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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-02
(54)【発明の名称】血液ポンプ
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/135 20210101AFI20230425BHJP
   A61M 60/237 20210101ALI20230425BHJP
   A61M 60/416 20210101ALI20230425BHJP
   A61M 60/804 20210101ALI20230425BHJP
   A61M 60/824 20210101ALI20230425BHJP
【FI】
A61M60/135
A61M60/237
A61M60/416
A61M60/804
A61M60/824
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558129
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(85)【翻訳文提出日】2022-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2021057186
(87)【国際公開番号】W WO2021191106
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】20166343.2
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507116684
【氏名又は名称】アビオメド オイローパ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケルクホフス ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】キーセリッツ エレン
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077CC01
4C077CC03
4C077DD10
4C077KK23
(57)【要約】
本発明は、ポンプセクション3と駆動セクション4とを有するポンピングデバイス11を備える血管内血液ポンプ1に関し、ポンプセクション3は、一次流路30によって流体力学的に接続される一次血流入口211および一次血流出口22を有するポンプ筐体2を備え、駆動セクション4は、ステータ40と、回転軸10を中心に回転可能で、一次インペラ31を回転させるように構成されたロータ41とを備え、一次インペラ31は、一次流路30に沿って一次血流入口211から一次血流出口22に一次血流を搬送するように構成され、駆動セクション4は、ロータ41とステータ40との間の軸方向ギャップ401を通って延在する補助流路によって流体力学的に接続される補助血流入口23および補助血流出口24と、ロータ41の駆動セクション端部DSEに配置され、回転軸10を中心にロータ41とともに回転可能な補助インペラ42とを更に備え、補助インペラ42は、ポンピングデバイス11のポンプセクション端部PSEへと向かう方向に補助流路に沿って補助血流入口23から補助血流出口24に補助血流ABFを搬送するように構成された1つ以上の補助インペラ羽根421を備え、ロータ41は、内側ロータ軸受面4211と外側ロータ軸受面4311とを有する血液パージされた径方向滑りロータ軸受47に装着され、補助インペラ42は径方向滑りロータ軸受47の内側ロータ軸受面4211を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプセクション(3)と駆動セクション(4)とを有するポンピングデバイス(11)を備える血管内血液ポンプ(1)であって、
前記ポンプセクション(3)は、一次流路(30)によって流体力学的に接続される一次血流入口(211)および一次血流出口(22)を有するポンプ筐体(2)を備え、前記駆動セクション(4)は、ステータ(40)と、回転軸(10)を中心に回転可能で、一次インペラ(31)を回転させるように構成されたロータ(41)とを備え、前記一次インペラ(31)は、前記一次流路(30)に沿って前記一次血流入口(211)から前記一次血流出口(22)に一次血流を搬送するように構成され、
前記駆動セクション(4)は、前記ロータ(41)と前記ステータ(40)との間の軸方向ギャップ(401)を通って延在する補助流路によって流体力学的に接続される補助血流入口(23)および補助血流出口(24)と、前記ロータ(41)の駆動セクション端部DSEに配置され、前記回転軸(10)を中心に前記ロータ(41)とともに回転可能な補助インペラ(42)とを更に備え、前記補助インペラ(42)は、前記ポンピングデバイス(11)のポンプセクション端部PSEへと向かう方向に補助流路に沿って前記補助血流入口(23)から前記補助血流出口(24)に補助血流を搬送するように構成された1つ以上の補助インペラ羽根(421)を備え、
前記ロータ(41)は、内側ロータ軸受面(4211)と外側ロータ軸受面(4311)とを有する血液パージされた径方向滑りロータ軸受(47)に装着され、
前記補助インペラ(42)は前記径方向滑りロータ軸受(47)の前記内側ロータ軸受面(4211)を形成することを特徴とする血管内血液ポンプ(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の血管内血液ポンプであって、前記内側ロータ軸受面(4211)および前記ロータ(41)は共通の外径を有することを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の血管内血液ポンプであって、前記補助インペラ(42)は、径方向または径方向-軸方向送達インペラであることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記補助インペラ羽根(421)の各々は外周面を有し、前記内側ロータ軸受面(4211)は、前記補助インペラ羽根のうちの少なくとも2つのものの前記外周面によって形成されることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記補助インペラ羽根(421)のうちの少なくとも1つは、前記補助インペラ(42)から軸方向に突出することを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記補助インペラ羽根(421)のうちの少なくとも1つは、前記血流入口から少なくとも前記軸方向ギャップ(401)まで径方向に延在することを