(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(54)【発明の名称】バクテリオファージを含む、少なくとも1種の脂肪生成細菌種の集団を減少させるための方法、およびバクテリオファージおよびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 35/76 20150101AFI20230426BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230426BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230426BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20230426BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230426BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230426BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
A61K35/76
A61K45/00
A61P31/04
A61P3/04
A61P9/00
A61P35/00
A61P43/00 121
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022545859
(86)(22)【出願日】2021-01-20
(85)【翻訳文提出日】2022-09-02
(86)【国際出願番号】 EP2021051212
(87)【国際公開番号】W WO2021151759
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】102020101859.2
(32)【優先日】2020-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522298392
【氏名又は名称】オクサナ カルプ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】オクサナ カルプ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA36
4C084ZA70
4C084ZB26
4C084ZB35
4C084ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087MA02
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA36
4C087ZA70
4C087ZB26
4C087ZB35
4C087ZC75
(57)【要約】
本発明は、少なくとも一つの脂肪生成細胞種の集団を減少させる方法に関し、該方法は以下のステップを含む:a)少なくとも1つの脂肪生成細菌種を含む生体試料を提供するステップ;及びb)少なくとも1つの脂肪生成細菌種に特異的であり、プロモーター及び/又は調節エレメントに機能的に結合した少なくとも1つの核酸を含む少なくとも1つのバクテリオファージ種を提供するステップ;及びc)生体試料をバクテリオファージに曝露して、それをバクテリオファージと共にインキュベートするステップであって、脂肪生成細菌種の集団が少なくとも70%減少するまで行われるインキュベーション;並びに、バクテリオファージ及びそれらの使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの脂肪生成細菌種の集団を減少させるための方法であって、以下のステップ:
a)少なくとも1つの脂肪生成細菌種の細菌を含む生体試料を提供するステップ;及び
b)少なくとも1つの脂肪生成細菌種に特異的であり、プロモーター及び/又は調節エレメントに機能的に結合した少なくとも1つの核酸を含む少なくとも1つのバクテリオファージ種のバクテリオファージを提供するステップであって、前記核酸が、以下の群:
i)少なくとも1つの抗菌性核酸分子をコードする核酸配列;及び
ii)核酸分子をコードする核酸配列であって、少なくともその50%が、iにおける核酸配列によってコードされる核酸分子と同一である前記核酸配列;及び
iii)少なくとも一つの抗菌性ポリペプチドをコードする核酸配列;及び
iv)ポリペプチドをコードする核酸配列であって、少なくともその50%が、iiiにおける核酸配列によってコードされるポリペプチドと同一である前記核酸配列;及び
v)i、ii、iii、ivからの核酸の断片、核酸分子またはポリペプチドをコードする断片についての核酸配列
から選択される、前記ステップ;及び
c)生体試料をバクテリオファージに曝露して、それをバクテリオファージと共にインキュベートするステップであって、インキュベーションが脂肪生成細菌種の集団が少なくとも70%減少するまで行われる前記ステップ
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記ステップc)に続いて、脂肪生成細菌種の集団の減少が評価される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記核酸が、2つ以上のプロモーター及び/又は調節エレメントを有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記核酸が、同一の2つ以上の核酸分子、ポリペプチド及び/又は断片の核酸配列をコードする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記脂肪生成細菌種が、嫌気性及び/又は好気性であり、前記細菌種が、アクチノバクテリア、バクテロイデス、ファーミキューテス又はプロテオバクテリアの株に起因し得る、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
a)少なくとも1つの脂肪生成細菌種に特異的であり、プロモーター及び/又は調節エレメントに機能的に結合した少なくとも1つの核酸を含む、少なくとも1つのバクテリオファージ種のバクテリオファージを含む容器;及び
b)前記方法を実施するための指示書:
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法を実施するためのキット。
【請求項7】
プロモーター及び/又は調節エレメントに機能的に結合した少なくとも1つの核酸を含むバクテリオファージであって、少なくとも1つの脂肪生成細菌群に特異的であり、前記核酸が以下の群:
a)少なくとも1つの抗菌性核酸分子をコードする核酸配列;及び
b)核酸分子をコードする核酸配列であって、少なくともその50%が、a)における核酸配列によってコードされる核酸分子と同一である前記核酸配列;及び
c)少なくとも一つの抗菌性ポリペプチドをコードする核酸配列;及び
d)ポリペプチドをコードする核酸配列であって、少なくともその50%が、c)における核酸配列によってコードされるポリペプチドと同一である前記核酸配列;及び
