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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
   F24F 8/90 20210101AFI20230426BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20230426BHJP
   F24F 8/30 20210101ALI20230426BHJP
   B01D 46/00 20220101ALI20230426BHJP
   B01D 46/44 20060101ALI20230426BHJP
   A61L 2/14 20060101ALI20230426BHJP
   F24F 8/158 20210101ALN20230426BHJP
   F24F 8/80 20210101ALN20230426BHJP
【FI】
F24F8/90
F24F8/108
F24F8/30
B01D46/00 Z
B01D46/44
A61L2/14
F24F8/158
F24F8/80 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022548593
(86)(22)【出願日】2021-02-11
(85)【翻訳文提出日】2022-10-03
(86)【国際出願番号】 EP2021053332
(87)【国際公開番号】W WO2021160735
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】202021006451
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】202021006450
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】202021006452
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】202021006453
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】202021006449
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】20166870.4
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20176484.2
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513186590
【氏名又は名称】ブルーエアー・エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ダンベルガー,ラース・ヘンリック
(72)【発明者】
【氏名】ネタジ,アラギリサミー
(72)【発明者】
【氏名】ウェナーストローム,ジョアン・ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C058
4D058
【Fターム(参考)】
4C058AA19
4C058AA24
4C058BB06
4C058CC06
4C058KK06
4D058JB50
4D058NA01
4D058QA21
(57)【要約】
請求項1から6のいずれかに記載の空気清浄機の内面又は空気清浄機内の濾過材を滅菌するための方法であって、(A)前記内面又は濾過材を空気流にステップと、(B)前記内面又は濾過材をイオン雲にさらすステップとによって、ステップ(A)及び(B)は任意の順序にして、空気清浄機の内面又は空気清浄機内の濾過材を滅菌するための方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)内面又は濾過材を空気流にさらすステップと、(B)前記内面又は濾過材をイオン雲にさらすステップとによって、空気清浄機の内面又は空気清浄機内の濾過材を滅菌するための方法であって、ステップ(A)及び(B)は任意の順序である、前記方法。
【請求項2】
前記空気清浄機が取り外し可能な濾過材を備え、前記取り外し可能な濾過材で測定されたステップ(A)の間の前記空気流速度が0.1~1.2cms-1である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(A)及び(B)が排他的に実施される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
(A)が1分~10時間の持続時間を有する、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
