾配(gradual gradient)であってもよく、又は段階的な勾配(step gradient)であってもよい。このような実施形態は、LEDアレイにわたる仮想LED要素の明るさの均一性を高めることによって実現される、LED照明器具によって発せられる光の明るさの均一性の向上をもたらすことになる。
【0144】
図4は、本発明の別の実施形態によるLED照明器具400を示している。
図4のLED照明器具400は、光学要素420が1つ以上の追加の部分反射要素461、462を含む点で
図2のLED照明器具200と異なっている。明確さのために、単一のLED要素に関連する光学要素の一部のみが図示されている。
【0145】
とりわけ、光学要素420は、LED要素のアレイ410のLED要素415によって発せられる光を直接受けるように位置付けられる部分反射要素450を含む。この部分反射要素は、先に述べた部分反射要素と同様に構成される。
【0146】
光学要素420はさらに、追加の部分反射要素461、462を含み、これらの各々は、LED要素から発せられる光を直接受けないという点で部分反射要素450とは異なる。むしろ、追加の部分反射要素461、462は、部分反射要素450及び/又は別の追加の部分反射要素461から透過及び/又は反射される光のみを受ける。
【0147】
これは、図示されるように、2つの隣接するLED要素の間に散在する追加の仮想源を作り出し、これにより、照明器具によって発せられる光の明るさの均一性を増加させる。とりわけ、各追加的な部分反射要素は、該部分反射要素が非反射光(例えば、透過された光のみ)を受けるLED要素と隣接するLED要素との間にある仮想源又は仮想LED要素を作り出してもよい。
【0148】
追加の部分反射要素461、462の他の特徴は、先に述べた部分反射要素について具現化されてもよい。例えば、各部分反射要素は、該部分反射要素に入射する光を部分的に反射し、部分的に透過するように適合される。同様に、各追加の部分反射要素は、該追加の部分反射要素による光の反射に寄与する、LEDアレイの平面に垂直な、光入射面を含む。
【0149】
各追加の部分反射要素と、該部分反射要素が非反射光(例えば、透過された光のみ)を受けるLED要素との(水平)距離は、好ましくは、当該LED要素415と隣接するLED要素416との距離の0.1倍~0.4倍、好ましくは当該LED要素と隣接するLED要素との距離の0.2倍~0.4倍である。
【0150】
正確な距離は、追加の部分反射要素に入射する光を透過する部分反射要素450の位置に依存することになる。
【0151】
好ましくは、各追加の部分反射要素と、該部分反射要素が非反射光(例えば、透過された光のみ)を受けるLED要素との距離は、(追加の部分反射要素に入射する)非反射光を透過する部分反射要素と当該LED要素との距離の倍数である。
【0152】
図5~
図10は、LEDアレイに対する(複数の)部分反射要素の好適な構成又は配置のいくつかの上面図を示している。(複数の)部分反射要素の異なる位置/配置についての、仮想源の例示的又は潜在的なロケーションが、点線の輪郭で示されている。
【0153】
図5は、1つの(単一の)平面に関して鏡面対称性を有する強度分布を与えるレンズを有するLED要素515、516の2D矩形LEDアレイを含むLED照明器具500を示している。各部分反射要素550は、LEDアレイの平面に垂直になるように配置され、LED要素のアレイの第1のLED要素515と第2のLED要素516との距離の1/4に位置付けられる。
【0154】
特定の例において、図示されるように、LED要素が1つの(単一の)平面に関して鏡面対称性を有する強度分布を有する場合、各部分反射要素は、少なくとも1つのLED要素の鏡面と平行になるように位置付けられ、ビームの反射及び透過された部分が依然として元のビーム分布に加わることになる。
【0155】
図6は、二次対称性(quadratic symmetry)を有する光強度分布を提供する(すなわち、強度分布が2つの直交する平面に関して鏡面対称性を有するように)レンズを有するLED要素615、616の2D矩形LEDアレイを含む別のLED照明器具600を示している。各部分反射要素650は、再び、LEDアレイの平面に垂直になるように位置付けられ、LED要素のアレイの第1のLED要素615と第2のLED要素616との距離の1/4に位置付けられる。