e)a)、b)、c)、d)、又はe)からの核酸の断片、核酸分子またはポリペプチドをコードする断片についての核酸配列
の中から選択される、前記バクテリオファージ。
【請求項8】
前記核酸が、2つ以上のプロモーター及び/又は調節エレメントを有する、請求項7に記載のバクテリオファージ。
【請求項9】
前記核酸が、同一の2つ以上の核酸分子、ポリペプチド及び/又は断片の核酸配列をコードする、請求項7又は8に記載のバクテリオファージ。
【請求項10】
前記脂肪生成細菌種が、嫌気性及び/又は好気性であり、前記細菌種が、アクチノバクテリア、バクテロイデス、ファーミキューテス又はプロテオバクテリアの株に起因し得る、請求項7~9のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項11】
請求項7~10のいずれか一項に記載のバクテリオファージ及び/又は、請求項7~10のいずれか一項に記載のバクテリオファージと、腸内細菌叢を変化させるための薬剤、体重減少を達成及び/又は維持するための薬剤、体重増加を予防するための薬剤及び/又は過体重、肥満、代謝性ジゾルダー、心血管疾患、細菌感染、代謝性不快感、メタボリックシンドローム及び/又は癌を治療するための薬剤において使用するための少なくとも1つの他の成分を含む医薬組成物。
【請求項12】
請求項7~10のいずれか一項に記載のバクテリオファージ及び/又は、請求項7~10のいずれか一項に記載のバクテリオファージと、過体重、肥満、代謝性ジゾルダー、心血管疾患、細菌感染、代謝性不快感、メタボリックシンドローム及び/又は癌を治療するための薬剤において使用するための少なくとも1つの他の成分を含む医薬組成物。
【請求項13】
請求項7~10のいずれか一項に記載のバクテリオファージ及び/又は、請求項7~10のいずれか一項に記載のバクテリオファージと、腸内細菌叢の組成を変更するための治療方法または非治療方法、体重減少を達成及び/又は維持するための治療方法及び/又は非治療方法、体重増加を予防するための治療方法又は非治療方法及び/又は過体重、肥満、代謝性ジゾルダー、心血管疾患、細菌感染、代謝性不快感、メタボリックシンドローム及び/又は癌を治療するための治療方法及び/又は非治療方法において使用するための少なくとも1つの他の成分を含む医薬組成物。
【請求項14】
前記細菌感染が、気道、歯、口、顎、眼、筋骨格系、血液、胃腸管、皮膚、心血管系、ホルモンバランス、精神、免疫系、神経系、代謝、創傷及び/又は泌尿生殖路の細菌感染である、請求項11~13のいずれか一項に記載のバクテリオファージ及び/又は医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの脂肪生成細菌種の集団を減少させるための方法、ならびに独立請求項の前文に記載のバクテリオファージ及びそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
細菌とその宿主、すなわちヒト及び/又は動物との間の相互作用が、正の効果及び負の効果の両方を有し得るという事実はよく知られている。一方、細菌は人間や動物にとって共生者(symbionts)または共生者(commensals)であり得、それゆえ、それらを傷つけることなく機能する又はそれらと共に共存することができる。一方、病理学的生物又は寄生虫としてヒトまたは動物を攻撃し、損傷し得る多くの細菌種が知られており、一連の疾患および関連する後遺症(過体重または過度の体重増加の出現など)を引き起こす及び/又はもたらすことが疑われている。この種類の損傷は、生物の死をもたらし得る。
【0003】
細菌のコロニー形成や細菌感染と戦うために、多くの化学物質が抗生物質として確立されるようになり、現在、ヒトおよび動物に対する従来の治療法と考えられている。
【0004】
これらの種類の物質は、多くの細菌種に見られる細菌の分子構造またはむしろ分子を標的とするため、広範囲の活性によって特徴付けられる。これにより、抗生物質によって広い範囲の細菌を減少又は除去することが可能になる。この効果の欠点は、前述の共生または共生(commensal or symbiotic)細菌もまた、抗生物質のヒト、動物及び/又は環境への二次的損傷をもたらし得る使用によって殺されることである。例えば、共生及び/又は共生細菌への損傷の結果として、マイクロバイオームのバランスが、病原性微生物(例えば、細菌及び/又は酵母)に有利にシフトし得、例えば、数ヶ月間持続する状態をもたらし得る効果が、深刻な結果につながることが珍しくない。
【0005】
また、抗生物質として用いられる化学物質と生理学的代謝過程との間に許容される相互作用は周知の事実である。この場合、例えば、特定の抗生物質は、農業において利用される同化作用を有することが知られている。しかしながら、農業で使用される抗生物質が食物連鎖を介してヒト及び/又は動物に摂取されて、成長促進及び/又はホルモン発達などの肥育効果をもたらし得ることは不利であると考えられている。抗生物質として使用される化学物質の他の形態の不適合性もまた記載されている。これらには、とりわけ、これらの化学物質に対するアレルギーの出現、及びアレルギーショック及び/又は様々な(食物)不耐性の発症の点で、それに起因して生じるアレルギー反応の影響が含まれる。さらに、抗生物質による治療が失敗した場合、同じ薬効成分による反復治療は不可能であり、治療は一般に、より広いスペクトルの活性を有する異なる抗生物質活性成分群に切り替えられることを意味し、その結果、多耐性細菌の出現を含む微生物叢のさらに深刻な不均衡につながる。実際、特定の待機期間を、2つの抗生物質治療の間に順番に維持しなければならないが、病理学的細菌の拡散につながる可能性がある。この場合、治療が成功したと推定された後に抗生物質の使用を早期に終了させる場合と同様に、死滅することなく化学物質に曝露された細菌は、耐性機構および抗生物質に対する耐性として知られているものを発達させ得る。耐性が生じる場合、この特定の細菌は、対応する化学物質による抗生物質治療に対して免疫を有するようになる。この場合、治療(treatment)又は治療(therapy)は、もはや成功であるといえない。これは、抗生物質またはその分解物の残留量が実際に飲料水及び/又は環境を汚染し、その結果、環境中の細菌がこの物質にさらされたときにも起こり得る。特に、抗生物質として使用される化学物質が細菌によって形成されたバイオフィルムに浸透することはより困難であり、バイオフィルムは、いくつかの既知の抗生物質が浸透できない特に糖の極性表面によって特徴付けられる。
【0006】