(B)が1分~10時間の持続時間を有する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記空気清浄機が、取り外し可能な微粒子フィルタ又はガスフィルタと、空気流発生器と、前記空気流発生器を制御するための手段と、空気濾過空気流速度についての第1の空気流設定と、前記空気清浄機及び/又は取り外し可能な微粒子フィルタ又はガスフィルタの内面の滅菌と相関する第2の空気流設定とを備える、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2007 034 082号は、清浄機を通過する空気流中の微粒子材料を帯電させるように動作するイオン化アセンブリを含む空気清浄機を開示している。帯電微粒子材料は、イオン化アセンブリの下流に配置された、帯電微粒子材料とは反対側にある電荷を有するフィルタ要素に引き寄せられ、フィルタ要素によって保持される。フィルタを通過する浄化された空気は、場合により浄化された空気流に添加される芳香剤と併せて、装置から外に導かれる。イオン化アセンブリは、イオン化部材に隣接して配置されたアース部材で形成され、イオン化アセンブリによって生成された電子を清浄機内に保持し、したがって清浄機の外部で静電気放電が発生するのを防止する。空気流は、ファンによって、角度を付けて実質的に層流になるように清浄機を通って導かれ、その結果、清浄機の効率は増加する。
【0003】
米国特許出願公開第2002 141 131号は、空気入口と、高電圧源と、イオンを生成するために高電圧源に電気的に接続された電極と、空気出口とを含む改良された空気イオン化装置を開示している。エアムーバは、空気入口を介して空気イオン化装置に空気を流入させ、空気出口を介して空気イオン化装置から空気を流出させるために設けられる。導電性材料を含む有孔フィルタは、電圧源及びアースの少なくとも一方に電気的に結合される。フィルタは、空気入口に流入する空気、空気出口から流出する空気、又は電極を通過して流れる空気がフィルタを通って流れるように、空気入口、空気出口、及び電極のうちの少なくとも1つの上に配置される。好ましい実施形態では、フィルタは金属グリッド又はスクリーンを含む。
【0004】
中国特許第105 823 131号は、教示領域用の新鮮空気清浄複合システムを開示している。新鮮空気清浄複合システムは、空気処理アセンブリを備える。空気処理アセンブリは、新鮮空気換気装置と空気清浄機とを備える。新鮮空気換気装置と空気清浄機とを独立して配置し、室内の異なる位置に固定することにより、組み合わせて室内空気質を制御することができる。教示領域用の新鮮空気清浄複合システムによれば、一定酸素空気清浄機と浄化型新鮮空気換気装置との組み合わせにより、常に清潔で、一定の酸素量の、省エネで環境に優しいエコな教室を作ることができ、生徒に安全で清潔な学習環境が提供される。
【0005】
国際公開第2018/058716号は、ハウジング(1)と、室内還気入口(21)と、室外新鮮空気出口(22)と、新鮮空気送達出口(2)と、室内還気排出口(12)と、ハウジング(1)内に設けられた電源制御装置とを備え、前記ハウジング(1)内には、ステージ1のフィルタ(3)と、熱交換コア(4)と、排気ファン(5)と、ステージ2のフィルタ(6)と、イオン雲ダスト除去モジュールと、送風機(9)と、ステージ3のフィルタ(10)とが順に設けられており、排気ファン(5)、イオン雲ダスト除去モジュール、及び送風機(9)が電源制御装置に電気的に接続されている、オールインワンの新鮮空気清浄機を開示している。本オールインワン装置は、換気機能と空気清浄機能とを組み合わせ、プラグ・アンド・プレイ式であり、設置及び保守が難しくなく、空気管の設置や部屋の損傷という構造的問題を起こさず、マイナスイオンを多く発生し、長い搬送距離を有し、強力な塵埃除去及び消毒効果を有し、さらに、動作中にオゾンを発生させず、健康な環境を維持する。
【0006】
国際公開第2020/007549号は、空気清浄装置用のイオン化装置を開示しており、イオン化装置は、コロナ放電チップを備え、正のコロナ放電と負のコロナ放電とを交互に発生させることができ、イオン化装置は、電圧源と、使用中に第1の極性から第2の極性に、又はその逆に切り替えるためのスイッチと、第1の極性から第2の極性への切り替えの間の時間間隔を計時するためのタイマとを備え、スイッチは、0.2~20秒の期間後に極性を切り替えるように作動される。空気清浄装置は、このようなイオン化装置と、ファンと、フィルタとを備え、イオン化装置は、空気の流れ方向においてファンの後、且つ、フィルタよりも前に配置される。本発明はまた、そのようなイオン化装置を備える乗り物、及び、そのような空気清浄装置を備える住居に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007 034 082号
