(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-02
(54)【発明の名称】ポリエステル-ポリシロキサンコポリマー含有組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 23/00 20060101AFI20230425BHJP
C08L 67/00 20060101ALI20230425BHJP
C08G 63/695 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
C08L23/00
C08L67/00
C08G63/695
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557913
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(85)【翻訳文提出日】2022-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2020058243
(87)【国際公開番号】W WO2021190737
(87)【国際公開日】2021-09-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100183678
【氏名又は名称】丸島 裕
(72)【発明者】
【氏名】オリバー、シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】カチヤ、ヒュッテル
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル、ヨアヒムバウアー
【テーマコード(参考)】
4J002
4J029
【Fターム(参考)】
4J002AB013
4J002BB031
4J002BB061
4J002BB071
4J002BB121
4J002BB141
4J002BC031
4J002BD061
4J002CF202
4J002CL063
4J002DE078
4J002DE119
4J002DE139
4J002DE148
4J002DE236
4J002DJ006
4J002DJ007
4J002DJ036
4J002DJ046
4J002DK009
4J002DL007
4J002EE039
4J002EU079
4J002EU179
4J002EU189
4J002FA043
4J002FA047
4J002FD013
4J002FD016
4J002FD017
4J002FD049
4J002FD059
4J002FD099
4J002FD138
4J002FD189
4J002GG00
4J002GK00
4J002GL00
4J002GQ01
4J029AA01
4J029AB02
4J029AE01
4J029EG09
4J029JE222
(57)【要約】
本発明は、(A)置換されていてもよいポリオレフィンと、(B)少なくとも1種の、一般式(I)R3-a-b(OR1)aR2
bSi[OSiR2]p[OSiRR2]q[OSiR2
2]rOSiR3-a-b(OR1)aR2
bの有機ケイ素化合物と、を含有する、ポリエステル-ポリシロキサンコポリマー含有組成物に関する。[式(I)中、R2は、SiC結合した、一般式(II)R5-[O-(CR3
2)n-CO-]m-X-R4-のポリエステル単位を表し、基および添え字は請求項1に規定される意味を有する。]本発明は、その製造およびその使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)置換されていてもよいポリオレフィンと、
(B)少なくとも1種の、一般式(I)の有機ケイ素化合物と、
R
3-a-b(OR
1)
aR
2
bSi[OSiR
2]
p[OSiRR
2]
q[OSiR
2
2]
rOSiR
3-a-b(OR
1)
aR
2
b (I)
を含有する組成物。
[式(I)中、
Rは、同一でも異なっていてもよく、置換されていてもよい、SiC結合した一価の炭化水素基であり、
R
1は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、または置換されていてもよい一価の炭化水素基であり、
R
2は、SiC結合した、一般式(II)のポリエステル単位を表し、
R
5-[O-(CR
3
2)
n-CO-]
m-X-R
4- (II)
(式(II)中、
Xは、-O-または-NR
x-であり、
R
3は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、または置換されていてもよい一価の炭化水素基であり、
R
4は、置換されていてもよい炭素数1~40の二価の炭化水素基であり、ここで個々の炭素原子は、酸素原子または-NR
z-で置換されていてもよく、
R
5は、水素原子、または置換されていてもよい炭素数1~40の一価の炭化水素基であり、ここで個々の炭素原子は、酸素原子またはカルボニル基-CO-もしくは有機シリル基で置換されていてもよく、
R
xは、水素原子、または置換されていてもよい炭素数1~20の一価の炭化水素基であり、ここで個々の炭素原子は、酸素原子または有機シリル基-SiR'
3で置換されていてもよく、ここでR'は、同一のまたは異なる、置換されていてもよい一価の炭化水素基を表し、
R
zは、置換されていてもよい炭素数1~20の一価の炭化水素基であり、ここで個々の炭素原子は、酸素原子、ポリエステル基R
5-[O-(CR
3
2)
n-CO-]
m-または有機シリル基-SiR'
3で置換されていてもよく、ここでR'は、同一のまたは異なる、置換されていてもよい一価の炭化水素基を表す。)
nは、3~6の整数であり、
mは、1~100の整数であり、
aは、0~3の整数であり、
bは、0~1の整数であり、
pは、0または1~1000の整数であり、
qは、0または1~100の整数であり、
rは、0または1~100の整数であり、
ただし、a+b≦3、かつq+rは0超の整数である。]
【請求項2】
使用される前記ポリオレフィン(A)が、一般式(III)の単位を含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
[-CR
6R
7-CR
8R
9-]
x (III)
[式(III)中、R
6、R
7、R
8およびR
9は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基、ビニルエステル基またはハロゲン原子であり、xは、100~100,000の数である。
【請求項3】
前記ポリオレフィン(A)が、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)よりなる群から選択されるポリマーであることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリオレフィン(A)の割合が、60重量%~99.99重量%であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
a=b=0であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
成分(B)が、成分(A)の量を基準にして0.05重量%~40重量%の量で使用されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(A)HDPE、
(B)R
3Si[OSiR
2]
p[OSiRR
2]
qOSiR
3(式中、R=メチル、R
2=H-[O-(CH
2)
5-CO-]
15-NH-(CH
2)
3-、p=23、q=1である。)
必要に応じて(C)無機充填剤、
必要に応じて(D)有機繊維または無機繊維、
必要に応じて(E)難燃剤、
必要に応じて(F)殺生物剤、
必要に応じて(G)顔料、
必要に応じて(H)紫外線吸収剤、および
必要に応じて(I)HALS安定剤
を含有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
成分(A)および(B)、ならびに必要に応じてさらなる成分を任意の所望の順序で混合することにより、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法。
【請求項9】