過体重、脂肪症及び/又は過度の体重増加は、現在までに世界的な流行として言及され得、特に身体的および精神的幸福に関して問題視されている。これらの精神的及び/又は肉体的苦痛は、過体重、脂肪症及び/又は過度の体重増加に起因する医学的結果として生じるだけでなく、代謝、心血管系、ホルモンバランス、筋骨格系または他の器官系の障害などのリスクの増加のために促進され得る。これらには、障害または病状、例えば動脈硬化、糖尿病、脊椎、股関節および膝におけるものを非限定的に含む関節痛、消化不良お及び癌、例えば乳癌、腸癌及び膵臓癌が含まれる。しかしながら、過体重及び/又は脂肪症の場合の体重減少、または最適な体重の安定化は、現代の生活様式及び/又は家族の傾向により、過体重、脂肪症及び/又は過度の体重増加に苦しむ人々にとって体重減少が困難になるため、罹患した人の多くにとって大きな困難を伴う場合のみに可能である。しかしながら、特に過体重、脂肪症及び/又は過度の体重増加が多くの疾患の治療における合併症を引き起こしたり、治療の成功を遅らせたり妨げたりする可能性があるため、過体重の人や重度の体重増加に苦しんでいる人にとっては、この体重減少が不可欠である。さらに、過体重の人の組織及び/又は器官の過度の肥育は、器官の機能を破壊したり、臓器不全を引き起こしたりすることさえある。過体重が一般的に少なくとも出現に寄与する、又はこれらの疾患の治療中に合併症を引き起こすさらなる疾患は、腫瘍学、免疫学、胃腸学、内分泌学、精神医学、心身医学、整形外科、小児科、外科、泌尿器科などの医療分野に影響を与える。
【0007】
過体重は、例えば、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、胆嚢疾患、慢性腸炎、高塩素性乾燥症、高血圧、脂肪代謝障害、呼吸困難、睡眠時無呼吸、冠状動脈性心疾患、関節症、痛風、癌、例えば子宮癌、乳癌、子宮頸癌、腸癌、前立腺癌および膵臓癌、性ホルモン障害、性ホルモン障害、性欲減退、関節痛および腰痛、血栓症および塞栓症のリスクの増加、手術および麻薬中のリスクの増加、自尊心の低下および/または環境によってあまり評価されないという認識によって引き起こされるうつ病などから生じる、心理社会的問題およびその結果生じる生活の質の制限などの病状を引き起こすか、またはそれらの治療をより困難にする可能性がある。
【0008】
過体重の出現は、腸内細菌叢内の細菌にも起因し得る。腸内細菌叢内の各細菌の集団の減少は、過体重または過剰な体重増加が起こるのを防止または少なくとも制限することが考えられる。ここでの欠点は、従来の抗生物質治療は、過体重を助長する標的細菌を排除するだけでなく、宿主生物、すなわちヒト及び/又は動物に正の影響を与える共生細菌を排除し、その消化プロセスに利益をもたらすことである。これはまた、耐性を高めることができる抗生物質の循環をさらに増加させることを意味する。他の点において、抗生物質を使用して体重を減らすことは、抗生物質を長期間(例えば、数ヶ月間)服用しなければならず、これは共生細菌叢への過度の損傷および抗生物質に関連する副作用の長期発生を意味するため、一般に推奨されない。抗生物質のみからなる治療は、過体重または過剰な体重増加の治療(treatment)及び/又は治療(therapy)に有利ではない。
【発明の概要】
【0009】
抗生物質として使用される化学物質による従来の治療の記載された欠点の結果として、および細菌の集団に対する一般的な従来の戦い、特に過体重、脂肪症及び/又は過剰な体重増加の治療(treatment)又は治療(therapy)のために、少なくとも1つの脂肪生成細菌種を、副作用の少ない、単純で、効果的で、互換性があり、医学的に安全で、安価で、標的を絞った及び特定の方法で調節、戦闘及び/又は排除することに対する大規模かつ継続的に増加する需要がある。同時に、治療が長期的に成功することが不可欠である。したがって、本発明の目的は、上記の最先端の技術の欠点を防止するために、高い有効性、特異性、適合性および/または信頼性によって、および少数の欠陥を有する単純で時間効率よくかつコスト効率の高い使用によって特徴付けられる、少なくとも1つの脂肪生成細菌種の集団を減少させるためのバクテリオファージ及び方法を提供することである。
【0010】
この目的は、独立請求項の教示に記載の方法及びバクテリオファージによって驚くほど単純で効果的な方法により達成される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によれば、少なくとも1つの脂肪生成細菌種の集団を減少させるための方法が提案され、これは以下のステップ:
a)少なくとも1つの脂肪生成細菌種の細菌を含む生体試料を提供するステップ;及び
b)少なくとも1つの脂肪生成細菌種に特異的であり、プロモーター及び/又は調節エレメントに機能的に結合した少なくとも1つの核酸を含む少なくとも1つのバクテリオファージ種のバクテリオファージを提供するステップであって、前記核酸が、以下の群:
i)少なくとも1つの抗菌性核酸分子をコードする核酸配列;及び
ii)核酸分子をコードする核酸配列であって、少なくともその50%が、iにおける核酸配列によってコードされる核酸分子と同一である前記核酸配列;及び
iii)少なくとも一つの抗菌性ポリペプチドをコードする核酸配列;及び
iv)ポリペプチドをコードする核酸配列であって、少なくともその50%が、iiiにおける核酸配列によってコードされるポリペプチドと同一である前記核酸配列;及び
v)i、ii、iii、ivからの核酸の断片、核酸分子またはポリペプチドをコードする断片についての核酸配列
から選択される、前記ステップ;及び
c)生体試料をバクテリオファージに曝露して、それをバクテリオファージと共にインキュベートするステップであって、インキュベーションが脂肪生成細菌種の集団が少なくとも70%減少するまで行われる前記ステップ
を含む。
【0012】
本発明に記載の方法は、少なくとも1つの脂肪生成細菌種に特異的なバクテリオファージを使用することによって、この少なくとも1つの脂肪生成細菌種の集団を確実に、迅速に、容易に、特異的かつ持続的に減少させることができるという基本的な考えに基づいている。そうすることで、酵母、細菌、ウイルスなどの他の生物、及び/又は多細胞組織並びに/もしくは生物の細胞が、同時宿主依存性のために影響を受けず、損傷、障害及び/又は破壊が生じないことが有利に証明された。バクテリオファージの宿主依存性のために、本発明に記載の方法は、任意の耐性を生じることなく、いつでも繰り返すことができる。当業者で周知のように、それぞれの脂肪生成細菌種が生体試料内にもはや存在しないときに、バクテリオファージが特異的でない生体試料内の異なる細菌種の減少がない場合、相互宿主依存性が存在する。これはまた、宿主生物の器官及び/又は組織、すなわちヒト及び/又は動物の組織にも関係する。
【0013】
本発明の範囲内で、少なくとも1つの細菌種の集団を減少させるために、少なくとも1つの脂肪生成細菌種の細菌を含む生体試料を提供し、この細菌種を、少なくとも1つの脂肪生成細菌種に特異的である少なくとも1つのバクテリオファージ種の与えられたバクテリオファージと共にインキュベートするだけで十分であるという発見がなされた。
【0014】
「集団」という用語は、当業者に周知であり、一般に、特定の領域及び/又は特定の環境の領域に存在する同じ種のすべての個体全体に関する。本発明の範囲内で、集団は、少なくとも1つの脂肪生成細菌種の細菌全体に関する。「細菌(bacterium)」および「細菌(bacteria)」という用語は、交換可能な同義語として当業者に周知であり、1つ以上の細菌種の代表を指す。
【0015】