【特許文献2】米国特許出願公開第2002 141 131号
【特許文献3】中国特許第105 823 131号
【特許文献4】国際公開第2018/058716号
【特許文献5】国際公開第2020/007549号
【発明の概要】
【0008】
従来技術にもかかわらず、空気清浄機、特に、実用寿命を通してより衛生的な空気清浄機の改良が依然として必要とされている。
【0009】
空気清浄機は、フィルタを通して周囲空気を濾過することによって機能する。したがって、空気中のいかなるものも、理論的にはフィルタによって捕捉可能である。微粒子フィルタからガスフィルタまで様々なタイプの濾過手段があるが、空気流で捕捉された微生物も捕捉することは、空気清浄機の機能の必要な結果である。
【0010】
また、周囲空気から汚染を除去することが主な焦点であることと、微粒子が除去されていることを示す様々なセンサが存在することとが、空気清浄機の所定の特徴である。結果として、空気清浄機が自動モードで動作することも非常によくあることであり、それにより、微粒子の存在は装置を通る空気流速度に影響を及ぼす。したがって、空気質が良好である場合、エネルギーを節約するために清浄機をアイドルモード又は待機モードに維持することが可能であり、多くの場合望ましい。
【0011】
しかし、空気が清浄機を通過していないときに、フィルタで捕捉された微生物は、急速に増殖してバイオフィルムを形成することができ、このバイオフィルムは有効なフィルタの寿命に悪影響を及ぼし、また、家庭内環境にいることを習慣とするユーザに健康被害をもたらす可能性がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
したがって、第1の態様では、
(A)内面又は濾過材を空気流にさらすステップと、
(B)前記内面又は濾過材をイオン雲にさらすステップと
によって、空気清浄機の内面又は空気清浄機内の濾過材を滅菌するための方法であって、
ステップ(A)及び(B)は任意の順序である、前記方法が提供される。
【0013】
本発明者らは、驚くべきことに、微生物を死滅させるために必要な空気ドラフトが、空気濾過に必要な空気ドラフトよりも著しく少ないことを発見した。さらに、本発明者らは、表面を空気ドラフトにさらしてからイオン化装置にさらすこと、又はその逆を行うことにより、滅菌特性が向上することを発見した。
【0014】
好ましくは、空気清浄機は、微粒子フィルタ又はガスフィルタであり得る取り外し可能な濾過材を備える。
【0015】
取り外し可能なフィルタで測定された空気流速度は、媒体速度として当技術分野で知られている。媒体速度は、空気がフィルタを通って進む速度である。媒体速度は、微粒子の最大量が確実に捕捉されるようにするために完全に制御されなければならない。速すぎると、多くの汚染物質は濾過されずにまっすぐに飛んでいく。遅すぎると、清浄機は、十分に効果があるほど速くは部屋の一番奥の隅まで届かない。
【0016】
好ましくは、取り外し可能なフィルタで測定された空気流(A)速度(媒体速度)は、濾過材で測定された少なくとも0.1cms-1である。濾過材での測定は、濾過材表面のファン側の空間中心点から行われる。2つ以上の濾過材がある場合、空気ドラフト測定のために使用されるものは、空気流発生器に最も近く、したがって最初に空気ドラフトを受けるものである。
【0017】
より好ましくは、取り外し可能なフィルタで測定される空気流速度は、0.1~2.5cms-1である。最も好ましくは、取り外し可能なフィルタで測定される空気流速度は、0.8~1.2cms-1である。
【0018】
使用されるイオン化装置は、エミッタ電極及びアース電極を備える。エミッタ電極は、好ましくは-10~10kV、より好ましくは、おおよそ-8~8kVの範囲の適切な電圧が印加されると、エミッタとレシーバとの間にイオン雲を放出する。
【0019】
エミッタ電極は、好ましくは、1つの点、チップ、又は複数のチップ若しくは複数の点、例えばブラシであり、電圧源と電気的に連通している。好ましくは、エミッタ電極は、最も近い濾過材から20cm以内、より好ましくは15cm以内、特に好ましくは10cm以内、最も好ましくは5cmまでの範囲であり、必要に応じて、イオン化装置の作動中にイオン雲に浸すことによって滅菌される。この距離は、エミッタ電極の先端部から最も近い濾過材の最も近い部分までの、より具体的には、例えば構造フレームではなく濾過する濾過材の一部までの距離である。
【0020】