連続的に実施されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物を射出成形プロセスにより加工することにより押出成形して製造された成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル-ポリシロキサンコポリマーを含有する組成物、その製造、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、世界で生産されるプラスチックのうち、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどの熱可塑性ポリオレフィンが大半を占めている。近年、これらのポリマーの製造技術の進歩により、より高性能な材料が実現されている。ポリオレフィンはもともと加工性に優れているが、それらの加工には、加工速度、表面品質、離型性、レオロジーコントロールなどの特性を最適化するために、プロセス添加剤を使用することが依然として必要である。脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、ステアリン酸金属塩、オリゴマー炭化水素ワックス(PEワックス)などのオリゴマー系添加剤のほか、フッ素ポリマーなどの高分子量ポリマーも使用されている。ここで課題となるのは、これらのプロセス添加剤の使用をできる限り抑えて、剛性および耐傷性などの、ポリオレフィンの他の材料特性への悪影響を最小限に抑え、それと同時に、加工速度を上げるなどの、特定のケースで求められる効果を最大限に発揮させることである。そのため、先行技術で使用されている製品よりも高い効果を示す新しい添加剤のコンセプトが模索されてきた。
【0003】
ポリエステル-ポリシロキサンコポリマーは、様々な方法で分類することができる。それらは、例えば、脂肪族ポリエステル-ポリシロキサンコポリマーのグループと芳香族ポリエステル-ポリシロキサンコポリマーのグループとに、化学的に区別されることがある。脂肪族ポリエステル-ポリシロキサンコポリマーは、化学合成がより簡単であるという利点と、加工温度および合成温度がより低いという利点と、を有する。そのため、脂肪族ポリエステル-ポリシロキサンコポリマーが一般に好まれている。
【0004】
コポリマーはさらに、線状修飾ポリエステル-ポリシロキサンブロックコポリマーのグループと、側鎖修飾ポリエステル-ポリシロキサングラフトコポリマーのグループと、に細分化することができる。線状変異体は化学的に選択的な方法で形成することができ、一方、ポリマー側鎖において修飾されたコポリマーは、より大きな化学的可変性という利点を有する。
【0005】
ポリエステル-ポリシロキサンコポリマーは、既に広く知られている。したがって、US-A 4 376 185には、例えば、線状ポリエステル-ポリシロキサンブロックコポリマーが記載されている。US-A 3 778 458およびUS-A 4 613 641には、特にPUフォームの表面活性添加剤として使用するための側鎖修飾ポリエステル-ポリシロキサングラフトコポリマーが記載されている。
【0006】
US-A 4 613 641、US-A 5 235 003、JP59207922AおよびEP-A 0217364には、ヒドロキシアルキル基末端ポリシロキサンを用いた環状エステルの開環重合によって製造されるポリエステル-ポリシロキサンブロックコポリマーが記載されている。EP-A 0473812には、アミノアルキル基末端ポリシロキサンを用いた、環状エステルの開環重合によって製造されるポリエステル-ポリシロキサンブロックコポリマーが開示されている。ポリエステル-ポリシロキサンコポリマーは、ポリウレタンフォームにおける添加剤および塗料配合物の添加剤としての使用のほかに、特に熱可塑性ポリマーの加工における添加剤としても研究されている。この場合、極性脂肪族ポリエステル成分は、一般的な極性熱可塑性物質との相溶性を確保すべきであり、一方でポリシロキサン成分は、内部および外部潤滑剤の役割を担うべきであり、必要に応じて加工製品の表面を改質することが可能である。
【0007】
EP-A 2616512には、熱可塑性ポリメチルメタクリレートおよびポリメチルメタクリレート成形コンパウンドにおける、表面特性を改善するためのポリエステル-ポリシロキサンコポリマーの使用について記載されている。一連の好ましい化合物において、ここでは線状および側方官能基化されたポリエステル-ポリシロキサンコポリマーの両方が使用されている。DE 102004035835 Aには、このように処理されたポリエステル成形コンパウンドの射出成形プロセスにおけるより良い脱型性を確保するために、熱可塑性、特に芳香族ポリエステル成形コンパウンドにおける線状ポリエステル-ポリシロキサンコポリマーの使用について記載されている。
【0008】
JP 2099558 A2には、同様に、より良い衝撃強度を確保するために、熱可塑性芳香族ポリエステル成形コンパウンド中のポリエステル-ポリシロキサンコポリマーについて記載されている。
【0009】
EP-A 1211277では、線状ポリエステル-ポリシロキサンコポリマーが無水物官能性ポリオレフィンとの反応性官能基化を受けている。しかしながら、ここではある場合において、非常に多量のポリエステル-ポリシロキサンコポリマーが用いられており、ポリシロキサンの潤滑効果は、当然のことながら、無水物官能性ポリオレフィンとの化学結合により減少している。
【0010】
Yilgoerらは、Journal of Applied Polymer Science, vol.83, 1625-1634 (2002)において、高密度ポリエチレン(HDPE)およびポリプロピレンPPなどのポリオレフィンの加工性に対する線状ポリエステル-ポリシロキサンブロックコポリマーの影響について記載している。しかしながら、線状ポリエステル-ポリシロキサンブロックコポリマーの影響は、他の線状ポリシロキサンコポリマーの影響より劣ることがここでは見出されている。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、
(A)置換されていてもよいポリオレフィンと、
(B)少なくとも1種の、一般式(I)の有機ケイ素化合物と、
R3-a-b(OR1)aR2
bSi[OSiR2]p[OSiRR2]q[OSiR2
2]rOSiR3-a-b(OR1)aR2
b (I)
を含有する組成物を提供する。
式(I)中、
Rは、同一でも異なっていてもよく、置換されていてもよい、SiC結合した一価の炭化水素基であり、
R1は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、または置換されていてもよい一価の炭化水素基であり、
R2は、SiC結合した、一般式(II)のポリエステル単位を表し、
R5-[O-(CR3
2)n-CO-]m-X-R4- (II)
(式(II)中、
Xは、-O-または-NRx-であり、
R3は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、または置換されていてもよい一価の炭化水素基であり、
R4は、置換されていてもよい炭素数1~40の二価の炭化水素基であり、ここで個々の炭素原子は、酸素原子または-NRz-で置換されていてもよく、
R5は、水素原子、または置換されていてもよい炭素数1~40の一価の炭化水素基であり、ここで個々の炭素原子は、酸素原子またはカルボニル基-CO-もしくは有機シリル基で置換されていてもよく、
Rxは、水素原子、または置換されていてもよい炭素数1~20の一価の炭化水素基であり、ここで個々の炭素原子は、酸素原子または有機シリル基-SiR'3で置換されていてもよく、ここでR'は、同一のまたは異なる、置換されていてもよい一価の炭化水素基を表し、
Rzは、置換されていてもよい炭素数1~20の一価の炭化水素基であり、ここで個々の炭素原子は、酸素原子、ポリエステル基R5-[O-(CR3
2)n-CO-]m-または有機シリル基-SiR'3で置換されていてもよく、ここでR'は、同一のまたは異なる、置換されていてもよい一価の炭化水素基を表す。)
nは、3~6の整数であり、
mは、1~100の整数であり、
aは、0~3の整数であり、
bは、0~1の整数であり、
pは、0または1~1000の整数であり、
qは、0または1~100の整数であり、
rは、0または1~100の整数であり、
ただし、a+b≦3、かつq+rは0超の整数である。
【0012】
本発明に従って使用される置換または非置換のポリオレフィン(A)の例は、低密度および高密度ポリエチレン(LDPE、LLDPE、HDPE)、プロピレンのホモポリマー(PP)、プロピレンと例えばエチレン、ブテン、ヘキセンおよびオクテンとのコポリマー(PPC)、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)などのオレフィンコポリマー、エチレン-メチルアクリレートコポリマー(EMAC)およびエチレン-ブチルアクリレートコポリマー(EBAC)などのオレフィンコポリマー、ポリ塩化ビニル(PVC)またはポリ塩化ビニル-エチレンコポリマー、ならびにポリスチレン(PS、HIPS、EPS)である。
【0013】
本発明に従って使用されるポリオレフィン(A)は、好ましくは、一般式(III)の単位を含む。
[-CR6R7-CR8R9-]x (III)
式(III)中、R6、R7、R8およびR9は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基、ビニルエステル基またはハロゲン原子であり、xは、100~100,000の数である。
【0014】
好ましくは、基R6、R7、R8およびR9は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、ブチル基およびヘキシル基などの飽和炭化水素基、フェニル基などの芳香族炭化水素基、または塩素およびフッ素などのハロゲン原子であり、特に好ましくは、水素原子、メチル基または塩素原子である。