【0156】
特定の例において、図示されるように、元の光ビーム分布を維持するために、各部分反射要素は、再び、少なくとも1つのLED要素の鏡面に平行になるように位置付けられる。LED要素は、二次対称性を有する光強度分布を有するので、異なる部分的な反射要素は、互いに垂直であることができる。
【0157】
図6に示される構成はさらに、(例えば、LED要素の対角線に平行に)1つ以上の斜めに位置付けられる部分反射要素を含んでもよい。これは、各LED要素の強度分布がLED要素の対角線に沿った鏡面対称性、例えば、完全な回転対称性を有する場合にとりわけ有利である。
【0158】
図7は、完全な回転対称性を有する(例えば、LEDアレイに垂直なすべての平面において鏡面対称であるように、すべての方向において効果的に均等な)強度分布を与えるレンズを有するLED要素715、716の2D矩形LEDアレイを含む別のLED照明器具700を示している。LED要素は、互い違いにされている(staggered)。
【0159】
LED照明器具700の各部分反射要素750は、再び、LEDアレイの平面に垂直になるように配置され、それゆえ、各LED要素の鏡面に平行であるが、第1のLED要素715と第2のLED要素716との距離の8分の1となるように位置付けられる。
【0160】
図示された例では、LED要素によって発せられる光が複数の(例えば、少なくとも2つの)部分反射要素とインタラクトできるように、各部分反射要素750の高さは十分に高い。図示されたLED要素に対応する仮想源のみが図示されていることに留意されたい。
【0161】
図8は、回転対称性を有する(例えば、LEDアレイに垂直なすべての平面において鏡面対称であるように、すべての方向において効果的に均等な)強度分布を与えるレンズを有するLED要素815、816の2D矩形LEDアレイを含む別のLED照明器具800を示している。LED要素は、再び、互い違いにされている。
【0162】
LED照明器具800の各部分反射要素850は、再び、LEDアレイの平面に垂直になるように配置されるが、第1のLED要素815と第2のLED要素816との距離の4分の1となるように位置付けられる。この結果、LED照明器具は、互いに対して等間隔に配置される有効LED要素(すなわち、現実のLED要素及び仮想LED要素の組み合わせ)を有し、これにより、向上した明るさの均一性を有する。
【0163】
図9は、回転対称性を有する(例えば、LEDアレイに垂直なすべての平面において鏡面対称であるように、すべての方向において効果的に均等な)強度分布を与えるレンズを有するLED要素915、916の2D矩形LEDアレイを含むさらに別のLED照明器具900を示している。LED要素は、再び、互い違いにされている。
【0164】
LED照明器具900の各部分反射要素950A、950Bは、再び、LEDアレイの平面に垂直に(ここではそれゆえ、光強度出力の鏡面に平行に)なるように配置される。各部分反射要素は、再び、第1のLED要素915と第2のLED要素916との距離の1/4となるように位置付けられる。
【0165】
各部分反射要素は、ここでは、先の例と比較して、斜めに位置付けられる。とりわけ、部分反射要素の第1のセットは、部分反射要素の第2のセットに対して60°オフセット又は角度付けされるように構成される。
【0166】
図10は、回転対称性を有する(例えば、LEDアレイに垂直なすべての平面において鏡面対称であるように、すべての方向において効果的に均等な)強度分布を与えるレンズを有するLED要素1015の2D矩形LEDアレイを含むさらに別のLED照明器具1000を示している。LED要素は、再び、互い違いにされている。
【0167】
LED照明器具1000の各部分反射要素1050A、1050B、1050Cは、再び、LEDアレイの平面に垂直に(ここではそれゆえ、光強度出力の鏡面に平行に)なるように配置される。
【0168】
部分反射要素は、斜めに(すなわち、斜めの部分反射要素1050A、1050B)及び水平に(すなわち、水平の部分反射要素1050C)位置付けられる。
