(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(54)【発明の名称】レーザレーダの検出ユニット、レーザレーダ及びその検出方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/4863 20200101AFI20230426BHJP
【FI】
G01S7/4863
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542491
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(85)【翻訳文提出日】2022-07-11
(86)【国際出願番号】 CN2021078774
(87)【国際公開番号】W WO2021190260
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】202010211446.4
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519434972
【氏名又は名称】上海禾賽科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hesai Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.2 Building,No.468 XinLai Road,Jiading District,Shanghai,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陶俊
(72)【発明者】
【氏名】朱雪洲
(72)【発明者】
【氏名】向少卿
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA04
5J084AA05
5J084AD01
5J084BA03
5J084BA36
5J084BA40
5J084BA48
5J084BB02
5J084BB04
5J084BB28
5J084CA03
5J084CA65
5J084EA02
(57)【要約】
本発明はレーザレーダの検出ユニット、検出方法及びそのレーザレーダである。該検出ユニットは、検出ビームの飛行時間に基づいて、反射エコーの検出器アレイ(100)上のスポット(302、304)位置を予測し、該スポット(302、304)に対応する一部の光検出器の電気信号を読み取ることができる。該検出方法は、検出ビームの飛行時間に基づいて、反射エコーの検出器アレイ(100)上のスポット(302、304)位置を予測し、検出器アレイ(100)の複数の光検出器うち、該スポット(302、304)に対応する一部の光検出器のみをオン状態にしてそれらの電気信号を読み取ることができる。受光視野を増加することなく、受光光を全て検出できて、周囲光の干渉が抑制されるとともに、光学機械構造の機械変形による光路歪みから生じる焦平面におけるスポット(302、304)位置オフセットという問題が効果的に解決される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別にアドレス指定可能な複数の光検出器を含む検出器アレイであって、前記光検出器は、レーザレーダから出射された検出ビームが目標物で反射されたエコーを受光して、エコーを電気信号に変換できるように構成される検出器アレイと、
前記検出器アレイに結合される制御ユニットであって、レーザレーダから出射された検出ビームの飛行時間に基づいて、前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置を予測し、前記複数の光検出器のうち前記スポットに対応する一部の光検出器の電気信号を読み取るように構成される制御ユニットと、を含む、レーザレーダの検出ユニット。
【請求項2】
前記光検出器は単一光子検出器を含み、前記検出ユニットは前記複数の光検出器にそれぞれ対応して接続される複数のアドレス線をさらに含み、前記制御ユニットは前記複数のアドレス線を介して前記複数の光検出器に電気的に接続されて電気信号を読み取る、請求項1に記載の検出ユニット。
【請求項3】
前記レーザレーダの作動中に、前記複数の光検出器はオンに保たれる、請求項1又は2に記載の検出ユニット。
【請求項4】
個別にアドレス指定可能な複数の光検出器を含む検出器アレイであって、前記光検出器は、レーザレーダから出射された検出ビームが目標物で反射されたエコーを受光して、エコーを電気信号に変換できるように構成される検出器アレイと、
前記検出器アレイに結合される制御ユニットであって、レーザレーダから出射された検出ビームの飛行時間に基づいて、前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置を予測し、前記複数の光検出器のうち前記スポットに対応する一部の光検出器のみをオン状態にしてそれらの電気信号を読み取るように構成される制御ユニットと、を含む、レーザレーダの検出ユニット。
【請求項5】
各光検出器のための駆動回路をさらに含み、前記駆動回路はツェナーダイオードを含み、前記光検出器は前記ツェナーダイオードを介して駆動電圧に接続され、前記駆動回路は前記ツェナーダイオードの両端に結合されるスイッチ素子をさらに含み、前記スイッチ素子は前記制御ユニットに結合されて前記制御ユニットによりオンオフ制御され、前記スイッチ素子がオンになると、前記ツェナーダイオードが短絡され、前記光検出器がオンになり、前記スイッチ素子がオフになると、前記ツェナーダイオードが短絡されず、前記光検出器がオフになる、請求項4に記載の検出ユニット。
【請求項6】
前記光検出器は単一光子検出器を含み、前記検出ユニットは前記複数の光検出器にそれぞれ対応して接続される複数のアドレス線をさらに含み、前記制御ユニットは前記複数のアドレス線を介して前記複数の光検出器に電気的に接続されて電気信号を読み取る、請求項5に記載の検出ユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の検出ユニットを含む、レーザレーダ。
【請求項8】
目標物検出のためのレーザビームを出射できるように構成されるレーザ装置と、
前記レーザ装置の光路下流に位置する出射レンズであって、前記レーザビームを受光して変調した後に前記レーザレーダの外部に出射できるように構成される出射レンズと、
前記レーザ装置から出射されたレーザビームが目標物で反射されたエコーを受光して、エコーを前記検出器アレイに集束できるように構成される受光レンズであって、前記検出器アレイは前記受光レンズの焦平面上にある受光レンズと、をさらに含む、請求項7に記載のレーザレーダ。
【請求項9】
前記制御ユニットは下記式によって前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置(x
t,y
t)を決定し、
【数1】
式中、(
,
)はスポット原点位置であり、前記スポット原点位置は無限遠にある目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置であり、fは前記受光レンズの焦点距離であり、Cは光速であり、tは前記レーザ装置がパルスを出射する時点から計算された飛行時間であり、θは前記レーザ装置から出射されたレーザビームと前記受光レンズの光軸との夾角であり、(
,
)は前記出射レンズと受光レンズとの間のx軸及びy軸に沿う距離成分である、請求項8に記載のレーザレーダ。
【請求項10】
目標物検出のためのレーザビームを出射できるように構成されるレーザ装置と、
前記レーザビームをレーザレーダの外部に反射させて、前記レーザ装置から出射されたレーザビームが目標物で反射されたエコーを受光できるように構成される視野走査装置と、
前記レーザ装置から出射されたレーザビームが目標物で反射されたエコーを前記検出器アレイに集束するように構成される受光レンズであって、前記検出器アレイは前記受光レンズの焦平面上にある受光レンズと、をさらに含む、請求項7に記載のレーザレーダ。
【請求項11】
前記制御ユニットは下記式によって前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置(x