【0015】
ポリオレフィン(A)は、特に好ましくは、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)よりなる群から選択されるポリマーである。
【0016】
成分(A)の製造のための好ましいモノマーは、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンもしくはブタジエンまたはこれらの混合物であり、より好ましくはエチレン、プロピレンまたは塩化ビニルである。
【0017】
本発明に従って使用されるポリオレフィン(A)は、好ましくは熱可塑性であり、これは、DIN EN ISO 6721-2:2008に準拠した損失係数(G"/G')が1の値を有する温度が、好ましくは少なくとも40℃、より好ましくは少なくとも100℃であることを意味する。
【0018】
ポリオレフィン(A)の重合体構造は、線状でもよく、分岐状でもよい。
【0019】
使用される有機ポリマー(A)の性質は、本質的に、本発明の混合物の加工温度を決定する。
【0020】
本発明の組成物中のポリオレフィン(A)の割合は、好ましくは60重量%~99.99重量%、特に好ましくは90重量%~99.9重量%、非常に特に好ましくは97.5重量%~99.9重量%である。
【0021】
本発明に従って使用される成分(A)は、市販品であるか、または標準的な化学プロセスによって製造することができる。
【0022】
Rの例は、
アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、1-n-ブチル基、2-n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基;n-ヘキシル基などのヘキシル基;n-ヘプチル基などへプチル基;n-オクチル基、および2,2,4-トリメチルペンチル基などのイソオクチル基などのオクチル基;n-ノニル基などのノニル基;n-デシル基などのデシル基;n-ドデシル基などのドデシル基;n-オクタデシル基などのオクタデシル基;
シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびメチルシクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ビニル基、1-プロペニル基および2-プロペニル基などのアルケニル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基およびフェナントリル基などのアリール基;o-、m-、p-トリル基などのアルカリール基;キシリル基およびエチルフェニル基;またはベンジル基ならびにα-およびβ-フェニルエチル基などのアラルキル基;
である。
【0023】
ハロゲン化基Rの例は、3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル基、2,2,2,2’,2’,2’-ヘキサフルオロイソプロピル基およびヘプタフルオロイソプロピル基などのハロアルキル基である。
【0024】
基Rは、好ましくは、フッ素原子および/または塩素原子で置換されていてもよい炭素数1~20の一価の炭化水素基であり、より好ましくは、炭素数1~6の炭化水素基であり、特にメチル基、エチル基、ビニル基またはフェニル基である。
【0025】
基R1の例は、基Rとして記載した基、および炭素原子を介して結合したポリアルキレングリコール基である。
【0026】
基R1は、好ましくは炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1~8の炭化水素基であり、特にメチル基またはエチル基である。
【0027】
基R3の例は、基Rとして記載した基である。
【0028】
基R3は、好ましくは水素原子、メチル基またはエチル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0029】
二価の残基R4の例は、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、tert-ブチレン基、n-ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert-ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基およびオクタデシレン基などのアルキレン基;シクロペンチレン基、1,4-シクロヘキシレン基、イソホロニレン基および4,4’-メチレンジシクロヘキシレン基などのシクロアルキレン基;ビニレン基、n-ヘキセニレン基、シクロヘキセニレン基、1-プロペニレン基、アリレン(allylene)基、ブテニレン基および4-ペンテニレン基などのアルケニレン基;エチニレン基およびプロパルギレン基などのアルキニレン基;フェニレン基、ビスフェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基およびフェナントリレン基などのアリーレン基;o-、m-、p-トリレン基、キシリレン基およびエチルフェニレン基などのアルカリーレン基;ならびにベンジレン基、4,4’-メチレンジフェニレン基、α-またはβ-フェニルエチレン基などのアラルキレン基;エチレン-プロピレンエーテル基、エチレン-メチレンエーテル基、ポリエチレンオキシド-プロピレンエーテル基、ポリプロピレンオキシド-プロピレンエーテル基、ポリエチレンオキシド-co-ポリプロピレンオキシド-プロピレンエーテル基、エチレン-プロピレンアミン基およびエチレン-メチレンアミン基などの置換アルキレン基である。
【0030】
好ましくは、基R4は、アルキレン基または置換アルキレン基であり、より好ましくはメチレン基、n-プロピレン基、エチレン-プロピレンエーテル基またはエチレン-プロピレンアミン基であり、特にアルキレン基である。
【0031】
基R5の例は、水素原子、アルキル基、トリメチルシリル基などのトリオルガニルシリル基、またはアセチル基などのカルボニル基で置換された炭化水素基である。
【0032】
基R5は、好ましくは水素原子またはアセチル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0033】
基RxおよびRzの例は、それぞれ独立して、基Rについて記載した基である。
【0034】
基Rxは、好ましくは水素原子またはアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0035】
基Rzは、好ましくはアルキル基または脂肪族ポリエステル基であり、より好ましくは脂肪族ポリエステル基である。
【0036】
Xは、好ましくは-NRX-を表し、ここでRxは上記で定義した通りである。
【0037】
基R'の例は、基Rとして記載した基である。
【0038】
基R'は、好ましくはアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。
【0039】
添え字mは、好ましくは1~50の値であり、より好ましくは1~30の値である。
【0040】
添え字nは、好ましくは4または5の値であり、より好ましくは5である。
【0041】
基R2の例は、
H-[O-(CH2)5-CO-]5-O-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)5-CO-]15-O-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)5-CO-]25-O-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)3-(CHCH3)1-(C(CH3)2)1-CO-]15-O-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)3-CO-]5-O-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)3-CO-]15-O-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)5-CO-]5-NH-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)5-CO-]15-NH-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)3-(CHCH3)1-(C(CH3)2)1-CO-]15-NH-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)3-CO-]5-NH-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)3-CO-]15-NH-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)5-CO-]5-O-(CH2)2-O-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)5-CO-]15-O-(CH2)2