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記補助インペラ羽根(421)のうちの少なくとも1つは、前記回転軸(10)に関して径方向に沿って延在することを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記補助インペラ羽根(421)のうちの少なくとも1つは、前記ポンプ筐体(2)の内壁との間に補助ポンプギャップ(423)を形成することを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記補助インペラ羽根(421)のうちの少なくとも2つのものの前記外周面は、流体滑りロータ軸受(47)を形成するように周方向に傾斜していることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記内側ロータ軸受面(4211)は、径方向に突出する膨らみを備え、前記膨らみの頂部は周方向に延在することを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記内側ロータ軸受面(4211)はセラミック材料で作られることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項12】
請求項11に記載の血管内血液ポンプであって、前記補助インペラ(42)はセラミック材料の一体的部品であることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記径方向滑りロータ(47)の前記外側ロータ軸受面(4311)を形成する前記ポンピングデバイス(11)の一部は、ロータ軸受リング(43)であることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項14】
請求項13に記載の血管内血液ポンプであって、前記外側ロータ軸受面(4311)はセラミック材料で作られることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項15】
請求項14に記載の血管内血液ポンプであって、前記ポンピングデバイス(11)の一部は、前記外側ロータ軸受面を形成することを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記補助インペラ(42)に配置される軸方向または軸方向-径方向ロータ軸受面をそれぞれ有する軸方向ロータ軸受または軸方向-径方向ロータ軸受を備えることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項17】
請求項16に記載の血管内血液ポンプであって、前記補助インペラ(42)の少なくとも前記軸方向または軸方向-径方向ロータ軸受面はセラミック材料で作られることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項18】
請求項11、12、14、15、および17のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記セラミック材料は炭化ケイ素であることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記補助インペラ(42)の軸方向長さは前記補助インペラ(42)の最大外径よりも小さいことを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記一次インペラ(31)および前記補助インペラ(42)は、前記ロータ(41)の反対側に配置されることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記補助インペラ羽根(421)のうちの1つ以上のものの径方向外側縁部は面取りされていることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記補助血流出口(24)は前記一次流路(30)の外側に配置されることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記補助血流入口(23)は、前記回転軸(10)を中心に配置された複数の補助入口貫通孔(231)を備えることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項24】
請求項23に記載の血管内血液ポンプであって、前記補助入口貫通孔(231)のうちの2つのものの間の空間には、前記駆動セクション(4)のための電気供給ワイヤ(51)、(52)、(53)のためのワイヤチャンネル(25)が配置されることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項25】
請求項23または24に記載の血管内血液ポンプであって、前記軸方向ギャップ(401)は、前記軸方向ギャップ(401)内に血液が流動するために配置された入口を有し、前記補助入口貫通孔(231)の内側端部(233)は、前記軸方向ギャップ(401)内への前記入口の径方向で最も内側のセクションよりも径方向内側に配置されることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記ポンピングデバイス(11)は、前記補助流路を通って前記補助血流を引き込むために配置された三次インペラ(242)を備えることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項27】
請求項26に記載の血管内血液ポンプであって、前記三次インペラ(242)は、前記回転軸(10)を中心に前記ロータ(41)とともに回転可能であることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項28】
請求項1から27のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記補助血流出口(24)は、前記一次インペラ(31)と前記ステータ(40)との間の径方向ギャップ(241)に配置されることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項29】
請求項28に記載の血管内血液ポンプであって、前記補助血流出口(24)は、動作中に、前記一次血流出口(22)から出た圧送血流PBFが前記補助血流出口(24)を通過するように配置されることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項30】