t,y
t)を決定し、
【数2】
式中、(
,
)はスポット原点位置であり、前記スポット原点位置は前記受光レンズの光軸と前記検出器アレイの交点であり、fは前記受光レンズの焦点距離であり、tは前記レーザ装置がパルスを出射する時点から計算された飛行時間であり、(
,
)は前記視野走査装置が時間t内でx方向及びy方向に回転した角度成分である、請求項10に記載のレーザレーダ。
【請求項12】
前記検出ユニットの制御ユニットは、前記レーダエコーの前記検出器アレイ上の実投射位置を取得し、前記式によって得られた位置と実投射位置との間のオフセット(
,
)を計算し、複数回計算されたオフセット(
,
)から平均オフセット量(
,
)を計算し、そして前記平均オフセット量を用いて前記スポット原点位置を補正できるように構成される、請求項9又は11に記載のレーザレーダ。
【請求項13】
前記レーザレーダは複数の前記レーザ装置を含み、前記検出器アレイは複数の独立したサブエリアアレイを含み、各サブエリアアレイはレーザ装置のうちの1つに対応して1つの検出チャネルを構成する、請求項8から11のいずれか1項に記載のレーザレーダ。
【請求項14】
前記レーザ装置は端面発光型レーザ装置又は垂直共振器面発光型レーザ装置である、請求項8から11のいずれか1項に記載のレーザレーダ。
【請求項15】
前記レーザレーダの外部へ検出ビームを出射するステップと、
前記検出ビームが出射される時点から飛行時間を計算するステップと、
前記飛行時間に基づいて前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置を予測するステップと、
前記複数の光検出器のうち前記スポットに対応する一部の光検出器の電気信号を読み取るステップと、を含む、請求項7に記載のレーザレーダの検出方法。
【請求項16】
前記レーザレーダは、目標物検出のためのレーザビームを出射できるように構成されるレーザ装置と、前記レーザ装置の光路下流に位置する出射レンズであって、前記レーザビームを受光して変調した後に前記レーザレーダの外部に出射できるように構成される出射レンズと、前記レーザ装置から出射されたレーザビームが目標物で反射されたエコーを受光して、エコーを前記検出器アレイに集束できるように構成される受光レンズであって、前記検出器アレイは前記受光レンズの焦平面上にある受光レンズと、をさらに含み、前記飛行時間に基づいて前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置を予測する前記ステップは、下記式によって前記スポット位置(x
t,y
t)を決定するステップを含み、
【数3】
式中、(
,
)はスポット原点位置であり、前記スポット原点位置は無限遠にある目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置であり、fは前記受光レンズの焦点距離であり、Cは光速であり、tは前記レーザ装置がパルスを出射する時点から計算された飛行時間であり、θは前記レーザ装置から出射されたレーザビームと前記受光レンズの光軸との夾角であり、(
,
)は前記出射レンズと受光レンズとの間のx軸及びy軸に沿う距離成分である、請求項15に記載の検出方法。
【請求項17】
前記レーザレーダは、目標物検出のためのレーザビームを出射できるように構成されるレーザ装置と、前記レーザビームをレーザレーダの外部に反射させて、前記レーザ装置から出射されたレーザビームが目標物で反射されたエコーを受光できるように構成される視野走査装置と、前記レーザ装置から出射されたレーザビームが目標物で反射されたエコーを前記検出器アレイに集束するように構成される受光レンズであって、前記検出器アレイは前記受光レンズの焦平面上にある受光レンズと、をさらに含み、前記飛行時間に基づいて前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置を予測する前記ステップは、下記式によって前記スポット位置(x
t,y
t)を決定するステップを含み、
【数4】
式中、(
,
)はスポット原点位置であり、前記スポット原点位置は前記受光レンズの光軸と前記検出器アレイの交点であり、fは前記受光レンズの焦点距離であり、tは前記レーザ装置がパルスを出射する時点から計算された飛行時間であり、(
,
)は前記視野走査装置が時間t内でx方向及びy方向に回転した角度成分である、請求項15に記載の検出方法。
【請求項18】
前記レーダエコーの前記検出器アレイ上の実投射位置を取得するステップと、
前記式によって得られた位置と実投射位置との間のオフセット(
,
)を計算するステップと、
複数回計算されたオフセット(
,
)から平均オフセット量(
,
)を計算するステップと、
前記平均オフセット量を用いて前記スポット原点位置を補正するステップと、をさらに含む、請求項16又は17に記載の検出方法。
【請求項19】
前記レーザレーダは複数の前記レーザ装置を含み、前記検出器アレイは複数の独立したサブエリアアレイを含み、各サブエリアアレイはレーザ装置のうちの1つに対応し、レーザ装置のうちの1つからレーザビームが出射されると、前記レーザ装置に対応する1つのサブエリアアレイ内の光検出器の電気信号を読み取る、請求項15から17のいずれか1項に記載のレーザレーダの検出方法。
【請求項20】
前記レーザレーダの外部へ検出ビームを出射するステップと、
前記検出ビームが出射される時点から飛行時間を計算するステップと、
前記飛行時間に基づいて前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置を予測するステップと、
前記複数の光検出器のうち前記スポットに対応する一部の光検出器のみをオン状態に制御してそれらの電気信号を読み取るステップと、を含む、請求項7に記載のレーザレーダの検出方法。
【請求項21】
前記レーザレーダは、目標物検出のためのレーザビームを出射できるように構成されるレーザ装置と、前記レーザ装置の光路下流に位置する出射レンズであって、前記レーザビームを受光して変調した後に前記レーザレーダの外部に出射できるように構成される出射レンズと、前記レーザ装置から出射されたレーザビームが目標物で反射されたエコーを受光して、エコーを前記検出器アレイに集束できるように構成される受光レンズであって、前記検出器アレイは前記受光レンズの焦平面上にある受光レンズと、をさらに含み、前記飛行時間に基づいて前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置を予測する前記ステップは、下記式によって前記スポット位置(x
t,y
t)を決定するステップを含み、
【数5】
式中、(
,
)はスポット原点位置であり、前記スポット原点位置は無限遠にある目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置であり、fは前記受光レンズの焦点距離であり、Cは光速であり、tは前記レーザ装置がパルスを出射する時点から計算された飛行時間であり、θは前記レーザ装置から出射されたレーザビームと前記受光レンズの光軸との夾角であり、(
,
)は前記出射レンズと受光レンズとの間のx軸及びy軸に沿う距離成分である、請求項20に記載の検出方法。
【請求項22】
前記レーザレーダは、目標物検出のためのレーザビームを出射できるように構成されるレーザ装置と、前記レーザビームをレーザレーダの外部に反射させて、前記レーザ装置から出射されたレーザビームが目標物で反射されたエコーを受光できるように構成される視野走査装置と、前記レーザ装置から出射されたレーザビームが目標物で反射されたエコーを前記検出器アレイに集束するように構成される受光レンズであって、前記検出器アレイは前記受光レンズの焦平面上にある受光レンズと、をさらに含み、前記飛行時間に基づいて前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置を予測する前記ステップは、下記式によって前記スポット位置(x
t,y
t)を決定するステップを含み、
【数6】
式中、(
,
)はスポット原点位置であり、前記スポット原点位置は前記受光レンズの光軸と前記検出器アレイの交点であり、fは前記受光レンズの焦点距離であり、tは前記レーザ装置がパルスを出射する時点から計算された飛行時間であり、(