「脂肪生成細菌種」という用語は、当業者に周知であって、それらの生態のためにヒト及び/又は動物に直接的または間接的に影響を及ぼす、例えば、それらの分子代謝及び/又は他の細菌種、酵母及び/又は細胞との相互作用を介して、脂肪組織、好ましくは白色脂肪組織が貯蔵される及び/又は減少量が減少する構造によって、肥満、脂肪、過体重および/または体重増加が、開始、支持、および/または増加する、少なくとも1つの細菌種、好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上の細菌種に関する。当業者は、生物に対する直接的または間接的な影響を周知である。それらは、例えば、生物の組織を破壊することによって生物に直接影響を及ぼし得、または、生物における代謝プロセスまたは他のプロセスに間接的に影響を及ぼし得、それにより、とりわけ、体重増加及び/又は過体重の非減少を開始及び/又は支持し得る。さらに、当業者はまた、本文脈における「脂肪生成」はまた、対応する細菌種自体が脂肪生成効果を直接引き起こさないこともあるが、しかしながら、抗脂肪生成細菌種の増殖、生態及び/又は生存に対抗し得、このようにして生物に脂肪生成効果を有することを意味することも理解する。本発明の範囲において、脂肪生成細菌種が、胃及び/又は腸内などのヒト及び/又は動物の胃腸管内に存在し得ることが考えられる。
【0016】
脂肪生成細菌種は、制限されないが、アシネトバクター、アクチノバクテリア、放線菌、バチルス、バクテリドーズ、バルトネラ、ボルデテラ、ボレリイ、ブルセラ、シトロバクター、カンピロバクター、クラミジア、クロストリジア、コリネバクター、デスルホビブリオ、エールリキア、エンテロバクター、エンテロバクター科、エンテロコッカス、エリシペロトリキア、エシェリヒア、フェカリバクテリウム、ファーミキューテス、フランシセラ、ヘリコバクター、ヘモフィリ、クレブシエラ、ラクトバチルス、レジオネラ、レプトスピラ、リステリア、メタノブレビバクター、モラクセラ、マイコバクテリウム、マイコプラズマ、ナイセリイ、ノカルジア、オシロバクター、パエルギノサ、プレボテラ科、プロピオニバクテリウム、プロテウス、シュードモナス、リケッチア、ルミノコッチ、サルモネラ属菌、赤痢菌、スピリリウム、スピロケテス、ブドウ球菌、ステノトロフォモナス、ストレプトコッカス、トレポネマ、ビブリオ、イェルセニア、ビフィドバクテリウム、ブラウティア、ブレイディア、コプロコッカス、ダイアリスター、ユーバクテリウム、ラクノスピラ科、オリバクテリウム、ローズブリア、クリステンセネラ科、エルウィニア、フラボニフラクター、オシロスピラ、ファスコラクトバクテリウム、プレボテラ、スクシニビブリオ、ルミノコッカスおよび/またはベイロネラから選択される。
【0017】
さらに、脂肪生成細菌種は、制限されないが、アシネトバクター・バウマンニ、セレウス菌、炭疽菌、枯草菌、バクテリオデス・テタイオタオミクロン、バルテリオデス・バルガトゥス、バルトネラ・ヘンセラエ、ボルデテラ・パータシス、ボレリア・リカレンティス、ボレリア・エルムシイ、ボレリア・ツリカチュエ、ボレリア・ブルグドルフェリ、カンピロバクター・ジェジュニ、シトロバクター・フルエンディ、クラミジア・プシッタチ、クラミジア・トラコマティス、クラミジア・ニューモニエ、クロストリジウム・ボツリヌム、クロストリジウム・ディフィクル、クロストリジウム・テタニ、クロストリジウム・ペルフリンジュ、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・ノビイ, クロストリジウム・セプチカム、クロストリジウム・レプタム、コリネバクテリア・ジプテリ・エー、デスルホビブリオ・ピガー、エールリキア・チャッフェンシス、エンテロコッカス・フェカリス、エッシェ・リヒア・コリ(例えばEHEC、EIEC、ETEC)、フェカリバクテリウム・プラウスニッツィイ、フランシセラ・トゥラレンシス、ヘリコバクター・ピロリ、インフルエンザ菌、ヘモフィルス・パラインフルエンザ、ヘモフィラス・アエジプタス、肺炎桿クレブシエラ、ラクトバ・チルス・ロイテリ、レジオネラ・ニューモフィラ、レプトスピレックス血盛、レプトスピラ・イクテロ出血症、リステリア・モノサイト遺伝子、メタノブレビバクター・スミジイ、モラクセラ・カタラリス、結核菌、マイコバクテリウム・レプラエ、マイコバクテリウム・アジアティカム、マイコバクテリウム・イントラセルラー、マイコバクテリウム・アビウム・イントラセルラー、ミオバクテリウム・ジョンネイ、マイコバクテリウム・アビウム、マイコバクテリウム・スメグマティス、マイコプラズマ・ニューモニエ、マイコプラズマ・ホミニス、ナイセリア・メニンギティディス、ナイセリア・ゴノール・レア、リケッチア・プロウォゼキイ、リケッチア・リケッチイ、リケッチア・アカリ、プロピオニバクテリウム・アクネス、緑膿菌、プセウ・ドモナス・シリンガエ、サルモネラ・チフス、サルモネラ・チフス、サルモネラ・パラチフス、サルモネラ・ショットミュレリ、サルモネラ・ヒルスケリイ、赤痢菌、スピリラムマイナス、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、ステノトロフォモナス・マルトフィリア、ストロプトバチルス・モニリフォルミス、肺炎連鎖球菌、ミュータンス菌、ストレプトコッカス・オラリス、ストレプトコッカス・パラサンギス、ストレプトコッカス・ピオゲネス、ストレプトコッカス・ビリダン、ストレプトコッカス・セリカラー、ストレプトコッカス・アガラクティエ、ストレプトコッカス・ウシ、梅毒トレポネマ、トレポネーマ・ペルタイヌエ、トレポネーマ・カラテウム、コレラ・ビブリオ、腸炎ビブリオ、エルセニア・ペスティス、エルシニア・エンテロコリチカ、バクテロイデス・フラギリス、ブラウティア・ヒドロゲノトロフィカ、コプロコッカス・カトゥス、ユーバクテリウム・ベントリオサム、バクテロイデス・フェシチンチラエ、ビフィドバクテリウム・アニマルリス、ブラウティア・ウェクスレラエ、クロストリジウム・ボルテアエ、フラボニフラクター・プラウティ、ラクトバチルス・ガセリ、ルミノ・コッカス・ブロミイおよび/またはルミノコッカス・オベウムから選択される。この場合、それぞれの細菌種がヒトおよび/または動物に対して既知および/または疑いのある脂肪生成作用を有すると推測される。
【0018】
本発明に記載の方法の第1ステップでは、少なくとも1つの脂肪生成細菌種の細菌を含む生体試料を提供する必要がある。「生体試料」という用語は、ヒト及び/又は動物の材料並びに/もしくはヒト及び/又は動物に少なくとも短期間曝露された材料に関する。この文脈において、生体試料が少なくとも1つの脂肪生成細菌種、好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上の細菌種の細菌を含むことが不可欠であることが発見されている。この種のサンプルは、とりわけ、唾液、尿、血液、糞便、汗、細胞組織、臓器穿刺、器官、器官の一部、生物全体(死/壊死を含む)、土壌サンプル、水サンプルまたは類似のサンプルの細胞または核含有(DNA及び/又はRNA含有)サンプルなど、当業者に周知である。
【0019】
本発明に記載の方法の次のステップでは、少なくとも1つの脂肪生成細菌種に特異的である少なくとも1つのバクテリオファージ種のバクテリオファージを提供する必要がある。「バクテリオファージ」または「バクテリオファージ種」という用語は、当業者によって理解され、細胞の外側に広がり、細胞内で増殖し得る感染性有機構造に関する。細胞は宿主として機能し、バクテリオファージの場合には、本質的に細菌であり、顕著な宿主特異性を有する、すなわち、少なくとも1つの細菌種に特異的であり、それらが拡散および増殖するのに特異的である細菌のみを使用する。