請求項28または29に記載の血管内血液ポンプであって、前記径方向ギャップ(241)の回転可能壁(2411)は、前記ロータ(41)とともに回転可能であることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項31】
請求項30に記載の血管内血液ポンプであって、前記径方向ギャップ(241)の前記回転可能壁(2411)の反対側の前記径方向ギャップ(241)の静止壁(2410)は、前記ステータ(40)に機械的に接続されることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項32】
請求項27を含む請求項28から31のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記三次インペラ(242)は前記径方向ギャップ(241)に配置されることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項33】
請求項30を含む請求項32に記載の血管内血液ポンプであって、前記三次インペラ(242)は、前記径方向ギャップ(241)の前記回転可能壁(2411)から突出する少なくとも1つの三次インペラ羽根(2412)を備えることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項34】
請求項32または33に記載の血管内血液ポンプであって、前記三次インペラ(242)への流入部は前記軸方向ギャップ(401)の流出端部に配置されることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の血管に追加的な血流を生じさせることによって心臓の機能を支援または代替する血管内血液ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
軸流血液ポンプ、遠心血液ポンプ、または軸方向および径方向の力の両方によって血流がもたらされる混合型もしくは斜め方向血液ポンプなど、様々なタイプの血液ポンプが知られている。血管内血液ポンプは、通常、大動脈弁をブリッジするように大腿動脈を通って左心室内に、または大腿静脈を通って右心室内になど、経皮的に挿入される。
【0003】
回転血液ポンプは回転軸を有する。本特許出願において、「径方向」および「軸方向」という語は、回転軸に関し、それぞれ、「回転軸に関して径方向に」および「回転軸に沿って」を意味する。「内側」という語は、回転軸に径方向に向かう側を意味し、「外側」という語は、回転軸から径方向に離れる側を意味する。
【0004】
血管内血液ポンプは、典型的には、主なコンポーネントとしてポンピングデバイスを備える。ポンピングデバイスは、血流入口から血流出口へと血液を圧送するための一次インペラを含むポンプセクションと、一次インペラを駆動するためのモータを含む駆動セクションとを有する。ポンプセクションは、血流入口と血流出口との間に柔軟に屈曲可能なカニューレを含み得る。
【0005】
ポンピングデバイスは、ポンピングデバイスのポンプ側に配置されたポンプセクション端部を備える。ポンピングデバイスは、ポンピングデバイスの駆動側に配置された駆動セクション端部を更に備える。血液ポンプは、ポンピングデバイスに、例えば、エネルギーおよび/またはパージ流体を供給するためにポンピングデバイスに接続されたカテーテルを更に備え得る。カテーテルは、ポンプセクション端部に接続されてもよいが、多くはポンピングデバイスの駆動セクション端部に接続される。インペラを順方向および逆方向に回転させることも考えられる。この場合、ポンプセクションの血流入口と血流出口とが入れ替わり得る。
【0006】
通常、インペラは、ポンピングデバイス内で少なくとも1つのインペラ軸受によって支持される。滑り軸受、特には流体滑り軸受、ピボット軸受、静水学的軸受、玉軸受など、およびこれらの組み合わせなどの種々のロータ軸受の種類が知られている。特には、接触型軸受は、軸受面が血液と接触する「血液浸潤軸受」として実現され得る。動作中の問題点として摩擦および熱があり得る。血液浸潤軸受の場合、更なる問題として、熱に起因する、または十分な洗浄処理がなされないことに起因する血液凝固があり得る。
【0007】
血液パージされた径方向滑り軸受の一例が、国際公開第2017/021465号において開示されている。この文書の図33は、全体的に筒形状の一次インペラを備えるインペラデバイスを開示している。一次インペラの一次インペラ羽根は、一次インペラの回転軸に向かって延在する。一次インペラ羽根の先端は滑り軸受の外側ロータ軸受面を形成する。一次インペラの中央に配置されたピンの筒形状の表面は、滑り軸受の内側ロータ軸受面を形成する。駆動ユニットのロータおよびステータを冷却するために、一次インペラの反対側の駆動ユニットの側に補助インペラが提供され、これは、ロータとともに回転可能である。補助インペラは、ステータとロータとの間の軸方向ギャップ内に血液を圧送する。補助インペラの軸方向端部において、補助インペラの内側端部と軸受ピンとの間に滑り軸受が配置される。この構成は、大きな軸方向構成空間を必要とし、故に、血管内を前進することが困難な嵩張る血液ポンプをもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ステータとロータとの間の軸方向ギャップを通る血流を有するコンパクトな血液ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、この目的は、独立請求項1の特徴を有する血液ポンプによって達成される。本発明の好ましい実施形態および更なる発展形態は、独立請求項1に従属する請求項において指定される。
【0010】
本発明の第1の態様によると、血管内血液ポンプは、ポンプセクションと駆動セクションとを有するポンピングデバイスを備える。ポンプセクションは、一次流路によって流体力学的に接続される一次血流入口および一次血流出口を有するポンプ筐体を備える。駆動セクションは、ステータと、回転軸を中心に回転可能で、一次インペラを回転させるように構成されたロータとを備える。一次インペラは、一次流路に沿って一次血流入口から一次血流出口に一次血流を搬送するように構成される。駆動セクションは、補助血流が補助流路に沿って補助血流入口から補助血流出口へと搬送可能であるように、補助流路によって流体力学的に接続される、補助血流入口および補助血流出口を更に備える。補助流路は、ロータとステータとの間に延在する軸方向ギャップを含む。軸方向ギャップは、好ましくは、ステータとロータとを備える電気モータの磁気的ギャップでもある。ロータの駆動セクション端部に配置された補助インペラが更に備えられ、これは、回転軸を中心に一次インペラとともに回転可能であり、補助流路を通って補助血流を搬送するように構成された1つ以上の補助インペラ羽根を備える。さらに、血液ポンプは、ロータを支えるための血液パージされた径方向滑り軸受を備える。径方向滑りロータ軸受は、内側ロータ軸受面と外側ロータ軸受面とを備える。補助インペラは、径方向滑りロータ軸受の内側ロータ軸受面を形成する。故に、補助インペラの血液パージされた滑り軸受は、補助インペラの径方向外側に配置される。このようにして、軸方向にコンパクトな血液ポンプが構築され得る。