-O-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)3-(CHCH3)1-(C(CH3)2)1-CO-]15-O-(CH2)2-O-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)3-CO-]5-O-(CH2)2-O-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)3-CO-]15-O-(CH2)2-O-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)5-CO-]5-O-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)5-CO-]15-O-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)3-(CHCH3)1-(C(CH3)2)1-CO-]15-O-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)3-CO-]5-O-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)3-CO-]15-O-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)5-CO-]5-NH-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)5-CO-]15-NH-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)3-(CHCH3)1-(C(CH3)2)1-CO-]15-NH-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)3-CO-]5-NH-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)3-CO-]15-NH-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)5-CO-]5-O-(CH2)2-O-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)5-CO-]15-O-(CH2)2-O-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)3-(CHCH3)1-(C(CH3)2)1-CO-]15-O-(CH2)2-O-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)3-CO-]5-O-(CH2)2-O-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)3-CO-]15-O-(CH2)2-O-(CH2)3-、
(H3C)3Si-[O-(CH2)5-CO-]5-O-(CH2)3-、
(H3C)3Si-[O-(CH2)5-CO-]15-O-(CH2)3-、
(H3C)3Si-[O-(CH2)3-(CHCH3)1-(C(CH3)2)1-CO-]15-O-(CH2)3-、
(H3C)3Si-[O-(CH2)3-CO-]5-O-(CH2)3-、
(H3C)3Si-[O-(CH2)3-CO-]15-O-(CH2)3-、
(H3C)3Si-[O-(CH2)5-CO-]5-NH-(CH2)3-、
(H3C)3Si-[O-(CH2)5-CO-]15-NH-(CH2)3-、
(H3C)3Si-[O-(CH2)3-(CHCH3)1-(C(CH3)2)1-CO-]15-NH-(CH2)3-、
(H3C)3Si-[O-(CH2)3-CO-]5-NH-(CH2)3-、および
(H3C)3Si-[O-(CH2)3-CO-]15-NH-(CH2)3-であり、
好ましくは、
H-[O-(CH2)5-CO-]5-O-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)5-CO-]15-O-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)5-CO-]5-NH-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)5-CO-]15-NH-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)5-CO-]5-O-(CH2)2-O-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)5-CO-]15-O-(CH2)2-O-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)5-CO-]5-O-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)5-CO-]15-O-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)5-CO-]5-NH-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)5-CO-]15-NH-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)5-CO-]5-O-(CH2)2-O-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)5-CO-]15-O-(CH2)2-O-(CH2)3-、
(H3C)3Si-[O-(CH2)5-CO-]5-O-(CH2)3-、
(H3C)3Si-[O-(CH2)5-CO-]15-O-(CH2)3-、
(H3C)3Si-[O-(CH2)5-CO-]5-NH-(CH2)3-、または
(H3C)3Si-[O-(CH2)5-CO-]15-NH-(CH2)3-であり、
特に好ましくは、
H-[O-(CH2)5-CO-]15-O-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)5-CO-]15-NH-(CH2)3-、
H-[O-(CH2)5-CO-]15-O-(CH2)2-O-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)5-CO-]15-O-(CH2)3-、
H3CCO-[O-(CH2)5-CO-]15-NH-(CH2)3-、または
H3CCO-[O-(CH2)5-CO-]15-O-(CH2)2-O-(CH2)3-である。
【0042】
aは、好ましくは0または1であり、より好ましくは0である。
bは、好ましくは0または1であり、より好ましくは0である。
【0043】
pは、好ましくは10~500の整数であり、より好ましくは20~200の整数である。
qは、好ましくは1~20の整数であり、より好ましくは1~10の整数である。
rは、好ましくは0または1~10の整数であり、より好ましくは0または1~5の整数であり、特に0である。
【0044】
本発明に従って使用される式(I)の有機ケイ素化合物は、好ましくは1000g/mol~40,000g/molの平均分子量Mnを有し、より好ましくは2000g/mol~15,000g/molの平均分子量Mnを有する。
【0045】
数平均モル質量Mnは、本発明の文脈において、Styragel HR3-HR4-HR5-HR5カラムセット(Waters Corp.USA)で、THF中、ポリスチレン標準、注入量100μl、60℃、流速1.2ml/分、RI(屈折率検出器)による検出でのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定される。
【0046】
式(I)の有機ケイ素化合物は、それぞれの場合に1013hPaにおいて、好ましくは200℃未満、特に好ましくは100℃未満、非常に特に好ましくは75℃未満の融点を有する。
【0047】
一般式(I)の有機ケイ素化合物のケイ素含有量は、好ましくは5重量%~30重量%、より好ましくは10重量%~25重量%である。
【0048】
本発明に従って使用される式(I)の有機ケイ素化合物は、好ましくは、
R3Si[OSiR2]p[OSiRR2]qOSiR3であり、ここで、
R=メチル、R2 = H-[O-(CH2)5-CO-]15-O-(CH2)3-、p=45、q=2、
R=メチル、R2 = H-[O-(CH2)5-CO-]13-O-(CH2)3-、p=30、q=1、
R=メチル、R2 = H-[O-(CH2)5-CO-]20-O-(CH2)3-、p=70、q=3、
R=メチル、R2 = H-[O-(CH2)5-CO-]20-NH-(CH2)3-、p=40、q=2、
R=メチル、R2 = H-[O-(CH2)5-CO-]13-NH-(CH2)3-、p=30、q=1、
R=メチル、R2 = H-[O-(CH2)5-CO-]25-NH-(CH2)3-、p=80、q=3、