【0020】
本発明に記載の方法に使用されるバクテリオファージは、プロモーター及び/又は調節エレメントと機能的に結合した少なくとも1つの核酸を含むか、または核酸と組み合わせたプロモーター及び/又は調節エレメントを有することが重要であり、前記核酸は、抗菌性核酸分子、細菌ポリペプチド及び/又はそれらの断片のいずれかをコードする。好ましくは、バクテリオファージは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上のプロモーターおよび/または調節エレメントを有する核酸を含む。プロモーターまたは調節配列をコードする核酸配列は、当業者に十分に周知である。
【0021】
当業者は、用語「核酸」、「遺伝子」、「DNA」、「RNA」、「mRNA」、「cRNA」、「miRNA」および化合物「核酸配列」および「核酸分子」が、一本鎖または二本鎖のいずれかのデオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチド並びにそれらのポリマーを記載するために互いに交換可能な同義語として使用されることを周知である。
【0022】
「プロモーター」および「調節配列」および/または「調節エレメント」という用語もまた、当業者に精通しており、発現、すなわちmRNAへの遺伝子の転写を可能にする及び/又は増加させるDNAの核酸配列に関する。この場合、増強エレメント、すなわち、成長因子、ホルモン、癌遺伝子及び/又は同様のものの結合位置は、調節エレメントであり得る。
【0023】
当業者はさらに、アミノ酸残基のポリマーを指すために、互いに交換可能な同義語として使用されている「ポリペプチド」、「ペプチド」、「アミノ酸」、および「タンパク質」という用語に精通している。天然に存在するアミノ酸は、遺伝情報によってコードされるもの、ならびに後に修飾され得るそれらのアミノ酸である。ポリペプチドは、残留物質として、輸送及び/又はシグナル分子として、構造分子として、保護及び/又は防御分子として、及び/又は代謝的に活性な分子として存在し得、細胞及び/又は生物の内部及び/又は外部で異なる機能を実施することができる。ポリペプチドは、例えば、抗菌作用を有し得、その特性または機能に起因する細菌の生態を妨害する。
【0024】
本発明に記載の方法の範囲内で、少なくとも1つの抗菌性核酸分子、少なくとも1つの抗菌性ポリペプチド、及び/又はその少なくとも1つの断片が提供される;好ましくは、バクテリオファージは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上の抗菌性核酸分子、抗菌ポリペプチド及び/又はそれらの断片をコードし得る。抗菌性核酸分子は、RNA種の領域から誘導され得、例えば、機能的なmRNAまたはmiRNAであり得る。ポリペプチドは、単純な直鎖状ポリペプチドとして存在し得、または折り畳まれた構造タンパク質でもあり得る。他の許容されるタンパク質はまた、毒素として作用する分子、増殖阻害物質および細胞分裂を阻害するための酵素または分子であり得る。許容される核酸分子、例えばRNA分子は、例えば、代謝プロセスを阻害し、細胞分裂を阻害し、または細菌内の生物学的プロセスの機能不全を促進するものである。
【0025】
本発明に記載の方法の範囲内で、核酸分子、ポリペプチド及び/又はそれらの断片をコードする核酸配列が考慮され、その少なくとも50%が上述の抗菌核酸配列または抗菌ポリペプチドと同一である。好ましくは、核酸配列はまた、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%が上述の抗菌性核酸配列または抗菌性ポリペプチドと同一であると考慮される。この文脈において、核酸配列は、例えば、バクテリオファージに既に存在する、または分子生物学的方法を介してそれぞれのバクテリオファージに導入された天然に存在する核酸配列または非天然に存在する核酸配列である。例えば、これらの分子生物学的方法は、インビボおよび/またはインビトロ組換え、遺伝子導入、CRISPR/Cas、TALENなどを指してもよい。
【0026】
上記バクテリオファージは、カウドビラレス、リガメンビラリス等の階級に属し得る。好ましくは、バクテリオファージは、アッカーマンウイルス科、アンプラビリダ科、ビカウダビリダ科、クラバウイルス科、コルチコウイルス科、フセロウイルス科、グロブロウイルス科、グッタウイルス科、リポトリクスウイルス科、ミオウイルス科、プラズマウイルス科、ポドウイルス科、ポルトグロボウイルス科、ルジウイルス科、サルタプロウイルス科、スフェロリポウイルス科、シフォウイルス科、テクチウイルス科、トリストマウイルス科、トゥリウイルス科、イノウイルス科、ミクロウイルス科、スピラビリダ科、プレオリポウイルス科、シストウイルス科またはレビウイルス科のファミリーに属する。本発明の範囲内で、少なくとも1種、好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上のバクテリオファージ種のバクテリオファージが提供されることが考えられる。さらに、バクテリオファージ種のバクテリオファージは少なくとも1種、好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上の脂肪生成細菌種に特異的であることが考えられる。対応する細菌種のための適切なバクテリオファージの標的選択は、当業者に周知であり、例えばデータバンクから容易に選択することができる。
【0027】
本発明に記載の方法の次のステップでは、生体試料をバクテリオファージに曝露し、それらを共にインキュベートする必要がある。生体試料及びバクテリオファージは、滴下、注射、互いの上に配置すること、及び/又は当業者に周知の異なる方法を介して、互いに曝露することができる。
【0028】
本発明に記載の方法に関連する「インキュベート」という用語は、生体試料が特定の期間にわたってバクテリオファージと共にインキュベートされる方法ステップに関する;好ましくは当業者に周知である対応する状況下で、バクテリオファージに特異的な、少なくとも1つの細菌種の細菌を含む生体試料内のバクテリオファージの再生サイクルが結果である。生体試料をバクテリオファージと共にインキュベートすることに加えて、この方法ステップは、少なくとも1つの細菌種の集団が少なくとも70%減少するまで、生体試料をバクテリオファージと共にモニタリングするステップもまた含む。モニタリングの実施は、当業者に十分に周知であり、例えば、所定の期間のために、又は当業者の経験に基づいて、例えば試料を観察することによって行うことができる。あるいは、細菌種の集団が少なくとも70%減少したときに信号を送る、着色された又はその他の視覚的に知覚可能な指標が意図され得る。これは、例えば、所望の細菌密度が達成されたとき、または着色、着色の色変化または色損失などによって、化学的及び/又は生化学的指標によって起こり得る。インキュベーションおよびモニタリングステップは、細菌種が少なくとも70%減少するまで相互に行うことができる。これは、例えば、所望の細菌密度が達成された場合、または着色、着色の色の変化又は色の損失などによる、化学的および/または生化学的指標によって起こり得る。インキュベート及びモニタリングステップは、細菌種が少なくとも70%減少するまで、相互に行ってもよい。