【0011】
好ましくは、血液パージされた径方向滑りロータ軸受は、外側ロータ軸受面からポンプ筐体を通って外側に向かって周囲の一般的な血液ストリームへの熱伝導が起こり得るように、ポンプ筐体の外周の近くに配置される。これは、熱が効果的に運び去られるコンパクトで信頼性の高い血液ポンプの構築に更に役立ち得る。これは、より低温の血液を軸方向ギャップへと送達することにも役立ち得る。
【0012】
好ましくは、補助インペラは、径方向または径方向-軸方向送達インペラである。故に、補助インペラは、圧力を生成するように補助血流中に遠心力を生成する。
【0013】
好ましくは、補助インペラによって形成される内側ロータ軸受面およびロータは共通の外径を有する。この場合、補助血流は、著しい偏向なしに軸方向ギャップに進入し得る。更には、血管内血液ポンプは、血管を通って心臓まで前進しなければならないので小さな外径を有さなければならないという事実に関して、内側ロータ軸受面およびロータの共通の外径という特徴によって径方向の構成空間が最適に利用される。すなわち、軸方向ギャップに進入する血液中の圧力が、補助インペラによって限界まで増加され、これは、血液ポンプの駆動セクション端部における径方向構成空間によってのみ制限される。
【0014】
好ましくは、少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つの補助インペラ羽根は、外側ロータ軸受面まで延在する。外側ロータ軸受面に最も近い補助インペラ羽根のそれぞれの表面は、内側ロータ軸受面を一緒に形成する。これは、ロータを外側ロータ軸受面に対して装着する補助インペラの表面である。故に、内側ロータ軸受面は、不連続的であり、インペラ羽根の先端部によって画定される少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの個別のセクションを備える。このようにして、補助インペラ羽根の先端は、径方向滑りロータ軸受の一部を形成し得る。外側ロータ軸受面は、1つの連続的な面であり得る。さらに、代替形態において、外側ロータ軸受面は、溝および/またはスロットを有し得る。
【0015】
好ましくは、少なくとも1つの補助インペラ羽根は、補助インペラから回転軸に関して軸方向に突出する。このようにして、羽根は、血液ポンプの回転部の軸方向端部を形成し得る。この軸方向端部は、血流を補助インペラ内に流入させるために開かれ得る。
【0016】
好ましくは、少なくとも1つの補助インペラ羽根の径方向外側縁部は面取りされている。対応する面取りが、回転軸に関して軸方向に延在する補助インペラ羽根のセクションと径方向に延在する補助インペラ羽根のセクションとの間に配置され得る。特には、血液ポンプは、供給カテーテルとより大きな直径を有するポンプ筐体との軸方向間に先細り形状セクションを備え得る。先細り形状は、血管を通るポンプの前進を容易にする。好ましくは、補助インペラの面取りは、先細り形状セクションの下方に配置される。このようにして、面取りは、よりコンパクトな血液ポンプを構築することを可能にする。
【0017】
好ましくは、少なくとも1つの補助羽根は、ポンプ筐体の内壁との間に、またはその内部に配置された更なる部分との間に補助ポンプギャップを形成する。補助ポンプギャップは、好ましくは、軸方向に延在して径方向滑りロータ軸受の一部を形成する径方向外側境界を有する。補助ポンプギャップは、少なくとも1つの補助インペラ羽根とポンプ筐体の内壁との間に、好ましくは、羽根の径方向に延在する端面の面取りされた端部において配置された径方向に延在する軸方向端部を更に有することが好ましい。ポンプギャップの径方向に延在する部分は、補助インペラ羽根によって増加された圧力を維持する。面取りに沿った方向などの軸方向-径方向においてこのギャップを形成することで、血液ポンプがコンパクトに構築される。特には、ポンプ筐体は、面取りの位置において先細り形状になってよい。
【0018】
好ましくは、少なくとも1つ、最も好ましくは全ての補助インペラ羽根は、それらの径方向延長部の方向において直線的である。少なくとも1つ、最も好ましくは全ての補助インペラ羽根は、回転軸に関しておおよそまたは厳密に径方向に沿って延在すること、またはこの方向に対して傾斜して延在することが好ましい。径方向に延在する補助インペラ羽根の圧送効果は、補助インペラの回転の意味とは無関係である。補助インペラの直線的な補助インペラ羽根は、血液凝固をもたらすことが少ない傾向がある。
【0019】
少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの補助インペラ羽根の外周面は、補助インペラの周方向に沿って回転軸に関して径方向に上昇する斜面を有することが好ましい。このようにして、羽根の先端が全体的にリング形状の外側ロータ軸受面と組み合わされることによって、流体滑りロータ軸受が形成され得る。斜面は、回転の方向において、流体滑りロータ軸受の軸受ギャップにおける圧力増加が達成されるように構成される。斜面は、その周方向に沿った補助インペラ羽根の全体的な幅に沿って傾斜する。代替的に、補助インペラ羽根の径方向における最大の上昇が補助インペラ羽根の先端の一部の中間セクションにおいて達成されるように、補助インペラの外周に沿って補助インペラ羽根の先端の対向する端部から開始して2つの斜面を反対方向に提供することも可能である。このようなインペラは、2つの反対回転方向に動作可能である。等価の構造的詳細が、追加的にまたは代替的に、外側インペラ軸受面に提供され得る。
【0020】
補助インペラ羽根の軸方向または径方向-軸方向端面に外周面の前述の仕様を適用することが好ましい。補助インペラ羽根の端面は、回転軸に関して径方向に延在し得、または、補助インペラ羽根の縁部に配置された面取りに沿って延在し得る。補助インペラ羽根の前述の種類の流体端面は、補助インペラとポンプ筐体などの血液ポンプの非回転部分との間の内側軸方向滑りロータ軸受または軸方向-径方向滑りロータ軸受の軸受面において実現され得る。軸方向滑りロータ軸受の外側軸方向または軸方向-径方向ロータ軸受面は、例えば、ポンプ筐体に配置され得る。軸方向または軸方向-径方向ロータ軸受によって、インペラの軸方向の力が伝達され得る。
【0021】
好ましくは、軸方向または軸方向-径方向ロータ軸受面は、セラミック材料で作られる。例えば、セラミック材料は、セラミック被覆として提供され得る。代替的に、インペラおよび/またはポンプ筐体の対応するセクションが、全体的にセラミック材料で作られ得る。