R=メチル、R2 = R3Si-[O-(CH2)5-CO-]15-O-(CH2)3-、p=45、q=2、
R=メチル、R2 = H3CCO-[O-(CH2)5-CO-]13-O-(CH2)3-、p=30、q=1、
R=メチル、R2 = H-[O-(CH2)5-CO-]20- O-(CH2)2-O-(CH2)3-、p=50、q=2、
R=メチル、R2 = H-[O-(CH2)5-CO-]25- O-(CH2)2-O-(CH2)3-、p=50、q=2、
R=メチル、R2 = R3Si-[O-(CH2)5-CO-]20-NH-(CH2)3-、p=40、q=2、または
R=メチル、R2 = H3CCO-[O-(CH2)5-CO-]13-NH-(CH2)3-、p=30、q=1であり、
より好ましくは、
R3Si[OSiR2]p[OSiRR2]qOSiR3、ここで、
R=メチル、R2 = H-[O-(CH2)5-CO-]15-NH-(CH2)3-、p=23、q=1、
R=メチル、R2 = H-[O-(CH2)5-CO-]8-NH-(CH2)3-、p=46、q=4、または
R=メチル、R2 = H-[O-(CH2)5-CO-]15-NH-(CH2)3-、p=46、q=2である。
【0049】
本発明に従って使用される有機ケイ素化合物(B)は、市販品であるか、または先行技術に記載されているケイ素化学の標準的な方法によって製造することができる。
【0050】
成分(B)は、成分(A)の量を基準にして、それぞれの場合において、好ましくは0.05重量%~40重量%、より好ましくは0.2重量%~5重量%、特に0.25重量%~3重量%の量で使用される。
【0051】
本発明の組成物は、成分(A)および(B)に加えて、他の物質、例えば無機充填剤(C)、有機または無機繊維(D)、難燃剤(E)、殺生物剤(F)、顔料(G)、紫外線吸収剤(H)およびHALS安定剤(I)、を含有してもよい。
【0052】
必要に応じて用いられる無機充填剤(C)の例は、チョーク(炭酸カルシウム)、カオリン、ケイ酸塩、シリカまたはタルクである。
【0053】
本発明に従って必要に応じて使用される繊維(D)の例は、ガラス繊維、玄武岩繊維またはウォラストナイトであり、好ましくはガラス繊維、またはアラミド繊維、木質繊維およびセルロース繊維などの有機繊維である。
【0054】
無機繊維(D)を使用する場合、これは好ましくは1重量%~50重量%、より好ましくは5重量%~35重量%の量である。本発明の組成物は、好ましくは成分(D)を含有しない。
【0055】
有機繊維(D)を使用する場合、これは好ましくは20重量%~80重量%、より好ましくは35重量%~65重量%の量である。本発明の組成物は、好ましくは成分(D)を含有しない。
【0056】
本発明に従って必要に応じて使用される難燃剤(E)の例は、ハロゲン化有機化合物をベースとする有機難燃剤、または無機難燃剤、例えば水酸化アルミニウム(ATH)もしくは水酸化マグネシウムである。
【0057】
難燃剤(E)を使用する場合は、ATHなどの無機難燃剤が好ましい。
【0058】
本発明に従って必要に応じて使用される殺生物剤(F)の例は、ホウ酸塩(例えばホウ酸亜鉛)などの無機殺菌剤、または有機殺菌剤、例えばチアベンダゾールである。
【0059】
本発明に従って必要に応じて使用される顔料(G)の例は、有機顔料または無機顔料、例えば、酸化鉄または二酸化チタンである。
【0060】
顔料(G)を使用する場合、これは好ましくは0.2重量%~7重量%、より好ましくは0.5重量%~3重量%の量である。
【0061】
本発明に従って必要に応じて使用される紫外線吸収剤(H)の例は、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類またはトリアジン類である。
【0062】
紫外線吸収剤(H)を使用する場合は、ベンゾトリアゾール類またはトリアジン類が好ましい。
【0063】
本発明に従って必要に応じて使用されるHALS安定剤(I)の例は、例えばピペリジンまたはピペリジル誘導体であり、特にBASF SE(D-Ludwigshafen)からTinuvinブランド名で入手可能である。
【0064】
好ましくは、本発明の組成物は、
(A)HDPE、
(B)R3Si[OSiR2]p[OSiRR2]qOSiR3(式中、R=メチル、R2=H-[O-(CH2)5-CO-]15-NH-(CH2)3-、p=23、q=1である。)、
必要に応じて(C)無機充填剤、
必要に応じて(D)有機繊維または無機繊維、
必要に応じて(E)難燃剤、
必要に応じて(F)殺生物剤、
必要に応じて(G)顔料、
必要に応じて(H)紫外線吸収剤、および
必要に応じて(I)HALS安定剤
を含有するものである。
【0065】
さらに好ましくは、本発明の組成物は、
(A)HDPE、
(B)R3Si[OSiR2]p[OSiRR2]qOSiR3(式中、R=メチル、R2=H-[O-(CH2)5-CO-]8-NH-(CH2)3-、p=46、q=4である。)、
(D)無機繊維、
(G)顔料、および
(I)HALS安定剤
を含有するものである。
【0066】
特に好ましくは、本発明の組成物は、
(A)HDPE、
(B)R3Si[OSiR2]p[OSiRR2]qOSiR3(式中、R=メチル、R2=H-[O-(CH2)5-CO-]15-NH-(CH2)3-、p=46、q=2である。)、
(D)有機繊維、
(F)殺生物剤、
(G)顔料、
(H)紫外線吸収剤、および
(I)HALS安定剤
を含有するものである。
【0067】
さらに好ましくは、本発明の組成物は、
(A)HDPE、
(B)R3Si[OSiR2]p[OSiRR2]qOSiR3(式中、R=メチル、R2=H-[O-(CH2)5-CO-]15-NH-(CH2)3-、p=46、q=2である。)、
(C)無機充填剤、
(G)顔料、および
(I)HALS安定剤
を含有するものである。
【0068】
さらに好ましくは、本発明の組成物は、
(A)HDPE、
(B)R3Si[OSiR2]p[OSiRR2]qOSiR3(式中、R=メチル、R2=H-[O-(CH2)5-CO-]8-NH-(CH2)3-、p=46、q=4である。)、および
(G)顔料
を含有するものである。
【0069】
さらに好ましくは、本発明の組成物は、
(A)LLDPE、
(B)R3Si[OSiR2]p[OSiRR2]qOSiR3(式中、R=メチル、R2=H-[O-(CH2)5-CO-]15-NH-(CH2)3-、p=23、q=1である。)、
(C)無機充填剤、
(E)難燃剤、
(G)顔料、
(H)紫外線吸収剤、および
(I)HALS安定剤
を含有するものである。
【0070】
さらに好ましくは、本発明の組成物は、
(A)LLDPE、
(B)R3Si[OSiR2]p[OSiRR2]qOSiR3(式中、R=メチル、R2=H-[O-(CH2)5-CO-]8-NH-(CH2)3-、p=46、q=4である。)、
(C)無機充填剤、
(E)難燃剤、および
(I)HALS安定剤
を含有するものである。
【0071】
さらに好ましくは、本発明の組成物は、
(A)LLDPE、
(B)R3Si[OSiR2]p[OSiRR2]qOSiR3(式中、R=メチル、R2=H-[O-(CH2)5-CO-]15-NH-(CH2)3-、p=46、q=2である。)、
(C)無機充填剤、
(D)無機繊維、
(G)顔料、
(H)紫外線吸収剤、および
(I)HALS安定剤
を含有するものである。
【0072】
さらに好ましくは、本発明の組成物は、
(A)ポリプロピレン、
(B)R3Si[OSiR2]p[OSiRR2]qOSiR3(式中、R=メチル、R2=H-[O-(CH2)5-CO-]15-NH-(CH2)3-、p=23、q=1である。)、
(C)無機充填剤、
(D)有機繊維、
(F)殺生物剤、
(G)顔料、
(H)紫外線吸収剤、および
(I)HALS安定剤
を含有するものである。
【0073】
さらに好ましくは、本発明の組成物は、
(A)ポリプロピレン、
(B)R3Si[OSiR2]p[OSiRR2]qOSiR3(式中、R=メチル、R2=H-[O-(CH2)5-CO-]8-NH-(CH2)3-、p=46、q=4である。)、
(D)無機繊維、
(E)難燃剤、
(G)顔料、および
(I)HALS安定剤
を含有するものである。
【0074】
さらに好ましくは、本発明の組成物は、
(A)ポリプロピレン、
(B)R3Si[OSiR2]p[OSiRR2]qOSiR3(式中、R=メチル、R2=H-[O-(CH2)5-CO-]15-NH-(CH2)3-、p=46、q=2である。)、
(D)有機繊維、
(F)殺生物剤、
(G)顔料、
(H)紫外線吸収剤、および
(I)HALS安定剤
を含有するものである。
【0075】
さらに特に好ましい実施形態において、本発明の組成物は、
(A)ポリプロピレン、
(B)R3Si[OSiR2]p[OSiRR2]qOSiR3(式中、R=メチル、R2=H-[O-(CH2)5-CO-]15-NH-(CH2)3-、p=46、q=2である。)、
(D)無機繊維、および
(I)HALS安定剤
を含有するものである。
【0076】
さらに好ましくは、本発明の組成物は、
(A)ポリ塩化ビニル、