,
)は前記視野走査装置が時間t内でx方向及びy方向に回転した角度成分である、請求項20に記載の検出方法。
【請求項23】
前記レーダエコーの前記検出器アレイ上の実投射位置を取得するステップと、
前記式によって得られた位置と実投射位置との間のオフセット(
,
)を計算するステップと、
複数回計算されたオフセット(
,
)から平均オフセット量(
,
)を計算するステップと、
前記平均オフセット量を用いて前記スポット原点位置を補正するステップと、をさらに含む、請求項21又は22に記載の検出方法。
【請求項24】
前記レーザレーダは複数の前記レーザ装置を含み、前記検出器アレイは複数の独立したサブエリアアレイを含み、各サブエリアアレイはレーザ装置のうちの1つに対応し、レーザ装置のうちの1つからレーザビームが出射されると、前記レーザ装置に対応する1つのサブエリアアレイ内の光検出器の電気信号を読み取る、請求項20から22のいずれか1項に記載のレーザレーダの検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、レーザ検出の技術分野に関し、特に、感光面が動的に調整可能な検出ユニット、該検出ユニットを含むレーザレーダ及びその検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザレーダシステムは、レーザ出射システムと検出受光システムを含み、出射されたレーザが目標に当たると反射され、検出システムによって受光される。レーザが往復する時間を測定することで目標とレーダの距離を測定でき(タイムオブフライト法)、目標領域全体の走査検出を完了すると、最終的に3次元結像が実現される。レーザレーダは、一般的に使用されている測距センサとして、検出距離が遠く、解像度が高く、アクティブな干渉に強く、体積が小さく、質量が軽い等の利点を有し、知能ロボット、ドローン、無人運転等の分野に広く応用されている。
【0003】
現在、レーザレーダの実際の応用では、出射光路と受光光路が同軸でないため、検出器上の結像スポットの位置は反射距離によって異なる。一方、同軸レーザレーダ(例えば、ガルバノスキャナによるレーザレーダ又は視野走査レーダに類似するもの)の場合、飛行時間内で、レーザの出射及び受光過程におけるガルバノスキャナの微小な回転は同様に、スポットずれを引き起こし得る。また、レーダ装置のハードウェア老化、接着剤の変形、熱膨張冷収縮等の原因による機械変形も、検出器上のスポット位置のオフセットを引き起こし得る。これらの問題を解決するためには、検出器の感光面積を拡大して、スポットずれが常に検出器の感光領域内であることを保証する必要がある。
【0004】
しかし、検出器の感光面積を増やすと、受光光路の視野角が拡大し、周囲光が増加し、システムの周囲光抑制能力が低下してしまう。また、検出器の感光面積の増加は、暗電流/ダークカウントの増加をも招くことがあり、システムの小信号認識能力が低下する。
【0005】
現在、レーザレーダの多くは、検出器としてアバランシェフォトダイオード(APD)を使用しているが、APDは感光面サイズが一定であり、動的な調整が不可能である。
【0006】
背景技術の欄に記載の内容は、開示者が知っている技術に過ぎず、当該分野の既存技術を当然に意味するものではない。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、従来技術の欠点の少なくとも1つに鑑みて、レーザレーダの検出ユニット、及び前記検出ユニットを含むレーザレーダ、並びにその検出方法を提供する。
【0008】
本発明は、
個別にアドレス指定可能な複数の光検出器を含む検出器アレイであって、前記光検出器は、レーザレーダから出射された検出ビームが目標物で反射されたエコーを受光して、エコーを電気信号に変換できるように構成される検出器アレイと、
前記検出器アレイに結合される制御ユニットであって、レーザレーダから出射された検出ビームの飛行時間に基づいて、前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置を予測し、前記複数の光検出器のうち前記スポットに対応する一部の光検出器の電気信号を読み取るように構成される制御ユニットと、を含む、レーザレーダの検出ユニットを提供する。
【0009】
本発明の一態様によれば、前記光検出器は単一光子検出器を含み、前記検出ユニットは前記複数の光検出器にそれぞれ対応して接続される複数のアドレス線をさらに含み、前記制御ユニットは前記複数のアドレス線を介して前記複数の光検出器に電気的に接続されて電気信号を読み取る。
【0010】
本発明の一態様によれば、前記レーザレーダの作動中に、前記複数の光検出器はオンに保たれる。
【0011】
本発明は、
個別にアドレス指定可能な複数の光検出器を含む検出器アレイであって、前記光検出器は、レーザレーダから出射された検出ビームが目標物で反射されたエコーを受光して、エコーを電気信号に変換できるように構成される検出器アレイと、
前記検出器アレイに結合される制御ユニットであって、レーザレーダから出射された検出ビームの飛行時間に基づいて、前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置を予測し、前記複数の光検出器のうち前記スポットに対応する一部の光検出器のみをオン状態にしてそれらの電気信号を読み取るように構成される制御ユニットと、を含む、レーザレーダの検出ユニットをさらに提供する。
【0012】
本発明の一態様によれば、前記検出ユニットは各光検出器のための駆動回路をさらに含み、前記駆動回路はツェナーダイオードを含み、前記光検出器は前記ツェナーダイオードを介して駆動電圧に接続され、前記駆動回路は前記ツェナーダイオードの両端に結合されるスイッチ素子をさらに含み、前記スイッチ素子は前記制御ユニットに結合されて前記制御ユニットによりオンオフ制御され、前記スイッチ素子がオンになると、前記ツェナーダイオードが短絡され、前記光検出器がオンになり、前記スイッチ素子がオフになると、前記ツェナーダイオードが短絡されず、前記光検出器がオフになる。
【0013】
本発明の一態様によれば、前記光検出器は単一光子検出器を含み、前記検出ユニットは前記複数の光検出器にそれぞれ対応して接続される複数のアドレス線をさらに含み、前記制御ユニットは前記複数のアドレス線を介して前記複数の光検出器に電気的に接続されて電気信号を読み取る。
【0014】
本発明は、上記に記載の検出ユニットを含むレーザレーダをさらに提供する。
【0015】
本発明の一態様によれば、前記レーザレーダは、
目標物検出のためのレーザビームを出射できるように構成されるレーザ装置と、
前記レーザ装置の光路下流に位置する出射レンズであって、前記レーザビームを受光して変調した後に前記レーザレーダの外部に出射できるように構成される出射レンズと、
前記レーザ装置から出射されたレーザビームが目標物で反射されたエコーを受光して、エコーを前記検出器アレイに集束できるように構成される受光レンズであって、前記検出器アレイは前記受光レンズの焦平面上にある受光レンズと、をさらに含む。
【0016】
本発明の一態様によれば、前記制御ユニットは下記式によって前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置(x
t,y
t)を決定する。
【数1】
式中、(
,
)はスポット原点位置であり、前記スポット原点位置は無限遠にある目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置であり、fは前記受光レンズの焦点距離であり、Cは光速であり、tは前記レーザ装置がパルスを出射する時点から計算された飛行時間であり、θは前記レーザ装置から出射されたレーザビームと前記受光レンズの光軸との夾角であり、(
,
)は前記出射レンズと受光レンズとの間のx軸及びy軸に沿う距離成分である。
【0017】
本発明の一態様によれば、前記レーザレーダは、
目標物検出のためのレーザビームを出射できるように構成されるレーザ装置と、