【0169】
単一のLED要素に関連する多数の仮想源1031、1032が、破線/点線で示されている。仮想源1031の第1のセットは、破線で図示され、単一の部分反射要素のみとのインタラクション/遭遇(encounter)に起因する仮想源を示す。仮想源1032の第2のセットは、点線で図示され、2つの反射要素とのインタラクション/遭遇に起因する仮想源を示す(それゆえ、部分反射要素が十分に高くない場合、存在しない可能性がある)。
【0170】
図10の構成は、他の例と比較して、増加した数の仮想源を有するLED照明器具1000を提供し、これにより、知覚されるグレアをさらに低減する。
【0171】
図10の構成は、例えば、
図6に示されるようにして、2D矩形LEDアレイに対して垂直に位置付けられるさらなる部分反射要素を含んでもよい。これは、仮想源の数をさらに増加させることになる。
【0172】
図9及び
図10に示されるLED照明器具は、無論、LED要素の互い違いにされないアレイを有する(例えば、縦方向及び横方向にLED要素が等しく分布している)ように構成されてもよい。
【0173】
図5~
図10に示されるすべての実施形態において、部分反射要素は、LED要素のラインと平行になるように位置付けられる。この特徴は必須ではないが、本発明の好ましい態様を形成し、仮想源が現実のLED要素間に位置付けられることを確実にし、これにより、LED照明器具によって出力される光の明るさの均一性を高めるのに役立つ。
【0174】
図5~
図10に示されるすべての実施形態において、各部分反射要素は、LED要素の鏡面と平行になるように位置付けられる。この特徴は必須ではないが、本発明の好ましい態様を形成し、LED照明器具全体の(角度)光分布が効果的に一定のままであることを確実にするのに役立つ。
【0175】
図5~
図10に示される実施形態において、部分反射要素と、該部分反射要素が直接光を受けるLED要素との距離は、当該LED要素と隣接するLED要素との距離の8分の1又は4分の1である。しかしながら、他の距離、例えば、前記LED要素と隣接するLED要素との距離の0.1倍~0.4倍も考えられる。
【0176】
本開示の文脈において、「透過要素(transmissive element)」は、該透過要素に入射する光の大部分を透過する、例えば、該透過要素に入射する非吸収光の80%以上、好ましくは該透過要素に入射する非吸収光の90%以上を透過する任意の材料(例えば、ガラス)である。
【0177】
本開示の文脈において、隣接するLED要素は、第1の平面、すなわち、LEDアレイの平面に沿って特定の/所定の方向にある最も近接したLED要素である。本開示の文脈において、距離は、一般に、水平距離、すなわち、第1の平面に沿った距離を指す。
【0178】
好ましくは、部分反射要素は非常に低い吸収を有し、例えば、入射光の<20%が吸収され、より好ましくは、入射光の<10%が吸収される。
【0179】
当業者は、図示された仮想源は、単一方向から見ているLED照明器具の観察者に常に見えるとは限らないが、LED照明器具全体の仮想源についての一般的な位置を表すことが意図されていることを理解するであろう。また、(仮想源の数は、少なくとも部分反射要素の高さに依存し得るので)可能な仮想源の一部のみが図示されている可能性があり、純粋に理解向上のために提供されていることに留意されたい。
【0180】
図面、本開示、及び添付の請求項の検討によって、開示される実施形態に対する変形形態が、当業者により理解されることができ、また、特許請求される発明を実施する際に実行されることができる。請求項では、単語「含む」は、他の構成要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。「に適合される」という用語が特許請求の範囲又は明細書において使用される場合、「に適合される」という用語は、「に構成される」という用語と同等であることが意図されていることに留意されたい。
【0181】
請求項中のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】