(B)R3Si[OSiR2]p[OSiRR2]qOSiR3(式中、R=メチル、R2=H-[O-(CH2)5-CO-]15-NH-(CH2)3-、p=23、q=1である。)、
(C)無機充填剤、および
(G)顔料
を含有するものである。
【0077】
本発明の組成物は、成分(A)~(I)の他のさらなる成分を含有しないことが好ましい。
【0078】
本発明の組成物の個々の成分は、それぞれの場合において、1種類のそのような成分でもよく、あるいは、少なくとも2種類の異なるそのような成分の混合物でもよい。
【0079】
本発明の組成物は、任意の所望の順序で上記成分を混合するような、任意の既存の公知の方法によって製造することができる。この目的のために、先行技術のミキサーまたはニーダーまたは押出機を使用してもよい。
【0080】
本発明はさらに、成分(A)および(B)、ならびに必要に応じてさらなる成分、好ましくは成分(C)~(I)から選択される成分を、任意の所望の順序で混合することにより、本発明の組成物を製造する方法を提供する。
【0081】
本発明の方法は、溶媒の存在下または非存在下で行われてもよく、無溶媒製造が好ましい。
【0082】
本発明の方法は、連続的、非連続的または半連続的に実施することができ、連続的に実施することが好ましい。
【0083】
本発明の方法は、好ましくは連続運転されるニーダーまたはミキサーまたは押出機において実施され、ここで本発明に従って混合される個々の成分はそれぞれ、それだけをまたはプレミックスとして、重量的または体積的に混合ユニットに連続的に供給される。全体の混合物中に1重量%未満の割合で存在する成分は、好ましくは、より大きな割合で存在する成分の1つにおけるプレミックスとして供給される。
【0084】
本発明の方法を実施する温度は、使用される成分に主に依存し、当業者には既知であり、ただし、使用される個々の成分の特定の分解温度未満である。本発明の方法は、好ましくは250℃未満、より好ましくは150~220℃の範囲内の温度で実施される。
【0085】
本発明の方法は、好ましくは、周囲の大気の圧力、すなわち900~1100hPaで実施される。しかしながら、特に使用される混合ユニットに応じて、より高い圧力も採用され得る。例えば、使用されるニーダー、ミキサーまたは押出機の異なる領域における圧力は、例えば1000hPaより著しく大きい。
【0086】
本発明の方法の好ましい実施形態では、成分(B)は、マスターバッチとして知られているもの中において、ポリオレフィン(A)の一部および必要に応じて成分(C)~(I)の1種以上とのプレミックスの形態で採用される。このプレミックスは、140℃~230℃の温度で成分(A)および(B)ならびに必要に応じて成分(C)~(I)の1種以上を混合することによって製造することが好ましく、混合は連続的、不連続的または半連続的に実施することが可能である。混合工程において、従来技術のミキサー、ニーダーまたは押出機を使用することができる。
【0087】
成分(A)および(B)は、好ましくは、先行技術の押出機またはニーダーで連続的に混合される。コポリマー(B)は、このプレミックス中に、プレミックスの重量を基準にして、それぞれの場合において、好ましくは5重量%~35重量%、より好ましくは10重量%~30重量%、特に好ましくは10重量%~25重量%の量で存在する。
【0088】
本発明に従って製造されたプレミックスは、好ましくはペレットまたは粉末の形態で存在し、好ましくはペレットの形態で存在する。ペレットはまた、機械的粉砕によって粉末に加工されてもよいし、適切なペレット化ユニットを介してマイクロペレットとして得てもよい。
【0089】
本発明の方法では、このようにして得られたプレミックスは、成分(A)の残部および必要に応じて成分(C)~(I)の1種以上とともに、加熱可能なミキサーに、好ましくは連続的に搬送される。ここで、上記成分は別々にミキサーに加えてもよく、一緒に加えてもよい。
【0090】
次いで、個々の成分を、好ましくは150~240℃、より好ましくは180~210℃の温度で混合/均一化する。
【0091】
個々の成分を混合する操作の後、本発明の組成物は、次いで好ましくは、高粘度のホットメルトの形態でダイを介して反応器から排出される。好ましい方法では、材料は出口後、冷却媒体によって冷却され、次いで粉砕/粒状化される。材料の冷却とペレット化は、水中ペレット化によって同時に行うこともでき、順々に行うこともできる。好ましい冷却媒体として、水または空気のいずれかが使用される。好ましいペレット化の方法は、水中ペレット化、空気切断によるペレット化、またはストランドペレット化である。得られたペレットは、好ましくは0.5g未満、より好ましくは0.25g未満、特に0.125g未満の重量を有する。好ましくは、本発明に従って得られたペレットは、シリンダー状または球状である。
【0092】
このようにして得られたペレットは、その後の工程で、さらなる熱可塑性加工によって押し出され、成形品、好ましくはプロファイル(profile)を形成することができる。好ましい手順によれば、本発明の組成物は、ペレットの形態で先行技術のニーダーまたは押出機に連続的に搬送され、このニーダーまたは押出機内で温度の影響を受けて加熱および可塑化され、次いで、所望のプロファイル形状を決定するダイを通してプレスされる。ダイの設計に応じて、ここでは、中実プロファイルまたは中空プロファイルのいずれかを製造することが可能である。
【0093】
本発明はさらに、本発明の組成物を押出成形することにより、または射出成形プロセスによる加工により製造される成形品を提供する。
【0094】
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、適切なダイを介して、プロファイルまたはフィルムの形態で連続的に直接押し出され、次いで(同様に冷却後に)長さにトリミングおよび/または切断されることができる。
【0095】
本発明の組成物は、先行技術のミキサーまたはニーダーまたは押出機を用いて製造することができる。
【0096】
本発明に従って得られる組成物は、好ましくは熱可塑性であり、これは、DIN EN ISO 6721-2:2008に準拠した損失係数(G"/G')が1の値を有する温度が、好ましくは少なくとも40℃、より好ましくは少なくとも100℃であることを意味する。
【0097】
本発明の混合物は、これまでポリオレフィンとの混合物が採用されてきたあらゆる範囲で使用することができる。
【0098】
本発明の混合物は、フィルム、パイプ、ケーブルクラッディング、パネル、プロファイルおよび繊維などの半製品を製造するために、または3次元成形品を製造するために使用することができる。
【0099】
本発明の組成物は、製造が容易であるという利点を有する。
【0100】
これらの組成物を半製品に連続的に加工する場合、本発明の組成物は、より良い表面品質を示す製品、改善された耐摩耗性を示し得る製品、より低い表面エネルギーを有する製品、および改善された機械的特性を示す製品をもたらすという利点を有する。驚くべきことに、直鎖状の側鎖(straight side-chain)官能基化脂肪族ポリエステル-ポリシロキサングラフトコポリマーは、同等の化学組成の線状ポリエステル-ポリシロキサンブロックコポリマーと比較して、またはポリオレフィンの加工に最適化された他の有機プロセス添加剤と比較して、ポリオレフィンにおける著しく改善された潤滑効果を示すことが見出された。さらに、これらの半製品はより高速で押し出すことができる。本発明の組成物からの3次元成形品の製造は、これらが増加した耐摩耗性を示すこと、材料の増加した流動性のために加工工程を加速できること、金型への付着を減少できるため脱型力および脱型時間を減少できること、より軽量な薄肉部品(thinner-walled parts)を製造できること、および本発明の混合物から製造される成形品の表面品質が著しく良好で、射出成形プロセス中に生じる「タイガーストライプ」(tiger stripes)などのレオロジー効果を防止できること、という利点を有する。
【0101】
本発明の組成物は、より低い機械的特性を有する易流動性ポリマーを、より良い機械的特性を有するより低い流動性ポリマーに置き換えることが可能になり、それによって組成物の機械的特性を全体的に改善することができるという利点を有する。
【0102】
本発明の組成物における充填剤の使用は、これが加工性に影響を及ぼすことなく、特性プロファイルを改善するために充填剤の含有量をわずかに増加させることができるという利点を有する。本発明の混合物は、繊維などの異方性充填剤の損傷を回避することを可能にし、その結果、特性プロファイルが改善される。
【実施例】
【0103】
以下に説明する例において、すべての粘度データは、25℃の温度に基づく。特に断らない限り、以下に続く例は、周囲の大気の圧力、すなわち約1000hPaで、20℃の温度、または室温で反応物を補足的な加熱または冷却を行わずに組み合わせたときに生じる温度で、約50%の相対湿度で、実施される。さらに、特に断らない限り、記載したすべての部およびパーセントは、重量に関する。
【0104】
反応物:
シロキサン1:3.8重量%のSi-OH含有量を有するα,ω-OH末端ポリジメチルシロキサン;