前記レーザビームをレーザレーダの外部に反射させて、前記レーザ装置から出射されたレーザビームが目標物で反射されたエコーを受光できるように構成される視野走査装置と、
前記レーザ装置から出射されたレーザビームが目標物で反射されたエコーを前記検出器アレイに集束するように構成される受光レンズであって、前記検出器アレイは前記受光レンズの焦平面上にある受光レンズと、をさらに含む。
【0018】
本発明の一態様によれば、前記制御ユニットは下記式によって前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置(x
t,y
t)を決定する。
【数2】
式中、(
,
)はスポット原点位置であり、前記スポット原点位置は前記受光レンズの光軸と前記検出器アレイの交点であり、fは前記受光レンズの焦点距離であり、tは前記レーザ装置がパルスを出射する時点から計算された飛行時間であり、(
,
)は前記視野走査装置が時間t内でx方向及びy方向に回転した角度成分である。
【0019】
本発明の一態様によれば、前記検出ユニットの制御ユニットは、前記レーダエコーの前記検出器アレイ上の実投射位置を取得し、前記式によって得られた位置と実投射位置との間のオフセット(
,
)を計算し、複数回計算されたオフセット(
,
)から平均オフセット量(
,
)を計算し、そして前記平均オフセット量を用いて前記スポット原点位置を補正するように構成される。
【0020】
本発明の一態様によれば、前記レーザレーダは複数の前記レーザ装置を含み、前記検出器アレイは複数の独立したサブエリアアレイを含み、各サブエリアアレイはレーザ装置のうちの1つに対応して1つの検出チャネルを構成する。
【0021】
本発明の一態様によれば、前記レーザ装置は端面発光型レーザ装置又は垂直共振器面発光型レーザ装置である。
【0022】
本発明は、
前記レーザレーダの外部へ検出ビームを出射するステップと、
前記検出ビームが出射される時点から飛行時間を計算するステップと、
前記飛行時間に基づいて前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置を予測するステップと、
前記複数の光検出器のうち前記スポットに対応する一部の光検出器の電気信号を読み取るステップと、を含む、上記に記載のレーザレーダの検出方法にも関する。
【0023】
本発明の一態様によれば、前記レーザレーダは、目標物検出のためのレーザビームを出射できるように構成されるレーザ装置と、前記レーザ装置の光路下流に位置する出射レンズであって、前記レーザビームを受光して変調した後に前記レーザレーダの外部に出射できるように構成される出射レンズと、前記レーザ装置から出射されたレーザビームが目標物で反射されたエコーを受光して、エコーを前記検出器アレイに集束できるように構成される受光レンズであって、前記検出器アレイは前記受光レンズの焦平面上にある受光レンズと、をさらに含み、前記飛行時間に基づいて前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置を予測する前記ステップは、下記式によって前記スポット位置(x
t,y
t)を決定するステップを含む。
【数3】
式中、(
,
)はスポット原点位置であり、前記スポット原点位置は無限遠にある目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置であり、fは前記受光レンズの焦点距離であり、Cは光速であり、tは前記レーザ装置がパルスを出射する時点から計算された飛行時間であり、θは前記レーザ装置から出射されたレーザビームと前記受光レンズの光軸との夾角であり、(
,
)は前記出射レンズと受光レンズとの間のx軸及びy軸に沿う距離成分である。
【0024】
本発明の一態様によれば、前記レーザレーダは、目標物検出のためのレーザビームを出射できるように構成されるレーザ装置と、前記レーザビームをレーザレーダの外部に反射させて、前記レーザ装置から出射されたレーザビームが目標物で反射されたエコーを受光できるように構成される視野走査装置と、前記レーザ装置から出射されたレーザビームが目標物で反射されたエコーを前記検出器アレイに集束するように構成される受光レンズであって、前記検出器アレイは前記受光レンズの焦平面上にある受光レンズと、をさらに含み、前記飛行時間に基づいて前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置を予測する前記ステップは、下記式によって前記スポット位置(x
t,y
t)を決定するステップを含む。
【数4】
式中、(
,
)はスポット原点位置であり、前記スポット原点位置は前記受光レンズの光軸と前記検出器アレイの交点であり、fは前記受光レンズの焦点距離であり、tは前記レーザ装置がパルスを出射する時点から計算された飛行時間であり、(
,
)は前記視野走査装置が時間t内でx方向及びy方向に回転した角度成分である。
【0025】
本発明の一態様によれば、前記検出方法は、
前記レーダエコーの前記検出器アレイ上の実投射位置を取得するステップと、
前記式によって得られた位置と実投射位置との間のオフセット(
,
)を計算するステップと、
複数回計算されたオフセット(
,
)から平均オフセット量(
,
)を計算するステップと、
前記平均オフセット量を用いて前記スポット原点位置を補正するステップと、をさらに含む。
【0026】
本発明の一態様によれば、前記レーザレーダは複数の前記レーザ装置を含み、前記検出器アレイは複数の独立したサブエリアアレイを含み、各サブエリアアレイはレーザ装置のうちの1つに対応し、レーザ装置のうちの1つからレーザビームが出射されると、前記レーザ装置に対応する1つのサブエリアアレイ内の光検出器の電気信号を読み取る。
【0027】
本発明は、
前記レーザレーダの外部へ検出ビームを出射するステップと、
前記検出ビームが出射される時点から飛行時間を計算するステップと、
前記飛行時間に基づいて前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置を予測するステップと、
前記複数の光検出器のうち前記スポットに対応する一部の光検出器のみをオン状態に制御してそれらの電気信号を読み取るステップと、を含む、上記に記載のレーザレーダの検出方法にも関する。
【0028】
本発明の一態様によれば、前記レーザレーダは、目標物検出のためのレーザビームを出射できるように構成されるレーザ装置と、前記レーザ装置の光路下流に位置する出射レンズであって、前記レーザビームを受光して変調した後に前記レーザレーダの外部に出射できるように構成される出射レンズと、前記レーザ装置から出射されたレーザビームが目標物で反射されたエコーを受光して、エコーを前記検出器アレイに集束できるように構成される受光レンズであって、前記検出器アレイは前記受光レンズの焦平面上にある受光レンズと、をさらに含み、前記飛行時間に基づいて前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置を予測する前記ステップは、下記式によって前記スポット位置(x
t,y
t)を決定するステップを含む。
【数5】
式中、(
,
)はスポット原点位置であり、前記スポット原点位置は無限遠にある目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置であり、fは前記受光レンズの焦点距離であり、Cは光速であり、tは前記レーザ装置がパルスを出射する時点から計算された飛行時間であり、θは前記レーザ装置から出射されたレーザビームと前記受光レンズの光軸との夾角であり、(
,
)は前記出射レンズと受光レンズとの間のx軸及びy軸に沿う距離成分である。
【0029】
本発明の一態様によれば、前記レーザレーダは、目標物検出のためのレーザビームを出射できるように構成されるレーザ装置と、前記レーザビームをレーザレーダの外部に反射させて、前記レーザ装置から出射されたレーザビームが目標物で反射されたエコーを受光できるように構成される視野走査装置と、前記レーザ装置から出射されたレーザビームが目標物で反射されたエコーを前記検出器アレイに集束するように構成される受光レンズであって、前記検出器アレイは前記受光レンズの焦平面上にある受光レンズと、をさらに含み、前記飛行時間に基づいて前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置を予測する前記ステップは、下記式によって前記スポット位置(x