【0029】
本発明の範囲内で、細菌種の集団が少なくとも70%減少した場合に有利であることが証明されている。好ましくは、集団は、70%以上、例えば少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも95.5%、少なくとも96%、少なくとも96.5%、少なくとも97%、少なくとも97.5%、少なくとも98%、少なくとも98.5%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%または100%減少し得る;細菌種の集団の少なくとも70%の減少は相当なものとみなされ、細菌種の集団の95%の減少は有意なものであるとみなされる。当業者は、適切な生体試料中の適切なバクテリオファージの使用がこの結果をもたらし得るとしても、100%の減少は稀であることを周知である。
【0030】
細菌種の集団を70%~100%減少させることで、当業者は、十分な抗菌効果、及び生体試料中の脂肪生成細菌種の十分な減少を説明する方法が成功することをさらに認識し得る。細菌種の集団の減少は、それぞれのバクテリオファージの使用に基づく体重減少治療の有効性又は成功のための測定基準として使用され得る。あるいは、細菌種の減少は、抗脂肪生成細菌種の生命または生態に対抗するものが標的化されてもよい。その結果、抗脂肪生成細菌種は、抗脂肪生成細菌種がバクテリオファージに特異的であるにもかかわらず、抗脂肪生成細菌種に対抗する細菌種が減少している間、持続または増殖し続けることができる。この文脈において、抗脂肪生成細菌種の集団の成長の結果は、脂肪生成細菌種の集団の減少と同じ効果を生物に及ぼす可能性があると推測される。
【0031】
本発明に記載の方法によって、少なくとも1つの脂肪生成細菌種の集団を、バクテリオファージが特異性を有しない同じ生体試料内の細菌または他の細胞、組織及び/又は器官に損傷及び/又は影響を与えることなく、生体試料内で、生物学的試料内で、特異的に、効果的に、相互互換的に、医学的に安全に、恒久的及び持続的、並びにほとんど副作用なく減少させることができる。このようにして、抗生物質の使用とは対照的に、ヒト及び/又は動物における酵母、組織及び/又は器官などの他の細菌種への損傷は完全に回避される。本発明に記載の方法は、少数の方法ステップが標準的な方法で実施することができ、高い成功率が細菌種の相当の(70%以上の)減少又は有意な(95%以上の)減少によって達成されるため、確実かつ費用対効果の高い実施だけでなく、迅速かつ容易に実施することができる。この方法はさらに、単純な手段を用いて実施することができ、生体試料及びバクテリオファージを提供し、これを曝露およびインキュベートするための、及び集団内のそれぞれの細菌種の減少を評価するための、当業者に馴染みのある装置のみを必要とする。
【0032】
本発明の有利なさらなる実施形態は、個々にまたは組み合わせて実現することができ、従属請求項に表されている。
【0033】
本発明のさらなる実施形態により、ステップc)に続いて、脂肪生成細菌種の集団の減少が評価されるステップが考えられる。「評価する」という用語は、当業者には明瞭であり、ステップc)の分析、評価及び/又は診断に関連する。少なくとも70%の細菌種の集団の減少がモニターされているため、この方法ステップは、特に、達成された減少を検証するために、並びに書面によるメモ、写真及びビデオ記録を準備することによって結果を記録すること、列挙、密度測定、成長決定又は類似の方法に関するデータの取得および文書化のために役立ち、本発明による方法の反復実施に関する統計を作成するために使用され得る。このステップでは、生体試料中に残存し、バクテリオファージによって死滅しなかった、または死滅が十分でなかった細菌の活力及び/又は生存率が確立され得る。この文脈において、それぞれのバクテリオファージが特異的である細菌の活力の評価が可能である。この目的のための一般的な方法もまた、当業者に周知である。
【0034】
さらに、核酸は、ステップb)において2つ以上のプロモーター及び/又は調節エレメントを有することがさらに考えられ、好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上のプロモーター及び/又は調節エレメントが存在する。この文脈において、核酸の発現の特に強い活性化、及び抗菌性核酸、抗菌性核酸分子、抗菌性ポリペプチド及び/又はそれらの断片の増加及び効率的な産生を達成することが重要である。このような核酸を有するバクテリオファージは、細菌種の集団の減少に特に効率的に寄与し得、例えば、本発明に記載の方法のステップc)(インキュベーション)を相当に加速及び/又は相当に短縮し得る。
【0035】
さらに別のさらなる実施形態において、前記核酸および核酸配列が、2つ以上の核酸分子、ポリペプチド及び/又はそれらの断片をコードすることが考えられ、前記核酸は、好ましくは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上の核酸分子、ポリペプチドおよび/またはそれらの断片をコードする。これらの核酸分子、ポリペプチド及び/又はそれらの断片は、1つ以上の細菌種に対して抗菌効果を有し得る;このような核酸を有するバクテリオファージは、いくつかの細菌種に感染し得ることが好ましい。さらに、それは核酸配列が1つの細菌種を殺すことに特異的であることを意図し得る。この目的のために、前記方法は加速され得、生体試料内で細菌種の集団の相当な又は有意な減少を達成し得る。これにより、前記方法の効率が向上すると同時に、前記方法を実施する際の期間及び/又はコストも削減される。
【0036】
本方法の別の実施形態では、脂肪生成細菌種が嫌気性及び/又は好気性であり、細菌種がアクチノバクテリア、バクテロイデス、ファーミキューテス又はプロテオバクテリアの株に起因することが考えられる。
【0037】
「好気性」及び「嫌気性」という用語は、当業者に十分に周知であり、それぞれの生物の好ましい生活様式を記載する。この文脈では、「好気性」生活様式は、生物が空気中の酸素、またはむしろ生存のために空気中の酸素に依存することを意味すると理解される。対照的に、「嫌気性」は、酸素なしで生き残る生活様式を表し、それぞれの生物が酸素なしでその分子代謝を維持し得ることを意味する。「義務的に」、「許容的に」および「通性的に」好気性及び/又は嫌気性生物の間で区別がなされ、当業者は、「義務的」が、それぞれの他の生活様式を排除するように、好気性または嫌気性の生活様式を排他的に記述することを理解する。しかしながら、「許容的」とは、生物が好気的または嫌気的に生きているが、少なくとも一定期間、反対の酸素条件に耐え得ることを意味する。最後に、「通性的」という用語は、嫌気性生物が、例えば、一般に、対応する代謝プロセスを維持するが、酸素を提示されたときに好気性代謝プロセスに切り替えることができ、その逆も同様であることを意味する。したがって、細菌種は、専ら好気性又は嫌気性の生活様式、もしくはそれらの組み合わせを有し得る。
【0038】