シロキサン2:4.6mPasの粘度を有するα,ω-トリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン;
加工助剤(P1):「Struktol TPW 104」、Schill- und Seilacher(D-Boeblingen)から市販されている;
加工助剤(P2):「Struktol TPW 113」、Schill- und Seilacher(D-Boeblingen)から市販されている;
Hordaphos MDIT:リン酸イソトリデシルエステル(Clariant(D-Frankfurt am Main))。
【0105】
1)側方アミノ基を有するシロキサン(A1)の調製
4リットルの3つ口フラスコに、104.6gのアミノプロピルジエトキシシラン(191g/mol)、788.7gのシロキサン1および438.2gのシロキサン2を入れ、これをKPGスターラーで撹拌しながら室温で混合した。1時間後、混合物を130℃まで徐々に加熱した。130℃に達するとすぐに、圧力を300hPaまで1時間かけて下げ、その結果、水-エタノール混合物がゆっくりと留去された。次いで、圧力を標準圧力まで上げ、温度を90℃まで下げた。次いで、1.3gの水酸化カリウムを20%メタノール溶液(1000ppm KOH)の形態で加え、再び圧力を徐々に300hPaまで下げ、温度を130℃まで8時間かけて上昇させ、環状シロキサンを留出物として得た。次いで、窒素で再び圧力を標準圧力まで上げ、1.0gのHordaphos MDITを加え、水酸化カリウムを中和した。次いで、混合物を撹拌しながら2hPaの減圧下で150℃まで加熱して、さらに環状シロキサンを留去した。これにより、生成物として側鎖においてアミノプロピル基で官能基化され、25.5mgKOH/gのアミン価を有する無色透明のポリジメチルシロキサン1081.3gと、副生成物として環状シロキサン215.6gと、を得ることができた。
【0106】
2)側方アミノ基を有するシロキサン(A2)の調製
4リットルの3つ口フラスコに、192.4gのアミノプロピルジエトキシシラン(191g/mol)および40.0gの水を入れ、これをKPGスターラーで撹拌しながら室温で混合した。1時間後、967.3gのシロキサン1および201.5gのシロキサン2を加え、混合物を130℃まで徐々に加熱した。130℃に達するとすぐに、圧力を300hPaまで1時間かけて下げ、その結果、水-エタノール混合物がゆっくりと留去された。次いで、圧力を標準圧力まで上げ、温度を90℃まで下げた。次いで、1.4gの水酸化カリウムを20%メタノール溶液(1000ppm KOH)の形態で加え、再び圧力を徐々に300hPaまで下げ、温度を130℃まで8時間かけて上昇させ、環状シロキサンを留出物として得た。次いで、窒素で再び圧力を標準圧力まで上げ、1.0gのHordaphos MDITを加え、水酸化カリウムを中和した。次いで、混合物を撹拌しながら2hPaの減圧下で150℃まで加熱して、さらに環状シロキサンを留去した。これにより、生成物として側鎖においてアミノプロピル基で官能基化され、48.7mgKOH/gのアミン価を有する無色透明のポリジメチルシロキサン1047.0gと、副生成物として環状シロキサン253.6gと、を得ることができた。
【0107】
3)側方アミノ基を有するシロキサン(A3)の調製
4リットルの3つ口フラスコに、104.6gのアミノプロピルジエトキシシラン(191g/mol)、1051.6gのシロキサン1および219.1gのシロキサン2を入れ、これをKPGスターラーで撹拌しながら室温で混合した。1時間後、混合物を130℃まで徐々に加熱した。130℃に達するとすぐに、圧力を300hPaまで1時間かけて下げ、その結果、水-エタノール混合物がゆっくりと留去された。次いで、圧力を標準圧力まで上げ、温度を90℃まで下げた。次いで、1.4gの水酸化カリウムを20%メタノール溶液(1000ppm KOH)の形態で加え、再び圧力を徐々に300hPaまで下げ、温度を130℃まで8時間かけて上昇させ、環状シロキサンを留出物として得た。次いで、窒素で再び圧力を標準圧力まで上げ、1.0gのHordaphos MDITを加え、水酸化カリウムを中和した。次いで、混合物を撹拌しながら2hPaの減圧下で150℃まで加熱して、さらに環状シロキサンを留去した。これにより、生成物として側鎖においてアミノプロピル基で官能基化され、25.5mgKOH/gのアミン価を有する無色透明のポリジメチルシロキサン1063.2gと、副生成物として環状シロキサン250.7gと、を得ることができた。
【0108】
4)脂肪族ポリエステル側鎖を有するシロキサン(A4)の調製
側鎖においてアミノプロピル基で官能基化されたポリジメチルシロキサン(A1)125gを、500gの3つ口フラスコ内で、KPGスターラーで撹拌しながら、0.25gのエチルヘキサン酸錫(II)および125のε-カプロラクトンと共に80℃で約1時間加熱した。次いで、反応混合物を撹拌しながら140℃まで加熱し、140℃で3時間撹拌した。最後に、蒸留ブリッジを用いて140℃で5hPaの圧力で30分間撹拌しながら残留ε-カプロラクトン2.2gを留去し、生成物を溶融物の形態で温かいうちに注ぎ出し、錠剤化した(pastillized)。融点53℃、シロキサン含有量50%のポリジメチルシロキサン-ポリ-ε-カプロラクトングラフトコポリマー246.3gを得る。
【0109】
5)脂肪族ポリエステル側鎖を有するシロキサン(A5)の調製
側鎖においてアミノプロピル基で官能基化されたポリジメチルシロキサン(A2)125gを、500gの3つ口フラスコ内で、KPGスターラーで撹拌しながら、0.25gのエチルヘキサン酸錫(II)および125のε-カプロラクトンと共に80℃で約1時間加熱した。次いで、反応混合物を撹拌しながら140℃まで加熱し、140℃で3時間撹拌した。最後に、蒸留ブリッジを用いて140℃で5hPaの圧力で30分間撹拌しながら残留ε-カプロラクトン1.5gを留去し、生成物を溶融物の形態で温かいうちに注ぎ出し、錠剤化した。融点52℃、シロキサン含有量50%のポリジメチルシロキサン-ポリ-ε-カプロラクトングラフトコポリマー247.6gを得る。
【0110】
6)脂肪族ポリエステル側鎖を有するシロキサン(A6)の調製
側鎖においてアミノプロピル基で官能基化されたポリジメチルシロキサン(A3)125gを、500gの3つ口フラスコ内で、KPGスターラーで撹拌しながら、0.25gのエチルヘキサン酸錫(II)および125のε-カプロラクトンと共に80℃で約1時間加熱した。次いで、反応混合物を撹拌しながら140℃まで加熱し、140℃で3時間撹拌した。最後に、蒸留ブリッジを用いて140℃で5hPaの圧力で30分間撹拌しながら残留ε-カプロラクトン3.1gを留去し、生成物を溶融物の形態で温かいうちに注ぎ出し、錠剤化した。融点53℃、シロキサン含有量50%のポリジメチルシロキサン-ポリ-ε-カプロラクトングラフトコポリマー245.8gを得る。
【0111】
7)脂肪族ポリエステル末端基を有するシロキサン(A7)の調製
各鎖末端においてアミノプロピル基で官能基化され、3230g/molの分子量を有するポリジメチルシロキサン125gを、500gの3つ口フラスコ内で、KPGスターラーで撹拌しながら、0.25gのエチルヘキサン酸錫(II)および125のε-カプラクトンと共に80℃で約1時間加熱した。次いで、反応混合物を撹拌しながら140℃まで加熱し、140℃で3時間撹拌した。最後に、蒸留ブリッジを用いて140℃で5hPaの圧力で30分間撹拌しながら残留ε-カプロラクトン1.5gを留去し、生成物を溶融物の形態で温かいうちに注ぎ出し、錠剤化した。融点51℃、シロキサン含有量50%のポリジメチルシロキサン-ポリ-ε-カプロラクトンブロックコポリマー246.9gを得る。
【0112】
実施例1~4
上記で製造したポリエステル-ポリシロキサンコポリマー(A4)~(A6)を、それぞれの場合において、高密度ポリエチレン(PE1)(LyondellBasell(D-Frankfurt)から「HDPE、Purell GA 7760」の名称で市販)と、表1に記載した量で、室温で均一に混合した。それぞれの混合物の合計量は1000gである。
【0113】
この混合物を、次いで、それぞれの場合において、二重反転二軸押出機(Collin)で195℃の温度でコンパウンドした。供給部(ゾーン1)の温度は95℃であり、ゾーン2およびゾーン3では190℃まで昇温させ、ゾーン4およびゾーン5ではさらに195℃まで昇温させた。ゾーン6(ダイ)は190℃で加熱した。混合物をストランドとして押し出し、これをペレット化した。スクリュー回転速度は50rpmであった。吐出速度は約1.5kg/hであった。
【0114】
次いで、このようにして得られたポリマー混合物のメルトボリュームレート(MVR)を、DIN ISO 1133に準拠して、MFIテスター(MI II)(Goettfert)を用いて、温度175℃、負荷重量2.16kg、加熱時間5分、ダイ直径2mmで測定した。それぞれの場合において、3つの測定値を決定し、これらを平均化した。
その結果は、表1に示すとおりである。
【0115】
比較例C1