t,y
t)を決定するステップを含む。
【数6】
式中、(
,
)はスポット原点位置であり、前記スポット原点位置は前記受光レンズの光軸と前記検出器アレイの交点であり、fは前記受光レンズの焦点距離であり、tは前記レーザ装置がパルスを出射する時点から計算された飛行時間であり、(
,
)は前記視野走査装置が時間t内でx方向及びy方向に回転した角度成分である。
【0030】
本発明の一態様によれば、前記検出方法は、
前記レーダエコーの前記検出器アレイ上の実投射位置を取得するステップと、
前記式によって得られた位置と実投射位置との間のオフセット(
,
)を計算するステップと、
複数回計算されたオフセット(
,
)から平均オフセット量(
,
)を計算するステップと、
前記平均オフセット量を用いて前記スポット原点位置を補正するステップと、をさらに含む。
【0031】
本発明の一態様によれば、前記レーザレーダは複数の前記レーザ装置を含み、前記検出器アレイは複数の独立したサブエリアアレイを含み、各サブエリアアレイはレーザ装置のうちの1つに対応し、レーザ装置のうちの1つからレーザビームが出射されると、前記レーザ装置に対応する1つのサブエリアアレイ内の光検出器の電気信号を読み取る。
【0032】
本発明の好ましい実施例は、検出ビームの飛行時間に基づいて、反射エコーの検出器アレイ上のスポット位置を予測し、前記スポットに対応する一部の光検出器の電気信号を読み取ることができるレーザレーダの検出ユニットを提供する。本発明の好ましい実施例は、検出ビームの飛行時間に基づいて、反射エコーの検出器アレイ上のスポット位置を予測し、これを基に感光領域を動的に調整する検出方法をさらに提供する。本発明は、受光視野を増加することなく、受光光を全て検出できて、周囲光の干渉が抑制されるとともに、光学機械構造の機械変形による光路歪みから生じる焦平面におけるスポット位置オフセットという問題が効果的に解決される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
明細書の一部を構成する図面は本発明をさらに理解させ、本発明の実施例とともに本発明を解釈するためのものであり、本発明を限定するものではない。図面の説明を次に記載する。
【
図1】単一光子アバランシェダイオードのエリアアレイの構造図を示す。
【
図2】検出器アレイ上のスポット位置及びスポット位置から決定される感光領域を模式的に示す。
【
図3】感光領域が動的に調整可能なレーザレーダの検出ユニットを模式的に示す。
【
図4】本発明の別の実施例に係るレーザレーダの検出器アレイを示す。
【
図5】本発明の一実施例に係る各光検出器のための駆動回路を示す。
【
図6】レーザレーダから異なる距離にある2つの目標物のレーザレーダの検出器アレイ上に生成されるスポットの大きさの模式図を示す。
【
図7】本発明の好ましい一実施例に係る近軸レーザレーダの光路図及びスポットオフセットを模式的に示す。
【
図8】本発明の好ましい一実施例に係る近軸レーザレーダの光路図及びスポットオフセットを模式的に示す。
【
図9】本発明の好ましい一実施例に係るガルバノスキャナレーザレーダの光路図及びスポットオフセットを模式的に示す。
【
図10】飛行時間からスポット位置を予測するレーザ検出方法を示す。
【
図11】飛行時間からスポット位置を予測するレーザ検出方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
後述では、単にいくつかの例示的な実施例について簡単に説明する。当業者であれば理解できるように、本発明の精神又は範囲を逸脱しない限り、説明される実施例を様々な異なる方式により修正可能である。従って、図面と記述は、本質的に例示的であり、制限的ではないと考えられる。
【0035】
本発明の説明では、用語の「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚み」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」等で示す方位又は位置関係は図面に基づくものであり、本発明を容易に説明し記述を簡略化するためのものに過ぎず、示される装置又は素子が必ず特定の方位を有したり、特定の方位で構成、操作されたりすることを指示又は暗示するというわけでないので、本発明を限定するものと見なしてならないことを理解すべきである。また、用語の「第1」、「第2」は説明のためのものに過ぎず、相対的重要性を指示又は暗示したり、示される技術的特徴の数を暗示的に示したりするものと理解してはならない。従って、「第1」、「第2」と限定される特徴は1つ又は複数の前記特徴を明示的又は暗示的に含むことができる。本発明の説明では、明確且つ具体的に限定しない限り、「複数」は2つ又は2つ以上を意味する。
【0036】
本発明の説明では、説明すべきところとして、明確に規定、限定しない限り、用語の「取り付ける」、「連結する」、「接続する」を広義的に理解すべきことである。例えば、固定的に接続してもよく、取り外し可能に接続してもよく、又は一体的に接続してもよい。さらに、機械的に接続してもよく、電気的に接続してもよく、又は互いに通信可能に接続してもよい。さらに、直接接続してもよく、中間媒介を介して間接的に接続してもよく、又は2つの素子の内部の連通もしくは2つの素子の相互的作用関係としてもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本発明での具体的な意味を理解することができる。
【0037】
本発明において、明確に規定、限定しない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあるというのは、第1と第2特徴が直接接触する場合を含んでもよいし、第1と第2特徴が直接接触せず、それらの間の別の特徴を介して接触する場合を含んでもよい。また、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあるというのは、第1特徴が第2特徴の真上及び斜め上方にある場合を含むか、又は単に第1特徴の水平高さが第2特徴より高いことを意味する。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあるというのは、第1特徴が第2特徴の真下及び斜め下方にある場合を含むか、又は単に第1特徴の水平高さが第2特徴より小さいことを意味する。
【0038】
以下の開示では、本発明の異なる構造を実現するための多くの異なる実施形態又は例を提供する。本発明の開示を簡略化するために、以下において、特定の例の部材及び設定について説明する。当然ながら、これらは、単なる例であり、本発明を限定することを意図していない。また、本発明は、異なる例において参照数字及び/又は参照アルファベットが重複され得、このような重複は、簡略化及び明瞭化を目的とし、それ自体は、検討される種々の実施形態及び/又は設定間の関係を示さない。また、本発明は種々の特定のプロセス及び材料の例を提供したが、当業者は、他のプロセスの適用及び/又は他の材料の使用に想到することができる。
【0039】
以下において、図面を参照しながら本発明の実施例を説明するが、ここに記載の実施例は単に本発明を説明及び解釈するためのものであり、本発明を限定することを意図していないことを理解すべきである。
【0040】
図1は、本発明の一実施例に係るレーザレーダの検出ユニット10の模式図を示す。以下において、図面を参照しながら詳細に説明をする。
図1に示すように、検出ユニット10は検出器アレイ100と制御ユニット200を含む。検出器アレイ100は複数のマイクロユニットを含み、
図1中の破線部分は1つのマイクロユニットを囲んでいる。各マイクロユニットは、レーザレーダから出射された検出ビームが目標物で反射されたエコーを電気信号に変換するための光検出器101を含む。前記光検出器は、例えば、単一光子検出能力を有するアバランシェフォトダイオード(SPAD)である。以下において、SPADを例として説明する。光照射がない場合、SPADの逆電流は非常に微弱であるが、少なくとも1つの光子がSPADに入射されると、逆電流はアバランシェ的に急速増大する。次の光子の検出に備えるために、発生されたアバランシェ電流はタイムリーにクエンチする必要がある。SPADの受動クエンチのパターンは、