上記の用語の定義及び/又は実施形態は、別段の指示がない限り、以下の記述に記載されるすべての態様に適用されると推定される。
【0039】
本発明によれば、本発明に記載の方法を実施するためのキットがさらに提案され、該キットは、
a)少なくとも1つの脂肪生成細菌種に特異的であり、プロモーター及び/又は調節エレメントに機能的に結合した少なくとも1つの核酸を含む、少なくとも1つのバクテリオファージ種のバクテリオファージを含む容器;及び
b)前記方法を実施するための指示書
を備える。
【0040】
本明細書で使用される「キット」という用語は、先述の構成要素の集合体(kit-of-parts)に関連し、これらは好ましくは別々に、または個々の容器内に提供される。
【0041】
「前記方法を実施するための指示書」という用語は、前記方法の目的を単純化された方法で実施することを可能にする説明書の数値、記述及び/又は図式表現に関する。説明書は、好ましくは、ハンドブックの形態で利用可能であるか、またはアプリケーションなどのコンピュータプログラムを介して提供され得る。さらに、コンピュータプログラムは、手元の本発明の方法において参照される識別、比較及び/又はそれらの結果を実施可能である、実装されたアルゴリズムを有することが考えられる。コンピュータプログラムは、データ記憶媒体又は光記憶媒体(例えばコンパクトディスク)などの装置で、もしくはコンピュータ又はデータ処理装置で直接、利用可能にすることができる。加えて、前記指示書は、好ましくは、当業者に周知であるような、使用量に関する基準を備え得る。さらに、前記指示書は、容器及び生体試料の貯蔵および廃棄のための必須条件を含む。さらに、本方法を実施するための指示書は、当業者に周知の脂肪生成、抗脂肪生成及び/又はその他の細菌種並びにバクテリオファージ種に関する表、レジスター、データバンク及び同じものの抜粋を含み得;バクテリオファージ種に関しては、それらの特異性及び/又は効率に関する情報も列挙し得る。
【0042】
本発明によると、プロモーター及び/又は調節エレメントに機能的に結合した少なくとも1つの核酸を含むバクテリオファージがさらに提案され、前記バクテリオファージは少なくとも1つの脂肪生成細菌種に特異的であり、前記核酸は以下の群:
a)少なくとも1つの抗菌性核酸分子をコードする核酸配列;及び
b)核酸分子をコードする核酸配列であって、少なくともその50%が、a)における核酸配列によってコードされる核酸分子と同一である前記核酸配列;及び
c)少なくとも一つの抗菌性ポリペプチドをコードする核酸配列;及び
d)ポリペプチドをコードする核酸配列であって、少なくともその50%が、c)における核酸配列によってコードされるポリペプチドと同一である前記核酸配列;及び
e)a)、b)、c)、又はd)からの核酸の断片、核酸分子またはポリペプチドをコードする断片についての核酸配列
の中から選択される。
【0043】
本発明に記載のバクテリオファージは、上記に詳細に説明されており、前記核酸配列は、すでにバクテリオファージ中に存在している又は分子生物学的方法を介してバクテリオファージに導入されている、天然に存在する核酸配列または非天然に存在する核酸である。例えば、これらの分子生物学的方法は、当業者に周知のように、インビボ及び/又はインビトロ組換え、遺伝子導入、CRISPR/Cas、TALENなどに関連し得る。
【0044】
さらなる実施形態において、核酸が2つ以上のプロモーター及び/又は調節エレメントを有することが考えられる。核酸の発現の特に強い活性化、及び抗菌核酸、抗菌核酸分子、抗菌ポリペプチド及び/又はそれらの断片の、特に増加した及び効率的な産生が達成され得ることが重要である。このような核酸を有するバクテリオファージは、脂肪生成細菌種の集団の減少、または抗脂肪生成細菌種の生態に対抗する細菌種の減少に特に効率的に寄与し得る。
【0045】
さらに、前記核酸が2種以上の核酸分子、ポリペプチド及び/又はそれらの断片の核酸配列をコードすることも考えられる。この場合、バクテリオファージはこのような核酸を用いて数種の細菌種に感染し得ることが好ましい。
【0046】
さらに別の態様において、脂肪生成細菌種は嫌気性及び/又は好気性であり、細菌種は、アクチノバクテリア、バクテロイデス、ファーミキューテス又はプロテオバクテリアの株に起因することが考えられる。
【0047】
さらに本発明によると、バクテリオファージ及び/又はバクテリオファージ並びに少なくとも1つの他の成分を含む医薬組成物が、腸内細菌叢を変化させるための薬剤、体重減少を達成及び/又は維持するための薬剤、体重増加を予防するための薬剤及び/又は過体重、肥満、代謝障害、心血管疾患、細菌性感染症、代謝性疾患、メタボリックシンドローム及び/又は癌を治療するための薬剤において使用するために提案される。
【0048】
本明細書で使用される「医薬組成物」という用語は、上でさらに詳細に記載したバクテリオファージと、少なくとも1つの他の成分との混合物に関する。好ましくは、このような他の成分は、安定化剤、湿潤剤、医薬担体、医薬として許容される担体、希釈剤、医薬として許容される希釈剤、さらなる医薬活性成分、放出剤などであり得る。好ましい希釈剤は、水、アルコール、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水などの緩衝液、シロップ、油、水、乳剤、異なる種類の湿潤剤などである。担体は、組成物の他の成分と適合性があり、かつヒト及び/又は動物に有害ではないという意味で許容されなければならない。使用される医薬担体は、固体、ゲルまたは液体を含有し得る。固体担体の例としては、ラクトース、白土、スクロース、タルカムパウダー、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸等が挙げられる。同様の方法で、担体または希釈剤は、それ自体で、またはワックスと共に、モノステアリン酸グリセロールまたはジステアリン酸グリセロールなどの、当技術分野で周知の時間遅延物質を含有し得る。これらの適切な担体は、上述した担体および当該分野で周知の他の担体、例えば、これらの適切な担体は、上記で言及した担体および当該分野で公知の他の担体、例えば、レミントン薬学、マック出版社、イーストン、ペンシルバニア;欧州薬局方;米国のホメオパシー薬局方;又はホメオパシー薬局方(HAB)において言及された担体を含む。医薬として許容される希釈剤は、組み合わせの生体活性が影響を受けないように選択される。このような希釈剤の例としては、蒸留水、生理食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液およびHANK溶液が挙げられる。また、医薬組成物は、他の担体、添加剤又は非毒性、非治療的、非免疫原性安定剤等を含有し得る。
【0049】
バクテリオファージ及び/又は医薬組成物は、それぞれの特定の用途に適合されるべきである。したがって、バクテリオファージ及び/又は医薬組成物は、意図された投与に応じて全身または局所適用のために製剤化され得ると推測することができる。好ましくは、バクテリオファージ及び/又は医薬組成物は、全身または局所投与のために製剤化されるべきである。好ましくは、例えば錠剤、溶液もしくは飲用アンプルの形態での経口投与、またはゲル形態での局所投与、もしくは注射による投与が意図される。しかしながら、作用の種類および様式に応じて、バクテリオファージ及び/又は医薬組成物は、皮膚、筋肉内、皮下、経口、直腸、逆行性または静脈内投与を含む異なる様式で投与され得る。原則として、正確な、個々に提案された投与量は、その分野の専門家に周知のさらなるパラメータに依存し得る。例えば、子供は成人とは異なる用量を受け得る。医療専門家は、自由に使えるさまざまな計算ツールを使用して、用量を適応させる必要があるかどうかを簡単に判断できる。