受信電極は、イオンがエミッタから離れて消費され、レシーバに向かって引き寄せられるときに結果としてイオン雲が3次元になるように、リング形状の金属部品であることが好ましい。好ましくは、受信電極は、発光電極から離れるように空気流方向に延在するケージの形態である。より好ましくは、受信電極は、網状配置の形態であり、フィルタに向かって延在する。そのような延在部は、受信電極が放出電極から空気流方向の下流にあるように、半球又は部分的な円筒形状を呈していてもよい。
【0021】
好ましくは、エミッタは、リングの形態のレシーバの間で中央に配置される。エミッタは、使用中に空気流に向かって又は空気流から離れて配置されてもよいが、エミッタは、滅菌される表面、例えば内壁又は濾過材のほうに向いていることが好ましい。
【0022】
好ましくは、空気流発生器は、空気清浄機の内面及び/又は濾過材の滅菌に見合った空気流を1秒~10時間発生させる。
【0023】
好ましくは、(A)及び(B)は排他的に実施される。これは、滅菌される表面がまず空気ドラフトにさらされ、次いで空気ドラフトが停止されると、表面が一気にイオン化にさらされることを意味している。同様に、イオン化は、空気ドラフトより先に起きる可能性がある。
【0024】
また、滅菌される表面が断続的に空気ドラフトとイオン化の両方を受けるように、空気ドラフト及びその後のイオン化が続いて起こること、又はその逆が繰り返されるのが好ましい。
【0025】
好ましくは、(A)は、1分~10時間の持続時間を有する。
【0026】
好ましくは、(B)は、1分~10時間の持続時間を有する。
【0027】
第2の態様では、取り外し可能な微粒子フィルタ又はガスフィルタと、空気流発生器と、前記空気流発生器を制御するための手段と、空気濾過空気流速度についての第1の空気流設定(air flow setting)と、空気清浄機及び/又は取り外し可能な微粒子フィルタ又はガスフィルタの内面の滅菌と相関する第2の空気流設定と、イオン化装置とを備える空気清浄機が提供される。
【0028】
好ましくは、空気清浄機は、内面又は濾過材を滅菌するための動作可能なモードを備え、それによって、空気ドラフトは前記第2の空気流設定と一致し、これはイオン化の期間の前又は後のいずれかで作動される。
【0029】
本発明者らは、驚くべきことに、適度な空気流量とイオン化処理との組み合わせが微生物の増殖を防止し、周囲空気内に送り込まれてフィルタ交換中に環境中に放出される生きた微生物の蔓延を劇的に減少させることができることを発見した。
【0030】
そのような微生物には、グラム陽性菌、グラム陰性菌、胞子、カビ及び真菌、並びに前記微生物内の任意のウイルスが含まれる。
【0031】
本発明者らは、驚くべきことに、低速空気ドラフト及びその後一気に起こるイオン化、又はその逆を提供することによって、空気清浄機の内面上、特に濾過材上の微生物の生存率を大幅に低下させることができることを発見した。清浄機が動作している間、微生物がフィルタ上で増殖及び繁殖するリスクは増加しない。しかし、それがアイドルモード又は待機モードにあり、状況が好ましい場合、微生物は増殖する。
【0032】
本発明の好ましい実施形態では、清浄機は、微生物の増殖を助長する状況の可能性を確認し、そのような状況が存在すると考えられる場合、空気流発生器及び/又はイオン化装置を作動させて、フィルタ上の微生物、又は清浄機の内面上の微生物さえも破壊する。
【0033】
プロセッサが、例えば温度センサ及び湿度センサからの入力を参照し、次いで適切なルックアップテーブルを参照して、状況が微生物の増殖を助長すると判断した場合、プロセッサは、例えば視覚信号若しくは可聴信号によって、又は携帯電話などの遠隔装置に電子的に指示を提供し、その結果、ユーザは、空気流発生器を使用すべきであること、又は空気流発生器が本明細書に記載のようにファン若しくはインペラを低速で自動的に作動させるか、又はイオン化装置を作動させることを通知され、これは、微生物の増殖を防止するか、又は微生物を直接破壊するのに十分なものである。このイオン化装置又はファンの作動は、装置が待機モード又はアイドルモードにあるときにのみ適切であることに留意することが重要である。イオン化装置が機能しているとき、又はファンが機能しているとき、微生物はフィルタ上で増殖することができない。
【0034】
好ましくは、清浄機は、選択肢が以下のいずれかである第1のモードを有する。すなわち、湿度センサ及び温度センサによって判定された状況が微生物の増殖が無いこと又は少ないことが予想されるような場合に、動作しないこと(no action)か、状況が微生物にとって好都合であることをユーザに警告して、ユーザがファンを作動させるオプションを可能にする、モバイル装置への電子信号によるアラートか、微生物の増殖が起こりそうであることをユーザに警告し、ファン若しくはインペラ、又はイオン化装置を作動させることをユーザに強く推奨する場合の警告レベルのいずれかである。
【0035】