【0022】
好ましくは、径方向に突出する膨らみが、外側および/または内側ロータ軸受面に配置され、膨らみの頂部は周方向に延在する。膨らみは、外側または内側ロータ軸受面に延在し得る。好ましくは、頂部の半径は、補助インペラの直径の10分の1よりも大きい。このような突出する膨らみは、血液ポンプの回転部が主な回転方向に対して横向きに旋回する場合に、回転部の端部の鋭い縁部が周囲の非回転部分に接触しないという利点を有し、この縁部は、膨らみがない場合、ポンプ面を傷つける。代わりに、突出する膨らみのみが非回転の反対面に接触する。したがって、旋回する回転軸のためにロータ軸受を傷つけるリスクが低減される。
【0023】
好ましくは、内側ロータ軸受面は、セラミック材料で作られる。例えば、内側ロータ軸受面はセラミック被覆として提供され得る。セラミック材料の堅さが、内側ロータ軸受面の耐摩耗性を向上させる。好ましくは、セラミック材料は、血液との反応に関して不活性である。
【0024】
好ましくは、補助インペラは、セラミック材料の一体的部品である。補助インペラは、セラミック材料によって被覆された非セラミック材料で作られることも可能である。
【0025】
好ましくは、外側ロータ軸受面もセラミック材料で作られる。例えば、外側ロータ軸受面は、セラミック被覆として提供され得る。
【0026】
好ましくは、ポンピングデバイスは、ロータ軸受リングなど、セラミック材料の外側ロータ軸受面を形成する特定のコンポーネントを備える。個別のセラミックコンポーネントは、外側ロータ軸受面の良好な形態安定性を提供し、これは、小さな内側ロータ軸受面のため、および補助インペラ羽根の先端における増加された面圧のため、特に重要である。
【0027】
好ましくは、セラミック材料は炭化ケイ素である。炭化ケイ素は、多くの他のセラミック材料と比べて熱伝導性が大きいという利点を有する。故に、熱は、滑りロータ軸受から効果的に取り去られ得る。熱伝導は、ロータを通ってインペラに向かって、またはポンプ筐体を通って、例えば、特にはロータ軸受リングを通って生じ得る。
【0028】
好ましくは、補助インペラの軸方向長さは、補助インペラの最大外径よりも小さい。このようにして、補助インペラは、回転軸に沿って過度に延在することがなく、血液ポンプにおける細長いコンポーネントになる。この場合、圧送効果は主に径方向に生成され、これは、軸方向よりも効果的である。これは、コンパクトな血液ポンプを構築するために有利である。
【0029】
好ましくは、一次インペラは、補助インペラが配置されたロータの側部の反対側のロータの側部に配置される。この配置は、補助インペラにおける径方向滑り軸受などの血液ポンプの回転部の端部の軸受が、剛性に関して回転軸旋回に対して回転部を最適に装着するという利点を有する。
【0030】
好ましくは、補助血流出口は、一次インペラの一次流路の外側に配置される。故に、補助血流は一次血流から分離される。この場合、補助流路を介して搬送される血液は、一次流路の外側でのみ、一次流路からの血液と混じり合う。これにより、血流の流動方向が反対方向になるので、流体力学的損失が少なくなり、前負荷および後負荷状態に依存する補助血流を一次血流から独立させる。換言すれば、補助血流から一次血流を分離させることによって、補助血流は単にポンプの回転に付随する。
【0031】
好ましくは、補助血流出口は、ポンプセクションによって送達される主血流の方向に対して斜め方向または垂直方向に配置される。主血流が補助血流出口に隣接して流動すると、血液はベンチュリ効果によって補助血流出口から吸引される。これは補助血流を支援する。
【0032】
好ましくは、補助血流入口は複数の入口孔を備える。入口孔は、好ましくは、回転軸を中心にその周囲に配置される。好ましくは、入口孔は円形状に配置される。入口孔のうちの2つの隣り合うものの間の空間に、ワイヤチャンネルが配置されることが更に好ましい。例えば、ワイヤチャンネルは、駆動ユニットのための少なくとも1つの電気供給ワイヤを収容するために利用され得る。入口孔およびワイヤチャンネルのこのような配置は、血液ポンプのコンパクトな設計を作り上げる。
【0033】
ロータとステータとの間の軸方向ギャップは、補助インペラの下流に配置される。補助インペラは、補助血流入口と軸方向ギャップとの間の空洞に配置され得る。特には、補助インペラは、径方向または径方向-軸方向に血液を搬送する。補助血流路に沿って補助血流入口の下流に、補助入口貫通孔がポンプ筐体の壁部に配置される。補助入口貫通孔から、血液は補助入口貫通孔の内側端部において空洞に進入し得る。補助入口貫通孔の内側端部は、好ましくは、軸方向ギャップよりも径方向内側に配置される。補助インペラの内側領域と補助インペラの外側領域との間に働く遠心力は、軸方向ギャップを通って血液を搬送する圧力を生成する。特には、補助血流入口の径方向で最も外側のセクションは、軸方向ギャップ内への入口の径方向で最も内側のセクションよりも径方向内側に配置され得る。
【0034】
好ましくは、ポンピングデバイスは三次インペラを更に備える。三次インペラは、好ましくは、軸方向ギャップの下流に配置される。三次インペラは、軸方向ギャップから血液を引き出すように構成されることが好ましい。故に、三次インペラは、補助流路を通る血液の流量を増加させる。
【0035】
三次インペラは回転軸を中心に回転可能であることが好ましい。三次インペラはロータとともに回転可能であり得る。
【0036】
好ましくは、補助血流出口は、一次インペラとステータとの間に形成された径方向ギャップに配置される。血液は径方向ギャップの外周断面全体において径方向ギャップから流出し得ることが好ましい。このような大きな流出断面は補助血流路の流体力学的抵抗を低減する。
【0037】
特には、径方向ギャップの回転可能壁は、ロータとともに回転可能である。故に、血液の渦巻き状の推進流が生成され、これは、ギャップの内側でのその回転によって、補助流路を通る血流を渦巻き状の推進流内の血液への遠心力によって増加させる。
【0038】
好ましくは、径方向ギャップの静止壁は、径方向ギャップの回転可能壁に対向して配置される。静止壁は、好ましくは、ステータに機械的に接続される。
【0039】
好ましくは、三次インペラは径方向ギャップの内側に配置される。好ましくは、三次インペラは、径方向ギャップの回転可能壁の一部を形成する。三次インペラは少なくとも1つの三次インペラ羽根を備えることが好ましい。三次インペラ羽根は、好ましくは、径方向に血液を搬送するように構成される。三次インペラ羽根は、回転軸に関しておおよそまたは厳密に径方向に延在し得る。この場合、三次インペラの効果は、三次インペラの回転の意味とは無関係である。
【0040】