【0050】
「腸内細菌叢の組成の変化」という用語は、ヒト及び/又は動物の腸内細菌叢の構成要素である脂肪生成細菌種の少なくとも1つの集団が、他の様式で増加、減少及び/又は影響を受ける、当業者が理解できるプロセスを記載する。単離してレビューして、対応する細菌の数を決定することによってこれを測定することができ、または腸内細菌叢内の他の細菌種と比較して決定することができる。適切な方法は、当業者に常識である。
【0051】
「体重減少の達成及び/又は維持」という用語は、当業者に理解可能であり、ヒト及び/又は動物の体重の短期的な減少、及び/又は好ましくは、ヒト及び/又は動物の体重減少の持続的な保持に関する。「体重増加の防止」という用語もまた、当業者に理解可能であり、ヒト及び/又は動物の体重減少の持続的な及び/又は継続的な保持に関連する。この場合、ヒト及び/又は動物における体重減少及び重量増加の防止を達成及び/又は維持することは、少なくとも1種の脂肪生成菌種を減少させることによって達成されることが好ましい。
【0052】
薬剤におけるバクテリオファージ及び/又は医薬組成物の使用は、とりわけ、腫瘍学、免疫学、感染学、口腔および顎顔面手術、耳鼻咽喉科、眼科、神経学、婦人科、胃腸科、内分泌学、精神医学、心身学、整形外科、小児科、外科、泌尿器科、及び/又は同様の医療分野における疾患を治療するために起こり得る。バクテリオファージ及び/又は医薬組成物の使用を示し得る許容される診断は、とりわけ、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、胆嚢疾患、消化管の慢性疾患、慢性腸炎症、低塩素水症、高血圧、脂肪代謝障害、呼吸性褥癖、睡眠時無呼吸、冠状動脈性心疾患、関節症、痛風、癌、例えば子宮癌、乳癌、子宮頸癌、膵臓癌、肝臓癌、胃癌、腸癌、前立腺癌および胆嚢癌、性ホルモン障害、性欲減退、関節痛および腰痛、血栓症および塞栓症のリスク増加、手術および麻薬中のリスク増加、自尊心の低下および/または環境によってあまり評価されないという認識によって引き起こされるうつ病などから生じる、心理社会的問題およびその結果生じる生活の質の制限であり得る。好ましくは、それぞれの場合における目的は、少なくとも1つの脂肪生成細菌種を減少させ、それぞれの疾患及び/又はそれぞれの苦痛の治療のための良好な、好ましくは改善された、予後を得るために、ヒト及び/又は動物における体重減少及び/又は体重増加の予防を主的または二次的な成功として達成及び/又は維持することにつながることである。考慮されることは、実際の病気に依存しないバクテリオファージ及び/又は医薬組成物の使用である。この治療は、少なくとも1つの脂肪生成細菌種または体重が減少した場合、及び/又は体重増加が停止もしくは遅延された場合に成功したとみなされる。
【0053】
「治療」という用語は、未処理のヒト及び/又は動物と比較して生じるヒト及び/又は動物の各改善に関連し、この改善は、好ましくは、少なくとも1つの脂肪生成細菌種の減少に基づいており、ヒト及び/又は動物における体重減少を達成及び/又は維持並びに/もしくは予防する。治療されるヒト及び/又は動物の100%において、治療はおそらく成功していないと推測される。しかしながら、この用語は、被験者の統計的に有意な部分(例えば、コホート研究のコホート)に対して治療が成功したことを前提としている。当業者は、異なる既知の統計的評価手段、例えば、信頼区間の決定、p値の決定、スチューデントt検定、マン・ホイットニーU検定などを用いて、ある部分が統計的に有意であるかどうかを容易に確立することができる。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%である。p値は好ましくは0.05;0.01;0.005又は0.0001である。
【0054】
「薬剤」という用語は、先行して記載したように、治療有効量のバクテリオファージ及び/又は医薬組成物に関する。好ましくは、医薬組成物は、バクテリオファージ、少なくとも1つの医薬として許容される担体及び/又は希釈剤を有する。薬剤は、上記で詳細に記載した異なる投与様式のために製剤化され得る。治療有効量は、腸内細菌叢の組成を変えるため、少なくとも1つの脂肪生成細菌種を減少させるため、体重減少を達成及び/又は維持するため、体重増加を予防するため、及び/又は上記の疾患を治療するために必要な量に関する。治療有効性および毒性は、細胞培養物または試験動物における薬学的標準方法、例えばED50(症例の50%において治療上有効である投与量)およびLD50(症例の50%において致死的である投与量)を介して決定し得る。治療効果と毒性効果の投与量比は、LD50/ED50比として表すことができる治療指数である。投与計画は、医師及びその他の臨床的要因によって決定される。医療分野で知られているように、対応する投与量は、身長、体表面、年齢、投与される物質、性別、時間および投与様式(一般的な健康状態および同時に投与される他の薬剤)を含む、医療専門家に知られている多くの要因に依存する。進捗状況は、定期的な評価によって監視され得る。
【0055】
さらに、本発明に記載のバクテリオファージ及び/又はバクテリオファージ並びに少なくとも1つの他の成分を含む医薬組成物が、過体重、肥満、代謝性障害、心血管疾患、細菌感染、代謝性疾患、メタボリックシンドローム及び/又は癌の治療に使用するために提案されている。
【0056】
さらに本発明によると、バクテリオファージ及び/又はバクテリオファージ並びに少なくとも1つの他の成分を含む医薬組成物は、腸内細菌叢の組成を変更するための治療方法又は非治療方法、体重減少を達成及び/又は維持するための治療方法及び/又は非治療方法、体重増加を予防するための治療方法又は非治療方法及び/又は過体重、肥満、代謝性障害、心血管疾患、細菌感染、代謝性疾患、メタボリックシンドローム及び/又は癌を治療するための治療方法及び/又は非治療方法に使用するために提案されている。
【0057】
本発明の別の実施形態において、前記細菌感染は、呼吸路、歯、口、顎、眼、筋骨格系、血液、胃腸管、好ましくは大腸、小腸、十二指腸、胃、肝臓、胆嚢及び/又は膵臓、皮膚、心血管系、ホルモンバランス、精神、免疫系、神経系、代謝系、創傷及び/又は泌尿生殖路の細菌感染であると考えられる。
【0058】
「胃腸管」という用語は、当業者に周知であり、栄養素をヒト及び/又は動物の器官、腸、特に腸内細菌叢を介して使用可能にすることを目的として、栄養素の摂取、粉砕、輸送及び/又は処理に機能するヒト及び/又は動物における器官に関連し、それらの調節に大きく寄与する。
【0059】
記載された特徴は、それぞれ単独で、または互いに組み合わせて実現することができる。なお、本発明は、本明細書に含まれる例示的な実施形態に限定されるものではない。
【国際調査報告】