第2のモードは、温度センサ及び湿度センサからの入力によって指示が決定されるという点で同様に動作することができるが、警告又はアラートの代わりに、微生物の増殖が起こりそうな状況であるときに機械が自動的にオンになる。
【0036】
もちろん、ユーザは、これら2つのモードのうちの1つを適宜選択してもよい。
【0037】
プロセッサは、状況が微生物の増殖を助長すると判定すると、例えば視覚信号若しくは可聴信号によって、又は携帯電話などの遠隔装置に電子的に指示を提供し、その結果、空気流発生器及び/又はイオン化装置を使用すべきであることがユーザに通知される。
【0038】
温度センサは当技術分野で公知であり、Sensirionから市販されている。温度センサの好適な例には、STS3xシリーズが含まれる。
【0039】
湿度センサは当技術分野で公知であり、Sensirionから市販されている。湿度センサの好適な例としては、SHT3xシリーズが含まれる。
【0040】
好ましい実施形態では、前記センサからの入力に基づいて空気流発生器及び/又はイオン化装置を制御する手段は、例えばプロセッサによって自動的に行われる。そのような実施形態では、センサは、連続的又は断続的に温度及び/又は湿度を検知し、情報をプロセッサに送り返す。プロセッサは、少なくとも温度又は湿度に基づいて、状況が微生物の増殖を助長するかどうかを判定する。好ましくは、プロセッサは、温度及び湿度に基づいて、状況が微生物の増殖を助長するかどうかを判定する。より好ましくは、プロセッサは、地理的位置、日、週、月若しくは季節という時間、又は汚染レベル、並びに発生する任意の特定の状況、例えばウイルスのパンデミック又は山火事、及びこれらのいずれかの組み合わせなどのパラメータにさらに基づいて、微生物の増殖の可能性を判定する。
【0041】
例えば、アジアでは、湿潤期は、典型的にはモンスーンによって定義され、夏季に生じる。対照的に、欧州及び北米の夏は、より乾燥した天候を特徴とする。同様に、半球では、季節的特徴が異なる。
【0042】
好ましくは、地理的位置は、GPS又は清浄機のWIFI性能によって決定される。これはまた、セットアッププロセス中にユーザ入力によって提供されてもよい。
【0043】
清浄機は、内部電源、例えばバッテリ、及び外部電源を含む任意の適切な電源によって電力供給される。電力は、モータを駆動するために使用され、モータは、少なくとも空気流発生器及びイオン化装置が存在する場合は、それらに電力を供給する。
【0044】
好ましくは、濾過材は、炭素、活性炭、不織布、熱可塑性物質、熱硬化性材料、多孔質発泡体、ガラス繊維、紙、高ロフトのスパンボンドウェブ、低ロフトのスパンボンドウェブ、メルトブローンウェブ、及び/又はバイモーダル繊維径のメルトブローン媒体のうちの少なくとも1つを含む。
【0045】
好ましくは、取り外し可能な微粒子フィルタは、高効率微粒子空気(High Efficiency Particulate Air:HEPA)フィルタである。空気清浄機のフィルタ部分はその機能の重要な部分であるが、空気清浄機は、通常、所定の位置にフィルタを備えた状態で製造されないことを理解されたい。それらは、実際には常に別々に製造され、最も重要なことには、空気清浄機自体の製造業者とは異なる商業企業によって製造されることが多い。また、フィルタの製造業者が、異なる製造業者によって製造された異なる空気清浄機モデル用のフィルタを製造することも一般的である。微粒子フィルタは、存在しているプレフィルタ又は任意のダストフィルタと対比されるべきである。プレフィルタ及びダストフィルタは、HEPAフィルタによって示される微粒子捕捉能力を有さないので、HEPAフィルタとはみなされない。好ましくは、フィルタは、空気清浄機に適用する前にプリチャージされる。
【0046】
プレフィルタは、空気抵抗が低く、ユーザがボリュート又はインペラアセンブリに触れるのを防止するポークガード(poke guard)としても機能するフィルタである。プレフィルタは、空気浄化に関して大きな効果を示すことを意図していない。それらは、専用の微粒子フィルタの空気抵抗又は粒子捕捉能力を有さない。好ましくは、プレフィルタはHEPAフィルタではない。
【0047】
本発明の清浄機はまた、ファン又はインペラを備える。ファンは、羽根なしファン、軸流ファンであってもよいが、ラジアルファンであることが好ましい。
【0048】
好ましくは、空気清浄機はイオン化装置を含む。好ましくは、イオン化装置は、コロナ放電チップと、受信電極とを備える。コロナ放電チップが適切な電圧にさらされると、コロナ放電チップは、チップと受信電極又はアース電極との間にイオン雲を生成する。
【0049】