図1に示すように、SPADとクエンチ抵抗103の共動が必要である。SPADが光照射により電流を発生すると、電流がクエンチ抵抗103に分圧電圧を発生し、これにより、ダイオードのバイアス電圧が逆方向降伏電圧値以下に低下され、さらなるアバランシェの発生が防止される。各SPADはアドレス線102が引き出されるため、個別にアドレス指定可能となる。レーザレーダの制御ユニット200は、前記複数のアドレス線102を介して複数のSPAD101に接続され、一部のSPAD101上の電気信号を選択的に読み取ることができる。簡略にするために、
図1では、制御ユニット200と3本のアドレス線102の接続のみを模式的に示している。
【0041】
図2に示すように、レーザレーダから出射された検出ビームが目標物で反射されたエコーは検出器アレイ100上でスポット202を形成する。
図2中の陰影領域203はスポット202を覆っており、従って、レーザレーダの制御ユニットは、検出器アレイ100の全体が出力する電気信号を読み取ることなく、該領域203に対応する一部のSPAD101の電気信号を読み取ることだけで、レーザレーダのエコーを正確に検出することができる。これは検出ユニットの有効感光面積の減少と等価であり、周囲光の影響を効果的に抑制し、暗電流/ダークカウントを低減し、システムの小信号認識能力を向上させることができる。陰影領域203のサイズとスポット202の大きさはほぼ一致しており、システムの周囲光抑制能力が向上する。
【0042】
図3は、飛行時間に基づいて感光領域を動的に調整する模式図を模式的に示す。
【0043】
図1に示すように、制御ユニット200は前記検出器アレイ100に結合される。本発明の一実施例によれば、前記制御ユニット200は、レーザレーダから出射された検出ビームの飛行時間tに基づいて、前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ100上のスポット位置を予測し、予測されたスポット位置に対応する光検出器の出力電気信号のみを読み取るように構成される。以下において、
図3を参照して詳細に説明する。
図3中の実線の円は初期に設定された受光スポット位置302、即ち無限遠から返されたレーザが検出器アレイ上に集束する位置を模式的に示し、暗い領域は初期に設定された感光面303を示し、感光面303は最初のスポット位置302を覆うことができる。飛行時間tを経た後、スポット位置はオフセットし、オフセット量は後述の計算から得られる。破線の円は予測されたオフセット後の受光スポット304を模式的に示し、明るい領域は調整後の感光面305を示し、感光面305は受光スポット304を覆うことができる。
【0044】
本発明の一実施例によれば、前記レーザレーダの作動中に、前記複数の光検出器101は全てオン状態に保たれ、検出ユニット内の読み取るべき一部の光検出器101のアドレスを更新し、即ち調整後の感光面305に対応する一部の光検出器101の電気信号を読み取ることで、有効感光面の位置の動的な調整が可能となり、これにより、光信号を全て有効に受信できることが保証されるとともに、有効感光面以外の光検出器101の電気信号を読み取る必要がなく、システムの周囲光抑制能力が向上する。
【0045】
図4は、
図1~3中の検出器アレイ100の代わりになり得る本発明の別の実施例に係るレーザレーダの検出器アレイ100’を示す。以下において、図面を参照しながら、その検出器アレイ100との相違点に重点を置いて詳細に説明をする。なお、相反する記述がない限り、
図1~3中の検出器アレイ100に関する特徴は
図4に示される検出器アレイ100’に適用可能である。
図4に示すように、検出器アレイ100’は複数の光検出器101を含み、前記光検出器101は、
図1~3に示される実施例と同様に、アレイ状に配列され、個別にアドレス指定可能である。
図1~3中の全ての光検出器101は常時オン状態(マイクロユニットのバイアス電圧は逆方向降伏電圧よりも高い状態)とされており、制御ユニットは一部のSPAD101の電気信号のみを読み取る。
図4の実施例において、制御ユニット200(
図1を参照)は、前記検出器アレイ100’に結合され、レーザレーダから出射された検出ビームの飛行時間に基づいて、前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置を予測するように構成される。
図1~3に記載の実施例との相違点は、
図4の実施例において、制御ユニット200は検出器アレイ100のうち前記スポットに対応する一部の光検出器101のみをオン状態にしてそれらの電気信号を読み取り、他の光検出器101はオフ状態(マイクロユニットのバイアス電圧は逆方向降伏電圧よりも低い状態)とされる点であり、オフ状態は、光子が照射されるか否かに関わらず応答しないことを表す。
図4において、光検出器アレイの中央位置の光検出器、例えば、破線枠で示される光検出器は、レーザレーダのエコーを感知可能なオン状態にあることを示すために、周囲の光検出器と異なる色で表示される。一方、周囲の光検出器はオフ状態にあり、レーザレーダのエコーを感知することができない。
【0046】
このため、本発明の好ましい一実施例によれば、制御ユニット200は、電気信号を読み取るように光検出器に接続するための複数のアドレス線に加えて、前記光検出器101にそれぞれ結合されて、光検出器101のオンオフを制御するための複数のイネーブル線をさらに含み(図中には簡略化のために、クエンチ方式が示されていない)、以下において詳細に説明する。
【0047】
図5は本発明の一実施例に係る各光検出器101のための駆動回路を示す。
図5に示すように、駆動回路はツェナーダイオード104とスイッチ素子105を含む。前記光検出器101は前記ツェナーダイオード104を介して駆動電圧に接続される。スイッチ素子105は前記ツェナーダイオード104の両端に結合されて前記制御ユニット200によりオンオフ制御され、例えば、制御ユニット200は、前記スイッチ素子105の制御端に結合されてスイッチ素子105のオンオフを制御し、そして前記ツェナーダイオードの短絡有無を制御するようにしてもよい。例えば、前記スイッチ素子105がオンになると、前記ツェナーダイオード104が短絡され、前記光検出器101は、前記駆動電圧V
opに直接結合されるためオンになる。前記スイッチ素子105がオフになると、前記ツェナーダイオード104が短絡されず、前記光検出器両端の電圧がV
opからV
zener(V
zenerはツェナーダイオード上のツェナー電圧である)を引いたものとなり、光検出器101の逆方向降伏電圧V
BRよりも低くなるため、光検出器101はオフになる。本発明の一実施例によれば、前記ツェナーダイオードのツェナー電圧V
zener≧V
ov(V
ovは前記光検出器101の過剰バイアス電圧である)であり、前記駆動電圧V
op=V
ov+V
BRであり、且つV
op-V
zener≦V
BRを満たす。上記デバイスはいずれも半導体デバイスであるため、原理的には集積回路とすることができる。こうしてそれらを各光検出器に集積すれば、光検出器を迅速にオンオフする機能をイネーブルできる。
【0048】
本発明の一実施例によれば、前記スイッチ素子は、ゲートが制御端として機能し、イネーブル線を介して前記制御ユニット200に接続され、ソース及びドレインが前記ツェナーダイオードの両端にそれぞれ接続される電界効果トランジスタFETを含んでもよい。代替的に、前記スイッチ素子はバイポーラ接合トランジスタBJTを含んでもよい。本発明の一実施例によれば、前記光検出器は単一光子検出器である。
【0049】