好ましくは、三次インペラ内への流入部は、軸方向ギャップの流出端部に配置される。故に、三次インペラは、血液を直接的に軸方向ギャップから有利に引き込む。軸方向ギャップと径方向ギャップとの間の接続が短いので、補助血流路に沿った流体力学的抵抗が低減される。
【0041】
上述の概要、および好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことでより良好に理解されるであろう。しかしながら、本開示の範囲は、図面において開示される特定の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明による、血液ポンプの第1の実施形態の断面図である。
図2図1の一部をポンプセクションの拡大図によって示す図である。
図3図1の一部を駆動セクションの拡大図によって示す図である。
図4】血液ポンプの第1の実施形態のポンプセクション端部に向かう斜視図である。
図5】基本的に図4の図であるが、透明なポンプ筐体によって示す図である。
図6】基本的に図5と同一の図であるが、血液ポンプの第2の実施形態を示す図である。
図7】二次インペラの実施形態の斜視図である。
図8】血液ポンプの第1の実施形態のセパレータリングの斜視図である。
図9】血液ポンプの第2の実施形態のセパレータリングの斜視図である。
図10】補助インペラを示す斜視図における血液ポンプの駆動セクション端部の断面を示す図である。
図11A】補助インペラおよびロータ軸受リングの斜視図である。
図11B】切り欠き部を有するロータ軸受リングの斜視図である。
図12】第1または第2の実施形態の三次インペラの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1において、血管内血液ポンプの第1の実施形態の断面図が示される。回転部は省略され図示されていない。血管内血液ポンプ1は、ポンピングデバイス11と、これに取り付けられたカテーテル5の形態の供給ラインとを備える。
【0044】
ポンピングデバイス11は、少なくとも中間部分において略筒形状形態のポンプ筐体2を備える。ポンプ筐体2は、血流入口21と血流出口22とを備える。図1において、ポンプ筐体2は、2つの個別のセクションを備えるように見えるが、これらのセクションは一体的であり、または接続されて単一の部品を形成する。
【0045】
図2において示されるポンプセクションの拡大図、ならびに図4および図5において示された前側斜視図においてより良好に分かるように、血流入口21は、一次血流入口211と二次血流入口212とを備える。一次血流入口211は二次血流入口212を包囲する。一次血流入口211および二次血流入口212は、流入セパレータ26によって分離されている。流入セパレータ26の内側において、流入セパレータ26はインペラ軸受リング27を備え、これは、図8において個別に示される。さらに、ポンピングデバイス11は、内部に二次インペラ32を一体化した一次インペラ31を備える。一次および二次インペラ31、32は、回転軸10を中心に一緒に回転可能である。二次インペラ32は、図7において示されるように、インレイ(inlay)の形態を有し得、一次インペラ31の二次インペラ空洞312の内側に配置され得る。二次インペラ空洞312は、ポンピングデバイス11のポンプセクション端部PSEに向かって開かれている。代替的に、一次および二次インペラ31、32は一体的に形成される。
【0046】
一次血流1BFは、一次血流入口211から流入セパレータ26の外側の一次インペラ31へと流動し、一次インペラ31によって一次血流路30を通って一次血流出口22へと更に搬送される。二次血流2BFは、二次血流入口212から流入セパレータ26を通って二次インペラ32へと流動し、二次インペラ32によって複数の二次血流路321を通って一次血流路30へと更に搬送される。
【0047】
故に、ポンプセクション端部においてポンピングデバイス11に、好ましくはポンピングデバイス11のほとんど全断面について到達した血液ストリームは、著しい偏向なしに一次および二次血流入口211、212内に流入し得る。二次血流入口212の中央位置によって、血液ストリームの中央からの血液も偏向なしにポンピングデバイス11に進入し得る。これは、血液ストリームは、通常、中央において最も流速が大きい層状の流れであるので有利である。
【0048】
一次インペラ31は、一次血流路30内に延在する一次インペラ羽根313を備え、その間に一次インペラチャンネル311が配置される。一次インペラチャンネル311は、ポンプセクション端部PSEに向かう一次インペラチャンネル311の各端部の一次チャンネル取り入れ口314において一次ピッチを有する。二次インペラ32は、チャンネル形態の少なくとも1つおよび特には厳密に2つの二次血流路321を備え、したがって、これは、以後二次インペラチャンネル321(図7も参照)とも称される。二次インペラチャンネル321は、二次インペラチャンネル321の上流端部に配置された二次チャンネル取り入れ口324において二次ピッチを有する。二次ピッチは、好ましくは、一次ピッチと同一であり、または、乱流などの不所望の流動状態が防止される限りにおいて、ある程度まで異なってもよい。駆動セクション端部DSEに向かう二次インペラ32の端部において、二次インペラ空洞312と一次血流路311のうちの1つとの間に接続貫通孔315が配置される。この接続貫通孔315の血流の方向の端部が二次血流出口213を画定する。二次血流出口213は、回転軸10に関して更に径方向外側に配置される。したがって、血液は、二次インペラ32の回転によって生じる遠心力よって径方向外側に移動させられる。このようにして、二次血流2BFは、二次血流入口212を通り、更に二次インペラ32の二次インペラチャンネル321を通って搬送され、一次インペラ31の一次インペラチャンネル311を通って流動する一次血流1BFと合体する。このようにして、圧送血流PBFが形成される。圧送血流PBFは、血流出口22においてポンピングデバイス11から出る。
【0049】
一次および二次インペラ31、32は、インペラ軸受37に一緒に装着される。それらは二次インペラ空洞312を介して接続され、または単一の部品として一体的に形成される。流入セパレータ26は、流入セパレータ26の内側に配置されたインペラ軸受リング27を備える。インペラ軸受37の外側インペラ軸受面277は、インペラ軸受リング27の内側に配置される。インペラ軸受37は、二次インペラ32の外周に配置された内側インペラ軸受面327を更に備える。
【0050】
一次インペラ31は、血流出口22につながる先細り形状セクション314に固定的に接続される。先細り形状セクション314は、圧送血流PBFを回転軸10に関して径方向外側の方向に送る。次いで、血液は血流出口22に到達する。