コポリマー(A4)~(A6)のいずれも使用しないように変更して、実施例1~4に記載の手順を繰り返す。その結果は、表1に示すとおりである。
【0116】
比較例C2
コポリマー(A4)~(A6)の代わりに、表1に記載した量の加工助剤(P1)を使用するように変更して、実施例1~4に記載の手順を繰り返す。その結果は、表1に示すとおりである。
【0117】
比較例C3
コポリマー(A4)~(A6)の代わりに加工助剤(P2)を使用するように変更して、実施例1~4に記載の手順を繰り返す。その結果は、表1に示すとおりである。
【0118】
比較例C4
コポリマー(A4)~(A6)の代わりにコポリマー(A7)を使用するように変更して、実施例1~4に記載の手順を繰り返す。その結果は、表1に示すとおりである。
【0119】
比較例C5
コポリマー(A4)~(A6)の代わりに、表1に記載した量の加工助剤(P1)を使用するように変更して、実施例1~4に記載の手順を繰り返す。その結果は、表1に示すとおりである。
【0120】
【0121】
実施例1~4の混合物中の側方官能基化ポリエステル-ポリシロキサンコポリマー(A4)、(A5)および(A6)は、例えば比較例C4の線状ポリエステル-ポリシロキサンコポリマーまたは比較例C2、C3およびC5の市販の有機HDPE添加剤よりも著しく高い流動性をもたらすことが分かる。実施例1のコポリマーは、ここでは半分の添加量で同じ効果が見られるので、市販の比較品(P1)または比較例C4の線状コポリマーよりも約2倍有効である。
【0122】
実施例5~7
上記で製造したポリエステル-ポリシロキサンコポリマー(A4)~(A6)を、それぞれの場合において、高密度ポリエチレン(PE2)(Borealis Polyolefine(Linz)から「HDPE、BB2581」の名称で市販)と、表1に記載した量で、室温で均一に混合した。それぞれの混合物の合計量は1000gである。
【0123】
この混合物を、次いで、二重反転二軸押出機(Collin)で195℃の温度でコンパウンドした。供給部(ゾーン1)の温度は95℃であり、ゾーン2およびゾーン3では190℃まで昇温させ、ゾーン4およびゾーン5ではさらに195℃まで昇温させた。ゾーン6(ダイ)は195℃で加熱した。混合物をストランドとして押し出し、これをペレット化した。スクリュー回転速度は50rpmであった。吐出速度は約1.5kg/hであった。
【0124】
次いで、このようにして得られたポリマー混合物のメルトボリュームレート(MVR)を、DIN ISO 1133に準拠して、MFIテスター(MI II)(Goettfert)を用いて、温度190℃、負荷重量10kg、加熱時間5分、ダイ直径2mmで測定した。それぞれの場合において、3つの測定値を決定し、これらを平均化した。
その結果は、表2に示すとおりである。
【0125】
比較例C6
コポリマー(A4)~(A6)のいずれも使用しないように変更して、実施例5~7に記載の手順を繰り返す。その結果は、表2に示すとおりである。
【0126】
比較例C7
コポリマー(A4)~(A6)の代わりに、表2に記載した量の加工助剤(P1)を使用するように変更して、実施例5~7に記載された手順を繰り返す。その結果は、表2に示すとおりである。
【0127】
【0128】
実施例8~10
上記で製造したポリエステル-ポリシロキサンコポリマー(A4)~(A6)を、それぞれの場合において、ポリプロピレンホモポリマー(PP1)(Borealis Polyolefine(Linz)から「HC205 TF」の名称で市販)と、表3に記載した量で、室温で均一に混合した。それぞれの混合物の合計量は1000gである。
【0129】
この混合物を、次いで、二重反転二軸押出機(Collin)で210℃の温度でコンパウンドした。供給部(ゾーン1)の温度は95℃であり、ゾーン2およびゾーン3では190℃まで昇温させ、ゾーン4およびゾーン5ではさらに205℃まで昇温させた。ゾーン6(ダイ)は200℃で加熱した。混合物をストランドとして押し出し、これをペレット化した。スクリュー回転数は50rpmであった。吐出速度は約1.5kg/hであった。
【0130】
次いで、このようにして得られたポリマー混合物のメルトボリュームレート(MVR)を、DIN ISO 1133に準拠して、MFIテスター(MI II)(Goettfert)を用いて、温度230℃、負荷重量2.16kg、加熱時間5分、ダイ直径2mmで測定した。それぞれの場合において、3つの測定値を決定し、これらを平均化した。
その結果は、表3に示すとおりである。
【0131】
比較例C8
コポリマー(A4)~(A6)のいずれも使用しないように変更して、実施例8~10に記載の手順を繰り返す。その結果は、表3に示すとおりである。
【0132】
比較例C9
コポリマー(A4)~(A6)の代わりに、表3に記載した量の加工助剤(P1)を使用するように変更して、実施例8~10に記載された手順を繰り返す。その結果は、表3に示すとおりである。
【0133】
【手続補正書】
【提出日】2022-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0108
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0108】
4)脂肪族ポリエステル側鎖を有するシロキサン(A4)の調製
側鎖においてアミノプロピル基で官能基化されたポリジメチルシロキサン(A1)125gを、500mlの3つ口フラスコ内で、KPGスターラーで撹拌しながら、0.25gのエチルヘキサン酸錫(II)および125gのε-カプロラクトンと共に80℃で約1時間加熱した。次いで、反応混合物を撹拌しながら140℃まで加熱し、140℃で3時間撹拌した。最後に、蒸留ブリッジを用いて140℃で5hPaの圧力で30分間撹拌しながら残留ε-カプロラクトン2.2gを留去し、生成物を溶融物の形態で温かいうちに注ぎ出し、錠剤化した(pastillized)。融点53℃、シロキサン含有量50%のポリジメチルシロキサン-ポリ-ε-カプロラクトングラフトコポリマー246.3gを得る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0109
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0109】
5)脂肪族ポリエステル側鎖を有するシロキサン(A5)の調製
側鎖においてアミノプロピル基で官能基化されたポリジメチルシロキサン(A2)125gを、500mlの3つ口フラスコ内で、KPGスターラーで撹拌しながら、0.25gのエチルヘキサン酸錫(II)および125gのε-カプロラクトンと共に80℃で約1時間加熱した。次いで、反応混合物を撹拌しながら140℃まで加熱し、140℃で3時間撹拌した。最後に、蒸留ブリッジを用いて140℃で5hPaの圧力で30分間撹拌しながら残留ε-カプロラクトン1.5gを留去し、生成物を溶融物の形態で温かいうちに注ぎ出し、錠剤化した。融点52℃、シロキサン含有量50%のポリジメチルシロキサン-ポリ-ε-カプロラクトングラフトコポリマー247.6gを得る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0110
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0110】
6)脂肪族ポリエステル側鎖を有するシロキサン(A6)の調製
側鎖においてアミノプロピル基で官能基化されたポリジメチルシロキサン(A3)125gを、500mlの3つ口フラスコ内で、KPGスターラーで撹拌しながら、0.25gのエチルヘキサン酸錫(II)および125gのε-カプロラクトンと共に80℃で約1時間加熱した。次いで、反応混合物を撹拌しながら140℃まで加熱し、140℃で3時間撹拌した。最後に、蒸留ブリッジを用いて140℃で5hPaの圧力で30分間撹拌しながら残留ε-カプロラクトン3.1gを留去し、生成物を溶融物の形態で温かいうちに注ぎ出し、錠剤化した。融点53℃、シロキサン含有量50%のポリジメチルシロキサン-ポリ-ε-カプロラクトングラフトコポリマー245.8gを得る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0111
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0111】
7)脂肪族ポリエステル末端基を有するシロキサン(A7)の調製
各鎖末端においてアミノプロピル基で官能基化され、3230g/molの分子量を有するポリジメチルシロキサン125gを、500mlの3つ口フラスコ内で、KPGスターラーで撹拌しながら、0.25gのエチルヘキサン酸錫(II)および125gのε-カプラクトンと共に80℃で約1時間加熱した。次いで、反応混合物を撹拌しながら140℃まで加熱し、140℃で3時間撹拌した。最後に、蒸留ブリッジを用いて140℃で5hPaの圧力で30分間撹拌しながら残留ε-カプロラクトン1.5gを留去し、生成物を溶融物の形態で温かいうちに注ぎ出し、錠剤化した。融点51℃、シロキサン含有量50%のポリジメチルシロキサン-ポリ-ε-カプロラクトンブロックコポリマー246.9gを得る。
【国際調査報告】