発明者は、距離が変化するにつれて、スポットサイズにも一定の変化が生じることを発見した。受光スポットの大きさは、出射スポットの大きさ、受光レンズサイズ、焦点距離及び距離に関連している。目標物が近いほど、スポットサイズは大きくなる。目標物とレーザレーダの距離が遠い場合、スポットサイズは大きく変化しない。一般的に、レーザレーダから数メートルの範囲内では、スポットサイズに明らかな変化が見られ、具体的な数値は光学シミュレーションによって得られる。従って、本発明の一実施例によれば、飛行時間に基づいて受光スポット304を計算して予測する際に、受光スポット304の中心位置を計算するほか、受光スポット304の大きさを計算してもよく、例えば、飛行が長いほど、受光スポット304は小さくなり、逆に、飛行時間が短いほど、受光スポット304は大きくなり、これによって、感光面305の面積を適宜調整できる。
図6を参照して詳細に説明する。
図6には、レーザレーダから異なる距離にある第1目標物OB1と第2目標物OB2の2つの目標物が示され、そのうち、第1目標物OB1はレーザレーダとの距離がより遠い。一般的に、レーザレーダとの距離が遠い目標物ほど、返されたエコーが受光レンズにより集束された集束位置はレーザレーダの焦平面に近く、また、光検出器が全て受光レンズの焦平面に配置されるため、エコーが光検出器アレイ上に照射されたスポットは小さい。従って、
図6に示すように、第1目標物OB1から発生したエコーが光検出器アレイ上に照射されたスポット面積は第2目標物OB2から発生したエコーが光検出器アレイ上に照射されたスポット面積よりも明らかに小さくなる。
【0050】
本発明の好ましい一実施例によれば、
図3に示すように、設定される感光面の大きさは可変であってもよく、目標物の距離に応じて動的に調整する。例えば、目標物が遠い場合は、感光面を小さく設定し、つまり、少数の光検出器の電気信号を読み取り、又は少数の光検出器をオンにしてそれらの電気信号を読み取る。目標物が近い場合は、感光面を大きく設定し、つまり、多数の光検出器の電気信号を読み取り、又は多数の光検出器をオンにしてそれらの電気信号を読み取り、感光領域サイズは受光スポットの大きさに近い。代替的に、
図3において、設定される感光面の大きさは一定であってもよく、例えば、無限遠にある目標物から焦平面上に返されたスポットサイズを基準としてもよい。この場合、近距離にある目標物から返されたエコーの強度が大きく、この場合、実際にスポットが照射された一部の光検出器の電気信号を読み取り、測定に影響を及ぼすことがない。あるいは代替的に、異なる目標物距離範囲についてサイズが異なる感光面を設定する。例えば、目標物とレーザレーダの距離が5メートルを超える場合、制御ユニットは第1感光面サイズ、例えば無限遠にある目標物から焦平面上に返されたスポットサイズを選択し、目標物とレーザレーダの距離が5メートルよりも小さい場合、制御ユニットは第2感光面サイズ、例えば5mにある目標物から焦平面上に返されたスポットサイズを選択する。
【0051】
本発明は、上記に記載の検出ユニット10を含むレーザレーダにも関する。以下において
図7を参照して詳細に説明する。
【0052】
本発明の好ましい一実施例によれば、
図7に示されるレーザレーダ40はレーザ装置401、出射レンズ402、受光レンズ405及び上述した検出ユニット10(検出ユニット10は検出器アレイ100と制御ユニット200を含む)を含む。前記レーザ装置401は、目標物検出のためのレーザビーム403を出射できる。出射レンズ402は前記レーザ装置401の光路下流に位置し、前記レーザビーム403を受光してコリメートした後、目標物404の検出のために前記レーザレーダの外部に出射できるように構成される。受光レンズ405は、前記レーザ装置から出射されたレーザビーム403が目標物404で反射されたエコー406を受光して、エコーを前記検出器アレイ100に集束できるように構成され、前記検出器アレイ100は前記受光レンズ405の焦平面上にある。
【0053】
図7は、近軸光路が採用され、且つ出射されたレーザビーム403と受光レンズ405の光軸407が平行であるケースを示している。異なる反射距離でレーザにより結像されたスポットの焦平面上の受光スポット原点oからのオフセット量はaであり、ここでaは飛行時間tの関数である。受光レンズ405の焦点距離はfである。出射されたレーザビーム403と受光レンズの光軸407が平行である場合、出射されたレーザビーム403と受光レンズ405との軸心間距離はhであり(即ち近軸光軸の距離はhである)、飛行距離
である。出射レンズ402と目標物404の距離がd1であり、目標物404と受光レンズ405の距離がd2であると仮定すると、次の関係式が成立する。
【数7】
(h<<d1のため、
と見なされてもよく、
となり、式中Cは光速である)
【0054】
説明を簡単にするために、以下においてスポット中心の座標(即ち
図3に示される円形スポットの円心座標)でスポット位置を示し、スポット位置を説明するためのX-Y座標系を
図3に示す。
図3に示すように、無限遠から返されたレーザ408が焦平面上に集束した座標は該チャネルの受光スポット原点o(x
0,y
0)であると定義する。出射されたレーザビーム403と受光光軸407が平行である場合、スポットの焦平面上での位置(x
t,y
t)と飛行時間は下記式を満たすべきである。
【数8】
【0055】
上記の式中、受光レンズの焦点距離f、光速C、及びhxとhy(hxとhyは近軸光軸の距離hのx軸とy軸方向の成分である)はいずれも定数であり、tはレーザ装置がパルスを出射する時点から計算された飛行時間である。式から、飛行時間tの増加につれて、スポットは原点o(x0,y0)に近づくことが分かる。
【0056】
上記スポット座標と飛行時間の関係から、レーザが飛行した時間に基づいてスポットの理論上の出現位置をリアルタイムに計算できることが分かる。さらに上述した感光領域サイズ(感光面の大きさ)の設定選択を参照することで、検出器アレイの読み取りアドレスをリアルタイムに計画する。これにより、検出器アレイからなる検出ユニットは感光領域の位置を動的に迅速に調整でき、受光光の検出が実現されるとともに、周囲光の干渉が抑制される。
【0057】
本発明の別の実施例において、レーザが飛行した時間に基づいてスポットの理論上の出現位置をリアルタイムに計算し、上述した感光領域サイズ(感光面の大きさ)の設定選択を参照して、一部の検出器をオン状態にして信号を読み取るようにリアルタイムに計画することができる。これにより、検出器アレイからなる検出ユニットは感光領域の位置を動的に迅速に調整でき、受光光の検出が実現されるとともに、周囲光の干渉が抑制される。
【0058】
図7は出射されたレーザビーム403と受光レンズ405の光軸407が平行であるケースを示しており、
図8はより一般的なケースを示している。
図8に示すように、近軸光路のレーザレーダから出射されたレーザビーム403は通常、受光レンズ405の光軸407と夾角θをなす。以下において、
図8を参照して一般的なケースでの入射スポットの位置計算を説明する。
図8において、o’は該夾角θの場合に無限遠にある目標物から返されたエコーの前記受光レンズ405の焦平面上の集束位置であり、aは前記o’に対する実際のスポット集束位置のオフセット量であり、同様に飛行時間tの関数である。
【0059】
幾何学的関係から、
図8中の2つの陰影領域の三角形は相似であることが分かる。従って、
の関係式が成立する。これを整理すると、
となる。
【0060】
h<<d1のため、
と見なされてもよく、上式に代入すると、
となる。
【0061】
出射されたレーザビーム403と受光レンズの光軸407が平行でないケースはより一般的であり、平行は該モデルの特殊なケース、即ちθ=0のケースに過ぎない。同様に、スポットの焦平面上での位置(x
t,y
t)と飛行時間は下記式を満たすべきである。
【数9】
【0062】
上記の式中、hxとhyは近軸光軸の距離hのx軸とy軸の成分である。上記の方程式を利用すれば、様々な角度でのスポット位置を予測することができ、これにより、受光スポット位置の変化に応じて感光面をリアルタイムに調整することが可能になる。
【0063】
図7と
図8は近軸光路レーザレーダにおけるスポット位置の計算及び予測を示している。
図9は同軸光路レーザレーダの実施例を示している。
【0064】
本発明の別の好ましい一実施例によれば、