【0051】
ポンプセクション端部PSEに向かう方向における先細り形状セクション314から、ポンピングデバイス11のポンプ筐体2の内側に駆動セクション4が配置され、これはステータ40とロータ41とを備える。ステータ40とロータ41との間に、軸方向ギャップ401が配置される。ステータ40およびロータ41を冷却するために、軸方向ギャップ401は血液パージされる。このために、補助血流ABFは、駆動セクション端部DSEに配置された補助血流入口23を通って駆動セクション4に進入する。次いで、血液は、補助インペラ42によって、補助インペラ42とポンプ筐体2の内壁との間に配置された補助ポンプギャップ423を通って搬送される。ここから、血液は軸方向ギャップ401内へと流動を継続する。軸方向ギャップ401から、補助血流ABFは径方向ギャップ241に進入する。径方向ギャップ241の径方向外側端部に補助血流出口24が配置される。補助血流ABFは軸方向ギャップ401内で一次および二次インペラ31、32のポンピング方向の反対方向に流動する。駆動セクション4の内側の補助血流ABFも、血液ポンプ1の周りで流動する全体的血流GBFと実質的に反対方向に流動する。
【0052】
図3に示される拡大図を参照するとより良好に分かるように、ロータ軸受リング43は補助インペラ42を包囲する。補助インペラ42は補助インペラ羽根421を備える。補助インペラ羽根421は、回転軸10の方向においてポンピングデバイス11の駆動セクション端部DSEに向かって突出する。径方向ロータ軸受47は駆動セクション端部DSEに配置され、外側ロータ軸受面4211と内側ロータ軸受面4311とを備え、その間に軸方向に延在する軸受ギャップが配置される。外側ロータ軸受面4311はロータ軸受リング43に配置される。補助インペラ42によって搬送される血液は、軸受ギャップを通り、さらに、ロータ41とステータ40との間の軸方向ギャップ401へと流動する。軸方向ギャップ401から、血液は径方向ギャップ241へと流動する。径方向ギャップ241は、一次インペラ31の先細り形状セクション314とステータ40との間に延在する。補助血流出口24は、径方向ギャップ241とポンピングデバイス11の周囲との間の遷移部分に配置される。補助血流出口24は、回転軸10に対して垂直に配置される。ここで、補助血流ABFからの血液は、ポンプセクション2からの圧送血流PBFおよび周囲の全体的血流GBFと合体する。図示されるように、補助血流出口24がポンプ筐体2の外径の近く、および一次血流出口22の近くに配置されると、圧送血流PBFおよび全体的血流GBFは、それらの流速によって、径方向ギャップ241からの血液の引き出しを支援する。これは、軸方向ギャップ401を通る補助血流ABFを増加させる。
【0053】
回転軸10が通って延在する補助インペラ42の中央に、そして、ロータ41の反対側の補助インペラ42の側に、隆起422が配置される。回転軸10の方向において駆動セクション端部DSEに向かって、隆起422に隣接して、軸受ピン44が配置される。軸受ピン44はポンプ筐体2に接続される。補助インペラ42に向かう軸受ピン44の軸方向軸受面は凸形状を有する。回転軸10は、軸受ピン44の軸方向軸受面の頂部および隆起422の軸方向軸受面の頂部を通って延びる。このようにして、隆起422と軸受ピン44との間で回転軸に関して軸方向の力を伝達するために軸受ピン44は隆起422と相互作用してスラスト軸受を形成し、前述の部分は互いに対して回転可能である。明らかに、接触面は小さく、回転摩擦は低い。
【0054】
血液ポンプ1の駆動セクション端部は、1つ以上の、好ましくは3つの補助入口貫通孔231を備える。補助入口貫通孔231は、補助血流入口23から補助インペラ42が配置された補助インペラ空洞232へと延在する。故に、血液は、補助入口貫通孔231を介して補助血流入口23から補助インペラ42へと流動する。
【0055】
少なくとも1つのワイヤ貫通孔25が、ポンピングデバイス11の駆動セクション端部DSEに配置される。ワイヤ貫通孔25は、カテーテル5からステータ40へと延在し得る。好ましくは、3つのワイヤ貫通孔25が回転軸10を中心に配置される。2つの補助入口貫通孔231の間に、1つのワイヤ貫通孔25が配置され得る。ワイヤ貫通孔25内に、少なくとも1つの供給ライン51、52および/または53が延在し得、ステータ40に接続され得る。好ましくは、図示されるように、供給ワイヤ51、52および/または53は、カテーテル5の内側を通って患者の身体の外側まで延在する。供給ワイヤ51、52および/または53は、血液に接触することなくカテーテル5からステータ40へと延びる。
【0056】
図4は、ポンプセクション3のポンプセクション端部PSEの斜視前面図を示す。図示されるように、二次インペラ32は、インペラ軸受リング27の内側に配置される。インペラ軸受リング27は、流入セパレータ26の内側に配置される。この実施形態に対する代替形態として、外側インペラ軸受面277が流入セパレータ26によって形成されるように、追加的なインペラ軸受リング27は省略され得る。ここで、流入セパレータ26は3つの支柱28によって一次血流1BFと二次血流2BFとの間に装着される。二次血流2BFは、インペラ軸受リング27内への流入部に配置された二次血流入口212を通って二次インペラ32内に流入することが図示されている。二次インペラ32において、血液は、二次インペラチャンネル321に沿って流動し、次いで、貫通開口315を通って二次血流出口213へと流動する。ここで、二次血流2BFは、一次血流1BFと合体し、圧送血流PBFを形成する。
【0057】
図5は、ポンプセクション3のポンプセクション端部PSEを斜視図において示し、ポンプ筐体2は透明に示されている。貫通開口315および二次血流出口213は、2つの一次インペラ羽根313の間に配置される。図示されるように、支柱28は、外側支柱接続リング29によって接続される。支柱接続リング29は、ポンプセクション端部PSEにおいてポンプ筐体2の内周面の内側に配置される。インペラ軸受リング27は支柱28によって支持される。支柱接続リング29および支柱28を1つの部品として製造することが考えられる。好ましくは、インペラ軸受リング27もこの部品の一部である。この部品はポンプ筐体2と一体に形成されてもよい。
【0058】