イオン化装置は、好ましくは前記清浄機の内部に配置される。しかし、清浄機が、前記清浄機の外部にさらに配置されたイオン化装置を備えることも好ましい。より好ましくは、任意の外部イオン化装置が清浄機の上部に配置されることが好ましい。外部イオン化装置を清浄機の上部に配置することは、家庭塵埃粒子が空気を通って地面に向かって落下するときにイオン化され、したがって、帯電するにつれて凝集する可能性が高いことを意味する。それらがより凝集するにつれて、それらは清浄機によって生成された空気循環パターンにより容易に巻き込まれ、したがってより容易に濾過される。
【0050】
イオン化装置が清浄機の内部に配置される場合、イオン化装置は、空気流方向において取り外し可能な微粒子フィルタよりも前に配置されることが好ましい。
【0051】
好ましくは、清浄機は、内部イオン化装置と外部イオン化装置とを備える。外部イオン化装置は、家庭塵埃粒子の凝集を促進し、内部イオン化装置は、取り外し可能な微粒子フィルタによる凝集した塵埃粒子の捕捉を促進する。両方の場合において、イオン化は、より低密度の濾過材と、低速の気流速度(ファン)速度とを可能にする。
【0052】
[実施例1]
以下の実験は、基材、この場合は微粒子フィルタ上の微生物の生存率に対するイオン化のみの影響を評価することを目的とする。イオン流を放出するために、イオン化装置は、-5kVを加えられた。
【0053】
この実験で基材に加えられた空気流は0であった。
【0054】
使用した微生物は黄色ブドウ球菌及び緑膿菌であり、バイオフィルムを生成するための培養期間は5日間であった。
【0055】
結果:
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
結論:
イオン化装置エミッタが基材に近いほど、微生物の生存率に対する影響は良好である。さらに、約2時間で一気にイオン化させることが一番最適に機能する。
【0058】
[実施例2]
以下の実験は、基材、この場合は微粒子フィルタ上の微生物の生存率に対する低空気ドラフトのみの影響を評価することを目的とする。基材のイオン化は起こらなかった。
【0059】
使用した微生物は黄色ブドウ球菌及び緑膿菌であり、バイオフィルムを生成するための培養期間は5日間であった。
【0060】
結果:
【表3】
【0061】
0.018ms-1の低風量空気ドラフトは、微生物の増殖の減少をもたらさなかったが、これは依然として増殖の減速をいくらかもたらした。
【0062】
[実施例3]
空気清浄機は、微粒子フィルタがイオン化されて低風量空気ドラフト(1.0cms-1)にさらされるように設定された。空気ドラフトは10時間、イオン化は2時間であり、イオン化ステップは最初に行われた。
【0063】
再び、イオン化装置は、-5kVに設定され、試験前の5日間、試験微生物(黄色ブドウ球菌及び緑膿菌)を増殖させた。
【0064】
制御は、6の対数微生物数を示し、試験スコアは2.5であった。
【0065】
[実施例4]
空気清浄機は、清浄機の内面がイオン化及び低風量空気ドラフト(1.0cms-1)にさらされるように設定された。空気ドラフトは10時間、イオン化は2時間であり、イオン化ステップは最初に行われた。
【0066】
再び、イオン化装置は、-5kVに設定され、試験前の5日間、試験微生物(黄色ブドウ球菌及び緑膿菌)を増殖させた。
【0067】
制御は152コロニーの微生物を示し、試験スコアは6を示した。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)濾過材を空気流にさらすステップと、(B)前記濾過材をイオン雲にさらすステップとによって、空気清浄機内の濾過材を滅菌するための方法であって、ステップ(A)及び(B)は任意の順序である、前記方法。
【請求項2】
前記空気清浄機が取り外し可能な濾過材を備え、前記取り外し可能な濾過材で測定されたステップ(A)の間の空気流速度が0.1~1.2cms -1である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(A)及び(B)が排他的に実施される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
(A)が1分~10時間の持続時間を有する、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
(B)が1分~10時間の持続時間を有する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記空気清浄機が、取り外し可能な微粒子フィルタ又はガスフィルタと、空気流発生器と、前記空気流発生器を制御するための手段と、空気濾過空気流速度についての第1の空気流設定と、前記空気清浄機及び/又は取り外し可能な微粒子フィルタ又はガスフィルタの内面の滅菌と相関する第2の空気流設定とを備える、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【国際調査報告】