図9に示されるレーザレーダはレーザ装置601、視野走査装置602及び受光レンズ606を含む。レーザ装置601は、目標物検出のためのレーザビーム603を出射できるように構成され、レーザビーム603はビームスプリッタ608(又は結合器と呼ばれる)に入射される。ビームスプリッタ608は、例えば、一部のレーザビーム603を前記視野走査装置602に反射させる半透過半反射フィルムである。視野走査装置602は回転軸ooの周りで回転可能であり、例えば
図9の紙面内で回転して、そこに入射されたレーザビーム603を、目標物604を検出するために様々な方向に沿ってレーザレーダの外部に反射させる。レーザビーム603は目標物604上で乱反射し、一部のエコー605が前記視野走査装置602に返り、視野走査装置602は前記エコー605をビームスプリッタ608に反射させる。ビームスプリッタ608を通過して透過されるエコーは前記受光レンズ606を通って前記検出器アレイ100に集束され、前記検出器アレイ100は前記受光レンズ606の焦平面上にある。
【0065】
前記視野走査装置はガルバノミラー又は揺動ミラーを含む。ガルバノミラーを視野走査装置とした例において、レーザを出射する時点での、受光レンズ606の光軸607と出射光線603の平行、さらには重なりを可能にすることができ、こうして受光視野と出射視野の一致を図れる。
【0066】
しかし、ガルバノミラーは高速回転によって視野走査を実現するため、飛行時間tを経た後、出射されたレーザビーム603によるエコーが再度受光された時、ガルバノミラーは既に一定角度θ(t)回転しており、これにより、受光レンズ606を通る受光光線605と受光レンズの光軸607との夾角は2θ(t)となる(法線が9(t)偏向したため)。
【0067】
こうして、検出ユニット100上のスポットのオフセット量は、
となる。
【0068】
受光レンズの光軸607の焦平面上の交点がスポット原点(x
0,y
0)であると定義し、スポットの焦平面上の座標(x
t,y
t)と飛行時間は下記式を満たす。
【数10】
【0069】
上記の式中、
と
は
の成分であり、
はガルバノミラーの振動速度に関連し、
を知っていれば、上記式からスポット位置を正確に予測し、さらに検出器アレイの有効感光面をリアルタイムに調整することができる。
【0070】
上記の説明では、近軸光路レーザレーダでも、走査視野に基づくレーザレーダでも、両方とも飛行時間に基づいてスポットの検出ユニット上の位置を計算することが可能である。実稼働中、機械の老化変形、接着剤の変形、熱膨張冷収縮等の原因により、スポット原点(x0,y0)がオフセットする可能性があり、これにより、理論的に計算されたスポット位置(xt,yt)と実際のスポットの検出ユニット上の座標(x’,y’)が一致しないことがある。この場合、好ましくは補正を要する。
【0071】
機械変形によるスポット原点のオフセットを解決するためには、実際のスポット位置が検出されるたびに、オフセット量を計算し、理論的に計算されたスポット位置(x
t,y
t)と実際のスポットの検出ユニット上の座標(x’,y’)との差異を取得してもよく、計算式は下記のようになる。
【数11】
【数12】
【0072】
機械変形の進行は緩慢であるため、オフセット量をより正確に測定してシステムのロバスト性を向上させるためには、オフセット量を長時間に渡って測定した上で、統計的により正確な結果(
,
)を得てもよい。例えば、1000回のオフセット量の平均値を取る。
【0073】
正確なスポット原点のオフセット量(
,
)を得た後、後続での飛行時間に基づくスポット位置の計算をより精度よく行うために、元のスポット原点座標(x
0,y
0)を補正後の新しいスポット原点座標(
,
)に置き換える。
【0074】
本発明の好ましい一実施例によれば、出射端のレーザ装置は複数の端面発光型レーザ装置又は垂直共振器面発光型レーザ装置を含んでもよい。前記検出器アレイは、受光レンズの焦平面上にある複数の独立したサブエリアアレイを含んでもよく、各サブエリアアレイはレーザ装置のうちの1つに対応して1つの検出チャネルを構成する。あるいは代替的に、受光レンズの焦平面上に大きな光検出器エリアアレイが配置され、異なる領域は異なるレーザ装置に対応して、1つの検出チャネルを構成する。
【0075】
本発明は、本発明によって提供されるレーザレーダ40を用いてレーザ検出を行う方法700にも関する。
図10に示すように、具体的には、
レーザレーダの外部へ検出ビームを出射するステップS701と、
検出ビームが出射される時点から飛行時間を計算するステップS702と、
飛行時間に基づいて検出ビームが目標物で反射されたエコーの検出器アレイ上のスポット位置を予測するステップS703と、
複数の光検出器のうち前記スポットに対応する一部の光検出器の電気信号を読み取るステップS704と、を含む。
【0076】
ステップS703での飛行時間に基づいてスポット位置を予測する方法は、レーザレーダの構造によって決定され、近軸レーザレーダ、ガルバノスキャナレーザレーダの場合、スポット位置の計算式は上記実施例で示されているため、ここでは詳細な説明を省略する。機械の老化変形、接着剤の変形、熱膨張冷収縮等の原因によるスポット原点のオフセットについての補正方法も上記で示されているため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0077】
図10に示される検出方法は、複数チャネルのレーザレーダにも適用される。前記レーザレーダは複数のレーザ装置を含み、前記検出器アレイは複数の独立したサブエリアアレイを含み、各サブエリアアレイはレーザ装置のうちの1つに対応し、レーザ装置のうちの1つからレーザビームが出射されると、前記レーザ装置に対応する1つのサブエリアアレイ内の光検出器の電気信号を読み取る。
【0078】
本発明は、本発明によって提供されるレーザレーダ40を用いてレーザ検出を行う方法800にも関する。
図11に示すように、具体的には、
前記レーザレーダの外部へ検出ビームを出射するステップS801と、
前記検出ビームが出射される時点から飛行時間を計算するステップS802と、
前記飛行時間に基づいて前記検出ビームが目標物で反射されたエコーの前記検出器アレイ上のスポット位置を予測するステップS803と、
前記複数の光検出器のうち前記スポットに対応する一部の光検出器のみをオン状態に制御してそれらの電気信号を読み取るステップS804と、を含む。
【0079】
ステップS803での飛行時間に基づいてスポット位置を予測する方法は、レーザレーダの構造によって決定され、近軸レーザレーダ、ガルバノスキャナレーザレーダの場合、スポット位置の計算式は上記実施例で示されているため、ここでは詳細な説明を省略する。機械の老化変形、接着剤の変形、熱膨張冷収縮等の原因によるスポット原点のオフセットについての補正方法も上記で示されているため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0080】
ステップS804での複数の光検出器のうち前記スポットに対応する一部の光検出器のみをオン状態に制御する方法は上記実施例で示されているため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0081】
本発明の好ましい実施例は、感光領域が動的に調整可能なレーザレーダの検出ユニットを提供し、異なるレーザレーダ構造での、飛行時間に基づいてスポット位置を計算する方法が示されている。本発明の好ましい実施例は、動的に調整される感光面によってレーザ検出を行う方法をさらに提供する。受光視野を増加することなく、受光光を全て検出できて、周囲光の干渉が抑制されるとともに、光学機械構造の機械変形による光路歪みから生じる焦平面におけるスポット位置オフセットという問題が効果的に解決される。
【0082】
最後は以下のことを説明すべきである。以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではない。上記実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、依然として上記各実施例に記載の技術的解決手段を修正し、又はその一部の技術的特徴に等価置換を行うことができる。本発明の精神や原則内で行われるいかなる修正や、等価置換、改善等も、全て本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【国際調査報告】