図6は、ポンプセクション3のポンプセクション端部PSEの斜視図を示し、図3から図5に示された実施形態とは異なり、ポンプ筐体2は透明に示されており、流入セパレータ26は、流入セパレータ26の下流端部に少なくとも1つ、好ましくは3つの切り欠き部261を備える。切り欠き部261は、2つの支柱28の間に配置される。インペラ軸受リング27は、流入セパレータ26の一部であるか、またはこれに固定的に接続され、切り欠き部261は、インペラ軸受リング27を通っても延在する。切り欠き部261に起因して、二次インペラの回転中に二次インペラチャンネル321は、切り欠き部261と整列したときに、その断面が増加する。二次インペラ32は、インペラ軸受リング27の内側でポンプセクション端部PSEに向かう方向に、最大で切り欠き部261の端部まで延在する。このことは、切り欠き部261において回転する軸方向スラスト軸受面328の合致部が血液と直接的に接触するので、動作中に、切り欠き部261の縁部が内側インペラ軸受面327の上に延び、血液凝固を凝固が始まったとき除去する、または、好ましくは、血液凝固の形成を防止するという効果を有する。これは、軸方向スラスト軸受内の滞留血液を回避することに役立つ。また、図7から分かるように、内側インペラ軸受面327は縁部325を有し、これは、外側インペラ軸受面277(図8および図9)から血液凝固を除去する効果を有する。
【0059】
図7は、二次インペラ32を斜視図において詳細に示す。ここでは、二次インペラ32は、インレイとして構成され、おおよそ筒形状の形態を有する。これは、一次インペラ31とは異なる材質、例えばセラミック材料で作られ得る。インレイは、一次インペラ21の二次インペラ空洞312の内側に配置された筒形状セクション323を備える。周方向突出部329が二次インペラ空洞312における二次インペラ32のための軸方向ストッパを形成する。内側インペラ軸受面327は、二次インペラ32の外周に配置される。2つの二次インペラチャンネル321が、ポンプセクション端部PSEに向かう二次インペラ32の端部に配置される。二次インペラチャンネル321は、それらの最大の断面を二次インペラ32の上流端部に有する。故に、チャンネル321の断面は、血流入口21から離れるにつれて減少する。このようにして、血液は、二次インペラチャンネル321を通って流動するときに、主に軸方向から軸方向-径方向に送られる。
【0060】
二次インペラチャンネル321は、二次インペラ32の回転軸10に関して非対称に配置される。血流入口21に向かう二次インペラ32の端部において、回転軸10は、二次インペラチャンネル321のうちの1つを通って延在する。このようにして、回転軸10に位置する回転の中心は、二次インペラ32の固体部とは一致しない。これは、隣接する血流に対する差速が存在しない回転の中心における血液凝固が回避され得るという利点を有する。
【0061】
二次インペラチャンネル321と内側インペラ軸受面327との間の遷移部分に、縁部325が配置される。上述されたように、このような縁部325は、外側インペラ軸受面277における血液凝固の形成を排除するように働く。内側インペラ軸受面327は、ポンプセクション端部PSEにおける径方向軸受の内側面を提供する。二次インペラ32は、軸方向インペラ軸受面328を更に備える。これは、周方向突出部329に配置される。軸方向インペラ軸受面328は、上述された軸方向ストッパまたは軸方向スラスト軸受の一部を形成する。軸方向ストッパは、インペラの回転中に二次インペラ32から軸受リング27へと力を伝達可能な軸方向軸受として構成され得る。軸方向軸受は、インペラのパージ動作から生じる軸方向の力に対処するために必要である。
【0062】
図8は、インペラ軸受リング27の拡大図を示す。外側インペラ軸受面277は、インペラ軸受リング27の内側に配置される。インペラ軸受リング27は、軸方向軸受リング面278を備える。図示されるように、軸方向軸受リング面278は、インペラ軸受リング27の軸方向端部に配置され得る。
【0063】
図9は、図8において示されたものとは異なる更なる実施形態によるインペラ軸受リング27の斜視図を示し、これは、既述の切り欠き部261を備え、これは、インペラ軸受リング27の下流端部に配置される。切り欠き部261の数は、好ましくは、支柱28の数と一致する。
【0064】
図10は、駆動セクション4の駆動セクション端部DSEを通る断面の斜視図を示す。回転部は省略され図示されていない。図示されるように、補助血流ABFは補助血流入口23においてポンプ筐体2に進入する。補助インペラ42は、血液を加速させ、血液は軸方向ギャップ401内へと流動を継続する。軸方向ギャップ401の内側の矢印ABFによって示されるように、血液は回転軸10の方向に直接的に流動するのではなく、螺旋に沿って軸方向ギャップ401に沿って流動するように、強い周方向の流れ成分を有する。
【0065】
図11は、ポンピングデバイス11の駆動セクション端部DSEにおけるロータ41の端部の斜視図を示す。補助インペラ42の補助羽根421が明確に認識でき、これらは、径方向に直線的に延在する。補助インペラ羽根421は、それらの外周において、径方向ロータ軸受47の内側ロータ軸受面4211を提供する。さらに、補助インペラ羽根421の各々は、面取り4212を有する。この面取り4212は、図10において示されるようなポンピングデバイス11の先細り形状の駆動セクション端部DSEを構築するために有利である。さらに、補助インペラ羽根421は、二次インペラ42の軸方向端部に、径方向に延在する端面4214を備える。隆起422が二次インペラ42の軸方向端部の中央に形成される。図10において示されるように、隆起422は軸受ピン44と相互作用する。
【0066】
図11Aは、二次インペラ42の内側ロータ軸受面4211の周りに配置されるロータ軸受リング43を更に示す。ロータ軸受リング43の外側ロータ軸受面4311は、補助インペラ42の内側ロータ軸受面4211とともにロータ軸受47を形成する。補助インペラ42は、軸方向長さLおよび直径Dを有する。代替的に、図11Bにおいて示されるように、ロータ軸受リング43は、上述のインペラ軸受リング27の切り欠き部261と類似の形態、機能、構成を有する切り欠き部を有し得る。
【0067】
図12は、一次インペラ31の先細り形状セクション314に接続されたロータ41の端部の斜視図を示す。三次インペラ242が、先細り形状セクション314とロータ41のポンプセクション端部との間に配置され、ロータ41の外径から先細り形状セクション314の外径へと径方向に延在し、肩部を形成する。この肩部の軸方向平面は、径方向ギャップ24の回転可能壁2411を形成する。三次インペラ羽根2412が、回転可能壁2411からポンピングデバイス11の駆動セクション端部DSEに向かって突き出る。好ましくは、三次インペラ羽根2412は、回転軸10に沿って軸方向に延在する。特には、三次インペラ羽根2412は、直線的であり、回転軸10に関して径方向に延在する。さらに、代替形態において、三次インペラ羽根2412は省略されてよい(図示せず)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
【国際調査報告】